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特表2022-527688カーボンナノチューブ・フラーレン電池およびその調製方法
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  • 特表-カーボンナノチューブ・フラーレン電池およびその調製方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-03
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブ・フラーレン電池およびその調製方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0525 20100101AFI20220527BHJP
   H01M 4/525 20100101ALI20220527BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20220527BHJP
   H01M 4/1391 20100101ALI20220527BHJP
   H01M 4/1393 20100101ALI20220527BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20220527BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20220527BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20220527BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20220527BHJP
   H01M 4/131 20100101ALI20220527BHJP
   H01M 4/133 20100101ALI20220527BHJP
【FI】
H01M10/0525
H01M4/525
H01M4/587
H01M4/1391
H01M4/1393
H01M4/66 A
H01M4/62 Z
H01M4/36 D
H01M4/36 E
H01M10/0587
H01M4/131
H01M4/133
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021547313
(86)(22)【出願日】2020-02-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2020075051
(87)【国際公開番号】W WO2020168973
(87)【国際公開日】2020-08-27
(31)【優先権主張番号】201910134214.0
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521355681
【氏名又は名称】叶 小剣
(71)【出願人】
【識別番号】521355692
【氏名又は名称】平松 雄二
(71)【出願人】
【識別番号】521355706
【氏名又は名称】牛尾 順一
(74)【代理人】
【識別番号】100098187
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 正司
(72)【発明者】
【氏名】平松 雄二
(72)【発明者】
【氏名】那須野 豪三
【テーマコード(参考)】
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS02
5H017BB06
5H017BB08
5H017BB12
5H017BB14
5H017CC01
5H017EE01
5H017EE05
5H017HH00
5H029AJ03
5H029AJ12
5H029AJ14
5H029AK03
5H029AK06
5H029AK18
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AL18
5H029BJ02
5H029BJ14
5H029CJ02
5H029CJ03
5H029CJ04
5H029CJ07
5H029CJ08
5H029CJ13
5H029CJ22
5H029DJ07
5H029DJ08
5H029DJ15
5H029EJ01
5H029EJ04
5H029EJ12
5H029HJ00
5H029HJ01
5H050AA08
5H050AA15
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA14
5H050CA29
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB29
5H050DA02
5H050DA03
5H050DA07
5H050DA08
5H050DA10
5H050DA11
5H050EA10
5H050EA24
5H050FA05
5H050FA16
5H050GA02
5H050GA03
5H050GA04
5H050GA10
5H050GA13
5H050GA22
5H050HA00
5H050HA01
(57)【要約】
【課題】 カーボンナノチューブ・フラーレン電池およびその調製方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、カーボンナノチューブ・フラーレン電池を開示する。カーボンナノチューブ・フラーレン電池の正極材料は、コバルト酸リチウム、導電剤、結合剤、集電体、カーボンナノチューブスラリーまたはグラフェンという成分を含み;負極材料は、グラファイトカーボンブラック、導電剤、結合剤、集電体、フラーレンという成分を含む。本発明は、電池の正極材料の塗工液にカーボンナノチューブまたはグラフェンを加え、負極材料の塗工液にフラーレンを加えることで、本発明のカーボンナノチューブ・フラーレン電池の容量を従来の電池の容量より1.2~2.7倍増えさせ、電流密度が増大し、内部抵抗が減少し、発熱・燃焼しにくく、突き刺したり、破損したりした時も短絡しにくく、サイクル回数が2倍以上増える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブ・フラーレン電池であって、その正極材料の塗工液は、コバルト酸リチウム、導電剤、結合剤、カーボンナノチューブスラリーまたはグラフェンという成分を含み;負極材料の塗工液は、グラファイトカーボンブラック、導電剤、結合剤、フラーレンという成分を含むことを特徴とする、カーボンナノチューブ・フラーレン電池。
【請求項2】
前記正極材料塗工液は、コバルト酸リチウム2~10重量部、導電剤5~30重量部、結合剤1~15重量部、カーボンナノチューブスラリーまたはグラフェン2.5~30重量部の成分を含むことを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ・フラーレン電池。
【請求項3】
前記負極材料の塗工液は、グラファイトカーボンブラック1~20重量部、導電剤5~30重量部、結合剤1~15重量部、フラーレン0.8~25重量部の成分を含むことを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ・フラーレン電池。
【請求項4】
前記正極は、アルミニウム箔であることを特徴とする、請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ・フラーレン電池。
【請求項5】
前記負極は、銅箔であることを特徴とする、請求項1または3に記載のカーボンナノチューブ・フラーレン電池。
【請求項6】
前記導電剤は、アセチレンブラックであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ・フラーレン電池。
【請求項7】
前記フラーレンは、70%の正電荷を帯びたフラーレンと30%の負電荷を帯びたフラーレンの調製から成ることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ・フラーレン電池。
【請求項8】
前記結合剤は、ポリフッ化ビニリデンであることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ・フラーレン電池。
【請求項9】
以下の工程(1)~(3)を含む請求項1~8のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ・フラーレン電池の調製方法。
(1)原料配合:コバルト酸リチウム、導電剤、結合剤、カーボンナノチューブスラリーを混合して混合正極スラリーを得、グラファイトカーボンブラック、導電剤、結合剤、フラーレンを混合して混合負極スラリーを得る工程、
(2)塗工:上記正極スラリーを塗工機で正極集電体に塗工し、負極スラリーを塗工機で負極集電体上に塗工する工程、
(3)その後圧延、スリット、レーザー切断、巻回、組立、トップ・サイド封止、乾燥、電解液注液、化成を経て、最終的にパッケージングすることで本発明の電池を得る工程。
【請求項10】
前記工程(1)の前にフラーレンを抽出する必要があり、抽出方法は、炭素粉末を酸化・還元焼成窯に入れて通電して燃焼させ、その後焼成窯内壁に付着する炭素の黒い微粒子を抽出し、更に静電加工を通じて前記フラーレンを得る工程を用いることを特徴とする、請求項9に記載のカーボンナノチューブ・フラーレン電池の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池分野に関し、特に、カーボンナノチューブ・フラーレン電池およびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池などの従来の二次電池と比較して、リチウムイオン電池は、動作電圧が高く、小型軽量、容量密度が高く、メモリー効果がなく、環境汚染なし、自己放電が少なく、サイクル寿命が長いという利点を持っている。リチウム電池はますます人気が高まっている。
【0003】
現在リチウムイオン電池内で使用されている負極材料は、均しく炭素材料で、天然黒鉛、人造黒鉛およびメソカーボンマイクロビーズ等が挙げられる。これらの炭素系負極材は、充放電の過程中の安定した電圧、優れたサイクル性能などの利点を持っている。ただし黒鉛材料の理論容量は、372mAh/gしかないため、人々のリチウムイオン電池に対する高容量の追い求め、特に、電気自動車の高性能リチウム電池に対する需要に応えることが難しく、高容量密度の負極材料の開発が急務となり;かつ従来の負極材料の耐摩耗性が劣る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記の問題点を解決するため、負極材料の耐摩耗性に優れ、フラーレンとカーボンナノチューブの高容量特性を利用してエネルギー貯蔵量を増大するカーボンナノチューブ・フラーレン電池およびその調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明では次のような技術的手段を講じた。
カーボンナノチューブ・フラーレン電池であって、その正極材料の塗工液は、コバルト酸リチウム、導電剤、結合剤、カーボンナノチューブスラリーまたはグラフェンという成分を含み;負極材料の塗工液は、グラファイトカーボンブラック、導電剤、結合剤、フラーレンという成分を含む。
【0006】
好ましくは、前記正極材料塗工液は、コバルト酸リチウム2~10重量部、導電剤5~30重量部、結合剤1~15重量部、カーボンナノチューブスラリーまたはグラフェン2.5~30重量部の成分を含む。
【0007】
好ましくは、前記負極材料の塗工液は、グラファイトカーボンブラック1~20重量部、導電剤5~30重量部、結合剤1~15重量部、フラーレン0.8~25重量部の成分を含む。
【0008】
好ましくは、前記正極は、アルミニウム箔である。
【0009】
好ましくは、前記負極は、銅箔である。
【0010】
好ましくは、前記導電剤は、アセチレンブラックである。
【0011】
好ましくは、前記結合剤は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)である。
【0012】
本発明は、以下の工程(1)~(3)を含む上記カーボンナノチューブ・フラーレン電池の調製方法も提供する。すなわち、
(1)原料配合:コバルト酸リチウム、導電剤、結合剤、カーボンナノチューブスラリーを混合して混合正極スラリーを得、グラファイトカーボンブラック、導電剤、結合剤、フラーレンを混合して混合負極スラリーを得る工程、
(2)塗工:上記正極スラリーを塗工機で正極集電体に塗工し、負極スラリーを塗工機で負極集電体上に塗工する工程、
(3)その後圧延、スリット、レーザー切断、巻回、組立、トップ・サイド封止、乾燥、電解液注液、化成を経て、最終的にパッケージングすることで本発明の電池を得る工程。
【0013】
好ましくは、前記工程(1)の前にフラーレンを抽出する必要があり、抽出方法は、炭素粉末を酸化・還元焼成窯に入れて通電して燃焼させ、その後焼成窯内壁に付着する炭素の黒い微粒子を抽出し、更に静電加工を通じて前記フラーレンを得る工程を用いる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、電池の正極材料内にカーボンナノチューブまたはグラフェンを加え、負極材料内にフラーレンを加えることで、本発明のカーボンナノチューブ・フラーレン電池の容量を従来の電池の容量より1.2~2.7倍増えさせ、電流密度が増大し、内部抵抗が減少し、発熱・燃焼しにくく、突き刺したり、破損したりした時も短絡しにくく、サイクル回数が2倍以上増える。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係るフラーレン調製時に使用される静電ローダーの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、実施例を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明に記載のグラファイトカーボンブラックは、黒鉛化カーボンブラックとして理解される。
【0018】
本発明の実施例で提供されるカーボンナノチューブ・フラーレン電池について、負極スラリー内にフラーレンを添加することで製品の総合的な性能を大幅に向上でき、フラーレンの添加量は1万分の4以上でよく、少量の添加されたフラーレンにより予期せぬ効果を引き起した。以下に記載される実施例について、負極スラリー内に添加されるフラーレンは、70%の正電荷を帯びたフラーレンと30%の負電荷を帯びたフラーレンの組み合わせから成る。好ましくは、正負電荷を帯びたフラーレンの組み合わせは、3~7%の質量比で電池の負極スラリー内に投入される。本発明で抽出されるフラーレンは、トルエン法によって精製することなく、電池に直接応用することができる。負極材科は、電池のエネルギー密度、寿命および安全性に重大な影響を与える。本発明で調製されたフラーレンを負極内に使用すると電荷の伝達速度、電極間の絶縁性の向上に役立ち、充放電による電極の体積変化を抑制できるため、より高い容量、より長い寿命、より高い安全性(発火や爆発しにくい)のある電池を製造できる。現在工業化や量産化ができないため高価なフラーレンと比較して、本発明の調製方法は、大量に生産できると共に比較的安価なフラーレンを得ることができる。
【0019】
(実施例1)
本実施例のカーボンナノチューブ・フラーレン電池は、コバルト酸リチウム2重量部、アセチレンブラック5重量部、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)1重量部、カーボンナノチューブスラリー2.5重量部という成分を含有する正極材料の塗工液と、グラファイトカーボンブラック1重量部、アセチレンブラック5重量部、ポリフッ化ビニリデン1重量部、フラーレン0.8重量部という成分を含有する負極材料の塗工液と、正極のアルミニウム箔と、負極の銅箔と、を含む。
【0020】
本実施例のカーボンナノチューブ・フラーレン電池の調製方法は、以下の工程(1)~(3)を含む。すなわち、
(1)原料配合:上記重量部のコバルト酸リチウム、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、カーボンナノチューブスラリーを混合して混合正極スラリーを得;上記重量部のグラファイトカーボンブラック、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデン、フラーレンを混合して混合負極スラリーを得る工程、
(2)塗工:上記正極スラリーを塗工機でアルミニウム箔に塗工し、負極スラリーを塗工機で銅箔に塗工する工程、
(3)その後圧延、スリット、レーザー切断、巻回、組立、トップ・サイド封止、乾燥、電解液注液、化成を経て、最終的にパッケージングすることで本発明の電池を得る工程。
【0021】
本実施例は、以下の工程を用いてフラーレンを抽出した。
(1)陶磁器用の酸化・還元焼成窯に約1トンの薪(汚染されていない松、杉、ヒノキなど)を入れて燃やさせ、24時間後に酸化・還元焼成窯の内壁から上に付着している燃えかすを1100g抽出する工程、
(2)この1100gの燃えかすを静電ローダーに入れて静電加工して110gの導電性フラーレンを得る工程。
【0022】
具体的に、工程(1)燃焼後に得られた燃えかすを静電高圧発生装置(すなわち、静電ローダーで、図1に示すように型番GC50S-N、入力電圧AC100V50/60HZ、最大出力電圧DC50kV(固定)、最大出力電流20μA、消費電力10VA、有効距離50~250mm、接地100Ω以下。)に投入し、燃えかすは静電ローダー内で各々正極性と負極性に従って負荷をかけ、正電荷を帯びたフラーレンおよび負電荷を帯びたフラーレンを得、その後これら電荷を帯びたフラーレンの混合燃えかすをトルエン法で精製し、精製後のフラーレン燃えかすの正電荷を帯びたもの70%、負電荷を帯びたもの30%の割合に従い混合することで、負極スラリー内のフラーレン原料を得る。
【0023】
(実施例2)
本実施例のカーボンナノチューブ・フラーレン電池は、コバルト酸リチウム10重量部、アセチレンブラック30重量部、ポリフッ化ビニリデン15重量部、カーボンナノチューブスラリー30重量部という成分を含有する正極材料の塗工液と、グラファイトカーボンブラック20重量部、アセチレンブラック30重量部、ポリフッ化ビニリデン5重量部、フラーレン25重量部という成分を含有する負極材料の塗工液と、正極のアルミニウム箔と、負極の銅箔と、を含む。
【0024】
本実施例では、実施例1の調製方法を用いた。
【0025】
(実施例3)
本実施例のカーボンナノチューブ・フラーレン電池は、コバルト酸リチウム5重量部、アセチレンブラック15重量部、ポリフッ化ビニリデン8重量部、カーボンナノチューブスラリー15重量部という成分を含有する正極材料の塗工液と、グラファイトカーボンブラック10重量部、アセチレンブラック15重量部、ポリフッ化ビニリデン5重量部、フラーレン13重量部という成分を含有する負極材料の塗工液と、正極のアルミニウム箔と、負極の銅箔と、を含む。
【0026】
本実施例では、実施例1の調製方法を用いた。
【0027】
(実施例4)
本実施例のカーボンナノチューブ・フラーレン電池は、コバルト酸リチウム5重量部、アセチレンブラック15重量部、ポリフッ化ビニリデン8重量部、グラフェン30重量部という成分を含有する正極材料の塗工液と、グラファイトカーボンブラック10重量部、アセチレンブラック15重量部、ポリフッ化ビニリデン5重量部、フラーレン13重量部という成分を含有する負極材料の塗工液と、正極のアルミニウム箔と、負極の銅箔を含む。
【0028】
本実施例では、実施例1の調製方法を用いた。
【0029】
(実施例5)
本実施例のカーボンナノチューブ・フラーレン電池の正極は、正極集電体(アルミニウム箔)と、正極集電体に塗工される正極スラリーと、を含み、負極は負極集電体(銅箔)と、負極集電体に塗工される負極スラリーと、を含み;正極スラリーは、コバルト酸リチウム12重量部、アセチレンブラック18重量部、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)11重量部、カーボンナノチューブスラリー5重量部という成分を含み;負極スラリーは、グラファイトカーボンブラック12重量部、アセチレンブラック13重量部、ポリフッ化ビニリデン8重量部、フラーレン2重量部という成分を含む。
【0030】
本実施例のカーボンナノチューブ・フラーレン電池の調製方法は、以下の工程(1)~(3)を含む。すなわち、
(1)原料配合:コバルト酸リチウム、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、カーボンナノチューブスラリーの配合量を混合して混合正極スラリーを得;グラファイトカーボンブラック、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデン、フラーレンの配合量を混合して混合負極スラリーを得る工程、
(2)塗工:上記正極スラリーを塗工機でアルミニウム箔に塗工し、負極スラリーを塗工機で銅箔に塗工する工程、
(3)その後圧延、スリット、レーザー切断、巻回、組立、トップ・サイド封止、乾燥、電解液注液、化成を経て、最終的にパッケージングすることで本発明の電池を得る工程。
【0031】
ここで、負極スラリーに使用されるフラーレンは、次の方法で得られた。
i 陶磁器用の酸化・還元焼成窯に1トンの汚染されていない松の薪を入れて燃やさせ、24時間後に酸化・還元焼成窯の内壁から上に付着している燃えかすを1100g抽出し;
ii 抽出された燃えかすを静電ローダーに入れて静電加工して導電性フラーレンを得た。
【0032】
静電ローダーとは、静電高圧発生装置(Electrostatic Generator)を意味し、静電高圧発生装置が可燃物(例えば原木を焼いて木炭になり、原木が可燃物であり、鉱石、丸石なども可燃物に含まれる)を処理することによって静電気を発生できることに留意されたい。
【0033】
(実施例6)
本実施例のカーボンナノチューブ・フラーレン電池の正極は、正極集電体(アルミニウム箔)と、正極集電体に塗工される正極スラリーと、を含み、負極は負極集電体(銅箔)と、負極集電体に塗工される負極スラリーと、を含み;正極スラリーは、コバルト酸リチウム7重量部、アセチレンブラック27重量部、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)10重量部、グラフェン11重量部という成分を含み;負極スラリーは、グラファイトカーボンブラック18重量部、アセチレンブラック22重量部、ポリフッ化ビニリデン11重量部、フラーレン3.5重量部という成分を含む。
【0034】
本実施例のカーボンナノチューブ・フラーレン電池の調製方法は、以下の工程(1)~(3)を含む。すなわち、
(1)原料配合:コバルト酸リチウム、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、カーボンナノチューブスラリーの配合量を混合して混合正極スラリーを得;グラファイトカーボンブラック、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデン、フラーレンの配合量を混合して混合負極スラリーを得る工程、
(2)塗工:上記正極スラリーを塗工機でアルミニウム箔に塗工し、負極スラリーを塗工機で銅箔に塗工する工程、
(3)その後圧延、スリット、レーザー切断、巻回、組立、トップ・サイド封止、乾燥、電解液注液、化成を経て、最終的にパッケージングすることで本発明の電池を得る工程。
【0035】
ここで、負極スラリーに使用されるフラーレンは、次の方法で得られた。
i 陶磁器用の酸化・還元焼成窯に1トンの汚染されていないヒノキの薪を入れて燃やさせ、24時間後に酸化・還元焼成窯の内壁から上に付着している燃えかすを850g抽出し;
ii 抽出された燃えかすを静電ローダーに入れて静電加工して導電性フラーレンを得た。
【0036】
(実施例7)
本実施例のカーボンナノチューブ・フラーレン電池の正極は、正極集電体(アルミニウム箔)と、正極集電体に塗工される正極スラリーと、を含み、負極は負極集電体(銅箔)と、負極集電体に塗工される負極スラリーと、を含み;正極スラリーは、コバルト酸リチウム9重量部、アセチレンブラック22重量部、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)3重量部、カーボンナノチューブスラリー21重量部という成分を含み;負極スラリーは、グラファイトカーボンブラック17重量部、アセチレンブラック13重量部、ポリフッ化ビニリデン14重量部、フラーレン1.5重量部という成分を含む。
【0037】
本実施例のカーボンナノチューブ・フラーレン電池の調製方法は、以下の工程(1)~(3)を含む。すなわち、
(1)原料配合:コバルト酸リチウム、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、カーボンナノチューブスラリーの配合量を混合して混合正極スラリーを得;グラファイトカーボンブラック、アセチレンブラック、ポリフッ化ビニリデン、フラーレンの配合量を混合して混合負極スラリーを得る工程、
(2)塗工:上記正極スラリーを塗工機でアルミニウム箔に塗工し、負極スラリーを塗工機で銅箔に塗工する工程、
(3)その後圧延、スリット、レーザー切断、巻回、組立、トップ・サイド封止、乾燥、電解液注液、化成を経て、最終的にパッケージングすることで本発明の電池を得る工程。
【0038】
ここで、負極スラリーに使用されるフラーレンは、次の方法で得られた。
i 陶磁器用の酸化・還元焼成窯に1トンの汚染されていない杉の薪を入れて燃やさせ、24時間後に酸化・還元焼成窯の内壁から上に付着している燃えかすを950g抽出し;
ii 抽出された燃えかすを静電ローダーに入れて静電加工して導電性フラーレンを得た。
【0039】
(比較例1)
比較例1と実施例5との相違点は、負極スラリーにフラーレンが含まれないことである。
【0040】
(比較例2)
比較例2と実施例5との相違点は、負極スラリー内のフラーレンの含有量がわずか0.1重量部であるということである。
【0041】
上記実施例1~7で調製されたカーボンナノチューブ・フラーレン電池および比較例1~2の電池に対し、電池容量試験を実施し、試験用の電池の外形寸法は25×37×76mmであり、試験方法が従来の試験方法であり、試験指標および試験結果を次に示す。
【表1】
【0042】
表1内のデータからも分かるように、フラーレンは電池容量を効果的にアップでき、本発明の実施例の電池容量は比較例の電池容量と比較して20%以上アップした。
【0043】
2、破壊試験結果
実施例1~7で得られた電池(仕様:25×37×76mm)を取って以下の破壊試験を実施した。
1)打撃試験:重さ10kgの鋼製ハンマーを1mの高さから自由落下させた場合、発火や爆発することはなく;
2)過充電試験:発熱や爆発することはなく;
3)釘刺試験:3×8.0mmの鉄釘で直接電池を釘刺したところ、発火や爆発することはなく;
4)水没試験:24時間水没させても、性能に変化がなく;
5)熱衝撃サイクル試験:温度試験器に入れ、温度を5℃から150℃に上げたところ、発火や爆発することはなく;
6)振動試験:振動試験機に入れ、往復振動を30分間行ったところ、外観、性能に変化がなく;
7)圧壊試験:押し潰し試験機に入れ、最大17MPaの圧力を加えたところ、発火や爆発することはなく;
8)ドライバー刺し試験:電池にドライバーを貫通させた後、電圧に変化(一般的な電池の場合、貫通により短絡が生じ、電圧がゼロになる)がなく、6~7分間後6~7℃の温度上昇があり;
9)落下試験:電池を地上高さ6mから鉄板に自由落下させたところ、電圧に変化がなかった。
【0044】
以上の実験を通じて、本発明の実施例1~7のカーボンナノチューブ・フラーレン電池の品質はPSE、GB、UC等の安全認証要件を完全に満たしていることが検証された。
【0045】
上記の実施例は、本発明のいくつかの実施形態を表すだけであり、その描写は、比較的具体的かつ詳細であるが、これにより本発明の特許の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者にとって、本発明の技術的思想から逸脱することなく、多種多様な変形および改善を行うことができ、かかる変形や改善はすべて本発明の保護範囲に網羅されることを指摘しておかなければならない。したがって、本発明の特許の保護の範囲は、添付の特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。


図1
【国際調査報告】