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特表2022-527843材料を熱的又は熱化学的に処理する装置及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-06
(54)【発明の名称】材料を熱的又は熱化学的に処理する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   F27B 9/38 20060101AFI20220530BHJP
   F27D 7/06 20060101ALI20220530BHJP
   F27D 3/06 20060101ALI20220530BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
F27B9/38
F27D7/06 B
F27D3/06 A
H01M4/36 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560011
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(85)【翻訳文提出日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2020059929
(87)【国際公開番号】W WO2020208039
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】102019109767.3
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520086885
【氏名又は名称】ウォンチュン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100126848
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】アリアン エスフェハニアン
【テーマコード(参考)】
4K050
4K055
4K063
5H050
【Fターム(参考)】
4K050AA02
4K050AA04
4K050BA16
4K050CA13
4K050CC07
4K050CF03
4K050CF04
4K050CF06
4K050CG02
4K055AA06
4K055EA03
4K063AA05
4K063AA06
4K063AA15
4K063BA12
4K063CA04
4K063DA06
4K063DA23
4K063DA34
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA07
5H050GA02
5H050GA29
5H050HA04
5H050HA12
(57)【要約】
材料(12)、特にバッテリ-カソード材料(14)を熱的又は熱化学的に処理する、特にか焼する装置は、ハウジング(16)とハウジング(16)内にあるプロセス室(20)とを有しており、そのプロセス室内は処理する場合にプロセス室雰囲気(54)が支配し、かつそのプロセス室が移送レベル(116)を定める。移送システム(28)によって、材料(12)又は材料(12)を装填した支持構造(44)が移送レベル(116)においてプロセス室(20)内へ、かつ/又はそれを通して移送可能である。入口ロック(26)が入口レベル(118)を定め、かつロック室(62)、ロック入口(64)とロック出口(66)及び入口コンベア(106)を有し、その入口コンベアが次のように、すなわち材料(12)又は材料(12)を装填した支持構造(44)が入口レベル(118)においてロック入口(66)を通してロック室(62)内へ移送可能であるように、整えられている。移送レベル(116)と入口レベル(118)は、互いに異なっている。さらに、材料(12)、特にバッテリ-カソード材料(14)を熱的又は熱化学に処理し、特にか焼するための方法が記述されており、それにおいて材料(12)又は材料(12)を装填した支持構造(44)は、移送レベル(116)と入口レベル(118)において、異なる高さで移送される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料(12)、特にバッテリ-カソード材料(14)を熱的又は熱化学的に処理する、特にか焼するための装置であって、
a)ハウジング(16)を有し、
b)ハウジング(16)内に設けられたプロセス室(20)を有し、前記プロセス室内は、処理する場合にプロセス室雰囲気(54)が支配し、かつ前記プロセス室が移送レベル(116)を定め、
c)移送システム(28)を有し、前記移送システムによって材料(12)又は材料(12)を装填した支持構造(44)が移送レベル(116)において移送方向(30)に、プロセス室(20)内へ、かつ/又はそれを通して、移送可能であって、
d)入口ロック(26)を有し、前記入口ロックが、入口レベル(118)を定め、かつ
da)ロック室(62)、ロック入口(64)及びロック出口(66)を有し、
db)入口コンベア(106)を有し、前記入口コンベアが、材料(12)又は材料(12)を装填した支持構造(44)が入口レベル(118)においてロック入口(66)を通してロック室(62)内へ移送可能であるように、整えられている、
ものにおいて、
e)移送レベル(116)と入口レベル(118)が、互いに異なっている、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
移送レベル(116)が、入口レベル(118)よりも低い位置にある、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
入口ロック(26)が、移送構造(122)を備えたリフト装置(120)を有し、前記移送構造によって材料(12)又は材料を装填した支持構造(44)が入口レベル(118)から移送レベル(116)へ移動可能である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
移送構造(122)が、少なくとも1つの支持テーブル(126)又は少なくとも1つの把持ユニット(134)を有している、ことを特徴とする請求項3に記載の装置。
【請求項5】
入口コンベア(106)が、材料(12)又は材料(12)を装填した支持構造(44)が入口レベル(118)においてリフト装置(120)の移送構造(122)上へ移送可能であるように、構成されている、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の装置。
【請求項6】
材料(12)又は材料(12)を装填した支持構造(44)が、同一の方向において、ロック入口(64)とロック出口(66)を通過できるように、前記ロック入口(64)と前記ロック出口(66)が配置されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記材料(12)又は前記材料(12)を装填した支持構造(44)が、前記移送方向(30)において、前記ロック入口(64)と前記ロック出口(66)を通過できる、ことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
材料(12)又は材料(12)を装填した支持構造(44)が、異なる方向において、前記ロック入口(64)と前記ロック出口(66)を通過できるように、前記ロック入口(64)と前記ロック出口(66)が配置されている、ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
a)少なくともロック入口(64)か、あるいはロック出口(66)は、材料(12)又は材料(12)を装填した支持構造(44)が移送方向(30)において通過可能に、配置されており、
かつ/又は
b)少なくともロック入口(64)か、あるいはロック出口(66)は、材料(12)又は材料(12)を装填した支持構造(44)が垂直方向において通過可能に、配置されている、
ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
移送システム(28)が、駆動部品(40、42)を備えた駆動装置(36)を有し、前記駆動部品が、移送方向(30)において装置(10、10')の外部でプロセス室(20)の入口(22)の上流に配置されている、ことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
入口ロック(26)が、ロック室(62)内で雰囲気交換が実施可能であるように、構成されている、ことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
材料(12)、特にバッテリ-カソード材料(14)を熱的又は熱化学的に処理する、特にか焼する方法であって、
a)材料(12)又は材料(12)を装填した支持構造(44)が移送レベル(116)において、材料(12)を熱処理するために装置(10)のプロセス室(20)を通して移送され、前記プロセス室内をプロセスガス雰囲気(54)が支配しており、
b)材料(12)又は材料(12)を装填した支持構造(44)が入口レベル(118)において、入口ロック(26)のロック室(62)内へ移送される、
ものにおいて、
c)材料(12)又は材料(12)を装填した支持構造(44)が移送レベル(116)と入口レベル(118)において異なる高さで移送される、
ことを特徴とする方法。
【請求項13】
材料(12)又は材料(12)を装填した支持構造(44)がプロセス室(20)内へ送り込まれる場合に、ロック室(62)内で雰囲気交換が実施される、ことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
雰囲気交換が実施される間、ロック室(62)内の材料(12)又は材料(12)を装填した支持構造(44)が入口レベル(118)から移送レベル(116)へ移動される、ことを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から11のいずれか1項に記載の装置が使用される、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料、特にバッテリ-カソード材料を熱的又は熱化学的に処理する、特にか焼するための装置に関するものであって、装置は:
a)ハウジングを有し;
b)ハウジング内にあるプロセス室を有し、処理の際にプロセス室雰囲気がそのプロセス室内を支配し、かつそのプロセス室が移送レベルを定め:
c)移送システムを有し、この移送システムを用いて材料又は材料を装填した支持構造が移送レベルにおいて移送方向にプロセス室内へ、かつ/又はプロセス室を通して移送可能であり;
d)入口ロックを有し、この入口ロックが入口レベルを定め、かつ
da)ロック室、ロック入口及びロック出口を有し;
db)入口コンベアを有し、その入口コンベアが、材料又は材料を装填した支持構造を入口レベルにおいてロック入口を通してロック室内へ移送可能であるように、整えられている。
【背景技術】
【0002】
さらに本発明は、材料、特にバッテリ-カソード材料を熱的又は熱化学的に処理する、特にか焼する方法に関するものであって、
a)材料又は材料を装填した支持構造が、移送レベルにおいて、材料を熱処理するために装置のプロセス室を通して移送され、そのプロセス室内をプロセスガス雰囲気が支配し;
b)材料又は材料を装填した支持構造が、入口レベルにおいて入口ロックのロック室内へ移送される。
【0003】
この種の装置内で、かつこの種の方法によって、たとえばリチウム-イオン-バッテリを形成する場合に、酸素を含む雰囲気内で粉末形状のカソード材料のか焼が行われる。粉末形状のカソード材料は、たとえばリチウムを含む遷移金属前駆体であって、それが炉内でリチウムを含む遷移金属酸化物にか焼される。このプロセスにおいて、水酸化リチウム前駆体が使用されるか、炭酸リチウム前駆体が使用されるかにしたがって、リチウムを含む遷移金属前駆体から排ガスとして、水か二酸化炭素CO2が遊離する。
【0004】
しかし原則的に、冒頭で挙げた種類の装置と方法は、他の材料を熱処理するためにも使用され、その材料は、たとえばプロセスガスの影響下で熱的又は熱化学的に処理しなければならない、材料でもある。
【0005】
この種の炉内の温度は、1200℃までになることがある。以下で本発明は、上で挙げたカソード材料の熱処理の例で説明される。実際においてこの種の材料のか焼が行われる温度は、それ自体知られているように、処理すべき材料と使用される炉の種類に依存している。
【0006】
プロセス室内のプロセス室雰囲気に基づいて、この材料は、処理するためには入口ロックを介してのルートでしか供給することはできず、それはいわゆるダブルゲートロックであることが多い。
【0007】
材料又は材料を装填した支持構造をプロセス室を通して移送する、移送システムは、移送方向においてプロセス室の入口の前に配置された、構成部分又は構成要素を有することが多い。この理由から入口ロックは、通常、移送方向に関して側方から装填される。しかし、この場合においては、材料又は材料を装填した支持構造を入口ロックの入口前に位置決めする移送技術のために、比較的大きい設備面積が既に要求されている。これについては後に、図6を用いて再度説明する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、装置を設置する場合の組み込み空間を節約することができる、冒頭で挙げた種類の装置と方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、冒頭で挙げた種類の装置においては、
e)移送レベルと入口レベルが互いに異なっている、
ことによって解決される。
【0010】
したがって移送レベルと入口レベルは、互いに異なる高さにある。このようにして、プロセス室を通して移送するための移送システムの移送技術も、ロック室内へ移送するためのそれも、入口ロックに移送方向に装填することができるように、相互にじゃましないように配置することが、可能であることが、認識された。
【0011】
その場合に、移送レベルが入口レベルよりも低いと、特に効果的である。
【0012】
好ましくは入口ロックは、移送構造を備えたリフト装置を有しており、それを用いて材料又は材料を装填した支持構造が入口レベルから移送レベルへ移動可能である。
【0013】
その場合に移送構造は、少なくとも1つの支持テーブル又は少なくとも1つの把持ユニットを有している。
【0014】
好ましくは入口コンベアは、材料又は材料を装填した支持構造が入口レベルにおいてリフト装置の移送構造上へ移送可能であるように、整えられている。
【0015】
第1の変形例において、ロック入口とロック出口は、両者が材料又は材料を装填した支持構造によって同じ方向に通過できるように、配置することができる。
【0016】
この場合において、ロック入口とロック出口は、好ましくは移送方向に、材料又は材料を装填した支持構造によって通過できる。
【0017】
第2の変形例において、ロック入口とロック出口は、異なる方向において、材料又は材料を装填した支持構造によって通過できるように、配置することができる。
【0018】
この場合において、
a)少なくともロック入口か、あるいはロック出口が、移送方向において材料又は材料を装填した支持構造によって通過できるように、配置されており、
及び/又は
b)少なくともロック入口か、あるいはロック出口が、垂直の方向において材料又は材料を装填した支持構造によって通過できるあるように、配置されていると、
効果的である。
【0019】
上述したコンセプトは、移送システムが駆動部品(Antriebskomponenten)を備えた駆動装置を有し、それらの駆動部品が移送方向において装置の外部で、プロセス室の入口の前に配置されている場合に、効果的に具現化することができる。
【0020】
好ましくは、入口ロックは、ロック室内で雰囲気交換が実施可能であるように、整えられている。
【0021】
冒頭で挙げた種類の方法において、上述した課題は、
c)材料又は材料を装填した支持構造が、異なる高さにある移送レベルと入口レベルにおいて移送される、
ことによって解決される。
【0022】
好ましくは、材料又は材料を装填した支持構造をプロセス室内へ送り込む場合に、ロック室内で雰囲気交換が実施される。
【0023】
好ましくは雰囲気交換が実施される間に、材料又は材料を装填した支持構造がロック室内で入口レベルから移送レベルへ移動される。
【0024】
好ましくはそのために、上述した特徴のいくつか、あるいはすべてを有する装置が使用される。
【0025】
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、第1の実施例に基づいて入口ロックを有する連続炉の入口領域を示す垂直の縦断面図である。
図2図2は、図1の連続炉を示す上面図である。
図3A図3Aは、図1に示す連続炉内へ材料を送り込む際の段階を示している。
図3B図3Bは、図1に示す連続炉内へ材料を送り込む際の他の段階を示している。
図3C図3Cは、図1に示す連続炉内へ材料を送り込む際の他の段階を示している。
図3D図3Dは、図1に示す連続炉内へ材料を送り込む際の他の段階を示している。
図3E図3Eは、図1に示す連続炉内へ材料を送り込む際の他の段階を示している。
図3F図3F図1に示す連続炉内へ材料を送り込む際の他の段階を示している。
図4図4は、第2の実施例に基づいて入口ロックを有する連続炉の入口領域を示す垂直の縦断面図である。
図5A図5Aは、図4に示す連続炉内へ材料を送り込む際の段階を示している。
図5B図5Bは、図4に示す連続炉内へ材料を送り込む際の他の段階を示している。
図5C図5Cは、図4に示す連続炉内へ材料を送り込む際の他の段階を示している。
図5D図5Dは、図4に示す連続炉内へ材料を送り込む際の他の段階を示している。
図5E図5Eは、図4に示す連続炉内へ材料を送り込む際の他の段階を示している。
図5F図5Fは、図4に示す連続炉内へ材料を送り込む際の他の段階を示している。
図6図6は、従来技術に基づく連続炉を示す、図2と同様の上面図である。
図5図5は、図1又は3に示す連続炉を示す上面図である。
図6図6は、従来技術に基づく連続炉を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
まず、図1、2及び5を参照する。これらにおいて符号10は、材料12を熱処理するための装置を示している。以下においては、簡略化するために、この装置10は炉10と称される。
【0028】
材料12は、たとえば、冒頭で挙げたバッテリ-カソード材料14であって、その材料はバッテリを形成する場合に炉10内で熱処理によってか焼されなければならない。
【0029】
炉10は、内部空間18を画成するハウジング16を有しており、その内部空間内にプロセス室20がある。ここではハウジング16が、プロセス室20を画成する。場合によっては、炉10の内部空間18は、ハウジング16を包囲する別のハウジングによって定めることもできる。
【0030】
プロセス室20は、ハウジング16の入口22と出口24の間に延びており、その場合に出口24は、図1のみに示されている。プロセス室20の入口22には、入口ロック26が設けられている。入口ロック26によって、プロセス室20内の雰囲気を周囲雰囲気から分離することが保証されている。出口24には、出口ロックがあるが、その出口ロックはそれ自体として示されておらず、それ自体知られたやり方で形成することができる。場合によっては、出口ロックは原則的に、以下で入口ロック26について説明するように、構成することもできる。
【0031】
材料12は、移送システム28を用いて移送方向30にプロセス室20を通して移送され、移送方向30は、図1、2、4及び6だけに矢印で示されている。炉10は、連続炉として、具体的にはプッシャータイプの炉として考えられており、それにおいて移送システム28が材料12を、炉10を通して移送する。そのために、移送システム28は、複数の移送路32を有しており、それに沿って複数の載置床34、いわゆるトレイが、それ自体知られているように、送り移動される。図において、それぞれ載置床34の1つだけに、参照符号が設けられている。図2において認識されるように、この実施例においては4つの平行な移送路32が設けられている。しかし1つだけ、2つ又は3つあるいは4つより多い、たとえば5から8の移送路32を設けることもできる。
【0032】
移送システム28は、駆動部品を備えた駆動装置36を有しており、その駆動部品は移送方向30においてプロセス室20の外部でその入口22の前に配置されている。この実施例において、駆動装置36は送り装置として形成されており、それにおいて動力駆動される送りパンチ38がギアロッド40によって駆動モータ42と結合されており、かつその送り装置はこの種の駆動部品に数えられる。送りパンチ38は、移送路32の数に応じて並べて配置された載置床34を、入口22を通してプロセス室20内へ挿入する。これらの載置床34の各々は、それぞれの移送路32の移送方向28において、すでにプロセス室20内にある第1の載置床34に当接して、それによってプロセス室20内にあるすべての載置床34が1つずつ場所を移動し、かつ移送方向28において最後の載置床34が出口24を通してプロセス室20から押し出される。通常、駆動装置36は油圧で作動し、駆動モータ42はしかるべき油圧シリンダであって、その場合にギアロッド40はある種のピストンロッドとして形成されている。
【0033】
それとして図示されていない変形例において、連続炉について、たとえばすべての種類のローラー炉、コンベアベルト炉、チェーン連続炉、ドライブスルー炉などのような、それ自体知られた他のコンセプトも可能である。代替的に、炉10は、唯一の出入口を有するバッチ炉として形成することもできる。この場合において、入口ロック26が同時に出口ロックを形成し、材料12の個々のチャージがこの出入口を通して移送方向30にプロセス室20内へ移送され、熱処理され、その後再び移送方向30とは逆の方向に出入口を通してプロセス室20から取り出されて、このようにして全部がプロセス室20を通して移送される。そのためにしかるべき移送装置が設けられているので、材料12のチャージを両移送方向に移送することができる。
【0034】
材料12は、それとしての特性にしたがって、移送システム28を用いて移送することができ、たとえば、載置床34上へ直接的に載置することができる。これは、たとえば、材料12が構造的な工作物である場合に、可能である。
【0035】
この実施例において、材料12を装填された支持構造44が設けられており、その支持構造はバッテリ-カソード材料14の場合には、か焼容器(Brennschalen)46として形成されており、英語の専門用語では、いわゆる匣鉢(Sagger)と称される。この支持構造44は、複数の平面を有する棚形状の移送ラック48として積み重ねられ、その場合にこの実施例においては、バッテリ-カソード材料14を装填されたそれぞれ4つの支持構造44が、移送ラック48を形成し、かつそれぞれ1つの載置床34がこの種の移送ラック48を支持する。移送ラック48あたり、2つ、3つあるいは4つより多い、たとえば5つ、6つあるいはそれより多い平面も考えられ、可能な平面の数は、プロセス室20と支持構造44の組み立て高さにほぼ依存している。変形例において、移送ラック48は、たとえば金属又はセラミックからなる、別体の構成部品であり、それが複数の平面内に支持構造44を収容する。
【0036】
支持構造44、したがってか焼容器46も、支持構造48を互いに積み重ねた場合に、移送ラック48内に流れ通路50が残るように、整えられているので、支持構造44もしくはか焼容器46の、材料12を収容したそれぞれの内部空間は、プロセス室20の内部で周囲と流体的に接続され続ける。ここで図示される実施例において、移送ラック48の周方向において、存在する4つの側の各々に、それぞれ流れ通路50が存在しているので、移送方向あるいは移送方向とは逆の流れ及びそれに対して横方向の流れが、支持構造44もしくはか焼容器46内へ達する。図1において、構成部分44から50は、図1の右に示す移送ラックにおいてのみ、参照符号を有している。
【0037】
炉10は、図1のみに示唆される加熱システム52を有しており、それを用いて、プロセス室20内を支配するプロセス室雰囲気54が加熱可能である。そのために加熱システム52は、それ自体知られたやり方で、複数の電気的な加熱部材を有しており、それらがプロセス室20内に配置されているが、それとして示されていない。他の必要かつ既知の構成部品も、見やすくするために図示されていない。
【0038】
材料12を熱処理する場合に、排ガスが生じることがあり、それをプロセス室20から引き出さなければならない。バッテリ-カソード材料14をか焼する場合には、排ガスとして、たとえば上述した水又は二酸化炭素CO2が生じる。さらにリチウムを含む相も遊離することがある。
【0039】
プロセス室20から排ガスを除去することができるようにするために、同様に示唆されるだけの吸い出しシステム56が設けられており、その吸い出しシステムがハウジング16内に、たとえばその底に、それとして図示されない吸い出し開口部を有しており、それを介して排ガスをプロセス室20から吸い出すことができる。さらにここでも、ファン、導管、フィルタなどのような、必要かつそれ自体知られた構成部品は、見やすくするためにそれとして図示されていない。
【0040】
炉10内で、材料12を熱処理することができ、その熱処理においてプロセスガスが必要である。言及されているバッテリ-カソード材料14の場合には、効率的なか焼のために、たとえば酸素O2が必要であって、その酸素は空調された空気の形式でプロセス室20内へ吹き込まれる。したがってこの場合においては、空気がこの種のプロセスガスを形成する。それに含まれる酸素O2は、金属酸化物を形成する際に化学反応されられて、水又は二酸化炭素CO2が生じる。他のプロセスにおいては、他のプロセスガスが必要となり得る。多くのプロセスにおいて、酸素富化された空気又は純粋な酸素も必要とされ、この種のプロセスガスの酸素割合は、21%から100%である。不活性ガスは、問題のない熱処理に必要なプロセスガスと考えることができる。
【0041】
したがって炉10は、ここでも示唆されるだけのプロセスガスシステム58を有しており、それを用いてプロセス室20内へ、材料12の熱処理に必要な、プロセスガスを供給することができる。プロセスガスシステム58は、支持構造44の流れ通路50を通してプロセスガスが材料12へ達するように、整えられている。
【0042】
したがって酸素を含む雰囲気を維持するために、プロセスガスシステム58を用いて新鮮なプロセスガスがプロセス室20へ供給されて、生じた水又は二酸化炭素CO2は、吸い出しシステム56によって燃焼室からプロセス室雰囲気54を連続的又は間欠的に吸い出すことによって除去される。
【0043】
材料12又は材料12を装填された支持構造44が、ルート上で入口ロック26を通してプロセス室20内へ移送される。入口ロック26は、ダブルゲートロック60として形成されており、ロック入口64とロック出口66を備えたロック室62を有している。機能的にロック出口66は、プロセス室20の入口22と空間的に一致する。したがって以下で、ロック出口66が閉鎖され、あるいは解放されるという場合には、同時にプロセス室20の入口22も閉鎖又は解放される。ここに図示される実施例において、ロック室62は移送方向30において、移送方向30に互いに対向する、ロック入口64とロック出口66の間に延びている。
【0044】
ロック入口64とロック出口66は、両方を材料12又は材料12を装填した支持構造44が同じ方向に通過できるように、配置されている。この実施例において、材料12又は材料12を装填した支持構造44が、ロック入口64もロック出口66も移送方向30に横切る。
【0045】
図1において認識されるように、ロック室62内に駆動装置36の送りパンチ38が配置されている。そこから駆動装置36のギアロッド40が入口ロック26の符号68で示す壁を通してロック室62から外部の駆動モータ42へ延びており、その駆動モータは炉10の外周囲に配置されている。一般的に表現すると、駆動装置36はプロセス室20の外部の駆動部品だけでなく、炉10の外部に配置された駆動部品も有している;この実施例において、この種の駆動部品には、ギアロッド40の外側に位置するセクションと駆動モータ42が含まれており、外側に位置するセクションは、その移動に基づいて可変である。
【0046】
ロック入口64に、ロック入口ゲート72を有するロック入口ゲート装置70が設けられており、それによってロック入口64を選択的に気密に閉鎖し、あるいは解放することができる。したがってロック室62は、炉10の外周囲から気密に分離することができ、あるいはそれと接続することができる。
【0047】
ロック出口66には、同様に、ロック出口ゲート76を有するロック出口ゲート装置74が設けられており、それによってロック出口66を選択的に気密に閉鎖し、あるいは解放することができる。したがってロック室62は、プロセス室20から気密に分離することができ、あるいはそれと接続することができる。
【0048】
ロック入口ゲート72としても、ロック出口ゲート76としても、ロールゲート、リフトゲート又はスライドゲートを使用することができる。これらのゲートは、いくつかに分けることもできる。たとえばここでは、一体的なロールゲートが示されている。
【0049】
入口ロック26は、ロック室62内で雰囲気交換を実施することができるように、整えられている。
【0050】
入口ロック26は、循環システム78を有しており、その循環システムが一方で、ロック室62を雰囲気導管80を通してプロセス室20と接続し、他方ではロック室62を空気導管82を通して炉10の外周囲と接続する。雰囲気導管80内には弁84とファン86が配置されており、それが選択的にロック室62の方向に、あるいはプロセス室20の方向に移送することができる。空気導管82は、弁88とファン90を有しており、それが選択的にロック室62の方向に、あるいは炉10の外周囲の方向に空気を移送することができる。制御92が、弁84と88及びファン86と90を駆動する。
【0051】
場合によっては、プロセス室雰囲気54は、プロセス室20内で進行するプロセスにより、プロセス室雰囲気54の取り扱いを難しくする物質で汚染されることがある。この場合においては、ロック室62を洗い流すために、プロセス室20からプロセス室雰囲気54が吸い出されない。したがってむしろ、変形例において、ロック室62は、汚染されていないプロセスガス雰囲気に相当する新鮮な補助雰囲気によって洗い流すことができ、その補助雰囲気はプロセス室20から吸い出されるのではなく、別の源94に由来するものであって、その源は図1に破線で示す導管によって雰囲気導管80の弁84と接続されており、この場合においてその弁は、3ルート弁として形成されている。
【0052】
移送方向30に見て、ロック入口64の上流側に収容領域96が設けられており、その中で材料12もしくは材料12を装填した支持構造44は、炉10内へ移送される前に、移送路32に従って、移送方向30に対して横方向に互いに並べて位置決めされる。そのために炉10は、図2のみに認められる、供給コンベア100を備えた、しかるべき供給システム98を有している。ここで使用される支持構造44のために、供給コンベア100と収容領域96との間にスタック領域102が設けられており、その中でか焼容器(Brennschalen)42が互いに積み重ねられ、かつ支持床34上に載置される。供給コンベア100は、炉10の外部において移送区間32に対して平行に延びている。たとえば供給コンベア100は、ローラーコンベアとして形成することができる。スタック領域102は、移送方向30に対して横方向において、収容領域96に隣接して配置されているので、支持構造44は移送方向30に対して横方向においてスタック領域102から収容領域96内へ移送されて、そこで位置決めされる。そのために収容領域96にローラー104を設けることができ、そのローラーは、図1において認識されるように、移送方向30に対して平行に延びている。
【0053】
入口ロック26は、入口コンベア106を有しており、その入口コンベアは、材料12又は材料12を装填した支持構造44が移送方向30においてロック入口66を通ってロック室64内へ移送されるように、構成されている。そのために、この実施例において、入口コンベア106は移送手段として入口駆動装置108を有している。この実施例において、入口駆動装置108は、-移送システム28の駆動装置36のように-送り装置として形成されており、入口送りパンチ110を有し、その入口送りパンチが移送路32の数に応じて互いに並べて配置された載置床34を、ロック入口66を通してロック室64内へ送り込む。入口送りパンチ110は、送りロッド112によって駆動モータ114と結合されている。それとして図示されない変形例において、入口コンベア106は代替的な移送コンセプトにしたがって構成することもでき、たとえばローラーコンベアあるいは同種のものとして形成することができる。
【0054】
プロセス室20が移送レベル116を定め、その移送レベルにおいて材料12又は材料12を装填した支持構造44がプロセス室20を通して移送される。この移送レベル116は、ここではプロセス室20内の移送路32によって定められている。入口ロック26が入口レベル118を定め、その上で材料12又は材料12を装填した支持構造44がロック入口64を通ってロック室62内へ移送される。移送レベル116と入口レベル118は、図1のみに示され、かつ参照符号を有している。
【0055】
移送レベル116と入口レベル118は、互いに異なっており、したがって異なる高さに位置決めされている。したがってロック入口64とロック出口66は、移送方向30において対向しているが、材料12又は材料12を装填した支持構造44のための通過横断面に関しては、異なる高さレベルに位置決めされている。材料12又は材料12を装填した支持構造44は、ロック入口64とロック出口66を、入口レベル118もしくは移送レベル116の異なる高さ水準で通過する。
【0056】
この実施例において、移送レベル116は入口レベル118よりも低い。しかし、それとして図示されない変形例において、移送レベル116が入口レベル118よりも高くなってもよい。
【0057】
したがって材料12又は材料12を装填した支持構造44は、入口コンベア106によって入口レベル118においてロック室62内へ移送される。ロック室62内で、材料12又は材料12を装填した支持構造44は、入口レベル118から移送レベル116へ移動されて、その後移送システム28によってプロセス室20を通して移送される。
【0058】
材料12又は材料12を装填した支持構造44を入口レベル118から移送レベル116へ移動させるために、入口ロック26は、入口レベル118と移送レベル116の間で移動可能な、移送構造122を備えたリフト装置120を有している。そのために移送構造122はリフトドライブ124と結合されている。この実施例において、移送構造122は支持テーブル126として形成されており、それがリフトロッド128と結合されており、そのリフトロッドが駆動ユニットによって移動可能である。
【0059】
リフトドライブ124は、ロープ、チェーン、圧力シリンダ、二叉部材、偏心子などの形状の駆動部材を有することもできる。
【0060】
支持テーブル126は、補足的に、材料12又は材料12を搭載した支持構造44のための、たとえばスライドバー、ロールボディなどの形式の、収容部材を有することができる。また、ストッパ又はその他の方向づけ補助及びガイドを設けることもでき、それらは移動可能とすることもできる。
【0061】
リフトロッド128は、下方へ向かって入口ロック26の床を通って外部に配置されている駆動ユニット130へ延びている。リフトロッド128は、一体とすることができるが、伸縮部材として形成することもでき、その場合にたとえば油圧駆動ユニット130と協働することができる。複数の平行なリフトロッド128を設けることもでき、それらが支持テーブル126を支承する。
【0062】
この実施例において、材料12の、又は材料12を装填した支持構造44の移動は、リフト装置120によって垂直方向において移送方向30に対して垂直に行われる。それとして図示されない変形例において、移動はさらに、移送方向30又はその逆に、移動成分を有することができる。
【0063】
図3Aから3Fは、材料12を装填した支持構造44を炉10のプロセス室20内へ送り込むことを示しており、その場合に以下で述べる構成部分と構成部品には、それらが図3Aから3Fに示されている限りにおいて、参照符号が設けられている。そこでは見やすくするために、図1に示す構成部分と構成部品のすべては示されていない。以下において、個々のシーケンス又はプロセスについて、個々のシーケンスもしくはプロセスが、秒(sec)で示すどのような期間を大体において必要とするかが、示されている。これらの期間は単なる例であって、個々のシーケンスと個々のプロセスが時間的にどのように関連するかを補助的に図示するものである。しかし、それぞれ必要とされる期間は、実際においてはそれとは異なることがあり、具体的な構造特徴、特に移送技術と循環システム78及びそれによって移動される体積に依存している。
【0064】
図3Aに示す初期状況において、ロック入口64に設けられたロック入口ゲート72は開放されており、ロック出口66に、もしくはプロセス室20の入口22に設けられたロック出口ゲート76は閉鎖されている;ロック室62内では、周囲雰囲気が支配している。入口ロック26のリフト装置120の移送構造122は、入口レベル118にあって、収容領域96内では支持構造44Aがそれぞれの移送路32の延長上で、それぞれ載置床34上に位置決めされており、これについては上で説明されており、かつ図2において認識される。
【0065】
図3Bに示されるように、入口コンベア106が作動されて、支持構造44Aが約5秒以内に収容領域96からロック入口64を通ってロック室62内へ移動され、そしてそこで移送構造122上へ移動される。具体的に示される実施例において、入口送りパンチ110が約2秒以内に再びその初期位置へ戻される。
【0066】
ロック入口ゲート72が、約3秒以内に閉鎖され、それを図3Cが示している。循環システム78が次のように、すなわち周囲雰囲気がロック室62から排除されて、プロセス室雰囲気54により、あるいは源94からの補助雰囲気に代えられるように、駆動される。このプロセスは、ここに図示される大きさ比率において、約120秒続く。ロック室の寸法設計が異なる場合には、このプロセスの長さは、それに応じて変化する。
【0067】
好ましくは同時に、あるいは場合によってはその後で、リフト装置120が操作されるので、材料12又は材料12を装填した支持構造44Aが入口レベル118から移送レベル116へ移動される;図3Dを参照。ここではそのために、移送構造122が約10秒以内に下降される。
【0068】
図3Eが示すように、移送構造122が移送レベル116へ達し、ロック出口ゲート76が約3秒以内開放されて、材料12又は材料12を装填した支持構造44が移送システム28によってロック室62から入口22を通ってプロセス室20内へ移送される。その場合にすでにプロセスシステム20内にある支持構造44が、前述の通り、それぞれ1つの場所に送られる。
【0069】
そのためにまず、支持構造44Aを有する載置床34への、駆動装置36の送りパンチ38の、約2秒続く初期移動が行われ、それに続いて、支持構造44Aがプロセス室20内にある支持構造44へ達するまで、約19秒続く迅速な送りが行われ、それに続いて約70秒続く低速の送り運動が行われる。
【0070】
同時に、かつ場合によっては、収容領域96に接近できる瞬間からすでに、支持構造44Bがロック入口64の前に位置決めされる。
【0071】
支持構造44Aが完全にプロセス室20内へ移送された後に、送りパンチ38が約17秒以内に戻され、ロック出口ゲート76が約3秒以内に閉鎖されて、循環システム78が次のように、すなわち雰囲気がロック室62からプロセス室20内へ移送されるように、制御される。代替的に、ロック室62内の雰囲気が許容する場合には、この交換はロック入口ゲート72を約10秒以内開放することによって実施することができる。リフト装置120の移送構造122が再び移送レベル116から入口レベル118へ移動されて、ここではそのために約10秒持ち上げられる。これを、図3Fが示している。これは、ロック室62内の雰囲気の交換に関して、同時又は後に行うことができる。
【0072】
移送構造122が再び入口レベル118上にある場合に、図3Aに示す状況に再び戻され、それ以降のロックプロセスを実施することができる。
【0073】
全体として、この種のロックプロセスのために、約256秒が必要である。
【0074】
図4と5は、第2の実施例として装置10’を示しており、その装置は以下において炉10’と称される。機能的に互いに相当する構成部品は、図1から3に示す炉10の実施例におけるのと同じ参照符号を有している。プロセス室20の出口24は示されていない。
【0075】
炉10とは異なり、ロック入口64とロック出口66もしくはそれと空間的に一致する、プロセス室20の入口22は、炉10’の場合には移送方向30に対向していない。ロック入口64とロック出口66は、材料12又は材料12を装填した支持構造44が異なる方向に通過できるように、配置されている。
【0076】
ロック室62は、ロック出口66の上方に配置されており、言い換えると、ロック出口66はロック室62の底に配置されている。ロック出口ゲート76は、その閉鎖位置において水平の平面内に延びている。したがって材料12又は材料12を装填した支持構造44が送り込まれる場合に、これらは移送方向30にロック入口64のみを通過する;材料12又は材料12を装填した支持構造44は、移送方向30とは異なる方向にロック出口66を通過する。これは、この実施例において垂直の方向である。
【0077】
したがってここでも、移送レベル116は、入口レベル118よりも低い、
【0078】
それとして図示されない変形例において、ロック室62はロック出口66の下方に配置することができ、それによって移送レベル116は入口レベル118よりも高くなる。それとして図示されない他の変形例において、ロック室62は代替的又は補足的に、ロック入口64の下方又は上方に配置することができる。これらの場合において、入口レベル118として、ロック入口64のレベルが参照として利用される。
【0079】
炉10’の場合には、ギアロッド40は入口ロック26の壁を通って延びておらず、符号132で示すプロセス室20の前壁を通ってプロセス室20から外部の駆動モータ42へ延びており、その駆動モータは炉10’の外周囲に配置されている。
【0080】
リフト装置120の移送構造122は、材料12又は材料12を装填した支持構造44のために、1つ又は複数の把持ユニット134を有している。この実施例において、材料12又は材料12を装填した支持構造44を収容する、各載置床34のために、別体の把持ユニット134が設けられており、それが収容床34を材料12と共に、あるいは材料12を装填した支持構造44と共に、選択的に保持し、あるいは解放することができる。
【0081】
そのために、あるいは材料12、又は載置床34を持たない材料12を装填した支持構造44のために、把持ユニット134は、たとえば保持部材136を有することができ、その保持部材は、保持位置と解放位置との間で移動可能である。保持位置において、保持部材136は次のように、すなわち材料12又は材料12を装填した支持構造44もしくは載置床34を支持することができるように、配置され、かつ方向づけされている。解放位置において保持部材136は、把持ユニット134が材料12又は材料12を装填した支持構造44を通過して移動できるように、方向づけされている。
【0082】
1つ又は複数のこの種の把持ユニット134は、ある種の懸架把持器としてリフトロッド128と結合することができ、そのリフトロッドがここでは上方へ向かって入口ロック26の天井を通って駆動ユニット130へ延びている。リフトロッド128は、ここでも伸縮部材として形成することもでき、たとえば油圧駆動ユニット130と協働する。複数のリフトロッド128を設けることもできる。
【0083】
図5Aから5Fは、炉10’のプロセス室20内への、材料12を装填した支持構造44の送り込みを示しており、その場合にここでも以下で述べる構成部分と構成部品について、それらが図5Aから5F内に示されている限りにおいて、参照符号が設けられている。そこでは見やすくするために、図4に示す構成部分と構成部品のすべては示されていない。個々のシーケンスとプロセスのために必要とされる期間は、その規模において、図3Aから3Fについて説明した期間に相当することができる。しかし、ロック室62内の雰囲気交換は、約80秒以内、したがってより迅速に行うことができる。というのは、炉10’のロック室62は、炉10のロック室62よりも小さいからである。
【0084】
図5Aに示す初期状況において、ロック入口64のロック入口ゲート72は開放されており、ロック出口66のロック出口ゲート76もしくはプロセス室50の入口22は閉鎖されており、そのプロセス室内を周囲雰囲気が支配している。入口ロック26のリフト装置120の移送構造122は、入口レベル118にある;保持部材136は、保持位置にある。収容領域96内で支持構造44Aは、それぞれの移送路32の延長上においてそれぞれ載置床34上に位置決めされており、それについてはすでに上で説明してあり、かつ図2に炉10の例において認識される。
【0085】
入口コンベア106が作動されて、支持構造44Aは約5秒以内に収容領域96からロック入口64を通してロック室62内へ、そしてそこで移送構造122上へ移動され、これが図5Bに示されている。具体的な実施例において、入口送りパンチ110は、約2秒以内にその初期位置へ戻される。
【0086】
ロック入口ゲート72は、図5Cに示すように、約3秒以内に閉鎖される。循環システム78は次のように、すなわち周囲雰囲気がロック室62から排除されて、プロセス室雰囲気54に、あるいは源94からの補助雰囲気に代わるように、駆動される;これが上述した約80秒続く。ロック室が異なるように寸法設計されている場合には、このプロセスの長さに応じて変化する。
【0087】
図5Dに示すように、ロック出口ゲート76が約3秒以内に開放され、それに続いてその後リフト装置120が操作されるので、材料12又は材料12を装填した支持構造44Aが入口レベル118から移送レベル116へ移動される。ここでは移送構造122が約10秒以内に下降されて、その場合に材料12又は材料12を装填した支持構造44がロック出口66とプロセス室20の入口22を横断する。
【0088】
したがって図1から3に示す炉10とは異なり、材料12又は材料12を装填した支持構造44は、炉10’においては、移送システム28によってプロセス室20の入口22を通して移動されず、入口ロック26のリフト装置120によって移動される。
【0089】
図5Eは、保持部材136がその解放位置へ移動され、それが約2秒を必要とし、かつ材料12又は材料12を装填した支持構造44における移送構造122が上方へ向かってロック室62内へ戻るように移動され、そのために約10秒が必要とされることを、示している。
【0090】
その後、ロック出口ゲート76が、約3秒以内で閉鎖される。
【0091】
材料12又は材料12を装填した支持構造44が移送システム28によってプロセス室20内で移送方向30へ移動され、その場合にまた、2秒の始動時間、送りパンチ38の19秒の迅速な送り、及び70秒の低速の送りが生じる。その場合に上で説明したように、すでにプロセス室20内にある支持構造44がそれぞれ1つの場所だけさらに送られる;これを図5Fが示している。その後送りパンチ38が再び約17秒以内で戻るように移動される。
【0092】
同時に、すなわちロック出口ゲート76が閉鎖された後に、循環システム78が次のように、すなわち雰囲気がロック室62からプロセス室20内へ移送されるように、駆動される。
【0093】
同様に同時に、かつ場合によっては、収容領域96が接近可能となる瞬間からすでに、そこで支持構造44Bがロック入口64の前に位置決めされる。
【0094】
その後、周囲雰囲気がロック室62内へ吹き込まれて、ロック入口ゲート72が開放される;再び図5Aに示す状況に戻され、かつそれ以降のロックプロセスを実施することができる。
【0095】
ロック出口ゲート76の閉鎖後に行われる、ロック室62内とプロセス室20内のシーケンスとプロセスは、並列に実施することができるので、炉10’においてロックプロセスは、全体として炉10の場合よりも迅速かつほぼ半分の時間で実施することができる。
【0096】
図6は、市場から知られた炉を示しており、それにおいて機能的に相当する構成部分と構成部品は、単純化するために、図1から5において設けられているのと、同一の参照符号を有している。そこではロック室62は、移送方向30に対して垂直の方向に装填される。そのために、図6が示すように、収容領域96は入口ロック26に隣接する側に、移送方向30に対して垂直の拡張をもって準備されなければならず、その拡張は、移送方向30に対して垂直の方向に設けられた移送路32の広がりに相当する。
【0097】
それに対して、炉10と10’において、図6に示す従来技術に基づく炉のために、移送方向30に対して垂直に必要とされる面積が節約される。これは、本発明によれば、入口ロック26もプロセス室20も、移送方向30に装填可能であることによって、達成される。これはまた、入口レベル118と移送レベル116が異なり、炉10の外部に配置されている、入口ロック26とプロセス室20の駆動部品が、同様に異なる高さレベルに配置することができ、相互に妨げないことによって、可能である。
【0098】
原則的に、プロセス室20は過圧システムとして作動することができるので、プロセス室20内で進行しているプロセスを妨げる可能性のある雰囲気が、外部からプロセス室20内へ達する危険がない。
【0099】
入口ロック26は、好ましい変形例において、特にバッテリ-カソード材料のか焼に関連して、金属を含まずに形成されている。というのは、雰囲気内の微量の金属でも、特に敏感に焼結プロセスを妨げるからである。そのために構成部分と構成部品は、すでに、たとえばセラミック又はプラスチックのような、金属を含まない材料からなるものとして、形成することがえきる。代替的に、入口ロック26の構成部分と構成部品は、適切な非金属の材料によってコーティングし、あるいは被覆することもできる。たとえばギアロッド40のような移動可能な構成部分は、たとえばベローズなどによって包囲することができる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図6
【国際調査報告】