(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(54)【発明の名称】化学的に改質されたポリエステル及び製造プロセス
(51)【国際特許分類】
C08G 63/91 20060101AFI20220526BHJP
C08J 9/04 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
C08G63/91 ZAB
C08J9/04 101
C08J9/04 CFD
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557637
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 US2020025328
(87)【国際公開番号】W WO2020205558
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(72)【発明者】
【氏名】ポーター、ミシェル エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】バーガー、マーク アラン
(72)【発明者】
【氏名】フ、イーヨン
(72)【発明者】
【氏名】コストゥー、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ビロヴィッツ、ジェラルド エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ホアン、ウェンイー
(72)【発明者】
【氏名】ニコリ、エドアルド
【テーマコード(参考)】
4F074
4J029
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
【解決手段】 化学的に改質されたポリエステル、低密度発泡体を形成するその発泡性組成物、並びに発泡性組成物及び発泡体を製造する方法が開示される。組成物は、非晶性コポリエステル、或いは非晶性コポリエステルポリカーボネート又は非晶性コポリエステルポリエーテル或いはこれらの組み合わせを含む。加えて、低密度発泡体の用途が開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーであって、異なるポリエステル単位を含み、或いはポリエステル単位及びポリカーボネート又はポリエーテル単位或いはその両方を含み、且つ任意選択的に1つ以上の結合剤を更に含み、且つ
1つ以上の芳香族二酸モノマーの重合単位、
1つ以上の脂肪族ジオールの重合単位の合計の10モル%~40モル%(前記モル%は、前記コポリマーを構成する重合単位の総モルのパーセントとして表される前記コポリマーにおける前記1つ以上の脂肪族ジオールの重合単位のモルの合計である)、
10℃/分の加熱/冷却速度を使用してDSC曲線の第2の加熱の変曲点から測定される85℃~125℃の一次Tg、並びに
135℃で4時間、1000psi CO
2の静水圧に曝された後の10J/g以下の融解熱ΔH
mピークを有することを特徴とする、コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。
【請求項2】
0.20を超えるB[X]又はB[X+X’]値を有する請求項1に記載のコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーであって、Bは、コポリマーのランダム性についてのケーニッヒB値であり、[X]は、コモノマーポリエステル構造単位のモル分率、或いはコモノマーポリカーボネート及び/又はポリエーテル構造単位のモル分率であり、並びに[X+X’]は、前記コポリマーにおける、その残基フラグメントを含む任意の単位を含む、コモノマーポリエステル構造単位のモル分率、或いはコモノマーポリカーボネート及び/又はポリエーテル構造単位のモル分率である、請求項1に記載のコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。
【請求項3】
65:35~85:15のモル比で、前記コポリマーにおけるポリエステル:ポリカーボネート構造単位、又は前記コポリマーにおけるポリエステル:(ポリカーボネート+ポリエーテル)構造単位の比を有するコポリマーについて0.90を超えるケーニッヒB値を有する、請求項1に記載のコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。
【請求項4】
前記1つ以上の芳香族二酸モノマーは、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、又は2,5-フランジカルボン酸から選択される、請求項1に記載のコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。
【請求項5】
前記コポリマーにおける前記ポリエステル単位の少なくとも一部は、リサイクルされたポリエチレンテレフタレートに由来する、請求項1に記載のコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテル又はコポリマー。
【請求項6】
前記コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルは、ビスフェノールAの重合単位の少なくとも7モル%を含む、請求項1に記載のコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。
【請求項7】
ポリエステルポリマー構造単位の、ポリカーボネートポリマー構造単位及びポリエーテルポリマー構造単位の合計に対するモル比は、40:60~85:15である、請求項1に記載のコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。
【請求項8】
請求項1に記載のコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー、及び1つ以上の発泡剤を含み、且つ任意選択的に、非混和性ポリオレフィン、着色剤、充填剤、難燃剤、赤外線減衰器、核剤、潤滑剤、帯電防止剤、又は抗酸化剤、或いはこれらの組み合わせを更に含む、発泡性組成物。
【請求項9】
請求項8に記載の組成物から得られる発泡体又は発泡品。
【請求項10】
前記発泡体は、0.01~0.1g/cm
3の密度を有する、請求項9に記載の発泡体又は発泡品。
【請求項11】
(i)エステル交換触媒、及び任意選択的に、鎖結合剤の存在下で、第1のポリエステルポリマーから選択される少なくとも2つのポリマー、1つ以上のポリカーボネートポリマー及び1つ以上の他のポリエステルポリマーから選択される1つ以上の他のポリマー、又はこれらの組み合わせのブレンドを溶融する工程と、
(ii)任意選択的に混合しながら、3分以上180分以下、200℃を超え330℃未満の温度を維持する工程と、
(iii)任意選択的に、生成されたエチレンカーボネートの少なくとも一部を収集する工程と、
(iv)冷却して固体コポリマーを生成する工程と、を含む、請求項1に記載のコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーを形成する方法。
【請求項12】
第1のポリエステルポリマーと1つ以上の他のポリマーとの重量比は、40:60~85:15である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ポリカーボネートポリマーに対する全てのポリエステルポリマーの合計の重量比は、40:60~85:15である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
1つ以上のポリエステルポリマーは、リサイクルされたポリエチレンテレフタレートである、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
a)1つ以上の脂肪族ジオール、
b)1つ以上の芳香族二酸、
c)1つ以上の芳香族ジオール、
d)1つ以上の有機カーボネートから選択される重合構造単位を含むコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーであって、
前記コポリエステルコポリマーは、重合構造単位a+bを含み、
前記コポリエステルポリカーボネートコポリマーは、重合構造単位a+b+c+dを含み、
前記コポリエステルポリエーテルコポリマーは、重合構造単位a+b+c+任意選択的にdを含み、そのポリマー骨格にエーテル官能基を更に含み、
前記コポリマーは、
i)1つ以上の脂肪族ジオールの重合構造単位(a)は、合計15モル%~40モル%の量で存在すること(前記モル%は、前記コポリマーを構成する重合構造単位、a+b+c+dの総モルのパーセントとして表される前記コポリマーにおける前記1つ以上の脂肪族ジオールの重合構造単位のモルの合計である)、
ii)10℃/分の加熱/冷却速度を使用してDSC曲線の第2の加熱の変曲点から測定される85℃~125℃の一次Tg、及び
iii)135℃で4時間、1000psi CO
2の静水圧に曝された後の10J/g以下の融解熱ΔH
mピークを有することを特徴とする、コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
化学的に改質されたポリエステル及びこれを製造する方法が、本明細書に記載される。より具体的には、化学的に改質されたポリエステルは、非晶性コポリマーである。更に、これらの組成物を製造し使用する方法が、本明細書で記載される。本明細書で開示される方法は、例えば、リサイクルされたPETを含む半結晶性ポリエチレンテレフタレート(PET)などの未使用又はリサイクルされたポリエステルポリマーを供給源ポリマーとして利用して、発泡性組成物の成分として使用できる非晶性コポリエステルを形成することができる。本明細書で開示される得られる低密度発泡体(例えば、0.1g/cm3以下の密度)は、例えば、断熱材及び/又は他の建築及び工業用途としての使用を見出し得る、例えば、押出しされ膨張されたビーズ発泡体に利用されることができる。
【背景技術】
【0002】
結晶性及び半結晶性ポリエステルポリマーは、それらの結晶性又は半結晶性の性質が、ガスが膨張し発泡体を生成しながら材料が再結晶化するのを防ぐのに高温が必要になることを意味するため、低密度発泡体を生成するために容易に発泡されることができない。溶融状態では、その再結晶化温度を超えると、PETなどの半結晶性ポリエステルの粘度が低すぎて、硬化前に気泡を大幅に膨張させることができない。これにより、達成できる発泡体密度が制限される(例えば、密度が0.1g/cm3を超える高密度発泡体に制限される)。本発明は、結晶性又は半結晶性ポリエステルを発泡させて、PETなどの半結晶性ポリエステルを、ポリマー溶融物から、又は押出しされ膨張されたビーズから低密度発泡体を生成することができる非晶性コポリエステルポリマー材料に変換することによって、低密度発泡体を生成する問題を解決する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半結晶性PETから誘導された発泡性ポリエステル又はコポリエステルを製造することにより、出発物質を「リサイクルされた」流れ(stream)から(ボトル及び他の消費後のPET供給源から)供給することができる。本発明の目的において、「リサイクルされた」とは、消費後の及び脱工業化の供給源材料の両方を指す。リサイクルされたPETは、豊富に供給される。これより、特に望ましい目的の1つは、リサイクルされた半結晶性PETを利用し、発泡して低密度の発泡体を生成できる非晶性ポリマーにそれを変換することである。従って、リサイクルされたPETなどの、未使用又はリサイクルされたポリエステルのいずれかである、半結晶性ポリエステルに由来する非晶性ポリマーを含む発泡性組成物、非晶性ポリマー及び発泡性組成物を調製する方法、並びにこれらを使用する方法が必要である。本発明は、これらの、並びに他の、重要な目的に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態では、本発明は、異なるポリエステル単位を含み、或いはポリエステル単位及びポリカーボネート又はポリエーテル単位或いはその両方を含み、且つ任意選択的に1つ以上の結合剤を更に含み、且つ
(i)1つ以上の芳香族二酸モノマーの重合単位、
(ii)1つ以上の脂肪族ジオールの重合単位の合計の10モル%~40モル%(モル%は、コポリマーを構成する重合単位の総モルのパーセントとして表されるコポリマーにおける1つ以上の脂肪族ジオールの重合単位のモルの合計である)、
(iii)10℃/分の加熱/冷却速度を使用してDSC曲線の第2の加熱の変曲点から測定される85℃~125℃の一次Tg、並びに
(iv)135℃で4時間、1000psi CO2の静水圧に曝された後の10J/g以下の融解熱ΔHmピークを有することを特徴とする、コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーに関する。
【0005】
別の実施形態では、コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーは、0.20以上のB[X]又はB[X+X’]値を有し、Bは、コポリマーのランダム性についてのケーニッヒB値であり、[X]は、コモノマーポリエステル構造単位のモル分率、或いはコモノマーポリカーボネート及び/又はポリエーテル構造単位のモル分率であり、並びに[X+X’]は、コポリマーにおける、その残基フラグメントを含む任意の単位を含む、コモノマーポリエステル構造単位のモル分率、或いはコモノマーポリカーボネート及び/又はポリエーテル構造単位のモル分率である。
【0006】
又、本発明は、コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー及び1つ以上の発泡剤を含む発泡性組成物に関する。
【0007】
本発明の更なる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、記述とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、未使用ポリカーボネート(Makrolon(登録商標)3158)との未使用ポリエチレンテレフタレートの75/25ブレンド(重量による)の275℃での触媒エステル交換反応の反応時間(分単位)の関数としての、ポリマー鎖内のモノマー分布についてのケーニッヒB値の増加を示している。触媒は、モノブチルスズオキシド、MBTO(2,000ppm-2つの反応物ポリマーの総重量の100万重量部あたりのMBTOの重量部)である。
【
図2】
図2は、ポリカーボネート(PC)とポリエチレンテレフタレート(PET)の間のエステル交換反応、及び2つの副反応を示している。
【
図3】
図3は、PC/PETコポリマーの代表的な定量的
13C NMRスペクトルとピークの帰属を示している。 数値ラベルは、個々の炭素ごとの帰属である。NMR共鳴ピークに重ねられた文字ラベルは、構造単位のモル分率(全体的なコポリマー組成)を計算するための積分領域を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
半結晶性PETの場合、発泡は、ポリマーが非常に低い溶融強度を有し、ガラス化が始まる前に最小限にしか膨張できないPETの結晶化温度(約150℃)を超えて行われる必要がある。本明細書に開示されるように、PET(未使用又はリサイクルされた)は、非晶性形態にされる。結晶化を排除することで、溶融強度が本質的に高い150℃未満でポリマーを処理できる。これにより、気泡の膨張が促進され、低密度の生成物が得られる。しかしながら、ポリマーのニートの形態で結晶化度を排除する必要があるが、発泡性には十分ではない。1つ以上の可溶性発泡剤を添加すると、結晶化速度が増加する。従って、更なる課題は、特定の圧力下でのポリマーの結晶化を回避することである。このような発泡剤(例えば、CO2など)の存在下で結晶化速度を十分に低下させるために、ポリマーブロック構造のどのような低減が必要であるかを具体的に本明細書で更に開示する。これは、ポリマーが150℃未満の温度で適切に発泡し、0.1g/cm3未満の密度を達成するために必要な属性である。
【0010】
典型的な発泡剤の溶解度が低いことが知られている半結晶性PETとは異なり、本発明のプロセスは、PETを改質して、典型的な発泡剤に対してより高い溶解度を有する非晶性ポリマーを生成し、低密度発泡品の生成を可能にする。又、結晶構造の形成を防止することは、ガス透過速度を増加させ、これは、発泡プロセス中の気泡成長に有利である。
【0011】
リサイクルされたPETは、熱及び/又は溶存ガスの存在下で結晶化するその能力を低下又は排除することにより、発泡に有用になる。これは、触媒の存在下で溶融PETを1つ以上の他のポリマーと直接エステル交換して、ポリマー内に含まれる繰り返し単位の再配列と変化を促進し、新しいコポリエステル(コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルなど)を形成することで実現される。非PETポリマー成分は、ポリエステルである必要はなく、必ずしも非晶性である必要はない。カルボニル及びエチレングリコール種を意図的に排除すると、Tgが増加したコポリエステル又はコポリエステルポリエーテル骨格構造が生成される。適切な触媒の選択、温度、及び反応時間により、得られるポリマーの結晶化速度は十分に遅くなる。この結晶化の低減又は排除により、150℃(出発PET材料の結晶化温度)未満の温度での処理が可能になる。最終的なコポリエステル(又はコポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテル)は、物理発泡剤と溶融ブレンドされることができ、押出し発泡によって膨張されることができ、又は別のプロセス(膨張性ビーズ)にて膨張させるために急速に冷却することができる。
【0012】
本発明は、以下の詳細な説明、例、図面、及び特許請求の範囲、並びにそれらの前述及び後述の説明を参照することによって、より容易に理解することができる。しかしながら、本発明は、特に明記しない限り、開示された具体的な組成物、物品、デバイス、システム、及び/又は方法に限定されず、従って、当然ながら、変動し得ることが理解されるべきである。本発明の態様は、組成物法定分類などの、特定の法定分類で説明及び特許請求できるが、これは、便宜上に過ぎず、当業者は、本発明の各態様が任意の法定分類において説明及び特許請求できることを理解するであろう。
【0013】
以下の本発明の詳細な説明は、本発明の、現在知られている最良の態様を実施可能にする教示としても提供される。この目的を達成するために、本明細書に記載の様々な本発明の態様に対して変更及び改変を行ってもよく、その場合でも本発明の有益な結果が得られることを当業者は認識し、正しく理解するであろう。本発明の特徴の一部を選択することによって他の特徴を用いることなく本発明の利益の一部が得られることができることも又理解されるであろう。従って、本発明に対する多くの改変及び適合が可能であること、及びある状況下においてはこのような多くの改変及び適合が望ましい場合さえあり得、そのためこのような多くの改変及び適合は本発明の一部でもあることを当業者は認識するであろう。
【0014】
本発明は、様々な形態で具体化することができるが、いくつかの実施形態の以下の説明は、本開示が本発明の例示と見なされるものとし、又本発明を、例示された特定の実施形態に限定することを意図されていないと理解したうえでなされる。見出しは、便宜上与えられているに過ぎず、決して本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示の任意の見出し又は任意の部分で例示される実施形態は、本開示の同じ又は任意の他の見出し又は他の部分で例示される実施形態と組み合わされることができる。
【0015】
それの全ての可能な変形で本明細書に記載される要素の任意の組み合わせは、本明細書で特に指示がない限り又は文脈で特に明らかに矛盾しない限り、本発明によって包含される。
【0016】
特に明らかに明記しない限り、本明細書で説明される任意の方法又は態様は、その工程が特定の順序で行われることを要求すると解釈されることは決して意図されない。従って、方法の請求項が、特許請求の範囲又は説明において、工程が特定の順序に限定されることを具体的に述べていない場合、いかなる意味においても、順序が推論されることを決して意図しない。これは、工程の配置又は動作フローに関する論理的事柄、文法構成又は句読点から導出される単純な意味、又は本明細書に記載される実施形態の数又はタイプを含む、解釈のためのあらゆる可能な非表現ベース(non-express basis)に当てはまる。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は両方とも例示的及び説明的であるに過ぎず、限定的ではないことが理解されるべきである。
【0017】
本明細書で言及される全ての刊行物は、刊行物に引用されるものと関連して方法及び/又は材料を開示及び説明するために、参照により本明細書に援用される。
【0018】
本明細書で用いられる専門用語は、単に特定の態様を説明するためのものであり、限定的であることを意図しないことが理解されるべきである。特に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書において及び後に続く特許請求の範囲において、本明細書で定義される多くの用語が言及されるであろう。
【0019】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いられる単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、文脈がそうでないことを明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。
【0020】
本明細書で用いるところでは、用語「及び/又は」は、「及び、又は代替として」を意味する。
【0021】
本明細書で用いるところでは、用語「任意選択の」又は「任意選択的に」は、後述する事象、条件、成分、又は状況が、生じても又は生じなくてもよいこと、並びにその説明には、前述の事象、条件、成分、又は状況が生じる事例及び生じない事例が含まれることを意味する。
【0022】
本明細書で用いるところでは、句「に十分な」(例えば、「に十分な条件」)は、十分な値又は条件が発現されるための機能又は特性を果たすことができるこのような値又は条件を意味する。下記に指摘されるように、必要とされる正確な値又は特定の条件は、用いられる材料及び/又は加工条件などの、広く認められた変数に応じて、実施形態ごとに変わり得る。
【0023】
用語「重量による」は、そうでないと明記しない限り、成分と組み合わせて用いられる場合、その成分が含まれる配合物又は組成物の総重量に基づく。例えば、組成物又は物品における特定の要素又は成分が、8重量%の量で存在すると言われている場合、このパーセントは、100%の総組成パーセントに関連していることが理解される(従って、8重量%と表記される場合がある)。場合によっては、成分の重量パーセントは、「乾燥ベースで」組成物の総重量に基づいており、これは、水を含まない組成物の重量を示す(例えば、組成物の総重量に基づいて、約1重量%未満、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、又は約0重量%の水)。
【0024】
本明細書で数値、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10などの数値を開示す場合、以下の文は典型的にはこのような数値に従う。「前述の数字はそれぞれ、用語「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」とともに用いることができ、前述の数字はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることができ、又は限定的な範囲を述べるのに組み合わせて用いることができる」。この文は、前述の数字のそれぞれが、単独で(例えば、4)用いることができ、語「約」で先行されることができ(例えば、約8)、句「少なくとも約」で先行されることができ(例えば、少なくとも約2)、句「約~未満」で先行されることができ(例えば、約7未満)、又は範囲を規定するための前置の語又は句のいずれかと任意に組み合わせて又は組み合わせなしで使用できる(例えば2~9、約1~4、8~約9、約1~約10等)ことを意味する。更に、範囲が「約X以下」と記載される場合、この句は、代わりに「約X」と「約X未満」との組み合わせである範囲と同じものである。例えば、「約10以下」は、「約10、又は約10未満」と同じものである。このような取り替え可能な範囲の記載が本明細書では意図される。他の範囲形式が本明細書で開示されるが、形式上の相違は、物質に相違があることを暗示すと解釈されるべきではない。
【0025】
本出願に明記された様々な定量値における数値の使用は、特に明示的に指示しない限り、表示範囲内の最小値及び最大値が両方とも語「約」で先行されるかのように近似値として表示される。このように、表示値からのわずかな差異は、表示値と実質的に同じ結果を達成するために用いられ得る。又、範囲の開示は、列挙された最小値及び最大値の間の全ての値並びにこのような値によって形成され得る任意の範囲を含む連続的な範囲を意図している。又、列挙された数値を任意の他の列挙された数値へ分割することによって形成され得る任意の及び全ての比(並びに任意のこのような比の範囲)も本明細書で開示される。従って、当業者は、多くのこのような比、範囲、及び比の範囲が本明細書で提示される数値に明確に由来するものであってもよく、全ての例において、このような比、範囲、及び比の範囲が本発明の様々な実施形態を表すことを十分理解するであろう。
【0026】
本明細書で用いるところでは、用語「実質的に含まない」は、組成物の総重量に基づいて、約1重量%未満、例えば、約0.5重量%未満、約0.1重量%未満、約0.05重量%未満、又は約0.01重量%未満の表示物質を有する組成物を意味する。
【0027】
本明細書で使用される用語「実質的に」は、組成物について用いられた場合、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約60重量%、例えば、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、少なくとも約99重量%、又は約100重量%の特定の特徴又は成分を意味する。
【0028】
本明細書における用語「ポリエステル」は、繰り返し単位がエステル基を特徴とするポリマーを指す。従って、この用語は、ホモポリマー、即ち、1つの酸成分と1つのアルコール成分から、又は1つのヒドロキシカルボン酸成分から、又は1つのラクトン成分から構成されるポリエステルだけでなく、コポリマー、即ち、少なくとも2つの酸成分及び/又はアルコール成分、及び/又はヒドロキシカルボン酸成分及び/又はラクトン成分から構成されるポリエステル(「コポリエステル」)も含む。用語「コポリエステル」は、ポリエステルのサブセットである。コポリマーが2つの異なるポリエステルポリマーのエステル交換反応から生じる場合、得られるコポリマーは、本明細書では「コポリエステル」コポリマー、又は「混合コポリエステル」と呼ばれ、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルも指す場合、一般用語のコポリエステルを区別する。コポリマーがポリエステルポリマーとポリカーボネートポリマーのエステル交換反応から生じる場合、得られるコポリマー(コポリエステル)は、本明細書では「コポリエステルポリカーボネート」コポリマーと呼ばれる。用語「コポリエステルポリカーボネート」は、コポリエステルのサブセットである。一部の反応条件下では、このようなポリマーは、CO2単位の損失を受ける可能性があり、その結果、得られる官能基は、エーテル単位(カーボネート単位でCO2の損失から生じる)であることが理解されるべきである。可能性のあるカーボネート官能基の100%(又はほぼ100%、例えば、99.5%、又は99%、又は95%など)がエーテル官能基に変換される場合、得られるポリマーは、本明細書では、「コポリエステルポリエーテル」と呼ばれる(用語「コポリエステルポリエーテル」は、コポリエステルのサブセットである)。それ以外の場合(即ち、可能性のあるカーボネート官能基の95%未満、又は99%未満、又は99.5%未満がエーテル官能基に変換される)、コポリマーは、依然としてコポリエステルポリカーボネートと呼ばれる。
【0029】
ポリエステルは、ジカルボン酸及び二官能性アルコールを使用する従来の合成手段から得ることができる。芳香族ジカルボン酸が好ましい。適切なジカルボン酸の例には、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及び2,5-フランジカルボン酸(FDCA)が含まれる。これらのジカルボン酸のいずれかと組み合わせることができる適切な二官能性アルコール(ジオール)の例には、エチレングリコール、プロパンジオール(プロピレングリコールを含む)、ブタンジオール(ブチレングリコール)、シクロヘキサンジメタノール、イソソルビド、及びスピログリコールが含まれる。例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、PETは、エチレングリコールとテレフタル酸を使用して合成でき、ポリ(エチレンフラノエート)、PEFは、エチレングリコールと2,5-フランジカルボン酸を使用して合成できる。
【0030】
コポリエステルは、例えば、本明細書で更に論じられるように、2つ以上の異なるポリエステルポリマーのエステル交換反応によって得ることができる。
【0031】
ポリカーボネートポリマーには、多官能性アルコール(例えば、上記に開示されたものを含むジオール、並びにビスフェノールA、BPA)の、例えば、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート又はホスゲンなどの炭素酸誘導体との反応から得られることができるものが含まれる。例えば、最も一般的にポリカーボネートと呼ばれるポリマーは、ホスゲン(又はジメチルカーボネート)とBPAの反応によって合成できる。
【0032】
コポリエステルポリカーボネート及びコポリエステルポリエーテル(少なくとも正式にはコポリエステルポリカーボネート由来)は、例えば、本明細書で更に論じられるように、1つ以上のポリエステルポリマーと1つ以上のポリカーボネートポリマーとのエステル交換反応によって得ることができる。先に論じられたように、コポリエステルポリカーボネートコポリマーからのCO2の除去により、コポリエステルポリエーテルコポリマーを形成することができる。このような副反応は、ポリマー鎖に沿った全ての可能な構造基単位で発生する場合と発生しない場合がある。
【0033】
本明細書では、用語「構造単位」は、当技術分野でその通常の意味で使用される。ポリマー化学では、構造単位は、ポリマー鎖の構成ブロックである。これは、長鎖(ポリマー)に重合されたモノマーの結果である。繰り返し単位には1つ以上の構造単位が存在する場合がある。異なるモノマーが重合されると、コポリマーが形成される。ポリエチレンテレフタレート(PET)の場合、このポリマーの作製に通常使用されるモノマーは、エチレングリコール(HO-CH2-CH2-OH)とテレフタル酸(HOOC-C6H4-COOH)である。ポリマーには、-O-CH2-CH2-O-と-OC-C6H4-CO-の2つの構造単位がある。繰り返し単位は、-CH2-CH2-O-CO-C6H4-CO-O-である。更に、本明細書で使用される場合、用語「構造単位」は、ポリマー内の繰り返し単位である重合形態の2つのモノマー単位を含む繰り返しセグメントを指すことができる。例えば、PETなどのポリエステルとポリカーボネート(PC)のエステル交換反応では、生成物の一部の繰り返し単位は、例えば、ポリエステルの繰り返し単位-CH2-CH2-O-CO-C6H4-CO-O-並びに他の繰り返しセグメントなどの元の構成ポリマーに起因する2モノマーセグメントである場合があり、これらのセグメントは、モノマー構造単位と2モノマー構造単位の違いが明確にされている、又は文脈から明らかである構造単位と見なすことができる。例えば、ポリエステルの2モノマーセグメントは、構造単位であり、ポリカーボネートの2モノマーセグメントは、構造単位である。構造単位は、本明細書で更に論じられるように、核磁気共鳴分光法(NMR)などの技術によって識別及び定量化することができる。
【0034】
特定の重合反応、又は反応を受ける特定のポリマーは、モノマー又は重合されたモノマー単位から予想されるものと比較して、構造単位(X)を変更させる副反応を伴う場合がある。変更された単位がその構造の一部、例えばポリカーボネート単位からCO2分子を失った場合、残りの部分は、残基フラグメント又は残基(X’)と呼ばれる。このような種は、依然としてNMRによって識別でき、予想される構造単位Xに由来する全ての単位がXとX’の組み合わせ(即ちX+X’)としてポリマーにもはや存在すると見なすことにより、ポリマーにおける構造単位の数に定量的に含まれることができる。従って、[X+X’]は、構造単位Xとその残基X’のモル分率である。
【0035】
ポリマーのガラス転移温度、Tgは、示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定され、試料の第2の加熱(10℃/分の加熱/冷却速度)のベースライン工程転移(baseline step transition)の変曲点として決定され、摂氏で報告される。(実施例4を参照)。
【0036】
融解又は結晶化のエンタルピー、ΔHmは、ピーク面積の線形ベースライン推定(linear baseline estimation)を使用してDSCによって測定され、J/gとして報告される(125℃で開始し250℃で終了する、ベースラインからの偏差としてのピーク面積の線形積分として測定される)。CO2の静水圧に曝される前の試料の分析は、第2の温度ランプで行われた。これは、CO2などの発泡剤に曝される前に、コポリエステルコポリマーに対して行われる場合、本明細書では「発泡前のΔHm」と呼ばれる。結晶性PETの結晶化のエンタルピーが140J/gであることを考慮すると、10J/g未満の結晶化のエンタルピーは、約7%以下の結晶化度を表し、5J/g未満の結晶化のエンタルピーは、4%未満の結晶化度を表すと推定できる。
【0037】
本明細書では「発泡後のΔHm」と呼ばれる、CO2の静水圧に曝された後のΔHmを評価するために、試料を1.3mmの厚さのフィルムに圧縮成形し(5分間、180℃で25トンの圧力)、圧力容器に入れた。容器を135℃に加熱し、約1000psiの二酸化炭素発泡剤をヘッドスペースに充填して試料を4時間浸漬した。次いで、圧力を急速に解放して、試料に発泡を誘発させた。次いで、CO2の静水圧に曝された後の試料の分析が第1の温度ランプで実施されたことを除いて、示差走査熱量測定を使用して、融解又は結晶化のエンタルピー、「発泡後のΔHm」を得た(上記及び実施例4で記載のように)。
【0038】
本明細書で使用される用語「発泡」は、液体の表面中又は液体の表面上に形成される、又は液体由来の、軽量で多泡質の微細な気泡の塊を意味する。本明細書では、文脈に応じて用語「発泡」は乾燥前の湿潤発泡を指すこともあり、又はその乾燥発泡を説明するのに使用されることもある。試料を成功して発泡させることができるかどうか(「発泡性樹脂」又は「発泡性コポリマー」)を決定することに関して、溶融試料は、発泡される必要があり、安定した発泡体を形成できる必要がある。一般的には、及び本明細書で検討された最終用途において、かろうじて適切な泡は、少なくとも3.5倍の、最大8倍の体積膨張から生じる。「良好な」発泡体は、8~11.5倍の体積膨張から生じる。好ましい発泡体は、少なくとも11.5倍の体積膨張、より好ましくは少なくとも16倍の体積膨張である。体積膨張は、固体ポリマーの密度(例えば、PETの場合は1.27g/cm3)を発泡体の密度で割ることによって計算される。発泡体の密度は、浮力法を使用して測定される:空気中の試料を計量し(発泡試料のグラム)、室温で水中での試料の浮力を計量する(水の密度は1g/cm3であるため、移動された水の重量は、移動された水の体積に等しくなる-結果、これは、水を吸収しないと仮定した場合の、発泡試料のcm3での体積である。次いで、発泡体の密度、g/cm3が、空気中の発泡試料の重量を発泡試料の体積で割ったものとして計算される)。本明細書に記載される発泡体は、体積膨張のこれらの目標を満たしている。
【0039】
本明細書で使用される場合、「安定発泡体」は、周囲の大気以外の外力がない場合に、乾燥プロセス中及びそれ以降の観察可能な収縮又は崩壊に関して安定である発泡体を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、用語「硬質発泡体」は、5psiを超える圧縮強度を有する気泡構造体を有する乾燥発泡体を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「周囲硬化条件」は、無調整の屋外空間で典型的には経験され、その下で噴霧又はエアロゾル分配された発泡生成物が分配及び乾燥され得る条件の範囲を指す。「周囲硬化条件」からは、強制環流及び/又は強制加熱の任意の形態を含む環境は除外されている。
【0042】
本明細書に開示される全ての分子量及び分子量に関連する他の値は、GPCによって測定される。
【0043】
本明細書で使用される場合、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)は、溶液中の分子がそれらのサイズによって分離されるクロマトグラフィー分離法を指す。分離は、分離カラムとして知られる多孔質粒子の層を試料分子が通過する際の、その試料分子の差分排除(differential exclusion)によって達成される。GPCはポリマー分子の実質的に正確なモル質量分布を決定するのに使用することができる。例えば、カラムを通過した液体画分(溶離液)を一定の量で回収する。ポリマーはカラムを通って溶離するため、大きすぎてカラムの孔を通れない分子は充填細孔体積から排除され早めの保持時間で溶出し、一方、より小さい分子はカラムの孔に入り込んでより遅い時間で溶出する。溶出したポリマーの濃度は、例えば屈折率(RI)及び紫外線(UV)などの分光技術によって測定することができる。溶離液の流れをRI、低角レーザ光散乱(LALLS)、多角度レーザ散乱(MALLS)、UV、及び/又は粘度測定により連続的に分析することもできる。
【0044】
本明細書で使用される場合、用語「モル質量分布」、「MMD」、及び「分子量分布」は、交換可能に使用され、それぞれのポリマー種のモル数又はポリマー鎖の数(Ni)、及びその種のモル質量(Mi)又はポリマー鎖の間の関係を説明する。ポリマーのモル質量分布は、ポリマー画分によって変更される場合がある。適用される統計的方法に応じて、異なる平均値が規定され得、本明細書に記載される。
【0045】
本明細書で使用される場合、用語「数平均分子量」(M
n、又は
【数1】
)は、試料中の全ポリマー鎖の統計的平均分子量を意味し、式:
【数2】
(式中、M
iは鎖の分子量であり、N
iはその分子量の鎖の数である)によって定義される。M
nは、分子量標準、例えば、ポリスチレン標準、好ましくは認定された又は追跡可能な分子量標準を使用して、当業者に周知の方法によってポリマーについて決定することができる。
【0046】
本明細書で使用される場合、用語「重量平均分子量」(M
w、又は
【数3】
)は、式:
【数4】
(式中、M
iは鎖の分子量であり、N
iはその分子量の鎖の数である)によって定義される。M
nと比較して、M
wは分子量平均に対する寄与を決定するのに所定の鎖の分子量を考慮する。従って、所定の鎖の分子量が大きくなるほど、鎖のM
wへの寄与が大きくなる。M
wは、分子量標準、例えば、ポリスチレン標準、好ましくは認定された又は追跡可能な分子量標準を使用して、当業者に周知の方法によってポリマーについて決定することができる。本明細書に記載のポリエステルコポリマーを発泡させるためのMwは、少なくとも10,000である必要がある。
【0047】
コポリマーは少なくとも2種類の構造(又はモノマー/モノマー残基)単位からなるため、コポリマーは、これらの単位が鎖に沿ってランダムに配置されている方式に基づいて分類できる。コポリマー鎖に沿ったモノマー分布を特徴付ける1つの指標は、「ケーニッヒB値」(B)であり、これは、二元コポリマーにおける式で定義される(例えば、L.Tauらの欧州特許第2,736,930B1号明細書を参照):
【数5】
(式中、X及びYは、コポリマーの2つの構造単位であり、[X]及び[Y]は、それらの対応するモル分率([X]+[Y]=1)であり、[XY]及び[YX]は、XY及びYXの二分子(diad)のモル分率である)。ポリマー分子における2つの隣接する構造単位は、二分子を構成する。上記の二元コポリマーには、[XX]+[XY]+[YX]+[YY]=1の4種類の二分子XX、XY、YX、YYがある。指標Bは、形態、結晶化、ガラス転移、溶解性、機械的特性などを含む、コポリマーの多くの物理的特性に大きく影響する。
【0048】
NMRに基づく方法を使用して、コポリマーの組成及びコポリマーにおける正確なモノマー配列を決定することができ、且つ、触媒エステル交換プロセスによって生成されたコポリマーのブロック性(実際にはブロック性のレベルの低下)を説明する指標Bを計算することができる。このB値は、温度、時間、及び触媒の種類などの処理条件、並びにブレンド配合物中のポリカーボネートなどのコモノマーのレベルによって変動することが示されている。例えば、
図1は、275℃で実行されたポリエチレンテレフタレート(PET、モノマー構造単位、Y)とポリカーボネート(PC、モノマー構造単位、X)の触媒エステル交換反応の反応時間の関数として、コポリマーのケーニッヒB値の変動(モノマー分布値又はブロック性の崩壊)を示している。B値は、本明細書に記載の方法を使用して得られた。加えて、この方法を使用して、本明細書に記載の発泡性コポリマー組成物を従来技術のものと区別することができる。
【0049】
ポリマーにおけるモノマー分布についてのケーニッヒB値は、Xがコモノマー(ポリカーボネートなど)の繰り返し単位を表し、Yがポリエステルモノマー(PETなど)の繰り返し単位を表すように説明されることができる:B=0(に近い)の最小値は、コポリマー組成物がジブロックポリマー配列として存在することを意味する(ジブロックは1つのXY又はYX二分子を有する必要があるためゼロ以外):
XXXXXXXYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY。
B=1の値は、例えば、次のようなランダムコポリマー(又は「統計的コポリマー」)を示す:
XYYYYYYYYXXXYYYYYYYYYYYXYYYYYYXXYYY。
Bの最大値B、B最大=1/[Y]は、完全に交互のコポリマーを表す(全てのX(少量成分)は、Y(主要成分)で囲まれている、ポリマー鎖のXブロック又はXX二分子はない)、
XYYYYYYXYYYXYYYYYYYXYYXYYYYYXYYYXYY
この場合、[Y]は、ポリエステルモノマー単位のモル分率である(例えば、X:Y=1:4又は20:80の場合、B最大=1.25。即ち、Xのモル分率は、0.2であり、Yのモル分率は0.8である、1/0.8=1.25)。
【0050】
最も高い可能なB最大は、2つの完全に交互のモノマーを含む50/50のモル比の二元コポリマーで生じ、X及びY([X]=[Y]=0.5)、このため、XY及びYX二分子が(等量で)存在し、従って[XY]=[YX]=0.5、XYXYXYXYXYXYXYXYXYXYXYXYXYXYXYXYXYX。
式1:
B=([XY]+[YX])/(2[X][Y])=(0.5+0.5)/(2×[0.5]×[0.5])=1/0.5=2、
及び:
B最大=1/[Y]=1/0.5=2より。
【0051】
ポリエステルポリマー(PET)とポリカーボネートポリマー(PC)のエステル交換反応から作製されたコポリエステルポリカーボネートの場合、得られるコポリマー(PC/PET)は、副反応(ポリカーボネート単位からのCO
2の損失など)のために理想的な二元コポリマーではない。指標Bの定義は、上記と同じ物理的意味を保持しながら、副反応に対応するように変更される。新しい定義は、PC/PETエステル交換の例を使用して例示される(
図2)。
【数6】
(式中、X及びYは、コポリマーの2つの構造単位である(それぞれ、BPAカーボネートコモノマー及びエチレンテレフタレートモノマー))。2つの副反応のため、
13C NMRによって5つの二分子が検出される:XX、XY、X’Y、YX、YY。余分な二分子X’Y(エーテル結合)は、CO
2の損失によって導入される。
13C、特に以下に説明するように追跡される炭素原子の観点から、もう一方の副反応(エチレンカーボネートの損失)は、XY二分子に隣接するコアを、YX二分子のものと同一のフラグメントに隣接するコアに変えるに過ぎないため、新しい二分子は導入されない。角括弧は、構造単位又は二分子のモル分率を示し、次の条件を満たす:[X’+X]+[Y]=1及び[XX]+[XY]+[X’Y]+[YX]+[YY]=1。
【0052】
図3は、PC/PETコポリマーの代表的な定量的
13C NMRスペクトルと詳細なピーク帰属を示す。NMRスペクトルの定量的特性により、ピーク強度(I)は、観測された構造単位又は二分子の数に厳密に比例する。
【0053】
PC単位X及びX’から派生したコモノマー単位を考慮すると、PCコモノマー単位の合計量は、N
X+X’として表される。
図3では、炭素の帰属8、8’、16、17、18、及び19は、PCフラグメント(X又はX’のいずれか)に固有であり、コアPCフラグメントの8つの炭素(2つのフェニル環からの8つの炭素、この場合、これらの8つの炭素は、他の2つのフェニル環炭素原子と1つのフェニル環水素原子にのみ結合している)を説明する。これらの炭素は全て、
図3でD、E、及びFとラベル付けされた
13C NMRピークに帰属され、
13C NMRピークは、それぞれピーク強度、I
D、I
E及びI
Fを有する。従って、PCコモノマー単位の合計量N
X+X’=(I
D+I
E+I
F)/8。
【0054】
同様に、PET単位Yから派生したコモノマー単位を考慮すると、PET単位の合計量は、N
Yとして表される。
図3では、炭素の帰属1(又は1’又は11)、2(又は2’又は2’’)及び3(又は3’又は3’’)は、PETフラグメントYに固有であり、コアPETフラグメントの8つの炭素(6つのフェニル炭素とフェニル環に結合した2つのカルボニル炭素)を説明する。これらの炭素は全て、
図3でA、B、及びCとラベル付けされた
13C NMRピークに帰属され、
13C NMRピークは、それぞれピーク強度、I
A、I
B及びI
Cを有する。従って、PETモノマー単位の総量N
Y=(I
A+I
B+I
C)/8。
【0055】
N
X+X’及びN
Yにおける表現から、PC及びPETのモル分率を計算することができる:
【数7】
上記と同様に、XY二分子は、
図3で炭素20に帰属された単一の固有の
13C NMR炭素共鳴を有し(ピーク強度I
20を有する)、XY二分子における1つの炭素原子のみを表す。
XY二分子の量N
XY=I
20。
炭素の帰属12、15、及び19は、X’Yフラグメントに固有であり、そのフラグメントにおける4つの炭素を表す。
X’Y二分子の量N
X’Y=(I
12+I
15+I
19)/4。
YX二分子の量N
YX=I
11。
XX二分子は、
図3で炭素10に帰属された単一の固有の
13C NMR炭素共鳴を有し(ピーク強度I
10を有する)、XX二分子における1つの炭素原子のみを表す。
従って、XX二分子の量N
XX=I
10。
YY二分子の量N
YY=N
Y-(N
XY+N
X’Y+N
YX)/2=(I
A+I
B+I
C-4*I
20-I
12-I
15-I
19-4*I
11)/8。
N
XY,N
X’Y及びN
YXの表現から、二分子のモル分率は次のように計算することができる:
【数8】
式(3)~(7)のモル分率を式(2)に代入することにより、このコポリマーのB値を計算することができる(式5、6、7は、式2の分子の成分を示し、式3及び4は、式2の分母の成分を示す)。
【0056】
75重量%のPETを含むコポリエステルの場合、B値が0.88を超える、好ましくは0.90を超える樹脂は、発泡剤としてCO2を吸収すると、発泡品を生成する。バッチ式ハーケ(Haake)混合ボウル実験と連続パイロットライン(Pilot Line)実行を使用して、いくつかのエステル交換されたPET/PC樹脂試料が生成され、75重量%のPETを含むコポリエステルに触媒を使用しなかった場合のB値は約0.36になり(例えば、表3を参照)、触媒を使用した場合の同じシステムで0.51から1.25までの範囲であった(表3)。
【0057】
B値は、コモノマーがコポリマー鎖に沿ってどの程度ランダム(又はブロック状)に分布しているかを特徴付けるに過ぎない。コポリマーの発泡性を支配するブロックの長さの分布は、Bとコポリマーの両方の組成の影響を受ける。式(2)のBの定義を使用すると、B[X+X’]は、PC/PETコポリマーの発泡性を特徴付ける普遍的な指標であり、この場合、[X+X’]は、コポリマーにおけるPCコモノマーと残基のモル分率である。組成に関係なく、典型的には、B[X+X’]が0.18を超える、好ましくは0.20を超える、より好ましくは0.22を超える樹脂は、発泡剤としてCO2を吸収すると、発泡品を生成する(表1の4つの異なる組成物でのコポリマーの例を参照)。
【0058】
特定の実施形態では、本明細書に記載される本発明は、
異なるポリエステル単位を含み、或いはポリエステル単位及びポリカーボネート又はポリエーテル単位或いはその両方を含み、且つ任意選択的に1つ以上の結合剤を更に含み、且つ(i)1つ以上の芳香族二酸モノマーの重合単位、(ii)エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソソルビド、又はスピログリコール、或いはこれらの組み合わせの重合単位の合計の10モル%~40モル%、(iii)10℃/分の加熱/冷却速度を使用してDSC曲線の第2の加熱の変曲点から測定される85~120℃のTg、並びに、(iv)135℃で4時間、1000psi CO2の静水圧に曝された後の10J/g以下の融解熱、ΔHm、ピークを有することを特徴とする、コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーに関する。
【0059】
前に論じたように、結晶性及び半結晶性ポリエステルポリマーは、低密度の発泡体を生成するために容易に発泡させることができず、ガスが膨張して発泡体を生成する間、材料が再結晶化するのを防ぐために高温が必要である。本明細書で論じられる手法は、連続する繰り返しポリエステル構造単位を破壊することによって、ポリマーの結晶化度を低減又は除去する。克服すべき結晶化がないため、非晶性コポリエステルは、溶融強度が妥当である低温(ガラス転移温度超)で発泡させることができる。半結晶性PET(任意選択的に、その一部又は全てがリサイクルされたPETであり得る)を、例えば、混合されたポリエステルコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエチレンなどの非晶性コポリエステルに直接変換する方法が、本明細書に開示され、又、発泡性コポリエステルポリマーを生成するための組成物が、開示される。
【0060】
本明細書に記載の発泡性コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルを形成する方法が本明細書に開示され、この方法は、(i)エステル交換触媒、及び任意選択的に、鎖結合剤の存在下、第1のポリエステルポリマーから選択される少なくとも2つのポリマー、1つ以上のポリカーボネートポリマー及び1つ以上の他のポリエステルポリマーから選択される1つ以上の他のポリマー、又はこれらの組み合わせのブレンドを溶融する工程と、(ii)任意選択的に混合しながら、少なくとも3分、200℃を超える温度を維持する工程と、(iii)任意選択的に、生成されたエチレンカーボネートの少なくとも一部を収集する工程と、(iv)冷却して固体コポリマーを生成する工程と、を含む。
【0061】
出発ポリエステル、又は出発ポリエステルのうちの1つは、ポリエチレンテレフタレート(PET)であり得る。出発ポリエチレンテレフタレート(PET)は、例えば、Muehlstein(Ravago、Arendonk、Belgiumの子会社)のCertene(登録商標)8080などとして市販され得る、又は、例えば、Reterra Plastics(Reterra Corporation、Houston、TX、USA)、PolyQuest Inc.(Darlington、SC、USA)、Circular Polymers(Lincoln、CA、USA)、又はEvergreen Plastics(Clyde、OH、USA)の、リサイクルされたPETなどの固体のリサイクルされたポリエステルとして供給され得る。或いは、出発ポリエステルは、当技術分野で周知の方法(上記参照)によって合成され得る。グリコール改質ポリエステル(PETG)又は他のポリエステル(ポリプロピレンテレフタレート(通常PTT又はポリトリメチレンテレフタレートと呼ばれる)、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリスピログリコールテレフタレート、ポリイソソルビドテレフタレート、ポリエチレンフラノエート(PEF)、ポリトリメチレンフラノエート(PTF)、又は他のフラノエート系のポリエステルなど)は、半結晶性PETの部分的又は完全な代替品に使用できる。同様に、ポリカーボネートポリマーは、例えば、Covestro AG(Leverkusen、Germany)のMakrolon(登録商標)3158、又は、Trinseo、LLC(Berwyn、PA、USA)のCALIBRE(登録商標)1060DVD又はCALIBRE(登録商標)1080DVD、又は17-22MF(Premier Plastic Resins)として市販され得る、或いは、例えば、Star Plastics、Inc.(Ravenswood、WV、USA)又はThe Materials Group(Rockford、MI、USA)のOpticarb PCの固体のリサイクルされたポリカーボネートとして供給され得る、或いは、別の方法として、既知の方法によって合成され得る。高いTgのポリエステル(Eastman Chemical、Kingsport、TNのTritan(登録商標)GX100又はFX200など)は、ポリカーボネートの部分的又は完全な代替品として使用できる。
【0062】
ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリエステルは、その結晶溶融温度を超える温度に溶融され、ポリカーボネート(好ましくは、例えば、ビスフェノールAポリカーボネートなどの芳香族ポリカーボネート)又は他のポリエステルと任意の第3のポリマー(ポリエステル又はポリカーボネートタイプのポリマーであり得る)とブレンドされる。任意選択的に、例えば、ピロメリット酸二無水物、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、又は当技術分野で知られている他のものなどの鎖結合剤を添加することができる。エステル交換触媒は、固体又は溶融ポリマーとの物理的ブレンドとして、又はポリマーの1つにおける濃縮物として、溶融ブレンドに添加される。本明細書に記載されるように、ポリマーは、溶融相で都合よく混合及び反応され、これは又、当技術分野ですでに普及している押出し加工(例えば、発泡断熱板の作製において)にも役立つ。混合と反応は、代わりに溶液中で起こる可能性があるが、これらのポリマーに適した溶液を形成する溶媒はほとんどなく、ほとんどが環境的に許容できない溶媒であると考えられる。このような溶媒(及び部分溶媒)には、フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタンの60/40ブレンド、ヘキサフルオロイソプロパノールなどのフッ素化アルコール、トリフルオロ酢酸、オルトクロロフェノール、メタクレゾール、クロロホルム及び塩化メチレンが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0063】
本発明者らは、触媒が存在しない場合、ポリマーは、十分にエステル交換されず、発泡剤がその中に溶解したときに結晶化しない新しいコポリマーを生成することを見出した。従って、ポリエステルポリマー(又はポリエステル及びポリカーボネートポリマー)が触媒の非存在下で単純にブレンドされる場合(「ポリマーミックス」、「ポリマーブレンド」又は「混合された組成物」)、得られる結果は、出発ポリマーのブレンド又はかなりの「ブロック性」を持ち安定した発泡体を生成するために使用することができないポリマーのいずれかである。
【0064】
エステル交換反応に適した触媒には、当技術分野で知られているもの、特に、例えば、チタン(IV)テトラブトキシド、Ti(OBu)4、チタン(IV)テトライソプロポキシド、Ti(OiPr)4、酢酸セリウム(III)、Ce(OAc)3、イッテルビウム(III)アセトアセトナート、Yb(acac)3、及び酸化アンチモン(III)Ca(OAc)2/Sb2O3と組み合わせた酢酸カルシウム(II)などの有機金属錯体、並びに、モノブチルスズオキシド(MBTO)、ジブチルスズオキシド(DBTO)、ジオクチルスズオキシド(DOTO)などのスズ有機金属錯体が含まれ、これらの一部は、FASCAT(登録商標)触媒(PMC Organometallix,Mount Laurel,NJ,USA)の商標名で入手できる。適切な使用レベルは、触媒ごとに異なる場合があるが、一般に、50ppm~10,000ppm、1,000ppm~5,000ppm、又は1,500ppm~3,000ppm(触媒の重量部、反応中に存在する全ポリマーの100万分の1重量部)の範囲である。
【0065】
特定の実施形態では、当業者によって容易に理解されるように、本明細書に記載の方法は、方法の条件に耐えることができる当技術分野で知られている任意の反応器で実施することができる。例えば、限定されないが、反応器は、1つの容器又は2つ以上の容器を含み得る。ポリマー成分を混合して、少量の相(minor phase)を大幅に分散させ、エステル交換を促進する。一実施形態では、実施例1に記載されているように、成分は、ハーケブレンダー(例えば、Thermo-Scientificのハーケ溶融レオメーター)内の溶融相で混合される。別の実施形態では、実施例2に記載されているように、成分は、二軸押出し機などの押出し機装置内で溶融相で混合される。任意選択的に、他の所望の添加剤をハーケブレンド又は押出し機ブレンドに添加し、溶融相ポリマーと混合することができ、又は好ましくは、これらを後で添加する。このような他の添加剤は、任意の組み合わせで、例えば、顔料、粘土、着色剤、潤滑剤、酸掃去剤、赤外線減衰器、核剤、難燃剤、及び/又はガス透過性を高めるための充填剤/薬剤を含み得る。ポリマーブレンド(任意の添加剤を有する)は、急冷冷却とペレット化の前に、200~280℃で約1~5分行われる。
【0066】
エステル交換反応は、高圧を使用しなくても進行することができるが、高圧を使用することもできる(温度の上昇と同様の効果がある)。実用的な考慮事項は、エステル交換反応の時間と温度条件の特定の選択に影響を与える可能性があり、温度が低いほど、必要な反応の程度に影響を与えて、得られるコポリエステルの「ブロック性」の度合いを十分に最小限に抑え、コポリエステル生成物の発泡を可能にするために、より長い時間枠が必要になる(例えば、
図1を参照)。特定の実施形態では、エステル交換反応は、150、160、170、180、190、200、205、210、215、220、225、230、235、240、245、250、255、260、265、270、275、280、285、290、295、300、310、320、330、又は350の温度(℃)で実施することができる。時間(分)は、0.5、1、2、3、4、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、又は150以上であり得る。前述の数字(温度又は時間)のそれぞれは、語「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」で先行されることができ、前述の数字はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることができ、又は限定的な範囲を述べるのに組み合わせて用いることができる。適切な反応温度と時間は、200℃~300℃で5分~60分であり得る。好ましい反応条件(触媒を使用)は、230℃~275℃で5分~30分である(PETが溶融相にあることを保証するために275℃で約2分の初期時間を使用)。
【0067】
副化学生成物(CO2、エチレングリコール、及びエチレンカーボネート)は、公開文献で論じられているが、ほとんどの従来技術は、副化学を完全に回避する方法に焦点を合わせている。本明細書に開示されるように、特定の副反応は、触媒及び反応温度の選択を通じて選択的に促進され、エチレングリコールの損失を優先的に促進して、最終ポリマーのTgを高める。従って、Tgの予想される制限なしに、より高い充填量のPETをブレンドで使用できる。最終ポリマーのTgを高めるためにエチレングリコールの損失を特異的に促進するための好ましい触媒は、DBTO、DOTO、Ti(OBu)4及びTi(OiPr)4である。
【0068】
一実施形態では、本明細書に開示されるコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテル、及び発泡剤を含む発泡性組成物が提供される。特定の実施形態では、発泡剤は、ペンタン炭化水素、ハイドロフルオロオレフィン、二酸化炭素、窒素、酸素、水、メタノール及びエタノールなどのアルコール、アセトンを含むケトン、ジメチルエーテル及びジエチルエーテルなどのエーテル、塩化エチレン及び塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素、又はペンテンなどのオレフィン、或いはこれらの組み合わせなどの1つ以上の物理的発泡剤から選択される。適切な化学発泡剤の例は、アゾジカルボンアミド(AZNP)などのアジド、5-フェニルテトラゾール(5PT)、又はクエン酸と重炭酸塩の混合物である。
【0069】
本発明の別の実施形態では、本明細書に開示される発泡性組成物のいずれかから作製された固体の発泡性ビーズが提供される。
【0070】
更に、本発明は、以下のいずれかによって作製される発泡品を提供する:(a)本明細書に開示される発泡性組成物のいずれかの押出し発泡、又は(b)前述の固体の発泡性ビーズの膨張。
【0071】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーを形成する方法が開示され、この方法は、(i)エステル交換触媒、及び任意選択的に、鎖結合剤の存在下、第1のポリエステルポリマーから選択される少なくとも2つのポリマー、1つ以上のポリカーボネートポリマー及び1つ以上の他のポリエステルポリマーから選択される1つ以上の他のポリマー、又はこれらの組み合わせのブレンドを溶融する工程と、(ii)任意選択的に混合しながら、3分以上180分以下、200℃を超え330℃未満の温度を維持する工程と、(iii)任意選択的に、生成されたエチレンカーボネートの少なくとも一部を収集する工程と、(iii)冷却して固体コポリマーを生成する工程と、を含む。
【0072】
特定の実施形態では、コポリマーにおけるポリエステル単位の少なくとも一部は、リサイクルされたポリエチレンテレフタレートに由来する。
【0073】
特定の実施形態では、減圧は、揮発性種を除去するために使用される。
【0074】
この方法の特定のこのような実施形態では、1つ以上の他のポリマーに対する第1のポリエステルポリマーの重量比は、35:65、40:60、42:58、44:56、46:54、48:52、50:50、52:48、54:46、56:44、58:42、60:40、62:38、64:36、66:34、68:32、70:30、72:28、74:26、75:25、76:24、78:22、80:20、82:18、84:16、86:14、85:15であり得る。前述の数字のそれぞれは、語「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」で先行されることができ、前述の数字はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることができ、又は限定的な範囲を述べるのに組み合わせて用いることができる。例えば、第1のポリエステルポリマーと1つ以上の他のポリマーとの重量比は、少なくとも約50:50、約50:50~約80:20、又は約50:50~約75:25、又は約85:15未満であり得る。上で論じたように、1つ以上の他のポリマーが存在し得、これは、他のポリエステルポリマーを含み得る。他のポリマータイプに1つ以上のポリエステルポリマーが含まれる場合、ポリカーボネートポリマーに対する全てのポリエステルポリマーの合計の重量比が、35:65、40:60、42:58、44:56、46:54、48:52,50:50、52:48、54:46、56:44、58:42、60:40、62:38、64:36、66:34、68:32、70:30、72:28、74:26、75:25、76:24、78:22、80:20、82:18、84:16、85:15であり得る別個の実施形態が存在する。前述の数字のそれぞれは、語「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」で先行されることができ、前述の数字はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることができ、又は限定的な範囲を述べるのに組み合わせて用いることができる。例えば、ポリカーボネートポリマーに対する全てのポリエステルポリマーの合計の重量比は、少なくとも約50:50、約50:50~約80:20、又は約50:50~約75:25、又は約85:15未満であり得る。
【0075】
特定の実施形態では、本明細書に開示される方法から得られる生成物コポリエステルコポリマーが開示される。
【0076】
上で論じたように、いくつかの構造単位は、構造単位のフラグメントの損失を被る可能性があるが、構造単位の残りのフラグメント(残基)は、依然としてポリマー鎖に存在する。以下の比で、それぞれの構造単位は、その残基を含む。特定の実施形態では、コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルにおける、ポリエステル構造モノマー単位と1つ以上のコモノマー構造単位(ポリカーボネート又は他のポリエステル構造単位)とのモル比は、45:55、46:54、48:52、50:50、52:48、54:46、56:44、58:42、60:40、62:38、64:36、66:34、68:32、70:30、72:28、74:26、75:25、76:24、78:22、80:20、82:18、84:16、86:14、88:12、90:10である。前述の数字のそれぞれは、語「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」で先行されることができ、前述の数字はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることができ、又は限定的な範囲を述べるのに組み合わせて用いることができる。例えば、モル比は、少なくとも約50:50、約50:50~約80:20、又は約50:50~約75:25、又は約85:15未満であり得る。上で論じたように、1つ以上のタイプのコモノマー構造単位が存在し得、これは、他のポリエステル構造単位タイプ又はポリカーボネート構造単位を含み得る。2つ以上のコモノマー構造単位タイプが存在する場合、それぞれのコモノマー構造単位タイプの比(コモノマーAとコモノマーBの比)は、いかなる方法でも特に制限されない。
【0077】
特定の実施形態では、ポリエチレンテレフタレート(PET)の重合構造単位又はPET残基と、コポリエステルポリカーボネート(又はコポリエステルポリエーテル)中の1つ以上のポリカーボネート(PC)構造単位又はPC残基(重合形態で)とのモル比は、45:55、46:54、48:52、50:50、52:48、54:46、56:44、58:42、60:40、62:38、64:36、66:34、68:32、70:30、72:28、74:26、75:25、76:24、78:22、80:20、82:18、84:16、86:14、88:12、90:10である。前述の数字のそれぞれは、語「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」で先行されることができ、前述の数字はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることができ、又は限定的な範囲を述べるのに組み合わせて用いることができる。例えば、モル比は、少なくとも約50:50、約50:50~約80:20、又は約50:50~約75:25、又は約85:15未満であり得る。上で論じたように、1つ以上のタイプのコモノマーポリカーボネート構造単位(又はその残基)が存在し得る。2つ以上のコモノマーポリカーボネートタイプが存在する場合、それぞれのコモノマーポリカーボネート単位タイプの比(コモノマーA又はその残基とコモノマーB又はその残基との比)は、いかなる方法でも特に制限されない。このような一実施形態では、コポリマーは、ビスフェノールAポリカーボネート構造単位又はその残基である1つのタイプのみのポリカーボネートコモノマー(重合形態で)を含む。又、上で論じたように、ポリマー中のポリカーボネート(PC)の重合構造単位は、(重合形態でのポリカーボネートモノマーとして)そのままで残り得る、又はこれらの構造単位の一部又は全てが、ポリカーボネート官能基からCO2分子が失われた後に残っている残基フラグメント(残基)として存在し得る。
【0078】
特定の実施形態では、発泡性コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーは、1つ以上の脂肪族ジオールの重合構造単位の合計の10モル%~40モル%を有し、この場合、モル%は、コポリマーを構成する重合構造単位の総モルのパーセントとして表される、コポリマーにおける1つ以上の脂肪族ジオールの重合構造単位のモルの合計である。脂肪族ジオールのモル%は、エステル交換反応の生成物のNMRによって決定することができる。特定の実施形態では、発泡性コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーは、10、15、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、39、40の1つ以上の脂肪族ジオール(モル%)の重合構造単位の合計を有する。前述の数字のそれぞれは、語「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」で先行されることができ、前述の数字はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることができ、又は限定的な範囲を述べるのに組み合わせて用いることができる。発泡性コポリエステルの1つ以上の脂肪族ジオールの重合構造単位の適切なモル%は、15モル%~40モル%、又は20モル%~40モル%、又は20モル%~39モル%、又は20モル%~38モル%であり得る。一実施形態では、脂肪族ジオールのモル%は、25モル%~38モル%である。
【0079】
特定の実施形態では、発泡性コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーは、80、85、90、95、98、100、102、105、110、115、120、125又は130のガラス転移温度、Tg(℃)を有する。前述の数字のそれぞれは、語「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」で先行されることができ、前述の数字はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることができ、又は限定的な範囲を述べるのに組み合わせて用いることができる。発泡性コポリエステルに適したTgは、80℃~125℃、又は85℃~125℃、又は85℃~120℃、又は90℃~115℃であり得る。一実施形態では、Tgは、95℃~110℃である。
【0080】
特定の実施形態では、発泡性コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーは、0、0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15の融解エンタルピー、「発泡前のΔHm」、(J/g)を有する。前述の数字のそれぞれは、語「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」で先行されることができ、前述の数字はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることができ、又は限定的な範囲を述べるのに組み合わせて用いることができる。発泡性コポリエステルの発泡前の適切なΔHmは、15J/g以下、又は10J/g以下であり、又は0J/g~15J/g、又は0J/g~10J/g、又は0.1J/g~15J/g、又は0.1J/g~10J/gであり得る。好ましくは、0J/g又は5J/g以下である。
【0081】
特定の実施形態では、発泡性コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15の融解又は結晶化のエンタルピー、「発泡後のΔHm」、(J/g)を有する。前述の数字のそれぞれは、語「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」で先行されることができ、前述の数字はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることができ、又は限定的な範囲を述べるのに組み合わせて用いることができる。発泡後のΔHmは、CO2の静水圧に曝された後にΔHmの測定が行われることを意味する。発泡性コポリエステルの発泡後の適切なΔHmは、15J/g以下、又は12J/g以下、又は10J/g以下であり、又は0J/g~15J/g、又は0J/g~12J/g、又は0J/g~10J/g、又は0.1J/g~15J/g、又は0.1J/g~10J/gであり得る。好ましくは、0J/g、又は10J/g以下、又は5J/g以下である。
【0082】
特定の実施形態では、コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーは、65:35~85:15のモル比で、コポリマーにおけるポリエステル:ポリカーボネート構造単位の比、又はコポリマーにおけるポリエステル:(ポリカーボネート+ポリエーテル)構造単位の比を有するコポリマーについて0.90を超えるケーニッヒB値(無次元)を有する。モル比の記載された範囲内で、コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーは、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0のケーニッヒB値(無次元)を有する。前述の数字のそれぞれは、語「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」で先行されることができ、前述の数字はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることができ、又は限定的な範囲を述べるのに組み合わせて用いることができる。例えば、B値は、1.0より大きくあり得、又は0.9~2.0、又は1.0~2.0、又は1.1~1.7であり得る。
【0083】
特定の実施形態では、コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーは、0.20を超えるB[X]値又はB[X+X’]を有し、この場合、Bは、コポリマーのランダム性についてのケーニッヒB値であり、[X]は、コポリマーにおけるコモノマーポリカーボネート及び/又はポリエーテル構造単位のモル分率であり、並びに[X+X’]は、コポリマーにおける、その残基フラグメントを含む任意の単位を含む、コモノマーポリカーボネート及び/又はポリエーテル構造単位のモル分率である。コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーは、0.18、0.20、0.22、0.24、0.26、0.28、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75又は0.80のB[X]又はB[X+X’]値(無次元)を有する。前述の数字のそれぞれは、語「約」、「少なくとも約」、又は「約~未満」で先行されることができ、前述の数字はいずれも非限定的な範囲を述べるのに単独で用いることができ、又は限定的な範囲を述べるのに組み合わせて用いることができる。例えば、B[X]又はB[X+X’]値は、0.22より大きくあり得、或いは0.18~0.80、又は0.20~0.75、又は0.22~0.75、又は0.25~0.70であり得る。
【0084】
本発明は、PET及び/又はPETGなどの1つ以上の未使用又はリサイクルされたポリエステルから調製されたコポリエステルポリマー、及び例えば、ビスフェノールAなどの1つ以上の未使用又はリサイクルされたポリカーボネートポリマーに関し、この場合、得られるコポリエステルは、いくつかの驚くべき属性を有する。例えば、発泡性ポリエステル(例えば、PET)系のコポリマーは、0.1g/cm3未満の密度を生成するように発泡されることができ、これは、PET(未使用又はリサイクルされた)に基づいた他の現在の技術又は商用製品とは著しく対照的である。これにより、これらの出発原料、特にPETを、以前はPET又はPETG(未使用又はリサイクルされた)を利用できなかった様々な製品分野及び用途(以下で論じられる)で使用できる。
【0085】
PETの化学構造のため、ポリスチレン(熱可塑性断熱発泡で使用される主なポリマー)よりも可燃性が低く、従って、未使用又はリサイクルされた、PET/PC又はPETG/PC由来のいずれかでの、ポリエステルの非晶性形態に基づく発泡品は、可燃性が低く、米国の限界酸素指数(LOI)の要件を満たすために更なる難燃剤を必要としない。このような発泡体の難燃性能は、発泡体配合に難燃性添加剤を必要とせずに、建築及び建設基準の要件を合格するのに十分である。更に、難燃性添加剤を必要とせずにGerman B2試験に合格できることが予想される。より厳格な建築基準の場合でさえも、断熱発泡のコポリエステルポリマーのベース樹脂としてPETを使用すると、ハロゲン化難燃剤が不要になり、ある特定の場合では、厳格な建築基準を満たすために非ハロゲン化難燃剤を代わりに追加できる。
【0086】
本発明のコポリエステルは、発泡品を生成するために広範囲の押出し又は膨張プロセスを使用できるように、発泡剤の溶解度が増加している(CO2、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO 1233zd)、シクロペンタン、アセトン、及びメタノールを含む多くの発泡剤について)。
【0087】
本発明の生成物は、複数の分野及び用途で、例えば、これらに限定されないが、包装材料として、或いは、例えば、建物の断熱材又は空気封止剤の用途、クッション包装、3D印刷、熱成形、及びその他多数などの建築材料として使用することができる。
【0088】
本明細書で開示されるいくつかの実施形態は、以下の条項で説明され、これらの条項(又はそれらの一部)のいずれかの組み合わせが、実施形態を規定するために行われ得る。
【0089】
条項1:コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーであって、異なるポリエステル単位を含み、或いはポリエステル単位及びポリカーボネート又はポリエーテル単位或いはその両方を含み、且つ任意選択的に1つ以上の結合剤を更に含み、且つ
(i)1つ以上の芳香族二酸モノマーの重合単位、
(ii)1つ以上の脂肪族ジオールの重合単位の合計の10モル%~40モル%(モル%は、コポリマーを構成する重合単位の総モルのパーセントとして表されるコポリマーにおける1つ以上の脂肪族ジオールの重合単位のモルの合計である)、
(iii)10℃/分の加熱/冷却速度を使用してDSC曲線の第2の加熱の変曲点から測定される85℃~125℃の一次Tg、並びに
(iv)135℃で4時間、1000psi CO2の静水圧に曝された後の10J/g以下の融解熱ΔHmピークを有することを特徴とする、コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。
【0090】
条項2:0.20以上のB[X]又はB[X+X’]値を有する条項1のコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーであって、Bは、コポリマーのランダム性についてのケーニッヒB値であり、[X]は、コモノマーポリエステル構造単位のモル分率、或いはコモノマーポリカーボネート及び/又はポリエーテル構造単位のモル分率であり、並びに[X+X’]は、コポリマーにおける、その残基フラグメントを含む任意の単位を含む、コモノマーポリエステル構造単位のモル分率、或いはコモノマーポリカーボネート及び/又はポリエーテル構造単位のモル分率である、条項1のコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。一実施形態では、コポリマーは、0.22を超えるB[X]又はB[X+X’]値を有する。
【0091】
条項3:65:35~85:15のモル比で、コポリマーにおけるポリエステル:ポリカーボネート構造単位、又はコポリマーにおけるポリエステル:(ポリカーボネート+ポリエーテル)の構造単位の比を有するコポリマーについて0.90を超えるケーニッヒB値を有する、条項1のコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。
【0092】
条項4:1つ以上の芳香族二酸モノマーは、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、又は2,5-フランジカルボン酸から選択される、条項1~3のいずれか1つのコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。
【0093】
条項5:1つ以上の結合剤を更に含む、条項1~4のいずれか1つのコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテル又はコポリマー。一実施形態では、1つ以上の結合剤は、ピロメリット酸二無水物である。
【0094】
条項6:コポリマーにおけるポリエステル単位の少なくとも一部が、リサイクルされたポリエチレンテレフタレートに由来する、条項1~5のいずれか1つのコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテル又はコポリマー。
【0095】
条項7:1つ以上のジオールは、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、ブチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソソルビド、及びスピログリコールから選択される、条項1~6のいずれか1つのコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。一実施形態では、1つ以上のジオールは、エチレングリコールである。
【0096】
第8項:コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルは、ビスフェノールAの重合単位の少なくとも7モル%を含む、第1項~第7項のいずれか1つのコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。
【0097】
条項9:ポリエステルポリマー構造単位の、ポリカーボネートポリマー構造単位及びポリエーテルポリマー構造単位の合計に対するモル比は、40:60~85:15、又は50:50~80:20である、条項1~8のいずれか1つのコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。
【0098】
条項10:条項1~9のいずれか1つのコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート、又はコポリエステルポリエーテルコポリマー、及び1つ以上の発泡剤を含む発泡性組成物。
【0099】
条項11:発泡剤は、1つ以上のペンタン炭化水素、1つ以上のハイドロフルオロオレフィン、二酸化炭素、窒素、酸素、水、アルコール、ケトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、又はオレフィン、或いはこれらの組み合わせから選択される、条項10の発泡性組成物。
【0100】
条項12:発泡剤は、1つ以上の化学発泡剤から選択される、条項10の発泡性組成物。
【0101】
条項13:非混和性ポリオレフィン、着色剤、顔料、充填剤、粘土、難燃剤、赤外線減衰器、核剤、潤滑剤、酸掃去剤、帯電防止剤、又は抗酸化剤、或いはこれらの組み合わせの1つ以上を更に含む、条項10~12のいずれか1つの発泡性組成物。
【0102】
条項14:条項10~13のいずれか1つの組成物から作製される固体の発泡性ビーズ。
【0103】
条項15:条項10~13のいずれか1つの組成物から得られる発泡体又は発泡品。
【0104】
条項16:
(a)条項10~13のいずれか1つの発泡性組成物の押出し発泡、又は(b)条項14の固体の発泡性ビーズの膨張によって作製される発泡体又は発泡品。
【0105】
条項17:発泡体は、0.01~0.1g/cm3の密度を有する、条項15又は16の発泡体又は発泡品。
【0106】
条項18:
(i)エステル交換触媒、及び任意選択的に、鎖結合剤の存在下、第1のポリエステルポリマーから選択される少なくとも2つのポリマー、1つ以上のポリカーボネートポリマー及び1つ以上の他のポリエステルポリマーから選択される1つ以上の他のポリマー、又はこれらの組み合わせのブレンドを溶融する工程と、
(ii)任意選択的に混合しながら、3分以上180分以下、200℃を超え330℃未満の温度を維持する工程と、
(iii)任意選択的に、生成されたエチレンカーボネートの少なくとも一部を収集する工程と、
及び
(iv)冷却して固体コポリマーを生成する工程と、を含む、条項1~9のいずれか1つのコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート、又はコポリエステルポリエーテルコポリマーを形成する方法。
【0107】
条項19:第1のポリエステルポリマーと1つ以上の他のポリマーとの重量比は、40:60~85:15である、条項18の方法。
【0108】
条項20:ポリカーボネートポリマーに対する全てのポリエステルポリマーの合計の重量比は、40:60~85:15である条項18の方法。
【0109】
条項21:揮発性種を除去するために減圧が使用される、条項18~20のいずれか1つの方法。
【0110】
条項22:生成されたエチレンカーボネートの少なくとも一部を収集する工程を更に含む、条項18~21のいずれか1つの方法。
【0111】
条項23:1つ以上のポリエステルポリマーは、リサイクルされたポリエチレンテレフタレートである、条項18~22のいずれか1つの方法。
【0112】
条項24:コポリマーにおけるポリエステル構造単位の少なくとも一部は、リサイクルされたポリエチレンテレフタレートに由来する、条項1~9又は25のいずれか1つのコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート、又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。
【0113】
条項25:
a)1つ以上の脂肪族ジオール、
b)1つ以上の芳香族二酸、
c)1つ以上の芳香族ジオール、
d)1つ以上の有機カーボネートから選択される重合構造単位を含むコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーであって、
コポリエステルコポリマーは、重合構造単位a+bを含み、
コポリエステルポリカーボネートコポリマーは、重合構造単位a+b+c+dを含み、
コポリエステルポリエーテルコポリマーは、重合構造単位a+b+c+任意選択的にdを含み、ポリマー骨格にエーテル官能基を更に含み、
前述のコポリマーは、
i)1つ以上の脂肪族ジオールの重合構造単位(a)は、合計15モル%~40モル%の量で存在すること(この場合、モル%は、コポリマーを構成する重合構造単位、a+b+c+dの総モルのパーセントとして表されるコポリマーにおける1つ以上の脂肪族ジオールの重合構造単位のモルの合計である)、
ii)10℃/分の加熱/冷却速度を使用してDSC曲線の第2の加熱の変曲点から測定される85℃~125℃の一次Tg、及び
iii)135℃で4時間、1000psi CO2の静水圧に曝された後の10J/g以下の融解熱ΔHmピークを有することを特徴とする、コポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマー。
【0114】
条項1~24の実施形態に記載されているように、条項25のコポリエステル、コポリエステルポリカーボネート又はコポリエステルポリエーテルコポリマーについても同様の実施形態が存在する。
【0115】
本発明は、以下の実施例において更に規定され、実施例では、全ての部及びパーセントは、別に明記しない限り、重量による。これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態を示す一方で、単に例示として示され、且つ、決して限定的なものと解釈されるべきでないことが理解されるべきである。前述の考察及びこれらの実施例から、当業者は、本発明の必須の特徴を確認することができ、その趣旨及び範囲を逸脱せずに、種々の用途及び条件に適合させるために本発明の種々の変更形態及び改変形態をなし得る。
【実施例】
【0116】
実施例1
溶融エステル交換反応のためのハーケブレンド法
この実施例では、バルクポリマー樹脂は、製造業者の推奨に従って、強制空気対流オーブン又は真空オーブンのいずれかで乾燥した。Omnimark Mark2高性能水分計で水分含有量を検査し、0.005%以下であることを確認した。次いで、バルクポリマー樹脂と添加剤を物理的にともに混合し、添加した成分の最高ピーク軟化温度より少なくとも10℃高く予熱したThermo-Scientificのハーケ溶融レオメーターにゆっくりと添加した。ポリマー樹脂の添加は、比較的遅い混合機速度(25~50rpm)で行った。樹脂が完全に溶融したら、触媒及び/又は更なる添加剤を加え、次いで混合機速度を200rpmに上げ、実験条件に従い設定された時間及び温度プロファイルにてブレンドを続けた。全てのブレンドは、混合機スロートに実装された強力な乾燥窒素掃引の下で行った。設定されたブレンド溶融及び混合状態が完了したら、混合/反応された材料を取り出してテフロン(登録商標)の鍋に置き、材料を袋に入れてドライボックスに保管し試験又は部品の組み立てが開始することになるまで冷却下に置いた。特に明記されていない限り、全てのパーセントは重量%であり、pphはポリマーの総重量の「100分の1(parts per hundred)」である。
【0117】
実施例2
溶融エステル交換反応のための押出し機プロセス
実施例2a.直列の二軸-一軸(Twin-Single Screw)押出しシステム
連続した溶融エステル交換は、75~150lb/時間の速度で共回転二軸押出し機(軸直径40mm、及び長さ対直径比、L/D=45.5:1)に材料を供給することによって実施した。二軸押出し機を出た溶融ポリマー混合物を、サイドフィード(side fed)一軸押出し機(軸直径90mm、30:1L/D)に直接供給し、続いてアニーリングチューブ/静的混合機に供給した。アニーリング部位は、直径2.25インチ、及び長さ24インチであり、静的混合機部位は、長さ12インチであり、それぞれ長さが3インチの4つのSMX静的混合機を含んだ。ダイのフェイスカッターを使用して水中でペレット化することにより、押出し物を収集した。ペレットのサイズは、直径3~5mmの範囲であった(公称球形)。
【0118】
実施例2b.直列の二軸-二軸押出しシステム
エステル交換反応の押出しは、第1の共回転二軸押出し機(TEX44αIII、Japan Steel Works(JSW)製)(「一次押出し機」)及び第2の共回転二軸押出し機(TEX28V、同じくJSW製)(「二次押出し機」)からなる、直列の二軸-二軸押出しシステムにおいて実行した。具体的には、44αIII二軸押出し機は、軸直径47mm、及び軸の長さ対直径比がL/D=59.5の17のバレルを有するのに対し、TEX28V二軸押出し機は、軸直径28mm、及び42のL/Dの12のバレルを有する。TEX44αIII二軸押出し機とTEX28V二軸押出し機を接続する移送パイプは、直径22mm、及び長さ1592.5mmである。触媒をポリエステルと配合して、2.5~7重量%の濃度の触媒濃縮物を得た。ポリエステルをオーブンで一晩乾燥させ、エステル交換反応の押出しの前にアルミホイルの袋に詰めた。3つの減量フィーダーを使用して、2つのポリエステル/樹脂(例えば、PETとPC)及び触媒濃縮物をTEX44αIII二軸押出し機の主要供給スロートの中に供給した。全てのフィーダーと主要供給スロートは、連続的な窒素フローでパージした。TEX44αIII二軸押出し機には3つのベントポートがあり、2つのノックアウトポットと真空ポンプを備えた凝縮システムに接続された。同様に、TEX28V二軸押出し機には後方ベントと2つの幅広いベントポートがあり、1つのマルチトラップポット(Multitrap pot)と冷却コイルと真空ポンプを有するもう1つを備えた凝縮システムに接続された。エステル交換反応によって生成された揮発性物質を除去するために、凝縮システムと押出し機に高真空が適用された(少なくとも28インチHgの真空レベル)。ポリマー溶融物は、3穴(直径4mmを有する)のストランドダイから出て、すぐに水浴で急冷され、次いでペレット化された。
【0119】
実施例3
分解とランダム性のファクター(factor)を決定するためのNMR法
各試料を0.3gの量で量り取り、緩和剤として5mMのアセチルアセトナートクロム(III)を有する3.0mlの重水素化クロロホルム(CDCl3)に溶解した。トリフルオロ酢酸(TFA)(0.05~0.2ml)も、高結晶化度の存在下でのポリマー材料の溶解を助けるために添加した。一次元(1D)定量的13C NMR実験は、10mmの極低温プローブを備えた600MHz Bruker AvanceIII分光計で実行した。定量的13C NMR分光法では、逆ゲート(inverse-gated)1Hデカップリングを使用したシングルパルス法を用い、合計繰り返し時間は10秒、取得時間は1.7秒であった。レシーバーゲイン(receiver gain)が最適化され、1024のスキャンが記録されて、定量分析に適したスペクトル感度が生成された。スペクトル幅は、250ppmに設定し、周波数の中心は100ppmに置いた。
【0120】
実施例4
結晶化度を定量化するためのDSC法
試料の重さを量り、アルミニウムのDSCパンに密封した。試料の重量は、各試料で約5~10mgであった。試料は、50ml/分の窒素パージで、オートサンプラーを備えたTA Instruments Q2000 DSC(示差走査熱量計)でスキャンされた。加熱速度は、10℃/分であり、20℃、280℃、及び20℃に戻る間の温度プロファイルを各試料に2回適用した。スキャンは、Universal AnalysisV4.7Aソフトウェアを使用して分析した。DSC試験の主要な出力パラメータは、ガラス転移の温度と、試料の溶融及び結晶化の温度とエンタルピーであった。CO2浸漬前の試料の分析は、第2の温度ランプで実行した。135℃で4時間、1000psi CO2の静水圧に曝された後、試料の分析を第1の温度ランプで実施した。ガラス転移温度(Tg)は、ベースライン工程転移の変曲点として測定され、摂氏で報告される。融解又は結晶化のエンタルピーは、ピークの面積の線形ベースライン推定を使用して測定され、J/gとして報告される。結晶性PETの結晶化エンタルピーが140J/gであることを考慮すると、10J/g未満の結晶化エンタルピーは約7%以下の結晶化度を表し、5J/g未満の結晶化エンタルピーは4%未満の結晶化度を表すと推定できる。
【0121】
実施例5
膨張性ビーズの押出し機プロセス
エステル交換されたコポリエステルは、発泡剤が導入される混合機に供給する一軸押出し機を使用して、圧力(>1000psi)で、1つ以上の物理的発泡剤、例えば、n-ペンタン、シクロペンタン、又は1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(HFO 1233zd)と溶融ブレンドされる。次いで、ポリマー発泡剤ブレンドは、更なる混合構成要素(又は熱交換器)を使用して冷却され、その後、円筒形ペレット(又は球形ビーズ)が0.5~1mm(直径)の範囲で作製できるように、所望の直径を有する多穴ダイを通って出る。ビーズは、水又は空気で急冷冷却することができる。
【0122】
実施例6
GPC法
試料は、周囲温度で20mLのクロロホルムに約0.04gのポリマーを添加し、ロータップ・シェーカー(mechanical shaker)に一晩置くことによって調製した。注入前に、溶液を0.2μmPTFEシリンジフィルターでろ過した。連続した真空脱気で1mL/分に設定されたWaters 2690ポンプ/オートサンプラーを使用して、50マイクロリットルの溶液を、Two Agilent Technology PLゲル混合(gel mixed)Cカラム(内径7.5mm、長さ300mm、粒子サイズ5ミクロン)に注入し、40℃で保持した。分子量の測定には、40℃に設定されたShodex RI-501EX示差屈折率検出器を使用した。分子量範囲:3,740~580,000g/モルに渡る校正には、Agilent Laboratoriesのnarrow MWD PS標準を使用した。Agilent TechnologyのCirrus SEC/GPCソフトウェアバージョン3.3を使用して、データを取得及び削減した。空気。
【0123】
実施例7
発泡性評価法
比較例と本発明の実施例の発泡性を評価するために、試料を1.3mmの厚さのフィルムに圧縮成形した(5分間、180℃で25トンの圧力)。プレスされたフィルムの一部(面積約7mm×7mm)を、125℃に予熱された圧力容器に入れた。次いで、二酸化炭素を使用して容器を1000psiに加圧し、試料を3~4時間浸して、ガスをポリマーに溶解させた。次いで、圧力を急速に解放して、試料に発泡を誘発させた。発泡の成功は、ポリマー試料の空孔形成と対応する試料体積の少なくとも50%の増加を視覚的に観察することによって決定した。
【0124】
実施例8
この例では、コポリエステルポリカーボネートポリマー(PC/PET)を、構成のポリエステル(PET)とポリカーボネート(ビスフェノールA)から始まる触媒エステル交換反応によって調製した。本発明に含まれるPC/PETコポリエステルコポリマー組成物の範囲及びエチレングリコール単位の範囲を規定する目的で、一連のブレンドが、配合物中のPETのレベルを増加させて生成され、これから触媒エステル交換反応によってコポリエステルが生成した。以下の表のB[X]は、B[X+X’]である(Xの残基フラグメントを含むことを意味する)。CO2損失(モル%)は、反応中にCO2を失った全PCモノマー単位のモル%である。
【0125】
表1、及び以下の表では、最後の列(「バッチ発泡CO2」と表示)は、生成物の圧縮成形された厚いフィルムで実行された発泡性のスクリーニング試験を示しており、改質されたポリエステルの小さいスケールの試料を利用することができる(上記の「発泡性評価方法」を参照)。
【0126】
【0127】
このシリーズの知見に基づくと、発泡性コポリエステル生成物には、40モル%までのエチレングリコール(EG)構造単位が含まれている可能性がある。41モル%のEG構造単位を含むコポリエステル(実施例1)は、発泡の試験条件下で発泡体を生成できなかった。EG構造単位の含有量は、骨格内の全ての構造単位の合計の%として表されるEG構造単位のモル%として規定され(この場合、合計4つの構造単位があり、各出発ポリマー、PET及びPCから2つの構造単位がある)、EGのいかなる損失をも考慮して計算されることに留意されたい。全てのTg値は、変曲点法(前述)で測定される摂氏で示される。
【0128】
PETは比較的安価であり、リサイクルされたPETは安価で豊富であるため、発泡性コポリマーのPETレベルを最大化することが望まれる。本試料、実施例1では、出発ポリマー(80重量%のPET)の80/20の重量比では、発泡することができなかったが(発泡後のより高いΔHmは、著しい結晶化度、約14%の結晶化度を示し、結果、PET構造二分子の連続した繰り返し単位の長さによる著しいブロック性を反映している)、出発重量比が75/25(75重量%のPET)の両方の試料が成功して発泡したため、いくつかの更なる検討は、出発の75/25の重量比に焦点を当てた。発泡に成功した全ての試料は、10J/g未満の発泡後のΔHmを有した。
【0129】
実施例9
この実施例では、エステル交換反応(75/25重量のPET/PCブレンドの場合)を様々な反応時間で停止した。コポリマーのブロック性の度合いは、本明細書に記載の
13C NMRによって決定され、ポリマー鎖におけるモノマー分布についてのケーニッヒB値が評価された(表2、及び又
図1を参照)。
【0130】
【0131】
表2に示される反応のシリーズに基づいて、静水圧CO2圧力への暴露中の結晶化を回避するために、元のPET繰り返し単位を十分にランダム化するには0.90を超えるB値が必要である。従って、B値が0.90以上のポリマーは、発泡に適していると見なされる。安定した発泡体を生成することができない4つのコポリエステルコポリマー生成物は全て、16J/gを超えるΔHm(CO2曝露後)を有し、一方、安定した発泡体を成功して生成する2つのコポリエステルコポリマー生成物は両方とも、8.3J/g以下のΔHm(CO2曝露後)を有する。
【0132】
実施例10
この実施例では、PETとのエステル交換反応を促進する様々な触媒が探求及び実証され、様々なブロック性と最終Tg値が得られた。得られたコポリエステルを、本明細書に記載の試験条件下で安定な発泡体を生成する能力について調査した(表3)。
【0133】
【0134】
好ましい触媒は、0.90を超えるB値を生成する。より好ましいのは、EG損失を促進する触媒であり、その結果、Tgが高くなる。更により好ましいのは、試料11及び13で証明されるように、50%未満のCO2損失でEG損失を促進する触媒である。
【0135】
実施例11
配合にリサイクルされた原料を使用すると、他のリサイクルされたポリマーによる汚染のために、少量の三元又は四元のブレンドが本質的に導入される。この実施例では、触媒エステル交換反応の前に、少量の典型的なリサイクル汚染物質(汚染物質の典型的なレベル、例えば、0.05重量%又は0.15重量%で)を反応物ブレンド混合物に意図的に添加した。発泡能力に対する汚染物質の影響を上記のように評価した(表4、脚注に示されている反応条件)。
【0136】
【0137】
実施例14~21(表4)は、少量の第3のポリマー(最初の2つとは異なる)が安定な発泡体を生成するコポリエステルの能力に著しく影響を及ぼさず、このような少量の汚染物質コポリマーが本発明の範囲内であることを実証している。全ての場合において、ブレンドは、添加剤を含まないその対称の比較の例(実施例11)と同様に機能した。
【0138】
実施例12
以下の試料では、発泡性コポリエステルコポリマーを形成する能力が、三元コポリマーを含むように拡張された。表5は、PET/PETG/PC三元コポリマーの結果を示し、いくつかのPET/PETG/PC三元コポリマー組成物は、安定した発泡体を生成できることを示している。(PETGはグリコール改質ポリエチレンテレフタレートである)。
【0139】
【0140】
実施例13
表6は、PET/PBT/PC三元コポリマーの結果を示し、いくつかのPET/PBT/PC三元コポリマー組成物は、安定した発泡体を生成できることを示している。(PBTはポリブチレンテレフタレートである)。
【0141】
【0142】
実施例14
この実施例では、表7は、PET/PTF/PC三元コポリマーの結果を示し、いくつかのPET/PTF/PC三元コポリマー組成物は、安定した発泡体を生成できることを示している。(PTFはポリトリメチレンフラノエートである)。
【0143】
【0144】
実施例15
この実施例では、表8は、PET、PC、及びTritan(登録商標)FX200を使用した三元ブレンドのエステル交換反応から得られた三元コポリマーの結果を示し、これらの三元コポリマー組成物のいくつかは、安定した発泡体を生成できることを示している。(Tritan(登録商標)FX200は、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオール(CBDO)で改質されたポリエチレンテレフタレートであり、ジオールの重合単位:エチレングリコール及び2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールの混合物を含むコポリエステルをもたらす)。
【0145】
【0146】
任意の三元ブレンドは、エチレングリコール繰り返し単位(PET成分に由来)を、ブチレングリコール(PBTから)、シクロヘキサンジメタノール(PETGから)、又はシクロブタンジオール(Tritanから)などの他の繰り返し単位に部分的又は完全に置き換えることを含め、本発明の範囲内であると見なされる。これらの三元ブレンドの全ては、本明細書に記載の発泡試験の状況内で発泡性であるコポリエステルコポリマー組成物を生成することができた。
【0147】
本発明の好ましい形態が開示されているが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明のいくつかの利点を達成する様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明らかであろう。従って、本発明の範囲は、添付される特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。
【0148】
温度範囲及び圧力範囲などの物理的特性、又は化学式などの化学的特性に対して範囲が本明細書において使用される場合、その範囲内の範囲の特定の実施形態の全ての組み合わせ及びサブの組み合わせ(sub-combination)が含まれることが意図される。
【0149】
この文書に引用される又は記載される各特許、特許出願、及び刊行物の開示は、それらの全体を参照により本明細書に援用される。
【0150】
当業者は、本発明の好ましい実施形態への多くの変更及び修正が行われ得ること、並びにこのような変更及び修正が本発明の趣旨から逸脱することなく行われ得ることを十分理解するであろう。それ故、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲に入るような全てのこのような等価の変形を網羅することが意図される。
【国際調査報告】