(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-01
(54)【発明の名称】脂肪組織から微小血管を単離するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
C12M 3/08 20060101AFI20220525BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20220525BHJP
【FI】
C12M3/08
C12N5/071
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559538
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(85)【翻訳文提出日】2021-12-03
(86)【国際出願番号】 US2020027354
(87)【国際公開番号】W WO2020210415
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521399906
【氏名又は名称】アドバンスド ソリューションズ ライフ サイエンシズ、エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホイング、ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ストロベル、ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】ブッシュマン、サラ
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065BD42
4B065BD44
(57)【要約】
濃縮又は精製された酵素を使用して組織を解離させる微小血管を単離するための方法及びシステムが記載される。システム及び方法は、第1の消化及び第1の遠心分離操作からの上層を濃縮又は精製された酵素で消化し、第2のファット-酵素溶液を生成するための第2の消化、第2の遠心分離操作、並びに第1及び第2の遠心分離操作によって生成されたペレットからの微小血管の単離を含む。システム及び方法は、消化後洗浄において第2のファット-酵素溶液を酵素阻害剤で洗浄することを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃縮された酵素を使用して組織を解離させる微小血管を単離するためのシステムであって、
1つ又は複数のプロセッサ、
前記1つ又は複数のプロセッサに通信可能に連結された非一時的メモリ、及び
前記非一時的メモリに保存された機械可読命令であり、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行された場合に、前記システムに1つ又は複数のプロトコールとして少なくとも以下:
第1の消化において、細切された脂肪を濃縮された酵素で消化し、第1のファット-酵素溶液を生成すること、
第1の遠心分離操作で前記第1の消化からの前記第1のファット-酵素溶液を遠心分離し、1つ又は複数の第1のペレット及び前記1つ又は複数の第1のペレットの上に位置するファット上層を生成すること、
第2の消化において、前記ファット上層を前記濃縮された酵素で消化し、第2のファット-酵素溶液を生成すること、
第2の遠心分離操作において前記第2の消化からの前記第2のファット-酵素溶液を遠心分離し、1つ又は複数の第2のペレットを生成すること、並びに
前記1つ又は複数の第1のペレット及び前記1つ又は複数の第2のペレットの1つ又は複数の部分を1つ又は複数のふるいに通し、複数の単離された微小血管を生成すること
を実施させる機械可読命令
を含むシステム。
【請求項2】
前記濃縮された酵素が、組織から細胞を単離するためのクロストリジウム・ヒストリチカムからの低プロテアーゼ濃縮コラゲナーゼ生成物を含む濃縮又は精製された酵素を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行された場合に、前記システムに少なくとも以下:
前記第2の遠心分離操作の前に、消化後洗浄において前記第2のファット-酵素溶液を酵素阻害剤で洗浄する
をさらに実施させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記消化後洗浄の前記酵素阻害剤が、1種若しくは複数のペプチド阻害剤、1種若しくは複数の小分子阻害剤、1種若しくは複数の天然のマトリックス材料阻害剤、又はそれらの組合せを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行された場合に、前記システムに少なくとも以下:
前記1つ又は複数の部分をゼラチン溶液で洗浄する、及び
前記1つ又は複数の部分を2つのふるいに通し、前記複数の単離された微小血管を生成する
をさらに実施させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行された場合に、前記システムに少なくとも以下:
前記複数の単離された微小血管を凍結保存する
をさらに実施させる、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行された場合に、前記システムに少なくとも以下:
前記第1のファット-酵素溶液の消化のための触媒として追加の酵素を使用する
をさらに実施させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記追加の酵素がデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行された場合に、前記システムに少なくとも以下:
上側リピド層及び前記第2の遠心分離操作からの前記第2のファット-酵素溶液の上清を吸引除去し、前記第2のファット-酵素溶液を含有するチューブの底に前記1つ又は複数の第2のペレットを残す
をさらに実施させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行された場合に、前記システムに少なくとも以下:
手動の混合、脂肪吸引カニューレ又はそれらの組合せの使用によって脂肪を細切し、前記細切された脂肪を生成する
をさらに実施させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記脂肪が、脂肪吸引、腹壁形成術又はそれらの組合せを含む1種又は複数の手順から受け取られる、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行された場合に、前記システムに少なくとも以下:
人工知能コンポーネントを適用し、前記システムの前記1つ又は複数のプロトコールを自動化するように前記システムによって使用されるニューラル・ネットワーク・モデルをトレーニングする
をさらに実施させる、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記機械可読命令が、前記1つ又は複数のプロセッサによって実行された場合に、前記システムに少なくとも以下:
前記人工知能コンポーネントにより、前記システムの前記1つ又は複数のプロトコールに関連する履歴データに基づいて経時的に前記1つ又は複数のプロトコールを変更し、前記システムによる経時的なより高収率の微小血管増殖並びに正確さ及び一貫性が増大した単離をもたらすための機械学習をニューラル・ネットワーク・モデルに適用する
をさらに実施させる、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
濃縮された酵素を使用して組織を解離させる微小血管を単離するための方法であって、
第1の消化において、細切された脂肪を濃縮された酵素で消化し、第1のファット-酵素溶液を生成すること、
第1の遠心分離操作において前記第1の消化からの前記第1のファット-酵素溶液を遠心分離し、1つ又は複数の第1のペレット及び前記1つ又は複数の第1のペレットの上に位置するファット上層を生成すること、
第2の消化において、前記ファット上層を前記濃縮された酵素で消化し、第2のファット-酵素溶液を生成すること、
第2の遠心分離操作において前記第2の消化からの前記第2のファット-酵素溶液を遠心分離し、1つ又は複数の第2のペレットを生成すること、並びに
前記1つ又は複数の第1のペレット及び前記1つ又は複数の第2のペレットの1つ又は複数の部分を1つ又は複数のふるいに通し、複数の単離された微小血管を生成すること
を含む方法。
【請求項15】
前記第2の遠心分離操作の前に、消化後洗浄において前記第2のファット-酵素溶液を酵素阻害剤で洗浄すること
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記消化後洗浄の前記酵素阻害剤が、1種若しくは複数のペプチド阻害剤、1種若しくは複数の小分子阻害剤、1種若しくは複数の天然のマトリックス材料阻害剤、又はそれらの組合せを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記消化後洗浄の前記酵素阻害剤が0.01%ブタゼラチンを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のファット-酵素溶液の消化のための触媒として追加の酵素を使用すること
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
濃縮された酵素を使用して組織を解離させる微小血管を単離するための方法であって、
第1の消化において、細切された脂肪を濃縮された酵素で消化し、第1のファット-酵素溶液を生成すること、
前記第1のファット-酵素溶液の消化のための触媒として追加の酵素を使用すること、
第1の遠心分離操作において前記第1の消化からの前記第1のファット-酵素溶液を遠心分離し、1つ又は複数の第1のペレット及び前記1つ又は複数の第1のペレットの上に位置するファット上層を生成すること、
第2の消化において前記ファット上層を前記濃縮された酵素で消化し、第2のファット-酵素溶液を生成すること、
消化後洗浄において前記第2のファット-酵素溶液を酵素阻害剤で洗浄することであって、ここて、前記消化後洗浄の前記酵素阻害剤が、1種若しくは複数のペプチド阻害剤、1種若しくは複数の小分子阻害剤、1種若しくは複数の天然のマトリックス材料阻害剤、又はそれらの組合せを含み、
第2の遠心分離操作において前記第2の消化からの前記第2のファット-酵素溶液を遠心分離し、1つ又は複数の第2のペレットを生成すること、並びに
前記1つ又は複数の第1のペレット及び前記1つ又は複数の第2のペレットの1つ又は複数の部分を1つ又は複数のふるいに通し、複数の単離された微小血管を生成すること
を含む方法。
【請求項20】
前記消化後洗浄の前記酵素阻害剤が0.01%ブタゼラチンを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「SYSTEMS AND METHODS FOR ISOLATING MICROVESSELS FROM ADIPOSE TISSUE」と題する2019年4月10日出願の米国仮出願第62/831,765号の利益を主張する。
【0002】
本開示は、脂肪組織から微小血管を単離するための方法、より詳細には濃縮又は精製された酵素を利用して脂肪組織から微小血管を単離するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
微小血管を含む細胞を組織から単離する実用化された方法は、組織解離酵素の粗調製物を利用して、組織を個々の細胞構成成分に分割する。組織を解離させて微小血管を単離するための、代替的な高品質の効率的且つ有効な方法に対する必要性が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Hoying JB、Boswell CA、Williams SK、Angiogenic Potential of Microvessel Fragments established in Three-Dimensional Collagen Gels、In Vitro Cell Dev. Bio. Anim 1996年7月、32(7):406~19頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の主題によると、方法及びシステムは、濃縮又は精製された酵素を使用して組織を解離させて、微小血管を単離することができる。システム及び方法は、二重消化特徴及び/又は消化後洗浄特徴を含んでもよい。
【0006】
実施例によると、濃縮された酵素を使用して組織を解離させる微小血管を単離するためのシステムは、1つ又は複数のプロセッサ、1つ又は複数のプロセッサに通信可能に連結された非一時的メモリ、及び非一時的メモリに保存された機械可読命令を含んでもよい。濃縮された酵素は、濃縮又は精製された酵素を含んでもよい。機械可読命令は、1つ又は複数のプロセッサによって実行された場合に、システムに1つ又は複数のプロトコールとして少なくとも以下:第1の消化において、細切された脂肪を濃縮された酵素で消化し、第1のファット-酵素溶液(fat-enzyme solution:脂肪-酵素溶液ともいう)を生成すること、第1の遠心分離操作において第1の消化からの第1のファット-酵素溶液を遠心分離し、1つ又は複数の第1のペレット及び1つ又は複数の第1のペレットの上に位置するファット上層(a top fat layer:脂肪上層又はトップ脂肪層ともいう)を生成すること、第2の消化においてファット上層を濃縮された酵素で消化し、第2のファット-酵素溶液を生成すること、第2の遠心分離操作において第2の消化からの第2のファット-酵素溶液を遠心分離し、1つ又は複数の第2のペレットを生成する、並びに1つ又は複数の第1のペレット及び1つ又は複数の第2のペレットの1つ又は複数の部分を1つ又は複数のふるいに通し、複数の単離された微小血管を生成することを実施させてもよい。
【0007】
別の実施例によると、濃縮された酵素を使用して組織を解離させる微小血管を単離するための方法は、第1の消化において、細切された脂肪を濃縮された酵素で消化し、第1のファット-酵素溶液を生成すること、第1の遠心分離操作において第1の消化からの第1のファット-酵素溶液を遠心分離し、1つ又は複数の第1のペレット及び1つ又は複数の第1のペレットの上に位置するファット上層を生成すること、及び第2の消化においてファット上層を濃縮された酵素で消化し、第2のファット-酵素溶液を生成することを含んでもよい。方法は、第2の遠心分離操作において第2の消化からの第2のファット-酵素溶液を遠心分離し、1つ又は複数の第2のペレットを生成すること、並びに1つ又は複数の第1のペレット及び1つ又は複数の第2のペレットの1つ又は複数の部分を1つ又は複数のふるいに通し、複数の単離された微小血管を生成することをさらに含んでもよい。
【0008】
また別の実施例によると、濃縮された酵素を使用して組織を解離する、微小血管を単離するための方法は、第1の消化において、細切された脂肪を濃縮された酵素で消化し、第1のファット-酵素溶液を生成すること、第1のファット-酵素溶液の消化のための触媒として追加の酵素を使用すること、第1の遠心分離操作において第1の消化からの第1のファット-酵素溶液を遠心分離し、1つ又は複数の第1のペレット及び1つ又は複数の第1のペレットの上に位置するファット上層を生成すること、及び第2の消化においてファット上層を濃縮された酵素で消化し、第2のファット-酵素溶液を生成することを含んでもよい。方法は、消化後洗浄において第2のファット-酵素溶液を酵素阻害剤で洗浄すること、第2の遠心分離操作において第2の消化からの第2のファット-酵素溶液を遠心分離し、1つ又は複数の第2のペレットを生成すること、並びに1つ又は複数の第1のペレット及び1つ又は複数の第2のペレットの1つ又は複数の部分を1つ又は複数のふるいに通し、複数の単離された微小血管を生成することをさらに含んでもよい。消化後洗浄の酵素阻害剤は、1種若しくは複数のペプチド阻害剤、1種若しくは複数の小分子阻害剤、1種若しくは複数の天然のマトリックス材料阻害剤、又はそれらの組合せを含んでもよい。
【0009】
本開示の実施例によって提供されるこれら及び追加の特徴は、図面と併せて以下の詳細な説明を考慮することでより詳細に理解される。
【0010】
本開示の特定の実施例の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号によって示される以下の図面と併せて読むと最良に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】図示及び本明細書に記載される1つ又は複数の実施例に従って、濃縮又は精製された酵素を使用して組織を解離する、微小血管を単離するための方法のフロー・チャートを示す図である。
【
図2】図示及び本明細書に記載される1つ又は複数の実施例に従って、濃縮又は精製された酵素を使用して組織を解離させる微小血管を単離するための別の方法のフロー・チャートを示す図である。
【
図3】図示及び本明細書に記載される1つ又は複数の実施例に従って、
図1~2のフロー・チャートの方法を自動化するためのコンピュータ・ベースのプロセスを実施するためのシステムを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書に記載される実施例によると、濃縮又は精製された酵素を使用して脂肪組織又は他の組織などの組織を解離させるための、インタクトの機能的な微小血管を単離するシステム及び方法が記載される。そのような酵素は、本明細書で濃縮と記載される場合があるが、精製された酵素が、濃縮又は精製を伴わない粗酵素単体と比較して濃縮された酵素の1種であることが企図され、且つ本開示の範囲内である。システム及び方法は、以下でより詳細に記載される通り、細切された脂肪の二重消化の使用を含んでもよい。さらに又は代替的に、システム及び方法は、以下でより詳細にさらに記載される通り、消化後洗浄の使用を含んでもよい。
【0013】
Lakewood、New JerseyのWORTHINGTON BIOCHEMICALから市販されうる粗酵素が関与する動作では、細切された脂肪を粗酵素による単一の消化に供し、遠心分離し、下に位置するペレット及び処分可能な上層を得ることができる。処分可能な上層を廃棄し、下に位置するペレットの1つ又は複数の部分をふるいに通し、組織を解離させて、微小血管を単離してもよい。粗酵素を使用して組織を解離させる微小血管を単離するための単一の消化を含む方法の例は、Hoying JB、Boswell CA、Williams SK、Angiogenic Potential of Microvessel Fragments established in Three-Dimensional Collagen Gels、In Vitro Cell Dev. Bio. Anim 1996年7月、32(7):406~19頁に記載される。
【0014】
本明細書に記載されるシステム及び方法は、濃縮又は精製された酵素を使用して組織を解離する微小血管を単離するための方法における二重消化特徴を対象とし、二重消化特徴は、第2の消化及び第1の消化から得られた上層の使用を対象とする。実施例では、濃縮又は精製された酵素は、濃縮又は精製されたコラゲナーゼを含む。実施例では、濃縮又は精製された酵素は、クロマトグラフィーによって濃縮又は精製されたコラゲナーゼを含む。実施例では、濃縮又は精製された酵素は、組織から細胞を単離するために有用なクロストリジウム・ヒストリチカム(Clostridium histolyticum)からの低プロテアーゼ濃縮コラゲナーゼ生成物を含む。特定の実施例では、濃縮又は精製された酵素は、Collagenase Gold又はDEGold Collagenase又はCollagenase HA(Indianapolis、IndianaのVITACYTEから市販されうる)を含む。実施例では、クロストリジウムのコラゲナーゼに加えて又はその代替として、濃縮又は精製された酵素は、ビブリオなどの他の細菌源及び/又は哺乳動物
のコラゲナーゼを含んでもよい。
【0015】
濃縮又は精製された酵素を使用して組織を解離する、微小血管を単離するための方法100のフロー・チャートである
図1をまず参照する。ブロック102で、細切された脂肪を濃縮又は精製された酵素による第1の消化に供し、第1のファット-酵素溶液を得る。実施例では、脂肪は、手動の混合又は脂肪吸引カニューレなどによって細切され、濃縮又は精製された酵素によって消化される。脂肪組織を細切するための細断(例えば、細切)技術の実施例は、当業者に理解される他の機械的技術の使用を含んでもよい。そのような細断技術は、細断するためのファットを、脂肪吸引(例えば、リポアスピレーション)又は腹壁形成術などの1種又は複数の手順から受け取るように協働してもよい。脂肪吸引に関して、外科用カニューレを使用してファットを吸引脂肪組織として収集し、これをその後細断してもよい。腹壁形成術に関して、ファットの塊を除去及び単離し、さらに細断してもよい。
【0016】
第1のファット-酵素溶液は、消化のための触媒として濃縮又は精製された酵素を補助する夾雑物としての別の酵素の使用をさらに含んでもよい。別の酵素は、ヌクレオチドを連結するホスホジエステル結合を加水分解することができ、より詳細にはDNA骨格におけるホスホジエステル連結の加水分解切断を触媒し、DNAを分解するヌクレアーゼ酵素であるデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)であってもよいが、これらに限定されない。消化のために、濃縮又は精製された酵素の体積に一致する体積のファットを含む消化フラスコが使用されてもよく、且つテフロン(登録商標)又は鋼コーティングされうる撹拌棒が使用されてもよい。実施例では、消化フラスコは、水浴中37℃で8~10分間振盪されてもよく、振盪されなくてもよい。
【0017】
ブロック104では、第1の遠心分離操作においてブロック102の第1のファット-酵素溶液を遠心分離し、第1の遠心分離操作からの1つ又は複数のペレット及び1つ又は複数のペレットの上に位置するファット上層を得る。第1の遠心分離操作は、ファットと微小血管を含む単離物との分離を可能にする。
【0018】
ブロック106では、第1の遠心分離操作から得られた上層を濃縮又は精製された酵素による第2の消化に供し、第2のファット-酵素溶液を得る。実施例では、上層は、ファット上層から微小血管を完全に離すための、新鮮な濃縮又は精製された酵素による第2の消化で消化されるファット上層である。
【0019】
ブロック108では、第2の遠心分離操作において第2のファット-酵素溶液を遠心分離し、第2の遠心分離操作からの1つ又は複数のペレットを得る。実施例では、リピド/上側層(a lipid/upper layer、リピド(lipid)は脂質ともいう)(例えば、上側リピド層(an upper lipid layer))及び第2のファット-酵素溶液の上清が吸引除去され、チューブの底に1つ又は複数のペレットが残る。
【0020】
ブロック110では、第1の遠心分離操作及び第2の遠心分離操作からの、得られたペレットとしての1つ又は複数のペレットの部分を1つ又は複数のふるい(screen:スクリーンともいう)に通し、単離された微小血管とする。実施例では、得られたペレットをゼラチン溶液で洗浄し、2つのふるいに通して微小血管を収集する。実施例では、
図2に関して以下に詳細に記載されるように、微小血管酵素を凍結保存及び/又は酵素阻害剤による消化後洗浄によって阻害及び/又はクエンチし、微小血管のコラーゲン分解を防止する又は最小化する。凍結保存により、微小血管をある期間、例えば1ヶ月間まで保存することができる。
【0021】
「実例1」
例示的な手順では、20ミリリットル(ml)の細切された脂肪組織が使用される。ブロック102において、哺乳動物細胞を取り扱い培養するための平衡塩類溶液としての0.1%DPBS中30mgのDNaseとともに濃縮又は精製された酵素としての30mg Gold Collagenaseを含む30mlの第1のファット-酵素溶液を調製する。次に、15mgの濃縮又は精製された酵素が使用されるように、10mlの第1のファット-酵素溶液を第1のフラスコ中の10mlのファット(例えば、細切された脂肪)に添加する(例えば、1.0x酵素ミックス)。第2のフラスコでは、7.5mgの濃縮又は精製された酵素が使用されるように、7.5mlの第1のファット-酵素溶液を別の10mlのファットに添加する(例えば、0.5x酵素ミックス)。ブロック102で、両方のフラスコを水浴中37℃で1分間振盪し、7分間振盪せずに8分間消化する。両方のフラスコが依然として組織の塊を保持する。
【0022】
次のブロック104のステップでは、第1の遠心分離操作において両方のフラスコの材料を遠心分離する。1.0x酵素ミックスは、0.5x酵素ミックスより大きなペレットを生じる。ファット組織は、各遠心分離されたミックスの上層に残存する。ブロック106で、上層を新しいフラスコに移し、7.5mlの第1のファット-酵素溶液の残存する酵素を添加して再消化する。この再消化は第2の消化特徴として働き、8分の振盪を含み、上部のほとんどが脂肪細胞である高品質の組織をもたらす。ブロック104後、1.0x酵素ミックスはペレット中に微小血管を含まない細胞クラスターを生じ、0.5x酵素ミックスは、ペレット中に微小血管を含まないより大きな細胞クラスターを生じる。ブロック106後、第2の消化後、並びにブロック108の遠心分離及びブロック110の微小血管単離後に相当な数の微小血管がもたらされ、その多くは長い。45の計数を0.02mlで除して40mlを乗じた場合、90,0000の微小血管が得られると推測される。得られた微小血管をペレット化し、冷凍培地の1mlアリコート中で発泡容器の場合は-20℃で2~3時間、その後-80℃で、又は-1℃/分で冷却しながら直接-80℃で冷凍する(例えば、凍結保存)。別の実施例では、ブロック102で1.0x酵素ミックスを16分間消化してもよい。
【0023】
図2は、濃縮又は精製された酵素を使用して組織を解離させる微小血管を単離するための別の方法200のフロー・チャートを示す。方法200は、
図1の方法100と同様であり、ステップ208で第2の遠心分離前に行われる消化後洗浄の使用を含む追加的な選択肢を伴う。したがって、
図2のブロック202、204、206及び210は、上述のブロック102、104、106及び110と同様である。新しいブロック208に関して、消化後洗浄は、0.01%ブタゼラチンの使用を含む消化直後の特徴であってもよい。実施例では、消化後洗浄は、酵素阻害剤の使用を含んでもよい。酵素阻害剤は、これらに限定されないが、ペプチド阻害剤、小分子阻害剤、天然のマトリックス材料阻害剤、又はそれらの組合せなどのクラスの阻害剤を含んでもよい。天然のマトリックス材料阻害剤として、コラーゲンゲル、フィブリン、エラスチン、ゼラチン又はそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0024】
「実例2」
実例2の方法は滅菌された用品によって開始し、最良のバイオセーフティ・レベル2(BSL-2)の実験室業務及び無菌技術に従う。用品は以下を含んでもよい:
・100mmのペトリ皿の底に嵌まるように丸く切断された20μm(約φ60mm)のナイロン・メッシュ・フィルター。
・100mmのペトリ皿の底より大きくなるように10cm正方形に切断された500μm(約φ100mm)のナイロン・メッシュ・フィルター。
・ワイヤ・ステンレス鋼メッシュふるい
・フラスコ1つにつき1つの小さな撹拌棒を備えた125mlのポリカーボネート製エルレンマイヤーフラスコ
・100mm×20mmのペトリ皿
・50mlの遠心分離用コニカル・チューブ
・Steri-flipフィルター(FISHER SCIENTIFIC カタログ#SCGP00525)
・200μlの開口部が広いマイクロピペット・チップ
・1000μlのピペット・チップ
・セロロジカル・ピペット-25、10&5ml
・ベンチトップ遠心分離機
・振盪用水浴
・ブロッキング緩衝液としてのカチオン不含リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中0.1%ウシ血清アルブミンタンパク質(BSA)(BSA-PBS;BSA FISHER SCIENTIFIC カタログ#BP1605-100)
・Collagenase Gold(VITACYTE カタログ#011-1060)
・ウシ膵臓由来のDNase-デオキシリボヌクレアーゼ1(Sigma DN25)
・PBS中2%ゼラチン溶液、オートクレーブ処理
・冷凍培地(FISHER SCIENTIFIC カタログ#12648010)
・ハンクス平衡塩溶液(HBSS;FISHER SCIENTIFIC カタログ#14175103)
【0025】
【0026】
20μmのナイロンふるいを、後に使用するために20mlのBSA-PBSを含有するペトリ皿に入れる。ブロック202で、35ml以下のファットを50mlのコニカル・チューブに移す。一度に4本までのファットのコニカル・チューブが使用できる。各チューブの体積をHBSSで50mlにする。チューブを反転させて洗浄し、400gで4分間遠心分離し、ファットをコニカル・チューブの上部でファット上層として得る。ファット上層を新たな50mlコニカル・チューブに移し(新しいチューブ1本につき35mlまで)、体積をHBSSで50mlにし、新たなチューブを400gで4分間遠心分離する。小さな回転棒を含有する125mL三角フラスコ1つにつき30ml以下のファットを入れる。Collagenase GoldとDNaseの溶液を測定して調製することにより第1のファット-酵素溶液を調製する。BSA-PBS中各酵素1mg/mlを含有する第1のファット-酵素溶液を作製する(すなわち、15ml BSA-PBS中15mgコラゲナーゼ及び15mg DNase)。消化されるファットの体積に等しい体積に0.5Xmlの過剰量を加えたものを調製する。0.2μmのSteriFlipフィルターを使用して第1のファット-酵素溶液を滅菌する。
【0027】
次に、フラスコ中のファット1mlにつき1mlの酵素溶液を添加する(すなわち、洗浄されたファット15mlに15mlの酵素を添加する)。フラスコのキャップを締めてパラフィルムを巻く。ブロック202の第1の消化で、フラスコを37℃の水浴に移して1分間振盪し、その後振盪せずにさらに7分間水浴中でインキュベーションを続ける。
【0028】
ブロック204の第1の遠心分離操作で、第1のファット-酵素溶液を50mlコニカル・チューブに移し(チューブ1つにつき35ml以下)、各チューブの体積をBSA-PBSで50mlにする。次に、250μlの滅菌2%ゼラチンを各コニカル・チューブに添加し(0.01%ゼラチンの最終濃度になるように)、第1の遠心分離操作を400gで4分間行う。遠心分離後、コニカル・チューブに血液細胞、間質細胞の凝集塊及び微小血管を含有するペレットが得られる。
【0029】
ブロック206で、コニカル・チューブ中のファットを上部に収集し(ファットがファット上層として消化されずに現れる)、撹拌棒を備える同じ50ml三角フラスコに移す。第1の消化と同様、第2のファット-酵素溶液として同じ体積の新鮮な酵素ミックスを添加する(すなわち、15mlのファットから開始した場合15ml)。フラスコのキャップをパラフィルムで巻き、第2の消化においてフラスコを37℃の水浴中8分間振盪しながらインキュベートする。ファットが第2の消化で消化されている間、50mlコニカル・チューブを取り出し、各ペレットの上部の残液をペレットの上におよそ5ml残るように吸引してもよい。ペレットを再懸濁してペトリ皿に移してもよい。
【0030】
ブロック208で、得られたファット-酵素溶液を50mlコニカル・チューブに移し、BSA-PBSを50mlまで満たしてもよい。さらに、250μlの2%ゼラチンを各コニカル・チューブに添加し(0.01%ゼラチンの最終濃度になるように)、第2の遠心分離操作で400gで4分間遠心分離してもよい。得られるペレットは、単離された微小血管及び消化できないマトリックス要素を含有する。リピド/上側層及び上清を、チューブの底に位置するペレット上におよそ5ml残るように吸引除去してもよい。
【0031】
ブロック210で、各ペレットを再懸濁して25~30mlのBSA-PBSを添加する。ペレットを、第1の消化からの微小血管(例えば、ペレット)を含むペトリ皿に添加する。滅菌鉗子を用いて金属ふるいを新しいペトリ皿の上に置き、500μmのナイロン・メッシュ・フィルターを金属ふるいの上に置く。微小血管懸濁液を皿から500μmふるい上にゆっくりピペッティングし、懸濁液から未消化の組織片を除去する。完了後、ペトリ皿を10ml BSA-PBSですすぎ、500μmふるい上にピペッティングする。ふるいにBSA-PBSをさらに20mlピペッティングすることによってふるいをすすぎ、ふるいに接着した微小血管又は組織の塊をふるいを通して洗浄する。500μmふるいを廃棄し、ワイヤ支持体を新しい10cm皿に移す。この段階で、微小血管はふるいを通過して皿に存在する。
【0032】
滅菌鉗子を用いて20μmのナイロン・メッシュ・フィルターをワイヤメッシュふるいの上に置き、下に位置する新しい皿を中心として配置する。ここで500μmふるい分けに使用されたペトリ皿内にある濾過された微小血管懸濁液を、例えば同心円状に20μmふるいを通してピペッティングする。懸濁液がふるいを通して非常にゆっくり移動し始め、その結果ふるいに溜まりが形成し移動に時間がかかる場合、このステップを停止し次のステップに進む。この緩慢な移動及び溜まりは高収率の微小血管を意味し、したがってステップを継続すると、すべての単一細胞を洗い落とすことができない場合がある。代わりに、第2の20μmふるいを再び入れ、BSA-PBSに短時間浸し、必要な数の追加のふるいを使用してピペッティングのステップを続ける。元の皿を10mlのBSA-PBSですすぎ、残存する微小血管を除去して、ふるいにピペッティングする。
【0033】
ふるいの縁からこぼれないよう注意しながら20mlのBSA-PBSを同心円状に穏やかにピペッティングすることによってふるいを再びすすぎ、残存する単一細胞を洗い落とす。この段階で、微小血管はふるいの上に捕捉され、単一細胞はふるいを通過している。
【0034】
滅菌鉗子を用いて20μmのナイロン・メッシュ・フィルターをワイヤメッシュからスライドさせて外し、最初にふるいを浸すのに使用された20mL BSA-PBSを含有するペトリ皿に微小血管側を上にして入れる。20μmメッシュを10分間浸す。ペトリ皿を前後に穏やかに振盪し、微小血管をナイロン・メッシュ・フィルターから取り除く。ふるい周辺の微小血管懸濁液の一部をピペットで吸い上げ、ピペットでふるいに吐き出すことによってナイロンふるいの上部を洗浄する。この懸濁液を50mlチューブに移す。10mlの新たなBSA-PBSを一度にふるいにピペッティングすることによって洗浄を複数回繰り返し、すすぎ液を50mlチューブに移す。ふるいウェルの縁もすすぐべきである。ふるいを顕微鏡で確認し、すべての微小血管が除去されたことを確実にすべきであり、これらの除去ステップは、必要であれば、すべての微小血管がふるいから除去されるまで繰り返される。得られた単離された微小血管は、この段階で50mlコニカル・チューブにあるべきである。
【0035】
ここで、得られた単離された微小血管を計数してもよい。計数手順は、まず50mlコニカル・チューブの上部がしっかり締まっていることを決定することを含んでもよい。次に、断片懸濁液を含有するチューブを2~3回穏やかに反転させ、微小血管を溶液中に均一に分布した状態に保つ。20μLの懸濁液試料2つをチューブの反転直後に取り出し、ガラスのスライドにストリークする。ガラススライドは滅菌されていないため、ピペット・チップを各試料間で交換する。さらに、スライドにストリークする前にピペット・チップ上に大きな液滴がないことを決定すべきである。顕微鏡を用いて各ストリークで微小血管を計数する。剥がれた(もはや細胞が付着していない)微小血管は計数されるべきでない。大きな血管の各分枝は、別個の血管として計数されるべきである。小さい毛細血管については、3つに1つの毛細血管のみが計数されるべきである。
【0036】
次に、微小血管の総数を以下の式1によって計算してもよい:
全微小血管=(2つの20μl試料からの平均断片数)*[(50mlチューブ中の懸濁液の体積)/0.02)]
(式1)
【0037】
断片懸濁液を400gで4分間遠心分離してもよく、これは微小血管の計数中に行われてもよい。微小血管ペレットの上におよそ100μLの溶液が残るように上清をデカント又は吸引してもよい。100μLの溶液を穏やかにピペッティングし、微小血管断片をほぐしてもよい。
【0038】
さらに、得られた単離された微小血管は冷凍されてもよい。クライオチューブを、すべてのチューブにそれらの内容物(ヒト微小血管(MV)、間質血管細胞群(SVF)など)、ロット番号、バイアル中の微小血管の数及び調製者のイニシャルがラベル付けされるように調製してもよい。冷凍媒体を室温に戻し、微小血管を冷凍媒体中1mlあたりの所望の量で懸濁する。冷凍媒体が入手可能でない場合、20%ウシ胎仔血清(FBS)及び10%ジメチルスルホキシド(DMSO)を含むDULBECCO MODIFIED EAGLE MEDIUM(DMEM)細胞培養培地が使用されてもよい。チューブの蓋が締まっていることを確認しながら、各クライオチューブに1mlまでの微小血管-冷凍媒体懸濁液を移し、クライオチューブ毎に微小血管を再懸濁する。クライオチューブを冷凍容器(例えば、THERMO FISHER SCIENTIFICから市販のMR.FROSTY)に入れ、すぐに-80℃の冷凍庫に移す。冷凍容器が入手可能でない場合、輸送用発泡容器が代わりに使用されてもよい。輸送用発泡容器が使用される場合、クライオチューブを-20℃に2~4時間入れ、その後-80℃の冷凍庫又は使用説明書に従って他の冷凍デバイスに入れてもよい。24時間後、保持性のためにバイアルを保管用液体N2に移す。
【0039】
他の実例
本明細書に記載される濃縮又は精製された酵素の方法は、濃縮又は精製された酵素を使用して組織を解離させる、ヒト(又は他の)微小血管を単離するための新規の単離、培養及び分取の基準の開発を提供する。他の実施例は本開示の範囲内である。例として、且つ限定としてではなく、本明細書に記載される濃縮又は精製された酵素を使用する8分間の単一の消化を含む実施例では、収率は二重消化を使用する場合ほど高くない。さらに、8分間の間で変化する濃縮又は精製された酵素の濃度を含む実施例では、収率は二重消化を使用する場合ほど高くなく、相当な量のファットが消化されずに残る。8分間ずつの2回の二重消化を利用する実施例では、第2の消化後に高収率が得られ、微小血管の品質が良好である。そのような二重消化を複数回繰り返すことにより、3種の異なるファット源などの異なるファット源間で一貫した収率及び良好な品質が得られる。
【0040】
図1の本明細書に記載される二重消化方法を使用する場合、且つ冷凍の前に、おそらく微小血管単離物上の残留するコラゲナーゼのキャリーオーバーに起因して、微小血管の崩壊とともにコラーゲンが急速に分解する可能性がある。しかし、4週間以上冷凍された微小血管は、コラーゲンの分解を生じなかった。残留コラゲナーゼを阻害又は不活性化し、生産時間を短縮して微小血管を4週間より前に使用するために、ブロック206の第2の消化の直後且つ第2の遠心分離操作の前のブロック208の溶解後洗浄は、培養期間を通してコラーゲンの完全性を維持し、微小血管の高収率をもたらし、さらにコラーゲンの分解を防止する。
【0041】
他の洗浄プロトコールも種々の他の実例で試験される。ふるい分け後のシステイン(非競合阻害剤)洗浄の添加は、微小血管の崩壊とともに1日目にコラーゲンの急速な分解を依然としてもたらす。酵素の様々な濃度の試験は、より低い濃度で微小血管の低収率をもたらすが、1日目に微小血管の崩壊とともにコラーゲンの急速な分解を依然としてもたらす。余分な酵素をすすぎ落とすための酵素消化後の追加のPBS洗浄は、1日目に微小血管の崩壊とともにコラーゲンの急速な分解を依然としてもたらす。残存する酵素と競合結合することを試みるための、希釈されたコラーゲンによるふるい分け後の洗浄は、洗浄中のコラーゲンの重合及びコラーゲンプラグの全体的な構造を破壊する微小血管とのコラーゲン塊の懸濁をもたらす。ふるい分け後の5分間の0.01%ゼラチン洗浄は、コラーゲンの分解を緩徐化するが停止させず、微小血管増殖の品質を低下させる。消化後にすべてのふるい分け/洗浄に添加される0.01%ゼラチンは、ふるい分けされる微小血管のゼラチン依存性の凝集のために収率を低下させるが、コラーゲンは分解しなかった。ふるい分け後の20分間の0.01%ゼラチンによる洗浄は、培養期間を通してコラーゲンの完全性を維持する。1回限りの0.1%ゼラチンによる酵素消化後の洗浄は、高収率、良好な微小血管の品質をもたらし、コラーゲンは分解しない。
【0042】
ウシ胎仔血清(FBS)含有培地を利用する実施例では、微小血管増殖はロット依存性であり、高価で時間のかかるロット試験を伴う場合がある。血清不含培地(SFM)の使用は、ロット非依存性で動物製品を含まず、そのためヒトの試験に有用な規定された費用対効果の高いプロセスを可能にする。SatoSFM及び10ng/mlのVEGFの使用は、微小血管増殖をもたらさない。Sato SFM及び10ng/mlのVEGFに加え、各成分に対してレシピで訂正された投与計算の使用は、緩やかな微小血管増殖をもたらす。Sato SFM及び50ng/mlのVEGFの使用は、試験されたロットの一部で良好な微小血管増殖、及びその他では緩やかな微小血管増殖をもたらし、これはゼラチンのインキュベーションの繰り返しに起因する可能性がある。ヒト血漿構成成分ベースの培地の使用は、Sato SFM及び50ng/mlのVEGFの使用と同様の良好な微小血管増殖をもたらすが、作製するのが複雑且つ時間がかかる培地である。
【0043】
試験された実施例では、60,000微小血管/mLで10Kの微小血管アリコートで試験を実施し、この10Kの微小血管アリコートは顧客サイズである。しかし、ヒトの微小血管は試験されたラットの微小血管より小さく、ロバストな微小血管増殖には高密度が望ましいのに対し、同じ数の微小血管/mLで密度が低くなる。アリコート当たりの微小血管の数が高いほど、解凍時のより容易な均一な懸濁及びより正確な計数が可能になり、また20Kの微小血管のアリコートの最低サイズは、より容易な使用及び一貫した取扱いを可能にする場合がある。80Kの微小血管/mLの最低密度が使用されてもよい。
【0044】
試験された実施例では、一部のファットのバッチは、培養中に破裂して微小血管死をもたらしうる筋肉細胞(例えば、筋細胞)を含有する。Percoll遠心分離によって異なるサイズの細胞を分離することができるが、筋細胞と同様の密度の微小血管は分離しない。筋細胞はプラスチックに粘着する可能性があるため、単離物の上4分の3のみがふるい分けされる場合があり、筋細胞がプラスチックによって捕捉されることで筋細胞の計数が顕著に低下し、微小血管増殖が良好になり、さらに微小血管の収率はわずかに低くなる。実施例では、組織培養接着性プラスチックを利用し、筋細胞の接着をさらに促してもよい。
【0045】
図3は、
図1~2のフロー・チャートの方法100、200を自動化するためのコンピュータ・ベースの制御スキームを実施するシステム300を示す。システム300は、例えばユーザ・ワークステーション(例えば、コンピューティング・デバイス324)でアクセス可能なグラフィカル・ユーザ・インターフェース(GUI:graphical user interface)202の使用とともに実施されてもよい。コンピューティング・デバイス324は、スマートフォン、タブレット又は同様の携帯型手持ちスマート・デバイスでありうるスマート・モバイル・デバイスであってもよい。コンピューティング・デバイス324は、プロセッサ、プロセッサに通信可能に連結されたメモリ、及びメモリに保存された機械可読命令を含む。機械可読命令は、方法100、200の1つ又は複数のステップが自動化されうるように、プロセッサによって実行された場合にシステム300を
図1~2の方法100、200のブロックの1つ又は複数に従わせてもよい。したがって、機械可読命令は、プロセッサによって実行された場合に、システム300を本明細書に記載される1つ又は複数のプロセスに示される1つ又は複数の制御スキームに従わせてもよい。
【0046】
システム300は、通信路302、1つ又は複数のプロセッサ304、メモリ・コンポーネント306、ソフトウェア・ツール・コンポーネント312、本明細書に記載される1つ又は複数のプロトコールを含みうるストレージ又はデータベース314、人工知能コンポーネント316、ネットワーク・インターフェース・ハードウェア318、サーバ320、ネットワーク322及び少なくとも1つのコンピューティング・デバイス324を含む。システム300の種々のコンポーネント及びそれらの対話が以下で詳述される。
【0047】
一部の実施例では、システム300は、ワイド・エリア・ネットワーク(WAN:wide area network)或いはイントラネット若しくはインターネット、又はクラウド・コンピューティング・ベースのネットワーク構成を含みうる他の有線若しくは無線通信ネットワークなどのネットワーク322を使用して実施される。ワークステーションのコンピューティング・デバイス324は、スマート・モバイル・デバイス200などのデジタル・システム並びにネットワークへの接続及びそのナビゲーションを可能にする他のデバイスを含んでもよい。種々の地理的に多様なコンポーネント間の通信を可能にする他のシステム300の変形が可能である。
図3に示されるラインは、種々のコンポーネント間の物理的な接続ではなく通信を示す。
【0048】
上述のように、システム300は通信路302を含む。通信路302は、例えば導電線、導電トレース、光導波路などの信号を伝達できる任意の媒体、又は信号を伝達できる媒体の組合せから形成されてもよい。通信路302は、システム300の種々のコンポーネントを通信可能に連結する。本明細書で使用される場合、「通信可能に連結される」という用語は、例えば導電媒体を介した電気信号、空気を介した電磁信号、光導波路を介した光信号など、連結されたコンポーネントが互いとデータ信号を交換できることを意味する。
【0049】
上述のように、システム300はプロセッサ304を含む。プロセッサ304は、機械可読命令を実行できる任意のデバイスであってもよい。したがって、プロセッサ304は、制御装置、集積回路、マイクロチップ、コンピュータ又は任意の他のコンピューティング・デバイスであってもよい。プロセッサ304は、通信路302によってシステム300の他のコンポーネントに通信可能に連結される。したがって、通信路302は、任意の数のプロセッサを互いと通信可能に連結し、且つ通信路302に連結されたモジュールが分散コンピューティング環境で動作することを可能にしてもよい。特に、モジュールのそれぞれは、データを送信する及び/又は受信することができるノードとして動作可能である。プロセッサ304は、システム・モジュールから受信された入力信号を処理する及び/又はそのような信号から情報を抽出してもよい。
【0050】
上述のように、システム300は、通信路302に連結され、且つプロセッサ304に通信可能に連結されたメモリ・コンポーネント306を含む。メモリ・コンポーネント306は、非一時的コンピュータ可読媒体又は非一時的コンピュータ可読メモリであってもよく、不揮発性コンピュータ可読媒体として構成されてもよい。メモリ・コンポーネント306は、RAM、ROM、フラッシュ・メモリ、ハード・ドライブ、又は機械可読命令がプロセッサ304によってアクセス及び実行可能であるように機械可読命令を保存することができる任意のデバイスを含んでもよい。機械可読命令は、機械可読命令にコンパイル又はアセンブルされ、メモリ・コンポーネント306に保存されてもよい任意のプログラミング言語、例えばプロセッサによって直接実行されうる機械言語又はアセンブリ言語、オブジェクト指向プログラミング(OOP:object-oriented programming)、スクリプト言語、マイクロコードなどで記述されるロジック又はアルゴリズムを含んでもよい。代替的に、機械可読命令は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:field-programmable gate array)構成又は特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)のいずれか又はそれらの等価物によって実施されるロジックなど、ハードウェア記述言語(HDL:hardware description language)で記述されてもよい。したがって本明細書に記載される方法は、予めプログラムされたハードウェア要素として、又はハードウェア・コンポーネントとソフトウェア・コンポーネントの組合せとして任意の従来のコンピュータ・プログラミング言語で実施されてもよい。実施例では、システム300は、プロセッサ304によって実行された場合に、本明細書に記載される1つ又は複数の機能をプロセッサに実施させる命令を保存するメモリ・コンポーネント306に通信可能に連結されたプロセッサ304を含んでもよい。
【0051】
さらに
図3を参照すると、上述のように、システム300はコンピューティング・デバイス324の画面上に、視覚的出力、例えば情報、グラフィカル・レポート、メッセージ又はそれらの組合せなどを提供するためのGUIなどのディスプレイを含む。コンピューティング・デバイス324は、プラットフォームにわたる1つ又は複数のコンピューティング・デバイスを含んでもよく、又はスマートフォン、タブレット、ラップトップ及び/又はその他を含むスマート・モバイル・デバイス200などのプラットフォームにわたるデバイスに通信可能に連結されてもよい。コンピューティング・デバイス324の画面上のディスプレイは通信路302に連結され、且つプロセッサ304に通信可能に連結される。したがって、通信路302は、ディスプレイをシステム300の他のモジュールに通信可能に連結する。ディスプレイは、光出力を伝達することができる任意の媒体、例えば陰極線管、発光ダイオード、液晶ディスプレイ、プラズマ・ディスプレイなどを含んでもよい。さらに、ディスプレイ又はコンピューティング・デバイス324は、プロセッサ304及びメモリ・コンポーネント306のうちの少なくとも1つを含んでもよいことが留意される。システム300は、
図3で単一の統合システムとして図示されるが、他の実施例ではシステムは独立のシステムであってもよい。
【0052】
システム300は、本明細書に記載される1つ又は複数のプロトコール又は方法のステップを自動化するためのソフトウェア・ツール・コンポーネント312、及びニューラル・ネットワークをトレーニングし、より正確で一貫したより高収率の微小血管増殖及び単離をもたらすために、本明細書に記載されるように適用される自動化されたプロトコール又は方法を自動的に改善及び変更するための機械学習を実現できる機械学習能力を付与する人工知能コンポーネント316を含む。実施例では、機械可読命令は、1つ又は複数のプロセッサ304によって実行された場合に、システム300に少なくとも以下を実施させる:人工知能コンポーネント316を適用し、本明細書に記載されるシステム300の1つ又は複数のプロトコールを自動化するようにシステム300によって使用されるニューラル・ネットワーク・モデルをトレーニングする、及び人工知能コンポーネント316によりニューラル・ネットワーク・モデルに機械学習を適用し、システム300の1つ又は複数のプロトコールに関連する履歴データに基づいて経時的に1つ又は複数のプロトコールを変更し、システム300による経時的なより高収率の微小血管増殖並びに正確さ及び一貫性が増大した単離をもたらす。ソフトウェア・ツール・コンポーネント312及び人工知能コンポーネント316は通信路302に連結され、プロセッサ304に通信可能に連結される。プロセッサ304は、システム・モジュールから受信した入力信号を処理する及び/又はそのような信号から情報を抽出してもよい。
【0053】
本明細書に記載されるようにシステム300に保存及び操作されるデータは、人工知能コンポーネント316によって利用され、人工知能コンポーネント316は、クラウドなどのクラウド・コンピューティング・ベースのネットワーク構成を利用し、機械学習及び人工知能を適用することができる。この機械学習の適用により、システム300によって適用されてもよいモデルを作成することができ、実行がより効率的且つ知的になる。例として且つ限定ではなく、人工知能コンポーネント316は、人工知能エンジン、ベイズ推定エンジン及び意思決定エンジンからなる群から選択されるコンポーネントを含んでもよく、且つディープ・ニューラル・ネットワーク学習エンジンをさらに含む適応学習エンジンを有してもよい。
【0054】
システム300は、システム300をネットワーク322などのコンピュータ・ネットワークと通信可能に連結するためのネットワーク・インターフェース・ハードウェア318を含む。ネットワーク・インターフェース・ハードウェア318は、通信路302がネットワーク・インターフェース・ハードウェア218をシステム300の他のモジュールに通信可能に連結するように、通信路302に連結される。ネットワーク・インターフェース・ハードウェア318は、無線ネットワークを介してデータを伝達及び/又は受信できる任意のデバイスであってもよい。したがって、ネットワーク・インターフェース・ハードウェア318は、任意の無線通信基準に従ってデータを送信及び/又は受信するための通信トランシーバを含んでもよい。例えば、ネットワーク・インターフェース・ハードウェア318は、有線及び/又は無線コンピュータ・ネットワーク、例えばワイヤレス・フィデリティ(Wi-Fi:wireless fidelity)、WiMax、Bluetooth、IrDA、Wireless USB、Z-Wave、ZigBeeなどを通して通信するチップセット(例えば、アンテナ、プロセッサ、機械可読命令など)を含んでもよい。
【0055】
さらに
図3を参照すると、コンピューティング・デバイス324上で作動する種々のアプリケーションからのデータが、ネットワーク・インターフェース・ハードウェア318を介してコンピューティング・デバイス324からシステム300に提供されてもよい。コンピューティング・デバイス324は、ネットワーク・インターフェース・ハードウェア318及びネットワーク322と通信可能に連結するためのハードウェア(例えば、チップセット、プロセッサ、メモリなど)を有する任意のデバイスであってもよい。特に、コンピューティング・デバイス324は、上述の無線コンピュータ・ネットワークのうちの1つ又は複数を通して通信するためのアンテナを有する入力デバイスを含んでもよい。
【0056】
ネットワーク322は、任意の有線及び/又は無線ネットワーク、例えばワイド・エリア・ネットワーク、メトロポリタン・エリア・ネットワーク、インターネット、イントラネット、クラウド323、衛星ネットワークなどを含んでもよい。したがって、ネットワーク322は、コンピューティング・デバイス324によって1つ又は複数のサーバ(例えば、サーバ320)にアクセスするための無線アクセス・ポイントとして利用されてもよい。サーバ320及びクラウド・サーバなどの任意の追加のサーバは、一般的にネットワーク322を介してリソースを送達するためのプロセッサ、メモリ及びチップセットを含む。リソースは、例えばネットワーク322を介したサーバ320からシステム300への処理、保存、ソフトウェア及び情報の提供を含んでもよい。さらに、サーバ320及び任意の追加のサーバは、例えばネットワークの有線部分、ネットワークの無線部分又はそれらの組合せを介してネットワーク322を通して互いとリソースを共有してもよいことが留意される。
【0057】
本明細書に記載される濃縮又は精製された酵素及び二重消化特徴を利用するシステム及び方法は、上述の粗酵素を利用する以前の方法と比較して高度に規定された単離された微小血管組成物、ロット間の一貫性及び費用対効果をもたらす。
【0058】
本開示を記載及び定義する目的で、パラメータ又は別の変数の「関数」である変数への本明細書における言及は、変数がもっぱら列挙されたパラメータ又は変数の関数であると示すことを意図しないことが留意される。むしろ、列挙されたパラメータの「関数」である変数への本明細書における言及は、変数が単一のパラメータ又は複数のパラメータの関数でありうるように非制限的であることを意図する。
【0059】
「少なくとも1つの」成分、要素などの本明細書における記述は、冠詞「a」又は「an」の代替的な使用が単一の成分、要素などに限定されるべきであるという推測をもたらすために使用されるべきではないことも留意される。
【0060】
特定の性質を具現化するため、又は特定の様態で機能するために特定の方法で「構成される」又は「プログラムされる」本開示のコンポーネントの本明細書における記述は、意図される用途の記述とは対照的に、構造的記述であることが留意される。より詳細には、コンポーネントが「構成される」又は「プログラムされる」様態への本明細書における言及は、コンポーネントの既存の物理的状態を表し、したがってコンポーネントの構造的特性の明確な記述として解釈されるべきである。
【0061】
「好ましくは」、「一般的に」及び「典型的に」などの用語は、本明細書で利用される場合、特許請求される開示の範囲を限定する、又は特定の特徴が特許請求される開示の構造若しくは機能にとって重大である、必須である、若しくはさらには重要であると示唆するように利用されないことが留意される。むしろ、これらの用語は、本開示の実施例の特定の態様を特定する、又は本開示の特定の実施例で利用されてもされなくてもよい代替的な、若しくは追加の特徴を強調することを意図するにすぎない。
【0062】
本開示を記載及び定義する目的で、「実質的に」及び「およそ」という用語は、任意の定量的比較、値、測定又は他の表示に起因する可能性がある不確実性の固有の程度を表すために本明細書で利用されることが留意される。「実質的に」及び「およそ」という用語はまた、定量的表示が、問題の主題の基本的機能に変化を生じることなく述べられた基準から異なりうる程度を表すために本明細書で利用される。
【0063】
本開示の主題を詳細に、且つその特定の実施例を参照して記載したが、本明細書に開示される種々の詳細は、特定の要素が本明細書に付随する図面のそれぞれに示される場合であっても、これらの詳細が本明細書に記載される種々の実施例の本質的な成分である要素に関連することを示唆すると解釈されるべきではないことが留意される。さらに、これらに限定されないが、添付の特許請求の範囲に定義される実施例を含む本開示の範囲から逸脱することなく修正及び変形が可能であることが明白である。より詳細には、本開示の一部の態様は、好ましい又は特に有利であるとして本明細書で特定されるが、本開示は必ずしもこれらの態様に限定されないことが企図される。
【0064】
以下の特許請求の範囲の1つ又は複数は、移行句として「であって」(wherein)という用語を利用することが留意される。本開示を定義する目的で、この用語は構造の一連の特性の記述を導入するために使用される非制限的な移行句として特許請求の範囲に導入され、且つより一般的に使用される非制限的なプレアンブルの用語「含む」と同様に解釈されるべきであることが留意される。
【国際調査報告】