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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-07
(54)【発明の名称】癌の治療のための併用療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/16 20060101AFI20220531BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220531BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220531BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220531BHJP
   A61K 35/12 20150101ALI20220531BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220531BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220531BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220531BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20220531BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20220531BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20220531BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220531BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220531BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220531BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20220531BHJP
   A61K 9/72 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
A61K38/16 ZNA
A61K45/00
A61K48/00
A61K39/395 N
A61K39/395 D
A61K35/12
A61P43/00 105
A61P37/04
A61P35/00
A61P11/00
A61K47/64
A61P43/00 121
A61P43/00 111
C07K14/47
C07K19/00
C12N15/12
C12N15/63 Z
C12N15/62 Z
A61K9/72
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022504333
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 EP2020057492
(87)【国際公開番号】W WO2020187998
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】19382194.9
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】515308936
【氏名又は名称】フンダシオ プリバダ インスティトゥト ディンベスティガシオ オンコロジカ デ バル エブロン
【氏名又は名称原語表記】FUNDACIO PRIVADA INSTITUT D’INVESTIGACIO ONCOLOGICA DE VALL HEBRON
【住所又は居所原語表記】Calle Natzaret 115,E-08035 Barcelona Spain
(71)【出願人】
【識別番号】313013955
【氏名又は名称】インスティテュシオ・カタラナ・デ・レセルカ・イ・エスチュディス・アヴァンカス
(71)【出願人】
【識別番号】521435134
【氏名又は名称】ペプトミク エセ.エレ.
【氏名又は名称原語表記】PEPTOMYC, S.L.
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】ソウセック、ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】ボーリュー、マリー-エーヴ
(72)【発明者】
【氏名】カサクベルタ-セルラ、シルビア
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB13
4C076BB25
4C076CC15
4C076CC27
4C076EE41N
4C076EE59N
4C076FF34
4C084AA02
4C084AA13
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA20
4C084BA41
4C084CA53
4C084CA56
4C084DC50
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA59
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA591
4C084ZB091
4C084ZB211
4C084ZB261
4C084ZC411
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG01
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087MA02
4C087MA17
4C087MA59
4C087MA66
4C087NA05
4C087NA14
4C087ZA59
4C087ZB26
4C087ZC41
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA21
4H045BA41
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、Omomycまたはその機能的に同等な改変体、Omomycまたはその機能的に同等な改変体を含むコンジュゲート、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、当該ポリヌクレオチドを含むベクター、または前記ポリペプチドまたは前記コンジュゲートを分泌することができる細胞と、癌免疫剤との組み合わせ物に関する。本発明はまた、本発明の組み合わせ物を含む医薬組成物、およびその医学的使用、特に、癌の治療におけるその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)下記からなる群:
a)配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体、
b)配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体と、当該ポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体の細胞内取り込みを促進する化学的部分とを含むコンジュゲート、
c)a)のポリペプチドまたはb)のコンジュゲートをコードするポリヌクレオチド、
d)c)のポリヌクレオチドを含むベクター、および
e)a)のポリペプチドまたはb)のコンジュゲートを培地中へと分泌することができる細胞
から選択される第1成分と、
ii)癌免疫剤である第2成分と
を含む組み合わせ物。
【請求項2】
配列番号1の機能的に同等な改変体が、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および配列番号10からなる群から選択される、請求項1に記載の組み合わせ物。
【請求項3】
前記ポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体の細胞内取り込みを促進する化学的部分が、細胞膜透過性ペプチド配列であり、さらに当該細胞膜透過性ペプチド配列および前記ポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体が、融合タンパク質を形成する、請求項1または2のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項4】
前記細胞膜透過性ペプチド配列が、GRKKRRQRRR(配列番号37)およびRRRRRRLR(配列番号38)からなる群から選択される、請求項3に記載の組み合わせ物。
【請求項5】
前記コンジュゲートが、さらなる核局在化シグナルをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項6】
前記癌免疫剤がサイトカインではない、請求項1~5のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項7】
前記癌免疫剤が、T細胞活性化を阻害するタンパク質のアンタゴニストまたは免疫チェックポイント阻害剤である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項8】
T細胞活性化を阻害するタンパク質のアンタゴニストが、抗PD-1および抗CTLA-4から選択される、請求項7に記載の組み合わせ物。
【請求項9】
T細胞活性化を阻害するタンパク質のアンタゴニストが、抗PD-1である、請求項8に記載の組み合わせ物。
【請求項10】
前記アンタゴニストが、アンタゴニスト抗体である、請求項8または9のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項11】
前記アンタゴニスト抗体が、ペンブロリズマブである、請求項10に記載の組み合わせ物。
【請求項12】
前記第1成分が、配列番号1の配列を含むポリペプチドである、請求項1~11のいずれか一項に記載の組み合わせ物。
【請求項13】
治療有効量の請求項1~12のいずれか一項に記載の組み合わせ物と、薬学的に許容される賦形剤と含む医薬組成物。
【請求項14】
医療における使用のための、請求項1~12のいずれか一項に記載の組み合わせ物または請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
癌の予防および/または治療における使用のための、請求項1~12のいずれか一項に記載の組み合わせ物または請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記癌が肺癌である、請求項15に記載の使用のための組み合わせ物または医薬組成物。
【請求項17】
前記組成物が、全身投与されるかまたは鼻腔内投与される、請求項14~16のいずれか一項に記載の組み合わせ物または医薬組成物。
【請求項18】
前記鼻腔内投与が、滴下投与または鼻腔内吸入によって実施される、請求項17に記載の使用のための組み合わせ物または医薬組成物。
【請求項19】
前記第1成分が、鼻腔内投与または静脈内投与され、さらに前記第2成分が、全身投与される、請求項14~16のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物または医薬組成物。
【請求項20】
前記ポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体、または前記コンジュゲートが、癌の治療において、前記癌免疫剤と相乗効果的に相互作用する、請求項14~19のいずれか一項に記載の使用のための組み合わせ物または医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、癌の分野、より詳しくは、ポリペプチドおよび癌免疫剤を含む組み合わせ物、および医学分野、より具体的には、癌の予防および/または治療におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
理想的な抗癌薬は、腫瘍維持に持続的に必要だが、あらゆく正常組織の維持および機能にとって不必要な非冗長機能を標的にすべきである。したがって、最も一般的な論理は、とりわけ癌において変異される遺伝子産物を標的にすることであり、これらの変異体分子が、おそらく癌の「ドライバー」であり、多分正常な組織にとってあまり重要でない、ということに基づいている。これらの理由から、多くの注目が、特定の癌タイプにおける再発性病巣を分類することに向けられてきた。残念ながら、このアプローチには、いくつかの問題がある。第一に、ほとんどのヒト固形癌は、ゲノム不安定性のエピソードを経験し、「ドライバー」変異および付随するそれらのエフェクター経路を不明瞭にすることができる変異ノイズを示す。第二に、癌は、複数の進化論的ボトルネックを経た変遷を伴うプロセスの最終結果である。各ボトルネックは、特定のタイプの変異を必要とし得るが、それらの機能は、その後、腫瘍維持にとって不必要であり、結果的に、腫瘍の成長におけるその時点の後では、良好な治療標的ではなくなる。
【0003】
Mycは、成長制御および癌に関与する、基本的なヘリックス-ループ-ヘリックスロイシンジッパー(b-HLH-LZ)タンパク質であり、それは、構造的に関連するタンパク質Max、Mad、およびMntとのネットワークにおいて作動する。Myc/Max二量体は、遺伝子転写を活性化し、細胞増殖またはアポトーシスを誘導する。Mad/MaxおよびMnt/Max複合体は、リプレッサーとして機能し、細胞増殖停止および分化を引き起こす。全ての二量体は、同じDNAコンセンサス部位であるCACGTG E-boxを認識する。
【0004】
Mycは、正常細胞において厳密に調節され、そのレベルは、増殖性細胞においてより高く、非増殖性細胞においてより低い。異常に高いおよび/または調節解除されたMyc活性は、ほとんどの癌と因果的に関係しており、ならびに、多くの場合、活動的で分化の乏しい脈管原性の腫瘍に関連する。Myc発現の脱調節は、遺伝子増幅、転写制御の損失、分解障害、または安定化の増加による過剰発現に起因する。これは、結果として、異常増殖、生存の増加、代謝の変化、脈管形成、および炎症を生じ、その全てが、癌の主要な特徴を表している。複数の研究が、腫瘍発生の細胞内および細胞外の様相の管理におけるMycの重要な役割を実証しており、Mycの機能を標的にすることが、治療的に価値があるであろうことを示唆している。
【0005】
BETブロモドメイン阻害剤によるMycの下方調節は、結果として、複数の腫瘍タイプの寛解を生じさせることは既知である。このアプローチは、良好な可能性を示すと同時に、いくつかの限界、例えば、毒性および多数のオフターゲット効果を提示する。Myc/Max相互作用を混乱させる多くの小分子は、細胞において低い特異性を示してきた。
【0006】
しかしながら、Myc阻害剤は、依然として、臨床的利用可能となっておらず、その設計は、様々な警告を提示しており、すなわち、第一に、Mycは、核転写因子であり、その結果、膜分子または細胞質分子よりも到達するのがより困難であり、第二に、Mycは、標的にすることができる酵素的「活性部位」を有さず、第三に、Mycファミリーは、3つの異なるタンパク質c-Myc、N-Myc、およびL-Mycを含み、それらは、ある特定の条件下において、機能的に冗長であり、そのため、それらの全ては、同時阻害を必要とする。その上、Myc阻害が、正常細胞の増殖を阻害することによって重篤な副作用を誘導することが懸念されてきた。これらのすべての理由から、Myc阻害薬の作製は、困難な課題である。
【0007】
Omomycは、Mycのb-HLH-LZドメインを含み、Mycのロイシンジッパーに4つのアミノ酸置換基を有する、支配的ネガティブMYC変異体である(Soucek, L. et al., 1998, Oncogene 17, 2463-2472; Soucek, L. et al. (2002), Cancer Res 62: 3507-3510)。当該アミノ酸置換基E61T、E68I、R74Q、およびR75Nは、変更された二量体化特異性を当該タンパク質に付与し、それは、その天然パートナーMaxに結合する能力、およびそれ自体とホモ二量体を形成する能力、ならびに野生型c-Myc、N-Myc、およびL-Mycとヘテロ二量体を形成する能力を保持する。
【0008】
これらの特性により、Omomycは、そのDNA認識結合部位E boxに結合するMycの能力を無効にすることによって、インビトロおよびインビボの両方においてMyc依存性遺伝子トランス活性化機能を防ぐことができる。同時に、Omomycは、Myc発現レベルに依存する方式においてMyc誘導アポトーシスを強力に増強し、それにより、Mycトランス抑制活性を強化する。したがって、Omomycは、プロモーターへのMiz-1依存性結合およびトランス抑制を保持しつつ、MycがプロモーターE-boxに結合すること、および標的遺伝子のトランス活性化を防ぐ。Omomycの存在下において、Mycインタラクトームは、抑制するためのチャネルを開き、ならびにその活性は、発癌性(pro-oncogenic)から腫瘍抑制性へと切り替わる。
【0009】
EP2801370A1において、Omomycペプチド自体が、細胞膜を越えて効率的に形質導入することができ、ならびに核へ移行し、その場所で、その腫瘍抑制効果を発揮することが実証された。
【発明の概要】
【0010】
しかしながら、現状技術水準では、癌の治療のための新規の改良された治療アプローチを開発することが依然として必要とされている。
【0011】
第一態様において、本発明は、
i)下記からなる群:
a)配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体、
b)配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体と、当該ポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体の細胞内取り込みを促進する化学的部分とを含むコンジュゲート、
c)a)のポリペプチドまたはb)のコンジュゲートをコードするポリヌクレオチド、
d)c)のポリヌクレオチドを含むベクター、および、
e)a)のポリペプチドまたはb)のコンジュゲートを培地中へと分泌することができる細胞、
から選択される第1成分と、
ii)癌免疫剤である第2成分と
を含む組み合わせ物に関する。
【0012】
第二態様において、本発明は、本発明による組み合わせ物の薬学的有効量と薬学的に許容される賦形剤と含む医薬組成物に関する。
【0013】
第三態様において、本発明は、医薬品における使用のための、本発明による組み合わせ物または本発明による医薬組成物に関する。
【0014】
第四態様において、本発明は、癌の予防および/または治療における使用のための、本発明による組み合わせ物または本発明による医薬組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】Omomycの鼻腔内投与は、腫瘍部位へT細胞を動員する。KRasG12D駆動NSCLCを有するマウスを、4週間にわたって週4回、鼻腔内によりOmomycで治療した。(A)Omomyc投与は、治療開始後早くも1週間で腫瘍部位へのT細胞動員を誘導し、T細胞は、治療の間中、そこに留まった。は、p<0.05を表し;**は、p<0.01を表す。(B)Omomycが、腫瘍へのCD4T細胞の動員を誘導し、特に、PD-1および両方のPD-1Tim-3分子のより高いレベルを示すCD4T細胞を活性化したことを示すFACS分析。Omomycは、T制御性細胞(Tregs)の発現も誘導する。
図2】Omomyc全身投与は、腫瘍部位へT細胞を動員する。Kras/p53変異NSCLC MuH-163細胞系を同系マウスに皮下において接種させた。マウスを、3週間にわたってOmomycで全身的に治療した。Omomycは、それらのビヒクルカウンターパート(B)と比較して、より多くのCDT細胞を腫瘍部位(A)へ動員し、ならびに著しく多いCD4およびCD8T細胞が、PD-1およびTim-3分子の両方を発現する。**は、p<0.01を表す。
図3】抗PD-1と組み合わせたOmomycは、腫瘍へCD4PD-1+Tim-3 T細胞を動員する。KRasG12D駆動NSCLCを有するマウスを、4週間にわたって、鼻腔内によりOmomycで週4回、および腹腔内により抗PD-1(250μg)で週1回治療した。抗PD-1と組み合わせたOmomycは、腫瘍部位へのCD4PD-1Tim-3T細胞の動員を誘導した。
図4】抗PD-1と組み合わせたOmomycは、IFN-γの産生を誘導する。Omomycおよび抗PD-1の併用療法は、腫瘍内CD4(A)およびCD8(B)T細胞によるIFN-γの産生を誘導した。
図5】抗PD-1抗体とのOmomycの組み合わせ物は、健康な肺の割合を相乗効果的に増加させ、腫瘍部位へT細胞を動員する。KRasG12D駆動NSCLCを有するマウスを、鼻腔内によりOmomycで週4回、腹腔内により抗PD-1抗体で週1回治療した。(A)抗PD-1と組み合わせたOmomycで治療した動物は、ビヒクルおよび治療のみと比較して、健康な肺の割合の増加を示した。(B)治療開始時およびエンドポイントに撮影された各実験群からの代表的横方向平面CT画像。暗いエリアは健康な肺に対応し、灰色のエリアは影響を受けた肺に対応する。(C)FACS分析は、組み合わせて投与されたOmomycおよび抗PD-1が、特にCD4T細胞およびTh1/Th17c細胞の、腫瘍部位へのT細胞動員を誘導することを示した。は、p<0.05を表し;**は、p<0.01を表し;***は、p<0.0001を表す。
図6】抗CTLA-4抗体とのOmomycの組み合わせ物は、腫瘍成長を相乗効果的に低下させ、腫瘍部位へ抗腫瘍T細胞を動員する。KRasG12D駆動NSCLCを有するマウスを、鼻腔内によりOmomycで週4回、腹腔内により抗CTLA-4抗体で週1回治療した。(A)抗CTLA-4と組み合わせたOmomycで治療した動物は、ビヒクルおよび治療のみと比較して、腫瘍成長の低下を示した。表は、全ての治療群に対する腫瘍成長の平均を示している。(B)FACS分析は、組み合わせて投与されたOmomycおよび抗CTLA-4が、特に、CD4T細胞のおよびCD8PD-1T細胞の両方の、腫瘍部位へのT細胞動員を誘導することを示した。は、p<0.05を表し;**は、p<0.01を表し;***は、p<0.0001を表す。
図7】抗PD-1抗体とのOmomycの連続併用は、腫瘍部位へ抗腫瘍T細胞を相乗効果的に動員する。KRasG12D駆動NSCLCを有するマウスを、静脈内により4日に1回、10日間にわたってOmomycで治療し、次いで、腹腔内により抗PD-1抗体で週1回治療した。FACS分析は、Omomycおよび、次いで抗PD-1による連続治療が、特に、PD-1およびTim-3分子の両方を発現するCD4T細胞、およびPD-1を発現するTh1/Th17T細胞の腫瘍部位へのT細胞動員を誘導することを示した。は、p<0.05を表し;**は、p<0.01を表す。
図8】抗PD-1抗体とのOmomycの組み合わせ物は、腫瘍部位へT細胞を相乗効果的に動員する。KRasG12D/p53駆動NSCLCを有するマウスを、同時に週に1回、Omomyc(静脈内)および抗PD-1(腹腔内)で治療した。(A)IHC染色は、Omomycおよび抗PD-1の同時治療が、腫瘍部位へT細胞を著しく動員することを示した。(B)FACS分析は、抗PD-1を伴うOmomycによる治療が、腫瘍部位への免疫細胞動員全体を誘導することを示した。は、p<0.05を表し;**は、p<0.01を表した。
図9】CD3、CD4、IL-17、およびIFN-γの高発現は、より高い生存率に相関する。CD3、CD4、IL-17、およびIFN-γの発現を考慮したNSCLC患者の代表的カプラン-マイヤー曲線。グラフの下の表は、上位四分位数の生存を示している。グラフは、カプラン-マイヤープロッターhttp://kmplot.com/analysis/index.php?p=backgroundを用いて行った。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、癌の予防および治療のための新規の治療組み合わせ物の提供に関する。
【0017】
特に明記されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0018】
本発明の態様に関連して開示される全ての実施形態は、他の態様にも適用可能である。
【0019】
本発明の組み合わせ物および医薬組成物
本発明の全ての他の態様と共に当該態様において提供される定義は、本発明全体に対して等しく適用可能である。
【0020】
本発明者らは、Omomycの鼻腔内投与および全身投与が腫瘍部位へT細胞を動員することを実証した(図1および2)。したがって、Omomycは、癌免疫剤と組み合わせた癌の治療において有用であり得る。その上、Omomycと癌免疫剤との組み合わせが、癌の治療において相乗効果を有することが見出された。例えば、Omomycと抗PD-1療法との組み合わせは、ビヒクルおよび抗PD-1のみで治療した両方の群と比較して、腫瘍部位への、PD-1を発現するCD4+T細胞の動員を著しく増加させるが、Tim-3の動員は増加しない。(図3)。さらに、Omomycと抗PD-1療法の組み合わせは、それらのビヒクルカウンターパートと比較して、CD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性腫瘍内T細胞の両方によるインターフェロン-γ(IFN-γ)の産生を著しく誘導し(図4)、そのことは、Omomycで治療した群でも、抗PD-1で治療した群でも観察されなかった。腫瘍部位へのT細胞の動員は、肺癌を患う対象が治療される場合、結果として健康な肺の割合の相乗的増加となる(図5)。この相乗効果は、投与の経路、用量、および投薬計画にかかわらず維持される(図7および8)。Omomycと抗CTLA-4療法との組み合わせが、腫瘍成長を相乗効果的に低下させ、腫瘍部位へ抗腫瘍T細胞を動員することも見出された(図6)。
【0021】
したがって、第一態様において、本発明は、
i)下記からなる群:
a)配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体、
b)配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体と、当該ポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体の細胞内取り込みを促進する化学的部分とを含むコンジュゲート、
c)a)のポリペプチドまたはb)のコンジュゲートをコードするポリヌクレオチド、
d)c)のポリヌクレオチドを含むベクター、および
e)a)のポリペプチドまたはb)のコンジュゲートを培地中へと分泌することができる細胞
から選択される第1成分と、
ii)癌免疫剤である第2成分と
を含む組み合わせ物に関する。
【0022】
本発明によれば、表現「組み合わせ物」は、例えば、単一製剤として製剤化された組成物において、それぞれの成分の別々の製剤から構成された組み合わされた混合物、例えば、組み合わされた調製物として併用使用のために組み合わされ得る「タンクミックス」など、において、ならびに連続方式において、すなわち、数時間または数日などの適度に短い期間において交互に適用される場合の、単一の有効成分の組み合わせ使用において、あるいは、同時投与においての、化合物(i)および(ii)の様々な組み合わせ物を表す。本発明において、化合物(i)は、治療有効量の、配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体を意味するか、または、配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体と当該ポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体の細胞内取り込みを促進する化学的部分とを含むコンジュゲートを意味するか、または、当該ポリペプチドまたは当該コンジュゲートをコードするポリヌクレオチドを意味するか、または、当該ポリヌクレオチドを含むベクターを意味するか、または、当該ポリペプチドまたは当該コンジュゲートを培地中へと分泌することができる細胞を意味する。本発明において、化合物(ii)は、治療有効量の癌免疫剤を意味する。好ましくは、本発明を扱うことにおいて化合物(i)および(ii)を適用する順序は本質的ではない。
【0023】
当該組み合わせ物は、各成分が個別に製剤化またはパッケージされるパーツキット(kit-of-part)であり得る。
【0024】
化合物(i)および(ii)の組み合わせ物は、その同時投与、個別投与、または連続投与のために製剤化することができる。特に、投与が同時でない場合、当該化合物は、互いに近接するタイミング(close time proximity)において投与される。その上、化合物は、同じまたは異なる投薬形態において、または同じまたは異なる投与経路によって投与され、例えば、一方の化合物は、経口投与することができ、他方の化合物は、静脈内投与することができる。好ましくは、化合物(i)は、鼻腔内投与され、化合物(ii)は、全身投与、より好ましくは非経口投与、さらより好ましくは腹腔内投与される。別の実施形態において、化合物(i)は、静脈内投与され、化合物(ii)は、非経口投与、さらにより好ましくは腹腔内投与される。
【0025】
2つの化合物(i)および(ii)の組み合わせ物は、
- 同じ医薬製剤の一部であり、通常、当該2つの化合物が同時に投与される、組み合わせ物として、
- それぞれの物質が他方と共に、同時投与、連続投与、または個別投与の可能を生じさせるような、2つのユニットの組み合わせ物として、投与することができる。
【0026】
特定の実施形態において、本発明の組み合わせ物の化合物(i)は、化合物(ii)とは独立して、すなわち、2つのユニットにおいて、ただし同時に、投与される。
【0027】
別の特定の実施形態において、本発明の組み合わせ物の化合物(i)は、最初に投与され、次いで、化合物(ii)が投与され、すなわち、化合物(ii)は、個別にまたは連続して投与される。
【0028】
さらに別の特定の実施形態において、本発明の組み合わせ物の化合物(ii)が最初に投与され、次いで、化合物(i)が投与され、すなわち、定義されるように、化合物(i)は、個別にまたは連続して投与される。個別に投与される場合、本発明の組み合わせ物の化合物(i)および(ii)は、互いからある期間内に、例えば、互いから1時間以内、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、6時間以内、7時間以内、8時間以内、9時間以内、10時間以内、11時間以内、12時間以内、13時間以内、14時間以内、15時間以内、16時間以内、17時間以内、18時間以内、19時間以内、20時間以内、21時間以内、22時間以内、23時間以内、または24時間以内に、投与することができる。別の実施形態において、本発明の組み合わせ物の化合物(i)および(ii)は、互いから1日以内、2日以内、3日以内、4日以内、5日以内、6日以内、7日以内、8日以内、9日以内、10日以内、11日以内、12日以内、13日以内、14日以内、15日以内、16日以内、17日以内、18日以内、19日以内、20日以内、21日以内、22日以内、23日以内、または24日以内に、好ましくは、互いから1日以内に、より好ましくは互いから10日以内に、投与することができる。好ましい実施形態において、化合物(ii)は、化合物(i)の最初の投与の10日後に投与される。ある実施形態において、第1化合物の投与は、第2化合物の投与を開始する前に中止される。
【0029】
別の態様において、本発明は、本発明の第一態様による第1化合物の相乗効果的有効量と、癌免疫剤とを含む組み合わせ物または医薬組成物に関する。
【0030】
好ましい実施形態において、本発明の化合物(i)は、配列番号1の配列またはその機能的に同等な改変体を含むポリペプチドである。
【0031】
用語「ポリペプチド」および「ペプチド」は、任意の長さのアミノ酸の高分子を意味するために、本明細書において相互互換的に使用される。本発明のポリペプチドは、修飾されたアミノ酸を含むことができ、それは、非アミノ酸を割り込ませることができる。好ましい実施形態において、当該ポリペプチドは、アミノ酸によって排他的に形成される。好ましくは、当該組み合わせ物のアイテム(i)を形成するポリペプチドは、80から500の間のアミノ酸、より好ましくは80から300の間のアミノ酸、より好ましくは80から250の間のアミノ酸、より好ましくは80から150の間のアミノ酸、さらにより好ましくは80から130の間のアミノ酸、好ましくは90から130の間のアミノ酸、好ましくは125以下のアミノ酸、より好ましくは100以下のアミノ酸の長さを有する。好ましい実施形態において、当該ポリペプチドは、90から98の間のアミノ酸、好ましくは90から95の間のアミノ酸、より好ましくは91のアミノ酸の長さを有する。
【0032】
用語「アミノ酸」は、天然に存在するアミノ酸および合成アミノ酸、ならびに天然に存在するアミノ酸と同様の様式において機能するアミノ酸類似物およびアミノ酸模倣物を意味する。その上、用語「アミノ酸」は、D-アミノ酸およびL-アミノ酸(立体異性体)の両方を包含する。好ましくは、当該アミノ酸類は、L-アミノ酸である。
【0033】
用語「天然アミノ酸」または「天然に存在するアミノ酸」は、20の天然に存在するアミノ酸;多くの場合に翻訳後にインビボにおいて修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、ホスホセリン、およびホスホトレオニンなど;ならびに他の異常アミノ酸、例えば、これらに限定されるわけではないが、2-アミノアジピン酸、ヒドロキシリシン、イソデスモシン、ノルバリン、ノルロイシン、およびオルニチンなど、を含む。
【0034】
本明細書において使用される場合、用語「非天然アミノ酸」または「合成アミノ酸」は、位置「a」においてアミノ基で置換され、構造的に天然アミノ酸に関連する、カルボン酸またはその誘導体を意味する。修飾アミノ酸または非一般的アミノ酸の例示的非限定的な例としては、2-アミノアジピン酸、3-アミノアジピン酸、β-アラニン、2-アミノ酪酸、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、2-アミノヘプタン酸、2-アミノイソ酪酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノピメリン酸、2,4-ジアミノ酪酸、デスモシン、2,2’-ジアミノピメリン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸、N-エチルグリシン、N-エチルアスパラギン、ヒドロキシリジン、アロヒドロキシリジン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシプロリン、イソデスモシン、アロイソロイシン、N-メチルグリシン、N-メチルイソロイシン、6-N-メチル-リジン、N-メチルバリン、ノルバリン、ノルロイシン、オルニチンなど、が挙げられる。
【0035】
本発明のポリペプチドは、ペプチドに結合した非アミノ酸部分、例えば、疎水性部分など(様々な直鎖状、分岐鎖状、環式、多環式、または複素環式炭水化物および炭水化物誘導体);分解を減らすために化合物の末端に結合させた様々な保護基、も含み得る。好適な保護官能基は、Green and Wuts, ”Protecting Groups in Organic Synthesis”, John Wiley and Sons, Chapters 5 and 7, 1991に記載される。
【0036】
当該ポリペプチド中に存在する化学(非アミノ酸)基は、様々な生理学的特性、例えば、分解またはクリアランスの減少;様々な細胞ポンプによる反発の減少、改良された投与の様々な様式、特異性の増加、親和性の増加、安定性の増加、バイオアベイラビリティ、溶解性、毒性の減少など、を向上させるために含ませられ得る。
【0037】
「模倣物」は、ペプチド構造の化学構造を模倣しかつ当該ペプチド構造の機能的特性を保持する分子を包含する。ペプチド類似物、誘導体、および模倣物を設計する際のアプローチは、当分野において既知である。
【0038】
ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号1からなるポリペプチド、または配列番号1の機能的に同等な改変体からなるポリペプチドであり、好ましくは配列番号1の配列からなるポリペプチドである。配列番号1は、
TEENVKRRTHNVLERQRRNELKRSFFALRDQIPELENNEKAPKVVILKKATAYILSVQAETQKLISEIDLLRKQNEQLKHKLEQLRNSCA(配列番号1)
に対応する。
【0039】
配列番号1の配列の当該ポリペプチドは、Omomycタンパク質配列に対応する。用語「Omomyc」は、本明細書において使用される場合、E61T、E68I、R74Q、およびR75N変異を有するMycのbHLHZipドメインの変異バージョンからなるポリペプチドである(ここで、当該変異位置の付番は、2015年3月15日リリースの、NCBIデータベースにおけるアクセッション番号NP_002458において定義されるポリペプチドのアミノ酸365~454に対応するMyc領域の配列に関して与えられる)。アクセッション番号NP_002458においてNCBIデータベースで提供されるc-Mycの配列は、下記に示され(配列番号2)、ここで、Omomycが由来する領域は、下線にて示される:
【0040】
Omomycは、配列RQRRNELKRSF(配列番号3)を有する、c-MycのM2ドメインも含み(Dang and Lee, Mol.Cell. Biol., 1988, 8:4048-4054を参照されたい)(上記において二重下線が引かれている)、それらは、核局在化シグナルに対応する。
【0041】
Omomycは、全ての3つの発癌性Mycタンパク質(c-Myc、N-Myc、およびL-Myc)との二量体化能力の増加を示すことにおいて特徴付けられる。Omomycは、結果として腫瘍抑制効果を生じるような変異が保存される限りにおいて、当技術分野において既知の任意のMycタンパク質のbHLHZipドメインに由来し得る。したがって、本発明において使用することができるOmomycは、任意の哺乳動物、例えば、これらに限定されるわけではないが、家畜および農場動物(ウシ、ウマ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ネコ、または齧歯動物)、霊長類、およびヒトなど、に由来し得る。好ましくは、当該Omomycタンパク質は、ヒトMycタンパク質(アクセッション番号NP_002458、2019年3月12日リリース)に由来し得る。
【0042】
用語「Myc」は、本明細書において使用される場合、c-Myc、N-Myc、およびL-Mycを含む転写因子のファミリーを意味する。Mycタンパク質は、コンセンサス配列CACGTG(エンハンサーボックス配列またはE-ボックス、ならびにヒストンアセチル-トランスフェラーゼまたはHATを動員する)での結合によって、多くの遺伝子の発現を活性化する。しかしながら、Mycは、転写抑制因子としても機能することができる。それは、Miz-1転写因子を結合させ、p300コアクティベーターを置き換えることによって、Miz-1標的遺伝子の発現を阻害する。Mycは、DNA複製の制御において、直接的な役割も有する。
【0043】
Myc b-HLH-LZまたはMyc塩基性領域ヘリックス-ループ-ヘリックスロイシンジッパードメインは、Maxタンパク質とのMyc二量体化およびMyc-標的遺伝子への結合を決定する領域を意味する。この領域は、ヒトMycのアミノ酸365~454に対応し、ループによって接続された2つのαヘリックスによって特徴付けられる(Nair, S. K., & Burley, S. K., 2003, Cell, 112: 193-205)。
【0044】
好ましい実施形態において、本発明のポリペプチドは、下記に示される配列番号4を含むか、配列番号4からなるか、配列番号4から実質的になるポリペプチドである。
MTEENVKRRTHNVLERQRRNELKRSFFALRDQIPELENNEKAPKVVILKKATAYILSVQAETQKLISEIDLLRKQNEQLKHKLEQLRNSCA(配列番号4)
【0045】
これに関連して、「から実質的になる」は、指定された分子が、配列番号4の活性化を変更するようなあらゆる追加の配列を含まないことを意味する。
【0046】
好ましくは、当該ポリペプチドは、配列番号4からなる。
【0047】
用語「機能的に同等な改変体」は、1つまたは複数のアミノ酸の挿入または追加および/または1つまたは複数のアミノ酸の欠失および/または配列番号1のポリペプチドに関して1つまたは複数のアミノ酸の保存的置換によって生じる任意のポリペプチド、ならびに/あるいは配列番号1のポリペプチド化学修飾によって生じ、かつ配列番号1の腫瘍抑制活性を実質的に保存する、任意のポリペプチドを意味する。好ましくは、機能的に同等な改変体は、1つまたは複数のアミノ酸の挿入または追加および/または1つまたは複数のアミノ酸の欠失、によって生じる任意のポリペプチド、ならびに/あるいは配列番号1のポリペプチドに関して1つまたは複数のアミノ酸の保存的置換によって生じ、かつ配列番号1の腫瘍抑制活性を実質的に保存する任意のポリペプチド、より好ましくは、配列番号1のポリペプチドに関して1つまたは複数のアミノ酸の挿入または追加によって生じる任意のポリペプチド、を意味する。
【0048】
当業者は、腫瘍抑制活性の保存は、当該改変体が、Mycおよび/またはその必須パートナーp21/p22Maxと二量体を形成し、Myc活性を阻害することができること、それが、細胞膜を越えて移行することができること、ならびにそれが、核エンベロープを越えて移行することができることを必要とすることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、本発明のポリペプチドの機能的に同等な改変体は、Omomycほどホモ二量体化しないか、またはジスルフィド結合の形成によってホモ二量体へと強制されない。特に、本発明のポリペプチドのある特定の実施形態のホモ二量体形態におけるジスルフィドブリッジ形成は、ポリペプチドOmomycにおいてより少ない。
【0049】
「より少ないホモ二量体化」は、本明細書において使用される場合、還元条件下でさえ本発明のポリペプチドのホモ二量体を形成するより低い能力に関する。好ましい実施形態において、当該能力は、Omomycのホモ二量体を形成する能力の少なくとも5%未満、少なくとも10%未満、少なくとも15%未満、少なくとも20%未満、少なくとも25%未満、少なくとも30%未満、少なくとも35%未満、少なくとも40%未満、少なくとも45%未満、少なくとも50%未満、少なくとも55%未満、少なくとも60%未満、少なくとも65%未満、少なくとも70%未満、少なくとも75%未満、少なくとも80%未満、少なくとも85%未満、少なくとも90%未満、少なくとも95%未満である。
【0050】
本明細書において使用される場合、還元条件は、還元剤、すなわち、レドックス化学反応において別の化学種に電子を供与する化合物、の存在に関する。還元剤の例示的非限定的な例は、DTT(ジチオトレイトール)、b-メルカプトエタノール、またはTCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)である。ホモ二量体の量がインビトロにおいて同じであること、および、機能的同等な改変体とOmomycとの間の違いが、ジスルフィドの不在がヘテロ二量体のより高い潜在的形成を可能にするようなヘテロ二量体化パートナーの存在下の細胞にのみ存在すること、は可能である。
【0051】
例示的非限定的な例として、円二色性によってモニターされる熱変性によってペプチドのホモ二量体化を特定するために、いくつかのアッセイが使用され得、そのため、二量体化は、フォールディングおよび熱安定性の定量化によって検出され得る。
【0052】
好適な機能的に同等な改変体は、配列番号1のポリペプチドから実質的になるポリペプチドを含む。これに関連して、「から実質的になる」は、指定された分子が、配列番号1の活性化を変更するようなあらゆる追加の配列を含まないことを意味する。
【0053】
好ましい実施形態において、配列番号1の機能的に同等な改変体は、配列番号1のポリペプチドに関して1つまたは複数のアミノ酸の挿入または追加によって生じるポリペプチドである。ある実施形態において、当該機能的に同等な改変体は、10未満のアミノ酸、より好ましくは5未満のアミノ酸の挿入によって生じ、より好ましくは、1つのアミノ酸の挿入によって生じる。好ましい実施形態において、当該機能的に同等な改変体は、メチオニンである1つのアミノ酸の挿入によって生じる。
【0054】
別の実施形態において、配列番号1の機能的に同等な改変体は、配列番号1のポリペプチドに関して1つまたは複数のアミノ酸の欠失によって生じるポリペプチドである。ある実施形態において、当該機能的に同等な改変体は、10未満のアミノ酸、より好ましくは5未満のアミノ酸の欠失によって生じ、より好ましくは、1つのアミノ酸の欠失によって生じる。
【0055】
ターゲティングペプチドの好適な機能的改変体は、約25%を超えるアミノ酸配列同一性、例えば、25%、30%、40%、50%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性など、の配列番号1のペプチドに関してある程度の同一性を示すものである。2つのポリペプチドの間の同一性の程度は、コンピュータアルゴリズムおよび当業者に広く知られる方法を使用して特定される。好ましくは、2つのアミノ酸配列の間の同一性は、上記で説明したBLASTPアルゴリズム(BLAST Manual, Altschul, S., et al., NCBI NLM NIH Bethesda, Md. 20894, Altschul, S., et al., J. Mol. Biol. 1990;215: 403-410)を使用することによって特定される。好ましい実施形態において、当該配列同一性は、配列番号1のポリペプチドの全長にわたって、または改変体の全長にわたって、またはその両方において、特定される。
【0056】
本発明のポリペプチドの機能的に同等な改変体は、翻訳後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、イソプレニル化、ミリストイル化、タンパク質分解的プロセシングなど、も含み得る。
【0057】
別の実施形態において、ターゲティングペプチドの好適な機能的改変体は、本発明のポリペプチド内の1つまたは複数の位置が、上記において言及したタンパク質に存在するアミノ酸の保存的置換であるアミノ酸を含むものである。「保存的アミノ酸置換」は、あるアミノ酸を同様の構造および/または化学特性を有する別のアミノ酸で置換することによって生じる。例えば、以下の6つの群のそれぞれは、互いに保存的置換であるアミノ酸1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リジン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);および6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。を含む。そのような保存的アミノ酸置換の選択は、当業者の技術内であり、例えば、Dordo et al., (J. Mol. Biol, 1999, 217;721-739)およびTaylor et al., (J. Theor. Biol., 1986, 119:205-218)によって説明されている。
【0058】
Omomycの機能的に同等な改変体が、ヒトc-Myc由来のOmomycに見出される変異E61T、E68I、R74Q、およびR75Nに対応する位置に変異を含むことは理解されるであろう。当該機能的に同等な改変体において変異が生じなければならない位置は、様々なMyc配列の多重配列アラインメントによって特定することができ、ならびにヒトc-Mycに由来するOmomycの配列内の位置61、68、74、および75に対応する位置のアラインメントによって識別することができる。ある実施形態において、Omomycの機能的に同等な改変体は、ヒトc-Myc由来のOmomycに見出される変異E61T、E68I、R74Q、およびR75Nに対応する位置に変異を含む。
【0059】
別の実施形態において、Omomycの機能的に同等な改変体は、Omomycの配列内のE61、E68、R74、およびR75に対応する位置に変異を含み、その場合、E61は、E61AまたはE61Sに変異しており;E68は、E68L、E68M、またはE68Vに変異しており;R74は、R74Nに変異しており;ならびにR75は、R75Qに変異している。
【0060】
多重配列アラインメントは、一度に2つより多い配列を組み入れるための対状配列の拡張である。多重アラインメント法は、所定のクエリーセットにおいて配列の全てを揃える。好ましい多重配列アラインメントプログラム(およびそのアルゴリズム)は、ClustalW、Clusal2W、またはClustalW XXLである(Thompson et al. (1994) Nucleic Acids Res 22:4673-4680を参照されたい)。一度、異なる有機体または改変体由来のc-Mycの配列を、本明細書において説明されるように比較すると(揃えると)、熟練技術者は、Omomycに見出される位置E61T、E68I、R74Q、およびR75Nに対応する各配列内の位置を容易に識別することができ、ならびに、ヒトc-Myc由来のOmomycに見出されるE61T、E68I、R74Q、およびR75Nの変異に対応する変異をOmomyc改変体内に導入することができる。
【0061】
あるポリペプチドをOmomycの機能的に同等な改変体と見なすことができるか否かに対する好適なアッセイとしては、これらに限定されるわけではないが、以下が挙げられる。
- MaxおよびMycと二量体複合体を形成する当該ポリペプチドの能力を測定するアッセイ、例えば、Soucek et al. (Oncogene, 1998, 17: 2463 - 2472)に記載されるようなリポーター遺伝子の発現に基づくアッセイ、ならびにPLA(タンパク質ライゲーションアッセイ)または共免疫沈降法など、
- DNA内のMyc/Max認識部位(CACGTG部位)に結合するポリペプチドの能力を測定するアッセイ、例えば、Soucek et al.(上掲)によって説明される電気泳動移動度シフト解析(EMSA)など、
- Myc誘導トランス活性化を抑制する能力を測定するアッセイ、例えば、Soucek et al.(上掲)によって説明されるようなMyc/Maxに特異的なDNA結合部位の制御下でのレポーター遺伝子の発現に基づくアッセイなど、
- Soucek et al.(上掲)によって説明されるような、Myc腫瘍性遺伝子を発現する細胞の増殖を阻害するポリペプチドの能力に基づくアッセイ、
- Myc誘導アポトーシスを増強するポリペプチドの能力を測定するアッセイ、例えば、Soucek et al.(Oncogene, 1998: 17, 2463 - 2472)によって説明されるアッセイなど。さらに、細胞におけるアポトーシスを評価するための当技術分野において一般的に知られる任意のアッセイ、例えば、Hoechst染色、ヨウ化プロピジウム(PI)またはアネキシンV染色、トリパンブルー、DNAラダー/断片化、およびTUNELなど、を使用することができる。
【0062】
好ましい実施形態において、ポリペプチドは、上記のアッセイの1つまたは複数において、元のOmomycの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%の活性を示す場合、Omomycの機能的に同等な改変体であると考えられる。
【0063】
特定の実施形態において、配列番号1のポリペプチドの機能的に同等な改変体は、配列番号1の位置89における残基Xがシステインではない配列番号1のポリペプチドを含む。好ましくは、配列番号1の位置89における残基Xは、脂肪族アミノ酸、または硫化アミノ酸(sulfured amino acid)、またはジカルボキシルアミノ酸もしくはそのアミド、または2つの塩基性基を有するアミノ酸、または芳香族アミノ酸、または環状アミノ酸、またはヒドロキシル化アミノ酸である。より好ましいのは、セリン、トレオニン、およびアラニンから選択されるアミノ酸であり、好ましくはセリンおよびアラニンから選択されるアミノ酸である。
【0064】
システインではない配列番号の位置89における残基Xを有する好適な配列番号1の機能的に同等な改変体は、下記の表において開示される。
【0065】
【表1】
【0066】
したがって、好ましい実施形態において、配列番号1のポリペプチドの機能的に同等な改変体は、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、および配列番号10からなる群から選択される。
【0067】
さらに、Omomycの機能的に同等な改変体は、当該改変体が細胞に接触した後、当該細胞を形質導入することもできる。Omomycの機能的に同等な改変体は、天然Omomycに見出されるタンパク質形質導入ドメインまたは別の機能性タンパク質形質導入ドメインを含むことは理解されるであろう。
【0068】
好ましい実施形態において、ポリペプチドは、それが、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%、配列番号1と同じ程度に効率的に標的細胞を形質導入することができる場合、配列番号1の機能的に同等な改変体として見なされる。
【0069】
さらに、配列番号1の機能的に同等な改変体は、標的の腫瘍細胞の核へ移行することもできる。
【0070】
好ましい実施形態において、ポリペプチドは、それが、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%、配列番号1と同じ程度に効率的に標的の腫瘍細胞の核へ移行することができる場合、配列番号1の機能的に同等な改変体として見なされる。
【0071】
細胞膜を越えて核へ移行するその能力に関して、あるポリペプチドが配列番号1の機能的に同等な改変体であるか否かを特定するために好適なアッセイとしては、当該ポリペプチドに特異的な試薬と当該細胞の核を特異的に標識する染料(例えば、DAPIまたはヘキスト染料など)とを用いた細胞の二重標識法が挙げられる。本発明のポリペプチドの検出は、共焦点顕微鏡または蛍光顕微鏡によって実施することができる。
【0072】
別の好ましい実施形態において、本発明の化合物(i)は、配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体と当該ポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体の細胞内取り込みを促進する化学的部分とを含むコンジュゲートである。
【0073】
用語「コンジュゲート」は、本明細書において使用される場合、当該コンジュゲートにおいて各化合物の機能が維持されるように互いに共有結合している2つ以上の化合物を意味する。
【0074】
用語「化学的部分」は、少なくとも1つの炭素原子を含む任意の化学化合物を意味する。化学的部分の例としては、これらに限定されるわけではないが、疎水性アミノ酸および疎水性化学的部分が富化された任意のペプチド鎖が挙げられる。
【0075】
好ましい実施形態において、本発明によるコンジュゲートは、当該ポリペプチドまたは当該ポリペプチドの機能的に同等な改変体の細胞内取り込みを促進する、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、またはそれ以上の化学的部分を含む。
【0076】
一実施形態において、当該ポリペプチドの細胞内取り込みを促進する当該化学的部分は、脂質または脂肪酸である。
【0077】
脂肪酸は、一般的に、鎖の末端に酸性部分(例えば、カルボン酸)を有する炭素鎖を含む分子である。脂肪酸の炭素鎖は、任意の長さであってよいが、ただし、当該炭素鎖の長さは、少なくとも2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、またはそれ以上の炭素原子、ならびにこれらの中で導き出せる任意の範囲であることは好ましい。ある特定の実施形態において、当該炭素鎖の長さは、脂肪酸の鎖部分における4個から18個の炭素原子である。ある特定の実施形態において、当該脂肪酸の炭素鎖は、奇数の炭素原子を含み得るが、ただし、ある特定の実施形態においては、当該鎖における偶数の炭素原子が好ましい場合もある。炭素鎖中に単結合のみを含む脂肪酸は、飽和していると呼ばれ、その一方で、炭素鎖中に少なくとも1つの二重結合を含む脂肪酸は、不飽和であると呼ばれる。当該脂肪酸は分岐していてもよいが、本発明の好ましい実施形態において、それは不飽和である。具体的な脂肪酸としては、これらに限定されるわけではないが、リノール酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノレン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、アラキドン酸が挙げられる。
【0078】
好ましい実施形態において、配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体の細胞内取り込みを促進する化学的部分は、細胞膜透過性ペプチド配列であり、その場合、当該コンジュゲートは、配列番号1を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体と細胞膜透過性ペプチド配列とを含む融合タンパク質を含むであろう。
【0079】
用語「融合タンパク質」は、異なるタンパク質に由来する2つ以上の機能的ドメインからなる、遺伝子技術によって生成されたタンパク質に関する。融合タンパク質は、従来の方法、例えば、好適な細胞において当該融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列の遺伝子発現によって、得られ得る。当該細胞膜透過性ペプチドが、配列番号1を含むポリペプチドの一部または配列番号1の機能的に同等な改変体の一部を形成する細胞膜透過性ペプチドとは異なる細胞膜透過性ペプチドを意味することは理解されるであろう。
【0080】
用語「細胞膜透過性ペプチド配列」は、本明細書において、「CPP」、「タンパク質形質導入ドメイン」、または「PTD」と相互互換的に使用される。それは、細胞内のタンパク質の輸送を方向付けする様々な長さのペプチド鎖を意味する。細胞内への送達プロセスは、一般的に、エンドサイトーシスによって引き起こされるが、当該ペプチドは、直接的な膜移行によって細胞内へ内在化させることもできる。CPPは、典型的には、正に帯電したアミノ酸、例えば、リジンまたはアルギニンなど、の高い相対的存在量を含有するか、または極性アミノ酸/帯電したアミノ酸と非極性の疎水性アミノ酸との交互のパターンを含有する配列を有するような、アミノ酸組成物を有する。
【0081】
本発明において使用することができるCPPの例としては、これらに限定されるわけではないが、ショウジョウバエアンテナペディアタンパク質(Drosophila antennapedia protein)(RQIKIWFQNRRMKWKK、配列番号13)に見出されるCCP、単純ヘルペスウイルス1(HSV-1)VP22 DNA結合タンパク質(DAATATRGRSAASRPTERPRAPARSASRPRRPVE、配列番号14)に見出されるCCP、Bac-7(RRIRPRPPRLPRPRPRPLPFPRPG;配列番号15)のCPP、アミノ酸49~57(RKKRRQRRR、配列番号16)、アミノ酸48~60(GRKKRRQRRRTPQ、配列番号17)、アミノ酸47~57(YGRKKRRQRRR;配列番号18)からなるHIV-1 TATタンパク質のCPP;S413-PVペプチド(ALWKTLLKKVLKAPKKKRKV;配列番号19)のCPP、ペネトラチン(RQIKWFQNRRMKWKK;配列番号20)のCPP、SynB1(RGGRLSYSRRRFSTSTGR;配列番号21)のCPP、SynB3(RRLSYSRRRF;配列番号22)のCPP、PTD-4(PIRRRKKLRRLK;配列番号23)のCPP、PTD-5(RRQRRTSKLMKR;配列番号24)のCPP、FHV Coat-(35~49)(RRRRNRTRRNRRRVR;配列番号25)のCPP、BMV Gag-(7~25)(KMTRAQRRAAARRNRWTAR;配列番号26)のCPP、HTLV-II Rex-(4~16)(TRRQRTRRARRNR;配列番号27)のCPP、D-Tat(GRKKRRQRRRPPQ;配列番号28)のCPP、R9-Tat(GRRRRRRRRRPPQ;配列番号29)のCPP、MAP(KLALKLALKLALALKLA;配列番号30)のCPP、SBP(MGLGLHLLVLAAALQGAWSQPKKKRKV;配列番号31)のCPP、FBP(GALFLGWLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV;配列番号32)のCPP、MPG(ac-GALFLGFLGAAGSTMGAWSQPKKKRKV-cya;配列番号33)のCPP、MPG(ENLS)(ac-GALFLGFLGAAGSTMGAWSQPKSKRKV-cya;配列番号34)のCPP、Pep-1(ac-KETWWETWWTEWSQPKKKRKV-cya;配列番号35)のCPP、Pep-2(ac-KETWFETWFTEWSQPKKKRKV-cya;配列番号36)のCPP、構造RN(ここで、Nは、4から17の間である)を有するポリアルギニン配列、GRKKRRQRRR配列(配列番号37)、RRRRRRLR配列(配列番号38)、RRQRRTSKLMKR配列(配列番号-39);トランスポータンGWTLNSAGYLLGKINLKALAALAKKIL(配列番号40);KALAWEAKLAKALAKALAKHLAKALAKALKCEA(配列番号41);RQIKIWFQNRRMKWKK(配列番号42)、YGRKKRRQRRR配列(配列番号43);RKKRRQRR配列(配列番号44);YARAAARQARA配列(配列番号45);THRLPRRRRRR配列(配列番号46);GGRRARRRRRR配列(配列番号47)が挙げられる。
【0082】
好ましい実施形態において、上記細胞膜透過性ペプチドは、配列番号1に含まれる内因性ペプチドではない。
【0083】
好ましい実施形態において、当該CPPは、アミノ酸49~57(RKKRRQRRR、配列番号16)からなるHIV-1 TATタンパク質のCPPである。別の好ましい実施形態において、当該CPPは、GRKKRRQRRR配列(配列番号37)またはRRRRRRLR(配列番号38)である。別の実施形態において、当該CPPは、GRKKRRQRRR配列(配列番号37)またはRRRRRRRR(配列番号65)である。
【0084】
いくつかの実施形態において、CPPは、WO2019/018898に記載されるCPPであり、なお、当該文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0085】
一実施形態において、当該細胞膜透過性ペプチド配列は、本発明のポリペプチドまたは当該ポリペプチド機能的に同等な改変体のN末端において融合される。別の実施形態において、当該細胞膜透過性ペプチドは、本発明のポリペプチドまたは当該ポリペプチド機能的に同等な改変体のC末端において融合される。
【0086】
好ましい実施形態において、本発明による組み合わせ物のコンジュゲートまたは融合タンパク質は、配列番号1のポリペプチドまたは当該ポリペプチド機能的に同等な改変体において見出される自身の細胞膜透過性ペプチドに加えて、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、またはそれ以上の追加の細胞膜透過性ペプチドを含む。
【0087】
本発明の好適な融合タンパク質は、下記において定義されるポリペプチドOmomycTATおよびOmomycLZArgを含む。
【0088】
【表2】
【0089】
したがって、好ましい実施形態において、当該融合タンパク質は、配列番号11および12から選択されるポリペプチドである。
【0090】
コンジュゲートがOmomycの細胞膜移行能力を保存するか否かを特定するための好適なアッセイとしては、これらに限定されるわけではないが、培養において細胞を形質導入する当該コンジュゲートの能力を測定するアッセイが挙げられる。このアッセイは、当該コンジュゲートを培養細胞に接触させて、細胞内位置における当該コンジュゲートの存在を検出することに基づいている。
【0091】
別の好ましい実施形態において、本発明の組み合わせ物のコンジュゲートは、さらに、さらなる核局在化シグナルを含む。
【0092】
用語「核局在化シグナル」(NLS)は、本明細書において使用される場合、タンパク質を核へと方向付けするのに役立つ約4~20のアミノ酸残基の長さのアミノ酸配列を意味する。典型的には、核局在化配列は、塩基性アミノ酸が豊富であり、ならびに例示的配列は、当技術分野において周知である(Gorlich D.(1998)EMBO 5.17:2721-7)。いくつかの実施形態において、当該NLSは、SV40ラージT抗原NLS(PKKKRKV、配列番号48);ヌクレオプラスミンNLS(KRPAATKKAGQAKKKK、配列番号49);CBP80 NLS(RRRHSDENDGGQPHKRRK、配列番号50);HIV-I Revタンパク質NLS(RQARRNRRRWE、配列番号51);HTLV-I Rex(MPKTRRRPRRSQRKRPPT、配列番号52);hnRNP A NLS(NQSSNFGPMKGGNFGGRSSGPYGGGGQYFKPRNQGGY、配列番号53);rpL23a NLS(VHSHKKKKIRTSPTFTTPKTLRLRRQPKYPRKSAPRRNKLDHY、配列番号54)からなる群から選択される。本発明の一実施形態において、当該核局在化シグナルは、モチーフK(K/R)X(K/R)(配列番号55)を含む。
【0093】
さらにより好ましい実施形態において、当該核局在化シグナルは、PKKKRKV(配列番号48)、PAAKRVKLD(配列番号56)、およびKRPAATKKAGQAKKKK(配列番号49)からなる群から選択される。
【0094】
別の好ましい実施形態において、NLSは、配列番号1のポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体を含むコンジュケートまたは融合タンパク質に対するN端またはC末端であり得る。
【0095】
当業者は、本発明のコンジュゲートがさらに、配列番号1を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体と、当該細胞膜透過性ペプチド配列および/またはNLSとを接続する1つまたは複数の柔軟なペプチドを含むことは望ましくあり得ることを理解するであろう。したがって、特定の実施形態において、配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体は、当該細胞膜透過性ペプチド配列に直接接続される。別の特定の実施形態において、配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体は、柔軟なペプチドによって当該細胞膜透過性ペプチド配列に接続される。ある実施形態において、配列番号1を含むポリペプチドまたは機能的なその改変体は、当該NLSに直接接続される。別の実施形態において、配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体は、柔軟なペプチドによって当該NLSに接続される。
【0096】
特定の実施形態において、本発明によるコンジュゲートのポリペプチドは、細胞膜透過性ペプチド配列およびNLSに直接接続される。
【0097】
一実施形態において、当該NLSは、Myc配列に内因的に現れるNLSのうちの1つ例えば、M1ペプチド(PAAKRVKLD、配列番号56)またはM2ペプチド(RQRRNELKRSF、配列番号57)など、である。
【0098】
別の実施形態において、追加のNLSは、配列番号1を含むポリペプチドまたは配列番号1の機能的に同等な改変体において見出される内因性NLSとは異なるNLSを意味する。
【0099】
好ましい実施形態において、本発明によるコンジュゲートまたは融合タンパク質は、本発明のポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体において見出される内因性NLSに加えて、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10のNLSを含む。
【0100】
別の特定の実施形態において、本発明による使用のためのコンジュゲートのポリペプチドは、第1柔軟なペプチドリンカーによって細胞膜透過性ペプチド配列に、ならびに第2柔軟なペプチドリンカーによってNLSに接続される。
【0101】
本明細書において使用される場合、用語「柔軟なペプチド」、「スペーサーペプチド」、または「リンカーペプチド」は、2つのタンパク質または部分に共有結合させるが、どちらのポリペプチドの一部ではなく、当該タンパク質または当該部分のどちらの機能に対しても実質的な有害効果を生じることなく、他方に対して一方の動きを許容する、ペプチドを意味する。したがって、当該柔軟なリンカーは、ポリペプチド配列の腫瘍追跡活性、細胞膜透過性ペプチドの細胞膜透過活性、またはNLSの核局在化能力に影響を及ぼさない。
【0102】
当該柔軟なペプチドは、少なくとも1のアミノ酸、少なくとも2のアミノ酸、少なくとも3のアミノ酸、少なくとも4のアミノ酸、少なくとも5のアミノ酸、少なくとも6のアミノ酸、少なくとも7のアミノ酸、少なくとも8のアミノ酸、少なくとも9のアミノ酸、少なくとも10のアミノ酸、少なくとも12のアミノ酸、少なくとも14のアミノ酸、少なくとも16のアミノ酸、少なくとも18のアミノ酸、少なくとも20のアミノ酸、少なくとも25のアミノ酸、少なくとも30のアミノ酸、少なくとも35のアミノ酸、少なくとも40のアミノ酸、少なくとも45のアミノ酸、少なくとも50のアミノ酸、少なくとも60のアミノ酸、少なくとも70のアミノ酸、少なくとも80のアミノ酸、少なくとも90のアミノ酸、または約100のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態において、当該柔軟なペプチドは、タンパク質の溶解性を増加させるため、および/またはその活性を向上させるために、他方のタンパク質に対して一方のたんぱく質の動きを可能にするであろう。好適なリンカー領域としては、ポリグリシン領域、グリシン残基とプロリン残基とアラニン残基との組み合わせのGPRRRR配列(配列番号58)が挙げられる。
【0103】
特定の実施形態において、本発明によるコンジュゲートは、当該コンジュゲートに結合したタグ、あるいは当該ポリペプチドまたは融合タンパク質またはその改変体のC末端ドメインまたはN末端ドメインに結合したタグを含む。概して、当該タグは、当該融合タンパク質の単離または精製において使用することができるペプチドまたはアミノ酸配列である。したがって、当該タグは、1つまたは複数のリガンド、例えば、高親和性のクロマトグラフィ支持体またはビーズなどのアフィニティーマトリックスの1つまたは複数のリガンドに結合することができる。当該タグの例は、高親和性を有するニッケル(Ni2+)またはコバルト(Co2+)のカラムに結合することができる、ヒスチジンタグ(HisタグまたはHT)、例えば、ヒスチジンの6つの残基を含むタグ(His6またはH6)など、である。Hisタグは、ほとんどのタンパク質へと変性し、ほとんどのタンパク質-タンパク質相互作用を崩壊させるような条件下においてそのリガンドに結合することができるという、望ましい特徴を有する。したがって、それは、おとりタンパク質が参加しているタンパク質-タンパク質相互作用の崩壊の後に、H6でタグ付けされた当該おとりタンパク質を除去するために使用することができる。
【0104】
コンジュゲートまたは配列番号1を含むポリペプチドまたはその改変体または融合タンパク質を単離または精製するために有用なタグの追加の例示的非限定的な例としては、Argタグ、FLAGタグ(DYKDDDDK;配列番号59)、Strepタグ(WSHPQFEK、配列番号60)、抗体が認識することができるエピトープ、例えば、c-mycタグ(抗c-myc抗体によって認識される)、HAタグ(YPYDVPDYA、配列番号61)、V5タグ(GKPIPNPLLGLDST、配列番号62)、SBPタグ、Sタグ、カルモジュリン結合ペプチド、セルロース結合ドメイン、キチン結合ドメイン、グルタチオンS-トランスフェラーゼタグ、マルトース結合タンパク質、NusA、TrxA、DsbA、Avi-タグなど(Terpe K., Appl. Microbiol. Biotechnol. 2003, 60:523-525)、AHGHRP(配列番号63)またはPIHDHDHPHLVIHSGMTCXXC(配列番号64)などのアミノ酸配列、βガラクトシダーゼなどが挙げられる。
【0105】
当該タグは、所望の場合、上記融合タンパク質の単離または精製のために使用することができる。
【0106】
別の好ましい実施形態において、本発明の化合物(i)は、上記において開示されたポリペプチドまたは融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドである。好ましい実施形態において、本発明の化合物(i)は、配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体をコードするポリヌクレオチドである。別の実施形態において、本発明の化合物(i)は、配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体と、当該ポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体の細胞内取り込みを促進する化学的部分とを含むコンジュゲートをコードするポリヌクレオチドであり、より好ましくは、配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体と、細胞膜透過性ペプチド配列との間の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドである。
【0107】
用語「ポリヌクレオチド」、「核酸」、および「核酸分子」は、任意の長さのヌクレオチドの重合形態を意味するために、相互互換的に使用される。ポリヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/またはそれらの類似物を含有し得る。ヌクレオチドは、任意の三次元構造を有し得、ならびに既知または未知の任意の機能を実行し得る。用語「ポリヌクレオチド」は、例えば、1本鎖分子、二本鎖分子、および三重ヘリックス状分子、遺伝子または遺伝子断片、エキソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐鎖状ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、単離された任意の配列のDNA、単離された任意の配列のRNA、核酸プローブ、およびプライマーを包含する。本発明の核酸分子は、天然核酸分子に加えて、改変された核酸分子も含み得る。本明細書において使用される場合、mRNAは、細胞において翻訳され得るRNAを意味する。
【0108】
好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、mRNAである。
【0109】
mRNAは、化学的に合成することができ、インビトロ転写によって得ることもでき、または標的細胞においてインビボで合成することもできる。本発明のコンジュゲートまたは融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを形成するヌクレオチド配列は、それらの発現にとっての正しい同じリーディングフレームに存する。
【0110】
好ましい実施形態において、本発明の組み合わせ物の成分(i)は、配列番号1の配列からなるポリペプチドまたは配列番号1の機能的に同等な改変体からなるポリペプチドまたは配列番号4からなるポリペプチド、をコードするmRNAである。
【0111】
別の実施形態において、本発明の組み合わせ物の成分(i)は、本発明のポリヌクレオチドを含むベクターである。
【0112】
用語「ベクター」は、本明細書において使用される場合、細胞において配列を転写および翻訳した後に、本発明のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドが生成されるように必要な配列を含む核酸配列を意味する。当該配列は、目的の宿主細胞において自己複製を提供する追加のセグメントに作動可能に連結される。好ましくは、当該ベクターは、宿主細胞における自己複製の領域に加えて、本発明の核酸に作動可能に連結された領域を含むベクターとして定義され、ならびに本発明による核酸の産物の発現を増強することができる、発現ベクターである。本発明のベクターは、当技術分野において広く知られる技術によって得ることができる。
【0113】
ベクターの例としては、これらに限定されるわけではないが、ウイルスベクター、裸の(naked)DNAまたはRNA発現ベクター、プラスミド、コスミドまたはファージベクター、カチオン性縮合剤に関連するDNAまたはRNA発現ベクター、リポソームに封入されたDNAまたはRNA発現ベクター、ならびにある特定の真核細胞、例えば、
プロデューサー細胞など、が挙げられる。本発明のポリヌクレオチドを含む好適なベクターは、原核生物における発現ベクター、例えば、pUC18、pUC19、pBluescriptおよびその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCRl、RP4、ファージおよび「シャトル」ベクター、例えば、pSA3およびpAT28など、酵母における発現ベクター、例えば、2ミクロンプラスミドタイプのベクター、インテグレーションプラスミド(integration plasmid)、YEPベクター、動原体性プラスミドおよび同様のものなど、昆虫細胞における発現ベクター、例えば、pACシリーズおよびpVLシリーズのベクターなど、植物における発現ベクター、例えば、シリーズpIBI、pEarleyGate、pAVA、pCAMBIA、pGSA、pGWB、pMDC、pMY、pOREのベクターおよび同様のものなど、ならびにウイルスベクターに基づく優れた真核細胞における発現ベクター(アデノウイルス、アデノウイルスに関連付けられたウイルス、ならびにレトロウイルス、特に、レンチウイルス)、ならびに非ウイルス性ベクター、例えば、pSilencer4.1-CMV(アンビオン)、pcDNA3、pcDNA3.1/hyg、pHCMV/Zeo、pCR3.1、pEFl/His、pIND/GS、pRc/HCMV2、pSV40/Zeo2、pTRACER-HCMV、pUB6/V5-His、pVAXl、pZeoSV2、pCI、pSVL、pKSV-10、pBPV-1、pML2d、およびpTDT1など、に由来するベクターである。好ましい実施形態において、本発明のポリヌクレオチドは、pEGFPもしくはpBabeレトロウイルスベクターおよびpTRIPZもしくはpSLIKレンチウイルスベクターからなる群から選択されるベクターに含まれる。
【0114】
本発明のベクターは、当該ベクターによって形質転換、トランスフェクト、または感染させることができる細胞を形質転換、トランスフェクト、または感染させるために使用され得る。当該細胞は、原核細胞または真核細胞であり得る。
【0115】
好ましくは、当該ベクターは、本発明のポリヌクレオチドの発現を調節する配列に操作的に結合した本発明のポリヌクレオチドを含む。本発明における使用の調節配列は、核プロモーターであり得るか、あるいは、エンハンサー配列および/または異種核酸配列の発現を増加させる他の制御配列であり得る。原則として、本発明において任意のプロモーターを使用することができるが、ただし、当該プロモーターが、ポリヌクレオチドが発現されるべき細胞と適合性である場合に限る。したがって、本発明を実現するために好適なプロモーターとしては、必ずしもこれらに限定されるわけではないが、構成プロモーター、例えば、真核生物ウイルスゲノムの誘導体など、例えば、ポリオーマウイルス、アデノウイルス、SV40、CMV、トリ肉腫ウイルス、B型肝炎ウイルスなど、メタロチオネイン遺伝子プロモーター、ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子プロモーター、レトロウイルスのLTR領域、免疫グロブリン遺伝子プロモーター、アクチン遺伝子プロモーター、EF-1α遺伝子プロモーター、ならびにタンパク質の発現が、分子または外因性シグナルの追加に依存する誘導性プロモーター、例えば、テトラサイクリン系、NFκB/UV光系、Cre/Lox系、およびヒートショック遺伝子プロモーターなど、WO2006/135436に記載される調節可能なRNAポリメラーゼIIプロモーター、および組織特異的プロモーターが挙げられる。
【0116】
別の実施形態において、本発明の組み合わせ物の成分(i)は、本発明のポリペプチドまたは本発明のコンジュゲート、好ましくは本発明のポリペプチド、または本発明の融合タンパク質を培地中に分泌することができる細胞である。
【0117】
本発明のポリペプチドを分泌することができる好適な細胞としては、これらに限定されるわけではないが、心筋細胞、脂肪細胞、内皮細胞、上皮細胞、リンパ球(B細胞およびT細胞)、マスト細胞、好酸球、血管内膜細胞、異なる臓器の単離細胞、好ましくはランゲルハンス島から単離された細胞、の初代培養、肝細胞、白血球、例えば、単核白血球など、間葉、臍帯、または成人(皮膚、肺、腎臓、および肝臓の)、破骨細胞、軟骨細胞、および他の結合組織細胞、が挙げられる。確立された細胞株の細胞、例えば、JurkatT細胞、NIH-3T3、CHO、Cos、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、293、3T3細胞、C2C12筋芽細胞、およびW138細胞も好適である。当業者は、本発明のポリペプチドを培地中へと分泌することができる細胞は、当該細胞が患者におけるより有用な人生を過ごすように、微小粒子またはマイクロカプセルを形成することが見出され得ることを理解するであろう。本発明の微小粒子オブジェクトの形成にとって好適な材料としては、治療薬の連続分泌を可能にし、かつ当該細胞の支持体として機能する、任意の生態的合成高分子材料が挙げられる。したがって、当該生体適合性高分子材料は、例えば、熱可塑性ポリマーまたはヒドロゲルポリマーであり得る。熱可塑性ポリマーのうち、本発明者らは、アクリル酸、アクリルアミド、2-アミノエチルメタクリレート、ポリ(テトラフルオロエチレン-コヘキサフルオロプロピレン)、メタクリル酸-(7-クマロキシ)エチルエステル酸、N-イソプロピルアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリアミドアミン、ポリ(アミノ)-p-キシリレン、ポリ(クロロエチルビニルエーテル)、ポリカプロラクトン、ポリ(カプロラクトン-コ-トリメチレンカーボネート)、ポリ(カーボネート尿素)ウレタン、ポリ(カーボネート)ウレタン、ポリエチレン、ポリエチレンおよびアクリルアミドコポリマー、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(4-ヒドロキシブチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(N-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(乳酸グリコール酸)、ポリ(L-乳酸)、ポリ(γ-メチル、L-グルタミン酸)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポポリ(プロピレンフマレート)、ポリ(プロピレンオキシド)、ポリピロール、ポリスチレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、超高分子量のポリエチレン、6-(p-ビニルベンズアミド)-ヘキサン酸N-p-ビニルベンジル-D-マロンアミド、および2つ以上の当該ポリマーを含むコポリマーを有する。ヒドロゲルタイプのポリマーのうち、本発明者らは、アルギン酸塩、アガロース、コラーゲン、デンプン、ヒアルロン酸、ウシ血清アルブミン、セルロースおよびその誘導体、ペクチン、コンドロイチン硫酸、フィブリンおよびフィブロインの天然材料、ならびに合成ヒドロゲル、例えば、セファロース(登録商標)およびセファデックス(登録商標)など、を有する。
【0118】
本発明の組み合わせ物の化合物(ii)は、癌免疫剤である。
【0119】
本明細書において使用される場合、用語「癌免疫剤」は、対象における免疫反応を高め、刺激し、および/または上方調節するのに有効な薬剤を意味する。いくつかの実施形態において、本発明の組み合わせ物の化合物(i)を伴う癌免疫剤の投与は、癌の治療において相乗効果を有する。
【0120】
癌免疫剤は、例えば、小分子薬、抗体、または生体分子もしくは小分子であり得る。生物学的癌免疫剤の例としては、これらに限定されるわけではないが、癌ワクチン、抗体、およびサイトカインが挙げられる。いくつかの実施形態において、抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、モノクローナル抗体は、ヒト化抗体またはヒト抗体である。
【0121】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、サイトカインである。
【0122】
「サイトカイン」は、免疫反応を調節する目的のために免疫系の細胞を合成する、異なるサイズおよび分子量のペプチドとして理解され、ならびにそれらは、ホルモン、増殖因子、懐死因子、ケモカインなどであり得る。それらは、自然起源のものであり得、または組換え細胞培養および天然配列サイトカインの生物学的に活性な同等物に由来し得る。例示的サイトカインは、T細胞活性化を阻害するサイトカイン、例えば、IL-6、IL-10、TGF-β、VEGF、および他の免疫抑制サイトカイン;または免疫反応を刺激するためにT細胞活性化を刺激するサイトカインであり得る。抗体とのそれらのコンジュゲーションは、免疫サイトカインをもたらす。いくつかの実施形態において、サイトカインは、組換えヒトインターロイキン15(rhIL-15)、組換えヒトインターロイキン12(rhIL-12)例えば、IL-NM12(Neumedicines Inc.)またはヘテロ二量体IL-15(hetIL-15、Novartis/Admune)など、可溶性IL-15結合タンパク質IL-15受容体α鎖(IL15:sIL-15RA)に複合体化された内因性IL-15の合成形態で構成される融合複合体である。
【0123】
別の実施形態において、当該サイトカインは、IL2、IL7、IL12、IL15、IL21、IL1、IL3、IL4、IL5、IL6、IL8、CXCL8、IL9、II、10、ILII、IL13、IL14、IL16、IL17、IL18、IL19、IL20、IL22、IL23、IL25、IL26、IL27、IL28、IL29、IL30、11,31、1L32、IL33、11,35、IL36、GM-CSF、IFN-γ、IL-1α/IL-lFl、IL-1β/IL-lF2、IL-12p70、IL-12/IL-35p35、IL-13、IL-17/1L-17A、IL-17A/Fヘテロ二量体、IL-17F、IL-18/IL-1F4、1L-23、IL-24、IL-32、TL-32β、IL-32γ、iL-33、LAP(TGF-β1)、リンホトキシン-α/TNF-β、TGF-β、TNF-α、TRANCE/TNFSFl l/RANK L、およびそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0124】
好ましい実施形態において、当該癌免疫剤は、サイトカインではない。したがって、好ましい実施形態において、サイトカインは、本発明の範囲から除外される。好ましくは、本発明の範囲から除外されるサイトカインは、TNF因子α、INF-γ、GM-GSF因子、およびIL-2である。
【0125】
別の好ましい実施形態において、サイトカインは、組み合わせ物の成分(i)が(i) (a)または(i)(b)である場合にのみ、本発明の範囲から除外される。したがって、ある実施形態において、組み合わせ物の成分(i)が、配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体あるいは配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体と当該ポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体の細胞内取り込みを促進する化学的部分とを含むコンジュゲートである場合、当該癌免疫剤は、サイトカインではなく、好ましくは、TNF因子α、INF-γ、GM-GSF因子、およびIL-2からなる群から選択されるサイトカインではない。
【0126】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、(i)刺激性(共刺激性を含む)受容体のアゴニスト、または(ii)T細胞上の阻害性(共阻害性を含む)シグナルのアンタゴニストであり、両方とも、結果として、抗原特異的T細胞反応を増幅する。
【0127】
ある特定の刺激性および阻害性分子は、免疫グロブリンスーパーファミリー(IgSF)のメンバーである。共刺激性または共阻害性受容体に結合する膜結合リガンドの重要なファミリーの1つは、B7ファミリーであり、これは、B7-1、B7-2、B7-H1(PD-L1)、B7-DC(PD-L2)、B7-H2(ICOS-L)、B7-H3、B7-H4、B7-H5(VISTA)、およびB7-H6を含む。
【0128】
共刺激性または共阻害性受容体に結合する膜結合リガンドの別のファミリーは、同族TNF受容体ファミリーメンバーに結合する分子のTNFファミリーであり、それらは、CD40およびCD40L、OX-40、OX-40L、CD70、CD27L、CD30、CD30L、4-1BBL、CD137(4-1BB)、TRAIL/Apo2-L、TRAILR1/DR4、TRAILR2/DR5、TRAILR3、TRAILR4、OPG、RANK、RANKL、TWEAKR/Fn14、TWEAK、BAFFR、EDAR、XEDAR、TACI、APRIL、BCMA、LTR、LIGHT、DcR3、HVEM、VEGI/TL1A、TRAMP/DR3、EDAR、EDA1、XEDAR、EDA2、TNFR1、リンホトキシンα/TNFβ、TNFR2、TNFα、LTβR、リンホトキシンα1β2、FAS、FASL、RELT、DR6、TROY、NGFRを含む。
【0129】
いくつかの実施形態において、本発明の化合物(i)と癌免疫剤との組み合わせ物は、T細胞反応を刺激することができる。いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、(i)T細胞活性化を阻害するタンパク質のアンタゴニスト(例えば、免疫チェックポイント阻害剤)、例えば、CTLA-4、PD-1、PD-L1、PD-L2、LAG-3、TIM-3、ガレクチン9、CEACAM-1、BTLA、CD69、ガレクチン-1、TIGIT、CD113、GPR56、VISTA、2B4、CD48、GARP、PD1H、LAIR1、TIM-1、およびTIM-4など;または(ii)T細胞活性化を刺激するタンパク質のアゴニスト、例えば、B7-1、B7-2、CD28、4-1BB(CD137)、4-1BBL、ICOS、ICOS-L、OX40、OX40L、GITR、GITRL、CD70、CD27、CD40、DR3、およびCD28Hなど、である。
【0130】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、NK細胞上の阻害性受容体のアンタゴニストまたはNK細胞上の活性化受容体のアゴニストである。いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、KIRのアンタゴニスト、例えば、リリルマブなど、である。
【0131】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、マクロファージまたは単球を阻害するかまたは枯渇させる薬剤であり、そのようなものとしては、これらに限定されるわけではないが、CSF-1Rアンタゴニスト、例えば、RG7155(WO11/70024、WO11/107553、WO11/131407、WO13/87699、WO13/119716、WO13/132044)またはFPA-008(WO11/140249;WO13169264;WO14/036357)を含むCSF-1Rアンタゴニスト抗体など、が挙げられる。
【0132】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、ポジティブ共刺激受容体をリゲートする作動剤(agonistic agent)、阻害性受容体によるシグナル伝達を弱める遮断剤、アンタゴニスト、および抗腫瘍T細胞の頻度を全身的に増加させる1種または複数種の薬剤、腫瘍の微小環境内の異なる免疫抑制経路に打ち勝つ(例えば、阻害性受容体連結(例えば、PD-L1/PD-1相互作用)を遮断する、Tregを枯渇または阻害する(例えば、抗CD25モノクローナル抗体(例えば、ダクリズマブ)を使用して、またはエクスビボ抗CD25ビーズ枯渇によって)、IDOなどの代謝酵素を阻害する、あるいはT細胞エネルギーまたは消耗を逆にする/予防する)薬剤、ならびに腫瘍部位での生来の免疫活性化および/または炎症を引き起こす薬剤から選択される。
【0133】
用語「細胞傷害性Tリンパ関連タンパク質4」(「CTLA-4」と略され、分化抗原群152(CD152)としても知られる)は、本明細書で使用される場合、免疫チェックポイントとして機能するタンパク質受容体を意味する。CTLA-4は、活性化されたT細胞によって発現され、かつT細胞へと阻害シグナルを伝達する、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。CTLA-4は、T細胞共刺激性タンパク質CD28と同族であり、ならびに両方の分子は、抗原提示細胞上のそれぞれB7-1およびB7-2と呼ばれるCD80およびCD86に結合する。CTLA-4 は、CD28より強い親和性および結合力によってCD80およびCD86を結合し、その結果、それらがそのリガンドのためにCD28を打ち負かすことを可能にする。CTLA-4は、阻害シグナルをT細胞へと伝達し、その一方で、CD28は、刺激シグナルを伝達する。CTLA-4は、制御性T細胞(Tregs)にも見出され、ならびにそれらの阻害機能に貢献する。T細胞受容体およびCD28によるT細胞活性化は、CTLA-4の発現の増加をもたらす。CTLA-4タンパク質は、ヒトにおいてCTLA-4遺伝子によってコードされる(Ensembl ref:ENSG00000163599)。通常、T細胞活性化の後、CTLA- 4は、それが様々なメカニズム、例えば、そのリガンドB7のためにCD28を打ち負かすことよって、およびさらにT細胞サイクル停止を誘導することによって共刺激を防ぐことなど、によってT細胞機能を下方調節するように機能する細胞膜上において上方調節される(Postow et al (2015) J. Clinical oncology, Vol. 33, pages 1974-1983; Pardoll, D. et al (2012), Nature Reviews Cancer 12, 252-264)。
【0134】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、CTLA-4アンタゴニストである。用語「CTLA-4アンタゴニスト」は、本明細書において使用される場合、制限なしに、CTLA-4とその配位子B7-1および/またはB7-2との結合を遮断する任意の化学化合物または薬剤または生物学的分子を意味する。本発明との関連において、対象(例えば、ヒト個体)が、CTLA-4アンタゴニスト(例えば、CTLA-4抗体)で治療されている場合、当該CTLA-4アンタゴニストは、(ヒト)B7-1および/またはB7-2への(ヒト)CTLA-4の結合を遮断することは理解されよう。
【0135】
癌の治療における臨床用途のために現在考えられるCTLA-4アンタゴニスト化合物の非限定的な例としては、CTLA-4に対するアンタゴニスト抗体が挙げられる。
【0136】
いくつかの実施形態において、CTLA-4アンタゴニストは、CTLA-4アンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態において、CTLA-4アンタゴニスト抗体は、YERVOY(イピリムマブ)またはトレメリムマブである。
【0137】
CTLA-4アンタゴニストの他の非限定的な例としては、CTLA-4に特異的に結合することができ、B7-1および/またはB7-2へのその結合を遮断する化合物である、イムノアドヘシン(融合タンパク質としても知られる)が挙げられる。
【0138】
用語「プログラム死-1(PD-1)」受容体は、本明細書において使用される場合、CD28ファミリーに属する免疫阻害性受容体を意味する。ヒトにおいて、PD-1は、PDCD1遺伝子によってコードされる。PD-1は、インビボにおいて、以前に活性化されたT細胞上において支配的に発現され、2つのリガンドPD-L1およびPD-L2に結合する。用語「PD-1」は、本明細書において使用される場合、ヒトPD-1(hPD-1)、改変体、イソ体、およびhPD-1の同族の種ならびにhPD-1を有する少なくとも1つの共通のエピトープを有する類似物を包含する。完全なhPD-1配列は、GENBANKアクセッション番号U64863において見出すことができる。PD-1は、免疫細胞、例えば、活性化T細胞(エフェクターT細胞を含む)、B細胞、骨髄系細胞、胸腺細胞、およびナチュラルキラー(NK)細胞など、において発現される(Suya Dai et al., (2014) Cellular Immunology, Vol:290, pages 72-79; Gianchecchi et al., (2013), Autoimmun. Rev. 12 1091-1 100)。
【0139】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、PD-1アンタゴニストである。用語「PD-1アンタゴニスト」は、本明細書において使用される場合、制限なしに、免疫細胞(T細胞、B細胞、またはNKT細胞)上に発現したPD-1への、癌細胞上に発現したPD-L1の結合を遮断し、および/またはPD-1を発現した免疫細胞への、癌細胞上に発現したPD-L2の結合を遮断する、任意の化学化合物または薬剤または生物学的分子(例えば、抗体)を意味する。本発明との関連において、対象(例えば、ヒト個体)が、PD-1アンタゴニスト(例えば、PD-1抗体)で治療されている場合、当該PD-1アンタゴニストは、(ヒト)PD-1への(ヒト)PD-L1の結合を遮断するか、または(ヒト)PD-1への(ヒト)PD-L2の結合を遮断し、好ましくは、(ヒト)PD-1への(ヒト)PD-L1およびPD-L2の両方の結合を遮断する。ヒトPD-1アミノ酸配列は、NCBI Locus No.:NP_005009に見出すことができる。ヒトPD-L1およびPD-L2アミノ酸配列は、それぞれ、NCBI Locus No.:NP_054862およびNP_079515に見出すことができる。
【0140】
PD-1アンタゴニストの非限定的な例は、PD-1に対する抗体(PD-1抗体または抗PD-1抗体と呼ばれる)、例えば、PD-1モノクローナル抗体(mAb)、またはその抗原結合性断片など、であり、それらは、PD-1に特異的に結合し、好ましくは、ヒトPD-1に特異的に結合する。mAbは、ヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体であり得、ならびにヒト定常領域を含み得る。PD-1アンタゴニスト化合物の非限定的な例としては、PD1抗体、例えば、ニボルマブ(Opdivo(登録商標)、Bristol-Myers Squibb)、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標)、Merck)、BGB-A317、および他のもの、例えば、PDR001(Novartis)など、が挙げられる。PD-1アンタゴニストの他の非限定的な例としては、ピジリズマブ(Cure Tech)、AMP-224(GlaxoSmithKline)、AMP-514(GlaxoSmithKline)、PDR001(Novartis)、およびセミプリマブ(Regeneron and Sanofi)が挙げられる。さらなるPD-1アンタゴニストとしては、US8008449、US7521051、およびUS8354509に記載される任意の抗PD-1抗体も挙げられる。
【0141】
PD-1アンタゴニストの他の非限定的な例としては、PD-1特異的に結合することができ、PD-L1へのその結合を遮断する化合物である、イムノアドヘシン(融合タンパク質としても知られる)が挙げられる。PD-1に特異的に結合するイムノアドヘシン分子の例は、WO2010/027827、US2016/0304969、およびWO2011/066342に記載される。例えば、本発明においてPD-1アンタゴニストとして使用され得る融合タンパク質の非限定的な例は、AMP-224(PD-1リガンドプログラム細胞死リガンド2(PD-L2、B7-DC)の細胞外ドメインとヒト免疫グロブリン(Ig)G1のFc領域とで構成される組換えB7-DC Fc融合タンパク質である)である。
【0142】
用語「抗体」(例えば、PD-1抗体およびCTLA-4抗体)は、本明細書において使用される場合、所望の生物学的活性または結合活性を示す(例えば、上記において説明されるように、そのリガンドへのPD-1の結合を遮断するか、またはそのリガンドへのCTLA-4の結合を遮断する)抗体の任意の形態およびその断片を意味する。したがって、それは、最も広い意味で使用され、明確に、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)およびその断片、ポリクローナル抗体およびその断片、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)およびその断片、ヒト化された完全ヒト抗体およびその断片、キメラ抗体およびその断片、ならびにラクダ化シングルドメイン抗体およびその断片を網羅するが、これらに限定されるわけではない。
【0143】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、プログラム死-1(PD-1)受容体に特異的に結合してPD-1活性を阻害する抗体またはその抗原結合性部分である。いくつかの実施形態において、PD-1アンタゴニストは、PD1アンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態において、PD1アンタゴニスト抗体は、OPDIVO(ニボルマブ)、KEYTRUDA(ペンブロリズマブ)、またはMEDI-0680(AMP-514;WO2012/145493)である。いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、ピディリズマブ(CT-011)であり得る。いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、AMP-224と呼ばれる、IgG1のFc部分に融合したPD-L2(B7-DC)の細胞外ドメインで構成される組換えタンパク質である。
【0144】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、PD-L1アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、PD-L1アンタゴニストは、PD-L1アンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態において、PD-L1抗体は、MPDL3280A(RG7446; WO2010/077634)、デュルバルマブ(MEDI4736)、BMS-936559(WO2007/005874)、およびMSB0010718C(WO2013/79174)である。
【0145】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、LAG-3アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、LAG-3アンタゴニストは、LAG-3アンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態において、LAG-3アンタゴニスト抗体は、BMS-986016(WO10/19570、WO14/08218)、またはIMP-731またはIMP-321(WO08/132601、WO009/44273)である。
【0146】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、CD137(4-1BB)アゴニストである。いくつかの実施形態において、CD137(4-1BB)アゴニストは、CD137アゴニスト抗体である。いくつかの実施形態において、CD137抗体は、ウレルマブまたはPF-05082566(WO12/32433)である。
【0147】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、GITRアゴニストである。いくつかの実施形態において、GITRアゴニストは、GITRアゴニスト抗体である。いくつかの実施形態において、GITR抗体は、BMS-986153、BMS-986156、TRX-518(WO006/105021、WO009/009116)、またはMK-4166(WO11/028683)である。
【0148】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、インドールアミン(2,3)-ジオキシゲナーゼ(IDO)アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、(IDO)アンタゴニストは、エパカドスタット(INCB024360、Incyte);インドキシモド(NLG-8189、NewLink Genetics Corporation);カプマチニブ(capmanitib)(INC280、Novartis);GDC-0919(Genentech/Roche);PF-06840003(Pfizer);BMS:F001287(Bristol-Myers Squibb);Phy906/KD108(Phytoceutica);キヌレニンを破壊する酵素(キヌレニナーゼ(KYNase)、Kyn Therapeutics);およびNLG-919(WO09/73620、WO009/1156652、WO11/56652、WO12/142237)から選択される。
【0149】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、OX40アゴニストである。いくつかの実施形態において、OX40アゴニストは、OX40アゴニスト抗体である。いくつかの実施形態において、OX40抗体は、MEDI-6383またはMEDI-6469である。
【0150】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、OX40Lアンタゴニストである。いくつかの実施形態において、OX40Lアンタゴニストは、OX40Lアンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態において、OX40Lアンタゴニストは、RG-7888(WO06/029879)である。
【0151】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、CD40アゴニストである。いくつかの実施形態において、CD40アゴニストは、CD40アゴニスト抗体である。いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、CD40アンタゴニストである。いくつかの実施形態において、CD40アンタゴニストは、CD40アンタゴニスト抗体である。いくつかの実施形態において、CD40抗体は、ルカツムマブまたはダセツズマブである。
【0152】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、CD27アゴニストである。いくつかの実施形態において、CD27アゴニストは、CD27アゴニスト抗体である。いくつかの実施形態において、CD27抗体は、ヴァルリルマブである。
【0153】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、MGA271(B7H3に対する)(WO11/109400)である。
【0154】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、アバゴボマブ、アデカツムマブ、アフツズマブ、アレムツズマブ、アナツモマブマフェナトキス、アポリズマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、ブリナツモマブ、BMS-936559、カツマキソマブ、デュルバルマブ、エパカドスタット、エプラツズマブ、インドキシモド、イノツズマブオゾガマイシン、インテツムマブ、イピリムマブ、イサツキシマブ、ランブロリズマブ、MED14736、MPDL3280A、ニボルマブ、オビヌツズマブ、オカラツズマブ、オファツムマブ、オララツマブ、ペンブロリズマブ、ピジリズマブ、リツキシマブ、チシリムマブ、サマリズマブ、またはトレメリムマブである。
【0155】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、免疫刺激薬である。例えば、PD-1およびPD-L1阻害軸を遮断する抗体は、活性化された腫瘍反応性T細胞を解き放つことができ、ならびに慣習的に免疫療法感応性であると考えられてきたいくつかの腫瘍タイプを含む、腫瘍組織構造の数が増加する中において継続的な抗腫瘍反応を誘導することが臨床治験において示されている。抗PD-1抗体ニボルマブ(Opdivo(登録商標)、Bristol-Myers Squibb、ONO-4538、MDX1106、およびBMS-936558としても知られる)は、以前の抗血管新生療法の際または後に疾患進行を経験しているRCCを有する患者の全生存を向上させる可能性を示している。
【0156】
いくつかの実施形態において、免疫調節治療薬は、特に、腫瘍細胞のアポトーシスを誘導する。本発明において使用され得る承認された免疫調節治療薬としては、ポマリドミド(Pomalyst(登録商標)、Celgene);レナリドマイド(Revlimid(登録商標)、Celgene);インゲノールメブテート(Picato(登録商標)、LEOPharma)が挙げられる。
【0157】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、癌ワクチンである。いくつかの実施形態において、当該癌ワクチンは、シプロイセルT(Provenge(登録商標)、Dendreon/Valeant Pharmaceuticals)およびタリモジーン・ラハーパレプベック(Imlygic(登録商標)、BioVex/Amgen、以前にT-VECとして知られる)から選択される。いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、腫瘍溶解性ウイルス療法、例えば、ペキサスチモジンデバシレプベク(PexaVec/JX-594, SillaJen/以前はJennerex Biotherapeutics)、ペラレオレップ(pelareorep)(Reolysin(登録商標)、Oncolytics Biotech)、エナデノツシレフ(NG-348、PsiOxus、以前はColoAd1として知られる)、 ONCOS-102(Targovax/以前はOncos)など、β-ガラクトシダーゼ(β-gal))/β-グルコロニダーゼ(β-glucoronidase)および/またはβ--gal/ヒトヨウ化ナトリウムシンポーター(hNIS)を発現するように操作されたワクシニアウイルス、例えば、GL-ONC1(GLV-1h68/GLV-1h153、Genelux GmbH)およびCG0070(Cold Genesys)などのGM-CSFを発現するように操作されたアデノウイルスなど、から選択される。
【0158】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、JX-929(SillaJen/以前はJennerex Biotherapeutics)、TG01およびTG02(Targovax/以前はOncos)、TILT-123(TILT Biotherapeutics)、およびVSV-GP(ViraTherapeutics)から選択される。
【0159】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作されたT細胞である。そのようなキメラ抗原受容体を発現するように操作されたT細胞は、CAR-T細胞と呼ばれる。CARは、細胞表面抗原に対して特異的なモノクローナル抗体に由来し、T細胞受容体(TCR)の機能的末端であるエンドドメイン、例えば、Tリンパ球において活性化シグナルを生成することができる、TCRからのCD3-ζシグナル伝達ドメインなど、に融合した、単鎖可変断片(scFv)とからなるように構成されている。抗原結合に関して、そのようなCARは、エフェクター細胞において内因性シグナル伝達経路に結合し、ならびにTCR複合体によって開始されるのと同様の活性化シグナルを生成する。
【0160】
例えば、いくつかの実施形態において、CAR-T細胞は、抗原結合性ドメイン(例えば、CD19に結合するドメインなど)を有する細胞外ドメインを含むように操作されたCAR-T細胞を開示するUS8,906,682(June;参照によりその全体が本明細書に組み入れられる)に記載されるものの1つであって、T細胞抗原受容体複合体ζ鎖(例えば、CD3ζ)の細胞内シグナル伝達ドメインに融合するものである。T細胞において発現する場合、当該CARは、抗原結合特異性に基づいて抗原認識を再度方向付けすることができる。CD19の場合、当該抗原は、悪性B細胞において発現される。様々な指標において、CAR-Tを用いた200を超える臨床治験が、現在進行している[https://clinicaltrials.gov/ct2/results?term=chimeric+antigen+receptors&pg=1]。
【0161】
いくつかの実施形態において、免疫刺激薬は、レチノイン酸受容体関連オーファン受容体γ(RORγt)のアクティベーターである。RORγtは、CD4+(Th17)およびCD8+(TC17)T細胞のタイプ17エフェクターサブセットの分化および維持において、ならびにNK細胞などの生来の免疫細胞サブ集団を発現するIL-17の分化において、重要な役割を有する転写因子である。いくつかの実施形態において、RORγtのアクティベーターは、固形腫瘍の治療に対して臨床治験(NCT02929862)において現在評価中であるLYC-55716(Lycera)である。
【0162】
いくつかの実施形態において、免疫刺激薬は、トール様受容体(TLR)のアゴニストまたはアクティベーターである。TLRの好適なアクティベーターとしては、TLR9のアゴニストまたはアクティベーター、例えば、SD-101(Dynavax)など、が挙げられる。本発明において使用され得るTLR9のアゴニストまたはアクティベーターとしては、モトリモド(VTX-2337、VentiRx Pharmaceuticals)が挙げられる。
【0163】
本発明において使用され得る他の癌免疫剤としては、ウレルマブ(BMS-663513、Bristol-Myers Squibb)、抗CD137モノクローナル抗体;ヴァルリルマブ(CDX-1127、Celldex Therapeutics)、抗CD27モノクローナル抗体;BMS-986178(Bristol-Myers Squibb)、抗OX40モノクローナル抗体;リリルマブ(IPH2102/BMS-986015、Innate Pharma、Bristol-Myers Squibb)、抗KIRモノクローナル抗体;モナリズマブ(monalizumab)(IPH2201、Innate Pharma, AstraZeneca)、抗NKG2Aモノクローナル抗体;アンデカリキシマブ(GS-5745、Gilead Sciences)、抗MMP9抗体;MK-4166(Merck & Co.)、抗GITRモノクローナル抗体が挙げられる。
【0164】
いくつかの実施形態において、免疫刺激薬は、エロツズマブ、ミファムルチド、トール様受容体のアゴニストまたはアクティベーター、およびRORγtのアクティベーターから選択される。
【0165】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、Jerry L. Adams et al., ”Big opportunities for small molecules in immuno-oncology,” Cancer Therapy 2015, Vol. 14, pages 603-622に記載されるものから選択され、なお、当該文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、Jerry L. Adams et al.の表1に記載される実施例から選択される。いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、Jerry L. Adams et al.の表2に一覧されるものから選択される癌免疫剤を標的とする小分子である。いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、Jerry L. Adams et al.の表2に一覧されるものから選択される小分子薬である。
【0166】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、Peter L. Toogood, ”Small molecule immuno-oncology therapeutic agents,” Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2018, Vol. 28, pages 319-329に記載される小分子癌免疫剤から選択され、なお、当該文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、Peter L. Toogoodに記載されるような経路を標的にする薬剤である。
【0167】
いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、Sandra L. Ross et al., ”Bispecific T cell engager (BiTE(登録商標)) antibody constructs can mediate bystander tumor cell killing”, PLoS ONE 12(8):e0183390に記載されるものから選択され、なお、当該文献の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、二重特異性T細胞誘導(BiTE(登録商標))抗体コンストラクトである。いくつかの実施形態において、二重特異性T細胞誘導(BiTE(登録商標))抗体コンストラクトは、CD19/CD3二重特異性抗体コンストラクトである。いくつかの実施形態において、二重特異性T細胞誘導(BiTE(登録商標))抗体コンストラクトは、EGFR/CD3二重特異性抗体コンストラクトである。いくつかの実施形態において、二重特異性T細胞誘導(BiTE(登録商標))抗体コンストラクトは、T細胞を活性化する。いくつかの実施形態において、二重特異性T細胞誘導(BiTE(登録商標))抗体コンストラクトは、T細胞を活性化し、それらは、バイスタンダー細胞上での細胞間接着分子1(ICAM-1)およびFASの上方調節を誘導するサイトカインを放出する。いくつかの実施形態において、二重特異性T細胞誘導(BiTE(登録商標))抗体コンストラクトは、結果としてバイスタンダー細胞の溶解を誘導するT細胞を活性化する。いくつかの実施形態において、バイスタンダー細胞は、固形腫瘍に存する。いくつかの実施形態において、溶解されるバイスタンダー細胞は、BiTE(登録商標)活性化T細胞の近くに存する。いくつかの実施形態において、バイスタンダー細胞は、腫瘍関連抗原(TAA)ネガティブ癌細胞を含む。いくつかの実施形態において、バイスタンダー細胞は、EGFRネガティブ癌細胞を含む。いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、PD-L1/PD1軸および/またはCTLA4を遮断する抗体である。いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、エクスビボ拡大腫瘍浸潤性T細胞である。いくつかの実施形態において、癌免疫剤は、T細胞を腫瘍関連表面抗原(TAA)と直接接続する、二重特異性抗体コンストラクトまたはキメラ抗原受容器(CAR)である。
【0168】
別の実施形態において、本発明の組み合わせ物の癌免疫剤は、T細胞活性化を阻害するタンパク質のアンタゴニストまたは免疫チェックポイント阻害剤である。
【0169】
用語「チェックポイント阻害剤」は、本明細書において使用される場合、癌細胞が患者の免疫系を避けるのを防ぐことにおいて有用な薬剤に関する。抗腫瘍免疫破壊の主要なメカニズムの1つは、阻害受容体の上方調節につながる抗原への慢性曝露の結果として生じる、「T細胞の疲弊」として知られている。これらの阻害受容体は、非制御の免疫反応を防ぐために、免疫チェックポイントとしての機能を果たす。
【0170】
PD-1および共阻害受容体、例えば、細胞傷害性Tリンパ抗原4(CTLA-4)、Bリンパ球およびTリンパ球アテニュエーター(BTLA;CD272)、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン-33(Tim-3)、リンパ球活性化遺伝子-3(Lag-3;CD223)、および他のものなど、は、多くの場合、チェックポイントレギュレーターと呼ばれる。それらは、細胞外情報によって細胞周期の進行および他の細胞内シグナル伝達プロセスが継続するべきか否かを決定することを可能にする分子「ゲートキーパー」として機能する。
【0171】
いくつかの実施形態において、免疫のチェックポイント阻害剤は、PD-1に結合する抗体である。PD-1は、プログラム細胞死1受容体(PD-1)に結合することにより、当該受容体が阻害リガンドPDL-1に結合するのを防ぎ、その結果、宿主抗腫瘍免疫反応を抑制する腫瘍の能力を無効にする。
【0172】
一態様において、チェックポイント阻害剤は、生物学的治療薬または小分子である。別の態様において、チェックポイント阻害剤は、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体、融合タンパク質、またはそれらの組み合わせである。さらなる態様において、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4、PDLl、PDL2、PDl、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、CGEN-15049、CHK1、CHK2、A2aR、B-7ファミリーリガンド、またはそれらの組み合わせから選択されるチェックポイントタンパク質を阻害する。追加の態様において、チェックポイント阻害剤は、CTLA-4,PDLl、PDL2,PDl、B7-H3,B7-H4,BTLA、HVEM、TIM3,GAL9,LAG3,VISTA、KIR、2B4,CD160,CGEN-15049,CHK1,CHK2,A2aR、B-7ファミリーリガンド、またはそれらの組み合わせから選択されるチェックポイントタンパク質のリガンドと相互作用する。ある態様において、チェックポイント阻害剤は、免疫刺激薬、T細胞増殖因子、インターロイキン、抗体、ワクチン、またはそれらの組み合わせである。さらなる態様において、インターロイキンは、IL-7またはIL-15である。特定の態様において、インターロイキンは、グリコシル化IL-7である。追加の態様において、ワクチンは、樹枝状細胞(DC)ワクチンである。
【0173】
チェックポイント阻害剤は、免疫系の阻害経路を統計的に有意な方式において遮断または阻害する任意の薬剤を含む。そのような阻害剤は、小分子阻害剤を含み得るか、または免疫チェックポイント受容体に結合してそれを遮断または阻害する抗体またはその抗原結合性断片、または免疫チェックポイントリガンドに結合してそれを遮断または阻害する抗体を含み得る。遮断または阻害の標的にされ得る例示的チェックポイント分子としては、これらに限定されるわけではないが、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、B7-H3、B7-H4、BTLA、HVEM、GAL9、LAG3、TIM3、VISTA、KIR、2B4(分子のCD2ファミリーに属し、全てのNK細胞、γδ細胞、および記憶CD8+(αβ)細胞において発現される)、CD160(BY55とも呼ばれる)、CGEN-15049、CHK1、およびCHK2キナーゼ、A2aR、ならびに様々なB7ファミリーリガンドが挙げられる。B7ファミリーリガンドとしては、これらに限定されるわけではないが、B7-1、B7-2、B7-DC、B7-H1、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H5、B7-H6およびB7-H7が挙げられる。チェックポイント阻害剤としては、CTLA-4、PDL1、PDL2、PD1、BTLA、HVEM、TIM3、GAL9、LAG3、VISTA、KIR、2B4、CD160、およびCGEN-15049のうちの1つまたは複数に結合して、その活性を遮断または阻害する、抗体またはその抗原結合性断片、他の結合タンパク質、生物学的治療薬、または、小分子が挙げられる。例示的免疫チェックポイント阻害剤としては、トレメリムマブ(CTLA-4ブロッキング抗体)、抗OX40、PD-Llモノクローナル抗体(抗B7-Hl;MEDI4736)、MK-3475(PD-1遮断薬)、ニボルマブ(抗PDl抗体)、CT-011(抗PDl抗体)、BY55モノクローナル抗体、AMP224(抗PDLl抗体)、BMS-936559(抗PDLl抗体)、MPLDL3280A(抗PDLl抗体)、MSB0010718C(抗PDLl抗体)、およびイピリムマブ(抗CTLA-4チェックポイント阻害剤)が挙げられる。チェックポイントタンパク質リガンドとしては、これらに限定されるわけではないが、PD-Ll、PD-L2、B7-H3、B7-H4、CD28、CD86、およびTIM-3が挙げられる。
【0174】
ある特定の実施形態において、免疫のチェックポイント阻害剤は、PD-1アンタゴニスト、PD-L1アンタゴニスト、およびCTLA-4アンタゴニストから選択される。いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(Opdivo(登録商標))、イピリムマブ(Yervoy(登録商標))、およびペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ニボルマブ(抗PD-1抗体、Opdivo(登録商標)、Bristol-Myers Squibb);ペンブロリズマブ(抗PD-1抗体、Keytruda(登録商標)、Merck);イピリムマブ(抗CTLA-4抗体、Yervoy(登録商標)、Bristol-Myers Squibb);デュルバルマブ(抗PD-L1抗体、Imfinzi(登録商標)、AstraZeneca); およびアテゾリズマブ(抗PD-L1抗体、Tecentriq(登録商標)、Genentech)から選択される。
【0175】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ランブロリズマブ(MK-3475)、ニボルマブ(BMS-936558)、ピジリズマブ(CT-011)、AMP-224、MDX-1105、MEDI4736、MPDL3280A、BMS-936559、イピリムマブ、イピリムマブ、IPH2101、ペンブロリズマブ(Keytruda(登録商標))、およびトレメリムマブからなる群から選択される。
【0176】
いくつかの実施形態において、免疫のチェックポイント阻害剤は、基底細胞腺癌(NCT03132636)の患者において試験された抗PD-1抗体であるREGN2810(Regeneron);NSCLC(NCT03088540);皮膚扁扁平上皮癌(NCT02760498);リンパ腫(NCT02651662);および黒色腫(NCT03002376);CT-011としても知られ、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫および多発性骨髄腫に対する臨床治験中の、PD-1に結合する抗体であるピジリズマブ(CureTech);MSB0010718Cとしても知られ、非小細胞肺癌、メルケル細胞癌、中皮腫、固形腫瘍、腎癌、卵巣癌、膀胱癌、頭部および頸部癌、および胃癌に対する臨床治験中の、完全ヒトIgG1抗PD-L1抗体であるアベルマブ(Bavencio(登録商標)、Pfizer/Merck KGaA);あるいは、非小細胞肺癌、黒色腫、三重陰性乳癌および進行型、または転移固形腫瘍に対する臨床治験中の、PD-1に結合する阻害抗体であるPDR001(Novartis)、である。トレメリムマブ(CP-675,206;Astrazeneca)は、いくつかの適応症、例えば、中皮腫、結直腸癌、腎癌、乳癌、肺癌および非小細胞肺癌、膵管腺癌、膵癌、生殖細胞癌腫、頭頚部の扁平上皮癌、肝細胞癌、前立腺癌、子宮内膜癌、肝臓の転移癌、肝臓癌、大細胞型B細胞リンパ腫、卵巣癌、子宮頸癌、転移性甲状腺未分化癌、尿路上皮性癌腫、卵管癌、多発性骨髄腫、膀胱癌、軟部組織肉腫、および黒色腫など、に対して臨床治験において研究されているCTLA-4に対する完全ヒトモノクローナル抗体である。AGEN-1884(Agenus)は、進行固形腫瘍(NCT02694822)に対するフェーズ1臨床治験において研究されている抗CTLA4抗体である。
【0177】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、タンパク質3(TIM-3)を含むT細胞免疫グロブリンムチンの阻害剤である。本発明において使用され得るTIM-3阻害剤としては、TSR-022、LY3321367、およびMBG453が挙げられる。TSR-022(Tesaro)は、固形腫瘍(NCT02817633)において研究されている抗TIM-3抗体である。LY3321367(Eli Lilly)は、固形腫瘍(NCT03099109)において研究されている抗TIM-3抗体である。MBG453(Novartis)は、進行悪性腫瘍(NCT02608268)において研究されている抗TIM-3抗体である。
【0178】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、ある特定のT細胞およびNK細胞上の免疫受容体である、IgおよびITIMドメインを有するT細胞免疫受容体TIGIT、の阻害剤である。本発明において使用され得るTIGIT阻害剤としては、BMS-986207(Bristol-Myers Squibb)、抗TIGITモノクローナル抗体(NCT02913313);OMP-313M32(Oncomed);および抗TIGITモノクローナル抗体(NCT03119428)が挙げられる。
【0179】
いくつかの実施形態において、チェックポイント阻害剤は、リンパ球活性化遺伝子-3(Lag-3)の阻害剤である。本発明において使用され得るLAG-3阻害剤としては、BMS-986016およびREGN3767およびIMP321が挙げられる。抗LAG-3抗体であるBMS-986016(Bristol-Myers Squibb)は、グリア芽腫および神経膠肉腫(NCT02658981)において研究されている。REGN3767(Regeneron)も抗LAG-3抗体であり、悪性腫瘍(NCT03005782)において研究されている。IMP321(Immutep S.A.)は、黒色腫(NCT02676869);腺癌(NCT02614833);および転移性乳癌(NCT00349934)において研究されているLAG-3-Ig融合タンパク質、である。
【0180】
本発明において使用され得るチェックポイント阻害剤としては、OX40アゴニストが挙げられる。臨床治験において研究されているOX40アゴニストとしては、転移性腎癌(NCT03092856)および進行癌腫および新生物(NCT02554812;NCT05082566)における抗OX40アゴニスト抗体であるPF-04518600/PF-8600(Pfizer);フェーズ1癌治験(NCT02528357)における抗OX40アゴニスト抗体であるGSK3174998(Merck);進行固形腫瘍(NCT02318394およびNCT02705482)における抗OX40アゴニスト抗体であるMEDI0562(Medimmune/AstraZeneca);結直腸癌(NCT02559024)、乳癌(NCT01862900)、頭部および頸部癌(NCT02274155)、および転移性前立腺癌(NCT01303705)の患者における抗OX40アゴニスト抗体であるMEDI6469(Medimmune/AstraZeneca);ならびに進行癌(NCT02737475)における抗OX40アゴニスト抗体であるBMS-986178(Bristol-Myers Squibb)が挙げられる。
【0181】
本発明において使用され得るチェックポイント阻害剤としては、CD137(4-1BBとも呼ばれる)アゴニストが挙げられる。臨床治験において研究されているCD137アゴニストとしては、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(NCT02951156)および進行癌および新生物(NCT02554812およびNCT05082566)における抗CD137アゴニスト抗体であるウトミルマブ(PF-05082566、Pfizer);黒色腫および皮膚癌(NCT02652455)およびグリア芽腫および神経膠肉腫(NCT02658981)における抗CD137アゴニスト抗体であるウレルマブ(BMS-663513、Bristol-Myers Squibb)が挙げられる。
【0182】
本発明において使用され得るチェックポイント阻害剤としては、CD27アゴニストが挙げられる。臨床治験において研究されているCD27アゴニストとしては、扁平細胞頭部および頸部癌、卵巣癌腫、結直腸癌、腎細胞癌、およびグリア芽腫(NCT02335918)における抗CD27アゴニスト抗体であるヴァルリルマブ(CDX-1127、Celldex Therapeutics);リンパ腫(NCT01460134);および神経膠腫および星状細胞腫(NCT02924038)が挙げられる。
【0183】
本発明において使用され得るチェックポイント阻害剤としては、グルココルチコイド誘導腫瘍壊死因子受容体(GITR)アゴニストが挙げられる。臨床治験において研究されているGITRアゴニストとしては、悪性黒色腫および他の悪性固形腫瘍(NCT01239134およびNCT02628574)における抗GITRアゴニスト抗体であるTRX518(Leap Therapeutics);固形腫瘍およびリンパ腫(NCT 02740270)における抗GITRアゴニスト抗体であるGWN323(Novartis);進行癌(NCT02697591およびNCT03126110)における抗GITRアゴニスト抗体であるINCAGN01876(Incyte/Agenus);固形腫瘍(NCT02132754)における抗GITRアゴニスト抗体であるMK-4166(Merck)、ならびに進行固形腫瘍(NCT02583165)における、ヒトIgG1Fcドメインを有するアゴニスト六量体GITR-リガンド分子であるMEDI1873(Medimmune/AstraZeneca)が挙げられる。
【0184】
本発明において使用され得るチェックポイント阻害剤としては、誘導性T細胞共同刺激因子(ICOS、CD278としても知られる)アゴニストが挙げられる。臨床治験において研究されているICOSアゴニストとしては、リンパ腫(NCT02520791)における抗ICOSアゴニスト抗体であるMEDI-570(Medimmune);フェーズ1(NCT02723955)における抗ICOSアゴニスト抗体であるGSK3359609(Merck);フェーズ1(NCT02904226)における抗ICOSアゴニスト抗体であるJTX-2011(Jounce Therapeutics)が挙げられる。
【0185】
本発明において使用され得るチェックポイント阻害剤としては、キラーIgG様受容体(KIR)阻害剤が挙げられる。臨床治験において研究されているKIR阻害剤としては、白血病(NCT01687387、NCT02399917、NCT02481297、NCT02599649)、多発性骨髄腫(NCT02252263)、およびリンパ腫(NCT01592370)における抗KIR抗体であるリリルマブ(IPH2102/BMS-986015、Innate Pharma/Bristol-Myers Squibb);骨髄腫(NCT01222286およびNCT01217203)におけるIPH2101(1-7F9、Innate Pharma);ならびにリンパ腫(NCT02593045)における長い細胞質尾部(KIR3DL2)の3つのドメインに結合する抗KIR抗体であるIPH4102(Innate Pharma)が挙げられる。
【0186】
本発明において使用され得るチェックポイント阻害剤としては、CD47とシグナル制御タンパク質α(SIRPa)との間の相互作用のCD47阻害剤が挙げられる。臨床治験において研究されているCD47/SIRPa阻害剤としては、フェーズ1(NCT03013218)における、CD47に結合しかつCD47/SIRPa媒介シグナル伝達を防ぐ(SIRPa)のアンタゴニスト改変体であるALX-148(Alexo Therapeutics);SIRPaのN末端CD47結合ドメインをヒトIgG1のFcドメインに連結することによって作製され、ヒトCD47を結合させ、それがその「食べるな」という信号をマクロファージに送達するのを防ぐことによって活動し、フェーズ1(NCT02890368およびNCT02663518)の臨床治験中である、可溶性組換え融合タンパク質であるTTI-621(SIRPa-Fc, Trillium Therapeutics);白血病(NCT02641002)における抗CD47抗体であるCC-90002(Celgene);ならびに結腸直腸新生物および固形腫瘍(NCT02953782)、急性骨髄白血病(NCT02678338)、およびリンパ腫(NCT02953509)におけるHu5F9-G4(Forty Seven, Inc.)、が挙げられる。好ましい実施形態において、チェックポイント阻害剤は、CD47阻害剤である。
【0187】
本発明において使用され得るチェックポイント阻害剤としては、CD73阻害剤が挙げられる。臨床治験において研究されているCD73阻害剤としては、固形腫瘍(NCT02503774)における抗CD73抗体であるMEDI9447(Medimmune);および固形腫瘍(NCT02754141)における抗CD73抗体であるBMS-986179(Bristol-Myers Squibb)が挙げられる。
【0188】
本発明において使用され得るチェックポイント阻害剤としては、インターフェロン遺伝子タンパク質(STING、膜貫通タンパク質173、またはTMEM173としても知られる)の刺激物質のアゴニストが挙げられる。臨床治験において研究されているSTINGのアゴニストとしては、リンパ腫(NCT03010176)におけるアゴニスト合成環状ジヌクレオチドであるMK-1454(Merck);およびフェーズ1(NCT02675439およびNCT03172936)におけるアゴニスト合成環状ジヌクレオチドであるADU-S100(MIW815、Aduro Biotech/Novartis)が挙げられる。
【0189】
本発明において使用され得るチェックポイント阻害剤としては、CSF1R阻害剤が挙げられる。臨床治験において研究されているCSF1R阻害剤としては、結直腸癌、膵癌、転移性癌および進行癌(NCT02777710)および黒色腫、非小細胞肺癌、扁平細胞頭部および頸部癌、消化管間葉系腫瘍(GIST)および卵巣癌(NCT02452424)におけるCSF1R小分子阻害剤であるペキシダルチニブ(PLX3397、Plexxikon);および膵癌(NCT03153410)、黒色腫(NCT03101254)、および固形腫瘍(NCT02718911)における抗CSF-1R抗体であるIMC-CS4(LY3022855、Lilly);および進行固形腫瘍(NCT02829723)におけるCSF1Rの経口的に利用可能な阻害剤であるBLZ945(4-[2((1R,2R)-2-ヒドロキシシクロヘキシルアミノ)-ベンゾチアゾール-6-イルオキシル]-ピリジン-2-カルボン酸メチルアミド、Novartis)が挙げられる。
【0190】
本発明において使用され得るチェックポイント阻害剤としては、NKG2A受容体阻害剤が挙げられる。臨床治験において研究されているNKG2A受容体阻害剤としては、頭部および頸部新生物(NCT02643550)および慢性リンパ球性白血病(NCT02557516)における抗NKG2A抗体であるモナリズマブ(monalizumab)(IPH2201、InnatePharma)が挙げられる。
【0191】
いくつかの実施形態において、当該免疫のチェックポイント阻害剤は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、イピリムマブ、アベルマブ、デュルバルマブ、アテゾリズマブ、またはピジリズマブから選択される。
【0192】
好ましい実施形態において、T細胞活性化を阻害するタンパク質のアンタゴニストは、抗PD-1および抗CTLA-4から選択される。
【0193】
好ましい実施形態において、当該癌免疫剤は、CTLA-4アンタゴニスト、好ましくはCTLA-4抗体、より好ましくはイピリムマブまたはトレメリムマブである。
【0194】
より好ましい実施形態において、T細胞活性化を阻害するタンパク質のアンタゴニストは、抗PD-1である。好ましい実施形態において、当該抗PD-1は、抗体またはその抗原結合性部分、好ましくは、OPDIVO(ニボルマブ)、KEYTRUDA(ペンブロリズマブ)、MEDI-0680(AMP-514;WO2012/145493)、およびピディリズマブ(CT-011)からなる群から選択される抗体である。別の好ましい実施形態において、当該抗PD-1は、AMP-224と呼ばれる、IgG1のFc部分に融合したPD-L2(B7-DC)の細胞外ドメインで構成される組換えタンパク質である。
【0195】
ある実施形態において、本発明の組み合わせ物は、本発明の組み合わせ物の成分(i)および成分(ii)の間のコンジュゲートであり、特に、配列番号1の配列を含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体と癌免疫剤との間のコンジュゲートである。
【0196】
いくつかの実施形態において、成分(i)と(ii)との間のコンジュゲートは、切断不可能なリンカーによって介される。いくつかの実施形態において、成分(i)と(ii)との間のコンジュゲートは、切断可能なリンカーによって介される。例示的切断不可能なリンカーおよび切断可能なリンカーは、US8088387、US8142784、WO2013075048、US6630579、US8512707、US9120854、US9023351、US20160095938、US9446146、WO2005009369、US5773001、US6214345、US10111954、US8153768、US7829531、US20160082119、WO2018218004、US8568728、WO2015057699、US20170182181、US9198979に記載され、なお、当該文献のそれぞれの内容は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0197】
別の態様において、本発明は、薬学的に許容される賦形剤と一緒に本発明の組み合わせ物の薬学的有効量を含む医薬組成物に関する。
【0198】
本発明において使用される場合、表現「医薬組成物」は、所定の用量の1種または複数種の治療的に有用な薬剤を、細胞、細胞群、臓器、組織、または細胞分裂が非制御である動物、例えば、癌など、に投与するために適合されている製剤に関する。
【0199】
本発明の医薬組成物は、本発明による組み合わせ物の薬学的有効量と薬学的に活性な担体とを含有する。本発明の医薬組成物は、配列番号1の配列を含むポリペプチド、その機能的に同等な改変体、本発明によるコンジュゲート、当該ポリペプチドまたは当該コンジュゲートをコードするポリヌクレオチド、当該ポリヌクレオチドを含むベクターまたは当該ポリペプチドもしくは当該コンジュゲートを培地中へと分泌することができる細胞と、癌免疫剤とを含む。本発明による医薬組成物での使用のための、配列番号1のポリペプチドの好適な機能的に同等な改変体、好適なコンジュゲート、融合タンパク質、ポリヌクレオチド、ベクター、または細胞は、上記において定義されるとおりである。
【0200】
表現「薬学的に有効な量」は、本明細書で使用される場合、治療効果を提供することができる量として理解され、一般的に使用される手段により当業者によって決定することができる。Omomycポリペプチド、その機能的に同等な改変体、当該コンジュゲート、融合タンパク質、ポリヌクレオチド、ベクター、細胞、または本発明による医薬組成物において組み合わせられ得る癌免疫剤、の量は、対象および投与の特定の様式に応じて変わるであろう。当業者は、投与量は、Goodman and Goldman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, Ninth Edition (1996), Appendix II, pp. 1707-1711およびGoodman and Goldman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, Tenth Edition (2001), Appendix II, pp. 475-493のガイダンスによっても決定され得ることを理解するであろう。
【0201】
当該医薬組成物内の有効成分の適切な投与量は、治療される癌のタイプ、疾患の重篤度および経過、当該組成物が予防目的で投与されるのか、それとも治療目的で投与されるのか、薬歴、患者の病歴および当該ペプチドまたはポリペプチドに対する反応、ならびに主治医の裁量に応じて変わるであろう。
【0202】
配列番号1の配列を含むポリペプチド、その機能的に同等な改変体、融合タンパク質、コンジュゲート、ポリヌクレオチド、ベクター、または細胞、の量は、一度に、または一連の治療にわたって、適宜、患者に投与される。疾患のタイプおよび重篤度に応じて、適切な投与量レベルは、一般的に、単回投与(single dose)または複数回投与(multiple dose)において投与することができる約0.01~500mg/kg(患者の体重)/日であろう。好ましくは、投与量レベルは、約0.1~約250mg/kg/日、より好ましくは、約0.5~約100mg/kg/日であろう。
【0203】
好ましい実施形態において、第1成分の量は、好ましくは鼻腔内投与によって、好ましくは週4回投与される、約3.75mg/kg(対象の体重)/日の量である。好ましい実施形態において、第1成分の量は、好ましくは鼻腔内投与によって、好ましくは週4回投与される、約8mg/m/日から15mg/m/日、好ましくは10mg/m/日から12mg/m/日、より好ましくは11.25mg/m/日の量である。
【0204】
好ましい実施形態において、第1成分の量は、好ましくは静脈内投与によって、好ましくは週2回投与される、約50mg/kg(対象の体重)/日の量である。好ましい実施形態において、第1成分の量は、好ましくは静脈内投与によって、好ましくは週2回投与される、約100mg/m/日から200mg/m/日、好ましくは125mg/m/日から175mg/m/日、好ましくは140mg/m/日から160mg/m/日、より好ましくは150mg/m/日の量である。
【0205】
好適な投与量レベルは、約0.01mg/kg/日から250mg/kg/日、約0.05mg/kg/日から100mg/kg/日、または約0.1mg/kg/日から50mg/kg/日であり得る。この範囲内において、投与量は0.05mg/kg/日から0.5mg/kg/日,0.5mg/kg/日から5mg/kg/日、または5mg/kg/日から50mg/kg/日であり得る。経口投与の場合、当該組成物は、好ましくは、治療される患者への投与量の対症的調節のために、1.0ミリグラムから1000ミリグラムの有効成分、特に、1.0ミリグラム、5.0ミリグラム、10.0ミリグラム、15.0ミリグラム、20.0ミリグラム、25.0ミリグラム、50.0ミリグラム、75.0ミリグラム、100.0ミリグラム、150.0ミリグラム、200.0ミリグラム、250.0ミリグラム、300.0ミリグラム、400.0ミリグラム、500.0ミリグラム、600.0ミリグラム、750.0ミリグラム、800.0ミリグラム、900.0ミリグラム、および1000.0ミリグラムの有効成分、を含有する錠剤の形態において提供される。当該化合物は、1回/日から4回/日、好ましくは1回/日または2回/日の投与計画において投与され得る。
【0206】
ある実施形態において、当該組み合わせ物または組成物は、週1回、週2回、週3回、週4回、週5回、週6回、週7回投与することができる。ある実施形態において、当該組み合わせ物または組成物は、週1回投与することができる。別の実施形態において、当該組み合わせ物または組成物は、週2回投与することができる。別の実施形態において、当該組み合わせ物または組成物は、週4回投与することができる。別の好ましい実施形態において、当該組み合わせ物または組成物の第1成分は、週4回投与され、ならびに当該組み合わせ物または組成物の第2成分は、週1回投与される。別の実施形態において、当該組み合わせ物または組成物の第1成分は、週2回投与され、ならびに当該組み合わせ物または組成物の第2成分は、週1回投与される。両方の化合物は、同時に投与することができ、または連続して投与することができる。当該化合物が、連続して投与される場合、第1化合物の投与は、第2化合物の投与を開始する前に中止される。
【0207】
治療の継続期間は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間以上、またはそれ以上であり得る。好ましくは、治療の継続期間は、少なくとも4週間である。別の実施形態において、治療の継続期間は、少なくとも3週間である。
【0208】
当該癌免疫剤の量は、使用される特定の薬剤に応じて変わり、ならびに、所望の治療効果を得るために、1日1回または数回、約0.01mg/kg(対象の体重)/日から約50mg/kg/日、好ましくは約1mg/kg/日から約25mg/kg/日であり得る。好ましい実施形態において、当該癌免疫剤の量は、好ましくは週1回投与される、より好ましくは非経口によって投与される、さらにより好ましくは腹腔内投与によって投与される、約2.5mg/kg(対象の体重)/日または7.5mg/m/日の量である。好ましい実施形態において、当該癌免疫剤の量は、好ましくは週1回投与される、より好ましくは非経口によって投与される、さらにより好ましくは腹腔内投与によって投与される、約5mg/kg(対象の体重)/日または15mg/m/日の量である。別の好ましい実施形態において、当該癌免疫剤の量は、好ましくは週1回投与される、より好ましくは非経口によって投与される、さらにより好ましくは腹腔内投与によって投与される、約10mg/kg(対象の体重)/日または30mg/m/日の量である。
【0209】
本発明による、配列番号1を含むポリペプチド、その機能的に同等な改変体、融合タンパク質、コンジュゲート、ポリヌクレオチド、ベクター、または細胞から選択される第1成分(i)と、癌免疫剤である第2成分(ii)とを含有する、本発明による医薬組成物は、単一製剤(例えば、当該成分のそれぞれの定量を含む錠剤またはカプセル剤として)として提示され得るか、または、その一方で、同時投与(joint administration)、連続投与、個別投与(separate administration)のために後で組み合わされる別々の製剤として提示することもできる。本発明の組成物は、成分が別々に製剤化されるが同じ容器においてパッケージされるパーツキットとしての製剤も包含する。当業者は、本発明による医薬組成物中の異なる成分の製剤化は、同様であってもよく、言い換えれば、(錠剤または丸薬において)同様に製剤化してもよく、それらは同じ経路によるそれらの投与を許容する、ということを理解するであろう。本発明の異なる成分が別々に製剤化される場合、当該2つの成分は、ブリスターにおいて提示することができる。各ブリスターは、1日の間に消費されなければならない薬物を収容する。当該薬物が、1日に数度、投与されなければならない場合、各投与に対応する薬物は、ブリスターの異なるセクションに入れることができ、好ましくは薬物が投与されるべき時刻をブリスターの各セクションにおいて記録する。あるいは、本発明の組成物の成分は、異なる成分が別々に投与されるように、別々に製剤化することもできる。したがって、第1成分を経口投与用に錠剤またはカプセル剤として製剤化し、第2成分を静脈内投与用に製剤化することも、またその逆も可能である。本発明による組み合わせ物または医薬組成物の一部である成分の間の比率は、各特定の病状に使用される抗腫瘍薬ならびに所望の指標に応じて、当業者が調節することができる。したがって、本発明は、成分(i)の量と成分(ii)の量の間の比率が50:1から1:50、特に、20:1から1:20、1:10から10:1、または5:1から1:5の範囲であり得るような組成物を想定する。より特定の実施形態において、量の間の比率は、1:1から1:5、好ましくは1:1から1:3の範囲である。より好ましい実施形態において、当該比率は、1:1から1:1.5、好ましくは1:1.3から1:1.4の範囲であり、より好ましくは1:1.34である。別の好ましい実施形態において、当該比率は、1:1から1:2.8、好ましくは1:2.6から1:2.7の範囲であり、より好ましくは1:2.67である。別の特定の実施形態において、量の間の比率は、30:1から5:1、好ましくは30:1から8:1、より好ましくは25:1から15:1、より好ましくは20:1から10:1の範囲である。ある実施形態において、当該比率は、20:1である。別の実施形態において、当該比率は、10:1である。好ましくは、これらの比率は、w/w比である。
【0210】
本発明の医薬組成物または組み合わせ物の成分は、同時に投与することができる。「同時投与(simultaneous administration)」は、それぞれの薬剤の投与の相対頻度またはタイミングにかかわらず、2つの治療薬の並行投与(coadministration)を包含する。したがって、同時投与は、投与の同じタイミングおよび同じ頻度での2つの治療薬の併用投与を包含する。加えて、同時投与は、一方の薬剤が他方の薬剤よりも頻繁に投与されるような2つの治療薬の併用投与も意味する。加えて、同時投与は、一方の薬剤が他方の薬剤の投与の間に1回のみ投与されるような、2つの治療薬の併用投与も意味する。
【0211】
ある実施形態において、成分(i)は、鼻腔内投与される。別の実施形態において、成分(i)は、静脈内投与される。別の実施形態において、成分(i)は、非経口投与、特に腹腔内投与される。
【0212】
好ましい実施形態において、本発明の組み合わせ物または医薬組成物の成分(i)は、鼻腔内投与され、その一方で、癌免疫剤は、非経口投与、特に腹腔内投与または静脈内投与される。鼻腔内投与の場合、本発明の組み合わせ物または組成物の成分(i)の好ましい用量、好ましくは、当該ポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体、融合タンパク質、またはコンジュゲートの好ましい用量は、単回投与または複数回投与において投与することができる0.01mg/kgから250mg/kgの範囲であり、より好ましくは1日あたり0.1mg/kgから約100mg/kgの間の範囲である。腹腔内投与にとっての癌免疫剤の好ましい用量は、0.01mg/kgから150mg/kg、より好ましくは0.1mg/kgから100mg/kgの間である。
【0213】
別の実施形態において、本発明の組み合わせ物または医薬組成物の成分(i)は、静脈内投与され、その一方で、癌免疫剤は、非経口投与、特に腹腔内投与または静脈内投与される。
【0214】
本発明の医薬組成物は、非制御の細胞分裂が存在するような病理、例えば、癌など、の予防および/または治療のための1つまたは複数の追加の化合物も含有することができる。当該追加の化合物、例えば、抗腫瘍剤など、は、独立した実体として当該医薬組成物の一部を形成することができる。好ましい実施形態において、本発明の組み合わせ物または医薬組成物は、細胞毒性薬剤、血管新生阻害剤、抗転移薬、および抗増殖剤、からなる群から選択される1つまたは複数の抗腫瘍剤を含む。
【0215】
本発明の医薬組成物は、1つまたは複数の追加の薬学的に許容される賦形剤も含有する。「薬学的に許容される賦形剤」は、有効成分を組み入れるために使用されると考えられている治療的に不活性な物質であって、薬理学的/毒物学的観点から患者にとって、ならびに組成、製剤化、安定性、患者の容認性、およびバイオアベイラビリティに関して物理的/化学的観点からそれを製造する薬剤師にとって、許容可能である物質として理解される。当該賦形剤は、担体であり得る。本明細書において使用される場合、「担体」は、医薬組成物内において有効成分の送達および有効性を向上させるのに役立つ任意の物質を意味する。好ましい実施形態において、担体は、細胞の細胞質への成分(i)および/または(ii)の直接送達を許可せず、すなわち、担体は、標的細胞の血漿膜と融合することができない。薬学的に許容される担体の例としては、水、塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、ならびにそれらの組み合わせのうちの1つまたは複数が挙げられる。多くの場合、当該組み合わせ物または組成物に、等張剤、例えば、糖など、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール、など、または塩化ナトリウムを含ませることは好ましいであろう。薬学的に許容される担体は、さらに、本発明の組み合わせ物または組成物の一部を形成する成分の貯蔵期限または有効性を高める少量の補助剤、例えば、湿潤剤および乳化剤、防腐剤および緩衝剤など、含んでもよい。適切な担体の例は、文献において周知である(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 19th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1995を参照されたい)。担体の例は、一連の糖、例えば、ラクトース、デキストロース、ショ糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトリトール、およびマルチトールなど;一連のデンプン、例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、およびジャガイモデンプンなど;一連のセルロース、例えば、セルロース、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロースナトリウム、およびヒドロキシルプロピルメチルセルロースなど;ならびに一連の充填剤、例えば、ゼラチンおよびポリビニルピロリドンなど、である。場合によって、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムなど、を加えてもよい。
【0216】
当該薬学的に許容される賦形剤の数および性質は、所望の投薬形態に応じて変わる。薬学的に許容される賦形剤は、当業者に既知である(Fauliy Trillo C. (1993) ”Tratado de Farmacia Galenica”, Luzan 5, S.A. Ediciones, Madrid)。当該組成物は、現状技術水準において既知である従来法によって調製することができる(「Remington: The Science and Practice of Pharmacy」, 20th edition (2003) Genaro A.R., ed., Lippincott Williams & Wilkins, Philadelphia, US)。
【0217】
核酸分子である薬剤を含む医薬組成物の場合、当該核酸分子は、当業者に既知の様々な任意の送達システム内に存在し得、そのような例としては、核酸、ならびに細菌、ウイルス、および哺乳動物の発現システム、例えば、本明細書において提供されるような組換え発現コンストラクトなど、が挙げられる。DNAをそのような発現システム中に組み入れるための技術は、当業者にとって周知である。当該DNAは、例えば、Ulmer et al., Science 259:1745-49, 1993 and reviewed by Cohen, Science 259:1691-1692, 1993に記載されるように、「裸(naked)」であってもよい。裸のDNAの取り込みは、生体分解性ビーズ上に当該DNAをコーティングすることによって、増加され得、それらは、効率的に細胞内へと輸送される。
【0218】
核酸分子は、当技術分野において説明されるいくつかの方法のいずれかによって細胞内に送達され得る(例えば、Akhtar et al., Trends Cell Bio. 2:139 (1992); Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics, ed. Akhtar, 1995, Maurer et al., Mol. Membr. Biol. 16:129-40 (1999); Hofland and Huang, Handb. Exp. Pharmacol. 137:165-92 (1999); Lee et al., ACS Symp. Ser. 752:184-92 (2000); US6,395,713;WO 94/02595); Selbo et al., Int. J. Cancer 87:853-59 (2000); Selbo et al., Tumour Biol. 23:103-12 (2002); US2001/0007666、およびUS2003/077829を参照されたい)。当業者に既知のそのような送達方法としては、これらに限定されないが、イオン導入(iontophoresis)による、または他のビヒクル、例えば、生分解性高分子;ヒドロゲル;シクロデキストリン(例えば、Gonzalez et al., Bioconjug. Chem. 10: 1068-74 (1999); Wang et al., 国際出願公開WO 03/47518およびWO 03/46185を参照されたい);ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)酸(PLGA)およびPLCAミクロスフェア(ペプチドおよびポリペプチドおよび他の物質の送達にとっても有用)(例えば、US6,447,796;US2002/130430を参照されたい);生体分解性ナノカプセルならびに生体付着性ミクロスフェアなど、への組み込みによる、あるいはタンパク質性ベクター(国際出願公開WO 00/53722)による、リポソームへの封入が挙げられる。別の実施形態において、当該核酸分子は、ポリエチレンイミンおよびその誘導体、例えば、ポリエチレンイミン-ポリエチレングリコール-N-アセチルガラクトサミン(PEI-PEG-GAL)またはポリエチレンイミン-ポリエチレングリコール-トリ-N-アセチルガラクトサミン(PEI-PEG-トリGAL)誘導体によって、製剤化または複合体化することもできる(例えば、US2003/0077829も参照されたい)。
【0219】
特定の実施形態において、本発明による化合物が核酸を含む場合、当該医薬組成物は、遺伝子療法における使用のために意図された組成物として製剤化され得;実例としてであって、限定としてではなく、その医薬組成物は、好適なポリヌクレオチドまたは遺伝子構築物を含むウイルスベクターまたは非ウイルスベクターを含有し得る。実例としてであって、限定としてではなく、当該ベクターは、例えば、レトロウイルス、アデノウイルスなどをベースとするウイルス性であり得るか、または、例えば、ADN-リポソーム、ADN-ポリマー、ADN-ポリマー- リポソーム複合体、などをベースとする非ウイルス性であり得る[”Nonviral Vectors for Gene Therapy”, edited by Huang, Hung and Wagner, Academic Press (1999)を参照されたい]。対応するポリヌクレオチドまたは遺伝子構築物を含有する当該ベクターは、従来法によって対象に直接投与され得る。あるいは、当該ベクターは、エクスビボにおいて、細胞、例えば、哺乳動物細胞、例えば、ヒトなど、を形質転換するため、トランスフェクトするため、または感染させるために使用され得、続いて、それらは、所望の治療効果を得るために人体または動物に移植されるであろう。人体または動物への投与のために、当該細胞は、細胞生存に悪影響を及ぼさないであろう好適な媒体において製剤化されるであろう。
【0220】
本発明の組み合わせ物または医薬組成物は、所望の剤形の製剤化にとって必要な薬学的に許容される賦形剤が含まれるような任意のタイプの好適な経路、例えば、経口経路、局所経路によって、吸入経路または非経口経路によって、投与することができる。投与の他の経路は、経直腸、大槽内、または腟内であり得る。当該組み合わせ物または医薬組成物の投与の好ましい経路は、静脈内経路である。
【0221】
「経口経路」は、嚥下の後に有機体に取り込まれる医薬組成物として理解される。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物は、固体か液体かにかかわらず経口経路による投与にとって好適な投薬形態であり得る。経口経路による投与にとって好適な投薬形態は、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、または溶液剤であり得、ならびに当技術分野において既知の任意の従来の賦形剤、例えば、結合剤、例えば、シロップ剤、アカシア、ゼラチン、ソルビトール、またはポリビニルピロリドンなど;充填剤、例えば、ラクトース、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトール、またはグリシンなど;圧縮のための潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;崩壊剤、例えば、デンプン、ポリビニルピロリドン、デンプンのグリコール酸ナトリウム、または微結晶性セルロースなど;あるいは薬学的に許容される湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムなど、を含むことができる。固体経口組成物は、混合、充填、または圧縮の従来プロセスによって調製することができる。反復混合操作を使用することにより、多量の充填剤を使用するそれらの組成物に活性薬剤を完全に分配させることができる。当該操作は、当技術分野において慣習的である。錠剤は、例えば、湿式または乾式造粒によって、ならびに、場合により一般的な薬務において知られるプロセスに従って、腸溶コーティン剤を用いて、それらをコーティングすることよって、調製することができる。
【0222】
その一方で、「局所経路」は、非全身経路による投与として理解され、ならびにそれらがほとんど血流に入らないような、表皮上への、口腔においての、ならびに耳、目、および鼻への当該組成物の滴下投与による、外部的な本発明の医薬組成物の適用を包含する。本発明の化合物の局所投与または経皮投与のための投薬形態としては、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、粉末剤、溶液剤、噴霧剤、吸入剤、またはパッチ剤が挙げられる。
【0223】
眼科製剤、点耳液、および点眼剤も、本発明の範囲内にあることが想到される。さらに、本発明は、身体への化合物の制御送達を提供する追加された利点を有する、経皮パッチ剤の使用も想到する。そのような投薬形態は、適切な媒体中に当該化合物を溶解または分散させることによって作製することができる。皮膚を超えての当該化合物の流れを増加させるために、吸収促進薬を使用することもできる。当該速度は、速度制御膜を備えさせることによって、または高分子マトリックスまたはゲルに当該化合物を分散させることによって、制御することができる
【0224】
ある実施形態において、当該組み合わせ物または医薬組成物は、全身投与される。
【0225】
「全身経路」は、経口経路、静脈内経路、腹腔内経路、および筋肉内経路による投与として理解される。治療効果または予防効果のために必要な成分(i)および(ii)の量は、選出された化合物、治療される病気の性質および重篤度、ならびに患者によって、当然ながら変わるであろう。
【0226】
別の実施形態において、当該組み合わせ物または医薬組成物は、鼻腔内投与される。好ましい実施形態において、鼻腔内投与は、滴下投与または鼻腔内吸入によって実施される。
【0227】
「吸入」は、鼻腔内経路による投与および経口吸入による投与として理解される。当該投与にとって好適な投薬形態、例えば、エアロゾルまたは定量吸入器における製剤など、は、従来技術によって調製することができる。ある実施形態において、当該投与経路は、鼻腔内経路である。
【0228】
本明細書において使用される場合、用語「非経口」は、静脈内経路、腹腔内経路、筋肉内経路、または皮下経路による投与を包含する。非経口投与の皮下、筋肉内、および静脈内投薬形態は、概して好ましい。
【0229】
一実施形態において、本発明の組み合わせ物または医薬組成物は、それらの非経口投与、例えば、適切な投薬単位形態での、無菌溶液剤、懸濁剤、または凍結乾燥製品など、に適合させることができる。その注射用途にとって好適な組み合わせ物または医薬組成物は、無菌水溶液(水に可溶性の場合)、または無菌の注入可能な溶液もしくは分散液の即座の調製のための分散液および無菌粉末を含む。静脈内経路による投与の場合、いくつかの好適な担体は、リン酸塩で緩衝された塩水溶液(PBS)を含む。すべての場合において、当該組み合わせ物または組成物は、無菌でなければならず、ならびに、容易に注入できる程度には流体でなければならない。それは、調製および貯蔵条件において安定していなければならず、ならびに細菌および糸状菌などの微生物の混入動作から保護されなければならない。当該担体は、例えば、水、エタノール、薬学的に許容されるポリオール、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコールなど、およびそれらの好適な混合物を含有する、溶媒または分散媒であり得る。好適な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングを使用すること、分散液の場合に必要な粒子サイズを維持すること、ならびに界面活性物質を使用することによって、維持することができる。微生物の混入動作の予防は、様々な抗菌剤および防かび剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チオメルサールなどによって、実現することができる。ほとんどの場合、当該組成物中に、等張剤、例えば、糖など;ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトールなど;あるいは塩化ナトリウムを含ませることは好ましいであろう。当該注射可能の組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを含ませることによって、生じさせられ得る。
【0230】
当該注射可能な無菌溶液は、必要な量の活性化合物を、前述の原材料の1つまたは組み合わせと共に好適な溶媒に加え、必要に応じて、その後に無菌膜を通した濾過による滅菌によって、調製することができる。概して、当該分散液は、活性化合物を、塩基性分散媒と前に一覧したもののうちの必要な原材料の残りとを含有する無菌ビヒクルに加えることによって調製される。注射可能な無菌溶液の調製のための無菌粉末の場合、好ましい調製プロセスは、真空乾燥および凍結乾燥であり、それにより、活性原材料と、前に濾過したその無菌溶液からの任意の所望の追加の原材料とを伴う粉末が形成される。
【0231】
本発明の組み合わせ物または医薬組成物は、例えば、当該組成物の用量の減少を伴うパルス注入(pulse infusion)によって、好適に投与することができる。好ましくは、当該用量は、投与が緊急であるか持続的であるかに部分的に応じて、注射、より好ましくは静脈内注射または皮下注射によって投与される。好ましい実施形態において、PD-1アンタゴニストは、点滴によって投与される。
【0232】
あるいは、前述のように、当該組成物における異なる成分は、別々に投与される。
【0233】
したがって、ある実施形態において、本発明の、組み合わせ物または組成物の成分(i)、好ましくは、ポリペプチドまたは機能的に同等な改変体またはコンジュゲート、は、鼻腔内投与され、その一方で、癌免疫剤は、全身投与される。
【0234】
別の好ましい実施形態において、当該組み合わせ物または組成物の成分(i)、好ましくは、ポリペプチドまたは機能的に同等な改変体、または当該組成物のコンジュゲートは、鼻腔内投与されるか、または吸入によって投与される。
【0235】
鼻腔内投与および肺内投与のために意図される組成物の投薬形態は、好ましくは、液体、懸濁液、または固体である。懸濁液は、液体ビヒクル中に分散させた固体粒子を含有する液体調製物である。当該投薬形態は、好ましくは計量される。例えば、計量された滴剤/噴霧剤は、当該滴剤/噴霧剤を含むディスペンサーが、本発明による使用のための当該組成物の計量された用量(所定の量)を含有する当該滴剤/噴霧剤を送達することを意味する。
【0236】
鼻腔内投与経路との関連における好ましい投薬形態の1つとしては、点鼻液が挙げられる。滴剤は、ほとんど鼻の後方部分に被着され、したがって、咽頭鼻部へと急速に除去される。滴剤に関する懸念は、多くの場合、当該組成物の投与にとって特に重要である当該薬物の用量を正確に制御する方法である。
【0237】
本発明の医薬組成物を投与することができる別の鼻腔内投薬形態は、スプレー式点鼻薬である。スプレー式点鼻薬は、典型的には、非加圧ディスペンサーにおける、賦形剤(例えば、防腐剤、粘度調整剤、乳化剤、緩衝薬)の溶液または混合物に溶解または懸濁させたコンジュゲートを含有する。スプレー式点鼻薬は、例えば、送達デバイスのコンパクトさ、便利さ、使用の簡単さ、および25pLから200pLの投薬量を送達する正確さなどのいくつかの利点を有する。スプレー式点鼻薬は、鼻の後方部分に被着され、粘膜せん毛クリアランスによって咽頭鼻部へゆっくりと除去される。スプレー式点鼻薬は、本明細書において使用される場合、液体または懸濁液であり得る。
【0238】
別の鼻腔内投薬形態は、鼻エアロゾルである。鼻エアロゾルは、組成物を分配する方法においてスプレー式点鼻薬とは異なっており、エアロゾルにおいて、化合物は、過剰な圧力と放出によってバルブを通って分配される。スプレーにおいて、化合物は、マイクロポンプバケットによって強制的に放出されることにより分配され、その一方で、バイアル瓶の圧力は大気圧と同様である。エアロゾルは、スプレーと同様の利点を有する。
【0239】
あるいは、本明細書による組成物は、好ましくは、鼻エマルジョン、軟膏剤、ゲル剤、ペースト剤、またはクリーム剤によって投与され得る。これらは、鼻粘膜に適用される非常に粘着性の溶液または懸濁液である。
【0240】
鼻粘膜へと効率的に送達することができる組成物の限界量に起因して、液体鼻腔内投薬形態は、通常、対応する静脈内投薬形態よりも高い濃度を有する。物質が液体形態において難溶性になるかまたは不溶性である場合、本発明の組成物を投与するために、粉末薬を使用することができる。粉末薬のさらなる利点は、それらは防腐剤を必要とせず、ならびに通常、液体製剤と比較して、より高い安定性を有することである。鼻腔内粉末薬適用に関する主な制限は、鼻粘膜に対するその刺激性効果に関連する。
【0241】
肺内投与との関連における投薬形態の1つは、吸入エアロゾルである。吸入エアロゾルは、通常、加圧下においてパッケージされ、本発明による組成物を含有し、それらは、バルブシステムの作動時に呼吸気管、特に肺、の中に放出される。放出されたエアロゾルは、空気中または別の気体中において、固体微粒子のコロイド(懸濁液)または液滴(溶液)である。したがって、当該エアロゾルは、溶液エアロゾルまたは懸濁液エアロゾルであり得る。当該液滴または固体粒子は、好ましくは、100pm未満、より好ましくは10pm未満、最も好ましくは1pm未満、の直径を有する。
【0242】
肺内投与との関連における投薬形態の1つは、吸入スプレー剤である。吸入スプレー剤は、典型的には、水性塩基であり、いかなる噴射剤も含有しない。それらは、経口吸入によって当該コンジュゲートを肺へと送達する。
【0243】
噴霧化された吸入溶液および吸入懸濁液も、肺内経路によってコンジュゲートを送達するために使用され得る。噴霧化された吸入溶液および吸入懸濁液は、典型的には、本発明による組成物を含有する水ベースの製剤である。当該噴霧化された吸入溶液および吸入懸濁液は、全身性効果のための経口吸入によって当該組成物を肺へ送達し、ならびにネブライザーを用いて使用される。
【0244】
乾燥粉末薬吸入は、エアロゾル吸入に対する代替手段である。当該組成物は、通常、手動によるローディングのためにカプセル中にまたは吸入器内に含まれる。乾燥粉末薬は、典型的には、吸入器による経口吸入によって肺へと送達される。乾燥粉末薬は、本明細書において使用される場合、純粋に製剤化することができる。純粋な製剤(neat formulation)は、例えば、噴霧乾燥粉末薬として、薬物のみまたは疑似薬物のみを含有する。乾燥粉末薬は、本明細書において使用される場合、ラクトースなどの担体と共に製剤化することもできる。
【0245】
肺内投薬形態は、好ましくは計量され、すなわち、所定の量において肺へ送達される。
【0246】
本発明との関連における鼻腔内送達のためのデバイスとしては、スプレーポンプシステム、滴剤を送達するためのピペット、定用量スプレーポンプ(metered-dose spray pump)、鼻加圧式計量吸入器(nasal pressurized metered-dose inhaler)、粉末薬スプレーシステム、呼吸作動式粉末薬吸入器(breath-actuated powder inhaler)、および鼻粉末薬注入器(nasal powder insufflator)が挙げられる。当該鼻腔内送達デバイスは、単回投与または複数回投与の鼻腔内用製剤で満たされ得る。
【0247】
肺内経路を使用することにより、当該コンジュゲートは、定用量吸入器(metered dose inhaler)によって投与され得る。定用量吸入器(MDI)は、概して5pm未満の空気力学的粒子サイズのコンジュゲートの微細な霧を提供する。
【0248】
乾燥粉末薬は、組成物を肺内に送達するための代替方法として使用することができる。乾燥粉末薬吸入器は、単回投与または複数回投与粉末薬として粉末薬を提示する。
【0249】
肺内送達のための別のデバイスは、超音波噴霧器および空気噴流噴霧器などの噴霧器である。超音波噴霧器では、電気的に励起されたときに振動するセラミック圧電結晶によって、超音波噴霧器チャンバーにおいて超音波が形成される。これは、溶液表面においてエアロゾル雲を発生させる。空気噴流噴霧器によって生成されるエアロゾルは、圧縮空気が強制的に流出孔を通させられる時に発生する。エアロゾル雲の形成を促進するためにバッフルを使用して原子化された空気噴流と混合するために、垂直ノズルから液体が引き出され得る(ベルヌーイ効果)。
【0250】
一実施形態において、本発明の組み合わせ物または医薬組成物の各成分は、例えば、
移植およびマイクロカプセル化投与システムを含む制御放出製剤などのように、身体からの急速な排除から当該成分、特に成分(i)、を保護する担体を用いて調製される。生体分解性の生体適合性ポリマー、例えば、ビニル酢酸エチレン、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸など、を使用することができる。当該製剤を調製するためのプロセスは、当業者にとって明らかであろう。材料は、Alza CorporationおよびNova Pharmaceuticals, Inc. から商業的に得ることもできる。
【0251】
当該徐放性組成物は、結晶を懸濁状態に維持することができる好適な配合物に懸濁させた結晶の調製物も含む。これらの調製物は、それらが皮下経路または腹腔内経路によって注入される場合、徐放効果を生じ得る。他の組成物も、リポソームに補捉された成分(i)および/または(ii)を含む。そのような化合物を含有するリポソームは、既知の方法、例えば、Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1985) 82:3688-3692; Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1980) 77:4030-4034;EP52,322;EP36,676;EP88,046;EP143,949など、によって調製される。好ましい実施形態において、成分(i)および/または(ii)は、リポソームに含有され、好ましくは、両方の成分は、リポソーム、より好ましくは同じリポソームに含まれる。
【0252】
Omomyc、その機能的に同等な改変体、本発明のコンジュケートおよび融合タンパク質は、生体膜を超えて移動することができるという事実にもかかわらず、Omomyc、任意のその機能的に同等な改変体、コンジュゲート、ポリヌクレオチド、ベクター、または細胞をナノ粒子中において製剤化することが可能である。当該ナノ粒子は、当該成分が標的臓器に達するまで生体液中での当該成分の完全性を保存することに貢献し得る。その上、成分(ii)または他の抗腫瘍薬を含む組成物の場合、当該組成物のカプセル化は、当該抗腫瘍薬によって引き起こされる二次効果を減少させ得る。加えて、ナノ粒子は、当該ナノ粒子が目的の臓器を標的化するのを可能にする部分を含むように、変更することもできる。この方法において、本発明の組み合わせ物または組成物の成分(i)は、標的臓器の近くに送達され、生物活性が必要とされる細胞の内部への成分(i)のアクセスを促進する。
【0253】
したがって、別の実施形態において、本発明の組み合わせ物または組成物の成分(i)は、ナノ粒子の一部を形成するように提供される。別の実施形態において、本発明の組み合わせ物または組成物の両方の成分は、ナノ粒子の一部を形成するように提供され、好ましくは、両方の成分は、同じナノ粒子の中において提供される。
【0254】
本明細書において使用される場合、用語「ナノ粒子」は、1~1,000nm範囲の寸法を有する任意の材料を意味する。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、2~200nm範囲、好ましくは2~150nm範囲、さらにより好ましくは2~100nm範囲の寸法を有する。本発明において使用することができるナノ粒子としては、例えば、脂質ベースのナノ粒子、超常磁性微粒子、ナノシェル、半導体ナノ結晶、量子ドット、ポリマーベースのナノ粒子、シリコンベースのナノ粒子、シリカベースのナノ粒子、金属ベースのナノ粒子、フラーレン、およびナノチューブなどのナノスケール材料が挙げられる。分子は、ナノ粒子マトリックスに組み込むこともできるし、またはその表面に吸着させてもよく、好ましくは、分子は、ナノ粒子に組み込まれ得る。
【0255】
好ましい実施形態において、当該ナノ粒子は、リポソームである。
【0256】
標的送達は、リガンドを加えることによって、その内容物を送達するナノ粒子の能力を犠牲にすることなく、達成することができる。これによって特定の細胞、組織、および臓器への送達が可能になることが想到される。リガンドベースの送達システムの標的特異性は、異なる細胞タイプへのリガンド受容体の分配に基づいている。ターゲッティングリガンドは、非共有結合的または共有結合的にナノ粒子と会合させてもよく、ならびに本明細書において説明される様々な方法によってナノ粒子にコンジュゲートさせることができる。
【0257】
ナノ粒子を標的にするために使用することができるタンパク質またはペプチドの例としては、トランスフェリン、ラクトフェリン、TGF-β、神経成長因子、アルブミン、HIV Tatペプチド、RGDペプチド、およびインスリンおよび他のものが挙げられる。
【0258】
ナノ粒子中の本発明の製剤は、細胞の内部への成分(i)および/または(ii)のアクセスを促進することを意図するものではないかまたは単に意図するものではないが、分解から成分(i)および/または(ii)を保護することならびに/あるいは当該ナノ粒子が目的の臓器を標的にするのを促進することは意図されることは理解されるであろう。
【0259】
一実施例において、当該ナノ粒子は、生分解性ポリマー、例えば、ポリ(ブチルシアノアクリレート)(PBCA)など、で作成され得る。元素ナノ粒子の例としては、炭素ナノ粒子および酸化鉄ナノ粒子が挙げられ、それらは、オレイン酸(OA)-Pluronic(R)でコーティングすることができる。このアプローチにおいて、薬物(例えば、疎水性または水不溶性薬物)は、ナノ粒子内に装入される。他のナノ粒子は、シリカで作製される。
【0260】
ナノ粒子は、任意の有用なポリマーから形成することができる。ポリマーの例としては、生体分解性ポリマー、例えば、ポリ(ブチルシアノアクリレート)、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ-s-カプロラクトン、ポリ(コハク酸ブチレン)、ポリ(コハク酸エチレン)、およびポリ(p-ジオキサノン)など;ポリ(エチレングリコール);ポリ-2-ヒドロキシエチルメタクリレート(ポリ(HEMA));コポリマー、例えば、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(ラクチド)-ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ポリ(エチレングリコール)シアノアクリレート-コヘキサデシルシアノアクリレート、およびポリ[HEMA-コ-メタクリル酸]など;タンパク質、例えば、フィブリノゲン、コラーゲン、ゼラチン、およびエラスチンなど;ならびに多糖、例えば、アミロペクチン、アミロース、およびキトサンなど、が挙げられる。
【0261】
他のナノ粒子としては、固体脂質ナノ粒子(SLN)が挙げられる。固体脂質ナノ粒子のための脂質分子の例としては、ステアリン酸および修飾されたステアリン酸例えば、ステアリン酸-PEG2000など;大豆レシチン;および乳化ワックスが挙げられる。固体脂質ナノ粒子は、場合により、他の成分、例えば、界面活性物質、例えば、Epicuron(登録商標) 200、ポロクサマー188(Pluronic(登録商標) F68)Brij72、Brij78、ポリソルベート80(Tween80)など;ならびに塩、例えば、タウロコール酸ナトリウムなど、を含むことができる。薬剤は、リポソームに対して説明したいつくかの方法によって、固体脂質ナノ粒子中に導入することができ、そのような方法は、さらに、高圧ホモジナイゼーション、およびマイクロエマルションの分散液を含むことができる。
【0262】
ナノ粒子は、ナノメートルサイズのミセルも含むことができる。ミセルは、本明細書において説明される任意のポリマーから形成することができる。ミセルを形成するための例示的ポリマーとしては、ブロックコポリマー、例えば、ポリ(エチレングリコール)およびポリ(ε-カプロラクトン)(例えば、ε-カプロラクトンおよびα-メトキシ-ω-ヒドロキシ-ポリ(エチレングリコール))のポリマーを含むaPEO-bPCLブロックコポリマー)など、が挙げられる。
【0263】
ある特定の実施形態において、ナノ粒子の特性は、界面活性剤でコーティングすることよって変更される。任意の生体適合性界面活性剤、例えば、ポリソルベート界面活性剤
例えば、ポリソルベート20、40、60、および80(Tween80)など;Epicuron(登録商標)200;ポロクサマー界面活性剤、例えば、188(Pluronic(登録商標)F68)ポロクサマー908および1508など;ならびにBrij界面活性剤、例えば、Brij72およびBrij78など、が使用され得る。
【0264】
ナノ粒子は、場合により、例えば、親水性ポリマー基を表面に共有結合させることによって、または、そのような親水性ポリマー基を有するポリマー(例えば、ポリ[メトキシポリ(エチレングリコール)シアノアクリレート-コ-ヘキサデシルシアノアクリレート])を使用することによって、親水性ポリマー基(例えば、ポリ(エチレングリコール)またはポリ(プロピレングリコール))を含むように修飾することができる。ナノ粒子は、場合により、架橋させることもでき、それは、タンパク質ベースのナノ粒子の場合に特に有用であり得る。
【0265】
別の実施形態において、本発明の医薬組成物は、ナノエマルションである。「ナノエマルション」は、本明細書において使用される場合、液滴の少なくともいくらかがナノメートルサイズの範囲の直径を有するような液滴(または粒子)のコロイド分散液を意味する。当該ナノエマルションは、水相中におけるω-3、-6、または-9脂肪酸リッチなオイルで構成され、ならびに界面膜を生成する両親媒性界面活性剤によって熱動力学的に安定化され、通常、約80~220nmの範囲内の液滴直径による、高剪断微少溶液操作(microfluidization)プロセスを使用して生成される。
【0266】
本発明の治療用途
ある態様において、本発明は、医学分野での使用のための本発明の組み合わせ物または医薬組成物に関する。
【0267】
さらなる態様において、本発明は、癌の予防および/または治療における使用のための本発明の組み合わせ物または医薬組成物に関する。
【0268】
別の態様において、本発明は、癌の予防および/または治療のための医薬の調製のための本発明の組み合わせ物または医薬組成物を意味する。
【0269】
別の態様において、本発明は、治療有効量の本発明の組み合わせ物または医薬組成物をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、癌の予防および/または治療のための方法も意味する。
【0270】
別の態様において、本発明は、腫瘍部位にT細胞を動員することによる癌の予防および/または治療のための方法であって、治療有効量の本発明の組み合わせ物または医薬組成物をそれを必要とする対象に投与する工程を含む方法も意味する。ある実施形態において、腫瘍部位へ動員されるT細胞は、活性化されたCD4T細胞であり、より詳細にはCD4PD-1T細胞であり、さらにより詳細にはCD4PD-1Tim-3T細胞である。別の実施形態において、腫瘍部位へ動員されるT細胞は、CD4PD-1Tim-3T細胞である。別の実施形態において、腫瘍部位へ動員されるT細胞は、CD8T細胞であり、より詳細にはCD8PD-1T細胞である。別の実施形態において、腫瘍部位へ動員されるT細胞は、CD3T細胞である。別の実施形態において、腫瘍部位へ動員されるT細胞は、CD3CD4T細胞である。別の実施形態において、腫瘍部位へ動員されるT細胞は、Th1/Th17細胞、特にTh1/Th17PD-1細胞、より詳細にはCD4IFNIL-17T細胞さらにより詳細にはCD4PD-1IFNIL-17T細胞である。別の実施形態において、腫瘍部位へ動員される細胞は、CD45細胞である。
【0271】
別の態様において、本発明は、T制御細胞の増殖を引き起こすことによる癌の予防および/または治療のための方法であって、治療有効量の本発明の組み合わせ物または医薬組成物をそれを必要とする対象に投与する工程を含む方法も意味する。
【0272】
別の態様において、本発明は、腫瘍内CD4+およびCD8+細胞によってIFN-γの産生を引き起こすことによる癌の予防および/または治療のための方法であって、治療有効量の本発明の組み合わせ物または医薬組成物をそれを必要とする対象に投与する工程を含む方法も意味する。
【0273】
好ましい実施形態において、本発明による予防方法または治療方法は、Omomycを含むポリペプチド、その機能的に同等な改変体、コンジュゲート、または融合タンパク質、を含む組み合わせ物または医薬組成物の直接使用を伴う。したがって、好ましい実施形態において、本発明による予防方法または治療方法は、Omomycを含むポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体または融合タンパク質をコードする核酸の投与、あるいはこの核酸をコードするベクター、または当該核酸を含む細胞の投与を伴わない。
【0274】
「予防」は、疾患の初期または早期における、またはその発症も防ぐための、本発明の組み合わせ物または組成物の投与として理解される。
【0275】
用語「治療」は、臨床兆候が現れる前または後に疾患の進行を制御するための本発明の組み合わせ物または組成物の投与を示すために使用される。疾患の進行の制御は、これらに限定されるわけではないが、症状の軽減、疾患の持続期間の減少、病的状態の固定化(特に、さらなる障害を避ける)、疾患の進行の遅延、病的状態の改善、および、寛解(部分的および完全の両方)などの、有益なまたは所望の臨床結果として理解される。疾患の進行の制御は、治療が適用されなかった場合に予想される生存と比較した生存の延長も伴う。好ましい実施形態において、疾患の進行の制御は、健康な肺/胸郭容積比として測定される。別の実施形態において、疾患の進行の制御は、腫瘍体積の減少として測定される。
【0276】
用語「癌」は、非制御の細胞分裂(または、生存またはアポトーシス抵抗性の増大)、隣接する他の組織に侵入する細胞の能力(浸潤)、またはリンパ管および血管を通じた細胞が通常は位置されていない身体の他のエリアへの広がり(転移)によって特徴づけられる疾患を指す。腫瘍が浸潤および転移によって広がることができるか否かに応じて、腫瘍は、良性または悪性のどちらかに分類され、良性腫瘍は、浸潤または転移によって広がることができない腫瘍であり、すなわち、それらは、局所的に成長するだけであり、その一方で、悪性腫瘍は、浸潤および転移によって広がることができる腫瘍である。本発明による方法は、局所の悪性腫瘍の治療にとって有用である。
【0277】
一実施形態において、癌としては、これらに限定されるわけではないが、白血病(例えば、急性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球性白血病、急性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病)、ヘアリー細胞白血病、真正赤血球増加症、リンパ腫(例えば、ホジキン病または非ホジキン病)、AIDS関連白血病、ワルデンストレームマクログロブリン血症、多発性骨髄腫、重鎖病、および固形腫瘍、例えば、肉腫および癌腫(例えば、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨形成性肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、結腸癌腫、膵癌、乳癌、胆道癌、食道癌、卵巣癌、前立腺癌、口腔癌例えば、扁平上皮癌など、基底細胞癌種、腺癌、汗腺癌種、脂腺癌種、乳頭癌種、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌種、髄様癌種、気管支原生癌種、腎細胞癌種、肝細胞癌、胆汁腺管癌種、奇形腫、絨毛癌種、精上皮腫、胎生期癌種、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌腫、膀胱癌腫、上皮癌腫、上皮内新生物、例えば、ボーエン病およびパジェット病など、神経膠腫、神経膠腫、星状細胞腫、多形膠芽腫(GBM、グリア芽腫としても知られる)、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、稀突起神経膠腫、神経線維腫、神経線維肉腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、および網膜胚種細胞腫)など、が挙げられる。
【0278】
いくつかの実施形態において、当該癌は、神経膠腫、星状細胞腫、多形膠芽腫(GBM、グリア芽腫としても知られる)、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、稀突起神経膠腫、神経線維腫、神経線維肉腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽細胞腫、または網膜胚種細胞腫である。
【0279】
いくつかの実施形態において、当該癌は、聴神経腫、星状細胞腫、(例えば、グレードI-毛様細胞性星状細胞腫、グレードII-低グレード星状細胞腫、グレードIII-未分化星状細胞腫、またはグレードIV-グリア芽腫(GBM))、脊索腫、CNSリンパ腫、頭蓋咽頭腫、脳幹膠腫、上衣細胞腫、混合膠腫、視神経膠腫、上衣下細胞腫、髄芽腫、髄膜腫、転移性脳腫瘍、稀突起神経膠腫、下垂体腫瘍、原始神経外胚葉性(PNET)腫瘍、または神経線維腫である。いくつかの実施形態において、当該癌は、一般的に成人より小児において見出されるタイプ、例えば、脳幹膠腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、若年性毛細胞性星細胞腫(JPA)、髄芽腫、視神経膠腫、松果体腫瘍、原始神経外胚葉腫瘍(PNET)、またはラブドイド腫瘍など、である。いくつかの実施形態において、患者は成人である。いくつかの実施形態において、患者は、小児または小児科患者である。
【0280】
別の実施形態において、癌としては、これらに限定されるわけではないが、中皮腫、肝胆道(肝臓および胆道管)、骨癌、膵癌、皮膚癌、頭頚部の癌、皮膚または眼内の黒色腫、卵巣癌、大腸癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、消化管癌(胃、結腸直腸、および十二指腸)、子宮癌、卵管癌、子宮内膜の癌腫、頚の癌腫、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系の癌、甲状腺癌、副甲状腺の癌、副腎の癌、軟部組織の肉腫、尿道の癌、陰茎の癌、前立腺癌、精巣癌、慢性または急性白血病、慢性骨髄性白血病、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓または輸尿管の癌、腎細胞癌種、腎盂癌、非ホジキンリンパ腫、脊髄軸腫瘍、脳幹膠腫、脳下垂体腺腫、副腎皮質癌、胆嚢癌、多発性骨髄腫、胆管癌、線維肉腫、神経芽細胞腫、網膜胚種細胞腫、または先述の癌の1つまたは複数の組み合わせが挙げられる。
【0281】
いくつかの実施形態において、当該癌は、肝細胞癌、卵巣癌、上皮性卵巣癌、または卵管癌;乳頭状漿液嚢胞腺癌または子宮乳頭状漿液性癌(UPSC);前立腺癌;精巣癌;胆嚢癌;肝臓胆管癌;軟部組織および骨の滑膜肉腫;横紋筋肉腫;骨肉腫;軟骨肉腫;ユーイング肉腫;甲状腺未分化癌;副腎皮質腺腫;膵癌;膵性腺管癌または膵臓腺癌;消化管/胃(GIST)癌;リンパ腫;頭頚部の扁平上皮癌(SCCHN);唾液腺癌;神経膠腫または脳腫瘍;神経線維腫症-1関連悪性末梢神経鞘腫(MPNST);ワルデンストレームマクログロブリン血症;または髄芽腫から選択される。
【0282】
いくつかの実施形態において、当該癌は、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、大腸癌、直腸癌、卵巣癌、上皮性卵巣癌、卵管癌、乳頭状漿液嚢胞腺癌、子宮乳頭状漿液性癌(UPSC)、肝臓胆管癌、軟部組織および骨の滑膜肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、甲状腺未分化癌、副腎皮質腺腫、膵癌、膵性腺管癌、膵臓腺癌、神経膠腫、神経線維腫症-1関連悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、または髄芽腫から選択される。
【0283】
いくつかの実施形態において、癌は、固形腫瘍、例えば、肉腫、癌腫、またはリンパ腫など、である。固形腫瘍は一般的に、典型的には包嚢または液体領域を含まない異常な組織の塊を含む。いくつかの実施形態において、当該癌は、腎細胞癌種、または腎癌;肝細胞癌(HCC)または肝芽腫、または肝臓癌;黒色腫;乳癌;結腸直腸癌、または結直腸癌;大腸癌;直腸癌;肛門癌;肺癌、例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)または肺小細胞癌(SCLC)など;卵巣癌、上皮性卵巣癌、卵巣癌腫、または卵管癌など;乳頭状漿液嚢胞腺癌または子宮乳頭状漿液性癌(UPSC);前立腺癌;精巣癌;胆嚢癌;肝臓胆管癌;軟部組織および骨の滑膜肉腫;横紋筋肉腫;骨肉腫;軟骨肉腫;ユーイング肉腫;甲状腺未分化癌;副腎皮質癌;膵癌;膵性腺管癌または膵臓腺癌;消化管/胃(GIST)癌;リンパ腫;頭頚部の扁平上皮癌(SCCHN);唾液腺癌;神経膠腫、または脳腫瘍;神経線維腫症-1関連悪性末梢神経鞘腫(MPNST);ワルデンストレームマクログロブリン血症;または髄芽腫から選択される。
【0284】
いくつかの実施形態において、当該癌は、肝細胞癌(HCC)、肝芽腫、大腸癌、直腸癌、卵巣癌、上皮性卵巣癌、卵巣癌腫、卵管癌、乳頭状漿液嚢胞腺癌、子宮乳頭状漿液性癌(UPSC)、肝臓胆管癌、軟部組織および骨の滑膜肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫、甲状腺未分化癌、副腎皮質癌、膵癌、膵性腺管癌、膵臓腺癌、神経膠腫、神経線維腫症-1関連悪性末梢神経鞘腫(MPNST)、ワルデンストレームマクログロブリン血症、または髄芽腫から選択される。
【0285】
いくつかの実施形態において、当該癌は、肝細胞癌(HCC)である。いくつかの実施形態において、当該癌は、肝芽腫である。いくつかの実施形態において、当該癌は、大腸癌である。いくつかの実施形態において、当該癌は、直腸癌である。いくつかの実施形態において、当該癌は、卵巣癌、または卵巣癌腫である。いくつかの実施形態において、当該癌は、上皮性卵巣癌である。いくつかの実施形態において、当該癌は、卵管癌である。いくつかの実施形態において、当該癌は、乳頭状漿液嚢胞腺癌である。いくつかの実施形態において、当該癌は、子宮乳頭状漿液性癌(UPSC)である。いくつかの実施形態において、当該癌は、肝臓胆管癌である。いくつかの実施形態において、当該癌は、軟部組織および骨の滑膜肉腫である。いくつかの実施形態において、当該癌は、横紋筋肉腫である。いくつかの実施形態において、当該癌は、骨肉腫である。いくつかの実施形態において、当該癌は、甲状腺未分化癌である。いくつかの実施形態において、当該癌は、副腎皮質癌である。いくつかの実施形態において、当該癌は、膵癌、または膵性腺管癌である。いくつかの実施形態において、当該癌は、膵臓腺癌である。いくつかの実施形態において、当該癌は、神経膠腫である。いくつかの実施形態において、当該癌は、悪性末梢神経鞘腫(MPNST)である。いくつかの実施形態において、当該癌は、神経線維腫症-1関連MPNSTである。いくつかの実施形態において、当該癌は、ワルデンストレームマクログロブリン血症である。
【0286】
いくつかの実施形態において、当該癌は、髄芽腫である。いくつかの実施形態において、癌は、ウイルス関連癌、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連固形腫瘍、ヒトパピローマウイルス(HPV)-16陽性不治固形腫瘍(positive incurable solid tumor)、および、ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)によって引き起こされ、白血病細胞におけるHTLV-Iのクローン組み込みによって特徴付けられるCD4+T細胞性白血病の非常に攻撃的な形態である、成人型T細胞白血病(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/ NCT02631746を参照されたい);ならびに胃癌におけるウイルス関連腫瘍、上咽頭癌、子宮頸癌、腟癌、外陰部癌、頭頚部の扁平上皮癌、およびメルケル細胞癌などである(https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT02488759を参照されたく;また、https://clinicaltrials.gov/ct2/show/study/NCT0240886; https://clinicaltrials.gov/ct2/show/ NCT02426892も参照されたい)。
【0287】
他の癌は、当業者に既知であろう。
【0288】
いくつかの実施形態において、癌は、黒色腫癌である。いくつかの実施形態において、癌は、乳癌である。
【0289】
別の実施形態において、当該癌は、グリア芽腫である。
【0290】
グリア芽腫およびグレードIV星状細胞腫としても知られる「グリア芽腫」は、脳内で始まる最も一般的で最も攻撃的な癌である。
【0291】
好ましい実施形態において、当該癌は、肺癌である。
【0292】
用語「肺癌」または「肺腫瘍」は、肺の組織での無秩序な細胞増殖によって特徴付けられる哺乳動物の生理的状態を意味する。用語「肺癌」は、肺の任意の癌を意味することが意図され、ならびに非小細胞肺癌および小細胞肺癌を含む。ある実施形態において、肺癌は、非小細胞肺癌(NSCLC)である。別の実施形態において、肺癌は、肺小細胞癌(SCLC)である。
【0293】
非小細胞肺癌(NSCLC)なる用語は、本明細書で使用される場合、一緒に分類された異種疾患の群を意味し、というのも、彼らの予後と管理はおよそ同じであるためであり、ならびにその例として、世界保健機構/国際肺癌学会(Travis WD et al. Histological typing of lung and pleural tumours. 3rd ed. Berlin: Springer-Verlag, 1999)の組織学的分類に従って、以下:
(i)扁平上皮癌(SCC)、NSCLCの30%から40%を占め、より大きい呼吸管において発症するが、よりゆっくりと成長し、それは、これらの腫瘍のサイズが診断の際に変化することを意味する。
(ii)腺癌、NSCLCの最も一般的なサブタイプであり、NSCLCの50%から60%を占め、肺の気体交換表面の近くで発症し、ならびにサブタイプである気管支肺胞上皮癌を含み、それは、治療に対して異なる反応を有する場合がある。
(iii)大細胞癌、肺の表面近くで成長する急激に成長する形態である。それは主として除外診断であり、より多くの調査が完了している場合、それは、通常、扁平上皮細胞癌または腺癌に再分類される。
(iv)腺扁平細胞癌、2つのタイプの細胞:扁平細胞(特定の臓器を内張りする薄くて平坦な細胞)および腺様細胞を含む癌のタイプである。
(v)多形性、肉腫様、または、肉腫性要素を有する癌腫。これは、組織学的不均一ならびに上皮および間葉の分化における連続性を反映するまれな腫瘍の群である。
(vi)カルチノイド腫瘍、成長が遅い神経内分泌肺腫瘍であり、神経系による刺激に対応してホルモンを放出することができる細胞において発症する。
(vii)唾腺タイプの癌腫、肺の大きい気道内に位置された唾液腺細胞において発症する。
(viii)未分類の癌腫、前述の肺癌カテゴリのいずれにも収まらない癌を含む。
が挙げられる。
【0294】
特定の実施形態において、当該NSCLCは、肺の扁平上皮癌、肺の大細胞癌、および肺の腺癌から選択される。
【0295】
肺小細胞癌(SCLC)なる用語は、本明細書で使用される場合、独特で厳密な形態学的特徴を有する小細胞の増殖を意味し、関連する内分泌性/傍腫瘍性症候群をこの腫瘍に与える濃密な神経分泌顆粒を含む。ほとんどの症例が、より大きい気道(一次および二次気管支)において生じる。これらの癌は急速に成長し、疾患の経過中の早期に広がる。
【0296】
さらにより好ましい実施形態において、肺癌は、腺癌、より好ましくはKRas駆動肺腺癌、好ましくは、KRAS遺伝子における変異に関連する癌である。一実施形態において、KRAS遺伝子における当該変異は、位置12のグリシン、位置13のグリシン、または位置61のグルタミンにおける変異である。より好ましい実施形態において、当該変異は、G12S変異、G12V変異、G12D変異、G13D変異、G12C変異、G12R変異、G12F変異、G12I変異、G13C変異、G13R変異、またはQ61L変異からなる群から選択される。好ましい実施形態において、当該変異は、G12D変異である。別の実施形態において、当該肺癌は、KRasGD12/p53駆動肺癌、好ましくはKRasGD12/p53駆動NSCLCである。
【0297】
ある実施形態において、癌は、一次腫瘍である。用語「一次腫瘍」は、本明細書で使用される場合、位置または臓器において生じた腫瘍であって、その位置に存在するが別の位置へ転移はしていない腫瘍を意味する。
【0298】
別の実施形態において、当該癌は、癌転移である。本発明との関連において、「転移」は、癌が生じた臓器から別の臓器への癌の伝播として理解される。それは、一般的に、血液またはリンパ系を通じて生じる。癌細胞が広がり、新たな腫瘍を形成する場合、後者は、二次腫瘍または転移性腫瘍と呼ばれる。二次腫瘍を形成する癌細胞は、元の腫瘍の癌細胞と同様である。例えば、乳癌が肺に広がった(転移した)場合、二次腫瘍は、悪性乳癌細胞で形成される。肺の疾患は、転移性乳癌であって、肺癌ではない。本発明者らは、本発明の組み合わせ物または組成物は、癌が、Mycタンパク質の発現または活性の増加を示すか否かにかかわらず、細胞増殖を低下させることができることも観察した。好ましい実施形態において、予防または治療される癌は、Myc誘導癌である。
【0299】
ある実施形態において、当該癌は、固形腫瘍である。
【0300】
本発明の化合物の組み合わせ物および癌のタイプの全ては、本発明に含まれる。
【0301】
いくつかの実施形態において、本発明の組み合わせ物または組成物は、腫瘍の成長の停止を生じる。いくつかの実施形態において、本発明の組み合わせ物または組成物は、治療前の腫瘍のサイズに対して、少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、90%、または99%の腫瘍サイズ(例えば、体積または質量)の減少を生じる。いくつかの実施形態において、本発明の組み合わせ物または組成物は、治療前の腫瘍の量に対して、少なくとも5%、10%、25%、50%、75%、90%、または99%の、患者における腫瘍の量の減少を生じる。
【0302】
「対象」は、本明細書で使用される場合、癌を有するかまたは癌の症状を示すかまたは癌を患うリスクまたは癌の症状を示すリスクがある任意の動物を含む。好適な対象(患者)としては、実験室動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、またはモルモットなど)、農場動物、および家畜動物またはペット(例えば、ネコまたはイヌなど)が挙げられる。非ヒト霊長動物、好ましくはヒト患者が含まれる。好ましくは、当該対象は、哺乳動物、最も好ましくはヒトである。
【0303】
癌の予防および/または治療における使用のための当該組み合わせ物または組成物は、癌の治療または重篤度の低下にとって効果的な任意の量および任意の投与経路を使用して投与され得る。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、および全身状態、疾患または状態の重篤度、特定の薬剤、投与様式などに応じて、対象ごとに変わるであろう。本発明の化合物は、好ましくは、投与の容易さおよび投薬量の均一性のために単位投薬形態において製剤化される。表現「単位投薬形態」は、本明細書で使用される場合、治療される患者にとって適切な物理的に別々に分けられた1回分の薬剤を意味する。しかしながら、本発明の化合物および組成物の1日の総使用量は、健全な医学的判断の範囲内において主治医によって決定されるであろう。任意の特定の患者または有機体のための特定の有効用量レベルは、様々な要因、例えば、治療される障害および障害の重症度;用いられた特定の化合物の活性;用いられた特定の組成物、患者の年齢、体重が、健康全般、性別、および食物;投与のタイミング、投与の経路、および用いられた特定の化合物の排泄速度;治療の継続期間;用いられる特定の化合物と組み合わせて、またはそれらと同時に使用される薬物、ならびに医学分野において周知の要因など、に依存するであろう。
【0304】
好ましい実施形態において、本発明の成分(i)、好ましくはポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体、またはコンジュゲートは、(治療効果を達成するため)癌の治療における当該組み合わせ物または組成物の癌免疫剤と相乗効果的に相互作用する。
【0305】
特に、より好ましい実施形態において、癌の予防および/または治療における使用のための当該組み合わせ物または医薬組成物は、当該ポリペプチドまたはその機能的に同等な改変体、またはコンジュゲートが、癌の治療において癌免疫剤と相乗効果的に相互作用する量である、組み合わせ物または医薬組成物である。
【0306】
用語「相乗作用」または「相乗効果的に相互作用する」は、相互互換的に使用される。相乗効果は、インビトロでの個々の薬剤の実際の効果を合計することによって予想される相加効果を超える効果である。インビボにおいて、相乗効果は、生理的効果であり、特に、インビボでの個々の薬剤の実際の効果を合計することによって予想される相加効果を超える効果である治療効果である。
【0307】
したがって、2種類の薬剤が投与される場合、併用される薬剤による実際の効果が、個々の薬剤による実際の治療効果を合計することによって予想されるのを上回る場合に、それらは一緒に、測定可能な生理的効果、特に治療効果を提供する。特に、第1薬剤が単独で、いくらかの測定可能な効果を提供し、第2薬剤が単独で、いくらかの測定可能な効果を提供し、当該2種の薬剤が一緒に、両方の個別の薬剤の合計によって提供される効果を上回る測定可能な効果を提供する場合に、相乗効果が提供される。より詳しくは、第1薬剤が単独で、測定可能な効果を全く提供せず、第2薬剤が単独で、いくらかの測定可能な効果を提供し、当該2種の薬剤が一緒に、第2薬剤単独によって提供される効果を上回る測定可能な効果を提供する場合に、相乗効果が提供される。さらにより詳しくは、第1薬剤単独でも、第2薬剤単独でも、測定可能な効果を全く提供しないが、当該2種の薬剤が一緒に、測定可能な効果を提供する場合に、相乗効果が提供される。成分(i)および(ii)は相乗効果的に作用するため、本発明の組み合わせ物または組成物の成分(i)および/または(ii)の量は、治療薬としてそれらの一方のみを用いる単独療法において必要とされるより少なくあり得る。好ましくは、これらの組み合わせ物または組成物において、一方または他方の治療薬の0.01~1.000μ/kg体重/日の間の投与量を、投与することができる。
【0308】
当該組み合わせ物または組成物中に存在する当該治療薬の量は、活性薬剤としてその治療薬を含む組成物において通常投与される量以下であり得る。好ましくは、本組成物中の治療薬の量は、唯一の治療的活性薬剤としてその薬剤を含む組成物中に通常存在する量の約50%から100%の範囲であろう。いくつかの実施形態において、1つの治療薬は、その薬剤が通常投与される量の約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%の投与量において投与される。本明細書において使用される場合、語句「通常投与される」は、FDA承認治療薬がFDAラベル挿入ごとに投薬に対して承認される量を意味する。
【0309】
本発明の組み合わせ物または組成物は、既知の治療プロセスとの組み合わせにおいて、例えば、化学療法、放射線治療法、免疫療法、光線療法、外科的介入、ホルモン、またはこれらの組み合わせとの組み合わせにおいても使用され得る。
【0310】
好ましい実施形態において、癌の治療および/または予防における使用のための当該組み合わせ物または医薬組成物は、肺癌、好ましくはNSCLC、より好ましくはKRas駆動癌、さらにより好ましくはKRASG12D駆動癌の治療用であり、この場合、第1成分、好ましくは配列番号1の配列を含むポリペプチド、より好ましくは配列番号4からなるポリペプチド、は、鼻腔内投与され、ならびに第2成分、好ましくはT細胞活性化阻害するタンパク質のアンタゴニスト、より好ましくは抗PD-1または抗CTLA-4、さらにより好ましくは抗PD-1抗体または抗CTLA-4抗体、は、全身投与、好ましくは非経口投与、さらにより好ましくは腹腔内投与される。好ましい実施形態において、第1成分は、週4回投与される。好ましい実施形態において、第2成分は、週1回投与される。より好ましい実施形態において、第1成分は、週4回投与され、第2成分は、週1回投与される。ある実施形態において、第1成分および第2成分は、連続して投与され、すなわち、第1成分の投与は、第2成分の投与を開始する前に中止される。好ましい実施形態において、当該治療は、少なくとも4週間継続する。好ましい実施形態において、第1成分および第2成分は、異なる日に投与される。好ましい実施形態において、第1成分は、1日目、2日目、4日目、および5日目に投与され、第2成分は、3日目に投与される。併用投与の好ましい実施形態において、第1成分および第2成分は、異なる日に投与され、好ましくは、第1成分は、1日目、2日目、4日目、および5日目に投与され、第2成分は、3日目に投与される。好ましい実施形態において、成分(i)と成分(ii)との間の比率は、50:1から1:50、特に、20:1から1:20、1:10から10:1、または5:1から1:5、好ましくは1:1から1:5、より好ましくは1:1から1:3の範囲であり得る。より好ましい実施形態において、当該比率は、1:1から1:1.5、好ましくは1:1.3から1:1.4の範囲であり得、より好ましくは1:1.34であり得る。別の好ましい実施形態において、当該比率は、1:1から1:2.8、好ましくは1:2.6から1:2.7の範囲であり、より好ましくは1:2.67である。これらの比率は、好ましくはw/w比である。
【0311】
好ましい実施形態において、癌の治療および/または予防における使用のための当該組み合わせ物または医薬組成物は、肺癌、好ましくはNSCLC、より好ましくはKRas駆動癌、さらにより好ましくはKRASG12D駆動癌、好ましくはKRASG12D/p53駆動癌、の治療用であり、この場合、第1成分、好ましくは配列番号1の配列を含むポリペプチド、より好ましくは配列番号4からなるポリペプチド、は、静脈内投与され:ならびに第2成分、好ましくはT細胞活性化阻害するタンパク質のアンタゴニスト、より好ましくは抗PD-1または抗CTLA-4、さらにより好ましくは抗PD-1抗体または抗CTLA-4抗体、さらにより好ましくは抗PD-1抗体、は、全身投与、好ましくは非経口投与、さらにより好ましくは腹腔内投与される。好ましい実施形態において、第1成分は、週2回投与される。好ましい実施形態において、第2成分は、週1回投与される。より好ましい実施形態において、第1成分は、週2回投与され、第2成分は、週1回投与される。ある実施形態において、第1成分および第2成分は、連続して投与され、すなわち、第1成分の投与は、第2成分の投与を開始する前に中止される。別の実施形態において、第1成分および第2成分は、好ましくは週1回、同時投与される。好ましい実施形態において、当該治療は、少なくとも3週間、好ましくは少なくとも4週間継続される。好ましい実施形態において、第1成分および第2成分は、異なる日に投与される。好ましい実施形態において、第1成分は、2日目および5日目に投与され、ならびに第2成分は、3日目に投与される。併用投与の好ましい実施形態において、第1成分および第2成分は、異なる日に投与され、好ましくは、第1成分は、2日目および5日目に投与され、第2成分は、3日目に投与される。より好ましい実施形態において、第1成分は、第2成分を投与する前に、ある期間、好ましくは少なくとも5日間、少なくとも10日間、少なくとも15日間、より好ましくは10日間、投与される。ある実施形態において、第1成分の投与は、第2化合物の投与を開始する前に中止される。好ましい実施形態において、成分(i)と成分(ii)との間の比率は、50:1から1:50、特に20:1から1:20、1:10から10:1、または5:1から1:5の範囲であり得る。別の特定の実施形態において、量の間の比率は、30:1から5:1、好ましくは30:1から8:1、より好ましくは25:1から15:1、より好ましくは20:1から10:1の範囲である。ある実施形態において、当該比率は、20:1である。別の実施形態において、当該比率は、10:1である。これらの比率は、好ましくはw/w比である。
【0312】
本発明の組み合わせ物の全ての実施形態は、本発明の治療方法にも適用可能である。
【0313】
製造物品およびキット
本開示は、1または複数の容器において、本明細書において開示される組み合わせ物または医薬組成物のうちのいずれか一方を含む製造物品も提供する。いくつかの実施形態において、当該製造物品は、癌の予防および/または治療のために当該製造物品の組成物を組み合わせるためおよび/または使用するために、例えば、小冊子、印刷された取扱説明書、ラベル、またはユーザー(例えば、販売業者または最終ユーザー)を対象とする添付文書、を含む。
【0314】
いくつかの実施形態において、当該製造物品は、例えば、ボトル、バイアル瓶、カートリッジ、箱、注射器、注入器、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、ラベルは、本明細書において開示される方法による製造物品における当該組み合わせ物または当該医薬組成物の使用または投与を意味する。いくつかの態様において、ラベルは、例えば、使用のための投与計画、癌を治療、予防、または改善するための投与計画などを示す。
【0315】
本願全体を通して引用され得る全ての列記された参考文献(参考文献、特許、特許出願、およびウェブサイトを含む)の内容は、任意の目的のために、そこで引用される参考文献のままに参照によりその全体が本明細書に明確に組み入れられる。
【0316】
本明細書で使用される全ての用語は、特に明記しない限り、当技術分野で知られているそれらの普通の意味において理解されるであろう。本願において使用されるある特定の用語に対する他のより特異的な定義は、以下において詳しく説明され、ならびに別の明確に指定された定義がより広い定義を提供しない限り、説明および特許請求の範囲全体を通して一様に適用することが意図される。説明および特許請求の範囲全体を通して、言葉「含む(comprise)」および当該言葉の変形は、他の技術的特徴、添加剤、成分、または工程を排除することを意図しないその上、言葉「含む(comprise)」は、「からなる(consisting of)の場合を包含する。本発明のさらなる目的、利点、および特徴は、説明を熟読すれば、当業者に明らかとなるか、または本発明の実施によって学習され得る。その上、本発明は、本明細書において説明される特定の実施形態の全ての可能な組み合わせを網羅する。
【0317】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上明確に否定されない限り、複数の指示対象を含む。用語「a」(または「an」)、ならびに用語「1つまたは複数」および「少なくとも1つ」は、本明細書において相互互換的に使用することができる。その上、本明細書において使用される「および/または」は、他方を伴うかまたは伴わない2つの指定された特徴または構成要素のそれぞれの特定の開示として理解される。したがって、用語「および/または」は、本明細書において「Aおよび/またはB」のような語句において使用される場合、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」(のみ)、および「B」(のみ)を含むことが意図される。同様に、用語「および/または」は、「A、B、および/またはC」などの語句において使用される場合、以下の態様:A、B、およびC;A、B、またはC;A、またはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(のみ);B(のみ);およびC(aのみ)、のそれぞれを包含することが意図される。用語「約(about)」は、本明細書および特許請求全体を通してある数値に関連して使用される場合、当業者に対して精度、親密度、および許容性の区間を指示する。一般的に、精度のそのような区間は、15%±である。特に明記されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。単位、接頭語、および記号は、それらの国際単位系(SI)に受け入れられた形態において指示される。数値範囲は、当該範囲を定義する数値を含む。特に明記しない限り、アミノ酸配列は、カルボキシ方向にアミノにおいて左から右へと記述される。本明細書において提供される見出しは、本開示の様々な態様の限定ではなく、それらは、全体として、本明細書を参照することにより得ることができる。従って、このすぐ後に定義される用語は、本明細書を参照することによって、より完全に定義される。
【0318】
本発明は、下記の実施例によって説明され、当該実施例は、単なる例示と見なされ、本発明の範囲の限定とは見なされない。
【実施例
【0319】
Omomycの作製および精製
N末端にメチオニンを含む配列番号4のOmomycペプチド配列を、逆転写し、大腸菌(E.coli)での発現に対してコドン最適化し、pET3a発現ベクター(Novagen)においてクローンし、ならびにJ.-F. Naud et al. 2003. J Mol Biol, 326:1577-1595; F.-O. and Mcduff et al. 2009. J Mol Recognit, 22:261-269に記載のMax°精製プロトコルから適合させたプロトコルを使用してBL21(DE3)アラビノース誘導性(Invitrogen(登録商標))菌株から精製した。得られた精製コンストラクトは、配列番号4のポリペプチドであった。各精製コンストラクトの同一性を、質量分析法およびウェスタンブロット分析によって確認した。Omomycをカチオン性交換クロマトグラフィによって精製し、純度を、質量スペクトル分析、SDS-PAGE、および紫外分光法によって確認した。インビボ投与の場合、ToxinEraser(商標) Endotoxin Removal Kit(Genscript)を使用してエンドトキシンを除去するために、追加の精製工程を実施した。エンドトキシン濃度を、Pierce(登録商標) LAL Chromogenic Endotoxin Quantification Kit(Thermo Scientific)を使用して定量化した。緩衝液交換を、3kDa排除限界を有するアミコンウルトラ(Amicon Ultra)-15(MerckMillipore)において行った。
【0320】
Omomyc鼻腔内治療は特異的に腫瘍部位へのTリンパ球の動員を増加させた
KRasLSL-G12D/+マウスをTransnetyxによってジェノタイピングし、上記で説明したように、雄および雌の両方において肺腫瘍の生成を実施した(Jackson, E.L., et al., Genes Dev, 2001. 15(24): p. 3243-8)。動物は、混合C57BL/6JxFVBNバックグラウンドにおいて維持した。1時点および条件あたり最低5匹のマウスをランダマイズし、Adeno-Cre感染後、マウスが、マイクロCTによって検出可能な腫瘍を示した後、14~16週間の治療を開始した。動物に、イソフルラン(AbbVie Farmaceutica S.L.U.)を吸入させて麻酔し、Omomycポリペプチド(2.4mg/kg)またはビヒクル(pH6.5の10mM酢酸ナトリウム)のいずれかにより、1週間または4週間のどちらかにおいて、1週間あたり4回(1101100)による30μLの総量において、鼻腔内により治療した。
【0321】
エンドポイントにおいて、マウスを安楽死させ、肺を切除し、気管を通して4%PFAで灌流し、一晩かけて固定させ、70%エタノールに移し、パラフィンに包埋し、4μmの切片を切断した。CD3免疫蛍光のため、pH6.0の0.01Mクエン酸緩衝液において400Wのマイクロ波で20分加熱することによって、抗原回復を実施した。3%BSAおよび0.05%Tween20において1時間ブロッキング処理した後、Dako Ready-to-use希釈剤(Dako S2022)において1/100に希釈した抗CD3(Dako A0452)を用いて、スライドを4℃で一晩インキュベートした。PBS洗浄後、ヤギ抗ウサギIgG(H+L)-AlexaFluor(登録商標)488コンジュゲート(Thermo Fisher Scientific A-11008)を用いて、スライドをインキュベートし、1/10000に希釈したDAPI(Life Technologies D1306)によって染色し、PBSで洗浄し、Fluorescence Mounting Medium(Dako S3023)によって取り付けた。ニコンC2+共焦点顕微鏡およびNIS-elementsソフトウェアを使用して画像を撮影した。代表的な腫瘍の写真をマウス1匹あたり5枚撮影し、1エリアあたりのCD3細胞の平均が示される。
【0322】
抗CD3による免疫染色により、Omomyc治療が、治療開始後早くも1週間で、特異的に腫瘍部位へのTリンパ球の動員を増加させること、およびT細胞は、全ての治療の間中、そこに留まり(図1A)、それが、Omomycポリペプチドの作用のメカニズムの一部としての可能な免疫貢献を証明することが判明した。
【0323】
Omomyc鼻腔内治療は活性化されたCD4T細胞を腫瘍部位へ動員する
実験モデルおよびOmomyc治療は、上記で説明したものと同じである。
【0324】
エンドポイントにおいて、マウスを安楽死させ、肺を切除し、Mouse Tumor Dissociation Kit(Miltenyi)を使用して分離し、フローサイトメトリーによって免疫細胞含有物を分析するために、コンジュゲート化した抗体で染色した。染色の前に、死亡細胞を、製造業者の使用説明書に従ってFixable Viability Stain 510(BD Biosciences 564406)を用いて染色した。次いで、室温で10分間の抗CD16/32抗体を用いたインキュベーションによって、非特異的結合体を遮断した。表面染色のために、細胞を、当該抗体を用いて暗所において4℃で20分間インキュベートした。使用した抗体を第1表に一覧する。FoxP3細胞内染色のため、FoxP3 Transcription Buffer Set(eBioscience 00-5523-00)を、製造業者の取扱説明書に従って使用した。細胞をCytoFlex cytometer(Beckman Coulter)を使用して獲得し、データを、CytoExpert 2.0ソフトウェア(Beckman Coulter)を使用して解析した。
【0325】
図1Bは、Omomycが、腫瘍へのCD4T細胞の動員を誘導し。それらが活性化されることを示すFACS分析を示している。実際に、これらの細胞は、PD-1および両方のPD-1Tim-3分子におけるより高いレベルを示し、それは、Omomycが抗腫瘍免疫反応を誘導することを示唆している。加えて、Omomycは、T制御性細胞(Tregs)の発現も誘導する。
【0326】
Omomyc全身投与は腫瘍部位へT細胞を動員する
Kras/p53同系モデルによる研究のため、1x10のMuH-163細胞を、7週齢の雌のC57BL/6(JANVIER LABS)の背中側脇腹に皮下において接種させた。腫瘍が確立し、約100mmの体積に達した後、マウスを2つの群にランダマイズし、ビヒクル(PBS、pH7.0)またはOmomyc(32mg/kg)を用いて、週1回、静脈内により治療した。3週間の治療の後で、マウスを安楽死させ、腫瘍を切除し、それを2つに切断した。次いで、当該腫瘍の半分の一方を、4%のPFAを用いて一晩かけて固定化させ、70%エタノールに移し、パラフィンに包埋し、4μmの切片を切断した。CD3免疫蛍光のため、pH6.0の0.01Mクエン酸緩衝液において400Wのマイクロ波で20分加熱することによって、抗原回復を実施した。3%BSAおよび0.05%Tween20において1時間ブロッキング処理した後、Dako Ready-to-use希釈剤(Dako S2022)において1/100に希釈した抗CD3(Dako A0452)を用いて、スライドを4℃で一晩インキュベートした。PBS洗浄後、ヤギ抗ウサギIgG(H+L)-AlexaFluor(登録商標)488コンジュゲート(Thermo Fisher Scientific A-11008)を用いてスライドをインキュベートし、1/10000に希釈したDAPI(Life Technologies D1306)によって染色し、PBSで洗浄し、Fluorescence Mounting Medium(Dako S3023)によって取り付けた。ニコンTie蛍光顕微鏡およびNIS-elementsソフトウェアを使用して画像を撮影した。腫瘍の代表的なエリアの写真をマウス1匹あたり4枚撮影し、1フィールドあたりのCD3細胞の平均が示される。
【0327】
フローサイトメトリー分析のため、腫瘍の半分のもう片方を、Mouse Tumor Dissociation Kit(Miltenyi)を使用して分離し、フローサイトメトリーによって免疫細胞含有物を分析するために、コンジュゲート化した抗体で染色した。染色の前に、死亡細胞を、製造業者の使用説明書に従ってFixable Viability Stain 510(BD Biosciences 564406)を用いて染色した。次いで、室温で10分間の抗CD16/32抗体を用いたインキュベーションによって、非特異的結合体を遮断した。表面染色のために、細胞を、当該抗体を用いて暗所において4℃で20分間インキュベートした。使用した抗体を第1表に一覧する。細胞をCytoFlex cytometer(Beckman Coulter)を使用して獲得し、データを、CytoExpert 2.0ソフトウェア(Beckman Coulter)を使用して解析した。
【0328】
Omomyc投与は、腫瘍部位へのT細胞動員を誘導した(図2A)。Omomycは、腫瘍へのより多くのCD8T細胞を動員し、PD-1およびTim-3分子の両方を発現するCD4およびCD8T細胞が大幅に増加した(図2B)。
【0329】
抗PD-1と組み合わせたOmomycは、腫瘍へCD4 PD-1+Tim-3 T細胞を動員する
KRasLSL-G12D/+マウスをTransnetyxによってジェノタイピングし、雄および雌の両方での肺腫瘍の生成を、上記で説明したように実施した(Jackson, E.L., et al., Genes Dev, 2001. 15(24): p. 3243-8)。動物は、純粋なC57BL/6バックグラウンドにおいて養った。1時点あたり最低5匹のマウスと条件をランダマイズし、Adeno-Cre感染後、マウスが、マイクロCTによって検出可能な腫瘍を示した後、14~16週間の治療を開始した。マウスを4つの群:ビヒクル+アイソタイプネズミIgG2a,k、Omomyc+アイソタイプネズミIgG2a,k、ビヒクル+抗PD-1、およびOmomyc+抗PD-1、にランダマイズした。Omomyc治療のために、動物にイソフルラン(AbbVie Farmaceutica S.L.U.)を吸入させて麻酔し、およびOmomycポリペプチド(2.4mg/kg)またはビヒクル(PBS、pH=7)のいずれかにより、1週間あたり4回(1101100)による30μLの総量において、鼻腔内により治療した。抗PD-1(BioXCell BE0146)またはそのアイソタイプRat IgG2a,k(BioXCell BE0089)を、4週間の間、200μg/マウスの用量において、週1回(0010000)、腹腔内により与えた。
【0330】
エンドポイントにおいて、マウスを安楽死させ、肺を切除し、Mouse Tumor Dissociation Kit(Miltenyi)を使用して分離し、フローサイトメトリーによって免疫細胞含有物を分析するために、コンジュゲート化した抗体で染色した。染色の前に、死亡細胞を、製造業者の使用説明書に従ってFixable Viability Stain 510(BD Biosciences 564406)を用いて染色した。室温で10分間の抗CD16/32抗体を用いたインキュベーションによって、非特異的相互作用を遮断した。表面染色のために、細胞を、当該抗体を用いて暗所において4℃で20分間インキュベートした。使用した抗体を第1表に一覧する。細胞をCytoFlex cytometer(Beckman Coulter)を使用して獲得し、データを、CytoExpert 2.0ソフトウェア(Beckman Coulter)を使用して解析した。
【0331】
Omomycと抗PD-1療法の組み合わせは、PD-1を発現するCD4+T細胞の動員を著しく増加させるが、ビヒクルおよび抗PD-1のみの両方で治療した群と比較して、腫瘍部位へのTim-3の動員は増加しない(図3)。この知見は、抗PD-1とのOmomycの組み合わせ物が、抗腫瘍免疫反応を促進するために相乗効果を与えることを示している。最近の知見は、腫瘍侵入リンパ球(TIL)でのPD-1発現が、クローン的に増殖させた腫瘍反応細胞のレパートリーを正確に識別することを実証している(Gros A et al., J Clin Invest (2014) 124(5): 2246-2259)。この考え方において、そのリガンド(PD-L1およびPD-L2)とのライゲーションに対する阻害シグナルにつながるが、最初、PD-1発現は、T細胞活性化の、ならびに腫瘍抗原に特異的な高結合活性TILのマーカーであることは明らかである(Simon S and Labarriere N.. OncoImmunology (2018). 7:1, e1364828において概説される)。
【0332】
抗PD-1と組み合わせたOmomycはIFN-γの産生を誘導する
実験モデルであるOmomycおよび抗PD-1治療は、上記において説明されるものと同じである。
【0333】
エンドポイントにおいて、マウスを安楽死させ、肺を切除し、およびMouse Tumor Dissociation Kit(Miltenyi)を使用して分離し、フローサイトメトリーによって免疫細胞含有物を分析するために、コンジュゲート化した抗体で染色した。染色の前に、死亡細胞を、製造業者の使用説明書に従ってFixable Viability Stain 510(BD Biosciences 564406)を用いて染色した。室温で10分間の抗CD16/32抗体を用いたインキュベーションによって、非特異的相互作用を遮断した。表面染色のために、細胞を、当該抗体を用いて暗所において4℃で20分間インキュベートした。使用した抗体を第1表に一覧する。IFN-γ染色のため、収穫し分離させた腫瘍細胞を、モネンシンおよびブレフェルジン(befeldrin)A(両方ともBD Biosciences製)の存在下において、PMAおよびイオノマイシン(ionomicin)(両方ともSigma-Aldrich製)によって12時間刺激した。次いで、細胞を収穫し、フローサイトメトリー分析のために染色した。IFN-γの細胞内染色のため、製造業者の使用説明書に従ってBD Cytofix/Cytoperm緩衝剤セットを使用した(BD Biosciences 554722)。細胞をCytoFlex cytometer(Beckman Coulter)を使用して獲得し、データを、CytoExpert 2.0ソフトウェア(Beckman Coulter)を使用して解析した。
【0334】
これらの実験は、Omomycおよび抗PD-1の併用療法が、それらのビヒクルカウンターパートと比較して、CD4+ヘルパーおよびCD8+細胞傷害性腫瘍内T細胞の両方によるインターフェロン-γ(IFN-γ)の産生を著しく誘導する(図4)ことを示しており、実際に、Omomycで治療した群でも、抗PD-1で治療した群でも、観察されなかった。
【0335】
ここ数年間、腫瘍拒絶およびクリアランスを促進する際のIFN-γにとっての重要な役割を実証するかなりの量の証拠が蓄積されている。このサイトカインは、活性化T細胞およびNK細胞によって主に産生され、腫瘍細胞に対して抗増幅効果、アポトーシス促進効果、および壊死効果(necroptotic effect)を直接誘導すること、および主要組織適合性分子の上方調節を誘導することにより免疫原性を増強することによって、その抗腫瘍効果を発揮する(Castro F et al., Front. Immunol. (2018). 9:847 and in Ikeda H et al., Cytokine & Growth Factors Reviews (2002). 13 95-109において広範囲にわたって概説される)。その上、このサイトカインは、腫瘍内微小環境にも影響を及ぼし、腫瘍を囲む内皮細胞の増幅および生存を阻害することにより脈管形成を損ない、結果として、腫瘍拒絶につながる重要なメカニズムである腫瘍部位での虚血を誘導する(Beatty G and Paterson Y. J Immunol (2001) 166:2276-82, Kammertoens T et al., Nature (2017) 545:98-102およびBriesemeister D et al., Int J Cancer (2011) 128:371-8)。その上、このサイトカインは、腫瘍部位へのT細胞およびNK細胞の輸送にとって重要であるため、Th1 CD4+およびCD8+T細胞によるIFN-γの産生は、腫瘍クリアランスを高める(Melero I et al., Cancer Discov (2014) 4:522-6)。加えて、IFN-γは、マクロファージの活性化およびそれらの殺腫瘍活性の促進において極めて重要な役割も果たす(Celada A et al., J Exp Med (1984) 160:55-74)。重要なことに、IFN-γのレベル増加は、化学治療法および放射線治療法、ならびに抗PD-1およびCLTA-4免疫療法の両方、対する反応の予測的バイオマーカーである(Karachaliou N et al., Ther Adv Med Oncol (2018) 10:1758834017749748 and Mo X et al., Cancer Res (2018) 78:436-50)。一貫して、最近の臨床試験は、IFN-γ産生エフェクターT細胞と腫瘍成長阻害との間の関連性を示す有望な結果を既に有している(Liakou CI et al., Proc Natl Acad Sci U S A (2008) 105:14987-92, Peng W et al., Cancer Res (2012) 72:5209-18およびOveracre-Delgoffe AE et al., Cell (2017) 169:1130-41.e11)。
【0336】
【表3】
【0337】
抗PD-1抗体とのOmomycの組み合わせ物は、健康な肺の割合を相乗効果的に増加させ、T腫瘍部位へT細胞を動員する
TransnetyxによってKRasLSL-G12D/+マウスの遺伝子型を同定し、上記で説明したように雄および雌の両方における肺腫瘍の生成を実施した(Jackson, E.L., et al., Analysis of lung tumor initiation and progression using conditional expression of oncogenic K-ras. Genes Dev, 2001. 15(24): p. 3243-8)。動物を純粋なC57BL/6バックグラウンドにおいて維持した。アデノ-Cre感染の14~16週後、マウスがマイクロCTによって検出可能な腫瘍を示したら、それらを、以下のように、4週間にわたって治療した4つの群:ビヒクル+アイソタイプタイプRat IgG2a,k、Omomyc+アイソタイプタイプRat IgG2a,k、ビヒクル+抗PD-1、およびOmomyc+抗PD-1、へとランダマイズした。Omomyc治療の場合、動物を、イソフルラン(AbbVie Farmaceutica S.L.U.)を吸入させることによって麻酔し、30μLの総量において週4回(1101100)、Omomycポリペプチド(3.75mg/kg)またはビヒクル(PBS、pH=7)のどちらかによって鼻腔内により治療した。抗PD-1(BioXCell BE0146)またはそのアイソタイプRat IgG2a,k(BioXCell BE0089)を、4週間にわたって、週1回(0010000)、5 mg/kgを腹腔内により与えた。
【0338】
マイクロCT研究は、Quantum FXイメージングシステム(Perkin Elmer、940ウインターストリート、 ウォルサム、マーマサチュセッツ、EEUU)によって得て、画像再構築は、Feldkamp法に基づいた。胸郭容積に対しては、量子FX解析ソフトウェアを使用した。第一に、対側の肋骨の間の距離を竜骨レベルにおいて測定した(r2)。第二測定は、竜骨レベルから横隔膜殻斗までの最大距離として定義した。最終測定は、横隔膜殻斗レベルでの胸骨と腰下筋系との間の距離として定義される、胸郭高さであった(r1)。これらの3つの値を用いて、以下の数式を使用して円すい台の容積を計算した。
容積=高さ*π/3*(r13-r23)/(r1-r2)
【0339】
肺の健全な組織を、AMIDEソフトウェア(Amide(登録商標) Andreas Loening)を用いて、閾値法を使用して計算した。この閾値は、-950/-350グレーの範囲に含まれる強度値を有する、画像におけるボクセルの完全な量を選択する。このグレースケールの範囲は、異なる研究を調べた後に手動において選択した。
【0340】
最後に、完全な胸郭容積は維持されるが、その一方で、健康な肺の容積は、病理の進行と共に徐々に減少するという概念に基づいて、健康な肺/胸郭容積比を計算した。抗PD-1と組み合わせたOmomycで治療した動物は、ビヒクルおよび治療のみと比較して、健康な肺の割合の増加を示した(図5Aおよび5B)。
【0341】
エンドポイントにおいて、マウスを安楽死させ、肺を切除し、Mouse Tumor Dissociation Kit(Miltenyi)を使用して分離させ、コンジュゲート化した抗体で染色した。染色する前に、製造業者の使用説明書に従って、死んだ細胞をFixable Viability Stain 510(BD Biosciences 564406)で染色した。室温で10分間の抗CD16/32抗体を用いたインキュベーションによって、非特異的交差反応を遮断した。表面染色のために、細胞を、当該抗体を用いて暗所において4℃で20分間インキュベートした。使用した抗体を第2表に一覧する。
【0342】
【表4】
【0343】
IFN-γおよびIL-17染色のために、収穫し分離した腫瘍細胞を、モネンシンおよびブレフェルジン(befeldrin)A(両方ともBD Biosciences製)の存在下において、PMAおよびイオノマイシン(ionomicin)(両方ともSigma-Aldrich製)によって刺激した。次いで、細胞を収穫し、フローサイトメトリー分析のために染色した。IFN-γの細胞内染色の場合、製造業者の使用説明書に従って、BD Cytofix/Cytoperm緩衝剤セット(BD Biosciences 554722)を使用した。細胞をCytoFlex cytometer(Beckman Coulter)を使用して獲得し、データを、CytoExpert 2.0ソフトウェア(Beckman Coulter)を使用して解析した。
【0344】
図5Cは、組み合わせて投与されたOmomycおよび抗PD-1が、特にCD4T細胞およびTh1/Th17c細胞の、腫瘍部位へのT細胞動員を誘導することを示している。第3表は、得られた効果が相乗的であることを示している。目的の免疫細胞集団における増加が、個々の治療の増加の合計より大きい場合に、それは相乗効果と見なされる。
【0345】
【表5】
【0346】
抗CTLA-4抗体とのOmomycの組み合わせ物は、腫瘍成長を相乗効果的に低下させ、腫瘍部位へ抗腫瘍T細胞を動員する
実験モデル、マイクロCTスキャン、およびFACS染色は、図5において説明したものと同じであった。
【0347】
アデノ-Cre感染の14~16週後、マウスがマイクロCTによって検出可能な腫瘍を示したら、それらを、以下のように、4週間にわたって治療した4つの群:ビヒクル+アイソタイプシリアンハムスターIgG、Omomyc+アイソタイプシリアンハムスターIgG、ビヒクル+抗CTLA-4、およびOmomyc+抗CTLA-4、へとランダマイズした。Omomyc治療の場合、動物に、イソフルラン(AbbVie Farmaceutica S.L.U.)を吸入させて麻酔し、30μLの総量において週4回(1101100)、Omomycポリペプチド(3.75mg/kg)またはビヒクル(PBS、pH=7)のどちらかによって鼻腔内により治療した。抗CTLA-4(BioXCell BE0131)またはそのアイソタイプシリアンハムスターIgG(BioXCell BE0087)に、4週間にわたって、週1回(0010000)、10 mg/kgを腹腔内により与えた。
【0348】
図6Aは、抗CTLA-4と併用したOmomycで治療した動物は、ビヒクルおよび治療のみと比較して、腫瘍成長の低下を示すことを示している。図6Bは、組み合わせて投与されたOmomycおよび抗CTLA-4が、特にCD4T細胞の、およびCD8PD-1T細胞の両方の、腫瘍部位へのT細胞動員を誘導することを示している。第4表は、得られた効果が相乗的であることを示している。目的の免疫細胞集団における増加が、個々の治療の増加の合計より大きい場合、それは相乗効果と見なされる。
【0349】
【表6】
【0350】
抗PD-1抗体と共に静脈内投与されるOmomycの連続併用は、腫瘍部位へ抗腫瘍T細胞を相乗効果的に動員する
実験モデル、マイクロCTスキャン、およびFACS染色は、図5に対して説明したものと同じであった。
【0351】
アデノ-Cre感染の14~16週後、マウスがマイクロCTによって検出可能な腫瘍を示したら、それらを、以下のように、4週間にわたって治療した4つの群:ビヒクル、Omomyc、ビヒクル+抗PD-1、およびOmomyc+抗PD-1、へとランダマイズした。Omomyc治療の場合、10日間にわたっての週2回のOmomycポリペプチド(50mg/kg)、またはビヒクル(NaAc 24mM+150mM塩化ナトリウム)(0100100)のどちらかによって静脈内により治療した。組み合わせ物を受けさせた群を、最初の10日間、Omomycによって週2回、治療した。10日間のOmomyc治療の後、組み合わせ物を受けさせた群のOmomyc治療を中止し、実験の終了まで、週1回(0010000)、腹腔内により2.5mg/kgの抗PD-1(BioXCell BE0146)を受けさせることを開始した。Omomycのみの単独療法の群に、最初の10日間はOmomycを週2回受けさせ、次いで、治療を継続したが、実験の終了まで、週1回のみ受けさせた。
【0352】
図7は、Omomycおよび、次いで抗PD-1による連続治療は、特に、PD-1およびTim-3分子の両方を発現するCD4T細胞の、およびPD-1を発現するTh1/Th17T細胞の、腫瘍部位へのT細胞動員を誘導した。第5表は、得られた効果が相乗的であることを示している。目的の免疫細胞集団における増加が、個々の治療の増加の合計より大きい場合に、それは、相乗効果と見なされる。
【0353】
【表7】
【0354】
抗PD-1抗体と同時に静脈内投与されるOmomycの組み合わせ物は、相乗効果的に、腫瘍部位へT細胞を動員する
非常に攻撃的なKras/p53変異NSCLC MuH-163細胞系を、C57/BL6同系マウスに、皮下において接種させた(1×10細胞)。腫瘍が確立されると、マウスを4つの群:ビヒクル、Omomyc、ビヒクル+抗PD-1、およびOmomyc+抗PD-1、にランダマイズした。3週間にわたって、同時に、週1回、Omomyc治療を50mg/kg(0010000)静脈内投与され、抗PD-1抗体を5mg/kg腹腔内投与された。マウスを週2回モニターし、腫瘍成長をノギスで測定した。
【0355】
エンドポイントにおいて、腫瘍を収集し、その半分を4%のPFAで固定して、IHC分析のためにパラフィンに包埋し、その一方で、もう半分は、Mouse Tumor Dissociation Kit(Miltenyi)を使用して消化させ、フローサイトメトリーによって免疫細胞内容物を分析するために、コンジュゲート化した抗体で染色した。FACS染色および分析は、図5のために説明したとおりに実施した。
【0356】
CD3免疫蛍光のため、400Wに設定したマイクロ波を使用して、pH6.0の0.01Mクエン酸緩衝液において20分加熱することによって、抗原回復を実施した。3%のBSAにおいて45分間ブロッキングし、PBSで洗浄した後、Dako Ready-to-use希釈剤(Dako S2022)において1/100に希釈した抗CD3(Dako A0452)を用いて、スライドを4℃で一晩インキュベートした。PBS洗浄後、1/200に希釈したヤギ抗ウサギIgG(H+L)-AlexaFluor(登録商標)488コンジュゲート(Thermo Fisher Scientific A-11008)を用いて、スライドをインキュベートし、1/10000に希釈したDAPI(Life Technologies D1306)によって染色し、水で1回洗浄し、Fluorescence Mounting Medium(Dako S3023)によって取り付けた。CD3陽性度を、20倍率で撮影した動物1匹あたり5枚の代表的蛍光顕微鏡画像から測定した。
【0357】
図8は、Omomycおよび抗PD-1の同時治療が、腫瘍部位にT細胞を著しく補充することを示している。第6表は、得られた効果が相乗的であることを示している。目的の免疫細胞集団における増加が、個々の治療の増加の合計より大きい場合に、それは、相乗効果と見なされる。
【0358】
【表8】
【0359】
CD3、CD4、IL-17、およびIFN-γの高発現は、より高い生存率と相関する
カプラン-マイヤープロットを、カプラン-マイヤープロッター(http://kmplot.com/analysis/index.php?p=background)を使用して行った。それを行うために、肺癌患者のデータベースを選択した。NSCLCの全ての組織学的タイプ、全てのステージ、および全てのグレードを、解析のために含ませた。
【0360】
図9は、CD3、CD4、IL-17、およびIFN-γの高発現がNSCLC患者におけるより高い生存率と相関することを示している。
【0361】
結論
抗PD-1抗体と鼻腔内Omomycとの組み合わせは、Omomyc(0.86)および抗PD-1(0.92)療法単独によって示される改善と比較して、総胸郭容積に対して健康な肺の割合を相乗効果的に増加させた(平均7.969)(図5Aおよび5B)。加えて、同時に投与された治療は、強力な抗腫瘍性効果を発揮することが知られている、特にCD4T細胞およびTh1/Th17c細胞の、腫瘍部位へのT細胞の動員を著しく誘導した(Chatterjee, S., et al., CD38-NAD(+)Axis Regulates Immunotherapeutic Anti-Tumor T Cell Response. Cell Metab, 2018. 27(1): p. 85-100 e8)(図5C)。
【0362】
これらの結果に沿って、抗CTLA-4と鼻腔内Omomycとの組み合わせは、ビヒクル(3.85)および両方の単独での投与の治療(Omomyc:2.3;a-CTLA-4:3.0)と比較して、腫瘍成長の減少(1.11)を示した(図6A)。
【0363】
腫瘍成長に対するこの直接的な効果に加えて、当該治療併用は、特にCD4T細胞ならびにPD-1分子を発現するCD4およびCD8T細胞の両方(腫瘍特異的T細胞を識別することが知られている細胞(Gros, A., et al., PD-1 identifies the patient-specific CD8(+) tumor-reactive repertoire infiltrating human tumors. J Clin Invest, 2014. 124(5): p. 2246-59) )の、腫瘍部位へのT細胞動員も、相乗効果的に誘導した(図6B)。まとめると、抗PD-1または抗CTLA-4と組み合わせて鼻腔内投与されたOmomycは、腫瘍成長を低下させ、腫瘍部位へ抗腫瘍T細胞を相乗効果的に動員する。
【0364】
その上、同じマウスモデル(KrasG12D-駆動NSCLC)を使用することにより、本発明者らは、連続して投与された抗PD-1と組み合わせた静脈内Omomyc(最初にOmomycを投与し、次いで抗PD-1抗体を投与する)も、相乗効果を与え、ならびに、特に、PD-1およびTim-3分子の両方を発現する腫瘍特異的CD4ならびにTh1/Th17抗腫瘍T細胞の、腫瘍部位へのT細胞の動員を誘導する(図7)。
【0365】
別のモデルにおいてこの相乗効果を検証するために、本発明者らは、Krasおよびp53の両方における変異によって駆動されるNSCLCの別の非常に攻撃的なモデルにおいて、Omomycおよび抗PD-1を組み合わせた。やはり、両方の薬物は相乗効果を与え、腫瘍部位へより多くのT細胞を著しく動員し(図8A)、さらに、より全体的な免疫細胞も動員した(図8B)。
【0366】
まとめると、本発明者らは、抗PD-1およびCTLA-4療法の両方と組み合わせたOmomycの治療は、腫瘍成長を低下させることができ、ならびに腫瘍部位へ抗腫瘍T細胞を相乗効果的に動員することができると結論付けた。この治療効果は、異なる投与経路、異なるOmomyc用量、ならびに抗PD-1およびCTLA-4における異なる用量を使用することにより、観察された。
【0367】
IFN-gおよびIL-17を分泌するCD3T細胞、CD4細胞、およびT細胞全体の割合の増加は、生存の増加に相関するため(図9)、この免疫細胞動員は、NSCLC癌患者に明確な治療的影響を有する。この証拠は、Omomycと癌免疫剤との組み合わせに関する、上記において説明した知見の重要性を強調する。免疫サインに基づくデータが、強い免疫細胞成分は、高い腫瘍侵入リンパ球(TIL)がネオアジュバント療法に対するより高い反応率に関連しているような、乳癌における化学療法に対する良好な反応を予測することを立証している場合、他のタイプの癌に対して、同じ結論を推定することができる。結直腸癌の肝転移において、CD8T細胞の高い浸潤は、化学療法に対する良好な反応および長期生存を予測する。黒色腫において、免疫サインの発現(すなわち、Th1細胞および細胞障害性関連遺伝子の高発現)は、黒色腫関連抗原3(MAGEA3)を使用する治療ワクチンに対する良好な臨床応答に相関する(Fridman, W.H., et al., The immune contexture in cancer prognosis and treatment. Nat Rev Clin Oncol, 2017. 14(12): p. 717-734において概説される)。
【0368】
ここ数年間、両方の腫瘍根絶のための、および癌免疫剤の有効性のための、TILとっての重要な役割を実証する、かなりの量の証拠が蓄積されている。実際に、癌免疫療法に対する耐性にかかわる主要な要因は、いわゆる「非炎症性腫瘍(cold tumor)」を特徴付ける、腫瘍T細胞浸潤の欠如である。癌免疫剤によるこの免疫不活性腫瘍の治療は、当該腫瘍に対していかなる適応的免疫反応も示さず、ならびにこのタイプの療法に反応しないため、非常な困難を示す(Bonaventura, P., et al., Cold Tumors: A Therapeutic Challenge for Immunotherapy. Front Immunol, 2019. 10: p. 168)。
【0369】
PD-1/PD-L1遮断に対する臨床応答または安定化された疾患を全く示さない患者は、療法に対して「一次抵抗」を有すると見なされる。対照的に、臨床治験からの早期データは、それぞれT細胞および腫瘍細胞上の共存するPD-1およびPD-L1の発現と併せて、腫瘍内およびその周囲における既存のTILの存在が、抗PD-1療法に対する治療応答を予測することを実証した(Nowicki, T.S., S. Hu-Lieskovan, and A. Ribas, Mechanisms of Resistance to PD-1 and PD-L1 Blockade. Cancer J, 2018. 24(1): p. 47-53)。同じ証拠に沿って、ペンブロリズマブ(抗PD-1)の有効性は、強力な抗腫瘍反応のための要件としての腫瘍内T細胞の存在およびPD-1/PD-L1の発現(Tumeh, P.C., et al., PD-1 blockade induces responses by inhibiting adaptive immune resistance. Nature, 2014. 515(7528): p. 568-71)ならびに抗PD-1剤の有効性(Ribas, A., Tumor immunotherapy directed at PD-1. N Engl J Med, 2012. 366(26): p. 2517-9)と相関する。
【0370】
この証拠の全てを考慮すると、Omomycと癌免疫剤との組み合わせは、T細胞浸潤を相乗効果的に誘導し、ならびに刺激は、最終的に、癌免疫療法に対する臨床応答率の向上につながるであろうことが実証される。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C-1】
図5C-2】
図6A
図6B
図7
図8
図9-1】
図9-2】
図9-3】
図9-4】
【配列表】
2022528020000001.app
【国際調査報告】