(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-07
(54)【発明の名称】光免疫療法のための方法および関連バイオマーカー
(51)【国際特許分類】
G01N 33/574 20060101AFI20220531BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20220531BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20220531BHJP
A61K 41/00 20200101ALI20220531BHJP
A61K 31/695 20060101ALI20220531BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20220531BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220531BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220531BHJP
G01N 33/68 20060101ALI20220531BHJP
G01N 33/50 20060101ALI20220531BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20220531BHJP
C12Q 1/6886 20180101ALN20220531BHJP
【FI】
G01N33/574 A
C12Q1/04
C12Q1/68
A61K41/00
A61K31/695
A61K47/68
A61P35/00
A61K39/395 L
A61K39/395 C
A61K39/395 U
G01N33/68
G01N33/50 P
G01N33/53 M
C12Q1/6886 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557939
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2020025465
(87)【国際公開番号】W WO2020205623
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518055877
【氏名又は名称】ラクテン・メディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア-グスマン ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ハイム ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】チン アイリーン サン
(72)【発明者】
【氏名】フォン ジェリー
(72)【発明者】
【氏名】ヤダフ ディーパック
(72)【発明者】
【氏名】スースロフ ニコライ
(72)【発明者】
【氏名】デ マガリャエス フィリォ シー. ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】リー チェン-ヴァイン
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
2G045AA26
2G045CB02
2G045DA14
2G045DA36
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ02
4B063QQ08
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4B063QR32
4B063QR55
4B063QS34
4B063QS36
4C076BB11
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF70
4C084AA11
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C085AA21
4C085BB01
4C085CC23
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA44
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
(57)【要約】
光免疫療法、例えば、腫瘍細胞上のタンパク質に結合するターゲティング分子にコンジュゲートされたフタロシアニン色素、例えば、IR700-抗体コンジュゲートの活性化によって誘導される光免疫療法との関連での、バイオマーカーの使用を伴う方法、ならびに、併用療法、例えば、光免疫療法と免疫調節剤などの追加の治療剤とを含む併用療法を提供する。いくつかの局面では、提供される態様は、光免疫療法および/または併用療法のための対象を特定または選択するために、あるいは光免疫療法および/または追加の治療剤に対する応答の可能性を評価するために使用することができる。該方法および使用の特徴は、改善された有効性などの様々な利点を提供する。いくつかの局面では、提供される態様は、対象のための個別化医療およびテーラーメイド療法レジメンを提供するために使用することができる。また、腫瘍またはがんを含む疾患および病態の処置におけるバイオマーカーの使用を伴う治療方法も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
(b)対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および
(c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、光免疫療法(PIT)処置を対象に施す工程であって、それによって腫瘍を処置する、工程
を含む、対象における腫瘍を処置する方法。
【請求項2】
(a)腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
(b)対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および
(c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を光免疫療法(PIT)処置のために選択する工程
を含む、処置のための対象を選択する方法。
【請求項3】
(a)腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
(b)対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および
(c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、光免疫療法(PIT)処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程
を含む、対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法。
【請求項4】
(a)腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
(b)対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および
(c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象を、光免疫療法(PIT)処置前の免疫チェックポイント阻害剤による処置のために選択する工程
を含む、処置のための対象を選択する方法。
【請求項5】
免疫チェックポイントバイオマーカーが、PD-L1、PD-1およびPD-L1:PD-1比からなる群より選択される、請求項1~4のいずれか一項記載の方法。
【請求項6】
(a)腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
(b)対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および
(c)対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を光免疫療法(PIT)処置のために選択する工程
を含む、処置のための対象を選択する方法。
【請求項7】
(a)腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
(b)対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および
(c)対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、光免疫療法(PIT)処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程
を含む、対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法。
【請求項8】
(a)腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
(b)対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および
(c)対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象を光免疫療法(PIT)処置のために選択する工程
を含む、処置のための対象を選択する方法。
【請求項9】
(a)腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
(b)対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および
(c)対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象を、光免疫療法(PIT)処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程
を含む、対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法。
【請求項10】
選択または特定された対象にPIT処置を施す工程であって、それによって腫瘍を処置する、工程
をさらに含む、請求項2~9のいずれか一項記載の方法。
【請求項11】
PIT処置が、シリコンフタロシアニン色素とターゲティング分子とを含むコンジュゲートを投与する工程を含む、請求項1~10のいずれか一項記載の方法。
【請求項12】
ターゲティング分子が、EGFR結合分子を含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
PIT処置が、腫瘍の近位領域に、500nmまたは約500nmから、900nmまたは約900nmまでの波長で照射する工程を含む、請求項1~12のいずれか一項記載の方法。
【請求項14】
PIT処置が、腫瘍の近位領域に、少なくとも1J cm
-2もしくは少なくとも約1J cm
-2または少なくとも1 J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約1 J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を含む、請求項1~13のいずれか一項記載の方法。
【請求項15】
(a)頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;
(b)対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに
(c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、
シリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを対象に投与すること、および
腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm
-2もしくは約25J cm
-2から、400J cm
-2もしくは約400J cm
-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射すること
を含む光免疫療法(PIT)処置を施す工程であって、それによって腫瘍を処置する、工程
を含む、対象における腫瘍を処置する方法。
【請求項16】
(a)頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;
(b)対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに
(c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、
シリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを対象に投与すること、および
腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm
-2もしくは約25J cm
-2から、400J cm
-2もしくは約400J cm
-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射すること
を含む光免疫療法(PIT)処置のために選択する工程
を含む、処置のための対象を選択する方法。
【請求項17】
(a)頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;
(b)対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに
(c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、
シリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを対象に投与すること、および
腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm
-2もしくは約25J cm
-2から、400J cm
-2もしくは約400J cm
-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射すること
を含む光免疫療法(PIT)処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程
を含む、対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法。
【請求項18】
(a)頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;
(b)対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに
(c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象を、
シリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを対象に投与すること、および
腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm
-2もしくは約25J cm
-2から、400J cm
-2もしくは約400J cm
-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射すること
を含む光免疫療法(PIT)処置前の免疫チェックポイント阻害剤による処置のために選択する工程
を含む、処置のための対象を選択する方法。
【請求項19】
EGFR結合分子が、抗EGFR抗体、抗体断片または抗体様分子である、請求項12~18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
EGFR結合分子が、セツキシマブまたはその断片である、請求項12~19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
照射が、690±20nmまたは約690±20nmの波長での照射である、請求項13~20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
照射が、50J cm
-2もしくは約50J cm
-2または100J/ファイバ長cmもしくは約100J/ファイバ長cmの線量での照射である、請求項13~21のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
第1のバイオマーカーが、タンパク質、細胞またはmRNAである、請求項6~22のいずれか一項記載の方法。
【請求項24】
第1のバイオマーカーが、免疫細胞、CD11c、CD14、CD68、CD163、またはPD-L1である、請求項6~23のいずれか一項記載の方法。
【請求項25】
細胞が、CD3、CD4、およびPD-1を発現する、請求項23または24記載の方法。
【請求項26】
第1のバイオマーカーが、APOE、BATF3、BCL6B、CASP9、CCND1、COL11A2、CSF2、CSF3、CTNNB1、DLL4、EGF、EIF2B4、ESR1、GLS、HDAC5、HSD11B1、IL11RA、IL32、MAP3K12、NLRP3、NOTCH2、P4HA1、PF4、PGPEP1、PLOD2、RIPK2、RPTOR、SF3A1、SNAI1、SPP1、SRP54、STC1、TMEM140、TNFSF12、およびVEGFAのmRNAの中から選択されるmRNAである、請求項6、7、10~14および19~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
第1のバイオマーカーが、ANGPT1、CPA3、CXCL14、IL18、KIT、MAP3K5、OAZ1、RB1、STAT3、SYK、TICAM1、およびTPSAB1/B2のmRNAの中から選択されるmRNAである、請求項8~14および19~25のいずれか一項記載の方法。
【請求項28】
試料が、腫瘍試料である、請求項1~27のいずれか一項記載の方法。
【請求項29】
試料が、腫瘍生検試料である、請求項1~28のいずれか一項記載の方法。
【請求項30】
免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1が、試料の全組織または試料の腫瘍領域中で測定される、請求項1~29のいずれか一項記載の方法。
【請求項31】
第1のレベルおよび/または閾値レベルが、免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1について染色陽性である細胞の数を腫瘍細胞の総数で割って100を掛けたものに等しい複合陽性スコア(CPS)として測定される、請求項1~30のいずれか一項記載の方法。
【請求項32】
第1のレベルおよび/または閾値レベルが、免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1について染色陽性である腫瘍細胞の数を腫瘍細胞の総数で割って100を掛けたものに等しい腫瘍割合スコア(TPS)として測定される、請求項1~30のいずれか一項記載の方法。
【請求項33】
腫瘍が、腫瘍または腫瘍微小環境中のEGFR発現細胞を含む、請求項1~32のいずれか一項記載の方法。
【請求項34】
腫瘍が、頭頚部がんである、請求項1~14および19~33のいずれか一項記載の方法。
【請求項35】
シリコンフタロシアニン色素が、IR700色素である、請求項11~34のいずれか一項記載の方法。
【請求項36】
対象由来の免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1の第1のレベルが第1の閾値レベルに等しいかそれよりも高いならば、免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与する工程をさらに含む、請求項1~7および10~35のいずれか一項記載の方法。
【請求項37】
免疫チェックポイント阻害剤の投与に続いて光免疫療法(PIT)処置を対象に施す工程をさらに含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
PIT処置を施すことに続いて免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与する工程をさらに含む、請求項1および10~37のいずれか一項記載の方法。
【請求項39】
PIT処置後に対象由来の第2の試料中の前記免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1の第2のレベルを測定する工程;
該免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1の第2のレベルがPIT処置前に測定された第1のレベルと比べて対象において増加しているかどうかを判定する工程;および
第2のレベルが第1のレベルと比べて増加していたら、免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与する工程をさらに含む、請求項1~38のいずれか一項記載の方法。
【請求項40】
PIT処置前に対象由来の非腫瘍領域試料からCD3、CD4およびPD-1に陽性の免疫細胞の第3のレベルを測定する工程、第3のレベルを第3の閾値と比較する工程、および、第3のレベルが第3の閾値よりも高いならば、その対象をPITによる処置のために選択する工程をさらに含む、請求項1~39のいずれか一項記載の方法。
【請求項41】
以下の工程を含む、光免疫療法(PIT)処置に対する対象の応答を評価する方法:
(a)PIT処置前に対象由来の第1の試料中のバイオマーカーの発現の第1のレベルを測定する工程;
(b)PIT処置を対象に施す工程;および
(c)PIT処置に続いて対象由来の第2の試料中の該バイオマーカーの発現の第2のレベルを測定する工程;
第1のレベルが第2のレベルよりも低いならば、その対象をPIT処置に応答すると特定する工程。
【請求項42】
以下の工程を含む、光免疫療法(PIT)処置に対する対象の応答を評価する方法:
(a)PIT処置前に対象由来の第1の試料中のバイオマーカーの発現の第1のレベルを測定する工程;
(b)PIT処置を対象に施す工程;および
(c)PIT処置に続いて対象由来の第2の試料中の該バイオマーカーの発現の第2のレベルを測定する工程;
第1のレベルが第2のレベルよりも高いならば、その対象をPIT処置に応答すると特定する工程。
【請求項43】
バイオマーカーが、FoxP3、CD11c、CD14、またはCD68およびCD163からなる群より選択される、請求項42記載の方法。
【請求項44】
第1および第2の試料中のバイオマーカー発現が、試料の全組織または腫瘍領域中で測定される、請求項41~43のいずれか一項記載の方法。
【請求項45】
対象へのPIT処置の第1の投与後に第1のレベルが第2のレベルよりも低いならば、第2のPIT処置および/または免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与する工程をさらに含む、請求項41、43および44のいずれか一項記載の方法。
【請求項46】
免疫チェックポイント阻害剤が、PD-L1、PD-1またはCTLA4の阻害剤である、請求項4、18および36~45のいずれか一項記載の方法。
【請求項47】
免疫チェックポイント阻害剤が、抗体、抗体断片または抗体様分子を含む、請求項4、18および36~46のいずれか一項記載の方法。
【請求項48】
免疫チェックポイント阻害剤が、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280A、MSB0010718C、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、ランブロリズマブもしくはAMP-224から選択される抗体、またはその抗原結合断片である、請求項46または47記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2019年3月29日に出願された「METHODS FOR PHOTOIMMUNOTHERAPY AND RELATED BIOMARKERS」という表題の米国仮特許出願第62/826,932号、および2019年9月20日に出願された「METHODS FOR PHOTOIMMUNOTHERAPY AND RELATED BIOMARKERS」という表題の米国仮特許出願第62/903,265号からの優先権を主張するものであり、それらの内容は、参照によりその全体が組み入れられる。
【0002】
分野
本開示は、光免疫療法、例えば、腫瘍細胞上のタンパク質に結合するターゲティング分子にコンジュゲートされたフタロシアニン色素、例えば、IR700-抗体コンジュゲートの活性化によって誘導される光免疫療法との関連での、バイオマーカーの使用を伴う方法、ならびに、例えば、光免疫療法と免疫調節剤などの追加の治療剤とを含む、併用療法に関する。いくつかの局面では、提供される態様は、光免疫療法および/または併用療法のための対象を特定または選択するために、あるいは光免疫療法および/または追加の治療剤に対する応答の可能性を評価するために使用することができる。該方法および使用の特徴は、改善された有効性などの様々な利点を提供する。いくつかの局面では、提供される態様は、対象のための個別化医療およびテーラーメイド療法レジメンを提供するために使用することができる。また、腫瘍またはがんを含む疾患および病態の処置におけるバイオマーカーの使用を伴う治療方法も提供される。
【背景技術】
【0003】
背景
がんなどの疾患を処置するために様々な治療法が利用可能である。例えば、光免疫療法(PIT)は、特定の細胞の標的指向型殺傷を可能にするために細胞表面タンパク質を標的指向する抗体または他のターゲティング分子にコンジュゲートされた光増感剤を使用する方法である。いくつかの場合に、PITは、腫瘍細胞などの疾患細胞を選択的に標的指向することができ、それによって、健常細胞を損傷することなくこのような細胞を選択的に殺傷することができる。光免疫療法の方法を改善する、例えば、処置の効果を高めるおよび患者サブ集団のためのテーラーメイド療法を提供する、改善された戦略が必要とされている。このような必要性を満たす方法、使用および組成物が提供される。
【発明の概要】
【0004】
概要
本明細書において、腫瘍などの疾患または病態に関連する病変の処置のための、光免疫療法(PIT)に関する1つまたは複数のバイオマーカーを伴う方法および使用が提供される。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、バイオマーカーは、免疫チェックポイントバイオマーカーを含む。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法および使用は、腫瘍などの疾患または病態を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーなどの1つまたは複数のバイオマーカーのレベルを測定する工程を伴う。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法および使用は、1つまたは複数のバイオマーカーのレベルを閾値レベルと比較する工程を伴う。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法はまた、1つまたは複数のバイオマーカーの測定レベルが閾値よりも高いまたは低い対象を特定または選択する工程を伴う。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法および使用は、処置、例えばPIT処置、および/または追加の治療剤、例えば、免疫チェックポイント阻害剤などの免疫調節剤による処置のための対象を選択または特定する工程を伴う。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法および使用は、処置、例えばPIT処置、および/または追加の治療剤、例えば、免疫チェックポイント阻害剤などの免疫調節剤による処置を、対象、例えば、本明細書に提供される態様のいずれかに従って特定または選択される対象に施す工程を伴う。
【0005】
本明細書において、a)腫瘍を有する対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;c)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;d)照射後に少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくともバイオマーカーのレベルが照射前に測定されたレベルと比べて対象において増加しているかどうかを判定する工程;およびe)レベルが増加していたら、その対象に免疫調節剤を投与する工程を伴い、それによって腫瘍を処置する、対象における腫瘍を処置する方法が提供される。
【0006】
本明細書において、a)腫瘍を有する対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を上回るかを判定する工程;b)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;c)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;およびd)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を上回るならば、免疫調節剤を対象にさらに投与する工程を伴い;それによって腫瘍処置の有効性を改善する、腫瘍処置の有効性を改善する方法が提供される。
【0007】
本明細書において、a)腫瘍を有する対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を下回るかを判定する工程;b)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;c)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;およびd)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を下回るならば、免疫調節剤を対象にさらに投与する工程を伴い;それによって腫瘍処置の有効性を改善する、腫瘍処置の有効性を改善する方法が提供される。
【0008】
本明細書において、a)腫瘍を有する対象由来の試料中の少なくとも1つのチェックポイント経路マーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのチェックポイント経路マーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を上回るかを判定する工程;b)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;c)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;およびd)少なくとも1つのチェックポイント経路マーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を上回るならば、チェックポイント阻害剤を対象にさらに投与する工程を伴い;それによって腫瘍処置の有効性を改善する、腫瘍処置の有効性を改善する方法が提供される。
【0009】
本明細書において、a)集団の対象の各々由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;b)少なくとも1つのバイオマーカーの発現が閾値であるか閾値を上回るならば、その対象を、高い応答の可能性を有すると特定する工程;c)高い応答の可能性を有すると特定された対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;およびd)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を含み、それによって高い応答の可能性を有すると特定された対象における腫瘍を処置する、腫瘍を有する対象の集団内で高い応答の可能性を有する対象を処置する方法が提供される。任意のこのような態様のいくつかの態様では、該方法はまた、e)照射後に対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが照射前に測定されたレベルと比較して対象において増加しているかどうかを判定する工程;およびf)レベルが増加していたら、その対象に免疫調節剤を投与する工程を伴う。
【0010】
本明細書において、a)集団の対象の各々由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;b)少なくとも1つのバイオマーカーの発現が閾値であるか閾値を上回るならば、その対象を処置のために選択する工程;c)選択された対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;およびd)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を伴い、それによって腫瘍を処置する、対象における腫瘍を処置する方法が提供される。任意のこのような態様のいくつかの態様では、該方法はまた、e)照射後に対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが照射前に測定されたレベルと比較して対象において増加しているかどうかを判定する工程;およびf)レベルが増加していたら、その対象に免疫調節剤を投与する工程を伴う。任意のこのような態様のいくつかの態様では、該方法はまた、e)照射後に対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが照射前に測定されたレベルと比較して対象において増加しているかどうかを判定する工程;およびf)レベルが減少していたら、その対象に免疫調節剤を投与する工程を伴う。
【0011】
本明細書において、a)腫瘍を有する対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;およびb)コンジュゲートを投与した後、腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を伴い;それによって、少なくとも1つのバイオマーカーの発現を、照射なしの少なくとも1つのバイオマーカーの発現と比較して増加させる、腫瘍を有する対象における少なくとも1つのバイオマーカーの発現を増加させる方法が提供される。
【0012】
本明細書において、a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;c)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;およびd)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、その対象を免疫調節剤による処置のために選択する工程を伴う、免疫調節剤による処置のための対象を選択する方法が提供される。任意のこのような態様のいくつかの態様では、該方法はまた、選択された対象に、治療有効量の免疫調節剤を投与する工程を伴う。
【0013】
本明細書において、a)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;およびb)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、その対象を、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置のために選択する工程を伴う、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置のための対象を選択する方法が提供される。
【0014】
本明細書において、a)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;およびb)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、その対象を、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程を伴う、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置に対する応答の可能性を評価する方法が提供される。
【0015】
本明細書において、a)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;およびb)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを下回るならば、その対象を、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートおよび免疫調節剤による処置のために選択する工程を伴う、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置のための対象を選択する方法が提供される。
【0016】
本明細書において、a)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;およびb)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを下回るならば、その対象を、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置に対して低い応答の可能性を有すると特定する工程を伴う、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置に対する応答の可能性を評価する方法が提供される。任意のこのような態様のいくつかの態様では、該方法はまた、選択された対象に、治療有効量のコンジュゲートを投与する工程を伴う。任意のこのような態様のいくつかの態様では、該方法はまた、腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を伴う。いくつかの態様では、対象が低い応答の可能性を有すると特定されたならば、該方法はまた、対象に治療有効量の免疫調節剤を投与する工程を伴う。
【0017】
本明細書において、a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;およびc)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定し;少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、その対象は高い応答の可能性を有すると特定される工程を伴う、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置に対する応答をモニタリングする方法が提供される。
【0018】
本明細書において、a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;およびc)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定し;少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを下回るならば、その対象は高い応答の可能性を有すると特定される工程を伴う、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置に対する応答をモニタリングする方法が提供される。
【0019】
本明細書において、a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程であって、コンジュゲートとそれに続く光照射による腫瘍の処置が免疫細胞の活性化をプライミングする工程;c)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;d)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、治療有効量の免疫調節剤を対象に投与する工程を伴い;それによって腫瘍を処置する、対象における腫瘍を処置する方法が提供される。
【0020】
本明細書において、a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程であって、コンジュゲートとそれに続く光照射による腫瘍の処置が免疫細胞の活性化をプライミングする工程;c)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;d)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルを下回るならば、1つまたは複数の追加の用量のコンジュゲートを対象に投与して腫瘍の近位領域に照射する工程を伴い;それによって腫瘍を処置する、対象における腫瘍を処置する方法が提供される。
【0021】
本明細書において、腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および、対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、光免疫療法(PIT)処置を対象に施す工程を伴い、それによって腫瘍を処置する、対象における腫瘍を処置する方法および使用が提供される。
【0022】
本明細書において、腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および、対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象をPIT処置のために選択する工程を伴う、処置のための対象を選択する方法および使用が提供される。
【0023】
本明細書において、腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および、対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、PIT処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程を伴う、対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法および使用が提供される。
【0024】
本明細書において、腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および、対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象を、PIT処置前の免疫チェックポイント阻害剤による処置のために選択する工程を伴う、処置のための対象を選択する方法および使用が提供される。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫チェックポイントバイオマーカーは、PD-L1、PD-1およびPD-L1:PD-1比からなる群より選択される。
【0025】
本明細書において、腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および、対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象をPIT処置のために選択する工程を伴う、処置のための対象を選択する方法および使用が提供される。
【0026】
本明細書において、腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および、対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、PIT処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程を伴う、対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法および使用が提供される。
【0027】
本明細書において、腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および、対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象をPIT処置のために選択する工程を伴う、処置のための対象を選択する方法および使用が提供される。
【0028】
本明細書において、腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および、対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象を、PIT処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程を伴う、対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法および使用が提供される。
【0029】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法、使用または処置はまた、選択または特定された対象にPIT処置を施す工程を伴い、それによって腫瘍を処置する。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、PIT処置は、シリコンフタロシアニン色素とターゲティング分子とを含むコンジュゲートを投与する工程を含む。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、ターゲティング分子は、EGFR結合分子を含む。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、PIT処置は、腫瘍の近位領域に、500nmまたは約500nmから、900nmまたは約900nmまでの波長で照射する工程を含む。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、照射は、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長での照射である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、PIT処置は、腫瘍の近位領域に、少なくとも1J cm-2もしくは少なくとも約1J cm-2または少なくとも1 J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約1 J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を含む。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、照射は、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量での照射である。
【0030】
本明細書において、頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに、対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、シリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを対象に投与すること、および、腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射することを含むPIT処置を施す工程であって、それによって腫瘍を処置する工程を伴う、対象における腫瘍を処置する方法および使用が提供される。
【0031】
本明細書において、頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに、対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、シリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを対象に投与すること、および、腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射することを含むPIT処置のために選択する工程を伴う、処置のための対象を選択する方法および使用が提供される。
【0032】
本明細書において、頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに、対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、シリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを対象に投与すること、および、腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射することを含むPIT処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程を伴う、対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法および使用が提供される。
【0033】
本明細書において、頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに、対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象を、シリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを対象に投与すること、および、腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射することを含むPIT処置前の免疫チェックポイント阻害剤による処置のために選択する工程を伴う、処置のための対象を選択する方法および使用が提供される。
【0034】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、EGFR結合分子は、抗EGFR抗体、抗体断片または抗体様分子である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、EGFR結合分子は、セツキシマブまたはその断片である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、照射は、690±20nmまたは約690±20nmの波長での照射である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、照射は、50J cm-2もしくは約50J cm-2または100J/ファイバ長cmもしくは約100J/ファイバ長cmの線量での照射である。
【0035】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、第1のバイオマーカーは、タンパク質、細胞またはmRNAである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、第1のバイオマーカーは、免疫細胞、CD11c、CD14、CD68、CD163、またはPD-L1である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、細胞は、CD3、CD4、およびPD-1を発現する。
【0036】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、第1のバイオマーカーは、APOE、BATF3、BCL6B、CASP9、CCND1、COL11A2、CSF2、CSF3、CTNNB1、DLL4、EGF、EIF2B4、ESR1、GLS、HDAC5、HSD11B1、IL11RA、IL32、MAP3K12、NLRP3、NOTCH2、P4HA1、PF4、PGPEP1、PLOD2、RIPK2、RPTOR、SF3A1、SNAI1、SPP1、SRP54、STC1、TMEM140、TNFSF12、およびVEGFAのmRNAの中から選択されるmRNAである。
【0037】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、第1のバイオマーカーは、ANGPT1、CPA3、CXCL14、IL18、KIT、MAP3K5、OAZ1、RB1、STAT3、SYK、TICAM1、およびTPSAB1/B2のmRNAの中から選択されるmRNAである。
【0038】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、試料は、腫瘍試料である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、試料は、腫瘍生検試料である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1は、試料の全組織または試料の腫瘍領域中で測定される。
【0039】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1のレベルが、マルチプレックスバイオアッセイを使用して測定される;および/または、免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1のレベルを測定するための作用物質がマルチプレックスバイオアッセイに含まれる。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、マルチプレックスバイオアッセイは、免疫蛍光、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション、免疫組織化学および/またはハイスループット核酸シーケンシングから選択される1つまたは複数のアッセイを含む。
【0040】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、第1のレベルおよび/または閾値レベルは、免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1について染色陽性である細胞の数を腫瘍細胞の総数で割って100を掛けたものに等しい複合陽性スコア(CPS)として測定される。
【0041】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、第1のレベルおよび/または閾値レベルは、免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1について染色陽性である腫瘍細胞の数を腫瘍細胞の総数で割って100を掛けたものに等しい腫瘍割合スコア(TPS)として測定される。
【0042】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、腫瘍は、腫瘍または腫瘍微小環境中のEGFR発現細胞を含む。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、腫瘍は、頭頚部がんである。
【0043】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、シリコンフタロシアニン色素は、IR700色素である。
【0044】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、対象由来の免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1の第1のレベルが第1の閾値レベルに等しいかそれよりも高いならば、該方法、使用または処置はまた、免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与する工程を伴う。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法、使用または処置はまた、免疫チェックポイント阻害剤の投与に続いて、対象にPIT処置を施す工程を伴う。
【0045】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法、使用または処置はまた、PIT処置を施すことに続いて、免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与する工程を伴う。
【0046】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法、使用または処置はまた、PIT処置後に対象由来の第2の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1の第2のレベルを測定する工程;免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1の第2のレベルがPIT処置前に測定された第1のレベルと比べて対象において増加しているかどうかを判定する工程;および、第2のレベルが第1のレベルと比べて増加していたら、免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与する工程を伴う。
【0047】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法、使用または処置はまた、PIT処置前に対象由来の非腫瘍領域試料からCD3、CD4およびPD-1に陽性の免疫細胞の第3のレベルを測定する工程、第3のレベルを第3の閾値と比較する工程、および、第3のレベルが第3の閾値よりも高いならば、その対象をPITによる処置のために選択する工程を伴う。
【0048】
本明細書において、PIT処置前に対象由来の第1の試料中のバイオマーカーの発現の第1のレベルを測定する工程;PIT処置を対象に施す工程;および、PIT処置に続いて対象由来の第2の試料中のバイオマーカーの発現の第2のレベルを測定する工程;第1のレベルが第2のレベルよりも低いならば、その対象をPIT処置に応答すると特定する工程を含む、PIT処置に対する対象の応答を評価する方法および使用が提供される。
【0049】
本明細書において、PIT処置前に対象由来の第1の試料中のバイオマーカーの発現の第1のレベルを測定する工程;PIT処置を対象に施す工程;および、PIT処置に続いて対象由来の第2の試料中のバイオマーカーの発現の第2のレベルを測定する工程;第1のレベルが第2のレベルよりも高いならば、その対象をPIT処置に応答すると特定する工程を含む、PIT処置に対する対象の応答を評価する方法および使用が提供される。
【0050】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、バイオマーカーは、FoxP3、CD11c、CD14、またはCD68およびCD163からなる群より選択される。
【0051】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、第1および第2の試料中のバイオマーカー発現は、試料の全組織または腫瘍領域中で測定される。
【0052】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、対象へのPIT処置の第1の投与後に第1のレベルが第2のレベルよりも低いならば、該方法、使用または処置はまた、第2のPIT処置および/または免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与する工程を伴う。
【0053】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、PD-L1、PD-1またはCTLA4の阻害剤である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、抗体、抗体断片または抗体様分子を含む。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280A、MSB0010718C、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、ランブロリズマブもしくはAMP-224から選択される抗体、またはその抗原結合断片である。
【0054】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法は、コンジュゲート単独または免疫調節剤単独による処置と比較して、相乗的な処置効果を提供する。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法は、コンジュゲート単独またはチェックポイント阻害剤単独による処置と比較して、相乗的な処置効果を提供する。
【0055】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、コンジュゲートの投与とそれに続く照射は、免疫細胞の活性化をプライミングする。
【0056】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、細胞表面マーカーを含む。
【0057】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、細胞表面マーカーは、免疫細胞表面マーカーである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、細胞表面マーカーは、抗原提示細胞マーカーである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、細胞表面マーカーは、樹状細胞マーカーである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、細胞表面マーカーは、CD86、CD80またはMHCIIの1つまたは複数の中から選択される。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、細胞表面マーカーは、マクロファージマーカーである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、細胞表面マーカーは、ナチュラルキラー細胞マーカーである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、細胞表面マーカーは、CD69またはCD107aの1つまたは複数の中から選択される。
【0058】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、細胞表面マーカーは、チェックポイント経路マーカーである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、細胞表面マーカーは、PD-1、PD-L1またはCTLA-4の1つまたは複数の中から選択される。
【0059】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、細胞表面マーカーは、免疫原性細胞死マーカーである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、細胞表面マーカーは、ヒートショックタンパク質70(Hsp70)、Hsp90およびカルレチクリン(CRT)の1つまたは複数の中から選択される。
【0060】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、可溶性マーカーまたは血清マーカーを含む。
【0061】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、可溶性マーカーは、サイトカインまたはケモカインである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、サイトカインまたはケモカインは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、IFN-γ-誘導性タンパク質10(IP-10)/CXCL10、MIP-1α(マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ)/CCL3、MIP-1β(マクロファージ炎症性タンパク質-1ベータ)/CCL4、インターロイキン-1ベータ(IL-1β)、インターロイキン-8(IL-8)/CXCL8、6CKine、BCA-1、CTACK、EGF、ENA-78、エオタキシン/CCL11、エオタキシン-2、エオタキシン-3、FGF-2、Flt-3リガンド、フラクタルカイン、G-CSF、GM-CSF、GRO、GROアルファ/CXCL1、I-309、ICAM-1/CD54、IFNアルファ(IFN-α)、IFNガンマ(IFN-γ)、IFN-α2、IFN-γ、IL-1アルファ(IL-1α)、IL-10、IL-12 p40、IL-12p70、IL-13、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-17A/CTLA-8、IL-18、IL-2、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-27、IL-28A、IL-3、IL-31、IL-33、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1ra)、IP-10、LIF、MCP-1、MCP-1/CCL2、MCP-2、MCP-3、MCP-4、MDC(CCL22)、MIP-1d、PDGF-AA、PDGF-AB/BB、RANTES/CCL5、sCD40L、SCF、SDF-1α/CXCL12、SDF-1a+B、sE-セレクチン、sP-セレクチン、TARC、TGFα、腫瘍壊死因子ベータ(TNF-β)/LTA、TPO、TRAIL、TSLPまたはVEGFの1つまたは複数の中から選択される。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、サイトカインまたはケモカインは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、IFN-γ-誘導性タンパク質10(IP-10)/CXCL10、MIP-1α(マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ)/CCL3、MIP-1β(マクロファージ炎症性タンパク質-1ベータ)/CCL4、インターロイキン-1ベータ(IL-1β)、インターロイキン-8(IL-8)/CXCL8、エオタキシン/CCL11、GROアルファ/CXCL1、GM-CSF、IFNアルファ(IFN-α)、IFNガンマ(IFN-γ)、IL-1アルファ(IL-1α)、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1ra)、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-15、IL-17A/CTLA-8、IL-18、IL-21、IL-22、IL-23、IL-27、IL-31、MCP-1/CCL2、RANTES/CCL5、SDF-1α/CXCL12、および腫瘍壊死因子ベータ(TNF-β)/LTAの1つまたは複数の中から選択される。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、サイトカインまたはケモカインは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、IFN-γ-誘導性タンパク質10(IP-10)、MIP-1α(マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ)、MIP-1β(マクロファージ炎症性タンパク質-1ベータ)、インターロイキン-1ベータ(IL-1β)およびインターロイキン-8(IL-8)/CXCL8の1つまたは複数の中から選択される。
【0062】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、可溶性マーカーは、損傷関連分子パターン(DAMP)マーカーである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、DAMPマーカーは、高移動度群ボックスタンパク質(HMGB1)である。
【0063】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、少なくともバイオマーカーは、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたはそれ以上のバイオマーカーである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、少なくともバイオマーカーは、2つのバイオマーカーである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、少なくともバイオマーカーは、3つのバイオマーカーである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、少なくともバイオマーカーは、4つのバイオマーカーである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、少なくともバイオマーカーは、5つのバイオマーカーである。
【0064】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、試料は、腫瘍試料であり、かつ/または、試料は、腫瘍細胞を含むか腫瘍細胞を含む可能性が高い。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、試料は、腫瘍生検を含む。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、試料は、血液試料、血漿試料、血清試料、リンパ節試料、骨髄試料、口内スワブ、糞試料または尿試料であるかそれを含む。
【0065】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、照射は、600nm~850nmの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量での照射である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、照射は、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長での照射である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、照射は、690±50nmもしくは約690±50nmの波長でのまたは690±20nmもしくは約690±20nmの波長での照射である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、照射は、2J cm-2もしくは約2J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または2J/ファイバ長cmもしくは約2J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量での照射である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、照射は、少なくとも2J cm-2、5J cm-2、10J cm-2、25J cm-2、50J cm-2、75J cm-2、100J cm-2、150J cm-2、200J cm-2、300J cm-2、400J cm-2、もしくは500J cm-2、または少なくとも約2J cm-2、5J cm-2、10J cm-2、25J cm-2、50J cm-2、75J cm-2、100J cm-2、150J cm-2、200J cm-2、300J cm-2、400J cm-2、もしくは500J cm-2の線量での照射である;または照射は、少なくとも2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cm、または少なくとも約2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cmの線量での照射である。
【0066】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、フタロシアニン色素は、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmまでの最大吸収波長を有する。
【0067】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、フタロシアニン色素は、ターゲティング分子に直接的または間接的に連結される。
【0068】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、フタロシアニン色素は、式:
[式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、ターゲティング分子への色素の付着のための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、場合により置換されているアルキルおよび場合により置換されているアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルカノイル、場合により置換されているアルコキシカルボニル、場合により置換されているアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、場合により置換されているアルキルチオ、場合により置換されているアルキルアミノおよび場合により置換されているアルコキシから選択され;そして
X
2およびX
3は、各々独立して、場合によりヘテロ原子が介在しているC
1-C
10アルキレンである]を含む。
【0069】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、フタロシアニン色素は、式:
[式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、場合によりヘテロ原子が介在しているC
1-C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、場合により置換されているアルキルおよび場合により置換されているアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルカノイル、場合により置換されているアルコキシカルボニル、場合により置換されているアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;そして
R
16、R
17、R
18およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、場合により置換されているアルキルチオ、場合により置換されているアルキルアミノおよび場合により置換されているアルコキシから選択される]を含む。
【0070】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、フタロシアニン色素は、IRDye 700DX(IR700)を含む。
【0071】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、ターゲティング分子は、抗体または抗原結合抗体断片である。
【0072】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、抗体は、Fab、単一VHドメイン、単鎖可変断片(scFv)、多価scFv、二重特異性scFvまたはscFv-CH3ダイマーである、抗原結合抗体断片である。
【0073】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、ターゲティング分子は、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM5、CEACAM6、がん抗原125(CA125)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ルイスY、TAG72、カプリン-1、メソテリン、PDGF受容体、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-2受容体、血管内皮成長因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(GD2、GD3、GM1およびGM2など)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR 10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、メタロプロテイナーゼ、エフリン受容体、エフリンリガンド、HGF受容体、CXCR4、CXCR4、ボンベシン受容体、およびSK-1抗原の中から選択されるタンパク質に結合する。
【0074】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、ターゲティング分子は、CD25、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PD-L2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG3(CD223)、TIM3(HAVCR2)、4-1BB(CD137、TNFRSF9)、CXCR2、CXCR4(CD184)、CD27、CEACAM1、ガレクチン9、BTLA、CD160、VISTA(PD1相同体)、B7-H4(VCTN1)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、CD28、HHLA2(B7-H7)、CD28H、CD155、CD226、TIGIT、CD96、ガレクチン3、CD40、CD40L、CD70、LIGHT(TNFSF14)、HVEM(TNFRSF14)、B7-H3(CD276)、Ox40L(TNFSF4)、CD137L(TNFSF9、GITRL)、B7RP1、ICOS(CD278)、ICOSL、KIR、GAL9、NKG2A(CD94)、GARP、TL1A、TNFRSF25、TMIGD2、BTNL2、ブチロフィリンファミリー、CD48、CD244、シグレックファミリー、CD30、CSF1R、MICA(MHCクラスIポリペプチド関連配列A)、MICB(MHCクラスIポリペプチド関連配列B)、NKG2D、KIRファミリー(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、LILRファミリー(白血球免疫グロブリン様受容体、CD85、ILT、LIR)、SIRPA(シグナル調節タンパク質アルファ)、CD47(IAP)、ニューロピリン1(NRP-1)、VEGFR、およびVEGFの中から選択されるタンパク質に結合する。
【0075】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、抗体または抗原結合抗体断片は、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan、MabThera)、イブリツモマブ・チウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、バシリキシマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI6383、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、PDR001、MSB0010718C、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015、IPH2101)、IPH2201、AGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aの中から選択されるか、またはその抗原結合抗体断片である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、コンジュゲートは、セツキシマブ-IR700、パニツムマブ-IR700、ザルツムマブ-IR700、ニモツズマブ-IR700、トシツモマブ-IR700、リツキシマブ-IR700、イブリツモマブ・チウキセタン-IR700、ダクリズマブ-IR700、ゲムツズマブ-IR700、アレムツズマブ-IR700、CEA-scan Fab断片-IR700、OC125-IR700、ab75705-IR700、B72.3-IR700、ベバシズマブ-IR700、バシリキシマブ-IR700、ニボルマブ-IR700、ペムブロリズマブ-IR700、ピジリズマブ-IR700、MK-3475-IR700、BMS-936559-IR700、MPDL3280A-IR700、イピリムマブ-IR700、トレメリムマブ-IR700、IMP321-IR700、BMS-986016-IR700、LAG525-IR700、ウレルマブ-IR700、PF-05082566-IR700、TRX518-IR700、MK-4166-IR700、ダセツズマブ-IR700、ルカツムマブ-IR700、SEA-CD40-IR700、CP-870-IR700、CP-893-IR700、MED16469-IR700、MEDI6383-IR700、MEDI4736-IR700、MOXR0916-IR700、AMP-224-IR700、PDR001-IR700、MSB0010718C-IR700、rHIgM12B7-IR700、ウロクプルマブ-IR700、BKT140-IR700、バルリルマブ-IR700、ARGX-110-IR700、MGA271-IR700、リリルマブ-IR700、IPH2201-IR700、AGX-115-IR700、エマクツズマブ-IR700、CC-90002-IR700およびMNRP1685A-IR700の中から選択される。
【0076】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、ターゲティング分子は、セツキシマブである抗体もしくはその抗原結合抗体断片であるか、または、コンジュゲートは、セツキシマブ-IR700である。
【0077】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、コンジュゲートは、全身に投与される。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、コンジュゲートは、静脈内に投与される。
【0078】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、照射は、コンジュゲートを投与した24時間±3時間後に行われる。
【0079】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、腫瘍は、表在性腫瘍である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、腫瘍は、10mm未満の厚さである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、照射は、表面照明用のマイクロレンズが先端に付いたファイバを使用して行われる。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、照射線量は、5J/cm2または約5J/cm2~約200J/cm2である。
【0080】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、病変は、間質性腫瘍である腫瘍である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、腫瘍は、10mm超の深さであるかまたは皮下腫瘍である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、照射は、ディフューザー長0.5cm~10cmを含みかつ1.8±0.2cm離れて置かれた円筒形拡散ファイバを使用して行われる。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、光照射線量は、20J/ファイバ長cmまたは約20J/ファイバ長cm~約500J/ファイバ長cmである。
【0081】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫調節剤は、免疫細胞の活性を増加させることが可能である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫調節剤は、GM-CSF、CpG-ODN(CpGオリゴデオキシヌクレオチド)、リポ多糖(LPS)、モノホスホリルリピドA(MPL)、ミョウバン、組換えリーシュマニア(Leishmania)ポリタンパク質、イミキモド、MF59、ポリI:C、ポリA:U、1型IFN、Pam3Cys、Pam2Cys、完全フロイントアジュバント(CFA)、アルファ-ガラクトシルセラミド、RC-529、MDF2β、ロキソリビン、抗CD40アゴニスト、SIRPaアンタゴニスト、AS04、AS03、フラジェリン、レシキモド、DAP(ジアミノピメリン酸)、MDP(ムラミルジペプチド)、CAF01(陽イオン性アジュバント製剤-01)、アントラサイクリン(例えば、ドキソルビシン、ミトキサントロン)、BKチャネルアゴニスト、ボルテゾミブ、ボルテゾミブ+マイトマイシンC+hTERT-Ad、強心配糖体+非免疫原性細胞死誘導因子、シクロホスファミド、GADD34/PP1阻害剤+マイトマイシン、LV-tSMAC、およびオキサリプラチンの中から選択される。
【0082】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫調節剤は、Toll様受容体(TLR)アゴニスト、アジュバントまたはサイトカインまたはケモカインである。
【0083】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫調節剤は、TLRアゴニストであり、該TLRアゴニストは、TLR4アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニストまたはTLR9アゴニストである、TLRアゴニストである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、TLRアゴニストは、トリアシル化リポタンパク質、ジアシル化リポペプチド、リポテイコ酸、ペプチドグリカン、ザイモサン、Pam3CSK4、dsRNA、ポリ(I:C)、ポリG10、ポリG3、CpG、3M003、フラジェリン、リポ多糖(LPS)、真核生物リボソーム伸長および開始因子4aのリーシュマニア相同体(LeIF)、MEDI9197、SD-101、およびイミダゾキノリンTLRアゴニストの中から選択される。
【0084】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫調節剤は、サイトカインであり、該サイトカインは、IL-4、TNF-α、GM-CSFまたはIL-2である。
【0085】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫調節剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫調節剤は、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫調節剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MED14736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、または前述のいずれかのその抗原結合断片である。
【0086】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫調節剤は、PD-L1に結合する抗体または抗体断片である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫調節剤は、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280AおよびMSB0010718Cから選択される抗体、またはその抗原結合断片である。
【0087】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫調節剤は、PD-1に結合する抗体または抗体断片である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫調節剤は、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、ランブロリズマブもしくはAMP-224から選択される抗体、またはその抗原結合断片である。
【0088】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫調節剤はさらに、第2のフタロシアニン色素を含む。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、第2のフタロシアニン色素は、IRDye 700DX(IR700)を含む。
【0089】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫調節剤は、腫瘍の近位領域への照射の30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1ヶ月よりも前、または約30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1ヶ月よりも前に投与される。
【0090】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法は、照射に続いて免疫調節剤の連続投与を、1週間に3回、1週間に2回、1週間毎に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回または1ヶ月に1回含む。
【0091】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、照射は、i)免疫調節剤の投与後およびコンジュゲートの投与後またはii)コンジュゲートの投与後にのみのいずれかに行われる。
【0092】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、コンジュゲートは、免疫調節剤の投与の前に、免疫調節剤の投与と同時にまたは免疫調節剤の投与に続いて投与される。
【0093】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、免疫調節剤は、照射後に投与される。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、コンジュゲートは、照射の12時間~48時間または約12時間~48時間前に投与され、免疫調節剤は、腫瘍に照射した12時間または約12時間~約1ヶ月後に投与される。
【0094】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、コンジュゲートは、免疫調節剤の投与後であるが照射前に投与される。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、コンジュゲートは、照射の12時間~48時間または約12時間~48時間前に投与され、免疫調節剤は、腫瘍に照射する12時間または約12時間~約1ヶ月前に投与される。
【0095】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、腫瘍は、がんである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、がんは、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜または肺に位置するがんである。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、腫瘍は、肉腫またはがん腫である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、腫瘍は、扁平上皮がん腫、基底細胞がん腫または腺がんであるがん腫である。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、腫瘍は、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳房、胃、前立腺、子宮頸部、食道または頭頸部のがん腫である、がん腫である。
【0096】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法は、投与および照射の前の腫瘍のサイズまたは体積と比較して、照射の1ヶ月以内に、腫瘍のサイズまたは体積を少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上低減する。
【0097】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、処置された対象の集団において、該方法で処置されていない類似の状況下の対象の集団と比較して、腫瘍関連パラメーターの改善を達成し、該パラメーターは、a)奏効率(ORR);b)無増悪生存期間(PFS);c)全生存期間(OS);d)毒性の低減;e)腫瘍応答;f)クオリティ・オブ・ライフ;g)症状エンドポイント;h)無病生存期間;h)完全奏効(CR);またはi)無増悪期間の1つまたは複数から選択される。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、パラメーターは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%またはそれ以上改善される。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、処置された対象の集団において、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれ以上の奏効率(ORR)を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【
図1】
図1Aは、IRDye 700DXの内部蛍光のフローサイトメトリーによって検出した場合の、上皮成長因子受容体(EGFR)発現BxPC3腫瘍細胞の表面へのセツキシマブ-IRDye 700DX(CTX-IR700)の細胞結合を、細胞単独(未染色)または100倍過剰の未標識セツキシマブと競合したCTX-IR700を有する細胞と比較して示す。
図1Bは、種々の光流量(J/cm
2)に対してプロットされた、光処置の24時間後の細胞死パーセントを示す。
【
図2】
図2A~2Bは、CTX-IR700とのインキュベーションと690nmの赤色光による照明あり(+)または対照として照明なし(-)による光免疫療法(PIT)後のEGFR発現A431(
図2A)およびFaDu(
図2B)ヒトがん細胞における、フローサイトメトリーによって評価した、免疫原性細胞死マーカーのヒートショックタンパク質70(Hsp70)、Hsp90およびカルレチクリン(CRT)の細胞表面発現の平均蛍光強度(MFI)の増加倍率を示す。
図2Cは、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって評価した場合の、CTX-IR700とのインキュベーションと光処置あり(+)または光処置なし(-)の後のA431細胞およびFaDu細胞の培養上清に放出された損傷関連分子パターン(DAMP)マーカーの高移動度群ボックスタンパク質(HMGB1)の量を描写する。
【
図3】
図3Aは、フローサイトメトリーによって評価した、PIT処置腫瘍細胞に曝露されたヒトDCにおける樹状細胞(DC)活性化マーカーの分化抗原群86(CD86)および主要組織適合複合体II(MHCII)の発現を示す(CTX-IR700とのインキュベーションと光処置あり(+)または対照として光処置なし(-)の後;*:p値<0.05)。
図3Bは、PIT処置腫瘍細胞への曝露後にDCによって産生された炎症誘発性サイトカインの腫瘍壊死因子(TNF)、IFN-γ-誘導性タンパク質10(IP-10)、MIP-1α(マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ)、MIP-1β(マクロファージ炎症性タンパク質-1ベータ)、インターロイキン-1ベータ(IL-1β)およびインターロイキン-8(IL-8)のレベルをマルチプレックスイムノアッセイを使用して示す。
【
図4】
図4Aは、フローサイトメトリーによって評価した場合の、EphA2(CT26-EphA2)を発現するように操作されたCT26ネズミ結腸がん腫細胞上のエフリンA型受容体2(EphA2)の発現のレベルを示す。
図4Bは、IRDye 700DXの内部蛍光のフローサイトメトリーによって検出した場合の、マウス腫瘍モデル(CT26-EphA2細胞が免疫応答性BALB/cマウスに移植された)への抗EphA2-IR700コンジュゲートの投与のおよそ0~50時間後の経時的な腫瘍領域の蛍光強度(光子/秒)を示す。
図4Cは、抗EphA2-IR700コンジュゲートが投与されて690nmの赤色光でコンジュゲートの投与の24時間後照明された(+赤色光)または対照として光処置なし(赤色光なし)のCT26-EphA2マウスモデルにおける経時的な平均腫瘍体積変化(腫瘍移植のおよそ5~21日後)を示す。
【
図5】
図5Aは、光処置の1日後に腫瘍において評価した、活性化マーカーMHCII
highおよびCD80を発現する腫瘍内CD11c+樹状細胞の百分率ならびに細胞傷害活性のマーカーCD69およびCD107aを発現する腫瘍内CD3-DX5+(CD3-CD49b+)ナチュラルキラー細胞の百分率を示す(*:p<0.05)。
図5Bは、光処置の8日後のPD-L1を発現するCD11c+樹状細胞の百分率、CD3+CD8+ T細胞の百分率、ならびに腫瘍内CD3+CD8+ T細胞の中のPD-1およびCTLA-4発現細胞の百分率を示す(*:p<0.05)。
【
図6】
図6A~6Bは、頭頸部扁平上皮がん腫(HNSCC)を有する患者において光免疫療法(PIT)を誘導する抗EGFR抗体-IRDye 700DXコンジュゲートとそれに続く照明による処置の臨床研究を使用した処置のための臨床研究の処置スキーマを示す。
図6Aは、臨床研究の第I部のための処置スキーマおよび投薬コホート(用量漸増を含む)を示し、
図6Bは、繰り返し処置サイクルによる処置を含む臨床研究の第II部を示す。
【
図7】
図7A~7Bは、実施例5に記載のとおり臨床研究の第I部(
図7A)および第II部(
図7B)に参加する患者から収集された処置前および処置後の腫瘍生検での免疫組織化学によって測定した場合のPD-L1発現の複合陽性スコア(CPS)を示す。
【
図8】
図8は、最適目標腫瘍応答によってプロットされた処置前のサイトカインおよびケモカインレベルのヒートマップを示す。平均連鎖クラスタリング法およびユークリッド距離測定法を使用して、処置に対する完全奏効(CR)、処置に対する部分奏効(PR)、病勢安定(SD)または病勢進行(PD)の患者の最適目標腫瘍応答にわたってサイトカインおよびケモカインについてヒートマップを作成した。
【
図9A】
図9A~9Bは、処置前の血液試料から得られた個々の血漿サイトカインおよびケモカインIL-2、IL-7、IL-22、IL-27およびCXCL1(GroA)(
図9A)、IL-1β、IL-6、IL-23およびCXCL10(IP-10)(
図9B)のレスポンダー(処置後にCRまたはPRを示す患者)におけるレベルを非レスポンダー(処置後にSDまたはPDを示す患者)におけるレベルと比較して示す。* p≦0.05;** p≦0.01
【
図10】
図10は、処置に対する様々な応答(CR=完全奏効;PR=部分奏効;SD=病勢安定;PD=病勢進行)を示した臨床研究中の患者から得られた処置後PBMC試料における、自然免疫および適応免疫に関係する免疫表現型マーカー(細胞表面マーカーおよびサイトカイン)(DC=樹状細胞;NK=ナチュラルキラー細胞;リンパ球=リンパ球活性化(NKT、Pan-CD3);CD4=CD4サブセット;CD8=CD8サブセット)のフローサイトメトリー解析に基づいた発現をまとめる。各サブセットの活性化の程度のヒートマップおよび任意定量を示す。
【
図11】
図11は、第II相試験における抗EGFR-IR700 PIT処置で処置された患者(対象)についての腫瘍サイズの変化をまとめる。サイズが30%以上減少した腫瘍を有する患者を、処置に対する「レスポンダー」と見なした。また、転移、処置前化学療法または他の療法(セツキシマブ、ペムブロリズマブおよび/またはニボルマブによる免疫療法)の存在も患者ごとに示す。
【
図12】
図12A~12Dは、「レスポンダー」および「非レスポンダー」患者(対象)の全組織生検中の、PD-L1を発現する腫瘍細胞(
図12A)、PD-L1細胞密度(
図12B)、およびPD-L1 TPS(
図12C)、およびPD-L1 CPS(
図12D)の処置前レベルを比較する。
【
図13】
図13A~13Dは、「レスポンダー」および「非レスポンダー」患者(対象)生検の腫瘍領域中の、PD-L1を発現する腫瘍細胞(
図13A)、PD-L1細胞密度(
図13B)、およびPD-L1 TPS(
図13C)、およびPD-L1 CPS(
図13D)の処置前レベルを描写する。
【
図14】
図14は、抗EGFR-IR700 PIT処置前の「レスポンダー」および「非レスポンダー」患者(対象)の非腫瘍領域中のCD3+CD4+PD1+細胞の密度を図示する。
【
図15】
図15は、抗EGFR-IR700 PIT処置前の「レスポンダー」および「非レスポンダー」患者から収集された全組織生検中のPD1に対するPD-L1の比を描写する。
【
図16】
図16は、抗EGFR-IR700 PIT処置前の「レスポンダー」および「非レスポンダー」患者(対象)の腫瘍領域中の面積当たりのCD11c発現細胞の密度を図示する。
【
図17】
図17は、抗EGFR-IR700 PIT前後の「レスポンダー」患者(対象)の全組織中のFoxP3発現細胞の密度を図示する。
【
図18】
図18は、抗EGFR-IR700 PITの前(n=5)および後(n=3)のCR患者の腫瘍領域中のCD11c発現細胞の密度を示す。
【
図19】
図19は、抗EGFR-IR700 PITの前(n=5)および後(n=3)のCR患者の腫瘍領域中のCD68およびCD163発現細胞の密度を示す。
【
図20】
図20は、抗EGFR-IR700 PITの前(n=5)および後(n=3)のCR患者の腫瘍領域中のCD14発現細胞の密度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0099】
詳細な説明
本明細書において、単独療法および/または併用療法としての光免疫療法(PIT)に関するかつそれを伴う方法が提供される。いくつかの局面では、提供される方法は、PITからの特定の結果および/または特定の治療アウトカムに関連するバイオマーカーなどの1つまたは複数のバイオマーカーの評価を伴う。いくつかの局面では、バイオマーカーの評価を伴う提供される方法は、治療適用、療法または処置の有効性の改善、特定の療法または処置のための対象の特定および選択、処置後のアウトカム(例えば、応答)の可能性の評価、ならびに処置後のアウトカム(例えば、応答)のモニタリングにおいて使用することができる。いくつかの局面では、提供される態様は、治療レジメンの諸局面を個別化医療などのためにテーラーメイドまたはカスタマイズする際に用いることができる。
【0100】
本明細書において、腫瘍などの疾患または病態に関連する病変の処置のための、光免疫療法に関する1つまたは複数のバイオマーカーを伴う方法および使用が提供される。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、バイオマーカーは、免疫チェックポイントバイオマーカーを含む。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法は、腫瘍などの疾患または病態を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーなどの1つまたは複数のバイオマーカーのレベルを測定する工程を伴う。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法は、1つまたは複数のバイオマーカーのレベルを閾値レベルと比較する工程を伴う。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法はまた、1つまたは複数のバイオマーカーの測定レベルが閾値よりも高いまたは低い対象を特定または選択する工程を伴う。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法は、処置、例えばPIT処置、および/または追加の治療剤、例えば、免疫チェックポイント阻害剤などの免疫調節剤による処置のための対象を選択または特定する工程を伴う。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、該方法は、処置、例えばPIT処置、および/または追加の治療剤、例えば、免疫チェックポイント阻害剤などの免疫調節剤による処置を、対象、例えば、本明細書に提供される態様のいずれかに従って特定または選択される対象に投与する工程を伴う。
【0101】
腫瘍などの疾患もしくは病態および/または疾患もしくは病態に関連する病変の、処置のための方法および使用、処置のための対象を選択するための方法および使用、処置に対する応答の可能性を評価するための方法および使用、ならびに/または応答を評価するための方法および使用が提供される。該態様のいずれかのいくつかの態様では、診断的および/または治療的方法および使用、例えば、腫瘍などの疾患または障害の処置のための方法、または処置のための組成物の使用、または処置のための医薬の製造における組成物の使用;あるいは腫瘍などの疾患または障害の診断のための方法または診断のための組成物の使用;あるいはPIT処置などの処置の前後を含む疾患または障害の状態をモニタリングする方法が提供される。本明細書に記載の特徴のいずれかを、本明細書に提供される態様のいずれか、例えば、本明細書に提供される方法、使用または組成物またはキットのいずれかにおいて用いることができる。
【0102】
いくつかの局面では、PITは、腫瘍などの疾患または病態における細胞上の、細胞表面タンパク質などのタンパク質を標的指向するターゲティング分子にコンジュゲートされた、近赤外(NIR)フタロシアニン色素(例えば、IR700)などのフタロシアニン色素をベースとした、標的特異的光増感剤を利用する、分子標的指向型療法である。例えば、いくつかの場合に、PITにおいて使用されるフタロシアニン色素-コンジュゲートは、腫瘍微小環境などの疾患病変の環境中の細胞(これは腫瘍細胞および免疫細胞などの他の浸潤細胞を含むことができる)上の細胞表面タンパク質受容体またはその細胞上に発現される受容体を特異的に標的指向または結合する抗体または抗原結合断片へのコンジュゲーションを含むことができる。PITは、腫瘍などの疾患または病態を処置するための高選択的かつ局所的な治療的方法を提供する。この治療法は、腫瘍中の細胞などの疾患細胞に特異的に標的指向されるので、その効果は、健常な組織または細胞と比べて疾患組織に高選択的である。
【0103】
いくつかの局面では、処置のアウトカムをモニタリングする、特定のアウトカム(例えば、処置に対する応答)の可能性を評価するならびに単独療法および/または併用療法としてのPITによる処置のための対象、例えば、高い応答の可能性を有する対象を特定する、改善された方法が望ましい。例えば、このような方法は、処置の効果を高め、かつ、処置に応答しない可能性のある対象に効果のない処置を中止するのに有用であろう。いくつかの局面では、このような方法はまた、PITの治療アウトカムを増強または強化することができる追加の治療剤の投与などによって、処置の効果を高めることが望ましい。いくつかの態様では、提供される方法は、1つまたは複数のバイオマーカーを評価する工程を伴う。いくつかの局面では、1つまたは複数のバイオマーカーのレベル、量または濃度の測定などのこのような評価は、追加の用量および/または追加の治療剤の投薬、タイミングまたは適合性を判定するなど、特定の対象のための治療レジメンをガイドするために使用することができる。
【0104】
いくつかの態様では、提供される方法は、ある特定のバイオマーカー、例えば、免疫細胞活性化または免疫チェックポイント経路に関連するある特定のマーカーが、PIT媒介標的細胞殺傷に関連するという観察に基づく。いくつかの局面では、PIT媒介標的細胞殺傷は、例えば、免疫抑制腫瘍細胞の殺傷および自然または適応免疫系の細胞などの免疫細胞の活性化に起因した強い免疫原性応答を誘導することによって、免疫原性細胞死をもたらすことができる。いくつかの局面では、ある特定のバイオマーカー、例えば、免疫細胞活性化または免疫チェックポイント経路に関連するある特定のマーカーは、PITに対する応答などの治療アウトカムに関連し得る。いくつかの局面では、バイオマーカーの評価は、処置に応答する可能性が高い対象を特定および/または選択するためのガイドとして使用することができる。いくつかの局面では、バイオマーカーの評価は、例えば、追加の用量および/または追加の治療剤、例えば免疫調節剤または抗がん剤の投与によって、応答の効果を改善するためのガイドとして使用することができる。提供される態様は、治療法の効果を改善する利点を提供する。
【0105】
特許文書、科学論文およびデータベースを含めて、本出願において参照されるすべての刊行物は、それぞれの個々の刊行物が個々に参照により組み入れられていたかのように同程度に、すべての目的のためにその全体が参照により組み入れられる。本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる特許、特許出願、公開特許出願および他の刊行物において示される定義に反する場合、または、そうでなければ、該定義と一致しない場合、本明細書において示される定義が、参照により本明細書に組み入れられる定義に優先する。
【0106】
本明細書において使用されるセクション見出しは、構成を目的としたものにすぎず、記載される主題を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0107】
I. 光免疫療法のための方法および関連バイオマーカー
本明細書において、単独療法としてのおよび/または併用療法での光免疫療法(PIT)という状況下における1つまたは複数のバイオマーカーに関する方法が提供される。PITの1つまたは複数の局面を伴う処置の方法、ならびに処置をガイドするためのおよび/または対象を特定および選択するための1つまたは複数のバイオマーカーの使用が提供される。いくつかの局面では、PITからの特定の結果および/または特定の治療アウトカムに関連するある特定のバイオマーカー。いくつかの局面では、提供される方法は、単独療法としてのおよび/または併用療法でのPITによる処置の候補である対象由来の試料中のこのようなバイオマーカーの1つまたは複数のレベル、量または濃度を評価して、特定の処置のための対象を特定または選択するまたは療法に応答する可能性などの療法のアウトカムの可能性を評価する工程を伴う。いくつかの局面では、提供される方法は、PITおよび/またはPITを含む併用療法の1つまたは複数の工程を受けている対象由来の試料中のこのようなバイオマーカーの1つまたは複数のレベル、量または濃度を、療法に対する応答をモニタリングするために評価して、追加の治療剤(併用療法での)または追加の用量のPITの投与のための対象を特定するおよび/または処置の有効性または効果を改善する工程を伴う。いくつかの局面では、提供される方法は、療法に対する応答をモニタリングするためなど処置をガイドする際に、単独療法としてのおよび/または併用療法でのPITの1つまたは複数の工程を実施する前後の対象由来の試料中のこのようなバイオマーカーの1つまたは複数のレベル、量または濃度を評価し、かつ、1つまたは複数のバイオマーカーのレベル、量または濃度の変化を判定して、追加の治療剤(併用療法での)または追加の用量のPITの投与のための対象を特定するおよび/または処置の有効性または効果を改善する工程を伴う。
【0108】
いくつかの局面では、本明細書に記載のようなPITおよび1つまたは複数のバイオマーカーの評価を伴う、腫瘍などの対象における疾患または病態の病変を処置する方法が提供される。いくつかの態様では、該方法は、PITの1つまたは複数の工程を伴う。いくつかの局面では、PITは、腫瘍微小環境などの疾患病変の環境中の細胞(これは腫瘍細胞および免疫細胞などの他の浸潤細胞を含むことができる)上の、細胞表面タンパク質などのタンパク質に特異的に結合する、認識するまたは標的指向するターゲティング分子(抗体またはその抗原結合断片など)にコンジュゲートされた、近赤外(NIR)フタロシアニン色素(例えば、IR700)などのフタロシアニン色素をベースとした標的特異的光増感剤を利用する、分子標的指向型療法である。いくつかの局面では、PITはまた、病変の周囲、近位または近接した領域に照射して、コンジュゲートを活性化させる工程を伴う。いくつかの態様では、NIR光などの吸収光を照射することによるコンジュゲートの活性化は、光増感剤を励起して細胞殺傷をもたらし、それによって、病変(例えば、腫瘍)を低減または排除して、疾患または病態を処置する。いくつかの局面では、PITは、例えば、コンジュゲートの投与および照射を伴う方法において、単独療法として使用することができる。他の局面では、PITは、例えば、追加の治療剤、例えば免疫調節剤、抗がん剤のさらなる投与、またはPITの追加の用量もしくは投与を伴う方法において、併用療法の一部として使用することができる。いくつかの態様では、追加の治療剤は、フタロシアニン色素とターゲティング分子とを含む第2のコンジュゲートである。いくつかの局面では、第2のコンジュゲートは、前記コンジュゲートと同じまたは異なるフタロシアニン色素および/またはターゲティング分子を含有する。
【0109】
いくつかの態様では、本明細書に記載のバイオマーカーの1つまたは複数を、PITを伴う療法(単独療法および/または併用療法としての両方)の1つまたは複数の工程の前、その間および/またはその後に評価して、療法および処置レジメンをモニタリング、評価および/またはガイドすることができる。いくつかの局面では、本明細書に記載のバイオマーカーの1つまたは複数を、療法のモニタリングにおいて、かつ/または、診断、予後判定の目的で、かつ/または、処置の有効性または効果を高めるまたは改善するために用いることができる。
【0110】
いくつかの局面では、治療レジメンの諸局面を、例えば個別化医療のためにテーラーメイドまたはカスタマイズするなどのために、測定された1つまたは複数のバイオマーカーを用いて、特定の処置、または特定の処置の変更処置のための、または追加の治療剤による処置(例えば、併用療法)のための対象を選択することができる。
【0111】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、対象、例えば、PITの候補であるおよび/またはPITを受けている対象由来の試料中に存在する少なくとも1つのバイオマーカーのレベル、濃度および/または量は、本明細書に記載の、例えばセクションIIに記載のバイオマーカーを評価するための例示的な方法のいずれかを使用して評価することができる。提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、単独療法および/または併用療法としてのPITの治療レジメンは、バイオマーカーの1つまたは複数の評価に基づいて選択することができる。いくつかの態様では、単独療法としてのおよび/または併用療法の一部としてのPITを実行するための例示的な工程ならびに試薬は、本明細書に記載のもの、例えば、セクションIIIに記載のものを含む。いくつかの局面では、本明細書に提供される態様のいずれかにおいてPITの一部として使用される例示的なフタロシアニン-ターゲティング分子コンジュゲートは、本明細書に記載のもの、例えば、セクションIVに記載のものを含む。
【0112】
いくつかの局面では、本明細書において、a)腫瘍を有する対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)対象由来の試料中の免疫細胞表面マーカー(例えば、免疫細胞活性化の指標となる)、チェックポイント経路マーカー、サイトカインおよび/またはケモカインなどの少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;c)腫瘍の近位領域に、例えば、NIR光などの吸収光を、例えば、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;およびd)照射後に少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくともバイオマーカーのレベルが照射前に測定されたレベルと比べて対象において増加しているかどうかを判定する工程を伴う、対象における腫瘍を処置する方法が提供される。いくつかの態様では、レベルが増加していたら、対象に、追加の治療剤が投与され、例えば、免疫調節剤または抗がん剤を投与し、それによって腫瘍を処置する。いくつかの局面では、チェックポイント経路マーカーなどの1つまたは複数のバイオマーカーのレベルの増加は、PITによって媒介される細胞死の結果である。いくつかの局面では、追加の治療剤を投与することは、処置の有効性を高めることができる。
【0113】
いくつかの局面では、提供される方法は、PITの1つまたは複数の工程、例えば、コンジュゲートを投与する工程および/または光を照射する工程を実施した後に、バイオマーカーを測定または評価する工程を伴う。いくつかの局面では、対象における腫瘍を処置する提供される方法は、a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)腫瘍の近位領域に、NIR光などの吸収光を、例えば、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程であって、コンジュゲートとそれに続く光照射による腫瘍の処置が免疫細胞の活性化をプライミングする工程;およびc)対象由来の試料中のチェックポイント経路マーカーなどの少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、該方法は、その対象に、治療有効量の追加の治療剤、例えば、免疫調節剤または抗がん剤を投与する工程を含み;それによって腫瘍を処置する。
【0114】
いくつかの局面では、対象における腫瘍を処置する提供される方法は、a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程であって、コンジュゲートとそれに続く光照射による腫瘍の処置が免疫細胞の活性化をプライミングする工程;およびc)対象由来の試料中の免疫細胞表面マーカー(例えば、免疫細胞活性化の指標となる)、サイトカインおよび/またはケモカインなどの少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルを下回るならば、1つまたは複数の追加の用量のコンジュゲートを対象に投与して、腫瘍に照射し;それによって腫瘍を処置する。いくつかの局面では、追加の治療剤を投与することは、処置の有効性を高めることができる。
【0115】
いくつかの局面では、対象における腫瘍を処置する提供される方法において、対象は、PITの1つまたは複数の工程を実施する前および/または後に測定された少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルに基づいて処置のために選択される。いくつかの態様では、対象における腫瘍を処置する提供される方法は、a)集団の対象の各々由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;b)少なくとも1つのバイオマーカーの発現が閾値であるか閾値を上回るならば、その対象を処置のために選択する工程;c)選択された対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;およびd)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を伴い、それによって腫瘍を処置する。
【0116】
いくつかの局面では、該方法はまた、e)照射後に、対象由来の試料中のチェックポイント経路マーカーなどの少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが照射前に測定されたレベルと比較して対象において増加しているかどうかを判定する工程;およびf)レベルが増加していたら、追加の治療剤、例えば、チェックポイント阻害剤などの免疫調節剤、または抗がん剤をその対象に投与する工程を含む。
【0117】
いくつかの局面では、該方法はまた、e)照射後に、対象由来の試料中の免疫細胞活性化の指標となる免疫細胞表面マーカー、サイトカインおよび/またはケモカインなどの少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが照射前に測定されたレベルと比較して対象において増加しているかどうかを判定する工程;およびf)レベルが減少していたら、追加の治療剤、例えば、免疫調節剤または抗がん剤をその対象に投与する工程を含む。いくつかの局面では、追加の治療剤を投与することは、処置の有効性を高めることができる。
【0118】
いくつかの局面では、本明細書において、腫瘍処置などの疾患または病態の処置の有効性を改善する方法が提供される。いくつかの態様では、該方法は、a)腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫細胞活性化の指標となる免疫細胞表面マーカー、チェックポイント経路マーカー、サイトカインおよび/またはケモカインなどの少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を上回るかを判定する工程;b)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;およびc)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を伴う。いくつかの態様では、チェックポイント経路マーカーなどの少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を上回るならば、該方法は、追加の治療剤、例えば、チェックポイント阻害剤などの免疫調節剤、または抗がん剤をその対象に投与する工程を含み;それによって腫瘍処置の有効性を改善する。
【0119】
いくつかの局面では、腫瘍処置の有効性を改善する提供される方法は、a)腫瘍を有する対象由来の試料中の少なくとも1つのチェックポイント経路マーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのチェックポイント経路マーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を上回るかを判定する工程;b)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;およびc)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのチェックポイント経路マーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を上回るならば、チェックポイント阻害剤を対象にさらに投与し;それによって腫瘍処置の有効性を改善する。いくつかの局面では、PITの前に得られた試料中のチェックポイント経路マーカーなどのある特定のバイオマーカーの高いレベルは、PITに対して低下した応答の可能性を有するなど、ある特定の処置のアウトカムに関連し得る。
【0120】
いくつかの局面では、腫瘍処置の有効性を改善する提供される方法は、a)腫瘍を有する対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、免疫細胞表面マーカー、サイトカインおよび/またはケモカインなどの少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を下回るかを判定する工程;b)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;およびc)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を伴う。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を下回るならば、該方法は、追加の治療剤、例えば、免疫調節剤または抗がん剤をその対象に投与する工程を含み;それによって腫瘍処置の有効性を改善する。いくつかの局面では、PITの前に得られた試料中のサイトカインなどのある特定のバイオマーカーの高いレベルは、単独療法としてのおよび/または併用療法のためのPITに対して奏効を有するなど、ある特定の処置のアウトカムに関連し得る。
【0121】
いくつかの局面では、1つまたは複数のバイオマーカーの測定および評価を伴う方法は、処置、例えば、単独療法としてのおよび/または併用療法でのPITに対する、対象の処置のアウトカム、例えば、応答をモニタリングするために用いることができる。いくつかの局面では、1つまたは複数のバイオマーカーは、PITおよび/または併用療法の1つまたは複数の工程を実施した後に得られた試料中で評価することができる。いくつかの局面では、バイオマーカーのレベルは、処置の進行の指標となり得るか、処置の進行に関連し、かつ/または、特定のアウトカム、例えば、応答を達成する可能性に関連する。例えば、いくつかの局面では、ある特定のバイオマーカー、例えば、免疫細胞活性化、サイトカインまたはケモカイン産生の指標となるマーカー、および免疫原性細胞死マーカーは、PITによる腫瘍細胞死の指標となる。いくつかの局面では、マーカーはまた、免疫抑制腫瘍微小環境(TME)の生成の指標にもなり得る。いくつかの局面では、該方法はまた、処置のアウトカムをモニタリングし、特定の対象のための追加の治療剤の用量、タイミング、処置レジメンおよび/または投与などの治療レジメンを特定、テーラーメイドまたは変更するために使用することもできる。
【0122】
いくつかの局面では、例えば、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートの投与および光処置を伴う、PITによる処置に対する応答をモニタリングする提供される方法は、a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;およびc)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程を含み;少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、その対象は高い応答の可能性を有すると特定される。
【0123】
いくつかの局面では、PITによる処置に対する応答をモニタリングする提供される方法は、a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;およびc)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定し;少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを下回るならば、その対象は高い応答の可能性を有すると特定される工程を伴う。
【0124】
いくつかの局面では、1つまたは複数のバイオマーカーの測定および評価を伴う方法は、処置、例えば、単独療法としてのおよび/または併用療法でのPITに対する、対象の応答の可能性を評価するために用いることができる。いくつかの局面では、該方法はまた、療法に応答する可能性が高い療法のための対象を特定および/または選択するために使用することもできる。いくつかの態様では、このような評価または判断は、特定の対象のための追加の治療剤の用量、タイミング、処置レジメンおよび/または投与などの治療レジメンを特定、テーラーメイドまたは変更する際に使用することができる。
【0125】
いくつかの局面では、例えば、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートの投与とそれに付随するまたはそれに続く光処置を伴う、PITによる処置に対する応答の可能性を評価する方法が提供される。いくつかの局面では、単独療法および/または併用療法としてのPITによる処置に対する応答の可能性を評価する方法が提供される。いくつかの態様では、該方法は、a)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;およびb)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、その対象を、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程を伴う。いくつかの局面では、PITの前に得られた試料中のサイトカインなどのある特定のバイオマーカーの高いレベルは、単独療法としてのおよび/または併用療法のためのPITに対して奏効を有するなど、ある特定の処置のアウトカムに関連し得る。
【0126】
いくつかの局面では、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置に対する応答の可能性を評価する提供される方法は、a)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;およびb)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを下回るならば、その対象を、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置に対して低い応答の可能性を有すると特定する工程を伴う。いくつかの局面では、PITの前に得られた試料中のチェックポイント経路マーカーなどのある特定のバイオマーカーの高いレベルは、PITに対して低下した応答の可能性を有するなど、ある特定の処置のアウトカムに関連し得る。
【0127】
任意のこのような態様のいくつかの態様では、該方法はまた、選択された対象に、治療有効量のコンジュゲートを投与する工程を伴うことができる。任意のこのような態様のいくつかの態様では、該方法はまた、腫瘍の近位領域に、NIR光などの吸収光を、例えば、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を伴うことができる。
【0128】
本明細書に提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、対象が低い応答の可能性を有すると特定されたならば、該方法はまた、その対象に、治療有効量の追加の治療剤、例えば、免疫調節剤もしくは抗がん剤、および/またはPITの追加の投与を投与する工程、例えば、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートとそれに付随するまたはそれに続く光処置を施す工程を含む。
【0129】
いくつかの局面では、本明細書において、腫瘍を有する対象の集団内で高い応答の可能性を有する対象を処置する方法が提供される。いくつかの局面では、該方法は、本明細書に記載のいずれかなどの1つまたは複数のバイオマーカーのレベル、量または濃度の評価または測定に基づいて、高い応答の可能性を有する対象を特定する工程を伴う。いくつかの局面では、該方法は、a)集団の対象の各々由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;b)少なくとも1つのバイオマーカーの発現が閾値であるか閾値を上回るならば、その対象を、高い応答の可能性を有すると特定する工程;c)高い応答の可能性を有すると特定された対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;およびd)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-1または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を伴い、それによって高い応答の可能性を有すると特定された対象における腫瘍を処置する。
【0130】
いくつかの局面では、該方法は、本明細書に記載のいずれかなどの1つまたは複数のバイオマーカーのレベル、量または濃度の評価または測定に基づいて、高い応答の可能性を有する対象を特定および処置する工程を伴う。いくつかの局面では、該方法は、a)集団の対象の各々由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカー、例えば、免疫細胞表面マーカーおよび/またはチェックポイント経路マーカーの発現のレベルを測定する工程;b)少なくとも1つのバイオマーカーの発現が閾値であるか閾値を上回るならば、その対象を、高い応答の可能性を有すると特定する工程;c)高い応答の可能性を有すると特定された対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;およびd)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を伴い、それによって高い応答の可能性を有すると特定された対象における腫瘍を処置する。いくつかの態様では、該方法はまた、e)照射後に対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが照射前に測定されたレベルと比較して対象において増加しているかどうかを判定する工程;およびf)レベルが増加していたら、追加の治療剤、例えば、免疫調節剤、例えば、チェックポイント阻害剤、または抗がん剤をその対象に投与する工程を含む。
【0131】
いくつかの局面では、該方法は、a)集団の対象の各々由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;b)少なくとも1つのバイオマーカーの発現が閾値であるか閾値を下回るならば、その対象を、高い応答の可能性を有すると特定する工程;c)高い応答の可能性を有すると特定された対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;およびd)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を伴い、それによって高い応答の可能性を有すると特定された対象における腫瘍を処置する。いくつかの態様では、該方法はまた、e)照射後に対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが照射前に測定されたレベルと比較して対象において増加しているかどうかを判定する工程;およびf)レベルが減少していたら、追加の治療剤、例えば、免疫調節剤または抗がん剤をその対象に投与する工程を含む。
【0132】
また、1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づいて、例えば、単独療法および/または併用療法としてのPITによる処置のための対象を選択する方法が提供される。いくつかの局面では、単独療法としてのおよび/または併用療法でのPITによる処置に応答する可能性が高い対象は、PITおよび/またはPITを伴う併用療法のために選択される。
【0133】
いくつかの局面では、PITに加えて追加の治療剤、例えば、免疫チェックポイント阻害剤などの免疫調節剤または抗がん剤による処置(例えば、併用療法としての)のための対象を選択する方法が提供される。いくつかの態様では、該方法は、a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-1または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;およびc)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程を伴う。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、その対象は、追加の治療剤、例えば、免疫調節剤または抗がん剤による処置のために選択される。任意のこのような態様のいくつかの態様では、該方法はまた、選択された対象に、治療有効量の追加の治療剤、例えば、免疫調節剤または抗がん剤を投与する工程を伴う。
【0134】
いくつかの態様では、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置のための対象を選択する提供される方法は、a)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;b)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、その対象を、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置のために選択する工程を伴う。
【0135】
いくつかの態様では、a)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;およびb)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを下回るならば、その対象を、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートおよび追加の治療剤、例えば、免疫調節剤または抗がん剤による処置のために選択する工程を含む、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置のための対象を選択する提供される方法。
【0136】
また、腫瘍を有する対象における少なくとも1つのバイオマーカーの発現を増加させる方法が提供される。いくつかの局面では、PITによる腫瘍細胞殺傷のおかげで、ある特定のバイオマーカーのレベル、濃度および発現が、対象由来の試料中で変更、例えば、増加し得る。いくつかの局面では、PITは、壊死細胞によって示される特定の細胞死のタイプである、標的細胞の免疫原性細胞死をもたらすことができ、それは、免疫刺激マーカーの増加した提示および放出によって特徴付けられる。本明細書に提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、コンジュゲートの投与とそれに続く照射は、免疫細胞の活性化をプライミングする。いくつかの局面では、提供される方法は、1つまたは複数のバイオマーカーの発現増加をもたらすことができる。いくつかの局面では、該方法は、a)腫瘍を有する対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;およびb)コンジュゲートを投与した後、腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を伴い;それによって、少なくとも1つのバイオマーカーの発現を、照射なしの少なくとも1つのバイオマーカーの発現と比較して増加させる。
【0137】
本明細書に提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、1つまたは複数のバイオマーカーに基づいた評価によって報告される該方法、例えば、単独療法としてのおよび/または併用療法でのPITを使用した処置の方法は、コンジュゲート単独、または追加の治療剤、例えば、チェックポイント阻害剤、サイトカインおよび/もしくはケモカインなどの免疫調節剤または抗がん剤単独による処置と比較して、相乗的および/または相加的な処置効果を提供する。いくつかの局面では、該方法は、コンジュゲート単独または免疫調節剤単独による処置と比較して、相乗的および/または相加的な処置効果を提供する。いくつかの態様では、該方法は、コンジュゲート単独またはチェックポイント阻害剤単独による処置と比較して、相乗的および/または相加的な処置効果を提供する。いくつかの態様では、該方法は、コンジュゲート単独または免疫調節剤単独による処置と比較して、相乗的な処置効果を提供する。いくつかの態様では、該方法は、コンジュゲート単独またはチェックポイント阻害剤単独による処置と比較して、相乗的な処置効果を提供する。
【0138】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、1つまたは複数のバイオマーカーの発現の測定されたレベル、濃度または量を、その特定のバイオマーカーの閾値レベルまたは値と比較することができる。いくつかの態様では、特定のバイオマーカーの閾値レベルまたは値は、本明細書に記載のとおり、例えば、奏効(OR)、部分奏効(PR)または完全奏効(CR)などの特定の処置のアウトカムを最終的に示す対象の群、例えば、レスポンダーの群中の特定のバイオマーカーの発現のレベル、濃度または量を評価することによって判定することができる。いくつかの局面では、特定の1つまたは複数のバイオマーカーの閾値は、本明細書に記載のとおり、例えば、病勢安定(SD)および/または病勢進行(PD)などの他の特定の処置のアウトカムを最終的に示す対象、例えば、非レスポンダーの群中の特定のバイオマーカーの発現のレベル、濃度または量を評価することによって判定することができる。
【0139】
いくつかの局面では、処置の方法ならびに単独療法および/または併用療法としての光免疫療法(PIT)に対する応答の可能性を評価する方法を含む、提供される態様は、少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベル、量または濃度について試料を評価し、そのレベル、量または濃度を閾値レベルと比較する工程を伴う。いくつかの局面では、処置の方法ならびにPIT単独療法および/または併用療法に対する応答の可能性を評価する方法を含む、提供される態様は、少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベル、量または濃度について試料を評価し、そのレベル、量または濃度を異なる試料由来のまたは異なる時点でのバイオマーカーのレベル、量または濃度と比較する工程を伴う。いくつかの態様では、閾値は、対象のまたは対象の集団の第1の条件下での少なくとも1つのバイオマーカーのレベル、量または濃度によって決定される。第1の条件は、同じ細胞もしくは組織または異なる細胞もしくは組織セット由来のベースライン(未処置レベル)レベル、量または濃度であり得る。第1の条件は、第1の時点で測定されたレベル、量または濃度であり得る。
【0140】
いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが閾値であるか閾値を上回るならば、対象は、PITで処置されたときに応答を達成する可能性が高い;または、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが閾値を下回るならば、対象は、PITで処置されたときに応答を達成する可能性が低い。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが閾値を下回るならば、対象は、PITで処置されたときに応答を達成する可能性が高い;または、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが閾値であるか閾値を上回るならば、対象は、PITで処置されたときに応答を達成する可能性が低い。いくつかの態様では、閾値は、対象の群から得られた試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの中央または平均レベルを25%以内、20%以内、15%以内、10%以内または5%以内上回る、および/または、その標準偏差内であり、その際、その群の対象の各々は、継続して病勢安定(SD)および/または病勢進行(PD)を示し、かつ/または療法に応答しなかった。いくつかの態様では、閾値レベルは、対象の群から得られた試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの中央または平均レベルを25%以内、20%以内、15%以内、10%以内または5%以内下回る、および/または、その1または2標準偏差内であり、その際、その群の対象の各々は、PITの投与後に継続して応答を達成した。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーの閾値は、PITの投与後に応答を達成した対象の群から観察された少なくとも1つのバイオマーカーの中央レベルに基づいて決定される。いくつかの態様では、対象の群によって達成された応答は、完全奏効(CR)および/または部分奏効(PR)である。いくつかの態様では、応答は、3ヶ月の時点で持続的である。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーの閾値は、完全奏効(CR)を達成したPITの投与の開始後に対象の群から得られた試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの中央または平均レベルを25%以内、20%以内、15%以内、10%以内または5%以内下回る、および/または、その1または2標準偏差内である。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーの閾値は、部分奏効(PR)を達成した対象の群から得られた試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの中央または平均レベルを25%以内、20%以内、15%以内、10%以内または5%以内下回る、および/または、その標準偏差内である。
【0141】
いくつかの態様では、対象によって達成された応答は、特定の適応症、例えば、特定のタイプのがんに関して公知の任意の適切な基準に基づくことができる。いくつかの態様では、応答は、完全奏効(CR)および/または部分奏効(PR)である。いくつかの態様では、応答は、持続的である。いくつかの態様では、応答は、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月または6ヶ月よりも長く持続的である。いくつかの局面では、応答は、PITおよび/または併用療法で処置されたときに持続的な応答、例えば、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12もしくは18ヶ月またはそれより長く、例えば、2年、3年、4年またはそれより長く持続的である応答を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、部分奏効(PR)または部分寛解、完全奏効(CR)または完全寛解、無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、全生存期間(OS)、無事象生存期間(EFS)、症状エンドポイント(患者がアウトカムを報告)、無病生存期間(DFS)、無増悪期間、増加した奏功期間(DOR)または増加した生存率などの特定の応答、有効性または生存アウトカムに関連する。いくつかの局面では、治療用組成物または単位用量の投与時に、群の中の複数の対象は、増加した無増悪生存期間(PFS)を示す可能性が高いかまたはそれに関連する。いくつかの局面では、少なくとも1つのバイオマーカーを用いた提供される方法は、対象の特定の応答、有効性または生存アウトカムを達成する可能性を判定するために使用することができる。いくつかの態様では、特定のバイオマーカーの閾値は、特定の応答、有効性または生存アウトカムを最終的に達成した対象の群から得られた測定または値に基づいて得ることができる。
【0142】
いくつかの態様では、該方法は、1つまたは複数の時点、例えば、単独療法および/または併用療法としてのPITの開始前と単独療法および/または併用療法としてのPITの開始後との間の、バイオマーカーのレベル、発現またはレベルの変化などの少なくとも1つのバイオマーカーに関連するパラメーターを評価する工程を伴う。いくつかの態様では、変化、例えば、増加または減少の程度または大きさを評価して、応答の可能性が判定され、かつ/または処置のための対象が選択される。
【0143】
いくつかの態様では、単独療法および/または併用療法としてのPITに対する応答の可能性を評価する方法は、対象由来の1つまたは複数の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベル、量または濃度の変化を評価する工程を伴う。いくつかの態様では、変化は、療法の投与前に得られた第1の試料と単独療法および/または併用療法としてのPITの投与の開始後に得られた第2の試料との間で決定される。いくつかの態様では、処置前および処置後の試料は、同じ対象から得られる。いくつかの態様では、処置前および処置後の試料は、比較される。いくつかの態様では、対象由来の対試料を、応答の可能性を評価するためのベースラインとして処置前採取することができ、PIT後または併用療法後に、応答を評価またはモニタリングするために処置後採取することができる。
【0144】
いくつかの態様では、対象は、疾患または病態を有し、疾患または病態を処置するためにターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートの投与を含むPITおよび/または併用療法の投与を過去に受けたことがある。いくつかの態様では、該方法は、第2の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベル、量または濃度の増加を第1の試料または閾値と比較する比較工程を伴い、それによって、単独療法および/または併用療法としてのPITで処置されたときに対象が応答を達成する可能性を判定する。いくつかの態様では、第1の試料と比較した第2の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベル、量または濃度の増加が閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、対象は、単独療法としてのおよび/または併用療法としてのPITで処置されたときに応答を達成する可能性が高い;または、第1の試料と比較した第2の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベル、量または濃度の増加が閾値を下回るならば、対象は、単独療法および/または併用療法としてのPITで処置されたときに応答を達成する可能性が低い。いくつかの態様では、PITの最初の投与で対象が所望のレベルで応答を達成する可能性が低いと判定されたならば、その対象を、追加の治療剤、例えば、免疫調節剤、例えば、チェックポイント阻害剤、またはPITの1つもしくは複数の追加の用量の投与のために選択することができる。
【0145】
いくつかの態様では、腫瘍を有する対象由来の1つまたは複数の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベル、量または濃度を評価する工程を伴う、薬剤による処置のための対象を選択する方法であって、前記対象が、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートの投与を含む単独療法および/または併用療法としてのPITの投与の候補であり、対象からPITおよび/または併用療法の投与前に第1の試料が得られ、PITおよび/または併用療法の投与の開始後に第2の試料が得られ、第1の試料と比較した第2の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベル、量または濃度の増加が閾値レベルを下回るならば、対象が後続の治療剤の投与のために選択される、方法が提供される。
【0146】
いくつかの態様では、単独療法および/または併用療法としてのPITに対する応答の可能性を評価する方法は、対象由来の1つまたは複数の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベル、量または濃度の変化を評価する工程を伴う。いくつかの態様では、変化は、単独療法としてのPITの投与前に得られた第1の試料とPITの投与の開始後に得られた第2の試料との間で決定される。
【0147】
いくつかの態様では、評価は、単独療法および/または併用療法としてのPITの投与の開始後に得られる対象由来の第2の試料を使用して実施することができる。いくつかの態様では、対象由来の第2の試料は、PITおよび/または併用療法の投与の開始後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30日以内、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30日以内に得られる。いくつかの態様では、対象由来の第2の試料は、療法または療法の1つまたは複数の工程、例えば、PITおよび/または併用療法の投与の開始後、10、20、30、40、50、60、70、80、90日以上または約10、20、30、40、50、60、70、80、90日以上、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月以上の時点に得られる。いくつかの態様では、評価は、例えば、処置された対象のモニタリングおよび/または定期評価のために、PITおよび/または併用療法の投与の開始後1回よりも多く、例えば、1回よりも多い異なる時点で実施することができる。
【0148】
任意のこのような態様のいくつかの態様では、例示的な閾値レベルは、奏効を最終的に示さなかった対象群で、例えば、対象の各々が継続して病勢安定(SD)および/または病勢進行(PD)を示した対象群から観察された、第1の試料と比較した第2の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベル、量または濃度の増加に基づいて決定することができる。いくつかの態様では、閾値レベルは、PITおよび/または併用療法の投与の開始後に対象の群から得られた第1の試料と比較した第2の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベル、量または濃度の中央または平均増加を25%以内、20%以内、15%以内、10%以内または5%以内上回る、および/または、その標準偏差内であり、その際、その群の対象の各々は、継続して病勢安定(SD)および/または病勢進行(PD)を示した。
【0149】
任意のこのような態様のいくつかの態様では、例示的な閾値レベルは、奏効を最終的に達成した対象群で、例えば、対象の各々が継続して完全奏効(CR)および/または部分奏効(PR)を達成した対象群から観察された、第1の試料と比較した第2の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベル、量または濃度の増加に基づいて決定することができる。いくつかの態様では、閾値レベルは、PITおよび/または併用療法の投与の開始後に対象の群から得られた第1の試料と比較した第2の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーのレベル、量または濃度の中央または平均増加を25%以内、20%以内、15%以内、10%以内または5%以内上回る、および/または、その標準偏差内であり、その際、その群の対象の各々は、継続して完全奏効(CR)および/または部分奏効(PR)を達成した。
【0150】
II. バイオマーカーの評価
本明細書において、対象における腫瘍を処置する方法、処置のための対象を選択する方法、ならびに、指定されたバイオマーカーのレベル、量または濃度の測定に基づいて単独療法および/または併用療法としての光免疫療法(PIT)などの処置または療法に対する応答の可能性を評価、予測、推測、モニタリングおよび/または推定する方法が提供される。応答の可能性を評価する方法および/または処置、例えば、PITに対する応答を予測する方法が提供される。また、指定されたバイオマーカーのレベル、量または濃度の測定に基づいて、PITおよび/または併用療法のための対象を特定および/または選択するための方法が提供される。また、応答について、例えば、療法に対して応答を生み出すまたは達成する可能性について、対象をモニタリングするための方法も提供される。
【0151】
ある特定の態様では、バイオマーカー、例えば、免疫細胞バイオマーカーまたは腫瘍細胞バイオマーカーは、腫瘍またはがんなどの疾患または病態を有するおよび/または疾患または病態を有する疑いがある対象から得られた試料中で評価される。いくつかの態様では、対象は、腫瘍またはがんなどの疾患または病態のための療法を受けたことがある、療法を受けるだろう、または療法を受けるための候補である。いくつかの態様では、療法は、PITである。いくつかの態様では、療法は、併用療法、例えば、PITと追加の治療剤、例えば、免疫チェックポイント阻害剤などの免疫調節剤または抗がん剤との併用療法である。ある特定の態様では、PITおよび/または併用療法は、腫瘍またはがんなどの疾患または病態を処置するおよび/または処置可能である。
【0152】
いくつかの態様では、該方法は、対象由来の試料中のバイオマーカーに関連する特定のパラメーターを評価する工程を伴う。特定の態様では、試料は、療法が投与されたことがある、療法が投与されるだろう、または療法が投与される候補である対象から、採取、収集および/または得られる。いくつかの態様では、試料中のバイオマーカーのレベルは、閾値レベルと比較され、次いで、バイオマーカーに応じてバイオマーカーが閾値よりも高いまたは低いならば、PIT療法が腫瘍などの疾患または病態を処置するために投与されるか、またはPIT処置のために選択される。特定の態様では、免疫チェックポイントバイオマーカーなどのバイオマーカーの測定レベルがバイオマーカーの閾値レベルよりも低いならば、その対象に、PIT療法が腫瘍などの疾患または病態を処置するために投与される。このような態様では、PIT療法は、外科手術、化学療法または免疫療法などの療法を受けたことがある、療法を受けるだろう、または療法の候補である対象に投与することができる。いくつかの態様では、対象は、PIT療法の投与前および/または後に、外科手術、化学療法または免疫療法などの別の療法で処置される。
【0153】
いくつかの態様では、PIT処置のための対象を選択する方法は、バイオマーカーの測定レベルをバイオマーカーの閾値レベルと比較する工程を含む1つまたは複数の工程を含む。いくつかの態様では、対象のPITに応答する可能性を評価するための方法は、評価されたバイオマーカーの存在またはレベルをバイオマーカーの閾値と比較する工程を含む1つまたは複数の工程を含む。いくつかの態様では、対象の療法に応答する可能性を評価するための方法は、1つまたは複数のバイオマーカーの変化、例えば、増加または減少、またはこのようなバイオマーカーを発現する細胞の頻度または数、または1つまたは複数のバイオマーカーに関連する1つまたは複数のパラメーターの増加または減少を評価する工程を含む。
【0154】
いくつかの態様では、バイオマーカーは、対象から得られた試料中で評価される。提供される方法の特定の態様では、試料は、対象から採取、収集および/または得られる生体試料、例えば、腫瘍試料または血液もしくは血清試料である。特定の態様では、試料は、療法が投与されたことがある、療法が投与されるだろう、または療法が投与される候補である対象から、採取、収集および/または得られる。特定の態様では、試料は、療法、例えば、PITによる処置またはその投与の開始前に、採取、収集および/または得られる。いくつかの態様では、試料は、療法、例えば、PITによる処置を施すことの後に、採取、収集および/または得られる。いくつかの態様では、試料は、腫瘍生検試料または血清もしくは全血試料である。
【0155】
いくつかの態様では、1つまたは複数、例えば、少なくとも1つのバイオマーカーを一緒に評価して用いることができる。いくつかの態様では、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上のバイオマーカー、例えば、本明細書に記載のバイオマーカーのいずれかの2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上を一緒にまたは独立したアッセイを使用して評価することができる。いくつかの態様では、少なくともバイオマーカーは、2つのバイオマーカーである。いくつかの態様では、少なくともバイオマーカーは、3つのバイオマーカーである。いくつかの態様では、少なくともバイオマーカーは、4つのバイオマーカーである。いくつかの態様では、少なくともバイオマーカーは、5つのバイオマーカーである。本明細書に提供される方法および使用のいずれかのいくつかの態様では、例えば、本明細書に記載のバイオマーカーのいずれかからの、少なくとも1つ、例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたはそれ以上のバイオマーカーが、例えば、応答の可能性を評価するため、処置のための対象を特定および/または選択するため、および/または、療法、例えば、PITおよび/または併用療法の処置レジメンおよび/または投薬を選択するために、該方法において評価および用いられる。いくつかの態様では、2つ以上のバイオマーカーが試料中で評価される。例えば、2つ以上のバイオマーカーは、試料中で評価されるバイオマーカーパネルの一部である。いくつかのさらなる態様では、1つよりも多いバイオマーカーを各々が含有する1つまたは複数のバイオマーカーパネルが試料中で評価される。
【0156】
特定の態様では、バイオマーカー、例えば、免疫細胞バイオマーカーが、療法が投与されたことがある、療法が投与されるだろう、または療法が投与される候補である対象において評価される。
【0157】
いくつかの態様では、試料を評価する工程は、特定のバイオマーカーを発現する細胞の頻度を決定する工程を含む。いくつかの態様では、細胞の頻度または数は、腫瘍試料などの対象由来の試料中の細胞のフローサイトメトリーまたはゲノム解析によって評価することができる。いくつかの局面では、バイオマーカーは、可溶性バイオマーカーであり、特定のバイオマーカーのレベルまたは濃度を、例えば、血清または全血の試料中で評価することができる。このような評価は、任意の公知の方法または本明細書に記載のいずれかを使用して実施することができる。
【0158】
いくつかの態様では、バイオマーカー、例えば、免疫細胞バイオマーカーは、病態または疾患を有するか病態または疾患を有する疑いがある対象から得られた試料中で評価される。いくつかの態様では、対象は、腫瘍、がんまたは増殖性疾患を有するか、腫瘍、がんまたは増殖性疾患を有する疑いがある。特定の態様では、対象は、抗原に関連するおよび/または抗原を発現する疾患細胞に関連する疾患または病態を有するか、その疾患または病態を有する疑いがある。
【0159】
いくつかの態様では、対象は、療法、例えば、単独療法としてのおよび/または併用療法としてのPITが投与される、投与されるだろう、または投与される候補である。さらに、本明細書において、PITを投与する方法、例えば、対象を選択してPITの一用量を投与する方法であって、対象の療法に対する応答の可能性に基づいて対象が選択される、方法が提供される。また、本明細書において、PITを投与する方法、例えば、PITの投与後に対象の応答をモニタリングする方法が提供される。いくつかの態様では、処置(単独療法としてのおよび/または治療剤の1つもしくは複数に対する対象の応答の可能性に基づいた追加の薬剤もしくは用量との併用療法としてのPITによる処置)のための、対象を選択するための方法が提供される。
【0160】
ある特定の態様では、該方法は、対象がPITに応答する可能性を評価、判定、測定および/または定量する工程を含む。いくつかの態様では、対象の応答の可能性は、バイオマーカー、例えば本明細書に記載のバイオマーカーを評価する方法によって、評価、判定、測定および/または定量される。特定の態様では、療法に応答する可能性があるまたは療法に応答する可能性が高いと対象が判定されたら、その対象に、PITの一用量、例えば初期用量が投与される。ある特定の態様では、投与されたPITに対して応答を有する可能性が低いまたはより少ない応答を有すると対象が判定されたら、その対象に、PITの変更用量、例えば、PITの初期用量よりも大きい用量または追加用量が投与される。特定の態様では、投与されたPITに対して応答を有する可能性が低いまたはより少ない応答を有すると対象が判定されたら、その対象にまた、抗腫瘍免疫応答を刺激、増幅、強化および/または増強可能な追加の薬剤または処置(例えば、免疫調節剤のようないずれのもの)が投与される。
【0161】
本明細書に記載の方法、使用、組成物および製造品によれば、バイオマーカー、例えば、免疫細胞バイオマーカーは、療法に対する応答の可能性に関連するおよび/またはそれに相関する。
【0162】
A. 例示的なバイオマーカー
いくつかの態様では、提供される方法、例えば、単独療法および/または併用療法としての光免疫療法(PIT)を伴う方法において評価される例示的なバイオマーカーは、免疫細胞サブタイプ、サブ集団、表現型、活性および/または状態に関連するマーカー;疾患状態または疾病負荷に関連するマーカー、例えば、腫瘍関連バイオマーカー;特異的活性、機能および/または特異的微小環境に関連するマーカー、例えば、自然または適応免疫系の細胞を含む免疫細胞の活性または機能、例えば活性化に関連するマーカーを含む。いくつかの態様では、バイオマーカーは、バイオアッセイなどのアッセイによって測定することができる任意のバイオマーカーである。いくつかの態様では、バイオマーカーは、タンパク質、核酸(メッセンジャーRNA(mRNA)、DNA、mRNA変異またはDNA変異など)、脂質、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、バイオマーカーは、複数の分子である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、特定の細胞表面表現型などの特定の表現型を有する細胞タイプまたは細胞である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、分子(1つまたは複数)の密度、一細胞タイプまたは様々な細胞タイプの密度、分子間の距離、分子の近さ、同じタイプまたは異なる細胞タイプの細胞間の距離、同じタイプまたは異なる細胞タイプの細胞の近さである。いくつかの態様では、バイオマーカーは、分子または細胞タイプの比であり、ここで、比は、分子(1つまたは複数)の、同じタイプまたは異なる細胞タイプの細胞の、レベル、密度、距離、近さの比である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、腫瘍変異負荷または腫瘍変異量(TMB)である。
【0163】
いくつかの局面では、バイオマーカーは、チェックポイント経路に関与する因子などの免疫抑制状態に関連する。いくつかの局面では、例示的なバイオマーカーは、腫瘍微小環境中の細胞、例えば、腫瘍細胞間に存在する免疫細胞および/または腫瘍細胞に関連する。いくつかの局面では、例示的なバイオマーカーは、免疫機能および/または免疫原性細胞死に関連する。いくつかの局面では、このようなバイオマーカーは、PITの投与の開始前および/またはPITの投与の開始後に、対象由来の試料、例えば、PITの候補であるまたはPITが投与されたことがある対象由来の試料中で評価することができる。いくつかの態様では、対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーを発現する細胞の存在、数、頻度および/または密度は、本明細書に記載の方法またはアッセイのいずれかを使用して評価することができる。
【0164】
いくつかの態様では、評価されるバイオマーカーは、免疫細胞のサブタイプおよび/または表現型に関連するバイオマーカーである。いくつかの態様では、評価されるバイオマーカーは、免疫細胞の特定の活性、機能、表現型またはサブタイプの指標となるおよび/またはそれらに関連するバイオマーカーである。いくつかの態様では、バイオマーカーは、表面分子、転写因子および/または免疫細胞の細胞もしくはサブ集団を蓄積するかそれらによって産生され得る分子を含む、1つまたは複数の特異的分子の存在または非存在である。いくつかの態様では、バイオマーカーの存在、非存在および/または発現によって示されるような表現型は、直接にまたは反対に、細胞または細胞の集団の生物学的活性を示すかその指標となる。
【0165】
いくつかの態様では、評価されるバイオマーカーは、免疫細胞、例えば特定のタイプの免疫細胞上に発現されるマーカーである。特定の態様では、バイオマーカーは、樹状細胞(DC)、マクロファージ(MΦ)を含む抗原提示細胞(APC);ナチュラルキラー細胞(NK細胞);ならびに/またはT細胞および/もしくはB細胞などのリンパ球など、あるタイプの免疫細胞上に存在する、存在しないおよび/または発現される。いくつかの態様では、バイオマーカーは、対象の身体に由来する免疫細胞上に存在する、存在しないおよび/または発現される。いくつかの態様では、評価されるバイオマーカーは、APCバイオマーカー、例えば、APC上に発現されるマーカーである。いくつかの態様では、評価されるバイオマーカーは、DCバイオマーカー、例えば、DC上に発現されるマーカーである。いくつかの態様では、評価されるバイオマーカーは、MΦバイオマーカー、例えば、MΦ上に発現されるマーカーである。いくつかの態様では、評価されるバイオマーカーは、NK細胞バイオマーカー、例えば、NK細胞上に発現されるマーカーである。いくつかの態様では、評価されるバイオマーカーは、T細胞バイオマーカー、例えば、T細胞上に発現されるマーカーである。いくつかの態様では、評価されるバイオマーカーは、T細胞のサブタイプ、サブ集団および/または表現型の指標となるまたはそれらに関連するバイオマーカーである。
【0166】
いくつかの態様では、バイオマーカーは、特異的活性、機能および/または特異的微小環境に関連するマーカー、例えば、免疫系の活性または機能に関連するマーカーである。いくつかの態様では、バイオマーカーは、免疫細胞、例えば、自然免疫系または適応免疫系中の細胞の活性化に関連する。いくつかの態様では、免疫細胞の活性および/または機能、例えば、APC、DC、MΦおよび/またはNK細胞の活性および/または機能に関連する2つ以上、例えば、2つ、3つまたは4つまたはそれ以上のマーカーを、提供される方法および使用のいずれかにおいてバイオマーカーとして用いることができる。例示的なバイオマーカーは、CCR4、CCR6、CD11c、CD123、CD127、CD14、CD141、CD16、CD163、CD1C、CD25、CD3、CD33、CD4、CD44、CD45RA、CD45RO、CD56、CD62L、CD68、CD69、CD8、CD86、CXCR3、HLA-DR、IL-10、IL-12p40、IL-6、PD1、PD-L1、および/またはTNFから選択される1つまたは複数のバイオマーカーを含むが、それらに限定されない。
【0167】
いくつかの局面では、バイオマーカーは、抗原提示細胞(APC)の活性および/または機能に関連するマーカーである。いくつかの局面では、バイオマーカーは、活性化時に細胞表面によってまたは細胞表面上に発現されるか、APC、例えば、DCまたはMΦなどの特定の免疫細胞の分化および/または成熟に関連するマーカーである。いくつかの局面では、DCは、分化抗原群11c(CD11c)を発現するかそれに陽性の細胞、例えばCD11c+細胞などのある特定の表現型マーカーによって特定することができる。DCの活性化および/または成熟に関連する例示的なバイオマーカーは、分化抗原群80(CD80)、CD86、CD40および主要組織適合複合体II(MHCII)を含むが、それらに限定されない。いくつかの局面では、このようなバイオマーカーのいくつかは、共刺激分子、例えば、CD80、CD86およびCD40である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、高レベルのMHCII発現(MHCIIhigh)であるかそれを含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、CD80、CD86、CD40およびMHCIIhighの1つまたは複数の中から選択される。いくつかの態様では、バイオマーカーは、CD80であるかそれを含む。いくつかの態様では、バイオマーカーは、CD86であるかそれを含む。いくつかの態様では、バイオマーカーは、CD40であるかそれを含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、CD86およびMHCIIhighである。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、CD86およびCD80である。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、CD80およびMHCIIhighである。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、CD80、CD86およびMHCIIhighである。
【0168】
いくつかの局面では、バイオマーカーは、DCの活性化および/または成熟に関連する、および/またはDCによって発現される。いくつかの局面では、DCの活性化および/または成熟に関連する例示的なバイオマーカーは、炎症誘発性サイトカインなどのサイトカインの産生を含むが、それらに限定されない。いくつかの局面では、DCの活性化に関連する例示的なバイオマーカーは、腫瘍壊死因子(TNF)、IFN-γ-誘導性タンパク質10(IP-10)、MIP-1α(マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ)、MIP-1β(マクロファージ炎症性タンパク質-1ベータ)、インターロイキン-1ベータ(IL-1β)および/またはインターロイキン-8(IL-8)から選択される1つまたは複数のマーカーを含むが、それらに限定されない。いくつかの局面では、DCに関連する他の例示的なバイオマーカーは、CD123、CD141、7-AAD、CD14、HLA-DRおよび/またはCD1Cから選択される1つまたは複数のマーカーを含むが、それらに限定されない。
【0169】
いくつかの局面では、バイオマーカーは、単球に関連するまたは単球によって発現されるものである。いくつかの態様では、単球に関連するまたは単球によって発現される例示的なバイオマーカーは、CD16、CD86、7-AAD、CD14、HLA-DRまたはCD163から選択される1つまたは複数のマーカーを含むが、それらに限定されない。いくつかの局面では、単球によって発現される他の例示的なマーカーは、CD4を含む。いくつかの局面では、バイオマーカーは、単球によって発現されるまたは単球によって産生されるサイトカインまたはケモカインを含む。いくつかの局面では、単球によって発現されるまたは単球によって産生されるこのようなサイトカインまたはケモカインの例は、TNF、IL-10、IL-6またはIL-12p40の1つまたは複数を含むが、それらに限定されない。
【0170】
いくつかの局面では、バイオマーカーは、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)の活性および/または機能に関連するかNK細胞によって発現されるマーカーであるかそれを含む。いくつかの局面では、NK細胞は、インテグリンアルファ-2(分化抗原群49b(CD49b)としても公知;いくつかの局面では、DX5と命名されたモノクローナル抗体によって認識される)などのマーカーを発現するかそれに陽性の細胞などのある特定の表現型マーカーによって特定することができる。いくつかの局面では、NK細胞は、分化抗原群3(CD3)などのマーカーを発現しない細胞またはそれに陰性である細胞などのある特定の表現型マーカーの発現の欠如によって特定することができる。いくつかの局面では、NK細胞は、CD3-CD49b+細胞(CD3-DX5+細胞とも称される)を含むことができる。いくつかの態様では、バイオマーカーは、NK細胞の活性化、成熟および/または細胞溶解活性に関連するかそれを含む。NK細胞の活性化、成熟および/または細胞溶解活性に関連する例示的なバイオマーカーは、CD69およびCD107aを含むが、それらに限定されない。いくつかの態様では、バイオマーカーは、CD69であるかそれを含む。いくつかの態様では、バイオマーカーは、CD107aであるかそれを含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、CD69およびCD107aである。いくつかの局面では、NK細胞に関連する例示的なバイオマーカーは、CD16、CD69、7-AAD、CD33、CD56およびCD3の1つまたは複数を含むが、それらに限定されない。
【0171】
いくつかの態様では、バイオマーカーは、CD4+ヘルパーT細胞などのヘルパーT細胞に関連するおよび/またはそれによって発現されるバイオマーカーであるかそれを含む。いくつかの態様では、バイオマーカーは、ヘルパーT細胞の活性化および/または機能に関連するバイオマーカーであるかそれを含む。いくつかの態様では、ヘルパーT細胞に関連する例示的なバイオマーカーは、CXCR3、CCR4、7-AAD、CCR6、CD4またはCD3の1つまたは複数を含むが、それらに限定されない。
【0172】
いくつかの態様では、バイオマーカーは、エフェクターまたはメモリーCD8+ T細胞などのエフェクターまたはメモリーT細胞に関連するおよび/またはそれによって発現されるバイオマーカーであるかそれを含む。いくつかの態様では、バイオマーカーは、エフェクターまたはメモリーT細胞の活性化および/または機能に関連するバイオマーカーであるかそれを含む。いくつかの態様では、エフェクターまたはメモリーT細胞に関連する例示的なバイオマーカーは、CXCR3、CD45RA、CD44、7-AAD、CD8、CD45ROまたはCD62Lの1つまたは複数を含むが、それらに限定されない。
【0173】
いくつかの態様では、バイオマーカーは、免疫抑制機能、活性および/または免疫抑制状態、例えば、TME中の免疫抑制状態に関連するマーカーであるかそれを含む。いくつかの態様では、バイオマーカーは、TME中の腫瘍細胞によって媒介される免疫抑制に関連するマーカーであるかそれを含む。いくつかの態様では、バイオマーカーは、TME中の様々な細胞、例えば、腫瘍細胞によって発現される。いくつかの局面では、バイオマーカーは、DC、Th1、Th2、CD8+制御性T細胞(Treg)、B細胞、CD4+制御性T細胞(Treg)、好中球、NK細胞、γδおよびメモリーCD8+(αβ)T細胞などの免疫細胞上に発現され得る。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PD-L2、CTLA-4、LAG-3(CD223)、TIM-3、4-1BB(CD137)、4-1BBL(CD137L)、GITR(TNFRSF18、AITR)、CD40、OX40(CD134、TNFRSF4)、CXCR2、腫瘍関連抗原(TAA)、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、B7H3、B7H4、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリーの分子に属し、すべてのNK、γδおよびメモリーCD8+(αβ)T細胞上に発現される)、CD160(BY55とも称される)および/またはCGEN-15049の1つまたは複数であるかそれを含む。
【0174】
いくつかの態様では、2つ以上、例えば、2、3、4、5またはそれ以上のチェックポイント経路マーカー、例えば、免疫チェックポイントバイオマーカーを、提供される方法および使用のいずれかにおいてバイオマーカーとして用いることができる。例えば、いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-1、PD-L1および/またはCTLA-4の1つまたは複数であるかそれを含む。いくつかの態様では、バイオマーカー、例えば、免疫チェックポイントバイオマーカーは、PD-1であるかそれを含む。いくつかの態様では、バイオマーカー、例えば、免疫チェックポイントバイオマーカーは、PD-L1であるかそれを含む。いくつかの態様では、バイオマーカー、例えば、免疫チェックポイントバイオマーカーは、CTLA-4であるかそれを含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、PD-1およびPD-L1である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1対PD-1の比(PD-L1:PD-1比)である。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、PD-1およびCTLA-4である。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、PD-L1およびCTLA-4である。
【0175】
いくつかの態様では、バイオマーカーは、制御性T細胞の活性化または機能に関連する、それによって発現される、および/またはその指標となる。いくつかの局面では、例示的なバイオマーカーは、CD4、CD127、7-AAD、CD8、CD25またはCD3の1つまたは複数を含むが、それらに限定されない。いくつかの態様では、バイオマーカーは、CD3、CD4およびPD1を含む。
【0176】
いくつかの態様では、バイオマーカーは、免疫原性細胞死(ICD)に関連するマーカーであるかそれを含む。いくつかの局面では、免疫原性細胞死は、壊死細胞によって示される特定の細胞死のタイプであり、免疫刺激マーカーの増加した提示および放出によって特徴付けられる。ICDを示す細胞は、ヒートショックタンパク質90(Hsp90)、ヒートショックタンパク質70(Hsp70)の表面発現の上昇などの膜変化、ならびにATPおよび高移動度群ボックスタンパク質(HMGB1)などの損傷関連分子パターン(DAMP)として公知の可溶性の細胞内マーカーの分泌を示す(Kromer et al. (2013) Annual Review of Immunology, 31:51-72)。いくつかの局面では、少なくとも1つのバイオマーカーは、Hsp90、Hsp70およびHMGB1の1つまたは複数であるかそれを含む。いくつかの局面では、バイオマーカーは、HMGB1であるかそれを含む。いくつかの局面では、バイオマーカーは、Hsp90であるかそれを含む。いくつかの局面では、バイオマーカーは、Hsp70であるかそれを含む。
【0177】
いくつかの態様では、評価されるバイオマーカーは、疾患状態または疾病負荷に関連するバイオマーカーである。いくつかの態様では、評価されるバイオマーカーは、疾患または病態、例えば、PITで処置されるべき疾患または病態、例えば、本明細書に記載のとおりの疾患または病態において存在するおよび/または発現されるバイオマーカーである。いくつかの態様では、評価されるバイオマーカーは、がん、増殖性疾患または腫瘍に関連する分子、抗原またはマーカーである。いくつかの態様では、評価されるバイオマーカーは、がんまたは腫瘍細胞上に発現されるバイオマーカーである。いくつかの態様では、バイオマーカーは、腫瘍またはがんに関連する抗原である。腫瘍またはがんに関連する例示的な抗原は、上皮成長因子受容体(EGFR)またはエフリンA型受容体2(EphA2)を含むが、それらに限定されない。いくつかの態様では、バイオマーカーは、腫瘍細胞、内皮細胞、線維芽細胞、脂肪細胞および/または周皮細胞などの、腫瘍微小環境(TME)中の1つまたは複数の他の細胞上に発現されるバイオマーカーである。いくつかの態様では、バイオマーカーは、循環腫瘍細胞であるかそれを含む。いくつかの態様では、バイオマーカーは、循環腫瘍細胞中に発現される。いくつかの態様では、バイオマーカーは、腫瘍細胞上に発現される。いくつかの態様では、バイオマーカーは、抗原、例えば、腫瘍抗原である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PITによって特異的に標的指向される抗原、例えば、PITのためのコンジュゲート中に含有されるターゲティング分子によって認識される抗原である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、対象における腫瘍量の指標となる。いくつかの態様では、バイオマーカーは、対象における免疫抑制経路または活性の指標となる。
【0178】
いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、細胞表面マーカーおよび/または可溶性マーカー、例えば、環境によって産生および/もしくはそこに分泌され得、かつ/または体循環中に存在する、マーカーである。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、細胞表面マーカーであるかそれを含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、分泌因子などの可溶性マーカーであるかそれを含む。いくつかの態様では、少なくとも1つのバイオマーカーは、循環腫瘍細胞であるかまたは循環腫瘍細胞上に発現されるマーカーである。
【0179】
特定の態様では、バイオマーカーは、1つまたは複数の刺激に応答した可溶性因子の産生または分泌であるかそれを含む。いくつかの態様では、バイオマーカーは、1つまたは複数の刺激に応答した可溶性因子の欠如または産生または分泌であるかそれを含む。ある特定の態様では、可溶性因子は、サイトカインまたはケモカインである。
【0180】
いくつかの態様では、バイオマーカーまたは少なくとも1つのバイオマーカーは、1つまたは複数のサイトカインまたはケモカインであるかそれを含む。いくつかの局面では、サイトカインまたはケモカインの産生の濃度または相対濃度が評価される。いくつかの局面では、バイオマーカーは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、IFN-γ-誘導性タンパク質10(IP-10)/CXCL10、MIP-1α(マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ)/CCL3、MIP-1β(マクロファージ炎症性タンパク質-1ベータ)/CCL4、インターロイキン-1ベータ(IL-1β)、インターロイキン-8(IL-8)/CXCL8、6CKine、BCA-1、CTACK、EGF、ENA-78、エオタキシン/CCL11、エオタキシン-2、エオタキシン-3、FGF-2、Flt-3リガンド、フラクタルカイン、G-CSF、GM-CSF、GRO、GROアルファ/CXCL1、I-309、ICAM-1/CD54、IFNアルファ(IFN-α)、IFNガンマ(IFN-γ)、IFN-α2、IFN-γ、IL-1アルファ(IL-1α)、IL-10、IL-12 p40、IL-12p70、IL-13、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-17A/CTLA-8、IL-18、IL-2、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-27、IL-28A、IL-3、IL-31、IL-33、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1ra)、IP-10、LIF、MCP-1、MCP-1/CCL2、MCP-2、MCP-3、MCP-4、MDC(CCL22)、MIP-1d、PDGF-AA、PDGF-AB/BB、RANTES/CCL5、sCD40L、SCF、SDF-1α/CXCL12、SDF-1a+B、sE-セレクチン、sP-セレクチン、TARC、TGFα、腫瘍壊死因子ベータ(TNF-β)/LTA、TPO、TRAIL、TSLPまたはVEGFの1つまたは複数の中から選択される1つまたは複数のサイトカインまたはケモカインであるかそれを含む。
【0181】
いくつかの局面では、バイオマーカーは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、IFN-γ-誘導性タンパク質10(IP-10)/CXCL10、MIP-1α(マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ)/CCL3、MIP-1β(マクロファージ炎症性タンパク質-1ベータ)/CCL4、インターロイキン-1ベータ(IL-1β)、インターロイキン-8(IL-8)/CXCL8、エオタキシン/CCL11、GROアルファ/CXCL1、GM-CSF、IFNアルファ(IFN-α)、IFNガンマ(IFN-γ)、IL-1アルファ(IL-1α)、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1ra)、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-15、IL-17A/CTLA-8、IL-18、IL-21、IL-22、IL-23、IL-27、IL-31、MCP-1/CCL2、RANTES/CCL5、SDF-1α/CXCL12、および腫瘍壊死因子ベータ(TNF-β)/LTAの1つまたは複数の中から選択される1つまたは複数のサイトカインまたはケモカインであるかそれを含む。特定の態様では、バイオマーカーは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、IFN-γ-誘導性タンパク質10(IP-10)、MIP-1α(マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ)、MIP-1β(マクロファージ炎症性タンパク質-1ベータ)、インターロイキン-1ベータ(IL-1β)およびインターロイキン-8(IL-8)/CXCL8の1つまたは複数の中から選択される1つまたは複数のサイトカインまたはケモカインであるかそれを含む。
【0182】
提供される態様のいずれかのいくつかの態様では、2つ以上、例えば、2、3、4、5またはそれ以上のサイトカインを、提供される方法および使用のいずれかにおいてバイオマーカーとして用いることができる
【0183】
いくつかの態様では、評価されるバイオマーカーは、核酸である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、DNAまたはRNA、例えばmRNAである。いくつかの局面では、1つまたは複数のmRNA転写物の濃度または相対濃度が評価される。いくつかの態様では、バイオマーカーは、APOE、BATF3、BBC3、BCL6B、CASP9、CCNB1、CCND1、CD40、CDC25C、CNTFR、COL11A2、CSF1、CSF2、CSF3、CTNNB1、DKK1、DLL4、EGF、EIF2B4、ERCC3、ESR1、FADD、FCGRT、FGF18、FUT4、FYN、GLS、GPC4、GZMK、HDAC5、HSD11B1、ICAM5、IFI35、IL11、IL11RA、IL2、IL2RA、IL32、ITGAV、KIR2DL3、LIF、LOXL2、MAP3K12、MFGE8、NCAM1、NFATC2、NFIL3、NLRP3、NOTCH2、P4HA1、PF4、PGPEP1、PIK3R2、PLOD2、POLD1、POS_D(2)、POS_F(0.125)、PRKACB、PSMB5、RAD51C、RIPK2、ROR2、RPTOR、RRM2、SERPINA1、SF3A1、SNAI1、SPP1、SRP54、STC1、TBX21、TIE1、TMEM140、TNFRSF8、TNFSF12、TNFSF13、TWIST1、VEGFA、WNT11およびWNT5Bの中から選択される1つまたは複数のmRNA転写物である。
【0184】
いくつかの局面では、バイオマーカーは、APOE、BATF3、BCL6B、CASP9、CCND1、COL11A2、CSF2、CSF3、CTNNB1、DLL4、EGF、EIF2B4、ESR1、GLS、HDAC5、HSD11B1、IL11RA、IL32、MAP3K12、NLRP3、NOTCH2、P4HA1、PF4、PGPEP1、PLOD2、RIPK2、RPTOR、SF3A1、SNAI1、SPP1、SRP54、STC1、TMEM140、TNFSF12、および/またはVEGFAの1つまたは複数のmRNA転写物であるかそれを含む。いくつかの局面では、バイオマーカーは、BATF3、CASP9、CSF3、CTNNB1、DLL4、EGF、ESR1、GLS、PGPEP1、RIPK2、RPTOR、SF3A1、SNAI1、SPP1、STC1、TNFSF12およびVEGFAの1つまたは複数のmRNA転写物であるかそれを含む。
【0185】
いくつかの局面では、バイオマーカーは、ANGPT1、CPA3、CXCL14、IL18、KIT、MAP3K5、OAZ1、RB1、STAT3、SYK、TICAM1、および/またはTPSAB1/B2の1つまたは複数のmRNA転写物であるかそれを含む。いくつかの局面では、バイオマーカーは、CPA3、CXCL14、IL18、MAP3K5およびSTAT3の1つまたは複数のmRNA転写物であるかそれを含む
【0186】
B. バイオマーカーを評価するための試料および検出方法
ある特定の態様では、例えば1つまたは複数のバイオマーカーのレベル、量、濃度および/または発現を判定するために評価される試料は、生体試料である。ある特定の態様では、試料は、組織試料である。特定の態様では、試料は、腫瘍、がんまたは増殖性疾患などの疾患または病態に侵されているか侵されている疑いがある組織であるかそれを含む。いくつかの態様では、試料は、腫瘍試料であり、かつ/または、試料は、腫瘍細胞を含むか腫瘍細胞を含む可能性が高い。
【0187】
ある特定の態様では、試料は、腫瘍を有するか腫瘍を有する疑いがある組織から収集される。特定の態様では、試料は、腫瘍および/または腫瘍微小環境であるかそれを含む。特定の態様では、腫瘍は、前がん性またはがん性であるか、がん性または前がん性である疑いがある。ある特定の態様では、腫瘍は、原発腫瘍であり、すなわち、腫瘍は、病変が最初に発生または出現した解剖学的部位に見いだされる。いくつかの態様では、腫瘍は、二次性腫瘍、例えば、身体の異なる部位内に位置する原発腫瘍内の細胞から生じたがん性腫瘍である。いくつかの態様では、試料は、がん細胞および/または腫瘍細胞である1つまたは複数の細胞を含有する。いくつかの態様では、試料は、腫瘍生検である。
【0188】
いくつかの態様では、試料は、固形腫瘍細胞、例えば、肉腫またはがん腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、および他の肉腫、滑液膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸がん腫、膵臓がん、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、肝細胞がん腫、肺がん、大腸がん、扁平上皮がん腫、基底細胞がん腫、腺がん、例えば、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳房、胃、前立腺、子宮頸部または食道の腺がん、汗腺がん、皮脂腺がん、乳頭がん腫、乳頭腺がん、髄様がん腫、気管支原性がん腫、腎細胞がん腫、ヘパトーマ、胆管がん腫、絨毛がん腫、ウィルムス腫瘍、子宮頸部がん、精巣腫瘍、膀胱がん腫、CNS腫瘍、例えば、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫および網膜芽細胞腫などの腫瘍細胞を含有する。いくつかの態様では、処置されるべき腫瘍は、頭頚部がんである。いくつかの態様では、がんは、頭頸部の扁平上皮がん腫である。いくつかの態様では、処置されるべき腫瘍は、食道がんである。
【0189】
がんなどの例示的な腫瘍は、固形腫瘍、例えば、乳がん腫(例えば、小葉および管がん腫)、肉腫、肺のがん腫、例えば、非小細胞がん腫、大細胞がん腫、扁平上皮がん腫、および腺がん、肺の中皮腫、大腸腺がん、胃がん腫、前立腺腺がん、卵巣がん腫、例えば、漿液性嚢胞腺がんおよびムチン性嚢胞腺がん、卵巣胚細胞腫瘍、精巣がん腫および胚細胞腫瘍、膵臓腺がん、胆道腺がん、肝細胞がん腫、膀胱がん腫(例えば、移行細胞がん腫、腺がん、および扁平上皮がん腫を含む)、腎細胞腺がん、子宮内膜がん腫(例えば、腺がんおよびミュラー管混合腫瘍(がん肉腫)を含む)、子宮頚内膜、子宮頸膣部および膣のがん腫、例えば、前記の各々の腺がんおよび扁平上皮がん腫、皮膚の腫瘍、例えば、扁平上皮がん腫、基底細胞がん腫、悪性黒色腫、皮膚付属器(skin appendage)腫瘍、カポジ肉腫、皮膚リンパ腫、皮膚付属器(skin adnexal)腫瘍および様々なタイプの肉腫およびメルケル細胞がん腫、食道がん腫、鼻咽頭および中咽頭のがん腫(前記の扁平上皮がん腫および腺がんを含む)、唾液腺がん腫、脳および中枢神経系腫瘍(例えば、神経膠、神経細胞および髄膜起源の腫瘍を含む)、末梢神経の腫瘍、軟組織肉腫ならびに骨および軟骨の肉腫、ならびに、B細胞およびT細胞悪性リンパ腫を含むリンパ系腫瘍を含む。いくつかの態様では、腫瘍は、腺がんである。
【0190】
いくつかの態様では、試料は、組織試料、例えば、組織生検である。特定の態様では、試料は、結合組織、筋組織、神経組織または上皮組織から入手、収集または採取される。ある特定の態様では、病変は、心臓、血管系、唾液腺、食道、胃、肝臓、胆嚢、膵臓、腸、結腸、直腸、視床下部、下垂体、松果腺、甲状腺、副甲状腺、副腎、腎臓、尿管、膀胱、尿道、リンパ系、リンパ節、皮膚、筋肉、脳、脊髄、神経、卵巣、子宮、精巣、前立腺、咽頭、喉頭、気管、気管支、肺、横隔膜、骨、軟骨、靱帯、または腱上に存在する。特定の態様では、試料は、リンパ節または骨髄から入手、収集または採取される。
【0191】
特定の態様では、試料は、免疫細胞、例えば、腫瘍微小環境(TME)中に存在する免疫細胞、例えば、樹状細胞(DC)、マクロファージ(MΦ)を含む抗原提示細胞(APC);ナチュラルキラー細胞(NK細胞);好中球、ならびに/またはT細胞および/もしくはB細胞などのリンパ球を含有する。
【0192】
ある特定の態様では、試料は、療法、例えば、単独療法としてのおよび/または併用療法としてのPITによる処置の前または後の1つまたは複数の時点で対象から入手、収集または採取される。特定の態様では、試料は、療法、例えば、PITの1つまたは複数の工程、例えば、ターゲティング分子とフタロシアニン色素を含有するコンジュゲートの1つもしくは複数の用量の投与、および/または光による照射もしくは照明(すなわち、光処置)、および/または追加の薬剤、例えば、免疫調節剤の1つもしくは複数の用量の投与の前に、対象から入手、収集および/または採取される。特定の態様では、試料は、療法、例えば、PITの1つまたは複数の工程、例えば、ターゲティング分子とフタロシアニン色素を含有するコンジュゲートの1つもしくは複数の用量の投与、および/または光による照射もしくは照明(すなわち、光処置)、および/または追加の薬剤、例えば、免疫調節剤の1つもしくは複数の用量の投与の後に、対象から入手、収集および/または採取される。いくつかの態様では、試料は、療法、例えば、PITの任意の工程、段階または投薬、例えば、ターゲティング分子とフタロシアニン色素を含有するコンジュゲートの1つまたは複数の用量の投与、および/または光による照射もしくは照明(すなわち、光処置)、および/または追加の薬剤、例えば、免疫調節剤の1つもしくは複数の用量の投与の間の1つまたは複数の時点で対象から入手、収集または採取される試料である。
【0193】
いくつかの態様では、試料は、血液試料、血漿試料、血清試料、組織試料、腫瘍生検試料、リンパ節試料、骨髄試料、口内スワブ、糞試料または尿試料であるかそれを含む。特定の態様では、試料は、リンパ節組織であるかそれを含有する。いくつかの態様では、リンパ節試料は、少なくとも1つの疾患細胞またはがん細胞を含有するか、それを含有する疑いがある。特定の態様では、試料は、腫瘍生検などに由来の腫瘍細胞であるかそれを含有する。いくつかの態様では、試料は、腫瘍細胞および腫瘍微小環境由来の細胞を含有する。特定の態様では、試料は、腫瘍の近傍または周囲の組織であるかそれを含有する。特定の態様では、試料は、骨髄であるかそれを含有する。いくつかの態様では、試料は、骨髄吸引液であるかそれを含有する。いくつかの態様では、骨髄試料は、少なくとも1つの疾患細胞またはがん細胞を含有するか、それを含有する疑いがある。いくつかの態様では、試料は、血液試料である。ある特定の態様では、試料は、血清試料である。いくつかの態様では、試料は、末梢血試料である。いくつかの態様では、血液試料は、少なくとも1つのバイオマーカー、例えば、分泌マーカー、例えば、サイトカインもしくはケモカイン、または損傷関連分子パターン(DAMP)を含有するか、それを含有する疑いがある。
【0194】
いくつかの態様では、試料は、免疫細胞を含有する。いくつかの態様では、免疫細胞を含有する試料は、腫瘍微小環境由来の免疫細胞、例えば、腫瘍微小環境中に存在するまたは腫瘍微小環境に浸潤している免疫細胞を含む。特定の態様では、試料は、本明細書に提供されるバイオマーカーを発現する免疫細胞を含有する。いくつかの態様では、T細胞は、免疫抑制経路のマーカーを発現する。いくつかの場合に、試料は、骨髄細胞、単球、マクロファージ、および/または樹状細胞、リンパ球、Th1細胞、Th2細胞、CD4+またはCD8+ T細胞を含有する。
【0195】
いくつかの態様では、1つまたは複数の試料は、療法(例えば、PIT)が投与されたことがある、療法が投与されるだろう、または療法が投与される候補である対象から得られる。いくつかの態様では、試料は、PITの投与の開始前に対象から得られる。いくつかの態様では、試料は、PITの投与の開始後に対象から得られる。いくつかの態様では、試料は、PITの投与の開始の前後に対象から得られる。いくつかの態様では、試料は、PITの投与の開始後かつ後続の治療剤の投与の開始前に対象から得られる。
【0196】
特定の態様では、バイオマーカーは、療法または療法の1つもしくは複数の工程、例えば、PITおよび/または併用療法、例えば抗EGFR-IR700 PITによる処置またはその投与の開始前に評価される。いくつかの態様では、バイオマーカーは、療法、例えば、PITおよび/または併用療法、例えば抗EGFR-IR700 PITの投与の開始前、0、1、2、3、4、5、6、9、12、18もしくは24時間、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、21もしくは28日または6、8もしくは12週間、または1、2、3、4、5、6ヶ月以内、あるいは、約0、1、2、3、4、5、6、9、12、18もしくは24時間、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、21もしくは28日または6、8もしくは12週間、または1、2、3、4、5、6ヶ月以内に評価される。特定の態様では、バイオマーカーは、療法、例えば、PITおよび/または併用療法、例えば抗EGFR-IR700 PITの投与の開始前、0、1、2、3、4、5、6、9、12、18もしくは24時間、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、21もしくは28日または1、2、もしくは3ヶ月以内、あるいは約0、1、2、3、4、5、6、9、12、18もしくは24時間、または2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、21もしくは28日または1、2、もしくは3ヶ月以内に評価される。特定の態様では、バイオマーカーは、療法または療法の1つもしくは複数の工程、例えば、PITおよび/または併用療法、例えば抗EGFR-IR700 PITの投与の処置の開始後に評価される。いくつかの態様では、バイオマーカーは、療法、例えば、PITおよび/または併用療法の投与の開始後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30日以内、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30日以内に評価される。いくつかの態様では、バイオマーカーは、療法または療法の1つもしくは複数の工程、例えば、PITおよび/または併用療法、例えば抗EGFR-IR700 PITの投与の開始後、10、20、30、40、50、60、70、80、90日以上または約10、20、30、40、50、60、70、80、90日以上、または約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヶ月以上の時点に評価される。
【0197】
いくつかの態様では、同じバイオマーカーが、1つまたは複数の試料中で評価および/または比較される。いくつかの態様では、1つもしくは複数の異なるバイオマーカーおよび/または1つもしくは複数のバイオマーカーに関連するパラメーターが、1つまたは複数の試料中で評価および/または比較される。例えば、同じバイオマーカーを、療法、例えば、PITおよび/または併用療法の1つまたは複数の工程の前後に対象から得られた1つまたは複数の試料中で測定して、異なる時点からの試料中の同じバイオマーカーの測定値と比較することができる。いくつかの局面では、レベルまたは濃度の変化、または相対的差異を評価に用いることができる。
【0198】
いくつかの態様では、バイオマーカーは、細胞表現型、例えば、免疫細胞表現型の指標となる。いくつかの態様では、バイオマーカーは、免疫細胞の系統、分化状態および/または活性の指標となる。いくつかの態様では、バイオマーカーは、療法に使用される細胞の活性、表現型、増殖および/または機能に関連する。いくつかの態様では、バイオマーカーは、免疫細胞、例えば、リンパ系細胞および/または骨髄系細胞の表面上に発現されるマーカーである。いくつかの態様では、バイオマーカーは、細胞内マーカーである。いくつかの態様では、バイオマーカーは、分泌分子である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、特異的なイベント時に、細胞から放出され得る。
【0199】
いくつかの態様では、1つまたは複数のバイオマーカーに関連する1つまたは複数のパラメーターを評価において使用することができる。いくつかの態様では、パラメーターは、決定または評価された評価の異なる時点、異なる条件、参照点および/または異なる対象における同じバイオマーカーのレベル、値または測定値と比較した、バイオマーカーのレベル、値または測定値の変化および/または変更、例えば、増加、上昇、減少または低減を含む。例えば、いくつかの態様では、異なる条件、例えば、療法、例えば、PITおよび/または併用療法の1つまたは複数の工程の前または後の同じバイオマーカーと比較した、試料中の特定のバイオマーカーの増加または減少を決定することができる。いくつかの態様では、変化、例えば、増加または減少は、0.1%、0.25%、0.5%、0.75%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%もしくは20%超、または約0.1%、0.25%、0.5%、0.75%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%もしくは20%超である。いくつかの態様では、変化、例えば、増加または減少は、1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍もしくはそれ以上を上回るかまたは約1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍もしくはそれ以上を上回る。いくつかの態様では、2つ以上のバイオマーカーのレベル、値または測定値が決定され、相対レベルおよび/または比が決定される。いくつかの態様では、決定されたバイオマーカーのレベル、値または測定値は、対照試料または未処置試料からのレベル、値または測定値と比較される。いくつかの態様では、決定されたバイオマーカーのレベル、値または測定値は、同じ対象に由来するが異なる時点での試料からのレベルと比較される。個々のバイオマーカーの定量において得られた値は、例えば、マルチパラメトリック解析を使用することによってバイオマーカーのレベル、値または測定値に対して算術演算または論理演算を形成することにより、疾患評価の目的で組み合わせることができる。いくつかの態様では、2つ以上の特異的バイオマーカーの比を算出することができる。
【0200】
また、バイオマーカーを検出可能またはバイオマーカーに特異的である試薬を含有する製造品が提供される。いくつかの態様では、単独療法としてのおよび/または併用療法としてのPITによる処置の候補である対象由来のバイオマーカーについて生体試料を評価するための説明書が提供される。また、PITによる処置の候補である対象から得られた試料中のバイオマーカーを検出するため、かつ、1つまたは複数のバイオマーカーを評価するために試薬を使用する説明書が提供される。
【0201】
いくつかの態様では、バイオマーカーのレベル、存在、濃度、活性および/または効果を検出または決定するための方法またはアッセイは、生体試料中の代謝物、タンパク質、核酸または他の生体分子のレベルを検出するための公知の方法のいずれかを含む。例えば、検出方法は、免疫組織化学、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、酵素イムノアッセイ(EIA)、免疫蛍光、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写酵素PCR(RT-PCR)、インサイチューPCR、定量的PCR、フローサイトメトリー、蛍光活性化細胞選別(FACS)、酵素活性アッセイ、マスサイトメトリー(CyTOF)、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィー-二重質量分析(LC-MS/MS)、液体クロマトグラフィー-エレクトロスプレーイオン化-タンデム質量分析(LC-ESI-MS)、核磁気共鳴(NMR)、インサイチューハイブリダイゼーション、ウエスタンブロット、ノーザンブロット、サザンブロット、インビボ画像法、マイクロアレイ、全エクソームシーケンス(WES)、遺伝子標的シーケンス、トランスクリプトームシーケンス、および/または任意のハイスループットな方法を含む。いくつかの態様では、1つまたは複数のバイオマーカーは、インビトロELISA、比色試験、イムノアッセイ、インサイチューハイブリダイゼーション、マルチプレックスサイトカインアッセイ、マルチプレックスELISA、免疫組織化学、マルチプレックス免疫組織化学、免疫蛍光、マルチプレックス免疫蛍光または5プレックス蛍光免疫組織化学を使用して評価される。いくつかの態様では、1つまたは複数のバイオマーカーは、マルチプレックスサンドイッチELISAアッセイを使用して評価される。いくつかの態様では、1つまたは複数のバイオマーカーは、フローサイトメトリーを使用して評価される。いくつかの態様では、1つまたは複数のバイオマーカーは、細胞内サイトカイン染色(ICS)アッセイを使用して評価される。いくつかの態様では、1つまたは複数のバイオマーカーは、免疫組織化学を使用して評価される。
【0202】
いくつかの態様では、腫瘍変異量(TMB)または変異負荷がバイオマーカーである。TMBは、腫瘍ゲノムのコード領域当たりの非同義変異の総数である。TMBは、例えば、全エクソームシーケンスまたは遺伝子標的シーケンスを使用して評価することができる。いくつかの態様では、腫瘍組織および一致する非腫瘍組織の全エクソームシーケンス結果を比較して、試料のTMBを測定する。いくつかの態様では、腫瘍組織および一致する非腫瘍組織の標的遺伝子シーケンスに遺伝子パネルを使用し、その結果を比較して試料のTMBを決定する。
【0203】
いくつかの態様では、バイオマーカーは、DNA修復経路中の1つまたは複数の欠陥である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、DNAミスマッチ修復(dMMR)中の欠失である。例えば、いくつかの態様では、バイオマーカーは、MSH2、MSH6、MLH1および/またはPMS2などのミスマッチ修復(MMR)経路に関与する1つまたは複数の遺伝子の異常発現または変異である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、相同依存性組換え(HR)における欠失である。例えば、いくつかの態様では、バイオマーカーは、BRCA1、BRCA2および/またはPALB2などのHR経路タンパク質中の1つまたは複数の変異である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、塩基除去修復経路における欠陥である。例えば、いくつかの態様では、バイオマーカーは、MUTYH中の変異である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、ヌクレオチド除去修復(NER)経路における欠陥である。例えば、いくつかの態様では、バイオマーカーは、ERCC遺伝子の1つまたは複数における変異、例えば、ERCC1中の一塩基多型である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、DNAポリメラーゼ中の変異である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、ポリメラーゼδ(POLD1)およびポリメラーゼε(POLE)などのDNAプルーフリーディング酵素をコードする1つまたは複数の遺伝子中の変異である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、増強された内因性変異誘発遺伝子活性である。例えば、いくつかの態様では、バイオマーカーは、APOBEC3などの1つまたは複数のAPOBECシチジンデアミナーゼの増強された活性である。
【0204】
本明細書における「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、無傷の抗体、ならびに、Fab(fragment antigen binding)断片、F(ab')2断片、Fab'断片、Fv断片、組換えIgG(rIgG)断片、単鎖可変断片(scFv)を含む単鎖抗体断片、および単一ドメイン抗体(例えば、sdAb、sdFv、ナノボディ)断片を含む機能的な(抗原結合)抗体断片を含む、ポリクローナルおよびモノクローナル抗体を含む。この用語は、免疫グロブリンの遺伝子操作されたおよび/または他の方法で改変された形態、例えばイントラボディ、ペプチボディ、キメラ抗体、完全ヒト抗体、ヒト化抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、多重特異性、例えば二重特異性抗体、ダイアボディ、トリアボディ、およびテトラボディ、タンデムdi-scFv、タンデムtri-scFvを包含する。別途明記されない限り、「抗体」という用語は、その機能的抗体断片を包含すると理解されるべきである。この用語はまた、IgGならびにそのサブクラスIgM、IgE、IgAおよびIgDを含む任意のクラスまたはサブクラスの抗体を含む、無傷のまたは完全長の抗体も包含する。
【0205】
いくつかの態様では、本明細書に記載の1つまたは複数のバイオマーカー、例えば、免疫細胞バイオマーカーは、検出可能シグナルを間接的または直接的に生成することができる、例えば、標識に付着された、検出用の免疫コンジュゲートを使用して検出することができる。これらの免疫コンジュゲートを、研究または診断用途に使用することができる。いくつかの場合に、標識は、直接的または間接的のいずれかで、検出可能シグナルを発生可能である。例えば、標識は、放射線不透過性であっても、放射性同位体、例えば、3H、14C、32P、35S、123I、125I、131I;蛍光(フルオロフォア)もしくは化学発光(クロモフォア)化合物、例えば、フルオレセインイソチオシアナート、ローダミンもしくはルシフェリン;酵素、例えば、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼもしくはホースラディッシュペルオキシダーゼ;造影剤;または金属イオンであってもよい。いくつかの態様では、標識は、シンチグラフィー研究用の放射性原子、例えば、99Tcもしくは123I、または核磁気共鳴(NMR)画像法(核磁気共鳴画像法、MRIとしても公知)用のスピン標識、例えば、ジルコニウム-89、ヨウ素-123、ヨウ素-131、インジウム-111、フッ素-19、炭素-13、窒素-15、酸素-17、ガドリニウム、マンガンもしくは鉄である。ジルコニウム-89は、例えば、PET画像検査のために、様々な金属キレート剤に錯体化され、抗体にコンジュゲートされ得る(WO 2011/056983)。いくつかの場合に、標識は、本明細書に記載のいずれかなどのフタロシアニン色素である。
【0206】
いくつかの態様では、検出用の免疫コンジュゲートは、間接的に検出可能である。例えば、骨髄細胞の集団上に発現されるマーカーに対する抗体に特異的でありかつ検出可能標識を含有する二次抗体を、一次抗体を検出するために使用することができる。
【0207】
いくつかの態様では、バイオマーカーは、表面分子および/または免疫細胞を蓄積するかそれらによって産生され得る分子を含む、1つまたは複数の特異的分子の存在または非存在を評価することによって判定される。いくつかの態様では、バイオマーカーは、刺激に応答した因子(例えば、サイトカイン)の産生などの細胞活性を含み得る。ある特定の態様では、細胞組成物の評価が、細胞組成物のバイオマーカーを特定、検出または定量するために実施される。特定の態様では、細胞組成物の測定が、特異的分子の存在、非存在、発現またはレベルの程度を特定、検出または定量するために実施される。
【0208】
細胞の特異的分子を検出および/またはバイオマーカーを分析するために使用できる方法の例は、生化学的分析;免疫化学的分析;画像解析;細胞形態学的分析;PCR、シーケンシング、ハイスループットシーケンシング、DNAメチル化の決定などの分子分析;タンパク質グリコシル化および/またはリン酸化パターンの決定などのプロテオミクス解析;ゲノム解析;エピジェネティックまたはエピジェノミック解析(例えば、ChIP-seq);トランスクリプトーム解析(例えば、RNA-seq);ならびにそれらの任意の組み合わせを含むが、それらに限定されない。いくつかの態様では、例示的な検出方法は、転写解析、トランスクリプトーム解析、転写因子占有率アッセイ、RNAseq、タンパク質発現、プロテオーム解析、タンパク質修飾解析、機能活性アッセイ、フローサイトメトリーおよび/または細胞内サイトカイン染色(ICS)などを含むことができる。
【0209】
いくつかの局面では、バイオマーカーのいずれかの判定を、ハイスループット、自動および/または単一細胞ベースの方法によって評価することができる。いくつかの局面では、大規模法またはゲノムワイド法を、1つまたは複数の分子シグネチャを特定するために使用することができる。いくつかの局面では、大規模法またはゲノムワイド法を、療法のアウトカム、例えば、有効性および安全性、または薬物動態パラメーターに関連する、分子シグネチャを特定するために使用することができる。いくつかの局面では、1つまたは複数の分子シグネチャ、例えば、細胞中の特異的RNAまたはタンパク質の発現を判定することができる。いくつかの態様では、画像解析、PCR(標準PCRおよびそのすべての変法を含む)、単一分子計数、例えばマルチプレックス単一分子計数(例えば、nanoString nCounter(登録商標)技術)、マイクロアレイ(DNAマイクロアレイ、マイクロRNA用MMchips、タンパク質マイクロアレイ、細胞マイクロアレイ、抗体マイクロアレイおよび糖鎖アレイを含むが、それらに限定されない)、シーケンシング、バイオマーカー検出、またはDNメチル化もしくはタンパク質グリコシル化パターンを決定するための方法によって分析されるバイオマーカーの分子特徴。特定の態様では、特異的分子は、ポリペプチド、すなわちタンパク質である。いくつかの態様では、特異的分子は、ポリヌクレオチドである。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、mRNAである。
【0210】
いくつかの態様では、特異的分子の陽性または陰性発現は、細胞と、それぞれ陽性または陰性選択された細胞上に発現された1つまたは複数の表面マーカー(マーカー+)または比較的高いレベルで発現された1つまたは複数の表面マーカー(マーカーhigh)に特異的に結合する1つまたは複数の抗体または他の結合物質とをインキュベートすることによって判定される。特定の態様では、陽性または陰性発現は、フローサイトメトリー、免疫組織化学、または特異的マーカーを検出するための任意の他の好適な方法によって判定される。
【0211】
いくつかの態様では、バイオマーカーは、1つまたは複数の特異的分子、例えば、バイオマーカーの指標となるある特定の表面マーカー、例えば、表面タンパク質、バイオマーカーの指標となる細胞内マーカー、またはバイオマーカーの指標となるmRNAなどの核酸、またはバイオマーカーの指標となる他の分子もしくは因子の細胞中の存在、非存在または発現のレベルによって示される。いくつかの態様では、バイオマーカーは、特異的分子の1つまたは複数の陽性または陰性発現であるかそれを含む。いくつかの態様では、特異的分子は、表面マーカー、例えば、膜糖タンパク質もしくは受容体;アポトーシスもしくは生存能力に関連するマーカー;または、免疫細胞の状態を示す特異的分子、例えば、活性化、消耗に関連するマーカーまたは成熟もしくはナイーブバイオマーカーを含むが、それらに限定されない。いくつかの態様では、特異的分子に基づいて細胞を評価もしくは測定、計数および/または定量するための任意の公知の方法を、バイオマーカーの細胞の数を決定するために使用することができる。
【0212】
いくつかの態様では、バイオマーカーは、細胞中の1つまたは複数の特異的分子の陽性または陰性発現であるかそれを含む。いくつかの態様では、陽性発現は、細胞中の特異的分子の検出可能な量によって示される。ある特定の態様では、検出可能な量は、細胞中の特異的分子の任意の検出された量である。特定の態様では、検出可能な量は、細胞中のバックグラウンド(例えば、バックグラウンド染色、シグナルなど)を超える量である。ある特定の態様では、陽性発現は、閾値、例えば、所定の閾値を超える特異的分子の量である。同様に、特定の態様では、特異的分子の陰性発現を有する細胞は、陽性発現を有していると判定されなかった任意の細胞であり得るか、または検出可能な量の特異的分子もしくはバックグラウンドを上回る検出可能な量の特異的分子を欠いている細胞である。いくつかの態様では、特異的分子の量が閾値を下回るならば、細胞は、特異的分子の陰性発現を有する。当業者は、ルーチン技能として特異的分子の陽性および/または陰性発現を定義するためにどのように閾値を定義すればよいか、そして、閾値を、例えば、限定されないが、検出のアッセイまたは方法、特異的分子のアイデンティティー、検出に使用される試薬および計測器の特異的パラメーターに従って定義してよいこと理解しているだろう。
【0213】
いくつかの態様では、1つまたは複数のバイオマーカーの閾値は、1つまたは複数のバイオマーカーの発現のレベルによって決定される。いくつかの態様では、閾値は、処置されるべき対象の腫瘍または処置されるべき対象の非腫瘍組織中の1つまたは複数のバイオマーカーの発現に基づいて決定される。いくつかの態様では、閾値は、がんまたは腫瘍などの疾患または病態を有していない健常個体における1つまたは複数のバイオマーカーの発現に基づいて決定される。いくつかの態様では、閾値は、腫瘍などの処置されるべき疾患または病態を有する対象の集団における1つまたは複数のバイオマーカーの平均発現レベルに基づく。いくつかの態様では、同じバイオマーカーの閾値は、腫瘍のタイプまたは場所に依存するので、所与のバイオマーカーの閾値は異なるタイプの腫瘍で異なり得る。いくつかの態様では、バイオマーカーの閾値は、腫瘍組織でのみ、腫瘍周囲の組織でおよび/または腫瘍部位から離れた組織で決定される。
【0214】
いくつかの態様では、閾値は、算出された複合陽性スコア(CPS)または腫瘍割合スコア(TPS)に基づいて設定される。このような測定は、当業者にとってルーチン作業である。例示的なCPS値は、式100*(バイオマーカー+細胞の数/生存腫瘍細胞の総数)を使用して算出することができ、ここで、バイオマーカー+細胞は、バイオマーカー発現腫瘍細胞とバイオマーカー発現非腫瘍細胞(例えば、免疫細胞および任意の他の浸潤細胞)の合計である。閾値として使用されるべきCPS値は、評価されるべきバイオマーカーおよび腫瘍タイプに依存的であり、当業者が実験によって決定することができる。CPSスコアは、試料の全組織でまたは腫瘍領域でのみ算出することができる。
【0215】
いくつかの態様では、閾値は、全組織で測定され、90もしくはより小さい、80もしくはより小さい、70もしくはより小さい、60もしくはより小さい、50もしくはより小さい、40もしくはより小さい、30もしくはより小さい、20もしくはより小さい、または10もしくはより小さい、例えば、90、85、80、75、70、65、60、55、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、またはより小さいCPS値である。いくつかの態様では、閾値は、全組織で測定され、70もしくはより小さい、50もしくはより小さい、または40もしくはより小さいCPS値である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、90もしくはより小さい、80もしくはより小さい、70もしくはより小さい、60もしくはより小さい、50もしくはより小さい、40もしくはより小さい、30もしくはより小さい、20もしくはより小さい、または10もしくはより小さい、例えば、90、85、80、75、70、65、60、55、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、またはより小さいCPSスコア(全組織中)である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、80もしくはより小さい、70もしくはより小さい、60もしくはより小さい、50もしくはより小さい、または40もしくはより小さいCPSスコア(全組織中)である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、70もしくはより小さいCPSスコア(全組織中)である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、50もしくはより小さいCPSスコア(全組織中)である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、40もしくはより小さいCPSスコア(全組織中)である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、15~80、20~70、または40~70の範囲であるCPSスコア(全組織中)である。いくつかの態様では、PD-L1の閾値は、頭頚部がんの閾値である。PD-L1閾値は、腫瘍タイプに基づいて調整することができる。
【0216】
いくつかの態様では、閾値は、試料の腫瘍領域で測定され、80もしくはより小さい、75もしくはより小さい、70もしくはより小さい、60もしくはより小さい、50もしくはより小さい、40もしくはより小さい、30もしくはより小さい、20もしくはより小さい、または10もしくはより小さい、例えば、80、75、70、75、70、65、60、55、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、またはより小さいCPS値である。いくつかの態様では、閾値は、試料の腫瘍領域で測定され、CPS値は、70もしくはより小さい、50もしくはより小さい、または40もしくはより小さい。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、試料の腫瘍領域で算出された、80もしくはより小さい、75もしくはより小さい、70もしくはより小さい、65もしくはより小さい、60もしくはより小さい、55もしくはより小さい、50もしくはより小さい、55もしくはより小さい、40もしくはより小さい、35もしくはより小さい、30もしくはより小さい、25もしくはより小さい、20もしくはより小さい、15もしくはより小さい、または10もしくはより小さい、例えば、80、75、70、69、68、67、66、65、64、63、62、61、60、59、58、57、56、55、54、53、52、51、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、またはより小さいCPSである。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、70もしくはより小さい、50もしくはより小さい、または40もしくはより小さい、30もしくはより小さいまたは20もしくはより小さいCPSスコア(試料の腫瘍領域中)である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、70もしくはより小さいCPSスコア(試料の腫瘍領域中)である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、50もしくはより小さいCPSスコア(試料の腫瘍領域中)である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、40もしくはより小さいCPSスコア(試料の腫瘍領域中)である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、15~80、20~70、または40~70の範囲であるCPSスコア(試料の腫瘍領域中)である。いくつかの態様では、PD-L1の閾値は、頭頚部がんの閾値である。PD-L1閾値は、腫瘍タイプに基づいて調整することができる。
【0217】
例示的なTPS値は、式100*(バイオマーカー+生存腫瘍細胞の数/生存腫瘍細胞の数)を使用して算出することができる。閾値として使用されるべきTPS値は、評価されるべきバイオマーカーおよび腫瘍タイプに依存的であり、当業者が実験によって決定することができる。いくつかの態様では、TPSは、60もしくはより小さい、50もしくはより小さい、40もしくはより小さい、30もしくはより小さい、20もしくはより小さい、または10もしくはより小さい、例えば、60、55、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、またはより小さい。いくつかの態様では、閾値として使用されるべきTPS値は、50もしくはより小さい、30もしくはより小さい、または25もしくはより小さい。いくつかの態様では、閾値は、50もしくはより小さいTPS値である。いくつかの態様では、閾値は、30もしくはより小さいTPS値である。いくつかの態様では、閾値は、25もしくはより小さいTPS値である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、60もしくはより小さい、50もしくはより小さい、40もしくはより小さい、30もしくはより小さい、20もしくはより小さい、または10もしくはより小さい、例えば、60、55、50、49、48、47、46、45、44、43、42、41、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、またはより小さいCPSである。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、50もしくはより小さい、40もしくはより小さい、30もしくはより小さいまたは20もしくはより小さいTPSスコア(試料の腫瘍領域中)である。いくつかの態様では、PD-L1バイオマーカーの閾値として使用されるべきTPS値は、50もしくはより小さい、30もしくはより小さい、または25もしくはより小さい。いくつかの態様では、PD-L1バイオマーカーの閾値は、50もしくはより小さいTPS値である。いくつかの態様では、閾値は、30もしくはより小さいTPS値である。いくつかの態様では、閾値は、25もしくはより小さいTPS値である。いくつかの態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、10~60、15~50、または20~50または25~30の範囲であるCPSスコア(試料の腫瘍領域中)である。いくつかの態様では、PD-L1の閾値は、頭頚部がんの閾値である。PD-L1閾値は、腫瘍タイプに基づいて調整することができる。
【0218】
いくつかの態様では、閾値は、決定されたバイオマーカー+細胞(例えば、特定のバイオマーカーを発現する細胞、バイオマーカー陽性細胞、または特定のバイオマーカーについて染色陽性である細胞)の密度、例えば、単位面積当たりのバイオマーカー+細胞(バイオマーカー+腫瘍および非腫瘍細胞を含む)の数(例えば、バイオマーカー+細胞の数/mm2)である。いくつかの態様では、閾値は、決定されたバイオマーカー+腫瘍細胞の密度、例えば、単位面積当たりのバイオマーカー+生存腫瘍細胞の数(例えば、バイオマーカー+腫瘍細胞の数/mm2)として設定される。バイオマーカー+細胞の密度またはバイオマーカー+腫瘍細胞の密度の閾値は、バイオマーカーおよび腫瘍タイプに依存し、当業者が実験によって決定することができる。このような閾値は、試料の全組織でまたは腫瘍領域でのみ算出することができる。
【0219】
いくつかの例では、閾値は、[バイオマーカー+細胞の総数/mm2全組織]であり、3000個未満のバイオマーカー+細胞/mm2、例えば、2500個未満のバイオマーカー+細胞/mm2、2250個のバイオマーカー+細胞/mm2、2,000個のバイオマーカー+細胞/mm2、1750個のバイオマーカー+細胞/mm2、1500個のバイオマーカー+細胞/mm2、1250個のバイオマーカー+細胞/mm2、または1000個のバイオマーカー+細胞/mm2全組織である。特定の態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、PD-L1+細胞の総数/mm2全組織である。いくつかの態様では、閾値は、[バイオマーカー+腫瘍細胞の数/mm2全組織]であり、1750個未満のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2、1600個未満のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2、1500個未満のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2、1400個のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2、1300個のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2、1200個のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2、1100個のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2、1000個のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2、500個のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2全組織である。特定の態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、PD-L1+細胞の総数/mm2全組織である。いくつかの態様では、腫瘍細胞は、PanCK発現腫瘍細胞である。特定の態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、PD-L1+ PanCK+腫瘍細胞の総数/mm2全組織である。
【0220】
いくつかの態様では、閾値は、[バイオマーカー+細胞の総数/mm2腫瘍領域]であり、3000個未満のバイオマーカー+細胞/mm2、例えば、2500個未満のバイオマーカー+細胞/mm2、2250個のバイオマーカー+細胞/mm2、2,000個のバイオマーカー+細胞/mm2、1750個のバイオマーカー+細胞/mm2、1500個のバイオマーカー+細胞/mm2、1250個のバイオマーカー+細胞/mm2、または1000個のバイオマーカー+細胞/mm2腫瘍領域である。いくつかの態様では、閾値は、[バイオマーカー+腫瘍細胞の数/mm2腫瘍組織]であり、1750個未満のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2、1500個未満のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2、1400個のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2、1300個のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2、1200個のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2、1100個のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2、1000個のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2、500個のバイオマーカー+腫瘍細胞/mm2腫瘍領域である。いくつかの態様では、腫瘍細胞は、PanCK発現腫瘍細胞である。特定の態様では、バイオマーカーは、PD-L1であり、閾値は、PD-L1+PanCK+腫瘍細胞の総数/mm2腫瘍領域である。
【0221】
いくつかの態様では、本明細書に提供される炎症マーカーを検出可能なまたはそれに特異的な抗体が、様々な公知のアッセイによって、その物理/化学的性質および/または生物学的活性について特定、スクリーニングまたは特性評価されてもよい。一局面では、抗体は、例えば、イムノアッセイ、ELISA、ウエスタンブロッティングおよび/またはフローサイトメトリーアッセイ(細胞ベースの結合アッセイを含む)などの公知の方法によって、その抗原結合活性について試験される。
【0222】
いくつかの態様では、バイオマーカー(1つまたは複数)のレベル、存在、量または濃度は、組織化学(HC)、免疫組織化学(IHC)または免疫蛍光(IF)を使用してアッセイされる。いくつかの局面では、HC、IHCまたはIF染色法を行い、抗体(例えば、モノクローナルまたはポリクローナル抗体)などのバイオマーカーに結合する試薬(1つまたは複数)を使用して酵素反応に基づき1つまたは複数のバイオマーカーを検出することができる。いくつかの場合に、IHCは、2、3、4、5、6、7、8、9または10個またはそれ以上のバイオマーカーが評価されるマルチプレックスIHCである。いくつかの場合に、IFは、2、3、4、5、6、7、8、9または10個またはそれ以上のバイオマーカーが評価されるマルチプレックスIFである。
【0223】
特定の態様では、特異的分子の発現は、フローサイトメトリーで評価される。フローサイトメトリーは、細胞を流体の流れに懸濁させて電子検出装置を通過させることによる、細胞計数、細胞選別、バイオマーカー検出およびタンパク質工学において用いられるレーザーまたはインピーダンスに基づいた生物物理学技術である。これは、毎秒最大数千個の粒子の物理化学特性の同時のマルチパラメトリック解析を可能にする。
【0224】
フローサイトメーターによって生成されたデータは、ヒストグラムを作成するために一次元で、または二次元のドットプロットで、さらには三次元でプロットすることができる。これらのプロット上の領域を、「ゲート」と称される一連のサブセット抽出物を創出することによって蛍光強度に基づき逐次的に分離することができる。とりわけ免疫学との関連で、診断および臨床目的に特定のゲーティングプロトコルが存在する。プロットは対数スケールで作られることが多い。異なる蛍光色素の発光スペクトルが重複するので、検出器におけるシグナルは、電子的にも計算的にも補正されなければならない。フローサイトメーターを使用して蓄積されたデータは、ソフトウェア、例えば、JMP(統計ソフトウェア)、WinMDI、Flowing Software、およびウェブベースのCytobank)、Cellcion、FCS Express、FlowJo、FACSDiva、CytoPaint(aka Paint-A-Gate)、VenturiOne、CellQuest Pro、InfinicytまたはCytospecを使用して解析することができる。
【0225】
フローサイトメトリーは、当技術分野における標準的な技法であり、当業者は、1つまたは複数の特異的分子を検出するために、かつ、データを解析して細胞の集団中の1つまたは複数の特異的分子の発現を判定するために、どのようにプロトコルを設計またはテーラーメイドすればよいかを容易に理解しているだろう。フローサイトメトリーのための標準的なプロトコルおよび技法は、Lloyd "Flow Cytometry in Microbiology; Practical Flow Cytometry by Howard M. Shapiro; Flow Cytometry for Biotechnology by Larry A. Sklar, Handbook of Flow Cytometry Methods by J. Paul Robinson, et al., Current Protocols in Cytometry, Wiley-Liss Pub, Flow Cytometry in Clinical Diagnosis, v4, (Carey, McCoy, and Keren, eds), ASCP Press, 2007, Ormerod, M.G. (ed.) (2000) Flow Cytometry-A practical approach. 3rd edition. Oxford University Press, Oxford, UK, Ormerod, M.G. (1999) Flow Cytometry. 2nd edition. BIOS Scientific Publishers, Oxford.、および Flow Cytometry-A basic introduction. Michael G. Ormerod, 2008に見いだされる。
【0226】
いくつかの態様では、細胞は、さらなる分析のためにバイオマーカーによって選別される。いくつかの態様では、同じ細胞組成物内の異なるバイオマーカーの細胞は、蛍光活性化細胞選別(FACS)によって選別される。FACSは、不均質な細胞混合物を、各細胞の特異的な光散乱特性および蛍光特性に基づいて、1個の細胞を一度に、2つ以上の容器に選別することを可能にする、特殊な形態のフローサイトメトリーである。これは、個々の細胞からの蛍光シグナルの高速で客観的かつ定量的な記録ならびに特定の関心対象の細胞の物理的分離を提供するので、有用な科学機器である。
【0227】
いくつかの態様では、本明細書における方法において使用するためのHC、IHCまたはIFアッセイは、関心対象の様々なバイオマーカーを検出するための結合パートナーである試薬を使用するものを含む。試薬は、標識されていても標識されていなくてもよい。典型的には、アッセイする工程は、定性的または定量的分析のためにマーカーの存在をヒト眼または自動走査システムなどのデジタルシステムで視認できるようにする検出システムを含む。直接的IHCまたはIFアッセイでは、結合は、結合パートナー(例えば、第1の抗体)が組織またはバイオマーカーに結合したときに標識試薬の使用によって直接判定される。間接的IHCまたはIFアッセイでは、標識されていないので、第1の結合パートナーの結合を検出するために、二次抗体または二次結合パートナーが必要である。このような方法では、一般に、スライドに載せられた組織試料(例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織切片)が標識試薬で染色される。
【0228】
いくつかの態様では、試薬は、標識された結合パートナーまたは抗体を介して検出される低分子、例えば、ビオチンにコンジュゲートされる。いくつかの例では、試薬は、検出可能部分、例えば、蛍光(フルオロフォア)もしくは化学発光(クロモフォア)化合物または蛍光、化学発光もしくは生物発光タンパク質もしくは酵素にコンジュゲートされるか連結される。例示的な検出可能部分は、フルオレセインイソチオシアナート(FITC)、フィコエリスリン、ペリジニン、クロロフィルタンパク質またはルシフェリンを含むことができる。いくつかの態様では、試薬は、フルオロフォアにコンジュゲートされるか連結される。例示的なフルオロフォアは、ヒドロキシクマリン、Cascade Blue、DyLight 405、Pacific Orange、Alexa Fluor 430、フルオレセイン、Oregon Green、Alexa Fluor 488、BODIPY 493、2.7-ジオクロロフルオレセイン、ATTO 488、Chromeo 488、DyLight 488、HiLyte 488、Alexa Fluor 555、ATTO 550、BODIPY TMR-X、CF 555、Chromeo 546、Cy3、BV421、BV510、BV605、BV650、BV711、BV786などのBrilliant Violet色素、BUV395、BUV496、BUV661、BUV737、BUV805などのBrilliant ultra violet色素、Brilliant Blue 515(BB515)、TMR、TRITC、Dy547、Dy548、Dy549、HiLyte 555、DyLight 550、BODIPY 564、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、ローダミン、ローダミン6G、Texas Red、Red610、Alexa Fluor 610、Alexa Fluor 633、DyLight 633、Alexa Fluor 647、APC、ATTO 655、CF633、CF640R、Chromeo642、Cy5、DyLight 650、Alexa Fluor 680、Alexa Fluor 700、Cy 5.5、ICG、Alexa Fluor 750、DyLight 755、Cy7、Cy7.5、Alexa Fluor 790、DyLight 800、Qdot(登録商標)525、Qdot(登録商標)565、Qdot(登録商標)605、Qdot(登録商標)655、Qdot(登録商標)705、Qdot(登録商標)800、クマリン、DCCおよびFAM(カルボキシフルオレセイン)を含む。
【0229】
他の例では、試薬は、直接検出を可能にする検出可能タンパク質にコンジュゲートされる、例えば、蛍光タンパク質、生物発光タンパク質または酵素にコンジュゲートされる。関心対象のタンパク質を検出するための例示的な酵素染色法は、ペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼなどの異なる酵素または異なるクロモゲンを使用して可視化できる酵素的相互作用を含む。酵素標識の追加の例は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、およびβ-ガラクトシダーゼを含む。ホースラディッシュペルオキシダーゼの発色基質は、ABTS(2,2'-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸))、OPD(o-フェニレンジアミン二塩酸塩)、TMB(テトラメチルベンジジン)、4CN(4-クロロ-1-ナフトール)、DAB(3,3'-ジアミノベンジジン)、およびAEC(3-アミノ-9-エチルカルバゾール)を含む。アルカリホスファターゼの発色基質は、一緒に使用されることが多いBCIP(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-ホスファート)およびNBT(ニトロブルーテトラゾリウムクロリド)を含む。グルコースオキシダーゼの発色基質は、NBTを含む。β-ガラクトシダーゼの発色基質は、X-Gal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド)を含み、単独で使用されても組み合わせて使用されてもよい。他の例では、試薬は、標識された結合パートナーまたは抗体を介して検出できるペプチドまたはタンパク質にコンジュゲートされる。いくつかの特定の態様では、該方法は、切片をバイオマーカー特異的試薬と接触させる工程、切片を標識抗体(酵素標識にコンジュゲートされた)と接触させる工程、および切片を酵素標識の発色基質と接触させる工程を含む。
【0230】
いくつかの態様では、バイオマーカーは、バイオマーカーを認識する標識された抗体などの標識された二次試薬によって検出できる試薬を使用して検出される。いくつかの局面では、試薬は、バイオマーカー、例えば、免疫細胞バイオマーカーに特異的に結合する結合試薬である。いくつかの場合に、結合試薬は、抗体もしくはその抗原結合断片、アプタマーまたは核酸プローブである。バイオマーカーに結合する抗体を、検出のために標識することができ、または第1の抗体に結合する二次抗体で検出することができる。
【0231】
いくつかの態様では、1つまたは複数のバイオマーカーを検出するために使用すべく、HC、IHCまたはHF、例えば、マルチプレックスIHCまたはマルチプレックスIFを実施してもよい。例えば、該方法は、1つの試料(例えば、1つの切片)に対して連続的な免疫組織化学(IHC)または免疫蛍光(IF)を実施する工程を含む。例えば、Parra et al., Sci Rep. (2017) 7(1): 13380; Tsujikawa et al., Cell Rep. (2017) 19(1): 203-217; Blom et al., Sci Rep. (2017) 7(1): 15580を参照されたい。いくつかの例では、バイオマーカーを評価するための方法は、市販の試薬を使用してまたはマルチプレックスIHCまたはマルチプレックスIFのための市販のシステムに適合する試薬を使用して実施される。いくつかの態様では、市販のシステムは、バイオマーカーを評価するための試薬を含む。例えば、Bio-Plex(Bio-Rad Laboratories, Inc.)、Meso Scale Discoveryマルチプレックスアッセイキット、Multi-Analyte Profiling(MAP)(Myriad RBM)、DISCOVERY 5プレックスシステム(Ventana Medical Systems, Inc.)またはOpal Multiplex Immunohistochemistry(PerkinElmer)を参照されたい。
【0232】
画像を定量的にまたは半定量的に解析して、試料の染色強度に基づきスコア化することができる。定量的もしくは半定量的組織化学、免疫組織化学または免疫蛍光は、指定されたバイオマーカーの存在、レベル、量または濃度を特定および定量するために組織化学、免疫組織化学または免疫蛍光を受けている試料を走査およびスコア化する方法のことを指す。定量的または半定量的方法は、染色密度もしくは染色の量を検出するための画像処理ソフトウェア、または熟練技術者が結果を数字としてランク付けするヒト眼によって染色を検出する方法を用いることができる。例えば、画像は、画素数アルゴリズムおよび染色の程度を測定するか定量または半定量する他の方法を使用して、定量的に解析することができる;例えば、米国特許第7,219,016号;公開米国特許出願第US20100136549号および第20110111435号を参照されたい。
【0233】
いくつかの態様では、バイオマーカー陽性細胞の数は、例えば、フローサイトメトリーによってまたは定量される画像の評価面積中の細胞の総面積もしくは総数に基づいて、評価および定量される。試料採取された面積もしくは体積または単位面積もしくは体積中の1つまたは複数のバイオマーカーに陽性の細胞の百分率または比率を決定するために、様々な定量を使用することができる。
【0234】
III. 光免疫療法および併用療法
いくつかの態様では、提供される方法は、光免疫療法(PIT)という状況下における1つまたは複数のバイオマーカーを評価する工程を伴う。いくつかの局面では、提供される方法において用いられるようなPITは、フタロシアニン色素などの光増感剤と標的細胞、例えば、腫瘍細胞の表面上の分子を特異的に標的指向する抗体またはその抗原結合断片などのターゲティング分子とを含むコンジュゲートを投与する工程を伴う。いくつかの局面では、提供される方法は、PITを単独療法としておよび/または併用療法の一部として用いる治療用途において1つまたは複数のバイオマーカーを評価する工程を含む。セクションIに記載のとおり、PITの1つまたは複数の局面を伴う処置の方法、ならびに処置をガイドするためのおよび/または対象を特定および選択するための1つまたは複数のバイオマーカーの使用が提供される。いくつかの局面では、PITおよび1つまたは複数のバイオマーカーの評価を伴う、腫瘍などの対象における疾患または病態の病変を処置する方法が提供される。いくつかの態様では、該方法は、PITの1つまたは複数の工程を伴う。
【0235】
いくつかの局面では、提供される方法は、PITを伴う腫瘍の処置という状況下における1つまたは複数のバイオマーカーの測定および評価を伴う。いくつかの局面では、1つまたは複数のバイオマーカーの評価は、PITおよび/または併用療法の1つまたは複数の工程の前、その間および/またはその後に実施することができる。いくつかの態様では、このような評価は、本明細書に、例えば、セクションIおよびIIに記載の方法に従って、処置のアウトカムをモニタリングし、かつ、特定の対象のための追加の治療剤の用量、タイミング、処置レジメンおよび/または投与などの治療レジメンを特定、テーラーメイドまたは変更するために使用することができる。いくつかの局面では、提供される方法は、処置のためのある特定の対象を選択するために適用することができる。いくつかの態様では、該方法を、光免疫療法前、光免疫療法の初期投与後、および光免疫療法との併用において使用するための追加の治療剤、例えば、免疫調節剤または他の治療剤を選択する前に対象を特定または選択するために、本明細書に記載のバイオマーカーの1つまたは複数を使用することによって対象を選択するために適用することができる。いくつかの局面では、PITのためのおよび/または1つもしくは複数の治療剤の投与(例えば、併用療法)のための対象は、本明細書に記載の方法のいずれかに従って、1つまたは複数のバイオマーカーの発現のレベルに基づき選択することができる。単独療法としてのおよび/または併用療法の一部としてのPITを実行するための例示的な具体的工程ならびに試薬は、本明細書に、例えば、このセクションに記載される。いくつかの態様では、PITを実行するある特定の局面を、本明細書に、例えば、セクションIおよびIIに記載の方法に従って、1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づき実施、変更またはテーラーメイドしてもよい。
【0236】
いくつかの局面では、提供される方法および使用は、多種多様な治療、診断および予防用途および適応において有用である、PIT、例えば、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートの投与および光照射を伴うPITを伴う。例えば、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートは、腫瘍などの対象における多種多様な疾患および障害を処置する際に有用である。このような方法および使用は、治療的方法および使用、例えば、腫瘍またはがんなどの疾患、病態または障害を有する対象へのターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートまたは前記コンジュゲートを含有する組成物の投与を伴う、治療的方法および使用を含む。
【0237】
いくつかの局面では、該方法はまた、PITとの関連での1つまたは複数のバイオマーカーの評価、ならびに評価に基づいて治療レジメンを実施、変更および/またはテーラーメイドする工程を含む。いくつかの態様では、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートは、腫瘍などの疾患または障害の処置に効果のある有効量で投与され、光処置、例えば、照射または照明に供される。いくつかの局面では、該方法は、本明細書に提供される、例えば、セクションIに記載のとおりの方法に従って、1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づき、併用療法、例えば、PITに加えて追加の治療剤を投与する工程を含む。使用は、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートの、併用療法を含むこのような方法および処置における、ならびに併用療法を含むこのような治療的方法を行うための医薬の調製における使用を含む。いくつかの態様では、該方法は、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートまたは前記コンジュゲートを含む組成物を、腫瘍などの疾患または病態を有するかそれを有する疑いがある対象に投与することによって行われる。いくつかの局面では、該方法または使用は、本明細書に提供される方法に従って、1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づき実行または変更される。いくつかの態様では、該方法を、腫瘍またはがんを処置するために使用することができ、それに従って、投与されたフタロシアニン-色素ターゲティング分子コンジュゲート(IR700-ターゲティング分子コンジュゲート、例えば、IR700-抗体コンジュゲート)が腫瘍に関連する細胞に標的指向され、それにより、このような細胞の光分解をもたらし、いくつかの場合に、腫瘍の処置をもたらす。いくつかの態様では、該方法は、それによって、対象における疾患または病態または障害を処置する。
【0238】
いくつかの態様では、PITに関して、NIR光などの吸収光を照射することによるフタロシアニン色素を含有するコンジュゲートの活性化は、光増感剤を励起して細胞殺傷をもたらし、それによって、病変(例えば、腫瘍)を低減または排除して、疾患または病態を処置する。いくつかの場合に、NIR範囲の光の使用は、より深い組織透過を導き、結果として、単回線量の外部NIR光照射だけで腫瘍の根絶を成功させる。
【0239】
一般に、標的指向された光毒性は、特異的ターゲティング分子(例えば、抗体などの巨大分子)を介した色素コンジュゲートの細胞膜への結合に主に依存しているようである。例えば、例示的な抗体-IR700分子を使用した研究は、活性であるためにコンジュゲートが細胞膜に結合しなければならないこと、そして、効果的であるために細胞殺傷が細胞内局在化を必要としないことを示している(例えば、米国特許第8,524,239号および米国公開特許出願第US20140120119号を参照のこと)。コンジュゲートが結合した細胞の光活性化は、急速な細胞死および壊死をもたらす。
【0240】
典型的には、PITは、IR700-抗体コンジュゲートなどのフタロシアニン-色素コンジュゲートが結合している細胞にNIRを照射した後、主にこれらの細胞の細胞死をもたらす一方で、ターゲティング分子(例えば、抗体)によって認識される細胞表面タンパク質を発現しない細胞は、わずかな数しか殺傷されない。したがって、この療法は、腫瘍中の細胞などの疾患細胞に特異的に標的指向されるので、その効果は、健常な組織または細胞と比べて疾患組織に高選択的である。例えば、標的指向された光増感剤は体全体に分布することができるが、光増感剤は強い光が適用される場合にのみ活性であり、オフターゲット効果の可能性を低減させる。これは、光増感剤(例えば、IR700)にコンジュゲートされていない類似の治療用ターゲティング分子(例えば、治療用抗体)の活性が局在化されず、それによってオフターゲット副作用の重大なリスクがもたらされ得る、非PITベースの方法と大きくと異なる。いくつかの態様では、光毒性剤は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートである。いくつかの態様では、フタロシアニン色素は、IR700である。
【0241】
いくつかの態様において、方法は、一般に殺傷のために標的とされる細胞がコンジュゲートと接触させられる条件下での、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、IR-700抗体コンジュゲート)の対象への投与を含む。いくつかの態様において、本方法は、コンジュゲートのターゲティング分子(例えば、抗体)部分の、腫瘍またはがんと関連する細胞表面タンパク質への結合をもたらす。コンジュゲートと接触した後またはコンジュゲートを投与した後、標的とされる細胞、例えば、腫瘍と関連する細胞(1つまたは複数)を含む対象の局所域は、色素によって吸収される光、一般にNIR光に曝露または照射され、それによってコンジュゲートが活性化されて特異的細胞殺傷が達成される。
【0242】
A. 処置される腫瘍および対象
いくつかの態様において、本明細書に提供される方法および使用に従って処置される疾患または障害の病変は、腫瘍である。いくつかの態様において、腫瘍は、がんである。いくつかの態様において、がんは、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、肺、または血液のがんである。いくつかの態様において、がんは、異常なまたは無制御な細胞成長によって特徴付けられる悪性腫瘍を含み得る。がんと関連し得る他の特徴は、転移、隣接細胞の正常な機能の妨害、サイトカインまたは他の分泌生成物の異常なレベルでの放出および炎症性または免疫学的応答の抑制または悪化、リンパ節のような周囲または遠隔の組織または臓器の侵入などを含む。転移性疾患は、元々の腫瘍部位から離れ、例えば血流またはリンパ系を介して、身体の他の部位へ移動したがん細胞のことを指し得る。いくつかの態様において、開示の方法によって標的とされる細胞は、がん細胞または免疫細胞である。いくつかの態様において、がん細胞は、がん幹細胞である。いくつかの態様において、開示の方法によって標的とされる細胞は、がん細胞、腫瘍細胞、炎症性細胞、免疫細胞、神経細胞、幹細胞、増殖性細胞、または過形成状態の細胞である細胞である。
【0243】
標的細胞は、腫瘍またはがん細胞のような望ましくない細胞またはその成長が望ましくない細胞でありうる。いくつかの態様において、細胞は、培養下で成長できるか、または処置される哺乳動物、例えばがんを有する対象中に存在することができる。任意の標的細胞は、特許請求される方法で処置することができる。いくつかの態様において、標的細胞は、他の正常細胞の表面に実質的に見いだされない細胞表面タンパク質を発現する。いくつかの態様において、このようなタンパク質に特異的に結合する抗体を選択することができ、フタロシアニン色素-抗体コンジュゲートがそのタンパク質に対して生成され得る。いくつかの態様において、細胞表面タンパク質は、腫瘍特異的タンパク質である。
【0244】
いくつかの態様において、細胞は、固形腫瘍細胞、例えば、肉腫または癌腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、および他の肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、肝細胞癌、肺癌、結腸直腸癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、例えば膵臓、結腸、卵巣、肺、乳房、胃、前立腺、子宮頸部、または食道の腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝細胞癌、胆管癌、絨毛癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣腫瘍、膀胱癌、CNS腫瘍、例えば神経膠腫、星状細胞腫、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫ならびに網膜芽細胞腫である。いくつかの態様において、がんは、頭頸部の扁平上皮癌である。
【0245】
特許請求される方法で処置することができる例示的な腫瘍、例えばがんは、固形腫瘍、例えば、乳房癌腫、例えば小葉および腺管癌、肉腫、肺の癌腫、例えば非小細胞癌、大細胞癌、扁平上皮癌、および腺癌、肺の中皮腫、結腸直腸腺癌、胃癌、前立腺腺癌、卵巣癌、例えば漿液性嚢胞腺癌および粘液性嚢胞腺癌、卵巣胚細胞腫瘍、精巣癌および胚細胞腫瘍、膵臓腺癌、胆管腺癌、肝細胞癌、膀胱癌(例えば、移行上皮癌、腺癌、および扁平上皮癌を含む)、腎細胞腺癌、子宮内膜癌(例えば、腺癌および混合ミュラー管腫瘍(癌肉腫)を含む)、子宮頸内膜、子宮頸膣部、および膣の癌腫、例えばその各々の腺癌および扁平上皮癌、皮膚の腫瘍、例えば扁平上皮癌、基底細胞癌、悪性黒色腫、皮膚付属器(appendage)腫瘍、カポジ肉腫、皮膚リンパ腫、皮膚付属器(adnexal)腫瘍ならびに種々のタイプの肉腫およびメルケル細胞癌、食道癌、鼻咽頭および中咽頭の癌腫(その扁平上皮癌および腺癌を含む)、唾液腺癌、脳および中枢神経系の腫瘍(例えば、膠細胞、神経細胞、および髄膜起源の腫瘍を含む)、末梢神経の腫瘍、軟組織肉腫ならびに骨および軟骨の肉腫、ならびにリンパ系腫瘍(B細胞およびT細胞悪性リンパ腫を含む)を含む。いくつかの態様において、腫瘍は、腺癌である。
【0246】
いくつかの態様において、コンジュゲートは、病変の表面にまたは病変の微小環境中に存在する細胞の表面に発現されるタンパク質へ標的指向される。例えば、いくつかの態様において、コンジュゲートは、腫瘍中の細胞の表面にまたは腫瘍の微小環境中の細胞の表面に発現されるタンパク質へ標的指向される。例示的なこのような細胞表面タンパク質は、上記のものを含む本明細書に記載のとおりのいずれかである。
【0247】
いくつかの態様において、標的とされる標的細胞の細胞表面上のタンパク質は、他の細胞上に有意な量で存在しない。例えば、細胞表面タンパク質は、標的細胞タイプ上にのみ見いだされる受容体でありうる。
【0248】
いくつかの態様において、腫瘍中に発現されるタンパク質、例えば、腫瘍特異的タンパク質は、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、癌抗原125(CA 125)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ルイスY、TAG72、血管内皮成長因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(例えばGD2、GD3、GM1およびGM2)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、SK-1抗原またはPD-L1でありうる。いくつかの態様において、腫瘍特異性タンパク質は、PD-L1、HER1/EGFR、HER2、CD20、CD25、CD33、CD52、前立腺特異性膜抗原(PSMA)、EpCAM、EphA2、CD206、CD44、CD133、メソテリン、グリピカン-3、または癌胎児性抗原(CEA)である。他の細胞表面タンパク質は、上記したとおりのいずれかを含む。
【0249】
いくつかの態様において、細胞表面タンパク質は腫瘍に関連する、例えば、腫瘍特異的タンパク質または腫瘍特異的抗原、例えばEGF受容体ファミリーのメンバー(例えば、HER1、2、3、および4)およびサイトカイン受容体のメンバー(例えば、CD20、CD25、IL-13R、CD5、CD52など)である。いくつかの態様において、腫瘍特異的タンパク質は、正常細胞のような他の細胞と比較して、がん細胞に固有であるかまたはがん細胞上で非常に豊富なタンパク質である。例えば、HER2は、一般に乳癌において見いだされるが、一方、HER1は、典型的には腺癌において見いだされ、これは、膵臓、乳房、前立腺および結腸のような多くの臓器に見いだすことができる。
【0250】
標的細胞上に見いだすことができる例示的な腫瘍関連タンパク質であって、ターゲティング分子、例えばそのタンパク質に特異的な抗体または抗体断片を使用してフタロシアニン色素-抗体コンジュゲートを製剤化することができる例示的な腫瘍関連タンパク質は、非限定的に、以下を含む:MAGE1、MAGE2、MAGE3、およびMAGE4を含む種々のMAGE(黒色腫関連抗原E)のいずれか、種々のチロシナーゼのいずれか、突然変異体Ras、突然変異体p53、p97黒色腫抗原、乳房腫瘍と関連し得るヒト乳脂肪球(HMFG)、BAGE1およびBAGE2を含む種々のBAGE(ヒトB黒色腫関連抗原E)のいずれか、GAGE1、GAGE2-6を含む種々の GAGE(G抗原)のいずれか、種々のガングリオシド、ならびにCD25。
【0251】
他の腫瘍関連タンパク質は、子宮頸癌と関連するHPV16/18およびE6/E7抗原、乳房癌腫と関連し得るムチン(MUC 1)-KLH抗原、結腸直腸癌と関連し得るCEA(癌胎児性抗原)、例えば黒色腫と関連し得るgp100、黒色腫と関連し得るMARTI抗原、卵巣および他のがんと関連し得る癌抗原125(CA125、ムチン16またはMUC16としても知られている)、肝臓癌と関連し得るアルファ-フェトプロテイン(AFP)、結腸直腸癌、胆管癌、乳癌、肺小細胞癌、および他のがんと関連し得るルイスY抗原、腺癌と関連し得る腫瘍関連糖タンパク質72(TAG72)、ならびに前立腺癌と関連し得るPSA抗原を含む。
【0252】
他の例示的な腫瘍関連タンパク質は、非限定的に、前立腺癌と同様に固形腫瘍血管新生と関連し得るPMSA(前立腺膜特異性抗原)、乳癌、卵巣癌、胃癌および子宮癌と関連し得るHER-2(ヒト上皮細胞成長因子受容体2)、肺癌、肛門癌、および膠芽腫ならびに腺癌と関連し得るHER-1、黒色腫、肉腫、精巣癌、および他のがんと関連し得るNY-ESO-1、hTERT(テロメラーゼとしても知られる)、プロテイナーゼ3、ならびにウィルムス腫瘍1(WT-1)をさらに含む。
【0253】
いくつかの態様において、腫瘍関連タンパク質は、CD52でありかつ慢性リンパ性白血病と関連し得るか、CD33でありかつ急性骨髄性白血病と関連し得るか、またはCD20でありかつ非ホジキンリンパ腫と関連し得る。
【0254】
したがって、開示の方法を使用して、腫瘍特異的タンパク質を発現する任意のがんを処置することができる。いくつかの態様において、PITで使用されるコンジュゲートのターゲティング分子は、抗体、抗原結合断片、タンパク質、糖タンパク質、ペプチド ポリペプチド、ウイルス、ウイルスカプシド、またはウイルス粒子である。いくつかの態様において、ターゲティング分子は、抗体または抗原結合断片である。
【0255】
いくつかの態様において、対象は、ヒトまたはヒト以外の哺乳動物である。いくつかの態様において、対象は、ヒトまたは動物対象、例えばマウスである。いくつかの態様において、対象は、がんを有するかまたはがんが処置されている哺乳動物、例えばヒトである。いくつかの態様において 開示の方法を使用して、腫瘍、例えば本明細書に記載される腫瘍を有する対象を処置する。いくつかの態様において、腫瘍は、以前に処置され、例えば外科的にまたは化学的に除去されており、開示の方法をその後に使用して、対象内に残留し得る任意の残留している望ましくない腫瘍細胞を殺傷する。
【0256】
開示の方法を使用して、腫瘍、例えばがんを有するか、またはがんが以前に除去もしくは処置された、任意の哺乳動物対象、例えばヒトを処置することができる。本開示の治療を必要とする対象は、がんを有するヒト対象であって、がん細胞がフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートに特異的に結合することができる細胞表面上に腫瘍特異的タンパク質を発現する、ヒト対象を含みうる。例えば、開示の方法を、単独、または放射線もしくは他の化学療法との組み合わせのいずれかで、がんの初期処置として使用することができる。また、開示の方法を、以前の放射線または化学療法が失敗した患者に使用することができる。したがって、いくつかの態様において、対象は、他の治療を受けている対象であるが、その他の治療が所望の治療応答を提供していない対象である。また、開示の方法を、限局性および/または転移性のがんを有する患者に使用することができる。
【0257】
いくつかの態様において、方法は、本開示の治療から恩恵を受ける対象を選択する工程、例えば、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートに特異的に結合することができる細胞表面タンパク質、例えば腫瘍特異的タンパク質を発現する腫瘍を有する対象を選択する工程を含む。例えば、対象がHER1を発現する乳癌を有すると決定された場合、セツキシマブ-IR700のような抗HER1-IR700分子で処置される対象が選択され得る。本明細書における方法を、光免疫療法前、光免疫療法の初期投与後、および光免疫療法との併用において使用するための追加の治療剤、例えば、免疫調節剤または他の治療剤を選択する前に対象を評価するために、本明細書に記載のバイオマーカーの1つまたは複数を使用することによってこのような選択をさらに精錬するために適用することができる。いくつかの局面では、PITのためのおよび/または1つもしくは複数の治療剤の投与(例えば、併用療法)のための対象は、本明細書に、例えば、セクションIおよびIIに記載の方法のいずれかに従って、1つまたは複数のバイオマーカーの発現のレベルに基づき選択することができる。
【0258】
B. 投与量および投与
フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)を含有する本明細書に提供される組成物は、治療上有用な効果を発揮するのに十分な量で投与される。典型的には、活性薬剤は、処置されている患者の望ましくない副作用をもたらさないか上記薬剤の1つによる単回処置に必要な投与量および量と比較して観察される副作用を最小化または低減する量で投与される。
【0259】
フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)のそれを必要とする患者への、単独か1つまたは複数の他の薬剤との組み合わせのいずれかでの最適投与量を決定する方法は、よく知られている標準的な用量応答および毒性研究に基づいて決定されてよい。加えて、本明細書に記載の方法は、PITに対する対象の予測される応答の可能性および応答の大きさを評価するために、本明細書に、例えば、セクションIおよびIIに記載のバイオマーカーの1つまたは複数の評価に基づき適切な投与量およびタイミングを定義およびさらに精錬するために適用することができる。いくつかの局面では、光免疫療法との併用において使用するための免疫調節剤または他の治療剤の投薬についてだけでなく、投薬、タイミングなどの処置レジメンも、必要に応じて調整することができる。
【0260】
いくつかの局面では、バイオマーカー評価は、対象がPITの処置を受ける前に実施することができる。いくつかの局面では、PITの投与量およびタイミング(コンジュゲートおよび/または光投与の投与量、頻度、相対的タイミングを含む)は、本明細書に記載の1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づくことができる。いくつかの局面では、バイオマーカー評価は、PITおよび/または追加の治療剤、例えば免疫調節剤もしくは抗がん剤を使用した、1つまたは複数の追加の処置の投薬およびタイミング、ならびに/または投与を知らせ得る。追加のPIT処置および/または追加の治療剤の投与量およびタイミングは、例えば、本明細書に提供される方法に従って選択することができる。いくつかの態様では、追加の治療剤は、フタロシアニン色素とターゲティング分子とを含む第2のコンジュゲートである。いくつかの局面では、第2のコンジュゲートは、初期PITにおいて使用されたコンジュゲートと同じまたは異なるフタロシアニン色素および/またはターゲティング分子を含有する。
【0261】
いくつかの局面では、例えば、PITを伴う併用療法という状況下で、バイオマーカー評価は、対象がPITの初期処置を受けた後に実施することができる。いくつかの局面では、初期処置は、本明細書に記載の投与量およびタイミングのいずれかに従うことができる。いくつかの局面では、バイオマーカー評価後、対象は、PITおよび/または追加の治療剤を使用した1つまたは複数の追加の処置を受け得る。追加のPIT処置の投与量およびタイミング(コンジュゲートおよび/または光投与の投与量、頻度、相対的タイミングを含む)および/または追加の治療剤は、例えば、本明細書に提供される方法に従って選択することができる。
【0262】
ヒトまたは獣医科対象へ投与される治療薬、例えばフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)の量は、対象と関連する多数の要因、例えば対象の総合的な健康に依存して変化するだろう。いくつかの態様において、生成物の投与量を変化させ、かつ腫瘍の退行などの生じた治療応答を測定することによって、薬剤の有効量を決定することができる。いくつかの態様において、種々のインビトロ、インビボまたはインサイチュー免疫測定法を通して有効量を決定することができる。いくつかの態様において、所望の応答を得るために必要に応じて、開示される薬剤を単回用量でまたは複数回用量で投与することができる。いくつかの態様において、有効量は、適用される供給源、処置されている対象、処置されている病態の重症度およびタイプ、ならびに投与の様式に依存する。
【0263】
いくつかの態様において、治療有効量は、単独でまたは化学療法薬のような追加の治療薬と合わせて、組成物で処置されている対象においてまたは細胞において所望の効果を達成するのに十分な、組成物の量である。治療薬、例えばフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)の有効量は、処置されている対象または細胞、特定の治療薬、および治療用組成物の投与の様式を非限定的に含む、いくつかの要因に依存することができる。いくつかの態様において、治療有効量または濃度は、疾患の転移のような進展を防止するか、疾患の進行を遅延させるか、もしくは疾患の退行を引き起こすのに十分なもの、またはがんのような疾患によって引き起こされる症状を低減することが可能なものである。いくつかの態様において、治療有効量または濃度は、腫瘍を有する患者の生存時間を増加させるのに十分なものである。
【0264】
いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、10mg/m2~5000mg/m2の間もしくは約10mg/m2~5000mg/m2の間、例えば10mg/m2~3000mg/m2、10mg/m2~1500mg/m2、10mg/m2~750mg/m2、10mg/m2~500mg/m2、10mg/m2~250mg/m2、10mg/m2~200mg/m2、10mg/m2~100mg/m2、10mg/m2~75mg/m2、10mg/m2~50mg/m2、10mg/m2~25mg/m2、25mg/m2~5000mg/m2、25mg/m2~3000mg/m2、25mg/m2~1500mg/m2、25mg/m2~750mg/m2、25mg/m2~500mg/m2、25mg/m2~250mg/m2、25mg/m2~200mg/m2、25mg/m2~100mg/m2、25mg/m2~75mg/m2、25mg/m2~50mg/m2、50mg/m2~5000mg/m2、50mg/m2~3000mg/m2、50mg/m2~1500mg/m2、50mg/m2~750mg/m2、50mg/m2~500mg/m2、50mg/m2~250mg/m2、50mg/m2~200mg/m2、50mg/m2~100mg/m2、50mg/m2~75mg/m2、75mg/m2~5000mg/m2、75mg/m2~3000mg/m2、75mg/m2~1500mg/m2、75mg/m2~1000mg/m2、75mg/m2~750mg/m2、75mg/m2~500mg/m2、75mg/m2~250mg/m2、75mg/m2~225mg/m2、75mg/m2~200mg/m2、75mg/m2~100mg/m2、100mg/m2~5000mg/m2、100mg/m2~3000mg/m2、100mg/m2~1500mg/m2、100mg/m2~750mg/m2、100mg/m2~500mg/m2、100mg/m2~250mg/m2、100mg/m2~200mg/m2、100mg/m2~150mg/m2、150mg/m2~5000mg/m2、150mg/m2~3000mg/m2、150mg/m2~1500mg/m2、150mg/m2~750mg/m2、150mg/m2~500mg/m2、150mg/m2~250mg/m2、150mg/m2~200mg/m2、200mg/m2~5000mg/m2、200mg/m2~3000mg/m2、200mg/m2~1500mg/m2、200mg/m2~750mg/m2、200mg/m2~500mg/m2、200mg/m2~250mg/m2、250mg/m2~5000mg/m2、250mg/m2~3000mg/m2、250mg/m2~1500mg/m2、250mg/m2~750mg/m2、250mg/m2~500mg/m2、500mg/m2~5000mg/m2、500mg/m2~3000mg/m2、500mg/m2~1500mg/m2、500mg/m2~750mg/m2、750mg/m2~5000mg/m2、750mg/m2~3000mg/m2、750mg/m2~1500mg/m2、1500mg/m2~5000mg/m2、1500mg/m2~3000mg/m2、および3000mg/m2~5000mg/m2の間、または約10mg/m2~3000mg/m2、10mg/m2~1500mg/m2、10mg/m2~750mg/m2、10mg/m2~500mg/m2、10mg/m2~250mg/m2、10mg/m2~200mg/m2、10mg/m2~100mg/m2、10mg/m2~75mg/m2、10mg/m2~50mg/m2、10mg/m2~25mg/m2、25mg/m2~5000mg/m2、25mg/m2~3000mg/m2、25mg/m2~1500mg/m2、25mg/m2~750mg/m2、25mg/m2~500mg/m2、25mg/m2~250mg/m2、25mg/m2~200mg/m2、25mg/m2~100mg/m2、25mg/m2~75mg/m2、25mg/m2~50mg/m2、50mg/m2~5000mg/m2、50mg/m2~3000mg/m2、50mg/m2~1500mg/m2、50mg/m2~750mg/m2、50mg/m2~500mg/m2、50mg/m2~250mg/m2、50mg/m2~200mg/m2、50mg/m2~100mg/m2、50mg/m2~75mg/m2、75mg/m2~5000mg/m2、75mg/m2~3000mg/m2、75mg/m2~1500mg/m2、75mg/m2~1000mg/m2、75mg/m2~750mg/m2、75mg/m2~500mg/m2、75mg/m2~250mg/m2、75mg/m2~225mg/m2、75mg/m2~200mg/m2、75mg/m2~100mg/m2、100mg/m2~5000mg/m2、100mg/m2~3000mg/m2、100mg/m2~1500mg/m2、100mg/m2~750mg/m2、100mg/m2~500mg/m2、100mg/m2~250mg/m2、100mg/m2~200mg/m2、100mg/m2~150mg/m2、150mg/m2~5000mg/m2、150mg/m2~3000mg/m2、150mg/m2~1500mg/m2、150mg/m2~750mg/m2、150mg/m2~500mg/m2、150mg/m2~250mg/m2、150mg/m2~200mg/m2、200mg/m2~5000mg/m2、200mg/m2~3000mg/m2、200mg/m2~1500mg/m2、200mg/m2~750mg/m2、200mg/m2~500mg/m2、200mg/m2~250mg/m2、250mg/m2~5000mg/m2、250mg/m2~3000mg/m2、250mg/m2~1500mg/m2、250mg/m2~750mg/m2、250mg/m2~500mg/m2、500mg/m2~5000mg/m2、500mg/m2~3000mg/m2、500mg/m2~1500mg/m2、500mg/m2~750mg/m2、750mg/m2~5000mg/m2、750mg/m2~3000mg/m2、750mg/m2~1500mg/m2、1500mg/m2~5000mg/m2、1500mg/m2~3000mg/m2、および3000mg/m2~5000mg/m2の間である。いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、10mg/m2、50mg/m2、75mg/m2、100mg/m2、150mg/m2、200mg/m2、225mg/m2、250mg/m2、300mg/m2、400mg/m2、500mg/m2、600mg/m2、700mg/m2、800mg/m2、900mg/m2、1000mg/m2、1250mg/m2、1500mg/m2、2000mg/m2、2500mg/m2、3000mg/m2、3500mg/m2、4000mg/m2、4500mg/m2、または5000mg/m2以下である。いくつかの態様において、該用量は、50mg/m2~約5000mg/m2もしくは約50mg/m2~約5000mg/m2、約250mg/m2~約2500mg/m2、約750mg/m2~約1250mg/m2、または約100mg/m2~約1000mg/m2である。いくつかの態様において、該用量は、160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2もしくは1280mg/m2であるか、または約160mg/m2、320mg/m2、640mg/m2もしくは1280mg/m2である。
【0265】
いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、0.25mg/kg~150mg/kg、0.25mg/kg~100mg/kg、0.25mg/kg~75mg/kg、0.25mg/kg~60mg/kg、0.25mg/kg~50mg/kg、0.25mg/kg~25mg/kg、0.25mg/kg~10mg/kg、0.25mg/kg~7.5mg/kg、0.25mg/kg~5.0mg/kg、0.25mg/kg~2.5mg/kg、0.25mg/kg~1.0mg/kg、0.25mg/kg~0.5mg/kg、0.50mg/kg~150mg/kg、0.50mg/kg~100mg/kg、0.50mg/kg~75mg/kg、0.50mg/kg~60mg/kg、0.50mg/kg~50mg/kg、0.50mg/kg~25mg/kg、0.50mg/kg~10mg/kg、0.50mg/kg~7.5mg/kg、0.50mg/kg~5.0mg/kg、0.50mg/kg~2.5mg/kg、0.50mg/kg~1.0mg/kg、1.0mg/kg~150mg/kg、1.0mg/kg~100mg/kg、1.0mg/kg~75mg/kg、1.0mg/kg~60mg/kg、1.0mg/kg~50mg/kg、1.0mg/kg~25mg/kg、1.0mg/kg~10mg/kg、1.0mg/kg~7.5mg/kg、1.0mg/kg~5.0mg/kg、1.0mg/kg~2.5mg/kg、2.5mg/kg~150mg/kg、2.5mg/kg~100mg/kg、2.5mg/kg~75mg/kg、2.5mg/kg~60mg/kg、2.5mg/kg~50mg/kg、2.5mg/kg~25mg/kg、2.5mg/kg~10mg/kg、2.5mg/kg~7.5mg/kg、2.5mg/kg~5.0mg/kg、5.0mg/kg~150mg/kg、5.0mg/kg~100mg/kg、5.0mg/kg~75mg/kg、5.0mg/kg~60mg/kg、5.0mg/kg~50mg/kg、5.0mg/kg~25mg/kg、5.0mg/kg~10mg/kg、5.0mg/kg~7.5mg/kg、7.5mg/kg~150mg/kg、7.5mg/kg~100mg/kg、7.5mg/kg~75mg/kg、7.5mg/kg~60mg/kg、7.5mg/kg~50mg/kg、7.5mg/kg~25mg/kg、7.5mg/kg~10mg/kg、10mg/kg~150mg/kg、10mg/kg~100mg/kg、10mg/kg~75mg/kg、10mg/kg~60mg/kg、10mg/kg~50mg/kg、10mg/kg~25mg/kg、25mg/kg~150mg/kg、25mg/kg~100mg/kg、25mg/kg~75mg/kg、25mg/kg~60mg/kg、25mg/kg~50mg/kg、50mg/kg~150mg/kg、50mg/kg~100mg/kg、50mg/kg~75mg/kg、50mg/kg~60mg/kg、60mg/kg~150mg/kg、60mg/kg~100mg/kg、60mg/kg~75mg/kg、75mg/kg~150mg/kg、75mg/kg~100mg/kg、および100mg/kg~150mg/kgの間、または約0.25mg/kg~150mg/kg、0.25mg/kg~100mg/kg、0.25mg/kg~75mg/kg、0.25mg/kg~60mg/kg、0.25mg/kg~50mg/kg、0.25mg/kg~25mg/kg、0.25mg/kg~10mg/kg、0.25mg/kg~7.5mg/kg、0.25mg/kg~5.0mg/kg、0.25mg/kg~2.5mg/kg、0.25mg/kg~1.0mg/kg、0.25mg/kg~0.5mg/kg、0.50mg/kg~150mg/kg、0.50mg/kg~100mg/kg、0.50mg/kg~75mg/kg、0.50mg/kg~60mg/kg、0.50mg/kg~50mg/kg、0.50mg/kg~25mg/kg、0.50mg/kg~10mg/kg、0.50mg/kg~7.5mg/kg、0.50mg/kg~5.0mg/kg、0.50mg/kg~2.5mg/kg、0.50mg/kg~1.0mg/kg、1.0mg/kg~150mg/kg、1.0mg/kg~100mg/kg、1.0mg/kg~75mg/kg、1.0mg/kg~60mg/kg、1.0mg/kg~50mg/kg、1.0mg/kg~25mg/kg、1.0mg/kg~10mg/kg、1.0mg/kg~7.5mg/kg、1.0mg/kg~5.0mg/kg、1.0mg/kg~2.5mg/kg、2.5mg/kg~150mg/kg、2.5mg/kg~100mg/kg、2.5mg/kg~75mg/kg、2.5mg/kg~60mg/kg、2.5mg/kg~50mg/kg、2.5mg/kg~25mg/kg、2.5mg/kg~10mg/kg、2.5mg/kg~7.5mg/kg、2.5mg/kg~5.0mg/kg、5.0mg/kg~150mg/kg、5.0mg/kg~100mg/kg、5.0mg/kg~75mg/kg、5.0mg/kg~60mg/kg、5.0mg/kg~50mg/kg、5.0mg/kg~25mg/kg、5.0mg/kg~10mg/kg、5.0mg/kg~7.5mg/kg、7.5mg/kg~150mg/kg、7.5mg/kg~100mg/kg、7.5mg/kg~75mg/kg、7.5mg/kg~60mg/kg、7.5mg/kg~50mg/kg、7.5mg/kg~25mg/kg、7.5mg/kg~10mg/kg、10mg/kg~150mg/kg、10mg/kg~100mg/kg、10mg/kg~75mg/kg、10mg/kg~60mg/kg、10mg/kg~50mg/kg、10mg/kg~25mg/kg、25mg/kg~150mg/kg、25mg/kg~100mg/kg、25mg/kg~75mg/kg、25mg/kg~60mg/kg、25mg/kg~50mg/kg、50mg/kg~150mg/kg、50mg/kg~100mg/kg、50mg/kg~75mg/kg、50mg/kg~60mg/kg、60mg/kg~150mg/kg、60mg/kg~100mg/kg、60mg/kg~75mg/kg、75mg/kg~150mg/kg、75mg/kg~100mg/kg、および100mg/kg~150mg/kgの間である。いくつかの態様において、コンジュゲートの治療有効用量は、0.25mg/kg、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/kg、6.0mg/kg、7.0mg/kg、8.0mg/kg、9.0mg/kg、10.0mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、90mg/kg、100mg/kg、125mg/kgまたは150mg/kg以下である。
【0266】
いくつかの態様において、治療有効量は、少なくとも0.01mg、0.1mg、0.5mg、1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、200mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、2000mg、3000mgまたはそれ以上、または少なくとも約0.01mg、0.1mg、0.5mg、1mg、5mg、10mg、50mg、100mg、200mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1000mg、2000mg、3000mgまたはそれ以上である。
【0267】
いくつかの態様において、方法は、疾患または病態を有する対象に、治療有効量のフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート、例えば、IR700-抗体コンジュゲートを投与する工程を含む。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートは、腫瘍、病変または過形成の微小環境中に存在する細胞へ標的指向される。いくつかの態様において、治療有効用量のコンジュゲートが静脈内投与される。いくつかの態様において、治療有効用量のコンジュゲートが腫瘍内に投与される。
【0268】
いくつかの態様において、コンジュゲートの用量は、例えば腫瘍内にまたは腹腔内(IP)に投与されるとき、少なくとも10μg/kg、例えば少なくとも100μg/kg、少なくとも500μg/kg、または少なくとも500μg/kg、例えば10μg/kg~1000μg/kg、例えば約100μg/kg、約250μg/kg、約500μg/kg、約750μg/kg、または約1000μg/kgの用量である。いくつかの態様において、該用量は、少なくとも1μg/ml、例えば少なくとも500μg/ml、例えば20μg/ml~100μg/mlの間、例えば約10μg/ml、約20μg/ml、約30μg/ml、約40μg/ml、約50μg/ml、約60μg/ml、約70μg/ml、約80μg/ml、約90μg/mlまたは約100μg/mlである(例えば、局部液剤で投与される)。
【0269】
いくつかの態様において、治療有効用量は、ヒトに投与される用量である。いくつかの態様において、平均的なヒトの体重は、60~85kg、例えば約75kgまたはおよそ75kgである。
【0270】
いくつかの態様において、治療有効用量は、ターゲティング分子(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)にコンジュゲートされたフタロシアニン色素を含有する投与されたコンジュゲートが、そのようにコンジュゲートされていないターゲティング分子(例えば、抗体または抗原結合抗体断片)の治療有効全身曝露(例えば、臨床的に許容し得る用量の薬物ターゲティング分子を薬物単独で投与したときに生じる)を超えない全身曝露を達成する、治療有効用量である。いくつかの態様では、治療有効量は、約75mg~500mg、75mg~400mg、75mg~400mg、75mg~300mg、75mg~200mg、75mg~150mg、150mg~500mg、150mg~400mg、150mg~300mg、150mg~200mg、200mg~500mg、200mg~400mg、200mg~300mg、300mg~500mg、300mg~400mgまたは400mg~500mgである。いくつかの態様では、コンジュゲートは、IR700-セツキシマブである。いくつかの態様では、IR700-セツキシマブコンジュゲートの治療有効量は、少なくとも160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2または約少なくとも160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2であるか、あるいは、160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2であるかまたは約160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2である。いくつかの態様では、IR700-セツキシマブコンジュゲートの治療有効量は、少なくとも4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kgまたは約少なくとも4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kgであるか、あるいは、4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kgであるかまたは約4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kgである。
【0271】
いくつかの局面では、バイオマーカー評価は、対象が、例えば、IR700-セツキシマブコンジュゲートを使用したPITの処置を受ける前に実施することができる。いくつかの局面では、IR700-セツキシマブコンジュゲートおよび光投与の投与量およびタイミングは、本明細書に記載の1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づくことができる。いくつかの局面では、バイオマーカー評価は、IR700-セツキシマブコンジュゲートを使用したPITおよび/または追加の治療剤、例えば免疫調節剤もしくは抗がん剤または第2のコンジュゲートを使用したPIT処置の、1つまたは複数の追加の処置の投薬およびタイミング、ならびに/または投与を知らせ得る。追加のPIT処置および/または追加の治療剤の投与量およびタイミングは、例えば、本明細書に提供される方法に従って選択することができる。いくつかの態様では、PIT処置において投与されるべきIR700-セツキシマブコンジュゲートの投与量は、少なくとも160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2または約少なくとも160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2であるか、あるいは、160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2であるかまたは約160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2である。いくつかの態様では、IR700-セツキシマブコンジュゲートの投与量は、少なくとも4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kgまたは約少なくとも4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kgであるか、あるいは、4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kgであるかまたは約4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kgである。
【0272】
いくつかの局面では、例えば、PIT(例えば、IR700-セツキシマブコンジュゲートを使用した)を伴う併用療法という状況下で、バイオマーカー評価は、対象がIR700-セツキシマブコンジュゲートを使用したPITの初期処置を受けた後に実施することができる。いくつかの局面では、初期処置は、本明細書に記載の投与量およびタイミングのいずれかに従うことができる。いくつかの局面では、バイオマーカー評価後、対象は、IR700-セツキシマブコンジュゲートを使用したPIT、および/または追加の治療剤、例えば免疫調節剤もしくは抗がん剤または第2のコンジュゲートを使用したPIT処置の1つまたは複数の追加の処置を受け得る。追加のPIT処置および/または追加の治療剤の投与量およびタイミングは、例えば、本明細書に提供される方法に従って選択することができる。いくつかの態様では、初期または追加のPIT処置において投与されるべきIR700-セツキシマブコンジュゲートの投与量は、少なくとも160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2または約少なくとも160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2であるか、あるいは、160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2であるかまたは約160mg/m2、320mg/m2もしくは640mg/m2である。いくつかの態様では、初期または追加のPIT処置のためのIR700-セツキシマブコンジュゲートの投与量は、少なくとも4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kgまたは約少なくとも4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kgであるか、あるいは、4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kgであるかまたは約4.3mg/kg、8.6mg/kgもしくは17mg/kgである。
【0273】
いくつかの態様では、コンジュゲートの治療有効用量は、単回投与量投与のためのものである。いくつかの態様では、治療有効用量は、投与量スケジュールまたはサイクルで単回注射または単回注入としてのみ投与され、例えば、投与量スケジュールまたはサイクルで1回のみ投与される。例えば、投薬スケジュールまたはサイクルで、コンジュゲートの後続用量は投与されない。いくつかの態様では、投薬スケジュールは反復することができる。いくつかの態様では、反復単回用量などの反復用量は、第1の用量が対象からクリアランスされた時点(それは、いくつかの場合に、コンジュゲートの検出可能な全身曝露がない時点である)に投与される。したがって、いくつかの態様では、コンジュゲートの投薬は、コンジュゲートの連続全身曝露を達成するために投与されることはなく、このことは、連続全身曝露を維持するのに投薬スケジュールまたはサイクルで投薬の反復が必要となる抗体療法を含む多くの既存の療法と異なる。いくつかの態様では、投薬スケジュールまたはサイクルは、必要に応じて、1週間に1回、2週間毎、1ヶ月に1回、1年に2回、1年に1回またはより少ない頻度で反復される。本明細書における方法は、投与スケジュールの適切なタイミングおよび選択を選択するために適用することができる。
【0274】
いくつかの態様では、本明細書に提供される処置方法のいずれかにおいて、コンジュゲートによる事前処置後に残留病変が残っていれば、投薬スケジュールは反復される。いくつかの態様では、該方法は、追加で、残留病変の存在について対象を評価して、残留病変が残っていれば投薬スケジュールを反復する工程を含む。いくつかの態様では、コンジュゲートの事前投与の開始後、1週間、2週間、3週間、4週間、2ヶ月、6ヶ月もしくは1年超の時点、または約1週間、2週間、3週間、4週間、2ヶ月、6ヶ月もしくは1年の時点、または1週間、2週間、3週間、4週間、2ヶ月、6ヶ月もしくは1年の時点に残留病変が残っていれば、投薬スケジュールは反復される。いくつかの態様では、コンジュゲートの事前投与の開始後、4週間または約4週間の時点に残留病変が残っていれば、投薬スケジュールは反復される。いくつかの態様では、1つまたは複数のバイオマーカーが評価され、該バイオマーカーの1つまたは複数の時点でのレベル、量または濃度は、残留病変の存在または推定存在を示唆し、このような対象は、光免疫療法および/または併用療法としての光免疫療法のための反復投薬スケジュールの候補である。
【0275】
当業者であれば、例えば特定の薬剤に依存して、より高いまたはより低い投与量のフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートも使用することができると認識されよう。いくつかの態様において、投与量、例えば一日投与量は、1または複数の分割用量、例えば2、3、もしくは4用量で、または単一製剤で投与される。フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを、単独で、薬学的に許容される担体の存在下で、または免疫調節剤、抗がん剤もしくは他の抗悪性腫瘍剤のような他の治療薬の存在下で投与することができる。
【0276】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートは、処置される臓器または組織に全身または局所のいずれかで投与され得る。例示的な投与経路は、限定されることなく、局部、注射(例えば、皮下、筋肉内、皮内、腹腔内、腫瘍内、および静脈内)、経口、舌下、直腸、経皮、鼻腔内、膣内および吸入経路を含む。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートは、静脈内投与される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートは、非経口投与される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートは、腸内投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、局所注射によって投与される。いくつかの態様において、コンジュゲートは、局部適用として投与される。
【0277】
フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含む組成物を、任意の公知の方法を使用して、例えば、腫瘍、例えばがんを有する対象、または腫瘍が例えば外科手術を介して以前に除去された対象に、局所または全身に投与することができる。具体例が提供されているが、当業者であれば、開示される薬剤の代替的な投与法を使用することができると理解されよう。このような方法は、例えば、処置を必要とする対象への数時間~数日間にわたる連続注入を提供するカテーテルまたは埋め込みポンプの使用を含み得る。
【0278】
いくつかの態様において、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートは、腫瘍への直接注射または注入、例えば腫瘍内を含む、非経口手段によって投与される。いくつかの態様において、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートは、薬剤を腫瘍に適用することによって、例えば、薬剤、例えばフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含有する溶液に腫瘍を浸すことによって、または薬剤を腫瘍に注ぐことによって、腫瘍に投与される。
【0279】
追加的に、または代替的に、開示される組成物を、腫瘍、例えばがんを有する対象に、全身に、例えば静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、皮下、または経口的に投与することができる。
【0280】
対象に投与されるフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの投与量は、絶対限界まで供されることはないが、組成物およびその活性成分の性質ならびにその不要な副作用、例えば薬剤に対する免疫応答、処置されている対象、ならびに処置されている病態のタイプおよび投与の様式に依存するだろう。一般に、用量は、治療有効量、例えば所望の生物学的効果を達成するのに十分な量、例えば、腫瘍のサイズ、例えば体積および/もしくは重量を減少させるのに、または腫瘍のさらなる成長を減弱させるのに、または腫瘍の望ましくない症状を減少させるのに有効な量であろう。
【0281】
いくつかの態様において、薬剤、例えばフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの投与に使用される組成物は、有効量の薬剤を、企図される投与のタイプに適する従来の薬学的担体および賦形剤と合わせて含有する。例えば、いくつかの態様において、非経口製剤は、コンジュゲートの滅菌水溶液または懸濁液を含みうる。いくつかの態様において、腸内投与用の組成物は、有効量のフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを、緩衝剤、界面活性剤、チキソトロープ剤、および香味剤を任意で含み得る水溶液または懸濁液中に含有し得る。
【0282】
C. 投与量レジメンおよび光免疫療法
本明細書に提供される方法および使用のいくつかの態様において、PITは、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)を含有する組成物の投与とそれに続く照射を含む。いくつかの態様において、方法は、腫瘍の近位領域もしくは腫瘍の周囲の領域におよび/または腫瘍に照射する工程を含む。
【0283】
いくつかの態様において、細胞をフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートと接触させた後、腫瘍の近位領域もしくは腫瘍の周囲の領域および/または腫瘍が照射される。照射する方法は、公知である。典型的には細胞表面タンパク質を発現する細胞だけがターゲティング分子によって認識されるので、一般にそのような細胞だけが、該タンパク質に結合する十分な量のコンジュゲートを有するだろう。照射は、コンジュゲートが結合している細胞のみを殺傷し、一般に他の細胞は殺傷し得ないので、望ましくない副作用、例えば正常細胞の殺傷の可能性を減少させ得る。
【0284】
いくつかの態様において、細胞は、インビボで照射されるが、例えばフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートが以前に投与された対象に照射される。いくつかの態様において、対象に照射されるが、例えば対象における腫瘍に照射することができる。
【0285】
いくつかの態様において、照射は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの投与後に達成される。いくつかの態様において、照射または照明は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)を投与した後30分~96時間の間または約30分~96時間の間、例えば30分~48時間、30分~24時間または12時間~48時間の間、例えば一般にコンジュゲートを投与した少なくとも30分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間後もしくはそれ以上後、例えば、2、3、4、5、6、7日、1、2、3もしくは4週間後もしくはそれ以上後に行われるかまたは達成される。例えば、照射を、コンジュゲートを投与した約24時間後以内に実施することができる。いくつかの態様において、腫瘍への照射または照明の6時間よりも前に、ターゲティング分子を含み腫瘍と会合するコンジュゲートが対象に投与されている。いくつかの態様において、コンジュゲートは、腫瘍への照射または照明の12時間、24時間、26時間、48時間、72時間もしくは96時間よりも前、または約12時間、24時間、26時間、48時間、72時間もしくは96時間よりも前に、対象に事前投与されている。
【0286】
いくつかの態様では、照射は、500nm~900nmの波長で実施される。いくつかの態様では、照射は、660nmまたは約660nm~740nmまたは約740nmの波長での照射である。いくつかの態様では、照射は、690±50nmもしくは約690±50nmの波長でのまたは690±20nmもしくは約690±20nmの波長での照射である。いくつかの態様では、照射は、690nmまたは約690nmの波長での照射である。いくつかの態様では、照射は、少なくとも1J cm-2または少なくとも1 J/ファイバ長cmの線量で実施される。いくつかの態様では、照射は、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で実施される。
【0287】
いくつかの態様では、照射は、2J cm-2もしくは約2J cm-2~400J cm-2もしくは約400J cm-2または2J/ファイバ長cmもしくは約2J/ファイバ長cm~500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmの線量での照射である。いくつかの態様では、照射は、少なくとも2J cm-2、5J cm-2、10J cm-2、25J cm-2、50J cm-2、75J cm-2、100J cm-2、150J cm-2、200J cm-2、300J cm-2、400J cm-2、もしくは500J cm-2、または少なくとも約2J cm-2、5J cm-2、10J cm-2、25J cm-2、50J cm-2、75J cm-2、100J cm-2、150J cm-2、200J cm-2、300J cm-2、400J cm-2、もしくは500J cm-2の線量での照射である。いくつかの態様では、照射は、少なくとも2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cm、または少なくとも約2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cmの線量での照射である。いくつかの態様では、照射は、600nm~850nmの波長で、少なくとも1J cm-2または少なくとも1 J/ファイバ長cmの線量、例えば、25J cm-2もしくは約25J cm-2~400J cm-2もしくは約400J cm-2または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cm~500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmの線量で実施される。いくつかの態様では、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、IR700抗体コンジュゲート)を投与する方法は、米国特許第8,524,239号または米国公報第US 2014/0120119号およびWO 2017/031367に記載されている方法を含む。
【0288】
いくつかの態様では、抗EGFR-IR700コンジュゲートが投与され、照射が500nm~900nmの波長で実施される。このような態様のいくつかでは、照射は、660nmまたは約660nm~740nmまたは約740nmの波長での照射である。このような態様のいくつかでは、照射は、690±50nmもしくは約690±50nmの波長でのまたは690±20nmもしくは約690±20nmの波長での照射である。このような態様のいくつかでは、照射は、690nmまたは約690nmの波長での照射である。
【0289】
いくつかの態様では、バイオマーカーは、免疫チェックポイントバイオマーカーであり、抗EGFR-IR700コンジュゲートが投与され、照射が500nm~900nmの波長で実施される。このような態様のいくつかでは、照射は、660nmまたは約660nm~740nmまたは約740nmの波長での照射である。このような態様のいくつかでは、照射は、690±50nmもしくは約690±50nmの波長でのまたは690±20nmもしくは約690±20nmの波長での照射である。このような態様のいくつかでは、照射は、690nmまたは約690nmの波長での照射である。
【0290】
いくつかの態様では、バイオマーカーは、細胞、例えば、免疫細胞、樹状細胞、またはCD3、CD4およびPD-1を発現する細胞;タンパク質、例えば、CD11c、CD14、CD68、CD163またはPD-L1の1つまたは複数であり、抗EGFR-IR700コンジュゲートが投与され、照射が500nm~900nmの波長で実施される。このような態様のいくつかでは、照射は、660nmまたは約660nm~740nmまたは約740nmの波長での照射である。このような態様のいくつかでは、照射は、690±50nmもしくは約690±50nmの波長でのまたは690±20nmもしくは約690±20nmの波長での照射である。このような態様のいくつかでは、照射は、690nmまたは約690nmの波長での照射である。
【0291】
D. 併用療法
いくつかの局面では、提供される方法は、PITを伴いかつ追加の治療剤を投与するか伴う腫瘍の処置という状況下における、1つまたは複数のバイオマーカーの測定および評価を伴う。いくつかの局面では、PITと追加の治療剤の併用療法が、本明細書に、例えば、セクションIおよびIIに記載のとおり、1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づき用いられる。いくつかの態様では、このような評価は、処置のアウトカムをモニタリングし、かつ、特定の対象に対する追加の治療剤の投与などの治療レジメンを特定、テーラーメイドまたは変更するために使用することができる。いくつかの局面では、提供される方法は、例えば、PITと併用した追加の治療剤による処置のためのある特定の対象を選択するために適用することができる。併用療法の一部としてのPITを実行するための例示的な具体的工程および試薬は、本明細書に、例えば、このセクションに記載される。いくつかの態様では、併用を実行するある特定の局面を、本明細書に、例えば、セクションIおよびIIに記載の方法に従って、1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づき実施、変更またはテーラーメイドしてもよい。
【0292】
いくつかの態様では、追加の治療剤、例えば免疫調節剤または抗がん剤は、フタロシアニン色素コンジュゲート、例えばIR700-抗体コンジュゲートなどの光免疫療法剤と併せて投与される。いくつかの態様では、併用療法は、免疫チェックポイント阻害剤などの抗がん剤または免疫調節剤と併用した、フタロシアニン色素コンジュゲート、例えばIR700-抗体コンジュゲートの投与を含むことができる。いくつかの態様では、追加の治療剤は、フタロシアニン色素とターゲティング分子とを含む第2のコンジュゲートである。いくつかの局面では、第2のコンジュゲートは、第1のコンジュゲートと同じまたは異なるフタロシアニン色素および/またはターゲティング分子を含有する。
【0293】
いくつかの態様では、照射時点または照射後、対象は、本明細書に記載のとおりの1つまたは複数の他の療法(例えば、免疫調節剤または抗がん剤)を受けることができる。いくつかの態様では、PIT処置の照射工程後、対象由来の試料中のバイオマーカーのレベル、濃度または量を、例えば、本明細書に記載の方法に従って評価することができる。いくつかの局面では、免疫調節剤などの追加の治療剤を受けるために対象を選択することができる。いくつかの場合に、したがって、1つまたは複数の他の療法がまた、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)の投与後に投与される。いくつかの態様では、追加の療法は、照射の0~4週間以内または約0~4週間以内、例えば、照射の0時間~24時間以内または約0時間~24時間以内、例えば、照射の5分、10分、30分、1時間、2時間、6時間、12時間もしくは24時間、2、3、4、5、6、7日、1、2、3もしくは4週間以内、または約5分、10分、30分、1時間、2時間、6時間、12時間もしくは24時間、2、3、4、5、6、7日、1、2、3もしくは4週間以内に投与される。
【0294】
いくつかの態様では、追加の治療剤は、PITのためのコンジュゲートの投与後、12時間~2ヶ月または約12時間~2ヶ月の時点、例えば、12時間~1ヶ月、12時間~3週間、12時間~2週間、12時間~1週間、および1週間~1ヶ月の時点、例えば、一般に、PITのためのコンジュゲートを投与した後、少なくとも12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間、または1ヶ月の時点に投与される。
【0295】
本明細書における方法は、併用療法のための追加の治療剤の使用をガイドするために、光免疫療法の前またはそれに続いて評価された1つまたは複数のバイオマーカーを使用した追加の治療剤のための対象および追加の治療剤の投与のタイミングおよび治療剤の種類の選択に適用することができる。
【0296】
いくつかの局面では、追加の治療剤は、1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づいて投与される。いくつかの態様では、提供される方法は、a)腫瘍を有する対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;c)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;およびd)照射後に少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくともバイオマーカーのレベルが照射前に測定されたレベルと比べて対象において増加しているかどうかを判定する工程;およびe)レベルが増加していたら、追加の治療剤、例えば、免疫調節剤または抗がん剤をその対象に投与する工程を伴い、それによって腫瘍を処置する。いくつかの態様では、提供される方法は、a)腫瘍を有する対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を上回るかを判定する工程;b)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;およびc)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;およびd)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を上回るならば、追加の治療剤、例えば、免疫調節剤または抗がん剤をその対象にさらに投与する工程を含み;それによって腫瘍処置の有効性を改善する。
【0297】
いくつかの態様では、追加の治療剤、例えば、免疫調節剤の投与を伴う方法は、腫瘍処置の有効性を改善するために、例えば、a)腫瘍を有する対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を下回るかを判定する工程;b)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;およびc)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;およびd)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を下回るならば、追加の治療剤、例えば、免疫調節剤または抗がん剤をその対象にさらに投与する工程を伴い;それによって腫瘍処置の有効性を改善する方法において使用される。
【0298】
いくつかの態様では、また、追加の治療剤(例えば本明細書に記載のもの)による処置のための対象を選択するための方法が提供される。いくつかの局面では、該方法は、a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;b)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;およびc)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;およびd)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、その対象を、追加の治療剤、例えば、免疫調節剤または抗がん剤による処置のために選択する工程を伴う。
【0299】
いくつかの態様では、追加の治療剤(1つまたは複数)は、腫瘍を処置する際の治療効果が高まるような、照射を実施する前の十分な時間に投与することができる。いくつかの態様では、光免疫療法の方法における照射前に、1つまたは複数の他の治療剤、例えば、免疫調節剤(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)または抗がん剤(例えば、代謝拮抗物質)が対象に投与される。一態様では、免疫調節剤は、免疫系が光免疫療法後の腫瘍細胞溶解時に放出される腫瘍関連薬剤に応答性になるような、照射前の十分な時間、例えば、一般に、照射の少なくとも12時間前に投与することができる。別の態様では、抗がん剤は、光免疫療法後に血管透過性の変化によって腫瘍に直ちに送達できるような抗がん剤の全身アベイラビリティを達成するための、照射前の十分な時間、例えば、一般に、照射の少なくとも5分前に投与することができる。
【0300】
1つまたは複数の追加の薬剤、例えば、免疫調節剤または抗がん剤は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの前に、それと同時に、それに続いてまたはその合間合間に投与することができる。いくつかの態様では、光の照射によるコンジュゲートのフタロシアニン色素光増感剤の活性化は、本明細書に記載のような追加の治療剤の投与後のある時間まで達成されない。いくつかの態様では、光の照射によるコンジュゲートのフタロシアニン色素光増感剤の活性化は、本明細書に記載のような追加の治療剤の投与の前に行われる。いくつかの場合に、1つまたは複数の他の療法は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)の投与の前、その間またはその後に投与することができる。
【0301】
いくつかの態様では、追加の治療剤は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの投与後またはそれに続いて投与することができる。例えば、いくつかの態様では、コンジュゲートは、1つまたは複数の追加の療法前に投与され、コンジュゲートと1つまたは複数の追加の療法は各々、腫瘍に照射する前に投与される。いくつかの態様では、コンジュゲートは、1つまたは複数の追加の療法に続いて投与され、コンジュゲートと1つまたは複数の追加の療法は各々、腫瘍に照射する前に投与される。いくつかの態様では、照射は、追加の治療薬およびフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの投与後に行われる。
【0302】
いくつかの態様では、照射は、追加の治療剤およびフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの投与後に行われるか達成される。いくつかの態様では、照射は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの投与後に達成される。
【0303】
いくつかの態様では、併用療法は、2回の照射または照明を含む。いくつかの態様では、併用療法は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを投与した後の腫瘍の第1の照射および追加の治療剤を投与した後の腫瘍の第2の照射を伴う。いくつかの態様では、追加の治療剤は、フタロシアニン色素とターゲティング分子とを含む第2のコンジュゲートである。いくつかの態様では、各照射は、それぞれのコンジュゲートを投与した後の6~48時間以内、例えば、一般に、各コンジュゲートの投与の少なくとも約6時間、12時間、24時間または36時間後に実施される。
【0304】
いくつかの態様では、1つまたは複数の他の薬剤と併用した光免疫療法の併用効果は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートによる光免疫療法または他の治療剤による単独療法のみを伴う処置と比較して相乗的であり得る。いくつかの態様では、本明細書に提供される方法は、光免疫療法または単独療法単独よりも、所望の抗腫瘍治療効果の増加または改善、例えば、がんに関連する1つまたは複数の症状の低減または阻害の増加または改善をもたらす。
【0305】
フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートおよび任意で追加の治療剤による処置は、各々独立に、1日で完了しても、複数日で同じまたは異なる投与量で反復して行ってもよい。反復処置は、同じ日、連日、または1~3日毎、3~7日毎、1~2週間毎、2~4週間毎、1~2ヶ月毎、またはさらにより長い間隔で行ってもよい。
【0306】
いくつかの態様では、併用療法は、対象に、治療有効量の追加の治療剤を投与する工程を含む。追加の治療剤は、0.01mg~1000mgまたは約0.01mg~1000mgである量、例えば、少なくとも0.01mg、0.1mg、1mg、10mg、1000mg、2000mg、3000mgまたはそれ以上の用量である。例示的な態様では、追加の治療剤は、約0.3mg/kg~10mg/kg、または最大耐用量、例えば、少なくとも0.5mg/kg、または少なくとも1mg/kg、または少なくとも2mg/kg、または少なくとも3mg/kg、または少なくとも5mg/kg、または少なくとも8mg/kgで投与されてもよい。いくつかの場合に、用量は、単回用量としてまたは複数回用量で投与することができる。あるいは、追加の治療剤は、第1の投与量を約3mg/kgで、第2の投与量を約5mg/kgで、第3の投与量を約9mg/kgで投与する工程を含む漸増投与量レジメンによって投与されてもよい。あるいは、漸増投与量レジメンは、追加の治療剤の第1の投与量を約5mg/kgで、第2の投与量を約9mg/kgで投与する工程を含む。別の段階的漸増投与量レジメンは、追加の治療剤の約3mg/kgの第1の投与量、約3mg/kgの第2の投与量、約5mg/kgの第3の投与量、約5mg/kgの第4の投与量、および約9mg/kgの第5の投与量を投与する工程を含み得る。別の局面では、段階的漸増投与量レジメンは、5mg/kgの第1の投与量、5mg/kgの第2の投与量、および9mg/kgの第3の投与量を投与する工程を含み得る。いくつかの態様では、特定の投与量は、週2回、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回または1ヶ月に1回またはより長い期間に1回投与することができる。いくつかの場合に、投与量は、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年またはそれ以上反復されるような、反復可能なサイクルコースで投与することができる。
【0307】
いくつかの態様では、併用療法は、対象に、治療有効量の本明細書に記載のいずれかなどの抗がん剤を投与する工程を含む。いくつかの態様では、治療有効用量は、0.01mg~1000mgまたは約0.01mg~1000mg、例えば、少なくとも0.01mg、0.1mg、1mg、10mg、1000mg、2000mg、3000mgまたはそれ以上の用量であることができる。いくつかの態様では、抗がん剤の治療有効用量は、0.01mg/kg~約50mg/kgまたは約0.01mg/kg~約50mg/kg、例えば、約0.1mg/kg~約20mg/kg、約0.1~約10mg/kg、約0.3~約10mg/kg、約0.5mg/kg~約5mg/kgまたは約0.5mg/kg~約1mg/kgである。
【0308】
いくつかの態様では、追加の治療剤の用量は、PIT処置後、その臨床投薬スケジュールに従って継続または反復される。したがって、いくつかの態様では、提供される方法に従う投与の用量スケジュールまたはサイクルにおいて、フタロシアニン色素コンジュゲート(例えば、IR700抗体コンジュゲート)は、PITのために1回のみ、例えば単回用量または注入で投与することができるが、免疫調節剤の投与は、投与の投薬スケジュールまたはサイクルの間、1回以上、例えば、1週間に3回、1週間に2回、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回または1ヶ月に1回継続または反復される。いくつかの態様では、投与の投薬スケジュールまたはサイクルは、28日もしくは4週間または約28日もしくは4週間である。
【0309】
1. 免疫調節剤
いくつかの態様では、提供される方法は、本明細書に記載のとおりのバイオマーカーの評価に基づいて免疫調節剤である追加の治療剤を投与する工程を伴う。いくつかの局面では、免疫調節剤は、適応および自然免疫系に関与する細胞などの免疫細胞の活性を刺激または促進することができる。いくつかの局面では、チェックポイント阻害剤などの免疫調節剤は、腫瘍の免疫抑制微小環境への対抗を助けることができる。いくつかの局面では、本明細書に記載のとおり、PIT媒介細胞殺傷はまた、チェックポイント経路マーカーなどの免疫抑制に関連するマーカーのレベルの増加に関連する。いくつかの局面では、追加の治療剤、例えば、免疫調節剤、例えば、チェックポイント阻害剤の投与は、免疫抑制微小環境に対抗またはそれを無効にすることができ、PITの有効性を改善または強化することができる。したがって、提供される態様は、追加の治療剤、例えば、免疫調節剤の投与から恩恵を受ける対象を1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づいて特定することによって、腫瘍の処置の有効性を改善するための方法を提供する。
【0310】
いくつかの局面では、フタロシアニン色素コンジュゲートを採用するPIT法との組み合わせで、免疫調節剤を投与することができる。よって、本明細書に提供される併用療法(その組み合わせおよび使用法を含む)は、免疫調節剤を含む。免疫調節剤、または免疫調節因子は、身体の免疫応答を抑制するかまたは活性化させる物質である。例えば、腫瘍および/または病原体への免疫応答を刺激する免疫調節剤は、光免疫療法との組み合わせで使用してよい。
【0311】
一般に、がん性細胞は、免疫系によって認識されるはずである腫瘍特異的抗原を含む。典型的には、活性免疫系では、細胞傷害性T細胞のような免疫細胞がこれらのがん性細胞を攻撃および根絶する。正常な生理学的状態下では、T細胞媒介性免疫応答は、T細胞受容体(TCR)による抗原認識によって開始され、かつ、共刺激および阻害シグナル(例えば、免疫チェックポイントタンパク質)のバランスによって調節される。特に、TCRを発現するCD4+およびCD8+T細胞は、それぞれ、主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはクラスII分子上の抗原提示細胞上に提示される抗原性ペプチドの認識によって活性化状態になることができる。いくつかの局面において、活性化CD8+細胞、または細胞傷害性T細胞は、抗原を発現する腫瘍細胞を殺傷することができ、これはCD4+T細胞の存在によって援助されることができる。いくつかの態様において、免疫細胞は、抗原提示細胞である。いくつかの態様において、免疫細胞は、樹状細胞である。
【0312】
しかしながら、腫瘍の場合には、腫瘍微小環境は、免疫系を抑制することによって免疫認識を回避しかつ腫瘍細胞の殺傷を防止または低減させる機序を有する。例えば、いくつかの場合では、免疫チェックポイントタンパク質が、腫瘍において脱調節され、それによって免疫系を回避する機序として腫瘍微小環境における免疫応答の抑制をもたらすことができる。いくつかの場合では、他の機序が免疫細胞の腫瘍抗原への接近を阻害するように作用し、それによって免疫系を回避する腫瘍の能力にも寄与することができる。本明細書に提供される併用療法は、光分解機序によって腫瘍細胞を殺傷しながら腫瘍に対してよりロバストな免疫応答を提供するために、これらの回避機序の両方に対応する。
【0313】
本明細書に提供される併用療法の方法のいくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫抑制シグナル伝達を阻害または免疫刺激シグナル伝達を増強するために対象に投与される。例えば、共刺激受容体の阻害性チェックポイントタンパク質アンタゴニストおよび/またはアゴニストは、抗原特異的T細胞応答を増幅させることによって、宿主の内因性の抗腫瘍免疫応答を刺激することができる。提供される方法の局面において、腫瘍細胞の殺傷をもたらし、それによって腫瘍抗原を放出することができる、光免疫療法を実施することもできる。光免疫療法を免疫調節剤の投与との組み合わせで実施することによって、その後のPIT誘導性抗原の放出は、免疫調節剤によってその応答が増幅または刺激されているT細胞に抗原刺激源を提供することができる。したがって、いくつかの局面において、免疫調節剤での治療によって生成される増強された免疫応答は、プライミングされて、PIT後の細胞の溶解によって曝露される腫瘍抗原に応答する状態にある。したがって、いくつかの局面において、本明細書に提供される併用療法は、光分解機序によって腫瘍細胞を殺傷しながらも腫瘍に対してよりロバストな免疫応答を提供するために、腫瘍微小環境中に存在できる自然の回避機序に対応する。
【0314】
いくつかの局面では、免疫調節剤、投与量、投与の頻度および相対的タイミングの選択、ならびに免疫調節剤を受ける対象の選択は、本明細書に提供される方法に従うなどの1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づくことができる。
【0315】
いくつかの態様では、免疫調節剤は、それ自体、フタロシアニン色素、例えば、免疫調節剤である抗体または抗原結合断片に連結されたフタロシアニン色素を含有する、コンジュゲートである。いくつかの態様では、免疫調節剤は、腫瘍細胞上のチェックポイントタンパク質(例えば、PD-L1、PD-1およびCTLA4)に結合する免疫調節抗体(例えば、チェックポイント阻害剤)を含むIR700-抗体コンジュゲートである。いくつかの態様では、免疫調節コンジュゲート(例えば、免疫調節剤であるIR700-抗体コンジュゲート)は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの投与前、例えば、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの投与前の12時間~2ヶ月の時点、例えば、一般に、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも96時間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間または少なくとも1ヶ月の時点に投与される。いくつかの態様では、免疫調節コンジュゲート(例えば、免疫調節剤であるIR700-抗体コンジュゲート)は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの投与の間またはそれと同時に投与される。いくつかの態様では、免疫調節コンジュゲート(例えば、免疫調節剤であるIR700-抗体コンジュゲート)は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの投与後、例えば、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの投与後の12時間~2ヶ月の時点、例えば、一般に、少なくとも12時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも96時間、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間または少なくとも1ヶ月の時点に投与される。
【0316】
いくつかの態様において、腫瘍の照射は、i)免疫調節剤の投与後およびコンジュゲートの投与後、またはii)コンジュゲートの投与後のみのいずれかに行われる。
【0317】
免疫調節剤、フタロシアニン色素-コンジュゲート(例えば、IR700-ターゲティング分子コンジュゲート、例えばIR700-抗体色素コンジュゲート)を投与するためのおよび照射を実施するための、例示的な投与量レジメンおよびスケジュールは、本明細書に提供される方法に従うことができ、例えば、セクションIおよびIIに記載される通りの1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づくことができる。
【0318】
いくつかの態様において、併用療法の方法は、例えば免疫抑制シグナル伝達を阻害するかまたは免疫刺激シグナル伝達を増強することによって、抗腫瘍免疫応答を刺激、増幅および/またはそうでなければ増強することができる任意の免疫調節剤を用いて、実施することができる。いくつかの態様において、免疫調節剤は、ペプチド、タンパク質であるかまたは低分子である。いくつかの態様において、タンパク質は、融合タンパク質または組換えタンパク質であることができる。いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫細胞、例えばT細胞、B細胞または抗原提示細胞上に発現される免疫学的標的、例えば細胞表面受容体に結合する。例えば、いくつかの態様において、免疫調節剤は、抗体もしくは抗原結合抗体断片、融合タンパク質、低分子またはポリペプチドである。
【0319】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、免疫チェックポイント経路を阻害する。免疫系は、自己寛容の維持に関与するおよび免疫応答を調節するための複数の阻害経路を有する。腫瘍は、免疫耐性(特に、腫瘍抗原に特異的であるT細胞に対する)の主要機序として、ある免疫チェックポイント経路を使用できることが知られている(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。多くのこのような免疫チェックポイントはリガンド-受容体相互作用によって開始されるので、免疫チェックポイントはリガンドおよび/またはそれらの受容体に対する抗体によって容易に遮断されることができる。
【0320】
それゆえ、免疫チェックポイント経路を遮断するアンタゴニスト分子、例えば低分子、核酸阻害剤(例えば、RNAi)または抗体分子を用いた治療は、がんおよび他の疾患の免疫療法の有望な手段となりつつある。ほとんどの抗がん剤とは対照的に、チェックポイント阻害剤は、免疫系の内因性の抗腫瘍活性を増強するために、腫瘍細胞を直接標的とする必要はなく、むしろリンパ球受容体またはそれらのリガンドを標的とする(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。
【0321】
本明細書において使用される場合、用語「免疫チェックポイント阻害剤」は、1つまたは複数のチェックポイントタンパク質を完全にまたは部分的に低減、阻害、妨害または調節する分子を指す。チェックポイントタンパク質は、T細胞の活性化または機能を制御する。これらのタンパク質は、T細胞応答の共刺激性または阻害性相互作用の原因となる。免疫チェックポイントタンパク質は、自己寛容ならびに生理学的免疫応答の期間および大きさを制御および維持する。
【0322】
免疫チェックポイント阻害剤は、免疫系の阻害経路を統計学的に有意に遮断または阻害する任意の薬剤を含む。このような阻害剤は、低分子阻害剤を含み得るか、または免疫チェックポイント受容体リガンドに結合してそれを遮断または阻害する抗体、もしくはその抗原結合断片を含み得る。遮断または阻害のために標的とされ得る例となる免疫チェックポイント分子は、限定されることなく、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PD-L2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG-3(CD223)、TIM-3、4-1BB(CD137)、4-1BBL(CD137L)、GITR(TNFRSF18、AITR)、CD40、Ox40(CD134、TNFRSF4)、CXCR2、腫瘍関連抗原(TAA)、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、VISTA、KIR、2B4(CD2ファミリー分子に属し、かつ、全てのNK、γδ、およびメモリーCD8+(αβ)T細胞上に発現される)、CD160(BY55とも称される)およびCGEN-15049を含む。免疫チェックポイント阻害剤は、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、4-1BBL、GITR、CD40、Ox40、CXCR2、TAA、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、VISTA、KIR、2B4、CD160、およびCGEN-15049の1つまたは複数に結合しその活性を遮断または阻害する、抗体、もしくはその抗原結合断片、または他の結合タンパク質を含む。例となる免疫チェックポイント阻害剤は、トレメリムマブ(CTLA-4遮断抗体)、抗OX40、PD-L1モノクローナル抗体(抗B7-H1;MEDI4736)、MK-3475(PD-1遮断薬)、ニボルマブ(抗PD-1抗体)、CT-011(抗PD-1抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PD-L1抗体)、BMS-936559(抗PD-L1抗体)、MPLDL3280A(抗PD-L1抗体)、MSB0010718C(抗PD-L1抗体)およびヤーボイ/イピリムマブ(抗CTLA-4チェックポイント阻害剤抗体)を含む。他の例示的なチェックポイント阻害剤は以下に説明される。
【0323】
プログラム細胞死1(PD-1)は、B細胞、NK細胞、およびT細胞において発現される免疫チェックポイントタンパク質である(Shinohara et al., 1995, Genomics 23:704-6; Blank et al., 2007, Cancer Immunol Immunother 56:739-45; Finger et al., 1997, Gene 197:177-87; Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。PD-1の主な役割は、感染に応答した炎症の間、末梢組織においてT細胞の活性を制限すること、ならびに自己免疫を制限することである(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。PD-1発現は、活性化T細胞において誘導され、PD-1のその内因性リガンドの1つへの結合は、刺激性キナーゼを阻害することによって、T細胞活性化を阻害するように作用する(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。PD-1はまた、TCR「停止シグナル」を阻害するように作用する(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。PD-1は、Treg細胞上に強く発現され、かつ、リガンドの存在下でそれらの増殖を増加し得る(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。抗PD1抗体は、黒色腫、非小細胞肺癌、膀胱癌、前立腺癌、結腸直腸癌、頭頸部癌、トリプルネガティブ乳癌、白血病、リンパ腫および腎細胞癌の処置に使用されている(Topalian et al., 2012, N Engl J Med 366:2443-54; Lipson et al., 2013, Clin Cancer Res 19:462-8; Berger et al., 2008, Clin Cancer Res 14:3044-51; Gildener-Leapman et al., 2013, Oral Oncol 49:1089-96; Menzies & Long, 2013, Ther Adv Med Oncol 5:278-85)。例示的な抗PD-1抗体は、ニボルマブ(BMSによるオプジーボ)、ペムブロリズマブ(MerckによるKeytruda)、ピジリズマブ(Cure TechによるCT-011)、ランブロリズマブ(MerckによるMK-3475)、およびAMP-224(Merck)を含む。他の例示的な抗PD-1抗体は、AB122、AK105、AMG 404、AMP-224、AMP-514、BCD-100、BI 754091、カムレリズマブ、セミプリマブ (LIBTAYO; REGN2810)、セトレリマブ、CS1003、CX-188、ドスタルリマブ、F520、ゲノリムズマブ (genolimzumab)、GLS-010、HLX10、HX008、IBI308、JTX-4014、LZM009、MGA012、PDR001、PF-06801591、REGN2810、SCT-I10A、SG001、シンチリマブ、スパルタリズマブ (Spartalizumab)、Sym021、トリパリマブ (Toripalimab)およびTSR-042を含む。
【0324】
PD-L1(CD274およびB7-H1としても知られている)およびPD-L2(CD273およびB7-DCとしても知られている)は、活性化T細胞、B細胞、骨髄細胞、マクロファージ、およびいくつかのタイプの腫瘍細胞上に見いだされるPD-1のリガンドである。抗腫瘍治療は、抗PD-L1抗体に焦点を合わせている。PD-1およびPD-L1の複合体は、CD8+T細胞の増殖を阻害し、かつ、免疫応答を低減する(Topalian et al., 2012, N Engl J Med 366:2443-54; Brahmer et al., 2012, N Eng J Med 366:2455-65)。抗PD-L1抗体は、非小細胞肺癌、黒色腫、結腸直腸癌、腎細胞癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、乳癌、および血液悪性腫瘍の処置に使用されている(Brahmer et al., N Eng J Med 366:2455-65; Ott et al., 2013, Clin Cancer Res 19:5300-9; Radvanyi et al., 2013, Clin Cancer Res 19:5541; Menzies & Long, 2013, Ther Adv Med Oncol 5:278-85; Berger et al., 2008, Clin Cancer Res 14:13044-51)。例示的な抗PD-L1抗体は、MDX-1105(Medarex)、MEDI4736(Medimmune)、MPDL3280A(アテゾリズマブ、Tecentriq, RG7446; Genentech)、BMS-935559(Bristol-Myers Squibb)およびMSB0010718Cを含む。他の例示的な抗PD-L1抗体は、アベルマブ (Bavencio, MSB0010718C; M7824)、BCD-135、BGB-A333、CBT-502、コシベリマブ、CS1001、デュルバルマブ (Imfinzi, MEDI4736)、FAZ053、HLX20、KN035、LDP、LY3300054、MSB2311、NM-01、REGN3504、SHR-1316 (HTI-1088)、STI-3031 (IMC-001; STI-A1015)、TG-1501およびZKAB001 (STI-A1014)を含む。
【0325】
CD152としても知られている細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA-4)は、T細胞活性化を制御するよう機能する共阻害性分子である。CTLA-4は、T細胞上にだけ発現される免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA-4は、T細胞活性化を阻害するように作用する、またヘルパーT細胞の活性を阻害して制御性T細胞の免疫抑制活性を増強すると報告されている(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。CTLA-4の正確な作用機序は調査中であるが、CTLA-4は、CD80およびCD86への結合においてCD28と競合して打ち勝つことによって、かつ阻害剤シグナルをT細胞に活発に送達することによって、T細胞活性化を阻害すると示唆されている(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。抗CTLA-4抗体は、黒色腫、前立腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌の処置のための臨床試験で使用されている(Robert & Ghiringhelli, 2009, Oncologist 14:848-61; Ott et al., 2013, Clin Cancer Res 19:5300; Weber, 2007, Oncologist 12:864-72; Wada et al., 2013, J Transl Med 11:89)。抗CTLA-4の顕著な特徴は、初期処置後、生理学的応答に最大で6か月の期間を要する、抗腫瘍効果の動態である(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。いくつかの場合では、腫瘍は、実際に処置開始後サイズが増加し得るが、その後低減が見られる(Pardoll, 2012, Nature Reviews Cancer 12:252-264)。例示的な抗CTLA-4抗体は、イピリムマブ(YERVOY; Bristol-Myers Squibb)およびトレメリムマブ(Pfizer)を含む。他の例示的な抗CTLA-4抗体は、ADG116、ADU-1604、AGEN1181、AGEN1884、BCD-145、BMS-986218、イピリムマブ、MK-1308、REGN4659およびチシリムマブ (Ticilimumab)を含む。イピリムマブは、転移性黒色腫の処置について最近になってFDAの承認を受けた(Wada et al., 2013, J Transl Med 11:89)。いくつかの態様において、免疫調節剤は、抗CTLA-4抗体ではない。
【0326】
CD223としても知られているリンパ球活性化遺伝子-3(LAG-3)は、別の免疫チェックポイントタンパク質である。LAG-3は、リンパ球活性の阻害、およびいくつかの場合ではリンパ球アネルギーの誘導と関連している。LAG-3は、B細胞、NK細胞、および樹状細胞を含む、免疫系における種々の細胞上に発現される。LAG-3は、黒色腫炎症性T細胞(強力な免疫抑制活性を備えているものを含む)上に実質的に発現される、MHCクラスII受容体の天然リガンドである。例示的な抗LAG-3抗体は、BMS-986016である。IMP321は、樹状細胞を活性化して抗原提示を増加させる、免疫チェックポイント分子LAG-3の可溶性バージョンである。
【0327】
活性化Th1細胞上で最初に同定された、T細胞免疫グロブリンドメインおよびムチンドメイン-3(TIM-3)は、免疫応答の負の調節因子であることが示されている。TIM-3の遮断は、T細胞媒介性抗腫瘍免疫を促進し、かつ、広範なマウス腫瘍モデルにおいて抗腫瘍活性を有する。TIM-3遮断と他の免疫治療薬、例えばTSR-042、抗CD137抗体との組み合わせは、抗腫瘍効果の増加において付加的または相乗的であることができる。TIM-3発現は、黒色腫、NSCLCおよび腎臓癌を含む多数の異なる腫瘍タイプと関連しており、追加的に、腫瘍内TIM-3の発現は、NSCLC、子宮頸癌、および胃癌を含む広範な腫瘍タイプにわたって予後不良と相関関係にあることが示されている。TIM-3の遮断はまた、多数の慢性ウイルス性疾患への増加された免疫の促進において興味深い。TIM-3はまた、ガレクチン-9、ホスファチジルセリンおよびHMGB1を含む多数のリガンドと相互作用することが示されているが、もしあったとしてもこれらのうちどれが抗腫瘍応答の制御に関係しているか現在のところ明らかになっていない。
【0328】
CD137としても知られている4-1BBは、TNFRスーパーファミリーに属する膜貫通糖タンパク質である。4-1BB受容体は、活性化T細胞およびB細胞ならびに単球上に存在する。例示的な抗4-1BB抗体は、ウレルマブ(BMS-663513)であり、これは潜在的な免疫刺激性および抗悪性腫瘍活性を有する。
【0329】
糖質コルチコイド誘導性TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)もまた、TNFRスーパーファミリーのメンバーである。GITRは、活性化T細胞上でアップレギュレートされ、これは免疫系を増強する。例示的な抗GITR抗体は、TRX518である。
【0330】
分化抗原群40(CD40)もまた、TNFRスーパーファミリーのメンバーである。CD40は、抗原提示細胞上に見いだされる共刺激性タンパク質であり、かつ、幅広い免疫および炎症応答を媒介する。CD40はまた、いくつかの悪性腫瘍上に発現され、そこで増殖を促進する。例示的な抗CD40抗体は、ダセツズマブ(SGN-40)、ルカツムマブ(Novartis、アンタゴニスト)、SEA-CD40(Seattle Genetics)、およびCP-870,893である。
【0331】
OX40およびCD134としても知られている腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4(TNFRSF4)は、TNFRスーパーファミリーの別のメンバーである。OX40は、静止ナイーブT細胞上に構成的に発現されず、二次的な共刺激性免疫チェックポイント分子として作用する。例示的な抗OX40抗体は、MEDI6469およびMOXR0916(RG7888、Genentech)である。
【0332】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、抗体またはその抗原結合抗体断片である。例示的なこのような抗体は、限定されることなく、ダクリズマブ(Zenapax)、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、バシリキシマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、MPDL3280A、ピジリズマブ(CT-011)、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ(SGN-40)、ルカツムマブ(HCD122)、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MEDI6469、MEDI6383、MOXR0916、AMP-224、MSB0010718C(Avelumab)、MEDI4736、PDR001、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015, IPH2101)、IPH2201、ARGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aまたはその抗体結合断片を含む。
【0333】
CXCR2は、骨髄由来抑制細胞(MDSC)上に発現されるケモカイン受容体である。CXCR2は、腫瘍免疫回避に寄与する。抗CXCR2モノクローナル抗体療法が抗PD-1抗体誘導性の抗腫瘍免疫応答および抗腫瘍有効性を増強したことが示されている。
【0334】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、サイトカインである。いくつかの態様において、免疫調節剤は、サイトカインであるか、または腫瘍微小環境中のサイトカインの増加した発現を誘導する薬剤である。「サイトカイン」とは、別の細胞に対して細胞間メディエーターとして作用する、1つの細胞集団によって放出されるタンパク質の総称を意味する。このようなサイトカインの例は、リンホカイン、モノカイン、および伝統的なポリペプチドホルモンである。サイトカインの中で、成長ホルモン、例えばヒト成長ホルモン、N-メチオニルヒト成長ホルモン、およびウシ成長ホルモン;副甲状腺ホルモン;チロキシン;インスリン;プロインスリン;レラキシン;プロレラキシン;糖タンパク質ホルモン、例えば卵胞刺激ホルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、および黄体形成ホルモン(LH);肝細胞成長因子;線維芽細胞成長因子;プロラクチン;胎盤性ラクトゲン;腫瘍壊死因子-アルファおよび-ベータ;ミュラー管抑制物質;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子;インテグリン;トロンボポエチン(TPO);神経成長因子、例えばNGF-ベータ;血小板成長因子;トランスフォーミング成長因子(TGF)、例えばTGF-アルファおよびTGF-ベータ;インスリン様成長因子-Iおよび-II;エリスロポエチン(EPO);骨誘導因子;インターフェロン、例えばインターフェロン-アルファ、ベータ、および-ガンマ;コロニー刺激因子(CSF)、例えばマクロファージ-CSF(M-CSF);顆粒球-マクロファージ-CSF(GM-CSF);ならびに顆粒球-CSF(G-CSF);インターロイキン(IL)、例えばIL-1、IL-1アルファ、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12;IL-15、腫瘍壊死因子、例えばTNF-アルファまたはTNF-ベータ;ならびに、LIFおよびキットリガンド(KL)を含む他のポリペプチド因子が含まれる。本明細書において使用される場合、サイトカインという用語は、天然源由来または組換え細胞培養物由来のタンパク質、および天然配列のサイトカインの生物学的に活性な同等物を含む。例えば、免疫調節剤は、サイトカインであり、そして、サイトカインは、IL-4、TNF-α、GM-CSFまたはIL-2である。
【0335】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、GM-CSF、CpG-ODN(CpGオリゴデオキシヌクレオチド)、リポ多糖(LPS)、モノホスホリルリピドA(MPL)、ミョウバン、組換えリーシュマニアポリタンパク質、イミキモド、MF59、ポリI:C、ポリA:U、1型IFN、Pam3Cys、Pam2Cys、完全フロイントアジュバント(CFA)、アルファ-ガラクトシルセラミド、RC-529、MDF2β、ロキソリビン、抗CD40アゴニスト、SIRPaアンタゴニスト、AS04、AS03、フラジェリン、レシキモド、DAP(ジアミノピメリン酸)、MDP(ムラミルジペプチド)およびCAF01(陽イオン性アジュバント製剤-01)の中から選択される。いくつかの態様において、免疫調節剤は、Toll様受容体(TLR)アゴニスト、アジュバントまたはサイトカインである。いくつかの態様において、免疫調節剤は、TLRアゴニストであり、そして、TLRアゴニストは、TLR4アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニスト、またはTLR9アゴニストであるTLRアゴニストである。いくつかの態様において、TLRアゴニストは、トリアシル化リポタンパク質、ジアシル化リポタンパク質、リポテイコ酸、ペプチドグリカン、ザイモサン、Pam3CSK4、dsRNA、ポリ(I:C)、ポリG10、ポリG3、CpG、3M003、フラジェリン、リポ多糖(LPS)、真核生物リボソーム伸長および開始因子4aのリーシュマニア相同体(LeIF)、MEDI9197、SD-101、ならびにイミダゾキノリンTLRアゴニストの中から選択される。
【0336】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、1つまたは複数のインターロイキンまたは他のサイトカインを含みうる。例えば、インターロイキンは、天然サイトカインの組み合わせである、白血球インターロイキン注射(Multikine)を含むことができる。
【0337】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、Toll様受容体(TLR)アゴニストである。いくつかの態様において、このようなアゴニストは、TLR4アゴニスト、TLR8アゴニスト、またはTLR9アゴニストを含むことができる。このようなアゴニストは、ペプチドグリカン、ポリ(I:C)、CpG、3M003、フラジェリン、ならびに真核生物リボソーム伸長および開始因子4aのリーシュマニア相同体(LeIF)から選択され得る。
【0338】
いくつかの態様において、免疫調節剤は、腫瘍細胞の免疫原性を増強するもの、例えば、パツピロン(エポチロンB)、上皮成長因子受容体(EGFR)標的指向型モノクローナル抗体7A7.27、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤(例えば、ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、ベリノスタット、およびエンチノスタット)、n3-多価不飽和脂肪酸ドコサヘキサエン酸、プロテアソーム阻害剤(例えば、ボルテゾミブ)、シコニン(ムラサキ(Lithospermum erythrorhizon)の根の主成分)および腫瘍溶解性ウイルス、例えばT-Vec(タリモジーン・ラハーパレプベック)であることができる。いくつかの態様において、アントラサイクリン(ドキソルビシン、ミトキサントロン)、BKチャネルアゴニスト、ボルテゾミブ、ボルテゾミブ+マイトマイシンC+hTert-Ad、強心配糖体+非ICD誘導因子、シクロホスファミド、GADD34/PP1阻害剤+マイトマイシン、LV-tSMAC、およびオキサリプラチンのような免疫調節剤は、がんまたは腫瘍の免疫原性細胞死を活性化する。いくつかの態様において、免疫調節剤は、エピジェネティック療法、例えばDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤(例えば、デシタビン、5-アザ-2’-デオキシシチジン)であることができる。
【0339】
例えば、いくつかの態様において、免疫調節剤は、DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤であることができ、これは腫瘍関連抗原(TAA)の発現を制御することができる。TAAは、免疫応答をトリガーする、腫瘍細胞において産生される抗原物質である。TAAは、多くの場合、腫瘍においてDNAメチル化によってダウンレギュレーションされて免疫系を回避する。DNAメチル化の反転は、TAA発現を回復し、腫瘍細胞の免疫原性を増加させる。例えば、デシタビン(5-アザ-2’-デオキシシチジン)のような脱メチル化剤は、腫瘍細胞においてTAAの発現をアップレギュレートすることができ、かつ、がん性細胞の免疫認識を増加させることができる。光免疫療法は、細胞を破壊することによってTAAを免疫系にさらに曝露するだろう。
【0340】
いくつかの態様において、免疫調節剤それ自体は、免疫チェックポイント阻害剤のような免疫調節剤である抗体または抗原結合抗体断片に連結されたフタロシアニン色素を含有する抗体コンジュゲートであることができる。いくつかの態様において、免疫調節剤は、腫瘍細胞の表面の免疫抑制分子、例えば免疫チェックポイント分子を標的とするかまたはそれに結合するものである。例えば、PD-L1は、多くの腫瘍細胞上で構成的に発現されるかまたは誘導される免疫抑制分子であり、かつ、免疫細胞上に発現されるその受容体PD-1との相互作用を通してT細胞活性化を防止することができる。いくつかの局面において、腫瘍細胞上の免疫抑制分子(例えば、PD-L1)に結合する免疫調節剤を含有するフタロシアニン-色素コンジュゲートを投与して、免疫応答を増強することも、また、免疫抑制分子を発現するがん細胞を特異的に殺傷するよう作用し、それによって腫瘍微小環境において免疫抑制を反転させることのいずれもできる。特に、コンジュゲートが結合する腫瘍細胞の照射は、その活性化をもたらして、PD-L1がん細胞のPIT誘導性細胞殺傷を媒介することができ、これはまた、腫瘍微小環境においてT細胞抑制を制御する腫瘍中のがん細胞を特異的に排除するよう作用するだろう。
【0341】
よって、腫瘍細胞上に発現される免疫抑制分子に結合する免疫調節剤に連結されたフタロシアニン色素(例えば、IR700)を含有するコンジュゲートが本明細書に提供される。例えば、いくつかの態様において、腫瘍細胞上に発現される免疫抑制分子は、免疫チェックポイント分子であることができる。いくつかの態様において、腫瘍細胞上に発現される免疫チェックポイント分子は、PD-L1である。いくつかの態様において、コンジュゲートの一部である免疫調節剤は、免疫チェックポイント阻害剤、例えばPD-L1に結合する抗体または抗原結合抗体断片である。例えば、PD-L1に結合する抗体または抗原結合抗体断片に連結されたフタロシアニン色素(例えば、IR700)を含有するコンジュゲートが本明細書に提供される。PD-L1に対する例示的な免疫チェックポイント阻害剤(抗体または抗原結合抗体断片を含む)は、上記であり、かつ、いずれも提供されるコンジュゲートに含めることができる。例示的な抗PD-L1抗体は、限定されることなく、BMS-935559、MEDI4736(デュルバルマブ)、MPDL3280A(アテゾリズマブ)およびMSB0010718C(アベルマブ)、またはその抗原結合抗体断片を含む。本明細書に提供される例示的なコンジュゲート分子は、例えば、IR700-BMS-935559、IR700-MEDI4736(デュルバルマブ)、IR700-MPDL3280A(アテゾリズマブ)およびIR700-MSB0010718C(アベルマブ)を含むことができる。いくつかの態様において、このようなコンジュゲートを、例えば色素を活性化させるのに十分な波長での光での照射による、光免疫療法の方法において使用することができる。このようなコンジュゲートを、単剤療法ベースの光免疫療法において使用することも、または他のフタロシアニン色素コンジュゲートとの併用療法の方法において使用することもできる。
【0342】
例えば、いくつかの態様において、腫瘍の細胞上に発現される免疫抑制分子に結合する免疫調節剤に連結されたフタロシアニン色素(例えば、IR700)を含有する第一のコンジュゲート(例えば、抗PD-L1抗体、例えばIR700-抗PD-L1コンジュゲート)が対象に投与され、次いで、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含有する第二のコンジュゲートが対象に投与される、併用療法の方法が提供される。一般に、第二のコンジュゲートは、腫瘍中の細胞、例えば腫瘍微小環境中に存在する細胞、例えば上記のいずれか上の細胞表面タンパク質に結合することができる任意のターゲティング分子を含むことができる。いくつかの態様において、第一のコンジュゲートおよび第二のコンジュゲートは、腫瘍中の細胞上に発現される異なるタンパク質に結合する。いくつかの態様において、第二のコンジュゲートは、腫瘍中の細胞上に発現される細胞表面タンパク質に結合する抗体または抗原結合抗体断片に連結されたフタロシアニン色素(例えば、IR700)を含むことができる。第二のコンジュゲートの例示的な抗体または抗原結合抗体断片は、限定されることなく、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan, Mabthera)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、ならびにバシリキシマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI6383、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、PDR001、MSB0010718C(アベルマブ)、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015, IPH2101)、IPH2201、AGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aを含むことができるか、またはその抗体結合断片である。
【0343】
いくつかの態様において、例えば、コンジュゲートでの腫瘍の処置とそれに続く光照射が腫瘍中の免疫抑制細胞の存在を増加させるかまたは腫瘍における免疫抑制マーカーの発現を増加させる場合、腫瘍中の免疫抑制細胞の量もしくは活性を低減させることが可能な、または免疫抑制マーカーの活性を遮断もしくは腫瘍中の腫瘍促進細胞の活性を低減させることが可能な、または腫瘍促進マーカーの活性を遮断することが可能な、治療有効量の免疫調節剤を投与することができる。例えば、いくつかの態様において、免疫調節剤との組み合わせで投与される、フタロシアニン色素である第一の色素を有するコンジュゲートは、免疫調節剤にコンジュゲートされた第二のフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを含み、免疫調節剤は、免疫抑制細胞または腫瘍促進細胞に結合してこのような細胞の活性を調節することが可能である。いくつかの態様において、第一および第二のフタロシアニン色素は、同じかまたは異なる。
【0344】
このような局面において、併用療法の方法は、一般に、第一および/または第二のコンジュゲートの色素を活性化するために十分な波長での光での1回または複数回の照射を含む。
【0345】
いくつかの態様において、少なくとも2回の照射が実施されるが、その際、少なくとも1回の第一の照射が第一のコンジュゲートを活性化するために提供され、第二の照射が第二のコンジュゲートを活性化するために提供される。いくつかの態様において、光での第一の照射は、第一のコンジュゲートの投与後に腫瘍に提供される。例えば、第一のコンジュゲートを投与した12時間~48時間または約12時間~48時間後、例えば約24時間またはおよそ24時間以内、腫瘍を光で処置して、免疫抑制分子を発現するがん細胞を殺傷する、例えばPD-L1を発現する腫瘍細胞を殺傷することができる。いくつかの態様において、このような細胞の殺傷は、腫瘍でのT細胞応答の再活性化または増幅を可能にし得る。いくつかの態様において、投与および照射による第一のコンジュゲートの光免疫療法に続いて、第二のフタロシアニン色素コンジュゲートを対象に投与し、続いて、第二のコンジュゲートを投与した12時間~48時間または約12時間~48時間後、例えば約24時間またはおよそ24時間以内に光での第二の照射を行うことができる。いくつかの態様において、第二の照射は、第二のコンジュゲートの活性化を達成し、これは、第二のコンジュゲートによって認識される腫瘍ターゲティング分子を発現する腫瘍細胞の選択的細胞殺傷をもたらし、それによって腫瘍抗原を放出して強い免疫原性応答を誘導することができる。その理由は、腫瘍中のT細胞がもはや免疫抑制分子(例えば、PD-L1)によって抑制されないためである。いくつかの態様において、第一の照射は、第二のコンジュゲートの投与の前に、例えば第二のコンジュゲートの投与の少なくとも1分、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間もしくは24時間前、または約少なくとも1分、5分、10分、30分、1時間、2時間、3時間、6時間、12時間もしくは24時間前に実施される。
【0346】
いくつかの態様において、第一のコンジュゲートによって認識される免疫抑制分子(例えば、PD-L1)を発現する腫瘍細胞および第二のコンジュゲートによって認識される腫瘍ターゲティング分子を発現する腫瘍細胞のPIT誘導性細胞殺傷を引き起こすために、単回照射を実施して、第一のコンジュゲートおよび第二のコンジュゲートの両方の活性化を達成することができる。よって、このような局面において、腫瘍の1回の光照射で、特異的腫瘍細胞を選択的に殺傷して、それによって腫瘍抗原を放出する効果と、PD-L1を発現する腫瘍細胞のような免疫抑制腫瘍細胞の殺傷に起因して強い免疫原性応答を誘導する効果の両方を誘導し得る。いくつかの態様において、照射前、第一のコンジュゲートを、第二のコンジュゲートの投与の前に、同時に、その後にまたは断続的に投与することができる。いくつかの態様において、第一のコンジュゲートは、第二のコンジュゲートの前に、例えば少なくとも5分前、一般に少なくとも12時間または少なくとも24時間前に投与される。いくつかの態様において、第一および第二のコンジュゲートは、同時に投与される。いくつかの態様において、第一および第二のコンジュゲートは、別個に製剤化される。いくつかの態様において、第一および第二のコンジュゲートは、同じ組成物中に合わせて製剤化される。
【0347】
2. 抗がん剤
また、本明細書において、光免疫療法の前またはそれに続いて、1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づき、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを用いる光免疫療法と併用して投与することができる、抗がん剤が提供される。いくつかの態様では、1つまたは複数のバイオマーカーは、抗がん剤などとの併用療法のための追加の治療剤の使用をガイドすることができる。いくつかの局面では、対象が、本明細書に提供される方法に従ってバイオマーカーに基づき低い応答の可能性を有すると決定されたら、抗がん剤、例えば以下に記載する抗がん剤を追加の治療剤として使用して、例えば、処置の有効性を改善することができる。ここで、併用およびその使用方法を含む本明細書に提供される併用療法は、抗がん剤を含み、それは、使用することで対象におけるがんを低減、阻止または防止できる任意の薬剤を含むことができる。任意で、追加の抗がん剤を、本明細書に提供される方法に従って1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づき、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを使用した光免疫療法との併用療法で免疫調節剤と共に使用して、例えば、様々ながんを処置することができる。
【0348】
本明細書に記載のとおり、照射と組み合わせた、腫瘍を有する対象への1つまたは複数のフタロシアニン色素コンジュゲートの投与による腫瘍細胞の光免疫療法(PIT)誘導性細胞殺傷は、腫瘍透過性の増加、例えば腫瘍空間周辺の血管透過性の増加を導くことができる。透過性の増加は、全身に有効可能な分子の腫瘍空間への急速な漏出をもたらし、それによってこのような分子への腫瘍の曝露を最大限にすることができることが本明細書において考えられる。したがって、いくつかの態様において、本明細書に提供される併用療法の方法では、抗がん剤は、対象に、投与されたフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの照射前の、抗がん剤を全身に有効可能にするのに十分な時間に、例えば一般に、照射の少なくとも5分前、例えば照射の少なくとも10分間、15分、30分間、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、12時間または24時間前に投与される。このような態様において、照射および腫瘍細胞のPIT誘導性殺傷に続いて、全身に有効可能な抗がん剤が腫瘍空間に直ちに取り込まれることができ、そこで、薬剤が治療効果を提供することができる。したがって、抗がん剤が照射後に、よってPIT誘導性細胞殺傷後に投与される方法とは対照的に、本方法では、抗がん剤が腫瘍空間への直接かつ即時の取り込みに利用可能であるので、治療効果を達成する上で遅延時間はない。これは、抗がん剤への治療応答を最大限にすることができる。
【0349】
抗がん剤の十分な全身アベイラビリティを確保するための、照射を実施する前の特定の抗がん剤の投与の適切なタイミングを決定することは、当業者が備えている技能の範囲内である。多くの場合、特定の抗がん剤の薬物動態は、周知である。いくつかの場合では、投与に続いて、このようなパラメーターを最大(ピーク)血漿濃度(Cmax)、ピーク時間(すなわち、最大血漿濃度が生じるとき;Tmax)、最小血漿濃度(すなわち、薬剤の用量間の最小血漿濃度;Cmin)、消失半減期(T1/2)および曲線下面積(すなわち、時間対薬剤の血漿濃度をプロットすることによって生成される曲線下面積;AUC)として測定することによって、薬物動態を評価することができる。血液の試料中の薬剤の濃度を評価するのに適する任意の公知の方法を使用して、皮下投与に続いて血漿中の特定の薬剤の濃度を測定することができる。例えば、免疫測定法、例えばELISA、またはクロマトグラフィー/質量分光分析法ベースアッセイを使用することができる。
【0350】
いくつかの態様において、本明細書に提供される併用療法において使用される抗がん剤は、抗がん処置において使用される、任意の薬剤、または化合物を指すことができる。これらは、単独でまたは他の化合物との組み合わせで使用されるとき、腫瘍およびがんと関連する臨床症状または診断マーカーを緩和、低減、改善、防止するかまたはその奏効状態に置くもしくは保つことができ、かつ、本明細書に提供される組み合わせおよび組成物において使用することができる、任意の薬剤を含む。いくつかの態様において、抗がん剤は、その治療効果が一般に抗がん剤の腫瘍微小環境または腫瘍空間への浸透または送達と関連するものである。いくつかの態様において、抗がん剤は、アルキル化剤、白金製剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、有糸分裂阻害剤、コルチコステロイド、プロテアソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤または抗体もしくはその抗原結合抗体断片である。いくつかの態様において、抗がん剤は、ペプチド、タンパク質または低分子薬である。
【0351】
いくつかの態様において、抗がん剤は、5-フルオロウラシル/ロイコボリン、オキサリプラチン、イリノテカン、レゴラフェニブ、ziv-アフリベルセプト、カペシタビン、シスプラチン、パクリタキセル、トポテカン、カルボプラチン、ゲムシタビン、ドセタキセル、5-FU、イホスファミド、マイトマイシン、ペメトレキセド、ビノレルビン、カルムスチン・ウエファー、テモゾロミド、メトトレキサート、カペシタビン、ラパチニブ、エトポシド、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、リポソーマルシタラビン、シタラビン、インターフェロンアルファ、エルロチニブ、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ロムスチン、プロカルバジン、スニチニブ、ソマトスタチン、ドキソルビシン、ペグ化リポソーム封入ドキソルビシン、エピルビシン、エリブリン、アルブミン結合パクリタキセル、イキサベピロン、コトリモキサゾール、タキサン、ビンブラスチン、テムシロリムス、テモゾロミド、ベンダムスチン、経口エトポシド、エベロリムス、オクトレオチド、ランレオチド、ダカルバジン、メスナ、パゾパニブ、エリブリン、イマチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、ニロチニブ、ダサチニブ、セレコキシブ、タモキシフェン、トレミフェン、ダクチノマイシン、シロリムス、クリゾチニブ、セリチニブ、エンザルタミド、酢酸アビラテロン、ミトキサントロン、カバジタキセル、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、ロイコボリン、アファチニブ、セリチニブ、ゲフィチニブ、カボザンチニブ、オキサリプラチンまたはピリミジンオーロラキナーゼ阻害剤である。
【0352】
いくつかの態様において、抗がん剤は、抗体または抗原結合抗体断片である。いくつかの態様において、抗がん剤は、ベバシズマブ、セツキシマブ、パニツムマブ、ラムシルマブ、イピリムマブ、リツキシマブ、トラスツズマブ、ado-トラスツズマブエムタンシン、ペルツズマブ、ニボルマブ、ラパチニブ、ダブラフェニブ、ベムラフェニブ、エルロチニブ、スニチニブ、パゾパニブ、イマチニブ、レゴラフェニブ、ソラフェニブ、ニロチニブ、ダサンチニブ、セレコキシブ、クリゾチニブ、セリチニブ、アファチニブ、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、アファチニブ、ゲフィチニブ、テムシロリムス、エベロリムス、シロリムス、イブルチニブ、イマチニブ、レンバチニブ、オラパリブ、パルボシクリブ、ルキソリチニブ、トラメチニブ、バンデタニブもしくはビスモデギブのいずれか1つまたは複数、またはその抗原結合抗体断片であることができる。
【0353】
いくつかの態様において、抗がん剤は、アルキル化剤である。アルキル化剤は、核酸と共有結合を形成してDNA合成を阻害することによってDNAを直接損傷する化合物である。例示的なアルキル化剤は、限定されることなく、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、およびチオテパ、ならびにニトロソウレアアルキル化剤、例えばカルムスチンおよびロムスチンを含む。
【0354】
いくつかの態様において、抗がん剤は、白金製剤である。白金製剤は、DNAに結合してDNAの架橋を引き起こし、これが最終的にアポトーシスをトリガーする。例示的な白金製剤は、限定されることなく、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、サトラプラチン、ピコプラチン、ネダプラチン、トリプラチン、およびリポプラチンを含む。
【0355】
いくつかの態様において、抗がん剤は、代謝拮抗剤である。代謝拮抗剤は、RNAおよびDNAの正常な構成要素と置き換わることによって、DNAおよびRNAの成長を妨害する。これらの薬剤は、細胞の染色体がコピーされているときのS期の間、細胞を損傷する。いくつかの場合では、代謝拮抗剤を使用して、白血病、乳房、卵巣、および腸管のがん、ならびに他のタイプのがんを処置することができる。例示的な代謝拮抗剤は、限定されることなく、5-フルオロウラシル(5-FU)、6-メルカプトプリン(6-MP)、カペシタビン(Xeloda(登録商標))、シタラビン(Ara-C(登録商標))、フロキシウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン(Gemzar(登録商標))、ヒドロキシウレア、メトトレキサート、およびペメトレキセド(Alimta(登録商標))を含む。
【0356】
いくつかの態様において、抗がん剤は、抗腫瘍抗生物質である。抗腫瘍抗生物質は、がん細胞内のDNAを変化させることによって作用し、それらが成長および増殖しないようにする。アントラサイクリンは、DNA複製に関与する酵素を妨害する抗腫瘍抗生物質である。これらの薬物は、一般に、細胞周期の全ての段階において作用する。これらを、様々ながんに対して広く使用することができる。例示的なアントラサイクリンは、限定されることなく、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、およびイダルビシンを含む。他の抗腫瘍抗生物質は、アクチノマイシン-D、ブレオマイシン、マイトマイシン-C、およびミトキサントロンを含む。
【0357】
いくつかの態様において、抗がん剤は、トポイソメラーゼ阻害剤である。これらの薬物は、トポイソメラーゼ(DNAの鎖の分離を助け、それでS期の間にこれらをコピーできる)と呼ばれる酵素を妨害する。トポイソメラーゼ阻害剤を使用して、ある種の白血病、ならびに肺癌、卵巣癌、消化管癌、および他のがんを処置することができる。例示的なトポイソメラーゼ阻害剤は、限定されることなく、ドキソルビシン、トポテカン、イリノテカン(CPT-11)、エトポシド(VP-16)、テニポシド、およびミトキサントロンを含む。
【0358】
いくつかの態様において、抗がん剤は、有糸分裂阻害剤である。有糸分裂阻害剤は、多くの場合、植物アルカロイドおよび天然の植物性産物に由来する他の化合物である。これらは、細胞周期のM期における有糸分裂を停止させることによって作用するが、いくつかの場合では、酵素が細胞再生に必要なタンパク質を製造するのを妨げることによって、全ての段階において細胞を損傷することができる。例示的な有糸分裂阻害剤は、限定されることなく、パクリタキセル(Taxol(登録商標))、ドセタキセル(Taxotere(登録商標))、イキサベピロン(Ixempra(登録商標))、ビンブラスチン(Velban(登録商標))、ビンクリスチン(Oncovin(登録商標))、ビノレルビン(Navelbine(登録商標))、およびエストラムスチン(Emcyt(登録商標))を含む。
【0359】
いくつかの態様において、抗がん剤は、コルチコステロイドである。コルチコステロイドは、多くの場合、単にステロイドと呼ばれ、多くのタイプのがんの処置に有用である天然ホルモンおよびホルモン様薬物である。コルチコステロイドはまた、化学療法の前に使用してアレルギー反応を防止するのを助けることができ、また、化学療法の間および後に使用して吐き気および嘔吐を防止するのを助けることもできる。例示的なコルチコステロイドは、限定されることなく、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン(Solumedrol(登録商標))、およびデキサメタゾン(Decadron(登録商標))を含む。
【0360】
いくつかの態様において、抗がん剤は、別のタイプの化学療法薬、例えばプロテアソーム阻害剤、キナーゼ阻害剤、またはヒストンデアセチラーゼ阻害剤である。他の態様において、抗がん剤は、がん治療に使用される抗体のような生物製剤である。
【0361】
いくつかの態様において、抗がん剤は、種々のがんと関連する腫瘍を標的とする。がんは、対象の体内に位置する任意のがん、例えば、限定されることなく、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜、または肺に位置するがんであることができる。例えば、抗がん剤を、結腸癌、子宮頸癌、中枢神経系の癌、乳癌、膀胱癌、肛門癌腫、頭頸部癌、卵巣癌、子宮内膜癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌腫、神経内分泌癌、軟組織癌腫、陰茎癌、前立腺癌、膵臓癌、胃癌、胆嚢癌または食道癌の処置に使用することができる。いくつかの場合では、がんは、血液のがんであることができる。
【0362】
E. 例示的な特徴
いくつかの態様では、バイオマーカーの評価を伴う提供される方法に従う処置の所望の応答は、腫瘍またはがんに関連する1つまたは複数の症状を低減または阻害すること、および/または、PITを伴う腫瘍処置の有効性を改善することである。いくつかの態様では、組成物が有効であるために、1つまたは複数の症状が完全に排除される必要はない。いくつかの態様では、提供される方法は、処置の対象または種類を選択するためにバイオマーカーの評価を使用することなくコンジュゲート単独による処置と比較して、相乗的処置効果をもたらす。いくつかの局面では、PITに対して高い応答の可能性を示す対象を選択するか、または追加の処置から恩恵を受け得る対象に追加の治療剤を投与することによって、PITに基づいた処置の全体の有効性は、増加することができる。
【0363】
いくつかの局面では、本明細書に提供される方法に従う、例えば、バイオマーカー評価に基づく、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含有する組成物の投与とそれに続く照射は、腫瘍のサイズ、例えば、腫瘍の体積もしくは重量、または腫瘍の転移を、コンジュゲートの非存在下の腫瘍サイズ、体積、重量または転移と比較して、例えば、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも100%減少させることができる。いくつかの態様では、腫瘍サイズ、体積、重量または転移のその差は、処置の少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも14日、少なくとも30日、少なくとも60日、少なくとも90日、または少なくとも120日後に明らかとなる。いくつかの態様では、腫瘍サイズおよび体積は、X線撮影法、超音波画像診断、剖検よって、ノギスの使用によって、マイクロCTよってまたは18F-FDG-PETよってモニタリングすることができる。腫瘍サイズはまた、目視で評価することができる。特定の例では、腫瘍サイズ(直径)は、ノギスを使用して直接測定することができる。
【0364】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法に従う、例えば、バイオマーカー評価に基づく併用療法は、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート/PIT単独または追加の療法単独のいずれかで処置された場合の腫瘍サイズ、体積、重量または転移よりも小さい腫瘍サイズ、体積、重量または転移をもたらすことができる、すなわち、相乗効果がある。例えば、本明細書に提供される併用療法は、腫瘍のサイズ、例えば、腫瘍の体積もしくは重量、または腫瘍の転移を、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含有する組成物による光免疫療法とそれに続く照射のみを伴う治療法または免疫調節剤もしくは抗がん剤単独による単独療法を伴う治療法において達成される腫瘍サイズ、体積、重量または転移と比較して、例えば、少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍またはそれ以上減少させることができる。
【0365】
いくつかの態様では、提供される方法に従う処置の所望の応答は、コンジュゲートおよび照射の非存在下の細胞殺傷と比較して、細胞の集団を所望の量殺傷すること、例えば、細胞の少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも100%を殺傷することである。いくつかの態様では、腫瘍細胞殺傷のその差は、処置の少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも6時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも14日または少なくとも30日後に明らかとなる。いくつかの態様では、細胞殺傷活性は、処理後生検試料などから細胞壊死および/またはアポトーシスを測定するために用いることができる細胞傷害性/細胞生存性アッセイ、例えば、MTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイおよび他の関連するテトラゾリウム塩ベースのアッセイ(例えば、XTT、MTSまたはWST)、ATPアッセイ、アポトーシスアッセイ(例えば、標識アネキシンVを使用した)、例えば、感染細胞のTUNEL染色、DNA断片化アッセイ、DNAラダリングアッセイ、およびシトクロムC放出アッセイを含むがそれらに限定されない、公知の多種多様な技法によって評価することができる。いくつかの場合に、FDG-PETを含む陽電子放出断層撮影(PET)、単一光子放射断層撮影CT(SPECT)、拡散強調画像診断(DWI)、動的磁化率強調造影(DSC)MR画像診断または動的造影(DCE)MR画像診断、CT灌流法、核磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)などの画像診断法を使用することができる。このようなアッセイおよび方法は、周知である。
【0366】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法に従い、例えば、バイオマーカー評価に基づき実施されるPITを伴う併用療法は、腫瘍細胞の殺傷を、いずれかの単独療法と比較して、例えば、少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍またはそれ以上増加させることができる。
【0367】
いくつかの態様では、所望の応答は、腫瘍を有する患者、または最近除去された腫瘍を有していた患者の生存時間を、コンジュゲートおよび照射の非存在下の生存時間と比較して、所望の時間増加させること、例えば、生存を少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも100%増加させることである。いくつかの態様では、増加した生存は、中央無増悪生存期間、奏功期間、中央全生存期間または他の生存関連臨床エンドポイントの期間の中からの1つまたは複数の生存インジケーターの増加によって明らかとなる。いくつかの態様では、その生存の差は、処置の少なくとも7日、少なくとも10日、少なくとも14日、少なくとも30日、少なくとも60日、少なくとも90日、少なくとも120日、少なくとも6ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも24ヶ月、または少なくとも5年またはそれ以上後に明らかとなる。いくつかの態様では、本明細書に提供される方法に従い、例えば、バイオマーカー評価に基づき実施されるPITを伴う療法は、本明細書における方法に従って単独で、中央無増悪生存期間、奏功期間、中央全生存期間または他の生存関連臨床エンドポイントの期間を、そのようにコンジュゲートされていない対応するターゲティング分子で対象が処置された場合と比較して、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも24ヶ月、または少なくとも5年またはそれ以上増加させる。いくつかの態様では、本明細書に提供される方法に従い、例えば、バイオマーカー評価に基づき実施されるPITを伴う併用療法は、中央無増悪生存期間、奏功期間、中央全生存期間または他の生存関連臨床エンドポイントの期間を、単剤と比較して、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも24ヶ月、または少なくとも5年またはそれ以上増加させる。
【0368】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法に従い、例えば、バイオマーカー評価に基づき実施されるPITを伴う併用療法は、処置された対象の生存時間を、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートを含有する組成物による光免疫療法とそれに続く照射のみを伴う療法または免疫調節剤もしくは抗がん剤単独による単独療法を伴う治療法を受けた対象の生存時間と比較して、例えば、少なくとも1.2倍、1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍またはそれ以上増加させることができる。いくつかの態様では、本明細書に提供される方法に従い、例えば、バイオマーカー評価に基づき実施されるPITを伴う併用療法は、中央無増悪生存期間、奏功期間、中央全生存期間または他の生存関連臨床エンドポイントの期間を、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート/PIT単独または追加の療法単独のいずれかで処置された場合と比較して、少なくとも3ヶ月、少なくとも4ヶ月、少なくとも5ヶ月、少なくとも6ヶ月、少なくとも7ヶ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヶ月、少なくとも18ヶ月、少なくとも24ヶ月、または少なくとも5年またはそれ以上増加させる。
【0369】
一局面において、処置に対する応答は、国立がん研究所による腫瘍応答の評価の推奨されたガイドラインである、固形腫瘍効果判定基準(RECIST: Response Evaluation Criteria in Solid Tumors)を利用して特徴付けられる(Therasse et al., J. Natl. Cancer Inst. 92:205-216, 2000を参照のこと)。いくつかの態様において、改訂版1.1ガイドラインに概説されるとおりのRECIST判定基準を使用して治療に対する応答について患者を評価することができる(RECIST 1.1、Eisenhauer et al.(2009) European Journal of Cancer, 45:228-247を参照のこと)。他覚状態の判定基準が固形腫瘍応答を評価するプロトコルに必要である。代表的な判定基準は、以下を含む:(1)全ての測定可能な疾患の完全な消失;新規病変なし;疾患関連症状なし;測定可能でない疾患の証拠なしとして定義される、完全奏効(CR);(2)標的病変(例えば、腫瘍)の最長直径の合計の30%減少として定義される部分奏効(PR);(3)標的病変の最長直径の合計の20%増加または任意の新規病変の出現として定義される、進行性疾患(PD);(4)CR、PRまたはPDを満たさないとして定義される、安定または応答なし(上記Therasse等を参照のこと)。いくつかの態様において、CRまたはPR奏効が観察される対象の割合である、奏効率(ORR)を決定することができる。ORRは、腫瘍学臨床試験における処置に対する腫瘍の応答を測定するために一般的に使用されている。
【0370】
いくつかの態様において、提供される方法に従うフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの、単剤療法としてまたは併用療法のいずれかでの投与は、投与および照射の前の腫瘍のサイズまたは体積と比較して、照射の2週間または1か月以内に少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、もしくは少なくとも90%またはそれ以上の腫瘍のサイズまたは体積の低減を達成する。
【0371】
いくつかの態様では、処置された対象の集団において、方法で処置されていない対象の同状況の集団と比較して、腫瘍関連パラメーターの改善を達成し、ここで、パラメーターは、以下の1つまたは複数から選択される:a)奏効率(ORR);b)無増悪生存期間(PFS);c)全生存期間(OS);d)毒性の低減;e)腫瘍応答;f)クオリティ・オブ・ライフ;g)症状エンドポイント;h)無病生存期間;h)完全奏効(CR);またはi)無増悪期間。いくつかの態様において、パラメーターは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%またはそれ以上改善される。
【0372】
いくつかの態様において、処置された対象の集団では、単剤療法としてまたは併用療法いずれかでの提供される方法に従うフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの投与は、処置された対象の少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%のPRをもたらす。いくつかの態様では、処置された対象の集団において、提供される方法に従うフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの投与は、処置された対象の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%または100%のCRをもたらす。
【0373】
いくつかの態様において、処置された対象の集団では、単剤療法としてまたは併用療法のいずれかでの提供される方法に従うフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートの投与は、約13%超、例えば約15%超、約20%超、約30%超、約40%超、約50%超、約60%超、約70%超、約80%超、約95%超、または約99%超であるORRをもたらす。
【0374】
いくつかの態様において、本明細書に提供される併用療法、例えば免疫調節剤を採用する治療を使用して、がん患者において免疫応答を刺激することができる。典型的には、免疫応答は、以下のインビボまたはインビトロ決定を非限定的に含む様々な周知のパラメーターのいずれかによって検出され得る:可溶性免疫グロブリンもしくは抗体;可溶性メディエーター、例えばサイトカイン、リンホカイン、ケモカイン、ホルモン、成長因子など、ならびに他の可溶性低分子ペプチド、炭水化物、ヌクレオチドおよび/または脂質メディエーター;免疫系の細胞の機能性もしくは構造特性の変化によって決定された場合の細胞の活性化状態の変化、例えば細胞増殖、運動性の変化、特別な活性(例えば特定の遺伝子発現もしくは細胞溶解性挙動)の誘導;表面抗原発現プロファイルの変化もしくはアポトーシス(プログラム細胞死)の発生を含む、免疫系の細胞による細胞分化;細胞傷害性T細胞、活性化マクロファージもしくはナチュラルキラー細胞の増加;または免疫応答の存在が検出され得る任意の他の基準。
【0375】
これらのおよび同様のアッセイを実施するための手順は、広く知られており、かつ、例えば、Lefkovits(Immunology Methods Manual: The Comprehensive Sourcebook of Techniques, 1998;また、Current Protocols in Immunologyも参照のこと;また、例えば、Weir, Handbook of Experimental Immunology, 1986 Blackwell Scientific, Boston, Mass.; Mishell and Shigii (eds.) Selected Methods in Cellular Immunology, 1979 Freeman Publishing, San Francisco, Calif.; Green and Reed, 1998 Science 281:1309およびそこに引用される参考文献も参照のこと)に見いだされ得る。
【0376】
腫瘍反応性T細胞の増殖の検出は、様々な公知の技術によって成し遂げられ得る。例えば、DNA合成の速度を測定することによってT細胞増殖を検出することができ、腫瘍反応性T細胞候補が曝露される刺激(例えば、特異的な所望の腫瘍-または制御抗原-パルス抗原提示細胞)を制御することによって腫瘍特異性を決定することができる。増幅するよう刺激されたT細胞は、DNA合成速度の増加を示す。DNA合成速度を測定する典型的な方法は、例えば、T細胞の培養物を三重水素チミジン(新規に合成されたDNAに組み込まれるヌクレオシド前駆体)でパルス標識することによる方法である。液体シンチレーション分光光度計を使用して組み込まれた三重水素チミジンの量を決定することができる。T細胞増殖を検出する他の方法は、インターロイキン-2(IL-2)産生、Ca2+フラックス、または3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニル-テトラゾリウムのような色素の取り込みの増加を測定することを含む。あるいは、リンホカイン(例えばインターフェロン-ガンマ)の合成を測定することもでき、特定の抗原に応答できるT細胞の相対数を定量化してもよい。
【0377】
抗体産生(例えば、腫瘍特異的抗体産生)の検出を、例えば、本発明に係る組成物で処置された宿主由来の試料(例えば、血清、血漿または全血などの免疫グロブリン含有試料)を放射線免疫測定法(RIA)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、平衡透析または固相免疫ブロット法(ウェスタンブロット法を含む)のようなインビトロ法を使用してアッセイすることによって達成してよい。好ましい態様において、ELISAアッセイは、例えばアッセイの感度を増強させるため、抗原に特異的な固相モノクローナル抗体での標的腫瘍抗原の腫瘍抗原捕捉固定化をさらに含み得る。また、可溶性メディエーター(例えば、サイトカイン、ケモカイン、リンホカイン、プロスタグランジンなど)の生成を、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)によって、例えば、商業的供給源から容易に入手可能な方法、装置および試薬を使用して容易に決定しうる(例えば、Sigma, St. Louis, Mo.; R & D Systems 2006 Catalog, R & D Systems, Minneapolis, Minnも参照のこと)。
【0378】
周知のルーチンアッセイを使用して任意の数の他の免疫学的パラメーターをモニタリングしてよい。これらは、例えば、抗体依存性の細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)アッセイ、二次インビトロ抗体応答、十分に確立されたマーカー抗原系を使用する種々の末梢血液またはリンパ系単核細胞の亜集団のフロー免疫細胞蛍光分析、免疫組織化学または他の関連アッセイを含み得る。これらのおよび他のアッセイは、例えば、Rose et al. (Eds.), Manual of Clinical Laboratory Immunology, 5th Ed., 1997 American Society of Microbiology, Washington, D.Cに見いだされ得る。
【0379】
IV. フタロシアニン色素コンジュゲート
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法および使用は、1つまたは複数のバイオマーカーの発現に基づく光免疫療法(PIT)および/または併用療法の構成要素を含む。いくつかの態様では、光免疫療法は、フタロシアニン色素などの光増感剤、例えばIR700と細胞表面タンパク質に結合するターゲティング分子(例えば、抗体または抗体の抗原結合断片)とを含有するコンジュゲートを投与する工程を伴う。いくつかの局面では、1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づいて、対象を、ターゲティング分子とフタロシアニン色素とを含有するコンジュゲートによる処置のために特定することができる。いくつかの態様では、提供される方法は、フタロシアニン色素コンジュゲートを投与する工程を含む光免疫療法および/または併用療法に対する応答の可能性を評価するために使用することができる。いくつかの場合に、提供される方法において用いられる光免疫療法は、フタロシアニン色素と抗体またはその抗原結合断片などのターゲティング分子とを含有するコンジュゲートの投与を含む。
【0380】
いくつかの態様では、フタロシアニン色素などの光増感剤(例えば、IR700)にコンジュゲートされたターゲティング分子の細胞表面タンパク質への結合は、コンジュゲートを、腫瘍またはがんなどの疾患または病態、感染、炎症性疾患または病態、神経細胞の疾患または病態、または他の疾患または病態に関与する細胞に標的指向させる。いくつかの態様では、標的指向される細胞(例えば、ターゲティング分子が結合可能な細胞表面タンパク質を発現する細胞)は、疾患または病態に関連する病変の微小環境中に存在し、例えば、細胞は、腫瘍微小環境中に存在する。いくつかの態様では、細胞殺傷は色素-ターゲティング分子コンジュゲートが結合している細胞に選択的であるため、細胞標的指向は、フタロシアニン色素によって吸収される波長(例えば、近赤外(NIR)波長)を対象の病変(例えば、腫瘍)に局所照射することによって誘導される光免疫療法の有効性を増加させる。
【0381】
いくつかの態様では、本明細書に提供される併用療法において使用するためのフタロシアニン色素コンジュゲートは、リンカー基を介してターゲティング分子にコンジュゲートされた色素分子を含む。一局面では、コンジュゲートは、式I:
A-[(L)n-D]p
(I)
[式中、
Aは、細胞または組織に結合できるターゲティング分子であり;
Lは、p毎に独立に選択されたリンカーであり;
nは、1または2であり;
Dは、p毎に独立に選択された親水性フタロシアニン色素であり;そして
Pは、独立して、1、2、3、4、5または5超、例えば最大1000である。例えば、pは、1~1000、例えば、一般に、1~10または2~5であることができる]で示される。
【0382】
いくつかの態様では、フタロシアニン色素コンジュゲートは、光保護条件下でフタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート、例えばIR700-ターゲティング分子(例えば、IR700-抗体)コンジュゲートが調製される方法またはプロセスによって生産される。いくつかの態様では、該方法は、1)フタロシアニン色素およびターゲティング分子を調製または提供する工程;2)ターゲティング分子とフタロシアニン色素とを、コンジュゲートを生成する条件下で色素の曝露を最小限にして接触させる工程;および3)コンジュゲートを製剤化、精製および/または単離して、原薬を含有する組成物を生産する工程を含み、ここで、工程の1つまたは複数、例えば、いくつかの場合に、工程のすべてが、色素または色素を含有するコンジュゲートの環境光への曝露を最小限にして実施される。いくつかの態様では、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート、例えばIR700-ターゲティング分子(例えば、IR700-抗体)コンジュゲートは、WO 2017/031363(参照により本明細書に組み入れられる)に記載のとおりのコンジュゲートであるか、またはコンジュゲートを生産するための方法を使用して調製される。本明細書に記載の方法において用いられる光免疫療法のための例示的なコンジュゲートは、例えば、米国特許第8,524,239号または米国公報第US2014/0120119号およびWO 2017/031367に記載されているものを含む。
【0383】
A. フタロシアニン色素
フタロシアニンは、フタロシアニン環系を有する光増感剤化合物の一群である。フタロシアニンは、炭素原子と窒素原子が交互に並んだ16員環中に窒素の橋によって接続された4つのベンゾインドール基を含有するアザポルフィリン(すなわち、C32H16N8)であり、これは、金属および半金属カチオンと安定なキレートを形成する。これらの化合物において、環中心は、イオンに依存して1つまたは2つの配位子を保有し得る金属イオン(反磁性イオンまたは常磁性イオンのいずれか)によって占有されている。加えて、環周囲は、非置換であっても置換されていてもよい。多種多様なフタロシアニンの合成および光線力学療法における使用が国際公開WO 2005/099689号および米国特許第7,005,518号に記載されている。
【0384】
いくつかの態様では、フタロシアニンは、約600nm~810nm内の吸収ピークで赤色または近赤色IR放射線を強く吸収し、いくつかの場合に、光による組織の深い透過を可能にする。フタロシアニンは、一般に光安定である。この光安定性は、典型的には、顔料および色素において、かつ、フタロシアニンの他の用途の多くにおいて有利である。
【0385】
いくつかの態様では、フタロシアニン色素は、リンカーを含有し、すなわち、リンカー-フタロシアニン色素部分(L-D)である。いくつかの態様では、リンカーは、反応性基を含有する。いくつかの態様では、フタロシアニン色素は、式Ia:
[式中、
Lは、直接の連結または共有連結から選択され;
Qは、リンカーLの一部であることができる反応性基または活性化可能基であり、Lとターゲティング分子Aとの間で結合を形成するように反応できる任意の基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、場合により置換されているアルキルおよび場合により置換されているアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、存在していれば、各々独立して、水素、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルカノイル、場合により置換されているアルコキシカルボニル、場合により置換されているアルキルカルバモイル、またはキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は各々、水素、ハロゲン、場合により置換されているアルキルチオ、場合により置換されているアルキルアミノまたは場合により置換されているアルコキシから独立して選択できる官能基であり;
または、ある代替態様では、i)R
13およびR
14とこれらが付着している炭素、またはii)R
17およびR
18とこれらが付着している炭素、またはiii)R
21およびR
22とこれらが付着している炭素の少なくとも1つは、接続して縮合環を形成し;そして
X
2およびX
3は、各々独立して、場合によりヘテロ原子が介在しているC
1-C
10アルキレンである]で示される。
【0386】
いくつかの態様では、フタロシアニン色素は、式Ib:
[式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、場合によりヘテロ原子が介在しているC
1-C
10アルキレンであり;そして
R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、R
16、R
17、R
18、R
19、X
2、およびX
3は、本明細書において定義されるとおりである]で示される。
【0387】
いくつかの態様では、フタロシアニン色素は、近赤外(NIR範囲)で最大光吸収を有する。いくつかの態様では、フタロシアニン色素は、400nm~900nm、例えば、600nm~850nm、例えば、680nm~850nm、例えば、およそ690nm±50nmまたは690±20nmで最大光吸収波長を有する。いくつかの態様では、フタロシアニン色素は、これらの波長で光を放射する市販のレーザーダイオードによって効率的に励起され得る。
【0388】
本明細書に提供される方法のいくつかの態様では、本明細書に提供される方法に従って光免疫療法および/または併用療法のために投与されるコンジュゲートは、IR700 NHSエステル、例えばIRDye 700DX NHSエステル(Li-Cor 929-70010、929-70011)である、反応性基を含有するフタロシアニン色素を含む。したがって、いくつかの態様では、色素は、以下の式を有する化合物である:
【0389】
本明細書における目的のために、用語「IR700」、「IRDye 700DX」またはその変形は、色素が反応性基を介してターゲティング分子にコンジュゲートされている上記式を指す。一般に、IR700は、いくつかの好ましい化学特性を有する。アミノ反応性IR700は、比較的親水性の色素であり、IR700のNHSエステルを使用して抗体と共有的にコンジュゲートできる。典型的には、IR700はまた、ヘマトポルフィリン誘導体Photofrin(登録商標)(630nmで1.2×103 M-1cm-1)、メタ-テトラ(ヒドロキシフェニル)クロリン;Foscan(登録商標)(652nmで2.2×104 M-1cm-1)、およびモノ-L-アスパルチルクロリンe6;NPe6/Laserphyrin(登録商標)(654nmで4.0×104 M-1cm-1)などの従来の光増感剤よりも5倍を超えて高い吸光係数(689nmの吸収最大で2.1×105 M-1cm-1)を有する。
【0390】
本明細書に記載のフタロシアニン色素は、市販の出発物質を用いて製造することができる。そのコア構造は、2つ以上の異なるジイミノイソインドリンの縮合によって合成される。異なるジニトリルまたはジイミノイソインドリンを使用した合成戦略は、様々な置換度のフタロシアニンおよび/または分布度の位置異性体を導くことができる。色素を作製するための例示的な合成スキームは、米国特許第7,005,518号に記載されている。
【0391】
いくつかの態様では、本明細書に提供される方法のいずれかにおいて、ターゲティング分子(例えば、抗体)は、フタロシアニン色素(例えば、IR700)に直接的または間接的に連結される。いくつかの態様では、ターゲティング分子(例えば、抗体)は、共有結合または非共有相互作用を介して、直接的または間接的に、フタロシアニン色素(例えば、IR700)に連結される。いくつかの態様では、共有または非共有の相互作用または連結は、直接的または間接的である。いくつかの態様では、付着は、間接的連結、例えば、リンカー(例えば、上述した例示的なリンカーのいずれかなど)、結合部分もしくはドメインまたは反応性基を通じた間接的連結を含む。いくつかの態様では、連結は、ターゲティング分子とフタロシアニン色素(例えば、IR700)との間の直接的相互作用を含む。他の態様では、ターゲティング分子とフタロシアニン色素の一方または両方が1つまたは複数のリンカーに連結され、その相互作用は、例えば、一方の分子に付着したリンカーと別の分子との間、またはターゲティング分子もしくはフタロシアニン色素に各々が付着した2つのリンカー間で間接的である。
【0392】
B. ターゲティング分子、例えば、抗体
いくつかの態様では、提供される方法および使用において用いられる光免疫療法は、細胞表面タンパク質、例えば、腫瘍などの提供される方法に従って処置されるべき疾患または病態に関連する細胞表面タンパク質に結合するターゲティング分子(例えば、抗体または抗体の抗原結合断片)を含有するコンジュゲートを投与する工程を伴う。いくつかの局面では、コンジュゲートは、本明細書に記載のようなフタロシアニン色素などの光増感剤を含有する。いくつかの局面では、提供される方法は、1つまたは複数のバイオマーカーの発現に基づき、腫瘍などの疾患または病態を標的指向および処置するための特定のターゲティング分子を使用した光免疫療法による処置のための対象を特定または選択するために適用することができる。いくつかの態様では、フタロシアニン色素は、色素分子の反応性基を介してターゲティング分子にコンジュゲートされる。いくつかの態様では、ターゲティング分子は、例えば、細胞上の細胞表面分子(例えば、細胞表面受容体)に結合することによってコンジュゲートを細胞に標的指向できるものである。いくつかの態様では、ターゲティング分子、例えば、巨大分子は、所望の細胞タイプ、特定の表現型を有する細胞、または1つもしくは複数の細胞表面マーカーもしくは抗原を表示する細胞に選択的に結合することができる。いくつかの場合に、ターゲティング分子は、がん細胞、腫瘍細胞、炎症細胞、免疫細胞、神経細胞、幹細胞、増殖性細胞、または過形成状態の細胞である細胞に結合する。いくつかの態様では、細胞は、白血球、例えば、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、または単球などの炎症細胞である。いくつかの態様では、細胞は、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞、マクロファージ、または好中球などの免疫細胞である。
【0393】
いくつかの態様では、フタロシアニン色素コンジュゲートのターゲティング分子(例えば、抗体)は、疾患もしくは病態に関連するまたはその結果として存在する腫瘍などの病変の微小環境中に存在する1つまたは複数の細胞の表面上のタンパク質に結合する。例えば、いくつかの態様では、コンジュゲートは、腫瘍に関連するまたはその中に存在する腫瘍微小環境中に存在する1つまたは複数の細胞の表面上のタンパク質に結合する。いくつかの態様では、コンジュゲートは、腫瘍の微小環境中の細胞外マトリクス中に存在するタンパク質に結合する。
【0394】
本明細書において使用される場合、「病変の微小環境中に存在する細胞」は、病変、疾患または障害に関連する細胞環境中に存在する任意の細胞、例えば、腫瘍中に存在するまたはそれに直接隣接した任意の細胞、例えば、腫瘍微小環境中、または腫瘍微小環境中の細胞外マトリクス中に存在する細胞のことを指す。
【0395】
本明細書において使用される場合、「腫瘍微小環境中に存在する細胞」は、増殖腫瘍細胞(例えば、がん細胞)、腫瘍間質、血管、浸潤炎症細胞(例えば、免疫細胞)および多種多様な関連する組織細胞(例えば、線維芽細胞)を含む、腫瘍が存在する細胞環境中に存在する任意の細胞、例えば、腫瘍中に存在するまたはそれに直接隣接した任意の細胞のことを指す。したがって、腫瘍への言及は、悪性またはがん細胞を含み得る腫瘍細胞だけでなく、腫瘍の成長を調節する腫瘍微小環境中に存在する他の細胞(免疫細胞を含む)のことも指すと理解される。いくつかの場合に、腫瘍微小環境中に存在する免疫細胞は、Tリンパ球(制御性Tリンパ球(Treg)を含む)、樹状細胞(DC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、マクロファージおよび他の免疫細胞を含むことができる(Whiteside (2008) Oncogene, 27:5904-5912)。いくつかの局面では、腫瘍中に存在するおよびその周辺の多くの非がん性細胞は、腫瘍細胞の増殖、血管新生、侵入および/または転移を調節し、それによって腫瘍の成長を促進し得ることが認識される。したがって、いくつかの場合に、腫瘍中に存在するそのような非がん性細胞、例えば免疫細胞(例えば、制御性T細胞などのT細胞)を標的指向することは、PITによって腫瘍を殺傷するための有効な治療法であり得る。
【0396】
一般に、がん性細胞は、免疫系によって認識されるはずである腫瘍に関連する抗原を含有する。典型的には、活性免疫系では、細胞傷害性T細胞などの免疫細胞がこれらのがん性細胞を攻撃および根絶する。正常な生理学的状態下では、T細胞媒介免疫応答は、T細胞受容体(TCR)による抗原認識によって開始され、共刺激性シグナルおよび阻害性シグナル(例えば、免疫チェックポイントタンパク質)のバランスによって調節される。特に、TCRを発現するCD4+およびCD8+ T細胞は、それぞれ、主要組織適合複合体(MHC)クラスI分子またはクラスII分子上の抗原提示細胞上に提示される抗原性ペプチドの認識によって活性化状態になることができる。いくつかの局面では、活性化されたCD8+細胞、または細胞傷害性T細胞は、該抗原を発現する腫瘍細胞を殺傷することができ、これは、CD4+ T細胞の存在によって援助され得る。
【0397】
しかしながら、腫瘍の場合、腫瘍微小環境は、免疫系を抑制することによって免疫認識を回避し、腫瘍細胞の殺傷を防止または低減させる機序を有する。例えば、いくつかの場合に、免疫チェックポイントタンパク質が腫瘍において脱調節され、それによって免疫系を回避する機序として腫瘍微小環境において免疫応答の抑制をもたらし得る。いくつかの場合に、腫瘍浸潤リンパ球は、微小環境における他のT細胞の増殖を抑制可能な細胞であるTreg(例えば、CD4+CD25+ T細胞)を含むことができる(Whiteside, TL (2008) Oncogene, 27:5904-5912)。いくつかの場合に、他の機序が免疫細胞の腫瘍抗原への接近を阻害するように作用することができ、これも免疫系を回避する腫瘍の能力に寄与する。
【0398】
いくつかの態様では、ターゲティング分子は、腫瘍またはがん細胞上の細胞表面タンパク質に結合するターゲティング分子である。いくつかの態様では、ターゲティング分子は、腫瘍微小環境中に存在する免疫細胞または他の非がん性細胞上の細胞表面タンパク質に結合する。いくつかの態様では、ターゲティング分子は、TregなどのTリンパ球、樹状細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、B細胞、マクロファージまたは腫瘍微小環境中に存在する他の免疫細胞の表面上の細胞表面タンパク質に結合する。いくつかの場合に、腫瘍またはがんは、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜または肺に位置する。
【0399】
腫瘍またはがんを標的指向するターゲティング分子などの例示的なターゲティング分子は、公開国際PCT出願番号WO2014120974、WO2014176284、WO2015042325、米国特許第8,524,239号または米国特許出願公開第US20140120119号に記載されているようないずれかを含むが、これらに限定されない。
【0400】
例示的なターゲティング分子は、タンパク質、糖タンパク質、抗体、抗体断片、抗原、抗原結合断片、ペプチド、ポリペプチド、低分子、合成高分子、高分子ナノ粒子、リポソーム、酵素基質、ホルモン、神経伝達物質、細胞代謝物、ウイルス粒子、ウイルスカプシド、ウイルスナノ粒子、細菌粒子、マーカー、細胞、ハプテン、アビジン、ストレプトアビジン、単量体ストレプトアビジン、ビオチン、炭水化物、オリゴ糖、多糖、核酸、デオキシ核酸、DNAの断片、RNAの断片、ヌクレオチド三リン酸、アシクロターミネーター三リン酸(acyclo terminator triphosphates)、またはPNAを含むが、それらに限定されない。いくつかの態様では、ターゲティング分子は、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、チラミン、多糖、イオン錯体化部分、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、プソラレン、薬物、ホルモン、脂質、脂質集合体、高分子、高分子微粒子、生体細胞、またはウイルスである。
【0401】
いくつかの態様では、ターゲティング分子は、抗原(例えば、ターゲティング分子が結合可能な標的として機能する任意の構造物質)を標的指向するかまたはそれに結合する。いくつかの態様では、抗原は、細胞表面上に発現される細胞表面分子、例えばタンパク質(例えば、受容体)であるかまたはその一部として含まれる。いくつかの態様では、例えば、抗原は、腫瘍中に存在する細胞(腫瘍微小環境中に存在する任意の細胞を含む)の表面上に発現される分子であるかまたはその一部として含まれる。細胞表面分子の例は、抗原決定基(免疫細胞によって認識されるものなど)を含有する、抗原、ペプチド、脂質、多糖、炭水化物、または核酸を含むが、それらに限定されない。いくつかの例では、抗原は、腫瘍特異的ペプチド(がん細胞の表面上に見いだされるものなど)またはその免疫原性断片を含む。いくつかの態様では、ターゲティング分子は、抗体またはその抗原結合抗体断片である。
【0402】
いくつかの態様では、ターゲティング分子は、免疫細胞上の細胞表面分子またはタンパク質に結合して、身体の免疫応答を抑制または活性化することができる。いくつかの態様では、免疫調節剤の細胞表面分子またはタンパク質への結合は、免疫抑制を阻害することまたは免疫刺激を増強することなどによって、腫瘍に対する免疫応答を刺激することができる。いくつかの態様では、細胞表面分子またはタンパク質は、CD25、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PD-L2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG-3(CD223)、TIM-3(HAVCR2)、4-1BB(CD137、TNFRSF9)、CXCR2、CXCR4(CD184)、CD27、CEACAM1、ガレクチン9、BTLA、CD160、VISTA(PD-1相同体)、B7-H4(VCTN1)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、CD28、HHLA2(B7-H7)、CD28H、CD155、CD226、TIGIT、CD96、ガレクチン3、CD40、CD40L、CD70、LIGHT(TNFSF14)、HVEM(TNFRSF14)、B7-H3(CD276)、Ox40L(TNFSF4)、CD137L(TNFSF9、GITRL)、B7RP1、ICOS(CD278)、ICOSL、KIR、GAL9、NKG2A(CD94)、GARP、TL1A、TNFRSF25、TMIGD2、BTNL2、ブチロフィリンファミリー、CD48、CD244、シグレックファミリー、CD30、CSF1R、MICA(MHCクラスIポリペプチド関連配列A)、MICB(MHCクラスIポリペプチド関連配列B)、NKG2D、KIRファミリー(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、LILRファミリー(白血球免疫グロブリン様受容体、CD85、ILT、LIR)、SIRPA(シグナル調節タンパク質アルファ)、CD47(IAP)、ニューロピリン1(NRP-1)、VEGFRまたはVEGFであることができる。一部の例では、ターゲティング分子は、免疫チェックポイントタンパク質などの免疫調節に関与する細胞表面タンパク質に結合する、抗体または抗原結合断片である。いくつかの態様では、細胞表面分子は、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM5、CEACAM6、がん抗原125(CA125)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ルイスY、TAG72、カプリン-1、メソテリン、PDGF受容体、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-2受容体、血管内皮成長因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(GD2、GD3、GM1およびGM2など)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR 10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、メタロプロテイナーゼ、エフリン受容体、エフリンリガンド、HGF受容体、CXCR4、CXCR4、ボンベシン受容体、またはSK-1抗原であることができる。
【0403】
いくつかの態様では、ターゲティング分子は、細胞の表面上に発現される細胞表面分子であるかその一部である抗原に特異的に結合する、抗体または抗原結合抗体断片である。そのような抗体の中には、本明細書に記載の細胞表面タンパク質(例えば、細胞表面受容体)などの細胞表面分子に結合可能な抗体または抗原結合抗体断片が含まれる。いくつかの場合に、抗体は、腫瘍特異的タンパク質を含む腫瘍中の細胞上に発現されるタンパク質の抗原に結合することができる。
【0404】
いくつかの態様では、ターゲティング分子は、抗原またはタンパク質に直接的または間接的に結合する。例えば、いくつかの態様では、ターゲティング分子は、抗原またはタンパク質に結合可能な第1の結合分子に結合する第2の結合分子である。例えば、ターゲティング分子は、タンパク質または抗原(例えば、細胞表面タンパク質または細胞表面受容体)に結合可能な第1の結合分子(例えば、一次抗体)に結合する二次抗体である。したがって、いくつかの態様では、色素は、二次抗体にコンジュゲートされる。
【0405】
「抗体」は、抗原のエピトープを特異的に認識しそれに結合する少なくとも1つの軽鎖および/または重鎖免疫グロブリン可変領域を含む、ポリペプチドリガンドである。一般に、抗体は、可変重鎖(VH)領域および可変軽鎖(VL)領域と称される可変領域を各々有する重鎖および軽鎖から構成される。VH領域およびVL領域は合わせて、抗体によって認識される抗原の結合に関与する。抗体という用語は、無傷の抗体、ならびに抗原結合を示す抗原結合抗体断片、例えば、Fab断片、Fab'断片、F(ab)'2断片、単鎖Fvタンパク質(「scFv」)、およびジスルフィドで安定化されたFvタンパク質(「dsFv」)を含む。scFvタンパク質は、免疫グロブリンの軽鎖可変領域と免疫グロブリンの重鎖可変領域がリンカーによって結合された融合タンパク質であり、一方、dsFvでは、これらの鎖に、これらの鎖の会合を安定化させるジスルフィド結合を導入する変異が加えられている。この用語はまた、遺伝子操作された形態、例えば改変された形態の免疫グロブリン、キメラ抗体、例えばヒト化ネズミ抗体、およびヘテロコンジュゲート抗体、例えば二重特異性抗体も含む。また、Pierce Catalog and Handbook, 1994-1995 (Pierce Chemical Co., Rockford, Ill.);Kuby, J., Immunology, 3rd Ed., W.H. Freeman & Co., New York, 1997も参照されたい。
【0406】
典型的には、天然に存在する免疫グロブリンは、ジスルフィド結合によって相互接続された重(H)鎖および軽(L)鎖を有する。軽鎖には、ラムダ(λ)およびカッパ(k)という2つの種類がある。抗体分子の機能的活性を決定する5つの主要な重鎖クラス、またはアイソタイプがある:IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgE。
【0407】
各重鎖および軽鎖は、定常領域および可変領域(「ドメイン」としても知られている)を含有する。組み合わせで、重鎖および軽鎖の可変領域は、一般に、抗原に特異的に結合する。軽鎖および重鎖の可変領域は、「相補性決定領域」または「CDR」とも呼ばれる3つの超可変領域が介在する「フレームワーク」領域を含有し得る。フレームワーク領域およびCDRの範囲は定義されている(参照によって本明細書に組み入れられる、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Health and Human Services, 1991を参照のこと)。Kabatデータベースは、現在オンラインで保守されている。異なる軽鎖または重鎖のフレームワーク領域の配列は、ヒトなどの種内で比較的保存されている。構成要素の軽鎖および重鎖の組み合わされたフレームワーク領域である抗体のフレームワーク領域は、CDRを3次元空間に配置および整列させるのに役立つ。
【0408】
CDRは、典型的には、抗原のエピトープへの結合に関与する。各鎖のCDRは、典型的には、N末端から始めて順次番号付けしてCDR1、CDR2およびCDR3と称され、また一般に特定のCDRが位置する鎖によっても特定される。したがって、VH CDR3は、それが見いだされる抗体の重鎖の可変ドメイン中に位置するが、VL CDR1は、それが見いだされる抗体の軽鎖の可変ドメインに由来するCDR1である。異なる特異性、例えば異なる抗原に対する異なる結合部位を有する抗体は、異なるCDRを有する。抗体によって変化するのはCDRであるが、CDR内の限られた数のアミノ酸位置だけが抗原結合に直接関わる。CDR内のこれらの位置は特異性決定残基(SDR)と呼ばれる。
【0409】
「VH」または「VH」への言及は、免疫グロブリン重鎖の可変領域(Fv、scFv、dsFvまたはFabのものを含む)のことを指す。「VL」または「VL」への言及は、免疫グロブリン軽鎖の可変領域(Fv、scFv、dsFvまたはFabのものを含む)のことを指す。
【0410】
中でも、提供される抗体は抗体断片である。「抗体断片」は、無傷抗体が結合する抗原に結合する無傷抗体の一部を含む無傷抗体以外の分子のことを指す。抗体断片の例は、Fv、Fab、Fab'、Fab'-SH、F(ab')2;ダイアボディ;線状抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv);および抗体断片から形成される多重特異性抗体を含むが、それらに限定されない。他の抗体断片または抗体断片から形成される多重特異性抗体は、多価scFv、二重特異性scFvまたはscFv-CH3ダイマーを含む。抗体断片は、無傷抗体のタンパク分解消化ならびに組換え宿主細胞による産生を非限定的に含む様々な技法によって製造することができる。
【0411】
「モノクローナル抗体」は、Bリンパ球の単一クローンによってまたは単一抗体の軽鎖および重鎖の遺伝子がトランスフェクトされている細胞によって産生された抗体である。モノクローナル抗体は、当業者に公知の方法によって、例えば、骨髄腫細胞と免疫脾臓細胞との融合からハイブリッド抗体形成細胞を作製することによって生産される。モノクローナル抗体は、ヒト化モノクローナル抗体を含む。
【0412】
「キメラ抗体」は、ヒトなどの1つの種に由来するフレームワーク残基と、メソテリンに特異的に結合するネズミ抗体などの別の種に由来するCDR(一般に抗原結合を付与する)とを有する。
【0413】
「ヒト化」免疫グロブリンは、ヒトフレームワーク領域と非ヒト(例えば、マウス、ラットまたは合成)免疫グロブリンに由来する1つまたは複数のCDRとを含む免疫グロブリンである。CDRを提供する非ヒト免疫グロブリンは「ドナー」と称され、フレームワークを提供するヒト免疫グロブリンは「アクセプター」と称される。いくつかの態様では、CDRは、ヒト化免疫グロブリンにおけるドナー免疫グロブリンに由来する。定常領域は存在する必要はないが、存在する場合、それらはヒト免疫グロブリン定常領域と、少なくとも約85~90%、例えば約95%以上同一など、実質的に同一であり得る。よって、おそらくCDRを除くヒト化免疫グロブリンの部分は、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一である。「ヒト化抗体」は、ヒト化軽鎖およびヒト化重鎖の免疫グロブリンを含む抗体である。ヒト化抗体は、CDRを提供するドナー抗体と同じ抗原に結合する。ヒト化免疫グロブリンまたは抗体のアクセプターフレームワークは、ドナーフレームワークから得たアミノ酸による限られた数の置換を有し得る。ヒト化または他のモノクローナル抗体は、抗原結合または他の免疫グロブリン機能に対して実質的に影響を及ぼさない追加の保存的アミノ酸置換を有することができる。ヒト化免疫グロブリンは、遺伝子工学操作によって構築することができる(例えば、米国特許第5,585,089号を参照のこと)。
【0414】
「ヒト」抗体(「完全ヒト」抗体とも呼ばれる)は、ヒトフレームワーク領域とヒト免疫グロブリン由来のCDRとを含む抗体である。いくつかの態様では、フレームワークおよびCDRは、同じ起源のヒト重鎖および/または軽鎖アミノ酸配列に由来する。しかしながら、1つのヒト抗体に由来するフレームワークを、異なるヒト抗体に由来するCDRを含むように操作することができる。ヒト免疫グロブリンの部分は、天然のヒト免疫グロブリン配列の対応する部分と実質的に同一であり得る。
【0415】
「特異的に結合する」は、抗体または抗原結合断片などの分子が、腫瘍特異的抗原などの抗原に、非腫瘍タンパク質などの無関係のタンパク質(例えば、β-アクチン)への結合と比較して、特異的に結合する能力のことを指す。いくつかの態様では、抗体または断片などの分子(フタロシアニン色素分子に付着された抗体または断片などの分子を含む)は、細胞表面タンパク質などの標的に、試料または対象における他の分子についての結合定数よりも少なくとも103 M-1大きい、104 M-1大きいまたは105 M-1大きい結合定数で特異的に結合する。いくつかの態様では、抗体またはその断片などの分子は、約106 M-1を超えるまたはそれに等しい、約107 M-1を超えるまたはそれに等しい、約108 M-1を超えるまたはそれに等しい、あるいは約109 M-1、1010M-1、1011 M-1または1012 M-1を超えるまたはそれに等しい平衡会合定数(KA)を有する。抗体はまた、10-6 M、10-7 M、10-8 M、10-10 M、10-11 Mまたは10-12 Mまたはそれより低い平衡解離定数(KD)によって特徴付けることもできる。いくつかの態様では、平衡解離定数(KD)は、1nM以下であることができる。KDまたはKAなどの親和定数を経験的に推定することもできるし、比較して、例えば、1つの抗体と別の抗体の特定の抗原に対する親和性を比較することによって、親和性を決定することもできる。例えば、そのような親和性は、例えば、競合ELISA(酵素結合免疫吸着測定法)によるもしくはBiacore T100(Biacore, Inc., Piscataway, N.Jから入手可能)などの表面プラズモン共鳴装置を使用する、放射標識された標的抗原を使用した放射免疫測定を使用する、または当業者に公知の別の方法によるなどの、公知の技法を使用して容易に判定することができる。
【0416】
いくつかの態様では、フタロシアニン色素(例えば、IR700)は、抗体または抗原結合抗体断片にコンジュゲートされる。例えば、いくつかの局面では、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートは、IR700-抗体コンジュゲートである。フタロシアニン色素(例えば、IR700)がコンジュゲートすることができる例示的な抗体は、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トラスツズマブ、Ado-トラスツズマブ・エムタンシン、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan、MabThera)、イブリツモマブ・チウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、アファチニブ、アキシチニブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、セリチニブ、クリゾチニブ、ダブラフェニブ、ダサチニブ、エルロチニブ、エベロリムス、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ニロチニブ、オラパリブ、パルボシクリブ、パゾパニブ、ペルツズマブ、ラムシルマブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、テムシロリムス、トラメチニブ、バンデタニブ、ベムラフェニブ、ビスモデギブ、バシリキシマブ、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、MPDL3280A(アテゾリズマブ)、ピジリズマブ(CT-011)、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MEDI6469、MEDI6383、MOXR0916、AMP-224、MSB0010718C(アベルマブ)、MEDI4736、PDR001、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015、IPH2101)、IPH2201、AGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685A、またはその抗体結合断片を含むが、それらに限定されない。
【0417】
いくつかの態様では、コンジュゲートは、1または約1~約1000、例えば、1または約1~約100、1または約1~約50、1または約1~約25、1または約1~約10、1または約1~約5である、色素残基数/ターゲティング分子を含有する。いくつかの態様では、色素分子対ターゲティング分子の比は、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、75:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、400:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1もしくは1000:1であるか、または約2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、50:1、75:1、100:1、150:1、200:1、250:1、300:1、350:1、400:1、450:1、500:1、550:1、600:1、650:1、700:1、750:1、800:1、850:1、900:1、950:1もしくは1000:1であるか、あるいはそのような数値のいずれか2つの間またはそのような数値の約いずれか2つの間である。いくつかの態様では、ターゲティング分子は、最大2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950または1000個の色素分子を含有し得る。いくつかの態様では、ターゲティング分子は、1000個を超える色素分子または10個未満の色素分子を含有し得る。
【0418】
ターゲティング分子が抗体または抗原結合抗体断片などのポリペプチドである場合などのいくつかの態様では、色素分子数/ターゲティング分子は、2または約2~約5、例えば、2または約2~約4、例えば約3または3であることができる。したがって、いくつかの態様では、ターゲティング分子は、約10~約1000個の色素分子を含有し得る。
【0419】
C. 薬学的組成物および製造品
いくつかの局面では、フタロシアニン-色素ターゲティング分子コンジュゲート(例えば、IR700-抗体コンジュゲート)を含有する薬学的組成物が、本明細書に提供される方法において用いられる。いくつかの態様では、該組成物は、例えば1つまたは複数のバイオマーカーの評価に基づく光免疫療法および/または併用療法を伴う本明細書に提供される方法において、使用することができる。フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲート、例えば、IR700-抗体コンジュゲート。いくつかの態様では、該組成物は、本明細書に提供される方法に従う使用のために、追加の治療剤、例えば免疫調節剤または抗がん剤との組み合わせで提供することができる。いくつかの態様では、フタロシアニン色素-ターゲティング分子コンジュゲートおよび他の治療剤、例えば免疫調節剤または抗がん剤の一方または両方を、一緒に、逐次的にまたは合間合間に投与するための別個の組成物として製造品としてパッケージングすることができる。該併用物は、キットとしてパッケージングすることができる。例示的な組成物、製剤、投与剤形、パッケージングおよび製造品は、例えば、米国特許第8,524,239号または米国公報第US2014/0120119号、WO 2017/031367およびWO 2017/031363に記載されているものを含む。いくつかの態様では、キットおよび製造品はまた、1つまたは複数のバイオマーカーのレベル、濃度および/または量を評価するために必要な試薬、ならびに本明細書に提供される方法を実施するための説明書も含有する。
【0420】
V. 定義
別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての専門用語、注記、ならびに他の技術および科学用語または関連用語は、請求される主題が属する技術分野の当業者によって通常理解されているものと同じ意味を有することを意図する。いくつかの場合では、通常理解されている意味を有する用語は、明確化のためおよび/またはすぐに参照できるように本明細書において定義され、本明細書におけるこのような定義の包含は、必ずしも当技術分野において一般に理解されているものと大きな差異をなすと解釈されるべきではない。
【0421】
本明細書において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、その文脈が他のことを明確に指示しない限り、複数形の指示対象を含む。例えば、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味する。本明細書に記載される局面および変形は、局面および変形「からなる」および/または「から本質的になる」ことを含むと理解される。
【0422】
本開示を通して、請求される主題の種々の局面は、範囲形式で提示される。範囲形式の記載は、単に簡便さおよび簡潔さのためのものであり、請求される主題の範囲に対する柔軟性のない限定と解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、ある範囲について記載は、その範囲内の可能な部分範囲ならびに個々の数値の具体的に開示された全てを有すると見なされるべきである。例えば、ある範囲の値が提供される場合、その範囲の上限と下限の間にある各中間値、ならびにその規定の範囲の任意の他の規定値または中間値が請求される主題の範囲内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、より小さい範囲に独立して含まれてよく、これもまた請求される主題の範囲内に包含され、規定の範囲内の任意の具体的に除外された限界に従う。規定の範囲がその限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界の一方または両方を除外する範囲もまた請求される主題に含まれる。これは、範囲の幅を問わず適用される。
【0423】
用語「約」は、本明細書において使用される場合、当技術分野の当業者に容易に公知のそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」の付いた値またはパラメーターへの言及は、その値またはパラメーター自体を対象とする態様を含む(かつ記載する)。例えば、「約X」に関する記載は、「X」の記載を含む。
【0424】
本明細書において使用される場合、「コンジュゲート」は、1つまたは複数の他のポリペプチドまたは化学部分に直接的または間接的に連結されたポリペプチドを指す。このようなコンジュゲートは、融合タンパク質、化学コンジュゲートによって生産されたもの、および任意の他の方法によって生産されたものを含む。例えば、コンジュゲートは、1つまたは複数の他のポリペプチドまたは化学部分に、例えば細胞表面タンパク質に結合するかまたはそれを標的とするターゲティング分子に直接的または間接的に連結されたフタロシアニン色素、例えばIR700分子を指しうる。
【0425】
本明細書において使用される場合、組成物は、2つ以上の生成物、物質、または化合物(細胞を含む)の任意の混合物を指す。組成物は、溶液、懸濁液、液体、粉末、ペースト、水性、非水性またはそれらの任意の組み合わせであり得る。
【0426】
本明細書において使用される場合、「薬学的組成物」または「薬学的製剤」は、その中に含有される活性成分の生物学的活性が有効となる形態の調製物であって、製剤が投与されるであろう対象に対して許容し難い毒性を示す追加の成分を含有しない調製物を指す。
【0427】
本明細書において使用される場合、「薬学的に許容される担体」は、対象に無毒の、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体は、限定されないが、緩衝剤、賦形剤、安定剤、または保存料を含む。
【0428】
本明細書において使用される場合、組み合わせは、2つ以上のアイテムの間またはその中の任意の会合を指す。組み合わせは、2つ以上の別個のアイテム、例えば2つの組成物または2つの収集物であることができ、その混合物、例えば2つ以上のアイテムの単一の混合物、またはその任意の変形であることができる。組み合わせの要素は、一般に、機能的に会合または関連している。
【0429】
本明細書において使用される場合、誘導体は、基準の薬物または薬剤からの変化または修飾を受けているが基準の薬物または薬剤と比較して活性を依然として保持している(例えば、増加または減少した活性を示す)、薬物の一形態を指す。典型的には、化合物の誘導体形態は、化合物の側鎖が修飾または変化されていることを意味する。
【0430】
本明細書において使用される場合、薬物または薬剤の類似体またはアナログは、基準の薬物に関連しているがその化学的および生物学的活性が異なることができる、薬物または薬剤である。典型的には、類似体は、基準の薬物または薬剤と同様の活性を示すが、その活性は、増加もしくは減少できるか、そうでなければ改善されることができる。典型的には、化合物または薬物の類似体形態は、その構造の骨格コアが基準薬物と比較して修飾または変化されていることを意味する。
【0431】
本明細書において使用される場合、キットは、他の要素、例えば追加の試薬とその組み合わせまたは要素の使用説明書とを任意で含む、パッケージングされた組み合わせ物である。
【0432】
用語「添付文書」は、治療製品の使用に関する適応症、使用、投与量、投与、併用療法、禁忌および/または注意についての情報を含む、治療製品の市販のパッケージ内に慣例として含まれる説明書を指すために使用される。
【0433】
本明細書において使用される場合、「製造品」は、作製され、いくつかの場合では、販売することができる製品である。いくつかの態様において、この用語は、パッケージング品、例えば容器内に含まれる組成物を指しうる。
【0434】
本明細書において使用される場合、「併用療法」は、単一の疾患を処置するために対象が2つ以上の治療薬、例えば少なくとも2つまたは少なくとも3つの治療薬を受ける、処置を指す。いくつかの態様において、各治療は、独立した薬学的効果をもたらすことができ、かつ、合わせて付加的または相乗的な薬学的効果をもたらすことができる。特定の局面では、「併用療法」は、光免疫療法(PIT)が追加の治療剤、例えば免疫調節剤または抗がん剤と併用して対象に与えられる処置のことを指す。いくつかの局面では、本明細書において使用される場合、「併用療法」は、免疫調節剤などの追加の治療剤と併用されたターゲティング分子-フタロシアニン色素コンジュゲートおよび光処置を施すことを指す。
【0435】
本明細書において使用される場合、「疾患または障害」は、感染症、後天性の病態、遺伝性の病態を非限定的に含む原因または病態から生じ、かつ特定可能な症状によって特徴付けられる、生物の病理学的状態を指す。
【0436】
本明細書において使用される場合、疾患または病態を有する対象を「処置する」とは、対象の症状が部分的にもしくは全体的に緩和されるか、または処置後静止したままであることを意味する。それゆえ、処置することは、予防、治療および/または治癒を包含する。予防は、潜在的な疾患の防止および/または症状の悪化もしくは疾患の進行の防止を指す。
【0437】
本明細書において使用される場合、「処置」は、病態、障害もしくは疾患の症状または他の兆候が寛解するか、またはそうでなければ有益に変更される任意の手法を意味する。
【0438】
本明細書において使用される場合、「治療効果」は、疾患もしくは病態の症状を変更、典型的には改善もしくは寛解するか、または疾患もしくは病態を治癒する、対象の処置から生じる効果を意味する。
【0439】
本明細書において使用される場合、「治療有効量」または「治療有効用量」は、治療効果をもたらすのに少なくとも十分である化合物を含有する、薬剤、化合物、材料、または組成物の量を指す。それゆえ、それは、疾患または障害の症状を防止、治癒、寛解、停止または部分的に停止するのに必要な量である。
【0440】
本明細書において使用される場合、処置による、例えば薬学的組成物または他の治療薬の投与による、特定の疾患または障害の症状の寛解は、組成物または治療薬の投与に起因するまたは関連しうる症状の任意の減少(永久にもしくは一時的に続くかまたは一過性であるかに関わらず)を指す。
【0441】
本明細書において使用される場合、用語「対象」は、ヒトのような哺乳動物を含む動物を指す。
【0442】
本明細書において使用される場合、「任意の」または「任意で」は、その後に記載される事象または状況が起こることまたは起こらないこと、ならびに、その記載が前記の事象または状況が起こる場合と起こらない場合を含むことを意味する。例えば、置換されてもよい基は、その基が置換されていないことまたは置換されていることを意味する。
【0443】
本出願において言及される特許文書、科学論文およびデータベースを含む全ての刊行物は、それぞれ個々の刊行物が参照によって個々に組み入れられたかのように同程度に、参照によってその全体が全ての目的のために組み入れられる。本明細書に示される定義が参照によって本明細書に組み入れられる特許、出願、公開出願および他の刊行物に示される定義に反しているかまたは他に矛盾している場合、本明細書に示される定義が参照によって本明細書に組み入れられる定義より優先される。
【0444】
本明細書において使用される項目の見出しは、単に構成を目的としたものであって、記載される主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0445】
VI. 例示的な態様
中でも、提供される態様は、以下である:
【0446】
1.
a)腫瘍を有する対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;
b)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;
c)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;
d)照射後に少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくともバイオマーカーのレベルが照射前に測定されたレベルと比べて対象において増加しているかどうかを判定する工程;および
e)レベルが増加していたら、その対象に免疫調節剤を投与する工程を含み、それによって腫瘍を処置する、対象における腫瘍を処置する方法。
【0447】
2.
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を上回るかを判定する工程;
b)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;
c)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;および
d)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を上回るならば、免疫調節剤を対象にさらに投与する工程を含み;それによって腫瘍処置の有効性を改善する、腫瘍処置の有効性を改善する方法。
【0448】
3.
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を下回るかを判定する工程;
b)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;
c)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;および
d)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を下回るならば、免疫調節剤を対象にさらに投与する工程を含み;それによって腫瘍処置の有効性を改善する、腫瘍処置の有効性を改善する方法。
【0449】
4.
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の少なくとも1つのチェックポイント経路マーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのチェックポイント経路マーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を上回るかを判定する工程;
b)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;
c)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;および
d)少なくとも1つのチェックポイント経路マーカーの発現のレベルが閾値であるか閾値を上回るならば、チェックポイント阻害剤を対象にさらに投与する工程を含み;それによって腫瘍処置の有効性を改善する、腫瘍処置の有効性を改善する方法。
【0450】
5.
a)集団の対象の各々由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;
b)少なくとも1つのバイオマーカーの発現が閾値であるか閾値を上回るならば、その対象を、高い応答の可能性を有すると特定する工程;
c)高い応答の可能性を有すると特定された対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;および
d)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を含み、それによって高い応答の可能性を有すると特定された対象における腫瘍を処置する、腫瘍を有する対象の集団内で高い応答の可能性を有する対象を処置する方法。
【0451】
6. 以下の工程をさらに含む、態様5記載の方法:
e)照射後に対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが照射前に測定されたレベルと比較して対象において増加しているかどうかを判定する工程;および
f)レベルが増加していたら、その対象に免疫調節剤を投与する工程。
【0452】
7.
a)集団の対象の各々由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;
b)少なくとも1つのバイオマーカーの発現が閾値であるか閾値を上回るならば、その対象を処置のために選択する工程;
c)選択された対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;および
d)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を含み、それによって腫瘍を処置する、対象における腫瘍を処置する方法。
【0453】
8. 以下の工程をさらに含む、態様7記載の方法:
e)照射後に対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが照射前に測定されたレベルと比較して対象において増加しているかどうかを判定する工程;および
f)レベルが増加していたら、その対象に免疫調節剤を投与する工程。
【0454】
9. 以下の工程をさらに含む、態様7記載の方法:
e)照射後に対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定して、少なくとも1つのバイオマーカーのレベルが照射前に測定されたレベルと比較して対象において増加しているかどうかを判定する工程;および
f)レベルが減少していたら、その対象に免疫調節剤を投与する工程。
【0455】
10.
a)腫瘍を有する対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上のタンパク質に結合するターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;および
b)コンジュゲートを投与した後、腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を含み;
それによって、少なくとも1つのバイオマーカーの発現を、照射なしの少なくとも1つのバイオマーカーの発現と比較して増加させる、腫瘍を有する対象における少なくとも1つのバイオマーカーの発現を増加させる方法。
【0456】
11.
a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;
b)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;
c)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;および
d)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、その対象を免疫調節剤による処置のために選択する工程を含む、免疫調節剤による処置のための対象を選択する方法。
【0457】
12. 選択された対象に、治療有効量の免疫調節剤を投与する工程をさらに含む、態様11記載の方法。
【0458】
13.
a)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;および
b)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、その対象を、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置のために選択する工程を含む、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置のための対象を選択する方法。
【0459】
14.
a)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;および
b)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、その対象を、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程を含む、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置に対する応答の可能性を評価する方法。
【0460】
15.
a)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;および
b)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを下回るならば、その対象を、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートおよび免疫調節剤による処置のために選択する工程を含む、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置のための対象を選択する方法。
【0461】
16.
a)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;および
b)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを下回るならば、その対象を、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置に対して低い応答の可能性を有すると特定する工程を含む、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置に対する応答の可能性を評価する方法。
【0462】
17. 選択された対象に、治療有効量のコンジュゲートを投与する工程をさらに含む、態様13~16のいずれか記載の方法。
【0463】
18. 腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程をさらに含む、態様17記載の方法。
【0464】
19. 対象が低い応答の可能性を有すると特定されたならば、治療有効量の免疫調節剤を対象にさらに投与する、態様16~18のいずれか記載の方法。
【0465】
20.
a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;
b)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;および
c)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程を含み;
少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、その対象は高い応答の可能性を有すると特定される、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置に対する応答をモニタリングする方法。
【0466】
21.
a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;
b)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程;および
c)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程を含み;
少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを下回るならば、その対象は高い応答の可能性を有すると特定される、ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートによる処置に対する応答をモニタリングする方法。
【0467】
22.
a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;
b)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程であって、コンジュゲートとそれに続く光照射による腫瘍の処置が免疫細胞の活性化をプライミングする工程;
c)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;
d)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルであるか閾値レベルを上回るならば、治療有効量の免疫調節剤を対象に投与する工程を含み;それによって腫瘍を処置する、対象における腫瘍を処置する方法。
【0468】
23.
a)対象に、腫瘍の微小環境中に存在する細胞の表面上の分子に結合可能なターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを投与する工程;
b)腫瘍の近位領域に、500nm~900nmの波長で、少なくとも1J cm-2または1J/ファイバ長cmの線量で照射する工程であって、コンジュゲートとそれに続く光照射による腫瘍の処置が免疫細胞の活性化をプライミングする工程;
c)対象由来の試料中の少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルを測定する工程;
d)少なくとも1つのバイオマーカーの発現のレベルが閾値レベルを下回るならば、1つまたは複数の追加の用量のコンジュゲートを対象に投与して、腫瘍の近位領域に照射する工程を含み;それによって腫瘍を処置する、対象における腫瘍を処置する方法。
【0469】
24. コンジュゲート単独または免疫調節剤単独による処置と比較して、相乗的な処置効果を提供する、態様1~3、6、8、9、12、15、19および22のいずれか記載の方法。
【0470】
25. コンジュゲート単独またはチェックポイント阻害剤単独による処置と比較して、相乗的な処置効果を提供する、態様4記載の方法。
【0471】
26. コンジュゲートの投与とそれに続く照射が免疫細胞の活性化をプライミングする、態様1~12および18~25のいずれか記載の方法。
【0472】
27. 少なくとも1つのバイオマーカーが細胞表面マーカーを含む、態様1~3および5~26のいずれか記載の方法。
【0473】
28. 細胞表面マーカーが免疫細胞表面マーカーである、態様1~3および5~27のいずれか記載の方法。
【0474】
29. 細胞表面マーカーが抗原提示細胞マーカーである、態様27または態様28記載の方法。
【0475】
30. 細胞表面マーカーが樹状細胞マーカーである、態様27~29のいずれか記載の方法。
【0476】
31. 細胞表面マーカーが、CD86、CD80またはMHCIIの1つまたは複数の中から選択される、態様27~30のいずれか記載の方法。
【0477】
32. 細胞表面マーカーがマクロファージマーカーである、態様27~29のいずれか記載の方法。
【0478】
33. 細胞表面マーカーがナチュラルキラー細胞マーカーである、態様27または態様28記載の方法。
【0479】
34. 細胞表面マーカーが、CD69またはCD107aの1つまたは複数の中から選択される、態様27、28および33のいずれか記載の方法。
【0480】
35. 細胞表面マーカーがチェックポイント経路マーカーである、態様27記載の方法。
【0481】
36. 細胞表面マーカーが、PD-1、PD-L1またはCTLA-4の1つまたは複数の中から選択される、態様27または態様35記載の方法。
【0482】
37. 細胞表面マーカーが免疫原性細胞死マーカーである、態様27記載の方法。
【0483】
38. 細胞表面マーカーが、ヒートショックタンパク質70(Hsp70)、Hsp90およびカルレチクリン(CRT)の1つまたは複数の中から選択される、態様27または態様37記載の方法。
【0484】
39. 少なくとも1つのバイオマーカーが、可溶性マーカーまたは血清マーカーを含む、態様1~3および5~26のいずれか記載の方法。
【0485】
40. 可溶性マーカーがサイトカインまたはケモカインである、態様39記載の方法。
【0486】
41. サイトカインまたはケモカインが、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、IFN-γ-誘導性タンパク質10(IP-10)/CXCL10、MIP-1α(マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ)/CCL3、MIP-1β(マクロファージ炎症性タンパク質-1ベータ)/CCL4、インターロイキン-1ベータ(IL-1β)、インターロイキン-8(IL-8)/CXCL8、6CKine、BCA-1、CTACK、EGF、ENA-78、エオタキシン/CCL11、エオタキシン-2、エオタキシン-3、FGF-2、Flt-3リガンド、フラクタルカイン、G-CSF、GM-CSF、GRO、GROアルファ/CXCL1、I-309、ICAM-1/CD54、IFNアルファ(IFN-α)、IFNガンマ(IFN-γ)、IFN-α2、IFN-γ、IL-1アルファ(IL-1α)、IL-10、IL-12 p40、IL-12p70、IL-13、IL-15、IL-16、IL-17A、IL-17A/CTLA-8、IL-18、IL-2、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-27、IL-28A、IL-3、IL-31、IL-33、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1ra)、IP-10、LIF、MCP-1、MCP-1/CCL2、MCP-2、MCP-3、MCP-4、MDC(CCL22)、MIP-1d、PDGF-AA、PDGF-AB/BB、RANTES/CCL5、sCD40L、SCF、SDF-1α/CXCL12、SDF-1a+B、sE-セレクチン、sP-セレクチン、TARC、TGFα、腫瘍壊死因子ベータ(TNF-β)/LTA、TPO、TRAIL、TSLPまたはVEGFの1つまたは複数の中から選択される、態様40記載の方法。
【0487】
42. サイトカインまたはケモカインが、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、IFN-γ-誘導性タンパク質10(IP-10)/CXCL10、MIP-1α(マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ)/CCL3、MIP-1β(マクロファージ炎症性タンパク質-1ベータ)/CCL4、インターロイキン-1ベータ(IL-1β)、インターロイキン-8(IL-8)/CXCL8、エオタキシン/CCL11、GROアルファ/CXCL1、GM-CSF、IFNアルファ(IFN-α)、IFNガンマ(IFN-γ)、IL-1アルファ(IL-1α)、インターロイキン-1受容体アンタゴニスト(IL-1ra)、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-9、IL-10、IL-12p70、IL-13、IL-15、IL-17A/CTLA-8、IL-18、IL-21、IL-22、IL-23、IL-27、IL-31、MCP-1/CCL2、RANTES/CCL5、SDF-1α/CXCL12、および腫瘍壊死因子ベータ(TNF-β)/LTAの1つまたは複数の中から選択される、態様40または態様41記載の方法。
【0488】
43. サイトカインまたはケモカインが、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、IFN-γ-誘導性タンパク質10(IP-10)、MIP-1α(マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ)、MIP-1β(マクロファージ炎症性タンパク質-1ベータ)、インターロイキン-1ベータ(IL-1β)およびインターロイキン-8(IL-8)/CXCL8の1つまたは複数の中から選択される、態様40~42のいずれか記載の方法。
【0489】
44. 可溶性マーカーが、損傷関連分子パターン(DAMP)マーカーである、態様39記載の方法。
【0490】
45. DAMPマーカーが、高移動度群ボックスタンパク質(HMGB1)である、態様44記載の方法。
【0491】
46. 少なくともバイオマーカーが、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つまたはそれ以上のバイオマーカーである、態様1~45のいずれか記載の方法。
【0492】
47. 少なくともバイオマーカーが2つのバイオマーカーである、態様46記載の方法。
【0493】
48. 少なくともバイオマーカーが3つのバイオマーカーである、態様46記載の方法。
【0494】
49. 少なくともバイオマーカーが4つのバイオマーカーである、態様46記載の方法。
【0495】
50. 少なくともバイオマーカーが5つのバイオマーカーである、態様46記載の方法。
【0496】
51. 試料が、腫瘍試料であり、かつ/または、試料が、腫瘍細胞を含むか腫瘍細胞を含む可能性が高い、態様1~50のいずれか記載の方法。
【0497】
52. 試料が腫瘍生検を含む、態様1~51のいずれか記載の方法。
【0498】
53. 試料が、血液試料、血漿試料、血清試料、リンパ節試料、骨髄試料、口内スワブ、糞試料または尿試料であるかそれを含む、態様1~52のいずれか記載の方法。
【0499】
54. 照射が、600nm~850nmの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量での照射である、態様1~12および18~53のいずれか記載の方法。
【0500】
55. 照射が、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長での照射である、態様1~12および18~54のいずれか記載の方法。
【0501】
56. 照射が、690±50nmもしくは約690±50nmの波長でのまたは690±20nmもしくは約690±20nmの波長での照射である、態様1~12および18~54のいずれか記載の方法。
【0502】
57. 照射が、2J cm-2もしくは約2J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または2J/ファイバ長cmもしくは約2J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量での照射である、態様1~12および18~56のいずれか記載の方法。
【0503】
58. 照射が、少なくとも2J cm-2、5J cm-2、10J cm-2、25J cm-2、50J cm-2、75J cm-2、100J cm-2、150J cm-2、200J cm-2、300J cm-2、400J cm-2、もしくは500J cm-2、または少なくとも約2J cm-2、5J cm-2、10J cm-2、25J cm-2、50J cm-2、75J cm-2、100J cm-2、150J cm-2、200J cm-2、300J cm-2、400J cm-2、もしくは500J cm-2の線量での照射である;または
照射が、少なくとも2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cm、または少なくとも約2J/ファイバ長cm、5J/ファイバ長cm、10J/ファイバ長cm、25J/ファイバ長cm、50J/ファイバ長cm、75J/ファイバ長cm、100J/ファイバ長cm、150J/ファイバ長cm、200J/ファイバ長cm、250J/ファイバ長cm、300J/ファイバ長cm、400J/ファイバ長cmもしくは500J/ファイバ長cmの線量での照射である、態様1~12および18~57のいずれか記載の方法。
【0504】
59. フタロシアニン色素が、600nmまたは約600nmから、850nmまたは約850nmまでの最大吸収波長を有する、態様1~58のいずれか記載の方法。
【0505】
60. フタロシアニン色素が、ターゲティング分子に直接的または間接的に連結される、態様1~59のいずれか記載の方法。
【0506】
61. フタロシアニン色素が、式:
[式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、ターゲティング分子への色素の付着のための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、場合により置換されているアルキルおよび場合により置換されているアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルカノイル、場合により置換されているアルコキシカルボニル、場合により置換されているアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、場合により置換されているアルキルチオ、場合により置換されているアルキルアミノおよび場合により置換されているアルコキシから選択され;そして
X
2およびX
3は、各々独立して、場合によりヘテロ原子が介在しているC
1-C
10アルキレンである]を含む、態様1~60のいずれか記載の方法。
【0507】
62. フタロシアニン色素が、式:
[式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、場合によりヘテロ原子が介在しているC
1-C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、場合により置換されているアルキルおよび場合により置換されているアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルカノイル、場合により置換されているアルコキシカルボニル、場合により置換されているアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;そして
R
16、R
17、R
18およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、場合により置換されているアルキルチオ、場合により置換されているアルキルアミノおよび場合により置換されているアルコキシから選択される]を含む、態様1~60のいずれか記載の方法。
【0508】
63. フタロシアニン色素が、IRDye 700DX(IR700)を含む、態様1~62のいずれか記載の方法。
【0509】
64. ターゲティング分子が、抗体または抗原結合抗体断片である、態様1~63のいずれか記載の方法。
【0510】
65. 抗体が、Fab、単一VHドメイン、単鎖可変断片(scFv)、多価scFv、二重特異性scFvまたはscFv-CH3ダイマーである、抗原結合抗体断片である、態様64記載の方法。
【0511】
66. ターゲティング分子が、HER1/EGFR、HER2/ERBB2、CD20、CD25(IL-2Rα受容体)、CD33、CD52、CD133、CD206、CEA、CEACAM1、CEACAM3、CEACAM5、CEACAM6、がん抗原125(CA125)、アルファ-フェトプロテイン(AFP)、ルイスY、TAG72、カプリン-1、メソテリン、PDGF受容体、PD-1、PD-L1、CTLA-4、IL-2受容体、血管内皮成長因子(VEGF)、CD30、EpCAM、EphA2、グリピカン-3、gpA33、ムチン、CAIX、PSMA、葉酸結合タンパク質、ガングリオシド(GD2、GD3、GM1およびGM2など)、VEGF受容体(VEGFR)、インテグリンαVβ3、インテグリンα5β1、ERBB3、MET、IGF1R、EPHA3、TRAILR1、TRAILR2、RANKL、FAP、テネイシン、AFP、BCR複合体、CD3、CD18、CD44、CTLA-4、gp72、HLA-DR 10β、HLA-DR抗原、IgE、MUC-1、nuC242、PEM抗原、メタロプロテイナーゼ、エフリン受容体、エフリンリガンド、HGF受容体、CXCR4、CXCR4、ボンベシン受容体、およびSK-1抗原の中から選択されるタンパク質に結合する、態様1~65のいずれか記載の方法。
【0512】
67. ターゲティング分子が、CD25、PD-1(CD279)、PD-L1(CD274、B7-H1)、PD-L2(CD273、B7-DC)、CTLA-4、LAG3(CD223)、TIM3(HAVCR2)、4-1BB(CD137、TNFRSF9)、CXCR2、CXCR4(CD184)、CD27、CEACAM1、ガレクチン9、BTLA、CD160、VISTA(PD1相同体)、B7-H4(VCTN1)、CD80(B7-1)、CD86(B7-2)、CD28、HHLA2(B7-H7)、CD28H、CD155、CD226、TIGIT、CD96、ガレクチン3、CD40、CD40L、CD70、LIGHT(TNFSF14)、HVEM(TNFRSF14)、B7-H3(CD276)、Ox40L(TNFSF4)、CD137L(TNFSF9、GITRL)、B7RP1、ICOS(CD278)、ICOSL、KIR、GAL9、NKG2A(CD94)、GARP、TL1A、TNFRSF25、TMIGD2、BTNL2、ブチロフィリンファミリー、CD48、CD244、シグレックファミリー、CD30、CSF1R、MICA(MHCクラスIポリペプチド関連配列A)、MICB(MHCクラスIポリペプチド関連配列B)、NKG2D、KIRファミリー(キラー細胞免疫グロブリン様受容体、LILRファミリー(白血球免疫グロブリン様受容体、CD85、ILT、LIR)、SIRPA(シグナル調節タンパク質アルファ)、CD47(IAP)、ニューロピリン1(NRP-1)、VEGFR、およびVEGFの中から選択されるタンパク質に結合する、態様1~66のいずれか記載の方法。
【0513】
68. 抗体または抗原結合抗体断片が、セツキシマブ、パニツムマブ、ザルツムマブ、ニモツズマブ、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、リツキシマブ(Rituxan、MabThera)、イブリツモマブ・チウキセタン(Zevalin)、ダクリズマブ(Zenapax)、ゲムツズマブ(Mylotarg)、アレムツズマブ、CEA-scan Fab断片、OC125モノクローナル抗体、ab75705、B72.3、ベバシズマブ(Avastin(登録商標))、バシリキシマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP321、BMS-986016、LAG525、ウレルマブ、PF-05082566、TRX518、MK-4166、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEA-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MEDI6383、MEDI4736、MOXR0916、AMP-224、PDR001、MSB0010718C、rHIgM12B7、ウロクプルマブ、BKT140、バルリルマブ(CDX-1127)、ARGX-110、MGA271、リリルマブ(BMS-986015、IPH2101)、IPH2201、AGX-115、エマクツズマブ、CC-90002およびMNRP1685Aの中から選択されるか、またはその抗原結合抗体断片である、態様64~67のいずれか記載の方法。
【0514】
69. コンジュゲートが、セツキシマブ-IR700、パニツムマブ-IR700、ザルツムマブ-IR700、ニモツズマブ-IR700、トシツモマブ-IR700、リツキシマブ-IR700、イブリツモマブ・チウキセタン-IR700、ダクリズマブ-IR700、ゲムツズマブ-IR700、アレムツズマブ-IR700、CEA-scan Fab断片-IR700、OC125-IR700、ab75705-IR700、B72.3-IR700、ベバシズマブ-IR700、バシリキシマブ-IR700、ニボルマブ-IR700、ペムブロリズマブ-IR700、ピジリズマブ-IR700、MK-3475-IR700、BMS-936559-IR700、MPDL3280A-IR700、イピリムマブ-IR700、トレメリムマブ-IR700、IMP321-IR700、BMS-986016-IR700、LAG525-IR700、ウレルマブ-IR700、PF-05082566-IR700、TRX518-IR700、MK-4166-IR700、ダセツズマブ-IR700、ルカツムマブ-IR700、SEA-CD40-IR700、CP-870-IR700、CP-893-IR700、MED16469-IR700、MEDI6383-IR700、MEDI4736-IR700、MOXR0916-IR700、AMP-224-IR700、PDR001-IR700、MSB0010718C-IR700、rHIgM12B7-IR700、ウロクプルマブ-IR700、BKT140-IR700、バルリルマブ-IR700、ARGX-110-IR700、MGA271-IR700、リリルマブ-IR700、IPH2201-IR700、AGX-115-IR700、エマクツズマブ-IR700、CC-90002-IR700およびMNRP1685A-IR700の中から選択される、態様1~68のいずれか記載の方法。
【0515】
70. ターゲティング分子が、セツキシマブである抗体もしくはその抗原結合抗体断片であるか、または、コンジュゲートがセツキシマブ-IR700である、態様69記載の方法。
【0516】
71. コンジュゲートが全身に投与される、態様1~70のいずれか記載の方法。
【0517】
72. コンジュゲートが静脈内に投与される、態様1~70のいずれか記載の方法。
【0518】
73. 照射が、コンジュゲートを投与した24時間±3時間後に行われる、態様1~12および18~72のいずれか記載の方法。
【0519】
74. 腫瘍が表在性腫瘍である、態様1~73のいずれか記載の方法。
【0520】
75. 腫瘍が10mm未満の厚さである、態様74記載の方法。
【0521】
76. 照射が、表面照明用のマイクロレンズが先端に付いたファイバを使用して行われる、態様74または態様75記載の方法。
【0522】
77. 照射線量が、5J/cm2または約5J/cm2から、約200J/cm2までである、態様74~76のいずれか記載の方法。
【0523】
78. 病変が、間質性腫瘍である、腫瘍である、態様1~73のいずれか記載の方法。
【0524】
79. 腫瘍が、10mm超の深さであるかまたは皮下腫瘍である、態様78記載の方法。
【0525】
80. 照射が、ディフューザー長0.5cm~10cmを含みかつ1.8±0.2cm離れて置かれた円筒形拡散ファイバを使用して行われる、態様78または態様79記載の方法。
【0526】
81. 光照射線量が、20J/ファイバ長cmまたは約20J/ファイバ長cmから、約500J/ファイバ長cmまでである、態様78~80のいずれか記載の方法。
【0527】
82. 免疫調節剤が、免疫細胞の活性を増加させることが可能である、態様1~3および5~81のいずれか記載の方法。
【0528】
83. 免疫調節剤が、GM-CSF、CpG-ODN(CpGオリゴデオキシヌクレオチド)、リポ多糖(LPS)、モノホスホリルリピドA(MPL)、ミョウバン、組換えリーシュマニアポリタンパク質、イミキモド、MF59、ポリI:C、ポリA:U、1型IFN、Pam3Cys、Pam2Cys、完全フロイントアジュバント(CFA)、アルファ-ガラクトシルセラミド、RC-529、MDF2β、ロキソリビン、抗CD40アゴニスト、SIRPaアンタゴニスト、AS04、AS03、フラジェリン、レシキモド、DAP(ジアミノピメリン酸)、MDP(ムラミルジペプチド)、CAF01(陽イオン性アジュバント製剤-01)、アントラサイクリン(ドキソルビシン、ミトキサントロン)、BKチャネルアゴニスト、ボルテゾミブ、ボルテゾミブ+マイトマイシンC+hTERT-Ad、強心配糖体+非免疫原性細胞死誘導因子、シクロホスファミド、GADD34/PP1阻害剤+マイトマイシン、LV-tSMAC、およびオキサリプラチンの中から選択される、態様1~3および5~82のいずれか記載の方法。
【0529】
84. 免疫調節剤が、Toll様受容体(TLR)アゴニスト、アジュバントまたはサイトカインまたはケモカインである、態様1~3および5~84のいずれか記載の方法。
【0530】
85. 免疫調節剤が、TLRアゴニストであり、該TLRアゴニストが、TLR4アゴニスト、TLR7アゴニスト、TLR8アゴニストまたはTLR9アゴニストである、TLRアゴニストである、態様84記載の方法。
【0531】
86. TLRアゴニストが、トリアシル化リポタンパク質、ジアシル化リポペプチド、リポテイコ酸、ペプチドグリカン、ザイモサン、Pam3CSK4、dsRNA、ポリ(I:C)、ポリG10、ポリG3、CpG、3M003、フラジェリン、リポ多糖(LPS)、真核生物リボソーム伸長および開始因子4aのリーシュマニア相同体(LeIF)、MEDI9197、SD-101、およびイミダゾキノリンTLRアゴニストの中から選択される、態様84または態様85記載の方法。
【0532】
87. 免疫調節剤が、サイトカインであり、該サイトカインが、IL-4、TNF-α、GM-CSFまたはIL-2である、態様1~3および5~81のいずれか記載の方法。
【0533】
88. 免疫調節剤が免疫チェックポイント阻害剤である、1~3および5~81記載の方法。
【0534】
89. 免疫調節剤が、CD25、PD-1、PD-L1、PD-L2、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、4-1BB、GITR、CD40、CD40L、OX40、OX40L、CXCR2、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、CD28およびVISTAの中から選択される分子に特異的に結合する抗体またはその抗原結合断片を含む、態様1~81および88のいずれか記載の方法。
【0535】
90. 免疫調節剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、MK-3475、BMS-936559、MPDL3280A、イピリムマブ、トレメリムマブ、IMP31、BMS-986016、ウレルマブ、TRX518、ダセツズマブ、ルカツムマブ、SEQ-CD40、CP-870、CP-893、MED16469、MED14736、MOXR0916、AMP-224、およびMSB001078Cの中から選択されるか、または前述のいずれかのその抗原結合断片である、態様1~81、88および89のいずれか記載の方法。
【0536】
91. 免疫調節剤が、PD-L1に結合する抗体または抗体断片である、態様1~81および88~90のいずれか記載の方法。
【0537】
92. 免疫調節剤が、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280AおよびMSB0010718Cから選択される抗体、またはその抗原結合断片である、態様1~81および88~91のいずれか記載の方法。
【0538】
93. 免疫調節剤が、PD-1に結合する抗体または抗体断片である、態様1~81および88~90のいずれか記載の方法。
【0539】
93. 免疫調節剤が、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、ランブロリズマブもしくはAMP-224から選択される抗体、またはその抗原結合断片である、態様1~81、88~91および93のいずれか記載の方法。
【0540】
94. 免疫調節剤がさらに、第2のフタロシアニン色素を含む、態様88~93のいずれか記載の方法。
【0541】
95. 第2のフタロシアニン色素が、IRDye 700DX(IR700)を含む、態様94記載の方法。
【0542】
96. 免疫調節剤が、腫瘍の近位領域への照射の30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1ヶ月よりも前、または約30分、1時間、2時間、6時間、12時間、24時間、48時間、96時間、1週間、2週間、3週間もしくは1ヶ月よりも前に投与される、態様1~3および5~95のいずれか記載の方法。
【0543】
97. 照射に続いて免疫調節剤の連続投与を、1週間に3回、1週間に2回、1週間毎に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回または1ヶ月に1回含む、態様1~3および5~96のいずれか記載の方法。
【0544】
98. 照射が、i)免疫調節剤の投与後およびコンジュゲートの投与後またはii)コンジュゲートの投与後にのみのいずれかに行われる、態様1~12および18~97のいずれか記載の方法。
【0545】
99. コンジュゲートが、免疫調節剤の投与の前に、免疫調節剤の投与と同時にまたは免疫調節剤の投与に続いて投与される、態様1~3および5~98のいずれか記載の方法。
【0546】
100. 免疫調節剤が照射後に投与される、態様1~3および5~99のいずれか記載の方法。
【0547】
101. コンジュゲートが、照射の12時間~48時間または約12時間~48時間前に投与され、免疫調節剤が、腫瘍に照射した12時間または約12時間~約1ヶ月後に投与される、態様1~3および5~99のいずれか記載の方法。
【0548】
102. コンジュゲートが、免疫調節剤の投与後であるが照射前に投与される、態様1~3および5~99のいずれか記載の方法。
【0549】
103. コンジュゲートが、照射の12時間または約12時間~48時間前に投与され、免疫調節剤が、腫瘍に照射する12時間または約12時間~約1ヶ月前に投与される、態様1~3、5~99および102のいずれか記載の方法。
【0550】
104. 腫瘍が、がんである、態様1~103のいずれか記載の方法。
【0551】
105. がんが、頭頸部、乳房、肝臓、結腸、卵巣、前立腺、膵臓、脳、子宮頸部、骨、皮膚、眼、膀胱、胃、食道、腹膜または肺に位置するがんである、態様104記載の方法。
【0552】
106. 腫瘍が、肉腫またはがん腫である、態様1~105のいずれか記載の方法。
【0553】
107. 腫瘍が、扁平上皮がん腫、基底細胞がん腫または腺がんであるがん腫である、態様1~106のいずれか記載の方法。
【0554】
108. 腫瘍が、膀胱、膵臓、結腸、卵巣、肺、乳房、胃、前立腺、子宮頸部、食道または頭頸部のがん腫である、がん腫である、態様107記載の方法。
【0555】
109. 投与および照射の前の腫瘍のサイズまたは体積と比較して、照射の1ヶ月以内に、腫瘍のサイズまたは体積を少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%またはそれ以上低減する、態様1~108のいずれか記載の方法。
【0556】
110. 処置された対象の集団において、処置されていない類似の状況下の対象の集団と比較して、腫瘍関連パラメーターの改善を達成し、該パラメーターが、a)奏効率(ORR);b)無増悪生存期間(PFS);c)全生存期間(OS);d)毒性の低減;e)腫瘍応答;f)クオリティ・オブ・ライフ;g)症状エンドポイント;h)無病生存期間;h)完全奏効(CR);またはi)無増悪期間の1つまたは複数から選択される、態様1~109のいずれか記載の方法。
【0557】
111. パラメーターが、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%またはそれ以上改善される、態様110記載の方法。
【0558】
112. 処置された対象の集団において、少なくとも15%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%またはそれ以上の奏効率(ORR)を達成する、態様1~111のいずれか記載の方法。
【0559】
113.
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、光免疫療法(PIT)処置を対象に施す工程を含み、それによって腫瘍を処置する、対象における腫瘍を処置する方法。
【0560】
114.
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を光免疫療法(PIT)処置のために選択する工程を含む、処置のための対象を選択する方法。
【0561】
115.
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、光免疫療法(PIT)処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程を含む、対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法。
【0562】
116.
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象を、光免疫療法(PIT)処置前の免疫チェックポイント阻害剤による処置のために選択する工程を含む、処置のための対象を選択する方法。
【0563】
117. 対象における腫瘍の処置において使用するためのシリコンフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを含む組成物であって、該処置が、
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、組成物を対象に投与することを含む光免疫療法(PIT)処置を施す工程を含み、それによって腫瘍を処置する、組成物。
【0564】
118. 処置のための対象を選択する方法において使用するための免疫チェックポイントバイオマーカーのレベルを測定するための作用物質を含む組成物であって、該方法が、
a)該作用物質を含む組成物を用いて、腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を光免疫療法(PIT)処置のために選択する工程を含む、組成物。
【0565】
119. 対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法において使用するための免疫チェックポイントバイオマーカーのレベルを測定するための作用物質を含む組成物であって、該方法が、
a)該作用物質を含む組成物を用いて、腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、光免疫療法(PIT)処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程を含む、組成物。
【0566】
120. 処置のための対象を選択する方法において使用するための免疫チェックポイントバイオマーカーのレベルを測定するための作用物質を含む組成物であって、該方法が、
a)該作用物質を含む組成物を用いて、腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象を、光免疫療法(PIT)処置前の免疫チェックポイント阻害剤による処置のために選択する工程を含む、組成物。
【0567】
121. 対象における腫瘍の処置における光免疫療法(PIT)と併用して使用するための免疫チェックポイント阻害剤を含む組成物であって、該処置が、
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも高いならば、光免疫療法(PIT)処置前に組成物を対象に投与する工程を含む、組成物。
【0568】
122. 対象における腫瘍の処置のための医薬の製造におけるシリコンフタロシアニン色素を含むコンジュゲートを含む組成物の使用であって、該処置が、
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、組成物を対象に投与することを含む光免疫療法(PIT)を投与する工程を含み、それによって腫瘍を処置する、使用。
【0569】
123. 光免疫療法(PIT)処置と併用した対象における腫瘍の処置のための医薬の製造における免疫チェックポイント阻害剤の使用であって、該処置が、
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも高いならば、光免疫療法(PIT)処置前に免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与する工程を含み、それによって腫瘍を処置する、使用。
【0570】
124. 免疫チェックポイントバイオマーカーが、PD-L1、PD-1、およびPD-L1:PD-1比からなる群より選択される、態様113~123のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0571】
125.
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を光免疫療法(PIT)処置のために選択する工程を含む、処置のための対象を選択する方法。
【0572】
126.
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、光免疫療法(PIT)処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程を含む、対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法。
【0573】
127.
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象を光免疫療法(PIT)処置のために選択する工程を含む、処置のための対象を選択する方法。
【0574】
128.
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象を、光免疫療法(PIT)処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程を含む、対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法。
【0575】
129. 処置のための対象を選択する方法において使用するための第1のバイオマーカーのレベルを測定するための作用物質を含む組成物であって、該方法が、
a)該作用物質を含む組成物を用いて、腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を光免疫療法(PIT)処置のために選択する工程を含む、組成物。
【0576】
130. 対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法において使用するための第1のバイオマーカーのレベルを測定するための作用物質を含む組成物であって、該方法が、
a)腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、光免疫療法(PIT)処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程を含む、組成物。
【0577】
131. 処置のための対象を選択する方法において使用するための第1のバイオマーカーのレベルを測定するための作用物質を含む組成物であって、該方法が、
a)該作用物質を含む組成物を用いて、腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象を光免疫療法(PIT)処置のために選択する工程を含む、組成物。
【0578】
132. 対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法において使用するための第1のバイオマーカーのレベルを測定するための作用物質を含む組成物であって、該方法が、
a)該作用物質を含む組成物を用いて、腫瘍を有する対象由来の試料中の第1のバイオマーカーの第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来の第1のレベルを第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルと比較する工程;および
c)対象由来の第1のバイオマーカーの第1のレベルが第1のバイオマーカーの第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象を、光免疫療法(PIT)処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程を含む、組成物。
【0579】
133. 方法または処置がさらに、選択または特定された対象にPIT処置を施す工程を含み、それによって腫瘍を処置する、態様114~132のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0580】
134. PIT処置が、シリコンフタロシアニン色素とターゲティング分子とを含むコンジュゲートを投与することを含む、態様113~133のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0581】
135. ターゲティング分子が、EGFR結合分子を含む、態様134記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0582】
136. PIT処置が、腫瘍の近位領域に、500nmまたは約500nmから、900nmまたは約900nmまでの波長で照射する工程を含む、態様113~135のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0583】
137. 照射が、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長での照射である、態様136記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0584】
138. PIT処置が、腫瘍の近位領域に、少なくとも1J cm-2もしくは少なくとも約1J cm-2または少なくとも1 J/ファイバ長cmもしくは少なくとも約1 J/ファイバ長cmの線量で照射する工程を含む、態様113~137のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0585】
139. 照射が、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量での照射である、態様138記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0586】
140.
a)頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、シリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを対象に投与すること、および、腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射することを含む光免疫療法(PIT)処置を施す工程を含み、それによって腫瘍を処置する、対象における腫瘍を処置する方法。
【0587】
141.
a)頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、シリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを対象に投与すること、および、腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射することを含む光免疫療法(PIT)処置のために選択する工程を含む、処置のための対象を選択する方法。
【0588】
142.
a)頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、シリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを対象に投与すること、および、腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射することを含む光免疫療法(PIT)処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程を含む、対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法。
【0589】
143.
a)頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象を、シリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを対象に投与すること、および、腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射することを含む光免疫療法(PIT)処置前の免疫チェックポイント阻害剤による処置のために選択する工程を含む、処置のための対象を選択する方法。
【0590】
144. 対象における腫瘍の処置において使用するためのシリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを含む組成物であって、該処置が、
a)頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、組成物を対象に投与すること、および、腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射することを含む光免疫療法(PIT)処置を施す工程を含み、それによって腫瘍を処置する、組成物。
【0591】
145. 対象における腫瘍の処置のための医薬の製造におけるシリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートの使用であって、該処置が、
a)頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、組成物を対象に投与すること、および、腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射することを含む光免疫療法(PIT)処置を施す工程を含み、それによって腫瘍を処置する、使用。
【0592】
146. 光免疫療法(PIT)処置と併用した対象における腫瘍の処置のための医薬の製造における免疫チェックポイント阻害剤の使用であって、該処置が、
a)頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも高いならば、組成物を対象に投与すること、および、腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射することを含む光免疫療法(PIT)処置前に免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与する工程を含み、それによって腫瘍を処置する、使用。
【0593】
147. 処置のための対象を選択する方法において使用するためのPD-L1のレベルを測定するための作用物質を含む組成物であって、該方法が、
a)該作用物質を含む組成物を用いて、頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、シリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを対象に投与すること、および、腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射することを含む光免疫療法(PIT)処置のために選択する工程を含む、組成物。
【0594】
148. 対象における処置に対する応答の可能性を評価する方法において使用するためのPD-L1のレベルを測定するための作用物質を含む組成物であって、該方法が、
a)該作用物質を含む組成物を用いて、頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも低いならば、その対象を、シリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを対象に投与すること、および、腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射することを含む光免疫療法(PIT)処置に対して高い応答の可能性を有すると特定する工程を含む、組成物。
【0595】
149. 処置のための対象を選択する方法において使用するためのPD-L1のレベルを測定するための作用物質を含む組成物であって、該方法が、
a)該作用物質を含む組成物を用いて、頭頚部がんを有する対象由来の試料中のPD-L1の第1のレベルを測定する工程;
b)対象由来のPD-L1の第1のレベルを第1の閾値レベルと比較する工程;ならびに
c)対象由来の第1のレベルが第1の閾値レベルよりも高いならば、その対象を、シリコンフタロシアニン色素とEGFR結合分子とを含むコンジュゲートを対象に投与すること、および、腫瘍の近位領域に、660nmまたは約660nmから、740nmまたは約740nmまでの波長で、25J cm-2もしくは約25J cm-2から、400J cm-2もしくは約400J cm-2まで、または25J/ファイバ長cmもしくは約25J/ファイバ長cmから、500J/ファイバ長cmもしくは約500J/ファイバ長cmまでの線量で照射することを含む光免疫療法(PIT)処置前の免疫チェックポイント阻害剤による処置のために選択する工程を含む、組成物。
【0596】
150. EGFR結合分子が、抗EGFR抗体、抗体断片または抗体様分子である、態様135~149のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0597】
151. EGFR結合分子が、セツキシマブまたはその断片である、態様135~150のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0598】
152. 照射が、690±20nmまたは約690±20nmの波長での照射である、態様136~151のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0599】
153. 照射が、50J cm-2もしくは約50J cm-2または100J/ファイバ長cmもしくは約100J/ファイバ長cmの線量での照射である、態様136~152のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0600】
154. 第1のバイオマーカーが、タンパク質、細胞またはmRNAである、態様125~153のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0601】
155. 第1のバイオマーカーが、免疫細胞、CD11c、CD14、CD68、CD163、またはPD-L1である、態様125~154のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0602】
156. 細胞が、CD3、CD4、およびPD-1を発現する、態様154または155記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0603】
157. 第1のバイオマーカーが、APOE、BATF3、BCL6B、CASP9、CCND1、COL11A2、CSF2、CSF3、CTNNB1、DLL4、EGF、EIF2B4、ESR1、GLS、HDAC5、HSD11B1、IL11RA、IL32、MAP3K12、NLRP3、NOTCH2、P4HA1、PF4、PGPEP1、PLOD2、RIPK2、RPTOR、SF3A1、SNAI1、SPP1、SRP54、STC1、TMEM140、TNFSF12、およびVEGFAのmRNAの中から選択されるmRNAである、態様125、126、129、130、および133~156のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0604】
158. 第1のバイオマーカーが、ANGPT1、CPA3、CXCL14、IL18、KIT、MAP3K5、OAZ1、RB1、STAT3、SYK、TICAM1、およびTPSAB1/B2のmRNAの中から選択されるmRNAである、態様127、128、および131~156のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0605】
159. 試料が、腫瘍試料である、態様113~158のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0606】
160. 試料が、腫瘍生検試料である、態様113~159のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0607】
161. 免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1が、試料の全組織または試料の腫瘍領域中で測定される、態様113~160のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0608】
162. 免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1のレベルが、バイオアッセイを使用して測定される;および/または、免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1のレベルを測定するための作用物質が、バイオアッセイに含まれる、態様113~161のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0609】
163. バイオアッセイが、免疫蛍光、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション、免疫組織化学および/またはハイスループット核酸シーケンシングからなる群の1つまたは複数から選択される、態様162記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0610】
164. 免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1のレベルが、マルチプレックスバイオアッセイを使用して測定される;および/または、免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1のレベルを測定するための作用物質が、マルチプレックスバイオアッセイに含まれる、態様113~163のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0611】
165. マルチプレックスバイオアッセイが、免疫蛍光、蛍光インサイチューハイブリダイゼーション、免疫組織化学および/またはハイスループット核酸シーケンシングから選択される1つまたは複数のアッセイを含む、態様164記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0612】
166. 第1のレベルおよび/または閾値レベルが、免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1について染色陽性である細胞の数を腫瘍細胞の総数で割って100を掛けたものに等しい複合陽性スコア(CPS)として測定される、態様113~165のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0613】
167. 第1のレベルおよび/または閾値レベルが、免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1について染色陽性である腫瘍細胞の数を腫瘍細胞の総数で割って100を掛けたものに等しい腫瘍割合スコア(TPS)として測定される、態様113~165のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0614】
168. 腫瘍が、腫瘍または腫瘍微小環境中のEGFR発現細胞を含む、態様113~167のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0615】
169. 腫瘍が、頭頚部がんである、態様113~139および150~168のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0616】
170. フタロシアニン色素が、式:
[式中、
Lは、リンカーであり;
Qは、ターゲティング分子への色素の付着のための反応性基であり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、場合により置換されているアルキルおよび場合により置換されているアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルカノイル、場合により置換されているアルコキシカルボニル、場合により置換されているアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;
R
12、R
13、R
14、R
15、R
16、R
17、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22およびR
23は、各々独立して、水素、ハロゲン、場合により置換されているアルキルチオ、場合により置換されているアルキルアミノおよび場合により置換されているアルコキシから選択され;そして
X
2およびX
3は、各々独立して、場合によりヘテロ原子が介在しているC
1-C
10アルキレンである]を含む、態様113~169のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0617】
171. フタロシアニン色素が、式:
[式中、
X
1およびX
4は、各々独立して、場合によりヘテロ原子が介在しているC
1-C
10アルキレンであり;
R
2、R
3、R
7、およびR
8は、各々独立して、場合により置換されているアルキルおよび場合により置換されているアリールから選択され;
R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11は、各々独立して、水素、場合により置換されているアルキル、場合により置換されているアルカノイル、場合により置換されているアルコキシカルボニル、場合により置換されているアルキルカルバモイル、およびキレート配位子から選択され、ここで、R
4、R
5、R
6、R
9、R
10、およびR
11の少なくとも1つは、水溶性基を含み;そして
R
16、R
17、R
18およびR
19は、各々独立して、水素、ハロゲン、場合により置換されているアルキルチオ、場合により置換されているアルキルアミノおよび場合により置換されているアルコキシから選択される]を含む、態様113~170のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0618】
172. シリコンフタロシアニン色素が、IR700色素である、態様113~171のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0619】
173. 対象由来の免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1の第1のレベルが第1の閾値レベルに等しいかそれよりも高いならば、方法または処置がさらに、免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与する工程を含む、態様113~172のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0620】
174. 方法または処置がさらに、免疫チェックポイント阻害剤の投与に続いて光免疫療法(PIT)処置を対象に施す工程を含む、態様173記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0621】
175. PIT処置を施すことに続いて免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与する工程をさらに含む、態様113~174のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0622】
176. 以下の工程をさらに含む、態様113~175のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用:
PIT処置後に対象由来の第2の試料中の免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1の第2のレベルを測定する工程;
免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1の第2のレベルがPIT処置前に測定された第1のレベルと比べて対象において増加しているかどうかを判定する工程;
ならびに、第2のレベルが第1のレベルと比べて増加していたら、免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与する工程。
【0623】
177. PIT処置前に対象由来の非腫瘍領域試料からCD3、CD4およびPD-1に陽性の免疫細胞の第3のレベルを測定する工程、第3のレベルを第3の閾値と比較する工程、および、第3のレベルが第3の閾値よりも高いならば、その対象をPITによる処置のために選択する工程をさらに含む、態様113~176のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0624】
178. 以下の工程を含む、光免疫療法(PIT)処置に対する対象の応答を評価する方法:
a)PIT処置前に対象由来の第1の試料中のバイオマーカーの発現の第1のレベルを測定する工程;
b)PIT処置を対象に施す工程;および
c)PIT処置に続いて対象由来の第2の試料中のバイオマーカーの発現の第2のレベルを測定する工程;
第1のレベルが第2のレベルよりも低いならば、その対象をPIT処置に応答すると特定する工程。
【0625】
179. 光免疫療法(PIT)処置に対する対象の応答を評価する方法において使用するためのバイオマーカーの測定のための作用物質を含む組成物であって、該方法が、
a)PIT処置の前に、該作用物質を含む組成物を用いて、対象由来の第1の試料中のバイオマーカーの発現の第1のレベルを測定する工程;
b)PIT処置を対象に施す工程;および
c)PIT処置に続いて、該作用物質を含む組成物を用いて、対象由来の第2の試料中のバイオマーカーの発現の第2のレベルを測定する工程;
第1のレベルが第2のレベルよりも低いならば、その対象をPIT処置に応答すると特定する工程を含む、組成物。
【0626】
180. 以下の工程を含む、光免疫療法(PIT)処置に対する対象の応答を評価する方法:
a)PIT処置前に対象由来の第1の試料中のバイオマーカーの発現の第1のレベルを測定する工程;
b)PIT処置を対象に施す工程;および
c)PIT処置に続いて対象由来の第2の試料中のバイオマーカーの発現の第2のレベルを測定する工程;
第1のレベルが第2のレベルよりも高いならば、その対象をPIT処置に応答すると特定する工程。
【0627】
181. 光免疫療法(PIT)処置に対する対象の応答を評価する方法において使用するためのバイオマーカーの測定のための作用物質を含む組成物であって、該方法が、
a)PIT処置の前に、該作用物質を含む組成物を用いて、対象由来の第1の試料中のバイオマーカーの発現の第1のレベルを測定する工程;
b)PIT処置を対象に施す工程;および
c)PIT処置に続いて、該作用物質を含む組成物を用いて、対象由来の第2の試料中のバイオマーカーの発現の第2のレベルを測定する工程;
第1のレベルが第2のレベルよりも高いならば、その対象をPIT処置に応答すると特定する工程を含む、組成物。
【0628】
182. バイオマーカーが、FoxP3、CD11c、CD14、またはCD68、およびCD163からなる群より選択される、態様178~181のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0629】
183. 第1および第2の試料中のバイオマーカー発現が、試料の全組織または腫瘍領域中で測定される、態様178~182のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0630】
184. 対象へのPIT処置の第1の投与後に第1のレベルが第2のレベルよりも低いならば、方法または処置がさらに、第2のPIT処置および/または免疫チェックポイント阻害剤を対象に投与する工程を含む、態様178~183のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0631】
185. 免疫チェックポイント阻害剤が、PD-L1、PD-1またはCTLA4の阻害剤である、態様116、120、121、123、124、133~139、143~177および184のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0632】
186. 免疫チェックポイント阻害剤が、抗体、抗体断片または抗体様分子を含む、態様116、120、121、123、124、133~139、143~177、184、および185のいずれか記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0633】
187. 免疫チェックポイント阻害剤が、BMS-935559、MEDI4736、MPDL3280A、MSB0010718C、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、ピジリズマブ、ランブロリズマブもしくはAMP-224から選択される抗体、またはその抗原結合断片である、態様185または186記載の方法、使用のための組成物または使用。
【0634】
188. 以下を含む、キット:
(1)ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲート;および
(2)態様1~187のいずれか1つに記載の方法を実施するための、またはその使用のための組成物もしくは使用における処置に従った、説明書、および任意で
(3)バイオマーカー、免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1のレベルを測定するための作用物質。
【0635】
189. 以下を含む、キット:
(1)バイオマーカー、免疫チェックポイントバイオマーカー、第1のバイオマーカーまたはPD-L1のレベルを測定するための作用物質;
(2)態様1~187のいずれか1つに記載の方法を実施するための、またはその使用のための組成物もしくは使用における処置に従った、説明書、および任意で
(3)ターゲティング分子に連結されたフタロシアニン色素を含むコンジュゲート。
【実施例】
【0636】
VII. 実施例
以下の実施例は、例証の目的でのみ含まれるものであって、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。
【0637】
実施例1:抗体-IR700コンジュゲートを使用したインビトロでの標的細胞表面タンパク質結合および光免疫療法(PIT)による標的細胞の殺傷
例示的な抗体-フタロシアニン色素コンジュゲートの標的細胞表面タンパク質への結合および光免疫療法(PIT)を介した標的細胞殺傷の能力を、例示的なインビトロアッセイを使用して評価した。該アッセイは、抗EGFR抗体セツキシマブを介して細胞表面タンパク質上皮成長因子受容体(EGFR)に特異的に結合する、セツキシマブ-IRDye 700DXコンジュゲートを使用して実施した。ターゲティング分子(例えば、抗体)が結合するタンパク質を発現する細胞株を使用して他のIRDye 700DX-ターゲティング分子コンジュゲート、例えば、IRDye 700DX-抗体コンジュゲートを評価する類似のインビトロアッセイ、および/またはそのような結合時に誘導される機能的活性を評価するアッセイは、当業者の技能の範囲内である。
【0638】
セツキシマブ-IRDye 700DX(CTX-IR700)による標的細胞結合を評価するために、上皮成長因子受容体(EGFR)を発現するBxPC3細胞(#CRL-1687, ATCC, Manassas VA)をCTX-IR700とまたはCTX-IR700なしでインキュベートし、IR700の内部蛍光を検出する標準的なフローサイトメトリー技法を使用して評価した。競合アッセイのために、100倍モル過剰の非コンジュゲートセツキシマブをCTX-IR700およびBxPC3細胞とインキュベートした。
【0639】
CTX-IR700によるPIT媒介標的細胞殺傷を評価するために、BxPC3細胞を、培養培地中でセツキシマブ-IRDye 700DXと1時間インキュベートし、次いで、培養培地で1回洗浄して、未結合セツキシマブ-IRDye 700DXを除去した。次いで、細胞に、非熱性赤色光を放射する690nmレーザーをおよそ0.5J/cm2~100J/cm2の種々の流量で照明したか、または対照として光処置に供しなかった。光照明の24時間後、DNAに結合した際に蛍光増加を示す非透過性蛍光色素である蛍光染色CellTox Green(Cat No: G8731, Promega, Madison, WI)を使用して細胞死を測定した。原形質膜が損なわれた細胞だけが強いCellTox Green染色を示す。CellTox Green蛍光シグナルを、蛍光プレートリーダーを使用して測定した。次いで、Triton-based Lysis Buffer(Promega)で細胞を溶解し、溶解後にCellTox Green蛍光シグナルを再び測定した。細胞死パーセントは、(PIT処置後のCellTox Green値)/(完全溶解後のCellTox Green値)に基づいて算出した。
【0640】
図1Aに示しているように、CTX-IR700は、IR700からの内部蛍光によって検出されたとおり、EGFR発現BxPC3腫瘍細胞の表面に結合した。過剰な非コンジュゲートセツキシマブの添加は、CTX-IR700結合と競合して勝ったが、このことは、CTX-IR700のEGFRへの結合の特異性を示している。結果は、CTX-IR700が、EGFR依存的な様式でBxPC3細胞に結合したことを示した。
【0641】
図1Bに示しているように、PITの24時間後の細胞死のパーセントは、適用された光の流量と共に増加した。結果は、例示的な抗体-IRDye 700DXコンジュゲートCTX-IR700による光流量依存的なPIT媒介細胞殺傷を示した。
【0642】
実施例2:抗体-IR700コンジュゲートを使用したPIT後の標的細胞の免疫原性細胞死
免疫原性細胞死(ICD)マーカーの発現を、例示的な抗体-IR700コンジュゲートとのインキュベーションおよび光処置によるPIT後に評価し、PIT処置細胞から免疫刺激変化が生じ得るかどうかを評価した。免疫原性細胞死は、壊死細胞によって示される特定の細胞死のタイプであり、免疫刺激マーカーの増加した提示および放出によって特徴付けられる。ICDを示す細胞は、ヒートショックタンパク質90の表面発現の上昇などの膜変化、ならびにATPおよび高移動度群ボックスタンパク質(HMGB1)などの損傷関連分子パターン(DAMP)として公知の可溶性の細胞内および/または核マーカーの分泌を示す(Kromer et al. (2013) Annual Review of Immunology, 31:51-72)。
【0643】
EGFR発現A-431(ATCC(登録商標)CRL-1555(商標))類表皮がん腫およびFaDu(ATCC(登録商標)HTB-43(商標))扁平上皮がん腫細胞をセツキシマブ-IRDye 700DX(CTX-IR700)とインキュベートした。690nmレーザーを用いてA-431細胞に6 J/cm2で照明し、FaDu細胞に12J/cm2で照明した。Hsp70、Hsp90およびカルレチクリン(CRT)を含むICDマーカーの細胞表面発現を、各タンパク質に特異的な抗体で染色した後、フローサイトメトリーによって測定した。PIT媒介標的細胞殺傷のためにまた腫瘍細胞に32J/cm2で照明し、様々な群からの培養上清を、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を使用してHMGB1の分泌について評価した。対照は、光で処置されていない細胞に相当した。
【0644】
図2A~2Bに示しているように、EGFR発現A-431およびFaDu細胞とCTX-IR700とをインキュベーションした後のPIT処置は、光処置を受けなかった対照群と比較して、例示的なICDマーカーHsp70、Hsp90およびカルレチクリン(CRT)の発現増加を示した。
【0645】
図2Cに示しているように、EGFR発現A-431およびFaDu細胞とCTX-IR700とをインキュベーションした後のPIT処置は、光処置を受けなかった対照群と比較して、培養上清への核DAMP ICDマーカーHMGB1の大きな放出増加をもたらした。
【0646】
結果は、様々なICDマーカーの発現または放出が、例示的なCTX-IR700コンジュゲートとのインキュベーションおよび光処置後のPIT媒介標的細胞死によって増加したことを示し、このことは、PIT処置細胞がICDに特徴的なマーカーを示し、かつ、免疫細胞を活性化する潜在性を有することと一致する。
【0647】
実施例3:抗体-IR700コンジュゲートを使用したPIT後の標的細胞の殺傷による樹状細胞の活性化
樹状細胞(DC)の活性化を、PIT処置腫瘍細胞への曝露後に評価した。上記実施例2に記載のとおり、PIT処置細胞は、免疫原性細胞死を受けて、HMGB1の放出上昇を示し、DCなどの免疫細胞の刺激または活性化を増強することができる。DCが活性化状態になるにつれて、分化抗原群86(CD86)および主要組織適合複合体II(MHCII)などのDC成熟/活性化マーカーの表面発現は上昇することができ、炎症誘発性サイトカインの産生をもたらすことができる。
【0648】
ヒトDCを、一般に上記実施例2に記載のとおり例示的なセツキシマブ-IRDye 700DX(CTX-IR700)コンジュゲートと光処置ありまたは光処置なしでインキュベートした標的がん細胞に曝露した。活性化マーカーCD86およびMHCIIの発現について、DCをフローサイトメトリーによって評価し、マルチプレックスイムノアッセイを使用して腫瘍壊死因子(TNF)、IFN-γ-誘導性タンパク質10(IP-10)、MIP-1α(マクロファージ炎症性タンパク質-1アルファ)、MIP-1β(マクロファージ炎症性タンパク質-1ベータ)、インターロイキン-1ベータ(IL-1β)およびインターロイキン-8(IL-8)などの炎症誘発性サイトカインの産生を評価した。
【0649】
図3Aに示しているように、PIT処置腫瘍細胞に曝露したヒトDCは、光処置なしの対照細胞由来の上清に曝露したDCと比較して、樹状細胞活性化マーカーCD86およびMHCIIのより高い発現を呈した。
図3Bに示しているように、ヒトDCは、PIT処置腫瘍細胞への曝露後、TNF、IP-10、MIP-1α、MIP-1β、IL-1βおよびIL-8を含むいくつかの炎症誘発性サイトカインをより多くの量産生した。結果は、抗体-IR700コンジュゲートを使用したPITによって殺傷されたがん細胞への曝露によって、DCなどの免疫細胞が活性化されて炎症誘発性サイトカインを分泌できることを示した。PITと免疫調節剤との併用処置は、PITの免疫活性化能をさらに増強し得る。
【0650】
実施例4:抗体-IR700コンジュゲートを使用したPITのインビボ抗がん活性ならびに自然および適応免疫の活性化の評価
例示的な抗体-IR700コンジュゲートによるPITの抗がん活性ならびに自然および適応免疫を活性化する際のPIT処置腫瘍細胞の効果を、マウス腫瘍モデル系を使用してインビボ評価した。上記実施例2および3に記載のとおり、PIT処置がん細胞は、腫瘍微小環境におけるDCなどの免疫細胞の活性化を導くことができる。
【0651】
抗がん活性を評価するために、かつ、PITによるインビボ腫瘍殺傷後に免疫活性化が起こるかどうかを判定するために、CT26ネズミ結腸がん腫細胞を、ネズミ抗原エフリンA型受容体2(EphA2)(CT26-EphA2)を発現するように操作し、免疫応答性BALB/cマウスに移植してマウス腫瘍モデルを生成した。操作されたCT26-EphA2細胞上のEphA2の発現のレベルをフローサイトメトリーによって評価した。腫瘍移植のおよそ6日後、EphA2に特異的に結合する抗体に付着されたIRDye 700Dx(抗EphA2-IR700)を含有するコンジュゲートをマウスに全身投与した。CT26-EphA2腫瘍へのコンジュゲートの蓄積を、コンジュゲートの全身投与後に蛍光画像法によって検出した。抗EphA2-IR700コンジュゲートの投与の24時間後、赤色光を光流量150mW/cm2を使用して100J/cm2で腫瘍に照明した。対照として、CT26-EphA2腫瘍を移植したマウスに、抗EphA2-IR700コンジュゲートを投与したが、光処置に供しなかった。PITによる腫瘍細胞殺傷後に腫瘍内免疫細胞が活性化されたかどうかを判定するために、光処置の1日後または8日後のいずれかにCT26-EphA2腫瘍を切除し、単一細胞へと解離させ、様々な免疫細胞および活性化マーカーの発現をフローサイトメトリーによって評価した。
【0652】
図4Aに示しているように、CT26-EphA2細胞は、フローサイトメトリーによって検出した場合に、EphA2の安定した細胞表面発現を示した。
図4Bに示しているように、抗EphA2-IR700コンジュゲートは、腫瘍領域中の蛍光強度の増加によって測定した場合に、全身投与後にCT26-EphA2腫瘍に蓄積することが示され、このことは、EphA2抗原を発現する腫瘍細胞へのコンジュゲートの局在化を実証している。
図4Cに示しているように、例示的な抗EphA2-IR700コンジュゲートの投与および光照明によるPIT処置は、コンジュゲートを投与したが光処置に供しなかった対照マウスと比較して、大幅な腫瘍成長阻害をもたらした。
【0653】
図5Aは、活性化または細胞傷害活性の指標となるマーカーを発現する腫瘍内樹状細胞またはナチュラルキラー細胞のPIT処置の1日後の百分率を示す。示しているように、活性化マーカーMHCII
highおよびCD80を発現する腫瘍内CD11c+樹状細胞の百分率は、光処置に供しなかった対照群における百分率と比較して、PITで処置されたCT26-EphA2腫瘍において大幅に高かった(*p<0.05)。加えて、細胞傷害活性のマーカーCD69およびCD107aを発現する腫瘍内CD3-DX5+(細胞表面マーカーCD49bを認識するモノクローナル抗体DX5)ナチュラルキラー細胞の百分率は、光処置に供しなかった対照群における百分率と比較して、PITで処置されたCT26-EphA2腫瘍において大幅に高かった(*p<0.05)。
【0654】
図5Bは、チェックポイント阻害に関するマーカーを発現する樹状細胞およびT細胞のPIT処置の8日後の百分率を示す。示しているように、PD-L1を発現するCD11c+樹状細胞の百分率は、光処置に供しなかった対照群と比較して、PIT処置腫瘍において大幅に高かった(*p<0.05)。CD3+CD8+ T細胞の百分率もまた、光処置に供しなかった対照群と比較して、PIT処置腫瘍において大幅に高かった(*p<0.05)。腫瘍内CD3+CD8+ T細胞の中でも、PD-1およびCTLA-4発現細胞のより高い百分率がまた、光処置に供しなかった対照群と比較して、PIT処置腫瘍において観察された。
【0655】
まとめると、結果は、自然および適応免疫についての活性化マーカーの発現がPIT処置後の腫瘍において増加したことを示したが、このことは、PITを介した標的がん細胞死の後の腫瘍微小環境における自然および適応免疫応答の活性化と整合する。PIT処置後のPD-1、PD-L1およびCTLA-4の発現の増加は、免疫チェックポイント阻害剤などの追加の免疫調節剤、例えば、PD-1、PD-L1またはCTLA-4を標的指向する薬剤による、抗体-IR700コンジュゲートの抗がん作用を相乗的に増強する処置レジメンを支持する。
【0656】
実施例5:臨床研究評価およびPD-L1の発現
この実施例は、先行処置に失敗した頭頸部扁平上皮がん腫(HNSCC)患者における、抗EGFR抗体-IRDye 700DXコンジュゲートとそれに続く照明によって光免疫療法(PIT)を誘導する処置の非盲検の第1/2a相臨床研究を説明する。
【0657】
臨床研究は、組織学的に確認された再発性HNSCCを有する41名の個々の患者を含み、彼らは、処置担当医の意見によると、外科手術、放射線または白金化学療法で満足に処置できなかった。研究スキーマを
図6A~6Bに示す。臨床研究の第I部(
図6A)では、患者を3つのコホートにグループ分けした。1日目に、コホート1に抗EGFR-IR700色素コンジュゲートを160mg/m
2の用量で注入し;コホート2に320mg/m
2の用量で注入し;そして、コホート3に640mg/m
2の用量で注入した。2日目に、光免疫療法(PIT)を、690nmの波長を使用して局所領域的に、表在性病変に対して50J/cm
2、間質性病変に対して100J/cmの光線量で適用した。各コホートの患者を処置後1ヶ月追跡調査した。臨床研究の第II部に参加した患者(30名の個人;
図6B)について、初期処置は、第I部と同じであったが、唯一線量640mg/m
2を各サイクルに使用した;この第1の処置サイクル後、医師の裁量で、コンジュゲート注入およびPITのサイクルを最大4サイクル反復した。
【0658】
臨床研究の第II部に参加した患者は、臨床研究に登録する前に、放射線療法およびがん関連外科手術、化学療法、免疫療法または他の療法の1つまたは複数に失敗していた。頸(12)、舌(8)、中咽頭(4)、口腔(4)、下咽頭(2)、皮膚(2)、副鼻腔(1)および/または鼻腔(1)に位置する参加患者の腫瘍は、処置の前および処置の終了時に測定した。処置に応答した腫瘍サイズ(CTスキャン上の最大一次元腫瘍直径)の変化を
図11に描写し、ここで、1を超える腫瘍を含有する患者についてベースラインからの最良の変化率が提供される。サイズが30%以上減少した腫瘍を有する患者を、処置に対する「レスポンダー」と見なした。
【0659】
先行化学療法処置を行わなかった患者(対象)は、抗EGFR-IR700 PIT処置に対するより高い応答性の傾向を示した。
【0660】
免疫組織化学評価のために、患者試料を収集し、以下のとおり処置前および処置後に評価した:処置前腫瘍生検は、処置の12ヶ月以内に収集した。処置後生検は、サイクル1の後または後続の処置サイクルの後に収集した。EGFRおよびPD-L1発現を腫瘍生検に基づいて判定し、それぞれDako EGFR pharmDxアッセイ(クローン2-18C9)およびDako PD-L1 pharmDxキット(クローン22C3および28-8)を使用して測定した。また、下記実施例6および7に記載のとおり、患者の血液中のサイトカインレベルおよび患者の末梢血単核細胞(PBMC)の免疫表現型も評価した。
【0661】
図7A~7Bに示しているように、処置後にPD-L1発現の増加が観察された。この観察は、PIT処置後の腫瘍内インターフェロン-ガンマ(IFNγ)の誘導および急性炎症の証拠と一致した。臨床研究の第I部(
図7A;n=4)および第IIa部(
図7B;n=8)における処置前および処置後生検を有する患者のうち、12例のうち8例で腫瘍および免疫細胞におけるPD-L1発現が増加した。結果は、コンジュゲートとそれに続く光照明による処置が腫瘍および免疫細胞におけるPD-L1発現の誘導に関連したことを示し、このことは、急性処置後の免疫活性化と整合する。
【0662】
実施例6:処置前全身サイトカインおよびケモカインレベルと処置に対する応答との間の関係性の評価
上記実施例5に記載の臨床研究中の患者由来の試料において患者血液中の血漿サイトカインレベルを評価し、血漿サイトカインレベルと抗EGFR抗体-IR700処置およびPITに対する応答との間の関係性を分析した。
【0663】
血漿サイトカインおよびケモカイン分析のために、合計13名の患者から4つの異なる時点で患者血液を収集した:処置の前日と処置後の+7日、+14日および+28日。34個の異なるサイトカインおよびケモカインの血漿レベルを、ProcartaPlex Human Cytokine & Chemokine Panel 1A 34plexマルチプレックスイムノアッセイキット(Thermo Fisher, Carlsbad, USA)を使用して分析した。各試料を3回の技術的反復実験(technical triplicates)で試験した。34個のサイトカインのうち18個で検出下限を上回るレベルが認められた。平均連鎖クラスタリング法およびユークリッド距離測定法を使用して、様々な総合応答スコア:処置に対する完全奏効(CR)、処置に対する部分奏効(PR)、病勢安定(SD)または病勢進行(PD)を示す患者にわたりサイトカインおよびケモカインのヒートマップ(
図8)を作成した。
【0664】
ヒートマップは、MCP-1、IL-6、IL-2、GROアルファ、エオタキシン、IL-13、IL-7、IL-10、IL-1β、TNF-α、IP-10、IL-22、RANTES、IL-23、SDF-1α、IL-8、IL-27およびIL-1Rαのサイトカイン発現を使用して、レスポンダー(CRおよびPRを示す患者)群と非レスポンダー(PDおよびSDを示す患者)群との間で異なるサイトカインおよびケモカインの発現パターンを示した。試験した13個の試料で、処置前血漿サイトカインおよびケモカインレベルの上昇が、7名のレスポンダーのうち4名(4例のCRのうち3例;3例のPRのうち1例)で、かつ、6名の非レスポンダーのうちわずか1名(5例のSDのうち1例;1例のPDのうち0例)で観察された(
図8)。
【0665】
図9A~9Bに示される分析について、患者は、処置後CRまたはPRを示したら「レスポンダー」としてグループ分けし、または、処置後SDまたはPDを示したら「非レスポンダー」としてグループ分けした。これらの群由来の試料をサイトカインおよびケモカインのサブセットについて評価し、各群の処置前レベルを比較した。18個の検出可能なサイトカインおよびケモカインのうち、5個(IL-2、IL-7、IL-22、IL-27およびCXCL1[GroA])は、非レスポンダーと比較して、レスポンダーの処置前試料において統計的に増加した(
図9A)。加えて、4個(IL-1β、IL-6、IL-23およびCXCL10[IP10])は、非レスポンダーと比較して、レスポンダーにおいて濃度増加へ向かう傾向を示した(
図9B)。結果は、処置前血漿サイトカインおよびケモカインのサブセットから特定されるPIT処置の有効性を予測するための潜在的バイオマーカーシグネチャを示している。
【0666】
実施例7:末梢血単核細胞(PBMC)の全身免疫表現型解析
上記実施例5に記載の臨床研究中の患者から得られた末梢血単核細胞(PBMC)の免疫表現型を判定するために様々な細胞マーカーの発現を評価した。
【0667】
患者血液を、サイクル1の複数の時点、注入前(光処置の前日、コンジュゲート注入後の+7日、+14日および+28日)および入手可能であれば後続の処置サイクルの間に収集した。免疫表現型解析のために、18名の患者からPBMCを収集し、様々な免疫細胞マーカーパネルについて標準手順を使用して免疫染色し、フローサイトメトリーによって分析した。単球サイトカイン分泌について、PBMCを播種し、1ng/mLのブレフェルジンAの存在下、0または1ng/mLのリポ多糖(LPS)で刺激した。刺激の24時間後に、標準的な固定および透過処理プロトコルを使用して細胞内サイトカイン染色を実施した。処置後と処置前の値を比較することによって免疫活性化を評価した。
【0668】
フローサイトメトリーパネル用の染色マーカーは、以下を含んだ:CCR4、CCR6、CD123、CD127、CD14、CD141、CD16、CD163、CD1C、CD25、CD3、CD33、CD4、CD44、CD45RA、CD45RO、CD56、CD62L、CD69、CD8、CD86、CXCR3、HLA-DR、IL-10、IL-12p40、IL-6およびTNF。
【0669】
図10に示しているように、処置後試料からの免疫表現型解析研究の結果は、腫瘍微小環境における免疫活性化を実証した。結果は、自然免疫活性化シグナルが、最適目標腫瘍応答にかかわらず、コンジュゲートとそれに続く690nmでの照明による処置後に存在していたことを示した。18名の患者のうち9名は、NK細胞レベルおよび/または活性のアップレギュレーションを示した。18名の患者のうち12名は、単球によるサイトカイン分泌の増強を示した。適応免疫活性化シグナルも一部の患者において観察された。一般に、18名の患者のうち15名は、最適目標腫瘍応答にかかわらず、コンジュゲートとそれに続く光照明による処置後に免疫活性化に関するサインを示した。結果は、コンジュゲートとそれに続く照明による処置後の自然および適応免疫の活性化と整合した。
【0670】
実施例8:腫瘍におけるバイオマーカー発現および処置に対する応答性
実施例5に記載の腫瘍生検を、MultiOmyx(商標)マルチプレックスプラットフォームを使用して、CD3、CD4、CD8、CD11b、CD11c、CD14、CD15、CD25、CD45RO、CD56、CD68、CD69、CD163、CTLA4、FOXP3、グランザイムB、HLA-DR、Ki67、PanCK、PD-L1およびPD1を含むバイオマーカーの存在について分析した。「レスポンダー」(CRおよびPR)および「非レスポンダー」(SDおよびPD)として分類された患者由来の生検中の複数の関心領域(ROI)を使用して、中央腫瘍領域、間質および全腫瘍組織(中央腫瘍領域+間質)でバイオマーカー発現を評価した。バイオマーカーごとに、すべてのROIの平均を使用して、そのバイオマーカーの患者における発現を表した。生検を抗EGFR-IR700 PIT処置前および処置後に収集した。データ処理および解析は、MS-EXCELおよびMATLAB(MathWorks, Inc.)を使用して完了した。
【0671】
A. 全組織および腫瘍領域におけるPD-L1
プログラム死-リガンド1(PD-L1)陽性細胞密度を、抗EGFR-IR700 PIT処置前の「レスポンダー」および「非レスポンダー」患者の全腫瘍組織および中央腫瘍領域で判定した。結果を表1および2に提供し、
図12A~12Dおよび
図13A~13Dに描写する。腫瘍領域および全組織において、複合陽性スコア(CPS)を100*(PD-L1陽性細胞の数/腫瘍細胞の総数)として算出し、腫瘍割合スコア(TPS)を100*(PD-L1陽性腫瘍細胞の数/腫瘍細胞の総数)として算出した。スチューデントのt検定を使用して、「レスポンダー」群対「非レスポンダー」群の処置前PD-L1発現のP値を算出した。
【0672】
【0673】
【0674】
全腫瘍生検切片ならびに中央腫瘍領域におけるPD-L1+腫瘍細胞密度および総PD-L1+細胞密度はすべて、処置に応答しなかった患者と比較して、最後には抗EGFR-IR700 PIT処置に応答した患者において処置前に有意に低下した。したがって、これらの結果は、低いPD-L1発現が、抗EGFR-IR700 PIT処置に対する応答性を予測するための有用なマーカーであることを示している。
【0675】
B. 非腫瘍領域におけるTヘルパー細胞
7名の「レスポンダー」および12名の「非レスポンダー」患者の抗EGFR-IR700 PIT処置前生検の間質領域を、CD3、CD4およびPD1を発現する細胞の存在について分析した。CD3およびCD4二重発現は、濾胞性Tヘルパー(Tfh)細胞に特徴的である。「レスポンダー」患者生検の間質領域は、平均260個のCD3+CD4+PD1+細胞/mm
2を含有した一方で、「非レスポンダー」患者生検は、平均106個のCD3+CD4+PD1+細胞/mm
2を含有した(P=0.036)(
図14)。これらの結果は、非腫瘍組織におけるPD1+発現CD3+CD4+ Tヘルパー細胞の存在が、IR700 PIT処置に対する対象の応答性の予測因子となることを示している。
【0676】
C. 全組織におけるPD-L1:PD1
PD1に対するPD-L1の比を、13名の「レスポンダー」および8名の「非レスポンダー」患者由来の処置前全組織生検において測定した(
図15)。IR700 PIT処置に応答性の患者は、応答性でなかった患者よりも、PD1に対するPD-L1の比が低かった(5.39±5.94 対 26.54±30.89;P=0.025)。この結果は、低いPD-L1:PD1比がIR700 PIT処置に応答性の対象の予測因子となることを示している。
【0677】
D. 腫瘍領域におけるCD11c
樹状細胞などのCD11cを発現する細胞の密度を、抗EGFR-IR700 PIT処置前の10名の「レスポンダー」および8名の「非レスポンダー」患者から収集された生検の中央腫瘍領域において判定した(
図16)。抗EGFR-IR700 PIT処置に応答する患者は、処置に応答しなかった患者よりも低下したCD11c+細胞密度を含有した。よって、低いCD11c+細胞密度は、抗EGFR-IR700 PIT処置に対する応答と相関する。
【0678】
E. 全組織におけるFoxP3
抗EGFR-IR700 PIT処置前(n=5)および後(n=3)の完全レスポンダーから採取した生検を、中央腫瘍領域および周囲の間質を含む全組織においてFoxP3を発現する細胞(例えば、制御性T細胞(Treg))について分析した(
図17)。抗EGFR IR700 PIT処置に応答性の患者は、処置後にFoxP3発現細胞の低減を示した。これらの結果は、処置の進行および/または効果など、抗EGFR-IR700 PIT処置をモニタリングするためのマーカーとしてのFoxP3発現細胞を示している。
【0679】
F. 腫瘍領域における他のタンパク質マーカー
抗EGFR-IR700 PIT処置の前(n=5)および後(n=3)の完全レスポンダーから採取した生検を、生検の中央腫瘍領域において他のタンパク質マーカーを発現する細胞について分析し、IR700 PIT処置をモニタリングした。抗EGFR-IR700 PIT処置後に完全レスポンダーにおいて減少した例示的なバイオマーカーまたはバイオマーカーの組み合わせを以下の表3に列記し、
図18~20に描写する。
【0680】
【0681】
実施例9:mRNA発現および処置に対する応答性
上記の抗EGFR-IR700 PIT第IIa相臨床研究の「レスポンダー」(n=10)および「非レスポンダー」(n=6)患者から収集されたホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)切片化生検からのRNA抽出物を、PanCancer IO360遺伝子シグネチャパネルを使用したNanoString nCounter(登録商標)(NeoGenomics)によって分析した。「非レスポンダー」患者と比較して「レスポンダー」患者において増加および減少した転写物レベルをそれぞれ表4および表5に提供する。
【0682】
【0683】
【0684】
本発明は、例えば、本発明の様々な局面を例証するために提供された特定の開示された態様に範囲が限定されることを意図していない。記載の組成物および方法に対する様々な改変は、本明細書の説明および教示から明らかになるであろう。そのような変更は、本開示の真の範囲および精神から逸脱することなく実施することができ、本開示の範囲内に入ることが意図される。
【国際調査報告】