(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(54)【発明の名称】PKM2モジュレーターおよびその使用方法
(51)【国際特許分類】
C07D 409/12 20060101AFI20220526BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220526BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220526BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220526BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20220526BHJP
C07D 409/14 20060101ALI20220526BHJP
A61K 31/4155 20060101ALI20220526BHJP
A61K 31/416 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
C07D409/12 CSP
A61P43/00 111
A61P35/00
A61P35/02
A61P11/00
C07D409/14
A61K31/4155
A61P43/00 123
A61K31/416
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556759
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(85)【翻訳文提出日】2021-11-09
(86)【国際出願番号】 US2020024035
(87)【国際公開番号】W WO2020198067
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510055334
【氏名又は名称】スミトモ ダイニッポン ファーマ オンコロジー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100118371
【氏名又は名称】▲駒▼谷 剛志
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シディクイ-ジェイン, アダム
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063AA03
4C063BB09
4C063CC95
4C063DD06
4C063DD22
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086BC37
4C086GA04
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086NA14
4C086NA15
4C086ZA59
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC02
4C086ZC20
(57)【要約】
PKM2活性化剤としての活性を有する化合物が開示される。化合物は、以下の構造(I):
[式中、R
1、R
2およびR
3は本明細書で定義される通りである]を有し、その薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体およびプロドラッグを含む。このような化合物の調製および使用に関連する方法、ならびにこのような化合物を含む医薬組成物も開示される。本開示は、PKM2媒介疾患または障害を処置するための化合物、このような化合物を含む組成物、およびそれらの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造(I)を有する化合物:
【化16】
[式中、
R
1はFまたはNH
2であり、
R
2はH、ClまたはBrである;あるいはR
2はR
3と結合して、必要に応じて置換されたヘテロアリールを形成し;
R
3はHまたは必要に応じて置換されたC
1~C
6アルキルである;あるいはR
3はR
2と結合して、必要に応じて置換されたヘテロアリールを形成する]
またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグ。
【請求項2】
R
1がFまたはNH
2であり、
R
2がH、ClまたはBrであり、
R
3がHまたは必要に応じて置換されたC
1~C
6アルキルである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
3がHである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R
3がメチルまたはアミノメチルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
R
2がHである、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R
1がFまたはNH
2であり、
R
2がClまたはBrであり、
R
3がHである、
請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
R
1がFである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R
1がNH
2である、請求項6に記載の化合物。
【請求項9】
R
2がClである、請求項6に記載の化合物。
【請求項10】
R
2がBrである、請求項6に記載の化合物。
【請求項11】
R
2およびR
3が結合して、5員の必要に応じて置換されたヘテロアリールを形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
R
1がFである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
R
1がNH
2である、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
以下の構造(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)もしくは(Ij)のうちの1つを有する化合物:
【化17】
【化18】
またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグ。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグと、薬学的に許容され得る担体または賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項16】
ピルビン酸キナーゼ筋肉アイソザイムM2(PKM2)活性の調節を必要とする対象のPKM2活性を調節する方法であって、治療上有効量の請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物、またはその互変異性体、薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ、あるいは請求項15に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項17】
がんの処置を必要とする対象のがんを処置する方法であって、治療上有効量の請求項1から14のいずれか一項に記載の化合物、またはその互変異性体、薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ、あるいは請求項15に記載の医薬組成物を前記対象に投与することを含む方法。
【請求項18】
前記がんが免疫腫瘍学(IO)剤による処置に耐性の進行した固形腫瘍であり、前記がんがNPM-ALK未分化大細胞リンパ腫である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記がんがチロシンキナーゼ阻害剤による処置に耐性のEGFR変異非小細胞肺がんである、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
セリンおよび/またはグリシンが少ない食事を前記対象に投与すること、またはその投与を指示することをさらに含む、請求項16から19のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、PKM2媒介疾患または障害を処置するための化合物、このような化合物を含む組成物、およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
PKM2は、がん細胞において上方制御され(Altenberg B.、Greulich K.O.、Genomics 84(6):1014-20(2004))、選択的にスプライシングされた構成的に活性なPKM1アイソフォームと比較して腫瘍形成能を増加させることが示されている(Christofk H.R.、Vander Heiden M.G.、Harris M.H.ら、Nature 452(7184):230-33(2008);Goldberg M.S.、Sharp P.A.、J.Exp.Med.209(2):217-24(2012))。PKM1からPKM2へのシフトは、細胞を代謝的に再プログラムして、腫瘍形成性細胞がそれらのエネルギー的必要性と、細胞増殖を支援するための生体分子構成要素に対するそれらの要求とのバランスをとることができる環境を作り出す。がん細胞は、がんタンパク質結合(Kosugi M.、Ahmad R.、Alam M.、Uchida Y.、Kufe D.、PLoS One 6(11):e28234(2011);Zwerschke W.、Mazurek S.、Massimi P.、Banks L.、Eigenbrodt E.、Jansen-Durr P.、Proc.Nat’l Acad.Sci.U.S.A.96(4):1291-96(1999))、チロシンリン酸化(Hitosugi T.、Kang S.、Vander Heiden M.G.ら、Sci.Signal 2(97):ra73(2009);Presek P.、Glossmann H.、Eigenbrodt E.ら、Cancer Res.40(5):1733-41(1980);Presek P.、Reinacher M.、Eigenbrodt E.、FEBS Lett.242(1):194-98(1988))、リジンアセチル化(Lv L.、Li D.、Zhao D.ら、Mol.Cell 42(6):719-30(2011))、システイン酸化(Anastasiou D.、Poulogiannis G.、Asara J.M.ら、Science 334(6060):1278-83(2011))およびプロリルヒドロキシル化(Chen N.、Rinner O.、Czernik D.ら、Cell Res.21(6):983-86(2011))を含む複数の機構を通して、その依存性をPKM1からPKM2にシフトさせる。各場合で、PKM2活性は腫瘍形成能増加と相関する。部分的に活性な酵素として、PKM2は、低分子PKM2活性化剤(Boxer M.B.、Jiang J.K.、Vander Heiden M.G.ら、J.Med.Chem.53(3):1048-55(2010);Jiang J.K.、Boxer M.B.、Vander Heiden M.G.ら、Bioorg.Med.Chem.Lett.20(11):3387-93(2010);Walsh M.J.、Brimacombe K.R.、Veith H.ら、Bioorg.Med.Chem.Lett.21(21):6322-27(2011))または阻害剤の両方が、がん細胞が必要とする代謝バランスを潜在的に破壊し得る機会を生み出す。したがって、PKM2活性化剤と阻害剤の両方が有用な抗がん治療であることが提案されている。本開示は、PKM2の活性化剤に注目する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Altenberg B.、Greulich K.O.、Genomics 84(6):1014-20(2004)
【非特許文献2】Christofk H.R.、Vander Heiden M.G.、Harris M.H.ら、Nature 452(7184):230-33(2008)
【非特許文献3】Goldberg M.S.、Sharp P.A.、J.Exp.Med.209(2):217-24(2012)
【非特許文献4】Kosugi M.、Ahmad R.、Alam M.、Uchida Y.、Kufe D.、PLoS One 6(11):e28234(2011)
【非特許文献5】Zwerschke W.、Mazurek S.、Massimi P.、Banks L.、Eigenbrodt E.、Jansen-Durr P.、Proc.Nat’l Acad.Sci.U.S.A.96(4):1291-96(1999)
【非特許文献6】Hitosugi T.、Kang S.、Vander Heiden M.G.ら、Sci.Signal 2(97):ra73(2009)
【非特許文献7】Presek P.、Glossmann H.、Eigenbrodt E.ら、Cancer Res.40(5):1733-41(1980)
【非特許文献8】Presek P.、Reinacher M.、Eigenbrodt E.、FEBS Lett.242(1):194-98(1988)
【非特許文献9】Lv L.、Li D.、Zhao D.ら、Mol.Cell 42(6):719-30(2011)
【非特許文献10】Anastasiou D.、Poulogiannis G.、Asara J.M.ら、Science 334(6060):1278-83(2011)
【非特許文献11】Chen N.、Rinner O.、Czernik D.ら、Cell Res.21(6):983-86(2011)
【非特許文献12】Boxer M.B.、Jiang J.K.、Vander Heiden M.G.ら、J.Med.Chem.53(3):1048-55(2010)
【非特許文献13】Jiang J.K.、Boxer M.B.、Vander Heiden M.G.ら、Bioorg.Med.Chem.Lett.20(11):3387-93(2010)
【非特許文献14】Walsh M.J.、Brimacombe K.R.、Veith H.ら、Bioorg.Med.Chem.Lett.21(21):6322-27(2011)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
PKM2媒介障害または疾患のための新たな処置および治療が依然として必要とされている。本開示は、PKM2モジュレーターである化合物およびその医薬組成物を提供する。本開示はさらに、PKM2媒介障害または疾患を処置する方法であって、治療上有効量のPKM2モジュレーター、例えば、PKM2活性化剤を、処置を必要とする対象に投与することを含む方法を提供する。一実施形態では、その薬学的に許容され得る塩、同位体形態、立体異性体、互変異性体およびプロドラッグを含む、以下の構造(I)を有する化合物が提供される:
【化1】
(式中、R
1、R
2およびR
3は本明細書で定義される通りである)。
別の実施形態では、構造(I)を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、立体異性体、互変異性体もしくはプロドラッグと、薬学的に許容され得る担体、希釈剤または賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0005】
別の実施形態では、PKM2の調節を必要とする対象のPKM2を調節する方法であって、治療上有効量の構造(I)を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、立体異性体、互変異性体もしくはプロドラッグを対象に投与することを含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、PKM2の調節が、PKM2を活性化することを含む。いくつかの実施形態では、本方法が、がんを処置するためのものである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示の様々な(列挙される)実施形態を本明細書に記載する。各実施形態で指定される特徴を他の指定される特徴と組み合わせて、本開示のさらなる実施形態を提供することができることが認識されるであろう。
【0007】
実施形態1.以下の構造(I)を有する化合物:
【化2】
(式中、
R
1はFまたはNH
2であり、
R
2はH、ClまたはBrである;あるいはR
2はR
3と結合して、必要に応じて置換されたヘテロアリールを形成し;
R
3はHまたは必要に応じて置換されたC
1~C
6アルキルである;あるいはR
3はR
2と結合して、必要に応じて置換されたヘテロアリールを形成する)
またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグ。
実施形態2.
R
1がFまたはNH
2であり、
R
2がH、ClまたはBrであり;
R
3がHまたは必要に応じて置換されたC
1~C
6アルキルである、
実施形態1に記載の化合物。
【0008】
実施形態3.R3がHである、実施形態1または2に記載の化合物。
【0009】
実施形態4.R3が必要に応じて置換されたC1~C6アルキルである、実施形態1または2に記載の化合物。
【0010】
実施形態5.必要に応じて置換されたC1~C6アルキルがメチルまたはアミノメチルである、実施形態4に記載の化合物。
【0011】
実施形態6.R2がHである、実施形態1から5のいずれか1つに記載の化合物。
【0012】
実施形態7.
R1がFまたはNH2であり、
R2がClまたはBrであり、
R3がHである、
実施形態1に記載の化合物。
【0013】
実施形態8.R1がFである、実施形態7に記載の化合物。
【0014】
実施形態9.R1がNH2である、実施形態7に記載の化合物。
【0015】
実施形態10.R2がClである、実施形態7に記載の化合物。
【0016】
実施形態11.R2がBrである、実施形態7に記載の化合物。
【0017】
実施形態12.R2およびR3が結合して、必要に応じて置換されたヘテロアリールを形成する、実施形態1に記載の化合物。
【0018】
実施形態13.必要に応じて置換されたヘテロアリールが5員ヘテロアリールである、実施形態12に記載の化合物。
【0019】
実施形態14.R1がFである、実施形態12または13に記載の化合物。
【0020】
実施形態15.R1がNH2である、実施形態12または13に記載の化合物。
【0021】
実施形態16.以下の構造(Ia)を有する化合物:
【化3】
またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグ。
【0022】
実施形態17.以下の構造(Ib)を有する化合物:
【化4】
【0023】
またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグ。
【0024】
実施形態18.以下の構造(Ic)を有する化合物:
【化5】
またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグ。
【0025】
実施形態19.以下の構造(Id)を有する化合物:
【化6】
またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグ。
【0026】
実施形態20.以下の構造(Ie)を有する化合物:
【化7】
またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグ。
【0027】
実施形態21.以下の構造(If)を有する化合物:
【化8】
またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグ。
【0028】
実施形態22.以下の構造(Ig)を有する化合物:
【化9】
またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグ。
【0029】
実施形態23.以下の構造(Ih)を有する化合物:
【化10】
またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグ。
【0030】
実施形態24.以下の構造(Ii)を有する化合物:
【化11】
またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグ。
【0031】
実施形態25.以下の構造(Ij)を有する化合物:
【化12】
またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグ。
【0032】
実施形態26.実施形態1から25のいずれか1つに記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグと、薬学的に許容され得る担体または賦形剤とを含む医薬組成物。
【0033】
実施形態27.上記医薬組成物が経口投与用に製剤化される、実施形態26に記載の医薬組成物。
【0034】
実施形態28.上記医薬組成物が注射用に製剤化される、実施形態26に記載の医薬組成物。
【0035】
実施形態29.ピルビン酸キナーゼ筋肉アイソザイムM2(PKM2)活性の調節を必要とする対象のPKM2活性を調節する方法であって、治療上有効量の実施形態1から25のいずれか1つに記載の化合物、またはその互変異性体、薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ、あるいは実施形態26から28のいずれか1つに記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【0036】
実施形態30.調節がPKM2を活性化することを含む、実施形態29に記載の方法。
【0037】
実施形態31.がんの処置を必要とする対象のがんを処置する方法であって、治療上有効量の実施形態1から25のいずれか1つに記載の化合物、またはその互変異性体、薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグ、あるいは実施形態26から28のいずれか1つに記載の医薬組成物を対象に投与することを含む方法。
【0038】
実施形態32.がんが免疫腫瘍学(IO)剤による処置に耐性の進行した固形腫瘍である、実施形態31に記載の方法。
【0039】
実施形態33.がんがNPM-ALK未分化大細胞リンパ腫である、実施形態32に記載の方法。
【0040】
実施形態34.がんがチロシンキナーゼ阻害剤による処置に耐性のEGFR変異非小細胞肺がんである、実施形態31に記載の方法。
【0041】
実施形態35.セリンおよび/またはグリシンが少ない食事を対象に投与すること、またはその投与を指示することをさらに含む、実施形態29から34のいずれか1つに記載の方法。
【0042】
実施形態36.食事がセリンおよび/またはグリシンを実質的に含まない、実施形態35に記載の方法。
【0043】
実施形態37.前記方法がRTK阻害剤を対象に投与することをさらに含む、実施形態31に記載の方法。
【0044】
実施形態38.RTK阻害剤がオシメルチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ベバシズマブまたは(of)トラスツズマブである、実施形態37に記載の方法。
【0045】
実施形態39.前記方法がチェックポイント阻害剤を対象に投与することをさらに含む、実施形態31に記載の方法。
【0046】
実施形態40.チェックポイント阻害剤がイピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アベルマブまたはアテゾリズマブである、実施形態39に記載の方法。
【0047】
実施形態41.がんがリンパ腫、頭頸部がん、肺がん(例えば、小細胞肺がん(SCLC)または非小細胞肺がん(NSCLC))、膀胱がん、または黒色腫(例えば、メルケル細胞癌腫または転移性黒色腫)である、実施形態39または40のいずれか1つに記載の方法。
【0048】
実施形態42.肺がんが非小細胞肺がん(NSCLC)である、実施形態41に記載の方法。
【0049】
実施形態43.黒色腫がメルケル細胞癌腫または転移性黒色腫である、実施形態41に記載の方法。
【0050】
実施形態44.前記方法がフェロトーシス誘導剤を対象に投与することをさらに含む、実施形態31に記載の方法。
【0051】
実施形態45.フェロトーシス誘導剤がエラスチン、ソラフェニブ、スルファサラジンまたはシスプラチンである、実施形態44に記載の方法。
【0052】
実施形態46.がんがフェロトーシス感受性がんである、実施形態44または45のいずれか1つに記載の方法。
【0053】
実施形態47.フェロトーシス感受性がんが乳がん、急性骨髄性白血病(AML)、膵管腺がん、卵巣がん、B細胞リンパ腫、腎細胞癌腫、肺がん、または神経膠芽腫である、実施形態46に記載の方法。
【0054】
本明細書を解釈する目的で、以下の定義が適用され、必要に応じて、単数形で使用される用語が複数形も含む。本明細書で使用される用語は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、以下の意味を有する。
【0055】
本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書で提供されるありとあらゆる例または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本開示をよりよく明らかにすることを意図しており、特許請求される以外には本開示の範囲を限定するものではない。
【0056】
本開示の文脈で(特に特許請求の範囲の文脈で)使用される「a」、「an」、「the」という用語および同様の用語は、本明細書で別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数と複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。
【0057】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、一般式CnH2n+1の炭化水素基を指す。アルキル基は直鎖であっても分岐であってもよい。例えば、「C1~C6アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子を含む一価の直鎖または分岐脂肪族基(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、ネオペンチル、3,3-ジメチルプロピル、ヘキシル、2-メチルペンチルなど)を指す。アルキルは置換または非置換のいずれかである(「必要に応じて置換された」)。
【0058】
「ヘテロアリール」という用語は、5~10員芳香環系内に少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、酸素、硫黄、窒素またはこれらの組み合わせ)を含む芳香族部分(例えば、ピロリル、ピリジル、ピラゾリル、インドリル、インダゾリル、チエニル、フラニル、ベンゾフラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、ピリミジニル、ピラジニル、チアゾリル、プリニル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、1H-ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾリルなど)を指す。複素芳香族部分は、単環系または縮合環系からなっていてもよい。典型的な単ヘテロアリール環は、酸素、硫黄および窒素から独立に選択される1~3個のヘテロ原子を含む5~6員環であり、典型的な縮合ヘテロアリール環系は、酸素、硫黄および窒素から独立に選択される1~4個のヘテロ原子を含む9~10員環系である。縮合ヘテロアリール環系は、合わせて縮合した2つのヘテロアリール環またはアリール(例えば、フェニル)に縮合したヘテロアリール(hetereoaryl)からなり得る。ヘテロアリールは置換または非置換のいずれかである(「必要に応じて置換された」)。
【0059】
本明細書で言及される場合、「置換された」という用語は、少なくとも1つの水素原子が非水素基で置き換えられていることを意味するが、但し、通常の結合価が維持され、置換により安定な化合物が得られることを条件とする。置換基がケト(すなわち、=O)である場合、原子上の2個の水素が置き換えられる。ケト置換基は芳香族部分には存在しない。
【0060】
本開示の化合物上に窒素原子(例えば、アミン)が存在する場合、これらを酸化剤(例えば、mCPBAおよび/または過酸化水素)で処理することによってN-オキシドに変換して、本開示の他の化合物を得ることができる。したがって、示され、特許請求されている窒素原子は、示される窒素とそのN-オキシド(N→O)誘導体の両方を網羅すると考えられる。
【0061】
任意の可変要素が化合物の任意の構成要素または式に1回より多く出現する場合、各出現におけるその定義は、他の全ての出現におけるその定義とは無関係である。したがって、例えば、ある基が0~3個のR基で置換されていると示されている場合、前記基は非置換であってもよく、または最大3個のR基で置換されていてもよく、各出現において、Rは、Rの定義から独立に選択される。
【0062】
置換基との結合が環内の2つの原子を接続する結合と交差することが示されている場合、このような置換基は環上のいずれの原子に結合していてもよい。置換基が、所与の式の化合物の残りに結合している原子を示さずに、列挙されている場合、このような置換基は、このような置換基中のいずれの原子を介して結合していてもよい。
【0063】
置換基および/または可変要素の組み合わせは、このような組み合わせが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0064】
当業者であれば、例えば、分子中のケトン(-CH-C=O)基がそのエノール型(-C=C-OH)に互変異性化し得ることを理解することができるであろう。窒素含有化合物はまた、互変異性体、例えば以下に示される例示的互変異性体を形成し得る。したがって、本開示は、構造がそれらのうちの1つのみを示す場合であっても、全ての可能な互変異性体を網羅することを意図している。
【化13】
【0065】
「薬学的に許容され得る」という語句は、物質または組成物が、製剤を構成する他の成分および/またはそれで処置される対象と化学的および/または毒物学的に適合性でなければならないことを示す。
【0066】
別段の指定がない限り、「本開示の化合物」という用語は、構造(I)およびその部分式(例えば、構造(Ia)、(Ib)、(Ic)、(Id)、(Ie)、(If)、(Ig)、(Ih)、(Ii)または(Ij))の化合物、ならびに異性体、例えば立体異性体(ジアステレオ異性体、エナンチオマーおよびラセミ体を含む)、幾何異性体、配座異性体(回転異性体およびアストロプ異性体を含む)、互変異性体、同位体標識化合物(重水素置換を含む)、および本質的に形成された部分(例えば、多形、溶媒和物および/または水和物)を指す。塩を形成することができる部分が存在する場合、塩、特に薬学的に許容され得る塩も含まれる。
【0067】
本開示の化合物がキラル中心を含んでもよく、したがって異なる異性体形態で存在してもよいことが当業者によって認識されるであろう。本明細書で使用される場合、「異性体」という用語は、同じ分子式を有するが、原子の配列および配置が異なる、異なる化合物を指す。
【0068】
「エナンチオマー」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である一対の立体異性体である。一対のエナンチオマーの1:1混合物は、「ラセミ」混合物である。この用語は、適切である場合にラセミ混合物を示すために使用される。本開示の化合物の立体化学を指定する場合、2つのキラル中心の既知の相対配置および絶対配置を有する単一立体異性体は、従来のRS系(例えば、(1S,2S))を使用して指定し;既知の相対配置を有するが、未知の絶対配置を有する単一立体異性体は星印で指定し(例えば、(1R*,2R*));ラセミ体は2つの文字で指定する(例えば、(1R,2R)と(1S,2S)のラセミ混合物としての(1RS,2RS);(1R,2S)と(1S,2R)のラセミ混合物としての(1RS,2SR))。「ジアステレオ異性体」は、少なくとも2つの不斉原子を有するが、互いに鏡像ではない立体異性体である。絶対立体化学は、カーン-インゴルド-プレローグR-S系に従って特定される。化合物が純粋なエナンチオマーである場合、各キラル炭素における立体化学は、RまたはSのいずれかによって特定され得る。絶対配置が未知の分割された化合物は、ナトリウムD線の波長の平面偏光を回転させる方向(右旋性または左旋性)に応じて(+)または(-)と指定することができる。あるいは、分割された化合物は、キラルHPLCを介した対応するエナンチオマー/ジアステレオマーのそれぞれの保持時間によって定義することができる。
【0069】
本明細書に記載される化合物のいくつかは、1またはそれを超える不斉中心または軸を含み、したがって、エナンチオマー、ジアステレオマー、および絶対立体化学の観点から(R)-または(S)-として定義され得る他の立体異性体の形態を生じ得る。
【0070】
幾何異性体は、化合物が二重結合または分子に一定量の構造的剛性を与える何らかの他の特徴を含む場合に生じ得る。化合物が二重結合を含む場合、置換基はEまたはZ配置であり得る。化合物が二置換シクロアルキルを含む場合、シクロアルキル置換基はシス配置またはトランス配置を有し得る。
【0071】
配座異性体(またはコンフォーマー)は、1またはそれを超える結合の周りでの回転によって異なり得る異性体である。回転異性体は、単一結合の周りでの回転によってのみ異なるコンフォーマーである。
【0072】
別段の指定がない限り、本開示の化合物は、ラセミ混合物、光学的に純粋な形態および中間体混合物を含む全てのこのような可能な異性体を含むことを意味する。光学的に活性な(R)-および(S)-異性体は、キラルシントンもしくはキラル試薬を使用して調製され得るか、または従来技術を使用して分割され得る(例えば、良好な分離を達成するために適切な溶媒または溶媒の混合物を使用して、DAICEL Corp.から入手可能なCHIRALPAK(登録商標)およびCHIRALCEL(登録商標)などのキラルSFCもしくはHPLCクロマトグラフィーカラムまたは他の同等のカラムで分離される)。
【0073】
本開示の化合物は、光学活性形態またはラセミ形態で単離することができる。光学活性形態は、ラセミ形態の分割によって、または光学的に活性な出発物質からの合成によって調製され得る。本開示の化合物を調製するために使用される全てのプロセスおよびそこで生成される中間体は、本開示の一部であると考えられる。エナンチオマーまたはジアステレオマー生成物が調製される場合、それらは従来の方法、例えばクロマトグラフィーまたは分別結晶によって分離され得る。
【0074】
プロセス条件に応じて、本開示の最終生成物は、遊離(中性)形態または塩形態のいずれかで得られる。これらの最終生成物の遊離形態と塩の両方が本開示の範囲内にある。所望であれば、化合物のある形態を別の形態に変換することができる。遊離塩基または酸は、塩に変換され得る;塩は、遊離化合物または別の塩に変換され得る;本開示の異性体化合物の混合物は個々の異性体に分離され得る。
【0075】
薬学的に許容され得る塩が好ましい。しかしながら、他の塩も、例えば、調製中に使用され得る単離または精製工程において有用であり得、したがって、本開示の範囲内で企図される。
【0076】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容され得る塩」は、親化合物がその酸塩または塩基塩を調製することによって修飾されている、開示される化合物の誘導体を指す。例えば、薬学的に許容され得る塩には、それだけに限らないが、酢酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、臭化物/臭化水素酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、カンファースルホン酸塩、カプリン酸塩、塩化物/塩酸塩、クロルテオフィロネート(chlortheophyllonate)、クエン酸塩、エタンジスルホン酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、グルタミン酸塩、グルタル酸塩、グリコール酸塩、馬尿酸塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩/ヒドロキシマロン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ムチン酸塩、ナフトエ酸塩、ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オクタデカン酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、フェニル酢酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、スルファミン酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩またはキシナホ酸塩形態が含まれる。
【0077】
薬学的に許容され得る酸付加塩は、無機酸および有機酸を用いて形成することができる。塩を誘導することができる無機酸には、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などが含まれる。塩を誘導することができる有機酸には、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スルホサリチル酸などが含まれる。
【0078】
薬学的に許容され得る塩基付加塩は、無機塩基および有機塩基を用いて形成することができる。塩を誘導することができる無機塩基には、例えば、アンモニウム塩および周期表のI~XII族の金属が含まれる。一定の実施形態では、塩が、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、銀、亜鉛および銅から誘導される;特に適切な塩には、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウムおよびマグネシウム塩が含まれる。塩を誘導することができる有機塩基には、例えば、第一級、第二級および第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂などが含まれる。一定の有機アミンには、イソプロピルアミン、ベンザチン、コリネート(cholinate)、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、リジン、メグルミン、ピペラジンおよびトロメタミンが含まれる。
【0079】
本開示の薬学的に許容され得る塩は、従来の化学的方法によって、塩基性部分または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、このような塩は、これらの化合物の遊離酸形態または遊離塩基形態を、化学量論量の適切な塩基または酸と、水または有機溶媒中、またはこれら2つの混合物中で反応させることによって調製することができる;一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノールまたはアセトニトリルなどの非水性媒体が好ましい。適切な塩のリストは、その開示が参照により本明細書に組み込まれる、Allen,L.V.,Jr.編、Remington:The Science and Practice of Pharmacy、第22版、Pharmaceutical Press、ロンドン、英国(2012)に見られる。
【0080】
水素結合のためのドナーおよび/またはアクセプターとして作用することができる基を含む本開示の化合物は、適切な共結晶形成剤により共結晶を形成することができる場合がある。これらの共結晶は、公知の共結晶形成手順によって本開示の化合物から調製され得る。このような手順は、結晶化条件下で本開示の化合物を共結晶形成剤と粉砕、加熱、共昇華、共融解、または溶液中で接触させること、およびそれによって形成された共結晶を単離することを含む。適切な共結晶形成剤には、国際公開第2004/078163号パンフレットに記載されているものが含まれる。したがって、本開示はさらに、本開示の化合物を含む共結晶を提供する。
【0081】
本明細書に示される任意の式はまた、化合物の非標識形態および同位体標識形態を表すことを意図している。同位体標識化合物は、1またはそれを超える原子が選択された原子質量または質量数を有する原子によって置き換えられていることを除いて、本明細書に与えられる式によって示される構造を有する。本開示の化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素、塩素およびヨウ素(idodine)の同位体、例えばそれぞれ2H、3H、11C、13C、14C、15N、18F、31P、32P、35S、36Cl、123I、124I、125Iが挙げられる。本開示は、本明細書で定義される様々な同位体標識化合物、例えば3Hおよび14Cなどの放射性同位体が存在するもの、または2Hおよび13Cなどの非放射性同位体が存在するものを含む。このような同位体標識化合物は、代謝研究(14Cを使用)、反応速度論研究(例えば2Hまたは3Hを使用)、検出もしくはイメージング技術、例えば、薬物もしくは基質組織分布アッセイを含む陽電子放射断層撮影法(PET)もしくは単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)、または対象の放射線処置に有用である。特に、18Fまたは標識化合物は、PETまたはSPECT研究に特に望ましい場合がある。
【0082】
さらに、より重い同位体、特に重水素(すなわち、2HまたはD)による置換は、より大きな代謝安定性から生じる特定の治療上の利点、例えばインビボ半減期の増加または必要投与量の減少または治療指数の改善を提供し得る。これに関連して重水素は本開示の化合物の置換基と見なされることが理解される。このようなより重い同位体、具体的には重水素の濃度は、同位体濃縮係数によって定義され得る。本明細書で使用される「同位体濃縮係数」という用語は、指定される同位体の同位体存在量と天然存在量との間の比を意味する。本開示の化合物中の置換基が重水素と示される場合、このような化合物は、それぞれの指定される重水素原子について、少なくとも3500(それぞれの指定される重水素原子で52.5%の重水素組み込み)、少なくとも4000(60%の重水素組み込み)、少なくとも4500(67.5%の重水素組み込み)、少なくとも5000(75%の重水素組み込み)、少なくとも5500(82.5%の重水素組み込み)、少なくとも6000(90%の重水素組み込み)、少なくとも6333.3(95%の重水素組み込み)、少なくとも6466.7(97%の重水素組み込み)、少なくとも6600(99%の重水素組み込み)、または少なくとも6633.3(99.5%の重水素組み込み)の同位体濃縮係数を有する。
【0083】
本開示の同位体標識化合物は、一般に、他の方法で使用される非同位体標識試薬の代わりに適切なまたは容易に入手可能な同位体標識試薬を使用することによって、当業者に公知の従来技術によって、または以下に記載されるスキームもしくは例および調製で開示されるプロセス(または本明細書に記載されるものと類似のプロセス)によって調製することができる。このような化合物は、例えば、潜在的な医薬化合物が標的タンパク質もしくは受容体に結合する能力を決定する際の標準物質および試薬として、またはインビボもしくはインビトロで生物学的受容体に結合した本開示の化合物を画像化するための様々な潜在的使用を有する。
【0084】
「溶媒和物」という用語は、本開示の化合物と、有機または無機にかかわらず1またはそれを超える溶媒分子との物理的会合を意味する。この物理的会合には、水素結合が含まれる。一定の例では、溶媒和物を、例えば1またはそれを超える溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれている場合に、単離することができる。溶媒和物中の溶媒分子は、規則的な配置および/または非規則的な配置で存在し得る。溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量の溶媒分子を含み得る。「溶媒和物」は、溶液相と単離可能な溶媒和物の両方を包含する。例示的な溶媒和物としては、それだけに限らないが、水和物、エタノレート、メタノレートおよびイソプロパノレートが挙げられる。溶媒和の方法は、当技術分野で一般的に公知である。
【0085】
本明細書で使用される場合、「多形(単数または複数)」は、同じ化学構造/組成を有するが、結晶を形成する分子および/またはイオンの異なる空間配置を有する結晶形態(単数または複数)を指す。本開示の化合物は、非晶質固体または結晶性固体として提供することができる。凍結乾燥を使用して、本開示の化合物を固体として提供することができる。
【0086】
「PKM2媒介障害または疾患」という用語は、PKM2によって直接的または間接的に調節される任意の障害または疾患を指す。
【0087】
がんとも呼ばれる「悪性腫瘍」という用語は、異常細胞が制御なしに分裂し、近くの組織に浸潤し得る疾患を指す。悪性細胞はまた、血液およびリンパ系を通して身体の他の部分に広がることができる。悪性腫瘍にはいくつかの主要なタイプがある。癌腫は、皮膚、または内臓を裏打ちするか、もしくは覆う組織で始まる悪性腫瘍である。肉腫は、骨、軟骨、脂肪、筋肉、血管、または他の結合組織もしくは支持組織で始まる悪性腫瘍である。白血病は、骨髄などの血液形成組織で始まり、多数の異常な血球を産生し、血液に侵入させる悪性腫瘍である。リンパ腫および多発性骨髄腫は、免疫系の細胞で始まる悪性腫瘍である。中枢神経系がんは、脳および脊髄の組織で始まる悪性腫瘍である。
【0088】
「固形腫瘍」という用語は、通常は嚢胞も液体領域も含まない組織の異常な塊から形成される悪性腫瘍/がんを指す。固形腫瘍は、起源の組織/細胞に従って命名/分類される。例としては、それだけに限らないが、肉腫および癌腫が挙げられる。
【0089】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は動物を指す。典型的には、動物は哺乳動物である。対象はまた、例えば、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類などを指す。一定の実施形態では、対象が霊長類である。さらに他の実施形態では、対象がヒトである。例示的な対象には、がん疾患の危険因子を有する任意の年齢のヒトが含まれる。
【0090】
本明細書で使用される場合、対象が処置から生物学的に、医学的にまたは生活の質において利益を得る場合、このような対象はこのような処置を「必要とする」(好ましくは、ヒト)。
【0091】
本明細書で使用される場合、「阻害する」、「阻害」または「阻害すること」という用語は、所与の症状、症候もしくは障害、もしくは疾患の減少もしくは抑制、または生物学的活性もしくはプロセスのベースライン活性の有意な低下を指す。
【0092】
本明細書で使用される場合、任意の疾患/障害の「処置する」、「処置すること」または「処置」という用語は、対象、特にヒトにおける疾患/障害の処置を指し、(a)疾患/障害を改善すること(すなわち、疾患/障害、もしくは少なくとも1つのその臨床症候の発症を遅らせるか、停止させるか、もしくは減少させること);(b)物理的に(例えば、識別可能な症候の安定化)、生理学的に(例えば、物理的パラメータの安定化)、もしくはその両方で、疾患/障害を軽減もしくは調節すること(すなわち、疾患/障害の退縮を引き起こすこと);(c)対象によって認識されかいかもしれないものを含む少なくとも1つの身体パラメータを緩和もしくは改善すること;および/または(d)特に、対象が疾患もしくは障害の素因を有するが、それを有するとまだ診断されていない場合に、疾患もしくは障害の発症もしくは発達もしくは進行がこのような対象において生じるのを予防するもしくは遅延させることを含む。
【0093】
本開示の化合物の「治療上有効量」という用語は、対象の生物学的もしくは医学的応答、例えば酵素もしくはタンパク質活性の低下もしくは阻害を誘発する、または症候を改善する、症状を緩和する、疾患進行を遅らせるもしくは遅延させる、または疾患を予防するなどの、本開示の化合物の量を指す。1つの非限定的な実施形態では、「治療上有効量」という用語が、対象に投与された場合に、(1)PKM2によって媒介される症状もしくは障害もしくは疾患を少なくとも部分的に緩和する、阻害する、予防するおよび/もしくは改善する、または(2)PKM2の活性を調節するのに有効な本開示の化合物の量を指す。
【0094】
別の非限定的な実施形態では、「治療上有効量」という用語は、細胞または組織または非細胞性生物学的材料または培地に投与された場合に、PKM2の活性を少なくとも部分的に調節する;またはPKM2の発現を少なくとも部分的に調節するのに有用な本開示の化合物の量を指す。
【0095】
治療上有効量は、対象のサイズおよび体重、病気の種類、または本開示の特定の化合物などの要因に応じて変化し得る。当業者であれば、本明細書に含まれる要因を研究し、過度の実験なしに本開示の化合物の治療上有効量に関する決定を行うことができるであろう。
【0096】
投与レジメンは、治療上有効量を構成するものに影響を及ぼし得る。本開示の化合物は、PKM2媒介疾患または障害の発症前または発症後に対象に投与することができる。さらに、いくつかの分割投与量、ならびに千鳥状投与量を、毎日もしくは連続的に投与することができる、または用量を連続的に注入することができる、またはボーラス注射とすることができる。さらに、本開示の化合物(単数または複数)の投与量は、治療的または予防的状況の緊急性によって示されるように比例的に増加または減少させることができる。
【0097】
特定の治療に「耐性」のがんは、持続性疾患または90日間未満の完全寛解を示すがんを指す。いくつかの実施形態では、特定の治療に耐性のがんを有する対象が、その治療に対して統計的に有意な客観的応答を示さない。対象からの試料中のがん性細胞のレベルが検出可能なレベルもしくは閾値レベル未満である場合、または走査で目に見える腫瘍がない場合、対象は「完全寛解」にあると見なされる。
【0098】
化合物
上記のように、本開示の一実施形態では、PKM2モジュレーター(例えば、活性化剤)としての活性を有する化合物であって、以下の構造(I):
【化14】
(式中、
R
1はFまたはNH
2であり、
R
2はH、ClまたはBrである;あるいはR
2はR
3と結合して、必要に応じて置換されたヘテロアリールを形成し;
R
3はHまたは必要に応じて置換されたC
1~C
6アルキルである;あるいはR
3はR
2と結合して、必要に応じて置換されたヘテロアリールを形成する)
を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグが提供される。
【0099】
いくつかのより具体的な実施形態では、R1がFまたはNH2であり、R2がH、ClまたはBrであり、R3がHまたは必要に応じて置換されたC1~C6アルキルである。
【0100】
いくつかの実施形態では、R3がHである。いくつかの他の実施形態では、R3が必要に応じて置換されたC1~C6アルキル(例えば、メチルまたはアミノメチル)である。
【0101】
いくつかの実施形態では、R2がHである。一定の実施形態では、R2がClである。他の実施形態では、R2がBrである。
【0102】
いくつかの具体的な実施形態では、R1がFまたはNH2であり、R2がClまたはBrであり、R3がHである。
【0103】
いくつかの実施形態では、R2およびR3が結合して、必要に応じて置換されたヘテロアリールを形成する。いくつかのより具体的な実施形態では、ヘテロアリールが5員の必要に応じて置換されたヘテロアリールである。
【0104】
他の一定の実施形態では、化合物が、表1の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグから選択される。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0105】
医薬組成物および組み合わせ物
本開示の化合物は、医薬組成物(例えば、本開示の化合物および少なくとも1つの薬学的に許容され得る担体)で使用することもできる。「薬学的に許容され得る担体(希釈剤または賦形剤)」は、当業者に知られているように、一般に安全と認められる(GRAS)溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存剤、薬物安定剤、結合剤、緩衝剤(例えば、マレイン酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、酢酸、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウムなど)、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、色素などおよびこれらの組み合わせを含む、対象、特に哺乳動物に生物学的に活性な薬剤を送達するための当技術分野で一般的に受け入れられている媒体を指す(例えば、Allen,L.V.,Jr.ら、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(2巻)、第22版、Pharmaceutical Press(2012)参照)。
【0106】
一態様では、本開示は、本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩と、薬学的に許容され得る担体とを含む医薬組成物を提供する。さらなる実施形態では、組成物が、少なくとも2つの薬学的に許容され得る担体、例えば本明細書に記載されるものを含む。本開示の目的のために、別段の指定がない限り、溶媒和物および水和物は一般に組成物と見なされる。好ましくは、薬学的に許容され得る担体は無菌である。医薬組成物は、経口投与、非経口投与および直腸投与などの特定の投与経路用に製剤化することができる。さらに、本開示の医薬組成物は、固体形態(カプセル剤、錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤または坐剤を含む)または液体形態(液剤、懸濁剤またはエマルジョンを含む)で構成することができる。医薬組成物は、滅菌などの従来の薬学操作に供することができる、ならびに/あるいは従来の不活性希釈剤、滑沢剤または緩衝剤、ならびに保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤および緩衝剤などのアジュバントを含有することができる。典型的には、医薬組成物は、以下のもののうちの1またはそれを超える数と共に有効成分を含む錠剤またはゼラチンカプセルである:
a)希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;
b)滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウム塩もしくはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてはまた
c)結合剤、例えばケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;所望であれば
d)崩壊剤、例えばデンプン、寒天、アルギン酸もしくはそのナトリウム塩、または発泡性混合物;ならびに
e)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤。
【0107】
錠剤は、当技術分野で公知の方法に従って、フィルムコーティングまたは腸溶コーティングされ得る。
【0108】
経口投与に適した組成物には、錠剤、ロゼンジ、水性もしくは油性懸濁液、分散性粉末もしくは顆粒、エマルジョン、ハードもしくはソフトカプセル、またはシロップもしくはエリキシルの形態の治療上有効量の本開示の化合物が含まれる。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物を製造するための当技術分野で公知の任意の方法に従って調製され、このような組成物は、薬学的に洗練された口当たりのよい調製物を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および保存剤からなる群から選択される1またはそれを超える薬剤を含有することができる。錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容され得る賦形剤と混和して有効成分を含有し得る。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;造粒剤および崩壊剤、例えばコーンスターチまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア;ならびに滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクである。錠剤は、コーティングされていないか、または既知の技術によってコーティングされて、消化管における崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長期間にわたって持続的な作用を提供する。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料を使用することができる。経口使用のための製剤は、有効成分が不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムもしくはカオリンと混合される硬ゼラチンカプセルとして、または有効成分が水もしくは油性媒体、例えば落花生油、流動パラフィンもしくはオリーブ油と混合されるソフトゼラチンカプセルとして提供することができる。
【0109】
一定の注射用組成物は等張水溶液または懸濁液であり、坐剤は脂肪エマルジョンまたは懸濁液から有利に調製される。前記組成物は、滅菌されてもよい、ならびに/あるいはアジュバント、例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩および/または緩衝剤を含有してもよい。さらに、これらはまた、他の治療的に価値のある物質を含有してもよい。前記組成物は、それぞれ従来の混合、造粒またはコーティング方法に従って調製され、約0.1~75%または約1~50%の有効成分を含有する。
【0110】
経皮施用のための適切な組成物は、適切な担体と共に治療上有効量の本開示の化合物を含む。経皮送達に適した担体には、宿主の皮膚を通過するのを助けるための吸収性の薬理学的に許容され得る溶媒が含まれる。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、必要に応じて担体と共に化合物を含有するリザーバ、必要に応じて長期間にわたって制御された所定の速度で宿主の皮膚の化合物を送達するための速度制御バリア、およびデバイスを皮膚に固定する手段を含む包帯の形態である。
【0111】
例えば皮膚および眼への局所施用に適した組成物には、水溶液、懸濁液、軟膏、クリーム、ゲル、または例えばエアロゾルなどによる送達のための噴霧可能な製剤が含まれる。このような局所送達システムは、特に、皮膚施用、例えば皮膚がんの処置、例えば日焼け止めクリーム、ローション、スプレーなどにおける予防的使用に適している。したがって、これらは、当技術分野で周知の化粧品を含む局所製剤での使用に特に適している。このようなものは、可溶化剤、安定剤、張度増強剤、緩衝剤および保存剤を含有し得る。
【0112】
本明細書で使用される場合、局所施用は、吸入または鼻腔内施用にも関連し得る。これらは、適切な噴射剤の使用の有無にかかわらず、乾燥粉末吸入器からの乾燥粉末(単独、混合物として、例えばラクトースとのドライブレンド、または例えばリン脂質との混合成分粒子のいずれか)の形態で、または加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザもしくはネブライザからのエアロゾルスプレーでの提供で都合よく送達され得る。
【0113】
水は一定の化合物の分解を促進し得るので、本開示は、本開示の化合物を有効成分として含む無水医薬組成物および剤形をさらに提供する。
【0114】
本開示の無水医薬組成物および剤形は、無水または低水分含有成分および低水分または低湿度条件を使用して調製することができる。無水医薬組成物は、その無水性が維持されるように調製および保存され得る。したがって、無水組成物は、適切な処方キットに含めることができるように、水への曝露を防ぐことが知られている材料を使用して包装される。適切な包装の例としては、それだけに限らないが、密封ホイル、プラスチック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックが挙げられる。
【0115】
本開示はさらに、有効成分としての本発明の化合物が分解する速度を低下させる1またはそれを超える薬剤を含む医薬組成物および剤形を提供する。本明細書で「安定剤」と呼ばれるこのような薬剤には、それだけに限らないが、アスコルビン酸、pH緩衝剤、または塩緩衝剤などの抗酸化剤が含まれる。
【0116】
本開示の化合物は、典型的には、薬物の容易に制御可能な投与量を提供し、対象に洗練された人間工学的製品を与えるために医薬剤形に製剤化される。本開示の化合物の投与レジメンは、当然、特定の薬剤の薬力学的特性ならびにその投与様式および投与経路;レシピエントの種、年齢、性別、健康、医学的症状および体重;症候の性質および程度;併用処置の種類;処置の頻度;投与経路、対象の腎機能および肝機能、ならびに所望の効果などの既知の要因に応じて変化する。本開示の化合物は、1日1回の用量で投与され得るか、または総1日量が1日に2回、3回もしくは4回の分割用量で投与され得る。
【0117】
一定の例では、本開示の化合物を、抗がん剤、抗アレルギー剤、制吐薬、鎮痛剤、免疫調節薬および細胞保護剤から独立に選択される1またはそれを超える治療活性剤と組み合わせて投与することが有利であり得る。
【0118】
「併用療法」という用語は、本開示に記載される治療的疾患、障害または症状を処置するための2またはそれを超える治療薬の投与を指す。このような投与は、一定の比の有効成分を有する単一カプセルなど、実質的に同時に行われるこれらの治療薬の共投与を包含する。あるいは、このような投与は、各有効成分について、複数の容器、または別々の容器(例えば、カプセル剤、散剤、および液剤)での共投与を包含する。本開示の化合物および追加の治療薬は、同じ投与経路を介して、または異なる投与経路を介して投与することができる。粉末および/または液体は、投与前に所望の用量に再構成または希釈され得る。さらに、このような投与はまた、ほぼ同時または異なる時間のいずれかでの、順次の各タイプの治療薬の使用を包含する。いずれの場合も、処置レジメンは、本明細書に記載される疾患、症状または障害の処置において薬物組み合わせの有益な効果を提供する。
【0119】
併用療法での使用が検討される一般的な化学療法剤には、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、N4-ペントキシカルボニル-5-デオキシ-5-フルオロシチジン、カルボプラチン(Paraplatin(登録商標))、シスプラチン(Platinol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標))、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標)またはNeosar(登録商標))、シタラビン、シトシンアラビノシド(Cytosar-U(登録商標))、シタラビンリポソーム注射(DepoCyt(登録商標))、ダカルバジン(DTIC-Dome(登録商標))、ドキソルビシン塩酸塩(Adriamycin(登録商標)、Rubex(登録商標))、フルダラビンリン酸エステル(Fludara(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Efudex(登録商標))、ゲムシタビン(ジフルオロデオキシシチジン)、イリノテカン(Camptosar(登録商標))、L-アスパラギナーゼ(ELSPAR(登録商標))、6-メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、メトトレキサート(Folex(登録商標))、ペントスタチン、6-チオグアニン、チオテパ、および注射用トポテカン塩酸塩(Hycamptin(登録商標))が含まれる。
【0120】
本開示の化合物との組み合わせについて特に興味深い抗がん剤には、以下が含まれる:
【0121】
がん細胞におけるROSの産生を増加させる抗がん剤:三酸化ヒ素(As2O3)、2-メトキシエストラジオール、L-アスパラギナーゼ、G202、ネルフィナビル、PARP阻害剤、エラスチン、ランペラゾン、カンプトテシン、イノスタマイシン、アドリアマイシン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ネモルビシン、サバルビシン、バルルビシン、ミトキサントロン、ピキサントロン、ボルテゾミブ、N-ベンジルオキシカルボニル-Ile-Glu(O-tert-ブチル)-Ala-ロイシナール(PSI)、ソラフェニブ、エルロチニブ、レタスピマイシン塩酸塩(IPI-504)、17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-AAG)、パクリタキセル、ドセタキセル、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、葉酸代謝拮抗薬、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、N-(4-ヒドロキシフェニル)レチナミド、NOV-002、スルファサラジン、6-アニコチンアミド(6-anicotinamide)、ジベンゾフェナントリジン、ブチオニンスルホキシミン、バルデコキシブ、パラコキシブ、ロフェコキシブ、Cox 189、AGX-891、AG-221、ならびに例えば、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第2015/0197498号明細書、同第2011/0053938号明細書、同第2012/0259004号明細書およびPCT公開番号国際公開第2012/123076号パンフレットに開示される化合物。
【0122】
キナーゼ阻害剤:チロシンキナーゼ阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ阻害剤、およびホスホイノシチド3キナーゼ阻害剤。
【0123】
プリン代謝拮抗物質および/またはデノボプリン合成の阻害剤:ペメトレキセド(Alimta(登録商標))、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、5-フルオロウラシル(Adrucil(登録商標)、Carac(登録商標)およびEfudex(登録商標))、メトトレキサート(Trexall(登録商標))、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、フロクスウリジン(FUDR(登録商標))、デシタビン(Dacogen(登録商標))、アザシチジン(Vidaza(登録商標)およびAzadine(登録商標))、6-メルカプトプリン(Purinethol(登録商標))、クラドリビン(Leustatin(登録商標)、Litak(登録商標)およびMovectro(登録商標))、フルダラビン(Fludara(登録商標))、ペントスタチン(Nipent(登録商標))、ネララビン(Arranon(登録商標))、クロファラビン(Clolar(登録商標)およびEvoltra(登録商標))およびシタラビン(Cytosar(登録商標))。
【0124】
MTAP阻害剤:(3R,4S)-1-((4-アミノ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-7-イル)メチル)-4-((メチルチオ)メチル)ピロリジン-3-オール(MT-DADMe-イムシリン-A、CAS 653592-04-2)。
【0125】
メチルチオアデノシン:((2R,3R,4S,5S)-2-(6-アミノ-9H-プリン-9-イル)-5-((メチルチオ)メチル)テトラヒドロフラン-3,4-ジオール、CAS 2457-80-9)。
【0126】
上皮成長因子受容体(EGFR)阻害剤:エルロチニブ塩酸塩(Tarceva(登録商標))、ゲフィチニブ(Iressa(登録商標))、ZD-1839(AstraZeneca)、BIBX-1382(Boehringer Ingelheim)、MDX-447(Medarex Inc.、Annandale、NJ)およびOLX-103(Merck&Co.、Whitehouse Station、NJ)。さらなるEGFR阻害剤は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第95/19970パンフレット(1995年7月27日公開)、国際公開第98/14451号パンフレット(1998年4月9日公開)、国際公開第98/02434号パンフレット(1998年1月22日公開)、および米国特許第5,747,498号明細書(1998年5月5日発行)に記載されている。
【0127】
EGFR抗体:セツキシマブ(Erbitux(登録商標))、C225および抗EGFR 22Mab(ImClone Systems,Inc.、ニューヨーク、NY)。
【0128】
MET阻害剤:カプマチニブ(INC280、CAS 1029712-80-8)。
【0129】
血小板由来増殖因子(PDGF)受容体阻害剤:イマチニブ(Gleevec(登録商標));リニファニブ(N-[4-(3-アミノ-1H-インダゾール-4-イル)フェニル]-N’-(2-フルオロ-5-メチルフェニル)尿素、ABT 869としても知られている、Genentechから入手可能);スニチニブリンゴ酸塩(Sutent(登録商標));キザルチニブ(AC220、CAS 950769-58-1);パゾパニブ(Votrient(登録商標));アキシチニブ(Inlyta(登録商標));ソラフェニブ(Nexavar(登録商標));バルガテフ(Vargatef)(BIBF1120、CAS 928326-83-4);テラチニブ(BAY 57-9352、CAS 332012-40-5);バタラニブ二塩酸塩(PTK787、CAS 212141-51-0);およびモテサニブ二リン酸塩(AMG706、CAS 857876-30-3、N-(2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-1H-インドール-6-イル)-2-[(4-ピリジニルメチル)アミノ]-3-ピリジンカルボキサミド、PCT公開番号国際公開第02/066470号パンフレットに記載)。
【0130】
ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)阻害剤:4-[2-(1H-インダゾール-4-イル)-6-[[4-(メチルスルホニル)ピペラジン-1-イル]メチル]チエノ[3,2-d]ピリミジン-4-イル]モルホリン(GDC 0941としても知られており、PCT公開番号国際公開第09/036082号パンフレットおよび国際公開第09/055730号パンフレットに記載されている);4-(トリフルオロメチル)-5-(2,6-ジモルホリノピリミジン-4-イル)ピリジン-2-アミン(BKM 120またはNVP-BKM 120としても知られており、PCT公開番号国際公開第2007/084786号パンフレットに記載されている。);アルペリシブ(BYL719):(5Z)-5-[[4-(4-ピリジニル)-6-キノリニル]メチレン]-2,4-チアゾリジンジオン(GSK1059615、CAS 958852-01-2);5-[8-メチル-9-(1-メチルエチル)-2-(4-モルホリニル)-9H-プリン-6-イル]-2-ピリミジンアミン(VS-5584、CAS 1246560-33-7)およびエベロリムス(AFINITOR(登録商標))。
【0131】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)阻害剤:リボシクリブ(LEE011、CAS 1211441-98-3);アロイシンA;アルボシジブ(フラボピリドールまたはHMR-1275、2-(2-クロロフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-[(3S,4R)-3-ヒドロキシ-1-メチル-4-ピペリジニル]-4-クロメノンとしても知られており、米国特許第5,621,002号明細書に記載されている);クリゾチニブ(PF-02341066、CAS 877399-52-5);2-(2-クロロフェニル)-5,7-ジヒドロキシ-8-[(2R,3S)-2-(ヒドロキシメチル)-1-メチル-3-ピロリジニル]-4H-1-ベンゾピラン-4-オン,塩酸塩(P276-00、CAS 920113-03-7);1-メチル-5-[[2-[5-(トリフルオロメチル-1H-イミダゾール-2-イル]-4-ピリジニル]オキシ]-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]-1H-ベンゾイミダゾール-2-アミン(RAF265、CAS 927880-90-8);インジスラム(E7070);ロスコビチン(CYC202);6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-(5-ピペラジン-1-イル-ピリジン-2-イルアミノ)-8H-ピリド[2,3-d]ピリミジン-7-オン,塩酸塩(PD0332991);ジナシクリブ(SCH727965);N-[5-[[(5-tert-ブチルオキサゾール-2-イル)メチル]チオ]チアゾール-2-イル]ピペリジン-4-カルボキサミド(BMS 387032、CAS 345627-80-7);4-[[9-クロロ-7-(2,6-ジフルオロフェニル)-5H-ピリミド[5,4-d][2]ベンゾアゼピン-2-イル]アミノ]-安息香酸(MLN8054、CAS 869363-13-3);5-[3-(4,6-ジフルオロ-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)-1H-インダゾール-5-イル]-N-エチル-4-メチル-3-ピリジンメタンアミン(AG-024322、CAS 837364-57-5);4-(2,6-ジクロロベンゾイルアミノ)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸N-(ピペリジン-4-イル)アミド(AT7519、CAS 844442-38-2);4-[2-メチル-1-(1-メチルエチル)-1H-イミダゾール-5-イル]-N-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-2-ピリミジンアミン(AZD5438、CAS 602306-29-6);パルボシクリブ(PD-0332991);および(2R,3R)-3-[[2-[[3-[[S(R)]-S-シクロプロピルスルホンイミドイル]-フェニル]アミノ]-5-(トリフルオロメチル)-4-ピリミジニル]オキシ]-2-ブタノール(BAY 10000394)。
【0132】
p53-MDM2阻害剤:(S)-1-(4-クロロ-フェニル)-7-イソプロポキシ-6-メトキシ-2-(4-{メチル-[4-(4-メチル-3-オキソ-ピペラジン-1-イル)-trans-シクロヘキシルメチル]アミノ}フェニル)-1,4-ジヒドロ-2H-イソキノリン-3-オン、(S)-5-(5-クロロ-1-メチル-2-オキソ-1,2-ジヒドロ-ピリジン-3-イル)-6-(4-クロロ-フェニル)-2-(2,4-ジメトキシピリミジン-5-イル)-1-イソプロピル-5,6-ジヒドロ-1H-ピロロ[3,4-d]イミダゾール-4-オン、[(4S,5R)-2-(4-tert-ブチル-2-エトキシフェニル)-4,5-ビス(4-クロロフェニル)-4,5-ジメチルイミダゾール-1-イル]-[4-(3-メチルスルホニルプロピル)ピペラジン-1-イル]メタノン(RG7112)、4-[[(2R,3S,4R,5S)-3-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-(4-クロロ-2-フルオロフェニル)-4-シアノ-5-(2,2-ジメチルプロピル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]-3-メトキシ安息香酸(RG7388)、SAR299155、2-((3R,5R,6S)-5-(3-クロロフェニル)-6-(4-クロロフェニル)-1-((S)-1-(イソプロピルスルホニル)-3-メチルブタン-2-イル)-3-メチル-2-オキソピペリジン-3-イル)酢酸(AMG232)、{(3R,5R,6S)-5-(3-クロロフェニル)-6-(4-クロロフェニル)-1-[(2S,3S)-2-ヒドロキシ-3-ペンタニル]-3-メチル-2-オキソ-3-ピペリジニル}酢酸(AM-8553)、(±)-4-[4,5-ビス(4-クロロフェニル)-2-(2-イソプロポキシ-4-メトキシ-フェニル)-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボニル]-ピペラジン-2-オン(Nutlin-3)、2-メチル-7-[フェニル(フェニルアミノ)メチル]-8-キノリノール(NSC 66811)、1-N-[2-(1H-インドール-3-イル)エチル]-4-N-ピリジン-4-イルベンゼン-1,4-ジアミン(JNJ-26854165)、4-[4,5-ビス(3,4-クロロフェニル)-2-(2-イソプロポキシ-4-メトキシ-フェニル)-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボキシル]-ピペラジン-2-オン(Caylin-1)、4-[4,5-ビス(4-トリフルオロメチル-フェニル)-2-(2-イソプロポキシ-4-メトキシ-フェニル)-4,5-ジヒドロ-イミダゾール-1-カルボキシル]-ピペラジン-2-オン(Caylin-2)、5-[[3-ジメチルアミノ)プロピル]アミノ]-3,10-ジメチルピリミド[4,5-b]キノリン-2,4(3H,10H)-ジオン二塩酸塩(HLI373)およびtrans-4-ヨード-4’-ボラニル-カルコン(SC204072)。
【0133】
マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害剤:XL-518(GDC-0973、CAS番号1029872-29-4としても知られており、ACC Corp.から入手可能である);セルメチニブ(5-[(4-ブロモ-2-クロロフェニル)アミノ]-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボキサミド、AZD6244またはARRY 142886としても知られている、PCT公開番号国際公開第2003/077914号パンフレットに記載されている);2-[(2-クロロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-N-(シクロプロピルメトキシ)-3,4-ジフルオロ-ベンズアミド(CI-1040またはPD184352としても知られており、PCT公開番号国際公開第2000/035436号パンフレットに記載されている);N-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロポキシ]-3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-ベンズアミド(PD0325901としても知られており、PCT公開番号国際公開第2002/006213号パンフレットに記載されている);2,3-ビス[アミノ[(2-アミノフェニル)チオ]メチレン]-ブタンジニトリル(U0126としても知られており、米国特許第2,779,780号明細書に記載されている);N-[3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-6-メトキシフェニル]-1-[(2R)-2,3-ジヒドロキシプロピル]-シクロプロパンスルホンアミド(RDEA119またはBAY869766としても知られており、PCT公開番号国際公開第2007/014011号パンフレットに記載されている);(3S,4R,5Z,8S,9S,11E)-14-(エチルアミノ)-8,9,16-トリヒドロキシ-3,4-ジメチル-3,4,9,19-テトラヒドロ-1H-2-ベンゾオキサシクロテトラデシン-1,7(8H)-ジオン](E6201としても知られており、PCT公開番号国際公開第2003/076424号パンフレットに記載されている);2’-アミノ-3’-メトキシフラボン(PD98059としても知られており、Biaffin GmbH&Co.、KG、ドイツから入手可能);(R)-3-(2,3-ジヒドロキシプロピル)-6-フルオロ-5-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-8-メチルピリド[2,3-d]ピリミジン-4,7(3H,8H)-ジオン(TAK-733、CAS 1035555-63-5);ピマセルチブ(AS-703026、CAS番号1204531-26-9);トラメチニブジメチルスルホキシド(GSK-1120212、CAS番号1204531-25-80);2-(2-フルオロ-4-ヨードフェニルアミノ)-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,5-ジメチル-6-オキソ-1,6-ジヒドロピリジン-3-カルボキサミド(AZD 8330);3,4-ジフルオロ-2-[(2-フルオロ-4-ヨードフェニル)アミノ]-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-[(3-オキソ-[1,2]オキサジナン-2-イル)メチル]ベンズアミド(CH 4987655またはRo 4987655);および5-[(4-ブロモ-2-フルオロフェニル)アミノ]-4-フルオロ-N-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-メチル-1H-ベンゾイミダゾール-6-カルボキサミド(MEK162)。
【0134】
B-RAF阻害剤:レゴラフェニブ(BAY 73-4506、CAS 755037-03-7);ツビザニブ(Tuvizanib)(AV 951、CAS 475108-18-0);ベムラフェニブ(Zelboraf(登録商標)、PLX-4032、CAS 918504-65-1);エンコラフェニブ(LGX 818としても知られている);1-メチル-5-[[2-[5-(トリフルオロメチル)-1H-イミダゾール-2-イル]-4-ピリジニル]オキシ]-N-[4-(トリフルオロメチル)フェニル-1H-ベンゾイミダゾール-2-アミン(RAF 265、CAS番号927880-90-8);5-[1-(2-ヒドロキシエチル)-3-(ピリジン-4-イル)-1H-ピラゾール-4-イル]-2,3-ジヒドロインデン-1-オンオキシム(GDC-0879、CAS 905281-76-7);5-[2-[4-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]-5-(4-ピリジニル)-1H-イミダゾール-4-イル]-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オンオキシム(GSK 2118436またはSB 590885);(+/-)-メチル(5-(2-(5-クロロ-2-メチルフェニル)-1-ヒドロキシ-3-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イソインドール-1-イル)-1H-ベンゾイミダゾール-2-イル)カルバメート(XL-281およびBMS 908662としても知られている)、ダブラフェニブ(Tafinlar(登録商標))およびN-(3-(5-クロロ-1H-ピロロ[2,3-b]ピリジン-3-カルボニル)-2,4-ジフルオロフェニル)プロパン-1-スルホンアミド(PLX4720としても知られている)。
【0135】
ALK阻害剤:クリゾチニブ(Xalkori(登録商標))。
【0136】
アントラサイクリン:ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ネモルビシン(nemorubicin)、サバルビシン(sabarubicin)およびバルルビシン。
【0137】
アントラセンジオン:ミトキサントロンおよびピキサントロン。
【0138】
プロテアソーム阻害剤:ボルテゾミブおよびN-ベンジルオキシカルボニル-Ile-Glu(O-tert-ブチル)-Ala-ロイシナール(PSI)。
【0139】
チロシンキナーゼ阻害剤:ソラフェニブおよびエルロチニブ。
【0140】
HSP90阻害剤:レタスピマイシン塩酸塩(IPI-504)および17-アリルアミノ-17-デメトキシゲルダナマイシン(17-AAG)。
【0141】
タキサン:パクリタキセルおよびドセタキセル。
【0142】
ビンカアルカロイド:ビンクリスチン、ビンブラスチンおよびビンデシン。
【0143】
白金配位錯体:シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチン。
【0144】
レチノイド誘導体:N-(4-ヒドロキシフェニル)レチナミド。
【0145】
グルタチオンジスルフィド模倣物:NOV-002。
【0146】
シスチン/グルタミン酸輸送体XCTの阻害剤:スルファサラジン。
【0147】
グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼの阻害剤:6-アニコチンアミド。
【0148】
グルタミナーゼ阻害剤:ジベンゾフェナントリジン。
【0149】
グルタミン酸-システインリガーゼ複合体阻害剤:ブチオニンスルホキシミン。
【0150】
COX2阻害剤:Vioxx、CELEBREX(セレコキシブ)、バルデコキシブ、パラコキシブ、ロフェコキシブおよびCox 189。
【0151】
変異IDH1およびIDH2アイソフォーム阻害剤:AGX-891およびAG-221。
【0152】
ピリミジン類似体:UFT、カペシタビン、ゲムシタビンおよびシタラビン。
【0153】
プリン類似体:メルカプトプリンおよびチオグアニン。
【0154】
アルキルスルホネート:ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファン。
【0155】
アジリジン:ベンゾデパ、カルボコン、メツレデパおよびウレデパ。
【0156】
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)阻害剤:AG-3340、RO 32-3555、RS 13-0830、ならびに3-[[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニル]-(1-ヒドロキシカルバモイル-シクロペンチル)-アミノ]-プロピオン酸;3-exo-3-[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-8-オキサ-ビシクロ[3.2.1]オクタン-3-カルボン酸ヒドロキシアミド;(2R,3R)1-[4-(2-クロロ-4-フルオロ-ベンジルオキシ)-ベンゼンスルホニル]-3-ヒドロキシ-3-メチル-ピペリジン-2-カルボン酸ヒドロキシアミド;4-[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-テトラヒドロ-ピラン-4-カルボン酸ヒドロキシアミド;3-[[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニル]-(1-ヒドロキシカルバモイル-シクロブチル)-アミノ]-プロピオン酸;4-[4-(4-クロロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-テトラヒドロ-ピラン-4-カルボン酸ヒドロキシアミド;(R)3-[4-(4-クロロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-テトラヒドロ-ピラン-3-カルボン酸ヒドロキシアミド;(2R,3R)1-[4-(4-フルオロ-2-メチルベンジルオキシ)-ベンゼンスルホニル]-3-ヒドロキシ-3-メチル-ピペリジン-2-カルボン酸ヒドロキシアミド;3-[[(4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニル]-(1-ヒドロキシカルバモイル-1-メチル-エチル)-アミノ]-プロピオン酸;3-[[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニル]-(4-ヒドロキシカルバモイル-テトラヒドロ-ピラン-4-イル)-アミノ]-プロピオン酸;3-exo-3-[4-(4-クロロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-8-オキサ-ビシクロ[3.2.1]オクタン-3-カルボン酸ヒドロキシアミド;3-エンド-3-[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-8-オキサ-ビシクロ[3.2.1]オクタン-3-カルボン酸ヒドロキシアミド;および(R)3-[4-(4-フルオロ-フェノキシ)-ベンゼンスルホニルアミノ]-テトラヒドロ-フラン-3-カルボン酸ヒドロキシアミ;ならびにこれらの化合物の薬学的に許容され得る塩および溶媒和物から選択される化合物。他のMMP阻害剤には、その全てが参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第96/33172号パンフレット(1996年10月24日公開)、国際公開第96/27583号パンフレット(1996年3月7日公開)、欧州特許出願第97304971.1号明細書(1997年7月8日出願)、欧州特許出願第99308617.2号明細書(1999年10月29日出願)、国際公開第98/07697号パンフレット(1998年2月26日公開)、国際公開第98/03516号パンフレット(1998年1月29日公開)、国際公開第98/34918号パンフレット(1998年8月13日公開)、国際公開第98/34915号パンフレット(1998年8月13日公開)、国際公開第98/33768号パンフレット(1998年8月6日公開)、国際公開第98/30566号パンフレット(1998年7月16日公開)、欧州特許公開第606,046号明細書(1994年7月13日公開)、欧州特許公開第931,788号明細書(1999年7月28日公開)、国際公開第90/05719号パンフレット(1990年5月31日公開)、国際公開第99/52910号パンフレット(1999年10月21日公開)、国際公開第99/52889号パンフレット(1999年10月21日公開)、国際公開第99/29667号パンフレット(1999年6月17日公開)、PCT国際出願第PCT/IB98/01113号パンフレット(1998年7月21日出願)、欧州特許出願第99302232.1号明細書(1999年3月25日出願)、英国特許出願第9912961.1号明細書(1999年6月3日出願)、米国特許第5,863,949号明細書(1999年1月26日付与)、米国特許第5,861,510号明細書(1999年1月19日付与)および欧州特許公開第780,386号明細書(1997年6月25日公開)に記載されるものが含まれる。
【0157】
VEGF阻害剤:SU-5416、SU-6668(Sugen Inc.、South San Francisco、CA)、IM862(Cytran Inc.、Kirkland、WA)、Genentech,Inc.の抗VEGFモノクローナル抗体、アンジオザイム(リボザイム(Boulder、CO)およびChiron(Emeryville、CA)からの合成リボザイム)、ならびにその全てが全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第01/60814号パンフレット(2001年8月23日公開)、国際公開第99/24440号パンフレット(1999年5月20日公開)、PCT国際出願PCT/IB99/00797号パンフレット(1999年5月3日出願)、国際公開第95/21613号パンフレット(1995年8月17日公開)、国際公開第99/61422号パンフレット(1999年12月2日公開)、米国特許第5,834,504号明細書(1998年11月10日付与)、国際公開第01/60814号パンフレット、国際公開第98/50356号パンフレット(1998年11月12日公開)、米国特許第5,883,113号明細書(1999年3月16日付与)、米国特許第5,886,020号明細書(1999年3月23日付与)、米国特許第5,792,783号明細書(1998年8月11日付与)、国際公開第99/10349号パンフレット(1999年3月4日公開)、国際公開第97/32856号パンフレット(1997年9月12日公開)、国際公開第97/22596号パンフレット(1997年6月26日公開)、国際公開第98/54093号パンフレット(1998年12月3日公開)、国際公開第98/02438号パンフレット(1998年1月22日公開)、国際公開第99/16755号パンフレット(1999年4月8日公開)および国際公開第98/02437号パンフレット(1998年1月22日公開)に記載されるVEGF阻害剤。
【0158】
pErbB2受容体阻害剤:GW-282974(Glaxo Wellcome plc)、AR-209(Aronex Pharmaceuticals Inc.、The Woodlands、TX)、2B-1(Chiron)、ならびに全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第98/02434号パンフレット(1998年1月22日公開)、国際公開第99/35146号パンフレット(1999年7月15日公開)、国際公開第99/35132号パンフレット(1999年7月15日公開)、国際公開第98/02437号パンフレット(1998年1月22日公開)、国際公開第97/13760号パンフレット(1997年4月17日公開)、国際公開第95/19970号パンフレット(1995年7月27日公開)、米国特許第5,587,458号明細書(1996年12月24日付与)および米国特許第5,877,305号明細書(1999年3月2日付与)に記載される阻害剤。
【0159】
ErbB2受容体阻害剤:ハーセプチン、および全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,284,764号明細書(2001年9月4日発行)に記載される阻害剤。
【0160】
トポイソメラーゼ阻害剤:CAMPTOSAR(イリノテカン)。
【0161】
抗アンドロゲン薬:ヒドロキシウレアなどの置換尿素。
【0162】
メチルヒドラジン誘導体:プロカルバジン。
【0163】
副腎皮質抑制剤:ミトタンおよびアミノグルテチミド。
【0164】
ホルモンおよびホルモン拮抗薬:副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、ヒドロキシプロゲステロンカプロン酸エステル)、エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベステロール)、抗エストロゲン薬(例えば、タモキシフェン)、アンドロゲン(例えば、プロピオン酸テストステロン)、およびアロマターゼ阻害剤(例えば、アナストロゾールおよびAROMASIN(エキセメスタン))。
【0165】
アルキル化剤:フルオロウラシル(5-FU)。
【0166】
エチレンイミンおよびメチルメラミン:アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロールメラミン。
【0167】
ナイトロジェンマスタード:クロラムブシル、シクロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、ノベムブリチン(novembrichin)、プレドニムスチンおよびウラシルマスタード。
【0168】
トリアジン:ダカルバジン。
【0169】
葉酸類似体:メトトレキサートおよびプテロプテリン。
【0170】
エピポドフィロトキシン:エトポシドおよびテニポシド。
【0171】
抗生物質化学療法剤:ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、マイトマイシン、ダクチノマイシン、テモゾロミド、プリカマイシンおよびブレオマイシン。
【0172】
酵素化学療法剤:L-アスパラギナーゼ。
【0173】
さらなる実施形態では、抗がん剤が、有糸分裂阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、生物学的応答調節剤、抗ホルモン薬、代謝拮抗物質(例えば、葉酸代謝拮抗薬)、またはこれらの組み合わせである。
【0174】
さらに、本明細書に開示されるPKM2調節化合物(例えば、構造(I)の化合物)と追加の治療の組み合わせが具体的に企図される。構造(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグを、例えば、低セリン食、キナーゼ阻害剤、チェックポイント阻害剤、またはフェロトーシスを誘導する化合物を伴う治療と組み合わせることができる。
【0175】
セリン代謝は、腫瘍細胞を含む疾患細胞において変化し得る。セリンの制限は、例えばヌクレオチドおよびタンパク質の生合成を制限することによって、またはグリシンの産生を減少させることによって、細胞の代謝および増殖プロセスに影響を及ぼし得る。細胞セリン産生を制限するか、またはその他の方法で細胞セリンレベルを低下させる治療薬を投与することを含む、セリン代謝を調節する治療が、疾患(例えば、がん)を処置するために、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグと組み合わせられ得る。
【0176】
キナーゼ阻害剤は、細胞間のシグナル伝達を破壊し、受容体チロシンキナーゼ(RTK)ファミリーのメンバーの阻害剤を含む。RTKファミリーには、オシメルチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブおよびアファチニブによって阻害され得るEGFR;ベバシズマブによって阻害され得るVEGF;ならびにトラスツズマブによって阻害され得るErbB2が含まれる。EGFR、VEGFまたはErbB2を阻害する治療薬を含む、RTKファミリーのメンバーを阻害する治療薬は、疾患(例えば、がん)を処置するために、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグと組み合わせて投与され得る。
【0177】
免疫学的チェックポイントは、免疫系が無差別に細胞を攻撃するのを防ぎ、T細胞が免疫攻撃を回避した疾患細胞を死滅させるのを防ぎ得る。チェックポイントタンパク質の阻害は、このような細胞に対する免疫応答を開始または増強するために使用され得る。チェックポイント阻害剤には、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アベルマブおよびアテゾリズマブなどのCTLA-4、PD-1およびPD-L1の阻害剤が含まれる。CTLA-4、PD-1またはPD-L1を阻害する治療薬を含む、チェックポイントタンパク質を阻害する治療は、疾患を処置するために、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグと組み合わせて投与され得る。
【0178】
フェロトーシスは、グルタチオン依存性抗酸化酵素の活性低下に部分的に起因する脂質の酸化的分解の破壊を伴う鉄依存型のプログラム細胞死である。フェロトーシス細胞は、脂質過酸化物を蓄積し、正常細胞よりも高い細胞濃度の活性酸素種(ROS)を示し得る。細胞におけるフェロトーシスの誘導は、細胞グルタチオンレベルを低下させることを含む、複数の経路によって起こり得、腫瘍増殖の阻害およびドキソルビシンなどの追加の治療に対する感受性増強をもたらし得る。フェロトーシスの誘導剤には、エラスチン、ソラフェニブ、スルファサラジンおよびシスプラチンが含まれる。細胞グルタチオンレベルを低下させる、および/またはROSの細胞レベルを増加させる治療薬を含む、フェロトーシスを誘導する治療は、疾患を処置するために、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグと組み合わせて投与され得る。
【0179】
実施形態では、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグが低セリン食と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグがキナーゼ阻害剤と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグがチェックポイント阻害剤と組み合わせられる。いくつかの実施形態では、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグがフェロトーシスを誘導する化合物と組み合わせられる。
【0180】
いくつかの実施形態では、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグがアントラサイクリンと組み合わせられる。いくつかの実施形態では、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグがアントラセンジオンと組み合わせられる。いくつかの実施形態では、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグがプロテアソーム阻害剤と組み合わせられる。
【0181】
さらなる実施形態では、構造(I)の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、同位体形態、互変異性体もしくはプロドラッグが免疫調節薬と組み合わせられる。本開示の化合物との組み合わせについて特に興味深い免疫調節薬には、アフツズマブ(Roche(登録商標)から入手可能);ペグフィルグラスチム(Neulasta(登録商標));レナリドミド(CC-5013、Revlimid(登録商標));サリドマイド(Thalomid(登録商標))、アクチミド(Actimid)(CC4047);およびIRX-2(インターロイキン1、インターロイキン2、およびインターフェロンγを含むヒトサイトカインの混合物、CAS番号951209-71-5、IRX Therapeuticsから入手可能)が含まれる。
【0182】
一部の対象は、投与中または投与後に、本開示の化合物および/または他の抗がん剤(単数または複数)に対するアレルギー反応を経験し得る;したがって、抗アレルギー剤が、アレルギー反応のリスクを最小限に抑えるために投与されることが多い。適切な抗アレルギー剤には、副腎皮質ステロイド(Knutson,S.ら、PLoS One、DOI:10.1371/journal.pone.0111840(2014))、例えばデキサメタゾン(例えば、Decadron(登録商標))、ベクロメタゾン(例えば、Beclovent(登録商標))、ヒドロコルチゾン(コルチゾン、ヒドロコルチゾンコハク酸ナトリウム、ヒドロコルチゾンリン酸ナトリウムとしても知られており、Ala-Cort(登録商標)、ヒドロコルチゾンリン酸エステル、Solu-Cortef(登録商標)、Hydrocort Acetate(登録商標)およびLanacort(登録商標)の商品名で販売されている)、プレドニゾロン(Delta-Cortel(登録商標)、Orapred(登録商標)、Pediapred(登録商標)およびPrelone(登録商標)の商品名で販売されている)、プレドニゾン(Deltasone(登録商標)、Liquid Red(登録商標)、Meticorten(登録商標)およびOrasone(登録商標)の商品名で販売されている)、メチルプレドニゾロン(6-メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン酢酸エステル、メチルプレドニゾロンコハク酸ナトリウムとしても知られており、Duralone(登録商標)、Medralone(登録商標)、Medrol(登録商標)、M-Prednisol(登録商標)およびSolu-Medrol(登録商標)の商品名で販売されている);抗ヒスタミン薬、例えばジフェンヒドラミン(例えば、Benadryl(登録商標))、ヒドロキシジンおよびシプロヘプタジン;ならびに気管支拡張薬、例えばベータ-アドレナリン受容体作動薬、アルブテロール(例えば、Proventil(登録商標))およびテルブタリン(Brethine(登録商標))が含まれる。
【0183】
一部の対象は、本開示の化合物および/または他の抗がん剤(単数または複数)の投与中および投与後に悪心を経験し得る;したがって、制吐薬が、悪心(胃上部)および嘔吐を予防するのに使用される。適切な制吐薬には、アプレピタント(Emend(登録商標))、オンダンセトロン(Zofran(登録商標))、グラニセトロンHCl(Kytril(登録商標))、ロラゼパム(Ativan(登録商標))、デキサメタゾン(Decadron(登録商標))、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標))、カソピタント(Rezonic(登録商標)およびZunrisa(登録商標))、およびこれらの組み合わせが含まれる。
【0184】
処置期間中に経験される疼痛を緩和するための薬剤が、対象をより快適にするために処方されることが多い。Tylenol(登録商標)などの一般的な店頭薬である鎮痛薬がしばしば使用される。しかしながら、ヒドロコドン/パラセタモールまたはヒドロコドン/アセトアミノフェン(例えば、Vicodin(登録商標))、モルヒネ(例えば、Astramorph(登録商標)またはAvinza(登録商標))、オキシコドン(例えば、OxyContin(登録商標)またはPercocet(登録商標))、オキシモルホン塩酸塩(Opana(登録商標))およびフェンタニル(例えば、Duragesic(登録商標))などのオピオイド鎮痛薬も、中等度または重度の疼痛に有用である。
【0185】
正常細胞を処置毒性から保護し、器官毒性を制限するために、細胞保護剤(例えば、神経保護剤、フリーラジカルスカベンジャー、心臓保護薬、アントラサイクリン血管外漏出中和剤、栄養素など)を補助療法として使用することができる。適切な細胞保護剤には、アミフォスチン(Ethyol(登録商標))、グルタミン、ジメスナ(Tavocept(登録商標))、メスナ(Mesnex(登録商標))、デクスラゾキサン(Zinecard(登録商標)またはTotect(登録商標))、キサリプロデン(Xaprila(登録商標))およびロイコボリン(カルシウムロイコボリン、シトロボラム因子およびフォリン酸としても知られている)が含まれる。
【0186】
コード番号、一般名または商品名によって特定される活性化合物の構造は、標準概論「The Merck Index」の現行版またはデータベース、例えばPatents International(例えば、IMS World Publications)から得ることができる。
【0187】
一実施形態では、本開示は、少なくとも1つの本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩をヒトまたは動物対象への投与に適した薬学的に許容され得る担体と共に、単独でまたは他の抗がん剤と共に含む医薬組成物を提供する。
【0188】
別の実施形態では、本開示は、悪性腫瘍などの細胞増殖性疾患に罹患しているヒトまたは動物対象を処置する方法を提供する。本開示は、このような処置を必要とするヒトまたは動物対象を処置する方法であって、治療上有効量の本開示の化合物またはその薬学的に許容され得る塩を単独でまたは他の抗がん剤と組み合わせて対象に投与することを含む方法を提供する。
【0189】
特に、組成物は、併用治療薬として一緒に製剤化されるか、または別々に投与される。
【0190】
悪性腫瘍を処置するための併用療法において、本開示の化合物および他の抗がん剤は、特定の時間制限なしに同時に、同時発生的にまたは順次に投与され得、このような投与は、対象の体内に治療上有効レベルの2つの化合物を提供する。
【0191】
好ましい実施形態では、本開示の化合物および他の抗がん剤(単数または複数)が、一般的に、注入または経口によって任意の順序で順次に投与される。投薬レジメンは、疾患の病期、対象の体力、個々の薬物の安全性プロファイル、および個々の薬物の耐性、ならびに組み合わせを投与する主治医および医師(単数または複数)に周知の他の基準に応じて変化し得る。本開示の化合物および他の抗がん剤(単数または複数)は、処置に使用される特定のサイクルに応じて、互いに数分以内、数時間以内、数日以内、または数週間離して投与され得る。さらに、サイクルは、処置サイクル中に他のものよりも頻繁に1つの薬物を投与すること、および薬物の投与ごとに異なる用量で投与することを含み得る。
【0192】
本開示の別の態様では、2またはそれを超える別個の医薬組成物を含み、そのうちの少なくとも1つが本開示の化合物を含有する、キットが提供される。一実施形態では、キットが、容器、分割ボトル、または分割ホイルパケットなどの前記組成物を別々に保持するための手段を含む。このようなキットの例は、錠剤、カプセルなどの包装に典型的に使用されるブリスターパックである。
【0193】
本開示のキットは、異なる剤形、例えば経口および非経口を投与するため、異なる投与間隔で別々の組成物を投与するため、または別々の組成物を互いに滴定するために使用され得る。コンプライアンスを補助するために、本開示のキットは、典型的には、投与のための指示を含む。
【0194】
本開示の化合物はまた、公知の治療方法、例えばホルモンまたは特に放射線の投与と組み合わせて有利に使用され得る。本開示の化合物は、特に放射線増感剤として、特に放射線療法に対して不十分な感受性を示す腫瘍を処置するために使用され得る。
【0195】
本開示の併用療法では、本開示の化合物および他の治療薬が、同じまたは異なる製造業者によって製造および/または製剤化され得る。さらに、本開示の化合物および他の治療薬(または医薬品)は、(i)組み合わせ製品を医師に発売する前に(例えば、本開示の化合物および他の治療薬を含むキットの場合);(ii)投与直前に医師自身によって(または医師の指導の下で);(iii)例えば本開示の化合物および他の治療薬の順次投与中に、対象自体において、合わせて併用療法にされ得る。
【0196】
施用のための医薬組成物(または製剤)は、薬物を投与するために使用される方法に応じて様々な方法で包装され得る。一般に、流通用の物品は、適切な形態の医薬製剤が内部に堆積した容器を含む。適切な容器は、当業者に周知であり、ボトル(プラスチックおよびガラス)、サシェ、アンプル、プラスチックバッグ、金属シリンダなどの材料を含む。容器はまた、パッケージの内容物への不用意なアクセスを防止するための不正開封防止集合体を含み得る。さらに、容器は、容器の内容物を記載するラベルを上に有する。ラベルはまた、適切な警告を含んでもよい。
【0197】
本開示の医薬組成物または組み合わせは、約50~70kgの対象に対して約1~1000mg、または約1~500mg、または約1~250mg、または約1~150mg、または約0.5~100mg、または約1~50mgの有効成分(単数または複数)の単位投与量であり得る。化合物、医薬組成物またはこれらの組み合わせの治療上有効投与量は、対象の種、体重、年齢および個体症状、処置される障害もしくは疾患またはその重症度に依存する。通常の知識を有する医師、臨床医または獣医は、障害または疾患を予防、処置または進行を阻害するのに必要な有効成分の各々の治療上有効量を容易に決定することができる。
【0198】
上に引用される投与量特性は、有利には哺乳動物、例えばマウス、ラット、イヌ、サルまたは単離された器官、組織およびそれらの調製物を使用したインビトロおよびインビボ試験で実証可能であり得る。本開示の化合物は、インビトロで溶液、例えば水溶液の形態で、およびインビボで経腸的に、非経口的に、有利には静脈内に、例えば懸濁液または水溶液として施用することができる。インビトロでの投与量は、約10-3モル濃度~10-9モル濃度の範囲であり得る。インビボでの治療上有効量は、投与経路に応じて、約0.1~500mg/kgの間または約1~100mg/kgの間の範囲であり得る。
薬理学および有用性
【0199】
本開示の化合物および組成物は、がんを含む様々な悪性腫瘍を処置するのに有効な薬剤である。特に、本明細書に示される実験的証拠は、構造(I)の化合物を投与することによって腫瘍増殖を減少させることができることを示している。特に、異種移植モデルは、本化合物がA549細胞で腫瘍増殖を減少させるのに有効であることを示している。本発明の化合物は、PKM2モジュレーター(例えば、活性化剤)として活性であり、これを達成する方法に有用である。
【0200】
したがって、一実施形態は、ピルビン酸キナーゼ筋肉アイソザイムM2(PKM2)活性の調節を必要とする対象のPKM2活性を調節することによって疾患を処置する方法であって、治療上有効量の前記実施形態のいずれかに記載される化合物または組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。より具体的な実施形態では、調節がPKM2を活性化することを含む。例えば、PKM2の活性化は、がんを処置するためであり得る。
【0201】
様々な他の実施形態では、本開示は、がんを処置する方法であって、構造(I)の上記化合物またはその組成物のいずれかを、それを必要とする対象(例えば、哺乳動物)に投与することを含む方法に関する。いくつかの具体的な実施形態では、がんが肺がん(例えば、非小細胞肺がん)である。例えば、一定の実施形態では、がんが、必要に応じてチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による処置に耐性のEGFR変異非小細胞肺がんである。
【0202】
いくつかの実施形態では、がんが、必要に応じて免疫腫瘍学(IO)剤による処置に耐性の固形腫瘍、例えば進行した固形腫瘍である。いくつかの他の実施形態では、がんがリンパ腫、例えば大細胞リンパ腫、例えばNPM-ALK未分化大細胞リンパ腫である。
【0203】
他の実施形態では、本開示の化合物ががん細胞増殖を阻害する。本開示の化合物および組成物はまた、PKM2によって媒介される広範囲の疾患、障害および症状において有用性を見出すだろう。このような疾患には、例として、限定されないが、がん、例えば、肺がん、NSCLC(非小細胞肺がん)、燕麦細胞がん、骨がん、膵がん、皮膚がん、隆起性皮膚線維肉腫、頭頸部がん、皮膚または眼内黒色腫、子宮がん、卵巣がん、結腸直腸がん、肛門領域のがん、胃がん、結腸がん、乳がん、婦人科腫瘍(例えば、子宮肉腫、卵管の癌腫、子宮内膜の癌腫、子宮頸部の癌腫、膣の癌腫または外陰の癌腫)、ホジキン病、肝細胞がん、食道がん、小腸がん、内分泌系のがん(例えば、甲状腺、膵臓、副甲状腺または副腎のがん)、軟部組織肉腫、尿道がん、陰茎がん、前立腺がん(特にホルモン不応性)、慢性または急性白血病、過好酸球増加症、リンパ球性リンパ腫、膀胱がん、腎臓または尿管のがん(例えば、腎細胞癌腫、腎盂の癌腫)、小児悪性腫瘍、中枢神経系の新生物(例えば、原発性CNSリンパ腫、脊椎軸腫瘍、髄芽腫、脳幹神経膠腫または下垂体腺腫)、バレット食道(前悪性症候群)、新生物皮膚疾患、乾癬、菌状息肉腫(mycoses fungoides)、および良性前立腺肥大が含まれ得る。
【0204】
したがって、一実施形態では、本開示の化合物が、PKM2欠損を特徴とする上に列挙される悪性腫瘍タイプのうちのいずれか1つを処置するために有用であり得る。
【0205】
PKM2欠損疾患(例えば、悪性腫瘍)におけるPKM2の選択的調節は、一定の治療上の利益を提供し得る。したがって、本開示の化合物は、PKM2欠損細胞に対するそれらの選択的調節の結果として、PKM2媒介障害または疾患のための好ましい治療上の利益を有する。
【0206】
さらに、本明細書に開示されるPKM2調節化合物(すなわち、構造(I)の化合物)と、低セリン食、キナーゼ阻害剤、チェックポイント阻害剤、フェロトーシス誘導剤または活性酸素種を伴う治療の組み合わせは、それだけに限らないが、膵がん、結腸直腸がん、白血病およびリンパ腫(CMLを含む)、食道がん、神経膠腫、消化管がん(GISTを含む)、腎細胞癌腫、乳がん、頭頚部がん、肺がん(NSCLCを含む)、膀胱がん、および黒色腫(例えば、メルケル細胞黒色腫または転移性黒色腫)を含む様々ながんを処置するのに有用となり得る。
【0207】
例えば、一実施形態は、がんの処置を必要とする対象のがんを処置する方法であって、治療上有効量の構造(I)の化合物またはその互変異性体、薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグとRTK阻害剤(例えば、オシメルチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブ、ベバシズマブ、または(of)トラスツズマブ)を投与することを含む方法を提供する。いくつかのより具体的な実施形態では、がんが、CML、結腸直腸がん、食道がん、神経膠腫、消化管がん(例えば、GIST)、腎細胞癌腫、乳がん、頭頸部がん、または肺がんである。
【0208】
別の実施形態は、がんの処置を必要とする対象のがんを処置する方法であって、治療上有効量の構造(I)の化合物またはその互変異性体、薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグとチェックポイント阻害剤(例えば、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、アベルマブ、またはアテゾリズマブ)を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、がんが、リンパ腫、頭頸部がん、肺がん(例えば、NSCLC)、膀胱がん、または黒色腫(例えば、メルケル細胞癌腫または転移性黒色腫)である。
【0209】
さらに別の実施形態は、がんの処置を必要とする対象のがんを処置する方法であって、治療上有効量の構造(I)の化合物またはその互変異性体、薬学的に許容され得る塩もしくはプロドラッグとフェロトーシス誘導剤(例えば、エラスチン、ソラフェニブ、スルファサラジン、またはシスプラチン)を投与することを含む方法を提供する。いくつかの実施形態では、がんがフェロトーシス感受性がんである。例えば、いくつかのより具体的な実施形態では、フェロトーシス感受性がんが、乳がん、AML、膵管腺がん、卵巣がん、B細胞リンパ腫、腎細胞癌腫、肺がん、または神経膠芽腫である。遊離形態または薬学的に許容され得る塩形態の本開示の化合物は、少なくとも以下の試験手順のうちのいずれか1つを使用することによって実証することができる有益な薬理学的特性を示す。本開示の化合物を、生化学的アッセイおよび細胞アッセイでPKM2活性を調節するそれらの能力について評価した。
【0210】
様々な異なる実施形態では、本方法が、セリンおよび/またはグリシンが少ない食事を対象に投与すること、またはその投与を指示することをさらに含む。例えば、いくつかの実施形態では、食事が、セリンおよび/またはグリシンを実質的に含まないか、または含まない。
【0211】
開示される方法の一定の実施形態は、構造(I)の化合物の投与と同時に、投与の前または後に化学療法剤を投与することをさらに含む。以下の実施例は、限定ではなく例示を目的として提供される。
【実施例】
【0212】
本開示の化合物は、本明細書で提供される方法、反応スキームおよび実施例を考慮して、有機合成の当業者に公知のいくつかの方法で調製することができる。本開示の化合物は、合成有機化学の分野で公知の合成方法と共に以下に記載される方法を使用して、または当業者によって認識されるその変形によって合成することができる。好ましい方法には、それだけに限らないが、以下に記載されるものが含まれる。反応は、使用される試薬および材料に適切であり、行われる変換に適した溶媒または溶媒混合物中で実施される。有機合成の当業者には、分子上に存在する官能基が、提案される変換と一致するはずであることが理解されよう。これは、本開示の所望の化合物を得るために、合成工程の順序を変更するか、またはある特定のプロセススキームよりも別のプロセススキームを選択する判断を必要とすることがある。
【0213】
出発物質は、一般に、Sigma Aldrichもしくは他の商業的販売業者などの商業的供給元から入手可能であるか、または本開示に記載されるように調製されるか、または当業者に周知の方法を使用して容易に調製される(例えば、Louis F.Fieser and Mary Fieser、Reagents for Organic Synthesis、第1-19巻、Wiley、ニューヨーク(1967-1999編)、Larock,R.C.、Comprehensive Organic Transformations、第2版、Wiley-VCH Weinheim、ドイツ(1999)、またはBeilsteins Handbuch der organischen Chemie、4、Aufl.編Springer-Verlag、ベルリン、補遺を含む(Beilsteinオンラインデータベースを介しても入手可能)に一般的に記載される方法によって調製される)。
【0214】
例示目的のために、以下に示される反応スキームは、本開示の化合物ならびに重要な中間体を合成するための潜在的な経路を提供する。個々の反応ステップのより詳細な説明については、以下の実施例節を参照されたい。当業者であれば、本発明の化合物を合成するために他の合成経路が使用され得ることを理解するであろう。特定の出発物質および試薬がスキームに示され、以下に論じられるが、他の出発物質および試薬に容易に置換して、様々な誘導体および/または反応条件を提供することができる。さらに、以下に記載される方法によって調製される化合物の多くは、当業者に周知の従来の化学を使用して、本開示に照らしてさらに修飾することができる。
【0215】
本開示の化合物の調製において、中間体の遠隔官能基の保護が必要な場合がある。このような保護の必要性は、遠隔官能基の性質および調製方法の条件に応じて変わる。このような保護の必要性は、当業者によって容易に決定される。保護基およびそれらの使用の一般的な説明については、Greene,T.W.ら、Protecting Groups in Organic Synthesis、第4版、Wiley(2007)を参照されたい。トリチル保護基などの本開示の化合物の調製に組み込まれる保護基は、1つの位置異性体として示され得るが、位置異性体の混合物として存在してもよい。
【0216】
さらに、本開示の化合物は、少なくとも以下の試験手順のうちのいずれか1つを使用することによって実証することができる有益な薬理学的特性を示す。したがって、本開示の化合物を生化学的アッセイで評価した。
一般的反応スキームI
【化15】
【0217】
一般的反応スキーム1に示されるように、化合物Aは、公知の方法に従って調製されるか、または市販の試薬として購入される。一般的反応スキームIに関して、Aを適切な試薬(例えば、ジエチル(シアノメチル)ホスホネート)と反応させてシアノ含有置換基を導入して、Bを得ることができる。次いで、Bを適切な条件下(例えば、メタノール/水中オゾン)でCに酸化し、次いで、還元して(例えば、ラネーニッケルおよび水素ガスを使用する)Dを得ることができる。Dを適切な還元的アミノ化条件下(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)でEとさらに反応させてFを得る。最終ステップとして、Fをアミノ酸カップリング条件下(例えば、HATU、DIPEA)で反応させて、所望の生成物である構造Iの化合物を得る。代替として、R1、R2およびR3が、反応スキーム全体との過剰適合性および所望の反応選択性(例えば、Fe/NH4Cl/エタノールを使用した-NO2の-NH2への変換)に基づいて、反応順序の任意のステップ中に選択または修飾され得ることに留意すべきである。
実施例1
薬物動態プロファイリング
【0218】
化合物を、反応緩衝液(50mMトリス-HCl、pH8.0、200mM KCl、30mM MgCl2、2mMジチオスレイトール(DTT)、5%ジメチルスルホキシド(DMSO))中2nM PKM2と共に周囲温度で30分間プレインキュベートした。次いで、アデノシン二リン酸(ADP)およびホスホエノールピルビン酸(PEP)をそれぞれ最終濃度75μMおよび15μMまで添加した。30分後、アデノシン三リン酸(ATP)形成をKinase Glo(Promega、Madison、WI)によって測定し、Prism(GraphPad Software,Inc.、La Jolla、CA)を使用してAC50値を決定した。
【0219】
A549細胞を、5000細胞/ウェル(96ウェルプレート中)で、非必須アミノ酸を欠く基礎培地イーグル(BME)培地+5%透析血清に播種した。18時間後、陰性対照(すなわち、DMSOのみ)または0.1%最終濃度DMSO中の代表的な化合物を添加した。72時間後、細胞生存率をATPliteアッセイによって決定し、Prism GraphPad Software(La Jolla、CA)を使用してEC50値を決定した。
【0220】
【表2-1】
【表2-2】
1*=50nM超;
**=15~50nM;
***15nM未満
2+=100nM超;++50~100nM;+++50nM未満
実施例2
化合物Iaの合成
4-(2-((2-クロロ-6-ニトロベンジル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(4c)
【0221】
4-(2-アミノエチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(4b;5.7g、0.0321mol、1.1当量)のエタノール(2.0mL)中撹拌溶液に、2-クロロ-6-ニトロベンズアルデヒド(4a;5.42g、0.0292mol、1.0当量)を室温で添加し、反応混合物を室温で16時間撹拌した。TLCによって出発アルデヒドの消費を確認した後、反応混合物を5℃~10℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(3.0当量)をそこに少しずつ添加した。添加が完了した後、反応温度を室温にし、撹拌をさらに3時間続けた。TLCによって反応終了を確認した後、反応混合物を水でクエンチした。エタノールを減圧下で完全に蒸発させ、水層を酢酸エチル(200mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン溶液(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。得られた粗化合物をシリカゲルを使用するフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、4-(2-((2-クロロ-6-ニトロベンジル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(4c)を淡褐色固体(5.38g、53.3%)として得た。LCMS(ELSD)結果を表3に示す。
N-(2-クロロ-6-ニトロベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(4d)
【0222】
4-(2-((2-クロロ-6-ニトロベンジル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(4c;5.0g、0.0144mol、1.0当量)のDMF(100mL)中撹拌溶液に、10℃~15℃で、3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボン酸(2.60g、0.0144mol、1.0当量)、HATU(8.21g、0.0216、1.5当量)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.72g、0.0288mol、2.0当量)を添加した。反応混合物を室温に到達させ、次いで、16時間撹拌した。TLCによって反応終了を確認した後、反応混合物を水で希釈し、酢酸エチル(10mL)で抽出した。有機層を水(10mL×3)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた粗化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、N-(2-クロロ-6-ニトロベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(4d)を灰白色固体(4.2g、57.4%)として得た。LCMS(ELSD)結果を表3に示す。
N-(2-アミノ-6-クロロベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物Ia)
【0223】
4-(2-((2-クロロ-6-ニトロベンジル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(4d;4.0g、0.0079mol、1.0当量)のエタノール(40mL)中撹拌溶液に、室温で、塩化アンモニウム水溶液(水5.0mL中2.50g、0.0472mol、6.0当量)および鉄粉(2.64g、0.0472mol、6.0当量)を添加した。次に、反応混合物を3時間85℃に加熱した。TLCによって反応終了を確認した後、反応混合物を室温に冷却し、celite床を通して濾過した。celite床を酢酸エチル(20mL)で十分に洗浄した。濾液を水でよく洗浄した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させた。得られた粗化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、N-(2-アミノ-6-クロロベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)-エチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物Ia)を灰白色固体(2.0g、53.2%)として得た。LCMS(ELSD)、HPLCおよび1H NMR結果を表4に示す。
実施例3
化合物Ibの合成
2-(テトラヒドロ-4H-チオピラン-4-イリジン)アセトニトリル(5b)
【0224】
ジエチルシアノメチルホスホネート(109.7g、0.6197mol、1.2当量)の乾燥THF(600mL)中氷冷撹拌溶液に、水素化ナトリウム(鉱油中60%、32.0g、0.672mol、1.3当量)を少しずつ添加した。反応混合物を15分間撹拌し、次いで、テトラヒドロ-4H-チオピラン-4-オン(60.0g、0.5164mol、1.0当量)を乾燥THF(120mL、2.0体積)中溶液としてゆっくり添加した。撹拌を同じ温度(0℃~5℃)でさらに2時間続けた。TLCによって反応終了を確認した後、氷冷水をゆっくり添加して反応をクエンチした。次いで、反応混合物をDCM(600mL)で抽出し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。粗化合物をカラムクロマトグラフィーによって精製して、2-(テトラヒドロ-4H-チオピラン-4-イリジン)アセトニトリル(5b)を白色固体(50g、86.0%)として得た。1H NMR結果を表3に示す。
2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-4H-チオピラン-4-イリジン)アセトニトリル(5c)
【0225】
2-(テトラヒドロ-4H-チオピラン-4-イリジン)アセトニトリル(50.0g、0.3591mol、1.0当量)のメタノール(1500mL)中氷冷撹拌溶液に、脱イオン水(1500mL)中オキソン(233g、1.793mol、5.0当量)をゆっくり添加した。添加中に白色沈殿が形成した。反応混合物を室温で16時間撹拌した。TLCによって反応終了を確認した後、固体が溶解するまで、反応混合物を水で希釈した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(1500mL×4)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で蒸発させて、2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-4H-チオピラン-4-イリジン)アセトニトリル(5c)を白色固体(62g、97.7%)として得た。1H NMR結果を表3に示す。
4-(2-アミノエチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン1,1-ジオキシド(4b)
【0226】
2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-4H-チオピラン-4-イリジン)アセトニトリル(10.0g、0.0584mol、1.0当量)のエタノール(300mL)中撹拌溶液に、アンモニア水(10mL)を室温で添加した。水中ラネーニッケル(15.0g、1.5当量)を窒素雰囲気下で反応混合物に添加した。得られた混合物を水素ブラダー圧力下、室温で24時間撹拌した。TLCによって反応終了を確認した後、反応混合物をcelite床を通して濾過し、celite床をメタノール(100mL)で洗浄した。合わせた濾液を減圧下で蒸発させて、4-(2-アミノエチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(5d)を灰白色ガム状固体(9.22g、88.8%)として得た。LCMS(ELSD)および1H NMR結果を表3に示す。
4-(2-((2-ブロモ-6-フルオロベンジル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(5f)
【0227】
化合物5fを、化合物4cについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、4-(2-((2-ブロモ-6-フルオロベンジル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(5f)を淡褐色固体(8.0g、63.7%)として得た。LCMS(ELSD)および1H NMR結果を表3に示す。
N-(2-ブロモ-6-フルオロベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物Ib)
【0228】
化合物Ibを、化合物4dについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、4-(2-((2-ブロモ-6-フルオロベンジル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(化合物Ib)を白色固体(5.1g、44.2%)として得た。LCMS、HPLCおよび1H NMR結果を表4に示す。
実施例4
化合物Icの合成
4-(2-((2-フルオロ-5-メチルベンジル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン1,1-ジオキシド(6c)の合成
【0229】
化合物6cを、化合物4cについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、4-(2-((2-フルオロ-5-メチルベンジル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(6c)を淡褐色固体(17g、46.01%)として得た。LCMS結果を表3に示す。
N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)-N-(2-フルオロ-5-メチルベンジル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物Ic)の合成
【0230】
化合物Icを、化合物4dについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル-N-(2-フルオロ-5-メチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物Ic)を白色固体(10.3g、39.31%)として得た。LCMS、HPLCおよび1H NMR結果を表4に示す。
実施例5
化合物Idの合成
4-(2-(((6-フルオロ-1H-インドール-7-イル)メチル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン1,1-ジオキシド(7c)の合成
【0231】
化合物7cを、化合物4cについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、4-(2-((6-フルオロ-1H-インドール-7-イル)メチル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(7c)を淡褐色固体(3.5g、39.14%)として得た。LCMS結果を表3に示す。
N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)-N-((6-フルオロ-1H-インドール-7イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物Id)の合成
【0232】
化合物Idを、化合物4dについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)-N-((6-フルオロ-1H-インドール-7イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物Id)を灰白色固体(4.2g、76.33%)として得た。LCMS、HPLCおよび1H NMR結果を表4に示す。
実施例6
化合物Ieの合成
4-(2-(((3-クロロ-6-フルオロ-1H-インドール-7-イル)メチル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(8d)の合成:
【0233】
4-(2-(((6-フルオロ-1H-インドール-7-イル)メチル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(7c)(0.1g、0.0003mol、1.0当量)の乾燥DCM(2.0mL)中撹拌溶液に、10℃~15℃で、N-クロロスクシンイミド(0.045g、0.00033mol、1.1当量)を添加した。反応混合物を室温に到達させ、次いで、16時間撹拌した。TLCによって反応終了を確認した後、反応混合物をDCM(10mL)で希釈した。有機層を水(10mL×3)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧下で蒸発させた。得られた粗化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、4-(2-(((3-クロロ-6-フルオロ-1H-インドール-7-イル)メチル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(8d)を灰白色固体(0.1g、90.90%)として得た。LCMS結果を表3に示す。
N-((3-クロロ-6-フルオロ-1H-インドール-7イル)-メチル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物Ie)の合成:
【0234】
化合物Ieを、化合物4dについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、N-((3-クロロ-6-フルオロ-1H-インドール-7イル)-メチル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物Ie)を灰白色固体(0.015g、34.88%)として得た。LCMS、HPLCおよび1H NMR結果を表4に示す。
実施例7
化合物Ifの合成
3-(((2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)アミノ)メチル)-4-フルオロベンゾニトリル(9c)の合成
【0235】
化合物9cを、化合物4cについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、3-(((2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)アミノ)メチル)-4-フルオロベンゾニトリル(9c)を淡褐色固体(310mg、49.67%)として得た。LCMS結果を表3に示す。
N-(5-シアノ-2-フルオロベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(9d)の合成
【0236】
化合物9dを、化合物4dについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、N-(5-シアノ-2-フルオロベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(9d)を白色固体(120mg、26.31%)として得た。LCMS結果を表3に示す。
N-(5-(アミノメチル)-2-フルオロベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物If)の合成
【0237】
N-(5-シアノ-2-フルオロベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(80mg、0.169mmol、1.0当量)のメタノール(20mL)中撹拌溶液に、室温で、アンモニア水溶液(0.5mL)および10% Pd-C(35mg)を添加した。次いで、反応混合物をH2雰囲気下(バルーン)で3時間撹拌した。TLCによって反応終了を確認した後、反応混合物を室温に冷却し、celite床を通して濾過した。celite床をメタノール(2×30mL)で十分に洗浄した。濾液を水で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。粗化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、N-(5-(アミノメチル)-2-フルオロベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミドを灰白色固体(15mg、18.75%)として得た。LCMS、HPLCおよび1H NMR結果を表4に示す。
実施例8
化合物Igの合成
N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)-N-((6-フルオロ-1H-インダゾール-7イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物Ig)の合成
【0238】
化合物Igを、化合物4dについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)-N-((6-フルオロ-1H-インダゾール-7イル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物Ig)を白色固体(0.24g、64.17%)として得た。LCMS、HPLCおよび1H NMR結果を表4に示す。
実施例9
化合物Ihの合成
4-(2-((2-ブロモ-6-ニトロベンジル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(11c)の合成
【0239】
化合物11cを、化合物4cについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、4-(2-((2-ブロモ-6-ニトロベンジル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(11c)を淡褐色固体(0.45g、52.94%)として得た。LCMS結果を表3に示す。
N-(2-ブロモ-6-ニトロベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(11d)の合成
【0240】
化合物11dを、化合物4dについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、N-(2-ブロモ-6-ニトロベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(11d)を灰白色固体(0.35g、55.03%)として得た。LCMS結果を表3に示す。
N-(2-アミノ-6-ブロモベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物Ih)の合成
【0241】
化合物Ihを、化合物Iaについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、N-(2-アミノ-6-ブロモベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)-エチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物Ih)を白色固体(0.07g、49.64%)として得た。LCMS、HPLCおよび1H NMR結果を表4に示す。
実施例10
化合物Iiの合成
4-(2-((2-ニトロベンジル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン1,1-ジオキシド(12c)の合成
【0242】
化合物12cを、化合物4cについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、4-(2-((2-ニトロベンジル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン1,1-ジオキシド(12c)を淡褐色固体(530mg、51.30%)として得た。LCMS結果を表3に示す。
N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)-N-(2-ニトロベンジル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(12d)の合成
【0243】
化合物12dを、化合物4について実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)-N-(2-ニトロベンジル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(12d)を白色固体(630mg、83%)として得た。LCMS結果を表3に示す。
N-(2-アミノベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物Ii)の合成
【0244】
N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)-N-(2-ニトロベンジル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(12d;400mg、0.843mmol、1.0当量)の酢酸エチル(10mL)中撹拌溶液に、室温で、10% Pd/C(200mg)を添加した。次いで、反応混合物をH2雰囲気下(バルーン)で3時間撹拌した。TLCによって反応終了を確認した後、反応混合物を室温に冷却し、celite床を通して濾過した。celite床をメタノール(2×30mL)で十分に洗浄した。濾液を水で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を真空下で蒸発させた。粗化合物をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製して、N-(2-アミノベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル)-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5 カルボキサミド)(化合物Ii)を灰白色固体(180mg、48.12%)として得た。LCMS、HPLCおよび1H NMR結果を表4に示す。
実施例11
化合物Ijの合成
4-(2-((2-クロロ-6-フルオロベンジル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(13c)の合成
【0245】
化合物13cを、化合物4cについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、4-(2-((2-クロロ-6-フルオロベンジル)アミノ)エチル)テトラヒドロ-2H-チオピラン-1,1-ジオキシド(13c)を淡褐色ガム状固体(0.11g、27.90%)として得た。LCMS結果を表3に示す。
N-(2-クロロ-6-フルオロベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(Ij)
【0246】
化合物Ijを、化合物4dについて実施例2で上に記載される方法と同様の方法に従って合成して、N-(2-クロロ-6-フルオロベンジル)-N-(2-(1,1-ジオキシドテトラヒドロ-2H-チオピラン-4-イル)エチル-3-(トリフルオロメチル)-1H-ピラゾール-5-カルボキサミド(化合物Ij)を灰白色固体(0.035g、23.48%)として得た。LCMS、HPLCおよび1H NMR結果を表4に示す。
【0247】
本出願が優先権を主張する、2019年3月22日に出願された米国仮特許出願第62/822,700号は、全体が参照により本明細書に組み込まれる。上記から、本開示の具体的な実施形態が例示の目的で本明細書に記載されているが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができることが理解されよう。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されない。
【0248】
【0249】
【国際調査報告】