(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(54)【発明の名称】弛みケーブル排除キャプスタン
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20220526BHJP
A61B 18/14 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
A61B34/35
A61B18/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559630
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(85)【翻訳文提出日】2021-10-21
(86)【国際出願番号】 IB2020052706
(87)【国際公開番号】W WO2020208450
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン・エリック・エヌ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK07
4C160KK19
4C160NN11
4C160NN30
(57)【要約】
外科用ツールは、駆動ハウジングと、駆動ハウジングに回転可能に装着された駆動入力及び入力シャフトと、入力シャフトに装着され、第1の一方向ベアリングを用いて入力シャフトに回転可能に装着された上部キャプスタン、及び第2の一方向ベアリングを用いて入力シャフトに回転可能に装着された下部キャプスタンを含む駆動アセンブリと、を含む。第1の駆動ケーブル及び第2の駆動ケーブルは、上部キャプスタン及び下部キャプスタンに連結され、外科用ツールのエンドエフェクタまで延在する。入力シャフトを第1の角度方向に回転させることは、入力シャフトから下部キャプスタンが回転的に係合解除させ、上部キャプスタンを第1の角度方向に駆動し、入力シャフトを第2の角度方向に回転させることは、入力シャフトから上部キャプスタンを回転的に係合解除させ、下部キャプスタンを第2の角度方向に駆動する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ツールであって、
駆動ハウジングであって、そこから延在する細長いシャフトを有する、駆動ハウジングと、
前記細長いシャフトの遠位端部に動作可能に連結されているエンドエフェクタと、
前記駆動ハウジングに回転可能に装着された駆動入力及び入力シャフトと、
前記入力シャフトに装着された駆動アセンブリであって、第1の一方向ベアリングを用いて前記入力シャフトに回転可能に装着された上部キャプスタン、及び第2の一方向ベアリングを用いて前記入力シャフトに回転可能に装着された下部キャプスタンを含む、駆動アセンブリと、
前記上部キャプスタンに連結され、かつ前記エンドエフェクタまで延在する第1の駆動ケーブル、及び前記下部キャプスタンに連結され、かつ前記エンドエフェクタまで延在する第2の駆動ケーブルと、を備え、
前記入力シャフトを第1の角度方向に回転させることが、前記下部キャプスタンを前記入力シャフトから回転的に係合解除させ、前記上部キャプスタンを前記第1の角度方向に駆動し、前記第1の駆動ケーブルを第1の直線方向に引っ張り、
前記入力シャフトを、前記第1の角度方向とは反対の第2の角度方向に回転させることが、前記上部キャプスタンを前記入力シャフトから回転的に係合解除させ、前記下部キャプスタンを前記第2の角度方向に駆動し、前記第2の駆動ケーブルを前記第1の直線方向とは反対の第2の直線方向に引っ張る、外科用ツール。
【請求項2】
前記入力シャフトを前記第1の角度方向に回転させることが、前記第2の駆動ケーブルが前記下部キャプスタンから巻き出ること、及び前記第2の直線方向に移動することを可能にし、前記入力シャフトを前記第2の角度方向に回転させることが、前記第1の駆動ケーブルが前記上部キャプスタンから巻き出ること、及び前記第1の直線方向に移動することを可能にする、請求項1に記載の外科用ツール。
【請求項3】
前記上部キャプスタン及び前記下部キャプスタンに動作可能に連結され、かつそれらの間に延在するコンプライアント部材を更に備え、前記コンプライアント部材が、前記上部キャプスタン及び前記下部キャプスタンを逆回転させるように付勢する、一定の対向するねじり負荷を、前記上部キャプスタン及び前記下部キャプスタン上に提供する、請求項1に記載の外科用ツール。
【請求項4】
前記コンプライアント部材が、前記第1の駆動ケーブル及び前記第2の駆動ケーブルのプレテンション限界以下のトルクを提供するために、組み立て中にプレテンションをかけられる、請求項3に記載の外科用ツール。
【請求項5】
前記第1の一方向ベアリングが、アダプタに固着され、前記アダプタが、前記上部キャプスタンと嵌合可能であり、それによって、前記アダプタの回転が、対応して前記上部キャプスタンを回転させる、請求項1に記載の外科用ツール。
【請求項6】
前記アダプタ及び前記上部キャプスタンが、各々、嵌合可能なインターロック機構を提供する、請求項5に記載の外科用ツール。
【請求項7】
前記アダプタが、前記第1の一方向ベアリングを受容するようにサイズ決めされたキャビティを画定する、請求項5に記載の外科用ツール。
【請求項8】
前記第1の一方向ベアリングが、前記上部キャプスタンに固着される、請求項1に記載の外科用ツール。
【請求項9】
前記第1の一方向ベアリング及び前記第2の一方向ベアリングが、一方向クラッチベアリング、スプラグ式ベアリング、逆戻り防止ベアリング、ラチェットメカニズム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の外科用ツール。
【請求項10】
外科用ツールを動作させる方法であって、
手術のために、前記外科用ツールを患者に隣接して位置決めすることであって、前記外科用ツールが、
駆動ハウジングであって、そこから延在する細長いシャフト、及び前記細長いシャフトの遠位端部に動作可能に連結されたエンドエフェクタを有する、駆動ハウジングと、
前記駆動ハウジングに回転可能に装着された駆動入力及び入力シャフトと、
前記入力シャフトに装着された駆動アセンブリであって、第1の一方向ベアリングを用いて前記入力シャフトに回転可能に装着された上部キャプスタン、及び第2の一方向ベアリングを用いて前記入力シャフトに回転可能に装着された下部キャプスタンを含む、駆動アセンブリと、
前記上部キャプスタンに連結され、かつ前記エンドエフェクタまで延在する第1の駆動ケーブル、及び前記下部キャプスタンに連結され、かつ前記エンドエフェクタまで延在する第2の駆動ケーブルと、を備える、位置決めすることと、
前記駆動入力を作動させて、前記入力シャフトを第1の角度方向に回転させ、それによって、前記上部キャプスタンを前記第1の角度方向に駆動して、前記第1の駆動ケーブルを第1の直線方向に引っ張ることと、
前記入力シャフトが前記第1の角度方向に回転するとき、前記入力シャフトから前記下部キャプスタンを回転的に係合解除させることと、
前記駆動入力を作動させて、前記入力シャフトを前記第1の角度方向とは反対の第2の角度方向に回転させ、それによって、前記下部キャプスタンを前記第2の角度方向に駆動して、前記第2の駆動ケーブルを前記第1の直線方向とは反対の第2の直線方向に引っ張ることと、
前記入力シャフトが前記第2の角度方向に回転するとき、前記上部キャプスタンを前記入力シャフトから回転的に係合解除させることと、を含む、方法。
【請求項11】
前記入力シャフトが前記第1の角度方向に回転されるとき、前記第2の駆動ケーブルが前記下部キャプスタンから巻き出ること、及び前記第2の直線方向に移動することを可能にすることと、
前記入力シャフトが前記第2の角度方向に回転されるとき、前記第1の駆動ケーブルが前記上部キャプスタンから巻き出ること、及び前記第1の直線方向に移動することを可能にすることと、を更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記入力シャフトが前記第1の角度方向に回転されるとき、前記第1の駆動ケーブルの第1の長さを前記上部キャプスタンに巻き付け、同時に前記第2の駆動ケーブルの第2の長さを前記下部キャプスタンから広げることを更に含み、前記第1の長さ及び前記第2の長さが、同じである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記上部キャプスタン及び前記下部キャプスタンに動作可能に連結され、かつそれらの間に延在するコンプライアント部材を用いて、前記上部キャプスタン及び前記下部キャプスタン上に一定の対向するねじり負荷を提供することを更に含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記コンプライアント部材を用いて前記上部キャプスタン及び前記下部キャプスタンを逆回転させるように付勢することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
組み立て中に、前記コンプライアント部材にプリテンションをかけ、それによって前記第1の駆動ケーブル及び前記第2の駆動ケーブルのプリテンション限界以下のトルクを提供することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記上部キャプスタンを前記第1の角度方向に駆動することが、前記第2の駆動ケーブル内の弛みを、前記下部キャプスタンに作用する前記コンプライアント部材を用いて除去することを更に含み、
前記下部キャプスタンを前記第2の角度方向に駆動することが、前記第1の駆動ケーブル内の弛みを、前記上部キャプスタンに作用する前記コンプライアント部材を用いて除去することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
外科用ツールのための駆動アセンブリであって、
第1の一方向ベアリングを用いて前記外科用ツールの入力シャフトに回転可能に装着可能な上部キャプスタンを含む第1のキャプスタンアセンブリと、
第2の一方向ベアリングを用いて前記入力シャフトに回転可能に装着可能な下部キャプスタンを含む下部キャプスタンアセンブリと、
前記上部キャプスタンアセンブリ及び前記下部キャプスタンアセンブリに動作可能に連結され、かつそれらの間に延在するコンプライアント部材であって、前記コンプライアント部材が、前記上部キャプスタン及び前記下部キャプスタンを逆回転させるように付勢する、一定の対向するねじり負荷を、前記上部キャプスタンアセンブリ及び前記下部キャプスタンアセンブリ上に提供する、コンプライアント部材と、
前記上部キャプスタンに固着可能であり、かつ前記外科用ツールのエンドエフェクタまで延在可能な第1の駆動ケーブル、及び前記下部キャプスタンに固着可能であり、かつ前記エンドエフェクタまで延在可能な第2の駆動ケーブルと、を備え、
前記入力シャフトを第1の角度方向に回転させることが、前記下部キャプスタンを前記入力シャフトから回転的に係合解除させ、前記上部キャプスタンを前記第1の角度方向に駆動し、前記第1の駆動ケーブルを第1の直線方向に引っ張り、
前記入力シャフトを、前記第1の角度方向とは反対の第2の角度方向に回転させることが、前記上部キャプスタンを前記入力シャフトから回転的に係合解除させ、前記下部キャプスタンを前記第2の角度方向に駆動し、前記第2の駆動ケーブルを前記第1の直線方向とは反対の第2の直線方向に引っ張る、駆動アセンブリ。
【請求項18】
前記入力シャフトを前記第1の角度方向に回転させることが、前記第2の駆動ケーブルが前記下部キャプスタンから巻き出ること、及び前記第2の直線方向に移動することを可能にし、前記入力シャフトを前記第2の角度方向に回転させることが、前記第1の駆動ケーブルが前記上部キャプスタンから巻き出ること、及び前記第1の直線方向に移動することを可能にする、請求項17に記載の駆動アセンブリ。
【請求項19】
前記第1のキャプスタンアセンブリが、前記上部キャプスタンと嵌合可能なアダプタを更に含み、それによって、前記アダプタの回転が、対応して前記上部キャプスタンを回転させ、前記第1の一方向ベアリングが前記アダプタに固着される、請求項17に記載の外科用ツール。
【請求項20】
前記第1の一方向ベアリング及び前記第2の一方向ベアリングが、一方向クラッチベアリング、スプラグ式ベアリング、逆戻り防止ベアリング、ラチェットメカニズム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、請求項17に記載の駆動アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
低侵襲手術(minimally invasive surgical、MIS)器具は、術後回復時間が短縮され、かつ瘢痕が最小限であるため、多くの場合、従来の開腹手術デバイスよりも好ましい。腹腔鏡手術は、1つ又は2つ以上の小切開が患者の腹部に形成され、トロカールが切開を通して挿入されて、腹腔へのアクセスを提供する経路を形成する、MIS手技の一種である。トロカールを通して、種々の器具及び外科用ツールを腹腔内に導入することができる。トロカールを介して腹腔内に導入されるこれらの器具及びツールを使用し、多くの方法で組織と係合し及び/又は組織を処置して、診断又は治療効果を得ることができる。
【0002】
様々なロボットシステムが、MIS手技を支援し、自然な目と手の軸を維持することによって、より直感的な手の動きを容易にするために、近年開発されている。このようなロボットシステムはまた、外科用ツールにより自然な手のような関節運動を作り出す「リスト部」関節を含ませることで、動きの自由度を高めることを可能にする。このようなシステムでは、外科用ツールの遠位端部において位置付けられたエンドエフェクタは、リスト部関節を通って延在する1つ又は2つ以上の駆動ケーブル(又は他の細長い部材)を有するケーブル駆動運動システムを使用して関節運動(移動)され得る。ユーザ(例えば、外科医)は、手術器具に連結されたツール駆動部と連通する1つ又は2つ以上のコントローラを空間内で把持及び操作することにより、器具のエンドエフェクタを遠隔操作することが可能である。ユーザ入力は、ロボット外科用システム内に組み込まれたコンピュータシステムにより処理され、ツール駆動部は、ケーブル駆動型運動システムにより応答するので、駆動ケーブル内の張力バランスを能動的に制御することができる。駆動ケーブルを移動させることにより、エンドエフェクタを所望の角度位置及び構成に関節運動させる。
【0003】
エンドエフェクタ及びその関連するケーブル駆動運動システムの性能の一貫した予測可能な性能を可能にするために、構成要素の設計と組み立てを通じて、機械的及び製造上の多くのハードルを克服しなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0004】
以下の図は、本開示の特定の態様を例解するために含まれるが、排他的な実施形態として見られるべきではない。開示される主題は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び機能における考慮すべき修正、変更、組み合わせ、及び等価物が可能である。
【
図1】本開示の原理のいくつか又は全てを組み込むことができる例示的なロボット外科用システムのブロック図である。
【
図2】
図1の主制御コンソールのうちの1つの例示的実施形態である。
【
図3】1つ又は2つ以上の実施形態による、
図1のロボットマニピュレータの1つの例を示す。
【
図4】本開示の原理のいくつか又は全てを組み込むことができる例示的な外科用ツールの等角側面図である。
【
図5】
図4のリスト部が関節運動(枢動)することが可能であり得る潜在的自由度を例解する。
【
図6】
図4の外科用ツールの遠位端部の拡大等角図である。
【
図7】
図4の外科用ツールの駆動ハウジングの底面図である。
【
図8】
図6の外科用ツールの駆動ハウジング内部の等角露出図である。
【
図9A】本開示の1つ又は2つ以上の実施形態による、
図8の駆動アセンブリの拡大等角図及び分解図である。
【
図9B】本開示の1つ又は2つ以上の実施形態による、
図8の駆動アセンブリの拡大等角図及び分解図である。
【
図10】1つ又は2つ以上の実施形態による、
図8の駆動アセンブリの一部分の拡大等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示は、ロボット外科用システムに関し、より具体的には、最小ケーブル張力が維持されることを確実にすることによって、駆動ケーブルの弛みを排除するように設計されたキャプスタン駆動アセンブリに関するものである。
【0006】
本明細書で説明される実施形態は、細長いシャフトがそこから延在する駆動ハウジングと、細長いシャフトの遠位端部に動作可能に連結されたエンドエフェクタとを含む外科用ツールを説明する。駆動入力及び入力シャフトは、駆動ハウジングに回転可能に装着されており、駆動アセンブリは、入力シャフトに装着され、第1の一方向ベアリングを用いて入力シャフトに回転可能に装着された上部キャプスタンと、第2の一方向ベアリングを用いて入力シャフトに回転可能に装着された下部キャプスタンとを含む。第1の駆動ケーブルは、上部キャプスタンに連結され、エンドエフェクタまで延在し、第2の駆動ケーブルは、下部キャプスタンに連結され、エンドエフェクタまで延在する。入力シャフトを第1の角度方向に回転させることは、下部キャプスタンを入力シャフトから回転的に係合解除させ、上部キャプスタンを第1の角度方向に駆動し、第1の駆動ケーブルを第1の直線方向に引っ張る。入力シャフトを、第1の角度方向とは反対の第2の角度方向に回転させることは、上部キャプスタンを入力シャフトから回転的に係合解除させ、下部キャプスタンを第2の角度方向に駆動し、第2の駆動ケーブルを第1の直線方向とは反対の第2の直線方向に引っ張る。
【0007】
図1~
図3は、例示的なロボット外科用システム及びその関連する構成要素の構成及び動作を例解する。ロボット外科用システムに適用可能であるが、本開示の原理は、本開示の範囲から逸脱することなく、非ロボット手術システムにも同様に、又は代替的に適用され得ることに留意されたい。
【0008】
図1は、本開示の原理のいくつか又は全てを組み込むことができる例示的なロボット外科用システム100のブロック図である。例解されるように、システム100は、少なくとも1つの主制御コンソール102a、及び少なくとも1つのロボットマニピュレータ104を含むことができる。ロボットマニピュレータ104は、1つ又は2つ以上のロボットアーム106に機械的及び/若しくは電気的に連結され得、又はそうでなければそれを含み得る。いくつかの実施形態では、ロボットマニピュレータ104は、ロボットマニピュレータ104及び関連するロボットアーム106の移動を可能にする輸送カート(代替的に「アームカート」とも称される)に装着され得る。各ロボットアーム106は、患者110に対して様々な外科的作業を実施するための1つ又は2つ以上の手術器具又はツール108を装着することができるツール駆動部を含んでよく、そうでなければそれを提供することができる。ロボットアーム106、対応するツール駆動部、及び関連するツール108の動作は、主制御コンソール102aから臨床医112a(例えば、外科医)によって指示され得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、第2の臨床医112bによって動作させられる第2の主制御コンソール102b(破線で示される)もまた、第1の臨床医112aと共にロボットアーム106及びツール108の動作を指示することに役立ち得る。そのような実施形態では、例えば、各臨床医112a、bは、異なるロボットアーム106を制御し得、又は場合により、ロボットアーム106の完全な制御を臨床医112a、bの間に渡し得る。いくつかの実施形態では、追加のロボットアームを有する追加のロボットマニピュレータが、患者110の手術中に利用され得、これらの追加のロボットアームは、主制御コンソール102a、bのうちの1つ又は2つ以上によって制御され得る。
【0010】
ロボットマニピュレータ104及び主制御コンソール102a、bは、通信リンク114を介して互いに通信し得、これは、任意の通信プロトコルに従って好適なタイプの信号(例えば、電気的、光学的、赤外線など)を伝送するように構成されている任意のタイプの有線又は無線通信リンクであってもよい。通信リンク114は実際の物理リンクであってもよく、又は、1つ若しくは2つ以上の実際の物理リンクを使用する論理リンクであってもよい。ネットワークの各ノードを接続する通信設備に関するコンピュータネットワーク分野で周知のように、リンクが論理リンクである場合、物理リンクのタイプは、例えば、データリンク、アップリンク、ダウンリンク、光ファイバリンク、2地点間リンクであってもよい。したがって、臨床医112a、bは、通信リンク114を介してロボットアーム106を遠隔制御することが可能であり得、したがって臨床医112a、bが遠隔で患者110に手術することを可能にする。
【0011】
図2は、
図1のロボットマニピュレータ104の動作を制御するために使用され得る主制御コンソール102aの1つの例示的実施形態である。例解されるように、主制御コンソール102aは、1つ又は2つ以上のユーザ入力デバイス(図示せず)を把持している間に、臨床医112a、b(
図1)が自分の前腕を休ませることができる支持部202を含むことができる。ユーザ入力デバイスは、例えば、ジョイスティック、エクソムグローブ、マスタマニピュレータなどであるが、これらに限定されない物理的コントローラを備えることができ、外科用ツール108(
図1)の位置及び動作を制御するために、複数の自由度で移動可能であり得る。いくつかの実施形態では、主制御コンソール102aは、臨床医112a、bによって係合可能な1つ又は2つ以上の足ペダル204を更に含んで、外科用システムの構成を変更し、及び/又は外科用ツール108の動作を制御するための追加の制御信号を生成し得る。
【0012】
ユーザ入力デバイス及び/又は足ペダル204は、臨床医112a、b(
図1)が視覚的ディスプレイ206を介して手技を見ている間に操作され得る。視覚的ディスプレイ206上に表示された画像は、内視鏡カメラ又は「内視鏡」から得ることができる。いくつかの実施形態では、視覚的ディスプレイ206は、外科用ツール(即ち、切断器具又は動的クランプ部材)によって想定される力の大きさの視覚的指標を、臨床医112a、bに提供する力フィードバック計又は「力インジケータ」を含み得るか、又はそうでなければそれを組み込み得る。理解されるように、ステープルカートリッジがエンドエフェクタに装填されているか否か、又はアンビルが発射に先立って閉位置へ移動されているか否かなど、他の外科用ツール基準値の表示を主コントローラ102aに提供するために、他のセンサ配列が用いられ得る。
【0013】
図3は、1つ又は2つ以上の実施形態による、複数の外科用ツール108を動作させるために使用され得るロボットマニピュレータ104の一例を示す。例解されるように、ロボットマニピュレータ104は、垂直に延在する列304を支持する基部302を含み得る。複数のロボットアーム106(3つを示す)は、矢印Aで示すように、基部302に対するロボットアーム106の高さを変化させるように選択的に調整可能なキャリッジ306において、列304に動作可能に連結され得る。
【0014】
ロボットアーム106は、手動で関節運動可能なリンケージを備え得、代替的に「セットアップジョイント」と称される。例解される実施形態では、外科用ツール108は、各ロボットアーム106上に提供された対応するツール駆動部308に装着される。各ツール駆動部308は、外科用ツール108の対応する1つ又は2つ以上の駆動入力と相互作用するために使用される1つ又は2つ以上の駆動部又はモータを含み得、駆動入力の作動により、関連する外科用ツール108を動作させる。
【0015】
外科用ツール108のうちの1つは、例えば腹腔鏡、関節鏡、子宮鏡などを含む内視鏡などの画像キャプチャデバイス310を含み得るか、又は、代替的に、超音波、赤外線、蛍光透視法、磁気共鳴画像法などの何らかの他の画像診断法を含み得る。画像キャプチャデバイス310は、細長いシャフトの遠位端部に位置する視野端を有し、これにより、視野端が、入口ポートを通して患者の身体の内部手術部位に挿入されることを可能にする。画像キャプチャデバイス310は、視覚的ディスプレイ206(
図2)に通信可能に連結され得、視覚ディスプレイ206上に表示されるようにリアルタイムで画像を送信することができる。
【0016】
残りの外科用ツールは、主制御コンソール102a(
図2)において臨床医112a、b(
図1)によって保持されたユーザ入力デバイスに通信可能に連結され得る。ロボットアーム106及び関連する外科用ツール108の動きは、ユーザ入力デバイスを操作する臨床医112a、bによって制御され得る。以下により詳細に記載されるように、外科用ツール108は、関連する細長いシャフトの遠位端部上に枢動可能に装着された対応する関節運動可能なリスト部に装着されたエンドエフェクタを含むか、そうでなければそれを組み込み得る。細長いシャフトは、エンドエフェクタが、入口ポートを通って患者の身体の内部手術部位に挿入されることを可能にし、ユーザ入力デバイスはまた、エンドエフェクタの動き(作動)を制御する。
【0017】
使用中、ロボットマニピュレータ104は、手術を必要とする患者に近接して位置決めされ、その後、実行される外科手技が完了するまで、通常は静止した状態にされる。ロボットマニピュレータ104は、典型的には、その移動を可能にするための車輪又はキャスタを有する。ロボットアーム106の横方向及び縦方向の位置決めは、臨床医112a、b(
図1)によって設定され、手術部位に対する所望の位置まで外科用ツール108及び画像キャプチャデバイス310の細長いシャフトを入口ポートに通すことを容易にすることができる。外科用ツール108及び画像キャプチャデバイス310がそのように位置決めされると、ロボットアーム106及びキャリッジ306は、適所にロックされ得る。
【0018】
図4は、本開示の原理のいくつか又は全てを組み込むことができる例示的な外科用ツール400の等角側面図である。外科用ツール400は、
図1及び
図3の外科用ツール108と同一又は同様であり得、したがって、
図1のロボット外科用システム100などのロボット外科用システムと併せて使用され得る。したがって、外科用ツール400は、ロボット外科用システム100に含まれるツール駆動部に解放可能に連結されるように設計され得る。しかしながら、他の実施形態では、外科用ツール400の態様は、本開示の範囲から逸脱することなく、手動又は手で操作される方法で使用するように適合され得る。
【0019】
例解されるように、外科用ツール400は、細長いシャフト402と、エンドエフェクタ404と、エンドエフェクタ404をシャフト402の遠位端部に連結するリスト部406(代替的に「リスト部関節」又は「関節運動可能なリスト部関節」と称される)と、シャフト402の近位端部に連結された駆動ハウジング408と、を含む。外科用ツールがロボット外科用システム(例えば、
図1のロボット外科用システム100)と共に使用される用途では、駆動ハウジング408は、外科用ツール400をロボット外科用システムに解放可能に連結する連結機構を含むことができる。
【0020】
「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科用ツール400(例えば、ハウジング408)をロボットマニピュレータに機械的及び電気的に連結するように構成されているインターフェースを有するロボット外科用システムに対して定義される。「近位」という用語は、ロボットマニピュレータにより近い要素の位置を指し、「遠位」という用語は、エンドエフェクタ404により近く、したがってロボットマニピュレータからより離れた要素の位置を指す。代替的に、手動又は手で操作される用途では、「近位」及び「遠位」という用語は、本明細書では、外科医又は臨床医などのユーザに対して定義される。「近位」という用語は、ユーザにより近い要素の位置を指し、「遠位」という用語は、エンドエフェクタ404により近く、したがって、ユーザからより離れた要素の位置を指す。更に、上、下、上方、下方、上向き、下向き、左、右等などの方向用語の使用は、それらが図に示されるように例解的な実施形態に関連して使用され、上向き又は上方方向は、対応する図の頂部に向かっており、下向き又は下方方向は、対応する図の底部に向かっている。
【0021】
外科用ツール400の使用中、エンドエフェクタ404は、手術部位に対して所望の向き及び場所においてエンドエフェクタ404を位置付けるために、リスト部406においてシャフト402に対して移動(枢動)するように構成されている。これを達成するために、ハウジング408は、エンドエフェクタ404に関連付けられた様々な機構の動作(例えば、クランプ、発射、回転、関節運動、切断など)を制御するように設計された様々な駆動入力及びメカニズム(例えば、歯車、アクチュエータなど)を含む(収容する)。少なくともいくつかの実施形態では、シャフト402、したがってそれに連結されたエンドエフェクタ404は、シャフト402の長手方向軸A1の周りで回転するように構成されている。このような実施形態では、ハウジング408に含まれる駆動入力のうちの少なくとも1つは、長手方向軸A1の周りでのシャフト402の回転運動を制御するように構成されている。
【0022】
外科用ツール400は、少なくとも1つの外科的機能を実行することが可能な種々の構成のうちのいずれかを有することができる。例えば、外科用ツール400としては、鉗子、把持器具、持針器、ハサミ、電気焼灼器ツール、ステープラ、クリップアプライヤ、フック、スパチュラ、吸引ツール、潅注ツール、撮像デバイス(例えば、内視鏡若しくは超音波プローブ)、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、外科用ツール400は、高周波(RF)エネルギーなどのエネルギーを組織に加えるように構成され得る。例解される実施形態では、エンドエフェクタ404は、開放位置と閉鎖位置との間で移動(関節運動)するように構成されている、対向するジョー410、412を含む、組織把持器具及び血管シーラを備える。しかしながら、理解されるように、対向するジョー410、412は、外科用ハサミ、クリップアプライヤ、持針器、一対の対向する把持ジョーを含むバブコック、双極のジョー(例えば、双極メリーランド把持器具、鉗子、有窓把持器具等)などであるが、これらに限定されない、他のタイプのエンドエフェクタの一部を代替的に形成し得る。ジョー410、412の一方又は両方は、エンドエフェクタ404を開放位置と閉鎖位置との間で関節運動させるために、枢動するように構成され得る。
【0023】
シャフト402は、ハウジング408から遠位に延在する細長い部材であり、その軸方向長さに沿って内部を通って延在する、少なくとも1つの管腔を有する。いくつかの実施形態では、シャフト402、ハウジング408に固定され得るが、代替的に、シャフト402が長手方向軸A1の周りで回転することを可能にするように、ハウジング408に回転可能に装着され得る。更に他の実施形態では、シャフト402は、ハウジング408に解放可能に連結され得、これにより、単一のハウジング408が、異なるエンドエフェクタを有する種々のシャフトに対して適合可能となり得る。
【0024】
図5は、リスト部406が関節運動(枢動)することが可能であり得る潜在的自由度を例解する。リスト部406は、様々な構成のうちのいずれかを有することができる。一般に、リスト部406は、シャフト402に対するエンドエフェクタ404の枢動運動を可能にするように構成されている関節を備える。リスト部406の自由度は、3つの並進変数(即ち、サージ、ヒーブ、及びスウェイ)により、並びに3つの回転変数(即ち、オイラー角又はロール、ピッチ、及びヨー)により表される。並進変数及び回転変数は、所与の基準デカルトフレームに対する外科用システム(例えば、エンドエフェクタ404)の構成要素の位置及び向きを説明する。
図5に示すように、「サージ」は、前方及び後方への並進運動を指し、「ヒーブ」は、上下への並進運動を指し、「スウェイ」は、左右の並進運動を指す。回転用語については、「ロール」とは、側面を傾斜させることを意味し、「ピッチ」とは、前方及び後方に傾斜させることを意味し、「ヨー」とは、左及び右に回転させることを指す。
【0025】
枢動運動は、リスト部406の第1の軸(例えば、X軸)の周りのピッチ運動、リスト部406の第2の軸(例えば、Y軸)の周りのヨー運動、及びこれらの組み合わせを含むことができ、リスト部406の周りでのエンドエフェクタ404の360°の回転運動を可能にすることができる。他の用途では、枢動運動は、単一平面内での運動、例えば、リスト部406の第1の軸の周りのピッチ運動のみ、又はリスト部406の第2の軸の周りのヨー運動のみに限定され得、その結果、エンドエフェクタ404は、単一平面内でのみ運動する。
【0026】
再び
図4を参照すると、外科用ツール400はまた、シャフト402に対するエンドエフェクタ404の移動及び関節運動を容易にするように構成されているケーブル駆動運動システムの一部を形成する、複数の駆動ケーブル(
図4では隠れている)を含み得る。駆動ケーブルの少なくともいくつかを移動させる(作動させる)ことにより、エンドエフェクタ404は、非関節運動位置と関節運動位置との間を移動する。エンドエフェクタ404は、エンドエフェクタ404の長手方向軸A
2がシャフト402の長手方向軸A
1と実質的に整列し、それにより、シャフト402に対するエンドエフェクタ404の角度が実質的にゼロになるような非関節運動位置において、
図4に図示されている。関節運動位置では、長手方向軸A
1、A
2は、エンドエフェクタ404がシャフト402に対してゼロ以外の角度にあるように、互いから角度的にオフセットされることになる。
【0027】
いくつかの実施形態では、外科用ツール400には、ハウジング408に連結された電力ケーブル414を介して電力(電流)が供給され得る。他の実施形態では、電力ケーブル414は、省略され得、また電力は、1つ又は2つ以上の電池又は燃料電池などの内部電源を介して外科用ツール400に供給され得る。このような実施形態では、外科用ツール400は、代替的に、本明細書において、エンドエフェクタ404に電気エネルギーを供給することが可能な「電気外科用器具」として特徴付けられ得、別様にそのように称され得る。
【0028】
電力ケーブル414は、外科用ツール400を発生器416と連通させることができ、これは、電気エネルギー(例えば、高周波エネルギー)、超音波エネルギー、マイクロ波エネルギー、熱エネルギー、又はこれらの任意の組み合わせなどのエネルギーを、外科用ツール400、より具体的にはエンドエフェクタ404に供給して、組織を焼灼及び/又は凝固させる。したがって、発生器416は、独立して又は同時に起動され得る高周波(RF)源、超音波源、直流源、及び/又は任意の他の好適なタイプの電気エネルギー源を備えることができる。
【0029】
図6は、
図4の外科用ツール400の遠位端部の拡大等角図である。より具体的には、
図6は、エンドエフェクタ404のジョー410、412が開放位置にある、エンドエフェクタ404及びリスト部406の拡大図を示す。リスト部406は、エンドエフェクタ404をシャフト402に動作可能に連結する。しかしながら、いくつかの実施形態では、シャフトアダプタは、リスト部406に直接連結され得、そうでなければシャフト402とリスト部406との間に介在し得る。したがって、リスト部406は、リスト部406がシャフト402の遠位端部に直接連結される直接連結係合、又はシャフトアダプタがリスト部406とシャフト402の遠位端部との間に介在する間接連結係合のいずれかを通して、シャフト402に動作可能に連結され得る。本明細書で使用する「動作可能に連結する」という用語は、直接的又は間接的な連結係合を指す。
【0030】
エンドエフェクタ404をシャフト402に動作可能に連結するために、リスト部406は、第1の又は「遠位」リンケージ602a、第2の又は「中間」リンケージ602b、及び第3の又は「近位」リンケージ602cを含む。リンケージ602a~cは、シャフト402に対するエンドエフェクタ404の関節動作を容易にするように構成されており、例えば、シャフト402の長手方向軸A
1(
図4)に対してエンドエフェクタ404を角度付けする。例解される実施形態では、リンケージ602a~cを介した関節運動は、ピッチのみ、ヨーのみ、又はこれらの組み合わせに限定され得る。例解されるように、遠位リンケージ602aは、エンドエフェクタ404、より具体的には下部ジョー412(又は下部ジョー412の延長部)に連結され得る。遠位リンケージ602aはまた、第1の軸604aにおいて中間リンケージ602bに回転可能に連結され得、中間リンケージ602bは、第2の軸604bにおいて近位リンケージ602cに回転可能に連結され得る。近位連結機構602cは次に、シャフト402の遠位端部606(又は代替的にシャフトアダプタ)に連結され得る。
【0031】
リスト部406は、第1の軸604aを通って延在する第1の枢動軸P
1、及び第2の軸604bを通って延在する第2の枢動軸P
2を提供する。第1の枢動軸P
1は、エンドエフェクタ404の長手方向軸A
2(
図4)に対して実質的に垂直(直交)であり、第2の枢動軸P
2は、長手方向軸A
2及び第1の枢動軸P
1の両方に対して実質的に垂直(直交)である。第1の枢動軸P
1の周りの運動は、エンドエフェクタ404の「ヨー」関節運動を提供し、第2の枢動軸P
2の周りの運動は、エンドエフェクタ404の「ピッチ」関節運動を提供する。代替的に、第1の枢動軸P
1は、「ピッチ」関節運動を提供するように構成することができ、第2の枢動軸P
2は、「ヨー」関節運動を提供するように構成することができる。
【0032】
駆動ケーブル608a、608b、608c、及び608dとして示される複数の駆動ケーブルは、シャフト402(及び/又はシャフトアダプタ)によって画定された管腔610内で長手方向に延在し、また、リスト部406を通過してエンドエフェクタ404に動作可能に連結される。管腔610は、例解されているように単一の管腔であり得るか、又は代替的に、各々が駆動ケーブル608a~dのうちの1つ又は2つ以上を受容する複数の独立した管腔を備え得る。
【0033】
駆動ケーブル608a~dは、簡潔に上述したケーブル駆動運動システムの一部を形成し、ケーブル、バンド、線、コード、ワイヤ、ロープ、ストリング、撚糸ストリング、細長い部材などと称され、そうでなければ特徴付けられ得る。駆動ケーブル608a~dは、金属(例えば、タングステン、ステンレス鋼など)、ポリマー(例えば、超高分子量ポリエチレン)、合成繊維(例えば、KEVLAR(登録商標)、VECTRAN(登録商標)など)、又はそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない種々の材料から作製することができる。4本の駆動ケーブル608a~dが
図6に示されているが、本開示の範囲から逸脱することなく、4本超又は未満の駆動ケーブル608a~dを含み得る。
【0034】
駆動ケーブル608a~dは、エンドエフェクタ404から駆動ハウジング408(
図4)まで近位に延在し、これらは種々の作動メカニズム(例えば、キャプスタン)又はそこに収納されたデバイスに動作可能に連結され、管腔610内での駆動ケーブル608a~dの長手方向の移動(並進)を容易にする。駆動ケーブル608a~dの全て又は一部分の選択的作動は、エンドエフェクタ404をシャフト402に対して関節運動(枢動)させる。より具体的には、選択的作動により、対応する駆動ケーブル608a~dを管腔610内で長手方向に並進させ、それによって、リスト部406においてエンドエフェクタ404の枢動運動が生じる。駆動ケーブル608a~dを移動させることは、駆動ハウジング408(
図4)に動作可能に連結された、又はその内部に収容された関連するアクチュエータ又はメカニズム(例えば、キャプスタン)をトリガするなどの種々の方法により、達成され得る。所与の駆動ケーブル608a~dを移動させることにより、所与の駆動ケーブル608a~dに近位方向において張力(即ち、引張力)が加わり、これは、所与の駆動ケーブル608a~dを並進させ、それによって、エンドエフェクタ404をシャフト402に対して移動(関節運動)させる。理解されるように、1つの駆動ケーブル608a~dに張力を加えて移動させると、移動する駆動ケーブル608a~dとは角度的に(又は斜めに)反対側の駆動ケーブル608a~dに弛みがもたらされることがある。本開示の実施形態は、この発生を緩和するように構成され得る。
【0035】
駆動ケーブル608a~dはそれぞれ、第1のリンケージ、第2のリンケージ、及び第3のリンケージ602a~cを通って長手方向に延在し、第1のリンケージ602aにおいて終端し、したがって、各駆動ケーブル608a~dをエンドエフェクタ404に、より具体的には下部ジョー412に動作可能に連結する。いくつかの実施形態では、例解されるように、各駆動ケーブル608a~dの遠位端部は、ボールクリンプ612(1つのみ図示)を含み得る。他の実施形態では、各駆動ケーブル608a~dの遠位端部は、溶接、接着剤取り付け、プレス嵌め、又は前述の任意の組み合わせを含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、電気導体614は、エンドエフェクタ404に、より具体的には、エンドエフェクタ404に含まれる電極616に供給し得る。電気導体614は、リスト部406を通って管腔610内で長手方向に延在し、電極616において終端する。エンドエフェクタ404は、単極性又は双極性動作用に構成することができる。例解される実施形態では、電極616は、下部ジョー412に装着されるか、又はそうでなければそれの一部を形成する。しかしながら、他の実施形態では、電極616は上部ジョー410の一部を形成し得るか、又は代替的にジョー410、412の両方に連結され得るか、若しくはその一部を形成し得る。いくつかの実施形態では、電気導体614及び電力ケーブル414(
図4)は、同じ構造を備え得る。しかしながら、他の実施形態では、電気導体614は、電力ケーブル414に電気的に連結され得る。更に他の実施形態では、電気導体614は、駆動ハウジング408まで延在し得、そこで電池又は燃料電池などの内部電源に電気的に連結される。
【0037】
例解される実施形態では、エンドエフェクタ404は、上部ジョー及び下部ジョー410、412の一方又は両方において長手方向に画定された溝又はスロット620内で、前進及び後退するように構成されている、ナイフ又は(ほとんど閉塞されている)「切断要素」618を含む、血管シーラを備える。例示的な動作において、ジョー410、412を作動させて閉じ、組織を把持し、その後、切断要素618をスロット620に沿って遠位方向に進めて、把持した組織を切断することができる。代替的に、切断要素618は、凝固した組織を切除するために電気エネルギーを印加した後に、展開することができる。
【0038】
ジョー410、412は、上部ジョー410を下部ジョー412に対して枢動させることによって、閉鎖位置と開放位置との間で移動することができる。例解される実施形態では、上部ジョー410は、ジョー主軸622において下部ジョー412に回転可能に連結(装着)され得る。第3の枢動軸P3は、ジョー主軸622を通って延在し、第1の枢動軸P1に対して概ね垂直(直交)であり、第2の枢動軸P2に平行である。中央プーリ624(部分的に見える)は、ジョー主軸622に装着され、ジョー410、412を選択的に開閉するように作動され得るジョーケーブル626を受容することができる。
【0039】
駆動ケーブル608a~dと同様に、ジョーケーブル626は、管腔610内で長手方向に延在し、リスト部406を通過する。更に、ジョーケーブル626は、本明細書に記載されるケーブル駆動運動システムの一部を形成し得、したがって、エンドエフェクタ404から駆動ハウジング408(
図4)へと近位方向に延在し得る。いくつかの実施形態では、ジョーケーブル626は、中央プーリ624において、又はその付近で接続され、駆動ハウジング408まで近位に延在する2つの線又はワイヤを備える。しかしながら、他の実施形態では、ジョーケーブル626は、中央プーリ624の周りに巻き付けられた単一の線又はワイヤを備え得、ジョーケーブル626の対向する第1の端部及び第2の端部628a、628bは、駆動ハウジング408の近位方向に延在する。
【0040】
図7は、1つ又は2つ以上の実施形態による、駆動ハウジング408の底面図である。例解されるように、駆動ハウジング408は、駆動ハウジング408をロボットマニピュレータ(例えば、それぞれ、
図3及び
図5のロボットマニピュレータ306、502)のツール駆動部に動作可能に連結するために使用されるツール装着インターフェース702を含み得る。ツール装着インターフェース702は、それに対する締め付け、それに対するクリッピング、又は共に摺動可能に嵌合することなどによる種々の方法において、駆動ハウジング408をツール駆動部に解放可能に連結することができる。いくつかの実施形態では、ツール装着インターフェース702は、ツール駆動部の装着表面上の電気的接続部に連結され得る電気接続ピンのアレイを含んでよい。したがって、ツール装着インターフェース702は、駆動ハウジング408をツール駆動部に機械的に、磁気的に、及び/又は電気的に連結し得る。
【0041】
例解されるように、インターフェース702は、駆動入力部704a、704b、704c、704d、704e、及び704fとして示される、複数の入力部を含み、これらを支持する。各駆動入力部704a~fは、所与のツール駆動部の対応するアクチュエータと整列し、連結するように構成されている、回転可能ディスクを備え得る。各駆動入力704a~fは、所与のアクチュエータ上に提供された対応する機構と整列して嵌合するように構成されている1つ又は2つ以上の表面機構706を提供又は画定し得る。表面機構706は、例えば、嵌合係合を容易にする種々の突出部及び/又は窪みを含むことができる。駆動入力704a~fの各々は、インターフェース702に連結されたツール駆動部に伝達されるユーザ入力に基づいて作動され得、ユーザ入力は、ロボット外科用システムに組み込まれたコンピュータシステムを介して受信され得る。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1の駆動入力部704aの作動は、その長手方向軸A
1の周りの、シャフト402の回転を制御するように構成され得る。シャフト402は、第1の駆動入力部704aの回転方向に応じて、時計回り又は反時計回りに回転され得る。いくつかの実施形態では、第2の駆動入力704bの作動は、切断要素618を前進又は後退させるように構成され得る(
図6)。いくつかの実施形態では、第3の駆動入力及び第4の駆動入力704c、dの作動は、ジョー410、412を開閉するように構成され得る(
図4及び6)。より具体的には、ジョーケーブル626(
図6)の第1の端部及び第2の端部628a、b(
図6)は、第3の駆動入力及び第4の駆動入力704c、dのうちの対応する1つまで延在し、かつ動作可能に連結され得、これにより、第3の駆動入力及び第4の駆動入力部704c、dの協働的な作動により、ジョーケーブル626にジョー410、412を開閉させる。
【0043】
いくつかの実施形態では、第5の駆動入力及び第6の駆動入力704e、fの作動は、駆動ケーブル608a~d(
図6)を軸方向に並進させ、それによってエンドエフェクタ404を関節運動させるように構成され得る(
図4及び6)。より具体的には、2つ駆動ケーブル608a~dは、各駆動入力704e、fに動作可能に連結され得、それにより、第5の駆動入力704eの作動によって、2つの駆動ケーブル608a~dを軸方向に並進させ、第6の駆動入力704fの作動によって、他の2つの駆動ケーブル608a~dを軸方向に並進させる。一実施形態では、例えば、第2の駆動ケーブル及び第3の駆動ケーブル608b、cは、第5の駆動入力704eの作動によって駆動され得、第1の駆動ケーブル及び第4の駆動ケーブル608a、dは、第6の駆動入力704eの作動によって駆動され得る。
【0044】
図8は、1つ又は2つ以上の実施形態による、駆動ハウジング408の内部の、等角露出図である。駆動ハウジング408内に別様に収容され得るいくつかの構成要素は、示された構成要素の議論を可能にするように
図8に示されてはいない。より具体的には、
図8は、第6の駆動入力704f(
図7)に関連付けられた駆動アセンブリ800を示しており、いくつかの穴802が駆動ハウジング408内に確定され、ここで、追加の駆動アセンブリ(図示せず)が、そうでなければ駆動ハウジング408に装着され、第1~第5の駆動入力704a~eにそれぞれ関連付けられ得る。
【0045】
駆動アセンブリ800は、入力シャフト804を含み得るか、そうでなければそれに装着され得る。入力シャフト804は、第6の駆動入力704f(
図7)に動作可能に連結されるか、又はそうでなければ延在することにより、第6の駆動入力704fの作動によって、入力シャフト804が対応して回転する。
【0046】
駆動アセンブリ800はまた、第1の又は「上部」キャプスタンアセンブリ806aと、第2の又は「下部」キャプスタンアセンブリ806bと、を含み得、各キャプスタンアセンブリ806a、bは、入力シャフト804に回転可能に装着され得る。上部キャプスタンアセンブリ806aは、第1の又は「上部」キャプスタン808aを含み、下部キャプスタン組立体806bは、第2の又は「下部」キャプスタン808bを含む。キャプスタン808a、bの各々は、それに連結され(即ち、その周りに巻き付けられ)、そこから延在する駆動ケーブルを有し得る。例解される実施形態では、第1の駆動ケーブル608a(破線として示される)は、上部キャプスタン808aに連結され、第4の駆動ケーブル608d(破線として示される)は、下部キャプスタン808aに連結される。各駆動ケーブル608a、dは、対応するキャプスタン808a、bから、かつ駆動ハウジング408から外に延在する。理解されるように、第1の駆動ケーブル及び第4の駆動ケーブル604ケーブル608a、dは、代替的に、本開示の範囲から逸脱することなく、反対側のキャプスタン808a、bに連結され得る。更に、
図6の駆動ケーブル608a~dのうちの2つの任意の組み合わせは、本開示に従って、キャプスタン808a、bに連結され得る。
【0047】
上部キャプスタン808aは、入力シャフト804を第1の角度方向810a(例えば、時計回り)に回転させると、それに対応して上部キャプスタン808aが第1の角度方向810aに駆動され、これにより、第1の駆動ケーブル608aが第1の直線方向812a(例えば、近位方向)に引っ張られ、それに対応して上部キャプスタン808aの周りに巻き付かせるように、入力シャフト804に動作可能に連結され得る。更に、入力シャフト804を第1の角度方向810aに回転させることは、入力シャフト804から下部キャプスタン808bを回転的に係合解除させ、入力シャフト804が下部キャプスタン808bに対して回転することを可能にする。その結果、入力シャフト804が第1の角度方向810aに回転するとき、第4の駆動ケーブル608dは、必要に応じて、第1の直線方向812aとは反対の第2の直線方向812b(例えば、遠位方向)に移動することを可能にされ得、そうでなければ、適切な引張荷重の維持に役立つように、下部キャプスタン808bから広げ得る。少なくとも1つの実施形態では、入力シャフト804が第1の角度方向810aに回転するときに上部キャプスタン808a上に巻かれた第1の駆動ケーブル608aの長さ(直線距離)は、下部キャプスタン808bから広げられた第4の駆動ケーブル608dの実質的に同じ長さ(直線距離)であってもよい。
【0048】
逆に、下部キャプスタン808bは、入力シャフト804を第1の角度方向810aとは反対の第2の角度方向810b(例えば、反時計回り)に回転させると、それに対応して下部キャプスタン808bが第2の角度方向810aに駆動され、これにより、第4の駆動ケーブル608dが第2の直線方向812bに引っ張られ、それに対応して下部キャプスタン808bの周りに巻き付くように、入力シャフト804に動作可能に連結され得る。更に、入力シャフト804を第2の角度方向810bに回転させることは、上部キャプスタン808aを入力シャフト804から回転的に係合解除させ、したがって、入力シャフト804が上部キャプスタン808aに対して相対的に回転することを可能にする。その結果、入力シャフト804が第2の角度方向810bに回転するとき、第1の駆動ケーブル608aは、必要に応じて、第2の直線方向812bに移動することが可能にされ得、そうでなければ、適切な引張荷重を維持するのに役立つように、上部キャプスタン808aから広げ得る。少なくとも1つの実施形態では、入力シャフト804が第2の角度方向810bに回転すると、下部キャプスタン808b上に巻かれた第4の駆動ケーブル608bの長さ(直線距離)は、上部キャプスタン808aから広げられた第1の駆動ケーブル608aの実質的に同じ長さ(直線距離)であってもよい。
【0049】
図9A及び
図9Bは、本開示の1つ以上の実施形態による、駆動アセンブリ800の拡大等角及び分解図である。例解されるように、入力シャフト804は、第1又は上端部902a、及び上端部902aの反対側の第2の又は下端部902bを有する略細長い本体を備える。第6の駆動入力704fは、下端部902bに動作可能に連結され得る。いくつかの実施形態では、例えば、第6の駆動入力704fは、ねじなどを用いて、下端部902bに機械的に締結され得る。代替的に、入力シャフト804は、第6の駆動入力704fの一体延長部を形成し得る。駆動アセンブリ800はまた、第6の駆動入力704fを駆動ハウジング408に回転可能に装着するのに役立つように構成されているフランジ付きブッシング904aを含み得る(
図4、7、及び8)。しかしながら、フランジ付きブッシング904aは、任意選択的であり得る。
【0050】
例解される実施形態では、上部キャプスタンアセンブリ806aは、上部キャプスタン808a、アダプタ又はハウジング906、及び第1の一方向ベアリング908a(
図9Bで最も良く見える)を含み得る。例解されるように、上部キャプスタン808aは、上部キャプスタン808aの少なくとも一部分の外周の周りに延在する第1の螺旋溝910aを含む。第1の螺旋溝910aは、上述したように、第1の駆動ケーブル608a(
図6及び8)などの駆動ケーブルを受容するように構成され得る。第1の駆動ケーブル608aの端部は、上部キャプスタン808aに固定的に取り付けられ得、上部キャプスタン808aが回転すると、第1の駆動ケーブル608aは、回転方向に応じて、繰り出される(即ち、広げられる)か、又は引っ張られ得る。
【0051】
上部キャプスタン808aは、アダプタ906と嵌合可能であり得る。いくつかの実施形態では、
図9Bで最も良く見えるように、上部キャプスタン808aは、第1の嵌合構造体912aを提供するか、そうでなければそれを画定することができ、アダプタ906は、第1の嵌合構造体912aと嵌合可能な第2の嵌合構造体912b(
図9Bで部分的に見える)を提供するか、そうでなければそれを画定することができる。第1の嵌合構造体及び第2の嵌合構造体912a、bを適切に嵌合すると、上部キャプスタン808a及びアダプタ906は、単一のモノリシック本体として回転する。第1の嵌合構造体及び第2の嵌合構造912a、bは、上部キャプスタン808aをアダプタ906に回転可能に固定し、またその逆を行う任意の嵌合可能な係合部を備え得る。例解される実施形態では、第1の嵌合構造体及び第2の嵌合構造体912a、bは、各構成要素部分上に画定された嵌合可能なキャスタレーション又はキャスタレーションされた(インターロック)機構である。しかしながら、他の実施形態では、第1の嵌合構造体及び第2の嵌合構造体912a、bは、蟻継ぎ係合、舌及び溝の係合、嵌合穴に係合するピン若しくはクリップ、スプライン係合、干渉若しくは焼き嵌め係合、溶接、接着結合、又はそれらの任意の組み合わせを代替的に含み得る。
【0052】
少なくとも1つの実施形態において、上部キャプスタンアセンブリ806aは、上部キャプスタン808aがアダプタ906と嵌合するのに役立ち得るフランジ付きブッシング904bを更に含み得る。しかしながら、他の実施形態では、フランジ付きブッシング904bは、本開示の範囲から逸脱することなく省略され得る。フランジ付きブッシング904bは、上部キャプスタン808aと、上部キャプスタン808aを支持するために駆動ハウジング408(
図4)内に配置されたフレーム構造(例解せず)との間の摩擦を緩和するフランジ付き平面ベアリングとして作用する。
【0053】
アダプタ906は、第1の一方向ベアリング908aを受容するようにサイズ決めされたキャビティ914を画定し得る。第1の一方向ベアリング908aは、1つの角度方向での回転を可能にするが、反対方向の回転を防止する、任意のタイプのベアリングを備え得る。第1の一方向ベアリング908aは、例えば、一方向クラッチベアリング、スプラグ式ベアリング、逆戻り防止ベアリング、又はこれらの任意の組み合わせを備え得る。少なくとも1つの実施形態では、第1の一方向ベアリング908aは、第1の方向への回転を可能にするが、第2の方向への回転を禁止するラチェットメカニズムを備え得る。第1の一方向ベアリング908aは、締まり嵌め、機械的取り付け、溶接、接着剤、又はこれらの任意の組み合わせを含むがこれらに限定されない、様々な取り付け手段を介してキャビティ914内に固着され得る。上部キャプスタン組立体806aが入力シャフト704上に組み付けられるとき、第1の一方向ベアリング908aの内側半径方向表面916は、上端部902aにおいて、又はその付近で入力シャフト704の外側半径方向表面に係合するように位置決めされ得る。
【0054】
したがって、少なくとも1つの実施形態では、上部キャプスタン808aは、アダプタ906及び第1の一方向ベアリング908aを介して、入力シャフト804に回転可能に装着され得る。しかしながら、他の実施形態では、アダプタ906は、上部キャプスタンアセンブリ806aから省略され得る。そのような実施形態では、第1の一方向ベアリング908aは、代替的に、上部キャプスタン808aに固定され得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の一方向ベアリンググ908aは、第1の角度方向810aに非回転可能であり得るが、第2の角度方向810bでの回転を可能にし得る。その結果、入力シャフト804を第1の角度方向810aに回転させると、第1の一方向ベアリング908aが入力シャフト804に対して結合して、入力シャフト804からのトルクを上部キャプスタン808aに伝達し、それによって上部キャプスタン808aを第1の角度方向810aに駆動することができる。上で言及されるように、上部キャプスタン808aを第1の角度方向810aに回転させることにより、第1の駆動ケーブル608a(
図6及び8)を上部キャプスタン808aの周りに巻き付かせ得る。しかしながら、入力シャフト804が第2の角度方向810bに回転されると、第1の一方向ベアリング908aは、入力シャフト804から上部キャプスタン808aを回転的に係合解除させる自由運動を可能にし、それによって入力シャフト804が上部キャプスタン808aに対して回転することを可能にし得る。
【0056】
下部キャプスタンアセンブリ806bは、下部キャプスタン808b及び第2の一方向ベアリング908b(
図9Bで最も良く見える)を含み得る。例解されるように、下部キャプスタン808bは、下部キャプスタン808bの少なくとも一部分の外周の周りに延在する第2の螺旋溝910bを含む。第2の螺旋溝910bは、上述するように、第4の駆動ケーブル608d(
図6及び8)などの駆動ケーブルを受容するように構成され得る。第4の駆動ケーブル608dの端部は、下部キャプスタン808bに固定的に取り付けられ得、下部キャプスタン808bが回転すると、第4の駆動ケーブル608dは、回転方向に応じて、繰り出される(即ち、広げられる)か、又は引っ張られ得る。
【0057】
第2の一方向ベアリング908bは、下部キャプスタン808bに動作可能に連結され得る。一実施形態では、例えば、第2の一方向ベアリング908bは、下部キャプスタン808bによって画定されるキャビティ(図示せず)内に受容され得、締まり嵌め、機械的取り付け、溶接、接着剤、又はこれらの任意の組み合わせを介してキャビティ内に固着され得る。下部キャプスタン組立体806bが入力シャフト704上に組み付けられるとき、第2の一方向ベアリング908bの内側半径方向表面918は、上端902aにおいて、又はその付近で入力シャフト704の外側半径方向表面に係合するように位置決めされ得る。
【0058】
第1の一方向ベアリング908aと同様に、第2の一方向ベアリング908bは、1つの角度方向での回転を可能にするが、反対方向の回転を防止する、任意のタイプのベアリングを備え得る。少なくとも1つの実施形態では、第1の一方向ベアリング及び第2の一方向ベアリング908a、bは同じタイプのベアリングであり得るが、第1のキャプスタン及び第2のキャプスタン808a、bが、入力シャフト804の反対の角度回転によって回転駆動されるように、反対側に装着され得る。
【0059】
したがって、下部キャプスタン808bは、第2の一方向ベアリング908bを介して、入力シャフト804に回転可能に装着され得る。いくつかの実施形態では、第2の一方向ベアリンググ908bは、第2の角度方向810bに非回転可能であり得るが、第1の角度方向810aでの回転を可能にし得る。その結果、入力シャフト804を第2の角度方向810bに回転させると、第2の一方向ベアリング908bが入力シャフト804に対して結合して、入力シャフト804からのトルクを下部キャプスタン808bに伝達し、それによって下部キャプスタン808bを第2の角度方向810bに駆動することができる。上で言及されるように、下部キャプスタン808bを第2の角度方向810bに回転させることにより、第4の駆動ケーブル608d(
図6及び8)を下部キャプスタン808bの周りに巻き付かせ得る。しかしながら、入力シャフト804が第1の角度方向810aに回転されると、第2の一方向ベアリング908bは、入力シャフト804から下部キャプスタン808bを回転的に係合解除させる自由運動を可能にし、入力シャフト804が下部キャプスタン808bに対して回転することを可能にし得る。
【0060】
駆動アセンブリ800は、上部キャプスタン及び下部キャプスタンアセンブリ806a、bの間に動作可能に連結され、かつそれらの間に延在するコンプライアント部材920を更に含み得る。例解される実施形態では、コンプライアント部材920は、コイルばねを備えるが、代替的に、トルクを伝達することができる任意の他のタイプのバイアスデバイスを備え得る。例えば、コンプライアント部材920は、各キャプスタンアセンブリ806a、bにケーブルで取り付けられた圧縮バネを代替的に備え得る。例解されるように、コンプライアント部材920は、上部キャプスタンアセンブリ806aと係合可能な第1の又は上端部922aと、下部キャプスタンアセンブリ806bと係合可能な第2の又は下端部922bを有し得る。いくつかの実施形態では、上端部922aは、アダプタ906上に画定された受容機構(
図10参照)と嵌合するように構成され得る。しかしながら、他の実施形態では、受容機構は、代替的に、本開示の範囲から逸脱することなく、上部キャプスタン808aの一部を形成し得る。受容機構内で上端部922aを受容することにより、コンプライアント部材920が上部キャプスタンアセンブリ806aに、より具体的には上部キャプスタン808aにトルクを伝達することを可能にし得る。
【0061】
コンプライアント部材920の下端部922bは、下部キャプスタン808bに連結され得る。より具体的には、下端部922bは、横方向に延在し、下部キャプスタン808b内に画定されたスロット924内に受容され得る。少なくとも1つの実施形態において、上部キャプスタン808aの底端部は、駆動アセンブリ800が組み立てられたときに、下端部922bをスロット924内に保持するのに役立ち得る。スロット924内で下端部922bを受容することにより、コンプライアント部材920が、より低いキャプスタンアセンブリ806bに、より具体的には下部キャプスタン808bにトルクを伝達することを可能にし得る。
【0062】
図10は、1つ又は2つ以上の実施形態による、駆動アセンブリ800の一部分の拡大等角図である。より具体的には、
図10は、アダプタ906の底部分を示す。上で言及されるように、アダプタ906は、上部キャプスタン808aの第1の嵌合構造912aと嵌合可能な第2の嵌合構造912bを画定し得る。更に、アダプタ906は、コンプライアント部材920の上端922aを受容し、そうでなければ嵌合するように構成されている受容機構1002を提供するか、又は画定し得る。例解されるように、受容機構1002は、上端部922aを受容するようにサイズ決めされた穴又はキャビティを備え得るが、代替的にスロットなどを備え得る。しかしながら、アダプタ906が省略される実施形態では、代替的に受容機構1002は、上部キャプスタン808a上に提供され得、又はコンプライアント部材920の上端922aは、上部キャプスタン808aに直接連結され得、上部キャプスタンアセンブリ806aにねじれを伝達することができる。
【0063】
再び
図9A~9Bを参照すると、コンプライアント部材920は、上部キャプスタン及び下部キャプスタンアセンブリ806a、b上に一定量の対向するねじり負荷を提供し、それに連結された駆動ケーブルに発生し得るケーブル弛みの量を低減することに役立つように構成され得る。コンプライアント部材920は、駆動アセンブリ800の組み立て中にプレテンションがかけられ得、これにより、コンプライアント部材920は、上部キャプスタン及び下部キャプスタンアセンブリ806a、bの両方に反対の角度方向で作用し、それにより、対応する上部キャプスタン及び下部キャプスタン808a、bを付勢して逆回転させる。いくつかの実施形態では、コンプライアント部材920によって提供されるトルクは、上部キャプスタン及び下部キャップスタン808a、bに取り付けられたケーブルのプレテンション限度以下に設定され得る。その結果、所与のケーブルの張力がプレテンション値を下回ると、コンプライアント部材920が対応するキャプスタン808a、bに作用し、キャプスタン808a、bを逆回転させ、弛みを除去することになる。
【0064】
例示的な動作中、上述したように、第1の駆動ケーブル608a(
図6及び8)を引っ張るために上部キャプスタン808aを回転させると、第4の駆動ケーブル608d(
図6及び8)の張力は緩み得る。しかしながら、下部キャプスタン808b上のコンプライアント部材920によって提供されるねじり負荷は、下部キャプスタン808bを逆回転させることができ、それによって、第4の駆動ケーブル608d内のこの弛みを除去するのに役立ち得る。逆に、上述のように、下部キャプスタン808bを回転させて第4の駆動ケーブル608dを引っ張ると、第1の駆動ケーブル608aの張力が緩むことがあるが、コンプライアント部材920が上部キャプスタン808aに提供するねじり負荷によって、上部キャプスタン808aが逆回転し、それによって第1の駆動ケーブル608aに発生した弛みを除去するのに役立ち得る。これにより、ケーブルに張力を印加したときに剛性が非常に高くなるシステムが創り出され、したがって、システムは、外科手技中に印加される外部負荷に耐えることができる。
【0065】
更に
図9A及び9Bを参照すると、上部キャプスタン及び下部キャプスタンアセンブリ806a、bを入力シャフト804に組み付けた後、ロックリング926を上端部902aにおいて、又はその付近に入力シャフト804に固着して、キャプスタンアセンブリ806a、bを入力シャフト804に固着し得る。いくつかの実施形態では、ロックリング926は、入力シャフト804の外側表面上に画定された環状溝928(
図9B)内に嵌合するようにサイズ決めされ得る。理解されるように、ロックリング926は、本開示の範囲から逸脱することなく、入力シャフト804に装着された上部キャプスタン及び下部キャプスタンアセンブリ806a、bを好適に維持することができる任意のデバイス又はメカニズムで置き換えられ得る。
【0066】
本明細書に開示される実施形態は、以下を包含する。
A.外科用ツールであって、そこから延在する細長いシャフトを有する駆動ハウジングと、細長いシャフトの遠位端部に動作可能に連結されたエンドエフェクタと、駆動ハウジングに回転可能に装着された駆動入力及び入力シャフトと、入力シャフトに装着され、かつ第1の一方向ベアリングを用いて入力シャフトに回転可能に装着された上部キャプスタン、第2の一方向ベアリングを用いて入力シャフトに回転可能に装着された下部キャプスタン、上部キャプスタンに連結され、かつエンドエフェクタまで延在する第1の駆動ケーブル、及び下部キャプスタンに連結され、かつエンドエフェクタまで延在する第2の駆動ケーブルを含む駆動アセンブリと、を備え、入力シャフトを第1の角度方向に回転させることは、入力シャフトから下部キャプスタンを回転的に係合解除させ、上部キャプスタンを第1の角度方向に駆動し、第1の駆動ケーブルを第1の直線方向に引っ張り、入力シャフトを、第1の角度方向とは反対の第2の角度方向に回転させることは、入力シャフトから上部キャプスタンを回転的に係合解除させ、下部キャプスタンを第2の角度方向に駆動し、第2の駆動ケーブルを第1の直線方向とは反対の第2の直線方向に引っ張る、外科用ツール。
B.外科用ツールを動作させる方法は、外科用ツールを患者に隣接して位置決めすることを含み、外科用ツールが、それから延在する細長いシャフト、及び細長いシャフトの遠位端部に動作可能に連結されたエンドエフェクタを有する駆動ハウジングと、駆動ハウジングに回転可能に装着された駆動入力及び入力シャフトと、入力シャフトに装着され、第1の一方向ベアリングを用いて入力シャフトに回転可能に装着された上部キャプスタン、第2の一方向ベアリングを用いて入力シャフトに回転可能に装着された下部キャプスタン、上部キャプスタンに連結され、かつエンドエフェクタまで延在する第1の駆動ケーブル、及び下部キャプスタンに連結され、かつエンドエフェクタまで延在する第2の駆動ケーブルを含む駆動アセンブリと、を備える。駆動入力を作動させて、入力シャフトを第1の角度方向に回転させ、それによって、上部キャプスタンを第1の角度方向に駆動して、第1の駆動ケーブルを第1の直線方向に引っ張ることと、入力シャフトが第1の角度方向に回転するときに、入力シャフトから下部キャプスタンを回転的に係合解除させることと、駆動入力を作動させて、入力シャフトを第1の角度方向とは反対の第2の角度方向に回転させ、それによって、第2の角度方向に下部キャプスタンを駆動して、第2の駆動ケーブルを第1の直線方向とは反対の第2の直線方向に引っ張ることと、入力シャフトが第2の角度方向に回転するとき、入力シャフトから上部キャプスタンを回転的に係合解除させることと、を更に含む方法。
C.外科用ツールのための駆動アセンブリであって、第1の一方向ベアリングを用いて外科用ツールの入力シャフトに回転可能に装着可能な上部キャプスタンを含む第1のキャプスタンアセンブリと、第2の一方向ベアリングを用いて入力シャフトに回転可能に装着可能な下部キャプスタンを含む下部キャプスタンアセンブリと、上部キャプスタン及び下部キャプスタンアセンブリの間に動作可能に連結され、かつそれらの間に延在するコンプライアントであって、コンプライアント部材が、上部キャプスタン及び下部キャプスタンを逆回転させるように付勢する、一定の対向するねじり負荷を、上部キャプスタン及び下部キャプスタンアセンブリ上に提供する、コンプライアント部材と、上部キャプスタンに固着可能であり、かつ外科用ツールのエンドエフェクタまで延在可能な第1の駆動ケーブルと、下部キャプスタンに固着可能であり、かつエンドエフェクタまで延在可能な第2の駆動ケーブルと、を含み、入力シャフトを第1の角度方向に回転させることは、入力シャフトから下部キャプスタンを回転的に係合解除させ、上部キャプスタンを第1の角度方向に駆動し、第1の駆動ケーブルを第1の直線方向に引っ張り、入力シャフトを第1の角度方向とは反対の第2の角度方向に回転させることは、入力シャフトから上部キャプスタンを回転的に係合解除させ、下部キャプスタンを第2の角度方向に駆動して、第2の駆動ケーブルを第1の直線方向とは反対の第2の直線方向に引っ張る、駆動アセンブリ。
【0067】
実施形態A、B、及びCの各々は、以下の追加の要素のうちの1つ又は2つ以上を任意の組み合わせにおいて有し得る。要素1:入力シャフトを第1の角度方向に回転させることは、第2の駆動ケーブルが下部キャプスタンから巻き出すこと、及び第2の直線方向に移動することを可能にし、入力シャフトを第2の角度方向に回転させることは、第1の駆動ケーブルが上部キャプスタンから巻き出すこと、及び第1の直線方向に移動することを可能にする。要素2:上部キャプスタン及び下部キャプスタンに動作可能に連結され、かつそれらの間に延在するコンプライアント部材を更に備え、コンプライアント部材が、上部キャプスタン及び下部キャプスタンを逆回転させるように付勢する、一定の対向するねじり負荷を、上部キャプスタン及び下部キャプスタン上に提供する。要素3:コンプライアント部材は、第1の駆動ケーブル及び第2の駆動ケーブルのプレテンション限界以下のトルクを提供するために、組み立て中にプレテンションをかけられる。要素4:第1の一方向ベアリングは、アダプタに固着され、アダプタが上部キャプスタンと嵌合可能であり、それによって、アダプタの回転が、対応して上部キャプスタンを回転させる。要素5:アダプタ及び上部キャプスタンは、各々、嵌合可能なインターロック機構を提供する。要素6:アダプタは、第1の一方向ベアリングを受容するようにサイズ決めされたキャビティを画定する。要素7:第1の一方向ベアリングは、上部キャプスタンに固着される。要素8:第1の一方向ベアリング及び第2の一方向ベアリングは、一方向クラッチベアリング、スプラグ式ベアリング、逆戻り防止ベアリング、ラチェットメカニズム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0068】
要素9:入力シャフトが第1の角度方向に回転されるとき、第2の駆動ケーブルが下部キャプスタンから巻き出されること、及び第2の直線方向に移動することを可能にすることと、入力シャフトが第2の角度方向に回転されるとき、第1の駆動ケーブルが上部キャプスタンから巻き出されること、及び第1の直線方向に移動することを可能にすることと、を更に含む。要素10:入力シャフトが第1の角度方向に回転されると、第1の駆動ケーブルの第1の長さを上部キャプスタンに巻き付け、同時に第2の駆動ケーブルの第2の長さを下部キャプスタンから広げることを更に含み、第1の長さ及び第2の長さが同じである。要素11:上部キャプスタン及び下部キャプスタンに動作可能に連結され、かつそれらの間に延在するコンプライアント部材を用いて、上部キャプスタン及び下部キャプスタン上に一定の対向するねじり負荷を提供することを更に含む。要素12:コンプライアント部材を用いて上部キャプスタン及び下部キャプスタンを逆回転させるように付勢することを更に含む。要素13:組み立て中に、コンプライアント部材にプリテンションをかけ、それによって第1の駆動ケーブル及び第2の駆動ケーブルのプリテンション限界以下のトルクを提供することを更に含む。要素14:上部キャプスタンを第1の角度方向に駆動することが、コンプライアント部材が下部キャプスタンに作用している状態で、第2の駆動ケーブルの弛みを除去することを更に含み、下部キャプスタンを第2の角度方向に駆動することが、コンプライアント部材が上部キャプスタンに作用している状態で、第1の駆動ケーブルの弛みを除去することを更に含む。
【0069】
要素15:入力シャフトを第1の角度方向に回転させることは、第2の駆動ケーブルが下部キャプスタンから巻き出されること、及び第2の直線方向に移動することを可能にし、入力シャフトを第2の角度方向に回転させることは、第1の駆動ケーブルが上部キャプスタンから巻き出されること、及び第1の直線方向に移動することを可能にする。要素16:第1のキャプスタンアセンブリは、アダプタの回転が対応して上部キャプスタンを回転させるように、上部キャプスタンと嵌合可能なアダプタを更に含み、第1の一方向ベアリングがアダプタに固着される。要素17:第1の一方向ベアリング及び第2の一方向ベアリングは、一方向クラッチベアリング、スプラグ式ベアリング、逆戻り防止ベアリング、ラチェットメカニズム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0070】
非限定的な例として、A、B、及びCに適用可能な例示的な組み合わせとしては、要素3を伴う要素2、要素5を伴う要素4、要素6を伴う要素4、要素10を伴う要素9、要素12を伴う要素11、要素13を伴う要素11、及び要素14を伴う要素11が挙げられる。
【0071】
したがって、開示されるシステム及び方法は、言及された結果及び利点、並びにその中で固有の結果及び利点を達成するように、十分に適合されている。本開示の教示は、異なってはいるが本明細書の教示の利益を有する当業者には明らかな同等の方法で修正及び実施され得るため、上記に開示された特定の実施形態は例解的であるに過ぎない。更に、以下の特許請求の範囲に記載されるもの以外の、本明細書に示される構造又は設計の詳細を、限定することを意図するものではない。したがって、上で開示された特定の例解的実施形態は、変更、組み合わせ、又は修正され得、またそのような全ての変形形態は、本開示の範囲内であると考えられる。本明細書に例解的に開示されたシステム及び方法は、本明細書に具体的に開示されていないいかなる要素、及び/又は本明細書に開示されたいかなる任意選択的な要素の不在下においても好適に実施され得る。組成物及び方法は、種々の構成要素及び工程を「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、又は「含む(including)」という用語で記載されているが、組成物及び方法はまた、種々の構成要素及び工程「から本質的になる(consist essentially of)」又は「からなる(consist of)」こともできる。上で開示された全ての数及び範囲は、ある程度異なり得る。下限及び上限を伴う数値範囲が開示される場合はいつでも、その範囲内に収まる任意の数及び任意の含まれる範囲が具体的に開示される。特に、本明細書に開示される(形態の)値の全ての範囲(「約a~約b」、又は同等に「およそa~b(from approximately a to b)」、又は同等に「およそa~b(from approximately a-b)」)は、広範な値の範囲内に包含される全ての数及び範囲を述べる、と理解されるべきである。また、特許請求の範囲における用語は、特許権者によりそれでないことが明示的かつ明確に定義されない限り、平易かつ通常の意味を有する。更に、請求項で使用する際に、不定冠詞「a」又は「an」は、本明細書では、それが導入する要素のうちの1つ又は2つ以上を意味するように定義される。本明細書及び参照により本明細書に組み込まれ得る1つ以上の特許又は他の文書において単語又は用語の使用に矛盾がある場合、本明細書と一致する定義を採用すべきである。
【0072】
本明細書で使用する場合、一連の項目に先行する「のうちの少なくとも1つ」という句は、項目のうちのいずれかを分離するための「及び(and)」又は「又は(or)」という用語を伴うものであるが、一覧の各構成要素(即ち、各項目)ではなく、一覧を全体として修飾する。「のうちの少なくとも1つ」という句は、項目のうちのいずれかのうちの少なくとも1つ、及び/又は項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ、及び/又は項目のそれぞれのうちの少なくとも1つを含む意味を可能にする。例として、「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」という句はそれぞれ、Aのみ、Bのみ、若しくはCのみ、A、B、及びCの任意の組み合わせ、並びに/又はA、B、及びCのそれぞれのうちの少なくとも1つを意味する。
【0073】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ツールであって、
駆動ハウジングであって、そこから延在する細長いシャフトを有する、駆動ハウジングと、
前記細長いシャフトの遠位端部に動作可能に連結されているエンドエフェクタと、
前記駆動ハウジングに回転可能に装着された駆動入力及び入力シャフトと、
前記入力シャフトに装着された駆動アセンブリであって、第1の一方向ベアリングを用いて前記入力シャフトに回転可能に装着された上部キャプスタン、及び第2の一方向ベアリングを用いて前記入力シャフトに回転可能に装着された下部キャプスタンを含む、駆動アセンブリと、
前記上部キャプスタンに連結され、かつ前記エンドエフェクタまで延在する第1の駆動ケーブル、及び前記下部キャプスタンに連結され、かつ前記エンドエフェクタまで延在する第2の駆動ケーブルと、を備え、
前記入力シャフトを第1の角度方向に回転させることが、前記下部キャプスタンを前記入力シャフトから回転的に係合解除させ、前記上部キャプスタンを前記第1の角度方向に駆動し、前記第1の駆動ケーブルを第1の直線方向に引っ張り、
前記入力シャフトを、前記第1の角度方向とは反対の第2の角度方向に回転させることが、前記上部キャプスタンを前記入力シャフトから回転的に係合解除させ、前記下部キャプスタンを前記第2の角度方向に駆動し、前記第2の駆動ケーブルを前記第1の直線方向とは反対の第2の直線方向に引っ張る、外科用ツール。
(2) 前記入力シャフトを前記第1の角度方向に回転させることが、前記第2の駆動ケーブルが前記下部キャプスタンから巻き出ること、及び前記第2の直線方向に移動することを可能にし、前記入力シャフトを前記第2の角度方向に回転させることが、前記第1の駆動ケーブルが前記上部キャプスタンから巻き出ること、及び前記第1の直線方向に移動することを可能にする、実施態様1に記載の外科用ツール。
(3) 前記上部キャプスタン及び前記下部キャプスタンに動作可能に連結され、かつそれらの間に延在するコンプライアント部材を更に備え、前記コンプライアント部材が、前記上部キャプスタン及び前記下部キャプスタンを逆回転させるように付勢する、一定の対向するねじり負荷を、前記上部キャプスタン及び前記下部キャプスタン上に提供する、実施態様1に記載の外科用ツール。
(4) 前記コンプライアント部材が、前記第1の駆動ケーブル及び前記第2の駆動ケーブルのプレテンション限界以下のトルクを提供するために、組み立て中にプレテンションをかけられる、実施態様3に記載の外科用ツール。
(5) 前記第1の一方向ベアリングが、アダプタに固着され、前記アダプタが、前記上部キャプスタンと嵌合可能であり、それによって、前記アダプタの回転が、対応して前記上部キャプスタンを回転させる、実施態様1に記載の外科用ツール。
【0074】
(6) 前記アダプタ及び前記上部キャプスタンが、各々、嵌合可能なインターロック機構を提供する、実施態様5に記載の外科用ツール。
(7) 前記アダプタが、前記第1の一方向ベアリングを受容するようにサイズ決めされたキャビティを画定する、実施態様5に記載の外科用ツール。
(8) 前記第1の一方向ベアリングが、前記上部キャプスタンに固着される、実施態様1に記載の外科用ツール。
(9) 前記第1の一方向ベアリング及び前記第2の一方向ベアリングが、一方向クラッチベアリング、スプラグ式ベアリング、逆戻り防止ベアリング、ラチェットメカニズム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施態様1に記載の外科用ツール。
(10) 外科用ツールを動作させる方法であって、
手術のために、前記外科用ツールを患者に隣接して位置決めすることであって、前記外科用ツールが、
駆動ハウジングであって、そこから延在する細長いシャフト、及び前記細長いシャフトの遠位端部に動作可能に連結されたエンドエフェクタを有する、駆動ハウジングと、
前記駆動ハウジングに回転可能に装着された駆動入力及び入力シャフトと、
前記入力シャフトに装着された駆動アセンブリであって、第1の一方向ベアリングを用いて前記入力シャフトに回転可能に装着された上部キャプスタン、及び第2の一方向ベアリングを用いて前記入力シャフトに回転可能に装着された下部キャプスタンを含む、駆動アセンブリと、
前記上部キャプスタンに連結され、かつ前記エンドエフェクタまで延在する第1の駆動ケーブル、及び前記下部キャプスタンに連結され、かつ前記エンドエフェクタまで延在する第2の駆動ケーブルと、を備える、位置決めすることと、
前記駆動入力を作動させて、前記入力シャフトを第1の角度方向に回転させ、それによって、前記上部キャプスタンを前記第1の角度方向に駆動して、前記第1の駆動ケーブルを第1の直線方向に引っ張ることと、
前記入力シャフトが前記第1の角度方向に回転するとき、前記入力シャフトから前記下部キャプスタンを回転的に係合解除させることと、
前記駆動入力を作動させて、前記入力シャフトを前記第1の角度方向とは反対の第2の角度方向に回転させ、それによって、前記下部キャプスタンを前記第2の角度方向に駆動して、前記第2の駆動ケーブルを前記第1の直線方向とは反対の第2の直線方向に引っ張ることと、
前記入力シャフトが前記第2の角度方向に回転するとき、前記上部キャプスタンを前記入力シャフトから回転的に係合解除させることと、を含む、方法。
【0075】
(11) 前記入力シャフトが前記第1の角度方向に回転されるとき、前記第2の駆動ケーブルが前記下部キャプスタンから巻き出ること、及び前記第2の直線方向に移動することを可能にすることと、
前記入力シャフトが前記第2の角度方向に回転されるとき、前記第1の駆動ケーブルが前記上部キャプスタンから巻き出ること、及び前記第1の直線方向に移動することを可能にすることと、を更に含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記入力シャフトが前記第1の角度方向に回転されるとき、前記第1の駆動ケーブルの第1の長さを前記上部キャプスタンに巻き付け、同時に前記第2の駆動ケーブルの第2の長さを前記下部キャプスタンから広げることを更に含み、前記第1の長さ及び前記第2の長さが、同じである、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記上部キャプスタン及び前記下部キャプスタンに動作可能に連結され、かつそれらの間に延在するコンプライアント部材を用いて、前記上部キャプスタン及び前記下部キャプスタン上に一定の対向するねじり負荷を提供することを更に含む、実施態様10に記載の方法。
(14) 前記コンプライアント部材を用いて前記上部キャプスタン及び前記下部キャプスタンを逆回転させるように付勢することを更に含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 組み立て中に、前記コンプライアント部材にプリテンションをかけ、それによって前記第1の駆動ケーブル及び前記第2の駆動ケーブルのプリテンション限界以下のトルクを提供することを更に含む、実施態様13に記載の方法。
【0076】
(16) 前記上部キャプスタンを前記第1の角度方向に駆動することが、前記第2の駆動ケーブル内の弛みを、前記下部キャプスタンに作用する前記コンプライアント部材を用いて除去することを更に含み、
前記下部キャプスタンを前記第2の角度方向に駆動することが、前記第1の駆動ケーブル内の弛みを、前記上部キャプスタンに作用する前記コンプライアント部材を用いて除去することを更に含む、実施態様13に記載の方法。
(17) 外科用ツールのための駆動アセンブリであって、
第1の一方向ベアリングを用いて前記外科用ツールの入力シャフトに回転可能に装着可能な上部キャプスタンを含む第1のキャプスタンアセンブリと、
第2の一方向ベアリングを用いて前記入力シャフトに回転可能に装着可能な下部キャプスタンを含む下部キャプスタンアセンブリと、
前記上部キャプスタンアセンブリ及び前記下部キャプスタンアセンブリに動作可能に連結され、かつそれらの間に延在するコンプライアント部材であって、前記コンプライアント部材が、前記上部キャプスタン及び前記下部キャプスタンを逆回転させるように付勢する、一定の対向するねじり負荷を、前記上部キャプスタンアセンブリ及び前記下部キャプスタンアセンブリ上に提供する、コンプライアント部材と、
前記上部キャプスタンに固着可能であり、かつ前記外科用ツールのエンドエフェクタまで延在可能な第1の駆動ケーブル、及び前記下部キャプスタンに固着可能であり、かつ前記エンドエフェクタまで延在可能な第2の駆動ケーブルと、を備え、
前記入力シャフトを第1の角度方向に回転させることが、前記下部キャプスタンを前記入力シャフトから回転的に係合解除させ、前記上部キャプスタンを前記第1の角度方向に駆動し、前記第1の駆動ケーブルを第1の直線方向に引っ張り、
前記入力シャフトを、前記第1の角度方向とは反対の第2の角度方向に回転させることが、前記上部キャプスタンを前記入力シャフトから回転的に係合解除させ、前記下部キャプスタンを前記第2の角度方向に駆動し、前記第2の駆動ケーブルを前記第1の直線方向とは反対の第2の直線方向に引っ張る、駆動アセンブリ。
(18) 前記入力シャフトを前記第1の角度方向に回転させることが、前記第2の駆動ケーブルが前記下部キャプスタンから巻き出ること、及び前記第2の直線方向に移動することを可能にし、前記入力シャフトを前記第2の角度方向に回転させることが、前記第1の駆動ケーブルが前記上部キャプスタンから巻き出ること、及び前記第1の直線方向に移動することを可能にする、実施態様17に記載の駆動アセンブリ。
(19) 前記第1のキャプスタンアセンブリが、前記上部キャプスタンと嵌合可能なアダプタを更に含み、それによって、前記アダプタの回転が、対応して前記上部キャプスタンを回転させ、前記第1の一方向ベアリングが前記アダプタに固着される、実施態様17に記載の外科用ツール。
(20) 前記第1の一方向ベアリング及び前記第2の一方向ベアリングが、一方向クラッチベアリング、スプラグ式ベアリング、逆戻り防止ベアリング、ラチェットメカニズム、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、実施態様17に記載の駆動アセンブリ。
【国際調査報告】