(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-02
(54)【発明の名称】ワークピースをレーザマシニングするマシニング装置及びワークピースをレーザマシニングする方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/046 20140101AFI20220526BHJP
B23K 26/064 20140101ALI20220526BHJP
【FI】
B23K26/046
B23K26/064 A
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021572686
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(85)【翻訳文提出日】2021-12-07
(86)【国際出願番号】 EP2020065623
(87)【国際公開番号】W WO2020245353
(87)【国際公開日】2020-12-10
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503168692
【氏名又は名称】バイストロニック レーザー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャイデッガー シモン
(72)【発明者】
【氏名】リュディ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ベルガー ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】ムメンターラー マルタン
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168CB12
4E168DA02
4E168EA13
4E168EA17
(57)【要約】
マシニングゾーン内でワークピースをレーザマシニングするマシニング装置であり、ある伝搬方向を有するマシニングレーザビームを生成するマシニングレーザ光源用のインタフェースと、そのマシニングレーザビーム用のアウトレット開口と、それらインタフェース・アウトレット開口間に備わる光学システムと、を有し、その光学システムが、自光学システムの焦点距離を調整する少なくとも1個の光学ユニットと、少なくとも1個の可動面を有する少なくとも1個の静止型レーザビーム案内装置と、を有し、当該少なくとも1個の可動面が、それにより当該光学システムの焦点距離、及び/又は、上記マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものが少なくとも一通りの動作モードにて修正されるよう、調整されうるものを提供する。更に、ワークピースをレーザマシニングする方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシニングゾーン(13)内でワークピース(12)をレーザマシニング、とりわけレーザ切削するマシニング装置、とりわけレーザマシニングヘッドであり、
ある伝搬方向を有するマシニングレーザビーム(15)を生成するマシニングレーザ光源(16)用のインタフェース(14)と、
上記マシニングレーザビーム用のアウトレット開口(18)と、
上記インタフェース・上記アウトレット開口間に備わる光学システムと、を有し、
上記光学システムが、
自光学システムの焦点距離を調整する少なくとも1個の光学ユニット(20)と、
少なくとも1個の可動面(24)を有する少なくとも1個の静止型レーザビーム案内装置(22)と、を有し、当該少なくとも1個の可動面が、それにより当該光学システムの焦点距離、及び/又は、上記マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものが少なくとも一通りの動作モードにて修正されるよう、調整されうるマシニング装置。
【請求項2】
請求項1に係るマシニング装置であって、
上記少なくとも1個の可動面が、少なくとも1個の駆動装置(25)により調整されうるものであり、及び/又は、
上記少なくとも1個の可動面により、上記レーザビーム案内装置の表面ユニットでありその表面幾何、とりわけその曲率が調整されうる表面ユニットが提供され、及び/又は、
上記少なくとも1個の可動面が動的に調整されうるマシニング装置。
【請求項3】
請求項1又は2に係るマシニング装置であって、
上記レーザビーム案内装置が複数個の動的可配向面を有し、及び/又は、
上記レーザビーム案内装置が、動的に変形されうる連続面を有するマシニング装置。
【請求項4】
請求項1~3のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記レーザビーム案内装置が少なくとも1個のセグメント鏡を有し、そのセグメント鏡が、個別に配向可能な複数個の鏡面セグメントを有し、及び/又は、
上記レーザビーム案内装置が少なくとも1個の可変形鏡を有するマシニング装置。
【請求項5】
請求項1~4のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記レーザビーム案内装置が、少なくとも1個の圧電アクチュエータで以て調整されうる鏡、バイモルフ可変形鏡、MEMS式可変形鏡及びボイスコイル式可変形鏡のなかから選択された、少なくとも1個の要素を有するマシニング装置。
【請求項6】
請求項1~5のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記レーザビーム案内装置、とりわけ上記少なくとも1個の可動面が、上記マシニングレーザビームが90°より小さく、90°に等しく又は90°より大きい角度にて方向転換されるよう配列及び構成されているマシニング装置。
【請求項7】
請求項2~6のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記駆動装置(25)が、圧電アクチュエータ、電動モータ、空気圧モータ、偏心器、振動電磁界発生装置、MEMS振動子、ボイスコイル、静電駆動アクチュエータ、複数個のそれら及び/又はそれらの組合せのなかから選択された、少なくとも1個の要素を有するマシニング装置。
【請求項8】
請求項1~7のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記光学ユニット(20)が、レンズ、合焦レンズ、コリメーションレンズ、上記少なくとも1個のレーザビーム案内装置(22)のうちの他の1個、適応鏡(30)、複数個のそれら及び/又はそれらの組合せのなかから選択されており、及び/又は、
上記光学ユニットが、上記伝搬方向に対し平行に変位されうるか静止しており、及び/又は
上記光学ユニットが、上記伝搬方向に沿い上記レーザビーム案内装置より手前及び/又は向こうに配列されているマシニング装置。
【請求項9】
請求項8に係るマシニング装置であって、
上記合焦レンズが、上記伝搬方向に沿い上記レーザビーム案内装置より向こうに配列されており、及び/又は、
上記コリメーションレンズが、上記伝搬方向に沿い上記レーザビーム案内装置より手前に配列されているマシニング装置。
【請求項10】
請求項1~9のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記インタフェース(14)が、上記マシニングレーザビーム(15)を生成するマシニングレーザ光源(16)と連結又は併設されており、及び/又は、
上記光学ユニット及び/又は上記レーザビーム案内装置、とりわけ上記駆動装置を制御する制御ユニット(27)が設けられているマシニング装置。
【請求項11】
請求項1~10のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記マシニングレーザ光源が少なくとも1kW、好ましくは少なくとも4kW、より好ましくは1~30kW、最も好ましくは1~25kWのレーザパワーを供給するマシニング装置。
【請求項12】
請求項1~11のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記少なくとも1個の可動面が、10Hz~15kHz、好ましくは100Hz~10kHzの周波数で以て調整されうるものであり、及び/又は、
上記少なくとも1個の可動面が、それにより少なくとも上記伝搬方向に対し垂直に上記マシニングレーザビームが動的移動されるよう、調整されうるものであり、及び/又は、
上記少なくとも1個の可動面が、それにより上記マシニングレーザビームが動的に動かされるよう、且つ少なくとも一通りの振動振幅及び少なくとも一通りの振動周波数を有する少なくとも一通りの焦点振動であり二又は三次元リサージュ図形或いは二又は三次元リサージュ図形の組合せに相当する振動経路を有する焦点振動が生じるよう、調整されうるマシニング装置。
【請求項13】
ワークピースのレーザマシニング、とりわけレーザ切削のための、請求項1~12のうち何れか一項に係るマシニング装置の使用。
【請求項14】
請求項1~12のうち何れか一項に係るマシニング装置で以てワークピースをレーザマシニング、とりわけレーザ切削する方法であって、
上記マシニング装置(100;200;300;400)の上記インタフェース(14)に設けられているマシニングレーザ光源(16)から、そのマシニング装置の上記アウトレット開口(18)を介しもたらされるマシニングレーザビーム(15)を、ワークピース(12)のマシニングゾーン(13)に照射し、
上記光学システムの焦点距離、及び/又は、上記マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものを、少なくとも1個の可動面(24)を有する上記レーザビーム案内装置(22)により修正する方法。
【請求項15】
請求項14に係る方法であって、
上記レーザビーム案内装置、とりわけ上記少なくとも1個の可動面により、少なくとも上記伝搬方向に対し垂直に、上記マシニングレーザビームを動的に動かすことで、上記ビームパラメタ積を修正し、及び/又は、
上記レーザビーム案内装置、とりわけ上記少なくとも1個の可動面により、上記マシニングレーザビームを動的に動かすことで上記ビームパラメタ積を修正し、且つ、少なくとも一通りの振動振幅及び少なくとも一通りの振動周波数を有する少なくとも一通りの焦点振動であり二又は三次元リサージュ図形或いは二又は三次元リサージュ図形の組合せに相当する振動経路を有する焦点振動を発生させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークピースをレーザマシニング(レーザ加工)するマシニング装置、ワークピースをレーザマシニングするマシニング装置の使用、並びにワークピースをレーザマシニングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザマシニング装置はワークピースのレーザマシニングに用いられており、とりわけレーザ輻射により素材を熱分離させる方法、例えばレーザ切削にて用いられている。多くの場合、レーザマシニングヘッドを用いマシニングレーザビームがワークピース上、例えばマシニング対象シート上へと案内(導波)される。例えばフラットベッド型切削システムでは、レーザビーム及びガスジェットで以てワークピースがマシニングされる。そのマシニングヘッドが切削ヘッドとして構成され、それにより2本のビームがワークピースへと好適要領で差し向けられる。そのワークピース(素材及び厚み)及び所望プロセス次第で、最適とされるレーザビームが異なりうる。
【0003】
最も入手しやすい切削ヘッドは1kW超の中堅レーザパワー向けのものであり、そのレーザビームによるマシニング対象ワークピース上の光学像が不可変である。この像は折衷を体現している。そのビームを様々な素材向けに、また肉薄なワークピースや肉厚なワークピース向けに、用いることができる。対照的に、大抵の素材及び厚みに係るレーザビームの光学像が硬直的であり、切削品質及び/又は送り速度の損失がつきものである。
【0004】
近年では、レーザマシニング用ズーム光学系が開発され、切削ヘッドにて用いられている。これらによれば、そのイメージング比、即ちその光学系の焦点距離をある範囲内で変化させること、とりわけそのワークピースの種類及び厚み次第で変化させることができる。ズーム光学系では、通常、少なくとも2個の光学素子を、マシニングレーザビームの焦点の位置がその伝搬方向に対し平行に変位されるようセットすることができる。
【0005】
レーザマシニング手法のなかには、そのレーザビームのビーム整形が実行されるものがある。ビーム整形とは、そのレーザビームのビームパラメタ積を変化させること、及び/又は、電磁的レーザモードの混合具合を変化させること、及び/又は、そのレーザビームのパワーの横断方向分布を変動させること、を意味するものであると、理解することができる。これには静的ビーム整形、即ち特許文献1に記載の如く一時点又は複数個の単独(孤立)時点にてビームパラメタ積が調整されるものがある。加えて、動的ビーム整形(DBS)、即ちある時間周期に亘るレーザビームの連続的且つ動的な動きにより平均化又は積分要領にてビームパラメタ積が変化するもの、例えばビーム振動によるそれもある。例えば特許文献2には、レーザビームで以てワークピースを溶断する方法であり、ブリュースター角付近の区間内にそのーザビームの入射角が保たれる要領にて、レーザビームの焦点の動き及びそれに重なる送り運動により、切削フロントの傾斜角が恒久的に変更されるものが開示されている。
【0006】
動的ビーム整形を用いるレーザマシニングでは、例えば100Hz~10kHzの周波数、即ち典型的なレーザビーム・素材間反応時間に比しかなり高い周波数にて、マシニング対象ワークピースを過りレーザビームが動かされる。即ち、そのマシニングレーザビームのパワー分布を経時平均又は経時積分したもので以て、ワークピースがマシニングされる。動的ビーム整形により、ほとんどあらゆるパワー分布及び強度分布のレーザビームスポットを生成することができる。動的ビーム整形を伴うレーザ切削の長所がフラウンホーファIWSにより示されているので、非特許文献1を参照されたい。
【0007】
適応鏡、例えばAOSやIOFから入手可能なそれらを、レーザビームのビーム整形に用いることができる。その鏡の表面エリアが互いに独立に素早く調整されうるもの、例えば100Hz超の周波数で以て調整されうるものであれば、そうした鏡で以て静的,動的ビーム整形双方を実行することができる。これは例えば特許文献3に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3412400号明細書(A1)
【特許文献2】独国特許第102008053397号明細書(B4)
【特許文献3】国際公開第WO2018007967号パンフレット(A1)
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】https://www.iws.fraunhofer.de/content/dam/iws/en/documents/publications/annual_report_articles/2015/JB-IWS-2015-en-S86-87.pdf
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ワークピースをレーザマシニングするマシニング装置及び方法であり、マシニングレーザビーム向けの焦点距離変更機能、とりわけズーム機能、並びにマシニングレーザビームのビーム整形機能をもたらすものを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、ワークピースをレーザマシニングするマシニング装置であり請求項1に係るもの、マシニング装置の使用であり請求項13に係るもの、並びにワークピースをレーザマシニングする方法であり請求項14に係るものにより達成される。
【0012】
本発明のある実施形態では、マシニングゾーン内でワークピースをレーザマシニング、とりわけレーザ切削するマシニング装置、とりわけレーザマシニングヘッドであり、
ある伝搬方向を有するマシニングレーザビームを生成するマシニングレーザ光源用のインタフェースと、そのマシニングレーザビーム用のアウトレット開口と、それらインタフェース・アウトレット開口間に備わる光学システムと、を有し、
その光学システムが、自光学システムの焦点距離を調整する少なくとも1個の光学ユニットと、少なくとも1個の可動面を有する少なくとも1個の静止型レーザビーム案内装置と、を有し、当該少なくとも1個の可動面が、それにより自光学システムの焦点距離、及び/又は、マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものが少なくとも一通りの動作モードにて修正されるよう、調整されうるものが提供される。
【0013】
本マシニング装置では、その静止型レーザビーム案内装置が少なくとも1個の可動面を有しているので、焦点距離変更機能例えばズーム機能とビーム整形機能とを、単一部材で以て実行することができる。結果として、焦点距離変更機能及び/又はビーム整形機能が用いられる動作モードを少なくとも一通り実現することができる。そのため、上記少なくとも1個の可動面を、その光学システムの焦点距離及び/又はマシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものが修正されるよう、調整されうるものとする。付加的な動作モードにおいては、焦点距離変更機能か、ビーム整形機能か、何れか一方を用いることができる。そのため、上記少なくとも1個の可動面を、それによりその光学システムの焦点距離か、マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものが調整されるよう、調整されうるものとする。更なる付加的諸動作モードにおいては、上記少なくとも1個の可動面を、その焦点距離又はマシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものが修正されないよう、調整することができる。そのため、上記少なくとも1個の可動面を、マシニングレーザビームがアウトレット開口の方へと専ら案内、例えば方向転換されるよう、調整されうるものとする。
【0014】
マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものを、上記少なくとも1個の可動面で以て修正することができる。これは、その可動面が専ら空間的に調整される場合に、そのビームパラメタ積を設定すること及びそのマシニングレーザビームの静的ビーム整形を実行することができることを、意味している。可動面が空間的に調整されるのみならず時間的にも、即ち一時間周期又は複数時間周期を通じ調整される場合には、そのビームパラメタ積を設定し又は変化させることができ、そのマシニングレーザビームの動的ビーム整形が可能となる。このように、ほとんどあらゆる強度分布のビームスポット及びビームパラメタ積のマシニングレーザビームを提供することができる。更に、焦点距離変更機能(ズーム機能)と静的及び/又は動的ビーム整形機能とが単一部材にて実現されるため、マシニングレーザビームのビーム路の空間節約的配列を実現することができる。加えて、焦点距離変更機能と静的及び/又は動的ビーム整形機能とを提供するために、そのレーザビーム案内装置全体を動かし又は変位させる必要がない。従って、本マシニング装置ではそれを静止的要領にて設けることができる。更に、本マシニング装置は、マシニングヘッドとして構成されている場合でさえも、4kWに達しそれを上回るパワーのマシニングレーザビーム用に用いることができる。
【0015】
諸実施形態のマシニング装置によれば、上記少なくとも1個の可動面を、少なくとも1個の駆動装置により調整されうるものとすることができる。結果として、マシニングレーザビームをその伝搬方向に対し少なくとも平行及び/又は垂直に動かし及び/又は整形することができる。更に、上記少なくとも1個の可動面により、そのレーザビーム案内装置の表面ユニットでありその表面幾何、とりわけその曲率が調整されうるものを、提供することができる。結果として、マシニングレーザビームの発散具合を変化させること、及び/又は、マシニングレーザビームの焦点位置をその伝搬方向に対し平行に変位させることができるだけでなく、そのマシニングレーザビームをその伝搬方向に対し垂直に動かし及び/又は整形することもできる。上記少なくとも1個の可動面を、動的に調整されうるものとすることもできる。これによりマシニングレーザビームの動的ビーム整形が可能となる。
【0016】
諸実施形態のレーザビーム案内装置を、複数個の動的可配向面を有するものとすることができる。また、レーザビーム案内装置を、動的に変形可能な連続面を有するものとすることもできる。
【0017】
上記少なくとも1個の可動面を、マシニングレーザビームに関し少なくとも部分的に反射性のものとすること、及び/又は、マシニングレーザビームが方向転換されるよう本マシニング装置内に配列することができる。ある実施形態によれば、レーザビーム案内装置を、個別に配向(向き決め)可能な複数個の鏡面セグメントが備わる少なくとも1個のセグメント鏡を有するものと、することができる。更なる実施形態によれば、レーザビーム案内装置を、少なくとも1個の可変形鏡を有するものとすることができる。これらの実施形態でも、やはり、マシニングレーザビームの静的ビーム整形及び/又は高度に柔軟な動的ビーム整形であり、少なくともその伝搬方向に対し垂直なそれを行えるにとどまらない。そのレーザビームの焦点の位置をその伝搬方向に対し平行に調整することもでき、とりわけ本マシニング装置の光学システムの焦点距離の修正、例えばズーム機能によるそれができる。
【0018】
そのレーザビーム案内装置を、少なくとも1個の圧電アクチュエータで以て調整されうる鏡、バイモルフ可変形鏡、MEMS式可変形鏡及びボイスコイル式可変形鏡のなかから選択された少なくとも1個の要素を、可変形鏡として有するものとすることができる。
【0019】
更に、そのレーザビーム案内装置、とりわけ上記少なくとも1個の可動面を、マシニングレーザビームが90°より小さく、90°に等しく又は90°より大きい角度にて方向転換されるよう、配列及び構成されたものとすることができる。これにより、本マシニング装置の柔軟な空間的構成設定が可能となる。
【0020】
更なる諸実施形態では、その駆動装置が、圧電アクチュエータ、電動モータ、空気圧モータ、偏心器、振動電磁界発生装置、MEMS振動子、ボイスコイル、静電駆動アクチュエータ、複数個のそれら及び/又はそれらの組合せのなかから選択された、少なくとも1個の要素を有するものとされる。これにより、マシニングレーザビームの高度可変移動及び/又は動的高周波移動が可能となる。
【0021】
諸実施形態のマシニング装置によれば、その光学ユニットを、レンズ、合焦レンズ、コリメーションレンズ、上記少なくとも1個のレーザビーム案内装置のうちの他の1個、適応鏡、複数個のそれら及び/又はそれらの組合せのなかから選択されたものとすることができる。その焦点距離しか変えられない単純な適応鏡、例えばその曲率半径により焦点距離を変えるものを、その適応鏡として用いることができる。例えばそれが透過性光学素子として構成されている場合等には、その光学ユニットを、伝搬方向に対し平行に変位可能なものとすることができる。また、例えばそれが反射性光学素子として構成されていてその反射面が可動な場合等には、その光学ユニットを静止したものにすることができる。これにより、その光学システムの焦点距離を変化させることが可能となる。
【0022】
加えて、上記少なくとも1個の光学ユニットを、その伝搬方向に沿い上記レーザビーム案内装置より手前及び/又は向こうに配列することができる。例えば、合焦レンズを伝搬方向に沿いレーザビーム案内装置より向こうに配列すること、及び/又は、コリメーションレンズを伝搬方向に沿いレーザビーム案内装置より手前に配列することができる。
【0023】
本マシニング装置では、上記インタフェースを、マシニングレーザビームを生成するマシニングレーザ光源と連結又は併設することができる。そのマシニングレーザ光源を、少なくとも1kW、好ましくは少なくとも4kW、より好ましくは1~30kW、最も好ましくは1~25kWのレーザパワーを供給するものとすることができる。更に、その光学ユニット及び/又はレーザビーム案内装置、とりわけ駆動装置を制御する制御ユニットを、本マシニング装置内に設けることができる。
【0024】
諸実施形態のマシニング装置によれば、上記少なくとも1個の可動面を、10Hz~15kHz、好ましくは100Hz~10kHzの周波数で以て調整可能なものとすることができる。結果として、その面の動的高周波運動及びそれによるマシニングレーザビームの動的高周波移動、例えばマシニングレーザビームのビーム振動又は焦点振動を発生させることができる。更に、上記少なくとも1個の可動面を、それにより少なくともその伝搬方向に対し垂直にマシニングレーザビームが動的移動されるよう、調整可能なものとすることができる。上記少なくとも1個の可動面を、それによりマシニングレーザビームが動的移動されるよう、且つ少なくとも一通りの振動振幅及び少なくとも一通りの振動周波数を有する少なくとも一通りの焦点振動であり二又は三次元リサージュ図形或いは二又は三次元リサージュ図形の組合せに相当する振動経路を有する焦点振動が生じるよう、調整可能なものとすることができる。
【0025】
更なる実施形態では、ワークピースをレーザマシニング、とりわけレーザ切削するための、先行諸実施形態のうち何れか1個に係るマシニング装置の使用が提供される。
【0026】
もう一つの実施形態は、先行諸実施形態のうち何れか1個に係るマシニング装置で以てワークピースをレーザマシニング、とりわけレーザ切削する方法であり、そのマシニング装置のインタフェースに設けられているマシニングレーザ光源から、そのマシニング装置のアウトレット開口を介しもたらされるマシニングレーザビームを、ワークピースのマシニングゾーンに照射し、更にその光学システムの焦点距離、及び/又は、マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものを、少なくとも1個の可動面を有するレーザビーム案内装置により修正する方法に関する。
【0027】
本方法では、レーザビーム案内装置、とりわけ上記少なくとも1個の可動面により、少なくとも伝搬方向に対し垂直にマシニングレーザビームを動的移動させることで、ビームパラメタ積を修正することができる。これにより、焦点振動を発生させることが可能となる。更にビームパラメタ積を修正するため、レーザビーム案内装置、とりわけ上記少なくとも1個の可動面により、マシニングレーザビームを動的移動させることで、ビームパラメタ積を修正し、且つ、少なくとも一通りの振動振幅及び少なくとも一通りの振動周波数を有する少なくとも一通りの焦点振動であり二又は三次元リサージュ図形或いは二又は三次元リサージュ図形の組合せに相当する振動経路を有する焦点振動を発生させることができる。
【0028】
上述諸実施形態のワークピースレーザマシニング方法によれば、ワークピースをレーザマシニングする諸実施形態のマシニング装置と同じ利点、動作モード及び機能を実現すること、とりわけ同一の及び/又は類似した諸特徴で以て実現することができる。
【0029】
更なる諸特徴及び長所は、後掲の実施形態記述、図面及び従属形式請求項から明らかとなる。
【0030】
本願記載の諸実施形態の非相互排他的諸特徴は何れも互いに組み合わせることができる。後掲の記述では、諸実施形態の同一要素に同一の参照符号を付してある。ある実施形態に備わる個別又は複数個の要素が、更なる言及なしで他の諸実施形態にて用いられていることがありうる。以下、諸図面を参照する後掲の諸例を用い本発明の諸実施形態をより詳細に記述するが、これはどのような限定も意図していない。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】ワークピースをレーザマシニングするマシニング装置100を本発明の諸実施形態に係る第1例として模式的に示す図である。
【
図2】ワークピースをレーザマシニングするマシニング装置200を本発明の諸実施形態に係る第2例として模式的に示す図である。
【
図3】ワークピースをレーザマシニングするマシニング装置300を本発明の諸実施形態に係る第3例として模式的に示す図である。
【
図4】ワークピースをレーザマシニングするマシニング装置400を本発明の諸実施形態に係る第4例として模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の諸実施形態に係るマシニング装置を、就中、マシニングヘッドによる諸例で以て後述するけれども、本発明をそれに限定するわけではない。本発明の諸実施形態に係るマシニング装置及び方法は、マシニングヘッド抜きでも実現することができる。
【0033】
更に、本願の値域記述個所での広い値域の指定でありより狭い代替的又は好適値域を伴うものは、指定されている値域下限及び指定されている値域上限のあらゆる組合せにより形成されうる諸範囲を開示するものとも、みなされる。
【0034】
語「経時積分される」や「経時平均される」は、ある時間周期又は期間に亘り積分又は平均されることを意味している。焦点振動との関連では、これは、少なくとも1個の振動周期に亘り積分又は平均されること、少なくとも1個の振動周期に亘りビーム振動との関連で積分又は平均されることを意味している。
【0035】
レーザビームの「動的移動」という語やレーザビームを「動的に動かす」という語、並びにその変形語は、そのレーザビームが高い周波数、例えば10Hz~15kHzの周波数で動かされることを意味している。これと同じことが、本マシニング装置の「動的に」可動、可配向及び/又は可調な要素にも同様に成り立つ。
【0036】
図1に、本発明の諸実施形態に係り、マシニングゾーン13内でワークピース12をレーザマシニングする第1例のマシニング装置100を、模式的に示す。
【0037】
本マシニング装置100は、マシニングレーザビーム15を生成するマシニングレーザ光源16用の第1インタフェース14を有しており、
図1ではそのビームが破線群で以て1本のビームとして示されている。本例ではマシニング装置100がマシニングヘッドとして構成されており、マシニングレーザ光源16の伝送ファイバがマシニングレーザ光源結合用の第1インタフェース14に配設されている。これに代わる諸例では、マシニングレーザ光源16がインタフェース14に直に配設されることもある。本例におけるマシニングレーザ光源16は約6kWを有するものであり、1070nmの波長を含むスペクトル域にてマシニングレーザビームを生成する。とはいえ、6kW未満例えば約1kWのパワーや、6kW超のパワーを有するマシニングレーザ光源も、用いることができる。
【0038】
本マシニング装置100は、マシニングレーザビーム15用のアウトレット開口18を有している。
【0039】
本マシニング装置100内には、光学ユニット20及び静止型レーザビーム案内装置22を有する光学システムが配置されている。
【0040】
本例ではその光学ユニット20が透過性であり、レーザビーム案内装置22・アウトレット開口18間領域に配列されている。光学ユニット20は合焦レンズとして構成されており、
図1中に双方向矢印により描かれている通り、マシニングレーザビーム15の伝搬方向に対し平行に変位させることができる。この合焦レンズを動かすことで、その光学システムの焦点距離を、光学ユニット20で以て調整することができる。
【0041】
レーザビーム案内装置22は、第1インタフェース14・光学ユニット20間エリア内のある固定位置に配列されている。本例では、レーザビーム案内装置22が、マシニングレーザビーム15を反射する面24を有している。この反射面24は、マシニングビーム15を光学ユニット20の方へと方向転換させるよう配列及び整列されている。反射面24は、少なくとも1個の駆動装置25により、少なくとも部分的に動的に動かすことができる。
【0042】
レーザビーム案内装置22は、約50mmの直径を有する実質的に円形なセグメント鏡を反射面として有しており、それに備わる41個の鏡面セグメントが、互いに分離され且つ隣り合わせに配列され、同心パターンを形成している。各鏡面セグメントは金被覆を有しており、マシニングレーザビーム15に関し反射性であり、且つ駆動装置25に備わる圧電アクチュエータによりそれぞれ動的に配向することができる。それら圧電アクチュエータは、鏡面セグメントのパターンに従い配列されている。本例における圧電アクチュエータは、変性PZTセラミックをベースとし、通常動作電圧が120Vのものである。即ち、レーザビーム案内装置22は、マシニングレーザビーム15を反射するセグメント化全表面を提供しており、その表面幾何、とりわけその曲率を、高度に動的な要領で調整することができる。
【0043】
本例における駆動装置25は、従って、個別制御可能な圧電アクチュエータを鏡面セグメント毎に有している。他の諸例にあっては、駆動装置が、電動モータ、空気圧モータ、偏心器、振動電磁界発生装置、MEMS振動子、ボイスコイル及び静電駆動アクチュエータのなかから選択された、複数個の要素を有するものとされうる。駆動装置25内に、相異なるアクチュエータの組合せを設けることもできる。
【0044】
静止型レーザビーム案内装置22は、従って、それによりマシニングレーザビーム15が光学ユニット20の方へと方向転換されるよう、且つそのマシニングレーザビーム15が例えば10Hz~15kHzの周波数にて動的に動かされるよう、配列及び構成されている。加えて、本例のレーザビーム案内装置22は、それによりマシニングレーザビーム15が平行化(コリメート)されるよう構成されている。
【0045】
本マシニング装置100の第1用例においては、必要に応じ、光学ユニット20の合焦レンズをマシニングレーザビーム15の伝搬方向に対し平行に動かすことで、その光学システムの焦点距離がプリセットされる。マシニングレーザビーム15が、インタフェース14からレーザビーム案内装置22の反射面24上へと差し向けられる。その反射面24の個別セグメントを、10Hz~15kHzの周波数にて駆動装置25の圧電アクチュエータにより動的に動かすことで、その面24の曲率が高度に動的な要領で調整される。これを一時間周期又は複数時間周期に亘り連続的に実行することができる。諸セグメントの動きによって、その上で反射されたマシニングレーザビーム15が、少なくともその伝搬方向に対し垂直に動的移動され、且つ光学ユニット20の合焦レンズの方向に方向転換される。即ち、マシニングレーザビーム15の高度に柔軟なビーム整形が、少なくともその伝搬方向に対し垂直に実行される。これにより焦点振動が発生する。ある動作例によれば、焦点振動が、少なくとも一通りの振動振幅及び少なくとも一通りの振動周波数で以て、且つ二又は三次元リサージュ図形或いは二又は三次元リサージュ図形の組合せに相当する振動経路で以て生成される。
【0046】
それと同時に、面24の曲率を変化させることでマシニングレーザビーム15が平行化される。こうすることで、光学ユニット20によりセットされた、その光学システムの焦点距離が修正される。マシニングレーザビーム15が、光学ユニット20の合焦レンズ上へと方向転換され、集束され、アウトレット開口18の方向に差し向けられる。こうして動的に動かされるマシニングレーザビーム15が、アウトレット開口18を介し退出しワークピース12のマシニングゾーン13に射突、即ちレーザビーム・素材間の典型的反応時間に比しかなり高い周波数にて射突する。
【0047】
上述した動作例の場合、そのマシニングレーザビーム15で以てワークピース12上に何らかのリサージュ図形が書き出される。それらリサージュ図形を本マシニング装置の制御ユニットのデータベース内に格納し、その制御ユニットにより駆動装置25の圧電アクチュエータを相応要領にて制御することができる。マシニングレーザビーム15の動的移動を通じ、±5mm以下の振動振幅及び10Hz~15kHzの振動周波数を有し、二次元リサージュ図形又は二次元リサージュ図形の組合せに相当する焦点振動が発生する。その焦点の直径即ちサイズは、例えば少なくとも0.1mmとする。他の諸例によれば、0.1mm未満の直径を有する焦点を提供することもできる。
【0048】
反射面24の個別セグメントの運動により、マシニングレーザビーム15がその伝搬方向に対し平行,垂直双方にこうして形成されることになる。これにより、その光学システムの焦点距離、並びにその移動マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものが、修正される。面24の曲率が10Hz~15kHzの周波数にて連続的且つ動的に変更されるため、ほとんどあらゆる強度分布のビームスポット及びビームパラメタ積のマシニングレーザビーム15を、動的ビーム整形により提供することができる。マシニングレーザビームが動かされる周波数は、レーザビーム・素材間の典型的反応時間に比し顕著に高い。加えて、レーザビームの動的移動が、ハイパワーレーザビームに適する素材の可動面24により引き起こされている。そのため、本マシニング装置は、マシニングヘッドとして構成されている場合でさえも、4kWに達しそれを上回るパワーのマシニングレーザ用に用いることができる。面24の曲率の調整によりその光学システムの焦点距離も修正されるため、焦点距離の高度に柔軟な精細チューニングも可能となる。
【0049】
本マシニング装置100の第2用例においては、第1用例とは対照的に、反射面のセグメントが一時間周期又は複数時間周期に亘り動的且つ連続的に動かされない。寧ろ、それらセグメント、ひいてはその面24の曲率が、マシニングレーザビーム15が平行化されるよう、且つビームパラメタ積の調整で以てその伝搬方向に対し垂直にビーム束が静的形成されるよう、個々別々な一時点又は複数時点にて調整される。こうして、レーザマシニングの始期にて、及び/又は、レーザマシニングの途上の個々の所望時点にて、マシニングレーザビームが所望の焦点距離及び所望の静的ビーム形状に設定される。即ち、第2用例では、その光学システムの焦点距離と、非動的に動かされるマシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものとが、やはりレーザビーム案内装置22により修正される。第1用例との関連で言及した他の諸利点は、第2用例でも相応要領で成り立つ。第1例のマシニング装置100のこれらの用例については、以下のように総括することができる。
【0050】
レーザビーム案内装置22が上述の通りズーム光学系として用いられているため、指定可能な所望のビーム発散で以て、そのセグメント鏡によりマシニングレーザビーム15が方向転換される。指定可能で適切なレンズ位置へと、変位によりその光学ユニット20の合焦レンズを持ってくることで、マシニングレーザビームの焦点がマシニングゾーン13内に入ることとなる。セグメント鏡によりレーザビームを方向転換させる際の発散が大きいほど、ワークピース12上におけるビーム焦点直径が小さくなる。
【0051】
レーザビーム案内装置22が静的ビーム整形光学系としてズーム機能と同時に用いられている場合、そのセグメント鏡の表面24は、いわば、所望の収差に基づき曲率を最適制御可能な面である。より多数のアクチュエータでそのセグメント鏡を動作させるほど、その面の任意性をより高めることができる。ここでも、その合焦レンズを正しい位置にすることで、マシニングレーザビーム15の合焦点(焦点)が、確と、ワークピース12上に座すこととなる。
【0052】
レーザビーム案内装置22がズーム機能と同時に動的ビーム整形向けに用いられている場合、10Hzを上回る十分に高い周波数、とりわけ100Hzを上回る周波数で以てセグメント鏡の表面24を変化させることで、ワークピース12上にもたらされる焦点に、少なくともそのレーザビーム伝搬に対し横方向に沿い、所望の動きを実行させることができる。こうした動きは所望の如く構成すること、例えば、考えられる全てのリサージュ図形をそのワークピース上に書き記すことが可能であり、マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものが修正される。ここでも、光学ユニット20の合焦レンズを正しい位置にすることで、マシニングレーザビームの焦点が確とワークピース12上に座し、そのビームパラメタ積が動的ビーム整形により修正されることとなる。
【0053】
第1用例及び第2用例においては、上述の通り、その光学システムの焦点距離と、マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものとが、反射面のセグメントの調整により修正される、動作モードが実現される。付加的な動作モードでは、光学システムの焦点距離か、マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものか、いずれか一方のみが第1及び/又は第2用例に従い鏡面セグメントの調整により修正される。更なる付加的動作モードでは、その光学システムの焦点距離及びビームパラメタ積の修正なしでマシニングビームが方向転換されるよう、それらセグメントが調整される。
【0054】
第1例のある修正例では、レーザビーム案内装置22を、可変形鏡(DM,ダイナミックミラー)を有するものとすることで、可動な反射性連続面24が提供される。この鏡は可変形素材製のメンブレン、特に駆動ユニット25により動的に変形させうるものにより形成される。本例におけるメンブレンは円形であり、約45mmの直径を有している。駆動ユニット25は、円形パターンに従いそのメンブレンの下側に均等分散配置された、個別制御可能な圧電アクチュエータで構成されている。本例に係る圧電アクチュエータは変性PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)セラミックをベースとするものであり、その典型的動作電圧は120Vである。本例では32個の圧電アクチュエータが駆動ユニット25内に設けられており、そのメンブレンの32個の個別平坦エリアをそれらにより個別調整することができる。そのメンブレンの頂部は、銅を含有する強反射性多層誘電体被覆で以て被覆されている。こうして提供される可変形反射性連続面は、1060~1090nmの波長を有し120kWに及ぶレーザビーム向けに適している。
【0055】
これに代え、バイモルフ可変形鏡、MEMS(微細電気機械システム)振動子式若しくはMOEMS(微細光電気機械システム)振動子式の可変形鏡又はボイスコイル式可変形鏡を、その可変形鏡として設けることもできる。バイモルフ可変形鏡は例えば薄手のガラスプレートを有し、偏向方向が異なる2個の圧電層で構成された圧電セラミックプレートにそのガラスプレートが連結されたものである。その隅部にてそれらプレートを保持することで、それらに共振特性を持たせている。それらガラス・圧電プレート間の連結部には導電性電極が入れられており、その圧電プレートの背面には個別制御電極が設けられている。動作時には、それら制御電極に電圧を印加することで、その圧電プレートにて側方力を発生させ、それによりその鏡を撓ませる。MEMS又はMOEMSをベースとする可変形鏡の場合、例えば、非変形状態では平坦な連続的可動電極であり、マシニングレーザビーム15に対し露出されている面上でそのビームに関し反射性を呈する電極が、平行配列された更なる平坦電極に備わるアクチュエータにより、静電力の働きで動かされる。ボイスコイルをベースとする可変形鏡の場合、ボイスコイルをアクチュエータとして用い、それらにより厚手のベースプラットフォームを比較的薄手の可変形ガラスプレートに連結させる。それらガラスプレート・ベースプラットフォーム間の孔内には参照プレートがある。コイルアクチュエータはその中に配設される。電流により発生させた交番磁界によりそれらコイルアクチュエータを偏向させる。それらにより、装着先のガラスプレートが動かされる。
【0056】
上述した修正例の可変形鏡(DM,ダイナミックミラー)に備わる可動な反射性連続面24は、第1例における上述のセグメント鏡と同じ要領で動作させることができる。即ち、第1例のこの修正例でも、静的移動及び動的移動の双方並びにマシニングレーザビームの整形及びその光学システムの焦点距離の調整が可能である。従って、第1例に関し説明したものと同じ用例及び動作モードを同じ要領で実行することができ、同じ利点を達成することができる。とりわけ、その光学システムの焦点距離、及び/又は、マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものを、レーザビーム案内装置22により修正することができる。
【0057】
図2に示すのは
図1のマシニング装置の修正例である。従って、それら図面の関連記述における違いについては、例えば
図1に従い説明される。
図2では、インタフェース14及びアウトレット開口18が備わるハウジングを図示していない。
【0058】
図2に、ワークピースをレーザマシニングするマシニング装置200を、本発明の諸実施形態に係る第2例として模式的に示す。
図2の例ではマシニングレーザビーム15に係る光学ユニット20が透過性であり、インタフェース14・レーザビーム案内装置22間エリアに配列されている。光学ユニット20はコリメーションレンズとして構成されており、
図2にて双方向矢印により示されている通り、マシニングレーザビーム15の伝搬方向に沿い変位させることができる。このコリメーションレンズを動かすことで、その光学システムの焦点距離を、光学ユニット20で以て調整することができる。レーザビーム案内装置22のセグメント鏡に備わる可動面24の曲率を調整することでも、マシニングレーザビーム15の焦点をその伝搬方向に対し平行に変位させることができる。このように、レーザビーム案内装置22は合焦機能を担っている。
【0059】
図2に係る第2例の更なる特徴、機能及び長所は
図1の例のそれと対応している。第1例についての既説の修正、即ち可動な反射性の連続面を有する可変形鏡をセグメント鏡に代え設ける修正も、同じ要領で第2例に関し実施することができる。動作時には、光学デバイス20に備わるコリメーションレンズの位置次第で、マシニングレーザビーム15のワークピース上結像倍率が変わってくる。その可動面の曲率は任意に指定可能及び/又は可変であるので、レーザビーム案内装置22に備わるセグメント鏡又は可変形鏡により、マシニングレーザビーム15がある動作モードにて合焦され且つワークピース12上に合焦され、それに加え静的又は動的ビーム整形が実行される。上述した付加的な動作モードも同じ要領で実現することができる。
【0060】
図2には、駆動装置25を有線又は無線データ伝達形態で制御ユニット27に接続でき、それにより駆動装置25を制御できることも、描かれている。例えば、その制御ユニットのデータベース内に27個のリサージュ図形を格納することができ、その制御ユニットにより駆動装置又は個別のアクチュエータを然るべく制御することができる。こうした制御ユニット27は、
図1、
図3及び
図4のマシニング装置100、300及び400、並びにそれらの修正例及び変形例にも設けることができる。
【0061】
図3に、ワークピースをレーザマシニングするマシニング装置300を、本発明の諸実施形態に係る第3例として模式的に示す。
図3に示すのは
図2のマシニング装置の修正例である。従って、それら図面の関連記述における違いについては、例えば
図2に従い説明される。
図3では、インタフェース14及びアウトレット開口18が備わるハウジングを図示していない。
【0062】
図2の例とは対照的に、本マシニング装置300では、反射性となるよう光学ユニット20が構成されている。コリメーションレンズ20に代え固定型の単純適応鏡30が設けられており、その反射面を、その曲率半径が変化するよう動かし調整することができる。結果として、マシニングビーム15のビーム路が、
図3に示す通り変更されている。即ち、本マシニング装置300は、ワークピース12に射突するまでにマシニングレーザビーム15が少なくとも2回反射され且つ少なくとも2回方向転換されるよう、構成されている。本例では、その単純適応鏡30がハイパワーレーザ鏡とされ、その反射性可動面32がメンブレンとして構成されており、そのメンブレンの背面に作用する流体の圧力を変化させることで、そのメンブレンを被制御形態で変形させることができる。単純適応鏡30の反射面32は動的なものではなく、及び/又は、高周波にて動かすことや変形させることができない。動作時には、鏡30での方向転換を通じ、マシニングレーザビーム15が平行化され且つレーザビーム案内装置22上へと方向転換される。後者によりマシニングレーザビーム15が静的又は動的に形成され、ワークピース12上に合焦される。この例示的実施形態には、可動でありマシニングレーザビーム15の伝搬方向に対し平行に動かされる光学系がない、という長所がある。焦点変更に際しては専らそれらの鏡が対応する要領で変形される。
【0063】
図4に、ワークピースをレーザマシニングするマシニング装置400を、本発明の諸実施形態に係る第4例として模式的に示す。
図4に示すのは
図1のマシニング装置の修正例である。従って、それら図面の関連記述における違いについては、例えば
図1に従い説明される。
図4では、インタフェース14及びアウトレット開口18が備わるハウジングを図示していない。
【0064】
図1の例とは対照的に、本マシニング装置400では、反射性となるよう光学ユニット20が構成されている。
図1のマシニング装置100を始点とすると、本マシニング装置400では、合焦レンズ20に代え、上述した静止型の単純適応鏡30が設けられている。マシニングレーザビーム15のビーム路が、プロセス中にそのマシニングレーザビーム15が少なくとも2回反射され且つ少なくとも2回方向転換されるよう構成されている。動作時には、マシニングレーザビーム15がまずレーザビーム案内装置22に射突し、それにより平行化され且つ静的又は動的に整形される。それと同時に、マシニングレーザビーム15がレーザビーム案内装置22により適応鏡30上へと方向転換される。そこでは、そのマシニングレーザビーム15がワークピース12上へと合焦及び方向転換される。この例でも、可動でありマシニングレーザビーム15の伝搬方向に対し平行に動かされる光学系が設けられていない。焦点変更に際しては専らそれらの鏡が然るべく変形される。
【0065】
図3及び
図4を参照して説明した上掲の諸例にて、単純適応鏡30に代え更なるレーザビーム案内装置22を設けることもできる。上述の付加的な動作モードを、
図3及び
図4の例で以て実現することもできる。
【0066】
何れの例及び実施形態でも、付加的な透過性光学素子(例えばレンズ)及び/又は付加的な反射性光学素子(例えば平面鏡)を、例えばマシニングレーザビーム15を方向転換させるために、その光学システムに設けることができる。
【0067】
何れの実施形態のマシニング装置でも、マシニングレーザビーム15のビームパラメタ積の修正と、その光学システムの焦点距離の修正とを、単一部材即ちレーザビーム案内装置22で以て行うことができる。ビームパラメタ積がマシニングレーザビーム15の静的又は動的ビーム整形で以て修正される結果として、そのビームスポットにつき有用な強度分布及びパワー分布を実現することができる。
【0068】
諸例及び諸実施形態のマシニング装置によれば、その光学システムの焦点距離及び/又はそのマシニングレーザビームのビームパラメタ積が変更される動作モードを実現することができる。そのため、上記少なくとも1個の可動面を、その光学システムの焦点距離及び/又はマシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものが修正されるよう、調整されうるものとしている。諸例及び諸実施形態のマシニング装置の付加的な動作モードにおいては、上記少なくとも1個の可動面を、その光学システムの焦点距離か、そのマシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものが修正されるよう、調整することができる。更なる付加的動作モードでは、上記少なくとも1個の可動面を、焦点距離やそのマシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものが修正されないよう、調整することができる。
【0069】
最後に注記すべきことに、本発明及びその例示的諸実施形態についての記述は、本発明の具体的物理的実現形態による限定として理解されるべきものではない。本発明の個々の実施形態との関連で説明及び図示した特徴は全て、本発明に係る主題の様々な組合せにて提供されうるものであり、それによりそれらの有益な諸効果を同時実現することができる。
【0070】
本発明の保護範囲は特許請求の範囲により与えられており、明細書中に描出され又は図面に記されている諸特徴によっては限定されない。
【0071】
本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)にはひときわ自明なことに、本発明は、レーザマシニングシステムのみならず、レーザを備える他の装置でも用いることができる。更に、ワークピースをレーザマシニングする上掲のマシニング装置の構成諸部材を、幾つかの実体的製品に分散されるよう生産することができる。
【符号の説明】
【0072】
12 ワークピース、13 マシニングゾーン、14 第1インタフェース、15 マシニングレーザビーム、16 マシニングレーザ光源、18 アウトレット開口、20 光学ユニット、22 レーザビーム案内装置、24 反射面、25 駆動装置、27 制御ユニット、30 単純適応鏡、32 反射面、100 マシニング装置、200 マシニング装置、300 マシニング装置、400 マシニング装置。
【手続補正書】
【提出日】2021-05-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マシニングゾーン(13)内でワークピース(12)をレーザマシニング、とりわけレーザ切削するマシニング装置、とりわけレーザマシニングヘッドであり、
ある伝搬方向を有するマシニングレーザビーム(15)を生成するマシニングレーザ光源(16)用のインタフェース(14)と、
上記マシニングレーザビーム用のアウトレット開口(18)と、
上記インタフェース・上記アウトレット開口間に備わる光学システムと、を有し、
上記光学システムが、
自光学システムの焦点距離を調整する少なくとも1個の光学ユニット(20)と、
少なくとも1個の可動面(24)を有する少なくとも1個の静止型レーザビーム案内装置(22)と、を有
するマシニング装置において、
上記少なくとも1個の可動面が、それにより当該光学システムの焦点距離
と、上記マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したもの
とが、少なくとも一通りの動作モードにて修正されるよう、
少なくとも1個の駆動装置(25)により調整されうる
こと、
上記レーザビーム案内装置(22)が、上記少なくとも1個の可動面(24)として、複数個の動的可配向面及び動的に変形されうる連続面のなかから選択された少なくとも1個の要素を有すること、
を特徴とするマシニング装置。
【請求項2】
請求項1に係るマシニング装置
であって、
上記少なくとも1個の可動面により、上記レーザビーム案内装置の表面ユニットでありその表面幾何、とりわけその曲率が調整されうる表面ユニットが提供され、及び/又は、
上記少なくとも1個の可動面が動的に調整されうるマシニング装置。
【請求項3】
請求項
1及び2のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記レーザビーム案内装置が少なくとも1個のセグメント鏡を有し、そのセグメント鏡が、個別に配向可能な複数個の鏡面セグメントを有し、及び/又は、
上記レーザビーム案内装置が少なくとも1個の可変形鏡を有するマシニング装置。
【請求項4】
請求項
1~3のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記レーザビーム案内装置が、少なくとも1個の圧電アクチュエータで以て調整されうる鏡、バイモルフ可変形鏡、MEMS式可変形鏡及びボイスコイル式可変形鏡のなかから選択された、少なくとも1個の要素を有するマシニング装置。
【請求項5】
請求項
1~4のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記レーザビーム案内装置、とりわけ上記少なくとも1個の可動面が、上記マシニングレーザビームが90°より
小さい角度にて方向転換されるよう配列及び構成されて
おり、及び/又は、
上記レーザビーム案内装置、とりわけ上記少なくとも1個の可動面が、上記マシニングレーザビームが90°に等しい角度にて方向転換されるよう配列及び構成されており、及び/又は、
上記レーザビーム案内装置、とりわけ上記少なくとも1個の可動面が、上記マシニングレーザビームが90°より大きい角度にて方向転換されるよう配列及び構成されているマシニング装置。
【請求項6】
請求項
2~5のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記駆動装置(25)が、圧電アクチュエータ、電動モータ、空気圧モータ、偏心器、振動電磁界発生装置、MEMS振動子、ボイスコイル、静電駆動アクチュエータ、複数個のそれら及び/又はそれらの組合せのなかから選択された、少なくとも1個の要素を有するマシニング装置。
【請求項7】
請求項
1~6のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記光学ユニット(20)が、レンズ、合焦レンズ、コリメーションレンズ、上記少なくとも1個のレーザビーム案内装置(22)のうちの他の1個
及び適応鏡(30)のなかから選択されて
いるマシニング装置。
【請求項8】
請求項1~7のうち何れか一項に係るマシニング装置
であって、
上記光学ユニットが、上記伝搬方向に対し平行に変位されうるか静止しており、及び/又は
上記光学ユニットが、上記伝搬方向に沿い上記レーザビーム案内装置より手前及び/又は向こうに配列されているマシニング装置。
【請求項9】
請求項8に係るマシニング装置であって、
上記合焦レンズが、上記伝搬方向に沿い上記レーザビーム案内装置より向こうに配列されており、及び/又は、
上記コリメーションレンズが、上記伝搬方向に沿い上記レーザビーム案内装置より手前に配列されているマシニング装置。
【請求項10】
請求項1~9のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記インタフェース(14)が、上記マシニングレーザビーム(15)を生成するマシニングレーザ光源(16)と連結又は併設されており、及び/又は、
上記光学ユニット及び/又は上記レーザビーム案内装置、とりわけ上記駆動装置を制御する制御ユニット(27)が設けられているマシニング装置。
【請求項11】
請求項1~10のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記マシニングレーザ光源が少なくとも1kW、好ましくは少なくとも4kW、より好ましくは1~30kW、最も好ましくは1~25kWのレーザパワーを供給するマシニング装置。
【請求項12】
請求項1~11のうち何れか一項に係るマシニング装置であって、
上記少なくとも1個の可動面が、10Hz~15kHz、好ましくは100Hz~10kHzの周波数で以て調整されうるものであり、及び/又は、
上記少なくとも1個の可動面が、それにより少なくとも上記伝搬方向に対し垂直に上記マシニングレーザビームが動的移動されるよう、
上記少なくとも1個の駆動装置(25)により調整されうるものであり、及び/又は、
上記少なくとも1個の可動面が、それにより上記マシニングレーザビームが動的に動かされるよう、且つ少なくとも一通りの振動振幅及び少なくとも一通りの振動周波数を有する少なくとも一通りの焦点振動であり二又は三次元リサージュ図形或いは二又は三次元リサージュ図形の組合せに相当する振動経路を有する焦点振動が生じるよう、
上記少なくとも1個の駆動装置(25)により調整されうるマシニング装置。
【請求項13】
ワークピースのレーザマシニング、とりわけレーザ切削のための、請求項1~12のうち何れか一項に係るマシニング装置の使用。
【請求項14】
請求項1~12のうち何れか一項に係るマシニング装置で以てワークピースをレーザマシニング、とりわけレーザ切削する方法であって、
上記マシニング装置(100;200;300;400)の上記インタフェース(14)に設けられているマシニングレーザ光源(16)から、そのマシニング装置の上記アウトレット開口(18)を介しもたらされるマシニングレーザビーム(15)を、ワークピース(12)のマシニングゾーン(13)に照射
する方法において、
上記光学システムの焦点距離
と、上記マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したもの
とを、上記少なくとも1個の可動面(24)を有する上記レーザビーム案内装置(22)により修正する
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に係る方法であって、
上記レーザビーム案内装置、とりわけ上記少なくとも1個の可動面により、少なくとも上記伝搬方向に対し垂直に、上記マシニングレーザビームを動的に動かすことで、上記ビームパラメタ積を修正し、及び/又は、
上記レーザビーム案内装置、とりわけ上記少なくとも1個の可動面により、上記マシニングレーザビームを動的に動かすことで上記ビームパラメタ積を修正し、且つ、少なくとも一通りの振動振幅及び少なくとも一通りの振動周波数を有する少なくとも一通りの焦点振動であり二又は三次元リサージュ図形或いは二又は三次元リサージュ図形の組合せに相当する振動経路を有する焦点振動を発生させる方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
レーザマシニング手法のなかには、そのレーザビームのビーム整形が実行されるものがある。ビーム整形とは、そのレーザビームのビームパラメタ積を変化させること、及び/又は、電磁的レーザモードの混合具合を変化させること、及び/又は、そのレーザビームのパワーの横断方向分布を変動させること、を意味するものであると、理解することができる。これには静的ビーム整形、即ち特許文献1に記載の如く一時点又は複数個の単独(孤立)時点にてビームパラメタ積が調整されるものがある。加えて、動的ビーム整形(DBS)、即ちある時間周期に亘るレーザビームの連続的且つ動的な動きにより平均化又は積分要領にてビームパラメタ積が変化するもの、例えばビーム振動によるそれもある。例えば特許文献2には、レーザビームで以てワークピースを溶断する方法であり、ブリュースター角付近の区間内にそのーザビームの入射角が保たれる要領にて、レーザビームの焦点の動き及びそれに重なる送り運動により、切削フロントの傾斜角が恒久的に変更されるものが開示されている。特許文献2には、スキャナ光学系を用いるレーザ熔接方法であり、熔接ヘッド・ワークピース間相対運動に加え熔接プロセス中のマシニングレーザビームの迅速運動が可能なものが記載されている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
適応鏡、例えばAOSやIOFから入手可能なそれらを、レーザビームのビーム整形に用いることができる。その鏡の表面エリアが互いに独立に素早く調整されうるもの、例えば100Hz超の周波数で以て調整されうるものであれば、そうした鏡で以て静的,動的ビーム整形双方を実行することができる。可制御面を有する可変形反射素子であり、独立に動かせる複数個の反射エリアを有するものが、特許文献3に記載されている。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明のある実施形態では、マシニングゾーン内でワークピースをレーザマシニング、とりわけレーザ切削するマシニング装置、とりわけレーザマシニングヘッドであり、
ある伝搬方向を有するマシニングレーザビームを生成するマシニングレーザ光源用のインタフェースと、そのマシニングレーザビーム用のアウトレット開口と、それらインタフェース・アウトレット開口間に備わる光学システムと、を有し、
その光学システムが、自光学システムの焦点距離を調整する少なくとも1個の光学ユニットと、少なくとも1個の可動面を有する少なくとも1個の静止型レーザビーム案内装置と、を有し、当該少なくとも1個の可動面が、それにより自光学システムの焦点距離と、マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものとが、少なくとも一通りの動作モードにて修正されるよう、調整されうるものが提供される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本マシニング装置では、その静止型レーザビーム案内装置が少なくとも1個の可動面を有しているので、焦点距離変更機能例えばズーム機能とビーム整形機能とを、単一部材で以て実行することができる。結果として、焦点距離変更機能及びビーム整形機能が用いられる動作モードが少なくとも一通り実現される。そのため、上記少なくとも1個の可動面を、その光学システムの焦点距離と、マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものとが修正されるよう、調整されうるものとする。付加的な動作モードにおいては、焦点距離変更機能か、ビーム整形機能か、何れか一方を用いることができる。そのため、上記少なくとも1個の可動面を、それによりその光学システムの焦点距離か、マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものが調整されるよう、調整されうるものとする。更なる付加的諸動作モードにおいては、上記少なくとも1個の可動面を、その焦点距離又はマシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものが修正されないよう、調整することができる。そのため、上記少なくとも1個の可動面を、マシニングレーザビームがアウトレット開口の方へと専ら案内、例えば方向転換されるよう、調整されうるものとする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
上記少なくとも1個の可動面は、少なくとも1個の駆動装置により調整されうるものである。結果として、マシニングレーザビームをその伝搬方向に対し少なくとも平行及び/又は垂直に動かし及び/又は整形することができる。更に、上記少なくとも1個の可動面により、そのレーザビーム案内装置の表面ユニットでありその表面幾何、とりわけその曲率が調整されうるものを、提供することができる。結果として、マシニングレーザビームの発散具合を変化させること、及び/又は、マシニングレーザビームの焦点位置をその伝搬方向に対し平行に変位させることができるだけでなく、そのマシニングレーザビームをその伝搬方向に対し垂直に動かし及び/又は整形することもできる。上記少なくとも1個の可動面を、動的に調整されうるものとすることもできる。これによりマシニングレーザビームの動的ビーム整形が可能となる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
諸実施形態のレーザビーム案内装置は、複数個の動的可配向面を有している。或いは、レーザビーム案内装置は、動的に変形可能な連続面を有している。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
もう一つの実施形態は、先行諸実施形態のうち何れか1個に係るマシニング装置で以てワークピースをレーザマシニング、とりわけレーザ切削する方法であり、そのマシニング装置のインタフェースに設けられているマシニングレーザ光源から、そのマシニング装置のアウトレット開口を介しもたらされるマシニングレーザビームを、ワークピースのマシニングゾーンに照射し、更にその光学システムの焦点距離と、マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものとを、少なくとも1個の可動面を有するレーザビーム案内装置により修正する方法に関する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
上述した修正例の可変形鏡(DM,ダイナミックミラー)に備わる可動な反射性連続面24は、第1例における上述のセグメント鏡と同じ要領で動作させることができる。即ち、第1例のこの修正例でも、静的移動及び動的移動の双方並びにマシニングレーザビームの整形及びその光学システムの焦点距離の調整が可能である。従って、第1例に関し説明したものと同じ用例及び動作モードを同じ要領で実行することができ、同じ利点を達成することができる。とりわけ、その光学システムの焦点距離と、マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものとを、レーザビーム案内装置22により修正することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0068
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0068】
諸例及び諸実施形態のマシニング装置によれば、その光学システムの焦点距離及びそのマシニングレーザビームのビームパラメタ積が変更される動作モードが実現される。そのため、上記少なくとも1個の可動面を、その光学システムの焦点距離と、マシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものとが修正されるよう、調整されうるものとしている。諸例及び諸実施形態のマシニング装置の付加的な動作モードにおいては、上記少なくとも1個の可動面を、その光学システムの焦点距離か、そのマシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものが修正されるよう、調整することができる。更なる付加的動作モードでは、上記少なくとも1個の可動面を、焦点距離やそのマシニングレーザビームのビームパラメタ積を経時積分したものが修正されないよう、調整することができる。
【国際調査報告】