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特表2022-527946個別化されたデジタル治療方法およびデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-07
(54)【発明の名称】個別化されたデジタル治療方法およびデバイス
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20220531BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20220531BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20220531BHJP
   G06N 3/02 20060101ALI20220531BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20220531BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
G16H50/20
A61B5/00 G
A61B10/00 H
G06N3/02
G06N20/00
A61B5/16 120
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558497
(86)(22)【出願日】2020-03-20
(85)【翻訳文提出日】2021-11-22
(86)【国際出願番号】 US2020024029
(87)【国際公開番号】W WO2020198065
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】62/822,186
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.MATLAB
(71)【出願人】
【識別番号】519173211
【氏名又は名称】コグノア,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】ヴォーン,ブレント
(72)【発明者】
【氏名】タラマン,シャリーフ カリル
(72)【発明者】
【氏名】アッバース,アブドゥル ハリム
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
5L099
【Fターム(参考)】
4C038VA20
4C038VB03
4C038VC05
4C117XB09
4C117XE43
4C117XE73
4C117XJ34
4C117XQ18
5L099AA04
(57)【要約】
【解決手段】本明細書に開示されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、発達状態について対象を評価し、強化したデジタル治療を提供することができる。本明細書に開示されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、デジタルフィードバックに基づいて発達状態を改善するように構成することができる。
【選択図】図35
【特許請求の範囲】
【請求項1】
行動障害、発達遅延、または神経学的障害に関して個人を評価し、前記個人に処置を提供するためのデバイスであって、
前記デバイスは、
プロセッサと、
コンピュータプログラムを格納する非一時的コンピュータ可読媒体とを備え、前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサに、
(a)前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害に関連する前記個人に関する入力を受け取らせ、
(b)前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害を抱える複数の個人からのデータを用いて訓練された前記コンピュータプログラムの訓練済み分類子モジュールを使用して、前記個人が前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害の存在の兆候を有すると決定させ、
(c)前記コンピュータプログラムによって生成された機械学習モデルを用いて、前記個人が前記存在の兆候を有する前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害が、社会的互恵性を促進するデジタル治療によって改善されると決定させ、および、
(d)社会的互恵性を促進するデジタル治療を提供させるように構成される、
デバイス。
【請求項2】
前記機械学習モデルは、前記デジタル治療によって達成されるであろう改善の程度を決定する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害が前記デジタル治療によって改善されると決定された場合に、前記デジタル治療を前記個人に提供するとのさらなる命令で構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デジタル治療は拡張現実体験を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記デジタル治療は仮想現実体験を含む、請求項3に記載のデバイス。
【請求項6】
前記デジタル治療は、モバイルコンピューティングデバイスによって提供される、請求項4または5に記載のデバイス。
【請求項7】
前記モバイルコンピューティングデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、スマートウォッチ、または他のウェアラブルコンピューティングデバイスを含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記モバイルコンピューティングデバイスのカメラを使用して、前記拡張現実体験において前記個人と対話した人物の映像または画像を取得するとのさらなる命令で構成される、請求項6に記載のデバイス。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記映像または前記画像を分析するための画像分析モジュールを使用して、前記人物に関連する感情を決定するとのさらなる命令で構成される、請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記仮想現実体験は、表示された仮想人物またはキャラクタを含み、前記デバイスは、前記仮想現実体験内で前記仮想人物またはキャラクタによって表現された感情を決定することをさらに含む、請求項5に記載のデバイス。
【請求項11】
前記感情の説明は、前記モバイルコンピューティングデバイスの画面上に前記説明を印刷すること、または前記モバイルコンピューティングデバイスと連結された音声出力部を介して前記説明の音声を出すことによって、前記拡張現実または仮想現実体験内でリアルタイムで前記個人に表示される、請求項9または10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記分析モジュールは、前記映像または画像内の前記人物の顔を検出するための顔認識モジュールを含む、請求項9に記載のデバイス。
【請求項13】
前記画像分析モジュールは、前記感情を示すものとして前記顔を分類するために機械学習を用いて訓練された分類子を含む、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記モバイルコンピューティングデバイスは、前記拡張現実体験から音声をキャプチャするように構成されたマイクを含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項15】
前記プロセッサは、前記マイクからの音声を、感情に関連するものとして分類するとのさらなる命令で構成される、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記プロセッサは、前記個人がアクティビティモードに従事するように前記デジタル治療に伴う命令を提供するとのさらなる命令で構成される、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記アクティビティモードは、感情誘発アクティビティ、感情認識アクティビティ、または構造化されていない遊びを含む、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
治療剤が、前記デジタル治療とともに前記個人に提供される、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記治療剤は、前記個人が前記デジタル治療を受けている間、前記個人の認知を改善する、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記デバイスはウェアラブルデバイスである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
デジタル治療を使用して、行動障害、発達遅延、または神経学的障害に関して個人を処置するためのコンピュータにより実施される方法であって、前記方法は、
(a)前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害に関連する前記個人に関する入力を受け取る工程と、
(b)訓練された分類子を使用して、前記個人が前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害を有する兆候を有していると決定する工程と、
(c)機械学習モデルを用いて、前記個人が有する兆候である前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害が、社会的互恵性を促進するように構成されたデジタル治療によって改善されると決定する工程と、を含む、
方法。
【請求項22】
前記機械学習モデルは、前記デジタル治療によって達成されるであろう改善の程度を決定する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害が自閉症または自閉症スペクトラム障害であると決定された場合に、前記デジタル治療を前記個人に提供する工程を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記デジタル治療は拡張現実体験を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記デジタル治療は仮想現実体験を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記デジタル治療は、モバイルコンピューティングデバイスによって提供される、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記モバイルコンピューティングデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、スマートウォッチ、または他のウェアラブルコンピューティングデバイスを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記モバイルコンピューティングデバイスのカメラを使用して、前記拡張現実体験において前記個人と対話した人物の映像または画像を得る工程を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記映像または前記画像を分析するための画像分析モジュールを使用して、前記人物に関連する感情を決定する工程を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記仮想現実体験は、表示された仮想人物またはキャラクタを含み、および、前記方法は、前記仮想現実体験内で前記仮想人物またはキャラクタによって表現された感情を決定する工程をさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項31】
前記感情の説明は、前記モバイルコンピューティングデバイスの画面上に前記説明を印刷すること、または前記モバイルコンピューティングデバイスと連結された音声出力部を介して前記説明の音声を出すことによって、前記拡張現実または仮想現実体験内でリアルタイムで前記個人に表示される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記分析モジュールは、前記映像または画像内の前記人物の顔を検出するための顔認識モジュールを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記画像分析モジュールは、前記感情を示すものとして前記顔を分類するために機械学習を用いて訓練された分類子を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記モバイルコンピューティングデバイスは、前記拡張現実体験から音声をキャプチャするように構成されたマイクを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記マイクからの音声を感情に関連するものとして分類する工程を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記個人がアクティビティモードに従事するために前記デジタル治療に伴う命令を提供する工程を含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記アクティビティモードは、感情誘発アクティビティ、感情認識アクティビティ、または構造化されていない遊びを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記デジタル治療とともに治療剤を提供する工程を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項39】
前記治療剤は、前記個人が前記デジタル治療を受けている間、前記個人の認知を改善する、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記デジタル治療は、前記個人の社会的互恵性を促進するように構成される、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年3月22日に出願された米国仮出願第62/822,186号の利益を主張するものであり、該文献の内容は全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
多くの人が、認知障害、発達遅延、および神経学的障害に悩まされている。従来の診断および治療方法を用いて、これらの状態を診断および治療することは困難である。
【発明の概要】
【0003】
本明細書には、認知障害、発達遅延、および神経学的障害を含む疾病の関連群から1つ以上の診断を有する個人を診断および処置するためのプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体が記載されている。
【0004】
認知障害および発達遅延の非限定的な例としては、自閉症、自閉症スペクトラム、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、および発話および学習障害が挙げられる。神経学的障害の非限定的な例としては、脳性麻痺および神経変性疾患が挙げられる。認知障害、発達遅延、および神経学的障害を含むこれらの関連疾病群は、個人がこれらの疾病群の2つ以上に分類されることになる症状や行動を示す可能性があり、個人がこれらの疾病群の複数を有するという意味で関連している。そのため、疾患スペクトラム(例えば、自閉症スペクトラム障害)に沿って複数の状態を抱える診断を正確に区別することは困難である。また、症状が重複している診断(例えば、自閉症とADHD)を区別することも困難である。
【0005】
認知障害、発達遅延、および神経学的障害を診断および処置する現在の方法では、診断プロセスの間に利用される情報と、治療を決定するために利用される情報の観点で支障がある。例えば、個人は、自閉症スペクトラム障害を有するという分類上の診断が下される可能性があり、その診断に基づいて汎用的な治療が提供されることがある。例えば、顔の表情に基づいて感情的な合図を認識する能力の程度など、特定の障害に関連する可能性のある情報は、適切な治療を決定する際に欠落する可能性がある。
【0006】
したがって、本明細書には、診断データを治療設計に組み込むことによって、この長年の問題に対する技術的解決策を提供するプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体が開示されている。患者をいくつかの分類上のバケットの1つに分類する一般的な診断と、その後の、しばしば異なる医療提供者による一般的な治療とを提供する代わりに、診断または評価プロセスは、ケースバイケースで治療をカスタマイズする目的で、評価または診断から多次元空間を組み込んだ治療プロセスと組み合わされることが可能である。
【0007】
いくつかの例では、診断情報と治療情報の両方を含む単一のユーザーアカウントが提供され、その結果、ユーザー情報を両方のプロセスにリンクさせることができる。この複合的なアプローチは、診断を行う際、または適切な治療レジメンを決定する際に、潜在的に関連する情報が取り残されないようにするのに役立つ。さらに、診断と治療のレジメンを同じプラットフォームまたはプロセスで行うことで、ネットワーク効果および/または相乗的な効果を得ることができる。例えば、拡張現実ツールを用いた感情認識検出療法、または、他の類似したアクティビティよりも効果的に機能すると予測されるツールを用いた特定のアクティビティが対象に有益であると判定するために使用される感情認識に関する特定の次元を考慮して治療をカスタマイズすることができる。
【0008】
診断プロセス中に入力データに基づいて計算された内部診断次元は、保存され、その後、最適な処置を特定する際に使用される治療プロセスに転送され得る。したがって、診断プロセスによって生成された多次元空間(次元は、入力特徴の非線形的な組み合わせである)内の患者の位置は、治療モデルによって分析されることで、(改善された)治療効果を与えると予測される1つ以上の特定の治療を決定または特定することができる。
【0009】
したがって、デジタル治療は、同じ対象のデジタル診断または評価の適用中に計算される多次元特徴セットに基づいて、ケースバイケースでカスタマイズすることができる。このアプローチは、治療計画が特定のケースにおける疾病の特定の症状の微細な理解ではなく、分類的な診断に基づいている治療計画の従来のアプローチと比較して、より効率的でより効果的な精密なデジタル治療を適用する固有の能力を提供するものである。
【0010】
本明細書に開示される方法およびデバイスは、例えば、臨床環境または非臨床環境における対象の発達の進行などの認知機能属性を判定するように構成される。例えば、記載された方法およびデバイスは、対象を1つ以上の発達領域において発達が進んでいると判定したり、または、対象を発達が遅れているか、あるいは1つ以上の発達障害を有するリスクがあると判定したりすることができる。
【0011】
開示される方法およびデバイスは、評価モデルに基づいて対象の複数の特性または特徴を評価することによって対象の発達の進行を判定することができ、ここで、評価モデルは、機械学習アプローチを使用して関連する対象集団の大規模データセットから生成され得る。本明細書に開示される方法およびデバイスは、1つ以上の機械学習モデルを使用して、複数の障害のうちの1つの障害を抱える対象を診断するための改良された論理構造およびプロセスを含む。
【0012】
対象の例えば、発達障害を含む認知機能属性の特定および処置は、精度および効率の両方の観点から、困難な技術的問題を提示することができる。このような属性または障害を識別するための多くの既知の方法は、時間を消費して資源を必要とすることが多く、対象が多くの質問に答えるか、または、対象の地理的な位置によって数や利用可能性が制限される可能性のある資格のある臨床医の管理下で大掛かりな観察を受ける必要がある。
【0013】
加えて、行動障害、発達遅延、および神経学的障害の関連するカテゴリー内の複数の疾患が相互に関連しているため、関連する行動学的、神経学的、または精神的な健康状態または障害を特定および処置するための多くの既知の方法は、精度と一貫性が理想を下回るものであった。さらに、多くの対象は、2つ以上の関連する障害や疾病を患っている可能性がある。各検査が単一の障害または疾病のみを診断または特定するように設計されている場合、複数の障害を有する対象は複数の検査を受ける必要があるかもしれない。複数の診断検査を用いて対象を評価することは、時間がかかり、費用がかかり、不便であり、手配することが論理的に困難な場合がある。複数の関連する障害または疾病を十分な感度および特異度で判定または診断することができる単一の診断検査を用いて、対象を検査する手法を提供することが望ましい。
【0014】
本明細書には、そのような技術的問題に対する技術的解決策が記載されており、ここで、技術的解決策は、既存の方法の精度と効率の両方を改善する。そのような技術的解決策は、行動学的、神経学的、または精神的な健康状態または障害などの認知機能の属性を判定および処置するための方法を施すために必要な時間および資源を削減し、対象間の判定結果の精度および一貫性を改善する。
【0015】
加えて、高度な認知機能、正常な認知機能、および低下した認知機能を有する対象の認知機能を進歩させるために対象に適用できる方法および処置が本明細書に開示されている。以上のことから、発達障害などの特定の認知機能属性のリスクがある対象を診断および特定し、改善されたデジタル治療を提供するための、改善された方法およびシステムが必要とされている。理想的には、そのような方法やデバイスは、より少ない質問、より少ない時間を必要とし、行動学的、神経学的、または精神的な健康状態または障害などの複数の認知機能属性を決定し、処置効果のモニタリングと適応に使用することができる、臨床環境または非臨床環境において臨床的に受け入れ可能な感度および特異度を提供することになっている。さらに、改良されたデジタル治療法は、患者に対してカスタマイズされた治療計画を提供し、カスタマイズされた治療計画に応じて更新された診断データを受け取って進行を判定し、それに応じて治療計画を更新することができる。そのような方法およびデバイスは、対象の発達の進行を決定し、発達の進行を促すための処置を提供するためにも使用することができる。
【0016】
本明細書に開示される方法およびデバイスは、臨床環境において、より少ない質問で、より少ない時間で、臨床的に許容される感度および特異度で、臨床設定または非臨床設定下において、例えば、複数の関連する発達障害の中で1つ以上の発達障害を有するリスクのある対象など、1つ以上の認知機能属性を有する対象を診断または特定することができる。プロセッサは、より少ない質問で人を診断したり、リスクがあると判定したりすることができるように、最も予測的な次の質問を特定する命令で構成され得る。複数の回答に対して最も予測性の高い次の質問を特定することで、より少ない質問で感度と特異度を高めることができるという利点がある。本明細書に開示されている方法およびデバイスは、単一の検査を使用して、複数の関連する発達障害について対象を評価し、単一の検査を使用して、複数の発達障害の1つ以上のリスクがあると対象を診断または判定するように構成され得る。提示される質問の数を減らすことは、対象が複数の可能性のある発達障害を患っている場合に特に有効である。複数の可能性のある障害について、単一の検査を用いて対象を評価することで、評価手順の長さやコストを大幅に削減することができる。本明細書に開示される方法およびデバイスは、症状が重複することがある複数の可能性のある発達障害のうち、単一の発達障害を有するリスクがあると対象を診断または判定することができる。
【0017】
最も予測的な次の質問は多くの方法で決定することができるが、多くの例では、最も予測的な次の質問は、事前の最も予測的な次の質問を含む可能性のある先行する質問に対する複数の回答に応答して決定される。最も予測的な次の質問は、統計的に決定することができ、最も予測的な次の質問を決定するために、可能性のある最も予測的な次の質問のセットが評価され得る。多くの場合、可能性のある最も予測的な次の質問のそれぞれに対する回答は、質問の関連性に関連しており、質問の関連性は、質問に対する可能性のある各回答の組み合わされた特徴的重要性に応答して決定することができる。
【0018】
本明細書に開示された方法およびデバイスは、対象を3つのカテゴリー:1つ以上の発達状態を有する、発達的に正常または典型的である、または決定的ではない(すなわち、対象が何らかの発達状態を有するかどうかを判定するためにさらなる評価を必要とする)のうちの1つに分類することができる。発達状態は、発達障害または発達の進行であり得る。本明細書に開示された方法およびデバイスは、発達状態に限定されるものではなく、行動学的、神経学的、または精神的な健康状態などの他の認知機能属性に適用することができる。本方法および本デバイスは、最初に対象を3つのカテゴリーの1つに分類し、その後、対象から追加の情報を収集することにより、最初に「決定的ではない」と分類された対象の評価を継続して行ってもよい。最初に「決定的ではない」と分類された対象のそのような継続的な評価は、単一のスクリーニング手順(例えば、様々な評価モジュールを含む)で継続的に実行されてもよい。代替的または追加的に、決定的ではない群に属すると判定された対象は、別の追加のスクリーニング手順を用いて評価されてもよく、および/または、さらなる評価のために臨床医に紹介されてもよい。
【0019】
本明細書に開示される方法およびデバイスは、アンケートおよび映像入力の組み合わせを使用して、対象を評価することができ、ここで、2つの入力は数学的に統合されることで、対象の分類または診断の感度および/または特異度を最適化することができる。随意に、方法およびデバイスは、アプリケーションの設定に応じて予想される有病率の違いを考慮して、異なる設定(例えば、一次医療対二次医療)に対して最適化することができる。
【0020】
本明細書に開示された方法およびデバイスは、例えば、対象の年齢、対象に関連する地理的位置、対象の性別、または対象に関連する他の対象固有のデータもしくは人口統計学的データなどの異なる対象固有の次元を考慮することができる。特に、本明細書に開示される方法およびデバイスは、対象の評価、診断、または分類の感度および特異度を高めるために、対象を発達状態などの1つ以上の認知機能属性を有するリスクがあると判定する際に、異なる対象固有の次元を考慮することができる。例えば、異なる年齢群に属する対象は、異なる機械学習評価モデルを用いて評価することができ、それぞれのモデルは、特定の年齢群の対象における1つ以上の発達状態を判定するように特別に調整することができる。各年齢群に固有の評価モデルは、評価項目(例えば、質問、ビデオ観察)の固有の群を含んでいてもよく、ここで、評価項目の一部は、他の年齢に固有の評価モデルの評価項目と重複することもある。
【0021】
加えて、本明細書に記載されるデジタル個別化医療システムおよび方法は、デジタル診断およびデジタル治療を患者に提供することができる。デジタル個別化医療システムは、個別化されたまたはより適切な治療的介入および改善された診断を通知するやり方で、患者の症状を評価または診断するためにデジタルデータを使用することができる。
【0022】
一態様では、デジタル個別化医療システムは、患者を評価および診断するためにデータを使用するように;治療的介入の結果としての有効性、コンプライアンス、および反応の相対的なレベルを特定するインタラクションおよびフィードバックデータをキャプチャするように;および、データ解析を行うように、構成することができるプロセッサおよび関連ソフトウェアを有するデジタルデバイスを含むことができる。このようなデータ解析は、治療的介入の効果をさらに個別化、改善、または評価するために、例えば、機械学習を含む人工知能、および/または、ユーザーデータおよびユーザープロファイルを評価する統計モデルを含むことができる。
【0023】
いくつかの例では、システムは、デジタル診断およびデジタル治療を使用するように構成することができる。デジタル診断およびデジタル治療は、いくつかの実施形態では、一緒に、個人の医学的、心理的、または生理学的な状態を改善するために、情報をデジタル的に収集し、ならびに、提供されたデータを処理および評価するためのデバイスまたは方法を含む。デジタル治療システムは、ソフトウェアベースの学習を適用して、ユーザーデータを評価し、診断をモニタリングおよび改善し、治療的介入を提供することができる。いくつかの実施形態では、デジタル治療は、自閉症または自閉症スペクトラム障害を抱える個人が、感情を表現する人物または仮想画像と対話している間に、感情の表現をリアルタイムで特定するのを支援することによって、上記個人における社会的互恵性を向上させるように構成される。
【0024】
本システムにおけるデジタル診断データは、患者、保護者、または評価された個人から独立した当事者から収集されたデータおよびメタデータを含むことができる。いくつかの例では、収集されたデータは、個人以外の当事者によって行われたモニタリング行動、観察、判断、または評価を含むことができる。さらなる例では、評価は、成人が行う評価を含むことができるか、あるいは、子供または年少者の評価のためにデータを提供することができる。データおよびメタデータは、携帯電話、ビデオキャプチャ、オーディオキャプチャ、アクティビティモニター、またはウェアラブルデジタルモニターなどの1つ以上のデジタルデバイスを介して、デジタル形式で能動的または受動的に収集可能である。
【0025】
デジタル診断は、患者についてシステムによって収集されたデータを使用し、これは、患者の状態を評価または診断するために、機械学習、人工知能、および統計的モデリングなどのツールからの分析とともに、デジタル診断の外でキャプチャされた補完的な診断データを含むことができる。デジタル診断はさらに、診断および潜在的な治療介入を改善または改良するためにシステムにフィードバックを提供するべく、機械学習、人工知能、および統計的モデリングなどのツールによって分析および評価することができるデータおよびメタデータを介して、直接的または間接的に患者の状態またはパフォーマンスの変化の評価を提供することができる。
【0026】
デジタル診断からのデータ評価および機械学習、ならびに治療的介入からの対応する応答、またはその欠如は、患者のための新規の診断、および患者と保護者の両方のための新規の治療レジメンの特定に結びつくことがある。
【0027】
システムによって収集および利用されるデータのタイプは、例えば、患者と保護者の映像、音声、質問またはアクティビティへの応答、およびアクティビティ、ゲーム、またはシステムのソフトウェア機能とのユーザインタラクションからの能動的または受動的なデータストリームを含むことができる。このようなデータは、例えば、推奨されるアクティビティを実行する際の、患者または保護者のシステムとのインタラクションからのメタデータも含むことができる。具体的なメタデータの例は、ユーザーの行動、プロファイル、アクティビティ、ソフトウェアシステムとのインタラクション、ゲームとのインタラクション、使用頻度、セッション時間、選択されたオプションや機能、ならびにコンテンツおよびアクティビティの好みなどの側面をキャプチャした、システムのデバイスまたはモバイルアプリとユーザーとのインタラクションからのデータを含む。データは、アクティビティモニター、ゲーム、またはインタラクティブコンテンツなどのさまざまなサードパーティのデバイスからのデータおよびメタデータも含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、デジタル治療、非デジタル治療、医薬品、またはそれらの任意の組み合わせを含む、個別化された治療レジメンが本明細書に開示される。デジタル治療は、システムによって患者または保護者に提供される命令、フィードバック、アクティビティ、またはインタラクションを含むことができる。例としては、提案された行動、アクティビティ、ゲーム、またはシステムソフトウェアおよび/またはサードパーティのデバイスとのインタラクティブセッションが挙げられる。デジタル治療は、拡張現実、リアルタイム認知支援、仮想現実、または技術を用いて拡張された他の行動療法を含む様々な方法を用いて実施することができる。いくつかの例では、デジタル治療は、人工知能を用いて実装される。例えば、人工知能駆動のウェアラブルデバイスを使用して、行動学的、神経学的、または精神的な健康状態または障害を持つ子供の社会的成果を改善するための行動的介入を行うことができる。いくつかの実施形態では、個別化された治療レジメンは適応性があり、例えば、進行中の治療中に対象からキャプチャされたフィードバックおよび/または追加の関連情報(例えば、自閉症評価の結果)に基づいて、その治療法を動的に更新または再構成する。
【0029】
さらなる態様では、本明細書に開示されるデジタル治療およびシステムは、臨床設定または非臨床設定において、複数の行動学的、神経学的、または精神的な健康状態または障害のうち、1つ以上の行動学的、神経学的、または精神的な健康状態または障害を有するリスクのある対象を診断および処置することができる。この診断および治療は、本明細書に開示される方法およびシステムを用いて、より少ない質問で、より少ない時間で、臨床環境において臨床的に許容可能な感度および特異度で達成することができ、処置の助言を提供することができる。これは、例えば、対象が誤った診断に基づいて処置を開始する場合に有用であり得る。プロセッサは、最適な数の質問または観察のみを使用して確実に人を診断し、またはリスクがあると判定することができるように、最も予測的な次の質問あるいは最も指示的な次の症状または観察を判定する命令で構成され得る。複数の回答に応じて最も予測的な次の質問あるいは最も指示的な次の症状または観察を判定することには、診断プロセスの感度または特異度を低下させることなく、より少ない質問で処置を行うことができるという利点がある。いくつかの例では、次のより関連性の高い症状を予測し、またはその情報を収集するために、追加のプロセッサを提供することができる。本明細書に開示される方法およびデバイスは、単一の適応検査を使用して、複数の関連する障害について対象を評価し、単一の検査を使用して、複数の障害の1つ以上のリスクがあると対象を診断または判定するように構成され得る。提示される質問または使用される症状または測定値の数を減らすことは、対象が治療可能な複数の障害を抱えている場合に特に有効である。たった1つの適応検査を用いて、複数の可能性のある障害について対象を評価することで、評価手順の長さとコストを大幅に削減し、処置を改善することができる。本明細書に開示される方法およびデバイスは、症状が重複することがある複数の可能性のある障害のうち、単一の障害を抱えるリスクのある対象を診断および処置することができる。
【0030】
デジタル治療処置に使用される最も予測的な次の質問、最も指示的な次の症状または観察は、多くの手法で決定することができる。多くの例では、最も予測的な次の質問、症状、または観察は、処置を評価して、対象の閉ループ評価を提供するために、事前の最も予測的な次の質問、症状、または観察を含み得る先行する質問または観察に対する複数の回答に応じて決定することができる。最も予測的な次の質問、症状、または観察は、統計的に決定することができ、候補のセットは、最も予測的な次の質問、症状、または観察を決定するために評価することができる。多くの場合、候補のそれぞれに対する観察または回答は、質問または観察の関連性に関連しており、質問または観察の関連性は、質問または観察に対する各可能な回答の組み合わされた特徴的重要性に応答して決定することができる。いったん処置が開始されると、質問、症状、または観察を繰り返すことができ、または異なる質問、症状、または観察を使用して、より正確に進行状況をモニタリングし、デジタル処置の変更を提案することができる。次の質問、症状、または観察の関連性は、質問または観察に関する潜在的なオプションの異なる回答の選択肢の中の最終的な評価の分散にも依存することがあり得る。例えば、回答の選択肢が最終的な評価に全面的に大きな影響を与える可能性がある質問は、回答の選択肢がある特定の疾病の重症度の違いを見分けるのに役立つだけで、それ以外ではあまり重要ではないような質問よりも関連性が高いと考えることができる。
【0031】
典型的なデバイス
【0032】
本明細書には、行動障害、発達遅延、または神経学的障害に関して個人を評価し、処置を提供するためのプラットフォームが本明細書に記載されており、前記プラットフォームは、コンピューティングデバイスを備え、上記コンピューティングデバイスは、プロセッサと、コンピュータプログラムを格納する非一時的コンピュータ可読媒体とを備え、前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサに、(a)前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害に関連する前記個人に関する入力を受け取らせ、(b)前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害を抱える複数の個人からのデータを用いて訓練された前記コンピュータプログラムの訓練済み分類器モジュールを使用して、前記個人が前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害の存在の兆候を有すると決定させ、(c)前記コンピュータプログラムによって生成された機械学習モデルを用いて、前記個人が前記存在の兆候を有する前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害が、社会的互恵性を促進するデジタル治療によって改善されると決定させ;および、(d)社会的互恵性を促進するデジタル治療を提供させるように構成される。
【0033】
いくつかの実施形態では、前記機械学習モデルは、前記デジタル治療によって達成されるであろう改善の程度を決定する。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害は、自閉症または自閉症スペクトラム障害である。
【0035】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記自閉症または前記自閉症スペクトラム障害が前記デジタル治療によって改善されると決定された場合に、前記デジタル治療を前記個人に提供するとのさらなる命令で構成される。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、拡張現実体験を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、仮想現実体験を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、モバイルコンピューティングデバイスによって提供される。
【0039】
いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、スマートウォッチ、または他のウェアラブルコンピューティングデバイスを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記モバイルコンピューティングデバイスのカメラを使用して、前記拡張現実体験において前記個人と対話した人物の映像または画像を取得するとのさらなる命令で構成される。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記映像または前記画像を分析するための画像分析モジュールを使用して、前記人物に関連する感情を決定するとのさらなる命令で構成される。
【0042】
いくつかの実施形態では、前記仮想現実体験は、表示された仮想人物またはキャラクターを含み、前記デバイスは、前記仮想現実体験内で前記仮想人物またはキャラクターによって表現された感情を決定することをさらに含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、前記感情の説明は、前記モバイルコンピューティングデバイスの画面上に前記説明を印刷すること、または前記モバイルコンピューティングデバイスの音声出力部を介して前記説明の音声を出すことによって、前記拡張現実または仮想現実体験内でリアルタイムで前記個人に表示される。
【0044】
いくつかの実施形態では、前記分析モジュールは、前記映像または画像内の前記人物の顔を検出するための顔認識モジュールを含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、前記画像分析モジュールは、前記感情を示すものとして前記顔を分類するために機械学習を用いて訓練された分類器を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、前記拡張現実体験から音声をキャプチャするように構成されたマイクを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記マイクからの音声を、感情に関連するものとして分類するとのさらなる命令で構成される。
【0048】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記個人がアクティビティモードに従事するために前記デジタル治療に伴う命令を提供するとのさらなる命令で構成される。
【0049】
いくつかの実施形態では、前記アクティビティモードは、感情誘発アクティビティ、感情認識アクティビティ、または構造化されていない遊びを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、治療剤が、前記デジタル治療とともに前記個人に提供される。
【0051】
いくつかの実施形態では、前記治療剤は、前記個人が前記デジタル治療を受けている間、前記個人の認知を改善する。
【0052】
いくつかの実施形態では、前記デバイスはウェアラブルデバイスである。
【0053】
いくつかの実施形態では、前記プラットフォームは、映像分析者がコンピューティングデバイスを使用して、キャプチャされたおよびアップロードされた1つ以上の映像をレビューし、前記入力の一部をアップロードすることを可能にする映像分析者ポータルを含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、前記プラットフォームは、医療提供者が前記入力の一部をアップロードすることを可能にする医療提供者ポータルを含む。
【0055】
別の例示的なデバイス
【0056】
いくつかの態様では、行動障害、発達遅延、または神経学的障害に関して個人を評価し、処置を提供するためのデバイスが本明細書に開示されており、前記デバイスは、プロセッサと、コンピュータプログラムを格納する非一時的コンピュータ可読媒体とを備え、前記コンピュータプログラムは、前記プロセッサに、(a)前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害に関連する前記個人に関する入力を受け取らせ、(b)前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害を抱える複数の個人からのデータを用いて訓練された前記コンピュータプログラムの訓練済み分類器モジュールを使用して、前記個人が前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害の存在の兆候を有すると決定させ、(c)前記コンピュータプログラムによって生成された機械学習モデルを用いて、前記個人が前記存在の兆候を有する前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害が、社会的互恵性を促進するデジタル治療によって改善されると決定させ、および、(d)社会的互恵性を促進するデジタル治療を提供させるように構成される。
【0057】
いくつかの実施形態では、前記機械学習モデルは、前記デジタル治療によって達成されるであろう改善の程度を決定する。
【0058】
いくつかの実施形態では、前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害は、自閉症または自閉症スペクトラム障害である。
【0059】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記自閉症または前記自閉症スペクトラム障害が前記デジタル治療によって改善されると決定された場合に、前記デジタル治療を前記個人に提供するとのさらなる命令で構成される。
【0060】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、拡張現実体験を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、仮想現実体験を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、モバイルコンピューティングデバイスによって提供される。いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、スマートウォッチ、または他のウェアラブルコンピューティングデバイスを含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記モバイルコンピューティングデバイスのカメラを使用して、前記拡張現実体験において前記個人と対話した人物の映像または画像を取得するとのさらなる命令で構成される。
【0064】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記映像または前記画像を分析するための画像分析モジュールを使用して、前記人物に関連する感情を決定するとのさらなる命令で構成される。
【0065】
いくつかの実施形態では、前記仮想現実体験は、表示された仮想人物またはキャラクターを含み、前記デバイスは、前記仮想現実体験内で前記仮想人物またはキャラクターによって表現された感情を決定することをさらに含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、前記感情の説明は、前記モバイルコンピューティングデバイスの画面上に前記説明を印刷すること、または前記モバイルコンピューティングデバイスと連結された音声出力部を介して前記説明の音声を出すことによって、前記拡張現実または仮想現実体験内でリアルタイムで前記個人に表示される。
【0067】
いくつかの実施形態では、前記分析モジュールは、前記映像または画像内の前記人物の顔を検出するための顔認識モジュールを含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、前記画像分析モジュールは、前記感情を示すものとして前記顔を分類するために機械学習を用いて訓練された分類器を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、前記拡張現実体験から音声をキャプチャするように構成されたマイクを含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記マイクからの音声を、感情に関連するものとして分類するとのさらなる命令で構成される。
【0071】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記個人がアクティビティモードに従事するために前記デジタル治療に伴う命令を提供するとのさらなる命令で構成される。
【0072】
いくつかの実施形態では、前記アクティビティモードは、感情誘発アクティビティ、感情認識アクティビティ、または構造化されていない遊びを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、治療剤が、前記デジタル治療とともに前記個人に提供される。
【0074】
いくつかの実施形態では、前記治療剤は、前記個人が前記デジタル治療を受けている間、前記個人の認知を改善する。
【0075】
いくつかの実施形態では、前記デバイスはウェアラブルデバイスである。
【0076】
例示的な方法
【0077】
いくつかの態様では、デジタル治療を使用して、行動障害、発達遅延、または神経学的障害に関して個人を処置するためのコンピュータにより実施される方法が本明細書に開示され、前記方法は、(a)前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害に関連する前記個人に関する入力を受け取る工程と、(b)訓練された分類器を使用して、前記個人が前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害を有する兆候を有していると決定する工程と、(c)機械学習モデルを用いて、前記個人が抱える兆候である前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害が、社会的互恵性を促進するように構成されたデジタル治療によって改善されると決定する工程と、を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、前記機械学習モデルは、前記デジタル治療によって達成されるであろう改善の程度を決定する。
【0079】
いくつかの実施形態では、本方法は、前記発達障害が自閉症または自閉症スペクトラム障害であると決定された場合に、前記デジタル治療を前記個人に提供する工程を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、拡張現実体験を含む。
【0081】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、仮想現実体験を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、モバイルコンピューティングデバイスによって提供される。
【0083】
いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、スマートウォッチ、または他のウェアラブルコンピューティングデバイスを含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、方法は、前記モバイルコンピューティングデバイスのカメラを使用して、前記拡張現実体験において前記個人と対話した人物の映像または画像を得る工程を含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、方法は、前記映像または前記画像を分析するための画像分析モジュールを使用して、前記人物に関連する感情を決定する工程を含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、前記仮想現実体験は、表示された仮想人物またはキャラクターを含み、および、前記方法は、前記仮想現実体験内で前記仮想人物またはキャラクターによって表現された感情を決定する工程をさらに含む。
【0087】
いくつかの実施形態では、前記感情の説明は、前記モバイルコンピューティングデバイスの画面上に前記説明を印刷すること、または前記モバイルコンピューティングデバイスと連結された音声出力部を介して前記説明の音声を出すことによって、前記拡張現実または仮想現実体験内でリアルタイムで前記個人に表示される。
【0088】
いくつかの実施形態では、前記分析モジュールは、前記映像または画像内の前記人物の顔を検出するための顔認識モジュールを含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、前記画像分析モジュールは、前記感情を示すものとして前記顔を分類するために機械学習を用いて訓練された分類器を含む。
【0090】
いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、前記拡張現実体験から音声をキャプチャするように構成されたマイクを含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、本方法は、前記マイクからの音声を感情に関連するものとして分類する工程を含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記個人がアクティビティモードに従事するために前記デジタル治療に伴う命令を提供する工程をさらに含む。
【0093】
いくつかの実施形態では、前記アクティビティモードは、感情誘発アクティビティ、感情認識アクティビティ、または構造化されていない遊びを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、方法は前記デジタル治療とともに治療剤を提供する工程を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、前記治療剤は、前記個人が前記デジタル治療を受けている間、前記個人の認知を改善する。
【0096】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、前記個人の社会的互恵性を促進するように構成される。
【0097】
例示的な媒体
【0098】
いくつかの態様では、コンピュータプログラムを保存する非一時的なコンピュータ可読媒体が本明細書で開示され、上記コンピュータプログラムは、プロセッサに、(a)前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害に関連する前記個人に関する入力を受け取らせ、(b)前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害を抱える複数の個人からのデータを用いて訓練された前記コンピュータプログラムの訓練済み分類器モジュールを使用して、前記個人が前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害の存在の兆候を有すると決定させ、(c)前記コンピュータプログラムによって生成された機械学習モデルを用いて、前記個人が前記存在の兆候を有する前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害が、社会的互恵性を促進するデジタル治療によって改善されると決定させ、および、(d)社会的互恵性を促進するデジタル治療を提供させるように構成される。
【0099】
いくつかの実施形態では、前記機械学習モデルは、前記デジタル治療によって達成されるであろう改善の程度を決定する。
【0100】
いくつかの実施形態では、前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害は、自閉症または自閉症スペクトラム障害である。
【0101】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記自閉症または前記自閉症スペクトラム障害が前記デジタル治療によって改善されると決定された場合に、前記デジタル治療を前記個人に提供するとのさらなる命令で構成される。
【0102】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、拡張現実体験を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、仮想現実体験を含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、モバイルコンピューティングデバイスによって提供される。
【0105】
いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、スマートウォッチ、または他のウェアラブルコンピューティングデバイスを含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、前記コンピュータ可読媒体は、前記プロセッサに、前記モバイルコンピューティングデバイスのカメラを使用して、前記拡張現実体験において前記個人と対話した人物の映像または画像を取得させるためのさらなる命令で構成される。
【0107】
いくつかの実施形態では、前記コンピュータ可読媒体は、前記プロセッサに、前記映像または前記画像を分析するための画像分析モジュールを使用して、前記人物に関連する感情を決定させるためのさらなる命令で構成される。
【0108】
いくつかの実施形態では、前記仮想現実体験は、表示された仮想人物またはキャラクターを含み、前記デバイスは、前記仮想現実体験内で前記仮想人物またはキャラクターによって表現された感情を決定することをさらに含む。
【0109】
いくつかの実施形態では、前記感情の説明は、前記モバイルコンピューティングデバイスの画面上に前記説明を印刷すること、または前記モバイルコンピューティングデバイスと連結された音声出力部を介して前記説明の音声を出すことによって、前記拡張現実または仮想現実体験内でリアルタイムで前記個人に表示される。
【0110】
いくつかの実施形態では、前記分析モジュールは、前記映像または画像内の前記人物の顔を検出するための顔認識モジュールを含む。
【0111】
いくつかの実施形態では、前記画像分析モジュールは、前記感情を示すものとして前記顔を分類するために機械学習を用いて訓練された分類器を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、前記拡張現実体験から音声をキャプチャするように構成されたマイクを含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、前記コンピュータ可読媒体は、前記プロセッサに、前記マイクからの音声を、感情に関連するものとして分類させるためのさらなる命令で構成される。
【0114】
いくつかの実施形態では、前記コンピュータ可読媒体は、前記プロセッサに、前記個人がアクティビティモードに従事するために前記デジタル治療に伴う命令を提供させるためのさらなる命令で構成される。
【0115】
いくつかの実施形態では、前記アクティビティモードは、感情誘発アクティビティ、感情認識アクティビティ、または構造化されていない遊びを含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、治療剤が、前記デジタル治療とともに前記個人に提供される。
【0117】
いくつかの実施形態では、前記治療剤は、前記個人が前記デジタル治療を受けている間、前記個人の認知を改善する。
【0118】
いくつかの実施形態では、前記デバイスはウェアラブルデバイスである。
【0119】
別の例示的な方法
【0120】
いくつかの態様では、デジタル治療を使用して、行動障害、発達遅延、または神経学的障害に関して個人を処置するためのコンピュータにより実施される方法が本明細書に開示され、前記方法は、(a)前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害に関連する前記個人に関する入力を受け取る工程と、(b)訓練された分類器を使用して、前記個人が前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害を有する兆候を有していると決定する工程と、(c)機械学習モデルを用いて、前記個人が抱える兆候である前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害が、社会的互恵性を促進するように構成されたデジタル治療によって改善されると決定する工程と、を含む。
【0121】
いくつかの実施形態では、前記機械学習モデルは、前記デジタル治療によって達成されるであろう改善の程度を決定する。
【0122】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記発達障害が自閉症または自閉症スペクトラム障害であると決定された場合に、前記デジタル治療を前記個人に提供する工程を含む。
【0123】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、拡張現実体験を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、仮想現実体験を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、モバイルコンピューティングデバイスによって提供される。
【0126】
いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、スマートウォッチ、または他のウェアラブルコンピューティングデバイスを含む。
【0127】
いくつかの実施形態では、方法は、前記モバイルコンピューティングデバイスのカメラを使用して、前記拡張現実体験において前記個人と対話した人物の映像または画像を得る工程を含む。
【0128】
いくつかの実施形態では、方法は、前記映像または前記画像を分析するための画像分析モジュールを使用して、前記人物に関連する感情を決定する工程を含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、前記仮想現実体験は、表示された仮想人物またはキャラクターを含み、および、前記方法は、前記仮想現実体験内で前記仮想人物またはキャラクターによって表現された感情を決定する工程をさらに含む。
【0130】
いくつかの実施形態では、前記感情の説明は、前記モバイルコンピューティングデバイスの画面上に前記説明を印刷すること、または前記モバイルコンピューティングデバイスと連結された音声出力部を介して前記説明の音声を出すことによって、前記拡張現実または仮想現実体験内でリアルタイムで前記個人に表示される。
【0131】
いくつかの実施形態では、前記分析モジュールは、前記映像または画像内の前記人物の顔を検出するための顔認識モジュールを含む。
【0132】
いくつかの実施形態では、前記画像分析モジュールは、前記感情を示すものとして前記顔を分類するために機械学習を用いて訓練された分類器を含む。
【0133】
いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、前記拡張現実体験から音声をキャプチャするように構成されたマイクを含む。
【0134】
いくつかの実施形態では、本方法は、前記マイクからの音声を感情に関連するものとして分類する工程を含む。
【0135】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記個人がアクティビティモードに従事するために前記デジタル治療に伴う命令を提供する工程をさらに含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、前記アクティビティモードは、感情誘発アクティビティ、感情認識アクティビティ、または構造化されていない遊びを含む。
【0137】
いくつかの実施形態では、方法は前記デジタル治療とともに治療剤を提供する工程を含む。
【0138】
いくつかの実施形態では、前記治療剤は、前記個人が前記デジタル治療を受けている間、前記個人の認知を改善する。
【0139】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、前記個人の社会的互恵性を促進するように構成される。
【0140】
別の例示的なデバイス
【0141】
いくつかの態様では、行動障害、発達遅延、または神経学的障害に関して個人にデジタル治療を提供するためのデバイスが本明細書に開示されており、前記デバイスは、(a)ディスプレイと、(b)プロセッサであって、(i)前記複数の関連する行動障害、発達遅延、および神経学的障害に関連する前記個人についての入力を受け取り、(ii)評価分類器を用いて、前記入力に基づいて、前記個人が自閉症または自閉症スペクトラムの診断を有すると判定し;および、(iii)機械学習モデルを用いて、前記個人の前記自閉症または前記自閉症スペクトラム障害が、前記デジタル治療によって改善されると決定する、との命令で構成される、プロセッサとを含む。
【0142】
いくつかの実施形態では、前記機械学習モデルは、前記デジタル治療によって達成されるであろう改善の程度を決定する。
【0143】
いくつかの実施形態では、前記行動障害、前記発達遅延、または前記神経学的障害は、自閉症または自閉症スペクトラム障害である。
【0144】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記自閉症または前記自閉症スペクトラム障害が前記デジタル治療によって改善されると決定された場合に、前記デジタル治療を前記個人に提供するとのさらなる命令で構成される。
【0145】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、拡張現実体験を含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、仮想現実体験を含む。
【0147】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、モバイルコンピューティングデバイスによって提供される。
【0148】
いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、スマートウォッチ、または他のウェアラブルコンピューティングデバイスを含む。
【0149】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記モバイルコンピューティングデバイスのカメラを使用して、前記拡張現実体験において前記個人と対話した人物の映像または画像を取得するとのさらなる命令で構成される。
【0150】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記映像または前記画像を分析するための画像分析モジュールを使用して、前記人物に関連する感情を決定するとのさらなる命令で構成される。
【0151】
いくつかの実施形態では、前記仮想現実体験は、表示された仮想人物またはキャラクターを含み、前記デバイスは、前記仮想現実体験内で前記仮想人物またはキャラクターによって表現された感情を決定することをさらに含む。
【0152】
いくつかの実施形態では、前記感情の説明は、前記モバイルコンピューティングデバイスの画面上に前記説明を印刷すること、または前記モバイルコンピューティングデバイスと連結された音声出力部を介して前記説明の音声を出すことによって、前記拡張現実または仮想現実体験内でリアルタイムで前記個人に表示される。
【0153】
いくつかの実施形態では、前記分析モジュールは、前記映像または画像内の前記人物の顔を検出するための顔認識モジュールを含む。
【0154】
いくつかの実施形態では、前記画像分析モジュールは、前記感情を示すものとして前記顔を分類するために機械学習を用いて訓練された分類器を含む。
【0155】
いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、前記拡張現実体験から音声をキャプチャするように構成されたマイクを含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記マイクからの音声を、感情に関連するものとして分類するとのさらなる命令で構成される。
【0157】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記個人がアクティビティモードに従事するように前記デジタル治療に伴う命令を提供するとのさらなる命令で構成される。
【0158】
いくつかの実施形態では、前記アクティビティモードは、感情誘発アクティビティ、感情認識アクティビティ、または構造化されていない遊びを含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、治療剤が、前記デジタル治療とともに前記個人に提供される。
【0160】
いくつかの実施形態では、前記治療剤は、前記個人が前記デジタル治療を受けている間、前記個人の認知を改善する。
【0161】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、前記個人の社会的互恵性を促進するように構成される。
【0162】
別の例示的な方法
【0163】
一態様では、対象の少なくとも1つの認知機能属性の評価を提供する方法は、コンピュータシステム上で、プロセッサと、プロセッサにより実行されるコンピュータプログラムを保存するメモリとを有する工程を含み、上記コンピュータプログラムは、認知機能属性に関連する対象のデータを受け取ること、機械学習モデルを用いて、対象のデータを評価すること、対象に対する評価を提供することであって、上記評価は、上記データに応答して、決定的ではない判定および絶対的な判定からなる群から選択される、ことの命令を含むコンピュータプログラムを含んでいる。機械学習モデルは、複数の機械学習評価モデルのうちの選択されたサブセットを含んでもよい。
【0164】
絶対的な判定は、認知機能属性の存在および認知機能属性の欠如を含んでもよい。対象からデータを受け取ることは、データの初期セットを受け取ることを含んでもよい。対象からのデータを評価することは、複数の調整可能な機械学習評価モデルから選択された調整可能な機械学習評価モデルの予備サブセットを使用して、データの初期セットを評価することを含み、それによって、調整可能な機械学習評価モデルの予備サブセットのそれぞれについて数値スコアを出力してもよい。
【0165】
本方法は、データの初期セットの分析に基づいて、対象における認知機能属性の有無に関する絶対的な判定または決定的ではない判定を提供する工程をさらに含み、ここで、絶対的な判定に対する決定的ではない判定の比率は調整することができる。前記方法はさらに、データの初期セットの分析が決定的ではない判定をもたらす場合に、複数の調整可能な機械学習評価モデルから選択された追加の評価モデルを適用するかどうかを決定する工程と、決定の結果に基づいて、前記対象からデータの追加のセットを受け取る工程と、決定の結果に基づいて追加の評価モデルのそれぞれについて数値スコアを出力するために、追加の評価モデルを使用して対象からのデータの追加のセットを評価する工程と、追加の評価モデルを用いる対象からのデータの追加のセットの分析に基づいて、対象における認知機能属性の有無に関して、絶対的な判定または決定的ではない判定を提供する工程であって、ここで、絶対的な判定に対する決定的ではない判定の比率を調整することができる、工程とを含む。
【0166】
方法はさらに、組み合わされた予備出力スコアを生成するために、前記評価モデルの予備サブセットのそれぞれについて数値スコアを組み合わせる工程と、前記組み合わされた予備出力スコアを、対象における認知機能属性の有無に関する絶対的な判定または決定的ではない判定にマッピングする工程であって、ここで、絶対的な判定に対する決定的ではない判定の比率を調整することができる、工程とを含む。
【0167】
本方法は、評価モデルの予備サブセットのそれぞれに対する数値スコアを組み合わせるため、および追加の評価モデルのそれぞれに対する数値スコアを組み合わせるために、ルールベースの論理または組合せ技術を採用する工程をさらに含んでもよい。決定的ではない判定と絶対的な判定の比率は、包含率を指定することによって調整することができる。対象における発達状態の有無に関する絶対的な判定は、感度および特異度のメトリックを提供することによって評価されてもよい。包含率は70%以上であってもよく、絶対的な判定は、少なくとも70の感度と、それに対応する少なくとも70の特異度をもたらすことがある。包含率は70%以上であってもよく、絶対的な判定は、少なくとも80の感度と、それに対応する少なくとも80の特異度をもたらすことがある。包含率は70%以上であってもよく、絶対的な判定は、少なくとも90の感度と、それに対応する少なくとも90の特異度をもたらすことがある。
【0168】
対象からのデータは、診断器具のサンプルの少なくとも1つを含んでいてもよく、ここで、診断器具は、一組の診断質問および対応する選択可能な回答、ならびに人口統計学的データを含む。
【0169】
本方法はさらに、発達状態について以前に評価された複数の対象からのデータを使用して、複数の調整可能な機械学習評価モデルを訓練する工程であって、前記訓練する工程が、機械学習技術を用いて、複数の対象からのデータを前処理する工程と、前処理されたデータから機械学習特徴を抽出および符号化する工程と、意図したアプリケーション設定における対象間の認知機能属性の予想される有病率を反映させるために、複数の対象からのデータを処理する工程と、前記処理された機械学習特徴のサブセットを選択する工程と、前記複数の調整可能な機械学習評価モデルの各モデルをパフォーマンスについて評価する工程であって、各モデルが事前に決定された包含率に対する感度および特異度について評価される、工程と、複数の調整可能な機械学習評価モデルの選択されたサブセットのすべてのモデルを使用することの利点を決定することに基づいて、各モデルについて最適なパラメータセットを決定する工程と、を含んでもよい。各モデルについてパラメータの最適なセットを決定する工程は、異なる調整可能なパラメータ設定下で各モデルのパラメータを調整することを含んでもよい。
【0170】
符号化された機械学習特徴を処理することは、サンプルの重みを計算し、サンプルの重みをデータの各サンプルに割り当てる工程を含んでもよく、データの各サンプルは複数の対象における対象に対応し、サンプルは対象固有の次元によってグループ化され、サンプルの重みは、意図した設定における対象の中の各次元の予想された分布を反映させるために、他のあらゆる群のサンプルに対する1つの群のサンプルの平衡をとるべく、計算され、割り当てられる。対象固有の次元は、対象の性別、対象が住んでいる地理的な地域、および対象の年齢を含んでいてもよい。前処理されたデータからの機械学習特徴を抽出および符号化することは、限定されないが、ワンホット符号化、重大度符号化、および行動の存在の符号化などの特徴符号化技術を使用することを含んでもよい。処理された機械学習特徴のサブセットを選択する工程は、処理された機械学習特徴から識別特徴のサブセットを識別するために、ブートストラップ技術を使用することを含んでもよい。
【0171】
認知機能属性は、行動障害および発達の進行を含んでいてもよい。対象に提供される絶対的な判定は、データに応答して、決定的ではない判定、複数の認知機能属性の存在、および複数の認知機能属性の欠如からなる群から選択されてもよい。
【0172】
別の態様では、対象の認知機能属性を評価するためのデバイスは、プロセッサを含んでもよく、プロセッサは、実行時、プロセッサに上記の方法を実行させる命令で構成される。
【0173】
別の例示的なデバイス
【0174】
別の態様では、対象の少なくとも1つの認知機能属性の評価を提供するためのモバイルデバイスは、ディスプレイと、プロセッサとを含み、上記プロセッサは、認知機能属性に関連する対象のデータを受け取り、表示するとの、および、対象に対する評価を受けとり、表示するとの命令で構成され、上記評価は、決定的ではない判定および絶対的な判定からなる群から選択され、ここで、対象に対する評価は、対象のデータに応答して決定されている。
【0175】
絶対的な判定は、認知機能属性の存在、および認知機能属性の欠如からなる群から選択されてもよい。認知機能属性は、認知機能属性の有無について、それぞれ少なくとも80%の感度と少なくとも80%の特異度で決定されてもよい。認知機能属性は、認知機能属性の有無について、それぞれ少なくとも90%の感度と少なくとも90%の特異度で決定されてもよい。認知機能属性は、行動障害、発達障害、または神経学的障害を含んでいてもよい。
【0176】
別の例示的なデバイス
【0177】
別の態様では、デジタル治療送達デバイスは、ソフトウェア命令を含む1つ以上のプロセッサと、対象からデータを受け取り、対象の診断データを出力する診断モジュールであって;診断モジュールが、対象の診断データを決定するために、対象集団に基づいて機械学習または統計的モデリングを用いて構築された1つ以上の分類器を含む、診断モジュールとを含んでもよい。
【0178】
いくつかの実施形態では、診断ソフトウェアは、Tritonモデルであって、ここで、診断データは、対象に対する評価を含み、上記評価は、対象から受け取ったデータに応答して、決定的ではない判定および絶対的な判定からなる群から選択される、Tritonモデルと、前記診断データを受け取り、前記対象の個人的な処置計画を出力するための治療モジュールを採用し、前記治療モジュールは、前記対象の個人的な処置計画を決定および出力するために、前記対象集団の少なくとも一部に基づいて、機械学習または統計的モデリングを用いて構築された1つ以上のモデルを含み、ここで、診断モジュールは、対象の治療に応答して、対象から更新された対象データを受けとるように、および対象から更新された診断データを生成するように構成され、ならびに、治療モジュールは、更新された診断データを受け取り、診断データおよび更新された診断データに応答して、対象の更新された個人的な処置計画を出力するように構成される。
【0179】
診断モジュールは、対象集団で訓練された診断機械学習分類器を含んでいてもよく、治療モジュールは、対象集団の少なくとも一部で訓練された治療機械学習分類器を含んでいてもよく、診断モジュールと治療モジュールは、処置計画のパフォーマンスに基づいて、診断モジュールが治療モジュールにフィードバックを提供するように配置されてもよい。治療的分類器は、対象がメンバーではない集団を含むデータセットで訓練された命令を含んでいてもよく、対象は、集団のメンバーではない人を含んでいてもよい。診断モジュールは、少なくとも1万人の対象集団の複数のプロファイルで訓練された診断分類器と、対象集団の複数のプロファイルで訓練された治療プロファイルとを含んでいてもよい。
【0180】
別の例示的なシステム
【0181】
別の態様では、対象の少なくとも1つの認知機能属性を評価するシステムは、プロセッサであって、実行時、プロセッサに、複数の分類器連鎖から複数の質問を提示させるとの命令で構成されたプロセッサを含んでいてもよく、複数の分類器連鎖は、社会/行動遅延分類器を含む第1の連鎖と、発話および言語の遅延分類器を含む第2の連鎖とを含む。社会/行動遅延分類器は、自閉症および注意欠陥多動性障害(ADHD)分類器に動作可能に連結されてもよい。社会/行動遅延分類器は、対象が社会/行動遅延を有している場合には陽性の結果を出力し、対象が社会/行動遅延を有していない場合には陰性の結果を出力するように構成されてもよい。社会/行動遅延分類器は、対象が社会/行動遅延を有しているか否かを、指定された感度および特異度で決定できない場合に、決定的ではない結果を出力するように構成されてもよい。社会/行動遅延分類器の出力部は、自閉症およびADHD分類器の入力部に連結されてもよく、自閉症およびADHD分類器は、対象が自閉症またはADHDを有する場合に陽性の結果を出力するように構成されてもよい。自閉症およびADHD分類器の出力部は、自閉症対ADHD分類器の入力部に連結されてもよく、自閉症対ADHD分類器の出力部は、対象が自閉症を有する場合に第1の出力を生成し、対象がADHDを有する場合に第2の出力を生成するように構成されてもよい。自閉症対ADHD分類器は、対象が自閉症またはADHDを有するか否かを、特定の感度および特異度で決定できない場合に、決定的ではない出力を提供するように構成されてもよい。発話および言語の遅延分類器は、知的障害分類器に動作可能に連結されてもよい。発話および言語の遅延分類器は、対象が発話および言語の遅延を有している場合に陽性の結果を出力し、対象が発話および言語の遅延を有していない場合に陰性の結果を出力するように構成されてもよい。発話および言語の遅延分類器は、対象が発話および言語の遅延を有しているか否かを、特定の感度および特異度で決定できない場合に、決定的ではない結果を出力するように構成されてもよい。発話および言語の遅延分類器の出力は、知的障害分類器の入力部に連結されてもよく、知的障害分類器は、対象が知的障害を有する場合に第1の出力を生成し、対象が発話および言語の遅延を有するが知的障害を有さない場合に第2の出力を生成するように構成されてもよい。知的障害分類器は、対象が知的障害を有するか否かを、特定の感度および特異度で決定できない場合に、決定的ではない出力を提供するように構成されてもよい。
【0182】
プロセッサは、各連鎖の質問を順番に提示し、重複する質問をスキップする命令で構成されてもよい。第1の連鎖は、自閉症およびADHD分類器に連結された社会/行動遅延分類器を含んでいてもよい。第2の連鎖は、知的障害分類器に連結された発話および言語の遅延分類器を含んでいてもよい。ユーザーは、第1の連鎖および第2の連鎖を順に経験してもよい。
【0183】
別の例示的な方法
【0184】
別の態様では、対象に薬物を投与する方法は、機械学習分類器を用いて、対象の神経学的障害を検出する工程と、検出された神経学的障害に応じて、対象に薬物を投与する工程とを含む。
【0185】
アンフェタミンは、5mg~50mgの投与量で投与されてもよい。デキストロアンフェタミンは、5mg~60mgの範囲の投与量で投与されてもよい。メチルフェニデートは、5mg~60mgの範囲で投与されてもよい。メタンフェタミンは、5mg~25mgの範囲で投与されてもよい。デックスメチルフェニデートは、2.5mg~40mgの範囲で投与されてもよい。グアンファシンは、1mg~10mgの範囲で投与されてもよい。アトモキセチンは、10mg~100mgの範囲で投与されてもよい。リスデキサンフェタミンは、30mg~70mgの範囲で投与されてもよい。クロニジンは、0.1mg~0.5mgの範囲で投与されてもよい。モダフィニルは、100mg~500mgの範囲で投与されてもよい。リスペリドンは、0.5mg~20mgの範囲で投与されてもよい。クエチアピンは、25mg~1000mgの範囲で投与されてもよい。ブスピロンは、5mg~60mgの範囲で投与されてもよい。セルトラリンは最大200mgの用量で投与されてもよい。エスシタロプラムは最大40mgの用量で投与されてもよい。シタロプラムは最大40mgの用量で投与されてもよい。フルオキセチンは40mg~80mgの範囲である用量で投与されてもよい。パロキセチンは40mg~60mgの範囲である用量で投与されてもよい。ベンラファキシンは最大375mgの用量で投与されてもよい。クロミプラミンは最大250mgの用量で投与されてもよい。フルボキサミンは最大300mgの用量で投与されてもよい。
【0186】
機械学習分類器は70%以上の包含率を有してもよい。機械学習分類器は決定的ではない結果を出力することができることがある。
【0187】
別の例示的な方法
【0188】
本明細書では、複数の関連する行動障害、発達遅延、および神経学的障害に関して個人を評価するためのコンピュータにより実施される方法が記載されており、前記方法は、前記複数の関連する行動障害、発達遅延、および神経学的障害に関連する前記個人についての入力を受け取る工程と、評価分類器を用いて、前記入力に基づいて、前記個人が自閉症または自閉症スペクトラムの診断を有すると判定する工程と、機械学習モデルを用いて、前記個人の前記自閉症または前記自閉症スペクトラム障害が、前記デジタル治療によって改善されると決定する工程とを含む。
【0189】
いくつかの実施形態では、前記機械学習モデルは、前記デジタル治療によって達成されるであろう改善の程度を決定する。
【0190】
いくつかの実施形態では、上記方法は、前記自閉症または前記自閉症スペクトラム障害が前記デジタル治療によって改善されると決定された場合に、前記デジタル治療を前記個人に提供する工程を含む。
【0191】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、拡張現実体験を含む。
【0192】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、仮想現実体験を含む。
【0193】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、モバイルコンピューティングデバイスによって提供される。
【0194】
いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、スマートウォッチ、または他のウェアラブルコンピューティングデバイスを含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、方法は、前記モバイルコンピューティングデバイスのカメラを使用して、前記拡張現実体験において前記個人と対話した人物の映像または画像を得る工程を含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、方法は、前記映像または前記画像を分析するための画像分析モジュールを使用して、前記人物に関連する感情を決定する工程を含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、前記仮想現実体験は、表示された仮想人物またはキャラクターを含み、および、前記方法は、前記仮想現実体験内で前記仮想人物またはキャラクターによって表現された感情を決定する工程をさらに含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、前記感情の説明は、前記モバイルコンピューティングデバイスの画面上に前記説明を印刷すること、または前記モバイルコンピューティングデバイスと連結された音声出力部を介して前記説明の音声を出すことによって、前記拡張現実または仮想現実体験内でリアルタイムで前記個人に表示される。
【0199】
いくつかの実施形態では、前記分析モジュールは、前記映像または画像内の前記人物の顔を検出するための顔認識モジュールを含む。
【0200】
いくつかの実施形態では、前記画像分析モジュールは、前記感情を示すものとして前記顔を分類するために機械学習を用いて訓練された分類器を含む。
【0201】
いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、前記拡張現実体験から音声をキャプチャするように構成されたマイクを含む。
【0202】
いくつかの実施形態では、本方法は、前記マイクからの音声を感情に関連するものとして分類する工程を含む。
【0203】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記個人がアクティビティモードに従事するために前記デジタル治療に伴う命令を提供する工程を含む。
【0204】
いくつかの実施形態では、前記アクティビティモードは、感情誘発アクティビティ、感情認識アクティビティ、または構造化されていない遊びを含む。
【0205】
いくつかの実施形態では、方法は前記デジタル治療とともに治療剤を提供する工程を含む。
【0206】
いくつかの実施形態では、前記治療剤は、前記個人が前記デジタル治療を受けている間、前記個人の認知を改善する。
【0207】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、前記個人の社会的互恵性を促進するように構成される。
【0208】
別の例示的なデバイス
【0209】
行動障害、発達遅延、または神経学的障害に関して個人にデジタル治療を提供するためのデバイスが本明細書に記載されており、前記デバイスは、ディスプレイと、プロセッサとを含み、上記プロセッサは、前記複数の関連する行動障害、発達遅延、および神経学的障害に関連する前記個人についての入力を受け取り;評価分類器を用いて、前記入力に基づいて、前記個人が自閉症または自閉症スペクトラムの診断を有すると判定し;および、機械学習モデルを用いて、前記個人の前記自閉症または前記自閉症スペクトラム障害が、前記デジタル治療によって改善されると決定する、との命令で構成される。
【0210】
いくつかの実施形態では、前記機械学習モデルは、前記デジタル治療によって達成されるであろう改善の程度を決定する。
【0211】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記自閉症または前記自閉症スペクトラム障害が前記デジタル治療によって改善されると決定された場合に、前記デジタル治療を前記個人に提供するとのさらなる命令で構成される。
【0212】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、拡張現実体験を含む。
【0213】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、仮想現実体験を含む。
【0214】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、モバイルコンピューティングデバイスによって提供される。
【0215】
いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップ、スマートウォッチ、または他のウェアラブルコンピューティングデバイスを含む。
【0216】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記モバイルコンピューティングデバイスのカメラを使用して、前記拡張現実体験において前記個人と対話した人物の映像または画像を取得するとのさらなる命令で構成される。
【0217】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記映像または前記画像を分析するための画像分析モジュールを使用して、前記人物に関連する感情を決定するとのさらなる命令で構成される。
【0218】
いくつかの実施形態では、前記仮想現実体験は、表示された仮想人物またはキャラクターを含み、前記デバイスは、前記仮想現実体験内で前記仮想人物またはキャラクターによって表現された感情を決定することをさらに含む。
【0219】
いくつかの実施形態では、前記感情の説明は、前記モバイルコンピューティングデバイスの画面上に前記説明を印刷すること、または前記モバイルコンピューティングデバイスと連結された音声出力部を介して前記説明の音声を出すことによって、前記拡張現実または仮想現実体験内でリアルタイムで前記個人に表示される。
【0220】
いくつかの実施形態では、前記分析モジュールは、前記映像または画像内の前記人物の顔を検出するための顔認識モジュールを含む。
【0221】
いくつかの実施形態では、前記画像分析モジュールは、前記感情を示すものとして前記顔を分類するために機械学習を用いて訓練された分類器を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、前記モバイルコンピューティングデバイスは、前記拡張現実体験から音声をキャプチャするように構成されたマイクを含む。
【0223】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記マイクからの音声を、感情に関連するものとして分類するとのさらなる命令で構成される。
【0224】
いくつかの実施形態では、前記プロセッサは、前記個人がアクティビティモードに従事するように前記デジタル治療に伴う命令を提供するとのさらなる命令で構成される。
【0225】
いくつかの実施形態では、前記アクティビティモードは、感情誘発アクティビティ、感情認識アクティビティ、または構造化されていない遊びを含む。
【0226】
いくつかの実施形態では、治療剤が、前記デジタル治療とともに前記個人に提供される。
【0227】
いくつかの実施形態では、前記治療剤は、前記個人が前記デジタル治療を受けている間、前記個人の認知を改善する。
【0228】
いくつかの実施形態では、前記デジタル治療は、前記個人の社会的互恵性を促進するように構成される。
【0229】
引用による組み込み
本明細書で言及されるすべての公開物、特許、および特許出願は、あたかも個々の公開物、特許、または特許出願がそれぞれ参照により本明細書に具体的かつ個別に組み込まれるのと同じ程度にまで、参照により本明細書に組み込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0230】
本発明の新規な特徴は、とりわけ添付の請求項で説明される。本発明の特徴と利点のより良い理解は、本発明の原理が用いられる非限定的で例示的な実施形態を説明する以下の詳細な説明と添付の図面とを参照することで得られる。
図1A】本明細書に記載される評価手順を用いて評価され得るいくつかの発達障害を示す。
図1B】本明細書に記載される評価手順を用いて評価され得るいくつかの発達障害を示す。
図2】本明細書に記載される評価手順を提供するためのデータ処理モジュールの概略図である。
図3】ランダムフォレスト分類器に基づく評価モデルの一部を示す概略図である。
図4】本明細書に記載される予測モジュールの動作フローである。
図5】本明細書に記載される特徴推奨モジュールの動作フローである。
図6】本明細書に記載される特徴推奨モジュールによって実行される予想される特徴重要度決定アルゴリズムの動作フローである。
図7】本明細書に記載される評価手順を管理する方法を例示する。
図8】本明細書に記載される方法およびデバイスと一緒に組み込むのに適したコンピュータシステムを示す。
図9】本明細書に記載されるような評価モデルについて感度対フォールアウトをマッピングする受信者動作特性(ROC)曲線を示す。
図10】本明細書に記載されるような特徴推奨モジュールのパフォーマンスメトリックを示す散布図である。
図11】本明細書に記載される評価モジュールの動作フローである。
図12】本明細書に記載されるモデル調整モジュールの動作フローである。
図13】本明細書に記載される評価モジュールの別の動作フローである。
図14図13に描かれたモデル出力結合ステップの動作フローである。
図15】本明細書に記載されるように、絶対的な判定のみを提供するように構成されたアンケートスクリーニングアルゴリズムを示す。
図16】本明細書に記載されるように、絶対的な判定および決定的ではない判定を提供するように構成されたアンケートスクリーニングアルゴリズムを示す。
図17】本明細書に記載されるようなすべてのサンプルに対する様々なアルゴリズムのパフォーマンスの比較を示す。
図18】本明細書に記載される4歳未満の子供から得られたサンプルに対する様々なアルゴリズムのパフォーマンスの比較を示す。
図19】本明細書に記載される4歳以上の子供から得られたサンプルに対する様々なアルゴリズムに対するパフォーマンスの比較を示す。
図20】本明細書に記載されるすべてのサンプルに対する、75%-85%の感度範囲におけるアルゴリズム間の特異性を示す。
図21】本明細書に記載されるような4歳未満の子どもに対する、75%-85%の感度範囲におけるアルゴリズム間の特異性を示す。
図22】本明細書に記載されるような4歳以上の子どもに対する、75%-85%の感度範囲におけるアルゴリズム間の特異性を示す。
図23A】デジタル個別化医療プラットフォームのシステム図を例示する。
図23B】診断モジュールの詳細図を例示する。
図23C】治療モジュールの図を例示する。
図24】デジタル個別化医療プラットフォームで提供される診断および治療のための方法を例示する。
図25】自閉症関連の発達遅延の取り扱いを示すフロー図を例示する。
図26】複数のソースからの情報を統合するように構成された、診断モジュールおよび治療モジュールを含む、デジタル個別化医療システムのデータ処理フローの全体像を例示する。
図27】複数の臨床適応症について対象を評価するためのシステムを示す。
図28】本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体によって、診断に応じて投与され得る薬物を示す。
図29】本明細書に記載される個人を評価するためのプラットフォームの図を示す。
図30】個人を評価するための非限定的なフロー図を示す。
図31A】本明細書に記載されたプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体に従って、個人を評価するためのモバイルデバイスのログイン画面を示す。
図31B】ASD評価のユーザー部分の完了を示すモバイルデバイスの表示画面を示す。
図31C】ASDを有することが疑われる対象の映像をキャプチャするための命令を提供するモバイルデバイスの表示画面を示す。
図31D】本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体に従って対象を評価する際に使用するための質問に答えるようユーザーに促すモバイルデバイスの表示画面を示す。
図31E】本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体に従って対象を評価する際に使用するための質問に答えるようユーザーに促すモバイルデバイスの表示画面を示す。
図31F】本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体に従って対象を評価する際に使用するための質問に答えるようユーザーに促すモバイルデバイスの表示画面を示す。
図32】本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体に従って、映像分析者のアンケートの一部として質問を表示する映像分析者ポータルの表示画面を示す。
図33】本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体に従って、医療提供者のアンケートの一部として質問を表示するヘルスケアプロバイダポータルの表示画面を示す。
図34】本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体に従って、映像および完了した保護者のアンケートを含む個人のアップロードされた情報を表示する医療提供者ポータルの表示画面を示す。
図35】モバイルデバイスソフトウェアおよびサーバーソフトウェアを含む、本明細書に記載される対象にデジタル治療を提供するためのプラットフォームの図である。
図36】本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体に従ってデジタル治療を提供するように構成されたデバイスの図を示す。
図37】本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体に従った、デジタル診断およびデジタル治療の組み合わせの動作フローを示す。
図38】感情キューまたは社会的キューを検出するために画像または映像分析を実行する顔認識および感情検出モジュールの図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0231】
「に基づく」および「に応答して」という用語は、本開示と互換的に使用される。
【0232】
「プロセッサ」という用語は、ローカルプロセッサ、リモートプロセッサ、またはプロセッサシステム、およびそれらの組み合わせのうちの1つ以上を包含する。
【0233】
「特徴」という用語は、本明細書において、対象の発達の進行を決定することに関連する特性または属性を説明するために使用される。例えば、「特徴」は、1つ以上の発達障害に対する対象の臨床的な評価または診断に関連する臨床特性(例えば、年齢、ごっこ遊びに従事する対象の能力(ability of subject to engage in pretend play)など)を指すことがある。本明細書では、「特徴値」という用語は、対応する特徴に対する特定の対象の値を表すために使用される。例えば、「特徴値」は、1つ以上の発達障害に関連する対象の臨床的特徴を指すことがある(例えば、特徴が「年齢」であれば、特徴値は「3」である可能性があり、特徴が「ごっこ遊びをする対象の能力」であれば、特徴値は「ごっこ遊びの種類」または「ごっこ遊びをしない」である可能性がある)。
【0234】
本明細書で使用される場合、「自閉症」および「自閉症スペクトラム障害」というフレーズは交換可能に使用されてもよい。
【0235】
本明細書で使用されるように、「注意欠陥障害(ADD)」および「注意欠陥/多動性障害(ADHD)」は、交換可能に使用されてもよい。
【0236】
本明細書で使用されるように、「顔認識表現活動」という用語は、子供たちが特定の感情を示している環境内の人々を見つけて、リアルタイムの感情確認を受けるように促される、治療活動(例えば、デジタル治療アプリケーションまたはデバイスで)を指す。顔認識表現活動は、構造化されていない遊びとも記載され得る。この活動は、顔には感情の変化があるということを強化し、感情を区別する方法を訓練する。
【0237】
本明細書で使用されるように、「社会的互恵性」というフレーズは、個人間の相互の互恵的な社会的相互作用および/またはコミュニケーションを指す。社会的互恵性は、例えば、会話、あるいは顔の表情および/またはボディランゲージの交換など、言語的および非言語的な社会的相互作用を含むことができる。社会的互恵性の1つ以上の要素または指標は、本明細書で開示されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体に従って測定することができる。例えば、社会的互恵性は、アイコンタクトまたは視線の固定、社会的キューまたは感情キューに対する言語応答(例えば、親の挨拶に応答して「ハイ」と言うこと)、社会的キューまたは感情キューに対する非言語応答(例えば、親の笑顔に応答して微笑むこと)を用いて測定することができる。
【0238】
対象の発達の進行を決定するための方法およびデバイスが本明細書に記載される。例えば、記載された方法およびデバイスは、対象を、1つ以上の発達領域において発達が進んでいるか、または1つ以上の認知機能において認知的に低下していると判定したり、あるいは対象を発達が遅れているか、または1つ以上の発達障害を有するリスクがあると判定したりすることができる。開示される方法およびデバイスは、評価モデルに基づいて対象の複数の特性または特徴を評価することによって対象の発達の進行を判定することができ、ここで、評価モデルは、機械学習アプローチを使用して関連する対象集団の大規模データセットから生成され得る。
【0239】
方法およびデバイスは、対象の1つ以上の発達障害を識別するという文脈で本明細書に記載されているが、方法およびデバイスは、対象の任意の発達の進行を判定する際に使用するのに十分に適している。例えば、本方法およびデバイスは、対象の発達が進んでいる1つ以上の発達領域を判定することによって、対象を発達が進んでいると判定するために使用することができる。発達が進んでいる1つ以上の領域を判定するために、方法およびデバイスは、例えば、高度な行動または才能のある行動に関連する対象の1つ以上の特徴または特性を評価するように構成されてもよい。記載される方法およびデバイスは、対象の1つ以上の認知機能を評価することによって、対象を1つ以上の認知機能が認知的に低下していると判定するために使用することもできる。
【0240】
本明細書には、対象における1つ以上の発達障害のリスクを診断または評価するための方法およびデバイスが記載されている。本方法は、データ処理モジュールを提供する工程を含んでもよく、このモジュールは、複数の発達障害または疾病のうちの1つ以上について対象をスクリーニングするための評価手順を構築および管理するために利用され得る。評価手順は、対象の複数の特徴または特性を評価することができ、ここで、各特徴は、手順によってスクリーニング可能な複数の発達障害のうちの少なくとも1つを対象が有する可能性に関連することができる。各特徴は、対象が2つ以上の関連する発達障害を有する可能性に関連していてもよく、ここで、2つ以上の関連する障害は、1つ以上の関連する症状を有していてもよい。特徴は、多くの方法で評価され得る。例えば、特徴は、本明細書でさらに詳しく説明されるように、質問に対する対象の回答、対象の観察、または対象との構造化された相互作用の結果を介して評価されてもよい。
【0241】
単一のスクリーニング手順内で対象の複数の発達障害を区別するために、手順は、以前に提示された特徴(例えば、以前の質問に対する回答)に対する対象の値に基づいて、手順の適用中に対象において評価される特徴を動的に選択することができる。評価手順は、コンピューティングデバイスによって提供されるユーザーインターフェースを用いて、対象または対象の世話人に適用することができる。コンピューティングデバイスは、ユーザーがユーザーインターフェースを介してデータ処理モジュールと対話できるように、格納された命令を有するプロセッサを備える。評価手順は、対象に適用するのに10分未満、例えば、5分以下かかることがある。したがって、本明細書に記載されるデバイスおよび方法は、単一の比較的短いスクリーニング手順を用いて、複数の発達障害のうちの1つ以上を有する対象のリスクの予測を提供することができる。
【0242】
本明細書に開示される方法およびデバイスは、対象の以前に判定された特徴に基づいて、対象の特徴に関連する最も関連性の高い次の質問を決定するために使用することができる。例えば、本方法およびデバイスは、対象に関連する以前に回答された質問に応答して、最も関連性の高い次の質問を決定するように構成され得る。最も予測される次の質問は、各事前の質問が回答された後に判定され、最も予測される次の質問のシーケンスおよび対応する回答のシーケンスが生成され得る。回答のシーケンスは、対象の回答プロファイルを含んでいてもよく、最も予測的な次の質問は、対象の回答プロファイルに応答して生成することができる。
【0243】
本明細書に開示される方法およびデバイスは、例えば、以前の回答に応答して最も予測的な次の質問を判定することによって、より少ない質問に応答して対象を診断またはリスクがあると判定するために使用することができる事前の質問との組み合わせに十分適している。
【0244】
一態様では、対象の少なくとも1つの認知機能属性の評価を提供する方法は、コンピュータシステム上で、プロセッサと、プロセッサにより実行されるコンピュータプログラムを保存するメモリとを有する工程を含む。上記コンピュータプログラムは、1)認知機能属性に関連する対象のデータを受け取ること、2)機械学習モデルを用いて、対象のデータを評価すること、および、3)対象の評価を提供することの命令を含んでもよい。評価は、データに応答して決定的ではない判定および絶対的な判定からなる群から選択されてもよい。機械学習モデルは、複数の機械学習評価モデルのうちの選択されたサブセットを含んでもよい。絶対的な判定は、認知機能属性の存在および認知機能属性の欠如を含んでもよい。
【0245】
対象からデータを受け取ることは、データの初期セットを受け取ることを含んでもよい。対象からのデータを評価することは、複数の調整可能な機械学習評価モデルから選択された調整可能な機械学習評価モデルの予備サブセットを使用して、データの初期セットを評価することを含み、それによって、調整可能な機械学習評価モデルの予備サブセットのそれぞれについて数値スコアを出力してもよい。本方法は、データの初期セットの分析に基づいて、対象における認知機能属性の有無に関する絶対的な判定または決定的ではない判定を提供する工程をさらに含み、ここで、絶対的な判定に対する決定的ではない判定の比率は調整することができる。
【0246】
方法は、1)データの初期セットの分析が決定的ではない判定をもたらす場合に、複数の調整可能な機械学習評価モデルから選択された追加の評価モデルを適用するかどうかを決定する工程と、2)決定の結果に基づいて、前記対象からデータの追加のセットを受け取る工程と、3)決定の結果に基づいて追加の評価モデルのそれぞれについて数値スコアを出力するために、追加の評価モデルを使用して対象からのデータの追加のセットを評価する工程と、4)追加の評価モデルを用いる対象からのデータの追加のセットの分析に基づいて、対象における認知機能属性の有無に関して、絶対的な判定または決定的ではない判定を提供する工程と、を含む。絶対的な判定に対する決定的ではない判定の比率が調整されてもよい。
【0247】
方法はさらに、1)組み合わされた予備出力スコアを生成するために、評価モデルの予備サブセットのそれぞれについて数値スコアを組み合わせることと、2)組み合わされた予備出力スコアを、対象における認知機能属性の有無に関する絶対的な判定または決定的ではない判定にマッピングすることの動作を含んでもよい。絶対的な判定に対する決定的ではない判定の比率が調整されてもよい。上記方法はさらに:1)組み合わされた追加の出力スコアを生成するために、追加の評価モデルのそれぞれについて数値スコアを組み合わせることと;2)組み合わされた追加の出力スコアを、対象における認知機能属性の有無に関する絶対的な判定または決定的ではない判定にマッピングすることの動作を含んでもよい。絶対的な判定に対する決定的ではない判定の比率が調整されてもよい。上記方法は、評価モデルの予備サブセットのそれぞれに対する数値スコアを組み合わせるため、および追加の評価モデルのそれぞれに対する数値スコアを組み合わせるために、ルールベースの論理または組合せ技術を採用する工程をさらに含んでもよい。
【0248】
決定的ではない判定と絶対的な判定の比率は、包含率を指定することによって調整することができ、ここで、対象における発達状態の有無に関する絶対的な判定は、感度および特異度のメトリックを提供することによって評価される。包含率は70%%以上であってもよく、絶対的な判定は、少なくとも70%の感度と、それに対応する少なくとも70%の特異度をもたらす。包含率は70%以上であってもよく、絶対的な判定は、少なくとも80の感度と、それに対応する少なくとも80%の特異度をもたらす。包含率は70%%以上であってもよく、絶対的な判定は、少なくとも90%の感度と、それに対応する少なくとも90%の特異度をもたらす。対象からのデータは、診断器具のサンプルの少なくとも1つを含んでいてもよく、ここで、診断器具は、診断用の質問とそれに対応する選択可能な回答のセット、および人口統計学的データを含んでもよい。
【0249】
本方法は、発達状態について以前に評価された複数の対象からのデータを用いて、複数の調整可能な機械学習評価モデルを訓練する工程をさらに含んでもよい。上記訓練は、1)機械学習技術を用いて、複数の対象からのデータを前処理することと;2)前処理されたデータから機械学習特徴を抽出および符号化することと;3)意図したアプリケーション設定における対象間の認知機能属性の予想される有病率を反映させるために、複数の対象からのデータを処理することと;4)前記処理された機械学習特徴のサブセットを選択することと;5)パフォーマンスについて複数の調整可能な機械学習評価モデルにおける各モデルを評価することと;6)複数の調整可能な機械学習評価モデルの選択されたサブセットにおけるすべてのモデルを使用することの利点を決定することに基づいて、各モデルについて最適なパラメータセットを決定することと、の動作を含んでもよい。各モデルはあらかじめ決められた包含率について感度および特異度について評価されてもよい。各モデルについてパラメータの最適なセットを決定することは、異なる調整可能なパラメータ設定下で各モデルのパラメータを調整することを含んでもよい。符号化された機械学習特徴を処理することは、サンプルの重みを計算して、データのすべてのサンプルに割り当てることを含んでいてもよい。データの各サンプルは複数の対象における対象に対応してもよい。サンプルは対象固有の次元によってグループ化されてもよい。サンプルの重みは、意図した設定における対象の中の各次元の予想された分布を反映させるために、他のあらゆる群のサンプルに対する1つの群のサンプルの平衡をとるべく、計算され、割り当てられる。対象固有の次元は、対象の性別、対象が住んでいる地理的な地域、および対象の年齢を含んでいてもよい。前処理されたデータからの機械学習特徴を抽出および符号化することは、限定されないが、ワンホット符号化、重大度符号化、および行動の存在の符号化などの特徴符号化技術を使用することを含んでもよい。処理された機械学習特徴のサブセットを選択することは、処理された機械学習特徴から識別特徴のサブセットを識別するために、ブートストラップ技術を使用することを含んでもよい。
【0250】
認知機能属性は、行動障害および発達の進行を含んでいてもよい。対象に提供される絶対的な判定は、データに応答して、決定的ではない判定、複数の認知機能属性の存在、および複数の認知機能属性の欠如からなる群から選択されてもよい。
【0251】
別の態様では、対象の認知機能属性を評価するための装置は、プロセッサを含んでいてもよい。プロセッサは、実行時、プロセッサに、認知機能属性に関連する対象のデータを受け取らせ、対象の絶対的な判定を生成するためにルールを適用させるとの命令で構成されてもよい。絶対的な判定は、データに応答して、決定的ではない判定、認知機能属性の存在、およびの認知機能属性の欠如からなる群から選択されてもよい。認知機能属性は、認知機能属性の有無について、それぞれ少なくとも70%の感度と少なくとも70%の特異度で決定されてもよい。認知機能属性は、自閉症、自閉症スペクトラム、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、発話および学習障害からなる群から選択されてもよい。認知機能属性は、認知機能属性の有無について、それぞれ少なくとも80%の感度と少なくとも80%の特異度で決定されてもよい。認知機能属性は、認知機能属性の有無について、それぞれ少なくとも90%の感度と少なくとも90%の特異度で決定されてもよい。認知機能属性は、行動障害および発達の進行を含んでいてもよい。
【0252】
別の態様では、対象の認知機能属性を評価するためにプロセッサによって実行可能な命令を含むコンピュータプログラムでコードされた非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、媒体に記録されたデータベースを含む。データベースは、少なくとも1つの認知機能属性に関連する複数の対象のデータ、および、複数の調整可能な機械学習評価モデルと;評価ソフトウェアモジュールと;モデル調整ソフトウェアモジュールとを含む。評価ソフトウェアモジュールは、1)認知機能属性に関連する対象のデータを受け取ること、2)複数の機械学習評価モデルの選択されたサブセットを使用して、対象のデータを評価すること、および、3)対象に関して絶対的な判定を提供することであって、絶対的な判定はデータに応答して、決定的ではない判定、認知機能属性の存在、およびの認知機能属性の欠如からなる群から選択される、こと、の命令を含んでいてもよい。モデル調整ソフトウェアモジュールは、1)機械学習技術を用いて、複数の対象からのデータを前処理することと、2)前処理されたデータから機械学習特徴を抽出および符号化することと;3)意図したアプリケーション設定中の対象の予想された分布を反映させるために、コードされた機械学習特徴を処理すること;4)前記処理された機械学習特徴のサブセットを選択することと;5)パフォーマンスについて複数の調整可能な機械学習評価モデルにおける各モデルを評価することと;6)様々な調整パラメータ設定下において各モデルのパラメータを調整することと;および、7)複数の調整可能な機械学習評価モデルの選択されたサブセットにおけるすべてのモデルを使用することの利点を決定することに基づいて、各モデルについて最適なパラメータセットを決定することと、の命令を含んでもよい。各モデルはあらかじめ決められた包含率について感度および特異度について評価されてもよい。認知機能属性は、行動障害および発達の進行を含んでいてもよい。
【0253】
別の態様では、コンピュータにより実施されるシステムは、デジタル処理装置を含んでもよい。デジタル処理は、少なくとも1つのプロセッサと、実行可能な命令を実行するように構成されたオペレーティングシステムと、メモリと、コンピュータプログラムとを含んでもよい。メモリは、少なくとも1つの認知機能属性に関連する複数の対象のデータを収容するためのストレージと、複数の機械学習評価モデルを収容するためのストレージとを含んでもよい。コンピュータプログラムは、1)認知機能属性に関連する対象のデータを受け取ること;2)複数の機械学習評価モデルの選択されたサブセットを使用して、対象のデータを評価すること;および、3)対象に関して絶対的な判定を提供することであって、絶対的な判定はデータに応答して、決定的ではない判定、認知機能属性の存在、およびの認知機能属性の欠如からなる群から選択される、こと、のために、デジタル処理装置によって実行可能な命令を含んでもよい。認知機能属性は、行動障害および発達の進行を含んでいてもよい。
【0254】
別の態様では、対象の少なくとも1つの認知機能属性の評価を提供するためのモバイルデバイスは、ディスプレイおよびプロセッサを含んでもよい。プロセッサは、認知機能属性に関連する対象のデータを受け取って表示し、および対象に対する評価を受け取って表示するとの命令で構成されてもよい。上記評価は、決定的ではない判定および絶対的な判定からなる群から選択されてもよい。対象に対する評価は、対象のデータに応答して決定されてもよい。絶対的な判定は、認知機能属性の存在および認知機能属性の欠如からなる群から選択されてもよい。認知機能属性は、認知機能属性の有無について、それぞれ少なくとも80の感度と少なくとも80の特異度で決定されてもよい。認知機能属性は、認知機能属性の有無について、それぞれ少なくとも90の感度と少なくとも90の特異度で決定されてもよい。認知機能属性は、行動障害および発達の進行を含んでいてもよい。
【0255】
別の態様では、個人的な治療処置計画で対象を処置するデジタル治療システムは、1つ以上のプロセッサと、対象からデータを受け取って対象の診断データを出力するための診断モジュールと、診断データを受け取って対象の個人的な治療処置を出力するための治療モジュールとを含んでいてもよい。診断モジュールは、対象の診断データを決定するために、対象集団に基づいて機械学習または統計的モデリングを用いて構築された1つ以上の分類器を含んでもよい。診断データは、対象に対する評価を含んでもよく、上記評価は、対象から受け取ったデータに応答して、決定的ではない判定および絶対的な判定からなる群から選択される。上記治療モジュールは、前記対象の個人的な治療処置計画を決定および出力するために、対象集団の少なくとも一部に基づいて、機械学習または統計的モデリングを用いて構築された1つ以上のモデルを含んでもよい。診断モジュールは、対象の治療に応答して、対象から更新された対象データを受け取り、および対象から更新された診断データを生成するように構成されてもよい。治療モジュールは、更新された診断データを受け取り、および、診断データと更新された診断データに応答して、対象の更新された個人的な処置計画を出力するように構成されてもよい。診断モジュールは、対象集団で訓練された診断機械学習分類器を含んでいてもよい。治療モジュールは、対象集団の少なくとも一部について訓練された治療用機械学習分類器を含んでもよい。診断モジュールおよび治療モジュールは、診断モジュールが、処置計画のパフォーマンスに基づいて治療モジュールにフィードバックを提供するように配置されてもよい。治療分類器は、対象がメンバーではない集団を含むデータセットで訓練された命令を含んでもよい。対象は、集団のメンバーではない人で構成されていてもよい。診断モジュールは、少なくとも1万人の対象集団の複数のプロファイルで訓練された診断分類器と、対象集団の複数のプロファイルで訓練された治療プロファイルとを含んでいてもよい。
【0256】
別の態様では、個人的な治療処置計画で対象を処置するデジタル治療システムは、プロセッサと、対象からデータを受け取って対象の診断データを出力するための診断モジュールと、診断データを受け取って対象の個人的な治療処置を出力するための治療モジュールとを含んでいてもよい。診断データは、対象に対する評価を含んでもよく、上記評価は、対象から受け取ったデータに応答して、決定的ではない判定および絶対的な判定からなる群から選択される。個人的な治療計画はデジタル治療を含んでもよい。デジタル治療は、対象または保護者に提供される命令、フィードバック、活動、または相互作用を含んでもよい。デジタル治療は、モバイルデバイスによって提供されてもよい。診断データおよび個人的な治療計画は、第三者システムに提供されてもよい。第三者システムは、医療従事者のコンピュータシステムまたは治療提供システムを含んでもよい。診断モジュールは、対象のフィードバックデータに応答して、対象から更新された対象データを受け取り、および更新された診断データを生成するように構成されてもよい。治療モジュールは、更新された診断データを受け取り、および、診断データと更新された診断データに応答して、対象の更新された個人的な処置計画を出力するように構成されてもよい。更新された対象データは、個人的な治療処置計画の結果としての有効性、コンプライアンス、および応答の相対的なレベルを判定するフィードバックデータに応答して受け取られてもよい。診断モジュールは、診断データを決定するために、対象集団に基づいて機械学習または統計的モデリングを使用してもよい。治療モジュールは、対象の個人的な治療処置計画を決定するために、対象集団の少なくとも一部に基づいてもよい。診断モジュールは、対象集団で訓練された診断機械学習分類器を含んでいてもよい。治療モジュールは、対象集団の少なくとも一部で訓練された治療用機械学習分類器を含んでもよい。診断モジュールは、個人的な治療処置計画のパフォーマンスに基づいて、治療モジュールにフィードバックを提供するように構成されてもよい。対象からのデータは、対象および保護者の映像、音声、質問またはアクティビティに対する応答、およびシステムのアクティビティ、ゲーム、またはソフトウェア機能とのユーザーのインタラクションからの能動的または受動的なデータストリームの少なくとも1つを含んでいてもよい。対象は、行動障害、神経学的障害、およびメンタルヘルス障害からなる群から選択されるリスクを有していてもよい。行動障害、神経学的障害、またはメンタルヘルス障害は、自閉症、自閉症スペクトラム、注意欠陥障害、うつ病、強迫性障害、統合失調症、アルツハイマー病、認知症、注意欠陥多動性障害、ならびに発話および学習障害からなる群から選択されてもよい。診断モジュールは、成人が評価を行うか、あるいは子供または年少者の評価のためのデータを提供するために構成されてもよい。診断モジュールは、保護者や家族のメンバーが評価を行うか、対象の評価のためのデータを提供するために構成されてもよい。
【0257】
他の態様では、非一時的なコンピュータ可能記憶媒体は、プログラムを用いてコードされてもよい。コンピュータプログラムは、1)対象から入力データを受け取り、対象の診断データを出力すること;2)診断データを受け取り、対象の個人的な治療処置計画を出力すること;3)対象の個人的な治療処置計画を決定して出力するために、対象の少なくとも一部の集団に基づいて診断データを評価すること、の実行可能な命令を含んでいてもよい。診断データは、対象に対する評価を含んでもよく、上記評価は、対象から受け取った入力データに応答して、決定的ではない判定および絶対的な判定からなる群から選択される。更新された対象入力データは、対象の治療に応じて対象から受け取られ、更新された診断データは対象から生成されてもよい。更新された診断データは受け取られてもよく、更新された個人治療計画は、診断データおよび更新された診断データに応答して、対象について出力されてもよい。
【0258】
別の態様では、非一過性のコンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータプログラムでコードされてもよい。コンピュータプログラムは、対象からの入力データを受け取り、および対象の診断データを出力し、および診断データを受け取り、および対象の個人的な治療処置計画を出力するための実行可能な命令を含んでもよい。診断データは、対象に対する評価を含んでもよく、上記評価は、対象から受け取ったデータに応答して、決定的ではない判定および絶対的な判定からなる群から選択される。個人的な治療計画はデジタル治療を含んでもよい。
【0259】
別の態様では、個人的な治療処置計画で対象を処置する方法は、対象からデータを受け取り、および対象の診断データを出力する診断プロセスであって、ここで、診断データが対象に対する評価を含む、診断プロセスと、診断データを受け取り、対象の個人的な治療処置計画を出力する治療プロセスとを含んでいてもよい。評価は、対象から受け取ったデータに応答して、決定的ではない判定および絶対的な判定からなる群から選択されてもよい。診断プロセスは、対象の治療に応答して、対象から更新された対象データを受け取ること、および対象から更新された診断データを生成することを含んでもよい。治療プロセスは、更新された診断データを受け取り、および、診断データと更新された診断データに応答して対象の更新された個人的な処置計画を出力することを含んでもよい。更新された対象データは、個人的な治療処置計画の結果としての有効性、コンプライアンス、および応答の相対的なレベルを判定するフィードバックデータに応答して受け取られてもよい。個人的な治療計画はデジタル治療を含んでもよい。デジタル治療は、対象または保護者に提供される命令、フィードバック、活動、または相互作用を含んでもよい。デジタル治療は、モバイルデバイスによって提供されてもよい。本方法は、診断データおよび個人的な治療処置計画を第三者システムに提供する工程をさらに含んでもよい。第三者システムは、医療従事者のコンピュータシステムまたは治療提供システムを含んでもよい。診断プロセスは、診断データを決定するために、対象集団に基づいて、機械学習、分類器、人工知能、または統計的モデリングからなる群から選択されるプロセスによって実行されてもよい。治療プロセスは、対象の個人的な治療処置計画を決定するために、対象集団の少なくとも一部に基づいて、機械学習、分類器、人工知能、または統計的モデリングからなるグループから選択されたプロセスによって実行されてもよい。診断プロセスは、対象集団で訓練された診断機械学習分類器によって実行されてもよい。治療プロセスは、対象集団の少なくとも一部で訓練された治療用機械学習分類器によって実行されてもよい。診断プロセスは、個人的な治療処置計画のパフォーマンスに基づいて、治療モジュールにフィードバックを提供することを含んでもよい。対象からのデータは、対象および保護者の映像、音声、質問またはアクティビティに対する応答、およびアクティビティ、ゲーム、またはソフトウェア機能とのユーザーのインタラクションからの能動的または受動的なデータストリームの少なくとも1つを含んでいてもよい。診断プロセスは、評価を行うために、あるいは子供または少年の評価のためのデータを提供するために、成人によって実行されてもよい。診断プロセスは、保護者や家族のメンバーが評価を行うか、対象の評価のためのデータを提供することを可能にしてもよい。対象は、行動障害、神経学的障害、およびメンタルヘルス障害からなる群から選択されるリスクを有していてもよい。リスクは、自閉症、自閉症スペクトラム、注意欠陥障害、うつ病、強迫性障害、統合失調症、アルツハイマー病、認知症、注意欠陥多動性障害、ならびに発話および学習障害からなる群から選択されてもよい。
【0260】
容易に入手可能なコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン)を使用してデジタル治療とともに診断を提供し、および、機械学習を利用するシステムおよび方法が本明細書で開示される。
【0261】
行動障害、発達遅延、および神経学的障害の関連カテゴリーから1つ以上の診断を有する個人を評価および処置するための方法およびデバイスが本明細書に記載されている。いくつかの実施形態では、評価は個人の診断の特定または確認を含み、ここで、診断は、行動障害、発達遅延、および神経学的障害からなる診断の関連カテゴリーの1つ以上に該当する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法またはデバイスによって実施される評価は、個人が処置に反応するかどうかの評価を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法またはデバイスによって実施される評価は、個人が特定の処置に反応する程度の評価を含む。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法またはデバイスを用いて、個人はデジタル治療に高い反応を示すと評価される。いくつかの実施形態では、個人がデジタル治療に高い反応を示すと判定された場合に、デジタル治療は施される。
【0262】
いくつかの実施形態では、デジタル治療、非デジタル治療、医薬品、またはそれらの任意の組み合わせを含む、個別化された処置レジメンが本明細書も開示される。いくつかの実施形態では、治療剤はデジタル治療と一緒に投与される。いくつかの実施形態では、デジタル治療と一緒に投与される治療薬は、デジタル治療を受ける個人のデジタル治療のパフォーマンスを向上させるように構成される。いくつかの実施形態では、デジタル治療と一緒に投与される治療薬は、デジタル治療を受ける個人の認知を改善する。いくつかの実施形態では、治療薬は、デジタル治療を受ける個人をリラックスさせる。いくつかの実施形態では、治療薬は、デジタル治療を受ける個人の集中または注目の程度を改善する。
【0263】
デジタル治療は、本明細書に記載される方法またはデバイスによって個人または保護者に提供される命令、フィードバック、アクティビティ、または相互作用を含むことができる。いくつかの実施形態におけるデジタル治療は、行動、アクティビティ、ゲーム、またはシステムソフトウェアおよび/またはサードパーティのデバイスとのインタラクティブセッションを提案するように構成される。
【0264】
本明細書に記載される方法およびデバイスによって利用されるデジタル治療は、拡張現実、仮想現実、リアルタイム認知支援、または技術を用いて拡張された他の行動療法を含む、様々なデジタルアプリケーションを用いて実施可能である。デジタル治療は、仮想現実または拡張現実の環境を生成するように構成された任意のデバイスを使用して実施可能である。このようなデバイスは、カメラおよび/またはマイクを使ってキャプチャされた映像および/または音声などの1つ以上のセンサ入力を含むように構成され得る。本明細書に記載されるデジタル治療を提供するのに適したデバイスの非限定的な例としては、ウェアラブルデバイス、スマートフォン、タブレットコンピューティングデバイス、ラップトップ、プロジェクタ、および仮想体験または拡張現実体験を生成するのに適した他のデバイスが挙げられる。
【0265】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、技術的な拡張体験(例えば、拡張現実および/または仮想現実)を通じて、ユーザーに社会学習ツールまたは補助を提供することができる。いくつかの実施形態では、デジタル治療は、個人における社会的互恵性を促進または改善するように構成される。いくつかの実施形態では、デジタル治療は、自閉症または自閉症スペクトラム障害を有する個人における社会的互恵性を促進または改善するように構成される。
【0266】
本明細書に記載される方法およびデバイスのいくつかの実施形態では、仮想現実または拡張現実に基づくデジタル治療を提供するための方法またはデバイスは、入力を受け取り、これらの実施形態のいくつかでは、入力は、仮想現実または拡張現実が治療を受ける個人に提示される方法に影響を与える。いくつかの実施形態では、入力は、デジタル治療を提供するために使用されるコンピューティングデバイスのカメラおよび/またはマイクから受け取られる。いくつかの実施形態では、入力は、例えば、モーションセンサまたはバイタルサインセンサなどのセンサから受け取られる。いくつかの実施形態では、映像、画像、および/または音声の形態の入力がキャプチャされ、人工知能または機械学習モデルなどのアルゴリズムを使用して分析されることで、提供される仮想現実または拡張現実の体験を通じて対象にフィードバックおよび/または行動修正を提供することができる。
【0267】
いくつかの実施形態では、方法またはデバイスへの入力は、デジタル治療患者が仮想現実または拡張現実の相互作用のいずれかで対話する一人以上の他人の顔の表情または他の社会的キューの評価を含む。
【0268】
拡張現実デジタル治療体験の非限定的な例では、個人は実在の人物と反応することがあり、この例では、デジタル治療を提供しているコンピューティングデバイスによって、その人物の映像、画像、および/または音声記録が取られる。そして、映像、画像、および/または音声記録は、拡張現実環境で個人が対話した人物の顔の表情(または他の社会的キュー)に関連する感情を決定する分析分類器を使用して分析される。顔の表情(または他の社会的キュー)の分析は、顔の表情および/または他の社会的キューに関連する感情または気分の評価を含んでいてもよい。分析の結果は、デジタル治療を受ける個人に提供される。いくつかの実施形態では、分析の結果は、拡張現実環境内で表示される。いくつかの実施形態では、分析結果は、コンピューティングデバイスの画面上に表示される。いくつかの実施形態では、分析の結果は、可聴音またはメッセージを介して提供される。
【0269】
仮想現実デジタル治療体験の非限定的な例では、デジタル治療を受ける個人は、実在の人物の画像または表現、あるいは漫画のキャラクターまたはインタラクティブオブジェクトの他の芸術的なレンダリングなどの仮想オブジェクトまたはキャラクターの画像または表現と対話することができる。この例では、ソフトウェアは、仮想現実環境内の仮想人物、キャラクター、またはオブジェクトによって伝えられる感情を決定する。分析の結果は、デジタル治療を受ける個人に提供される。いくつかの実施形態では、分析の結果は、拡張現実環境内で表示される。いくつかの実施形態では、分析結果は、コンピューティングデバイスの画面上に表示される。いくつかの実施形態では、分析の結果は、可聴音またはメッセージを介して提供される。
【0270】
さらなる例示的な例として、デジタル治療患者と対話して笑っている個人は幸せであると評価される。この例では、入力は、顔の表情または他の社会的キューの評価を含み、それは、これらの顔の表情または社会的キューを認識するための学習を支援するために、デジタル治療患者に表示されるか、またはそれ以外の方法で利用できるようになる。すなわち、この例では、個人が表現していると評価される感情(この例では、幸福)は、例えば、個人が仮想現実または拡張現実の体験の中で笑顔を見せている間またはその前後に、モバイルコンピューティングの画面上に「幸福」という言葉を表示することによって、デジタル治療患者に表示されるか、またはそれ以外の方法で利用できるようになる。本明細書に記載される様々なゲームまたはアクティビティにおいて検出および/または使用することができる感情の例としては、幸せ、悲しみ、怒り、驚き、フラストレーション、恐れ/恐怖、冷静、嫌悪、および軽蔑が挙げられる。
【0271】
ある例では、デバイスは、音声信号または視覚信号を使用して、入力としてキャプチャされた他の個人について検出された感情または社会的キューを対象に伝える。視覚信号は、言葉、デザインまたは絵、顔文字、色、または検出された感情または社会的キューに対応する他の視覚的キューとして表示することができる。音声信号は、オーディオワード、トーンまたはビートなどのサウンド、音楽、あるいは検出された感情または社会的キューに対応するその他のオーディオキューとして通信可能である。場合によっては、視覚信号と音声信号の組み合わせを利用することができる。これらのキューは、個別化された音声信号/視覚信号のセットを提供するために、カスタマイズされたり、キューの配列から選択されたりすることができる。信号は、このカスタマイズされた体験の一部として、オンまたはオフに切り替えることもできる。
【0272】
ある例では、デジタル治療体験はアクティビティモードを含む。アクティビティモードは、感情誘発アクティビティ、感情認識アクティビティ、または構造化されていない遊びを含む。構造化されていない遊びとは、ユーザーが1つ以上のデジタル治療活動に自由に参加できる、台本のない、自由に歩き回る、またはさもなければ構造化されていないモードであり得る。構造化されていないモードの例は、ユーザーが実在の人物の1つ以上の画像または表現、あるいは漫画のキャラクターまたはその他のインタラクティブオブジェクトの芸術的レンダリングなどの仮想オブジェクトまたはキャラクターの画像または表現を自由に収集できるゲームまたはアクティビティである。この構造化されていないモードは、一連のタスクにユーザーを強制的に参加させる進行スタイルとは対照的に、ユーザーの決定またはゲームプレイにほとんど制限を設けない「サンドボックス」スタイルのプレイを有することを特徴とすることができる。ユーザーは、スマートフォンなどのデバイスのカメラを使用して(例えば、家族または保護者などの他の個人の写真を撮影して)、そのような画像を収集することができる。代替的に、または、組み合わせて、ユーザーは、ライブラリまたはデータベースを閲覧するなどして、デジタルで画像または表現を収集することもできる。例示的な例として、ユーザーは家の中を歩き回り、スマートフォンのカメラを使って両親の写真を撮影する。加えて、ユーザーは、家族の一員がソーシャルメディアに投稿した自撮り写真を、選択および/またはスマートフォンにダウンロードすることで、収集することができる。場合によっては、デバイスは、ライブ画像、あるいは、キャプチャまたはダウンロードした画像を、その画像中の人物に対して識別または分類された感情とともに表示する。これにより、ユーザーは、さまざまな人が表現する感情の現実世界の例に出会いながら、非構造的な学習に没頭することができる。
【0273】
感情認識アクティビティは、構造化された学習体験を通じて、感情または感情的キューを認識するようにユーザーをテストおよび/または訓練するように構成可能である。例えば、感情認識アクティビティは、ユーザーが既に以前に見せられた画像(例えば、ユーザーが非構造的な遊びをしている間にキャプチャされた介助者の写真)を提供することによって、ユーザーが強化学習に取り組むことを支援するために使用することができる。強化学習により、ユーザーは以前に見せられたことのある感情の認識を強化することができる。強化学習は、1つ以上のインタラクティブなアクティビティまたはゲームを含むことができる。一例は、ユーザーが、異なる感情に対応する複数の画像(例えば、スマートフォンの画面が笑顔の人の画像と顔をしかめている人の画像を示す)と、特定の感情に対応する画像を判定するプロンプト(例えば、画面に表示されたり、ユーザーに正しい画像を識別させる質問またはコマンドがマイクから出力されたりする)とを提示されるゲームである。ユーザーは、画面に表示される複数の画像のうち1つを選択したり、音声で応答したりすることができる(例えば、「左/中/右の画像」、または、「A/B/Cを答えてください」と述べる)。別の例は、ユーザーが、感情に対応する1つの画像を提示され、その感情を判定するように求めるゲームである。場合によっては、ユーザーは複数の感情の選択肢が与えられる。代替的に、ユーザーは、選択肢を与えられることなく回答を提供しなければならない(例えば、複数の選択肢を選ぶ代わりに、タイプされた回答または音声による短答)。場合によっては、選択肢が提供されることもある。選択肢は、視覚的なものでも、非視覚的なものでもよい(例えば、グラフィック・ユーザー・インターフェースに表示されない音声による選択)。例示的な例として、ユーザーは、保護者が微笑んでいる画像を見せられ、次の音声質問「この人は幸せですか、それとも悲しいですか」によって暗に誘導される。代替的に、その質問は画面上に表示される。その後、ユーザーは音声で回答するか、回答をタイプアウトすることができる。他の例は、ユーザーが複数の画像と複数の感情を提示され、画像と対応する感情を一致させることができるゲームである。
【0274】
ある例では、撮影および/またはダウンロードされた画像は、デジタル治療体験の一部として、1つ以上のアクティビティまたはゲームで使用するために、タグ付けされ、ソートされ、および/またはフィルタリングされる。例えば、強化学習は、ユーザーが既に見せられた画像に関してユーザーに質問することができるため、利用可能な画像のライブラリは、以下のルールの1つ以上を満たさない画像を除去するためにフィルタリングされることがある:(1)少なくとも1つの顔が正常に検出される、(2)少なくとも1つの感情が正常に検出される、(3)その画像が以前にユーザーに提示または表示されたことがある。場合によっては、特定のアクティビティに応じて画像はさらにフィルタリングされることがある。例えば、以前のアクティビティのパフォーマンスが悪かったために、怒りの認識に特化した感情認識の強化学習アクティビティがユーザーに割り当てられることもある。したがって、この強化学習活動に使用される画像は、怒りまたは怒りに対応する感情的なキューが検出された少なくとも1つの画像を含むようにフィルタリングされてもよい。
【0275】
ある例では、撮影されたおよび/またはダウンロードされた画像は、デジタル治療ソフトウェアによってアクセス可能な収集された画像のライブラリにインポートされる。代替的に、または組み合わせて、画像は、インタラクティブなデジタル治療体験の目的で収集された画像としてデジタル治療ソフトウェアによって認識されるようにタグ付け可能である。タグ付けは、ユーザーがインタラクティブなデジタル治療体験の文脈で写真を撮ったときに自動的に行われ得る。例示的な例として、ユーザーがスマートフォンでデジタル治療のアプリケーションを起動し、スクリプトなしのモードまたはフリーローミングモードを選択する。スマートフォンは、他人の顔を撮影するための文章および/または音声による指示とともに、タッチ画面上に写真撮影用のインターフェースを提示する。ユーザーがデバイスのカメラを使ってキャプチャした写真は自動的にタグ付けされ、および/または、ライブラリあるいはデータベースに追加される。代替的に、デジタル治療アプリケーションの外でソーシャルメディアを閲覧しているユーザーは、投稿された画像を選択し、デジタル治療アプリケーションによるアクセスのために画像をダウンロード、インポート、またはタグ付けするオプションを選択する。
【0276】
ある例では、画像は関連情報を識別するためにタグ付けされる。この情報は、画像内の人物の識別(例えば、名前、肩書き、ユーザーとの関係)、および/あるいは画像内の人物が表す表情または感情を含む場合がある。本明細書に記載の顔認識および感情分類は、画像に対する1つ以上のタグを生成または決定するべく画像を評価するために使用することができる。例示的な例として、ユーザーは自身の世話人の写真を撮り、この写真に対し顔認識、続いて認識した顔から表情分類が行われる。分類された感情が「幸せ(HAPPY)」であると、画像は識別された感情でタグ付けされる。場合によりタグ付けは、別のユーザー、例えば、親または保護者により実行される。例示的な例として、親はデジタル治療アプリケーションにログインし、ユーザーにより収集される画像のライブラリまたはデータベースにアクセスする。親はタグ付けされていない画像をソートし、次いで画像内の人物が表す感情に適したタグを選択する。
【0277】
例示的な例として、カメラとマイクとを備えるコンピューティングデバイスが顔を追跡し、外向きのカメラとマイクを使用してデジタル治療患者の社会的パートナーの感情を分類し、2つの形式のキューをデジタル治療患者にリアルタイムで提供する。このデバイスはまた、周辺モニターとスピーカーとを有する内向きのデジタルディスプレイを有している。デジタル治療患者により相互作用される個人の表現は機械学習分類器を用いて評価され、顔が感情を表していると分類されると、その感情は前記デバイスに入力され、デジタル治療患者に表示またはその他の方法で提示される。
【0278】
場合により、前記デバイスは内向きのカメラ(例えば、「自撮り用」カメラ)も備えており、デジタル治療患者の感情を追跡かつ分類する。社会的パートナーの感情およびデジタル治療患者の感情の追跡と分類は、リアルタイムで同時に、または近い時間間隔(例えば、互いに1、2、3、4、または5秒以内、あるいは他の適切な時間枠内)で実行することができる。代替的に、社会的パートナーおよび/またはデジタル治療患者の画像がキャプチャされ、後の時点(リアルタイムでない)でそれぞれの感情を追跡かつ分類するために評価されてもよい。これにより、患者と標的個人との社会的相互作用を、例えば、両人の表情および/又は感情の組み合わせとしてキャプチャすることができる。場合により、社会的相互作用の当事者の検出された表現および/または感情は、1つ以上の社会的相互作用を構成する表現、感情、または他の相互作用を判定するためにタイムスタンプあるいはその他の方法で順序付けられる。これら社会的相互作用は、患者が社会的互恵性に関わる能力を評価することができる。
【0279】
例示的な例として、患者は自身に笑いかける親に電話を向ける。電話の表示画面は、患者が親の表情に対応する感情を認識するのを補助するためにリアルタイムで笑顔の絵文字を表示する。加えて、表示画面は、患者が親に応答するための命令を任意選択で提供する。患者は親に笑い返さず、内向きのカメラがこの応答を1つ以上の画像または映像でキャプチャする。次いで、画像および/または映像、ならびにタイムラインまたはタイムスタンプ付きの一連の社会的相互作用が前記デバイスに保存される(および任意選択でリモートネットワークまたはクラウドにアップロードあるいは保存される)。この場合、親の笑顔は「笑顔」とラベル付けされ、患者の応答がないことは「応答なし」または「笑顔なし」とラベル付けされる。ゆえに、この特定の社会的相互作用は、笑顔の相互性に関わることができないと判定される。この社会的相互作用は、対象となる個人(親)と患者が「社交辞令的な笑顔」ではなく「真の」笑顔を表したかどうかに基づき、さらに分割することもできる。例えば、「笑顔」または「感情」を検出する本明細書に記載のアルゴリズムおよび分類器は、真の笑顔と社交辞令的な笑顔を区別するよう訓練することができ、これにより、眼筋の真の笑顔への関与および眼筋の社交辞令的な笑顔への関与欠如に対応する視覚的なキューに基づき区別することができる。このような感情または表情のタイプまたはサブタイプの差別化は、ラベル付けした画像、例えば、「社交辞令的な笑顔」対「真の笑顔」でラベル付けした画像の適切なデータセット上でのアルゴリズムまたは分類器の訓練に基づくことができる。
【0280】
いくつかの態様では、本明細書に開示されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、デジタル治療の管理および/または監視を可能にするよう構成されるソフトウェアアプリケーションを備えている。このソフトウェアアプリケーションは、モバイルアプリケーション、ウェブアプリケーション、または他のコンピュータアプリケーションであってもよい。場合によりこのアプリケーションは、対象または対象の保護者が前記デバイスを管理することを可能にするコントロールセンターを提供する。前記デバイスにより、ユーザーは映像、音声、写真、あるいは検出または分類された感情キューなどのキャプチャデータを確認、アップロード、または削除することができる。ユーザーはまた、例えば、データキャプチャ設定(例えば、キャプチャされるデータの種類、その保管期間など)といった環境を入力または構成するために前記デバイスを使用することができる。場合により前記アプリケーションは、画像(例えば、キャプチャ映像の静止画)を取得し、感情キュー分類器を実行し、および/または映像と使用データを保存する。
【0281】
時折、本明細書に開示されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、インタラクティブ特徴を有するデジタル治療を提供する。一実施形態におけるインタラクティブ特徴は、デジタル治療患者が、個人と対話するすべての人物の表情または社会的キューに基づき別の人物の感情を推察するように構成される。いくつかの例では、本明細書に開示されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、映像または音声などのキャプチャデータを削除する選択肢をユーザーに提供する。この選択肢は、家族によるデータ削除を可能にすることにより家族のプライバシーを保持する。使用状況、映像の経年数、映像が保存または削除されたかどうか、介入期間中の使用状況、およびその他関連パラメータなど、補足データのメトリックが取得または算出される場合がある。
【0282】
場合により、前記デバイスは最大15~20FPSのフレームレートで動作し、これにより100ms以内の表情認識が可能になる。前記デバイスは、10FPS~100FPSのフレームレートで動作することができる。前記デバイスは、10FPS~15FPS、10FPS~20FPS、10FPS~25FPS、10FPS~30FPS、10FPS~35FPS、10FPS~40FPS、10FPS~45FPS、10FPS~50FPS、10FPS~60FPS、10FPS~80FPS、10FPS~100FPS、15FPS~20FPS、15FPS~25FPS、15FPS~30FPS、15FPS~35FPS、15FPS~40FPS、15FPS~45FPS、15FPS~50FPS、15FPS~60FPS、15FPS~80FPS、15FPS~100FPS、20FPS~25FPS、20FPS~30FPS、20FPS~35FPS、20FPS~40FPS、20FPS~45FPS、20FPS~50FPS、20FPS~60FPS、20FPS~80FPS、20FPS~100FPS、25FPS~30FPS、25FPS~35FPS、25FPS~40FPS、25FPS~45FPS、25FPS~50FPS、25FPS~60FPS、25FPS~80FPS、25FPS~100FPS、30FPS~35FPS、30FPS~40FPS、30FPS~45FPS、30FPS~50FPS、30FPS~60FPS、30FPS~80FPS、30FPS~100FPS、35FPS~40FPS、35FPS~45FPS、35FPS~50FPS、35FPS~60FPS、35FPS~80FPS、35FPS~100FPS、40FPS~45FPS、40FPS~50FPS、40FPS~60FPS、40FPS~80FPS、40FPS~100FPS、45FPS~50FPS、45FPS~60FPS、45FPS~80FPS、45FPS~100FPS、50FPS~60FPS、50FPS~80FPS、50FPS~100FPS、60FPS~80FPS、60FPS~100FPS、または80FPS~100FPSのフレームレートで動作することができる。前記デバイスは、10FPS、15FPS、20FPS、25FPS、30FPS、35FPS、40FPS、45FPS、50FPS、60FPS、80FPS、または100FPSのフレームレートで動作することができる。前記デバイスは、少なくとも10FPS、15FPS、20FPS、25FPS、30FPS、35FPS、40FPS、45FPS、50FPS、60FPS、または80FPSのフレームレートで動作することができる。前記デバイスは、多くとも15FPS、20FPS、25FPS、30FPS、35FPS、40FPS、45FPS、50FPS、60FPS、80FPS、または100FPSのフレームレートで動作することができる。
【0283】
場合により、前記デバイスは、10ms~200ms以内で表情または動きを検出することができる。前記デバイスは、10ms~20ms、10ms~30ms、10ms~40ms、10ms~50ms、10ms~60ms、10ms~70ms、10ms~80ms、10ms~90ms、10ms~100ms、10ms~150ms、10ms~200ms、20ms~30ms、20ms~40ms、20ms~50ms、20ms~60ms、20ms~70ms、20ms~80ms、20ms~90ms、20ms~100ms、20ms~150ms、20ms~200ms、30ms~40ms、30ms~50ms、30ms~60ms、30ms~70ms、30ms~80ms、30ms~90ms、30ms~100ms、30ms~150ms、30ms~200ms、40ms~50ms、40ms~60ms、40ms~70ms、40ms~80ms、40ms~90ms、40ms~100ms、40ms~150ms、40ms~200ms、50ms~60ms、50ms~70ms、50ms~80ms、50ms~90ms、50ms~100ms、50ms~150ms、50ms~200ms、60ms~70ms、60ms~80ms、60ms~90ms、60ms~100ms、60ms~150ms、60ms~200ms、70ms~80ms、70ms~90ms、70ms~100ms、70ms~150ms、70ms~200ms、80ms~90ms、80ms~100ms、80ms~150ms、80ms~200ms、90ms~100ms、90ms~150ms、90ms~200ms、100ms~150ms、100ms~200ms、または150ms~200ms以内で表情または動きを検出することができる。前記デバイスは、10ms、20ms、30ms、40ms、50ms、60ms、70ms、80ms、90ms、100ms、150ms、または200ms以内で表情または動きを検出することができる。前記デバイスは、少なくとも10ms、20ms、30ms、40ms、50ms、60ms、70ms、80ms、90ms、100ms、または150ms以内で表情または動きを検出することができる。前記デバイスは、多くとも20ms、30ms、40ms、50ms、60ms、70ms、80ms、90ms、100ms、150ms、または200ms以内で表情または動きを検出することができる。
【0284】
本明細書には、感情キューまたは社会的キューを検出するための機械学習フレームワークを提供するプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体を開示する。入力データは、画像および/または映像データ、ならびに任意選択で追加のセンサデータ(例えば、加速度計データ、音声データなど)を含むことができる。この入力データは、感情キューまたは社会的キューを検出あるいは識別する感情検出システムへと提供され、コンピューティングデバイス上のユーザーインターフェースによりリアルタイムなどでユーザーに出力することができる。
【0285】
この感情検出システムは、感情キューまたは社会的キューを識別するよう訓練された人工知能または機械学習モデルを備えている。いくつかの例では、前記システムは、データ、機械学習モデル、または分類器の前処理、および任意選択で出力を処理またはフォーマット化するための追加工程を提供する。出力は、入力を多数の社会的キューまたは感情キューのカテゴリーのうち1つ以上にあるものとして配するために、1つ以上の閾値に対して評価することができる。
【0286】
いくつかの実施形態では、前記機械学習モデルは、回帰モデルとして実装される(例えば、怒りの程度などの社会的キューの程度と相関し得る連続出力を提供する)。代替的にこのモデルは、分類モデルとして実装される(例えば、笑顔またはしかめ面を示すカテゴリー出力が検出される)。いくつかの例では、両タイプのモデルが、検出されるキューのタイプに応じて実装される。
【0287】
いくつかの例では、前記感情検出システムは、プロセス全体が機能するのに必要な特定のタスクを実行するための1つ以上のモジュールを備えている。前記感情検出システムは、1つ以上の画像または映像データに存在する人物の顔を検出および追跡するための顔認識モジュールと、検出された顔を評価して1つ以上の感情キューまたは社会的キューの存在を識別する表現あるいは感情検出モジュールとを備えることができる。任意のオーディオ入力(例えば、ユーザーの話し言葉または言葉による指示)を処理するための音声モジュール、または追加のセンサ入力に対応する他のモジュールなど、追加のモジュールを提供することができる。これらモジュールの様々な組み合わせは、感情検出システムの特定の実装に応じて企図される。
【0288】
顔認識モジュール(3810)および感情検出モジュール(3820)は一体となって、図38に示す非限定的な図に例示されるものなどの一連の工程を実行することができる。先ず、画像および/または音声を含む入力データ(3801)が提供される。顔検出は、入力データ(例えば、ビデオ目録の各画像またはフレームに関する)(3802)上で実行される。この検出は、基準点の顔追跡、または正確な顔検出を行うための他の有用なプロセスを含むことがある。顔は、標準のサイズおよび/または位置もしくは角度に対して標準化ならびに/あるいは登録されてもよい。適用可能な他の画像処理技法として、照明の標準化が挙げられる。次に、勾配特徴抽出のヒストグラムが顔の対象領域に対して生成される(3803)。次いで顔の表情が分類され、社会的キューまたは感情キュー(例えば、笑顔、しかめ面、怒りなど)が検出される(3804)。この分類は、ラベル付けした画像の訓練データセット上で訓練されるロジスティック回帰機械学習モデルを使用して実行することができる。最後に、機械学習モデルの出力は、例えば、移動平均または低域通過時間領域フィルタなどのフィルタリングアルゴリズムを使用してフィルタ処理することができる(3805)。これにより、あまりに多くのキューが画像または映像データから検出されるのを回避することにより経時的に安定状態を維持するリアルタイムの社会的キューまたは感情キューの提供を補助することができる。リアルタイムで感情キューまたは社会的キューを検出するための様々な方法が利用されてもよい。例として、はっきりしない顔の特徴をリアルタイムで推定し、抽出した特徴から減算を行う表情認識用のニュートラルサブトラクション(neutral subtraction)、ビデオ目録などにある複数の画像の分類、およびノイズを緩和するための画像の経時的な平滑化が挙げられる。様々な機械学習モデル、例えば、反復ニューラルネットワークと組み合わせて使用されるフィードフォワード畳み込みニューラルネットワークを使用することができる。この社会的キューまたは感情キューを検出するためフレームワークは、外向きカメラ(例えば、目標の個人)からの入力、および内向きカメラ(例えば、ユーザー)からの入力の両方に実装することができる。加えて、センサデータなどの他の入力データソースを、感情または社会的キューの検出を改善するために分析フレームワークに組み込むことができる。
【0289】
いくつかの実施形態では、前記感情検出システムの様々なモジュールは、多次元機械学習システムを使用して実装される。例えば、畳み込みニューラルネットワークは、ピクセル画像データなどの入力データ、および任意選択で追加の入力データ形式に基づき直接出力を生成することができる。既知の様々な手法により、登録または画像前処理を行うことなく物体認識、分割化、および局在化を行うことができる。加えて、小さなデータセットを使用して微調整された公に利用可能な画像データベース上で事前に訓練したニューラルネットワークを生成することにより少量のラベル付けしたデータが利用可能なときに、感情キューおよび社会的キューを改善するために、転移学習が使用され、次いで少量のデータを持つ感情コンピューティングの領域に適用することができる。
【0290】
いくつかの実施形態では、この感情認識システムは、感情検出を改善するために特定の対象個人に基づき社会的キューまたは感情キューの検出をカスタマイズするように構成される。例えば、前記システムは、同じ個人に属するものとして識別された画像にラベルを付けることができ、この画像は、機械学習モデルの較正を補助するべく標的に特異的なデータセットを提供するために使用される。このラベルは、ユーザー、親または保護者、例えば、正確なラベルまたは該ラベルにある正確な誤りを適用するために患者によりキャプチャされる画像を検討している親により与えられてもよい。したがって、畳み込みニューラルネットワークなどの機械学習モデルは、その特定個体に対する精度を改善するために、層間の重みを調整するように微調整することができる。このため、より多くのデータが収集されるにつれて経時的に精度が向上する可能性がある。
【0291】
前記デジタル治療は、例えば、対象が顔の関与および/または認識などの認知能力を向上させる、または社会的相互作用中にフィードバックを提供するための社会的学習補助を含む場合がある。場合により、本明細書に開示されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、対象または該対象の保護者により行われる調査または質問を含む評価ツールを提供する。この調査は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、90、または100以上の項目、および/あるいはわずか5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、90、または100以上の項目を含む場合がある。これら項目は、複数のドメインにわたり分類することができる。場合により前記項目は、2、3、4、または5つの社会的領域に分類される。これら項目に対する入力または応答は、訓練された評価または診断のモデルあるいは分類器などの本明細書に記載される機械学習アルゴリズムに利用される特徴に対応することができる。場合により、この入力または応答は数値またはスコアを含む。このスコアは、各項目に対して項目を合計することにより生成することができる。閾値未満のスコアは、例えば、自閉症スペクトラム障害などの障害、遅延、または異常を示すまたは示唆するものとして解釈することができる。
【0292】
場合により、本明細書に開示されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、例えば、コミュニケーション、日常生活、社会化、運動機能、および適応行動技能などの様々な領域を測定する評価ツールを提供する。この評価ツールは、対象を監視するために使用することができる。例えば、より大きなスコアは、より大きな適応機能を示すことができる。
【0293】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法またはデバイスは、評価態様およびデジタル治療態様を含み、この評価はデジタル治療とともに、デジタル治療を受けている個人の社会的互恵性を改善する。より具体的には、いくつかの実施形態では、機械学習モデリングを使用した個人に対する評価は、(1)社会的互恵性の改善を必要としており、(2)デジタル治療の使用により社会的互恵性を大幅に改善するであろう個人を選択する。特定個人はデジタル治療との治療的相互作用が可能である一方、例えば、治療上の程度へのデジタル治療との完全な相互作用を妨げる認知障害が原因で特定個人はデジタル治療の恩恵を受けることができないことに注目することが、重要である。本明細書に記載の方法およびデバイスの実施形態は、より高い程度にデジタル治療の恩恵を受けるであろう個人を選択し、それによりデジタル治療はこれら個人にのみ提供される。一方でデジタル治療の恩恵を受けないと判定される個人には他の処置方法が提供される。いくつかの実施形態では、デジタル治療を受けている個人には、例えば、デジタル治療セッション中に個人の認知および/または注意を改善することにより、自身のデジタル治療経験を向上させる治療薬または追加の治療が提供される。
【0294】
このデジタル治療は、対象が社会的学習補助の支援を受けて社会的相互作用に関わる社会的相互作用セッションを含むことができる。いくつかの例では、個人的な処置計画は、1つ以上の社会的相互作用セッションを含む。この社会的相互作用セッションは、例えば、週に少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回予定することができる。個人的な処置計画の一部として実施されるデジタル治療は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、または10週間以上続けられるようにプログラムすることができる。
【0295】
いくつかの例では、前記デジタル治療は人工知能を使用して実施される。例えば、ウェアラブルデバイスなどの人工知能駆動式コンピューティングデバイスが、行動的、神経学的、または精神的な健康状態または障害のある子供への社会的結果を改善する行動介入を提供するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、個人的な処置計画は、例えば、治療が進行中の対象から捕捉したフィードバックおよび/または追加の関連情報(例えば、自閉症評価の結果)に基づき治療を動的に更新または再構成することにより適応される。
【0296】
図1Aと1Bは、本明細書に記載されるような評価手順を使用して評価可能な一部の発達障害を示す図である。この評価手順は、2つ以上の関連する発達障害などの1つ以上の発達障害がある対象のリスクを評価するように構成することができる。発達障害は、対象の症状または特徴において少なくとも一部の重なりを有する場合がある。このような発達障害として、広汎性発達障害(PDD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、社会コミュニケーション障害、制限反復的行動・関心・活動(RRB)、自閉症(「古典的自閉症」)、アスペルガー症候群(「高機能自閉症」)、特定不能のPDD(PDD-NOS、「非定型自閉症」)、注意欠陥および多動性障害(ADHD)、発話および言語の遅延、強迫性障害(OCD)、知的障害、学習障害、または精神障害の診断と統計マニュアルの全版に規定される障害などの他の関連発達障害(DSM)が挙げられる場合がある。この評価手順は、対象が複数の障害それぞれを抱えるリスクを求めるように構成されてもよい。前記評価手順は、対象は複数の障害のうちの第1の障害または第2の障害のリスクが高いと判定するように構成されてもよい。前記評価手順は、対象は併存疾患を伴う第1の障害および第2の障害のリスクがあると判定するように構成されてもよい。前記評価手順は、対象の発達が正常である、または手順がスクリーニングするよう構成される障害のいずれかを抱えるリスクが低いと予測するように構成されてもよい前記評価手順はさらに、障害の異なる重症度評価を区別するように高い感度と特異性を有するように構成されてもよい。例えば、この手順は、対象のDSM第5版(DSM-V)に規定されるようなレベル1ASD、レベル2ASD、またはレベル3ASDを抱えるリスクを予測するように構成されてもよい。
【0297】
多くの発達障害には、同様のまたは重複する症状がある可能性があるため、対象の発達障害の評価が複雑になる。本明細書に記載の評価手順は、1つ以上の発達障害に関連し得る対象の複数の特徴を評価するように構成することができる。この手順は、対象の特徴と1つ以上の発達障害の臨床診断との統計的関係を学習するように大規模な臨床的に検証したデータのセットを使用して訓練された評価モデルを含むことができる。このため、対象が評価手順に参加すると、評価された各特徴に関する対象の特徴値(例えば、対象の質問への回答)は、スクリーニングされた1つ以上の発達障害に対する対象の特徴値の統計的相関を識別するために評価モデルに対して照会される場合がある。前記対象により提供される特徴値、およびその値と評価モデルにより求められる1つ以上の発達障害の予測リスクとの関係に基づき、評価手順は対象における評価対象の次の特徴の選択を動的に調整することができる。評価対象の次の特徴の選択は、対象にはスクリーニングされる複数の障害のうち特定の障害に関するリスクがあるという判定に基づき、次の最も予測的な特徴の識別を含む場合がある。例えば、対象が評価手順の最初の5つの質問に回答した後、評価モデルが対象において低リスクの自閉症、および比較的高リスクのADHDを予測する場合、前記評価手順は、対象において次に評価されるADHDとの関連性が高い特徴を選択することができる(例えば、回答がADHDの臨床診断と大いに相関している質問を次に対象に提示することができる)。ゆえに、本明細書に記載の評価手順は、特定の対象のリスクプロファイルに対し動的に調整することができ、高レベルの粒度による対象の障害の評価を可能にする。
【0298】
図2は、本明細書に記載されるような評価手順を提供するためのデータ処理モジュール(100)の概略図である。データ処理モジュール(100)は概して、前処理モジュール(105)と、訓練モジュール(110)と、予測モジュール(120)とを備える。前記データ処理モジュールは、データベースから訓練データ(150)を抽出する、またはユーザーインターフェース(130)を用いて新たなデータ(155)を取り込むことができる。前記前処理モジュールは、訓練データ、あるいは訓練モジュールまたは予測モジュール用の新たなデータを標準化するために1つ以上の変換を適用することができる。前処理された訓練データは前記訓練モジュールへと渡すことができ、これにより訓練データに基づき評価モデル(160)を構築することができる。この訓練モジュールは、適切な検証アルゴリズム(例えば、層化K分割交差検証)を使用して訓練された評価モデルを検証するように構成される検証モジュール(115)をさらに備えてもよい。前処理された新たなデータは前記予測モジュールに渡すことができ、これにより新たなデータを訓練モジュールに構築された評価モデルに適合させることにより対象の発達障害の予測(170)を出力することができる。前記予測モジュールは、以前に提供された対象の特徴値に基づき前記対象における評価されるべき次の特徴を選択または推奨するように構成される特徴推奨モジュール(125)をさらに備えてもよい。
【0299】
前記評価モデルを構築するために前記訓練モジュールにより使用される訓練データ(150)は、それぞれが特徴および対応する特徴値のアレイを含む複数の対象から得た複数のデータセット、および対象の発達障害または疾病の分類を含むことができる。本明細書に記載されるように、前記特徴は、対象に尋ねられる質問、対象の観察、または構造化された対象との相互作用のうちの1つ以上により対象において評価することができる。特徴値は、例えば、質問に対する回答、ビデオ画像に基づく特徴化などの対象の観察、または構造化された相互作用に対する対象の応答のうち1つ以上を含むことがある。各特徴は、1つ以上の発達障害または疾病の識別に関連する場合があり、対応する各特徴値は、特定の対象における特徴の存在の程度を示すことができる。例えば、特徴は対象が創作遊びまたはごっこ遊びに従事する能力であり、特定の対象の特徴値は、0、1、2、3、または8のいずれかのスコアであり、各スコアは、対象における特徴の存在の程度に相当する(例えば、0=様々なごっこ遊び、1=一部のごっこ遊び、2=時折のごっこ遊びまたは高度に反復的なごっこ遊び、3=ごっこ遊びなし、8=適用されず)。前記特徴は、対象または親などの世話人に提示される質問により対象において評価することができ、この質問に対する回答は特徴値を含む。代替的にまたは組み合わせて、前記特徴は、例えば、ある行動に従事する対象の映像を用いて対象において観察することができ、前記特徴値はこの観察により識別することができる。特徴と対応する特徴値の配列に加えて、訓練データ内の対象の各データセットは、該対象の分類も含んでいる。例えば、この分類は、自閉症、自閉症スペクトラム障害(ASD)、または非スペクトルの場合がある。好ましくは前記分類は、生成された評価モデルの予測精度を改善するために、認可された臨床心理学者などの有資格者により割り当てられる臨床診断を含む。訓練データは、Autism Genetic Resource Exchange(AGRE)から入手可能なAutisty Diagnostic Interview-Revised(ADI-R)データおよび/またはAutism Diagnostic Observation Schedule(ADOS)などの大型データリポジトリから入手可能なデータセット、あるいは他の適切なデータリポジトリ(例えば、Boston Autism Consortium(AC)、Simons Foundation、National Database for Autism Researchなど)から利用可能なデータセットを含む場合がある。代替的にまたは組み合わせにおいて、前記訓練データは、(例えば、ウェブサイト、モバイルアプリケーションなどを介して)ユーザーからクラウドソースすることが可能な大型自己報告データセットを含む場合がある。
【0300】
前処理モジュール(105)は、例えば、抽出した訓練データに1つ以上の変換を適用し、データをクリーニングかつ正規化するように構成することができる。前記前処理モジュールは、疑似メタデータを包含するまたはごくわずかな観測値しか包含しない特徴を破棄するように構成することができる。前記前処理モジュールはさらに、特徴値の符号化を標準化するよう構成することができる。データセットのソースに応じて、様々なデータセットがしばしば様々な方法で符号化される同じ特徴値を有する場合がある。例えば、「900」、「900.0」、「904」、「904.0」、「-1」、「-1.0」、「なし(None)」、および「NaN」はすべて、「欠落している」特徴値を符号化することができる。前記前処理モジュールは、同じ特徴値に対する符号化変数を認識してデータセットを標準化し、所与の特徴値に対する均一な符号化を有するように構成することができる。このように前記前処理モジュールは、訓練および予測モジュールに関する入力データの不規則性を低減することで、訓練および予測モジュールのロバスト性を改善することができる。
【0301】
データを標準化することに加えて、前記前処理モジュールは、特定の特徴値を異なるデータ表現へと再び符号化するように構成することもできる。いくつかの例では、データセット内の特徴値の元のデータ表現は、評価モデルの構築に理想的ではない場合がある。例えば、対応する特徴値が1~9の整数として符号化されるカテゴリー的特徴について、各整数値には、他の値とは独立した異なる意味的内容があってもよい。例えば、「1」の値と「9」の値はともに特定の分類と大きく相関する場合があるが、「5」の値はそうではない。特徴値が整数自体として符号化される特徴値の元のデータ表現は、各値の固有の意味的内容を補足することができない場合がある。理由として前記値が線形モデルで表されるからである(例えば、「5」の回答は、特徴が単独で考慮されるときに「1」と「9」の間に対象を公平に配する。しかし、前述の「1」と「9」が所与の分類と大きく相関するが「5」はそうではない場合において、解釈は不正確となる)。各特徴値の意味的内容が評価モデルの構築において捕捉されるのを確実にするために、前記前処理モジュールは、例えば、「ワンホット」様式でカテゴリー特徴に相当する特徴値などの特定の特徴値を再び符号化する命令を含むことができる。「ワンホット」表現では、特徴値は、特徴に対して可能な値の数に相当するビット数である0または1の値を有するビットのアレイとして表することができる。対象に対する特徴値のみを「1」として表すことができ、他の値はすべて「0」として表される。例えば、起こり得る回答が1~9の整数を含む質問に対し対象が「4」と回答した場合、元のデータ表現は[4]であり、ワンホット表現は[000100000]である場合がある。このような特徴値のワンホット表現は、このような表現が必要である場合に、すべての値が他の候補となる値とは別に考慮されることを可能にすることができる。このように、各特徴の最も適切なデータ表現を使用して訓練データを再び符号化することにより、前記前処理モジュールは訓練データを使用して構築される評価モデルの精度を改善することができる。
【0302】
前記前処理モジュールはさらに、ダウンストリームモジュールがデータを正確に処理できるように欠損データ値を代入するよう構成することができる。例えば、訓練モジュールに提供される訓練データセットが、複数の質問のうち1つに対する回答を欠くデータを含む場合、前記前処理モジュールは欠損値を提供することができ、これにより前記データセットを訓練モジュールにより正確に処理することができる。同様に、予測モジュールに提供される新たなデータセットが1つ以上の特徴値を欠いている(例えば、照会されるデータセットが、尋ねられる一連の質問の最初の質問に対する回答のみを含む)場合、前記前処理モジュールは、予測モジュールによるデータセットの正確な処理を可能にするように欠損値を提供することができる。カテゴリー特徴値(例えば、対象における特定行動の表示の程度)を有する特徴について、欠損値は、そのように特異的に指定される適切なデータ表現として提供することができる。例えば、カテゴリー特徴が本明細書に記載されるようにワンホット表現で符号化される場合、前記前処理モジュールは、欠損しているカテゴリー特徴値を「0」ビットのアレイとして符号化することができる。連続する特徴値(例えば、対象の年齢)を有する特徴について、欠損値(例えば、4歳)の代わりに候補となる値すべての平均を提供することができる。
【0303】
訓練モジュール(110)は、例えば、評価手順に使用される評価モデルを構築および訓練するために機械学習アルゴリズムまたは他のアルゴリズムを利用することができる。評価モデルは、訓練データに基づき、評価手順によりスクリーニングされる所与の特徴値と特定の発達障害との統計的関係を捕捉するように構成することができる。前記評価モデルは、例えば、複数の臨床的特徴と1つ以上の発達障害の臨床診断との統計的相関を含む場合がある。所与の特徴値は、評価手順で評価されるべき複数の発達障害それぞれを分類するために異なる予測的有用性を有する場合がある。例えば、対象が創作遊びまたはごっこ遊びに従事する能力を含む上記特徴の例では、「3」または「様々なごっこ遊びなし(no variety of predent play)」の特徴値は自閉症を分類するために高い予測有用性を有するが、ADHDを分類するためには低い予測有用性を有する。したがって、各特徴値について、評価手順によりスクリーニングされる複数の発達障害それぞれを予測するための特定の特徴値の確率を記述する確率分布が、抽出される場合がある機械学習アルゴリズムは、訓練データからこれら統計的関係を抽出し、1つ以上の特徴値を含むデータセットがモデルに適合するときに発達障害の正確な予測を提供可能な評価モデルを構築するために使用することができる。
【0304】
1つ以上の機械学習アルゴリズムは、ともに特徴間の相互作用を推測する利点を有する場合がある特徴選択および/またはグラフィカルモデルを段階的に後方へ展開するサポートベクトルマシンなどの評価モデルを構築するために、使用される場合がある。例えば、交互決定木(ADTree)、決定株、機能木(FT)、ロジスティックモデルツリー(LMT)、ロジスティック回帰、ランダムフォレスト、線形分類器、または当該技術分野で公知のあらゆる機械学習アルゴリズムもしくは統計的アルゴリズムなどの機械学習アルゴリズムあるい他の統計アルゴリズムが使用されてもよい。アンサンブル法を生成するために1つ以上のアルゴリズムが一緒に使用されてもよい。このアンサンブル法は、バイアスおよび/または分散を低減するためにブースティング(例えば、AdaBoost、LPBoost、TotalBoost、BrownBoost、MadaBoost、LogitBoostなど)などの機械学習アンサンブルメタデータを用いて最適化することができる。評価モデルが訓練データから導出されると、このモデルは、対象が1つ以上の発達障害を抱えるリスクを評価するための予測ツールとして使用することができる。機械学習分析は、R、Weka、Python、および/またはMatlabなどの当技術分野で公知の多くのプログラミング言語およびプラットフォームのうちの1つ以上を使用して実行することができる。
【0305】
ランダムフォレスト分類器は、概して出力予測が個々の木の予測分類モードである複数の決定木を含むものであり、訓練データへの過剰適合を低減するのに有用な場合がある。決定木のアンサンブルは、各分割ノードまたは決定ノードにおいてランダムな特徴サブセットを使用して構築することができる。Gini基準は最良の分割を選択するために利用することができ、ここでは算出されたGini不純物指数が最も低い決定ノードが選択される。予測時に、決定木のすべてに対して「投票」を行うことができ、多数決(または予測分類モード)が予測分類として出力される場合がある。
【0306】
図3は、ランダムフォレスト分類器に基づく評価モデル(160)の一部を例示する概略図である。評価モジュールは、決定木(165a)および(165b)などの複数の個々の決定木(165)を備えていてもよく、その各々は訓練データにおけるランダムな特徴サブセットを使用して独立して生成することができる。各決定木は、図3に示される決定ノード(166)および(167)などの1つ以上の決定ノードを含むことができ、各決定ノードは述語条件を指定する。例えば、決定ノード(16)は、個人の所与のデータセットについて、質問#86(異常を最初に認める年齢)に対する回答が4以下であるという条件を含意する。決定ノード(167)は、所与のデータセットについて、質問#52(表示および方向の注意)に対する回答が8以下であるという条件を含意する。各決定ノードにおいて、決定ツリーは、決定ノードに付随する述語条件が真であるかどうかに基づいて分割され、予測ノード(例えば、(166a)、(166b)、(167a)、(167b))へと通じることができる。各予測ノードは、評価モデルにより評価されている分類または条件の1つ以上に対する「投票」を表す出力値(図2の「値」)を含むことができる。例えば、図3に示される予測ノードでは、出力値は、自閉症があるまたは非スペクトラムであると分類される個人の投票を含む。予測ノードは、下流にある1つ以上の追加の決定ノード(図3には示されない)へと通じることができ、各決定ノードは、対応する出力値を有する対応する予測ノードに関連付けられる決定木においてさらなる分割を生じさせる。Gini不純物は、各決定木における分割を構築可能であることに基づき有益な特徴を見出すための基準として使用することができる。評価モデルは、障害または疾病の存在について対象を検出または評価するように構成することができる。場合により、障害または疾病のある対象がデジタル治療、例えば、社会的互恵性を促すように構成されるデジタル治療によって改善されるかどうかを求めるように構成される。
【0307】
評価モデルにおいて照会されているデータセットが、「葉(leaf)」、またはさらに下流の分割がない最終予測ノードに到達すると、葉の出力値は特定の決定木の投票として出力することができる。ランダムフォレストモデルは複数の決定木を含むため、このフォレスト内すべての木にわたる最終投票は、対象の最終投票および対応する分類をもたらすために合計することができる。図3には2つの決定木しか示されていないが、モデルは任意数の決定木を含むことができる。多数の決定木は、個々の決定木それぞれの分散を低減することにより、評価モデルの訓練データへの過剰適合を低減するのに役立つ場合がある。例えば、前記評価モデルは、少なくとも約10の決定木、例えば、少なくとも約100以上の個々の決定木を含むことができる。
【0308】
線形分類器のアンサンブルも、本明細書に記載されるような評価モデルの導出に適している場合がある。各線形分類器は、「切片項」なしに確率的勾配降下法により個々に訓練することができる。切片項がない場合、分類器が特徴値の欠損から有意性を導出できなくなる可能性がある。例えば、対象が質問に回答しなかったため、その質問に対応する特徴値が対象のデータセット内の「0」ビットのアレイとして表される場合、切片項なしに訓練された線形分類器は、「0」ビットのアレイに有意性を帰することはない。それにより結果として生じる評価モデルは、対象が回答した特徴または質問の選択と、モデルが決定した対象の最終分類との相関関係を確立することを回避する場合がある。このようなアルゴリズムは、特徴または質問ではなく対象が提供する特徴値または回答のみが対象の最終分類へと確実に因数分解されるのを助けることができる。
【0309】
前記訓練モジュールは特徴選択を含む場合がある。特定の発達障害のある個体と発達障害のない個体とを区別可能な特徴を選択するために、1つ以上の特徴選択アルゴリズム(サポートベクトルマシン、畳み込みニューラルネットなど)が使用されてもよい。様々な組の特徴が、様々な障害の識別に関連するものとして選択されてもよい。段階的後方アルゴリズム(Stepwise backwards algorithm)が他のアルゴリズムとともに使用されてもよい。特徴選択手順は、最適数の特徴の決定を含む場合がある。
【0310】
前記訓練モジュールは、導出された評価モデルのパフォーマンスを評価するように構成することができる。例えば、データを分類する際のモデルの精度、感度、および特異度を評価することができる。この評価は、適切な機械学習アルゴリズムまたはそのパラメータを選択する際の指針として使用することができる。このため、前記訓練モジュールは、感度(真陽性率)に対して特異度(真陰性率)を最大化するために、導出された評価モデルを更新および/または改良することができる。このような最適化は、訓練データに分類の不均衡またはサンプルバイアスが存在する場合に特に有用な場合がある。
【0311】
少なくとも一部の例では、利用可能な訓練データは、特定の発達障害と診断された個人に偏っている可能性がある。このような例では、前記訓練データはそのサンプルバイアスを反映する評価モデルを生成する場合があり、その場合にこのモデルは、他に行われるべき強力な症例が存在するまで対象は特定の発達障害の危険があると仮定する。このような特定のサンプルバイアスを組み込む評価モデルには、新たなデータまたは未分類のデータの予測を生成する際に理想的なパフォーマンスがほとんどない可能性がある。その理由として、新たなデータは、訓練データに存在するものと同様のサンプルバイアスを含まない場合がある対象集団から引き出されることがあるからである。偏った訓練データを使用して評価モデルを構築する際のサンプルバイアスを低減するために、サンプルの重み付けが、評価モデルを訓練する際に適用されてもよい。サンプルの重み付けは、モデル訓練プロセス中に特定のサンプルセットに比較的大きな程度の有意性を与えることを含む場合がある。例えば、モデル訓練中に、訓練データが自閉症と診断された個人に偏っている場合、より高い有意性が、自閉症と診断されていない個人のデータに起因する場合がある(例えば、自閉症と診断された個人よりも最大50倍大きな有意性)。このようなサンプル重み付け技法は、訓練データに存在するサンプルバイアスを実質的な平衡化することができ、それによりバイアスを低減し、実世界でデータを分類する際の精度が改善された評価モデルを生成することができる。訓練データのサンプルバイアスによる評価モデルの生成への寄与をさらに低減するために、ブースティング技法が訓練プロセス中に実施されてもよい。ブースティングは反復プロセスを含み、訓練を1回反復した後、各サンプルデータ点の重み付けが更新される。例えば、反復後に誤って分類されるサンプルは、より高い有意性をもって更新することができる。次いで訓練プロセスは、訓練データに関する更新された重み付けにより繰り返すことができる。
【0312】
訓練モジュールはさらに、訓練データを使用して構築される評価モデルを検証するように構成される検証モジュール(115)をさらに備えてもよい。例えば、検証モジュールは、階層化されたK分割交差検証を実施するように構成することができ、ここでkは、訓練データが交差検証のために分割される区画の数を表す。例えば、kは、評価モデルの訓練データへの過剰適合のリスクに応じて3、4、5、6、7、8、9、10、または候補としてそれらを超える数など、1を超える任意の整数であってもよい。
【0313】
前記訓練モジュールは、訓練された評価モデルをローカルメモリおよび/またはリモートサーバーに保存するように構成されてもよく、そうすることで評価モデルは、訓練モジュールによる修飾、または予測モジュール(120)による予測生成を検索される場合がある。
【0314】
図4は、本明細書に記載されるような予測モジュール(120)の方法の動作フロー(400)の図である。予測モジュール(120)は、新たなデータを訓練モジュール内で構築された評価モデルに適合させることにより、所与の対象の予測分類(例えば、発達障害)を生成するように構成することができる。工程(405)において予測モジュールは、本明細書に記載されるように、例えば、偽のメタデータを削除し、特徴値の均一な符号化を適用し、異なるデータ表現を使用して選択特徴を再び符号化し、および/または欠損データ点を代入することによりデータを標準化するために前処理モジュールにより処理された可能性のある、新たなデータを受け取ることができる。この新たなデータは、特定の対象に関する特徴のアレイおよび対応する特徴値を含む場合がある。本明細書に記載されるように、前記特徴は、対象に提示される複数の質問、対象の観察、または対象に割り当てられるタスクを含む場合がある。前記特徴値は、尋ねられた質問に対する対象の回答、または対象の応答など、対象の特性に対応する対象の入力データを含む場合がある。予測モジュールに提供される新たなデータは、データに関連付けられる既知の分類または診断を有する、または有していない場合がある。いずれにしろ前記予測モジュールは、対象に関する予測分類を生成する際に事前に割り当てられた分類情報を使用しなくてもよい。前記新たなデータは、複数の発達障害のうちの1つ以上を抱えるリスクについて診断または評価される対象に関する、先に収集された完全なデータセットを含んでもよい。代替的にまたは組み合わせにおいて、新たなデータは、例えば、本明細書で詳述されるようなユーザーインターフェースにより対象またはその世話人からリアルタイムで集めたデータを含んでもよく、そうすることで、対象により提供される新たな特徴値それぞれが評価モデルに対して連続的に照会されると、完全なデータセットを入力する(populated)ことができる。
【0315】
工程(410)において予測モジュールは、訓練モジュールにより構築される以前に保存された評価モデルを、モデルを記憶するように構成されるローカルメモリおよび/またはリモートサーバーからロードすることができる。工程(415)において、新たなデータは、対象の予測分類を生成するために評価モデルに適合される。工程(420)において前記モジュールは、データの適合が、閾値を超える信頼区間内、例えば、90%以上、例えば、95%以上の信頼区間内で1つ以上の特定の障害(例えば、自閉症、ADHDなど)の予測を生成できるかどうかを確認することができる。生成可能な場合、工程(425)に示すように予測モジュールは、対象の診断として、または対象がその危険にある障害として、1つ以上の発達障害を出力することができる。前記予測モジュールは、対象が設定閾値を超える危険にあると判定される複数の発達障害を出力し、任意選択で複数の障害をリスクの順に提示することができる。前記予測モジュールは、対象のリスクが最大であると判定される1つの発達障害を出力することができる。前記予測モジュールは、対象に併存疾患のリスクがあると判定される2つ以上の発達障害を出力することができる。前記予測モジュールは、評価モデル内の1つ以上の発達障害それぞれについて求められたリスクを出力することができる。前記予測モジュールが指定閾値以上の信頼区間内で特定の発達障害にデータを適合させることができない場合、予測モジュールは工程(430)において、照会可能な追加の特徴が存在するかどうかを判断することができる。新たなデータが以前に収集された完全なデータセットを含み、対象が追加の特徴値を照会することができない場合、工程(440)に示すように予測分類として「診断なし」を出力することができる。新たなデータが予測プロセス中に対象または世話人からリアルタイムで集めたデータを含み、そのためデータセットが予測モジュールに提供される新たな入力データ値それぞれにより更新され、更新されたデータセットがそれぞれ評価モデルに適合される場合、予測モジュールは追加の特徴値を対象に照会することができる。予測モジュールは、評価モジュールに含まれるすべての特徴に関するデータを既に取得している場合、工程(440)に示されるように対象の予測分類として「診断なし」を出力することができる。工程(435)に示されるように、対象にまだ提示されていない特徴がある場合、予測モジュールは、例えば、対象に追加の質問を提示することにより対象から追加の入力データ値を取得することができる。次いで、追加の入力データを含む更新されたデータセットは評価モデルに再び適合され(工程(415))、予測モジュールが出力を生成可能となるまでループを継続することができる。
【0316】
図5は、非限定的な例として本明細書に記載されるような特徴推奨モジュール(125)の動作フロー(500)の図である。前記予測モジュールは、以前に提供された対象の特徴値に基づき前記対象における評価されるべき次の最も予測的または関連する特徴を識別、選択、または推奨するように構成される特徴推奨モジュール(125)を備えてもよい。例えば、特徴推奨モジュールは質問推奨モジュールであってもよく、このモジュールは、以前に提示された質問に対する回答に基づき対象または世話人に提示される次の最も予測的な質問を選択することができる。この特徴推奨モジュールは、特定の対象の発達障害を分類する際に予測的有用性が最も高い1つ以上の次の質問または特徴を推奨するように構成することができる。このため、前記特徴推奨モジュールは、対象に対する評価手順を動的に調整するのを補助して、評価時間が短縮され、感度と精度が改善された予測を予測モジュールが生成するのを可能にすることができる。さらに前記特徴推奨モジュールは、対象により先に提供された特徴値に基づき、特定の対象が抱える可能性が最も高い1つ以上の特定の発達障害を予測する際に最も関連性がある対象に提示される特徴を選択することによって、予測モジュールにより生成される最終予測の特異度の改善を補助することができる。
【0317】
工程(505)において特徴推奨モジュールは、評価手順において対象から既に取得したデータを入力として受け取ることができる。この入力対象データは、対象により提供される特徴のアレイおよび対応する特徴値を含む場合がある。工程(510)において特徴推奨モジュールは、対照、世話人、または臨床医のうちの一人以上に提示される次の特徴の推奨のために「候補特徴」として考慮される1つ以上の特徴を選択することができる。既に提示されている特徴は、考慮されるべき候補特徴の群から除外することができる。任意選択で、ある基準を満たす追加の特徴も、本明細書で詳述されるように候補特徴の群から除外されてもよい。
【0318】
工程(515)において特徴推奨モジュールは、各候補特徴の「予想特徴重要度」を評価することができる。前記候補特徴は、特定の対象に対して特定の発達障害を予測する際にその「予想特徴重要度」、または各候補特徴の推計された有用性を評価される場合がある。前記特徴推奨モジュールは、(1)特定の発達障害を予測する際の特定の特徴値の重要度または関連性、および(2)対象が特定の特徴値を提供可能な確率に基づき、アルゴリズムを利用することができる。例えば、質問B5に対する回答「3」が自閉症の分類と大いに相関される場合、この回答は自閉症を予測するための有用性が高い特徴値と考慮することができる。対象において前記質問B5に対し「3」と回答する可能性が高い場合、前記特徴推奨モジュールは、この質問の予想特徴重要度は高いと判定することができる。予想特徴重要度を求めるために使用可能なアルゴリズムは、例えば、図6を参照して詳述される。
【0319】
工程(520)において前記特徴推奨モジュールは、工程(515)で求められるような特徴の予想特徴重要度に基づき、次に対象へ提示される1つ以上の候補特徴を選択することができる。例えば、各候補特徴の予想特徴重要度はスコアまたは実数として表すことができ、これらは次いで、他の候補特徴と比較してランク付けすることができる。所望のランク、例えば、10位、5位、3位、2位、または最高ランクを有する候補特徴は、次に対象へ提示される特徴として選択することができる。
【0320】
図6は、本明細書に記載の特徴推奨モジュール(125)により実行されるような予想特徴重要度決定アルゴリズム(127)を求める方法の動作フロー(600)の図である。
【0321】
工程(605)において前記アルゴリズムは、特定の発達障害を予測する際に特定の特徴値の重要度または関連性を求めることができる。特定の発達障害を予測する際の特定の特徴値の重要度または関連性は、訓練データを使用して構築される評価モデルから導出することができる。このような「特徴値重要度」は、対象の最終分類を求める際に、所与の特徴値の役割が存在するか否かにかかわらずどの程度関連性があるかについての尺度として概念化することができる。例えば、評価モデルがランダムフォレスト分類器を含む場合、特定の特徴値の重要度は、その特徴がランダムフォレスト分類器の枝内に位置決めされる場所に応じる可能性がある。一般的に、決定木の特徴の平均位置が比較的高い場合、特徴の特徴重要度は比較的高い可能性がある。特徴値の重要度は、特定の評価モデルを考慮して、特徴推奨モジュールまたは訓練モジュールのいずれかにより効率的に算出可能であり、前記訓練モジュールは算出した統計を前記特徴推奨モジュールに渡すことができる。代替的に、特定の特徴値の重要度は、前記特徴値が対象により提供された場合に結果として生じるであろう実際の予測信頼度に応じる可能性がある。所与の候補特徴に対して起こり得る特徴値それぞれに対し、前記特徴推奨モジュールは、対象の以前に提供された特徴値および現在仮定されている特徴値に基づき、1つ以上の発達障害を予測するための実際の予測信頼度を算出するように構成することができる。
【0322】
各特徴値には、評価手順がスクリーニングを行うように設計される各発達障害に対し異なる重要度があってもよい。したがって、各特徴値の重要度は、評価される複数の発達障害それぞれについて正確な予測をもたらす特徴値の確率を記述する確率分布として表すことができる。
【0323】
工程(610)において前記特徴推奨モジュールは、対象が各特徴値を提供する確率を求めることができる。対象が特定の特徴値を提供可能な確率は、任意の適切な統計モデルを使用して計算することができる。例えば、大きな確率的グラフィカルモデルが、次のような式の値を見出すために使用されてもよい:
prob(E=1|A=1,B=2,C=1)
式中、A、B、およびCは予測モジュール中の様々な特徴または質問を表し、整数1および2は、特徴の様々な起こり得る特徴値(または質問に対して起こり得る回答)を表す。次いで、対象が特定の特徴値を提供する確率は、ベイズ規則を使用して、次のような式で計算することができる:
prob(E=1|A=1,B=2,C=1)=prob(E=1,A=1,B=2,C=1)/prob(A=1,B=2,C=1)
このような式は、計算時間と必要な処理リソース両方の観点から、計算上高くつく可能性がある。代替的にまたはベイズの規則を用いた確率の明示的な計算と組み合わせて、ロジスティック回帰または他の統計的推定値が使用されてもよく、この確率は機械学習アルゴリズムから導出したパラメータを使用して推計される。例えば、対象が特定の特徴値を提供可能な確率を推定するために、以下の式を使用することができる:
prob(E=1|A=1,B=2,C=1)≒シグモイド(a1A+a2B+a3C+a4)
式中、a1、a2、a3、およびa4は、訓練された評価モデルから求められる一定の係数であり、この式を最大限に正確にしようと試みる最適化アルゴリズムを用いて学習され、シグモイドは、この式を確率へと変えることができる非線形関数である。このようなアルゴリズムは迅速に訓練することができ、結果として得られる式は、例えば、評価手順の実施中にアプリケーション内で迅速に計算することができる。4つの係数が参照されるが、当業者によって認識されるものと同じ程度の数の有用な係数が使用されてもよい。
【0324】
工程(615)において各特徴値の予想重要度は、工程(605)と(610)で計算されるメトリックの組み合わせに基づき求めることができる。これら2つの因子に基づき、前記特徴推奨モジュールは、特定の発達障害を予測する際に特定の特徴値の予想有用性を求めることができる。本明細書では、乗算を介して予想重要度の判定を参照するが、予想重要度は、例えば、ルックアップテーブル、ロジック、または除算などの多くの方法で係数およびパラメータを組み合わせることにより求めることができる。
【0325】
工程(620)において、工程(605)~(615)は、各候補特徴の起こり得るすべての特徴値に対して繰り返すことができる。例えば、特定の質問に4つの起こり得る回答がある場合、4つの起こり得る回答それぞれの予想重要度が決定される。
【0326】
工程(625)において、各候補特徴の合計予想重要度または予想特徴重要度を決定することができる。各特徴の予想特徴重要度は、工程(620)で求められるように、特徴の起こり得るすべての特徴値の特徴値重要度を合計することにより求めることができる。このように所与の特徴の起こり得るすべての特徴値にわたり予想された有用性を合計することにより、特徴推奨モジュールは、以前の回答に応じて特定の発達障害を予測するために、特徴の合計予想特徴重要度を求めることができる。
【0327】
工程(630)では、工程(605)~(625)は、特徴推奨モジュールにより考慮されるすべての候補特徴について繰り返すことができる。この候補特徴は、質問などの起こり得る特徴のサブセットを含むことができる。このように、すべての候補特徴に対する予想特徴重要度スコアが生成され、候補特徴は予想特徴重要度が最高のものから最低のものまで順にランク付けすることができる。
【0328】
任意選択的に、工程(605)および(610)で求められる2つの因子に加えて、第3の因子も、各特徴値の重要度を求める際に考慮されてもよい。対象の以前に提供された特徴値に基づき、複数の発達障害のうちの1つ以上を抱える対象の確率を求めることができる。このような確率は、評価モデルに記憶される確率分布に基づき決定することができ、この確率分布は、対象により提供される特徴値に基づき対象が複数のスクリーニングされた発達障害それぞれを抱える確率を示す。対象に提示される次の特徴を選択する際に、前記アルゴリズムは、対象が将来的に抱える可能性が最も高い1つ以上の発達障害を予測するのに最も重要または関連性のある特徴値に、より大きな重みを与えるように構成することができる。例えば、対象が以前に提供した特徴値が、評価されている他の発達障害のいずれかよりも知的障害または発話および言語の遅延のいずれかを対象が抱える可能性が高いことを示す場合、特徴推奨モジュールは、自閉症、ADHD、または評価がスクリーニングを行うように設計される他の発達障害を予測するための重要度が高い特徴ではなく、知的障害または発話および言語の遅延のいずれかを予測するための重要度が高い特徴値を優先することができる。このように特徴推奨モジュールは、予測モジュールにより、より高い粒度および信頼度をもって最終分類をもたらすために対象の起こり得る発達障害に関連するより多くの特徴を将来的に提示する対象に対して予測プロセスを調整できるようにすることができる。
【0329】
上記工程は予想特徴重要度決定アルゴリズム(127)の動作フロー(600)を示すものであるが、当業者は、本明細書に記載の教示に基づき多くの変形を認識するであろう。この工程は異なる順序で完遂されてもよい。工程は追加または削除されてもよい。工程の一部は、他の工程のサブ工程を含んでもよい。工程の多くは、ユーザーにより所望される回数だけ繰り返すことができる。
【0330】
ここで、特徴推奨モジュールの非限定的な実装が記述される。対象Xは、評価手順において質問(特徴)A、B、およびCに対する回答(特徴値)を提供している:
対象X={‘A’:1,‘B’:2,‘C’:1}
特徴推奨モジュールは、最終分類または診断に到達可能な予測信頼度を最大限に高めるために、次に質問Dまたは質問Eを提示すべきかを求めることができる。対象Xの以前の回答を考慮して、特徴推奨モジュールは、次のように対象Xが質問DおよびEに対しそれぞれ起こり得る回答を提供する確率を求める:
prob(E=1|A=1,B=2,C=1)=0.1
prob(E=2|A=1,B=2,C=1)=0.9
prob(D=1|A=1,B=2,C=1)=0.7
prob(D=2|A=1,B=2,C=1)=0.3
質問DおよびEそれぞれに対する起こり得る回答の特徴重要度は、記載されるような評価モデルに基づき計算することができる。代替的に、質問DおよびEそれぞれに対する起こり得る回答の特徴重要度は、対象が特定の回答を与える場合に生じる実際の予測信頼度として計算することができる。各回答の重要度は、任意の適切な数値尺度で値の範囲を使用して表すことができる。例えば、次のとおりである:
重要度(E=1)=1
重要度(E=2)=3
重要度(D=1)=2
重要度(D=2)=4
計算された確率と特徴値重要度に基づき、特徴推奨モジュールは、次のように各質問の予想特徴重要度を計算することができる:
期待値[重要度(E)]=(prob(E=1|A=1,B=2,C=1)重要度(E=1)
+(prob(E=2|A=1,B=2,C=1)重要度(E=2)
=0.11+0.9
=2.8
期待値[重要度(D)]=(prob(D=1|A=1,B=2,C=1)重要度(D=1)
+(prob(D=2|A=1,B=2,C=1)重要度(D=2)
=0.72+0.3
=2.6
したがって、質問Eの回答から予想された特徴重要度(関連性とも称される)は、質問Dにその回答に対する全体的に高い特徴重要度があったとしても、質問Dよりも高いと判定される。ゆえに特徴推奨モジュールは、対象Xに提示される次の質問として質問Eを選択することができる。
【0331】
対象に提示される次の最良な特徴を選択するとき、特徴推奨モジュール(125)は、候補特徴に既に対象に提示されている特徴との高い共分散がある場合に、考察から1つ以上の候補特徴を除外するようさらに構成することができる。異なる特徴の共分散は、訓練データに基づき求められ、かつ訓練モジュールにより構築される評価モデルに記憶されてもよい。候補特徴に以前に提示された特徴との高い共分散がある場合、この候補特徴は、比較的少ない予測有用性をさらに追加することができ、したがって、評価手順の効率を最適化するために対象への将来的な提示から省略することができる。
【0332】
予測モジュール(120)は、ユーザーインターフェース(130)を用いて、評価手順に参加している人物(例えば、対象またはその世話人)と対話することができる。このユーザーインターフェースは、ユーザーがパーソナルコンピュータ、タブレット、またはスマートフォンなどの予測モジュールにアクセスするのを可能にするコンピューティングデバイスのディスプレイといったユーザーインターフェースを提供されてもよい。このコンピューティングデバイスは、例えば、モバイルアプリケーションの形でユーザーインターフェースを提供するための命令を含むプロセッサを備えてもよい。前記ユーザーインターフェースは、予測モジュールからユーザーに命令を表示する、および/またはコンピューティングデバイスにより提供される入力方法によりユーザーからの入力を受け取るように構成することができる。このため、ユーザーは、予測モジュールをユーザーインターフェースと相互作用させることにより、例えば、予測モジュールにより提示される質問(特徴)に応じて回答(特徴値)を提供することにより、本明細書に記載されるような評価手順に参加することができる。前記ユーザーインターフェースは評価手順をリアルタイムで管理するように構成されてもよく、それによりユーザーは一度に1つの質問に回答し、予測モジュールは特徴推奨モジュールにより行われる推奨に基づき尋ねられる次の最良の質問を選択することができる。代替的にまたは組み合わせにおいて、前記ユーザーインターフェースは、例えば、ユーザーが一連の特徴に相当する完全な一連の特徴値をアップロードすることを可能にすることにより、ユーザーから完全な新たなデータセットを受け取るように構成することができる。
【0333】
本明細書に記載されるように、1つ以上の発達障害を識別することに関連する目的の特徴は、多くの方法で対象において評価することができる。例えば、対象、世話人、または臨床医は、目的の特徴が対象に存在する程度を評価するよう設計される一連の質問を尋ねられる場合がある。次に、提供された回答は、対象の対応する特徴値を表すことができる。前記ユーザーインターフェースは、一連の質問を対象(または対象に代わって評価手順に参加する個人)に提示するように構成されてもよく、この質問は、本明細書に記載されるような一連の候補質問から動的に選択することができる。このような質疑応答に基づく評価手順は、完全に機械により管理することができ、したがって対象の発達障害を非常に速やかに予測することができる。
【0334】
代替的にまたは組み合わせにおいて、対象における目的の特徴は、例えば、対象の映像による対象の行動の観察により評価することができる。前記ユーザーインターフェースは、対象またはその管理者が対象の1つ以上の映像を記録またはアップロードするのを可能にするように構成することができる。映像素材は、後に対象の目的の特徴に関する特徴値を求めるために有資格者により解析される場合がある。代替的にまたは組み合わせにおいて、特徴値の判定のための映像解析は機械により行うことができる。例えば、映像解析は、物体(例えば、対象、対象の空間的位置、顔、目、口、手、四肢、指、つま先、脚など)を検出すること、続いて物体の動きを追跡することを含む場合がある。この映像解析は、対象の性別、および/または対象の話し言葉の習熟度を推測することができる。前記映像解析は、表情を推測し、これら表情を経時的に追跡するために、顔全体、または鼻、目、唇、および口などの顔にある特定の目印を識別することができる。前記映像解析は、目、四肢、指、つま先、手、脚を検出し、その動きを経時的に追跡して、行動を推測することができる。場合によりこの解析はさらに、行動の意図、例えば、子供が騒音や大音量の音楽に驚く、自傷行為に従事する、他人の行動を模倣するなどを推測することができる。映像ファイルに記録される音および/または声も解析されてもよい。前記解析は、対象の行動の背景を推測することができる。音声分析は、対象の感覚を推測することができる。人間および/または機械により実行される対象の映像の解析は、目的の特徴の特徴値をもたらすことができ、次いでこの特徴値は、予測モジュールへの入力のために適宜符号化することができる。次いで、対象の発達障害の予測は、訓練データを使用して構築される評価モデルへの対象の特徴値の適合に基づき生成することができる。
【0335】
代替的にまたは組み合わせにおいて、対象の目的の特徴は、構造化された対象との相互作用により評価することができる。例えば、前記対象は、コンピュータゲームなどのゲームを行うよう求められ、ゲーム上での対象のパフォーマンスが、対象の1つ以上の特徴を評価するために使用することができる。前記対象は、1つ以上の刺激(例えば、ディスプレイを介して対象に提示される視覚刺激)を提示され、対象の刺激に対する反応が、対象の特徴を評価するために使用することができる。前記対象は特定のタスクを実行するよう求められ(例えば、自分の指で泡を弾くよう求められる)、要求に対する対象の反応、または対象による要求タスクの実行能が、対象の特徴を評価するために使用することができる。
【0336】
本明細書に記載の方法およびデバイスは、次の最も予測的または関連性の高い質問を判定するために多くの方法で構成することができる。本明細書に記載されるようなソフトウェア命令の少なくとも一部は、ユーザーインターフェースを提供し、質問を提示し、かつ質問への回答を受け取るようにローカルデバイス上で局在的に実行されるように構成することができる。前記ローカルデバイスは、最も予測的な次の質問をリモートサーバーに照会するためのアプリケーションプログラムインターフェース(API)のソフトウェアを備えて構成することができる。APIは、例えば、本明細書に記載されるような特徴重要度に基づき識別された質問を返すことができる。代替的にまたは組み合わせにおいて、ローカルプロセッサは、以前の回答に応答して最も予測的な次の質問を判定するための命令とともに構成することができる。例えば、予測モジュール(120)は、ローカルサーバーのソフトウェア命令、またはローカルプロセッサのソフトウェア命令、およびそれらの組み合わせを備えてもよい。代替的にまたは組み合わせにおいて、特徴推奨モジュール(125)は、例えば、最も予測的な次の質問を決定するように構成される、リモートサーバーのソフトウェア命令、ローカルプロセッサのソフトウェア命令、およびそれらの組み合わせを備えてもよい。本明細書に記載の特徴推奨モジュール(125)により実行されるような予想特徴重要度決定アルゴリズム(127)を求める方法の動作フロー(600)は、例えば、本明細書に記載されるような1つ以上のプロセッサにより実行することができる。
【0337】
図7は、本明細書に記載されるような評価手順を管理する方法(700)を例示する図である。方法(700)はコンピューティングデバイス上に設けられるユーザーインターフェースを用いて実行することができ、該コンピューティングデバイスは、ディスプレイと、該ディスプレイ上に提供される命令に応じてユーザー入力を受け取るためのユーザーインターフェースとを備えている。評価手順に参加するユーザーは、対象自身、または対象の保護者など対象に代わって評価手順に参加する別の人物であってもよい。工程(705)では、N番目の特徴に関連するN番目の質問は、ディスプレイによりユーザーに提示することができる。工程(710)では、対応するN番目の特徴値を包含する対象の回答を受け取ることができる。工程(715)では、将来の対象に関するデータセットは、対象に提供されるN番目の特徴値を含むように更新することができる。工程(720)では、更新されたデータセットは、予測された分類を生成するために評価モデルに適合させることができる。工程(720)は、本明細書に記載されるように予測モジュールにより実行することができる。工程(725)では、データの適合が特定の発達障害(例えば、自閉症、ADHDなど)に関する十分な信頼度(例えば、少なくとも90%信頼区間内)の予測を生成できるかどうかを求めるために、確認を行うことができる。生成できる場合、工程(730)で示されるように、予測された発達障害はユーザーに対し表示することができる。生成できない場合、工程(735)では、照会可能な追加の特徴の存在の有無を求めるために、確認を行うことができる。存在する場合、工程(740)で示されるように、特徴推奨モジュールはユーザーに提示される次の特徴を選択し、工程(705)~(725)は最終予測(例えば、特定の発達障害または「診断なし」)が対象に表示可能となるまで繰り返すことができる。追加の特徴が対象に提示できない場合、工程(745)で示されるように、「診断なし」を対象に表示することができる。
【0338】
上記工程は評価手順を管理する非限定的な方法(700)を示すが、当業者は本明細書に記載される教示に基づき多くの変形を認識することになる。この工程は異なる順序で完遂されてもよい。工程は追加または削除されてもよい。工程の一部は、他の工程のサブ工程を含んでもよい。工程の多くは、ユーザーにより所望される回数だけ繰り返すことができる。
【0339】
本開示は、本開示の方法を実施するようプログラムされるコンピュータ制御デバイスを提供する。図8は、本明細書に記載の方法およびデバイスへの組み込みに適したコンピュータデバイス(801)を示す。コンピュータデバイス(801)は、例えば、質問と回答、応答、統計解析など、本開示の情報の様々な態様を処理することができる。コンピュータデバイス(801)は、ユーザーの電子デバイス、または該電子デバイスに対して遠隔に位置するコンピュータデバイスであってもよい。前記電子デバイスはモバイル電子デバイスであってもよい。
【0340】
コンピュータデバイス(801)は中央処理装置(CPU、本明細書では「プロセッサ」および「コンピュータプロセッサ」とも称される)(805)を備えており、該中央処理装置は、シングルコアまたはマルチコアプロセッサ、あるいは並行処理を行うために複数のプロセッサであってもよい。コンピュータデバイス(801)はまた、メモリまたはメモリ位置(810)(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フラッシュメモリ)、電子記憶装置(815)(例えば、ハードディスク)、1つ以上の他のデバイスと通信を行うための通信インターフェース(820)(例えば、ネットワークアダプタ)、ならびに、キャッシュ、他のメモリ、データストレージ、および/または電子ディスプレイアダプタなどの周辺デバイス(825)を備えている。メモリ(810)、記憶装置(815)、インターフェース(820)、および周辺デバイス(825)は、マザーボードなどの通信バス(実線)を介してCPU(805)と通信状態にある。記憶装置(815)は、データを記憶するためのデータストレージ(またはデータリポジトリ)であってもよい。コンピュータデバイス(801)は、通信インターフェース(820)の補助によりコンピュータネットワーク(「ネットワーク」)(830)へと動作可能につなげることができる。ネットワーク(830)は、インターネット、インターネットおよび/またはエクストラネット、あるいはインターネットと通信状態にあるイントラネットおよび/またはエクストラネットであってもよい。場合によりネットワーク(830)は、電気通信ネットワークおよび/またはデータネットワークである。ネットワーク(830)は、クラウドコンピューティングなどの分散コンピューティングを可能にすることができる1つ以上のコンピュータサーバーを備えていてもよい。場合によりネットワーク(830)は、コンピュータデバイス(801)の補助によりピアツーピアネットワークを実装することができ、これによりコンピュータデバイス(801)につなげたデバイスはクライアントまたはサーバーとして動作することが可能になる。
【0341】
CPU(805)は、プログラムまたはソフトウェアに実装可能な一連の機械可読命令を実行することができる。この命令は、メモリ(810)などのメモリ位置に記憶されてもよい。前記命令はCPU(805)に向けることができ、これにより後に、本開示の方法を実施するようにCPU(805)をプログラムまたはその他の方法により構成することができる。CPU(805)が実行する操作の例として、フェッチ、デコード、実行、およびライトバックを挙げることができる。
【0342】
CPU(805)は、集積回路など回路の一部であってもよい。デバイス(801)の1つ以上の他のコンポーネントが回路に含まれてもよい。場合により前記回路は特定用途向け集積回路(ASIC)である。
【0343】
記憶装置(815)は、ドライバー、ライブラリ、および保存されたプログラムなどのファイルを記憶することができる。記憶装置(815)は、ユーザーデータ、例えば、ユーザーの嗜好性およびユーザープログラムを記憶できる。コンピュータデバイス(801)は場合により、イントラネットまたはインターネットを通じてコンピュータデバイス(801)と通信状態にあるリモートサーバー上に位置付けられるなど、コンピュータデバイス(801)の外部にある1つ以上の追加のデータストレージを備えていてもよい。
【0344】
コンピュータデバイス(801)は、ネットワーク(830)を通じて1つ以上のリモートデバイスと通信することができる。例えば、コンピュータデバイス(801)は、ユーザー(例えば、親)のリモートコンピュータデバイスと通信可能である。リモートコンピュータデバイスの例として、パーソナルコンピュータ(例えば、ポータブルPC)、スレートまたはタブレットPC(例えば、Apple(登録商標)iPad(登録商標)、Samsung(登録商標)Galaxy Tab)、電話、スマートフォン(例えば、Apple(登録商標)iPhone(登録商標)、Android-enabled device、Blackberry(登録商標))、あるいは携帯情報端末が挙げられる。ユーザーは、ネットワーク(830)を介してコンピュータデバイス(801)にアクセスできる。
【0345】
本明細書に記載されるような方法は、例えば、メモリ(810)または電子記憶装置(815)の上など、コンピュータデバイス(801)の電子記憶装置位置に記憶される機械(例えば、コンピュータープロセッサ)実行可能コードにより実施することができる。機械実行可能または機械可読コードは、ソフトウェアの形で提供することができる。使用中、前記コードはプロセッサ(805)により実行可能である。場合により前記コードは電子記憶装置(815)から取得され、メモリ(810)に記憶されることで、プロセッサ(805)による容易なアクセスが可能となる。いくつかの状況では、電子記憶装置(815)は除外されてもよく、機械により実行可能な命令はメモリ(810)に記憶される。
【0346】
前記コードは、コードを実行するのに適したプロセッサを備えた機械での使用のために事前にコンパイルされ、かつ構成され、または実行時間中にコンパイルされてもよい。前記コードは、事前にコンパイルまたはアズコンパイルされた(as-compiled)形でコードが実行可能となるよう選択可能なプログラミング言語で提供することができる。
【0347】
コンピュータデバイス(801)など、本明細書で提供されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体の態様は、プログラミングにおいて具体化することができる。この技術の様々な態様は、一般的に一種の機械可読媒体上で運ばれるまたは該媒体に埋め込まれる、機械(またはプロセッサ)により実行可能なコードおよび/または関連データの形で「製品」または「製造用品」として考えることができる。機械により実行可能なコードは、メモリ(例えば、読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ)またはハードディスクなどの電子記憶装置に記憶することができる。「記憶」型媒体は、様々な半導体メモリ、テープドライブ、ディスクドライブといったコンピュータやプロセッサなどの有形メモリ、あるいはその関連モジュールのうちいずれかまたはすべてを含む場合があり、これらはソフトウェアのプログラミングのためにあらゆる時点で非一時的な記憶を提供することができる。ソフトウェアのすべてまたは一部は時折、インターネットなどの様々な電気通信ネットワークを介して通信されてもよい。このような通信により、例えば、1つのコンピュータまたはプロセッサから別のものへの、例えば、管理サーバーまたはホストコンピュータからアプリケーションサーバのコンピュータプラットフォームへのソフトウェアのローディングが可能になる。ゆえに、ソフトウェア要素を持つことのできる別の種類の媒体は、有線および光地上通信線ネットワークを介するとともに様々なエアリンク(air-links)上でのローカルデバイス間の物理インターフェースにわたり使用されるものなど、光波、電波、および電磁波を含む。有線リンク、無線リンク、光リンクなど、先述のような波を運ぶ物理要素も、ソフトウェアを持つ媒体と考慮することができる。本明細書で使用されるとき、非一時的で有形の「記憶」媒体に制限されない限り、コンピュータまたは機械「可読媒体」などの用語は、実行のためにプロセッサに命令することに関与する媒体を指す。
【0348】
したがって、コンピュータ実行可能コードなどの機械可読媒体は、有形記憶媒体、搬送波媒体、または物理送信媒体を含むがこれらに限定されない多くの形態を呈してもよい。不揮発性記憶媒体として、例えば、図に示されるデータベースなどを実装するために使用可能なものなど、コンピュータなどにある複数の記憶デバイスのうちいずれかといった光ディスクまたは磁気ディスクが挙げられる。揮発性記憶媒体として、先のコンピュータプラットフォームのメインメモリなどのダイナミックメモリが挙げられる。有形送信媒体として、同軸ケーブル、銅線、光ファイバーが挙げられ、例としてコンピュータデバイス内のバスを含むワイヤが挙げられる。搬送波送信媒体は、無線周波(RF)および赤外線(IR)データ通信中に生成されるものなど、電気信号、電磁気信号、音波、または光波の形態を呈してもよい。ゆえにコンピュータ可読媒体に共通する形態として、例えば、フロッピーディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、CD-ROM、DVDもしくはDVD-ROM、他の光学媒体、パンチカード、紙テープ、穴のパターンを有する他の物理的記憶媒体、RAM、ROM、PROM、EPROM、FLASH(登録商標)-EPROM、他のメモリチップもしくはカートリッジ、データもしくは命令を運ぶ搬送波、該搬送波を伝達するケーブルもしくはリンク、あるいはコンピュータによりプログラミングコードおよび/またはデータを読み取り可能な他の媒体が挙げられる。これらコンピュータ可読媒体の形態の多くは、実行のために1つ以上の命令からなる1つ以上のシーケンスをプロセッサへと運ぶことを必要とする場合がある。
【0349】
コンピュータデバイス(801)は、例えば、質問と回答、解析結果、推奨事項を提供するためにユーザーインターフェース(UI)(840)を備える電子ディスプレイ(835)を備えているか、該電子ディスプレイと通信状態にあってもよい。UIの例として、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)およびウェブベースのユーザーインターフェースが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0350】
本開示の方法およびデバイスは、1つ以上のアルゴリズムによって、および本明細書に開示される1つ以上のプロセッサにより提供される命令とともに実装することができる。アルゴリズムは、中央処理装置(805)による実行に際してソフトウェアにより実施することができる。このアルゴリズムは、例えば、ランダムフォレスト、グラフィカルモデル、サポートベクトルマシンなどであってもよい。
【0351】
上記工程は一例によるデバイスの方法を示すものであるが、当業者は、本明細書に記載の教示に基づき多くの変形を認識することになる。この工程は異なる順序で完遂されてもよい。工程は追加または削除されてもよい。工程の一部はサブ工程を含んでもよい。工程の多くは、プラットフォームに有益である場合と同じ回数だけ繰り返すことができる。
【0352】
本明細書に記載の実施例はそれぞれ、1つ以上の他の例と組み合わせることができる。さらに、1つ以上の例の1つ以上の構成要素は、他の例と組み合わせることができる。
【0353】
実験データ
本明細書に記載のデータ処理モジュールは、Python2.7、Anaconda Distribution上で構築された。前記評価モデルを構築および訓練するために使用される訓練データは、自閉症遺伝資源交換(AGRE)により生成されるデータを含んでおり、この自閉症遺伝資源交換は、家庭内の親と子供からADI-RおよびADOSデータを集めるために家庭内評価を行った。ADI-Rは、親に計93の質問を提示する面接で構成されるものであり、自閉症の有無の診断を行う。ADOSは、子供を対象に自閉症、ASD、または診断なしとの診断を行う半構造化面接を含むものであり、子供には言語レベルに基づき候補となる4つのモジュールのうち1つが施され、各モジュールは約30の質問を含んでいる。このデータは前記評価から導出した子供の臨床診断を含んでいた。一人の子供においてADI-RとADOSの診断に不一致を認めた場合、認可された臨床心理学者は、問題の子供のデータセットに対してコンセンサス診断を割り当てた。訓練データは計3,449個のデータポイントを含んでおり、そのうち3,315個は症例(自閉症またはASD)、134個は対照(非スペクトル)であった。訓練データにおいて評価される特徴は、言語、社会的コミュニケーション、反復行動といった3つの主要な領域を対象とした。
【0354】
本明細書に記載されるような評価モデルを構築するために、ブースティングされたランダムフォレスト分類器が使用された。訓練データ上で評価モデルを訓練する前に、この訓練データは、データを標準化するために前処理され、本明細書に記載されるようなワンホット表現でカテゴリー特徴を再び符号化した。訓練データは自閉症またはASDの個人に偏っていたため、サンプルの重み付けは、非スペクトルの個人から得たデータに対する、自閉症/ASDの個人から得たデータより最大50倍高い有意性に寄与するように適用された。この評価モデルは、ブースティング、誤分類されたデータポイントに寄与する有意性を高めるべく各反復後におけるデータポイントの重み付けのアップロード、およびアップロードされた有意性での再訓練により、反復的に訓練された。
【0355】
訓練されたモデルは、k=5の階層化されたk分割交差検証を使用して検証された。この交差検証により約93~96%の精度が得られ、この精度は、バイナリ分類タスク(自閉症/非スペクトル)においてモデルを使用して正しく分類される対象の割合として定められる。訓練データはサンプルバイアスを包含していたため、モデルが1つのクラス(自閉症または非スペクトル)を別のクラスと混同する頻度を求めるために混同行列が算出された。正しく分類された自閉症個人の割合は約95%であったが、正しく分類された非スペクトル個人の割合は約76%であった。しかしこのモデルは、1つのクラスと別のクラスとをより密接に適合させるように調整されてもよく、この場合に各クラスの正しい分類の割合は変化する可能性があることに留意されたい。図9は、本明細書に記載されるような評価モデルについて感度対フォールアウト(fall-out)をマッピングする受信者操作特性(ROC)曲線を示す図である。自閉症診断に関する真の陽性率(感度)は、x軸上にマッピングされる診断に関する偽陽性率(フォールアウト)の関数としてy軸上にマッピングされる。「分割(Fold)#0」、「分割#1」、および「分割#2」とラベル付けされた3つの曲線はそれぞれ、交差検証手順の異なる「分割」に対応し、各倍について、訓練データの一部は評価モデルに適合され、一方で、データセットを「自閉症」として分類するのに必要な予測信頼閾値は変動する。所望または適切な場合、前記モデルは、モデルのROC曲線に従い、フォールアウトの幾分の増加と引き換えに感度を増加させるか、またはフォールアウトの減少の見返りとして感度を減少させるように調整することができる。
【0356】
前記特徴推奨モジュールは本明細書に記載されるように構成され、ここでは各質問の予想特徴重要度が計算され、候補の質問は、アプリケーションプログラムインターフェース(API)によりサーバーへのコールで計算された重要度の順序でランク付けされた。前記特徴推奨モジュールが有益な質問を推奨する能力は、質問の推奨スコアと推奨された質問への回答から得られる予測精度の増加との相関を求めることにより評価された。相関メトリックを計算するために次の工程が実行された:(1)データが交差検証のために分割され、(2)既に回答済の質問が検証セットから無作為に取り除かれ、(3)予想特徴重要度(質問の推奨/スコア)が各質問に対して生成され、(4)工程2で取り除いた質問のうち1つを明らかにし、後の予測精度の相対的な改善が測定され、(5)相対的な改善と予想特徴重要度との相関が計算された。算出されたピアソン相関係数は0.2と0.3の間にあり、予想特徴重要度スコアと相対的な改善との中程度の相関を示している。図10は、各質問に対する予想特徴重要度(「予想情報性スコア」)と相対的改善(「相対的分類改善」)との相関を示す散布図である。この散布図は2つの変数間の適度な線形関係を示しており、予測精度を増加させる質問を特徴推奨モジュールが実際に推奨できることを実証している。
【0357】
開発された予測モジュールおよび特徴推奨モデルを用いて出力を生成する時間の長さが測定された。前記予測モジュールは、個人の自閉症リスクの予測に約46msを要した。前記特徴推奨モジュールは、個人に対する質問の推奨を生成するのに約41msを要した。これらの測定はAPIを介したサーバーへのコールにより行われたが、計算は例えば、局在的に行うことができる。
【0358】
本明細書に記載されるように、図9~10に関して記載されるデータ処理モジュールの評価モデルは、対象を自閉症ありまたはなしとして分類するために構築かつ訓練されたが、対象を複数の発達障害のうち1つ以上を抱えると分類可能な評価モデルを構築するために、同様の手法が使用されてもよい。
【0359】
別の態様では、本明細書に開示される方法およびデバイスは、対象が発達状態を有するどうかを判断するために、対象が発達状態を有する、発達的に正常または典型的である、あるいは決定的ではないまたは追加の評価を必要とするといった3つのカテゴリーのうちの1つに属するものとして対象を識別することができる。発達状態は、発達障害または発達の進行であってもよい。第3のカテゴリー、すなわち決定的な判定を追加すると、パフォーマンスは改善され、発達状態の有無に対応するカテゴリー評価の精度がより良好になる。
【0360】
図11は、対象を3つのカテゴリーのうちの1つに属すると識別する評価モジュールの動作フローの図である。図11に示すように、対象の少なくとも1つの行動発達状態を評価するために方法(1100)が提供される。評価モジュールは、(1110)にて行動発達に関連する対象の診断データを受け取り、(1120)にて複数の機械学習評価モデルの選択されたサブセットを使用して診断データを評価し、(1130)にて対象に対してカテゴリー判定を提供する。このカテゴリー判定は決定的ではなく、または行動発達状態の有無を示す場合がある。
【0361】
図12は、本明細書に記載されるようなモデル訓練モジュールの動作フローの図である。図12に示すように、評価モデルを訓練してその構成パラメータを最適に調整するべく機械学習を使用するために、方法(1200)が提供される。複数の機械学習予測モデルが、方法(1200)を使用して訓練かつ調整される場合があり、それぞれオフラインで調製されたデータセットを使用し、ADI-R、ADOS、またはSRSなどの標準臨床機器の代表的なサンプルを含む。モデルは、人口統計データなどの臨床機器以外のデータを含むデータセットを使用して訓練することもできる。モデル訓練モジュールは、(1210)にて機械学習技法を使用して複数の対象から得た診断データを前処理する。データセットは、データのクリーニング、フィルタリング、集約、代入、正規化、および当技術分野で知られる他の機械学習技法などの十分に確立された機械学習技法を使用して前処理することができる。
【0362】
このモデル訓練モジュールは、(1220)にて前処理された診断データから機械学習特徴を抽出し、符号化する。データセットを含む列は、例えば、ワンホット符号化、シビアリティ符号化、行動の存在(presence-of-behavior)の符号化、または当技術分野で知られる他の特徴符号化技法などの特徴符号化技法を使用して、機械学習特徴にマッピングすることができる。これら技法の一部は本質的に新規であり、機械学習アプリケーションではあまり使用されていないものであるが、将来的な問題の性質、具体的には臨床データが収集される環境とモデルが適用される意図した環境との間にある不一致に起因して、本出願では都合の良いものである。
【0363】
機械学習訓練データは、対象を数時間観察した心理測定士により記入される臨床質問表で構成されているため,特に行動の存在の符号化は、特に将来的な問題に都合が良い。記入される回答コードは、長い観察期間を通じてのみ明らかになる場合がある行動パターンの重症度または差異の微妙な程度に対応する場合がある。次いでこのデータは、わずか数分の対象観察が利用可能である環境で適用されるように定められるモデルを訓練するために使用される。したがって、行動パターンの緻密さはさほど顕著ではないと予想される。本明細書に記載されるような行動の存在の符号化は、回答の選択肢間にある微妙な違いを抽象化し、アプリケーション設定で確実に達成されると予想される粒度のレベルでアンケートのみからデータを抽出することにより、この課題を軽減する。
【0364】
モデル訓練モジュールは、符号化された機械学習機能を(1230)にて処理する。一実施形態では、アンケートの回答は機械学習特徴へと符号化することができ、その後、サンプルの重みが計算され、データセット内の診断データの全サンプルに割り当てることができる。各サンプルは診断データのある各対象に対応する。サンプルは対象固有の次元に従いグループ化することができ、サンプルの重みは、意図した設定で対象の予想分布を反映するために計算され、他のサンプル群すべてに対して平衡なサンプルの一群に割り当てることができる。例えば、陽性の分類ラベルを付けたサンプルは、陰性の分類ラベルを付けたサンプルに対して平衡な場合がある。代替的または付加的に、複数の年齢群のビンそれぞれにおけるサンプルは、等しい総重量となるように作製することができる。性別、地理的地域、陽性または陰性の分類内のサブ分類、または任意の他の適切な次元など、追加のサンプルバランス次元を使用することができる。
【0365】
サンプルの重み調整のプロセスは、意図したアプリケーション設定における対象の予想分布を反映するためにさらに改良されてもよい。これにより、訓練されたモデルは様々な特定のアプリケーション設定に適合することが可能となる。例えば、モデルは、レベル2の診断クリニックでの診断条件の予想有病率を反映するために訓練データセットのサンプルの重みを調整することにより、特にレベル2のスクリーニングツールとして使用するために訓練することができる。同じスクリーナーの別の変形は、意図したアプリケーション設定で対象の予想分布を映すべく、一般集団において大半が定型発達対象の予想集団、およびこれらに一致する有病率を持つ少数の陽性サンプルを反映するために、訓練サンプルの重みを再び調整することにより、一般大衆用のスクリーニングツールとして使用するために訓練することができる。
【0366】
モデル訓練モジュールは、処理された機械学習特徴のサブセットを(1240)にて選択する。一実施形態では、適宜重み付けされた訓練サンプル、および適切に符号化された起こり得る機械学習特徴すべてにより、特徴選択は、一般的にブートストラップとして知られる機械学習プロセスを使用して行うことができ、ここで、モデル訓練の反復が複数回実行されてもよく、各反復にて利用可能な訓練データのランダムなサブサンプルが使用される。各実行の後、集計は、訓練プロセスがモデルに含まれる必要があるとみなされる特徴とともに更新することができる。このリストは実行ごとに変動すると予想される場合がある。理由として、訓練に使用されるランダムデータサブセットは、データサンプルの選択に付随しかつ将来的な問題の実生活パターンを反映していない明白なパターンを包含する可能性があるためである。このプロセスを複数回繰り返すことにより、偶発的なパターンを取り消し、訓練データセットの外部および現実世界へと十分に一般化すると予想することのできるパターンを反映する特徴を明らかにすることができる。次いで、ブートストラッピング実行の上位の特徴が選択され、最終モデルの訓練にのみ使用することができる。最終モデルは全体の訓練データセットを用いて訓練され、後の適用のために保存される。
【0367】
次元が有用な特徴の選択に影響を及ぼすと予想される状況で人口統計学的次元にわたりモデルを特殊化させるために、1つのモデルに代わって様々なモデルを訓練することができる。例えば、対象に尋ねるべき最良の質問は年齢群ごとに異なることが予想されるため、特定の年齢群それぞれに対して複数のアンケートベースのモデルを構築することができる。この場合、各対象に適したモデルのみが、適用時にロードされる。
【0368】
前記モデル訓練モジュールは、(1250)にて各モデルを評価する。具体的に各モデルは、例えば、所定の含有率に対する感度および特異度により判定されるように、パフォーマンスを評価される場合がある。一実施形態では、モデル訓練段階中に使用されなかった提供データセット(held-out dataset)を使用して、含有率、感度、および特異度の観点からモデルのパフォーマンスを評価することができる。
【0369】
前記モデル訓練モジュールは、(1260)にて各モデルを調整する。より具体的には、異なる調整設定でモデルのパフォーマンスを評価するために、各モデルの調整パラメータを反復漸増的に変更し、すべての反復において同じ提供セット上で同じメトリックを計算することができる。次いで、最適な設定を確定し、対応するモデルを保存することができる。調整パラメータとして、例えば、ブースティングされた決定木モデル内の木の数、すべての木の最大深度、学習率、正の判定スコアの閾値、決定的ではないとみなされる出力の範囲、および当該技術分野で知られる任意の他の調整パラメータを挙げることができる。
【0370】
好ましい実施形態では、(1260)のパラメータ調整プロセスは、ブルートフォースグリッド検索、最適化された最急降下法または焼きなまし法、あるいは当該技術分野で知られる任意の他の空間探査アルゴリズムを含む場合がある。調整されているモデルは別個の独立した調整の実行を受けることができ、または代替的にアンサンブル様式で調整することができる。全モデルの全パラメータは、アンサンブル中の全モデルを用いる利益を最大化するべく(1270)にてパラメータの最適な全体セットに到達するために、組み合わせて探索される。
【0371】
さらに、また別の態様では、各予測モデルの非決定的な範囲の調整は、パフォーマンス指標ではなくビジネスのニーズにより判定される外部条件により増やすことができる。例えば、特定の分類器は70%以上の包含率を有することが必要であると考慮することができる。言い換えれば、この分類器は、分類されている対象の少なくとも70%に関する発達状態の有無を示す評価を提供し、対象の30%未満に関する非決定的な判定を与えると予想される。したがって、非決定的な出力範囲に関する対応する調整プロセスは、この条件が満たされる範囲のみに限定する必要がある。
【0372】
前記モデルは、適用の背景に基づき調整可能である。予測モデルは、非決定的な範囲の調整に基づき調整可能な特定の程度の確実性を伴う診断を出力するように構成することができる。
【0373】
加えて、非決定的な範囲の調整は、オフラインの機械学習フェーズの外部に露出することができる。より具体的に、非決定的な範囲の調整は、配置後にモデルを操作する仲介者(agent)がアクセスできる構成可能なパラメータであってもよい。このように操作者は、より多くの包含とより多くの精度とのトレードオフに沿ってデバイス全体をダイヤルアップまたはダウンすることが可能である。この事例を支援するために、複数の最適で非決定的な範囲が探索され、モデル訓練段階中に記憶されてもよく、それぞれに対応する包含率がある。次いで前記仲介者は、事前に求めた最適設定のメニューから最適点を選択することによりその変更に影響を及ぼすことができる。
【0374】
図13は、本明細書に記載されるような評価モジュールの別の動作フローの図である。図13に示すように、発達状態の有無を示す非決定的な予測を(1355)にて、または「診断なし」の非決定的な判定を(1365)にて出力するために、方法(1300)が提供される。
【0375】
図13に表すような評価モジュールは、(1310)にて、発達状態があるまたはないと評価される対象から、または該対象に関連する診断データなどの新たなデータを受け取る。保存された複数の評価モデルは、図12に表すようにかつ本明細書に記載されるように訓練、調整、および最適化されており、(1320)にてロードすることができる。診断データはこれら初期評価モデルに適合させることができ、出力は(1330)にて収集めることができる。前記評価モジュールは、対象の予測された初期分類を生成するために、(1340)にて初期評価モデル出力を組み合わせることができる。前記評価モジュールは、(1350)にて最初の予測が決定的であると判定する場合、対象の発達状態の有無を示す決定的な判定を出力することができる。前記評価モジュールは、(1350)にて最初の予測が決定的ではないと判定する場合、追加のまたはより改良された評価モデルが(1360)にて利用可能であり、適用可能であるかどうかの判定を進めることができる。追加の評価モデルが利用可能または適用可能でない場合、評価モジュールは「診断なし」という決定的な判定を出力する。しかし評価モジュールは、追加のまたはより改良された評価モデルが利用可能かつ適用可能であると判定する場合、(1370)にて対象由来のまたは該対象に関連する追加の診断データの取得を進めることができる。次に評価モジュールは、(1380)にて追加またはより改良された評価モデルをロードし、モデルにデータを適合させるプロセスを繰り返すことができる。この時点でのみ、(1370)にて得た追加のデータは、新たなモデル出力を生成するために(1380)にてロードされる追加の評価モデルに適合され、新たな評価モデルは後に決定的な予測のために(1350)にて評価される。工程(1350)、(1355)、(1360)、(1365)、(1370)、(1380)を含んで(1330)および(1340)に戻るループにより表されるようなこのプロセスは、決定的な予測が(1355)にて出力されるまで繰り返されてもよく、または、適用可能な分類がこれ以上使用可能でない場合、「診断なし」との非決定的な判定が(1365)にて出力される。
【0376】
特に、新たな対象から得たデータが図13の(1310)にて入力として受け取られると、予備判定に利用可能な各モデルは、(1320)にてロードされて実行し、(1330)にて数値スコアを出力する。次いでこのスコアは組合せモデルを使用して組み合わせることができる。
【0377】
図14は、図13に示されるモデル出力組み合わせ工程の非限定的な動作フローである。図14に示されるように、コンバイナモジュール(1400)は、複数の評価モデル(1410)、(1420)、(1430)、および(1440)から出力を収集することができ、この出力はモデル組み合わせまたは組み合わせモデル(1450)によって受け取られる。組み合わせモデルは、数値スコアになり得る出力を組み合わせるために、単純なルールベースの論理を使用することができる。あるいは、組み合わせモデルは、ロジスティック回帰、確率モデリング、判別モデリング、または当該分野で知られている他の組み合わせ手法などの、より洗練された組み合わせ技術を使用することができる。モデル出力を組み合わせる最良の方法を決定するために、組み合わせモデルはコンテキストに依存することもある。例えば、組み合わせモデルは、ある範囲でのみアンケートベースのモデル出力を信頼するか、そうでなければ映像ベースのモデルに従うように構成されてもよい。別の場合では、組み合わせモデルは、アンケートベースのモデル出力を、年齢が上の対象よりも年齢が下の対象に対してより有意に使用することができる。別の場合では、組み合わせモデルは、女性の対象の映像ベースのモデルの出力を除外する場合があるが、男性の対象の映像ベースのモデルは含む場合がある。
【0378】
その後、組み合わせモデル出力スコアは、本明細書に記載されるようにモデル訓練段階中に決定された閾値に従う場合がある。図14に示されるように、これらの閾値は破線領域によって示され、破線領域は、数値スコア(1460)の範囲を、陰性の決定出力(1470)、決定的ではない判定出力(1480)、および陽性の決定出力(1490)に対応する3つのセグメントに分割する。これにより、絶対的な判定に対して、または、出力があらかじめ定められた決定的ではない範囲内にある場合には決定的ではない判定に対して、組み合わせた数値スコアが有効にマッピングされる。
【0379】
決定的ではない出力の場合には、評価モジュールは、予備または初期のセットのモデルを超えて追加のモデルをロードして実行するために、追加のデータが対象から得られるべきであると決定することができる。予備モデルが決定的な出力を識別するのに適していない場合でも、追加のモデルは決定的な出力を識別するのによく適している可能性がある。この結果は、本質的により洗練されているか、詳細な入力データをさらに要求するか、または、分類することがより困難なケースにさらに焦点を当てて簡単なケースを排除する、追加のモデルを訓練することによって実現することができる。
【0380】
図15は、本明細書に記載されるように発達状態の絶対的な判定だけを提供するように構成されたアンケートスクリーニングアルゴリズムの例を示す。特に、図15に示されるアンケートスクリーニングアルゴリズムは、自閉症の存在または非存在だけを示す決定を出力する交互決定木分類器(alternating decision tree classifier)を示す。様々な濃淡は、自閉的な子どもと自閉的ではない子ども、およびアンケートによって評価される子どもの総人口を示す。分類器の結果も示され、これは、2つの絶対的な判定の各々について、正確および不正確に診断された子どもの集団を示す。
【0381】
対照的に、図16は、本明細書に記載される絶対的な判定と決定的ではない判定の両方を提供するように構成された、Tritonアンケートスクリーニングアルゴリズムの例を示す。特に、図16に示されるTritonアルゴリズムは、年相応のアンケートと年齢特有のモデルの両方を実施し、関連する年齢集団(つまり、「子ども」)内の2つのサブグループ(つまり「3歳以下」および「4以上」)の各々に特化型の分類器を提供する。図16の2つのサブグループ中の自閉症の存在および非存在をそれぞれ示す絶対的な判定は、2つの絶対的な判定の各々ついて正確または不正確に診断された子どもの集団を示している様々な濃淡部分によって示されるように、図15の絶対的な判定と比較してより高い精度を有していることが、この例から明らかとなる。決定的ではない判定に別々のカテゴリーを設けることによって、図16のTritonアルゴリズムは、図15で見られるような不正確な絶対的な判定を結果としてもたらす、スクリーニングが難しいケースをより良く分けることができる。
【0382】
様々なアルゴリズムのパフォーマンスを比較することによって、Tritonアルゴリズムの利点、とりわけ、Tritonアルゴリズムがアンケートと映像入力のコンテキスト依存的な組み合わせを有すること、が強調される。図17は、本明細書に記載される臨床サンプル中のすべてのサンプルの感度-特異度トレードオフの点から、様々なアルゴリズムのパフォーマンスの比較を示す。図17に示されるように、感度と特異度の両方の点から、最高のパフォーマンスは、映像コンビネータと組み合わせたとき(つまり、アンケートと映像入力のコンテキスト依存的組み合わせのとき)、70%のカバレッジとなるよう構成されたTritonアルゴリズムによって得られる。
【0383】
図18は、本明細書に記載される4歳未満の子どもから得たサンプルの感度-特異度トレードオフの点から、様々なアルゴリズムのパフォーマンスの比較を示す。映像コンビネータと組み合わせたとき(つまり、アンケートと映像入力のコンテキスト依存的組み合わせのとき)、70%のカバレッジとなるよう構成されたTritonアルゴリズムは、最高のパフォーマンスを有している。
【0384】
図19は、本明細書に記載される4歳以上の子どもから得たサンプルの感度-特異度トレードオフの点から、様々なアルゴリズムのパフォーマンスの比較を示す。ほとんどの場合、映像コンビネータと組み合わせたときに70%のカバレッジとなるよう構成されたTritonアルゴリズムは、最高のパフォーマンスを有するように思われる。
【0385】
図20~22は、4歳未満の子どもと4歳以上の子どもについて、すべてのサンプルの75%~85%の感度範囲での様々なアルゴリズムの特異度を示す。3つのケースすべてで、映像コンビネータと組み合わせたとき70%のカバレッジとなるよう構成されたTritonアルゴリズムは最高のパフォーマンスを有しており、すべてのサンプルで75%の特異度、4歳未満の子どもで90%の特異度、および4歳以上の子どもで55%の特異度を有している。Tritonアルゴリズムには、柔軟性というさらなる利点があることに注目されたい。例えば、本明細書に記載される調整可能なモデルが設けられ、ここで、決定的ではない比または包含率は、カバレッジと信頼度との間のトレードオフを制御するように制御または調節され得る。加えて、本明細書に記載されるモデルは、予測される有病率に対して、または、所与の用途設定の予測された人口分布に基づいて、用途設定に合わせて調整されてもよい。最後に、適応性の再訓練のためのサポートは、本明細書に記載される方法およびデバイスのフィードバックトレーニングループが与えられると、経時的なパフォーマンスを改善させることができる。
【0386】
当業者は、追加のデータセットを生成および取得し、過度の実験なく改善された結果を得るために、本明細書で開示された方法およびデバイスの感度と特異度と信頼区間を改善することができる。これらの測定は、例示的なデータセットを用いて実施されたが、方法およびデバイスは、本明細書に記載される追加のデータセットで構成され、過度の実験なく臨床環境において80%の信頼区間で対象にリスクがあると識別することができる。同様に臨床環境における80%以上の感度と特異度は、例えば、追加のデータセットを用いて、過度の実験なく当業者によって本明細書で提供される教示を用いて、同様に得ることができる。いくつかの例では、追加のデータセットは、臨床医のアンケートに基づいて得られ、単独であるいは他のモデルと組み合わせて使用することができる評価モデルを生成するために使用される。例えば、親または保護者のアンケート、臨床医のアンケート、映像分析の結果、あるいはそれらの任意の組み合わせは、各データソースに対応する1つ以上の予備評価モデルに対する入力を提供する。これらの予備評価モデルは、本明細書に記載される組み合わせた予備出力スコアを生成するために組み合わせることができる、予備出力などの出力を生成する場合がある。
【0387】
ある例では、患者の評価および/または診断は、一連の評価モデルを備えた評価モジュールを使用して実施される場合がある。評価モジュールは、ユーザーから入力データを収集または取得するように構成される入力モジュールと接続または通信する場合がある。上記一連の評価モデルを使用して、決定的な判定を生成するのに十分なデータが取得されるように、データ収集プロセスに通知することができる。場合によっては、本明細書で開示されるシステムおよび方法は、第1の評価モジュールを使用して、親または保護者の評価モデルに対応する初期データセット(例えば、親または保護者のアンケートを含む)を収集する。上記データセットは、評価モデルの特徴に対応するデータを含み、このデータは、自閉症などの行動障害または行動状態に関する正または陰性の決定(例えば、絶対的な判定)あるいは決定的ではない判定を生成するために評価され得る。決定が決定的ではない場合、第2の評価モジュールを使用して、追加のデータセット、例えば、映像分析(例えば、個人のキャプチャされた映像のアルゴリズムベースまたは映像分析者ベースの評価)の結果が得られてもよい。あるいは、場合によっては、映像分析の結果は、評価を生成するために、初期の親または保護者のデータセットと共に使用される。この情報は、更新された決定を生成するために、映像分析からの追加のデータセットを組み込むように構成された評価モデルに組み込まれる場合がある。更新された決定が依然として決定的ではない場合、第3の評価モジュールを使用して、別のデータセット、例えば、医者または臨床医などの医療提供者による補足のアンケート(例えば、対面評価に基づいた)が得られることもある。そのようなシナリオは、特に難しいケースの場合に生じる場合がある。あるいは、新しいデータセットは任意であり、医療提供者によって決定されてもよい。次のデータセットが得られ、これは、その後、次の決定を生成する際にこのデータを組み込むように構成された評価モデルを使用して評価される場合がある。一連の評価モデルの各々は、決定を生成する際に既存のデータセットおよび新しいまたは追加のデータセットを考慮するように構成されてもよい。あるいは、一連の評価モデルの各々は、新しいまたは追加のデータセットを考慮するようにのみ構成され、評価モデルの結果またはスコアは、新しいまたは更新された評価結果を生成するために、本明細書に開示されるように単純に組み合わせられる。データセットは、1つ以上のコンピューティングデバイスによって得ることができる。例えば、親または保護者のスマートフォンは、親または保護者のアンケートに対する入力を得るために、および分析のための映像をキャプチャするために使用することができる。場合によっては、コンピューティングデバイスは映像を分析するために使用され、代替的に、リモートコンピューティングデバイスまたはリモート映像分析者が映像を分析し、分析者ベースのアンケートに答えて入力データセットを提供する。場合によっては、入力データセットを提供するために、医者または臨床医のコンピューティングデバイスが使用される。映像の分析と、1つ以上の評価を使用した入力データに基づいた評価または診断とは、1つ以上のコンピューティングデバイス(例えば、親のスマートフォン)によってローカルで、または、クラウドコンピューティングによってリモートで行なうことができる(例えば、計算はクラウド上で行われ、アウトカム/結果は表示のためにユーザー装置に送信される)。例えば、本明細書で開示される方法を実施するためのシステムは、親または保護者のモバイルアプリケーションおよび/またはデバイス、映像分析者のポータルおよび/またはデバイス、ならびに医療提供者のデバイスおよび/またはダッシュボードを含む場合がある。現在の評価の結果あるいは決定の状態に基づいた新しいデータセットを動的に得るこのアプローチの利益は、評価または診断プロセスが、決定的な判定を生成するのに必要以上のデータを必要とせずに、より効率的に実施されるということである。
【0388】
追加のデータセットは、Autism Genetic Resource Exchange(AGRE)、Boston Autism Consortium(AC)、Simons Foundation、National Database for Autism Researchなど、本明細書に記載される大きなアーカイブデータリポジトリから得られてもよい。代替的にまたは組み合わせて、追加のデータセットは、様々なシミュレーションアルゴリズムを使用してアーカイブデータに基づいて生成された、数学的にシミュレーションされたデータを含んでいてもよい。代替的にまたは組み合わせて、追加のデータセットは、クラウドソーシングを介して得られてもよく、ここで、対象は、本明細書に記載される評価手順を自分で行い、それらの評価からのデータを提供する。自分で行った評価からのデータに加えて、対象は、評価手順の比較基準を提供するために、資格のある臨床医から得られた臨床診断も提供する場合がある。
【0389】
別の態様では、本明細書に記載されるデジタル個別化医療デバイスは、患者を評価および診断するためにデータを受信すること;治療介入から生じる有効性、コンプライアンス、および反応の相対的レベルを特定するインタラクションならびにフィードバックのデータをキャプチャすること;および、治療介入の有効性をさらに個別化するか、改善するか、または評価するために、ユーザーデータおよびユーザープロファイルを評価するべく、少なくとも1つの機械学習、人工知能、および統計モデルを含むデータ解析を実施すること、を行うように構成されるプロセッサおよび関連するソフトウェアを備えた、デジタルデバイスを含む。
【0390】
デジタル個別化医療デバイスでの患者の評価および診断は、3つのカテゴリー、すなわち、1つ以上の発達状態を有する、発達的に正常または典型的である、または決定的ではない(つまり、対象が何らかの発達状態を有するかどうか判断するために追加の評価が必要)のうちの1つへと対象を分類することができる。とりわけ、別々のカテゴリーが決定的ではない判定に設けられてもよく、それは発達状態の存在または非存在を示す絶対的な判定に関してより高い精度を結果としてもたらす。発達状態は、発達障害または発達進行であり得る。さらに、本明細書で開示される方法およびデバイスは、発達状態に限定されず、行動状態、神経学的状態、メンタルヘルス状態などの、他の認知機能に適用されてもよい。
【0391】
いくつかの例では、デバイスは、デジタル診断およびデジタル治療を使用するように構成される場合がある。デジタル診断およびデジタル治療は、個人の医学的、心理学的、または生理学的状態を改善するために、デジタル情報を収集すること、および提供されたデータを処理および評価することを含む、デバイスまたは方法を含む。本明細書に記載されるデバイスおよび方法は、3つのカテゴリー、すなわち、1つ以上の発達状態を有する、発達的に正常または典型的である、または決定的ではない(つまり、対象が何らかの発達状態を有するかどうか判断するために追加の評価が必要)のうちの1つへと対象を分類することができる。とりわけ、別々のカテゴリーが決定的ではない判定に設けられてもよく、それは発達状態の存在または非存在を示す絶対的な判定に関してより高い精度を結果としてもたらす。発達状態は、発達障害または発達進行であり得る。さらに、本明細書で開示される方法およびデバイスは、発達状態に限定されず、行動状態、神経学的状態、メンタルヘルス状態などの、他の認知機能に適用されてもよい。加えて、デジタル治療デバイスは、ユーザーデータを評価し、かつデバイスによって提供される診断および治療介入をモニタリングならびに改善するために、ソフトウェアベースの学習を適用することができる。
【0392】
デバイスでのデジタル診断は、患者、保護者、または評価されている個人から独立した第三者から収集されたデータおよびメタデータから構成され得る。いくつかの例では、収集されたデータは監視行動を含み、観察、判断、または評価は個人以外の第三者によってなされ得る。さらなる例では、評価は、成人が行う評価を含むことができるか、あるいは、子供または年少者の評価のためにデータを提供することができる。
【0393】
データソースは、携帯電話、映像キャプチャ、音声キャプチャ、アクティビティモニター、またはウェアラブルデジタルモニターなどの1つ以上のデジタルデバイスを介して、デジタル形式で、能動的または受動的なソースのいずれかを含む場合がある。能動的なデータ収集の例としては、目の動きを追跡し、身体あるいは付属器官の動きを記録し、睡眠パターンをモニタリングし、話し方(speech patterns)を記録するためのデバイス、デバイス、または方法が挙げられる。いくつかの例では、能動的ソースは、話し方、語彙/構文的パターン(例えば、語彙の大きさ、代名詞の正しい/正しくない使用、正しい/正しくない抑揚と活用、能動態/受動態などの文法構造の使用、および文の流れ)、高次の言語パターン(例えば、首尾一貫性、理解度、会話への関与、好奇心)などの音声フィードデータを含む場合がある。能動的ソースは、タッチ画面データソース(例えば、微細運動機能、器用さ、およびポインティングの正確さと頻度、スワイプ動作の正確さと頻度、および焦点力/注意力の持続時間)も含む場合がある。アクティビティ中の対象の顔の映像記録(例えば、注視vsサッケードの質/量、画面眼球焦点のヒートマップ、集中力/注意力の持続時間、顔の表情の変化、感情的な刺激に対する反応の質など)も、データの能動的なソースと考えられる場合がある。
【0394】
受動的データ収集は、モバイルアプリケーション、センサが埋め込まれた玩具、または記録ユニットから得られる記録および測定値を使用して、ユーザーからデータを収集するためのデバイス、デバイス、または方法を含む場合がある。いくつかの例では、受動的ソースは、スマートトイ(例えば、細運動機能、粗大運動機能、集中力/注意力、問題解決能力)およびウェアラブルデバイス(例えば、活動レベル、休息の量/質))に埋め込まれたセンサを含む場合がある。
【0395】
診断および処置で使用されるデータは、複数のソースから得られてもよく、ユーザーと対話するモバイルデバイスなどの1つのデバイスから集められる受動的データ収集と能動的なデータ収集との組み合わせ、または対象のマイクロバイオームサンプリングおよび遺伝子サンプリングなどの他のソースを含んでいてもよい。
【0396】
本明細書で開示される方法およびデバイスは、認知障害および発達障害、気分および精神疾患、ならびに神経変性疾患の診断およびデジタル治療処置によく適している。認識障害および発達障害の例としては、言語障害や学習障害、および本明細書に記載される他の障害が挙げられる。子供および大人に影響を与える可能性がある気分および精神疾患の障害の例としては、行動障害、気分障害、うつ病、注意欠陥多動性障害(「ADHD」)、強迫性障害(「OCD」)、統合失調症、および摂食障害と物質乱用などの物質関連障害が挙げられる。神経変性疾患の例としては、年齢に関連する認知力低下、アルツハイマー病ならびに老衰へと進行する進む認識機能障害、パーキンソン病とハンチントン病、および筋萎縮性側索硬化症(「ALS」)が挙げられる。本明細書で開示される方法およびデバイスは、子どもをデジタルで診断および治療し、対象が大人になるまで処置を継続し、個別化されたプロファイルに基づいて生涯にわたる処置を提供することができる。
【0397】
本明細書に記載されるデジタル診断および処置は、生物学的または化学的な処置と結び付けられた行動介入によく適している。本明細書に記載されるユーザーインタラクションデータを集めることによって、行動介入データの薬学的処置および生物学的処置の組み合わせのための治療が提供され得る。
【0398】
本明細書に記載されるモバイルデバイスは、結果を改善し、かつユーザー入力に対する依存度を低下させるように、フィードバックループの一部として使用することができる対象のデータを収集するためのセンサを含む場合がある。モバイルデバイスは、処置後に対象のデータを収集するために、本明細書に記載される受動的または能動的なセンサを含む場合がある。同じモバイルデバイス、またはiPad(登録商標)またはiPhone(登録商標)、あるいは同様のデバイスなどの第2のモバイルデバイスは、定期的に(例えば、日ごと、時間ごとなどに)処置を改善する上で何を行うべきであるかをユーザーに伝えるためにユーザーと対話するソフトウェアアプリケーションを含む場合がある。ユーザーのモバイルデバイスは、処置の進行に応じてユーザーに通知を送るように構成される場合がある。モバイルデバイスは、対象に送達された治療薬の送達量をモニタリングするように構成された薬物送達デバイスを含む場合がある。
【0399】
本明細書で開示される方法およびデバイスは、例えば、親と子どもの両方の処置に適している。親と子どもの両方は、本明細書に記載される別々の処置を受けることができる。例えば、親の神経学的状態がモニタリングおよび処置されてもよく、子どもの発達進行がモニタリングおよび処置されてもよい。
【0400】
対象のデータを得るために使用されるモバイルデバイスは、多くの方法で構成することができ、例えば、複数のデバイスを組み合わせてもよい。例えば、異常な睡眠パターンが自閉症と関連する場合があるため、本明細書に記載される治療装置を使用して得た睡眠データを、上述の診断装置によって使用される自閉症の分類器の機械学習訓練プロセスに対する追加の入力として使用してもよい。モバイルデバイスは、子どもの睡眠をモニタリングするためのモバイルウェアラブルを含む場合があり、これは診断および処置のための入力として提供されることがあり、本明細書に記載されるフィードバックループの構成要素を含む場合がある。
【0401】
多くのタイプのセンサ、バイオセンサ、およびデータは、対象のデータを集めて、対象の診断および処置に入力するために使用することができる。例えば、実施形態に関連する研究により、マイクロバイオームデータが自閉症の診断および処置に有用である可能性があることが示唆される。マイクロバイオームデータは、当業者に知られている多くの方法で収集することができ、糞便サンプル、腸管洗浄液、または対象の腸管の細菌叢の他のサンプルから選択されるデータを含んでいてもよい。遺伝子データも、診断および治療のモジュールへの入力として得られる場合がある。遺伝子データは、対象の全ゲノムの配列決定、特定のマーカーの配列決定および同定を含む
【0402】
本明細書で開示される診断および治療のモジュールは、複数のソースからのデータ、例えば、遺伝子データ、細菌叢のデータ、睡眠センサ、ウェアラブルアンクレット睡眠モニター、睡眠をモニタリングするブーティ(booty)、および対象の目の追跡からなる群から得られるデータ受信することができる。アイトラッキングは、注視方向および注視時間を決定するための多くの方法で行なうことができる。アイトラッキングは、注視方向と注視時間のための眼鏡、ヘルメット、または他のセンサを用いて行うことができる。データは、例えば、映像再生またはビデオゲームなどの視覚的なセッションの間に収集することができる。このデータは、最初に対象を診断し、対象の処置を決定し、対象の処置を修正し、処置後に対象をモニタリングするために、処置前、処置中、および処置後に得られ、本明細書に記載される治療モジュールおよび診断モジュールに提供され得る。
【0403】
視覚的注視、注視時間、顔の表情の情報は、当業者に知られている方法およびデバイスを用いて得られる場合があり、診断モジュールおよび治療モジュールへの入力として得られる場合がある。データは、ソフトウェア命令を含むアプリケーションを用いて得られてもよく、このアプリケーションはダウンロードすることができる。例えば、顔の処理については、Gloarai et al.“Autism and the development of face processing”,Clinical Neuroscience Research 6(2006)145-160によって説明されている。デューク大学の自閉症研究グループは、autismandbeyond.researchkit.duke.eduのホームページ上で記載されるように、モバイルデバイス上でダウンロードされたソフトウェアを用いてAutism and beyond調査研究を行っている。そのようなデバイスからのデータは、本開示による組み合わせに特によく適している。顔認識データおよび注視データは、本明細書に記載される診断モジュールおよび治療モジュールへの入力となり得る。
【0404】
本明細書で開示されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、顔の表情認識アクティビティなどの様々なアクティビティを含むアクティビティモードを提供することができる。顔の表情認識は、1つ以上の画像上で実施されてもよい。コンピューティングデバイス、例えば、スマートフォンは、本明細書に記載されるように、自動的な顔の表情認識を行ない、かつリアルタイムの社会的キュー(social cues)を伝達するように構成され得る。
【0405】
システムは、スマートフォン上で外向きカメラを使用して顔の表情イベントを追跡し、映像および/または画像あるいは、写真のデータをスマートフォンのアプリケーションに渡して、一般に用いられる感情(例えば、標準化されたエクマンの「基本的な」感情)のリアルタイム機械学習ベースの分類を行うことによって、顔の表情または感情を読むことができる。そのような感情の例としては、怒り、嫌悪、恐れ、幸福、悲しみ、驚き、軽蔑、および中立が挙げられる。その後、システムは、顔の表情(例えば、「幸福」、「怒り」など)に関するリアルタイム社会的キューを、マートフォンを通じて対象またはユーザーに提供することができる。社会的キューは、アプリケーション上に表示される視覚的なもの、および/またはスマートフォン上のスピーカーを介する聴覚的なもの、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。システムは、顔の関与の量およびタイプ、および観察される社会的相互作用レベルなどの社会的応答を記録することができる。いくつかの実施形態では、感情認識システムはコンピュータビジョンパイプラインを含み、コンピュータビジョンパイプラインは、ロバストな23点のフェイストラッカー(face tracker)で始まり、その後、ガンマ補正、ガウスフィルタリングの差分、コントラスト均等化などの照明最適化工程、またはそれらの任意の組み合わせが続く。いくつかの実施形態では、ヒストグラムは、顔全体についての配向性勾配特徴のヒストグラムが抽出され、最終的な感情予測のためにロジスティック回帰分類器が適用される。分類器モデルは、多数の膨大な既存の顔の表情認識データベース、ならびに他の参加者あるいは対象から集められた追加のデータで訓練され得る。いくつかの実施形態では、セッションが行なわれている間、「中立の減法(neutral subtraction)」と名付けられた技術により、インタラクション中に見ている顔を特定するために、システムがリアルタイムでキャリブレーションされ、これにより、特定のユーザーに対する個別化された予測を増大させることができる。
【0406】
ある例では、様々なモードのフィードバックが、対象(例えば、子ども)、親または保護者、介入者、臨床医、またはそれらの任意の組み合わせに提供される。システムは、例えば、本明細書に記載される医療提供者ポータルを介して、臨床医に進行状況のフィードバックを提供するように構成されてもよい。フィードバックは、様々なアクティビティまたはゲームのパフォーマンススコア、感情的な反応が正しいかどうかの表示、不正解の説明、改善点や進捗状況(例えば、過去1ヶ月間の感情認識アクティビティの進捗状況)、または他の観察またはコメントを含む。フィードバックには、顔の注視時間、正しい感情反応、スコアなどのパフォーマンスメトリック、および、臨床医および介入者が対象の進行状況をモニタリングすることができるように、彼らによる確認のために単純なインターフェースで随意に提供することができる他のメトリックが含まれ得る。進行状況のフィードバックは、行動の様々な領域またはサブ領域に対応する場合がある。例えば、進行状況のフィードバックおよび/または対象の改善は、社会化領域、および/または、対人関係、遊びと余暇、対処スキルを含む特定の領域に関連する。特定の改善は、例えば、様々なデジタル治療アクティビティ中に対象のパフォーマンスおよび他のメトリックをモニタリングし、評価することによって追跡することができる。一例として、内向きカメラおよび/またはマイクは、顔の関与、感情表現、注視、言葉のやりとり(例えば、子どもが保護者の質問に口頭で応答するかどうか)、および対象による他の行動をモニタリングするために使用することができる。
【0407】
本明細書で開示されるデジタル治療のプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、サブ領域および関連する障害に関して対象を評価し、ならびに、対象がデジタル治療で利益を得るかまたは改善するかどうかを判断するように構成され得る。例えば、対人関係は、社会感情的な互恵性の障害、社会的互恵性に用いられる非言語的なコミュニケーション行動の障害、人間関係の構築、維持、理解の障害などが伴う場合がある。本明細書で提供される改善には、顔の関与の増大、感情表現についての理解の増大、社会的関与の機会と動機の増大が含まれ得る。遊びと余暇の領域には、人間関係の構築、維持、および理解の障害が含まれ、これらの障害は、デジタル治療のゲームおよび/またはアクティビティによって改善される場合がある。顔の関与および感情表現の理解が深まることにより、対象は関係の維持がより上手くなる可能性がある。社会的対処は、同一性へのこだわり、ルーチンへの柔軟性のない固執、言語的または非言語的行動の儀式化されたパターンを伴い、および、顔の関与および感情表現の理解が深まることにより、対象は、社会的互恵性をより良く理解することを含め、環境ストレスに対処できるようになる。本明細書で開示される治療のアクティビティおよび/またはゲームに参加する対象の治療の効果または結果は、治療への反応性を決定するための機械学習モデルまたは分類器を訓練するために使用される追加のデータとして収集することができる。その後、いくつかの実施形態では、診断モジュールまたは評価モジュールによって自閉症障害を患っていると評価されているか、または積極的に識別されている対象は、その後、対象が本明細書で開示される1つ以上のデジタル治療に反応するか、またはそれらのデジタル治療から利益を得るかを予測あるいは決定する機械学習モデルまたは分類器によって評価することができる。場合によっては、個々のアクティビティまたはゲーム、あるいは複数のアクティビティまたはゲームが、社会的互恵性の1つ以上の形態に関して有意な治療の利点を提供すると予測される。場合によっては、利益は一般に、社会的互恵性に関するものである。代替的にまたは組み合わせて、利益は、社会的行動または社会的互恵性、あるいは他の行動の欠陥に関する特定の領域またはサブ領域に関して決定される。
【0408】
デジタル治療は、障害、状態、または機能障害の存在について対象を評価する際に使用される診断の次元のいくつか、またはすべてに基づいて、カスタマイズまたは個別化することができる。例えば、対象は、社会化領域、および/または、対人関係、遊びや余暇、対処スキルなどの特定のサブ領域において、対象が感情認識アクティビティから利益を得るだろうと予測する機械学習モデルの使用に基づいて評価される場合がある。これは、診断プロセス中に生成された様々な診断の次元に基づく場合があり、その後、治療のカスタマイゼーションプロセスに組み込まれる。機械学習モデルは、対象が特定の治療法、例えば、感情認識アクティビティまたは社会的互恵性から得るかもしれない改善あるいは利益の予測または可能性を評価する際に、これらの次元を組み込む場合がある。場合によっては、対象は、顔の関与が増大するか、または他人よって表現された感情の理解を深めるなど、特定の行動に関して利益を得ると予測される。有意な利益または改善は、従来の統計ツールあるいはメトリックを使用して、統計的に確立される場合があるか、または設定される場合がある(例えば、3週間の処置後の感情認識スコアの平均10%の改善などの閾値)。いくつかの実施形態では、対象のパフォーマンスがモニタリングされ、遠隔のデータベースサーバ上に収集され、そこで、対象のパフォーマンスは匿名化され、他の対象のデータと組み合わせられ、そのような機械学習モデルを訓練するために使用されるデータセットが形成され得る。
【0409】
本明細書で開示される分類器は、改善された治療および処置を提供するために、このデータと組み合わせるのに特によく適している。データは階層化され、本明細書に記載されるフィードバックループとともに使用される場合がある。例えば、フィードバックデータは、差次的応答を決定し、かつ応答者と非応答者を識別するために、薬物治療と組み合わせて使用され得る。代替的にまたは組み合わせて、フィードバックデータは、行動治療(例えば、本明細書に記載されるデジタル治療)などの非薬物治療と組み合わせられ得る。
【0410】
遺伝学に関して、最近の研究では、自閉症になりやすい遺伝子を持っている人がいることが示唆されている。対象の遺伝子構成により、対象が環境の影響をより受けやすくなり、それにより、症状を引き起こす場合があり、症状の重症度に影響を及ぼす場合がある。環境の影響は、例えば、毒素、ウィルス、または他の物質からの損傷を含む場合がある。任意の特定の理論によって縛られることなく、これは、発現遺伝子の制御を変化させる機構を結果としてもたらす場合がある。遺伝子の発現の変化は、胃腸(「GI」)細菌叢の変化と関係する可能性があり、細菌叢のこれらの変化は、自閉症と関係する症状に影響を及ぼす可能性がある。代替的にまたは組み合わせて、腸内細菌叢の損傷は、対象の細菌叢の変化をもたらす場合があり、結果として、対象は理想に満たないホメオスタシスを有することになり、このことは、自閉症に関係する関連症状に影響を及ぼす可能性がある。発明者らは、Sarkis K.Mazmanianらによって実施されたB.fragilisを用いた予備的な研究により、この微生物の変化が自閉症および自閉症の発症に関連する可能性があることが示唆されていることに気づいている(“Gut Bacteria May Play a Role in Autism” by Melinda Wenner Moyer,Scientific American,September 1, 2014も参照されたい)。
【0411】
デジタル診断は、デバイスによって収集された患者に関するデータを使用し、このデータには、デジタル診断外でキャプチャされた補完的な診断のデータが含まれている場合があり、患者の状態を評価または診断するために機械学習、人工知能、および統計モデリングなどのツールから分析される。デジタル診断は、患者の状態またはパフォーマンスの変化の評価を、データおよびメタデータを介して直接あるいは間接的に提供することもでき、データおよびメタデータは、デバイス内にフィードバックを提供して、分析および潜在的な治療介入を改善あるいは洗練するために、機械学習、人工知能、および統計モデリングなどのツールによって分析ならびに評価され得る。
【0412】
治療介入からのデジタル診断、デジタル治療、および対応する反応またはその欠如を含むデータを分析すると、患者のための新規な診断、および親と保護者の両方のための新規な治療レジメンを特定することができる。
【0413】
デバイスによって収集および利用されるデータのタイプは、例えば、患者と保護者の映像、音声、質問への回答、またはアクティビティ、および、デバイスのアクティビティ、ゲーム、またはソフトウェア特徴とユーザーのインタラクションからの能動的あるいは受動的なデータストリームを含む場合がある。例えば、推奨されたアクティビティを行なう場合、そのようなデータは、患者または保護者とデバイスとのインタラクションを表すことができる。具体的な例としては、ユーザーの行動、プロファイル、アクティビティ、ソフトウェアデバイスとのインタラクション、ゲームとのインタラクション、使用頻度、セッション時間、選択されたオプションおよび機能、およびコンテンツやアクティビティの好みの態様をキャプチャするデバイスのデバイスまたはモバイルアプリケーションとのインタラクションからのデータが挙げられる。データには、アクティビティモニター、ゲーム、またはインタラクティブコンテンツなどの、様々なサードパーティーデバイスからのストリームも含まれる場合がある。
【0414】
本明細書に記載されるデジタル治療は、デバイスによって患者または保護者に提供される指示、フィードバック、アクティビティ、あるいはインタラクションで構成される場合がある。例としては、提案される行動、アクティビティ、ゲーム、あるいは、デバイスソフトウェアおよび/またはサードパーティーデバイス(例えば、当業者によって理解されるような、モノのインターネット「IoT」のインターネット対応の治療デバイス)とのインタラクティブセッションが挙げられる。
【0415】
図23Aは、行動障害、神経障害、またはメンタルヘルス障害に関連する診断および治療を提供するための、デジタル個別化医療プラットホーム(2300)のデバイスの図を例示する。例えば、プラットホーム(2300)は、発達遅延に関連する小児の認識および行動状態の診断および処置を提供することができる。ユーザーデジタルデバイス(2310)(例えば、スマートフォン、アクティビティモニター、あるいはウェアラブルデジタルモニターなどのモバイルデバイス)は、患者に関係するデータおよびメタデータを記録する。データは、患者とデバイスとのインタラクション、ならびに、保護者および医療関係者とのインタラクションに基づいて収集される場合がある。データは、テストを実施し、音声および/または映像を記録し、診断の質問に対する回答を記録することなどによって、能動的に収集される場合がある。データはまた、尋ねられた質問および診断された発達障害に関連する調査されたトピックを記録するなど、患者と保護者のオンライン行動をモニタリングすることによって、受動的に収集される場合もある。
【0416】
デジタルデバイス(2310)はコンピューターネットワーク(2320)に接続され、これより、デジタルデバイス(2310)が、接続されたコンピュータとデータを共有し、接続されたコンピュータからデータを受信することが可能になる。特に、デバイスは、個別化された医療デバイス(2330)と通信することができ、個別化された医療デバイスは、コンピュータネットワーク(2320)上のデジタルデバイス(2310)と通信するように構成されるサーバーを含む。個別化された医療デバイス(2330)は、患者の発達状態の初期診断および増分診断を提供する診断モジュール(2332)と、診断モジュール(2332)の診断に応じて個別化された治療の推薦を提供する治療モジュール(2334)とを含む。
【0417】
診断モジュール(2332)および(2334)の各々は、治療過程中にユーザーデジタルデバイス(2310)と通信する。診断モジュールは、デジタルデバイス(2310)に診断テストを提供し、デジタルデバイス(2310)から診断フィードバックを受け取り、および、患者の診断を決定するためにフィードバックを使用する。初期の診断は、例えば、テストと質問の包括的なセットに基づいてもよいが、一方で、より小さなデータサンプルを使用して増分の更新された診断がなされてもよい。例えば、診断モジュールは、保護者に対して出された質問と、語彙または言語コミュニケーションのテストなどの患者に対して実施されたテストとに基づいて、自閉症関連の発話遅延を診断することができる。その診断は、数か月または数年の発話能力の遅延を示すことがある。後のテストが実施される場合があり、この診断を更新するために質問が出され 例えば、より小さいまたはより大きい程度の遅れを示す場合がある。
【0418】
診断モジュールは、その診断をデジタルデバイス(2310)と治療モジュール(2334)とに伝達し、治療モジュール(2334)は、その診断を使用して、診断された症状を処置するために実施されるべき治療を示唆する。治療モジュール(2334)は、推奨された治療をデジタルデバイス(2310)に送り、その治療には、一定期間にわたって推奨された治療を行なうための患者および保護者のための指示が含まれる。一定期間にわたって治療を行なった後、保護者または患者は、推奨された治療が完了したことを示すことができ、報告書を、デジタルデバイス(2310)から治療モジュール(2334)に送ることができる。その後、治療モジュール(2334)は、治療の更新されたラウンドが終了し、新しい診断が必要であることを診断モジュール(2332)に示すことができる。その後、診断モジュール(2332)は、デジタルデバイス(2310)に新しい診断テストおよび質問を提供し、ならびに、学習セッションの記録、または治療あるいは診断された状態に関連する保護者または患者の閲覧履歴など、治療の一部として提供される任意のデータの治療モジュールから入力を受け取る。その後、診断モジュール(2332)は、プロセスを反復し、かつ治療の次の工程を提供するために、更新された診断を提供する。
【0419】
診断および治療に関連する情報は、医療従事者のコンピュータデバイスなどの個別化された医療デバイス(2330)からサードパーティーデバイス(2340)まで提供され得る。医療従事者または他の第三者は、患者が予測されたスケジュールよりも遅れているか、または予測されたよりも速く改善しているかを含む、治療スケジュールからの著しい逸脱の警告を受けることができる。その後、この提供された情報に基づいて、第三者は適切なさらなる処置を講ずることができる。
【0420】
図23Bは、診断モジュール(2332)の詳細な図を例示する。診断モジュール(2332)は、対象に対して実施されるテストおよび対応する指示を生成する、テスト実施モジュール(2342)を含む。診断モジュール(2332)は、例えば、テスト結果;保護者のフィードバック;患者および保護者とデバイスとのインタラクションからのメタデータ;映像、音声、およびゲームとデバイスとのインタラクションなどの対象データが受け取られる、対象データ受信モジュール(2344)も含む。対象評価モジュール(2346)は、対象データ受信モジュール(2344)からのデータ、ならびに、対象の過去の診断および同様の対象の過去の診断に基づいて、対象の診断を生成する。機械学習モジュール(2348)は、どのタイプの測定が患者の診断に関する最も多い情報を提供するかどうかを決定するために、診断に対する各入力の相対感度を評価する。これらの結果は、最も効率的に分析を通知するテストを提供するために、テスト実施モジュール(2342)によって、および、診断の精度と一貫性を改善するために診断データに重みを適用するべく、対象評価モジュール(2346)によって使用されてもよい。それぞれ処置された患者に関する診断データは、パターンマッチングおよび機械学習のための診断データのライブラリを形成するために、例えば、データベースに保存される。多くの対象プロファイルは、そのようなデータベース(例えば、10,000以上)に同時に保存することができる。
【0421】
図23Cは、治療モジュール(2334)の詳細な図を例示する。治療モジュール(2334)は、それらの効果に基づいて治療をスコアリングする治療評価モジュール(2352)を含む。前に示唆された治療は、治療前と治療後の両方に診断モジュールによって提供された診断に基づいて評価され、改善の程度が決定される。改善のこの程度は、治療の効果をスコアリングするために使用される。治療は、特定のクラスの診断と相関するその効果を有する場合がある;例えば、治療は、あるタイプの診断を受けた対象に有効であるが、第2のタイプの診断を受けた対象には効果的ではないと考えられ得る。治療マッチングモジュール(2354)も設けられており、治療マッチングモジュール(2354)は、対象の診断と類似する診断の処置の際に最も効果的であると治療評価モジュール(2352)によって決定される1セットの治療を決定するために、診断モジュール(2332)からの対象の診断を治療のリストと比較する。その後、治療推薦モジュール(2356)は、治療マッチングモジュール(2354)によって見込みがあると特定された治療の1つ以上を含む、推奨された治療を生成し、推奨された治療の適用ための指示とともにその推薦を対象に送る。その後、治療追跡モジュール(2358)は、推奨された治療の進行を追跡し、診断モジュール(2332)による新しい診断をいつ行なわなければならないか、あるいは、所与の治療をいつ継続しなければならないかを決定し、進行をモニタリングする。治療されたそれぞれの患者に関する治療データは、パターンマッチングおよび機械学習のための治療データのライブラリを形成するために、例えば、データベースに保存される。多くの対象プロファイルは、そのようなデータベース(例えば、10,000以上)に同時に保存することができる。治療データは、診断モジュール(2332)の診断のデータに関連づけられ、有効な治療(例えば、デジタル治療)を診断とマッチングさせることができる。
【0422】
治療はデジタル治療を含む場合がある。デジタル治療は、単一または複数の治療アクティビティ、あるいは患者または保護者によって行われ得る介入を含む場合がある。デジタル治療は、センサ、コンピュータ、医療機器、および治療送達装置などのサードパーティーデバイスとの所定のインタラクションを含む場合がある。デジタル治療は、FDAが承認した医療請求、1セットの診断コード、または単一の診断コードを支援する場合がある。
【0423】
図24は、デジタル個別化医療プラットフォームで提供される、診断および治療のための方法(2400)を例示する。デジタル個別化医療プラットフォームは、診断を提供し、治療を推奨するために、対象(1人以上の保護者を有する患者を含み得る)と通信する。
【0424】
工程(2410)では、診断モジュールは、例えば、対象に診断テストを適用することによって、診断を決定するために対象を評価する。診断テストは、対象の複数の特徴および対応する特徴値を決定することに向けられる。例えば、そのテストには、対象に提示された複数の質問、対象についての観察、または対象に割り当てられたタスクが含まれる。そのテストは、特定の行動および/またはマイルストーンに対する患者のパフォーマンスに関する保護者からのフィードバック;患者および保護者とデバイスとのインタラクションからのメタデータ;および、映像、音声、およびゲームとデバイスとのインタラクション、または、患者と保護者の行動およびパフォーマンスに関するデータを提供するサードパーティーツールとのインタラクションなど、対象の間接的なテストも含む場合がある。初期のテストでは、正確な初期の診断を生成することを目的とした、より包括的なテストレジメンが実施される場合がある。後に、前の診断を更新して、進行を追跡するために使用されるテストは、それほど包括的でないテストを含む場合があり、例えば、行動の追跡および治療関連記録ならびにメタデータなどの間接的なテストにさらに依存していることがある。
【0425】
工程(2412)では、診断モジュールは、対象から新しいデータを受け取る。新しいデータは、特定の対象の一連の特徴および対応する特徴値を含む場合がある。本明細書に記載されるように、上記特徴は、対象に提示される複数の質問、対象についての観察、または対象に割り当てられるタスクを含む場合がある。特徴値は、尋ねられた質問に対する対象の回答または対象の応答などの対象の特性に対応する、対象からの入力データを含む場合がある。特徴値は、上述されるように、記録されたフィードバック、メタデータ、およびデバイスインタラクションデータも含む場合がある。
【0426】
工程(2414)では、診断モジュールは、モデルを保存するように構成されたローカルメモリおよび/または遠隔サーバーから、前に保存された評価モデルをロードすることができる。あるいは、患者のための評価モデルが存在しない場合、デフォルトモデルが、例えば、1つ以上の初期の診断的適応に基づいてロードされてもよい。
【0427】
工程(2416)では、新しいデータは、更新された評価モデルを生成するために、評価モデルにフィットされる。この評価モデルは、前に処置していない対象の初期の診断、または前に処置された対象の更新された診断を含む場合がある。更新された診断は、記憶、注意、および共同注意などの状態、認知、行動反応、感情反応、言語使用、語学力、特定の行動の頻度、睡眠、社会化、非言語コミュニケーション、および発達マイルストーンの1つ以上の態様における進行に関する測定値を含む場合がある。進行および現在の診断を決定するデータの分析には、質問スコアリングおよび語彙と音声分析の音声認識などの自動分析を含む場合がある。その分析には、映像、音声、およびテキストデータを確認する分析によって、ヒトがスコアリングすることが含まれ得る。
【0428】
工程(2418)では、更新された評価モデルが治療モジュールに提供され、これにより、前に推奨された治療の結果としてどのような進行が得られたのか決定する。治療モジュールは、評価モデルにおける進行量に基づいて治療をスコアリングし、より大きな進行はより高いスコアに対応し、これにより、成功した治療および同様の治療が、同様の評価を有する対象に今後推薦されやすくなる。したがって、利用可能な治療のセットは、対象の診断と相関する、有効性の新しい評価を反映するように更新される。
【0429】
工程(2420)では、評価モデルと、前の治療の成功の程度(もしあれば)と、対象および同様の評価を有する他の対象でのそれらの治療の以前の利用に基づいて候補治療のコレクションに割り当てられたスコアとに基づいて、新しい治療が推奨される。推奨された治療は、それを適用する特定のタイムスパンの指示と共に、実施のために対象に送られる。例えば、治療としては、1週間毎日患者と一緒に行なわれる言語訓練が挙げられる可能性があり、それぞれの言語訓練は、保護者または患者が使用するモバイルデバイスの音声ファイルに記録される。
【0430】
工程(2422)で、新しい治療の進行は、治療期間を延長するべきかどうか判断するためにモニタリングされる。このモニタリングには定期的な再診断が含まれ、定期的な再診断は、工程(2410)に戻ることによって行なわれる場合がある。あるいは、完全な再診断を行うことなく基本的なマイルストーンが記録され、進行は治療モジュールによって生成された予測進捗スケジュールと比較される場合がある。例えば、治療が最初に成功しなかった場合、治療モジュールは、再診断および新しい治療の提案または医療専門家による介入の提案を行う前に、その治療を1回以上繰り返すことを提案する場合がある。
【0431】
図25は、疑わしいまたは確認された発話および言語の遅延への対応を示すフローチャート(2500)を例示する。
【0432】
工程(2502)では、初期評価は診断モジュール(2532)によって決定される。本明細書で開示されるように、初期評価は、患者の発話および言語の使用など、1つ以上のドメインのパフォーマンスを評価し、いくつかの軸に沿って発達遅延の程度およびタイプを評価することができる。評価はさらに、複数の全体的な進行の追跡のうちの1つへと対象を分類することができる;例えば、対象は、言語的または非言語的に評価され得る。
【0433】
工程(2510)でのように対象が非言語的であると決定された場合、選択を行なうこと、タスクに注意を払うこと、または名前あるいは他の言葉に反応することに関係するタスクなど、1つ以上の非言語的治療(2512)が治療モジュール(2534)によって推奨される場合がある。進行に役立ち得る有用なデバイスおよび製品がさらに提案される場合もあり、すべての提案は対象の診断および進行報告書によって示される対象のニーズに適合され得る。
【0434】
推奨された治療を適用している間、診断が予測された速度で改善したかどうか判定するために、進行は工程(2514)でモニタリングされる。
【0435】
工程(2514)で改善が測定された場合、デバイスは、対象が工程(2516)でも依然として非言語的かどうかを判定する。依然として非言語的である場合、デバイスは、工程(2510)に戻って、さらなる改善を誘導するために新しく推奨された治療(2512)を生成する。
【0436】
工程(2514)で改善が測定されない場合、デバイスは、治療をあらかじめ定められた回数繰り返すことを推奨する場合がある。デバイスは、より良い結果を得ようとして、治療のバリエーションを試みるよう推奨する場合がある。そのような繰り返しおよびバリエーションが失敗した場合、デバイスは、発達を妨げる問題により直接取り組む工程(2518)で、セラピストの訪問を推奨することができる。
【0437】
工程(2520)で示されるように、対象が言語的であると判定されると、言語的治療(2522)が治療モジュール(2534)によって生成される場合がある。例えば、言語的治療(2522)には、言語ドリル、発音練習、表現性の要求またはコミュニケーションのうち1つ以上が含まれ得る。進行に役立ち得る有用なデバイスおよび製品がさらに提案される場合もあり、すべての提案は対象の診断および進行報告書によって示される対象のニーズに適合され得る。
【0438】
非言語的追跡でのように、診断が予測された速度で改善したかどうかを判断するために、言語的治療に対する応答の進行は、工程(2524)で継続的にモニタリングされる。
【0439】
工程(2524)で改善が測定される場合、デバイスは、工程(326)で進行について報告し、さらなる改善を誘導するために新しく推奨された治療(2522)を生成する。
【0440】
工程(2524)で改善が検出されない場合、デバイスは、治療をあらかじめ定められた回数繰り返すよう推奨する場合がある。デバイスは、より良い結果を得ようとして、治療のバリエーションを試みるよう推奨する場合がある。そのような繰り返しおよびバリエーションが失敗した場合、デバイスは、発達を妨げる問題により直接取り組む工程(2528)で、セラピストの訪問を推奨することができる。
【0441】
非言語的療法および言語的治療の工程は、言語スキルと能力の喪失による後退を防止または遅らせるために必要な程度まで、および対象の継続的な学習と進歩を促す程度まで、無制限に繰り返されてもよい。図25に説明される固有の療法計画は小児の発話および言語の遅延を対象としているが、成人患者を含む、発達または認知の問題を抱える他の対象に対する同様の計画が作成されてもよい。例えば、神経変性疾患および/または加齢に関連する認知機能の低下は、そのような状態に適切であるように選択された処置を使用して、同様の診断および治療スケジュールで処置されてもよい。本明細書で開示される方法およびデバイスによって成人患者あるいは小児患者において治療され得る状態としては、うつ病、OCD、および統合失調症などの気分障害;認知機能障害と衰退;睡眠障害;嗜癖行動;摂食障害;ならびに、行動に関する体重管理の問題が挙げられる。
【0442】
図26は、複数のソースからの情報を統合するように構成された、診断モジュールおよび治療モジュールを含むデジタル個別化医療デバイスのための、データ処理フローの全体を例示する。データは受動的なデータソース(2601)を含む場合があり、受動的なデータはより細かい情報を提供するように構成される場合があり、より自然な条件でより長い期間にわたって取得されたデータセットを含む場合がある。受動的なデータソースとしては、例えば、ウェアラブルデバイスから収集されたデータ、ビデオフィードから収集されたデータ(例えば、映像対応型玩具、モバイルデバイス、映像再生からのアイトラッキングデータ)、3つの軸センサあるいはジャイロスコープ(例えば、家で、あるいは医療現場以外の通常の状況下などで、患者が接する玩具あるいは他のデバイスに埋め込まれたセンサ)から生成された情報に基づいた対象の器用さに関する情報、対象の話し方、動作、タッチ応答時間、韻律、語彙、顔の表情、および対象が表す他の特徴のうち任意の単一または組み合わせを測定するスマートデバイスが挙げられ得る。受動的データは、ユーザーの動作に関するデータを含む場合があり、訓練されていない個人とって容易に検知可能または検知可能ではない場合がある微妙な情報を含む場合がある。いくつかの例では、受動的データは、より括的な情報を提供することができる。
【0443】
受動的に収集されたデータは、様々な環境から継続的に収集されたデータを含む場合がある。受動的に収集されたデータは、対象のより完全な全体像を提供し、したがって、評価の質を改善することができる。いくつかの例では、例えば、受動的に収集されたデータは、医療現場の内部と外部の両方で収集されたデータを含む場合がある。医療環境において受動的に収集されたデータは、医療現場外部から得られた受動的に収集されたデータとは異なる場合がある。したがって、継続的に収集された受動的データは、対象の一般的な行動やマナーのより完全な全体像を含むことができ、したがって、医療従事者が他の方法で入手できないデータまたは情報を含むことができる。例えば、医療現場で評価を受ける対象は、医療環境に対する対象の反応を代表する症状、ジェスチャー、特徴を示すことがあり、したがって、医療環境外部のより身近な状況下での対象の行動が完全かつ正確に理解されない場合がある。医療環境での評価から得られた1つ以上の特徴(例えば、診断モジュールによって評価された特徴)の相対的な重要性は、臨床現場以外で得られたか、または評価された1つ以上の特徴の相対的な重要性とは異なる場合がある。
【0444】
データは、診断テスト、診断質問、またはアンケート(2605)により収集された情報を含む場合がある。いくつかの例では、診断テスト(2605)からのデータは、第2の観察者(例えば、親、保護者、または分析されている対象ではない個人)から収集されたデータを含む場合がある。データには、受動的データソース(2610)、例えば、目の動きを追跡するか、または話し方を分析あるいは測定するように構成されたデバイスから収集されたデータが含まれ得る。
【0445】
図26に例示されるように、データ入力は、対象がテストされた障害(例えば、自閉症障害)を呈する可能性が高い(2620)かどうか、またはテストされた病気を呈していない(2625)かどうかの診断を行うために、例えば、分類器、アルゴリズム(例えば、機械学習アルゴリズム)、または統計モデルを使用したデータ解析(2615)を含み得る、診断のモジュールに供給される場合がある。本明細書で開示される方法およびデバイスは、第3の決定的ではないカテゴリー(この図で図示されず)を含むように代替的に使用されてもよく、このカテゴリーは、彼/彼女がテストされた障害を呈する可能性があるか、または可能性がないかを判断するための追加の評価を必要とする対象に対応する。本明細書で開示される方法およびデバイスは、障害に限定されず、行動状態、神経状態、メンタルヘルス状態、または発達状態などの他の認知機能に適用されてもよい。本方法および本デバイスは、最初に対象を3つのカテゴリーの1つに分類し、その後、対象から追加の情報を収集することにより、最初に「決定的ではない」と分類された対象の評価を継続して行ってもよい。最初に「決定的ではない」と分類された対象のそのような継続的な評価は、単一のスクリーニング手順(例えば、様々な評価モジュールを含む)で継続的に実行されてもよい。代替的または追加的に、決定的ではない群に属すると判定された対象は、別の追加のスクリーニング手順を用いて評価されてもよく、および/または、さらなる評価のために臨床医に紹介されてもよい。
【0446】
対象が障害を有する可能性がある(2620)として診断モデルによって決定される例では、第二当事者(例えば、開業医、親、保護者、または他の個人)に、情報の表示が提示される場合がある。情報の表示は、対象が呈する症状と平均集団が呈する症状との共分散を示すグラフとして表示することができる、障害の症状を提供する。特定の診断に関連する特性のリストは、確信値(confidence values)、相関係数、または対象のパフォーマンスと、平均集団または同様の障害を有する者からなる集団との関係を表示するための他の手段で表示され得る。
【0447】
ユーザーが診断可能な状態(例えば、自閉症障害)を呈する可能性が高いとデジタル個別化医療デバイスが予測する場合、治療モジュールは、行動介入;定められたアクティビティまたは訓練;特定の持続時間にわたる、特定の時間あるいは事例での、医療機器あるいは他の治療法による介入を含む行動処置(2630)を提供することができる。対象が治療を受けている間、データ(例えば、受動的データおよび診断の質問データ)は、例えば、治療が有効であるかどうかを決定するべく、フォローアップ評価を行うために収集し続けることができる。収集したデータは、所与の対象の適合性に関する決定を下すために、データ解析(2640)(例えば、機械学習、統計モデリング、分類タスク、予測アルゴリズムを使用する分析)をを受ける場合がある。成長曲線の表示は、対象のベースラインに対する(例えば、年齢と一致したコホートに対する)進行を示すために使用することができる。個人のパフォーマンスまたは進行は、治療モジュールによって予測される、示唆された行動治療を受けている対象のコンプライアンスを追跡するために測定される場合があり、成長曲線上の過去のパフォーマンスおよび予測されたパフォーマンスとして表され得る。個々の対象のパフォーマンスを評価するための手順は、適切な行動処置が特定されるまで反復されるか、または繰り返されてもよい(2635)。
【0448】
図23A~23Cおよび図24~26に関して記載されるデジタル治療処置の方法およびデバイスは、図1A~10に関して本明細書に記載されるよりも少ない質問で対象を評価する方法およびデバイスとの組み合わせに特によく適している。例えば、本明細書に記載される診断モジュール(2332)の構成要素は、本明細書に記載される最も関連する質問を含む、減少された質問のセットで対象を評価し、続いて、本明細書に記載される処置をモニタリングするための最も関連する質問を含む後の質問のセットで対象を評価するために、治療モジュール(2334)を用いて評価されるように構成することができる。
【0449】
図27は、複数の臨床的適応について対象を評価するためのデバイス(2700)を示す。デバイス(2700)は、複数のカスケード診断(cascaded diagnostic)モジュール(診断モジュール(2720)、(2730)、(2740)、(2750)、および(2760)など)を含む場合がある。カスケード診断モジュールは、ある診断モジュールからの出力が別の診断モジュールへの入力を形成し得るように、効果的に結合されてもよい(一連のモジュールなど)。図27に示されるように、デバイスは社会的または行動の遅れモジュール(2720)、自閉症またはADHDのモジュール(2730)、自閉症とADHDの識別モジュール(2740)、発話または言語の遅延モジュール(2750)、および知的障害モジュール(2760)を含む場合がある。本明細書のどこかに記載されているモジュール(例えば、図27に関して記載される診断モジュールなど)は、分類器を含むモジュールを指す場合がある。それに応じて、社会的または行動の遅れモジュールは社会的または行動の遅れ分類器を含む場合があり、自閉症またはADHDのモジュールは自閉症またはADHDの分類器を含む場合があり、自閉症とADHDの識別モジュールは自閉症とADHDの分類器を含む場合があり、発話または言語の遅延モジュールは発話または言語の遅延分類器を含む場合があり、知的障害モジュールは知的障害分類器を含む場合などがある。
【0450】
社会的または行動の遅れモジュール(2720)は、本明細書に記載されるインタラクティブアンケートからの情報などの情報(2710)を受け取る場合がある。社会的または行動の遅れモジュールは、対象の社会的または行動の遅れの診断の状態を決定するために、本明細書に記載される任意の診断動作を利用する場合がある。例えば、社会的または行動の遅れモジュールは、社会的または行動の遅れの診断の状態(つまり、対象が社会的または行動の遅れに合致する行動を示すかどうか)を決定するために、図13に関して記載される手順(1300)の任意の動作を利用する場合がある。社会的または行動の遅れの診断状態の決定時に、社会的または行動の遅れモジュールは、対象が社会的または行動の遅れを呈するかどうかに関する決定を出力する場合がある。社会的または行動の遅れモジュールは、対象が社会的または行動の遅れを呈することを示す陽性の識別(2722)を出力する場合がある。社会的または行動の遅れモジュールは、対象が社会的または行動の遅れを示さないことを示す陰性の表示(2724)を出力する場合がある。社会的または行動の遅れモジュールは、対象が社会的または行動の遅れを呈するかどうかを社会的または行動の遅れモジュールが判断することができないことを示す、決定的ではない表示(2726)を出力する場合がある。
【0451】
対象が社会的または行動の遅れを呈していないこと、あるいは、社会的または行動の遅れの照会の結果が不確定であることを社会的または行動の遅れモジュールが決定する場合、デバイスはそのような結果を出力し、対象の社会保健または行動保健へのその照会を停止させる場合がある。
【0452】
しかし、対象が社会的または行動の遅れを呈することを社会的または行動の遅れモジュールが決定する場合、社会的または行動の遅れモジュールは、この結果および情報(2710)を、自閉症またはADHDモジュール(2730)に渡す場合がある。
【0453】
自閉症またはADHDの遅延モジュールは、対象の自閉症またはADHDの状態を決定するために、本明細書に記載される任意の診断動作を利用する場合がある。例えば、自閉症またはADHDの遅延モジュールは、自閉症またはADHDの診断状態(つまり、対象は自閉症またはADHDに合致する行動を示すかどうか)を決定するために、図13に関して記載される手順(1300)の任意の動作を利用する場合がある。自閉症またはADHDの診断の状態の決定時に、自閉症あるいはADHDのモジュールは、対象が自閉症またはADHDを呈するかどうかに関する決定を出力する場合がある。自閉症またはADHDのモジュールは、対象が自閉症またはADHDを呈することを示す陽性の識別(2732)を出力する場合がある。自閉症またはADHDのモジュールは、対象が自閉症またはADHDを呈していないことを示す陰性の表示(2734)を出力する場合がある。自閉症またはADHDモジュールは、対象が自閉症またはADHDを呈するかどうかを、自閉症またはADHDのモジュールが判断することができないことを示す決定的ではない表示(2736)を出力する場合がある。
【0454】
対象が自閉症またはADHDを呈していないこと、あるいは、自閉症またはADHDの照会の結果が不確定であることを自閉症またはADHDのモジュールが決定する場合、デバイスはそのような結果を出力し、対象の社会保健または行動保健へのその照会を停止させる場合がある。そのようなシナリオでは、デバイスは、対象が社会的または行動の遅れを呈するという初期の診断に戻る場合がある。
【0455】
しかし、対象が自閉症またはADHDを呈すると自閉症またはADHDモジュールが決定する場合、自閉症またはADHDのモジュールは、この結果および情報(2710)を、自閉症とADHDの識別モジュール(2740)に渡す場合がある。
【0456】
自閉症とADHDの識別モジュールは、自閉症とADHDを識別するために本明細書に記載される任意の診断動作を利用する場合がある。例えば、自閉症とADHDの識別モジュールは、対象の自閉症とADHDを識別するために(つまり、対象が自閉症あるいはADHDにより合致する行動を示すかどうか判断するために)、図13に関して記載される手順(1300)の任意の動作を利用することがある。自閉症とADHDの識別の際に、自閉症とADHDの識別モジュールは、対象が自閉症を呈するかどうか、またはADHDを呈するかどうかに関する決定を出力することができる。自閉症とADHDの識別モジュールは、対象が自閉症を呈することを示す表示(2742)を出力することができる。自閉症とADHDの識別モジュールは、対象がADHDを呈することを示す表示(2744)を出力することができる。自閉症とADHDの識別モジュールは、対象の行動が自閉症により合致するか、またはADHDにより合致するかどうかを、自閉症とADHDの識別モジュールが識別することができないことを示す決定的ではない表示(2746)を出力することができる。
【0457】
自閉症とADHDの識別の照会の結果が不確定であることを、自閉症とADHDの識別モジュールが決定する場合、デバイスはそのような結果を出力し、対象の社会健康または行動保健へのその照会を停止させる場合がある。そのようなシナリオでは、デバイスは、対象が自閉症またはADHDに合致する行動を示すという初期の診断に戻る場合がある。
【0458】
代替案にまたは組み合わせて、自閉症とADHDの識別モジュールは、1つ以上の追加のモジュールに情報(2710)を渡すようにさらに構成される場合がある。例えば、自閉症とADHD識別モジュールは、強迫性障害モジュール(図27に図示せず)に情報を渡すように構成される場合がある。強迫障害モジュールは、本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体のいずれか(手順(1300)の任意の動作など)を使用して、対象が強迫性障害に合致する行動を示すかどうかに関して決定を下す場合がある。
【0459】
代替的にまたは組み合わせて、発話または言語の遅延モジュール(2750)は、情報(2710)を受け取る場合がある。発話または言語の遅延モジュールは、発話または言語が対象の診断の状態を遅らせると決定するために、本明細書に記載される任意の診断動作を利用することができる。例えば、発話または言語の遅延モジュールは、発話または言語の遅延が診断状態を遅らせていると(つまり、対象は、発話または言語の遅延に合致する行動を示すかどうか)決定するために、図13に関して記載される手順(1300)の任意の動作を利用してもよい。発話または言語の遅延の診断状態の決定時に、発話または言語の遅延モジュールは、対象が発話または言語の遅延を示すかどうかに関する決定を出力する場合がある。発話または言語の遅延モジュールは、対象が発話または言語の遅延を示すことを示す陽性の識別(2752)を出力する場合がある。発話または言語の遅延モジュールは、対象が発話または言語の遅延を示さないことを示す陰性の表示(2754)を出力する場合がある。発話または言語の遅延モジュールは、対象が発話または言語の遅延を示すかどうかを発話または言語の遅延モジュールが判断することができないことを示す、決定的ではない表示(2756)を出力する場合がある。
【0460】
対象が発話または言語の遅延を示していないか、あるいは、発話または言語の遅延の照会の結果が不確定であることを、発話または言語の遅延モジュールが決定する場合、デバイスはそのような結果を出力し、対象の言葉または言語の健康へのその照会を停止させる場合がある。
【0461】
しかし、対象が発話または言語の遅延を示すことを発話または言語の遅延モジュールが決定する場合、発話または言語の遅延モジュールはこの結果および情報(2710)を、知的障害モジュール(2760)に渡す場合がある。
【0462】
知的障害モジュールは、対象の知的障害の状態を決定するために、本明細書に記載される任意の診断動作を利用する場合がある。例えば、知的障害モジュールは、知的障害の診断の状態(つまり、対象は知的障害に合致する行動を示すかどうか)を決定するために、図13に関して記載される手順(1300)の任意の動作を利用する場合がある。知的障害の診断状態の決定時に、知的障害モジュールは、対象が知的障害を呈するかどうかに関する決定を出力する場合がある。知的障害モジュールは、対象が知的障害を呈することを示す陽性の識別(2762)を出力する場合がある。知的障害モジュールは、対象が知的障害を呈していないことを示す陰性の表示(2764)を出力する場合がある。知的障害モジュールは、知的障害モジュールが、対象が知的障害を示すかどうか判断することができないことを示す決定的ではない表示(2766)を出力する場合がある。
【0463】
対象が知的障害を呈していないこと、または知的障害の照会の結果が不確定であることを知的障害モジュールが決定する場合、デバイスはそのような結果を出力し、対象の発話または言語の健康へのその照会を停止させる場合がある。そのようなシナリオでは、デバイスは、対象が発話または言語の遅延を呈しているという初期の診断に戻る場合がある。
【0464】
代替的にまたは組み合わせて、知的障害モジュールは、1つ以上の追加のモジュールに情報(2710)を渡すようにさらに構成されてもよい。例えば、知的障害モジュールは、失読症モジュール(図27に図示せず)に情報を渡すように構成される場合がある。失読症モジュールは、本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体のいずれかを使用して(手順(1300)の任意の動作など)、対象が失読症に合致する行動を示すかどうかに関する決定を下す場合がある。
【0465】
社会的または行動の遅れ、自閉症、ADHD、強迫性障害、発話または言語の遅延、知的障害、および失読症に関して記載されているが、デバイス(2700)は、任意の行動障害の診断の状態を提供するために、任意の数のモジュール(1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10を超えるモジュールなど)を含んでいてもよい。モジュールは、任意の可能な順序で効果的に結合されてもよい(カスケード接続や連鎖接続など)。
【0466】
様々な実施形態では、入力データを分析するための機械学習方法が、本明細書で開示され、上記入力データには、例えば、感情検出分類器の場合には画像、行動、発達、あるいは認知障害または状態の存在の検出の場合には親/映像分析者/臨床医のアンケート、ユーザー入力あるいはパフォーマンス(受動的もしくは能動的)あるいはデジタル治療デバイス(例えば、感情認識を促進するように構成されたゲームまたはアクティビティ)とのインタラクション、本明細書に記載されるデータの他のソースが含まれる。
【0467】
様々な態様では、機械学習技術(例えば、畳み込みニューラルネットワークを利用する深層学習)を組み込むプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体が本明細書で開示される。場合によっては、感情の検出ために画像データを分析するためのAI転移学習フレームワークが本明細書で提供される。
【0468】
ある態様では、1つ以上の障害あるいは状態を検出するモデルまたは分類器、および/または、社会的互恵性を促進するように構成されたものなどのデジタル治療を使用して、反応性または有効性または改善の可能性を決定するモデルまたは分類器を生成するための、機械学習フレームワークが本明細書に開示される。これらのモデルまたは分類器は、スマートフォン、モバイルコンピューティングデバイス、またはウェアラブルデバイスなどの、本明細書で開示されるシステムまたはデバイスのいずれかにおいて実装される場合がある。
【0469】
いくつかの実施形態では、機械学習モデルまたは分類器は、独立したサンプルセットの精度、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率、および/またはAUCなどのパフォーマンスメトリックを示す。いくつかの実施形態では、モデルは、独立したサンプルセットのより高い精度、感度、特異度、陽性的中率、陰性的中率、および/またはAUCなどのメトリックを使用して、パフォーマンスについて評価される。いくつかの実施形態では、モデルは、少なくとも100、200、300、400、または500の独立したサンプルに対してテストされる場合、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、あるいは少なくとも99%の精度をもたらす。いくつかの実施形態では、モデルは、少なくとも100、200、300、400、または500の独立したサンプルに対してテストされる場合、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の感度(正確な陽性率)、および/または、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%あるいは少なくとも99%の特異度(正確な陰性率)をもたらす。いくつかの実施形態では、モデルは、少なくとも100、200、300、400、または500の独立したサンプルに対してテストされる場合、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%あるいは少なくとも99%の陽性的中率(PPV)をもたらす。いくつかの実施形態では、モデルは、少なくとも100、200、300、400、または500の独立したサンプルに対してテストされる場合、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%あるいは少なくとも99%の陰性的中率(NPV)をもたらす。いくつかの実施形態では、モデルは、少なくとも100、200、300、400、または500の独立したサンプルに対してテストされる場合、少なくとも0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.91、0.92、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、または0.99.のAUCを有する。
【0470】
いくつかの実施形態では、1つ以上の画像中の感情を検出するように構成された機械学習アルゴリズムまたはモデルは、ニューラルネットワークを含む。
【0471】
いくつかの実施形態では、転移学習は、最初に、画像(例えば、ImageNetからの)の大きなデータセットで訓練されたあらかじめ訓練されたモデルを生成し、モデルの一部(例えば、畳み込みニューラルネットワークのいくつかの層)を凍結させ、より標的化されたデータセット(例えば、ラベルが正確な顔の表情または感情で正確に標識されている画像)で訓練される新しいモデルに、凍結した一部を転送することによって、よりロバストなモデルを生成するために使用される。
【0472】
いくつかの実施形態では、分類器または本開示の訓練された機械学習モデルは、特徴空間を含む。いくつかの実施形態では、特徴空間は、画像からの画素データなどの情報を含む。モデルを訓練する場合、画像データなどの訓練データは、モデルを生成するために入力特徴を処理する機械学習アルゴリズムへの入力である。いくつかの実施形態では、機械学習モデルは、分類(例えば、診断またはテスト結果)を含む訓練データが提供され、それにより、その出力を実際の出力と比較することによってモデルを訓練し、モデルを修正および改善することが可能になる。これはしばしば、教師あり学習と呼ばれる。代替的に、いくつかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、未標識または未分類のデータが提供されてもよく、これは、アルゴリズムに、ケース間の隠れ構造を特定させる(教師なし学習と呼ばれる)。時々、教師なし学習は、生のデータを別々のコホートに分類するのに最も有用な特徴を特定するのに役立つ。
【0473】
いくつかの実施形態では、1以上のセットの訓練データが、機械学習モデルを訓練するために使用される。いくつかの実施形態では、機械学習アルゴリズムは、ニューラルネットワーク、決定木、サポートベクターマシン、または他の適用可能なモデルなどの予測モデルを利用する。いくつかの実施例では、機械学習アルゴリズムは、教師あり学習、半教師あり学習、および教師なし学習、例えば、サポートベクターマシン(SVM)、ナイーブベイズ分類、ランダムフォレスト、人工ニューラルネットワーク、決定木、K-平均法、学習ベクトル量子化(LVQ)、自己組織化マップ(SOM)、グラフィカルモデル、回帰アルゴリズム(例えば、線形、ロジスティック、多変量、相関ルール学習(association rule learning)、深層学習、次元削減、およびアンサンブル選択(ensemble selection)アルゴリズムなどからなる群から選択される。いくつかの実施形態では、機械学習モデルは、サポートベクターマシン(SVM)、ナイーブベイズ分類、ランダムフォレスト、および人工ニューラルネットワークからなる群から選択される。機械学習法は、バギング手法、ブースティング手法、ランダムフォレスト、およびそれらの組み合わせを含む。データを分析するための例示的なアルゴリズムとしては、限定されないが、統計的手法および機械学習技術に基づく方法などの、多くの変数を直接扱う方法が挙げられる。統計的手法には、罰金付きロジスティック回帰(penalized logistic regression)、マイクロアレイ予測分析(prediction analysis of microarrays)(PAM)、収縮重心法に基づく方法(methods based on shrunken centroids)、サポートベクターマシン分析、および正則化線形判別分析(regularized linear discriminant analysis)が含まれる。
【0474】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、治療計画または薬の投与の根拠として、あるいは、本明細書に記載される診断ための任意のデバイスまたは方法によって診断される障害のための根拠として使用されてもよい。
【0475】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、プロプラノロール、シタロプラム、エスシタロプラム、セルトラリン、パロキセチン、フルオキセチン、ベンラファキシン、ミルタザピン、ネファゾドン、カルバマゼピン、ディバルプロエックス、ラモトリギン、トピラメート、プラゾシン、フェネルジン、イミプラミン、ジアゼパム、クロナゼパム、ロラゼパム、またはアルプラゾラムなどの、急性ストレス障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0476】
プラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、ブスピロン、エスシタロプラム、セルトラリン、パロキセチン、フルオキセチン、ジアゼパム、クロナゼパム、ロラゼパム、またはアルプラゾラムなどの、適応障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0477】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、ジアゼパム、クロナゼパム、ロラゼパム、アルプラゾラム、シタロプラム、エスシタロプラム、セルトラリン、パロキセチン、フルオキセチン、またはブスピロンなどの、広場恐怖症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0478】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、またはリバスチグミンなどの、アルツハイマー病を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0479】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、オランザピン、シタロプラム、エスシタロプラム、セルトラリン、パロキセチン、またはフルオキセチンなどの、神経性食欲不振症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0480】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、セルトラリン、エスシタロプラム、シタロプラム、フルオキセチン、ジアゼパム、ブスピロン、ベンラファキシン、デュロキセチン、イミプラミン、デシプラミン、クロミプラミン、ロラゼパム、クロナゼパム、またはプレガバリンなどの、心配性障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0481】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、愛着障害を治療するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0482】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、アンフェタミン(例えば、5mg~50mgの投与量)、デキストロアンフェタミン(例えば、5mg~60mgの投与量)、メチルフェニデート(例えば、5mg~60mgの投与量)、メタンフェタミン(例えば、5mg~25mgの投与量)、デクスメチルフェニデート(例えば、2.5mg~40mgの投与量)、グアンファシン(例えば、1mg~10mgの投与量)、アトモキセチン(例えば、10mg~100mgの投与量)、リスデキサンフェタミン(例えば、30mg~70mgの投与量)、クロニジン(例えば、0.1mg~0.5mgの投与量)、またはモダフィニル(例えば、100mg~500mgの投与量)などの注意欠陥多動障害(ADHD/ADD)を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0483】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、リスペリドン(例えば、0.5mg~20mgの投与量)、クエチアピン(例えば、25mg~1000mgの投与量)、アンフェタミン(例えば、5mg~50mgの投与量)、デキストロアンフェタミン(例えば、5mg~60mg)、メチルフェニデート(例えば、5mg~60mgの投与量)、メタンフェタミン(例えば、5mg~25mgの投与量)、デクスメチルフェニデート(例えば、2.5mg~40mgの投与量)、グアンファシン(例えば、1mg~10mgの投与量)、アトモキセチン(例えば、10mg~100mgの投与量)、リスデキサンフェタミン(例えば、30mg~70mgの投与量)、クロニジン(例えば、0.1mg~0.5mgの投与量)、またはアリピプラゾール(例えば、1mg~10mgの投与量)などの、自閉症あるいは自閉症障害を治療する薬を投与するために使用されてもよい。
【0484】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、シタロプラム、デュロキセチン、またはドキセピンなどの、死別の喪失感(bereavement)を処置する薬を投与するために使用されてもよい。
【0485】
プラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、リスデキサンフェタミンなどの、過食性障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0486】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、トピラマート、ラモトリジン、オクスカルバゼピン、ハロペリドール、リスペリドン、クエチアピン、オランザピン、アリピプラゾール、またはフルオキセチンなどの、双極性障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0487】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、セルトラリン、エスシタロプラム、またはシタロプラムなどの、身体醜形障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0488】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、クロザピン、アセナピン、オランザピン、またはクエチアピンなどの、短期精神病性障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0489】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、セルトラリンまたはフルオキセチンなどの、神経性過食症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0490】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、ロラゼパム、ジアゼパム、またはクロバザムなどの、行為障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0491】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、気分循環性障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0492】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、クロザピン、アセナピン、リスペリドン、ベンラファキシン、ブプロピオン、またはブスピロンなどの、妄想性障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0493】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、セルトラリン、フルオキセチン、アルプラゾラム、ジアゼパム、またはシタロプラムなどの、離人症性障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0494】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、セルトラリン、フルオキセチン、シタロプラム、ブプロピオン、エスシタロプラム、ベンラファキシン、アリピプラゾール、ブスピロン、ボルチオキセチン、またはビラゾドンなどの、うつ病を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0495】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、脱抑制型対人交流障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0496】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、クエチアピン、クロザピン、アセナピン、またはピマバンセリンなどの、重篤気分調節症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0497】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、アルプラゾラム、ジアゼパム、ロラゼパム、またはクロルジアゼポキサイドなどの、解離性健忘を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0498】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、ブプロピオン、ボルチオキセチン、またはビラゾドンなどの、解離症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0499】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、アモバルビタール、アプロバルビタール、ブタバルビタール、またはメトヘキシタールなどの、解離性遁走を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0500】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、解離性同一性障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0501】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、アンフェタミン(例えば、5mg~50mgの投与量)、デキストロアンフェタミン(例えば、5mg~60mgの投与量)、メチルフェニデート(例えば、5mg~60mgの投与量)、メタンフェタミン(例えば、5mg~25mgの投与量)、デクスメチルフェニデート(例えば、2.5mg~40mgの投与量)、グアンファシン(例えば、1mg~10mgの投与量)、アトモキセチン(例えば、10mg~100mgの投与量)、リスデキサンフェタミン(例えば、30mg~70mgの投与量)、クロニジン(例えば、0.1mg~0.5mgの投与量)、またはモダフィニル(例えば、100mg~500mgの投与量)などの、失読症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0502】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、ブプロピオン、ベンラファキシン、セルトラリン、またはシタロプラムなどの、気分変調性障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0503】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、オランザピン、シタロプラム、エスシタロプラム、セルトラリン、パロキセチン、またはフルオキセチンなどの、摂食障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0504】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、表出性言語障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0505】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、エストロゲン、prostogen、またはテストステロンなどの、性別違和を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0506】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、ベンラファキシン、デュロキセチン、ブスピロン、セルトラリン、またはフルオキセチンなどの、全般不安症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0507】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、ブスピロン、セルトラリン、エスシタロプラム、シタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、ベンラファキシン、またはクロミプラミンなどの、ためこみ症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0508】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、知的障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0509】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、アセナピン、クロザピン、オランザピン、またはピマバンセリンなどの、間欠性爆発性障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0510】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、エスシタロプラム、フルボキサミン、フルオキセチン、またはパロキセチンなどの、窃盗症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0511】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、算数障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0512】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、ブスピロン(例えば、5mg~60mgの投与量)、セルトラリン(例えば、最大200mgの投与量)、エスシタロプラム(例えば、最大40mgの投与量)、シタロプラム(例えば、最大40mgの投与量)、フルオキセチン(例えば、40mg~80mgの投与量)、パロキセチン(例えば、40mg~60mgの投与量)、ベンラファキシン(例えば、最大375mgの投与量)、クロミプラミン(例えば、最大250mgの投与量)、またはフルボキサミン(例えば、最大300mgの投与量)などの、強迫性障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0513】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、反抗挑戦性障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0514】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、ブプロピオン、ビラゾドン、またはボルチオキセチンなどの、パニック症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0515】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、リバスチグミン、セレギリン、ラサギリン、ブロモクリプチン、アマンタジン、カベルゴリン、またはベンズトロピンなどの、パーキンソン病を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0516】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、ブプロピオン、ビラゾドン、またはバルチオキセチン(vartioxetine)などの、病的賭博を処置するためのための薬を投与するために使用されてもよい。
【0517】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、異食症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0518】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、セルトラリン、フルオキセチン、シタロプラム、ブプロピオン、エスシタロプラム、ベンラファキシン、アリピプラゾール、ブスピロン、ボルチオキセチン、またはビラゾドンなどの、産後うつ病を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0519】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、セルトラリン、フルオキセチン、またはパロキセチンなどの、外傷後ストレス障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0520】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、エストラジオール、ドロスピレノン、セルトラリン、シタロプラム、フルオキセチン、またはブスピロンなどの、月経前不快気分障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0521】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、デキストロメトルファン臭化水素酸塩またはキニジン硫酸塩などの、情動調節障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0522】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、クロザピン、アセナピン、オランザピン、パリペリドン、またはクエチアピンなどの、放火癖を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0523】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、反応性愛着障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0524】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、読字障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0525】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、レット症候群を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0526】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、反芻障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0527】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、セルトラリン、カルバマゼピン、オクスカルバゼピン、バルプロエート、ハロペリドール、オランザピン、またはロクサピンなどの、統合失調感情障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0528】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、クロルプロマジン、ハロペリドール、フルフェナジン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、オランザピン、ペルフェナジン、アリピプラゾール、またはプロクロルペラジンなどの、統合失調症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0529】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、パリペリドン、クロザピン、リスペリドンなどの、統合失調症様障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0530】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、セルトラリンまたはフルオキセチンなどの、季節性感情障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0531】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、分離不安障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0532】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、クロザピン、ピマバンセリン、リスペリドン、またはルラシドンなどの、共有精神病性障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0533】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、社会的(語用論的)コミュニケーション症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0534】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、アミトリプチリン、ブプロピオン、シタロプラム、フルオキセチン、セルトラリン、またはベンラファキシンなどの、社交不安恐怖症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0535】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、身体症状症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0536】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、ジアゼパム、エスタゾラム、クアゼパム、またはアルプラゾラムなどの、特定の恐怖症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0537】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、リスペリドンまたはクロザピンなどの、常同性運動障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0538】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、吃音を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0539】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、ハロペリドール、フルフェナジン、リスペリドン、ジプラシドン、ピモジド、ペルフェナジン、またはアリピプラゾールなどの、トゥレット症を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0540】
本明細書のどこかに記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体は、グアンファシン、クロニジン、ピモジド、リスペリドン、シタロプラム、エスシタロプラム、セルトラリン、パロキセチン、またはフルオキセチンなどの、一過性チック障害を処置するための薬物を投与するために使用されてもよい。
【0541】
図28は、本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体による診断に応じて、投与され得る薬を示す。薬は、薬瓶などの容器(2800)内に含まれている場合がある。容器には、「障害xと診断された場合、薬物yを投与する」との指示が記載されたラベル(2810)を有する場合がある。障害xは、本明細書に記載される任意の障害であってもよい。薬物yは、本明細書に記載される任意の薬であってもよい。
【0542】
図29は、本明細書に記載される個人を評価するためのプラットフォームの図を示す。図29に例示されるプラットフォームアーキテクチャには、入力の様々なソース、具体的には、保護者またはユーザーのモバイルアプリケーションあるいはデバイス(2901)、ビデオ分析者ポータル(2902)、および医療提供者ダッシュボード(2903)が含まれる。これらの入力データソースは、インターネット(2914)を介したプラットフォームの残りと通信し、インターネット(2914)それ自体が、映像記憶サービス(2912)およびロードバランサゲートウェイ(2916)とインターフェースで接続している。ロードバランサゲートウェイ(2916)は、データ解析を支援するために、インデックスサービス(2924)およびアルゴリズムとアンケートサービス(2926)を利用するアプリケーションサーバー(2918)との動作的に通信している。アプリケーションサーバー(2918)は、分析で使用するために、映像記憶サービス(2912)および主データベース(2910)からデータを調達する。ロギングサービスまたは監査サービスはまた、プライバシーおよびHIPAAコンプライアンスを保証するのを支援するために、どのようなユーザーデータがアクセスされるか、またはそれがどのように使用されるかなど、あらゆるイベントを文書化するために使用されてもよい。
【0543】
図30は、個人の評価ための非限定的なフローチャートを示す。保護者または医療提供者は、子どもに対する懸念が生じ(3001)、その後、子どものためにASDデバイスが処方され(3002)、医療提供者はこのデバイスの使用が適切であるかを決定し、保護者にその使用について説明する。その後、保護者は、保護者アンケートを含む第1のモジュールを完了し、回答および2つの映像をアップロードする(3003)。次に、ビデオ分析者は、アップロードされた映像を評価し(3004)、第2のモジュールを完了するための回答を提供する。医療提供者はさらに、臨床医/医療提供者アンケートを含む第3のモジュールを完成する(3005)裁量権を有する。この第3のモジュールは、子どもとのアポイントメント中、またはアポイントメント外で完成されてもよい。その後、デバイスは、評価の結果を返す(3006)。ASDの陽性の評価(3007)または陰性の評価(3008)の場合には、医療提供者が、臨床症状と合わせて結果を検討し、診断を下す。その後、最終評価の結果は、ASD陽性診断(3010)またはASD陰性診断(3011)である。
【0544】
図31Aは、本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体に従って、個人を評価するためのモバイルデバイスのログイン画面を示す。ログインには、評価される対象および/または保護者に関連する個人アカウントにアクセスするためのユーザーネームとパスワードが含まれる。
【0545】
図31Bは、例えば、第1の評価モジュールのASD評価のユーザー部分が完了したこと示す、モバイルデバイスの画面を示す。
【0546】
図31Cは、ASDを患っていると疑われる対象の映像をキャプチャするための指示を提供するモバイルデバイスの画面を示す。その画面は、対象による様々な遊び時間に対応する第1の映像および第2の映像の記録を開始するために、ユーザーによって選択可能なインタラクティブ要素を示す。
【0547】
図31D図31E、および図31Fは、本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体に従って、対象を評価する際に使用される質問に答えるようにユーザーを促すモバイルデバイスの画面を示す。
【0548】
図32は、ビデオ分析者アンケートの一部としての質問を表示するビデオ分析者ポータルの表示画面を示す。このアンケートに対する回答は、例えば、本明細書に記載される第2の評価モジュールにおいて、評価モデルまたは分類器への入力の一部を形成する場合がある。
【0549】
図33は、医療提供者アンケートの一部としての質問を表示する医療提供者ポータルの表示画面を示す。このアンケートに対する回答は、例えば、本明細書に記載される第3の評価モジュールにおいて、評価モデルまたは分類器への入力の一部を形成する場合がある。
【0550】
図34は、本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体に従って、映像と完了した保護者アンケートとを含む個人に関するアップロードされた情報を示す、医療提供者ポータルの表示画面に示す。
【0551】
図35は、モバイルデバイスソフトウェアとサーバーソフトウェアとを含む、本明細書に記載されるデジタル治療を対象に提供するためのプラットフォームの図を示す。モバイルデバイスソフトウェアには、拡張現実ゲームモジュール(3501)、感情認識エンジン(3502)、映像の記録/再生モジュール(3503)、および映像レビューゲーム(3504)(例えば、感情推測ゲームまたは感情認識ゲーム)が含まれる。サーバーソフトウェアには、ローカルコンピューティングデバイス上のAPIサービス(3510)、アプリケーションデータベース(3511)、映像ストレージ(3512)、医療提供者ポータル(3513)、および医療提供者またはセラピストのレビューポータル(3514)が含まれる。
【0552】
図36は、本明細書に記載されるプラットフォーム、システム、デバイス、方法、および媒体に従って、デジタル治療を提供するように構成されたデバイスの図を示す。この例示的な例では、デバイスは、ユーザーが別の個人(3603)の1つ以上の画像(例えば、写真または映像)をキャプチャすることを可能にする外向きカメラを備えたスマートフォン(3601)である。顔の追跡は、1つ以上の画像内の1つ以上の顔(3604)を識別するために行なわれる。識別された顔は、感情分類(3605)のためにリアルタイムで分析される。その分類は、顔を、複数の感情(3606)から選択される感情を示していると分類するように構成された分類器を使用して行なわれる。この例では、スマートフォン(3601)は、構造化されていない遊びまたはフリーローミングモードであり、このモードでは、分類された感情が表示画面上の対応する顔文字(3602)で描写され、ユーザーに動的またはリアルタイムのフィードバックを提供する。
【0553】
図37は、デジタル診断とデジタル治療を組み合わせた動作のフローを示す。この非限定的な実施形態では、デジタル診断の動作は、診断入力モダリティ(3701)(例えば、親/保護者のアンケートに対応する入力、臨床医のアンケート、映像ベースの入力、センサデータなど)の適用を含む。その後、入力データは内部診断次元の計算(3702)で使用され、例えば、対象は、入力データに基づいた多次元の診断空間上に投影され得る。診断の次元は、スカラー出力に投影される(3703)。このスカラー出力は閾値に対して評価される(3704)。例えば、閾値は、障害、状態、または機能障害の存在、あるいはそれらのカテゴリーまたはグループについての陽性の決定、陰性の決定、および随意に決定的ではない判定の間でカットオフを決定するスカラー値であり得る。それに応じて、結果として生じる結果または予測が生成される(3705)。結果または予測は、予測された医学的診断であってもよく、および/または、医学的診断を下す際に臨床医によって考慮される場合がある。次に、診断プロセスの診断または結果に基づいて治療が処方される(3706)。デジタル治療の動作は、デジタル診断の動作から内部診断次元を受け取る(3707)ことを含む。その後、内部診断次元(3707)および処方(3706)に基づいて、カスタマイズおよび/または最適化された治療レジメンが、生成される(3708)。その後、デジタル治療レジメンは、例えば、対象の診断または評価をするために使用されるのと同じコンピューティングデバイスによって実施される(3709)。デジタル治療レジメンは、診断された障害、状態、または機能障害に関連する1つ以上の機能に関して対象における改善を増大させるかまたは最大化すると判定された、1つ以上のアクティビティまたはゲームを含むことができる。例えば、アクティビティまたはゲームとしては、スマートフォンまたはタブレットを介して実行される顔認識および自動的なリアルタイムの感情検出を用いた、感情キュー認識アクティビティが挙げられ得る。ユーザーの進行は追跡され、特定のユーザーまたは対象に関連付けて保存され得る(3710)。進行を追跡することで、パフォーマンスをモニタリングすること、および経時的な進捗に基づいてゲームまたはアクティビティを調節または変更することができる。例えば、対象のためにカスタマイズされた治療レジメンは、対象が得意とするアクティビティまたはゲームからシフトされるか、あるいは、難易度が上げられる。
【実施例
【0554】
実施例1-評価モジュール
【0555】
スマートフォンデバイスは、データを取得し、データを評価して個人の評価を生成するように構成された一連の評価モジュールで構成される。
【0556】
モジュール1-保護者の評価
【0557】
保護者評価は、標準化された診断機器(自閉症診断面接改訂版(Autism Diagnostic Interview-Revised)(ADIR)によって探られるものに類似する行動パターンを探るように設計されるが、簡潔で保護者が理解できるように単純化された方法で提示する。
【0558】
デバイスは、重要な行動パターンを識別するために保護者に最も予測的な質問の最小限のセットを提示する。保護者は、子どもの年齢に基づいた一連の多肢選択式問題を与えられ、これは典型的に10~15分以内に完了する。
【0559】
18ヵ月~47か月の子どもの場合、保護者は、以下のカテゴリーに分類される18の多肢選択式問題に回答するよう求められる:
【0560】
非言語的コミュニケーション
【0561】
社会的相互作用
【0562】
普通ではない感覚の関心/反応
【0563】
48ヵ月~71か月の子どもの場合、保護者は、以下のカテゴリーに分類される21の多肢選択式問題に回答するよう求められる:
【0564】
非言語的コミュニケーション
【0565】
相互の言語的コミュニケーション
【0566】
社会的相互作用
【0567】
普通ではない感覚の関心/反応
【0568】
反復的/制限的な行動または関心
【0569】
モジュール2-映像分析
【0570】
モジュール2では、子どもが家で玩具および他の人たちと自然に遊んでいる、それぞれ少なくとも1分の映像2本をアップロードすることを保護者に求める。詳細な指示はアプリケーション内で保護者に提供される。映像は、HIPAAの安全なサーバーに安全にアップロードされる。各提出物は分析者によってスコアリングされ、分析者は互いに独立して、組み合わせた映像でASDの表現モデルの特徴を評価する一連の多肢選択式問題に回答することによって観察された行動を評価する。映像分析者は、モジュール1からの保護者の回答へのアクセスも、モジュール3からのHCPの回答へのアクセスも持っていない。
【0571】
ビデオ分析者は、18~47か月の子どもの場合、33の質問で子どもの行動を評価し、48~71か月の子どもの場合、以下のカテゴリーに分類される28の質問で評価する:
【0572】
非言語的および言語的コミュニケーション
【0573】
社会的相互作用
【0574】
普通ではない感覚の関心/反応
【0575】
常同行動または反復運動、物の使用、または発話
【0576】
すべての質問に対して、分析者は、「映像を確実に評価するための十分な機会を提供しない」という選択オプションを有している。加えて、1つ以上の映像が以下の理由で有用ではない場合、分析者は、提出物がスコアリングできないものであるとみなすことができる。その理由としては、不十分な照明、不十分な映像および音声の質、見晴らしが悪い場所(bad vantage point,)、グループ内での子どもの不在または識別不可能、子どもとの不十分な交流である。スコアリングができない場合、保護者は、追加の映像をアップロードするよう通知および要求される。
【0577】
医療デバイスの基礎となるアルゴリズムは、以下のように、ビデオ分析者の各々から別々に提供されるアンケートの回答を使用するだろう:分析者の各々が完全に回答したアンケートを1セットの入力の特徴としてモジュール2のアルゴリズムに入力し、これに対してアルゴリズムは内部的に数値応答を出力する。このことを分析者の各々に対して個別に繰り返し、結果として1セットの数値応答を得る。その後、数値応答を平均化し、応答の平均をモジュール2の全体的な出力とみなす。その後、単一のカテゴリー別の結果を得るために、モジュール2の出力を他のモジュールの出力と組み合わせる。
【0578】
モジュール3-医療提供者の評価
【0579】
HCPは、子どもの年齢に基づいた一連の質問を提供される。18~47ヵ月の子どもの場合、HCPは、13の多肢選択式問題に回答するように求められる。48~71ヵ月の子どもの場合、HCPは、15の多肢選択式問題に回答するように求められる。モジュール3を完了する前に、HCPはモジュール1からの保護者の回答へのアクセスを持っていない。HCPは、モジュール2からのビデオ分析者の回答へのアクセスを持っていない。質問は以下のカテゴリーに分類される:
【0580】
発達
【0581】
言語およびコミュニケーション
【0582】
感覚的行動、反復行動、および常同行動
【0583】
社会性
【0584】
アルゴリズム出力
【0585】
3つのモジュールを完了した後、入力を評価して、決定を下すのに十分な情報があるかどうかを判断する。
【0586】
動的アルゴリズムを使用して決定を生成した:
【0587】
観察不可能な共依存性および情報の非線形性を利用する。
【0588】
最大に予測的な特徴の最小のセットを識別する。
【0589】
診断の出力を生成するために、「次に最も関連する」情報を動的に置き換えることができる。
【0590】
医療デバイスを含むモジュール1、2、および3のそれぞれの基礎となるのは、独立して訓練された機械学習予測モデルである。3つのモデルの各々は、質問-回答項目レベルでの過去の医療機器スコアシートの何千ものサンプルと、対応する診断のラベルとを有する専用訓練セットを使用してオフラインで訓練され、それにより、訓練プロセスは教師あり機械学習の実行である。機械学習アルゴリズムのフレームワークはGBDT(Gradient Boosted Decision Trees)であり、GBDTは、訓練セットのデータで訓練すると、自動的に作成された決定木のセットが生成され、その決定木の各々は、訓練セットの入力特徴のうちのいくつかを使用し、および、その決定木の各々は、新しい患者の提出物に関する新しい特徴データで実行された時にスカラー出力を生成する。ぞれぞれの決定木からのスカラー出力は、分類モデルの総スカラー出力を得るために合計される。したがって、予測に使用される場合、3つのモジュール出力の各々は、全体的なアルゴリズムの中間出力と考えられる単一のスカラー値を出力する。
【0591】
それぞれ3つの分類アルゴリズムからのスカラー出力を、入力として第2段階の組み合わせ分類モデルに渡し、このモデルを、臨床研究で集められた350の過去のデータ提出物で独立して訓練する。この組み合わせモデルは本質的に確立的であり、3つの個々のモジュール分類器すべての間の分散行列を考慮に入れるように訓練される。上記モデルは、3つのモジュールすべての組み合わせた出力を表す単一のスカラー値を出力し、その後、子どもがASD陽性またはASD陰性であるかの判定を考慮することができる絶対的な結果を生成するために、その出力をプリセットされた閾値と比較する。
【0592】
デバイスはまた、予測が弱い場合には結果が出力されないように設計されている。絶対的な判定を提供することができない場合、その時点で、デバイスが自閉症障害(ASD)の結果を提供することができない旨を医療提供者に通知する(「No Result」)。具体的には、患者を、ASD陰性としてアルゴリズムの分類器内に確信して置くことができない特徴の不十分な数および/または重症度を示す場合がある一方で、ASD陽性としてアルゴリズムの分類器内に確信して置くことができない特徴の十分な数および/または重症度を示す場合がある。これらの場合では、アルゴリズムは結果を提供しない(「No Result」ケース)。ほとんどの場合(患者)では、アルゴリズムは2つの明確な診断出力、すなわち、ASD陽性とASD陰性のうちの1つを提供する。
【0593】
実施形態2-患者の評価の概要
【0594】
患者の診察中に、医療提供者(HCP)は、観察および/または保護者の懸念に基づいて、子どもの発達に関する懸念を有する。その後、HCPは、デジタルアプリケーションで構成されたデバイスを処方し、保護者にデバイスの概要を提供する。デバイスが薬局によって分配されると、保護者はアプリケーションにアクセスする。保護者はHCPのオフィスを出て、アプリケーションをダウンロードし、アカウントを作成する。その後、保護者は、アプリケーションの子どもの行動/発達に関する質問に回答するように促される(モジュール1)。回答すると、保護者は、子どもの自然な家庭環境での子どもの2本の映像を記録してアップロードするように求められる。詳細な指示は、アプリケーション内で提供される。映像が長すぎるかまたは短すぎる、あるいは技術的指示に適合していない場合、保護者はそれらをアップロードすることができず、次に進むために何を修正する必要があるかに関して追加の指示が提供される。映像がアップロードされると、保護者は、次の工程のために連絡が来るだろうと通知される。
【0595】
映像がアップロードされると、訓練を受けた映像分析者は、ビデオ分析者ポータルを介してアップロードされた映像を確認するように促される。映像分析者は、モジュール1の保護者の回答とモジュール3からのHCPの回答を知らされていない。映像分析者は、定義された要件および品質管理に従って、映像に示された子どもの行動に関する質問に回答する(モジュール2)。保護者は、映像分析者が映像を「評価可能」ではないとみなす場合、追加の映像をアップロードする必要があるという通知を受ける場合がある。
【0596】
デバイスが処方されると、HCPはCognoaによって子どもの行動/発達に関する1セットの質問に回答するように促される(モジュール3)。HCPは、モジュール3を完了するために、文書化に関する標準的な診療ガイドラインに従うだろう。モジュール3の質問に回答する前に、HCPは、モジュール1中の保護者の回答とモジュール2からの映像分析者の回答を知らされていない。
【0597】
3つのモジュールすべてが完了すると、動的な機械学習アルゴリズムは、複雑なマルチレベルの決定木を介してモジュールの入力を評価して組み合わせ、出力を提供する。HCPは、HCPダッシュボードにログインし、全体的なデバイスの評価結果を再検討するように通知され、それと同時に、その結果を患者の臨床症状にあわせて使用すべきであることを示すデバイスの使用説明も通知される。
【0598】
HCPは、診療範囲内で確定診断行うために、子どもの臨床症状の医学的評価とあわせて、デバイスの結果を再検討する。デバイスの結果は、HCPがASDの診断を行うか、または子どもがASDを呈していないと判定するのを支援するだろう。
【0599】
場合によっては、HCPは、デバイスが結果を提供することができないと通知されるだろう。このような場合、HCPは自身の判断で患者のために最良の決定を下さなければならない;しかし、この状況で、デバイスはHCPに対して、いかなる推薦も行わず、次の工程に関するさらなる臨床指示もガイダンスも提供しない。
【0600】
最後に、デバイスが出力を行った後、HCPは、モジュール1に対する保護者の回答、生の患者の映像、およびデバイスに関する臨床パフォーマンステストデータにアクセスするだろう。
【0601】
実施例3-ASD陽性評価シナリオ
【0602】
ASD陽性シナリオA
【0603】
プライマリーケア現場での患者の診察中に、有資格の医療提供者は、観察および保護者の懸念に基づいて、2歳の子どもの発達に関して懸念を持っている。患者には言語遅延があり、彼の母親は、彼は自分の名前が呼ばれたときに反応しないと述べるが、彼の聴力検査は正常であり、彼は小さい音によって簡単にイライラすることがある。プライマリー医療提供者は、Cognoaデバイスの使用が適切かどうかをデバイスのラベルに従って評価し、処方を介してデバイスの使用を保護者に指示する。
【0604】
保護者は病院を出て、ソフトウェアをダウンロードし、モジュール1を完了し、患者の映像をアップロードする。映像分析者は、分析者ポータルを介して提出された映像をスコアリングすることによって、モジュール2を完了する。医療提供者は、提供者ポータルを介してモジュール3にアクセスし、医療提供者アンケートを完成させる。デバイスは、自閉症をもっとも示す重要な発達行動を考慮して、提供された情報を分析し、医療提供者は、デバイスの結果が利用可能になると通知を受ける。医療提供者に、患者が「ASD陽性」であることを示す報告書が提供され、結果を決定するために使用されたサポートデータは、医療提供者が確認するために利用可能となっている。
【0605】
医療提供者は結果を再検討し、結果が臨床症状と一致していると判定し、診断が説明される保護者との対面式面談でASDの診断を提供し、米国小児科学会の推奨に従って治療を処方する。
【0606】
ASD陽性シナリオB
【0607】
プライマリーケア現場の患者の診察中に、有資格の医療提供者は、3歳半の子どもの発達を評価する。患者は、奇妙な言葉遣いをするが、言語の遅延はない。親の報告によると、彼女は奇妙な反復音も発するとのことである。患者は、危険に対する認識が乏しく、見知らぬ人のパーソナルスペースにしばしば侵入する。医療提供者は、デバイスの使用が適切かどうかをデバイスのラベルに従って評価し、処方を介してデバイスの使用を保護者に指示する。
【0608】
保護者は病院を出て、ソフトウェアをダウンロードし、モジュール1を完了し、患者の映像をアップロードする。映像分析者は、分析者ポータルを介して提出された映像をスコアリングすることによって、モジュール2を完了する。医療提供者は、提供者ポータルを介してモジュール3にアクセスし、医療提供者アンケートを完成させる。デバイスは、自閉症をもっとも示す重要な発達行動を考慮して、提供された情報を分析し、医療提供者は、デバイスの結果が利用可能になると通知を受ける。医療提供者に、患者が「ASD陽性」であることを示す報告書が提供され、結果を決定するために使用されたサポートデータは、医療提供者が確認するために利用可能である。
【0609】
医療提供者はデバイスの結果を再検討し、この結果がASDと最も一致していると判定する。医療提供者は、診断が説明される保護者との対面式面談でASD診断を提供し、米国小児科学会の推奨に従って治療を処方する。
【0610】
実施例4-ASD陰性評価シナリオ
【0611】
ASD陰性シナリオA
【0612】
プライマリーケア現場での患者の診察中に、有資格の医療提供者は5歳の子どもの発達を評価する。患者は異常に活発な振る舞いをしており、すぐに気が散ってしまう。彼の母親によると、彼は自分の名前が呼ばれたときに応答せず、何度も呼ばないと彼女に気が付いてくれないとのことだ。患者は仲間との関係に悩んでおり、友達を作るのが苦手である。医療提供者は、自閉症の可能性について懸念するが、ADHDの可能性を最も疑っている。医療提供者は、デバイスの使用が適切かどうかをデバイスのラベルに従って評価し、処方を介してデバイスの使用を保護者に指示する。医療提供者はさらに、親および幼稚園の先生にVanderbiltのADHD評価を完了するように依頼する。
【0613】
保護者は病院を出て、ソフトウェアをダウンロードし、モジュール1を完了し、患者の映像をアップロードする。映像分析者は、分析者ポータルを介して提出された映像をスコアリングすることによって、モジュール2を完了する。医療提供者は、提供者ポータルを介してモジュール3にアクセスし、医療提供者アンケートを完成させる。デバイスは、自閉症をもっとも示す重要な発達行動を考慮して、提供された情報を分析し、医療提供者は、デバイスの結果が利用可能になると通知を受ける。医療提供者に、患者が「ASD陰性」であることを示す報告書が提供され、この結果を決定するために使用されたサポートデータは、医療提供者が確認するのに利用可能となっている。
【0614】
医療提供者は、デバイス結果とVanderbiltの評価を再検討し、診断がADHDと最も一致していると判定する。医療提供者は、診断が説明される保護者との対面式面談で多動性優勢型ADHDの診断を提供し、米国小児科学会の推奨に従って治療を処方する。
【0615】
医療提供者は、行動治療に対する患者の反応をモニタリングし、鑑別診断にASDの可能性を残したまま非刺激性のADHD薬物治療を処方する。患者は治療および薬物治療によく反応し、ASDに関する兆候を示さなくなり、このことはADHDの診断を強化した。
【0616】
ASD陰性シナリオB
【0617】
プライマリーケア現場での患者の診察中に、患者の親は、18か月の患者の年上の兄弟が自閉症診断を受けていると報告し、彼の父親は、いくつかの攻撃的なエピソードまたは常同行動の可能性を指摘している。患者はすべての発達マイルストーンを満たしており、彼の病院での検査および交流は年齢に応じたものである。父親は、患者が年上の兄弟に似た常同行動を示す映像を医療提供者に示す。医療提供者は、Cognoaデバイスの使用が適切であるかどうかの評価をデバイスのラベルに従って評価し、処方を介してデバイスの使用を保護者に指示する。保護者は病院を出て、ソフトウェアをダウンロードし、モジュール1を完了し、患者の映像をアップロードする。Cognoaのビデオ分析者は、Cognoa分析者ポータルを介して提出された映像をスコアリングすることによって、モジュール2を完了する。医療提供者はCognoa提供者ポータルを介してモジュール3にアクセスし、医療提供者アンケートを完了する。
【0618】
デバイスは、自閉症をもっとも示す重要な発達行動を考慮して、提供された情報を分析し、医療提供者は、デバイスの結果が利用可能になると通知を受ける。医療提供者に、患者が「ASD陰性」であることを示す報告書が提供され、この結果を決定するために使用されたサポートデータは、医療提供者が確認するのに利用可能となっている。医療提供者はCognoaデバイスの結果を再検討し、患者が年上の兄弟を真似ている可能性が最も高いと判定する。医療提供者は、患者の発達をモニタリングし、患者が攻撃的な行動または常同行動を示す場合、再指示について(on redirection)子育てガイダンスを提供する。
【0619】
実施例5-ASDの決定的ではない評価シナリオ
【0620】
ASDの決定的ではないシナリオA
【0621】
プライマリーケア現場での患者の診察中に、5歳半の患者は学習困難を有すると親によって報告され、学校は、特別支援教育制度に入る可能性があるため、個別教育計画の評価を行うことを推奨している。患者は病院で医療提供者と目を合わせるのが苦手で、質問に回答するのが遅く、感情の起伏がない。ネグレクトまたは虐待の兆候はなく、幻覚の報告もない。検査室評価により、正常なCBC、CMP、TSHが認められた。医療提供者は、Cognoaデバイスの使用が適切であるかどうかの評価をデバイスのラベルに従って評価し、処方を介してデバイスの使用を保護者に指示する。保護者は病院を出て、、ソフトウェアをダウンロードし、モジュール1を完了し、患者の映像をアップロードする。
【0622】
映像分析者は、分析者ポータルを介して提出された映像をスコアリングすることによって、モジュール2を完了する。医療提供者は、提供者ポータルを介してモジュール3にアクセスし、医療提供者アンケートを完成させる。デバイスは、自閉症を最も示す主要な発達行動を考慮して、提供された情報を分析し、提供された情報に基づいて現時点では、ASDに関する結果を提供できないことを医療提供者に通知する。この時点でデバイスの使用を停止する。
【0623】
この時点で、HCPは、専門的な意思決定を使用して、患者の次の工程を決定する。
【0624】
ASDの決定的ではないシナリオB
【0625】
幼稚園以来、言葉の遅れはあるが、言語療法において進歩してきた5歳児は、大人と頻繁に口論し、すぐにキレ、ルールに従わず、自分のミスを他人のせいにし、わざと他人を困らせ、怒った、憤慨した、および意地悪な行動をとると彼の教師によって指摘されていた。親はこれらの懸念を子どものプライマリーケア提供者に伝える。医療提供者は、デバイスの使用が適切かどうかをデバイスのラベルに従って評価し、処方を介してデバイスの使用を保護者に指示する。保護者は病院を出て、、ソフトウェアをダウンロードし、モジュール1を完了し、患者の映像をアップロードする。
【0626】
映像分析者は、分析者ポータルを介して提出された映像をスコアリングすることによって、モジュール2を完了する。医療提供者は、提供者ポータルを介してモジュール3にアクセスし、医療提供者アンケートを完成させる。デバイスは、自閉症を最も示す主要な発達行動を考慮して、提供された情報を分析し、提供された情報に基づいて現時点では、ASDに関する結果を提供できないことを医療提供者に通知する。この時点でデバイスの使用を停止する。
【0627】
この時点で、HCPは、専門的な意思決定を使用して、患者の次の工程を決定する。
【0628】
実施例6-感情認識のデジタル治療
【0629】
前述の実施例のいずれかで記載されるデバイスを使用して、患者を評価し、ASD陽性であると判定した。評価で使用されるデバイスおよび/または異なるデバイスは、感情認識の訓練を介して患者を訓練するためのデジタル治療アプリケーションで構成される(「治療デバイス」)。この場合、デバイスは、デジタル治療を提供するためのモバイルアプリケーションで構成されたスマートフォンである。HCPは、患者の治療ためのデバイスおよび/またはモバイルアプリケーションを処方する。患者または親または保護者は治療デバイスへのアクセスを与えられ、モバイルアプリケーションの個人アカウントに登録/ログインする。モバイルアプリケーションは、感情を引き出すアクティビティ、感情を認識するアクティビティ、および構造化されていない遊びを含むアクティビティモードを含む、患者に選択可能なモードを提供する。
【0630】
患者または親または保護者は、構造化されていない遊びを選択し、デバイスにカメラを起動させ、グラフィックユーザーインターフェースを表示させ、グラフィックユーザーインターフェースを表示させ、患者が外向きカメラを他の人に向けると、リアルタイムの顔認識および感情の検出/分類を動的に行う。患者が特定の個人にカメラを向ける場合、個人の画像が分析されて少なくとも1つの感情が識別され、グラフィックユーザーインターフェースは、感情またはその表現(例えば、感情に対応する絵文字または単語)を表示する。このことは、カメラで観察されている人によって表示されている感情を患者が観察し学習することを可能にする。場合によっては、インターフェースに感情が表示されるのを遅らせることで、「回答」が与えられる前に患者が感情を識別しようとする時間を作ることができる。その後、それぞれ積極的に識別された感情およびその対応する画像は、画像ライブラリに保存される。
【0631】
保護者はデジタル治療セッションを穏やかにし、ここで、子どもはスマートフォンを使用して、自宅、オフィス、または他の身近な環境を歩き回り、アプリケーション内の音声によって促される感情を「見つける」またはその感情を誘発しようとする。しばしば、自宅環境では、感情は保護者によって生成されるだろう;保護者への指示は、要求された感情を再現するか、意図的に間違った顔を提供することだろう。複数の人がいる領域でのデバイスの使用中、保護者の指示は、子どもが促されたされた顔の表情をしている個人を見つけるのを助けるように保護者に指示するだろう;存在しない場合は、保護者は、子どもに警告を出さずに、その感情を再現するか、近くにいる他の人にその感情を再現するよう促すことができる。子どもは、促された感情を表現していると思う個人に向かって携帯電話のカメラを向ける;モバイルのアプリケーションは、顔が検出されると、子どもに警告を発する拡張現実(AR)コンポーネントを有する。その後、画面は、顔に表された感情表現を正しく標識するリアルタイムの音声と視覚のフィードバックを子どもに提供する(例えば、絵文字が、対応する感情とともに画面上にリアルタイムで表示される)。子供が本製品を使い続けると、絵文字は拡張現実環境で画面上に残る。
【0632】
患者が画像ライブラリに多くの画像を集めた後、患者は構造化されていない遊びのアクティビティから切り替わり、感情認識のアクティビティを選択する。その後、患者は、強化学習のために感情認識ゲームまたは感情推測ゲームを選択する。
【0633】
感情推測ゲームでは、子どもが評価した前の画像と、ストックの顔画像(事前に確認されたソースからの)とを混ぜて保存される。このアクティビティの目標は、(a)子どもによって正確に評価されなかった画像を確認し、保護者にそれを修正してもらい、(b)維持を改善するために、子どもの正しい選択を強化および維持することである。その後、その子どもは、画像に表示される感情表現を正確に一致させるか、または標識化することができる。このEGGからの目標は、異なる二次元環境において、拡張現実の構造化されていない遊びのセッションからの学習を強化することである。それは、感情をともに確認し、話し合うために、保護者と子どもの間のさらなる社会的互恵性の機会を提供する。
【0634】
様々な強化学習ゲームが患者による選択のために提供される。これらのゲームの例を以下に示す:
【0635】
(A)ゲームは、3つの様々な感情、つまり、幸福、悲しみ、および怒りを示すとして分類された、患者が集めた3つの画像(ストック画像と混合されている可能性がある)を示す。ゲームは、「幸福」感情を示す画像を選択するように患者に求める視覚および音声のプロンプトを提供する。患者は画像を選択し、その後、その選択が適切かどうかに基づいてフィードバックが与えられる。患者は、集められた様々な画像を使用して、これらのアクティビティのいくつかを完了していく。
【0636】
(B)ゲームは、患者が集めた人の単一画像(または、ストック画像)を示し、画像に示される感情を判断するためにプロンプトが提示される。患者には、感情の多項式選択の選択が示され得る。感情は選択可能であってもよく、または、患者は画像に感情をドラッグしたり、あるいは感情を画像にドラッグしたりすることができる。
【0637】
(C)混合および一致の感情認識アクティビティ。この場合、3つの集められた(または、ストック)画像の列を、グラフィックユーザーインターフェース画面の左側に表示し、3つの感情の列をグラフィックユーザーインターフェースの右側に表示する。インターフェースにより、ユーザーが画像を選択し、次に、対応する感情を選択して、それらをともに「一致させる」ことが可能になる。画像および感情がすべて一致されると、パフォーマンスに基づいたフィードバックを患者に提供する。あるいは、画像と感情の2つの列を示し、患者は、画像と感情を「一致させる」ために、ドラッグ・アンド・ドロップして画像を同じ行の対応する感情と整列させることができる。
【0638】
(D)動的な感情選別ゲーム。2つ以上のバケットが画面の下部に設けられ、それぞれのバケツは感情ラベルを有し、集められた様々な画像がスクリーンを通って流れる。患者に、適切なバケツに各画像をドラッグするように指示する。画像がすべてバケット内へと選別されると、パフォーマンスに基づいたフィードバックを患者に提供する。
【0639】
本明細書に記載される感情認識のゲームおよびアクティビティは、ユーザーが既に見たことのある収集画像を使用した強化学習だけでなく、様々な感情認識および学習目的のために提供することができる。利用可能な場合、患者のアクティビティ中のパフォーマンスを追跡またはモニタリングすることができる。患者が一連のアクティビティの1つのアクティビティを完了すると、提供される次のアクティビティは、患者のパフォーマンスが比較的良くない感情をテストする画像の選択に偏るか、または重み付けされ得る。
【0640】
その後、患者は感情誘発アクティビティに切り替える。これらのアクティビティは、感情を誘発するように算出された刺激を提供するように設計される。感情的な刺激は、画像、一連の画像、映像、音、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。感情的な刺激の例としては、恐れ(クモ、怪物)、および幸福または喜び(子どもの歌またはショー)を誘発するように設計された視聴覚のコンテンツが挙げられる。患者において誘発された感情的な反応は、デバイスの内向きカメラによって判断することができる。例えば、カメラは、感情的な刺激が提供されている間に患者の顔の1つ以上の画像をキャプチャし、その後、その画像を評価して感情的な反応を検出する。反応を経時的にモニタリングし、感情的な刺激に対する患者の反応性の変化を追跡することができる。
【0641】
実施例7-デジタル診断およびデジタル治療
【0642】
前述の実施例のいずれかに従って、スマートフォンデバイスを使用して患者を評価し、ASD陽性であると決定した。その後、HCPはこの陽性の評価を考慮して、患者がASDを呈すると診断し、同じスマートフォンデバイスを介して患者を治療するためのデジタル治療アプリケーションを処方する。患者または親または保護者は治療デバイスへのアクセス権を与えられ、モバイルアプリケーションの個人アカウントに登録/ログインする。個人アカウントは、患者を評価する際に使用される診断情報を含んでいる。この診断情報は、例えば、社会的互恵性の低下のような特定の機能障害など、ASDの様々な態様に関する多次元の空間内での患者の位置を決定するために計算される。その後、これらの内部診断の次元は、社会的互恵性に関与する患者の損なわれた能力を改善すると予測されるアクティビティを特定するために使用される。
【0643】
特定されたアクティビティは、社会的互恵性をモニタリングし、改善するためのアクティビティを含む、アクティビティモードである。社会的互恵性をモニタリングし、改善するためのそのようなアクティビティモードの1つの例は、ユーザーが、親または保護者において検出された顔の表情または感情キューに反応するように促される構造化されていない遊びの修正である。
【0644】
患者または親または保護者は、修正された構造化されていない遊びを選択し、これにより、デバイスは、内向きカメラと外向きカメラの両方を起動させ、グラフィックユーザーインターフェースを表示させ、グラフィックユーザーインターフェースは、患者が外向きカメラを他の人に向け、および患者が内向カメラ(例えば、セルフィーカメラ)を使用すると、標的個人(例えば、親)の顔認識および感情の検出/分類をリアルタイムで動的に行なう。患者が特定の個人にカメラを向ける場合、その個人の1つ以上の画像あるいは映像は少なくとも1つの感情を識別するために分析され、グラフィックユーザーインターフェースは、その感情またはその表現(例えば、その感情を表すかまたはその評定に対応する絵文字あるいは言葉)を表示する。これにより、カメラで観察されている人によって表される感情を患者が観察し学習することができる。場合によっては、インターフェースに感情が表示されるのを遅らせることで、「回答」が与えられる前に患者が感情を識別しようとする時間を作ることができる。その後、それぞれ積極的に識別された感情およびその対応する画像は、画像ライブラリに保存される。
【0645】
標的個人の感情の検出に加えて、デバイスは、患者の顔の表情および/または感情の画像あるいは映像を、標的個人の分析と同時にまたは時間的に近接してキャプチャする。患者と標的個人との間の社会的互恵性は、両人の顔の表情および/または感情の組み合わせとして、このようにキャプチャすることができる。個人の検出された表情あるいは感情のタイムスタンプは、一連の社会的互恵性を決定するために使用され、その後、これは社会的互恵性に関与する患者の能力について評価される。患者のパフォーマンスはモニタリングされ、個人アカウントにリンクされて、進行中の記録を維持する。これにより、患者の評価を継続して、カスタマイズされた治療レジメンを更新するために使用することができる更新された診断の次元を生成することができる。
【0646】
一例では、患者は、彼に微笑む彼の親へと携帯電話を向ける。携帯電話の表示画面は、親の顔の表情に対応する感情を患者が認識するのを助けるために、リアルタイムで笑顔の絵文字を表示する。加えて、表示画面は、患者が親に反応するための指示を随意に提供する。患者は、彼の親に微笑み返さず、内向きカメラは、1つ以上の画像または映像におけるこの反応をキャプチャする。その後、画像および/または映像および社会的互恵性のタイムラインあるいはタイムスタンプされたシーケンスは、デバイスに保存される(随意にアップロードされるか、または遠隔ネットワークまたはクラウド上に保存される)。この場合、親の微笑は「笑顔」として標識され、ラベルは、患者の応答の欠如は、「無反応」または「笑顔がない」として標識される。したがって、この特定の社会的互恵性は、笑顔の相互性に関与することができないと判定される。社会的互恵性はさらに、標的個人(親)および患者が「社交辞令的な笑顔」ではなく、「真の」笑顔を表現したかどうかに基づいて、区分けすることもできる。例えば、「笑顔」または「感情」を検出するための本明細書に記載されるアルゴリズムおよび分類器は、真の笑顔と社交辞令的な笑顔とを区別するように訓練することができ、これらは、真の笑顔における眼筋の関与ならびに社交辞令的な笑顔における眼筋の関与の不足に対応する視覚的キューに基づいて区別することができる。
【0647】
本発明の好ましい実施形態が本明細書で示され、記載されてきたが、こうした実施形態がほんの一例として提供されているに過ぎないということは当業者にとって明白である。当業者であれば、多くの変更、変化、および置換が、本発明から逸脱することなく思いつくだろう。本明細書に記載される本発明の実施形態の様々な代替案が、本発明の実施に際して利用され得ることを理解されたい。以下の請求項は本発明の範囲を定義するものであり、この請求項とその均等物の範囲内の方法、および構造体がそれによって包含されるものであるということが意図されている。
図1A
図1B
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16
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図19
図20
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図22
図23A
図23B
図23C
図24
図25
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図27
図28
図29
図30
図31A
図31B
図31C
図31D
図31E
図31F
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
【国際調査報告】