(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(54)【発明の名称】イオン導電体スラリー、その調製方法及び使用
(51)【国際特許分類】
H01M 4/139 20100101AFI20220601BHJP
H01M 4/62 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
H01M4/139
H01M4/62 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557700
(86)(22)【出願日】2020-02-10
(85)【翻訳文提出日】2021-10-19
(86)【国際出願番号】 CN2020074655
(87)【国際公開番号】W WO2020199755
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】201910250707.0
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520464393
【氏名又は名称】▲リー▼陽天目先導電池材料科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】TIANMULAKE EXCELLENT ANODE MATERIALS CO, LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】▲ヤン▼ 昭
(72)【発明者】
【氏名】羅 飛
(72)【発明者】
【氏名】李 泓
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA15
5H050BA16
5H050CA08
5H050CB12
5H050DA09
5H050DA13
5H050EA01
5H050EA22
5H050EA23
5H050GA05
5H050GA10
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA20
(57)【要約】
【課題】本発明はイオン導電体スラリー、その調製方法及び適用を得ることにある。
【解決手段】イオン導電体スラリーは、その質量分率に基づいて、0.05wt%~99.98wt%のイオン導電体粉体材料、0wt%~2wt%の沈殿防止剤、0wt%~10wt%のバインダー、0wt%~2wt%の分散剤、0wt%~2wt%の助剤及び20wt%~99.95wt%の溶媒を含む。ここで、上記のイオン導電体粉体材料は、ガーネット型固体電解質材料、NASICON型固体電解質材料、LISICON型固体電解質材料、ペロブスカイト型固体電解質材料及びその誘導材料のうちの1つを含む。上記のイオン導電体粉体の粒径は、1nm~100μmの間である。上記のイオン導電体スラリーは、ダイヤフラムのコーティング材料、正極材料のクラッド材料、負極材料のクラッド材料、正極材料の添加剤、負極材料の添加剤、高分子固体電解質の添加剤又は固液混合の固体電解質に用いられる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン導電体スラリーであって、
質量分率に基づいて、0.05wt%~99.98wt%のイオン導電体粉体材料、0wt%~2wt%の沈殿防止剤、0wt%~10wt%のバインダー、0wt%~2wt%の分散剤、0wt%~2wt%の助剤及び20wt%~99.95wt%の溶媒を含み、
ここで、前記イオン導電体粉体材料は、ガーネット型固体電解質材料、NASICON型固体電解質材料、LISICON型固体電解質材料、ペロブスカイト型固体電解質材料及びその誘導材料のうちの1つを含み、前記イオン導電体粉体の粒径は、1nm~100μmの間であり、
前記イオン導電体スラリーは、ダイヤフラムのコーティング材料、正極材料のクラッド材料、負極材料のクラッド材料、正極材料の添加剤、負極材料の添加剤、高分子固体電解質の添加剤又は固体液体混合の固体電解質に用いられることを特徴とする、イオン導電体スラリー。
【請求項2】
前記ガーネット型固体電解質は、具体的にはLi
7+m-n-3zAl
zLa
3-mA4
mZr
2-nB4
nO
12であり、ここで、m、n、zはいずれも[0~1]の間であり、A4はLa、Ca、Sr、Ba又はKのうちの1つ以上であり、B4はTa、Nb、W又はハフニウム元素Hfのうちの1つ以上であり、
前記LISICON型固体電解質は、具体的にはLi
14A1(B1O
4)
4であり、ここで、A1はZn、Zr、Cr又はSnのうちの1つ以上であり、B1はGe、Si、S又はPのうちの1つ以上であり、
前記NASICON型固体電解質は、具体的にはLi
1+xA2
xB2
2-x(PO
4)
3であり、ここで、0.01≦x≦0.5であり、A2はAl、Y、Ga、Cr、In、Fe、Se又はLaのうちの1つ以上であり、B2はTi、Ge、Ta、Zr、Sn、Fe、V又はハフニウム元素Hfのうちの1つ以上であり、
前記ペロブスカイト型固体電解質は、具体的にはLi
3yA3
2/3-yB3O
3であり、ここで、0.01≦y≦2/3であり、A3はLa、Al、Mg、Fe又はTaのうちの1つ以上であり、B3はTi、Nb、Sr又はPrのうちの1つ以上であることを特徴とする、請求項1に記載のイオン導電体スラリー。
【請求項3】
前記沈殿防止剤は、ポリアミドワックス、ポリオキシエチレン脂肪アミノアルコール、ポリオキシエチレン脂肪アミノアルコール、ポリオキシエチレン脂肪アルコール硫酸塩、ポリグリコールエーテル又はチタネートカップリング剤のうちの1つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のイオン導電体スラリー。
【請求項4】
前記バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、スチレン・ブタジエンゴム、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィン類、フッ素ゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリレート-ブチルアクリレート、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル又はポリウレタン若しくはゼラチンのうちの1つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のイオン導電体スラリー。
【請求項5】
前記分散剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸カリウム、オクチルフェノールポリオキシエチレンエーテル、モノグリセリド、グリセリルトリステアレート、オレイン酸アシル又はコハク酸のうちの1つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のイオン導電体スラリー。
【請求項6】
前記助剤は、ポリジメチルシロキサン、シリコンオイル、ポリエーテル類、アルキルポリオキシエチレンエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルフェノールポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン又はポリオキシエチレンアミドのうちの1つ以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のイオン導電体スラリー。
【請求項7】
前記溶媒は、脱イオン水、アルコール、N-メチルピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド(DMF)又はアセトンのうちの1つまたは複数の混合を含むことを特徴とする、請求項1に記載のイオン導電体スラリー。
【請求項8】
所要のイオン導電体スラリーの総質量分率に基づいて、0wt%~10wt%のバインダー及び20wt%~99.95wt%の溶媒を所要の割合に従って予備攪拌槽に加え、バインダーを完全に溶解させて、均一な第1スラリーを得ることと、
所要の割合に従って0.05wt%~99.98wt%のイオン導電体粉体材料を第1スラリーに加え、0wt%~2wt%の沈殿防止剤を加えた後、遠心分離速度が500rpm~5000rpmの条件下で遠心分離処理を30分間~1時間行い、ここで、前記イオン導電体粉体材料は、ガーネット型固体電解質材料、NASICON型固体電解質材料、LISICON型固体電解質材料、ペロブスカイト型固体電解質材料及びその誘導材料のうちの1つを含み、前記イオン導電体粉体の粒径は、1nm~100μmの間であることと、
遠心分離処理後、サンドミルに加えて摩砕し、時間は30分間~1時間とすることと、
サンドミルから取り出した後、0wt%~2wt%の分散剤及び0wt%~2wt%の助剤を加えて攪拌・分散を行い、第2スラリーを得るが、ここで、攪拌速度は10rpm~50rpm、分散速度は1000rpm~5000rpmとすることと、
第2スラリーに対して超音波処理を行い、時間は30分間~1時間、超音波周波数は1~10kHzとし、所要のイオン導電体スラリーを得ることと、を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項に記載のイオン導電体スラリーの調製方法。
【請求項9】
前記ガーネット型固体電解質は、具体的にはLi
7+m-n-3zAl
zLa
3-mA4
mZr
2-nB4
nO
12であり、ここで、m、n、zはいずれも[0~1]の間であり、A4はLa、Ca、Sr、Ba又はKのうちの1つ以上であり、B4はTa、Nb、W又はハフニウム元素Hfのうちの1つ以上であり、
前記LISICON型固体電解質は、具体的にはLi
14A1(B1O
4)
4であり、ここで、A1はZn、Zr、Cr又はSnのうちの1つ以上であり、B1はGe、Si、S又はPのうちの1つ以上であり、
前記NASICON型固体電解質は、具体的にはLi
1+xA2
xB2
2-x(PO
4)
3であり、ここで、0.01≦x≦0.5であり、A2はAl、Y、Ga、Cr、In、Fe、Se又はLaのうちの1つ以上であり、B2はTi、Ge、Ta、Zr、Sn、Fe、V又はハフニウム元素Hfのうちの1つ以上であり、
前記ペロブスカイト型固体電解質は、具体的にはLi
3yA3
2/3-yB3O
3であり、ここで、0.01≦y≦2/3であり、A3はLa、Al、Mg、Fe又はTaのうちの1つ以上であり、B3はTi、Nb、Sr又はPrのうちの1つ以上であり、
前記沈殿防止剤は、ポリアミドワックス、ポリオキシエチレン脂肪アミノアルコール、ポリオキシエチレン脂肪アミノアルコール、ポリオキシエチレン脂肪アルコール硫酸塩、ポリグリコールエーテル又はチタネートカップリング剤のうちの1つ以上を含み、
前記バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、スチレン・ブタジエンゴム、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィン類、フッ素ゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリレート-ブチルアクリレート、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル又はポリウレタン若しくはゼラチンのうちの1つ以上を含み、
前記分散剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸カリウム、オクチルフェノールポリオキシエチレンエーテル、モノグリセリド、グリセリルトリステアレート、オレイン酸アシル又はコハク酸のうちの1つ以上を含み、
前記助剤は、ポリジメチルシロキサン、シリコンオイル、ポリエーテル類、アルキルポリオキシエチレンエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルフェノールポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン又はポリオキシエチレンアミドのうちの1つ以上を含み、
前記溶媒は、脱イオン水、アルコール、N-メチルピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド(DMF)又はアセトンのうちの1つまたは複数の混合を含むことを特徴とする、請求項8に記載のイオン導電体スラリーの調製方法。
【請求項10】
エネルギー貯蔵機器及び前記エネルギー貯蔵機器を含む製品における請求項1~7のいずれか1項に記載のイオン導電体スラリーの使用であって、
前記エネルギー貯蔵機器は、液体リチウムイオン電池、金属リチウム電池、固液混合電池、半固体電池又は全固体電池のうちの1つ以上を含むことを特徴とするイオン導電体スラリーの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2019年3月29日に中国国家知識産権局に出願された、出願番号201910250707.0、「イオン導電体スラリー、その調製方法及び使用」と題する発明の中国特許出願の優先権を要求する。
【0002】
(技術分野)
本発明はリチウム電池材料の技術分野に関し、特にイオン導電体スラリー、その調製方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、リチウムイオン二次電池は、携帯電話、ノートパソコンなどの携帯機器中で広く使用されている。技術の発展に伴い、電気自動車やエネルギー貯蔵分野においてもリチウムイオン電池の利用可能性は極めて高くなっており、将来的に人々の生活に大きな影響を与えるはずである。
【0004】
リチウム電池の広い使用や急速な発展に伴い、人々のリチウムイオン電池に対する性能要求はますます高くなっており、リチウム電池が高容量を備えることが要求されるだけでなく、繰り返される充放電過程において良好な容量維持率を有することや、サイクル特性のパフォーマンスが良く、長い使用寿命を有することも要求されるようになった。
【0005】
パルプ化プロセスは、リチウムイオン電池の製造プロセス全体で製品の品質に40%以上の影響を与え、製造プロセス全体で最も重要なリンクです。 しかし、現在のプロセスのほとんどは従来のスラリー調製プロセスを使用しており、高速分散プロセスによりスラリーを分散させる。このプロセスで調製されたスラリーは、凝集しやすく、均一性が低く、安定性が低く、調製プロセス時間が長いなどの欠点を有する。このスラリーを使用して調製されたリチウムイオン電池の性能は、一貫性が低く、リチウムイオン電池の構成及び使用に影響を与えるという問題がある。
【0006】
したがって、既存の技術的欠陥を補うために、新しいタイプのスラリーとその調製方法が、緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術に存在する問題を解決し、パルプ化プロセスの品質を改善することによりイオン導電体スラリーの性能を向上させた、イオン導電体スラリー、その調製方法及び使用を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を実現するために、第1の態様として、本発明の実施例は、イオン導電体スラリーを提供する。イオン導電体スラリーは、その質量分率に基づいて、0.05wt%~99.98wt%のイオン導電体粉体材料、0wt%~2wt%の沈殿防止剤、0wt%~10wt%のバインダー、0wt%~2wt%の分散剤、0wt%~2wt%の助剤及び20wt%~99.95wt%の溶媒を含む。
【0009】
ここで、イオン導電体粉体材料は、ガーネット型固体電解質材料、NASICON型固体電解質材料、LISICON型固体電解質材料、ペロブスカイト型固体電解質材料及びそれらの誘導材料のうちの1つを含む。イオン導電体粉末の粒子サイズは、1nm~100μmの間である。
【0010】
イオン導電体スラリーは、ダイヤフラムのコーティング材料、正極材料のクラッド材料、負極材料のクラッド材料、正極材料の添加剤、負極材料の添加剤、ポリマー固体電解質の添加剤又は固液混合固体電解質に使用される。
【0011】
好ましくは、ガーネット型固体電解質は、具体的には
Li7+m-n-3zAlzLa3-mA4mZr2-nB4nO12である。ここで、m、n、zはいずれも[0~1]の間であり、A4はLa、Ca、Sr、Ba又はKのうちの1つ以上であり、B4はTa、Nb、W又はハフニウム元素Hfのうちの1つ以上である。
【0012】
上記のLISICON型固体電解質は、具体的にはLi14A1(B1O4)4である。ここで、A1はZn、Zr、Cr又はSnのうちの1つ以上であり、B1はGe、Si、S又はPのうちの1つ以上である。
【0013】
上記のNASICON型固体電解質は、具体的にはLi1+xA2xB22-x(PO4)3である。ここで、0.01≦x≦0.5であり、A2はAl、Y、Ga、Cr、In、Fe、Se又はLaのうちの1つ以上であり、B2はTi、Ge、Ta、Zr、Sn、Fe、V又はハフニウム元素Hfのうちの1つ以上である。
【0014】
上記のペロブスカイト型固体電解質は、具体的にはLi3yA32/3-yB3O3である。ここで、0.01≦y≦2/3であり、A3はLa、Al、Mg、Fe又はTaのうちの1つ以上であり、B3はTi、Nb、Sr又はPrのうちの1つ以上である。
【0015】
好ましくは、上記の沈殿防止剤は、ポリアミドワックス、ポリオキシエチレン脂肪アミノアルコール、ポリオキシエチレン脂肪アミノアルコール、ポリオキシエチレン脂肪アルコール硫酸塩、ポリグリコールエーテル又はチタネートカップリング剤のうちの1つ以上を含む。
【0016】
好ましくは、バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、スチレン・ブタジエンゴム、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィン類、フッ素ゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリレート-ブチルアクリレート、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル又はポリウレタン若しくはゼラチンのうちの1つ以上を含む。
【0017】
好ましくは、分散剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸カリウム、オクチルフェノールポリオキシエチレンエーテル、モノグリセリド、グリセリルトリステアレート、オレイン酸アシル(oleic acid acyl)又はコハク酸のうちの1つ以上を含む。
【0018】
好ましくは、助剤は、ポリジメチルシロキサン、シリコンオイル、ポリエーテル類、アルキルポリオキシエチレンエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルフェノールポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン又はポリオキシエチレンアミドのうちの1つ以上を含む。
【0019】
好ましくは、溶媒は、脱イオン水、アルコール、N-メチルピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド(DMF)又はアセトンのうちの1つまたは複数の混合を含む。
【0020】
第2の態様として、本発明の実施例は、上述の第1の態様に記載のイオン導電体スラリーの調製方法を提供し、その調製方法は以下の工程を含む。
【0021】
所要のイオン導電体スラリーの総質量分率に基づいて、0wt%~10wt%のバインダー及び20wt%~99.95wt%の溶媒を所要の割合に従って予備攪拌槽中に加え、バインダーを完全に溶解させて、均一な第1スラリーを得る。
【0022】
所要の割合に従って0.05wt%~99.98wt%のイオン導電体粉体材料を第1スラリー中に加え、0wt%~2wt%の沈殿防止剤を加えた後、遠心分離速度が500rpm~5000rpmの条件下で遠心分離処理を30分~1時間行う。ここで、イオン導電体粉体材料は、ガーネット型固体電解質材料、NASICON型固体電解質材料、LISICON固体電解質材料、ペロブスカイト型固体電解質材料及びその誘導材料のうちの1つを含む。上記のイオン導電体粉体の粒径は、1nm~100μmの間である。
【0023】
遠心分離処理後、サンドミルに加えて30分間~1時間摩砕する。
【0024】
サンドミルから取り出した後、0wt%~2wt%の分散剤及び0wt%~2wt%の助剤を加えて攪拌・分散を行い、第2スラリーを得る。ここで、攪拌速度は10rpm~50rpm、分散速度は1000rpm~5000rpmとする。
【0025】
第2スラリーに対して超音波処理を行い、時間は30分間~1時間、超音波周波数は1~10kHzとし、所要のイオン導電体スラリーを得る。
【0026】
好ましくは、上記のガーネット型固体電解質は、具体的には
Li7+m-n-3zAlzLa3-mA4mZr2-nB4nO12である。ここで、m、n、zはいずれも[0~1]の間であり、A4はLa、Ca、Sr、Ba又はKのうちの1つ以上であり、B4はTa、Nb、W又はハフニウム元素Hfのうちの1つ以上である。
【0027】
上記のLISICON型固体電解質は、具体的にはLi14A1(B1O4)4である。ここで、A1はZn、Zr、Cr又はSnのうちの1つ以上であり、B1はGe、Si、S又はPのうちの1つ以上である。
【0028】
上記のNASICON型固体電解質は、具体的にはLi1+xA2xB22-x(PO4)3である。ここで、0.01≦x≦0.5であり、A2はAl、Y、Ga、Cr、In、Fe、Se又はLaのうちの1つ以上であり、B2はTi、Ge、Ta、Zr、Sn、Fe、V又はハフニウム元素Hfのうちの1つ以上である。
【0029】
上記のペロブスカイト型固体電解質は、具体的にはLi3yA32/3-yB3O3である。ここで、0.01≦y≦2/3であり、A3はLa、Al、Mg、Fe又はTaのうちの1つ以上であり、B3はTi、Nb、Sr又はPrのうちの1つ以上である。
【0030】
上記の沈殿防止剤は、ポリアミドワックス、ポリオキシエチレン脂肪アミノアルコール、ポリオキシエチレン脂肪アミノアルコール、ポリオキシエチレン脂肪アルコール硫酸塩、ポリグリコールエーテル又はチタネートカップリング剤のうちの1つ以上を含む。
【0031】
バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、スチレン・ブタジエンゴム、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィン類、フッ素ゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリレート-ブチルアクリレート、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル又はポリウレタン若しくはゼラチンのうちの1つ以上を含む。
【0032】
上記の分散剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸カリウム、オクチルフェノールポリオキシエチレンエーテル、モノグリセリド、グリセリルトリステアレート、オレイン酸アシル又はコハク酸のうちの1つ以上を含む。
【0033】
上記の助剤は、ポリジメチルシロキサン、シリコンオイル、ポリエーテル類、アルキルポリオキシエチレンエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルフェノールポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン又はポリオキシエチレンアミドのうちの1つ以上を含む。
【0034】
上記の溶媒は、脱イオン水、アルコール、N-メチルピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド(DMF)又はアセトンのうちの1つ以上の混合物を含む。
【0035】
第3の態様として、本発明の実施例は、上述の第1の態様に記載のイオン導電体スラリーを含む適用を提供する。イオン導電体スラリーは、エネルギー貯蔵機器及びエネルギー貯蔵機器を含む製品において使用される。
【0036】
エネルギー貯蔵機器は、液体リチウムイオン電池、金属リチウム電池、固体液体混合電池、半固体電池又は全固体電池のうちの1つ以上を含む。
【発明の効果】
【0037】
本発明が提供するイオン導電体スラリーは、パルプ化プロセスの品質を高めることによりイオン導電体スラリーの性能を向上させるものであり、より良好なサイクル特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
以下、図面と実施例に基づき、本発明の実施例の技術的解決策についてより詳細に説明する。
【0039】
【
図1】本発明の実施例が提供するイオン導電体スラリーの調製方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の実施例が提供する、半電池のサイクル性能試験の比較
図1である。
【
図3】本発明の実施例が提供する、半電池のサイクル性能試験の比較
図2である。
【
図4】本発明の実施例が提供する、電気化学特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、実施例に基づき、本発明についてより詳細に説明するが、本発明の保護範囲を限定する意図は決してない。
【0041】
本発明の実施例が提供するイオン導電体スラリーは、その質量分率に基づいて、0.05wt%~99.98wt%のイオン導電体粉体材料及び20wt%~99.95wt%の溶媒を含む。このほかに、2wt%以下の沈殿防止剤、10wt%以下のバインダー、2wt%以下の分散剤及び2wt%以下の助剤を含むことができる。沈殿防止剤、バインダー、分散剤及び助剤のうちの1つ以上の成分は0でもよい。
【0042】
ここで、イオン導電体粉体材料は、ガーネット型固体電解質材料、NASICON型固体電解質材料、LISICON型固体電解質材料、ペロブスカイト型固体電解質材料及びそれらの誘導材料のうちの1つを含む。イオン導電体粉体の粒径は、1nm~100μmの間である。
【0043】
上記のガーネット型固体電解質は、具体的には、
Li7+m-n-3zAlzLa3-mA4mZr2-nB4nO12である。ここで、m、n、zはいずれも[0~1]の間であり、A4はLa、Ca、Sr、Ba又はKのうちの1つ以上であり、B4はTa、Nb、W又はハフニウム元素Hfのうちの1つ以上である。
【0044】
上記のLISICON型固体電解質は、具体的にはLi14A1(B1O4)4である。ここで、A1はZn、Zr、Cr又はSnのうちの1つ以上であり、B1はGe、Si、S又はPのうちの1つ以上である。
【0045】
上記のNASICON型固体電解質は、具体的にはLi1+xA2xB22-x(PO4)3である。ここで、0.01≦x≦0.5であり、A2はAl、Y、Ga、Cr、In、Fe、Se又はLaのうちの1つ以上であり、B2はTi、Ge、Ta、Zr、Sn、Fe、V又はハフニウム元素Hfのうちの1つ以上である。
【0046】
上記のペロブスカイト型固体電解質は、具体的にはLi3yA32/3-yB3O3である。ここで、0.01≦y≦2/3であり、A3はLa、Al、Mg、Fe又はTaのうちの1つ以上であり、B3はTi、Nb、Sr又はPrのうちの1つ以上である。
【0047】
沈殿防止剤は、ポリアミドワックス、ポリオキシエチレン脂肪アミノアルコール、ポリオキシエチレン脂肪アミノアルコール、ポリオキシエチレン脂肪アルコール硫酸塩、ポリグリコールエーテル又はチタネートカップリング剤のうちの1つ以上を含む。
【0048】
バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、スチレン・ブタジエンゴム、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィン類、フッ素ゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリレート-ブチルアクリレート、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル又はポリウレタン若しくはゼラチンのうちの1つ以上を含む。
【0049】
分散剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸カリウム、オクチルフェノールポリオキシエチレンエーテル、モノグリセリド、グリセリルトリステアレート、オレイン酸アシル又はコハク酸のうちの1つ以上を含む。
【0050】
助剤は、ポリジメチルシロキサン、シリコンオイル、ポリエーテル類、アルキルポリオキシエチレンエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルフェノールポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン又はポリオキシエチレンアミドのうちの1つ以上を含む。
【0051】
溶媒は、脱イオン水、アルコール、N-メチルピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド(DMF)又はアセトンのうちの1つまたは複数の混合を含む。
【0052】
本発明の上記のイオン導電体スラリーの調製方法は、
図1に示す方法の工程フローの通りであり、それは以下を含む。
【0053】
工程110で、所要のイオン導電体スラリーの総質量分率に基づいて、0wt%~10wt%のバインダー及び20wt%~99.95wt%の溶媒を所要の割合に従って予備攪拌槽中に加え、バインダーを完全に溶解させて、均一な第1スラリーを得る。
【0054】
工程120で、所要の割合に従って0.05wt%~99.98wt%のイオン導電体粉体材料を第1スラリーに加え、0wt%~2wt%の沈殿防止剤を加えた後、遠心分離速度が500rpm~5000rpmの条件下で遠心分離処理を30分間~1時間行う。
【0055】
工程130で、遠心分離処理後、サンドミルに加えて30分間~1時間摩砕する。
【0056】
工程140で、サンドミルから取り出した後、0wt%~2wt%の分散剤及び0wt%~2wt%の助剤を加えて攪拌・分散を行い、第2スラリーを得る。
【0057】
ここで、攪拌速度は10rpm~50rpm、分散速度は1000rpm~5000rpmとする。
【0058】
工程150で、第2スラリーに対して超音波処理を行い、時間は30分間~1時間、超音波周波数は1~10kHzとし、所要のイオン導電体スラリーを得る。
【0059】
上述の方法の工程中で言及した各材料については既に説明済みのため、ここでは説明を省略する。
【0060】
本発明の調製により得たイオン導電体スラリーは、ダイヤフラムのコーティング材料、正極材料のクラッド材料、負極材料のクラッド材料、正極材料の添加剤、負極材料の添加剤、高分子固体電解質の添加剤又は固体液体混合の固体電解質などに用いることができ、具体的には、エネルギー貯蔵機器及びエネルギー貯蔵機器を含む製品において使用することができる。エネルギー貯蔵機器は、液体リチウムイオン電池、金属リチウム電池、固液混合電池、半固体電池又は全固体電池などを含み得る。
【0061】
本発明が提供するイオン導電体スラリーは、パルプ化プロセスの品質を高めることによりイオン導電体スラリーの性能を向上させるものであり、従来の商用イオン導電体スラリーと比べて、より良好なサイクル特性を有する。
【0062】
以下、具体的な実施例を基に、本発明の技術的解決策についてより詳細に説明する。
【0063】
[実施例1]
本実施例では、イオン導電体スラリーの調製方法及び性能試験の結果を提供する。
【0064】
1kgのイオン導電体粉体Li1.5Al0.5Ti1.5(PO4)3を100Lの脱イオン水中に加え、遠心分離速度が1000rpmの条件下で30分間遠心分離処理を行い、次に上層スラリーを取ってサンドミルに加えて1時間摩砕し、さらに1時間超音波処理を行い、超音波周波数は3000Hzとし、イオン導電体スラリーを得た。
【0065】
上述の調製で得られたイオン導電体スラリーを商品化されているコバルト酸リチウムと混合、乾燥、焼結を行い、本実施例1の被覆改質されたコバルト酸リチウム材料を得た。
【0066】
被覆改質されたコバルト酸リチウム材料とイオン導電体スラリーによる被覆改質を経ていない商品化されたコバルト酸リチウムをそれぞれバインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電性添加物である導電性カーボンブラック(SP)と混合し、それぞれで極片を製造した。
【0067】
2種類の極片は、それぞれ金属リチウムを対電極に採用して、半電池を製造し、試験・比較を行った。
図2に示す通り、2.7~4.6vの調製範囲内において、被覆改質されたコバルト酸リチウム材料の電気化学特性と商品化されているコバルト酸リチウムの電気化学特性を1C倍率で試験し、比較した。20サイクル後を見ると、従来の商品化されているコバルト酸リチウムは放電容量が急速に低下しているのに対し、本発明が提供する被覆改質されたコバルト酸リチウム材料は180mAh/g以上を依然として維持できており、サイクル特性が従来の商品化されているコバルト酸リチウム材料よりも大いに優れていることが分かる。
【0068】
[実施例2]
本実施例では、イオン導電体スラリーの調製方法及び性能試験の結果を提供する。
【0069】
1kgのイオン導電体粉体LiAl1/3TiO3を30LのN-メチルピロリドン溶媒に加え、遠心分離速度が1000rpmの条件下で30分間遠心分離処理を行い、次に上層スラリーを取ってサンドミルに加えて30分間摩砕し、さらに30分間超音波処理を行い、超音波周波数は3000Hzとし、イオン導電体スラリーを得た。
【0070】
上述の調製で得られたイオン導電体スラリーを商品化されているコバルト酸リチウムと混合、乾燥、焼結を行い、本実施例2の被覆改質されたコバルト酸リチウム材料を得た。
【0071】
上述の方法に従って、被覆改質されたコバルト酸リチウム材料をバインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)、導電性添加物である導電性カーボンブラック(SP)と混合し、それぞれで極片を製造した。
【0072】
同様に、金属リチウムを対電極に採用して、半電池を製造し、試験・比較を行った。
図2に示す通り、2.7~4.6vの調製範囲内において、被覆改質されたコバルト酸リチウム材料の電気化学特性を1C倍率で試験した。20サイクル後を見ると、従来の商品化されているコバルト酸リチウムは放電容量が急速に低下しているのに対し、本発明が提供する被覆改質されたコバルト酸リチウム材料は180mAh/g以上を依然として維持できており、サイクル特性が従来の商品化されているコバルト酸リチウム材料よりも大いに優れていることが分かる。
【0073】
以上の比較から、本発明の実施例1と実施例2が提供するイオン導電体スラリーによって被覆改質された材料は、より優れたサイクル特性を有していることが分かる。
【0074】
また、試験温度が45℃、4.2V、1C倍率において、本実施例の被覆改質されたコバルト酸リチウム材料とイオン導電体スラリーによる被覆改質を経ていない商品化されているコバルト酸リチウム材料とで製造された極片について、上述の方法で半電池を組み立てて比較試験を行った。結果は、
図3に示す通りである。本発明が提供するイオン導電体スラリーによって被覆改質された材料は、より優れたサイクル特性を有していた。
【0075】
[実施例3]
本実施例では、イオン導電体スラリーの調製方法を提供する。
【0076】
1kgのイオン導電体粉体Li7La3Zr2O12を50Lのアルコール溶媒に加え、遠心分離速度が1000rpmの条件下で30分間遠心分離処理を行い、次に上層スラリーを取ってサンドミルに加えて1時間摩砕し、さらに1時間超音波処理を行って摩砕し、超音波周波数は3000Hzとし、イオン導電体スラリーを得た。
【0077】
[実施例4]
本実施例では、イオン導電体スラリーの調製方法及び特性試験の結果を提供する。
【0078】
バインダーであるポリフッ化ビニリデン200gを5.2kgのN-メチルピロリドン溶媒に加え、十分に溶解するまで攪拌した後、1kgのイオン導電体粉体Li14Zr(PO4)4をゆっくりと加え、遠心分離速度が1000rpmの条件下で30分間遠心分離処理を行い、次に上層スラリーを取ってサンドミルに加えて30分間摩砕し、さらに30分間超音波処理を行って摩砕し、超音波周波数は3000Hzとし、イオン導電体スラリーを得た。
【0079】
上述のイオン導電体スラリーを用いてダイヤフラムにコーティングし、リチウムオンリチウムのボタン型電池を組み立てた後、電流密度3mA/cm
2の条件下でサイクルテストを行った。性能を比較するため、未コーティングの商品化されているダイヤフラムを用い、同じ条件で組み立て・試験を行い、比較を行った。結果は、
図4に示す通りである。本実施例の材料は、直流内部抵抗がより小さいことが分かる。
【0080】
[実施例5]
本実施例では、イオン導電体スラリーの調製方法を提供する。
【0081】
バインダーであるポリアクリロニトリル300gを5kgのジメチルホルムアミド(DMF)に加え、完全に溶解するまで攪拌した後、1kgのイオン導電体粉体Li2TiO3をゆっくりと加え、1000rpmの遠心速度で30分間遠心分離処理を行い、混合後のスラリーをサンドミルに加えて1時間摩砕し、完了後に分散剤であるポリビニルピロリドン50gと助剤であるポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル15gを加えて、ビーターに入れ、攪拌速度20rpm、分散速度3000rpmで1時間攪拌し、さらに30分間超音波処理を行って摩砕し、超音波周波数は3000Hzとし、イオン導電体スラリーを得た。
【0082】
上述の比較試験図から、本発明が提供するイオン導電体スラリーは、パルプ化プロセスの品質を高めることによりイオン導電体スラリーの品質、性能を向上させるものであり、それを液体リチウムイオン電池、金属リチウム電池、固液混合電池、半固体電池又は全固体電池などのエネルギー貯蔵機器及びエネルギー貯蔵機器を含む製品において使用すると、より良好なサイクル特性を有することが分かる。
【0083】
上述した具体的な実施形態は、本発明の目的、技術的解決策及び有益な効果についてより詳細に説明するものであり、本発明の具体的な実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するためのものではないことを理解されたい。本発明の精神及び原則内において行われる何らかの修正、同等の交換、改善などはすべて本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0084】
(付記)
(付記1)
イオン導電体スラリーであって、
質量分率に基づいて、0.05wt%~99.98wt%のイオン導電体粉体材料、0wt%~2wt%の沈殿防止剤、0wt%~10wt%のバインダー、0wt%~2wt%の分散剤、0wt%~2wt%の助剤及び20wt%~99.95wt%の溶媒を含み、
ここで、前記イオン導電体粉体材料は、ガーネット型固体電解質材料、NASICON型固体電解質材料、LISICON型固体電解質材料、ペロブスカイト型固体電解質材料及びその誘導材料のうちの1つを含み、前記イオン導電体粉体の粒径は、1nm~100μmの間であり、
前記イオン導電体スラリーは、ダイヤフラムのコーティング材料、正極材料のクラッド材料、負極材料のクラッド材料、正極材料の添加剤、負極材料の添加剤、高分子固体電解質の添加剤又は固体液体混合の固体電解質に用いられることを特徴とする、イオン導電体スラリー。
【0085】
(付記2)
前記ガーネット型固体電解質は、具体的にはLi7+m-n-3zAlzLa3-mA4mZr2-nB4nO12であり、ここで、m、n、zはいずれも[0~1]の間であり、A4はLa、Ca、Sr、Ba又はKのうちの1つ以上であり、B4はTa、Nb、W又はハフニウム元素Hfのうちの1つ以上であり、
前記LISICON型固体電解質は、具体的にはLi14A1(B1O4)4であり、ここで、A1はZn、Zr、Cr又はSnのうちの1つ以上であり、B1はGe、Si、S又はPのうちの1つ以上であり、
前記NASICON型固体電解質は、具体的にはLi1+xA2xB22-x(PO4)3であり、ここで、0.01≦x≦0.5であり、A2はAl、Y、Ga、Cr、In、Fe、Se又はLaのうちの1つ以上であり、B2はTi、Ge、Ta、Zr、Sn、Fe、V又はハフニウム元素Hfのうちの1つ以上であり、
前記ペロブスカイト型固体電解質は、具体的にはLi3yA32/3-yB3O3であり、ここで、0.01≦y≦2/3であり、A3はLa、Al、Mg、Fe又はTaのうちの1つ以上であり、B3はTi、Nb、Sr又はPrのうちの1つ以上であることを特徴とする、付記1に記載のイオン導電体スラリー。
【0086】
(付記3)
前記沈殿防止剤は、ポリアミドワックス、ポリオキシエチレン脂肪アミノアルコール、ポリオキシエチレン脂肪アミノアルコール、ポリオキシエチレン脂肪アルコール硫酸塩、ポリグリコールエーテル又はチタネートカップリング剤のうちの1つ以上を含むことを特徴とする、付記1に記載のイオン導電体スラリー。
【0087】
(付記4)
前記バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、スチレン・ブタジエンゴム、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィン類、フッ素ゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリレート-ブチルアクリレート、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル又はポリウレタン若しくはゼラチンのうちの1つ以上を含むことを特徴とする、付記1に記載のイオン導電体スラリー。
【0088】
(付記5)
前記分散剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸カリウム、オクチルフェノールポリオキシエチレンエーテル、モノグリセリド、グリセリルトリステアレート、オレイン酸アシル又はコハク酸のうちの1つ以上を含むことを特徴とする、付記1に記載のイオン導電体スラリー。
【0089】
(付記6)
前記助剤は、ポリジメチルシロキサン、シリコンオイル、ポリエーテル類、アルキルポリオキシエチレンエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルフェノールポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン又はポリオキシエチレンアミドのうちの1つ以上を含むことを特徴とする、付記1に記載のイオン導電体スラリー。
【0090】
(付記7)
前記溶媒は、脱イオン水、アルコール、N-メチルピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド(DMF)又はアセトンのうちの1つまたは複数の混合を含むことを特徴とする、付記1に記載のイオン導電体スラリー。
【0091】
(付記8)
所要のイオン導電体スラリーの総質量分率に基づいて、0wt%~10wt%のバインダー及び20wt%~99.95wt%の溶媒を所要の割合に従って予備攪拌槽に加え、バインダーを完全に溶解させて、均一な第1スラリーを得ることと、
所要の割合に従って0.05wt%~99.98wt%のイオン導電体粉体材料を第1スラリーに加え、0wt%~2wt%の沈殿防止剤を加えた後、遠心分離速度が500rpm~5000rpmの条件下で遠心分離処理を30分間~1時間行い、ここで、前記イオン導電体粉体材料は、ガーネット型固体電解質材料、NASICON型固体電解質材料、LISICON型固体電解質材料、ペロブスカイト型固体電解質材料及びその誘導材料のうちの1つを含み、前記イオン導電体粉体の粒径は、1nm~100μmの間であることと、
遠心分離処理後、サンドミルに加えて摩砕し、時間は30分間~1時間とすることと、
サンドミルから取り出した後、0wt%~2wt%の分散剤及び0wt%~2wt%の助剤を加えて攪拌・分散を行い、第2スラリーを得るが、ここで、攪拌速度は10rpm~50rpm、分散速度は1000rpm~5000rpmとすることと、
第2スラリーに対して超音波処理を行い、時間は30分間~1時間、超音波周波数は1~10kHzとし、所要のイオン導電体スラリーを得ることと、を含むことを特徴とする、付記1~7のいずれか1つに記載のイオン導電体スラリーの調製方法。
【0092】
(付記9)
前記ガーネット型固体電解質は、具体的にはLi7+m-n-3zAlzLa3-mA4mZr2-nB4nO12であり、ここで、m、n、zはいずれも[0~1]の間であり、A4はLa、Ca、Sr、Ba又はKのうちの1つ以上であり、B4はTa、Nb、W又はハフニウム元素Hfのうちの1つ以上であり、
前記LISICON型固体電解質は、具体的にはLi14A1(B1O4)4であり、ここで、A1はZn、Zr、Cr又はSnのうちの1つ以上であり、B1はGe、Si、S又はPのうちの1つ以上であり、
前記NASICON型固体電解質は、具体的にはLi1+xA2xB22-x(PO4)3であり、ここで、0.01≦x≦0.5であり、A2はAl、Y、Ga、Cr、In、Fe、Se又はLaのうちの1つ以上であり、B2はTi、Ge、Ta、Zr、Sn、Fe、V又はハフニウム元素Hfのうちの1つ以上であり、
前記ペロブスカイト型固体電解質は、具体的にはLi3yA32/3-yB3O3であり、ここで、0.01≦y≦2/3であり、A3はLa、Al、Mg、Fe又はTaのうちの1つ以上であり、B3はTi、Nb、Sr又はPrのうちの1つ以上であり、
前記沈殿防止剤は、ポリアミドワックス、ポリオキシエチレン脂肪アミノアルコール、ポリオキシエチレン脂肪アミノアルコール、ポリオキシエチレン脂肪アルコール硫酸塩、ポリグリコールエーテル又はチタネートカップリング剤のうちの1つ以上を含み、
前記バインダーは、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル、スチレン・ブタジエンゴム、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリオレフィン類、フッ素ゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリアクリルアミド、ポリメチルメタクリレート-ブチルアクリレート、エチレン酢酸ビニルコポリマー、ポリ酢酸ビニル又はポリウレタン若しくはゼラチンのうちの1つ以上を含み、
前記分散剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸カリウム、オクチルフェノールポリオキシエチレンエーテル、モノグリセリド、グリセリルトリステアレート、オレイン酸アシル又はコハク酸のうちの1つ以上を含み、
前記助剤は、ポリジメチルシロキサン、シリコンオイル、ポリエーテル類、アルキルポリオキシエチレンエーテルカルボン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルフェノールポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン又はポリオキシエチレンアミドのうちの1つ以上を含み、
前記溶媒は、脱イオン水、アルコール、N-メチルピロリドン(NMP)、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド(DMF)又はアセトンのうちの1つまたは複数の混合を含むことを特徴とする、付記8に記載のイオン導電体スラリーの調製方法。
【0093】
(付記10)
エネルギー貯蔵機器及び前記エネルギー貯蔵機器を含む製品における付記1~7のいずれか1つに記載のイオン導電体スラリーの使用であって、
前記エネルギー貯蔵機器は、液体リチウムイオン電池、金属リチウム電池、固液混合電池、半固体電池又は全固体電池のうちの1つ以上を含むことを特徴とするイオン導電体スラリーの使用。
【国際調査報告】