(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-07
(54)【発明の名称】角氷を保管および排出するための容器
(51)【国際特許分類】
A47G 19/12 20060101AFI20220531BHJP
B65D 81/26 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
A47G19/12 M
B65D81/26 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558931
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(85)【翻訳文提出日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2020059325
(87)【国際公開番号】W WO2020201394
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(32)【優先日】2019-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521221098
【氏名又は名称】アイスブレーカー インターナショナル エイピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミュンツァー、マルク
(72)【発明者】
【氏名】イェンセン、キム
(72)【発明者】
【氏名】クロマン、ペール
【テーマコード(参考)】
3B001
3E067
【Fターム(参考)】
3B001AA23
3B001BB10
3B001CC31
3B001DA03
3E067AA11
3E067AA30
3E067AB01
3E067AC03
3E067BA01C
3E067BA11B
3E067BC03B
3E067BC03C
3E067BC07C
3E067EA32
3E067EB27
3E067EE11
3E067EE60
3E067FA04
3E067FC01
3E067GA01
3E067GB08
3E067GD01
(57)【要約】
容器は、底部と、底部から上縁部まで延在する側壁部と、上縁部近くの第1の区画に注ぎ出し開口部とを有する第1の区画を含む容器であって、第1の区画は総容積V1を有し、第1の区画は、角氷を収容するのに適している。容器がその直立位置にあるとき、容器は、第1の区画の下に配置された第2の区画をさらに含み、第2の区画は、第1の区画の底部によって第1の区画から分離されており、底部は、水が第1の区画から第2の区画に通過することができるドレイン開口部を有し、ドレイン開口部の下に配置された第2の区画の容積V2は、容積V1の少なくとも10%であり、容積V2およびドレイン開口部は、水平軸を中心に容器を傾け、氷融解水の容積がV1の容積の10%未満で、容器がその直立位置から95度傾いたときに、氷融解水が容積V2を離れることなく第1の区画から角氷を振り出すことにより、容器の第1の区画から角氷を注ぎ出すことができるように配置されている。このようにして、不要な氷融解水が容器から出るリスクを冒すことなく、角氷を注ぎ出す簡単で容易な方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、前記底部から上縁部まで延在する側壁部と、前記上縁部近くの第1の区画に注ぎ出し開口部とを有する第1の区画を含む容器であって、前記第1の区画は総容積V1を有し、前記第1の区画は、角氷を収容するのに適している前記容器において、
前記容器がその直立位置にあるとき、容器は、前記第1の区画の下に配置された第2の区画をさらに含み、前記第2の区画は、前記第1の区画の前記底部によって前記第1の区画から分離されており、前記底部は、水が前記第1の区画から前記第2の区画に通過することができるドレイン開口部を有し、前記ドレイン開口部の下に配置された前記第2の区画の容積V2は、前記容積V1の少なくとも10%であり、前記容積V2および前記ドレイン開口部は、水平軸を中心に前記容器を傾け、氷融解水の容積がV1の容積の10%未満で、前記容器がその直立位置から95度傾いたときに、氷融解水が前記容積V2を離れることなく前記第1の区画から前記角氷を振り出すことにより、前記容器の前記第1の区画から前記角氷を排出することができるように配置されていることを特徴とする、容器。
【請求項2】
最大外幅が15cm未満、13cm未満、10cm未満、または9cm未満の水平断面を有する保持部分を有する、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記容器は、
底部と、前記底部から上縁部に向かって上方に延在する側壁とを有する外側容器と、
前記外側容器内に取り外し可能に配置された内側容器と
を有し、前記内側容器は、前記第1の区画を形成し、前記第2の区画は、前記内側容器と前記外側容器との間に形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
前記外側容器の中心長手方向軸は、前記容器の前記直立位置において前記内側容器の前記中心長手方向軸から水平方向にオフセットされていることを特徴とする、請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記内側容器と前記外側容器は、エアギャップによって分離されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の容器。
【請求項6】
前記ドレイン開口部の下に位置する容積V2は、前記エアギャップと流体連通していることを特徴とする、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記容器がその直立位置から95度回転したときに、前記第1の区画の前記底部の前記ドレイン開口部の下に配置された前記第2の区画の容積V3は、前記第1の区画の前記総容積V1の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%であることを特徴とする、請求項6に記載の容器。
【請求項8】
前記第1の区画は、容積V4を有する水捕捉要素を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の容器。
【請求項9】
前記ドレイン開口部は、前記直立位置で開き、前記容器が50度を超えて、60度を超えて、70度を超えて、または90度を超えて傾けられると閉じる弁を備えていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の容器。
【請求項10】
前記容器が95度傾けられたとき、かつ前記容器が前記容積V1の10%未満の容積の氷溶融水を含むとき、前記底部を通る流量は、1リットル/分未満であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の容器。
【請求項11】
前記容器は、変位可能なアイスピックをさらに含み、前記アイスピックは、前記容器の高さの半分を超えるか、または前記第1の区画の高さの半分を超える長さを有する細長い要素の形態であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の容器。
【請求項12】
前記容器は、変位可能な蓋をさらに含み、前記蓋は、前記容器に保管された角氷が前記容器を離れるのを防ぐために前記蓋が前記注ぎ出し開口部を閉じる第1の位置と、前記容器に保管された角氷が前記注ぎ出し開口部を通って前記容器を離れることができるように前記注ぎ出し開口部が開いている第2の位置との、少なくとも2つの位置を有することを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の容器。
【請求項13】
前記容器は、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記蓋を変位させ、前記第1の位置および前記第2の位置に前記蓋を保持するように構成される蓋変位機構を含むことを特徴とする、請求項12に記載の容器。
【請求項14】
前記蓋変位機構はヒンジを含み、前記ヒンジは、前記蓋が前記第1の位置と前記第2の位置との間で枢動できるように、旋回可能な方法で前記蓋を前記容器に接続することを特徴とする、請求項13に記載の容器。
【請求項15】
前記アイスピックは、前記蓋に取り付けられていることを特徴とする、請求項11および請求項12~14のいずれか一項に記載の容器。
【請求項16】
前記蓋が前記第1の位置から前記第2の位置に移動されるときに、前記アイスピックは、前記蓋と共に枢動することを特徴とする、請求項14および15に記載の容器。
【請求項17】
前記アイスピックは、前記容器の使用者が前記アイスピックを枢動させて前記蓋の位置を制御できるように、前記蓋の前記第1の位置および前記第2の位置の両方において前記容器の外側に配置されることを特徴とする、請求項16に記載の容器。
【請求項18】
前記容器は、前記容器の外面からオフセットされたハンドルを含み、前記アイスピックは、前記容器の前記外面と前記容器の前記外面に対向する前記ハンドルの表面との間のギャップに配置されることを特徴とする、請求項17に記載の容器。
【請求項19】
前記アイスピックは、前記容器の内部に配置されることを特徴とする、請求項11または15に記載の容器。
【請求項20】
前記アイスピックは、前記第1の区画の外側に配置されることを特徴とする、請求項19に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、底部と、底部から上縁部まで延在する側壁部と、上縁部近くの第1の区画に注ぎ出し開口部とを有する第1の区画を含む容器であって、第1の区画は総容積V1を有し、第1の区画は、角氷を収容するのに適している容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
角氷を保管するために使用される容器は、アイスバケットまたはアイスペールと呼ばれることもある。本明細書では、「氷を保管するための容器」という用語は、より一般的であるように使用される。本明細書では、開示されている容器は、主に角氷を保管することを意図している。しかしながら、本発明の容器はまた、砕いた氷または他の関連する製品を保管するために使用することができる。
【0003】
氷を保管するための容器は、当技術分野でよく知られている。そのような容器は、典型的には、底部と、底部から自由上縁部に向かって延在する側壁部とで形成された区画を有し、それによって区画のための開口部を形成する比較的大きな容器である。角氷は区画内部に配置することができ、通常はスプーン/スクープの形態またはトングのいずれかによって取り出される。
【0004】
氷を保管するための容器には、様々な形状およびサイズがある。それらのいくつかは断熱された側壁を有する。それらのいくつかは蓋を有する。しかしながら、既存の容器はすべて、テーブルなどの平らな面に配置するように設計された容器として提供され、その後、角氷が容器から手動で取り出され、別のグラスまたは容器に配置される。これには通常、1つは氷のバケツを保持し、もう1つは器具またはトングを保持する、2つの手を使用する必要がある。それ以外の場合、容器は、角氷を取り出している間、容器が動かないようにする慣性を有するように十分に大きく作られている。
【0005】
本発明といくつかの類似点を有する、氷を保管するためのより高度な容器のいくつかの例を以下に提供する。しかしながら、これらの従来技術の容器は、表面に置かれ、氷がスプーン/スクープまたはトングで取り出される伝統的な種類の容器であることに留意すべきである。
【0006】
いくつかの先行技術の氷バケットのサンプルは、特許文献1、特許文献2、特許文献3、および特許文献4で提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第0089733号明細書
【特許文献2】英国特許第2262158号明細書
【特許文献3】英国特許第691447号明細書
【特許文献4】英国特許第2300111号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の第1の態様は、氷に触れる必要なく、またはスプーン/器具/トングを使用する必要なく、角氷を直接提供できる、冒頭の段落で述べたような氷を保管するための容器を提供することである。
【0009】
本発明の第2の態様は、氷を氷融解水から分離する、冒頭の段落で述べたような氷を保管するための容器を提供することである。
【0010】
本発明の第3の態様は、容器内部に氷溶融水を保持しながら角氷を排出することができる、冒頭の段落で述べたような氷を保管するための容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
これらの態様は、容器がその直立位置にあるとき、第1の区画の下に配置された第2の区画をさらに含む容器であって、第2の区画は、第1の区画の底部によって第1の区画から分離されており、底部は、水が第1の区画から第2の区画に通過することができるドレイン開口部を有し、ドレイン開口部の下に配置された第2の区画の容積V2は、容積V1の少なくとも10%であり、容積V2およびドレイン開口部は、水平軸を中心に容器を傾け、氷融解水の容積がV1の容積の10%未満で、容器がその直立位置から95度傾いたときに、氷融解水が容積V2を離れることなく第1の区画から角氷を振り出すことにより、容器の第1の区画から角氷を注ぎ出すことができるように配置されている、容器によって少なくとも部分的に解決される。このようにして、容器が直立しているとき、氷融解水はドレイン開口部を通って第2の区画内に流れ落ちるであろう。次に、角氷を提供するために容器を傾けたときに、第2の区画は氷融解水を捕捉し、氷融解水が注ぎ出るのを防ぐであろう。
【0012】
一実施形態では、容積V2は、容積V1の少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%である。
【0013】
一実施形態では、容器をその直立位置から95度傾けたときに抑えることができる氷融解水の量は、容積V1の20%未満、30%未満、40%未満、または50%未満である。
【0014】
一実施形態では、容器は、11cm未満、10cm未満、または9cm未満の最大外幅を有する水平断面を有する保持部分を含むことができる。このように、使用者は、次に容器の外面を保持することによって容器を保持する。一実施形態では、保持部分は、保持部分の最大外幅よりも狭い、保持部分の最大外幅の位置よりも使用者の手から離れて配置された前方の狭い部分を有する。一実施形態では、保持部分はハンドルであり、前方の狭い部分は中空領域である。一実施形態では、保持部分は、第1の区画に対して適切な位置に固定されている。一実施形態では、保持部分は、第1の区画に対して適切な位置に固定された固定ハンドルである。
【0015】
一実施形態では、保持部分は、平均的なサイズの女性の手が容器を直立に保持し、片手だけを使用してそれを傾けるのに適した形状を有する。保持部分は、本明細書の教示に基づいて当業者に明らかであるはずの様々な方法で作製することができる。
【0016】
一実施形態では、第1の区画は、15cm未満、13cm未満、10cm未満、7.5cm未満、または5cm未満の直径を有する注ぎ出し開口部を有する。容器の一実施形態では、第1の区画の上縁部は、注ぎ口で形成されている。
【0017】
一実施形態では、容器は、底部と、底部から上縁部に向かって上方に延在する側壁とを有する外側容器と、外側容器内に取り外し可能に配置された内側容器とを有し、内側容器は、第1の区画を形成し、第2の区画は、内側容器と外側容器との間に形成される。
【0018】
一実施形態では、外側容器の中心長手方向軸は、容器の直立位置において内側容器の中心長手方向軸から水平方向にオフセットされている。このようにして、容器の一方の側で、もう一方の側よりも多くの容積を利用できるようになるであろう。このように容積を配置することにより、容器内に入れることができる氷融解水の量を減らすことなく、容器自体の外径を小さくすることができる。
【0019】
一実施形態では、容器の一方の側で容器の他方の側よりも、内側容器の外面と外側容器の内面との間に大きな距離がある。
【0020】
1つの異なる実施形態では、内側容器および外側容器は、同心円状に配置されている。
【0021】
一実施形態では、内側容器と外側容器は、エアギャップによって分離されている。これは断熱効果を有し得る。他の一実施形態では、外側容器は、絶縁カバー、例えば、ネオプレンカバー、またはシンサレートカバーによって覆われている。一実施形態では、エアギャップは、容器がその直立位置にあるときにエアギャップ内の氷溶融水の一部を保持する保水要素を備えている。一実施形態では、エアギャップは、容積V2の上方に配置される。一実施形態では、エアギャップは、容器の外側部分の内面と第1の区画の外面との間に配置される。一実施形態では、エアギャップは、第1の区画の外側に配置される。一実施形態では、エアギャップは、第1の区画を完全に取り囲む。
【0022】
一実施形態では、ドレイン開口部の下に位置する容積V2は、エアギャップと流体連通している。このように、容器を傾けると、氷融解水の一部がエアギャップに流れ込むことができる。
【0023】
一実施形態では、容器がその直立位置から95度回転したときに、第1の区画の底部のドレイン開口部の下に配置された第2の区画の容積V3は、第1の区画の総容積V1の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%である。
【0024】
一実施形態では、第1の区画は、容積V4を有する水捕捉要素を含む。一実施形態では、容積V4は、容積V1の少なくとも5%、少なくとも10%、または少なくとも15%である。一実施形態では、水捕捉要素は、第1の区画の底と流体連通している。一実施形態では、水捕捉要素は、第1の区画の底の上方に配置される。一実施形態では、水捕捉要素は、第1の区画の側部に沿って流れる水がチャネル内で捕捉されるように、第1の区画の底に向かう方向に開口しており、注ぎ出し開口部の外周の少なくとも一部に沿って配置されたチャネルを含む。一実施形態では、チャネルは、注ぎ出し開口部の外周全体に沿って配置される。
【0025】
現在の請求項のセットでは、容器は、第1および第2の区画を含み、氷溶融水が第2の区画に捕捉されることに留意すべきである。しかしながら、第2の区画を有さず、第1の区画と、次いでここで述べたような第1の区画の底と流体連通するように配置された水捕捉要素のみを有する容器を想像することができる。このようにして、容器が傾けられたときに、氷融解水は、水捕捉要素によって捕捉され得る。これは、将来、分割出願の対象となる可能性がある。
【0026】
一実施形態では、ドレイン開口部は、直立位置で開き、容器が50度を超えて、60度を超えて、70度を超えて、または90度を超えて傾けられると閉じる弁を備えている。
【0027】
一実施形態では、容器が95度傾けられたとき、かつ容器が容積V1の10%未満の容積の氷溶融水を含むとき、底部を通る流量は、1リットル/分未満である。これは、それ自体、ドレイン開口部を通る流量を開示しないことに留意すべきである。例えば
図1に示す場合、比較的大きな直径の単一のドレイン開口部がある。この開口部を通る流量は比較的大きくなる可能性がある。しかしながら、
図1のドレイン開口部の配置は、容器が95度に傾いたときに開口部を通過する流れを防ぐように選択されている。他の実施形態では、傾いた位置での流れを防ぐために有利な位置に配置される単一のドレイン開口部を有する代わりに、より低い流量で多くのより小さな穴を配置することができる。
【0028】
一実施形態では、氷融解水の容積は、容積V1の20%未満、30%未満、40%未満、または50%未満である。一実施形態では、流量は、0.75リットル/分未満、0.5リットル/分未満、または0.4リットル/分未満である。一実施形態では、流量は、0.3リットル/分未満、0.2リットル/分未満、または0.1リットル/分未満である。
【0029】
一実施形態では、容器は、第1の区画内に角氷を含む。一実施形態では、容器は、第1の区画内に砕いた氷を含む。
【0030】
一実施形態では、容器は、変位可能なアイスピックをさらに含み、アイスピックは、容器の高さの半分を超えるか、または第1の区画の高さの半分を超える長さを有する細長い要素の形態である。このようにして、アイスピックは、角氷を互いに緩めるために、角氷内に押し込むように使用することができる。一実施形態では、アイスピックの長さは、容器または第1の区画の高さの60%を超える、75%を超える、または90%を超える。
【0031】
一実施形態では、容器は、変位可能な蓋をさらに含み、蓋は、容器に保管された角氷が容器を離れるのを防ぐために蓋が注ぎ出し開口部を閉じる第1の位置と、容器に保管された角氷が注ぎ出し開口部を通って容器を離れることができるように注ぎ出し開口部が開いている第2の位置との、少なくとも2つの位置を有する。このように、蓋が容器内の角氷の周りの空気の流れも減少させる場合、容器の断熱特性を改善することができる。同様に、蓋を使用して、注ぎ出し開口部を通る角氷の動きを制御することができる。
【0032】
一実施形態では、容器は、第1の位置と第2の位置との間で蓋を変位させ、第1の位置および第2の位置に蓋を保持するように構成される蓋変位機構を含む。一実施形態では、蓋変位機構は、蓋の第1の位置と第2の位置との間の自由な動きを可能にする。一実施形態では、蓋変位機構は、蓋を第1の位置および/または第2の位置に付勢する付勢機構を含む。
【0033】
一実施形態では、蓋変位機構はヒンジを含み、ヒンジは、蓋が第1の位置と第2の位置との間で枢動できるように、旋回可能な方法で蓋を容器に接続する。
【0034】
一実施形態では、上記のように、アイスピックは、蓋に取り付けられている。蓋とアイスピックを一緒に取り付けることにより、使用者は、2つの要素を制御する必要がある代わりに、アイスピックと蓋を1つのユニットとして一緒に操作できる。
【0035】
一実施形態では、蓋が第1の位置から第2の位置に移動されるときに、アイスピックは、蓋と共に枢動する。
【0036】
一実施形態では、アイスピックは、容器の使用者がアイスピックを変位させて蓋の位置を制御できるように、蓋の第1の位置および第2の位置の両方において容器の外側に配置される。一実施形態では、使用者はアイスピックを枢動させることができる。一実施形態では、使用者は、アイスピックを上下に動かすことができる。一実施形態では、使用者は、アイスピックをその長手方向軸を中心に回転させることができる。
【0037】
一実施形態では、容器は、容器の外面からオフセットされたハンドルを含み、アイスピックは、容器の外面と容器の外面に対向するハンドルの表面との間のギャップに配置される。
【0038】
一実施形態では、アイスピックは、容器の内部に配置される。別の実施形態では、アイスピックは、第1の区画の外側に配置される。
【0039】
本明細書で使用される場合の「含む(comprises)/含む(comprising)/構成される(comprised of)」という用語は、記載された構成、整数、ステップ、または構成要素の存在を指定するために取られるが、1つまたは複数の他の構成、整数、ステップ、構成要素、またはそれらの群の存在または追加を排除するものではないことを強調すべきである。
【0040】
以下では、添付の図で示される実施形態を参照して、本発明をより詳細に説明する。示される実施形態は、例示の目的のみに使用され、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではないことを強調すべきである。さらに、図は、図を過度に複雑にするであろう過剰な詳細を提供することなく、本発明の原理を説明するために非常に概略的な方法で示されていることに留意すべきである。同様に、簡単にするために、断面図が概略的に示され、断面上の要素のみが示されている。この点で、断面平面の後ろに位置する要素は、通常は実断面図で示されていても、示されない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】直立位置にある本発明に係る容器の第1の実施形態の概略断面図を示す。
【
図3】直立位置から注ぎ出し位置まで95度回転された、
図1の容器の概略断面図を示す。
【
図4】直立位置にある本発明に係る容器の第2の実施形態の概略断面図を示す。
【
図5】直立位置にある本発明に係る容器の第3の実施形態の概略断面図を示す。
【
図6】直立位置にある本発明に係る容器の第4の実施形態の概略断面図を示す。
【
図7】直立位置にある本発明に係る容器の第5の実施形態の概略断面図を示す。
【
図8】直立位置にある本発明に係る容器の第6の実施形態の概略断面図を示す。
【
図9】
図8の円形領域IXによって定義されるような、
図8の容器の仕切り壁の概略詳細断面図を示す。
【
図10】直立位置にある本発明に係る容器の第7の実施形態の概略断面図を示す。
【
図11】
図10の円形領域XIによって定義されるような、
図10の容器の仕切り壁の一実施形態の概略詳細断面図を示す。
【
図12】直立位置にある本発明に係る容器の第8の実施形態の概略断面図を示す。
【
図15】本発明に係る容器の第9の実施形態の概略上面図を示す。
【
図16】直立位置にある本発明に係る容器の第10の実施形態の概略断面図を示す。
【
図18】
図16の同じ領域XVIIを示しているが、容器が注ぎ出し位置に回転した後である。
【
図19】直立位置にある本発明に係る容器の第11の実施形態の概略断面図を示す。
【
図20】直立位置にある本発明に係る容器の第12の実施形態の概略断面図を示す。
【
図21】直立位置にある本発明に係る容器の第13の実施形態の概略断面図を示す。
【
図22】直立位置にある本発明に係る容器の第14の実施形態の概略断面図を示す。
【
図23】直立位置にある本発明に係る容器の第15の実施形態の概略断面図を示す。
【
図24】直立位置にある本発明に係る容器の第16の実施形態の概略断面図を示す。
【
図25】外側容器から取り外されたときの、
図24の容器の内側容器の概略断面図を示す。
【
図26】
図25の内側容器の可撓性フラップの概略上面図を示す。
【
図27】直立位置にある本発明に係る容器の第17の実施形態の概略側面図を示す。
【
図28】容器から蓋を外した状態の
図27の容器の概略側面図を示す。
【
図29】直立位置にある本発明に係る容器の第18の実施形態の概略側面図を示す。
【
図32】本発明に係る容器の第19の実施形態の概略側面図を示す。
【
図33】蓋が第1の位置にある枢動位置における
図32の容器の概略側面図を示す。
【
図34】蓋が第2の位置にある枢動位置における
図32の容器の概略側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1および
図2は、本発明に係る容器の第1の実施形態1を示す。容器は、底部4を含む外側容器2を含み、外側容器2に開口部10を形成する自由上縁部8まで上方に側壁部6が延在する。外側容器の内側には、内側容器20が配置される。内側容器はまた、底部22を含み、底部から内側容器に開口部28を形成する上縁部26まで上方に側壁部24が延在する。内側容器は、破線で示されているように、総容積V1を有する第1の区画30を形成する。内側容器は、外側容器の内側に配置され、内側容器と外側容器との間に配置されたOリングガスケット32を介して、外側容器の所定の位置の中央に保持される。
【0043】
使用者は、内側容器を外側容器から引き出すことによって、内側容器を外側容器から取り外すことができる。Oリングガスケットは、2つの容器間に摩擦ばめを形成する。内側容器を外側容器から取り出したら、2つの容器を洗浄して、内側容器と外側容器の間にある任意の液体は、取り除くことができる。
【0044】
リブ(図示せず)または他の形態の間隔要素(図示せず)を内側容器と外側容器との間に配置して、容器を適切に位置合わせし、使用中に容器が互いに対して変位するのを防ぐことができる。これらのリブまたは間隔要素は、内側容器の外面および/または外側容器の内面に取り付けることができる。
【0045】
内側容器が外側容器の内側に配置されると、第2の区画34が、内側容器の内面と内側容器の外面との間の空間に形成される。
【0046】
図1および
図3から分かるように、内側容器の底部には小さな開口部36が設けられている。角氷を第1の区画に配置すると、氷はゆっくりと溶けるであろう。氷融解水は角氷を流れ落ち、最終的に内側容器20の底部22に到達するであろう。次に、氷融解水は、開口部36を通って第2の区画34に流れ込むであろう。
【0047】
図1から分かるように、小さな開口部35は、外側容器の底部から距離H1に配置されている。このように、破線で示される容積V2は、内側容器20の開口部36の下に形成される。氷融解水の体積がV2未満である限り、第1の区画に氷融解水はなく、第1の区画にある角氷は乾燥したままであるだろう。氷融解水の体積が増えると、第1の区画にいくらかの水が残るだろう。
【0048】
この実施形態では、内側容器20および外側容器2は、異なる直径を有する。内側容器の側壁部24は外径D2を有し、外側容器の側壁部6は外径D1を有する。直径D2は直径D1よりも小さく、そのため、内側容器と外側容器との間にエアギャップ38が存在する。このエアギャップは、この実施形態では、外側容器の底にある第2の容積V2と流体連通している。容器を水平軸の周りに傾けると、外側容器の底部に流れ込んだ氷融解水がエアギャップに流れ込む。これを
図3に示す。
【0049】
容器をあまり回転させないと、容器を回転させた場合でもエアギャップ内に水が溜まるため、開口部から水は流出しないだろう。この構成により、単に容器を傾けて角氷を容器から振り出すことによって、角氷を容器から簡単に注ぎ出すことができる。90度を超えて容器を傾けても、氷融解水は容器に閉じ込められたままで、何も出ないだろう。図示の実施形態では、開口部の上方に位置する第2の区画の容積はV2よりも大きく、したがって、容器は、第2の区画から水が出ることなく完全に180度回転させることができる。
【0050】
角氷が区画に配置された場合、角氷の間にエアギャップが存在するであろうことを、経験は示している。経験から、容積V1がランダムに角氷で満たされている場合、それらの角氷が溶けると、氷融解水が容積V1の約50%を占めるであろうことが見出されている。これは、隣接する角氷間のエアギャップと、氷が溶けるときの体積の減少に一部起因している。
【0051】
一実施形態では、角氷が消費されず、すべての角氷が溶けるという最悪の場合の状況を受け入れるために、容積V2は、V1の容積の約50%でなければならない。
【0052】
内側容器と外側容器との間のエアギャップの必要なサイズを定義するために、容積V3が定義され、
図3の破線で示されている。この容積V3は、容器がその直立位置から水平軸を中心に95%回転したときの、開口部36の下に位置する内側容器と外側容器との間の容積として定義される。
図3を参照のこと。容積V2と同様に、最悪の場合の状況を満たすために、容積V3はV1の50%に設定される。
【0053】
しかしながら、経験上、すべての角氷が溶ける前に、使用者が少なくともいくつかの角氷を消費する場合がよくある。同様に、角氷を氷融解水から分離することにより、角氷ははるかによりゆっくりと融解することが示されている。したがって、多くの場合、容積V2とV3をV1の50%より小さくすることができる。例えば、多くの場合、V1の30%または40%の容積が適切であろう。
【0054】
図は概略的に示されているものであり、図からの容積V1、V2、およびV3の比率は文字通りに解釈されるべきではない。容器の設計者は、所望の機能に応じて、V1、V2、V3の比率を選択できるだろう。例えば、V2およびV3を減らすと、より小さく、より効果的な容器を提供できる。しかしながら、これにより、角氷と混合し始める前に含むことができる氷融解水の量が減少するだろう。
【0055】
氷融解水を定期的に空にすることなく、同じ容器を角氷の多くの部分に対して使用する場合、容積V2およびV3をV1の50%よりもさらに大きくすることができる。これにより、第1の区画に水が入る前に、より多くの角氷が溶けることが可能となるであろう。
【0056】
一実施形態では、開口部36のレベルの周りの外側容器の側壁に、インジケータを配置することができる。このようにして、氷融解水のレベルが臨界値に達すると、インジケータが示すことができ、使用者は氷融解水を空にする必要があることを知るだろう。
【0057】
図1~
図3に示す実施形態では、外側容器から内側容器を取り外し、外側容器から水を注ぎ、次に外側容器内に内側容器を再び取り付けることにより、氷融解水を空にすることができる。
【0058】
この実施形態の1つの特に有益な態様は、外側容器を、使用者が片手で保持できる直径で配置できることである。このようにして、使用者は容器の外径の周りをつかみ、それをひっくり返し、角氷を注ぎ出してから、容器を再び直立位置に置くことができる。この実施形態では、外側容器の外径を約10cmとすることができる。より大きな直径も可能であるが、特に手の小さい人にとっては、それらを保持するのが難しくなり始めるであろう。
【0059】
角氷を保管および注ぎ出すためのこのタイプの容器は、例えばバーまたはレストランで、より大きな氷用バケツまたは氷用ボウルと一緒に使用することもできる。バーテンダーは、容器を氷用ボウルまたはバケツ内に沈め、容器内部にいくつかの角氷をすくい上げてから、氷用ボウル内に頻繁に入れる必要なしに角氷を使用することができる。
【0060】
この図は非常に概略的であり、基本的な機能は多くの異なる形態の構造で提供できることを理解すべきである。容器を製造する当業者は、本発明の要件を満たすために適切な構造を容易に提供できることが主張される。したがって、この仕様に不必要に余分な資料を追加するだけなので、ここでは詳細を提供しない。
【0061】
図4は、本発明に係る容器の別の一実施形態50を示している。この実施形態では、容器は、
図1のものと大部分が同一であり、したがって、同一の構成は詳細には説明されない。しかしながら、この実施形態は、ヒンジ54を介して内側容器20の上縁部26に枢動可能に接続された蓋52を有する。ヒンジの軸に平行な軸を中心に容器をひっくり返すとき、90度を超えて容器を回転させると蓋が開き、これによって角氷を容器から注ぎ出すことができる。容器を再びその直立位置に向けて回転させると、蓋は再びその閉じた位置に戻るだろう。
【0062】
適切な蓋は多くの異なる形態で形成することができ、当業者が適切な蓋の構成を提供できることが主張されるので、本明細書では詳細は提供されない。例えば、この実施形態では、蓋は内側容器にヒンジで固定されているが、他の非限定的な実施形態では、蓋は取り外し可能であるか、または閉位置から開位置に手動で枢動可能であり得る。蓋は、容器が直立位置から90度を超えて回転し、角氷が蓋を越えて押し進もうとすると変形するフラップのような可撓性のあるゴムとして提供することもできる。
【0063】
この実施形態では、ハンドル56も提供される。これにより、通常のサイズの手で保持するのに適したものよりも大きい外径を有する容器の使用が可能になる。また、ハンドルを使用すると、容器の使用が制限され、使用者が容器を傾ける軸をより正確に決定できるようになる。これは、後で説明するように、容器の寸法を最適化するために使用できる。この場合、ハンドルは、片手で容器を傾けることができる固定ハンドルである。これは、氷用バケツがハンドルの下でスイングすることを可能にする枢動可能なハンドルを含むいくつかの従来技術の容器とは対照的である。枢動可能なハンドルを備えた容器では、バケツを傾けるために両手を使用する必要がある。対照的に、ハンドルが外側容器に固定されている固定ハンドルでは、使用者は片手だけを使って角氷を注ぎ出すために容器を傾けることができる。
【0064】
図5は、第3の実施形態60を示している。この実施形態では、外側容器62および内側容器64は、2つの別個の要素として製造され、その後、上縁部で共に溶接/接合されて(66)、完全に密閉されたユニットを形成する。外側容器の基部にあるプラグ68を開いて、氷融解水を空にし、容器の内側をきれいにすることができる。
【0065】
図6は、容器の第4の実施形態70を示している。この場合、例えばブロー成形操作において、外側部分74と内側部分76の両方を含む単一の要素72が製造される。水を排出し、容器を洗浄できるように、プラグ78が容器の底面に配置される。
【0066】
図7は、容器の別の一実施形態80を示している。この場合、内側容器82および外側容器の上部84は、単一の要素から作製され、外側容器の下部86は、ねじ継手88または他の形態の適切な接続を介して外側容器の上部に接合される。容器から氷融解水を取り除きたい場合は、2つの部品を回して外すことができる。この場合、プラグを用意する必要はない。
【0067】
図1~
図7はすべて、容器が傾けられたときに、氷融解水が内側容器と外側容器との間のエアギャップに捕捉されるように配置された、比較的類似した実施形態を示している。しかしながら、これらの形態の構造では、機能するために一定の容積をもつエアギャップが必要である。エアギャップの容積が小さすぎると、容器をひっくり返したときに、内側容器の底部の開口部を通して氷融解水が溢れ出るだろう。
【0068】
しかしながら、別の一実施形態では、エアギャップを備えた容器を形成する代わりに、第1の区画の底部は、注ぎ出し位置での第2の区画から第1の区画への流れよりも直立位置での第1の区画から第2の区画への流れを多くすることができる開口部で形成される。
【0069】
図8は、この第1の実施形態90を示している。この実施形態では、内側容器92および外側容器94の直径は互いにより近く、容器間のエアギャップ96ははるかに小さい。容積V2は、第1の実施形態のものと同様であるが、エアギャップはガスケット98を介して密閉されており、氷溶融水をエアギャップ96内に溜めることはできない。
【0070】
しかしながら、この実施形態では、底部98に単一の開口部を使用する代わりに、底部は、底面の小さな窪み102にいくつかの小さな穴100を備えて形成されている。底部の1つの概略実施形態の詳細図を
図9に示す。これらの窪みは、トラフまたは円錐形の窪みとすることができる。したがって、水は、第1の区画104から第2の区画106に比較的容易に流れるが、容器が傾けられたとき、第2の区画から第1の区画へのより困難な経路を有することになる。傾いた位置において開口部を通して少量の水が流れるが、開口部は総流量が無視できるほど低くなるように設計できる。
【0071】
一実施形態では、底部は、変形可能な可撓性材料から形成されている。一例では、底部はゴムまたはシリコーン材料から形成されている。これにより、底部が簡単に変形してカルシウムの蓄積および/またはその他の粒子の蓄積を防ぐことができるため、清掃が非常に容易になる。変形可能な材料から底部を形成することは、穴を通る流れを制限するのにさらにまた役立つ。底部の上面に水を入れると、水が窪みを押して外側に変形し、穴を開く。容器を傾けたときに水が底面に配置されると、水圧によって開口部は強制的に閉じられる。
【0072】
一実施形態(図示せず)では、内側容器の底部は、角氷の重量を確実に支え、本質的に自由な水が格子要素を通って流れることを可能にする、より堅い格子要素で形成することができる。適切な穴パターンを備えた変形可能な膜を格子要素の下に配置することができる。このようにして、角氷の重量は格子によって支えられ、可撓性の膜を最適化して流量パラメータを制御することができる。一実施形態では、変形可能な膜は、格子要素から取り外し可能にすることができる。このようにして、膜要素と格子要素をより容易に洗浄することができる。さらに、必要に応じて膜を交換することができる。
【0073】
図10は、
図8と同様の別の一実施形態110を示しているが、この場合、追加の水捕捉要素112が、内側容器114の上縁部の周りに配置されている。容器の傾いた位置で第1の区画118の底部116を通って漏れる水がある場合、水は容器の側部120に沿って流れ、水捕捉要素112に捕らえられる。一方、角氷は、水捕捉要素の上をスライドするだけで、問題なく容器から出る。したがって、第1の区画に配置され得る氷融解水は、第1の区画から漏れることはないが、水捕捉要素に捕らえられる。
【0074】
この実施形態では、水捕捉要素は、内側容器の上縁部に沿って配置された環状要素122として形成される。環状要素は、内部容積V4を有し、環状開口部124を介して第1の区画の内部と流体連通している。環状開口部は、内側容器の底部116の上方で、容器の上縁部の下方に配置されている。環状開口部は、側壁に沿って流れる水が容易に容積V4に入るように、容器の側壁の近くに配置されている。しかしながら、環状開口部はまた、角氷が開口部によって止められず、開口部上をスライドして容器から容易に注ぎ出すことができるように形成されている。現在の実施形態では、環状要素は、垂直側壁部から内方に延在するように配置されている。しかしながら、図示されていない別の一実施形態では、側壁部は外方に角度を付けることができ、環状要素は垂直に延在することができる。
【0075】
容積V4は、第1の区画で予想され得る氷融解水の量に応じて選択される。ほとんどの水が底部を通過し、傾けたときに戻り流がほとんどない場合、容積V4を非常に小さくすることができる。底部を通る戻り流が比較的多い場合、容積V4は、傾いた位置において底部を通る予想される水流を捕捉するのに十分な大きさになるように選択することができる。
【0076】
このタイプの実施形態では、底部は、第2の区画から第1の区画への注ぎ出す位置での方向の最大流量が、典型的な注ぎ出し操作中に水捕捉要素を満たすのに必要とされる流量よりも少ないと想像できることに留意すべきである。
【0077】
一実施形態では、水捕捉要素(図示せず)のうち、
図10に示されるような環状要素は、双安定効果を有する変形可能な要素として配置することができる。この場合、環状要素は、容器内に折りたたまれ、次に、環状要素の内部を洗浄したいときに外側に折りたたむことができる。一実施形態では、折りたたまれた位置にある双安定環状要素の下縁部は、内側容器の内面に対して横たわることができ得る。この場合、双安定環状要素の縁部に開口部を設けて、開口部を通って水捕捉要素に水が流れることを可能にすることができる。
【0078】
図11は、変形可能な底部130の別の一実施形態の概略例を示している。この実施形態では、小さな水捕捉フランジ132が小さな窪み134の上部に追加されて、傾ける動作中に窪みに配置される可能性のある水滴を捕捉する。
【0079】
前述のように、傾斜軸が既知の場合は、容器をさらに最適化できる。
図12~
図14には、
図1のものと同様であるが、内側容器142が外側容器144の軸からオフセットされ、内側容器と外側容器が同軸ではない容器140の一実施形態が示されている。このようにして、一方の側146の内側容器と外側容器との間の距離は、他方の側148よりも大きい。これにより、容器の一方の側146のエアギャップにより大きな容積が存在するであろう。これは、外側容器の外径を同時に小さくしながら、大量の氷融解水を集めるために使用できる。さらに、底部152の開口部150は、エアギャップが最小である容器の側部に移動し、それにより、傾いた位置で底部の開口部の下に位置する容積V3を最大化することができる。これを図に示す。氷をより正確に注ぎ出すことを可能にするために、注ぎ口154を提供することもできる。
【0080】
上記の図では、内側容器および外側容器は、円筒形要素として示されているが、内側容器および外側容器は、円錐形、長方形、楕円形などであると想像することもできる。同様に、内側容器および外側容器は、互いに異なる形状を有することができる。
【0081】
図15は、そのような容器の一例の実施形態160を示している。この場合、外側容器162は、接線部品168によって共に結合された2つの異なる直径を有する2つの部分的な円筒164、166から形成されるより有機的な形状で形成される。内側容器170は、より小さな形状ではあるが、対応する形状で形成されている。第1の円筒164の外径D1は、第2の円筒166の外径D2よりも大きい。この場合、第2の円筒の外径D2は、通常のサイズの手で保持するのに適しているように選択することができ、一方、第1の円筒の外径は、適切なものよりも大きくなるように選択することができる。例えば、D2を8cmにすることができ、D1を15cmにすることができる。これにより、依然としてかなりの量の氷を有しながら、持ちやすく使いやすい容器が提供されるであろう。異なる形状のそのような容器の他の多くの形態も可能である。一実施形態では、2つの円筒は同じ直径を有することができる。
【0082】
図16は、容器の直立位置で開いており、容器の注ぎ出し位置で閉じている弁172の形態を有する容器の一実施形態170を示している。弁は、可撓性フラップ176を下方に曲げる重量要素174で形成されている。容器が傾けられると、重量要素はフラップを内側に曲げて、底部180の開口部178を閉じる。これは、
図17および18の詳細図に示されている。
【0083】
図16~
図18の実施形態は、容器を1つの水平軸を中心に枢動させる場合にのみ機能する。
図19は、任意の軸の周りに傾けた場合に作動する弁182の一実施形態を示している。ゴム製弁要素184は、容器が傾けられたときに重力のためにケージ186内で上下に変位するように配置されている。容器がその直立位置にあるとき、それは開いており、容器が傾けられると、それはその閉じた位置にスライドして、底部190の開口部188を閉じる。適切な弁構造の他の多くの形態も想像できる。
【0084】
図20は、外側容器210の底面208への有効な開口部を変位させるために、底部204の開口部202が延長パイプ状部分206を備えている別の一実施形態200を示している。このようにして、開口部はより早く氷融解水から解放され、容積V3が増加する。
【0085】
図21は、第1の区画220の底部218の開口部216に接続された回転可能なパイプ状要素214を備えた一実施形態212を示している。パイプ状要素の端部には、小さな浮遊要素222が設けられている。このように、容器が傾けられると、パイプ状要素の端部が流体の上部に留まろうとし、それによってパイプ状要素は回転する。パイプの自由端は常に容積V2の最高点に配置されるため、これにより容積V3がまたさらに最大化されるであろう。浮遊要素を使用する代わりに、カウンターウェイト(図示せず)をチューブの自由端の反対側の延長ロッドに配置することができる。このように、カウンターウェイトは重力により常に下向きに回転し、チューブの自由端を容積の最高点まで自動的に上向きに押し上げる。
【0086】
図22は、別の一実施形態230を示している。この場合、第2の区画は無く、氷融解水は角氷と混合する。しかしながら、容器がひっくり返されたときに容器内にある氷溶融水を捕捉するために、容器の上縁部の周りに前述のように配置された大きな環状の水捕捉要素232が存在する。さらに、容器の上端238の開口部236に配置されたディスペンサー要素234が存在する。ディスペンサー要素234は、容器の底に配置された回転可能なディスク242によって駆動されるロッド240によって駆動されるディスペンサースパイラルの形態である。回転シール244は、容器の底面とロッド240との間に配置されている。角氷を容器から注ぎ出したい場合、90度を超えて容器を傾け、次にディスク242を回転させ、その場合、スパイラルが回転し、角氷が開口部から1つずつ注ぎ出されるであろう。これは、ディスペンサー要素のほんの一例である。出願人は、いくつかの異なる適切な注ぎ出し機構を開示する、参照により本出願に組み込まれる同時係属中の出願WO2018/202874号を有する。
図22に示される実施形態は、第2の区画を有さず、大きな水捕捉要素を有していたが、ディスペンサーを備えた別の同様の一実施形態は、第1の区画および第2の区画の両方を備え、水捕捉要素を備えてまたは備えずに提供することができる。
【0087】
図23は、外側容器254と同軸ではないように配置された内側容器252を備えた別の一実施形態250を示している。最大のエアギャップ256を有する容器の側部は、最小のエアギャップ258を有する容器の側部よりも高く、上方に延在している。このようにして、氷融解水を収集するためのさらに大きな容積が提供される。同様に、内側容器252の底部262の開口部260は、最小のエアギャップを有する容器の側部に配置されている。開口部260はさらに、延長チューブ状部分264を備えており、容器が角氷を注ぎ出すために傾けられたときに、開口部が容器の最も高い点に位置することを確実にする。
【0088】
図24~
図26は、本発明に係る容器の別の一実施形態270の異なる図を示している。この実施形態では、容器270は、外側容器272と、外側容器272内に配置された内側容器274とを含む。エアギャップ276は、内側容器と外側容器との間に形成される。前の実施形態と同様に、第1の容積V1は、内側容器274の内面によって画定される第1の区画278内に形成される。開口部280は、内側容器の底部282に配置されている。第2の容積V2は、開口部の下方の内側容器と外側容器との間に提供される。第2の容積とエアギャップは一緒になって第2の区画284を形成する。
【0089】
上部クロージャーは、前の実施形態とはわずかに異なる。この場合、外側容器は上縁部286を有し、内側容器は、外側容器の上縁部286を越えて延在する外向きのフランジ288を有する。ガスケット290は、上縁部286と外向きフランジの下向き面との間に配置される。または、別の一実施形態(図示せず)では、ガスケットは、外側容器と内側容器のそれぞれ内面と外面との間に、外側容器の上縁部近くに配置される。
【0090】
この実施形態はさらに、内側容器の外面に配置された4つの可撓性ゴムフランジ292を有する。ゴムフランジは、
図26に示すように円形であり、フランジの外周の周りに配置された小さな開口部294を有する。
図26は4つの開口部を示しているが、追加の開口部を提供することもできる。フランジの外径は、外側容器の内径よりも大きい。内側容器を外側容器に挿入すると、フランジが上方に曲がり、ボウル型のリザーバーを形成する。容器が傾けられると、氷溶融水296がエアギャップに流れ込み、小さな開口部294を介してゴムフランジを通過する。容器が再びその直立位置に配置されると、水はエアギャップに沿って流れ落ち、その一部はフランジによってエアギャップ内部に捕らえられる。このようにして、水の一部は容積V2に戻る代わりに、エアギャップに保持されるであろう。このため、容積V2は、すべての氷融解水を容積V2に保管する必要がある場合よりも小さくすることができる。
【0091】
図27および
図28に示される容器300は、以前に開示された実施形態と非常に類似しており、したがって、特定の詳細は、詳細には説明されない。しかしながら、この実施形態で特に注目すべきは、容器が、蓋304の底面に取り付けられた細長い槍状要素の形態のアイスピック302を含むことである。通常の使用中、蓋は、容器の注ぎ出し開口部を密閉するように配置され、アイスピックは、角氷と共に第1の区画306内に配置される。角氷を容器から注ぎ出す場合、蓋を取り外し(
図28)、角氷308を第1の区画から振り出すことができる。アイスピックを角氷の間に挟んで共に凍らせた場合は、アイスピックを使用して角氷を緩めることができる。角氷が注ぎ出されると、アイスピックは角氷内に押し戻され、容器上に蓋を元に戻す。
【0092】
図29~
図31に示される実施形態310は非常に類似している。しかしながら、アイスピック312を第1の区画314内に保管する代わりに、アイスピックは、第1の区画と容器の外側部分318の内面との間のギャップ316内に保管される。アイスピックは、容器の上面の穴または開口部319を介してギャップに挿入される。このように、容器が使用されていないとき、アイスピックは角氷内に保管されない。しかしながら、必要に応じて、アイスピックを穴319から上方に引っ張ることによって、蓋311を容器から取り外してアイスピックを露出させることは容易である。
【0093】
アイスピックが蓋に接続されている場合、使用者は、アイスピックとそれに接続された蓋を変位させて、任意の方法で注ぎ出し開口部を開閉し、それによって使用者が容器をひっくり返したときに容器を離れることができる角氷の量を調節することができると考えることができる。一実施形態(図示せず)では、使用者は、アイスピックを上下に変位させることによって、蓋を上下に移動させることができる。別の一実施形態(図示せず)では、使用者は、アイスピックの長手軸を中心に蓋を枢動させて、注ぎ出し開口部を再び可変的に開閉することができる。この変位は、使用者がアイスピックまたは蓋を手動で動かすことによって提供することができるか、または蓋を上下にまたは回転可能な方法で変位させることができる異なる適切な変位機構を容易に提供することができる。これは、容器の外部部分に取り付けられたハンドル(図示せず)と組み合わせることができる。
【0094】
図32~
図34は、蓋322およびアイスピック324を備えた容器の別の一実施形態320の側面図を示している。容器は、容器の外面に取り付けられたハンドル326をさらに含む。ハンドルの内面と容器の外面との間にギャップ328が形成される。前の場合と同様に、アイスピックはしっかりと蓋に取り付けられている。
【0095】
蓋は、ヒンジ継手330を介して容器に枢動可能に取り付けられている。アイスピック324は、ハンドルと容器の外面との間のギャップ328に配置されている。アイスピックが枢動すると、蓋もまた枢動する。
図33に示されるように、アイスピックはハンドルの内側にまたはハンドルに対して保持され、それによって蓋を閉じたままにし、角氷332が容器から出ることを防ぐ。
図34では、アイスピックがわずかに枢動することが許容されているため、蓋もまた枢動し、角氷が容器から出て行くことができる。使用者は、容器のハンドルも持っている手でアイスピックを簡単に枢動させることができる。これは、蓋変位機構の一例である。当業者は、本明細書の教示および当業者の一般的な知識に基づいて、他の適切な蓋変位機構を準備することができるであろう。さらに、この実施形態では、アイスピックが必要な場合、蓋およびアイスピックを上向きに引っ張って容器から引き離すことができ、次にアイスピックを使用して角氷内に押し込み、それらを互いに引き離すことができることに留意すべきである。
【0096】
図27~
図34に記載および示されている実施形態では、アイスピックは蓋に取り付けられていた。しかしながら、アイスピックが蓋から分離されている他の実施形態も想像することができるか、または蓋のみまたはアイスピックのみを有する実施形態も想像することができる。例えば、
図32~
図34の実施形態では、アイスピックは、蓋変位機構の不可欠な部分であり、蓋の動きを制御するために使用された。しかしながら、別のハンドル/レバーが蓋に固定されて提供され、別のアイスピックが蓋とは別に提供されたと想像することができる。
【0097】
図および上記の説明は、例示的な実施形態を単純かつ概略的な方法で示していることに留意すべきである。当業者はこれらの詳細に精通しているはずであり、それらはこの説明を不必要に複雑にするだけであるため、特定の機械的詳細の多くは示されていない。例えば、当業者は、本発明に係る容器を製造するための適切な材料および適切なプロセスを見つけることができると主張されるため、使用される特定の材料および特定の製造手順は詳細に説明されていない。同様に、多くの異なる実施形態が開示されており、各実施形態は個々の構成を開示していることに留意すべきである。本開示の範囲内で、互いに必要であると明示的に言及されていない構成の異なる組み合わせは、当業者が適切であるとみなすように組み合わせることができる。
【国際調査報告】