(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-03
(54)【発明の名称】腫瘍を処置するためのEP4アンタゴニストと免疫チェックポイント阻害剤の配合医薬
(51)【国際特許分類】
A61K 31/438 20060101AFI20220527BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220527BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20220527BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220527BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220527BHJP
C07D 221/20 20060101ALI20220527BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220527BHJP
【FI】
A61K31/438
A61P35/00
A61P37/04
A61P43/00 121
A61K45/00
A61P43/00 111
C07D221/20 CSP
A61K39/395 D
A61K39/395 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560513
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(85)【翻訳文提出日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2020060054
(87)【国際公開番号】W WO2020208088
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508343722
【氏名又は名称】ロッタファーム・バイオテック・エッセ・エッレ・エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロヴァティ、ルチオ クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ジョルダーニ、アントーニオ
(72)【発明者】
【氏名】マガラチー、フィリッポ
(72)【発明者】
【氏名】カゼッリ、ジャンフランコ
(72)【発明者】
【氏名】ピエポリ、ティツィアナ
(72)【発明者】
【氏名】マッジオーニ、ダニエレ
(72)【発明者】
【氏名】ボナッツィ、アルビーノ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084NA05
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C084ZC752
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB01
4C085CC23
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC27
4C086GA13
4C086GA15
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC42
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、式(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸又はその薬学的に許容される塩のEP4アンタゴニストと少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤、好ましくは(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩を含む配合医薬を提供する。4.3、5.0、5.8、6.4、7.1、8.3、8.7、12.8、15.3、15.9の角度2θ±0.2°の値にピークを有する粉末XRDスペクトルを特徴とする、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)ベンゾアートのナトリウム塩の多形形態Aも記載される。組み合わせ及び多形形態Aは、腫瘍の処置に使用するために記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む、配合医薬:
下記式のEP4アンタゴニスト、
(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸、又は
その薬学的に許容される塩及び、
少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤。
【請求項2】
薬学的に許容される塩が、塩酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩からなる群から選択される、請求項1に記載の配合医薬。
【請求項3】
EP4アンタゴニストが、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩である、請求項1又は2に記載の配合医薬。
【請求項4】
4.3、5.0、5.8、6.4、7.1、8.3、8.7、12.8、15.3、15.9の角度2θ±0.2°の値にピークを有する粉末XRDスペクトルを特徴とする、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩の多形形態A。
【請求項5】
医薬品として使用するための、請求項4に記載の多形形態A。
【請求項6】
腫瘍の処置に使用するための、請求項4に記載の多形形態A。
【請求項7】
請求項4に記載の(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩の多形形態Aと少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤を含む配合医薬。
【請求項8】
前記少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤が、PD-1(プログラム細胞死-1)、PD-L1(プログラム細胞死-リガンド1)、CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球抗原-4)、TIM3(T細胞免疫グロブリン及びムチン-3)、OX-40及びそのリガンドOX40L、LAG-3(リンパ球活性化遺伝子-3)、KIR(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)、VISTA(T細胞活性化のVドメインIg含有サプレッサー)、IDO1(インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ)、TIGIT(T細胞免疫グロブリン及びITIMドメイン)、BTLA(B及びTリンパ球アテニュエーター)、A2AR(アデノシン受容体A2)、SIGLEC7(シアル酸結合免疫グロブリン型レクチン7)、GITR(グルココルチコイド誘導TNFRファミリー関連遺伝子)、ICOS(誘導性T細胞共刺激因子)、NOX-2(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸NADPHオキシダーゼアイソフォーム2)、アルギナーゼI、CD276(分化抗原群276、B7H4とも呼ばれる)、CD27(分化抗原群27)及びそのリガンドCD27(分化抗原群27)、CD160(分化抗原群160)ならびにCD39(分化抗原群39)からなる群から選択される、請求項1~4のいずれかに記載の配合医薬。
【請求項9】
前記少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤が、中和抗体、抗PD-1(例えば、ニボルマブ(Opdivo)、ペンブロリズマブ(Keytruda))、抗CTLA-4(例えば、イピリムマブ、トレメリムマブ)、抗TIM-3抗体(例えば、MBG453)又は抗LAG-3抗体からなる群から選択される、請求項8に記載の配合医薬。
【請求項10】
腫瘍の処置に使用するための、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸又は薬学的に許容される塩から選択されるEP4アンタゴニスト、及び少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤を含む、配合医薬。
【請求項11】
腫瘍の処置に使用するための、請求項4に記載の(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸ナトリウムの多形形態AからなるEP4アンタゴニスト、及び少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤を含む、配合医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍を処置するためのEP4アンタゴニストと免疫チェックポイント阻害剤との配合医薬(pharmaceutical combination)を提供する。
【0002】
好ましい態様では、本発明は、本発明の組み合わせのEP4アンタゴニストの多形に関する。
【背景技術】
【0003】
がんは、世界の公衆衛生に対する大きな脅威であり、依然として世界中の主要な死因である。したがって、近年の治療の進歩にもかかわらず、より有効な治療処置の開発に対する緊急の医学的必要性がある。
【0004】
免疫腫瘍学は、患者の免疫系を利用してがんと戦うことを目的とした革新的な研究分野である。抗がん免疫の抑制を予防するための最も有望なアプローチの1つは、免疫チェックポイントの遮断、すなわちT細胞媒介性自己免疫を予防するために進化した分子経路であるが、腫瘍もその利点を利用することができる。腫瘍では、これらのタンパク質の発現が調節解除される。このため、重要な一連の研究は、T細胞上で発現される抑制性受容体、例えば細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)及びプログラム細胞死タンパク質1(PD-1)又は腫瘍細胞上で発現されるそれらの対応するリガンド、例えばプログラム細胞死1リガンド-1(PD-L1)を遮断する免疫チェックポイント阻害剤(ICI)に焦点を当ててきた。(Alsaab,H.O.ら Front.Pharmacol.8、1~15(2017))。
【0005】
抗CTLA-4及びPD-1/PD-L1チェックポイント阻害剤に焦点を当てた様々な抗がん薬が、現在FDAによって承認されている。これらには、PD-1及びCTLA-4に対するモノクローナル抗体、例えばペンブロリズマブ、ニボルマブ、デュルバルマブ、トレメリムマブ及びイピリムマブが含まれる。免疫チェックポイント分子の遮断によるがん免疫療法は、複数のがん型にわたって顕著な臨床的有効性を証明しており、さらに免疫チェックポイント免疫療法の臨床試験は、進行性転移性がんでさえ良好な結果を示している。(Alsaab,H.O.ら Front.Pharmacol.8、1~15(2017))。
【0006】
確かな成功にもかかわらず、おそらくがんは免疫監視から逃れるための他の方法を見出すことができるので、全ての患者が応答性であるわけではない。これらの制限は、臨床医を、免疫監視に対してより有効な新規な抗腫瘍剤又は新規な治療に向かわせた。
【発明の概要】
【0007】
本発明者らは、驚くべきことに、EP4アンタゴニストと少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤の組み合わせが腫瘍の処置に有効であることを見出した。
【0008】
したがって、本発明は、式(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸又は薬学的に許容される塩のEP4アンタゴニストと少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤を含む配合医薬に関する。
【0009】
EP4アンタゴニストは、一般式に含まれるものとして国際公開第2013/004290号パンフレットに最初に記載された。本発明者らは、驚くべきことに、式(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のEP4アンタゴニストが、実験部から明らかになるように、チェックポイント阻害剤と組み合わせた場合に、腫瘍を有効に処置することができる唯一のものであることを見出した。
【0010】
本発明において、「免疫チェックポイント」の定義が使用される場合、それは、T細胞活性化を促進又は阻害する免疫細胞又はがん細胞の細胞経路を活性化することができる補助分子として意図される。
【0011】
本発明において、「免疫チェックポイント阻害剤」の定義が使用される場合、それは免疫チェックポイントの機能を阻害する分子として意図される。
【0012】
本発明者らは、驚くべきことに、EP4アンタゴニスト(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩が、組み合わせを調製するための好ましいものであることを見出した。実験部から明らかなように、得られる(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩は非晶質化合物であった。驚くべきことに、本発明者らは、好ましくは少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせた場合に、それ自体でがんを処置することを可能にする、形態Aと命名される、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸ナトリウムの非常に安定な結晶形態を見出した。
【0013】
したがって、別の態様では、本発明は、4.3、5.0、5.8、6.4、7.1、8.3、8.7、12.8、15.3、15.9の角度2θ±0.2°の値にピークを有する粉末XRDスペクトルを特徴とする、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩の多形形態Aに関する。
【0014】
本発明はさらに、医薬品として使用するための、好ましくは腫瘍の処置に使用するための、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩の多形形態Aに関する。
【0015】
したがって、配合医薬は、好ましくは、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩の多形形態Aと少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤を含む。
【0016】
別の態様では、本発明は、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸又は薬学的に許容される塩から選択されるEP4アンタゴニストと少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤を含む配合医薬に関する。
【0017】
別の態様では、本発明は、腫瘍の処置に使用するための、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸ナトリウムの結晶形態AからなるEP4アンタゴニストと少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤を含む配合医薬に関する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】例1の(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸ナトリウムの結晶形態AのDSCグラフを報告する図である。
【
図2】例1の(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸ナトリウムの結晶形態AのIRスペクトルを報告する図である。
【
図3】CT26腫瘍モデルにおける、例1の(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸ナトリウムの結晶形態A、ならびに例2の比較化合物及び抗PD-1の抗腫瘍応答を報告する図である。Balb/cマウスに1×10^6個のCT26細胞を皮下注射した。腫瘍を7日目に測定した後、マウスを無作為化し、次いで、指定される治療で処置した。化合物1及び例2の化合物を毎日30mg/Kg経口投与した。抗PD-1抗体を、移植後8日目に20mg/kg、13日目、19日目及び23日目に10mg/kg注射した。腫瘍体積を1週間に2回測定し、1群当たり15匹のマウスの平均±SEとして示す。矢印は抗PD-1注射を示す(*p<0.05;**p<0.01 Anova検定)。
【
図4】CT26腫瘍モデルにおける化合物、抗PD-1及び併用療法の抗腫瘍応答を報告する図である。Balb/cマウスに1×10^6個のCT26細胞を皮下注射した。腫瘍を7日目に測定した後、マウスを無作為化し、次いで、指定される治療で処置した。化合物1及び化合物2を毎日30mg/kg経口投与した。抗PD-1抗体を、移植後8日目に20mg/kg、13日目、19日目及び22日目に10mg/kg注射した。腫瘍体積を1週間に2回測定し、1群当たり15匹のマウスの平均±SEとして示す。矢印は抗PD-1注射を示す(*p<0.05;**p<0.01 Anova検定)。
【
図5】化合物1、例2の化合物、抗PD-1抗体及び併用療法による処置を通した相対的体重変化を報告する図である。マウス体重を1週間に2回測定した。
【
図6】化合物1によるPGE2効果のインビトロ濃度依存的逆転を報告する図である。
【
図7】LPSによって誘導されるエキソビボTNF-α放出:PGE2阻害(IC
50)と化合物1処置用量との間の線形関係を報告する図である。分析の線形回帰、R2=0.9268;0に対する傾斜偏差のP値=0.0086。
【
図8】LPSによって刺激された全血培養物中のTNF-α放出のエキソビボ阻害を報告する図である。10mg/kg~300mg/kgの範囲の用量のビヒクル又は化合物1投与後のPGE2 0.03μM及び0.1μMの阻害効果。二元配置ANOVA分析;**p<0.001対ビヒクル;***p<0.0005対ビヒクル Dunnettの多重比較検定。
【
図9】投与とは異なる時間にサンプリングされ、LPSによってエキソビボ刺激された全血中のTNF-α放出のエキソビボ阻害を報告する図である。ビヒクル又は10mg/kg化合物1投与後のPGE2 0.03μM及び0.1μMの阻害効果。二元配置ANOVA分析;***p<0.0005対ビヒクル Dunnettの多重比較検定。
【
図10】PGE2 IC
50値分布:単回経口投与後(投与24時間後)の化合物1(10mg/kg)及び化合物2(10mg/kg)の効果を報告する図である。一元配置ANOVA*p<0.001対ビヒクル Dunnettの多重比較検定。
【
図11】PGE2 IC
50値分布:反復経口投与(8日間qd)後の化合物1 10mg/kgの効果を報告する図である。*P<0.001対ビヒクル、Mann Withney検定。
【
図12】化合物1が、マクロファージに分化し、LPS 10ng/ml+0.01μM PGE2で刺激したヒトTHP-1細胞上のTNF-α遺伝子発現のPGE2誘導阻害を用量依存的に逆転させることを報告する図である。結果を、3連で実施された独立した実験のTNF-α発現の平均パーセンテージ±SDとして表す。(LPSリポ多糖、PGE2プロスタグランジンE2)。
【
図13】化合物1が、10μM PGE2で刺激したヒト乳がん細胞株MDA-MB-231上のRANKL遺伝子発現を阻害したことを報告する図である。結果を、3連で実施された独立した実験のRANK-L発現の平均パーセンテージ±SDとして表す。Tukey-Kramer多重比較検定による一元配置分散分析により*P<0.05。PGE2プロスタグランジンE2。
【
図14】化合物1が、IL-2、Il-21、抗CD3及びCD28抗体ならびに0.03μM PGE2への曝露によってTh-17細胞分化に向けて誘導されたヒトPBMC細胞においてTh-17頻度を用量依存的に減少させたことを報告する図である。(Th-17細胞をCD4+CCR6+CD45Ro-IL17F+としてゲーティングした)。
【
図15】化合物1が、rIL23及びrIL-1β(10ng/ml)への曝露によってTreg分化に向けて誘導され、PGE2 0.03μM±0.1μMの化合物1で処理されたヒトPBMC細胞においてTh-3細胞頻度を減少させたことを報告する図である。グラフでは、平均及び標準偏差を報告する。*p<0.05一元配置Anova。(Th-3細胞をCD3+CD4+FoxP3+CD25low+TGFb+としてゲーティングした)
【
図16】化合物1が、rIL23及びrIL-1β(10ng/ml)への曝露によってTreg分化に向けて誘導され、PGE2 0.03μM±0.1μMの化合物1で処理されたヒトPBMC細胞においてiTr35制御細胞頻度を減少させたことを報告する図である。グラフでは、平均及び標準偏差を報告する。*p<0.05一元配置Anova。(iTr35細胞をCD3+CD4+IL35+としてゲーティングした)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、式(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸又はその薬学的に許容される塩のEP4アンタゴニストと少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤を含む配合医薬に関する。
【0020】
本発明の組み合わせは、EP4アンタゴニスト(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸の薬学的に許容される塩を含むことができる。塩は、塩酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩及びリチウム塩からなる群から選択することができる。好ましくは、本発明によると、組み合わせの塩はナトリウム塩である。
【0021】
実験部から明らかなように、得られるベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩は非晶質化合物であった。
【0022】
驚くべきことに、本発明者らは、少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせて使用される、形態Aと命名される、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸ナトリウムの非常に安定な結晶形態を見出した。
【0023】
したがって、別の態様では、本発明は、4.3、5.0、5.8、6.4、7.1、8.3、8.7、12.8、15.3、15.9の角度2θ±0.2°の値にピークを有する粉末XRDスペクトルを特徴とする、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩の多形形態Aに関する。
【0024】
本発明はさらに、医薬品として使用するための、好ましくは腫瘍の処置に使用するための、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩の多形形態Aに関する。
【0025】
したがって、配合医薬は、好ましくは、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩の多形形態Aと少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤を含む。
【0026】
別の態様では、本発明は、医薬品として使用するための、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸又は薬学的に許容される塩から選択されるEP4アンタゴニストと少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤を含む配合医薬に関する。
【0027】
別の態様では、本発明は、腫瘍の処置に使用するための、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸又は薬学的に許容される塩から選択されるEP4アンタゴニストと少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤を含む配合医薬に関する。
【0028】
別の態様では、本発明は、腫瘍の処置に使用するための、(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸ナトリウムの結晶形態AからなるEP4アンタゴニストと少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤を含む配合医薬に関する。
【0029】
したがって、本発明はさらに、治療上有効量の本発明の配合医薬を患者に投与するステップを含む、腫瘍を処置する方法に関する。
【0030】
免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1(プログラム細胞死-1)、PD-L1(プログラム細胞死-リガンド1)、CTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球抗原-4)、TIM3(T細胞免疫グロブリン及びムチン-3)、OX-40及びそのリガンドOX40L、LAG-3(リンパ球活性化遺伝子-3)、KIR(キラー細胞免疫グロブリン様受容体)、VISTA(T細胞活性化のVドメインIg含有サプレッサー)、IDO1(インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ)、TIGIT(T細胞免疫グロブリン及びITIMドメイン)、BTLA(B及びTリンパ球アテニュエーター)、A2AR(アデノシン受容体A2)、SIGLEC7(シアル酸結合免疫グロブリン型レクチン7)、GITR(グルココルチコイド誘導TNFRファミリー関連遺伝子)、ICOS(誘導性T細胞共刺激因子)、NOX-2(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸NADPHオキシダーゼアイソフォーム2)、アルギナーゼI、CD276(分化抗原群276、B7H4とも呼ばれる)、CD27(分化抗原群27)及びそのリガンドCD27(分化抗原群27)、CD160(分化抗原群160)ならびにCD39(分化抗原群39)を含むが、これらに限定されない。
【0031】
好ましくは、免疫チェックポイント阻害剤は、中和抗体、抗PD-1(例えば、ニボルマブ(Opdivo)、ペンブロリズマブ(Keytruda))、抗CTLA-4(例えば、イピリムマブ、トレメリムマブ)、抗TIM-3抗体(例えば、MBG453)又は抗LAG-3抗体である。
【0032】
投与前の抗体、例えば本発明で使用される抗PD-1又は上に列挙される他の免疫チェックポイントのいずれかの抗体抗は、一般に、生理食塩水溶液などの薬学的に許容される物質と混合され、それだけに限らないが、静脈内、皮内、腹腔内又は髄腔内注射を含む任意の適切な方法を使用して投与され得る。
【0033】
治療上「有効量」は、特定のチェックポイント阻害剤(例えば、特定のチェックポイント阻害剤の効力(IC50)、有効性(EC50)及び生物学的半減期)、腫瘍状態及びその重症度、処置を必要とする患者の素性(例えば、年齢、サイズ及び体重)などの因子に応じて変化するが、それにもかかわらず、当業者によって日常的に決定され得る量に対応するEP4アンタゴニスト及び少なくとも1つのチェックポイント阻害剤の量を意図している。同様に、組み合わせに含有される化合物の処置の持続時間及び投与期間(投与の間の期間及び投与のタイミング、例えば、食事前/食事中/食事後)も、処置を必要とするヒトの素性(例えば、体重)、特定の化合物及びその特性(例えば、医薬特性)、腫瘍及びその重症度によって変化するが、それにもかかわらず、当業者によって決定され得る。
【0034】
本発明のEP4アンタゴニスト及び本発明の少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤は、全身投与と局所投与の両方を含む任意の適切な投与経路によって、互いに独立に投与され得る。
【0035】
全身投与には、経口投与、非経口投与、経皮投与、直腸投与及び吸入による投与が含まれる。
【0036】
本発明のEP4アンタゴニストと本発明の少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤の組み合わせは、1回、又はいくつかの用量が所与の期間にわたって様々な時間間隔で投与される投薬レジメンに従って投与され得る。所望の治療効果が達成されるまで、又は所望の治療効果を維持するために無期限に用量を投与することができる。本発明のEP4アンタゴニストと本発明の少なくとも1つの免疫チェックポイント阻害剤の適切な投与レジメンは、当業者によって決定され得るこのような化合物の薬物動態学的特性、例えば吸収、分布及び半減期に依存する。本発明の組み合わせは、患者への投与前に医薬組成物に製剤化することもできる。本発明の医薬組成物は、当業者に知られている技術及び方法を使用して調製される。
【0037】
より好ましい態様では、腫瘍は、結腸直腸がん、膀胱がん、副腎がん、乳がん、脳がん、神経膠腫、神経膠芽腫、子宮頸がん、頭頸部がん、子宮内膜がん、肺がん、卵巣がん、黒色腫、前立腺がん、腎臓がん、腎がん、肝臓がん、甲状腺がん、膵臓がん、肉腫、線維肉腫を含み得るが、これらに限定されない。
【0038】
さらにより好ましい態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗CTLA-4及び/又は抗PD-1/PD-L1チェックポイント阻害剤である。
【0039】
全ての処置方法について、いくつかの実施形態では、使用される抗PD-1抗体の有効用量は、0.1mg/kg~20mg/kg総体重であり、好ましい用量は2mg/kg又は3mg/kgである。
【0040】
個々の投与の最適な量及び間隔は、処置される状態の性質及び程度によって決定されることも当業者によって認識されるであろう。
【0041】
ここで、本発明を、実験部を参照してさらに詳述する。
【0042】
実験部
以下の例で使用される試薬は、様々な供給業者から市販されており、さらに精製することなく使用した。溶媒は脱水形態で使用した。無水環境中の反応は乾燥N2の陽圧下で行った。
【0043】
プロトン核磁気共鳴(1H NMR)スペクトルはBruker Avance 400MHz装置で記録した。化学シフトは、残留溶媒を内部標準として使用してppm(δ)で報告する。分裂パターンは以下のように指定する:s、一重項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;m、多重項;b、ブロードなシグナル。
【0044】
ポジティブES(+)及びネガティブES(-)イオン化モードで動作するIon Trap Thermo LCQ古典的分光計で質量スペクトル(MS)を実行した。
【0045】
Acquity UPLC-BEH C18カラム(1.7μM、50×2.1mm)を使用して、Waters Acquity UPLC-SQD装置でUPLCスペクトルを実施した。
【0046】
Biotage SNAP HPシリカカートリッジを使用して、Biotage自動フラッシュクロマトグラフィーシステム(Isoleraシステム)でフラッシュシリカゲルクロマトグラフィーを実施した。
【0047】
RediSep Gold C-18Aqカートリッジを使用して、Biotage自動フラッシュクロマトグラフィーシステム(Isoleraシステム)で逆相クロマトグラフィーを実施した。
【0048】
Phenomenex Strata SCXカートリッジ(55μm、70 A)を使用して、いくつかの塩基性化合物の精製を実施した。
【0049】
Merck TLCプレートKieselgel 60F-254を使用して、UV光、過マンガン酸水溶液、ヨウ素蒸気で可視化して、薄層クロマトグラフィーを行った。
【0050】
以下の略語を本明細書で使用する:AcOH:酢酸;DIAD:ジイソプロピル(E)-ジアゼン-1,2-ジカルボキシラート;Boc:terブチルオキシカルボニル;DCM:ジクロロメタン;TFA:トリフルオロ酢酸;DMF:ジメチルホルムアミド;THF:テトラヒドロフラン;RT:室温;AcOEt:酢酸エチル;NaOH:水酸化ナトリウム;LiOH:水酸化リチウム;DIPEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン;TEA:トリエチルアミン;NaHCO3:重炭酸ナトリウム;Na2SO4:硫酸ナトリウム;Cs2CO3:炭酸セシウム;NaHMDS:ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド;HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
【0051】
例1:
式(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸、ナトリウム塩のEPアンタゴニストの調製
化合物を、以下のスキーム1のような合成ステップに従って得た:
【化1】
a)出発物質(SM2)及び適切なカップリング剤を使用した、出発物質(SM1)の式(I)の化合物への変換;
b)DCM中TFAのような酸性媒体中での化合物(I)の脱保護により、化合物(II)を得る;
c)適切な塩基の存在下での臭化ベンジルによる環上の窒素のアルキル化により、化合物(III)を得る;
d)NaOHのような適切な無機塩基を使用したメチルエステルの加水分解により、化合物(IV)を得る;及び
e)適切な溶媒中でのナトリウム塩の形成及び結晶化。
【0052】
例1a)出発物質1(SM1)の合成
上記スキーム1で報告される出発物質SM1は、以下のスキーム2で報告される以下のステップによって得た:
【化2】
a)MeI及びCs
2CO
3のような適切な塩基を使用して、(R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-オキソピペリジン-2-カルボン酸(Thetrahedron(1997)15671~15680に従って調製)をメチルエステル(IX)に変換する
b)トルエン中メチルトリフェニルホスホニウムブロミドを使用したウィッティヒ反応により化合物(X)を得る
c)MeOH中のHClのような適切な酸性試薬を使用したピペリジン窒素の脱保護及びその後のDCM中塩化Cbzを使用した保護により化合物(XI)を得る
d)THF、ジヨードメタン及びTFA中ジエチル亜鉛のような有機金属試薬を使用したシクロプロパンの形成により化合物(XII)を得る
e)MeOH中水素及びパラジウム炭のような還元剤を使用したピペリジン窒素の脱保護及びその後の(BOC)
2Oを使用した保護により、化合物(XIII)を得る
f)THF/MeOH中LiOHのような適切な無機塩基を使用したメチルエステルの加水分解により、(SM1)を得る
【0053】
-中間体(IX)1-(tert-ブチル)2-メチル(R)-4-オキソピペリジン-1,2-ジカルボキシラートの合成
スキーム2を参照して、中間体(IX)を調製した。
【0054】
丸底フラスコ中で、(R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-オキソピペリジン-2-カルボン酸(10g;0.041mol)をDMF(25ml)に溶解し、3℃に冷却した。炭酸セシウム(0.6当量)を添加し、次いで、ヨウ化メチル(1.1当量)を滴加し、RTで2時間後、混合物を水(250ml)で希釈し、AcOEt(3×150ml)で抽出した。合わせた有機層を水(150ml×3)、引き続いてブライン(150ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、40℃で濃縮して、標記化合物(9g;85%)を淡褐色固体として得た。
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM-d)δ=5.28-4.75(m,1H),4.13-4.03(m,1H),3.76(s,3H),3.72-3.55(m,1H),2.92-2.70(m,2H),2.53(br s,2H),1.50(br s,9H)ESI+m/z 258[M+H]+
【0055】
-中間体(X)1-(tert-ブチル)2-メチル(R)-4-メチレンピペリジン-1,2-ジカルボキシラートの合成
スキーム2を参照して、中間体(X)を調製した。
【0056】
メチルトリフェニルホスホニウムブロミド(1.1当量)を脱水トルエン(400ml)に溶解し、3℃に冷却し、次いで、NaHMDS溶液(1.05当量)をゆっくり滴下した。窒素雰囲気下3℃で1時間後、脱水トルエン(200ml)中の中間体(IX)(9g、0.035mol)を添加し、1時間撹拌した。完了後、反応物を氷/水(800ml)でクエンチし、2つの層を分離し、有機層を水(350ml)、引き続いてブライン(350ml)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮した。残渣を、ヘキサン/AcOEt 95-5~60-40で溶出するシリカゲルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物を淡黄色固体(8g;90%)として得た。
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM-d)δ=5.12-4.76(m,3H),4.27-3.97(m,1H),3.73(s,3H),3.23-2.92(m,1H),2.86-2.69(m,1H),2.57-2.38(m,1H),2.21(br s,2H),1.49(br s,9H).ESI+m/z 256[M+H]+
【0057】
-中間体(XI)1-ベンジル2-メチル(R)-4-メチレンピペリジン-1,2-ジカルボキシラートの合成
スキーム2を参照して、中間体(XI)を調製した。
【0058】
中間体(X)(8g;0.031mol)を脱水メタノール(150ml)に溶解し、0℃に冷却し、次いで、3MメタノールHCl溶液300mlをゆっくり添加した。RTで2時間後、溶媒を蒸発乾固し、残渣をDCM(250ml)に溶解し、0℃に冷却し、次いで、トリエチルアミン(2.5当量)及びクロロギ酸ベンジル(1.2当量)をRTで1時間後に添加した。完了後、反応物を氷冷水でクエンチし;2つの層を分離し、有機層を水、引き続いてブライン溶液(250ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、40℃未満で濃縮して残渣を得て、これをヘキサン/AcOEt 95-5~60-40で溶出するシリカゲルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物を白色固体(6.7g;74%)として得た。
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM-d)δ=7.45-7.30(m,5H),5.24-4.93(m,3H),4.83(s,2H),4.31-4.13(m,1H),3.84-3.62(m,3H),3.26-3.03(m,1H),2.86-2.74(m,1H),2.55-2.43(m,1H),2.34-2.17(m,2H).ESI+m/z 290[M+H]+
【0059】
-中間体(XII)6-ベンジル5-メチル(R)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5,6-ジカルボキシラートの合成
スキーム2を参照して、中間体(XII)を調製した。
【0060】
DCM(150ml)を0℃に冷却し、次いで、THF中ジエチル亜鉛溶液(2.3当量)をゆっくり添加し、30分間撹拌した。トリフルオロ酢酸(2.0当量)を0℃でゆっくり添加し、60分間撹拌し、次いで、ジヨードメタン(4.0当量)を添加し、0℃で60分間撹拌した。脱水ジクロロメタン(50ml)中の中間体(XI)(6g;0.02mol)を0℃でゆっくり添加し、次いで、25℃で20時間撹拌したままにした。反応塊を10%重炭酸ナトリウム溶液(400ml)でクエンチした。固体沈殿を濾別し、層を濾液から分離し、有機層を水(250ml×2)、引き続いてブライン溶液(250ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、40℃未満で濃縮して残渣を得て、これをヘキサン/AcOEt 95-5~60-40で溶出するシリカゲルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物を白色固体(4.72g;75%)として得た。
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM-d)d ppm 0.03-0.47(m,78H)0.76-0.92(m,1H)1.26-1.48(m,1H)1.49-1.70(m,2H)1.75(s,1H)1.88-2.04(m,1H)2.19(s,1H)2.35-2.41(m,1H)3.17-3.39(m,1H)3.61-3.83(m,3H)4.14(m,J=11.74Hz,1H)4.96(m,J=4.89Hz,1H)5.12-5.25(m,2H)7.15-7.28(m,1H)7.37(m,J=9.29Hz,5H).ESI+m/z 304[M+H]+
【0061】
-中間体(XIII)6-(tert-ブチル)5-メチル(R)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5,6-ジカルボキシラートの合成
スキーム2を参照して、中間体(XIII)を調製した。
【0062】
中間体(XII)(4.5g、0.015mol)をメタノール(200ml)に溶解し、Pd/C 10%(400mg)を添加し、次いで、懸濁液を3barで2時間水素化した。完了後、反応物を、celite床を通して濾過し、メタノール(200ml)で洗浄した。溶液を150mlに濃縮し、20℃に冷却し、次いで、boc無水物(1.2当量)をゆっくり添加し、25 5℃で16時間撹拌した。反応完了後、溶媒を蒸発させ、次いで、残渣をヘキサン/AcOEt 95-5~60-40で溶出するシリカゲルを使用するカラムクロマトグラフィーによって精製して、標記化合物を白色固体(3.68g;92%)として得た。
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM-d)δ=5.03-4.71(m,1H),4.21-3.90(m,1H),3.74(s,3H),3.35-3.04(m,1H),2.27-2.13(m,1H),2.02-1.83(m,J=4.6,13.1,13.1Hz,1H),1.56-1.38(m,10H),0.95-0.72(m,1H),0.43-0.20(m,4H).
ESI+m/z 270[M+H]+
【0063】
-出発物質1(SM1)(R)-6-(tert-ブトキシカルボニル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボン酸の合成
スキーム2を参照して、出発物質(SM1)を得た。
【0064】
中間体(XIII)(3.5g;0.013mol)をTHF(100ml)及びメタノール(100ml)に溶解し、0℃に冷却し、次いで、水酸化リチウム溶液(水50ml中3.0当量)を滴下した。
【0065】
混合物をRTで8時間撹拌した。反応物を10℃に冷却し、酢酸でpH5(50ml)にクエンチし、MeOH及びTHFを留去することによって濃縮した。濃縮塊を氷水で希釈し、酢酸エチル(300ml×2)で抽出した。合わせた有機層を水(200ml)、引き続いてブライン(200ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、50℃未満で濃縮した。残渣に石油エーテル(300ml)を添加し;固体を濾別し、40℃で24時間真空乾燥した。収量3g(92%)
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM-d)δ=5.11-4.77(m,1H),4.18-3.88(m,1H),3.32-3.09(m,1H),2.32-2.14(m,1H),2.03-1.88(m,1H),1.67-1.55(m,1H),1.50(br s,9H),0.97-0.75(m,1H),0.52-0.26(m,4H).ESI+m/z 256[M+H]+
【0066】
例1b)出発物質2(SM2)の合成
出発物質2(SM2)を公知の文献手順(国際公開第2008104055号パンフレット、例1、ステップ2)に従って調製した。
【0067】
例1c)中間体(I)tert-ブチル(R)-5-((1-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)シクロプロピル)カルバモイル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-6-カルボキシラートの合成
スキーム1を参照して、中間体(I)を得た。
【0068】
出発物質1 10g(0.039mmol)をDCM(200ml)に溶解し、HOBt水和物(1.1当量)及びEDC-HCl(1.1当量)を添加し、混合物を20℃で30分間撹拌した。出発物質2(1.02当量)を添加し、次いで、TEA(1.2当量)を添加し;反応物を30℃で6時間撹拌したままにし、次いで、水(100ml)でクエンチした。有機相を5%重炭酸ナトリウム溶液(100ml)、1Mクエン酸溶液(200ml)、水(200ml)で洗浄した。DCMを蒸発させ、t-ブチルメチルエーテル(200ml)を添加し、次いで、溶媒を再び蒸発させた。t-ブチルメチルエーテル400mlを添加し、懸濁液を20℃で17時間撹拌し、次いで、白色固体を濾過し、冷t-ブチルメチルエーテルで洗浄した。生成物を真空下50℃で乾燥させた。収量14.7g(88%)
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM-d)δ=8.01-7.93(m,2H),7.28(s,2H),6.74(s,1H),4.83(br s,1H),4.21(br s,1H),3.92(s,3H),3.10-2.87(m,1H),2.10-1.99(m,1H),1.97-1.85(m,1H),1.84-1.75(m,1H),1.52(s,9H),1.40(br s,4H),0.88-0.81(m,1H),0.63-0.45(m,1H),0.45-0.29(m,2H),0.28-0.18(m,1H).
ESI+m/z 429[M+H]+
【0069】
例1d):中間体(II)メチル(R)-4-(1-(6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)ベンゾアートの合成
スキーム1を参照して、中間体(II)を得た。
【0070】
中間体(I)(14g;0.032mmol)をDCM(150ml)に溶解し、TFA(10当量)を添加し、溶液を20℃で5時間撹拌した。反応混合物を真空下で蒸留し、DCM(100ml)を添加し、飽和重炭酸ナトリウム溶液を15~25℃でゆっくり添加した(300ml、有意な発泡)。有機相を水(200ml)で洗浄し、減圧下で蒸発させた。t-ブチルメチルエーテル(200ml)を添加し、次いで、溶媒を再び蒸発させた。t-ブチルメチルエーテル300mlを添加し、懸濁液を20℃で17時間撹拌し、次いで、白色固体を濾過し、冷t-ブチルメチルエーテルで洗浄した。生成物を真空下50℃で乾燥させた。収量9.65g(90%)
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM-d)δ=7.96(d,J=8.3Hz,2H),7.61(br s,1H),7.26(d,J=8.3Hz,2H),3.91(s,3H),3.46-3.39(m,1H),3.13-3.04(m,1H),2.92-2.82(m,1H),1.87-1.70(m,3H),1.41-1.28(m,5H),1.01-0.93(m,1H),0.46-0.24(m,4H).ESI+m/z 329[M+H]+
【0071】
例1e)中間体(III)メチル(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)ベンゾアートの合成
スキーム1を参照して、中間体(III)を得た。
【0072】
中間体(II)(9.5g、0.029mmol)を脱水THF(150ml)に溶解し、次いで、Cs2CO3(2当量)及び4-(トリフルオロメチル)ベンジルブロミド(1.2当量 THF75mlに溶解)を添加した。反応混合物を25℃で8時間撹拌し、次いで、DCM 350ml及び水350mlを添加した。有機相を水(150ml)及びブライン(250ml)で洗浄し、減圧下で蒸発させた。n-ヘプタン(1500ml)を添加し、次いで、溶媒を再び蒸発させた。n-ヘプタン150mlを添加し、懸濁液を20℃で4時間撹拌し、次いで、白色固体を濾過し、n-ヘプタンで洗浄した。生成物を真空下50℃で乾燥させた。収量12.95g(92%)
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM-d)δ=7.96-7.89(m,2H),7.66-7.61(m,2H),7.47-7.40(m,3H),7.27-7.21(m,J=8.8Hz,2H),3.90(s,3H),3.84(d,J=14.7Hz,1H),3.35(d,J=14.7Hz,1H),3.05(dd,J=3.9,10.3Hz,1H),2.93-2.86(m,1H),2.31-2.22(m,1H),2.07-1.98(m,1H),1.88-1.78(m,1H),1.45-1.27(m,4H),1.17-1.08(m,1H),1.01-0.94(m,1H),0.50-0.36(m,3H),0.33-0.26(m,1H).
ESI+m/z 487[M+H]+
【0073】
例1f):中間体(IV)(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸の合成
スキーム1を参照して、中間体(IV)、酸の形態のEP4アンタゴニストを得た。
【0074】
中間体(III)(12g、0.024mmol)をTHF(70ml)に溶解し、次いで、NaOH 2N(4当量)を添加した。反応物を5℃で5時間撹拌したままにし、次いで、水(200ml)を添加し、有機物を蒸発させた。ジクロロメタン200mlを添加し、混合物のpHを酢酸で4.5~5.0に調整し;有機相を水及びブライン(200ml×3)で洗浄し、蒸発させて、標記化合物(9.9g;85%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 12.72(1H,s),8.73(1H,s),7.78(2H,d,J=8.6Hz),7.69(2H,d,J=8.3Hz),7.64(2H,d,J=8.3Hz),7.20(2H,d,J=8.6Hz),3.79(2H,d,J=13.9Hz),3.28(1H,d,J=13.9Hz),2.93(1H,dd,J=3.1;10.3Hz),2.73(1H,m),2.08(2H,m),1.78(1H,m),1.10-1.31(5H,m),0.87(1H,m),0.32(4H,m).
ESI+m/z 473[M+H]+.
【0075】
このようにして得られたEP4アンタゴニストを分析したところ、非晶質固体としての双性イオンであることが分かった。
【0076】
例1g)R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩の調製
例1f)の双性イオンから得ることができた唯一の結晶形態は溶媒和物であり、これは熱的ストレス(例えば、溶媒含有量をICHレベルまで低下させるための加熱)又は機械的ストレスで容易に非晶質形態を生じた。
【0077】
したがって、エチルエーテル中の中間体(IV)HClに添加することによって塩酸塩を調製した。
【0078】
中間体(IV)の塩酸塩を調査し、スクリーニングから非晶質形態及び2つの結晶形態(無水A及び溶媒和物B)を特定した。無水形態Aをさらに調査した。中間体(IV)塩酸塩形態Aは、機械的ストレス又は熱的ストレス下で非晶質形態に変換する傾向を示した。化学的安定性は、例1f)の非晶質双性イオンと同程度であった。
【0079】
中間体(IV)を溶媒に可溶化した後、EtOH中NaOHを添加することによってナトリウム塩を調製した。様々な溶媒を試験した(n-プロパノール、n-ブタノール;iPrOH)が、より高い収率及び容易な乾燥のためにn-プロパノールを選択した。形態A及びDと呼ばれる2つの結晶形態が得られた:形態Aはn-プロパノール結晶化から直接得られ、形態Dは形態Aの水和によってのみ得られた。物理的安定性試験中、形態Dは機械的ストレス(ミリング)によって、及び乾燥中に非晶質形態に変換されやすいことが分かった。
【0080】
逆に、ナトリウム塩形態Aは、熱的ストレスによる非晶質化に対してより安定であることが分かったが、高エネルギーでの機械的ストレスによって非晶質化が観察された。形態Aは最も熱力学的に安定な無水形態であり、形態Dは最も安定な水和形態であった。他の形態は、安定性が低いか又は準安定性であった。これらの形態ならびに非晶質形態は、アセトン、ジエチルエーテル、酢酸イソプロピル、THF、ヘプタンからの固体スラリーによって安定な形態Aに容易に変換された。
【0081】
(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸ナトリウム(形態A)(化合物1とも呼ばれる)の合成プロトコルを以下に報告するように確立した。
【0082】
中間体(IV)(50g、0.1mol)をn-プロパノール(400ml)に溶解し、次いで、EtOH(70ml)中NaOH(1.02当量)の冷却溶液を添加した。懸濁液を20~24℃で18~20時間撹拌し、次いで、濾過し、予冷n-プロパノール(100ml)で洗浄し、70℃で24時間乾燥させた。収量43g 白色固体(87%)
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ ppm 8.68(1H,s),7.73(2H,d,J=8.3Hz),7.69(2H,d,J=8.3Hz),7.64(2H,d,J=8.3Hz),7.02(2H,d,J=8.3Hz),3.81(2H,d,J=13.9Hz),3.26(1H,d,J=13.9Hz),2.92(1H,dd,J=3.1;10.5Hz),2.72(1H,m),2.07(2H,m),1.78(1H,m),1.16(4H,m),1.09(1H,m),0.85(1H,m),0.30(4H,m).
ESI+m/z 473[M+H]+
【0083】
例1f)の双性イオン、塩形態と全てのナトリウム形態の両方について、溶解度、溶解及びバイオアベイラビリティの研究を実施した。塩(特にナトリウム塩の両形態)は、非晶質と比較して改善された溶解特性を示した。ラットとイヌの両方におけるPK実験は、曝露及びバイオアベイラビリティに関して様々な形態の間で有意な差を示さなかったが、ナトリウム塩形態Aは、安定性及び医薬品製造可能性の特性を考慮して開発のために選択される形態であるように見える。
【0084】
(R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸ナトリウム(A形態)(化合物1とも呼ばれる)の特性評価
固体NMR
固体NMR測定を、それぞれ1H及び13Cについて400.23MHz及び100.65MHzで動作するBruker AVANCE II 400装置で行った。13C CPMASスペクトルを室温で12kHzの回転速度で記録した。試料体積80μLの円筒形4mm外径ジルコニアロータを使用した。CPMAS実験では、3msの接触時間、4.0μsの1H 90°パルス、5~10秒のリサイクル遅延、及び2000~4000の過渡応答でランプ交差分極パルスシーケンスを使用した。75KHzの周波数場で二パルス位相変調デカップリングスキームを使用した。
13C化学シフト(ppm)
δ=177.1;144.8;143.1;136.9;129.3;124.9;71.4;65.5;61.3;57.3;51.2;39.0;35.1;23.2;18.0;14.9;12.6
【0085】
XRPD
XRPD測定を、Bragg-Brentano幾何学を有し、以下を備えたX線粉末回折計PANalytical X’pert Proで実行した:
a)検出器X’Celerator
b)マルチサンプラー
c)スピナー
d)セラミックX線管Cu LFF(λ
1=1.54051A;λ
2=1.54430A)
範囲4~40°2θ
【表1】
【0086】
DSC
サーモグラムは、Perkin-Elmer DSC 8000を使用して取得し、スキャン速度は30℃から300℃まで10℃/分とした。サーモグラムを
図1に報告する。
検出されたピーク:T開始=252.64℃、ΔH=56.11J/g
【0087】
IR
IRスペクトルは、ATR(減衰全反射)モードによって、4000~650cm
-1の間でPerkin Elmer Spectrum 100 FT/IR機器で記録した。IRスペクトルを
図2に報告する。主な吸収周波数を以下の表に報告する:
【表2】
【0088】
形態Aの安定性
様々な湿度値及び温度でのR)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩の形態A(化合物1とも呼ばれる)の安定性を調査した。結果を以下の表に報告する:
【表3】
【0089】
例2:
(R)-4-(1-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペリジン-2-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸、ナトリウム塩(化合物2とも呼ばれる)の調製
例1のEPアンタゴニストを、国際公開第2013/004290号パンフレットに開示されている別のEPアンタゴニスト、すなわち、(R)-4-(1-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペリジン-2-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸と比較した。
【0090】
化合物を以下のスキーム3のような合成ステップに従って得た:
【化3】
a)出発物質(SM2)及び適切なカップリング剤を使用して(R)-1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-2-カルボン酸を式(V)の化合物に変換する;
b)DCM中TFAのような酸性媒体中での化合物(V)の脱保護により、化合物(VI)を得る;
c)適切な塩基の存在下、臭化ベンジルによる環上の窒素のアルキル化により、化合物(VII)を得る;
d)LiOHのような適切な無機塩基を使用したメチルエステルの加水分解により、化合物(VIII)を得る;及び
e)適切な溶媒混合物中NaOHを使用したナトリウム塩の形成
【0091】
-例2a:中間体(V)tert-ブチル(R)-2-((1-(4-(メトキシカルボニル)フェニル)シクロプロピル)カルバモイル)ピペリジン-1-カルボキシラートの合成
Boc-D-ピペコリン酸(500mg、2.181mmol)をDCM(13ml)に溶解した。N-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(2.62mmol)及びEDCI(3.05mmol)を添加し、反応混合物を40分間撹拌したままにした。SM2(2.268mmol)、引き続いてTEA(2.94mmol)を添加した。反応混合物を室温で15時間撹拌したままにし、次いで、水(20ml)を添加した。相を分離し、水層をDCM(2×15mL)で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、シクロヘキサン/AcOEt 100%から70/30までで溶出するSNAP Ultra-HP Sphere-Si(10g)カラムに充填した。収量810mg(92%)、淡黄色泡。
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM-d)δ=8.00-7.93(m,J=8.3Hz,2H),7.27-7.22(m,J=8.3Hz,2H),6.76(br s,1H),4.85-4.67(m,1H),4.12(br s,1H),3.92(s,3H),2.97-2.66(m,1H),2.29(br s,1H),1.72-1.59(m,3H),1.54-1.22(m,15H).
ESI+m/z 403[M+H]+
【0092】
-例2b):中間体(VI)メチル(R)-4-(1-(ピペリジン-2-カルボキサミド)シクロプロピル)ベンゾアートの合成
スキーム3に従って、中間体(VI)を得た。
【0093】
中間体(V)(800mg、1.988mmol)をDCM(8mL)に溶解した。TFA(19.88mmol)を添加し、反応混合物を室温で4時間撹拌したままにした。溶媒を蒸発させ、残渣をMeOH及びMeOH中NH3 1Mで溶出するSPE-SCX(5g)カートリッジに充填した。アンモニア画分を蒸発させて、標記化合物(590mg;98%)を得た。
1H NMR(400MHz,CHLOROFORM-d)δ=8.00-7.92(m,J=8.8Hz,2H),7.58(br s,1H),7.28-7.24(m,2H),3.91(s,3H),3.33-3.27(m,1H),3.10-3.03(m,1H),2.80-2.69(m,1H),2.20(br s,1H),2.06-1.97(m,1H),1.84-1.74(m,1H),1.65-1.58(m,1H),1.54-1.31(m,7H).ESI+m/z 303[M+H]+
【0094】
-例2c):中間体(VII)メチル(R)-4-(1-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペリジン-2-カルボキサミド)シクロプロピル)ベンゾアートの合成
中間体(VI)(585mg、1.9mmol)をTHF(12ml)に溶解した。材料が溶解するまで混合物を撹拌した。炭酸セシウム(3.87mmol)、引き続いて4-(トリフルオロメチル)ベンジルブロミド(2.42mmol)を添加し、混合物を24時間撹拌した。THFを蒸発させ、残渣をDCM/NaHCO3飽和溶液(50ml)の混合物に溶解した。相を分離し、水層をDCM(2×15ml)で抽出した。合わせた有機層を蒸発させ、残渣を、シクロヘキサン/酢酸エチル100%から70/30までで溶出するSNAP Ultra-HP Sphere-Si(10g)カラムに充填した。収量850mg(95%)
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=8.71(s,1H),7.84-7.78(m,2H),7.72-7.66(m,2H),7.63-7.58(m,2H),7.26-7.20(m,J=8.8Hz,2H),3.82(s,3H),3.73(d,J=14.2Hz,1H),3.25(d,J=14.2Hz,1H),2.87-2.80(m,1H),2.79-2.70(m,J=11.7Hz,1H),2.01-1.93(m,1H),1.86-1.78(m,1H),1.70(br d,J=10.3Hz,2H),1.57-1.38(m,2H),1.35-1.23(m,3H),1.21-1.11(m,2H).ESI+m/z 461[M+H]+
【0095】
-例2d):中間体(VIII)(R)-4-(1-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペリジン-2-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸の合成
水酸化リチウム一水和物(3.32mmol)を中間体(VII)(850mg、1.846mmol)の水/ジオキサン中溶液に添加した。反応混合物を室温で5時間撹拌したままにし、次いで、AcOH 1mlを添加し、ジオキサンを蒸発させ、残渣を水(2VC)及びMeOH(3VC)で溶出するBiotage C18 10g SPE-カラムに充填した。収率94%(772mg、白色固体)
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=12.72(br s,1H),8.69(s,1H),7.83-7.76(m,2H),7.72-7.66(m,2H),7.64-7.59(m,2H),7.24-7.18(m,2H),3.74(d,J=14.2Hz,1H),3.25(d,J=14.2Hz,1H),2.88-2.79(m,1H),2.79-2.72(m,1H),2.01-1.93(m,1H),1.88-1.77(m,1H),1.76-1.63(m,2H),1.57-1.38(m,2H),1.37-1.21(m,3H),1.21-1.09(m,2H).ESI+m/z 447[M+H]+
【0096】
-例2e):(R)-4-(1-(1-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)ピペリジン-2-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸、ナトリウム塩の合成
中間体(VIII)(40g、89.7mmol)を水/ジオキサンに溶解し、次いで、NaOH(98mmol)を添加した。1時間撹拌した後、THFを蒸発させた。残渣を水(4VC)からMeOH(勾配4CV)で溶出するBiotage C18 150g SPE-カラム(8回注入)に充填した。所望の生成物を含有する画分を蒸発させ、得られた固体を真空下、60℃で3日間乾燥させた。収率98%(41g、白色固体)。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ=8.60(s,1H),7.75-7.65(m,J=7.8,7.8Hz,4H),7.65-7.57(m,2H),7.05-6.96(m,2H),3.75(d,J=14.2Hz,1H),3.24(d,J=13.7Hz,1H),2.84-2.78(m,1H),2.78-2.71(m,J=11.7Hz,1H),2.01-1.91(m,1H),1.86-1.76(m,1H),1.74-1.63(m,2H),1.56-1.36(m,2H),1.34-1.20(m,1H),1.19-1.00(m,4H).ESI+m/z 447[M+H]+
【0097】
例3:
マウス結腸直腸がんの同系モデルにおける化合物1((R)-4-(1-(6-(4-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-アザスピロ[2.5]オクタン-5-カルボキサミド)シクロプロピル)安息香酸のナトリウム塩のA形態)及び化合物2と抗マウスpd-1抗体の併用療法の効果。
材料及び方法
4~6週齢の雄Balb/cマウスを、12時間/12時間の明/暗サイクルを用いて温度及び湿度が制御された部屋に1ケージ当たり5匹収容した。実験を通して、動物は食物及び水を自由に摂取することができた。Balb/cマウスを6つの群(各群n=15):ビヒクル、化合物1、化合物2、抗PD-1、化合物1+抗PD-1、化合物2+抗PD-1群に無作為に分けた。
【0098】
CT26細胞をATCCから購入し、10%ウシ胎児血清(FBS;Sigma Aldrich)を補充したダルベッコ改変イーグル培地(DMEM;ThermoFisher Scientific)中、37℃で、5% CO2のインキュベーターで培養した。接種に必要な細胞数が得られるまで、細胞を1週間に2回継代培養した。
【0099】
移植日(0日目)に、対数増殖期細胞を収穫し、PBSに希釈し、PBS 0.2ml中10^6個の細胞を、26Gシリンジを使用して各マウスの側腹部領域に皮下接種した。
【0100】
接種後7日目に、マウスを、それぞれビヒクル、化合物1、化合物2、抗PD-1及び併用療法を受ける15匹の動物の各々の6つの処置群に無作為化した。
【0101】
化合物1及び化合物2を1日1回30mg/kg、7日目~23日目に繰り返し経口投与し、抗マウスPD-1抗体を移植後8日目に20mg/kgの用量ならびに移植後13日目、19日目及び22日目に10mg/kgの用量で抗マウスPD-1抗体単独療法群のマウス及び併用療法群のマウスに腹腔内投与した。
【0102】
デジタルキャリパーを使用して、腫瘍サイズ(mm3)を1週間に2回評価した。長径及び短径に沿った腫瘍長さを測定し、式:体積=[(長さ)2×幅]/2を使用して腫瘍体積を計算した。
【0103】
結果
化合物1及び例2の化合物と抗マウスPD-1抗体による併用療法の効果を調査するために、マウス結腸直腸がん細胞株の同種移植モデルを使用した。マウスの皮下で増殖させたCT26がん細胞腫瘍を、単独療法の例1もしくは2の化合物、又は抗マウスPD-1抗体との併用療法の例1もしくは2の化合物で3週間処置した。
【0104】
図3のグラフは、腫瘍細胞接種後の日数に対してプロットされた毎週測定された腫瘍体積を報告している。化合物1による単独療法は、処置の第2週から開始して、がん成長に対する穏やかな阻害効果を有したが、例2の化合物は、腫瘍成長のわずかな障害しか示さなかったことが分かる。文献に報告されているデータによると、がん成長の阻害がごく部分的であったとしても、抗マウスPD-1療法はがん成長を遅延させた。(Shindo,Y.らAnticancer Res.35、129~136(2015))。対照的に、
図4に報告されるように、化合物1と抗マウスPD-1抗体の併用処置によって抗腫瘍有効性が有意に増強された。
【0105】
さらに、処置全体を通した動物の体重の評価は、併用療法が動物の健康全般に影響を及ぼさないことを示した(
図5)。
【0106】
結論
上に報告される結果は、化合物1及び化合物2が単一治療として与えられた場合に腫瘍成長を阻害することを示した。さらに、化合物1は、組み合わせて使用されると、PD-1抗体の抗腫瘍効果を有意に増強する。
【0107】
例4
ヒト組換えEP4受容体サブタイプ上の3H-PGE2特異的結合に対する2つのEP4アンタゴニストの効果
方法
ヒト組換えEP4受容体を安定的に過剰発現するHEK293細胞株(ヒト胎児由来腎臓293)から細胞膜を調製した。細胞を、5% CO2、37℃で10% FBSを含有するGlutamax Iを含むDMEM中で接着増殖させた。膜調製のために、細胞を播種した150cm2フラスコから培養培地を吸引した。細胞単層を10mlの低張溶解緩衝液(TRIS 5mM+EDTA 5mM-pH7.4)で洗浄し、次いで、細胞を剥離し、同じ緩衝液で機械的に掻き取ることによって溶解した。溶解物を4℃で22分間、40000×gで遠心分離した。ペレットを使用するまで-80℃で保存した。
【0108】
[3H]-プロスタグランジンE2([3H]-PGE2)結合アッセイを、10mM MgCl2及び1mM CaCl2を含有する10mM MES-KOH緩衝液pH6中で実施した。膜画分からの10マイクログラムのタンパク質を、1nMの[3H]-PGE2と共に0.1mlの総体積でインキュベートする。全結合又は非特異的結合を決定するために、1% DMSO又は1μM PGE2をそれぞれ反応混合物に添加した。特異的結合は、全結合の85%超を占めた。競合曲線では、希釈剤を試験化合物(少なくとも2桁に及ぶ8つの濃度;2連の点)で置換した。独立した一連の実験において、同じ化合物の競合曲線を、ウシ血清アルブミン0.5%の存在下で実施した。0.3%ポリエチレンイミンに予め浸漬したガラス繊維フィルター(Unifilter GFB 96、PerkinElmer Inc)での急速濾過による結合放射性リガンドと遊離放射性リガンドの分離の前に、96マルチウェルプレート中、室温で90分間インキュベートを行った。フィルターを氷冷緩衝液pH7.4(50mM HEPES、NaCl 500mM、BSA 0.1%)で洗浄し、30℃で30分間乾燥させ、次いで、0.1mlのMICROSCINT-20(PerkinElmer Inc.)を添加した。少なくとも1時間の安定化後、残留[3H]-PGE2結合を固体シンチレーションカウンター(TopCount、PerkinElmer Inc)によって決定した。競合曲線の結果をIC50として表し、対応するKiをChang-Prousoff方程式に従って計算した。最後に、Ki値をpKi(Kiの負の対数)に変換した。
【0109】
結果
調査中の両化合物は、ヒト組換えEP4受容体に対してナノモル親和性を示した。しかしながら、タンパク質(すなわち、BSA)の存在下では、化合物2は、化合物1に関して以下の表に報告されるpKiのより低い値によって示されるように、6倍低い親和性を示した(BSAの非存在下又は存在下でそれぞれ7.5及び6.7)。
【表4】
【0110】
0.5% BSAの非存在下又は存在下におけるヒト組換えEP4受容体に対する化合物1及び化合物2の親和性(pKi)。
【0111】
結論
得られた結果は、例2の化合物が、化合物1と比較した場合に、インビトロでタンパク質(例えば、BSA)に対してより高い結合能を有し、したがって試験中のEP4Rに対するその相互作用に影響を及ぼすことを示唆している。
【0112】
例5:
リポ多糖(LPS)によって誘導され、プロスタグランジンE2(ラット全血培養物)によって調節されるTNFα放出に対する化合物1のインビトロ効果
材料及び方法
雄ウィスターハンラット(250~300g b.w.、Charles River、イタリア)を、20℃±2℃の範囲内の温度及び55%±10の範囲内の相対湿度を維持するように設定された、12時間/12時間の明/暗サイクルの温度制御部屋に1ケージ当たり6匹収容した。試験を通して、動物は、標準的な実験室用固形飼料(Tekladげっ歯類飼料2018、Harlan Laboratories、S.Pietro al Natisone、UD、イタリア)及び飲料水を自由に摂取することができた。動物の管理及び取り扱いは、地方政府のガイドライン及びヨーロッパ共同体の規制に従った。実験手順の認可はイタリア保健省によって付与された。
【0113】
実験当日、動物を誘導チャンバ内で、O2中2.5~3%イソフルランで麻酔し、腹部大動脈から血液を採取した。0.1~0.2U/mlのヘパリンを含有するチューブに全血試料を収集した。アリコート(0.5ml)を一連のチューブに分注し、0.1μg/mlのリポ多糖(大腸菌血清型055:B 5;LPS;Sigma Aldrich)(対照試料)又は0.1μg/mlのLPS+0.1μMのPGE2(Cayman Chemical)の混合物を添加した後、試料を5% CO2インキュベーター中37℃で4時間インキュベートした。選択された刺激剤濃度は、細胞活性化をもたらす以前の滴定アッセイからの最低濃度とした。そうでなければ、サイトカイン産生における適度な変化が隠され得る可能性がある。同様に、免疫細胞が動物から除去されると免疫細胞の機能が影響を受ける可能性があるため、刺激の時間は最適で、可能な限り短くした。刺激の4時間後、サイトカイン放出はほぼ最大となり、18~24時間後にプラトーになった。
【0114】
サイトカインの基礎放出を表す試料では、LPSを同じ体積の無菌PBSで置換した。LPS及びPGE2を、無菌PBS+BSA 0.2%中ストック溶液として調製した。インキュベーションの最後に、10mM EDTAを添加し、試料を4℃で遠心分離して血漿を得て、その後、これをサイトカイン決定のためのELISAアッセイまで-80℃でアリコートで保存した。ラット全血培養物におけるTNF-α放出のレベルを、ラットTNF-α ELISAキット(Diaclone、フランス)を使用して評価した。参照標準曲線と比較して、試料中のTNF-αレベルを濃度(pg/ml)として表した。
【0115】
結果
インビトロでの化合物1によるTNF-α放出に対するPGE2の効果の濃度依存的逆転が実証された。TNF-α放出の阻害の約80%を決定する固定PGE2濃度に対する化合物1(0.1~30μM)の曲線は、
図6に示されるようにIC
50値2.3μMを計算することを可能にした。
【0116】
結論
LPSによって誘導されるTNF-α産生に対するPGE2の阻害効果は、EP4アンタゴニスト化合物1の活性をインビトロで実証するのに有用であった。これらの実験で得られた結果は、化合物1が、LPSで刺激された血球におけるTNF-α放出のPGE2減少を逆転させることを強調している。
【0117】
例6
LPSによって誘導されるエキソビボTNF-α放出:PGE2阻害(IC
50
)と化合物1処置用量との間の線形関係
材料及び方法
雄ウィスターハンラット(250~300g b.w.、Charles River、イタリア)を、20℃±2℃の範囲内の温度及び55%±10の範囲内の相対湿度を維持するように設定された、12時間/12時間の明/暗サイクルの温度制御部屋に1ケージ当たり6匹収容した。試験を通して、動物は、標準的な実験室用固形飼料(Tekladげっ歯類飼料2018、Harlan Laboratories、S.Pietro al Natisone、UD、イタリア)及び飲料水を自由に摂取することができた。動物の管理及び取り扱いは、地方政府のガイドライン及びヨーロッパ共同体の規制に従った。実験手順の認可はイタリア保健省によって付与された。
【0118】
エキソビボでのTNF-α放出に対するPGE2(Cayman Chemical)の効果の調節を、ビヒクル又は様々な用量の化合物1で経口処置し、投与1時間後に収集した動物由来の全血培養試料を使用して評価した。
【0119】
詳細には、実験当日、動物を誘導チャンバ内で、O2中2.5~3%イソフルランで麻酔し、腹部大動脈から血液(平均7ml/ラット)を採取した。0.1~0.2U/mlのヘパリンを含有するチューブに全血試料を収集した。アリコート(0.5ml)を一連のチューブに分注し、LPS(対照試料)又は0.1μg/mlのLPS+様々な濃度のPGE2の混合物を添加した後、試料を5% CO2インキュベーター中37℃で24時間インキュベートした。サイトカインの基礎放出を表す試料では、LPSを同じ体積の無菌PBSで置換した。LPS及びPGE2を、無菌PBS+BSA 0.2%中100倍ストック溶液として調製した。インキュベーションの最後に、10mM EDTAを添加し、試料を4℃で10分間、1500gで遠心分離し、血漿を取り出し、サイトカイン決定のためのELISAアッセイまで-80℃でアリコートで保存した。ラット全血培養物におけるTNF-α放出のレベルを分析するために、ラットTNF-α ELISAキット(Diaclone、フランス)を使用した。参照標準曲線と比較して、試料中のTNF-αレベルを濃度(pg/ml)として表した。
【0120】
各動物について、対照試料に対する様々なPGE2濃度による阻害%、及び対応するIC50(又は0~100%阻害の範囲の半数阻害濃度)を線形回帰分析によって計算した。さらに、各処置群において、平均TNF-αレベル及びPGE2による平均阻害%のいずれかを計算した。ビヒクル群に対する各用量処置の統計学的に有意な効果を決定するために、PGE2阻害曲線の各点を考慮して、二元配置ANOVAを実施した。
【0121】
線形回帰分析によって化合物1用量と得られたPGE2 IC50との間の関係を計算するために、各群の平均IC50値を、投与された化合物1用量の関数としてプロットした。
【0122】
結果
TNF-α放出に対する公知のPGE2阻害効果に関する化合物1の調節活性を実証する目的で、LPSで刺激した全血培養物に基づくエキソビボモデルを展開した。特に、アンタゴニストの存在下でのアゴニストIC50のシフトを計算するために、10mg/kg~300mg/kgまでの範囲の5つの異なる用量で経口投与された化合物1のエキソビボ効果をPGE2阻害曲線に対して評価した。LPS 0.1μg/mlによって誘導されたTNF-α産生を、24時間のエキソビボ刺激後に測定した。1時間の採血を化合物1 tmaxの代表として選択し、使用した低用量(10~30mg/kg)は、関節リウマチのラットモデルにおいて以前に測定されたその薬理学的活性に従ったものであった。
【0123】
PGE2はサイトカイン放出を阻害し、EP4Rと相互作用する血液中の化合物1の存在は、この効果の統計学的に有意な反転を決定した。ビヒクルのPGE2 IC
50値を計算したところ、化合物1による処置の結果として、この値の3倍~最大9倍の増加が観察された。化合物1の用量とPGE2 IC
50値との間の線形関係を
図7に示す。
【0124】
化合物1のラットEP4Rへの標的結合と一致して、LPSによって誘導され、PGE2によって阻害され、化合物1によって調節されるTNF-αのエキソビボ放出の分析を、腫瘍微小環境で通常観察される濃度範囲の代表であるので、低ナノモル濃度のPGE2に関して焦点を当てた。化合物1投与用量に対するPGE2によって決定されるTNF-α放出に対する阻害効果をプロットすると、両PGE2濃度について全体的な用量依存的反転が観察された。結果を
図8に報告する。
【0125】
さらに、
図9のグラフで観察され得るように、化合物1の効果のわずかな時間依存的減少が観察され得るが、PGE2 TNF-α放出阻害の反転は化合物1投与の24時間後にも依然として明らかであったので、採血分析の時間経過(1~3~24時間)は、最小有効用量の10mg/kgの化合物1によるEP4Rの長期結合を強調した。
【0126】
結論
LPSによって誘導されるTNF-α産生に対するPGE2の阻害効果は、EP4アンタゴニスト化合物1の活性を実証するのに有用であった。全体として、これらの結果は、化合物1が血液細胞におけるTNF-α放出のPGE2誘導阻害を逆転させる能力を強く実証している。実際、血液試料を用いたビヒクル(対照)又は化合物1で経口処置した動物によって得て、投与1時間後に収集したエキソビボ実験では、化合物1の存在により、PGE2の予想される効果の統計学的に有意な反転が決定された。さらに、PGE2 TNF-α放出阻害の反転は、化合物1投与の24時間後でも依然として明らかであった。
【0127】
例7
投与24時間後の、LPSによって誘導され、PGE2によって阻害されるTNFα放出に対する化合物1及び化合物2の単一処置のエキソビボ効果
共に10mg/kgで投与されるビヒクル、化合物1又は例2の化合物で経口処置したウィスターハンラット(275~300g b.w.)からの全血培養試料を使用して、エキソビボでのTNF-α放出に対するPGE2の効果の調節を評価した。投与の24時間後に血液試料を収集した。
【0128】
動物を、20℃±2℃の範囲内の温度及び55%±10の範囲内の相対湿度を維持するように設定された、12時間/12時間の明/暗サイクルの温度制御部屋に1ケージ当たり6匹収容した。試験を通して、動物は、標準的な実験室用固形飼料(Tekladげっ歯類飼料2018、Harlan Laboratories、S.Pietro al Natisone、UD、イタリア)及び飲料水を自由に摂取することができた。動物の管理及び取り扱いは、地方政府のガイドライン及びヨーロッパ共同体の規制に従った。実験手順の認可はイタリア保健省によって付与された。
【0129】
詳細には、実験当日、動物を誘導チャンバ内で、O2中2.5~3%イソフルランで麻酔し、腹部大動脈から血液を採取した。試料を0.1~0.2U/mlのヘパリンを含有するチューブに収集し、アリコート(0.5ml)を一連のチューブに分注し、LPS 0.1μg/ml(対照試料)又はLPS+様々な濃度のPGE2の混合物を添加した後、これらを5% CO2インキュベーター中37℃で4時間インキュベートした。サイトカインの基礎放出を表す試料では、LPSを同じ体積の無菌PBSで置換した。LPS及びPGE2を、無菌PBS+BSA 0.2%中ストック溶液として調製した。インキュベーションの最後に、10mM EDTAを添加し、試料を4℃で10分間、1500gで遠心分離し、血漿を取り出し、サイトカイン決定のためのELISAアッセイ(Diaclone France)まで-80℃でアリコートで保存した。
【0130】
結果
対照(ビヒクル)又は処置群で得られたPGE2 IC
50値を分析した。投与24時間後の血液中の化合物1の存在により、ビヒクル処置群に対してLPSによって誘導されたTNFα放出のPGE2阻害の統計学的に有意な反転が決定され(
図10)、実際、PGE2 IC
50値の9倍の統計学的に有意なシフトが観察された。対照的に、化合物2の存在下では、ビヒクル処置群に対してIC
50値の中程度の、統計学的に有意でないシフトのみが観察された。両化合物は、サイトカイン放出にそれ自体干渉しなかった。
【0131】
結論
LPSによって誘導されるTNF-α産生に対するPGE2の阻害効果は、EP4アンタゴニストの活性を実証するのに有用であった。化合物1は、単回経口投与の24時間後にTNF-α放出に対するPGE2阻害効果を元に戻すことができた。対照的に、例2の化合物は、統計学的有意性なしにPGE2阻害をわずかに減少させただけであった。
【0132】
例8
リポ多糖によって誘導され、プロスタグランジンE2によって調節されるTNF-α放出に対する化合物1の反復投与のエキソビボ効果
材料及び方法
雄ウィスターハンラット(250~300g b.w.;Charles River、イタリア)を、20℃±2℃の範囲内の温度及び55%±10の範囲内の相対湿度を維持するように設定された、12時間/12時間の明/暗サイクルの温度制御部屋に1ケージ当たり6匹収容した。試験を通して、動物は、標準的な実験室用固形飼料(Tekladげっ歯類飼料2018、Harlan Laboratories、S.Pietro al Natisone、UD、イタリア)及び飲料水を自由に摂取することができた。動物の管理及び取り扱いは、地方政府のガイドライン及びヨーロッパ共同体の規制に従った。実験手順の認可はイタリア保健省によって付与された。
【0133】
エキソビボでのTNF-α放出に対するPGE2の効果の調節を、ビヒクル又は10mg/kgの化合物1でqdで8日間経口処置し、最後の処置の24時間後に収集した動物由来の全血培養試料を使用して評価した。
【0134】
詳細には、実験当日、動物を誘導チャンバ内で、O2中2.5~3%イソフルランで麻酔し、腹部大動脈から血液を採取した。0.1~0.2U/mlのヘパリンを含有するチューブに全血試料を収集した。アリコート(0.4ml)を37℃で10分間予熱した一連のチューブに分注し、LPS(対照)又はLPS+様々な濃度のPGE2の混合物を添加した後、試料を5% CO2インキュベーター中37℃で4時間インキュベートした。サイトカインの基礎放出を表す試料では、LPSを同じ体積の無菌PBSで置換した。LPS及びPGE2を、無菌PBS+BSA 0.2%中100倍ストック溶液として調製した。インキュベーションの最後に、10mM EDTAを添加し、試料を4℃で10分間、1500gで遠心分離し、血漿を取り出し、サイトカイン決定のためのELISAアッセイまで-80℃でアリコートで保存した。
【0135】
ラット全血培養物におけるTNF-α放出のレベルを、ラットTNF-α ELISAキット(Diaclone、フランス)を使用して評価した。
【0136】
参照標準曲線と比較して、試料中のTNF-αレベルを濃度(pg/ml)として表した。各動物について、対照試料に対する様々なPGE2濃度による阻害%、及び対応するIC50(又は0~100%阻害の範囲の半数阻害濃度)を線形回帰分析によって計算した。さらに、各処置群において、平均TNF-αレベル又はPGE2による平均阻害%のいずれかを計算した。PGE2阻害曲線をグラフで比較し、各群の平均IC50値を計算した。
【0137】
結果
PGE2の阻害に対するqdで8日間経口投与された化合物1(10mg/kg)の効果を、最後の処置の24時間後に評価した。血液中の化合物1の存在により、PGE2の阻害効果の統計学的に有意な反転が確認され、実際、ビヒクルのみで処置された対照群のIC
50値は、10mg/kg化合物1処置群のIC
50値より有意に低い。特に、
図11に示されるように、対照のIC
50値に対して化合物1処置群の平均IC
50値の5倍の統計学的に有意な増加が観察された。
【0138】
結論
本試験の結果は、化合物1の反復投与処置が、最後の投与の24時間後でさえ、ラット血液細胞におけるTNF-α放出のPGE2誘導阻害を調節し得ることを実証している。
【0139】
例9
ヒトマクロファージのインビトロ培養物におけるTNF-α発現
材料及び方法
ATCCから得られたヒト単球細胞株THP-1を、提供された説明書に従って増殖させた。THP-1細胞を、4日間、100nMホルボール12-ミリスタート13-アセタート(PMA)(Sigma Aldrich)によりマクロファージに分化させた。次いで、マクロファージをリポ多糖(LPS)(Sigma Aldrich)10ng/ml及びPGE2 0.01μMで3時間刺激した。全RNAを、ABI Prism 6100 Nucleic Acid PrepStation(Applied Biosystems、Foster City、CA、米国)を使用して精製し、High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Thermo Fisher Scientific)を使用して逆転写した。RT-PCR分析を、Applied Biosystems 7500 Fast Real-Time PCR Systemを使用して、特異的TaqManアッセイ(番号Hs00174128_m1;Thermo Fisher Scientific)及び内因性対照として18S Pre-Developed TaqMan(登録商標)アッセイ(Thermo Fisher Scientific)を使用して実施した。18S増幅値に対する正規化を用いたデータ分析を、遺伝子発現相対定量化のためのThermo Fisher Scientificの特定の説明書に従って行った。全ての個々のデータは、各試料に対する少なくとも3つの異なる分析の結果である。
【0140】
結果
ヒトマクロファージにおけるTNF-α遺伝子発現のPGE2誘導阻害に対抗する化合物1の可能性を評価するために、THP-1細胞をマクロファージに分化させ、その後、LPS 10ng/ml+PGE2 10 nM±0.01μM~10μM濃度範囲の化合物1で3時間処理した。
【0141】
図12のグラフに示されるように、LPS+PGE2刺激ヒトマクロファージ(100%に設定)と比較してTNF-α遺伝子発現のパーセンテージを報告すると、化合物1はTNF-α遺伝子発現レベルを増加させ、わずか0.1μMという低い濃度でPGE2+LPSで処理した細胞に対して2~3倍の増加を達成した。
【0142】
結論
これらのデータは、化合物1がTNF-α発現レベルを調節し、マクロファージなどのヒト免疫細胞におけるTNF-α発現のPGE2誘導阻害を打ち消すという証拠を提供する。
【0143】
例10:
がん細胞株におけるRANK-L発現に対する化合物1の効果
材料及び方法
ヒト乳腺腺癌MDA-MB-231細胞をATCCから得て、提供された説明書に従って増殖させた。
【0144】
細胞を10μM PGE2±化合物1 10μMで24時間処理した。全RNAを、ABI Prism 6100 Nucleic Acid PrepStation(Applied Biosystems、Foster City、CA、米国)を使用して精製し、High-Capacity cDNA Reverse Transcription Kit(Thermo Fisher Scientific)を使用して逆転写した。RT-PCR分析を、Applied Biosystems 7500 Fast Real-Time PCR Systemを使用して、特異的TaqManアッセイ(Hs00243522_m1;Thermo Fisher Scientific)及び内因性対照として18S Pre-Developed TaqMan(登録商標)アッセイ(Thermo Fisher Scientific)を使用して実施した。18S増幅値に対する正規化を用いたデータ分析を、遺伝子発現相対定量化のためのThermo Fisher Scientificの特定の説明書に従って行った。全ての個々のデータは、各試料に対する少なくとも3つの異なる分析の結果である。
【0145】
結果
化合物1が、がん細胞上のPGE2によって誘導されるRANK-L遺伝子発現の増加を元に戻すことができるかどうかを評価するために、ヒト乳がん細胞に基づくモデルを使用した。
【0146】
10μM PGE2±化合物1 10μMで24時間処理したMDA-MB-231細胞及びRANKL遺伝子発現のレベルを定量的RT-PCRによって評価した。
【0147】
結果を
図13に報告し、100%に設定した10μM PGE2で刺激した細胞と比較したRANK-L発現の平均パーセンテージを示す。化合物1は、RANK-L遺伝子発現のレベルを著しく低下させた。
【0148】
結論
得られたデータは、PGE2効果に対抗する化合物1が、ヒトがん細胞におけるRANK-L遺伝子発現を低下させるという証拠を提供する。
【0149】
例11:
ヒトTh-17細胞分化のエキソビボ減少
材料及び方法
末梢血単核細胞(PBMC)を、密度勾配遠心分離を使用して健康なボランティアから単離し、CD4+ナイーブT細胞を、ヒトナイーブCD4+T細胞単離キット(Miltenyi Biotech)を使用してPBMCから濃縮した。単離されたCD4+T細胞をRPMI培地中で維持し、1.5ng/mlの抗体抗CD3及び抗CD28と組み合わせたIL-12及びIL-2(共に5ng/ml)、ならびに0.03μM PGE2±0.01-0.03-0.1-0.3μ.Mの濃度の化合物1で48時間刺激することによってTh-17細胞に分化させた。
【0150】
インキュベーション時間の最後に、細胞を、CD4、CCR6、CD45、CD25及びIL-17(全てBD Bioscience製)に特異的な蛍光コンジュゲート抗体で染色した。最後に、Th-17細胞の数をフローサイトメトリーによって決定し、イベントを蛍光活性化セルソーター(FACS;BD Bioscience)によって測定し、専用ソフトウェアで分析した。
【0151】
結果
得られた結果を
図14に報告し、Th-17F+細胞の頻度を化合物1の濃度に対してプロットする。化合物1は、ナイーブTh-17細胞の数の著しい減少を用量依存的に誘導し、0.1μMを超える濃度で最大効果のプラトーに達した。
【0152】
結論
得られたデータは、化合物1がTh-17細胞分化を負に調節するという証拠を提供する。
【0153】
例12:
エキソビボヒトT制御性細胞分化
材料及び方法
末梢血単核細胞(PBMC)を、密度勾配遠心分離を使用して健康なボランティアから単離し、CD4+ナイーブT細胞を、ヒトナイーブCD4+T細胞単離キット(Miltenyi Biotech)を使用してPBMCから濃縮した。単離されたCD4+T細胞をRPMI培地中で維持し、共に10ng/mlの濃度の2つのインターロイキン、すなわちrIL23及びrIL-1βを使用してTreg表現型に分化させ、144時間のインキュベーション期間にわたって30nM濃度のPGE2で共刺激した。
【0154】
インキュベーション時間の最後に、細胞を、CD3、CD4、FoxP3、CD25、IL35及びCRTH2(全てBD Bioscience製)に特異的な蛍光コンジュゲート抗体で染色した。最後に、Treg細胞の数をフローサイトメトリーによって決定し、イベントを蛍光活性化セルソーター(FACS;BD Bioscience)によって測定し、専用ソフトウェアで分析した。
【0155】
結果
CD4+T細胞のサブセットである制御性T細胞(Treg)は、抑制性腫瘍微小環境の維持において重要な役割を果たし、したがってがんの進行に寄与することが分かっている(Shindo,Y.らAnticancer Res.35、129~136(2015))。PGE2は、FoxP3細胞分化の周知の誘導因子である(Zhang,L.ら、Cell Biol.Int.38、639~646(2014))。ここに報告されるデータは、PGE2によって誘導されるTregのエキソビボ分化を減少させる化合物1の有効性を強調した。実際、0.03μMのPGE2はFoxP3陽性細胞の分化を有意に促進したが、
図15に報告されるように、0.1μMの化合物1はTh-3細胞の分化を有意に減少させた。Th-3細胞は、がんにおける活性化及び拡大が最悪の予後と相関するT制御性細胞の特定のサブセットである。(Duran-Aniotz,C.et al.Cancer Immunol.Immunother.62,761-772(2013)).さらに、PGE2誘導性分化の同様の阻害が、
図16に報告されるように、Treg細胞の別の亜集団、すなわちiTR35細胞について観察された。
【0156】
iTr35細胞は、強力な免疫抑制因子IL-35の産生及び放出を特徴とする。さらに、iTr35細胞は、通常、乳がん及び結腸直腸がんにおいて高レベルで見られ、これらはエフェクターT細胞増殖の抑制を介して腫瘍免疫寛容に関与する(Hao,S.らCarcinogenesis 39、1488~1496(2018);Ma,Y.らOncotarget 7、73003~73015(2016))。
【0157】
結論
得られたデータは、化合物1がT制御性細胞分化を負に調節するという証拠を提供し、したがって、示される結果は、がん細胞に対する免疫応答の回復を目指す免疫腫瘍療法におけるこの化合物の適用を強く支持する。
【国際調査報告】