(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-07
(54)【発明の名称】同種の中心歯車の遊星歯車機構による変速機
(51)【国際特許分類】
F16H 3/64 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
F16H3/64
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557730
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(85)【翻訳文提出日】2021-11-28
(86)【国際出願番号】 CN2020083140
(87)【国際公開番号】W WO2020207340
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】201910273895.9
(32)【優先日】2019-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521281405
【氏名又は名称】▲羅▼ ▲燦▼
【氏名又は名称原語表記】LUO CAN
(74)【代理人】
【識別番号】100178434
【氏名又は名称】李 じゅん
(72)【発明者】
【氏名】▲羅▼ ▲燦▼
【テーマコード(参考)】
3J528
【Fターム(参考)】
3J528EB74
3J528EB75
3J528EB76
3J528EB77
3J528FB03
3J528FC14
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3J528GA02
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3J528JA05
3J528JF02
3J528JF03
3J528JF04
3J528JF05
(57)【要約】
同種の中心歯車の遊星歯車機構による変速機であって、遊星歯車機構と、遊星歯車機構構造と、入出力又はロック端と、各ブレーキ(8)とを含む。当該変速機は同種の中心歯車(太陽歯車)遊星歯車機構又は同種の中心歯車(内歯車)遊星歯車機構を3重以上用いてスター接続した遊星歯車機構構造を構成する。入出力又はロック端は遊星キャリヤ(7)を入力端とし、任意の1つの中心歯車(1)を出力端とし、残りの中心歯車(2、3)はそれぞれ1つのロック端とする。当該変速機は2つ以上のブレーキ(8)を用い、ブレーキ(8)はそれぞれ1つのロック端に接続される。ブレーキ(8)は速度段切り替え制御装置の制御を受けて制動状態、半制動状態又は非制動状態になる。当該変速機は各ブレーキ(8)を制御して制動させることで速度段を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用する遊星歯車機構、遊星歯車機構構造、入出力又はロック端、各ブレーキなどに特徴がある同種の中心歯車の遊星歯車機構による変速機であって、遊星歯車機構としては、同種の中心歯車の遊星歯車機構を3重以上用い、各重の遊星歯車機構は不完全単層遊星の遊星歯車機構で、1つの中心歯車、遊星歯車を備える1つの遊星キャリヤの2つの部品を有し、各遊星歯車機構の中心歯車は全てが太陽歯車か、又は全てが内歯車であり、1つの変速機の全ての中心歯車は同種の中心歯車であり、前記同種の中心歯車の遊星歯車機構は同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構、同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構の2種を含み、同種の中心歯車が全て太陽歯車の各遊星歯車機構は同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構と称し、同種の中心歯車が全て内歯車の各遊星歯車機構は同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構と称し、1つの変速機にその1種を選択して変速機を構成し、同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を選択すると同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構による変速機となり、同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を選択すると同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構による変速機となり、
遊星歯車機構構造はスター接続した遊星歯車機構構造であり、前記スター接続した遊星歯車機構構造とは、複数重の単層遊星の遊星歯車機構に対して、それらの遊星歯車の組数を同じく設定し、各遊星歯車機構の寸法を調整して、各遊星歯車機構における遊星歯車の軸線の遊星歯車機構の中心軸線に対する距離を等しくし、遊星歯車機構の各遊星歯車と隣り合う遊星歯車機構の遊星歯車の軸線を揃えて群分けして接続させ、このような接続をスター接続と称し、このような遊星歯車機構構造はスター接続した遊星歯車機構構造であり、
入出力又はロック端としては、遊星キャリヤを入力端として動力装置を接続させ、任意の1つの中心歯車を出力端として動力使用装置を接続させ、残りの中心歯車がそれぞれ1つのロック端として1つのブレーキを接続させ、ブレーキが速度段切り替え制御装置によって制御されるものであり、
各ブレーキとしては、2つ以上のブレーキを変速機のコントローラとして使用し、それぞれが1つのロック端に接続され、ブレーキは制御を受けて制動状態、半制動状態又は非制動状態になることを特徴とする同種の中心歯車の遊星歯車機構による変速機。
【請求項2】
1つのブレーキを制御して制動させるとそれに接続された中心歯車の回転数はゼロとなり、入力端から回転数が入力される時に、1つのブレーキを制御して制動させると、出力端には必ず1つの出力回転数が発生し、入力回転数と確定した比例関係が構成されて、変速機に伝動比が構成され、これが1つの速度段に対応し、別のブレーキを制御して制動させると、出力端には必ず別の出力回転数が発生し、入力回転数と別の確定した比例関係が構成されて、変速機に別の伝動比が構成され、これが別の速度段に対応し、このようにして、各ブレーキを制御して制動させることで速度段を制御し、1つのブレーキを制御して半制動にする場合に、変速機が対応の速度段において半連動となり、各ブレーキを制御して全て不制動にする場合に、変速機は中立となり、2つの以上のブレーキを制御して制動させる場合に、変速機は動作を停止するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の同種の中心歯車の遊星歯車機構による変速機。
【請求項3】
前記変速機の逆変速機は、使用する遊星歯車機構が変わらず、遊星歯車機構構造が変わらず、各ブレーキが変わらず、入出力又はロック端を、遊星キャリヤを出力端として動力使用装置を接続させ、任意の1つの中心歯車を入力端として動力装置を接続させ、残りの中心歯車はそれぞれ1つのロック端として1つのブレーキを接続させ、他の構成の特徴は変わらないものに変えたものであり、前記変速機の逆変速機が保護範囲に含まれており、
遊星歯車機構は変速機として、動力、制動装置とは一切接続されないことを特徴とする請求項1に記載の同種の中心歯車の遊星歯車機構による変速機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遊星歯車機構による変速機に関し、具体的には同種の中心歯車の遊星歯車機構が3重以上スター接続した遊星歯車機構構造を用いた、各ブレーキを制御して制動させるだけで速度段を制御する遊星歯車機構による変速機である。
【背景技術】
【0002】
多くの伝動システムでは、トルクと回転数を変えるために遊星歯車機構による変速機が配置されている。遊星歯車機構による変速機によって、その遊星歯車機構、遊星歯車機構構造、入出力又はロック端、コントローラの技術的特徴が異なる。従来の遊星歯車機構による変速機は伝動構造が複雑で、多重クラッチ、ブレーキ、一方向クラッチを制御して速度段を切り替えるもので、制御構造が複雑である。発明者が本願に先立って各ブレーキを制御して制動させるだけで速度段を制御する遊星歯車機構による変速機の発明出願を提出し、制御構造がシンプルで、通常の遊星歯車機構をスター接続した遊星歯車機構構造を用いるため、伝動構造がシンプルであった。機械業界からは、伝動構造が一層シンプルで、各ブレーキを制御して制動させるだけで速度段を制御する制御構造がシンプルな遊星歯車機構による変速機が要望される。本発明はそのような遊星歯車機構による変速機を提供する。
【0003】
遊星歯車機構による変速機は、各遊星歯車機構の内部構造すなわち使用した遊星歯車機構、各遊星歯車機構が互いに接続して形成された構造すなわち遊星歯車機構構造、入出力又はロック端、変速機のコントローラなどを含む。
【0004】
通常の完全遊星歯車機構は太陽歯車、内歯車、遊星歯車を備える遊星キャリヤの3種の部品によって構成され、太陽歯車と内歯車の軸線はいずれも遊星歯車機構の中心軸線であり、太陽歯車は1種の中心歯車で、内歯車は別種の中心歯車である。遊星歯車機構は単層遊星の遊星歯車機構と2層遊星の遊星歯車機構に分けられ、それぞれが運動規則を有する。単層遊星の遊星歯車機構は1層の遊星歯車だけを有し、その遊星歯車の数量がその遊星歯車の組数に等しい。完全単層遊星の遊星歯車機構は内側からは太陽歯車が1層の遊星歯車に噛合し、1層の遊星歯車が内歯車に噛合する。遊星歯車機構の各部品の寸法が均等に拡大又は縮小されても、その運動規則は変わらない。複数の遊星歯車機構が互いに接続して遊星歯車機構構造を構成する。遊星歯車機構構造において1つの部品が回転数を有する場合は1つの回転部材とされ、いくつかの部品が互いに接続されて同じ回転数を有する場合はこれらが1つの回転部材とされる。前記スター接続した遊星歯車機構構造とは、複数重の単層遊星の遊星歯車機構に対して、それらの遊星歯車の組数を同じく設定し、各遊星歯車機構の寸法を調整して、均等に拡大させ又は均等に縮小させることによって、各遊星歯車機構における遊星歯車の軸線の遊星歯車機構の中心軸線に対する距離を等しくし、遊星歯車機構の各遊星歯車と隣り合う遊星歯車機構の遊星歯車の軸線を揃えて群分けして接続させ、このような接続をスター接続と称し、スター接続により接続に係る各遊星歯車が同じ回転数を有し、接続に係る各遊星キャリヤは別の同じ回転数を有する。各遊星歯車機構がスター接続して構成された遊星歯車機構構造はスター接続した遊星歯車機構構造である。実際のニーズに応じて、スター接続した遊星歯車機構構造における各単層遊星の遊星歯車機構には太陽歯車と内歯車の2種の中心歯車のいずれかが省略されて、不完全単層遊星の遊星歯車機構としてもよい。不完全単層遊星の遊星歯車機構は1つの中心歯車、遊星歯車を備える1つの遊星キャリヤの2つの部品だけを有する。本発明で用いる各遊星歯車機構は不完全単層遊星の遊星歯車機構で、しかも同種の中心歯車の遊星歯車機構であり、2種がある。1種は、各遊星歯車機構にはいずれも内歯車が省略されて、同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構であり、遊星歯車機構は内側からは太陽歯車が1層の遊星歯車に噛合する。もう1種は、各遊星歯車機構にはいずれも太陽歯車が省略されて、同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構であり、遊星歯車機構は内側からは1層の遊星歯車が内歯車に噛合する。
【発明の概要】
【0005】
伝動構造が一層シンプルで、各ブレーキを制御して制動させるだけで速度段を制御する制御構造がシンプルな遊星歯車機構による変速機を設計及び製造するために、本発明は同種の中心歯車の遊星歯車機構による変速機(gearbox with multiple planetary gear sets that have the same type of central gear)を提供する。使用する遊星歯車機構(planetary gear sets)、遊星歯車機構構造(planetary gear set structure)、入出力又はロック端(input, output and locking ends)、各ブレーキなどに特徴がある。それぞれの特徴は次のとおりである。
【0006】
本発明で使用する遊星歯車機構は、同種の中心歯車の遊星歯車機構を3重以上用いたものである。各重の遊星歯車機構は不完全単層遊星の遊星歯車機構で、1つの中心歯車、遊星歯車を備える1つの遊星キャリヤの2つの部品を有し、各遊星歯車機構の中心歯車は全てが太陽歯車か、又は全てが内歯車であり、1つの変速機の全ての中心歯車は同種の中心歯車である。前記同種の中心歯車の遊星歯車機構は同種の中心歯車(太陽歯車)(same type of central gear (sun gears))による遊星歯車機構、同種の中心歯車(内歯車)(same type of central gear (ring gears))による遊星歯車機構の2種を含み、同種の中心歯車が全て太陽歯車の各遊星歯車機構は同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構と称し、同種の中心歯車が全て内歯車の各遊星歯車機構は同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構と称する。本発明では1つの変速機にその1種を選択して変速機を構成し、同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を選択すると同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構による変速機となり、同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を選択すると同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構による変速機となる。本発明において、「遊星歯車機構」とは遊星歯車機構の部品及び部品のパーツを含み、各部品と各パーツ間の噛合、伝動、支持、配列及び位置関係を含み、各部品と各パーツの構造、省略及びパラメータの設定を含む概念である。
【0007】
遊星歯車機構構造はスター接続した遊星歯車機構構造である。前記スター接続した遊星歯車機構構造とは、複数重の単層遊星の遊星歯車機構に対して、それらの遊星歯車の組数を同じく設定し、各遊星歯車機構の寸法を調整して、各遊星歯車機構における遊星歯車の軸線の遊星歯車機構の中心軸線に対する距離を等しくし、遊星歯車機構の各遊星歯車と隣り合う遊星歯車機構の遊星歯車の軸線を揃えて群分けして接続させ、このような接続をスター接続と称し、各遊星歯車機構がスター接続して形成された遊星歯車機構構造はスター接続した遊星歯車機構構造である。スター接続した遊星歯車機構構造において各遊星歯車機構の遊星キャリヤ(carrier)がまとめて1つの回転部材とされ、各遊星歯車機構の中心歯車(central gears)はそれぞれ1つの回転部材である。本発明において「遊星歯車機構構造」は固有名詞で、各遊星歯車機構間の接続を含み、接続された各遊星歯車機構及び接続された遊星歯車機構の各部品及び各パーツ、例えば、各遊星歯車機構、例えば、回転部材、スター接続に係る遊星歯車などをさらに含む概念である。
【0008】
入出力又はロック端は次のとおりに構成される。遊星キャリヤを入力端として動力装置を接続させ、任意の1つの中心歯車を出力端として動力使用装置を接続させ、残りの中心歯車はそれぞれ1つのロック端として1つのブレーキを接続させ、ブレーキは速度段切り替え制御装置(gear shift control device)によって制御される。1つのブレーキを制御して制動させるとそれに接続された中心歯車をロックして、当該中心歯車の回転数がゼロとなり、1つのブレーキを制御して制動させないとそれに接続された中心歯車をロックしない。
【0009】
各ブレーキは次のとおりに構成される。本発明では2つ以上のブレーキを変速機のコントローラとして使用し、それぞれが1つのロック端に接続される。ブレーキは従来の技術であり、例えば、機械ブレーキ、電磁ブレーキ、ブレーキブースターなどである。ブレーキは固定子と、回転子とを含み、固定子は固定物に接続され、回転子はロック端に接続され、制御を受けて制動状態(braking state)、半制動状態(semi-braking state)又は非制動状態(non-braking state)になる。機械の原理によると、片端がベースなどの固定物に接続されたクラッチもブレーキである。
【0010】
本発明のスター接続した遊星歯車機構構造は、各回転部材が入出力又はロック端としされ、不要な回転部材がないため、本発明の変速機の伝動構造がシンプルなのが分かる。通常の完全遊星歯車機構を組み立てるためには軸方向に組み立てることしかできず、これはスター接続した遊星歯車機構構造と矛盾する部分があり、組み立てにくい。本発明では不完全遊星歯車機構を用い、各遊星歯車機構は軸方向に組み立てるだけでなく径方向に組み立てられるため、組み立てやすい。遊星歯車機構構造の全体も径方向に組み立てることができ、これは遊星歯車機構による変速機の組み立て方が豊富になる。通常の遊星歯車機構による変速機は多重クラッチ、ブレーキ、一方向クラッチを制御して速度段を切り替え、油圧制御機構によって動作し、制御構造が複雑である。本発明ではブレーキを制御して制動させるだけで速度段を制御し、油圧制御機構を用いなくてもよいため、制御構造がシンプルである。
【0011】
本発明の変速機の構成の特徴は次のとおりである。1つのブレーキを制御して制動させるとそれに接続された中心歯車の回転数はゼロとなる。入力端から回転数が入力される時に、1つのブレーキを制御して制動させると、出力端には必ず1つの出力回転数が発生し、入力回転数と確定した比例関係が構成されて、変速機に伝動比が構成され、これは1つの速度段に対応する。別のブレーキを制御して制動させると、出力端には必ず別の出力回転数が発生し、入力回転数と別の確定した比例関係が構成されて、変速機に別の伝動比が構成され、これは別の速度段に対応する。このようにして、本発明の変速機では各ブレーキを制御して制動させることで速度段を制御する。1つのブレーキを制御して半制動にする場合に、変速機が対応の速度段において半連動となり、各ブレーキを制御して全て不制動にする場合に、変速機は中立となり、2つの以上のブレーキを制御して制動させる場合に、変速機は動作を停止する。前記伝動比は入力回転数と出力回転数の比の値であり、伝動比が正の値である場合は入力回転数と出力回転数の方向が同じで、伝動比が負の値である場合は入力回転数と出力回転数の方向が逆になる。
【0012】
前記直接的な接続とは機械での接続により被接続対象の回転数が同じであることで、前記間接的な接続とは機械での伝動により2つの被伝動対象の回転数の関係が確定することである。「接続」だけとある場合は一般に直接的な接続であり、間接的な接続の場合は明示する。各遊星歯車機構において、遊星キャリヤと遊星歯車は、一方が軸、他方は軸受という関係である。各遊星歯車機構における各部品の歯車の歯数は実際のニーズに応じて設定され、遊星歯車機構の各部品の歯車のモジュールは他の遊星歯車機構の各部品の歯車のモジュールと必ず同じとは限らない。前記入力端と動力装置の接続は直接的な接続と、側軸歯車を介する間接的な接続の2種があり、出力端と動力使用装置の接続は直接的な接続と、側軸歯車を介する間接的な接続の2種があり、直接的な接続の伝動比は1.0で、間接的な接続の伝動比は一般に負の値で、例えば、-1.0である。前記動力装置としては、例えば、電気動力装置、ガス動力装置又は燃油動力装置などの従来の技術を用いる。前記速度段切り替え制御装置としては、例えば、電動制御機構、機械制御機構又は油圧制御機構などの従来の技術を用いる。前記多層のたわみ軸は従来の技術で、軸受と軸、各層の軸は相対的に回転できるが、軸方向には相対的に摺動しない。各軸受は従来の技術で、軸受が軸を受け止めており、軸受と軸は相対的に回転できるが、軸方向には相対的に摺動しない。前記ブレーキは従来の技術であり、本発明の変速機の速度段切り替え制御装置はブレーキの固定子によって動作し、油圧制御機構を用いなくてもよい。前記多重クラッチは従来の技術であり、従来の変速機において多重クラッチは2つの独立した回転子を含み、速度段切り替え制御装置は回転子によって動作するため、油圧制御機構を用いなければならない。前記油圧制御機構は速度段切り替え制御装置の1種で、構造が非常に複雑である。
【0013】
図1から
図5では同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を用いる。
図1、
図2は3重の遊星歯車機構、
図3は4重の遊星歯車機構、
図4は5重の遊星歯車機構、
図5は6重の遊星歯車機構であり、
図1と
図2の違いは
図1では遊星キャリヤが軸受、遊星歯車が軸、
図2では遊星キャリヤが軸、遊星歯車が軸受ということである。
図1と
図2のもう1つの違いは入力端、出力端、ロック端の配列順番の違いである。
図6から
図10では同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を用いる。
図6、
図7は3重の遊星歯車機構、
図8は4重の遊星歯車機構、
図9は5重の遊星歯車機構、
図10は6重の遊星歯車機構であり、
図6と
図7の違いは
図6では遊星キャリヤが軸受、遊星歯車が軸、
図7では遊星キャリヤが軸、遊星歯車が軸受ということである。
図6と
図7のもう1つの違いは入力端、出力端、ロック端の配列順番の違いである。各図で軸受による支持の原理は示しているが、軸受の実際の数量や実際の寸法は反映されていない。
【0014】
本発明の変速機の速度段数がブレーキ数に等しく、使用する遊星歯車機構の重数より1つ少なく、したがって実際に必要な変速機の速度段数に応じて、使用する遊星歯車機構の重数を具体的に設定する。本発明の変速機の各速度段の伝動比は使用する各遊星歯車機構の中心歯車の歯数、遊星歯車の歯数から決定され、したがって実際に必要な各速度段の伝動比に応じて、各遊星歯車機構の中心歯車の歯数、遊星歯車の歯数を具体的に設定する。遊星歯車の組数は主に変速機において実際に伝達するトルクに基づいて、各中心歯車の歯数と結び付けて具体的に設定する。このように具体的に設定して構成した変速機は本発明の特徴と変わらないもので、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。使用する遊星歯車機構の重数が6重以下の本発明の変速機の構造模式図を
図1から
図10に示しており、その具体的な設定は各実施例に示す。使用する遊星歯車機構の重数が6重を超える本発明の変速機の構造模式図は想定できるもので、その具体的な設定はこれらの実施例から推定できるため、詳しい説明は省略する。
【0015】
変速機において入力端と出力端を入れ替える他に、全ての構造が変わらず、新たにできた変速機は原変速機の逆変速機となる。逆変速機の速度段数は変わらず、逆変速機の各速度段の伝動比は原変速機の対応の原速度段の伝動比の逆数である。本発明の変速機の逆変速機は、使用する遊星歯車機構が変わらず、遊星歯車機構構造が変わらず、各ブレーキが変わらず、入出力又はロック端を次のとおりに変えたものである。遊星キャリヤを出力端として動力使用装置を接続させ、任意の1つの中心歯車を入力端として動力装置を接続させ、残りの中心歯車はそれぞれ1つのロック端として1つのブレーキを接続させたもので、他の構成の特徴は変わらない。本発明の変速機の逆変速機も本発明の保護範囲に含まれる。
【0016】
上記で使用する遊星歯車機構、遊星歯車機構構造、入出力又はロック端と各ブレーキの特徴、及び構成の特徴、逆変速機の特徴は、本発明の新規性を反映している。本発明があるまでは、同じ特徴の遊星歯車機構による変速機は業界に存在しない。
【発明の効果】
【0017】
本発明の同種の中心歯車の遊星歯車機構による変速機は次の有益な効果を有する。同種の中心歯車の遊星歯車機構の3重以上の使用、スター接続した遊星歯車機構構造、そして入出力又はロック端を考案したもので、従来の遊星歯車機構による変速機の伝動構造よりシンプルで、遊星歯車機構による変速機の組み立て方が豊富になる。各ブレーキを制御して制動させるだけで速度段を制御することを考案し、従来の遊星歯車機構による変速機よりも制御構造がシンプルである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は本発明の同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を3重用いた変速機の模式図である。1は第1の遊星歯車機構の内歯車、2は第2の遊星歯車機構の内歯車、3は第3の遊星歯車機構の内歯車、4は第1の遊星歯車機構の遊星歯車、5は第2の遊星歯車機構の遊星歯車、6は第3の遊星歯車機構の遊星歯車、7は遊星キャリヤ、8はブレーキ(2つ)、9は入力矢印、10は出力矢印である。
【
図2】
図2は本発明の同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を3重用いた変速機の模式図である。1は第1の遊星歯車機構の内歯車、2は第2の遊星歯車機構の内歯車、3は第3の遊星歯車機構の内歯車、4は第1の遊星歯車機構の遊星歯車、5は第2の遊星歯車機構の遊星歯車、6は第3の遊星歯車機構の遊星歯車、7は遊星キャリヤ、8はブレーキ(2つ)、9は入力矢印、10は出力矢印である。
【
図3】
図3は本発明の同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を4重用いた変速機の模式図である。1は第1の遊星歯車機構の内歯車、2は第2の遊星歯車機構の内歯車、3は第3の遊星歯車機構の内歯車、4は第4の遊星歯車機構の内歯車、5は第1の遊星歯車機構の遊星歯車、6は第2の遊星歯車機構の遊星歯車、7は第3の遊星歯車機構の遊星歯車、8は第4の遊星歯車機構の遊星歯車、9は遊星キャリヤ、10はブレーキ(3つ)、11は入力矢印、12は出力矢印である。
【
図4】
図4は本発明の同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を5重用いた変速機の模式図である。1は第1の遊星歯車機構の内歯車、2は第2の遊星歯車機構の内歯車、3は第3の遊星歯車機構の内歯車、4は第4の遊星歯車機構の内歯車、5は第5の遊星歯車機構の内歯車、6は第1の遊星歯車機構の遊星歯車、7は第2の遊星歯車機構の遊星歯車、8は第3の遊星歯車機構の遊星歯車、9は第4の遊星歯車機構の遊星歯車、10は第5の遊星歯車機構の遊星歯車、11は遊星キャリヤ、12はブレーキ(4つ)、13は入力矢印、14は出力矢印である。
【
図5】
図5は本発明の同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を6重用いた変速機の模式図である。1は第1の遊星歯車機構の内歯車、2は第2の遊星歯車機構の内歯車、3は第3の遊星歯車機構の内歯車、4は第4の遊星歯車機構の内歯車、5は第5の遊星歯車機構の内歯車、6は第6の遊星歯車機構の内歯車、7は第1の遊星歯車機構の遊星歯車、8は第2の遊星歯車機構の遊星歯車、9は第3の遊星歯車機構の遊星歯車、10は第4の遊星歯車機構の遊星歯車、11は第5の遊星歯車機構の遊星歯車、12は第6の遊星歯車機構の遊星歯車、13は遊星キャリヤ、14はブレーキ(5つ)、15は入力矢印、16は出力矢印である。
【
図6】
図6は本発明の同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を3重用いた変速機の模式図である。1は第1の遊星歯車機構の太陽歯車、2は第2の遊星歯車機構の太陽歯車、3は第3の遊星歯車機構の太陽歯車、4は第1の遊星歯車機構の遊星歯車、5は第2の遊星歯車機構の遊星歯車、6は第3の遊星歯車機構の遊星歯車、7は遊星キャリヤ、8はブレーキ(2つ)、9は入力矢印、10は出力矢印である。
【
図7】
図7は本発明の同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を3重用いた変速機の模式図である。1は第1の遊星歯車機構の太陽歯車、2は第2の遊星歯車機構の太陽歯車、3は第3の遊星歯車機構の太陽歯車、4は第1の遊星歯車機構の遊星歯車、5は第2の遊星歯車機構の遊星歯車、6は第3の遊星歯車機構の遊星歯車、7は遊星キャリヤ、8はブレーキ(2つ)、9は入力矢印、10は出力矢印である。
【
図8】
図8は本発明の同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を4重用いた変速機の模式図である。1は第1の遊星歯車機構の太陽歯車、2は第2の遊星歯車機構の太陽歯車、3は第3の遊星歯車機構の太陽歯車、4は第4の遊星歯車機構の太陽歯車、5は第1の遊星歯車機構の遊星歯車、6は第2の遊星歯車機構の遊星歯車、7は第3の遊星歯車機構の遊星歯車、8は第4の遊星歯車機構の遊星歯車、9は遊星キャリヤ、10はブレーキ(3つ)、11は入力矢印、12は出力矢印である。
【
図9】
図9は本発明の同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を5重用いた変速機の模式図である。1は第1の遊星歯車機構の太陽歯車、2は第2の遊星歯車機構の太陽歯車、3は第3の遊星歯車機構の太陽歯車、4は第4の遊星歯車機構の太陽歯車、5は第5の遊星歯車機構の太陽歯車、6は第1の遊星歯車機構の遊星歯車、7は第2の遊星歯車機構の遊星歯車、8は第3の遊星歯車機構の遊星歯車、9は第4の遊星歯車機構の遊星歯車、10は第5の遊星歯車機構の遊星歯車、11は遊星キャリヤ、12はブレーキ(4つ)、13は入力矢印、14は出力矢印である。
【
図10】
図10は本発明の同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を6重用いた変速機の模式図である。1は第1の遊星歯車機構の太陽歯車、2は第2の遊星歯車機構の太陽歯車、3は第3の遊星歯車機構の太陽歯車、4は第4の遊星歯車機構の太陽歯車、5は第5の遊星歯車機構の太陽歯車、6は第6の遊星歯車機構の太陽歯車、7は第1の遊星歯車機構の遊星歯車、8は第2の遊星歯車機構の遊星歯車、9は第3の遊星歯車機構の遊星歯車、10は第4の遊星歯車機構の遊星歯車、11は第5の遊星歯車機構の遊星歯車、12は第6の遊星歯車機構の遊星歯車、13は遊星キャリヤ、14はブレーキ(5つ)、15は入力矢印、16は出力矢印である。
【0019】
各図で遊星歯車機構は業界従来の手法で半分の構造模式図で表示し、入力、出力は矢印で表示し、ブレーキは固定子が接地した模式図で概略的に表示する。各図で各部品は構造上の関係を示しているが、実際の寸法は反映されていない。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施例1)
同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を3重用いた本発明の変速機の例その1である。使用する遊星歯車機構、遊星歯車機構構造、入出力又はロック端、各ブレーキなどに特徴がある。
【0021】
本実施例では遊星歯車機構として、同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を3重用いる。各重の遊星歯車機構は1つの中心歯車、遊星歯車を備える1つの遊星キャリヤの2つの部品を備える。各遊星歯車機構の中心歯車は全てが内歯車で、同種の中心歯車である。3重の遊星歯車機構の遊星歯車の組数はいずれも4とする。遊星歯車が軸で、遊星キャリヤは軸受である。なお、遊星歯車が軸受で、遊星キャリヤは軸である場合は、
図2を参照する。
【0022】
遊星歯車機構構造はスター接続した遊星歯車機構構造である。Zq1は第1の遊星歯車機構の内歯車の歯数、Zq2は第2の遊星歯車機構の内歯車の歯数、Zq3は第3の遊星歯車機構の内歯車の歯数、X1は第1の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X2は第2の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X3は第3の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数とする。本実施例の各部品の歯車の歯数は、Zq1=70、Zq2=62、Zq3=58、X1=19、X2=17、X3=16と設定する。
【0023】
入出力又はロック端としては、遊星キャリヤ(7)を入力端として動力装置を接続させる。第1の遊星歯車機構の内歯車(1)を出力端として動力使用装置を接続させる。第2の遊星歯車機構の内歯車(2)、第3の遊星歯車機構の内歯車(3)はそれぞれ1つのロック端として1つのブレーキ(8)を接続させる。
図1を参照する。
【0024】
本実施例では2つのブレーキを用い、各ブレーキは1つのロック端に接続される。ブレーキは電磁ブレーキであり、速度段切り替え制御装置によって制御される。
【0025】
1つのブレーキを制御して制動させるとそれに接続された中心歯車をロックして、当該中心歯車の回転数がゼロとなり、1つのブレーキを制御して制動させないとそれに接続された中心歯車をロックしない。第3の遊星歯車機構の内歯車(3)に接続されたブレーキ(8)が制動する場合は、伝動比は62.222で、第2速度段に対応する。第2の遊星歯車機構の内歯車(2)に接続されたブレーキ(8)が制動する場合は、伝動比は99.167で、第1速度段に対応する。2つのブレーキがいずれも不制動となる場合は、変速機が中立となる。本実施例の変速機は2つの速度段の伝動比がいずれも大きく、伝動構造がシンプルで、制御構造がシンプルであり、2つのブレーキを制御して制動させることで速度段を制御する。ヘリコプターの主減速機と変速機の両方とすれば、ヘリコプターの速度段の切り替え機能が豊富になる。
【0026】
(実施例2)
同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を4重用いた本発明の変速機の例その2であり、使用する遊星歯車機構、遊星歯車機構構造、入出力又はロック端、各ブレーキなどに特徴がある。
【0027】
本実施例では遊星歯車機構として、同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を4重用いる。各重の遊星歯車機構は1つの中心歯車、遊星歯車を備える1つの遊星キャリヤの2つの部品を備える。各遊星歯車機構の中心歯車は全てが内歯車で、同種の中心歯車である。4重の遊星歯車機構の遊星歯車の組数はいずれも4とする。遊星歯車が軸で、遊星キャリヤは軸受である。
【0028】
遊星歯車機構構造はスター接続した遊星歯車機構構造である。Zq1は第1の遊星歯車機構の内歯車の歯数、Zq2は第2の遊星歯車機構の内歯車の歯数、Zq3は第3の遊星歯車機構の内歯車の歯数、Zq4は第4の遊星歯車機構の内歯車の歯数、X1は第1の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X2は第2の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X3は第3の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X4は第4の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数とする。本実施例の各部品の歯車の歯数は、Zq1=82、Zq2=82、Zq3=78、Zq4=78、X1=33、X2=22、X3=19、X4=17と設定する。
【0029】
入出力又はロック端としては、遊星キャリヤ(9)を入力端として動力装置を接続させる。第1の遊星歯車機構の内歯車(1)を出力端として動力使用装置を接続させる。第2の遊星歯車機構の内歯車(2)、第3の遊星歯車機構の内歯車(3)、第4の遊星歯車機構の内歯車(4)はそれぞれ1つのロック端として1つのブレーキ(10)を接続させる。
図3を参照する。
【0030】
本実施例ではブレーキとして、3つのブレーキを使用し、それぞれが1つのロック端に接続される。ブレーキは電磁ブレーキであり、速度段切り替え制御装置によって制御される。
【0031】
1つのブレーキを制御して制動させるとそれに接続された中心歯車をロックして、当該中心歯車の回転数がゼロとなり、1つのブレーキを制御して制動させないとそれに接続された中心歯車をロックしない。第4の遊星歯車機構の内歯車(4)に接続されたブレーキ(10)が制動する場合は、伝動比は-1.181で、第3速度段に対応する。第3の遊星歯車機構の内歯車(3)に接続されたブレーキ(10)が制動する場合は、伝動比は-1.533で、第2速度段に対応する。第2の遊星歯車機構の内歯車(2)に接続されたブレーキ(10)が制動する場合は、伝動比は-2.0で、第1速度段に対応する。3つのブレーキがいずれも不制動となる場合は、変速機が中立となる。変速機は3つのブレーキを制御して制動させることで速度段を制御する。本実施例の変速機は隣り合う速度段の歯ピッチがほぼ等しく、偏差が0.3%未満であり、伝動構造がシンプルで、制御構造がシンプルであり、自転車の変速機として用いることができる。
【0032】
(実施例3)
同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を5重用いた本発明の変速機の例その3であり、使用する遊星歯車機構、遊星歯車機構構造、入出力又はロック端、各ブレーキなどに特徴がある。
【0033】
本実施例では遊星歯車機構として、同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を5重用いる。各重の遊星歯車機構は1つの中心歯車、遊星歯車を備える1つの遊星キャリヤの2つの部品を備える。各遊星歯車機構の中心歯車は全てが内歯車で、同種の中心歯車である。5重の遊星歯車機構の遊星歯車の組数はいずれも4とする。遊星歯車が軸で、遊星キャリヤは軸受である。
【0034】
遊星歯車機構構造はスター接続した遊星歯車機構構造である。Zq1は第1の遊星歯車機構の内歯車の歯数、Zq2は第2の遊星歯車機構の内歯車の歯数、Zq3は第3の遊星歯車機構の内歯車の歯数、Zq4は第4の遊星歯車機構の内歯車の歯数、Zq5は第5の遊星歯車機構の内歯車の歯数、X1は第1の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X2は第2の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X3は第3の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X4は第4の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X5は第5の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数とする。本実施例の各部品の歯車の歯数は、Zq1=80、Zq2=84、Zq3=68、Zq4=60、Zq5=76、X1=19、X2=19、X3=17、X4=16、X5=24と設定する。
【0035】
入出力又はロック端としては、遊星キャリヤ(11)を入力端として動力装置を接続させる。第1の遊星歯車機構の内歯車(1)を出力端として動力使用装置を接続させる。第2の遊星歯車機構の内歯車(2)、第3の遊星歯車機構の内歯車(3)、第4の遊星歯車機構の内歯車(4)、第5の遊星歯車機構の内歯車(5)はそれぞれ1つのロック端として1つのブレーキ(12)を接続させる。
図4を参照する。
【0036】
本実施例ではブレーキとして、4つのブレーキを使用し、それぞれが1つのロック端に接続される。ブレーキは電磁ブレーキであり、速度段切り替え制御装置によって制御される。
【0037】
1つのブレーキを制御して制動させるとそれに接続された中心歯車をロックして、当該中心歯車の回転数がゼロとなり、1つのブレーキを制御して制動させないとそれに接続された中心歯車をロックしない。第5の遊星歯車機構の内歯車(5)に接続されたブレーキ(12)が制動する場合は、伝動比は4.034で、第3速度段に対応する。第4の遊星歯車機構の内歯車(4)に接続されたブレーキ(12)が制動する場合は、伝動比は9.143で、第2速度段に対応する。第3の遊星歯車機構の内歯車(3)に接続されたブレーキ(12)が制動する場合は、伝動比は20.0で、第1速度段に対応する。第2の遊星歯車機構の内歯車(2)に接続されたブレーキ(12)が制動する場合は、伝動比は-20.0で、後退段に対応する。4つのブレーキがいずれも不制動となる場合は、変速機が中立となる。変速機は4つのブレーキを制御して制動させることで速度段を制御する。本実施例の前進3段後退1段の変速機は隣り合う速度段の歯ピッチがほぼ等しく、偏差が1.8%未満であり、伝動構造がシンプルで、制御構造がシンプルであり、自動車の変速機として用いることができる。
【0038】
実施例3の変速機と実施例2の変速機を直列に接続させ、貨車の主変速機と副変速機のように直列に接続させれば、前進9段後退3段の変速機を得る。第1前進段から第9前進段の伝動比はそれぞれ-40.0、-30.67、-23.63、-18.29、-14.02、-10.80、-8.08、-6.19、-4.77であり、伝動比の範囲は8.39であり、第1後退段から第3後退段の伝動比はそれぞれ40.0、30.67、23.63であり、隣り合う速度段の歯ピッチはほぼ等しく、偏差が2.7%未満であり、これを均等変速機と認め、7つのブレーキを制御して制動させることで速度段を制御するもので、自動車の変速機として用いることができる。
【0039】
(実施例4)
同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を6重用いた本発明の変速機の例その4であり、使用する遊星歯車機構、遊星歯車機構構造、入出力又はロック端、各ブレーキなどに特徴がある。
【0040】
本実施例では遊星歯車機構として、同種の中心歯車(内歯車)による遊星歯車機構を6重用いる。各重の遊星歯車機構は1つの中心歯車、遊星歯車を備える1つの遊星キャリヤの2つの部品を備える。各遊星歯車機構の中心歯車は全てが内歯車で、同種の中心歯車である。6重の遊星歯車機構の遊星歯車の組数はいずれも4とする。遊星歯車が軸で、遊星キャリヤは軸受である。
【0041】
遊星歯車機構構造はスター接続した遊星歯車機構構造である。Zq1は第1の遊星歯車機構の内歯車の歯数、Zq2は第2の遊星歯車機構の内歯車の歯数、Zq3は第3の遊星歯車機構の内歯車の歯数、Zq4は第4の遊星歯車機構の内歯車の歯数、Zq5は第5の遊星歯車機構の内歯車の歯数、Zt6は第6の遊星歯車機構の内歯車の歯数、X1は第1の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X2は第2の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X3は第3の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X4は第4の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X5は第5の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X6は第6の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数である。本実施例の各部品の歯車の歯数は、Zq1=82、Zq2=74、Zq3=86、Zq4=82、Zq5=78、Zq6=78、X1=33、X2=23、X3=25、X4=22、X5=19、X6=17と設定する。
【0042】
入出力又はロック端としては、遊星キャリヤ(13)を入力端として動力装置を接続させる。第1の遊星歯車機構の内歯車(1)を出力端として動力使用装置を接続させる。第2の遊星歯車機構の内歯車(2)、第3の遊星歯車機構の内歯車(3)、第4の遊星歯車機構の内歯車(4)、第5の遊星歯車機構の内歯車(5)、第6の遊星歯車機構の内歯車(6)はそれぞれ1つのロック端として1つのブレーキ(14)を接続させる。
図5を参照する。
【0043】
本実施例ではブレーキとして、5つのブレーキを使用し、それぞれが1つのロック端に接続される。ブレーキは電磁ブレーキであり、速度段切り替え制御装置によって制御される。
【0044】
1つのブレーキを制御して制動させるとそれに接続された中心歯車をロックして、当該中心歯車の回転数がゼロとなり、1つのブレーキを制御して制動させないとそれに接続された中心歯車をロックしない。第6の遊星歯車機構の内歯車(6)に接続されたブレーキ(14)が制動する場合は、伝動比は-1.181で、第5速度段に対応する。第5の遊星歯車機構の内歯車(5)に接続されたブレーキ(14)が制動する場合は、伝動比は-1.533で、第4速度段に対応する。第4の遊星歯車機構の内歯車(4)に接続されたブレーキ(14)が制動する場合は、伝動比は-2.0で、第3速度段に対応する。第3の遊星歯車機構の内歯車(3)に接続されたブレーキ(14)が制動する場合は、伝動比は-2.602で、第2速度段に対応する。第2の遊星歯車機構の内歯車(2)に接続されたブレーキ(14)が制動する場合は、伝動比は-3.392で、第1速度段に対応する。5つのブレーキがいずれも不制動となる場合は、変速機が中立となる。変速機は5つのブレーキを制御して制動させることで速度段を制御する。本実施例の5段変速機は隣り合う速度段の歯ピッチがほぼ等しく、偏差が0.3%未満であり、伝動構造がシンプルで、制御構造がシンプルであり、自転車の変速機として用いることができる。
【0045】
(実施例5)
同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を3重用いた本発明の変速機の例その5であり、使用する遊星歯車機構、遊星歯車機構構造、入出力又はロック端、各ブレーキなどに特徴がある。
【0046】
本実施例では遊星歯車機構として、同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を3重用いる。各重の遊星歯車機構は1つの中心歯車、遊星歯車を備える1つの遊星キャリヤの2つの部品を備える。各遊星歯車機構の中心歯車は全てが太陽歯車で、同種の中心歯車である。3重の遊星歯車機構の遊星歯車の組数はいずれも4とする。遊星歯車が軸で、遊星キャリヤは軸受である。なお、遊星歯車が軸受で、遊星キャリヤは軸である場合は、
図7を参照する。
【0047】
遊星歯車機構構造はスター接続した遊星歯車機構構造である。Zt1は第1の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、Zt2は第2の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、Zt3は第3の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、X1は第1の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X2は第2の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X3は第3の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数とする。本実施例の各部品の歯車の歯数は、Zt1=20、Zt2=28、Zt3=36、X1=17、X2=24、X3=31と設定する。
【0048】
入出力又はロック端としては、遊星キャリヤ(7)を入力端として動力装置を接続させる。第1の遊星歯車機構の太陽歯車(1)を出力端として動力使用装置を接続させる。第2の遊星歯車機構の太陽歯車(2)、第3の遊星歯車機構の太陽歯車(3)はそれぞれ1つのロック端として1つのブレーキ(8)を接続させる。これらの接続は多層のたわみ軸により実現する。
図6を参照する。
【0049】
本実施例では2つのブレーキを用い、各ブレーキは1つのロック端に接続される。ブレーキは電磁ブレーキであり、速度段切り替え制御装置によって制御される。
【0050】
1つのブレーキを制御して制動させるとそれに接続された中心歯車をロックして、当該中心歯車の回転数がゼロとなり、1つのブレーキを制御して制動させないとそれに接続された中心歯車をロックしない。第3の遊星歯車機構の太陽歯車(3)に接続されたブレーキ(8)が制動する場合は、伝動比は77.5で、第2速度段に対応する。第2の遊星歯車機構の太陽歯車(2)に接続されたブレーキ(8)が制動する場合は、伝動比は120.0で、第1速度段に対応する。2つのブレーキがいずれも不制動となる場合は、変速機が中立となる。変速機は2つのブレーキを制御して制動させることで速度段を制御する。本実施例の変速機は2つの速度段の伝動比がいずれも大きく、伝動構造がシンプルで、制御構造がシンプルであり、ヘリコプターの主減速機と変速機の両方として用いることができる。
【0051】
(実施例6)
同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を4重用いた本発明の変速機の例その6であり、使用する遊星歯車機構、遊星歯車機構構造、入出力又はロック端、各ブレーキなどに特徴がある。
【0052】
本実施例では遊星歯車機構として、同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を4重用いる。各重の遊星歯車機構は1つの中心歯車、遊星歯車を備える1つの遊星キャリヤの2つの部品を備える。各遊星歯車機構の中心歯車は全てが太陽歯車で、同種の中心歯車である。4重の遊星歯車機構の遊星歯車の組数はいずれも4とする。遊星歯車が軸で、遊星キャリヤは軸受である。
【0053】
遊星歯車機構構造はスター接続した遊星歯車機構構造である。Zt1は第1の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、Zt2は第2の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、Zt3は第3の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、Zt4は第4の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、X1は第1の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X2は第2の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X3は第3の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X4は第4の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数とする。本実施例の各部品の歯車の歯数は、Zt1=26、Zt2=34、Zt3=34、Zt4=50、X1=17、X2=23、X3=24、X4=39と設定する。
【0054】
入出力又はロック端としては、遊星キャリヤ(9)を入力端として動力装置を接続させる。第1の遊星歯車機構の太陽歯車(1)を出力端として動力使用装置を接続させる。第2の遊星歯車機構の太陽歯車(2)、第3の遊星歯車機構の太陽歯車(3)、第4の遊星歯車機構の太陽歯車(4)はそれぞれ1つのロック端として1つのブレーキ(10)を接続させる。これらの接続は多層のたわみ軸により実現する。
図8を参照する。
【0055】
本実施例ではブレーキとして、3つのブレーキを使用し、それぞれが1つのロック端に接続される。ブレーキは電磁ブレーキであり、速度段切り替え制御装置によって制御される。
【0056】
1つのブレーキを制御して制動させるとそれに接続された中心歯車をロックして、当該中心歯車の回転数がゼロとなり、1つのブレーキを制御して制動させないとそれに接続された中心歯車をロックしない。第4の遊星歯車機構の太陽歯車(4)に接続されたブレーキ(10)が制動する場合は、伝動比は6.183で、第3速度段に対応する。第3の遊星歯車機構の太陽歯車(3)に接続されたブレーキ(10)が制動する場合は、伝動比は13.565で、第2速度段に対応する。第2の遊星歯車機構の太陽歯車(2)に接続されたブレーキ(10)が制動する場合は、伝動比は29.90で、第1速度段に対応する。3つのブレーキがいずれも不制動となる場合は、変速機が中立となる。変速機は3つのブレーキを制御して制動させることで速度段を制御する。本実施例の変速機は隣り合う速度段の歯ピッチがほぼ等しく、偏差が0.24%未満であり、伝動構造がシンプルで、制御構造がシンプルであり、電気自動車の変速機として用いることができる。各速度段はいずれも大伝動比を得やすく、いずれも減速伝動である。これは本発明の変速機の大きな利点である。
【0057】
(実施例7)
同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を5重用いた本発明の変速機の例その7であり、使用する遊星歯車機構、遊星歯車機構構造、入出力又はロック端、各ブレーキなどに特徴がある。
【0058】
本実施例では遊星歯車機構として、同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を5重用いる。各重の遊星歯車機構は1つの中心歯車、遊星歯車を備える1つの遊星キャリヤの2つの部品を備える。各遊星歯車機構の中心歯車は全てが太陽歯車で、同種の中心歯車である。5重の遊星歯車機構の遊星歯車の組数はいずれも4とする。遊星歯車が軸で、遊星キャリヤは軸受である。
【0059】
遊星歯車機構構造はスター接続した遊星歯車機構構造である。Zt1は第1の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、Zt2は第2の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、Zt3は第3の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、Zt4は第4の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、Zt5は第5の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、X1は第1の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X2は第2の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X3は第3の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X4は第4の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X5は第5の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数とする。本実施例の各部品の歯車の歯数は、Zt1=26、Zt2=34、Zt3=34、Zt4=50、Zt5=50、X1=17、X2=23、X3=24、X4=39、X5=51と設定する。
【0060】
入出力又はロック端としては、遊星キャリヤ(11)を入力端として動力装置を接続させる。第1の遊星歯車機構の太陽歯車(1)を出力端として動力使用装置を接続させる。第2の遊星歯車機構の太陽歯車(2)、第3の遊星歯車機構の太陽歯車(3)、第4の遊星歯車機構の太陽歯車(4)、第5の遊星歯車機構の太陽歯車(5)はそれぞれ1つのロック端として1つのブレーキ(12)を接続させる。これらの接続は多層のたわみ軸により実現する。
図9を参照する。
【0061】
本実施例ではブレーキとして、4つのブレーキを使用し、それぞれが1つのロック端に接続される。ブレーキは電磁ブレーキであり、速度段切り替え制御装置によって制御される。
【0062】
1つのブレーキを制御して制動させるとそれに接続された中心歯車をロックして、当該中心歯車の回転数がゼロとなり、1つのブレーキを制御して制動させないとそれに接続された中心歯車をロックしない。第5の遊星歯車機構の太陽歯車(5)に接続されたブレーキ(12)が制動する場合は、伝動比は2.786で、第4速度段に対応する。第4の遊星歯車機構の太陽歯車(4)に接続されたブレーキ(12)が制動する場合は、伝動比は6.183で、第3速度段に対応する。第3の遊星歯車機構の太陽歯車(3)に接続されたブレーキ(12)が制動する場合は、伝動比は13.565で、第2速度段に対応する。第2の遊星歯車機構の太陽歯車(2)に接続されたブレーキ(12)が制動する場合は、伝動比は29.90で、第1速度段に対応する。4つのブレーキがいずれも不制動となる場合は、変速機が中立となる。変速機は4つのブレーキを制御して制動させることで速度段を制御する。本実施例の変速機は隣り合う速度段の歯ピッチがほぼ等しく、偏差が0.7%未満であり、伝動構造がシンプルで、制御構造がシンプルであり、自動車の変速機として用いることができる。
【0063】
(実施例8)
同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を6重用いた本発明の変速機の例その8であり、使用する遊星歯車機構、遊星歯車機構構造、入出力又はロック端、各ブレーキなどに特徴がある。
【0064】
本実施例では遊星歯車機構として、同種の中心歯車(太陽歯車)による遊星歯車機構を6重用いる。各重の遊星歯車機構は1つの中心歯車、遊星歯車を備える1つの遊星キャリヤの2つの部品を備える。各遊星歯車機構の中心歯車は全てが太陽歯車で、同種の中心歯車である。6重の遊星歯車機構の遊星歯車の組数はいずれも4とする。遊星歯車が軸で、遊星キャリヤは軸受である。
【0065】
遊星歯車機構構造はスター接続した遊星歯車機構構造である。Zt1は第1の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、Zt2は第2の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、Zt3は第3の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、Zt4は第4の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、Zt5は第5の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、Zt6は第6の遊星歯車機構の太陽歯車の歯数、X1は第1の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X2は第2の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X3は第3の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X4は第4の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X5は第5の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数、X6は第6の遊星歯車機構の遊星歯車の歯数とする。本実施例の各部品の歯車の歯数は、Zt1=26、Zt2=30、Zt3=34、Zt4=34、Zt5=50、Zt6=50、X1=17、X2=19、X3=23、X4=24、X5=39、X6=51と設定する。
【0066】
入出力又はロック端としては、遊星キャリヤ(13)を入力端として動力装置を接続させる。第1の遊星歯車機構の太陽歯車(1)を出力端として動力使用装置を接続させる。第2の遊星歯車機構の太陽歯車(2)、第3の遊星歯車機構の太陽歯車(3)、第4の遊星歯車機構の太陽歯車(4)、第5の遊星歯車機構の太陽歯車(5)、第6の遊星歯車機構の太陽歯車(6)はそれぞれ1つのロック端として1つのブレーキ(14)を接続させる。これらの接続は多層のたわみ軸により実現する。
図10を参照する。
【0067】
本実施例ではブレーキとして、5つのブレーキを使用し、それぞれが1つのロック端に接続される。ブレーキは電磁ブレーキであり、速度段切り替え制御装置によって制御される。
【0068】
1つのブレーキを制御して制動させるとそれに接続された中心歯車をロックして、当該中心歯車の回転数がゼロとなり、1つのブレーキを制御して制動させないとそれに接続された中心歯車をロックしない。第6の遊星歯車機構の太陽歯車(6)に接続されたブレーキ(14)が制動する場合は、伝動比は2.786で、第4速度段に対応する。第5の遊星歯車機構の太陽歯車(5)に接続されたブレーキ(14)が制動する場合は、伝動比は6.183で、第3速度段に対応する。第4の遊星歯車機構の太陽歯車(4)に接続されたブレーキ(14)が制動する場合は、伝動比は13.565で、第2速度段に対応する。第3の遊星歯車機構の太陽歯車(3)に接続されたブレーキ(14)が制動する場合は、伝動比は29.90で、第1速度段に対応する。第2の遊星歯車機構の太陽歯車(2)に接続されたブレーキ(14)が制動する場合は、伝動比は-30.875で、後退段に対応する。5つのブレーキがいずれも不制動となる場合は、変速機が中立となる。変速機は5つのブレーキを制御して制動させることで速度段を制御する。本実施例の前進4段後退1段の変速機は隣り合う速度段の歯ピッチがほぼ等しく、偏差が0.7%未満であり、伝動構造がシンプルで、制御構造がシンプルであり、自動車の変速機として用いることができる。
【0069】
上記では本発明の原理の基本、主な特徴及び利点を記載し、それらを説明している。当業者が分かるように、本発明は前記実施例に限定されず、本発明の趣旨と範囲から逸脱していなければ本発明には様々な変化と改善が可能であり、これらの変化や改善も本発明の保護を求める範囲に含まれる。本発明の保護を求める範囲は添付の特許請求の範囲及び同等なものによって限定される。
【国際調査報告】