(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-06
(54)【発明の名称】エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)から選択された分裂組織細胞株のフィトコンプレックス及び抽出物
(51)【国際特許分類】
A01H 6/14 20180101AFI20220530BHJP
A61K 8/9789 20170101ALI20220530BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20220530BHJP
A61K 36/28 20060101ALI20220530BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220530BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20220530BHJP
A01H 4/00 20060101ALI20220530BHJP
C12N 5/04 20060101ALI20220530BHJP
C12P 7/22 20060101ALI20220530BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20220530BHJP
【FI】
A01H6/14
A61K8/9789
A61Q19/08
A61K36/28
A61P29/00
A61P31/00
A01H4/00
C12N5/04
C12P7/22
A23L33/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560146
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(85)【翻訳文提出日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 IB2020052591
(87)【国際公開番号】W WO2020188535
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】102019000004119
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521437828
【氏名又は名称】アエスラ ビオテック ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ
【氏名又は名称原語表記】AETHERA BIOTECH S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via dell’Innovazione 1 36043 Camisano Vicentino(Vicenza),Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(74)【代理人】
【識別番号】100159916
【氏名又は名称】石川 貴之
(72)【発明者】
【氏名】スガラベッティ,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】プレッシ,ジョバンナ
(72)【発明者】
【氏名】グッツォ,フラーヴィア
【テーマコード(参考)】
2B030
4B018
4B064
4B065
4C083
4C088
【Fターム(参考)】
2B030AA02
2B030AB03
2B030AD09
2B030CB02
2B030CD05
2B030CD07
2B030CD10
2B030CD17
4B018MD08
4B018MD66
4B018ME06
4B018MF05
4B018MF06
4B018MF14
4B064AE46
4B064CA11
4B064CC03
4B064CC15
4B064CD04
4B064CD09
4B064DA01
4B064DA10
4B064DA20
4B065AA88X
4B065AA89X
4B065AC14
4B065BB16
4B065BB35
4B065BC33
4B065BC36
4B065BD02
4B065BD10
4B065BD11
4B065BD14
4B065CA18
4B065CA41
4B065CA44
4B065CA50
4C083AA111
4C083AA112
4C083AC122
4C083AC302
4C083AC582
4C083AD132
4C083AD152
4C083CC23
4C083CC38
4C083DD27
4C083EE11
4C088AB26
4C088BA06
4C088MA63
4C088NA14
4C088ZB11
4C088ZB31
(57)【要約】
本発明は、エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の植物の組織、好ましくはカルス組織から選択された分裂組織細胞株に関する。本発明はまた、細胞株の誘導体、すなわち細胞株のフィトコンプレックス又は抽出物にも関する。分裂組織細胞株は、高いポリフェノール含量、とりわけ高いチコリ酸含量を特徴とする。さらに、本発明は、選択された分裂組織細胞株又はその誘導体の化粧品、機能性食品及び医療用途に関する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
1)エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)属の植物から得られた組織を固体培地に植えるステップ;
2)複数の細胞クローンを単離するステップ;
3)前記単離したクローンの各々を液体培地に接種するステップ;
4)各クローンについて、チコリ酸、クロロゲン酸、シナリン、カフタル酸、フェルタル酸及びそれらの混合物を含む群から選択されるポリフェノールの含量を定量するステップ;
5)0.05%w/w超、好ましくは0.5%~25%w/wの量で、チコリ酸、クロロゲン酸、シナリン、カフタル酸、フェルタル酸及びそれらの混合物を含む群から選択されるポリフェノールを含む前記細胞クローンを選択するステップ
を含むプロセスによって得られるエキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の植物に由来する分裂組織細胞株であって、
前記固体及び液体培地が、植物細胞の成長に好適な塩、スクロース、ナフチル酢酸(NAA)、インドール酢酸(IAA)及びキネチンを含有し、
前記細胞株が、前記細胞株の乾燥質量に対して、0.05%w/w超、好ましくは0.5%~25%w/wの量のポリフェノールを含み、ここで、前記ポリフェノールが、チコリ酸、クロロゲン酸、シナリン、カフタル酸、フェルタル酸及びそれらの混合物からなる群から選択される分裂組織細胞株。
【請求項2】
前記固体及び液体培地が、各々、15~50g/L、好ましくは18~45g/Lの濃度のスクロース、0.1~2.5mg/L、好ましくは0.5~2mg/Lの濃度のNAA、0.1~2.5mg/L、好ましくは0.3~1mg/Lの濃度のインドール酢酸(IAA)、及び0.1~2mg/L、好ましくは0.2~1mg/Lの濃度のキネチンを含有する、請求項1に記載の分裂組織細胞株。
【請求項3】
前記液体培地が、以下:25~50g/L、好ましくは30~45g/Lの濃度のスクロース、0.1~2mg/L、好ましくは0.5~1.5mg/Lの濃度のナフチレン酢酸(NAA)、0.1~2mg/L、好ましくは0.5~1.5mg/Lの濃度のインドール酢酸(IAA)、及び0.2~1mg/L、好ましくは0.3~0.8mg/Lの濃度のキネチンを含有する、請求項1又は2に記載の分裂組織細胞株。
【請求項4】
前記固体培地が、以下:10~30g/L、好ましくは15~25g/Lの濃度のスクロース、0.1~2mg/L、好ましくは0.5~1.5mg/Lの濃度のナフチレン酢酸(NAA)、0.1~2mg/L、好ましくは0.5~1.5mg/Lの濃度のインドール酢酸(IAA)、及び0.2~1mg/L、好ましくは0.3~0.8mg/Lの濃度のキネチンを含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の分裂組織細胞株。
【請求項5】
前記植物細胞の成長に好適な塩が、以下:CaCl
2、KNO
3、MgSO
4、NaH
2PO
4、(NH
4)
2SO
4及びそれらの組合せから選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の分裂組織細胞株。
【請求項6】
前記植物細胞の成長に好適な塩が、以下:CoCl
2・6H
2O、CuSO
4・5H
2O、NaEDTA・2H
2O、FeSO
4・7H
2O、H
3BO
3、Kl、MnSO
4・H
2O、Na
2MoO
4・2H
2O、ZnSO
4・7H
2O及びそれらの組合せから選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の分裂組織細胞株。
【請求項7】
前記固体及び液体培地が、好ましくは各々、120~170mg/L、好ましくは130~160mg/Lの濃度のCaCl
2;800~3000mg/L、好ましくは1000~2600mg/Lの濃度のKNO
3;220~270mg/L、好ましくは230~260mg/Lの濃度のMgSO
4、100~180mg/L、好ましくは110~150mg/Lの濃度のNaH
2PO
4;及び100~180mg/L、好ましくは110~150mg/Lの濃度の(NH
4)
2SO
4を含有する、請求項5に記載の分裂組織細胞株。
【請求項8】
前記固体及び液体培地が、好ましくは各々、0.01~0.05mg/L、好ましくは0.015~0.03mg/Lの濃度のCoCl
2・6H
2O;0.01~0.05mg/L、好ましくは0.015~0.03mg/Lの濃度のCuSO
4・5H
2O;20~60mg/L、好ましくは30~45mg/Lの濃度のNaEDTA・2H
2O;15~45mg/L、好ましくは20~35mg/Lの濃度のFeSO
4・7H
2O;1~7mg/L、好ましくは2~5mg/Lの濃度のH
3BO
3;0.1~2mg/L、好ましくは0.4~1mg/Lの濃度のKl;5~20mg/L、好ましくは7~15mg/Lの濃度のMnSO
4・H
2O;0.1~0.5mg/L、好ましくは0.15~0.3mg/Lの濃度のNa
2MoO
4・2H
2O、及び0.5~5mg/L、好ましくは1~3mg/Lの濃度のZnSO
4・7H
2Oを含有する、請求項6に記載の分裂組織細胞株。
【請求項9】
前記固体及び液体培地の双方が、好ましくは以下:ミオイノシトール、ニコチン酸、ピリドキシン-HCl、チアミン-HCl及びそれらの組合せから選択される、植物細胞の成長に好適なビタミンを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の分裂組織細胞株。
【請求項10】
ミオイノシトールが、70~130mg、好ましくは90~110mgの濃度で存在し;ピリドキシン-HClが、70~130mg、好ましくは90~110mgの濃度で存在し;チアミン-HClが、5~20mg/L、好ましくは7~15mg/Lの濃度で存在する、請求項9に記載の分裂組織細胞株。
【請求項11】
前記ポリフェノールが、少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%、より好ましくは少なくとも45%、さらに好ましくは38%~50%のチコリ酸を含有する、請求項1~10のいずれか1項に記載の分裂組織細胞株。
【請求項12】
30~70%w/w、好ましくは40~65%w/wの量の多糖を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の分裂組織細胞株。
【請求項13】
5~40%w/w、好ましくは10~30%w/wの量のタンパク質を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の分裂組織細胞株。
【請求項14】
3~30%w/w、好ましくは5~10%w/wの量の脂質を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の分裂組織細胞株。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の分裂組織細胞株のフィトコンプレックス又は抽出物。
【請求項16】
乾燥若しくは凍結乾燥された細胞、又は細胞ホモジネート、又は細胞壁及びそれらの構成要素、好ましくは、前記分裂組織細胞株のホモジネートである、請求項15に記載のフィトコンプレックス。
【請求項17】
前記細胞株の乾燥質量に対して0.5%w/w超、好ましくは0.5%~25%w/wの量のポリフェノールを含む細胞ホモジネートであり、ここで、前記ポリフェノールが、チコリ酸、クロロゲン酸、シナリン、カフタル酸、フェルタル酸及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項15又は16に記載のフィトコンプレックス。
【請求項18】
請求項1~14のいずれか1項に記載の分裂組織細胞株及び/又は請求項15~17のいずれか1項に記載のフィトコンプレックス及び/又は抽出物を含む組成物。
【請求項19】
総組成物に対して、0.01重量%~1重量%、好ましくは0.03重量%~0.5重量%、より好ましくは0.05重量%~0.2重量%の濃度の前記分裂組織細胞株及び/又は前記フィトコンプレックス及び/又は抽出物を含む、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記フィトコンプレックスが、0.05~0.2%の濃度のホモジネートである、請求項18又は19に記載の組成物。
【請求項21】
クリーム、ゲルクリーム、ゲル、セラム、オイル、エマルジョン、エマルジョンゲル(エマルゲル)、軟膏、点眼薬、マウスウォッシュ、スプレー、好ましくは鼻腔用スプレー、スティック、丸薬、カプセル、錠剤、粒状粉、ハードシェルカプセル、口腔内崩壊顆粒、サシェ、ロゼンジ、又はリポソームとして製剤化される、請求項18~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
その抗酸化活性により、化粧品として、好ましくは皮膚の老化の徴候及び/又は皮膚中のフリーラジカル増加の予防若しくは軽減若しくは対処、或いはしわの予防又は軽減を目的とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の分裂組織細胞株、請求項15~17のいずれか1項に記載のフィトコンプレックス及び/若しくは抽出物、並びに/又は請求項18~21のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項23】
炎症若しくは上気道感染症の治療及び/又は予防に使用するための、請求項1~14のいずれか1項に記載の分裂組織細胞株、請求項15~17のいずれか1項に記載のフィトコンプレックス及び/若しくは抽出物、並びに/又は請求項18~21のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項24】
機能性食品としての、請求項1~14のいずれか1項に記載の分裂組織細胞株、請求項15~17のいずれか1項に記載のフィトコンプレックス及び/若しくは抽出物、並びに/又は請求項18~21のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項25】
エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の植物の植物分裂組織細胞の調製及び選択のためのプロセスであって、前記細胞が、0.05%w/w超、好ましくは0.5%~25%w/wの含量で、チコリ酸、クロロゲン酸、シナリン、カフタル酸、フェルタル酸及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリフェノールを含み、前記プロセスは、以下:
1)エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)属の植物から得られた組織を固体培地に植えるステップ;
2)複数の細胞クローンを単離するステップ;
3)前記単離したクローンの各々を液体培地に接種するステップ;
4)各クローンについて、チコリ酸、クロロゲン酸、シナリン、カフタル酸、フェルタル酸及びそれらの混合物を含む群から選択されるポリフェノールの含量を定量するステップ;
5)0.05%w/w超、好ましくは0.5%~25%w/wの量で、チコリ酸、クロロゲン酸、シナリン、カフタル酸、フェルタル酸及びそれらの混合物を含む群から選択されるポリフェノールを含む前記細胞クローンを選択するステップ
を含み、
ここで、前記固体及び液体培地が、植物細胞の成長に好適な塩、スクロース、ナフチル酢酸(NAA)、インドール酢酸(IAA)及びキネチンを含有するプロセス。
【請求項26】
前記固体及び液体培地の双方が、好ましくは以下:ミオイノシトール、ニコチン酸、ピリドキシン-HCl、チアミン-HCl及びそれらの組合せから選択される、植物細胞の成長に好適なビタミンを含む、請求項25に記載のプロセス。
【請求項27】
前記植物細胞の成長に好適な塩、ビタミン、スクロース、NAA、IAA及びキネチンを含有する液体増殖培地中で前記株を増殖させた後、前記植物細胞の成長に好適な塩、ビタミン、スクロース、NAA、IAA及びキネチンを含有する最終液体培地に前記細胞を移すことによる、前記分裂組織細胞株の増殖相を含む、請求項25又は26に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高いポリフェノール含量を特徴とするエキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の植物に由来する選択された分裂組織細胞株、並びに前記分裂組織細胞株又はその誘導体の化粧品、機能性食品及び医療用途に関する。
【背景技術】
【0002】
エキナセア(Echinacea)属の植物は、とりわけ、その周知の免疫刺激活性のために、広く使用されている。
【0003】
ポリフェノール、特に、チコリ酸、クロロゲン酸、シナリン及びカフタル酸は、エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の典型的な成分である。前記化合物は、フリーラジカルの生成及び脂質過酸化を阻害することができる(Georgieva S.et al.,2014,J.Exp.Integr.Med.)。エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)のチコリ酸の含量及び他のポリフェノール成分は、制御することが難しい複数の要因:季節、植物齢、栽培地域及び製品の調製に用いられる組織に関係する高い変動性を伴う。
【0004】
さらに、エキナセア(Echinacea)の栽培に関係する多くの問題:真菌感染、種子休眠、低い発芽度、長い成熟時間及び抽出物標準化の難しさも存在する。
【0005】
上記の理由から、今日市場で入手可能なE.プルプレア(E.purpurea)を基材とする製品は、往々にして汚染されているか、又は多くの場合、明記されていない別の植物種で代用されている。
【0006】
標準化された植物誘導体(即ち、再現可能な含量の代謝物を含む)の調製は、多くの問題:異なる植物組織中での代謝物の含量の変動、季節による変動、植物寄生体による汚染、栽培地域に関係する相違、並びに収穫、貯蔵及び抽出中の分子の生物活性の喪失を引き起こす。抽出によって、植物又はその部分から直接得られる植物調製物の植物成分の含量の極端な変動は、その有効性にマイナスの影響を与える。
【0007】
汚染物質のない標準化植物フィトコンプレックスを工業的量で取得するための別の方法は、インビトロ細胞培養物を使用するものである。この技術は、標準化された様式で再現することが可能な含量の活性物質を含む調製物を提供することから、植物抽出物の変動に関係する問題を解決することを可能にする。本発明は、この技術基盤に関連するものであり、標準化され、再現可能な含量の活性物質を含むフィトコンプレックスを取得することができる、選択された分裂組織細胞株を提供する。
【0008】
欧州特許第2319914号明細書は、高い含量のコーヒー酸を有する、エキナセア(Echinacea)属、好ましくはエキナセア・アングスティフォリア(Echinacea angustifolia)の植物由来の分裂組織細胞の調製を記載している。
【0009】
本発明は、コーヒー酸以外のポリフェノールを高い含量で含む、エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)種に属する植物からの選択された分裂組織細胞株及びその誘導体を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)種に属する植物由来の選択された分裂組織細胞株、好ましくは植物自体から得られるカルス組織由来の細胞株に関する。
【0011】
本発明の第2の態様は、選択された分裂組織細胞株の誘導体、即ち、細胞株のフィトコンプレックス又は抽出物に関する。
【0012】
選択された分裂組織細胞株及びその誘導体は、チコリ酸、クロロゲン酸、シナリン、カフタル酸、フェルタル酸及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリフェノールの高い含量を特徴とする。
【0013】
本発明の第3の態様は、化粧品及び/又は医薬品の観点から許容される賦形剤と混合して、選択された分裂組織細胞株又はその誘導体を含む組成物に関する。
【0014】
本出願人は、選択された細胞株又はその誘導体が、コラーゲンIII及びIVの遺伝子の発現の誘導に活性であり、iNOS(誘導性一酸化窒素シンターゼ)、COX-2(シクロオキシゲナーゼ2)、IL-1β(インターロイキン1β)及びTNFα(腫瘍壊死因子α)の発現の阻害によって媒介される顕著な抗炎症活性、並びにROS(活性酸素種)の阻害、MDA(マロンジアルデヒド)の及びNO2-の放出の阻害によって媒介される抗酸化活性を有することを実証している。
【0015】
本発明の別の態様は、コーヒー酸以外のポリフェノールを高い含量で含む、エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の植物分裂組織細胞の調製及び選択のためのプロセスに関する。
【0016】
以下に本発明を詳述し、例として添付の図を参照にしながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】固体培地中に維持される、細胞株(Ep-2Pと称する)を明視野光学顕微鏡で撮影した写真を示す。
【
図3】二酢酸フルオレセインで染色後の
図1の一部の拡大(200×)を示す。
【
図4A-B】(A)選択されたクローンEp-2及び(B)選択プロセス前の分裂組織細胞についてダイオードアレイ検出器により330nmで得られたUV/VISクロマトグラムを示す。
【
図5】EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスの各成分について、正及び負イオン化モードのクロマトグラフプロフィールで得られたメインピークの同定を示す。
【
図6】負イオン化モードで得られたEchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスのクロマトグラムを3次元で示す。
【
図7】EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスによる処理から72時間後の微小組織におけるコラーゲンIII及びIVの遺伝子の発現を示す。データは、未処理の対照の値を1と設定し、未処理の対照と比較した増加倍数として表される。
【
図8】抗コラーゲンIII抗体で処理され、且つDAPIで染色された微小組織の低温切片:A:陰性対照;A’:Aに示される部分の拡大画像;B:アリスチンで処理された微小組織(陽性対照);B’:Bに示される部分の拡大画像;C:0.03%のEchiPure-PC(登録商標)を含有する組成物で処理された微小組織;C’:Cに示される部分の拡大画像を示す。
【
図10A-C】LPS及び0.5mg/mLの濃度のEchiPure-PC(登録商標)による処理後のIkB-α(A)、i-NOS(B)及びCOX-2(C)の評価のためのウエスタンブロット分析及び関連定量を示す。
【
図11A-B】細胞溶解物の上清に対して実施されたELISA試験の結果を示す。
【
図12】ヒトケラチノサイト中のROSの生成に対するEchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスの効果を示す。
【
図13A-B】マクロファージ細胞モデルの上清(A)及び細胞溶解物(B)中の亜硝酸塩及びMDAのレベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
定義
本発明に関連して、「分裂組織系列」又は「分裂組織細胞」とは、新しい細胞を生み出すように有糸分裂により分裂する能力を維持することができる植物系列又は細胞を意味する。全ての分裂組織細胞は、別の分裂組織細胞に由来する。分裂組織細胞の機能は、動物の幹細胞の機能と同等である。
【0019】
本発明に関連して、「カルス組織」とは、薄い細胞壁と、二次代謝産物が蓄積した大きな液胞を備える未分化細胞又はほとんど特殊化していない細胞の無秩序な塊を指す。
【0020】
本発明に関連して、別に記載のない限り、「w/w」は、細胞株の乾燥質量に関する重量/重量の量を意味する。
【0021】
本発明の第1態様は、エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)種に属する植物由来の分裂組織細胞株に関する。
【0022】
一実施形態では、前記分裂組織細胞株は、以下:
1)エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)属の植物から得られた組織を固体培地に植えるステップ;
2)複数の細胞クローンを単離するステップ;
3)単離したクローンの各々を液体培地に接種するステップ;
4)各クローンについて、チコリ酸、クロロゲン酸、シナリン、カフタル酸及びフェルタル酸からなる群から選択されるポリフェノールの含量を定量するステップ;
5)0.05%w/w超、好ましくは0.5%~25%w/wの量のチコリ酸、クロロゲン酸、シナリン、カフタル酸、フェルタル酸及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリフェノールを含む細胞クローンを選択するステップ。
【0023】
ステップ1)では、エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)属の植物から得られた組織を固体培地中に配置して、未分化カルス組織を取得する。エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の組織は、好ましくはエキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の少なくとも1つのシュート又はエキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の複数のシュートである。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、固体及び液体培地は、植物細胞の成長に好適な塩、スクロース、ナフチル酢酸(NAA)、インドール酢酸(IAA)及びキネチンを含む。
【0025】
固体培地は、さらに寒天を含むが、液体培地は、寒天を含有しない。
【0026】
固体及び液体培地は、各々、15~50g/L、好ましくは18~45g/Lの濃度のスクロース、0.1~2.5mg/L、好ましくは0.5~2mg/Lの濃度のナフチル酢酸(NAA)、0.1~2.5mg/L、好ましくは0.3~1mg/Lの濃度のインドール酢酸(IAA)、及び0.1~2mg/L、好ましくは0.2~1mg/Lの濃度のキネチンを含有する。
【0027】
好ましい実施形態では、固体培地は、以下:10~30g/L、好ましくは15~25g/Lの濃度のスクロース、0.1~2mg/L、好ましくは0.5~1.5mg/Lの濃度のナフタレン酢酸(NAA)、0.1~2mg/L、好ましくは0.5~1.5mg/Lの濃度のインドール酢酸(IAA)、及び0.2~1mg/L、好ましくは0.3~0.8mg/Lの濃度のキネチンを含有する。
【0028】
好ましい実施形態では、液体培地は、以下:25~50g/L、好ましくは30~45g/Lの濃度のスクロース、0.1~2mg/L、好ましくは0.5~1.5mg/Lの濃度のナフタレン酢酸(NAA)、0.1~2mg/L、好ましくは0.5~1.5mg/Lの濃度のインドール酢酸(IAA)、及び0.2~1mg/L、好ましくは0.3~0.8mg/Lの濃度のキネチンを含有する。
【0029】
固体及び液体培地の双方で、植物細胞の成長に好適な塩は、以下:CaCl2、KNO3、MgSO4、NaH2PO4、(NH4)2SO4及びそれらの組合せから選択される。
【0030】
固体及び液体培地の双方で、植物細胞の成長に好適な塩は、好ましくは以下:CoCl2・6H2O、CuSO4・5H2O、NaEDTA・2H2O、FeSO4・7H2O、H3BO3、Kl、MnSO4・H2O、Na2MoO4・2H2O、ZnSO4・7H2O及びそれらの組合せから選択される。
【0031】
固体及び液体培地のいずれも、好ましくは以下:ミオイノシトール、ニコチン酸、ピリドキシン-HCl、チアミン-HCl及びそれらの組合せから選択される、植物細胞の成長に好適なビタミンをさらに含む。
【0032】
一実施形態では、固体及び液体培地の双方で、植物細胞の成長に好適な塩は、以下:CaCl2、KNO3、MgSO4、NaH2PO4、(NH4)2SO4、CoCl2・6H2O、CuSO4・5H2O、NaEDTA・2H2O、FeSO4・7H2O H3BO3、Kl、MnSO4・H2O、Na2MoO4・2H2O、ZnSO4・7H2O及びそれらの組合せから選択される。この化合物の組合せは、ガンボーグ(Gamborg)B5培地である。
【0033】
一実施形態では、固体及び液体培地のいずれも、上に挙げた塩に加えて、以下:ミオイノシトール、ニコチン酸、ピリドキシン-HCl、チアミン-HCl及びそれらの組合せから選択される、植物細胞の成長に好適なビタミンをさらに含む。
【0034】
固体及び液体培地は、好ましくは各々、120~170mg/L、好ましくは130~160mg/Lの濃度のCaCl2;800~3000mg/L、好ましくは1000~2600mg/Lの濃度のKNO3;220~270mg/L、好ましくは230~260mg/Lの濃度のMgSO4、100~180mg/L、好ましくは110~150mg/Lの濃度のNaH2PO4;及び100~180mg/L、好ましくは110~150mg/Lの濃度の(NH4)2SO4を含有する。
【0035】
固体及び液体培地は、好ましくは各々、0.01~0.05mg/L、好ましくは0.015~0.03mg/Lの濃度のCoCl2・6H2O;0.01~0.05mg/L、好ましくは0.015~0.03mg/Lの濃度のCuSO4・5H2O;20~60mg/L、好ましくは30~45mg/Lの濃度のNaEDTA・2H2O;15~45mg/L、好ましくは20~35mg/Lの濃度のFeSO4・7H2O;1~7mg/L、好ましくは2~5mg/Lの濃度のH3BO3;0.1~2mg/L、好ましくは0.4~1mg/Lの濃度のKl;5~20mg/L、好ましくは7~15mg/Lの濃度のMnSO4・H2O;0.1~0.5mg/L、好ましくは0.15~0.3mg/Lの濃度のNa2MoO4・2H2O、及び0.5~5mg/L、好ましくは1~3mg/Lの濃度のZnSO4・7H2Oを含有する。
【0036】
固体及び液体培地の双方は、好ましくは各々、70~130mg、好ましくは90~110mgの濃度のミオイノシトール;70~130mg、好ましくは90~110mgの濃度のピリドキシン-HCl;及び5~20mg/L、好ましくは7~15mg/Lの濃度のチアミン-HClを含有する。
【0037】
ステップ1)の後、カルス組織を好ましくは複数の部分に分割し、これらを、固体培地に連続的に移すことにより安定化させて(ステップ1a)、安定化した細胞を取得する。このステップは、安定化ステップと呼ばれる。
【0038】
安定化ステップ1a)の後、安定化細胞の部分は、好ましくは、最初の「クローン選択」を経る。クローン選択は、適切な期間、好ましくは5~20日の培養、より好ましくは10~15日の期間にわたって安定化細胞を培養するものである(ステップ1b)。これらの細胞を15℃~35℃、好ましくは24℃~26℃の温度の暗所でインキュベートする。
【0039】
ステップ2)では、固体培地から安定化細胞の凝集体を取り出すことにより、複数の細胞クローンを単離する。
【0040】
ステップ3)では、細胞クローンを各々、前述した液体培地中に接種する。
【0041】
一実施形態によれば、ステップ4)において、細胞クローンの適切な増殖を達成するような時間、好ましくは10~15日の増殖相の後、各クローンのポリフェノール含量を定量する。
【0042】
細胞クローンの選択のステップ5)において、0.5%w/w超、好ましくは0.5%~25%w/wの量のチコリ酸、クロロゲン酸、シナリン、カフタル酸、フェルタル酸及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリフェノールを含むエキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の植物細胞株を取得するまで、ステップ1b)に従う2回目のクローン選択を実施するのが好ましい。
【0043】
前述したプロセスで選択した分裂組織細胞株は、より好ましくは、3~15%w/w、さらに好ましくは3.5~10%w/wの量の、上に挙げたポリフェノールを含む。
【0044】
前記ポリフェノールの混合物は、好ましくはチコリ酸、好ましくはチコリ酸とシナリン、さらに好ましくはチコリ酸、シナリン及びクロロゲン酸、より好ましくはチコリ酸、シナリン、クロロゲン酸、カフタル酸及びフェルタル酸を含む。
【0045】
好ましい実施形態では、前記ポリフェノールは、少なくとも40%、少なくとも35%又は少なくとも30%w/w、好ましくは38%~50%w/wのチコリ酸を含有する。
【0046】
前記選択された細胞株は、好ましくは、3.5~10%w/wの量のポリフェノールを含み、ポリフェノールは、少なくとも40%、又は少なくとも35%又は少なくとも30%w/w、好ましくは38%~50%w/wのチコリ酸を含有する。
【0047】
本発明の選択された分裂組織細胞株はまた、30~70%w/w、好ましくは40%~65%w/wの量の多糖をさらに含む。
【0048】
本発明の選択された分裂組織細胞株は、5~40%w/w、好ましくは10~30%w/wの量のタンパク質をさらに含む。
【0049】
本発明の選択された分裂組織細胞株は、3~30%w/w、好ましくは5~10%w/wの量の脂質をさらに含む。
【0050】
好ましい実施形態では、前記選択された分裂組織細胞株は、0.5~20%のポリフェノールを含むEp-2P株であり、そのうち35~40%がチコリ酸である。
【0051】
本発明の第2の態様は、選択された分裂組織細胞株のフィトコンプレックス又は抽出物である細胞株の誘導体に関する。
【0052】
フィトコンプレックスとは、乾燥若しくは凍結乾燥された細胞、細胞ホモジネート、又は細胞壁及びそれらの構成要素を意味する。フィトコンプレックスは、好ましくは、細胞ホモジネートである。
【0053】
前記フィトコンプレックスは、フィトコンプレックスの乾燥質量に対して0.5%w/w超、好ましくは0.5%~25%w/wの量で、チコリ酸、クロロゲン酸、シナリン、カフタル酸、フェルタル酸及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリフェノールを含む。より好ましくは、フィトコンプレックスは、フィトコンプレックスの乾燥質量に対して3~15%w/w、さらに好ましくは3.5~10%w/wの量の前述したポリフェノールを含む。
【0054】
前記ポリフェノールの混合物は、好ましくは、チコリ酸、好ましくはチコリ酸とシナリン、さらに好ましくはチコリ酸、シナリン及びクロロゲン酸、より好ましくはチコリ酸、シナリン、クロロゲン酸、カフタル酸及びフェルタル酸を含む。
【0055】
好ましい実施形態では、前記ポリフェノールは、フィトコンプレックスの乾燥質量に対して、少なくとも40%、又は少なくとも35%若しくは少なくとも30%w/w、好ましくは32~40%w/wのチコリ酸を含有する。
【0056】
前記フィトコンプレックスは、好ましくは、フィトコンプレックスの乾燥質量に対して、3.5~10%w/wの量のポリフェノールを含み、前記ポリフェノールは、38~50%w/wのチコリ酸から構成される。
【0057】
フィトコンプレックスはまた、フィトコンプレックスの乾燥質量に対して、30~70%w/w、好ましくは40%~65%w/wの量の多糖をさらに含む。
【0058】
フィトコンプレックスはまた、フィトコンプレックスの乾燥質量に対して、5~40%w/w、好ましくは10~30%w/wの量のタンパク質をさらに含む。
【0059】
フィトコンプレックスはまた、フィトコンプレックスの乾燥質量に対して、3~30%w/w、好ましくは5~10%w/wの量の脂質をさらに含む。
【0060】
好ましい実施形態では、前記フィトコンプレックスは、前記選択された分裂組織細胞株Ep-2Pに由来するものであり、0.5~20%のポリフェノールを含み、そのうち35~40%がチコリ酸である。
【0061】
フィトコンプレックスは、好ましくは選択された分裂組織細胞株Ep-2Pの細胞ホモジネートである。
【0062】
抽出物は、アルコール溶媒中の、例えば、メタノール若しくはエタノール、又は様々な割合:50:50若しくは60:40若しくは70:30の水/エタノール混合物中の細胞株自体又は細胞株のフィトコンプレックスの抽出物を意味する。抽出物は、好ましくは細胞株の細胞ホモジネートの抽出物である。前記抽出物の含量は、フィトコンプレックス又はそれが得られた細胞株の含量と一致し、抽出技術によって変動し得る。
【0063】
本発明の第3の態様は、化粧品、機能性食品及び/又は薬学的観点から許容される少なくとも1つの賦形剤と結合した分裂組織細胞株並びに/又はその誘導体(フィトコンプレックス及び/若しくは抽出物)を含む組成物に関する。
【0064】
一実施形態では、組成物は、0.01%~30%w/w、好ましくは0.03%~15%w/w、より好ましくは0.05%~10%w/wの濃度で細胞株及び/又はその誘導体を含む。前記組成物は、好ましくは、細胞ホモジネートであるフィトコンプレックスを含む。
【0065】
一実施形態では、細胞株及び/又はその誘導体は、賦形剤と混合させる前に、分散させて、本発明の組成物を調製する。例として、好適な分散剤は、グリセリン、プロピレン又はブチレングリコールである。
【0066】
本発明の組成物は、薬学的及び/又は化粧品用途について許容される少なくとも1つの賦形剤を含み、それは、組成物の調製に有用であり、一般に、生物学的に安全且つ無毒性である。
【0067】
前記賦形剤は、皮膚用の少なくとも1つのコンディショニング剤、保湿剤、又は閉塞剤、界面活性剤、安定化剤、保存料又はエモリエント剤である。
【0068】
本発明の組成物は、クリーム、ゲルクリーム、ゲル、セラム、オイル、エマルジョン、エマルジョン-ゲル(エマルゲル)、軟膏、点眼薬、マウスウォッシュ、スプレー、好ましくは鼻腔用スプレー、又はスティック(リップクリームなど)として局所用途のために製剤化される。
【0069】
組成物はまた、好ましくは丸薬、カプセル、錠剤、粒状粉、ハードシェルカプセル、口腔内崩壊顆粒、サシェ又はロゼンジとして、経口投与のために製剤化され得る。
【0070】
一実施形態では、組成物は、そこに含まれる活性成分を急速に、又は投与後に遅延及び/若しくは制御様式で放出するように製剤化され、好ましくはリポソームとして製剤化される。
【0071】
本明細書に含まれる実験データは、前述した細胞株又はその誘導体が、コラーゲンIII及びIVの合成を刺激することができ、その結果、皮膚弾力及び緻密度の向上をもたらすことを示している。さらに、前記細胞株又はその誘導体は、炎症性酵素iNOS及びCOX-2並びにLPSにより刺激されるサイトカインTNFα及びIL-1βの合成の低減に関係する抗炎症活性、さらには酸化ストレス後のROSの生成の低減に関係する抗酸化活性を有することが実証されている。
【0072】
本発明の別の態様は、細胞株又はその誘導体の化粧品用途に関する。
【0073】
化粧品用途とは、皮膚老化の徴候、皮膚弾力及び緻密度の喪失並びに発赤の予防、軽減及び/又は対処、皮膚の水分補給、抗しわ活性及び抗酸化活性を意味する。
【0074】
本発明の別の態様は、身体のケア及び衛生のための細胞株又はその誘導体の使用に関し;この場合、細胞株又はその誘導体は、好適な賦形剤と一緒に、バスフォーム、シャワージェル、セッケン、シャンプー若しくはヘアコンディショナーとして製剤化される。
【0075】
本発明の別の態様は、薬剤又は栄養補助食品として使用するための、特に、上気道を侵す炎症及び感染症の治療又は予防のための細胞株又はその誘導体に関する。
【0076】
本発明の別の態様は、エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)属に属する植物の植物分裂組織細胞の調製及び選択のためのプロセスに関し、これは、以下:
1)エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)属の植物から得られた組織を固体培地に植えるステップ;
2)複数の細胞クローンを単離するステップ;
3)単離したクローンの各々を液体培地に接種するステップ;
4)各クローンについて、チコリ酸、クロロゲン酸、シナリン、カフタル酸及びフェルタル酸を含む群から選択されるポリフェノールの含量を定量するステップ;
5)0.05%w/w超、好ましくは0.5%~25%w/wの量で、チコリ酸、クロロゲン酸、シナリン、カフタル酸、フェルタル酸及びそれらの混合物からなる群から選択されるポリフェノールを含む細胞クローンを選択するステップ
を含む。
【0077】
一実施形態では、分裂組織細胞株の調製は、エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の植物からの組織、好ましくはシュートを収集するステップ、それを、例えば水で洗浄するステップ、それを小片に細断するステップ、並びに例えば、エタノール、次亜塩素酸ナトリウム及び水銀塩での連続的処理によりそれをプレート上で滅菌するステップを含む。
【0078】
ステップ1)では、収集した組織を固体培地中に配置して、未分化カルス組織を取得する。
【0079】
本発明の好ましい実施形態では、固体及び液体培地は、植物細胞の成長に好適な塩、スクロース、ナフチル酢酸(NAA)、インドール酢酸(IAA)及びキネチンを含む。
【0080】
固体培地は、さらに寒天を含むが、液体培地は、寒天を含有しない。
【0081】
固体及び液体培地は、好ましくは各々、15~50g/L、より好ましくは18~45g/Lの濃度のスクロース、0.1~2.5mg/L、より好ましくは0.5~2mg/Lの濃度のナフチル酢酸(NAA)、0.1~2.5mg/L、より好ましくは0.3~1mg/Lの濃度のインドール酢酸(IAA)、及び0.1mg/L~2mg/L、より好ましくは0.2mg/L~1mg/Lの濃度のキネチンを含有する。
【0082】
好ましい実施形態では、固体培地は、以下:10~30g/L、好ましくは15~25g/Lの濃度のスクロース、0.1~2mg/L、好ましくは0.5~1.5mg/Lの濃度のナフタレン酢酸(NAA)、0.1~2mg/L、好ましくは0.5~1.5mg/Lの濃度のインドール酢酸(IAA)、及び0.2mg/L~1mg/L、好ましくは0.3mg/L~0.8mg/Lの濃度のキネチンを含有する。
【0083】
好ましい実施形態では、液体培地は、以下:25~50g/L、好ましくは30~45g/Lの濃度のスクロース、0.1~2mg/L、好ましくは0.5~1.5mg/Lの濃度のナフタレン酢酸(NAA)、0.1~2mg/L、好ましくは0.5~1.5mg/Lの濃度のインドール酢酸(IAA)、及び0.2mg/L~1mg/L、好ましくは0.3mg/L~0.8mg/Lの濃度のキネチンを含有する。
【0084】
固体及び液体培地の双方で、植物細胞の成長に好適な塩は、以下:CaCl2、KNO3、MgSO4、NaH2PO4、(NH4)2SO4及びそれらの組合せから選択される。
【0085】
固体及び液体培地の双方で、植物細胞の成長に好適な塩は、好ましくは以下:CoCl2・6H2O、CuSO4・5H2O、NaEDTA・2H2O、FeSO4・7H2O、H3BO3、Kl、MnSO4・H2O、Na2MoO4・2H2O、及びZnSO4・7H2O並びにそれらの組合せから選択される。
【0086】
固体及び液体培地のいずれも、植物細胞の成長に好適なビタミンをさらに含み、好ましくは以下:ミオイノシトール、ニコチン酸、ピリドキシン-HCl、チアミン-HCl及びそれらの組合せから選択される。
【0087】
一実施形態では、固体及び液体培地の双方で、植物細胞の成長に好適な塩は、以下:CaCl2、KNO3、MgSO4、NaH2PO4、(NH4)2SO4、CoCl2・6H2O、CuSO4・5H2O、NaEDTA・2H2O、FeSO4・7H2O H3BO3、Kl、MnSO4・H2O、Na2MoO4・2H2O、ZnSO4から選択される。この塩の組合せは、ガンボーグB5培地である。
【0088】
一実施形態では、固体及び液体培地のいずれも、上に挙げた塩に加えて、以下:ミオイノシトール、ニコチン酸、ピリドキシン-HCl、チアミン-HCl及びそれらの組合せから選択される、植物細胞の成長に好適なビタミンをさらに含む。
【0089】
固体及び液体培地は、好ましくは各々、120~170mg/L、より好ましくは130~160mg/Lの濃度のCaCl2;800~3000mg/L、より好ましくは1000~2600mg/Lの濃度のKNO3;220~270mg/L、より好ましくは230~260mg/Lの濃度のMgSO4、100~180mg/L、より好ましくは110~150mg/Lの濃度のNaH2PO4;及び100~180mg/L、より好ましくは110~150mg/Lの濃度の(NH4)2SO4を含む。
【0090】
固体及び液体培地は、好ましくは各々、0.01~0.05mg/L、好ましくは0.015~0.03mg/Lの濃度のCoCl2・6H2O;0.01~0.05mg/L、より好ましくは0.015~0.03mg/Lの濃度のCuSO4・5H2O;20~60mg/L、より好ましくは30~45mg/Lの濃度のNaEDTA・2H2O;15~45mg/L、より好ましくは20~35mg/Lの濃度のFeSO4・7H2O;1~7mg/L、より好ましくは2~5mg/Lの濃度のH3BO3;0.1~2mg/L、より好ましくは0.4~1mg/Lの濃度のKl;5~20mg/L、より好ましくは7~15mg/Lの濃度のMnSO4・H2O;0.1~0.5mg/L、より好ましくは0.15~0.3mg/Lの濃度のNa2MoO4・2H2O、及び0.5~5mg/L、より好ましくは1~3mg/Lの濃度のZnSO4・7H2Oを含有する。
【0091】
固体及び液体培地のいずれも、好ましくは各々、70~130mg、より好ましくは90~110mgの濃度のミオイノシトール;70~130mg、より好ましくは90~110mgの濃度のピリドキシン-HCl;及び5~20mg/L、好ましくは7~15mg/Lの濃度のチアミン-HClを含有する。
【0092】
ステップ1)の後、カルス組織を好ましくは複数の部分に分割し、これらを、固体培地に連続的に移すことにより安定化させて(ステップ1a)、安定化した細胞を取得する。このステップは、安定化ステップと呼ばれる。
【0093】
安定化ステップ1a)の後、安定化細胞は、好ましくは、最初の「クローン選択」を経る。クローン選択は、好適な期間、好ましくは5~20日の培養、より好ましくは10~15日の期間にわたって安定化細胞を培養するものである(ステップ1b)。これらの細胞を15℃~35℃、好ましくは24℃~26℃の温度の暗所でインキュベートする。
【0094】
ステップ2)では、固体培地から安定化細胞の凝集体を取り出すことにより、複数の細胞クローンを単離する。
【0095】
ステップ3)では、細胞クローンを各々、前述した液体培地中に接種する。
【0096】
一実施形態によれば、ステップ4)において、細胞クローンの適切な増殖を達成するような時間、好ましくは10~15日の増殖相の後、各クローンのポリフェノール含量を定量する。
【0097】
細胞クローンの選択のステップ5)において、チコリ酸、クロロゲン酸、シナリン、カフタル酸、フェルタル酸及びそれらの混合物を含む群から選択されるポリフェノールの産生が最適であるエキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の植物細胞株を取得するまで、ステップ1b)に従う2回目のクローン選択を実施するのが好ましい。
【0098】
次に、選択した細胞株を、フラスコ又はバイオリアクター又は発酵槽内で増殖させて、バイオマスの増加を達成する。バイオマスの増加は、EPと呼ばれる液体増殖培地中の最初の段階で起こる。液体増殖培地EPは、前述したガンボーグ(Gamborg)塩、上に挙げたビタミン、スクロース、NAA、及びIAAを含有する培地である。
【0099】
液体増殖培地EPは、ガンボーグ塩のうち、KNO3を1.5g/L~3.5g/L、好ましくは2g/L~3g/Lの量で含有する。スクロースは、好ましくは、15g/L~25g/Lで含まれる。NAAは、好ましくは、0.5mg/L~1.5mg/Lで含まれる。IAAは、好ましくは、0.2mg/L~1mg/Lで含まれる。キネチンは、好ましくは、0.2mg/L~1mg/Lで含まれる。
【0100】
液体培地EPで増殖させた細胞は、最終増殖相のために、ガンボーグ塩、ビタミン、スクロース、NAA、及びIAAを含有する最終培地EP-F中に移し、これによってポリフェノール含量及びバイオマスの増加を誘導する。
【0101】
最終培地EP-Fは、ガンボーグ塩のうち、KNO3を0.5g/L~2g/Lの量で含有する。スクロースは、好ましくは、30g/L~50g/Lで含まれる。NAAは、好ましくは、0.2mg/L~1mg/Lで含まれる。IAAは、好ましくは、0.2mg/L~1mg/Lで含まれ、キネチンは、好ましくは、0.2mg/L~1mg/Lで含まれる。
【0102】
好ましい実施形態によれば、EP増殖培地及び最終EP-F培地の双方で、フラスコ、バイオリアクター又は発酵槽中の細胞株の増殖は、暗所の条件下、15℃~35℃、典型的には25℃の温度で、7~30日、好ましくは14~21日にわたって実施する。
【0103】
最終EP-F培地での増殖の終わりに、細胞株を濾過した後、細胞を回収して、フィトコンプレックスの形態で次のステップで使用するか、或いはまた、後のアルコール溶媒中の抽出相にそれらを付して、高いポリフェノール含量を特徴とする細胞抽出物を生成することもできる。
【0104】
フィトコンプレックスは、生きた細胞の凍結乾燥又は乾燥によって得ることができ;この場合、フィトコンプレックスは、死滅細胞の凍結乾燥物である。
【0105】
一実施形態では、フラスコ、バイオリアクター又は発酵槽中での増殖の終わりに、細胞を、好ましくは酸性化溶液(例えば、アスコルビン酸及び/若しくはクエン酸及び/若しくは酢酸を含む)中での、例えば、機械的粉砕によりホモジナイズした後、凍結乾燥又は乾燥させる。後者の場合、フィトコンプレックスは、細胞及びその内部構造が崩壊している細胞ホモジネートである。これらの異なるタイプのフィトコンプレックスは、全てが、既述のように高いポリフェノール含量を有することを特徴とする。
【0106】
或いは、好ましくは細胞ホモジネートの形態のフィトコンプレックスは、従来の技法を用いて、アルコール溶媒(例えば、メタノール及び/若しくはエタノール及び/又は水)中での抽出に付す。こうして得られた抽出物は、上に詳述したように、高いポリフェノール含量を特徴とし、前述した通り、化粧品、機能性食品又は医薬組成物の調製のために使用することができる。
【0107】
或いはまた、精製後、生きた細胞をそのまま、本発明の組成物の調製に直接使用することができる。
【0108】
これに続く実験で得られた生物学的データにより、本明細書に記載する使用を目的とする、チコリ酸、シナリン、クロロゲン酸、カフタル酸、フェルタル酸及びそれらの混合物を含む群から選択されるポリフェノールを驚くほど高い含量で含有する前記細胞株及び/又は誘導体の有効性を確認する。
【0109】
前記選択された細胞株の誘導体の予想外の有効性も同様に実証され、この場合、前記誘導体は、活性成分の完全性を損ない得る溶媒又は他の抽出手順に細胞を曝露することなく、全細胞成分を含むホモジネート、又はフィトコンプレックスである。
【実施例】
【0110】
エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の分裂組織細胞株の作製及び選択
文献に記載されている標準的手順を用いて、カルス組織の誘導を達成した。この手順により、エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の植物からの幼組織(シュート)の収集、例えば、水道水によるそれらの洗浄、2~5cmの切片への細断、並びに例えば、順に、70%エタノール水溶液で約15秒、2%次亜塩素酸ナトリウム及び0.1%Tween 20で約5分の処理、最後に滅菌蒸留水で少なくとも4回の洗浄によるプレート上での滅菌を実施する。寒天の添加により固体にされ、抗生剤なしで、成長ホルモンを補充した栄養培地を含有するペトリ皿内に、さらに破砕した植物組織の全ての断片(外植片)を載せる。25℃の暗所で好適な期間のインキュベーション後、未分化カルス組織が形成され;次にこれを、新鮮な培地を含む、より広い表面に移した後、増殖させる。
【0111】
未分化カルス組織から得られた分裂組織細胞株は、固体培地に何回か移すこと(二次培養)によって、安定化させる。この培地は、20g/Lのスクロース、1mg/LのNAA、0.5mg/LのIAA、0.5mg/Lのキネチン並びに0.8~1%の植物用寒天を添加した(EP培地)、最終pH6.5の固体ガンボーグB5タイプ(2.5g/LのKNO3を含有)から成る。クローン選択後にこの特定の培地中で得られた細胞株は、Ep-2Pと称された。
【0112】
得られた分裂組織細胞が植物種エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)に属することをDNAフィンガープリント分析により確認した。
【0113】
細胞株Ep-2Pを増殖させて、液体培地(寒天を含まないEP培地)に細胞を移すのに十分な量のバイオマスを取得する。液体培地での増殖後、細胞懸濁液をバイオリアクターに移すことができ、これは、さらなる増殖相のための最終生産培地又はEP増殖培地を含有し得る。
【0114】
生産液体培地(ポリフェノール含量を増加するために最適化される)は、40g/Lのスクロース、1mg/LのNAA、0.5mg/LのIAA及び0.5mg/Lのキネチンを添加した、最終pH6.5のガンボーグB5(1g/LのKNO3を含む)である(EP-F培地)。
【0115】
エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の細胞株Ep-2Pの特徴を例として記載する。
【0116】
細胞株の形態的特徴
Ep-2Pと称されるエキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の選択された細胞株は、固体EP培地で維持され、白っぽい色合いが混じったベージュ色であり、脆い質感を有する(
図1~3)。
【0117】
ホモジナイゼーション手順
選択され、25℃(±2)のバイオリアクター内で14日間増殖させた細胞のバイオマスをホモジナイズする手順は、以下:
a)EP-F培地中でのEp-2P細胞培養物の増殖から得られたバイオマスの濾過により、細胞のみを取得し、培地を廃棄するステップ;
b)細胞の2倍量の食塩水(滅菌水中0.9%W/V NaCl)で細胞を洗浄するステップ;
c)濾過し、洗浄したバイオマスに、1.0%W/W(0.5~2%W/W)のクエン酸(又はアスコルビン酸若しくはクエン酸とアスコルビン酸の混合物)を添加するステップ;
d)例えば、Ultra-Turrax又は細胞及びその内部構造を破砕するのに好適な他の器具を用いて、混合物をホモジナイズするステップ;
e)凍結乾燥又は空気循環乾燥又は回転シリンダー乾燥又は流動層乾燥又は噴霧によりバイオマスを乾燥させるステップ
を含む。
【0118】
記載の手順を用いて、EchiPure-PC(登録商標)と称されるフィトコンプレックスを取得する。
EchiPure-PC(登録商標)ホモジネートの内容の明細:
40~65%の多糖
0.5~20%の総ポリフェノール(うち約38%はチコリ酸である)
10~30%のタンパク質
5~10%の脂質
2~6%の水分
2~17%の灰
5~30%のクエン酸
EP-F培地中の標準EchiPure-PC(登録商標)Aフィトコンプレックスの調製の例は、非限定的な例として提供される。
【0119】
このようにして得られたフィトコンプレックスをそのまま使用するか、又は0.5~5%w/wの範囲の濃度で好適な分散媒中に分散させる。こうして得られた懸濁液は、EchiPure CRO(登録商標)-Gと称される。
【0120】
EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスの調製及び分析
固体EP培地(20g/Lのスクロース、1mg/LのNAA、0.5mg/LのIAA、0.5mg/Lのキネチン並びに0.8%の植物用寒天を添加したガンボーグB5)中で培養されたエキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の株由来の、既述のように安定化及び選択された分裂組織細胞(Ep-2Pと称する)を、200mlの液体EP-F培地(40g/Lのスクロース、2.5g/Lではなく1g/LのKNO3、1mg/LのNAA、0.5mg/LのIAA及び0.5mg/Lのキネチンを添加した、最終pH6.5のガンボーグB5)を含有する5つの1リットル容量フラスコに接種した。液体培地に接種した分裂組織細胞の量は、6%W/Vであった。このようにして得られた懸濁液を25℃の暗所でインキュベートし、120RPMに設定したオービタルシェーカーの上に置いた。7日のインキュベーション後、5mg/Lのジャスミン酸メチルを細胞懸濁液(95%、Sigma-Aldrich,CAS Number:39924-52-2)に添加した。7日のインキュベーション後、植物バイオマス(1リットルの細胞懸濁液)を収集し、孔径50μmのナイロンメッシュで濾過し、700mlの滅菌食塩水(0.9%W/V)で洗浄した。洗浄した細胞(新鮮重量350g)に3.5gのクエン酸を添加し、Ultra-Turraxでホモジナイズした。
【0121】
ホモジナイズした細胞を凍結乾燥した。1リットルの細胞懸濁液から、以下:1.05gのポリフェノール、13gの多糖類、3.75gのタンパク質、2.2gの脂質、0.75gの灰及び3.5gのクエン酸を含有する25gの凍結乾燥物(EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックス)が得られた。
【0122】
表1は、フィトコンプレックスの特性決定を示す。
【表1】
【0123】
以下に記載する方法を用いて、フィトコンプレックスの特性決定を実施した:
a)UPLC-DADによるEchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックス中のポリフェノールの定量
EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスの100mgの粉末を計量して15mL試験管に導入し、30容量のエタノールと水60:40(V/V)を添加した。懸濁液をボルテックスミキサーで30秒混合した後、氷浴中で15分音波処理し;最後に、6℃にて15分間4000rpmで遠心分離した。遠心分離の終了時に、上清を回収した。15mLの上清を新しい試験管に移し、UPLCシステムにロードするまで、氷中で保存した。サンプルを1:10(初めに溶媒で1:5、続いて水で1:2)希釈した。希釈したサンプルを0.22μmフィルターで濾過した後、UPLCシステムにロードした。ポリフェノールの定量に用いるクロマトグラフィーシステムは、Acquity UPLC BEH C18 1.7μm VanGuard Pre-Column 3/Pk、サイズ2.1×5mmに連結された、Acquity UPLC BEH C18 1.7μmカラム、サイズ2.1×100mmである。UPLC-DAD分析に用いるプラットフォームは、PDA eλダイオードアレイ検出器に連結された、溶離液管理モジュール、Binary Solvent Manager model I Class、及びオートサンプラー、Sample Manager-FTN model I Classから構成されるUPLCシステム(Waters)を含む。Empower 3(Waters)ソフトウェアを用いて、データを取得し、解析した。使用したクロマトグラフィー法は、以下:溶媒A:水、0.1%ギ酸;溶媒B:100%アセトニトリルであった。初期条件は、99%溶媒Aであり;さらに、流量は、分析期間全体を通して、0.350ml/分で一定のままである。クロマトグラフィーカラムは、30℃に温度制御した。表2に示すように、勾配及びイソクラティック相を交互にすることにより、分子の溶離を実施した。
【表2】
【0124】
ポリフェノールの定量のために、330nmの波長に関連するクロマトグラムを使用した。ポリフェノールは、チコリ酸相当量として定量し、チコリ酸は、上記群中で最も代表的な分子である。ポリフェノールは、信頼できるチコリ酸の商業的標準の検量線(CAS 6537-80-0;純度≧95%;Sigma Aldrich)によって定量した。Empower 3ソフトウェアを用いて、データ解析を実施した。EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスのクロマトグラフプロフィールを
図4に示す。UPLC分析から、EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスが、4.2に等しい%のポリフェノール(チコリ酸相当量として表される)を含むことがわかる。フィトコンプレックス中のチコリ酸のパーセンテージは、1.6に等しかった。
b)EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスのHPLC-ESI-MS解析
EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスの粉末を、ボルテックス式ミキサーで30秒攪拌した後、氷の下、15分間40Hzの音波処理装置内で、20容量のメタノール:水90:10を用いて抽出し;4℃にて、18000gで10分の遠心分離後に抽出物を回収した。分析の前に、320nmで0.4~0.6の分光光度的吸光度を取得するように、好適な量の同じ溶媒(メタノール:水90:10)でサンプルを希釈した。サンプルを水でさらに希釈し、HPLC-ESI-MSにより分析した。
【0125】
クロマトグラフ分離を伴う質量分析法のために、ESI供給源を備える、Esquire 6000 mass spectrometer(Bruker Daltonik GmbH,Germany)と「オンライン」で連結されたHPLCシステム(Beckman Coulter System Gold 1,オートサンプラーを備える溶媒モジュール(Solvent Module))を使用した。Bruker Daltonics Esquire 5.2-EsquireControl 5.2プログラムを用いて、クロマトグラフ及び質量データを収集し、以下のパラメータを適用し、Bruker Daltonics Esquire 5.2-Data Analysis 3.2 program(Bruker Daltonik GmbH,Germany)を用いて処理した。
流量:200μl/分、25℃;注入量:10μl。
使用したカラム:7.5×2.1mmガードカラムと連結された、Alltima HP C18 3μm 150×2.1mm(Alltech Associates,Inc,Derfield,IL)。
ESI:ネブライザーガスN2,圧力50psi、温度350℃、乾燥ガス10l/分
質量取得:50~1500m/zの範囲で交流するフルスキャン;真空圧:1.4×10~5mバール。
【0126】
タンデム質量分析法の場合:フラグメンテーション振幅:1V;衝突ガス:ヘリウム。
【0127】
使用したクロマトグラフ分離法は以下の通りであった:
溶離液:
-溶液A:5%ACN及び0.5%ギ酸水溶液、溶液B:100%ACN
溶離の合計時間:42分
勾配:
-分析の開始:溶離液A100%;
-勾配1:10%の溶離液Bを2分;
-勾配2:2分時点で、20%のBを10分;
-勾配3:12分時点で、25%のBを2分;
-勾配4:14分時点で、70%のBを7分;
-イソクラティック1:70%のBで6分;
-勾配5:27分時点で、90%のBを5分;
-イソクラティック2:10分間90%のB;
-カラムの最終再平衡化:42分時点で、0%のBを1分、60分時点で分析の終了。
【0128】
Bruker Daltonics Esquire 5.2-Data Analysis 3.2ソフトウェアプログラム(Bruker Daltonik GmbH,Germany)を用いて、クロマトグラム及び質量分析に関するデータを専有のBrukerフォーマットから.netcdfフォーマットに変換した。
【0129】
MZmine-version 2.21ソフトウェア(http://mzmine.sourceforge.net/)を用いて、クロマトグラフ分析から情報を抽出した。
【0130】
図5は、エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の分裂組織細胞のEchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスのクロマトグラムを示す。
【0131】
このプロフィールは、25分の保持時間でドミナントピークを示す。このピークは、チコリ酸のそれ(商業的標準、Sigma Aldrich)と等しいm/z値及びフラグメンテーションプロフィール(MS/MS)を有する。
【0132】
図6は、負イオン化モードを用い、EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスに対して実施された分析のクロマトグラムを3次元で示す。
c)EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックス中の多糖含量の定量分析
分析は、フェノール硫酸法(Segarra et al.,1995,Am J Enol Vitic.)を改変することによって実施した。この方法は、多糖の酸加水分解を伴い、これにより単糖が放出される。単糖は、フェノールと反応して、黄色を発色し、これは、490nmで分光光度計を用いて測定することができる。得られた結果は、520mg/gのEchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスと同等の量の多糖を示し、これは、52%に相当する。
d)EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスのタンパク質含量の分析
Lynch,J M. et al.,“Kjeldahl nitrogen analysis as a reference method for protein determination in dairy products” Journal of AOAC International(1999),82(6),1389-1398に記載されている通り、Kjeldahl法を用い、EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスに対して、タンパク態窒素の総含量の測定を実施した。
【0133】
EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックス中のタンパク質含量は、15%w/wであった。
e)EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスの脂質含量の分析
Martinez M.et al.,“Soxhlet lipids extraction from cotton from different producing areas.Comparison of dichloromethane or successive dichloromethane-methanol extractions”.Grasas y Aceites(1997),48(4),226-230に記載されている方法に従って、少なくとも12時間にわたる、ジクロロメタンでのSoxhlet抽出により、全脂質画分の抽出をEchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスに対して実施した。
【0134】
EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックス中の脂質含量は、8.8%w/wに等しかった。
f)EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックス中の水分及び灰の分析
40℃のストーブに材料を12時間放置することにより、フィトコンプレックスに対して水分の測定を実施した。灰の測定は、一定重量に到達するまで、300℃のマッフル炉内で材料を処理することにより取得した。
【0135】
フィトコンプレックスの水分は、3%に等しく、灰は、3%に等しかった。
【0136】
細胞株の選択前後のポリフェノールの比較
エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の分裂組織細胞のカルスを分析して、選択前のそれらのポリフェノール含量、特にそれらのチコリ酸含量を定量した。使用した分析方法は、前述したUPLC分析であった。
図4から明らかなように、選択された株Ep-2P(A)は、初期細胞(B)のそれより39倍高い総ポリフェノール含量(チコリ酸相当量として表される)を示す。
【0137】
工業規模でのEchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスの調製
固体EP培地中で培養した、Ep-2Pと称されるエキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)の株に由来する、既述のように安定化及び選択した分裂組織細胞を、200mlの液体EP培地を含有する1リットル容量の10のフラスコに接種した。液体培地に接種した分裂組織細胞の量は、6%W/Vに等しかった。このようにして得られた懸濁液を25℃の暗所でインキュベートし、120RPMに設定したオービタルシェーカーの上に載せた。7日のインキュベーション後、細胞懸濁液を用いて、800mlの液体EP培地を含有する3リットル容量の10のフラスコに接種した。200mlの細胞懸濁液を、3リットル容量のフラスコに入った800mlのEP培地中に移した。こうして得られた懸濁液を25℃の暗所でインキュベートし、120RPMに設定したオービタルシェーカーの上に載せた。7日のインキュベーション後、細胞懸濁液を用いて、80リットルのEP-F培地を含有するバイオリアクターを接種した。25℃の暗所でバイオリアクターで7日増殖させた後、5mg/Lのジャスミン酸メチルを細胞懸濁液に添加した。
【0138】
さらに7日のインキュベーション後、植物バイオマス(90リットルの細胞懸濁液)を収集し、孔径50μmのナイロンメッシュで濾過し、56Lの滅菌食塩水(0.9%W/V)で洗浄した。洗浄した細胞(新鮮重量28Kg)に280gのクエン酸を添加し、Ultra-Turraxでホモジナイズした。
【0139】
ホモジナイズした細胞を乾燥させた。90リットルの細胞懸濁液から、2950gのEchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスが得られた。
生物学的試験:コラーゲンIII及びIVの遺伝子発現の増大
高齢者ドナーからのヒト線維芽細胞の微小組織を用いて、コラーゲンIII及びIVの生合成の刺激の評価を実施した。0.03%及び0.1%濃度のEchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスを用いて、アッセイをセットアップした。アッセイに用いた濃度は、消費者に使用されることになる化粧品処方中のフィトコンプレックスの最終濃度と同等である。
【0140】
0.03%及び0.1%のEchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスを微小組織と接触させて72時間放置した。皮膚微小組織は、60歳のドナーから採取した一次皮膚線維芽細胞から調製した。0.22μmフィルターで濾過した特定の培地(線維芽細胞培地(Fibroblast Culture Medium))中で72時間のインキュベーション終了時に、PCR及び組織学的分析を実施するために、微小組織を収集した。PCR分析は、キットを用いてRNAを抽出することにより実施した。抽出したRNAを用いて、cDNAを合成し、PCR技術を用いてバイオマーカ遺伝子の発現を試験した。抽出物で処理したサンプルを、未処理のものと比較することにより、遺伝子発現の変動を評価した。
図7は、コラーゲンIII及びコラーゲンIVの遺伝子発現に関する結果を示す。
【0141】
結果は、EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスが、コラーゲンIVの遺伝子発現の増大を誘導するのに対して、コラーゲンIIIの場合、効果はそれほど顕著ではないことを示している。フィトコンプレックスによる処理から72時間後に調製した微小組織の低温切片を抗コラーゲンIII抗体(Abcam)で処理し、核をDAPIで染色した。Leica DM 2500蛍光顕微鏡を用いて、シグナルを観察した。
図8では、未処理の微小組織と比較して、EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスで処理した微小組織中のコラーゲンIIIの沈着の増加が認められる。
EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスの抗炎症活性
LPSによる刺激後のJ774 A1マクロファージ細胞株を用いて、EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスの抗炎症活性の評価を実施した。使用した試験は、Paterniti et al.,Nutrients,2017に記載されている。
【0142】
LPSによる刺激後のマクロファージ細胞中のEchiPure-PC(登録商標)の保護効果を評価するために、MTT比色分析法を用いて、細胞生存率を評価した。
図9は、LPSと共に、0.5~0.1及び0.01mg/mLの濃度のEchiPure-PC(登録商標)による処理後の細胞生存率データを示す。これらの結果から、EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスが、有意な保護効果を及ぼすことがわかる。
【0143】
EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスの抗炎症活性を評価することを目標として、以下のパラメータ:IkB-α、iNOS及びCOX-2をウエスタンブロット分析により評価した。
図10に示す結果から、0.5mg/mLの濃度で、フィトコンプレックスは、酵素iNOX及びCOX-2の発現を有意に低減すると共に、IkB-αの分解を予防することがわかる。
【0144】
炎症性サイトカインTNFα及びIL-1βのレベルをELISA分析により評価した。LPSでの刺激後、炎症性サイトカインの増加を観察した。0.5mg/mLの濃度のEchiPure-PC(登録商標)による処理は、
図11のグラフによって証明される通り、これらのサイトカインのレベルを有意に低減する。
【0145】
全体として、得られた結果は、EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスが、炎症性酵素iNOS及びCOX-2並びにサイトカインTNFα及びIL-1βの調節を通して顕著な抗炎症活性を及ぼすことを実証するものである。
EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスの抗酸化活性
a)ヒトケラチノサイト中のROSの生成の評価
ジクロロジヒドロフルオレセインジアセテート(H2DCF-DA)プローブを用いて、活性酸素種(ROS)の細胞内生成を評価した;このプローブは、細胞内に内在化され、ここで、エステラーゼの存在下、脱アセチル化された後、蛍光化合物中に存在するROSにより酸化される。DCFの蛍光の強度をMultilabelPlate Reader VICTOR TM X3 2030,PerkinElmer,USA(λec=485nm;λem=535nm)で読み取ると、細胞自体に存在するROSの量と比例している。EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスの抗酸化活性を試験するために使用した実験モデルは、細胞株HaCaT、即ち、ヒトケラチノサイトの株であった。
【0146】
図12は、0.1%w/vの濃度のEchiPure-PC(登録商標)、並びにその公知の抗酸化作用を考慮して、陽性対照としてのN-アセチルシステイン(NAC)による3時間の処理に関するデータを示す。実験は、基本条件と、200μMのH
2O
2により誘導された酸化ストレスの条件の両方の下で実施した。これらのデータは、両方の条件下で、EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスが、活性酸素種を有意に低減したことを明らかにする。
b)J774-A1マクロファージにおける抗酸化活性の評価
LPSによるストレス後のJ774-A1マクロファージ細胞モデルを用いて、EchiPure-PC(登録商標)の抗酸化活性の評価を実施した。実験の一部は、1μg/mLのLPSで処理したマクロファージに対して実施し、別の部は、LPS及びEchiPure-PC(登録商標)0.5mg/mLで処理したマクロファージを用いて実施した。
【0147】
フィトコンプレックスの抗酸化活性を評価するために、培地中に放出された亜硝酸塩及びマロンジアルデヒド(MDA)のレベルを分析した。亜硝酸塩の定量は、グリース(Griess)試薬を用いて実施した。LPSで処理しなかった細胞は、非常に低いレベルの亜硝酸塩(NO
2-)を放出するのに対し、LPSで刺激すると、NO
2-のレベルは有意に増加する(
図13)。MDAは、細胞膜の脂質過酸化の産物の1つであり、酸化ストレスの程度を表す。MDAの評価は、細胞溶解後のTBARS(チオバルビツール酸反応性物質)アッセイを用いて実施した。MDAは、反応環境に添加されたチオバルビツール酸(TBA)と化学的に結合する能力を有する。酸性度及び温度の好適な条件下で、酸化基質は、分光光度法により決定することができる色素形成付加物TBA-MDA-TBAを形成する。EchiPure-PC(登録商標)による処理は、酸化ストレスに起因する脂質過酸化を有意に防止する。得られた結果から、EchiPure-PC(登録商標)は、亜硝酸塩の放出を低減すると共に、脂質過酸化を阻害することによって、抗酸化活性を及ぼすことがわかる。
【0148】
EchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスの2相及び多重エマルジョン、ゲル並びに皮膚及び毛髪洗浄系への製剤化
EchiPure-PC(登録商標)と称されるEp-2P株のホモジネートを3%w/wの濃度でグリセリンに分散させた(INCI名:グリセリン、エキナセア・プルプレア(Echinacea purpurea)カルス溶解物、クエン酸)。分散液を3%で以下に記載する処方に添加した。
【0149】
エマルジョン及びゲル製剤の場合、水相の成分を混合し、70℃に加熱する。油相の成分を混合し、75℃に加熱する。ターボ乳化機の作用下で、2つの相を合わせる。約40℃に冷却した後、穏やかに攪拌しながらグリセリン中に分散させたEchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスを添加する。
【0150】
洗浄系の場合、穏やかに攪拌しながら水と上清を混合する。70℃に加熱した後、存在すれば、75℃で油相を添加する。40℃未満で穏やかに攪拌しながらグリセリン中に分散させたEchiPure-PC(登録商標)フィトコンプレックスを添加する。
【表3】
【表4】
【表5】
【国際調査報告】