(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(54)【発明の名称】高い可視光反射率及び無彩色を有する物品
(51)【国際特許分類】
B32B 9/00 20060101AFI20220526BHJP
C03C 17/36 20060101ALI20220526BHJP
G02B 5/26 20060101ALI20220526BHJP
G02B 5/28 20060101ALI20220526BHJP
B32B 17/06 20060101ALN20220526BHJP
B32B 7/023 20190101ALN20220526BHJP
【FI】
B32B9/00 A
C03C17/36
G02B5/26
G02B5/28
B32B17/06
B32B7/023
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557620
(86)(22)【出願日】2020-03-26
(85)【翻訳文提出日】2021-11-19
(86)【国際出願番号】 US2020024971
(87)【国際公開番号】W WO2020198480
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518301590
【氏名又は名称】ビトロ フラット グラス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マ、チーシュン
(72)【発明者】
【氏名】ポルシン、アダム、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー、アンドリュー
【テーマコード(参考)】
2H148
4F100
4G059
【Fターム(参考)】
2H148FA05
2H148FA07
2H148FA09
2H148FA15
2H148FA24
2H148GA04
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4F100AA19B
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4G059EA12
4G059EB03
4G059GA02
4G059GA04
4G059GA14
(57)【要約】
コーティング物品は基材、及び基材の少なくとも一部分の上に適用された機能性コーティングを含む。機能性コーティングは、第1の誘電層;第1の金属層;第1のプライマー層;第2の誘電層;第2の金属層;第2のプライマー層;第3の誘電層;及び任意選択の最外側保護コーティングを含む。コーティング物品は、少なくとも35且つ55以下のRgL*値を有する。コーティング物品は、少なくとも10ナノメートル且つ30ナノメートル以下の金属層の合計厚さを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材;
前記基材の少なくとも一部分の上に適用された機能性コーティング
を含むコーティング物品であって、前記機能性コーティングが、
前記基材の少なくとも一部分の上に第1の誘電層;
前記第1の誘電層の少なくとも一部分の上に第1の金属層;
前記第1の金属層の少なくとも一部分の上に第1のプライマー層;
前記第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に第2の誘電層;
前記第2の誘電層の少なくとも一部分の上に第2の金属層;
前記第2の金属層の少なくとも一部分の上に第2のプライマー層;及び
前記第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に第3の誘電層
を含み、
コーティング物品が、少なくとも35且つ55以下のRgL
*値を有する、コーティング物品。
【請求項2】
前記RgL
*値が少なくとも42である、請求項1に記載のコーティング物品。
【請求項3】
前記RgL
*値が52以下である、請求項2に記載のコーティング物品。
【請求項4】
前記金属層の少なくとも1つが、銀又は金の少なくとも1種を含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載のコーティング物品。
【請求項5】
前記誘電層の少なくとも1つが、スズ酸亜鉛、酸化亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズを含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載のコーティング物品。
【請求項6】
前記第1の誘電層が、スズ酸亜鉛を含む前記基材の少なくとも一部分の上に第1の膜、並びに前記第1の膜の少なくとも一部分の上に酸化亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズを含む第2の膜を含む、請求項1から5までのいずれか一項に記載のコーティング物品。
【請求項7】
前記第2の誘電層が、前記第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に、酸化亜鉛を含む第1の膜、前記第1の膜の少なくとも一部分の上に、スズ酸亜鉛を含む第2の膜、及び前記第2の膜の少なくとも一部分の上に、酸化亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズを含む第3の膜を含む、請求項1から6までのいずれか一項に記載のコーティング物品。
【請求項8】
前記第3の誘電層が、酸化亜鉛又はスズ酸亜鉛を含む前記第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に第1の膜、及び前記第1の膜の少なくとも一部分の上に酸化亜鉛、スズ酸亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズを含む第2の膜を含む、請求項1から7までのいずれか一項に記載のコーティング物品。
【請求項9】
保護層を含む最外側保護コーティングをさらに含み、前記保護層が、Si
3N
4、SiON、SiAlN、SiAlON、チタニア、アルミナ、シリカ又はジルコニアの少なくとも1種を含む、請求項1から8までのいずれか一項に記載のコーティング物品。
【請求項10】
前記保護層が、酸化ケイ素アルミニウム又は酸化チタンアルミニウムを含む、請求項9に記載のコーティング物品。
【請求項11】
基材;
前記基材の少なくとも一部分の上に適用された機能性コーティング
を含むコーティング物品であって、前記機能性コーティングが、
前記基材の少なくとも一部分の上に第1の誘電層;
前記第1の誘電層の少なくとも一部分の上に第1の金属層;
前記第1の金属層の少なくとも一部分の上に第1のプライマー層;
前記第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に第2の誘電層;
前記第2の誘電層の少なくとも一部分の上に第2の金属層;
前記第2の金属層の少なくとも一部分の上に第2のプライマー層;及び
前記第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に第3の誘電層
を含み、
前記金属層の合計厚さが、少なくとも10ナノメートル且つ30ナノメートル以下である、コーティング物品。
【請求項12】
前記金属層の合計厚さが、22ナノメートル以下である、請求項11に記載のコーティング物品。
【請求項13】
前記金属層の合計厚さが18ナノメートル以下である、請求項12に記載のコーティング物品。
【請求項14】
前記金属層の少なくとも1つが金属銀を含む、請求項11から13までのいずれか一項に記載のコーティング物品。
【請求項15】
コーティング物品を作製する方法であって、
基材を用意するステップ;並びに
前記基材の少なくとも一部分の上に機能性コーティングを適用するステップであって、
前記基材の少なくとも一部分の上に第1の誘電層を形成すること;
前記第1の誘電層の少なくとも一部分の上に第1の金属層を形成すること;
前記第1の金属層の少なくとも一部分の上に第1のプライマー層を形成すること;
前記第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に第2の誘電層を形成すること;
前記第2の誘電層の少なくとも一部分の上に第2の金属層を形成すること;
前記第2の金属層の少なくとも一部分の上に第2のプライマー層を形成すること;及び
前記第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に第3の誘電層を形成すること
を含むステップ
を含み、
前記金属層の合計厚さが、少なくとも10ナノメートル且つ30ナノメートル以下であり、
RgL
*値が、少なくとも35且つ55以下である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、その開示が参照により援用される2020年2月14日に出願された米国仮特許出願第62/976,645号及び2019年3月28日に出願された米国仮特許出願第62/825,326号への優先権を有し、これを主張する。
【0002】
本発明は、一般に、車両の透明材、例えば、車両のフロントガラス及び特定の一実施例では、高い可視光反射率及び無彩色を有するフロントガラスに関する。
【背景技術】
【0003】
技術的考察
自動車市場において、車両のスタイリングに非常に重点がおかれている。車両の販売のために、車両の見た目は、車両の機械的信頼性又は安全性等級と同じくらい重要であり得る。したがって、自動車製造業者は車両のスタイリングを強化するために多大な努力を行ってきた。これらのスタイリング強化は、消費者により多くの色の選択肢を提供すること、及びまた「フォトクロミック効果」を有する車両を提供する金属フレークを有する色を提供することを含む。
【0004】
これらのスタイリング強化は、一般に、消費者に好意的に受け取られており、今日までの問題は、新しい車両の塗装仕上げを用いた場合でさえ、自動車の透明材(例えばこれらに限定されないが、フロントガラス、サイドライト、バックライト、ムーンルーフ及びサンルーフ)が概してグレー又は無彩色のままであることである。これらの従来の透明材は、日射調整特性は提供するものの、車両のスタイリングの強化はほとんど提供しない。
【0005】
非自動車分野において、基材とコーティングとの間の干渉効果によって色が生じるコーティング物品をもたらすことが公知である。当業者であれば認識する通り、「干渉効果」という用語は、電磁放射線(例えば、可視光)の波の重ね合わせによって引き起こされる、距離又は時間に伴う電磁波の振幅の変動を指す。これらの波は、光学薄膜コーティングの1つ又は複数の層の境界面における反射又は透過の結果であり得る。例えば、米国特許第6,164,777号は、異なる屈折率の交互材料で作製された干渉コーティングを有するプラスチックコンタクトレンズを開示している。米国特許第5,923,471号は、ジルコニア及びシリカの交互層を有する加熱ランプ用の「ホットミラー」を開示している。米国特許出願公開第2003/0031842A1号は、1つ又は複数の概して透明な薄膜コーティング間の視覚的に観察可能なコントラストによってもたらされるパターン付きの外見を有する物品を開示している。干渉コーティング及びコーティング物品の他の例は、米国特許第5,619,059号;同第4,902,581号;及び同第5,112,693号;並びにスイス国特許第339575号に開示されている。
【0006】
これらの開示されたコーティングはそれらが意図される目的に好適であるものの、干渉コーティングを自動車透明材に組み込もうとする際、多数の他の考慮事項が対処されなくてはならない。例えば、米国において、政府規制は、すべてのフロントガラスが少なくとも70%の視感(可視光)透過率(LTA:luminous light transmittance)を有しなくてはならないと要請している。欧州において、必要な最小LTAは75%である。干渉コーティングの存在は透明材の光透過率に悪影響を及ぼし得る。
【0007】
審美的に満足のいくものであり、車両のスタイリングを強化するために使用できる自動車透明材を作製する方法を提供することが有利であると考えられる。カラーコーディネート又は透明材の色を車両の塗装色と一致させる機会を提供する自動車透明材を提供することもまた有利であると考えられる。そのような透明材が自動車透明材の指定される政府要件も満たす場合、さらに有利であると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,164,777号
【特許文献2】米国特許第5,923,471号
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0031842A1号
【特許文献4】米国特許第5,619,059号
【特許文献5】米国特許第4,902,581号
【特許文献6】米国特許第5,112,693号
【特許文献7】スイス国特許第339575号
【特許文献8】米国特許第4,466,562号
【特許文献9】米国特許第第4,671,155号
【特許文献10】米国特許第4,746,347号
【特許文献11】米国特許第4,792,536号
【特許文献12】米国特許第5,030,593号
【特許文献13】米国特許第5,030,594号
【特許文献14】米国特許第5,240,886号
【特許文献15】米国特許第5,385,872号
【特許文献16】米国特許第5,393,593号
【特許文献17】米国特許第4,287,107号
【特許文献18】米国特許第3,762,988号
【特許文献19】米国特許第5,796,055号
【特許文献20】米国特許第5,653,903号
【特許文献21】米国特許第5,028,759号
【特許文献22】米国特許第4,898,789号
【特許文献23】米国特許第5,821,001号
【特許文献24】米国特許第4,716,086号
【特許文献25】米国特許第4,610,771号
【特許文献26】米国特許第4,902,580号
【特許文献27】米国特許第4,806,220号
【特許文献28】米国特許第4,898,790号
【特許文献29】米国特許第4,834,857号
【特許文献30】米国特許第4,948,677号
【特許文献31】米国特許第5,059,295号
【特許文献32】米国特許出願公開第09/058440号
【特許文献33】米国特許第4,379,040号
【特許文献34】米国特許第4,861,669号
【特許文献35】米国特許第4,900,633号
【特許文献36】米国特許第4,920,006号
【特許文献37】米国特許第4,938,857号
【特許文献38】米国特許第5,328,768号
【特許文献39】米国特許第5,492,750号
【特許文献40】米国特許第5,792,559号
【特許文献41】米国特許出願第10/007,382号
【特許文献42】米国特許出願第10/133,805号
【特許文献43】米国特許出願第10/397,001号
【特許文献44】米国特許出願第10/422,095号
【特許文献45】米国特許出願第10/422,096号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、コーティング物品に関する。コーティング物品は、基材、及び基材の上に機能性コーティングを有する。コーティングは、基材の少なくとも一部分の上に配置された第1の誘電層を有する。第1の金属層が、第1の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第1のプライマー層が、第1の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の誘電層が、第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の金属層が、第2の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第2のプライマー層が、第2の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の誘電層が、第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。任意選択の最外側保護コーティングが、第3の誘電層又は機能性コーティングの少なくとも一部分の上に配置される。コーティング物品は、少なくとも35且つ55以下のRgL*値を有する。
【0010】
別の実施例では、本発明は、コーティング物品に関する。コーティング物品は、基材、及び基材の上に機能性コーティングを有する。コーティングは、基材の少なくとも一部分の上に配置された第1の誘電層を有する。第1の金属層が、第1の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第1のプライマー層が、第1の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の誘電層が、第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。第2の金属層が、第2の誘電層の少なくとも一部分の上に配置される。第2のプライマー層が、第2の金属層の少なくとも一部分の上に配置される。第3の誘電層が、第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に配置される。任意選択の最外側保護コーティングが、第3の誘電層又は機能性コーティングの少なくとも一部分の上に配置される。金属層の合計厚さは、少なくとも10nm且つ30nm以下である。
【0011】
本発明を、全体を通して同様の参照番号が同様の部品を示す以下の図面を参照して記載する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、非限定的なフロントガラスの横断面図(縮尺なし)である。
【
図2】
図2は、本発明による非限定的なコーティングの横断面図(縮尺なし)である。
【
図3】
図3は、本発明による非限定的なコーティングの横断面図(縮尺なし)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書で使用される場合、空間又は方向を示す用語、例えば、「左」、「右」、「内側」、「外側」、「上」、「下」などは、それが図面に示される通りに本発明に関する。しかしながら、本発明は種々の代替の向きを想定することができ、したがって、そのような用語は限定とはみなされないことが理解される。さらに、本明細書で使用される場合、本明細書及び特許請求の範囲で使用される寸法、物理特性、処理パラメーター、成分の量、反応条件などを示すすべての数は、すべての場合において用語「約」で修飾されていると理解される。したがって、逆のことが示されない限り、以下の明細書及び特許請求の範囲で示される数値は、本発明によって得ようとする所望の特性に応じて変動し得る。少なくとも、均等論の適用を特許請求の範囲に限定しようとすることなく、各数値は、少なくとも報告された有効桁の数に照らし、通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。さらに、本明細書で開示されるすべての範囲は、範囲の開始値及び終了値、並びに範囲に包含される任意且つすべての部分範囲を包含することが理解される。例えば、「1~10」の述べられた範囲は、最小値1及び最大値10の間(及びそれを含む)任意且つすべての部分範囲、つまり、最小値1以上で開始し、最大値10以下で終了するすべての部分範囲、例えば、1~3.3、4.7~7.5、5.5~10などを含むとみなされるべきである。さらに、本明細書で使用される場合、「上に形成された」、「上に堆積された」又は「上に設けられた」という用語は、表面に形成、堆積又は設けられていることを意味するが、必ずしも表面と接触しているとは限らない。例えば、基材の「上に形成された」コーティング層は、形成されたコーティング層と基材との間に位置する同じ又は異なる組成物の1つ又は複数の他のコーティング層又は膜の存在を除外しない。本明細書で使用される場合、「ポリマー」又は「高分子」という用語は、オリゴマー、ホモポリマー、コポリマー及びターポリマー、例えば、2種以上のモノマー又はポリマーから形成されたポリマーを含む。「可視領域」又は「可視光」という用語は、380ナノメートル(nm)~800nmの範囲の波長を有する電磁放射線を指す。「赤外領域」又は「赤外線」という用語は、800nm超~100,000nmの範囲の波長を有する電磁放射線を指す。「紫外領域」又は「紫外線」という用語は、300nm~380nm未満の範囲の波長を有する電磁エネルギーを意味する。本明細書における可視(視感)透過率(LTA)値(Y、x、y)は、Perkin-Elmerから市販されているLambda 9分光光度計又はBYK-Gardnerから市販されているTCS分光光度計を使用して380nm~770nmの波長範囲にわたって、2度オブザーバーと共にC.I.E.(1976)標準光源「A」を使用して(米国連邦基準と一致して)決定可能なものである。反射色値L*、a*、b*(R1又はR2のいずれか)は、10°オブザーバーと共に光源「D65」(自動車分野で慣用される通り)を使用して決定した。
【0014】
本明細書で使用される場合、「膜」という用語は、所望の又は選択されたコーティング組成物のコーティング領域を指す。「層」は1つ又は複数の「膜」を含み得、「コーティング」又は「コーティングスタック」は1つ又は複数の「層」を含み得る。ケイ素は慣用的には金属とみなされないことがあるが、「金属」及び「金属酸化物」という用語は、それぞれケイ素及びシリカ、並びに伝統的に認識される金属及び金属酸化物を含む。反対のことが示されない限り、厚さ値は幾何学的厚さ値である。さらに、これらに限定されないが本明細書で言及される発行済特許及び特許出願などのすべての文献は、それらの全体が「参照により援用される」とみなされる。
【0015】
本発明の議論は、特定の特徴を「特に」又は「好ましくは」特定の限定内(例えば、「好ましくは」、「より好ましくは」又は「最も好ましくは」特定の限定内)であるとして記載することがある。本発明は、これらの特定の又は好ましい限定に限定されず、本開示の全範囲を包含することが理解される。
【0016】
本発明の特徴を組み込む非限定的透明材10(例えば、自動車フロントガラス)が、
図1に示される。透明材10は、任意の所望の可視光、赤外線又は紫外線透過及び反射を有し得る。例えば、透明材10は、任意の所望量、例えば、0%超~100%、70%超の可視光透過を有し得る。米国においてフロントガラス及びフロントサイドライト領域について、可視光透過は、典型的には70%以上である。後部座席サイドライト及びリアウインドウなどのプライバシー領域について、可視光透過は、フロントガラスについてのものよりも低く、例えば70%未満であり得る。
【0017】
図1に見られる通り、透明材10は、車両外部に面する第1の主表面、すなわち外側主表面14(No.1表面)及び反対側の第2の又は内側主表面16(No.2表面)を有する第1のプライ又は第1の基材12を含む。透明材10はまた、外側(第1の)主表面22(No.4表面)及び内側(第2の)主表面20(No.3表面)を有する第2のプライ又は第2の基材18含む。プライ表面のこの付番は、自動車分野における慣例をふまえている。第1及び第2のプライ12、18は、従来の中間層24によるなどの任意の好適な方法で一緒に結合され得る。必須ではないが、任意の所望の方法での積層の間及び/又は後に、積層された透明材10の周囲に従来の端部シーラントを適用することができる。装飾バンド、例えば、不透明、半透明又は着色シェードバンド26、例えばセラミックバンドを、プライ12、18の少なくとも一方の表面に、例えば、第1のプライ12の内側主表面16の周囲に設けることができる。コーティング30は、プライ12、18の1つの少なくとも一部分の上に、例えば、No.2表面16又はNo.3表面20の上に形成することができる。
【0018】
図1に示される非限定的な実施例では、バスバーアセンブリは、外側プライ12の内側表面16に形成され、バスバーによってバスバー距離に分離された第1の又は下部バスバー96及び第2の又は上部バスバー98を含む。バスバー96、98は、コーティング30と電気接触している。本発明の非限定的な一実施例では、バスバー96、98は、
図1に示される通り、少なくとも部分的に又は完全に装飾バンド26に配置され得る。
【0019】
本発明の広範な実施では、透明材10のプライ12、18は、同じ又は異なる材料のものであり得る。プライ12、18は、任意の所望の特性を有する任意の所望の材料を含み得る。例えば、プライ12、18の1つ又は複数は、可視光に対して透明又は半透明であり得る。「透明」とは、0%超~100%の可視光透過率を有することを意味する。或いは、1つ又は複数のプライ12、18は、半透明であり得る。「半透明」とは、見ている人の反対側にある対象物がはっきりとは見えないように、電磁エネルギー(例えば、可視光)を拡散させるほか、このエネルギーを通過させることを可能にすることを意味する。好適な材料の例としては、これらに限定されないが、プラスチック基材(例えば、ポリアクリレートなどのアクリルポリマー;ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレートなどのポリアルキルメタクリレート;ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethyleneterephthalate)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアルキルテレフタレート;ポリシロキサン含有ポリマー;又はこれらを調製するための任意のモノマーのコポリマー、又はその任意の混合物);セラミック基材;ガラス基材;又は上記のうち任意のものの混合物若しくは組合せが挙げられる。例えば、プライ12、18の1つ又は複数は、従来のソーダ石灰珪酸塩ガラス、ホウケイ酸ガラス又は加鉛ガラスを含み得る。ガラスはクリアガラスであってもよい。「クリアガラス」とは、非ティンテッドガラス又は非着色ガラスを意味する。或いは、ガラスは、ティンテッド又はそうでなければ着色ガラスであってもよい。ガラスは、アニールガラス又は熱処理ガラスであってもよい。本明細書で使用される場合、「熱処理」という用語は、強化又は少なくとも部分的に強化されたことを意味する。ガラスは、従来のフロートガラスなどの任意の種類のものであってもよく、任意の光学特性、例えば、任意の値の可視透過、紫外透過、赤外透過及び/又は全太陽エネルギー透過を有する任意の組成物であってもよい。「フロートガラス」とは、溶融ガラスが溶融金属浴上に堆積され、制御冷却されて、フロートガラスリボンが形成される従来のフロート法によって形成されたガラスを意味する。次いでリボンは、所望の場合、切断及び/又は成形及び/又は熱処理される。フロートガラス法の例は、米国特許第4,466,562号及び第4,671,155号に開示されている。第1及び第2のプライ12、18は、例えば、クリアフロートガラスであってもよく、又はティンテッド若しくは着色ガラスであってもよく、又は1つのプライ12、18がクリアガラスであり、他方のプライ12、18が着色ガラスであってもよい。本発明に限定されないが、第1のプライ12及び/又は第2のプライ18に好適なガラスの例は、米国特許第4,746,347号;同第4,792,536号;同第5,030,593号;同第5,030,594号;同第5,240,886号;同第5,385,872号;及び同第5,393,593号に記載されている。第1及び第2のプライ12、18は、任意の所望の寸法、例えば、長さ、幅、形状又は厚さであってもよい。1つの例示的な自動車透明材10において、第1及び第2のプライ12、18は、各々、1mm~10mm厚、例えば、1mm~5mm厚、又は1.5mm~2.5mm、又は1.8mm~2.3mmであり得る。非限定的な一実施例では、第1のプライ12及び/又は第2のプライ18は、550nmの基準波長において90%超、例えば91%超の可視光透過率を有し得る。第1のプライ12及び/又は第2のプライ18のためのガラス組成物は、0重量パーセント(wt%)超~0.2wt%の範囲の総鉄含有量及び/又は0.3~0.6の範囲のレドックス比を有し得る。
【0020】
非限定的な一実施例では、一方又は両方のプライ12、18は、550nmの基準波長において高い可視光透過率を有し得る。「高い可視光透過率」とは、2mm~25mmシート厚さのガラスについて5.5mm等価厚さで、85%以上、例えば87%以上、例えば90%以上、例えば91%以上、例えば92%以上の550nmにおける可視光透過率を意味する。本発明の実施に特に有用なガラスは、米国特許第5,030,593号及び同第5,030,594号に開示されている。
【0021】
中間層24は、任意の所望の材料のものであってもよく、1つ又は複数の層又はプライを含んでもよい。中間層24は、高分子又はプラスチック材料、例えば、ポリビニルブチラール(PVB:polyvinylbutyral)、可塑化塩化ポリビニル又はポリエチレンテレフタレートを含む多層熱可塑性材料などであり得る。好適な中間層材料は、限定とはみなされないが、例えば、米国特許第4,287,107号及び同第3,762,988号に開示されている。中間層24はまた、例えば米国特許第5,796,055号に記載の通りの吸音又は消音材料であってもよい。中間層24は、その上に設けられた若しくはその中に組み込まれた日射調整コーティングを有してもよく、又は太陽エネルギー透過を低減する着色材料を含んでもよい。
【0022】
コーティング30は、ガラスプライ12、18の1つの主表面の少なくとも一部分の上、例えば、表側ガラスプライ12の内側表面16又は内部ガラスプライ18の内側表面20に堆積される(
図1)。コーティング30は、ガラスプライ12、18の1つの少なくとも一部分の上に順次適用された誘電層間に配置された2つの金属膜を含み得る。コーティング30は、熱及び/若しくは放射線反射コーティング又は日射調整コーティングであってもよく、同じ又は異なる組成物及び/又は機能性の1つ又は複数のコーティング層又はフィルムを有してもよい。コーティング30は、2つの金属層を含む多層コーティングであってもよい。加熱可能なウィンドウを作製するために使用される電気伝導性コーティングの例は、米国特許第5,653,903号及び同第5,028,759号に開示されている。本発明の実施に使用できる日射調整コーティングの例は、米国特許第4,898,789号;同第5,821,001号;同第4,716,086号;同第4,610,771号;同第4,902,580号;同第4,716,086号;同第4,806,220号;同第4,898,790号;同第4,834,857号;同第4,948,677号;同第5,059,295号;及び同第5,028,759号、並びにまた米国特許出願公開第09/058440号に見出される。
【0023】
好適なコーティング30の非限定例としては、典型的には、可視光に対して透明である誘電又は反射防止材料、例えば、金属酸化物又は金属合金の酸化物を含む1つ又は複数の反射防止コーティング膜が挙げられる。コーティング30はまた、反射金属、例えば、銀若しくは金などの貴金属、又はその合金、混合物若しくは組合せを含む2つの金属層を含んでもよく、金属反射層の上及び/又は場合により下に位置する、当技術分野で公知の通りのチタン又はチタンアルミニウム合金などのプライマー層又はバリア膜をさらに含んでもよい。コーティング30は、1つの金属層を有してもよく;又は少なくとも2つの金属層を有してもよい。例えば、コーティング30は、2つの金属層からなる。非限定的な一実施例では、金属層の1つ又は複数は、銀を含み得る。
【0024】
プライマー層に好適な材料の非限定例としては、亜鉛、アルミニウム、バナジウム、タングステン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、マンガン、クロム、スズ、ニッケル、ゲルマニウム、マグネシウム、モリブデン、銀、ケイ素炭素、アルミニウムドープ銀、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、タングステンタンタル、チタンニオブ、ジルコニウムニオブ、タングステンニオブ、アルミニウムニオブ、アルミニウムチタン、タングステンチタン、タンタルチタン、亜鉛チタン、アルミニウム銀、亜鉛スズ、インジウム亜鉛、銀亜鉛、その混合物、その組合せ又はその任意の合金が挙げられる。プライマー層はまた、上記リストの材料の任意のものの金属、酸化物、亜酸化物、窒化物及び/又は亜窒化物の形態をとってもよい。プライマー層の少なくとも一部分は、酸化物又は窒化物である。ある特定の実施例では、プライマー層は、100%アルゴン環境で堆積される。ある特定の実施例では、プライマー層の一部分は、残部がアルゴンである80%N2の雰囲気を形成する特定の流速を有する窒素(N2)雰囲気中、金属又は金属合金をスパッタリングすることによって形成された窒化物である。流速は雰囲気中のN2の量の近似値であるが、当業者であれば、コーティングチャンバーが外部環境から密閉されていないため、さらなるN2がコーティングチャンバーに入り込むことがあることを認識するであろう。ある特定の実施例では、プライマー層の一部分は、残部がアルゴンである3~7%O2の雰囲気を形成する特定の流速を有する酸素(O2)雰囲気中、金属又は金属合金をスパッタリングすることによって形成された亜酸化物である。流速は雰囲気中の酸素(O2)の量の近似値であるが、当業者であれば、コーティングチャンバーが外部環境から密閉されていないため、さらなるO2がコーティングチャンバーに入り込むことがあることを認識するであろう。プライマー材料の化学構造は、構成成分xの重量パーセント(wt%)によって示される。特定の組成物について、組成物中の材料の1種の下限は「0超」であり得る。下限がゼロ超(>0)である場合、材料のwt%はゼロには等しくなく、0超の任意のwt%~上限のwt%であり得る。組成物は、大気物質との反応に起因して、層が加熱される前又は後で変化し得る。これらの反応は、組成物の材料間に分布するwt%を変化させ得る。プライマー層の非限定例の組成物は、表1に見ることができ、表中、加熱前がBH、加熱後がAHである。一部の材料は、測定値が最終組成物についてより重要であることに起因して、BH又はAH測定値のみをただ有し得る。
【0025】
【0026】
コーティング30は、任意の従来の方法、例えばこれらに限定されないが、従来の化学蒸着(CVD:chemical vapor deposition)及び/又は物理蒸着(PVD:physical vapor deposition)法によって堆積できる。CVD法の例としては、噴霧熱分解が挙げられる。PVD法の例としては、電子ビーム蒸着及び真空スパッタリング(例えば、マグネトロンスパッター蒸着(MSVD:magnetron sputter vapor deposition))が挙げられる。他のコーティング方法、例えばこれに限定されないが、ゾルゲル堆積もまた使用できる。非限定的な一実施例では、コーティング30は、MSVDによって堆積され得る。MSVDコーティングデバイス及び方法の例は、当業者に十分理解され、例えば、米国特許第4,379,040号;同第4,861,669号;同第4,898,789号;同第4,898,790号;同第4,900,633号;同第4,920,006号;同第4,938,857号;同第5,328,768号;及び同第5,492,750号に記載されている。MSVD法において、金属又は金属合金の酸化物は、酸素含有雰囲気中、カソードを含有する金属又は金属合金をスパッタリングして、金属酸化物又は金属合金酸化物膜を基材の表面に堆積することによって堆積できる。一実施例では、コーティング30は、表面のすべて又は実質的にすべての上に堆積され、すなわち、別個のコーティング領域を形成するようには堆積されない。少なくとも1つのコーティング30は、平坦基材の上に堆積でき、次いで、基材は、任意の従来の方法、例えば加熱によって湾曲又は成形できる。或いは、少なくとも1つのコーティング30は、曲面、すなわち、既に湾曲又は成形された基材の上に堆積できる。
【0027】
本発明は、8%~50%、好ましくは8%~30%、より好ましくは8%~20%、最も好ましくは9%~18%の範囲の可視光反射率、及び無彩色を生じる35~55、好ましくは42~54、より好ましくは46~53又は最も好ましくは50~52のRgL*を提供するのに十分な厚さの総銀を有するコーティングスタックを対象とする。
【0028】
本発明の非限定的な一実施では、コーティングは、50%以下、例えば、30%以下、例えば20%以下、例えば18%以下の可視光反射率を提供する。当業者であれば認識する通り、積層物品について、反射率は、典型的には、積層物品の外部反射率に関して定義される。「外部反射率」とは、内部表面、例えば、No.2表面16又はNo.3表面20に設けられたコーティングは30による外部表面(No.1表面14)の反射率を意味する。
【0029】
本発明の非限定的な一実施では、コーティング30は、35~55、好ましくは40~54、より好ましくは46~53又は最も好ましくは50~52の範囲を有する8度角における外部反射L*(Rg8L*)を提供する。本発明の非限定的な一実施では、コーティング30は、0~-10の範囲、例えば、-1~-8、好ましくは-1.2~-7.0、より好ましくは-1.5~-6.8又は最も好ましくは-1.7~-5.0の範囲の8度角におけるa*(Rg8a*)を有する色空間内の外部反射色を提供する。本発明の非限定的な一実施では、コーティング30は、1~-20の範囲、例えば、0~-19、好ましくは-2.0~-10、より好ましくは-10~-20又は最も好ましくは-15~-19の範囲の8度角における外反射b*(Rg8b*)を提供する。
【0030】
当業者であれば認識する通り、物体、特にガラスの色は、非常に主観的である。観察色は、照明条件及び観察者の選好に依存する。定量基準で色を評価するために、いくつかの色票系が開発されている。国際照明委員会(CIE:International Commission on Illumination)によって採用される色を特定するためのそのような一方法は、主波長(DW:dominant wavelength)及び刺激純度(Pe:excitation purity)を使用する。所与の色についてのこれらの2つの規格の数値は、その色のいわゆる3刺激値X、Y、Zから色座標x及びyを計算することによって決定できる。次いで色座標は、1931 CIE色度図にプロットされ、CIE公開No.15.2において特定される通りのCIE標準光源Cの座標と数値比較される。この比較により、図中の色空間位置が提供されて、ガラス色の刺激純度及び主波長が確認される。
【0031】
別の色票系では、色相及び明度の点で色が特定される。この系は、一般にCIELAB色系と呼ばれる。色相は、赤、黄、緑及び青などの色を識別する。明度又は明暗度は、明度又は暗度の程度を識別する。L*、a*及びb*として特定されるこれらの特性の数値は、3刺激値(X、Y、Z)から計算される。L*は、色の明度又は暗度を示し、色が属する明度平面を表す。a*は、赤(+a*)緑(-a*)色軸の色の位置を示す。b*は、黄(+b*)青(-b*)色軸の色の位置を示す。CIELAB系の直交座標が円柱状極座標に変換される場合、得られる色系はCIELCH色系として公知であり、これは、明度(L*)及び色相角(H°)及びクロマ(C*)の点で色を特定する。L*は、CIELAB系と同様に色の明度又は暗度を示す。クロマ、又は彩度若しくは強度は、色強度又は鮮度(すなわち、鮮やか対くすみ)を識別し、色空間の中心から測定色までのベクトル距離である。色のクロマが低いほど、すなわち、その強度が低いほど、色はいわゆる無彩色に近くなる。CIELAB系に関して、C*=(a*2+b*2)1/2である。色相角は、赤、黄、緑及び青などの色を識別し、a*、b*座標からCIELCH色空間の中心を通って延びるベクトルの、赤(+a*)色軸から反時計回りに測定した角度の測定値である。
【0032】
色はこれらの色系の任意のもので特性決定されてもよく、当業者は、検討されるガラス又は複合透明材の透過率曲線から等価なDW及びPe値;L*、a*、b*値;並びにL*、C*、H°値を計算し得ることが認識されるべきである。色の計算の詳細な議論は、米国特許第5,792,559号に示されている。本文書では、CIELAB系(L*a*b*)を使用して色を特性決定する。しかしながら、これは単に議論を容易にするためであり、開示される色は、上記のものなどの任意の従来の系によって定義され得ることが理解される。
【0033】
本発明に好適な非限定的な例示のコーティング30が、
図2及び3に示される。この例示のコーティング30は、誘電層間に配置された2つの金属層を含む。これは、基材の主表面(例えば、第1のプライ12のNo.2表面16又は第2のプライ18のNo.3表面20)の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置された基層又は第1の誘電層40を含む。第1の金属層48が、第1の誘電層40の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置される。第1のプライマー層50が、第1の金属層48の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置される。第2の誘電層60が、第1のプライマー層50の上に又はこれと直接接触して配置される。第2の金属層70が、第2の誘電層60の少なくとも一部分の上に又はこれと直接接触して配置される。第2のプライマー層72が、第2の金属層70の上に又はこれと直接接触して配置されてもよい。第3の誘電層80が、第2のプライマー層72の上に又はこれと直接接触して配置される。最外側保護層100が、第3の誘電層80の上に又はこれと直接接触して配置されてもよい。
【0034】
誘電層は、反射防止材料及び/又は誘電材料、例えばこれらに限定されないが、金属酸化物、金属合金の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物の1つ又は複数の膜を含み得る。第1の誘電層40は、可視光に対して透明であり得る。第1の誘電層40に好適な金属酸化物の例としては、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、マグネシウム、ガリウム、バナジウム、アルミニウム、ケイ素、その合金、その混合物又はその組合せの酸化物が挙げられる。これらの金属酸化物は、少量の他の材料、例えば、酸化ビスマス中のマンガン、酸化インジウム中のスズなどを有し得る。或いは、酸化物又は金属合金又は金属混合物、例えば、亜鉛及びスズを含有する酸化物(例えば、スズ酸亜鉛);インジウム-スズ合金の酸化物;窒化ケイ素;窒化アルミニウムケイ素;又は窒化アルミニウムを使用できる。さらに、ドープ金属酸化物、例えば、アルミニウムドープ酸化亜鉛、アンチモンドープ酸化スズ、ニッケル又はホウ素ドープ酸化ケイ素、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化スズ又はその混合物を使用できる。非限定的な一実施例では、第1の誘電層の第1の膜42は、基材(例えば、第1のプライ12のNo.2表面16又は第2のプライ18のNo.3表面20)の少なくとも一部分の上に形成された亜鉛/スズ合金酸化物であり得る。亜鉛/スズ合金酸化物は、亜鉛及びスズを亜鉛10wt%~90wt%及びスズ90wt%~10wt%の割合で含み得る亜鉛及びスズのカソードからのMSVDから得ることができる。第1の誘電層の第1の膜42中に存在し得る1種の好適な金属合金酸化物は、スズ酸亜鉛である。「スズ酸亜鉛」とは、ZnxSn1-xO2-x(式1)(式中、「x」は0超~1未満の範囲で変動する)の組成物を意味する。例えば、「x」は、0超であり得、0超~1未満の任意の分率又は小数であり得る。例えば、x=2/3の場合、式1は、Zn2/3Sn1/3O4/3であり、これはより一般的にはZn2SnO4と記載される。スズ酸亜鉛含有膜は、膜中に大量の式1の形態の1種又は複数を有する。
【0035】
第1の誘電層の第2の膜44は、第1の誘電層の第1の膜42の少なくとも一部分の上に形成され、酸化亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ、その混合物又は組合せを含み得る。非限定的な一実施例では、第1の誘電層の第2の膜44は、酸化亜鉛などの亜鉛含有膜であり得る。酸化亜鉛膜は、カソードのスパッタリング特性を改善するための他の材料を含む亜鉛カソードから堆積できる。例えば、亜鉛カソードは、スパッタリングを改善するための少量(例えば、10wt%未満、例えば0超~5wt%)のスズを含み得る。この場合、得られた酸化亜鉛膜は、少パーセンテージの酸化スズ、例えば、0~10wt%未満の酸化スズ、例えば0~5wt%の酸化スズを含むと考えられる。95wt%の亜鉛及び5wt%のスズ、又は好ましくは90wt%の亜鉛及び10wt%のスズを含む亜鉛/スズカソードからスパッタリングされた酸化物層は、酸化亜鉛膜と呼ばれる。カソード中の少量のスズ(例えば、10wt%未満)は、第1の誘電層の主に酸化亜鉛を含有する第2の膜44中の少量の酸化スズを形成すると考えられる。
【0036】
非限定的な例示の実施例では、第2の膜44は、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズの少なくとも1種からなる膜である。アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ膜は、カソードのスパッタリング特性を改善するための他の材料を含む亜鉛カソードから堆積される。例えば、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ膜は、スパッタリングを改善するための少量(例えば、10wt%未満、例えば0超~5wt%)のスズを含み得る。この場合、得られたアルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ膜は、少パーセンテージの酸化スズ、例えば0wt%~10wt%未満の酸化スズ、例えば0wt%~5wt%の酸化スズを含むと考えられる。
【0037】
非限定的な一実施例は、第1の誘電層の第1の膜42がスズ酸亜鉛であり、第1の誘電層の第1の膜42の少なくとも一部分の上の第1の誘電層の第2の膜44が、酸化亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズを含むものである。
【0038】
第1の誘電層40は、10nm~55nm、好ましくは20nm~53nm、より好ましくは25nm~50nm、最も好ましくは29nm~48nmの範囲の総厚さを有し得る。
【0039】
非限定的な一実施例では、第1の誘電層40は、図面に示されていない、第1の金属層48と直接接触した第1のシード膜を含む。シード膜は、アルミニウム、アルミニウム銀、アルミニウム亜鉛、亜鉛、亜鉛スズ、ゲルマニウム、ニッケル、マグネシウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、インジウム亜鉛、バナジウム亜鉛、ガリウム亜鉛、インジウムスズ、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、アルミニウムドープ銀、銀、銀亜鉛、チタンアルミニウム、その合金、その混合物、その酸化物、その亜酸化物、その窒化物、その亜窒化物又はその組合せを含み得る。非限定的な一実施例では、シード膜は、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、亜鉛、銀亜鉛、その金属、その合金、その酸化物又はその亜酸化物を含み得る。別の実施例では、シード膜は、ガリウム亜鉛、インジウム亜鉛、インジウムスズ、その金属、その合金、その酸化物又はその亜酸化物を含み得る。シード膜の非限定例の組成物は、表2に見出すことができる。ある特定の実施例では、シード膜の一部分は、残部がアルゴンである1%~70%O2の雰囲気を形成する特定の流速を有するO2雰囲気中で形成される。流速は雰囲気中のO2の量の近似値であるが、当業者であれば、コーティングチャンバーが外部環境から密閉されていないため、さらなるO2がコーティングチャンバーに入り込むことがあることを認識するであろう。一実施例では、シード膜は、VxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、シード膜は、AlxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、シード膜は、GaxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、シード膜は、InxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、シード膜は、SnxIn1-x酸化物を含む。別の実施例では、シード膜は、酸素/アルゴンガス環境中で堆積されたAgを含む。別の実施例では、シード膜は、AlxAg1-xを含む。非限定的な一実施例では、第1の誘電層の第2の膜44は、シード膜である。一部の実施例では、第1の誘電層40は、第1の膜42、第2の膜44及びシード膜を含む。シード膜は、0.5nm~10nm、好ましくは0.75nm~8nm、より好ましくは0.9nm~6nmの範囲の総厚さを有し得る。
【0040】
【0041】
第1の金属層48は、第1の誘電層40の少なくとも一部分の上に堆積され得る。第1の金属層48は、反射金属、例えばこれらに限定されないが、金属金、銀、その混合物、その合金又はその組合せを含み得る。一実施例では、第1の金属層48は、金属銀層を含む。第1の金属層48は、5nm~20nm、好ましくは7.5nm~15nm、より好ましくは9nm~14nm、最も好ましくは9.7~13.3nmの範囲の総厚さを有し得る。
【0042】
第1のプライマー層50は、第1の金属層48の少なくとも一部分の上に堆積され得る。第1のプライマー層50は、堆積工程の間、犠牲となって、スパッタリング工程又は後続の加熱工程の間の第1の金属層48の分解又は酸化を防ぎ得る酸素捕捉材料、例えばチタンであり得る。酸素捕捉材料は、第1の金属層48の材料の前に酸化するように選択できる。プライマー層に好適な材料の例としては、亜鉛、アルミニウム、バナジウム、タングステン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、マンガン、クロム、スズ、ニッケル、ゲルマニウム、マグネシウム、モリブデン、銀、ケイ素、炭素、アルミニウムドープ銀、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、タングステンタンタル、チタンニオブ、ジルコニウムニオブ、タングステンニオブ、アルミニウムニオブ、アルミニウムチタン、タングステンチタン、タンタルチタン、亜鉛チタン、アルミニウム銀、亜鉛スズ、インジウム亜鉛、銀亜鉛、その混合物、その組合せ又はその任意の合金が挙げられ、ここで、プライマーは、金属として堆積され、続いて酸化される。第1のプライマー層50に好適な材料の例は、表1に見出すことができる。プライマー層の少なくとも一部分は、窒化物又は酸化物である。銀亜鉛、亜鉛、銀亜鉛酸化物、チタン、アルミニウム亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物、ガリウム亜鉛酸化物又はバナジウム亜鉛酸化物が第1のプライマー層50として使用される場合、これは、好ましくは、下にある金属層の酸化の前に酸化すると考えられる。一実施例では、第1のプライマー層50は、チタンである。別の実施例では、第1のプライマー層50は、銀亜鉛を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、亜鉛を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、AgxZn1-xを含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、AgxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、AlxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、InxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、GaxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、VxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、AlxTi1-x酸化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、AlxNb1-x酸化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、AlxNb1-x窒化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、WxNb1-x窒化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、WxTi1-x酸化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、TixTa1-x酸化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、TixNb1-x酸化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、TixNb1-x窒化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、NbxZr1-x酸化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、TaxW1-x酸化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、WxNb1-x酸化物を含む。別の実施例では、第1のプライマー層50は、ZnxTi1-x酸化物を含む。第1のプライマー層50は、0.5nm~10nm、好ましくは1.0nm~5.0nm、より好ましくは1.0~2.5nmの範囲の総厚さを有する。
【0043】
第2の誘電層60は、第1の金属層48又は任意選択の第1のプライマー層50の少なくとも一部分の上に堆積され得る。第2の誘電層60は、第1の誘電層に関して上で議論した1種又は複数の材料を含み得る。
図2の例示される非限定例では、第2の誘電層60は、第1の金属層48又は任意選択の第1のプライマー層50の上に堆積された第2の誘電層の第1の膜62を含む。第2の誘電層の第1の膜62は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、マグネシウム、ガリウム、バナジウム、アルミニウム、その合金、その混合物又はその組合せからなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含む。一実施例では、第2の誘電層の第1の膜62は、酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第2の誘電層の第1の膜62は、アルミニウムドープ酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第2の誘電層の第1の膜62は、インジウムドープ酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第2の誘電層の第1の膜62は、ガリウムドープ酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第2の誘電層の第1の膜62は、インジウムドープ酸化スズを含む。別の実施例では、第2の誘電層の第1の膜62は、バナジウムドープ酸化亜鉛を含む。
【0044】
第2の誘電層の第2の膜64は、第2誘電層の第1の膜62の少なくとも一部分の上に堆積され得る。第2の誘電層の第2の膜64は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、マグネシウム、ガリウム、バナジウム、アルミニウム、その合金、その混合物又はその組合せからなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含む。非限定的な一実施例では、第2の誘電層の第2のフィルム64は、スズ酸亜鉛である。
【0045】
第2の誘電層の第3の膜66は、第2の誘電層の第2の膜64の少なくとも一部分の上に堆積され得る。第2の誘電層の第3の膜66は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、マグネシウム、ガリウム、バナジウム、アルミニウム、その合金、その混合物又はその組合せからなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含み得る。第2の誘電層の第3の膜66は、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ又はその混合物を含み得る。一実施例では、第2の誘電層の第3の膜66は、酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第2の誘電層の第3の膜66は、インジウムドープ酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第2の誘電層の第3の膜66は、ガリウムドープ酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第2の誘電層の第3の膜66は、インジウムドープ酸化スズを含む。別の実施例では、第2の誘電層の第3の膜66は、バナジウムドープ酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第1の誘電層40又は第2の誘電層60は、窒化ケイ素膜を含む。
【0046】
非限定的な一実施例は、第2の誘電層の第1の膜62が酸化亜鉛を含み、第2の誘電層の第2の膜64がスズ酸亜鉛を含み、第2の誘電層の第2の膜44の少なくとも一部分の上の第2の誘電層の第3の膜66が、酸化亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズを含むものである。
【0047】
第2の誘電層60は、50nm~150nm、好ましくは75nm~125nm、より好ましくは90nm~110nm、最も好ましくは93nm~100nmの範囲の総厚さを有し得る。
【0048】
非限定的な一実施例では、第2の誘電層60は、第2の金属層70と直接接触して配置されたシード膜を含む。シード膜は、第1の誘電層のシード膜に関して及び表2で上で議論した1種又は複数の材料を含み得る。シード膜は、アルミニウム、アルミニウム銀、アルミニウム亜鉛、亜鉛、亜鉛スズ、ゲルマニウム、ニッケル、マグネシウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、インジウム亜鉛、バナジウム亜鉛、ガリウム亜鉛、インジウムスズ、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、アルミニウムドープ銀、銀、銀亜鉛、チタンアルミニウム、その合金、その混合物、その酸化物、その亜酸化物、その窒化物、その亜窒化物又はその組合せを含み得る。非限定的な一実施例では、シード膜は、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、亜鉛、銀亜鉛、その金属、その合金、その酸化物又はその亜酸化物を含み得る。別の実施例では、シード膜は、ガリウム亜鉛、インジウム亜鉛、インジウムスズ、その金属、その合金、その酸化物又はその亜酸化物を含み得る。一実施例では、シード膜は、VxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、シード膜は、AlxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、シード膜は、GaxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、シード膜は、InxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、シード膜は、SnxIn1-x酸化物を含む。別の実施例では、シード膜は、酸素/アルゴンガス環境中で堆積されたAgを含む。別の実施例では、シード膜は、AlxAg1-xを含む。一部の実施例では、第2の誘電層60は、第1の膜62、第2の膜64及びシード膜を有する。一部の実施例では、第2の誘電層60は、第1の膜62、第2の膜64、第3の膜66及びシード膜を有する。シード膜は、0.5nm~10nm、好ましくは0.75nm~8nm、より好ましくは0.9nm~6nmの範囲の総厚さを有し得る。
【0049】
第2の金属層70は、第2の誘電層60の少なくとも一部分の上に堆積され得る。第2の金属層70は、第1の金属層48に関して上記の任意の1種又は複数の反射材料を含み得る。非限定的な一実施例では、第2の金属層70は、銀を含む。第2の金属層70は、5nm~20nm、好ましくは5nm~15nm、より好ましくは7.5nm~12.5nm、最も好ましくは7.5nm~10.3nmの範囲の総厚さを有し得る。
【0050】
第2のプライマー層72は、第2の金属層70の少なくとも一部分の上に堆積され得る。第2のプライマー層72は、第1のプライマー層50に関して及び表1で上記の材料の任意のものであり得る。非限定的な一実施例では、第2のプライマー層72は、チタンを含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、銀亜鉛を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、亜鉛を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、AgxZn1-xを含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、AgxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、AlxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、InxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、GaxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、VxZn1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、AlxTi1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、AlxNb1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、AlxNb1-x窒化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、WxNb1-x窒化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、WxTi1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、TixTa1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、TixNb1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、TixNb1-x窒化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、NbxZr1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、TaxW1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、WxNb1-x酸化物を含む。別の実施例では、第2のプライマー層72は、ZnxTi1-x酸化物を含む。第2のプライマー層72は、0.5nm~10nm、好ましくは1.0nm~5nm、より好ましくは1.0nm~2.5nmの範囲の総厚さを有する。
【0051】
第3の誘電層80は、第2の金属層70又は第2のプライマー層72の少なくとも一部分の上に堆積され得る。第3の誘電層80はまた、第1及び第2の誘電層に関して上で議論した1種又は複数の材料を含み得る。非限定的な一実施例では、第3の誘電層80は、第3の誘電層の第1の膜82を含む。第3の誘電層の第1の膜82は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、マグネシウム、ガリウム、バナジウム、アルミニウム、その合金、その混合物又はその組合せからなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含む。一実施例では、第3の誘電層の第1の膜82は、酸化亜鉛を含む。別の非限定的な実施例では、第3の誘電層の第1の膜82は、スズ酸亜鉛を含む。別の実施例では、第3の誘電層の第1の膜82は、アルミニウムドープ酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第3の誘電層の第1の膜82は、インジウムドープ酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第3の誘電層の第1の膜82は、ガリウムドープ酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第3の誘電層の第1の膜82は、インジウムドープ酸化スズを含む。別の実施例では、第3の誘電層の第1の膜82は、バナジウムドープ酸化亜鉛を含む。
【0052】
第3の誘電層の第2の膜84は、第3の誘電層の第1の膜82の少なくとも一部分の上に堆積され得る。第3の誘電層の第2の膜84は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、マグネシウム、ガリウム、バナジウム、アルミニウム、その合金、その混合物又はその組合せからなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含む。第3の誘電層の第2の膜84は、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ又はその混合物を含み得る。一実施例では、第3の誘電層の第2の膜84は、酸化亜鉛を含む。一実施例では、第3の誘電層の第2の膜84は、スズ酸亜鉛を含む。別の実施例では、第3の誘電層の第2の膜84は、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素を含む。別の実施例では、第3の誘電層の第2の膜84は、インジウムドープ酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第3の誘電層の第2の膜84は、ガリウムドープ酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第3の誘電層の第2の膜84は、インジウムドープ酸化スズを含む。別の実施例では、第3の誘電層の第2の膜84は、バナジウムドープ酸化亜鉛を含む。
【0053】
第3の誘電層の任意選択の第3の膜は、第3の誘電層の第2の膜84の少なくとも一部分の上に堆積され得る。第3の誘電層の任意選択の第3の膜は、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、ニオブ、亜鉛、ビスマス、鉛、インジウム、スズ、ケイ素、マグネシウム、ガリウム、バナジウム、アルミニウム、その合金、その混合物又はその組合せからなる群から選択される金属の酸化物、窒化物、酸窒化物又はその混合物を含み得る。第3の誘電層の第3の膜は、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ又はその混合物を含み得る。非限定的な一実施例では、第3の誘電層の任意選択の第3の膜は、酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第3の誘電層の第3の膜は、インジウムドープ酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第3の誘電層の第3の膜は、ガリウムドープ酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第3の誘電層の第3の膜は、インジウムドープ酸化スズを含む。別の実施例では、第3の誘電層の第3の膜は、バナジウムドープ酸化亜鉛を含む。別の実施例では、第3の誘電層の任意選択の第3の膜は、窒化ケイ素又は酸窒化ケイ素を含む。別の実施例では、第3の誘電層の任意選択の第3の膜は、酸化チタンを含む。
【0054】
非限定的な一実施例は、第3の誘電層の第1の膜82が酸化亜鉛又はスズ酸亜鉛を含み、第3の誘電層の第1の膜82の少なくとも一部分の上の第3の誘電層の第2の膜84が、酸化亜鉛、スズ酸亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズを含むものである。
【0055】
第3の誘電層80は、20nm~75nm、好ましくは25nm~50nm、より好ましくは30nm~45nm、最も好ましくは36nm~41nmの範囲の総厚さを有し得る。
【0056】
非限定的な一実施例では、コーティング物品は、第1及び第2の金属層48、70を含む。コーティング物品に追加の金属層は存在しない。金属層は、銀のみ又は銀及び金のみを含み得る。
【0057】
各金属層は厚さを有する。非限定的な一実施例では、金属層の合計厚さは、10nm~30nm、好ましくは12nm~25nm、最も好ましくは15nm~22nm、最も好ましくは16nm~18nmの範囲である。
【0058】
コーティングは、最外側保護層100を含み得、これは、例えば、
図2に示される非限定的な実施例では、第3の誘電層80の少なくとも一部分の上に堆積されて、加工の間、金属層などの下にある層を機械的及び化学的攻撃から保護するのを補助する。最外側保護層100は、加熱又は湾曲の間などに周囲酸素がコーティング30の下にある層に移動することを防ぐ又は減らすための酸素バリアコーティング層であり得る。最外側保護層100は、任意の所望の材料又は材料の混合物のものであってもよく、1つ又は複数の保護膜で構成されてもよい。例示的な一実施例では、最外側保護層100は、1種又は複数の金属酸化物材料、例えばこれらに限定されないが、アルミニウム、ケイ素又はその混合物の酸化物を含む単一層を含み得る。例えば、最外側保護コーティング100は、0wt%~100wt%の範囲のアルミナ及び/又は100wt%~0wt%の範囲のシリカ、例えば5wt%~95wt%のアルミナ及び95wt%~5wt%のシリカ、例えば10wt%~90wt%のアルミナ及び90wt%~10wt%のシリカ、例えば15wt%~90wt%のアルミナ及び85wt%~10wt%のシリカ、例えば50wt%~75wt%のアルミナ及び50wt%~25wt%のシリカ、例えば50wt%~70wt%のアルミナ及び50wt%~30wt%のシリカ、例えば35wt%~100wt%のアルミナ及び65wt%~0wt%のシリカ、例えば70wt%~90wt%のアルミナ及び30wt%~10wt%のシリカ、例えば、75wt%~85wt%のアルミナ及び25wt%~15wt%のシリカ、例えば88wt%のアルミナ及び12wt%のシリカ、例えば65wt%~75wt%のアルミナ及び35wt%~25wt%のシリカ、例えば70wt%のアルミナ及び30wt%のシリカ、例えば60wt%~75wt%未満のアルミナ及び25wt%超~40wt%のシリカを含む単一コーティング層であり得る。他の材料、例えば、アルミニウム、クロム、ハフニウム、イットリウム、ニッケル、ホウ素、リン、チタン、ジルコニウム及び/又はその酸化物もまた、例えば最外側保護層100の屈折率を調節するために存在し得る。非限定的な一実施例では、最外側保護層100の屈折率は、1~3、例えば1~2、例えば1.4~2、例えば1.4~1.8の範囲であり得る。
【0059】
非限定的な一実施例では、保護層100は、組合せシリカ及びアルミナコーティングである。最外側保護層100は、2つのカソード(例えば、1つはケイ素及び1つはアルミニウム)から、又はケイ素及びアルミニウムの両方を含有する単一カソードからスパッタリングされ得る。この酸化ケイ素アルミニウム最外側保護層100は、SixAl1-xO(1.5+x)/2(式中、xは、0超~1未満で変動し得る)と書くことができる。例示的な一実施例では、最外側保護層100は、15wt%のアルミナ及び85wt%のシリカを含む。別の実施例では、最外側保護コーティング100は、SiO2、Al2O3、SiAlO、その合金及びその混合物を含む。
【0060】
非限定的な一実施例では、最外側保護層100は、窒化ケイ素(Si3N4)、酸窒化ケイ素(SiON)、窒化ケイ素アルミニウム(SiAlN)、酸窒化ケイ素アルミニウム(SiAlON)、その混合物及び/又はその合金で構成され、これはコーティング物品の耐久性を増加させ得る。最外側保護層100は、ケイ素のスパッタリングを改善するための優れた電気伝導性を有する他の材料に堆積された窒化ケイ素で形成され得る。例えば、堆積の間に、ケイ素カソードは、スパッタリングを改善するための少量(例えば、最大20wt%、最大15wt%、最大10wt%又は最大5wt%)のアルミニウムを含み得る。この場合、得られた窒化ケイ素層は、少パーセンテージのアルミニウム、例えば最大15wt%のアルミニウム、例えば最大10wt%のアルミニウム、例えば最大5wt%のアルミニウムを含むと考えられる。最大10wt%のアルミニウム(カソードの導電性を高めるために添加された)を有するケイ素カソードから堆積されたコーティング層は、少量のアルミニウムが存在し得るが、本明細書においては「窒化ケイ素」層と呼ぶ。カソード中の少量のアルミニウム(例えば、15wt%以下、例えば10wt%以下、例えば5wt%以下)は、主に窒化ケイ素最外側保護層100中で窒化アルミニウムを形成すると考えられる。最外側保護層100は窒素雰囲気中で形成され得るが、しかしながら、最外側保護層100の堆積の間、酸素などの他のガスが雰囲気中に存在してもよいことが理解される。
【0061】
別の非限定的な実施例では、最外側保護層100は、第1の保護膜及び第1の保護膜の少なくとも一部分の上に形成された第2の保護膜を含む多層コーティングであり得る。第1の保護膜は、アルミナ、シリカ、チタン、ジルコニア、酸化スズ、その混合物又はその合金を含み得る。特定の非限定的な一実施例では、第1の保護膜は、アルミナ又はアルミナ及びシリカを含む合金を含み得る。例えば、第1の保護膜は、5wt%超のアルミナ、例えば10wt%超のアルミナ、例えば15wt%超のアルミナ、例えば50wt%~70wt%のアルミナ、例えば、60wt%~100wt%の範囲のアルミナ及び40wt%~0wt%の範囲のシリカ、例えば、60wt%のアルミナ及び40wt%のシリカを有するシリカ/アルミナ混合物を含み得る。別の実例では、第1の保護膜は、スズ酸亜鉛を含み得る。別の実例では、第1の保護膜は、ジルコニアを含み得る。
【0062】
第2の保護膜は、例えば、金属酸化物又は金属窒化物を含み得る。第2の保護膜は、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、酸化スズ、その混合物又はその合金であり得る。例えば、第2の保護膜は、40~60wt%のアルミナ及び60~40wt%のチタニア;45~55wt%のアルミナ及び55~45wt%のチタニア;48~52wt%のアルミナ及び52~48wt%のチタニア;49~51wt%のアルミナ及び51~49wt%のチタニア;又は50wt%のアルミナ及び50wt%のチタニアを有するチタニア/アルミナ混合物を含み得る。第2の保護膜の実例は、酸化チタンアルミニウム(TiAlO)を含み得る。第2の保護膜の別の実例は、40wt%超のシリカ、例えば50wt%超のシリカ、例えば60wt%超のシリカ、例えば、70wt%超のシリカ、例えば80wt%超のシリカ、例えば、80wt%~90wt%の範囲のシリカ及び10wt%~20wt%の範囲のアルミナ、例えば85wt%のシリカ及び15wt%のアルミナを有するシリカ/アルミナ混合物である。
【0063】
非限定的な実例では、最外側保護層100は、第2の保護膜の少なくとも一部分の上に形成された追加の第3の保護膜を含み得る。第3の保護膜は、第1及び第2の保護膜を形成するのに使用された材料の任意のものであり得る。第3の保護膜は、例えば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸化スズ又はその混合物を含み得る。例えば、第3の保護膜は、シリカ及びアルミナの混合物を含み得る。別の実例では、第3の保護膜は、アルミナ及びチタニアを含む。別の実例では、第3の保護膜は、ジルコニアを含む。
【0064】
最外側保護層100は、コーティング物品の最外側層である。さらに、最外側保護層100は、非均一厚さのものであり得る。「非均一厚さ」とは、最外側保護層100の厚さが、所与の単位面積にわたって変動し得ることを意味し、例えば、最外側保護層100は、高い及び低い点又は領域を有し得る。好適な保護層の非限定例は、米国特許出願第10/007,382号;同第10/133,805号;同第10/397,001号;同第10/422,095号;及び同第10/422,096号に記載されている。
【0065】
最外側保護層100は、20nm~120nm、好ましくは25nm~110nm、より好ましくは30nm~100nm、最も好ましくは35nm~90nmの範囲の総厚さを有し得る。
【0066】
本発明は、以下の番号付きの項目でさらに記載される。
【0067】
項目1. 基材;基材の少なくとも一部分の上に適用された機能性コーティングを含むコーティング物品であって、機能性コーティングが、基材の少なくとも一部分の上に第1の誘電層;第1の誘電層の少なくとも一部分の上に第1の金属層;第1の金属層の少なくとも一部分の上に第1のプライマー層;第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に第2の誘電層;第2の誘電層の少なくとも一部分の上に第2の金属層;第2の金属層の少なくとも一部分の上に第2のプライマー層;及び第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に第3の誘電層を含み;コーティング物品が、少なくとも35且つ55以下のRgL*値を有する、コーティング物品。
【0068】
項目2. RgL*値が少なくとも42である、項目1のコーティング物品。
【0069】
項目3. RgL*値が52以下である、項目1のコーティング物品。
【0070】
項目4. 金属層の少なくとも1つが、銀、金、その混合物又はその合金の少なくとも1種を含む、先行する項目のいずれかのコーティング物品。
【0071】
項目5. 金属層の少なくとも1つが金属銀を含む、先行する項目のいずれかのコーティング物品。
【0072】
項目6. 第1の金属層が、5nm~20nm、好ましくは7.5nm~15nm、より好ましくは9nm~14nm、最も好ましくは9.7~13.3nmの総厚さを含む、先行する項目のいずれかのコーティング物品。
【0073】
項目7. 第2の金属層が、5nm~20nm、好ましくは5nm~15nm、より好ましくは7.5nm~12.5nm、最も好ましくは7.5nm~10.3nmの総厚さを含む、先行する項目のいずれかのコーティング物品。
【0074】
項目8. 誘電層の少なくとも1つが、スズ酸亜鉛、酸化亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ、その合金、その混合物又はその組合せを含む、項目1のコーティング物品。
【0075】
項目9. 第1の誘電層が、スズ酸亜鉛を含む基材の少なくとも一部分の上に第1の膜、並びに第1の膜の少なくとも一部分の上に酸化亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ、その合金、その混合物又はその組合せを含む第2の膜を含む、項目1のコーティング物品。
【0076】
項目10. 第2の膜が、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ、その合金、その混合物又はその組合せを含む、項目9のコーティング物品。
【0077】
項目11. 第1の誘電層が、10nm~55nm、好ましくは20nm~53nm、より好ましくは25nm~50nm、最も好ましくは29~48nmの総厚さを含む、項目8~10のコーティング物品。
【0078】
項目12. 第1の誘電層が、第1の金属層と直接接触したシード膜を含み、シード膜が、アルミニウム、アルミニウム銀、アルミニウム亜鉛、亜鉛、亜鉛スズ、ゲルマニウム、ニッケル、マグネシウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、インジウム亜鉛、バナジウム亜鉛、ガリウム亜鉛、インジウムスズ、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、アルミニウムドープ銀、銀、銀亜鉛、チタンアルミニウム、その合金、その混合物、その酸化物、その亜酸化物、その窒化物、その亜窒化物又はその組合せを含む、先行する項目のいずれかのコーティング物品。
【0079】
項目13. 第2の誘電層が、第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に、酸化亜鉛を含む第1の膜、第1の膜の少なくとも一部分の上に、スズ酸亜鉛を含む第2の膜、及び第2の膜の少なくとも一部分の上に、酸化亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ、その合金、その混合物又はその組合せを含む第3の膜を含む、先行する項目のいずれかのコーティング物品。
【0080】
項目14. 第2の誘電層が、50nm~150nm、好ましくは75nm~125nm、より好ましくは90nm~110nm、最も好ましくは93nm~100nmの総厚さを含む、項目13のコーティング物品。
【0081】
項目15.第2の誘電層が、第2の金属層と直接接触したシード膜を含み、シード膜が、アルミニウム、アルミニウム銀、アルミニウム亜鉛、亜鉛、亜鉛スズ、ゲルマニウム、ニッケル、マグネシウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、インジウム亜鉛、バナジウム亜鉛、ガリウム亜鉛、インジウムスズ、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、アルミニウムドープ銀、銀、銀亜鉛、チタンアルミニウム、その合金、その混合物、その酸化物、その亜酸化物、その窒化物、その亜窒化物又はその組合せを含む、先行する項目のいずれかのコーティング物品。
【0082】
項目16. 第3の誘電層が、第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に、酸化亜鉛又はスズ酸亜鉛を含む第1の膜、及び第1の膜の少なくとも一部分の上に、酸化亜鉛、スズ酸亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ、その合金、その混合物又はその組合せを含む第2の膜を含む、先行する項目のいずれかのコーティング物品。
【0083】
項目17. 第3の誘電層が、20nm~75nm、好ましくは25nm~50nm、より好ましくは30nm~45nm、最も好ましくは36nm~41nmの総厚さを含む、項目16のコーティング物品。
【0084】
項目18. 保護層を含む最外側保護コーティングをさらに含み、保護層が、Si3N4、SiAlN、SiAlON、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、その合金、その混合物又はその組合せの少なくとも1種を含む、先行する項目のいずれかのコーティング物品。
【0085】
項目19. 保護層が、20nm~120nm、好ましくは25m~110nm、より好ましくは30nm~100nm、最も好ましくは35nm~90nmの総厚さを含む、項目18のコーティング物品。
【0086】
項目20. 保護層が、第1の保護膜及び第1の保護膜の少なくとも一部分の上に形成された第2の保護膜を含む、項目18~19のいずれかのコーティング物品。
【0087】
項目21. 保護層が、酸化ケイ素アルミニウム、酸化チタンアルミニウム、その混合物又はその組合せを含む、項目18~20のいずれかのコーティング物品。
【0088】
項目22. 第1のプライマー層又は第2のプライマー層の少なくとも1つが、亜鉛、アルミニウム、バナジウム、タングステン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、マンガン、クロム、スズ、ニッケル、ゲルマニウム、マグネシウム、モリブデン、銀、ケイ素炭素、アルミニウムドープ銀、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、タングステンタンタル、チタンニオブ、ジルコニウムニオブ、タングステンニオブ、アルミニウムニオブ、アルミニウムチタン、タングステンチタン、タンタルチタン、亜鉛チタン、アルミニウム銀、亜鉛スズ、インジウム亜鉛、銀亜鉛、その混合物、その組合せ又はその任意の合金からなる群から選択され、プライマーが、金属として堆積され、続いて酸化される、先行する項目のいずれかのコーティング物品。
【0089】
項目23. 第1のプライマー層が、0.5nm~10nm、好ましくは1.0nm~5nm、より好ましくは1.0nm~2.5nmの総厚さを含む、項目22のコーティング物品。
【0090】
項目24. 第2のプライマー層が、0.5nm~5nm、好ましくは1nm~2.5nm、より好ましくは1.5nm~2.5nmの総厚さを含む、項目22のコーティング物品。
【0091】
項目25. 基材;基材の少なくとも一部分の上に適用された機能性コーティングを含むコーティング物品であって、機能性コーティングが、基材の少なくとも一部分の上に第1の誘電層;第1の誘電層の少なくとも一部分の上に第1の金属層;第1の金属層の少なくとも一部分の上に第1のプライマー層;第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に第2の誘電層;第2の誘電層の少なくとも一部分の上に第2の金属層;第2の金属層の少なくとも一部分の上に第2のプライマー層;及び第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に第3の誘電層を含み、金属層の合計厚さが、少なくとも10ナノメートル且つ30ナノメートル以下である、コーティング物品。
【0092】
項目26. 金属層の合計厚さが、22ナノメートル以下である、項目25のコーティング物品。
【0093】
項目27. 金属層の合計厚さが18ナノメートル以下である、項目26のコーティング物品。
【0094】
項目28. 金属層の少なくとも1つが、銀、金、その合金、その混合物又はその組合せの少なくとも1種を含む、項目25~27のいずれかのコーティング物品。
【0095】
項目29. 金属層の少なくとも1つが金属銀を含む、項目25~28のいずれかのコーティング物品。
【0096】
項目30. 誘電層の少なくとも1つが、スズ酸亜鉛、酸化亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ、その合金、その混合物又はその組合せを含む、項目25のコーティング物品。
【0097】
項目31. 第1の誘電層が、基材の少なくとも一部分の上に、スズ酸亜鉛、酸化亜鉛、窒化ケイ素又はその混合物を含む第1の膜、及び第1の膜の少なくとも一部分の上に、酸化亜鉛、スズ酸亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ、その合金、その混合物又はその組合せを含む第2の膜を含む、項目25~30のいずれかのコーティング物品。
【0098】
項目32. 第1の誘電層が、第1の金属層と直接接触したシード膜を含み、シード膜が、アルミニウム、アルミニウム銀、アルミニウム亜鉛、亜鉛、亜鉛スズ、ゲルマニウム、ニッケル、マグネシウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、インジウム亜鉛、バナジウム亜鉛、ガリウム亜鉛、インジウムスズ、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、アルミニウムドープ銀、銀、銀亜鉛、チタンアルミニウム、その合金、その混合物、その酸化物、その亜酸化物、その窒化物、その亜窒化物又はその組合せを含む、項目25~31のいずれかのコーティング物品。
【0099】
項目33. 第2の誘電層が、第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に、酸化亜鉛を含む第1の膜、第1の膜の少なくとも一部分の上に、スズ酸亜鉛を含む第2の膜、及び第2の膜の少なくとも一部分の上に、酸化亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ、その合金、その混合物又はその組合せを含む第3の膜を含む、項目25~31のいずれかのコーティング物品。
【0100】
項目34. 第2の誘電層が、第2の金属層と直接接触したシード膜を含み、シード膜が、アルミニウム、アルミニウム銀、アルミニウム亜鉛、亜鉛、亜鉛スズ、ゲルマニウム、ニッケル、マグネシウム、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、インジウム亜鉛、バナジウム亜鉛、ガリウム亜鉛、インジウムスズ、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、アルミニウムドープ銀、銀、銀亜鉛、チタンアルミニウム、その合金、その混合物、その酸化物、その亜酸化物、その窒化物、その亜窒化物又はその組合せを含む、項目25~33のコーティング物品。
【0101】
項目35. 第3の誘電層が、第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に、酸化亜鉛又はスズ酸亜鉛を含む第1の膜、及び第1の膜の少なくとも一部分の上に、酸化亜鉛、スズ酸亜鉛、窒化ケイ素、アルミニウムドープ酸化亜鉛、ガリウムドープ酸化亜鉛、インジウムドープ酸化亜鉛、マグネシウムドープ酸化亜鉛、バナジウムドープ酸化亜鉛又はインジウムドープ酸化スズ、その合金、その混合物又はその組合せを含む第2の膜を含む、項目25~34のコーティング物品。
【0102】
項目36. 保護層を含む最外側保護コーティングをさらに含み、保護層が、Si3N4、SiAlN、SiAlON、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、その合金、その混合物又はその組合せの少なくとも1種を含む、項目25~35のいずれかのコーティング物品。
【0103】
項目37. 保護層が、第1の保護膜及び第1の保護膜の上に形成された第2の保護膜を含む、項目36のコーティング物品。
【0104】
項目38. 保護層が、酸化ケイ素アルミニウム、酸化チタンアルミニウム、その合金、その混合物又はその組合せを含む、項目36~37のいずれかのコーティング物品。
【0105】
項目39. 第1のプライマー層又は第2のプライマー層の少なくとも1つが、亜鉛、アルミニウム、バナジウム、タングステン、タンタル、ニオブ、ジルコニウム、マンガン、クロム、スズ、ニッケル、ゲルマニウム、マグネシウム、モリブデン、銀、ケイ素炭素、アルミニウムドープ銀、アルミニウム亜鉛、バナジウム亜鉛、タングステンタンタル、チタンニオブ、ジルコニウムニオブ、タングステンニオブ、アルミニウムニオブ、アルミニウムチタン、タングステンチタン、タンタルチタン、亜鉛チタン、アルミニウム銀、亜鉛スズ、インジウム亜鉛、銀亜鉛、その混合物、その組合せ又はその任意の合金又はその合金からなる群から選択され、プライマーが、金属として堆積され、続いて酸化される、項目25~38のいずれかのコーティング物品。
【0106】
項目40. コーティング物品を作製する方法であって、基材を用意するステップ;並びに基材の少なくとも一部分の上に機能性コーティングを適用するステップであって、基材の少なくとも一部分の上に第1の誘電層を形成すること;第1の誘電層の少なくとも一部分の上に第1の金属層を形成すること;第1の金属層の少なくとも一部分の上に第1のプライマー層を形成すること;第1のプライマー層の少なくとも一部分の上に第2の誘電層を形成すること;第2の誘電層の少なくとも一部分の上に第2の金属層を形成すること;第2の金属層の少なくとも一部分の上に第2のプライマー層を形成すること;及び第2のプライマー層の少なくとも一部分の上に第3の誘電層を形成すること含むステップを含み;金属層の合計厚さが、少なくとも10ナノメートル且つ30ナノメートル以下であり、RgL*値が少なくとも35且つ55以下である、方法。
【0107】
項目41. 最外側保護コーティングを適用するステップが、保護層を形成することを含み、保護層が、Si3N4、SiAlN、SiAlON、チタニア、アルミナ、シリカ、ジルコニア、その合金、その混合物又はその組合せの少なくとも1種を含む、項目40の方法。
【0108】
以下の実例は、本発明の種々の実施例を例示する。しかしながら、本発明は、これらの特定の実施例に限定されないことが理解される。
【0109】
「実例」
表3は、本発明の例示的なコーティング組成物を示す。報告される厚さは、別途述べない限り、ナノメートル(nm)単位の幾何学厚さである。基材は、2.1mmクリアカバーを有する厚さ2.1mmのクリアガラス基材である。基層は第1の誘電層であり、中心層は第2の誘電層であり、上層は第3の誘電層である。
【0110】
【0111】
表4は、表3のサンプルについて得られた色及び光学特性を示す。基材及びカバー(積層)を含有する物品について、R1はコーティングに最も近い外部表面からの反射率を指し、R2はコーティングから最も遠い外部表面からの反射率を指す。
【0112】
【0113】
当業者であれば、前述の記載に開示される概念から逸脱することなく、本発明に修正がなされ得ることを容易に認識するであろう。したがって、本明細書に詳細に記載される特定の実施例は、例示に過ぎず、本発明の範囲を限定せず、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲の全幅及び任意且つすべてのその等価物において示される。
【国際調査報告】