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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-06
(54)【発明の名称】かみそりカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B26B 21/14 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
B26B21/14 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559050
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(85)【翻訳文提出日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 US2020026079
(87)【国際公開番号】W WO2020205914
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/829,387
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】316015877
【氏名又は名称】ザ ジレット カンパニー リミテッド ライアビリティ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE GILLETTE COMPANY LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンセント ポール ウォーカー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ジャック アンソニー ワシントン
(72)【発明者】
【氏名】ティナ メアリー ハレット
(72)【発明者】
【氏名】マシュー フランク ムルギダ
(72)【発明者】
【氏名】ウリセス ヘルナンド バウティスタ
(57)【要約】
提供されるのは、上面を有する前壁と、上面を有する後壁とを有する基部を有する剃毛かみそりカートリッジ用のサブアセンブリである。少なくとも1つの刃が、前壁と後壁との間で基部に装着されている。少なくとも1つの刃は、前壁の上面及び後壁の上面に正接する平面よりも、少なくとも0.5mmだけ上方に位置決めされた刃先を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ひげ剃り用かみそりカートリッジ(10)用のサブアセンブリ(44)であって、
上面(36)を有する前壁(34)と、上面(37)を有する後壁(35)とを有する基部(30)、及び
前記前壁と前記後壁との間の前記基部に取り付けられ、それぞれが刃先(26a、26b、及び26c)を有する少なくとも1つの刃(24a、24b、及び24c)、
を備え、
前記基部の前記前壁上の前記上面が、前記刃先よりも、少なくとも0.5mmの垂直距離だけ下方に位置決めされる、サブアセンブリ(44)。
【請求項2】
前記基部の前記前壁上の前記上面が、前記刃先(26a、26b、及び26c)よりも、0.5~3mmの垂直距離だけ下方に位置決めされる、請求項1に記載のサブアセンブリ(44)。
【請求項3】
前記上面が、横方向端部(48、50)で、保持壁(52、54)に接しており、かつ
クリップが、前記保持壁の各々と、それぞれ対応する横方向の壁(56、58)との間に位置決めされて、前記少なくとも1つの刃(24a、24b、及び24c)を保持する、
請求項1又は2に記載のサブアセンブリ(44)。
【請求項4】
前記前壁(34)の前記上面(36)の長さ(L1)が、露出されている前記少なくとも1つの刃(24a、24b、24c)の全長(L2)の少なくとも90%である、請求項3に記載のサブアセンブリ(44)。
【請求項5】
前記基部(30)に固定されたケージ(32)であって、
上部皮膚接触表面(14)と
複数の開放スロット(18、20)を形成する複数のリブ(22)によって画定される前面(16)とを有するケージ(32)を更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のサブアセンブリ(44)。
【請求項6】
前記前面(16)が、前記複数のリブ(22)を相互に接続する下面(21)を有する、請求項6に記載のサブアセンブリ(44)。
【請求項7】
前記下面(21)が、前記刃先(26a、26b、26c)よりも、0.5~3mmの垂直距離(d5)だけ下方に位置決めされる、請求項6に記載のサブアセンブリ(44)。
【請求項8】
前記ケージ(32)が、後面(40)を有し、前記後面が、前記刃先(22)よりも、垂直距離(d6)だけ下方に位置決めされ、前記リブ(22)どうしの間に延在する上面(60)を有する、請求項5~7のいずれか一項に記載のサブアセンブリ(44)。
【請求項9】
前記上部皮膚接触表面(14)及び前記前面(16)が、45~85度の外部角度で交差する、請求項5~8のいずれか一項に記載のサブアセンブリ(44)。
【請求項10】
ひげ剃り用かみそりカートリッジ(10)を組み立てる方法であって、
上面(36)を有する前壁(34)と、後壁(35)上面(37)とを有する基部(30)を提供すること、
それぞれが1つの刃先(26a、26b、26c)を有する少なくとも1つの刃(24a、24b、24c)を、前記前壁と前記後壁との間の前記基部に、前記前壁の前記上面よりも、少なくとも0.5mmだけ上方に取り付けること、及び
複数のリブ(22)を有するケージ(32)を、前記基部に取り付けること、
を含む方法。
【請求項11】
前記ケージ(32)を取り付けることが、前記基部(30)の前記前壁(34)の前方に、前記ケージの前面(16)を取り付けることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ケージ(32)を取り付けることが、前記前面(16)の下面(21)を、前記刃先(26a、26b、26c)よりも、ある垂直距離だけ下方に位置決めすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ケージ(32)を前記基部(30)に固定することを更に含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
刃先(26a、26b、26c)を有する第2の刃(24a、24b、24c)を、前記基部(30)に取り付けることを更に含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の刃(24a、24b、24c)を取り付けることが、前記刃先(26a、26b、26c)どうしを少なくとも1.75mm離して離間させることを含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は湿式安全かみそりに関し、より具体的には、1つ以上の刃の接触から皮膚を保護するためのハウジングを有する、剃毛かみそりカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、安全かみそりのカートリッジ又は刃ユニットは、刃先を有する少なくとも1つの刃を有し、この刃先が、そのカートリッジが取り付けられたハンドルによって、剃毛される皮膚の表面にわたって動かされる。一部の剃毛かみそりには、ばね付勢されたカートリッジが備えられ、そのようなカートリッジは、剃毛中に皮膚の輪郭に沿うようハンドルに対して枢動するようになっている。カートリッジは、ハンドルに取り外し可能に装着されて、刃の切れ味が不十分な程度にまで低下した時点で、カートリッジを新しいカートリッジに交換することができるようになっていてもよい。あるいは、刃の切れ味が鈍くなった時点でかみそり全体を廃棄することを想定して、カートリッジがハンドルに恒久的に取り付けられていてもよい。かみそりカートリッジは通常、剃毛中に刃の前方の皮膚と接触するガードと、刃の後方の皮膚と接触するキャップと、を含む。キャップ及びガードは、いわゆる「剃毛ジオメトリ」、すなわち、剃毛中の皮膚に対する刃の向き及び位置を決定するパラメータを確立する助けとなり、このパラメータは、かみそりの剃毛性能及び有効性に大きく影響することがある。キャップは、抵抗を低減し快適性を高める、水滲出性の剃毛補助剤を含んでもよい。ガードは、一般に剛性を有するものであってもよく、例えば、刃に対する支持を提供するフレーム又はプラットフォーム構造体と一体的に形成されてもよい。ガードはまた、より軟質のエラストマー材を含んで、皮膚をより良く引き延ばすことが可能になる。
【0003】
加えて、剃毛カートリッジ上に装着されて、毛髪を特定の長さに切断するのを容易にするカバーが開発されてきた。これらのカバーはまた、皮膚の表面から刃を持ち上げて、接触を制限することによって皮膚を保護するようになっている。しかしながら、これらのカバーは、皮膚を剃毛することを意図した既存の剃毛かみそりカートリッジの上に取り付けられることが意図されているため、カバーのトリマーとしての性能(すなわち、毛を所定の長さに切断する能力)が制限され、効率的ではない。したがって、毛を特定の長さに、安全かつ効率的に切断する安全剃毛かみそりが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本発明は、一般に、剃毛かみそりカートリッジ用のサブアセンブリを特徴とし、そのサブアセンブリは、上面を有する前壁と、上面を有する後壁とを有する基部を有するものである。少なくとも1つの刃が、前壁と後壁との間で基部に装着されている。少なくとも1つの刃は、前壁の上面及び後壁の上面に正接する平面よりも、少なくとも0.5mmだけ上方に位置決めされた刃先を有する。
【0005】
別の態様では、本発明は、一般に、剃毛かみそりカートリッジを組み立てる方法を特徴とし、その組み立ては、上面を有する前壁と上面を有する後壁とを有する基部を提供することによって行われる。刃先を有する少なくとも1つの刃が、前壁と後壁との間の基部に取り付けられる。刃先は、前壁の上面及び後壁の上面に正接する平面よりも少なくとも0.5mmだけ上方に位置決めされる。複数のリブを有するケージが、基部に取り付けられる。
【0006】
別の態様では、本発明は、一般に、基部を有する剃毛かみそりカートリッジを特徴とし、その基部は上面を有する前壁を有するものである。ケージが、基部に固定される。ケージは、複数の開放スロットを画定する複数のリブを有する上部皮膚接触表面と、上部皮膚接触表面に対して概ね横断方向の前面とを有する。前面は、前面内にまで延在する複数の開放スロットを画定する複数のリブを相互に接続する下面を有し、その複数の開放スロットは上部皮膚接触表面の開放スロットと連通している。少なくとも1つの刃が基部に取り付けられる。刃は、上部皮膚接触表面の上方、かつ前壁のすぐ背後に位置決めされた刃先を有する。前面の下面は、刃先よりも、ある垂直距離だけ下方に位置決めされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の他の特徴及び利点、並びに本発明自体は、添付の図面と併せて読むときに、様々な実施形態の以下の説明から、より完全に理解することができる。
図1A】本発明の可能な一実施形態による剃毛かみそりカートリッジの正面斜視図である。
図1B図1Aの剃毛かみそりカートリッジの背面斜視図である。
図2図1A及び図1Bのかみそりカートリッジの組立図である。
図3図1A及び図1Bのかみそりカートリッジのサブアセンブリの斜視図である。
図4図3の線4-4に概ね沿って切り取られたサブアセンブリの断面図である。
図5図1の線5-5に概ね沿って切り取られたかみそりカートリッジの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1A及び図1Bを参照すると、剃毛かみそりカートリッジ10の正面斜視図及び背面斜視図がそれぞれ示されている。剃毛かみそりカートリッジ10は、ハンドル(図示せず)に装着することができる。剃毛かみそりカートリッジ10は、ハンドルに取り外し可能に装着されてもよく、又はハンドルに恒久的に装着されてもよい。例えば、剃毛用かみそりカートリッジ10は、ブレードが満足できるレベルの切れ味を提供できなくなった時点で、その剃毛用かみそりカートリッジ10を新たな剃毛用かみそりカートリッジ10に交換できるように、ハンドルに着脱可能に装着されていてもよい。あるいは、ブレードの切れ味が鈍くなった時点でかみそり全体を廃棄することを想定して、ハンドルに恒久的に取り付けられていてもよい。剃毛かみそりカートリッジ10は、ハウジング12を含んでいてもよい。ハウジング12は、ポリマー材料から成形されてもよく、あるいは金属などのその他の材料から製造されてもよい。ハウジング12は、上部皮膚接触表面14と、上部皮膚接触表面14に対して横断方向である前面16とを有してもよい。上部皮膚接触表面14は、複数の開放スロット18を画定してもよく、これら開放スロット18は、前面16によって画定される複数の対応する開放スロット20と連通するものであってよい。開放スロット18は、後面40に至るまで延在していてもよい(図1B)。開放スロット20は、前面16の下面21によって画定され、相互に接続されていてもよい。したがって、毛が前面16に接触すると、毛は開放スロット20に即座に向けられる(すなわち、開放スロット20は前面16内に延在している)。開放スロット18どうし及び開放スロット20どうしは、対応するリブ22によって分離されていてもよい。リブ22は、上部皮膚接触表面14に沿って、更に前面16を下って連続的に延在してもよい。したがって、前面は、開口スロット20を形成するように、複数のリブ22と下面21とによって画定されていてよい。各リブは、約0.25~約5mm、好ましくは約0.4~約1mmの幅「w1」を有し得る。リブどうし22は、約0.25~約5.0mm、好ましくは約0.7~約0.8mm離間していてもよい(すなわち、スロット18及び20の幅が上記であってよい)。隣接するリブどうしの間の間隔が大きすぎる場合、刃は、毛を所定の長さに切断するのではなく、人中(上口唇の中央アリアにある垂直の陥凹)を剃ってしまう場合があり得る(例えば、人中がリブ22どうしの間で弛む場合があるため)。特定の実施形態では、幅「w1」は、リブ22間の距離よりも小さくてもよい。以下により詳細に記載されるように、リブ22の幅と高さとの比は、使用中にリブ22が破断又は変形するのを防ぐのに十分でなければならない。更に、リブ22どうしの間隔(すなわち、各スロットの幅)及び各リブ22の幅は、刃が毛を切断する効率の良し悪しに影響を及ぼし得る。例えば、各スロット18及び20の幅は、毛が通過するのに十分な程度に大きくなければならない。また、各リブ22の幅は、余分な毛を捕捉することなく満足な強度を提供するのに十分な程度に大きくなければならない。各リブ22の寸法はまた、リブ22どうしの間に皮膚が弛んで入るのを防止し、かつ剃毛ストローク中に皮膚に刃が接触するのを防ぐことができるものであり得る。
【0009】
図2に示されるように、1つ以上の刃24a、24b、及び24cは、図2に示されるようにハウジング12内に装着されていてもよい。刃24a、24b、及び24cのそれぞれは、対応する刃先26a、26b、及び26cを有していてもよい。第1の刃24a及び第1の刃先26aは、前面16のリブ22に真隣に隣接していてもよい。3つの刃24a、24b、及び24cが図示されているが、かみそりカートリッジ10は、かみそりカートリッジ10に望まれる性能及びコストに応じて、より多数又はより少数の刃24を有していてもよい。開放スロット18及び20は、刃先26a、26b、及び26cに対して横断方向に延在してもよい。刃24a、24b、及び24cは、1つ以上のクリップ28a及び28bによってハウジング12に固定されていてもよい。刃24は、ハウジング12内に固定されてもよい。あるいは、刃24(例えば、それぞれの刃先26)がクリップ28a及び28bに当接するまで付勢されるように弾性的に装着されてもよい。クリップ28a及び28bは、刃24a、24b、及び24cを上下方向(すなわち、上部皮膚接触表面14に向かう方向及びそれから離れる方向)に関して保持する助けとなり得る。クリップ28a及び28bは、アルミニウムなどの金属を含んでもよいが、プラスチックも使用され得る。またクリップ28a及び28bは、相互に接続されて一体の組立体を形成していてもよい。当業者に既知の他の組立方法を用いて、刃24a、24b、及び24cをハウジング12に固定かつ/又は装着してもよく、例としては、ワイヤラッピング、冷間成形、熱かしめ、インサート成形、超音波溶接、及び接着剤が挙げられるが、これらに限定されない。以下により詳細に記載されるように、リブ22は、ストローク中に刃先26a、26b、及び26cが皮膚に接触するのを防ぐことができ、そのため、皮膚ではなく毛のみが切断されるようになっている。
【0010】
図2を参照すると、剃毛かみそりカートリッジ10の組立図が示されている。
【0011】
特定の実施形態では、ハウジング12は、2つの部品を有するアセンブリを備えていてもよい。例えば、ハウジング12は、基部30(例えば、下部)と、基部30の上から装着されるibtaケージ32(例えば、上部)を備えていてもよい。特定の実施形態では、基部30はケース32に恒久的に固定されてもよい。したがって、ケージ32が上部皮膚接触表面14を画定していてもよく、かつ、刃24a、24b、及び24cが基部30に取り付けられていてもよい。特定の実施形態では、ケージ32は、刃24を基部30内に固定することができる(クリップ28a及び28bを有していても、有していなくてもよい)。例えば、クリップ28は、刃24a、24b、及び24cのための固定手段を、一時的又は追加的にのいずれかで提供するものであってよい。
【0012】
基部30は、それぞれの上面36及び37を有する前壁34及び後壁35を有してもよい。第1の刃先26aは、前壁34のすぐ後ろにあってもよく、その場合には、毛が妨害されることなく第1の刃先26aに到達することが容易になる。上面36及び37のうちの一方又は両方は、刃先26a、26b、及び26cに対して凹んでいてもよい。上面36及び37は、長さ「L1」に沿って延在してもよい。前壁34及び後壁37は、基部30をケージ32に固定する助けとなる1つ以上の突状形成部を有していてもよいということが理解されよう。上面36及び37は、クリップ28aと28bとの間に延在し、クリップ28a及び28bの下方に位置決めされていてもよい。凹部である上面36は、毛が捕捉されないように第1の刃先26aの前方に開放領域を提供することができ、また、ハウジング上の領域を、クリップ28a及び28bが、上面36よりも上方に置かれているように提供することができる。例えば、毛のトリミング中に上面36及び37が皮膚に干渉又は接触しないように、上面36及び37のうちの一方又は両方は、第1の刃先26aに対して0.20mm超、凹んでいてもよい。以下でより詳細に説明するように、刃24a、24b、及び24cの全ては、刃先26a、26b、及び26cが長さ「L1」に沿って上面36の上方に位置決めされるように、基部30に取り付けられてもよい。特定の実施形態では、L1は約17~約35mmであり得る。このように、全ての刃先26a、26b、及び26cは、従来のかみそりカートリッジのようにはガード及びキャップによって保護されず、したがって上面36及び37が凹んでいて、皮膚を支持(例えば、接触)するガード及びキャップとして機能しないため、全ての剃毛力は、刃先26a、26b、及び26cに直接加わることになる。しかしながら、ケージ32が、刃先26が皮膚に接触するのを防ぐように基部30の上から取り付けられてもよく、その場合には、所定の長さに毛を切断することによって、非常に安全な剃毛が実現される。クリップ28a及び28bは、ケージ32が基部32に装着される前に基部30に装着されてもよい。ケージ32は、一対の開口部38a及び38bを画定し得るが、これらの開口部38a及び38bは、それぞれ対応するクリップ28a及び28bを受容するように寸法決めされたものである。ケージ32は、簡便な組み立てを容易にするためにクリップ28a及び28bから離間されていてもよい。例えば、開口部38a及び38bは、ケージ32が基部30に装着される前又は後のいずれかで、クリップ28a及び28bをハウジング12に固定することを可能にし得る。開口部38a及び38bは、ケージ32がクリップ28a及び28bのまさにその上には置かれていないので、ケージ32が刃先26a、26b、及び26cに直接接触することを可能にし得る。特定の実施形態では、ケージ32は、刃先26a、26b、及び26cに当接して置かれており、したがって、クリップ28を不要にする可能性がある。更に、ケージ32が、刃先26a、26b、及び26cの上ではなく、クリップ28の上に接して載置される場合には、毛及び剃毛かすが、ケージ32と刃先26との間に捕捉され得る。開口部38a及び38bは、前面16と後面40との間に、囲まれて延在してもよい。図1Bにも示されるように、背面40がハウジング12(例えば、ケージ32)の後部で、リブ22を相互に接続してもよく、下面21が、ハウジング12(ケージ32)の前部で、リブ22を相互に接続してもよく、それによってリブ22を補強することができる。
【0013】
図3を参照すると、図1の剃毛かみそりカートリッジに組み込まれ得るサブアセンブリ44が示されている。サブアセンブリ44は、基部30と、刃24a、24b、及び24cと、クリップ28a及び28bとを含んでもよい。刃24a、24b、及び24cは、前壁34と後壁46との間の基部30に取り付けられてもよい。特定の実施形態では、前壁34の上面36の長さ「L1」は、露出されている刃24a、24b、及び24cの全長「L2」(例えば、クリップ28aと28bとの間の距離)の少なくとも90%であってもよい。上面36は、横端48及び50で、保持壁52及び54に接していてもよい。保持壁52及び54は、クリップ28a及び28bの基部30への位置決め及び固定を容易にするために、上面36よりも上方まで延在してもよい。例えば、クリップ28a及び28bの各々は、保持壁52及び54のうちの1つと、対応する横方向の壁56及び58との間に位置決めされてもよい。
【0014】
図4を参照すると、図3の線4-4に概ね沿って取られた、サブアセンブリ44の断面図が示されている。基部30の前壁34上の上面36は、刃先26a、26b、及び26c(例えば、切断面64)よりも、少なくとも0.5mmの垂直距離だけ下方に位置決めされてもよい。特定の実施形態では、垂直距離「d1」は、約0.5~約5mmであってよい。上面36の位置は、毛が切断されるとき(例えば、第1の刃先26aによって)に、毛が自らをより直立した位置に位置決めし直すことを可能にし得る。例えば、上面36が切断面64(又は第1の刃先26a)にあまりに近接して位置決めされた場合には、上面36は、刃24の前方の長い毛を押し下げる場合があり、したがって、特に皮膚上に平らに寝ている傾向のあるより長い毛の場合に、その切断効率に悪影響を及ぼすことになってしまう。刃先26a、26b、及び26cのうちの1つ以上は、前壁34の上面36及び後壁46の上面37に正接する平面P1よりも、垂直距離「d2」だけ上方に位置決めされてもよい。距離「d2」は、前壁34に最も近い第1の刃先26aにおいて最大であってよく、後壁46に最も近い位置において最小であってよい。理論に束縛されるものではないが、前壁34に近いほど距離「d2」を増加させることにより、切断効率が改善すると考えられる。毛が第1の刃先26aによってトリミングされた後、毛はより短くなっているので、平らに寝た状態にはよりなりにくくなる。したがって距離「d2」は、第2の刃先26bの位置ではより小さくなっていてよく、後壁46に最も近い刃先26cの位置では、距離「d2」は更に小さくなっていてよい。特定の実施形態では、距離「d2」は、刃先26a、26b、及び26cのいずれかの位置で測定して、約0.5~約3mmであってよい。
【0015】
剃毛かみそりカートリッジ10(図1)の剃毛効率は、すすぎやすさを改善することによって向上させ得る。従来の剃毛かみそりカートリッジは、刃先26a、26b、及び26cどうしの間に圧力を分配するため、刃先どうしの間、又は隣接する刃間にある中間ガードどうしの間の距離をより小さくすることに依存している。しかしながら、刃先26a、26b、及び26cではなくリブ22(図1)が、皮膚からの全ての圧力を吸収するので、刃先26a、26b、及び26cを、互いから更に離間させることが可能になる。特定の実施形態では、一対の直接隣接する刃先26a、26b、及び26cどうしの間の距離「d3」及び「d4」は、1.75mm超、例えば、約1.8~約2.0mm、又は約2.0~約2.5mmであってもよい。これらの距離を確保することにより、刃先26a、26b、及び26cの直接隣接するものどうしの間に、開放間隙(図3で最も良く分かるように)を提供することによって、トリミング効率も快適性も犠牲にすることなく、更により効果的なすすぎが可能になり得る。
【0016】
図5を参照すると、図1の線4-4に概ね沿って切り取られた、剃毛用かみそりシステム10の断面図が示されている。ケージ32は、サブアセンブリ44(すなわち、基部30)に取り付けられてよい。ハウジング12(例えば、基部30及びケージ32)は、毛が前面16のスロット20(図1)を自由に通過することを可能にし得る。前面16のスロット20(図1)を通る毛髪の通過を容易にするために、上部皮膚接触表面14及び前面16は、90度未満、例えば、約45~約85度の外側角度「A1」で交差し得る。前面16と上部皮膚接触表面14との交差部分により、リブ22の丸み部分R1を形成してもよい。特定の実施形態では、丸み部分R1は、約0.1~約3mmであってよく、好ましくは約0.25~約1mmであってよい。下面21は、刃先26a、26b、及び26cよりも、少なくとも0.5mmの垂直距離「d5」(例えば、約0.5~約3mm)だけ、下方に位置決めされ得る。後面40は、リブ22どうしの間に延在し、刃先26a、26b、及び26cよりも、垂直距離「d6」だけ下方に位置決めされた上面60(図1Bも参照)を有してもよい。これは、毛が自由に解放されるのを助ける(すなわち、剃毛ストローク中に毛が平らに寝てしまうことを防ぐ)ので、毛のより効率的なトリミングが可能になり得る。
【0017】
上部皮膚接触表面14は、対向内側表面62を有し得る(例えば、リブ22の高さに相当)。剃毛かみそりカートリッジ10でトリミングした後に残される毛の長さは、上部皮膚接触表面14から対向内側表面62まで測定された垂直距離「d8」によって決定され得る(例えば、刃先26a、26b、26cが対向する内側表面62と接触している場合)。刃先26a、26b、26cは、対向内側表面62と接触していても、又はそれから離間していてもよいということが理解されよう。垂直距離「d8」は、約0.5~約5mm、より好ましくは約1~約2.5mmであってよい。距離「d8」が小さすぎると、皮膚はリブ22どうしの間で膨らんで皮膚に接触し、その結果毛をあまりにも短く切断してしまう場合があり得る。更に、5mmより長い毛は平らに寝てしまう傾向があり、したがって、距離「d8」が5mmを超える場合には切断されない。
【0018】
理論に束縛されるものではないが、垂直距離「d5」及び「d6」を増加させることにより、第1の刃先26aによって切断される前(距離「d5」に関して)、及び最終刃先26cによって切断された後(距離「d6」に関して)の、毛の干渉を最小限に抑えることによって、切断の有効性が改善されると考えられる。したがって、刃先26a、26b、及び26cの露出量は、刃の前方のガードなどの機能的形成部ではなく、距離「d8」(例えば、リブ22の高さ)によって決定することができる。刃の前方のガードなどの機能的形成部は、毛を皮膚に押しつける場合があり、毛をトリミングすることがより困難となり得る。このような問題は、典型的な剃毛かみそりの場合には、皮膚に接触するガードは、刃先が皮膚に接触して、皮膚を剃毛する(すなわち、皮膚の高さ又はそれより深く毛を切断する)ため起こらない。したがって、刃先が、平らに寝ている毛に接触し、それらを持ち上げ、それらを切断することができる。しかしながら、刃先が平らに寝ている毛に到達することができない場合があるため、皮膚レベルを超えて深く毛を切断することはより困難である。したがってハウジング12は、第1の刃先26aから前面16に対向する前方内側表面68まで延在する水平間隙66を画定してもよい。特定の実施形態では、水平間隙66は、約0.5~約3.0mm、好ましくは約1~約2mmであってよい。間隙66は、すすぎやすさの改善を可能にして、より長いトリミングされた毛を、ハウジング12から洗い流すことを可能にし得る。間隙66はまた、毛が解放されて、より直立した位置で第1の刃先26aに提供されることを可能にし得る。前壁34及び上面36は、凹状であってよく、したがって間隙66内にまで延在しなくてもよい。横方向端部の壁52及び54(図3)は、底面36の横方向端部に位置決めされているので、こちらも間隙66内にまでは延在しないということが理解されよう。
【0019】
刃先26a、26b、及び26cの上方にリブ22を配置する(図1A及び図1B)ことにより、皮膚が刃先26a、26b、及び26cに接触することを防止する助けとなり、刃先26a、26b、及び26cの前方に、皮膚を支持するためのガードバーを設ける必要がなくなる。例えば、各リブ22の高さ及びリブ22どうしの間隔により、リブどうしの間で皮膚が膨らんで、刃先26a、26b、及び26cに接触するのを防ぎ得る。更に、刃先26a、26b、及び26cが皮膚に対して圧力をかけないため、リブ22(図1A及び図1B)は、刃先26a、26b、及び26cが、互いから更に遠くに離間されることを可能にし得る。
【0020】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。用語「約」は、本明細書では典型的な製造許容範囲内で解釈されるべきである。
【0021】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0022】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】