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特表2022-527658低温ペロブスカイトシンチレータおよび低温ペロブスカイトシンチレータを有する装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(54)【発明の名称】低温ペロブスカイトシンチレータおよび低温ペロブスカイトシンチレータを有する装置
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/202 20060101AFI20220526BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20220526BHJP
   C09K 11/00 20060101ALI20220526BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20220526BHJP
   C09K 11/66 20060101ALI20220526BHJP
【FI】
G01T1/202
G01T1/20 B
G01T1/20 L
C09K11/00 E
C09K11/06 601
C09K11/66
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560577
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(85)【翻訳文提出日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 IB2020053452
(87)【国際公開番号】W WO2020208606
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】62/831,992
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/843,699
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521443221
【氏名又は名称】サリバ,マイケル
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】サリバ,マイケル
【テーマコード(参考)】
2G188
4H001
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188AA27
2G188BB02
2G188BB04
2G188BB07
2G188CC09
2G188CC18
2G188CC20
2G188CC21
2G188CC23
2G188DD02
2G188DD13
4H001CA01
4H001XA01
4H001XA06
4H001XA07
4H001XA35
4H001XA82
(57)【要約】
開示される実施形態は、低温で作動されるように構成されたペロブスカイトシンチレータ、低温で作動されるように構成されたペロブスカイトシンチレータを有する検出器、低温で作動されるように構成されたペロブスカイトシンチレータを有するスキャナ、ペロブスカイトシンチレータを低温まで冷却する方法、および、低温で作動されるようにペロブスカイトシンチレータを構成する方法を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温で作動するように構成されたペロブスカイトシンチレータを含むことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記ペロブスカイトシンチレータは、有機-無機トリハロゲン化物ペロブスカイト(「OTP」)シンチレータを含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ペロブスカイトシンチレータのタイミング分解能は、10ps以下であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ペロブスカイトシンチレータの光収率は、少なくとも140000ph/MeVであることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ペロブスカイトシンチレータの減衰時間は、1ns以下であることを特徴とする、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
さらに、
前記ペロブスカイトシンチレータを前記低温まで冷却するように構成された冷却システムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記低温は、273K未満であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記低温は、約50~130Kであることを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記低温は、約77Kであることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
さらに、
前記ペロブスカイトシンチレータが封入された封入用材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ペロブスカイトシンチレータは、X線検出器およびガンマ線検出器から選択される検出器の一部として作動するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記ペロブスカイトシンチレータは、PETスキャナおよびCTスキャナから選択されるスキャナの一部として作動するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
検出器であって、
電離放射線源と、
前記電離放射線源から第1の周波数で電離放射線によって照射され、それに応答する光子を第1の周波数よりも低い第2の周波数で放出するように構成された少なくとも1つのペロブスカイトシンチレータであって、ペロブスカイトシンチレータは、さらに、低温で作動するように構成されている、ペロブスカイトシンチレータと、
前記ペロブスカイトシンチレータを前記低温まで冷却するように構成された冷却システムと、
前記ペロブスカイトシンチレータによって放出された光子を検出するように構成された光検出器と、
を含むことを特徴とする、検出器。
【請求項14】
前記電離放射線源は、X線源およびガンマ線源から選択される線源を含むことを特徴とする、請求項13に記載の検出器。
【請求項15】
スキャナであって、
第1の周波数でガンマ光子対によって照射され、それに応答する光子を第1の周波数よりも低い第2の周波数で放出するように構成されたペロブスカイトシンチレータであって、ペロブスカイトシンチレータは、さらに、低温で作動するように構成されている、ペロブスカイトシンチレータと、
前記ペロブスカイトシンチレータを前記低温まで冷却するように構成された冷却システムと、
前記ペロブスカイトシンチレータによって放出された光子を検出するように構成された光検出器と、
を含むことを特徴とする、スキャナ。
【請求項16】
前記光検出器は、冷却温度まで冷却されるように構成されることを特徴とする、請求項15に記載のスキャナ。
【請求項17】
前記冷却温度は、前記低温とは異なることを特徴とする、請求項16に記載のスキャナ。
【請求項18】
前記冷却温度は、前記低温よりも高いことを特徴とする、請求項17に記載のスキャナ。
【請求項19】
前記光検出器は、1,000ps未満の同時分解時間を有することを特徴とする、請求項15に記載のスキャナ。
【請求項20】
前記光検出器は、10ps未満の同時分解時間を有することを特徴とする、請求項19に記載のスキャナ。
【請求項21】
さらに、
前記ペロブスカイトシンチレータに隣接して配置され、電離放射線源から第1の周波数で電離放射線によって照射され、それに応答する光子を前記第1の周波数よりも低い第2の周波数で放出するように構成された少なくとも1つの非ペロブスカイトシンチレータを含み、
前記光検出器は、さらに、前記非ペロブスカイトシンチレータによって放出された光子を検出するように構成されることを特徴とする、請求項15に記載のスキャナ。
【請求項22】
前記非ペロブスカイトシンチレータは、高い原子番号のシンチレータを含むことを特徴とする、請求項21に記載のスキャナ。
【請求項23】
さらに、
複数のペロブスカイトシンチレータと、
複数の非ペロブスカイトシンチレータであって、複数の前記ペロブスカイトシンチレータのうちの単一のものが、複数の前記非ペロブスカイトシンチレータのうちの単一のものに隣接して配置される、非ペロブスカイトシンチレータと、
を含むことを特徴とする、請求項15に記載のスキャナ。
【請求項24】
前記スキャナは、断層撮影スキャナを含むことを特徴とする、請求項15に記載のスキャナ。
【請求項25】
前記断層撮影スキャナは、陽電子放出断層撮影スキャナを含むことを特徴とする、請求項24に記載のスキャナ。
【請求項26】
前記陽電子放出断層撮影スキャナは、飛行時間型陽電子放出断層撮影スキャナを含むことを特徴とする、請求項25に記載のスキャナ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
優先出願の全ての主題は、そのような主題が本明細書と矛盾しない範囲で、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
〔背景〕
シンチレータは、その中に堆積したエネルギーを、比例した数の光子に変換することで、電離放射線を検出する。シンチレータは、我々の周りの大規模な技術的および商業的応用に遍在する。例えば、それらは、物理学、セキュリティースキャナ、または核画像(断層撮影など)のような医学的用途の多くの分野で見出され、それらは典型的には室温で動作する。
【0003】
理想的なシンチレータは、堆積されたエネルギーあたり最大数のシンチレーション光子を放出し、ガンマ量子に対して高い吸光係数(吸収係数)を有し、そのシンチレーション光子に対して狭いタイミングプロファイルを示す。より明るく、より速いシンチレータはより良好なタイミング分解能を促進し、これは、高い精度で初期粒子または放射線相互作用の時間を測定するために重要である。
【0004】
現在、現代のシンチレータの主要な制限は、タイミング分解能である。同時タイミングにおける最新の分解能は、LSO-Ceシンチレータでは73±2ps、LGSO-Ceシンチレータでは80±4psという最低値で、100psの障壁を破壊したばかりである。10psの分解能の目標に向かう主な制限は、シンチレータの低い光収率と長い減衰時間である。現在、この点に関して最良のシンチレータは、16nsの減衰時間および70000ph(ホト)/MeVを示すLaBr-Ceであると考えられている。10ps未満のタイミング分解能を達成するために、少なくとも140000ph/MeVの光収率および1ns以下の減衰時間を有するシンチレータが必要とされる。
【0005】
ペロブスカイト(灰チタン石)は、少なくとも140000ph/MeVの光収率を有するシンチレータとしての適用性を有し得る。しかしながら、現在知られているペロブスカイトシンチレータは、1nsまたはそれより短い減衰時間を有していない。CsPbX(X=Cl、BrまたはI)のようなハイブリッド金属-ハロゲン化物ペロブスカイトは、既知の半導体挙動を示した。さらに、構造欠陥に対する光学的および電子的特性の耐性は、MA=メチルアンモニウム、X=Cl、BrおよびIの一般式MAPbXを有する材料である有機-無機トリハロゲン化物ペロブスカイト(OTP)に基づく固体太陽光発電を、種々の光電子応用に対して魅力的なものにした。具体的には、OTPの高い光ルミネセンス量子収率は、明るい発光装置およびレーザーを可能にし、一方、光露光時の高い電流変換効率は、光検出器としての応用を実証(裏付け)した。太陽光発電OTPはまた、太陽電池研究を刺激してきた。しかしながら、Shockley-Queisser限界のために、太陽光発電ペロブスカイトは典型的には非常に狭いバンドギャップ範囲に適合され、それによって、高品質ペロブスカイトの大部分(特に、より大きなバンドギャップを有するもの)を排除する。
【0006】
OTPに使用される、相応して高い原子番号(Z)を有する、より高い質量の元素、すなわちPb、BrおよびI原子は、良好なX線吸収能力が要求される用途に本質的に適したOTPを作る。さらに、OTPは電荷キャリア(電荷担体)の高い移動度を示し、電荷キャリアを、X線光子の電流への直接変換を通しての放射線検出に最適にする。多結晶MAPbI膜中の光電効果を用いて軟X線(<10keV)が検出されている。硬X線(>100keV)の検出確率(可能性)(probability)を改善することは、吸収長の低下を必要とした。これが、OTP単結晶または厚膜をベースとしたX線検出器の開発を促した。OTP検出器で測定したエネルギースペクトルは、241Amの59.6keVで35%、137Csの662keVで6.5%のエネルギー分解能を示した。
【0007】
したがって、OTPは、電離放射線を検出するための実行可能な候補であり得る。荷電粒子の抽出から生じる制限を回避することが望ましいことが理解されるであろう。直接光子-電流変換を有する光検出器のこの固有の特徴は、2つの基本的な制約を課す。第1に、それは最終的に吸収体の厚さを制限し、したがって、高エネルギー光子に対する変換効率を制限する。第2に、材料中の電荷キャリアの遷移時間は、OTP光検出器の比較的遅い(~100μs)応答時間を指示する。シンチレーション検出器の利点は、材料から荷電粒子を抽出することに依存しないことであることが理解されるであろう。すなわち、光は、励起粒子の放射崩壊の確率に支配される応答時間で結晶吸収体のバルクから検出することができ、これは、(励起子発光の場合と同様に)非常に高速であり得る。
【0008】
完全に無機のペロブスカイトは、シンチレータとしての特性を有し得ることが理解されるであろう。一例として、77KでCsPbX(X=Cl、Br、I)中の自由励起子のナノ秒X線ルミネセンスが観察されたが、室温での光収率は、<500ph/MeVであった。室温でのナノ秒以下(sub-nanosecond)のシンチレーション減衰を層状(階層化)ハイブリッドメタルハライド化合物(C13NHPbIで見出しだしたが、わずか、~6000ph/MeVの光収率であった。層状ペロブスカイト(EDBE)PbCl(EDBE=2,2’-エチレンジオキシ)-ビス(エチルアミン))と(CNHPbBrについて、9000と14000ph/MeVの光収率が報告されている。
【0009】
しかし、10ps未満のタイミング分解能を有する、可能な室温シンチレータとしてOTPを研究しても、少なくとも140000ph/MeVの光収率および1ns以下の減衰時間を有するシンチレータは、現在知られている技術では達成できないままであった。さらに、可能な低温シンチレータとしてのOTPの性能の研究は、全てのOTPに対して、減衰時間が低温で悪くなることを見出した。
【0010】
〔発明の概要〕
開示される実施形態は、低温で作動されるように構成されたペロブスカイトシンチレータ、低温で作動されるように構成されたペロブスカイトシンチレータを有する検出器、低温で作動されるように構成されたペロブスカイトシンチレータを有するスキャナ、ペロブスカイトシンチレータを低温まで冷却する方法、および、低温で作動されるようにペロブスカイトシンチレータを構成する方法を含む。
【0011】
例示的な実施形態では、装置は、低温で作動するように構成されたペロブスカイトシンチレータを含む。
【0012】
別の例示的な実施形態では、検出器は、電離放射線源を含む。ペロブスカイトシンチレータは、前記電離放射線源から第1の周波数で電離放射線によって照射され、それに応答する光子を第1の周波数よりも低い第2の周波数で放出するように構成され、さらに、低温で作動するように構成される。冷却システムは、ペロブスカイトシンチレータを前記低温で冷却するように構成される。光検出器は、前記ペロブスカイトシンチレータによって放出された光子を検出するように構成される。
【0013】
別の例示的な実施形態では、スキャナは、第1の周波数でガンマ光子対によって照射され、それに応答する光子を第1の周波数よりも低い第2の周波数で放出するように構成されたペロブスカイトシンチレータであって、さらに、低温で作動するように構成されている、ペロブスカイトシンチレータを含む。冷却システムは、前記ペロブスカイトシンチレータを前記低温まで冷却するように構成される。光検出器は、前記ペロブスカイトシンチレータによって放出された光子を検出するように構成される。
【0014】
別の例示的な実施形態では、方法は、
ペロブスカイトシンチレータを低温まで冷却するステップと、
冷却したペロブスカイトシンチレータに電離放射線を照射するステップと、
を含む。
【0015】
別の例示的な実施形態では、方法は、低温まで冷却されるようにペロブスカイトシンチレータを構成するステップを含む。
【0016】
前述の概要は、例示的なものにすぎず、決して限定的なものであることを意図するものではない。上述の例示的な態様、実施形態、および特徴に加えて、さらなる態様、実施形態、および特徴は、図面および以下の詳細な説明を参照することによって明らかになるであろう。
【0017】
〔図面の簡単な説明〕
図1Aは、低温で作動するように構成されたペロブスカイトシンチレータのブロック図である。
【0018】
図1Bおよび図1Cは、図1Aのペロブスカイトシンチレータの詳細の斜視図である。
【0019】
図2Aは、低温で作動するように構成された図1Aのペロブスカイトシンチレータを有する例示的な検出器のブロック図である。
【0020】
図2Bは、図2Aの検出器の詳細を示す図である。
【0021】
図3は、低温で作動するように構成された別の例示的なペロブスカイトシンチレータの部分概略形態の側面図である。
【0022】
図4Aは、低温で作動するように構成された図1Aのペロブスカイトシンチレータを有する例示的なスキャナのブロック図である。
【0023】
図4B図4C図4Dは、図4Aのスキャナの詳細を示す図である。
【0024】
図5は、別の例示的なペロブスカイトシンチレータの部分概略形態の側面図である。
【0025】
図6は、様々な温度における例示的なペロブスカイトシンチレータで測定されたX線ルミネセンスを示すグラフである。
【0026】
図7Aおよび図7Bは、例示的なペロブスカイトシンチレータにおける減衰動力学のパラメータの温度依存性を図示するグラフである。
【0027】
図8Aは、ペロブスカイトシンチレータおよびLYSOシンチレータにおける正規化シンチレーション減衰曲線を示すグラフである。
【0028】
図8Bおよび図8Cは、ペロブスカイトシンチレータおよびLYSOシンチレータを用いた光子計数器によって記録された一連のX線パルスのグラフである。
【0029】
図9Aは、ペロブスカイトシンチレータにおけるシンチレーションのスペクトルのパルス高さのグラフである。
【0030】
図9Bは、CsIシンチレータにおけるシンチレーションのスペクトルのパルス高さのグラフである。
【0031】
図10は、種々の結晶についてのシンチレーション光収率を温度に応じて示すグラフである。
【0032】
図11は、CsIシンチレータ、LYSO-Ceシンチレータ、およびペロブスカイトシンチレータにおけるガンマ線の光電吸収のグラフである。
【0033】
異なる図面における同じ記号の使用は典型的には文脈が別段の指示をしない限り、類似または同一の項目を示す。
【0034】
〔詳細な説明〕
以下の詳細な説明では、その一部を形成する添付の図面を参照する。図面において、同様の記号は文脈が別段の指示をしない限り、典型的には同様の構成要素を識別する。詳細な説明、図面、および特許請求の範囲に記載される例示的な実施形態は、限定することを意味しない。本明細書に提示される主題の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施形態を利用することができ、他の変更を行うことができる。
【0035】
概観として、種々の開示される実施形態は、低温で作動されるように構成されたペロブスカイトシンチレータ、低温で作動されるように構成されたペロブスカイトシンチレータを有する検出器、低温で作動されるように構成されたペロブスカイトシンチレータを有するスキャナ、ペロブスカイトシンチレータを低温まで冷却する方法、および、低温で作動されるようにペロブスカイトシンチレータを構成する方法を含む。
【0036】
図1Aを参照すると、様々な実施形態において、例示的なペロブスカイトシンチレータ10は、低温で作動するように構成される。以下に説明するように、従来技術に真っ向から反抗し、低温で作動するように構成されることによって、様々な実施形態では、ペロブスカイトシンチレータ10は、従来技術では達成できなかった光収率と減衰時間との組み合わせを達成することができ得る。
【0037】
ここで、概観を提供したが、限定ではなく例示のみを目的として提供される非限定的な実施例として、詳細を提供する。
【0038】
さらに図1Aを参照すると、様々な実施形態では、ペロブスカイトシンチレータ10は、ペロブスカイトの材料範囲全体を含むことができる。この目的のために、ペロブスカイトシンチレータ10は、例えば、有機-無機トリハロゲン化物ペロブスカイトまたは無機トリハロゲン化物ペロブスカイトなどのペロブスカイトのような任意のペロブスカイトを含むことができるが、これに限定されるものではない。知られているように、ペロブスカイトはAMXの一般的な構造を持っており、ここで、A、MおよびXは以下の通りである。
【0039】
Aは、無機カチオンAiおよび無機カチオンAoを含む。無機カチオンAiは、Li、Na30、K30、Rb、Cs、またはTlから独立して選択され、有機カチオンAoは、アンモニウム(NH )、メチルアンモニウム(MA)(CHNH )、エチルアンモニウム(CHCHNH、ホルムアミジニウム(FA)(CH(NH )、メチルホルムアミジニウム(CHC(NH ),グアニジウム(C((NH) )、テトラメチルアンモニウム((CH)、ジメチルアンモニウム((CHNH )、またはトリメチルアンモニウム((CHNH)から独立して選択される。Aはまた、Au、Ag、またはCuを含んでもよい。
【0040】
Mは、Cu2+、Ni2+、Co2+、Fe2+、Mn2+、Cr2+、Pd2+、Cd2+、Ge2+、Sn2+、Pb2+、Eu2+、Yb2+またはそれらの組み合わせから選択される。Mはまた、AgBiなどの金属混合物を含んでもよい。
【0041】
Xは、Br、I、Cl、SCN、CN、NC、OCN、NCO、NCS、SeCN、TeCN、PF6、BF4またはそれらの組み合わせから独立して選択されるアニオンである。
【0042】
さらに図1Aを参照すると、様々な実施形態において、ペロブスカイトシンチレータ10は、有機-無機トリハロゲン化物ペロブスカイト(「OTP」)シンチレータを含む。いくつかのそのような実施形態では、OTPシンチレータは、MAPbBrシンチレータを含むことができる。他のこのような実施形態では、OTPシンチレータは、MAPbIシンチレータまたはMAPbClシンチレータを含み得る。しかしながら、ペロブスカイトシンチレータ10は、OTPシンチレータまたはMAPbBrシンチレータに限定されないことが理解されるであろう。すなわち、ペロブスカイトシンチレータ10は、上述のようにペロブスカイトの材料範囲全体を含むことができる。
【0043】
様々な実施形態では、ペロブスカイトシンチレータ10のタイミング分解能は、10ps(ピコ秒)以下である(最大で(せいぜい)10psである)。このような実施形態では、ペロブスカイトシンチレータ10の光収率は、少なくとも140000ph/MeVであり、ペロブスカイトシンチレータ10の減衰時間は1ns(ナノ秒)以下である(最大で(せいぜい)1nsである)。極低温までの冷却する機能としてのペロブスカイトシンチレータ10の光収率および減衰時間に関する詳細は、以下にさらに議論される。
【0044】
さらに図1Aを参照すると、様々な実施形態において、冷却システム12は、ペロブスカイトシンチレータを前記低温まで冷却するように構成される。このようないくつかの実施形態では、冷却システム12は、極低温冷却システムを含む。冷却システム12は、必要に応じて任意の適切な極低温冷却システムとすることができる。例えば、冷却システム12は、オランダのSon州のStirling Cryogenicsからの利用可能な適切なStirling Cryogeneratorを含むことができる。極低温冷却システムは周知であり、その結果、開示された主題を理解するために、それらの構造および作動の詳細を提供する必要がないことが理解されるであろう。
【0045】
そのために、様々な実施形態では、前記低温は273K未満である。いくつかのそのような実施形態では前記低温は約50~130Kであり、いくつかのそのような実施形態では前記低温は約77Kである。前述のように、ペロブスカイトシンチレータ10の温度依存性の挙動は、以下でさらに詳細に説明される。
【0046】
上述したように、ペロブスカイトシンチレータ10は、低温で作動するように構成されている。知られているように、ペロブスカイトは吸湿性であり、水分および酸素への曝露は、それらの性能の劣化に寄与し得る。そのために、図1Bおよび図1Cをさらに参照すると、様々な実施形態では、ペロブスカイトシンチレータ10は、封入用材料14内に封入することができる。図1Bおよび図1Cに示すように、封入用材料14は、ペロブスカイトシンチレータ10を適切に封入するのに望ましい任意の方法で配置することができることが理解されるであろう。
【0047】
このようないくつかの実施形態では、封入用材料14は、SiO、Al、SiN、他の酸化物、または他の窒化物などの材料の膜を含むことができる。そのような実施形態では、膜は、化学蒸着(「CVD」)、原子層堆積(「ALD」)、物理蒸着(「PVD」)などの処理によって堆積される薄膜であってもよい。
【0048】
いくつかの他のそのような実施形態では、封入用材料14は、エポキシ樹脂、ポリマー、紫外線硬化性ポリマー、ワックスなどを含むことができる。
【0049】
いくつかの他のそのような実施形態では、封入用材料14は、ガラスを含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、ガラス封入または他の保護層をペロブスカイトシンチレータ10に接着することができる。いくつかの他のそのような実施形態では、ペロブスカイトシンチレータ10は、ガラスバイアル中に封入されてもよい。
【0050】
いくつかの他のそのような実施形態では、封入用材料14は、グラフェン、六方晶窒化ホウ素(h-BN)、MoS2などの2次元材料を含むことができるが、これらに限定されない。
【0051】
いくつかの他のそのような実施形態では、封入用材料14は、水分/酸素ゲッター材料を含むことができる。
【0052】
ペロブスカイトシンチレータ10は、種々の検出器およびスキャナなどの種々の撮像システムでの使用に適していることが理解されるであろう。さらに図2Aを参照すると、様々な実施形態では、ペロブスカイトシンチレータ10は、検出器20の一部として作動するように構成することができる。いくつかの実施形態では、検出器20は、医療用X線検出器、セキュリティX線検出器、製造検査用X線検出器、国土セキュリティ検出器、核カメラなどのX線検出器であってもよいが、これらに限定されないことが理解されるであろう。さらに、いくつかの他の実施形態では、検出器20は、医療用ガンマ線検出器、セキュリティガンマ線検出器、非破壊検査用放射線撮影ガンマ線またはX線検出器、石油工業用ガンマ線検出器などのガンマ線検出器であってもよいが、これらに限定されないことが理解されるであろう。
【0053】
様々な実施形態では、検出器は、電離放射線24の源(source)22を含む。ペロブスカイトシンチレータ10は、電離放射線24の源22から第1の周波数の電離放射線28によって照射されるように構成され、それに応答する光子30を第1の周波数よりも低い第2の周波数で放出(放射、発光)するように構成されている。また、ペロブスカイトシンチレータ10は、さらに、低温で作動するように構成されている。冷却システム12は、ペロブスカイトシンチレータ10を前記低温まで冷却するように構成されている。さらに図2Bを参照すると、光検出器32は、ペロブスカイトシンチレータ10によって放出された光子を検出するように構成されている。
【0054】
検出器20の詳細は、限定ではなく例示として以下に記載される。検出器20は例示的なものであり、X線検出器(例えば、上述したものに限定されない)またはガンマ線検出器(例えば、上述したものに限定されない)を含むことができることが理解されるであろう。
【0055】
適切な源22は、放射線24を電離するように放出する。いくつかの実施形態では、源22はX線発生器であってもよく、電離放射線24は特定の用途に対して所望されるようにX線であってもよい。いくつかの他の実施形態では源22はガンマ線源であってもよく、電離放射線24は特定の用途に望まれるようなガンマ線であってもよい。それにもかかわらず、X線発生器およびガンマ線源は周知であり、それらの構造および動作の詳細は、開示された主題を理解するために必要ではない。
【0056】
加工中の製品(製造工程にある製品(素材)、ワークピース、workpiece)または患者26は、電離放射線24に曝露される。電離放射線26の一部は、加工中の製品または患者26によって吸収される。加工中の製品または患者26によって吸収されない電離放射線28は、加工中の製品または患者26を透過する。加工中の製品または患者26は、検出器20の一部であるとは見なされないことが理解されるであろう。
【0057】
検出器20は、低温で作動するように構成されたペロブスカイトシンチレータ10を含む。ペロブスカイトシンチレータ10は、加工中の製品または患者26を透過する電離放射線28に曝露され、それによって照射される。ペロブスカイトシンチレータ10は、電離放射線28から高エネルギー光子を吸収し、それらを光子30(典型的には可視光周波数範囲)にダウンコンバートし、光子30を放出する。したがって、ペロブスカイトシンチレータ10は、第1の周波数で電離放射線28によって照射され、それに応答する光子30を第1の周波数よりも低い第2の周波数で放出する。ペロブスカイトシンチレータ10は上記で説明されており、温度に関するそれらの性能は、以下でさらに説明される。封入用材料14(図1Bおよび図1C)は、様々な実施形態において存在するが、明確にするために、図2には示されていない。封入用材料14は上述されている。したがって、ペロブスカイトシンチレータ10または封入用材料14の詳細についてのさらなる議論は、検出器20を理解するために必要ではない。
【0058】
冷却システム12は、ペロブスカイトシンチレータ10を前記低温まで冷却するために、ペロブスカイトシンチレータ10に熱的に結合される。冷却システム12および低温については上述した。したがって、冷却システム12の詳細または低温についてのさらなる議論は、検出器20を理解するために必要ではない。
【0059】
光検出器32は、光子30を検出するように構成される。様々な実施形態において、光検出器32は、光電子増倍管、マイクロチャネルプレート光電子増倍管、シリコン光電子増倍管、アバランシェフォトダイオード、テルル化カドミウム亜鉛検出器、単一光子アバランシェダイオード、デジタルシリコン光電子増倍管などを含んでもよい。
【0060】
光検出器の種類に応じて、光検出器32の性能は、冷却によって影響を受ける(増強される、または悪影響を受ける可能性がある)。ペロブスカイトシンチレータ10は前記低温まで冷却されるので、光検出器32は、同じく冷却(異なる温度までかもしれないが)されることによって、これを利用してもよい。したがって、様々な実施形態では、光検出器32は、ペロブスカイトシンチレータ10から熱的に隔離されてもよく、場合によっては加熱されてもよい。したがって、様々な実施形態では、光検出器32は、冷却温度まで冷却されるように構成される。いくつかの実施形態では、前記冷却温度は前記低温とは異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、前記冷却温度は前記低温よりも高くてもよい。
【0061】
様々な実施形態では、光検出器32は、特定の用途に望まれるように、1,000ps(ピコ秒)未満の同時分解時間(coincidence resolving time)を有してもよい。いくつかのそのような実施形態では、光検出器32は、特定の用途に望まれるように、10ps(ピコ秒)未満の同時分解時間を有してもよい。
【0062】
様々な実施形態では、画像処理装置(画像プロセッサ)34が、光検出器32によって出力される信号を受信するように結合され、その信号を処理するように構成される。画像処理装置34は、当技術分野で公知の、任意の適当なコンピュータベースの画像処理装置、画像処理サブシステム、または画像処理システムとすることができる。(X線検出器およびガンマ線検出器のような)検出器のための画像処理装置は当技術分野で周知であり、それらの構成および動作の詳細は、開示された実施形態の理解には必要ではない。
【0063】
さらに図3を参照すると、様々な実施形態では、組み合わされたシンチレータ性能を改善するように、いくつかのシンチレータが組み合わされてもよい。いくつかのそのような実施形態では、検出器20(図2)は、ペロブスカイトシンチレータ10に隣接して配置され、第1の周波数で電離放射線28によって照射され、それに応答する光子を第1の周波数よりも低い第2の周波数で放出するように構成された少なくとも1つの非ペロブスカイトシンチレータ36を含むことができる。そのような実施形態では、光検出器32は、さらに、非ペロブスカイトシンチレータ36によって放出された光子を検出するように構成される。
【0064】
様々な実施形態では、ペロブスカイトシンチレータ10が、BGO、LYSO、LSOなどの他のシンチレータと比較して、かなり低い密度(約3~4.7g cm^3の範囲)および低い原子番号(Z番号)を有することができることが理解されるであろう。さらに、7g cm^3以上の密度が、いくつかの適用に好ましいことがあることが理解されるであろう。周知のように、密度またはZ数(原子番号)は、シンチレータのX線阻止能に直接相関する。したがって、様々な用途において、高い阻止能、またはさもなければ非常に厚い結晶が必要とされる場合があり、これは、用途によっては最適でない場合がある。
【0065】
このような用途に対処するために、様々な実施形態では、ペロブスカイトシンチレータ10を非ペロブスカイト(すなわち高Z)シンチレータ36と組み合わせて、ペロブスカイトシンチレータ10の高速応答および高Zシンチレータ36の高い阻止能を利用して、両方のタイプのシンチレータの利点を潜在的に得ることができる。様々な実施形態では、シンチレータのそのような組み合わせは、ペロブスカイトシンチレータ10および高いZシンチレータ36が互いの上に(または互いに隣り合って)数回、または他のより複雑な構成で積み重ねられてもよいスタックの形態であってもよい。いくつかのそのような実施形態では、検出器20は、ペロブスカイトシンチレータ10および非ペロブスカイトシンチレータ36を含んでもよく、ペロブスカイトシンチレータ10のうちの単一のものが、非ペロブスカイトシンチレータ36のうちの単一のものに隣接して配置される。いくつかのそのような実施形態では、空気(または他の材料)が、光の共有を低減するのを助けるために、交互のシンチレータ10と36との間に配置されてもよい。
【0066】
したがって、いくつかの実施形態では、非ペロブスカイトシンチレータ36は、高い原子番号(高いZ)のシンチレータを含むことができる。いくつかのそのような実施形態では、高い原子番号のシンチレータ36は、ゲルマニウム酸ビスマス、オキシオルトケイ酸ルテチウム、および/またはオキシオルトケイ酸ルテチウム-イットリウムから作製されてもよい。
【0067】
いくつかのそのような実施形態では、ペロブスカイトシンチレータ10および/または非ペロブスカイトシンチレータ36は、プレート、線、正方形、円、および/または粒子などの形態で構成されてもよい。いくつかのそのような実施形態では、一方のシンチレータを他方のシンチレータに埋め込むことができる。いくつかのそのような実施形態では、ペロブスカイトシンチレータ10および/または非ペロブスカイトシンチレータ36は、ゼロ次元(「0D」)、1次元(「1D」)、および/または2次元(「2D」)などのトポロジー空間内で定義することができる。いくつかのそのような実施形態では、ペロブスカイトシンチレータ10および/または非ペロブスカイトシンチレータ36は、ナノロッド、量子ドット、および/またはナノ結晶などの形態で定義することができる。
【0068】
いくつかのそのような実施形態では、検出器20は、ペロブスカイトシンチレータ10および非ペロブスカイトシンチレータ36を含むことができる。そのような実施形態では、ペロブスカイトシンチレータ10のうちの単一のものを、非ペロブスカイトシンチレータ36のうちの単一のものに隣接して配置することができる。(上述のような)異なる種類の非ペロブスカイトシンチレータ36が使用されてもよいことが理解されるであろう。さらに、積み重ね構成は、(図3に示すように)数回繰り返されてもよいことが理解されるであろう。
【0069】
さらに図4Aを参照すると、様々な実施形態では、ペロブスカイトシンチレータ10は、スキャナ40の一部として作動するように構成することができる。いくつかの実施形態では、スキャナ40は、限定はしないが、陽電子放出断層撮影(「ペット」)スキャナ、コンピュータ断層撮影(「CT」)スキャナなどの断層撮影スキャナとすることができる。いくつかの他の実施形態では、スキャナ40は、これに限定されないが、走査型電子顕微鏡、X線粉末回折システム、X線光電子分光器、粒子検出器などのスキャナであってもよい。
【0070】
様々な実施形態では、スキャナ40は、第1の周波数でガンマ光子対(ペア)42Aおよび42Bによって照射され、それに応答する光子30を第1の周波数よりも低い第2の周波数で放出するように構成されたペロブスカイトシンチレータ10を含む。このペロブスカイトシンチレータ10はさらに、低温で作動するように構成されている。冷却システム10は、ペロブスカイトシンチレータ10を前記低温まで冷却するように構成されている。光検出器32は、ペロブスカイトシンチレータ10によって放出された光子30を検出するように構成されている。
【0071】
スキャナ40の詳細は、限定ではなく例示として以下に記載される。スキャナ40は例示的なものであり、上述のスキャナを含むことができるが、これに限定されないことが理解されるであろう。簡潔にするために、スキャナ40に関する詳細は、限定ではなく例示のみの目的で与えられる例示的な断層撮影スキャナ(特に、例示的なPETスキャナ)に関して以下に説明される。ペロブスカイトシンチレータ10、冷却システム12、および光検出器32に関する詳細は上で説明されており、開示された主題の理解のために繰り返す必要はない。
【0072】
さらに図4B図4C、および図4Dを参照すると、様々な実施形態では、放射性トレーサ(図示せず)が患者26の体内に注入される。公知のように、トレーサ同位体は、測定される疾患に特異的な生物学的活性分子に化学的に付着される。放射性トレーサは患者26の体内を循環し、標的細胞(例えば癌性細胞など)上に蓄積する。患者26をPETスキャナ40に挿入する。
【0073】
放射性同位体が陽電子崩壊を受けると、放射性同位体は陽電子44を放出する(図4Bおよび4C)。陽電子44は減速し、最終的に電子46と相互作用する(図4Bおよび4C)。出会いは、陽電子44および電子46の両方を消滅させ、それによって、(図4Bおよび4Cに示されるように)ほぼ反対方向に移動する消滅(ガンマ)光子対42Aおよび42Bを生成する。
【0074】
2つのガンマ光子42Aおよび42Bは、検出器40内のリング48に配置されたペロブスカイトシンチレータ10によって検出される。それらの高エネルギーのため、ガンマ光子42Aおよび42Bは従来の検出器では検出することが困難であり、したがって、ガンマ線42Aおよび42Bの周波数を、光検出器32に適した周波数(典型的には可視周波数範囲)にダウンコンバートするために、ペロブスカイトシンチレータ10が使用される。
【0075】
様々な実施形態では、画像処理装置34が、光検出器32によって出力される信号を受信するように結合され、その信号を処理するように構成される。様々な実施形態において、画像処理装置34は、同時加工ユニット50および画像再構成ユニット52を含む。
【0076】
同時加工ユニット50は、陽電子消滅事象を局所化するように構成される。いくつかの実施形態では、同時加工ユニット50は、同時の直線(応答線(line of response)または「LOR」とも呼ばれる)に沿って陽電子消滅事象の発生源を局所化するように構成されてもよい。ペロブスカイトシンチレータ10の分解時間が500ピコ秒未満である実施形態では、陽電子消滅事象を翼弦(chord)のセグメント(その長さはペロブスカイトシンチレータ10のタイミング分解能によって決まる)に局所化することが可能であり得る。タイミング分解能が改善されるにつれて、画像の信号対雑音比(SNR)が改善され、それによって、同じ画質を達成するのに必要な陽電子消滅事象が少なくなることが理解されるであろう。
【0077】
他のいくつかの実施形態では、同時加工ユニット50は、ガンマ光子42Aおよび42Bの到着時刻の測定された差を用いて、応答線に沿った陽電子消滅事象のおよその位置を決定するように構成されてもよい。このような局所化は、飛行時間型陽電子放出断層撮影(「TOF-PET」)と呼ばれる。知られているように、TOF-PETは画質を改善するのに役立つことができ、画像取得時間を短縮するのに役立つことができる。
【0078】
TOF-ペットは、シンチレータ減衰時間が最大で約3ns(ナノ秒)であるシステムにおいて可能にすることができる。ペロブスカイトシンチレータ10が低温に冷却され、減衰時間が最大で1nsである実施形態は、TOF-PET適用に適していることが理解されるであろう。TOF-PET用途における光検出器の同時分解時間は数百ps(ピコ秒)のオーダーであるべきであり、より望ましくは、1桁psの範囲であるべきであることが理解されるであろう。
【0079】
それぞれのペロブスカイトシンチレータ10における光子42Aおよび42Bの到着時刻の間の推定飛行時間差(Δt)は、応答線上の陽電子消滅事象の(ある確率での)局所化を可能にすることができる。応答線上の陽電子消滅事象の位置のリング48の起点までの距離Δxは、
【0080】
【数1】
【0081】
の関係に応じて飛行時間差Δtに比例し、ここで、cは光速である。
【0082】
様々な実施形態では、画像再構成ユニット52がデータを前処理し、投影から画像を再構成するように構成することができる。様々な実施形態では、画像再構成ユニット52は、フィルタ逆投影、統計的、尤度ベースの反復期待値最大化アルゴリズム(Shepp-Vardiアルゴリズムなどであるが、これに限定されない)、ポアソン尤度関数および適切な事前確率(例えば、ウェーブレットまたは他の領域におけるl1ベースの正則化につながる全変動正則化またはラプラシアン分布につながる前の平滑化)に関係するベイズ法、例えばGrenanderのSieve推定器またはBayesペナルティ法またはGoodの粗さ法などを介するなど、所望の適切な技法を使用して画像を再構成するように構成され得る。
【0083】
シンチレータの分解能は、シンチレータの厚さによって制限され得ることが理解されるであろう。さらに図5を参照すると、ガンマ線光子42(42Aまたは42Bのいずれか)がペロブスカイトシンチレータ10に当たり、光子30の放出を引き起こす。しかし、ペロブスカイトシンチレータ10のどこでガンマ線光子42がペロブスカイトシンチレータ10の原子に当たるかについての不確実性がある。場合によっては、この不確実性は、次の関係
Δt=H/c
によって与えられるシンチレータ制限厚さ分解能(限界厚さ分解能)(limited-thickness resolution)を引き起こすことがあり、
ここで、
Δtはシンチレータ制限厚さ分解能であり、
Hはシンチレータの厚さであり、
cは光の速度である。
【0084】
様々な実施形態では、このシンチレータ制限厚さ分解能は、複数の光検出器32の使用によって分解される。このようないくつかの実施形態では、1つの光検出器32がペロブスカイトシンチレータ10の一方の側(上部など)に配置され、別の光検出器32はペロブスカイトシンチレータ10の他方の側(下部など)に配置される。したがって、2つの光検出器32を使用することによって、シンチレーション事象の位置を分解することができ、この不確実性を低減することができる。
【0085】
温度に応じてのペロブスカイトシンチレータ10の性能(減衰時間や光収率など)に関する詳細を以下に説明する。簡単に言えば、より低い極低温(液体窒素の温度に近い温度以下など)では、ペロブスカイト結晶は、高い信号出力および迅速な応答時間に関してシンチレーション特性を示すことができる。ペロブスカイトシンチレータのこれらのシンチレーション特性を、多光子計数技術を用いてこのような温度で測定した(具体的には、シンクロトロン放射からのパルス単色14keVのX線を用いてシンチレーション時定数を決定した)。
【0086】
最初の所見として、バンドギャップからの独立性により、シンチレータでの使用のために、ペロブスカイトの全材料範囲を考慮してもよい。知られているように、シンチレータは、そのバンドギャップをはるかに超える高エネルギー放射線を吸収し、次いで光子を放出する。したがって、(それゆえ狭い範囲のペロブスカイトに限定される太陽電池に必要とされる)バンドギャップ調整は、シンチレータには必要とされない。その結果、バンドギャップに関係なく、ペロブスカイトの全材料範囲をシンチレーションのために開くことができる。
【0087】
もう1つの最初の所見として、ペロブスカイトは、高い原子番号(高いZ)を有する元素、例えば、Cs、Pb、I、またはBを含む。断面積、したがってシンチレーションがZと共に増加するので、この高い原子番号はペロブスカイトを魅力的なシンチレーション材料として提供するのに役立つことができる。
【0088】
低温でのペロブスカイトシンチレータの性能を調べたところ、50~130Kで、MAPbBr結晶は高速で強いシンチレーション応答を示し、高速(τ)減衰成分および低速(τ)減衰成分はそれぞれ0.1および1nsに達することが分かった。MAPbBrの光収率は、77Kで90000±18000ph/MeV、8Kで116000±23000ph/MeVと推定された。
【0089】
MAPbBr結晶のシンチレーションの光収率と減衰時間を8~295Kで調べた。極低温では、ペロブスカイト結晶は高い光収率(>100000ph/MeV)とナノ秒以下の減衰時間を示すことが分かった。この発見は、極低温でのシンチレーション検出器の高速タイミングに依存する検出器応用のためのOTPの可能性を実証するものであった。タイミング特性の測定にはシンクロトロン放射を用い、極低温でのシンチレーション光収率の測定には多光子計数技術を用いた。
【0090】
さらに図6を参照すると、X線(E=14keVにおけるシンクロトロン放射の50psパルス)で励起された場合、MAPbBrは、顕著な温度依存性を有して560nmにピークを有する狭い近端放出バンドを示すことが見出された。MAPbBr結晶のシンチレーション動力学を、パルスX線を用いて8~295Kの広い温度範囲にわたり研究した。シンチレーション減衰曲線は、電荷キャリアの二分子再結合を示す、高速で、非指数関数的な動力学を示すことが見出された。
【0091】
MAPbBr結晶の測定されたシンチレーション減衰曲線の主な特徴、および、大部分のシンチレーション材料に共通な特徴は、温度低下に伴う減衰時定数の増大であった。MAPbBr結晶を冷やすと、バックグラウンドが増加することが観察された。さらに、シンチレーションパルスの振幅は最初冷却と共に増加したが、温度が50K未満に低下すると減少し始めた。プロットを調べると、MAPbBr中のシンチレーションパルスも低温で著しい形状の変化を受けること、すなわち、バックグラウンドの部分的(分数的)(fractional)寄与が急速に増加し、減衰曲線のうちの長い成分がより顕著になることが明らかになった。これらの特徴は、再結合の動力学(dynamics)における減速を示す。
【0092】
さらに図7Aおよび7Bを参照すると、これらの特性および傾向のより定量的な比較のために、測定された減衰曲線は指数関数の和
【0093】
【数2】
【0094】
に当てはめられ(適合)(fit)、ここで、Aは振幅であり、τは減衰時定数であり、yはバックグラウンドである。図7Aおよび7Bに示すように、MAPbBrの減衰動力学の温度依存性を、温度に対する振幅(図7A)および温度に対する減衰時間(図7B)に当てはめた。τ=f(T)依存性の最良の当てはめは、次のパラメータで発見された:τ=1.6±0.5ns、K=39±11×10-1、ΔE=6.4±0.5meV、τ=52.4±0.2ns、K=18±3×10-1、および、ΔE=13.3±0.3meV。当てはめの質は、2指数関数の当てはめと3指数関数の当てはめの間でほんのわずかに異なっていた。測定された減衰曲線を適切に表現するには、2つの指数関数および一定のバックグラウンドで十分であった。
【0095】
プロットを分析し、結晶のルミネセンス動力学の温度展開のさらなる詳細を明らかにした。減衰時間対温度依存性から導くことができるように、結晶中の高速減衰時定数および低速減衰時定数は、T>50Kで約0.1nsおよび1nsである。これは、77K以上のMAPbBrの光ルミネセンス減衰研究からの結果とよく相関する。より低い温度に冷やすと、MAPbBr中のルミネセンス動力学の減衰速度は急峻な変化を示し、それによって、減衰時定数が著しく増加し、その結果、T=8Kでτ=2ns、τ=50nsとなる。高速成分の振幅と低速成分の振幅は、最初冷却と共に増加し、40K未満で減少し始める。特に、高速成分の振幅は、約5倍分低下する。同時に、バックグラウンドyの振幅は、冷却と共に定常的な上昇を示し、それによってT=8Kでの高速成分の振幅に匹敵するようになった。このことは、この温度では、放射動力学は、電荷キャリアの捕獲(トラッピング)(trapping)と放出によるゆっくりした再結合過程に支配されていることを示している。この効果は、シンチレータの時間的応答に有害な影響を及ぼす残光を引き起こす。
【0096】
T>60Kで重要なことは、放射崩壊では、シンチレーションの高速成分と低速成分とが支配的であるが、バックグラウンドの部分的寄与が1%を越えないことである。これは、より高温では結晶からのシンチレーション応答の主要な部分(画分、断片、割合)(fraction)が、(励起パルスに続いて)ナノ秒の時間隔にわたって放出されることを意味する。これは、後述するシンチレーション光収率の測定によってさらに支持される。MAPbBrのシンチレーション応答は、そのシンチレーション応答とLYSO-Ceシンチレータのシンチレーション応答とを比較することによって、図8Aに示されている。正規化(規格化)シンチレーション減衰曲線は、LYSO-Ce(T=292K、曲線56)と比較して、MAPbBrの14keVのX線パルス(T=77K、曲線54)による励起で観察された。別の実施例が図8Bおよび8Cに示されており、これらは、MAPbBrおよびLYSO-Ceによって検出されるようなシンクロトロンからのX線パルスの配列(FWHM=60ps、インターバルΔt=2ns)を示す。<正規化シンチレーション減衰曲線は、LYSO-Ce(T=292K、曲線60)と比較して、MAPbBrの14keVのX線パルス(T=77K、曲線58)による励起で観察された。図8Aおよび図8Bから、ナノ秒以下の減衰時間を示すMAPbBr結晶のタイミング性能が、LYSO-Ceに比べて優れていることが明らかである。後者は、33nsの減衰時定数を示し、高速タイミングに依存する同時タイミング分解能における最良の結果の1つの例を提供する。
【0097】
MAPbX(X=BrおよびI)のルミネセンス特性に関する多くの研究が広い温度範囲にわたって行われ、室温では自由電荷キャリアが優勢であり、一方、低温では励起子が安定であることが証明された。高エネルギー励起では、熱化された電子および正孔は自由励起子を形成し、これは次に欠陥または不純物と相互作用することができる。低温でのOTPで観測された小さなStokesシフトをもつ狭いルミネセンスバンドは、自由励起子と結合励起子とに起因する。ルミネセンスは低温では非常に明るいが、顕著な熱消光を示す。これは、励起子結合エネルギーが数十meVであり、温度の上昇が解離を引き起こすためである。励起子放出のさらに他の固有の特徴は、高速減衰動力学である。自由励起子は迅速に放出し、一方、欠陥または不純物部位に捕獲された励起は、デトラッピング(de-trapping)によって、よりゆっくりと再結合する。その結果、低温での結晶中のシンチレーション機構は、高速放出成分と低速放出成分とを与える二つの主要な処理によって制御される。高速減衰成分は自由励起子の放射崩壊に対応するが、低速放出成分は、トラップから放出された電子と正孔の放射崩壊に起因する。
【0098】
両チャネルにおけるルミネセンス減衰の観測された温度依存性は、放出中心の励起状態と基底状態との間の放射遷移と非放射遷移の動力学を考慮することにより、簡単な定量モデルの枠内で説明できる。このモデルに関して、測定された遷移速度(ルミネセンス減衰定数τの逆数)は、放射速度(K)および非放射速度(Knr)の和として決定することができる:
【0099】
【数3】
【0100】
温度による減衰時間の変化は、非放射崩壊をもたらすエネルギー障壁上の励起粒子の熱的に促進された移動を通した、励起状態のデポピュレーション(過疎化)(depopulation)の過程に起因する。非放射過程に関連した速度は強い温度依存性を示し、したがって、温度によって、非放射崩壊の変動を制御する:
【0101】
【数4】
【0102】
ここで、Kは非放射崩壊の確率であり、ΔEは非放射遷移の活性化エネルギーであり、kはボルツマン定数である。(2)を(1)に代入すると、古典式が得られる:
【0103】
【数5】
【0104】
この式を用いて、実験結果(図7Aおよび図7B参照)が当てはめられ、この実験結果は8~80Kの低温域にわたるτ=f(T)依存性をうまく記述することが分かった。この依存性から、これらの温度では、自由励起子と結合励起子の放射崩壊は熱活性化過程によって制御されることが分かった。しかし、より高温では、孤立した放出チャネルの仮定に基づくモデルがもはや妥当でないことを証明する、モデルと実験結果との間の不一致が見られた。この不一致は、より高温では、励起子が解離し始めて電子-正孔対が再結合なしに捕獲部位を脱出することができるときに、異なる放射崩壊チャネル間で粒子が交換する確率があると説明できる、期待される観測であると仮定される。言い換えれば、自由励起子と結合励起子との再結合は、ルミネセンス減衰の両方の放出成分に寄与し得る。この効果は、光励起においても観測される、加熱に伴う減衰時定数の増加によって顕在化する。OPT結晶は非常に低いトラップ密度を有することを指摘する価値がある。その結果、放射崩壊は、励起状態の応力緩和のための支配的なチャネルである。これは、熱消光が抑制されたときの低温での非常に高い光度(明度)(luminosity)の一つの主な原因である。
【0105】
さらに、シンチレータとしてのMAPbBrの性能を評価するために、MAPbBr中のα粒子によって誘起された一連のエネルギースペクトルを、温度に応じて研究した。図9Aおよび図9Bは、50KでのMAPbBr結晶(図9A)によっておよび50KでのCsI結晶(図9B)によって、241Am源によって放出された5.5MeVのα粒子の検出に起因する、ガウス形を有するピークを特徴とする、50Kで測定されたパルス高さスペクトルを示す。光電子増倍管のスペクトル応答を修正する前に、50KでのMAPbBrと50KでのCsIとの241Amからα粒子相互作用によって励起されたシンチレーションのパルス高さのスペクトル分布は、ガウス分布によって当てはめられたα粒子によるシンチレーション応答を意味する。
【0106】
ピーク中心の位置は結晶のシンチレーション応答の振幅に比例するので、異なる温度でのシンチレーション光出力の尺度としてピーク中心の位置を用いることができることが理解されるであろう。図10に示すように、MAPbBr結晶のシンチレーション光出力の変化を(CsIおよびLYSO-Ceと共に)示す。結晶を180K未満に冷却すると、明瞭に測定可能なシンチレーション応答を検出できた。MAPbBrのシンチレーション効率は、温度が低下するにつれて、次第に増加し、70Kでプラトーに達する。T>60Kでは、データ収集システムによって記録された個々のシンチレーション事象は、100ナノ秒以内に減衰する非常に短く強いピークを示す。このピークは、α粒子による励起後、短時間の初期間隔で到達する多くのシンチレーション光子の重複によって生じる。したがって、これらの温度では、高速放出のみがシンチレーション信号に寄与する。温度が30K未満に下がると、約20%の光出力の増加が観測される。この上昇は、非常に低い温度で観察される残光の部分的寄与の急速な増加と相関する。
【0107】
また、温度が50K未満に低下すると、遅延信号が現れ、この遅延信号が、個々のシンチレーション事象を記録するために使用される1.6ms(ミリ秒)の時間窓全体にわたって分配されることにも留意されたい。この遅延信号は、この温度範囲にわたって観測された追加の放出増強の原因である。これは、熱ルミネセンスデータから確立されるように、10~90meVの活性化エネルギーを有する浅いトラップによって放出される電荷の放射再結合のプロセスによるものである。
【0108】
50~150Kの温度範囲にわたってMAPbBr結晶が高速のシンチレーションを示すことを実証し、理論的推定値を考慮して、基準として市販のCsIシンチレータおよびLYSO-Ceシンチレータを使用して、シンチレーション光収率を評価した。知られているように、このような評価では、研究中の結晶とあまり異ならない特性を有する基準シンチレータを使用することが好ましい。ドープされていないCsIは77Kで~100000ph/MeVの非常に高い光出力を有し、強い温度依存性を示すが、減衰時間は比較的長い(77Kで~1μs)。LYSO-Ceはその高い光収率(34000ph/MeV)および高速の減衰時間のために知られており、両方とも、冷却によってほんのわずかしか変化しない。本研究で使用した実験装置の集光効率は主に、一定パラメータである幾何学的因子によって決定した。浸透深さ(penetration depth)が低いため、α粒子のエネルギーは薄い試料によって完全に吸収され、したがって、放出重み付き(加重)(weighted)スペクトル感度ελの差について補正したペロブスカイト結晶および基準シンチレータの測定光出力を比較することによって、シンチレーション光収率を評価することができた。
【0109】
次に、図10を参照し、シンチレータの光出力が温度に応じてプロットされる。MAPbBr、CsIおよびLYSO-Ce結晶の放出スペクトルを図10に示し、放出重み付き感度ελの計算に使用した光電子増倍管の量子感度を図10の挿入図に示す。241Amからの5.5MeVのα粒子による励起について、MAPbBr結晶に対する温度に応じてのシンチレーション光収率(正方形)を、測定した。プロットはまた、既知の光収率を有する市販のCsIシンチレータ(三角形)およびLYSO-Ceシンチレータ(円)の測定値との比較も示す。挿入図は、CsI(T=77K)、LYSO-Ce(T=295K)、およびMAPbBr(T=10K)の正規化放出スペクトルを示す。点線は、シンチレーション光収率の測定に使用される光電子増倍管9124Aの正規化された量子感度である。
【0110】
77Kで100000ph/MeVに等しいCsIの光収率をとると、MAPbBrの光収率は、77Kで90000ph/MeVに等しく、T=8Kで116000ph/MeVに等しいことが決定された。一方、LYSO-Ceを測定したところ、T=8Kまで冷却すると、シンチレーション光収率が40500ph/MeVに増加し、それによってこの温度で110000ph/MeVに等しいMAPbBrの光収率が得られることが分かった。推定値は、ελの不確実性およびパルス高さスペクトルの重心の決定の不確実性に起因する比較的大きな誤差±20%にもかかわらず、非常に良好に相関する。これらの値の有意性は、現代の最良のシンチレータの特性と比較した場合、完全に理解することができる(表1参照)。
【0111】
【表1】
【0112】
MAPbBrパラメータを市販のシンチレータと比較すると、OTPは非常に有望なシンチレーション材料であることが分かる。特に注目すべきは、光収率と減衰時間の比率として計算される高い初期光子密度であり、これは、シンチレータ検出器のタイミング精度を決定する最も重要なパラメータである。ピーク付近の光子の密度が高いほど、相互作用の時間を決定する上でより高い精度が可能になる。控えめに評価して、このパラメータが、現代の最良のシンチレータLaBr-Ceと比較してMAPbBrにおいて20倍高いことが示された。文献で論じられている極低温での高速シンチレーションを有する他の材料がいくつかあるが(ZnO、PbI、HgI)、光収率の低さが主要な限界であることに留意されたい。吸光係数の光電部分によって定義されるMAPbBrの阻止能は他のシンチレータに比べて非常に競争力があり、2つの材料のみが、より高い値を示す。さらに図11を参照し、CsI、LYSO-Ce、およびMAPbBrにおけるガンマ線の光電吸収のエネルギー依存性が示されている。データはXCOM web-toolを用いて算出した。
【0113】
要約すれば、MAPbBr結晶の減衰時間および光出力を、X線および粒子励起を用いて、8K以上の温度で測定した。シンチレーション検出器の鍵となる特性である、高速で強力なシンチレーション応答が見出された。77Kでは、減衰の高速成分と低速成分はそれぞれ~0.1nsと1nsであった。MAPbBrの光収率は、77Kで90000±18000ph/MeV、8Kで116000±23000ph/MeVと推定された。OTP結晶の高度なシンチレーション特性は、液体窒素ベースの冷凍システムによって容易に達成することができる、100Kをわずかに下回る温度までの中程度の冷却でさえ達成されたことが理解されるであろう。低温学の現代的な発展は、乾式極低温システムを用いて、これらの温度をもアクセス可能にし、一方で、CMOSシリコン光検出器の進歩により、これらの温度における単一光子の信頼できる検出が可能になった。
【0114】
本明細書に記載される主題の態様は、以下の番号付けされた条項に記載される:
1.
低温で作動するように構成されたペロブスカイトシンチレータを含むことを特徴とする、装置。
2.
前記ペロブスカイトシンチレータは、有機-無機トリハロゲン化物ペロブスカイト(「OTP」)シンチレータを含むことを特徴とする、条項1に記載の装置。
3.
前記OTPシンチレータは、MAPbBrシンチレータを含むことを特徴とする、条項2に記載の装置。
4.
前記ペロブスカイトシンチレータのタイミング分解能は、10ps(ピコ秒)以下である(最大で10psである)ことを特徴とする、条項1に記載の装置。
5.
前記ペロブスカイトシンチレータの光収率は、少なくとも140000ph/MeVであることを特徴とする、条項4に記載の装置。
6.
前記ペロブスカイトシンチレータの減衰時間は、1ns(ナノ秒)以下である(最大で1nsである)であることを特徴とする、条項4に記載の装置。
7.
さらに、
前記ペロブスカイトシンチレータを前記低温まで冷却するように構成された冷却システムを含むことを特徴とする、条項1に記載の装置。
8.
前記冷却システムは、極低温冷却システムを含むことを特徴とする、条項7に記載の装置。
9.
前記低温は、273K未満であることを特徴とする、条項1に記載の装置。
10.
前記低温は、約50~130Kであることを特徴とする、条項9に記載の装置。
11.
前記低温は、約77Kであることを特徴とする、条項10に記載の装置。
12.
さらに、
前記ペロブスカイトシンチレータが封入された封入用材料を含むことを特徴とする、条項1に記載の装置。
13.
前記封入用材料は、エポキシ樹脂、ポリマー、紫外線硬化性ポリマー、ワックス、ガラス、2次元材料、水分/酸素ゲッター材料、および、SiO、Al、SiN、酸化物および窒化物から選択される材料の膜から選択される材料を含むことを特徴とする、条項12に記載の装置。
14.
前記ペロブスカイトシンチレータは、X線検出器の一部として作動するように構成されることを特徴とする、条項1に記載の装置。
15.
前記X線検出器は、医療用X線検出器、セキュリティ用X線検出器、製造検査用X線検出器、国土セキュリティ検出器、および核カメラから選択される検出器を含むことを特徴とする、条項14に記載の装置。
16.
前記ペロブスカイトシンチレータは、スキャナの一部として作動するように構成されることを特徴とする、条項1に記載の装置。
17.
前記スキャナは、PETスキャナおよびCTスキャナから選択されるスキャナを含むことを特徴とする、条項16に記載の装置。
18.
前記スキャナは、走査型電子顕微鏡、X線粉末回折システム、X線光電子分光器、および粒子検出器から選択されるスキャナを含むことを特徴とする、条項16に記載の装置。
19.
前記ペロブスカイトシンチレータは、ガンマ線検出器の一部として作動するように構成されることを特徴とする、条項1に記載の装置。
20.
前記ガンマ線検出器は、医療用ガンマ線検出器、セキュリティガンマ線検出器、非破壊検査用放射線撮影ガンマ線検出器、および石油工業用ガンマ線検出器から選択される検出器を含むことを特徴とする、条項19に記載の装置。
21.
検出器であって、
電離放射線源と、
前記電離放射線源から第1の周波数で電離放射線によって照射され、それに応答する光子を第1の周波数よりも低い第2の周波数で放出するように構成された少なくとも1つのペロブスカイトシンチレータであって、ペロブスカイトシンチレータは、さらに、低温で作動するように構成されている、ペロブスカイトシンチレータと、
前記ペロブスカイトシンチレータを前記低温まで冷却するように構成された冷却システムと、
前記ペロブスカイトシンチレータによって放出された光子を検出するように構成された光検出器と、
を含むことを特徴とする、検出器。
22.
前記電離放射線源は、X線源を含むことを特徴とする、条項21に記載の検出器。
23.
前記電離放射線源は、ガンマ線源を含むことを特徴とする、条項21に記載の検出器。
24.
前記ペロブスカイトシンチレータは、有機-無機トリハロゲン化物ペロブスカイト(「OTP」)シンチレータを含むことを特徴とする、条項21記載の検出器。
25.
前記OTPシンチレータは、MAPbBrシンチレータを含むことを特徴とする、条項24に記載の検出器。
26.
前記ペロブスカイトシンチレータのタイミング分解能は、10ps(ピコ秒)以下である(最大で10psである)ことを特徴とする、条項21に記載の検出器。
27.
前記ペロブスカイトシンチレータの光収率は、少なくとも140000ph/MeVであることを特徴とする、条項26に記載の検出器。
28.
前記ペロブスカイトシンチレータの減衰時間は、1ns(ナノ秒)以下である(最大で1nsである)ことを特徴とする、条項26に記載の検出器。
29.
前記冷却システムは、極低温冷却システムを含むことを特徴とする、条項21に記載の検出器。
30.
前記低温は、273K未満であることを特徴とする、条項21に記載の検出器。
31.
前記低温は、約50~130Kであることを特徴とする、条項30に記載の検出器。
32.
前記低温は、約77Kであることを特徴とする、条項31に記載の検出器。
33.
さらに、
前記ペロブスカイトシンチレータが封入された封入用材料を含むことを特徴とする、条項21に記載の検出器。
34.
エポキシ樹脂、ポリマー、紫外線硬化性ポリマー、ワックス、ガラス、2次元材料、水分/酸素ゲッター材料、および、SiO、Al、SiN、酸化物および窒化物から選択される材料の膜から選択される材料を含むことを特徴とする、条項33に記載の検出器。
35.
前記光検出器は、光電子増倍管、マイクロチャネルプレート光電子増倍管、シリコン光電子増倍管、アバランシェフォトダイオード、テルル化カドミウム亜鉛検出器、単一光子アバランシェダイオード、およびデジタルシリコン光電子増倍管から選択される光検出器を含むことを特徴とする、条項21に記載の検出器。
36.
前記光検出器は、冷却温度に冷却されるように構成されることを特徴とする、条項21に記載の検出器。
37.
前記冷却温度は、前記低温とは異なることを特徴とする、条項36に記載の検出器。
38.
前記冷却温度は、前記低温よりも高いことを特徴とする、条項37に記載の検出器。
39.
前記光検出器は、1,000ps(ピコ秒)未満の同時分解時間を有することを特徴とする、条項21に記載の検出器。
40.
前記光検出器は、10ps(ピコ秒)未満の同時分解時間を有することを特徴とする、条項39に記載の検出器。
41.
さらに、
前記ペロブスカイトシンチレータに隣接して配置され、電離放射線源から第1の周波数で電離放射線によって照射され、それに応答する光子を前記第1の周波数よりも低い第2の周波数で放出するように構成された少なくとも1つの非ペロブスカイトシンチレータを含み、
前記光検出器は、さらに、前記非ペロブスカイトシンチレータによって放出された光子を検出するように構成されることを特徴とする、条項21に記載の検出器。
42.
前記非ペロブスカイトシンチレータは、高い原子番号のシンチレータを含むことを特徴とする、条項41に記載の検出器。
43.
前記高い原子番号のシンチレータは、ゲルマニウム酸ビスマス、オキシオルトケイ酸ルテチウム、およびオキシオルトケイ酸ルテチウム-イットリウムから選択される材料から作製される少なくとも1つのシンチレータを含むことを特徴とする、条項42に記載の検出器。
44.
前記ペロブスカイトシンチレータおよび前記非ペロブスカイトシンチレータから選択される少なくとも1つのシンチレータは、プレート、線、正方形、円、および粒子から選択される形態で構成されることを特徴とする、条項41に記載の検出器。
45.
前記ペロブスカイトシンチレータおよび前記非ペロブスカイトシンチレータから選択される少なくとも1つのシンチレータは、ゼロ次元、1次元、および2次元から選択されるトポロジー空間内に定義されることを特徴とする、条項41に記載の検出器。
46.
前記ペロブスカイトシンチレータおよび前記非ペロブスカイトシンチレータから選択される少なくとも1つのシンチレータは、ナノロッド、量子ドット、およびナノ結晶から選択される形態で定義されることを特徴とする、条項41に記載の検出器。
47.
さらに、
複数のペロブスカイトシンチレータと、
複数の非ペロブスカイトシンチレータであって、複数の前記ペロブスカイトシンチレータのうちの単一のものが、複数の前記非ペロブスカイトシンチレータのうちの単一のものに隣接して配置される、非ペロブスカイトシンチレータと、
を含むことを特徴とする、条項41に記載の検出器。
48.
スキャナであって、
第1の周波数でガンマ光子対によって照射され、それに応答する光子を第1の周波数よりも低い第2の周波数で放出するように構成されたペロブスカイトシンチレータであって、ペロブスカイトシンチレータは、さらに、低温で作動するように構成されている、ペロブスカイトシンチレータと、
前記ペロブスカイトシンチレータを前記低温まで冷却するように構成された冷却システムと、
前記ペロブスカイトシンチレータによって放出された光子を検出するように構成された光検出器と、
を含むことを特徴とする、スキャナ。
49.
前記ペロブスカイトシンチレータは、有機-無機トリハロゲン化物ペロブスカイト(「OTP」)シンチレータを含むことを特徴とする、条項48に記載のスキャナ。
50.
前記OTPシンチレータは、MAPbBrシンチレータを含むことを特徴とする、条項49に記載のスキャナ。
51.
前記ペロブスカイトシンチレータのタイミング分解能は、10ps(ピコ秒)以下である(最大で10psである)ことを特徴とする、条項48に記載のスキャナ。
52.
前記ペロブスカイトシンチレータの光収率は、少なくとも140000ph/MeVであることを特徴とする、条項51に記載のスキャナ。
53.
前記ペロブスカイトシンチレータの減衰時間は、1ns(ナノ秒)以下である(最大で1nsである)ことを特徴とする、条項51に記載のスキャナ。
54.
前記冷却システムは、極低温冷却システムを含むことを特徴とする、条項48に記載のスキャナ。
55.
前記低温は、273K未満であることを特徴とする、条項48に記載のスキャナ。
56.
前記低温は、約50~130Kであることを特徴とする、条項55に記載のスキャナ。
57.
前記低温は、約77Kであることを特徴とする、条項56に記載のスキャナ。
58.
さらに、:前記ペロブスカイトシンチレータが封入された封入用材料を含むことを特徴とする、条項48に記載のスキャナ。
59.
前記封入用材料は、エポキシ樹脂、ポリマー、紫外線硬化性ポリマー、ワックス、ガラス、2次元材料、水分/酸素ゲッター材料、および、SiO、Al、SiN、酸化物および窒化物から選択される材料の膜から選択される材料を含むことを特徴とする、条項58に記載のスキャナ。
60.
前記光検出器は、光電子増倍管、マイクロチャネルプレート光電子増倍管、シリコン光電子増倍管、アバランシェフォトダイオード、テルル化カドミウム亜鉛検出器、単一光子アバランシェダイオード、およびデジタルシリコン光電子増倍管から選択される光検出器を含むことを特徴とする、条項48に記載のスキャナ。
61.
前記光検出器は、冷却温度に冷却されるように構成されることを特徴とする、条項48に記載のスキャナ。
62.
前記冷却温度は、前記低温とは異なることを特徴とする、条項61に記載のスキャナ。
63.
前記冷却温度は、前記低温よりも高いことを特徴とする、条項62に記載のスキャナ。
64.
前記光検出器は、1,000ps(ピコ秒)未満の同時分解時間を有することを特徴とする、条項48に記載のスキャナ。
65.
前前記光検出器は、10ps(ピコ秒)未満の同時分解時間を有することを特徴とする、条項64に記載のスキャナ。
66.
さらに、
前記ペロブスカイトシンチレータに隣接して配置され、電離放射線源から第1の周波数で電離放射線によって照射され、それに応答する光子を前記第1の周波数よりも低い第2の周波数で放出するように構成された少なくとも1つの非ペロブスカイトシンチレータを含み、
前記光検出器は、さらに、前記非ペロブスカイトシンチレータによって放出された光子を検出するように構成されることを特徴とする、条項48に記載のスキャナ。
67.
前記非ペロブスカイトシンチレータは、高い原子番号のシンチレータを含むことを特徴とする、条項66に記載のスキャナ。
68.
前記高い原子番号のシンチレータは、ゲルマニウム酸ビスマス、オキシオルトケイ酸ルテチウム、およびオキシオルトケイ酸ルテチウム-イットリウムから選択される材料から作製される少なくとも1つのシンチレータを含むことを特徴とする、条項67に記載のスキャナ。
69.
前記ペロブスカイトシンチレータおよび前記非ペロブスカイトシンチレータから選択される少なくとも1つのシンチレータは、プレート、線、正方形、円、および粒子から選択される形態で構成されることを特徴とする、条項66に記載のスキャナ。
70.
前記ペロブスカイトシンチレータおよび前記非ペロブスカイトシンチレータから選択される少なくとも1つのシンチレータは、ゼロ次元、1次元、および2次元から選択されるトポロジー空間内に定義されることを特徴とする、条項48に記載のスキャナ。
71.
前記ペロブスカイトシンチレータおよび前記非ペロブスカイトシンチレータから選択される少なくとも1つのシンチレータは、ナノロッド、量子ドット、およびナノ結晶から選択される形態で画定されることを特徴とする、条項48に記載のスキャナ。
72.
さらに、
複数のペロブスカイトシンチレータと、
複数の非ペロブスカイトシンチレータであって、複数の前記ペロブスカイトシンチレータのうちの単一のものが、複数の前記非ペロブスカイトシンチレータのうちの単一のものに隣接して配置される、非ペロブスカイトシンチレータと、
を含むことを特徴とする、条項48に記載のスキャナ。
73.
前記スキャナは、断層撮影スキャナを含むことを特徴とする、条項48に記載のスキャナ。
74.
前記断層撮影スキャナは、陽電子放出断層撮影スキャナを含むことを特徴とする、条項73に記載のスキャナ。
75.
前記陽電子放出断層撮影スキャナは、飛行時間型陽電子放出断層撮影スキャナを含むことを特徴とする、条項74に記載のスキャナ。
76.
ペロブスカイトシンチレータを低温まで冷却するステップと、
冷却したペロブスカイトシンチレータに電離放射線を照射するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
77.
前記ペロブスカイトシンチレータを前記低温まで冷却するステップは、前記ペロブスカイトシンチレータを273K未満の温度まで冷却することを含むことを特徴とする、条項76に記載の方法。
78.
前記ペロブスカイトシンチレータ273K未満の温度まで冷却するステップは、前記ペロブスカイトシンチレータを約50~130Kの温度まで冷却するステップを含むことを特徴とする、第77項に記載の方法。
79.
前記ペロブスカイトシンチレータを約50~130Kの間の温度まで冷却するステップは、前記ペロブスカイトシンチレータを約77Kの温度まで冷却するステップを含むことを特徴とする、条項78に記載の方法。
80.
低温まで冷却されるようにペロブスカイトシンチレータを構成することを特徴とする、方法。
81.
低温まで冷却されるようにペロブスカイトシンチレータを構成するステップは、前記ペロブスカイトシンチレータを封入用材料に封入するステップを含むことを特徴とする、条項80に記載の方法。
【0115】
様々な態様および実施形態が本明細書で開示されてきたが、他の態様および実施形態が当業者には明らかであろう。本明細書で開示される様々な態様および実施形態は例示の目的のためのものであり、限定することを意図するものではなく、真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0116】
図1A】低温で作動するように構成されたペロブスカイトシンチレータのブロック図である。
図1B図1Aのペロブスカイトシンチレータの詳細の斜視図である。
図1C図1Aのペロブスカイトシンチレータの詳細の斜視図である。
図2A】低温で作動するように構成された図1Aのペロブスカイトシンチレータを有する例示的な検出器のブロック図である。
図2B図2Aの検出器の詳細を示す図である。
図3】低温で作動するように構成された別の例示的なペロブスカイトシンチレータの部分概略形態の側面図である。
図4A】低温で作動するように構成された図1Aのペロブスカイトシンチレータを有する例示的なスキャナのブロック図である。
図4B図4Aのスキャナの詳細を示す図である。
図4C図4Aのスキャナの詳細を示す図である。
図4D図4Aのスキャナの詳細を示す図である。
図5】別の例示的なペロブスカイトシンチレータの部分概略形態の側面図である。
図6】様々な温度における例示的なペロブスカイトシンチレータで測定されたX線ルミネセンスを示すグラフである。
図7A】例示的なペロブスカイトシンチレータにおける減衰動力学のパラメータの温度依存性を図示するグラフである。
図7B】例示的なペロブスカイトシンチレータにおける減衰動力学のパラメータの温度依存性を図示するグラフである。
図8A】ペロブスカイトシンチレータおよびLYSOシンチレータにおける正規化シンチレーション減衰曲線を示すグラフである。
図8B】ペロブスカイトシンチレータおよびLYSOシンチレータを用いた光子計数器によって記録された一連のX線パルスのグラフである。
図8C】ペロブスカイトシンチレータおよびLYSOシンチレータを用いた光子計数器によって記録された一連のX線パルスのグラフである。
図9A】ペロブスカイトシンチレータにおけるシンチレーションのスペクトルのパルス高さのグラフである。
図9B】CsIシンチレータにおけるシンチレーションのスペクトルのパルス高さのグラフである。
図10】種々の結晶についてのシンチレーション光収率を温度に応じて示すグラフである。
図11】CsIシンチレータ、LYSO-Ceシンチレータ、およびペロブスカイトシンチレータにおけるガンマ線の光電吸収のグラフである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11
【国際調査報告】