(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-07
(54)【発明の名称】免疫応答を調節するためおよび疾患を処置するためのBTLA結合(CD272)抗体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20220531BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20220531BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20220531BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220531BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220531BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220531BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220531BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20220531BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220531BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20220531BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220531BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220531BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20220531BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220531BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/28 ZNA
C12N15/63 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
A61K39/395 N
A61P37/02
A61P43/00 111
A61P35/00
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P25/00
A61P1/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560478
(86)(22)【出願日】2020-03-31
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 US2020025936
(87)【国際公開番号】W WO2020205849
(87)【国際公開日】2020-10-08
(32)【優先日】2019-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】521441238
【氏名又は名称】レイクファーマ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LakePharma, Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】518278007
【氏名又は名称】トリアニ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Trianni, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ゼベル,ブライアン エイ
(72)【発明者】
【氏名】リッピンコット,ジョン エイ
(72)【発明者】
【氏名】ジェン,ヤーユエ
(72)【発明者】
【氏名】ラオ,メガ バマン
(72)【発明者】
【氏名】タン,ミャオ
(72)【発明者】
【氏名】マイニンガー,デイビッド ピー
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CA08
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA05
4B065AA01X
4B065AA01Y
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA83X
4B065AA83Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C084AA19
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA66
4C084ZB26
4C084ZC42
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB11
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、新規の抗BTLA抗体、そのような抗体を含む医薬組成物、ならびにがんまたは自己免疫疾患などの疾患の処置のためにそのような抗体および医薬組成物を使用する治療方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
b)配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
c)配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
d)配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
e)配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
f)配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
g)配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
h)配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
i)配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
j)配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
k)配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
l)配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
m)配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
n)配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
o)配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
p)配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号34のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
q)配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号36のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
r)配列番号37のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
s)配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号40のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または
t)配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号42のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を含む抗体。
【請求項2】
a)配列番号47を含むvhCDR1、配列番号48を含むvhCDR2、配列番号49を含むvhCDR3、配列番号50を含むvlCDR1、配列番号51を含むvlCDR2、および配列番号52を含むvlCDR3;
b)配列番号53を含むvhCDR1、配列番号54を含むvhCDR2、配列番号55を含むvhCDR3、配列番号56を含むvlCDR1、配列番号57を含むvlCDR2、および配列番号58を含むvlCDR3;
c)配列番号59を含むvhCDR1、配列番号60を含むvhCDR2、配列番号61を含むvhCDR3、配列番号62を含むvlCDR1、配列番号63を含むvlCDR2、および配列番号64を含むvlCDR3;
d)配列番号65を含むvhCDR1、配列番号66を含むvhCDR2、配列番号67を含むvhCDR3、配列番号68を含むvlCDR1、配列番号69を含むvlCDR2、および配列番号70を含むvlCDR3;
e)配列番号71を含むvhCDR1、配列番号72を含むvhCDR2、配列番号73を含むvhCDR3、配列番号74を含むvlCDR1、配列番号75を含むvlCDR2、および配列番号76を含むvlCDR3;
f)配列番号77を含むvhCDR1、配列番号78を含むvhCDR2、配列番号79を含むvhCDR3、配列番号80を含むvlCDR1、配列番号81を含むvlCDR2、および配列番号82を含むvlCDR3;
g)配列番号83を含むvhCDR1、配列番号84を含むvhCDR2、配列番号85を含むvhCDR3、配列番号86を含むvlCDR1、配列番号87を含むvlCDR2、および配列番号88を含むvlCDR3;
h)配列番号89を含むvhCDR1、配列番号90を含むvhCDR2、配列番号91を含むvhCDR3、配列番号92を含むvlCDR1、配列番号93を含むvlCDR2、および配列番号94を含むvlCDR3;
i)配列番号95を含むvhCDR1、配列番号96を含むvhCDR2、配列番号97を含むvhCDR3、配列番号98を含むvlCDR1、配列番号99を含むvlCDR2、および配列番号100を含むvlCDR3;
j)配列番号101を含むvhCDR1、配列番号102を含むvhCDR2、配列番号103を含むvhCDR3、配列番号104を含むvlCDR1、配列番号105を含むvlCDR2、および配列番号106を含むvlCDR3;
k)配列番号107を含むvhCDR1、配列番号108を含むvhCDR2、配列番号109を含むvhCDR3、配列番号110を含むvlCDR1、配列番号111を含むvlCDR2、および配列番号112を含むvlCDR3;
l)配列番号113を含むvhCDR1、配列番号114を含むvhCDR2、配列番号115を含むvhCDR3、配列番号116を含むvlCDR1、配列番号117を含むvlCDR2、および配列番号118を含むvlCDR3;
m)配列番号119を含むvhCDR1、配列番号120を含むvhCDR2、配列番号121を含むvhCDR3、配列番号122を含むvlCDR1、配列番号123を含むvlCDR2、および配列番号124を含むvlCDR3;
n)配列番号131を含むvhCDR1、配列番号132を含むvhCDR2、配列番号133を含むvhCDR3、配列番号134を含むvlCDR1、配列番号135を含むvlCDR2、および配列番号136を含むvlCDR3;
o)配列番号137を含むvhCDR1、配列番号138を含むvhCDR2、配列番号139を含むvhCDR3、配列番号140を含むvlCDR1、配列番号141を含むvlCDR2、および配列番号142を含むvlCDR3;
p)配列番号143を含むvhCDR1、配列番号144を含むvhCDR2、配列番号145を含むvhCDR3、配列番号146を含むvlCDR1、配列番号147を含むvlCDR2、および配列番号148を含むvlCDR3;
q)配列番号149を含むvhCDR1、配列番号150を含むvhCDR2、配列番号151を含むvhCDR3、配列番号152を含むvlCDR1、配列番号153を含むvlCDR2、および配列番号154を含むvlCDR3;
r)配列番号155を含むvhCDR1、配列番号156を含むvhCDR2、配列番号157を含むvhCDR3、配列番号158を含むvlCDR1、配列番号159を含むvlCDR2、および配列番号160を含むvlCDR3;
s)配列番号161を含むvhCDR1、配列番号162を含むvhCDR2、配列番号163を含むvhCDR3、配列番号164を含むvlCDR1、配列番号165を含むvlCDR2、および配列番号166を含むvlCDR3;または
t)配列番号167を含むvhCDR1、配列番号168を含むvhCDR2、配列番号169を含むvhCDR3、配列番号170を含むvlCDR1、配列番号171を含むvlCDR2、および配列番号172を含むvlCDR3
を含む抗体。
【請求項3】
ヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに結合する、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項4】
配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号36のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
配列番号107を含むvhCDR1、配列番号108を含むvhCDR2、配列番号109を含むvhCDR3、配列番号110を含むvlCDR1、配列番号111を含むvlCDR2、および配列番号112を含むvlCDR3;
配列番号137を含むvhCDR1、配列番号138を含むvhCDR2、配列番号139を含むvhCDR3、配列番号140を含むvlCDR1、配列番号141を含むvlCDR2、および配列番号142を含むvlCDR3;または
配列番号149を含むvhCDR1、配列番号150を含むvhCDR2、配列番号151を含むvhCDR3、配列番号152を含むvlCDR1、配列番号153を含むvlCDR2、および配列番号154を含むvlCDR3を含み、
BTLAアンタゴニストとして働き、HVEMに対するBTLAの結合およびT細胞機能のHVEM媒介性抑制をブロックする、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項5】
配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;
配列番号101を含むvhCDR1、配列番号102を含むvhCDR2、配列番号103を含むvhCDR3、配列番号104を含むvlCDR1、配列番号105を含むvlCDR2、および配列番号106を含むvlCDR3;
配列番号119を含むvhCDR1、配列番号120を含むvhCDR2、配列番号121を含むvhCDR3、配列番号122を含むvlCDR1、配列番号123を含むvlCDR2、および配列番号124を含むvlCDR3;または
配列番号131を含むvhCDR1、配列番号132を含むvhCDR2、配列番号133を含むvhCDR3、配列番号134を含むvlCDR1、配列番号135を含むvlCDR2、および配列番号136を含むvlCDR3を含み、
BTLAアゴニストとして働き、炎症促進性のT細胞機能を抑制する、請求項1または2に記載の抗体。
【請求項6】
ヒトIgGと少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する定常領域を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の抗体。
【請求項7】
ヒトIgGはIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4からなる群から選択される、請求項6に記載の抗体。
【請求項8】
IgGはIgG2である、請求項7に記載の抗体。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の抗体をコードする核酸組成物。
【請求項10】
a)配列番号185を含む第一の核酸および配列番号186を含む第二の核酸;
b)配列番号187を含む第一の核酸および配列番号188を含む第二の核酸;
c)配列番号189を含む第一の核酸および配列番号190を含む第二の核酸;
d)配列番号191を含む第一の核酸および配列番号192を含む第二の核酸;
e)配列番号193を含む第一の核酸および配列番号194を含む第二の核酸;
f)配列番号195を含む第一の核酸および配列番号196を含む第二の核酸;
g)配列番号197を含む第一の核酸および配列番号198を含む第二の核酸;
h)配列番号199を含む第一の核酸および配列番号200を含む第二の核酸;
i)配列番号201を含む第一の核酸および配列番号202を含む第二の核酸;
j)配列番号203を含む第一の核酸および配列番号204を含む第二の核酸;
k)配列番号205を含む第一の核酸および配列番号206を含む第二の核酸;
l)配列番号207を含む第一の核酸および配列番号208を含む第二の核酸;
m)配列番号209を含む第一の核酸および配列番号210を含む第二の核酸;
n)配列番号211を含む第一の核酸および配列番号212を含む第二の核酸;
o)配列番号213を含む第一の核酸および配列番号214を含む第二の核酸;
p)配列番号215を含む第一の核酸および配列番号216を含む第二の核酸;
q)配列番号217を含む第一の核酸および配列番号218を含む第二の核酸;
r)配列番号219を含む第一の核酸および配列番号220を含む第二の核酸;
s)配列番号221を含む第一の核酸および配列番号222を含む第二の核酸;
t)配列番号223を含む第一の核酸および配列番号224を含む第二の核酸;または
u)配列番号225を含む第一の核酸および配列番号226を含む第二の核酸
を含む、請求項9に記載の核酸組成物。
【請求項11】
第一の核酸は第一の発現ベクターに含有され、第二の核酸は第二の発現ベクターに含有される、請求項10に記載の核酸組成物を含む発現ベクター組成物。
【請求項12】
第一の核酸および第二の核酸は単一の発現ベクターに含有される、請求項10に記載の核酸組成物を含む発現ベクター組成物。
【請求項13】
請求項11または12に記載の発現ベクター組成物を含む宿主細胞。
【請求項14】
抗体を作る方法であって、請求項13に記載の前記宿主細胞を抗体が発現される条件下で培養すること、および抗体を回収することを含む方法。
【請求項15】
請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体、および薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物。
【請求項16】
対象における免疫応答を調節する方法であって、対象に有効量の請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体、または請求項15に記載の組成物を投与することを含む方法。
【請求項17】
対象における免疫応答を刺激し、対象に有効量の請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体、または請求項15に記載の組成物を投与することを含み、抗体はBTLAアンタゴニストとして働く、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
抗体は、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号107を含むvhCDR1、配列番号108を含むvhCDR2、配列番号109を含むvhCDR3、配列番号110を含むvlCDR1、配列番号111を含むvlCDR2、および配列番号112を含むvlCDR3を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
抗体は、配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号137を含むvhCDR1、配列番号138を含むvhCDR2、配列番号139を含むvhCDR3、配列番号140を含むvlCDR1、配列番号141を含むvlCDR2、および配列番号142を含むvlCDR3を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
抗体は、配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号36のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号149を含むvhCDR1、配列番号150を含むvhCDR2、配列番号151を含むvhCDR3、配列番号152を含むvlCDR1、配列番号153を含むvlCDR2、および配列番号154を含むvlCDR3を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
対象における免疫応答を抑制し、対象に有効量の請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体、または請求項15に記載の組成物を投与することを含み、抗体はBTLAアゴニストとして働く、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
抗体は、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号101を含むvhCDR1、配列番号102を含むvhCDR2、配列番号103を含むvhCDR3、配列番号104を含むvlCDR1、配列番号105を含むvlCDR2、および配列番号106を含むvlCDR3を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
抗体は、配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号119を含むvhCDR1、配列番号120を含むvhCDR2、配列番号121を含むvhCDR3、配列番号122を含むvlCDR1、配列番号123を含むvlCDR2、および配列番号124を含むvlCDR3を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
抗体は、配列番号29と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号30と少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号131を含むvhCDR1、配列番号132を含むvhCDR2、配列番号133を含むvhCDR3、配列番号134を含むvlCDR1、配列番号135を含むvlCDR2、および配列番号136を含むvlCDR3を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
対象におけるがんを処置する方法であって、対象に有効量の請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体、または請求項15に記載の組成物を投与することを含み、抗体はBTLAアンタゴニストとして働く、方法。
【請求項26】
がんはHVEMを上方制御する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
対象はT細胞上に高レベルのBTLAを有する、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
がんは胃がんである、請求項25から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
抗体は、がんを処置する1つまたは複数の追加の治療剤と組み合わせられる、請求項25から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
追加の治療剤は他の免疫チェックポイント阻害剤である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
他の免疫チェックポイント阻害剤はイピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびアテゾリズマブからなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
対象における自己免疫疾患を処置する方法であって、対象に有効量の請求項1から8のいずれか一項に記載の抗体、または請求項15に記載の組成物を投与することを含み、抗体はBTLAアゴニストとして働く、方法。
【請求項33】
対象は自己免疫疾患が発生する部位に存在する自己反応性T細胞に低レベルのHVEMを発現する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
自己免疫疾患は多発性硬化症である、請求項32または33に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2019年4月1日に出願された米国仮特許出願第62/827,744号に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示は、新規の抗BTLA抗体、ならびに免疫応答の調節における使用およびがんまたは自己免疫疾患などの疾患の処置のためのそのような抗体を含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
免疫応答を誘導、増強、または抑制する疾患の処置は免疫療法と称される。免疫療法は、がんの処置において有効性を増加させることが実証されている。一般に、腫瘍微小環境は、がん細胞が、例えば、腫瘍細胞自身により発現される免疫阻害性タンパク質(例えば、PDL1、HVEM)の上方制御により、免疫システムによる検出を逃れることを可能にする。白血球は、これらの阻害性タンパク質に対する特異的な受容体(例えば、PDL1に対してPD1、およびHVEMに対してBTLA)(免疫チェックポイント受容体としても公知である)を発現し、腫瘍細胞は免疫チェックポイント受容体を拘束して自身に対する免疫応答を抑制することができる。
【0004】
がん処置における多くの免疫療法の成功は、免疫チェックポイントCTLA-4およびPD-1/PD-L1を標的にする免疫調節抗体の使用に基づいている。しかしながら、免疫チェックポイントペアをブロックする多くのFDAが承認した抗体は、約20%のがん患者においてのみ効果的である。その処置は、応答者に高度に効果的でありかつ耐久性がある。しかしながら、非応答者である残りの80%のがん患者については、他の免疫チェックポイントを標的にする新しい免疫療法が必要である。
【0005】
BTLA(BおよびTリンパ球アテニュエーター)は、膜貫通タンパク質であり、その発現はT細胞の活性化の間に誘導される。BTLAは、B細胞および樹状細胞においても発現される。PD1およびCTLA4と同様に、BTLAはB7ホモログであるB7H4と相互作用する。しかしながら、PD-1およびCTLA-4とは異なり、BTLAは腫瘍壊死ファミリー受容体とも相互作用する。そのような受容体の1つは、腫瘍壊死因子(受容体)スーパーファミリーメンバー14(TNFRSF14)であり、ヘルペスウイルスエントリーメディエータ(HVEM)としても公知である。HVEMはウイルス侵入に関与するHSV糖タンパク質Dに対する受容体であり、BおよびT細胞を含む造血細胞ならびに非造血細胞(実質細胞)に発現される。加えて、HVEMは種々の血液および固形腫瘍に発現される。BTLA-HVEM相互作用は、T細胞応答、例えば、CD8+T細胞応答を下方制御する。BTLAおよび/またはHVEMの上方制御は、免疫認識および破壊を回避する腫瘍細胞によって発揮される機構であることが見出されている。例えば、BTLAおよびHVEMは、B細胞慢性リンパ性白血病および胃がんにおいて高度に発現される;またBTLA発現は、ホジキンリンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫および幾つかのT細胞非ホジキンリンパ腫、ならびに肝細胞癌を有する患者の末梢血中の細胞傷害性CD8+T細胞において上方制御される。加えて、HVEM-BTLAシグナル伝達の非存在は、制御不全の炎症および自己免疫疾患を導く過度の免疫応答をもたらす。したがって、BTLAシグナル伝達の調節は、がんおよび自己免疫疾患の両方に対する標的となり得る。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本発明は、新規の抗BTLA抗体に関する。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号1のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号2のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号3のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号5のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号6のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号7のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号8のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号9のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号12のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号15のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号16のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号23のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号24のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号27のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号28のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号34のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号36のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号37のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号38のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号39のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号40のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号41のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号42のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域が含まれる。
【0007】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号47を含むvhCDR1、配列番号48を含むvhCDR2、配列番号49を含むvhCDR3、配列番号50を含むvlCDR1、配列番号51を含むvlCDR2、および配列番号52を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号53を含むvhCDR1、配列番号54を含むvhCDR2、配列番号55を含むvhCDR3、配列番号56を含むvlCDR1、配列番号57を含むvlCDR2、および配列番号58を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号59を含むvhCDR1、配列番号60を含むvhCDR2、配列番号61を含むvhCDR3、配列番号62を含むvlCDR1、配列番号63を含むvlCDR2、および配列番号64を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号65を含むvhCDR1、配列番号66を含むvhCDR2、配列番号67を含むvhCDR3、配列番号68を含むvlCDR1、配列番号69を含むvlCDR2、および配列番号70を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号71を含むvhCDR1、配列番号72を含むvhCDR2、配列番号73を含むvhCDR3、配列番号74を含むvlCDR1、配列番号75を含むvlCDR2、および配列番号76を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号77を含むvhCDR1、配列番号78を含むvhCDR2、配列番号79を含むvhCDR3、配列番号80を含むvlCDR1、配列番号81を含むvlCDR2、および配列番号82を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号83を含むvhCDR1、配列番号84を含むvhCDR2、配列番号85を含むvhCDR3、配列番号86を含むvlCDR1、配列番号87を含むvlCDR2、および配列番号88を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号89を含むvhCDR1、配列番号90を含むvhCDR2、配列番号91を含むvhCDR3、配列番号92を含むvlCDR1、配列番号93を含むvlCDR2、および配列番号94を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号95を含むvhCDR1、配列番号96を含むvhCDR2、配列番号97を含むvhCDR3、配列番号98を含むvlCDR1、配列番号99を含むvlCDR2、および配列番号100を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号101を含むvhCDR1、配列番号102を含むvhCDR2、配列番号103を含むvhCDR3、配列番号104を含むvlCDR1、配列番号105を含むvlCDR2、および配列番号106を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号107を含むvhCDR1、配列番号108を含むvhCDR2、配列番号109を含むvhCDR3、配列番号110を含むvlCDR1、配列番号111を含むvlCDR2、および配列番号112を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号113を含むvhCDR1、配列番号114を含むvhCDR2、配列番号115を含むvhCDR3、配列番号116を含むvlCDR1、配列番号117を含むvlCDR2、および配列番号118を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号119を含むvhCDR1、配列番号120を含むvhCDR2、配列番号121を含むvhCDR3、配列番号122を含むvlCDR1、配列番号123を含むvlCDR2、および配列番号124を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号125を含むvhCDR1、配列番号126を含むvhCDR2、配列番号127を含むvhCDR3、配列番号128を含むvlCDR1、配列番号129を含むvlCDR2、および配列番号130を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号131を含むvhCDR1、配列番号132を含むvhCDR2、配列番号133を含むvhCDR3、配列番号134を含むvlCDR1、配列番号135を含むvlCDR2、および配列番号136を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号137を含むvhCDR1、配列番号138を含むvhCDR2、配列番号139を含むvhCDR3、配列番号140を含むvlCDR1、配列番号141を含むvlCDR2、および配列番号142を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号143を含むvhCDR1、配列番号144を含むvhCDR2、配列番号145を含むvhCDR3、配列番号146を含むvlCDR1、配列番号147を含むvlCDR2、および配列番号148を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号149を含むvhCDR1、配列番号150を含むvhCDR2、配列番号151を含むvhCDR3、配列番号152を含むvlCDR1、配列番号153を含むvlCDR2、および配列番号154を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号155を含むvhCDR1、配列番号156を含むvhCDR2、配列番号157を含むvhCDR3、配列番号158を含むvlCDR1、配列番号159を含むvlCDR2、および配列番号160を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号161を含むvhCDR1、配列番号162を含むvhCDR2、配列番号163を含むvhCDR3、配列番号164を含むvlCDR1、配列番号165を含むvlCDR2、および配列番号166を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号167を含むvhCDR1、配列番号168を含むvhCDR2、配列番号169を含むvhCDR3、配列番号170を含むvlCDR1、配列番号171を含むvlCDR2、および配列番号172を含むvlCDR3が含まれる。
【0008】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されている抗BTLA抗体は、ヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに結合する。
【0009】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体は、BTLAアンタゴニストとして作用し、HVEMに対するBTLAの結合ならびにT細胞機能のHVEM媒介性抑制をブロックする。そのような抗体の例には、配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号36のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号107を含むvhCDR1、配列番号108を含むvhCDR2、配列番号109を含むvhCDR3、配列番号110を含むvlCDR1、配列番号111を含むvlCDR2、および配列番号112を含むvlCDR3;配列番号137を含むvhCDR1、配列番号138を含むvhCDR2、配列番号139を含むvhCDR3、配列番号140を含むvlCDR1、配列番号141を含むvlCDR2、および配列番号142を含むvlCDR3;または配列番号149を含むvhCDR1、配列番号150を含むvhCDR2、配列番号151を含むvhCDR3、配列番号152を含むvlCDR1、配列番号153を含むvlCDR2、および配列番号154を含むvlCDR3を含有する抗体が含まれる。
【0010】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体は、BTLAアゴニストとして作用し、炎症促進性の免疫細胞機能を抑制する。そのような抗体の例には、配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;配列番号101を含むvhCDR1、配列番号102を含むvhCDR2、配列番号103を含むvhCDR3、配列番号104を含むvlCDR1、配列番号105を含むvlCDR2、および配列番号106を含むvlCDR3;配列番号119を含むvhCDR1、配列番号120を含むvhCDR2、配列番号121を含むvhCDR3、配列番号122を含むvlCDR1、配列番号123を含むvlCDR2、および配列番号124を含むvlCDR3;または配列番号131を含むvhCDR1、配列番号132を含むvhCDR2、配列番号133を含むvhCDR3、配列番号134を含むvlCDR1、配列番号135を含むvlCDR2、および配列番号136を含むvlCDR3を含有する抗体が含まれる。
【0011】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されている抗BTLA抗体は、ヒトIgGと少なくとも90%同一であるアミノ酸配列を有する定常領域を含む。幾つかの実施形態では、IgGは、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4から選択される。幾つかの実施形態では、IgGは、IgG2である。
【0012】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載されている抗BTLA抗体のいずれか1つをコードする核酸組成物に関する。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号185を含む第一の核酸、および配列番号186を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号187を含む第一の核酸、および配列番号188を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号189を含む第一の核酸、および配列番号190を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号191を含む第一の核酸、および配列番号192を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号193を含む第一の核酸、および配列番号194を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号195を含む第一の核酸、および配列番号196を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号197を含む第一の核酸、および配列番号198を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号199を含む第一の核酸、および配列番号200を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号201を含む第一の核酸、および配列番号202を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号203を含む第一の核酸、および配列番号204を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号205を含む第一の核酸、および配列番号206を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号207を含む第一の核酸、および配列番号208を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号209を含む第一の核酸、および配列番号210を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号211を含む第一の核酸、および配列番号212を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号213を含む第一の核酸、および配列番号214を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号215を含む第一の核酸、および配列番号216を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号217を含む第一の核酸、および配列番号218を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号219を含む第一の核酸、および配列番号220を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号221を含む第一の核酸、および配列番号222を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号223を含む第一の核酸、および配列番号224を含む第二の核酸が含まれる。幾つかの実施形態では、核酸組成物には、配列番号225を含む第一の核酸、および配列番号226を含む第二の核酸が含まれる。
【0013】
本発明の別の態様は、本明細書に記載されている核酸組成物のいずれか1つを含む発現ベクター組成物に関する。幾つかの実施形態では、第一の核酸は第一の発現ベクターに含有され、第二の核酸は第二の発現ベクターに含有される。幾つかの他の実施形態では、第一の核酸および第二の核酸は、単一の発現ベクターに含有される。
【0014】
本発明の別の態様は、本明細書に記載されている発現ベクターのいずれか1つを含む宿主細胞に関する。抗BTLA抗体を作る方法であって、宿主細胞を該抗体が発現される条件下で培養すること、および該抗体を回収することを含む方法も提示される。
【0015】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載されている抗BTLA抗体のいずれか1つを含む組成物、および薬学的に許容される担体または希釈剤に関する。
【0016】
対象における免疫応答を調節する方法、および対象に有効量のいずれか1つの本明細書に記載されている抗BTLA抗体、またはいずれか1つの本明細書に記載されている組成物を投与することを含む方法も記載される。幾つかの実施形態では、方法は対象における免疫応答を刺激し、方法は対象に有効量のBTLAアンタゴニストとして働く抗BTLA抗体、またはその医薬組成物を投与することを含む。幾つかの実施形態では、方法は対象における免疫応答を抑制し、方法は対象に有効量のBTLAアゴニストとして働く抗BTLA抗体、またはその医薬組成物を投与することを含む。
【0017】
幾つかの実施形態では、方法は対象における免疫応答を刺激し、方法は対象に有効量の抗BTLA抗体を投与することを含み、抗BTLA抗体は配列番号21のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号22のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号107を含むvhCDR1、配列番号108を含むvhCDR2、配列番号109を含むvhCDR3、配列番号110を含むvlCDR1、配列番号111を含むvlCDR2、および配列番号112を含むvlCDR3を含む。
【0018】
幾つかの実施形態では、方法は対象における免疫応答を刺激し、方法は対象に有効量の抗BTLA抗体を投与することを含み、抗BTLA抗体は配列番号31のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号32のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号137を含むvhCDR1、配列番号138を含むvhCDR2、配列番号139を含むvhCDR3、配列番号140を含むvlCDR1、配列番号141を含むvlCDR2、および配列番号142を含むvlCDR3を含む。
【0019】
幾つかの実施形態では、方法は対象における免疫応答を刺激し、方法は対象に有効量の抗BTLA抗体を投与することを含み、抗BTLA抗体は配列番号35のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号36のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号149を含むvhCDR1、配列番号150を含むvhCDR2、配列番号151を含むvhCDR3、配列番号152を含むvlCDR1、配列番号153を含むvlCDR2、および配列番号154を含むvlCDR3を含む。
【0020】
幾つかの実施形態では、方法は対象における免疫応答を抑制し、方法は対象に有効量の抗BTLA抗体を投与することを含み、抗BTLA抗体は配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号20のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号101を含むvhCDR1、配列番号102を含むvhCDR2、配列番号103を含むvhCDR3、配列番号104を含むvlCDR1、配列番号105を含むvlCDR2、および配列番号106を含むvlCDR3を含む。
【0021】
幾つかの実施形態では、方法は対象における免疫応答を抑制し、方法は対象に有効量の抗BTLA抗体を投与することを含み、抗BTLA抗体は配列番号25のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号26のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号119を含むvhCDR1、配列番号120を含むvhCDR2、配列番号121を含むvhCDR3、配列番号122を含むvlCDR1、配列番号123を含むvlCDR2、および配列番号124を含むvlCDR3を含む。
【0022】
幾つかの実施形態では、方法は対象における免疫応答を抑制し、方法は対象に有効量の抗BTLA抗体を投与することを含み、抗BTLA抗体は配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号131を含むvhCDR1、配列番号132を含むvhCDR2、配列番号133を含むvhCDR3、配列番号134を含むvlCDR1、配列番号135を含むvlCDR2、および配列番号136を含むvlCDR3を含む。
【0023】
別の態様では、本発明は、対象におけるがんを処置する方法であって、対象に有効量の本明細書に記載されている抗BTLA抗体、またはその組成物を投与することを含み、抗BTLA抗体はBTLAアンタゴニストとして働く、方法に関する。幾つかの実施形態では、処置されるがんは、対応する非がん性組織と比較して、HVEMを上方制御する。幾つかの実施形態では、処置される対象は、T細胞上に高レベルのBTLAを発現する。処置されるがんは、胃がんであってもよい。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体は、がんを処置する1つまたは複数の追加の治療剤と組み合せて使用される。幾つかの実施形態では、そのような抗がん治療剤は、他の免疫チェックポイント阻害剤、例えば、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびアテゾリズマブである。
【0024】
別の態様では、本発明は、対象における自己免疫疾患を処置する方法であって、対象に本明細書に記載されている有効量の抗BTLA抗体、またはその組成物を投与することを含み、抗BTLA抗体はBTLAアゴニストとして働く、方法に関する。幾つかの実施形態では、処置される対象は、自己免疫疾患が発生する部位に存在する自己反応性T細胞に低レベルのHVEMを発現する。幾つかの実施形態では、自己免疫疾患は、多発性硬化症である。
【0025】
本発明は、添付の図面とあわせて読解される以下の詳細な説明から完全に理解され得る。以下の図が図面に含まれる:
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、ELISAによるヒトBTLAへの抗BTLA抗体13-F7Aの結合を示す。抗BTLA抗体4C7および8D5を対照として使用した。ヒトIgGを陰性対照として使用した。相対光単位(RLU)を計算した。
【
図2A】
図2A~2Cは、FACS分析によるBTLAへの抗BTLA抗体13-F7Aの結合を示すヒストグラムである。
図2Aは、HEK-293細胞に発現したヒトBTLAへの13-F7Aの結合を示す。10μg/mlおよび1μg/mlの抗体を、二次抗体のみの対照と一緒に試験した。
【
図2B】
図2A~2Cは、FACS分析によるBTLAへの抗BTLA抗体13-F7Aの結合を示すヒストグラムである。
図2Bは、HEK-293細胞に発現したカニクイザルBTLAへの13-F7Aの結合を示す。10μg/mlおよび1μg/mlの抗体を、二次抗体のみの対照と一緒に試験した。
【
図2C】
図2A~2Cは、FACS分析によるBTLAへの抗BTLA抗体13-F7Aの結合を示すヒストグラムである。
図2Cは、HEK-293細胞への13-F7Aの結合を示す陰性対照である。10μg/mlおよび1μg/mlの抗体を、二次抗体のみの対照と一緒に試験した。
【
図3】
図3は、抗BTLA抗体13-F7Aが、ELISAによるヒトBTLA/HVEM相互作用を阻害することを示す。抗BTLA抗体4C7および8D5ならびにヒトIgGを対照として使用した。
【
図4】
図4は、Bio-Layer Interferometryにより測定されたヒトBTLAへの抗BTLA抗体13-F7Aの結合親和性を示す。13-F7Aをバイオセンサーチップに固定化し、166.7、55.6、18.5および6.17nMの組換えヒトBTLAを試験した。測定された解離定数K
Dは、5.4x10E-9Mである。
【
図5A】
図5A~5Fは、抗BTLA抗体の存在下での初代T細胞によるSEB刺激IL-2分泌の用量反応曲線を示す。ヒトIgG2およびIgG4を対照として使用した。
図5A~5Cは、抗BTLA抗体16-I20A、15-C19A、および16-H16AならびにそれらのT細胞機能におけるアンタゴニスト効果を示す。
【
図5B】
図5A~5Fは、抗BTLA抗体の存在下での初代T細胞によるSEB刺激IL-2分泌の用量反応曲線を示す。ヒトIgG2およびIgG4を対照として使用した。
図5A~5Cは、抗BTLA抗体16-I20A、15-C19A、および16-H16AならびにそれらのT細胞機能におけるアンタゴニスト効果を示す。
【
図5C】
図5A~5Fは、抗BTLA抗体の存在下での初代T細胞によるSEB刺激IL-2分泌の用量反応曲線を示す。ヒトIgG2およびIgG4を対照として使用した。
図5A~5Cは、抗BTLA抗体16-I20A、15-C19A、および16-H16AならびにそれらのT細胞機能におけるアンタゴニスト効果を示す。
【
図5D】
図5A~5Fは、抗BTLA抗体の存在下での初代T細胞によるSEB刺激IL-2分泌の用量反応曲線を示す。ヒトIgG2およびIgG4を対照として使用した。
図5D~5Fは、抗BTLA抗体12-I8A、8-M23Aおよび13-F7AならびにそれらのT細胞機能におけるアゴニスト効果を示す。
【
図5E】
図5A~5Fは、抗BTLA抗体の存在下での初代T細胞によるSEB刺激IL-2分泌の用量反応曲線を示す。ヒトIgG2およびIgG4を対照として使用した。
図5D~5Fは、抗BTLA抗体12-I8A、8-M23Aおよび13-F7AならびにそれらのT細胞機能におけるアゴニスト効果を示す。
【
図5F】
図5A~5Fは、抗BTLA抗体の存在下での初代T細胞によるSEB刺激IL-2分泌の用量反応曲線を示す。ヒトIgG2およびIgG4を対照として使用した。
図5D~5Fは、抗BTLA抗体12-I8A、8-M23Aおよび13-F7AならびにそれらのT細胞機能におけるアゴニスト効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示は、新規の抗BTLA抗体を提供する。本明細書に記載されている抗BTLA抗体は、ヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに結合する。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体は、ヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに高親和性で結合する。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体は、機能的なBTLAアンタゴニストとして作用し、BTLAとの結合に際して、それらはBTLAとHVEMの相互作用をブロックし、T細胞機能のHVEM媒介性抑制をブロックする。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体は、機能的なBTLAアゴニストとして作用し、BTLAとの結合に際して、それらはT細胞機能を抑制する。対象における免疫応答を調節する、例えば、がんまたは自己免疫疾患を処置する、抗体を使用する方法も本開示に提供される。加えて、これらの抗体をコードする核酸ならびにそのような核酸を含む宿主細胞が、本開示に記載される。
【0028】
本発明の理解を促進するために、幾つかの用語および語句が以下に定義される。
【0029】
本明細書で使用する、以下の用語の各々は、本セクションにおいてそれと関連する意味を有する。
【0030】
冠詞の「a」および「an」は、本明細書に使用されて、その冠詞の文法上の目的格の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)について言及する。例として、「エレメント(an element)」は、1つのエレメントまたは複数のエレメントを意味する。
【0031】
例えば、量、時間的な持続時間等の測定可能な値を指す場合、本明細書で使用する「約」は、そのようなバリエーションが開示される方法を実施するため適切であるものとして、指定の値から±20%または±10%、より好ましくは±5%、なおより好ましくは±1%、および更により好ましくは±0.1%のバリエーションを包含することを意味する。
【0032】
本明細書で「アブレーション」は、活性の減少または除去を意味する。したがって、例えば、「FcγR結合のアブレーション」は、Fc領域アミノ酸変異体が、特定の変異体を含有しないFc領域と比較して、50%開始結合未満を有することを意味し、活性の70-80-90-95-98%喪失未満を有することが好ましく、一般には、活性がBiacoreアッセイにおける検出可能な結合のレベル未満であることを意味する。
【0033】
本明細書で使用する「ADCC」または「抗体依存性細胞介在性細胞傷害」は、FcγRを発現する非特異的な細胞傷害性細胞が、標的細胞において結合抗体を認識し、その後、標的細胞の溶解を引き起こす、細胞介在性反応を意味する。ADCCはFcγRIIIaへの結合と相関し;FcγRIIIaへの結合の増加は、ADCC活性の増加を導く。本明細書で論じるように、本発明の多くの実施形態は、ADCC活性を全体的にアブレーションする。
【0034】
本明細書で使用する「ADCP」または「抗体依存性細胞介在性食作用」は、FcγRを発現する非特異的な細胞傷害性細胞が、標的細胞において結合抗体を認識し、その後、標的細胞の食作用を引き起こす、細胞介在性反応を意味する。
【0035】
本明細書で「抗原結合ドメイン」または「ABD」は、ポリペプチド配列の一部として存在する場合、本明細書で論じるように特異的に標的抗原に結合する、6つの相補性決定領域(CDR)のセットを意味する。したがって、「抗原結合ドメイン」は、本明細書に概略されている標的抗原に結合する。当技術分野において公知であるように、これらのCDRは、第一のセットの可変重鎖CDR(vhCDRまたはVHCDRまたはCDR-HC)および第二のセットの可変軽鎖CDR(vlCDRまたはVLCDRまたはCDR-LC)として一般に存在し、各々が3つのCDR、重鎖に関してvhCDR1、vhCDR2、vhCDR3および軽鎖に関してvlCDR1、vlCDR2およびvlCDR3を含む。CDRは、それぞれ、可変重鎖および可変軽鎖ドメインに存在し、一緒にFv領域を形成する。したがって、幾つかの場合、抗原結合ドメインの6つのCDRには、可変重鎖および可変軽鎖が寄与する。「Fab」フォーマットでは、6つのCDRのセットには、2つの異なるポリペプチド配列、可変重鎖ドメイン(vhまたはVH;vhCDR1、vhCDR2およびvhCDR3を含有)および可変軽鎖ドメイン(vlまたはVL;vlCDR1、vlCDR2およびvlCDR3を含有)が寄与し、vhドメインのC末端は重鎖のCH1ドメインのN末端に結合し、vlドメインのC末端は定常軽鎖ドメインのN末端に結合する(したがって、軽鎖を形成する)。scFvフォーマットでは、VHおよびVLドメインは、一般に本明細書に概略されているリンカーの使用により単一ポリペプチド配列に共有結合し、これは(N末端から開始して)vh-リンカー-vlまたはvl-リンカー-vhのいずれであってもよく、前者が一般に好ましい(使用されるフォーマットに応じて、任意選択で各側にドメインリンカーを含む)。当技術分野において理解されるように、CDRは、各々可変重鎖および可変軽鎖ドメインにおいてフレームワーク領域によって分離され:軽鎖可変領域に関して、これらはFR1-vlCDR1-FR2-vlCDR2-FR3-vlCDR3-FR4であり、重鎖可変領域に関して、これらはFR1-vhCDR1-FR2-vhCDR2-FR3-vhCDR3-FR4であり、フレームワーク領域は高い同一性をヒト生殖系列配列に対して示す。本発明の抗原結合ドメインには、Fab、FvおよびscFvが含まれる。
【0036】
本明細書で「リンカー」は、scFvおよび/または他の抗体構造に使用されるリンカーを意味する。一般に、使用することができる幾つかの適切なscFvリンカーが存在し、組換え技術によって生成される、伝統的なペプチド結合が含まれる。リンカーペプチドには、以下のアミノ酸残基:Gly、Ser、Ala、またはThrが主に含まれ得る。リンカーペプチドは、2つの分子を、それらが互いに対して正確なコンホメーションを想定し、それらが所望の活性を保持するように、連結するのに適切な長さを有するべきである。一実施形態では、リンカーは、約1から50アミノ酸長、好ましくは約1から30アミノ酸長である。一実施形態では、1から20アミノ酸長のリンカーが使用されてもよく、約5から約10アミノ酸が幾つかの実施形態における使用を見出す。有用なリンカーには、例えば(GS)n、(GSGGS)n、(GGGGS)n、および(GGGS)nを含むグリシン-セリンポリマー[式中のnは、少なくとも1つ(一般に3から4)の整数である]、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー、ならびに他の可動性リンカーが含まれる。あるいは、リンカーとしての使用を見出し得る、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのコポリマーを含むが、これらに限定されない、種々の非タンパク質性ポリマーは、リンカーとしての使用を見出し得る。他のリンカー配列には、任意の配列の任意の長さのCL/CH1ドメイン(しかし、CL/CH1ドメインの全ての残基ではない);例えば、CL/CH1ドメインの最初の5-12アミノ酸残基が含まれ得る。リンカーは、免疫グロブリン軽鎖、例えば、CκまたはCλに由来し得る。リンカーは、例えばCγ1、Cγ2、Cγ3、Cγ4、Cα1、Cα2、Cδ、Cε、およびCμを含む、免疫グロブリン重鎖の任意のアイソタイプに由来し得る。リンカー配列はまた、他のタンパク質、例えばIg様タンパク質(例えば、TCR、FcR、KIR)、ヒンジ領域由来配列、および他のタンパク質の他の天然配列に由来し得る。幾つかの実施形態では、リンカーは、本明細書に一緒に概略されている任意の2つのドメインを連結するために使用される「ドメインリンカー」である。任意の適切なリンカーを使用することができるが、多くの実施形態は、例えば(GS)n、(GSGGS)n、(GGGGS)n、および(GGGS)nを含むグリシン-セリンポリマー[式中のnは、少なくとも1つ(一般に3から4から5)の整数である]ならびに十分な長さと可動性を有し、各ドメインがその生物学的機能を保持することを可能し、2つのドメインの組換え結合を可能にする、任意のペプチド配列を利用する。
【0037】
用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、例えば、インタクトな免疫グロブリンまたは抗原結合部分を含む。抗原結合部分は、組換えDNA技術またはインタクトな抗体の酵素もしくは化学的な切断によって生産され得る。したがって、抗体の用語には、2つの重鎖および2つの軽鎖の伝統的な四量体の抗体ならびに抗原結合断片、例えばFv、FabおよびscFvが含まれる。幾つかの場合、本発明は、本明細書に概略されている少なくとも1つの抗原結合ドメインを含む二重特異性抗体を提供する。
【0038】
本明細書で「修飾」は、ポリペプチド配列中のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失またはタンパク質に化学的に連結された部分に対する変更を意味する。例えば、修飾は、タンパク質に結合させた変更させた炭水化物またはPEG構造であってもよい。本明細書で「アミノ酸修飾」は、ポリペプチド配列中のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を意味する。明確にするために、他に注記しない限り、アミノ酸修飾はDNAにコードされるかDNAによってコードされるアミノ酸(例えば、DNAおよびRNA中にコドンを有する20アミノ酸)に常に対する。
【0039】
本明細書で「アミノ酸置換」または「置換」は、親ポリペプチド配列中の特定の位置での異なるアミノ酸でのアミノ酸の置き換えを意味する。特に、幾つかの実施形態では、置換は、生物内または任意の生物中のいずれかで天然ではない、特定の位置で天然ではないアミノ酸に対する。例えば、置換M252Yは、この場合、252位のメチオニンがチロシンで置き換えられたFc変異体である、変異体ポリペプチドを指す。明確にするために、核酸コード配列を変化させるが、開始アミノ酸を変化させないよう操作されている(例えばCGG(アルギニンをコード)をCGA(依然としてアルギニンをコード)交換して宿主生物の発現レベルを増加させる)タンパク質は「アミノ酸置換」ではない;換言すれば、タンパク質が開始される特定の位置で同じアミノ酸を有する場合に、同じタンパク質をコードする新しい遺伝子を創出するが、これはアミノ酸置換ではない。
【0040】
本明細書で使用する「変異体タンパク質」または「タンパク質変異体」または「変異体」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾の効力によって親タンパク質のものと異なるタンパク質を意味する。タンパク質変異体は、タンパク質自身、タンパク質を含む組成物、またはそれをコードするアミノ配列を指してもよい。好ましくは、タンパク質変異体は、親タンパク質と比較して、少なくとも1つのアミノ酸修飾、例えば親と比較して、約1から約70アミノ酸修飾、好ましくは約1から約5アミノ酸修飾を有する。以下に記載されるように、幾つかの実施形態では、親ポリペプチド、例えばFc親ポリペプチドは、ヒト野生型配列、例えばIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4からのFc領域である。本明細書のタンパク質変異体配列は、好ましくは、親タンパク質配列と少なくとも約80%同一性を有する、最も好ましくは少なくとも約90%同一性、より好ましくは少なくとも約95%-98%-99%同一性を有する。変異体タンパク質は、変異体タンパク質自身、タンパク質変異体を含む組成物、またはそれをコードするDNA配列を指してもよい。
【0041】
したがって、本明細書で使用する「抗体変異体」または「変異体抗体」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾の効力によって親抗体と異なる抗体を意味し、本明細書で使用する「IgG変異体」または「変異体IgG」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾の効力によって親IgG(再び、多くの場合、ヒトIgG配列)と異なる抗体を意味し、および本明細書で使用する「免疫グロブリン変異体」または「変異体免疫グロブリン」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾の効力によって親免疫グロブリン配列のものと異なる免疫グロブリン配列を意味する。本明細書で使用する「Fc変異体」または「変異体Fc」は、Fcドメイン中にアミノ酸修飾を含むタンパク質を意味する。本発明のFc変異体は、それらを構成するアミノ酸修飾に従って定義される。したがって、例えば、M252Yまたは252Yは、親Fcポリペプチドに対して252位に置換チロシンを有するFc変異体である(ここで、ナンバリングは、EUインデックスに従う)。同様に、M252Y/S254T/T256Eは、親Fcポリペプチドに対して置換M252Y、S254TおよびT256Eを有するFc変異体を定義する。野生型アミノ酸が何であるかは、特定されていなくてもよく、この場合、前述の変異体は252Y/254T/256Eと称される。置換が提供される順序が任意であること、すなわち、例えば、252Y/254T/256Eが254T/252Y/256Eなどと同じFc変異体であることが注記される。抗体に関して本発明で論じる全ての位置に関して、他に注記しない限り、アミノ酸位置ナンバリングは、可変領域ナンバリングに関してはKabatに従い、Fc領域を含む定常領域に関してはEUインデックスに従う。EUインデックスまたはKabatもしくはEUナンバリングスキームにおけるようなEUインデックスは、EU抗体のナンバリングを指す(Edelman et al., 1969, Proc Natl Acad Sci USA 63:78-85、参照により全体的に本明細書に組み込まれる)。修飾は、付加、欠失、または置換であってもよい。置換は、天然アミノ酸、幾つかの場合、合成アミノ酸を含み得る。
【0042】
本明細書で使用する、「タンパク質」は、少なくとも2つの共有結合したアミノ酸を本明細書で意味し、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチドおよびペプチドが含まれる。ペプチジル基は、天然アミノ酸およびペプチド結合を含み得る。
【0043】
本明細書で使用する「Fab」または「Fab領域」は、VH、CH1、VL、およびCL免疫グロブリンドメインを含むポリペプチドを意味する。Fabは、単離物中のこの領域、または完全長抗体、抗体断片もしくはFab融合タンパク質との関連における、この領域を指してもよい。
本明細書で使用する「Fv」または「Fv断片」または「Fv領域」は、単一の抗原結合ドメイン(ABD)のVLおよびVHドメインを含むポリペプチドを意味する。当業者によって理解されるように、これらは、一般に2つの鎖で構成される、または組み合わされて(一般に本明細書で論じるようにリンカーと)scFvを形成することができる。
【0044】
本明細書で使用する「アミノ酸」および「アミノ酸同一性」は、DNAおよびRNAにコードされるかDNAおよびRNAによってコードされる20天然アミノ酸の1つを意味する。
【0045】
本明細書で使用する「エフェクター機能」は、抗体Fc領域とFc受容体またはリガンドの相互作用からもたらされる生化学的なイベントを意味する。エフェクター機能には、限定されないが、ADCC、ADCP、およびCDCが含まれる。
【0046】
本明細書で使用する「Fcガンマ受容体」、「FcγR」または「FcガンマR」は、IgG抗体Fc領域に結合する、タンパク質のファミリーの任意のメンバーを意味し、FcγR遺伝子によってコードされる。ヒトでは、このファミリーには、限定されないが、アイソフォームFcγRIa、FcγRIb、およびFcγRIcを含むFcγRI(CD64)、;アイソフォームFcγRIIa(アロタイプH131およびR131)、FcγRIIb(FcγRIIb-1およびFcγRIIb-2)、およびFcγRIIcを含むFcγRII(CD32)、;およびアイソフォームFcγRIIIa(アロタイプV158およびF158)およびFcγRIIIb(アロタイプFcγRIIb-NA1およびFcγRIIb-NA2)を含むFcγRIII(CD16)、(Jefferis et al., 2002, Immunol Lett 82:57-65、参照により全体的に組み込まれる)、ならびに任意の発見されていないヒトFcγRまたはFcγRアイソフォームまたはアロタイプが含まれる。幾つかの場合、本明細書に概略されているように、1つまたは複数のFcγR受容体に対する結合は、減少またはアブレーションされる。例えば、FcγRIIIaに対する結合の減少はADCCを減少させ、幾つかの場合、FcγRIIIaおよびFcγRIIbに対する結合の減少が所望される。
【0047】
本明細書で使用する「FcRn」または「新生児Fc受容体」は、IgG抗体Fc領域に結合し、FcRn遺伝子によって少なくとも部分的にコードされるタンパク質を意味する。FcRnは、限定されないが、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、およびサルを含む、任意の生物に由来し得る。当技術分野において公知であるように、機能的なFcRnタンパク質は、多くの場合、重鎖および軽鎖と称される、2つのポリペプチドを含む。軽鎖はベータ-2-ミクログロブリンであり、重鎖はFcRn遺伝子によってコードされる。本明細書で他に注記しない限り、FcRnまたはFcRnタンパク質は、FcRn重鎖とベータ-2-ミクログロブリンの複合体を指す。
【0048】
本明細書で使用する「親ポリペプチド」は、その後、修飾されて変異体が生成される開始ポリペプチドを意味する。親ポリペプチドは、天然ポリペプチド、または変異体または天然ポリペプチドの操作されたバージョンであってもよい。親ポリペプチドは、ポリペプチド自身、親ポリペプチドを含む組成物、またはそれをコードするアミノ酸配列を指してもよい。したがって、本明細書で使用する「親免疫グロブリン」は、修飾されて変異体が生成される未修飾免疫グロブリンポリペプチドを意味し、本明細書で使用する「親抗体」は、修飾されて変異体抗体が生成される未修飾抗体を意味する。「親抗体」には、以下に概略されているように、公知の市販の組換え的に生産された抗体が含まれることに留意すべきである。
【0049】
本明細書で「重鎖定常領域」は、一般にヒトIgG1、IgG2またはIgG4由来の抗体のCH1-ヒンジ-CH2-CH3部分を意味する。
【0050】
本明細書で使用する「標的抗原」は、所与の抗体の可変領域によって特異的に結合される分子を意味する。本発明の場合(present case)、標的抗原は、BTLAタンパク質である。
【0051】
本明細書で使用する「標的細胞」は、標的抗原を発現する細胞を意味する。
【0052】
本明細書で使用する「可変領域」は、それぞれ、カッパ、ラムダ、および重鎖免疫グロブリン遺伝子座を構成する、任意のV.カッパ、V.ラムダ、および/またはVH遺伝子によって実質的にコードされる1つまたは複数のIgドメインを含む免疫グロブリンの領域を意味する。
【0053】
本明細書で「野生型またはWT」は、対立遺伝子バリエーションを含む、自然に見出されるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を意味する。WTタンパク質は、意図的に修飾されていないアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を有する。
【0054】
本明細書で使用する「位置」は、タンパク質の配列中の位置を意味する。位置は、連続的に、または抗体ナンバリングに関するEUインデックスなどの確立されたフォーマットに従って番号付けされ得る。
【0055】
本明細書で使用する「残基」は、タンパク質中の位置およびその関連するアミノ酸同一性を意味する。例えば、アスパラギン297(Asn297またはN297と称される)は、ヒト抗体IgG1中の297位での残基である。
【0056】
本発明の抗体は、一般に組換えである。「組換え」は、抗体が、外来性の宿主細胞において組換え核酸技術を使用して生成されることを意味する。
【0057】
タンパク質配列に関して「パーセント(%)アミノ酸配列同一性」は、必要に応じて、最大パーセント配列同一性を達成させるために、配列を整列させ、ギャップを導入した後、配列同一性の一部として、任意の保存的置換を考慮しないで、特定の(親)配列におけるアミノ酸残基と同一である、候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージとして定義される。パーセントアミノ酸配列同一性を決定することを目的としたアライメントは、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公衆に利用可能なコンピュータソフトウェアを用いて、当業者の範囲内にある様々な方式において達成することができる。当業者は、比較される配列の全長にわたって最大のアライメントを達成するのに必要なあらゆるアルゴリズムを含む、アライメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。1つの特定のプログラムは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許出願公開第20160244525号の段落[0279]から[0280]で概略されているALIGN-2プログラムである。核酸配列に関する別の近似アライメントは、Smith and Waterman,Advances in Applied Mathematics,2:482-489 (1981)のローカルホモロジーアルゴリズムによって提供される。このアルゴリズムは、Dayhoff, Atlas of Protein Sequences and Structure, M.O. Dayhoff ed., 5 suppl. 3:353-358, National Biomedical Research Foundation, Washington, D.C., USAによって開発されGribskov, Nucl. Acids Res. 14(6):6745-6763 (1986)によって標準化されたスコアリングマトリックスを使用することによりアミノ酸配列に適用することができる。
【0058】
配列のパーセント同一性を決定するための、このアルゴリズムの例示的な実施は、Genetics Computer Group (Madison、WI)によって「BestFit」ユーティリティーアプリケーションにおいて示される。この方法に関するデフォルトパラメーターは、Wisconsin Sequence Analysis Package Program Manual, Version 8 (1995)(Genetics Computer Group、Madison、WIから利用可能)に記載される。本発明の関連においてパーセント同一性を確立する別の方法は、John F. Collins and Shane S. Sturrokによって開発され、IntelliGenetics、Inc.(Mountain View、CA)によって頒布され、University of Edinburghが著作権を取得したプログラムのMPSRCHパッケージを使用することである。このパッケージ一式から、Smith-Watermanアルゴリズムを採用してもよく、デフォルトパラメーターがスコアリングテーブルに対して使用される(例えば、ギャップオープンペナルティー12、ギャップ伸長ペナルティー1、およびギャップ6)。生成されたデータから、「マッチ」値は「配列同一性」を反映する。配列間のパーセント同一性または類似度を計算するのに適した他のプログラムは当技術分野で一般に公知であり、例えば別のアライメントプログラムはBLASTであり、デフォルトパラメーターで使用される。例えば、BLASTNおよびBLASTPは、以下のデフォルトパラメーターの使用時に使用されてもよい:遺伝子コード=標準;フィルター=なし;鎖=両方;カットオフ=60;期待値=10;マトリックス=BLOSUM62;説明=50配列;選別=ハイスコア;データベース=非冗長、GenBank+EMBL+DDBJ+PDB+GenBank CDS翻訳+Swiss protein+Spupdate+PIR。これらのプログラムの詳細は、http:// in front of blast.ncbi.nlm.nih.gov/Blast.cgi.を打込むことによって配置されるインターネットアドレスに見出すことができる。
【0059】
本発明のアミノ酸配列(「発明配列」)と親アミノ酸配列との間の同一性の程度は、完全マッチを、どちらが最短であっても、「発明配列」の長さまたは親配列の長さで割った、2つの配列のアライメント中の完全マッチの数として計算される。結果は、パーセント同一性で表される。
【0060】
幾つかの実施形態では、2つまたはそれ以上のアミノ酸配列は、少なくとも50%、60%、70%、80%、または90%同一である。幾つかの実施形態では、2つまたはそれ以上のアミノ酸配列は、少なくとも95%、97%、98%、99%、またはさらに100%同一である。
【0061】
「特異的な結合」または特定の抗原もしくはエピトープに「特異的に結合」または「特異的」は、非特異的な相互作用とは測定できる程度に異なる結合を意味する。特異的な結合は、例えば、一般に結合活性を有していない類似する構造の分子である対照分子の結合と比較して、分子の結合を決定することによって測定することができる。例えば、特異的な結合は、標的に類似する対照分子との競合によって決定することができる。
【0062】
本明細書で使用する用語「Kassoc」または「Ka」は、特定の抗体-抗原相互作用の会合速度を指すことを意図し、一方、本明細書で使用する用語「Kdis」または「Kd」は、特定の抗体-抗原相互作用の解離速度を指すことを意図する。本明細書で使用する用語「KD」は、解離定数を指すことを意図し、これはKdとKaの比(すなわち、Kd/Ka)から得られ、モル濃度(M)として表される。抗体に関するKD値は、当技術分野において十分確立された方法を使用して決定することができる。幾つかの実施形態では、抗体のKDを決定するための方法は、表面プラズモン共鳴を使用すること、例えば、バイオセンサーシステム、例えばBIACORE(登録商標)システムを使用することによる。幾つかの実施形態では、抗体のKDは、Bio-Layer Interferometryによって決定される。幾つかの実施形態では、KD値は、固定化されて測定される。他の実施形態では、KD値は、固定化された抗体(例えば、親マウス抗体、キメラ抗体、またはヒト化抗体変異体)で測定される。ある特定の実施形態では、KD値は、二価結合モード(bivalent binding mode)で測定される。他の実施形態では、KD値は、一価結合モード(monovalent binding mode)で測定される。
【0063】
「疾患」は、動物がホメオスタシスを維持できず、疾患が寛解されない場合、動物の健康が悪化し続ける、ヒトを含む動物の健康の状態を含む。
【0064】
対照的に、ヒトを含む動物における「障害」は、動物がホメオスタシスを維持することができるが、動物の健康の状態が障害の非存在下よりも好ましくない健康の状態を含む。未処置のままでも、障害は、必ずしも動物の健康の状態の更なる低減を引き起こすとは限らない。
【0065】
「処置(treatment)」、「処置すること(treating)」、「処置する(treat)」等の用語は、所望の薬理的および/または生理的効果を得ることを指す。効果は、疾患またはその症状を完全または部分的に防止するまたは疾患またはその症状の可能性を減少させることに関して予防的であり得るおよび/または疾患および/または疾患に起因しうる副作用の部分的または完全な治癒に関して治療的であり得る。本明細書で使用する「処置」は、哺乳動物、特にヒトにおける疾患の任意の処置を網羅しており:(a)疾患が生じることを、疾患の素因があり得るが、それを有するとまだ診断されていない、対象において防止すること;(b)疾患を阻害すること、すなわち、その発生または進行を停止すること;および(c)疾患を軽減すること、すなわち、疾患の退行を生じさせることおよび/または1つまたは複数の疾患症状を軽減することを含む。「処置」はまた、疾患または状態の非存在下でさえも、薬理的効果を提供するために薬剤のデリバリーを包含することを意味する。例えば、「処置」は、疾患状態の非存在下で、免疫応答を誘発することができるまたは免疫を与えることができる組成物(例えば、ワクチンの場合)のデリバリーを包含する。
【0066】
本明細書で使用する、用語「哺乳動物」は、限定されないが、げっ歯目の哺乳動物、例えば、マウスおよびハムスター、およびウサギ目(Logomorpha)の哺乳動物、例えば、ウサギを含む、任意の哺乳動物を指す。幾つかの実施形態では、哺乳動物は、ネコ(猫)およびイヌ(犬)を含む、食肉目からである。幾つかの実施形態では、哺乳動物は、ウシ(牛)およびブタ(豚)を含む偶蹄目またはウマ(馬)を含む奇蹄目(Perssodactyla)からである。哺乳動物は、霊長目(Primates)、セボイド目(Ceboids)、もしくはシモイド目(Simoids)(サル)のものまたは真猿目(Anthropoids)(ヒトおよび類人猿)のものであることが最も好ましい。幾つかの実施形態では、哺乳動物はヒトである。幾つかの実施形態では、哺乳動物はカニクイザルである。
【0067】
本明細書で使用する、用語「退行」ならびにそれから派生(stemming)する言葉は、必ずしも100%または完全な退行を意味するとは限らない。むしろ、当業者が、潜在的な利益または治療効果を有すると認識する、種々の程度の退行が存在する。この点、開示される方法は、哺乳動物におけるがんの退行の任意のレベルの任意の量を提供することができる。さらに、本発明の方法によって提供される退行は、疾患、例えば、がんの1つまたは複数の状態または症状の退行を含み得る。また、本明細書の目的に関して、「退行」は、疾患の発症を遅延させること、症状の発症を遅延させること、および/またはその状態の発症を遅延させることを包含し得る。進行性の疾患および障害に関して、「退行」は、疾患または障害の進行の緩徐化、疾患または障害の症状の進行の緩徐化、および/またはその状態の進行の緩徐化を包含し得る。
【0068】
組成物の「有効量」または「治療的な有効量」には、組成物が投与される対象に対して有益な効果を提供するのに十分な組成物の量が含まれる。デリバリー媒体の「有効量」には、組成物と効果的に結合するまたは組成物をデリバリーするのに十分な量が含まれる。
【0069】
「個体」または「宿主」または「対象」または「患者」は、診断、処置、または治療が所望される任意の哺乳動物の対象、特にヒトを意味する。他の対象には、カニクイザル、ウシ、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、などが含まれ得る。
【0070】
本明細書で使用する用語「と組み合わせて」は、例えば、第一の治療は、第二の治療の投与の全過程の間に投与される;第一の治療が第二の治療の投与とオーバーラップする期間にわたって投与される、例えば、第一の治療の投与が第二の治療の投与の前に始まる、および第一の治療の投与が第二の治療の投与が終わる前に終わる;第二の治療の投与が第一の治療の投与の前に始まる、および第二の治療の投与が第一の治療の投与が終わる前に終わる;第一の治療の投与が第二の治療の投与が始まる前に始まる、および第二の治療の投与が第一の治療の投与が終わる前に終わる;第二の治療の投与が第一の治療の投与が始まる前に始まる、および第一の治療の投与が第二の治療の投与が終わる前に終わる、使用を指す。したがって、「組合せで」はまた、2つまたはそれ以上の治療の投与が関与するレジメンを指し得る。本明細書で使用する「と組み合わせて」はまた、同じまたは異なる製剤中で、同じまたは異なる経路によって、および同じまたは異なる剤形タイプ中に投与され得る、2つまたはそれ以上の治療の投与を指す。
【0071】
「コードする」には、ヌクレオチド(すなわち、rRNA、tRNAおよびmRNA)の定義された配列またはアミノ酸の定義された配列のいずれかを有する、生物学的プロセスにおける他のポリマーおよび高分子の合成のためのテンプレートとして働く、ポリヌクレオチド、例えば遺伝子、cDNA、またはmRNAにおけるヌクレオチドの特異的な配列の固有の特性およびそれからもたらされる生物学的な特性が含まれる。したがって、例えば、遺伝子に対応するmRNAの転写および翻訳が細胞または他の生物系でタンパク質を生産する場合、その遺伝子はそのタンパク質をコードする。そのヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であり、通常配列表に提供されているコード鎖と、遺伝子またはcDNAの転写のためのテンプレートとして使用される非コード鎖とは両方とも、タンパク質またはその遺伝子もしくはcDNAの他の生成物をコードすると称することができる。
【0072】
用語「核酸」には、一本鎖、二本鎖、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを含む任意の形態で複数のヌクレオチドを有するRNAまたはDNA分子が含まれる。用語「ヌクレオチド配列」には、一本鎖形態の核酸におけるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドの順序付けが含まれる。
【0073】
「核酸コンストラクト」は、構築されて自然には一緒に見出されない1つまたは複数の機能的な単位を含む核酸配列を意味する。例には、非天然核酸配列を含む環状、直鎖状、二本鎖状の、染色体外DNA分子(プラスミド)、コスミド(ラムダファージ由来のCOS配列を含有するプラスミド)、ウイルスゲノム等が含まれる。
【0074】
本明細書で使用する用語「作動可能に連結」は、2つのポリヌクレオチドの少なくとも1つが、他方において、それが特性評価される生理的な効果を発揮できる様式で、核酸部分内に配置される2つのポリヌクレオチドを含む、第二のポリヌクレオチド、例えば、一本鎖または二本鎖核酸部分との機能的な関係にあるポリヌクレオチドを含む。例として、ある遺伝子のコード領域に作動可能に連結されたプロモーターは、コード領域の転写を促進できる。作動可能な連結を示す場合に、特定された順序は重要ではない。例えば、語句「プロモーターがヌクレオチド配列に作動可能に連結」および「ヌクレオチド配列がプロモーターに作動可能に連結」は、本明細書で互換的に使用され、等価であると考えられる。幾つかの場合、所望のタンパク質をコードする核酸はプロモーター/制御配列をさらに含み、プロモーター/制御配列は、所望のタンパク質コード配列の5’端に位置付けられ、その結果、それが細胞において所望のタンパク質の発現を駆動する。
【0075】
本明細書で互換的に使用する、用語「オリゴヌクレオチド」、「ポリヌクレオチド」および「核酸分子」は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドのいずれかの任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を指す。したがって、この用語には、限定されないが、一本鎖、二本鎖または複数鎖のDNAもしくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、またはプリンおよびピリミジン塩基を含むポリマー、または他の天然の、化学的にもしくは生化学的に修飾された、非天然の、または誘導体化されたヌクレオチド塩基が含まれる。ポリヌクレオチドの骨格は、糖およびリン酸基(典型的には、RNAまたはDNAに見出すことができるような)、または修飾もしくは置換型糖またはリン酸基を含んでもよい。
【0076】
ポリヌクレオチドに適用される用語「組換え」は、ポリヌクレオチドが、様々な組合せのクローニング、制限またはライゲーションステップ、ならびに自然に見出されるポリヌクレオチドとは別個のおよび/または異なるコンストラクトをもたらす他の手順の生成物であることを意味する。用語は、オリジナルのポリヌクレオチドコンストラクトおよびオリジナルのウイルスコンストラクトの子孫の複製物をそれぞれ含む。
【0077】
本明細書で使用する用語「プロモーター」は、所望の分子をコードする核酸配列などの転写される核酸配列に作動可能に連結されたDNA配列を含む。プロモーターは、一般に、転写される核酸配列の上流に位置付けられ、RNAポリメラーゼおよび他の転写因子による特異的な結合のための部位を提供する。
【0078】
「ベクター」は、遺伝子配列を標的細胞に移すことが可能である。典型的に、「ベクターコンストラクト」、「発現ベクター」および「遺伝子導入ベクター」は、目的の遺伝子の発現を方向付ける能力のある任意の核酸コンストラクトを意味し、これは遺伝子配列を標的細胞に移すことができ、これはベクターの全てまたは一部のゲノム統合または染色体外エレメントとしてのベクターの一過性のまたは遺伝的な維持によって達成され得る。したがって、この用語は、クローニングおよび発現媒体、ならびに組込みベクターを含む。
【0079】
本明細書で使用する用語「制御エレメント」は、核酸配列の発現の幾つかの側面を制御する、ヌクレオチド配列を含む。制御エレメントの例には、エンハンサー、内部リボソーム侵入部位(IRES)、イントロン、複製起点、ポリアデニル化シグナル(pA)、プロモーター、エンハンサー、転写終結配列、および上流制御ドメインが例証的に含まれ、これは核酸配列の複製、転写、および/または転写後プロセシングに寄与する。この場合、制御エレメントには、シス制御DNAエレメントならびに転移エレメント(TE)も含まれ得る。当業者は、日常的な実験法を用いて、これらおよび他の制御エレメントを選択し、発現コンストラクトに使用することが可能である。発現コンストラクトは、遺伝的な組換えアプローチを使用してまたは周知の方法論を使用して合成的に生成することができる。
【0080】
「コントロールエレメント」または「コントロール配列」は、ポリヌクレオチドの複製(replikation)、複製(duplication)、転写、スプライシング、翻訳、または分解を含むポリヌクレオチドの機能制御に寄与する分子の相互作用に関与するヌクレオチド配列である。制御は、プロセスの頻度、速度、または特異性に影響してもよく、性質において増強させるまたは阻害的なものであってもよい。当技術分野において公知のコントロールエレメントには、例えば、転写制御配列、例えばプロモーターおよびエンハンサーが含まれる。プロモーターは、特定の条件下で、RNAポリメラーゼに結合し、プロモーターから下流(3’方向)に通常配置されるコード領域の転写を開始することが可能であるDNA領域である。
【0081】
アミノ酸残基が本明細書で使用する「リン酸化され」との記述は、リン酸基がアミノ酸残基の側鎖にエステル連結されることを意味する。リン酸化され得る典型的なアミノ酸残基には、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、およびチロシン(Tyr)が含まれる。
【0082】
本明細書で使用する、用語「医薬組成物」は、インビボ(in vivo)またはエクスビボ(ex vivo)での診断上または治療上の使用のために特に適切な組成物を作る、活性剤と担体(不活性または活性)の組合せを指す。
【0083】
本明細書で使用する、用語「薬学的に許容される担体」は、リン酸緩衝生理食塩液、水、エマルジョン(例えば、油/水型または水/油型エマルジョン)、および様々なタイプの湿潤剤などの任意の標準的な薬学的担体を指す。組成物はまた、安定化剤および保存剤を含み得る。担体、安定化剤およびアジュバントの例に関して、例えば、Martin, Remington's Pharmaceutical Sciences, 15th Ed., Mack Publ. Co., Easton, PA [1975]を参照されたい。
【0084】
記載を通して、組成物が特定の成分を「有する(having)」、「含む(including)」または「含む(comprising)」として記載されるか、またはプロセスおよび方法が特定のステップを「有する(having)」、「含む(including)」または「含む(comprising)」として記載される場合、さらに、参照成分から本質的になるまたは参照成分からなる本発明の組成物の存在、および参照プロセシングステップから本質的になるまたは参照プロセシングステップからなる本発明に従うプロセスおよび方法の存在を意図している。
【0085】
一般的な事項として、パーセンテージを特定する組成物は、特記しない限り、重量による。さらに、変数が定義を伴わない場合、変数の前の定義が優先される。
【0086】
本発明の様々な態様が、以下のセクションに記載される;しかしながら、1つの特定のセクションに記載される本発明の態様は、いずれの特定のセクションにも限定されるものではない。
【0087】
I.抗体
本開示は、新規の抗BTLA抗体を提供する。このような抗体は、ヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに結合することができる。表1は、表1に表記される組合せで、ヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに結合することができる、重鎖可変領域および軽鎖可変領域のペプチド配列を列挙する。幾つかの実施形態では、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、Fabフォーマットに配置される。幾つかの実施形態では、重鎖可変領域および軽鎖可変領域は、一緒に融合されてscFvを形成(from)する。
【0088】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【0089】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号1と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号2と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0090】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号47を含むvhCDR1、配列番号48を含むvhCDR2、配列番号49を含むvhCDR3、配列番号50を含むvlCDR1、配列番号51を含むvlCDR2、および配列番号52を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0091】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号3と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号4と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0092】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号53を含むvhCDR1、配列番号54を含むvhCDR2、配列番号55を含むvhCDR3、配列番号56を含むvlCDR1、配列番号57を含むvlCDR2、および配列番号58を含むvlCDR3が含まれる。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0093】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号5と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号6と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0094】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号59を含むvhCDR1、配列番号60を含むvhCDR2、配列番号61を含むvhCDR3、配列番号62を含むvlCDR1、配列番号63を含むvlCDR2、および配列番号64を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0095】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号7と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号8と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0096】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号65を含むvhCDR1、配列番号66を含むvhCDR2、配列番号67を含むvhCDR3、配列番号68を含むvlCDR1、配列番号69を含むvlCDR2、および配列番号70を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0097】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号9と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号10と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0098】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号71を含むvhCDR1、配列番号72を含むvhCDR2、配列番号73を含むvhCDR3、配列番号74を含むvlCDR1、配列番号75を含むvlCDR2、および配列番号76を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0099】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号11と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号12と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0100】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号77を含むvhCDR1、配列番号78を含むvhCDR2、配列番号79を含むvhCDR3、配列番号80を含むvlCDR1、配列番号81を含むvlCDR2、および配列番号82を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0101】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号13と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号14と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0102】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号83を含むvhCDR1、配列番号84を含むvhCDR2、配列番号85を含むvhCDR3、配列番号86を含むvlCDR1、配列番号87を含むvlCDR2、および配列番号88を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0103】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号15と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号16と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0104】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号89を含むvhCDR1、配列番号90を含むvhCDR2、配列番号91を含むvhCDR3、配列番号92を含むvlCDR1、配列番号93を含むvlCDR2、および配列番号94を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0105】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号17と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号18と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0106】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号95を含むvhCDR1、配列番号96を含むvhCDR2、配列番号97を含むvhCDR3、配列番号98を含むvlCDR1、配列番号99を含むvlCDR2、および配列番号100を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0107】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号19と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号20と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0108】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号101を含むvhCDR1、配列番号102を含むvhCDR2、配列番号103を含むvhCDR3、配列番号104を含むvlCDR1、配列番号105を含むvlCDR2、および配列番号106を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0109】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号21と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号22と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0110】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号107を含むvhCDR1、配列番号108を含むvhCDR2、配列番号109を含むvhCDR3、配列番号110を含むvlCDR1、配列番号111を含むvlCDR2、および配列番号112を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0111】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号23と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号24と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0112】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号113を含むvhCDR1、配列番号114を含むvhCDR2、配列番号115を含むvhCDR3、配列番号116を含むvlCDR1、配列番号117を含むvlCDR2、および配列番号118を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0113】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号25と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号26と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0114】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号119を含むvhCDR1、配列番号120を含むvhCDR2、配列番号121を含むvhCDR3、配列番号122を含むvlCDR1、配列番号123を含むvlCDR2、および配列番号124を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0115】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号27と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号28と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0116】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号125を含むvhCDR1、配列番号126を含むvhCDR2、配列番号127を含むvhCDR3、配列番号128を含むvlCDR1、配列番号129を含むvlCDR2、および配列番号130を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0117】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号29と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号30と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0118】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号131を含むvhCDR1、配列番号132を含むvhCDR2、配列番号133を含むvhCDR3、配列番号134を含むvlCDR1、配列番号135を含むvlCDR2、および配列番号136を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0119】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号31と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号32と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0120】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号137を含むvhCDR1、配列番号138を含むvhCDR2、配列番号139を含むvhCDR3、配列番号140を含むvlCDR1、配列番号141を含むvlCDR2、および配列番号142を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0121】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号33と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号34と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0122】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号143を含むvhCDR1、配列番号144を含むvhCDR2、配列番号145を含むvhCDR3、配列番号146を含むvlCDR1、配列番号147を含むvlCDR2、および配列番号148を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0123】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号35と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号36と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0124】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号149を含むvhCDR1、配列番号150を含むvhCDR2、配列番号151を含むvhCDR3、配列番号152を含むvlCDR1、配列番号153を含むvlCDR2、および配列番号154を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0125】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号37と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号38と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0126】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号155を含むvhCDR1、配列番号156を含むvhCDR2、配列番号157を含むvhCDR3、配列番号158を含むvlCDR1、配列番号159を含むvlCDR2、および配列番号160を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0127】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号39と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号40と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0128】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号161を含むvhCDR1、配列番号162を含むvhCDR2、配列番号163を含むvhCDR3、配列番号164を含むvlCDR1、配列番号165を含むvlCDR2、および配列番号166を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0129】
幾つかの実施形態では、本開示において抗BTLA抗体には、配列番号41と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域および配列番号42と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域が含まれる。
【0130】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体には、配列番号167を含むvhCDR1、配列番号168を含むvhCDR2、配列番号169を含むvhCDR3、配列番号170を含むvlCDR1、配列番号171を含むvlCDR2、および配列番号172を含むvlCDR3が含まれる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の、そのような6つのCDRは、1、2、3、4または5アミノ酸修飾を有する。さらなる実施形態では、単一CDRは、1または2アミノ酸置換を含有し、修飾された抗BTLA抗体はヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに対する結合を保持する。
【0131】
重鎖および軽鎖可変領域および/またはCDRにおいて本明細書に記載されている配列変異体に加えて、重鎖および/または軽鎖可変領域のフレームワーク領域に変化を作ることができる。幾つかの実施形態では、フレームワーク領域の変異体(例えば、CDRを排除)は、生殖系列配列と少なくとも約80、85、90または95%同一性を保持する。表2は、本明細書に記載されている抗BTLA抗体をコードする生殖系列遺伝子対立遺伝子を列挙する。変異体は、軽鎖V遺伝子、軽鎖J遺伝子、重鎖V遺伝子、重鎖J遺伝子、および重鎖D遺伝子の対立遺伝子のいずれか1つと少なくとも約80、85、90または95%同一性を保持するように作ることができる。
【0132】
【0133】
幾つかの実施形態では、バリエーションはフレームワーク領域に作られ、これは表2に記載されている生殖系列遺伝子配列と少なくとも80、85、90または95%同一性を保持し、6つのCDRは不変に保たれる。
【0134】
幾つかの実施形態では、バリエーションは、フレームワーク領域(これは表2に記載されている生殖系列遺伝子配列と少なくとも80、85、90または95%同一性を保持する)と6つのCDRの両方に作られる。CDRは、アミノ酸修飾を有してもよい(例えば、CDRのセットに1、2、3、4または5アミノ酸修飾)、(すなわち、CDRは、6つのCDRのセットにおける変化の総数が6アミノ酸修飾未満である限り、修飾されてもよく、CDRの任意の組合せが変化する;例えば、1つの変化がvlCDR1に、2つの変化がvhCDR2に、変化なしがvhCDR3に存在し得る、等々)。
【0135】
重鎖および軽鎖のCDRおよび/または可変領域のアミノ酸配列を、本明細書に記載されているものから選択することおよび必要に応じてそれらを抗体の重鎖および軽鎖のフレームワーク領域および/または定常領域のアミノ酸配列と組み合わせることにより、当業者は本発明に従って抗BTLA抗体をデザインできる。本発明に記載されている抗体フレームワーク領域および/または定常領域(Fcドメイン)は、任意の種、例えば、ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、マウス、ウマまたはサルに由来し得る。
【0136】
幾つかの実施形態では、定常領域は、ヒトに由来し、IgG、IgA、IgM、IgE、およびIgDサブタイプまたはその変異体のものに由来する重鎖定常領域、およびカッパまたはラムダサブタイプまたはその変異体に由来する軽鎖定常領域を含む。幾つかの実施形態では、重鎖定常領域は、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む、ヒトIgGに由来する。幾つかの実施形態では、重鎖定常領域のアミノ酸配列は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4定常領域と少なくとも80%、85%、90%、または95%同一である。幾つかの他の実施形態では、定常領域のアミノ酸配列は、別の哺乳動物、例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、マウス、ウマまたはサルからの抗体定常領域と少なくとも80%、85%、90%、または95%同一である。幾つかの実施形態では、抗体定常領域には、ヒンジ、CH2ドメイン、CH3ドメインおよび適宜CH1ドメインが含まれる。
【0137】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されている抗体は、異なる種からの混合物(例えば、キメラ抗体および/またはヒト化抗体を形成する)に由来し得る。一般に、「キメラ抗体」および「ヒト化抗体」の両方は、複数の種からの領域を組み合わせる抗体を指す。例えば、「キメラ抗体」は、マウス(または、幾つかの場合では、ラット)からの可変領域およびヒトからの定常領域を伝統的に含む。「ヒト化抗体」は、ヒト抗体に見出される配列とスワップされた可変ドメインフレームワーク領域を有していた非ヒト抗体を一般に指す。一般に、ヒト化抗体では、抗体全体(CDRを除く)は、ヒト起源のポリヌクレオチドによってコードされるかまたはそのCDR内を除いて、そのような抗体と同一である。CDR(その幾つかまたは全てが、非ヒト生物に起源を持つ核酸によってコードされる)がヒト抗体可変領域のベータシートフレームワークに移植されて抗体を作出し、その特異性は移植されたCDRによって決定される。そのような抗体の作出は、例えば、参照により全てが全体的に組み込まれる、WO92/11018、Jones, 1986, Nature 321:522-525、Verhoeyen et al., 1988, Science 239:1534-1536に記載されている。対応するドナー残基に対して選択されたアクセプターフレームワーク残基の「復帰突然変異」が、しばしば必要とされて、初期の移植されたコンストラクトにおいて喪失される親和性が回復する(US5530101;US5585089;US5693761;US5693762;US6180370;US5859205;US5821337;US6054297;US6407213、参照により全てが全体的に組み込まれる)。ヒト化抗体はまた、少なくとも一部の免疫グロブリン定常領域(典型的にはヒト免疫グロブリンのもの)を至適に含み、したがって、ヒトFc領域を典型的に含む。ヒト化抗体はまた、例えば、参照により全体的に組み込まれる、Roque et al., 2004, Biotechnol. Prog. 20:639-654に記載されるように、遺伝的に操作された免疫システムを有するマウスを使用して生成することができる。非ヒト抗体をヒト化および再構築(reshaping)するための種々の技術および方法は、当技術分野において周知である(参照により全てが全体的に組み込まれる、Tsurushita & Vasquez, 2004, Humanization of Monoclonal Antibodies, Molecular Biology of B Cells, 533-545, Elsevier Science (USA)、およびその中で引用されている参照文献を参照されたい)。ヒト化方法には、限定されないが、参照により全てが全体的に組み込まれる、Jones et al., 1986, Nature 321:522-525; Riechmann et al.,1988; Nature 332:323-329; Verhoeyen et al., 1988, Science, 239:1534-1536; Queen et al., 1989, Proc Natl Acad Sci, USA 86:10029-33; He et al., 1998, J. Immunol. 160: 1029-1035; Carter et al., 1992, Proc Natl Acad Sci, USA 89:4285-9, Presta et al., 1997, Cancer Res. 57(20):4593-9; Gorman et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:4181-4185; O'Connor et al., 1998, Protein Eng 11:321-8に記載されている方法が含まれる。ヒト化または非ヒト抗体可変領域の免疫原性を減少させる他の方法には、例えば、参照により全体的に組み込まれる、Roguska et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:969-973に記載されるように、リサーフェイシング法が含まれ得る。他のヒト化方法には、限定されないが、参照により全てが全体的に組み込まれる、Tan et al., 2002, J. Immunol. 169:1119-1125; De Pascalis et al., 2002, J. Immunol. 169:3076-3084に記載されている方法を含む、CDRの一部のみの移植術が関与してもよい。
【0138】
幾つかの実施形態では、本発明の抗体は、特定のヒト生殖系列重鎖免疫グロブリン遺伝子に由来する重鎖可変領域および/または特定のヒト生殖系列軽鎖免疫グロブリン遺伝子に由来する軽鎖可変領を含む。そのような抗体は、例えば、天然の体細胞突然変異または部位特異的突然変異の意図的な導入により、ヒト生殖系列配列と比較して、アミノ酸の差を含有し得る。しかしながら、ヒト化抗体は、典型的には、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列に対してアミノ酸配列が少なくとも80%同一であり、他の種(例えば、マウス生殖系列配列)の生殖系列免疫グロブリンアミノ酸配列と比較した場合に、ヒト配列に由来する抗体を識別するアミノ酸残基を含有する。ある特定の場合、ヒト化抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列に対してアミノ酸配列が少なくとも95、96、97、98もしくは99%、またはさらに少なくとも96%、97%、98%、もしくは99%同一であり得る。典型的には、特定のヒト生殖系列配列に由来するヒト化抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列から10-20アミノ酸以下の差を提示する。ある特定の場合、ヒト化抗体は、生殖系列免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列から5以下、またはさらに4、3、2、もしくは1アミノ酸以下の差を提示し得る。
【0139】
幾つかの実施形態では、本開示の抗体は、当技術分野において公知であるように、ヒト化および親和性成熟される。構造に基づく方法を、例えば、米国特許第7,657,380号に記載されているように、ヒト化および親和性成熟について用いてもよい。選択に基づく方法は、抗体可変領域をヒト化および/または親和性成熟するのに用いてもよく、限定されないが、参照により全てが全体的に組み込まれる、Wu et al., 1999, J. Mol. Biol. 294:151-162; Baca et al., 1997, J. Biol. Chem. 272(16):10678-10684; Rosok et al., 1996, J. Biol. Chem. 271(37): 22611-22618; Rader et al., 1998, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95: 8910-8915; Krauss et al., 2003, Protein Engineering 16(10):753-759に記載されている方法を含む。
【0140】
II.抗体の特徴
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されている抗BTLA抗体は、ヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに結合する。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体のヒトおよび/またはカニクイザルBTLAへの結合は、ELISA、例えば、実施例1に記載されている例示的なアッセイによって測定される。そのような実施形態では、本明細書に記載されている抗体は、そのようなアッセイによって測定される0.1-20nM範囲となり得るEC50を提示する。幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体のヒトおよび/またはカニクイザルBTLAへの結合は、FACS、例えば、実施例2に記載されている例示的なアッセイによって測定される。そのような実施形態では、本明細書に記載されている抗体は、FACSによって測定される0.1-20nM範囲となるEC50を提示する。さらなる実施形態では、本明細書に記載されている抗体のEC50は、ELISAまたはFACSのいずれかによって測定される約0.1-30、1-28、2-26、3-24、4-22、5-20、6-18、7-16、8-14、または9-12nM範囲となる。
【0141】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されている抗BTLA抗体は、ヒトおよび/またはカニクイザルBTLAに高親和性で結合する。KD値は、固定化された抗原または固定化された抗体で測定することができる。KD値はまた、一価または二価結合モードで測定することができる。例えば、Bio-Layer interferometryによって測定される場合、抗体とヒトBTLAとの間のKD値は、1×10-6M以下、5×10-7M以下、2.5×10-7M以下、1×10-7M以下、5×10-8M以下、1×10-8M以下、1×10-9M以下、または1×10-10M以下であり得る。抗体とカニクイザルBTLAとの間のKD値は、1×10-6M以下、5×10-7M以下、2.5×10-7M以下、1×10-7M以下、5×10-8M以下、2.5×10-8M以下、1×10-8M以下、5×10-9M以下、1×10-9M以下、5×10-10M以下、または1×10-10M以下であり得る。幾つかの実施形態では、抗体とヒトBTLAとの間のKD値は、0.1nM-1μM、0.25nM-500nM、0.5nM-250nM、1nM-100nM、または2nM-50nM範囲となる。幾つかの実施形態では、抗体とカニクイザルBTLAとの間のKD値は、0.1nM-1μM、0.25nM-500nM、0.5nM-250nM、1nM-100nM、または2nM-50nM範囲となる。
【0142】
本明細書に記載されている抗BTLA抗体の結合親和性は、米国特許第8,563,694号に記載されているBTLAモノクローナル抗体4C7と比較される。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されている抗BTLA抗体は、ヒトBTLAに対して4C7よりも高い結合親和性を有する。幾つかの実施形態では、本明細書に記載されている抗BTLA抗体は、カニクイザルBTLAに対して4C7よりも高い結合親和性を有する。表7は、抗体クローンの幾つかならびに4C7の例示的なKDを列挙する。4C7よりも高い結合親和性を有することの1つの利点は、本明細書に記載されている抗体が、免疫応答の調節および/または抗腫瘍免疫応答への参加により効果的であり得ることである。カニクイザルBTLAに対して4C7よりも高い結合親和性を有する別の利点は、これらの抗体に由来する前臨床のサルの研究(例えば、薬物動態、薬力学、安全性、毒性研究)が、4C7を使用する研究よりも優れた予測力を有し得ることである。
【0143】
幾つかの実施形態では、抗BTLA抗体は、ヒト対象に投与される場合に低い免疫原性を提示する。これらの抗体は、ヒトIgG1、ヒトIgG2またはヒトIgG3に由来するFcドメインを含有し得る。幾つかの実施形態では、これらの抗体は、ヒト免疫グロブリンに由来するフレームワーク領域を使用してヒト化される。
【0144】
T細胞機能における抗BTLA抗体の効果は、例えば、実施例5に記載されている方法などを含む、当技術分野において公知であり本明細書に記載されている種々の方法を使用してアッセイされ得る。したがって、抗BTLA抗体は、BTLAアンタゴニストまたはBTLAアゴニストとして働き得る。
【0145】
幾つかの実施形態では、記載されている抗BTLA抗体は、BTLAアンタゴニストとして作用し、BTLAとHVEMの相互作用ならびにT細胞機能のHVEM媒介性抑制をブロックする。結果として、そのような抗BTLA抗体は、免疫応答を刺激する。そのような抗BTLA抗体の例には、配列番号21と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号22と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号107を含むvhCDR1、配列番号108を含むvhCDR2、配列番号109を含むvhCDR3、配列番号110を含むvlCDR1、配列番号111を含むvlCDR2、および配列番号112を含むvlCDR3を含有する抗体が含まれる。あるいは、アンタゴニストとして作用する、そのような抗BTLA抗体には、配列番号31と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号32と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号137を含むvhCDR1、配列番号138を含むvhCDR2、配列番号139を含むvhCDR3、配列番号140を含むvlCDR1、配列番号141を含むvlCDR2、および配列番号142を含むvlCDR3が含まれ得る。あるいは、アンタゴニストとして作用する、そのような抗BTLA抗体には、配列番号35と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号36と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号149を含むvhCDR1、配列番号150を含むvhCDR2、配列番号151を含むvhCDR3、配列番号152を含むvlCDR1、配列番号153を含むvlCDR2、および配列番号154を含むvlCDR3が含まれ得る。
【0146】
幾つかの他の実施形態では、本明細書に記載されている抗BTLA抗体は、BTLAアゴニストとして作用し、炎症促進性のT細胞機能を含む、免疫細胞機能を抑制する。結果として、そのような抗BTLA抗体は、免疫応答を抑制する。例えば、そのような抗BTLA抗体には、配列番号19と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号20と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号101を含むvhCDR1、配列番号102を含むvhCDR2、配列番号103を含むvhCDR3、配列番号104を含むvlCDR1、配列番号105を含むvlCDR2、および配列番号106を含むvlCDR3が含まれ得る。あるいは、そのような抗BTLA抗体には、配列番号25と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号26と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号119を含むvhCDR1、配列番号120を含むvhCDR2、配列番号121を含むvhCDR3、配列番号122を含むvlCDR1、配列番号123を含むvlCDR2、および配列番号124を含むvlCDR3が含まれ得る。あるいは、アゴニストとして作用する、そのような抗BTLA抗体には、配列番号29と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号30と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号131を含むvhCDR1、配列番号132を含むvhCDR2、配列番号133を含むvhCDR3、配列番号134を含むvlCDR1、配列番号135を含むvlCDR2、および配列番号136を含むvlCDR3が含まれ得る。
【0147】
III.本発明の核酸
本明細書に記載されている抗BTLA抗体をコードする核酸、ならびにそのような核酸を含有する発現ベクターおよびそのような核酸および/または発現ベクターで形質転換された宿主細胞も提供される。当業者によって理解されるように、本明細書に示されるタンパク質配列は、遺伝子コードの縮重により可能な任意の数の核酸配列によってコードされ得る。表3は、本明細書に記載されている抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードする例示的な核酸を提供する。
【0148】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【0149】
抗BTLA抗体および/またはBTLA結合ドメインをコードする核酸組成物も提供される。当業者によって理解されるように、抗原結合ドメインの場合、核酸組成物は、重鎖可変領域をコードする第一の核酸および軽鎖可変領域をコードする第二の核酸を一般に含む。scFvの場合、本明細書に記載されているリンカーによって分離された、重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードする単一核酸を作ることができる。伝統的な抗体の場合、核酸組成物は、重鎖をコードする第一の核酸および軽鎖をコードする第二の核酸を一般に含み、これが、細胞中で発現に際して、2つの重鎖および2つの軽鎖の「伝統的な」四量体フォーマットに自発的に組み立てられる。
【0150】
当技術分野において公知であるように、本発明の成分をコードする核酸は、発現ベクターに組み込まれ、宿主細胞に応じて、本発明の抗体を産生するために使用され得る。これらの2つの核酸は、単一の発現ベクターまたは2つの異なる発現ベクターに組み込まれ得る。一般に、核酸は、発現ベクター中の任意の数の制御エレメント(プロモーター、複製起点、選択可能マーカー、リボソーム結合部位、誘導因子、等々)に作動可能に連結され得る。発現ベクターは、染色体外または組込みベクターであってもよい。
【0151】
本発明の核酸および/または発現ベクターは、哺乳動物、細菌、酵母、昆虫および真菌細胞を含む、当技術分野において周知である、任意のタイプの宿主細胞に導入され得る。トランスフェクション後、単一細胞クローンは、例えば、限界希釈、ELISA、FACS、顕微鏡、またはClonepixなどの、当技術分野において公知の方法を使用して、細胞バンク生成のために単離され得る。クローンは、バイオリアクターでのスケールアップおよび抗体の発現の維持に適切な条件下で培養され得る。抗体は、遠心分離、深層ろ過、細胞溶解、均質化、凍結融解、親和性精製、ゲル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、疎水的相互作用交換クロマトグラフィー、および混合モードクロマトグラフィーを含む、当技術分野において公知の方法を使用して単離され、精製され得る。
【0152】
IV.治療適用
本開示は、対象における免疫応答を調節する方法であって、対象に有効量の本明細書に記載されている抗BTLA抗体、または抗BTLA抗体を含有する医薬組成物を投与することを含む、方法を提供する。
【0153】
幾つかの実施形態では、本開示に包含される免疫応答を調節する方法は、対象における免疫応答を刺激することを含み、さらなる実施形態では、そのような方法は、対象に有効量のBTLAアンタゴニストとして作用する抗BTLA抗体を投与することを含む、またはアンタゴニスト性の抗BTLA抗体を含有する医薬組成物を投与することによる。
【0154】
幾つかの実施形態では、本開示に包含される方法は、例えば、配列番号21と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号22と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号107を含むvhCDR1、配列番号108を含むvhCDR2、配列番号109を含むvhCDR3、配列番号110を含むvlCDR1、配列番号111を含むvlCDR2、および配列番号112を含むvlCDR3を含む抗BTLA抗体を投与することによって、対象における免疫応答を刺激する方法を含む。
【0155】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されている方法は、例えば、配列番号31と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号32と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号137を含むvhCDR1、配列番号138を含むvhCDR2、配列番号139を含むvhCDR3、配列番号140を含むvlCDR1、配列番号141を含むvlCDR2、および配列番号142を含むvlCDR3を含む抗BTLA抗体を投与することによって、対象における免疫応答を刺激する。
【0156】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載されている方法は、例えば、配列番号35と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号36と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号149を含むvhCDR1、配列番号150を含むvhCDR2、配列番号151を含むvhCDR3、配列番号152を含むvlCDR1、配列番号153を含むvlCDR2、および配列番号154を含むvlCDR3を含む抗BTLA抗体を投与することによって、対象における免疫応答を刺激する。
【0157】
幾つかの実施形態では、本開示は、例えば、対象に有効量のBTLAアゴニストとして作用する抗BTLA抗体を投与することによって、または対象にそのようなアゴニスト性の抗BTLA抗体を含有する医薬組成物を投与することによって、対象における免疫応答を抑制するための方法を提供する。
【0158】
幾つかの他の実施形態では、本明細書に記載されている方法は、例えば、配列番号19と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号20と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号101を含むvhCDR1、配列番号102を含むvhCDR2、配列番号103を含むvhCDR3、配列番号104を含むvlCDR1、配列番号105を含むvlCDR2、および配列番号106を含むvlCDR3を含む抗BTLA抗体を投与することによって、対象における免疫応答を抑制する。
【0159】
幾つかの他の実施形態では、本明細書に記載されている方法は、例えば、配列番号25と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号26と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号119を含むvhCDR1、配列番号120を含むvhCDR2、配列番号121を含むvhCDR3、配列番号122を含むvlCDR1、配列番号123を含むvlCDR2、および配列番号124を含むvlCDR3を含む抗BTLA抗体を投与することによって、対象における免疫応答を抑制する。
【0160】
幾つかの他の実施形態では、本明細書に記載されている方法は、例えば、配列番号29と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号30と少なくとも80%(例えば、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%)同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;ならびに/または配列番号131を含むvhCDR1、配列番号132を含むvhCDR2、配列番号133を含むvhCDR3、配列番号134を含むvlCDR1、配列番号135を含むvlCDR2、および配列番号136を含むvlCDR3を含む抗BTLA抗体を投与することによって、対象における免疫応答を抑制する。
【0161】
本開示はまた、対象におけるがんを処置する方法を提供し、そのような方法は、対象に有効量のBTLAアンタゴニストとして作用する抗BTLA抗体、またはそのような抗BTLA抗体を含有する医薬組成物を投与することを含む。幾つかの実施形態では、処置されるがんは、がん細胞表面にHVEMおよび/またはBTLAを発現する。幾つかの実施形態では、処置されるがんは、対応する非がん性組織と比較して、HVEMおよび/またはBTLAを上方制御する。幾つかの実施形態では、処置される対象は、T細胞、例えば、CD8+および/またはCD4+T細胞にHVEMおよび/またはBTLAを発現する。幾つかの実施形態では、処置される対象は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、B細胞、ナチュラルキラーT細胞、ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、および樹状細胞を含む、1つまたは複数のタイプの免疫細胞に高レベルのHVEMおよび/またはBTLAを発現する。幾つかの実施形態では、処置されるがんは、T細胞応答を下方制御するおよび/または免疫認識および破壊から回避するのにBTLA-HVEM経路を使用する。幾つかの実施形態では、処置されるがんは、他の免疫チェックポイント、例えば、CTLA-4、PD-1またはPD-L1を標的にする現存の免疫調節抗体に非応答性である。
【0162】
幾つかの実施形態では、がんは、胃がん、結腸直腸がん、肝細胞癌、黒色腫、または食道扁平上皮細胞癌などの固形腫瘍である。幾つかの実施形態では、がんは、B細胞慢性リンパ性白血病、ホジキンリンパ腫、B細胞非ホジキンリンパ腫またはT細胞非ホジキンリンパ腫である。
【0163】
幾つかの他の実施形態では、がんは、脳がん、膀胱がん(bladder cancer)、乳がん、頚部がん、子宮内膜がん、食道がん、白血病、肺がん、肝臓がん、黒色腫、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、直腸がん、腎臓がん、精巣がん、または子宮がんである。さらに他の実施形態では、がんは、血管新生化腫瘍(vascularized tumor)、扁平上皮細胞癌、腺癌、小細胞癌、神経芽細胞腫、肉腫(例えば、血管肉腫または軟骨肉腫)、喉頭がん、耳下腺がん、胆道がん、甲状腺がん、末端黒子型黒色腫、光線角化症、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、腺様嚢胞癌、腺腫、腺肉腫、腺扁平上皮癌、肛門管がん、肛門がん、肛門直腸がん(anorectum cancer)、星状細胞腫瘍、バルトリン腺癌、基底細胞癌、胆道がん、骨がん、骨髄がん、気管支がん、気管支腺癌、カルチノイド、胆管癌、コンド肉腫(chondosarcoma)、脈絡叢乳頭腫/癌、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、明細胞癌、結合組織がん、嚢腺腫、消化器系がん、十二指腸がん、内分泌系がん、内胚葉洞腫瘍、子宮内膜過形成、子宮内膜間質部肉腫、類子宮内膜腺癌(endometrioid adenocarcinoma)、内皮細胞がん、上衣がん、上皮細胞がん、ユーイング肉腫、眼および眼窩がん、女性器がん、限局性結節性過形成、胆嚢がん、胃洞がん(gastric antrum cancer)、胃底部がん、ガストリノーマ、グリア芽腫、グルカゴノーマ、心臓がん、血管芽腫(hemangiblastomas)、血管内皮腫(hemangioendothelioma)、血管腫、肝細胞腺腫、肝腺腫症(hepatic adenomatosis)、肝胆道がん、肝細胞癌、ホジキン病、回腸がん、インスリノーマ、上皮内新形成、上皮間性扁平上皮細胞新形成(interepithelial squamous cell neoplasia)、肝内胆管がん、浸潤性扁平上皮癌、空腸がん、関節がん、カポジ肉腫、骨盤がん、大細胞癌、大腸がん、平滑筋肉腫、悪性黒子型黒色腫、リンパ腫、男性器がん、悪性黒色腫、悪性中皮腫、髄芽腫、髄上皮腫、髄膜がん、中皮がん、転移性癌、口腔がん(mouth cancer)、粘表皮癌(mucoepidermoid carcinoma)、多発性骨髄腫、筋肉がん、鼻道がん、神経系がん、神経上皮腺癌 結節型黒色腫、非上皮性皮膚がん、燕麦細胞癌、乏突起膠細胞がん、口腔がん(oral cavity cancer)、骨肉腫、乳頭漿液性腺癌(papillary serous adenocarcinoma)、陰茎がん、咽頭がん、下垂体部腫瘍、プラスマ細胞腫、偽肉腫、肺芽細胞腫、直腸がん、腎細胞癌、呼吸器系がん、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、肉腫、漿液性癌(serous carcinoma)、洞がん(sinus cancer)、皮膚がん、小細胞癌、小腸がん、平滑筋がん、軟部組織がん(soft tissue cancer)、ソマトスタチン分泌腫瘍、脊椎がん(spine cancer)、扁平上皮癌、横紋筋がん、中皮下がん(submesothelial cancer)、表在拡大型黒色腫、T細胞白血病、舌がん、未分化癌、尿管がん、尿道がん、膀胱がん(urinary bladder cancer)、尿路系がん、子宮頚部がん、子宮体部がん、ブドウ膜黒色腫、腟がん、疣状癌、ビポーマ、外陰がん(vulva cancer)、高分化癌(well-differentiated carcinoma)、またはウィルムス腫瘍である。
【0164】
幾つかの他の実施形態では、処置されるがんは、非ホジキンリンパ腫、例えば、B細胞リンパ腫またはT細胞リンパ腫である。ある特定の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、B細胞リンパ腫、例えば、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、原発性縦隔B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、小リンパ球性リンパ種、外套細胞リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓辺縁帯B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、ヘアリー細胞白血病、または原発性中枢神経系(CNS)リンパ腫である。ある特定の他の実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、T細胞リンパ腫、例えば、前駆体T-リンパ芽球性リンパ腫、末梢性T細胞リンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、血管免疫芽細胞性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラー/T細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪組織炎様T細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、または末梢性T細胞リンパ腫である。
【0165】
本開示はまた、対象における自己免疫性または炎症性障害を処置する方法であって、対象に有効量のBTLAアゴニストとして作用する抗BTLA抗体、またはそのような抗BTLA抗体を含有する医薬組成物を投与することを含む方法を提供する。幾つかの実施形態では、HVEMおよび/またはBTLAは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、内皮細胞、およびマクロファージを含む、処置される対象における1つまたは複数のタイプの免疫細胞において低レベルで発現される。幾つかの実施形態では、HVEMおよび/またはBTLAは、自己免疫疾患が発生する部位、例えば、多発性硬化症に罹患している対象におけるリンパ節および中枢神経系、関節リウマチに罹患している対象における関節、およびセリアック病に罹患している対象における胃腸管で自己反応性免疫細胞(例えば、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、樹状細胞、内皮細胞、およびマクロファージ)に低レベルで対象に発現される。BTLAアゴニストとして作用する抗BTLA抗体を投与することは、炎症促進性のT細胞応答を含む、炎症促進性の免疫応答を抑制し、自己免疫性または炎症性障害に罹患している対象における免疫応答を調節することができる。
【0166】
幾つかの実施形態では、処置する自己免疫性または炎症性障害は、多発性硬化症、アジソン病、筋萎縮性側索硬化症、クローン病、クッシング症候群、真性糖尿病タイプ1、移植片対宿主病、グレーブズ病、ギラン-バレー症候群、エリテマトーデス、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、全身性エリテマトーデス、移植拒絶、または血管炎である。
【0167】
幾つかの他の実施形態では、処置される自己免疫性障害には、限定されないが、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、無ガンマグロブリン血症、円形脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質症候群、抗シンセターゼ症候群、アトピー性アレルギー、アトピー性皮膚炎、自己免疫性再生不良性貧血、自己免疫性心筋症、自己免疫性腸症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患、自己免疫性リンパ増殖性症候群、自己免疫性膵炎、自己免疫性末梢神経障害、自己免疫性多内分泌症候群、自己免疫性プロゲステロン皮膚炎、自己免疫性血小板減少性紫斑病、自己免疫性じんま疹、自己免疫性ブドウ膜炎、バロー病/バロー同心円性硬化症、ベーチェット病、バージャー病、ビッカースタッフ型脳幹脳炎、ブラウ症候群、水疱性類天疱瘡、がん、キャッスルマン病、セリアック病、シャーガス病、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、慢性炎症性脱髄性多発神経障害、慢性閉塞性肺疾患、慢性再発性多巣性骨髄炎、チャーグ-ストラウス症候群、瘢痕性類天疱瘡、コーガン症候群、寒冷凝集素症、補体成分2欠乏症、接触性皮膚炎、頭蓋動脈炎、クレスト症候群、皮膚白血球破砕性血管炎、ドゴー病、ダーカム病、ヘルペス状皮膚炎、皮膚筋炎、びまん性皮膚全身性硬化症、円板状エリテマトーデス、ドレスラー症候群、薬物誘発性ループス、湿疹、子宮内膜症、好酸球性筋膜炎、好酸球性胃腸炎、好酸球性肺炎、後天性表皮水疱症、結節性紅斑、胎児赤芽球症、本態性混合型クリオグロブリン血症、エヴァンズ症候群、進行性骨化性線維形成異常症、線維化肺胞炎(または特発性肺線維症)、胃炎、胃腸疱瘡、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、橋本脳症、橋本甲状腺炎、へノッホ-シェーンライン紫斑病、妊娠性疱疹 別名 妊娠性類天疱瘡、化膿性汗腺炎、ヒューズ-ストーヴィン症候群、低ガンマグロブリン血症(Hypogammaglobulinemi)、特発性炎症性脱髄疾患、特発性肺線維症、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、封入体筋炎、間質性膀胱炎、若年性特発性関節炎 別名 若年性関節リウマチ、川崎病、ランバート-イートン筋無力症候群、白血球破砕性血管炎、扁平苔癬、硬化性苔癬、線状IgA病、ルポイド肝炎 別名 自己免疫性肝炎、マジード症候群、顕微鏡的大腸炎、顕微鏡的多発血管炎、ミラー-フィッシャー症候群、混合性結合組織病、斑状強皮症、ムッハ-ハーベルマン病 別名 急性痘瘡状苔癬状粃糠疹、多発性硬化症、重症筋無力症、筋炎、メニエール病、ナルコレプシー、視神経脊髄炎、神経性筋強直症、眼部瘢痕性類天疱瘡、オプソクローヌスミオクローヌス症候群、オード甲状腺炎、回帰性リウマチ、PANDAS(小児自己免疫性溶連菌感染関連性精神神経障害)、傍腫瘍性小脳変性症、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、パリーロンバーグ症候群、扁平部炎、パーソネージ-ターナー症候群、尋常性天疱瘡、静脈周囲脳脊髄炎、悪性貧血、POEMS症候群、結節性多発性動脈炎、リウマチ性多発筋痛、多発性筋炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、進行性炎症性神経障害、赤芽球癆、壊疽性膿皮症、ラスムッセン脳炎、レイノー現象、ライター症候群、再発性多発軟骨炎、下肢静止不能症候群、後腹膜線維症、リウマチ熱、統合失調症、シュミット症候群、シュニッツラー症候群、強膜炎、血清病、シェーグレン症候群、脊椎関節症、スティッフパーソン症候群、スティル病、亜急性細菌性心内膜炎(SBE)、スザック症候群、スウィート症候群、シデナム舞踏病、交感性眼炎、高安動脈炎、側頭動脈炎、血小板減少症、トロサ-ハント症候群、横断性脊髄炎、潰瘍性大腸炎、未分化脊椎関節症、じんま疹様血管炎、白斑、ウェゲナー肉芽腫症が含まれる。
【0168】
V.併用療法
本明細書に記載されている抗BTLA抗体は、がんまたは自己免疫性障害を処置する、追加の治療剤と組み合わせて使用され得る。
【0169】
がんを処置する併用療法の一部として使用され得る例示的な治療剤には、例えば、放射線、マイトマイシン、トレチノイン、リボムスチン、ゲムシタビン、ビンクリスチン、エトポシド、クラドリビン、ミトブロニトール、メトトレキセート、ドキソルビシン、カルボコン、ペントスタチン、ニトラクリン、ジノスタチン、セトロレリクス、レトロゾール、ラルチトレキセド(raltitrexed)、ダウノルビシン、ファドロゾール、ホテムスチン、サイマルファシン、ソブゾキサン、ネダプラチン、シタラビン、ビカルタミド、ビノレルビン、ベスナリノン、アミノグルテチミド、アムサクリン、プログルミド、エリプチニウム酢酸塩、ケタンセリン、ドキシフルリジン、エトレチナート、イソトレチノイン、ストレプトゾシン、ニムスチン、ビンデシン、フルタミド、ドロゲニル(drogenil)、ブトシン(butocin)、カルモフール、ラゾキサン、シゾフィラン、カルボプラチン、ミトラクトール、テガフール、イホスファミド、プレドニムスチン、ピシバニール、レバミゾール、テニポシド、インプロスルファン、エノシタビン、リスリド、オキシメトロン、タモキシフェン、プロゲステロン、メピチオスタン、エピチオスタノール、ホルメスタン、インターフェロン-アルファ、インターフェロン-2 アルファ、インターフェロン-ベータ、インターフェロン-ガンマ、コロニー刺激因子-1、コロニー刺激因子-2、デニロイキンジフチトクス、インターロイキン-2、黄体形成ホルモン放出因子およびその同族受容体に異なる結合および増加または減少した血清半減期を呈し得る前述の薬剤のバリエーションが含まれる。
【0170】
がんを処置する併用療法の一部として使用され得る追加クラスの薬剤は、免疫チェックポイント阻害剤である。例示的な免疫チェックポイント阻害剤には、1つまたは複数の(i)細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)、(ii)プログラム細胞死タンパク質1(PD1)、(iii)PDL1、(iv)LAG3、(v)B7-H3、(vi)B7-H4、および(vii)TIM3を阻害する薬剤、例えば、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、およびアテゾリズマブが含まれる。
【0171】
がんを処置する併用療法の一部として使用され得るさらに他の薬剤は、非チェックポイント標的を標的にするモノクローナル抗体(例えば、herceptin)および非細胞傷害性薬剤(例えば、チロシンキナーゼ阻害剤)である。
【0172】
抗がん剤のさらに他のカテゴリーには、例えば:(i)ALK阻害剤、ATR阻害剤、A2Aアンタゴニスト、塩基除去修復阻害剤、Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤、ブルトンチロシンキナーゼ阻害剤、CDC7阻害剤、CHK1阻害剤、サイクリン依存性キナーゼ阻害剤、DNA-PK阻害剤、DNA-PKおよびmTOR両方の阻害剤、DNMT1阻害剤、DNMT1阻害剤プラス2-クロロ-デオキシアデノシン、HDAC阻害剤、ヘッジホッグシグナル伝達経路阻害剤、IDO阻害剤、JAK阻害剤、mTOR阻害剤、MEK阻害剤、MELK阻害剤、MTH1阻害剤、PARP阻害剤、ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤、PARP1およびDHODH両方の阻害剤、プロテアソーム阻害剤、トポイソメラーゼ-II阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、VEGFR阻害剤、およびWEE1阻害剤から選択される阻害剤;(ii)OX40、CD137、CD40、GITR、CD27、HVEM、TNFRSF25、またはICOSのアゴニスト;および(iii)IL-12、IL-15、GM-CSF、およびG-CSFから選択されるサイトカインが含まれる。
【0173】
本発明の抗体はまた、原発病巣からのがんの外科的な除去の補助として使用され得る。
【0174】
自己免疫性または炎症性障害を処置する、自己免疫性または炎症性障害の進行を遅延させる、自己免疫性または炎症性障害の再発を防止する、または自己免疫性または炎症性障害の症状を緩和するための、本明細書で開示される抗BTLA抗体との併用療法の一部として使用され得る例示的な治療剤には、当技術分野において公知のおよび本明細書に記載されている任意の抗炎症性および/または免疫抑制療法が含まれる。幾つかの実施形態では、抗炎症性および/または免疫抑制療法には、限定されないが、メトトレキセート、シクロスポリンA(例えば、シクロスポリンマイクロエマルジョンを含む)、タクロリムス、コルチコステロイド、スタチン、インターフェロンベータ、非ステロイド性抗炎症剤、および6-MP(メルカプトプリン、6-メルカプトプリン、またはPurinetholとも呼ばれる)が含まれる。
【0175】
幾つかの実施形態では、本明細書で開示される抗BTLA抗体との組合せのための、抗炎症性および/または免疫抑制療法には、限定されないが、TOPK阻害剤(例えば、OTS964((R)-9-(4-(1-(ジメチルアミノ)プロパン-2-イル)フェニル)-8-ヒドロキシ-6-メチルチエノ[2,3-c]キノリン-4(5H)-オン)(Oncotherapy Science))、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、アキシチニブ、ダサチニブ、イコチニブ(icotinib))、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、トポテカン)、スフィンゴシン-1-リン酸受容体アゴニスト(例えば、フィンゴリモド、KRP-203)、抗T細胞免疫グロブリン(例えば、AtGam)、抗IL-2受容体抗体(例えば、ダクリズマブ)、アミド(CTX)、イホスファミド(IFO)、アドリアマイシン(ADM)、ダウノルビシン(DNR)、ビンクリスチン(VCR)、ビンブラスチン(VBL)、エトポシド(VP16)、フェルメール(Vumon)、カルボプラチン(CBP)、タクロリムス、シロリムス、エベロリムス、アザチオプリン、ブレキナール、レフルノミド、LEA-29Y、抗CD3抗体(例えば、OKT3)、アスピリン、B7-CD28ブロッキング分子(例えば、ベラタセプト、アバタセプト)、CD40-CD154ブロッキング分子(抗CD40抗体)、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、および抗炎症ステロイド(例えば、プレドニゾロンまたはデキサメサゾン)が含まれる。
【0176】
幾つかの実施形態では、本明細書で開示される抗BTLA抗体との組合せのための、抗炎症性および/または免疫抑制療法には、例えば、TNF-アルファ、CFA、インターロイキン-1(IL-1)、プロテアソーム阻害剤、NFκB阻害剤、抗炎症薬物、組織プラスミノゲンアクチベーター(TPA)、リポ多糖、紫外光、およびTNFアルファシグナル伝達経路の細胞内メディエータの投与による、自己免疫細胞のアブレーションが含まれる。そのような薬剤は、TNFアルファ受容体シグナル伝達の下流の経路を中断することまたはTNFアルファ受容体結合の下流で作用することによって自己反応性リンパ球のアポトーシスを誘導する(Baldwin et al., Ann. Rev. Immunol.(1996) 12:141; Baltimore, Cell (1996) 87:13)。
【0177】
幾つかの実施形態では、本明細書で開示される抗BTLA抗体は、自己免疫疾患を処置するまたはそうでなければ緩和する外科的な方法とあわせて使用される。
【0178】
例えば、多発性硬化症(multiple scelerosis)の症状を処置する、多発性硬化症の進行を遅延させる、多発性硬化症の再発を防止する、多発性硬化症の症状を緩和するために、BTLAアゴニストとして作用する抗BTLA抗体を、多発性硬化症のための任意の現存の治療、例えば、コルチコステロイド(例えば、経口のプレドニゾンおよび静脈内のメチルプレドニゾロン)、血漿分離交換法、オクレリズマブ、ベータインターフェロン、グラチラマーアセテート、ジメチルフマル酸塩、フィンゴリモド、フェリフルノミド(Feriflunomide)、ナタリズマブ、アレムツズマブおよび/またはミトキサントロンと組み合わせてもよい。
【0179】
抗体および追加の治療剤の量ならびに投与の相対的なタイミングは、所望の組み合わせ治療効果を達成するために、選択され得る。例えば、併用療法を、そのような投与を必要とする患者に投与する場合、組合せ中の治療剤、または治療剤を含む医薬組成物または組成物は、例えば、連続的に、同時に、一緒に、同時期に等の任意の順序で投与され得る。さらに、例えば、多重特異的結合タンパク質は、追加の治療剤が、その予防的または治療効果を発揮する時間の間に投与されてもよく、逆もまた同様である。
【0180】
VI.医薬組成物および投与
本開示はまた、本明細書に記載されている治療的な有効量の抗BTLA抗体を含有する医薬組成物/製剤を特徴とする。組成物は、種々の薬物デリバリーシステムにおける使用のために製剤化され得る。1つまたは複数の生理的に許容される賦形剤または担体も、適切な製剤のための組成物に含まれ得る。本開示における使用のための適切な製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Philadelphia, Pa., 17th ed., 1985に見出される。薬物デリバリーのための方法の簡潔な総説に関して、例えば、Langer (Science 249:1527-1533, 1990)を参照されたい。
【0181】
本開示の抗体は、凍結乾燥された製剤または水性液体(liquid aqueous)の医薬製剤に存在し得る。本明細書で目的の水性担体は、薬学的に許容され(ヒトへの投与に関して安全かつ毒性ではない)、液体製剤の調製に有用なものである。例示的な担体には、注射用滅菌水(SWFI)、注射用静菌水(BWFI)、pH緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、滅菌生理食塩液、リンゲル液またはデキストロース液が含まれる。
【0182】
本開示の抗体は、タンパク質およびリオプロテクタントを含む、凍結乾燥された製剤に存在し得る。リオプロテクタントは、糖、例えば、二糖類であってもよい。ある特定の実施形態では、リオプロテクタントは、スクロースまたはマルトースである。凍結乾燥された製剤には、1つまたは複数の緩衝剤、界面活性剤、充填剤、および/または保存剤も含まれ得る。
【0183】
本発明の医薬組成物中の有効成分の実際の用量レベルは、患者に対して毒性ではなく、特定の患者、組成物、および投与モードについて所望の治療応答を達成するのに効果的である有効成分の量が得られるように変動し得る。成人に対して投与ごとに0.1mgから1gの範囲および好ましくは0.5mgから500mgの範囲の活性抗体の範囲で投与されてもよい。あるいは、患者の用量は、患者のおおよその体重または表面領域に対して調整されてもよい。適切な用量を決定する他の因子には、処置または防止される疾患または状態、疾患の重症度、投与の経路、および患者の年齢、性別および医学的な状態が含まれ得る。処置に対する適切な用量を決定するのに必要な計算のさらなる改良は、特に、本明細書で開示される用量情報およびアッセイに鑑み、当業者によって日常的になされている。用量はまた、適切な用量反応データとあわせて使用して用量を決定する公知のアッセイを使用することを通して決定され得る。個々の患者の用量は、疾患の進行をモニタリングしながら、調整されてもよい。患者において標的可能なコンストラクトまたは複合体の血液レベルは、用量が、有効濃度に達するまたは維持するよう調整される必要があるかどうかを確かめるために測定されてもよい。薬理ゲノミクスを使用して、どの標的可能なコンストラクトおよび/または複合体、およびその用量が、所与の個体にとって効果的である可能性が最も高いかを決定してもよい(Schmitz et al., Clinica Chimica Acta 308: 43-53, 2001; Steimer et al., Clinica Chimica Acta 308: 33-41, 2001)。
【0184】
用量は、1または複数の回数を毎日、毎週、毎月もしくは毎年、またはさらに2から20年ごとに1回与えてもよい。当業者は、体液または組織中の標的可能なコンストラクトまたは複合体の滞留時間および濃度の測定に基づいて投薬の反復率を容易に推定することができる。本発明の投与は、カテーテルを通した灌流によるまたは直接的な病巣内注射による、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、胸膜内、クモ膜下腔内、腔内であり得る。これは、1または複数の回数を毎日、1または複数の回数を毎週、1または複数の回数を毎月、および1または複数の回数を毎年投与され得る。
【実施例】
【0185】
本発明をここで一般に記載したが、本発明のある特定の態様および実施形態の例示の目的のためのみに含まれ、本発明を限定することが意図されていない、以下の実施例への参照によってより明確に理解されることになる。
[実施例1]
【0186】
抗BTLA抗体は組換えBTLAに結合する
抗BTLA抗体のヒトまたはカニクイザルBTLAへの結合を、ELISAによってアッセイした。プレート(384ウェル)を、20μl BTLA(ECD)-HIS(1μg/ml)で一晩4℃でコーティングした。ウェルを、次にPBSで洗浄し、次に55μlブロッキング緩衝液で1h、室温でブロッキングした。ウェルを、次にPBSで洗浄し、本発明の抗BTLA抗体ならびに抗BTLA抗体4C7および8D5(米国特許第8,563,694号に記載)、およびヒトIgG対照を、様々な濃度(67、22、7.4、2.5、0.8、0.3、0.09、0.03、0.01、0.004、0.001nM)でウェルに加え、1h、室温でインキュベートした。ウェルを次にPBSで洗浄し、20μlの希釈したHRPコンジュゲート二次抗ヒトIgG抗体を次にウェルに加え、室温で45分間インキュベートした。過剰なHRPコンジュゲート二次抗体を除去した後、基質溶液をウェルに加えて化学発光シグナルを発生させた。光子放出をOmegastarプレートリーダーを使用して決定し、相対光単位(RLU)を計算した。
図1は、ヒトBTLAに対する抗BTLA抗体13-F7Aの例示的な結合プロファイルを、4C7および8D5抗体と比較して示す。ヒトIgGを陰性対照として使用した。表4は、ELISAによって測定された様々な抗BTLA抗体のヒトおよびカニクイザルBTLAへの結合EC50を要約する。
【0187】
【0188】
抗BTLA抗体は細胞に発現されるBTLAに結合する
ヒトまたはカニクイザルBTLAを発現するHEK293細胞を使用して、抗BTLA抗体のBTLAへの結合を評価した。様々な濃度の抗BTLA抗体(67、22、7.4、2.5、0.8、0.3、0.09、0.03、0.01、0.004、および0.001nM)を、細胞と1時間、室温でインキュベートした。フルオロフォアコンジュゲート抗ヒトIgG二次抗体を次に加え、細胞をフローサイトメトリーによって分析した。
図2A-2Bは、ヒトまたはカニクイザルBTLAを発現するHEK293細胞に対する抗BTLA抗体13-F7Aの例示的な結合プロファイルを示す。対照HEK293細胞(
図2C)と比較して、13-F7AはヒトBTLAおよびカニクイザルBTLAの両方に結合する。表5は、FACSによって測定された様々な抗BTLA抗体のヒトおよびカニクイザルBTLAへの結合EC50を要約する。
【0189】
【0190】
抗BTLA抗体はBTLA/HVEM相互作用を阻害する
ELISAに基づく生体機能アッセイを使用して、BTLA/HVEM相互作用における抗BTLA抗体の効果をアッセイした。384ウェルELISAプレートの各ウェルを、20μlの5μl/mlヒトHVEM-ラットIgG2aで37℃で1hr(または一晩、4℃)コーティングした。コーティング後、プレートをMolecular Devices Aquamax2000プレート洗浄機で洗浄溶液(0.05% Tween-20を含有するPBS)で2回洗浄し、次にブロッキング溶液(3% BSAを含有するPBS)で1hr、室温(RT)でブロッキングした。ブロッキングステップの間、1μg/mlヒトBTLA-ヒトFcまたは0.5μg/mlカニクイザルBTLA-ヒトFcを、抗BTLA抗体、4C7、8D5またはヒトIgG2対照と様々な濃度(67、22、7.4、2.5、0.8、0.3、0.09、0.03、0.01、0.004、0.001nM)で混合した。ブロッキングステップの完了後、プレートをプレート洗浄機で2回洗浄した。20μlタンパク質/抗体混合物を次にプレートに加え、1hr、RTでインキュベートした。結合していない物質を廃棄し、プレートをプレート洗浄機で4回洗浄した。20μl二次抗体(抗ヒトFc-HRP)を次に各ウェルに加え、45分間、RTでインキュベートした。結合していない物質を廃棄し、プレートをプレート洗浄機で8回洗浄した。20μl化学発光基質(chemilluminescent substrate)を次に各ウェルに加え、ルミネセンスをゲイン3600で読み取り、相対光単位(RLU)を計算した。
図3は、抗BTLA抗体13-F7Aの例示的なプロファイルを示す。13-F7Aは、4C7と類似の程度までヒトHVEMとのヒトBTLA相互作用を阻害した。しかしながら、8D5およびヒトIgG対照は、ヒトBTLAとHVEMとの間の相互作用にわずかな効果を有する。表6は、ヒトBTLAとHVEMとの間の相互作用ならびにカニクイザルBTLAとHVEMとの間の相互作用を阻害する異なる抗BTLA抗体に関するIC50の概要を示す。
【0191】
【0192】
抗BTLA抗体はBTLAに高親和性で結合する
ヒトおよびカニクイザルBTLAに対する抗BTLA抗体の結合親和性を、Bio-Layer Interferometry(ForteBIOからのOctet(登録商標)システム)によって測定した。10μg/mlの各抗BTLA抗体を、抗ヒト-Fc(AHC)捕捉を介してバイオセンサーチップ表面に固定化した。ヒトまたはカニクイザルBTLAを、PBSに希釈し、166.7nMから6.17nMの濃度で3倍連続希釈に負荷した。結合曲線を、Octet(登録商標)システムによって提供される分析ソフトウェアを使用して1:1 相互作用モデルに当てはめた。
図4は、抗BTLA抗体13-F7Aと異なる濃度(166.7nM、55.6nM、18.5nMおよび6.17nM)のヒトBTLAとの間での例示的な会合および解離曲線を示す。表7は、Bio-Layer Interferometryによって測定したヒトおよびカニクイザルBTLAに対する異なる抗BTLA抗体に関する結合解離定数(K
D)の概要を示す。
【0193】
【0194】
抗BTLA抗体はT細胞機能を調節する
T細胞機能における抗BTLA抗体の効果をアッセイした。末梢血単核球(PBMC)を、ヒトドナーのヘパリン処理した全血から密度勾配遠心分離により単離した。PBMCを完全RPMI1640(RPMI1640、10% FCS、l-グルタミン、ペニシリン、およびストレプトマイシン)中に1×106個/mlで再懸濁し、100μlの細胞を96ウェル細胞培養クラスタープレートにウェルごとに播種した。1ng/mlブドウ球菌エンテロトキシンB(SEB)を、各々の抗BTLA抗体と一緒に、ウェルに加えた。細胞を37℃、5% CO2下で48時間でインキュベートし、上清を収集した。上清中のIL-2の濃度を、抗IL2捕捉抗体(R&DシステムMAB602)を使用するELISAにより測定した。
【0195】
図5A-5Fは、異なる抗BTLA抗体およびSEBの存在下での初代T細胞からの放出IL-2の用量反応曲線を示す。ヒトIgG2およびIgG4をアッセイに対する対照として使用した、その理由は、この実施例では、抗BTLA抗体がヒトIgG2からのFcドメインを含み、8D5および4C7が各々ヒトIgG4からのFcドメインを含むからである。抗BTLA抗体16-I20A、15-C19Aおよび16-H16Aは、T細胞によるSEB誘導性IL-2分泌を増大させ、したがって、BTLAアンタゴニストとして働いた。加えて、それらは、4C7抗体と比較して、より高い最大のアンタゴニスト活性を提示した。試験した各抗体のEC50を計算し、16-I20Aが類似のEC50、すなわち、4C7抗体と比較して、T細胞機能のアンタゴナイズに効力を提示した。抗BTLA抗体12-I8A、8-M23Aおよび13-F7Aは、T細胞によるSEB誘導性IL-2分泌を抑制し、したがって、BTLAアゴニストとして働いた。
【0196】
参照による組み込み
本明細書に参照される特許文書および科学論文の各々の全開示は、全ての目的のために参照により組み込まれる。
【0197】
等価物
本発明は、その精神または不可欠な特徴から逸脱しない限り、他の特殊な形態でも具現化することができる。したがって、前述の実施形態は、本明細書に記載されている本発明を限定せず、全ての点で例示的であると考えられる。したがって、本発明の範囲は、前述の記載ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の等価の意味および範囲内に入る全ての変化は、本発明に包合されることが意図される。
【配列表】
【国際調査報告】