IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ポステック アカデミー‐インダストリー ファウンデーションの特許一覧

特表2022-528065電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法
<>
  • 特表-電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法 図1
  • 特表-電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法 図2
  • 特表-電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法 図3
  • 特表-電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法 図4
  • 特表-電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法 図5
  • 特表-電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法 図6
  • 特表-電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法 図7
  • 特表-電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法 図8
  • 特表-電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法 図9
  • 特表-電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法 図10
  • 特表-電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(54)【発明の名称】電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/18 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
G01L9/18
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557273
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(85)【翻訳文提出日】2021-09-24
(86)【国際出願番号】 KR2020004718
(87)【国際公開番号】W WO2020226288
(87)【国際公開日】2020-11-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0053737
(32)【優先日】2019-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515312427
【氏名又は名称】ポステック・リサーチ・アンド・ビジネス・ディベロップメント・ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】POSTECH RESEARCH AND BUSINESS DEVELOPMENT FOUNDATION
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ウンヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,テ ヨン
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB20
2F055CC02
2F055DD20
2F055EE39
2F055FF38
2F055GG01
(57)【要約】
電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法が開示される。前記圧力センサは、第1電極と、前記第1電極上に位置し、電解質を含むパターンを有する圧力感知部と、前記第1電極上に位置し、前記圧力感知部の一部または全部を取り囲むスペーサと、前記スペーサ及び前記圧力感知部上に位置し、前記圧力感知部と離隔して位置する第2電極と、を含む。本発明の圧力センサは、周波数ベース信号の一種であるスパイクスペクトルの安定的信号伝達によって、ノイズが発生する可能性のある環境でも信頼性の高い圧力センシング結果を提示することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極上に位置し、電解質を含むパターンを有する圧力感知部と、
前記第1電極上に位置し、前記圧力感知部の一部または全部を取り囲むスペーサと、
前記スペーサ及び前記圧力感知部上に位置し、前記圧力感知部と離隔して位置する第2電極と、を含む、圧力センサ。
【請求項2】
前記圧力センサは、前記第2電極上に延伸性基板をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
前記パターンは複数のドメインを含み、前記ドメインは前記電解質を含み、前記ドメインは隣接したドメインと離隔していることを特徴とする、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項4】
前記ドメインの形状は、線形、円形、楕円形、弓形、扇形、多角形、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする、請求項3に記載の圧力センサ。
【請求項5】
前記ドメインの形状は、隣接したドメインの形状と同じであることを特徴とする、請求項3に記載の圧力センサ。
【請求項6】
前記ドメインの大きさは、隣接したドメインの大きさと同じであることを特徴とする、請求項5に記載の圧力センサ。
【請求項7】
前記ドメインは、隣接したドメインと同じ間隔で離隔していることを特徴とする、請求項6に記載の圧力センサ。
【請求項8】
前記電解質が光硬化性高分子及び液体電解質を含むことを特徴とする、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項9】
前記光硬化性高分子は、ジアクリレート系高分子及びジメタクリレート系高分子からなる群から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする、請求項8に記載の圧力センサ。
【請求項10】
前記液体電解質がイオン性液体を含むことを特徴とする、請求項8に記載の圧力センサ。
【請求項11】
前記電解質が光開始剤をさらに含むことを特徴とする、請求項8に記載の圧力センサ。
【請求項12】
前記第1電極または第2電極は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、インジウム、アルミニウム、鉄、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、モリブデン、亜鉛、バナジウム、タングステン、チタン、マンガン、クロム、銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ(CNT)、及び金ナノシートからなる群から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項13】
前記第2電極がバックル構造(Buckled structure)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項14】
前記バックル構造が前記第2電極の屈曲表面を含むことを特徴とする、請求項13に記載の圧力センサ。
【請求項15】
前記第2電極は、面方向に対する垂直切断面が谷と山を含むジグザグ(zigzag)形状を有することを特徴とする、請求項13に記載の圧力センサ。
【請求項16】
前記延伸性基板が、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)ブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロック共重合体、ポリウレタン(PU)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シリコーンゴム、エコフレックス(ecoflex)、及びドラゴンスキン(dragon skin)からなる群から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする、請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項17】
(a)第1電極と、前記第1電極上に位置し、電解質を含むパターンを有する圧力感知部とを含む下板を製造するステップと、
(b)延伸性基板と、前記延伸性基板上に位置する第2電極とを含む上板を製造するステップと、
(c)前記圧力感知部と離隔して位置し、前記圧力感知部の一部または全部を取り囲むスペーサを前記下板の第1電極と前記上板の第2電極との間に形成するステップと、を含む、圧力センサの製造方法。
【請求項18】
前記ステップ(a)が、
(a-1)光硬化性高分子前駆体及び液体電解質を含む混合物を製造するステップと、
(a-2)第1電極上に前記混合物をコーティングして第1電極/コーティング層を製造するステップと、
(a-3)前記第1電極/コーティング層のコーティング層上に、パターニングする部分を除いた残りの部分を覆うマスクを積層するステップと、
(a-4)前記(a-3)の結果物にUVを照射してパターンを形成するステップと、
(a-5)前記マスクを除去して前記下板を製造するステップと、を含み、
前記光硬化性高分子前駆体が、光硬化性モノマー及び光硬化性オリゴマーからなる群から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする、請求項17に記載の圧力センサの製造方法。
【請求項19】
前記ステップ(b)が、
(b-1)延伸性基板を二軸方向にそれぞれ引いて固定するステップと、
(b-2)前記固定された延伸性基板上に金属を蒸着して延伸性基板上に金属層を形成するステップと、
(b-3)前記固定された延伸性基板の固定を解除して、表面にバックル構造が形成された金属層を備える第2電極を含む上板を製造するステップと、を含むことを特徴とする、請求項17に記載の圧力センサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法に係り、より詳細には、電解質を含むパターンを有する圧力感知部を含むことにより、スパイクスペクトルの出力を出す圧力センサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、圧力センサは、電子素子やロボット工学(robotics)、生体工学などの様々な分野で活用されている。従来のアナログ信号ベースの圧力センサは、接続部位の接触抵抗及び外部寄生抵抗に影響されるため、接続環境に応じて変わる信号の大きさを持続的にキャリブレーション(calibration)する過程がなければならないという困難があった。特に、ロボット工学や生体工学などの柔軟な圧力センサが使用される場合、センサの機械的変形に応じて接続抵抗が持続的に変わってセンサの測定結果に影響を与えるおそれがあるという問題点があった。
【0003】
周波数信号の場合は、信号の頻度で圧力を換算することにより、接続環境などの外部的要因に丈夫な信号を作ることができる。周波数ベースの出力信号を実現するために、リングオシレータ(ring oscillator)を追加してアナログ信号を変換する方法があるが、この方法は、追加工程を伴うという困難があった。
【0004】
そこで、周波数ベース信号の圧力センサ及びその製造方法に関する研究が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、かかる問題点を解決するためのもので、その目的は、周波数ベース信号の圧力センサ及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
また、本発明の他の目的は、ノイズが発生する可能性のある環境で信頼性の高い圧力センシング結果を提示することができる圧力センサ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、第1電極と、前記第1電極上に位置し、電解質を含むパターンを有する圧力感知部と、前記第1電極上に位置し、前記圧力感知部の一部または全部を取り囲むスペーサと、前記スペーサ及び前記圧力感知部上に位置し、前記圧力感知部と離隔して位置する第2電極と、を含む圧力センサが提供される。
【0008】
また、前記圧力センサは、前記第2電極上に延伸性基板をさらに含むことができる。
【0009】
また、前記パターンは複数のドメインを含み、前記ドメインは前記電解質を含み、前記ドメインは隣接したドメインと離隔することができる。
【0010】
また、前記ドメインの形状は、線形、円形、楕円形、弓形、扇形、多角形、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた1種以上を含むことができる。
【0011】
また、前記ドメインの形状は、隣接したドメインの形状と同じであることができる。
【0012】
また、前記ドメインは、隣接したドメインと同じ間隔で離隔することができる。
【0013】
また、前記電解質は、光硬化性高分子及び液体電解質を含むことができる。
【0014】
また、前記光硬化性高分子は、ジアクリレート系高分子及びジメタクリレート系高分子からなる群から選ばれた1種以上を含むことができる。
【0015】
また、前記光硬化性高分子は、ポリエチレングリコールジアクリレート(Poly(ethyleneglycol)diacrylate、PEGDA)を含むことができる。
【0016】
また、前記液体電解質は、イオン性液体を含むことができる。
【0017】
また、前記イオン性液体は、脂肪族系イオン性液体、イミダゾリウム系イオン性液体、及びピリジニウム系イオン性液体からなる群から選ばれた1種以上を含むことができる。
【0018】
また、前記イオン性液体は、イミダゾリウム系イオン性液体を含むことができる。
【0019】
また、前記イミダゾリウム系イオン性液体は、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩(BMI-BF)を含むことができる。
【0020】
また、前記電解質は、光開始剤をさらに含むことができる。
【0021】
また、前記第1電極または第2電極は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、インジウム、アルミニウム、鉄、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、モリブデン、亜鉛、バナジウム、タングステン、チタン、マンガン、クロム、銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ(CNT)、及び金ナノシートからなる群から選ばれた1種以上を含むことができる。
【0022】
また、前記第2電極は、バックル構造(Buckled structure)を含むことができる。
【0023】
また、前記バックル構造は、前記第2電極の屈曲表面を含むことができる。
【0024】
また、前記第2電極は、面方向に対する垂直切断面が谷と山を含むジグザグ(zigzag)形状を有することができる。
【0025】
また、前記延伸性基板は、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)ブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロック共重合体、ポリウレタン(PU)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シリコーン系ゴム、エコフレックス(ecoflex)、及びドラゴンスキン(dragon skin)からなる群から選ばれた1種以上を含むことができる。
【0026】
本発明の別の態様によれば、(a)第1電極と、前記第1電極上に位置し、電解質を含むパターンを有する圧力感知部とを含む下板を製造するステップと、(b)延伸性基板と、前記延伸性基板上に位置する第2電極とを含む上板を製造するステップと、(c)前記圧力感知部と離隔して位置し、前記圧力感知部の一部または全部を取り囲むスペーサを前記下板の第1電極と前記上板の第2電極との間に形成するステップと、を含む、圧力センサの製造方法が提供される。
【0027】
また、前記ステップ(a)は、(a-1)光硬化性高分子前駆体及び液体電解質を含む混合物を製造するステップと、(a-2)第1電極上に前記混合物をコーティングして第1電極/コーティング層を製造するステップと、(a-3)前記第1電極/コーティング層のコーティング層上に、パターニングする部分を除いた残りの部分を覆うマスクを積層するステップと、(a-4)前記(a-3)の結果物にUVを照射してパターンを形成するステップと、(a-5)前記マスクを除去して前記下板を製造するステップと、を含み、前記光硬化性高分子前駆体が、光硬化性モノマー及び光硬化性オリゴマーからなる群から選ばれた1種以上を含むことができる。
【0028】
また、前記ステップ(b)は、(b-1)延伸性基板を二軸方向にそれぞれ引いて固定するステップと、(b-2)前記固定された延伸性基板上に金属を蒸着して延伸性基板上に金属層を形成するステップと、(b-3)前記固定された延伸性基板の固定を解除して、表面にバックル構造が形成された金属層を備える第2電極を含む上板を製造するステップと、を含むことができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の圧力センサは、周波数ベース信号の一種であるスパイクスペクトルの安定的信号伝達によって、ノイズが発生する可能性のある環境でも信頼性の高い圧力センシング結果を提示することができる。
【0030】
これらの図は、本発明の例示的な実施例を説明するのに参照するためであるので、本発明の技術的思想を添付図面に限定して解釈してはならない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施例による圧力センサを示す模式図である。
図2】本発明の一実施例による下板を製造する過程を示すものである。
図3】本発明の一実施例による上板を製造する過程を示すものである。
図4】本発明の一実施例による圧力センサの圧力による離散的接触面積の増加について示すものである。
図5】本発明の一実施例による圧力センサの圧力によるスパイク型信号発生原理を示すものである。
図6】本発明の一実施例による圧力センサの圧力によるスパイク型信号発生模式図を示すものである。
【0032】
図7】製造例1によって製造された上板の光学顕微鏡画像を示すものである。
図8】実施例1によって製造された圧力センサでパターニングされた電解質の光学顕微鏡画像及び実際画像を示すものである。
図9】実施例1によって製造された圧力センサの圧力によるスパイクスペクトル信号の結果を示すものである。
図10】実施例1によって製造された圧力センサの圧力によるスパイクスペクトルのスパイクの数を整理して示すものである。
図11】実施例1によって製造された圧力センサに同じ圧力を繰り返し加えたときのスパイクスペクトル信号の結果を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施し得るように、添付図面を参照して、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0034】
しかし、以下の説明は、本発明を特定の実施例について限定するものではなく、本発明を説明するにあたり、関連する公知の技術に対する具体的な説明が本発明の要旨を曖昧にするおそれがあると判断された場合、その詳細な説明を省略する。
【0035】
本明細書で使用した用語は、単に特定の実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに別の意味を有する限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするのであって、一つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、又はこれらの組み合わせの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0036】
また、以下で使用される「第1」、「第2」などのように序数を含む用語は、様々な構成要素を説明するのに使用できるが、これらの構成要素は、これらの用語によって限定されない。これらの用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく、第1構成要素は第2構成要素と命名でき、同様に、第2構成要素も第1構成要素と命名できる。
【0037】
また、ある構成要素が他の構成要素上に「形成されて」いる或いは「積層されて」いるとしたときは、その他の構成要素の表面上の全面または一面に直接付着して形成されているか或いは積層されていることもあるが、それらの間に別の構成要素がさらに介在することもあると理解されるべきである。
【0038】
以下、本発明の電解質を含むスパイクスペクトル出力型圧力センサ及びその製造方法について詳細に説明する。ただし、これは例示として提示されるものであり、これにより本発明が限定されるものではなく、本発明は後述する請求の範囲の範疇によって定義されるだけである。
【0039】
図1は本発明の一実施例による圧力センサを示す模式図である。
図1を参照すると、本発明は、第1電極と、前記第1電極上に位置し、電解質を含むパターンを有する圧力感知部と、前記第1電極上に位置し、前記圧力感知部の一部または全部を取り囲むスペーサと、前記スペーサと前記圧力感知部上に位置し、前記圧力感知部と離隔して位置する第2電極と、を含む圧力センサを提供する。
【0040】
また、前記圧力センサは、前記第2電極上に延伸性基板をさらに含むことができ、前記延伸性基板は、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)ブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)ブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロック共重合体、ポリウレタン(PU)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、エチレン-プロピレン-ジエンモノマー(EPDM)ゴム、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、シリコーンゴム、エコフレックス(ecoflex)及びドラゴンスキン(dragon skin)からなる群から選ばれた1種以上を含むことができ、好ましくは、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロック共重合体、ポリジメチルシロキサン(PDMS)及びシリコーン系のゴムからなる群から選ばれた1種以上、さらに好ましくは、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロック共重合体及びポリジメチルシロキサン(PDMS)からなる群から選ばれた1種以上を含むことができる。
【0041】
また、前記パターンは複数のドメインを含み、前記ドメインは前記電解質を含み、前記ドメインは隣接したドメインと離隔することができる。
【0042】
また、前記ドメインの形状は、線形、円形、楕円形、弓形、扇形、多角形、及びこれらの組み合わせからなる群から選ばれた一つ以上を含むことができる。
【0043】
また、前記ドメインの形状は、隣接したドメインの形状と同じであることができ、前記ドメインの大きさは、隣接したドメインの大きさと同じであることができ、前記ドメインは、隣接したドメインと同じ間隔で離隔することができる。
【0044】
また、前記電解質は、光硬化性高分子及び液体電解質を含むことができ、前記光硬化性高分子は、常温で液体状態であり、液体電解質と混ぜられることができなければならず、前記液体電解質は、蒸気圧が高いため、高温(100℃以上)でも安定しなければならない。
【0045】
また、前記光硬化性高分子は、ジアクリレート系高分子及びジメタクリレート系高分子からなる群から選ばれた1種以上を含むことができ、好ましくは、ポリエチレングリコールジアクリレート(Poly(ethylene glycol)diacrylate、PEGDA)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(Poly(propylene glycol)diacrylate、PPGDA)、ポリエチレングリコール-ブロック-ポリプロピレングリコール-ブロック-ポリエチレングリコールジアクリレート(Poly(ethylene glycol)-block-poly(propylene glycol)-block-poly(ethylene glycol)diacrylate、PEG-PPG-PEG)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(Poly(ethylene glycol)dimethacrylate、PEGDMA)、及びポリプロピレングリコールジメタクリレート(Poly(propylene glycol)dimethacrylate、PPGDMA)からなる群から選ばれた1種以上を含むことができ、より好ましくは、ポリエチレングリコールジアクリレートを含むことができる。
【0046】
また、前記液体電解質は、イオン性液体を含むことができる。
【0047】
また、前記イオン性液体は、脂肪族系イオン性液体、イミダゾリウム系イオン性液体及びピリジニウム系イオン性液体からなる群から選ばれた1種以上を含むことができる。
【0048】
前記脂肪族系イオン性液体は、N,N,N-トリメチル-N-プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TMPA-TFSI)、N-メチル-N-プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、及びN,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロホウ酸塩からなる群から選ばれた1種以上であることができ、
【0049】
前記イミダゾリウム系イオン性液体は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-エチル-3-メチル-イミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム(L)-乳酸塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩(EMI-BF)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩(BMI-BF)、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム(L)-乳酸塩、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロリン酸塩、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ドデシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-テトラデシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ヘキサデシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-オクタデシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムブロミド、1-エチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムブロミド、1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムクロリド、及び1-ヘキシル-2,3-ジメチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホン酸塩からなる群から選ばれた1種以上であることができ、
【0050】
前記ピリジニウム系イオン性液体は、1-エチルピリジニウムブロミド、1-エチルピリジニウムクロリド、1-ブチルピリジニウムブロミド、1-ブチルピリジニウムクロリド、1-ブチルピリジニウムヘキサフルオロリン酸塩、1-ブチルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、1-ブチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩、1-ヘキシルピリジニウムブロミド、1-ヘキシルピリジニウムクロリド、1-ヘキシルピリジニウムヘキサフルオロリン酸塩、1-ヘキシルピリジニウムテトラフルオロホウ酸塩、及び1-ヘキシルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩からなる群から選ばれた1種以上であることができる。
【0051】
前記イオン性液体は、好ましくは、イミダゾリウム系イオン性液体であることができ、前記イミダゾリウム系イオン性液体は、好ましくは、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩(BMI-BF)であることができる。
【0052】
また、前記電解質は光開始剤をさらに含むことができ、前記光開始剤として、好ましくは2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(2-hydroxy-2-methylpropiophenone)を使用することができる。
【0053】
また、前記第1電極または第2電極は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ニッケル、インジウム、アルミニウム、鉄、ロジウム、ルテニウム、オスミウム、コバルト、モリブデン、亜鉛、バナジウム、タングステン、チタン、マンガン、クロム、銀ナノワイヤー、カーボンナノチューブ(CNT)、及び金ナノシートからなる群から選ばれた1種以上を含むことができ、好ましくは、アルミニウム及び金からなる群から選ばれた1種以上を含むことができる。
【0054】
また、前記第2電極は、バックル構造(Buckled structure)を含むことができ、前記バックル構造は、前記第2電極の屈曲表面を含むことができ、前記第2電極は、面方向に対する垂直切断面が谷と山を含むジグザグ(zigzag)形状を有することができる。
【0055】
本発明は、(a)第1電極と、前記第1電極上に位置し、電解質を含むパターンを有する圧力感知部とを含む下板を製造するステップと、(b)延伸性基板と、前記延伸基板上に位置する第2電極とを含む上板を製造するステップと、(c)前記圧力感知部と離隔して位置し、前記圧力感知部の一部または全部を取り囲むスペーサを前記下板の第1電極と前記上板の第2電極との間に形成するステップと、を含む、圧力センサの製造方法を提供する。
【0056】
図2は本発明の一実施例による下板を製造する過程を示すものである。図2を参照すると、前記ステップ(a)は、(a-1)光硬化性高分子前駆体及び液体電解質を含む混合物を製造するステップと、(a-2)第1電極上に前記混合物をコーティングして第1電極/コーティング層を製造するステップと、(a-3)前記第1電極/コーティング層のコーティング層上に、パターニングする部分を除いた残りの部分を覆うマスクを積層するステップと、(a-4)前記(a-3)の結果物にUVを照射してパターンを形成するステップと、(a-5)前記マスクを除去して前記下板を製造するステップと、を含み、前記光硬化性高分子前駆体が、光硬化性モノマー及び光硬化性オリゴマーからなる群から選ばれた1種以上を含むことができる。
【0057】
図3は本発明の一実施例による上板を製造する過程を示すものである。図3を参照すると、前記ステップ(b)は、(b-1)延伸性基板を二軸方向にそれぞれ引いて固定するステップと、(b-2)前記固定された延伸性基板上に金属を蒸着して延伸性基板上に金属層を形成するステップと、(b-3)前記固定された延伸性基板の固定を解除して、表面にバックル構造が形成された金属層を備える第2電極を含む上板を製造するステップと、を含むことができる。
【0058】
図4は本発明の一実施例による圧力センサの圧力による離散的接触面積の増加について示すものである。図4を参照すると、本発明の圧力センサに圧力が強く加わることにより、電解質を介した第1電極及び第2電極の接触面積が広くなるが、この時、電解質がパターニングされているので、連続的ではなく、離散的に接触面積が増加する。
【0059】
図5は本発明の一実施例による圧力センサの圧力によるスパイク型信号発生原理を示すものである。図5を参照すると、本発明の圧力センサに圧力が加わって電解質を介して第1電極と第2電極との接触が行われると、R-C直列回路が形成される。このとき、電解質において電荷の充電が行われ、抵抗端で測定される電圧がスパイク形態で現れる。
【0060】
図6は本発明の一実施例による圧力センサの圧力によるスパイク型信号発生模式図を示すものである。図6を参照すると、本発明の圧力センサは、一つの電解質パターンで接触が行われると、電圧が測定され、次の接触前まで電圧が減少してスパイク形態の信号を測定することができる。圧力が加わることにより、離散的に分布している電解質との接触面積が増加するが、強い圧力が加わるほど接触面積が広くなるので、多くの数のスパイクが発生する。
【実施例
【0061】
(実施例)
以下、本発明の好適な実施例を挙げて説明する。しかし、これらの実施例は例示のためのもので、これにより本発明の範囲が限定されない。
【0062】
製造例1:上板の製造
ポリジメチルシロキサン(PDMS)の主剤(SYLGARD 184 Silicone elastomer base)と硬化剤(SYLGARD 184 Silicone elastomer curing agent)を10:1(w/w)で混ぜた後、スピンコーティングして厚さ100μmのフィルムを製造した。前記フィルムを80℃で3時間硬化させた後、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)共重合体とクロロホルムを1:9(w/w)の比率で前記フィルム上にスピンコーティングした。残りの溶媒を除去するために、80℃で30分間熱処理してPDMS/SIS延伸性基板を製造した。前記PDMS/SIS延伸性基板を二軸方向に引いて固定させた後、金をスパッタリングした。その後、延伸性基板の固定を解除して、延伸性基板に蒸着された金の表面にバックル構造を形成することにより、延伸性基板と、前記延伸性基板上に位置する第2電極とを含む上板を製造した。
図7は製造例1によって製造された上板の光学顕微鏡画像を示すものである。
【0063】
実施例1:圧力センサの製造
光硬化性高分子としてのポリエチレングリコールジアクリレートハイドロゲル(PEGDA hydrogel、Sigma Aldrich、Mw:575)、液体電解質としての1-ブチル3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロホウ酸塩(1-butyl-3-methylimidazolium tetrafluoroborate、Sigma Aldrich)、光開始剤としての2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン(2-hydroxy-2-methylpropiophenone、Sigma Aldrich)を40:58:2(w/w)で混合して混合物を製造した。
【0064】
アルミニウム電極上に前記混合物をコーティングして第1電極/コーティング層を製造した。その上にガラスタイプ(glass type)のUVマスク(パターンピッチ:1.25mm)をのせ、UVを照射してパターンを形成した。UV照射後にマスクを取り外し、残った混合物をトルエン(toluene)で洗浄し、トルエンを除去するために80℃で30分間熱処理することにより、第1電極と、前記第1電極上に位置し、電解質を含むパターンを有する圧力感知部とを含む下板を製造した。
【0065】
図8は実施例1によって製造された圧力センサでパターニングされた電解質の光学顕微鏡画像及び実際画像を示すものである。
前記下板の圧力感知部と離隔して位置し、前記圧力感知部の一部または全部を取り囲むスペーサを前記下板の第1電極と、製造例1によって製造された上板の第2電極との間に形成して圧力センサを製造した。
【0066】
[試験例]
試験例1:圧力による圧力センサの反応
図9は実施例1によって製造された圧力センサの圧力によるスパイクスペクトル信号の結果を示すものであり、図10は実施例1によって製造された圧力センサの圧力によるスパイクスペクトルのスパイクの数を整理して示すものである。
【0067】
図9及び図10によれば、圧力が加わることにより、スパイクスペクトル形態の信号を得ることができ、圧力が増加するほどスパイクスペクトルのスパイクの数が多くなることを確認することができる。
【0068】
試験例2:圧力センサの反復性
図11は実施例1によって製造された圧力センサに同じ圧力を繰り返し加えたときのスパイクスペクトル信号の結果を示すものである。
図11によれば、同じ圧力を1回加えたときと40回加えたときのスパイクスペクトルのスパイクの数は同一に現れることを確認することができる。よって、実施例1によって製造された圧力センサが反復性を持つことを確認することができる。
【0069】
本発明の範囲は、前記詳細な説明よりは後述する特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその均等概念から導き出されるすべての変更または変形形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明の圧力センサは、周波数ベース信号の一種であるスパイクスペクトルの安定的信号伝達によって、ノイズが発生する可能性のある環境でも信頼性の高い圧力センシング結果を提示することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】