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特表2022-527881ステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁
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  • 特表-ステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁 図1
  • 特表-ステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁 図2
  • 特表-ステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁 図3
  • 特表-ステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁 図4A
  • 特表-ステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁 図4B
  • 特表-ステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁 図5
  • 特表-ステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁 図6
  • 特表-ステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁 図7
  • 特表-ステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁 図8
  • 特表-ステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁 図9
  • 特表-ステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁 図10
  • 特表-ステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁 図11
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-07
(54)【発明の名称】ステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021556606
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 CN2020083087
(87)【国際公開番号】W WO2020207331
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】201910274554.3
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508007949
【氏名又は名称】北京佰仁医療科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】金 磊
(72)【発明者】
【氏名】慕 宏
(72)【発明者】
【氏名】範 志豪
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097BB04
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC14
4C097DD09
4C097DD10
4C097DD11
4C097SB02
4C097SB03
(57)【要約】
本発明は、介入肺動脈弁又は介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造に関し、ただし、前記ステントは金属メッシュチューブであり、前記弁尖は前記ステントの内側に設けられた3つの扇形弁尖であり、3つの前記扇形弁尖は、いずれも遊離縁、円弧状底辺及び両側に延びる弁尖の交連部を有し、前記金属メッシュチューブには3つの連結柱が均等に配置され、各弁尖の両側の交連部が各連結柱の内側で折り曲がって緩衝部が形成された後に、縫合糸で連結柱に連結固定される。本発明は、当該連結構造を応用した介入肺動脈弁及び介入大動脈弁をさらに提供する。本発明のステントと弁尖との連結構造により、弁尖が開閉時に応力が集中することと、弁尖とステントとの間に摩擦が発生することとを回避でき、生体弁に近い血行力学的効果及び近似する耐久性機能を実現した。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントは金属メッシュチューブであり、弁尖は、前記ステント内側に設けられた3つの扇形弁尖であり、3つの前記扇形弁尖は、いずれも遊離縁、円弧状底辺及び両側に延びる弁尖の交連部を有する介入肺動脈弁及び介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造であって、前記金属メッシュチューブには3つの連結柱が均等に配置され、各弁尖の両側の交連部が各連結柱の内側で折り曲がって緩衝部が形成された後に、縫合糸で連結柱に連結固定される、ことを特徴とする介入肺動脈弁及び介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造。
【請求項2】
前記連結柱ごとに2列の穴又は2列の矩形フレームが設けられ、前記穴の数は4つから8つであり、前記矩形フレームの数は2つから4つである、ことを特徴とする請求項1に記載の介入肺動脈弁及び介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造。
【請求項3】
前記交連部が1回又は2回折り曲がって前記緩衝部が形成され、縫合糸で連結柱の前記穴又は矩形フレームに連結固定される、ことを特徴とする請求項2に記載の介入肺動脈弁及び介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造。
【請求項4】
前記ステントの材料は植え込み可能な合金材料であり、前記植え込み可能な合金材料はコバルト基合金、ニッケルチタン合金又はステンレス鋼材料であり、前記弁尖の材料は動物由来の組織材料又は医療用高分子材料である、ことを特徴とする請求項1に記載の介入肺動脈弁及び介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造。
【請求項5】
径方向に圧縮可能で自己膨張可能な、両端が均一な円筒形の末広がり状を呈するステントと、前記ステント内側に設けられた3つの扇形弁尖とを含み、3つの前記扇形弁尖は、いずれも遊離縁、円弧状底辺及び両側に延びる弁尖の交連部を有する請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のステントと弁尖との連結構造を応用した介入肺動脈弁であって、前記ステントは金属メッシュチューブであり、前記金属メッシュチューブには3つの連結柱が均等に配置され、各弁尖の両側の交連部が各連結柱の内側で折り曲がって緩衝部が形成された後に、縫合糸で連結柱に連結固定され、前記ステントの体壁には被膜が設けられている、ことを特徴とする介入肺動脈弁。
【請求項6】
前記ステントは、前記連結柱の間に設けられた複数列の軸方向ストラットを有し、前記連結柱と軸方向ストラットとの間に横方向に延びる6行の円周ストラットが設けられ、下側の1行目、2行目、3行目の円周ストラットは前記ステントの流入端を画定し、4行目、5行目、6行目の円周ストラットは前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは、角度をなす複数組のストラットの連結からなり、前記各組のストラットは、角度が0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字状を呈し、前記各行の円周ストラットと複数列の軸方向ストラットとは、複列の菱形又はハニカム状の格子を形成し、前記ステントの体壁上の被膜は前記ステントの中間列の格子に縫着される、ことを特徴とする請求項5に記載の介入肺動脈弁。
【請求項7】
バルーン拡張後のステントの外縁とその軸線とがなす角度は0°から30°の間にある、ことを特徴とする請求項5に記載の介入肺動脈弁。
【請求項8】
径方向に圧縮可能でかつバルーンによって拡張された後に略末広がり状を呈することが可能なステントと、前記ステント内側に設けられた3つの扇形弁尖とを含み、3つの前記扇形弁尖は、いずれも遊離縁、円弧状底辺及び両側に延びる弁尖の交連部を有する請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のステントと弁尖との連結構造を応用した介入大動脈弁であって、前記ステントは金属メッシュチューブであり、前記金属メッシュチューブには3つの連結柱が均等に配置され、各弁尖の両側の交連部が各連結柱の内側で折り曲がって緩衝部が形成された後に、縫合糸で前記各連結柱に連結固定され、前記ステントの体壁には被膜が設けられている、ことを特徴とする介入大動脈弁。
【請求項9】
前記ステントは、前記連結柱の間に設けられた複数列の軸方向ストラットを有し、前記連結柱と軸方向ストラットとの間には横方向に延びる円周ストラットが3行設けられ、下側の1行目の円周ストラットは前記ステントの流入端を画定し、1行目と間隔を置いた2行目の円周ストラット及び3行目の円周ストラットは前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは、角度をなす複数組のストラットの連結からなり、前記各組のストラットは、角度が0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字状を呈し、前記1行目と2行目の各組の円周ストラットは平行に配列されるとともに、3行目の各組の円周ストラットの方向と反対であり、前記ステントの体壁上の被膜は前記1行目の円周ストラットと2行目の円周ストラットとの間に縫着される、ことを特徴とする請求項8に記載の介入大動脈弁。
【請求項10】
前記ステントは、横方向に延びる4行の円周ストラットと、前記円周ストラット間に設けられた複数列の軸方向ストラットとを有し、ただし、下側の1行目と2行目の円周ストラットは前記ステントの流入端を画定し、3行目と4行目の円周ストラットは前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは、角度をなす複数組のストラットの連結からなり、前記各組のストラットは、角度が0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字状を呈し、前記複数列の軸方向ストラットと複数組の円周ストラットとが互いに連結されてハニカム状の空間が形成され、前記ステントの体壁上の被膜は前記1行目の円周ストラットと3行目の円周ストラットとの間に縫着される、ことを特徴とする請求項8に記載の介入大動脈弁。
【請求項11】
前記ステントの体壁の外側の、前記1行目の円周ストラットと2行目の円周ストラットとの間に被膜が縫着されている、ことを特徴とする請求項8に記載の介入大動脈弁。
【請求項12】
バルーン拡張後のステントの外縁とその軸線とがなす角度は0°から30°の間にある、ことを特徴とする請求項8に記載の介入大動脈弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の技術分野に関し、具体的には、介入肺動脈弁及び介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁に関する。
【背景技術】
【0002】
経カテーテル介入肺動脈弁の成功は、最初、2000年に報道され、この弁膜は、MelodyTM経カテーテル肺動脈弁(図1に示すように)と呼ばれる。その後、2010年にアメリカのFDAから人道機器適用免除(HDE)ルートで臨床応用の承認を取得し、2015年に、PMA申請ルートで承認を取得して、複雑先天性心疾患の右心室流出路再建後の肺動脈弁機能不全(狭窄性弁膜症及び/又は閉鎖不全)の介入治療のための正式な商用ものとなった。生体弁組織の供給源は、ウシの頸静脈弁である。その後、経カテーテル大動脈弁(TAVR)の応用も成功し、20年近くの発展を経て、介入弁は日々成熟して高齢患者の大動脈弁疾患の治療に用いられる。
【0003】
中国は人口が約14億人の大国であり、毎年、100万人近くの先天性欠損症の幼児が生まれ、先天性肺動脈弁欠損症に関わり、複雑先天性心疾患(複雑先天心と略称)に属する。『中国心血管病報告2017』によると、中国には、200万人の先天性心疾患の患者があり、そのうち、約1/5が複雑先天性心疾患の患者であり、これらの患者の大部分にとって、手術による肺動脈弁及び主肺動脈の再建は唯一の効果的な治療法である。この難題を解決するための特許として、本出願者は、右心室流出路及び肺動脈弁を再建するための心臓外科的植え込みに用いられる「人工肺動脈弁付きチューブ(ZL200710064337.9)」を有し、当該製品はすでに2016年12月に登録を済んで、市販している。同種の発明として、さらに、「心臓流出路弁付きパッチ」(ZL200510082673.7)、「心臓流出路修復用の弁付きパッチ及び弁付き管(US11/995,106)」及び「ステントレス人工生体弁(ZL200510082674.1)」などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、介入弁の臨床応用に対する一般的な懸念は耐久性問題であり、現在、業界内で介入肺動脈弁の耐久性問題に対する特許の研究は、まだ初期段階である。
【0005】
これに鑑いて、本発明が解決しようとする技術的問題は、介入肺動脈弁及び介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入肺動脈弁と介入大動脈弁を提供することであり、それは、金属ステントの内側に緩衝部が設けられ、弁尖とステントとが直接接触することを防止することができ、弁膜製品の使用耐久性を向上させた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の技術的問題を解決するために、本発明にて採用された技術的解決手段は、介入肺動脈弁及び介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造を提供することであり、前記ステントは金属メッシュチューブであり、前記弁尖は前記ステントの内側に設けられた3つの扇形弁尖であり、3つの前記扇形弁尖は、いずれも遊離縁、円弧状底辺及び両側に延びる弁尖の交連部を有し、前記金属メッシュチューブには3つの連結柱が均等に配置され、各弁尖の両側の交連部が各連結柱の内側で折り曲がって緩衝部が形成された後、縫合糸で連結柱に連結固定される。
【0007】
さらに、前記連結柱ごとに2列の穴又は2列の矩形フレームが設けられ、前記穴の数は4つから8つであり、前記矩形フレームの数は2つから4つである。
【0008】
さらに、前記交連部が1回又は2回折り曲がって前記緩衝部が形成され、縫合糸で連結柱の前記穴又は矩形フレームに連結固定される。
【0009】
さらに、前記ステントの材料は植え込み可能な合金材料であり、前記植え込み可能な合金材料はコバルト基合金、ニッケルチタン合金又はステンレス鋼材料であり、前記弁尖の材料は動物由来の組織材料又は医療用高分子材料である。
【0010】
本発明は、上記の連結構造を応用した介入肺動脈弁をさら提供し、径方向に圧縮可能で自己膨張可能な、両端が均一な円筒形の末広がり状を呈するステントと、前記ステント内側に設けられた3つの扇形弁尖を含み、3つの前記扇形弁尖は、いずれも遊離縁、円弧状底辺及び両側に延びる弁尖の交連部を有し、前記ステントは金属メッシュチューブであり、前記金属メッシュチューブには3つの連結柱が均等に配置され、各弁尖の両側の交連部が各連結柱の内側で折り曲がって緩衝部が形成された後に、縫合糸で連結柱に連結固定され、前記ステントの体壁には被膜が設けられている。
【0011】
さらに、前記連結柱ごとに2列の穴又は2列の矩形フレームが設けられ、前記穴の数は4つから8つであり、前記矩形フレームの数は2つから4つである。さらに、前記交連部が1回又は2回折り曲がって前記緩衝部が形成され、縫合糸で連結柱の前記穴又は矩形フレームに連結固定される。さらに、前記ステントの材料は植え込み可能な合金材料であり、前記植え込み可能な合金材料はコバルト基合金、ニッケルチタン合金又はステンレス鋼材料であり、前記弁尖の材料は動物由来の組織材料又は医療用高分子材料である。
【0012】
さらに、前記ステントは、前記連結柱の間に設けられた複数列の軸方向ストラットを有し、前記連結柱と軸方向ストラットとの間に横方向に延びる6行の円周ストラットが設けられ、下側の1行目、2行目、3行目の円周ストラットは前記ステントの流入端を画定し、4行目、5行目、6行目の円周ストラットは前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは、角度をなす複数組のストラットの連結からなり、前記各組のストラットは、角度が0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字状を呈し、前記各行の円周ストラットと複数列の軸方向ストラットとは、複列の菱形又はハニカム状の格子を形成し、前記ステントの体壁上の被膜は前記ステントの中間列の格子に縫着される。
【0013】
さらに、バルーン拡張後のステントの外縁とその軸線とがなす角度は0°から30°の間にある。
【0014】
本発明は、上記連結構造を応用した介入大動脈弁をさらに提供し、径方向に圧縮可能でかつバルーンによって拡張された後に略末広がり状を呈することが可能なステントと、前記ステント内側に設けられた3つの扇形弁尖を含み、3つの前記扇形弁尖は、いずれも遊離縁、円弧状底辺及び両側に延びる弁尖の交連部を有し、前記ステントは金属メッシュチューブであり、前記金属メッシュチューブには3つの連結柱が均等に配置され、各弁尖の両側の交連部が各連結柱の内側で折り曲がって緩衝部が形成された後に、縫合糸で前記各連結柱に連結固定され、前記ステントの体壁には被膜が設けられている。
【0015】
さらに、前記連結柱ごとに2列の穴又は2列の矩形フレームが設けられ、前記穴の数は4つから8つであり、前記矩形フレームの数は2つから4つである。さらに、前記交連部が1回又は2回折り曲がって前記緩衝部が形成され、縫合糸で連結柱の前記穴又は矩形フレームに連結固定される。さらに、前記ステントの材料は植え込み可能な合金材料であり、前記植え込み可能な合金材料はコバルト基合金、ニッケルチタン合金又はステンレス鋼材料であり、前記弁尖の材料は動物由来の組織材料又は医療用高分子材料である。
【0016】
さらに、前記ステントは、前記連結柱の間に設けられた複数列の軸方向ストラットを有し、前記連結柱と軸方向ストラットとの間には横方向に延びる円周ストラットが3行設けられ、下側の1行目の円周ストラットは前記ステントの流入端を画定し、1行目と間隔を置いた2行目の円周ストラット及び3行目の円周ストラットは前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは、角度をなす複数組のストラットの連結からなり、前記各組のストラットは、角度が0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字状を呈し、前記1行目と2行目の各組の円周ストラットは平行に配列されるとともに、3行目の各組の円周ストラットの方向と反対であり、前記ステントの体壁上の被膜は前記1行目の円周ストラットと2行目の円周ストラットとの間に縫着される。
【0017】
さらに、前記ステントは、横方向に延びる4行の円周ストラットと、前記円周ストラット間に設けられた複数列の軸方向ストラットとを有し、ただし、下側の1行目と2行目の円周ストラットは前記ステントの流入端を画定し、3行目と4行目の円周ストラットは前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは、角度をなす複数組のストラットの連結からなり、前記各組のストラットは、角度が0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字状を呈し、前記複数列の軸方向ストラットと複数組の円周ストラットとが互いに連結されてハニカム状の空間が形成され、前記ステントの体壁上の被膜は前記1行目の円周ストラットと3行目の円周ストラットとの間に縫着される。
【0018】
さらに、前記ステントの体壁の外側の、前記1行目の円周ストラットと2行目の円周ストラットとの間には被膜がさらに縫着されている。
【0019】
さらに、バルーン拡張後のステントの外縁とその軸線とがなす角度は0°から30°の間にある。
【発明の効果】
【0020】
本発明によって達成できる効果は次のようである。本発明にて提供される介入肺動脈弁及び介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入大動脈弁と介入肺動脈弁は、動物由来の組織材料がその弁尖交連付着組織の内側で折り曲がって緩衝部を形成し、続いて、縫合糸で前記ステントの連結柱に連結固定されるため、弁尖がその開閉過程に金属ステントに擦れたり傷ついたりすることを回避でき、そして、当該連結構造における連結柱は、2列の穴又は矩形フレームに沿って縫うため、弁尖の交連部の縫い目箇所の縫合糸が穴又は矩形フレームに十分に固定され、弁尖の開閉過程に応力が集中することを回避でき、当該介入大動脈弁又は介入肺動脈弁の使用耐久性を向上させ、外科用弁膜などと同じ耐久効果を実現した。本願の肺動脈弁は、既存製品を基に、低侵襲経カテーテルの方式により人工生体肺動脈弁を植え込み、特に、何年も前に右心室流出路再建手術を受けた、すでに成人になった複雑先天性心疾患術後の患者に対して、胸部を再開することなく治療することができる。本発明は、弁膜のステントに対する設計、特にステントと弁尖との連結構造により、以前外科用生体弁を正常に応用した長年の経験に基づき、弁尖とステントとの連結及び固定は、介入型人工生体弁の強固性と耐久性の鍵である。従って、本発明により、耐久性が当社の外科用人工生体弁と一致する血行力学特性及び耐久性を備えた介入肺動脈弁を取得できる。また、当該発明は、介入大動脈弁の縫製にも使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】既存技術の介入肺動脈弁の概略構造図である。
図2】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜介入治療用の介入大動脈弁の概略構造図である。
図3】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜介入治療用の介入大動脈弁の弁尖の展開平面図である。
図4A】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜介入治療用の介入大動脈弁の3つの弁尖の交連部を折り曲げて縫合した側面図及び斜視図である。
図4B】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜介入治療用の介入大動脈弁の3つの弁尖の交連部を折り曲げて縫合した側面図及び斜視図である。
図5】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜介入治療用の介入大動脈弁の弁尖の円弧状底辺に補強用のポリエステルエッジが被覆されている展開平面図である。
図6】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜介入治療用の介入大動脈弁の金属ステントの斜視図である。
図7】本発明の別の実施例による人工生体心臓弁膜介入治療用の介入大動脈弁の金属ステントの斜視図である。
図8】本発明の別の実施例による人工生体心臓弁膜介入治療用の介入大動脈弁の概略構造図である
図9】本発明の又別の実施例による介入肺動脈弁の概略構造図である。
図10】本発明の又別の実施例による介入肺動脈弁のステント構造の斜視図である。
図11】本発明の又別の実施例による介入肺動脈弁のステントの展開平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、介入大動脈弁又は介入肺動脈弁のためのステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入大動脈弁と介入肺動脈弁を提供し、以下では、具体的な実施例で具体的な実施形態について説明するが、ここで説明した具体的な実施例は、本発明を解釈するために使用されるだけで、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0023】
本発明のステントと弁尖との連結構造は、介入肺動脈弁に使用できるだけでなく、介入大動脈弁にも使用できる。
【0024】
実施例1:介入大動脈弁
介入大動脈弁は、「下」端及び「上」端を有する。本願において、「下」及び「上」という用語は、「流入」及び「流出」という用語とそれぞれ互換的に使用され得る。したがって、例えば、介入大動脈弁の下端はその流入端であり、介入大動脈弁の上端はその流出端である。
【0025】
図2は、本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜介入治療用の介入大動脈弁の概略構造図であり、径方向に圧縮可能でかつバルーンによって拡張された後に略末広がり状を呈することが可能なステント10と、前記ステント10内側に設けられた3つの扇形弁尖20とを含み、3つの前記扇形弁尖20はいずれも遊離縁21、円弧状底辺22及び両側に延びる弁尖の交連部23(図3を参照)を有する。さらに、図6を参照すると、前記ステントは金属メッシュチューブであり、前記金属メッシュチューブには3つの連結柱11が均等に配置され、3つの連結柱11の間には、合計6列の軸方向ストラット12が均等に配置され、前記連結柱11と6列軸方向ストラット12との間には、横方向に貫通して延びる3行の円周ストラット13、14、15が設けられ、下側の1行目の円周ストラット13は前記ステント10の流入端を画定し、1行目の円周ストラット13と間隔を置いた2行目の円周ストラット14及び3行目の円周ストラット15は前記ステントの流出端を画定する。各行の円周ストラットは、角度をなす複数組のストラットEEの連結からなり、前記各組のストラットEEは、角度が0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字状を呈し、前記1行目の円周ストラット13及び2行目の円周ストラット14の各組の円周ストラットは、平行に配列されかつ3行目の円周ストラット15の各組の円周ストラットの方向と反対であり、同期に変形可能な格子を複数形成する。このような金属メッシュチューブで構成されるステントは、介入治療時に、介入大動脈弁をまず縦方向に圧縮してから膨らませる使用方法に適応できる。さらに、連結柱11の上部には、縫合糸で扇形弁尖を固定連結するための2列の合計8つの穴16が設けられている。ステント11の複数の格子のうち、前記1行目の円周ストラット13と2行目の円周ストラット14との間には被膜17が縫着されている。前記ステントの体壁上の被膜は、前記1行目の円周ストラットと3行目の円周ストラットとの間に縫着される。場合によっては、必要に応じて、同じ位置の外側には外側被膜(図示せず)がさらに縫着されている。前記被膜の材料は、当業者が想到できる動物由来の組織材料又は医療用高分子材料であり得る。
【0026】
さらに、図2図4A~B及び図5を参照すると、前記扇形弁尖20の交連部23を、まず2つずつ合わせ、続いてそれぞれ外側に2回折り曲げた後、扇形弁尖20にフィットするように合わせて縫合糸で固定し、こうすると、弁尖遊離縁の根部に緩衝部24が形成され、さらに緩衝部24を縫合糸でステントの連結柱11に固定連結し、扇形弁尖の円弧状底辺には補強用の被膜25がさらに1層被覆されており、被膜25によりステントの体壁上の被膜にさらに縫着される。このように、本発明の実施例の介入大動脈弁が形成される。当然、必要に応じて、交連部を1回だけ折り曲げて緩衝部を形成することも可能であるが、このような緩衝部には、2回折り曲げ後に自然に形成される丸みを帯びた角Rがないため、使用効果が2回折り曲げの緩衝よりやや低い。
【0027】
介入大動脈弁の弁尖が開くとき、緩衝部24が存在するため、弁尖が開閉過程に金属ステントに擦れたり傷ついたりすることを回避でき、そして、当該連結構造における連結柱は2列の穴に沿って縫うため、弁尖の交連部の縫い目箇所の縫合糸が穴又は矩形フレームに十分に固定され、弁尖の開閉過程に応力が集中することを回避でき、当該介入大動脈弁又は介入肺動脈弁の使用耐久性を向上させ、外科用弁膜などと同じ耐久効果を実現した。
【0028】
実施例2:介入大動脈弁
本実施例の介入大動脈弁は、実施例1と異なるステント構造を有し、他の構造は実施例1と大体同じである。場合によっては、より大きい流出端及びより大きいステントの高さを必要とし、図7図8に示すように、本実施例において、ステント50は金属メッシュチューブであり、金属メッシュチューブ上には、3つの連結柱51が均等に配置されており、前記ステントは、横方向に延びる4行の円周ストラット52、53、54、55と、前記円周ストラット間に設けられた複数本の軸方向ストラット56とを有し、ただし、下側の1行目と2行目の円周ストラット52、53は前記ステントの流入端を画定し、3行目と4行目の円周ストラット54、55は前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは、角度をなす複数組のストラットEEの連結からなり、前記各組のストラットは、角度が0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字状を呈し、前記複数列の軸方向ストラット56と複数組の円周ストラットとが互いに連結して変形可能なハニカム状の格子を形成できる。ここで、流出端を画定するハニカム状の格子がより大きい。さらに、連結柱11の上部には、縫合糸で扇形弁尖を固定連結するために用いられる2列の矩形フレーム57が設けられる。ステント51の複数の格子のうち、前記1行目の円周ストラット52と3行目の円周ストラット54との間に被膜58が縫着されている。場合によっては、必要に応じて、1行目の円周ストラット52と2行目の円周ストラット53との間の被膜の外側には外側被膜(図示せず)がさらに縫着される。前記被膜の材料は、当業者が想到できる動物由来の組織材料又は医療用高分子材料であり得る。
【0029】
実施例3:介入肺動脈弁
介入肺動脈弁は、通常、右心室流出路の介入治療に用いられる。
【0030】
本実施例の介入肺動脈弁と、本発明の実施例1及び実施例2の介入大動脈弁との主な異なる点は、ステントの形状が異なることであり、図9に示すように、前記介入肺動脈は、ステント及び3つの扇形弁尖を含み、前記ステントの形状について、さらに図10図11を参照すると、前記ステント60は、3つの連結柱61と、3つの連結柱に均等に配置される6列の軸方向ストラット62とを有し、連結柱61と軸方向ストラット62との両端に設けられている横方向に延びる6行の円周ストラット63、64、65、66、67、68を利用して、下側の1行目、2行目、3行目円周ストラット63、64、65で前記フレームの流入端を画定し、4行目、5行目及び6行目の円周ストラット66、67、68で前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは、角度をなす複数組のストラットGGの連結からなり、前記各組のストラットは、角度が0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字状を呈し、前記複数列の軸方向ストラット56と、4行目と5行目の円周ストラット66、67とは互いに連結して変形可能なハニカム状の格子を形成し、残りの行の円周ストラット同士は菱形格子を形成する。当該介入肺動脈弁ステントの体壁上の被膜69は、3行目の円周ストラット65と、5行目の円周ストラット67及び3つの連結柱24との間の格子に縫着される。
【0031】
本実施例の介入肺動脈弁の連結柱61は、2列の穴の設計であり、実施例1と同じ連結方法を採用することができ、扇形弁尖を前記ステントに固定する。
【0032】
全ての実施例におけるステントは、コバルト基合金、ニッケルチタン合金、ステンレス鋼材料、又は他の植え込み可能な合金材料ステントなどとして実施し得るが、これらに限定されず、ここでは具体的に限定しない。弁尖は、動物由来の組織材料又は医療用高分子材料であり、例えば豚の心膜、牛の心膜又は羊の心膜の組織材料のうちのいずれか1つ又は医療用高分子材料のいずれか1つであってもよく、ここでは具体的に限定しない。縫合糸は、医療用高分子材料のいずれか1つである。
【0033】
最後に、以上の各実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためのものにすぎず、それを限定するものではないことに留意されたい。前述の実施例を参照しながら本発明について詳細に説明したが、当業者であれば、前述の実施例に記載の技術的解決手段を依然として修正できること、又はその技術的特徴の一部又は全部に対して同価置換を行うことができ、該当の技術的解決手段の本質がこれらの修正や置換により本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱しないことを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】