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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-06
(54)【発明の名称】ロボットシステム用の触覚知覚装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/02 20060101AFI20220530BHJP
   G01L 5/00 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
B25J19/02
G01L5/00 101Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560187
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-10-11
(86)【国際出願番号】 US2020025459
(87)【国際公開番号】W WO2020205620
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/826,816
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/826,312
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/826,834
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/832,690
(32)【優先日】2020-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521439017
【氏名又は名称】ライオス インテリジェント マシーンズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ケラリー、クリストファー・ララウ
(72)【発明者】
【氏名】スミス、クリントン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ポールソン、クリストファー・エー
(72)【発明者】
【氏名】カッセ、ベルナード・ディー
(72)【発明者】
【氏名】シャファー、マシュー・イー
【テーマコード(参考)】
2F051
3C707
【Fターム(参考)】
2F051AA10
2F051AB08
2F051BA05
2F051BA07
3C707BS11
3C707DS01
3C707ES03
3C707JS05
3C707KS31
3C707KS33
3C707KV06
3C707KW01
3C707KX08
(57)【要約】
エンドエフェクタ/グリッパからアーム型ロボットシステムの制御回路に向上した触覚情報(フィードバックデータ)を提供するための人間のような触覚知覚装置。この装置のベース構造体は、グリッパのフィンガに取り付けられ、動作可能な相互作用中に圧力センサアレイを標的物体に押し付ける平坦/平面状の支持プレートを含む。圧力センサアレイは、標的物体の表面特徴が接触しているアレイの部分を示す圧力センサデータを生成する。センサデータ処理回路は、圧力センサデータに応答して触覚情報を生成し、次に触覚情報をロボットシステムの制御回路に伝送する。任意選択のメザニンコネクタが、支持プレートの開口部を通って延び、圧力センサデータを処理回路に渡す。封入層が圧力センサアレイを覆い、滑る物体によって生成された圧力波を伝送して、触覚情報を向上する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットシステムの制御回路に触覚情報を提供するための装置であって、
前記ロボットシステムは、遠位エンドエフェクタを有するロボットアーム機構を含み、
前記制御回路は、前記エンドエフェクタが、対応する動作可能な相互作用中に標的物体に接触するように前記ロボットアーム機構を作動させるように構成され、
前記装置は、
前記エンドエフェクタへの固定接続用に構成された支持プレートを含むベース構造体であって、前記支持プレートは、上面および反対側の下面を有し、前記ベース構造体は、前記動作可能な相互作用中に、前記上面が前記標的物体に面し、前記下面が前記標的物体に背くように構成される、ベース構造体と、
前記支持プレートの前記上面に取り付けられ、各圧力センサが前記支持プレートの対応する上面領域上に配置されるように配置された複数の圧力センサを含む圧力センサアレイであって、前記各圧力センサは、前記動作可能な相互作用中に、前記標的物体によって加えられ、前記支持プレートの前記対応する上面領域に向けられる関連する量の接触力に応答して、関連する圧力データ値を生成するように構成される、圧力センサアレイと、
前記支持プレートに取り付けられ、前記複数の圧力センサによって生成された前記圧力データ値に応答して前記触覚情報を生成するように構成された処理回路と
を備える装置。
【請求項2】
前記支持プレートが、前記上面と前記反対側の下面との間に延びる少なくとも1つの貫通開口部を画定し、
前記処理回路が、前記支持プレートの前記下面に取り付けられ、
前記装置は、
前記開口部に少なくとも部分的に配置され、前記複数の圧力センサのデータ値を前記処理回路に伝送するように構成されたメザニンコネクタをさらに備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記支持プレートが、前記上面が平面であるように構成され、
前記圧力センサアレイが、第1のプリント回路基板(PCB)構造体上に配置され、
それによって、前記支持プレートの前記平面状の上面によって実質的に完全に支持される平面センサボードを形成する、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記センサボードが、
前記第1のPCB構造体に取り付けられたアナログ-デジタル変換器(ADC)回路であって、前記複数の圧力センサによって生成されたアナログ圧力センサ値を、対応するデジタル圧力センサ値に変換するように構成され、および前記デジタル圧力センサ値を、前記メザニンコネクタを介して前記処理回路に連続的に伝送するように構成された、アナログ-デジタル変換器(ADC)回路をさらに備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1のPCB構造体の上面に配置された封入層をさらに備え、
前記封入層は、前記動作可能な相互作用中に前記標的物体によって前記圧力センサアレイに加えられた前記接触力に応答して弾性変形するフレキシブル材料からなる、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記封入層が、0.5mm~10mmの範囲の厚さと、0から300ミクロンRMSの表面粗さおよび30A~70Aのデュロメータを有することによって特徴付けられる材料配合物とを有するフレキシブル材料層を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の圧力センサのそれぞれが、ひずみゲージ、容量性圧力センサ、キャビティベースの圧力センサ、圧電センサおよびピエゾ抵抗センサのうちの1つを含み、
前記複数の圧力センサが、前記第1のPCB構造体上に対称配置、非対称配置、およびランダムパターン配置のうちの1つで配置される、
請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のPCB構造体が、第1のPCB積層体および第2のPCB積層体を含み、
前記複数の圧力センサのそれぞれが、前記第1のPCB積層体および前記第2のPCB積層体の間に挟まれた圧電材料構造体を含む、
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1のPCB構造体に取り付けられた少なくとも1つの追加のセンサをさらに含み、
前記追加のセンサが、振動センサ、近接センサ、および温度センサのうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つの追加のセンサが、前記少なくとも1つの追加のセンサおよび前記複数の圧力センサが単一平面内に配置されるように、前記第1のPCB積層体上に配置される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つの追加のセンサが、前記少なくとも1つの追加のセンサおよび前記複数の圧力センサが2つ以上の平面内に配置されるように、前記第2のPCB積層体上に配置される、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記センサボードが、
前記第1のPCB構造体上に配置され、前記少なくとも1つの追加のセンサによって生成されたアナログ信号を変換するように動作可能に構成された第2のADC回路、および
前記圧力センサアレイおよび前記少なくとも1つの追加のセンサの少なくとも1つによって実行される動作を制御するように動作可能に構成されたプログラマブルデバイス、
の少なくとも1つをさらに含む、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記処理回路が、
第2のPCB構造体と、
前記第2のPCB構造体に取り付けられ、前記複数の圧力センサのデータ値および前記少なくとも1つの追加のセンサによって生成された追加のセンサ信号の両方に応答して前記触覚情報を生成するように動作可能に構成されたプログラマブルロジックデバイスと、
前記触覚情報をUSB信号線に伝送するように構成されたユニバーサルシリアルバス(USB)回路と
を含む、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ベース構造体が本質的に金属からなり、前記支持プレートの前記下面が平面であるように構成され、
前記処理回路の前記第2のPCB構造体が、前記下面と同一平面に取り付けられている、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記ベース構造体が、支持プレートの後縁に一体的に接続された取り付けフランジをさらに含み、
前記取り付けフランジは、ロボットグリッパフィンガへの前記ベース構造体の堅固な接続のために構成された取り付け穴を画定する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ベース構造体が、前記支持プレートの周縁に沿って配置された周壁をさらに含み、それにより上部および下部ポケット領域を形成し、
前記上部および下部ポケット領域は、前記センサボードおよび前記処理回路がそれぞれ前記上部および下部ポケット領域に配置されるとき、前記周壁の内面が前記第1および第2のPCB構造体の周縁を取り囲むように構成され、
前記装置は、
前記センサボードおよび前記処理回路によって占有されていない前記上部および下部ポケット領域の領域に配置されたポッティング材料をさらに備える、
請求項14に記載の装置。
【請求項17】
ロボット機構および制御回路を含むロボットシステムであって、
前記ロボット機構は、前記制御回路によって生成された制御信号に応答して標的物体に係合して操作するように構成されたエンドエフェクタを含み、
前記ロボットシステムは、前記エンドエフェクタに固定式に接続された1つまたは複数の触覚知覚装置を備え、
前記各触覚知覚装置は、
前記エンドエフェクタへの固定接続用に構成された支持プレートを含むベース構造体であって、前記支持プレートは、上面および反対側の下面を有し、前記ベース構造体は、前記動作可能な相互作用中に、前記上面が前記標的物体に面し、前記下面が前記標的物体に背くように構成される、ベース構造体と、
前記支持プレートの前記上面に取り付けられ、各圧力センサが前記支持プレートの対応する上面領域上に配置されるように配置された複数の圧力センサを含む圧力センサアレイであって、前記圧力センサアレイの各前記圧力センサは、前記動作可能な相互作用中に、前記標的物体によって加えられ、前記支持プレートの前記対応する上面領域に向けられる関連する量の接触力に応答して、関連する圧力データ値を生成するように構成される、圧力センサアレイと、
前記支持プレートに取り付けられ、前記複数の圧力センサによって生成された前記圧力データ値に応答して触覚情報を生成するように構成された処理回路であって、前記触覚情報をシリアルデータ信号として前記制御回路に伝送するようにさらに構成された処理回路と
を含む、ロボットシステム。
【請求項18】
前記ロボット機構が、前記エンドエフェクタに配置されたモータ制御機構を含むアクチュエータをさらに含み、
前記処理回路が、前記触覚情報を前記モータ制御機構に伝送するようにさらに構成される、
請求項17に記載のロボットシステム。
【請求項19】
制御回路と、エンドエフェクタを有するロボット機構とを含むロボットシステムを制御する方法であって、
前記エンドエフェクタは、標的物体を把持し、前記エンドエフェクタによって把持されている間に前記標的物体を移動するように前記制御回路によって動作可能に制御され、
前記方法は、前記エンドエフェクタに固定式に接続された1つまたは複数の触覚知覚装置を利用して、前記把持および移動中に前記制御回路にフィードバック情報を提供することを含み、
前記各触覚知覚装置は、
前記エンドエフェクタへの固定接続用に構成された支持プレートを含むベース構造体であって、前記支持プレートは、上面および反対側の下面を有し、前記ベース構造体は、前記動作可能な相互作用中に、前記上面が前記標的物体に面し、前記下面が前記標的物体に背くように構成される、ベース構造体と、
前記支持プレートの前記上面に取り付けられ、各圧力センサが前記支持プレートの対応する上面領域上に配置されるように配置された複数の圧力センサを含む圧力センサアレイであって、前記圧力センサアレイの各前記圧力センサは、前記動作可能な相互作用中に、前記標的物体によって加えられ、前記支持プレートの前記対応する上面領域に向けられる関連する量の接触力に応答して、関連する圧力データ値を生成するように構成される、圧力センサアレイと、
前記支持プレートに取り付けられ、前記複数の圧力センサによって生成された前記圧力データ値に応答して触覚情報を生成するように構成された処理回路であって、前記触覚情報をシリアルデータ信号として前記制御回路に伝送するようにさらに構成された処理回路と
を含む、方法。
【請求項20】
前記エンドエフェクタを制御することが、制御信号を前記制御回路から前記エンドエフェクタに配置されたモータ制御機構に伝送することを含み、
前記方法が、前記触覚情報を前記制御回路と前記モータ制御機構の両方に伝送することをさらに含む、
請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年3月27日に提出された「Tactile Perception Apparatus For Robotic Systems(ロボットシステムのための触覚知覚装置)」と題された米国特許出願第16/832,690号に付与された優先権を主張し、前記特許出願は、2019年3月29日に提出された「Humanlike Tactile Perception System for Smart Robotic Fingers(スマートロボットフィンガのための人間のような触覚知覚システム)」と題された米国仮特許出願第62/826,312号に付与された優先権、および2019年3月29日に提出された「Multimodal,3D Sensing Architecture For Robotic Tactile Exploration(ロボット触覚探査のためのマルチモーダル、3Dセンシングアーキテクチャ)」と題された米国仮特許出願第62/826,816号に基づく優先権、および2019年3月29日に提出された「Out of Plane Circuitry for Piezoelectric Tactile Sensors(圧電触覚センサ用の面外回路)」と題された米国仮特許出願第62/826,834号に基づく優先権を主張する。
【0002】
本発明は概してロボットシステムに関し、より具体的には、アーム型ロボット機構用のエンドエフェクタセンサに関する。
【背景技術】
【0003】
ほとんどの現代のロボットシステムは、機械的、電気的/電子的およびコンピュータ科学技術を統合して、様々なプログラムされた操作(タスク)を実行することができる自律制御型機構を提供する。例えば、多関節ロボットは、制御回路がユーザ提供のソフトウェアベースの命令を、ロボットアーム機構および取り付けられたエンドエフェクタ(例えば、ハンドまたはグリッパ)を制御して、標的物体をある場所から別の場所に移動するなどの反復タスクを実行するモータ制御信号に変換する産業用ロボットシステムの部類である。このようなプログラムされた操作を実行するために、ほとんどの多関節ロボットに提供されるソフトウェアベースの命令は、標的物体がピックアップのために配置される開始位置の3次元(3D)座標、標的物体を干渉なしに移動できる指定3D移動経路、および標的物体が配置される最終位置(例えば、容器または支持面)を定める3D座標を特定する必要がある。適切なソフトウェアベースの命令が提供されると、制御回路は対応する一連のモータ制御信号を生成し、信号はロボットアーム機構がエンドエフェクタを初期/開始位置座標に移動させることを引き起こし、次にエンドエフェクタが標的物体上で閉じる(把持する)ことを引き起こし、次に、ロボットアーム機構が標的物体を指定された移動経路に沿って最終位置座標まで持ち上げ/移動することを引き起こし、次にエンドエフェクタが標的物体を開く/解放することを引き起こす。
【0004】
ほとんどの従来のロボットシステムは、感知アーキテクチャを利用せず、利用するものは、単一モダリティ感知アーキテクチャを利用する。感知アーキテクチャを利用しない従来のロボットシステムは、事前にプログラムされたコマンドに完全に依存しており、通常、予期しない環境変動に対するわずかな位置変動を調整できない。対照的に、単一モダリティ感知アーキテクチャは、ホストロボットシステムの制御回路にフィードバック情報を提供し、それによって制御回路がユーザ提供のプログラム命令を修正して、わずかな位置変動(すなわち、プログラムベースの座標に対する)に対応することを可能にする。すなわち、上記のプログラムされた操作アプローチは、高度に順序付けられた環境でのみ使用できるが、ほとんどの実際の操作環境には、ランダムな位置の変動、および、誤った操作や場合によっては危険な状況を引き起こす可能性のあるその他の予期しないイベントが含まれる。例えば、指定された開始位置座標からの標的物体の不注意な変位は、エンドエフェクタによる正常な把持を妨げる可能性があり、場合によっては、標的物体および/またはエンドエフェクタ/グリッパに損傷を与える可能性がある(例えば、把持操作中のエンドエフェクタと標的物体との中心から外れた接触に起因して)。このような事故を回避するために、現代のロボットシステムは、しばしば、システムの制御回路がプログラムされた操作を認識して調整し、わずかな変動に対応することを可能にするフィードバック情報を提供するように構成された単一モーダル感知アーキテクチャ(例えば、エンドエフェクタに配置された1つまたは複数の力センサ)および/またはカメラシステムを使用する。例えば、エンドエフェクタに配置された単一モーダルセンサは、(例えば、把持操作中の標的物体との予期しない接触による)指定された開始位置座標から離れた標的物体の変位を示すフィードバック情報を提供し得、このフィードバック情報は、変位した標的物体を首尾よく把持することを可能にする方法でエンドエフェクタが再配置されるようにロボットアーム機構を調整するために制御回路によって利用することができる。
【0005】
リッチエンドエフェクタの感覚フィードバックの欠如は、現代のロボットシステムの主な制限の1つである。すなわち、単一モダリティ感知アーキテクチャを使用していくつかの労働災害を防止できるが、従来の単一モダリティセンサは現在、ロボットシステムが複雑な組み立てプロセスを実行することを可能にするのに十分なフィードバック情報を提供できない。例えば、単一モダリティ圧力センサは、エンドエフェクタによって標的物体に所定の把持力が加えられていることを確認するのに十分なデータを提供し得るが、そのような圧力センサには、標的物体がエンドエフェクタの把持から滑り落ちていることを認識するために必要なリッチなセンサフィードバックを欠き、したがって、標的物体への結果として生じる事故による損傷を回避できない。さらに、キャニスタタイプの物体を円筒形物体に取り付けるなどの組み立てタスクを実行する場合、単一モダリティ圧力センサは、キャニスタと円筒形物体の位置がずれている場合のキャニスタと円筒形物体との間の過度の接触に関する不十分なデータを提供する。カメラタイプのフィードバックシステムは、場合によってはそのような発生を識別して調整するのに役立ち得るが、カメラの視野の重要な部分がエンドエフェクタによって遮られることが多く、これによりカメラタイプのフィードバックシステムの機能が制限されることに注意されたい。また、カメラベースの技術に関連する画像処理と推論時間が長すぎて、損傷を与えないように反射的に調整を行うことができない場合がある。単一モダリティセンサとは対照的に、人間の手は比類のないマルチモーダル感覚システム(すなわち、圧力と振動の両方を感知する機械受容器、および温度を感知する熱受容器)からなり、これは前例のない器用な操作に大きく貢献する。具体的には、人間のマルチモーダル感知アーキテクチャは、接触力、テクスチャ、接触点周辺の局所形状、および変形可能性に関するきめ細かい手がかりを提供し、これらはすべて、進行中の把持操作を評価し、不安定な場合に力補正措置をトリガーするために極めて重要である。
【0006】
必要とされているのは、従来の単一モダリティセンサの欠陥を克服するロボットシステムのための感知アーキテクチャである。特に、必要とされているのは、従来のアプローチでは達成できない、向上した人間のような標的物体認識および関連する物体操作制御を容易にする触覚知覚能力をロボットのエンドエフェクタに提供する感知アーキテクチャである。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、ロボットシステムの接触構造体(例えば、アーム型ロボット機構のエンドエフェクタ/グリッパフィンガ)上に配置された圧力センサの2次元(2D)アレイから導出された触覚情報をロボットシステムの制御回路に提供する触覚知覚装置に関する。圧力センサアレイは、動作可能な相互作用(標的物体がエンドエフェクタ/グリッパによって把持されるときなど、通常のロボットシステム操作)中に、圧力センサの少なくとも一部が剛性ベース構造体と標的物体との間に挟まれるように配置され、圧力センサアレイは、離間された各圧力センサが、剛性ベース構造体の対応する表面領域(2D位置)に加えられる接触力の量に対応する関連するセンサデータ量を生成するように構成される。この配置により、圧力センサアレイを形成するすべての圧力センサによって生成された集合的な圧力センサデータは、圧力センサアレイに対する表面特徴の位置と向きを含む、標的物体の対応する表面特徴によって生成されたすべての圧力点を示す2Dパターン(例えば、等高線マップと同様)を効果的に提供する。すなわち、標的物体が把持されると、圧力センサアレイの接触領域部分が標的物体と支持プレートとの間に入れられ(挟まれ)、それにより標的物体の隆起した「圧力点」表面特徴の間に位置する圧力センサはより高い圧力成分を受け取り、したがってより高い圧力データ値を生成し、凹んだ標的物体表面特徴の間に配置された圧力センサはより低いまたはゼロの圧力成分を受け取り、したがってより低い圧力データ値を生成し、それによって高圧および低圧データ値の組み合わせパターンが、標的物体に関連付けられた様々な触覚特性を表す2D等高線マップタイプのセンサデータパターンを効果的に形成する。そのような等高線マップタイプのセンサデータを提供することにより、本発明は、従来の単一モダリティ感知アーキテクチャから導出されたデータをはるかに超えるほぼ人間の指先タイプの触覚知覚能力をホストロボットシステムに提供する対応する触覚情報の導出を容易にする。例えば、特定の問題のある接触状況(例えば、標的物体がエンドエフェクタ/グリッパフィンガに対して問題のある中心から外れた位置で把持される)を示す圧力データから導出される触覚情報は、ロボットシステムの制御回路によって利用され得、対応する修正動作(例えば、標的物体が中央位置にあるようにエンドエフェクタ/グリッパを再調整する)を実行し、それによって関連する操作エラー(例えば、搬送中に標的物体を落とす)を回避する。したがって、本発明は、従来のアプローチを使用して達成することができない、向上した人間のような標的物体認識および関連する物体操作制御を容易にする触覚知覚能力をロボットエンドエフェクタに提供する。
【0008】
一般化された実施形態によれば、触覚知覚装置は、剛性ベース構造体と、センサボードと、センサデータ処理回路とを含む。剛性ベース構造体は、ロボットシステムの接触構造体に固定式に接続される(例えば、剛性ベース構造体は、ロボットグリッパフィンガに一体的に接続されるか、締結される)。剛性ベース構造体は、通常のロボットシステムの操作中(例えば、標的物体の把持および持ち上げなどの動作可能な相互作用の実行中)、支持プレートの上面が標的物体に面し、支持プレートの反対側(逆側)の下面が標的物体に背くように向けられた片持ち(または別の方法で接続された)支持プレートを含む。いくつかの実施形態では、センサボードは、圧力センサアレイが配置される平面ベース基板(例えば、PCB構造体または半導体ウェーハ)を含み(すなわち、複数の圧力センサが2DパターンでPCB構造体上に製造される)、ベース基板は、圧力センサがそれぞれ支持プレートの関連する上面領域によって均一に支持されるように支持プレートに取り付けられる。この配置により、各圧力センサは、関連する上面領域上に配置された標的物体表面特徴に対応する関連する圧力成分量によって、関連する上面領域に押し付けられる(例えば、関連する圧力成分量は、対応する凸状の隆起した標的物体表面特徴が、関連する上面領域に向かって比較的高い圧力を加える場合、高い値を有し、凹状の標的物体表面特徴が関連する上面領域上に配置される場合、関連する圧力成分量は低い値を有する)。センサデータ処理回路はまた、支持プレートに取り付けられ、(i)圧力センサによって生成された圧力データ値を受信するように(すなわち、圧力センサアレイへの動作可能な接続によって)、(ii)圧力データ値に応答して触覚情報を生成するように、および(iii)触覚情報を(例えば、アーム型ロボット機構の介在部分に沿って延びるデータバス信号線を介して)ホストロボットシステムの制御回路に伝送するように構成される。センサアレイの配備に使用されるのと同じ支持構造体にセンサデータ処理回路を取り付けることは、ホストロボットシステムの制御回路によって支持されるユニバーサルシリアルバス(USB)または別の業界標準またはカスタムシリアル伝送方式を使用して触覚情報の伝送を容易にすることにより、既存のロボットシステムへの触覚知覚装置の商業的に実現可能な実装を容易にする。したがって、本発明は、ロボットエンドエフェクタ(および他の接触構造体)に、従来の感知アーキテクチャを使用して達成することができない向上した人間のような標的物体認識および関連する物体操作制御を容易にする触覚知覚能力を提供する。
【0009】
現在好ましい実施形態によれば、センサデータ処理回路は、支持プレートの下面(すなわち、所与の動作可能な相互作用中に標的物体に背く支持プレート表面)に取り付けられ、1つまたは複数の対応するプレート貫通開口部を通過するメザニンコネクタ(mezzanine connector)を介してセンサアレイに動作可能に結合される。この特定の構成は、圧力センサアレイに伝達される力が支持プレートによって効果的に吸収されるため、動作可能な相互作用中に生成される接触力によって引き起こされる潜在的な損傷からセンサデータ処理回路を保護する(すなわち、接触力は支持プレートに沿って、支持プレートがしっかりと接続される対応するベース構造体に伝達され、それによってセンサデータ処理回路を遮蔽する)。この構成はまた、介在する支持プレートをヒートシンクとして利用することにより、センサボードへの熱エネルギー(例えば、センサデータ処理回路の動作によって生成される熱)の伝達を最小限に抑え、それによって、例えば、正確な物体温度感知動作を可能にする。
【0010】
現在好ましい実施形態の別の特徴によれば、支持プレートは、その上面が平面であり(すなわち、上面が平坦な2D平面にある)、圧力センサアレイが、同じく平面であり、支持プレートの平面状の上面によって実質的に完全に支持されるプリント回路基板(PCB)構造体を含むセンサボード上に配置されるように構成される(すなわち、PCB構造体のすべての表面部分は、プレート貫通開口部上に配置された領域を除いて上部支持表面に接触する)。支持プレートとそれぞれのPCB構造体の平面構成により、低コストの製造および組み立てプロセスが促進される。さらに、センサボードを平坦な上部支持面に取り付けることは、センサアレイ内のすべての圧力センサに均一な支持を提供することによって、一貫した圧力データをさらに促進する。圧力センサおよび支持プレートには平面/平坦構成が現在好ましいが、他の表面構成(例えば、平面/テクスチャ加工、湾曲または凸状)も利用できる。しかしながら、これらの代替案は製造コストを増加させる可能性がある。
【0011】
現在好ましい実施形態の別の特徴によれば、センサボードはまた、センサボード(第1)PCB構造体に取り付けられ、圧力センサアレイによって生成されたアナログ圧力センサ値を、対応するデジタル圧力センサ値(これは次にメザニンコネクタを介してセンサデータ処理回路に連続的に伝送される)に変換するように構成されたアナログ-デジタル変換器(ADC)回路を含む。この実施形態では、各圧力センサは、その受け取った接触力成分によって決定される大きさ(量)を有する対応するアナログ圧力センサデータ値を生成するように動作可能に構成される(例えば、各圧力センサは、接触力が加えられない場合に比較的低電圧の圧力センサデータ値を生成し、比較的高い接触力成分が加えられたことに応答して比較的高電圧の圧力センサデータ値を生成する)。次に、各アナログ圧力センサデータ値は、ADC回路によって対応するデジタル圧力センサデータ値に変換され、これは次にメザニンコネクタのシリアル信号ラインを介してセンサデータ処理回路に連続的に伝送される。シリアルデータ伝送を利用してセンサデータをADC回路から処理回路に渡すことにより、このアプローチは、任意の数の圧力センサを支持できる少数(例えば、1つまたは2つ)のメザニンコネクタの使用を促すことによって、広範囲の圧力センサ構成(例えば、比較的多数の高密度圧力センサを含む高解像度センサアレイまたは比較的少数の圧力センサを含む低解像度アレイ)を有する触覚知覚装置の効率的な生産に対応する。
【0012】
いくつかの実施形態では、装置は、センサボードPCB構造体の最上面に配置された皮膚のような封入層で形成される。いくつかの実施形態では、封入層は、本質的に、標的物体を把持および保持するための適切な摩擦を提供し、断熱材および衝撃吸収材として機能することによって(すなわち、動作の相互作用中に標的物体によって加えられる接触力に応答して弾性的に変形することによって)圧力センサアレイを保護する働きをする耐久性のあるフレキシブル材料(例えば、シリコーンゴム)からなる。現在好ましい実施形態では、封入層は、0.5mmから10mmの範囲の厚さと、0から300ミクロンRMSの表面粗さおよび30A~70Aのデュロメータを有することによって特徴付けられる材料配合物とを有するシリコーンゴムの層を使用して実装される。この特定のシリコーン層の配合と構成は、ロボットグリッパによって把持された標的物体の滑り型変位に応答して生成される高圧/低圧波面を、圧力センサアレイ(またはセンサボード上に配置された他の振動検出センサ)に伝達する媒体(すなわち、スピーカのようなメカニズム)として封入層を利用することにより、ロボットグリッパの把持から滑り落ちる物体の検出を容易にする。すなわち、ロボットグリッパによって把持された物体に加えられるグリップ力は、通常、封入層の上面と物体の表面との間に十分な摩擦力を生成して、指定された動作可能な相互作用の間(例えば、物体をある場所から別の場所に移動する間)物体を確実に制御(保持)するレベルに設定される。しかしながら、場合によっては、湿気またはその他の予期しない表面汚染物質により、把持された標的物体と封入層との間の摩擦力が大幅に低下する可能性があり、それによって標的物体が滑り(封入層に対して変位し)始め、結果として、修正動作が取られない限り、物体に損傷をもたらす可能性がある。上記の仕様を有するシリコーンを使用して封入層を形成することにより、封入層に対して横方向の(すなわち、圧力センサアレイに平行な)横方向の滑り変位により、シリコーン層の表面は、圧力センサによって(またはセンサボードに取り付けられた他の振動センサによって)振動力成分として簡単に検出され得る高/低交互圧力波面を生成する。したがって、圧力センサによる振動力成分の検出に応答して滑りプロセスの開始を示す触覚情報を生成するように装置を構成することによって、装置は、ホストロボットシステムの制御回路による即時の修正動作を促し(例えば、加えられるグリップ力を増大する)、それ以上の滑りを防ぎ、標的物体の損傷を回避する。
【0013】
代替の特定の実施形態では、触覚知覚装置のセンサボードは、圧力センサの様々な構成および配置を利用し、任意選択的に、ホストロボットシステムの制御回路に提供される触覚情報を向上する1つまたは複数の追加のセンサタイプを含む。現在好ましい実施形態では、センサボードPCB構造体は、少なくとも2つのPCB積層体を含み、圧力センサは、2つのPCB積層体の対向する表面に形成された電極(接触パッド)間に挟まれた圧電セラミック材料(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT))構造体を含む圧電タイプのセンサである。このサンドイッチタイプの配置は、対向する上部/下部接触パッドとPZT構造体のd33(縦方向)圧電係数との位置合わせにより、加えられた力からの信号収集を最大化し、これは、電子ノイズからPZT構造体を遮蔽するファラデーケージを実装することによってさらに向上され得る。他の実施形態では、圧力センサは、ひずみゲージ、容量性圧力センサ、キャビティベースの圧力センサ、ピエゾ抵抗センサまたは圧電センサなどの1つまたは複数の他の圧電材料またはセンサタイプを使用して実装され、ここで圧力センサは対称、非対称またはランダムパターンで配置される。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の追加のセンサタイプ(例えば、振動センサおよび/または温度センサ)もセンサボードPCB構造体上に提供され、センサデータ処理回路に動作可能に結合され、ここで追加のセンサは、圧力センサと同じPCB積層体上に、または多層センサボードPCB構造体の異なるPCB積層体上に作製される/取り付けられる。
【0014】
開示された実際の実施形態では、本発明の有益な態様をさらに向上する様々な追加の特徴が実装されている。例えば、センサボードは、異なるセンサタイプをより効率的に収容するために2つ以上のADC回路を含むように拡張され、任意選択のコントローラが、異なる感知モード(例えば、静的対振動測定)を促すために含まれ得る。センサデータ処理回路によって実行される触覚情報生成プロセスは、プログラマブルロジックデバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)またはプログラマブルシステムオンチップ(PSOC)回路)を利用することによって向上され得、触覚情報の効率的な伝送は、ユニバーサルシリアルバス(USB)回路を使用して達成することができる。一実施形態では、ベース構造体は、平面/平坦な上部および下部支持プレート表面と、ベース構造体のロボットグリッパフィンガへの堅固な接続を容易にするように構成された一体型取り付けフランジと、上部および下部ポケット領域を形成するために支持プレートを囲む周壁とを有する一体型金属構造体(例えば、アルミニウムまたは鋼)である。この構成では、センサボードおよびセンサデータ処理回路が、それらがそれぞれ上部および下部支持プレート表面と同じ高さになるようにそれぞれ上部および下部ポケット領域に挿入されると、ベース構造体は、装置を最適な動作温度に維持する効率的なヒートシンク構造体を形成する。一実施形態では、センサボードおよびセンサデータ処理回路は、ポッティング材料によって所定の位置に固定される。
【0015】
本発明の実際の実施形態によれば、ロボットシステムは、対向するエンドエフェクタ(グリッパ)フィンガの関連する接触構造体上に2つ以上の触覚知覚装置を実装する。この場合、各装置のそれぞれの処理回路は、エンドエフェクタと制御回路との間でロボット(アーム)機構に沿って延びる関連するシリアル(例えば、USB)データバスを介してロボットシステムの制御回路に動作可能に結合される。一実施形態では、一方または両方の触覚知覚装置によって生成された触覚情報は、最小遅延操作を促すために(例えば、物体の滑りが検出されると、加えられる把持力を増加する)、グリッパに取り付けられたローカルグリッパ制御回路(アクチュエータ)に提供される。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、ロボットシステムを制御するための方法は、標的物体を把持している(または別の方法でそれと動作可能に相互作用している)間にエンドエフェクタの対応する接触構造体に標的物体によって加えられる接触力に応答して触覚情報を生成するために、上記の1つまたは複数の触覚知覚装置を利用することを含む。触覚知覚装置によって生成された触覚情報は、ロボットシステムの制御回路に提供され、任意選択的に、グリッパに取り付けられたローカルグリッパ制御回路(アクチュエータ)に提供されて、最小遅延操作(例えば、物体の滑りが検出されると、加えられる把持力を増加する)を促す。
【0017】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様および利点は、以下の記載、添付の特許請求の範囲、および添付の図面に関してより深く理解されるようになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態による、アーム型ロボットシステムのエンドエフェクタに実装された触覚知覚装置を示す図である。
図2A図1のロボットシステムのグリッパフィンガ構造を示す斜視図および断面側面図である。
図2B図1のロボットシステムのグリッパフィンガ構造を示す斜視図および断面側面図である。
図3A】本発明の第1の特定の実施形態による簡略化された触覚知覚装置を示す断面側面図である。
図3B】本発明の第1の特定の実施形態による簡略化された触覚知覚装置を示す断面側面図である。
図4A図3Aおよび図3Bの触覚知覚装置によって生成された圧力センサデータを使用して標的物体の静的位置を示す例示的な触覚情報の生成を示す図である。
図4B図3Aおよび図3Bの触覚知覚装置によって生成された圧力センサデータを使用して標的物体の静的位置を示す例示的な触覚情報の生成を示す図である。
図4C図3Aおよび図3Bの触覚知覚装置によって生成された圧力センサデータを使用して標的物体の静的位置を示す例示的な触覚情報の生成を示す図である。
図5A】本発明の第2の特定の実施形態による簡略化された触覚知覚装置を示す断面側面図である。
図5B】本発明の第2の特定の実施形態による簡略化された触覚知覚装置を示す断面側面図である。
図6A図5Aおよび図5Bの触覚知覚装置によって生成された圧力センサデータを使用して標的物体の静的位置および動的運動(滑り)の両方を示す例示的な触覚情報の生成を示す断面図である。
図6B図5Aおよび図5Bの触覚知覚装置によって生成された圧力センサデータを使用して標的物体の静的位置および動的運動(滑り)の両方を示す例示的な触覚情報の生成を示す断面図である。
図6C図5Aおよび図5Bの触覚知覚装置によって生成された圧力センサデータを使用して標的物体の静的位置および動的運動(滑り)の両方を示す例示的な触覚情報の生成を示す断面図である。
図7】別の特定の実施形態による触覚知覚装置の2つのPZT型圧力センサを示す断面側面図である。
図8】別の特定の実施形態による触覚知覚装置の簡略化されたセンサボードを示す断面側面図である。
図9】別の特定の実施形態による触覚知覚装置を示す分解斜視図である。
図10図10(A)は図9の触覚知覚装置のセンサボードを示す上面図であり、図10(B)は図9の触覚知覚装置のセンサボードを示す底面図である。
図11図11(A)は図9の触覚知覚装置のセンサデータ処理回路を示す上面図であり、図11(B)は図9の触覚知覚装置のセンサデータ処理回路を示す底面図である。
図12】組み立てた状態の図9の触覚装置を示す斜視図である。
図13図12の触覚知覚装置を示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、ロボットシステムの能力を大幅に向上させる触覚知覚装置(すなわち、標的物体感知アーキテクチャ)に関する。以下の記載は、当業者が、特定の用途およびその要件の文脈において提供される本発明を作製および使用することを可能にするために提示される。本明細書で使用される場合、「上」、「下」、「下」、「前」および「後」などの方向用語は、記載の目的で相対位置を提供することを意図し、絶対的な基準枠を指定することを意図しない。回路要素間の電気的接続に関して、本明細書で使用される「結合された」および「接続された」という用語は、以下のように定義される。「接続された」という用語は、例えば、通常の集積回路製造技術に従って形成された金属線による、2つの回路要素間の直接接続を記載するために使用される。対照的に、「結合された」という用語は、2つの回路要素間の直接接続または間接接続のどちらかを記載するために使用される。例えば、2つの結合された要素は、金属線によって直接接続され得るか、または介在する回路要素(例えば、コンデンサ、抵抗器、インダクタ、またはトランジスタのソース/ドレイン端子によって)によって間接的に接続され得る。好ましい実施形態への様々な修正は、当業者に明らかであり、本明細書で定義される一般原理は、他の実施形態に適用され得る。したがって、本発明は、示され、記載される特定の実施形態に限定されることを意図するものではなく、本明細書に開示される原理および新規の特徴と一致する最も広い範囲を与えられるべきである。
【0020】
図1は、本発明の触覚知覚装置の例示的な使用を説明するために提供される例示的なロボットシステム200を示している。ロボットシステム200は、ロボットアーム型機構201および制御回路(CC)203(例えば、マイクロプロセッサ)を概して含むアーム型ロボットシステムである。
【0021】
ロボット機構201は、既知の技術に従って動作可能に構成され、様々なアクチュエータを介して標的物体90を操作するように制御される様々な機構および構造を含む。例示的な実施形態では、ロボット機構201は、固定ベース211を介して作業面(図示せず)に固定式に取り付けられるように構成された肩/ベース機構210、肩/ベース機構210から肘機構220まで延びる上腕構造215、肘機構220から手首機構230まで延びる前腕構造225、手首機構230からハンド/軸回転機構240まで延びる手首構造235、およびハンド/軸回転機構240の末端部分に動作可能に接続されたエンドエフェクタ250を含む。エンドエフェクタ250は、グリッパ構造内に取り付けられたモータの対応する作動に従って開く(互いに離れる)または閉じる(互いに近づく)2つのグリッパフィンガ255-1、255-2を有する、ロボットアーム機構201の遠位端に配置されたハンド/グリッパタイプの機構である。ロボット機構201はまた、複数のアクチュエータを含み、各アクチュエータは、制御回路203から受信した制御信号に応答して1つまたは複数の関連する電気モータ(図示せず)をオン/オフするように構成されたモータ制御回路(MCC)を含む。例えば、モータ制御回路(MCC)204-1および関連する第1のモータは、固定ベース211に対する上腕構造215の選択的回転および旋回を容易にするために肩-ベース機構210に配置された第1のアクチュエータを形成し、MMC204-2を含む第2のアクチュエータは、上腕構造215に対する前腕構造225の選択的旋回を容易にするために肘機構220内に配置され、MMC204-3を含む第3のアクチュエータは、前腕構造225に対する手首構造235の選択的旋回を容易にするために手首機構230内に配置され、MMC204-4を含む第4のアクチュエータは、手首構造235に対するグリッパ250の選択的旋回を容易にするためにハンド軸回転機構240内に配置され、MMC204-5を含む第5のアクチュエータは、グリッパ250に対してグリッパフィンガ255-1、255-2の開/閉を制御するエンドエフェクタ250に配置される。上記のように、ロボット機構201は、本発明の特徴および利益を説明するための簡略化された文脈を提供するために単に導入され、ロボット機構201の特定の構成は、添付の特許請求の範囲を制限することを意図するものではない。例えば、エンドエフェクタ250は2本フィンガのグリッパとして描かれているが、エンドエフェクタ250はまた、フィンガごとに1つまたは複数の関節/自由度を有する任意の数のフィンガを有するプローブまたはグリッパを使用して実装されてもよい。
【0022】
制御回路203は、関連する制御信号シーケンスにおいて選択されたアクチュエータに制御信号を送信することによって、ロボット機構201にユーザ指定の動作を実行させる。各制御信号シーケンスは、ユーザ提供の命令207に従って制御回路のオペレーティングシステムソフトウェアによって生成される1つまたは複数の一次制御信号と、様々なセンサまたはフィードバック機構から受信したフィードバックデータ107によって生成される0または複数の二次制御信号とを含み、本発明の1つまたは複数の触覚知覚装置から受信した触覚情報TIを含む。ユーザ提供の命令207は、プログラミング装置80(例えば、パーソナルコンピュータまたはワークステーション)から制御回路203に送信され、ロボット機構201によって実行される関連タスクを指定する。背景技術セクション(上記)で記載したように、制御回路203は、所望のタスクを指定するユーザ提供の命令207に従って一次制御信号を生成し、この一次ロボット制御信号をワイヤ(図示せず)を介してロボット機構201に配置された様々なアクチュエータのMMC204-1~204-5に送信し、それによりロボット機構201は標的物体との操作可能な相互作用を伴って指定されたタスクを実行する。例えば、グリッパ250を制御して標的物体90を把持することを伴う動作可能な相互作用を実行するために、制御回路203の制御信号生成器は、対応するユーザ提供の命令207を処理し、第1の制御信号を生成し/MCC204-5に送信し、第1の制御信号は、エンドエフェクタ250に配置されたアクチュエータに、「開グリッパ」制御命令に従ってグリッパフィンガ255-1、255-2の間のギャップを増加させ、次に制御信号生成器は、第2の制御信号を生成し/MCC204-1~204-4に送信し、第2の制御信号は、アーム構造215、前腕構造225、手首構造235、および軸回転機構240に配置されたアクチュエータに、エンドエフェクタ250を指定されたX-Y-Z位置座標に配置させ、その結果、グリッパフィンガ255-1、255-2が標的物体90の反対側に配置されるようにし、次に制御信号生成器は、第3の制御信号を生成し/MCC204-5に送信し、第3の制御信号は、エンドエフェクタ250に、グリッパフィンガ255-1、255-2の間のギャップを減少させ、標的物体90に把持力を加える(すなわち、その結果、グリッパフィンガ255-1、255-2は、「閉グリッパ」制御命令に応答して、標的物体90の両側に対して対向する接触力を加える)。各動作可能な相互作用中に、制御回路203は、フィードバックデータ107を利用して、関連する一次ロボット制御信号の実行中に発生する可能性のある望ましくない状態に応答して、ユーザ提供の命令207によって定められた動作を修正(例えば、調整または終了)する。例えば、フィードバックデータ107が、標的物体90が予想されるX-Y-Z位置からオフセットされていることを示す場合、制御回路203は、オフセットX-Y-Z位置で標的物体90を把持しやすくするためにグリッパ250の位置を調整するように動作を変更し得る。
【0023】
図1および図2を参照すると、触覚知覚装置100-1、100-2は、それぞれ、グリッパフィンガ255-1、255-2の対向接触面に固定式に取り付けられ、その結果、装置100-1、100-2は、標的物体90との動作可能な相互作用中に標的物体90に面する。各装置100-1、100-2は、動作可能な相互作用中に制御回路203に提供されるフィードバックデータ(情報)107の少なくとも一部を形成する触覚情報TIを提供するように構成され、ここで装置100-2は、以下に記載される装置100-1のすべての特徴および詳細を含む。代替の実施形態では、1つの触覚知覚装置のみを使用することができ(すなわち、装置100-1または装置100-2のどちらか)、または2つより多い装置を使用することができる(例えば、3本以上のフィンガを含むグリッパの場合)。
【0024】
図1の下部に示される破線の気泡部を参照すると、例示的な実施形態において、触覚知覚装置100-1は、剛性ベース構造体110と、PCB構造体121に配置された圧力センサアレイ124を含む圧力ボード120と、センサデータ処理回路130とを含む。いくつかの実施形態では、装置100-1はまた、圧力ボード120とセンサデータ処理回路130との間で信号を渡すメザニンコネクタ140と、センサボードPCB構造体121の最上面121Uに配置された耐久性のあるフレキシブル材料(例えば、シリコーンゴム)から本質的になる皮膚様封入層150とを含む。本発明は、装置100-1を特に参照して以下に記載されるが、装置100-2は、知覚装置100-1を参照して以下に記載する構造および構成を含む。
【0025】
図1の気泡部を参照すると、ベース構造体110は、グリッパ(エンドエフェクタ)250のフィンガ255-1への固定接続のために構成された支持プレート111を含む。支持プレート111は、上面111Uと、反対側の下面111Lと、反対側の側縁111S1、111S2と、反対側の前縁111Fおよび後縁111Rとを有する。図1に示される実施形態では、ベース構造体110のフィンガ255-1への固定接続は、支持プレート111の後縁111Rに沿ったフィンガ255-1の端部への一体接続によって達成され、それによって支持プレート111はアーム機構201の遠位端に配置された片持ち構造を形成する。他の実施形態では(例えば、図11中の(A)および図12を参照して以下に記載される)、ベース構造体110は、(例えば、ボルトまたは他の留め具による)フィンガ255-1への固定接続のために構成することができ、別の(例えば、単に支持された)構成で取り付けることができる。いずれの場合も、ベース構造体110は、図2Aおよび図2Bに示されるように、動作可能な相互作用の間、支持プレート111の上面111Uが標的物体90に面し、下面111Lが標的物体90に背くように構成される。いくつかの実施形態では、ベース構造体110は、金属(例えば、アルミニウムまたは鋼)を含み、上面111Uおよび下面111Lの一方または両方が平面(平坦)であり、支持プレート111は、少なくとも1つの貫通開口部116が上面111Uと反対側の下面111Lとの間に延びる状態で機械加工されるか、または別の方法で形成される。いくつかの実施形態では、ベース構造体110はまた、下面111L上に取り付けられる任意選択のキャップ/カバー構造112も含む。
【0026】
センサボード120は、図2Bに示されるように、センサアレイ124の少なくとも一部が動作可能な相互作用中に支持プレート111と標的物体90との間に挟まれるように、支持プレート111の上面111U上に/を覆って取り付けられる。図1に示すように、センサボードPCB121は、支持プレートの平面状の上面111Uによって均一に支持されるように平面/平坦であり、センサアレイ124は、2Dパターンで配置された(例えば、行および列に整列され、支持プレート上面111Uに平行な平面を形成する)圧力センサ125を含む。各圧力センサ125は、支持プレート上面111Uの対応する領域によって支持され、動作可能な相互作用中に標的物体90によって加えられる接触力の関連する量に応答して関連する圧力データ値を生成するように構成されることに留意されたい。例えば、図2Bの気泡部に示されるように、センサ125-3、125-4は、それぞれ上面部分111U-3、111U-4上に配置され、標的物体90の対応する部分によってそれぞれ生成され、上面部分111U-3、111U-4に向けられる接触力成分PFC-3、PFC-4に応答して、それぞれ圧力センサ値PSD-3、PSD-4を生成する。代替の実施形態(図示せず)では、センサアレイ124は、別個の圧力センサのセットとして実装することができ(すなわち、単一のPCB構造体上に配置されない)、および/または別の対称(すなわち、等間隔配置または非対称もしくはランダムなパターン配置)で配置することができる。
【0027】
図1の気泡部に示されるように、センサデータ処理回路130は、支持プレート111に取り付けられ、センサアレイ124を形成する様々な圧力センサ125によって生成される圧力センサデータPSDに応答して触覚情報TIを生成するように構成される。処理回路130はさらに、触覚情報TIをシリアルデータストリームで(例えば、標準のシリアルデータプロトコルを使用して伝送されるシリアルデータ信号の一部として)データバス108の信号線/コネクタを介して制御回路203に伝送するように構成される。現在好ましい実施形態では、センサデータ処理回路130は、支持プレート111の下面(非接触面)111Lに取り付けられ、圧力センサ125によって生成された圧力センサデータPSDは、貫通開口部116に配置された1つまたは複数のメザニンコネクタ140を経由して処理回路130に伝送される。図2Aおよび図2Bに示されるように、この配置では、支持プレート111は、動作可能な相互作用中、標的物体90とセンサデータ処理回路130との間に配置される(すなわち、標的物体90によって加えられる圧力成分PFC-3、PFC-4はセンサボード120を支持プレート111に対して圧縮するが、支持プレート111はフィンガ255-1への堅固な接続によってこれらの圧力成分がセンサデータ処理回路130を圧縮するのを防ぐ)。
【0028】
図3Aおよび図3Bは、本発明の簡略化された第1の特定の実施形態に従って構成された触覚知覚装置100Aによる触覚情報の生成を示す簡略化された断面図である。図3Aは、標的物体と接触する前の初期期間「t0」中の触覚知覚装置100Aの断面部分を示し、図3Bは、標的物体90と接触中のその後の期間「t1」中の触覚知覚装置100Aを示す。簡潔さと明確さのために、特定の簡略化を利用して、触覚知覚装置100Aの特徴と構造(および以下に提供される実施形態で記載される触覚知覚装置の特徴と構造)を記載する。例えば、装置100Aの様々な構造は、図1図2A、および図2Bを参照して上で提供されたものと同じ参照番号を使用して識別され、参照番号の再利用は、識別された特徴/構造が両方の場合において同一であることを必ずしも意味しないことが理解される(例えば、装置100Aの圧力センサ125-1~125-6は上記の実施形態で利用された圧力センサと異なる場合がある)。さらに、標的物体によって加えられる圧力は、比較的高い圧力を示すためにバイナリ「1」を使用して示され、比較的低い圧力を示すためにバイナリ「0」を使用して示されるが、実際の実施形態では、加えられ、圧力センサによって測定される圧力は、向上した触覚情報を提供するために、ある範囲のデジタル値を使用して測定され得る。
【0029】
図3Aを参照すると、装置100Aの断面部分は、封入層150Aの対応する領域155-1~155-6の隣に配置されたセンサボード120Aの圧力センサ125-1~125-6の列を含む圧力センサアレイ124Aの一部を示している。この実施形態では、圧力センサ125-1~125-6は、それぞれ、アナログ圧力センサ値PSA-1~PSA-6を生成するように構成され、センサボード120Aは、PCB121Aに取り付けられ、ローカル信号線126を介してアナログ圧力センサ値PSA-1~PSA-6を受信するように動作可能に構成されたアナログ-デジタル変換器(ADC)回路126を含む。ADC回路126は、アナログ圧力センサ値PSA-1~PSA-6を対応するデジタル圧力センサ値PSD-1~PSD-6に変換し、圧力センサ値PSD-1~PSD-6をメザニンコネクタ140を介して処理回路130Aに伝送するようにも構成される。説明の目的で、デジタル圧力センサ値PSD-1~PSD-6は、アナログ圧力センサ値PSA-1~PSA-6との1対1の対応を示すために縦の列で示され、実際の使用においては、メザニンコネクタ140の単一コネクタデータ信号線145を介してADC回路126から処理回路130Aに伝送される。
【0030】
図3Aおよび図3Bに示される実施形態では、圧力センサ125-1~125-6は、加えられる接触力/圧力の対応する量によって決定される大きさ(量)を有する対応するアナログ圧力センサデータ値PSA-1~PSA-6を生成するように動作可能に構成される。図3Aを参照すると、時間t0において接触力が加えられていない場合(例えば、図3Aの圧力成分PSA-1、PSA-6を示す両頭矢印は、封入層150Aに対して加えられた圧力がゼロであることを示す)、各圧力センサ125-1~125-6は、比較的低いアナログ(例えば、低電圧)圧力センサデータ値を生成し、これは、各圧力センサ125-1~125-6に示される文字「L」によって示される。逆に、図3Bに示されるように、加えられた圧力成分を受け取る各圧力センサは、比較的高いアナログ(例えば、高電圧)圧力センサデータ値を生成し、これは、圧力センサ125-3~125-6に示される文字「H」によって示される。図3Bに示すように、封入層150Aが標的物体90の表面部分に押し付けられるように装置100Aが作動されると、標的物体90によって加えられる圧力成分が生成されることに留意されたい。アナログ圧力センサのデータ値PSA-1~PSA-6の大きさは、所与の圧力センサが加えられた接触力/圧力成分を受け取った場合にのみ変化することにも留意されたい。すなわち、動作可能な相互作用は、センサボード120Aの下部のみを伴うため(すなわち、非ゼロ圧力成分PFC-3~PFC-6が、それぞれ、圧力センサ125-3~125-6に適用され、ゼロ圧力成分PFC-1、PFC-2が、それぞれ圧力センサ125-1、125-2に適用されるため)、大きさの変化は、圧力センサ125-3~125-6によって生成されたアナログ圧力センサデータ値でのみ発生する。したがって、圧力センサ125-1~125-6は、それぞれの値「L」、「L」、「H」、「H」、「H」および「H」を有するアナログ圧力センサ値PSA-1~PSA-6を時間t1の間にADC回路126にそれぞれ送信する。次に、上記のように、ADC回路126は、アナログ圧力センサ値PSA-1~PSA-6を、処理回路130Aに対して、対応するデジタル圧力センサ値PSD-1~PSD-6(すなわち、対応するバイナリ信号パターン「0」、「0」、「1」、「1」、「1」および「1」を有する)に変換する。
【0031】
再び図3Aおよび図3Bを参照すると、封入層150Aは、加えられた接触力成分に応答して局所的な弾性変形を受けることによって人間の皮膚のように機能し、それによって圧力センサアレイ124Aを衝撃損傷から保護する一方、動作可能な相互作用中に正確な圧力接触データの生成を可能にする。具体的には、図3Aは、封入層150Aの6つの封入層領域155-1~155-6を描写し、これらはそれぞれ、圧力センサ125-3~125-6上に、弛緩した減圧状態で配置され、この状態は接触力が加えられていない場合に起こる。対照的に、図3Bに示されるように、標的物体90が装置100Aの下部に接触すると、封入層領域155-3~155-6は、標的物体90の対応する部分によって弾性的に圧縮され、それによって圧力センサ125-3~125-6に損傷を与える可能性のある機械的衝撃を減衰させる。完全に圧縮されると、封入層領域155-3~155-6は、加えられた圧力成分PFC-3~PFC-6を圧力センサ125-3~125-6に伝達し、それによって高アナログ圧力センサデータ値の生成を可能にする(すなわち、アナログ圧力センサ値PSA-3~PSA-6は高い「H」値を有する)。標的物体90は封入層150Aの上部に接触しないので、接触力成分PFC-1、PFC-2は、領域155-1、155-2にゼロの力の大きさを加え(すなわち、領域155-1、155-2は、図3Bに示すように、時間t1の間、弛緩した減圧状態のままである)、これにより、圧力センサ125-1、125-2は、低いアナログ圧力センサデータ値に維持される(すなわち、アナログ圧力センサ値PSA-1とPSA-2は低い「L」値を有する)ことに留意されたい。
【0032】
一実施形態では、処理回路130Aは、マイクロプロセッサ135または他の論理回路を利用して、デジタル圧力センサ値PSD-1~PSD-6によって提供される等高線マップタイプの情報に対応する触覚情報TIを生成する。例えば、オールバイナリゼロのデジタル圧力センサ値パターンが、接触力が加えられていない状態で(例えば、図3Aに示されるように)ADC回路126によって生成される場合、マイクロプロセッサ135は、ホストロボットシステムの制御回路によって「接触なし」を示すと解釈されるデータパターンを有する触覚情報TIを生成/送信するように構成され得る。対照的に、接触力が加えられていることが検出されると(例えば、図3Bに示されるように)、マイクロプロセッサ135は、接触された標的物体の位置および向きを示すパターンを有する触覚情報TIを生成/伝送するように構成され得(例えば、「列の下3分の2で接触」)、これにより、ホストロボットシステムの制御回路は、予期されるフィードバックデータが提供されたときにプログラムされた動作を継続すること、またはグリッパと標的物体との間の望ましくない接触が示されたときに修正動作を実行することが可能になる。例えば、図4Aは、標的物体90が、5列C1~C5および6行R1~R6に配置された圧力センサPSD-11~PSD-56を含む圧力センサアレイ124Aの中央部分に接触したときに圧力ボード120A(t1)によって生成される例示的な2D等高線マップタイプ圧力センサデータパターンPSD-P1を示す簡略図であり、上記の方法で生成されたデジタル圧力センサ値は説明のために各圧力センサPSD-11~PSD-56に重ね合わせられている。図4Aは、標的物体90が中央列C3に配置された圧力センサ125-33~125-36に(すなわち、接触領域CR-1および圧力センサデータ値PSD-33~PSD-36によって示されるように)接触するときに生成される例示的な予期されるフィードバックデータパターンPSD-P1を示し、これにより、マイクロプロセッサ135は、標的物体90の中心位置および垂直方向を示すパターンを有する触覚情報TIを生成/伝送するように構成され得、それにより、ホストロボットシステムの制御回路はプログラムされた動作を継続すること(すなわち、中断することなく、ユーザ提供の命令207によって定められた一次制御信号シーケンスを実行すること)が可能になる。対照的に、図4Bは、標的物体90が予期される中央位置からオフセットされ、エッジ列C5に配置された圧力センサ125-53~125-56に(すなわち、接触領域CR-2によって示されるように)接触するときに生成される例示的な予期されないフィードバックデータパターンPSD-P2を示す。この場合、マイクロプロセッサ135は、標的物体90の中心から外れた位置および垂直方向を示すパターンを有する触覚情報TIを生成/伝送し、それにより、ホストロボットシステムの制御回路は一次制御信号シーケンス(プログラムされた動作)を中断し、標的物体に対するグリッパの位置を再調整する1つまたは複数の2次制御信号を含むことが可能になる。同様に、図4Cは、標的物体90が、複数の行R3~R6および複数の列C2~C4に配置された圧力センサに(すなわち、接触領域CR-3によって示されるように)接触するようにオフセットされたときに圧力センサアレイ124Aによって生成される例示的な予期されないフィードバックデータパターンPSD-P3を示す。このオフセット状態に応答して、マイクロプロセッサ135は、標的物体90の中心から外れた位置および/または非垂直方向を示すパターンを有する触覚情報TIを生成/伝送し、それにより、ホストロボットシステムの制御回路は一次制御信号シーケンスを中断し、修正動作を取る(例えば、標的物体を再び把持する前にフィンガを回転させて再配置する)ことが可能になる。
【0033】
図5Aおよび図5Bは、別の特定の実施形態による簡略化された触覚知覚装置100Bを示す。装置100Bは、装置100A(上記)と同様であるセンサボード120B、センサデータ処理回路130B、メザニンコネクタ140、および封入層150Bを含み、図3Bを参照して上に記載したものと同様の動作可能な相互作用を実行するものとして図5Aに示される。したがって、装置100Aを参照して上に記載したものと同じである装置110Bの詳細は、簡潔にするために省略されている。
【0034】
装置100Bは、封入層150Bが、上記の保護および把持摩擦機能を実行することを可能にし、さらに、標的物体90の滑り型変位に応答して高/低圧波面を生成するスピーカのような機構として機能することを可能にする特定の材料パラメータに従って形成されるという点で、装置100Aとは異なる。図5Aを参照すると、この実施形態では、封入層150Bは、0.5mm~10mmの範囲の厚さT1を有し、0から300ミクロンRMS(ルート平均二乗)の表面粗さおよび30A~70Aのデュロメータを有することによって特徴付けられる材料配合物を有するシリコーンゴムの層を使用して実装される。これらのパラメータを使用して製造される場合、封入層150Bは、図6Aおよび図6Bを参照して記載されるように、標的物体90の滑り型変位によって生成される高圧/低圧波面をセンサボード120Bに伝達する媒体として機能する。
【0035】
同様にセンサボード120Bおよび処理ボード130Bは、封入層150Bによって生成された高圧/低圧波面の検出/測定を容易にするために、装置100Aの対応する回路とは幾分異なる。センサボード120Bは、圧力センサアレイ124Bの圧力センサ125-1~125-6が上記のように静的圧力センサデータ値を測定するように構成されるという点でセンサボード120Aと同様であるが、圧力センサ125-1~125-6が、標的物体90の滑り型変位に応答した封入層150Bによる高圧/低圧波面の生成に応じて振動力値を測定するようにも構成されている点で異なる。同様に、処理回路130Bは、静的圧力値と振動力値(まとめて圧力/振動PV値と呼ばれる)の両方を使用して触覚情報TIを生成するように構成されている点で処理回路130Aと異なる。簡潔にするため、および以下の記載を簡略化するために、静圧センサデータ値と振動力値の両方を、バイナリ1とバイナリ0の値を使用して記載する。例えば、図5Aに示すように、圧力センサ125-1によって生成された対応するアナログデータ値に基づいてADC回路126Bによって生成された圧力/振動値PV-1は、「00」で示され、ここで、第1のバイナリ0値は圧力センサデータ値であり、第2のバイナリ0値は振動力値である。当業者は、実際の使用においては、静圧および振動力の値は他の数値スケールで表すことができ、時変であり得ることを認識するであろう。
【0036】
図5Aおよび図6Aは、標的物体90がしっかりと把持されている時間t2における装置100Bを示している(すなわち、標的物体90の滑りが時間t2で発生していない)。すなわち、図6Aに示されるように、加えられた力AF0は、時間t2において、封入層150Bの表面151と標的物体90の表面91との間に、装置100Bに対する標的物体90のX軸位置を維持するのに十分な摩擦力FFを生成するのに十分大きい。この状態において、圧力センサアレイ124Bは、標的物体90によって加えられる接触力のパターンおよび滑りのない状態に対応する圧力/振動値を生成/伝送する。例えば、図6Aに示されるように、圧力センサ125-5、125-6は、それぞれ、圧縮された封入層領域155-5、155-6から圧力成分PFC-5、PFC-6を受け取り、したがって、高「H」アナログ圧力値を生成する。同時に、振動力がないため、圧力センサ125-5、125-6は低「L」アナログ振動値を生成する。したがって、圧力成分PFC-5、PFC-6は、それぞれ、値「HL」を有するアナログ圧力/振動値を生成し、それにより、ADC回路126Bは、これらの値を、時間t2においてバイナリ「10」に等しい圧力/振動値PV-5、PV-6に変換する。図5Aを参照すると、同様の方法で、圧力センサ125-3、125-4も「HL」圧力/振動値を生成し、これらはADC回路126Bによってバイナリ「10」値に変換され、次いで処理回路130Bに送信される。対照的に、圧力センサ125-1、125-2は、時間t2で圧力成分を受け取らないので、これらのセンサは、ADC回路126Bによってバイナリ「00」として変換/伝送される「LL」圧力/振動値を生成する。
【0037】
図5Bおよび図6Bは、標的物体90が時間t2でその位置から距離-Zだけ滑ったときの時間t3における装置100Bを示している。すなわち、図6Bに示されるように、時間t3において、封入層150Bの表面151と標的物体90の表面91との間の摩擦力FFは、装置100Bに対する標的物体90のX軸位置を維持するのに不十分であり、それにより、標的物体90は、-Z方向に変位し始める(すなわち、装置100Bに対して下向きに滑り始め、ここで-Z方向は封入層150Bの表面151に対して横方向であり、圧力センサ125-5、125-6に平行である)。滑りプロセスの間、封入層領域155-5、155-6は、静圧力成分PFC-5、PFC-6を圧力センサ125-5、125-6に伝達し続ける。さらに、封入層領域155-5、155-6は、圧力センサ125-5、125-6によって同じく検出される振動力成分VFCを伝達するように機能し、ここで、振動力成分VFCは、標的物体90が封入層150Bに対して-Z方向に移動している間に物体表面91と封入層表面151との間の滑り型接触によって生成される高/低交互圧力波面を表す。したがって、圧力センサアレイ124Bは、標的物体90によって加えられる接触力のパターンおよび振動力成分VFCによって示される滑り状態に対応する圧力/振動値を生成/伝送する。例えば、図6Bに示されるように、圧力センサ125-5、125-6は、それぞれ、値「HH」を有するアナログ圧力/振動値を生成し、それにより、ADC回路126Bは、これらの値を、時間t3でバイナリ「11」に等しい圧力/振動値PV-5、PV-6に変換する。図5Bを参照すると、同様の方法で、圧力センサ125-3、125-4も「HH」圧力/振動値を生成し、これらはADC回路126Bによってバイナリ「11」値に変換され、次いで処理回路130Bに送信される。圧力センサ125-1、125-2は、時間t3で圧力成分を受け取らないが、滑りプロセス中に生成された振動を検出する場合があり、これにより、圧力センサ125-1は「LL」圧力/振動値を生成し、圧力センサ125-2は、「LH」圧力/振動値を生成し、これらは次いで、ADC回路126Bによって、それぞれ「00」および「01」のバイナリ値を有する圧力/振動値PV-1、PV-2に変換/伝送される。
【0038】
図5Bに記載の滑り事象の早期検出を促すことにより、装置100Bは、滑りプロセスを阻止するための修正動作を促し、それにより、標的物体90への損傷を防止する(すなわち、装置100Bによって適用された把持から標的物体90が完全に滑るときに起こり得るよりも破損による)。すなわち、上記静圧情報と滑り/非滑り情報の両方を含む引張情報TIを生成するように処理回路130Bを構成することにより、装置100Bは、滑り始めた直後にホストロボットシステムの制御回路に通知することができ、それにより修正動作を促す。例えば、図6Cは、時間t4(すなわち、時間t3の直後)における装置100Bの一部を示し、このとき、装置100Bが取り付けられているエンドエフェクタは、標的物体90に増加した加えられた力AF1を生成するように作動され、それによって、封入面151と物体表面91との間の摩擦力FFの量を、滑りプロセスを停止するレベルまで増大する。滑りプロセスがうまく終了したことは、例えば、圧力/振動値PF-5、PF-6が、図5Aを参照して上に記載した「10」バイナリ値に変化することによって確認される。
【0039】
図7は、集合的に多層PCB構造体121Cを形成する2つのPCB積層体構造体(積層体)121C-1、121C-2の間に挟まれた2つの圧電型圧力センサ125C-1、125C-2を含む例示的なセンサボード120Cの一部を示す断面側面図である。例示的な実施形態では、圧力センサ125C-1、125C-2は、それぞれ、圧電材料構造体125C-11、125C-21(例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の小さなブロック/ダイ)を含み、それらは、それぞれ、上部電極125C-12、125C-22と、下部電極125C-13、125C-23との間に挟まれ、それらは、PCB積層体121C-1の下面に形成された上部導電性リード/回路122CおよびPCB積層体121C-2の上面に形成された下部リード/回路123C-1、123C-2に動作可能に結合されている。一実施形態では、PZT構造体125C-11、125C-21は、それらのポーリング方向が、垂直入射で(すなわち、Z軸方向において)下部PCB積層体121C-2から離れる方向を向く垂直方向になるように製造される。他の実施形態では、PZT構造体125C-11、125C-21のポーリング方向は、他の軸に沿って向けることができる。一実施形態では、上部PCB積層体121C-1は、圧力センサ125C-1、125C-2への圧力の伝達を容易にするために、フレキシブルPCB材料(例えば、ポリイミドポリマー)の1つまたは複数の層を含む。例示的な実施形態では、上部回路122Cは、動作中に接地電位に接続される共有導電性構造体を含み、下部回路123C-1、123C-2のそれぞれは、センサ125C-1、125C-2からADC回路126Cへのアナログセンサデータ信号の伝送を容易にする別個の増幅回路(例えば、図7に示される演算増幅器およびコンデンサ構成など)を含む。装置100Cが図7に示される例示的な構成を使用して実装される場合、動作中に標的物体(図示せず)によって上部PCB積層体121C-1に加えられる圧力は、センサ125C-1、125C-2に伝達され(例えば、封入層150の対応する領域を圧縮することによって)、それにより、PZT構造体126C-1、126C-2に、圧電効果に従って生成され、PZT構造体126C-1、126C-2のZ軸変形(圧縮)の対応する量に関連する対応する大きさを有する電荷の形態で関連するアナログ圧力センサデータ値PSA-1、PSA-2を生成させる。前述の実施形態と同様に、図7に示される構造は、本発明の注目すべき特徴を強調するために簡略化され、示される構造は、より大きな圧力センサアレイの一部を形成し、より大きな圧力センサアレイが次に、1つまたは複数の追加のPCB積層体またはPCB層および追加のセンサタイプを含むセンサボードの一部を形成し得る。
【0040】
図8は、別の例示的な実施形態による触覚知覚装置100Dの一部を形成する簡略化されたセンサボード120Dを示す断面側面図である。図7に示される実施形態のように、センサボード120Dは、PCB積層体121D-1、121D-2の間に配置された圧力センサ125D-1、125D-2を含み、これらは集合的に多層PCB構造体121Dを形成する。圧力センサ125D-1、125D-2は、図7を参照して上に記載したPZTタイプのセンサ構成を使用して実装することができ、対称(すなわち、等間隔)パターン配置(例えば、図8のセンサ125D-1によって示されるような)または非対称/ランダムパターン配置(例えば、図8のセンサ125D-2によって示されるような)のどちらかで第1のPCB構造体121Dに配置することができる。前の実施形態のように、アナログ圧力センサデータ値は、PCB積層体121D-2の下面に配置されたADC回路126Dに渡される。代替の実施形態では、圧力センサ125D-1、125D-2は、別のセンサタイプの1つまたは複数のセンサ(例えば、ひずみゲージ、容量性圧力センサ、キャビティベースの圧力センサ、圧電センサ、およびピエゾ抵抗センサのうちの1つ)を使用して実装することができる。
【0041】
センサボード120Dは、PCB構造体121D上に配置され、触覚情報の生成に利用される追加のデータを提供するように構成された1つまたは複数の追加のセンサ160D-1、160D-2を含むという点で、上記の実施形態とは異なる。追加のセンサ160D-1、160D-2は、圧力センサアレイ124Dの圧力センサとは異なるセンサタイプによって実装される(例えば、追加のセンサ160D-1、160D-2は、図5A~6Cを参照して上に記載した方法で振動を検出するように構成された振動/テクスチャセンサ、標的物体とセンサボード120Dとの間の距離を決定するように構成された近接センサ、またはセンサボード温度センサの対応する部分に適用された局所温度に応答して温度データを生成するように構成された温度センサを含み得る)。いくつかの実施形態では、追加のセンサ160D-1、160D-2の一方または両方は、圧電、ピエゾ抵抗、またはMEMSベースのセンサ構成のどれかを使用して実装される振動/テクスチャセンサを含む。他の実施形態では、追加のセンサ160D-1、160D-2の一方または両方は、抵抗温度検知器(RTD)、熱電、または別の既知の温度センサ構成を使用して実装される温度センサを含む。さらに他の実施形態では、追加のセンサ160D-1、160D-2の一方または両方は、容量結合型感知要素を使用して実装された近接センサを含む。図8に示されるように、追加のセンサ160D-1は、PCB積層体121D-2の上面に(すなわち、一点鎖線P1によって示される圧力センサアレイ124Dを含む同じ物理層/平面内に)配置され、追加のセンサ160D-2は、PCB積層体121D-1の上面に(すなわち、一点鎖線P2によって示される圧力センサアレイ124Dによって占められているものとは異なる物理層/平面内に)配置される。いくつかの実施形態では、追加のセンサ160D-1は、層P1内に自己完結型である回路を含み、追加のセンサ160D-2は、層P2内に自己完結型である回路を含む。いくつかの実施形態では、追加のセンサ160D-1、160D-2は、ADC回路126Dに動作可能に結合され、ADC回路126Dは、アレイ124Dから受け取った圧力データおよび追加のセンサ160D-1、160D-2から受け取った追加データの両方を使用して触覚情報を生成するように構成される。
【0042】
図9図13を参照すると、別の例示的な実施形態に従って構成された触覚知覚装置100Eを示している。図9を参照すると、触覚知覚装置100Eは、ベース構造体110Eと、センサボード120Eと、センサデータ処理回路130Eと、2つのメザニンコネクタ140E-1、140E-2と、封入層150とを含む。以下に記載するように、図10は、センサボード120Eに取り付けられた回路および構造に関する詳細を提供し、図11は、センサデータ処理回路130Eに関する詳細を提供し、図12および図13は、組み立てられた状態の触覚知覚装置100Eの斜視および断面側面図を示す。
【0043】
図9を参照すると、ベース構造体110Eは、平面状上面111E-Uおよび反対側の平面状下面111E-Lの間に延びる2つの貫通開口部116Eを有する支持プレート111Eと、支持プレート111Eの後縁111E-Rに一体的に接続され、例えば、ボルトまたは他の留め具によってロボットグリッパ(図示せず)にベース構造体111Eを固く接続するように構成された取り付け穴113Eを含む取り付けフランジ112Eとを含む機械加工されたまたは成形された金属(例えば、アルミニウムまたは鋼)構造を含む。一体型周壁114Eが、支持プレート111Eおよび取り付けフランジ112Eを取り囲み、図12に示されるように、封入層150と組み合わせて、センサボード120Eおよび処理回路130Eを取り囲み、保護する保護ハウジングを形成する。図9および図13に示すように、周壁114Eの上壁部分114E-Uは、支持プレート111E-Uに垂直に、かつそれから(その上に)上向きに延在し、それにより、上部支持プレート表面111E-Uおよび上壁部分114E-Uの内面は、センサボード120Eを受け入れて固定するように構成された上部ポケット領域111E-UPを形成する。同様に、周壁114Eの下壁部分114E-Lは、支持プレート111E-Uに垂直に、かつそれから(その下に)下向きに延在し、それにより、下部支持プレート表面111E-Lおよび下壁部分114E-Lの内面は、処理回路130Eを受け入れて固定するように構成された下部ポケット領域111E-LPを形成する。封入層150は、上記の実施形態のいずれかを使用して実装することができる。
【0044】
図10は、センサボード120Eをさらに詳細に示す上面/下面図であり、(A)は、PCB構造体121Eの上面121E-U上またはその近くに配置された特徴を示し、(B)は、PCB構造体121Eの下面121E-L上に配置された特徴を示している。図10(A)を参照すると、センサボード120Eは、16行32列に配置された512個の圧力センサ125Eを有する圧力センサアレイ124Eと、PCB構造体121Eの一端に配置された追加のセンサ160E-1、160E-2、160E-3を含む。第1のADC回路126E-1は、圧力センサ125Eの第1の半分から圧力センサデータを受け取り、対応するデジタル圧力センサデータPSDを生成するように構成され、対応するデジタル圧力センサデータPSDは次に、メザニンコネクタ140E-1を介して処理回路130Eに伝送される。第2のADC回路126E-2は、圧力センサ125Eの他方の(第2の)半分から圧力センサデータを受信し、メザニンコネクタ140E-2を介して処理回路130Eに伝送される対応するデジタル圧力センサデータを生成するように構成される。プログラム可能なデバイス(例えば、PSOC)129Eは、追加のセンサ160E-1、160E-2、160E-3によって実行される動作を制御し、メザニンコネクタ140E-2を介して処理回路130Eに伝送されるデジタルの追加のセンサデータASDを生成するように動作可能に構成される。PCB構造体121Eに取り付けられた任意選択の追加回路は、様々なセンサに最適な基準電圧を提供するように構成された電源128Eを含む。
【0045】
図11は、センサデータ処理回路130Eをさらに詳細に示す上面/下面図であり、(A)は、PCB構造体131Eの上面131E-U上またはその近くに配置された特徴を示し、(B)は、PCB構造体131Eの下面131E-Lに配置された特徴を示している。図11(A)を参照すると、メザニンコネクタ140E-1、140E-2を介してセンサボード120Eから伝送された圧力センサデータPSDおよび追加のセンサデータASDは、プログラム可能なデバイス(例えば、FPGAまたはPSOC)135Eに提供され、プログラム可能なデバイス135Eはデータを処理し、触覚情報TIを生成するように構成されている。プログラム可能なデバイス135Eは、触覚情報TIを適切なトランシーバ回路(好ましくは、既知の技術に従って製造されたUSB回路)137Eに伝送し、トランシーバ回路137Eは触覚情報TIを標準のUSB信号線(データバス)108E上のシリアルデータストリームとして伝送する。
【0046】
図12および図13は、組み立てられた触覚知覚装置100Eをそれぞれ斜視図および簡略化された断面図で示している(明確にするために信号線は省略されていることに留意されたい)。組み立て中、センサボード120Eおよび処理回路130Eは、それぞれ、上部ポケット領域111-UPおよび下部ポケット領域111-LPに取り付けられ、メザニンコネクタ140E-1、140E-2によって接続され、それらはそれぞれの開口部116Eを通って延びる。封入層150は、センサボード120Eに事前に取り付けられるか、またはセンサボード120Eがベース構造体110Eに取り付けられた後に形成され得る。次に、任意選択の下部キャップ117E(図13に示されている)が、下部ポケット領域111-LP上に固定される。一実施形態では、下部キャップ117Eは、接続部138E-1、138E-2を介して処理ボード130Eに動作可能に結合する1つまたは複数の外部ソケット170E-1、170E-2を含む。組み立てられると、ポッティング材料118Eが、側面開口部119E(図9に示される)を通して、上部ポケット領域111E-UPおよび下部ポケット領域111E-LPの開いた(空いている)部分に注入されて、追加の機械的支持を提供し、センサボード120Eおよび処理回路130Eから支持プレート111Eへの熱伝達を向上する。
【0047】
本発明を特定の特別の実施形態に関して記載してきたが、本発明の発明的特徴は他の実施形態にも適用可能であり、それらのすべてが本発明の範囲内にあることが意図されていることは当業者には明らかであろう。例えば、本発明は、2本フィンガエンドエフェクタを使用する関節式ロボットシステムを特に参照して記載されているが、本明細書に開示される触覚知覚装置は、3、4、または5本フィンガエンドエフェクタ(例えば、人間のようなロボットハンド)を利用する高度なロボットシステムにおいても有益に利用され得る。さらに、本明細書に記載の触覚知覚装置の構成は、参照により完全な形で本明細書に組み込まれる、「FLEX-RIGID SENSOR ARRAY STRUCTURE FOR ROBOTIC SYSTEMS(ロボットシステム用のフレックスリジッドセンサアレイ構造)」と題された共通所有および共通出願の米国特許出願第xx/xxx,xxx号[代理人整理番号ROB-003]に記載されているフレックスリジッドセンサアレイ構造に関連する1つまたは複数の特徴を含むように修正することができる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】