(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-07
(54)【発明の名称】非接触型カードの取引の向上した効率及び信頼性のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/34 20120101AFI20220531BHJP
【FI】
G06Q20/34 420
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557306
(86)(22)【出願日】2020-03-12
(85)【翻訳文提出日】2021-11-18
(86)【国際出願番号】 US2020022349
(87)【国際公開番号】W WO2020197783
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】519111877
【氏名又は名称】キャピタル・ワン・サービシーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Capital One Services, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100210701
【氏名又は名称】萩原 義則
(72)【発明者】
【氏名】ルール,ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ,ウェイン
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA66
(57)【要約】
送信装置及び受信装置を含む取引を実行するためのシステム及び方法の例の実施の形態。ステートマシンは、送信装置と受信装置との間で実行されるデータ通信、データ読み取り及びデータ書き込みを監視するように構成されてよい。取引中に中断が起きた場合、ステートマシンは、中断が解消されると、最新のデータ通信、データ読み込み又はデータ書き込みに続いて前記取引を再開させてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサ及びメモリを備える非接触型カードと、
プロセッサ及びメモリを備える受信装置での実行のための指示を含むアプリケーションと、
前記非接触型カードの前記プロセッサ及び前記受信装置の前記プロセッサの1以上とデータ通信するステートマシンと、
を備え、
前記ステートマシンは、前記非接触型カードと前記受信装置を含む取引の開始時に、前記アプリケーションと通信して、前記非接触型カードと前記アプリケーションとの間のデータ通信、データ読み取り及びデータ書き込みの1以上を記録するように構成され、
前記ステートマシンは、前記取引を妨げる中断が発生すると、前記非接触型カードと前記アプリケーションとの間の最新のデータ通信、データ読み取り又はデータ書き込みを保存するように構成され、
前記アプリケーションは、前記受信装置の通信フィールドへの前記非接触型カードの入れ直しの催促を表示するように構成され、
前記ステートマシンは、前記中断の解消時に、前記非接触型カードと前記アプリケーションとの間の最新のデータ通信、データ読み取り又はデータ書き込みの直後の再開ステップで前記取引を再開するように構成され、
前記解消は、前記受信装置の通信フィールドへの前記非接触型カードの入れ直しに関連付けられる、
取引システム。
【請求項2】
前記ステートマシンは、前記非接触型カードの前記メモリに格納される、
請求項1に記載の取引システム。
【請求項3】
前記ステートマシンは、前記受信装置の前記メモリに格納される、
請求項1に記載の取引システム。
【請求項4】
前記ステートマシンは、更に、
近接決済システム環境を選択するための第1コマンドの送信を記録し、
支払いシステム環境オブジェクトを作成するための第1応答の受信を記録し、
前記第1応答からアプリケーション定義ファイルを選択するための第2コマンドの送信を記録し、
アプリケーション定義ファイル・オブジェクトを作成するための第2応答の受信を記録し、
1以上の処理オプションを取得するための第3コマンドの送信を記録し、
アプリケーション・ファイル・ロケータ・テンプレート及びアプリケーション・プロファイルに基づいて処理オプション・オブジェクトを作成するための第3応答の受信を記録し、
前記アプリケーション・ファイル・ロケータ・テンプレートからの1以上のオブジェクトに基づいて各アプリケーション・ファイル・ロケータのためのアプリケーション・ファイル・レコードを読み取るための第4コマンドの送信を記録し、
各アプリケーション・ファイル・ロケータの読み取りを含む第4の応答の受信を記録し、
前記アプリケーション・ファイル・ロケータ・テンプレート及び前記アプリケーション・プロファイルに基づいてアプリケーション暗号文を生成するための第5コマンドの送信を記録し、
前記アプリケーション暗号文を含む第5応答の受信を記録し、
前記アプリケーション暗号文に関連付けられたデジタル署名の認証を記録し、
前記認証に基づくカードデータの取得を記録し、
前記カードデータの送信を記録し、
送信された、前記認証に基づくカードデータの受信を記録する、
ように構成される、
請求項1に記載の取引システム。
【請求項5】
前記第2応答は、前記非接触型カードでサポートされるアプリケーション定義ファイル及び関連付けられたカーネル識別子のリストを含む、
請求項4に記載の取引システム。
【請求項6】
前記アプリケーションは、前記認証に関連付けられた成功又は失敗を示す1以上の通知を表示するように構成される、
請求項4に記載の取引システム。
【請求項7】
前記アプリケーション定義ファイル・オブジェクトは、ディレクトリ・エントリ・オブジェクト及びアプリケーション識別子のうちの少なくとも一つに基づく、
請求項4に記載の取引システム。
【請求項8】
前記ディレクトリ・エントリ・オブジェクトは、優先順位に関連付けられている、
請求項7に記載の取引システム。
【請求項9】
前記ステートマシンは、前記アプリケーション・ファイル・ロケータ・テンプレートからアプリケーション・ファイル・ロケータ・オブジェクトのリストを取り出すように構成される、
請求項4に記載の取引システム。
【請求項10】
前記ステートマシンは、失敗通知の表示の前に、所定の回数、前記取引を再開するように構成される、
請求項1に記載の取引システム。
【請求項11】
前記ステートマシンは、失敗通知の表示の前に、所定の回数、前記取引を再開しようとするように構成される、
請求項1に記載の取引システム。
【請求項12】
前記受信装置は、NFCフィールドを生成するように構成される近距離無線通信(NFC)インターフェースを更に備え、
前記中断は、前記非接触型カードが前記NFCフィールドから出ることで引き起こされる、
請求項1に記載の取引システム。
【請求項13】
前記中断は、前記非接触型カードが前記NFCフィールドに再度進入することで解消される、
請求項12に記載の取引システム。
【請求項14】
受信装置の通信インターフェースにより、通信フィールドを生成すること、前記受信装置はプロセッサ及びメモリを更に備え、また前記受信装置での実行のための指示を含むアプリケーションを含み、
前記アプリケーションにより、前記通信フィールドへの非接触型カードの進入を検出し、
前記非接触型カードにより、前記アプリケーションを含む取引を開始し、
前記非接触型カードにより、ステートマシンを動作させ、
前記ステートマシンにより、前記取引に関連して前記アプリケーションで実行される1以上のデータ読み取りを記憶し、
前記アプリケーションにより、前記非接触型カードが前記通信フィールドから出たことを決定し、
前記アプリケーションにより、前記取引の中断の発生を決定し、
前記アプリケーションにより、前記通信フィールドへの前記非接触型カードの再進入の催促を表示し、
前記アプリケーションにより、前記通信フィールドへの前記非接触型カードの再進入を検出し、
前記ステートマシンにより、1以上のデータ読み取りの直後の再開ステップで前記取引を再開する、
取引を実行する方法。
【請求項15】
前記ステートマシンは、前記取引に関連して前記アプリケーションにより実行されたデータ読み取りを継続的に記録する、
請求項14に記載の、取引を実行する方法。
【請求項16】
前記ステートマシンは、前記取引に関連して前記アプリケーションにより実行されたデータ通信及びデータ書き込みを継続的に記録する、
請求項15に記載の、取引を実行する方法。
【請求項17】
前記取引の開始は、前記通信フィールド内で前記非接触型カードに関連付けられたジェスチャをすることを必要とする、
請求項14に記載の、取引を実行する方法。
【請求項18】
前記再開ステップは、前記アプリケーションにより実行された最新のデータ読み込みである、
請求項14に記載の、取引を実行する方法。
【請求項19】
取引を実行するためのクライアント装置であって、
プロセッサと、
ステートマシンと前記クライアント装置での実行のための指示を含むアプリケーションとを含むメモリと、
NFCフィールドを生成する構成される近距離無線通信(NFC)インターフェースと、
を備え、
前記アプリケーションは、
前記アプリケーションにより、前記NFCフィールドへの非接触型カードの進入を検出すると、
前記非接触型カードを含む取引を開始し、
前記アプリケーションにより実行される最新のデータ読み取りを保存するようにステートマシンを動作させる、
ように構成され、
前記アプリケーションは、
前記アプリケーションにより、前記取引の完了前に前記NFCフィールドから前記非接触型カードが出たことを検出すると、
前記ステートマシンから最新のデータ読み取りを取り出し、
前記NFCフィールドへの前記非接触型カードの入れ直しの催促を表示し、
前記NFCフィールドへの前記非接触型カードの入れ直しの後に、前記最新のデータ読み取りの直後の再開ステップで前記取引を再開する、
ように構成される、
クライアント装置。
【請求項20】
前記アプリケーションは、失敗通知の表示の前に、所定の回数、前記取引を再開するように、更に構成される、
請求項19に記載のクライアント装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年3月25日に出願された米国特許出願第16/363511号の優先権を主張し、その開示内容は、参照によりその全体が本出願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、非接触型カード等の送信装置と受信装置との間で実行される行動、取引及びその他の動作に関し、より具体的には、送信装置及び受信装置を含む、中断された行動、取引及び動作の再開を容易にするためのステートマシンを含むシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近距離無線通信(NFC)を使用して、非接触型カードと、販売時点情報管理(POS)装置又は携帯電話、ラップトップ・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ若しくはキオスク等の他の端末との間の取引を完了するには、カードと装置又は端末との間のデータ通信が必要であり、単一の取引は、複数のデータ通信、複数のデータ読み取り及び複数のデータ書き込みを含み得る。POS装置又は端末の通信フィールドの外にカードが移動する等の理由で取引中にデータ通信が妨げられると、取引が中断され得る。中断が発生すると、取引が失敗し、取引での進行状況が失われ得る。したがって、カードとPOS装置又は端末との間の新しい取引の開始が必要になり得る。
【0004】
さらに、POS装置又は他の端末は、他の形式の無線通信よりも少ない電力を必要とし得る非接触型カードで取引を実行するためのNFCフィールドを生成するように構成され得る。しかしながら、NFCフィールドの低下した電力要件は、電力を大量に消費する形式の無線通信よりもNFCを弱くし、信頼性を低下させ得る。したがって、NFCフィールドを生成するPOS装置又は他の端末の消費電力の削減の利点は、取引の速度及び/又は信頼性に悪影響を及ぼし、取引のより頻繁な中断につながり得る。この効果は、非接触型カードが携帯装置によって生成されたNFCフィールドを介して携帯装置と通信する場合に特に有害であり得る。
【0005】
これら及び他の欠陥が存在する。したがって、非接触型カードのためのデータ及び取引の安全性、認証及び検証並びに非接触型カードを含む取引の信頼性及び速度の向上を提供するために、これらの欠陥の少なくとも一部を克服する適切な解決手段をユーザに提供する必要がある。
【発明の概要】
【0006】
開示された技術の態様は、非接触型カード等の送信装置とクライアント装置等の受信装置との間の行動、取引又は他の動作を実行するためのシステム及び方法を含む。様々な実施の形態は、中断に続く、行動、取引又は他の動作の再開を容易にするためにステートマシンが使用されるシステム及び方法を説明する。
【0007】
本開示の実施の形態は、取引システムであって、プロセッサ及びメモリを備える非接触型カードと、プロセッサ及びメモリを備える受信装置での実行のための指示を含むアプリケーションと、非接触型カードのプロセッサ及び受信装置のプロセッサの1以上とデータ通信するステートマシンと、を備え、ステートマシンは、非接触型カードと受信装置を含む取引の開始時に、アプリケーションと通信して、非接触型カードとアプリケーションとの間のデータ通信、データ読み取り及びデータ書き込みの1以上を記録するように構成され、ステートマシンは、取引を妨げる中断が発生すると、非接触型カードとアプリケーションとの間の最新のデータ通信、データ読み取り又はデータ書き込みを保存するように構成され、アプリケーションは、受信装置の通信フィールドへの非接触型カードの入れ直しの催促を表示するように構成され、ステートマシンは、中断の解消時に、非接触型カードとアプリケーションとの間の最新のデータ通信、データ読み取り又はデータ書き込みの直後の再開ステップで取引を再開するように構成され、解消は、受信装置の通信フィールドへの非接触型カードの入れ直しに関連付けられる、取引システムを提供する。
【0008】
本開示の実施の形態は、取引を実行する方法であって、受信装置の通信インターフェースにより、通信フィールドを生成すること、受信装置はプロセッサ及びメモリを更に備え、また受信装置での実行のための指示を含むアプリケーションを含み、アプリケーションにより、通信フィールドへの非接触型カードの進入を検出し、非接触型カードにより、アプリケーションを含む取引を開始し、非接触型カードにより、ステートマシンを動作させ、ステートマシンにより、取引に関連してアプリケーションで実行される1以上のデータ読み取りを記憶し、アプリケーションにより、非接触型カードが通信フィールドから出たことを決定し、アプリケーションにより、取引の中断の発生を決定し、アプリケーションにより、通信フィールドへの非接触型カードの再進入の催促を表示し、アプリケーションにより、通信フィールドへの非接触型カードの再進入を検出し、ステートマシンにより、1以上のデータ読み取りの直後の再開ステップで取引を再開する、取引を実行する方法を提供する。
【0009】
本開示の実施の形態は、取引を実行するためのクライアント装置であって、プロセッサと、ステートマシンとクライアント装置での実行のための指示を含むアプリケーションとを含むメモリと、NFCフィールドを生成する構成される近距離無線通信(NFC)インターフェースと、を備え、アプリケーションは、アプリケーションにより、NFCフィールドへの非接触型カードの進入を検出すると、非接触型カードを含む取引を開始し、アプリケーションにより実行される最新のデータ読み取りを保存するようにステートマシンを動作させる、ように構成され、アプリケーションは、アプリケーションにより、取引の完了前にNFCフィールドから非接触型カードが出たことを検出すると、ステートマシンから最新のデータ読み取りを取り出し、NFCフィールドへの非接触型カードの入れ直しの催促を表示し、NFCフィールドへの非接触型カードの入れ直しの後に、最新のデータ読み取りの直後の再開ステップで取引を再開する、ように構成される、クライアント装置を提供する。
【0010】
開示された技術の追加の特徴及びそれらによって提供される利点は、添付の図面に示される特定の例の実施の形態を参照して以下により詳細に説明され、同様の要素は同様の参照番号によって示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2A】例の実施の形態にかかる非接触型カードの図
【
図2B】例の実施の形態にかかる非接触型カードの接触パッドの図
【
図3】例の実施の形態にかかるクライアント装置の図
【
図4】例の実施の形態にかかるステートマシンにより記録される取引方法を示すフローチャート
【
図5】例の実施の形態にかかる取引の開始及び再開の方法を示すフローチャート
【
図6A】例の実施の形態にかかる一連のアプリケーション・ユーザ・インターフェースの図
【
図6B】例の実施の形態にかかる一連のアプリケーション・ユーザ・インターフェースの図
【
図6C】例の実施の形態にかかる一連のアプリケーション・ユーザ・インターフェースの図
【
図6D】例の実施の形態にかかる一連のアプリケーション・ユーザ・インターフェースの図
【
図6E】例の実施の形態にかかる一連のアプリケーション・ユーザ・インターフェースの図
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで説明されるシステム及び方法は、非接触型カードと装置との間の、ユーロペイ(Europay(登録商標))、マスターカード(MasterCard(登録商標))及びビザ(Visa(登録商標))取引(EMV取引として知られる)等の取引若しくは他の取引、動作又は相互作用のための効率及び信頼性を改善することに関連する。
【0013】
例えば、取引中に、装置及び非接触型カードは、相互作用し、データの複数の交換を実行し得る。最初に、非接触型カードが読み取られ、装置においてアプリケーションが選択され得る。認証に先立ってカードデータに関連付けられた1以上の要求を、装置が送信するように構成され得、非接触型カードが受信するように構成され得る。これらの交換は、ある期間、例えば、1、2又は3秒以上の期間にわたって発生し得る。この期間中の任意の時点で、非接触型カードが装置上の読み取り領域の外側に配置されたり、読み取り領域の外側に動かされたりすると、取引が中断され得る。
【0014】
ここで説明されるシステム及び方法の例示的な実施の形態は、非接触型カードから装置上で実行される1以上の読み取りを記録するように構成されるステートマシンを含み得る。中断が発生した場合、読み取られたデータは失われず、中断が解消された場合、読み取りは、次又は以降の読み取りから再開され得る。したがって、これらの例の実施の形態は、ユーザが中断に遭遇したときに取引の最初の読み取り又は最初のステップから開始しなければならなかったカードから装置への取引の欠点を克服する。
【0015】
ここで使用される中断は、非接触型カード又は他の送信装置の、POS装置、端末又は他の受信装置の通信フィールド又は通信範囲外への移動、信号干渉、及び、信号の遮断又は妨害を含む多様な形態をとり得るが、これらに限定されない。本開示は、データ通信に対する任意の障害に適用され得ることが理解される。
【0016】
図1は、例の実施の形態にかかる取引システム100カードを示す。以下で更に説明するように、取引システム100は、非接触型カード105等の送信装置と、ネットワーク110と、クライアント装置115等の受信装置とを備え得る。
図1は、単一の実体の要素を示しているが、取引システム100は、任意の数の要素を含み得る。
【0017】
取引システム100は、
図2A-2Bを参照して後に更に説明される1以上の非接触型カード105を含み得る。いくつかの実施の形態では、非接触型カード105は、一例では、NFCを利用して、クライアント装置115と無線通信し得る。
【0018】
取引システム100は、1以上のネットワーク110を含み得る。いくつかの例では、ネットワーク110は、無線ネットワーク、有線ネットワーク、又は、無線ネットワーク及び有線ネットワークの任意の組み合わせのうちの1以上であり得、クライアント装置115を非接触型カード105に接続するように構成され得る。例えば、ネットワーク110は、光ファイバネットワーク、受動光ネットワーク、ケーブル・ネットワーク、インターネット・ネットワーク、衛星ネットワーク、無線ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)、グローバル・システム・フォー・モバイル・コミュニケーション、パーソナル通信サービス、パーソナル・エリア・ネットワーク、ワイヤレス・アプリケーション・プロトコル(WAP)、マルチメディア・メッセージング・サービス(MMS)、拡張メッセージング・サービス、ショート・メッセージ・サービス、時分割多重化に基づくシステム、符号分割多元接続に基づくシステム、D-AMPS、Wi-Fi(登録商標)、固定無線データ、IEEE 802.11b、802.15.1、802.11n及び802.11g、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth(登録商標))、NFC、無線周波数識別(RFID)、Wi-Fi、並びに/又はその他の1以上を含み得る。
【0019】
さらに、ネットワーク110は、電話回線、光ファイバ、IEEEイーサネット902.3、ワイド・エリア・ネットワーク、無線パーソナル・エリア・ネットワーク、LAN、又は、インターネット等のグローバル・ネットワークを含み得るが、これらに限定されない。さらに、ネットワーク110は、インターネット・ネットワーク、無線通信ネットワーク、セルラ・ネットワーク等、又は、これらの任意の組み合わせをサポートし得る。ネットワーク110は、スタンドアロン・ネットワークとして、又は、互いに協力して動作する、1つのネットワーク、又は、任意の数の上述したような典型的なタイプのネットワークを更に含み得る。ネットワーク110は、それらが通信可能に結合される1以上のネットワーク要素の1以上のプロトコルを利用し得る。ネットワーク110は、ネットワーク装置の1以上のプロトコルと他のプロトコルとの間の変換を実行し得る。ネットワーク110は単一のネットワークとして示されているが、1以上の例によれば、ネットワーク110は、例えば、インターネット、サービス・プロバイダのネットワーク、ケーブルテレビ・ネットワーク、クレジット・カード協会ネットワーク等の企業ネットワーク、及び、ホーム・ネットワーク等の複数の相互接続されたネットワークを含み得ることを理解されたい。
【0020】
取引システム100は、ネットワーク対応コンピュータであり得るクライアント装置115を含み得る。ここで言及されるように、ネットワーク対応コンピュータは、コンピュータ装置、又は、例えば、サーバ、ネットワーク機器、パーソナル・コンピュータ、ワークステーション、電話、ハンドヘルドPC、パーソナル・デジタル・アシスタント、シン・クライアント、ファット・クライアント、インターネット・ブラウザ、又はその他の装置を含む通信デバイスを含み得るが、これらに限定されない。クライアント装置115は、また、携帯装置であり得る。例えば、携帯装置は、アップル(Apple(登録商標))のアイフォン(iPhone(登録商標))、アイポッド(登録商標)(iPod(登録商標))、アイパッド(登録商標)(iPad(登録商標))、又は、アップルのアイオーエス(iOS(登録商標))・オペレーティング・システムを実行する他の携帯装置、マイクロソフトのウィンドウズ(登録商標)(Windows(登録商標))・モバイル・オペレーティング・システムを実行する装置、グーグルのアンドロイド(登録商標)(Android(登録商標))・オペレーティング・システムを実行するデバイス、及び/又は、他のスマートフォン、タブレット又は同様のウェアラブル携帯装置を含み得る。
【0021】
図2Aは、1以上の非接触型カード200を示す。1以上の非接触型カード200は、カード200の前面又は裏面に表示されるサービスプロバイダ205によって発行された、クレジットカード、デビットカード又はギフトカード等の支払いカードを含み得る。いくつかの例では、支払いカードは、デュアルインターフェースの非接触型支払いカードを含み得る。非接触型カード200は、プラスチック、金属及び他の材料から構成される単層又は1以上の積層体を含み得る基板210を含み得る。基板材料の例としては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニルアセテート、アクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、陽極酸化チタン、パラジウム、金、カーボン、紙、および生分解性材料が挙げられる。いくつかの例では、非接触型カード200は、ISO/IEC7810規格のID-1フォーマットに準拠する物理的特性を有し得、そうでない場合には、非接触型カードは、ISO/IEC14443規格に準拠し得る。しかしながら、本開示による非接触型カード200は、異なる特性を有し得ることが理解され、本開示は、非接触型カードが支払いカードとして実施されることを必要としない。
【0022】
非接触型カード200はまた、カードの前側及び/又は裏側に表示される識別情報215と、接触パッド220とを含み得る。接触パッド220は、ユーザ装置、スマートフォン、ラップトップ、デスクトップ又はタブレットコンピュータ等の他の通信装置との接触を確立するように構成され得る。非接触型カード200はまた、処理回路、アンテナ、及び、
図2Aに示されていない他の要素を含み得る。これらの要素は、基板210上において接触パッド220の背後又は他の場所に配置され得る。非接触型カード200はまた、カードの裏側に配置され得る磁気ストリップ又はテープを含み得る(
図2Aには示されていない)。
【0023】
図2Bに示されるように、
図2Aの接触パッド220は、マイクロプロセッサ230及びメモリ235を含む、情報を記憶及び処理するための処理回路225を含み得る。処理回路225は、ここで説明される機能を実行するために、必要に応じて、プロセッサ、メモリ、エラー及びパリティ/CRCチェッカ、データエンコーダ、衝突防止アルゴリズム、コントローラ、コマンドデコーダ、セキュリティプリミティブ及び改ざん防止ハードウェアを含む追加の要素を含み得ることが理解される。
【0024】
メモリ235は、読み取り専用メモリ、ライト・ワンス・リード・マルチプル・メモリ又は読み取り/書き込みメモリ、例えば、RAM、ROM及びEEPROMであり得、非接触型カード200は、これらのメモリのうちの1つ以上を含み得る。読み取り専用メモリは、工場で、読み取り専用又は1回だけプログラム可能としてプログラム可能である。1回だけプログラム可能であることにより、1回書き込みを行ってから、何度も読み取ることができる。ライト・ワンス/リード・マルチ・メモリは、メモリ・チップが工場から出荷された後のある時点でプログラムされ得る。一度メモリがプログラムされると、書き換えられないかもしれないが、何度も読み取られ得る。読み取り/書き込みメモリは、工場出荷後に何度もプログラム及び再プログラムされ得、何度も読み取られ得る。
【0025】
メモリ235は、1以上のアプレット240を格納するように構成され得る。1以上のアプレット240は、ジャバ・カード(Java Card)アプレット等の、1以上の非接触型カード200上で実行するように構成された1以上のソフトウェア・アプリケーションを含み得る。しかしながら、アプレット240は、ジャバ・カード・アプレットに限定されず、代わりに、非接触型カード又は限られたメモリを有する他の装置上で動作可能な任意のソフトウェア・アプリケーションであり得ることが理解される。顧客識別子250は非接触型カード200のユーザに割り当てられた固有の英数字識別子を含み得、当該識別子は非接触型カード200のユーザを他の非接触型カードユーザから区別し得る。いくつかの例では、顧客識別子250は、顧客とその顧客に割り当てられたアカウントの両方を識別し得、さらに、顧客のアカウントに関連付けられた非接触型カードを識別し得る。
【0026】
前述の例示的な実施の形態のプロセッサ及びメモリ要素は、接触パッドを参照して説明されているが、本開示はそれに限定されない。これらの要素は、パッド220の外側又はパッド220から完全に分離されて実装され得、又は、接触パッド220内に配置されたプロセッサ230及びメモリ235要素に加えて追加の要素として実装されてよい。
【0027】
メモリ235は、1以上のステートマシン245を含み得る。1以上のステートマシン245は、マイクロプロセッサ230と通信し得る。1以上のステートマシン245は、非接触型カードを含む取引、認証又は他の動作を促進するために1以上のステップを実行するように構成され得る。例えば、ステートマシン245は、送信されたコマンド、選択及び取り出されたデータ、位置が特定されたファイル及び係属中の取引を促進する暗号文の生成等、係属中の取引を促進するために1以上のアプレットによって実行される行動を記録し得る。
【0028】
本開示のステートマシンは、非接触型カード200のメモリ235内のストレージに限定されない。ステートマシン245は、メモリ235から分離され得る。別の例として、以下で説明する
図3は、ステートマシンを含むクライアント装置を示している。ステートマシンは、非接触型カード又は他の送信装置、クライアント装置又は他の受信装置、サーバ、並びに即時の取引又は動作に関与する他の装置に含まれ得ることが理解される。
【0029】
いくつかの例では、ステートマシン245は、中断された取引の再開を可能にし得る。いくつかの例では、ステートマシン245は、非接触型カード間で以前に交換されたデータ通信、データ読み取り及びデータ書き込みを記録し、最新のデータ通信、データ読み取り又はデータ書き込みに続く取引の再開を可能にし得る。
【0030】
ステートマシン245は、非永続メモリ又は永続メモリに格納され得る。いくつかの例では、ステートマシン245は、ジャバ列挙型ステートマシン(すなわち、ジャバ列挙型(Java enum)データ型を使用して実装されたステートマシン)等のジャバ・ベースであり得る。ステートマシン245は、ステートマシン245の現在の状態に応じて、1以上のモードを有し得る。モードは、中断された取引をステートマシン245が再開することを可能にし得る。例えば、ステートマシンは、取引が中断されたときにハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)状態であり得、ステートマシン245は、取引の再開時にこの状態に戻り得る。
【0031】
いくつかの例では、非接触型カード200は、1以上のアンテナ255を含み得る。1以上のアンテナ255は、非接触型カード200内で接触パッド220の処理回路225の周りに配置され得る。例えば、1以上のアンテナ255は、処理回路225と一体であり得、1以上アンテナ255は、外部ブースタコイルと共に使用され得る。別の例として、1以上のアンテナ255は、接触パッド220及び処理回路225の外部にあり得る。
【0032】
一実施の形態では、非接触型カード200のコイルは、空芯トランスの二次側として動作し得る。端末は、電力を遮断すること、又は振幅変調によって非接触型カード200と通信し得る。非接触型カード200は、1以上のキャパシタにより機能的に維持され得る非接触型カードの電源接続の間隔を使用して端末から送信されるデータを推測できる。非接触型カード200は、非接触型カードのコイルの負荷を切り替えること、又は、負荷変調によって、応答し得る。負荷変調は、干渉によって端子のコイルで検出され得る。
【0033】
上記で説明したように、非接触型カード200は、スマート・カード、又は、ジャバ・カード等の限られたメモリを有する他の装置上で動作可能なソフトウェア・プラットフォーム上に構築でき、1以上のアプリケーション又はアプレットが安全に実行され得る。アプレットは、携帯装置のNFCリーダ等のリーダからの近距離データ交換の要求等の1以上の要求に応答するように構成され得る。
【0034】
図3は、例示的な実施の形態によるクライアント装置300を示す。クライアント装置300は、
図1を参照して上記で説明されたクライアント装置のいずれかであり得る。
図3に示されるように、クライアント装置300は、ディスプレイ305、装置入力310、通信インターフェース315、プロセッサ320、メモリ325及びステートマシン330を含むことができる。
【0035】
ディスプレイ305は、液晶ディスプレイ、発光ダイオードディスプレイ、プラズマパネル及びブラウン管ディスプレイを含む、コンピュータモニタ、フラットパネルディスプレイ及び携帯装置の画面等の視覚情報を提示するための任意のタイプの装置であり得る。
【0036】
装置入力310は、タッチスクリーン、キーボード、マウス、カーソル制御装置、タッチスクリーン、マイクロフォン、デジタルカメラ、ビデオレコーダ又はカムコーダ等の、クライアント装置300で利用可能かつサポートされている、クライアント装置に情報を入力するための任意の装置を含み得る。装置入力310は、情報を入力するため、及び、クライアント装置300、ひいては、ここで記載されるシステムと相互作用するために、使用され得る。
【0037】
通信インターフェース315は、有線又は無線のデータ通信機能を含むことができる。これらの機能は、インターネット、セルラ・ネットワーク、ワイド・エリア・ネットワーク、ローカル・エリア・ネットワーク、無線パーソナル・エリア・ネットワーク、ワイド・ボディ・エリア・ネットワーク、データ信号の送受信のための他の有線若しくは無線ネットワーク、又は、これらの任意の組み合わせを含む、有線又は無線通信ネットワークとのデータ通信をサポートし得る。このネットワークは、電話回線、光ファイバ、IEEEイーサネット902.3、ワイド・エリア・ネットワーク、ローカル・エリア・ネットワーク、無線パーソナル・エリア・ネットワーク、ワイド・ボディ・エリア・ネットワーク、又はインターネット等のグローバル・ネットワークを含み得るが、これらに限定されない。クライアント装置300はまた、無線送信とともに、通信インターフェース315を介して、NFC、無線周波数識別及びブルートゥース等の短距離無線通信インターフェースをサポートできる。
【0038】
マイクロプロセッサ320は、プロセッサ及び関連する処理回路を含み得、ここで説明される機能を実行するために、必要に応じて、プロセッサ、メモリ、エラー及びパリティ/CRCチェッカ、データエンコーダ、衝突防止アルゴリズム、コントローラ、コマンドデコーダ、セキュリティプリミティブ及び改ざん防止ハードウェアを含む追加の要素を含み得る。
【0039】
メモリ325は、読み取り専用メモリ、ライト・ワンス・リード・マルチプル・メモリ又は読み取り/書き込みメモリ、例えば、RAM、ROM及びEEPROMであり得、クライアント装置300は、これらのメモリのうちの1以上を含み得る。読み取り専用メモリは、工場で、読み取り専用又は1回だけプログラム可能としてプログラム可能である。1回だけプログラム可能であることにより、1回書き込みを行ってから、何度も読み取ることができる。ライト・ワンス/リード・マルチ・メモリは、メモリ・チップが工場から出荷された後のある時点でプログラムされ得る。一度メモリがプログラムされると、書き換えられないかもしれないが、何度も読み取られ得る。読み取り/書き込みメモリは、工場出荷後に何度もプログラム及び再プログラムされ得、何度も読み取られ得る。
【0040】
メモリ325は、1以上のステートマシン330を含み得る。いくつかの例では、ステートマシン330は、
図2を参照して説明されたステートマシン245と同じ又は類似であり得る。例えば、1以上のステートメントマシン330は、マイクロプロセッサ320と通信し得、コマンドを送信し、データを選択及び取り出し、ファイルの位置を特定し、取引、認証、又はクライアント装置300を含む他の動作中に暗号文を生成し得る。
【0041】
図4は、例示的な実施の形態によるステートマシンによって記録され得る取引方法400を示すフローチャートである。方法400は、
図1、
図2A、
図2B及び
図3に示されているのと同じ又は類似の要素を参照し得る。
図4に示される例では、方法400は、EMV標準に準拠する方式でEMV取引を実行し得、ステートマシンは、クライアント装置のメモリに格納され得る。しかしながら、本開示は、EMV取引、及び、クライアント装置にステートマシンを格納することに限定されず、ステートマシンは、任意の送信又は受信装置に格納され得、送信装置及び受信装置を含む任意の行動、動作又は取引を記録するように構成され得ることが理解される。
【0042】
方法400は、近接支払いシステム環境(PPSE)を選択するためのアプリケーション・プロトコル・データ・ユニット(APDU)・コマンド(C-ADPU)等のコマンドをステートマシンが記録するブロック410から開始され得る。コマンド応答(R-APDU)等のコマンドへの応答は、非接触型カードでサポートされる全ての組み合わせのリストを含み得る。PPSEは、エントリ・ポイントの組み合わせを選択する過程で使用され得る。組み合わせは、アプリケーション定義ファイル(ADF)及びそれに関連付けられたカーネル識別子のリストを含み得る。R-APDU内のデータから、支払いシステム環境(PSE)オブジェクトが作成され得る。
【0043】
いくつかの例では、ステートマシンは、PPSE選択コマンド応答(R-APDU)の結果からのデータから1以上のADFを選択するために、C-APDUの送信を記録し得る。次に、ブロック420で、ディレクトリ・エントリ(DE)・オブジェクトが、最も優先度の高いPSEから取り出され得、1以上のADFを選択するためにC-APDUを送信するために使用され得る対応するアプリケーション識別子(AI)が取り出され得る。R-APDUコマンド応答内のデータから、ADFオブジェクトが作成され得る。
【0044】
ブロック430で、1以上のADFからのデータを使用して、ステートマシンは、処理オプションを取得するためにC-APDUの提示を記録し得る。R-APDU内のデータから、処理オプション(PO)オブジェクトを生成するために使用され得るアプリケーション・ファイル・ロケータ・テンプレート(AFLT)及びアプリケーション交換プロファイル(ACP)が作成され得る。
【0045】
次に、ブロック440で、ステートマシンは、AFLTからのアプリケーション・ファイル・ロケータ(AFL)・オブジェクトのリストの取り出しを記録し得る。指定されたアプリケーション・ファイル・レコード(AFR)を読み取るために、リスト上のAFLオブジェクトごとにC-APDUが送信され得る。
【0046】
ステートマシンは、ブロック450でアプリケーション暗号文(AC)の生成を記録し得る。例えば、結果として得られるR-APDU内のデータからACを生成するために、AFLT及びACPを用いてC-APDUがカードに送信され得る。
【0047】
前のステップが完了すると、ステートマシンは、ブロック460での認証動作の実行を記録し得る。例えば、以前に作成されたPSE、DE、ADF、AFLT、PO及びACオブジェクトを用いて、デジタル署名が認証され得る。認証が成功すると、カードデータ、プライマリ・アカウント番号(PAN)、有効期限、カード所有者名、呼ばれたい名前、カード検査値(CVV)、発行者及びその他の識別子等のデータが取り出され得る。
【0048】
認証動作が完了すると、ステートマシンは、ブロック470で成功又は失敗のインジケータの表示を記録し得る。例えば、失敗に関連付けられたエラーメッセージがクライアントのユーザインターフェースを通じてユーザに表示され得る。
【0049】
いくつかの例では、ステートマシンは、エラーメッセージの表示の前に失敗した試行回数、例えば、2、3、4、5又はそれ以上の失敗した試行として指定される所定のしきい値を格納し得る。任意のステップで発生し得る1以上の中断による失敗の場合、ユーザは、非接触型カードをフィールドに戻すように位置させる、及び/又は、誘導するように催促され得、ステートマシンは、自動的に、最後の成功ステップから再開するように構成され得る。他の例では、ユーザが催促される前に所定のしきい値の試行数が設けられ得る。
【0050】
図5は、例の実施の形態にかかる取引を開始及び再開する方法500を示すフローチャートである。方法500は、
図1、
図2A、
図2B及び
図3に示されているのと同じ又は類似の要素を参照し得る。例えば、取引は、非接触型カード及びクライアント装置を含む複数のデータ通信、データ読み取り及びデータ書き込みを含み得る。
【0051】
方法500は、非接触型カードがクライアント装置の通信フィールドに進入するブロック510から開始され得る。いくつかの例では、通信フィールドに入ると、非接触型カードは、ブロック520でクライアント装置との取引を開始し得る。あるいは、クライアント装置は、通信への非接触型カードの進入を検出し、非接触型カードに読み取り要求を送信することによって取引を開始し得る。
【0052】
ブロック530において、取引の開始直後に、クライアント装置は、クライアント装置によって実行されるデータ通信、データ読み取り及びデータ書き込み並びに非接触型カードとクライアント装置との間のデータ通信を記録するようにステートマシンを動作させる。いくつかの例では、ステートマシンは、
図2B、
図3又は
図4を参照して説明された方式で動作し得るが、本開示はそれに限定されず、ステートマシンは、異なるように、すなわち、非接触型カード、クライアント装置及び取引の要求に応じて、機能を有し得る。
【0053】
ブロック540で、取引が、例えば、非接触型カードがクライアント装置の通信フィールドを離れることによって中断され得る。中断により、取引の1以上のステップが実行されなくなり得、取引がそれ以上進行しなくなり得る。
【0054】
取引は、例えば、非接触型カードが通信フィールドに再進入することによってブロック550で回復し得る。非接触型カードが通信フィールドに再進入すると、ステートマシンは、ブロック560でクライアント装置によって実行された前回のデータ読み取り、データ書き込み又はデータ通信を復元し得る。ステートマシンは、クライアント装置によって実行されたデータ書き込み、データ読み取り及びデータ通信を記録しているため、ステートマシンは、ステートマシンに関連付けられたメモリから記録されたデータを取り出して、クライアント装置に記録された情報を提供し得る。そうすることにより、ステートマシンは、中断の直前の時点に取引を戻し得る。ステートマシンによって実行される復元により、取引は、ブロック570で復元されたデータ読み取り、データ書き込み又はデータ通信の直後のステップから再開され得る。
【0055】
その後、取引は、1以上の追加の中断が発生するまで進行し得る。ブロック580で第2の中断が発生した場合、方法500は、取引が中断され得るブロック540に戻り得る。その後、方法500は、中断の解決(ブロック550)、ステートマシンによる最新のデータ読み取り、データ書き込み又はデータ通信の復元(ブロック560)、及び、取引の再開(ブロック570)を通じて、前述のように進行し得る。ブロック580でそれ以上の中断が発生しなかった場合、取引はブロック590で完了し得る。
【0056】
図6A~
図6Eは、例の実施の形態にかかる非接触型カードとの取引に関与するクライアント装置のアプリケーション・ユーザ・インターフェース600上に表示される一連のアプリケーション・インターフェース610~650を示す。アプリケーション・ユーザ・インターフェース600は、スマートフォン、タブレット・コンピュータ、ラップトップ・コンピュータ、デスクトップ・コンピュータ、又は、取引に関与する若しくは取引を管理するアプリケーションがインストールされたか若しくはデプロイされ得る他のクライアント装置上に表示され得る。
【0057】
図6Aに示されるように、アプリケーション・ユーザ・インターフェース600は、係属中の取引の詳細を示すアプリケーション・インターフェース610を提示し得る。アプリケーション・インターフェース610は、商人名、商人の場所、取引日、取引時間、取引金額及び支払いを表示できるが、これらに限定されない。いくつかの例では、クライアント装置の通信フィールド内で非接触型カードをタップする、かざす、又はその他の身振りをすることによって、取引の処理が承認され得る。押すとカードの読み取りが開始されるカード読み取りボタンが表示され得る。
【0058】
図6Bに示されるように、アプリケーション・ユーザ・インターフェース600は、クライアント装置の通信フィールド内で非接触型カードをタップする、かざす若しくはその他の身振りをすること、及び/又は、カード読み取りボタンを押すことで、クライアント装置カードが非接触型カードを読み取り中で取引が完了に向けて進行しているというメッセージを表示し得る、カード読み取りインターフェース620を提示し得る。いくつかの例では、この時点で、ステートマシンが、非接触型カードとクライアント装置との間のデータ通信、データ読み取り及びデータ書き込みを監視及び記録するために動作され得る。
【0059】
図6Cに示されるように、アプリケーション・ユーザ・インターフェース600は、クライアント装置及び非接触型カードを含む取引が中断された場合、例えば、非接触型カードが取引に要求されるデータ通信、データ読み取り及びデータ書き込みの完了前にクライアント装置の通信フィールドから取り除かれた場合に表示され得る中断インターフェース630を提示し得る。表示されるメッセージは、取引を完了するために、非接触型カードをクライアント装置の通信フィールド内に戻すことを含むが、これに限定されない、是正行動が必要であるということをユーザに通知することを目的とし得る。
【0060】
図6Dに示されるように、アプリケーション・ユーザ・インターフェース600は、中断が回復された場合、例えば、非接触型カードがクライアント装置の通信フィールドに再度進入した場合に、再開された読み取りインターフェース640を提示し得る。いくつかの例では、この時点で、ステートマシンは、最後に完了したステップの直後からの取引の再開を可能にし得る。
【0061】
図6Eに示されるように、アプリケーション・ユーザ・インターフェース600は、取引が完了した場合に、取引完了インターフェース650を提示し得る。
【0062】
いくつかの例では、取引が完了する前に追加の中断が発生する場合があり、取引完了インターフェース650の前に中断インターフェース630が表示され得る。それらの例では、取引の解消時に、再開された読み取りインターフェース640が表示され得、ステートマシンは、最後に完了したステップの直後からの取引の再開を再び許容し得る。この過程は、それ以上の中断が発生しなくなり、取引が完了するまで繰り返され、取引完了インターフェース650が表示される結果となる。
【0063】
本開示の実施の形態は、多くの場合、従来のPOS装置又は他の端末よりも低い消費電力で、クライアント装置を含む非接触型カードの取引の効率及び信頼性を改善するための、ステートマシンを使用するシステム及び方法を説明する。カードの有効化、商取引、金融取引及び個人を特定できる情報を含む取引等の機密性の高い取引を完了する場合、効率と信頼性の向上は特に価値がある。さらに、取引の効率と信頼性を高め、中断された取引の再開を改善することにより、本開示のシステム及び方法は、中断の影響を低減することによって、より低い消費電力の送信方法、例えば、NFCの使用を促進し得る。
【0064】
本明細書全体を通して、送信装置として機能する非接触型カードに言及するが、本開示は、非接触型カードに限定されない。送信装置は、非接触型カードであってもよいし、取引に関与可能で、ここで説明される機能を実行可能なクライアント装置等の別の装置であってもよいことが理解される。
【0065】
本明細書全体を通して、送信装置と受信装置との間の取引(例えば、非接触型カードとクライアント装置を含むEMV取引)に言及するが、本開示はそれに限定されない。本開示は、商取引又は金融取引、有効化動作及び認証動作、ステップアップ認証プロセス等を含むがこれらに限定されない、送信装置及び受信装置を含む任意の行動、取引又は動作を含むことが理解される。さらに、送信装置と受信装置の両方が、行動、取引又は動作の過程で、データを送受信できることが理解される。すなわち、送信装置はデータの送信に限定されず、受信装置はデータの受信に限定されない。
【0066】
本明細書全体を通して、中断、及び、非接触型カードがクライアント装置の通信フィールドを離れることに言及するが、本開示は、そのような中断に限定されない。むしろ、中断は、送信装置と受信装置の間の行動、動作又は取引で要求されるデータ通信、データ読み取り又はデータ書き込みを不可能に又は阻害するあらゆる方式の遮断、中断、干渉、妨害又は障害であり得ることが理解される。
【0067】
本明細書及び特許請求の範囲全体を通じて、以下の用語は、文脈が明確に述べない限り、少なくともここで明示的に関連付けられた意味をとる。「又は(or)」という用語は、包括的な「又は(or)」を意味することを意図している。さらに、「a」、「an」及び「the」という用語は、別段の指定がない限り、又は、文脈から明確に単数形であることが明らかでない限り、1以上を意味することを意図している。
【0068】
この説明では、多くの具体的な詳細が記載されている。しかしながら、開示された技術の実装は、これらの具体的な詳細がなくても実施され得ることが理解されるべきである。他の例では、この説明の理解を曖昧にしないために、よく知られた方法、構造及び技術は詳細に示されていない。「いくつかの例」、「他の例」、「1つの例」、「例」、「様々な例」、「1つの実施の形態」、「実施の形態」、「いくつかの実施の形態」、「例の実施の形態」、「様々な実施の形態」、「1つの実装」、「実装」、「例の実装」、「様々な実装」、「いくつかの実装」等は、そのように記述された開示された技術の実装が、特定の機能、構造又は特性を含み得るが、全ての実装が、特定の機能、構造又は特性を必要とするわけではない。さらに、「一例において」、「一実施の形態において」又は「一実装において」という句の繰り返しの使用は、同じ例、同じ実施の形態又は同じ実装に言及するかもしれないが必ずしもそうである必要はない。
【0069】
ここで使用される場合、特に明記されていない限り、共通のオブジェクトを説明するための序数形容詞「第1」、「第2」、「第3」等の使用は単に同様のオブジェクトの異なる例が参照されていることを示すだけであって、そのように説明されるオブジェクトが、時間的、空間的、順位的又は他の方式で与えられた順序でなければならないことを暗示することを意図しているわけではない。
【0070】
開示された技術の特定の実装は、最も実用的で多様な実装であると現在考えられているものに関連して説明されてきたが、開示された技術は、開示された実装に限定されず、逆に、添付の特許請求の範囲に含まれる様々な変形及び均等な構成を包含することを意図していると理解されるべきである。ここでは特定の用語が使用されているが、それらは一般的で説明的な意味でのみ使用されており、限定を目的としては使用されていない。
【0071】
この書面による説明は、ベストモードを含む開示された技術の特定の実装を開示し、及び、当業者が、任意の製造又はシステムの製造及び使用並びに組み込まれた方法の実行を含む、開示された技術の特定の実装を実施できるようにするために、例を使用する。開示された技術の特定の実施の特許可能な範囲は、特許請求の範囲で定義され、当業者が考え付く他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが特許請求の範囲の文言通りの言葉と異ならない構造的な要素を有する場合、又は、それらが特許請求の範囲の文言通りの言葉と実質的に相違しない均等な構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【国際調査報告】