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特表2022-527455活性化線維芽細胞及びそのエキソソーム誘導体を用いた慢性閉塞性肺疾患及び肺変性の治療
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(54)【発明の名称】活性化線維芽細胞及びそのエキソソーム誘導体を用いた慢性閉塞性肺疾患及び肺変性の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/33 20150101AFI20220526BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220526BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220526BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220526BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20220526BHJP
   A61K 31/46 20060101ALI20220526BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220526BHJP
   C07J 71/00 20060101ALN20220526BHJP
   C07D 451/10 20060101ALN20220526BHJP
【FI】
A61K35/33
A61P11/00
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/58
A61K31/46
A61K39/395 N
C07J71/00
C07D451/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556792
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(85)【翻訳文提出日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 US2020023339
(87)【国際公開番号】W WO2020191036
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】62/820,763
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516071686
【氏名又は名称】フィジーン、エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】FIGENE, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】オヒーロン、ピート
(72)【発明者】
【氏名】イチム、トーマス
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4C087
4C091
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZA59
4C084ZC75
4C085AA14
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086DA12
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA07
4C086NA05
4C086ZA59
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB64
4C087MA02
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA59
4C087ZC75
4C091AA01
4C091BB03
4C091BB05
4C091CC01
4C091DD01
4C091EE07
4C091FF01
4C091GG01
4C091HH01
4C091JJ03
4C091KK12
4C091LL01
4C091MM03
4C091NN01
4C091PA02
4C091PA05
4C091PB02
4C091QQ07
(57)【要約】
本開示の実施形態は、少なくとも慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含む、肺疾患の治療のための方法及び組成物を含む。特定の場合において、線維芽細胞(活性化された線維芽細胞を含む)、及び/又はそのエキソソームは、COPDの処置のために個体に提供される。特定の場合において、線維芽細胞は、活性化され、そして/又は1つ以上の特定のマーカーを発現する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺疾患又は肺変性を有するか、又は肺疾患又は肺変性の危険性がある個体に、有効量の線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームを投与する工程を包含する、個体における肺疾患又は肺変性を処置又は予防する方法。
【請求項2】
線維芽細胞は、活性化され、及び/又は1つ以上の特異的マーカーを発現する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
線維芽細胞は、少なくとも1つのトール様受容体アゴニストへの暴露によって、及び/又は活性化プロテインCへの暴露によって活性化される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
トール様受容体は、TLR-1、TLR-2、TLF-3、TLR-4、TLR-5、TLR-6、TLR-7、TLR-8、又はTLR-9である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
線維芽細胞は、CD31、CD73、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上のマーカーを発現する、請求項2、3、又は4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
肺疾患は、慢性閉塞性肺疾患、喘息、部分的又は完全な肺虚脱、肺感染、肺水腫、肺塞栓、気管支炎、肺気腫、又はそれらの組み合わせである、請求項1~5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
個体は、喫煙者である又は喫煙者であった、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
個体は、肺疾患のための有効量の別の治療を提供される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
他の治療は、短時間及び長時間作用性β2作動薬、抗コリン作用薬、1つ以上のコルチコステロイド、1つ以上のホスホジエステラーゼ-4阻害剤、テオフィリン、補助酸素療法、及び/又は手術を含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年3月19日に出願された米国仮特許出願第62/820,763号の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
開示の実施形態には、少なくとも細胞生物学、分子生物学、細胞治療、及び医学の分野が含まれる。
【背景技術】
【0003】
慢性気管支炎及び肺気腫を包含する包括的な用語である慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、米国で4番目に大きい死因であり、2020年までに3番目になると予想される[1]。COPDは、肺実質の収縮及び構築の歪みなどの気道異常の原因となる、過度の慢性炎症反応と関連している。患者は、一般に、咳嗽、息切れ、及び喀痰産生の増強を特徴とする肺機能低下の進行を来す。COPDの肺外症状には、骨粗鬆症、心血管疾患、骨格筋異常、うつ病などがある[2]。慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、世界的に罹患率及び死亡率の重大な原因である。他の慢性疾患とは対照的に、COPDの有病率は増加している。COPDを治療するための社会コストは高く、欧州連合の総医療費の約3.4%を占めている。米国では、COPDの直接的及び間接的コストは300億ドルを超えると推定されている。
【0004】
COPD患者の30%で、喀痰誘発又は気管支肺胞洗浄により測定される気道中の好酸球レベルの上昇が認められることが知られている。COPDでは、経口及び吸入コルチコステロイド(ICS)に対する反応が気道好酸球性炎症の強度と関係し、3%を超える喀痰好酸球増加数はCOPDにおけるステロイドに対する反応の良好な予測因子であることが実証されている。COPDにおける3%を超える喀痰好酸球増加症をコントロールするためにコルチコステロイドによる治療を増量する戦略を用いた結果、患者を経口コルチコステロイド療法まで段階的に進めると、入院を必要とする重度のCOPD増悪の頻度が減少した。COPDの急性増悪(AECOPD)に対する標準治療には、全身性コルチコステロイドによる炎症の治療があり、これは入院期間の短縮及び回復の早まりと関連している。コルチコステロイドは好酸球の早期アポトーシスの原因となり、一般に好酸球増加症の減少をもたらす。残念ながら、コルチコステロイドによる長期治療は視床下部-下垂体-副腎系の抑制及び骨粗鬆症などの重大な副作用と関連しており、コルチコステロイドは全ての好酸球性COPD患者の増悪を回避するわけではない。
【0005】
痰の好酸球数が増加したCOPD患者は、痰の好酸球数の減少及び好酸球カチオン性蛋白質(ECP)レベルと関連する1秒間(FEV)の強制呼気量及び生活の質スコアの有意な改善を有することが示されている。このように、COPDの好酸球を特異的に標的とする治療法は、有益な効果をもたらす可能性がある。
【0006】
COPDに対する現在の治療法は、主に緩和療法であり、疾患の重症度に基づいている。Global Strategy for Diagnosis,Management,and Prevention of COPD(GOLD)ガイドラインによれば、軽度の閉塞を特徴とするStage Iでは、インフルエンザワクチンの提供や必要に応じた短時間作用型気管支拡張薬の使用など、増悪に伴う危険因子の軽減を目的とする。II期の患者は中等度の閉塞に分類され、そこではワクチン接種により危険因子を減らすことになっており、短時間作用型気管支拡張薬に加えて長時間作用型気管支拡張薬の使用、ならびに心肺リハビリテーションが勧められる。III期の患者は重度の閉塞に罹患していると考えられ、II期のレジメンに吸入グルココルチコイドが追加される。慢性呼吸不全のエビデンスを有する非常に高度の閉塞又は中等度の閉塞と考えられるStage IVでは、長期の酸素療法を加えるとともに、肺容量減少術や肺移植などの手術選択肢の検討も行う[3]。
【0007】
本開示は、COPDを含む肺疾患の新規かつ有効な治療に関する方法及び組成物を提供する。
【発明の概要】
【0008】
本開示の実施形態は、任意の種類の肺組織が変性している肺変性疾患を含む、肺疾患を治療及び予防するための方法及び組成物を含む。具体的な実施形態では、疾患は、COPD、喘息、部分的又は完全な肺虚脱、肺感染、肺水腫、肺塞栓、気管支炎、肺気腫、又はそれらの組み合わせである。特定の実施形態において、個体は以前に、任意の種類の肺疾患又は肺変性を有すると診断されているが、いくつかの場合において、個体は以前に診断されていない。個人は、喫煙者であるか、喫煙者であったか、及び/又は家庭、及び/又は職場を含む肺の健康に有害な環境にあるか、又はその環境にあるなど、肺疾患を有する危険性がある場合に、本方法を利用することができる。例としては、アスベスト、ベリリウム、綿、亜麻、麻シリカ、ガス、化学薬品、石炭、黒鉛などへの暴露が挙げられる。
【0009】
特定の実施形態では、個人は、COPD増悪と呼ばれることがある1つ以上の急性呼吸器症状を経験しているか、及び/又は経験しており、それらの症状には特に身体活動中の息切れ;喘鳴;胸部圧迫感;肺内の過剰な粘液のためなど、朝最初に咽喉をきれいにしなければならないこと;及び/又は透明、白色、黄色又は緑色がかった粘液(痰)を産生しうる慢性の咳が含まれる。
【0010】
方法及び組成物は、線維芽細胞(活性化され得る)、及び/又はそのエキソソームの投与を含む。線維芽細胞は、CD34、及び/又はCD73のような1つ以上の特定のマーカーを含み得る。線維芽細胞は、活性化プロテインC、及び/又は1つ以上のトール(Toll)様受容体アゴニストへの曝露を含む、任意の様式で活性化され得る。
【0011】
本開示の実施形態は、有効量の線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームを、肺疾患を有するか、又は肺疾患の危険性がある個体に投与する工程を包含する、個体における肺疾患、及び/又は変性を処置又は予防する方法を包含する。特定の実施形態において、線維芽細胞は、活性化され、及び/又は1つ以上の特異的マーカーを発現する。線維芽細胞は、少なくとも1つのトール様受容体アゴニストへの曝露、及び/又は活性化プロテインCへの曝露によって活性化され得る。トール様受容体は、TLR-1、TLR-2、TLF-3、TLR-4、TLR-5、TLR-6、TLR-7、TLR-8、又はTLR-9であり得る。特定の実施形態において、線維芽細胞は、CD31、CD73、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される1つ以上のマーカーを発現する。特定の実施形態では、肺疾患が慢性閉塞性肺疾患である。個人は、喫煙者であるか、又は喫煙者であった。特定の実施形態では、個体が肺疾患のための有効量の別の治療(例えば、短時間作用性及び長時間作用性β2作動薬、抗コリン作動薬、1つ以上のコルチコステロイド、1つ以上のホスホジエステラーゼ-4阻害剤、テオフィリン、補助酸素療法、及び/又は手術を含む治療)を提供される。
【0012】
上記は、以下の詳細な説明がより良く理解され得るように、本開示の特徴及び技術的利点をかなり広く概説した。本明細書の特許請求の範囲の主題を形成する追加の特徴及び利点を以下に説明する。開示された概念及び特定の実施形態は、本設計の同じ目的を実行するために他の構造を修正又は設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者によって理解されるべきである。また、そのような同等の構成は、添付の特許請求の範囲に記載される精神及び範囲から逸脱しないことが当業者によって理解されるべきである。本明細書に開示される設計の特徴であると考えられる新規な特徴は、さらなる目的及び利点とともに、動作の構成及び方法の両方に関して、添付の図面と関連して考慮される場合、以下の説明からより良く理解される。しかしながら、各図は、例示及び説明の目的のためだけに提供され、本開示の限定の定義として意図されないことが明確に理解されるべきである。
【発明の詳細な説明】
【0013】
長年の特許法条約に従い、「a」及び「an」という語は特許請求の範囲を含む、本明細書中で使用される場合、「1つ又は複数の」ことを意味し、開示の一部の実施形態は、開示の1つ又は複数の要素、方法ステップ、及び/又は方法から成るか、又は本質的に成ることができる。本明細書に記載の任意の方法又は組成物は本明細書に記載の任意の他の方法又は組成物に関して実施することができ、異なる実施形態を組み合わせることができることが企図される。
【0014】
本明細書全体にわたって、文脈がそわないことを必要とする場合を除いて、単語は「含む」、「含む」、「構成する」とは規定されたステップ又は要素群の包含を意味するが、他のステップ又は要素又は要素群の排除を意味しないと理解される。ステップ又は要素又は要素群の除外を意味するわけではない。「構成する」とは、以下の「から成る」ことを意味する。従って、「から成る」とは、列挙された要素が必要又は必須であることを示し、他の要素が存在する可能性があることを示す。「から成る」とは、表現後に列挙された任意の要素を含み、他の要素が存在する可能性があることを意味する。「本質的に構成する」とは、列挙された要素の活性又は作用に影響を及ぼすか否かに応じて、列挙された要素が必要又は必須であるが、他の要素が任意である。
【0015】
本明細書全体を通して、「一実施形態」、「実施形態」、「特定の実施形態」、「関連する実施形態」、「特定の実施形態」、「追加の実施形態」、又は「さらなる実施形態」、又はそれらの組み合わせへの言及は、実施形態に関連して記載された特定の機能、構成、又は特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを手段する。したがって、本明細書全体の様々な箇所における前述の語句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を参照しているわけではない。さらに、特別な特徴、構造又は特質は1以上の実施形態において任意の適当な方法で組み合わせられ得る。
I.定義
【0016】
用語「投与される」又は「投与する」は、本明細書中で使用される場合、組成物が患者に対して意図される効果を有するように、組成物を個体に提供する任意の方法をいう。例えば、投与の1つの方法はカテーテル、アプリケーターガン、シリンジなどの医療デバイスを使用する間接機構によるものであるが、これらに限定されない。第2の例示的な投与方法は、直接機構、例えば、局所組織投与、経口摂取、経皮パッチ、局所、吸入、坐薬などによる。
【0017】
本明細書で使用される用語「同種異系」は、宿主の細胞と遺伝的に異なる同じ種の細胞を指す。
【0018】
用語「自己」は、本明細書中で使用される場合、同じ対象に由来する細胞をいい、用語「移植片」は、本明細書中で使用される場合、組織の既存の細胞との接触を介して、インビボで目的の組織への幹細胞取り込みのプロセスをいう。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「約」又は「およそ」は、基準量、レベル、値、数、周波数、パーセント、寸法、サイズ、量、重量又は長さに対して、30、25、20、25、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%だけ変化する量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、大きさ、量、重量又は長さを指し、特定の実施形態では、数値の前に15%、10%、5%、又は1%の範囲をプラス又はマイナスする値を指す。生物学的系又はプロセスに関して、この用語は、値のオーダー内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。特に明記しない限り、用語「約」は、特定の数値に対する許容誤差範囲内に手段する。
【0020】
本明細書中で使用される場合、用語「活性化線維芽細胞」は、細胞における1つ以上の変化:代謝、免疫学的、増殖因子分泌、表面マーカー発現、及び/又は微小胞の産生を誘導し得る1つ以上の刺激で処置された線維芽細胞をいう。
【0021】
「細胞培養物」は、静止、老化、又は(活発に)分裂しているかどうかにかかわらず、生存細胞を含有する人工インビトロ系である。細胞培養において、細胞は、適切な温度、典型的には37℃の温度で、典型的には酸素及びCO2を含有する雰囲気下で増殖され、維持される。培養条件は各細胞型について広範に変動し得るが、特定の細胞型についての条件の変動は発現される異なる表現型を生じ得る。培養系において最も一般的に変化する因子は増殖培地である。増殖培地は、栄養素、増殖因子の濃度、及び他の成分の存在において変化し得る。培地を補充するために使用される増殖因子はしばしば、ウシ血清のような動物血液に由来する。
【0022】
本明細書中で使用される場合、用語「線維芽細胞再生細胞の馴化培地」は、細胞と接触している液体培地をいい、ここで、該細胞は培地に入る因子を産生し、従って、培地治療活性を与える。
【0023】
本明細書中で使用される用語「薬学的に」又は「薬理学的に許容される」は、動物又はヒトに投与された場合に、有害な、アレルギー性の、又は他の不都合な反応を生じない分子実体及び組成物をいう。
【0024】
本明細書中で使用される用語「薬学的に受容可能なキャリア」は、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、それらの適切な混合物、ならびに植物油、コーティング、等張性及び吸収遅延剤、リポソーム、商業的に入手可能な洗浄剤などを含むが、これらに限定されない、任意の及び全ての溶媒、又は分散媒体を含む。補助的な生物活性成分もまた、このようなキャリアに組み込まれ得る。
【0025】
本明細書で使用される用語「対象」又は「個体」は、医療施設に収容されてもされなくてもよく、医療施設の外来患者として治療されてもよいヒト又は動物を指す。個体は、インターネットを介して1つ以上の医療組成物を受けていてもよい。個体は、ヒト又は非ヒト動物の任意の年齢を含むことができ、したがって、成人及び幼児の両方(すなわち、子供)及び乳児を含む。したがって、用語「個体」は、医療処置の必要性を意味するものではなく、したがって、個体は臨床的又は基礎科学研究を支援するために、任意又は不随意に実験の一部であってもよい。用語「対象」又は「個体」は、哺乳動物、例えば、ヒト、実験動物(例えば、霊長類、ラット、マウス、ウサギ)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、七面鳥、及びニワトリを含む)、家庭用ペット(例えば、イヌ、ネコ、げっ歯類)、ウマ、及びトランスジェニック非ヒト動物を含む方法又は材料の対象である任意の生物又は動物対象を指す。
【0026】
本明細書中で使用される場合、用語「治療有効量」は、「有効量」、「治療有効量」、及び/又は「有効量」と同義であり、そしてそれを必要とする個体において開業医によって求められる生物学的、美容的又は臨床的応答を誘発する化合物の量をいう。一例として、有効量は、細胞群の免疫原性を低下させるのに十分な量である。非限定的な例として、有効量は、移植された組織を支持するのに十分な血液供給の形成を促進するのに十分な量である。別の非限定的な例として、有効量は、新しい血管及び関連する血管系(血管形成)の形成を促進するのに十分な量、及び/又は既存の血管及び関連する血管系の修復又はリモデリングを促進するのに十分な量である。開示される方法の特定の適用のために投与されるべき適切な有効量は、本明細書中に提供されるガイダンスを使用して、当業者によって決定され得る。例えば、有効量は本明細書に記載されるように、インビトロ及びインビボアッセイから外挿され得る。当業者は、個体の状態が治療の過程を通してモニターされ得ること、及び投与される本明細書中に開示される化合物又は組成物の有効量がそれに従って調節され得ることを認識する。
【0027】
「治療」、「治療」、又は「治療」は、疾患又は状態の効果を減少させる方法を手段することもできる。治療が単なる症状ではなく、疾患又は状態そのものを減少させる方法を指すことができる。治療は、治療前のレベルからの任意の減少であり得、疾患、状態、又は疾患又は状態の症状の完全なアブレーションに限定することはできない。したがって、開示された方法では、疾患の少なくとも1つの症状の重症度の減少を含む、確立された疾患又は疾患進行の重症度における10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、又は100%の減少を指す。例えば、細胞の免疫原性を減少させるための開示された方法は、同じ被験体又は対照被験体における処置前レベルと比較した場合に、細胞の免疫原性の検出可能な減少が存在する場合の処置であると考えられる。したがって、減少は、天然又は対照レベルと比較して、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100%、又はその間の任意の量の減少であり得る。「治療」は、必ずしも疾患又は状態の治癒を指すものではなく、疾患又は状態の見通しの改善を指すことが理解され、本明細書で企図される。特定の実施形態では、治療が少なくとも1つの症状の重症度又は程度の減少を指し、代替的に又は追加的に、少なくとも1つの症状の発症の遅延を指すことができる。
II.製造方法及び使用方法
【0028】
本開示は、少なくとも慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの、肺変性疾患(例えば、罹患組織又は器官の機能又は構造が経時的に悪化する)を含む任意の種類の肺疾患の予防及び治療に関する方法及び組成物に関する。COPDの症状には、階段を上るなどの軽い運動をしても息切れがする。喘鳴が特に吐き出しの際に、より高い音程の雑音を伴う呼吸の一種である。胸部圧迫感慢性的な咳、粘液の有無は問わない。毎日肺から粘液を除去する必要がある。頻繁な風邪、インフルエンザ、その他の呼吸器感染症エネルギー不足疲労足、足首、脚のむくみ、体重減少などがある。
【0029】
特定の実施形態では、方法及び組成物が肺疾患の治療のために、線維芽細胞単独、及び/又は活性化された線維芽細胞を使用することに関する。少なくとも特定の場合において、線維芽細胞(活性化されているか又はされていない)は、任意の型の肺組織の増強された再生活性を与えるために利用される。個人は、喫煙者又は過去に喫煙したことがある;職場で肺刺激物に曝露された可能性がある;多くの間接喫煙に曝された可能性がある;COPDの家族歴又は個人歴を有する可能性がある;及び/又は喘息又は他の呼吸器疾患を有する可能性がある。個体は、ある場合にはタンパク質α-1-アンチトリプシンの欠損を含む遺伝性疾患を有し得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、本開示の方法は、線維芽細胞再生細胞(肺組織に対して再生性)、線維芽細胞再生細胞の集団又は複数の培養物、線維芽細胞再生細胞の子孫、又は線維芽細胞再生細胞の条件培地を投与して、COPDを含む肺疾患を有するか又は有する危険性がある被験体を処置することを包含する。線維芽細胞再生細胞は、処置方法又はプロトコールに適切な任意の経路によって、被験体に投与又は送達され得る。投与及び送達経路の具体的な非限定的な例には、非経口、例えば、静脈内、筋肉内、髄腔内(脊髄内)、動脈内、皮内、皮下、胸膜内、経皮(局所)、経粘膜、頭蓋内、眼内、粘膜、移植及び移植が含まれる。
【0031】
一実施形態では、COPD治療を含む肺疾患治療のための線維芽細胞が活性化され、線維芽細胞の活性化は、特定の化合物、及び/又は状態での刺激によって行っても行わなくてもよい。特定の場合において、この化合物は、トール様受容体アゴニストである。特定の場合において、線維芽細胞は、10%ウシ胎仔血清を含むDMEM培地中で75%コンフルエンスで増殖し、そして24時間、トール様受容体アゴニストに曝露される典型的な組織培養状況における例として、トール様受容体アゴニストによる刺激は、線維芽細胞からのケラチノサイト増殖因子発現の>50%増加を誘導するのに十分な濃度及び持続時間で生じる。1つの実施形態において、本発明は、エキソソームを産生する手段としての線維芽細胞の使用を提供し、ここで、エキソソームは、肺疾患の処置、及び/又は予防を提供し得る治療特性を有する。例えば、線維芽細胞からのエキソソーム(活性化されているか否か)は、COPDに関連する炎症、線維症及び変性を減少させ得るとともに、再生活性の刺激をもたらし得る。場合によっては、線維芽細胞が活性化プロテインCなどの特定の化合物での処理によって活性化される。
【0032】
本開示の実施形態は、治療細胞の投与を含む肺変性疾患を治療する方法を含み、治療細胞は、a)線維芽細胞を得る工程;b)線維芽細胞の増殖を可能にすることができる液体培地中で線維芽細胞を培養する工程;c)マーカーCD31、及び/又はCD73を発現する培養細胞から抽出する工程;ならびにd)CD31、及び/又はCD73陽性細胞を、CD31、及び/又はCD73陽性細胞の肺再生特性の産生を増強することができる1つ以上の薬剤でプライミングする工程によって生成される。特定の実施形態では、肺再生特性は、a)炎症を阻害すること;b)肺前駆細胞の再生を増強すること;c)肺線維症を阻害すること(例えば、(任意の種類の)マトリックスメタロプロテアーゼ活性の増大によって);d)肺細胞のアポトーシスを阻害すること(例えば、線維芽細胞におけるIGF-1、及び/又はVEGFの産生によって(内因的に産生されるか、又は外因的に提供されるポリヌクレオチドの発現によって);及びe)それらの組み合わせからなる群より選択される。炎症性サイトカイン(例えば、罹患した肺由来)は、血管の透過性の増加と関連し得る。炎症性サイトカインは低血圧の誘発と関連している可能性がある。炎症性サイトカインは、血管漏出の誘発と関連している可能性がある。炎症性サイトカインは、血管系上の血栓形成促進性分子の増加と関連している可能性がある。
【0033】
特定の実施形態において、線維芽細胞由来の肺再生サイトカインの例は、ケラチノサイト成長因子、毛様体神経栄養成長因子、又はその両方である。
【0034】
いくつかの実施形態では、肺疾患の予防又は治療に利用される線維芽細胞が活性化される。それらは任意の特定の手段によって活性化され得るが、特定の実施形態において、それらは1つ以上の化合物(例えば、1つ以上のトール様受容体アゴニスト)への曝露によって活性化される。特定の場合にはトール様受容体はTLR-1であるが、他の場合にはトール様受容体は、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR7、TLR8、TLR9、TLR10、TLR11、TLR12、又はTLR13であるが、特定の実施形態において、トール様受容体のアゴニストはPam3CSK4などのTLR-1のアゴニストである。トール様受容体がTLR-2である場合もあり、アゴニストはHKLMである場合もある。ある場合には、トール様受容体はTLR-3であり、TLR-3のアゴニストはPoly:ICであってもよい。特定の場合には、トール様受容体はTLR-4であり、TLR-4のアゴニストは、LPS、ブプレノルフィン、カルバマゼピン、フェンタニル、レボルファノール、メタドン、コカイン、モルヒネ、オクスカルバゼピン、オキシコドン、ペチジン、クリプトコッカス由来のグルクロノキシロマンナン、モルヒネ-3-glucuronide、リポテイコ酸、β-デフェンシン2、低分子量ヒアルロン酸、フィブロネクチンEDA、スナピン、テネイシンC、又はそれらの組合せである。ある場合には、トール様受容体はTLR-5であり、アゴニストはフラゲリンである。トール様受容体はTLR‐6、アゴニストはFSL‐1である場合もある。トール様受容体はTLR‐7であり、アゴニストはイミキモドである場合もある。特定の場合において、TLR-8のトール様受容体、及びアゴニストはssRNA40/LyoVecである。場合によっては、トール様受容体はTLR-9であり、アゴニストはCpGオリゴヌクレオチド、ODN2006、アガトリモド、又はそれらの組合せである。
【0035】
特定の実施形態では、本開示が、例えば、COPDの治療のための、胎盤線維芽細胞を含む線維芽細胞の投与に関する。場合によっては、線維芽細胞の投与は、投与前に活性化された細胞を用いて行われる。線維芽細胞を活性化するプロセスは、線維芽細胞の再生活性、及び/又は抗炎症活性、及び/又は遊走活性、及び/又は抗アポトーシス活性、及び/又は抗線維化活性を増大させるために実施され得る。
【0036】
本開示は、COPDなどの肺疾患の治療のための、CD34、及び/又はCD73の発現を有する線維芽細胞を含む、特定の実施形態における線維芽細胞の使用に関する。1つの特定の実施形態において、COPDは、サイトカインアップレギュレーション、ならびに肺胞の変性を引き起こす播種性血管内凝固反応の亜急性産生によって部分的に引き起こされる。1つの具体的な実施形態では、対応する抗炎症性及び再生促進性プロファイル(線維芽細胞を炎症を抑制することによって応答する炎症剤で処理した場合)を誘発するために、線維芽細胞を1つ以上の炎症性又は炎症促進性シグナルでプライミングする(炎症性:TNF、IL-1、IL-6、IL-18;抗炎症性IL-10)。
【0037】
本発明の一実施形態は、活性化プロテインC(APC)による線維芽細胞の予備刺激が線維芽細胞の抗炎症効力を増大させる手段として有効であるという新規な発見である。抗炎症効力はCOPDなどの肺疾患から個人を保護し、少なくともいくつかの肺組織の再生を誘導する手段として利用され得る。
【0038】
本発明は、1つ以上の特定のマーカーの発現、及び/又は1つ以上の特定のマーカーの発現の欠如に基づいて、増強された効力について線維芽細胞を選択する手段に関する。特定の実施形態では、線維芽細胞(活性化されているか否かにかかわらず)がCD73、及び/又はCD34を発現し、また、1つ以上の特定のタンパク質の発現を欠いていてもよい。
【0039】
肺疾患又は変性の処置のための線維芽細胞の使用は、本開示の1つの実施形態において、肺疾患又は変性に関連する1つ以上の病理学的免疫学的パラメーター(例えば、COPD)の減少に基づき得る。当業者は、肺胞組織の破壊がT細胞反応性[5、6]、病理学的肺マクロファージ活性化[7]、及び自己抗体産生と関連することを具体的に示すことを含む、COPD[4]における免疫学的媒介性の病理学を支持する刊行物に言及されている[8]。1つの実施形態において、線維芽細胞は、COPDを処置するために利用される。特定の実施形態において、線維芽細胞は、自己反応性T細胞を抑制すること[9、10]、マクロファージ活性化を阻害すること[11]、及び自己抗体応答をダウンレギュレートすることを含む免疫レギュレーションに間接的又は直接的に関与するために使用される[12]。
【0040】
いくつかの実施形態において、肺疾患又は変性(例えば、COPD)の処置は、線維芽細胞(活性化線維芽細胞を含む)の投与によって予防的に行われる。COPDの開始は、多くの場合、1つ以上の有害物質の結果として起こると考えられており、特にタバコの煙だけではない。最初の肺胞損傷の1つの確立されたメカニズムは誘導性一酸化窒素シンターゼ(iNOS)の煙誘導活性化を含み、これは、次いで、肺気腫に似た状態をマウスにおいて引き起こす、ペルオキシ亜硝酸塩(ONOO)のような細胞傷害性フリーラジカルを産生する。興味深いことに、iNOSを欠損したマウス、あるいは化学阻害剤で処理したマウスは、タバコの煙による病態からある程度の防御能を有していた[15]。したがって、一実施形態では、iNOSの活性化を低減し、かつ/又は少なくともペルオキシナイトライト誘発損傷を含む細胞傷害性フリーラジカル誘発損傷を低減するために、線維芽細胞、及び/又はその誘導体が投与される。
【0041】
いくつかの実施形態において、線維芽細胞は、肺疾患を有する個体において、又は一般集団よりも肺疾患のリスクを有する個体において好中球活性化を阻害する。ヒト好中球を用いた研究では、ニコチン自体が好中球を刺激して炎症性サイトカインであるインターロイキン-8をiNOS依存的に産生させることが示されている[16]。したがって、一実施形態では、本開示が神経親和性活性化の低減のための線維芽細胞の使用に関する。実際、同じ研究は、喫煙者が非喫煙者と比較して高いインターロイキン-8の全身レベルを有することを実証した。これは、TNF-αやIL-8など、対照と比較して炎症マーカーが高いCOPD患者で相関している[17]。したがって、特定の実施形態では、線維芽細胞が、例えば、TNF-α、及び/又はIL-8を含む特定の炎症マーカーのレベルを直接的又は間接的に低下させる。
【0042】
COPD開始に関連する別の機序は、好中球の保持及び活性化を強力に誘発するトリペプチド走化性物質N-アセチルPro-Gly-Pro(PGP)などのコラーゲン分解産物の生成である。PGPは、対照と比較してCOPD患者の洗浄検体で有意に高濃度に認められ、実験動物に投与した場合にもCOPD様状態を誘発することが実証されている[18]。マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)-9は、コラーゲンからのPGPの生成に関与することが実証されており、好中球をこの薬剤で処理するとMMP-9の活性化が刺激されることから、自己刺激ループが示唆される[19]。特定の実施形態において、線維芽細胞は、任意の種類のコラーゲン分解産物の生成を直接的又は間接的に減少させるために、肺疾患を有する個体又はその危険性がある個体に提供される。特定の実施形態では、コラーゲン分解が開始時に低減又は遅延されてもよい。PGPのレベルの低下は、線維芽細胞の投与時に起こり得る。
【0043】
フリーラジカルストレス及び細胞外マトリックス分解産物によって刺激される炎症状態は、肺内の様々な受容体を刺激して損傷を引き起こし、及び/又は再生を阻害する。例えば、RTP801は、煙による肺障害モデルにおいて肺胞細胞を死滅させるHIF-1alphaにより誘導可能なタンパク質である[20]。Yoshidaらは、Rtp801転写物及びタンパク質がヒトの気腫性肺及びタバコの煙に暴露されたマウスの肺において過剰発現されることを実証した。機構的には、培養肺細胞においてRtp801がNF-kBの活性化に必要かつ十分であり、遺伝子トランスフェクションによりマウス肺で人工的に発現させた場合、このタンパク質はNF-kBの活性化、肺胞の炎症、酸化ストレス及び肺胞中隔細胞のアポトーシスを促進することがわかった。さらに、遺伝子ノックアウト手段によりRtp801を欠損するマウスは、タバコの煙による肺障害から保護されることが示された。保護はmTORシグナル伝達の増加と関連していた。さらに、著者らは、Rtp801ノックアウトマウスがタバコの煙に慢性的に曝露された場合、気腫に対して保護されることを見出した[21]。Rtp801に関連する肺障害の機構は、炎症性サイトカインのNF‐kB関連誘導だけでなく、セラミド依存性アポトーシス経路も関与する。具体的には、マウスにおけるRTP801発現プラスミド又はセラミドのいずれかの直接肺点滴が肺胞細胞アポトーシス及び酸化ストレスを誘発することが実証された。RTP801過剰発現は、対照プラスミドの投与と比較して、肺セラミドレベルを2.6倍アップレギュレートした。次に、肺セラミドの点滴はRTP801の肺内容を2倍にした。単細胞懸濁液への肺組織解離後の細胞選別は、セラミドがインビボで内皮細胞と上皮細胞のアポトーシスの両方を誘発することを示した。内皮アポトーシスが増強された低酸素のカスケードを誘発し、それが次にHIF-1α活性化をさらに増強し、したがってRTP801の自己永続的発現を増大させる可能性がある。興味深いことに、rtp801を欠損するマウスは上皮II型細胞のセラミド誘発性アポトーシスから保護されたが、I型又は内皮細胞からは保護されなかった[22]。これは2つの理由から興味深い。第一に、上皮II型細胞は肺で”再生細胞”として働くことが知られており、さまざまな傷害シグナルの後に増殖を開始し[23]、第二に、好中球や単球が産生するTNF-alphaなどのCOPDに伴うさまざまな炎症シグナルによってセラミドアポトーシス経路が引き起こされる[24~26]。
【0044】
全体的に、RTP801は、損傷「センサー」分子として見ることができ、その中でも、トール様受容体(TLR)などの他の分子、及び先天性免疫系の他のアクチベーターが同様の役割を果たす[27]。例えば、TLR2、TLR3、TLR4は気道平滑筋細胞に発現していることがわかっており、COPDに伴う炎症状態や細胞外マトリックス分解産物などの肺リモデリングで見出されたリガンドによって活性化されていた[28]。1件の臨床研究では、COPDのない非喫煙者10人、COPDのない喫煙者6人、及びCOPDのある喫煙者15人を対象にミニ気管支肺胞洗浄(ミニBAL)が実施された。COPDミニBALはCOPDのない非喫煙者被験者と比較して、好中球数の増加、好中球アポトーシスの減少を示し、これはTLR4発現の増加と関連していた。TLR4の重要性を実証するのは、TLR4に対する遮断抗体をインビトロで投与すると、好中球のアポトーシスが増加したことであった[29]。TLR4の特異的な遺伝子変異がCOPDの発症に関連していることから、この分子がこの病態の炎症状態の開始や進行にも関連していることが示唆されている[30]。(肺におけるTlr4の活性化は有害であるが、線維芽細胞におけるTLR4の活性化は線維芽細胞をより抗炎症性にする)。
【0045】
好中球に加えて、自然免疫系の他の細胞がCOPDと関連している。例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞は、疾患の開始及び進行に関連することが見出されている間にある。Wangらは、COPDの喫煙者を対象に124例の患者試験を実施した。彼らは、全身性NK細胞活性化が喫煙本数と相関することを見出した。さらに、誘発喀痰では、活性化キラー細胞の割合は現在の喫煙状態ではなく病態と関連しており、COPDの現喫煙者及び元喫煙者は健康な喫煙者及び健康な非喫煙者よりも活性化率が有意に高かった[31]。NKの活性化はグランザイムなどの細胞傷害性因子のほか、インターフェロンγをはじめとする様々な炎症性サイトカインの産生と関連しており、炎症性及び免疫学的に媒介される損傷に対して細胞を感作する[32]。NK細胞の活性化は、傷害及びストレスを受けた組織に発現するリガンドRAET1εのNK活性化受容体NKG2Dによる認識と関連しているよう。実際、NKG2Dを欠損したマウスでは、タバコの煙への暴露やウイルス感染後にCOPD様病態の発症に対する抵抗性が示されている[33]。肺におけるNK細胞の本来の機能は様々な感染の制御であると思われるが[34]、COPDの場合、これらの細胞は進行中の炎症カスケードの増大及び自己永続化に向けて”誤誘導”されているよう[35]。従って、本発明のいくつかの実施形態において、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームは、COPDにおけるNK活性を抑制するために利用される。
【0046】
特定の実施形態では、線維芽細胞は、COPDを抑制するT調節細胞を生成することができる。本開示の特定の実施形態において、T細胞は、COPDを阻害し、改善し、場合によっては逆転させるために、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームによって調節される。進行中の炎症過程に対する適応免疫細胞の寄与は虚血/再潅流障害[36]、肝障害[37]、癌[38]などの状況でますます認識されるようになってきており、COPDの状況も例外ではない。COPDにおけるT細胞の役割を示唆したのは1987年の初期の研究であり、COPD患者の洗浄液中にはTリンパ球が有意に存在するが、対照群には存在しないことが明らかにされた。さらに、T細胞数は、チオール薬チオプロニンに反応した患者で有意に減少した[39]。実際、他の研究では、COPD患者では対照と比較してCD4とCD8の両方が異常に高いレベルで存在し、喫煙によりこれらの細胞のレベルが増大する様々なタイプのT細胞の存在が確認されている[40-43]。肺内T細胞の自己免疫活性の可能性を示唆するのは、COPD患者の肺におけるT細胞の活性化状態を示す研究から得られた。Gladerらの研究では、非喫煙者6人、喫煙者8人及びCOPDの喫煙者17人の末梢血リンパ球を調べている。1mL当たりのリンパ球数は喫煙者の方が非喫煙者よりも多かった。リンパ球集団の割合に関して3群間に差は認められなかったが、喫煙者のCD4+ T細胞数は非喫煙者及びCOPD患者の両方よりも多かった。T細胞活性化の程度は全患者群で同程度であった。しかし、現喫煙者を調べると、COPDの有無にかかわらず、CD4+ T細胞上のCD69発現と肺機能(FEV(1)%予測値)との間に明らかな相関が認められた[44]。別の研究では、COPD患者の肺におけるTh1関連転写因子、STAT4の発現が検討された。Th1細胞は、インターフェロンγ産生及び炎症カスケードの刺激、ひとつにはマクロファージの活性化及び特異的なiNOSの刺激、ならびにNK活性の増大を介して関連している。本研究では、軽度/中等度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)(1秒量(FEV1)59 +/16%予測)の喫煙者12名、肺機能が正常な喫煙者14名(FEV1 106 +/12%予測)及び非喫煙者12名(FEV1 111 +/14%予測)から得た、気管支生検及び気管支肺胞洗浄(BAL)由来リンパ球におけるT細胞(T-bet)蛋白質に発現するSTAT4、ホスホ-STAT4、IFN-γ及びT-boxの発現を検討した。COPD患者の気管支生検において、粘膜下リン酸化STAT4+細胞数は、健常喫煙者及び対照非喫煙者の両方と比較した場合、それぞれ増加した(240(22-406)対125(0-492)対29(0-511)細胞mm(-2))。喫煙者では、ホスホ‐STAT4+細胞は気流閉塞の程度とIFN‐γ+細胞数と相関した。同様の結果がBALでも見られた(2.8(0.2-5.9)対1.03(0.09-1.6)対0.69(0-2.3)リンパ球x mL(-1)x10(3))。洗浄を行った喫煙者全例において、phospho-STAT4+リンパ球は気流閉塞とIFNγ+リンパ球数と相関した[45]。
【0047】
COPDではCD4の活性化に加え、CD8 T細胞の活性化が報告されている。気道洗浄を伴う気管支鏡検査及び気管支内粘膜生検試料採取の調査を、COPD患者35人、健常非喫煙者21人及び肺機能が正常な喫煙者16人において実施した。上皮CD8+リンパ球数は、非喫煙対照と比較してCOPD群で高かった。BAL中のゲート化CD3+細胞の中で、CD8+ NKG2D+細胞の割合は、非喫煙者と比較して、COPD患者と正常な肺機能を有する喫煙者で増強された。NKG2Dは、NK細胞及びCD8 T細胞の両方による細胞傷害性機能の刺激に関連する受容体である。CD8+ CD69+細胞の割合及びCD69の細胞表面発現は、非喫煙者と比較して、COPD患者及び肺機能が正常な喫煙者で亢進していた[46]。NKG2DとCD69の両方がCD8細胞の活性化と関連していることを考えると、COPDはこれらの細胞の活性化状態の異常と関連していると考えるのが妥当である。
【0048】
CD4及びCD8 T細胞の活性化に加えて、T細胞の急激な活性化を抑制するのに必要なT細胞、すなわちT調節(Treg)細胞の欠損があるよう。Houらは、非喫煙者57例、肺機能が正常な喫煙者32例、COPD患者66例の血液サンプルを調べたほか、非喫煙者12例、喫煙者12例、COPD患者18例から気管支肺胞洗浄サンプルを採取した。彼らは末梢血において、喫煙者では非喫煙者と比較してrTreg、aTreg及びFr III細胞の割合が増加したが、COPD患者では喫煙者と比較してrTreg及びaTregの減少、Fr III細胞の有意な増加が認められたことを見出した。(aTreg+rTreg):(Fr III)比率の全般的な低下を伴うTreg亜集団の変化は免疫恒常性が炎症を促進し、CD8 T細胞活性化の増強(r=-0.399,p<0.001)及び1秒間の強制呼気量(FEV)%予測値(r=0.435,p<0.001)と相関することを示した。BAL(aTreg+rTreg):(Fr III)比は、FEV%予測値(r=0.741,p<0.01)及びエフェクタT細胞の活性化(r=-0.763,p<0.001)とよりロバストな相関を示した[47]。COPDにおける減少したTregの異常もまた、動物モデルにおいて記載されている[48、49]。
【0049】
本開示のいくつかの実施形態では、COPDを含む、肺疾患又はそのリスクを有することを含む、医療を必要とする個体に、有効量の線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームを投与する。さらなる局面において、個体は、線維芽細胞の1回以上の追加のフォローオン用量を投与される。後観察期の投与は、患者の年齢、体重、医師の指示に従う機能、臨床評価、好酸球数(血中又は喀痰中の好酸球又は好酸球陽イオン蛋白(ECP)測定)の測定、又は主治医の判断を含むその他の要因に応じて、様々な時間隔で投与することができる。投与間隔は、1週間ごと、2週間ごと、3週間ごと、4週間ごと、5週間ごと、6週間ごと、8週間ごと、10週間ごと、12週間ごと、又はそれ以上の間隔とすることができる。ある局面において、投与間隔は4週間ごと又は8週間ごととすることができる。ある局面において、投与間隔は4週毎、8週毎とすることができる。ある局面において、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームは3つの4週間の投与間隔(すなわち、Day 0、Week 4、及びWeek 8)で、その後8週間の投与間隔(すなわち、Week 16、Week 24、Week 32など)で投与される。
【0050】
特定の局面において、個人は、COPD患者のような肺疾患を有する個人であり、患者が急性増悪、例えば、軽度、中等度又は重度の増悪を呈した直後に、COPD患者に単回投与又は初回投与が行われる。例えば、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの単回又は第1の用量は提示の診療所又は病院訪問の間に、又は非常に重篤な増悪の場合には、急性増悪の1、2、3、4、5、6、7日以内、又はそれ以上の日数、例えば、7日以内に投与され得、患者の症状が線維芽細胞又はそのエキソソームの投与の前に安定化することを可能にする。
【0051】
いくつかの実施形態において、少なくとも2用量の線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームが、患者に投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも3つの用量、少なくとも4つの用量、少なくとも5つの用量、少なくとも6つの用量、又は少なくとも7つの用量が患者に投与される。いくつかの実施形態において、線維芽細胞又はそのエキソソームは、4週間にわたって、8週間にわたって、12週間にわたって、24週間にわたって、48週間にわたって、又は1年以上にわたって投与される。
【0052】
患者に投与される線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの量は、患者の年齢、体重、臨床評価、好酸球数(血中又は喀痰中の好酸球、好酸球性陽イオンタンパク質(ECP)測定、又は好酸球由来神経毒素(EDN)測定)などの様々なパラメータ、又は主治医の判断を含む他の因子に依存し得る。ある局面において、投与量又は投与間隔は、好酸球レベルに依存しない。特定の実施形態において、患者は、例えば、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの1回以上の用量を投与され、ここで、用量は、体重1キログラムあたり約1~500万個の細胞である。
【0053】
線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームは、任意の適切な様式で個体に送達され得る。特定の局面において、本明細書中に提供される方法による線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与は、非経口投与を介する。例えば、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームは、静脈内注入によって、又は皮下注射によって投与され得る。特定の実施形態において、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームは、皮下注射、静脈内、鼻腔内、脈管内、直腸内、膣内、及び/又は皮内によって投与され得る。
【0054】
特定の局面において、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームは、本明細書中に提供される方法に従って、組み合わせて、又はさらなる治療と組み合わせて投与される。このような治療法にはコルチコステロイド療法(吸入コルチコステロイド(ICS)を含む)、長時間作用型β作動薬(長時間作用型(32アゴニスト)を含むLABA)、チオトロピウム、又は他の標準療法が含まれるが、これらに限定されない。特定の局面において、ベンラリズマブ又はその抗原結合フラグメントは、本明細書中に提供される方法に従って、ICS及びLABA、LABA及びLAMA、又はICS、LABA及びLAMAと組み合わせて、又は組み合わせて投与される。
【0055】
ある場合には、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与は、例えば、増悪率、年間増悪率、最初の増悪までの時間、及び/又は救急室訪問又は入院に関連するCOPD増悪の年間率によって測定されるように、COPD増悪の強度、及び/又は頻度を減少させる。
【0056】
本明細書で提供される方法は、COPD患者における増悪率を低減することができる。特定の局面において、本明細書で提供される方法の使用、すなわち、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与は、比較可能な患者集団において予想される増悪の平均数と比較して、又は同じ時間にわたってプラセボで治療される比較可能な集団と比較して、患者の病歴に従って予想される増悪の数と比較して、患者が経験する増悪の数を減少させる。ある局面において、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与は、投与前に少なくとも200個の好酸球数/μLの好酸球数を有するCOPD患者における増悪の数を減少させる(1つの例として、血液からルーチンに測定される)。ある局面において、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与は、投与前に少なくとも300個の好酸球数/μLの好酸球数を有するCOPD患者における増悪の数を減少させる。ある局面において、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与は、投与前に少なくとも400個の好酸球数/μLの好酸球数を有するCOPD患者における増悪の数を減少させる。
【0057】
特定の局面において、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与は慢性閉塞性肺疾患の診断、管理、及び予防のための世界戦略(2009年更新)のGlobal Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease(GOLD)によって定義されるように、重度COPD患者における増悪の数を減少させる。特定の局面において、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与はGOLDによって定義されるように、非常に重度のCOPD患者における増悪の数を減少させる。特定の局面において、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与は、GOLDによって定義されるような重度又は非常に重度のCOPD患者における増悪の数を減少させる。ある局面において、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与はコルチコステロイド(例えば、吸入コルチコステロイド(ICS)、長時間作用性β-アゴニスト(LABA)(例えば、長時間作用性β2-アゴニスト)、及び/又はチオトロピウムを投与されているCOPD患者における増悪の数を減少させる。
【0058】
特定の局面において、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与は悪化を、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、又は少なくとも約55%(例えば、エピソードの数によって測定される場合)減少させる。いくつかの実施形態では、増悪が約34%、約47%、又は約57%低減される。増悪は、例えば、最初の投与から1年以内に、線維芽細胞又はそのエキソソームを減少させることができる。
【0059】
本明細書中に提供される方法の特定の局面において、すなわち、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与は、投与の4週間以内、8週間以内、12週間以内、16週間以内、20週間以内、24週間以内、28週間以内、32週間以内、36週間以内、40週間以内、44週間以内、48週間以内、又は52週間以内に悪化率を減少させる。
【0060】
本明細書で提供される方法は、重度又は非常に重度のCOPD(GOLDによって定義される)を有するCOPD患者における増悪率を、例えば、少なくとも40%又は約47%低下させることができる。本明細書で提供される方法は、COPD患者における「年間増悪率」を低減することができる。
【0061】
本明細書中に提供される方法は、プラセボの最初の投与後、又はプラセボもしくは処置なしに比較して、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの最初の投与後の最初のCOPD増悪までの時間を増加させ得る。いくつかの例において、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与はプラセボ又は無治療による治療後のCOPD増悪の可能性と比較して、COPD増悪の可能性を減少させる(例えば、線維芽細胞又はそのエキソソームの最初の投与から52週間以内)。いくつかの例において、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与は、プラセボの投与又はプラセボ又は無処理と比較して、救急室又は入院に関連するCOPD増悪の年率を減少させる。
【0062】
特定の例において、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与は、例えば、1秒(FEV)の強制呼気量又は強制肺活量によって測定されるように、COPD患者における肺機能を改善する。
【0063】
本明細書で提供される方法は、COPD患者において1秒(FEV)で強制呼気量を増大させることができる。増大は、大きな患者集団に基づく予想FEV、対照集団において測定されたFEV、又は投与前の個々の患者のFEVに基づいて測定することができる。特定の局面において、本明細書中に提供される方法の使用(すなわち、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与)は、患者の基準FEVと比較して、FEVを増大させ得る。いくつかの実施形態では、増加されたFEVが気圧前FEVである。いくつかの実施形態では、増加されたFEVが気圧後FEVである。いくつかの実施形態では、増加されたFEVが気圧前FEV及び気圧後FEVである。
【0064】
FEV(例えば、気管支拡張前、及び/又は気管支拡張後のFEV)は、例えば、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの最初の投与から特定の期間内に増加され得る。開示に使用するために、本明細書中で使用する「気管支拡張剤」とは、肺の気管支及び細気管支又は気道を広げたり拡張したりし、呼吸気道の抵抗を減少させたり、及び/又は気管支平滑筋を弛緩させることによって呼吸を楽にするあらゆる薬物を指す。例えば、気管支拡張薬には、アルブテロール/サルブタモールなどの短時間作用型及び長時間作用型β2刺激薬と、喘息の治療によく用いられる他の薬物がある。本発明の該方法及び組成物は、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの最初の投与後1~24時間、1~7日、1~4週間、1~12ヶ月、又は1年以上以内にFEVを増大させることができる。
【0065】
本発明の特定の実施形態では、本明細書で提供される方法は、FEVを少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%、又はそれ以上増大させることができる。特定の局面において、本明細書に提供する方法は、FEVを約12%増やすことができる。特定の態様では、本明細書で提供される方法は、気管支拡張前FEVを、少なくとも5%、少なくとも6%、少なくとも7%、少なくとも8%、少なくとも9%、少なくとも10%、少なくとも11%、少なくとも12%以上増大させることができる。特定の局面において、本明細書に提供される方法は、気圧前拡張FEVを約12%増やすことができる。
【0066】
特定の局面において、本明細書に提供する方法は、FEVを少なくとも5%増やすことができる。特定の局面において、本明細書に提供する方法は、FEVを約7%増やすことができる。特定の局面において、本明細書に提供される方法は、少なくとも5%が気道後FEVを増大させることができる。特定の局面において、本明細書に提供される方法は、気管支拡張後のFEVを約7%増やすことができる。
【0067】
特定の態様では、本明細書で提供される方法は、気管支拡張前及び気管支拡張後のFEVを少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、又はそれ以上増大させることができる。特定の局面において、本明細書に提供される方法は、少なくとも10%、及び、少なくとも5%以上の、気道前FEV及び気道後FEVを増大させることができる。特定の局面において、本明細書に提供される方法は、気管支前拡張FEVを約12%増やし、気管後拡張FEVを約7%増やすことができる。本明細書中に提供されるように、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与はまた、COPD患者(例えば、気管支拡張前、及び/又は気管支拡張後)において予測されるFEVの割合を増大させ得る。たとえば、予測FEVの割合は、約3.0、約3.5、約4.0、又は約4.5に増える可能性がある。
【0068】
本明細書で提供される方法は、血中好酸球数が少なくとも200好酸球/μLであるCOPD患者、又はコルチコステロイド(例えば、吸入コルチコステロイド(ICS)、長時間作用型βアゴニスト(LABA)(例えば、長時間作用型β2アゴニスト)、及び/又はチオトロピウムを投与されている患者におけるFEVを増大させることができる。特定の態様では、本明細書で提供される方法は、そのような患者におけるFEVを少なくとも10%又は少なくとも15%増加させることができる。特定の局面において、本明細書中に提供される方法は、このような患者における気管支拡張前FEVを、少なくとも10%又は少なくとも15%増大させ得る。特定の局面において、本明細書中に提供される方法は、このような患者における気管支拡張後のFEVを約10%増大させ得る。特定の局面において、本明細書に提供される方法は、そのような患者における気圧前FEV及び気圧後FEVを少なくとも10%増やすことができる。特定の局面において、本明細書中に提供される方法は、このような患者における気管支拡張前FEVを少なくとも15%増大させ得、そしてこのような患者における気管支拡張後FEVを少なくとも10%増大させ得る。本明細書で提供される方法は、血中好酸球数が少なくとも300好酸球/μLであるCOPD患者、又は慢性閉塞性肺疾患のためのグローバルイニシアティブ(GOLD)によって定義されるような重度又は非常に重度のCOPDを有するCOPD患者におけるFEVを増大させることができる。特定の局面において、本明細書中に提供される方法は、このような患者におけるFEVを、少なくとも15%又は少なくとも20%増大させ得る。特定の局面において、本明細書中に提供される方法は、このような患者における気管支拡張前FEVを、少なくとも15%又は少なくとも20%増大させ得る。特定の局面において、本明細書中に提供される方法は、このような患者における気管支拡張後のFEVを約15%増大させ得る。特定の局面において、本明細書に提供される方法は、そのような患者における気圧前FEV及び気圧後FEVを少なくとも15%増やすことができる。特定の局面において、本明細書中に提供される方法は、このような患者における気管支拡張前FEVを少なくとも20%増大させ得、そしてこのような患者における気管支拡張後FEVを少なくとも15%増大させ得る。
【0069】
特定の局面において、本明細書中に提供される方法の使用(すなわち、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与)は、4週間以内、8週間以内、12週間以内、16週間以内、20週間以内、24週間以内、28週間以内、32週間以内、36週間以内、40週間以内、44週間以内、48週間以内、52週間以内、又は56週間以上以内にFEVを増加させる。特定の局面において、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与は、線維芽細胞又はそのエキソソームの最初の投与から52週間以内にFEVを改善する。本明細書で提供される方法の使用は、56週間にわたって、少なくとも0.05L、少なくとも0.1L、少なくとも0.13L、少なくとも0.15L、少なくとも0.20L、少なくとも0.21L、少なくとも0.22L、少なくとも0.23L、少なくとも0.24L、又は少なくとも0.25L、少なくとも0.30L、少なくとも0.35L、少なくとも0.40L、少なくとも0.45L、又は少なくとも0.50LだけFEVを増大させることができる。
【0070】
本明細書で提供される方法は、COPD患者における強制肺活量(FVC)を増加させることができる。増加は、大きな患者集団に基づく期待FVC、対照集団で測定されたFVC、又は投与前の個々の患者のFVCに基づいて測定することができる。特定の局面において、本明細書中に提供される方法の使用(すなわち、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与)は、患者のベースラインFVCと比較して、FVCを増加させ得る。いくつかの実施形態では、増加したFVCは、気管支拡張前FVCである。いくつかの実施形態では、増加したFVCは、気管支拡張後のFVCである。いくつかの実施形態では、増加したFVCは、気管支拡張前FVC及び気管支拡張後FVCである。FVC(例えば、気管支拡張前、及び/又は気管支拡張後のFVC)は、例えば、線維芽細胞又はそのエキソソームの最初の投与から1年以内に増加され得る。
【0071】
特定の態様では、本明細書で提供される方法は、FVCを少なくとも3%増加させることができる。特定の態様では、本明細書で提供される方法は、気管支拡張前FVCを少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、又は少なくとも10%増加させることができる。特定の態様では、本明細書で提供される方法は、気管支拡張後FVCを少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、又は少なくとも10%増加させることができる。特定の態様では、本明細書で提供される方法は、気管支拡張前及び気管支拡張後のFVCを少なくとも2%、少なくとも3%、少なくとも5%、又は少なくとも10%増加させることができる。特定の局面において、本明細書中に提供される方法の使用(すなわち、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与)は、4週間以内、8週間以内、12週間以内、16週間以内、20週間以内、24週間以内、28週間以内、32週間以内、36週間以内、40週間以内、44週間以内、48週間以内、52週間以内、又は56週間以上以内にFVCを増加させる。
【0072】
ある場合には、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与は、例えば、ベースライン/移行期呼吸困難指数(BDI/TDI)、及び/又は慢性肺疾患ツール-呼吸器症状の増悪(E-RS)によって測定されるように、COPD患者における呼吸器症状を改善する。
【0073】
ベースライン/一過性呼吸困難指数(TDI)によって測定される呼吸器症状を改善するための方法もまた、本明細書中に提供される。例えば、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与は、COPD患者のBDIスコアを少なくとも1、少なくとも2、又は少なくとも3だけ改善(増加)し得、そして/又は陽性のTDIスコアを生じ得る。BDI/TDIスコアは、例えば、線維芽細胞又はそのエキソソームの最初の投与から1年以内に改善され得る。
【0074】
特定の局面において、本明細書中に提供される方法の使用(すなわち、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与)は、4週間以内、8週間以内、12週間以内、16週間以内、20週間以内、24週間以内、28週間以内、32週間以内、36週間以内、40週間以内、44週間以内、48週間以内、52週間以内、又は56週間以上以内にBDI/TDIスコアを改善する。
【0075】
慢性肺疾患ツール-呼吸器症状の悪化(E-RS)によって測定される呼吸器症状を改善するための方法もまた、本明細書において提供される。例えば、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与は、COPD患者のE-RSスコアを、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10だけ改善(減少)することができる。E-RSスコアは、例えば、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの最初の投与から1年以内に改善され得る。
【0076】
特定の局面において、本明細書中に提供される方法の使用(すなわち、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与)は、1週間以内、2週間以内、3週間以内、4週間以内、8週間以内、12週間以内、16週間以内、20週間以内、24週間以内、28週間以内、32週間以内、36週間以内、40週間以内、44週間以内、48週間以内、52週間以内、又は56週間以上以内にE-RSスコアを改善する。
【0077】
ある場合には、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与は、例えば、セントジョージ呼吸器質問票(SGRQ)、COPD特異的セントジョージ呼吸器質問票(SGRQ-C)、及び/又はCOPD評価ツール(CAT)によって測定されるように、COPD患者における健康状態、及び/又は健康関連クオリティオブライフを改善する。
【0078】
本明細書では、例えば、セントジョージの呼吸質問票(SGRQ)などのCOPD質問票を使用して評価されるような、1つ又は複数のCOPD症状を改善するための方法が提供される。例えば、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与は、患者のSGRQスコアを、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10だけ改善することができる。SGRQスコアは、例えば、線維芽細胞又はそのエキソソームの最初の投与から1年以内に改善され得る。
【0079】
特定の局面において、本明細書中に提供される方法の使用(すなわち、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与)は、4週間以内、8週間以内、12週間以内、16週間以内、20週間以内、24週間以内、28週間以内、32週間以内、36週間以内、40週間以内、44週間以内、48週間以内、52週間以内、又は56週間以上以内にSGRQスコアを改善する。特定の局面において、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与は、線維芽細胞又はそのエキソソームの最初の投与の52週間以内にSGRQスコアを改善する。
【0080】
例えば、COPD特異的セントジョージの呼吸質問表(SGRQ-C)のようなCOPD質問表を用いて評価されるような、COPD症状を改善するための方法もまた、本明細書中に提供される。例えば、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与は、COPD患者のSGRQ-C(症状)スコアを、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10だけ改善することができる。SGRQ-C(症状)スコアは、例えば、線維芽細胞又はそのエキソソームの最初の投与から1年以内に改善され得る。
【0081】
特定の局面において、本明細書中に提供される方法の使用(すなわち、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与)は、1週間以内、2週間以内、3週間以内、4週間以内、8週間以内、12週間以内、16週間以内、20週間以内、24週間以内、28週間以内、32週間以内、36週間以内、40週間以内、44週間以内、48週間以内、52週間以内、又は56週間以上以内にSGRQ-C(症状)スコアを改善する。
【0082】
例えば、COPD評価ツール(CAT)を使用して評価されるような、COPD症状を改善するための方法もまた、本明細書中に提供される。例えば、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与は、COPD患者のCATスコアを、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10だけ改善(減少)し得る。CATスコアは、例えば、線維芽細胞又はそのエキソソームの最初の投与から1年以内に改善(減少)され得る。
【0083】
特定の局面において、本明細書中に提供される方法の使用(すなわち、線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームの投与)は、1週間以内、2週間以内、3週間以内、4週間以内、8週間以内、12週間以内、16週間以内、20週間以内、24週間以内、28週間以内、32週間以内、36週間以内、40週間以内、44週間以内、48週間以内、52週間以内、又は56週間以上以内にCATスコアを改善(減少)する。
【0084】
特定の局面において、本明細書中に提供される方法の使用(すなわち、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与)は、夜間の覚醒を減少させる。
【0085】
特定の局面において、本明細書中に提供される方法の使用(すなわち、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与)は、救急薬の使用を減少させる。
【0086】
特定の局面において、本明細書中に提供される方法の使用(すなわち、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与)は、EXACT-PRO規定事象の重篤度、頻度、及び/又は持続時間を減少させる。
【0087】
特定の局面において、本明細書中に提供される方法の使用(すなわち、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与)は、COPD特異的な資源利用を減少させる。例えば、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与は、不定期の医師の訪問、医師への不定期電話、及び/又は他のCOPD治療薬の使用を減少させることができる。
【0088】
特定の局面において、本明細書中に提供される方法の使用(すなわち、COPD患者への線維芽細胞又はそのエキソソームの投与)は、1秒(FEV)で強制呼気量を増加させ、強制肺活量(FVC)を増加させ、COPD増悪率を減少させ、そして/又はCOPDアンケートスコア(例えば、COPD対照アンケート)を改善する。
【0089】
特定の局面において、本明細書中に提供される方法の使用(すなわち、COPD患者への線維芽細胞又はそのエキソソームの投与)は、年間COPD増悪率を減少させ、SGRQスコアを改善し、そしてFEVを増加させる(例えば、300/μLの基準血中好酸球数を有するCOPD患者において)。
【0090】
特定の局面において、COPD患者は、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与前に、コルチコステロイド(例えば、吸入コルチコステロイド(ICS))、長時間作用型β-アゴニスト(LABA、例えば、長時間作用型β2-アゴニスト)、及びチオトロピウムを処方されたか、又は使用しており、及び/又は現在使用されている。特定の局面において、COPD患者は、コルチコステロイド(例えば、ICS)、LABA(例えば、長時間作用性β2-アゴニスト)、チオトロピウム、及び線維芽細胞又はそのエキソソームで治療される。特定の局面において、COPD患者は、ICS及びLABAで治療される。特定の局面において、COPD患者は、LABA及び長時間作用性ムスカリン性アンタゴニスト(LAMA)で治療される。特定の局面において、COPD患者は、ICS及びLABA、又はLABA及びLAMAで治療される。特定の局面において、COPD患者は、ICS、LABA、及びLAMAで治療される。
【0091】
本明細書中に提供される方法の特定の局面において、患者は、COPD増悪の病歴を有する。特定の局面において、増悪の履歴は、線維芽細胞又はそのエキソソームの投与前の年における少なくとも1つの増悪を含む。特定の局面において、患者は、投与前の予測値の80%未満の強制呼気量(FEV)を有する。特定の局面において、患者は、投与前のFEV/FVCが0.70未満である。
【0092】
本開示の1つの実施形態において、エキソソームは、線維芽細胞ならし培地を得、線維芽細胞ならし培地を濃縮し、濃縮された線維芽細胞ならし培地をサイズ排除クロマトグラフィーに供し、220nmでUV吸収画分を選択し、そしてエキソソームを含む画分を濃縮することによって、線維芽細胞から精製される。
【0093】
「粒子」とも呼ばれるエキソソームは、小胞又は脂質二重層によって限定される平坦化された球体を含み得る。粒子は、40~100nmの直径を含み得る。粒子は、エンドソーム膜の内向きの出芽によって形成され得る。粒子は、約1.13~1.19g/mlの密度を有することができ、スクロース勾配上で浮遊することができる。粒子は、コレステロール及びスフィンゴミエリン、ならびにGM1、GM3、フロチルリン及びsrcタンパク質キナーゼLynなどの脂質ラフトマーカーに富んでいてもよい。粒子は、線維芽細胞又は線維芽細胞調整培地(線維芽細胞-CM)中に存在する1つ以上のタンパク質(例えば、線維芽細胞又は線維芽細胞-CMに特徴的又は特異的なタンパク質)を含み得る。それらは、RNA、例えば、miRNAを含むことができる。粒子は、線維芽細胞又は線維芽細胞の培養によって調整された培地中に見出される1つ以上の遺伝子又は遺伝子産物を有し得る。粒子は、線維芽細胞によって分泌される分子を含み得る。そのような粒子、及びその中に含まれる任意の分子の組み合わせ(特にタンパク質又はポリペプチドを含む)は、例えば、肺疾患を処置又は予防する目的で、線維芽細胞、及び/又は線維芽細胞によって馴化された培地の活性を補うために、又はその代わりに使用され得る。粒子は、細胞骨格に見出される細胞質タンパク質、例えば、チューブリン、アクチン及びアクチン結合タンパク質;細胞内膜融合及び輸送、例えば、アネキシン及びrabタンパク質;シグナル伝達タンパク質、例えば、プロテインキナーゼ、14-3-3及びヘテロ三量体Gタンパク質;代謝酵素、例えば、ペルオキシダーゼ、ピルビン酸及び脂質キナーゼ、及びエノラーゼ-1、ならびにテトラスパニンファミリー、例えば、CD9、CD63、CD81及びCD82を含み得る。特に、粒子は、1つ以上のテトラスパニンを含んでもよい。粒子は、mRNA、及び/又はマイクロRNAを含み得る。1つの実施形態において、線維芽細胞エキソソーム又は粒子は、線維芽細胞を培地中で培養してそれを調整することによって産生され得る。線維芽細胞は、CD90、CD73、CD105、及びそれらの組み合わせからなる群より選択されるマーカーを有するヒト臍組織由来細胞を含み得る。媒体は、DMEMを含むことができる。DMEMは、フェノールレッドを含まないようなものであってもよい。培地は、インスリン、トランスフェリン、もしくはセレノタンパク質(ITS)、又はそれらの任意の組み合わせを補充され得る。それは、FGF2を含み得る。それは、PDGF ABを含み得る。FGF2の濃度は、例えば、エキソソーム中で約5ng/mlのFGF2であり得る。PDGF ABの濃度は、約5ng/mlであり得る。培地は、グルタミン-ペニシリン-ストレプトマイシンもしくはb-メルカプトエタノール、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0094】
細胞は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10日以上、例えば、約3日間培養することができる。条件培地は、培地から細胞を分離することによって得ることができる。ならし培地は、例えば、500gで遠心分離することができる。それは、膜を通した濾過によって濃縮することができる。膜は、一例として、>1000kDaの膜を含むことができる。ならし培地は、使用前、及び/又は貯蔵前を含めて、約50倍以上濃縮されてもよい。調整培地は、HPLCのような液体クロマトグラフィーにかけることができる。調整培地は、サイズ排除によって分離することができる。Sepharoseなどの任意のサイズ排除マトリックスを使用することができる。一例として、TSKガードカラムSWXL、6×40mm、又はTSKゲルG4000 SWXL、7.8×300mmを使用することができる。溶出緩衝液は、生理食塩水などの任意の生理学的媒体を含むことができる。それは、pH7.2の150mMのNaClを含む20mMリン酸緩衝液を含み得る。クロマトグラフィーシステムは、0.5ml/分の流速で平衡化され得る。溶出モードは、アイソクラティックであってもよい。220nmでのUV吸光度を使用して、溶出の進行を追跡することができる。準弾性光散乱(QELS)検出器を用いた動的光散乱(DLS)についてフラクションを調べることができる。動的光散乱を示すことが見出された画分は保持され得る。例えば、上記のような一般的な方法によって生成され、そして11~13分(例えば、12分)の保持時間で溶出する画分は、動的な光散乱を示すことが見出される。このピーク中のr個の物質のは約45~55nmである。このような画分は、エキソソームのような線維芽細胞粒子を含み得る。
【0095】
本開示の実施形態は、ステップとして肺疾患の診断を有する方法を含むが、場合によっては診断が方法の外側で行われる。診断には、画像検査、血液検査、及び/又は肺機能検査が含まれる。具体的には、肺機能を評価するための非侵襲的検査であるスパイロメトリーを利用することができる。画像検査には、胸部X線、及び/又はCTスキャンがある。血中酸素、二酸化炭素、及び他の重要なレベルを測定するために、動脈から血液サンプルを採取することを含む動脈血ガス試験が利用され得る。
【0096】
個体は、例えば、短時間及び長時間作用性β2作動薬、抗コリン作動薬、1つ以上のコルチコステロイド、1つ以上のホスホジエステラーゼ-4阻害剤、補助酸素療法、及び/又は手術に加えて、本明細書中に提供される本発明の方法及び組成物を含む併用療法に供され得る。線維芽細胞、及び/又はそのエキソソームに加えて、1つ又は複数の治療は同時に、及び/又は異なる時点で与えられてもよい。それらは、同じ経路、及び/又は異なる経路によって与えられてもよい。それらは、同じ持続時間又は異なる持続時間で与えられてもよい。本開示の治療の1つ又は複数の用量は、1つ又は複数の他の治療の1つの用量のみで提供されてもよく、逆もまた同様である。
III.線維芽細胞及びその修飾及び調製物
【0097】
有効量の線維芽細胞が調製され、それを必要とする個体に提供される。線維芽細胞は、治療される個体に関して自家又は同種であり得る。
【0098】
特定の実施形態において、線維芽細胞は、保存、及び/又は調製のためであろうと、培養物中に存在する。様々な用語が、培養中の細胞を記載するために使用される。細胞培養は、一般に、生体から採取され、制御された条件下(「培養中」又は「培養された」)で増殖される細胞を指す。初代培養細胞とは、最初の継代培養の前に生物から直接採取した細胞、組織、又は器官の培養である。細胞は、細胞の増殖、及び/又は分裂を容易にする条件下で増殖培地中に置かれる場合、培養物中で増殖され、細胞のより大きな集団を生じる。細胞を培養で増殖させる場合、細胞増殖速度は、細胞が倍数になるのに必要な時間量によって測定されることがある。これは、倍加時間と呼ばれる。
【0099】
細胞系は、初代細胞培養物の1つ以上のサブ培養によって形成される細胞の集団である。継代培養の各ラウンドは、継代と呼ばれる。細胞が継代培養される場合、それらは継代されたと呼ばれる。特定の細胞集団、又は細胞株は時に、それが継代された回数に言及されるか、又は特徴付けられる。例えば、10回継代された培養細胞集団は、P10培養物と呼ぶことができる。初代培養、すなわち組織から細胞を単離した後の最初の培養をP0とする。最初の継代培養に続いて、細胞を二次培養(P1又は継代1)として記載する。2回目の継代培養後、細胞は、三次培養(P2又は継代2)になり、以下同様である。継代の期間中に多くの集団倍加があり得ること;したがって、培養物の集団倍加の数は継代数よりも多いことが、当業者によって理解される。継代間の期間中の細胞の増殖(すなわち、集団倍加の数)は、播種密度、基質、培地、増殖条件、及び継代間の時間を含むがこれらに限定されない多くの因子に依存する。
【0100】
いくつかの実施形態では、線維芽細胞がならし培地中に含まれるか、又はならし培地中にあるか、もしくはそれに曝露されている。条件培地は、特定の細胞又は細胞集団が培養され、次いで除去された培地である。細胞を培地で培養すると、他の細胞に栄養支持を与えたり、別の機能をもつ細胞因子を1つ以上分泌することがある。一般に、栄養因子は、細胞の生存、成長、増殖、及び/又は成熟を促進又は少なくとも支持するか、又は細胞の増加した活性を刺激する物質として定義される。このような栄養因子には、ホルモン、サイトカイン、細胞外マトリックス(ECM)、タンパク質、小胞、抗体、及び顆粒が含まれるが、これらに限定されない。細胞因子を含有する培地は、ならし培地である。線維芽細胞は単独で、又は1つ以上の他の成分と組み合わせて、医療目的のために利用される1つ以上の因子又は物(例えば、エキソソーム)を分泌し得る。
【0101】
本明細書中で使用される場合、用語「増殖培地」は、一般に、任意の種類の線維芽細胞の培養に十分な培地をいう。特に、本明細書中の本発明の細胞の培養のための1つの培地は、ダルベッコの改変必須培地(本明細書中でDMEMとも略される)を含む。特に好ましいのは、DMEM-低グルコース(本明細書中ではDMEM-LGも)(Invitrogen,Carlsbad,CA)である。DMEM低グルコースは好ましくは15%(v/v)ウシ胎仔血清(例えば、規定ウシ胎仔血清、Hyclone、Logan Utah)、抗生物質/抗真菌薬(好ましくは、ペニシリン(100単位/ミリリットル)、ストレプトマイシン(100ミリグラム/ミリリットル)、及びアンホテリシンB(0.25マイクログラム/ミリリットル)、(Invitrogen、Carlsbad、CA)、並びに0.001%(v/v)2-メルカプトエタノール(Sigma、St.Louis Mo)で補充される。いくつかの場合において、異なる増殖培地が使用されるか、又は異なる補充物が提供され、そしてこれらは、通常、増殖培地への補充物として本文中に示される。
【0102】
また、本発明に関連して、本明細書で使用される「標準増殖条件」という語は、5%のCOを含む標準大気中で37℃で細胞を培養することを指す。相対湿度を約100%に維持する。前述の条件は培養に有益であるが、このような条件は細胞を培養するために当業者が利用可能な選択肢、例えば、体温、CO、相対湿度、酸素、増殖培地などを変化させることによって変化させることができることを理解されたい。
【0103】
細胞は、薬学的に許容される担体、例えば、滅菌生理食塩水等張溶液中での管理のために調製され得る。いくつかの実施形態において、薬学的に受容可能なキャリアは、FASリガンド、IL-2R、IL-2、IL-4、IL-8、IL-10、IL-20、IL-35、HLA-G、PD-L1、I-309、IDO、iNOS、CD200、ガレクチン3、sCR1、アルギナーゼ、PGE-2、アスピリン、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ピタバスタチン、ラパマイシン、IVIG、ナルトレキソン、TGF-β、VEGF、PDGF-4、抗CD45RB抗体、ヒドロキシクロロキン、レフルノフィン、ジシアノ金、スルファサラジン、メトトレキサートなどの1つ以上のさらなる薬剤を含み得る。グルココルチコイド、エタネルセプト、アダリムマブ、アナキンラ、セタネルセプト-スズ、ゴリムマブ、インフリキシマブ、リツキシマブ、シクロスポリン、IFN-γ、エベロリムス、ラパマイシン、VEGF-1、FGF-2、アンジオポエチン、HIF-1-α、又はこれらの組み合わせ。
【0104】
本開示の1つの実施形態において、線維芽細胞は、低酸素領域を含む、注射(筋肉内注射など)によることを含む任意の適切な経路によって被験体に投与される。適切な経路には、静脈内、皮下、髄腔内、経口、直腸内、髄腔内、網内、脳室内、肝内、及び腎内がある。
【0105】
ある実施態様において、線維芽細胞は、皮膚、心臓、血管、骨髄、骨格筋、肝臓、膵臓、脳、脂肪組織、包皮、胎盤、及び/又は臍帯を含む組織に由来してもよい。特定の実施形態では、線維芽細胞が胎盤、胎児、新生児、又は成人、又はそれらの混合物である。
【0106】
個体への細胞の投与の数は、本明細書中に記載される因子に少なくとも部分的に依存し、そして当該分野で慣用的な方法を使用して最適化され得る。特定の実施形態では、単回投与が必要である。他の実施形態では、細胞の複数回の投与が必要とされる。当然のことながら、このシステムは、時間及び状況によって変化し得る個体の特定の必要性、細胞の喪失又は個々の細胞の活性の結果としての細胞活性の喪失速度などのような変数に従属する。従って、各個体は適切な投薬量についてモニターされ得、そして個体をモニターするこのような実施は当該分野で日常的であることが予想される。
【0107】
いくつかの実施形態において、細胞は、Roswell Park Memorial Institute(RPMI-1640)、Dublecco’s Modified Essential Media(DMEM)、Eagle’s Modified Essential Media(EMEM)、Optimem、Iscove’s Media、又はそれらの組み合わせを含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になる1つ以上の培地組成物に供される。
IV.開示のキット
【0108】
本開示の特定の局面はまた、本開示の組成物又は本開示の方法を実施するための組成物を含むキットに関する。いくつかの実施形態において、キットは、線維芽細胞再生細胞、その集団、その子孫、又はその条件培地を提供するために使用され得る。いくつかの場合において、キットは、線維芽細胞再生細胞を産生、及び/又は同定するための1つ以上の試薬を含む。
【0109】
キットは、チューブ、ボトル、バイアル、シリンジ、又は他の適切な容器手段のような、個々に包装され得るか、又は容器中に配置され得る構成要素を含み得る。
【0110】
個々の成分はまた、濃縮された量でキット中に提供されてもよく;いくつかの実施形態では、成分が他の成分との溶液中にあるのと同じ濃度で個々に提供される。成分の濃度は、1x、2x、5x、10x、又は20x以上とすることができる。
【0111】
特定の局面において、陰性、及び/又は陽性コントロール剤は、いくつかのキットの実施形態に含まれる。対照分子は、線維芽細胞の増強された再生活性を検証するために使用することができる。
【0112】
キットは、ラベルを有する容器を含んでもよい。適当な容器には、例えば、ビン、バイアル及び試験管を包含する。容器は、ガラスやプラスチックなど種々の材料で作ることができる。容器は、上記のような予後又は非予後の適用に有用なプローブを含む組成物を保持し得る。容器上のラベルは、組成物が特定の予後又は非予後適用のために使用されることを示し得、そしてまた、上記のようなインビボ又はインビトロ使用のいずれかのための方向を示し得る。キットは、上述の容器と、緩衝液、希釈剤、フィルター、針、注射器、及び使用説明書を伴う添付文書を含む、商業的及び使用者の観点から望ましい材料を含む1つ以上の他の容器とを含んでもよい。
【0113】
キットは、短時間及び長時間作用性β2作動薬、抗コリン作動薬、1つ以上のコルチコステロイド、1つ以上のホスホジエステラーゼ-4阻害剤、テオフィリンなどを含む、肺疾患のための1つ以上の追加の治療を含んでも含まなくてもよい。
【0114】
キットは、肺疾患の診断のための1つ以上のデバイス、及び/又は試薬を含んでも含まなくてもよい。
【0115】
(参考文献)
明細書において参照される全ての特許及び刊行物は、本発明が関係する当業者のレベルを示す。全ての特許及び刊行物はあたかも各個々の刊行物が参照により組み込まれるように具体的かつ個別に示されたかのように、同じ程度まで参照により本明細書に組み込まれる。
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【0116】
本開示及びその利点を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲によって定義される設計の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更、置換、及び変更を本明細書で行うことができることを理解されたい。さらに、本出願の範囲は、本明細書に記載されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、及びステップの特定の実施形態に限定されることを意図していない。当業者であれば、本開示から容易に理解するように、本明細書で説明される対応する実施形態と実質的に同じ機能を実行するか、又は実質的に同じ結果を達成する、現在存在するか又は後に開発されるプロセス、機械、製造、物質の組成、手段、方法、又はステップを、本開示に従って利用することができる。したがって、添付の特許請求の範囲はその範囲内に、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、又はステップを含むことが意図される。
【国際調査報告】