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特表2022-527773ドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法
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  • 特表-ドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法 図1
  • 特表-ドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法 図2
  • 特表-ドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法 図3a
  • 特表-ドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法 図3b
  • 特表-ドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法 図3c
  • 特表-ドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法 図3d
  • 特表-ドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法 図3e
  • 特表-ドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法 図3f
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-06
(54)【発明の名称】ドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/288 20060101AFI20220530BHJP
   H01L 29/16 20060101ALI20220530BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20220530BHJP
   H01L 51/05 20060101ALI20220530BHJP
   H01L 51/30 20060101ALI20220530BHJP
   H01L 51/40 20060101ALI20220530BHJP
   C01B 32/174 20170101ALI20220530BHJP
【FI】
H01L21/288 Z
H01L29/16
H01L29/06 601N
H01L29/28 100A
H01L29/28 210
H01L29/28 370
C01B32/174
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557575
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(85)【翻訳文提出日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 KR2019003933
(87)【国際公開番号】W WO2020204226
(87)【国際公開日】2020-10-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519361461
【氏名又は名称】オソン メディカル イノベーション ファウンデーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ハチョル
(72)【発明者】
【氏名】クォン,ダヘ
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ジンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨンジン
(72)【発明者】
【氏名】アン,ジンウ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウォンジォン
(72)【発明者】
【氏名】イ,スンア
(72)【発明者】
【氏名】キム,アヒ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ハナ
【テーマコード(参考)】
4G146
4M104
【Fターム(参考)】
4G146AA11
4G146AB06
4G146BA04
4G146CB09
4G146CB10
4G146CB17
4G146CB35
4G146DA07
4M104AA09
4M104AA10
4M104BB36
4M104DD22
4M104DD51
4M104HH16
(57)【要約】
ドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法において、溶媒に導電性物質を分散させて、第1の混合溶液を製造するステップと、前記第1の混合溶液に第1のポリマー溶液を添加し分散させて、第2の混合溶液を製造する。前記第2の混合溶液に第2のポリマー溶液を添加し分散させて、第3の混合溶液を製造する。前記第3の混合溶液を、ピペットを用いてホットプレート上に滴下し、且つ、前記第3の混合溶液に混合された前記溶媒を蒸発させて、導電性ポリマーを製造する。接着性パッチを製作する。前記接着性パッチを、前記導電性ポリマーに接着させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒に導電性物質を分散させて、第1の混合溶液を製造するステップと、
前記第1の混合溶液に第1のポリマー溶液を添加し分散させて、第2の混合溶液を製造するステップと、
前記第2の混合溶液に第2のポリマー溶液を添加し分散させて、第3の混合溶液を製造するステップと、
前記第3の混合溶液を、ピペットを用いてホットプレート上に滴下し、且つ、前記第3の混合溶液に混合された前記溶媒を蒸発させて、導電性ポリマーを製造するステップと、
接着性パッチを製作するステップと、
前記接着性パッチを、前記導電性ポリマーに接着させるステップと、
を含むことを特徴とする導電性ポリマー電極作製方法。
【請求項2】
前記溶媒は、イソプロピルアルコール(IPA)であり、
前記導電性物質は、カーボンナノファイバーである、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリマー電極作製方法。
【請求項3】
前記第1のポリマー溶液は、エコフレックス(EcoFlex)のモノマー形式の溶液であり、
前記第2のポリマー溶液は、エコフレックスの架橋剤溶液である、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリマー電極作製方法。
【請求項4】
前記第1の混合溶液を製造するステップにおいて、
前記溶液に前記導電性物質を添加し、ボルテックス・ミキサーを用いて分散させた後、超音波洗浄機により、所定の時間分散させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリマー電極作製方法。
【請求項5】
前記第2の混合溶液を製造するステップにおいて、
前記第1の混合溶液に前記第1のポリマー溶液を添加し、ボルテックス・ミキサーを用いて分散させた後、超音波洗浄機により、所定の時間均一に分散させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリマー電極作製方法。
【請求項6】
前記第3の混合溶液を製造するステップにおいて、
前記第2の混合溶液に前記第2のポリマー溶液を添加し、ボルテックス・ミキサーを用いて分散させた後、超音波洗浄機により、所定の時間均一に分散させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリマー電極作製方法。
【請求項7】
前記第1のポリマー溶液及び前記第2のポリマー溶液のそれぞれの量は、前記導電性物質の量の1.5倍である、
ことを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリマー電極作製方法。
【請求項8】
前記導電性ポリマーを製造するステップにおいて、
前記第3の混合溶液をピペット操作して、ペトリ皿に滴下し、塗布するステップと、
前記ペトリ皿をホットプレート上で加熱させるステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリマー電極作製方法。
【請求項9】
前記ペトリ皿に塗布するステップ、及び前記加熱させるステップを繰り返して、所定の厚さの導電性ポリマーを製造する、
ことを特徴とする請求項8に記載の導電性ポリマー電極作製方法。
【請求項10】
前記接着性パッチを製作するステップにおいて、
Sylgard 184溶液をウエハ上にコートするステップと、
MG7-9850溶液を、前記Sylgard 184溶液がコートされたウエハ上にコートするステップと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電性ポリマー電極作製方法。
【請求項11】
前記Sylgard 184溶液をウエハ上にコートするステップにおいて、
Sylgard 184モノマーとSylgard 184架橋剤を1:1比率で混合した後、真空デシケーターを用いて、混合で生じた気泡を全て除去し、前記気泡が除去されたSylgard 184溶液を、前記ウエハにスピンコートした後、前記ウエハをホットプレート上で、所定の時間熱硬化させる、
ことを特徴とする請求項10に記載の導電性ポリマー電極作製方法。
【請求項12】
前記MG7-9850溶液を、前記sylgard 184溶液がコートされたウエハ上にコートするステップにおいて、
MG7-9850モノマーとMG7-9850架橋剤を1:1比率で混合した後、真空デシケーターを用いて、混合で生じた気泡を全て除去し、前記気泡が除去されたMG7-9850溶液を、前記ウエハにスピンコートした後、前記ウエハをホットプレート上で、所定の時間熱硬化させる、
ことを特徴とする請求項10に記載の導電性ポリマー電極作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性ポリマー電極作製方法に関し、より詳しくは、ドロップキャスティング方法で、導電性物質(Carbon nanofiber)及びポリマー材料を用いて導電性ポリマー電極を製作する、ドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の薄膜トランジスタに用いられる金属電極は、有機半導体との接触界面が不安定であるため、素子の特性を低下させる要因となっており、このような問題点を解決するために、従来の金属電極を有機電極に代替する研究が盛んに行われている。
【0003】
現在研究されている代表的な有機電極としては、PEDOT/PSS、ポリアニリン(polyaniline、PANI)、ポリピロール(polypyrrole、PPy)などの導電性高分子と、炭素ナノチューブ、グラフェンなどがある。
【0004】
例えば、大韓民国公開特許第10-2012-0090594号には、導電性高分子水溶液を乾燥して、高分子電極を形成する技術が開示され、同第10-2016-0049555号には、グラフェンオキシドを電極構造に用いる発光ダイオードに関する技術が開示されている。
【0005】
しかし、このような従来の有機電極の場合、抵抗の増加により、導電性が低下する現象が生じて、製品の品質と寿命が落ちるという問題点がある。
【0006】
特に、導電性ポリマー電極の製造においては、溶媒に導電性材料を均一に分散させることが重要であるが、導電性材料として、例えば、ナノチューブを溶媒に分散させる場合、分散される過程において、凝集力が高くて互いに固まる現象が発生し、このような現象は、結果として、導電性ポリマー電極の抵抗を増やして、電気的性質を低下させる問題がある。
【0007】
そこで、より均一な分散のための工程の開発が必要な実情である。
【0008】
関連する先行技術としては、大韓民国公開特許第10-2012-0090594号、及び同第10-2016-0049555号がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記のような問題点を解決するためになされており、本発明の目的は、ドロップキャスティング方法で、導電性物質及びポリマー材料を用いて導電性ポリマー電極を製作することにより、電気伝導性のような電気特性が向上したロッキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記した本発明の目的を実現するための一実施例によるドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法において、溶媒に導電性物質を分散させて、第1の混合溶液を製造する。前記第1の混合溶液に第1のポリマー溶液を添加し分散させて、第2の混合溶液を製造する。前記第2の混合溶液に第2のポリマー溶液を添加し分散させて、第3の混合溶液を製造する。前記第3の混合溶液を、ピペットを用いてホットプレート上に滴下し、且つ、前記第3の混合溶液に混合された前記溶媒を蒸発させて、導電性ポリマーを製造する。接着性パッチを製作する。前記接着性パッチを、前記導電性ポリマーに接着させる。
【0011】
前記溶媒は、イソプロピルアルコール(IPA)であり、前記導電性物質は、カーボンナノファイバーである。
【0012】
前記第1のポリマー溶液は、エコフレックス(EcoFlex)のモノマー形式の溶液であり、前記第2のポリマー溶液は、エコフレックスの架橋剤溶液である。
【0013】
前記第1の混合溶液を製造するステップにおいて、前記溶液に前記導電性物質を添加し、ボルテックス・ミキサーを用いて分散させた後、超音波洗浄機により、所定の時間分散させる。
【0014】
前記第2の混合溶液を製造するステップにおいて、前記第1の混合溶液に前記第1のポリマー溶液を添加し、ボルテックス・ミキサーを用いて分散させた後、超音波洗浄機により、所定の時間均一に分散させる。
【0015】
前記第3の混合溶液を製造するステップにおいて、前記第2の混合溶液に前記第2のポリマー溶液を添加し、ボルテックス・ミキサーを用いて分散させた後、超音波洗浄機により、所定の時間均一に分散させる。
【0016】
前記第1のポリマー溶液及び前記第2のポリマー溶液のそれぞれの量は、前記導電性物質の量の1.5倍である。
【0017】
前記導電性ポリマーを製造するステップにおいて、前記第3の混合溶液をピペット操作して、ペトリ皿に滴下し、塗布するステップと、前記ペトリ皿をホットプレート上で加熱させるステップとを含む。
【0018】
前記ペトリ皿に塗布するステップ、及び前記加熱させるステップを繰り返して、所定の厚さの導電性ポリマーを製造する。
【0019】
前記接着性パッチを製作するステップにおいて、Sylgard 184溶液をウエハ上にコートするステップと、MG7-9850溶液を、前記Sylgard 184溶液がコートされたウエハ上にコートするステップとを含む。
【0020】
前記Sylgard 184溶液をウエハ上にコートするステップにおいて、Sylgard 184モノマーとSylgard 184架橋剤を1:1比率で混合した後、真空デシケーターを用いて、混合で生じた気泡を全て除去し、前記気泡が除去されたSylgard 184溶液を、前記ウエハにスピンコートした後、前記ウエハをホットプレート上で、所定の時間熱硬化させる。
【0021】
前記MG7-9850溶液を、前記sylgard 184溶液がコートされたウエハ上にコートするステップにおいて、MG7-9850モノマーとMG7-9850架橋剤を1:1比率で混合した後、真空デシケーターを用いて、混合で生じた気泡を全て除去し、前記気泡が除去されたMG7-9850溶液を、前記ウエハにスピンコートした後、前記ウエハをホットプレート上で、所定の時間熱硬化させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、導電性物質及びポリマーが混合した混合溶液に対して、ドロップキャスティング方法を用いて分散させ、溶媒を蒸発させることにより、従来の分散過程における混合溶液内の導電性物質とポリマー間の固まり現象で電気抵抗が増加する問題を解決し、導電性のような電気特性が向上したポリマー電極を製造することができる。
【0023】
特に、導電性のような電気特性を最大で向上するために、前記混合溶液に対する滴下回数を5回~10回とし、第1のポリマー溶液であるモノマーと、第2のポリマー溶液である架橋剤のそれぞれの量は、前記導電性物質の量の1.5倍となるように形成して、最適のどうでんせいが向上したポリマー電極を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の一実施例によるドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法を示すフローチャートである。
【0025】
図2図2は、図1におけるドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法において、導電性ポリマーを製造するステップを示すフローチャートである。
【0026】
図3a-3f】図3a~図3fは、図1におけるドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法において、第1、第2及び第3の混合溶液を製造するステップ、及び導電性ポリマーを製造するステップを示す工程図である。
【符号の説明】
【0027】
20 : 導電性物質
30 : 第1のポリマー溶液
【0028】
40 : 第2のポリマー溶液
50 : 導電性ポリマー
【0029】
100 : 第1の混合溶液
200 : 第2の混合溶液
【0030】
300 : 第3の混合溶液
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明は、様々な変更を加えることができ、様々な形態を有することができるところ、実施例を、本文で詳細に説明しようとする。しかし、これは、本発明を特定の開示形態に限定しようとすることではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むことと理解されるべきである。各図面を説明することに当たり、類似した図面符号を、類似した構成要素に対して使用している。第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明することに使用され得るが、前記構成要素を前記用語により限定してはいけない。
【0032】
前記用語は、1つの構成要素を、他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。本出願で使用された用語は、単に、特定の実施例を説明するために使われており、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに異なることを意味しない限り、複数の表現を含む。
【0033】
本出願において、「含む」又は「なる」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとすることであり、1つ又はその以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はこれらを組み合わせたものの存在又は付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。
【0034】
異なって定義しない限り、技術的又は科学的な用語を含めて、ここで使用される全ての用語は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者によって、一般的に理解されるものと同一の意味を持っている。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有することと解析されるべきであり、本出願において明らかに定義しない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解析されない。
【0035】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施例をより詳細に説明する。
【0036】
図1は、本発明の一実施例によるドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法を示すフローチャートであり、図2は、図1におけるドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法において、導電性ポリマーを製造するステップを示すフローチャートであり、図3a~図3fは、図1におけるドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法において、第1、第2及び第3の混合溶液を製造するステップ、及び導電性ポリマーを製造するステップを示す工程図である。
【0037】
図1及び図3aに示しているように、本実施例によるドロップキャスティングを用いた導電性ポリマー電極作製方法では、まず、溶媒10として、イソプロピルアルコール(IPA)を用い、前記イソプロピルアルコール(IPA)に導電性物質20を分散させて、第1の混合溶液100を製造する(ステップS100)。
【0038】
ここで、前記導電性物質20は、例えば、カーボンナノファイバーである。
【0039】
より具体的に、前記イソプロピルアルコールに前記導電性物質20を添加し、ボルテックス・ミキサー(vortex mixer)を用いて、前記導電性物質20を全体として分散させる。また、前記のようなボルテックス・ミキサーを用いた1次分散の後、超音波洗浄機を用いて、所定の時間、例えば100分程度更に分散させ、これによって、前記導電性物質20は、前記溶媒10上に均一に分散されて、第1の混合溶液100を製造することができる。
【0040】
この場合、前記導電性物質20は、図3aに示しているように、前記溶媒10上に一定量を一回に供給して、分散させる。
【0041】
ここで、前記導電性物質20として、カーボンナノファイバーが用いられる場合、前記カーボンナノファイバーは、直径が50~200nmの円筒状のグラフェン(graphene)を用いて作ったナノ構造物であって、電気伝導性や熱伝導性が高い特性を有するために、プラスチックのようなマトリックス材料に混合して、特性を高める材料である。前記カーボンナノファイバーは、円筒状の他にも、様々なナノ構造物の形状として形成可能である。
【0042】
ついで、図1及び図3bに示しているように、前記第1の混合溶液100に第1のポリマー溶液30を添加し分散させて、第2の混合溶液200を製造する(ステップS200)。
【0043】
より具体的に、前記第1の混合溶液100に前記第1のポリマー溶液30を添加し、ボルテックス・ミキサーを用いて、前記第1のポリマー溶液30を全体として分散させる。また、前記のようなボルテックス・ミキサーを用いた1次分散の後、超音波洗浄機を用いて、所定の時間、例えば100分程度更に分散させ、これによって、前記第1のポリマー溶液30は、前記第1の混合溶液100上に均一に分散されて、第2の混合溶液200を製造することができる。
【0044】
この場合、前記第1のポリマー溶液30は、図3bに示しているように、前記第1の混合溶液100上に必要量を一回に供給してもよく、均一な量を一定の間隔で複数回供給してもよい。
【0045】
一方、前記第1のポリマー溶液30は、例えば、Smooth-On Inc.社のEcoFlex 0030などが用いられ、本実施例において、前記第1のポリマー溶液30は、モノマー形式の溶液である。
【0046】
ついで、図1及び図3cに示しているように、前記第2の混合溶液200に第2のポリマー溶液40を添加し分散させて、第3の混合溶液300を製造する(ステップS300)。
【0047】
より具体的に、前記第2の混合溶液200に前記第2のポリマー溶液40を添加し、ボルテックス・ミキサーを用いて、前記第2のポリマー溶液40を全体として分散させる。また、前記のようなボルテックス・ミキサーを用いた1次分散の後、超音波洗浄機を用いて、所定の時間、例えば100分程度更に分散させ、これによって、前記第2のポリマー溶液40は、前記第2の混合溶液200上に均一に分散されて、第3の混合溶液300を製造することができる。
【0048】
この場合、前記第2のポリマー溶液40は、図3cに示しているように、前記第2の混合溶液200上に必要量を一回に供給してもよく、均一な量を一定の間隔で複数回供給してもよい。
【0049】
一方、前記第2のポリマー溶液40も、例えば、Smooth-On Inc.社のEcoFlex 0030などが用いられ、本実施例において、前記第2のポリマー溶液40は、架橋剤の役割を果たす溶液である。
【0050】
かくして、図3dに示しているように、溶媒10上に、前記導電性物質20、前記第1のポリマー溶液30、及び前記第2のポリマー溶液40が混合した前記第3の混合溶液300の製造が完成される。ついで、図1及び図3eに示しているように、前記第3の混合溶液300を、ピペットを用いてホットプレート上に滴下しながら、すなわち、ドロップキャスティングにより、前記第3の混合溶液300に混合された前記溶媒10、例えば、イソプロピルアルコールを蒸発させて、導電性ポリマーを製造する(ステップS400)。
【0051】
この場合、前記導電性ポリマーを製造するステップでは、図2に示しているように、まず、前記第3の混合溶液300の一定量をピペット操作(pipetting)して、ペトリ皿に塗布する(ステップS410)。ついで、前記ペトリ皿をホットプレート上に位置させて、所定の時間加熱する(ステップS420)。
【0052】
例えば、前記第3の溶液300は、1mLをピペット操作し、前記第3の混合溶液が塗布されたペトリ皿は、約75℃のホットプレート上で30分間、加熱される。
【0053】
前記のような過程(ステップS410及びステップS420)を少なくとも5回以上繰返すと、図3fに示しているように、十分な厚さの導電性ポリマー50が製造される。
【0054】
特に、本実施例では、前記第3の混合溶液300をピペットで取った後、ペトリ皿に塗布する場合、いわゆるドロップキャスティング方法を適用して、一定の厚さで塗布されるように、前記第3の混合溶液300をペトリ皿に滴下する。そして、前記滴下された第3の混合溶液300が前記ホットプレート上で加熱されて、前記溶媒10が全て蒸発した後、更に、前記第3の混合溶液300を再度ペトリ皿に滴下して、所定の厚さで塗布し、前記工程を繰り返す。
【0055】
すなわち、前記第3の混合溶液300を一定の厚さで滴下して、ペトリ皿に塗布し、溶媒10を全て蒸発させた後、更に、第3の混合溶液300を一定の厚さで滴下して、溶媒10を蒸発させる工程を繰り返すことで、所定の厚さの導電性ポリマー50を製造することができる。
【0056】
特に、前記ドロップキャスティング工程により、一定の厚さの導電性ポリマーを繰返し積層して製造することで、従来技術において、一回に一定の厚さの導電性ポリマーを製造するために、第3の混合溶液を薄膜で塗布することなく、多量の混合溶液に熱を一回に供給する場合、溶媒の蒸発工程において、前記第3の混合溶液に含まれた導電性物質などが互いに凝集して固まることで、導電性ポリマーの抵抗が増えて、電気特性が低下する問題を解決することができる。
【0057】
一方、前記導電性ポリマーの製造とは別に、導電性ポリマー電極の製作のために、接着性パッチを製作する(ステップS500)。
【0058】
前記接着性パッチを製作する過程は、Sylgard 184溶液をウエハ上にコートするステップと、MG7-9850溶液を、前記Sylgard 184溶液がコートされたウエハ上にコートするステップとからなる。
【0059】
より具体的に、前記Sylgard 184溶液をウエハ上にコートするために、Sylgard 184モノマーとSylgard 184架橋剤を1:1比率で混合した後、真空デシケーターを用いて、混合で生じた気泡を全て除去し、前記気泡が除去されたSylgard 184溶液を、スピンコーターを用いて、200rpm~500rpmでウエハにコートした後、前記ウエハを、120℃のホットプレート上で、所定の時間熱硬化させる。
【0060】
ついで、前記Sylgard 184溶液がコートされたウエハ上に、前記MG7-9850溶液をコートするために、MG7-9850モノマーとMG7-9850架橋剤を1:1比率で混合した後、真空デシケーターを用いて、混合で生じた気泡を全て除去し、前記気泡が除去されたMG7-9850溶液を、スピンコーターを用いて、200rpm~500rpmでウエハにコートした後、前記ウエハを、120℃のホットプレート上で、所定の時間熱硬化させる。
【0061】
かくして、前記接着性パッチを完成することになる。
【0062】
最後に、前記接着性パッチを、前記導電性ポリマー50に接着させる(ステップS600)。
【0063】
すなわち、前記接着性パッチが前記導電性ポリマー50の全面を覆うように、前記導電性ポリマーを、前記接着性パッチのサイズに合わせて切り出す。かくして、前記接着性パッチが全く前記導電性ポリマーを覆い、皮膚に接着されるようにする。
【0064】
下記の表1は、前記導電性物質(CNF)、第1のポリマー溶液(ecoflex A)、及び第2のポリマー溶液(ecoflex B)が混合された第3の混合溶液の滴下(Drop)回数による前記第3の混合溶液の抵抗値変化を示す実験結果である。
【0065】
[表1] 滴下回数による抵抗値変化
【0066】
前記表1に示しているように、滴下回数が15回、20回の場合、相対的に大きな抵抗値を現わし、滴下回数が10回である場合、相対的に小さな抵抗値を現わすことが確認できる。すなわち、滴下回数10回の場合が、最も電気特性に優れている。
【0067】
表2は、イソプロピルアルコール(IPA)固定による導電性物質(CNF)、第1のポリマー溶液(ecoflex A)、及び第2のポリマー溶液(ecoflex B)の量の変化による抵抗値変化を示している。
【0068】
[表2] IPA固定によるCNF、ECOFLEX量の変化による抵抗値変化
【0069】
前記表2に示しているように、イソプロピルアルコール(IPA)の量を30gに固定し、導電性物質(CNF)をそれぞれ、0.5gと1gで分散させることで、イソプロピルアルコールと導電性物質の割合に変化を与えて実験を行っており、第1及び第2のポリマー溶液(ecoflex)の量も、導電性物質の量の1倍、1.5倍、2倍に変化して、実験を行っている。
【0070】
その結果、実施例2又は実施例5に示しているように、第1及び第2のポリマー溶液の量が、導電性物質の量の1.5倍であるとき、最も電気特性に優れていることが分かる。
【0071】
本発明の実施例によると、導電性物質及びポリマーが混合した混合溶液に対して、ドロップキャスティング方法を用いて分散させ、溶媒を蒸発させることで、従来の分散過程における混合溶液内の導電性物質とポリマーの間の固まり現象により、電気抵抗が増加する問題を解決し、導電性のような電気特性が向上したポリマー電極を製造することができる。
【0072】
特に、導電性のような電気特性を最大で向上させるために、前記混合溶液に対する滴下回数を5回~10回とし、第1のポリマー溶液であるモノマーと、第2のポリマー溶液である架橋剤のそれぞれの量は、前記導電性物質の量の1.5倍となるように形成して、最適の導電性が向上したポリマー電極を製造することができる。
【0073】
前記では、本発明の好適な実施例を参照して説明したが、当該技術分野における熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を様々に修正及び変更できることを理解するだろう。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
【国際調査報告】