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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(54)【発明の名称】冷却切断織布片を製造する方法
(51)【国際特許分類】
   D03D 49/70 20060101AFI20220526BHJP
   D03D 5/00 20060101ALI20220526BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20220526BHJP
   D03D 15/587 20210101ALI20220526BHJP
   D03D 41/00 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
D03D49/70 Z
D03D5/00 Z
D03D1/00 C
D03D15/587
D03D41/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560089
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(85)【翻訳文提出日】2021-12-10
(86)【国際出願番号】 EP2020059944
(87)【国際公開番号】W WO2020208047
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】19168492.7
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500031009
【氏名又は名称】テクスティルマ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】レイマン,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】エンゲセル,ベルンハルト
【テーマコード(参考)】
4L048
4L050
【Fターム(参考)】
4L048AC18
4L048BB01
4L048BD00
4L048BD07
4L048BD08
4L048CA00
4L048EA00
4L048EB05
4L050CB06
4L050CB21
4L050CB27
(57)【要約】
製造プロセス中に布(20)から複数の布片(22)を製造するために、以下のステップを含む方法が提案され、この方法は、横糸(24)を開いた経糸シェッドに挿入するステップと、複数の送り針(32、36)によってジグザグ形状に複数のカバー糸(30、34)を敷設するステップと、布(20)を引っ張り方向に複数の織片(22)に切断するステップと、前記カバー糸の切断側敷設点と切断工具との間に位置する経糸(60)を引き抜くステップと、を含む。この方法は、ジグザグに導入されたカバー糸(30、34)に加えて、更なる送り針によって、更なるカバー糸(70)が、ジグザグな糸に接続されることでジグザグな糸のほつれが防止されるように、各布縁(26)に導入される場合に、特に有利に実施することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織機によって複数の(すなわち、少なくとも2つの)織布片を製造するための方法であって、前記織機は、少なくとも横糸挿入装置(40)と、リード(10)又は同等の手段と、追加のカバー糸(30、34)のための複数の敷設装置(32、36)と、少なくとも、織材料を織布片に切断するための冷却切断工具(50)と、を含み、
前記方法は、
横糸(24)を、開いた経糸シェッドに挿入するステップと、
複数の送り針(32、36)によって複数のカバー糸(30、34)を敷設するステップと、
織布(20)を取り出される方向に複数の織布片(22)に冷却切断することにより、前記冷却切断は、前記織布片の複数の糸を部分的に又は完全に溶融させることを回避するステップと、
を含み、
前記カバー糸(30、34)が前記横糸挿入装置(40)によって仕上げ縫いされることで前記横糸(24)によって前記織布(20)に結合されるように、前記カバー糸(30、34)がジグザグに配置され、かつ、前記カバー糸(30、34)が前記送り針(32、36)を介して前記経糸シェッド(28)に上方から導入されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
横糸尾(25)が前記冷却切断のステップによって、又は前記冷却切断のステップの後に形成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記横糸尾(25)は、更なるステップにおいて、前記カバー糸(32、36)の切断側敷設点と前記切断工具(50)との間に位置する織られた経糸(60)が引き抜かれることで形成されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記横糸尾(25)は、前記カバー糸(32、36)の切断側敷設点と切断端との間に位置する経糸(60)が、織りプロセスの間、低い前記シェッドに恒久的に保持され、前記引き抜きが、前記リード(10)と前記切断工具(50)との間で下向きに行われるようにして形成されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記横糸尾(25)は、前記カバー糸(32、36)の切断側敷設点と切断端との間に位置する経糸(60)が、前記シェッド(10)の前に既に上方又は下方に引き抜かれているようにして形成されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記横糸尾(25)は、前記カバー糸(30、34)によって結合される経糸が領域(80)において横方向に一緒に引っ張られ、それによって切断経路(82)が形成され、余分な経糸を引き抜く必要はないような高い張力の下で前記カバー糸(30、34)が挿入されるようにして形成されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記カバー糸(30、34)の切断側敷設点と前記切断工具(50)との間の距離が少なくとも0.2mmであることを特徴とする、請求項1~請求項6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
冷却切断される前記横糸は溶融可能ではないことを特徴とする、請求項1~請求項7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記織布(20)が、加熱により切断点の領域に固定されることを特徴とする、請求項1~請求項8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
切断側敷設点に位置する糸の少なくとも1つ、すなわち、切断側敷設点に位置する前記カバー糸又は前記横糸又は前記経糸が熱溶融可能であることを特徴とする、請求項1~請求項9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
前記カバー糸(30、32)が、好ましくは前記織布の下側で、加熱要素によって前記横糸(24)と融着されることを特徴とする、請求項1~請求項10のいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
前記紡織糸の少なくとも1つは、熱溶融接着剤コーティングを備えており、前記ジグザグの構造は、好ましくは前記布構造で使用される糸の融点より低い温度で、加熱要素によって熱接着されることを特徴とする、請求項1~請求項8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項13】
ジグザグに導入された前記カバー糸(30、34)に加えて、更なる送り針によって、更なるカバー糸(70)が、前記ジグザグな糸に接続されることで前記ジグザグな糸のほつれが防止されるように、各布縁(26)に導入されることを特徴とする、請求項1~請求項12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
切断する前に、前記織布(20)が加熱によって切断点の領域に固定され、前記更なるカバー糸(70)が熱溶融可能であることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記更なるカバー糸(70)は、加熱要素によって、好ましくは前記織布の下側で、前記横糸(24)及び/又は前記カバー糸(30、34)と融着されることを特徴とする、請求項13又は請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記更なるカバー糸(70)は、熱溶融接着剤コーティングを備えており、前記ジグザグの構造は、好ましくは前記布構造で使用される糸の融点より低い温度で、加熱要素によって熱接着されることを特徴とする、請求項13~請求項15のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却切断織布片を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的狭い織布片の製造、特に隣り合って敷設しているラベル片の形での織布片の製造のために、最初に広い織布を製造し、その後、個々の、より狭い織布片にこれを切断することが知られており、習慣的である。より広い織布の織りのために、織機にはグリッパ又は空気圧横糸挿入による横糸挿入が使用されるが、原則として針織機も有効に使用され得る。
【0003】
切断端のほつれを防ぐために、例えば、国際公開第2007/030954号で既に提案されているように、単純な冷却切断(換言すれば、冷間切断、常温切断、又はコールドカッティング:cold cutting)の場合、織布片の個別の切断は、従来技術に従って、よく提案されるように、織布材料を溶融することによって、実施される。このプロセスでは、したがって横糸と経糸とが融着し、切断端のほつれを防ぐことができる。従来技術によれば、抵抗線又は加熱線は、通常、切断要素として使用され、時には熱ナイフとしても使用される。最終的に切断中に溶融プロセスを引き起こす超音波による切断も知られている。この点において、ドイツ特許出願公開第2132853号は、従来技術と呼ばれる。このような熱切断縁はスイス特許出願公開第358760号でも提案されており、経糸の1つの代わりに金属線が織られ、織布片の切断時に金属線が電流によって加熱され、それにより横糸がこの場所で溶融する。スイス特許出願公開第358760号のこの実施形態では、横糸がその切断端で融着し、それによって基本的に耐久性のある境界が生成され、縁が融着しているため、上記の欠点があるが、本発明によって回避されるべきであることが不可欠であるように見える。
【0004】
しかし、この方法は、溶融織布材料に起因して、硬くて粗い布縁を生成するという欠点を有し、これは特に衣料の場合、例えば縫い付けラベルの場合、衣服を着ると不快である。
【0005】
従来技術では、織布縁の粗化を最小限に抑え、あるいはその後それを排除しようとした既知の対策がある。ドイツ特許出願公開第2315333号では、融着切断要素が弾性的に配置され、織布に伝達される力に応じてその位置を変化させることが提案されている。切断要素の電気加熱は、次いで、この位置に応じて、制御又は最小化される。ドイツ特許第19510818号は、温度センサとコンパレータを用いて、加熱力を最小限に抑え、できるだけ穏やかな切断端を作り出すために、加熱線の温度を制御することを提案している。また、切断プロセスの直後に部材を押すことで、溶融した切断端を滑らかにすることも提案されている。それにより、圧力は、ばね力によって、又は織布を偏向させることによって適用されるべきである。国際公開第097/13023号、国際公開第098/18995号、及び、国際公開第2004/070103号がここで参照される。また、例えば、ドイツ特許出願公開第3919218号において、融着された布縁は、その後の切断縁の折り畳みによって、いわば「詰められる」ことができることが示唆されている。しかし、上記の方法はすべて、布縁の平滑化に伴い、成功する限り、肥厚した領域を受け入れなければならないという欠点を有する。また、超音波による既知の切断プロセスは、最終的には、上記の欠点を伴う熱切断プロセスである。
【0006】
更に、上記の熱切断プロセスは、経糸と横糸との両方が熱可塑性糸、すなわち熱切断可能な糸で構成されている織布材料に限定される。しかし、これはすべての用途で当てはまるわけではないので、上記のすべての熱切断プロセスは制限的な方法でのみ使用できる。
【0007】
1896年の古い米国特許出願公開第572674号では、織布片の冷却切断が最初に提案され、おそらく既にその時点で織布材料の可能性から生じる。切断端を固定するために、切断端から織布に、織布に何らかの方法で固定することなく、横糸に平行な追加の縁固定糸をスライドさせることが提案されている。固定の欠如のために、それらは例えば洗濯中に機械的応力の下で再び縁から抜け出す可能性があり、通常、布縁に生じる他の応力の下でも同様である。米国特許出願公開第572674号で提案された対策では、挿入された縁固定糸によって切断経路を形成することはできず、望ましい柔らかい縁を形成することもできないことを意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
発明の目的は、織布片の製造プロセスを提案することであり、上記の欠点と制限を考慮して熱切断を省略することができるが、それにもかかわらず、切断端は、米国特許出願公開第572674号とは異なり、柔らかく、ほつれに対して安全である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、これにより請求項1に係る製造プロセスによって達成される。それにより、本発明の対策は、ジグザグパターンの角点を織布に結合することによって、ジグザグ糸を織布に結合することによって、後のほつれを最初から阻止し、更なるステップでは、織布片を冷却ナイフ又は同等の工具で切断するのみという結果を最初に有する。冷却切断の間、織布片の糸は部分的に溶融されないか、又は完全に溶融されない。これは本発明の意味での冷却切断の必須の性質である。
【0010】
本発明の対策は、冷却切断ステップにより又は冷却切断ステップの後に、横糸尾が形成された場合に大幅に改善される。布縁の横糸尾の長さは、2つの隣接するジグザグ構造間の距離、つまりジグザグ構造と切断端(又は切断刃先)との間に緩やかに敷設している経糸の数によって異なる。ベルベットタイプの柔らかい縁は、上記の横糸尾によって達成される。
【0011】
本発明の第1の実施形態では、カバー糸又は効果糸のジグザグ構造と織布の切断端との間に緩く敷設している経糸は、その後簡単に引き抜かれ、それによって横糸尾が形成される。
【0012】
第1の代替実施形態では、記載されたカバー糸の切断側敷設点と切断端(又は切断刃先)との間に位置する経糸は、切断プロセスの前に既に下方に引き抜かれ、それによって横糸尾が形成され、これらの経糸は織りプロセス中に低いシェッド(隙間)に恒久的に維持され、リードと切断工具(切断装置)との間で引き抜きが発生する。
【0013】
本発明の第2の代替実施形態において、記載されたカバー糸の切断側敷設点と切断端(又は切断刃先)との間に位置する経糸は、シェッドの前に既に上方又は下方に引き抜かれ、つまり、それらがまったく織られていないことを意味する。
【0014】
本発明の意味において、特定の用途では、カバー糸を、それらによって結合される経糸が、切断経路が形成され、余分な経糸を引き抜く必要がないが、それにもかかわらず、十分に長い横糸尾が形成されるような強力な方法で横方向に一緒に引っ張られるような高い張力下で挿入することが特に有利である。
【0015】
織機の更に有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0016】
ジグザグ構造が布縁でほつれたり、切断中に切り開いたりするのを防ぐために、横糸尾の長さを短すぎないようにしておくのが有利である。それにより、3~4個の経糸の少なくとも2倍の長さが有利である。
【0017】
また、熱可塑性糸を横糸として、経糸として、また、個々の織布片の意図された縁の領域における個々の経糸として、及び/又はジグザグに敷設された効果糸として使用する場合、冷却切断前に織布を溶融して機械的にそれを固定することが有利であり得る。また、加熱要素によって織布の下側にある横糸とジグザグ糸とを融着させることも有利であり得る。本出願では、特定の応用で有利なプロセスのこの変形のために、すべての糸要素が融解可能である必要はなく、特に経糸やすべての経糸が融解可能である必要はないことを指摘すべきである。更に、これらの有利な実施形態では、熱切断を用いたプロセスとは対照的に、熱可塑性糸は部分的にしか溶融せず、全体的には溶融していないことを指摘すべきである。いずれの場合も、切断ステップ中に糸の部分的又は完全な溶融が存在しない。
【0018】
また、経糸、横糸、及び/又は効果糸において熱溶融接着剤を紡織糸に供給すること、及び、典型的には布構造で使用される糸の融点より低い温度で、加熱要素によってジグザグ構造を熱接着することは、布縁のほつれを更に確実に防止するための追加の対策として有利であり得る。
【0019】
しかしながら、本発明による方法の変形は特に有利であり、ここでは、ジグザグ糸に加えて、ジグザグ糸のほつれを防ぐような方法でジグザグ糸に接続される更なるカバー糸が導入される。この追加のカバー糸(更なるカバー糸)は経糸の方向にほぼ沿って位置し、比較的短い横糸尾であっても、ジグザグ糸が横糸尾から切り離されるのを防止することができる。本発明のこの特に有利な実施形態を、接着又は融着の上記の対策と組み合わせることは勿論可能である。しかし、この対策のみで、既にほつれを防ぐ効果的な手段であることが証明されている。
【0020】
追加のカバー糸(更なるカバー糸)は、勿論熱的に融着可能であるか、又は、熱溶融接着層を備えることもでき、その場合は、上記の熱固定が追加で達成され、その場合、横糸、ジグザグ形状のカバー糸、及び/又は個々の又はいくつかの経糸も、融着可能であるか、又は熱溶融層で結合することができることをここで強調すべきである。
【0021】
本発明に従って使用される前述の要素、及び以下の例示的な実施形態で主張及び記載されたものは、そのサイズ、形状、材料及び技術的設計の使用の観点から除外によって特定の条件を受けず、その結果、適用の各分野で知られている選択基準を制限なく使用することができる。
【0022】
織機の例は、今後、以下を示す図面への参照によってより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】織りプロセスであって、第1の位置に横糸とジグザグ糸とを挿入する図である。
図2】織りプロセスであって、第2の位置に横糸とジグザグ糸とを挿入する図である。
図3】切断プロセスであって、緩い経糸を引き抜く図である。
図4】第1の代替実施形態における切断プロセスであって、切断工具と布縁との間の経糸が織りプロセス全体の間に低いシェッドに残り、切断プロセスとは無関係に下方に引き抜かれる図である。
図5】第2の代替実施形態における切断プロセスであって、切断工具と布縁との間の経糸がシェッドの前に既に上方に引き抜かれている図である。
図6】ジグザグ糸の状況であって、既に横糸尾によって所定の位置に保持されている図である。
図7】ジグザグ糸の状況であって、横糸尾に依存しない追加のカバー糸(更なるカバー糸)によって固定される図である。
図8】カバー糸が高張力下で挿入される実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1図5は、発明の第1の、単純な実施形態を示す。図1に示すように、横糸(緯糸)24は、開いたそれぞれの経糸シェッド28に横糸を横糸ガイド40によって横に挿入し、それによって、実施形態の例では、横糸ガイド40は、(図1には示されていないが)移送グリッパに移動し、したがって、リード10を叩くことによって、ベース織布20を製造する。本発明によれば、ジグザグ状のカバー糸又は効果糸30、34は、複数の送り針又はリードフック34、36によって挿入される。この目的のために、それぞれ公知の方法及び装置の1つが使用される。このようなカバー糸又は有効糸30、34の挿入は、スイス特許出願公開第490541号のその原則に既に記載されている。しかし、本発明の実施形態では、カバー糸又は効果糸30、32は、それらが横糸挿入装置40によって仕上げ縫いされ、それによって織布20に結合されるように、送り針又はリードフック32、36によって上方からシェッド又は経糸シェッド28に導入される。ジグザグパターンの角点を織布に結合することによるジグザグ糸の織布へのこの結合は、後者の最初からのほつれを防ぐ。送り針32、36は、リードビートアップとリード10との間に配置されている。リード10は通常通り頂点で閉じている。代わりに、ジグザグ敷設はまた、国際公開第2011/095262号に記載されているように行うことができ、それにより、送り針は、リードビートアップとリード10との間ではなく、リード10とシェッド形成装置との間に配置され、リード10は、上向きに開いたリード歯を有する。ジグザグ配置を敷設するための例示的な実施形態では、ここに示されている2つの送り針32及び36は、装置全体の例示的なセクションのみを形成し、ここに示されていない別の送り針とともに、図2及び図3に示されているように、前後に横糸挿入方向に及びその反対方向に同期して案内される。
【0025】
図3は、切断工具(切断装置)を更に示している。冷却切断工具(冷却切断装置)50によって、本実施形態では単純な切断ナイフであるが、織材料20は布の領域で離され、複数の織布テープ22に取り出され、図3ではこれら織布テープ22の2つの間の切断面(切断境界)のみが示されていることに留意されたい。例示的な実施形態では、切断プロセスは、切断ナイフ50に面するジグザグ配置の2つの端点間を中心に行う。例示的な実施形態では、それぞれ露出した4つの経糸60は、次にある角度で横に引き抜かれ、その結果、残りの横糸領域が、例示的な実施形態では約1mmの長さである横糸尾25を形成し、これは、一方で、追加のカバー糸30、34が既にほつれを防ぎ、それらは緊張して保持されているためであり、他方で、それぞれの織布片22にベルベットのような仕上げを形成する。
【0026】
第1の代替実施形態では、図4に示すように、切断線と布縁26との間の余分な経糸は、切断工具50とは無関係に下方に引き抜かれ、したがって、横糸尾25を形成する。本実施形態では、これは、これらの経糸が織りプロセス全体の間に低いシェッドに残り、したがって横糸の上を通過することは決してないという事実によって可能となる。プロセスの他のすべてのステップ、特にカバー糸に関連するステップは、第1の実施形態とまったく同じ方法で実行される。
【0027】
第2の代替実施形態では、図5に示すように、切断線と布縁26との間の余分な経糸は、リードの前に既に上方から引き抜かれている。また、切断工具50とは無関係である。それは、それらがまったく結合されないことを意味する。その結果、この例示的な実施形態において、横糸尾が形成される。プロセスの他のすべてのステップ、特にカバー糸に関連するステップは、第1の実施形態とまったく同じ方法で実行される。
【0028】
本発明の好ましい実施形態では、図8に示すように、カバー糸30、34は、それらによって結合された経糸が、切断経路82が形成され、余分な経糸を引き抜く必要がないような強い方法で横方向に領域80に一緒に引っ張られるような高い張力の下で挿入される。結果として生じる切断経路によって、切断工具50が、このように、最も近い経糸から遠く離れることで、最も近い経糸が損傷しないようにすることができる。またこの実施形態では、この横糸尾25は、経糸を一緒に引っ張ることによって形成される。
【0029】
本発明の方法の一実施形態では、使用される複数の糸の少なくとも1つ(これは、カバー糸、横糸又は経糸を意味する)に対して、熱的に固定可能な糸が、布縁の領域で使用され、熱的に固定され、例えば、その表面上でわずかに溶融され、それによって機械的に他の糸と固定される。
【0030】
本発明の拡張実施形態では、カバー糸30、32は、加熱要素によって織布の下側にある横糸と融着される。このプロセスでは、融着可能なカバー糸と横糸と場合により経糸が使用され、融着によって接続されて、よりしっかりした布縁を形成する。それにより、熱切断によって分離が行われる従来技術とは対照的に、糸自体は損傷を受けず、表面上で部分的にしか溶融しないことを強調するべきである。したがって、注意深い処理を行う場合、記載された熱切断の欠点も生じない。
【0031】
本発明の拡張実施形態では、使用されている複数の糸の少なくとも1つについては、熱溶融接着剤が使用され、ジグザグ構造は、糸の融点より低い温度で加熱要素によって布縁の点で熱接着される。この例示的な実施形態では必須ではないが、融着可能な糸が使用される場合がある。
【0032】
図6及び図7では、織布片22の布縁26の更なる固定が示されており、すなわち、図6では、そのような固定がなく、図7では、そのような固定がある。図6に示されるように、布縁26は、カバー糸30、34が、対応する横糸尾25を超えない程度に、切断端(又は切断刃先)に面する側で張力がかけられる程度に固定される。しかしながら、例えば、前述の溶融又は熱接着などの追加の固定手段がなければ、特に不適切な操作による織布テープ22の不注意な取り扱いの場合、ジグザグ糸の個々の端は、横糸尾25上に運ばれ、したがって布縁26が損傷している可能性がある。これは、上記の溶融又は熱接着の対策に加えて、また独立した対策として、更なる送り針で導入される更なるカバー糸70によって防止することができる。この実施形態では、この追加のカバー糸(更なるカバー糸)70は、それぞれのジグザグ糸30又は34が横糸24又は横糸尾25に対して結合され、したがって固定されるという効果を有する。それにより、追加のカバー糸70は、実質的に最後の残りの経糸と最初の緩い経糸60との間の経糸方向に位置し、したがって、布縁26の端を形成する。しかしながら、追加のカバー糸はまた、次いで、ジグザグ配置を採用することができ、必ずしも布縁の端を形成するわけではない。しかしながら、その本質的な機能は、ジグザグ糸30、34が滑り落ちるのを防ぐために、カバー糸30、34と横糸24との間の結合点を更に固定(「結ぶ」)することである。
【符号の説明】
【0033】
10 リード
20 織布
22 織布片
24 横糸
25 横糸尾
26 布縁
28 経糸シェッド
30 第1のカバー糸
32 第1の送り針
34 第2のカバー糸
36 第2の送り針
40 横糸ガイド
50 冷却切断工具
60 切断プロセス後の緩い経糸
70 ジグザグ糸を取り付けるための追加のカバー糸(更なるカバー糸)
80 引っ張られた又は圧縮された経糸の領域
82 切断経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】