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▶ ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(54)【発明の名称】切削工具洗浄用付属品
(51)【国際特許分類】
   A61B 90/70 20160101AFI20220526BHJP
【FI】
A61B90/70
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021549692
(86)(22)【出願日】2020-03-30
(85)【翻訳文提出日】2021-08-24
(86)【国際出願番号】 US2020025678
(87)【国際公開番号】W WO2020210069
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】62/832,746
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジェンスルード、アリン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】フィッツェンマイアー、トッド エム.
(72)【発明者】
【氏名】ラリベルテ、キャスリーン エム.
(72)【発明者】
【氏名】キャンピオン、レイチェル
(57)【要約】
本開示は、概して医療用デバイス及び医療用デバイス付属品の分野に関する。特に、本開示は医療用デバイスを洗浄するための用具又は付属品に関する。例えば、該用具又は付属品は、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)用ナイフの流体送達ルーメンを洗浄することができる。該用具又は付属品は、ハウジングであって該ハウジングの第1の部分の内部に長尺状部材の第1の部分が固定され、かつ長尺状部材の第2の部分が該ハウジングのチャンバの中へ伸びている、ハウジングを備えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デバイス洗浄用具であって、
第1の部分及び第2の部分を備えているハウジング;
ハウジングの第2の部分の内側に形成されたチャンバであって、ハウジングの先端部に開口部を画成している前記チャンバ;並びに
ハウジングの内部に設置された長尺状部材であって、長尺状部材の第1の部分はハウジングの第1の部分の内部に固定され、長尺状部材の第2の部分は前記チャンバの中へと伸びている、長尺状部材
を具備している医療用デバイス洗浄用具。
【請求項2】
前記チャンバの内法寸法はチャンバの全長に沿ってほぼ一定である、請求項1に記載の医療用デバイス洗浄用具。
【請求項3】
前記長尺状部材の第2の部分はチャンバの内部でほぼ中央に設けられている、請求項1~2のいずれか1項に記載の医療用デバイス洗浄用具。
【請求項4】
前記長尺状部材の第2の部分はほぼ円筒状の外法寸法を備えている、請求項1~3のいずれか1項に記載の医療用デバイス洗浄用具。
【請求項5】
前記長尺状部材の第2の部分は螺旋溝を備えている、請求項1~4のいずれか1項に記載の医療用デバイス洗浄用具。
【請求項6】
前記長尺状部材の第2の部分は螺旋状の捻れを備えている、請求項1~5のいずれか1項に記載の医療用デバイス洗浄用具。
【請求項7】
前記ハウジングの開口部及びチャンバは、医療用デバイスの対応する外法寸法を受承するように構成された内法寸法を備えている、請求項1~6のいずれか1項に記載の医療用デバイス洗浄用具。
【請求項8】
前記長尺状部材の第1の部分は、前記ハウジング内に前記長尺状部材を固定するように構成された固着要素を備えている、請求項1~7のいずれか1項に記載の医療用デバイス洗浄用具。
【請求項9】
前記固着要素は長尺状部材の扁平部分又は変形部分を含む、請求項8に記載の医療用デバイス洗浄用具。
【請求項10】
前記固着要素は長尺状部材の基端部に取り付けられた拡大端部分を含む、請求項8に記載の医療用デバイス洗浄用具。
【請求項11】
前記ハウジングは、ハウジングの前記第1の部分から前記第2の部分へと直径が小さくなるテーパ状をなしている、請求項1~10のいずれか1項に記載の医療用デバイス洗浄用具。
【請求項12】
ハウジングの外側表面に設置されたクリップ式取付け具をさらに具備している、請求項1~11のいずれか1項に記載の医療用デバイス洗浄用具。
【請求項13】
前記ハウジングの外側表面上に、又は外側表面の内部に形成された1以上の表面構造物をさらに具備している、請求項1~12のいずれか1項に記載の医療用デバイス洗浄用具。
【請求項14】
前記長尺状部材の第2の部分は、医療用デバイスの流体送達ルーメンの中へ伸びるように構成された外法寸法を有している、請求項7に記載の医療用デバイス洗浄用具。
【請求項15】
流体送達ルーメンは注入ルーメン及び主ルーメンを備え、長尺状部材の第2の部分は注入ルーメンを通って主ルーメンの中へと伸びるのに十分な長さを有している、請求項14に記載の医療用デバイス洗浄用具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して医療用デバイス及び医療用デバイス付属品の分野に関する。具体的には、本開示は医療用デバイスを洗浄するための用具又は付属品に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種のデバイスは、洗浄を行うことが性能面で有効となりうる流体送達ルーメンを有している。例えば、送液機能を備えた内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)用ナイフは、対象病変を浮き上がらせ、かつ対象病変が切開される間の安全クッションを提供するために、粘膜下面に流体を注入するように設計されている。組織切開機能及び流体注入機能を併せて備えているESDナイフは、全体的な手技時間を縮小し、かつ個別の医療用器具を使用してこれらのステップを実施するのに伴うコストを最小限にする。流体注入機能を備えたESDナイフの欠点は、特に長時間の内視鏡的処置の際に、蓄積した細胞残屑によって、流体送達ルーメンが詰まるか又は別の形で閉塞するようになりやすいことである。内視鏡的処置の全体を通じて適切な流体注入を提供/維持することができないと、患者の予後不良、処置時間の増大、及び1回の処置に複数のESDナイフを使用する必要のうち少なくともいずれかに至る可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本開示の医療用デバイス洗浄用の用具又は付属品、及び使用方法によって、様々な有利な医学的転帰が実現される可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1つの態様では、本開示は、ハウジング、チャンバ、及び長尺状部材を具備している、医療用デバイス洗浄用具に関する。ハウジングは第1の部分及び第2の部分を備えることができる。チャンバはハウジングの第2の部分の内側に形成されてよい。チャンバはハウジングの先端部に開口部を画成することができる。長尺状部材はハウジング内部に設置されてよい。長尺状部材の第1の部分はハウジングの第1の部分の内部に固定可能であり、長尺状部材の第2の部分はチャンバの中へと伸びることができる。
【0005】
記載の実施形態及びその他の実施形態において、チャンバの内法寸法は、チャンバの全長に沿ってほぼ一定であってよい。長尺状部材の第2の部分は、チャンバ内でほぼ中央にあってよい。長尺状部材の第2の部分は、ほぼ円筒状の外法寸法を有していてもよい。長尺状部材の第2の部分は、螺旋溝を備えていてもよい。螺旋溝は長尺状部材の第2の部分の全長に沿って伸びていてよい。長尺状部材の第2の部分は螺旋状の捻れを備えていてもよい。螺旋状の捻れは長尺状部材の第2の部分の全長に沿って伸びていてよい。ハウジングの開口部及びチャンバは、医療用デバイスの対応する外法寸法を受承するように構成された内法寸法を備えることができる。長尺状部材の第1の部分は、ハウジング内に長尺状部材を固定するように構成された固着要素を備えることができる。固着要素には、長尺状部材の扁平部分又は変形部分が含まれうる。固着要素には、長尺状部材の基端部に取り付けられた拡大端部分が含まれうる。ハウジングは、ハウジングの第1の部分から第2の部分へと直径が小さくなるテーパ状をなしていてもよい。クリップ式取付け具が、ハウジングの第1の部分の外側表面に設けられてもよい。1以上の表面構造物が、ハウジングの第1の部分の外側表面上又は外側表面内部に形成されてもよい。長尺状部材の第2の部分は、医療用デバイスの流体送達ルーメンの中へと伸びるように構成された外法寸法を備えることができる。流体送達ルーメンには、注入ルーメン及び主ルーメンが含まれうる。長尺状部材の第2の部分は、注入ルーメンを通って主ルーメンの中へと伸びるのに十分な長さを有することができる。注入ルーメンは、主ルーメンの内法寸法よりも小さく、かつ長尺状部材の第2の部分の外法寸法よりも大きい内法寸法を有することができる。
【0006】
別の態様では、本開示は、ハウジング、チャンバ、長尺状部材、プレート及びスプリングを具備している、医療用デバイス洗浄用具に関する。ハウジングは第1の部分及び第2の部分を備えることができる。チャンバはハウジングの第2の部分の内側に形成されてよい。チャンバはハウジングの先端部に開口部を画成することができる。長尺状部材はハウジング内部に設置されてよい。長尺状部材の第1の部分はハウジングの第1の部分の内部に固定可能であり、長尺状部材の第2の部分はチャンバの中へと伸びることができる。プレートはチャンバ内部に設置されてよい。プレートは、長尺状部材の第2の部分を受承するように構成された開口部を画成することができる。スプリングは、チャンバの内部かつプレートより基端側の長尺状部材の周囲に設置されてよい。
【0007】
記載された実施形態及びその他の実施形態において、チャンバの開口部は、チャンバの残りの部分の内法寸法より小さい内法寸法を有することができる。この開口部の内法寸法により、スプリングの先端部と接触するように構成された第1の平面状の表面が画成されてもよく、かつチャンバの基端部により、スプリングの基端部と接触するように構成された第2の平面状の表面が画成されてもよい。プレートは、プレートが第1の平面状の表面と接触しておりスプリングが第1及び第2の平面状の表面の間で圧縮されていない第1の軸方向位置、及びプレートが第1の平面状の表面と接触しておらずスプリングが第1の平面状の表面と第2の平面状の表面との間で圧縮されている第2の軸方向位置から、移動するように構成可能である。プレートは、プレートがチャンバ内部を移動するとともに長尺状部材を支持するように構成可能である。プレートは、医療用デバイスの先端側部分がチャンバに進入せしめられたときに、第1の軸方向位置から第2の軸方向位置へと移動するように構成可能である。プレートは、医療用デバイスの先端側部分がチャンバの内部から取り出されたときに、第2の軸方向位置から第1の軸方向位置へと移動するように構成可能である。
【0008】
さらに別の態様では、本開示は、ハウジング、チャンバ、長尺状部材、プレート、プランジャ、表面構造物及びスプリングを具備している、医療用デバイス洗浄用具に関する。ハウジングは第1の部分及び第2の部分を備えることができる。チャンバはハウジングの第2の部分の内側に形成されてよい。チャンバはハウジングの先端部に開口部を画成することができる。長尺状部材は、ハウジング内部に摺動可能に設置することができる。プレートは、長尺状部材の基端部に取り付けることができる。プランジャは、プレートに取り付けることができる。プランジャの一部分は、ハウジングの基端部においてハウジングの壁の一部分を通り抜けて伸びることができる。表面構造物は、ハウジングの基端側部分の中へと伸びる第1の平面状の表面及び第2の平面状の表面を含むことができる。表面構造物は、長尺状部材を摺動可能に受承するように構成された開口部を画成することができる。スプリングは、長尺状部材の第1の部分の周囲に、かつ表面構造物の第2の平面状の表面とプレートの第3の平面状の表面との間に、設置可能である。
【0009】
記載された実施形態及びその他の実施形態において、プランジャは、スプリングが第2の平面状の表面と第3の平面状の表面との間で十分に弛緩している第1の配置状態、及びスプリングが第2の平面状の表面と第3の平面状の表面との間で圧縮されている第2の配置状態から、移動するように構成可能である。長尺状部材の第2の部分は、プランジャが第1の配置状態にあるときは表面構造物の開口部を越えて先端側へ伸びることはない。長尺状部材の第2の部分は、プランジャが第2の配置状態にあるときは表面構造物の開口部を越えて先端側へ伸びることができる。
【0010】
本開示の非限定的な実施形態が、添付の図面を参照しながら例として説明されるが、添付の図面は概略的であり、かつ原寸に比例した描画であるようには意図されていない。図中、例証された同一又はほぼ同一の構成要素はそれぞれ、典型的には一つの数字によって表わされる。明瞭にするために、あらゆる構成要素に対する表示付けが全ての図面においてされているわけではなく、当業者による本開示の理解を可能とするために図解は必要でない場合は、各々の実施形態のあらゆる構成要素が図示されるとも限らない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1A】本開示の一実施形態による医療用デバイス洗浄用具を示す斜視図。
図1B】本開示の一実施形態による医療用デバイス洗浄用具を示す斜視図。
図2A】本開示の一実施形態による医療用デバイス洗浄用具を示す斜視図。
図2B】本開示の一実施形態による医療用デバイス洗浄用具を示す斜視図。
図3A】本開示の一実施形態による医療用デバイス洗浄用具を示す斜視図。
図3B】本開示の一実施形態による医療用デバイス洗浄用具を示す斜視図。
図4A】本開示の一実施形態による医療用デバイス洗浄用具の長尺状部材を示す斜視図。
図4B】本開示の一実施形態による医療用デバイス洗浄用具の長尺状部材を示す斜視図。
図5A】本開示の一実施形態によるESDナイフを示す斜視図。
図5B】本開示の一実施形態によるESDナイフを示す斜視図。
図6A】本開示の一実施形態による、医療用デバイス洗浄用具及びESDナイフを示す斜視図。
図6B】本開示の一実施形態による、医療用デバイス洗浄用具及びESDナイフを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、本明細書中に記載された特定の実施形態に限定されない。本明細書中で使用される専門用語は、単に特定の実施形態について説明するためのものであり、添付の特許請求の範囲とは関係なく限定するようには意図されていない。別途定義されないかぎり、本明細書中で使用される技術用語は全て、本開示が属する分野の当業者により一般に理解されているのと同じ意味を有する。
【0013】
本開示の実施形態は、ESDナイフの流体送達ルーメンから残屑を取り除くように設計された医療用の用具又は付属品について具体的に言及しながら説明されるが、そのような用具/付属品は様々な医療用(及び非医療用)デバイスを洗浄するために使用可能であることが認識されるべきである。
【0014】
本明細書中で使用されるように、単数形「1つの(a )」、「1つの(an)」、及び「その(the )」は、文脈がそうでないことを明白に示していないかぎり、複数形も含むように意図されている。さらに理解されるであろうが、用語「具備する(comprises )」及び「具備している(comprising)」のうち少なくともいずれか一方、又は「備える(includes)」及び「備えている(including )」のうち少なくともいずれか一方は、本明細書中で使用される場合、明示された特徴、領域、ステップ 要素、及び構成要素のうち少なくともいずれかの存在を指定するが、1以上の他の特徴、領域、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、及びこれらの集まりのうち少なくともいずれかの存在又は追加を除外するものではない。
【0015】
本明細書中で使用されるように、用語「先端側(distal)」とは患者にデバイスを導入する時に医療専門家から最も遠い端部を指す一方、用語「基端側(proximal)」は、患者にデバイスを導入する時に医療専門家に最も近い端部を指す。
【0016】
図1A~1Bを参照すると、一実施形態において、本開示の医療用デバイス(例えばESDナイフなど)洗浄用具100は、第1の(例えば基端側)部分112及び第2の(例えば先端側)部分114を具備しているハウジング110を備えうる。様々な実施形態において、ハウジング110の外側表面は、第1の部分から第2の部分へと直径が減少する(例えばテーパ状をなす)ことができる。先端側開口部118を備えたチャンバ116が、ハウジング110の第2の部分114の内部に形成されてもよい。様々な実施形態において、チャンバ116は、ハウジング110の第2の部分114の内部でほぼ中央に設けられてよい。チャンバ116は、切削要素416を備えたESDナイフ400(図5A~5B)の先端側部分の対応する外法寸法dを受承するように構成された、ほぼ一定の内法寸法d及び長さLを有することができる。
【0017】
長尺状部材120(例えば、シャフト、ロッド、ピン、支柱など)は、長尺状部材120の第1の(例えば基端側)部分122がハウジング110の第1の部分112の内部に固定される(例えば、埋設される、係止される、動かないように設置される、など)ように、かつ長尺状部材120の第2の(例えば先端側)部分124がチャンバ116の中へと伸びるように、ハウジング110の内に設置することができる。様々な実施形態において、長尺状部材120の第2の部分124は、チャンバ116の内部でほぼ中央に設けられてよい。長尺状部材120の第2の部分124は、第2の部分124がチャンバ116の開口部118を越えて伸びない(例えば、第2の部分124が完全にチャンバ116の内部に収容される)ように、チャンバ116の長さLよりも短い長さL(例えば、およそ9.0~11.0mm)を有することができる。長尺状部材120の第2の部分124は、切削要素416を備えたESDナイフ400の流体送達ルーメン418(図6A~6B)の中へと伸びる(例えば該ルーメンの内部に受承される)ように構成された、ほぼ一定の外法寸法d(例えばおよそ0.30mm)を有することができる。様々な実施形態において、長尺状部材120をハウジング110の内部でさらに固定するために、固着要素が、長尺状部材120の第1の部分122に(例えば適切な接着剤、膠着剤、樹脂、半田などを使用して)取り付けられてもよいし、又は第1の部分122と一体成形(例えば、オーバーモールド成形、同時モールド成形(co-molded )など)されてもよい。非限定的な例として、固着要素には、ハウジング110の第1の部分112の内部に埋設された、拡大端部分126(図1A)又は変形/扁平部分128(図1B)が挙げられる。
【0018】
様々な実施形態において、クリップ式取付け具115(例えばクリップ、留め金、可撓性アームなど)が、ハウジング110の第1の部分112の外側表面に取り付けられるか又は外側表面と一体成形されることができる。クリップ式取付け具115(図1A)は、医療専門家の手が届き易いように、及び/又は医療処置の間の紛失若しくは置き違いを防止するために、医療用デバイス洗浄用具100を医療用の処置室(medical suite )の中の様々な表面に着脱自在に固定又は留め付けするように構成可能である。加えて、又は別例として、ハウジング110の第1の部分112の外側表面は、医療用デバイス洗浄時の握りの改善及び/又は人間工学的改善を医療専門家に提供するために、1以上の表面構造物113(例えば陥凹部分、くぼみ、溝、点状パターンなど)を備えることができる。
【0019】
図2A~2Bを参照すると、一実施形態において、本開示の医療用デバイス洗浄用具200は、図1A~1Bで概説されたのと同じ(又は類似の)要素を具備している、ハウジング110及び長尺状部材120を備え、かつさらに、長さLのチャンバ216であって、チャンバ216の残りの部分の内法寸法dよりも小さいほぼ一定の内法寸法dを有する開口部218aを備えたチャンバ216を、備えることができる。上記のように、チャンバ216の内法寸法d及びd並びに長さLは、切削要素416(図5A~5B)を備えているESDナイフ400の先端側部分の外法寸法dを受承するように構成可能である。様々な実施形態において、開口部218aは、チャンバの中へ伸びてチャンバ216の内側に第1のほぼ平面状の表面219aを画成する厚みを増した壁部分(例えば突部、表面構造物など)によって、画成されてもよい。様々な実施形態において、チャンバ216の反対側(例えば基端側)の端部は、第2のほぼ平面状の表面219bを画成することができる。プレート230が、平面状の表面219aより基端側のチャンバ216内部に移動可能/摺動可能に設置されてよい。プレート230は、長尺状部材120の第2の部分124の対応する外法寸法dを受承するように構成された内法寸法dを有する開口部218bを画成することができる。スプリング234(例えばコイルスプリング)が、チャンバ216の内部で長尺状部材120の第2の部分124の周り、かつプレート230より基端側に設置されて、スプリング234の先端部が第1の平面状の表面219aと接触し、かつスプリング234の基端部が第2の平面状の表面219bと接触するようになっていてもよい。様々な実施形態において、プレート230は、長尺状部材120の第2の部分124に沿って/第2の部分124の上を伝って、チャンバ216の内部で第1の軸方向位置から様々な第2の軸方向位置へと移動すること(例えば摺動する、など)ができる。例えば、図2Aを参照すると、第1の軸方向位置においてプレート230は第1の平面状の表面219aと接触又は隣接することが可能であり、かつスプリング234がチャンバ216の内部でほぼ弛緩していること(例えば、圧縮されていない、伸びている、など)により、長尺状部材120の第2の部分124をチャンバ216の内部で露出していない(例えば、保護された)配置構成に維持することができる。図2Bを参照すると、第2の軸方向位置においてプレート230は第2の平面状の表面219bに向かって移動することが可能であり、かつスプリング234がチャンバ216の内部で十分圧縮されることにより、長尺状部材120の第2の部分124の全体又は一部分をチャンバ216の内部で露出させることができる。様々な実施形態において、プレート230は、ESDナイフの先端部がチャンバ内に挿入されるときに、第1の軸方向位置から第2の軸方向位置へと移動することができる。様々な追加の実施形態において、プレートは、ESDナイフがチャンバ216の内部から取り出されるときに、第2の軸方向位置から第1の軸方向位置へと戻ることができる。様々な実施形態において、長尺状部材120の第2の部分124についてチャンバ216の内部で保護及び露出のうち少なくともいずれか一方を行うことに加えて、プレート230は、例えばESDナイフの先端側部分がチャンバ216に挿入されるときに、長尺状部材120の屈曲又は捻転を防止するか又は最小限にするように、長尺状部材を支持することができる。
【0020】
図3A~3Bを参照すると、一実施形態において、本開示の医療用デバイス洗浄用具300は、図1A~1Bに概説されたのと同じ(又は類似の)要素を具備しているハウジング110を備え、かつさらに、切削要素416(図5A~5B)を備えたESDナイフ400の先端側部分の対応する外法寸法dを受承するように構成された、開口部318a、内法寸法d及び長さLを有するチャンバ316を、備えることができる。チャンバ316の基端側部分は、チャンバ316の中へと伸びて長尺状部材320の対応する外法寸法dを受承するように構成された内法寸法dを有する開口部318bを画成する、厚みを増した壁部分(例えばフランジ、突部、表面構造物など)を備えることができる(以下に議論する)。様々な実施形態において、厚みを増した壁部分は、チャンバ316の内部に第1のほぼ平面状の表面319a及び第2のほぼ平面状の表面319bを画成することができる。長尺状部材320は、ハウジング110の内部に移動可能/摺動可能に設置可能である。プレート330は、長尺状部材320の基端部に取り付けられるか又は該基端部と一体成形され、かつ第2の平面状の表面319bよりも基端側にあってよい。様々な実施形態において、該プレートは第3のほぼ平面状の表面319cを画成することができる。プランジャ332がハウジングの基端部に形成された開口部(図示せず)を通って延在し、該プランジャの先端部がプレート330の基端部に取り付けられるか又は他の方法でプレート330の基端部と接触するようになっていてもよい。スプリング334が、チャンバ316の内部で長尺状部材320の第1の部分322の周り及び厚みを増した壁部分の第2の平面状の表面319bより基端側に設置されて、スプリング334の先端部が第2の平面状の表面319bと接触し、かつ該スプリングの基端部がプレート330の第3の平面状の表面319cと接触するようになっていてもよい。様々な実施形態において、プランジャは、プランジャの基端部に力を加えて長尺状部材320の先端側への前進及び基端側への引き戻しのうち少なくともいずれか一方を行ってチャンバ316の内部で様々な軸方向位置とすることにより、第1の配置状態(例えば非押圧状態)と第2の配置状態(例えば押圧状態)との間で移動することができる。例えば、プランジャ332が第1の配置状態にある図3Aを参照すると、長尺状部材320の先端部は開口部318bの中へ伸び、かつスプリング334は第2及び第3の平面状の表面319b、319cの間でほぼ弛緩状態(例えば、非圧縮状態、拡張状態など)であって、これにより長尺状部材320の第2の部分324をチャンバ316の内部で露出していない(例えば、拡張していない、保護された、など)配置構成に維持することができる(例えば、長尺状部材の第2の部分324は表面構造物の開口部318bを超えてチャンバ316の内法寸法dを有する部分の中まで先端側へ伸びることはない)。プランジャ332が第2の配置状態にある図3Bを参照すると、プレート330の第3の平面状の表面319cは第2の平面状の表面319bに向かって移動し、かつスプリング334はこれらの表面の間で大きく圧縮されて、長尺状部材320の第2の部分324を、開口部318bを通ってチャンバ316の内法寸法dを有する部分の中へと先端側へ前進させる(例えば、伸ばす、など)ことができる。様々な実施形態において、開口部318bは、例えばESDナイフの先端側部分がチャンバ316に挿入されるときに、長尺状部材320の屈曲又は捻転を防止するか又は最小限にするように長尺状部材を支持することができる。
【0021】
様々な実施形態において、ESDナイフ400の先端側部分を、切削要素416を備えているESDナイフの先端部が第1の平面状の表面319aと接触するか又は隣接するように、かつ流体送達ルーメン318が開口部318bとほぼ一直線に並ぶように、チャンバ316に挿入することが可能である。その後プランジャ332を押圧して、長尺状部材320の第2の部分324を先端側へ、ESDナイフの流体送達ルーメン318の中まで前進させることができる(以下に議論する)。
【0022】
本開示の医療用デバイス洗浄用具100、200、300の長尺状部材120、320は、第1の部分及び第2の部分それぞれの全長に沿ってほぼ円筒状の外法寸法を備えるものとして図示されているが、図4A~4Bを参照すると、様々な実施形態において長尺状部材は様々な非円筒状の外法寸法を備えることができる。非限定的な例として、長尺状部材の全体又は一部分に沿って螺旋溝が伸びていてもよい(図4A)。加えて、又は別例として、長尺状部材の全体又は一部分が、例えば中実で平坦な外形を有する、螺旋状の捻れを備えていてもよい。様々な追加の実施形態では、長尺状部材は様々な追加の表面構造物(例えば隆起、刻み目、線条、ブラシ仕上げ、陥凹部分など)を備えて、ESDナイフの流体送達ルーメン内部に由来する残屑の破砕及び除去のうち少なくともいずれかを行うことができる。様々な追加の実施形態では、長尺状部材120、320の全体又は一部分を通ってチャネル又はルーメン(図示せず)が伸びていてもよい。
【0023】
図5A~5Bを参照すると、一実施形態において、本開示のESDナイフ400は、外法寸法d3の先端側部分412を備えたシャフト410、絶縁先端チップ414、及び切削要素416を備えることができる。流体送達ルーメン418(例えば注入ルーメン、注入ポートなど)は、シャフト410及び切削要素416の全長を通って伸びていてよい。様々な実施形態において、流体送達ルーメン418は、シャフト410の全長を通って伸びる主ルーメン418aと、切削要素416の全長を通って伸びる注入ルーメン418bとを備えることが可能であって、主ルーメン418a及び注入ルーメン418bは互いに同じ空間を占める。注入ルーメン418bは、長尺状部材120、320の第2の部分124、324の長さLよりも短い長さLを有することができる。加えて、主ルーメン418aは内法寸法dを有し、かつ注入ルーメン418bは内法寸法dを有することができる。注入ルーメン418bの内法寸法dは、主ルーメン418aの内法寸法dより小さいが長尺状部材の外法寸法dよりも大きく、例えば長尺状部材120、320の第2の部分124、324が注入ルーメン418bの内部に受承されて注入ルーメン418bを通り、かつシャフト410の主ルーメン418aの中へと伸びることができるようになっていてもよい。
【0024】
図6A~6Bを参照すると、使用時及び例として、医療専門家は、ESDナイフ400の先端側部分412を医療用デバイス洗浄用具100のチャンバ116の中へ挿入して長尺状部材120の第2の部分124が注入ルーメン418bの中を通って主ルーメン418aの中まで伸びるようにすることにより、ESDナイフ400の流体送達ルーメン418の内部に溜まった残屑420の分解及び除去のうち少なくともいずれか一方を行うことができる。本例において、電極416は、ESDナイフ400の先端側部分412が医療用デバイス洗浄用具100のチャンバ116の中に挿入されるときに、(図のような)伸長状態で配置されてもよいし、(図示されていない)格納状態で配置されてもよい。医療専門家はその後、注入ルーメン418b及び主ルーメン418aのうち少なくともいずれか一方に蓄積した残屑420を分解する必要に応じて、医療用デバイス洗浄用具100をESDナイフ400の先端側部分412に沿って前後に、捻る動きを加えたり加えなかったりしながら動かすことが可能である。様々な実施形態において、主ルーメン418aの内法寸法dが注入ルーメン418bの内法寸法dと比較して大きいため、注入ルーメン418bの内部に蓄積した残屑420は主ルーメン418aに流れ込むことが可能であり、これにより注入ルーメンを通る適切な流体の流れを回復させることができる。加えて、又は別例として、主ルーメン418a及び注入ルーメン418bのうち少なくともいずれか一方の内部に蓄積した残屑420を、医療用デバイス洗浄用具100のチャンバ116の内部からESDナイフ400の先端側部分412を取り出す際に、シャフト410の内部から除去又は放出することができる。例えば、長尺状部材120の第2の部分124が表面構造物(例えば螺旋溝又は螺旋状の捻れ)を備えている本開示の実施形態では、残屑はそのような表面構造物の内部に蓄積することができる。
【0025】
図6A~6Bは、本開示の医療用デバイス洗浄用具100を使用してESDナイフ400の注入ルーメン418bから残屑が除去される本開示の実施形態を示しているが、様々な実施形態において、本明細書中に開示された医療用デバイス洗浄用具200、300のどちらも、上記に議論されたような残屑を除去するために使用可能である。例えば、ESDナイフ400の先端側部分412を医療用デバイス洗浄用具200のチャンバ216の中に挿入して、ESDナイフの端部がプレート230と接触してプレート230をチャンバ216の内部で基端側へ移動させるように、かつ長尺状部材120が注入ルーメン418b及び主ルーメン418aに進入して中を通るようにすることができる。同様に、ESDナイフ400の先端側部分412を医療用デバイス洗浄用具300のチャンバ316の中に挿入して、ESDナイフの端部が厚みを増した壁部の第1のほぼ平面状の表面319aと接触するようにすることが可能である。その後、プランジャ332の先端側への前進及び基端側への引き戻しのうち少なくともいずれか一方を行って、長尺状部材320が注入ルーメン418b及び主ルーメン418aに進入して中を通るようにすることができる。
【0026】
様々な追加の実施形態において、ESDナイフの注入ルーメンから残屑を除去することに加えて、本明細書中に開示された医療用デバイス洗浄用具100、200、300のチャンバ116、216、316の内側表面は、医療用デバイスの外側表面に蓄積された残屑を除去するように構成可能である。例えば、チャンバ116、216、316の内側表面の全体又は一部分に対して(例えばスプレーコーティングとして)取り付けられた、又は内側表面の全体又は一部分と一体的に形成された、1以上の表面構造物(例えば粗いテクスチャ/コーティング、点状パターン、格子状パターンなど)である。
【0027】
様々な実施形態において、本明細書中に開示された医療用デバイス洗浄用具100、200、300のハウジング110の構成要素のうちいずれか、又は全てが、様々な消毒又は滅菌の方法(例えば化学薬品、放射線、UV光)に強い種々の硬質熱可塑性ポリマー、例えばポリカーボネート、ABS、ナイロン、ガラス強化ナイロン、アセタール アクリル、PEET、PEEK、Pebax(登録商標)、ポリプロピレンなどから形成(例えば射出成形、共押出)されてもよいし、又は他のかたちで上記の硬質熱可塑性ポリマーを含んでもよい。
【0028】
本明細書中に開示されており権利主張の対象であるデバイス及び/又は方法は全て、本開示を踏まえれば過度の実験作業を伴うことなく作製及び実行することが可能である。本開示のデバイス及び方法について好ましい実施形態に関して説明してきたが、本明細書中に説明されたデバイス及び方法のうち少なくともいずれか一方に対して、並びに方法のステップ又はステップの順序において、本開示の概念、思想及び範囲から逸脱することなく変更を加えることが可能であることは、当業者には明白かもしれない。当業者には明白なそのような同様の代替形態及び改変形態は全て、添付の特許請求の範囲によって規定されるような本開示の思想、範囲及び概念の内にあると考えられる。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
【国際調査報告】