(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-06
(54)【発明の名称】遠隔地における表面処理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
B24B 15/08 20060101AFI20220530BHJP
B23H 9/00 20060101ALI20220530BHJP
G21C 19/02 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
B24B15/08
B23H9/00 Z
G21C19/02 050
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559065
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(85)【翻訳文提出日】2021-10-25
(86)【国際出願番号】 US2020026381
(87)【国際公開番号】W WO2020206117
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508177046
【氏名又は名称】ジーイー-ヒタチ・ニュークリア・エナジー・アメリカズ・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GE-HITACHI NUCLEAR ENERGY AMERICAS, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】マツモト,ジャック,ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ディ バリ,ニコラス,エフ.
【テーマコード(参考)】
3C049
3C059
【Fターム(参考)】
3C049AA03
3C049AA09
3C049AA11
3C049AA15
3C049AA16
3C049CA01
3C059AA01
(57)【要約】
システム(100)は、放電加工により形成された表面を含む、作業用の表面(14)を遠隔操作で研磨するとともに圧縮する。ブリッジ(101)は、表面(14)の周囲に固定され、また、回転可能に下方に延びるとともに研磨アセンブリ(200)を担持するスピンドル(120)を担持してもよい。研磨アセンブリ(200)は、より大きな力で表面(14)を研磨しながら、表面(14)に対して押圧することができる。研磨機(300)は、表面(14)の外周を中心として、垂直方向に移動することができる。システム(100)は、空気圧式摺動部(210)、油圧式モーター(205)、および/またはステッパーモーター(110)で遠隔操作することができる。放電加工で形成されたスポット面は、原子力施設および深海にあるものも含めて、手動または直接操作者のインターフェイスなしに、このようなシステムで鋳直し層を取り払うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔地の表面を研磨するためのシステムであって、
前記表面の周囲に固定されるように形状を形成されたブリッジと、
前記ブリッジに結合されるとともに第1の軸線を中心として回転可能なスピンドルと、
前記スピンドルに固定された研磨アセンブリと、
を備え、
前記研磨アセンブリは、第2の軸線を中心として回転可能な研磨面と、同研磨面を前記第2の軸線方向に移動させるとともに付勢する空気圧式摺動部とを含む、システム。
【請求項2】
前記空気圧式摺動部は、前記研磨面の幅1インチ(約2.54cm)あたり少なくとも12ポンド(約5.44kg)の力を加えるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記研磨アセンブリは、前記研磨面を前記第2の軸線を中心として回転させるように構成された油圧式モーターをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記油圧式モーターは、前記研磨面を毎分約2000回転で回転させるように構成されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記ブリッジは、ステッパーモーターを含み、同ステッパーモーターは、前記スピンドルに接続され、かつ前記ブリッジに対して前記第1の軸線を中心として前記スピンドルを回転させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記スピンドルは、前記ブリッジの中央に配置されるとともに前記ブリッジの下方に延びており、前記研磨アセンブリは、前記ブリッジの下方の研磨のために前記表面に到達するように、前記スピンドルから横断方向に延びている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記研磨面は、水平から約10度まで回転可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記研磨面が約80グリットの炭化ケイ素である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記研磨アセンブリは、前記ブリッジの下方で前記第2の軸線を中心として360度回転可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
遠隔地の表面を研磨するシステムであって、
前記表面に対して固定するように構成されたブリッジおよびスピンドルアセンブリと、
前記ブリッジおよびスピンドルアセンブリに結合された研磨面であって、前記研磨面は、
前記研磨面を含む第1の平面内で、前記遠隔地の表面を横断して移動可能であり、
前記第1の平面内で前記遠隔地の表面を横断して移動する間、前記遠隔地の表面に対して付勢するように、前記第1の平面に直交する第1の方向に移動可能であり、
前記ブリッジおよびスピンドルアセンブリを通る外部軸線を中心として回転可能であり、前記遠隔地の表面の全周を横断して移動可能である、研磨面と、
前記研磨面を手動操作なしで移動および回転させるように構成された遠隔駆動装置と、
を備える、遠隔地の表面を研磨するシステム。
【請求項11】
原子力施設のスポット面を準備する方法であって、
操作者から遠隔の位置にある研磨アセンブリを用いて、研磨面を含む平面内で前記スポット面の表面を横断して前記研磨面を移動させるステップと、
前記操作者から遠隔の前記研磨アセンブリを用いて、前記スポット面の前記表面に対して前記研磨面を付勢するステップと、
を含む、原子力施設のスポット面を準備する方法。
【請求項12】
前記移動させるステップおよび前記付勢するステップは完全に水中で行われ、前記操作者は完全に前記水の外にいる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記付勢するステップは、前記研磨面の半インチ幅(約1.27cm)あたり約12ポンド(約5.44kg)の力で前記研磨面を付勢する、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記付勢するステップは、空気圧式摺動部を用いて行われ、前記移動させるステップは油圧式モーターを用いて行われる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記操作者から遠隔のブリッジおよびスピンドルを用いて、前記スポット面の前記表面の全周を研磨するように、前記研磨面を垂直軸線を中心として回転させるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記研磨面が約80グリットの炭化ケイ素であり、前記移動させるステップおよび前記付勢するステップが前記スポット面から放電加工鋳直し層を取り払うとともに前記表面に圧縮応力を付与する、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記研磨アセンブリにより回転させるステップをさらに含み、前記研磨面が水平から約10度まで回転可能である、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記移動させるステップは、前記研磨面を前記スポット面に対して少なくとも毎分2000回転だけ回転させるステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記研磨アセンブリと、前記研磨アセンブリと結合されたブリッジアセンブリとを前記スポット面の上方に固定することにより、前記研磨アセンブリを前記スポット面の上方に設置するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記スポット面を形成するように前記表面を放電加工するステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
図1は、関連技術の原子炉10のシュラウド支持部のマンウェイ11を示す断面図であり、このマンウェイ11は、通常、原子炉のメンテナンス時に液体冷却材の下に深く沈められる。このようなメンテナンスの際に、マンウェイ11は、溶接欠陥が発生する可能性のあるカバーの修理または交換を必要とする場合がある。このように、マンウェイ11を修理するための停止中に、マンウェイ11を切り取り、ボルトで固定された代替マンウェイカバーを追加することができる。
【背景技術】
【0002】
放電加工のように、ボアの縁から材料を取り除くことで、マンウェイ11に正確にして且つ一様な穴15が形成される。影響を受ける領域およびカバーが大きい場合もあるので、穴15は2フィート(約60.96センチメートル)近い大きさの直径dが必要になり得る。また、マンウェイ11の厚みから、穴15の深さは1乃至3インチ(約2.54乃至7.62cm)になり得る。そのため、穴15の内面は比較的大きくてもよく、修理品やカバーを収容するための棚部などを備えてもよい。例えば、穴15の内周面は、ボア13およびスポット面14を含んでいてもよい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
例示的な実施形態には、所望の研磨および/または圧縮で表面を遠隔処理するための組立システムが含まれる。実施形態のシステムの例は、処理対象の表面に固定するためのブリッジを備える。回転可能なスピンドルは、ブリッジから下方に延びるとともに駆動可能であり、また、処理対象の表面と接触して回転するなどして移動する研磨機を含んでもよい。研磨機は、研磨機を表面に押し付けて圧縮応力を加える付勢要素をさらに備え、その力は最大で数十ポンドにもなる。研磨機は、丸みを帯びたフィラメントブラシを含んでいてもよい。スピンドルは別の軸線を中心として回転し、研磨機を被処理面の一部または全周に移動させることができる。すべての実施形態のシステムは、遠隔操作が可能であり、ブリッジや研磨機に搭載された1つ以上の駆動装置によって、様々な動作や付勢を同時に行うことができる。さらに、このような駆動装置によって研磨機を上下に移動可能にすることもできる。例えば、空気圧式摺動部、油圧式モーター、および/またはステッパーモーターなどを使用して、遠隔操作で付勢したり、様々な回転を行ったりすることができる。例示的な実施形態は、原子炉の深部にあるスポット面で使用可能であり、手動または直接の操作者のインタフェースが不可能な場合に、スポット面および貫通ボアの放電加工後に形成され得る鋳直し層を取り払うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、原子炉内の関連技術のマンウェイを示す説明図である。
【
図2】
図2は、一実施形態によるブリッジアセンブリの一例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、一実施形態による研磨アセンブリの一例を示す説明図である。
【
図4A】
図4Aは、垂直方向に配向されるとともにボア研磨ホイールと嵌合する研磨アセンブリを備える、一実施形態によるボア研磨機の一例を示す概略断面図である。
【
図4B】
図4Bは、研磨ホイールが鉛直下方に引き出された状態の、例示的実施形態によるボア研磨機を示す概略断面図である。
【
図4C】
図4Cは、研磨アセンブリをボア研磨機から切り離し、複数の軸線を中心として回転させた状態の、例示的な実施形態によるボア研磨機を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
例示的な実施形態は、添付の図面を詳細に説明することでより明らかになるであろう。ここでは、同様の要素は同様の参照符号で表されているが、これらの参照符号は例示のために与えられたものであり、したがって、それらが描写する用語を限定するものではない。
【0006】
これは特許文書であるため、これを読む際には一般的で幅広い解釈のルールを適用すべきである。この文書に記載されているすべてのものは、以下に添付されている特許請求の範囲に含まれる主題の一例である。本明細書に開示されている具体的な構造および機能の詳細は、単に実施例の形成方法および使用方法を説明するためのものである。本明細書で具体的に開示されていないいくつかの異なる実施形態および方法が特許請求の範囲に含まれる可能性がある。したがって、請求項は多くの代替的形態で具現化される可能性があり、本明細書に記載された例のみに限定して解釈されるべきではない。
【0007】
本明細書では、様々な要素を説明するために「第1」、「第2」などの序列用語が使用されることがあるが、これらの要素はこれらの用語によって任意の順序に限定されるべきではないことが理解されるであろう。これらの用語は、1つの要素を他の要素から区別するためにのみ使用される。「第2」以上の序数がある場合、単にその数の要素が存在しなければならず、必ずしも差や他の関係があるわけではない。例えば、例示された実施形態または方法の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書では、「および」、「または」、および「および/または」という用語は、単一の項目、項目のサブグループ、またはすべての項目のみが存在することが明確に示されていない限り、関連するリスト項目の1つまたは複数のうちのすべての組み合わせを含む。「etc.」の使用は、「et cetera」と定義され、前の項目の同じ群に属する他のすべての要素を、任意の「および/または」の1つ以上の組み合わせで含むことを示す。
【0008】
ある要素が他の要素に「接続されている」、「結合されている」、「嵌合されている」、「取り付けられている」、「固定されている」などと呼ばれる場合、その要素は他の要素に直接接続されていてもよいし、介在する要素が存在していてもよいことが理解されよう。一方、ある要素が他の要素に「直接接続されている」「直接結合されている」などと表現される場合、そこには介在する要素は存在しない。要素間の関係を表すその他の用語も同様に解釈されるべきである(例えば、「between」と「direct between」、および「adjacent」と「direct adjacent」など)。同様に、「通信可能に接続されている」などの用語は、無線で接続されているか否かにかかわらず、仲介装置やネットワークなどを含む2つの電子装置間の情報交換およびルーティングのあらゆる変形例を含む。
【0009】
本明細書では、単数形の「a」、「an」、および「the」は、言語が明示的に別のことを示していない限り、単数形および複数形の両者を含むことを意図している。「a」および「an」などの不定冠詞は、以前に導入されたかどうかにかかわらず、任意の修正された用語を導入または参照し、「the」などの定冠詞は、以前に導入された同じ用語を参照する。したがって、「a」や「an」は、以前に導入されたか新しいことが認められている項目を修飾し、定冠詞は、直前に提示されたものと同じ項目を修飾するものと理解される。本明細書で使用されている「comprises」、「comprising」、「includes」、および/または「including」という用語は、記載された特徴、特性、ステップ、操作、要素、および/またはコンポーネントの存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、特性、ステップ、操作、要素、コンポーネント、および/またはそれらのグループの存在または追加をそれら自体排除するものではないことが、さらに理解されるであろう。
【0010】
以下で説明する構造および操作は、図に記載された順序とは異なる場合がある。例えば、連続して表示されている2つの操作および/または図は、実際には同時に実行されることもあれば、関係する機能/行為に応じて逆の順序で実行されることもある。同様に、以下で説明する例示的な方法の中の個別の操作は、個別にまたは連続的に繰り返し実行され、以下で説明する単一の操作とは別に、ループまたは他の一連の操作を提供することができる。以下に説明する特徴および機能を有する任意の実施形態または方法は、任意の実行可能な組み合わせで、例示の実施形態の範囲内にあるものと推定されるべきである。
【0011】
本明細書では、「軸線方向」および「垂直方向」とは、原子炉の長軸線に沿って配向された同じ上下方向であり、多くの場合、重力に沿って配向された方向である。「横断方向」および「水平方向」とは、「軸線方向」に直交する方向であり、特定の軸線方向の高さで単一の平面に配向された横の方向である。
【0012】
発明者らは、放電加工は他の材料除去作業と同様に、加工される材料に鋳直し層や冷間加工層を残す可能性があることを認識している。この層は、素材の粗さおよび脆弱さなど、カバーや他の補修とのインターフェイスには望ましくない特性がある。原子炉の深部修理のような遠隔地、および/または水中での加工では、この層を直接、あるいは手作業で除去することは不可能である。発明者らは、ショットピーニングおよび/またはレーザー処理の遠隔操作では、鋳直し層の除去が不十分であり、材料を強化したり一様化するための圧縮が付与されない場合があることをさらに認識した。レーザーおよびショットピーニングはまた、遠隔地深くでは、特にタイムリーな組み合わせでの実現は困難であろう。以下に説明する例示的な実施形態は、本発明者らが発見したこれらの課題および他の課題の解決を一意に可能にする。
【0013】
本発明は、表面を遠隔処理するシステム、および同システムを原子炉のスポット面で使用する方法である。本発明とは対照的に、以下で説明するいくつかの例示的な実施形態および例示的な方法は、本発明として、かつ/または本発明に関連して使用することができる様々な異なる構成の単なるサブセットを示している。
【0014】
図2は、研削要素および/または平滑化要素を作業面上に遠隔操作で配置するように構成された例示的な実施形態によるブリッジアセンブリ100を示す説明図である。例示した実施形態に関連して説明された表面には、原子炉の水中深部にあるボアやスポット面が含まれるが、例示した実施形態は、配管内部、保持タンクやプール、アクセスが制限された領域など、遠隔処理を必要とするあらゆるタイプの表面に関連して使用可能であることが理解されている。
図2に示すように、ブリッジアセンブリ100は、表面の上に配置したり、表面から離したりすることができる本体および脚部を備えた「U」字状を有してもよいブリッジ101を備える。ブリッジ101の脚部は、処理対象のスポット面などの表面を有する構成要素に固定されるか、それに対して着座することができる。アンカー(
図4A乃至4Cに示す)が、ブリッジ101の脚部と構成要素との間の固定装置としてさらに使用されてもよい。ブリッジ101は、作業対象の表面にうまく嵌合し、かつ/またはアクセスできるように、他の形状および構成を有していてもよい。
【0015】
例示的な実施形態のブリッジアセンブリ100は、作業面に対して回転可能なスピンドル120など、様々な構成要素に電力を供給する1つ以上の駆動装置を含む。例えば、ブリッジアセンブリ100は、スピンドル120をブリッジ101に対して回転させるステッパーモーター110を含んでもよい。ステッパーモーター110は、トランスミッション115を介してスピンドルアセンブリ120に接続してもよく、このトランスミッション115は、ステッパーモーター110とスピンドル120との間の回転比が2:1など、任意の所望の比でスピンドル120上のギアと噛み合うチェーンであってもよい。同様に、スピンドルアセンブリを作業面に対して回転させるために、直接的な駆動装置や任意のその他のタイプの動力を使用することもできる。スピンドル120は、ブリッジ101の中央の垂直軸線を中心としたスピンドル120の完全な回転を可能にするために、ブリッジ101の中央に回転可能に着座してもよい。
【0016】
モーター110は、例示的な実施形態における他の駆動装置および装置と同様に、アンビリカル接続部105を介して制御装置、操作者、データ、および/または電力に接続されてもよい。これに代えて、ローカル電源および無線通信を使用して、例示の実施形態に電力を供給し、これを制御することができる。スピンドル120は、接続部102および105を介して、研磨アセンブリ200および/またはボア研磨機300に接続し、これらに電力供給し、かつ/またはこれらを制御することができる。例えば、接続部103は、ボア研磨機300に電力を供給するための空圧式ライン、電気的ライン、および/またはデータ接続部を担持してもよく、接続部102は、研磨アセンブリ200に油圧式電力、電気、データなどを搬送してもよい。これらすべての接続部および電力の手配を通じて、例示の実施形態のブリッジアセンブリ100は、配管の奥や浸水した原子炉の奥などの遠隔領域に配置され、所望の特性で作動することができる。
【0017】
スピンドル120は、ブリッジアセンブリ100の下の表面で作業するために必要なツールに接続する。
図2に示すように、例えば、研磨アセンブリ200は、スピンドル120に接続され、スピンドル120によって回転されてもよい。
図3に示すように、研磨アセンブリ200は、スピンドルアセンブリ120に結合する研磨架台211を含み、回転可能な研磨面201、空気圧式摺動部210および油圧式モーター205をスピンドル120に接続して、同様のものを搬送することができる。研磨面201は、横断方向または角度をなす軸線を中心として回転可能であり、衝突した表面から放電加工鋳直し部を研磨して取り払う。
図3に示すように、空気圧式摺動部210は、例えば、スポット面15の全ての面に到達するように、モーター205および研磨面201を水平方向および垂直方向に移動可能である。空気圧式摺動部210は、研磨面201の内部回転軸線に沿って配向された大きな力を供給してもよい。例えば、空気圧式摺動部210は、研磨面の幅1/2インチ(約1.27cm)あたり最大約12ポンド(約5.44kg)の力で、研磨架台211と研磨面201との間を拡張することができる。5乃至6インチ(約12.7cm乃至約15.24cm)の円形研磨面201に約60乃至70ポンド(約27.21乃至31.75kg)の力をかけるなど、より高いレベルの力により、より大きな鋳直し層が研磨され、また、この力は、鋳直し材料を除去するとともにほとんどの金属表面に圧縮応力を与えるのに十分である。例えば、原子炉シュラウド支持部では、表面層を十分に除去して圧縮することで、原子炉内でさらなる劣化を受けない良好な作業面を得ることができる。
【0018】
研磨面201は、例えば直径約5.5インチ(約13.97cm)までの円形であってもよく、個別の電源またはローカル電源を有してもよい油圧式モーター205によって角度をなして駆動される。油圧式モーター205は、より重い研磨圧力下でも研磨面201の速度を一定に保つことができる容積型のモーターであってもよい。例えば、研磨面201は、約50ft/s(約15.24m/s)以上、または約2000rpmで駆動されてもよい。研磨面201は、所望の表面仕上げを達成するために、任意の研磨材を使用してもよく、例えば、約30乃至40重量%のグリット負荷を有する約80グリットの炭化ケイ素フィラメント面などが挙げられる。研磨アセンブリ200は、研磨面201をスポット面14(
図1)に対して約10度の位置に配置してもよい。
【0019】
図4A乃至4Cは、保守期間中に原子炉のスポット面を修理のために準備する例示的な方法において、スポット面15の表面13および14を研磨するための様々な構成で、例示的な実施形態のブリッジアセンブリ100によって担持される例示的な実施形態の研磨アセンブリ200を示す説明図である。
図4A乃至4Cに示すように、ブリッジ101は、放電加工によって形成されたスポット面15に対する表面に取り付けられてもよい。研磨アセンブリ200は、スピンドルアセンブリ120からスポット面15に下降して、研磨面201に対して表面13および14を接触させる。
【0020】
研磨面201は、アセンブリ100および/または200の油圧式モーター205または他の駆動装置によって、その内部軸線を中心として、所望の圧力および動きで回転させることができる。例えば、スピンドル120は、ステッパーモーター110によってその中心軸線を中心として回転し、スポット面15の周囲を研磨アセンブリ200が周回乃至循環するようにしてもよい。このようにして、研磨面201は、スポット面14およびボア面13の連続した全体に沿って移動し、鋳直し層を除去して、これを圧縮することができる。同時に、空気圧式摺動部210が拡張して研磨面201を研磨支持部211から押し出し、所望の研磨力または圧力を提供することができる。
【0021】
図4Aでは、研磨アセンブリ200は垂直に配向され、ボア研磨機300のボア研磨ホイール301と嵌合している。空気圧式摺動部210(
図3)は、軸線302(
図4B)に沿ってアセンブリ200を垂直方向に押圧してもよい。この位置において、研磨ホイール301は、ホイール301が軸線302を中心として回転したときに、ボア面13および14を研磨することができる。
図4Bでは、研磨ホイール301は、軸線302に沿って空気圧式摺動部201によって鉛直下方に引き出され、表面13の鉛直側面を研磨する。
図4Cでは、研磨アセンブリ200は、ボア研磨機300から切り離され、いくつかの軸線を中心として回転されて、スポット面14に接触させられる。
【0022】
油圧式モーター205およびステッパーモータ110は、毎分数千回転している研磨面201を、これらの位置および圧力で、トルクで位置を崩すことなく駆動し続けるのに十分な力を有する。例えば、油圧式モーター205、ステッパーモーター110、空気圧式摺動部210などを含むすべての駆動装置は、適切な接続部を介してローカルまたは遠隔で電力を供給することができ、さらに、アンビリカル接続部105(
図2)を介して制御され、また、データを中継することができる。研磨面201の回転、空気圧式摺動部210からの圧力、スピンドル120の回転による表面13,14への送りによって達成される連続的な表面間の研磨は、これらの構成要素の複合的な動作によって達成され、すべての鋳直し層を除去し、所望の圧縮力を全体に一様に供給することができる。
【0023】
例示的な実施形態のアセンブリ100および200は、高温の流体および放射線にさらされてもその物理的特性を維持する材料を含む、稼働中の原子炉環境に適合する材料で形成されてもよい。例えば、ステンレス鋼および鉄合金、ニッケル合金、ジルコニウム合金などの金属が組立部品に使用可能である。同様に、異なる部品間の直接的な接続部およびその他のすべての直接的な接触部は円滑にされ、また、焼き付きや汚れ、金属同士の反応を防止するために、交互に配置された材料やその他の互換性のある材料で形成可能である。
【0024】
例示的な実施形態および方法を上記のように説明したが、当業者であれば、例示的な実施形態は、依然として以下の特許請求の範囲内にありながら、日常的な実験によって変形させたり代用したりすることができることを理解できるであろう。例えば、単に適切な寸法決めおよび位置決めをするだけで、いくつもの異なる表面を例示の実施形態のアセンブリで研磨することができる。このような変形例は、本特許請求の範囲から逸脱しているとはみなされない。
【手続補正書】
【提出日】2021-12-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔地の表面
(14)を研磨するためのシステム
(100)であって、
前記表面
(14)の周囲に固定されるように形状を形成されたブリッジ
(101)と、
前記ブリッジ
(101)に結合されるとともに第1の軸線
(302)を中心として回転可能なスピンドル
(120)と、
前記スピンドル
(120)に固定された研磨アセンブリ
(200)と、
を備え、
前記研磨アセンブリ
(200)は、第2の軸線を中心として回転可能な研磨面
(201)と、同研磨面
(201)を前記第2の軸線
(302)方向に移動させるとともに付勢する空気圧式摺動部
(210)とを含む、システム
(100)。
【請求項2】
前記空気圧式摺動部
(210)は、前記研磨面
(201)の幅1インチ(約2.54cm)あたり少なくとも12ポンド(約5.44kg)の力を加えるように構成されている、請求項1に記載のシステム
(100)。
【請求項3】
前記研磨アセンブリ
(200)は、前記研磨面
(201)を前記第2の軸線を中心として回転させるように構成された油圧式モーター
(205)をさらに含む、請求項1に記載のシステム
(100)。
【請求項4】
前記油圧式モーター
(205)は、前記研磨面
(201)を毎分約2000回転で回転させるように構成されている、請求項3に記載のシステム
(100)。
【請求項5】
前記ブリッジ
(101)は、ステッパーモーター
(110)を含み、同ステッパーモーター
(110)は、前記スピンドル
(120)に接続され、かつ前記ブリッジ
(101)に対して前記第1の軸線を中心として前記スピンドル
(120)を回転させるように構成されている、請求項1に記載のシステム
(100)。
【請求項6】
前記スピンドル
(120)は、前記ブリッジ
(101)の中央に配置されるとともに前記ブリッジの下方に延びており、前記研磨アセンブリ
(200)は、前記ブリッジ
(101)の下方の研磨のために前記表面
(14)に到達するように、前記スピンドル
(120)から横断方向に延びている、請求項5に記載のシステム
(100)。
【請求項7】
前記研磨面
(201)は、水平から約10度まで回転可能である、請求項1に記載のシステム
(100)。
【請求項8】
前記研磨面
(201)が約80グリットの炭化ケイ素である、請求項1に記載のシステム
(100)。
【請求項9】
前記研磨アセンブリ
(200)は、前記ブリッジ
(101)の下方で前記第2の軸線を中心として360度回転可能である、請求項1に記載のシステム
(100)。
【請求項10】
原子力施設のスポット面
(14)を準備する方法であって、
操作者から遠隔の位置にある研磨アセンブリ
(200)を用いて、研磨面
(201)を含む平面内で前記スポット面の表面
(14)を横断して前記研磨面
(201)を移動させるステップと、
前記操作者から遠隔の前記研磨アセンブリ
(200)を用いて、前記スポット面の前記表面
(14)に対して前記研磨面
(201)を付勢するステップと、
を含む、原子力施設のスポット面
(14)を準備する方法。
【請求項11】
前記移動させるステップおよび前記付勢するステップは完全に水中で行われ、前記操作者は完全に前記水の外にいる、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記付勢するステップは、前記研磨面
(201)の半インチ幅(約1.27cm)あたり約12ポンド(約5.44kg)の力で前記研磨面
(201)を付勢する、請求項
10に記載の方法。
【請求項13】
前記付勢するステップは、空気圧式摺動部
(210)を用いて行われ、前記移動させるステップは油圧式モーター
(205)を用いて行われる、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記操作者から遠隔のブリッジ
(101)およびスピンドル
(120)を用いて、前記スポット面の前記表面
(14)の全周を研磨するように、前記研磨面
(201)を垂直軸線を中心として回転させるステップをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項15】
前記研磨面
(201)が約80グリットの炭化ケイ素であり、前記移動させるステップおよび前記付勢するステップが前記スポット面から放電加工鋳直し層を取り払うとともに前記表面
(14)に圧縮応力を付与する、請求項
10に記載の方法。
【請求項16】
前記研磨アセンブリ
(200)により回転させるステップをさらに含み、前記研磨面
(201)が水平から約10度まで回転可能である、請求項
10に記載の方法。
【請求項17】
前記移動させるステップは、前記研磨面
(201)を前記スポット面
(14)に対して少なくとも毎分2000回転だけ回転させるステップを含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項18】
前記研磨アセンブリ
(200)と、前記研磨アセンブリと結合されたブリッジアセンブリ
(100)とを前記スポット面の上方に固定することにより、前記研磨アセンブリ
(200)を前記スポット面
(14)の上方に設置するステップをさらに含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項19】
前記スポット面を形成するように前記表面
(14)を放電加工するステップをさらに含む、請求項
18に記載の方法。
【国際調査報告】