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特表2022-527473アンチセンスを用いてがんを治療するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(54)【発明の名称】アンチセンスを用いてがんを治療するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/68 20180101AFI20220526BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20220526BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220526BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
C12Q1/68
A61K31/711 ZNA
A61P35/00
G01N33/50 P
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557634
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-10-27
(86)【国際出願番号】 US2020025217
(87)【国際公開番号】W WO2020198587
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】62/825,516
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】516241599
【氏名又は名称】トーマス・ジェファーソン・ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100152489
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 美樹
(72)【発明者】
【氏名】フーパー、ダグラス シー.
(72)【発明者】
【氏名】アンドリューズ、デイビッド ダブリュ.
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C086
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA18
2G045DA13
2G045DA20
2G045FB02
4B063QA01
4B063QA05
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS25
4B063QX02
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本開示は、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)を標的とするアンチセンス(AS)核酸を用いてがんを治療するための組成物及び方法に関する。ASは、患者に全身投与されるか、又は自家がん細胞ワクチンを製造するために使用され得る。実施形態では、ASは、腫瘍細胞と有効量のASとを含む植込み型照射生体用拡散チャンバーで提供される。チャンバーは、照射され、対象の腹部に植え込まれ、そして免疫反応を刺激して腫瘍を遠位から攻撃する。本明細書に開示される組成物及び方法は、多種多様ながん、例えば膠芽細胞腫を治療するために使用され得る。いくつかの実施形態において、対象におけるインスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)を標的とするアンチセンス(AS)核酸の有効性を予測するための方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを有し、IGF-1R AS ODNによる治療に応答する可能性が高い対象を特定し、前記対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法であって、IGF-1R AS ODNに応答する可能性が高いことは、前記対象におけるMGMTメチル化及び/又はT細胞機能を判定することによって評価される方法。
【請求項2】
がんを有し、IGF-1R AS ODNによる治療に応答する可能性が高い対象を特定し、前記対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法であって、IGF-1R AS ODNに応答する可能性が高いことは、前記対象におけるMGMTメチル化及び/又はT細胞機能を判定することによって評価され、前記可能性が高いことは、前記対象におけるMGMTメチル化を特定すること及び/又は前記対象における良好なT細胞機能を判定することによって確立される方法。
【請求項3】
がんを有し、IGF-1R AS ODNに応答する可能性が高い対象を特定し、前記対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法であって、IGF-1R AS ODNに応答する可能性が高いことは、前記対象におけるMGMTメチル化を判定することによって評価され、前記可能性が高いことは、前記対象におけるMGMTメチル化を特定することによって確立される方法。
【請求項4】
がんを有し、IGF-1R AS ODNによる治療に応答する可能性が高い対象を特定し、前記対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法であって、IGF-1R AS ODNに応答する可能性が高いことは、前記対象におけるT細胞機能を判定することによって評価され、前記可能性が高いことは、前記対象における良好なT細胞機能を判定することによって確立される方法。
【請求項5】
がんを患っている対象のIGF-1R AS ODNに応答した予後を予測する方法であって、前記対象におけるMGMTメチル化を判定すること、及び/又はT細胞機能を判定することを含む方法。
【請求項6】
がんを有する対象のIGF-1R AS ODNに応答した予後を予測する方法であって、前記方法は、前記対象におけるMGMTメチル化を判定すること、及び/又はT細胞機能を判定することを含み、前記対象におけるメチル化MGMT及び/又は良好なT細胞機能は、良好な予後を示す方法。
【請求項7】
がんを有する対象のIGF-1R AS ODNに応答した予後を予測する方法であって、前記方法は、前記対象におけるMGMTメチル化を判定することを含み、前記対象におけるメチル化MGMTは、良好な予後を示す方法。
【請求項8】
がんを有する対象のIGF-1R AS ODNに応答した予後を予測する方法であって、前記方法は、前記対象におけるT細胞機能を判定することを含み、前記対象における良好なT細胞機能は、良好な予後を示す方法。
【請求項9】
がんを有する対象のIGF-1R AS ODNに応答した予後を予測する方法であって、前記方法は、前記対象におけるMGMTメチル化を判定すること、及び/又はT細胞機能を判定することを含み、前記対象における非メチル化MGMT及び/又は不十分なT細胞機能は、予後不良を示す方法。
【請求項10】
がんを有する対象のIGF-1R AS ODNに応答した予後を予測する方法であって、前記対象におけるMGMTメチル化を決定することを含み、前記対象における非メチル化MGMTは、予後不良を示す方法。
【請求項11】
がんを有する対象のIGF-1R AS ODNに応答した予後を予測する方法であって、前記対象におけるT細胞機能を判定することを含む方法であって、前記対象における不十分なT細胞機能は、予後不良を示す方法。
【請求項12】
前記T細胞機能が、非特異的刺激に応答して発現するIFN-γの数を評価することによって判定される、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記T細胞機能が、非特異的刺激に応答して発現するIFN-γの数を評価することによって判定され、特異的刺激に応答して中央値以上の数のT細胞がIFN-γを発現することは、良好なT細胞機能として分類され、非特異的刺激に応答して中央値未満又はより少ない数のT細胞がIFN-γを発現することは、不十分なT細胞機能として分類される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
テモゾラミドが前記対象に投与される前に、IGF-1R AS ODNが対象に投与される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
テモゾラミドが対象に投与されるよりも少なくとも2週間;少なくとも3週間;少なくとも4週間;少なくとも5週間;少なくとも6週間;少なくとも7週間;又は少なくとも8週間前に、IGF-1R AS ODNが前記対象に投与される、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
IGF-1R AS ODNが自家がん細胞ワクチンとして対象に投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
IGF-1R AS ODNが完全に製剤化された生体用拡散チャンバーとして対象に投与される、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
生体用拡散チャンバーは、存在する場合、(a)対象から得られた腫瘍細胞を、IGF-1R AS ODNの存在下で生体用拡散チャンバーに封入し、ここで、チャンバー内の腫瘍細胞:IGF-1R AS ODNの比は約3.75×10:1μg~約6.25×10:1μgの範囲であり、前記腫瘍細胞は、組織モルセレータを使用して対象から得られ、さらに(b)前記生体用拡散チャンバーに放射線照射することによって調製される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記腫瘍細胞が生体用拡散チャンバー内に配置される前にネスチン発現に関して濃縮される、生体用拡散チャンバーを用いる請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
チャンバー内の腫瘍細胞が、対象から得られた腫瘍細胞と比較して、接着細胞について濃縮される、生体用拡散チャンバーを用いる請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
腫瘍細胞が本質的に接着細胞からなる、生体用拡散チャンバーを用いる請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
細胞がチャンバーに封入される前にIGF-1R AS ODNで処理される、生体用拡散チャンバーを用いる請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
IGF-1R AS ODNが、封入前の処理の間、100万個の細胞あたり約2mg~約6mgで存在する、生体用拡散チャンバーを用いる請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
IGF-1R AS ODNが、封入前の処理の間、100万個の細胞あたり約4mgで存在する、生体用拡散チャンバーを用いる請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
封入前のIGF-1R AS ODNによる処理が最大約18時間である、生体用拡散チャンバーを用いる請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
封入前のIGF-1R AS ODNによる処理が約12時間~約18時間である、生体用拡散チャンバーを用いる請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
IGF-1R AS ODNが配列番号1の配列を有する、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
チャンバー内のIGF-1R AS ODNが約2μgで存在する、生体用拡散チャンバーを用いる請求項1~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
照射された腫瘍細胞がチャンバーあたり約750,000~約1,250,000個の範囲で存在する、生体用拡散チャンバーを用いる請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
照射された腫瘍細胞がチャンバーあたり約1,000,000個で存在する、生体用拡散チャンバーを用いる請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
2つ以上の生体用拡散チャンバーを対象に植え込むことを含む、生体用拡散チャンバーを用いる請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
約10~約30個の生体用拡散チャンバーが対象に植え込まれる、生体用拡散チャンバーを用いる請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
約10~約20個の生体用拡散チャンバーが対象に植え込まれる、生体用拡散チャンバーを用いる請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
拡散チャンバーが対象に48時間にわたって植え込まれる、生体用拡散チャンバーを用いる請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
がんが脳のがんである、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
脳のがんが、グレードII星状細胞腫、グレードAIII星状細胞腫、グレードAIII-G星状細胞腫、及びグレードIV星状細胞腫(多形性膠芽腫)から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
脳のがんがグレードIV星状細胞腫(多形性膠芽腫)である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記対象がヒトである、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)を標的とするアンチセンス核酸を用いてがんを治療するための組成物及び方法に関する。本開示はまた、腫瘍細胞とIGF-1Rを標的とするアンチセンス核酸とを含む少なくとも1つの植込み型照射生体用拡散チャンバー(米国特許第6,541,036号明細書及び国際出願第PCT/US2016/026970号パンフレット(それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)を用いて対象を治療することによりがんを治療するための組成物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)は、「インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)を標的とするアンチセンス(AS)核酸を使用してがんを治療するための組成物及び方法」を開示している。ASは、患者に全身投与することも、自家がん細胞ワクチンを製造するために使用することもできる。IGF-1Rに対する患者の反応は様々であり得るため、がんを患っている対象の、IGF-1R AS ODNによる治療に応答した予後を予測する方法が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/165528号
【発明の概要】
【0004】
本開示は、少なくとも部分的に、がんを有する対象を治療するためのインスリン様成長因子受容体-1(IGF-1R)(「IGF-1R AS ODN」)を標的とするアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS-ODN)の使用に関する。特定の態様において、本開示は、IGF-1R AS ODNによる治療に応答する可能性が高い対象の特定、及びそのような対象へのIGF-1R AS ODNの投与に関する方法及び組成物(診断及びコンパニオン診断を含む)に関する。特定の実施形態において、IGF-1R AS ODNによる治療に応答する可能性が高い対象は、前記対象におけるMGMTメチル化を判定すること及び/又はT細胞機能を判定することにより特定される。特定の実施形態において、IGF-1R AS ODNによる治療に応答する可能性が高い対象は、前記対象においてMGMTメチル化を判定すること及び/又はT細胞機能を判定することにより特定され、ここで、対象においてメチル化MGMTを有する、及び/又は良好なT細胞機能を有する患者は、IGF-1R AS ODNによる治療に応答する可能性が高いことを示している。
【0005】
いくつかの実施形態では、がん(例えば、神経膠腫又は神経膠芽腫)を有する対象の、IGF-1R AS ODNでの治療に応答した予後を予測する方法が提供され、ここで、この方法は、前記対象におけるMGMTメチル化を判定すること及び/又はT細胞機能を判定することを含む。
【0006】
一態様において、がんと診断された対象におけるMGMTメチル化を判定及び/又はT細胞機能を判定し、続いて対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法が提供される。関連する実施形態では、がんと診断された対象におけるMGTMメチル化を判定及び/又はT細胞機能を判定し、続いて、対象がメチル化MGMTを有すると確認され、及び/又は対象が良好なT細胞機能を有する場合にのみ、対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法が提供される。
【0007】
本明細書で使用される場合、MGMTは、O6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(例えば、Uniprotアクセッション番号Q6LDD1)を指す。O6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)プロモーターのメチル化は、O6グアニンのメチル基を脱アルキル化する細胞の能力を停止させ、非メチル化MGMTプロモーターを有する患者と比較してテモゾロミド(TMZ)の治療効果を高める。DNAメチル化は、シトシン又はグアニンヌクレオチドの通常は5’位にメチル基が共有結合で付加されるものである。MGMTメチル化の評価は、当技術分野で周知の方法を使用して実施及び決定することができる。いくつかの実施形態では、MGMT遺伝子プロモーター内の8つのCpGアイランドのメチル化状態が評価される。様々な実施形態におけるメチル化MGMTは、IGF-1R AS ODN治療に対する好ましい予後及び/又は陽性反応の予測の指標である。一方、非メチル化MGMTは、様々な実施形態において、IGF-1R AS ODN治療に対する好ましい予後及び/又は陽性反応の予測の指標である。
【0008】
T細胞機能の判定もまた、当技術分野で周知の方法及び基準を使用して判定することができる。いくつかの実施形態において、T細胞機能は、非特異的刺激に応答してIFN-γを発現するT細胞の数を評価することによって決定される。特定の実施形態において、本明細書で使用される「良好なT細胞機能」という用語は、非特異的刺激に応答してIFN-γを発現するT細胞の数が中央値以上である対象を指す。「不十分なT細胞機能」という用語は、非特異的刺激に応答してIFN-γを発現するT細胞の数が中央値以下である対象を指す。
【0009】
いくつかの実施形態において、テモゾラミドが対象に投与される前に、前記IGF-1R AS ODNが前記対象に投与される。特定の実施形態において、前記IGF-1R AS ODNは、テモゾロミドが対象に投与される少なくとも2週間;少なくとも3週間;少なくとも4週間;少なくとも5週間;少なくとも6週間;少なくとも7週間;又は少なくとも8週間前に、前記対象に投与される。
【0010】
本明細書で提供される態様及び実施形態のいずれかのいくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNは、自家がん細胞ワクチンとして対象に投与される。本明細書で提供される態様及び実施形態のいずれかのいくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNは、完全に製剤化された生体用拡散チャンバーとして対象に投与される。
【0011】
本開示は、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)を標的とするアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS-ODN)が、本明細書に記載の治療法で使用されたとき、がんを治療する対象における反応を効果的に刺激することを実証する。特定の態様では、方法は、患者において自己由来がん細胞ワクチンの一部として単独で又は任意選択的に全身投与と共にがんを治療するのに有効である。好ましい方法では、本明細書に開示される方法は、単独療法として、すなわち、化学療法の不在下かつ放射線療法の不在下で有効ながん療法を提供する。
【0012】
実施形態では、本開示は、腫瘍を患う対象に植え込むための生体用拡散チャンバーを提供する。この生体用拡散チャンバーは、照射腫瘍細胞と照射インスリン様成長因子1受容体アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(IGF-1R AS ODN)とを含む。実施形態では、腫瘍細胞は、対象の切除部位から取り出される。
【0013】
実施形態では、本開示は、照射IGF-1R AS ODNと、照射され、接着の強化された細片化腫瘍細胞とを含む拡散チャンバーを提供する。この生体内拡散チャンバーは、細胞に対して不透過性かつIGF-1R AS ODNに対して透過性の膜を含む。
【0014】
実施形態では、腫瘍細胞は、内視鏡デバイスを用いて切除部位から取り出される。さらなる実施形態では、腫瘍細胞は、組織モルセレータを用いて切除部位から取り出される。いくつかの実施形態では、腫瘍細胞は、組織モルセレータを使用して切除部位から除去されたときに生存可能である。他の実施形態では、組織モルセレータは、静置外側カニューレ内に高速往復内側カニューレを含む。外側カニューレは、サイドアパーチャを含み得るとともに、さらに腫瘍細胞は、電子制御可変吸引によりサイドアパーチャに吸い込まれる。実施形態では、組織モルセレータは、切除部位で熱を生成しない。その他のさらなる実施形態では、腫瘍細胞は、生体用拡散チャンバーに配置される前にネスチン発現に関して富化される。いくつかの実施形態では、チャンバーの植込みは、対象において腫瘍の再成長を阻害する。いくつかの実施形態では、チャンバーの植込みは、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、又は少なくとも36ヵ月間にわたり腫瘍の再成長を阻害する。
【0015】
その他の実施形態では、本開示は、腫瘍を患う対象に植え込むための生体用拡散チャンバーの作製方法を提供する。この方法は、IGF-1R AS ODNの存在下で生体用拡散チャンバーに腫瘍細胞を配置することと、生体用拡散チャンバーに放射線照射することと、を含み、腫瘍細胞は、対象において、切除部位で熱を生成しない組織モルセレータを用いて切除部位から取り出される。典型的には、複数のチャンバーが使用される。例えば、約10個のチャンバー又は約20個のチャンバー。有利には、最適抗腫瘍反応は、チャンバー内の細胞数が約750,000~約1,250,000のときに達成される。例えば、20個のチャンバーが植え込まれる場合、約1,000,000/チャンバーである。
【0016】
いくつかの実施形態では、組織モルセレータは内視鏡デバイスである。さらなる実施形態では、組織モルセレータは、静置外側カニューレ内に高速往復内側カニューレを含む。そのほかの実施形態では、外側カニューレは、サイドアパーチャを含み、かつ腫瘍細胞は、電子制御可変吸引によりサイドアパーチャに吸い込まれる。
【0017】
実施形態では、本開示は、腫瘍を患う対象の治療方法を提供する。この方法は、1つ以上の生体用拡散チャンバーを対象に植え込むことを含み、1つ以上の生体用拡散チャンバーは、照射腫瘍細胞と照射インスリン様成長因子1受容体アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(IGF-1R AS ODN)とを含み、腫瘍細胞は、対象において、切除部位で熱を生成しない組織モルセレータを用いて切除部位から取り出される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】IGV-001を受けている患者のOS。図1Aは、ITT母集団のOSを示す。図1Bは、IGV-001の最高の曝露を受けている患者のOSを示す。印は打ち切られたデータを示す(打ち切られたデータとは、様々な基準のいずれかに基づいて臨床試験から除外された患者のデータポイントを指す)。
図2】IGV-001で治療された患者のOS。最初の年の、膠芽腫の進行に起因しない死亡を除く。Stuppら11のSOCのみを受けた患者と比較したもの。チェック印は打ち切られたデータを示す。
図3】MGMTプロモーターメチル化状態に基づく、IGV-001で治療された患者のOS。チェック印は打ち切られたデータを示す。
図4】2件の公開された研究におけるSOCのみを受けた患者と比較した、IGV-001で治療された患者のPFS。
図5】IGV-001で治療された、メチル化MGMTプロモーターを有する患者の、SOCのみと対比したPFS。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
定義
本明細書に定義されていない用語はすべて、当技術分野で認識されているそれらの通常の意味を有する。
【0020】
本明細書で用いられる場合、「1つ(a、an)」、「前記(the)」などの用語は、文脈上そうでないことが明確でない限り、単数及び複数の参照対象を含む。
本明細書で用いられる場合、数値の前に付く「約」という用語は、その値±10%の範囲内を表す。例えば、「約100」は、90及び110を包含する。誤解を避けるために、約という用語は、示された値自体に加えてその10%の範囲を含むことが理解され、例えば、「約100」は、100ちょうど及び90~100の範囲を含む。
【0021】
本明細書で用いられる場合、「自己~」、「自家~」という用語は、同一個体から得られる細胞又は組織を意味する。
本明細書で用いられる場合、「自家がん細胞ワクチン」という用語は、部分的には、個体から腫瘍細胞を単離してこの腫瘍細胞をex vivoで処理することにより生成される治療剤を意味する。次いで、細胞は、腫瘍細胞が単離された個体に再投与される。実施形態では、自家がん細胞ワクチンは、腫瘍細胞のほか、追加の成分、例えば、緩衝剤及び/又はアンチセンス核酸(例えば、IGF-1R AS ODNなど)を含み得る。実施形態では、「自家がん細胞ワクチン」は、腫瘍細胞と1つ以上の追加の成分とを含有する生体用拡散チャンバーを意味し得る。ある特定の態様では、「自家がん細胞ワクチン」は、本明細書では「完全製剤化生体用拡散チャンバー」ともいう「完全製剤化チャンバー」であり得る。
【0022】
本明細書で用いられる場合、「完全製剤化チャンバー」又は「完全製剤化生体用拡散チャンバー」という用語は、第1の量のIGF-1R AS ODNと共にチャンバーに封入する前に処理してもしなくてもよい、自己腫瘍細胞と腫瘍微小環境(TME)に含まれる他の細胞とを含む生体用拡散チャンバーである。細胞に第2の量例えば少なくとも2μgのIGF-1R AS ODNの外因的添加を行って封入し、次いで、5Gyのγ線をチャンバーに照射する。
【0023】
本明細書で用いられる場合、「低分子」という用語は、核酸、ペプチド、タンパク質、及び他の化学物質(例えば、細胞により産生されるサイトカイン、成長ホルモンなど)を含むが、細胞、エキソソーム、マイクロベシクルを含まない。
【0024】
本明細書で用いられる「IGF-1R発現を標的とする」という用語は、IGF-1Rに結合するように設計された配列を有するアンチセンス核酸を投与することを意味する。
本明細書で用いられる場合、「全身投与」という用語は、対象の体全体にわたり物質の送達を達成することを意味する。典型的な全身投与経路としては、非経口投与、経真皮投与、腹腔内投与、静脈内投与、皮下投与、及び筋肉内投与が挙げられる。
【0025】
他の投与経路としては、経口投与、鼻投与、局所投与、眼内投与、頬腔内投与、舌下投与、膣投与、肝内投与、心内投与、膵内投与、吸入投与、及び植込みポンプ投与が挙げられる。
【0026】
アンチセンス分子
アンチセンス分子とは、ワトソン・クリック塩基対合則によりmRNAの相補的標的配列に結合することにより機能する核酸のことである。標的mRNAの翻訳は、相補的ヘリックス間でハイブリダイゼーションが行われるとき、活性機序及び/又は受動的機序により阻害される。受動的機序では、mRNAと外因性ヌクレオチド配列とのハイブリダイゼーションは、リボソーム複合体によるメッセージの読取りを防止する二本鎖の形成をもたらす。活性機序では、ハイブリダイゼーションは、RnaseHの結合を促進し、これによりRNAを破壊するが、アンチセンスをインタクトな状態で残して、他方の相補的mRNA標的にハイブリダイズする。一方又は両方の機序は、悪性表現型に寄与する又はそれを持続するタンパク質の翻訳を阻害する。治療剤として、アンチセンス分子は、はるかに選択的であるので、従来の薬剤よりも有効でありかつ毒性が低い。
【0027】
本明細書に開示される方法及び組成物は、がんを治療するためのアンチセンス分子の使用を含む。典型的には、アンチセンス分子は、アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS-ODN)である。いくつかの実施形態では、アンチセンス分子は修飾リン酸骨格を含む。ある特定の態様では、リン酸骨格修飾は、ヌクレアーゼ分解に対するアンチセンスの耐性を増加させる。ある特定の実施形態では、修飾はロックドアンチセンスである。他の実施形態では、修飾はホスホロチオエート結合である。ある特定の態様では、アンチセンスは1つ以上のホスホロチオエート結合を含有する。ある特定の実施形態では、ホスホロチオエート結合は、ヌクレアーゼ耐性を付与することによりアンチセンス分子を安定化させ、それによりその半減期を増加させる。いくつかの実施形態では、アンチセンスは部分的にホスホロチオエート結合しうる。たとえば、アンチセンスの約1%まで、約3%まで、約5%まで、約10%まで、約20%まで、約30%まで、約40%まで、約50%まで、約60%まで、約70%まで、約80%まで、約90%まで、約95%まで、又は約99%までホスホロチオエート結合されうる。いくつかの実施形態では、アンチセンスは完全にホスホロチオエート結合される。他の実施形態では、ホスホロチオエート結合はホスホジエステル結合と交互でありうる。ある特定の実施形態では、アンチセンスは少なくとも1つの末端ホスホロチオエート一リン酸を有する。
【0028】
いくつかの実施形態では、アンチセンス分子は1つ以上のCpGモチーフを含む。他の実施形態では、アンチセンス分子はCpGモチーフを含まない。ある特定の態様では、1つ以上のCpGモチーフはメチル化される。他の態様では、1つ以上のCpGモチーフはメチル化されない。ある特定の実施形態では、アンチセンス分子が対象に投与されるとき、1つ以上の非メチル化CpGモチーフは先天性免疫反応を誘発する。いくつかの態様では、先天性免疫反応は、Toll様受容体(TLR)への非メチル化CpG含有アンチセンス分子の結合により媒介される。
【0029】
ある特定の実施形態では、アンチセンス分子は、少なくとも1つの末端修飾又は「キャップ」を含む。キャップは、5’及び/又は3’キャップ構造であり得る。「キャップ」又は「エンドキャップ」という用語は、オリゴヌクレオチドのどちらかの末端の化学修飾を含むとともに(末端リボヌクレオチドに対して)、5’末端の最後の2つのヌクレオチド間及び3’末端の最後の2つヌクレオチドの間の結合の修飾を含む。キャップ構造は、標的配列との分子相互作用や細胞機構を損なうことなくエキソヌクレアーゼに対するアンチセンス分子の耐性を増加させ得る。そのような修飾は、in vitro又はin vivoにおけるその効力の増加に基づいて選択しうる。キャップは、5’末端(5’キャップ)若しくは3’末端(3’キャップ)に存在し得るか、又は両方の末端に存在し得る。ある特定の実施形態では、5’及び/又は3’キャップは、ホスホロチオエート一リン酸、脱塩基残基(部分)、ホスホロチオエート結合、4’-チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド、ホスホロジチオエート結合、反転ヌクレオチド又は反転脱塩基部分(2’-3’又は3’-3’)、ホスホロジチオエート一リン酸、及びメチルホスホネート部分から独立して選択される。ホスホロチオエート結合又はホスホロジチオエート結合は、キャップ構造の一部のとき、一般に5’末端の2つの末端ヌクレオチド間及び3’末端の2つの末端ヌクレオチド間に配置される。
【0030】
好ましい実施形態では、アンチセンス分子は、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)の発現を標的とする。IGF-1Rは、インスリン受容体と70%の相同性を共有するチロシンキナーゼ細胞表面受容体である。そのリガンド(IGF-I、IGF-II、及びインスリン)による活性化時、それは増殖、形質転換、及び細胞生存をはじめとする広範な細胞機能をレギュレートする。IGF-1Rは、正常成長の絶対条件ではないが、悪性組織に生じ得る足場非依存条件における成長に不可欠である。腫瘍におけるIGF-1Rの役割のレビューは、バサーガ(Baserga)ら著、「ビタミンとホルモン(Vitamins and Hormones)」、第53巻、p.65~98、1997年(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に提供される。
【0031】
ある特定の実施形態では、アンチセンス分子は、成長因子又は成長因子受容体、例えば、IGF-1RなどのDNA又はRNAを標的とするオリゴヌクレオチドである。
ある特定の実施形態では、アンチセンスは、IGF-1Rを標的とするデオキシヌクレオチド(IGF-1R AS ODN)である。IGF-1Rの全長コード配列は、配列番号19として提供される(例えば、PCT/US2016/26970号パンフレット(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)。
【0032】
ある特定の実施形態では、アンチセンス分子は、RNA又はDNAのどちらかを含む、IGF-1Rシグナル配列に相補的なヌクレオチド配列を含む。IGF-1Rのシグナル配列は30アミノ酸配列である。他の実施形態では、アンチセンス分子は、RNA又はDNAのどちらかを含む、IGF-1Rシグナル配列の一部分に相補的なヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、アンチセンス分子は、RNA又はDNAのどちらかを含む、IGF-1Rのコドン1~309に相補的なヌクレオチド配列を含む。他の実施形態では、アンチセンス分子は、RNA又はDNAのどちらかを含む、IGF-1Rのコドン1~309の部分に相補的なヌクレオチド配列を含む。
【0033】
ある特定の実施形態では、IGF-1R AS ODNは、少なくとも約5ヌクレオチド、少なくとも約10ヌクレオチド、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約25ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約35ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約45ヌクレオチド、又は少なくとも約50ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNは、約15ヌクレオチド~約22ヌクレオチドの長さである。ある特定の態様では、IGF-1R AS ODNは、約18ヌクレオチドの長さである。
【0034】
ある特定の実施形態では、IGF-1R AS ODNは、18℃では二次構造を形成するが、約37℃では二次構造を形成しない。他の実施形態では、IGF-1R AS ODNは、約18℃でも約37℃でも二次構造を形成しない。さらに他の実施形態では、IGF-1R AS ODNは、いずれの温度でも二次構造を形成しない。他の実施形態では、IGF-1R AS ODNは、37℃で二次構造を形成しない。特定の実施形態では、二次構造は、ヘアピンループ構造である。
【0035】
いくつかの態様では、IGF-1R AS ODNは、配列番号1のヌクレオチド配列又はそのフラグメントを含む。ある特定の実施形態では、IGF-1R AS ODNは、配列番号1又はそのフラグメントに対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約98%、又は100%の同一性を有しうる。いくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNは、1つ以上のホスホロチオエート結合を含む。
【0036】
ある特定の態様では、IGF-1R AS ODNは配列番号1からなる。NOBELは、ホスホロチオエート骨格とIGF-1R遺伝子のコドン2~7に相補的な配列とを有する18マーのオリゴデオキシヌクレオチドである。したがって、NOBELは、IGF-1Rを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド(IGF-1R AS ODN)である。5’末端でIGF-1R遺伝子の相補的配列として誘導されるNOBEL配列は、
5’-TCCTCCGGAGCCAGACTT-3’(配列番号1)
である。
【0037】
NOBELは、そのホスホロチオエート骨格により安定な貯蔵寿命を有し、ヌクレアーゼ分解に耐性がある。NOBELの投与は、当業者に公知のオリゴデオキシヌクレオチドの導入に関連する標準的方法のいずれかで提供可能である。有利には、NOBELを含めて本明細書に開示されるAS ODNは、毒性をほとんど/まったく伴うことなく投与され得る。マウス試験(尾静脈中40μg)に基づく約2g/kg(スケール調整)のレベルでさえも、毒性問題を示さなかった。NOBELは、当業者に公知の通常の手順に従って製造可能である。
【0038】
アンチセンス分子、例えば、配列番号1のNOBEL配列はまた、米国特許第9,744,187号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるように、1つ以上のp-エトキシ骨格修飾を含み得る。いくつかの実施形態では、アンチセンス分子の核酸骨格は、少なくとも1つのp-エトキシ骨格結合を含む。たとえば、アンチセンス分子の約1%まで、約3%まで、約5%まで、約10%まで、約20%まで、約30%まで、約40%まで、約50%まで、約60%まで、約70%まで、約80%まで、約90%まで、約95%まで、又は約99%までp-エトキシ結合され得る。結合の残りの部分は、ホスホジエステル結合又はホスホロチオエート結合又はそれらの組合せであり得る。好ましい実施形態では、各オリゴヌクレオチド中のリン酸骨格結合の50%~80%はp-エトキシ骨格結合であり、各オリゴヌクレオチド中のリン酸骨格結合の20%~50%は、ホスホジエステル骨格結合である。
【0039】
各種IGF-1Rアンチセンス配列は、NOBEL配列のマルチモダリティー作用のいくつか又はすべてでバイオ活性である。18マーのNOBEL配列は、IGF-1R受容体のダウンレギュレーション活性とさらにはTLRアゴニスト活性との両方を有し、マウスにおけるさらなる実験から、両方の活性がin vivo抗腫瘍免疫活性に必要であることが示唆される。AS ODN分子は抗腫瘍活性を有するが、相補的センス配列は、同様にCpGモチーフを有するにもかかわらずそうした活性を有していない。
【0040】
ある特定の実施形態では、アンチセンス配列は、表1に示される配列番号1~14からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、アンチセンスは、配列番号1~14の1つ以上に対して90%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、アンチセンスは、配列番号1~14の1つ以上に対して80%の配列同一性を有する。いくつかの実施形態では、アンチセンスは、配列番号1~14の1つ以上に対して70%の配列同一性を有する。
【0041】
【表1】
【0042】
ある特定の実施形態では、IGF-1R AS ODNは、配列番号1~14のいずれか1つのヌクレオチド配列又はそのフラグメントを含む。ある特定の実施形態では、IGF-1R AS ODNは、配列番号1~14のいずれか1つ又はそのフラグメントに対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約98%、又は100%の同一性を有し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、アンチセンス分子は、細胞内でIGF-1R経路の下流の遺伝子の発現をダウンレギュレートする。ある特定の態様では、下流遺伝子はヘキソキナーゼ(HexII)である。いくつかの実施形態では、アンチセンス分子は、細胞内でハウスキーピング遺伝子の発現をダウンレギュレートする。いくつかの態様では、ハウスキーピング遺伝子はL13である。
【0044】
ある特定の態様では、IGF-1R AS ODNは、化学合成される。ある特定の実施形態では、IGF-1R AS ODNは、固相有機合成により製造される。いくつかの態様では、IGF-1R AS ODNの合成は、フロースルー技術を用いて密閉ケミカルカラムリアクターを備えたシンセサイザーで行われる。いくつかの実施形態では、固体担体上の各合成サイクルシーケンスは、全長IGF-1R AS ODNが得られるまで逐次行われる複数のステップからなる。ある特定の実施形態では、IGF-1R AS ODNは、液状形態で貯蔵される。他の実施形態では、IGF-1R AS ODNは、貯蔵前に凍結乾燥される。いくつかの実施形態では、凍結乾燥IGF-1R AS ODNは、使用前に水に溶解される。他の実施形態では、凍結乾燥IGF-1R AS ODNは、使用前に有機溶媒に溶解される。さらに他の実施形態では、凍結乾燥IGF-1R AS ODNは、医薬組成物として製剤化される。いくつかの態様では、医薬組成物は液状医薬組成物である。他の態様では、医薬組成物は固形医薬組成物である。追加のアンチセンス核酸は、米国特許出願公開第2017/0056430号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)にも記載されている。
【0045】
自家がん細胞ワクチン
緒言
免疫療法は、現在、1つの共通の細胞性抗原を用いて血液悪性腫瘍を標的とするように使用されている。残念ながら、固形腫瘍は、はるかに複雑であり、同定不能な数の腫瘍特異的標的を有して悪性状態への遺伝子変化のエピジェネティック進行を示す。さらに厄介なことに、WHOの診断用がんグループ内には腫瘍表現型の顕著な変動が存在する。自家細胞ワクチンは、すべてのこうした変動及び標的を包含して固形腫瘍がんに理想的な対象特異的免疫療法になるであろう。しかしながら、自家がん細胞ワクチンは、連続継代により腫瘍表現型が変化して腫瘍特異的抗原のアレイが減少するため、初代細胞培養から誘導することができない。このため、実現しがたいロットリリース認定が各継代で必要となるであろう。本開示は、新たに切除された細片化腫瘍細胞をプレーティングして24時間以内にデポ抗原としてそれを再植込みすることにより、こうした懸念を排除する。ある特定の態様では、本明細書で達成される優れた結果は、本明細書に記載の具体例の中でも特に、適切な数の細胞がチャンバー内に存在することを確実にすることにより得られる。
【0046】
従来の研究では、自己腫瘍細胞の代わりに抗原提示細胞を用いて自家細胞ワクチンを設計してきた。このパラダイムでは、治療前の血漿白血球分離(plasma leukopheresis)から対象の単球を集めて、ex vivoで自己由来樹状細胞(DC)に分化させる。次いで、対象の腫瘍粗ライセートに樹状細胞を提示してDC活性化/成熟を誘発し、より後の時点で、今度は腫瘍抗原でクロスプライミングされた成熟樹状細胞をDCワクチンとして対象に注射する。しかしながら、ex vivo分化は、in vivoでのみ生じるいくつかの主要な刺激性成分が欠けている。そのほか、造血前駆体からのDCの分化は、高価な設備で多くの労力を要する細胞処理を行う大規模なin vitro操作を必要とする。本開示は、内因的DC成熟プロセスと、適切な免疫反応の発生を促進する免疫モジュレート性及び免疫刺激性のアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(AS-ODN)とを提供することにより、こうした懸念を回避する。より具体的には、本開示は、患者に由来する分散腫瘍細胞と照射アンチセンス分子とを含む生体用拡散チャンバーを提供する。これは治療有効期間にわたり患者に植え込まれる。いかなる理論にも拘束されるものではないが、照射腫瘍細胞とアンチセンスと生体用拡散チャンバーとの組合せは、局所免疫反応をシミュレートするように協奏的に作用するとともに、M2細胞を低減又は排除して免疫系の減衰を防止することにより反応を増強すると考えられる。
【0047】
そのため、本開示は、新たに切除された腫瘍細胞とIGF-1R AS ODNとを含む照射植込み型生体用拡散チャンバーががん免疫療法に有効な対象特異的自家細胞ワクチンとして安全に機能することを示す。したがって、対象において腫瘍細胞を選択的に標的とする免疫反応を開始するための特許請求された植込み型生体用拡散チャンバーの使用は、がん、特にGBMを治療するための新しい重要なアプローチを提供する。
【0048】
生体用拡散チャンバー
代表的な拡散チャンバーは、第1の端部及び第2の端部の2つの端部を有するチャンバーバレルを含む。実施形態では、生体用拡散チャンバーは、ミリポア・コーポレーション(Millipore Corporation)により製造されるデュロポア(Duropore)メンブレンなどの多孔性細胞不透過性メンブレンにより片側がキャップされた小リングである。任意選択的に、多孔性メンブレンを用いてシールするように1つの端部のみを開口した状態で残して、チャンバー本体の一部として端部の1つを密閉し得る。メンブレンは、強くて可撓性のある化学処理に耐えうるプラスチック、テフロン(登録商標)、ポリエステル、又はいずれかの不活性材料で作製可能である。チャンバーは、いずれかの物質、例えば、限定されるものではないが、プラスチック、テフロン(登録商標)、ルーサイト、チタン、プレキシガラス、又はヒトに対して非毒性で耐容性が良好ないずれかの不活性材料で作製可能である。そのほか、チャンバーは、滅菌処理に耐えられるようにすべきである。いくつかの態様では、拡散チャンバーは、使用前にエチレンオキシドで滅菌される。他の好適なチャンバーは、2018年1月24日出願の米国仮特許出願第62/621,295号明細書、米国特許第6,541,036号明細書、PCT/US16/26970号パンフレット、及び米国特許第5,714,170号明細書(各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0049】
ある特定の実施形態では、メンブレンは、低分子の通過を可能にするが、細胞の通過を可能にしない(すなわち、細胞は、チャンバーから出ることもそこに入ることもできない)。いくつかの態様では、メンブレンの細孔の直径は、チャンバーからの核酸及び他の化学物質(例えば、細胞により産生されたサイトカインなど)の拡散を可能にし、チャンバーと植え込まれた対象との間の細胞の通過を不能にする。本開示に有用な生体用拡散チャンバーは、チャンバーと植え込まれた対象との間の細胞の通過を不能にするいずれのチャンバーも含むが、ただし、チャンバーは、チャンバーと対象との間の因子の交換及び通過を可能にするものでなければならない。そのため、ある特定の態様では、細孔サイズは、チャンバーに出入りする100μm超の体積の物質の通過を防止するカットオフを有する。いくつかの実施形態では、メンブレンの細孔は、約0.25μm以下の直径を有する。たとえば、細孔は、約0.1μmの直径を有しうる。特定の態様では、細孔は、直径0.1μm~0.25μmの範囲内である。また、ランゲ(Lange)ら著、ジャーナル・オブ・イムノロジー(J.Immunol.)、1994年、第153巻、p.205~211、及びランザ(Lanza)ら著、トランスプランテーション(Transplantation)、1994年、第57巻、p.1371~1375(各々その全体が参照により本明細書に組み込まれる)も参照されたい。この細孔直径は、チャンバーに出入りする細胞の通過を防止する。ある特定の実施形態では、拡散チャンバーは、0.1μmの細孔サイズの親水性デュラポア(Durapore)メンブレン(ミリポア(Millipore)、ベッドフォード、マサチューセッツ州)を有する14mmルーサイトリングから構築される。
【0050】
ある特定の実施形態では、生体用拡散チャンバーは、IGF-1R AS ODNがチャンバーから拡散することを可能にするメンブレンを含む。いくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNの約50%が約12時間でチャンバーから拡散し、IGF-1R AS ODNの約60%が約24時間でチャンバーから拡散し、IGF-1R AS ODNの約80%が約48時間でチャンバーから拡散し、かつ/又はIGF-1R AS ODNの約100%が約50時間でチャンバーから拡散される。
【0051】
例示的方法では、生体用拡散チャンバーを組み立てるために、第1の多孔性メンブレンは、耐密シールを形成するように接着剤及び圧力を用いて第1の拡散チャンバーの片側に装着される。第2の多孔性メンブレンは、第2の拡散チャンバーリングに同様に装着される。メンブレンは、より耐密なシールを同様に提供し得るゴムガスケットを用いて所定の位置に固定可能である。拡散チャンバーリングは、乾燥させるために一晩放置される(少なくとも8時間)。次いで、第1の拡散チャンバーリング及び第2の拡散チャンバーリングは、接着剤を用いて互いに装着され、そして乾燥させるために一晩放置される(少なくとも8時間)。好ましい実施形態では、第1のチャンバーリングと第2のチャンバーリングとの接合プロセスは、2つのリング間の接着を促進するために溶媒として2ジクロロエタンを使用することを含む。代替法では、チャンバーは、多孔性メンブレンを含有する側を1つのみ有しうる。
【0052】
チャンバーのバレル部分には、チャンバーが植え込まれた後で対象の身体の外側からアクセスして拡散チャンバーに補充できるようにするキャップによりカバー可能な1つ以上の開口(たとえばポート)が提供される。開口は、汚染を伴うことなく、かつ対象に害を加えることなく内容物の多数回の逐次サンプリングを可能にするので、対象で実施される植込み手順の回数を有意に低減する。患者への植込み前に、ボーンワックス、ポートプラグ、又はPMMAなどで作製されたキャップを用いて1つ以上の開口をシールしうる。キャップは、ネジ込み型のセルフシーリングゴムにして開口に取付け可能である。いくつかの構成では、拡散チャンバーは、2つ以上の注入開口又はポートを含有しうる。チャンバー内容物のサンプリングは、対象の身体の外側でキャップを取り外して通常の針及びシリンジを挿入するように開口にアクセスすることにより、実施可能である。いくつかの実施形態では、チャンバーは、取出しデバイスをさらに含みうる。このようなデバイスは、患者からのチャンバーの取出しを容易にする。
【0053】
実施形態では、チャンバーは、治療的宿主免疫反応を促進する目的で腫瘍抗原がチャンバーから拡散するように設計された抗原デポとして機能する。外因性IGF-1R AS ODN及びex vivo照射は、炎症誘発反応を促進する。この製剤は、臨床上及びラジオグラフィー上の改善、プロトコルによる長期生存に関連し、外因性活性医薬成分(API)と腫瘍免疫作用を誘発又は増強すると解釈される照射とを含む新規な自家細胞ワクチンとなる。さらに、低濃度のIGF-1R AS ODNの添加は、炎症誘発反応にきわめて重要である。
【0054】
ある特定の実施形態では、本開示は、(a)腫瘍細胞と(b)有効量のアンチセンス分子とを含む、がんを患う対象に植え込むための生体用拡散チャンバーを提供する。他の実施形態では、(a)腫瘍細胞と有効量のアンチセンス核酸とを含む生体用拡散チャンバーを得ることと、(b)生体用拡散チャンバー及び内容物に照射することと、(c)治療有効期間にわたり照射された生体用拡散チャンバーを対象に植え込むことと、を含む、対象においてがんを治療する方法が提供される。
【0055】
ある特定の実施形態では、IGF-1R AS ODNは、約0.5μg~約10μgの範囲内の量で生体用拡散チャンバー内に存在する。ある特定の態様では、IGF-1R AS ODNは、約1μg~約5μg/チャンバー又は約2μg~4μg/チャンバーの範囲内の量で存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNは、約2μg/チャンバーの量で存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNは、約4μg/チャンバーの量で存在する。いくつかの実施形態では、約1.0マイクログラム(μg)~約5.0μgの量で存在する。例えば、IGF-1R AS ODNは、チャンバーあたり約1.0μg、約2.0μg、約3.0μg、約4.0μg、約5.0μg、約6.0μg、約7.0μg、約8.0μg、約9.0μg、又は約10.0μgの量で存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNは、チャンバーあたり約5.0μg~約50.0μgの量で存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNは、チャンバーあたり約50.0μg~約100.0μgの量で存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNは、チャンバーあたり約10.0μg~約500.0μgの量で存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNは、チャンバーあたり約100.0μg~約500.0μgの量で存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNは、チャンバーあたり約500.0μg~約1.0ミリグラム(mg)の量で存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNは、チャンバーあたり約1.0mg~約3.0mgの量で存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNは、チャンバーあたり約3.0mg~約5.0mgの量で存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNは、チャンバーあたり約5.0mg~約10.0mgの量で存在する。いくつかの実施形態では、IGF-1R AS ODNは、チャンバーあたり約1.0μg~約10.0mgの量で存在する。理論により拘束されるものではないが、これらのレベルは、対象においてM2免疫刺激反応を回避しつつ対象においてTh1反応増強を促進すると考えられる。
【0056】
ある特定の実施形態では、腫瘍細胞は、チャンバーへの封入前にIGF-1R AS ODNで処理されない。しかしながら、典型的には、腫瘍細胞は、チャンバーへの封入前にIGF-1R AS ODNで処理される。封入前に細胞を処理する時間は、様々でありうる。たとえば、腫瘍細胞は、最大約4時間、最大約6時間、最大約8時間、最大約12時間、又は最大約18時間にわたり、封入直前にex vivoでIGF-1R AS ODNを用いて処理し得る。典型的には、腫瘍組織は、約12時間~約18時間にわたり封入前にex vivoで処理され得る。便宜上、細胞は、一晩まで前処理を継続した後で封入され得る。理論により拘束されるものではないが、封入前の処理は、腫瘍抗原の刺激生成に望ましい役割を果たすと考えられる。
【0057】
封入前の処理に使用されるIGF-1R AS ODNの量は、約1mg~8mg/100万細胞、例えば、約2mg~約6mg/100万細胞、約3mg~約5mg/100万細胞の範囲内でありうる。典型的には、封入前の処理に使用されるIGF-1R AS ODNの量は、約4mg/100万細胞である。
【0058】
いくつかの実施形態では、腫瘍細胞のex vivo処理のIGF-1R AS ODNは、少なくとも約2mg/ml~少なくとも約5mg/mlの範囲内の濃度で使用される。ある特定の態様では、IGF-1R AS ODNは、少なくとも4mg/mlの濃度で使用される。具体的な実施形態では、IGF-1R AS ODNは、4mg/mlの濃度で使用される。
【0059】
ある特定の実施形態では、ex vivoで腫瘍細胞を処理するために使用されるIGF-1R AS ODN及びチャンバーに存在するIGF-1R AS ODNは、同一である。他の実施形態では、ex vivoで腫瘍細胞を処理するために使用されるIGF-1R AS ODN及びチャンバーに存在するIGF-1R AS ODNは、異なる。ある特定の実施形態では、ex vivoで腫瘍細胞を処理するために使用されるIGF-1R AS ODNは、少なくとも約5ヌクレオチド、少なくとも約10ヌクレオチド、少なくとも約15ヌクレオチド、少なくとも約20ヌクレオチド、少なくとも約25ヌクレオチド、少なくとも約30ヌクレオチド、少なくとも約35ヌクレオチド、少なくとも約40ヌクレオチド、少なくとも約45ヌクレオチド、又は少なくとも約50ヌクレオチドの長さである。いくつかの実施形態では、ex vivoで腫瘍細胞を処理するために使用されるIGF-1R AS ODNは、約15ヌクレオチド~約22ヌクレオチドの長さである。ある特定の態様では、腫瘍細胞を処理するために使用されるIGF-1R AS ODNは、約18ヌクレオチドの長さである。
【0060】
ある特定の実施形態では、ex vivoで腫瘍細胞を処理するために使用されるIGF-1R AS ODNは、18℃では二次構造を形成するが、約37℃では二次構造を形成しない。他の実施形態では、腫瘍細胞を治療するために使用されるIGF-1R AS ODNは、約18℃でも約37℃でも二次構造を形成しない。さらに他の実施形態では、ex vivoで腫瘍細胞を処理するために使用されるIGF-1R AS ODNは、いずれの温度でも二次構造を形成しない。他の実施形態では、腫瘍細胞を処理するために使用されるIGF-1R AS ODNは、37℃で二次構造を形成しない。特定の実施形態では、二次構造は、ヘアピンループ構造である。
【0061】
いくつかの態様では、腫瘍細胞を処理するために使用されるIGF-1R AS ODNは、配列番号1のヌクレオチド配列又はそのフラグメントを含む。ある特定の実施形態では、腫瘍細胞を処理するために使用されるIGF-1R AS ODNは、配列番号1又はそのフラグメントに対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約98%、又は100%の同一性を有し得る。ある特定の態様では、腫瘍細胞を処理するために使用されるIGF-1R AS ODNは、配列番号1である。
【0062】
ある時間にわたり腫瘍細胞をAS-ODNで処理した後、AS-ODNを除去して新たなAS-ODNをチャンバーに添加し、次いで、対象への植込み前に照射する。ある特定の態様では、生体用拡散チャンバーは、約1Gy、約2Gy、約4Gy、約5Gy、約6Gy、約10Gy、又は最大約15Gyの量でγ線照射により処理される。ある特定の態様では、照射線量は約5Gy以下である。他の態様では、照射線量は少なくとも約5Gyである。いくつかの態様では、照射線量は5Gyである。ある特定の実施形態では、生体用拡散チャンバーは、少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、少なくとも4回、又は少なくとも5回照射され得る。いくつかの実施形態では、チャンバーは、対象への植込み前に約24時間未満照射される。他の実施形態では、チャンバーは、対象への植込み前に約24時間照射される。さらに他の実施形態では、チャンバーは、対象への植込み前に少なくとも約24時間照射される。さらに他の実施形態では、チャンバーは、対象への植込み前に約48時間以下照射される。さらに他の実施形態では、チャンバーは、対象への植込み前に少なくとも約48時間照射される。
【0063】
腫瘍細胞は、典型的には、植込み前に照射などにより死滅させるが、細胞を死滅させる必要はなく、実際には、抗原の放出を促進するために細胞を生存状態で維持することが有利なこともある。そのため、ある特定の実施形態では、植込み前に細胞に照射しないこともある。しかしながら、安全上の目的で、対象への腫瘍生細胞の放出を防止することが望ましい。
【0064】
腫瘍細胞は、様々な数で拡散チャンバーに配置可能である。ある特定の実施形態では、約1×10~約5×10個の腫瘍細胞が各拡散チャンバーに配置される。他の実施形態では、約1×10~約1.5×10個の腫瘍細胞が拡散チャンバーに配置される。さらに他の実施形態では、約5×10~約1×10個の腫瘍細胞がチャンバーに配置される。我々は、腫瘍細胞の数が対象の抗腫瘍反応に影響を及ぼしうること及び所望の結果を得る機会を増加させるために適切な範囲を選択すべきであることを発見した。20個のチャンバーが植え込まれた患者の抗腫瘍免疫反応は、1つのチャンバーに約750,000~約1,250,000細胞の範囲内が最適であり、約100万細胞/チャンバーにピークを有する。照射腫瘍細胞を含有する複数のチャンバーが投与され、最適免疫反応を維持するために、細胞数/チャンバーは好ましくはその範囲内に維持される。好ましくは、腫瘍細胞はインタクトであり、本明細書に記載されるように自己分解したり損傷したりもしない。
【0065】
ある特定の実施形態では、チャンバー内の細胞とAS ODNとの比を維持することが好ましいこともある。そのため、ある特定の態様では、チャンバーは、約2μgのAS ODNと、750,000~1,250,000細胞例えば1,000,000細胞とを含有しうる。そのため、細胞とAS ODNとの比は、約3.75×10~約6.25×10/μg AS ODNの範囲内、例えば、約5.0×10細胞/μgであり得る。そのため、20個のチャンバーを収容する典型的患者では、AS ODNの総投与量は約40μgである。
【0066】
典型的には、投与は、本明細書に記載されるようにチャンバーで行われるであろうが、ある特定の態様では、照射細胞及びIGF-1R AS ODNは、チャンバーや他の容器に物理的に一緒に閉じ込めることなく対象に共投与され得る。そのため、この方式を用いるある特定の方法では、照射細胞及びIGF-1R AS ODNは、対象の生理機能により制限される体内で、分散、拡散、又は代謝される。そのため、ある特定の態様では、例えば、使用に供される腫瘍細胞は、チャンバー用として本明細書に記載したように調製されてIGF-1R AS ODNと共に投与され得るが、投与は、物理的容器内に閉じ込めなくてもよい。そのような投与は、典型的には筋肉内である。
【0067】
チャンバー用腫瘍組織調製物
自家ワクチン接種に使用される腫瘍細胞は、対象から外科的に取り出される。実施形態では、腫瘍細胞は、組織モルセレータを用いて患者から取り出される。抽出デバイスは、好ましくは、静置外側カニューレ内の高速往復内側カニューレと電子制御可変吸引とを組み合わせる。外側カニューレは、1.1mm、1.9mm、2.5mm、又は3.0mmの直径と、10cm、13cm、又は25cmの長さと、を有する。装置はまた、サイドマウスカッティングとブラントデシケーター端部から0.6mmに位置するアスピレーションアパーチャとに依拠する。除去される組織内へのアパーチャの弱い前進圧力と吸引との組合せによりサイドアパーチャ内に所望の組織を引き込んで、内側カニューレの往復カッティング動作を介して制御された正確な組織切除を可能にする。重要な特徴は、回転ブレードが存在しないことであり、これにより、意図されない組織がアパーチャに引き込まれないようにする。好適なデバイスの例は、ミリアド(Myriad)(登録商標)組織アスピレータ(ニコ・コーポレーション(NICO Corporation)(登録商標)、インディアナポリス、インディアナ州)であり、これは直接的、微視的、又は内視鏡的な可視化を併用して軟組織の取出しに使用し得る侵襲を最小限に抑えた外科システムである。剃毛組織を吸引し、採取チャンバーに収集し、そして無菌組織トラップに採取する。無菌組織トラップへの組織の採取時、血液は調製物から除去される。好ましくは、無菌トラップは、トラップの底部の採取ディッシュと、トラップへのアクセスを提供するステムと、を含有する。トラップ構造はまた、トラップからの組織の取出しを容易にするためにトラップから取出し可能な内側レードル形構造を含有し得る。
【0068】
好ましくは、モルセレータは、切除部位でもそのシャフトに沿っても熱を発生することがなく、組織取出しのために超音波エネルギーを必要としない。そのため、特定の実施形態では、腫瘍組織は、細片化腫瘍組織(すなわち、熱の不在下かつ任意選択的に超音波処理の不在下でサイドマウスカッティングにより得られた腫瘍剃毛組織)である。有利には、アスピレータ抽出物及び細片化組織は、他の方法により取り出された組織よりも高い生存能を有する。抽出プロセスは、部分的には取出し時に高温への腫瘍細胞の暴露が制限されるため、より高い腫瘍細胞生存能を維持すると考えられる。例えば、本明細書の方法は、取出し時に25℃超に腫瘍細胞を暴露しない。そのため、細胞は、体温すなわち約37℃を超える温度に暴露されない。
【0069】
対象から得られる腫瘍組織の量は、様々であり得る。好ましくは、量は、患者から得られる湿潤腫瘍組織換算で少なくとも1グラム、少なくとも2グラム、少なくとも3グラム、又は少なくとも4グラムである。組織は、無菌組織トラップから取り出され、大きな組織片を破壊するために無菌ピペットを用いてピペッティングすることにより脱凝集される。次いで、脱凝集された細胞懸濁物は、無菌組織培養プレート上の血清含有媒体中に配置され、組織培養インキュベーターでインキュベートされる。このプレーティングステップは、接着により所望の機能細胞を富化するように機能し、調製物からデブリを除去するのに役立つ。そのため、本明細書に記載の治療に使用される腫瘍細胞は、好ましくは、腫瘍組織由来の接着細胞から本質的になるか又はそれからなる。
【0070】
所定のインキュベーション時間後(例えば、6、12、24、又は48時間後)、細胞はプレートから取り出される。細胞は、擦取により、化学的方法(たとえばEDTA)により、又は酵素処理(たとえばトリプシン)により、取り出され得る。細胞は、1つ以上の拡散チャンバーに配置される。いくつかの実施形態では、細胞は、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又はそれ以上の個数の拡散チャンバーに分配される。多くの場合、20個のチャンバーが使用される。いくつかの実施形態では、各拡散チャンバーは、等しい細胞数を含有する。いくつかの実施形態では、第1の拡散チャンバーは、第2のチャンバーよりも多くの細胞を含有する。
【0071】
いくつかの実施形態では、細胞は、チャンバー内に配置される前に選別される。いくつかの実施形態では、細胞は、チャンバー内に配置される前に1つ以上の細胞マーカーを選択することにより富化される。選択は、例えば、ビーズを用いて又は当業者に公知の細胞選別技術により実施され得る。いくつかの実施形態では、チャンバー内に配置された細胞は、1つ以上のマーカについて濃縮される。
【0072】
いくつかの実施形態では、治療有効期間にわたる生体用拡散チャンバーの植込みは、対象においてがんの再発を低減又は排除する。ある特定の態様では、生体用拡散チャンバーの植込みは、対象においてがんに関連する腫瘍体積の低減を引き起こす。さらに他の実施形態では、治療有効期間にわたる生体用拡散チャンバーの植込みは、対象において腫瘍の排除を誘発する。いくつかの実施形態では、チャンバーの植込みは、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも36ヶ月間にわたり、又は無期限に腫瘍の再成長を阻害する。
【0073】
生体用拡散チャンバーは、次のように、すなわち、対象の皮下、腹腔内、及び頭蓋内に、植込み可能であるが、これらに限定されるものではない。ある特定の実施形態では、拡散チャンバーは、良好なリンパ液排出及び/又は血管供給を有する身体の受容部位、例えば、腹直筋鞘に植え込まれる。他の実施形態では、治療後に拡散チャンバーを空にして治療に再使用できるように、補充可能なチャンバーを利用し得る。ある特定の態様では、複数、好ましくは5~20個の拡散チャンバーを単一対象で使用可能である。
【0074】
ある特定の実施形態では、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約15、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、少なくとも約40、少なくとも約45、又は少なくとも約50の個数のチャンバーが対象に植え込まれる。いくつかの実施形態では、10~20個のチャンバーが対象に植え込まれる。好ましくは、約20個のチャンバーが対象に植え込まれる。ある特定の実施形態では、腫瘍細胞は、各チャンバーに等しく分配される。
【0075】
典型的には、チャンバーは、ある時間後に取り出される。例えば、チャンバーは、約24時間、約48時間、約72時間、又は約、96時間にわたり対象に植え込まれ得る。約48時間にわたる植込みは、有益な治療結果に関連する。したがって、好ましい植込み時間は約48時間である。ある特定の実施形態では、ワクチン接種手順は、1回/患者で実施される。他の実施形態では、ワクチン接種手順は、複数回/患者で実施される。実施形態では、ワクチン接種手順は、単一患者で2回、3回、4回、5回、6回、7回、又は8回実施される。実施形態では、ワクチン接種は、所与の期間にわたり7日ごと、14日ごと、28日ごと、又は1ヶ月ごと、3ヶ月ごと、又は6ヶ月ごとに繰り返される。さらなる実施形態では、ワクチン接種手順は、患者のがんがなくなるまで定期的に繰り返される。
【0076】
理論により拘束されるものではないが、生体用拡散チャンバーの植込みは、チャンバーから拡散した腫瘍抗原に対する免疫反応が達成されるように植込み部位又はその近傍でM2細胞の排除又は低減を引き起こすと考えられる。ある特定の態様では、植込み部位におけるM2細胞の排除又は低減は、CD4 T細胞への抗原提示細胞(APC)による自家腫瘍抗原の提示増強をもたらし、インターフェロンγ(IFNγ)の産生及び1型腫瘍免疫の誘導をもたらす。ある特定の態様では、腫瘍抗原特異的CD4 T細胞によるIFNγの産生及びIGF-1R AS ODNの抗M2効果は、1型抗腫瘍免疫並びに循環系及び腫瘍微小環境からの抗炎症性M2細胞の喪失を促進し、腫瘍成長を間接的に妨害する。いくつかの態様では、腫瘍抗原特異的CD4 T細胞によるIFNγの産生及びIGF-1R AS ODNの抗M2効果は、腫瘍細胞及び腫瘍マイクロ環境(M2細胞)に対するエフェクター媒介損傷の抑制を解いて、腫瘍抗原を認識するメモリーT細胞をプログラムするより長いプロセスを開始する。ある特定の実施形態では、抗腫瘍適応免疫反応は、腫瘍退縮の継続を維持する。
【0077】
任意選択的に、チャンバーに導入される細胞は、ある特定の細胞型が富化されうる。細胞骨格関連クラスVI中間径フィラメント(IF)タンパク質のネスチンは、神経幹細胞マーカーとしてのその重要性が従来から有名である。我々は、ある特定の脳腫瘍サンプルでネスチン陽性細胞(ネスチン+細胞)が良性組織と比較して富化されること及びこの関連物質が治療反応の改善に対応することを発見した。そのため、ある特定の態様では、ネスチン発現の程度を評価するように対象の腫瘍の生検を行うことが可能であり、したがって、ある特定の態様では、チャンバー細胞は、良性組織と比較してネスチン陽性(「+」)細胞が富化される。理論により拘束されるものではないが、ネスチンは、抗腫瘍免疫反応を起こすのに有用な好適な抗原に関連するマーカを提供すると考えられる。したがって、チャンバーに植え込まれる細胞は、対象から抽出したとき全体として腫瘍細胞集団と比較してネスチン+細胞が富化され得る。いくつかの実施形態において、免疫反応の増強は、ネスチンが富化された腫瘍サンプルを反応の刺激に使用したときに得られる。
【0078】
全身投与
チャンバーの植込みの代わりとして又は補足として、IGF-1R AS ODNは、全身投与され得る。そのため、実施形態では、IGF-1R AS ODNは、全身投与用医薬組成物で提供される。IGF-1R AS ODNのほか、医薬組成物は、例えば生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)を含み得る。組成物はリン脂質を含み得る。いくつかの態様では、リン脂質は、生理学的pHで非荷電であるか又は中性電荷を有する。いくつかの態様では、リン脂質は中性リン脂質である。ある特定の態様では、中性リン脂質はホスファチジルコリンである。ある特定の態様では、中性リン脂質はジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)である。いくつかの態様では、リン脂質は本質的にコレステロールを含まない。
【0079】
いくつかの態様では、リン脂質及びオリゴヌクレオチドは、約5:1~約100:1のモル比又はそれから演繹し得るいずれかの比で存在する。各種態様では、リン脂質及びオリゴヌクレオチドは、約5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1、50:1、55:1、60:1、65:1、70:1、75:1、80:1、85:1、90:1、95:1、又は100:1のモル比で存在する。いくつかの態様では、オリゴヌクレオチド及びリン脂質は、オリゴヌクレオチド-脂質複合体例えばリポソーム複合体などを形成する。いくつかの態様では、リポソームの少なくとも75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%は、5ミクロン未満の直径である。各種態様では、組成物は、少なくとも1種の界面活性剤例えばポリソルベート20などをさらに含む。いくつかの態様では、全リポソームアンチセンス製剤の少なくとも約5%は界面活性剤からなり、かつリポソームの少なくとも約90%は5ミクロン未満の直径である。いくつかの態様では、全リポソームアンチセンス製剤の少なくとも約15%は界面活性剤からなり、かつリポソームの少なくとも約90%は3ミクロン未満の直径である。いくつかの態様では、オリゴヌクレオチドの集団はリポソームの集団に組み込まれる。
【0080】
いくつかの態様では、医薬組成物は液状医薬組成物である。他の態様では、医薬組成物は固形医薬組成物である。
ヒト対象におけるアンチセンスの全身投与の用量は、約0.025g/kg、約0.05g/kg、約0.1g/kg、約0.15g/kg、又は約0.2g/kgであり得る。ある特定の実施形態では、全身投与の用量は、0.025g/kg~0.2g/kgであり得る。いくつかの実施形態では、用量は約0.2g/kgである。他の実施形態では、用量は0.004g/kg~0.01g/kgである。他の実施形態では、用量は0.01g/kg未満である。さらなる実施形態では、用量は0.01g/kg~0.2g/kgではない。ある特定の態様では、アンチセンスは凍結乾燥粉末として供給され、投与前に再懸濁される。再懸濁されある場合、アンチセンスの濃度は、約50mg/ml、約100mg/ml、約200mg/ml、約500mg/ml、約1000mg/ml、又はそれらの量の間の範囲であり得る。
【0081】
ある特定の実施形態では、AS ODNは、例えば、術前に腫瘍負荷を低減するために、術前に全身投与され得る。例えば、AS ODNは、術前24時間まで、36時間まで、48時間まで、又は72時間までに投与され得る。特定の態様では、医薬組成物は、術前約48~約72時間で投与され得る。典型的には、このような状況では、投与は静脈内ボーラスによる。
【0082】
組合せ療法
歴史的には、がん療法は、放射線療法、化学療法、又はその両方で対象を治療することを含むものである。このような方法の取組みは、数多く報告されている。しかしながら、有利には、本明細書に開示されるチャンバー植込み方法は、がんを有する対象を単独療法として治療するために使用され得る。そのため、本明細書に開示される方法は化学療法も放射線療法も含まないことが好ましい。しかしながら、本明細書の単独療法により達成される優れた効果にもかかわらず、ある特定の状況下では、チャンバー法を他の療法例えば放射線療法と組み合わせることが有益なこともある。ある特定の実施形態では、放射線療法としては、限定されるものではないが、内部線源放射線療法、外部ビーム放射線療法、及び全身放射性同位体放射線療法が挙げられる。ある特定の態様では、放射線療法は外部ビーム放射線療法である。いくつかの実施形態では、外部ビーム放射線療法としては、限定されるものではないが、γ線療法、X線療法、強度変調放射線療法(IGRT)、及び画像誘導放射線療法(IGRT)が挙げられる。ある特定の実施形態では、外部ビーム放射線療法はγ線療法である。照射は、チャンバー植込み前又は植込み後に例えばサルベージ療法として施され得る。典型的には、このようなサルベージ療法は、がんが再発したと判定されるまで実施されない。
【0083】
そのため、ある特定の組合せ法では、本明細書に記載のチャンバー法及び全身法及び組成物はいずれも、単独で又は放射線療法若しくは化学療法との組合せで同一対象において使用され得る。本明細書に記載の組合せ法では、チャンバー植込みは、好ましくは第一選択療法として使用される。対象の免疫系は、他の療法により阻害されてチャンバー植込みの治療効果を低減する可能性があるので、最初にチャンバー植込みを使用することが望ましい。
【0084】
任意選択的に、チャンバー植込み前に全身投与が実施され得る。このような方法は、プライミング法として対象免疫系を増強するために使用可能である。プライミング法は、先行療法の結果として対象の免疫系が損なわれた場合にとりわけ有利であり得る。
【0085】
全身投与を組合せで使用する場合、AS ODNは、自家がん細胞ワクチンを用いた患者の治療の少なくとも2週間前、少なくとも1週間前、少なくとも3日間前、又は少なくとも1日前に全身投与され得る。他の実施形態では、AS ODNは、自家がん細胞ワクチンすなわちチャンバーを用いた患者の治療の少なくとも1日後、少なくとも3日後、少なくとも1週間後、又は少なくとも2週間後に全身投与され得る。
【0086】
任意選択的に、対象は、1回目のワクチン接種後に記載の方法を用いてチャンバーにより再ワクチン接種され得る。2回目以降の追加のワクチン接種では、組織取出し時に対象から採取して貯蔵した腫瘍細胞を使用し得る。任意選択的に、2回目以降の追加のワクチン接種では、対象から取り出して本明細書に記載されるように処理した新たな腫瘍組織を使用し得る。対象に残留するいずれの腫瘍も、同一抗原を発現しうるので、デポ剤として作用して再刺激を提供し得る。しかしながら、再発腫瘍は、新たな抗原を発生し得るので、抗腫瘍反応を刺激する追加の選択肢を提供し得る。後続のワクチン接種は、1回目の治療が終了し且つ腫瘍が再発した後又は対象が1回目の治療に反応しなくなった場合であり得る。
【0087】
IGF-1R AS ODNで治療される対象
好適な対象は、がんを有する動物であり、典型的には、対象はヒトである。膠芽細胞腫などの脳腫瘍は本明細書に開示される方法がとくに奏効するが、本方法はがん一般に適用される。したがって、本開示は、神経膠腫、星状細胞腫、肝がん、乳がん、頭頸部扁平上皮細胞癌、肺がん、腎細胞がん、肝細胞がん、胆嚢がん、古典的ホジキンリンパ腫、食道がん、子宮がん、直腸がん、甲状腺がん、黒色腫、結腸直腸がん、前立腺がん、卵巣がん、及び膵臓がんからなる群から選択されるものを含めてがんの治療方法を提供する。具体的な実施形態では、がんは神経膠腫である。ある特定の態様では、神経膠腫は再発悪性神経膠腫である。いくつかの実施形態では、がんは星状細胞腫である。ある特定の実施形態では、治療の候補となる対象は、WHOグレードII、WHOグレードIII、又はWHOグレードIVの腫瘍に罹患している。いくつかの態様では、腫瘍は星状細胞腫である。ある特定の実施形態では、腫瘍は、グレードII星状細胞腫、AIII(IDH1 R132H突然変異グレードIII星状細胞腫)、AIII-G(多形膠芽細胞腫の星状細胞腫の特性を有するIDH1野生型グレードIII)、又はグレードIV星状細胞腫から選択される。
【0088】
グレードIV星状細胞腫は、最高グレード神経膠腫であり、膠芽細胞腫(GBM)と同義である。100,000例あたり3又は4例の年間発生率で、GBMは成人において最も一般的な悪性原発脳腫瘍である。標準ケア療法(典型的には、放射線療法とテモゾロミドを用いた化学療法との組合せ)は十分に機能せず、GBM患者の転帰平均余命は15~17ヶ月と、依然として不良である。有利には、本明細書の方法は、新たに診断された脳のがんを治療するために使用され得るとともに、例えば標準ケア療法で以前に治療された患者で再発膠芽細胞腫を治療するためにも使用され得る。そのため、ある特定の態様では、対象は、新たに診断されたGBM対象又は再発GBM対象でありうる。対象は、好ましくは、免疫抑制的ないずれの治療法でも以前に治療されていない者である。特定の態様では、適格対象は、18歳超の年齢であり、かつ60以上のカルノフスキースコアを有する。任意選択的に、対象は、両半球疾患を有しておらず、かつ/又は自己免疫疾患を有していない。
【0089】
任意選択的に、治療の候補となる対象は、対象で腫瘍生検を実施することにより同定され得る。いくつかの実施形態では、単球の存在に関して対象の腫瘍がアッセイされる。ある特定の態様では、単球としては、限定されるものではないが、CD11b+、CD14+、CD15+、CD23+、CD64+、CD68+、CD163+、CD204+、又はCD206+の単球が挙げられる。腫瘍における単球の存在は、免疫組織化学を用いてアッセイされ得る。ある特定の実施形態では、治療の候補となる対象は、対象の全末梢血単核細胞(PBMC)の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、又は約50%を超えるCD163+M2細胞を示す。ある特定の態様では、対象は、対象の全PBMCの約20%を超えるCD163+M2細胞を示す。
【0090】
さらに他の実施形態では、治療の候補となる対象は、対象の血清中の1種以上のサイトカインの存在により同定される。こうしたサイトカインとしては、限定されるものではないが、CXCL5、CXCL6、及びCXCL7、IL6、IL7、IL8、IL10、IL11、IFN-γ、並びにHSP-70が挙げられる。
【0091】
さらに他の実施形態では、治療の候補となる対象は、対象の血清中の1種以上の成長因子の存在により同定される。こうした成長因子としては、限定されるものではないが、FGF-2、G-CSF、GM-CSF、及びM-CSFが挙げられる。
【0092】
いくつかの実施形態では、生体用拡散チャンバーによる治療の候補となる対象は、サイトカインの特定のセットのレベルを測定することにより同定される。いくつかの実施形態では、対象は、健常対象と比較してこれらのサイトカインのレベルの上昇を有する。本明細書で用いられる場合、「健常対象」という用語は、がんやいずれの他の疾患にも罹患しておらず、かつ生体用拡散チャンバーによる治療を必要としない対象を意味する。
【0093】
特定の実施形態では、サイトカインは、抗腫瘍免疫反応を補うためにチャンバーに添加され得る。例えば、チャンバーに添加されるサイトカインは、CCL19、CCL20、CCL21、及びCXCL12及びそれらの組合せからなる群から選択され得る。
【0094】
ある特定の実施形態では、循環CD14+単球は、健常対象と比較して上昇したCD163レベルを有する。いくつかの態様では、循環CD14+単球上のCD163レベルは、健常対象と比較して、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、又は少なくとも約100倍に上昇する。特定の実施形態では、循環CD14+単球上のCD163レベルは、健常対象と比較して約2倍に上昇する。
【0095】
他の実施形態では、治療の候補となる対象は、未分化単球をM2細胞に向けて分極する血清を有する。ある特定の態様では、未分化単球を併用した対象の血清のインキュベーションは、限定されるものではないが、CD11b、CD14、CD15、CD23、CD64、CD68、CD163、CD204、及び/又はCD206をはじめとする単球上の1種以上の細胞表面マーカーの発現を誘発する。他の態様では、未分化単球を併用した対象の血清のインキュベーションは、対象の血清を併用してインキュベートされない単球と比較して単球上の1種以上の細胞表面マーカーの発現を上昇させる。ある特定の態様では、細胞表面マーカーとしては、限定されるものではないが、CD11b、CD14、CD15、CD23、CD64、CD68、CD163、CD204、及び/又はCD206が挙げられる。いくつかの態様では、1種以上の表面マーカーのレベルは、対象の血清を併用してインキュベートされない未分化単球と比較して、少なくとも約1.3倍、少なくとも約1.5倍、少なくとも約1.8倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約30倍、少なくとも約40倍、少なくとも約50倍、少なくとも約60倍、少なくとも約70倍、少なくとも約80倍、少なくとも約90倍、又は少なくとも約100倍に上昇する。特定の実施形態では、1種以上の表面マーカーのレベルは、対象の血清を併用してインキュベートされない未分化単球と比較して約2倍に上昇する。対象の血清により分極された単球は、FACSを用いて測定され得る。
【0096】
標的細胞
理論により拘束されるものではないが、AS ODNは、IGF-1R発現をダウンレギュレートすることにより、対象のM2細胞の低減及び/又はM2細胞への細胞の分極化の阻害を行うと考えられる。いくつかの実施形態では、M2細胞におけるIGF-1R発現は、アンチセンスで処理されていない細胞と比較して、少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%ダウンレギュレートされる。M2細胞におけるIGF-1R発現は、定量RT-PCRにより測定され得る。
【0097】
いくつかの実施形態では、M2細胞におけるIGF-1R発現は、アンチセンスの単回投与を受けた後、少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約7日間、少なくとも約8日間、少なくとも約9日間、少なくとも約10日間、少なくとも約11日間、少なくとも約12日間、少なくとも約13日間、少なくとも約14日間、少なくとも約3週間、少なくとも約4週間、少なくとも約5週間、又は少なくとも約6週間にわたり、対象においてダウンレギュレートされた状態を維持する。
【0098】
いくつかの態様では、M2細胞におけるIGF-1Rの発現のダウンレギュレーションは、IGF-1Rを発現しない細胞と比較して対象のM2細胞の選択的低減を引き起こす。ある特定の実施形態では、対象のM2細胞は、アンチセンスで治療されていない対象と比較して、少なくとも約2%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約95%低減される。他の実施形態では、M2細胞集団は排除される。例えば、生体用拡散チャンバーの植込み後、M2細胞集団は、生体用拡散チャンバーの植込み前の集団の約1%、約2%、約5%、又は約10%であり得る。対象のM2細胞は、FACSを用いて測定され得る。ある特定の態様では、治療後、M2細胞は排除される。すなわち、FACSにより検出不能である。他の態様では、M2細胞の減少は、プロキシアッセイを用いて測定され得る。例えば、処理の前後で対象から血清を得てM2細胞に分極化するその能力を評価しうる。本明細書に開示される方法で処理した後、M2細胞に分極化する血清の能力は、約80%~約100%、約20%~約60%、又は約10%~約50%低減される。
【0099】
いくつかの実施形態では、M2細胞におけるIGF-1Rの発現を標的としてM2細胞に細胞死を引き起こす。ある特定の実施形態では、細胞死は壊死である。他の実施形態では、細胞死はアポトーシスである。アポトーシスは、本開示の目的では、プログラム細胞死として定義され、限定されるものではないが、原発腫瘍及び転移腫瘍の退縮を含む。アポトーシスは、膨大な数の生理学的及び病理学的プロセスにおいてきわめて重要な役割を果たす広範にわたる現象であるプログラム細胞死である。壊死は、これとは対照的に、様々な有害条件及び毒性物質に対する細胞の反応である偶発的細胞死である。さらに他の実施形態では、M2細胞におけるIGF-1Rの発現を標的としてM2細胞に細胞周期停止を引き起こす。
【0100】
キット
完成チャンバーの作製には、複数の構成要素及び複数のステップが必要とされる。本開示の他の一態様では、本明細書に開示される方法を実施するための構成要素を含有するキットが提供される。ある特定の態様では、キットは、一方の部分又は2つの半体に存在しうるチャンバー本体を含む。また、1つ以上のメンブレン、接着剤、及び溶媒(たとえば、アルコール又は2ジクロロエタン)を含めて、チャンバーをシールするアイテムも含まれうる。任意選択的に、メンブレンは、シールを形成するようにチャンバーに超音波溶接され得る。キットはアンチセンスODNを含む。任意選択的に、ODNは2つの部分に分配され得る。対象から外科的に取り出した後で細胞を処理するための第1の部分及び対象に導入する時に細胞と組み合わせるための第2の部分。他の任意選択的キットアイテムとしては、細胞を培養するための培地及び培地における細菌成長を防止するための抗生物質が挙げられる。
【0101】
任意選択的に、キットのチャンバーは、アイレット又はチャンバーに装着されて接続材料を受け取るように適合化された他のデバイスを用いて、互いにあらかじめ接続され得る(例えば、縫合により)。有利には、複数のチャンバーをあらかじめ接続することにより、外科医により所望の数のチャンバーを容易に導入したり取り出したりできる。
【0102】
本明細書に開示される様々な態様及び実施形態に加えて、以下の実施形態が具体的に企図される。
1.がんを有する対象におけるMGMTメチル化及び/又はT細胞機能を判定し、前記対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法。
【0103】
2.がんを有する対象におけるMGMTメチル化を判定し、前記対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法。
3.がんを有する対象におけるMGMTメチル化を判定し、前記対象がメチル化MGMTを有する場合にのみ、前記対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法。
【0104】
4.がんを有する対象におけるT細胞機能を判定、前記対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法。
5.がんを有する対象におけるT細胞機能を判定し、前記対象が良好なT細胞機能を有する場合にのみ、前記対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法。
【0105】
6.がんを有し、IGF-1R AS ODNに応答する可能性が高い対象を特定し、前記対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法。
7.がんを有し、IGF-1R AS ODNに応答する可能性が高い対象を特定し、前記対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法であって、IGF-1R AS ODNに応答する可能性が高いことは、前記対象におけるMGMTメチル化及び/又はT細胞機能を判定することによって評価される方法。
【0106】
8.がんを有し、IGF-1R AS ODNに応答する可能性が高い対象を特定し、前記対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法であって、IGF-1R AS ODNに応答する可能性が高いことは、前記対象におけるMGMTメチル化及び/又はT細胞機能を判定することによって評価され、前記可能性が高いことは、前記対象におけるMGMTメチル化を特定することによって、及び/又は前記対象における良好なT細胞機能を判定することによって確立される方法。
【0107】
9.がんを有し、IGF-1R AS ODNに応答する可能性が高い対象を特定し、前記対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法であって、IGF-1R AS ODNに応答する可能性が高いことは、MGMTメチル化を判定することによって評価され、前記可能性が高いことは、前記対象におけるMGMTメチル化を特定することによって確立される方法。
【0108】
10.がんを有し、IGF-1R AS ODNに応答する可能性が高い対象を特定し、前記対象にIGF-1R AS ODNを投与することを含む方法であって、IGF-1R AS ODNに応答する可能性が高いことは、前記対象におけるT細胞機能を判定することによって評価され、前記可能性が高いことは、前記対象における良好なT細胞機能を判定することによって確立される方法。
【0109】
11.がんを患っている対象のIGF-1R AS ODNに応答した予後を予測する方法であって、前記対象におけるMGMTメチル化を判定すること、及び/又はT細胞機能を判定することを含む方法。
【0110】
12.がんを有する対象のIGF-1R AS ODNに応答した予後を予測する方法であって、前記方法は、前記対象におけるMGMTメチル化を判定すること、及び/又はT細胞機能を判定することを含み、前記対象におけるメチル化MGMT及び/又は良好なT細胞機能は、良好な予後を示す方法。
【0111】
13.がんを有する対象のIGF-1R AS ODNに応答した予後を予測する方法であって、前記方法は、前記対象におけるMGMTメチル化を判定することを含み、前記対象におけるメチル化MGMTは、良好な予後を示す方法。
【0112】
14.がんを有する対象のIGF-1R AS ODNに応答した予後を予測する方法であって、前記方法は、前記対象におけるT細胞機能を判定することを含み、前記対象における良好なT細胞機能は、良好な予後を示す方法。
【0113】
15.がんを有する対象のIGF-1R AS ODNに応答した予後を予測する方法であって、前記方法は、前記対象におけるMGMTメチル化を判定すること、及び/又はT細胞機能を判定することを含み、前記対象における非メチル化MGMT及び/又は不十分なT細胞機能は、予後不良を示す方法。
【0114】
16.がんを有する対象のIGF-1R AS ODNに応答した予後を予測する方法であって、前記対象におけるMGMTメチル化を決定することを含み、前記対象における非メチル化MGMTは、予後不良を示す方法。
【0115】
17.がんを有する対象のIGF-1R AS ODNに応答した予後を予測する方法であって、前記対象におけるT細胞機能を判定することを含む方法であって、前記対象における不十分なT細胞機能は、予後不良を示す方法。
【0116】
18.前記T細胞機能が、非特異的刺激に応答して発現するIFN-γの数を評価することによって判定される、前述の実施形態のいずれかの方法。
前記T細胞機能が、非特異的刺激に応答して発現するIFN-γの数を評価することによって判定され、特異的刺激に応答して中央値以上の数のT細胞がIFN-γを発現することは、良好なT細胞機能として分類され、非特異的刺激に応答して中央値未満又はより少ない数のT細胞がIFN-γを発現することは、不十分なT細胞機能として分類される、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0117】
20.テモゾラミドが前記対象に投与される前に、前記IGF-1R AS ODNが対象に投与される、前述の実施形態のいずれかの方法。
21.テモゾラミドが対象に投与されるよりも少なくとも2週間;少なくとも3週間;少なくとも4週間;少なくとも5週間;少なくとも6週間;少なくとも7週間;又は少なくとも8週間前に、前記IGF-1R AS ODNが前記対象に投与される、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0118】
22.IGF-1R AS ODNが自家がん細胞ワクチンとして対象に投与される、前述の実施形態のいずれかの方法。
23.IGF-1R AS ODNが完全に製剤化された生体用拡散チャンバーとして対象に投与される、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0119】
24.生体用拡散チャンバーは、存在する場合、(a)対象から得られた腫瘍細胞を、IGF-1R AS ODNの存在下で生体用拡散チャンバーに封入し、ここで、チャンバー内の腫瘍細胞:IGF-1R AS ODNの比は約3.75×10:1 g~約6.25×10:1μgの範囲であり、前記腫瘍細胞は、組織モルセレータを使用して対象から得られ、さらに(b)前記生体用拡散チャンバーに放射線照射することによって調製される、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0120】
25.前記腫瘍細胞が生体用拡散チャンバー内に配置される前にネスチン発現に関して濃縮される、生体用拡散チャンバーを用いる前述の実施形態のいずれかの方法。
26.チャンバー内の腫瘍細胞が、対象から得られた腫瘍細胞と比較して、接着細胞について濃縮される、生体用拡散チャンバーを用いる前述の実施形態のいずれかの方法。
【0121】
27.腫瘍細胞が本質的に接着細胞からなる、生体用拡散チャンバーを用いる前述の実施形態のいずれかの方法。
28.細胞がチャンバーに封入される前にIGF-1R AS ODNで処理される、生体用拡散チャンバーを用いる前述の実施形態のいずれかの方法。
【0122】
29.IGF-1R AS ODNが、封入前の処理の間、100万個の細胞あたり約2mg~約6mgで存在する、生体用拡散チャンバーを用いる前述の実施形態のいずれかの方法。
【0123】
30.IGF-1R AS ODNが、封入前の処理の間、100万個の細胞あたり約4mgで存在する、生体用拡散チャンバーを用いる前述の実施形態のいずれかの方法。
31.封入前のIGF-1R AS ODNによる処理が最大約18時間である、生体用拡散チャンバーを用いる前述の実施形態のいずれかの方法。
【0124】
32.封入前のIGF-1R AS ODNによる処理が約12時間~約18時間である、生体用拡散チャンバーを用いる前述の実施形態のいずれかの方法。
33.IGF-1R AS ODNが配列番号1の配列を有する、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0125】
34.チャンバー内のIGF-1R AS ODNが約2μgで存在する、生体用拡散チャンバーを用いる前述の実施形態のいずれかの方法。
35.照射された腫瘍細胞がチャンバーあたり約750,000~約1,250,000個の範囲で存在する、生体用拡散チャンバーを用いる前述の実施形態のいずれかの方法。
【0126】
36.照射された腫瘍細胞がチャンバーあたり約1,000,000個で存在する、生体用拡散チャンバーを用いる前述の実施形態のいずれかの方法。
37.2つ以上の生体用拡散チャンバーを対象に植え込むことを含む、生体用拡散チャンバーを用いる前述の実施形態のいずれかの方法。
【0127】
38.約10~約30個の生体用拡散チャンバーが対象に植え込まれる、生体用拡散チャンバーを用いる前述の実施形態のいずれかの方法。
39.約10~約20個の生体用拡散チャンバーが対象に植え込まれる、生体用拡散チャンバーを用いる前述の実施形態のいずれかの方法。
【0128】
40.拡散チャンバーが対象に48時間にわたって植え込まれる、生体用拡散チャンバーを用いる前述の実施形態のいずれかの方法。
41.がんが脳のがんである、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0129】
42.脳のがんが、グレードII星状細胞腫、グレードAIII星状細胞腫、グレードAIII-G星状細胞腫、及びグレードIV星状細胞腫(多形性膠芽腫)から選択される、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0130】
脳のがんがグレードIV星状細胞腫(多形性膠芽腫)である、前述の実施形態のいずれかの方法。
43.前記対象がヒトである、前述の実施形態のいずれかの方法。
【0131】
実施例
実施例1
緒言
新たに膠芽腫と診断された成人を対象に、独自の併用ワクチンであるIGV-001を評価した。IGV-001は、自己神経膠芽腫腫瘍細胞と、インスリン様成長因子1型受容体(IGF-1R)DNA/mRNA(IMV-001;以前はNOBELと呼ばれていた)に対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドからなり、腹部に埋め込まれた生体用拡散チャンバーを介して同時投与される。IGV-001は、抗原提示の刺激を伴う腫瘍抗原の放出を通じて腫瘍免疫を促進すると考えられている。このフェーズ1bの研究は、再発性の世界保健機関のグレードIII又はIVの星状細胞腫の患者を対象としたフェーズ1aの研究に基づいており、12人の患者のうち8人がX線写真で改善を示した。
【0132】
方法
研究計画
放射線学的に確認された、新たに診断された悪性神経膠腫の成人が登録された。カルノフスキーパフォーマンスステータススコアが少なくとも60であることも条件とした。患者を、最低(24時間植え込んだ10個のチャンバー);低い(48時間植え込んだ10個のチャンバー);高い(24時間植え込んだ20個のチャンバー);及び最高(48時間植え込んだ20個のチャンバー)の4種類のIGV-001曝露のうちの1つにランダムに割り振った。
【0133】
腫瘍切除のための開頭術の間、Myriad製組織吸引器を利用して、腫瘍組織を吸引及び粉砕し、標準治療(SOC)に従って腫瘍細胞の生存率を維持した。外科医は、その後の拡散チャンバーの植込みのために、腹直筋鞘と腹直筋との間に腹部アクセプター部位を作成した。採取した腫瘍細胞をex vivoでIMV-001で4~8時間処理した後、追加のIMV-001と共に10個又は20個(ランダム化に応じる)の1.4cm生体用拡散チャンバーに封入し5Gyで放射線照射した。IMV-001で処理された細胞の放射線は、免疫刺激性抗原の放出を引き起こす。開頭から24時間以内に腹部アクセプター部位にチャンバーを植え込んだ。24時間又は48時間後(ランダム化に応じる)にチャンバーを取り外し、腹部を閉じた。IMV-001を用いた以前の経験では、深部静脈血栓症(DVT)の発生率が予想よりも高かったため、予防的エノキサパリンを3か月間毎日投与し、最初の入院中は週2回、その後3ヵ月間は毎月、圧迫超音波によって患者をDVTについてモニタリングした。SOC(すなわち、放射線及びテモゾロミド[TMZ])を、術後4~6週間で開始し6週間続けた。患者は維持療法としてさらに12サイクルのTMZを受けた。
【0134】
最高の曝露コホートは、治療後に、循環する、潜在的に治療的な炎症誘発性のサイトカイン、ならびに臨床的及び放射線学的改善において最高レベルを示したため、ランダム化は患者23の後に停止した。プロトコルを修正し、その後の患者はその最高の曝露を受けた。この修正は、関連する探索的バイオマーカー評価と共に安全性を記録することを主な目的とするプロトコルから、全生存期間(OS)及び無増悪生存期間(PFS)を含む臨床探索的エンドポイントとするプロトコルへの移行を反映している。
【0135】
評価
有害事象(AE)及び重篤なAEを、チャンバーの植込みから試験終了後30日まで、治療後最低6週間記録した。AEは、米国国立がん研究所の有害事象共通毒性基準v4.03に従って評価及び分類した。無症候性のグレード1及びグレード2の検査値は、治療を行う医師によって臨床的に重要であると判断されない限り、AEとして捉えなかった。磁気共鳴画像法(MRI)を、手術前14日以内、及び術後少なくとも24ヵ月までの時点で実施した。MRIスキャンの読影は、患者のコルチコステロイドの投与量と臨床状態を知らされていない神経放射線科医によって行われた。放射線写真の反応は、神経腫瘍学における反応評価(RANO)2及び免疫療法RANO(iRANO)基準に基づいていた。進行までの時間は、手術の日からMRIによって測定された客観的な疾患の進行の最初の観察の日まで評価された。疾患の進行の証拠は、独立した放射線審査委員会によって裏付けられる必要があった。PFSを、手術日から進行又は打ち切りまで測定した(打ち切りとは、様々な基準のいずれかについて、患者を臨床試験から除外することを指す)。OSは、手術日から最新のフォローアップ又は死亡までの経過時間であった。研究から離脱したと考えられる患者を、OSについて追跡した。
【0136】
IGV-001の作用機序は免疫応答に大きく依存すると考えられるため、治療の前後に、循環リンパ球と単球のサブセット、血清サイトカインとケモカイン、及びT細胞機能(非特異的刺激に応答した炎症誘発性サイトカインインターフェロン-γ[IFN-γ]を発現するT細胞の数に基づく)を定量化した。
【0137】
統計分析
治療意図(ITT)集団には、スクリーニングの失敗せず、安全性と臨床転帰の評価に使用されたすべての登録患者が含まれていた。AEを有する被験者の数と割合を、全体的に、重症度グレードごとに、及び治験薬又はSOC及び望ましい期間との関連ごとにまとめた。望ましい期間中の被験者ごとの複数のAEについては、最も深刻なものだけが報告される。事象までの時間データ(PFS及びOS)を、積極限法を使用して分析し、ステップ関数を使用して結合されたポイントでグラフ化した。SASバージョン9.4(SAS Institute;ノースカロライナ州ケアリー)をすべての分析に使用した。Guyotら(2012)によって記述された方法を使用して、同様の登録基準を有する公開された研究のSOCアームからの患者レベルのデータを推定した。これらのSOCアームのOSとPFSを、ログランク検定を使用してIGV-001処理コホートと比較した。
【0138】
T細胞アッセイプロトコル
膠芽腫の臨床試験で患者から得られた全血又は白血球アフェレーシスのサンプルを分離し、PBMCをDMSO中で凍結保存した。これらのPBMCサンプルを、T細胞の分離と刺激に利用した。トリガーされた細胞のダウンストリーム分析は、ELISPOTを使用して行った。
【0139】
ナイーブT細胞の単離
PBMCサンプルを解凍し、10%FBS、1%L-グルタミン、1%ペニシリン/ストレプトマイシンを添加した加温RPMI培地で洗浄してDMSOを除去した。ペレットを既知量の培地に再懸濁し、CountessII FL自動セルカウンター(ThermoFisher Scientific)を使用して初期細胞数を取得した。磁気ビーズを使用したナイーブT細胞の分離は、Easysep Human T細胞分離キット(ステムセルテクノロジー#17951)を使用したネガティブセレクション法によって行った。T細胞の単離は、臨床試験からの複数のサンプルについて96ウェルプレートで同時に行った。
【0140】
T細胞のin vitro刺激-ELISPOTアッセイ
ポリビニリデンジフルオリドメンブレンElispotプレート(96ウェルプレート、Merck Millipore#S2EM004M99)を抗IFN-γモノクローナル抗体(Mabtech#3420-3-1000)でコーティングし、4℃で14~16時間一晩インキュベートした。抗体溶液を廃棄し、無血清培地を使用してプレートをブロッキングした。室温で2時間インキュベートした後、培地をデカントし、50,000個のT細胞を抗CD3/CD28/CD2(Immunocult、ステムセルテクノロジー#10910)T細胞活性化因子とともに各ウェルに添加し、37℃、5%CO2で20時間インキュベートした。これらのT細胞活性化因子を含む培地を陰性対照(NC)として使用し、健康なドナーからのPBMCを陽性対照(PC)として使用した。インキュベーション後、上清を吸引し、ウェルを脱イオン水で2回洗浄した後、洗浄バッファーA(0.05%Tween-20を含む1×PBS)で洗浄した。ウェルを検出抗体(10%FBSを含む1×PBSで1:250希釈、Mabtech#3420-6-250)とともに室温で2時間インキュベートした。次に、ウェルを洗浄バッファーAで洗浄し、ストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシド(10%FBSを含む1×PBSで1:100希釈、BD Bioscience#557630)と室温で1時間インキュベートした。ストレプトアビジン-西洋ワサビペルオキシド溶液を廃棄し、ウェルを洗浄バッファーA及び洗浄バッファーB(1×PBS)で洗浄した。AEC基質溶液(1mlのAEC基質あたり1滴のAEC色素原、BD Bioscience#551951)を各ウェルに添加し、5分から最大20分まで、スポット発生をモニタリングした。脱イオン水を使用して反応を停止し、Elispotリーダーを使用してスポットを数える前にプレートを風乾した。得られたデータを、Graphpad Prismバージョン7を使用して分析した。
【0141】
結果
患者
31ヵ月の期間内に合計33人の患者が治療された。人口統計及びベースラインの臨床的特徴を表2に示す。6人、5人、5人、及び17人の患者が、それぞれ最低の、低い、高い、及び最高の曝露を受けた。
【0142】
【表2】
【0143】
安全性
IGV-001は総じて忍容性が良好であった。最初の患者が治療されてから41ヵ月以上経過した日付の時点で、腹部切開に関連するAEが5つあり、1つはグレード3の血腫、3つはグレード2の血腫、1つはグレード1の創傷合併症であった。記録された腹部創傷感染はなかった。治療に関連している可能性のあるAEは8つあり、グレード3の発作が2つ、グレード3のDVTが1つ、グレード3の水頭症が1つ、グレード3のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)上昇が1つ、グレード3のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)上昇が1つ、グレード3の脳症が1つ、及びグレード2のDVTが1つであった。
【0144】
22人の死亡のうち11人は、膠芽腫の進行に起因するものではなかった。これらの11人の死亡のうち7人は、IGV-001による治療から12ヵ月以内に発生し、詳細を表3に示す。
【0145】
【表3】
【0146】
IGV-001を投与された患者の追跡期間中央値(範囲)は13ヵ月(4~40)であった。放射線写真の反応は、全摘出後の解剖学的増強の持続的な欠如、最初の術後腫瘍体積からの持続的退縮、及び、部分摘出後の解剖学的腫瘍体積の増加に続く手術後から約6ヵ月以内に始まる持続的退縮を含んでいた。2人の患者はまた、再発腫瘍の自然寛解を示した(掲載なし)。腫瘍の再発は通常同側であり、局所的であると考えられている(発生中心点から2cm以内)。生存している11人の患者のうち、6人は最後の観察でRANO基準に従って無増悪である。
【0147】
臨床転帰
膠芽腫が疑われる場合の現在の標準治療(SOC)は、最大限の安全な摘出から始まる。病理学的に確認された症例は、その後放射線療法とテモゾロミド(TMZ)を同時に受け、続いてTMZ.6を維持する。このSOCは、Roger Stuppの指揮下で欧州がん研究治療機構が実施した2005年の研究によって確立された。この治験は、テモゾロミド(TMZ)を放射線療法に追加すると、放射線単独よりもOSが延長されることを示した(14.6ヵ月対12.1ヵ月)。上位の査読付きジャーナルで8年以上にわたって公開された大規模なランダム化臨床試験のSOCアーム間でも、OSには顕著な一貫性がある。
【0148】
最初の患者が治療されてから41ヵ月以上経過した日付の時点で、IGV-001で治療された11人の患者は生存しており、身体機能も正常であった。OSの中央値は17.3ヵ月であり(図1A)、24ヵ月でのOS率は31%であった。IGV-001のOSの利点は、分析がIGV-001の最高の曝露を受けた患者に限定された場合に強化された(中央値、21.9ヵ月、図1B)。
【0149】
OSを、表4に曝露群ごとにまとめる。有利な生存率は、IGV-001への最高の曝露(すなわち、20チャンバーで48時間)と関係していた。
【0150】
【表4】
【0151】
Stuppらは、新たに診断された神経膠芽腫のSOCを受けた全患者の95%で死亡前に腫瘍の進行があったことを示した。我々の研究では、14人の患者が最初の1年以内に死亡し、うち7人(50%)には疾患の進行がなかった(表2)。IGV-001で治療された患者のOSを、病気の進行に起因する死亡を除外することにより、SOCによって引き起こされた可能性のある死亡率とは無関係に評価した。結果として得られたOSの中央値は22.1ヵ月であり、これは公表されているSOCの推定値とは有利に対照的である。
【0152】
また、より良好なOSに有利に働く可能性のある臨床的特徴を有する他の治験サブグループを評価した。O6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)プロモーターのメチル化は、O6グアニンのメチル基を脱アルキル化する細胞の能力を停止させ、非メチル化MGMTプロモーターを有する患者と比較してTMZの治療効果を高める。Stuppの治験のコンパニオンペーパーでは、SOCを受けている患者の生存転帰に対するMGMTプロモーターの効果を検討した。メチル化MGMTプロモーターを有する患者のOS中央値は21.7ヵ月であったのに対し、メチル化されていない患者では12.7ヵ月であった。同様に、IGV-001に続いてSOCで治療されたメチル化MGMTプロモーターを有する患者での有利な生存率(中央値OS、30.9ヵ月対11.3ヵ月)は注目に値した(図3)。
【0153】
最初の患者が治療されてから41ヵ月以上経過した日付の時点で、15人の患者が原発部位で無増悪であり、そのうち6人が生存した。IGV-001で治療された患者のPFS中央値は10.4ヵ月であり、6ヵ月でのPFS率は87%であった(表5)。
【0154】
【表5】
【0155】
PFSデータはOSデータよりも早く得られるため、我々のPFSの結果を、上位の査読付きジャーナルに発表された2つの大規模なランダム化臨床試験のSOCアームと比較した。SOCと比較して、IGV-001ではPFSに大幅な改善があった(図4)。
【0156】
Hegi、Gilbert、及びStuppは、SOCのみを投与されたメチル化MGMTプロモーターを有する患者において、PFS中央値がそれぞれ10.3、10.5、及び10.7ヵ月であると報告した。IGV-001を投与されたメチル化MGMTプロモーターを有する患者のPFS中央値は30.9ヵ月であり(表6)、SOCと比較して遜色がない(p=0.004;図5)。
【0157】
【表6】
【0158】
予測バイオマーカーの初期検討
予備分析では、治療前の良好なT細胞機能(すなわち、非特異的刺激に応答してIFN-γを発現するT細胞の数が中央値又はそれ以上であること)は、T細胞機能が不十分な場合よりも、より長期のOSに関連した(すなわち、中央値未満;表7)。これは、IGV-001の作用機序における免疫系の関与を示唆している。
【0159】
【表7】
【0160】
結論
新たに神経膠芽腫と診断された患者を対象としたIGV-001のこのフェーズlb臨床試験の結果には説得力がある。併用ワクチンが33人の患者に植え込まれ、忍容性は総じて良好であった。最初の年に死亡した14人のうち7人では疾患の進行がなく、すべての死亡は治療とは無関係であった。大規模な臨床試験で報告されたSOCと比較して、OSとPFSの中央値は遜色がなかった。IGV-001への最高の曝露、MGMTプロモーターのメチル化、及び治療前の良好なT細胞機能は、より長い生存と関連していた。
【0161】
参考文献
【0162】
【表8】
【0163】
参照による組み込み
本明細書で参照されるすべての特許及び刊行物は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
2022527473000001.app
【国際調査報告】