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特表2022-527803マルチ受容体刺激剤及びその医療上の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-06
(54)【発明の名称】マルチ受容体刺激剤及びその医療上の使用
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/575 20060101AFI20220530BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220530BHJP
   A61K 38/26 20060101ALI20220530BHJP
   A61K 31/155 20060101ALI20220530BHJP
   A61K 31/426 20060101ALI20220530BHJP
   A61K 31/64 20060101ALI20220530BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
C07K14/575 ZNA
C12N15/12
A61K38/26
A61K31/155
A61K31/426
A61K31/64
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558700
(86)(22)【出願日】2020-04-10
(85)【翻訳文提出日】2021-10-18
(86)【国際出願番号】 CN2020084247
(87)【国際公開番号】W WO2020207477
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】201910290162.6
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201911120906.6
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】317010428
【氏名又は名称】ジエンス ハンセン ファーマセウティカル グループ カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】516196853
【氏名又は名称】シャンハイ ハンセン バイオメディカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003007
【氏名又は名称】特許業務法人謝国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】呉方舟
(72)【発明者】
【氏名】王雷
(72)【発明者】
【氏名】劉瀟
(72)【発明者】
【氏名】呉然
(72)【発明者】
【氏名】花海清
(72)【発明者】
【氏名】包如迪
(72)【発明者】
【氏名】王小雷
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA07
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA19
4C084BA23
4C084BA31
4C084CA59
4C084DB35
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA701
4C084ZA702
4C084ZC202
4C084ZC351
4C084ZC352
4C084ZC412
4C084ZC752
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC82
4C086DA21
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZA70
4C086ZC35
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206HA31
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZA70
4C206ZC35
4C206ZC75
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA19
4H045CA42
4H045DA30
4H045EA27
4H045FA33
4H045GA25
(57)【要約】
本発明は、ポリペプチドの二重刺激性化合物及びその薬剤的に許容される塩を含有する一連の医薬組成物に関し、これらは、ヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体及びヒト血糖依存性インスリン分泌性ポリペプチド(GIP)受容体に対して二重の刺激効果を有し、インスリン非依存性糖尿病、インスリン依存性糖尿病、肥満、及び他の関連疾患の治療に使用できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩であって、該GLP-1類似体が一般式(I)を有し、
X1-X2-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-X10-Ser-X12-Tyr-Leu-X15-X16-X17-X18-X19-X20-Glu-Phe-X23-X24-Trp-Leu-X27-X28-X29-X30-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-X40
(I)
式中、
X1、X2、X10、X12、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X27、X28、X29、及びX30は、任意の天然アミノ酸または非天然アミノ酸、またはそれらから成るペプチド断片から独立して選択され;
X40は、任意の天然アミノ酸または非天然アミノ酸、またはそれらから成るペプチド断片から選択されるか、またはX40は存在しない、GLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項2】
R1-X1-X2-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-X10-Ser-X12-Tyr-Leu-X15-X16-X17-X18-X19-X20-Glu-Phe-X23-X24-Trp-Leu-X27-X28-X29-X30-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-X40-R2
(II)
(式中、
R1は、H、アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、またはpGluであり;
R2は、-NH2または-OHであり;
X1、X2、X10、X12、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X27、X28、X29、及びX30は、任意の天然アミノ酸または非天然アミノ酸、またはそれらから成るペプチド断片から独立して選択され;
X40は、任意の天然アミノ酸または非天然アミノ酸、またはそれらから成るペプチド断片から選択されるか、またはX40は存在しない。)のようにその両端で修飾される、請求項1に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項3】
X1は、アミノ酸残基TyrまたはHisから選択され;
X2は、アミノ酸残基AibまたはD-Alaから選択され;
X10は、アミノ酸残基ValまたはTyrから選択され;
X12は、アミノ酸残基SerまたはIleから選択され;
X15は、アミノ酸残基AspまたはGluから選択され;
X16は、アミノ酸残基Glu、Gly、Lys、またはAibから選択され;
X17は、アミノ酸残基Glu、IleまたはGlnから選択され;
X18は、アミノ酸残基Ala、AibまたはHisから選択され;
X19は、アミノ酸残基Ala、AibまたはGlnから選択され;
X20は、アミノ酸残基Gln、Glu、Lys、またはY1から選択され;
X23は、アミノ酸残基IleまたはValから選択され;
X24は、アミノ酸残基Ala、Asn、またはGlnから選択され;
X27は、アミノ酸残基ValまたはLeuから選択され;
X28は、アミノ酸残基ArgまたはAlaから選択され;
X29は、アミノ酸残基GlyまたはGlnから選択され;
X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;
X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在せず;
Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOHで示される置換基に共役しているLys、Orn、Dap、Dab、またはCys残基であり;
aは、1~3の整数であり;
bは、1~2の整数であり;
cは、10~30の整数であることを特徴とする、請求項1に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項4】
X1は、アミノ酸残基TyrまたはHisから選択され;
X2は、アミノ酸残基AibまたはD-Alaから選択され;
X10は、アミノ酸残基ValまたはTyrから選択され;
X12は、アミノ酸残基SerまたはIleから選択され;
X15は、アミノ酸残基AspまたはGluから選択され;
X16は、アミノ酸残基Glu、Gly、Lys、またはAibから選択され;
X17は、アミノ酸残基Glu、Ile、またはGlnから選択され;
X18は、アミノ酸残基Ala、Aib、またはHisから選択され;
X19は、アミノ酸残基Ala、Aib、またはGlnから選択され;
X20は、アミノ酸残基Gln、Glu、Lys、またはY1から選択され;
X23は、アミノ酸残基IleまたはValから選択され;
X24は、アミノ酸残基Ala、Asn、またはGlnから選択され;
X27は、アミノ酸残基Val、Ile、またはLeuから選択され;
X28は、アミノ酸残基ArgまたはAlaから選択され;
X29は、アミノ酸残基GlyまたはGlnから選択され;
X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;
X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在せず;
Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOHで示される置換基に共役しているLys、Orn、Dap、Dab、またはCys残基であり;
aは、1~3の整数であり;
bは、1~2の整数であり;
cは、10~30の整数であることを特徴とする、請求項1に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項5】
X1は、アミノ酸残基Tyrであり;
X2は、アミノ酸残基Aibであり;
X10は、アミノ酸残基Tyrであり;
X12は、アミノ酸残基Ileであり;
X15は、アミノ酸残基AspまたはGluから選択され;
X16は、アミノ酸残基LysまたはAibから選択され;
X17は、アミノ酸残基GluまたはIleから選択され;
X18は、アミノ酸残基AlaまたはAibから選択され;
X19は、アミノ酸残基AlaまたはGlnから選択され;
X20は、アミノ酸残基Gln、Lys、またはY1から選択され;
X23は、アミノ酸残基Valであり;
X24は、アミノ酸残基AsnまたはGlnから選択され;
X27は、アミノ酸残基Leuから選択され;
X28は、アミノ酸残基Alaから選択され;
X29は、アミノ酸残基GlyまたはGlnから選択され;
X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;
X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在せず;
Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOHで示される置換基に共役しているLys、Orn、Dap、Dab、またはCys残基であり;
aは、1~3の整数であり;
bは、1~2の整数であり;
cは、10~30の整数であることを特徴とする、請求項1に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項6】
X1は、アミノ酸残基Tyrであり;
X2は、アミノ酸残基Aibであり;
X10は、アミノ酸残基Tyrであり;
X12は、アミノ酸残基Ileであり;
X15は、アミノ酸残基Gluであり;
X16は、アミノ酸残基Lysであり;
X17は、アミノ酸残基Gluであり;
X18は、アミノ酸残基AlaまたはAibであり;
X19は、アミノ酸残基Alaであり;
X20は、アミノ酸残基Gln、Lys、またはY1から選択され;
X23は、アミノ酸残基Valであり;
X24は、アミノ酸残基Asnであり;
X27は、アミノ酸残基Leuであり;
X28は、アミノ酸残基Alaであり;
X29は、アミノ酸残基Glyであり;
X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;
X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在せず;
Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOHで示される置換基に共役しているLys、Orn、Dap、Dab、またはCys残基であり;
aは、1~3の整数であり;
bは、1~2の整数であり;
cは、10~30の整数であることを特徴とする、請求項1に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項7】
X1は、アミノ酸残基Tyrであり;
X2は、アミノ酸残基Aibであり;
X10は、アミノ酸残基Tyrであり;
X12は、アミノ酸残基Ileであり;
X15は、アミノ酸残基Gluであり;
X16は、アミノ酸残基Lysであり;
X17は、アミノ酸残基Ileであり;
X18は、アミノ酸残基AlaまたはAibから選択され;
X19は、アミノ酸残基Alaであり;
X20は、アミノ酸残基Gln、Lys、またはY1から選択され;
X23は、アミノ酸残基Valであり;
X24は、アミノ酸残基Asnであり;
X27は、アミノ酸残基Leuであり;
X28は、アミノ酸残基Alaであり;
X29は、アミノ酸残基Glyであり;
X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択;
X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在せず;
Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOHで示される置換基に共役しているLys、Orn、Dap、Dab、またはCys残基であり;
aは、1~3の整数であり;
bは、1~2の整数であり;
cは、10~30の整数であることを特徴とする、請求項1に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項8】
X1は、アミノ酸残基Tyrであり;
X2は、アミノ酸残基Aibであり;
X10は、アミノ酸残基Tyrであり;
X12は、アミノ酸残基Ileであり;
X15は、アミノ酸残基Gluであり;
X16は、アミノ酸残基Lysであり;
X17は、アミノ酸残基GluまたはIleから選択され;
X18は、アミノ酸残基Alaであり;
X19は、アミノ酸残基Alaであり;
X20は、アミノ酸残基Gln、Lys、またはY1から選択され;
X23は、アミノ酸残基Valであり;
X24は、アミノ酸残基Asnであり;
X27は、アミノ酸残基Leuであり;
X28は、アミノ酸残基Alaであり;
X29は、アミノ酸残基Glyであり;
X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;
X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在せず;
Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOHで示される置換基に共役しているLys、Orn、Dap、Dab、またはCys残基であり;
aは、1~3の整数であり;
bは、1~2の整数であり;
cは、10~30の整数であることを特徴とする、請求項1に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項9】
X1は、アミノ酸残基Tyrであり;
X2は、アミノ酸残基Aibであり;
X10は、アミノ酸残基Tyrであり;
X12は、アミノ酸残基Ileであり;
X15は、アミノ酸残基Gluであり;
X16は、アミノ酸残基Lysであり;
X17は、アミノ酸残基GluまたはIleから選択され;
X18は、アミノ酸残基Aibであり;
X19は、アミノ酸残基Alaであり;
X20は、アミノ酸残基Gln、Lys、またはY1から選択され;
X23は、アミノ酸残基Valであり;
X24は、アミノ酸残基Asnであり;
X27は、アミノ酸残基Leuであり;
X28は、アミノ酸残基Alaであり;
X29は、アミノ酸残基Glyであり;
X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;
X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在せず;
Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOHで示される置換基に共役しているLys、Orn、Dap、Dab、またはCys残基であり;
aは、1~3の整数であり;
bは、1~2の整数であり;
cは、10~30の整数であることを特徴とする、請求項1に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項10】
X1は、アミノ酸残基Tyrであり;
X2は、アミノ酸残基Aibであり;
X10は、アミノ酸残基Tyrであり;
X12は、アミノ酸残基Ileであり;
X15は、アミノ酸残基Gluであり;
X16は、アミノ酸残基Lysであり;
X17は、アミノ酸残基GluまたはIleから選択され;
X18は、アミノ酸残基AlaまたはAibから選択され;
X19は、アミノ酸残基Alaであり;
X20は、アミノ酸残基Glnであり;
X23は、アミノ酸残基Valであり;
X24は、アミノ酸残基Asnであり;
X27は、アミノ酸残基Leuであり;
X28は、アミノ酸残基Alaであり;
X29は、アミノ酸残基Glyであり;
X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;
X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在せず;
Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOHで示される置換基に共役しているLys、Orn、Dap、Dab、またはCys残基であり;
aは、1~3の整数であり;
bは、1~2の整数であり;
cは、10~30の整数であることを特徴とする、請求項1に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項11】
X1は、アミノ酸残基Tyrであり;
X2は、アミノ酸残基Aibであり;
X10は、アミノ酸残基Tyrであり;
X12は、アミノ酸残基Ileであり;
X15は、アミノ酸残基Gluであり;
X16は、アミノ酸残基Lysであり;
X17は、アミノ酸残基GluまたはIleから選択され;
X18は、アミノ酸残基AlaまたはAibから選択され;
X19は、アミノ酸残基Alaであり;
X20は、アミノ酸残基Lysであり;
X23は、アミノ酸残基Valであり;
X24は、アミノ酸残基Asnであり;
X27は、アミノ酸残基Leuであり;
X28は、アミノ酸残基Alaであり;
X29は、アミノ酸残基Glyであり;
X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;
X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在せず;
Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOHで示される置換基に共役しているLys、Orn、Dap、Dab、またはCys残基であり;
aは、1~3の整数であり;
bは、1~2の整数であり;
cは、10~30の整数であることを特徴とする、請求項1に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項12】
X1は、アミノ酸残基Tyrであり;
X2は、アミノ酸残基Aibであり;
X10は、アミノ酸残基Tyrであり;
X12は、アミノ酸残基Ileであり;
X15は、アミノ酸残基Gluであり;
X16は、アミノ酸残基Lysであり;
X17は、アミノ酸残基GluまたはIleから選択され;
X18は、アミノ酸残基AlaまたはAibから選択され;
X19は、アミノ酸残基Alaであり;
X20は、Y1であり;
X23は、アミノ酸残基Valであり;
X24は、アミノ酸残基Asnであり;
X27は、アミノ酸残基Leuであり;
X28は、アミノ酸残基Alaであり;
X29は、アミノ酸残基Glyであり;
X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;
X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在せず;
Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOHで示される置換基に共役しているLys、Orn、Dap、Dab、またはCys残基であり;
aは、1~3の整数であり;
bは、1~2の整数であり;
cは、10~30の整数であることを特徴とする、請求項1に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項13】
X1は、アミノ酸残基Tyrであり;
X2は、アミノ酸残基Aibであり;
X10は、アミノ酸残基Tyrであり;
X12は、アミノ酸残基Ileであり;
X15は、アミノ酸残基Gluであり;
X16は、アミノ酸残基Lysであり;
X17は、アミノ酸残基GluまたはIleから選択され;
X18は、アミノ酸残基AlaまたはAibから選択され;
X19は、アミノ酸残基Alaであり;
X20は、Glnであり;
X23は、アミノ酸残基Valであり;
X24は、アミノ酸残基Asnであり;
X27は、アミノ酸残基Leuであり;
X28は、アミノ酸残基Alaであり;
X29は、アミノ酸残基Glyであり;
X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;
X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在せず;
Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOHで示される置換基に共役しているLys残基であり;
aは、1~3の整数であり;
bは、1~2の整数であり;
cは、10~30の整数であることを特徴とする、請求項1に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項14】
X27もアミノ酸残基Ileから選択できることを特徴とする、請求項5~13のいずれか1項に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項15】
X20、X30、及びX40は、それぞれY1から独立して選択され;
Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOHで示される置換基に共役しているLys、Orn、Dap、Dab、またはCys残基であり;
aは、1~3の整数であり;
bは、1~2の整数であり;
cは、10~30の整数である、請求項1に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項16】
Y1の定義において、aは2であり;bは1または2であり;cは16~20であることを特徴とする、請求項3~15のいずれか1項に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項17】
Y1の定義において、aは2であり;bは1または2であり;cは16、18、または20であることを特徴とする、請求項3~15のいずれか1項に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項18】
X40は、Y1から選択され;
Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOHで示される置換基に共役しているLys残基であり;
aは、2であり;
bは、1または2であり;
cは、16または18であることを特徴とする、請求項3~15のいずれか1項に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項19】
Y1は、Lysの側鎖アミノ基を介するアミド結合の形成で脂肪酸に共有結合することを特徴とする、請求項3~18のいずれか1項に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項20】
Y1は、次の構造を含む化学式として示されるK(-OEG-OEG-yGlu-C18-OH)またはK(-OEG-OEG-yGlu-C20-OH)であることを特徴とする、請求項3~18のいずれか1項に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項21】
Y1は、C末端Lysのεアミノ基を介するアミド結合で脂肪酸に共有結合することを特徴とする、請求項3~20のいずれか1項に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項22】
以下1~83番の化合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の一般式(I)のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。
【請求項23】
1)治療量の請求項1~22のいずれか1項に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩、及び
2)薬剤的に許容される賦形剤または薬剤的担体
を含む、医薬組成物。
【請求項24】
インスリン非依存性糖尿病、インスリン依存性糖尿病、または肥満の治療薬の製造における、請求項1~22のいずれか1項に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩及び請求項23に記載の組成物の使用。
【請求項25】
メトホルミン、チアゾリジンジオン、スルホニル尿素、ジペプチジルペプチド加水分解酵素阻害剤、及びナトリウムグルコース輸送体から成る群から選択される1つまたは複数の試薬と組み合わせて、同時に、別々にまたは連続して投与される、請求項1~22のいずれか1項に記載のGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物医学の分野に属し、具体的に、ヒトグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体及びヒトグルコース依存性のインスリン分泌性ポリペプチド(GIP)受容体の両方に対して刺激作用を有する刺激剤及び、インスリン非依存性糖尿病、インスリン依存性糖尿病、及び肥満関連疾患等の代謝性疾患を治療するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
代謝性疾患である糖尿病は、in vivoでのインスリン分泌が不十分であることに起因するin vivoでのグルコース、タンパク質、及び脂質代謝の調節不全である。糖尿病は、その病理学的メカニズムの違いに基づいて、主にインスリン依存性糖尿病(1型糖尿病)とインスリン非依存性糖尿病(2型糖尿病)に分類される。その中で、世界中の糖尿病患者の90~95%が患っているのはインスリン非依存性糖尿病である。インスリン非依存性糖尿病は、膵臓のβ細胞機能の障害と長期のインスリン抵抗性によって引き起こされる長期の慢性代謝性疾患であり、in vivoにおけるインスリンレベルの低下と血漿における高濃度のグルコースを特徴とする。研究に示されたように、インスリン非依存性糖尿病は、患者の様々な高リスクの疾患の発症と関連し、心血管疾患、腎不全、失明、切断等の疾患につながることがよくある。
【0003】
インスリン非依存性糖尿病の主な原因の1つは肥満である。肥満は、ヒトの健康を損なう体内における過剰または異常な脂肪蓄積と定義される。ヒトの肥満度指数(BMI)を用いて、肥満を、BMI指数が30 kg/m2以上と定義することもできる。肥満の発生は、心血管疾患、糖尿病、筋骨格系疾患、及び特定の癌のリスクを大幅に増加させる。また、肥満度指数の増加は、特定の非感染性疾患のリスクも増加させる。
【0004】
糖尿病とその合併症が膨大な患者数及び重大な経済的負担をもたらすため、糖尿病を治療するための安全かつ有効な薬剤の開発は、常に多くの研究機関と製薬会社の焦点領域の1つとなっている。現在、承認されている糖尿病の薬には、主に、ビグアニド、スルホニル、インスリン感作剤、α-グリコシド等の化学合成された低分子の経口用血糖降下剤、及び生合成された組換えインスリンやその誘導体等の注射用血糖降下剤が含まれる。これらの薬剤は、臨床では、糖尿病患者の血漿中グルコースレベルを効果的に制御できるが、長期間の使用によって、体重増加等の副作用を伴うことが多く、その結果、潜在的な心血管疾患のリスクが高まり、患者のコンプライアンスが低下する。糖尿病と肥満との間の潜在的な病理学的関係及び肥満による合併症の潜在的なリスクを考慮して、糖尿病の効果的な治療や潜在的な合併症のリスクの低減等の目的で血糖を効果的に制御し、かつ糖尿病患者の体重を適切に減らすことができる薬剤を開発することは、多くの点で非常に重要であるため、臨床研究のより良い方向である。
【0005】
グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)は、30または31個のアミノ酸残基を含む胃腸調節ポリペプチドである。GLP-1の分泌は、栄養素の吸収とin vivoにおける血糖レベルの変動に応じて、主に小腸におけるL細胞によって調節される。食後に小腸のL細胞は、大量のGLP-1を分泌し、膵臓の内分泌機能を増強する。GLP-1ポリペプチドは主に、細胞膜の表面に分布するGLP-1受容体を活性化することにより血糖を制御し、食欲を低下させるという生体内の生理的機能を実現する。GLP-1がin vivoで血糖レベルを制御する主なメカニズムは、膵臓β細胞に分布するGLP-1受容体を活性化して、インスリンの生合成と分泌を促進することである。同時に、in vivoでの血糖レベルが高い場合、GLP-1ポリペプチドは、グルカゴンの分泌、胃内容物の排出、及び食物の摂取を阻害し、特定の神経系効果を通じてグルコースの生体内分解を促進することもできる。注目すべきことに、インスリン分泌を促進するGLP-1ポリペプチドの生理的機能は、血漿中グルコースの濃度によって高度に制御されている。従って、GLP-1ポリペプチドは、他の糖尿病治療薬と比べて、重篤で長期的な低血糖症を引き起こさない。また、文献で報告されているように、GLP-1ポリペプチド及びその類似体は、実験動物のβ細胞の成長、分化、及び増殖を直接に促進でき、膵島の保護及び糖尿病の進行の遅延といった生理的な効果を示し、それによってβ細胞のアポトーシスを阻害する。GLP-1ポリペプチドは、食物摂取によって刺激されたガストリンと胃酸の分泌を阻害する可能性もある。このような特徴は、GLP-1ポリペプチドが消化性潰瘍の予防にも生理的な役割を果たしていることを意味する。GLP-1ポリペプチドは、中枢神経系(脳)に分布するGLP-1受容体を活性化し、満腹感を高め、食物摂取を減らし、体重を維持または減少させる生理的な効果を達成することもできる。従って、GLP-1ポリペプチド及びその類似体の広範な作用メカニズム及び生理的な機能のため、GLP-1ポリペプチドは、インスリン非依存性糖尿病及び肥満性糖尿病を治療するための理想的な薬剤である。
【0006】
血糖の制御と体重の減少におけるGLP-1ポリペプチドの生理的な機能は、インスリン非依存性糖尿病/肥満性糖尿病の治療に希望をもたらした。しかし、天然のヒトGLP-1は、in vivoでジペプチドベースのペプチド加水分解酵素IV(DPP-IV)による分解を受け易いため、薬効が低く、人体での半減期はわずか1~2分間である。そのような困難に直面し、製薬業界は、制限部位での部位特異的アミノ酸変異、ポリペプチド骨格の脂肪酸修飾、及びGLP-1ポリペプチドの様々なタンパク質/ポリマーへの結合によって、長時間作用型GLP-1類似体及びその誘導体を構築してきた。市場で入手可能の、臨床診療で広く用いられる長時間作用型GLP-1類似体には、エクセナチド(皮下注射、bid.)、リラグルチド(皮下注射、qd.)、及びデュラグルチドやセマグルチド(皮下注射、qw.)等が含まれる。
【0007】
臨床的に、GLP-1ポリペプチド及びその誘導体の副作用は、主に胃腸管によって引き起こされる悪心、嘔吐及び下痢に現れる。また、GLP-1ポリペプチド及びその誘導体はまた、被験者における動悸を引き起こし、特定の状況下では、患者における膵炎のリスクを高めることが見出された。従って、その副作用のため、GLP-1ポリペプチド及びその誘導体の投与量は制限され、臨床使用の場合、患者における総血糖の制御及び体重の減少を達成できない。
【0008】
グルコース依存性のインスリン分泌性ポリペプチド(GIP)及びGLP-1ポリペプチドは、どちらも、in vivoでの血糖の代謝において生理的に重要な役割を果たすインクレチンのタイプに属している。GIPは主に、in vivoで、42個のアミノ酸残基で構成され、血糖レベルに応じて、空腸の隣の十二指腸に存在するK細胞によって分泌される。GIPポリペプチドは、膵臓β細胞、脂肪組織、及び中枢神経系に分布するGIP受容体に結合することにより、その生理的な効果を発揮する。GLP-1ポリペプチドと同様に、GIPポリペプチドは、膵臓β細胞を刺激してインスリンを分泌し、それによって血糖値を低下させ、膵臓β細胞を保護し、in vivoでのグルコース代謝を制御する。また、GIPポリペプチドの生理的機能には、脂肪組織内のGIP受容体を活性化し、それによって脂肪代謝を促進することも含まれる。興味深いことに、マウスへのGIPポリペプチドの脳室内注射は、試験動物の食物摂取量と体重を減らすことができる。これは、GIPポリペプチドが体重を減らすのに特定の生理的機能も持っていることを示しているようである。研究に示されたように、インスリン非依存性糖尿病の患者におけるGIPポリペプチドのインクレチン機能は、大幅に低下し、患者のインクレチン効果の欠如または喪失につながる。研究に示されたように、これらの糖尿病患者では、血糖レベルが正常に戻ると、GIPポリペプチドの阻害は大幅に弱まることが観察された。
【0009】
従って、臨床では、インスリン非依存性糖尿病をGIPポリペプチドで治療する方法、及びより強力な臨床的血糖降下作用を得るために、GIPポリペプチドのインクレチン効果とさらに組み合わされる、GIPポリペプチドに対するインスリン非依存性糖尿病患者の耐性を回復させるための臨床的に有効な血糖降下剤が必要とされている。従って、当技術分野における多くのGLP-1受容体刺激剤ポリペプチドと比較した場合、本発明の目的は、ヒトGIP受容体に対する刺激活性を有し、ヒトGLP-1受容体及びヒトGIP受容体の両方に対して二重刺激効果を有するGLP-1類似体の誘導体を提供することである。また、本発明の特定の化合物は、当該分野におけるGLP-1受容体刺激剤よりも、血糖を低下させ、体重を減少させることに強い効果を有する。最後に、本発明の特定の化合物は、血漿における安定性が非常に高く、ヒトにおいて、週に1回の皮下注射による投与を裏付ける薬物動態の特性を有する。
【発明の概要】
【0010】
本発明の目的は、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を提供することである。
X1-X2-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-X10-Ser-X12-Tyr-Leu-X15-X16-X17-X18-X19-X20-Glu-Phe-X23-X24-Trp-Leu-X27-X28-X29-X30-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-X40
(I)
式中、
X1、X2、X10、X12、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X27、X28、X29、及びX30は、任意の天然アミノ酸または非天然アミノ酸、またはそれらから成るペプチド断片から独立して選択され;
X40は、任意の天然アミノ酸または非天然アミノ酸、またはそれらから成るペプチド断片から選択されるか、またはX40が存在しない。
【0011】
本発明はまた、GLP-1類似体が以下のようにその両端で修飾されることを特徴とする、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む技術的解決策に関する。
R1-X1-X2-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-X10-Ser-X12-Tyr-Leu-X15-X16-X17-X18-X19-X20-Glu-Phe-X23-X24-Trp-Leu-X27-X28-X29-X30-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-X40-R2
(II)
式中、
R1は、H、アルキル、アセチル、ホルミル、ベンゾイル、トリフルオロアセチル、またはpGluであり;
R2は、-NH2または-OHであり;
X1、X2、X10、X12、X15、X16、X17、X18、X19、X20、X27、X28、X29、及びX30は、任意の天然アミノ酸または非天然アミノ酸、またはそれらから成るペプチド断片から独立して選択され;
X40は、任意の天然アミノ酸または非天然アミノ酸、またはそれらから成るペプチド断片から選択されるか、またはX40が存在しない。
【0012】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記X1は、アミノ酸残基TyrまたはHisから選択され;X2は、アミノ酸残基AibまたはD-Alaから選択され;X10は、アミノ酸残基ValまたはTyrから選択され;X12は、アミノ酸残基SerまたはIleから選択され;X15は、アミノ酸残基AspまたはGluから選択され;X16は、アミノ酸残基Glu、Gly、Lys、またはAibから選択され;X17は、アミノ酸残基Glu、Ile、またはGlnから選択され;X18は、アミノ酸残基Ala、Aib、またはHisから選択され;X19は、アミノ酸残基Ala、Aib、またはGlnから選択され;X20は、アミノ酸残基Gln、Glu、Lys、またはY1から選択され;X23は、アミノ酸残基IleまたはValから選択され;X24は、アミノ酸残基Ala、Asn、またはGlnから選択され;X27は、アミノ酸残基Val、Ile、またはLeuから選択さ;X28は、アミノ酸残基ArgまたはAlaから選択され;X29は、アミノ酸残基GlyまたはGlnから選択され;X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在しない。
【0013】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記X1は、アミノ酸残基TyrまたはHisから選択され;X2は、アミノ酸残基AibまたはD-Alaから選択され;X10は、アミノ酸残基ValまたはTyrから選択され;X12は、アミノ酸残基SerまたはIleから選択され;X15は、アミノ酸残基AspまたはGluから選択され;X16は、アミノ酸残基Glu、Gly、Lys、またはAibから選択され;X17は、アミノ酸残基Glu、Ile、またはGlnから選択さ;X18は、アミノ酸残基Ala、Aib、またはHisから選択される;X19は、アミノ酸残基Ala、Aib、またはGlnから選択され;X20は、アミノ酸残基Gln、Glu、Lys、またはY1から選択され;X23はアミノ酸残基IleまたはValから選択され;X24は、アミノ酸残基Ala、Asn、またはGlnから選択され;X27は、アミノ酸残基ValまたはLeuから選択され;X28は、アミノ酸残基ArgまたはAlaから選択され;X29はアミノ酸残基GlyまたはGlnから選択され;X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在せず;Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOH(式中、aが1~3の整数;bが1~2の整数;cが10~30の整数)で示される置換基に共役しているLys、Orn、Dap、Dab、またはCys残基である。
【0014】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記X1は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X2はアミノ酸残基Aibから選択され;X10は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X12は、アミノ酸残基Ileから選択され;X15は、アミノ酸残基AspまたはGluから選択され;X16は、アミノ酸残基LysまたはAibから選択され;X17は、アミノ酸残基GluまたはIleから選択され;X18は、アミノ酸残基AlaまたはAibから選択され;X19は、アミノ酸残基AlaまたはGlnから選択され;X20は、アミノ酸残基Gln、Lys、またはY1から選択され;X23は、アミノ酸残基Valから選択され;X24は、アミノ酸残基AsnまたはGlnから選択され;X27は、アミノ酸残基Leuから選択され;X28は、アミノ酸残基Alaから選択され;X29は、アミノ酸残基GlyまたはGlnから選択され;X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在せず;Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOH(式中、aが1~3の整数;bが1~2の整数;cが10~30の整数)で示される置換基に共役しているLys、Orn、Dap、Dab、またはCys残基である。
【0015】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記X1は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X2は、アミノ酸残基Aibから選択され;X10は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X12は、アミノ酸残基Ileから選択され;X15は、アミノ酸残基Gluから選択され;X16は、アミノ酸残基Lysから選択され;X17は、アミノ酸残基Gluから選択され;X18は、アミノ酸残基AlaまたはAibから選択され;X19は、アミノ酸残基Alaから選択され;X20は、アミノ酸残基Gln、Lys、またはY1から選択され;X23は、アミノ酸残基Valから選択され;X24は、アミノ酸残基Asnから選択され;X27は、アミノ酸残基Leuから選択され;X28は、アミノ酸残基Alaから選択され;X29は、アミノ酸残基Glyから選択され;X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在しない。
【0016】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記X1は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X2は、アミノ酸残基Aibから選択され;X10は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X12は、アミノ酸残基Ileから選択され;X15は、アミノ酸残基Gluから選択され;X16は、アミノ酸残基Lysから選択され;X17は、アミノ酸残基Ileから選択され;X18は、アミノ酸残基AlaまたはAibから選択され;X19は、アミノ酸残基Alaから選択され;X20は、アミノ酸残基Gln、Lys、またはY1から選択され;X23は、アミノ酸残基Valから選択され;X24は、アミノ酸残基Asnから選択され;X27は、アミノ酸残基Leuから選択され;X28は、アミノ酸残基Alaから選択され;X29は、アミノ酸残基Glyから選択され;X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在しない。
【0017】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記X1は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X2は、アミノ酸残基Aibから選択され;X10は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X12は、アミノ酸残基Ileから選択され;X15は、アミノ酸残基Gluから選択され;X16は、アミノ酸残基Lysから選択され;X17は、アミノ酸残基GluまたはIleから選択され;X18は、アミノ酸残基Alaから選択され;X19は、アミノ酸残基Alaから選択され;X20は、アミノ酸残基Gln、Lys、またはY1から選択され;X23は、アミノ酸残基Valから選択され;X24は、アミノ酸残基Asnから選択され;X27は、アミノ酸残基Leuから選択され;X28は、アミノ酸残基Alaから選択され;X29は、アミノ酸残基Glyから選択され;X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在しない。
【0018】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記X1は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X2は、アミノ酸残基Aibから選択され;X10は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X12は、アミノ酸残基Ileから選択され;X15は、アミノ酸残基Gluから選択され;X16は、アミノ酸残基Lysから選択され;X17は、アミノ酸残基GluまたはIleから選択され;X18は、アミノ酸残基Aibから選択され;X19は、アミノ酸残基Alaから選択され;X20は、アミノ酸残基Gln、Lys、またはY1から選択され;X23は、アミノ酸残基Valから選択され;X24は、アミノ酸残基Asnから選択され;X27は、アミノ酸残基Leuから選択され;X28は、アミノ酸残基Alaから選択され;X29は、アミノ酸残基Glyから選択され;X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在しない。
【0019】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記X1は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X2は、アミノ酸残基Aibから選択され;X10は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X12は、アミノ酸残基Ileから選択され;X15は、アミノ酸残基Gluから選択され;X16は、アミノ酸残基Lysから選択され;X17は、アミノ酸残基GluまたはIleから選択され;X18は、アミノ酸残基AlaまたはAibから選択され;X19は、アミノ酸残基Alaから選択され;X20は、アミノ酸残基Glnから選択され;X23は、アミノ酸残基Valから選択され;X24は、アミノ酸残基Asnから選択され;X27は、アミノ酸残基Leuから選択され;X28は、アミノ酸残基Alaから選択され;X29は、アミノ酸残基Glyから選択され;X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在しない。
【0020】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記X1は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X2は、アミノ酸残基Aibから選択され;X10は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X12は、アミノ酸残基Ileから選択され;X15は、アミノ酸残基Gluから選択され;X16は、アミノ酸残基Lysから選択され;X17は、アミノ酸残基GluまたはIleから選択され;X18は、アミノ酸残基AlaまたはAibから選択され;X19は、アミノ酸残基Alaから選択され;X20は、アミノ酸残基Lysから選択され;X23は、アミノ酸残基Valから選択され;X24は、アミノ酸残基Asnから選択され;X27は、アミノ酸残基Leuから選択され;X28は、アミノ酸残基Alaから選択され;X29は、アミノ酸残基Glyから選択され;X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在しない。
【0021】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記X1は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X2は、アミノ酸残基Aibから選択され;X10は、アミノ酸残基Tyrから選択され;X12は、アミノ酸残基Ileから選択され;X15は、アミノ酸残基Gluから選択され;X16は、アミノ酸残基Lysから選択され;X17は、アミノ酸残基GluまたはIleから選択され;X18は、アミノ酸残基AlaまたはAibから選択され;X19は、アミノ酸残基Alaから選択され;X20は、Y1から選択され;X23は、アミノ酸残基Valから選択され;X24は、アミノ酸残基Asnから選択され;X27は、アミノ酸残基Leuから選択され;X28は、アミノ酸残基Alaから選択され;X29は、アミノ酸残基Glyから選択され;X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在しない。
【0022】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記X1は、アミノ酸残基Tyrであり;X2は、アミノ酸残基Aibであり;X10は、アミノ酸残基Tyrであり;X12は、アミノ酸残基Ileであり;X15は、アミノ酸残基Gluであり;X16は、アミノ酸残基Lysであり;X17は、アミノ酸残基GluまたはIleから選択され;X18は、アミノ酸残基AlaまたはAibから選択され;X19は、アミノ酸残基Alaであり;X20は、Glnであり;X23は、アミノ酸残基Valであり;X24は、アミノ酸残基Asnであり;X27は、アミノ酸残基Leuであり;X28は、アミノ酸残基Alaであり;X29は、アミノ酸残基Glyであり;X30は、アミノ酸残基Gly、Lys、またはY1から選択され;X40は、アミノ酸残基LysまたはY1から選択され、または存在しない。
【0023】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記X20、X30、及びX40は、それぞれ、Y1から独立して選択され、その中で、Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOH(式中、aが1~3の整数;bが1~2の整数;cが10~30の整数)で示される置換基に共役しているLys、Orn、Dap、Dab、またはCys残基である。
【0024】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、Y1の定義において、aが2であり;bが1または2であり;cが16~20である。
【0025】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、Y1の定義において、aが2であり;bが1または2であり;cが16、18、または20である。
【0026】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記X40は、Y1から選択され;Y1は、側鎖が式{[2-(2-アミノ-エトキシ)-エトキシ]-アセチル}a-(y-Glu)b-CO-(CH2)c-COOHで示される置換基に共役しているLys残基であり;aは、2であり;bは、1または2であり;cは、16または18である。
【0027】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記Y1は、Lysの側鎖アミノ基を介するアミド結合の形成で脂肪酸に共有結合する。
【0028】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記Y1は、次の構造を含む化学式として示されるK(-OEG-OEG-yGlu-C18-OH)またはK(-OEG-OEG-yGlu-C20-OH)である。

【0029】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、ここで、前記-OEG-OEG-yGlu-C18-OHまたは-OEG-OEG-yGlu-C20-OH基は、次の構造を含む化学式として示される。
【0030】
本発明はまた、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関し、前記Y1は、C末端Lysのεアミノ基を介するアミド結合で脂肪酸に共有結合し、C末端Lysのαアミノ基はペプチド鎖に結合する。
【0031】
本発明はまた、以下1~83番の化合物から選択されることを特徴とする一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関する。
【0032】
本発明はまた、1)治療量の一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩;及び2)薬剤的に許容される賦形剤または薬剤的担体を含有する医薬組成物を含む好ましい技術的解決策に関する。
【0033】
本発明はまた、インスリン非依存性糖尿病、インスリン依存性糖尿病、または肥満の治療薬の製造における一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩及び一般式(I)を有する組成物の使用を含む好ましい技術的解決策に関する。
【0034】
本発明はまた、メトホルミン、チアゾリジンジオン、スルホニル尿素、ジペプチジルペプチド加水分解酵素阻害剤、及びナトリウムグルコース輸送体から成る群から選択される1つまたは複数の試薬と組み合わせて、同時に、別々に、または連続して投与される、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩を含む好ましい技術的解決策に関する。
【0035】
本発明はまた、メトホルミン、チアゾリジンジオン、スルホニル尿素、ジペプチジルペプチド加水分解酵素阻害剤、及びナトリウムグルコース輸送体から成る群から選択された1つまたは複数の試薬と組み合わせて、同時に、別々に、または連続して投与される、一般式(I)を有するGLP-1類似体またはその薬剤的に許容される塩、または一般式(I)を有する組成物を含む好ましい技術的解決法に関する。
【0036】
別の実施形態では、本発明は、上記のようなポリペプチド化合物及びその薬剤的に許容される塩を提供する。
【0037】
本発明によって提供されるポリペプチドの二重刺激性化合物及びその誘導体は、両性化合物に属し、これらは、当業者に周知の技術を用いて酸性または塩基性化合物と反応して塩を形成することができる。酸付加塩を形成するために一般的に使用される酸は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、p-ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、または酢酸である。塩には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、トリフルオロ酢酸塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩酸塩、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオレート、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオエート、ヘキシン-1,6-ジオエート、安息香酸塩、クロロ安息香酸、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ-ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホン酸塩、ナフタレン-2-スルホン酸塩、またはマンデル酸塩等が含まれ、好ましくはトリフルオロ酢酸塩である。アルカリ性物質も、本発明によって提供されるポリペプチド化合物及びその誘導体と塩を形成することができる。これらのアルカリ性物質には、アンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、ならびに炭酸塩及び重炭酸塩、典型的には水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸カリウム等が含まれる。
【0038】
本発明によるポリペプチドの二重刺激性化合物を含む医薬組成物は、非経口投与によってそのような治療を必要とする患者の治療に使用することができる。非経口投与は、皮下注射、筋肉内注射、または静脈内注射から選択することができる。また、本発明のポリペプチドの二重刺激性化合物は、パッチを介して経皮投与される等の経皮経路を介して投与することができ、イオン浸透パッチを選択することができ;または経粘膜経路で投与することができる。
【0039】
本発明により提供されるポリペプチド化合物及びその誘導体には、固相合成法が採用されている。合成過程で使用されるアミノ酸誘導体のα-アミノ基は、Fmoc(フルオレニルホルミルカルボニル)基で保護される。官能基の違いに基づいて、アミノ酸の側鎖に使用される保護基は、以下から成る群から選択できる:システイン側鎖スルフヒドリル、グルタミン側鎖アミノ、及びヒスチジン側鎖イミダゾリルが、Trt(トリフェニルメチル)で保護され;アルギニン側鎖グアニジルが、Pbf(2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル)で保護され;トリプトファン側鎖インドリル及びリジン側鎖アミノが、Boc(tert-ブトキシカルボニル)で保護され;また、スレオニン側鎖ヒドロキシル、チロシン側鎖フェノール基、及びセリン側鎖ヒドロキシルが、t-Bu(tert-ブチル)で保護される。合成過程において、前記ポリペプチドのC末端アミノ酸残基のカルボキシル基は、最初に、ポリマー不溶性のリンク-アミド ChemMatrix樹脂に、アミド結合の形で縮合し、次に、20%ピペリジンを含むN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)溶液を用いてFmoc保護基をα-アミノ基から除去し、そして、固相担体は、ペプチド鎖を延長するために、過剰の配列中の次のアミノ酸誘導体と縮合してアミド結合を形成する。合成するポリペプチド鎖の所望の長さが得られるまで、縮合→洗浄→脱保護→洗浄→次のラウンドのアミノ酸縮合の手順を繰り返し、最後に、トリフルオロ酢酸:水:トリイソプロピルシラン(90:5:5、v:v:v)の混合物を樹脂と反応させることにより、該ポリペプチドを前記固相担体から分割し、次に、凍結イソプロピルエーテルで沈殿させ、ポリペプチド誘導体の固体粗生成物を得る。該ポリペプチドの固体粗生成物を、0.1%トリフルオロ酢酸を含むアセトニトリル/水の混合物に溶解して精製し、C-18逆相分取用クロマトグラフィーカラムで分離し、ポリペプチド及びその誘導体の高純度の生成物を得る。
【発明の詳細な説明】
【0040】
反対に記載しない限り、本明細書及び請求項に用いる用語は、以下の意味を有する。
【0041】
本発明のアミノ酸配列は、標準的な20種のアミノ酸の1文字または3文字のコードを含む。特に明記しない限り、本発明における全てのアミノ酸残基の好ましい配置は、L配置である。また、Aibは、α-アミノイソ酪酸を指し、D-Alaは、D-アラニンを指す。
【0042】
「刺激剤」という用語は、議論される種類の受容体を活性化する物質と定義される。
本発明の文脈で使用される場合、「GLP-1/GIP二重刺激剤」という用語は、GLP-1受容体及びGIP受容体の両方を活性化できる物質またはリガンドを指す。本発明において、「治療」という用語は、疾患の既存の症状、または進行または重症度を阻害し、減速し、停止し、または回復させることを含む。
【0043】
「天然アミノ酸」とは、従来の20種のアミノ酸(即ち、アラニン(A)、システイン(C)、アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)、フェニルアラニン(F)、グリシン(G)、ヒスチジン(H)、イソロイシン(I)、リジン(K)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、アスパラギン(N)、プロリン(P)、グルタミン(Q)、アルギニン(R)、セリン(S)、スレオニン(T)、バリン(V)、トリプトファン(W)、及びチロシン(Y))を指す。
【0044】
「非天然アミノ酸」とは、どの生物の遺伝暗号にも自然にコードされていない、または見出されていないアミノ酸を指す。それらは、例えば、純粋な合成化合物であり得る。非天然アミノ酸の例には、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸、O-ホスホセリン、アゼチジンカルボン酸、2-アミノアジペート、3-アミノアジペート、β-アラニン、アミノプロピオン酸、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、tert-ブチルグリシン、2,4-ジアミノイソ酪酸(Dap)、デスモシン、2,2'-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸(Dab)、N-エチルグリシン、N-メチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ホモプロリン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N-メチルアラニン、N-メチルグリシン、N-メチルイソロイシン、N-メチルペンチルグリシン、N-メチルバリン、ナフタラニン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチン(Orn)、D-オルニチン、D-アルギニン、p-アミノフェニルアラニン酸、ペンチルグリシン、ピペコリン酸、及びチオプロリンが含まれるが、これらに限定されない。また、C末端カルボキシル基、N末端アミノ基、及び/または側鎖官能基が化学的に修飾された天然または非天然アミノ酸も含まれる。
【0045】
「アルキル」という用語は、1~20個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖基である飽和脂肪族アルキル基を含むアルキル基を指し、好ましくは1~8個の炭素原子を含むアルキル基、より好ましくは1~6個の炭素原子、最も好ましくは、1~3個の炭素原子のアルキル基である。その非限定的な例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、n-オクチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、n-ノニル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、n-デシル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、及び様々なそれらの分岐異性体が含まれる。より好ましくは、1~6個の炭素原子を含む低級アルキル基であり、その非限定的な例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル等が含まれる。アルキル基は、置換または非置換であり得る。置換される場合、置換基は、利用可能な任意の結合点で置換することができる。前記置換基は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、スルフヒドリル、ヒドロキシル、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルオキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクロアルキルチオ、オキソ、カルボキシ、またはカルボキシレートから独立して選択される基のうちの1つまたは複数であり、本発明では、好ましくは、メチル、エチル、イソプロピル、tert-ブチル、ハロアルキル、重水素化されたアルキル、アルコキシで置換されたアルキル、及びヒドロキシで置換されたアルキルである。
【0046】
「Xは、A、B、またはCから選択される」、「Xは、A、B、及びCから成る群から選択される」、「Xは、A、B、またはCである」、「Xは、A、B、及びCである」及び他の用語は、全て同じ意味を表し、即ち、「Xは、A、B、及びCのいずれか1つまたは複数であってもよい」を意味する。
【0047】
本特許に記載されているアミノ酸の「修飾」とは、前記20種の天然アミノ酸のいずれかの置換または付加を含む、アミノ酸の置換、付加、または欠失を指す。
【0048】
「天然GLP-1」という用語は、ヒトGLP-1(7~36または7~37)配列を含むペプチドを指し、「天然GIP」という用語は、ヒトGIP(1~42)配列を含むペプチドを指す。
【0049】
「GLP-1」または「GIP」という用語は、さらに説明されない限り、それぞれ、天然GLP-1または天然GIPを指す。
【0050】
本特許に記載されているアミノ酸の「置換」とは、アミノ酸残基を異なるアミノ酸残基で置換することを指す。
【0051】
「ポリエチレングリコール」または、「PEG」という用語は、直鎖または分岐鎖で存在し、H(OCHCH)OHの一般式(式中、nは9以上である)で表されるエチレンオキシドと水の縮合ポリマーの混合物を指す。特に明記しない限り、該用語は、平均総分子量が5,000~40,000ダルトンのポリエチレングリコールのポリマーを含む。
【0052】
「ポリエチレングリコール」または「PEG」という用語は、そのおおよその平均分子量を示すために数字の接尾辞とともに使用される。例えば、PEG-5000は、平均分子量が約5000ダルトンのポリエチレングリコールを指す。
【0053】
「PEG化」という用語または類似の用語は、PEG鎖をペプチドに結合させて、天然状態の化合物を修飾することを指す。
【0054】
「PEG化されたペプチド」という用語は、PEG鎖がペプチドと共有結合しているペプチドを指す。
【0055】
「脂肪酸」という用語は、飽和または不飽和であり得る長い脂肪酸テール(鎖)を有するカルボン酸を指す。本発明において、脂肪酸は、4~30個の炭素原子の直鎖または分岐鎖の脂肪族基を有するカルボン酸を指す。
【0056】
本特許に記載されているペプチドの一般的な定義は、修飾されたアミノ末端及びカルボキシル末端を有するペプチドを含む。例えば、天然アミノ酸として指定されたアミノ酸配列はまた、アミド基で置換された末端カルボン酸を含むアミノ酸鎖を包含する。
【0057】
本発明に記載の水素原子は、その同位体重水素で置き換えることができ、本発明の例示的な化合物中の任意の水素原子も、重水素原子で置き換えることができる。
【0058】
「任意選択の」または「任意選択で」とは、該用語に続く事象または状況が発生する可能性があることを意味するが、必ずしも発生するわけではなく、該説明には、該事象または状況が発生する場合と発生しない場合が含まれる。例えば、「任意選択で、アルキル基で置換された複素環式基」は、アルキル基が存在し得る(しかし、必ずしもそうではない)ことを意味し、該説明には、複素環基がアルキル基で置換されている場合及び複素環基がアルキル基で置換されていない場合が含まれる。
【0059】
「置換された」は、対応する数の置換基によって独立して置換された、基内の1個または複数の水素原子、好ましくは5個まで、より好ましくは1~3個の水素原子を指す。置換基が可能な化学的位置にのみ位置することは明らかであり、当業者は、過度の努力なしに、(実験または理論によって)可能なまたは不可能な置換を決めることができる。例えば、遊離水素を有するアミノ基またはヒドロキシル基が不飽和結合(例えば、オレフィン性)を有する炭素原子と結合することは、不安定であり得る。
【0060】
「医薬組成物」は、本明細書に記載の1つまたは複数の化合物、または生理的/薬剤的に許容される塩またはそのプロドラッグ、ならびに生理的/薬剤的に許容される担体及び賦形剤等の他の化学成分を含む混合物を指す。該医薬組成物の目的は、生物への投与を促進し、有効成分の吸収を容易にし、それによって生物的な効果を発揮することである。
【0061】
「薬剤的に許容される塩」は、in vivoで哺乳動物に投与されたときに安全かつ有効であり、期待された生物的な活性を有する、本発明の化合物の塩を指す。
【実施例
【0062】
本明細書は、本発明をより詳細に説明するために、以下の具体的な実施形態を提供するが、本発明の技術的解決策は、これらの実施形態に限定されない。
【0063】
1. 実験試薬
【0064】
2. 実験装置
【0065】
3.具体的な実験スキーム
3.1ポリペプチド骨格の化合物1の化学合成
3.1.1 Fmoc-L-Lys(Boc)-OHのリンク-アミドChemMatrix樹脂への共役
リンク-アミド ChemMatrix樹脂(Biotage, 0.1 mmol)を秤量し、使い捨てのポリプロピレンポリペプチド合成用の固相反応チューブに入れた。DMF(10 ml)を加え、窒素通気下で樹脂を10分間膨潤させた。真空下でDMFを除去し、DMF(10 ml)を加えて樹脂を洗浄した。該洗浄を2回繰り返した。Fmoc-L-Lys(Boc)-OH(1 mmol)、3-(ジエトキシホスフィルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4-オン(DEPBT)(1 mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA, 2 mmol)を秤量し、DMF(10 ml)を加えて溶解した後、膨潤したリンク-アミドChemMatrix樹脂にロードした。反応は、室温で2時間振とうしながら行った。反応終了後、該樹脂をDMFとジクロロメタン(DCM)で交互に2回洗浄し、最後にDMFで3回洗浄した。
【0066】
3.1.2 Fmoc-L-Lys(Boc)-リンク-アミド樹脂によるFmoc保護基の除去
ピペリジン/DMF(20%, 10 ml)を、Fmoc-L-Lys(Boc)-リンクアミド樹脂を含む固相反応チューブに加えた。反応は、室温で10分間振とうしながら行った。次に、ピペリジン/DMF(20%, 10 ml)を加え、室温で10分間振とうした後、除去した。反応終了後、該樹脂をDMF(10 ml)で4回洗浄した。
【0067】
3.1.3ペプチド鎖配列の共役
化合物1のペプチド鎖の配列は、アミノ末端からカルボキシ末端へ、(H-His-Aib-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Glu-Glu-Glu-Ala-Ala-Lys-Glu-Phe-Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Arg-Gly-Gly-Pro-Ser-Ser-Gly-Ala-Pro-Pro-Pro-Ser-Lys-NH2)の順になっている。アミノ酸誘導体と縮合試薬の量及びそれらの縮合方法は、Fmoc-L-Lys(Boc)-OHをリンク-アミドChemMatrix樹脂に共役するために使用したものと同じであった。合成過程で使用されたアミノ酸残基は、Fmoc-L-His(Trt)-OH、Fmoc-Aib-OH、Fmoc-L-Glu(OtBu)-OH、Fmoc-Gly-OH、Fmoc-L-Thr(tBu)-OH、Fmoc-L-Phe-OH、Fmoc-L-Ser(tBu)-OH、Fmoc-L-Asp(OtBu)-OH、Fmoc-L-Val-OH、Fmoc-Tyr(tBu)-OH、Fmoc-L-Ala-OH、Fmoc-L-Lys(Boc)-OH、Fmoc-L-Ile-OH、Fmoc-L-Trp(Boc)-OH、Fmoc-L-Leu-OH、Fmoc-L-Arg(Pbf)-OH、及びFmoc-L-Pro-OHであった。アミノ酸誘導体の縮合とFmoc脱保護を繰り返し、最終的に化合物1のポリペプチド配列を含む樹脂ペプチドを得た。
【0068】
3.1.4樹脂ペプチドの分割
ステップ3から得られた樹脂ペプチドを、DMF及びDCMで3回連続して洗浄し、次いで真空下で乾燥させた。次に、新たに調製した溶解物(トリフルオロ酢酸:トリイソプロピルシラン:水= 90:5:5、v:v:v)10 mlを加えた。反応は、室温で2時間振とうしながら行った。反応終了後、濾過を行い、該樹脂をトリフルオロ酢酸で2回洗浄した。濾液をプールし、次に大量の凍結無水イソプロピルエーテルを加えて、固体を沈殿させた。遠心分離後、上澄みを除去し、化合物1の粗ポリペプチド生成物を得た。
【0069】
3.1.5逆相液体クロマトグラフィーによる粗ペプチドの精製
前記粗ペプチドを0.1%トリフルオロ酢酸と20%アセトニトリル/水を含む混合溶媒に溶解し、0.22 μmメンブレンでろ過し、WATERS Prep150 LC逆相高速液体クロマトグラフィーのシステム、緩衝液A(0.1%トリフルオロ酢酸、10%アセトニトリル水溶液)、及び緩衝液B(0.1%トリフルオロ酢酸、90%アセトニトリル水溶液)を用いて分離した。その中、クロマトグラフィーカラムは、X-SELECT OBD C-18(WATERS)逆相クロマトグラフィーカラムであった。精製の過程において、クロマトグラフィーの検出波長を220 nmに設定し、流速は、20 mL/分であった。生成物関連の画分を収集し、凍結乾燥して、化合物1の高純度のポリペプチド生成物を収率20%で得た。分析用高速液体クロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィー/質量分析で、該高純度のポリペプチド生成物の純度を測定し、同定した。その純度は95.38%で、該化合物の分子量は4218.4であった。
【0070】
3.2化合物2~24、34~48、63~73、及び78~80の化学合成
化合物1の実験スキームに従って、本発明の2~24、34~48、63~73、及び78~80と付番されたポリペプチド化合物を合成し、これらの化合物の純度及び分子量を分析用超高速液体クロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィー/質量分析で測定した。具体的には、以下の表1に示す。
表1

【0071】
3.3脂肪酸と共役した化合物25の化学合成
3.3.1 Fmoc-L-Lys(Mtt)-OHのリンク-アミドChemMatrix樹脂への共役
リンク-アミドChemMatrix樹脂(Biotage, 0.1 mmol)を秤量し、使い捨てのポリプロピレンポリペプチド合成用の固相反応チューブに入れた。DMF(10 ml)を加え、窒素通気下で樹脂を10分間膨潤させた。真空下でDMFを除去し、DMF(10 ml)を加えて樹脂を洗浄した。該洗浄を2回繰り返した。Fmoc-L-Lys(Mtt)-OH(1 mmol)、3-(ジエトキシホスフィルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4-オン(DEPBT)(1 mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA, 2 mmol)を秤量し、DMF(10 ml)を加えて溶解した後、膨潤したリンク-アミドChemMatrix樹脂にロードした。反応は、室温で2時間振とうしながら行った。反応終了後、該樹脂をDMFとジクロロメタン(DCM)で交互に2回洗浄し、最後にDMFで3回洗浄した。
【0072】
3.3.2 Fmocの脱保護及びペプチド鎖の伸長
実施例1と同じ合成方法に従って、Fmoc-L-Lys(Mtt)-リンクアミドChemMatrix樹脂からのFmoc脱保護とそれに続くペプチド鎖の伸長を実施し、化合物25を含む樹脂ペプチドを得た。その中、Boc-L-Tyr(t-Bu)-OHをN末端アミノ酸残基として使用した。
【0073】
3.3.3 樹脂ペプチドのMtt脱保護及びリジン側鎖の修飾
上記のペプチド-樹脂の伸長が完了した後、ヘキサフルオロイソプロパノール/ジクロロメタン(30%, 10 ml)の混合物を加え、振とうし、室温で45分間反応した後、除去した。次に、ヘキサフルオロイソプロパノール/ジクロロメタン(30%, 10 ml)の混合物を再び加え、振とうし、室温で45分間反応した後、除去した。反応終了後、該樹脂をDMFで6回洗浄した。リジンの側鎖を延長するための、Fmoc/tBu固相合成のストラテジーを使用した他の共役/脱保護のサイクルには、Fmoc-NH-PEG2-COOH、Fmoc-L-Glu-OtBu、及びHOOC-(CH2)16-COOt-Buが含まれる。全ての共役において、反応は室温で行われ、1 mmolのアミノ酸構築物、1 mmolのDEPBT、及び2 mmolのDIEAが、DMF中で4時間反応した。
【0074】
3.3.4生成物の分割と精製
上記の工程で得られた樹脂ペプチドをDMF及びDCMで2回連続して洗浄した後、真空乾燥した。次に、新たに調製した溶解物(トリフルオロ酢酸:トリイソプロピルシラン:水= 90:5:5、v:v:v)を加えた。反応は、室温で2時間振とうしながら行った。反応終了後、濾過を行い、該樹脂をトリフルオロ酢酸で2回洗浄した。濾液をプールし、次に大量の凍結無水イソプロピルエーテルを加えて、固体を沈殿させた。遠心分離後、上澄みを除去し、化合物25の粗ポリペプチド生成物を得た。
【0075】
3.3.5逆相液体クロマトグラフィーによる化合物25の精製
前記粗ペプチドを0.1%トリフルオロ酢酸と20%アセトニトリル/水を含む混合溶媒に溶解し、0.22 μmメンブレンでろ過し、WATERS Prep150 LC逆相高速液体クロマトグラフィーシステム、緩衝液A(0.1%トリフルオロ酢酸、10%アセトニトリル水溶液)、及び緩衝液B(0.1%トリフルオロ酢酸、90%アセトニトリル水溶液)を用いて分離した。その中、クロマトグラフィーカラムは、X-SELECT OBD C-18逆相クロマトグラフィーカラムであった。精製の過程において、クロマトグラフィーの検出波長を220 nmに設定し、流速は、20 mL/分であった。生成物関連の画分を収集し、凍結乾燥して、化合物25の高純度のポリペプチド生成物を収率18%で得た。分析用高速液体クロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィー/質量分析で、該高純度のポリペプチド生成物の純度及び分子量を測定した。その純度は96.23%で、該化合物の分子量は5008.6であった。
【0076】
3.4化合物26~33及び49~62の化学合成
化合物25の実験スキームに従って、本発明のポリペプチド化合物(化合物26~33及び49~62)を合成し、これらの化合物の純度及び分子量を分析用高速液体クロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィー/質量分析で測定した。具体的には、以下の表2に示す。
表2
【0077】
3.5化合物74の化学合成
3.5.1 Fmoc-L-Lys(Mtt)-OHのリンク-アミドChemMatrix樹脂への共役
リンク-アミドChemMatrix樹脂(Biotage, 0.1 mmol)を秤量し、使い捨てのポリプロピレンポリペプチド合成用の固相反応チューブに入れた。DMF(10 ml)を加え、窒素通気下で樹脂を10分間膨潤させた。真空下でDMFを除去し、DMF(10 ml)を加えて樹脂を洗浄した。該洗浄を2回繰り返した。Fmoc-L-Lys(Mtt)-OH(1 mmol)、3-(ジエトキシホスフィルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4-オン(DEPBT)(1 mmol)、及びジイソプロピルエチルアミン(DIEA, 2 mmol)を秤量し、DMF(10 ml)を加えて溶解した後、膨潤したリンク-アミドChemMatrix樹脂にロードした。反応は、室温で2時間振とうしながら行った。反応終了後、該樹脂をDMFとジクロロメタン(DCM)で交互に2回洗浄し、最後にDMFで3回洗浄した。
【0078】
3.5.2 Fmoc脱保護及びペプチド鎖の伸長
実施例1と同じ合成方法に従って、Fmoc-L-Lys(Mtt)-リンクアミドChemMatrix樹脂からのFmoc脱保護とそれに続くペプチド鎖の伸長を実施し、化合物74を含む樹脂ペプチドを得た。その中、Boc-L-Tyr(t-Bu)-OHをN末端アミノ酸残基として使用した。
【0079】
3.5.3樹脂ペプチドのMtt脱保護及びリジン側鎖の修飾
上記のペプチド-樹脂の伸長が完了した後、ヘキサフルオロイソプロパノール/ジクロロメタン(30%, 10 ml)の混合物を加え、振とうし、室温で45分間反応した後、除去した。次に、ヘキサフルオロイソプロパノール/ジクロロメタン(30%, 10 ml)の混合物を再び加え、振とうし、室温で45分間反応した後、除去した。反応終了後、該樹脂をDMFで6回洗浄した。リジンの側鎖を延長するための、Fmoc/tBu固相合成のストラテジーを使用した他の共役/脱保護のサイクルには、Fmoc-NH-PEG2-COOH、Fmoc-L-Glu-OtBu、及びHOOC-(CH2)18-COOt-Buが含まれる。全ての共役反応において、反応は室温で行われ、1 mmolのアミノ酸構築物、1 mmolのDEPBT、及び2 mmolのDIEAがDMF中で4時間反応した。
【0080】
3.5.4生成物の分割と精製
上記の工程で得られた樹脂ペプチドをDMF及びDCMで2回連続して洗浄した後、真空乾燥した。次に、新たに調製した溶解物(トリフルオロ酢酸:トリイソプロピルシラン:水= 90:5:5、v:v:v)を加えた。反応は、室温で2時間振とうしながら行った。反応終了後、濾過を行い、該樹脂をトリフルオロ酢酸で2回洗浄した。濾液をプールし、次に大量の凍結無水イソプロピルエーテルを加えて、固体を沈殿させた。遠心分離後、上澄みを除去し、化合物74の粗ポリペプチド生成物を得た。
【0081】
3.5.5逆相液体クロマトグラフィーによる化合物74の精製
前記粗ペプチドを0.1%トリフルオロ酢酸と20%アセトニトリル/水を含む混合溶媒に溶解し、0.22 μmメンブレンでろ過し、WATERS Prep150 LC逆相高速液体クロマトグラフィーシステム、緩衝液A(0.1%トリフルオロ酢酸、10%アセトニトリル水溶液)、及び緩衝液B(0.1%トリフルオロ酢酸、90%アセトニトリル水溶液)を用いて分離した。その中、クロマトグラフィーカラムは、X-SELECT OBD C-18逆相クロマトグラフィーカラムであった。精製の過程において、クロマトグラフィーの検出波長を220 nmに設定し、流速は、20 mL/分であった。生成物関連の画分を収集し、凍結乾燥して、化合物74の高純度のポリペプチド生成物を収率18%で得た。分析用高速液体クロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィー/質量分析で、該高純度のポリペプチド生成物の純度及び分子量を測定した。その純度は95.14%で、該化合物の分子量は5020.6であった。
【0082】
3.6化合物75~77及び81~83の化学合成
化合物74の実験スキームに従って、本発明のポリペプチド化合物(化合物75~77及び81~83)を合成し、これらの化合物の純度及び分子量を分析用高速液体クロマトグラフィー及び液体クロマトグラフィー/質量分析で測定した。具体的には、以下の表3に示す。
表3
【0083】
生物試験と評価
以下の試験例は、本発明をさらに説明するために提供されているが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0084】
1. 実験試薬
【0085】
2.実験装置
【0086】
3.試験例
3.1. 試験化合物のグルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP-1R)に対する刺激活性の評価
3.1.1実験目的:
本実験の目的は、付番された化合物のグルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP-1R)に対する刺激活性を測定することである。
【0087】
3.1.2実験方法:
凍結したCHO-K1/GLP-1R/CRE-lucで安定的に遺伝子導入された細胞株を液体窒素タンクから取り出し、37℃の水浴中ですばやく解凍し、DMEM/F12培地(Gibcoカタログ番号11330032)に再懸濁した。遠心分離後、該細胞を1回洗浄し、実験用緩衝液(0.1%カゼインを含むDMEM/F12培地(Sigma カタログ番号C3400))に再懸濁し、細胞密度を該実験用緩衝液で調整した。該細胞を384ウェルのプレート(Sigmaカタログ番号CLS4514)に2500細胞/5μL/ウェルの密度で蒔き、次に、緩衝液で調製したIBMXワーキング溶液(Sigma カタログ番号I7018、IBMXの最終濃度:0.5 mM)2.5μL及び勾配希釈したポリペプチドサンプル2.5μLを各ウェルに加え、1000 rpmで1分間遠心分離し、30秒間振とうしてよく混合し、室温で30分間インキュベートした。検出には、Cisbio cAMP-Gsダイナミックキット(Cisbioカタログ番号62AM4PEC)を使用した。cAMP-d2及び抗-cAMP-Eu3+-クリプテートをそれぞれcAMP溶解液&検出用緩衝液で20倍希釈し、よく混合した。5μLのcAMP-d2希釈溶液を各ウェルに加え、次に5μLの抗-cAMP-Eu3+-クリプテート希釈溶液を各ウェルに加え、30秒間振とうしてよく混合し、室温の暗所で1時間インキュベートした。
【0088】
3.1.3実験データの処理方法:
Biotek Synergy H1マイクロプレートリーダーを用いて、励起波長320 nm及び発光波長620 nmと665 nmでHTRF信号を読み取った。信号比(665 nm/620 nm × 10,000)を計算し、GraphPad Prism 6において該信号比とサンプル濃度を4パラメーター方程式で非線形的に適合させ、EC50値を得た。具体的なデータを以下の表4に示す。
【0089】
3.2試験化合物のグルコース依存性のインスリン分泌性ペプチド受容体(GIPR)に対する刺激活性の評価
3.2.1実験目的:
本実験の目的は、付番された化合物のグルコース依存性のインスリン分泌性ペプチド受容体(GIPR)に対する刺激活性を測定することである。
【0090】
3.2.2実験方法:
野生型CHO-K1細胞を収集し、該細胞懸濁液を適切な密度に調整し、6ウェルのプレートにウェルあたり2 mLで蒔き、37℃、5%CO2のインキュベーターに放置して一晩接着させた。遺伝子導入用の混合物(hGIPRプラスミド、Fugene HD(Promegaカタログ番号E2311)、OptiMEM(Gibcoカタログ番号31985070))を十分に混合し、室温で15分間放置し、対応する細胞ウェルに100μLで添加した。CHO-K1細胞を24時間遺伝子導入した後、hGIPRを細胞表面に過剰発現した。一過性遺伝子導入の後に、6ウェルのプレート中の細胞を収集し、実験用緩衝液(0.1%カゼイン(Sigma カタログ番号C3400)を含むDMEM/F12培地(Gibco カタログ番号11330032)で1回洗浄し、細胞密度を該実験用緩衝液で調整した。該細胞を、384ウェルのプレート(Sigmaカタログ番号CLS4514)に5000細胞/5μL/ウェルの密度で蒔き、次に、緩衝液で調製したIBMXワーキング溶液(Sigma カタログ番号I7018、IBMXの最終濃度:0.5 mM)2.5μL及び勾配希釈したポリペプチドサンプル2.5μLを各ウェルに加え、1000 rpmで1分間遠心分離し、30秒間振とうしてよく混合し、室温で30分間インキュベートした。検出には、Cisbio cAMP-Gsダイナミックキット(Cisbio カタログ番号62AM4PEC)を使用した。cAMP-d2及び抗-cAMP-Eu3+-クリプテートをそれぞれcAMP溶解液&検出用緩衝液で20倍希釈し、よく混合した。5μLのcAMP-d2希釈溶液を各ウェルに加え、次に5μLの抗-cAMP-Eu3+-クリプテート希釈溶液を各ウェルに加え、30秒間振とうしてよく混合し、室温の暗所で1時間インキュベートした。
【0091】
3.2.3実験データの処理方法:
Biotek Synergy H1マイクロプレートリーダーを用いて、励起波長320 nm及び発光波長620 nmと665 nmでHTRF信号を読み取った。信号比(665 nm/620 nm × 10,000)を計算し、GraphPad Prism 6において該信号比とサンプル濃度を4パラメーター方程式で非線形的に適合させ、EC50値を得た。具体的なデータを以下の表4に示す。
表4 ポリペプチド骨格化合物のヒトGLP-1R及びヒトGIPR受容体に対する刺激活性

【0092】
実験結論:
本発明では、ポリペプチド骨格/主鎖を設計して研究した結果、当該分野における多くのGLP-1/GIP受容体二重刺激剤と比べて、強力な刺激活性を有するものが得られ、代謝性疾患をより良く治療する可能性が得られた。
表5 脂肪酸に共役したポリペプチド化合物のヒトGLP-1R及びヒトGIPR受容体に対する刺激活性
【0093】
実験結論:
本発明は、異なるペプチド骨格の脂肪酸に抱合した後の活性変化が同じではなく、本発明のペプチド骨格が、脂肪酸に共役する修飾の後でも、GLP-1及びGIP受容体に対して好ましい活性を維持できることを見出した。
【0094】
3.3脂肪酸に共役したポリペプチド骨格及びポリペプチド化合物の安定性
ポリペプチド剤は、血漿中のポリペプチド加水分解酵素及びタンパク質分解酵素に敏感である可能性が高いため、治療用ポリペプチド剤にとって、血漿における安定性が非常に重要である。ポリペプチドは血漿において不安定であれば、その半減期及び薬効は影響される。
【0095】
3.3.1実験目的:
本実験目的は、付番された化合物の血漿における安定性を調べることである。付番された化合物の安定性を先行技術における化合物と比較するために、本実験では、特許出願WO2012/167744で教示されている好ましいポリペプチド骨格化合物023(H23)及び024(H24)、ならびに好ましい修飾された化合物089(H89)についても試験した。
【0096】
3.3.2実験方法:
20、50、100、200、500、1000、2000、5000、及び10000 ng/ml濃度のサンプル5μLをSDラットの血漿45μLに加え、LC-MSで前記化合物の含有量を測定し、標準検量線を作成した。濃度1 mg/mlのポリペプチド溶液5μLをSDラットの血漿45μLに加えた。各試験化合物について5つのサンプルを調製し、0分、30分、60分、120分、及び240分に1つのサンプルをそれぞれ取り出した。LC-MSで残留化合物の含有量を測定した。0分での含有量を対照(100%)として用い、他の時点でのサンプル中の残留化合物の相対含有量を計算した。前記化合物を検出するためのLC-MS法は次のとおりである:5%アセトニトリル溶液を溶液Aとして調製し、95%アセトニトリル溶液を溶液Bとして調製した。サンプル15μLを流速0.6 ml/分で注入した。経過時間及び溶液の比率は次の表に示すとおりであった。Raptor Biphenyl 2.7ミクロン測定用カラムで前記化合物の含有量を測定した。
【0097】
3.3.3実験結果:
1)上記の実験方法で得られた、前記ポリペプチド骨格の血漿における安定性のデータを表6に示す。
表6
【0098】
3.3.4実験結論:
研究を通じて、本発明の化合物は血漿における安定性(相対含有量>95%)を維持できることが見出され、本発明の化合物が望ましい薬物となる可能性を有し、疾患を治療する好ましい可能性を有することを示している。本発明の化合物の血漿中安定性は、先行技術における化合物H23及びH24の血漿中安定性よりも優れている。
2)上記の実験方法で得られた、脂肪酸に共役したポリペプチドの血漿における安定性のデータを表7に示す。
表7
【0099】
実験結論:
本発明の化合物74は、血漿において、4時間の時点で、化合物75及び先行技術における化合物H89よりも安定であること(相対含有量>90%)が見出されている。
【0100】
3.4脂肪酸に共役したポリペプチドのマウスにおける薬物動態
血漿における安定性は、ポリペプチド剤の薬物動態に影響を与える要因の1つである。前記ポリペプチド剤のin vivoでの薬物動態はまた、それらの体内での吸収及びクリアランス等の要因に影響される。
【0101】
3.4.1実験目的:
本実験目的は、試験動物としてのBalb/cマウスに静脈内注射で単回投与された前記付番された化合物のマウス(血漿)におけるin vivo薬物動態を調べることである。
【0102】
3.4.2実験方法:
雄のBalb/cマウス(体重18~30 g、7~9週齢)を上海Jiesijie実験動物株式会社から購入した。20 mMクエン酸緩衝液(pH7.0)で前記付番された化合物を調製し、体重1 kgあたり30 nmolの投与量で尾静脈を介してマウスに注射した。0時間、0.083時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間、及び32時間の時点で0.2 mlの血液を採取した。採取したマウスの血液を4℃及び6000 rpmで6分間遠心分離して血漿を分離した。試験例3.3の実験方法で、マウス血漿における前記付番された化合物の含有量を測定した。
【0103】
3.4.3実験結果:
上記の実験方法で得られた具体的なデータを表8に示す。
表8
【0104】
3.4.4実験結論:
研究を通じて、本発明の化合物は、マウスにおいて好ましい薬物動態特性を有することが見出され、それらが疾患の治療において利点を有することを示している。
【0105】
3.5脂肪酸に共役したポリペプチドのラットにおける薬物動態
3.5.1実験目的:
本発明の化合物の薬物動態をさらに研究するために、本実験で、試験動物としてのSDラットに皮下注射で単回投与された前記付番された化合物のラット(血漿)におけるin vivo薬物動態を調べる。
【0106】
3.5.2実験方法:
雄のSDラット(体重150~300 g)を上海Jiesijie実験動物株式会社から購入した。20 mMクエン酸緩衝液(pH7.0)で前記付番された化合物を調製し、体重1 kgあたり50 nmolの投与量でラットに皮下注射した。0時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、24時間、32時間、48時間、72時間、96時間、及び120時間の時点で0.2 mlの血液を採取した。採取したラットの血液を4℃及び6000 rpmで6分間遠心分離して血漿を分離した。試験例3.3の実験方法で、ラット血漿における前記付番された化合物の含有量を測定した。
【0107】
3.5.3実験結果:
上記の実験方法で得られた具体的なデータを表9に示す。
表9
【0108】
3.5.4実験結論:
試験を通じて、本発明の化合物は、ラットにおいて好ましい薬物動態特性を有することが見出され、それらが疾患の治療において利点を有することを示している。
【0109】
3.6脂肪酸に共役したポリペプチドのin vivoでの有効性
3.6.1実験目的:
本実験の目的は、食餌誘発性肥満マウスにおける前記付番された化合物の皮下投与の血糖調節効果を調べることである。
【0110】
3.6.2実験方法:
高脂肪食誘発性肥満C57BL/6マウス(雄、体重35~55 g、10~12週齢)を上海Jiesijie実験動物株式会社から購入した。該食餌誘発性肥満C57BL/6マウスに、前記付番された化合物(3 nmol/kg体重)を皮下注射し、その後、マウスを絶食させたが、自由に水を摂取させた。18時間後、0.2 g/mlグルコース溶液を2 g/kg体重の投与量で腹腔内注射した。実験計画に従って、血糖値を測定するために、0分、15分、30分、60分、及び120分の時点でマウスの尾から血液を採取した。具体的には、マウスの体を固定し、尾を露出させ、尾の先端を切断し、出血するまで圧迫した。最初の一滴の血液を廃棄し、次にACCU-CHEKアクティブ(Roche)で血糖値を測定した。各時点の結果に基づいて血糖値の曲線下面積(AUC)を計算した。
【0111】
3.6.3実験結果:
上記の実験方法で得られた具体的なデータを表10に示す。
表10
【0112】
3.6.4実験結論:
本実験では、本発明の化合物は、投与量3 nmol/kg体重で有意な血糖降下作用を示し、化合物74群の血糖AUCは、プラセボ群と比べて80%以上減少した。該血糖AUCは、先行技術におけるGLP-1活性を有する化合物H89及びセマグルチドと比べた場合、有意に異なっている。
【配列表】
2022527803000001.app
【国際調査報告】