(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-07
(54)【発明の名称】検出チップ用の反応装置及び反応システム
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20220531BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20220531BHJP
【FI】
C12M1/34 B
C12Q1/686 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020572760
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(85)【翻訳文提出日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 CN2020082402
(87)【国際公開番号】W WO2020207295
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】201920470599.3
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(71)【出願人】
【識別番号】519385216
【氏名又は名称】北京京▲東▼方技▲術▼▲開▼▲発▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BOE TECHNOLOGY DEVELOPMENT CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 407,Building 1,No.9 Dize Road,BDA,Beijing,100176,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】▲趙▼ 子健
(72)【発明者】
【氏名】侯 孟▲軍▼
(72)【発明者】
【氏名】殷 雨丹
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
【Fターム(参考)】
4B029AA07
4B029BB20
4B029FA02
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4B029FA12
4B063QA01
4B063QA13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS39
4B063QX04
(57)【要約】
検出チップ用の反応装置及び反応システムであって、該反応装置(10)は、チップ載台(110)と、電気信号制御ユニット(120)とを備える。チップ載台(110)は、検出チップを置いて固定するように構成され、電気信号制御ユニット(120)は、検出チップに電気信号を印加して、検出チップの加熱電極を駆動するように構成される。該反応装置(10)は、効率的で正確な温度制御を実現でき、温度制御方式が簡単であり、直接挿入して直接読み取り、操作しやすく、インテリジェント性、ポータブル性、集積性が高く、検出効率が高いので、効率的で迅速なデジタルPCR検出を実現できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出チップ用の反応装置であって、
前記検出チップを置いて固定するように構成されるチップ載台と、
前記検出チップに電気信号を印加して、前記検出チップの加熱電極を駆動するように構成される電気信号制御ユニットと、を備える、検出チップ用の反応装置。
【請求項2】
さらに支持台を備え、
前記チップ載台は、底板と、支持部と、制限用溝と、少なくとも1つの制限用ブロックとを備え、
前記底板は、空洞領域を備え、且つ前記支持台にスライド可能に接続されるように構成され、
前記支持部は、前記底板の空洞領域内に位置し、且つ前記検出チップを支持するように構成され、
前記制限用溝は、前記底板の空洞領域の周囲に位置し、且つ前記検出チップの変位を防止するように構成され、
前記制限用ブロックは、前記制限用溝の少なくとも一方側に位置し、前記検出チップの反りを防止するように構成される、請求項1に記載の反応装置。
【請求項3】
前記チップ載台は、前記支持部に対して接近離反可能にして、前記検出チップと前記支持部との相対位置を固定又は可変にするように構成されるジグをさらに備える、請求項2に記載の反応装置。
【請求項4】
前記ジグは、前記検出チップの制御電極に接触接続して電気的接続を実現できるように構成される接触電極を備え、
前記電気信号制御ユニットは、前記接触電極に電気的に接続され、且つ前記接触電極を介して前記検出チップの前記制御電極に電気信号を印加して、前記検出チップの前記加熱電極を駆動するように構成される、請求項3に記載の反応装置。
【請求項5】
前記底板はさらに、リニアガイドレールを介して前記支持台に接続されるように構成される、請求項2~4のいずれか1項に記載の反応装置。
【請求項6】
前記支持台に対して前記底板を移動して駆動するように構成される駆動モータをさらに備える、請求項2~5のいずれか1項に記載の反応装置。
【請求項7】
温度センサをさらに備え、
前記支持部は凹溝を備え、
前記温度センサは、前記凹溝内に位置し、且つ前記検出チップに接触して前記検出チップの温度を検知できるように構成される、請求項2~6のいずれか1項に記載の反応装置。
【請求項8】
前記検出チップを降温させるように構成される降温ユニットをさらに備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の反応装置。
【請求項9】
前記降温ユニットは、ファン又は送風機を備える、請求項8に記載の反応装置。
【請求項10】
前記検出チップを光学的に検出するように構成される光学ユニットをさらに備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の反応装置。
【請求項11】
前記光学ユニットは、
発光して前記検出チップを照射するように構成される光源と、
前記光源から発光され、前記検出チップで反射された光を受光するように構成されるイメージセンサと、を備える、請求項10に記載の反応装置。
【請求項12】
前記光源は、レーザー又は蛍光灯を備える、請求項11に記載の反応装置。
【請求項13】
前記イメージセンサは電荷結合素子イメージセンサを備える、請求項11又は12に記載の反応装置。
【請求項14】
ユーザと対話するように構成される対話ユニットをさらに備える、請求項1~13のいずれか1項に記載の反応装置。
【請求項15】
前記対話ユニットは、表示すると共に、ユーザの入力命令を取得するようにタッチ検出を行うように構成されるタッチパネルを備え、
又は、前記対話ユニットは、表示するように構成される表示スクリーンと、ユーザの入力命令を取得するように構成されるボタンと、を備える請求項14に記載の反応装置。
【請求項16】
前記反応装置の作業状態を制御するように構成される制御ユニットをさらに備える、請求項1~15のいずれか1項に記載の反応装置。
【請求項17】
検出して得られたデータ及び/又は前記反応装置の作業ログを記憶するように構成される記憶ユニットをさらに備える請求項1~16のいずれか1項に記載の反応装置。
【請求項18】
前記反応装置に給電するように構成される電源をさらに備える、請求項1~17のいずれか1項に記載の反応装置。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載の検出チップ用の反応装置と、少なくとも1つの前記検出チップと、を備える反応システムであって、
前記検出チップは、反応系溶液を収容できる複数のマイクロ反応チャンバーを備え、
前記反応装置の前記電気信号制御ユニットが前記検出チップに電気信号を印加して前記検出チップを昇温させ、前記反応装置の降温ユニットが前記検出チップを降温させて、前記反応系溶液に変性段階、アニーリング段階及び伸長段階を含む温度サイクルを実現させる、反応システム。
【請求項20】
前記反応装置の光学ユニットは、前記検出チップを光学的に検出して蛍光画像を取得する請求項19に記載の反応システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年4月9日に提出された中国特許出願第201920470599.3号の優先権を主張し、ここで、上記中国特許出願に開示されている全内容が本願の一部として引用されている。
【0002】
本開示の実施例は検出チップ用の反応装置及び反応システムに関する。
【背景技術】
【0003】
ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction、PCR)は、特定のDNA断片を増幅するための分子生物学的技術であり、微量のデオキシリボ核酸(DNA)を大量に複製して、その数を大幅に増やすことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の少なくとも1つの実施例は検出チップ用の反応装置を提供し、前記検出チップ用の反応装置は、前記検出チップを置いて固定するように構成されるチップ載台と、前記検出チップに電気信号を印加して、前記検出チップの加熱電極を駆動するように構成される電気信号制御ユニットと、を備える。
【0005】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置は、さらに支持台を備え、前記チップ載台は、底板と、支持部と、制限用溝と、少なくとも1つの制限用ブロックとを備え、前記底板は、空洞領域を備え、且つ前記支持台にスライド可能に接続されるように構成され、前記支持部は、前記底板の空洞領域内に位置し、且つ前記検出チップを支持するように構成され、前記制限用溝は、前記底板の空洞領域の周囲に位置し、且つ前記検出チップの変位を防止するように構成され、前記制限用ブロックは、前記制限用溝の少なくとも一方側に位置し、且つ前記検出チップの反りを防止するように構成される。
【0006】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置において、前記チップ載台は、前記支持部に対して接近離反可能にして、前記検出チップと前記支持部との相対位置を固定又は可変にするように構成されるジグをさらに備える。
【0007】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置において、前記ジグは、前記検出チップの制御電極に接触接続して電気的接続を実現できるように構成される接触電極を備え、前記電気信号制御ユニットは、前記接触電極に電気的に接続され、且つ前記接触電極を介して前記検出チップの前記制御電極に電気信号を印加して、前記検出チップの前記加熱電極を駆動するように構成される。
【0008】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置において、前記底板はさらに、リニアガイドレールを介して前記支持台に接続されるように構成される。
【0009】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置は、前記支持台に対して前記底板を移動して駆動するように構成される駆動モータをさらに備える。
【0010】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置は温度センサをさらに備え、前記支持部は凹溝を備え、前記温度センサは、前記凹溝内に位置し、且つ前記検出チップに接触して前記検出チップの温度を検知できるように構成される。
【0011】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置は、前記検出チップを降温させるように構成される降温ユニットをさらに備える。
【0012】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置において、前記降温ユニットは、ファン又は送風機を備える。
【0013】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置は、前記検出チップを光学的に検出するように構成される光学ユニットをさらに備える。
【0014】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置において、前記光学ユニットは、発光して前記検出チップを照射するように構成される光源と、前記光源から発光され、前記検出チップで反射された光を受光するように構成されるイメージセンサと、を備える。
【0015】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置において、前記光源は、レーザー又は蛍光灯を備える。
【0016】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置において、前記イメージセンサは電荷結合素子イメージセンサを備える。
【0017】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置は、ユーザと対話するように構成される対話ユニットをさらに備える。
【0018】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置において、前記対話ユニットは、表示するとともにタッチ検出を行ってユーザの入力命令を取得するように構成されるタッチパネルを備え、又は、前記対話ユニットは、表示するように構成される表示スクリーンと、ユーザの入力命令を取得するように構成されるボタンと、を備える。
【0019】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置は、前記反応装置の作業状態を制御するように構成される制御ユニットをさらに備える。
【0020】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置は、検出して得られたデータ及び/又は前記反応装置の作業ログを記憶するように構成される記憶ユニットをさらに備える。
【0021】
例えば、本開示の一実施例に係る反応装置は、前記反応装置に給電するように構成される電源をさらに備える。
【0022】
本開示の少なくとも1つの実施例は反応システムをさらに提供し、前記反応システムは、本開示のいずれかの実施例に記載の検出チップ用の反応装置と、少なくとも1つの前記検出チップと、を備え、前記検出チップは、反応系溶液を収容可能な複数のマイクロ反応チャンバーを備え、前記反応装置の前記電気信号制御ユニットは、前記検出チップに電気信号を印加して前記検出チップを昇温させ、前記反応装置の降温ユニットは、前記検出チップを降温させて、前記反応系溶液に変性段階、アニーリング段階及び伸長段階を含む温度サイクルを実現させる。
【0023】
例えば、本開示の一実施例に係る反応システムにおいて、前記反応装置の光学ユニットは、前記検出チップを光学的に検出して蛍光画像を取得する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示の実施例の技術案をより明確に説明するために、以下、実施例の図面を簡単に説明し、明らかに、以下に説明される図面は、本開示を限定するものではなく、本開示のいくつかの実施例に関するものに過ぎない。
【
図1】
図1は本開示のいくつかの実施例に係る反応装置の概略ブロック図である。
【
図2】
図2は本開示のいくつかの実施例に係る反応装置の外観模式図である。
【
図3】
図3は本開示のいくつかの実施例に係る反応装置のチップ載台の模式図である。
【
図4】
図4は本開示のいくつかの実施例に係る反応装置の構成要素の概略ブロック図である。
【
図5】
図5は本開示のいくつかの実施例に係る反応装置の光学ユニットの概略ブロック図である。
【
図6A】
図6Aは本開示のいくつかの実施例に係る反応装置の操作インタフェースの模式図である。
【
図6B】
図6Bは本開示のいくつかの実施例に係る反応装置の操作インタフェースの模式図である。
【
図6C】
図6Cは本開示のいくつかの実施例に係る反応装置の操作インタフェースの模式図である。
【
図6D】
図6Dは本開示のいくつかの実施例に係る反応装置の操作インタフェースの模式図である。
【
図7】
図7は本開示のいくつかの実施例に係る別の反応装置の外観模式
図1である。
【
図8】
図8は本開示のいくつかの実施例に係る別の反応装置の外観模式
図2である。
【
図9】
図9は本開示のいくつかの実施例に係る反応システムの概略ブロック図である。
【
図10】
図10は本開示のいくつかの実施例に係る反応システムの検出チップの平面模式図である。
【
図11A】
図11Aは本開示のいくつかの実施例に係る反応システムが熱サイクルを行うときの温度と時間の関係曲線である。
【
図11B】
図11Bは本開示のいくつかの実施例に係る反応システムが熱サイクルを行うときのプレ変性プロセスを含む場合の温度と時間の関係曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示の実施例の目的、技術案及び利点をより明確にするために、以下、本開示の実施例の図面を参照しながら、本開示の実施例の技術案を明確、かつ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は本開示の実施例の一部であり、全ての実施例ではない。説明される本開示の実施例に基づき、当業者が進歩性のある労働を必要とせずに得る全ての他の実施例は、本開示の保護範囲に属する。
【0026】
特に定義されない限り、本開示で使用される技術用語又は科学用語は、当業者が理解できる一般的な意味を有する。本開示で使用される「第1」、「第2」及び類似する用語は、何らかの順序、数又は重要性を示すものではなく、異なる構成要素を区別するためのものに過ぎない。同様に、「1つ」、「一」又は「該」などの類似する用語は、数の制限を示すものではなく、少なくとも1つが存在することを示す。「備える」又は「含む」などの類似する用語は、該用語の前に記載された素子又は部材が、該用語の後に列挙される素子又は部材、及びそれらの同等物を含むことを指し、他の素子又は部材を排除しない。「接続」又は「繋がる」などの類似する用語は、物理的又は機械的接続に限定されず、直接接続されるか間接的に接続されるかに関わらず、電気的接続を含んでもよい。「上」、「下」、「左」、「右」などは、相対位置関係を示すことのみに用いられ、説明対象の絶対位置が変化すると、該相対位置関係もそれに応じて変化する可能性がある。
【0027】
デジタルポリメラーゼ連鎖反応(digital PCR、dPCR)チップ技術は、従来のPCR技術とは異なり、核酸試料を十分に希釈して、各反応ユニット内の標的分子(すなわち、DNA鋳型)の数を1以下にさせ、各反応ユニットで標的分子のPCR増幅をそれぞれ行い、増幅終了後、各反応ユニットの蛍光信号を統計的に分析することで、単一分子DNAの絶対定量検出を実現する。dPCRは、感度が高く、特異性が高く、検出スループットが高く、定量が正確であるなどの利点を有するため、臨床診断、遺伝子不安定性分析、単細胞の遺伝子発現、環境微生物検出及び出生前診断などの分野で広く適用されている。
【0028】
PCR反応中に、DNA断片の二本鎖構造が高温で変性されて一本鎖構造が形成され、低温でプライマーと一本鎖が相補的塩基対合の原理に従って結合され、DNAポリメラーゼの最適な温度で塩基の結合伸長が実現される。上記プロセスは変性-アニーリング-伸長の温度サイクルプロセスである。変性-アニーリング-伸長の温度サイクルプロセスを複数回行って、DNA断片が大量に複製され得る。
【0029】
上記温度サイクルプロセスを実現するために、通常、一連の外部機器で検出チップを加熱及び冷却する必要があり、その結果、機器の体積が大きく、複数の機器を組み合わせて使用する必要がある。これにより、操作が複雑で、コストが高くなってしまう。市販品は、通常、外部機器で温度制御を行うため、その検出効率は通常60分間(20~30サイクル)を超え、一部の製品が90~120分間(20~30サイクル)に達することがある。その結果、検出効率は低い。また、検出チップを加熱及び冷却するプロセスにおいて、検出チップの全体的な温度はそれに伴って変化し、DNA断片を収容するマイクロキャビティ以外の、検出チップ内の他の構造及び部材の温度も変化するため、回路などの部材の損傷リスクが高まる。
【0030】
本開示の少なくとも1つの実施例は、検出チップ用の反応装置及び反応システムを提供し、該反応装置は、効率的で正確な温度制御を実現でき、温度制御方式が簡単であり、直接挿入して直接読み取り、操作しやすく、インテリジェント性、ポータブル性、集積性が高く、検出効率が高いので、効率的で迅速なデジタルPCR検出を実現できる。
【0031】
以下、図面を参照しながら本開示の実施例を詳細に説明する。なお、異なる図面の同じ符号は説明された同一の素子を指す。
【0032】
本開示の少なくとも1つの実施例は、チップ載台と電気信号制御ユニットとを備える、検出チップ用の反応装置を提供する。チップ載台は、該検出チップを置いて固定するように構成され、電気信号制御ユニットは、該検出チップに電気信号を印加して、該検出チップの加熱電極を駆動するように構成される。
【0033】
図1は本開示のいくつかの実施例に係る反応装置の概略ブロック図である。
図1に示すように、該反応装置10は、チップ載台110と、電気信号制御ユニット120とを備える。例えば、反応装置10は別に提供される検出チップと組み合わせてPCR反応を実現させる(例えば、さらにPCR検出を実現できる)。作業プロセスにおいて、該検出チップには反応系溶液が含有され、反応装置10は該検出チップに電気信号を印加して検出チップ(例えば、検出チップの機能領域)を昇温させることで、検出チップ内の反応系溶液に変性-アニーリング-伸長の温度サイクルプロセスを実行させ、これにより反応系溶液内のDNA断片が大量に複製され得る。
【0034】
例えば、チップ載台110は、検出チップを置いて固定するように構成されるので、検出チップのプラグアンドプレイを実現できる。電気信号制御ユニット120は、検出チップに電気信号(例えば電圧信号)を印加して、検出チップの加熱電極を駆動するように構成される。検出チップの加熱電極は電気信号を受信した後、熱を放出して、検出チップの機能領域を昇温させて温度サイクルプロセスを行うときの所定温度に達することができる。
【0035】
図2は本開示のいくつかの実施例に係る反応装置の外観模式図である。
図2に示すように、該反応装置10は、さらに支持台130を備える。例えば、支持台130は、該反応装置10のケーシング及び内部の支持構造であり、支持、保護などの役割を果たす。また、支持台130は、該反応装置10の他の部材のための取付箇条をさらに提供することができる。例えば、支持台130はプラスチック、金属又は他の任意の適用可能な材料で製造され得る。
【0036】
図3は本開示のいくつかの実施例に係る反応装置のチップ載台の模式図である。
図2及び
図3に示すように、チップ載台110は、支持台130に設けられ、支持台130にスライド可能に接続されて、支持台130から引き出されたり、支持台130に押し込まれたりすることができる。チップ載台110が支持台130から引き出される場合、チップ載台110は支持台130の外に露出して、検出チップを置いたり取り出したりすることができる。チップ載台110が支持台130に押し込まれる場合、チップ載台110は支持台130の内部空間に内置されて、加熱、冷却、光学検出などの操作を行うことができる。
【0037】
例えば、
図3に示すように、チップ載台110は、底板111と、支持部112と、制限用溝113と、少なくとも1つの制限用ブロック114とを備える。
【0038】
例えば、底板111は、支持台130にスライド可能に接続されるように構成される。これにより、チップ載台110が支持台130から引き出されたり、支持台130に押し込まれたりすることができる。例えば、底板111はリニアガイドレールを介して支持台130に接続されており、該リニアガイドレールは底板111の両側に設けられ得る。なお、本開示の実施例では、底板111と支持台130との接続方式については制限されず、任意の適用可能な接続方式を採用してもよく、任意の適用可能な接続構造を採用してもよく、これは実際のニーズに応じて決められる。
【0039】
例えば、いくつかの例では、該反応装置10は駆動モータをさらに備えてもよく、該駆動モータが支持台130に対して底板111を移動させて駆動するように構成される。これにより、検出チップの自動進入を実現し、該反応装置10の自動化程度を向上させて、人工的操作を減少させることができる。例えば、該駆動モータはリニアガイドレールのスライダーに接続されてもよく、スライダーが底板111に固定して接続され、リニアガイドレールのガイドレールが支持台130に固定して接続される。これにより、駆動モータの駆動下で、スライダーがガイドレールに沿って直線移動して、チップ載台110の引き出し及び押し込みを実現する。例えば、該駆動モータはステッピングモータであってもよい。もちろん、本開示の実施例はこれに制限されず、該反応装置10には駆動モータが設けられなくてもよく、人工的操作によりチップ載台110を支持台130から引き出したり、支持台130に押し込んだりして、コストを削減し、機器の重量を減らすことができる。
【0040】
例えば、底板111は空洞領域111aを備え、支持部112は底板111の空洞領域111a内に位置し、検出チップを支持するように構成される。例えば、支持部112のサイズは、空洞領域111aのサイズよりも小さくして検出チップが支持部112に置かれた後にその一部の表面が空気に露出する。これにより、検出チップが放熱やすく、温度制御が容易になる。例えば、支持部112のサイズは実際のニーズに応じて決められ、例えば、検出チップの置き安定性及び放熱のニーズに応じて決められ、本開示の実施例はこれを制限しない。
【0041】
例えば、制限用溝113は底板111の空洞領域111aの周囲に位置し、検出チップの変位を防止するように構成される。例えば、制限用溝113のサイズは、検出チップのサイズと同じ又は基本的に同じにすることで、位置の制限をよりよくして、検出チップが制限用溝113から滑り出しにくいようにする。もちろん、本開示の実施例はこれに制限されず、制限用溝113のサイズは検出チップのサイズよりもやや大きくてもよく、これは実際のニーズに応じて決められる。例えば、制限用溝113の形状は略矩形であり、これにより、矩形の検出チップを置きやすい。例えば、制限用溝113は支持役割を果たすこともでき、支持部112とともに検出チップを支持する。例えば、人工的操作のための空間を残し、ユーザが検出チップを把持しやすくするために、制限用溝113は、互いに対向する一対のエッジを円弧状に設定し、且つ該円弧状が互いに離れる方向へ凸出するようにしてもよい。これにより、ユーザの指のために操作空間を残し、ユーザが検出チップを把持しやすくなり、検出チップを置いたり取り出したりしやすくなる。
【0042】
例えば、制限用ブロック114は制限用溝113の少なくとも一方側に位置し、検出チップの反りを防止するように構成される。制限用ブロック114の数については制限されず、
図3には2つの制限用ブロック114の場合が示されるが、本開示の実施例を制限しない。例えば、制限用ブロック114は1つ、3つ又は任意の個数であってもよい。制限用ブロック114の設置位置については制限されず、
図3に示される制限用ブロック114は制限用溝113の同一側に位置するが、本開示の実施例を制限しない。例えば、複数の制限用ブロック114は、検出チップの反りを防止する役割を果たすことができれば、制限用溝113の任意の異なる側に位置してもよい。例えば、検出チップがチップ載台110に置かれる時にはジグで固定される必要があり、しかも、ジグの接触電極と検出チップの制御電極とを接触接続させる必要があるため、検出チップはジグの圧力により反りが発生しやすい。制限用ブロック114を設けることで、検出チップの反りを防止でき、検出チップとジグとの接続を強くする。ジグ及びその接触電極についての詳細な説明は以下の内容を参照でき、ここで繰り返し説明しない。
【0043】
図4は本開示のいくつかの実施例に係る反応装置の構成要素の概略ブロック図である。
図4に示すように、チップ載台110は、支持部112に対して接近離反可能にして検出チップと支持部112との相対位置を固定又は可変にするように構成されるジグ115をさらに備える。例えば、検出チップは
図4に示される検出チップ30であってもよく、該検出チップ30は制御電極310と加熱電極320とを備える。検出チップ30をチップ載台110に置いてから、ジグ115を支持部112に接近させることで、検出チップ30をチップ載台110に固定する。検出チップ30を取り出す必要がある時、ジグ115を支持部112から離反させることで、検出チップ30をチップ載台110から取り出すことができる。例えば、人工的操作の方式でジグ115と支持部112との間の間隔を調節して、支持部112に対してジグ115を移動させてもよく、別に設けられたパワー部材(例えばモータ)によってジグ115と支持部112との間の間隔を調節してもよく、本開示の実施例はこれを制限しない。例えば、いくつかの例では、ジグ115は支持台130内に設けられ、且つチップ載台110の上方に位置し、チップ載台110に対して上下移動可能となるようにしてもよい。
【0044】
例えば、ジグ115は、検出チップ30の制御電極310に接触接続して電気的接続を実現できるように構成される接触電極1151を備える。検出チップ30をチップ載台110に置いて、ジグ115で検出チップ30を固定する。例えば、ジグ115と検出チップ30とが互いに接触するため、接触電極1151と制御電極310とを接触接続させて、電気信号を伝送できるようになる。例えば、接触電極1151は金属材料で製造されてもよく、これにより、抵抗を減少させ、信号駆動能力に対する要求を低減させることができる。例えば、ジグ115は挟持構造をさらに備えてもよく、接触電極1151は挟持構造に設けられてもよく、例えば、挟持構造の検出チップ30に接触する表面に設けられて、接触電極1151と検出チップ30の制御電極310とを接触接続させる。例えば、挟持構造は汎用ジグ(例えば、バイス、チャック、吸盤など)であってもよく、又は専用ジグ(例えば、該反応装置10のために特別に設計される構造)であってもよく、本開示の実施例はこれを制限しない。
【0045】
例えば、電気信号制御ユニット120は
図4に示されるパワー増幅回路121であってもよく、該パワー増幅回路121はパワーがより大きな電圧信号を出力でき、負荷を直接駆動でき、負荷容量が強い。もちろん、本開示の実施例はこれに制限されず、電気信号制御ユニット120は他の適用可能な回路又はモジュールを用いてもよい。電気信号制御ユニット120は接触電極1151に電気的に接続され、接触電極1151を介して検出チップ30の制御電極310に電気信号を印加して、検出チップ30の加熱電極320を駆動するように構成される。例えば、電気信号制御ユニット120から出力された電気信号は電線を介して接触電極1151に伝送されており、接触電極1151が制御電極310に接触接続されるため、電気信号が制御電極310に伝送され、ひいては加熱電極320に伝送される。加熱電極320は電気信号の作用下で発熱して放熱し、検出チップ30の温度を上昇させて、加熱するように機能する。
【0046】
例えば、
図4に示すように、反応装置10は、検出チップ30に接触して検出チップ30の温度を検知できるように構成される温度センサ140をさらに備える。例えば、
図3に示すように、支持部112は凹溝1121を備え、温度センサ140は凹溝1121内に位置する(
図3には温度センサ140が示されていない)。検出チップ30がチップ載台110に置かれると、温度センサ140は検出チップ30に直接接触するため、検出チップ30の温度を検知できる。なお、本開示の実施例では、温度センサ140は、検出チップ30に直接接触せず、一定の隙間を有してもよく、温度センサ140の具体的な設置方式は実際のニーズに応じて決められ、例えば、温度センサ140のタイプに応じて決められ、本開示の実施例はこれを制限しない。
【0047】
例えば、温度センサ140は、様々な種類の温度センサであってもよく、例えば、接触温度センサ又は非接触温度センサなどであり、例えば、熱電対温度センサ又は赤外線温度センサなどである。例えば、いくつかの例では、温度センサ140はデジタル温度センサで、型番がDS18B20であり、体積が小さく、ハードウェアコストが低く、抗干渉能力が高く、精度が高いなどの利点を有する。なお、本開示のいくつかの実施例では、検出チップ30には温度センサが含まれる場合、反応装置10に温度センサ140を設ける必要がなくなる。
【0048】
例えば、
図4に示すように、反応装置10は、検出チップ30を降温させるように構成される降温ユニット150をさらに備える。例えば、降温ユニット150はファン又は送風機、例えば、プログラム制御可能なファン又は送風機であってもよく、これにより、降温機能を実現するとともにコストを削減する。例えば、降温ユニット150はチップ載台110の上方又は下方に設けられて、放熱速度を加速することができる。検出チップ30を降温させる必要がある時、降温ユニット150によって空冷降温して、検出チップ30の温度を下降させる。例えば、電気信号制御ユニット120と降温ユニット150との組み合わせによって、必要に応じて検出チップ30の温度を上昇又は下降させることができ、ひいては温度の制御を実現することで、検出チップ30内の反応系溶液に変性-アニーリング-伸長の温度サイクルを行わせて、増幅反応を行う。
【0049】
例えば、反応装置10は、検出チップ30を光学的に検出するように構成される光学ユニット160をさらに備える。
図5に示すように、光学ユニット160は光源161と、イメージセンサ162とを備える。例えば、光源161は発光して検出チップ30を照射するように構成され、イメージセンサ162は光源161から発光され、検出チップ30で反射された光を受光するように構成される。例えば、光源161はレーザー(例えば、レーザー波長が450nm~480nmである)又は蛍光灯であってもよく、イメージセンサ162は電荷結合素子(CCD)イメージセンサであってもよく、本開示の実施例はこれを制限しない。検出チップ30における反応系溶液の増幅反応が終了した後、光学ユニット160でそれを光学的に検出して、蛍光画像を得ることができ、さらにPCR検出結果を得る。
【0050】
例えば、
図2及び
図4に示すように、反応装置10は、ユーザと対話するように構成される対話ユニット170をさらに備える。例えば、対話ユニット170は、表示するとともにタッチ検出を行ってユーザの入力命令を取得するように構成されるタッチパネルであってもよい。例えば、該タッチパネルは、液晶(LCD)タッチパネル、有機発光ダイオード(OLED)タッチパネル、量子ドット発光ダイオード(QLED)タッチパネル、電子ペーパータッチパネルなどであってもよく、本開示の実施例はこれを制限しない。対話ユニット170は、ユーザと対話することができれば、ボタン、表示スクリーン、音声入力装置などの他の形態の部材であってもよい。
【0051】
例えば、
図4に示すように、反応装置10は、反応装置10の作業状態を制御するように構成される制御ユニット180をさらに備える。例えば、制御ユニット180は、制御プログラムを実行することで、電気信号制御ユニット120に電気信号を出力させること、降温ユニット150の作業を制御すること、温度センサ140から伝送された検出信号を受信すること、対話ユニット170が表示するように制御すること、やユーザが対話ユニット170を介して入力した命令を受信することなどの機能を有してもよいが、制御他の機能を有してもよく、本開示の実施例はこれを制限しない。例えば、制御ユニット180は中央処理装置(CPU)、シングルチップマイクロコンピュータ(MCU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)又はフィールドプログラマブルロジックアレイ(FPGA)などであってもよく、本開示の実施例はこれを制限しない。例えば、いくつかの例では、制御ユニット180はSTM32シングルチップマイクロコンピュータである。
【0052】
例えば、
図2及び
図4に示すように、反応装置10は、検出して得られたデータ及び/又は反応装置10の作業ログなどを記憶するように構成される記憶ユニット190をさらに備える。例えば、記憶ユニット190は、支持台130の側面にある可動取付溝131内に設けられてもよい。これにより、記憶ユニット190が支持台130から引き出されたり、支持台130に押し込まれたりしやすくなって、記憶ユニット190の取り付け又は取り出しが実現される。例えば、記憶ユニット190は様々な形態のコンピュータ可読記憶媒体であってもよく、例えば、揮発性メモリ及び/又は不揮発性メモリである。揮発性メモリは、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び/又はキャッシュメモリ(cache)などを含み得る。不揮発性メモリは、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、USBメモリ、SDカード、フラッシュメモリなどを含み得る。例えば、記憶ユニット190は、検出して得られたデータ、例えば蛍光画像及び分析結果などを記憶することができるので、検出結果のコピー、伝送などを容易に行うことができる。記憶ユニット190はさらに、反応装置10が生成した任意のデータ、例えば反応装置10の作業ログ、ユーザから入力された命令などを記憶することに用いられてもよく、本開示の実施例はこれを制限しない。
【0053】
例えば、
図4に示すように、反応装置10は、反応装置10に給電するように構成される電源210をさらに備える。例えば、電源210は外部電源のインタフェースであってもよく、導線、変圧器などを介して給電ネットワークに電気的に接続され、又は内蔵電源、例えば二次電池(例えばリチウム電池)、一次電池(例えばアルカリ電池)、太陽電池などの任意の適用可能な給電部材であってもよく、本開示の実施例はこれを制限しない。
【0054】
図6A~6Dは本開示のいくつかの実施例に係る反応装置の操作インタフェースの模式図である。
図6Aは起動ときのようこそ画面であり、
図6Bは機能選択インタフェースであり、
図6Cはパラメータ設定インタフェースであり、
図6Dは温度曲線監視インタフェースである。例えば、機能選択インタフェースでは、ユーザは「SET」を選択してパラメータ設定インタフェースに入ることができ、「RUN」を選択して温度サイクルプロセスを実行し且つ温度曲線監視インタフェースに入ることもできる。例えば、パラメータ設定インタフェースでは、ユーザは、変性段階の温度、アニーリング段階の温度、及び伸長段階の温度などの温度サイクルプロセスの各段階の温度、各段階の継続時間、温度サイクル回数などを設定することができる。
【0055】
なお、
図6A~6Dに示される操作インタフェースは例示的なものであり、制限的なものではなく、反応装置10は、実際のニーズに応じて対応する制御プログラムを実行し、且つ表示される情報が実際のニーズに応じて決められる複数の操作インタフェースを有してもよい。例えば、いくつかの例では、制御プログラムは、それぞれオペレーティングシステム、光学検出ソフトウェア、画像スティッチング及びデータ読み取りソフトウェアという3つのサブルーチンを含んでもよい。これにより温度サイクル、光学検出などの機能が得られる。例えば、該制御プログラムは
図4に示される記憶ユニット190に記憶され且つ制御ユニット180により実行されてもよく、制御ユニット180は該制御プログラムの操作インタフェースを対話ユニット170に表示する。
【0056】
図7は本開示のいくつかの実施例に係る別の反応装置の外観模式
図1であり、
図8は本開示のいくつかの実施例に係る別の反応装置の外観模式
図2である。該実施例の反応装置10は、
図7及び
図8に示すように、対話ユニット170の実現方式及び反応装置10の外観が異なる以外、
図2~
図4に示される反応装置10と基本的に同じである。
【0057】
該実施例では、対話ユニット170は表示スクリーン171と、ボタン172とを備える。表示スクリーン171は表示するように構成され、例えば、LCD表示スクリーン、OLED表示スクリーン、QLED表示スクリーン、電子ペーパー表示スクリーンなどであってもよく、本開示の実施例はこれを制限しない。ボタン172はユーザの入力命令を取得するように構成され、例えば、機械式ボタン、光学式ボタン、タッチ式ボタンなどであってもよく、本開示の実施例はこれを制限しない。例えば、ボタン172はプログラム制御スイッチ1721、パラメータ設定ボタン1722、確認ボタン1723、リセット及びステップ選択ボタン1724を含んでもよい。例えば、パラメータ設定ボタン1722によって検出プロセスにおける様々なパラメータ、例えば温度、時間などを設定することができ、リセット及びステップ選択ボタン1724によって検出プロセスの検出ステップを選択することができる。例えば、該反応装置10は、該反応装置10の起動又はシャットダウンを制御するための電源スイッチ001をさらに備える。なお、本開示の実施例では、ボタン172の数、設置位置、機能については制限されず、これらは実際のニーズに応じて決められる。例えば、ボタン172の実際の設置方式は、反応装置10に実行されているプログラムに基づいて決められることにより、該プログラムに協動してユーザと反応装置10との対話を実現する。
【0058】
例えば、記憶ユニット190は反応装置10の上表面の開閉可能な取付溝内に設けられており、該開閉可能な取付溝を開くと、記憶ユニット190を容易に挿入し又は取り出すことができる。例えば、チップ載台110は引き出されたり、押し込まれたりすることができ、検出チップ30はチップ載台110に置かれ、且つジグ115で固定され得る。
【0059】
なお、本開示の実施例では、反応装置10はより多く又はより少ない部材を含んでもよく、これは実際に実現する必要がある機能及び性能に基づいて決められ、本開示の実施例はこれを制限しない。上記説明された各部材、例えば、チップ載台110、電気信号制御ユニット120、支持台130、温度センサ140、降温ユニット150、光学ユニット160、対話ユニット170、制御ユニット180、記憶ユニット190、及び電源210などは、対応する機能を実現できれば、任意の適用可能な方式で実現されてもよく、上記説明された実現方式に制限されない。
【0060】
本開示の少なくとも1つの実施例は、少なくとも1つの検出チップと、本開示のいずれかの実施例に記載の該少なくとも1つの検出チップと組み合わせて使用できる反応装置とを備える反応システムをさらに提供する。該反応システムは、効率的で正確な温度制御を実現でき、温度制御方式が簡単であり、直接挿入して直接読み取り、操作しやすく、インテリジェント性、ポータブル性、集積性が高い。それにより、検出効率が高く、効率的で迅速なデジタルPCR検出を実現できる。
【0061】
図9は本開示のいくつかの実施例に係る反応システムの概略ブロック図である。
図9に示すように、該反応システム40は反応装置10と、少なくとも1つの検出チップ30とを備える。例えば、反応装置10は本開示のいずれかの実施例に記載の反応装置である。該反応システム40は1つ以上の検出チップ30を含み、例えば、これらの検出チップ30は上記いずれかの検出チップであってもよく、これらの検出チップ同士の規格は同じであってもよく、又は異なってもよい。例えば、
図10に示すように、検出チップ30は反応系溶液を収容可能な複数のマイクロ反応チャンバー330を備える。例えば、いくつかの例では、検出チップ30は40万レベルの反応ユニットを有し、すなわち、40万レベルのマイクロ反応チャンバー330を有する。検出チップ30の制御電極310は電気信号を受信し且つ該電気信号を加熱電極320に伝送する。加熱電極320は該電気信号の作用下で発熱して放熱し、検出チップ30の機能領域3001を昇温させる。反応装置10の電気信号制御ユニット120は検出チップ30に電気信号を印加して検出チップ30の加熱電極320を駆動することで、検出チップ30を昇温させ、反応装置10の降温ユニット150は検出チップ30を降温させて、反応系溶液に変性段階、アニーリング段階、伸長段階を含む温度サイクルを実現させる。例えば、反応装置10の光学ユニット160は検出チップ30を光学的に検出して蛍光画像を取得することができる。
【0062】
例えば、該反応システム40がPCR熱サイクル増幅を行うプロセスは以下のとおりである。
【0063】
反応系溶液が注入された検出チップ30を反応装置10のチップ載台110に置き、ジグ115で固定し、接触電極1151と検出チップ30の制御電極310とを電気的に接続する。反応装置10に対してパラメータ設定を行う。例えば、サイクルパラメータは、95℃15秒の変性、55℃45秒のアニーリング、72℃45秒の伸長であり、合計で30個の熱サイクルを設定する。例えば、95℃5分間のプレ変性をさらに設定できる。検出チップ30において鋳型DNAを含有しているマイクロ反応チャンバー330内の液滴はPCR増幅反応を行い、鋳型DNAを含有していないマイクロ反応チャンバー330内の液滴は対照群とされる。例えば、熱サイクルの温度と時間の関係曲線は
図11A及び
図11Bに示され、これから分かるように、熱サイクルの温度制御効果に優れ、正確な温度制御を実現でき、温度制御精度が0.5℃に達し、且つ検出時間が短く(30個のサイクルがかかる時間は35分間である)、検出効率が高い。
【0064】
熱サイクル増幅が終了した後、反応装置10の光学ユニット160で検出チップ30を光学的に検出して、蛍光画像を得る。該反応システム40によって、検出チップ30内の反応系溶液が有効な熱サイクル増幅を行い且つ鮮明な蛍光画像を得ることができ、検出スループットが高い。
【0065】
なお、本開示のいくつかの実施例では、反応システム40はより多くの構成要素又は部材を含んでもよく、本開示の実施例はこれを制限しない。該反応システム40についての詳細な説明及び技術的効果は前文の反応装置10の説明を参照でき、ここで繰り返し説明しない。
【0066】
以下の点を説明する必要がある。
【0067】
(1)本開示の実施例の図面は、本開示の実施例に係る構造のみに関し、他の構造は通常の設計を参照すればよい。
【0068】
(2)矛盾がない限り、本開示の実施例及び実施例の特徴を互いに組み合わせて新たな実施例を得ることができる。
【0069】
以上は、本開示の具体的な実施形態に過ぎないが、本開示の保護範囲はこれに制限されず、本開示の保護範囲は前記特許請求の範囲の保護範囲を基準とするべきである。
【符号の説明】
【0070】
10 反応装置
110 チップ載台
120 電気信号制御ユニット
【国際調査報告】