(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(54)【発明の名称】リラグルチドの精製方法
(51)【国際特許分類】
C07K 1/20 20060101AFI20220601BHJP
G01N 30/88 20060101ALI20220601BHJP
G01N 30/06 20060101ALI20220601BHJP
B01J 20/287 20060101ALI20220601BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20220601BHJP
G01N 30/34 20060101ALI20220601BHJP
G01N 30/46 20060101ALI20220601BHJP
C07K 14/605 20060101ALN20220601BHJP
【FI】
C07K1/20
G01N30/88 J ZNA
G01N30/06 C
B01J20/287
G01N30/26 A
G01N30/34 E
G01N30/46 Z
C07K14/605
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557061
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(85)【翻訳文提出日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 SG2020050156
(87)【国際公開番号】W WO2020197492
(87)【国際公開日】2020-10-01
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513105579
【氏名又は名称】サイノファーム タイワン,リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100196977
【氏名又は名称】上原 路子
(72)【発明者】
【氏名】ウー ミン-チー
(72)【発明者】
【氏名】ホアン シン-チョー
(72)【発明者】
【氏名】シャオ ツン-ユイ
【テーマコード(参考)】
4H045
【Fターム(参考)】
4H045AA20
4H045BA18
4H045DA30
4H045EA27
4H045FA33
4H045GA25
(57)【要約】
本発明は、リラグルチドを精製するための改良された方法を提供する。リラグルチドは、2回の連続RP-HPLC精製と、それに続く塩交換工程によって精製され、ここで、pHは1回目とと2回目の精製工程で一定に保たれる。特に本方法は、試料調製工程でハロゲン化溶媒を利用し、これにより、溶解性が向上し、RP-HPLC精製前に、粗リラグルチドの脱炭酸に適した環境が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含むリラグルチドを精製するための方法:
(a)粗リラグルチドをハロゲン化溶媒を含む溶液に溶解すること、及び
(b)前記溶液をRP-HPLC精製システムに供し、精製されたリラグルチドを画分で採取すること。
【請求項2】
工程(a)のハロゲン化溶媒が、フッ素化酸、フッ素化アルコール、塩素化溶媒、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記フッ素化アルコールは、2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、ペンタフルオロフェノール、ノナフルオロ-tert-ブチルアルコール、3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブタノール、4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-1-ペンタノール、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-フェニル-2-プロパノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記塩素化溶媒が2,2,2-トリクロロエタノールである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
フッ素化酸がトリフルオロ酢酸である、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)の溶液が、5~35容量%のフッ素化アルコール及び0.1~1容量%のフッ素化酸を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
工程(a)の溶液が、15~20容量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)、及び0.1~1容量%のフッ素化酸を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(a)の溶液が、20~30容量%の2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE)及び0.1~1容量%のフッ素化酸を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
工程(b)のRP-HPLC精製システムが、1回目のRP-HPLC精製と、2回目のRP-HPLC精製を含み、1回目のRP-HPLC精製がpH値<7で実施され、2回目のRP-HPLC精製がpH値>7で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
1回目のRP-HPLC精製がpH値<3で実施され、2回目のRP-HPLC精製がpH値>約7.5で実施される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1回目のRP-HPLC精製が、トリフルオロ酢酸及び水を含む移動相Aと、トリフルオロ酢酸及びアセトニトリルを含む移動相Bとを使用する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記移動相A及び前記移動相Bが、それぞれ0.1~1容量%のトリフルオロ酢酸を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
移動相Bが5~25容量%から80~100容量%までの線形勾配で溶出される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記2回目のRP-HPLC精製が、アンモニウム塩又はリン酸塩を含む移動相Cと、アセトニトリルを含む移動相Dとを使用する、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記アンモニウム塩が、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記リン酸塩が、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、第一リン酸カリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸アンモニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記移動相Cが、水中の5~50mMの濃度のアンモニウム塩又はリン酸塩を含む、請求項14~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記移動相Cが、約7.5~約9.0又は約7.5~約8.5のpH値を有する、請求項14~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記移動相Dが、0~10容量%から50~100容量%までの線形勾配で溶出される、請求項14~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
画分中の前記精製されたリラグルチドが、約7.5~約8.5のpH値を有する、請求項14~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
以下をさらに含む請求項1~20のいずれか1項に記載の方法:
(c)工程(b)の画分を、ナトリウム塩、水、及びアセトニトリルを含む移動相Eを使用する3回目のRP-HPLC精製に供し、そして画分を集めて塩交換リラグルチドを得ること。
【請求項22】
前記ナトリウム塩が第二リン酸ナトリウムである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
画分中の前記塩交換リラグルチドが約7.5~約8.0のpH値を有する、請求項21又は22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2019年3月25日に出願された米国仮出願第62/823,147号の優先権を主張し、これは、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
コンパクトディスクで提出された「配列表」、表、又はコンピュータープログラムリスト添付書類の参照
本出願に関連する配列表は、紙のコピーの代わりにテキスト形式で提供され、こうして参照により本明細書に組み込まれる。配列表を含むテキストファイルの名前は、Sequence_Listing_for_050760_54001_WO_ST25.txtである。このテキストファイルは、4.00KBであり、2020年3月19日に作成され、e-PCTファイリングを介して電子的に提出されている。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
リラグルチド(Liraglutide)(商品名Victoza)はヒトGLP-1の類似体であり、GLP-1受容体アゴニストとして作用し、2型糖尿病の成人の血糖コントロールを改善するための食事及び運動療法の補助として示されている。リラグルチドは、配列番号1を有するペプチドを含み、これは、34位のリジンをアルギニンで置換することにより、天然のヒトGLP-1と97%相同であるように操作されている。リラグルチドは更に、前述の操作されたペプチドから、C-16脂肪酸(パルミチン酸)をグルタミン酸スペーサーを介して26位のリジン残基に結合させることにより得られる。すなわち、天然のヒトGLP-1に基づいて前述の修飾を加えたリラグルチドの構造を以下に示す:
【化1】
【0004】
リラグルチドは、C172H265N43O51の分子式、及び3751.2ダルトンの分子量を有する。これは、もともとはNovo Nordiskによって開発され、2010年1月に米国食品医薬品局(FDA)によって「Victoza」の商品名で承認された。
【0005】
米国特許出願公開第2015/0051372A1号は、固相合成粗リラグルチドを精製するための3工程の方法を開示する:試料処理とそれに続く3回のRP-HPLC精製。試料処理では、粗リラグルチドはアセトニトリルと水の混合物(例えば、20容量%アセトニトリル/80容量%水)に溶解された。調製した試料を1回目のRP-HPLC精製に供し、ここで移動相A(MPA)は0.1%TFA/イソプロパノール/水であり、移動相B(MPB)は0.1%TFA/アセトニトリルであり、固定相はオクチルシラン結合シリカであり、そして勾配は線形勾配であった。次に、1回目の精製で得られた画分を2回目のRP-HPLC精製に供し、ここで、MPAは水中の0.05~0.15%過塩素酸であり、MPBは、アセトニトリル中の0.05~0.15%過塩素酸であり、固定相はシアのシラン結合シリカであり、そして勾配は線形勾配であった。精製されたリラグルチドは最終的に、脱塩のために3回目のRP-HPLC精製に供され、ここで、MPAは0.05%アンモニア水溶液であり、MPBはアセトニトリルであり、固定相はオクチルシラン結合シリカであり、そして勾配は線形勾配であった。
【0006】
米国特許第9,422,330B2号は、酵母の発酵から生成された粗リラグルチドを精製する方法を開示する。米国特許第9,422,330号の実施例6に記載されているように、粗リラグルチドを水は希釈され、RP-HPLC精製に供され、ここで、固定相はオクタデシル-ジメチルシリルシリカであり、これはまず、pH7.5の20mMトリス緩衝液/20%エタノールの移動相と平衡化させた。カラムを最初に平衡化溶液で洗浄し、線形勾配で溶出し、続いてエタノールとpH5.1の20mMクエン酸緩衝液を含む移動相でアイソクラティック勾配で溶出した。次に、標的リラグルチドを、エタノール及び20mMクエン酸緩衝液を含む移動相を用いて、pH5.1からpH4.0への線形pH勾配溶出によって溶出した。クロマトグラフィー温度は60℃に維持した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の精製方法にもかかわらず、リラグルチドを精製するためのより効率的で改良された方法の開発の必要性がいまだに存在する。本開示は、この必要性に対処し、関連する利点も提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本発明はリラグルチドを精製するための方法を提供する。この方法には以下が含まれる:
(a)粗リラグルチドをハロゲン化溶媒を含む溶液に溶解すること、及び
(b)前記溶液をRP-HPLC精製システムに供し、精製されたリラグルチドを画分で採取すること。
【0009】
第2の態様において、本出願はリラグルチドを精製するための方法を提供する。この方法には以下が含まれる:
(a)粗リラグルチドをハロゲン化溶媒を含む溶液に溶解すること、及び
(b)前記溶液をRP-HPLC精製システムに供し、精製されたリラグルチド画分を採取することであり、ここで、RP-HPLC精製システムは1回目のRP-HPLC精製と2回目のRP-HPLC精製とを含む、及び
(c)工程(b)の画分を、ナトリウム塩、水、及びアセトニトリルを含む移動相Eを使用して3回目のRP-HPLC精製に供し、そして画分を集めて塩交換リラグルチドを得ること。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施例1による1回目の精製の溶出クロマトグラム(全体)を示す。
【0011】
【
図2】
図1の溶出クロマトグラム(ズームイン)を示す。示されている5~13の画分を一緒にして、次の2回目の精製のための1P主画分とした。
【0012】
【
図3】実施例2又は3による1回目の精製の溶出クロマトグラム(全体)を示す。
【0013】
【
図4】
図3の溶出クロマトグラム(ズームイン)を示す。示されている10~15の画分を一緒にして、次の2回目の精製のための1P主画分とした。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(発明の詳細な説明)
I.一般
本発明は、リラグルチドを精製するための改良された方法を提供する。リラグルチドは、2回の連続したRP-HPLC精製と、それに続く塩交換工程によって精製され、ここで、pHは1回目と2回目の精製工程で一定に保たれる。特にこれらの方法は、試料調製工程でハロゲン化溶媒を利用し、これにより、溶解性が向上し、RP-HPLC精製前の粗リラグルチドの脱炭酸に適した環境が提供される。表A及びBは、当技術分野で開示されている方法と比較した本発明の利点又は特徴を要約している。
【化2】
TFE:トリフルオロエタノール;HFIP:ヘキサフルオロイソプロパノール;及びTFA:トリフルオロ酢酸。
【化3】
【0015】
II. 定義
配列番号1は、リラグルチド中の操作されたペプチドのアミの酸配列を指す。この配列は次のように表される:H-His-Ala-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Glu-Gly-Gln-Ala-Ala-Lys-Glu-Phe-Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Arg-Gly-Arg-Gly-OH。
【0016】
「約」は、特定の値を含む値の範囲を意味し、当業者は、これを特定の値に合理的に類似していると見なすであろう。いくつかの実施態様において、「約」という用語は、当技術分野で一般的に許容される測定値を使用する標準偏差内を意味する。いくつかの実施態様において、約は特定の値の±10%に及ぶ範囲を意味する。いくつかの実施態様において、約は特定の値を意味する。
【0017】
「RP-HPLC」は、逆相高速/高圧液体クロマトグラフを指す。
【0018】
「アンモニウム塩」は、NR4
+のカチオン及びアニオンから構成される化合物のクラスを指し、ここでR基は水素又はアルキルであり得る。1つの実施態様において、アンモニウム塩は、NH4
+のカチオン及びアニオンから構成される化合物のクラスを指す。本発明において有用なアンモニウム塩には、ギ酸アンモニウム及び酢酸アンモニウムが含まれる。
【0019】
「リン酸塩」は、カチオン及びリン酸アニオンから構成される化合物のクラス、例えばリン酸アニオン(PO4
3-)、リン酸水素アニオン(HPO4
2-)、及び第二リン酸アニオン(H2PO4
-)を指す。PO4
3-の陰イオンを有するリン酸塩はまた、第三リン酸塩を指す。HPO4
2-のアニオンを有するリン酸塩はまた、第二リン酸塩を指す。また、H2PO4
-のアニオンを有するリン酸塩はまた、第一リン酸塩を指す。本発明において有用なリン酸塩には、第三リン酸ナトリウム(Na3PO4)、第二リン酸ナトリウム(Na2HPO4)、第一リン酸二ナトリウム(NaH2PO4)、第三リン酸二カリウム(K3PO4)、第二リン酸カリウム(K2HPO4)、第一リン酸カリウム(KH2PO4)、第三リン酸アンモニウム((NH4)3PO4)、第二リン酸アンモニウム((NH4)2HPO4)、第一リン酸アンモニウム((NH4)H2PO4)が含まれる。
【0020】
III. 方法
第1の態様において本発明は、リラグルチドを精製するための方法を提供する。この方法は以下を含む:
(a)粗リラグルチドをハロゲン化溶媒を含む溶液に溶解すること、及び
(b)前記溶液をRP-HPLC精製システムに供し、精製されたリラグルチドを画分で採取すること。
【0021】
いくつかの実施態様において、工程(a)のハロゲン化溶媒は、フッ素化酸、フッ素化アルコール、塩素化溶媒、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0022】
いくつかの実施態様において、フッ素化アルコールは、2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)、2,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロパノール、2,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロパノール、ペンタフルオロフェノール、ノナフルオロ-tert-ブチルアルコール、3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブタノール、4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-1-ペンタノール、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブタノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-プロパノール、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-フェニル-2-プロパノール、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0023】
いくつかの実施態様において、塩素化溶媒は、2,2,2-トリクロロエタノールである。
【0024】
いくつかの実施態様において、フッ素化酸はトリフルオロ酢酸である。
【0025】
いくつかの実施態様において、工程(a)の溶液は、5~35容量%のフッ素化アルコール及び0.1~1容量%のフッ素化酸を含む。いくつかの実施態様において、工程(a)の溶液は、15~20容量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)、及び0.1~1容量%のフッ素化酸を含む。いくつかの実施態様において、工程(a)の溶液は、20~30容量%の2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE)及び0.1~1容量%のフッ素化酸を含む。いくつかの実施態様において、工程(a)の溶液は、15~20容量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)及び0.1~1容量%のトリフルオロ酢酸を含む。いくつかの実施態様において、工程(a)の溶液は、20~30容量%の2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE)及び0.1~1容量%のトリフルオロ酢酸を含む。いくつかの実施態様において、工程(a)の溶液は、15~20容量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)及び0.1~0.3容量%のトリフルオロ酢酸を含む。いくつかの実施態様において、工程(a)の溶液は、20~30容量%の2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE)及び0.1~0.3容量%のトリフルオロ酢酸を含む。いくつかの実施態様において、工程(a)の溶液は、約17容量%の1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール(HFIP)及び約0.2容量%のトリフルオロ酢酸を含む。いくつかの実施態様において、工程(a)の溶液は、約25容量%の2,2,2-トリフルオロエタノール(TFE)及び約0.2容量%のトリフルオロ酢酸を含む。
【0026】
いくつかの実施態様において、工程(b)のRP-HPLC精製システムは、1回目のRP-HPLC精製と、2回目のRP-HPLC精製を含む。1回目のRP-HPLC精製はpH値<7で実施され、そして2回目のRP-HPLC精製はpH値>7で実施される。
【0027】
いくつかの実施態様において、1回目のRP-HPLC精製はpH値<7で実施され、2回目のRP-HPLC精製はpH値>約7で実施される。いくつかの実施態様において、1回目のRP-HPLC精製はpH値<3で実施され、2回目のRP-HPLC精製はpH値>約7で実施される。いくつかの実施態様において、1回目のRP-HPLC精製はpH値<3で実施され、そして2回目のRP-HPLC精製はpH値>約7.5で実施される。
【0028】
いくつかの実施態様において、1回目のRP-HPLC精製は、トリフルオロ酢酸及び水を含む移動相Aと、トリフルオロ酢酸及びアセトニトリルを含む移動相Bを使用する。
【0029】
いくつかの実施態様において、移動相A及び移動相Bは、それぞれ0.1~1容量%のトリフルオロ酢酸を含む。いくつかの実施態様において、移動相A及び移動相Bは、それぞれ0.1~0.5容量%のトリフルオロ酢酸を含む。いくつかの実施態様において、移動相A及び移動相Bは、それぞれ0.1~0.3容量%のトリフルオロ酢酸を含む。いくつかの実施態様において、移動相A及び移動相Bは、それぞれ約0.2容量%のトリフルオロ酢酸を含む。いくつかの実施態様において、移動相Aは、水中の0.2容量%のトリフルオロ酢酸の溶液であり、移動相Bは、アセトニトリル中の約0.2容量%のトリフルオロ酢酸の溶液である。
【0030】
いくつかの実施態様において、移動相Bは、5~25容量%から80~100容量%までの線形勾配で溶出される。いくつかの実施態様において、移動相Bは、5~15容量%から90~100容量%までの線形勾配で溶出される。いくつかの実施態様において、移動相Bは、5~25容量%から80~100容量%までの線形勾配で溶出され、ここで移動相Aは、水中の0.2%トリフルオロ酢酸の溶液であり、そして移動相Bは、アセトニトリル中の約0.2%のトリフルオロ酢酸の溶液である。いくつかの実施態様において、移動相Bは、5~15容量%から90~100容量%までの線形勾配で溶出され、ここで移動相Aは、水中の0.2%トリフルオロ酢酸の溶液であり、そして移動相Bは、アセトニトリル中の約0.2%トリフルオロ酢酸の溶液である。いくつかの実施態様において、移動相Bは、約10容量%から95容量%までの線形勾配で溶出され、ここで移動相Aは、水中の0.2%トリフルオロ酢酸の溶液であり、そして移動相Bは、アセトニトリル中の約0.2%トリフルオロ酢酸の溶液である。いくつかの実施態様において、移動相Bは、表1の勾配に従って、約10容量%から95容量%までの線形勾配で溶出され、ここで移動相Aは、水中の0.2%トリフルオロ酢酸の溶液であり、そして移動相Bは、アセトニトリル中の約0.2%トリフルオロ酢酸の溶液である。
【0031】
いくつかの実施態様において、2回目のRP-HPLC精製は、アンモニウム塩又はリン酸塩を含む移動相Cとアセトニトリルを含む移動相Dを使用する。いくつかの実施態様において、2回目のRP-HPLC精製は、アンモニウム塩を含む移動相Cとアセトニトリルを含む移動相Dを使用する。いくつかの実施態様において、2回目のRP-HPLC精製は、リン酸塩を含む移動相Cとアセトニトリルを含む移動相Dを使用する。いくつかの実施態様において、2回目のRP-HPLC精製は、移動相Cと移動相Dを使用し、これらのそれぞれはアンモニウム塩又はリン酸塩を含む。いくつかの実施態様において、2回目のRP-HPLC精製は、移動相Cと移動相Dを使用し、これらのそれぞれはアンモニウム塩を含む。いくつかの実施態様において、2回目のRP-HPLC精製は、アンモニウム塩の水溶液を含む移動相Cと、アンモニウム塩及びアセトニトリルの水溶液を含む移動相Dを使用する。いくつかの実施態様において、2回目のRP-HPLC精製は、リン酸塩の水溶液を含む移動相Cと、アセトニトリルである移動相Dを使用する。
【0032】
いくつかの実施態様において、移動相Cは、1容量%~10容量%の量のアセトニトリルをさらに含む。いくつかの実施態様において、移動相Cは、3容量%~7容量%の量のアセトニトリルをさらに含む。いくつかの実施態様において、移動相Cは、約5容量%の量のアセトニトリルをさらに含む。
【0033】
いくつかの実施態様において、移動相Dは、10容量%~60容量%の量のアンモニウム塩の水溶液をさらに含む。いくつかの実施態様において、移動相Dは、20容量%~60容量%、30%~60容量%、4%~60容量%、又は約50容量%の量のアンモニウム塩の水溶液をさらに含む。いくつかの実施態様において、移動相Dは、約50容量%の量のアンモニウム塩の水溶液をさらに含む。
【0034】
いくつかの実施態様において、アンモニウム塩は、ギ酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、アンモニウム塩はギ酸アンモニウムである。
【0035】
いくつかの実施態様において、リン酸塩は、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸ナトリウム、第三リン酸カリウム、第二リン酸カリウム、第一リン酸カリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸アンモニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、リン酸塩は、第二リン酸ナトリウム、第一リン酸ナトリウム、第二リン酸カリウム、第一リン酸カリウム、第二リン酸アンモニウム、第一リン酸アンモニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、リン酸塩は、第二リン酸カリウム、第一リン酸カリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される。いくつかの実施態様において、リン酸塩は、第二リン酸カリウムと第一リン酸カリウムとの混合物である。
【0036】
いくつかの実施態様において、移動相Cは、水中の5~50mMの濃度のアンモニウム塩又はリン酸塩を含む。いくつかの実施態様において、移動相Cは、水中の10~40mMの濃度のアンモニウム塩又はリン酸塩を含む。いくつかの実施態様において、移動相Cは、水中の10~30mM、15~25mM、又は約20mMの濃度のアンモニウム塩又はリン酸塩を含む。いくつかの実施態様において、移動相Cは、水中の約20mMの濃度のアンモニウム塩又はリン酸塩を含む。いくつかの実施態様において、移動相Cは、水中の約20mMの濃度のアンモニウム塩を含む。いくつかの実施態様において、移動相Cは、20mMのアンモニウム塩の水溶液を含む。いくつかの実施態様において、移動相Cは、水中の約20mMの濃度のリン酸塩を含む。いくつかの実施態様において、移動相Cは、20mMのリン酸塩の水溶液を含む。
【0037】
いくつかの実施態様において、移動相Cは、約7.5~約9.0又は約7.5~約8.5のpH値を有する。いくつかの実施態様において、移動相Cは、約7.5~約8.5のpH値を有する。いくつかの実施態様において、移動相Cは、約8.5のpH値を有する。いくつかの実施態様において、移動相Cは、約7.9のpH値を有する。
【0038】
いくつかの実施態様において、移動相Cは、ギ酸アンモニウムの水溶液を含む。いくつかの実施態様において、移動相Cは、20mMのギ酸アンモニウムの水溶液を含む。いくつかの実施態様において、移動相Cは、20mMギ酸アンモニウムの水溶液を含み、かつ約8.5のpH値を有する。いくつかの実施態様において、移動相Cは、アセトニトリル及び20mMギ酸アンモニウムの水溶液を含み、かつ約8.5のpH値を有し、ここで前記水溶液とアセトニトリルは95対5の容量比を有する。
【0039】
いくつかの実施態様において、移動相Cは、第二リン酸カリウム及び第一リン酸カリウムの水溶液を含む。いくつかの実施態様において、移動相Cは、20mMの濃度の第二リン酸カリウム及び第一リン酸カリウムの水溶液を含む。いくつかの実施態様において、移動相Cは、20mMの濃度の第二リン酸カリウム及び第一リン酸カリウムの水溶液を含み、かつ約7.9のpH値を有する。いくつかの実施態様において、移動相Cは、アセトニトリルと、20mMの濃度の第二リン酸カリウム及び第一リン酸カリウムの水溶液を含み、かつ約7.9のpH値を有し、ここで、第二リン酸カリウムと第一リン酸カリウムは12対1の重量比を有し、そして水溶液とアセトニトリルは95対5の容量比を有する。
【0040】
いくつかの実施態様において、移動相Dは、約7.5~約9.0又は約7.5~約8.5のpH値を有する。いくつかの実施態様において、移動相Dは、約7.5~約8.5のpH値を有する。いくつかの実施態様において、移動相Dは、約8.5のpH値を有する。
【0041】
いくつかの実施態様において、移動相Dは、ギ酸アンモニウムの水溶液をさらに含む。いくつかの実施態様において、移動相Dは、20mMのギ酸アンモニウムの水溶液をさらに含む。いくつかの実施態様において、移動相Dは、20mMのギ酸アンモニウムの水溶液をさらに含み、かつ約8.5のpH値を有する。いくつかの実施態様において、移動相Dは、20mMのギ酸アンモニウムの水溶液とアセトニトリルを含み、かつ約8.5のpH値を有し、ここで、水溶液とアセトニトリルは50対50の容量比を有する。
【0042】
いくつかの実施態様において、移動相Dはアセトニトリルである。
【0043】
いくつかの実施態様において、移動相Cは、20mMのギ酸アンモニウムの水溶液とアセトニトリルを含み、かつ約8.5のpH値を有し、そして移動相Dは、20mMのギ酸アンモニウムの水溶液とアセトニトリルを含み、かつ約8.5のpH値を有し、ここで移動相C中の前記水溶液とアセトニトリルは95対5の容量比を有し、そして移動相D中の前記水溶液とアセトニトリルは50対50の容量比を有する。
【0044】
いくつかの実施態様において、移動相Cは、アセトニトリルと、20mMの濃度の第二リン酸カリウム及び第一リン酸カリウムの水溶液を含み、かつ約7.9のpH値を有し、そして移動相Dはアセトニトリルであり、ここで、第二リン酸カリウムと第一リン酸カリウムは12対1の重量比を有し、かつ移動相C中の前記水溶液とアセトニトリルは95対5の容量比を有する。
【0045】
いくつかの実施態様において、移動相Dは、0~10容量%から50~100容量%までの線形勾配で溶出される。いくつかの実施態様において、移動相Dは、0容量%から100容量%までの線形勾配で溶出され、ここで移動相Cは、20mMのギ酸アンモニウムの水溶液とアセトニトリルを含み、かつ約8.5のpH値を有し、そして移動相Dは、20mMのギ酸アンモニウムの水溶液とアセトニトリルを含み、かつ約8.5のpH値を有し、ここで前記移動相C中の水溶液とアセトニトリルは、95対5の容量比を有し、そして移動相D中の水溶液とアセトニトリルは、50対50の容量比を有する。いくつかの実施態様において、移動相Dは、表2の勾配に従って、0容量%から100容量%までの線形勾配で溶出され、ここで移動相Cは、20mMのギ酸アンモニウムの水溶液とアセトニトリルを含み、かつ約8.5のpH値を有し、そして移動相Dは、20mMのギ酸アンモニウムの水溶液とアセトニトリルを含み、かつ約8.5のpH値を有し、ここで、移動相C中の水溶液とアセトニトリルは、95対5の容量比を有し、そして移動相D中の水溶液とアセトニトリルは、50対50の容量比を有する。いくつかの実施態様において、移動相Dは、5容量%から70容量%までの線形勾配で溶出され、ここで移動相Cは、アセトニトリルと20mMの濃度の第二リン酸カリウム及び第一リン酸カリウムの水溶液を含み、かつ約7.9のpH値を有し、そして移動相Dはアセトニトリルであり、ここで第二リン酸カリウムと第一リン酸カリウムは12対1の重量比を有し、そして移動相C中の水溶液とアセトニトリルは95対5の容量比を有する。いくつかの実施態様において、移動相Dは、表3の勾配に従って5容量%から70容量%までの線形勾配で溶出され、ここで移動相Cは、アセトニトリルと、約20mMの濃度の第二リン酸カリウムと第一リン酸カリウムの水溶液を含み、かつ約7.9のpH値を有し、そして移動相Dはアセトニトリルであり、ここで第二リン酸カリウムと第一リン酸カリウムは12対1の重量比を有し、そして移動相C中の水溶液とアセトニトリルは95対5の容量比を有する。
【0046】
いくつかの実施態様において、画分中の精製されたリラグルチドは、約7.5~約8.5のpH値を有する。いくつかの実施態様において、画分中の精製されたリラグルチドは、約8.0~約8.5のpH値を有する。いくつかの実施態様において、画分中の精製されたリラグルチドは、約7.5~約8.0のpH値を有する。
【0047】
1回目及び2回目の精製の流速は、RP-HPLC調製カラムのサイズに依存する。いくつかの実施態様において、1回目の精製の流速は、カラムが5cm×22cm~8cmx12.6cmの直径と長さを有する場合、約50~200mL/分である。いくつかの実施態様において、1回目の精製の流速は、カラムが5cm×22cm~8cm×12.6cmの直径と長さを有する場合、約100~160mL/分である。いくつかの実施態様において、1回目の精製の流速は、カラムが5cm×22cmの直径と長さを有する場合、約104mL/分である。いくつかの実施態様において、1回目の精製の流速は、カラムが8cm×12.6cmの直径と長さを有する場合、約152mL/分である。いくつかの実施態様において、1回目の精製の流速は、カラムが10mm×250mmの直径と長さを有する場合、4~8mL/分である。いくつかの実施態様において、1回目の精製の流速は、カラムが10mm×250mmの直径と長さを有する場合、約4.7mL/分である。いくつかの実施態様において、2回目の精製の流速は、カラムが5cm×22cm~8cm×12.6cmの直径と長さを有する場合、約50~200mL/分である。いくつかの実施態様において、2回目の精製の流速は、カラムが5cm×22cm~8cm×12.6cmの直径と長さを有する場合、約100~160mL/分である。いくつかの実施態様において、2回目の精製の流速は、カラムが8cm×12.6cmの直径と長さを有する場合、約152mL/分である。いくつかの実施態様において、2回目の精製の流速は、カラムが4.6mm×100mmの直径と長さを有する場合、約0.3~0.5mL/分である。いくつかの実施態様において、2回目の精製の流速は、カラムが4.6mm×100mmの直径と長さを有する場合、約0.4mL/分である。
【0048】
いくつかの実施態様において、工程(a)の粗リラグルチドは、固相合成により得られる。
【0049】
いくつかの実施態様において、さらに以下が含まれる:
(c)工程(b)の画分を、ナトリウム塩、水、及びアセトニトリルを含む移動相Eを使用する3回目のRP-HPLC精製に供し、そして画分を集めて塩交換リラグルチドを得る。
【0050】
いくつかの実施態様において、ナトリウム塩は第二リン酸ナトリウムである。
【0051】
いくつかの実施態様において、移動相Eは、第二リン酸ナトリウムの水溶液を含む。いくつかの実施態様において、移動相Eは、20mMの濃度の第二リン酸ナトリウムの水溶液を含む。いくつかの実施態様において、移動相Eは、20mMの濃度の第二リン酸ナトリウムの水溶液を含み、かつ約8.0のpH値を有する。いくつかの実施態様において、移動相E(E1として)は、アセトニトリルと、20mMの濃度の第二リン酸ナトリウムの水溶液を含み、かつ約8.0のpH値を有し、ここで前記水溶液とアセトニトリルは95対5の容量比を有する。いくつかの実施態様において、移動相E(E2として)は、アセトニトリルと、20mMの濃度の第二リン酸ナトリウムの水溶液を含み、かつ約8.0のpH値を有し、ここで、前記水溶液とアセトニトリルは50対50の容量比を有する。
【0052】
いくつかの実施態様において、工程(c)は、移動相E1を適用し、続いて移動相E2を適用することによって実施され、それにより、塩交換リラグルチドが画分で提供される。
【0053】
3回目の精製の流速は、RP-HPLC調製カラムのサイズに依存する。いくつかの実施態様において、3回目の精製の流速は、カラムが10mm×250mmの直径と長さを有する場合、4~8mL/分である。いくつかの実施態様において、1回目の精製の流速は、カラムが10mm×25cmの直径と長さを有する場合、約4.7mL/分である。
【0054】
いくつかの実施態様において、画分中の塩交換リラグルチドは、約7.5~約8.0のpH値を有する。
【0055】
いくつかの実施態様において、1回目、2回目、及び3回目のRP-HPLC精製は、同じ固定相を有する。
【0056】
第2の態様において、本出願は、リラグルチドを精製するための方法を提供する。この方法は以下を含む:
(a)粗リラグルチドをハロゲン化溶媒を含む溶液に溶解すること、及び
(b)前記溶液をRP-HPLC精製システムに供し、精製されたリラグルチド画分を採取することであり、ここで、RP-HPLC精製システムは1回目のRP-HPLC精製と2回目のRP-HPLC精製とを含む、及び
(c)工程(b)の画分を、ナトリウム塩、水、及びアセトニトリルを含む移動相Eを使用して3回目のRP-HPLC精製に供し、そして画分を集めて塩交換リラグルチドを得ること。
【0057】
第2の態様の工程a)~(c)の適切な条件は、第1の態様で定義及び説明されたものと同じである。
【0058】
IV. 実施例
以下の実施例は、本発明をさらに説明するために提供されるが、決して本発明を限定するものではない。
【0059】
実施例1:
試料の前処理:
粗リラグルチドは、固相合成により44.6%の純度で得られた。30gの粗リラグルチドを500mLのトリフルオロエタノール(TFE)溶液(0.2%トリフルオロ酢酸中25%TFE)に溶解した。次に、混合物を室温(RT)で約2時間撹拌した。
【0060】
1回目の精製:
【0061】
得られた溶液を、8cm×12.6cmの直径と長さを有するC8、10μmシリカを充填したRP-HPLC分取カラムにロードした。ローディング量は27.1gであった。
【0062】
以下の条件で精製サイクルを実施した:
(1)移動相A:水中の0.2%トリフルオロ酢酸(TFA)、
(2)移動相B:アセトニトリル(ACN)中の0.2%TFA、
(3)流速:152mL/分、及び
(4)表1の溶出勾配:
【化4】
【0063】
純度90.58%のリラグルチドを含む画分が得られ、2回目の精製に移された。
【0064】
2回目の精製:
【0065】
純度90.58%のリラグルチドを含む画分を、33%アンモニウムでpH値8.5に調整し、pH値8.5の20mMギ酸アンモニウムで希釈し、次に、8cmx12.6cmの直径と長さを有するC8、10μmシリカを充填したRP-HPLCカラムにロードした。ローディング量は6.2gであった。
【0066】
以下の条件で精製サイクルを実施した:
(1)移動相C:pH値8.5に調整し、ACNで95/5(V/V)の比率に希釈した20mMギ酸アンモニウム(AmF)、
(2)移動相D:pH値8.5に調整し、ACNで50/50(V/V)の比率に希釈した20mMギ酸アンモニウム(AmF)、
(3)流速:152mL/分;及び
(4)表2の溶出勾配:
【化5】
【0067】
純度98.48%でpH値が約8.0~8.5のリラグルチドを含む画分が得られ、3回目の精製(塩交換)に移された。
【0068】
3回目の精製(塩交換):
【0069】
純度98.48%のリラグルチドを含む画分を、10mm×250mmの直径と長さを有するC8、10μmシリカを充填したRP-HPLCカラムに、4.7mL/分の流速でロードした。ローディング量は1.1gであった。ローディング後、カラムを5%アセトニトリルを含む20mM第二リン酸ナトリウム溶液(pH=8.0)でフラッシュし、次に50%アセトトリルを含む20mM第二リン酸ナトリウム溶液(pH=8.0)で溶出した。このようにして、約7.5~8.0のpH値を有する塩交換リラグルチドが得られ、次に凍結乾燥され、純度98.48%の3.3gのリラグルチド濃縮物が得られた。
【0070】
実施例2:
試料の前処理:
【0071】
粗リラグルチドは、固相合成により33.8%の純度で得られた。19.5グラムの粗リラグルチドを238mLのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)溶液(0.2%TFA溶液中の17%HFIP)に溶解した。次に、混合物を室温(RT)で約2時間撹拌した。
【0072】
1回目の精製:
【0073】
得られた溶液を、5cm×22cmの直径と長さを有するC8、10μmシリカが充填されたRP-HPLC分取カラムにロードした。ローディング量は19.5gであった。
【0074】
以下の条件で精製サイクルを実施した:
(1)移動相A:水中の0.2%トリフルオロ酢酸(TFA)、
(2)移動相B:アセトニトリル(ACN)中の0.2%TFA、
(3)流速:104mL/分、及び
(4)表1の溶出勾配:
【化6】
【0075】
純度89.65%のリラグルチドを含む画分が得られ、2回目の精製に移された。ローディング量は4.3gであった。
【0076】
2回目の精製と3回目の精製(塩交換):
【0077】
次に、純度89.65%のリラグルチドを含む画分を、実施例1と同じ精製条件及び方法を有する2回目の精製と3回目の精製(塩交換)に供した。こうして、約7.5~8.0のpH値を有する塩交換リラグルチドが得られ、次に凍結乾燥されて、純度97.23%の3.7gのリラグルチド濃縮物が得られた。
【0078】
実施例3:
試料の前処理:
【0079】
粗リラグルチドは、固相合成により33.8%の純度で得られた。990.3ミリグラムの粗リラグルチドを11.22mLのヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)溶液(0.2%TFA溶液中の17%HFIP)に溶解した。次に、混合物を室温(RT)で約2時間撹拌した。
【0080】
1回目の精製:
【0081】
得られた溶液を、10mm×25cmの直径と長さを有するC8、10μmシリカが充填されたRP-HPLC分取カラムにロードした。ローディング量は0.99gであった。
【0082】
以下の条件で精製サイクルを実施した。
(1)移動相A:水中の0.2%トリフルオロ酢酸(TFA)、
(2)移動相B:アセトニトリル(ACN)中の0.2%TFA、
(3)流速:4.7mL/分、及び
(4)表1の溶出勾配:
【化7】
【0083】
純度92.17%のリラグルチドを含む画分が得られ、2回目の精製に移された。ローディング量は41.1ミリグラムであった。
【0084】
2回目の精製:
【0085】
純度92.17%のリラグルチドを含む画分を移動相Cで希釈し、次に、4.6mm×100mmの直径と長さを有するC8、10μmシリカを充填したRP-HPLCカラムにロードした。
【0086】
以下の条件で精製サイクルを実施した:
(1)移動相C:20mM第二リン酸カリウム(K
2HPO
4)/第二リン酸カリウム(KH
2PO
4)=12/1であり、pH値7.9に調整し、ACNで95/5(V/V)の比率に希釈された、
(2)移動相D:ACN、
(3)流速:0.4mL/分、及び
(4)表3の溶出勾配:
【化8】
【0087】
純度97%及び約7.5~8.0のpH値を有するリラグルチドを含む画分が得られ、3回目の精製(塩交換)に移された。
【0088】
3回目の精製(塩交換):
【0089】
3回目の精製(塩交換)は、実施例1と同じ精製条件及び方法を有する。こうして、約7.5~8.0のpH値を有する塩交換リラグルチドが得られ、次に凍結乾燥された。
【0090】
前述の発明は、理解を明確にする目的で例示及び例として、ある程度詳細に説明されているが、当業者は、添付の特許請求の範囲内で特定の変更及び修正が実施され得ることを理解するであろう。さらに、本明細書で提供される各参考文献は、参照により個別に組み込まれた場合と同じ程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本出願と本明細書で提供される参考文献との間に矛盾が存在する場合、本出願が優勢するものとする。
【配列表】
【国際調査報告】