(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(54)【発明の名称】中空軸を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
B21D 41/04 20060101AFI20220526BHJP
B21D 22/16 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
B21D41/04 B
B21D22/16 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558947
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(85)【翻訳文提出日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 EP2020059743
(87)【国際公開番号】W WO2020207960
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】102019109183.7
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517211540
【氏名又は名称】ヴィンケルマン・パワートレイン・コンポーネンツ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ルーデルト・ベルント
【テーマコード(参考)】
4E137
【Fターム(参考)】
4E137AA03
4E137AA10
4E137AA11
4E137BB03
4E137CA06
4E137DA03
4E137DA04
4E137EA18
4E137EA29
4E137GA12
4E137GA15
4E137GB08
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、押圧圧延によって、管体形状の予成形体から中空軸を製造するための方法に関し、その際、この予成形体の両方の端部が、それぞれに、少なくとも1つの変形ロールによって変形され、その際、円形または多角形の断面を有する管体形状の予成形体1が使用され、且つ、この予成形体1が、完成した中空軸に至るまでの全製造プロセスの間じゅう、管体の中間領域1aにおいて、加工材料保持体2によって保持される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧圧延によって、管体形状の予成形体から中空軸を製造するための方法であって、
この予成形体の両方の端部が、それぞれに、少なくとも1つの変形ロールによって変形される前記方法において、
円形または多角形の断面を有する管体形状の予成形体(1)が使用され、且つ、
この予成形体(1)が、完成した中空軸に至るまでの全製造プロセスの間じゅう、管体の中間領域(1a)において、加工材料保持体(2)によって保持されることを特徴とする方法。
【請求項2】
引抜き加工または溶接された予成形体(1)が使用されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記予成形体(1)の前記両方の端部(1b、1c)は、少なくとも部分的に、同時に変形されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも1つの前記端部(1b、1c)は、1段または多段に階段状にされることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの前記端部(1b、1c)に、外側成形部及び/または内側成形部(5、6)が形成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
前記外側成形部及び/または前記内側成形部(5、6)の前記形成の以前に、
少なくとも1つの前記端部(1b、1c)内に、場合によっては成形された内側マンドレル(7、7′、8、8′)が、軸線方向に挿入されることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
両方の前記端部(1b、1c)内に、それぞれに1つの前記内側マンドレル(7、7′、8、8′)が挿入されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
両方の前記内側マンドレルは、端面側で摩擦による及び/または形状による係合状態で、互いに結合されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記変形は、少なくとも一時的に熱負荷のもとで行われることを特徴とする請求項1から8のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧圧延によって、管体形状の予成形体から中空軸を製造するための方法に関し、その際、この予成形体の両方の端部が、それぞれに、少なくとも1つの変形ロールによって変形される。
【背景技術】
【0002】
そのような方法は特許文献1から公知である。
この特許文献1は、円形状の管体横断面を有する予成形体から、成形された端部領域を有する、1つの部材から成る中空体を製造するための方法を記載しており、その際、先ず第一に、第1の方法のステップにおいて、この予成形体が、この予成形体の中間の領域において伸長(abgestreckt)される。
この伸長ステップの終了の後、予成形体は、他の加工材料保持体内に装入され、且つ、引き続いて、第2の方法のステップにおいて、少なくとも1つの端部領域が伸長され、且つ、この端部領域が、第3の方法のステップにおいて、場合によっては更に加工される。
【0003】
この公知の方法は、しかしながら、比較的に手間暇がかかる。何故ならば、異なる方法のステップの実施のために、予成形体、もしくは、部分的に既に変形された予成形体を、相前後して異なる加工材料保持体内において保持することが必要であるからであり、従って、如何なる連続的な変形プロセスも可能でない。
それに加えて、変形ロールとの予成形体の正確な同心性を保証するために、この加工材料保持体の交換の際に、手間暇がかかるアジャストが必要である。更にこの方法は、押圧圧延によって伸長され得る管体形状の予成形体に制限されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第103 37 929 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、そのような方法を、この方法が連続的な方法の経過を可能にし且つ広範に使用可能であるように、更に発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、冒頭に記載された様式の方法において、
円形または多角形の断面を有する管体形状の予成形体が使用され、且つ、
この予成形体が、完成した中空軸に至るまでの全製造プロセスの間じゅう、管体の中間領域において、加工材料保持体によって保持されることによって解決される。
【発明の効果】
【0007】
この方法は、ただ1つの加工材料保持体だけによって、全変形プロセスを実施することを可能にし、従って、全変形方法が連続的に経過することが可能である。その際、加工材料保持体の交換の際に必要である、同様に付加的なアジャストも省略される。それに加えて、円形(円形リング形状)または多角形の断面を有する管体形状の予成形体を使用することは可能であり、従って、そのように製造された中空軸が、異なる使用目的のため、例えば電気モーターにおける巻線パケットのために適している。
それぞれの変形の間じゅう、予成形体は、少なくとも1つの変形ロールに対して相対的に、回転運動の状態に置かれ、そのために、予成形体を有する加工材料保持体、及び/または、少なくとも1つの変形ロールが駆動される。
変形の際に、加工材料保持体によって保持されている管体の中間領域内における、例えば多角形の断面は、ただ端部領域だけが回転対称的に変形される間じゅう、不変の状態に留まり、従って、更なる変形無しに、中間の領域が、例えば電気モーターの巻線パケットを収容可能である。
中間の領域が変形されないので、この中間の領域内において、同様に如何なる内側マンドレルも必要ではなく、むしろ、予成形体が中間の領域内において外方から加工材料保持体によって保持される間じゅう、ただ両方の端部領域内だけにおいて、内側マンドレルが使用される。
【0008】
予成形体として、引抜き加工された管体と同様に、溶接された管体も使用され得る。
【0009】
極めて特に有利な実施形態において、予成形体の両方の端部が、少なくとも部分的に、同時に変形されることは意図されている。これに伴って、一方では、変形時間が短縮され、他方では、このことが、管体の中間領域内における、回転トルクの打ち消し合いを誘起する。
【0010】
完成した中空軸に対するそれぞれの要求に応じて、有利には、少なくとも1つの端部が、1段または多段に階段状にされることは意図されており、即ち、異なる直径を有する、軸線方向に接し合って隣接する領域が生成される。
【0011】
更に、有利には、少なくとも1つの端部に、外側成形部及び/または内側成形部が形成されることは意図されている。
【0012】
その際、更に、外側成形部及び/または内側成形部の形成の以前に、少なくとも1つの端部内に、場合によっては成形された内側マンドレルが、軸線方向に挿入されることは意図されている。
【0013】
完成した中空軸が、両方の端部において、外側成形部または内側成形部を有するべきである場合、両方のこれら端部内に、それぞれに1つの内側マンドレルが挿入される。
外側成形部の形成のために、少なくとも1つの相応して成形された変形ロールと、成形されていない内側マンドレルとが使用され、および、内側成形部の形成のために、少なくとも1つの成形されていない変形ロールと、成形された内側マンドレルとが使用される。
【0014】
極めて特に有利には、両方の内側マンドレルが、端面側で摩擦による及び/または形状による係合状態で、互いに結合されることは意図されている。両方の内側マンドレルの端面側の端部が、例えば端面有歯部を有しており、且つ、軸線方向に相対して押圧され、且つ、このことによってロックされることは可能であり、従って、生じる側方の半径方向力が受け流され得る。
【0015】
最後には、有利には、変形が、少なくとも一時的に熱負荷のもとで行われることは意図されている。この熱は、例えば、誘導的に生成され得、且つ、この熱付与によって、同時に構造部材の硬化が達成され得る。
【0016】
本発明を、以下で、図に基づいて例示的に詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】管体形状の予成形体の長手方向断面図である。
【
図2】異なる3つの実施形態でもっての、
図1内における線A-Aに従う断面図である。
【
図3】変形の間じゅうの、管体の中間領域において加工材料保持体によって保持された、予成形体の透視図である。
【
図4】部分的な、長手方向断面における、
図3の側方からの矢視図である。
【
図8】分割された2つの内側マンドレルの使用のもとでの、変形の間じゅうの、中空軸の長手方向断面図である。
【
図9】軸線方向において、形状による係合状態で互いに結合された2つの内側マンドレルを有する、
図8の別の実施形の図である。
【
図10】
図9による両方の内側マンドレルの透視図である。
【
図11】半径方向および軸線方向の力を付与する変形ロールを有する、予成形体の端部領域の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
管体形状の予成形体1は、全般的に、
図1内において参照符号1を有して示されている。この管体形状の予成形体1は、引抜き加工または溶接された金属から成る管体である。本発明ために、管体形状の予成形体が、適宜の、円形または多角形の断面を有していることが可能であることは重要である。
【0019】
図2内において、例示的に、管体形状の予成形体が、円形、正方形、または、三角形の横断面を有していることは可能であることが示唆されている。一般的に、それぞれの使用目的に対する適合状態において、適宜の横断面形状、有利には多角形の横断面形状は可能である。
【0020】
本発明に従う方法において、管体形状の予成形体1の管体の中間領域1aが変形されないので、この領域は、例えば、更なる加工無しに、電気モーターの巻線パケット、またはその種の他のものの収容のために適している。
【0021】
管体形状の予成形体1から押圧圧延によって中空軸を製造するために、この管体形状の予成形体1は、完成した中空軸に至るまでの全製造プロセスにわたって、この管体形状の予成形体の管体の中間領域1aにおいて、加工材料保持体2によって保持される。この分割された、リング形状の加工材料保持体2は、それに応じて、管体形状の予成形体1の外側輪郭に相応する内側輪郭を有している。
【0022】
予成形体1が、全製造プロセスの間じゅう、加工材料保持体2によって、この予成形体の中間の領域1aにおいて保持されているので、全方法経過は、連続的に、他の加工材料保持体内への交換無しに行われ得る。
【0023】
有利には、その際、予成形体1の両方の端部1bおよび1cは、少なくとも部分的に同時に、全般的に参照符号3でもって参照符号を付けられた変形ロール3を用いて変形されることは意図されている。その際、両方の端部1b、1cのそれぞれの端部の変形のために、少なくとも1つの変形ロール3が設けられている。
図3および4によるこの実施例において、端部1bの変形のために、3つの変形ロール3が、および、端部1cの変形のために、1つの変形ロール3が示唆されている。
【0024】
これら変形ロール3は、予成形体1の長手軸線方向4に関して、半径方向に移動可能に形成されている。それぞれの所望された変形工程に応じて、これら変形ロールは、付加的に、同様に軸線方向においても移動可能である。
【0025】
変形の間じゅう、押圧ロール3は、加工材料保持体2および管体形状の予成形体1に対して回転運動の状態に置かれ、従って、この押圧ロール3が、または、予成形体1を有する加工材料保持体2が駆動される。
【0026】
図3および4内において図示された変形によって、予成形体1の両方の端部1bおよび1cは、回転対称的に変形され、即ち、当初の予成形体1が多角形の横断面と有していた場合に、これら両方の端部1bおよび1cが、その場合に如何なる多角形の横断面形状ももはや有していない。
この多角形の横断面形状は、もちろん、加工されていない中間の領域1aにおいて、維持された状態に留まる。
【0027】
既に両方の端部1bおよび1cにおいて変形された、管体形状の予成形体1を出発点として、両方のこれら端部1bおよび1cは、更に加工材料保持体2の交換無しに、変形され得る。
【0028】
図5内において、両方の端部1bおよび1cが、半径方向に見て、それぞれに2段に階段状に形成されていることが図示されている。これら階段状の領域は、
図5内において、参照符号1b′、1b″、もしくは、1c′、1c″でもって、参照符号を付けられている。
それに加えて、両方の端部1bおよび1cに、それぞれに1つの成形部、即ち、端部1b内に、内側成形部5が、および、端部1cの上に外側成形部6が形成されている。これら内側成形部5と外側成形部6とが、有歯部、ローレット、または、他の幾何学的な形状であることは可能である。
【0029】
内側成形部5もしくは外側成形部6の生成のために、適当な成形ロールが、変形ロール並びに内側マンドレルとして使用される。
【0030】
更に別の可能な実施例は、
図8内において図示されている。予成形体1は、不変に、この予成形体の中間の領域1aにおいて、加工材料保持体2内において保持されており、且つ、既に階段状にされた端部1b内へと、成形部無しの内側マンドレル7が軸線方向に挿入されており、これに対して、端部1c内へと、外側成形部8aを有する内側マンドレル8が挿入されている。
図8による実施例において、予成形体1の端部1bにおいて外側成形部6を形成するために、内側マンドレル7と並んで、外側成形部9aを有する少なくとも1つの変形ロール9が設けられている。
他方、予成形体1の端部1c内に内側成形部5を形成するために、外側成形部8aを有する内側マンドレル8と並んで、外側成形部の無い少なくとも1つの変形ロール10が設けられており、即ち、この端部1cが、この変形ロール10によって、内側マンドレル8の外側成形部8a内へと押し込まれ、従って、内側成形部5が生成される。
【0031】
図8による実施形態との相違において、
図9および10による実施形態の際に、分離された2つの内側マンドレル7および8が使用されるのではなく、むしろ、両方の内側マンドレル7′および8′が、端面側で摩擦による及び/または形状による係合状態で、互いに結合される。この目的のために、両方の内側マンドレル7′および8′は、それぞれに1つの相補的な端面有歯部7b、8bを有している。
これら内側マンドレル7′および8′は、その場合に、変形の間じゅう、軸線方向に外側の圧力負荷によって相互に圧縮され、このことによって、変形の際に、生じる側方の半径方向力が受け流される。
【0032】
軸線方向の力がそれぞれの端部1bもしくは1cに対して付与される場合、予成形体1の両方の端部1b、1cの内の少なくとも1つの端部において、変形の間じゅう、(変形区域内において)金属材料を追加供給(nachzufuehren)することも可能である。
この変形工程は、
図11および12内において図示されている。その際、少なくとも1つの変形ロール11が使用され、この変形ロールは、周囲に延在する当接面11aを有する、階段状の、管体形状の、外側の周囲領域を有している。この変形ロール11を用いて、予成形体1の上に、軸線方向力F
axialと半径方向力F
radialとが付与される。この材料の追加供給は、同様に多重に、例えば、端部1b、1cの本来の変形の以前、および、この後に実施され得る。
【0033】
全製造プロセスは、専ら冷間変形だけによって行われ得る。全くまたは一時的に、しかしながら同様にこの変形が、熱負荷のもとで、例えば誘導的な熱発生によって行われることも可能である。このことによって、同時に、予成形体1の硬化が行われ得る。
【符号の説明】
【0034】
1 管体形状の予成形体
1a 管体の中間領域
1b、1c 端部
1b′、1c′ 階段状の領域
1b″、1c″ 階段状の領域
2 加工材料保持体
3 変形ロール
4 長手軸線方向
5 内側成形部
6 外側成形部
7、7′ 内側マンドレル
8、8′ 内側マンドレル
8a 外側成形部
8b 端面有歯部
9 変形ロール
9a 外側成形部
7b 端面有歯部
10 変形ロール
11 変形ロール
Faxial 軸線方向力
Fradial 半径方向力
【国際調査報告】