(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-03
(54)【発明の名称】電気光学ディスプレイおよびそれを駆動する方法
(51)【国際特許分類】
G02F 1/167 20190101AFI20220527BHJP
G02F 1/16766 20190101ALI20220527BHJP
G02F 1/1677 20190101ALI20220527BHJP
G02F 1/1685 20190101ALI20220527BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220527BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20220527BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
G02F1/167
G02F1/16766
G02F1/1677
G02F1/1685
G09G3/20 680H
G09G3/34 C
G09F9/30 342
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556767
(86)(22)【出願日】2020-03-13
(85)【翻訳文提出日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 US2020022606
(87)【国際公開番号】W WO2020205206
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500080214
【氏名又は名称】イー インク コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】サイニス, スニル クリシュナ
(72)【発明者】
【氏名】シム, テック ピン
(72)【発明者】
【氏名】パオリニ, リチャード ジェイ. ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】テルファー, スティーブン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
2K101
5C080
5C094
【Fターム(参考)】
2K101AA04
2K101AA06
2K101AA08
2K101BA12
2K101BC02
2K101BC03
2K101BD61
2K101EA06
2K101EA51
2K101EA56
2K101EB52
2K101EC08
2K101EC46
5C080AA06
5C080AA10
5C080AA13
5C080AA16
5C080BB05
5C080CC06
5C080DD27
5C080EE29
5C080FF11
5C080FF13
5C080HH21
5C080JJ01
5C080JJ04
5C080JJ06
5C094AA14
5C094AA44
5C094BA03
5C094BA75
5C094CA15
5C094CA18
(57)【要約】
電気光学ディスプレイは、伝導性材料の光透過性層と、双安定電気光学媒体の層と、遮光材料の層と、複数のピクセル電極と、光伝導性材料の層と、1つ以上の光エミッタとを順に備えている。一例示的実施形態において、光伝導性材料の層は、光伝導性材料が低インピーダンス状態にあるとき、アドレスラインとピクセル電極のうちの少なくとも1つとの間のギャップを克服するように適合されている。別の非排他的実施形態において、電気光学ディスプレイは、光伝導性材料の層と1つ以上の光エミッタとの間の第2の電極層と、伝導性材料の光透過性層と第2の電極層との間に電圧を印加するように適合された駆動部とをさらに備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学ディスプレイであって、前記電気光学ディスプレイは、
伝導性材料の光透過性層と、
双安定電気光学媒体の層と、
遮光材料の層と、
複数の電極と、
光伝導性材料の層と、
1つ以上の光エミッタと
を順に備えている、電気光学ディスプレイ。
【請求項2】
前記光伝導性材料の層は、前記光伝導性材料が低インピーダンス状態にあるとき、アドレスラインと前記電極のうちの少なくとも1つとの間のギャップを克服するように適合されている、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項3】
前記光伝導性材料の層と前記1つ以上の光エミッタとの間の第2の光透過性電極層と、駆動部とをさらに備え、前記駆動部は、前記伝導性材料の光透過性層と前記第2の電極層との間に電圧を印加するように適合されている、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項4】
前記第2の光透過性電極層は、光透過性シートと、前記光透過性シートの表面に適用された光透過性伝導性材料の層とを備えている、請求項3に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項5】
前記電極は、ピクセル電極またはセグメント化電極である、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項6】
前記1つ以上の光エミッタと前記第2の光透過性電極層との間の遮光パターンをさらに備えている、請求項3に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項7】
保護シートをさらに備え、前記伝導性材料の光透過性層は、前記保護シートと前記電気光学媒体の層との間にある、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項8】
前記電気光学媒体は、カプセル化電気泳動媒体を備えている、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項9】
前記カプセル化電気泳動媒体は、バインダと複数のマイクロカプセルとを備え、前記マイクロカプセルは、流体中の荷電粒子の分散体を含む、請求項8に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項10】
前記カプセル化電気泳動媒体は、流体中の荷電粒子の分散体を含む複数のシールされたマイクロセルを備えている、請求項8に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項11】
前記カプセル化電気泳動媒体は、荷電粒子を含む複数の流体液滴を備えている不連続相と、ポリマー材料を備えている連続相とを備えている、請求項8に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項12】
電気光学ディスプレイであって、前記電気光学ディスプレイは、
伝導性材料の光透過性層と、
双安定電気光学媒体の層と、
前記光透過性層および前記双安定電気光学媒体の層を通して伝送される光を実質的に遮るように適合された材料でマスキングされたゲートを有する光活性化トランジスタの層と、
1つ以上の光エミッタと
を順に備えている、電気光学ディスプレイ。
【請求項13】
前記光活性化トランジスタの層は、TFTアレイである、請求項12に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項14】
請求項1に記載の電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、前記方法は、
前記伝導性材料の光透過性層と前記電極のうちの1つ以上との間に電圧を印加することと、
同時に、前記光エミッタから、前記光伝導性材料の層の少なくとも一部上に光を放出することと
を含む、方法。
【請求項15】
前記光エミッタによって放出される前記光の強度を変調することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
請求項3に記載の電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、前記方法は、
前記伝導性材料の光透過性層と前記第2の光透過性電極層との間に電圧を印加することと、
同時に、前記光エミッタから、前記光伝導性材料の層の少なくとも一部上に光を放出することと
を含む、方法。
【請求項17】
前記光エミッタによって放出される前記光の強度を変調することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
請求項12に記載の電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、前記方法は、
前記伝導性材料の光透過性層と前記光活性化トランジスタの層との間に電圧を印加することと、
同時に、前記光エミッタから、前記光伝導性材料の層の少なくとも一部上に光を放出することと
を含む、方法。
【請求項19】
前記光エミッタによって放出される前記光の強度を変調することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、参照することによってその全体として組み込まれる2019年3月29日に出願された米国特許出願第62/825,845号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、電気光学ディスプレイに関する。より具体的に、一側面において、本発明は、電気泳動媒体等の双安定電気光学媒体を備えている大面積電気光学ディスプレイに関する。
【背景技術】
【0003】
電気光学ディスプレイは、通常、電気光学材料の層と、電気光学材料の両側に配置された少なくとも2つの他の層(これらの2つの層のうちの一方は、電極層である)とを備えている。大部分のそのようなディスプレイでは、両層が、電極層であリ、電極層の一方または両方が、ディスプレイのピクセルを画定するようにパターン化される。例えば、一方の電極層は、細長い行電極にパターン化され、他方は、行電極に対して直角に伸びる細長い列電極にパターン化され得、ピクセルは、行電極と列電極との交差によって画定される。代替として、かつより一般的に、一方の電極層は、単一連続電極の形態を有し、他方の電極層は、ピクセル電極の行列にパターン化され、ピクセル電極の各々が、ディスプレイの1ピクセルを画定する。ディスプレイと別個であるスタイラス、印刷ヘッド、または類似の可動電極との使用を対象とする別のタイプの電気光学ディスプレイでは、電気光学層に隣接する層のうちの1つのみが、電極を備え、電気光学層の反対側における層は、典型的に、可動電極が電気光学層を損傷させることを防止することを意図する保護層である。
【0004】
用語「電気光学」は、材料またはディスプレイに適用される場合、本明細書では、結像技術分野におけるその従来の意味において、少なくとも1つの光学特性が異なる第1の表示状態と、第2の表示状態とを有する材料であり、材料への電場の印加によってその第1の表示状態からその第2の表示状態に変化される材料を指すために使用される。光学特性は、典型的に、ヒトの眼に知覚可能な色であるが、光学透過率、反射率、発光率、または機械読み取りのために意図されるディスプレイの場合、可視範囲の外側における電磁波長の反射の変化の意味における擬似色等の別の光学特性であり得る。
【0005】
用語「双安定」および「双安定性」は、本明細書では、当技術分野におけるそれらの従来の意味において、少なくとも1つの光学特性が異なる第1の表示状態と、第2の表示状態とを有する表示要素を備えているディスプレイを指すために使用され、それは、その第1または第2の表示状態のうちのいずれかを示すために有限持続時間のアドレスパルスを用いて任意の所与の要素が駆動された後、アドレスパルスが終了した後、その状態が、表示要素の状態を変化させるために要求されるアドレスパルスの最小持続時間の少なくとも数倍、例えば、少なくとも4倍、持続するであろうようなディスプレイである。米国特許第7,170,670号(特許文献1)では、グレースケール対応のいくつかの粒子ベースの電気泳動ディスプレイが、それらの極端な黒および白状態においてだけではなく、それらの中間グレー状態においても安定しており、同じことが、いくつかの他のタイプの電気光学ディスプレイにも当てはまることが示されている。このタイプのディスプレイは、適切に、双安定性ではなく、「多安定性」と呼ばれるが、便宜上、用語「双安定性」が、本明細書では、双安定性ディスプレイおよび多安定性ディスプレイの両方を対象とするために使用され得る。
【0006】
大型の双安定反射型電気光学ディスプレイが、電子看板市場のために理想的である。LCD等の発光ディスプレイと比較すると、双安定反射型電気光学ディスプレイは、より少ない電力を消費し、日光下で容易に視認される。残念ながら、広告板等の大面積ディスプレイに関して、双安定反射型電気光学ディスプレイのための新規のバックプレーンおよび駆動部を作製することに関連付けられた多くのコストが、存在する。故に、双安定電気光学媒体を利用するより低コストの大面積ディスプレイの必要性が、存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第7,170,670号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の側面において、本願は、電気光学ディスプレイであって、伝導性材料の光透過性層と、双安定電気光学媒体の層と、遮光材料の層と、複数の電極と、光伝導性材料の層と、1つ以上の光エミッタとを順に備えている電気光学ディスプレイを提供する。一例示的実施形態において、光伝導性材料の層は、光伝導性材料が低インピーダンス状態にあるとき、アドレスラインとピクセル電極のうちの少なくとも1つとの間のギャップを克服するように適合されている。第2の非排他的実施形態において、電気光学ディスプレイは、光伝導性材料の層と1つ以上の光エミッタとの間の第2の光透過性電極層と、伝導性材料の光透過性層と第2の光透過性電極層との間に電圧を印加するように適合された駆動部とをさらに備えている。第2の電極層は、光透過性シートと、光伝導性材料と接触している光透過性シートの表面に適用された光透過性伝導性材料の層とを備え得る。第2の実施形態の電気光学ディスプレイは、1つ以上の光エミッタと第2の光透過性電極層との間の遮光パターンをさらに備え得る。この第1の側面の電気光学ディスプレイは、保護シートをさらに備え得、伝導性材料の光透過性層は、保護シートと電気光学媒体の層との間にある。電気光学媒体は、カプセル化電気泳動媒体であり得る。一実施形態において、カプセル化電気泳動媒体は、バインダと複数のマイクロカプセルとを備え、マイクロカプセルは、流体中の荷電粒子の分散体を含む。別の実施形態において、カプセル化電気泳動媒体は、流体中の荷電粒子の分散体を含む複数のシールされたマイクロセルを備えている。さらなる実施形態において、カプセル化電気泳動媒体は、荷電粒子を含む複数の流体液滴を備えている不連続相と、ポリマー材料を備えている連続相とを備えている。
【0009】
第2の側面において、本願は、伝導性材料の光透過性層と、双安定電気光学媒体の層と、光透過性層および双安定電気光学媒体の層を通して伝送される光を実質的に遮るように適合された材料でマスキングされたゲートを有する光活性化トランジスタの層と、1つ以上の光エミッタとを順に備えている電気光学ディスプレイを提供する。一実施形態において、光活性化トランジスタの層は、TFTアレイである。
【0010】
本発明のこれらおよび他の側面が、以下の説明に照らして明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面の図は、限定としてではなく、例としてのみ、本概念による1つ以上の実装を描写する。図面は、正確な縮尺率ではない。図では、同様の参照番号は、同一または類似の要素を指す。
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態によるディスプレイの概略断面図である。
【0013】
【
図2】
図2は、本発明の第2の実施形態によるディスプレイの概略断面図である。
【0014】
【
図3A】
図3Aは、本発明の第3の実施形態によるディスプレイの概略断面図である。
【0015】
【
図3B】
図3Bは、
図3Aに図示されるディスプレイの中に含まれるバックプレーンの上面図である。
【0016】
【
図4】
図4は、本発明の第4の実施形態によるディスプレイの概略断面図である。
【0017】
【
図5】
図5は、
図4に図示されるディスプレイに印加された第1の波形のグラフ表現である。
【0018】
【
図6】
図6は、
図4に図示されるディスプレイに印加された第2の波形のグラフ表現である。
【0019】
【
図7】
図7は、背面上にマスクを伴う明るい源にさらされたAM-EPDデバイス上に形成された画像の写真である。
【0020】
【
図8】
図8は、デバイスの背面からAM-EPDのTFTを活性化したDLPプロジェクタを使用してAM-EPDデバイス上に形成された画像の写真である。
【0021】
【
図9A】
図9Aは、LCDディスプレイの上方に設置されたFPLを駆動するためにLCDディスプレイ上に結像されたパターンの写真である。
【
図9B】
図9Bは、LCDディスプレイを用いた背面からの照明と、低電圧のFPLへの同時の印加に続いてFPL上で取得された画像のサンプルである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の詳細な説明において、多数の具体的な詳細が、関連のある教示の徹底的な理解を提供するために、例として述べられる。しかしながら、本教示が、そのような詳細がなくとも実践され得ることが、当業者に明白であろう。
【0023】
実施形態において、本発明の種々の実施形態に従って作製されるディスプレイは、ディスプレイスタック内に光伝導性材料の層を組み込むことによって、大面積双安定電気光学ディスプレイを提供する。光伝導性材料は、電気光学媒体を横断して電場を印加するために使用される電極のアレイを形成するために使用され得るか、または、代替として、光伝導性材料の層が、電場を印加するために使用される2つの電極層の間に組み込まれ得る。
【0024】
図1の例示的実施形態を参照すると、反射型電気光学ディスプレイ10が、図示される。ディスプレイ10は、上部光透過性保護層12を含み得、ディスプレイ画像が、保護層12を通して視認される。用語「光透過性」は、本特許および本明細書では、そのように指定される層が、十分な光を伝送し、その層を通して見ている観察者が、電気光学媒体のディスプレイ状態の変化(それは、通常、導電性層および隣接する基板(存在する場合)を通して視認されるであろう)を観察することを可能にすることを意味するために使用され、電気光学媒体が、非可視波長における反射率の変化を示す場合、用語「光透過性」は、当然ながら、関連のある非可視波長の透過を指すと解釈されるべきである。保護層12は、上部電極としての役割を果たすための伝導性材料の連続層(ポリエチレンテレフタラート(PET)シートの非暴露表面上に適用される酸化インジウムスズ(ITO)の薄膜を有するPETのシート等)を含み得る。
【0025】
双安定電気光学媒体の層14が、透過性保護層12の下方にある。いくつかの双安定電気光学材料は、材料が、固体の外部表面を有するという意味において固体であり得るが、材料は、多くの場合、内部の液体または気体が充填された空間を有し得る。双安定性の固体電気光学材料の例は、限定ではないが、回転二色部材ディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、エレクトロウェッティングディスプレイ、およびカプセル化電気泳動ディスプレイを含む。
【0026】
例えば、米国特許第5,808,783号、第5,777,782号、第5,760,761号、第6,054,071号、第6,055,091号、第6,097,531号、第6,128,124号、第6,137,467号、および第6,147,791号に説明されているもの等の回転二色部材タイプディスプレイは、異なる光学特性を伴う2つ以上の区分と、内部双極子とを有する多数の小さい本体(典型的に、球状または円筒形)を使用する。このタイプのディスプレイは、多くの場合、「回転二色ボール」ディスプレイと称されるが、上記に言及される特許のうちのいくつかでは、回転部材が球状ではないので、用語「回転二色部材または回転二色体」が、より正確なものとして好ましい。これらの本体は、マトリクス内に液体が充填された液胞内に懸濁され、液胞は、本体が自由に回転するように、液体で充填される。ディスプレイの外観は、それに電場を印加し、したがって、本体を種々の位置に回転させ、視認表面を通して見られる本体の区分を変動させることによって、変更される。
【0027】
双安定エレクトロクロミックディスプレイは、例えば、少なくとも部分的に半導電性金属酸化物から形成される電極と、電極に付着させられた可逆的色変化が可能な複数の色素分子とを備えているナノクロミックフィルムの形態にあるエレクトロクロミック媒体を使用し、例えば、O’Regan,B.,et al.によるNature 1991,353,737、および、Wood,D.によるInformation Display,18(3),24 (2002年3月)を参照されたい。Bach,U.,et al.によるAdv. Mater.,2002,14(11),845も参照されたい。このタイプのナノクロミックフィルムは、例えば、米国特許第6,301,038号、第6,870,657号、および第6,950,220号にも説明される。このタイプの媒体も、典型的に双安定性である。
【0028】
長年にわたって集中的な研究および開発の対象である電気光学ディスプレイの1つのタイプは、複数の荷電粒子が電場の影響下で流体を通して移動する粒子ベースの電気泳動ディスプレイである。電気泳動ディスプレイは、液晶ディスプレイと比較されると、良好な輝度およびコントラスト、広視野角、状態の双安定性、および低電力消費の属性を有することができる。
【0029】
Massachusetts Institute of Technology(MIT)、E Ink Corporation、E Ink California,LLC、および関連会社に譲渡された、またはそれらの名義である多数の特許および出願は、カプセル化されたマイクロセル電気泳動および他の電気光学媒体において使用される種々の技術を説明する。カプセル化電気泳動媒体は、多数の小カプセルを備え、それらの各々自体が、流体媒体中に電気泳動的可動粒子を含む内相と、内相を包囲するカプセル壁とを備えている。典型的に、カプセル自体は、2つの電極間に位置付けられるコヒーレント層を形成するために、ポリマーバインダ内に保持される。マイクロセル電気泳動ディスプレイでは、荷電粒子および流体は、マイクロカプセル内にカプセル化されず、代わりに、典型的にポリマーフィルムである、キャリア媒体中に形成された複数の空洞内に保持される。これらの特許および出願において説明される技術は、以下を含む。
(a)電気泳動粒子、流体、および流体添加剤(例えば、米国特許第7,002,728号および第7,679,814号参照)
(b)カプセル、バインダ、およびカプセル化プロセス(例えば、米国特許第6,922,276号および第7,411,719号参照)
(c)マイクロセル構造、壁材料、およびマイクロセルを形成する方法(例えば、米国特許第7,072,095号および第9,279,906号参照)
(d)マイクロセルを充填およびシールする方法(例えば、米国特許第7,144,942号および第7,715,088号参照)
(e)電気光学材料を含むフィルムおよびサブアセンブリ(例えば、米国特許第6,982,178号および第7,839,564号参照)
(f)バックプレーン、接着層、および他の補助層、およびディスプレイ内で使用される方法(例えば、米国特許第7,116,318号および第7,535,624号参照)
(g)色形成および色調節(例えば、米国特許第7,075,502号および第7,839,564号参照)
(h)ディスプレイを駆動する方法(例えば、米国特許第7,012,600号および第7,453,445号参照)
(i)ディスプレイの適用(例えば、米国特許第7,312,784号および第8,009,348号参照)
(j)米国特許第6,241,921号および米国特許出願公開第2015/0277160号に説明されるような非電気泳動ディスプレイ、およびディスプレイ以外のカプセル化およびマイクロセル技術の適用(例えば、米国特許出願公開第2015/0005720号および第2016/0012710号参照)
【0030】
前述の特許および出願の多くは、カプセル化電気泳動媒体中の別々のマイクロカプセルを包囲する壁が、連続相によって置換され得、したがって、電気泳動媒体が、電気泳動流体の複数の別々の液滴と、ポリマー材料の連続相とを備えている、いわゆるポリマー分散型電気泳動ディスプレイを生産することを認め、かつ、そのようなポリマー分散型電気泳動ディスプレイ内の電気泳動流体の別々の液滴が、別々のカプセル膜が各それぞれの液滴に関連付けられていないにもかかわらず、カプセルまたはマイクロカプセルとして見なされ得ることを認めている(例えば、米国特許第6,866,760号参照)。故に、本出願の目的のために、そのようなポリマー分散型電気泳動媒体は、カプセル化電気泳動媒体の亜種として見なされる。他のタイプの電気光学媒体もまた、本発明のディスプレイにおいて使用され得る。
【0031】
図1の実施形態に戻ると、電極層16が、水素化アモルファスシリコン(a-Si:H)から成るトランジスタアレイ等の独立してアドレス可能な薄膜トランジスタ(TFT)光活性化電極のアクティブマトリクス(AM)アレイの形態において提供される。トランジスタゲート18は、好ましくは、保護層12および電気光学媒体14を通して視認者側から伝送される光の全てではない場合でもその大部分を遮ることが可能である材料でマスキングされることによって、そのような光が電気光学媒体14の制御されない切り替えを引き起こすことを防止する。マスキング材料は、例えば、金属コーティングであり得る。
【0032】
プラスチックまたはガラス等の光透過性スペーサ19が、光伝導性アレイ18を光エミッタ11に結合する。光エミッタ11は、例えば、導光体であり得、導光体は、導光体の縁の中に光を放出する1つ以上の光源を有する。代替として、商業的に利用可能なエミットデバイス(例えば、LCDディスプレイ、デジタル光処理(DLP)デバイス、有機発光ダイオード(OLED)、またはラスタ/走査レーザ、またはアレイ内のトランジスタのうちの1つ以上のものの上に投影される移動可能な単点光源)が、光エミッタの役割を果たし得る。
【0033】
電場は、光が光エミッタ11からゲート18上に伝送されない限り、層16の電極と上部シート12の連続導体との間の電気光学媒体14に印加されない。光が電極16のアドレスと同時にゲート18上に伝送されると、電場が、電気光学媒体14に印加され、その光学状態を切り替え、それによって、光透過性上部シート12を通して視認可能である画像を形成する。電気光学媒体14は、双安定性であるので、光エミッタ11、電極16、および上部シート12における連続導体に供給される電力は、画像を発生させるために必要な期間にしか要求されない。発生させられると、画像は、電力供給を切断した後、残るであろう。
【0034】
本発明の実施形態に従って作製されるディスプレイの種々の側面は、ディスプレイの性能を改良し、その電力消費量を低減させるように最適化され得る。例えば、光エミッタによって伝送される光の波長および強度が、電気光学媒体内での最大光発生を確実にするように選択され得、光透過性スペーサが、光伝導性材料に送達される光の強度を保存する(すなわち、光損失を防止する)ように設計され得、光エミッタによって放出される光が、電気光学媒体の光学状態の変化が新しい画像を形成するために必要であるそれらのエリアのみに限定され得、ディスプレイに印加される適切な期間および電圧が、DC平衡を確実にするように選択され得る。
【0035】
図2では、本発明の第2の実施形態に従って作製されるディスプレイ20が、図示される。第1の実施形態と同様に、ディスプレイ20は、連続電極を含む光透過性上部保護シート22と、電気光学媒体の層24と、遮光層26と、光エミッタ21とを備えている。光伝導性材料の層28と、光伝導性材料28と光エミッタ21との間の第2の電極層29とが、遮光層26の下方にある。光伝導性材料の層を形成するために使用され得る材料は、限定ではないが、ゲルマニウム、ガリウム、セレン、ドープシリコン、金属酸化物および金属硫化物、および有機光伝導体、例えば、Cu-フタロシアニン(「フタロシアニンブルー」)および光伝導性ポリマーを含む。第2の電極層29は、光伝導性材料と接触している表面に適用される、ITO等の伝導性材料の層を伴う、PET等の光透過性材料を含む点において、上部光透過性保護シートに類似し得る。ITOは、各セグメントが独立してアドレス可能である、セグメント化パターンにおいて適用され得る。第2の電極層29内の光透過性材料は、光エミッタ21を光伝導性材料28に結合する役割を果たす。
【0036】
図3Aおよび3Bに図示される、本発明の第3の実施形態によるディスプレイ30は、同様に、連続電極を含む光透過性上部保護シート32と、電気光学媒体の層34と、遮光層36と、光エミッタ31とを備えている。ディスプレイ30は、光伝導性材料の層38が、光透過性シート39から電極37のアレイを分離する点において、第1および第2の実施形態と異なる。非伝導性ギャップ35が、各電極37と関連付けられたアドレスライン33との間に意図的に導入されている。
【0037】
ディスプレイ30を動作させるために、所望の極性の駆動電圧が、アドレスライン33と上部保護シート32の上部電極とにわたって印加される。しかしながら、光エミッタ31が、オフである場合、光伝導体38は、高インピーダンス状態にあり、電流は、アドレスライン33と電極37との間のギャップ35を横切ることはできない。光エミッタ31がオンであり、光がギャップ35の近傍の光伝導性材料38に向けられているとき、光伝導体のインピーダンスは、十分に低減させられ、アドレスライン33を電極37に短絡させ、それによって、電場が、短絡させられた電極37と光透過性シート32における上部導体との間の電気光学媒体34に印加されることを可能にする。
【0038】
代替実施形態において、ディスプレイ30のアドレスラインは、
図4に図示されるディスプレイ40等の連続電極と置換され得る。ディスプレイ40は、前に説明される実施形態と同様に、連続電極を含む上部光透過性シート41と、電気光学媒体の層43と、遮光層47と、光エミッタ42とを備えている。隔離された電極のアレイ44、光伝導性材料の層45、および第2の電極層46が、遮光層47の下方にあり、第2の電極層46は、光伝導性材料と接触している表面に適用された伝導性材料の層を伴う光透過性シートを備え得る。随意の遮光パターン49が、光エミッタがその表面から均一に光を放出する場合、パターンに対応する画像を表示するために、光エミッタ42と第2の電極層46との間に適用され得る。駆動部48が、電気光学媒体43を切り替えるために、上部シート41の連続電極と第2の電極層46との間に所望の電圧を印加するが、それは、光エミッタ42から光を受光する結果として低減させられたインピーダンスを伴う光伝導性材料45のエリア内においてのみである。アレイ44内の電極の各々は、ピクセルとしての役割を果たし、光が、光エミッタ42によって放出されていないとき、ピクセル電極44は、浮動状態にある。
【0039】
種々の方法が、初期光学状態から最終光学状態への移行を通して、本発明に従って作製される電気光学ディスプレイの1つ以上のピクセルを駆動するために採用され得る。用語「波形」は、これらの移行をもたらすために使用される時間に対する電圧全体の曲線を示すために使用されるであろう。典型的に、そのような波形は、複数の波形要素を備え、これらの要素は、略長方形であり(すなわち、所与の要素は、ある期間の一定の電圧の印加を含む)、要素は、「パルス」または「駆動パルス」と呼ばれ得る。用語「駆動スキーム」は、具体的なディスプレイのための光学状態間の可能な移行の全てをもたらすために十分な波形の組を示す。ディスプレイは、2つ以上の駆動スキームを使用し得、例えば、前述の米国特許第7,012,600号は、駆動スキームが、ディスプレイの温度またはその寿命中に動作している時間等のパラメータに応じて修正される必要があり得ることを教示し、したがって、ディスプレイは、異なる温度等において使用されるべき複数の異なる駆動スキームを提供され得る。同じディスプレイの異なるエリアにおいて2つ以上の駆動スキームを同時に使用することも、可能である。
【0040】
駆動部(Vdrive)によって前に説明される実施形態のうちのいずれかのために印加される電圧は、所与の時間において、特定の駆動極性、すなわち、正(Vpos)、負(Vneg)、または中性(0V)においてのみ駆動されることができ、コンデンサがなければ、光エミッタは、駆動の持続時間中、「オン」である必要がある。前に解説されるように、電気光学媒体の切り替えは、駆動部と光エミッタとの連携を要求する。したがって、本発明の一実施形態による1つの駆動方法は、Vdrive(Vpos、0、Vneg)を適切に設定し、同時に、所望の期間、光エミッタの光をオンにし、電気光学媒体の所望の光学特性に影響を及ぼし得る。
図5は、電気泳動インクに適用されたこの駆動方略のある例を示す。
【0041】
前に説明される実施形態のうちのいずれかによるディスプレイを駆動する代替方法では、光エミッタによって放出される光の強度は、光伝導体の相互コンダクタンスを変化させ、それによって、電圧を変調するように調節され得る。例えば、
図6を参照すると、駆動部を一定の電圧(VposまたはVneg)に維持しているにもかかわらず、電気泳動インクを横断して印加される電圧は、光エミッタによって放出され、光伝導性材料を通して伝送される光強度に比例するであろう。
【0042】
光伝導性材料と可変光エミッタとの組み合わせは、典型的に、アクティブマトリクスバックプレーンを利用する電気光学ディスプレイのために要求されるゲート/ソースの駆動複雑性の必要性を伴わずに、単純な変調電圧を可能にする。さらに、電気光学媒体の光学状態を切り替えるために必要とされる最大駆動電圧は、光エミッタおよび光伝導性材料の適切な選択および設計に基づいて遂行され得る。
【0043】
ディスプレイの好ましい実施形態において、電気光学媒体は、カプセル化電気泳動媒体である。電気泳動媒体は、典型的に、従来的な電気泳動デバイスのクラスター形成および沈降失敗モードに悩まされず、多種多様の可撓性基板および剛体基板の上にディスプレイを印刷またはコーティングするための能力等のさらなる利点を提供する。(単語「印刷」の使用は、限定ではないが、パッチダイコーティング、スロットまたは押出コーティング、スライドまたはカスケードコーティング、カーテンコーティング等の事前計量コーティング、ナイフオーバーロールコーティング、フォワード・リバースロールコーティング等のロールコーティング、グラビアコーティング、浸漬コーティング、スプレーコーティング、メニスカスコーティング、スピンコーティング、ブラシコーティング、エアナイフコーティング、シルクスクリーン印刷プロセス、静電印刷プロセス、感熱印刷プロセス、インクジェット印刷プロセス、電気泳動堆積(米国特許第7,339,715号参照)、および他の類似技法を含むあらゆる形態の印刷およびコーティングを含むことを意図している。)したがって、結果として生じるディスプレイは、可撓性であることができる。さらに、ディスプレイ媒体が、(種々の方法を使用して)印刷され得るので、ディスプレイ自体は、安価に作製されることができる。
【0044】
前述のMITおよびE Ink特許および出願のうちのいくつかでは、カプセル化電気泳動ディスプレイを製造するためのプロセスが、説明され、バインダ中にカプセルを備えているカプセル化電気泳動媒体が、可撓性基板上にコーティングされ、可撓性基板は、プラスチックフィルム上のインジウムスズ酸化物(ITO)または類似の伝導性コーティング(最終ディスプレイの1つの電極として作用する)を備え、カプセル/バインダコーティングが、基板にしっかりと接着された電気泳動媒体のコヒーレント層を形成するように乾燥させられる。別個に、ピクセル電極のアレイと、回路網を駆動するようにピクセル電極を接続するための導体の適切な配置とを含むバックプレーンが調製される。最終ディスプレイを形成するために、その上にカプセル/バインダ層を有する基板が、積層接着剤を使用してバックプレーンに積層される。そのようなプロセスの1つの好ましい形態では、バックプレーンは、それ自体が可撓性であり、プラスチックフィルムまたは他の可撓性基板上にピクセル電極および導体を印刷することによって調製される。本発明の種々の実施形態に関して、光伝導性材料のフィルムが、バックプレーンを基板に積層することに先立って、バックプレーンに適用され得る。このプロセスによるディスプレイの大量生産のための明らかな積層技法は、積層接着剤を使用するロール積層である。類似する製造技法が、他のタイプの電気光学ディスプレイと共に使用されることができる。例えば、マイクロセル電気泳動媒体または回転二色部材媒体が、カプセル化電気泳動媒体と実質的に同じ様式でバックプレーンに積層され得る。
【0045】
可撓性基板上に印刷技法によってある固体電気光学媒体の層を形成するための能力は、上で議論されるように、コート紙、ポリマーフィルム、および類似媒体の生産のために使用される業務用機器を使用するロールツーロールコーティング等の大量生産技法を使用することによって、ディスプレイの電気光学コンポーネントのコストを削減する可能性を広げる。
【0046】
前述の米国特許第6,982,178号は、大量生成のために有利に適合された固体電気光学ディスプレイ(カプセル化電気泳動ディスプレイを含む)を組み立てる方法を説明する。本質的に、本特許は、光透過性導電性層と、導電性層と電気接点を有する固体電気光学媒体の層と、接着層と、剥離シートとを順に備えている、いわゆる、「フロントプレーンラミネート」(「FPL」)を説明する。典型的に、光透過性導電性層が、好ましくは、基板が恒久的な変形を伴わずに(例えば)直径が10インチ(254mm)のドラムの周囲に手動で巻き付けられ得るという意味において柔軟性である光透過性基板上に支持されるであろう。基板は、典型的に、ポリマーフィルムであり、通常、約1~約25ミル(25~634μm)、好ましくは、約2~約10ミル(51~254μm)の範囲内の厚さを有するであろう。導電性層は、都合よく、例えば、アルミニウムまたはITOの薄金属または金属酸化物層であるか、または、伝導性ポリマーであり得る。アルミニウムまたはITOでコーティングされたポリ(エチレンテレフタレート)(PET)フィルムが、例えば、E.I. du Pont de Nemours & Company(Wilmington DE)製の「アルミ被覆Mylar」(「Mylar」は、登録商標である)として商業的に利用可能であり、そのような商業的材料は、フロントプレーンラミネートにおける良好な結果を伴って使用され得る。
【0047】
本発明の種々の実施形態に関して、FPLの接着層が、遮光層を形成することが好ましい。これは、例えば、電気光学媒体を通して伝送される光の十分な量を事実上遮るであろう吸光顔料または染料を組み込むことによって、遂行され得る。ディスプレイの動作に影響を及ぼし得る接着剤の電気特性を実質的に改変しないであろう適切な顔料および/または染料を選択するように、注意が払われるべきである。
【0048】
そのようなフロントプレーンラミネートを使用した電気光学ディスプレイの組み立ては、剥離シートをフロントプレーンラミネートから除去し、接着層をバックプレーンに接着させるために効果的な条件下で接着層をバックプレーンと接触させ、それによって、接着層、電気光学媒体の層、および導電性層をバックプレーンに固定することによってもたらされ得る。このプロセスは、フロントプレーンラミネートが、典型的に、ロールツーロールコーティング技法を使用して大量生産され、次いで、具体的なバックプレーンとの使用のために必要とされる任意のサイズの断片に切断され得るので、大量生産に有利に適合される。
【0049】
米国特許第7,561,324号は、本質的に、前述の米国特許第6,982,178号のフロントプレーンラミネートの単純化されたバージョンである、いわゆる、「二重剥離シート」を説明している。二重剥離シートの1つの形態は、2つの接着層間に挟まれる固体電気光学媒体の層を備え、接着層の一方または両方は、剥離シートによって覆われる。再び、接着層のうちの一方が、染色され、遮光層を提供することが望ましい。二重剥離シートの別の形態は、2つの剥離シート間に挟まれた固体電気光学媒体の層を備えている。二重剥離フィルムのどちらの形態も、すでに説明されたフロントプレーンラミネートから電気光学ディスプレイを組み立てるためのプロセスに概して類似するプロセスにおける使用を対象とするが、2つの別個の積層を伴い、典型的に、第1の積層において、二重剥離シートは、フロント電極に積層され、フロントサブアセンブリを形成し、次いで、第2の積層において、フロントサブアセンブリは、バックプレーンに積層され、最終的なディスプレイを形成するが、これらの2つの積層の順序は所望に応じて逆転され得る。
【0050】
米国特許第7,839,564号は、前述の米国特許第6,982,178号に説明されるフロントプレーンラミネートの異形である、いわゆる、「反転されたフロントプレーンラミネート」を説明している。この反転されたフロントプレーンラミネートは、光透過性保護層および光透過性導電性層のうちの少なくとも一方と、接着層と、固体電気光学媒体の層と、剥離シートとを順に備えている。この反転されたフロントプレーンラミネートは、電気光学層とフロント電極またはフロント基板との間に積層接着剤の層を有する電気光学ディスプレイを形成するために使用される。染色された接着剤の第2の層が、次いで、バックプレーンの光伝導性材料の層に積層されるステップに先立って、電気光学層に適用され、遮光層を形成し得る。そのような電気光学ディスプレイは、良好な解像度と良好な低温性能を組み合わせることができる。
【0051】
本発明の好ましい実施形態が、本明細書に示され、説明されているが、そのような実施形態が、例としてのみ提供されることを理解されたい。多数の変形例、変更、および代用が、本発明の精神から逸脱することなく、当業者に想起されるであろう。故に、添付の請求項が、本発明の精神および範囲内にあるような、そのような変形例の全てを対象とすることが意図される。
【0052】
(実験例)
【0053】
ガラスバックプレーンを伴う生産規格AM-EPD(E Ink Holdings,Billerica,Massachusetts)が、印刷された用紙で裏面上がマスキングされ、明るい光源にさらされた。マスク上に画像を結像するために、AM-EPDは、「書き込みモード」において設置され、ゲート走査が、停止され、ゲートの全てが、約-15Vの負電圧に保持され、ソースラインが、接地され、Vcomが、-15Vにおいて保持された。
図7は、裏面からの露光に続いてAM-EPD上に形成された画像を示す。
【0054】
第2の例では、Optoma Picoプロジェクタ(Texas Instruments,Dallas,Texas)が、ガラスバックプレーンを伴う生産規格AM-EPD(E Ink Holdings,Billerica,Massachusetts)の背面上に画像を投影するために使用された。再び、ディスプレイは、第1の例において説明されるような「書き込みモード」にされた。
図8は、結果として生じる結像を示す。
【0055】
第3の例では、
図2に図示されるタイプの感光性FPLが、LCDコンピュータモニタにわたって設置され、LCD上に表示される下層のパターンを結像した。パターンを結像するために、LCD画像が、背後から表示される間、約15Vの電圧が、FPLにかけられた。
図9Aは、LCD上のパターンを示し、
図9Bは、FPL上の結果画像を捕捉する。
【0056】
前述の特許および出願の内容の全てが、参照することによって、それらの全体として本明細書に組み込まれる。本願の内容と参照されることによって本明細書に組み込まれる、本特許および出願のうちのいずれかとの間のいかなる非一貫性の場合にも、本願の内容が、そのような非一貫性を解決するために必要な範囲で優先されるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気光学ディスプレイであって、前記電気光学ディスプレイは、
伝導性材料の光透過性層と、
双安定電気光学媒体の層と、
遮光材料の層と、
複数の電極と、
光伝導性材料の層と、
1つ以上の光エミッタと
を順に備えている、電気光学ディスプレイ。
【請求項2】
前記光伝導性材料の層は、前記光伝導性材料が低インピーダンス状態にあるとき、アドレスラインと前記電極のうちの少なくとも1つとの間のギャップを克服するように適合されている、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項3】
前記光伝導性材料の層と前記1つ以上の光エミッタとの間の第2の光透過性電極層と、駆動部とをさらに備え、前記駆動部は、前記伝導性材料の光透過性層と前記第2の電極層との間に電圧を印加するように適合されている、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項4】
前記第2の光透過性電極層は、光透過性シートと、前記光透過性シートの表面に適用された光透過性伝導性材料の層とを備えている、請求項3に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項5】
前記電極は、ピクセル電極またはセグメント化電極である、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項6】
前記1つ以上の光エミッタと前記第2の光透過性電極層との間の遮光パターンをさらに備えている、請求項3に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項7】
保護シートをさらに備え、前記伝導性材料の光透過性層は、前記保護シートと前記電気光学媒体の層との間にある、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項8】
前記電気光学媒体は、カプセル化電気泳動媒体を備えている、請求項1に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項9】
前記カプセル化電気泳動媒体は、バインダと複数のマイクロカプセルとを備え、前記マイクロカプセルは、流体中の荷電粒子の分散体を含む、請求項8に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項10】
前記カプセル化電気泳動媒体は、流体中の荷電粒子の分散体を含む複数のシールされたマイクロセルを備えている、請求項8に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項11】
前記カプセル化電気泳動媒体は、荷電粒子を含む複数の流体液滴を備えている不連続相と、ポリマー材料を備えている連続相とを備えている、請求項8に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項12】
電気光学ディスプレイであって、前記電気光学ディスプレイは、
伝導性材料の光透過性層と、
双安定電気光学媒体の層と、
前記光透過性層および前記双安定電気光学媒体の層を通して伝送される光を実質的に遮るように適合された材料でマスキングされたゲートを有する光活性化トランジスタの層と、
1つ以上の光エミッタと
を順に備えている、電気光学ディスプレイ。
【請求項13】
前記光活性化トランジスタの層は、TFTアレイである、請求項12に記載の電気光学ディスプレイ。
【請求項14】
請求項1に記載の電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、前記方法は、
前記伝導性材料の光透過性層と前記電極のうちの1つ以上との間に電圧を印加することと、
同時に、前記光エミッタから、前記光伝導性材料の層の少なくとも一部上に光を放出することと
を含む、方法。
【請求項15】
前記光エミッタによって放出される前記光の強度を変調することをさらに含む、請求項
14に記載の方法。
【請求項16】
請求項3に記載の電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、前記方法は、
前記伝導性材料の光透過性層と前記第2の光透過性電極層との間に電圧を印加することと、
同時に、前記光エミッタから、前記光伝導性材料の層の少なくとも一部上に光を放出することと
を含む、方法。
【請求項17】
前記光エミッタによって放出される前記光の強度を変調することをさらに含む、請求項
16に記載の方法。
【請求項18】
請求項12に記載の電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、前記方法は、
前記伝導性材料の光透過性層と前記光活性化トランジスタの層との間に電圧を印加することと、
同時に、前記光エミッタから、前記光伝導性材料の層の少なくとも一部上に光を放出することと
を含む、方法。
【請求項19】
前記光エミッタによって放出される前記光の強度を変調することをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明のこれらおよび他の側面が、以下の説明に照らして明白となるであろう。
本発明はさらに、例えば、以下を提供する。
(項目1)
電気光学ディスプレイであって、前記電気光学ディスプレイは、
伝導性材料の光透過性層と、
双安定電気光学媒体の層と、
遮光材料の層と、
複数の電極と、
光伝導性材料の層と、
1つ以上の光エミッタと
を順に備えている、電気光学ディスプレイ。
(項目2)
前記光伝導性材料の層は、前記光伝導性材料が低インピーダンス状態にあるとき、アドレスラインと前記電極のうちの少なくとも1つとの間のギャップを克服するように適合されている、項目1に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目3)
前記光伝導性材料の層と前記1つ以上の光エミッタとの間の第2の光透過性電極層と、駆動部とをさらに備え、前記駆動部は、前記伝導性材料の光透過性層と前記第2の電極層との間に電圧を印加するように適合されている、項目1に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目4)
前記第2の光透過性電極層は、光透過性シートと、前記光透過性シートの表面に適用された光透過性伝導性材料の層とを備えている、項目3に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目5)
前記電極は、ピクセル電極またはセグメント化電極である、項目1に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目6)
前記1つ以上の光エミッタと前記第2の光透過性電極層との間の遮光パターンをさらに備えている、項目3に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目7)
保護シートをさらに備え、前記伝導性材料の光透過性層は、前記保護シートと前記電気光学媒体の層との間にある、項目1に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目8)
前記電気光学媒体は、カプセル化電気泳動媒体を備えている、項目1に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目9)
前記カプセル化電気泳動媒体は、バインダと複数のマイクロカプセルとを備え、前記マイクロカプセルは、流体中の荷電粒子の分散体を含む、項目8に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目10)
前記カプセル化電気泳動媒体は、流体中の荷電粒子の分散体を含む複数のシールされたマイクロセルを備えている、項目8に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目11)
前記カプセル化電気泳動媒体は、荷電粒子を含む複数の流体液滴を備えている不連続相と、ポリマー材料を備えている連続相とを備えている、項目8に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目12)
電気光学ディスプレイであって、前記電気光学ディスプレイは、
伝導性材料の光透過性層と、
双安定電気光学媒体の層と、
前記光透過性層および前記双安定電気光学媒体の層を通して伝送される光を実質的に遮るように適合された材料でマスキングされたゲートを有する光活性化トランジスタの層と、
1つ以上の光エミッタと
を順に備えている、電気光学ディスプレイ。
(項目13)
前記光活性化トランジスタの層は、TFTアレイである、項目12に記載の電気光学ディスプレイ。
(項目14)
項目1に記載の電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、前記方法は、
前記伝導性材料の光透過性層と前記電極のうちの1つ以上との間に電圧を印加することと、
同時に、前記光エミッタから、前記光伝導性材料の層の少なくとも一部上に光を放出することと
を含む、方法。
(項目15)
前記光エミッタによって放出される前記光の強度を変調することをさらに含む、項目13に記載の方法。
(項目16)
項目3に記載の電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、前記方法は、
前記伝導性材料の光透過性層と前記第2の光透過性電極層との間に電圧を印加することと、
同時に、前記光エミッタから、前記光伝導性材料の層の少なくとも一部上に光を放出することと
を含む、方法。
(項目17)
前記光エミッタによって放出される前記光の強度を変調することをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目18)
項目12に記載の電気光学ディスプレイを駆動する方法であって、前記方法は、
前記伝導性材料の光透過性層と前記光活性化トランジスタの層との間に電圧を印加することと、
同時に、前記光エミッタから、前記光伝導性材料の層の少なくとも一部上に光を放出することと
を含む、方法。
(項目19)
前記光エミッタによって放出される前記光の強度を変調することをさらに含む、項目18に記載の方法。
【国際調査報告】