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特表2022-527762オベチコール酸を用いた肝疾患の診断および処置の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-06
(54)【発明の名称】オベチコール酸を用いた肝疾患の診断および処置の方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/575 20060101AFI20220530BHJP
   A61K 47/54 20170101ALI20220530BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20220530BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220530BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20220530BHJP
   A61P 25/32 20060101ALI20220530BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220530BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
A61K31/575
A61K47/54
A61P1/16
A61P3/06
A61P31/14
A61P25/32
A61P43/00 105
A61K49/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557354
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(85)【翻訳文提出日】2021-11-22
(86)【国際出願番号】 US2020024753
(87)【国際公開番号】W WO2020198383
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】62/824,254
(32)【優先日】2019-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506306868
【氏名又は名称】インターセプト ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ, ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】エバーソン, グレッグ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB01
4C076CC16
4C076CC21
4C076CC41
4C076DD51
4C076EE59
4C076FF70
4C085HH20
4C085JJ01
4C085KA30
4C085KB65
4C085LL05
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA11
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA52
4C086NA05
4C086NA14
4C086NA15
4C086ZA75
4C086ZB21
4C086ZB33
4C086ZC33
4C086ZC39
(57)【要約】
本開示は、様々な疾患および状態の処置のためにオベチコール酸を使用する方法に関する。ある特定の例において、疾患または状態は、慢性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、C型肝炎感染症、アルコール性肝疾患、進行性線維症に起因する肝損傷、または肝線維症である。別の例において、疾患は、NASHである。さらに別の例において、疾患または状態は、例えば、肝臓がん(例えば、肝細胞癌(HCC)または胆管癌(cholangiocarcinoma))などの固形腫瘍がんである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体における疾患を処置する方法であって、
a)HepQuant試験を用いて疾患重症度指数(DSI)スコアを決定することと、
b)前記DSIスコアを所定のカットオフ値と比較することと、
c)前記DSIスコアが前記所定のカットオフ値と等しいまたはそれを超える場合に、少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、
を含む、方法。
【請求項2】
被験体における疾患を処置する方法であって、
a)少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant試験を使用して第1のDSIスコアを決定することと、
b)少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、
c)前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant試験を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、
d)前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、
e)前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、
f)前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値未満であるまたはそれと等しい場合に、前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸の投与を中止することと、
を含む、方法。
【請求項3】
被験体における疾患を処置する方法であって、
a)少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant試験を使用して第1のDSIスコアを決定することと、
b)少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、
c)前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant試験を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、
d)前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、
e)前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、
f)前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値を超えるまたはそれと等しい場合に、前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸の投与を継続することと、
を含む、方法。
【請求項4】
被験体における疾患を処置する方法であって、
a)少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant試験を使用して第1のDSIスコアを決定することと、
b)少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、
c)前記少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant試験を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、
d)前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、
e)前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、
f)前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値を超えるまたはそれと等しい場合に、少なくとも1つの第2の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、
を含む、方法。
【請求項5】
被験体における疾患を処置する方法であって、
a)少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant試験を使用して第1のDSIスコアを決定することと、
b)少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、
c)前記少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant試験を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、
d)前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、
e)前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、
f)前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値未満であるまたはそれと等しい場合に、少なくとも1つの第2の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、
を含む、方法。
【請求項6】
前記疾患が肝疾患である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記肝疾患が、慢性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、C型肝炎感染症、アルコール性肝疾患、進行性線維症に起因する肝損傷、または肝線維症である、請求項6に記載の方法
【請求項8】
前記肝疾患がNASHである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記NASHが、軽度の線維症を伴うNASH、中等度/重度の線維症を伴うNASHまたは肝硬変を伴うNASHである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記NASHが、F1、F2、F3、F2/F3またはF4の線維症スコアを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
HepQuant試験が、HepQuant-SHUNT試験またはHepQuant-STAT試験である、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記HepQuant試験がHepQuant-SHUNT試験である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
HepQuant試験が、標識されたコラートを前記被験体に投与することを含む、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記HepQuant分析が、d4-コラートおよび13C-コラートを投与することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記d4-コラートが経口投与され、前記13C-コラートが静脈内投与される、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記治療有効量のオベチコール酸が毎日1回10mgである、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記治療有効量のオベチコール酸が毎日1回25mgである、請求項1~15のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記第1の治療有効量が前記第2の治療有効量より少ない、請求項4または5に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の治療有効量が前記第2の治療有効量より多い、請求項4または5に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の治療有効量が前記第2の治療有効量と同じである、請求項4または5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年3月26日に出願された米国仮出願第62/824,254号の優先権および恩典を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)は、内臓肥満と関係し、インスリン抵抗性、脂質異常症、および高血圧によって特徴づけられる、関連性の高い臨床像の一群である、メタボリックシンドロームの肝臓における発現であると考えられている。NAFLDは、西半球において、慢性肝疾患の最も一般的な原因であり、その有病率の増加が予想されている。NAFLDは、単純脂肪症から非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に進行する、組織学的に定義される一連の疾患によって表されると考えられている。NASHは、潜在的に肝硬変、肝代償不全、肝細胞癌(HCC)、および肝臓関連死につながる、肝細胞の損傷、炎症、および進行性線維症によって特徴づけられる。NASHの組織学的な全ての特徴のうち、線維症は、有害な臨床成績の最大の予測因子であると考えられている。
【0003】
現在、NASHの処置またはNASHに起因する代償性肝硬変について、承認された治療も、確立された標準治療も存在しない。NASHの原因となる病態生理を標的とする承認された処置が存在しないため、肝硬変を有するNASH患者の現在の処置戦略は、主として支持的処置になる。したがって、線維症を逆転することができる、または線維症の肝硬変への進行を予防することができる、効果的な治療の開発が重要であり、肝硬変に続発する合併症を減少させ、最終的にはQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を向上させ、肝臓移植を必要としない生存者を増加させることがゴールとなる。
【0004】
オベチコール酸(OCA)は、修飾胆汁酸であり、かつファルネソイドX(FXR)アゴニストである。OCAには強力なFXRアゴニスト作用があるため、その多様なFXR介在性作用(インスリン感受性、グルコースおよび脂質代謝、胆汁酸誘発性細胞毒性に対する肝細胞保護、肝臓および脈管系における抗炎症効果の向上を含む)によって、NASH、ならびに肝線維症の予防および逆転のための魅力的な治療剤となっている。非臨床試験によって、線維症を伴うNASHおよびNASHに起因する代償性肝硬変における、FXRアゴニズムの、潜在的に有益ないくつかの特性が示されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
概要
本開示は、疾患または状態を処置するための、オベチコール酸の使用方法に関する。ある特定の例において、疾患または状態は、慢性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、C型肝炎感染症、アルコール性肝疾患、進行性線維症に起因する肝損傷、または肝線維症である。別の例において、疾患は、NASHである。さらに別の例において、疾患または状態は、例えば、肝臓がん(例えば、肝細胞癌(HCC)または胆管癌(cholangiocarcinoma))などの固形腫瘍がんである。本明細書において、さらに、本明細書に記載されている疾患および状態を処置するための、オベチコール酸の投与のための新たな投薬レジメンが提供される。
【化1】
【0006】
本開示の第1の態様は、本明細書に記載されている疾患または状態の処置を必要とする被験体において、本明細書に記載されている疾患または状態を処置する方法であって、治療有効量のオベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲートを、前記被験体に投与することを含む、方法に関する。
【0007】
本開示の別の態様は、NAFLDの処置を必要とする被験体において、NAFLDを処置する方法であって、治療有効量のオベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲートを、前記被験体に投与することを含む、方法に関する。
【0008】
本開示の別の態様は、NASHの処置を必要とする被験体において、NASHを処置する方法であって、治療有効量のオベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲートを、前記被験体に投与することを含む、方法に関する。
【0009】
本開示の別の態様は、NASHの進行の減速または逆転を必要とする被験体において、NASHの進行を減速または逆転する方法であって、治療有効量のオベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲートを、前記被験体に投与することを含む、方法に関する。
【0010】
本開示の別の態様は、肝線維症の進行の減速または逆転を必要とする被験体において、肝線維症の進行を減速または逆転する方法であって、治療有効量のオベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲートを、前記被験体に投与することを含む、方法に関する。
【0011】
本開示の別の態様は、肝硬変(例えば、代償性肝硬変)の進行の減速または逆転を必要とする被験体において、肝硬変(例えば、代償性肝硬変)の進行を減速または逆転する方法であって、治療有効量のオベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲートを、前記被験体に投与することを含む、方法に関する。
【0012】
本開示の別の態様は、NAFLDを処置するための、NASHを処置するための、NASHの進行を減速または逆転するための、肝線維症の進行を減速または逆転するための、および/または肝硬変(例えば、代償性肝硬変)の進行を減速または逆転するための、オベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲートの使用に関する。
【0013】
本開示の別の態様は、NAFLDの処置、NASHの処置、NASHの進行の減速または逆転、肝線維症の進行の減速または逆転、および/または肝硬変(例えば、代償性肝硬変)の進行の減速または逆転における使用のための、オベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲートに関する。
【0014】
本開示の別の態様は、NAFLDの処置、NASHの処置、NASHの進行の減速または逆転、肝線維症の進行の減速または逆転、および/または肝硬変(例えば、代償性肝硬変)の進行の減速または逆転のための医薬品の製造における、オベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲートの使用に関する。
【0015】
本開示の別の態様は、NAFLDの処置、NASHの処置、NASHの進行の減速もしくは逆転、肝線維症(例えば、線維症を伴うNASH)の進行の減速もしくは逆転、および/または肝硬変(例えば、NASHに起因する代償性肝硬変)の進行の減速もしくは逆転のための医薬品の製造における使用のための、オベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートに関する。
【0016】
本開示の別の態様は、被験体における疾患を処置する方法であって、a)HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を用いて疾患重症度指数(DSI)スコアを決定することと、b)前記DSIスコアを所定のカットオフ値と比較することと、c)前記DSIスコアが前記所定のカットオフ値と等しいまたはそれを超える場合に、少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、を含む、方法に関する。
【0017】
本開示の別の態様は、被験体における疾患を処置する方法であって、a)少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して第1のDSIスコアを決定することと、b)少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、c)前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、d)前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、e)前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、f)前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値未満であるまたはそれと等しい場合に、前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸の投与を中止することと、を含む、方法に関する。
【0018】
本開示の別の態様は、被験体における疾患を処置する方法であって、a)少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して第1のDSIスコアを決定することと、b)少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、c)前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、d)前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、e)前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、f)前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値を超えるまたはそれと等しい場合に、前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸の投与を継続することと、を含む、方法に関する。
【0019】
本開示の別の態様は、被験体における疾患を処置する方法であって、
a)少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して第1のDSIスコアを決定することと、b)少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、c)前記少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、d)前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、e)前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、f)前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値を超えるまたはそれと等しい場合に、少なくとも1つの第2の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、を含む、方法に関する。
【0020】
本開示の別の態様は、被験体における疾患を処置する方法であって、
a)少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して第1のDSIスコアを決定することと、b)少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、c)前記少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、d)前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、e)前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、f)前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値未満であるまたはそれと等しい場合に、少なくとも1つの第2の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、を含む、方法に関する。
【0021】
本出願の方法は、本明細書に開示された疾患または状態などの、疾患または状態の処置または予防における、未だ満たされていない要求に応える。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験によって測定された肝機能のイラストによる概略図である。
【0023】
図2図2は、全身HFR対門脈HFRおよび対応するDSI値のグラフである。
【0024】
図3図3は、NASHまたはHCV感染を有する被験体におけるDSIスコアと静脈瘤の確率との間の相関を示すチャートである。
【0025】
図4図4は、線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎を有する被験体においてオベチコール酸の安全性、薬物動態および薬力学を評価するための第1相二重盲検無作為化プラセボ対照研究の概要である。
【0026】
図5図5は、1日目および85日目に10mgQDまたは25mgQDの用量でOCAを投与された健康な被験体およびNASH被験体からの試料中の総OCA(ng/ml)を示す一連のグラフである。
【0027】
図6図6は、本研究の1日目および85日目に10mgQDまたは25mgQDの用量でOCAを投与された、F1、F2/F3またはF4のいずれかの線維症スコアを有するNASH被験体からの試料中の総OCA(ng/ml)を示す一連のグラフである。
【0028】
図7図7は、3つの処置群におけるC4レベル、胆汁酸レベルおよびFGF-19レベルのベースラインからのパーセント変化(ベースラインと比較した85日目)を示すグラフである。
【0029】
図8図8は、3つの処置群におけるALT、AST、GGT、総ビリルビン、直接ビリルビンおよびALPレベルのベースラインからのパーセント変化(ベースラインと比較した85日目)を示すグラフである。
【0030】
図9図9は、10mgのOCA QDを投与された、F1またはF2/F3の線維症スコアを有するNASH被験体からの肝臓および血漿試料におけるOCAおよびそのコンジュゲートの肝臓曝露を示す一連のグラフである。
【0031】
図10図10は、25mgのOCA QDを投与された、F1、F2/F3またはF4の線維症スコアを有するNASH被験体からの肝臓および血漿試料におけるOCAおよびそのコンジュゲートの肝臓曝露を示す一連のグラフである。
【0032】
図11図11は、用量による正規化後の、F1、F2/F3またはF4の線維症スコアを有するNASH被験体の肝臓試料中のOCAおよびそのコンジュゲートの肝臓曝露を示すグラフである。
【0033】
図12図12は、第1相試験において実施されたHepQuant(登録商標)評価のタイミングを示す概略図である。
【0034】
図13図13は、第1相試験の-1日目(ベースライン)、8日目および85日目にHepQuant(登録商標)試験を施された第1相試験中の被験体の数を示す概略図である。
【0035】
図14図14は、3つの処置群中の、F2/F3の線維症スコアを有するNASH被験体におけるベースラインDSIスコアを示すグラフである。
【0036】
図15図15は、3つの処置群中の、F1、F2/F3またはF4の線維症スコアを有するNASH被験体におけるベースラインDSIスコアを示すグラフである。
【0037】
図16図16は、3つの処置群中の、F2/F3の線維症スコアを有するNASH被験体におけるDSIスコアの変化(85日目-ベースライン[1日目])を示すグラフである。
【0038】
図17図17は、3つの処置群中の、F1、F2/F3またはF4の線維症スコアを有するNASH被験体におけるDSIスコアの変化(ΔDSI、85日目-ベースライン[1日目])を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0039】
詳細な説明
本出願は、FXR介在性疾患または障害などの疾患または状態の処置における、次の化学構造:
【化2】
を有する医薬活性成分である、オベチコール酸(INT-747としても知られる)、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲート(例えば、グリシン、タウリン、またはサルコシンコンジュゲートなど)の使用方法を対象とする。
【0040】
本開示の詳細は、以下に続く説明に記載されている。本明細書に記載されている方法および材料と同様または同等のものを本開示の実施または試験に使用し得るが、ここでは例示的な方法および材料が説明されている。本開示の他の特徴、目的、および利点が、この説明から、および特許請求の範囲から明らかとなる。本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形には、明らかに文脈に反しない限り、複数形も含まれる。別段の指定がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者が一般に理解している通りの意味を有する。不一致がある場合、本明細書が優先する。本明細書で引用された全ての特許および刊行物は、参照により、その全体が本明細書に援用される。
【0041】
本明細書で使用される全てのパーセンテージおよび比は、別段の指定がない限り、重量基準である。
【0042】
用語「器官」は、生物における、細胞および組織からなり、なんらかの特定の機能を果たす、(心臓、肺、腎臓、肝臓などにおけるような)分化した構造を指す。この用語は、ある1つの機能を果たす、または活動において協調している身体部分(複数)(例えば、視覚器官を構成する眼および関連構造)も包含する。用語「器官」は、完全な構造(例えば、肝臓の葉または部分)に発達することが潜在的に可能な、分化した細胞および組織のあらゆる部分構造をさらに包含する。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「6-エチルケノデオキシコール酸」、「6-ECDCA」、「オベチコール酸」、または「OCA」は、次の化学構造:
【化3】
を有する化合物を指す。
【0044】
オベチコール酸の他の化学名としては、3α,7α-ジヒドロキシ-6α-エチル-5β-コラン-24-酸、6α-エチル-ケノデオキシコール酸、6-エチル-CDCA、6ECDCA、コラン-24-酸,6-エチル-3,7-ジヒドロキシ-,(3α,5β,6α,7α)-、およびINT-747があげられる。オベチコール酸のCAS登録番号は、459789-99-2である。この用語は、オベチコール酸の全ての形態、例えば、非結晶性の形態、結晶性の形態、および実質的に純粋な形態を指す。
【0045】
本明細書に記載されている「オベチコール酸組成物」は、医薬組成物の成分としてを含む、本明細書に記載されている任意の形態で患者に投与されるオベチコール酸を指す。
【0046】
本開示において、冠詞「a」および「an」は、1つの、または1つを超える(すなわち、少なくとも1つ)、冠詞の文法的な目的語を指すために使用される。例として、「要素(an element)」は、1つの要素、または1つを超える要素を意味する。
【0047】
本明細書において、用語「および/または」は、別段の指示がない限り、「および」または「または」のいずれかを意味するために使用される。
【0048】
「処置すること(treating)」には、状態、疾患、障害などの改善をもたらすあらゆる効果、例えば、減少させること(lessening)、軽減させること(reducing)、モジュレートすること(modulating)、または除去すること(eliminating)が含まれる。病態を「処置すること(treating)」、または病態の「処置(treatment)」には、病態またはその臨床症状の発現を阻止すること(arresting);または病態を緩和(relieving)すること、すなわち、病態またはその臨床症状の一時的または永続的な後退(regression)をもたらすこと、が含まれる。
【0049】
用語「レジメン」は、1つまたはそれを超える治療(例えば本明細書に記載されている疾患、障害、または状態を処置するための、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物)の投薬および/または投与の時間調整のためのプロトコルを指す。レジメンは、当該技術分野で知られているように、積極的投与の期間と休止期間とを含み得る。積極的投与期間は、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の、所定の時間過程中の投与(例えば、組成物の投与の回数およびタイミングが含まれる)を含む。いくつかのレジメンにおいて、1つまたはそれを超える休止期間(化合物が積極的に投与されない)が含まれていてもよく、ある特定の例において、そのような化合物の効果が最小限であり得る期間が含まれる。
【0050】
病態を「予防すること(preventing)」には、病態にさらされ得るか、または病態になりやすい可能性があるが、未だその病態の症状を経験または示していない被験体において、その病態の臨床症状が発現しないようにすることが含まれる。
【0051】
本明細書で使用される場合、用語「抑制すること(inhibiting)」または「抑制(inhibition)」は、疾患または状態の発症または進行に対する、検出可能なあらゆるポジティブな効果を指す。こうしたポジティブな効果には、疾患または状態の少なくとも1つの症状または徴候の発症の遅延または予防、症状(単数または複数)または徴候(単数または複数)の緩和または逆転、および症状(単数または複数)または徴候(単数または複数)のさらなる悪化の減速または予防が含まれ得る。
【0052】
用語「病態」は、疾患、障害、状態、症状、または適応症を意味する。
【0053】
本明細書で使用される場合、用語「有効量」は、適切な用量を投与した際に、急性または慢性の治療効果を発揮するオベチコール酸(例えば、FXR活性化リガンド)の量を指す。この治療効果には、疾患/状態(例えば、肝臓、腎臓、または腸の線維症)の症状、徴候、および根底にある病変、ならびに関連する合併症の、検出可能なあらゆる程度の予防、矯正、抑制、または逆転が含まれる。
【0054】
「治療有効量」は、疾患を処置するために哺乳動物に投与した場合に、疾患に対するそのような処置を行うために十分なオベチコール酸の量を意味する。「治療有効量」は、オベチコール酸、疾患およびその重症度、ならびに処置を受ける哺乳動物の年齢、体重などに応じて異なる。治療有効量は、本明細書に記載の開始用量または調節用量(adjusted dose)を指し得る。
【0055】
治療有効量のオベチコール酸は、ヒトまたは動物に投与するために、医薬として許容され得る担体と共に製剤化してもよい。よって、オベチコール酸またはその製剤は、有効量のオベチコール酸を提供するために、例えば、経口、非経口、または局所経路で投与してもよい。代替的な実施形態において、本開示に従って調製したオベチコール酸は、医療デバイス、例えばステントをコーティングまたは含浸するために使用することができる。
【0056】
任意の化合物について、治療有効量は、初めは、細胞培養アッセイまたは動物モデル(通常、ラット、マウス、ウサギ、イヌ、またはブタ)のいずれかにおいて推定してもよい。動物モデルは、また、適切な濃度範囲および投与経路を決定するためにも使用し得る。これらの情報は、次いで、ヒトにおける投与のための有用な用量および投与経路を決定するために使用することができる。治療/予防の有効性および毒性は、細胞培養または実験動物における標準的な手順、例えば、ED50(母集団の50%において治療的に有効な用量)およびLD50(母集団の50%に致死的な用量)によって決定してもよい。毒性効果と治療効果の用量比は、治療指数であり、この治療指数は、比率LD50/ED50として表すことができる。大きな治療指数を示す医薬組成物が好ましい。投薬量は、用いられる剤形、患者の感受性、および投与経路に応じて、この範囲内で変動し得る。
【0057】
投薬量および投与は、十分なレベルの活性薬剤(単数または複数)を提供するために、または所望の効果を維持するために調節される。考慮され得る因子としては、病態の重症度、被験体の全身的健康、被験体の年齢、体重、および性別、食事、投与の時間および頻度、薬物の組み合わせ(単数または複数)、反応感受性、ならびに療法に対する耐容性/応答があげられる。
【0058】
本明細書で使用される場合、「開始用量」は、有害作用の発症または発生を最小限にしつつ、臨床効果をもたらすために患者に提供される初期用量を指す。開始用量は、ある特定の例において、患者に典型的に投与される量に満たなくてもよい。開始用量は、タイトレーション期間の過程にわたって、または本明細書に記載されているオベチコール酸組成物による処置の過程の間に、用量設定されるまたは徐々に増加される量で提供される。
【0059】
「タイトレーション期間」は、開始用量が患者に投与される時間の長さを指す。タイトレーション期間は、所定の時間の長さにわたって継続し、その間、患者は、本明細書に記載されているように、肝機能および/または肝臓生化学についてモニターされることが多い。一実施形態において、タイトレーション期間は、患者が、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物に耐容性を示すが、アルカリホスファターゼの減少が低下または最小限になる時に終了する。
【0060】
本明細書で使用される場合、「調節用量」は、タイトレーション期間が終了した後に投与される、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の用量を指す。調節用量は、開始用量と比較して増量されていることが多いが、調節用量の投薬量は、本明細書に記載されている患者の耐容性および本明細書に記載されている他の要素によって決定される。本明細書で使用される場合、「再調節用量」は、患者における調節用量の、あらゆる変更された投薬量または投与頻度を指す。
【0061】
「アップタイトレーション」(up titration)は、開始用量の後、例えば、ある特定の治療効果を得るために、投薬量を増加させることを指す。増加させる量は、患者の耐容性、および本明細書に記載されている他の因子に応じて決定される。投薬量の増加は、投薬ごとの量、および/または投薬頻度を増加させることによって行われ得る。
【0062】
「ダウンタイトレーション」(down titration)は、開始用量の後、例えば、ある特定の望ましくない副作用を避ける、または低減させるために、投薬量を減少させることを指す。減少させる量は、患者の耐容性、および本明細書に記載されている他の因子に応じて決定される。投薬量の減少は、投薬ごとの量、および/または投薬頻度を減少させることによって行われ得る。
【0063】
「肝機能障害」は、当該技術分野における標準的な意味(単数または複数)に従って使用され、本明細書のある特定の実施形態においては、A、B、およびCというChild-Pughスコアに基づくスコアを指し得る。
【0064】
Child-Pugh(CP)分類は、臨床的な段階による疾患の識別に加えて、肝機能障害および肝硬変の予後指標として広く用いられている。CPは、2つの臨床的なパラメーター(肝性脳症および腹水)、および3つの臨床検査値(ビリルビン、アルブミン、およびプロトロンビン時間[PT]/国際標準比[INR])を利用している。患者は、CPスコアの合計に基づいて、分類A(軽度)、分類B(中等度)、または分類C(重度)に分類される。
【0065】
肝臓生化学(ALP、ALT、AST、GGT、総ビリルビンおよびコンジュゲートされたビリルビン、クレアチニン、ならびにアルブミン)、プロトロンビン時間(PT)/INR、血清電解質、ならびにChild Pugh(被験体が研究現場にいる場合に限られる)およびMELDスコアの評価もまた、処置の安全性を評価するためにモニターされる。末期肝疾患モデル(Model for End-Stage Liver Disease、MELD)は、慢性肝疾患の重症度を評価するために用いられるスコアリングシステムである。
【0066】
種々のバイオマーカーが、肝疾患の存在および重症度を判定するために測定され得る。これらのバイオマーカーには、ビリルビン、アルブミン、およびプロトロンビンが含まれる。ビリルビンは、赤血球の通常の分解時に生成する。ビリルビンは、肝臓を通過し、体外に排出される。ビリルビンレベルは、血液検査によって測定することができる。正常レベルより高いビリルビンレベルは、肝臓の問題を示し得る。アルブミンは、肝臓が生成するタンパク質である。アルブミン試験は、肝機能を評価するための肝臓パネルの一部としてオーダーされ得る。血中の血清アルブミンの典型的な値は、3.4~5.4グラム/デシリットルである。低アルブミンレベルは、肝疾患を含む、多くの健康状態を示し得る。プロトロンビン時間(PT)は、血液が血餅を形成するために要する時間を評価するものであり、肝臓疾患の重症度の国際的な指標である。さらに、コルチゾールまたはフィブリノーゲンα鎖の血清レベルを、肝機能および肝疾患の存在を判定するために評価してもよい。
【0067】
HepQuant(登録商標)試験(HepQuant,LLC)は、肝疾患の存在および重症度を決定するために使用することができる。HepQuant(登録商標)試験は、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験またはHepQuant(登録商標)-STAT試験であり得る。本明細書に記載されているように、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験は、肝機能を正確に測定し、疾患重症度指数(DSI)スコアを生成するために、同時のd4-コラートの経口投与と13C-コラートの静脈内投与(すなわち、静脈内(24-13Cコラート)および経口(2,2,4,4-Hコラート)を、被験体からの5つの血清試料の質量分析とともに使用する。HepQuant(登録商標)-STATは、肝機能を推定する(STAT)ために、経口投与されたd4-コラート(chloate)および被験体からの単一の血清試料のみを使用するより単純な試験である。HepQuant(登録商標)-SHUNTおよびHepQuant(登録商標)-STATは、米国特許第8,613,904号、同第8,778,299号、同第9,091,701号、同第9,417,230号、同第9,759,731号および同第10,215,746号に記載されており、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。DSIは、肝機能の程度、したがって被験体における肝損傷/疾患の程度を決定するために使用することができる。したがって、DSIスコアは、疾患を有する被験体を診断するために使用することができる。例えば、16.5より大きいDSIは、被験体が生検によって証明されるNASHを有する可能性があることを示し得る。図3に示されているように、NASHまたはC型肝炎ウイルス感染症を有する被験体において静脈瘤を内視鏡によって発見するパーセント尤度を決定するために、DSIスコアを使用することもできる。
【0068】
用語「投与すること(administering)」は、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を、経口、粘膜、局所、坐剤、静脈内、非経口、腹腔内、筋肉内、病巣内、髄腔内(intrathecal)、鼻腔内、または皮下投与などの経路によって、被験体に送達する行為を指す。非経口投与には、静脈内、筋肉内、動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、および頭蓋内投与が含まれる。この用語は、また、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を、患者に提供する頻度(例えば、毎日、毎週、毎月など)も指し得る。投与は、一般に疾患、障害、もしくは状態、またはその症状が発症した後に行われるが、ある特定の例において、疾患、障害、もしくは状態、またはその症状が発症する前に行われ得る(例えば、これらの疾患、障害、または状態になりやすい患者のための投与)。ある特定の実施形態において、投与は、本明細書で使用される場合、経口投与を指す。
【0069】
用語「共投与」は、2つまたはそれを超える薬剤(例えば、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物、および本明細書に記載されている別の活性薬剤)の投与を指す。共投与のタイミングは、部分的には、組み合わせおよび投与される組成物によって決まるが、このタイミングには、1つまたはそれを超える追加の治療剤の投与と同時、投与の前、または投与の後が含まれ得る。本発明のオベチコール酸組成物は、患者に単独で投与してもよく、共投与してもよい。共投与は、オベチコール酸組成物を個別に、または組み合わせて(1つをこえる化合物または薬剤)、同時に投与すること、または逐次投与することを含むことが意図されている。よって、調製物は、また、所望により、(例えば、代謝による分解を低減するために)他の活性物質と組み合わせてもよい。明細書に記載されている複数のオベチコール酸組成物は、互いに組み合わせて(すなわち、2つの異なるオベチコール酸組成物)使用することができ、疾患の処置に有用であることが知られている他の活性薬剤と組み合わせて使用することができ、または、単独では有効ではないが、活性薬剤の有効性に寄与もしくはその有効性を増強し得る付加的な薬剤と組み合わせて使用することができる。
【0070】
本明細書で使用される場合、「薬理学的効果」は、被験体に生じる、療法が意図する目的を実現する効果を包含する。一実施形態において、薬理学的効果は、処置されている被験体の主要な適応症が予防、緩和、または軽減されることを意味する。例えば、薬理学的効果は、処置される被験体における主要な適応症の予防、緩和、または軽減をもたらすものである。別の実施形態において、薬理学的効果は、処置されている被験体の主要な適応症の障害または症状が、予防、緩和、または軽減されることを意味する。例えば、薬理学的効果は、処置される被験体における主要な適応症の予防または軽減をもたらすものである。
【0071】
「溶媒和物」は、化学量論的な量、または非化学量論的な量の溶媒のいずれかを含む、溶媒付加形態を意味する。オベチコール酸は、結晶性固体の状態で、一定のモル比の溶媒分子を捕捉する傾向を有することがあり、したがって溶媒和物を形成し得る。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり、溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は、1つまたはそれを超える水分子と、1つの物質との組み合わせによって形成され、水和物中では水がHOとしての状態を保持しており、そのような組み合わせは、1つまたはそれを超える水和物を形成することができる。さらに、本開示の化合物(例えば、本開示の化合物の塩)は、水和もしくは非水和(無水)形態のいずれか、または他の溶媒分子との溶媒和物として存在し得る。水和物の非限定的な例としては、一水和物、二水和物などがあげられる。溶媒和物の非限定的な例としては、エタノール溶媒和物、アセトン溶媒和物などがあげられる。
【0072】
「医薬組成物」は、オベチコール酸を、被験体に対する投与に適した形態で含有する製剤である。一実施形態において、医薬組成物は、原体または単位剤形である。投与を簡便にし、投薬量を均一にするために、組成物を投薬単位形態(dosage unit form)に製剤化することが有利であり得る。本明細書で使用される場合、投薬単位形態は、処置を受ける被験体のための単位投薬量として適切な、物理的に分離した単位を指し、各単位は、所望の治療効果を生じさせるように計算された所定の量の活性な薬剤を、必要な医薬担体と共に含む。本開示の投薬単位形態のための規格は、活性な薬剤に固有の特徴および達成すべき特定の治療効果、ならびにそのような活性薬剤を個体の処置のために調合する技術分野に固有の制約によって規定され、かつ、それらに直接的に依存する。
【0073】
用語「単位剤形」は、ヒト被験体および他の哺乳類のための単位投薬量として適切な、物理的に分離した単位を指し、各単位は、上述のように、所望の治療効果を生じさせるように計算された所定の量の活性物質を、適切な医薬賦形剤と共に含む。
【0074】
単位剤形は、例えば、カプセル剤、静注バッグ、錠剤、エアロゾル吸入器の単一のポンプ、またはバイアルを含む、種々の形態のいずれかである。組成物の単位用量中のオベチコール酸(例えば、オベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、溶媒和物、もしくはアミノ酸コンジュゲートの製剤)の量は、有効量であり、関係する特定の処置によって変更される。当業者は、時には、患者の年齢および状態に応じて、投薬量について通例の変更を行う必要があることを理解する。投薬量は、また、投与経路にも依存する。経口、肺、直腸、非経口、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、吸入、頬側、舌下、胸膜内、髄腔内、鼻腔内などを含む、様々な経路が意図されている。本開示の化合物の局所または経皮投与のための剤形としては、粉剤・散剤(powder)、スプレー剤、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、液剤、貼付剤、および吸入剤があげられる。一実施形態において、オベチコール酸は、無菌条件下で、医薬として許容され得る担体、および必要とされる任意の保存剤、緩衝剤、または噴射剤と混合される。
【0075】
用語「フラッシュ用量」は、急速に分散する剤形であるオベチコール酸製剤を指す。
【0076】
用語「即時放出」は、剤形からの、オベチコール酸の比較的短い期間(一般的には最大約60分)内の放出と定義される。用語「放出調節(modified release)」は、遅延放出、持続放出、およびパルス放出を含むものと定義される。用語「パルス放出」は、剤形からの、薬剤の一連の放出と定義される。用語「徐放」または「持続放出」は、剤形からの、オベチコール酸の長期にわたる持続的な放出と定義される。
【0077】
「被験体」または「患者」には、哺乳類、例えば、ヒト、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ、トリなど)、農場動物(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、家禽など)、および実験動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、トリなど)が含まれる。一実施形態において、患者は、ヒトである。一実施形態において、被験体は、(例えば、約30kg~約70kgの)ヒト小児である。
【0078】
NASH患者は、4つのグループ、すなわち軽度の線維症を有するNASH患者(F1)(大部分は診断未確定であり、これらの患者は、根底にある病変(例えば、高脂血症、糖尿病、肥満、生活習慣改変)の処置から利益を受け得る);中等度/重度の線維症を有するNASH患者(F2/F3)(処置から利益を受け得る);および肝硬変を有するNASH患者(F4)(最大限の医療を必要とする集団)に分類される。
【0079】
本明細書で使用される場合、用語「医薬として許容され得る」は、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、その他の問題や併発障害も無しにヒトおよび動物の組織と接触させて使用するのに適した、合理的なベネフィット/リスク比に見合う、化合物、材料、組成物、担体、および/または剤形を指す。
【0080】
「医薬として許容され得る賦形剤」は、一般的に安全であり、非毒性であり、かつ生物学的にもその他の点でも望ましくないものではない医薬組成物の調製において有用な賦形剤を意味し、ヒト医薬用途ならびに獣医学用途のために許容され得る賦形剤があげられる。本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「医薬として許容され得る賦形剤」には、1つの賦形剤、および1つを超えるそのような賦形剤の両方が含まれる。
【0081】
本開示の医薬組成物は、意図する投与経路に適合するように製剤化される。投与経路としては、例えば、非経口経路、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入)、経皮(局所)、および経粘膜投与があげられる。非経口、皮内、または皮下適用のために使用される液剤または懸濁剤は、以下の成分、すなわち無菌希釈剤、例えば注射用水、生理食塩水、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、またはその他の合成溶媒;抗菌剤、例えばベンジルアルコールまたはメチルパラベン類;酸化防止剤、例えばアスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウム;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩、および張度を調節するための剤、例えば塩化ナトリウムまたはデキストロースを含み得る。pHは、酸または塩基、例えば塩酸または水酸化ナトリウムで調節することができる。非経口製剤は、ガラスまたはプラスチック製のアンプル、ディスポーザブルシリンジ、または複数回投与バイアル中に封入することができる。
【0082】
本明細書で使用する場合、「対照」は、患者ごとに決定されるベースラインレベル、当業者によって正常値と見なされる量もしくはレベル、または所与の状態について所与の任意の時点において患者もしくは患者集団から得られる、本明細書に記載されている状態もしくはバイオマーカーの任意のレベルもしくは測定値を指す。
【0083】
「線維症」は、組織または器官における、過剰な線維性結合組織、例えば瘢痕組織の発生を伴う状態を指す。このような瘢痕組織の発生は、感染、炎症、または疾患、外傷、化学毒性などに起因する器官の損傷に応答して起こり得る。線維症は、肝臓、腎臓、腸、肺、心臓などを含む、種々の異なる組織および器官において発症し得る。
【0084】
「肝硬変」は、肝臓が損なわれ、永久的な損傷を受けた状態である。瘢痕組織は、健常な肝臓組織を置き換え、肝臓が正常に機能することを妨げる。肝硬変が悪化するにつれて、肝臓は機能不全に陥りはじめる。代償性肝硬変は、門脈圧亢進症の証拠、例えば食道静脈瘤または胃静脈瘤があるにもかかわらず、肝硬変に関連する徴候または症状を示さないことが多い。対照的に、非代償性肝硬変は、肝硬変に関連する徴候となる合併症(肝不全に関連するもの(黄疸または肝性脳症)、門脈圧亢進症に関連するもの(腹水または静脈瘤出血)を含む)を示す。予後および生存率は、非代償性肝硬変を有する患者よりも、代償性肝硬変を有する患者の方が著しく良好である。さらに、非代償性肝硬変の存在は、肝硬変関連合併症の管理および予防、ならびに肝臓移植評価のための照会についての検討事項に関して重要な意義を有し得る。
【0085】
本開示は、また、同位体標識されたオベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、溶媒和物、もしくはアミノ酸コンジュゲートを包含し、それらは、1つまたはそれを超える原子が、天然に最も一般的に見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子で置き換えられているという事実を別にすれば、本開示の以下の式に示されるものと同一である。オベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、溶媒和物、もしくはアミノ酸コンジュゲートに組み込まれうる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、フッ素の同位体、例えば、H、11C、14C、および18Fがあげられる。
【0086】
前述の同位体および/または他の原子の他の同位体を含むオベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、溶媒和物、もしくはアミノ酸コンジュゲートは、本開示の範囲内である。同位体標識されたオベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、溶媒和物、もしくはアミノ酸コンジュゲート、例えばH、14Cなどの放射性同位体が組み込まれたオベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、溶媒和物、もしくはアミノ酸コンジュゲートは、薬物および/または基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(すなわちH)同位体、および炭素14(すなわち14C)同位体は、調製および検出が容易であるため、特に好ましい。さらに、より重い同位体、例えば重水素(すなわちH)による置換は、より大きな代謝安定性(例えばin vivo半減期の延長または必要とされる投薬量の減少)の結果として、ある特定の治療的な優位性をもたらし得、したがって、ある状況において好まれ得、同位体標識されたオベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、溶媒和物、もしくはアミノ酸コンジュゲートは、一般に、同位体標識されていない試薬を、容易に入手できる同位体標識された試薬で置き換えることによって、本開示のスキーム中および/または実施例中に開示された手順を実施することによって調製することができる。一実施形態において、オベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、溶媒和物、もしくはアミノ酸コンジュゲートは、同位体標識されていない。一実施形態において、重水素化オベチコール酸は、生体分析アッセイのために有用である。別の実施形態において、オベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、溶媒和物、もしくはアミノ酸コンジュゲートは、放射性標識されている。
【0087】
賦形剤は、オベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲートを含む組成物中に存在する任意の賦形剤であり得る。賦形剤としては、それらに限定されないが、例えば、リン酸カルシウム、微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウム、またはそれらの組み合わせがあげられる。一実施形態において、賦形剤は、当該技術分野で知られている任意の賦形剤であり得る。別の実施形態において、賦形剤は、リン酸カルシウム、微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムから選択される。さらに別の実施形態において、賦形剤は、微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムから選択される。別の実施形態において、賦形剤は、賦形剤は、ステアリン酸マグネシウムである。さらに別の実施形態において、賦形剤は、微結晶セルロースである。さらなる実施形態において、賦形剤は、デンプングリコール酸ナトリウムである。
【0088】
別の実施形態において、医薬組成物は、治療有効量のオベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲート、および医薬として許容され得る賦形剤を含む。
【0089】
一実施形態において、医薬組成物は、1つまたはそれを超える医薬賦形剤をさらに含む。賦形剤は、希釈剤、甘味料、粘度増強剤、分散剤、保存剤、着香料などからなる群から選択される1つまたはそれを超えるものであり得る。1つの賦形剤は、1つを超える機能を果たし得る。一実施形態において、1つまたはそれを超える医薬賦形剤は、滑沢剤および/または希釈剤を含む。
【0090】
甘味料の非限定的な例としては、糖などの天然の甘味料、例えば、フルクトース、グルコース、スクロース、糖アルコール(マンニトール、ソルビトールなど)、またはそれらの混合物、ならびにサッカリナトリウム、シクラミン酸ナトリウム、およびアスパルテームなどの人工甘味料があげられる。一実施形態において、甘味料は、当該技術分野で知られている任意の甘味料であり得る。別の実施形態において、甘味料は、フルクトース、グルコース、スクロース、マンニトール、およびソルビトールから選択されるか、それらの組み合わせである。
【0091】
分散剤としては、それらに限定されないが、コロイド状二酸化ケイ素および界面活性剤があげられ、界面活性剤は、単独で用いられるか、1つまたはそれを超える界面活性剤の混合物として用いられる。一実施形態において、分散剤は、当該技術分野で知られている任意の分散剤であり得る。コロイド状二酸化ケイ素と1つまたはそれを超える界面活性剤との組み合わせもまた使用し得る。
【0092】
一実施形態において、滑沢剤は、当該技術分野で知られている任意の滑沢剤であり得る。滑沢剤の非限定的な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、硬化植物油、およびフマル酸グリセリン、ならびに/またはそれらの組み合わせがあげられる。別の実施形態において、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、ベヘン酸グリセリル、硬化植物油、およびフマル酸グリセリンから選択される。別の実施形態において、滑沢剤は、ステアリン酸カルシウムである。さらに別の実施形態において、滑沢剤は、ステアリン酸である。さらなる実施形態において、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0093】
一実施形態において、希釈剤は、当該技術分野で知られている任意の希釈剤であり得る。希釈剤の非限定的な例としては、デンプン、アルファ化デンプン、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトース、デキストロース、フルクトース、ラクチトール、ラクトース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルチトール、マルトデキストリン、マルトース、シメチコン、塩化ナトリウム、タルク、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、およびスクロース、ならびに/またはそれらの組み合わせがあげられる。別の実施形態において、希釈剤は、デンプン、アルファ化デンプン、微結晶セルロース、リン酸カルシウム、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、およびスクロースから選択される。別の実施形態において、希釈剤は、リン酸カルシウムである。さらに別の実施形態において、希釈剤は、マンニトールである。さらなる実施形態において、希釈剤は、微結晶セルロースである。
【0094】
一実施形態において、医薬組成物は、糖ベースのコーティング剤、水溶性フィルムコーティング剤、腸溶コーティング剤、および遅延放出コーティング剤などのコーティング剤、またはそれらの任意の組み合わせを含むコーティング組成物をさらに含む。別の実施形態において、コーティング剤は、当該技術分野で知られている任意のコーティング剤であり得る。コーティング剤としては、それらに限定されないが、例えば、単独で用いられたサッカロース、またはサッカロースと、任意の剤(例えばタルク、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、およびプルラン、またはそれらの任意の組み合わせ;セルロース誘導体、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースナトリウム;合成ポリマー、例えばポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタクリレート共重合体、およびポリビニルピロリドン;多糖類、例えばプルラン;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート;酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース;カルボキシメチルエチルセルロース;酢酸フタル酸セルロース;アクリル酸誘導体、例えばメタクリル酸共重合体L、メタクリル酸共重合体LD、およびメタクリル酸共重合体S;天然物質、例えばシェラック;二酸化チタン;ポリビニルアルコール(例えば、Opadry(登録商標));ポリエチレングリコール;タルク;レシチン;および/またはそれらの組み合わせ)との組み合わせがあげられる。一実施形態において、コーティング剤は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、およびレシチンから選択されるか、またはそれらの組み合わせである。別の実施形態において、コーティング剤は、Opadry(登録商標)II(例えば、Opadry(登録商標)IIグリーン、ホワイト、イエローなど)である。
【0095】
一実施形態において、医薬組成物は、固体粒子形態である。担体または希釈剤として一般に使用される任意の不活性な賦形剤、例えば、ゴム、デンプン、糖、セルロース材料、グリコレート、アクリレート、またはそれらの混合物などを、本開示の医薬組成物中で使用することができる。一実施形態において、フィラー/希釈剤は、微結晶セルロースである。医薬組成物は、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム)および/または滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)をさらに含んでいてもよい。また、医薬組成物は、緩衝剤、界面活性剤、可溶化剤、可塑剤、乳化剤、安定化剤、増粘剤、甘味料、フィルム形成剤、またはそれらの任意の組み合わせから選択される1つまたはそれを超える添加剤を含んでいてもよい。さらに、本開示の医薬組成物は、即時放出製剤の放出制御(controlled release of immediate release formulations)の形態であり得る。
【0096】
本開示の医薬組成物中の活性成分(すなわち、オベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲート)、および種々の賦形剤のパーセンテージは、様々であり得る。例えば、組成物は、約0.1~約99%、約1~50%、約1~25%、または約1~6重量%の活性成分を含み得る。さらに、組成物は、約20~99%、約45~97%、約65~96%、または約85~95重量%の微結晶セルロースを、フィラーまたは希釈剤として含み得る。さらに、組成物は、約1~30%、約1~20%、または約2~8重量%のデンプングリコール酸ナトリウムを、崩壊剤として含み得る。さらに、組成物は、約0.1~5%または約0.5~2.0重量%のステアリン酸マグネシウムを、滑沢剤として含み得る。
【0097】
一実施形態において、本開示の医薬組成物は、約0.1%~約10重量%の活性成分(すなわち、オベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲート)、約0.1%~約20重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、約0.01%~約8.0重量%のステアリン酸マグネシウム、および約65%~約99重量%の微結晶セルロースである。別の実施形態において、本開示の医薬組成物は、約0.5%~約8重量%の活性成分、約1%~約10重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、約0.05%~約4.0重量%のステアリン酸マグネシウム、および約75%~約97重量%の微結晶セルロースである。さらに別の実施形態において、本開示の医薬組成物は、約1%~約6重量%の活性成分、約2%~約8重量%のデンプングリコール酸ナトリウム、約0.1%~約2.0重量%のステアリン酸マグネシウム、および約85%~約95重量%の微結晶セルロースである。一実施形態において、医薬組成物中のオベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲートは、粒子形態である。
【0098】
別の態様において、本開示は、疾患または状態を処置または予防するための方法であって、有効量の本開示のオベチコール酸組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0099】
別の態様において、本開示は、NAFLDを処置するための方法であって、有効量の本開示のオベチコール酸組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0100】
別の態様において、本開示は、NASHを処置するための方法であって、有効量の本開示のオベチコール酸組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0101】
別の態様において、本開示は、NASHの進行を減速または逆転するための方法であって、有効量の本開示のオベチコール酸組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0102】
別の態様において、本開示は、肝線維症の進行を減速または逆転するための方法であって、有効量の本開示のオベチコール酸組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0103】
別の態様において、本開示は、肝硬変(例えば、NASHに起因する代償性肝硬変)の進行を減速または逆転するための方法であって、有効量の本開示のオベチコール酸組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法を提供する。
【0104】
一態様において、本開示は、有効量の本開示に記載されるオベチコール酸組成物を、疾患または状態の処置を必要とする患者に投与することによって、疾患または状態を処置するための方法を提供する。本明細書におけるある特定の実施形態において、有効量は、本明細書に記載のタイトレーション期間にわたって投与される、用量設定された投薬量を指す。他の実施形態において、有効量は、本明細書に記載のタイトレーション期間の後に投与される、調節投薬量または再調節投薬量を指す。
【0105】
本明細書に記載されている方法は、一般に、本明細書に記載のオベチコール酸組成物を指すことが理解されよう。別の実施形態において、本明細書に記載されている処置方法において有用なオベチコール酸組成物は、賦形剤として、微結晶セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムを含む組成物である。このような組成物は、本明細書に記載の剤形、例えば、錠剤またはコーティング錠などの経口剤形で提供され得る。よって、ある特定の例において、本方法において有用なオベチコール酸組成物は、経口投与用の錠剤またはコーティング錠である。一実施形態において、オベチコール酸組成物の経口剤形は、ポリビニルアルコール(部分的に加水分解されている)、二酸化チタン、マクロゴール(ポリエチレングリコール3350)、タルク、および酸化鉄から選択される、1つまたはそれを超える賦形剤を含む、フィルムコーティングを含む。
【0106】
一実施形態において、疾患または状態は、FXR介在性疾患または状態である。FXR介在性疾患または状態の例としては、それらに限定されないが、肝疾患、例えば、慢性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)、肝硬変(例えば、NASHに起因する代償性肝硬変)、C型肝炎感染症、アルコール性肝疾患、進行性線維症に起因する肝損傷、および肝線維症があげられる。FXR介在性疾患としては、また、例えば、門脈圧亢進症、胆汁酸性下痢、高脂血症、高LDLコレステロール、高HDLコレステロール、高トリグリセリド、および心血管疾患もあげられる。
【0107】
別の態様において、本開示は、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物(例えば、オベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲート(ここで、前記オベチコール酸、または医薬として許容され得るその塩、エステル、もしくはアミノ酸コンジュゲートは、粒子形態、例えば、微粒子化またはジェットミルされた(jet-milled)粒子である))を投与することによって、本明細書に記載されている疾患または状態を処置または予防する方法を提供する。
【0108】
NAFLDは、肝臓における脂肪の蓄積(脂肪浸潤と呼ばれる)によって特徴付けられる医学的状態である。NAFLDは、慢性肝疾患のもっとも一般的な原因の1つであり、肝細胞内の脂肪沈着に関連する一連の状態を包含する。NAFLDは、脂肪症(単純性脂肪肝)から、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に及び、進行した線維症および肝硬変に及ぶ。この疾患は、多くは無症候性であり、付随的に上昇した肝臓酵素レベルによって発見されることが多い。NAFLDは、肥満およびインスリン抵抗性と強く関連しており、現在は、メタボリックシンドロームの肝臓要素と考える人が多い。
【0109】
NAFLDは、4つのステージに分けることができる。ステージ1は、脂肪肝症(hepatic steatosis)であり、過剰な脂肪が肝臓細胞内に蓄積しているが、害はないと考えられている。通常は無症状である。ステージ1のNAFLDのなかには、ステージ2、すなわちNASHに進行するものがある。NASHは、この状態の、より悪性度が高い形態であり、肝臓の炎症が生じており、これは、肝臓細胞が損傷を受けていることを示し得る。ステージ3は、線維症であり、肝臓における持続的な炎症によって、肝臓細胞および血管のまわりに線維状の瘢痕組織が生成した場所である。この線維状の組織は、健常な肝臓組織の一部を置き換えるが、肝臓が正常に機能し続けるために十分な健常組織は依然として残っている。ステージ4においては、瘢痕組織のバンド、および肝臓細胞の凝集塊が生じる。肝臓は萎縮し、こぶだらけになる。これは、肝硬変として知られている。肝硬変による損傷は、永続的であり、可逆的ではないことがある(例えば、非代償性肝硬変)。肝硬変は、何年にもわたってゆっくりと進行し、肝臓の機能を徐々に停止させる(すなわち、肝不全)。
【0110】
脂肪肝症、小葉および門脈の炎症、肝細胞の風船化、および線維症を含むNAFLDおよびNASHを評価するために、肝臓生検によって、種々の組織学的特徴を測定してもよい。小葉の炎症は、リンパ球、いくらかの好酸球、および、時として、少数の好中球から形成された、混合性の炎症性細胞浸潤物からなる。「サテリトーシス」として知られる領域において、取り囲んでいる風船化した肝細胞の多形性が時として観察される。小葉の慢性的な炎症病巣が時として認められるが、散在する小葉の小肉芽腫(Kupffer細胞凝集塊)および脂肪肉芽腫が一般的である。NASHにおいて、門脈の慢性的な単核細胞の炎症はまれではない。処置を受けていないNAFLDにおいて、門脈の強い炎症は、重度疾患のマーカーとなり得る。風船化した肝細胞は拡張し、それに伴い細胞質は腫大し、希薄化し、薄くなり、かつ、通常は、大きな過染色性の核が見られ、核小体が明瞭であることが多い。風船化の存在は、予後研究において、より悪性度が高い疾患および肝硬変の高い発症率と関連性を有するため、風船化は、NASHにおける非常に重要な特徴である。
【0111】
アポトーシス(好酸)体(肝細胞の損傷の別形態およびプログラム細胞死の特徴)もまた、NASHのためのバイオマーカーとなり得る。肝臓組織1平方ミリメートル(mm)あたりの好酸体の数(好酸体指数)は、NASHの診断が不確実な場合に、補足的な組織学的特徴として用いてもよい。
【0112】
NASHのためのバイオマーカーとなり得るその他の組織学的病変としては、マロリー・デンク体(MDB)、メガミトコンドリア、糖原核、および鉄沈着があげられる。MDB(かつてはマロリー体またはマロリー硝子体と呼ばれていた)は、通常は類洞周囲線維症の領域の、ゾーン3の風船化した肝細胞の核近傍に一般的に見られる好酸性細胞質内封入体である。MDBは、ミスフォールドした中間径フィラメント(ケラチン8およびケラチン18)、ユビキチン、ヒートショックタンパク質、およびp62から構成されている。MDBは、上昇した壊死性炎症性活性、および肝硬変のより高い発症率と関連性を有する。メガミトコンドリア(巨大ミトコンドリア)は、小滴性脂肪変性を有する肝細胞中により一般的に観察される、球形または針状の好酸性細胞質内封入体である。超微細構造研究によって、これらの異常なミトコンドリアには、クリステ、多層膜、および類結晶状封入体の消失が起こっていることが示されている。NASHにおけるメガミトコンドリアは、脂質過酸化による損傷の結果であるか、または適応変化を示している可能性がある。糖原核は、門脈周囲の肝細胞中に一般的に観察される空胞化した核である。これらのバイオマーカーは、アルコール性脂肪性肝炎の生検中には非常にまれであるため、脂肪性肝炎の生検におけるそれらの存在は、非アルコール性の病因(肥満および/または糖尿病)の裏付けとなる。
【0113】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)は、肝臓において、炎症、ならびに脂肪および線維(瘢痕)組織の蓄積を引き起こす状態である。血中の肝臓酵素レベルは、非アルコール性脂肪性肝(NAFL)においては軽度の上昇が見られるのに対して、より大きく上昇していることがある。アルコール乱用者において類似の状態が起こり得るが、NASHは、アルコール摂取量がわずかであるか、全く摂取しない人に起こる。NASHは、アメリカ人における罹患率が2~5パーセントであり、以下の状態、すなわち肥満、糖尿病、高脂血症、インスリン抵抗性、ある特定の薬物の使用、および毒素への曝露、の1つまたはそれを超える状態にある人において、最も高頻度に見られる。NASHは、世界中で、ますます一般的な慢性肝疾患の原因になってきており、肝硬変がない場合においても、肝臓関連死亡率および肝細胞癌が増えていることに関連がある。NASHは、罹患した個体の15~20%において肝硬変に進行し、現在、アメリカにおける肝臓移植の主要な適応症の1つである。現在、NASHまたは肝硬変(例えば、NASHに起因する代償性肝硬変)について、承認された治療は存在しない。
【0114】
一実施形態において、本方法は、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を、必要に応じて本明細書に記載したタイトレーション期間に投与することによって、NASHを処置する方法である。NASH患者は、ハイリスクなNASH患者であり得る。「ハイリスクなNASH患者」は、NAS≧4;ベースライン線維症がステージ2または3;ベースライン線維症がステージ1であり、共存症がある(2型糖尿病、BMI≧30kg/m2、またはALT≧60U/L)のうちの1つまたはそれより多くによる特徴付けを指す。
【0115】
一実施形態において、疾患または状態は、NASHである。一実施形態において、疾患または状態は、高脂血症である。一実施形態において、疾患は、NASHに起因する代償性肝硬変である。
【0116】
本開示は、NAFLDまたはNASHを処置または予防するための方法も提供する。一実施形態において、本開示は、高脂血症に関連するNAFLDまたはNASHを処置または予防するための方法を提供する。一実施形態において、本開示は、NASHを処置または予防するための方法を提供する。一実施形態において、本開示は、高脂血症に関連するNASHを処置または予防するための方法を提供する。
【0117】
一実施形態において、被験体は、胆汁うっ滞状態を患っていない。
【0118】
ある特定の例において、本明細書に記載されている方法は、肝機能を評価すること、モニタリングすること、測定すること、およびその他の方法によって検出することも含む。肝機能の評価、モニタリング、測定、もしくはその他の方法による検出は、本明細書に記載されているタイトレーション期間の前、その間、もしくはその後に実施することができ、または、他の例において、本明細書に記載されている任意の処置の過程の間に実施することができる。肝機能は、例えば、1つまたはそれを超える肝臓バイオマーカーのレベルを、対照と比較して、評価すること、モニタリングすること、測定すること、またはその他の方法によって検出することによって決定し得る。ある特定の例において、対照は、処置を開始する前の患者から得たベースラインである。他の例において、対照は、前もって設定された、正常値と考えられるベースラインである。
【0119】
いくつかの態様において、肝機能を評価すること、モニターすること、測定することまたはその他の方法で検出することは、被験体に対してHepQuant(登録商標)試験(HepQuant,LLC)を行うことを含むことができる。HepQuant(登録商標)-SHUNTおよびHepQuant(登録商標)-STATは、米国特許第8,613,904号、同第8,778,299号、同第9,091,701号、同第9,417,230号、同第9,759,731号および同第10,215,746号に記載されており、これらの各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0120】
HepQuant(登録商標)試験は、HepQuant(登録商標)-STAT試験またはHepQuant(登録商標)-SHUNT試験であり得る。したがって、HepQuant(登録商標)-STATおよび/またはHepQuant(登録商標)-SHUNTなどのHepQuant(登録商標)試験は、本明細書に記載されている処置の過程の有効性を確認および/または定量するために使用することができる。
【0121】
HepQuant(登録商標)-SHUNT試験は、肝機能を正確に測定し、疾患重症度指数(DSI)スコアを生成するために、同時のd4-コラートの経口投与と13C-コラートの静脈内投与(すなわち、静脈内(24-13Cコラート)および経口(2,2,4,4-Hコラート)を、被験体からの5つの血清試料の質量分析とともに使用する。HepQuant(登録商標)-STATは、肝機能を推定する(STAT)ために、経口投与されたd4-コラート(chloate)および被験体からの単一の血清試料のみを使用するより単純な試験である。
【0122】
簡潔には、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験は、図1および図2に示されているように、門脈循環からの灌流/取り込みおよび全身循環からの灌流/取り込みの同時測定を可能にする。HepQuant(登録商標)-SHUNT試験では、被験体は、40mgのd4-コラートを経口投与され、20mgの13C-コラートを静脈内投与される。次いで、コラート投与の5、20、45、60および90分後に血液試料を被験体から単離する。各試料について、質量分析を使用して、門脈肝濾過率(門脈HFR)および全身肝濾過率(全身HFR)を決定する。門脈HFRは、4D-コラートのクリアランス(用量AUC-1kg体重-1、典型的にはmL分-1kg-1)として定義され、全身HFRは、13C-コラートのクリアランス(用量AUC-1kg体重-1、典型的にはmL分-1kg-1)として定義される。次いで、門脈HFRおよび全身HFRを使用して、疾患重症度指数(DSI)スコアを計算することができる。DSIは、肝機能の程度、したがって被験体における肝損傷/疾患の程度を決定するために使用することができる。したがって、DSIスコアは、疾患を有する被験体を診断するために使用することができる。例えば、16.5より大きいDSIは、被験体が生検によって証明されるNASHを有する可能性があることを示し得る。図3に示されているように、NASHまたはC型肝炎ウイルス感染症を有する被験体において静脈瘤を内視鏡によって発見するパーセント尤度を決定するために、DSIスコアを使用することもできる。DSIスコアは、処置の過程の有効性を決定するために、本明細書中に記載されている処置(処置レジメン)の過程中に複数回測定することもできる。例えば、ベースラインDSIスコアは、処置レジメンの開始前(すなわち、処置レジメンの最初の投与の前)にHepQuant(登録商標)-SHUNT試験を行うことによって測定することができ、次いで第2のDSIスコアは処置レジメン中の時点で測定することができる。DSI差スコアを決定するために、第1および第2のDSIスコアを比較することができる。例えば、ベースライン測定値からのDSIスコアの低下は、被験体の肝機能が改善しているため、処置の過程が有益であることを示し得る。DSI差スコアに応じて、処置レジメンを調節し、継続し、または中止することができる。
【0123】
したがって、本開示は、被験体における疾患を処置する方法であって、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を用いてDSIスコアを決定することと、前記DSIスコアを所定のカットオフ値と比較することと、前記DSIスコアが前記所定のカットオフ値と等しいまたはそれを超える場合に、少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、を含む、方法を提供する。本開示は、被験体における疾患を処置する方法であって、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験を用いてDSIスコアを決定することと、前記DSIスコアを所定のカットオフ値と比較することと、前記DSIスコアが前記所定のカットオフ値と等しいまたはそれを超える場合に、少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、を含む、方法も提供する。
【0124】
いくつかの態様において、本明細書中に記載されている処置の過程の間にDSIスコアを複数回測定することによって、処置の過程が被験体に利益をもたらさないとき、すなわち、肝機能の改善が存在しないとき、処置を中止することができる。したがって、本開示は、被験体における疾患を処置する方法であって、少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して第1のDSIスコアを決定することと、少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)試験を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値未満であるまたはそれと等しい場合に、前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸の投与を中止することと、を含む、方法も提供する。
【0125】
本開示は、被験体における疾患を処置する方法であって、少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験を使用して第1のDSIスコアを決定することと、少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値未満であるまたはそれと等しい場合に、前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸の投与を中止することと、を含む、方法も提供する。
【0126】
いくつかの態様において、本明細書中に記載されている処置の過程の間にDSIスコアを複数回測定し、DSI差スコアを計算することによって、処置の過程が被験体に利益をもたらすとき、すなわち、処置が肝機能の改善を引き起こしているとき、処置を継続することができる。したがって、本開示は、被験体における疾患を処置する方法であって、少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して第1のDSIスコアを決定することと、少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値を超えるまたはそれと等しい場合に、前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸の投与を継続することと、を含む、方法も提供する。
【0127】
本開示は、被験体における疾患を処置する方法であって、少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験を使用して第1のDSIスコアを決定することと、少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値を超えるまたはそれと等しい場合に、前記少なくとも1つの治療有効量のオベチコール酸の投与を継続することと、を含む、方法も提供する。
【0128】
いくつかの態様において、2を超えるまたは2に等しいDSI差スコア(すなわち、処置の過程にわたって2またはそれを超えるDSIスコアの減少)は、20のベースラインDSIを有する被験体について任意の静脈瘤の確率を約30%から20%に低下させることに基づいて、臨床的に意味があると考えられる。
【0129】
いくつかの態様において、本明細書に記載されている処置の過程の間にDISスコアを複数回測定し、DSI差スコアを計算することによって、処置の過程の局面を調節することができる。例えば、オベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの治療有効量は、DSI差スコアに基づいて適宜増加または減少させることができる。したがって、本開示は、被験体における疾患を処置する方法であって、少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して第1のDSIスコアを決定することと、少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、前記少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値を超えるまたはそれと等しい場合に、少なくとも1つの第2の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、を含む、方法も提供する。
【0130】
本開示は、被験体における疾患を処置する方法であって、少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験を使用して第1のDSIスコアを決定することと、少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、前記少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値を超えるまたはそれと等しい場合に、少なくとも1つの第2の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、を含む、方法も提供する。
【0131】
あるいは、本開示は、被験体における疾患を処置する方法であって、少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して第1のDSIスコアを決定することと、少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、前記少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant(登録商標)試験(例えば、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値未満であるまたはそれと等しい場合に、少なくとも1つの第2の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、を含む、方法も提供する。
【0132】
本開示は、被験体における疾患を処置する方法であって、少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点で、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験を使用して第1のDSIスコアを決定することと、少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、前記少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの前記投与後の少なくとも1つの時点で、HepQuant(登録商標)-SHUNT試験を使用して少なくとも第2のDSIスコアを決定することと、前記少なくとも第2のDSIスコアと前記第1のDSIスコアの差を計算することによってDSI差スコアを決定することと、前記DSI差スコアを所定のカットオフ値と比較することと、前記DSI差スコアが前記所定のカットオフ値未満であるまたはそれと等しい場合に、少なくとも1つの第2の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートを前記被験体に投与することと、を含む、方法も提供する。
【0133】
前述の方法のいくつかの態様において、少なくとも1つの第1の治療有効量は、少なくとも1つの第2の治療有効量未満であり得る(DSI差スコアに基づいて被験体に投与される量を増加させる)。あるいは、少なくとも1つの第1の治療有効量は、少なくとも1つの第2の治療有効量を超えることができる(DSI差スコアに基づいて被験体に投与される量を減少させる)。あるいは、少なくとも1つの第1の治療有効量は、少なくとも1つの第2の治療有効量と同じであり得る(DSI差スコアに基づいて被験体に投与される量に変化なし)。
【0134】
いくつかの態様において、前述の方法は、少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与後の少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つまたは少なくとも10個の時点で少なくとも第3の、または少なくとも第4の、または少なくとも第5の、または少なくとも第6の、または少なくとも第7の、または少なくとも第8の、または少なくとも第9の、または少なくとも第10のDSIスコアを決定することを含むことができる。
【0135】
前述の方法のいくつかの態様において、少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与前の時点は、前記少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与の少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、少なくとも12時間、少なくとも13時間、少なくとも14時間、少なくとも15時間、少なくとも16時間、少なくとも17時間、少なくとも18時間、少なくとも19時間、少なくとも20時間、少なくとも21時間、少なくとも22時間、少なくとも23時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも1か月または少なくとも2か月前であり得る。
【0136】
前述の方法のいくつかの態様において、少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与後の少なくとも1つの時点は、前記少なくとも1つの第1の治療有効量のオベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの投与の少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも8日、少なくとも9日、少なくとも10日、少なくとも11日、少なくとも12日、少なくとも13日、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間、少なくとも12週間、少なくとも85日、少なくとも13週間、少なくとも14週間、少なくとも15週間、少なくとも16週間、少なくとも17週間、少なくとも18週間、少なくとも19週間または少なくとも20週間後であり得る。
【0137】
HepQuant(登録商標)試験を含む本開示の方法のいくつかの態様において、被験体は、口から液体を摂取することができなければならず、ならびに/または1回の末梢IVおよび例えば6回の採血を支えるための静脈アクセスを有していなければならない。HepQuant(登録商標)試験を含む本開示の方法のいくつかの態様において、被験体は、オベチコール酸または医薬として許容され得るその塩、エステルもしくはアミノ酸コンジュゲートの初期用量を受けたことがあってはならず、卵、アルブミン調製物、HepQuant(登録商標)試験組成物中の任意の成分(ingredient)もしくはHepQuant(登録商標)試験容器の任意の成分(component)に対して過敏性であってはならず;併発する内科もしくは外科的疾病(例えば、急性心筋梗塞、急性脳出血、敗血症)を有してはならず;小腸の大部分を広範囲に切除(短腸)を行ったことがあってはならず;および/または重度の胃不全麻痺を有してはならない。
【0138】
肝機能バイオマーカーおよび対照の測定または検出についての値は、正常値上限(Upper Limit of Normal、ULN)に対する比較として表すことができる。
【0139】
肝臓バイオマーカーは、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物による処置の過程の有効性を確認し、定量するために使用することができる。他の例において、本明細書に記載されている肝臓バイオマーカーは、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物による処置の過程の間の肝機能を確認し、定量するために使用することができる。肝臓バイオマーカーは、また、患者または患者集団が、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物による処置に感受性を有するかどうかを予測するために使用することもできる。一実施形態において、肝臓バイオマーカーには、アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アルカリホスファターゼ(ALP)、ビリルビン、グリシンコンジュゲートオベチコール酸、タウリンコンジュゲートオベチコール酸、胆汁酸、胆汁酸のグリシンコンジュゲート、もしくは胆汁酸のタウリンコンジュゲートの量またはレベルを評価すること、モニタリングすること、測定すること、またはその他の方法によって検出することが含まれる。例えば、評価される、モニタリングされる、測定される、または検出される肝臓バイオマーカーは、ALPであり得る。
【0140】
ALPレベルは、ULNの尺度であってもよい。一実施形態において、処置前の患者が有するALPレベルは、少なくとも1.1×ULN~少なくとも20×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも15×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも12×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも10×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも8×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも6×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも5×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも4×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも3×ULN;または少なくとも1.1×ULN~少なくとも2×ULNであり得る。
【0141】
本明細書に記載されている処置前の患者が有するALPレベルは、約1.5×ULN~約20×ULN;約1.5×ULN~約15×ULN;約1.5×ULN~約10ULN;約1.5×ULN~約5×ULN;または約1.5×ULN~約3×ULNであり得る。処置前の患者が有する、本明細書に記載されている処置前のALPレベルは、約1.5×、2×、3×、4×、5×、8×、10×、15×、または20×ULNであり得る。
【0142】
処置前の患者が有する、本明細書に記載されている処置前のALPレベルは、約1.5×、2×、3×、4×、5×、8×、10×、15×、または20×ULN超であり得る。一実施形態において、患者が有するALPレベルは、約1.5×ULNである。一実施形態において、患者が有するALPレベルは、約2×ULNである。一実施形態において、患者が有するALPレベルは、約5×ULNである。一実施形態において、患者が有するALPレベルは、約10×ULNである。一実施形態において、患者が有するALPレベルは、約15×ULNである。一実施形態において、患者が有するALPレベルは、約1.5×ULN超である。一実施形態において、患者が有するALPレベルは、約2×ULN超である。一実施形態において、患者が有するALPレベルは、約5×ULN超である。一実施形態において、患者が有するALPレベルは、約10×ULN超である。一実施形態において、患者が有するALPレベルは、約15×ULN超である。
【0143】
別の例において、評価される、モニタリングされる、測定される、または検出される肝臓バイオマーカーは、ビリルビンであり得る。ビリルビンレベルは、ULNの尺度であってもよい。一実施形態において、処置前の患者が有するビリルビンレベルは、少なくとも1.1×ULN~少なくとも20×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも15×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも12×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも10×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも8×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも6×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも5×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも4×ULN;少なくとも1.1×ULN~少なくとも3×ULN;または少なくとも1.1×ULN~少なくとも2×ULNであり得る。
【0144】
本明細書に記載されている処置前の患者が有するビリルビンレベルは、約1.5×ULN~約20×ULN;約1.5×ULN~約15×ULN;約1.5×ULN~約10ULN;約1.5×ULN~約5×ULN;または約1.5×ULN~約3×ULNであり得る。別の例において、本明細書に記載されている処置前の患者が有するビリルビンレベルは、約2×ULN~約20×ULN;約2×ULN~約15×ULN;約2×ULN~約10ULN;約2×ULN~約5×ULN;または約2×ULN~約3×ULNであり得る。別の例において、本明細書に記載されている処置前の患者が有するビリルビンレベルは、約2×ULN超~約20×ULN超;約2×ULN超~約15×ULN超;約2×ULN超~約10ULN超;約2×ULN超~約5×ULN超;または約2×ULN超~約3×ULN超であり得る。
【0145】
処置前の患者が有する、本明細書に記載されている処置前のビリルビンレベルは、約1.5×、2×、3×、4×、5×、8×、10×、15×、または20×ULNであり得る。処置前の患者が有する、本明細書に記載されている処置前のビリルビンレベルは、約1.5×、2×、3×、4×、5×、8×、10×、15×、または20×ULN超であり得る。一実施形態において、患者が有するビリルビンレベルは、約2×ULN超である。一実施形態において、患者が有するビリルビンレベルは、約5×ULN超である。一実施形態において、患者が有するビリルビンレベルは、約10×ULN超である。一実施形態において、患者が有するビリルビンレベルは、約15×ULN超である。一実施形態において、患者が有するビリルビンレベルは、約2×ULN未満である。一実施形態において、患者が有するビリルビンレベルは、約5×ULN未満である。一実施形態において、患者が有するビリルビンレベルは、約10×ULN未満である。一実施形態において、患者が有するビリルビンレベルは、約15×ULN未満である。
【0146】
いくつかの例において、ALPおよびビリルビンを評価、モニタリング、測定、または検出することは、肝機能、または本明細書に記載されているオベチコール酸組成物による処置の間の肝機能の変化を評価、モニタリング、測定、またはその他の方法によって検出するために有用であり得る。ある特定の例において、患者は、上記のALPレベル(例えば、約1.5×ULN~約10×ULN)、および上記のビリルビンレベル(例えば、約5×ULN未満)を有する。一実施形態において、患者が有するALPレベルは、約1.5×ULN~約10×ULNであり、ビリルビンレベルは、約2×ULN未満である。
【0147】
本明細書に記載されているオベチコール酸組成物による処置によって、本明細書に記載されている患者におけるALPおよび/またはビリルビンのレベルは低下し得る。例えば、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物による、本明細書に記載されている疾患または状態の処置によって、ALPのレベルは、2、4、5、6、8、9、10、12、15、18、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、88、90、92、94、96、97、98、99、99.2、99.4、99.6、99.7、99.8、99.9、または100%低下し得る。別の例において、ALPのレベルは、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも225%、少なくとも250%、または少なくとも300%低下し得る。
【0148】
別の例において、ALPのレベルは、約5%~約50%;約10%~約55%;約10%~約45%;約10%~約40%;約10%~約33%、約10%~約30%;約15%~約30%;約15%~約25%;約20%~約50%、約20%~約40%;約20%~約35%;約20%~約30%;20%~約27%;または約20%~約27%低下し得る。別の例において、ALPのレベルは、少なくとも50%低下し得る。ALPのレベルは、少なくとも40%低下し得る。ALPのレベルは、少なくとも35%低下し得る。ALPのレベルは、少なくとも30%低下し得る。ALPのレベルは、少なくとも27%低下し得る。ALPのレベルは、少なくとも25%低下し得る。ALPのレベルは、少なくとも20%低下し得る。
【0149】
ALPレベルの低下は、ULNに対する変化の倍率によって表すことができる。例えば、本明細書に記載されているオベチコール酸による処置によって、本明細書に記載されている患者のALPレベルは、約5×ULN未満;約4×ULN未満、約3×ULN未満、約2×ULN未満、約1.7×ULN未満、約1.5×ULN未満、約1.25×ULN未満、または約 ULN未満低下し得る。
【0150】
別の例において、ALPレベルは、ベースライン値と比較して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、または50倍低下する。例えば、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物による処置後のALPレベルは、ベースライン値と比較して、1、1.2、1.4、1.6、1.8、または2倍(これらの倍率の間の値を含む)低下し得る。別の例において、ALPレベルは、ベースライン値と比較して、2、2.2、2.4、2.6、2.8、または3倍(これらの倍率の間の値を含む)低下し得る。別の例において、ALPレベルは、ベースライン値と比較して、3、4、または5倍(これらの倍率の間の値を含む)低下し得る。別の例において、ALPレベルは、ベースライン値と比較して、5、7、9、または10倍(これらの倍率の間の値を含む)低下し得る。別の例において、ALPレベルは、ベースライン値と比較して、10、12、15、または20倍(これらの倍率の間の値を含む)低下し得る。
【0151】
本明細書に記載されているオベチコール酸組成物による、本明細書に記載されている疾患または状態の処置によって、ビリルビンのレベルは、2、4、5、6、8、9、10、12、15、18、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、4-、45、50、55、60、65、70、75、80、85、88、90、92、94、96、97、98、99、99.2、99.4、99.6、99.7、99.8、99.9、または100%低下し得る。別の例において、ビリルビンのレベルは、少なくとも100%、少なくとも125%、少なくとも150%、少なくとも175%、少なくとも200%、少なくとも225%、少なくとも250%、または少なくとも300%低下し得る。
【0152】
別の例において、ビリルビンのレベルは、約5%~約50%;約10%~約55%;約10%~約45%;約10%~約40%;約10%~約33%、約10%~約30%;約15%~約30%;約15%~約25%;約20%~約50%、約20%~約40%;約20%~約35%;約20%~約30%;20%~約27%;または約20%~約27%低下し得る。別の例において、ビリルビンのレベルは、少なくとも50%低下し得る。ビリルビンのレベルは、少なくとも40%低下し得る。ビリルビンのレベルは、少なくとも35%低下し得る。ビリルビンのレベルは、少なくとも30%低下し得る。ビリルビンのレベルは、少なくとも27%低下し得る。ビリルビンのレベルは、少なくとも25%低下し得る。ビリルビンのレベルは、少なくとも20%低下し得る。
【0153】
ビリルビンレベルの低下は、ULNに対する変化の倍率によって表すことができる。例えば、本明細書に記載されているオベチコール酸による処置によって、本明細書に記載されている患者のビリルビンレベルは、約5×ULN未満;約4×ULN未満、約3×ULN未満、約2×ULN未満、約1.7×ULN未満、約1.5×ULN未満、約1.25×ULN未満、または約 ULN未満低下し得る。
【0154】
別の例において、ビリルビンレベルは、ベースライン値と比較して、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、または50倍低下する。例えば、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物による処置後のビリルビンレベルは、ベースライン値と比較して、1、1.2、1.4、1.6、1.8、または2倍(これらの倍率の間の値を含む)低下し得る。別の例において、ビリルビンレベルは、ベースライン値と比較して、2、2.2、2.4、2.6、2.8、または3倍(これらの倍率の間の値を含む)低下し得る。別の例において、ビリルビンレベルは、ベースライン値と比較して、3、4、または5倍(これらの倍率の間の値を含む)低下し得る。別の例において、ビリルビンレベルは、ベースライン値と比較して、5、7、9、または10倍(これらの倍率の間の値を含む)低下し得る。別の例において、ビリルビンレベルは、ベースライン値と比較して、10、12、15、または20倍(これらの倍率の間の値を含む)低下し得る。
【0155】
別の実施形態において、1つまたはそれを超えるバイオマーカーによって、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物による処置を受けている患者集団、または処置を受ける患者集団が層別化される。例えば、NASH患者は、肝硬変のリスクについて層別化され得る。
【0156】
さらに別の実施形態において、検出に有用な肝臓バイオマーカーには、代謝産物および胆汁酸が含まれ得る。例えば、オベチコール酸のグリシンコンジュゲートおよびタウリンコンジュゲートのレベルを評価、モニタリング、測定、またはその他の方法によって検出することは、本明細書に記載されている処置レジメンの有効性を測定するために有用であり得る。例えば、コール酸、ケノデオキシコール酸、デオキシコール酸、リトコール酸、およびウルソデオキシコール酸(urosodeoxycholic acid)を含む胆汁酸(それらのグリシンコンジュゲートおよびタウリンコンジュゲートを含む)のレベルを評価、モニタリング、測定、またはその他の方法によって検出すること、または該胆汁酸の血漿レベルを検出すること、および、必要に応じて、そのレベルを対照と比較することは、本明細書に記載されている処置レジメンの有効性を評価するために有用であり得る。
【0157】
さらに他の実施形態において、AST対血小板数指数(AST to platelet index、APRI)を計算することは、肝機能(肝機能の変化を含む)を評価、モニタリング、測定、またはその他の方法によって検出するために有用であり得る。本明細書に記載されているオベチコール酸組成物によって、本明細書に記載されている患者のAPRIは低下し得る。ある特定の例において、APRIをモニタリングまたは測定することは、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物による処置の有効性を判定するために有用であり得る。いくつかの実施形態において、APRIの低下は、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の投与後の患者(例えば、NASH患者)において観察される。例えば、APRIは、オベチコール酸による処置を受けた患者において、用量投与前に測定されたベースラインレベルに対して、約5%~約50%低下し得る。この低下は、最大約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%であり得る。
【0158】
本明細書において、NAFLDまたはNASHの処置を必要とする患者において、開始用量の本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を、タイトレーション期間に投与することによって、NAFLDまたはNASHを処置するための方法がさらに提供される。本方法は、患者についてAPRIスコアを算出することによって、またはALP、ビリルビン、AST、ALT、グリシンコンジュゲートオベチコール酸、タウリンコンジュゲートオベチコール酸、胆汁酸、胆汁酸グリシンコンジュゲート、または胆汁酸タウリンコンジュゲートから選択される1つまたはそれを超える肝臓バイオマーカーのレベルを測定することによって、タイトレーション期間の前、その間、もしくはその後に患者の肝機能を評価することを含み、対照と比較して低下したAPRIスコア、または対照と比較して低下した前記1つまたはそれを超える肝臓バイオマーカーのレベルは、障害のない肝機能を示す。本方法は、1つまたはそれを超える有害作用(もし存在すれば)を等級付けすることによって開始用量に対する患者の耐容性を評価すること、および調節用量のオベチコール酸組成物を投与すること、をさらに含み、前記調節用量は、開始用量の量と等しいか、またはそれを超える量を含む。
【0159】
開始用量、調節用量、およびタイトレーション期間は、以下に記載する通りである。例えば、開始用量は、約1mg~約50mg、約1mg~約40mg、約1mg~約30mg、約1mg~約25mg、約1mg~約20mg、約1mg~約10mg、約1mg~約5mg、約2mg~約50mg、約2mg~約40mg、約2mg~約30mg、約2mg~約25mg、約2mg~約20mg、約2mg~約10mg、約2mg~約5mg、約3mg~約50mg、約3mg~約40mg、約3mg~約30mg、約3mg~約25mg、約3mg~約20mg、約3mg~約10mg、約3mg~約5mg、約4mg~約50mg、約4mg~約40mg、約4mg~約30mg、約4mg~約25mg、約4mg~約20mg、約4mg~約10mg、約4mg~約5mg、約5mg~約50mg、約5mg~約40mg、約5mg~約30mg、約5mg~約25mg、約5mg~約20mg、または約5mg~約10mgであり得る。例えば、開始用量は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、または約50mgであり得る。例えば、調節用量は、約1mg~約50mg、約1mg~約40mg、約1mg~約30mg、約1mg~約25mg、約1mg~約20mg、約1mg~約10mg、約1mg~約5mg、約2mg~約50mg、約2mg~約40mg、約2mg~約30mg、約2mg~約25mg、約2mg~約20mg、約2mg~約10mg、約2mg~約5mg、約3mg~約50mg、約3mg~約40mg、約3mg~約30mg、約3mg~約25mg、約3mg~約20mg、約3mg~約10mg、約3mg~約5mg、約4mg~約50mg、約4mg~約40mg、約4mg~約30mg、約4mg~約25mg、約4mg~約20mg、約4mg~約10mg、約4mg~約5mg、約5mg~約50mg、約5mg~約40mg、約5mg~約30mg、約5mg~約25mg、約5mg~約20mg、または約5mg~約10mgであり得る。例えば、調節用量は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、または約50mgであり得る。例えば、タイトレーション期間は、約1~約6か月、例えば1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、または6か月の期間であり得る。
【0160】
また、本明細書において、上記した有効量のオベチコール酸組成物を投与することによって、肝臓移植の拒絶反応による失敗を減らす、またはなくすための方法も提供される。ある特定の例において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の投与によって、ALPおよび/またはビリルビンの発現またはレベルが低下する。一実施形態において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の投与によって、ALPおよびビリルビンのレベルが低下し、それによって、移植の合併症または拒絶が減少する。
【0161】
一態様において、オベチコール酸は、主にFXRアゴニズムを介してその作用を伝えてもよく、ここで、腸エンテロサイトから(FXRアゴニストに応答して)門脈循環中に放出されたFGF-19が、肝臓における内因性胆汁酸合成をダウンレギュレートする。本開示は、例えば、OCAを投与された患者の血流または循環中へのFGF-19の放出を測定することによって、FXRアゴニスト活性を測定する方法を包含する。FGF-19のレベルは、本明細書に記載されている方法など、当該技術分野で知られている方法によって測定し得る。
【0162】
オベチコール酸の投与は、有意かつ用量依存的なFGF-19レベルの上昇、ならびに、いくつかの実施形態において、内因性胆汁酸およびC4(胆汁酸前駆体)レベルの低下を引き起こし得る。いくつかの実施形態において、ベースラインから、用量投与後3か月目、6か月目、および12か月目まで、FGF-19レベルの有意な増加が観察され得る。いくつかの例において、FGF-19レベルは、約5%~約200%増加し得る。特定の実施形態において、そのレベルは、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%増加し得る。
【0163】
いくつかの実施形態において、FGF-19の血漿レベル(すなわち、FXR活性化のマーカー)は、酵素結合免疫吸着測定(ELISA)法を使用した、適格な方法または検証された方法を用いて決定される。FGF-19の血漿中濃度は、投薬前、および用量の投与後に定量される。
【0164】
いくつかの例において、FGF-19に特異的なモノクローナル抗体が、マイクロプレート上にプレコートされる。標準品、品質対照、およびサンプルを、ピペットでウェル中に移し、存在するあらゆるFGF-19を固定化抗体に結合させる。あらゆる未結合物質を洗い流した後、FGF-19に特異的な酵素結合ポリクローナル抗体をウェルに加える。洗浄してあらゆる未結合の抗体酵素試薬を除去した後、基質溶液をウェルに加えると、最初のステップで結合させたFGF-19の量に比例して発色する。発色を停止させ、色の強度を測定する。この方法のキャリブレーション範囲は、100μlの一定分量の標準曲線、品質対照、およびサンプルを使用すると、FGF-19について15.625pg/ml~1000pg/mlである。いくつかの実施形態において、最小必要希釈度を使用しない。他の実施形態において、サンプルは、必要最小限の3倍希釈を行ってもよい。
【0165】
本開示の別の態様において、本明細書に記載した有効量のオベチコール酸組成物を投与することによって、固形腫瘍がんを処置する方法が開示される。別の態様において、このような方法は、本明細書に記載したオベチコール酸組成物を投与することによって、肝臓がんを処置することを含む。肝臓がんには、肝細胞癌(HCC)および胆管がん(bile duct cancer)(胆管癌)が含まれる。HCCのリスクファクターとしては、B型またはC型肝炎の慢性感染、および肝硬変があげられる。一実施形態において、本明細書に記載した有効量のオベチコール酸組成物を投与することによって、HCCを処置する方法が開示される。一実施形態において、本明細書に記載した有効量のオベチコール酸組成物を投与することによって、結腸直腸がんを処置する方法が開示される。別の実施形態において、本明細書に記載した有効量のオベチコール酸組成物を投与することによって、胃がんを処置する方法が開示される。別の実施形態において、本明細書に記載した有効量のオベチコール酸組成物を投与することによって、肝臓がんを処置する方法が開示される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載した有効量のオベチコール酸組成物を投与することによって、腎臓がんを処置する方法が開示される。さらに別の実施形態において、本明細書に記載した有効量のオベチコール酸組成物を投与することによって、膵臓がんを処置する方法が開示される。本明細書に記載されているがんの処置は、本明細書に記載されている有効量のオベチコール酸組成物を、1つまたはそれを超える抗がん剤(例えば、本明細書に記載されている抗がん剤)と組み合わせて投与することによって実施し得ることが理解される。いくつかの実施形態において、投与される有効量は、本明細書に記載した開始用量である。
【0166】
別の態様において、本開示は、また、線維症を抑制または逆転するための方法であって、治療有効量の本開示の組成物を、それを必要とする被験体に投与することを含む方法も提供する。
【0167】
一実施形態において、被験体は、例えば、原発性肝臓および胆道がん、転移性がん、敗血症、慢性的完全非経口栄養、嚢胞性線維症、および肉芽腫性肝疾患を含む、本明細書に記載したがんのような、がんからなる群から選択される状態を患っている。実施形態において、抑制すべき線維症は、FXRが発現している器官で起こる。
【0168】
一実施形態において、線維症は、肝線維症、腎線維症、および腸線維症からなる群から選択される。
【0169】
一実施形態において、被験体は、B型肝炎;C型肝炎;寄生虫性肝疾患;移植後の細菌、ウイルス、および真菌感染症;アルコール性肝疾患(ALD);非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD);非アルコール性脂肪性肝炎(NASH);メトトレキサート、イソニアジド、オキシフェニスタチン、メチルドパ、クロルプロマジン、トルブタミド、またはアミオダロンによって誘発される肝疾患;自己免疫性肝炎;サルコイドーシス;ウィルソン病;ヘモクロマトーシス;ゴーシェ病;III型、IV型、VI型、IX、およびX型糖原病;α-アンチトリプシン欠乏症;ツェルウェガー症候群;チロシン血症;フルクトース血症;ガラクトース血症;バッド・キアリ症候群、静脈閉塞症、または門脈血栓症に関連する血管障害(vascular derangement);および先天性肝線維症からなる群から選択される疾患に関連する肝線維症を有する。
【0170】
別の実施形態において、被験体は、クローン病、潰瘍性大腸炎、放射線照射後の大腸炎、および顕微鏡的大腸炎からなる群から選択される疾患に関連する、腸線維症を有する。
【0171】
別の実施形態において、被験体は、糖尿病性腎症、高血圧性腎硬化症、慢性糸球体腎炎、慢性移植糸球体症、慢性間質性腎炎、および多発性嚢胞腎からなる群から選択される疾患に関連する、腎線維症を有する。
【0172】
別の態様において、本開示は、また、脂質レベルの上昇に関連する状態の全ての形態を処置または予防するための方法も提供する。一実施形態において、状態は、高脂血症であって、この高脂血症は、非アルコール誘発性脂肪性肝炎;およびB型肝炎、C型肝炎、またはアルコールに関連する慢性肝疾患から選択される状態に関連するものである。別の実施形態において、本開示は、高脂血症を処置または予防するための方法を提供し、ここで、前記高脂血症は、遺伝成分を含むか、もしくは含まない原発性高脂血症、または冠動脈疾患、脳血管動脈疾患(cerebrovascular arterial disease)、末梢血管疾患、大動脈瘤(aortic aneurism)、もしくは頸動脈アテローム性動脈硬化症に関連する高脂血症である。
【0173】
一態様において、本開示は、B型もしくはC型肝炎によって、またはアルコールによって引き起こされる慢性肝炎を処置または予防するための方法を提供する。
【0174】
一態様において、本開示は、高脂血症に関連する、他の動脈障害を処置または予防するための方法を提供する。一態様において、本開示は、高トリグリセリド血症を処置または予防するための方法を提供する。
【0175】
FXRアゴニストによる治療は、種々の副作用を生じ得、その副作用の1つはそう痒である。そう痒またはかゆみは、掻きたい衝動を起こさせる、皮膚の不快感と定義される。そう痒またはかゆみは、多くの皮膚疾患の特徴的な特性であり、また、いくつかの全身性疾患のまれな徴候である。そう痒は、限局性であることも、全身性であることもあり、急性または慢性の状態として起こり得る。6週間よりも長く続くかゆみは、慢性そう痒と呼ばれる。かゆみは、難治性かつ生活を不自由にするものであり得るだけでなく、診断上および治療上の難題であり得る。
【0176】
本開示の組成物の利点の1つとして、本開示の方法に従って、本開示の組成物によって処置された被験体における、そう痒の発生率および/または重症度が低下することがあげられる。
【0177】
一実施形態において、そう痒の発生率は、本開示の組成物によって処置された被験体において、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下する。さらなる実施形態において、そう痒の発生率は、本開示の組成物によって処置された被験体において、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下する。さらなる実施形態において、そう痒の発生率は、処置開始後、最初の1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、または6か月間、本開示の組成物によって処置された被験体において、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下する。さらなる実施形態において、そう痒の発生率は、処置開始後、最初の1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、または6か月間、本開示の組成物によって処置された被験体において、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下する。
【0178】
一実施形態において、そう痒の重症度は、本開示の組成物によって処置された被験体において、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下する。さらなる実施形態において、そう痒の重症度は、本開示の組成物によって処置された被験体において、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下する。さらなる実施形態において、そう痒の重症度は、処置開始後、最初の1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、または6か月間、本開示の組成物によって処置された被験体において、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下する。さらなる実施形態において、そう痒の重症度は、処置開始後、最初の1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、または6か月間、本開示の組成物によって処置された被験体において、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、または50%低下する。
【0179】
本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の患者に対する投与量は、約1mg~約50mg;約1mg~約40mg;約1mg~約30mg;約1mg~約25mg;約1mg~約20mg;約1mg~約10mg;または約1mg~約5mgであり得る。一実施形態において、オベチコール酸組成物の患者に対する投与量は、約5~約50mg;約5~約40mg;約5~約30mg;約5~約25mg;約5~約20mg;または約5~約10mgであり得る。他の例において、オベチコール酸組成物の投与量は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、または50mgであり得る。さらに別の例において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の投与量は、約5mg、10mg、15mg、25mg、または50mgであり得る。例えば、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の有効量は、約5mg、10mg、25mg、または50mgであり得る。別の例において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の開始用量の量は、約5mg、10mg、25mg、または50mgであり得る。別の例において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の調節用量または再調節用量の量は、約5mg、10mg、25mg、または50mgであり得る。本明細書に記載されている患者に投与されるものとして本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の量は、組成物中のオベチコール酸の量を指すことを理解すべきである。
【0180】
上記のオベチコール酸組成物の量は、本明細書に記載した有効量を指し得る。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の有効量は、5mgであり得る。別の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の有効量は、10mgであり得る。さらに別の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の有効量は、25mgであり得る。さらに別の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の有効量は、50mgであり得る。
【0181】
上記のオベチコール酸組成物の量は、必要に応じて、本明細書に記載したタイトレーション期間にわたって投与される開始用量を指し得る。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の開始用量は、5mgであり得る。別の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の開始用量は、10mgであり得る。さらに別の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の開始用量は、25mgであり得る。さらに別の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の開始用量は、50mgであり得る。
【0182】
上記のオベチコール酸組成物の量は、本明細書に記載したタイトレーション期間の後に投与される調節用量を指し得る。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の調節用量は、5mgであり得る。別の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の調節用量は、10mgであり得る。さらに別の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の調節用量は、25mgであり得る。さらに別の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の調節用量は、50mgであり得る。
【0183】
上記のオベチコール酸組成物の量は、本明細書に記載したタイトレーション期間の後に投与される再調節用量を指し得る。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の再調節用量は、5mgであり得る。別の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の再調節用量は、10mgであり得る。さらに別の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の再調節用量は、25mgであり得る。さらに別の実施形態において、本明細書に記載されている患者に投与されるオベチコール酸組成物の再調節用量は、50mgであり得る。
【0184】
一切製剤化することなく、オベチコール酸を直接投与することは可能であるが、オベチコール酸は、通常、医薬として許容され得る賦形剤およびオベチコール酸を含む医薬製剤の形態で投与される。これらの製剤は、経口、頬側、直腸、鼻腔内、経皮、皮下、静脈内、筋肉内、および鼻腔内を含む、種々の経路で投与し得る。オベチコール酸の経口製剤は、本明細書において、「経口製剤および投与」という表題のセクションでさらに説明されている。
【0185】
一実施形態において、オベチコール酸は、経皮的に投与することができる。経皮的に投与するために、経皮送達デバイス(「貼付剤」)が必要とされる。このような経皮貼付剤は、制御された量の本開示の化合物を、連続的または非連続的に注入するために使用してもよい。医薬品の送達のための経皮貼付剤の構築および使用については、当該技術分野において周知である。米国特許第5,023,252号を参照のこと。このような貼付剤は、連続的な、パルス状の、またはオンデマンドの医薬品送達のために構築してもよい。
【0186】
注射用途に適した医薬組成物としては、無菌の水性液剤(水溶性の場合)または分散液剤、および無菌注射用液剤または分散液剤を即時調製するための無菌の粉剤・散剤(powder)があげられる。静脈内投与について、適切な担体としては、生理食塩水、静菌水、クレモフォールEL(商標)(BASF、Parsippany、N.J.)、またはリン酸緩衝食塩水(PBS)があげられる。すべてのケースにおいて、組成物は、無菌でなければならず、かつ、容易に注射可能な程度に流動性であるべきである。組成物は、製造および保管条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物による汚染作用に対する保護が必要である。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物を含有する、溶媒または分散媒であり得る。適度の流動性は、レシチンなどのコーティングを使用することによって、分散液剤の場合は、必要とされる粒径を維持することによって、および、界面活性剤を使用することによって、維持することができる。微生物の作用の防止は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどによって実現し得る。多くのケースにおいて、組成物中に、等張剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続的な吸収は、吸収を遅らせる剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを、組成物中に含有させることによって実現し得る。
【0187】
無菌注射用液剤は、必要とされる量の活性化合物である、オベチコール酸またはオベチコール酸粒子を、適切な溶媒中で、本明細書に列挙した成分の1つまたは組み合わせと混合し、続いて、必要に応じて、濾過滅菌することによって調製することができる。一般に、分散液剤は、基礎となる分散媒と上記に列挙した他の成分とを含む無菌のビヒクル中に、オベチコール酸を混和することによって調製することができる。無菌注射用液剤を調製するための無菌の粉剤・散剤のケースにおいては、調製方法は、オベチコール酸またはオベチコール酸粒子、さらに任意の追加の所望成分の粉末を、あらかじめ濾過滅菌したそれらの溶液から生じさせる、真空乾燥および凍結乾燥である。
【0188】
本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を経口投与することが有用であり得る。経口用組成物は、一般に、不活性な希釈剤または可食性の医薬として許容され得る担体を含む。経口用組成物は、ゼラチンカプセル中に封入してもよく、圧縮して錠剤にしてもよい。経口治療投与の目的で、活性化合物である、オベチコール酸またはオベチコール酸粒子は、賦形剤と混合してもよく、錠剤、トローチ剤、またはカプセル剤の形態で使用してもよい。経口用組成物は、また、洗口液として使用するために、流動性担体を使用して調製することもでき、その場合、流動性担体中のオベチコール酸またはオベチコール酸粒子は、経口的に適用され、口の中ですすぎ(swished)、吐き出すか、または飲み込む。医薬として適合性の結合剤および/またはアジュバント材料を、組成物の一部として含んでいてもよい。錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などは、以下の成分、または類似した性質の化合物のいずれかを含んでいてもよい:結合剤、例えば微結晶セルロース、トラガカントゴム、もしくはゼラチン;賦形剤、例えばデンプングリコール酸ナトリウム、デンプン、もしくはラクトース、希釈剤、例えば微結晶セルロース、崩壊剤、例えばアルギン酸、プリモゲル(Primogel)、もしくはコーンスターチ;滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウムもしくはステロート(Sterotes);流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味剤、例えばスクロースもしくはサッカリン;または着香料、例えばペパーミント、サリチル酸メチル、もしくはオレンジフレーバー。
【0189】
吸入による投与について、オベチコール酸またはオベチコール酸粒子は、適切な噴射剤、例えば二酸化炭素などのガスを含有する、加圧された容器またはディスペンサー、またはネブライザーからのエアロゾルスプレーの形態で送達される。
【0190】
全身投与は、また、経粘膜または経皮的手段によるものであり得る。製剤において、経粘膜または経皮投与について、バリアーを透過するために適した浸透剤が使用される。このような浸透剤は、当該技術分野において一般に知られており、例えば、経粘膜投与用としては、洗浄剤、胆汁酸塩、およびフシジン酸誘導体があげられる。経粘膜投与は、鼻腔スプレー剤または坐剤を使用することによって実現し得る。経皮投与について、オベチコール酸またはオベチコール酸粒子は、当該技術分野において一般に知られているように、軟膏剤、膏薬、ゲル剤、またはクリーム剤に製剤化される。
【0191】
オベチコール酸またはオベチコール酸粒子は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システムを含む、放出制御製剤などの、身体からの化合物の急速な排出を防ぐ医薬として許容され得る担体と共に調製し得る。生分解性の生体適合性ポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、およびポリ乳酸を使用することができる。このような製剤を調製するための方法は、当業者には明白である。材料もまた、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals,Inc.から商業的に入手することが可能である。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を有する、感染細胞を標的とするリポソームを含む)もまた、医薬として許容され得る担体として使用することができる。これらは、当業者に知られている方法に従って、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されているようにして調製することができる。
【0192】
投薬を簡便にし、投薬量を均一性にするために、経口または非経口用組成物を投薬単位形態に製剤化することが特に有利である。本明細書で使用される場合、投薬単位形態は、処置を受ける被験体のための単位投薬量として適切な、物理的に分離した単位を指し、各単位は、所望の治療効果を生じさせるように計算された所定の量のオベチコール酸またはオベチコール酸粒子を、必要な医薬担体と共に含む。本開示の投薬単位形態のための仕様は、オベチコール酸またはオベチコール酸粒子に固有の特徴および達成すべき特定の治療効果によって規定され、かつ、それらに直接的に依存する。
【0193】
本開示の一実施形態において、頬側および/もしくは舌下、または経鼻投与に適合させた製剤中に、上記のオベチコール酸を少なくとも含む医薬製剤が提供される。この実施形態において、例えば、胃系によるおよび/または肝臓を通る初回通過代謝など、胃による問題点を回避するやり方での、オベチコール酸の投与が提供される。この投与経路によって、吸着時間も短縮され、より早い治療効果の発現がもたらされ得る。本開示の化合物は、舌下/バッカル製剤を容易にする、特に良好な溶解性プロファイルを提供し得る。このような製剤は、限られた表面積の舌下/頬粘膜と製剤が接触している比較的短い期間内に、その限られた表面積に十分な量の活性成分を送達し、活性成分の吸収を可能にするために、典型的には、比較的高濃度の活性成分を必要とする。よって、オベチコール酸の非常に高い活性は、その高い溶解性と相まって、舌下/バッカル製剤に対する適合性を高める。
【0194】
オベチコール酸は、各投薬量が約0.05mg~約1500mgを含む、単位剤形に製剤化するのが好ましい。別の実施形態において、製剤は、約0.05mg~約100mgを含む。さらに別の実施形態において、製剤は、約1mg~約100mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約0.05mg~約50mgを含む。さらに別の実施形態において、製剤は、約0.05mg~約30mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約0.05mg~約20mgを含む。さらに別の実施形態において、製剤は、約0.5mg~約30mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約0.5mg~約25mgを含む。さらに別の実施形態において、製剤は、約1mg~約25mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約4mg~約26mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約5mg~約25mgを含む。さらに別の実施形態において、製剤は、約0.05mg~約2mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約1mg~約2mgを含む。一実施形態において、製剤は、約1.2mg~約1.8mgを含む。一実施形態において、製剤は、約1.3mg~約1.7mgを含む。一実施形態において、製剤は、約1.5mgを含む。一実施形態において、製剤は、約0.05mg~約0.5mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約0.08mg~約0.8mgを含む。さらに別の実施形態において、製剤は、約0.1mg~約0.5mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約0.25mgを含む。
【0195】
オベチコール酸は、一般に、幅広い投薬量の範囲にわたって有効である。例えば、1日あたりの投薬量は、通常、約0.0001~約30mg/kg(体重)の範囲内にある。成人の処置において、単回用量または分割用量で、約0.1~約15mg/kg/dayの範囲が特に好ましい。一実施形態において、製剤は、約0.05mg~約1500mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約0.05mg~約100mgを含む。さらに別の実施形態において、製剤は、約1mg~約100mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約0.05mg~約50mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約0.05mg~約30mgを含む。さらに別の実施形態において、製剤は、約0.05mg~約20mgを含む。さらに別の実施形態において、製剤は、約0.05mg~約10mgを含む。
【0196】
一実施形態において、製剤は、約3mg~約30mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約0.05mg~約25mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約4mg~約25mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約5mg~約25mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約5mg~約10mgを含む。一実施形態において、製剤は、約1mg~約2mgを含む。一実施形態において、製剤は、約1.2mg~約1.8mgを含む。一実施形態において、製剤は、約1.3mg~約1.7mgを含む。一実施形態において、製剤は、約0.05mg~約0.5mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約0.08mg~約0.8mgを含む。さらに別の実施形態において、製剤は、約0.1mg~約0.5mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約25mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約10mgを含む。一実施形態において、製剤は、約5mgを含む。別の実施形態において、製剤は、約1mgを含む。しかしながら、実際に投与されるオベチコール酸の量は、処置すべき状態、選択した投与経路、投与されるオベチコール酸の形態、個々の患者の年齢、体重、および応答、ならびに患者の症状の重症度を含む、関係する状況を考慮して医師により決定され、したがって、上記の投薬量の範囲は、いかなる意味においても、本開示の範囲を限定することを意図していないことが理解されよう。いくつかの例において、前述した範囲の下限値を下回る投薬量レベルが、適量を上回っていることがあり得る。一方、他のケースにおいては、さらに高い用量が、いかなる有害な副作用も引き起こすことなく用いられ得るが、そのような高い用量は、1日を通して投与するための、いくつかのより少ない用量に最初に分割することが条件である。
【0197】
本明細書に記載されているオベチコール酸組成物は、投薬レジメンにしたがって投与し得る。投薬レジメンは、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を、本明細書に記載されている1つまたはそれを超える量で、連続的および間欠的に投与することを指す。よって、ある特定の例において、投薬レジメンは、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を、本明細書に記載の任意の日数、週数、月数、または年数にわたって間断なく投与することを含み得る。他の例において、投薬レジメンは、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を間欠的に投与することを含み得る。この場合、例えば、組成物は、1つの期間にわたって投与され、次に、オベチコール酸組成物が投与されない休止期間またはオフ期間が続く。
【0198】
本明細書に記載されている処置方法において有用なオベチコール酸組成物としては、このような組成物の毎日(QD)、隔日(Q2D)、週1回(QW)、週2回(BID)、週3回(TIW)、月1回(QM)、または月2回(Q2M)の投与があげられる。一実施形態において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物は、QD投与される。よって、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の有効量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、QD投与され得る。本明細書に記載されている開始用量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、タイトレーション期間の過程にわたって、QD投与され得る。本明細書に記載されている調節用量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、QD投与され得る。
【0199】
別の実施形態において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物は、Q2D投与される。本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の有効量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、Q2D投与され得る。本明細書に記載されている開始用量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、タイトレーション期間の過程にわたって、Q2D投与され得る。本明細書に記載されている調節用量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、Q2D投与され得る。
【0200】
別の実施形態において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物は、QW投与される。本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の有効量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、QW投与され得る。本明細書に記載されている開始用量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、タイトレーション期間の過程にわたって、QW投与され得る。本明細書に記載されている調節用量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、QW投与され得る。
【0201】
別の実施形態において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物は、BID投与される。本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の有効量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、BID投与され得る。本明細書に記載されている開始用量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、タイトレーション期間の過程にわたって、BID投与され得る。本明細書に記載されている調節用量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、BID投与され得る。
【0202】
別の実施形態において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物は、TIW投与される。本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の有効量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、TIW投与され得る。本明細書に記載されている開始用量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、タイトレーション期間の過程にわたって、TIW投与され得る。本明細書に記載されている調節用量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、TIW投与され得る。
【0203】
別の実施形態において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物は、QM投与される。本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の有効量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、QM投与され得る。本明細書に記載されている開始用量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、タイトレーション期間の過程にわたって、QM投与され得る。本明細書に記載されている調節用量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、QM投与され得る。
【0204】
別の実施形態において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物は、Q2M投与される。本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の有効量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、Q2M投与され得る。本明細書に記載されている開始用量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、タイトレーション期間の過程にわたって、Q2M投与され得る。本明細書に記載されている調節
用量は、本明細書に記載されている疾患または状態を処置するために、Q2M投与され得る。
【0205】
上記の実施形態には、上記の量での投与が含まれる。例えば、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物は、上述の頻度で、5mg、10mg、25mg、または50mgの量で投与され得る。
【0206】
本明細書に記載されている疾患および状態を処置するために有用な、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の投薬レジメンは、タイトレーション期間を含み得る。タイトレーション期間は、典型的には、ある期間にわたる、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物のより少量の投薬を含む。ある特定の例において、いかなる特定の理論にも拘束されないが、本明細書に記載されているタイトレーション期間を使用した投与は、有害作用の発現を低減することができるか、またはなくすことができる。他の例において、いかなる特定の理論にも拘束されないが、本明細書に記載されているタイトレーション期間を使用した投与は、処置の過程にわたる、個体に対する本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の投薬量の増量を可能にすることができる。
【0207】
タイトレーション期間は、約1か月~約24か月;約1か月~約21か月;約1か月~約18か月;約1か月~約15か月;約1か月~約12か月;約1か月~約9か月;約1か月~約6か月;または約1か月~約3か月の期間であり得る。別の実施形態において、タイトレーション期間は、約3か月~約24か月;約3か月~約21か月;約3か月~約18か月;約3か月~約15か月;約3か月~約12か月;または約3か月(3 or months)~約6か月の時間を含む。さらに別の実施形態において、タイトレーション期間は、約6か月~約24か月;約6か月~約21か月;約6か月~約18か月;約6か月~約15か月;または約6か月~約12か月の時間を含む。さらに別の実施形態において、タイトレーション期間は、約2か月~約4か月;約2か月~約7か月;約2か月~約8か月;約4か月~約8か月;約5か月~約7か月;または約5か月~約8か月の時間を含む。例えば、タイトレーション期間は、約1~約6か月であり得る。別の例において、タイトレーション期間は、約3~約6か月であり得る。
【0208】
タイトレーション期間は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、または24か月の時間を含み得る。ある特定の実施形態において、タイトレーション期間は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12か月の時間を含む。別の実施形態において、タイトレーション期間は、約1、2、3、4、5、6、7、8、または9か月の時間を含む。別の実施形態において、タイトレーション期間は、約1、2、3、4、5、または6か月の時間を含む。別の実施形態において、タイトレーション期間は、約1、2、または3か月の時間を含む。例えば、タイトレーション期間は、約1か月であり得る。別の例において、タイトレーション期間は、約2か月であり得る。別の例において、タイトレーション期間は、約3か月であり得る。さらに別の例において、タイトレーション期間は、約4か月であり得る。さらなる別の例において、タイトレーション期間は、約5か月であり得る。別の例において、タイトレーション期間は、約6か月であり得る。1つの例において、タイトレーション期間は、3か月または6か月である。別の例において、タイトレーション期間は、約7か月であり得る。別の例において、タイトレーション期間は、約8か月であり得る。別の例において、タイトレーション期間は、約9か月であり得る。
【0209】
上記のように、必要に応じてタイトレーション期間に投与される、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の量を、本明細書に記載した調節量と比較して、低減し得る。よって、本明細書において、本明細書に記載されている疾患または状態(例えば、NASHまたは代償性肝硬変)の処置のために、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与することを含む処置レジメンであって、上記したタイトレーション期間にわたって投与される開始用量が、タイトレーション期間の後に投与される調節用量の量よりも少ない、処置レジメンが提供される。その上、本明細書において、本明細書に記載されている疾患または状態(例えば、NASHまたは代償性肝硬変)の処置のために、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与することを含む処置レジメンであって、上記したタイトレーション期間にわたって投与される開始用量が、タイトレーション期間の後に投与される調節用量の量よりも少なく、調節用量の投与頻度(例えば、QD、Q2D、またはQW)が、開始用量の投与頻度よりも高い、処置レジメンがさらに提供される。その上、本明細書において、本明細書に記載されている疾患または状態(例えば、線維症を伴うNASHまたはNASHに起因する代償性肝硬変)の処置のために、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与することを含む処置レジメンであって、上記したタイトレーション期間にわたって投与される開始用量が、タイトレーション期間の後に投与される調節用量の量よりも少なく、調節用量の投与頻度(例えば、QD、Q2D、またはQW)が、開始用量の投与頻度よりも低い、処置レジメンがさらに提供される。患者の肝機能を本明細書に記載されているように評価、モニタリング、または測定し、肝機能が障害を受けていないと見なされた場合、調節用量(または任意の再調節用量)を増加させることができる。
【0210】
実施形態において、ALPのレベルが、本明細書に記載した対照と比較して、ほぼ等しい、または低下していない場合、調節用量を、開始用量と比較して増加させることができる。実施形態において、ビリルビンのレベルが、本明細書に記載した対照と比較して、ほぼ等しい、または低下していない場合、調節した用量を、開始用量と比較して増加させることができる。実施形態において、ALPおよびビリルビンのレベルが、本明細書に記載した対照と比較して、ほぼ等しい、または低下していない場合、調節用量を、開始用量と比較して増加させることができる。ある特定の例において、本明細書に記載されている患者が、開始用量の量に耐容性を示す場合、調節用量を、開始用量と比較して増加させることができる。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり得る。ある特定の実施形態において、開始用量は、10mgである。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり、調節用量は、5mg超(例えば、約6mg~約50mg)である。一実施形態において、開始用量は、5mgであり、調節用量は、10mgである。一実施形態において、開始用量は、10mgであり、調節用量は、25mgである。
【0211】
複数の実施形態において、測定されたDSIスコア(HepQuant(登録商標)-SHUNT試験などのHepQuant(登録商標)試験を使用して測定される)が本明細書に記載されている対照と比較して概ね等しいまたは低下していない場合、開始用量と比較して調節用量を増加させることができる。ある特定の例において、本明細書に記載されている患者が、開始用量の量を耐容する場合、開始用量と比較して調節用量を増加させることができる。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり得る。ある特定の実施形態において、開始用量は、10mgである。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり、調節用量は、5mg超(例えば、約6mg~約50mg)である。一実施形態において、開始用量は、5mgであり、調節用量は、10mgである。一実施形態において、開始用量は、10mgであり、調節用量は、25mgである。
【0212】
また、本明細書において、本明細書に記載されている疾患または状態(例えば、線維症を伴うNASHまたはNASHに起因する代償性肝硬変)の処置のために、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与することを含む処置レジメンであって、上記したタイトレーション期間にわたって投与される開始用量が、タイトレーション期間の後に投与される調節用量の量と等しい、処置レジメンが提供される。さらに、本明細書において、本明細書に記載されている疾患または状態(例えば、線維症を伴うNASHまたはNASHに起因する代償性肝硬変)の処置のために、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与することを含む処置レジメンであって、上記したタイトレーション期間にわたって投与される開始用量が、タイトレーション期間の後に投与される調節用量の量と等しく、開始用量の投与頻度(例えば、QD、Q2D、またはQW)が、調節用量と等しい、処置レジメンがさらに提供される。その上、本明細書において、本明細書に記載されている疾患または状態(例えば、NASHまたは代償性肝硬変)の処置のために、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与することを含む処置レジメンであって、上記したタイトレーション期間にわたって投与される開始用量が、タイトレーション期間の後に投与される調節用量の量と等しく、調節用量の投与頻度(例えば、QD、Q2D、またはQW)が、開始用量の投与頻度よりも高い、処置レジメンがさらに提供される。その上、本明細書において、本明細書に記載されている疾患または状態(例えば、NASHまたは代償性肝硬変)の処置のために、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与することを含む処置レジメンであって、上記したタイトレーション期間にわたって投与される開始用量が、タイトレーション期間の後に投与される調節用量の量と等しく、調節用量の投与頻度(例えば、QD、Q2D、またはQW)が、開始用量の投与頻度よりも低い、処置レジメンがさらに提供される。患者の肝機能を本明細書に記載されているように評価、モニタリング、または測定し、肝機能が障害を受けていないと見なされた場合、調節用量(または任意の再調節用量)を、開始用量と等しくすることができる。
【0213】
実施形態において、ALPのレベルが、本明細書に記載した対照と比較して低下している場合、調節用量を、開始用量と等しくすることができる。実施形態において、ビリルビンのレベルが、本明細書に記載した対照と比較して低下している場合、調節用量を、開始用量と等しくすることができる。実施形態において、ALPおよびビリルビンのレベルが、本明細書に記載した対照と比較して低下している場合、調節用量を、開始用量と等しくすることができる。ある特定の例において、本明細書に記載されている患者が、開始用量の量に耐容性を示すか、または耐容性が乏しい(例えば、本明細書に記載されている有害作用を発現した)場合、調節用量を、開始用量と等しくすることができる。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり得る。ある特定の実施形態において、開始用量は、10mgである。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり、調節用量は、5mgである。一実施形態において、開始用量は、10mgであり、調節用量は、10mgである。開始用量は10mgであり得、調節用量は25mgであり得る。
【0214】
複数の実施形態において、測定されたDSIスコア(HepQuant(登録商標)-SHUNT試験などのHepQuant(登録商標)試験を使用して測定される)が本明細書に記載されている対照と比較して低下している場合、調節用量を、開始用量と等しくすることができる。ある特定の例において、本明細書に記載されている患者が、開始用量の量に耐容性を示すか、または耐容性が乏しい(例えば、本明細書に記載されている有害作用を発現した)場合、調節用量を、開始用量と等しくすることができる。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり得る。ある特定の実施形態において、開始用量は、10mgである。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり、調節用量は、5mgである。一実施形態において、開始用量は、10mgであり、調節用量は、10mgである。
【0215】
さらに、本明細書において、処置レジメンであって、該レジメンにおいて提供されているように、開始用量および調節用量を必要に応じて含み、調節用量を、処置の過程にわたってさらに低減する処置レジメンが提供される。ある特定の例において、調節用量を、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物が減量されている、新たな再調節用量に低減する。他の例において、調節用量を、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の量は等しいが、投与頻度が、(例えば、QDから、Q2DまたはQWに)低下している、新たな再調節用量に低減する。さらに別の例において、調節用量を、再調節用量が、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の量が減少し、かつ調節用量と比較して低頻度で投与されるように、改変する。
【0216】
本明細書に記載されている疾患および状態を処置するために有用な本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の投薬レジメンは、初期用量および少なくとも1つの調節用量を含み得る。初期用量は、被験体に最初に与えられるオベチコール酸の量である。この初期用量は、初期期間にわたって被験体に投与され続けることができる。
【0217】
初期期間は約1か月~約24か月;約1か月~約21か月;約1か月~約18か月;約1か月~約15か月;約1か月~約12か月;約1か月~約9か月;約1か月~約6か月;または約1か月~約3か月の期間であり得る。別の実施形態において、初期期間は約3か月~約24か月;約3か月~約21か月;約3か月~約18か月;約3か月~約15か月;約3か月~約12か月;または約3か月(3 or months)~約6か月の時間を含む。さらに別の実施形態において、初期期間は約6か月~約24か月;約6か月~約21か月;約6か月~約18か月;約6か月~約15か月;または約6か月~約12か月の時間を含む。さらに別の実施形態において、初期期間は約2か月~約4か月;約2か月~約7か月;約2か月~約8か月;約4か月~約8か月;約5か月~約7か月;または約5か月~約8か月の時間を含む。例えば、初期期間は、約1~約6か月であり得る。別の例において、初期期間は、約3~約6か月であり得る。
【0218】
初期期間は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24か月の時間を含み得る。ある特定の実施形態において、初期期間は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12か月の時間を含む。別の実施形態において、初期期間は、約1、2、3、4、5、6、7、8または9か月の時間を含む。別の実施形態において、初期期間は、約1、2、3、4、5または6か月の時間を含む。別の実施形態において、初期期間は、約1、2または3か月の時間を含む。例えば、初期期間は、約1か月であり得る。別の例において、初期期間は、約2か月であり得る。別の例において、初期期間は、約3か月であり得る。さらに別の例において、初期期間は、約4か月であり得る。さらなる別の例において、初期期間は、約5か月であり得る。別の例において、初期期間は、約6か月であり得る。1つの例において、初期期間は、3か月または6か月である。別の例において、初期期間は、約7か月であり得る。別の例において、初期期間は、約8か月であり得る。別の例において、初期期間は、約9か月であり得る。
【0219】
初期期間中の任意の時点であるいは初期期間の終わりに、例えばHebQuant(登録商標)試験(例えば、HebQuant(登録商標)-SHUNT試験)を使用して、被験体の肝機能を測定することができる。肝機能試験の結果は、調節用量、すなわち初期用量とは異なる用量を決定するために使用することができる。1つの非限定的な例において、被験体の肝機能の試験が、初期用量が有効でなかったことを明らかにする場合、調節用量は初期用量よりも大きくすることができる。別の非限定的な例において、被験体の肝機能の試験が初期用量による肝機能の改善を明らかにする場合、患者はより少ない治療介入を必要とするので、調節用量は、初期用量未満であり得る。
【0220】
上記のように、初期期間に必要に応じて投与される、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の量(初期用量)を、本明細書に記載されている調節された量(調節用量)と比較して低減することができる。したがって、本明細書に記載されている疾患または状態(例えば、線維症を伴うNASHまたはNASHに起因する代償性肝硬変)の処置のために、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与することを含む処置レジメンであって、上記初期期間にわたって投与される初期用量が、初期期間の後に投与される調節用量の量より少ない、処置レジメンが、本明細書において提供される。本明細書に記載されている疾患または状態(例えば、NASHまたは代償性肝硬変)の処置のために、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与することを含む処置レジメンであって、上記初期期間にわたって投与される初期用量が、初期期間の後に投与される調節用量の量よりも少なく、調節用量の投与の頻度(例えば、QD、Q2DまたはQW)が、初期用量の投与の頻度より高い、処置レジメンが、本明細書においてさらに提供される。本明細書に記載されている疾患または状態(例えば、線維症を伴うNASHまたはNASHに起因する代償性肝硬変)の処置のために、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与することを含む処置レジメンであって、上記初期期間にわたって投与される初期用量が、初期期間の後に投与される調節用量の量よりも少なく、調節用量の投与の頻度(例えば、QD、Q2DまたはQW)が、初期用量の投与の頻度より低い、処置レジメンが、本明細書においてさらに提供される。本明細書に記載されているように患者の肝機能が評価され、モニタリングされ、または測定された後、肝機能が障害を受けていないと見なされた場合、調節用量(または任意の再調節用量)を増加させることができる。
【0221】
複数の実施形態において、ALPのレベルが、本明細書に記載した対照と比較して、ほぼ等しい、または低下していない場合、調節用量を、開始用量と比較して増加させることができる。複数の実施形態において、ビリルビンのレベルが、本明細書に記載した対照と比較して、ほぼ等しい、または低下していない場合、調節用量を、開始用量と比較して増加させることができる。複数の実施形態において、ALPおよびビリルビンのレベルが、本明細書に記載した対照と比較して、ほぼ等しい、または低下していない場合、調節用量を、開始用量と比較して増加させることができる。ある特定の例において、本明細書に記載されている患者が、開始用量の量を耐容する場合、開始用量と比較して調節用量を増加させることができる。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり得る。ある特定の実施形態において、開始用量は、10mgである。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり、調節用量は、5mg超(例えば、約6mg~約50mg)である。一実施形態において、開始用量は、5mgであり、調節用量は、10mgである。複数の実施形態において、初期用量は、10mgであり、調節用量は、25mgである。
【0222】
複数の実施形態において、測定されたDSIスコア(HepQuant(登録商標)-SHUNT試験などのHepQuant(登録商標)試験を使用して測定される)が本明細書に記載されている対照と比較して概ね等しいまたは低下していない場合、開始用量と比較して調節用量を増加させることができる。ある特定の例において、本明細書に記載されている患者が、開始用量の量を耐容する場合、開始用量と比較して調節用量を増加させることができる。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり得る。ある特定の実施形態において、開始用量は、10mgである。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり、調節用量は、5mg超(例えば、約6mg~約50mg)である。一実施形態において、開始用量は、5mgであり、調節用量は、10mgである。一実施形態において、開始用量は、10mgであり、調節用量は、25mgである。
【0223】
本明細書に記載されている疾患または状態(例えば、線維症(fibosis)を伴うNASHまたはNASHに起因する代償性肝硬変)の処置のために、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与することを含む処置レジメンであって、上記したタイトレーション期間にわたって投与される初期用量が、タイトレーション期間の後に投与される調節用量の量と等しい、処置レジメンも、本明細書において提供される。本明細書に記載されている疾患または状態(例えば、線維症を伴うNASHまたはNASHに起因する代償性肝硬変)の処置のために、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与することを含む処置レジメンであって、上記したタイトレーション期間にわたって投与される初期用量が、タイトレーション期間の後に投与される調節用量の量と等しく、初期用量の投与の頻度(例えば、QD、Q2DまたはQW)が調節用量と同じである、処置レジメンが、本明細書においてさらに提供される。本明細書に記載されている疾患または状態(例えば、NASHまたは代償性肝硬変)の処置のために、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与することを含む処置レジメンであって、上記したタイトレーション期間にわたって投与される初期用量が、タイトレーション期間の後に投与される調節用量の量と等しく、調節用量の投与の頻度(例えば、QD、Q2DまたはQW)が初期用量の投与の頻度より高い、処置レジメンが、本明細書においてさらに提供される。本明細書に記載されている疾患または状態(例えば、NASHまたは代償性肝硬変)の処置のために、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与することを含む処置レジメンであって、上記したタイトレーション期間にわたって投与される初期用量が、タイトレーション期間の後に投与される調節用量の量と等しく、調節用量の投与の頻度(例えば、QD、Q2DまたはQW)が、初期用量の投与の頻度より低い、処置レジメンが、本明細書においてさらに提供される。本明細書に記載されているように患者の肝機能が評価され、モニタリングされ、または測定され、肝機能が障害を受けていないと見なされた場合、調節用量(または任意の再調節用量)を初期用量と等しくすることができる。
【0224】
複数の実施形態において、ALPのレベルが、本明細書に記載した対照と比較して低下している場合、調節用量を、開始用量と等しくすることができる。複数の実施形態において、ビリルビンのレベルが、本明細書に記載した対照と比較して低下している場合、調節用量を、開始用量と等しくすることができる。複数の実施形態において、ALPおよびビリルビンのレベルが、本明細書に記載した対照と比較して低下している場合、調節用量を、開始用量と等しくすることができる。ある特定の例において、本明細書に記載されている患者が、開始用量の量に耐容性を示すか、または耐容性が乏しい(例えば、本明細書に記載されている有害作用を発現した)場合、調節用量を、開始用量と等しくすることができる。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり得る。ある特定の実施形態において、開始用量は、10mgである。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり、調節用量は、5mgである。一実施形態において、開始用量は、10mgであり、調節用量は、10mgである。一実施形態において、初期用量は、25mgであり、調節用量は、25mgである。
【0225】
複数の実施形態において、測定されたDSIスコア(HepQuant(登録商標)-SHUNT試験などのHepQuant(登録商標)試験を使用して測定される)が本明細書に記載されている対照と比較して低下している場合、調節用量を、開始用量と等しくすることができる。ある特定の例において、本明細書に記載されている患者が、開始用量の量に耐容性を示すか、または耐容性が乏しい(例えば、本明細書に記載されている有害作用を発現した)場合、調節用量を、開始用量と等しくすることができる。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり得る。ある特定の実施形態において、開始用量は、10mgである。ある特定の実施形態において、開始用量は、5mgであり、調節用量は、5mgである。一実施形態において、開始用量は、10mgであり、調節用量は、10mgである。
【0226】
処置レジメンであって、該レジメンにおいて提供されているように、初期用量および調節用量を必要に応じて含み、調節用量を、処置の過程にわたってさらに低減する処置レジメンが、本明細書においてさらに提供される。ある特定の例において、調節用量を、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物が減量されている、新たな再調節用量に低減する。他の例において、調節用量を、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の量は等しいが、投与の頻度が、(例えば、QDから、Q2DまたはQWに)低下している、新たな再調節用量に低減する。さらに別の例において、調節用量を、再調節用量が、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の量が減少し、かつ調節用量と比較して低頻度で投与されるように、改変する。
【0227】
本明細書に記載されているオベチコール酸組成物は、投薬が患者にとって有効であり、かつ患者が投薬(例えば、本明細書に記載した調節用量または再調節用量)に耐容性を示す限り、任意の日数、週数、月数、または年数(無期限も含まれる)にわたって投与することができる。ある特定の例において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物は、本明細書に記載されている患者に対して、有効性がなくなるまで、または許容できない毒性または望ましくない有害作用(例えば、本明細書に記載されているものなど)が発現するまで、投与される。本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の毎日の投薬は、投薬量、組成物、または投与頻度に対する患者の耐容性に依存し得る。例えば、本明細書に記載されている患者が毎日の投薬量(例えば、5mg、10mg、25mg、または50mg)に対して耐容性を示す場合、毎日の投薬を患者に投与することができる。これに代えてまたは追加して、患者が投与量に対して耐容性を示す場合、または不耐容である場合、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の量を、上記のように、それぞれ増加させるように、または減少させるように、毎日の投薬を改変してもよい。ある特定の実施形態において、調節用量(または、任意の再調節用量)の改変は、患者の肝機能を本明細書に記載されているように評価、モニタリング、または測定した後に行ってもよい。ある特定の例において、調節用量(または、再調節用量)を、肝機能が障害を受けていない場合、増加させるまたは(例えば、開始用量と同等に)維持する。他の例において、調節用量(または、再調節用量)を、患者の肝機能が障害を受けている場合、低下させるまたは(例えば、開始用量と同等に)維持する。
【0228】
本明細書に記載されている患者に投与される、本明細書に記載されているオベチコール酸の量を、不耐容性、または1つまたはそれを超える有害作用(例えば、本明細書に記載されているものなど)の発現の結果として、改変し得る。例えば、1つの例において、患者に投与される、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の量を、QD投薬量から、Q2D投薬量に変更し得る。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されているオベチコール酸の投薬量を、本明細書に記載されている有害作用(例えば、重度のそう痒)が発現した際、QDからQ2D投薬量に改変する。1つの例において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の5mgQDでの投与を、5mgQ2Dの投薬量に改変し得る。このような改変によって、所望の効果を維持しつつ、望ましくない有害作用を低減することができるか、またはなくすことができる。別の例において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の10mgQDでの投与を、5mgQDに減らすことができる。本明細書に記載されている例示的な複数の投薬レジメンを組み合わせることができることを理解すべきである。例えば、10mgから5mgQDに低減した、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の投薬量は、望ましくない有害作用が残っている場合、5mgQ2Dの投薬にさらに低減し得る。さらに別の例において、オベチコール酸組成物の投薬は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14日、または1、2、3、もしくは4週間にわたり、一時的に中断(例えば、オフ期間)し得る。
【0229】
1つの例示的な投薬レジメンにおいて、NASH患者(例えば、線維症を伴うNASH患者またはNASHに起因する代償性肝硬変を有する患者)は、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与され、ここで、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の開始用量は、5mgの量で本明細書に記載されている患者にQD投与され、オベチコール酸組成物は、5mgの調節用量で患者にQD投与される。例示的な投薬レジメンは、約1~約6か月のタイトレーション期間を含み得る。
【0230】
別の例示的な投薬レジメンにおいて、NASH患者(例えば、線維症を伴うNASH患者またはNASHに起因する代償性肝硬変を有する患者)は、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与され、ここで、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の開始用量は、約3か月または約6か月のタイトレーション期間において、5mgの量で本明細書に記載されている患者にQD投与され、オベチコール酸組成物は、5mgの調節用量で患者にQD投与される。
【0231】
さらに別の例示的な投薬レジメンにおいて、NASH患者(例えば、線維症を伴うNASH患者またはNASHに起因する代償性肝硬変を有する患者)は、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与され、ここで、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の開始用量は、約3か月または約6か月のタイトレーション期間において、患者にQD投与され、オベチコール酸組成物は、10mgの調節用量で患者にQD投与される。
【0232】
別の例示的な投薬レジメンにおいて、NASH患者(例えば、線維症を伴うNASH患者またはNASHに起因する代償性肝硬変を有する患者)は、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与され、ここで、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の開始用量は、約3か月または約6か月のタイトレーション期間において、患者にQD投与され、オベチコール酸組成物は、5mgの調節用量で患者にQD投与され、ここで、調節用量は、有害作用(例えば、そう痒または重度そう痒)が発現した際、5mg、Q2Dの再調節用量に改変される。
【0233】
さらに別の例示的な投薬レジメンにおいて、NASH患者(例えば、線維症を伴うNASH患者またはNASHに起因する代償性肝硬変を有する患者)は、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を投与され、ここで、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の開始用量は、約3か月または約6か月のタイトレーション期間において、患者にQD投与され、オベチコール酸組成物は、10mgの調節用量で患者にQD投与され、ここで、調節用量は、次いで、有害作用(例えば、そう痒または重度そう痒)が発現した際、5mg、QDの再調節用量に改変される。
【0234】
患者に投与される、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の量は、患者における任意の既存状態の存在によって決定され得る。例えば、本明細書に記載されている患者が、肝機能障害を有しているか、または有していたことがある場合、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の投薬量は、改変され得る。ある特定の例において、肝機能障害は、Child-Pugh分類A、分類B、または分類Cの肝機能障害である。一実施形態において、肝機能障害は、Child-Pugh分類Aである。一実施形態において、肝機能障害は、Child-Pugh分類Bである。一実施形態において、肝機能障害は、Child-Pugh分類Cである。これらの例において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の量は、肝機能障害を有していない患者に同じオベチコール酸組成物を投与する場合と比較して、タイトレーション期間にわたって、およびタイトレーション期間後に、量を減らして投与し得る。
【0235】
1つの投薬レジメンの例において、肝機能障害を有する患者は、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を、約1mg~約5mgの量で投与され、ここで、組成物は、少なくとも毎週1回(QW)投与される。1つの例において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物は、肝機能障害(例えば、Child-Pugh分類BまたはC)を有していると診断された患者に、毎週1回、約5mgの量で投与される。
【0236】
例えば、投薬レジメンは、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の、肝機能障害を有する患者に対する投与であって、オベチコール酸組成物が、3または6か月のタイトレーション期間にわたり、5mg、QWの開始用量で投与され、5mg、QWの調節用量で投与される、投与を含み得る。患者の肝機能は、本明細書に記載したように、評価、モニタリング、または測定され得る。患者の肝機能が障害を受けていない場合、調節用量は、5mgのBIW投与、または5mg、QDの再調節用量に増加させることができる。
【0237】
ある特定の例において、患者は、投与の過程の間に、肝機能障害を発症し得る。本明細書に示された開示を使用して、肝機能障害の進行を避けるために、調節用量を量または頻度で減らし得ることが理解される。
【0238】
さらに、本明細書において、NASHの処置を必要とする患者において、有効量(ここで、有効量は、5mgまたは10mg用量である)の本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を、QD投与することによってNASHを処置する方法が提供される。別な態様において、NASHの処置を必要とする患者において、5mg、QDの開始用量の本明細書に記載されているオベチコール酸組成物を、少なくとも3か月投与することによってNASHを処置する方法であって;患者の耐容性、本明細書に記載した患者の肝機能、および/または処置の有効性を評価し、患者の耐容性、肝機能、および/または有効性の低下が、タイトレーション期間の終了、および10mg、QDの調節用量の投与を示す、方法が提供される。一実施形態において、患者の耐容性、肝機能、および/または有効性の低下が、タイトレーション期間の終了、および5mg、QDの調節用量の投与を示す。
【0239】
本明細書に記載されている実施形態において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物は、オベチコール酸コンジュゲート、例えば、オベチコール酸のグリシン、タウリン、またはサルコシンコンジュゲートなどに代謝され得る。このような代謝産物は、本明細書に記載されている疾患または状態の処置において有用であり得る。ある特定の例において、コンジュゲートの生成は、処置の過程の間、本明細書に記載したように、評価、モニタリング、または測定され得る。いくつかの実施形態において、オベチコール酸コンジュゲートのレベルの増加は、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の投薬量の調節をもたらし得る。
【0240】
別の例において、活性薬剤は、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体アルファ(PPARα)アゴニスト、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体デルタ(PPARδ)アゴニスト、PPARα/δデュアルアゴニスト、PPARα/γデュアルアゴニストもしくはpan-PPARアゴニスト、HMG CoA還元酵素阻害剤、GLP1アゴニスト、インスリン、インスリン模倣体、メトホルミン、GTP4アゴニスト、HST2阻害剤、DPP-IV阻害剤、SGLT2阻害剤、または水酸化ステロイド脱水素酵素(HSD)阻害剤(例えば、11β-HSD1阻害剤)、ASK1阻害剤、ACC1阻害剤、NOX1および/もしくはNOX4阻害剤、1つまたはそれを超えるケモカイン受容体(例えば、CCR2およびCCR5など)の阻害剤もしくはアンタゴニストである。
【0241】
本明細書に記載されている患者には、本明細書に記載されている疾患または状態を有する患者が含まれる。患者は、処置される状態によって記載され、または呼ばれ得る。例えば、NASHを有する患者は、本明細書において、NASH患者と呼ばれ得る。本明細書に記載されている患者は、既存状態(例えば、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物によって処置される疾患または状態とは異なる、最初の投与時に存在していた状態)を有し得る。1つの例において、本明細書に記載されている患者は、肝機能障害を有する。別の例において、本明細書に記載されている患者は、腎機能障害を有する。さらに別の例において、患者は、高齢/老齢患者である。別の例において、患者は、小児患者である。
【0242】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の、ある特定の逆活性薬剤(contra-active agent)との一緒の投与は、(1)オベチコール酸組成物の有効性の低下、および/または(2)本明細書に記載されている毒性または有害作用の発現をもたらし得る。例えば、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物の、血液凝固剤および抗凝血剤との投与は、国際標準比(INR)の低下をもたらし得る。ある特定の例において、凝血剤および抗凝血剤は、患者のINRの変動をモニタリングし、かつ当該技術分野において適切なINRを維持するために理解されているように投薬量を調節することによって、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物と組み合わせて投与することができる。
【0243】
一実施形態において、本明細書に記載されている組成物は、他の製剤(例えば、より粒径が大きいオベチコール酸)に関連する有害作用を低減させる。例えば、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物は、本明細書に記載されている状態または疾患のために、本明細書に記載されている患者に投与した場合、肝性脳症、腹水、静脈瘤出血、皮膚発疹、痒疹、そう痒(全身、眼、肛門、外陰腟、および発疹を含む)、疲労、無力症、腹痛(上腹および下腹の疼痛、ならびに圧痛を含む)、腹部不快感、胃腸痛、眩暈、蕁麻疹(コリン性を含む)、発疹(斑状疹、丘疹(popular)、斑状丘疹、および紅色汗疹を含む)、関節痛、口腔咽頭痛、咳、便秘、末梢性浮腫(edemal peripheral)、動悸、発熱、湿疹、および処置痛から選択される、1つまたはそれを超える有害作用を低減させ得る。ある特定の例において、低減される1つまたはそれを超える有害作用には、そう痒が含まれる。とりわけ、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物のタイトレーションは、重度そう痒の発生、または重度そう痒発症までの平均時間を低減し得ることが見出された。
【0244】
別の実施形態において、本明細書に記載されているオベチコール酸組成物は、オベチコール酸の合成において一般的に見られる低レベルの不純物を含む。6α-エチルウルソデオキシコール酸(6-EUDCA)、3α-ヒドロキシ-6α-エチル-7-ケト-5β-コラン-24-酸、6β-エチルケノデオキシコール酸;3α,7α-ジヒドロキシ-6β-エチル-5β-コラン-24-酸、3α,7α-ジヒドロキシ-6-エチリデン-5β-コラン-24-酸、ケノデオキシコール酸(CDCA);3α,7α-ジヒドロキシ-5β-コラン-24-酸、OCAの二量体、3α-(3α,7α-ジヒドロキシ-6α-エチル-5β-コラン-24-オイルオキシ)-7α-ヒドロキシ-6α-エチル-5β-コラン-24-酸、または3α-O-アセチル-6α-エチルケノデオキシコール酸;3α-O-アセチル-7α-ヒドロキシ-6α-エチル-5β-コラン-24-酸。
【0245】
本明細書で引用した全ての刊行物および特許文献は、そのような各刊行物または文献が、具体的かつ個別的に参照により本明細書に援用されるものと示されている場合と同程度に、参照により本明細書に援用される。刊行物および特許文献の引用は、いずれかが関連する先行技術であるという自認を意図するものではなく、その内容および日付に関するどのような自認を構成するものでもない。本開示を、記述による説明としてここまで説明してきたが、当業者は、本開示が種々の実施形態で実施できることを認識し、また、上記の説明および以下の実施例が、例示を目的とするものであり、後に続く特許請求の範囲を限定するものではないことを認識する。
【実施例
【0246】
以下の実施例によって本開示をさらに例証するが、これらの実施例は、本開示の範囲および趣旨を実施例に記載した特定の手順に限定するものと解釈すべきではない。実施例は、ある特定の実施形態を例証するために提供され、本開示の範囲に対する限定を意図していないことを理解すべきである。さらに、本開示の趣旨および/または添付の特許請求の範囲の範囲を逸脱することなく、当業者が想起する、種々の他の実施形態、変形形態、およびそれらの等価物という手段を採用し得ることを理解すべきである。
【0247】
[実施例1]
線維症を伴う非アルコール性脂肪性肝炎を有する被験体におけるオベチコール酸の安全性、薬物動態および薬力学を評価するための第1相二重盲検無作為化プラセボ対照研究
【0248】
本研究の主な目的は、線維症を伴うNASHを有する被験体におけるOCA処置の安全性および耐容性を評価すること、ならびに線維症を伴うNASHを有する被験体におけるOCA、そのコンジュゲートおよび代謝産物の単回用量および複数回用量の薬物動態を評価することである。
【0249】
本研究の副次的目的は、FXR活性化に対するOCAの薬力学を評価すること、ならびに炎症、アポトーシスおよび酸化ストレスを含むNASHのバイオマーカーに対する肝臓化学およびOCAの薬力学を評価することである。
【0250】
本研究のさらなる目的は、線維症の血液バイオマーカーに対するOCAの薬力学を評価すること、人体計測的尺度に対するOCAの効果を評価すること、被験体のマイクロリボ核酸(miRNA)プロファイルに対するOCAの効果を評価すること、血糖コントロールおよび脂質マーカーに対するOCAの効果を評価すること、ならびにOCAの薬物動態学的および薬力学的関係を評価することを含む。
【0251】
この研究は、10mgQD、25mgQDおよびプラセボQDの3つの処置群を含んでいた。包括的なタイムラインを含む本研究の概要を図4に示す。
【0252】
主要な組み入れ基準と主要な除外基準を表1に示す。
【0253】
【表1】
【0254】
表2および図4に示されているように、51人の被験体を、85日間、プラセボ、OCA10mgQDまたはOCA25mgQDに、1:2:2で無作為に割り当てた。被験体の17%、29%および5%は、それぞれF1、F2/F3およびF4の線維症スコア(チャイルド・ピュー・スコア[CP-A]に基づく軽度肝障害)を有していた。
【0255】
【表2】
【0256】
表3は、3つの異なる処置群におけるTEAEの発生を示す。
【0257】
【表3】
【0258】
表4は、SOC、PTおよび最大重症度安全性集団による関心対象のTEAEの要約を示す。
【0259】
【表4】
【0260】
表3および表4に示す結果は、10mgQDおよび25mgQDで12週間投与されたOCAが安全であり、重篤なTEAE、肝障害内のTEAE、および研究の中止につながるTEAEがなく、耐容性が高いことを示している。さらに、TEAEの数は処置群間で同様であり、掻痒、便秘および疲労の発生率は処置群間で同様であった。OCA処置群で観察されたLDLコレステロールの増加が存在した。
【0261】
図5は、本研究の1日目および本研究の終わりに当たって(85日目)、10mgQDまたは25mgQDの用量でOCAを投与された健康な被験体およびNASH被験体からの試料中の総OCA(ng/ml)を示す。図5に示す結果は、いくらかの変動性が存在したが、OCAの血漿曝露がNASH被験体ではやや高く、蓄積が約5倍であり、これは健康な被験体で観察された4日の半減期と一致することを実証している。
【0262】
図6は、本研究の1日目および本研究の終わりに当たって(85日目)、10mgQDまたは25mgQDの用量でOCAを投与された、F1、F2/F3またはF4のいずれかの線維症スコアを有するNASH被験体からの試料中の総OCA(ng/ml)を示す。図6に示される結果は、いくらかの変動性が存在したが、OCA曝露がF2/F3線維症スコアを有する被験体において一般に最も高かったことを実証している。さらに、F4の線維症スコアを有する被験体の数は限られていたが、F1またはF2/F3の線維症スコアを有する被験体と比較して、これらの被験体では血漿曝露がより低かった。
【0263】
図7は、本研究の3つの処置群におけるC4レベル、胆汁酸レベルおよびFGF-19レベルのベースラインからのパーセント変化(ベースラインと比較した85日目)を示す。図7に示す結果は、OCAがC4レベル(胆汁酸合成および肝臓FXR活性化のマーカー)を抑制したが、用量応答は観察されなかったことを実証している。さらに、血漿胆汁酸は、OCAの投与によって抑制されたが、用量応答は観察されなかった。最後に、腸におけるFXR活性化のマーカーであるFGF-19は、OCA用量とともに増加した。
【0264】
図8は、本研究の3つの処置群におけるALT、AST、GGT、総ビリルビン、直接ビリルビンおよびALPレベルのベースラインからのパーセント変化(ベースラインと比較した85日目)を示す。図8に示す結果は、OCAが肝細胞傷害性および機能不全の生化学マーカーを抑制したが、用量依存的応答は観察されなかったことを実証している。しかしながら、OCAの投与により、ALPの用量依存的な増加が観察された。
【0265】
図9は、10mgのOCA QDを投与された、F1またはF2/F3の線維症スコアを有するNASH被験体からの肝臓および血漿試料におけるOCAおよびそのコンジュゲートの肝臓曝露を示す。図9に示される結果は、OCAの肝臓曝露が、10mg QD用量で、異なる線維症スコアを有する被験体にわたって概ね同様であったことを実証している。
【0266】
図10は、25mgのOCA QDを投与された、F1、F2/F3またはF4の線維症スコアを有するNASH被験体からの肝臓および血漿試料におけるOCAおよびそのコンジュゲートの肝臓曝露を示す。図10に示される結果は、OCAの肝臓曝露が、25mg QD用量で、異なる線維症スコアを有する被験体にわたって概ね同様であったことを実証している。
【0267】
図11は、用量による正規化後の、F1、F2/F3またはF4の線維症スコアを有するNASH被験体の肝臓試料中のOCAおよびそのコンジュゲートの肝臓曝露を示す。図11に示される結果は、OCAの肝臓曝露が、用量について補正した後、異なる線維症スコアを有する被験体にわたって概ね同様であったことを実証している。
【0268】
図12に示すように、本研究に参加した被験体には、処置開始の1日前(-1)、処置開始の8日後(8)および処置終了時(85)にHepQuant(登録商標)-SHUNT試験を実施した。HepQuant(登録商標)-SHUNT試験の一部として、標識されたコラートを静脈内および経口投与した。HepQuant(登録商標)-SHUNT試験を使用して、疾患重症度指数(DSI)スコアを決定した。図13に示すように、本研究に参加した51人の被験体のうち43人にHepQuant(登録商標)-SHUNT試験を実施した。これらの43人の被験体の患者背景を表5に示す。
【0269】
【表5】
【0270】
図14は、本研究の3つの処置群中のF2/F3の線維症スコアを有するNASH被験体におけるベースラインDSIスコアを示す。図14に示される結果は、F2/F3 NASH被験体が静脈瘤のより高いベースラインリスクを有し、このリスクが異なる処置群にわたって一貫していたことを示す。図15は、本研究の3つの処置群中のF1、F2/F3またはF4の線維症スコアを有するNASH被験体におけるベースラインDSIスコアを示す。図15に示す結果は、線維症の各ステージにわたる広範な肝機能不全と一致している。
【0271】
図16は、本研究の3つの処置群中のF2/F3の線維症スコアを有するNASH被験体におけるDSIスコアの変化(85日目-ベースライン[1日目])を示す。図16の結果は、OCAで処置された被験体のDSIスコアのより大きな改善が存在し、25mg QDを投与された被験体で最大の効果が見られたことを示している。
【0272】
図17は、本研究の3つの処置群中の、F1、F2/F3またはF4の線維症スコアを有するNASH被験体におけるDSIスコアの変化(ΔDSI、85日目-ベースライン[1日目])を示す。合計で、被験体の18人が、少なくとも-2という臨床的に意味のあるΔDSIを示した。これらの18人の被験体のうち、17人がOCAで処置され、25mgQDで処置された被験体は、10mgQDで処置された被験体よりも大きいΔDSIを示した。表6は、線維症ステージによって分類された奏効者を示す。これらの結果は、10mgQDまたは25mgQDを投与された被験体において、DSIの用量依存的かつ臨床的に意味のある減少が観察され、25mgQDを投与された被験体においてより大きな応答が示されたことを示している。
【0273】
【表6】
【0274】
要約すると、年齢の中央値が55歳、BMIが35.1kg/m2の主に白人の50人の被験体が、本試験の85日目を完了した。これらの被験体のうち、8日目に38人および85日目に43人がHepQuant評価を受けた。平均ベースラインDSI±SD(n)は、F1 16.4±3.8(n=12)、F2/3 19.0±4.6(n=28)およびF4 22.1±6.7(n=5)であった。全ての被験体(F1~F4)に対する平均ベースラインDSIスコアは、NASHおよびHCV被験体における以前の結果に基づいて、任意の静脈瘤(小さいまたは大きい)に対する約20~40%の確率と一致していた。85日目に、F2/F3被験体について用量依存的応答が観察され、DSIが2ポイント以上減少した(4[36%]OCA10mg、8[73%]OCA25mg対0(0%)プラセボ)。同様の傾向がF1~F4被験体において観察された(7[44%]OCA10mg、10[59%]OCA25mg対1[10%]プラセボ)。したがって、OCAは、一般に安全であり、耐容性が良好であることが明らかとなった。ベースラインDSIの線維症依存的な増加が観察された。85日目に2ポイント以上のDSIの減少を得た被験体について、用量依存的応答が観察された。
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【国際調査報告】