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特表2022-528083ピロロ複素環式誘導体、この誘導体のための調製方法及び医学におけるこの誘導体の用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(54)【発明の名称】ピロロ複素環式誘導体、この誘導体のための調製方法及び医学におけるこの誘導体の用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20220601BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20220601BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220601BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220601BHJP
【FI】
C07D487/04 137
C07D487/04 CSP
A61K31/407
A61P35/00
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557719
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-11-12
(86)【国際出願番号】 CN2020081591
(87)【国際公開番号】W WO2020200069
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】201910247297.4
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010194720.1
(32)【優先日】2020-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510166892
【氏名又は名称】ジエンス ヘンルイ メデイシンカンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU HENGRUI MEDICINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】508209602
【氏名又は名称】シャンハイ ヘンルイ ファーマスーティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HENGRUI PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100119530
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】リ シン
(72)【発明者】
【氏名】カイ グオドン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ファン
(72)【発明者】
【氏名】ヘ フェン
(72)【発明者】
【氏名】タオ ウェイカン
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB03
4C050BB05
4C050CC04
4C050EE02
4C050FF01
4C050GG01
4C050HH04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC42
4C086CB03
4C086MA01
4C086MA05
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZB26
(57)【要約】
本願は、ピロロ複素環誘導体、その調製方法、および医薬におけるその適用を提供する。具体的には、本願は、式(I)で表される新規のピロロ複素環誘導体、その調製方法、誘導体を含む医薬組成物、及び治療薬、特にERK阻害剤としての誘導体の適用を提供するものであり、式中の置換基は明細書中の定義と同じである。
【化1】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物であり、
[化1]
又は立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、もしくはそれらの混合物、又はその薬学的に許容される塩であって、
R1は水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキルおよびニトロからなる群より選択され、ここでアルキルはNR7R8、アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基により任意に置換され、
R2は同一または異なっており、それぞれが水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、水酸基、水酸基アルキル、シアノ、アミノおよびニトロからなる群より独立して選択され、
R3は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上の置換基によってそれぞれ任意にさらに置換され、
R4は水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、水酸基、水酸基アルキル、シアノ、アミノおよびニトロからなる群より選択され、
R5は同一または異なっており、それぞれが水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、水酸基、水酸基アルキル、シアノ、アミノ、ニトロ基、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より独立して選択され、
R6は水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、水酸基、水酸基アルキル、シアノ、アミノおよびニトロからなる群より選択され、
R7とR8は同一または異なっており、それぞれ水素原子、アルキル、ヒドロキシアルキルおよびハロアルキルからなる群から独立して選択され、
mは0、1、2、3、4および5からなる群から選択され、
nは、0、1、2および3からなる群より選択され、
zは0、1、2、3および4からなる群から選択され、
Qは0、1および2からなる群から選択される。
【請求項2】
R1が水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノアルキルおよびニトロ基からなる群より選択される、請求項1に記載の一般式(I)の化合物または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物の化合物、または医薬的に許容可能な塩。
【請求項3】
R1からR6、m、n、z及びQが請求項1又は2で定義される、請求項1または2に記載の一般式(I)の化合物であり、一般式(I-P)の化合物であり、
[化2]
または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、又はこれらの混合物、又はそれらの医薬上許容される塩。
【請求項4】
R4が水素原子である、請求項1~3のいずれかに記載の式(I)、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはこれらの混合物の化合物、または医薬上許容される塩。
【請求項5】
nが1または2である、請求項1~4のいずれかに記載の式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、または医薬上許容される塩。
【請求項6】
R1からR6、m、z及びQ1が請求項1又は2で定義されている請求項1または2に記載の式(I)の化合物であって、式(II)または式(II-P)の化合物であり、
[化3]
または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはこれらの混合物、またはそれらの医薬的に許容可能な塩。
【請求項7】
R1が水素原子、アルキル、ヒドロキシ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキルおよびヒドロキシアルキルからなる群より選択され、好ましくは、R1が水素原子、C1-6アルキル、ヒドロキシ、アミノC1-6アルキル、C1-6アルキルアミノC1-6アルキルおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群より選択され、より好ましくは、R1が水素原子、メチル、ヒドロキシメチル、アミノメチルおよびメチルアミノメチルからなる群より選択される請求項1~6のいずれかに記載の式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、またはその医薬上許容される塩。
【請求項8】
R1が水素原子、アルキル、水酸基、アミノアルキルおよび水酸基アルキルからなる群より選択され、好ましくは、R1が水素原子、C1-6アルキル、水酸基、アミノC1-6アルキルおよびC1-6水酸基アルキルからなる群より選択され、より好ましくは、R1が水素原子、メチル、水酸基メチルおよびアミノメチルからなる群より選択される、請求項1~7のいずれかに記載の式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、または医薬上許容される塩。
【請求項9】
請求項1または2に記載の式(I)の化合物であって、式(III)または式(III-P)の化合物であり、
[化4]
または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、もしくはそれらの混合物、またはその医薬的に許容される塩であり、
pは、0、1、2および3、および好ましくは1からなる群より選択され、
R2, R3, R5, R6、m、n、z、およびQは、請求項1または2に定義されているとおりである。
【請求項10】
R2が水素原子、ハロゲンおよびアルキルからなる群より選択され、好ましくはR2が水素原子、ハロゲンおよびC1-6アルキルからなる群より選択され、より好ましくはR2がC1-6アルキルである、請求項1~9のいずれかに記載の式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはこれらの混合物の化合物、または医薬的に許容可能な塩。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはこれらの混合物、または医薬的に許容可能な塩であって、R3が、アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールからなる群から選択され、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択される1つ以上の置換基によってそれぞれ任意にさらに置換され、好ましくは、R3が、C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、C3-6シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリルおよび5~10員のヘテロアリールからなる群から選択され、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、3~8員のヘテロシクリルおよび5~10員のヘテロアリールは、それぞれ、さらに任意に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基によって置換される。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはこれらの混合物、または医薬的に許容可能な塩であって、R3がヘテロアリールであり、ヘテロアリールがアルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、水酸基および水酸基アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基により任意に置換され、好ましくは、R3が5~10員のヘテロアリールであって、5~10員のヘテロアリールが、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、水酸基およびC1-6水酸基アルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基により任意に置換され、好ましくは、R3がピラゾリルであって、ピラゾリルが、C1-6アルキル、および好ましくはメチルにより任意に置換される。
【請求項13】
R5が水素原子、アルキル、アルコキシおよびハロゲンからなる群より選択され、好ましくは、R5が水素原子、C1-6アルキル、C1-6アルコキシおよびハロゲンからなる群より選択される、請求項1~12のいずれかに記載の式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、またはその医薬上許容される塩。
【請求項14】
R6が水素原子である、請求項1~13のいずれかに記載の式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはこれらの混合物、または医薬上許容される塩。
【請求項15】
式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはそれらからなる群より選択される、請求項1~14のいずれかに記載の薬学的に許容可能な塩であり、以下で構成される。
[化5]
【請求項16】
式(IIIA)または式(III-PA)の化合物であり、
[化6]
又は立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、もしくはそれらの混合物、又はその薬学的に許容される塩であり、
Rwは、ハイドロキシ保護グループであり、
R2, R3, R5, R6、m、n、p、Qおよびzは、請求項9に定義されているとおりである。
【請求項17】
請求項16に記載の式(IIIA)または式(III-PA)の化合物であって、以下からなる群より選択される。
[化7]
【請求項18】
請求項9に記載の式(III)または式(III-P)の化合物を調製する方法であって、以下の工程を含む。
[化8]
式(IIIA)または式(III-PA)の化合物から酸性条件下でヒドロキシ保護基Rwを除去して式(III)または式(III-P)の化合物を得るが、
ヒドロキシ保護基Rwは、好ましくは、TBSであり、R2, R3, R5, R6、m、n、p、Qおよびzは、請求項9に定義されるとおりである。
【請求項19】
式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはこれらの混合物の治療有効量、または請求項1~15のいずれかに記載の薬学的に許容可能な塩、および1つまたは複数の薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項20】
ERKを阻害するための医薬品の調製における、請求項1~15のいずれかに記載の式(I)の化合物、立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはそれらの混合物、またはその医薬的に許容される塩、または請求項19に記載の医薬組成物の使用。
【請求項21】
請求項1~15のいずれかに記載の式(I)の化合物またはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、もしくはそれらの混合物、またはその医薬的に許容される塩、または癌、炎症、もしくは他の増殖性疾患、および好ましくは癌の治療もしくは防止のための医薬の調製における、請求項19に記載の医薬組成物の使用であって、ここでいう癌は、悪性黒色腫、肝臓癌、腎臓癌、肺がん、上咽頭癌、大腸癌、結腸癌、直腸癌、膵臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、乳癌、膀胱がん、前立腺癌、白血病、頭頸部扁平上皮癌、子宮頸癌、甲状腺癌、リンパ腫、肉腫、神経芽細胞腫、脳腫瘍、骨髄腫、星細胞腫および神経膠腫からなる群から選択される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は医学分野に属し、医学における発明複素環誘導体、その調製方法、およびその適用に関するものである。特に、本開示は、式(I)のピロール複素環誘導体、同じものを調製するための方法、同じものを含む医薬組成物、ERK媒介疾患および障害を治療するため、またはMAPK-ERKシグナル経路を阻害するためのERK阻害剤としてのそれらの使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
正常細胞の増殖、分化、代謝およびアポトーシスは、体内の細胞情報伝達経路により厳密に調節されている。マイトジェン活性化蛋白質キナーゼ(MAPK)はシグナル伝達経路において極めて重要な役割を果たし、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)はMAPK一群のメンバーである。RAS-RAF-MEK-ERK工程を介して、外因性の刺激シグナルがERKに伝達され、活性化されたERKが細胞核内に移行して転写因子の活性を調節することにより、細胞の増殖、分化、アポトーシス等の細胞の生物学的機能を調節したり、細胞質内の細胞骨格成分のリン酸化による細胞形態の調節や細胞骨格の再分布に関与したりする。
【0003】
RASおよびRAF遺伝子の変異は、MAPK-ERKシグナル伝達経路の継続的な活性化を引き起こし、細胞の悪性化や異常増殖を促進し、最終的に腫瘍を発生させる(Roberts PJ et al.、Oncogene, 2007, 26(22)、3291-3310)。MEKインヒビターとB-RAFインヒビターの組み合わせは、腫瘍の成長に対するB-RAFインヒビターの効果をさらに高めることができ、BRAFV600EおよびV600Kの変異を有するメラノーマ患者の無病進行および全生存率を大幅に改善することができる(Frederick DT他、Clinical Cancer Research, 2013.19(5), 1225-1231)。B-RAF/MEK阻害薬の併用は腫瘍を阻害しうるが、その効力は短期間である。ほとんどの患者は2~18カ月以内に薬剤耐性を発現し、腫瘍はさらに悪化するであろう。B-RAF/MEKインヒビターに対する耐性機構は非常に複雑であり、ほとんどがERKシグナル伝達経路の再活性化に直接関係している(Smalley I et al.、Cancer Discovery, 2018, 8(2)、140-142)。したがって、新規ERK阻害薬の開発は、MAPKシグナル伝達経路に変異を有する患者だけでなく、B-RAF/MEK阻害薬に抵抗性を示す患者にも有効である。
【0004】
B‐RAF/MEK阻害剤は腫瘍成長を阻害するだけでなく、腫瘍の免疫微小環境を調節する。B-RAF/MEK阻害薬は、腫瘍特異的抗原の発現を増強し、抗原特異的T細胞による腫瘍の認識と殺傷を改善し、免疫細胞の動きと浸潤を促進することができる。動物モデルでは、B-RAF/MEK阻害薬による治療後、腫瘍組織におけるPD-L1の発現が亢進する。チェックポイント分子に対する抗体(PD-1抗体、CTLA4抗体等)と組み合わせると、単独で使用されるB-RAF/MEK阻害薬よりも腫瘍増殖抑制効果が高い(Boni A et al.、Cancer Research, 2010, 70(13)、5213-5219)。研究の結果、ERKインヒビターはB-RAF/MEKインヒビターと類似しており、チェックポイント抗体との併用により腫瘍微小環境を調節し、細胞傷害性T細胞の機能を改善し、腫瘍増殖抑制効果を達成できることが示された。
【0005】
現在、多くの化合物が開発されている。その中で、BioMed Valley Discoveries社が開発したBVD-523は臨床第II段階において、Merck社が開発したMK-8353、Astex社が開発したAstex-029は臨床第I段階である。関連特許としてWO1999061440A1、WO2001056557A2、WO2001056993A2、WO2001057022A2、WO2002022601A1、WO2012118850A1、WO2013018733A1、WO2014179154A2、WO2015103133A1、WO2016192063A1、WO2017180817A1、WO2018049127A1がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、式(I)の化合物を提供することである。
[化1]
又は立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、もしくはそれらの混合物、又はその薬学的に許容される塩であり、
R1は水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキルおよびニトロからなる群より選択され、アルキルはNR7 R8、アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシアルキルおよびヒドロキシアルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基により任意に置換され、
それぞれのR2は同一または異なっており、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、水酸基、水酸基アルキル、シアノ、アミノおよびニトロからなる群よりそれぞれ独立に選択され、
R3は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択され、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールは、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群から選択される1つ以上の置換基によってそれぞれ任意にさらに置換され、
R4は水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、水酸基、水酸基アルキル、シアノ、アミノおよびニトロからなる群より選択され、
それぞれのR5は同一または異なっており、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、水酸基、水酸基アルキル、シアノ、アミノ、ニトロ基、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群よりそれぞれ独立に選択され、
R6は水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、水酸基、水酸基アルキル、シアノ、アミノおよびニトロからなる群より選択され、
R7とR8は同一または異なっており、それぞれ水素原子、アルキル、ヒドロキシアルキルおよびハロアルキルからなる群から独立して選択され、
mは0、1、2、3、4および5からなる群から選択され、
nは、0、1、2および3からなる群より選択され、
zは0、1、2、3および4からなる群から選択され、
Qは0、1および2からなる群から選択される。
【0007】
本開示の好ましい実施態様において、式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはこれらの混合物、またはその薬学的に許容可能な塩において、R1は水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、水酸基、水酸基アルキル、シアノ、アミノアルキルおよびニトロからなる群より選択される。
【0008】
本開示の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は式(I-P)の化合物である。
[化2]
又は立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、その混合物、又はそれらの医薬上許容される塩であって、
R1からR6まで、m、n、z及びQが式(I)のように定義される。
【0009】
本開示の好ましい実施形態において、式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、またはその薬学的に許容可能な塩において、R4は水素原子である。
【0010】
本開示の好ましい実施形態において、式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、またはその薬学的に許容可能な塩nは1または2である。
【0011】
本開示の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は式(II)の化合物である。
[化3]
又は立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、その混合物、又はそれらの医薬上許容される塩であって、
R1からR6まで、m、z及びQは式(I)のように定義される。
【0012】
本開示の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は式(II-P)の化合物である。
[化4]
又は立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、ジアステレオマー、その混合物、又はそれらの医薬上許容される塩であって、
R1からR6まで、m、z及びQは式(I)のように定義される。
【0013】
本開示の好ましい実施態様において、式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、そのジアステレオマー、またはその混合物、または医薬的に許容できる塩では、R1が水素原子、アルキル、ヒドロキシ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキルおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択され、好ましくは、R1は水素原子、C1-6アルキル、ヒドロキシ、アミノC1-6アルキル、C1-6アルキルアミノC1-6アルキルおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択され、より好ましくは、R1は水素原子、メチル、ヒドロキシメチル、アミノメチルおよびメチルアミノメチルからなる群から選択される。
【0014】
本開示の好ましい実施態様において、式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、または医薬的に許容可能な塩では、R1が水素原子、アルキル、ヒドロキシ、アミノアルキルおよびヒドロキシアルキルからなる群から選択され、好ましくは、R1が水素原子、C1-6アルキル、ヒドロキシ、アミノC1-6アルキルおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群から選択され、より好ましくは、R1が水素原子、メチル、ヒドロキシメチルおよびアミノメチルからなる群から選択される。
【0015】
本開示の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は式(III)の化合物である。
[化5]
又は立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、もしくはそれらの混合物、又はその薬学的に許容される塩であり、
pは、0、1、2および3、および好ましくは1からなる群より選択され、
R2, R3, R5, R6, m, n, z, およびQは公式(I)のように定義される。
【0016】
本開示の好ましい実施態様において、式(I)の化合物は式(III-P)の化合物である。
[化6]
又は立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、もしくはそれらの混合物、又はその薬学的に許容される塩であり、
R2, R3, R5, R6, m, n, z, p,およびQは式(III)のように定義される。
【0017】
本開示の好ましい実施態様において、式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはこれらの混合物、またはその薬学的に許容可能な塩において、R2は水素原子、ハロゲンおよびアルキルからなる群から選択され、好ましくは、R2は水素原子、ハロゲンおよびC1-6アルキルからなる群から選択され、より好ましくは、R2はC1-6アルキルである。
【0018】
本開示の好ましい実施態様において、式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはこれらの混合物、またはその薬学的に許容可能な塩において、R3は、アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールからなる群より選択され、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、およびヒドロキシアルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基であり、好ましくは、R3は、C1-6アルキル、C1-6ヒドロキシアルキル、C3-6シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリルおよび5~10員ヘテロアリールからなる群より選択され、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、3~8員ヘテロシリルおよび5~10員ヘテロアリールは、それぞれさらに任意に、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基によって置換される。
【0019】
本開示の好ましい実施態様において、式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、エナンチオマー、そのジアステレオマー、またはその混合物、またはその薬学的に受容可能な塩では、R3はヘテロアリールであり、ヘテロアリールは、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびヒドロキシアルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基により任意に置換され、好ましくはR3は5~10員ヘテロアリールであり、5~10員ヘテロアリールは、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシおよびC1-6ヒドロキシアルキルからなる群より選択される1つ以上の置換基により任意に置換され、好ましくはR3はピラゾリルであり、ピラゾリルは任意にC1-6アルキル、好ましくはメチルで置換される。
【0020】
本開示の好ましい実施態様において、式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、またはその薬学的に受容可能な塩では、R5は水素原子、アルキル、アルコキシおよびハロゲンからなる群から選択され、好ましくは、R5は水素原子、C1-6アルキル、C1-6アルコキシおよびハロゲンからなる群から選択される。
【0021】
本開示の好ましい実施形態において、式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはこれらの混合物、またはその薬学的に許容可能な塩において、R6は水素原子である。
【0022】
本開示の好ましい実施形態において、式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、またはその薬学的に許容可能な塩におけるmは1または2である。
【0023】
本開示の好ましい実施形態において、式(I)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、またはその薬学的に許容可能な塩におけるzは0または1である。
【0024】
本開示の典型的な化合物には、限定されるものではないが、以下が含まれる。
【0025】
[表1]
【0026】
又は立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、もしくはそれらの混合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0027】
別の態様では、本開示は、式(IIIA)の化合物に関連している。
[化7]
又は立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、もしくはそれらの混合物、又はその薬学的に許容される塩であり、
Rwはハイドロキシ保護基であり、
R2, R3, R5, R6,m,n,p,Q,およびzは公式(III)のように定義される。
【0028】
別の態様において、本開示は、式(III-PA)の化合物に関する。
[化8]
又は立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、もしくはそれらの混合物、又はその薬学的に許容される塩であり、
Rwはハイドロキシ保護基であり、
R2, R3, R5, R6,m,n,p,Q,およびzは公式(III)のように定義される。
【0029】
本開示の式(IIIA)の典型的な化合物には、以下が含まれるが、発明に限定されない。
【0030】
[表2]
【0031】
又は立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、もしくはそれらの混合物、又はその薬学的に許容される塩である。
【0032】
別の局面において、本開示は、式(III)の化合物の製造方法に関するものであって、以下の工程を含むものである。
[化9]
式(IIIA)の化合物からヒドロキシ保護基Rwを酸性条件下で除去して式(III)の化合物を得るが、
Rwは、好ましくは、TBSであり、
R2, R3, R5, R6、m、n、p、Qおよびzは、公式(III)のように定義される。
【0033】
別の局面において、本開示は、式(III-P)の化合物の製造方法に関するものであって、以下の工程を含むものである。
[化10]
式(III-PA)の化合物からヒドロキシ保護基Rwを酸性条件下で除去して式(III-P)の化合物を得るが、
Rwは、好ましくは、TBSであり、
R2, R3, R5, R6、m、n、p、Qおよびzは、公式(III)のように定義される。
【0034】
別の局面において、本開示は、式(I)または式(II)または式(III)の化合物の治療有効量、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、またはその薬学的に許容可能な塩、ならびに1つまたは複数の薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤を含む、薬学的組成物に関するものである。
【0035】
本開示は、さらに、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはERKを阻害するための医薬の調製において同じを含む医薬組成物の使用に関するものである。
【0036】
本開示はさらに、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、またはその医薬的に許容可能な塩、またはその混合物、または癌、炎症、または他の増殖性疾患、および好ましくは癌の治療または予防のための医薬の調製において同様で構成される医薬組成物の使用に関する癌が、黒色腫、肝臓癌、腎臓癌、肺癌(非小細胞肺癌または小細胞肺癌など)、鼻咽頭癌、大腸癌、膵臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、乳癌、膀胱がん、前立腺癌、白血病、頭頸部扁平上皮癌、子宮頸癌の癌、甲状腺癌、リンパ腫、肉腫、神経芽腫、脳腫瘍、骨髄腫(多発性骨髄腫など)、星状細胞腫および神経膠腫からなる群から選択される。
【0037】
本開示はまた、ERKを阻害するための方法であって、それを必要とする患者に、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、もしくはその混合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはその医薬組成物を投与する工程を含む方法に関するものである。
【0038】
本開示はまた、ERK媒介疾患を治療または予防するための方法に関するものであり、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、もしくはこれらの混合物、またはその薬学的に許容可能な塩もしくはそれらを含む医薬組成物の治療有効量を患者に投与する工程を含む。
【0039】
本開示はまた、癌、炎症、または他の増殖性疾患の治療有効量を必要とする患者に、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、またはそれらの医薬的に許容可能な塩、またはその医薬組成物を投与する工程を含み、ここでは、癌は、メラノーマ、肝臓がん、肺癌(非小細胞肺癌または小細胞肺癌など)、鼻咽頭癌、膵臓癌、子宮頸癌、乳癌、膀胱がん、前立腺癌、白血病、子宮頸癌、甲状腺癌、肉腫、神経芽細胞腫、脳腫瘍、骨髄腫(多発性骨髄腫など)、星状細胞腫、神経膠腫からなる群より選択される。
【0040】
本開示はまた、薬剤として使用するための式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)の化合物、または、立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはこれらの混合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはその医薬組成物を含むものに関するものである。
【0041】
本開示はまた、ERK阻害剤として使用するための式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、またはその薬学的に許容可能な塩、またはその医薬組成物を含むものに関するものである。
【0042】
本開示はまた、ERK媒介疾患の治療または予防に使用するための、式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、またはその薬学的に許容される塩、またはその医薬組成物に関するものである。
【0043】
本開示はまた、癌、炎症、他の増殖性疾患、および好ましくは癌を治療上予防するために用いる式(I)もしくは式(II)もしくは式(III)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはその混合物、またはその医薬的に許容可能な塩、またはその医薬組成物を含むものに関することであり、癌はメラノーマ、肝臓癌、腎臓癌、肺癌(非小細胞肺癌上記小細胞肺癌など)、鼻咽頭癌、大腸癌、膵臓癌、子宮頸癌、卵巣癌、乳癌、膀胱がん、前立腺癌、白血病、頭頸部扁平上皮癌、子宮頸癌の癌、甲状腺癌、リンパ腫、肉腫、神経芽腫、脳腫瘍、骨髄腫(多発性骨髄腫など)、星状細胞腫および神経膠腫からなる群である。
【0044】
活性化合物は、任意の適切な経路による投与に適した形態で調製することができ、活性化合物は、好ましくは単位投与形態、または患者が単回投与で自己投与できる形態である。本開示の化合物または組成物の単位用量は、錠剤、カプセル、カシェ剤、瓶入りシロップ、粉末、顆粒、ロゼンジ、坐剤、再生粉末または液体製剤の形成で表すことができる。
【0045】
本開示の処理方法で使用される化合物または組成物の投与量は、一般に、疾患の重症度、患者の体重、および化合物の相対的有効性に応じて変化するであろう。しかし、一般的な指針として、適当な単位投与量は0.1~1000mgでよい。
【0046】
活性化合物に加えて、本開示の医薬組成物は、充填剤(希釈剤)、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、賦形剤などを含む1つ以上の補助剤を含むこともできる。投与モードに応じて、組成物は活性化合物の0.1~99重量%を含むことができる。
【0047】
活性成分を含有する医薬組成物は、経口投与に適した形態、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、エマルジョン、ハードまたは軟カプセル、シロップまたはエリキシルになることができる。経口組成物は、医薬組成物の調製のための当技術分野で公知の任意の方法に従って調製することができる。このような組成物は、快適で口当たりの良い医薬製剤を提供するために、甘味料、香味剤、着色剤および防腐剤からなる群から選択される1つ以上の食材を含むことができる。錠剤は、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容可能な賦形剤と混合して有効成分を含有する。
【0048】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合した活性成分を含む。水性懸濁液はまた、エチルパラベンまたはn-プロピルパラベンなどの1つまたは複数の保存剤、1つまたは複数の着色剤、1つまたは複数の香味剤、および1つまたは複数の甘味剤を含むことができる。
【0049】
油性懸濁液は、植物油中に活性成分を懸濁させることにより作ることができる。油懸濁液は増粘剤を含むことができる。上記甘味料および芳香剤を添加して、嗜好性のよい配合を提供することができる。
【0050】
分散剤または湿潤剤、懸濁化剤または1つ以上の保存剤と混合された活性成分は、水を添加することによって水性懸濁液の作製に適した分散性粉末または顆粒として作製することができる。適切な分散剤または濡れ剤および懸濁剤は、すでに言及したものによって例示される。甘味料、芳香剤および着色剤のような追加の賦形剤も加えることができる。上記組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤を加えることによって保存することができる。
【0051】
本開示の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態になることができる。
【0052】
医薬組成物は、滅菌注射形成水溶液の形態になることができる。使用可能な溶媒または溶媒は、水、リンゲル液または生理食塩液である。滅菌注射製剤は、有効成分を油相に溶解した滅菌注射可能な水中油型マイクロエマルジョンになることができる。例えば、有効成分は大豆油とレシチンの混合物に溶解される。次に油溶液を水およびグリセリン混合物に加え、処理してマイクロエマルジョンとする。注射用溶液またはマイクロエマルジョンは、局所ボーラス注射によって患者の血流中に導入することができる。代わりに、溶液およびマイクロエマルジョンは、本発明の化合物の一定の循環濃度を維持する方法で投与することが好ましい。この一定濃度を維持するために、持続静脈内投与装置を用いることができる。そのような装置の実施例はDeltec CADD-PLUS TM. 5400静脈注射ポンプである。
【0053】
医薬組成物は、筋肉内および皮下投与のための無菌注射可能な水性または油性懸濁液の形成になることができる。このような懸濁液は、周知技術に従って、上記のような適切な分散剤または濡れ剤および懸濁剤と共に製剤化することができる。滅菌注射用製剤は、無毒な非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒で調製された滅菌注射用溶液または懸濁液でもよい。さらに、滅菌固定油は、溶媒または懸濁媒体として容易に使用できる。
【0054】
本開示の化合物は、直腸投与用の坐剤の形態で投与することができる。これらの医薬組成物は、常温では固体であるが直腸内の液体である適当な非刺激性賦形剤と薬物を混合することにより調製することができ、それにより直腸内で融解して薬物を放出する。このような材料には、カカオ脂、グリセリンゼラチン、水素化植物油、ポリエチレングリコールと種々の分子量の混合物およびポリエチレングリコールの脂肪酸エステルが含まれる。
【0055】
薬剤の投与量は、以下の因子、特定の化合物の活性、患者の年齢、患者の体重、患者の全身健康状態、患者の行動、患者の食事、投与時間、投与経路、排泄速度、薬物の組合せなどを含むが、これらに限定されない種々の因子に依存することは、当業者によく知られている。さらに、治療モード、式(I)の化合物の1日用量またはその薬学的に許容される塩の種類などの最適な治療を、従来の治療法によって検証することができる。
用語解説
【0056】
特に記載のない限り、明細書及び請求項に用いられている用語の意味は以下に記載の通りである。
【0057】
用語「アルキル」は飽和脂肪族炭化水素基を意味し、これは1~20個の炭素原子からなる直鎖または分岐鎖基であり、好ましくは1~12個の炭素原子を有するアルキルであり、より好ましくは1~6個の炭素原子を有するアルキルである。非限定例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルペンチル、n-ヘプチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、n-オクチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、デシル基、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル及びこれらの種々の分岐異性体を含む。より好ましくは、アルキル基は1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであり、非限定例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-エチル-2-ジメチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル等である。置換されている場合、置換基は任意の利用可能な接続点で置換され得る。置換基群は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、水酸基、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオおよびオキソからなる群から独立して選択される1つ以上の基である。
【0058】
用語「シクロアルキル」は、3~20個の炭素原子、好ましくは3~12個の炭素原子、より好ましくは3~8個の炭素原子、最も好ましくは3~6個の炭素原子(例えば3、4、5または6個の炭素原子)を有する飽和または部分不飽和の単環式または多環式炭化水素置換基を指す。単環式シクロアルキルの非限定的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクチルなどが挙げられ、好ましくはシクロアルキルである。多環式シクロアルキルは、スピロ環、縮合環または架橋環を有するシクロアルキルを含む。
【0059】
用語「スピロシクロアルキル」とは、1つの共有炭素原子を介して結合した個々の環を有する5~20員の多環式基を指し(スピロ原子と呼ばれる)、ここでは、環は1つ以上の二重結合を含むことができるが、いずれの環も完全に共役したπ電子系をもたない。スピロシクロアルキルは、好ましくは6~14員のスピロシクロアルキルであり、より好ましくは7~10員のスピロシクロアルキルである。環間で共有されるスピロ原子の数により、スピロシクロアルキルはモノ-スピロシクロアルキル、ジ-スピロシクロアルキル、またはポリ-スピロシクロアルキルに分けることができ、スピロシクロアルキルは好ましくはモノ-スピロシクロアルキルまたはジ-スピロシクロアルキルであり、より好ましくは4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員、または5員/6員のモノ-スピロシクロアルキルである。スピロシクロアルキルの非限定的な例としては、以下が挙げられる。
[化11]
【0060】
用語「縮合シクロアルキル」とは、5~20員の全炭素多環基を指し、この系の各環は隣接する一対の炭素原子を別の環と共有し、1つまたはそれ以上の環は1つまたはそれ以上の二重結合を含むことができるが、いずれの環も完全に共役したπ電子系を持たない。縮合シクロアルキルは、6~14員の縮合シクロアルキルであることが好ましく、7~10員の縮合シクロアルキルであることがより好ましい。環の数に応じて、縮合シクロアルキルは、二環式、三環式、四環式または多環式縮合シクロアルキルに分割することができ、縮合シクロアルキルは、好ましくは、二環式または三環式縮合シクロアルキルであり、より好ましくは、5員/5員、または5員/6員の二環式縮合シクロアルキルである。縮合シクロアルキルの非限定的な例としては、以下が挙げられる。
[化12]
【0061】
"架橋シクロアルキル"という用語は5~20員の全炭素多環基を指し、この系の2つの環はすべて2つの切り離された炭素原子を共有しており、環は1つ以上の二重結合をもつことができるが、どれの環も完全に共役したπ電子系をもたない。架橋シクロアルキルは、6~14員の架橋シクロアルキルであることが好ましく、7~10員の架橋シクロアルキルであることがより好ましい。員環の数によって、架橋されたシクロアルキルは二環式、三環式、四環式または多環式の架橋シクロアルキルに分けることができ、架橋されたシクロアルキルは二環式、三環式または四環式の架橋シクロアルキルであることが望ましく、より好ましくは二環式または三環式の架橋シクロアルキルである。架橋シクロアルキルの非限定的な例としては、以下が挙げられる。
[化13]
【0062】
シクロアルキル(単環式シクロアルキル、スピロシクロアルキル、縮合シクロアルキルおよび架橋シクロアルキルを含む)環は、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロシクリルの環に縮合することができ、ここでは、親構造に結合した環はシクロアルキルである。非限定的な例としては、インダニル、テトラヒドロナフチル、ベンゾシクロヘプチルなどが挙げられ、好ましくはベンゾシクロペンチル、テトラヒドロナフチルである。
【0063】
シクロアルキルは任意に置換されても、置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基群は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオおよびオキソからなる群から独立して選択される1つ以上の基である。
【0064】
用語「アルコキシ」は-O-(アルキル)または-O-(非置換シクロアルキル)基を意味し、ここでは、アルキルまたはシクロアルキルは上記の定義のとおりである。アルコキシ基の非限定的な例としては、メトキシ基、エトキシ、プロポキシ基、ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシが挙げられる。アルコキシ基は任意に置換されても、置換されていなくてもよい。置換される場合、置換基は、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、水酸基、水酸基アルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリールおよびヘテロアリールからなる群より独立に選択される1以上の基が好ましい。
【0065】
用語「ヘテロシクリル」は、3~20員の飽和または部分的に不飽和の単環式または多環式炭化水素置換基を意味し、ここで、1つ以上の環原子はN, O, S, S(O)およびS(O)2からなる群から選択されるヘテロ原子であるが、環の-O-O-,-O-S-または-S-Sを除外し、残りの環原子は炭素原子である。好ましくは、ヘテロシクリルは、1~4個の原子がヘテロ原子である3~12個の環原子であり、好ましくは、1~3個の原子がヘテロ原子である3~8個の環原子であり、好ましくは、1~3個の原子がヘテロ原子である3~6個の環原子を有する。単環式ヘテロシクリルの非限定的な例としては、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピロリル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ホモピペラジニルなどが挙げられ、好ましくはテトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピロリジニルである。多環式ヘテロシクリルは、スピロ環、縮合環または架橋環を有するヘテロシクリルを含む。
【0066】
用語「スピロヘテロシクリル」は、1つの共有原子を介して結合した個々の環を有する5~20員の多環式ヘテロシクリル基を指し(スピロ原子と呼ばれる)、ここでは、1つ以上の環原子はN, O, S, S(O)およびS(O)2からなる群から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子は炭素原子であり、ここで環は1つ以上の二重結合を含むことができるが、いずれの環も完全に共役したπ電子系を有していない。スピロヘテロシクリルは、好ましくは6~14員のスピロヘテロシクリルであり、より好ましくは7~11員のスピロヘテロシクリルである。環間で共有されるスピロヘテロシクリルの数に応じて、スピロヘテロシクリルはモノ-スピロヘテロシクリル、ジ-スピロヘテロシクリル、またはポリ-スピロヘテロシクリルに分けられ、スピロヘテロシクリルは、好ましくは、モノ-スピロヘテロシクリルまたはジ-スピロヘテロシクリルであり、より好ましくは、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員、または5員/6員モノ-スピロヘテロシクリルである。スピロヘテロシクリルの非限定的な例としては、以下が挙げられる。
[化15]
【0067】
「縮合ヘテロシクリル」という用語は、5~20員の多環式ヘテロシクリル基を指し、この場合、この系の各環は他の環と隣接する原子対を共有し、1つまたは複数の環は1つまたは複数の二重結合を含むことができるが、いずれの環も完全に共役したπ電子系を持たず、かつ1つまたは複数の環原子がN、OおよびS(O)mからなる群から選択されるヘテロ原子であり(ここでmは0~2の整数である)、残りの環原子は炭素原子である。縮合ヘテロシクリルは、6~14員の縮合ヘテロシクリルであることが好ましく、7~11員の縮合ヘテロシクリルであることがより好ましい。員環の数に応じて、縮合ヘテロシクリルは、二環式、三環式、四環式または多環式縮合ヘテロシクリルに分割することができ、縮合ヘテロシクリルは、好ましくは、二環式または三環式縮合ヘテロシクリルであり、より好ましくは、5員/5員または5員/6員の二環式縮合ヘテロシクリルである。融合ヘテロシクリルの非限定的例としては、以下が挙げられる。
[化15]
【0068】
用語「架橋ヘテロシクリル」は、5~14員多環ヘテロシクリル基を意味し、この場合、系中の2つの環ごとが2つの切り離された原子を共有し、ここで環は1つ以上の二重結合を有することができるが、いずれの環も完全に共役したπ電子系を有しておらず、1つ以上の環原子がN、OおよびS(O)mからなる群から選択されるヘテロ原子であり(ここでmは0~2の整数である)、残りの環原子は炭素原子である。架橋ヘテロシクリルは、6~14員の架橋ヘテロシクリルであることが好ましく、7~11員の架橋ヘテロシクリルであることがより好ましい。員環の数によって、橋かけヘテロシクリルは二環式、三環式、四環式または多環式橋かけヘテロシクリルに分けることができ、橋かけヘテロシクリルは二環式、三環式または四環式橋かけヘテロシクリルが好ましく、二環式または三環式架橋ヘテロシクリルがより好ましい。架橋ヘテロシクリルの非限定的な例としては、以下が挙げられる。
[化16]
【0069】
ヘテロシクリル(単環式ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、縮合ヘテロシクリルおよび架橋ヘテロシクリルを含む)環は、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルの環に縮合することができ、ここでは、親構造に結合した環はヘテロシクリルである。これらの非限定的例として、以下のものが含まれる。
[化17]
などである。
【0070】
ヘテロシクリルは任意に置換されても、置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基群は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオおよびオキソからなる群から独立して選択される1つ以上の基である。
【0071】
用語「アリール」とは、6~20員の全炭素単環または多環縮合環(すなわち、系内の各環は隣接する一対の炭素原子をその系内の別の環と共有する)を指し、共役π電子系、好ましくは6~10員アリール、より好ましくは6員アリール、例えばフェニル基およびナフチルを有する。アリール環は、ヘテロアリール、ヘテロシクリルまたはシクロアルキルの環に縮合することができ、親構造に結合した環はアリール環である。これらの非限定的例は以下のものを含む。
[化18]
アリールは置換または非置換が可能である。置換されている場合、置換基群は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオおよびヘテロシクリルチオからなる群から独立して選択される1つ以上の基である。
【0072】
用語「ヘテロアリール」は、O、SおよびNからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~20員ヘテロ芳香族系を指す。ヘテロアリールは、好ましくは、1~3個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリールであり、より好ましくは、1~3個のヘテロ原子を有する5または6員ヘテロアリールである。非限定的な例としては、例えば、ピラゾリル、イミダゾリル、フリル、チエニル基、チアゾリル基、オキサゾリル、ピロリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、チアジアゾリル、ピラジニルなどが挙げられる。ヘテロアリール環は、アリール、ヘテロシクリルまたはシクロアルキルの環に縮合することができ、親構造に結合した環はヘテロアリール環である。これらの非限定的例は以下のものを含む。
[化19]
【0073】
ヘテロアリールは任意に置換されても、置換されていなくてもよい。置換されている場合、置換基群は、好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオおよびヘテロシクリルチオからなる群から独立して選択される1つ以上の基である。
【0074】
用語「シクロアルキルオキシ」は-O-シクロアルキル基を意味し、シクロアルキルは上記の定義のとおりである。
【0075】
用語「ハロアルキル」は、ハロゲンにより置換されたアルキル基を意味し、アルキルは、上記の定義のとおりである。
【0076】
用語「ハロアルコキシ」は、ハロゲンにより置換されたアルコキシ基を意味し、アルコキシは上記の定義のとおりである。
【0077】
用語「水酸基アルキル」は、水酸基により置換されたアルキル基を意味し、アルキルは上記の定義のとおりである。
【0078】
用語「アミノアルキル」は、アミノにより置換されたアルキル基を意味し、アルキルは上記の定義のとおりである。
【0079】
用語「アルキルアミノアルキル」は、アルキルアミノにより置換されたアルキル基を意味し、アルキルは上記の定義のとおりである。
【0080】
用語「水酸基」は-OH基を意味する。
【0081】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0082】
用語「アミノ酸」は、-NH2 基を意味する。
【0083】
用語「シアノ」は、-CN基を意味する。
【0084】
用語「ニトロ」は、-NO2基を意味する。
【0085】
用語「ホルミル」は、-C(O)H基を意味する。
【0086】
用語「カルボキシ」は、-C(O)OH基を意味する。
【0087】
用語「アルコキシカルボニル」は、-C(O)O(アルキル)または-C(O)O(シクロアルキル)基を意味し、アルキルおよびシクロアルキルは上記の定義のとおりである。
【0088】
「任意」または「任意に」とは、続いて記述される事象または状況が起こりうるが必要ではないことを意味し、そのような記述には、事象または状況が起こるか起こらない状況が含まれる。例えば、「アルキルによって任意に置換されたヘテロシクリル」は、アルキル基が存在し得るが必要ではないことを意味し、そのような記述には、アルキルによって置換されているヘテロシクリルおよびアルキルによって置換されていないヘテロシクリルの状況が含まれる。
【0089】
「置換」とは、対応する数の置換基により独立に置換された、1つの基中の1つ以上の水素原子、好ましくは最大5つ、より好ましくは1~3つの水素原子を指し、各置換基は独立した選択肢を有する(すなわち、置換基は同一または異なる可能性がある)。置換基が存在するのは化学的な位置に限られていることは言うまでもない。当業者は、過度の労力をかけることなく、実験や理論によって置換が可能か不可能かを判断することができる。例えば、(オレフィン性のような)不飽和結合を有する遊離水素および炭素原子を有するアミノまたは水酸基の組合せは不安定であり得る。
【0090】
用語「医薬組成物」とは、本明細書に記載されている1つ以上の化合物またはその生理学的/薬学的に許容可能な塩またはプロドラッグと、他の化学成分、および生理学的/薬学的に許容可能な担体および賦形剤などの他の成分との混合物を意味する。医薬組成物の目的は、生物学的活性を示すように活性成分の吸収を助ける化合物の生物への投与を容易にすることである。
【0091】
「薬学的に許容可能な塩」とは、哺乳動物において安全かつ有効であり、所望の生物学的活性を有する、本開示の化合物の塩を意味する。
【0092】
本開示の化合物はまた、その同位体誘導体を含み得る。「同位体誘導体」という用語は、1つ以上の同位体濃縮原子の存在下でのみ構造が異なる化合物を指す。例えば、水素を「重水素」もしくは「トリチウム」で置換すること、またはフッ素を18F-フッ素標識(18F同位体)で置換すること、または炭素を11C-、13C-もしくは14 C-濃縮炭素(11C-、13C-、または14 C-炭素標識であり、11C-、C-または14 C-同位体)で置換することを本開示の範囲とする。そのような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析ツールまたはプローブとして、または疾患のインビボ診断画像化のためのトレーサーとして、または薬力学、薬物動力学または受容体研究のトレーサーとして使用することができる。重水素化化合物は一般に、非重水素化化合物に匹敵する活性を保持上記、特定の部位で重水素化されると、得られた化合物はより良好な代謝安定性を達成上記、それにより、ある種の治療上の利点(インビボ半減期の増加または投与必要量の減少など)を得ることができる。
【0093】
薬物または薬理活性剤について、用語「治療有効量」とは、毒性はないが所望の効果を達成し得る、十分な量の薬物または剤を意味する。有効量の判定は、レシピエントの年齢や全身状態によって、また特定の活性物質によっても個人差がある。症例における適切な有効量は、日常的な実験に従って当業者が決定することができる。
本発明の化合物の合成方法
【0094】
本開示の目的を達成するために、本開示は、以下の技術的解決策を適用する。
反応式I
【0095】
式(III)の化合物、または立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ体、鏡像異性体、そのジアステレオマー、またはこれらの混合物、または本開示による薬学的に許容可能な塩を調製する方法であって、以下の工程を含むものである。
[化20]
式(IIIA)の化合物からヒドロキシ保護基Rwを溶媒中で酸性条件下で除去して式(III)の化合物を得て、
Rwは、好ましくは、TBSであり、R2, R3, R5, R6、m、n、p、Qおよびzは、公式(III)で定義されるとおりである。
反応式II
【0096】
別の局面において、本開示は、式(III-P)の化合物を調製するための方法に関するものであって、以下の工程を含む。
[化21]
式(III-PA)の化合物から水酸基保護基Rwを溶媒中で酸性条件下で除去して式(III-P)の化合物を得て、
Rwは、好ましくは、TBSであり、R2, R3, R5, R6、m、n、p、Qおよびzは、公式(III)で定義されるとおりである。
【0097】
酸性状態を提供する試薬は、限定されるわけではないが、塩化水素、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、硝酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、Me3 SiClおよびTMSOTf;および好ましくはトリフルオロ酢酸を含む。
【0098】
アルカリ状態を提供する試薬には、有機塩基および無機塩基が含まれる。有機塩基としては、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシドおよびカリウムtert-ブトキシドが挙げられるが、これらに限定されない。無機塩基は、限定されるわけではないが、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムおよび水酸化カリウムを含む。
【0099】
水酸基保護基を除去する脱保護反応は当技術分野でよく知られており、水酸基保護基は、例えば、T.Greeneらによる有機合成における保護基に記載されている保護基である。ヒドロキシ保護基としてテトラヒドロピラン-2-イルおよびtert-ブチルジメチルシリル、および好ましくはtert-ブチルジメチルシリル(TBS)を使用することが一般に好ましい。
【0100】
水酸基保護試薬には、メトキシメチルエーテル、2-メトキシエトキシメチルエーテル、テトラヒドロピランエーテル、ベンジルエーテル、p-メトキシベンジルエーテル、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテル、tert-ブチルジメチルシリルエーテル、tert-ブチルジメチルクロロシラン、トリフェニルメチルシリルエーテル、酢酸、置換酢酸、ピバロ酸、安息香酸、メタンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸、好ましくはtert-ブチルジメチルクロロシラン(TBSCl)が含まれるが、これらに限定されない。
【0101】
上記反応は溶媒中で行うことが望ましい。使用される溶媒には、酢酸、メタノール、エタノール、n-ブタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、石油エーテル、酢酸エチル、n-ヘキサン、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、水およびN,N-ジメチルホルムアミドならびにこれらの混合物、および好ましくはジクロロメタンが含まれるが、これらに限定されない。
【0102】
本開示の1以上の実施形態の詳細は、上記明細書に示されている。本開示を実施または試験するために、本明細書に記載されている方法および材料と同様または同一のいずれかの方法および材料を用いることができるが、好ましい方法および材料を以下に記載する。明細書およびクレームを通して、本開示の他の特徴、目的および利点が明らかであろう。明細書及び請求項には、文脈が他の点を明確に示していない限り、単数形は複数の参照品を含む。特に規定しない限り、ここで使用する全ての技術的および科学的用語は、本開示が属する当業者が理解する一般的な意味を有する。明細書に引用される全ての特許および出版物は、参考文献によって組み込まれている。以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態をより完全に説明するために提供される。これらの例は、いかなる形でも本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではなく、本開示の範囲は請求項によって定義されている。
【発明を実施するための形態】
【0103】

化合物の構造は核磁気共鳴(NMR)および/または質量分析(MS)により同定される。NMRシフト(δ)は10-6 (ppm)で示される。NMRはBruker AVANCE-400装置によって測定される。判定用溶媒は重水素化‐ジメチルスルホキシド(DMSO‐d6)、重水素化‐クロロホルム(CDCl3)及び重水素化‐メタノール(CD3 OD)であり、内標準物質はテトラメチルシラン(TMS)である。
【0104】
MSは、アジレント 1200/1290 DAD6110/6120 Quadrupole MS液体クロマトグラフ/質量分析計(製造業者: アジレント、MSモデル: 6110/6120 Quadrupole MS)、水域ACQuity UPLC-QD/SQD (製造業者:水、MSモデル:水域ACQuity Qda Detector/水域SQ Detector)、THERMO Ultimate 3000-Q Exactive (製造業者:THERMO、MSモデル:THERMO Q Exactive)によって決定される。
【0105】
高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Agilent HPLC 1200DAD、Agilent HPLC 1200VWDおよびWaters HPLC e2695-2489高圧液体クロマトグラフィーに基づいて決定される。
【0106】
キラルHPLCは、Agilent 1260 DAD高速液体クロマトグラフィー上で測定される。
【0107】
分取クロマトグラフィーは、水 2545-2767、水 2767-SQ Detecor2、Shimadzu LC-20APおよびGilson GX-281分取クロマトグラフで行われる。
【0108】
キラル調製は、島津LC-20AP分取クロマトグラフ上で行われる。
【0109】
使用するCombiFlash迅速調製器具はCombiflash Rf200(TELEDYNE ISCO)である。
【0110】
煙台黄海HSGF254又は青田GF254シリカゲルプレートは、薄層シリカゲルクロマトグラフィー(TLC)プレートとして用いられる。TLCで用いるシリカゲル板の寸法は0.15mm~0.2mmであり、製品精製に用いるシリカゲル板の寸法は0.4mm~0.5mmである。
【0111】
Yantai Huanghai 200~300メッシュシリカゲルは、一般に、シリカゲルカラムクロマトグラフィーのための担体として使用される。
【0112】
ノボスターマイクロプレートリーダー(BMG社、ドイツ)により、キナーゼ阻害率およびIC50 の平均値を測定する。
【0113】
本開示の既知の出発物質は、当該技術分野の公知の方法によって調製することができ、またはABCR GmbH & Co. KG、Acros Organics、Aldrich Chemical Company、Accela ChemBio Inc.、Dari Chemical Companyなどから購入することができる。
【0114】
特に記載のない限り、反応はアルゴン雰囲気または窒素雰囲気下で行われる。
【0115】
「アルゴン雰囲気」または「窒素雰囲気」とは、反応フラスコにアルゴンまたは窒素バルーン(約1L)が装備されていることを意味する。
【0116】
「水素雰囲気」とは、反応フラスコに水素バルーン(約1L)が付いていることを意味する。
【0117】
加圧水素化反応は、Parr 3916EKX水素化装置およびQinglan QL-500水素発生装置またはHC2-SS水素化装置で行われる。
【0118】
水素化反応では、反応系は一般的に真空して水素で満たされ、上記の操作を3回繰り返す。
【0119】
マイクロ波反応にはCEM Discover-S 908860型マイクロ波反応器を用いる。
【0120】
特に記載のない限り、溶液とは水溶液をいう。
【0121】
特に記載のない限り、反応温度は20~30℃の室温である。
【0122】
実施例における反応過程は薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニターされる。反応に用いる展開溶媒、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおける溶離システム、化合物の精製のための薄層クロマトグラフィーにおける展開溶媒システムには、A:ジクロロメタン/メタノールシステム、B: n-ヘキサン/酢酸エチルシステム、C:石油エーテル/酢酸エチルシステムがある。溶媒の体積比は、化合物の極性に応じて調整され、トリエチルアミンなどの少量のアルカリ試薬または酢酸などの酸性試薬も調整のために添加することができる。
【実施例1】
【0123】
(S)‐2‐(1‐(3‐フルオロ‐5‐メトキシフェニル)‐2‐ヒドロキシエチル)‐6‐(5‐メチル‐2‐((1‐メチル‐1H‐ピラゾール‐5‐イル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)‐1H‐ピロロ[1,2‐c]イミダゾル‐3(2H)‐オン1
[化22]
ステップ1
(S)-2-((tert-2-(ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)エタン-1-アミン1a
【0124】
(S)-2-Amino-2-(3-fluoro-5-methoxyphenyl)ethan-1-ol 1k(2g, 10.8mmol, Shanghai Haohong Biomedical Technology Co., Ltd.)及びイミダゾール(1.47g, 21.6mmol)をジクロロメタン80mLに溶かした後、氷浴中でtert-ブチル添加クロロシラン(TBSCl, 2.44g, 16.19mmol)反応溶液を14時間攪拌した後、水を加え、ジクロロメタン(80mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。ろ液を減圧濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物1a(2.0g)を得た。収率は61.8%であった。
MS m/z (ESI):300.2[M+1]
ステップ2
(S)-N-((4-ブロモ-1H-ピロロ-2-イル)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)エタン-1-アミン1c
【0125】
(S)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)エタン-1-アミン1a(516mg、1.72mmol)及び化合物4-ブロモ-1H-ピロロ-2-カルバデヒド1b(300mg、1.72mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)を撹拌し、3時間反応させた。反応液をメタノール5mLで薄め、0℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(65mg、1.72mmol)を加え、反応液を2時間撹拌した。水を加え、反応液を減圧濃縮した。水を加え、酢酸エチル(10mL×2)で反応液を抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。ろ液を減圧濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製して標記化合物1c(500mg)を得た。収率は63%であった。
MS m/z (ESI):457.1[M+1]
ステップ3
(S)-6-ブロモ-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)エチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン1d
【0126】
化合物1c(400mg、0.9mmol)をテトラヒドロフラン40mLに溶解した後、N,N'-カルボニルジイミダゾール(219mg、1.36mmol)を氷浴中で添加し、反応液を0.5時間撹拌した。水素化ナトリウム(60%、69mg、1.8mmol)を加え、反応液を14時間撹拌後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えた。反応液を減圧で濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物1d(400mg)を得た。収率は94%であった。
MS m/z (ESI):483.2[M+1]
ステップ4
(S)-2-((2-(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)エチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン1e
【0127】
化合物1d(360mg、0.75ミリモル)をアルゴン雰囲気下で1,4-ジオキサン50mLに溶解し、続いて4,4,4',4',5,5',5',5''オクタメチル-2,2'-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)(189mg、0.76ミリモル)、酢酸カリウム(219mg、2.23ミリモル)および[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(109g、0.15ミリモル)を連続的に添加した。この反応液を90℃で2時間かき混ぜ、冷却した後、セライトでろ過した。ろ液を濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物1e(100mg)を得た。収率は25%であった。
MS m/z (ESI):531.4[M+1]
ステップ5
4-クロロ-5-メチル-2-(メチルスルホニル)ピリミジン1i
【0128】
4-クロロ-5-メチル-2-(メチルチオ)ピリミジン1h(500mg, 2.86mmol, Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)をジクロロメタン10mLに溶かした後、m-クロロ過安息香酸(1.270g, 6.3mmol)を加えて反応液を2時間かき混ぜた。反応液は飽和チオ硫酸ナトリウム液及び飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した後、ろ過した。ろ液を減圧下で濃縮して粗標記化合物1i(445mg)を得、これを精製せずに次の段階で直接使用した。
MS m/z (ESI):207.2[M+1]
ステップ6
4-クロロ-5-メチル-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン1f
【0129】
N-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)カルボキサミド1j(270mg、2.15ミリモル、「Bioorganic and Medicinal Chemistry, 1997, 5(3), 557-567」に開示されている公知の方法により調製)をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解し、続いて水素化ナトリウム(60%、250mg、6.5ミリモル)を0℃で添加し、反応溶液を0.5時間撹拌した。化合物1i(445mg、2.15mmol)を加え、反応液をさらに2時間反応させた。水20mLを加え、酢酸エチル(20mL×3)で反応液を抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、得られた残留物を展開溶媒系Cによる薄層クロマトグラフィーにより精製し、標記化合物1f(240mg)を得た。収率は49.7%であった。
MS m/z (ESI):224.3[M+1]
ステップ7
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3-オン1g
【0130】
化合物1e(100mg、0.19mmol)、化合物1f(42mg、0.19mmol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)二塩化物(28mg、0.04mmol)および炭酸セシウム(123mg、0.4mmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1,4-ジオキサン30mLおよび水4mLに懸濁した。反応溶液を80℃に加熱し、14時間攪拌した。反応液を冷却し、セライトでろ過した。ろ液を採取し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、残留物を溶離液系Aによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物1g(80mg)を得た。収率は72%であった。
MS m/z (ESI):592.1[M+1]
ステップ8
(S)‐2‐(1‐(3‐フルオロ‐5‐メトキシフェニル)‐2‐ヒドロキシエチル)‐6‐(5‐メチル‐2‐((1‐メチル‐1H‐ピラゾール‐5‐イル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)‐1H‐ピロロ[1,2‐c]イミダゾール‐3(2H)‐オン1
【0131】
化合物1g(80mg、0.14mmol)をジクロロメタン20mLに溶かした後、トリフルオロ酢酸5mLを滴加した。添加が完了した後、反応溶液を4時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液でpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(20mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、残留物を溶離剤系Aによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物1(18mg)を得た。収率は28%であった。
MS m/z (ESI):478.3[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CD3 OD): δ 8.21 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.43 (d, 1H), 6.79-6.68 (m, 4H), 6.32 (d, 1H), 5.23-5.22 (m, 1H), 4.64 (d, 1H), 4.39-4.35 (m, 1H), 4.18-4.08 (m, 2H), 3.81 (s, 3H), 3.75 (s, 3H), 2.40 (s, 3H)
【実施例2】
【0132】
(S)-6-(5-クロロ-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン2
[化23]
ステップ1
(S)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エタン-1-アミン2b
【0133】
(S)-2-アミノ-2-(3-クロロフェニル)エタン-1-オール2a(4g、23.3mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)及びイミダゾール(3.2g、46.6mmol)をジクロロメタン80mLに溶かした後、氷浴中でtert-ブチルジメチルクロロシラン(5.2g、35mmol)を加えて反応液を14時間かき混ぜた。水を加え、ジクロロメタン(80mL×3)で反応液を抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。ろ液を減圧濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物2b(6.5g)を得た。収率は97%であった。
MS m/z (ESI):286.1[M+1]
ステップ2
(S)-N-((4-ブロモ-1H-ピロロ-2-イル)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)エタン-1-アミン1c
【0134】
化合物1b(2.37g、13.62mmol)および化合物2b(3.9g、13.64mmol)を撹拌し、3時間反応させた。反応液をメタノール100mLで薄め、0℃に冷却した後、水素化ホウ素ナトリウム(516mg、13.64mmol)を加えて2時間かき混ぜた。水を加え、反応液を減圧濃縮した。水を加え、酢酸エチル(40mL×3)で反応液を抽出した。有機相を一緒にし、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。ろ液を減圧濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物2c(4.8g)を得た。収率は79%であった。
MS m/z (ESI):444.2[M+1]
ステップ3
(S)-6-ブロモ-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン2d
【0135】
化合物2c(4.8g、10.81mmol)をテトラヒドロフラン100mLに溶かした後、N,N'-カルボニルジイミダゾール(2.45g、15.11mmol)を氷浴中で加え、反応液を0.5時間かき混ぜた。水素化ナトリウム(60%、621mg、16.22μmol)を加え、反応溶液を室温で14時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えた。反応液を減圧で濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物2d(4.0g)を得た。収率は78%であった。
MS m/z (ESI):469.1[M+1]
ステップ4
(S)-2-((2-(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン2e
【0136】
アルゴン雰囲気下、化合物2d(4.0g、8.51ミリモル)を1,4-ジオキサン50mLに溶解し、続いて4,4,4',4',5,5',5',5''-オクタメチル-2,2'-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)(3.24g、12.76ミリモル)、酢酸カリウム(3.34g、34.04ミリモル)及び[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(1.24g、1.70ミリモル)を順次添加した。この反応液を90℃で2時間かき混ぜ、冷却した後、セライトでろ過した。ろ液を濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物2e(2.0g)を得た。収率は45%であった。
MS m/z (ESI):517.2[M+1]
ステップ5
(S)-2-((2-(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン2g
【0137】
化合物2e(430mg、0.83mmol)、2,4,5-トリクロロピリミジン2f(183mg、0.99mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)、[1,1'-bis(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)二塩化物(60mg、0.08mmol)および炭酸ナトリウム(175mg、1.65mmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1,4-ジオキサン2mLおよび水1mLに懸濁した。反応系をアルゴンでパージし、85℃のマイクロ波反応器で1.5時間撹拌した。反応液を冷却し、セライトでろ過した。ろ液を採取し、酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。有機相を合わせて濃縮し、残留物を展開溶媒系Cによる薄層クロマトグラフィーで精製して標記化合物2g(200mg)を得た。収率は44%であった。
MS m/z (ESI):537.1[M+1]
ステップ6
(S)-2-((2-(tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-クロロ-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン2i
【0138】
化合物2g(100mg、0.18mmol)をアルゴン雰囲気下で1、4‐ジオキサン1mLに溶解した後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(25mg、27.30μmol)、4、5‐ビス(ジフェニルホスフィノ)‐9、9‐ジメチルキサンテン(32mg、55.30μmol)、炭酸セシウム(121mg、0.37mmol)及び1‐メチル‐1H‐ピラゾール‐5‐アミン2h (36mg、0.37mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)を添加し、マイクロ波反応器中で100℃で1時間撹拌した。反応液は冷却し、セライトでろ過した。ろ液を濃縮し、展開溶媒系Aによる薄層クロマトグラフィーにより残留物を精製し、標記化合物2i(50mg)を得た。収率は44%であった。
MS m/z (ESI):597.9[M+1]
ステップ7
(S)-6-(5-クロロ-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン2
【0139】
化合物2i(50mg、83.52μmol)をジクロロメタン3mLに溶かした後、トリフルオロ酢酸1mLを滴加した。添加が完了した後、反応溶液を3時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液でpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(10mL×2)で抽出した。有機相を合わせて濃縮し、残留物を溶離剤系Aによるカラムクロマトグラフィーで精製して標記化合物2(16mg)を得た。収率は39%であった。
MS m/z (ESI):484.0[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CD3 OD): δ 8.35 (s, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.49-7.42 (m, 2H), 7.36 (m, 3H), 6.83 (s, 1H), 6.36 (d, 1H), 5.24 (dd, 1H), 4.64 (d, 1H), 4.34 (d, 1H), 4.25-4.15 (m, 1H), 4.12-4.04 (m, 1H), 3.76 (s, 3H).
【実施例3】
【0140】
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン3
[化24]
ステップ1
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-(2H)-オン3a
【0141】
化合物1f(800mg、3.57mmol)、化合物2e(2.03g、3.93mmol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)二塩化物(392mg、0.54mmol)および炭酸セシウム(2.33g、7.15mmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1,4-ジオキサン30mLおよび水4mLに懸濁した。反応溶液を80℃に加熱し、14時間攪拌した。反応液を冷却し、セライトでろ過した。ろ液を採取し、酢酸エチル(40mL×3)で抽出した。有機相を合わせて濃縮し、残留物を溶離剤系Aによるカラムクロマトグラフィーで精製して標記化合物3a(1.2g)を得た。収率は58%であった。
MS m/z (ESI):578.3[M+1]
ステップ2
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン3
【0142】
化合物3a(1.2g、2.07mmol)をジクロロメタン20mLに溶かした後、トリフルオロ酢酸5mLを滴加した。添加が完了した後、反応溶液を4時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液でpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(20mL×2)で抽出した。有機相を合わせて濃縮し、残渣を溶離液系Aを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物3(600mg)を得た。収率は62%であった。
MS m/z (ESI):464.2[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CD3 OD): δ 8.21 (s, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.46 (s, 2H), 7.42-7.30 (m, 3H), 6.75 (s, 1H), 6.36 (s, 1H), 5.26 (dd, 1H), 4.66 (d, 1H), 4.36 (d, 1H), 4.26-4.16 (m, 1H), 4.14-4.02 (m, 1H), 3.76 (s, 3H), 2.39 (s, 3H)
【実施例4】
【0143】
(S)-6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン-4
[化25]
【0144】
実施例2の合成経路を適用し、ステップ6の出発化合物2hを化合物テトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミン(Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)で置換し、化合物5(12mg)を得た。
MS m/z (ESI):488.0[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.24 (s, 1H), 8.13 (s, 1H), 7.44-7.33 (m, 3H), 7.27 (s, 1 H), 6.82 (s, 1H), 5.17 (dd, 1H), 5.10 (d, 1H), 4.49 (d, 1H), 4.38-4.18 (m, 3H), 4.04 (d, 1H), 4.02 (d, 1H), 3.66-3.50 (m, 2H), 2.09 (d, 2H), 1.3 -1.28 (m, 2H)
【実施例5】
【0145】
6-(5-クロロ-2-(((S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン5
[化26]
ステップ1
2-((S)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-クロロ-2-(((S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1,2-ジヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3-オン5b
【0146】
化合物2g(30mg、55.77μmol)及び(S)‐2‐アミノプロパン‐1‐オール5a(21mg、279.59μmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)をテトラヒドロフラン1mLに溶解し、反応液をマイクロ波反応器で110℃で1時間撹拌した。反応液を減圧下で濃縮して粗標記化合物5b(32mg)を得て、これを次のステップで直接使用した。
MS m/z (ESI):576.2[M+1]
ステップ2
6-(5-クロロ-2-(((S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン5
【0147】
化合物5b(30mg、52.03μmol)をジクロロメタン3mLに溶かした後、トリフルオロ酢酸1mLを滴加した。添加が完了した後、反応溶液を3時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液でpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(5mL×2)で抽出した。有機相を合わせて濃縮し、残留物を溶離剤系Aによるカラムクロマトグラフィーで精製して標記化合物5(10.8mg)を得た。収率は44%であった。
MS m/z (ESI):462.0[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CD3 OD): δ 8.24 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.40-7.34 (m, 3H), 6.93 (s, 1H), 5.26 (dd, 1H), 4.67 (d, 1H), 4.37 (d, 1H), 4.24-4.06 (m, 3H), 3.67-3.56 (m, 2H), 1.27 (d, 3H)
【実施例6】
【0148】
(S)‐2‐(1‐(3‐クロロ‐4‐フルオロフェニル)‐2‐ヒドロキシエチル)‐6‐(5‐メチル‐2‐((1‐メチル‐1H‐ピラゾール‐5‐イル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)‐1H‐ピロロ[1,2‐c]イミダゾル‐3(2H)‐オン6
[化27]
ステップ1
(S)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)エタミン6b
【0149】
(S)-2-アミノ-2-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)エタン-1-オール塩酸塩6a(250mg、1.1mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)をジクロロメタン10mLに溶かした後、イミダゾール(225.84mg、3.3174mmol)を加えた。反応溶液を0℃に冷却し、続いてtert-ブチルジメチルクロロシラン(250mg、1.7mmol)を添加し、14時間撹拌した。水20mLを加え、ジクロロメタンで反応液を抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製して標記化合物6b(290mg)を得た。収率は86%であった。
MS m/z (ESI):304.1[M+1]
ステップ2
(S)-N-((4-ブロモ-1H-ピロロ-2-イル)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)エタミン6c
【0150】
化合物6b(290mg、0.95mmol)および化合物1b(166.05mg、0.95mmol)を撹拌し、3時間反応させた後、メタノール5mLを加えた。反応液を0℃に冷却した後、水素化ホウ素ナトリウム(36mg、0.95mmol)を加え、2時間かき混ぜた。水を加え、反応液を減圧濃縮した。水を加え、酢酸エチルで反応液を抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。ろ液を減圧濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製して標記化合物6c(300mg)を得た。収率は68%であった。
MS m/z (ESI):459.1[M-1]
ステップ3
(S)-6-ブロモ-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピロロ[1,2-c]-3(2H)-オン6d
【0151】
化合物6c(300mg、0.65mmol)をテトラヒドロフラン40mLに溶解した後、N,N'-カルボニルジイミダゾール(147mg、0.91mmol)を氷浴中で添加し、反応液を0.5時間撹拌した。水素化ナトリウム(60%、37mg、0.97mmol)を加え、反応溶液を室温で14時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えた。反応液を減圧で濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物6d(300mg)を得た。収率は94%であった。
MS m/z (ESI):487.2[M+1]
ステップ4
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン6e
【0152】
化合物6d(300mg、0.61mmol)をアルゴン雰囲気下でジオキサン50mLに溶解し、続いて4、4、4'、4'、5、5、5'、5'‐オクタメチル‐2、2'‐ビス(1、3、2‐ジオキサボロン)(254mg、0.92mmol)、酢酸カリウム(181mg、1.84mmol)及び[1、1'‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)二塩化物(90mg、1.23mmol)を順次添加した。この反応液を90℃で2時間かき混ぜ、冷却した後、セライトでろ過した。ろ液を濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製して標記化合物6e(120mg)を得た。収率は36%であった。
MS m/z (ESI):534.1[M+1]
ステップ5
(S)‐2‐((2‐(tert‐ブチルジメチルシリル)オキシ)‐1‐(3‐クロロ‐4‐フルオロフェニル)エチル)‐6‐(5‐メチル‐2‐((1‐メチル‐1H‐ピラゾール‐5‐イル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)‐1,2‐ジヒドロ‐3H‐ピロロ[1,2‐c]イミダゾール‐3‐オン6f
【0153】
化合物1f(50mg、0.22mmol)、化合物6e(120mg、0.22mmol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)二塩化物(33mg、0.04mmol)および炭酸セシウム(146mg、0.45mmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1,4-ジオキサン30mLおよび水6mLに懸濁し、反応液を80℃に加熱し、14時間撹拌した。反応液を冷却し、セライトでろ過した。ろ液を採取し、酢酸エチル(15mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、残留物を溶離液系Aによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物6f(100mg)を得た。収率は74%であった。
MS m/z (ESI):596.1[M+1]
ステップ6
(S)‐2‐(1‐(3‐クロロ‐4‐フルオロフェニル)‐2‐ヒドロキシエチル)‐6‐(5‐メチル‐2‐((1‐メチル‐1H‐ピラゾール‐5‐イル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)‐1H‐ピロロ[1,2‐c]イミダゾール‐3(2H)‐オン6
【0154】
化合物6f(100mg、0.17mmol)をジクロロメタン3mLに溶かした後、トリフルオロ酢酸1mLを滴加した。添加が完了した後、反応溶液を4時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム溶液でpHを7に調整し、反応液をジクロロメタン(15mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、残留物を展開溶媒系Aによる薄層クロマトグラフィーで精製し、標記化合物6(15mg)を得た。収率は18%であった。
MS m/z (ESI):482.2[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CD3 OD): δ 8.19 (s, 1H), 7.55 (s, 1H), 7.52-7.44 (m, 2H), 7.41 (d, 1H), 7.22-7.13 (m, 1H), 6.54 (s, 1H), 6.14 (d, 1H), 5.14 (dd, 1H), 4.42 (d, 1H), 4.32 (dd, 1H), 4.23 - 4.12 (m, 2H), 3.78 (s, 3H), 2.33 (s, 3H)
【実施例7】
【0155】
6-(5-クロロ-2-((3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロペンチル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン7
[化28]
ステップ1
ベンジル(3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロペンチル)カルバメート7b
【0156】
ベンジル(6-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル)カルバメート7a(1g、4.28mmol、「テトラヘドロン、56(2000)9633-9640」に開示された公知の方法により調製)及びフッ化水素ピリジン錯体(1.06g、6.41mmol、純度60%)を1,2-ジクロロエタン(5mL)に溶解し、反応液を4時間撹拌した。反応液は飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、展開溶媒系Cによる薄層クロマトグラフィーで残留物を精製し、化合物7b(500mg)を得た。収率は46%であった。
MS m/z (ESI):253.6[M+1]
ステップ2
4-アミノ-2-フルオロシクロペンタノール7c
【0157】
化合物7b(150mg、592.25μmol)および10%パラジウム-炭素水素化触媒(湿式)(30mg、281.90μmol)をメタノール5mLに水素雰囲気下で溶解した。反応液を16時間撹拌し、ろ過した。ろ液を減圧濃縮して粗化合物7c(150mg)を得て、これを次の反応に直接使用した。
ステップ3
6-(5-クロロ-2-((3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロペンチル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン7
【0158】
実施例2における合成経路を、ステップ6における出発化合物2hを化合物7cで置換しながら適用し、化合物7(5mg)を得た。
MS m/z (ESI):506.1[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CDCl3): δ 8.18 (s, 1H), 8.07 (d, 1H), 7.36 (d, 3H), 7.27 (d, 1H), 6.79 (s, 1H), 5.62 (d, 1H), 5.19 (td, 1H), 4.96 (dd, 1H), 4.50 (d, 2H), 4.38-4.15 (m, 4H), 2.60-2.48 (m, 1H), 2.46-2.29 (m, 2H), 1.85 (d, 2H)
【実施例8】
【0159】
6-(5-クロロ-2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1,2-ジヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3-オン8
[化29]
【0160】
実施例5における合成経路を、ステップ1における出発化合物5aの(R)-2-アミノプロパン-1-オールによる置換と共に適用し、化合物8(17mg)を得た。
MS m/z (ESI):462.0[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CD3 OD): δ 8.23 (s, 1H), 8.15 (s, 1H), 7.45 (s, 1H), 7.42-7.30 (m, 3H), 6.92 (s, 1H), 5.25 (dd, 1H), 4.67 (d, 1H), 4.36 (d, 1H), 4.24 - 4.04 (m, 3H), 3.62 (t, 2H), 1.27 (d, 3H)
【実施例9】
【0161】
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-1(2H)-オン9
[化30]
ステップ1
4-ブロモ-2-(2-メトキシビニル)-1-トシル-1H-ピロール9c
【0162】
(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウム塩化物9b (8.36g, 24.37mmol)をテトラヒドロフラン150mLに溶かし、0℃に冷却した。tert-ブチルブトキシド(2.74g、24.37mmol)を加え、反応液を20分間撹拌した。4-Bromo-1-tosyl-1H-pyrrole-2-carbaldehyde 9a(4.0g, 612.19mmol、「Journal of Porphyrins and Phthalocyanines, 2009, 13(10), 1098-1110」に開示されている公知の方法により調製)し、反応液を一晩撹拌した後、水を加えた。反応液を減圧濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物9c(4.0g)を得た。収率は92%であった。
MS m/z (ESI):356.0[M+1]
ステップ2
2-(4-ブロモ-1-トシル-1H-ピロール-2-イル)アセトアルデヒド9d
【0163】
化合物9c(3g、8.42mmol)を10mLのテトラヒドロフランに溶かし、続いて10mLの濃塩酸を加え、反応液を3時間かき混ぜた。pHは飽和炭酸水素ナトリウムで7に調整した。反応液を酢酸エチル(50mL×2)で抽出し、有機相を濃縮して標記粗化合物9d(2.88g)を得て、精製せずに次のステップで直接使用した。
MS m/z (ESI):342.2[M+1]
ステップ3
(S)-N-(2-(4-ブロモ-1-トシル-1H-ピロール-2-イル)エチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エタン-1-アミン9e)
【0164】
粗化合物9d(2.88g、8.42mmol)及び化合物2b(2g、6.99mmol)をメタノール20mLに溶かし、反応液を1時間撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(396mg、10.48mmol)を加え、反応液を室温で14時間撹拌し、水でクエンチした。反応液を減圧濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物9e(2.2g)を得た。収率は51.4%であった。
MS m/z (ESI):611.1[M+1]
ステップ4
(S)-N-(2-(4-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)エチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エタン-1-アミン9f
【0165】
化合物9e(500mg、0.82mmol)をテトラヒドロフラン5mLに溶かした後、0℃でメタノール中のナトリウムメトキシド溶液(441mg、8.16mmol、50%)を加え、反応液を4時間撹拌した。pHを2N塩酸で7に調整し、反応液を酢酸エチル(10mL×2)で抽出した。有機相を減圧下で濃縮し、残留物を展開溶媒系Cによる薄層クロマトグラフィーで精製し、化合物9f(280mg)を得た。収率は74.8%であった。
MS m/z (ESI):459.1[M+1]
ステップ5
(S)-6-ブロモ-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-1(2H)-オン9g
【0166】
化合物9f(280mg、0.61mmol)をテトラヒドロフラン10mLに溶解した後、N,N'-カルボニルジイミダゾール(198mg、1.22mmol)を加え、反応液を30分間撹拌した。水素化ナトリウム(60%、47mg、1.23mmol)を加え、反応液を14時間撹拌後、水を加えた。反応液を減圧濃縮し、展開溶媒系Cによる薄層クロマトグラフィーにより残留物を精製し、化合物9g(220mg)を得た。収率は74%であった。
MS m/z (ESI):483.1[M+1]
ステップ6
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-1(2H)-オン9h
【0167】
化合物9g(220mg、0.45ミリモル)をアルゴン雰囲気下で1,4-ジオキサン3mLに溶解し、続いて4,4,4',4',5,5,5',5'-オクタメチル-2,2'-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)(173mg、0.68ミリモル)、酢酸カリウム(178mg、1.81ミリモル)および[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロライド(33mg、0.05ミリモル)を連続して添加した。この反応液を90℃で4時間かき混ぜ、冷却した後、セライトでろ過した。ろ液を濃縮して標記の粗化合物9h(240mg)を得て、これを精製することなく次のステップに直接使用した。
MS m/z (ESI):530.9[M+1]
ステップ7
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-1(2H)-オン9i
【0168】
化合物1f(100mg、0.45mmol)をアルゴン雰囲気下でジオキサン6mLに溶解し、続いて9h(241mg、0.45mmol)、炭酸セシウム(291mg、0.89mmol)および[1,1'‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)二塩化物(65mg、0.088mmol)を順次添加した。反応液を85℃のマイクロ波反応器で1.5時間撹拌し、冷却し、セライトでろ過した。ろ液を濃縮し、残留物を溶離液系Aによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物9i(100mg)を得た。収率は37.7%であった。
MS m/z (ESI):592.2[M+1]
ステップ8
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,4-ジヒドロピロ[1,2-c]ピリミジン-1(2H)-オン9
【0169】
化合物9i(100mg、0.17mmol)をジクロロメタン3mLに溶かした後、トリフルオロ酢酸1mLを滴加した。添加が完了した後、反応溶液を4時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液でpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(50mL×2)で抽出した。有機相を合わせて濃縮し、残渣を溶離液系Aによるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物9(22mg)を得た。収率は27%であった。
MS m/z (ESI):478.2[M+1]
1H NMR(400MHz、CD3 OD):δ 8.18(s、1H)、7.88(s、1H)、7.46~7.43(m、2H)、7.39~7.34(m、3H)、6.62(s、1H)、6.31(s、1H)、5.72~5.69(m、1H)、4.15~4.14(d、2H)、3.74(s、3H)、3.66~3.60(m、1H)、3.35(m、1H)、3.04~3.00(m、1H)、2.99~2.88(m、1H)、2.38(s、3H)
【実施例10】
【0170】
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1,2-ジヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3-オン10
[化31]
ステップ1
4-クロロ-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン10b
【0171】
N-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ホルムアミド1j(324.82mg2.60mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド15mLに溶かした後、0℃で水素化ナトリウム(60%、311.47mg, 7.79mmol)を加えて反応液を0.5時間かき混ぜた。化合物10a(500mg、2.60mmol)を加え、反応液をさらに2時間反応させた。水20mLを加え、酢酸エチル(20mL×3)で反応液を抽出した。有機相を組み合わせて減圧下で濃縮し、残留物を展開溶媒系Cによる薄層クロマトグラフィーで精製して化合物10b(270mg)を得た。収率は49.6%であった。
MS m/z (ESI):210.3[M+1]
ステップ2
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1,2-ジヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3((2H)-オン10c
【0172】
化合物2e(98.6mg、0.19mmol)、4-クロロ-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン10b、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)二塩化物(28mg、0.02mmol)および炭酸セシウム(124mg、0.2mmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1,4-ジオキサン20mLおよび水4mLに懸濁した。反応溶液を80℃に加熱し、14時間攪拌した。反応液を冷却し、セライトでろ過した。ろ液を採取し、酢酸エチル(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、残留物を溶離剤系Aによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物10c(100mg)を得た。収率は92%であった。
MS m/z (ESI):564.3[M+1]
ステップ3
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1,2-ジヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3-オン10
【0173】
化合物10c(100mg、0.17mmol)をジクロロメタン20mLに溶かし、続いてトリフルオロ酢酸1mLを滴加した。添加が完了した後、反応溶液を4時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液でpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(20mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、残留物を溶離剤系Aによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物10(15mg)を得た。収率は18%であった。
MS m/z (ESI):450.1[M+1]
1H NMR(400 MHz, CDCl3):δ8.33 (d, 1H),7.72 (s, 1H),7.48 (d,1H),7.41-7.33(m,3H), 7.28-7.24(m,1H),7.18 (s, 1H), 6.92 (d, 1H), 6.51 (s, 1H), 6.32 (d, 1H), 5.17 (dd, 1H), 4.46 (d, 1H), 4.32 (dd, 1H), 4.27-4.17 (m, 3H), 3.82 (s, 3H).
実施例11、実施例12,実施例13
【0174】
(S)-2-(2-アミノ-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン11
【0175】
(R)-2-(1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン12
【0176】
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン13
[化32]
ステップ1
(S)-2-(3-クロロフェニル)-2-(6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)エチルメタンスルホナート11a
【0177】
化合物3(12.0mg、0.026mmol)をジクロロメタン10mLに溶解した後、トリエチルアミン(8.0mg、0.079mmol)及びメタンスルホニルクロリド(6.0mg、0.052mmol)を順次加え、反応液を30分間撹拌した。少量の水を加え、反応液を減圧濃縮して標記化合物11a(14mg)を得た。収率は99%であった。
MS m/z (ESI):542.0[M+1]
ステップ2
(S)-2-(2-アジド-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン11b
【0178】
化合物11a(14mg、0.026mmol)をN,N‐ジメチルホルムアミド7mLに溶解し、続いてアジ化ナトリウム(8.4mg、0.130mmol)を添加した。添加終了後、反応液を70℃で3時間攪拌した。水を加え、ジクロロメタン(10mL×2)で反応液を抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して化合物11b(12mg)を得た。収率は95%であった。
MS m/z (ESI):489.0[M+1]
ステップ3
(S)-2-(2-アミノ-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン11
(R)-2-(1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン12
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン13
【0179】
化合物11b(17mg、0.035mmol)をメタノール5mLに溶解した後、炭素上にパラジウムを添加した(42mg、0.35mmol、10%パラジウム)。反応系を水素で3回パージし、30分間撹拌した。反応液をろ過、減圧濃縮し、残渣を分取HPLCで精製して化合物11(1.0mg)、収率は6%、化合物12(1.0mg)、収率は6%、化合物13(1.0mg)、収率は6%を得た。
化合物11
MS m/z (ESI):463.2[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CD3 OD): δ 8.23 (s, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.47-7.42 (m, 3H), 6.74(s, 1H), 6.33 (s, 1H), 5.37-5.34 (dd, 1H), 4.56-4.52 (d, 1H), 4.36 (d, 1H), 4.26-4.16 (m, 1H), 4.14-4.02 (m, 1H), 3.76 (s, 3H), 2.39 (s, 3H)
化合物12
MS m/z (ESI):448.1[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CD3 OD): δ 8.23 (s, 1H), 7.74 (s, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.53 (s, 1H), 7.45-7.34 (m, 3H), 6.75 (s, 1H), 6.42 (s, 1H), 5.45-5.40 (dd, 1H), 4.58-4.54 (d, 1H), 4.20-4.16 (d, 1H), 3.77 (s, 3H), 2.41 (s, 3H), 1.74-1.72 (d, 3H)
化合物13
MS m/z (ESI):477.2[M+1]
1 H NMR (400MHz, CDCl3) δ 8.15 (s, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.58 (s, 1H), 7.46 (s, 1H), 7.42-7.27 (m, 4H), 6.61 (s, 1H), 6.28 (s, 1H), 5.39 (d, 1H), 4.41 (d, 1H), 4.21 (d, 1H), 3.81 (s, 3H), 3.68-3.52 (m, 2H), 2.35 (s, 3H), 2.07-2.01 (m, 3H)
実施例14
【0180】
(S)‐2‐(1‐(4‐クロロ‐3‐フルオロフェニル)‐2‐ヒドロキシエチル)‐6‐(5‐メチル‐2‐((1‐メチル‐1H‐ピラゾール‐5‐イル)アミノ)ピリミジン‐4‐イル)‐1H‐ピロロ[1,2‐c]イミダゾール‐3(2H)‐オン14
[化33]
【0181】
実施例6の合成経路をステップ1の出発化合物6aを(S)‐2‐アミノ‐2‐(3‐フルオロ‐4‐クロロフェニル)エタン‐1‐オールで置換して適用し、化合物14(15mg)を得た。
MS m/z (ESI):482.2[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.19 (s, 1H), 7.61-7.48 (m, 2H), 7.47-7.36 (m, 2H), 7.22 (d, 1H), 7.13 (d, 1H), 6.56 (s, 1H), 6.15 (s, 1H), 5.15 (dd, 1H), 4.42 (d, 1H), 4.32 (dd, 1H), 4.26 - 4.13 (m, 2H), 3.78 (s, 3H), 2.33 (s, 3H)
実施例15
【0182】
(S)-2-(2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン15
[化34]
ステップ1
(S)2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(m-トリル)エタミン15b
【0183】
(S)-2-アミノ-2-(m-トリル)エタン-1-オール15a(3g、19.8mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)をジクロロメタン100mLに溶かした後、イミダゾール(4g、58.7mol)を加えた。反応液を0℃に冷却した後、tert-ブチルジメチルクロロシラン(3.9g、25.9mmol)を加え、14時間かき混ぜた。水100mLを加え、ジクロロメタンで反応液を抽出し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥した後、ろ過した。ろ液を減圧濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物15b(5g)を得た。収率は95%であった。
MS m/z (ESI):266.2[M+1]
ステップ2
(S)-N-((4-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(m-トリル)エタン-1-アミン15c
【0184】
化合物15b(5g、19.5mmol)および化合物1b(3.4g、19.5mmol)を撹拌し、3時間反応させた。メタノール50mLを加え、反応液を0℃に冷却した後、水素化ホウ素ナトリウム(800mg、21.1mmol)を加えて2時間かき混ぜた。水を加え、反応液を減圧濃縮した。水を加え、酢酸エチルで反応液を抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。ろ液を減圧濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物15c(7.3g)を得た。収率は88%であった。
MS m/z (ESI):423.1[M+1]
ステップ3
(S)‐6‐ブロモ‐2‐(2‐((tert‐ブチルジメチルシリル)オキシ)‐1‐(m‐トリル)エチル)‐1H‐ピロロ[1,2‐c]イミダゾール‐3(2H)‐オン15d
【0185】
化合物15c(7.3g、17.2mmol)をテトラヒドロフラン150mLに溶解した後、N,N'-カルボニルジイミダゾール(8.4g、51.7mmol)を氷浴中で添加し、反応液を0.5時間撹拌した。水素化ナトリウム(60%、2g、51.7mmol)を加え、反応溶液を室温で14時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えた。反応液を減圧濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物15d(7g)を得た。収率は90%であった。
MS m/z (ESI):450.1[M+1]
ステップ4
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(m-トリル)エチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン15e
【0186】
化合物15d(7g、15.5mmol)をアルゴン雰囲気下でジオキサン100mLに溶解し、続いて4、4、4'、4’、5、5、5'、5'‐オクタメチル‐2、2'‐ビス(1、3、2‐ジオキサボロン)(5.9g、23.3mmol)、酢酸カリウム(3.1g、31.1mmol)及び[1、1'‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)二塩化物(2.3g、2.1mmol)を順次加えた。この反応液を90℃で2時間かき混ぜ、冷却した後、セライトでろ過した。ろ液を濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標記化合物15e(4g)を得た。収率は51.7%であった。
MS m/z (ESI):497.2[M+1]
ステップ5
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(m-トリル)エチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン15f
【0187】
化合物10b(550mg、2.62mmol)、化合物15e(1.56g、3.15mmol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)二塩化物(1.7g、0.26mmol)および炭酸セシウム(1.7g、5.2mmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1,4-ジオキサン30mLおよび水6mLに懸濁した。反応溶液を80℃に加熱し、14時間攪拌した。反応液を冷却し、セライトでろ過した。ろ液を採取し、酢酸エチル(15mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、残留物を溶離液系Aによるカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物15f(1.4g)を得た。収率は98%であった。
MS m/z (ESI):544.2[M+1]
ステップ6
(S)-2-(2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン15
【0188】
化合物15f(1.3g、2.4mmol)をジクロロメタン10mLに溶かした後、トリフルオロ酢酸3mLを滴加した。添加が完了した後、反応溶液を4時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液でpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(30mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、残留物を展開溶媒系Aによる薄層クロマトグラフィーで精製し、化合物15(500mg)を得た。収率は48.6%であった。
MS m/z (ESI):430.1[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.29 (d, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.43 (d, 1H), 7.32-7.24 (m, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.19-7.12 (m, 2H), 7.10 (d, 1H), 6.63 (s, 1H), 6.31 (d, 1H), 5.23 (dd, 1H), 4.61 (d, 1H), 4.29 (d, 1H), 4.19 (dd, 1H), 4.11-3.99 (m, 1H), 3.74 (s, 3H), 2.34 (s, 3H)
実施例16
【0189】
(S)-2-(1-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン16
[化35]
【0190】
実施例6の合成経路をステップ5の出発化合物1fを化合物10bに置換して適用し、化合物16(20mg)を得た。
MS m/z (ESI):468.0[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.31 (d, 1H), 7.69 (s, 1H), 7.51-7.42 (m, 2H), 7.33 (s, 1H), 7.26-7.22 (m, 1H), 7.21-7.13 (m, 1H), 6.90 (d, 1H), 6.49 (s, 1H), 6.30 (s, 1H), 5.14 (dd, 1H), 4.45 (d, 1H), 4.35-4.24 (m, 1H), 4.24-4.13 (m, 2H), 3.80 (s, 3H)
実施例17
【0191】
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-(イソプロピルアミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン17
[化36]
ステップ1
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン17b
【0192】
2,4-ジクロロ-5-メチルピリミジン17a(76.3mg、0.47mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)、化合物2e(220mg、0.43mmol)、[1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)二塩化物(62.3mg、0.08mmol)および炭酸セシウム(277.3mg、0.85mmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1,4-ジオキサン10mLおよび水2mLに懸濁した。反応溶液を80℃に加熱し、14時間攪拌した。反応液を冷却し、セライトでろ過した。ろ液を採取し、酢酸エチル(10mL×3)で抽出した。有機相を合わせて濃縮し、残留物を溶離剤系Aによるカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物17b(100mg)を得た。収率は45.4%であった。
MS m/z (ESI):517.1[M+1]
ステップ2
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(2-(イソプロピルアミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン17d
【0193】
化合物17b(80mg、154.5μmol)及びイソプロピルアミン17c(91.4mg、1.5mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)をN,N-ジメチルアセトアミド2mLに溶かし、マイクロ波反応器で150℃で6時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、残渣を溶離液系Aを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物17d(20mg)を得た。収率は24%であった。
ステップ3
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-(イソプロピルアミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン17
【0194】
化合物17d(20mg、37μmol)をジクロロメタン5mLに溶かした後、トリフルオロ酢酸0.5mLを滴加した。添加が完了した後、反応溶液を1時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液でpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(20mL×2)で抽出した。有機相を合わせて濃縮し、残留物を溶離剤系Aによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物17(5mg)を得た。収率は32%であった。
MS m/z (ESI):426.2[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.08 (s, 1H), 7.61 (s, 1H), 7.34 (d, 3H), 7.25 (d, 2H), 6.70 (s, 1H), 5.13 (dd, 1H), 4.45 (d, 1H), 4.36-4.25 (m, 2H), 4.23-4.14 (m, 2H), 2.30 (s, 3H), 1.26 (d, 6H)
実施例18
【0195】
2-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-(5-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン18
[化37]
ステップ1
1-(4-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)-N-(3,4-ジフルオロベンジル)ホルムアミド18b
【0196】
化合物(3、4‐ジフルオロフェニル)メタンアミン18a(863mg、6.0mmol)および化合物1b(1g、5.7mmol)を撹拌し、3時間反応させた。メタノール20mLを加え、反応液を0℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(361mg、5.7mmol)を加え、反応液を2時間撹拌した。水を加え、反応液を減圧濃縮した。水を加え、酢酸エチルで反応液を抽出した。有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過した。ろ液を減圧濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物18b(1.7g)を得た。収率は98.2%であった。
MS m/z (ESI):301.0[M+1]
ステップ2
6-ブロモ-2-(3,4-ジフルオロベンジル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン18c
【0197】
化合物18b(0.5g、1.7mmol)をテトラヒドロフラン50mLに溶解した後、N,N'-カルボニルジイミダゾール(286mg、2.0mmol)を氷浴中で添加し、反応液を0.5時間撹拌した。水素化ナトリウム(60%、15mg、0.63mmol)を加え、反応溶液を室温で14時間攪拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えた。反応液を減圧濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物18c(220mg)を得た。収率は40.5%であった。
MS m/z (ESI):327.0[M+1]
ステップ3
2-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン18d
【0198】
化合物18c(100mg、0.31mmol)をアルゴン雰囲気下でジオキサン10mLに溶解し、続いて4、4、4'、4'、5、5、5'、5''‐オクタメチル‐2、2'‐ビス(1、3、2‐ジオキサボロラン)(95mg、0.37mmol)、酢酸カリウム(60mg、0.61mmol)及び[1、1'‐ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)二塩化物(22mg、30μmol)を順次添加した。この反応液を90℃で2時間かき混ぜ、冷却した後、セライトでろ過した。ろ液を濃縮し、残留物を溶離液系Cによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物18d(28mg)を得た。収率は24.5%であった。
MS m/z (ESI):375.0[M+1]
ステップ4
2-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン18
【0199】
化合物18d(27mg、72μmol)、化合物1f(15mg、67μmol)、[1、1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)二塩化物(6mg、8.2μmol)および炭酸セシウム(18mg、130μmol)の混合物を、アルゴン雰囲気下で1,4-ジオキサン5mLおよび水1mLに懸濁した。反応溶液を80℃に加熱し、14時間攪拌した。反応液を冷却し、セライトでろ過した。ろ液を採取し、酢酸エチル(10mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、残渣を溶離液系Aを用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、表題化合物18(10mg)を得た。収率は34%であった。
MS m/z (ESI):435.9[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.23 (s, 1H), 7.80 (s, 1H), 7.63-7.54 (m, 1H), 7.36-7.22 (m, 2H), 7.19 (s, 1H), 6.75 (s, 1H), 6.48 (d, 1H), 4.69 (s, 2H), 4.41 (s, 2H), 3.80 (s, 3H), 2.42 (s, 3H)
実施例19
【0200】
(S)-2-(1-(3-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン19
[化38]
【0201】
実施例15における合成経路を、ステップ1における出発化合物(S)‐2‐アミノ‐2‐(3‐メチルフェニル)エタン‐1‐オール15aの(S)‐2‐アミノ‐2‐(3‐フルオロフェニル)エタン‐1‐オールによる置換で適用し、化合物19(50mg)を得た。
MS m/z (ESI):434.1[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.29 (d, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.51-7.34 (m, 2H), 7.28-7.15 (m, 2H), 7.14-6.99 (m, 2H), 6.65 (s, 1H), 6.32 (d, 1H), 5.26 (dd, 1H), 4.64 (d, 1H), 4.34 (d, 1H), 4.26-4.14 (m, 1H), 4.13-4.03 (m, 1H), 3.75 (s, 3H)
実施例20
【0202】
(S)-2-(1-(3-フルオロ-4-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン20
[化39]
【0203】
実施例14の合成経路をステップ5の出発化合物1fを化合物10bに置換して適用し、化合物20(50mg)を得た。
MS m/z (ESI):468.1[M+1]
1 H NMR (400MHz, CD3OD) δ 8.29 (d, 1H), 7.81 (s, 1H), 7.49 (t, 1H), 7.44 (d, 1H), 7.35 (dd, 1H), 7.22 (d, 1H), 7.10 (d, 1H), 6.65 (s, 1H), 6.32 (d, 1H), 5.24 (dd, 1H), 4.64 (d, 1H), 4.36 (d, 1H), 4.21-4.13 (m, 1H), 4.11-4.03 (m, 1H), 3.75 (s, 3H)
実施例21
【0204】
(S)-2-(4-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン21
[化40]
【0205】
実施例15の合成経路をステップ1の出発化合物15aを(S)‐2‐アミノ‐2‐(4‐クロロフェニル)エタン‐1‐オールで置換して適用し、化合物21(10mg)を得た。
MS m/z (ESI):450.1[M+1]
1 H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.33 (d, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.48 (d, 1H), 7.42-7.35 (m, 2H), 7.31 (d, 2H), 6.94 (d, 1H), 6.54 (s, 1H), 6.35 (s, 1H), 5.14 (dd, 1H), 4.44 (d, 1H), 4.30 (dd, 1H), 4.25-4.14 (m, 2H), 3.82 (s, 3H)
生物学的検定
【0206】
試験例1:
ERK1酵素活性試験
【0207】
1. 試験目的
【0208】
本試験の目的は、ERK1酵素活性に対する化合物の阻害能を検出し、そのIC50に基づいて化合物のインビトロ活性を評価することである。本実験ではADP-GloTMキナーゼアッセイキットを使用する。酵素の動作のもと、基質はリン酸化され、同時にADPがつくられる。ADP-Glo試薬を加えて反応系の未反応ATPを除去し、反応で生じたADPをキナーゼ検出試薬で検出する。化合物存在下では、シグナル値を測定して化合物の阻害率を算出する。
2. 実験方法
【0209】
酵素及び基質の配合であるERK1(1879-KS-010、R&D)及び基質(AS-61777、アナスペック)を緩衝液(40mM Tris、20mM MgCl2、0.1mg/ml BSA、50μM DTT)中にそれぞれ0.75ng/μl及び100μLに調製した後、酵素溶液及び基質溶液を2:1の容積比で混合溶液に調製し、後に使用した。ATPを緩衝液で300μMに希釈した。化合物をDMSOで溶かし、初期濃度20mMのストック液を調製し、次にBravo (SGC120TH34702、Agilent Technologies)を用いて希薄化した。最後に酵素と基質の混合溶液3μL、及び異なる濃度の化合物(初期濃度は50μM、4倍希釈)1μLを384ウェルプレートの各ウェルに添加し、30℃で10分間インキュベートした後、最終的に各ウェルに300μM ATP溶液1μLを加え、30℃で2時間インキュベートした。次にADP-Glo 5μLを加え、30℃で40分間インキュベートした。次にキナーゼ検出用緩衝液10μLを加え、30℃で40分間インキュベートした。384ウェルプレートを取り出し、マイクロプレートリーダー(BMGラボテック、PHERAStar FS)に入れ、マイクロプレートリーダーにより化学発光量を測定した。
3. データ解析
【0210】
マイクロソフト・エクセル、グラフパッド・プリズム5を用いてデータを処理し、分析した。化合物のIC50価を求め、その結果を以下の表1に示す。
【0211】
表1 発明化合物のERK1酵素活性に対する抑制のIC50的価値
[表3]
【0212】
結論:本開示の化合物は、ERK1酵素活性に対して有意な阻害作用を有する。
【0213】
試験例2:
ERK2酵素活性試験
【0214】
1.試験目的
【0215】
ERK2酵素活性に対する阻害能を検出し、そのIC50に基づいて化合物の試験管内活性を評価する。本実験ではADP-GloTMキナーゼアッセイキットを使用する。酵素の動作のもと、基質はリン酸化され、同時にADPがつくられる。ADP-Glo試薬を加えて反応系の未反応ATPを除去し、反応で生じたADPをキナーゼ検出試薬で検出する。化合物存在下では、シグナル値を測定して化合物の阻害率を算出する。
【0216】
2.実験方法
【0217】
酵素及び基質の製剤であるERK2(1879-KS-010, R&D)及び基質(カスタムペプチド、Gill Biochemical社製)を緩衝液(40mM Tris, 20mM MgCl2, 0.1mg/ml BSA, 50μM DTT)中に0.75ng/μl及び1500ngに配合した後、酵素溶液及び基質溶液を2:1の容積比で混合溶液に調製し、後日使用した。ATPを緩衝液で500μMに希釈した。化合物をDMSOで溶かし、初期濃度20mMのストック液を調製し、次にBravo (SGC120TH34702、Agilent Technologies)を用いて希薄化した。最後に酵素と基質の混合溶液3μL、及び異なる濃度の化合物(初期濃度は50μM、4倍希釈)1μLを384ウェルプレートの各ウェルに添加し、30℃で10分間インキュベートした後、最終的に各ウェルに500μMのATP溶液1μLを加え、30℃で2時間インキュベートした。次にADP-Glo 5μLを加え、30℃で40分間インキュベートした。次にキナーゼ検出緩衝液10μLを加え、30℃で40分間インキュベートした。384ウェルプレートを取り出し、マイクロプレートリーダー(BMGラボテック、PHERAStar FS)に入れ、マイクロプレートリーダーにより化学発光量を測定した。
【0218】
3.データ解析
【0219】
マイクロソフト・エクセル、グラフパッド・プリズム5を用いてデータを処理し、分析した。化合物のIC50価を求め、その結果を以下の表2に示す。
【0220】
表2 発明化合物のERK2酵素活性に対する抑制のIC50
[表4]
【0221】
結論:本開示の化合物は、ERK2酵素活性に対して有意な阻害作用を有する。
【0222】
試験例3:
化合物のColo205腫瘍細胞に対するin vitro増殖阻害試験
【0223】
1.試験目的
【0224】
本実験の目的は、Colo205細胞(CCL‐222, ATCC)の増殖に対する化合物の阻害活性をin vitroで試験することである。細胞を異なる濃度の化合物でin vitroで処理した。3日間の培養後、細胞増殖をCTG (CellTiter-Glo(R)ルミネセンス細胞生存性アッセイ、プロメガ、カタログ番号G7573)試薬で試験し、化合物のインビトロ活性をIC50値に従って評値した。
【0225】
2.実験方法
【0226】
以下では、Colo205細胞のin vitro増殖阻害試験法を例にとり、本開示の化合物のin vitro増殖阻害活性を試験するための本開示における方法について述べる。この方法は、他の腫瘍細胞に対するin vitro増殖阻害活性試験にも適用できるが、これらに限定されない。
【0227】
Colo205細胞を消化し、遠心分離し、次いで再懸濁した。単細胞懸濁液をよく混合し、細胞培養液(RPMI1640+2%FBS)で生細胞密度を5.0×104細胞/mlに調整し、95μl/wellを96ウェル細胞培養プレートに加えた。96ウェルプレートの周辺ウェルには100μl媒体のみを添加した。培養平板をインキュベーター中で24時間インキュベートした(37℃、5%CO2)。
【0228】
この化合物をDMSOに溶解し、初期濃度20mMの原液に調製した。小分子化合物の初濃度は20mM、その後4倍に希釈して9点とし、10点目をDMSOとした。別の96ウェルプレートを採取し、90μlの細胞培養培地(RPMI1640+2%FBS)を各ウェルに添加し、次いで10μlの異なる濃度の試験サンプルを各ウェルに添加した。混合物をよく混合した後、異なる濃度の試験試料5μLを、各試料につき複製ウェルを有する細胞培養プレートに加えた。培養平板をインキュベーター中で3日間培養した(37℃、5%CO2)。96ウェル細胞培養プレートを取り出し、各ウェルに50μLのCTG溶液を加え、室温で10分間培養した。マイクロプレートリーダー(BMGラボテック、PHERAStar FS)で、マイクロプレートリーダーで化学発光を測定した。
【0229】
3. データ解析
【0230】
マイクロソフト・エクセル、グラフパッド・プリズム5を用いてデータを処理し、分析した。実施例の結果を以下の表3に示す。
【0231】
表3:インビトロColo205腫瘍細胞増殖に対する本化合物の抑制のIC50的価値
[表5]
薬物動態評価
【0232】
試験例4
マウスにおける本発明の化合物の薬物動態アッセイ
【0233】
1.要約
【0234】
試験動物としてマウスを用いた。実施例3、実施例10、実施例15及び実施例20の化合物をマウスに胃内投与した後、異なる時間における血漿中薬物濃度をLC/MS/MS法により測定した。本開示の化合物の薬物動態学的行動をマウスで研究し、薬物動態学的特性を評価した。
【0235】
2.試験プロトコール
【0236】
2.1被験化合物
実施例3、実施例10、実施例15および実施例20の化合物。
【0237】
2.2試験動物
【0238】
36匹のC57マウス(雌で等しく4群に分けた)を、Shanghai Jiesijie Laboratory Animal Co., LTD. (証明書番号: SCXK(Shanghai)2013-0006)から購入した。
【0239】
2.3試験化合物の調製
【0240】
一定量の試験化合物を秤量し、5%のDMSOおよび5%のツイン80を添加することによって溶解した。次に生理食塩液90%を加え、無色澄明で透明な0.1mg/mL液とした。
【0241】
2.4投与
【0242】
一晩絶食後、C57マウスに試験化合物を2mg/kg、体積0.2ml/10gの用量で胃内投与した。
【0243】
3.工程
【0244】
マウスに試験化合物を胃内投与した。投与前、投与後0.25、0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、8.0、11.0及び24.0時間に0.1mLの血液を採取した。試料をヘパリン処理した試験管に保存し、3500rpmで10分間遠心分離し、血漿を分離した。血漿試料は-20℃で保存した。
【0245】
異なる濃度の試験化合物を胃内投与した後のマウスの血漿中の試験化合物の含有量を測定した。投与後の各時点におけるラット血漿25μL、続いて内部標準カンプトテシン溶液(中国食品医薬品制御研究所)50μLおよびアセトニトリル200μLを添加した。得られた溶液を5分間渦混合し、10分間遠心分離した(4000rpm)。4μLの上澄みをLC/MS/MS分析のために血漿試料から採取した。
【0246】
4.薬物動態パラメータの結果
【0247】
本開示の化合物の薬物動態パラメータを以下に示す。
[表6]
【0248】
結論:本開示の化合物はよく吸収され、有意な薬物動態学的利点を有する。
【誤訳訂正書】
【提出日】2022-02-22
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、医学の分野に属し、ピロロ複素環式誘導体、この誘導体のための調製方法及び医学におけるこの誘導体の用途に関する。特に、本開示は、式(I)のピロロ複素環式誘導体と、この誘導体を調製するための方法と、この誘導体を含む医薬組成物と、ERK媒介疾患及び障害を処置し、又はMAPK-ERKシグナル経路を阻害するためのERK阻害剤としてのこの誘導体の使用とに関する。
【背景技術】
【0002】
正常な細胞の増殖、分化、代謝及びアポトーシスは、体内においては、細胞シグナル伝達経路によって厳密に調節される。マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)は、シグナル伝達経路において極めて重要な役割を担い、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)は、MAPKファミリーのメンバーである。RAS-RAF-MEK-ERKの段階を経て、外因性刺激シグナルがERKに伝達され、活性化されたERKが細胞核の中に伝達されて、転写因子の活性を調節することにより、細胞増殖、分化及びアポトーシス等の細胞の生物学的機能を調節し、又は、細胞質中の細胞骨格の構成要素をリン酸化することにより、細胞形態の調節及び細胞骨格の再分配に関与する。
【0003】
RAS及びRAF遺伝子の変異により、MAPK-ERKシグナル伝達経路が活性化され続け、これにより、細胞の悪性トランスフォーメーション及び異常増殖が促進され、最終的には、腫瘍が発生する(Roberts PJら、Oncogene、2007、26(22)、3291~3310)。MEK阻害剤とB-RAF阻害剤との組合せにより、腫瘍増殖に対するB-RAF阻害剤の効果をさらに向上することが可能であり、BRAFV600E及びV600K変異を有するメラノーマ患者の無病進行及び全生存率を有意に改善することができる(Frederick DTら、Clinical Cancer Research、2013.19(5)、1225~1231)。B-RAF/MEK阻害剤の組合せは腫瘍を阻害することができるが、その有効性は長続きしない。大部分の患者は、2~18か月以内に薬物耐性を獲得し、腫瘍がさらに悪化する。B-RAF/MEK阻害剤に対する耐性のメカニズムは非常に複雑であるが、これは、大抵の場合、ERKシグナル伝達経路の再活性化に直接関連付けられている(Smalley Iら、Cancer Discovery、2018、8(2)、140~142)。したがって、新しいERK阻害剤の開発は、MAPKシグナル伝達経路に変異がある患者だけでなく、B-RAF/MEK阻害剤に対して耐性がある患者にとっても有効なものである。
【0004】
B-RAF/MEK阻害剤は、腫瘍増殖を阻害するだけでなく、腫瘍の免疫微小環境も調節する。B-RAF/MEK阻害剤は、腫瘍特異的な抗原の発現を増進し、抗原特異的T細胞による腫瘍の認識及び死滅を改善し、免疫細胞の遊走及び浸潤を促進することができる。動物モデルにおいては、B-RAF/MEK阻害剤による処置後、腫瘍組織におけるPD-L1の発現が増進した。チェックポイント分子(PD-1抗体、CTLA4抗体等)に対する抗体と組み合わせた場合、単独で使用されたB-RAF/MEK阻害剤より腫瘍増殖の阻害が効果的である(Boni Aら、Cancer Research、2010、70(13)、5213~5219)。研究により、ERK阻害剤は、B-RAF/MEK阻害剤に類似しており、ERK阻害剤とチェックポイント抗体との組合せにより、腫瘍の微小環境を調節し、細胞傷害性T細胞の機能を改善し、腫瘍増殖阻害効果をもたらすことができることが示されてきた。
【0005】
現在、数多くの化合物が開発されている。開発中の化合物の中でも、BioMed Valley Discoveriesによって開発されているBVD-523は、臨床第2相に入っており、Merckによって開発されているMK-8353及びAstexによって開発されているAstex-029は、臨床第1相に入っている。関連特許には、国際公開第1999/061440号、国際公開第2001/056557号、国際公開第2001/056993号、国際公開第2001/057022号、国際公開第2002/022601号、国際公開第2012/118850号、国際公開第2013/018733号、国際公開第2014/179154号、国際公開第2015/103133号、国際公開第2016/192063号、国際公開第2017/180817号及び国際公開第2018/049127号が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第1999/061440号
【特許文献2】国際公開第2001/056557号
【特許文献3】国際公開第2001/056993号
【特許文献4】国際公開第2001/057022号
【特許文献5】国際公開第2002/022601号
【特許文献6】国際公開第2012/118850号
【特許文献7】国際公開第2013/018733号
【特許文献8】国際公開第2014/179154号
【特許文献9】国際公開第2015/103133号
【特許文献10】国際公開第2016/192063号
【特許文献11】国際公開第2017/180817号
【特許文献12】国際公開第2018/049127号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Roberts PJら、Oncogene、2007、26(22)、3291~3310
【非特許文献2】Frederick DTら、Clinical Cancer Research、2013.19(5)、1225~1231
【非特許文献3】Smalley Iら、Cancer Discovery、2018、8(2)、140~142
【非特許文献4】Boni Aら、Cancer Research、2010、70(13)、5213~5219
【発明の概要】
【0008】
本開示の目的は、式(I)
【化1】

の化合物
若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩
(式中、
が、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル及びニトロからなる群より選択され、アルキルが任意選択により、NR、アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ及びヒドロキシアルキルからなる群より選択される1個又は複数個の置換基によって置換されていてもよく;
各Rが、同一であり、又は異なり、それぞれが、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ及びニトロからなる群より独立に選択され;
が、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールのそれぞれが任意選択により、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択される1個又は複数個の置換基によってさらに置換されていてもよく;
が、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ及びニトロからなる群より選択され;
各Rが、同一であり、又は異なり、それぞれが、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群より独立に選択され;
が、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ及びニトロからなる群より選択され;
及びRが、同一であり、又は異なり、それぞれが、水素原子、アルキル、ヒドロキシアルキル及びハロアルキルからなる群より独立に選択され;
mが、0、1、2、3、4及び5からなる群より選択され;
nが、0、1、2及び3からなる群より選択され;
zが、0、1、2、3及び4からなる群より選択され;
Qが、0、1及び2からなる群より選択される。)
を提供することである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩において、Rが、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル及びニトロからなる群より選択される。
【0010】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物は、式(I-P)
【化2】

の化合物
若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩
(式中、R~R、m、n、z及びQが、式(I)に規定されるとおりである。)
である。
【0011】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩において、Rが、水素原子である。
【0012】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩において、nが、1又は2である。
【0013】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物は、式(II)
【化3】

の化合物
若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩
(式中、R~R、m、z及びQが、式(I)に規定されるとおりである。)
である。
【0014】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物は、式(II-P)
【化4】

の化合物
若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩
(式中、R~R、m、z及びQが、式(I)に規定されるとおりである。)
である。
【0015】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩において、Rが、水素原子、アルキル、ヒドロキシ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル及びヒドロキシアルキルからなる群より選択され;好ましくは、Rが、水素原子、C1~6アルキル、ヒドロキシ、アミノC1~6アルキル、C1~6アルキルアミノC1~6アルキル及びC1~6ヒドロキシアルキルからなる群より選択され;より好ましくは、Rが、水素原子、メチル、ヒドロキシメチル、アミノメチル及びメチルアミノメチルからなる群より選択される。
【0016】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩において、Rが、水素原子、アルキル、ヒドロキシ、アミノアルキル及びヒドロキシアルキルからなる群より選択され;好ましくは、Rが、水素原子、C1~6アルキル、ヒドロキシ、アミノC1~6アルキル及びC1~6ヒドロキシアルキルからなる群より選択され;より好ましくは、Rが、水素原子、メチル、ヒドロキシメチル及びアミノメチルからなる群より選択される。
【0017】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物は、式(III)
【化5】

の化合物
若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩
(式中、
pが、0、1、2及び3からなる群より選択され、好ましくは1であり;
、R、R、R、m、n、z及びQが、式(I)に規定されるとおりである。)
である。
【0018】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物は、式(III-P)
【化6】

の化合物
若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩
(式中、
、R、R、R、m、n、z、p及びQが、式(III)に規定されるとおりである。)
である。
【0019】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩において、Rが、水素原子、ハロゲン及びアルキルからなる群より選択され;好ましくは、Rが、水素原子、ハロゲン及びC1~6アルキルからなる群より選択され;より好ましくは、Rが、C1~6アルキルである。
【0020】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩において、Rが、アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群より選択され、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びヘテロアリールのそれぞれが任意選択により、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ及びヒドロキシアルキルからなる群より選択される1個又は複数個の置換基によってさらに置換されていてもよく;好ましくは、Rが、C1~6アルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル及び5~10員ヘテロアリールからなる群より選択され、C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル及び5~10員ヘテロアリールのそれぞれが任意選択により、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ及びC1~6ヒドロキシアルキルからなる群より選択される1個又は複数個の置換基によってさらに置換されていてもよい。
【0021】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩において、Rが、ヘテロアリールであり、ヘテロアリールが任意選択により、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ及びヒドロキシアルキルからなる群より選択される1個又は複数個の置換基によってさらに置換されていてもよく;好ましくは、Rが、5~10員ヘテロアリールであり、5~10員ヘテロアリールが任意選択により、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ及びC1~6ヒドロキシアルキルからなる群より選択される1個又は複数個の置換基によってさらに置換されていてもよく;好ましくは、Rが、ピラゾリルであり、ピラゾリルが任意選択により、C1~6アルキル、好ましくはメチルによって置換されていてもよい。
【0022】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩において、Rが、水素原子、アルキル、アルコキシ及びハロゲンからなる群より選択され;好ましくは、Rが、水素原子、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ及びハロゲンからなる群より選択される。
【0023】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩において、Rが、水素原子である。
【0024】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩において、mが、1又は2である。
【0025】
本開示の好ましい一実施形態では、式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩において、zが、0又は1である。
【0026】
典型的な本開示の化合物には、限定されるわけではないが、以下の化合物、若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0027】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【0028】
別の態様において、本開示は、式(IIIA)
【化7】

の化合物
若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩
(式中、
が、ヒドロキシ保護基であり;
、R、R、R、m、n、p、Q及びzが、式(III)に規定されるとおりである。)
に関する。
【0029】
別の態様において、本開示は、式(III-PA)
【化8】

の化合物
若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩
(式中、
が、ヒドロキシ保護基であり;
、R、R、R、m、n、p、Q及びzが、式(III)に規定されるとおりである。)
に関する。
【0030】
典型的な本開示の式(IIIA)の化合物には、限定されるわけではないが、以下の化合物、若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0031】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【0032】
別の態様において、本開示は、
酸性条件下で式(IIIA)の化合物からヒドロキシ保護基Rを除去して、式(III)の化合物を得るステップ
【化9】
(式中、
ヒドロキシ保護基Rが、好ましくは、TBSであり;
、R、R、R、m、n、p、Q及びzが、式(III)に規定されるとおりである。)
を含む、式(III)の化合物を調製するための方法に関する。
【0033】
別の態様において、本開示は、
酸性条件下で式(III-PA)の化合物からヒドロキシ保護基Rを除去して、式(III-P)の化合物を得るステップ
【化10】
(式中、
ヒドロキシ保護基Rが、好ましくは、TBSであり;
、R、R、R、m、n、p、Q及びzが、式(III)に規定されるとおりである。)
を含む、式(III-P)の化合物を調製するための方法に関する。
【0034】
別の態様において、本開示は、治療有効量の式(I)若しくは式(II)若しくは式(III)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩と、1種又は複数種の薬学的に許容されるキャリア、希釈剤又は賦形剤とを含む、医薬組成物に関する。
【0035】
本開示は、ERKを阻害するための医薬の調製における、式(I)若しくは式(II)若しくは式(III)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、若しくはこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩、又は、前述のものを含む医薬組成物の使用にさらに関する。
【0036】
本開示は、がん、炎症又は他の増殖性疾患、好ましくはがんの処置又は予防のための医薬の調製における、式(I)若しくは式(II)若しくは式(III)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、若しくはこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩、又は、前述のものを含む医薬組成物の使用であって、がんが、メラノーマ、肝臓がん、腎臓がん、肺がん(非小細胞肺がん又は小細胞肺がん等)、鼻咽腔がん、大腸がん、膵臓がん、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、膀胱がん、前立腺がん、白血病、頭頸部扁平上皮細胞がん、子宮頸部の癌腫、甲状腺がん、リンパ腫、肉腫、神経芽細胞腫、脳腫瘍、骨髄腫(多発性骨髄腫等)、アストロサイトーマ及びグリオーマからなる群より選択される、使用にさらに関する。
【0037】
本開示は、治療有効量の式(I)若しくは式(II)若しくは式(III)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、若しくはこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩、又は、前述のものを含む医薬組成物を、それを必要としている患者に投与するステップを含む、ERKを阻害するための方法にも関する。
【0038】
本開示は、治療有効量の式(I)若しくは式(II)若しくは式(III)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、若しくはこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩、又は、前述のものを含む医薬組成物を、それを必要としている患者に投与するステップを含む、ERK媒介疾患を処置又は予防するための方法にも関する。
【0039】
本開示は、治療有効量の式(I)若しくは式(II)若しくは式(III)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、若しくはこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩、又は、前述のものを含む医薬組成物を、それを必要としている患者に投与するステップを含む、がん、炎症又は他の増殖性疾患、好ましくはがんを処置又は予防するための方法であって、がんが、メラノーマ、肝臓がん、腎臓がん、肺がん(非小細胞肺がん又は小細胞肺がん等)、鼻咽腔がん、大腸がん、膵臓がん、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、膀胱がん、前立腺がん、白血病、頭頸部扁平上皮細胞がん、子宮頸部の癌腫、甲状腺がん、リンパ腫、肉腫、神経芽細胞腫、脳腫瘍、骨髄腫(多発性骨髄腫等)、アストロサイトーマ及びグリオーマからなる群より選択される、方法にも関する。
【0040】
本開示は、医薬としての使用のための、式(I)若しくは式(II)若しくは式(III)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、若しくはこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩、又は、前述のものを含む医薬組成物にも関する。
【0041】
本開示は、ERK阻害剤としての使用のための、式(I)若しくは式(II)若しくは式(III)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、若しくはこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩、又は、前述のものを含む医薬組成物にも関する。
【0042】
本開示は、ERK媒介疾患の処置又は予防における使用のための、式(I)若しくは式(II)若しくは式(III)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、若しくはこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩、又は、前述のものを含む医薬組成物にも関する。
【0043】
本開示は、がん、炎症又は他の増殖性疾患、好ましくはがんの処置又は予防における使用のための、式(I)若しくは式(II)若しくは式(III)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、若しくはこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩、又は、前述のものを含む医薬組成物であって、がんが、メラノーマ、肝臓がん、腎臓がん、肺がん(非小細胞肺がん又は小細胞肺がん等)、鼻咽腔がん、大腸がん、膵臓がん、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、膀胱がん、前立腺がん、白血病、頭頸部扁平上皮細胞がん、子宮頸部の癌腫、甲状腺がん、リンパ腫、肉腫、神経芽細胞腫、脳腫瘍、骨髄腫(多発性骨髄腫等)、アストロサイトーマ及びグリオーマからなる群より選択される、式(I)若しくは式(II)若しくは式(III)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、若しくはこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩、又は、前述のものを含む医薬組成物にも関する。
【0044】
活性化合物は、任意の適切な経路による投与に適した形態に調製することが可能であり、活性化合物は好ましくは、単位用量形態、又は患者が単一の用量で自己投与することができる形態である。本開示の化合物又は組成物の単位用量は、錠剤、カプセル剤、カシェ剤、ボトル入りシロップ剤、散剤、顆粒剤、口中錠、坐剤、再生散剤(regenerated powder)又は液体製剤の形態で表すことができる。
【0045】
一般に、本開示の処置方法において使用される化合物又は組成物の投薬量は、疾患の重症度、患者の体重及び本化合物の相対的な有効性に応じて変化する。しかしながら、一般的な目安として、適切な単位用量は、0.1~1000mgであり得る。
【0046】
活性化合物の他にも、本開示の医薬組成物は、充填剤(希釈剤)、バインダー、湿潤剤、崩壊剤及び賦形剤等を含む、1種又は複数種の補助剤を含むこともできる。投与様式に応じて、本組成物は、0.1~99重量%の活性化合物を含むことができる。
【0047】
活性成分を含む医薬組成物は、経口投与に適した形態、例えば、錠剤、トローチ剤、口中錠、水性若しくは油性懸濁剤、分散可能な散剤若しくは顆粒剤、乳剤、硬カプセル剤若しくは軟カプセル剤、シロップ剤又はエリキシル剤であってもよい。経口用組成物は、医薬組成物を調製するための当技術分野で公知の任意の方法によって調製することができる。このような組成物は、心地よく味もよい医薬製剤を作製するために、甘味料、風味剤、着色料及び保存料からなる群より選択される1種又は複数種の原材料を含有することができる。錠剤は、錠剤の製造に適した薬学的に許容される毒性のない賦形剤と混和した活性成分を含有する。
【0048】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混和した活性成分を含む。水性懸濁液は、エチルパラベン又はn-プロピルパラベン等の1種又は複数種の保存料、1種又は複数種の着色料、1種又は複数種の風味剤及び1種又は複数種の甘味料を含んでもよい。
【0049】
油性懸濁液は、植物油への活性成分の懸濁によって配合することができる。油性懸濁液は、増粘剤を含有してもよい。上記甘味料及び風味剤を添加して、味のよい製剤を作製することができる。
【0050】
分散剤又は湿潤剤、懸濁剤又は1種又は複数種の保存料と混和した活性成分は、水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散可能な散剤又は顆粒剤として調製することができる。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、上記ですでに言及したものによって例示されている。甘味料、風味剤及び着色料等のさらなる賦形剤が添加されてもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸等の抗酸化剤の添加によって保存することができる。
【0051】
本開示の医薬組成物は、水中油型エマルションの形態であってもよい。
【0052】
医薬組成物は、無菌注射用水溶液の形態であってもよい。使用され得る許容される賦形薬又は溶媒は、水、リンゲル液又は等張塩化ナトリウム溶液である。無菌注射製剤は、活性成分が油相に溶解された、無菌注射用水中油型マイクロエマルションであってもよい。例えば、活性成分は、ダイズ油とレシチンとの混合物に溶解される。この油性溶液は次いで、水とグリセロールとの混合物に加えられ、マイクロエマルションを形成するように処理される。注射液又はマイクロエマルションは、局所的なボーラス注射によって、患者の血流に導入することができる。代替的には、注射液及びマイクロエマルションは好ましくは、本発明の化合物の血中濃度を一定に維持するように投与される。この一定の濃度を維持するために、連続式静脈内送達デバイスが使用されてもよい。このようなデバイスの一例は、Deltec CADD-PLUS(商標)5400静脈内注射用ポンプである。
【0053】
医薬組成物は、筋肉内投与及び皮下投与のための無菌注射用水性又は油性懸濁液形態であってもよい。このような懸濁液は、公知の技法によって上記の適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤と配合することができる。無菌注射製剤は、非経口用として許容される毒性のない希釈剤又は溶媒に取り込ませた状態に調製された、無菌注射液又は懸濁液であってもよい。さらに、無菌固定油は、溶媒又は懸濁媒体として容易に使用することができる。
【0054】
本開示の化合物は、経直腸投与のための坐剤の形態で投与することができる。これらの医薬組成物は、薬物と、常温では固体であるが、直腸では液体になり、これにより、直腸内で溶融して、薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって調製することができる。このような材料には、ココアバター、グリセリンゼラチン、水素化植物油、様々な分子量を有するポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルが挙げられる。
【0055】
薬物の投薬量が種々の要因に依存することは当業者に公知であり、限定されるわけではないが、次の要因が挙げられる:特定の化合物の活性、患者の年齢、患者の体重、患者の総合的な健康、患者の行動、患者の食事、投与時間、投与経路、排泄速度及び薬物の併用等。さらに、処置様式、式(I)の化合物の1日用量又は薬学的に許容される式(I)の化合物の塩の種類等の最適な処置は、慣例的な治療レジメンによって検証することができる。
【0056】
用語の定義
そうではないとの記載がない限り、本明細書及び特許請求の範囲において使用されている用語は、下記に記載の意味を有する。
【0057】
「アルキル」という用語は、1~20個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖基、好ましくは、1~12個の炭素原子を有するアルキル、より好ましくは、1~6個の炭素原子を有するアルキルである、飽和脂肪族炭化水素基を指す。非限定的な例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチル、n-ヘプチル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、2,3-ジメチルペンチル、2,4-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、n-オクチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、n-ノニル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2,2-ジエチルペンチル、n-デシル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル及びこれらの様々な分岐状異性体が挙げられる。より好ましくは、アルキル基は、1~6個の炭素原子を有する低級アルキルであり、非限定的な例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル及び2,3-ジメチルブチル等が挙げられる。アルキルは、置換されていてもよいし、又は無置換であってもよい。置換された場合、置換基は、利用できる任意の結合点を置換されていてもよい。置換基は好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオ及びオキソからなる群より独立に選択される1個又は複数個の基である。
【0058】
「シクロアルキル」という用語は、3~20個の炭素原子、好ましくは3~12個の炭素原子、より好ましくは3~8個の炭素原子、最も好ましくは3~6個の炭素原子(例えば、3個、4個、5個又は6個の炭素原子)を有する、飽和又は部分不飽和単環式又は多環式炭化水素置換基を指す。単環式シクロアルキルの非限定的な例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプタトリエニル及びシクロオクチル等が挙げられ、好ましくは、シクロアルキルが挙げられる。多環式シクロアルキルは、スピロ環、縮合環又は架橋環を有するシクロアルキルを含む。
【0059】
「スピロシクロアルキル」という用語は、1個の共有炭素原子(スピロ原子と呼ばれる)を介して個別の環が結合しており、これらの環が1個又は複数個の二重結合を含み得るが、いずれの環も完全に共役したπ電子系を有さない、5~20員多環式基を指す。スピロシクロアルキルは、好ましくは6~14員スピロシクロアルキル、より好ましくは7~10員スピロシクロアルキルである。環どうしの間で共有されるスピロ原子の数に応じて、スピロシクロアルキルは、モノスピロシクロアルキル、ジスピロシクロアルキル又はポリスピロシクロアルキルに分類することができ、スピロシクロアルキルは、好ましくは、モノスピロシクロアルキル又はジスピロシクロアルキルであり、より好ましくは、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員又は5員/6員モノスピロシクロアルキルである。スピロシクロアルキルの非限定的な例には、
【化11】
が挙げられる。
【0060】
「縮合シクロアルキル」という用語は、系に含まれる各環が、別の環との間で隣接する1組の炭素原子を共有し、1個又は複数個の環が1個又は複数個の二重結合を含み得るが、いずれの環も完全に共役したπ電子系を有さない、すべてが炭素の5~20員の多環式基を指す。縮合シクロアルキルは、好ましくは6~14員縮合シクロアルキル、より好ましくは7~10員縮合シクロアルキルである。員環の数に応じて、縮合シクロアルキルは、二環式、三環式、四環式又は多環式縮合シクロアルキルに分類することができ、縮合シクロアルキルは、好ましくは、二環式又は三環式縮合シクロアルキルであり、より好ましくは、5員/5員又は5員/6員二環式縮合シクロアルキルである。縮合シクロアルキルの非限定的な例には、
【化12】
が挙げられる。
【0061】
「架橋シクロアルキル」という用語は、系に含まれる2個ごとの環が、連結していない2個の炭素原子を共有し、これらの環が1個又は複数個の二重結合を有し得るが、いずれの環も完全に共役したπ電子系を有さない、すべてが炭素の5~20員の多環式基を指す。架橋シクロアルキルは、好ましくは6~14員架橋シクロアルキル、より好ましくは7~10員架橋シクロアルキルである。員環の数に応じて、架橋シクロアルキルは、二環式、三環式、四環式又は多環式架橋シクロアルキルに分類することができ、架橋シクロアルキルは、好ましくは二環式、三環式又は四環式架橋シクロアルキル、より好ましくは二環式又は三環式架橋シクロアルキルである。架橋シクロアルキルの非限定的な例には、
【化13】
が挙げられる。
【0062】
シクロアルキル(単環式シクロアルキル、スピロシクロアルキル、縮合シクロアルキル及び架橋シクロアルキルを含む)環は、親構造に結合した環がシクロアルキルであるアリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルの環に縮合していてもよい。非限定的な例には、インダニル、テトラヒドロナフチル及びベンゾシクロヘプチル等が挙げられ、好ましくはベンゾシクロペンチル、テトラヒドロナフチルが挙げられる。
【0063】
シクロアルキルは、任意選択により、置換されていてもよいし、又は無置換であってもよい。置換された場合、置換基は好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオ及びオキソからなる群より独立に選択される1個又は複数個の基である。
【0064】
「アルコキシ」という用語は、-O-(アルキル)又は-O-(無置換シクロアルキル)基を指し、アルキル又はシクロアルキルは、上記に規定されるとおりである。アルコキシの非限定的な例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシが挙げられる。アルコキシは、任意選択により、置換されていてもよいし、又は無置換であってもよい。置換された場合、置換基は好ましくは、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群より独立に選択される1個又は複数個の基である。
【0065】
「ヘテロシクリル」という用語は、1個又は複数個の環原子が、N、O、S、S(O)及びS(O)からなる群より選択されるヘテロ原子であるが、環の中に-O-O-、-O-S-又は-S-S-を含まず、残りの環原子が炭素原子である、3~20員飽和又は部分不飽和単環式又は多環式炭化水素置換基を指す。好ましくは、ヘテロシクリルは、1~4個の原子がヘテロ原子である3~12個の環原子を有し;好ましくは、1~3個の原子がヘテロ原子である3~8個の環原子を有し;好ましくは、1~3個の原子がヘテロ原子である3~6個の環原子を有する。単環式ヘテロシクリルの非限定的な例には、アゼチジニル、ピロリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピロリニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル及びホモピペラジニル等が挙げられ、好ましくはテトラヒドロピラニル、ピペリジニル、ピロリジニルが挙げられる。多環式ヘテロシクリルは、スピロ環、縮合環又は架橋環を有するヘテロシクリルを含む。
【0066】
「スピロヘテロシクリル」という用語は、1個の共有原子(スピロ原子と呼ばれる)を介して個別の環が結合しており、1個又は複数個の環原子が、N、O、S、S(O)及びS(O)からなる群より選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素原子であり、これらの環が1個又は複数個の二重結合を含み得るが、いずれの環も完全に共役したπ電子系を有さない、5~20員多環式ヘテロシクリル基を指す。スピロヘテロシクリルは、好ましくは6~14員スピロヘテロシクリル、より好ましくは7~11員スピロヘテロシクリルである。環どうしの間で共有されるスピロ原子の数に応じて、スピロヘテロシクリルは、モノスピロヘテロシクリル、ジスピロヘテロシクリル又はポリスピロヘテロシクリルに分類され、スピロヘテロシクリルは、好ましくは、モノスピロヘテロシクリル又はジスピロヘテロシクリルであり、より好ましくは、4員/4員、4員/5員、4員/6員、5員/5員又は5員/6員モノスピロヘテロシクリルである。スピロヘテロシクリルの非限定的な例には、
【化14】
が挙げられる。
【0067】
「縮合ヘテロシクリル」という用語は、系に含まれる各環が、別の環との間で隣接する1組の炭素原子を共有し、1個又は複数個の環が1個又は複数個の二重結合を含み得るが、いずれの環も完全に共役したπ電子系を有さず、1個又は複数個の環原子が、N、O及びS(O)(式中、mが、0~2の整数である。)からなる群より選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素原子である、5~20員多環式ヘテロシクリル基を指す。縮合ヘテロシクリルは、好ましくは6~14員縮合ヘテロシクリル、より好ましくは7~11員縮合ヘテロシクリルである。員環の数に応じて、縮合ヘテロシクリルは、二環式、三環式、四環式又は多環式縮合ヘテロシクリルに分類することができ、縮合ヘテロシクリルは、好ましくは二環式又は三環式縮合ヘテロシクリル、より好ましくは5員/5員又は5員/6員二環式縮合ヘテロシクリルである。縮合ヘテロシクリルの非限定的な例には、
【化15】
が挙げられる。
【0068】
「架橋ヘテロシクリル」という用語は、系に含まれる2個ごとの環が、連結していない2個の原子を共有し、これらの環が1個又は複数個の二重結合を有し得るが、いずれの環も完全に共役したπ電子系を有さず、1個又は複数個の環原子が、N、O及びS(O)(式中、mが、0~2の整数である。)からなる群より選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素原子である、5~14員多環式ヘテロシクリル基を指す。架橋ヘテロシクリルは、好ましくは6~14員架橋ヘテロシクリル、より好ましくは7~11員架橋ヘテロシクリルである。員環の数に応じて、架橋ヘテロシクリルは、二環式、三環式、四環式又は多環式架橋ヘテロシクリルに分類することができ、架橋ヘテロシクリルは、好ましくは二環式、三環式又は四環式架橋ヘテロシクリル、より好ましくは二環式又は三環式架橋ヘテロシクリルである。架橋ヘテロシクリルの非限定的な例には、
【化16】
が挙げられる。
【0069】
ヘテロシクリル(単環式ヘテロシクリル、スピロヘテロシクリル、縮合ヘテロシクリル及び架橋ヘテロシクリルを含む)環は、親構造に結合した環がヘテロシクリルであるアリール、ヘテロアリール又はシクロアルキルの環に縮合していてもよい。その非限定的な例には、
【化17】
等が挙げられる。
【0070】
ヘテロシクリルは、任意選択により、置換されていてもよいし、又は無置換であってもよい。置換された場合、置換基は好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ、ヘテロシクリルチオ及びオキソからなる群より独立に選択される1個又は複数個の基である。
【0071】
「アリール」という用語は、共役π電子系を有するすべてが炭素の6~20員の単環式環又は多環式縮合環(すなわち、系に含まれる各環が、系に含まれる別の環との間で隣接する1組の炭素原子を共有する)、好ましくは6~10員アリール、より好ましくは6員アリール、例えばフェニル及びナフチルを指す。アリール環は、親構造に結合した環がアリール環であるヘテロアリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキルの環に縮合していてもよい。その非限定的な例には、
【化18】
が挙げられる。
【0072】
アリールは、置換されていてもよいし、又は無置換であってもよい。置換された場合、置換基は好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ及びヘテロシクリルチオからなる群より独立に選択される1個又は複数個の基である。
【0073】
「ヘテロアリール」という用語は、O、S及びNからなる群より選択される1~4個のヘテロ原子を有する、5~20員ヘテロ芳香族系を指す。ヘテロアリールは、好ましくは、1~3個のヘテロ原子を有する5~10員ヘテロアリールであり、より好ましくは、1~3個のヘテロ原子を有する5又は6員ヘテロアリールである。非限定的な例には例えば、ピラゾリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、オキサゾリル、ピロリニル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピリジル、ピリミジニル、チアジアゾリル及びピラジニル等が挙げられる。ヘテロアリール環は、親構造に結合した環がヘテロアリール環であるアリール、ヘテロシクリル又はシクロアルキルの環に縮合していてもよい。その非限定的な例には、
【化19】
が挙げられる。
【0074】
ヘテロアリールは、任意選択により、置換されていてもよいし、又は無置換であってもよい。置換された場合、置換基は好ましくは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルアミノ、ハロゲン、チオール、ヒドロキシ、ニトロ、シアノ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルコキシ、ヘテロシクロアルコキシ、シクロアルキルチオ及びヘテロシクリルチオからなる群より独立に選択される1個又は複数個の基である。
【0075】
「シクロアルキルオキシ」という用語は、シクロアルキルが上記に規定されるとおりである、-O-シクロアルキル基を指す。
【0076】
「ハロアルキル」という用語は、アルキルが上記に規定されるとおりである、ハロゲンによって置換されたアルキル基を指す。
【0077】
「ハロアルコキシ」という用語は、アルコキシが上記に規定されるとおりである、ハロゲンによって置換されたアルコキシ基を指す。
【0078】
「ヒドロキシアルキル」という用語は、アルキルが上記に規定されるとおりである、ヒドロキシによって置換されたアルキル基を指す。
【0079】
「アミノアルキル」という用語は、アルキルが上記に規定されるとおりである、アミノによって置換されたアルキル基を指す。
【0080】
「アルキルアミノアルキル」という用語は、アルキルが上記に規定されるとおりである、アルキルアミノによって置換されたアルキル基を指す。
【0081】
「ヒドロキシ」という用語は、-OH基を指す。
【0082】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0083】
「アミノ」という用語は、-NH基を指す。
【0084】
「シアノ」という用語は、-CN基を指す。
【0085】
「ニトロ」という用語は、-NO基を指す。
【0086】
「ホルミル」という用語は、-C(O)H基を指す。
【0087】
「カルボキシ」という用語は、-C(O)OH基を指す。
【0088】
「アルコキシカルボニル」という用語は、アルキル及びシクロアルキルが上記に規定されるとおりである、-C(O)O(アルキル)基又は-C(O)O(シクロアルキル)基を指す。
【0089】
「任意選択による」又は「任意選択により」は、後に続けて記載された事象又は状況が発生してもよいが、発生しなくてもよいことを意味し、このような記載は、前述の事象又は状況が発生する状況又は発生しない状況を含む。例えば、「任意選択によりアルキルによって置換されたヘテロシクリル」は、アルキル基が存在してもよいが、存在しなくてもよいことを意味し、このような記載は、ヘテロシクリルがアルキルによって置換されている状況と、ヘテロシクリルがアルキルによって置換されていない状況とを含む。
【0090】
「置換された」は、ある基に含まれる1個又は複数個の水素原子、好ましくは最大5個の水素原子、より好ましくは1~3個の水素原子が、対応する数の置換基によって独立に置換されたことを指し、各置換基は、独立の選択肢を有する(すなわち、これらの置換基は、同一であってもよいし、又は異なってもよい。)。言うまでもなく、置換基は、可能な化学的位置にのみ存在する。当業者は、過度の労力を費やすことなく、実験又は理論によって置換が可能であるか不可能であるかを判定することができる。例えば、遊離水素を有するアミノ又はヒドロキシと、(オレフィン性不飽和結合等)の不飽和結合を有する炭素原子との組合せは、不安定なものであり得る。
【0091】
「医薬組成物」という用語は、本明細書に記載の化合物又はその生理学的/薬学的に許容される塩若しくはプロドラッグのうちの1種又は複数種と、他の化学成分並びに生理学的/薬学的に許容されるキャリア及び賦形剤等の他の成分との混合物を指す。医薬組成物の目的は、生物学的活性を示すように活性成分の吸収を助長する、化合物の有機体への投与を容易にすることである。
【0092】
「薬学的に許容される塩」は、ほ乳類において安全で有効なものであり、所望の生物学的活性を有する、本開示の化合物の塩を指す。
【0093】
本開示の化合物は、本開示の化合物の同位体誘導体も含み得る。「同位体誘導体」という用語は、1個又は複数個の同位体増加原子が存在するという点のみ構造が異なる、化合物を指す。例えば、「重水素」又は「三重水素」によって水素を置きかえたこと、又は18Fフッ素標識(18F同位体)によってフッ素を置きかえたこと、又は11C増加炭素、13C増加炭素若しくは14C増加炭素(11C炭素標識、13C炭素標識若しくは14C炭素標識;11C同位体、13C同位体若しくは14C同位体)によって炭素を置きかえたことを除いて本開示の構造を有する化合物は、本開示の範囲に含まれる。このような化合物は例えば、生物学的アッセイにおける分析ツール若しくはプローブとして使用することもできるし、又は、疾患のインビボ診断用イメージングのためのトレーサーとして使用することもできるし、又は、薬力学、薬物動態学若しくは受容体の研究のためのトレーサーとして使用することもできる。一般に、重水素化された化合物は、重水素化されていない化合物と同等の活性を保持することが可能であり、特定の特異的な部位を重水素化された場合、得られた化合物は、向上した代謝安定性を獲得することができ、これにより、特定の治療的利点(インビボ半減期の延長又は必要投薬量の削減等)をもたらすことができる。
【0094】
薬物又は薬理学的に活性な作用物質に関する場合、「治療有効量」という用語は、毒性はないが所望の効果を得ることができるのに十分な量の薬物又は作用物質を指す。この治療有効量の判定は、レシピエントの年齢及び全身状態と、特定の活性物質とに応じて個人個人で異なる。ある症例における適切な有効量は、当業者ならば、通例の実験によって判定することができる。
【0095】
本開示の化合物の合成法
本開示の目的を達成するために、本開示は、下記の技術的解決法を適用する。
【0096】
スキームI
酸性条件下において溶媒中で式(IIIA)の化合物からヒドロキシ保護基Rを除去して、式(III)の化合物を得るステップ
【化20】
(式中、
ヒドロキシ保護基Rが、好ましくは、TBSであり;
、R、R、R、m、n、p、Q及びzが、式(III)に規定されるとおりである。)
を含む、本開示による式(III)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩を調製するための方法。
スキームII
別の態様において、本開示は、
酸性条件下において溶媒中で式(III-PA)の化合物からヒドロキシ保護基Rを除去して、式(III-P)の化合物を得るステップ
【化21】
(式中、
ヒドロキシ保護基Rが、好ましくは、TBSであり;
、R、R、R、m、n、p、Q及びzが、式(III)に規定されるとおりである。)
を含む、式(III-P)の化合物を調製するための方法に関する。
【0097】
酸性条件を生じさせる試薬には、限定されるわけではないが、塩化水素、トリフルオロ酢酸、ギ酸、酢酸、塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、硝酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、MeSiCl及びTMSOTが挙げられ;好ましくは、トリフルオロ酢酸が挙げられる。
【0098】
アルカリ性状態を生じさせる試薬は、有機塩基及び無機塩基を含む。有機塩基には、限定されるわけではないが、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、酢酸カリウム、ナトリウムtert-ブトキシド及びカリウムtert-ブトキシドが挙げられる。無機塩基には、限定されるわけではないが、水素化ナトリウム、リン酸カリウム、炭酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム及び水酸化カリウムが挙げられる。
【0099】
ヒドロキシ保護基を除去する脱保護反応は、当技術分野において周知であり、ヒドロキシ保護基は、例えば、T.GreeneらによるProtecting Group in Organic Synthesisに記載の保護基である。一般には、ヒドロキシ保護基としてテトラヒドロピラン-2-イル及びtert-ブチルジメチルシリルを使用することが好ましく;好ましくは、tert-ブチルジメチルシリル(TBS)を使用する。
【0100】
ヒドロキシ保護試薬には、限定されるわけではないが、メトキシメチルエーテル、2-メトキシエトキシメチルエーテル、テトラヒドロピランエーテル、ベンジルエーテル、p-メトキシベンジルエーテル、トリメチルシリルエーテル、トリエチルシリルエーテル、トリイソプロピルシリルエーテル、tert-ブチルジメチルシリルエーテル、tert-ブチルジメチルクロロシラン、トリフェニルメチルシリルエーテル、アセテート、置換アセテート、ピバロエート(pivaloate)、ベンゾエート、メタンスルホネート及びp-トルエンスルホネート;好ましくは、tert-ブチルジメチルクロロシラン(TBSCl)が挙げられる。
【0101】
上記反応は、好ましくは、溶媒中で実施される。使用される溶媒には、限定されるわけではないが、酢酸、メタノール、エタノール、n-ブタノール、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、石油エーテル、エチルアセテート、n-ヘキサン、ジメチルスルホキシド、1,4-ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、水及びN,N-ジメチルホルムアミド並びにこれらの混合物;好ましくは、ジクロロメタンが挙げられる。
【0102】
1つ以上の本開示の実施形態の詳細が上記明細書には記載されている。本明細書に記載されたものに類似する又は同一の任意の方法及び材料を使用して、本開示を実施し、又は試験することができるが、好ましい方法及び材料を以下に説明する。本明細書及び特許請求の範囲を通して、本開示に関する他の特徴、目的及び利点が明らかになろう。本明細書及び特許請求の範囲においては、そうではないと文脈により明確に示されていない限り、単数形は、複数の参照対象も含む。そうではないとの規定がない限り、本明細書において使用されているすべての専門用語及び科学技術用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって理解される通常の意味を有する。本明細書において引用されたすべての特許及び刊行物は、参照により組み込まれる。下記の例は、本開示の好ましい実施形態をより完全に説明するために提供されている。これらの例は、いかなる点においても本開示の範囲を限定するものとして解されるべきでなく、本開示の範囲は、特許請求の範囲によって規定される。
【0103】
詳細な説明
【実施例
【0104】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)及び/又は質量分析(MS)によって同定する。NMRシフト(δ)は、10-6(ppm)単位で与えられている。NMRは、Bruker AVANCE-400マシンによって測定する。測定用の溶媒は、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO-d)、重水素化クロロホルム(CDCl)及び重水素化メタノール(CDOD)であり、内部標準は、テトラメチルシラン(TMS)である。
【0105】
MSは、Agilent 1200/1290DAD-6110/6120四重極MS液体クロマトグラフ/質量分析計(製造業者:Agilent、MSモデル:6110/6120四重極MS)、waters ACQuity UPLC-QD/SQD(製造業者:waters、MSモデル:waters ACQuity Qda検出器/waters SQ検出器)、THERMO Ultimate 3000-Q Exactive(製造業者:THERMO、MSモデル:THERMO Q Exactive)によって測定される。
【0106】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)は、Agilent HPLC 1200DAD、Agilent HPLC 1200VWD及びWaters HPLC e2695-2489高圧液体クロマトグラフによって測定される。
【0107】
キラルHPLCは、Agilent 1260 DAD高速液体クロマトグラフによって測定される。
【0108】
分取クロマトグラフィーは、Waters2545-2767、Waters2767-SQ Detecor2、Shimadzu LC-20AP及びGilson GX-281分取クロマトグラフによって実施される。
【0109】
キラル調製は、Shimadzu LC-20AP分取クロマトグラフによって実施される。
【0110】
使用されたCombiFlash迅速調製機器は、Combiflash Rf200(TELEDYNE ISCO)である。
【0111】
Yantai Huanghai HSGF254又はQingdao GF254シリカゲルプレートが、薄層シリカゲルクロマトグラフィー(TLC)プレートとして使用される。TLCにおいて使用されたシリカゲルプレートの寸法は、0.15mm~0.2mmであり、生成物精製において使用されたシリカゲルプレートの寸法は、0.4mm~0.5mmである。
【0112】
一般に、Yantai Huanghai 200~300メッシュシリカゲルが、シリカゲルカラムクロマトグラフィー用のキャリアとして使用される。
【0113】
平均キナーゼ阻害率及びIC50値は、NovoStarマイクロプレートリーダー(BMG Co.、ドイツ)によって測定される。
【0114】
本開示に関する公知の出発物質は、当技術分野において公知の方法によって調製することもできるし、又はABCR GmbH&Co.KG、Acros Organics、Aldrich Chemical Company、Accela ChemBio Inc.、Dari Chemical Company等から購入することもできる。
【0115】
そうではないとの記載がない限り、反応は、アルゴン雰囲気下又は窒素雰囲気下で実施することができる。
【0116】
「アルゴン雰囲気」又は「窒素雰囲気」は、反応フラスコにアルゴン又は窒素バルーン(約1L)が装着されていることを意味する。
【0117】
「水素雰囲気」は、反応フラスコに水素バルーン(約1L)が装着されていることを意味する。
【0118】
加圧水素化反応は、Parr 3916EKX水素化機器及びQinglan QL-500水素発生装置又はHC2-SS水素化機器によって実施される。
【0119】
水素化反応中、一般に、反応系は、真空引きされ、水素を充填されるが、前述の操作は、3回繰り返される。
【0120】
CEM Discover-S 908860型マイクロ波反応器が、マイクロ波反応において使用される。
【0121】
そうではないとの記載がない限り、溶液は、水溶液を指す。
【0122】
そうではないとの記載がない限り、反応温度は、20℃~30℃の室温である。
【0123】
例における反応プロセスは、薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニタリングされている。反応に使用された展開溶媒、カラムクロマトグラフィーの溶離液系及び化合物の精製のための薄層クロマトグラフィーの展開溶媒系は、A:ジクロロメタン/メタノール系、B:n-ヘキサン/エチルアセテート系及びC:石油エーテル/エチルアセテート系を含む。溶媒の体積の比は、化合物の極性に応じて調整されるが、調整のために、少量のトリエチルアミン等のアルカリ性試薬又は酢酸等の酸性試薬を加えることもできる。
【0124】
(実施例1)
(S)-2-(1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン1
【化22】
ステップ1
(S)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)エタン-1-アミン1a
(S)-2-アミノ-2-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)エタン-1-オール1k(2g、10.8mmol、Shanghai Haohong Biomedical Technology Co.,Ltd.)及びイミダゾール(1.47g、21.6mmol)を80mLのジクロロメタンに溶解させた後、氷浴中でtert-ブチルジメチルクロロシラン(TBSCl、2.44g、16.19mmol)を加えた。反応溶液を14時間撹拌した後、水を加え、ジクロロメタン(80mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過した。減圧下でろ液を濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物1a(2.0g)を得た。収率:61.8%。
MS m/z(ESI):300.2[M+1]。
【0125】
ステップ2
(S)-N-((4-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)エタン-1-アミン1c
(S)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)エタン-1-アミン1a(516mg、1.72mmol)及び化合物4-ブロモ-1H-ピロール-2-カルバルデヒド1b(300mg、1.72mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)を撹拌し、3時間反応させた。5mLのメタノールによって反応溶液を希釈し、0℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(65mg、1.72mmol)を加え、反応溶液を2時間撹拌した。水を加え、減圧下で反応溶液を濃縮した。水を加え、反応溶液をエチルアセテート(10mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過した。減圧下でろ液を濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物1c(500mg)を得た。収率:63%。
MS m/z(ESI):457.1[M+1]。
【0126】
ステップ3
(S)-6-ブロモ-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)エチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン1d
化合物1c(400mg、0.9mmol)を40mLのテトラヒドロフランに溶解させた後、氷浴中でN,N’-カルボニルジイミダゾール(219mg、1.36mmol)を加え、反応溶液を0.5時間撹拌した。水素化ナトリウム(60%、69mg、1.8mmol)を加え、反応溶液を14時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えた。反応溶液を減圧下で濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物1d(400mg)を得た。収率:94%。
MS m/z(ESI):483.2[M+1]。
【0127】
ステップ4
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)エチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン1e
アルゴン雰囲気下、化合物1d(360mg、0.75mmol)を50mLの1,4-ジオキサンに溶解させた後、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)(189mg、0.76mmol)、酢酸カリウム(219mg、2.23mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(109g、0.15mmol)を順次加えた。反応溶液を90℃で2時間撹拌し、冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物1e(100mg)を得た。収率:25%。
MS m/z(ESI):531.4[M+1]。
【0128】
ステップ5
4-クロロ-5-メチル-2-(メチルスルホニル)ピリミジン1i
4-クロロ-5-メチル-2-(メチルチオ)ピリミジン1h(500mg、2.86mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)を10mLのジクロロメタンに溶解させた後、m-クロロペルオキシ安息香酸(1.270g、6.3mmol)を加え、反応溶液を2時間撹拌した。反応溶液を飽和チオ硫酸ナトリウム溶液及び飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過した。減圧下でろ液を濃縮して、粗製表題化合物1i(445mg)を得、これを精製なしで次のステップに直接使用した。
MS m/z(ESI):207.2[M+1]。
【0129】
ステップ6
4-クロロ-5-メチル-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン1f
N-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)カルボキサミド1j(270mg、2.15mmol、「Bioorganic and Medicinal Chemistry、1997、5(3)、557~567」において開示された周知の方法によって調製)をN,N-ジメチルホルムアミドに溶解させた後、0℃で水素化ナトリウム(60%、250mg、6.5mmol)を加え、反応溶液を0.5時間撹拌した。化合物1i(445mg、2.15mmol)を加え、反応溶液を2時間さらに反応させた。20mLの水を加え、反応溶液をエチルアセテート(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、展開溶媒系Cを用いた薄層クロマトグラフィーによって得られた残留物を精製して、表題化合物1f(240mg)を得た。収率:49.7%。
MS m/z(ESI):224.3[M+1]。
【0130】
ステップ7
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3-オン1g
アルゴン雰囲気下、化合物1e(100mg、0.19mmol)、化合物1f(42mg、0.19mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(28mg、0.04mmol)及び炭酸セシウム(123mg、0.4mmol)の混合物を、30mLの1,4-ジオキサン及び4mLの水に懸濁させた。反応溶液を80℃に加熱し、14時間撹拌した。反応溶液を冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を収集し、エチルアセテート(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物1g(80mg)を得た。収率:72%。
MS m/z(ESI):592.1[M+1]。
【0131】
ステップ8
(S)-2-(1-(3-フルオロ-5-メトキシフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン1
化合物1g(80mg、0.14mmol)を20mLのジクロロメタンに溶解させた後、5mLのトリフルオロ酢酸を滴下した。添加が完了したら、反応溶液を4時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液によってpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(20mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物1(18mg)を得た。収率:28%。
MS m/z(ESI):478.3[M+1]。
H NMR(400MHz,CDOD):δ8.21(s,1H)、7.71(s,1H)、7.43(d,1H)、6.79-6.68(m,4H)、6.32(d,1H)、5.23-5.22(m,1H)、4.64(d,1H)、4.39-4.35(m,1H)、4.18-4.08(m,2H)、3.81(s,3H)、3.75(s,3H)、2.40(s,3H)。
【0132】
(実施例2)
(S)-6-(5-クロロ-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン2
【化23】

ステップ1
(S)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エタン-1-アミン2b
(S)-2-アミノ-2-(3-クロロフェニル)エタン-1-オール2a(4g、23.3mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)及びイミダゾール(3.2g、46.6mmol)を80mLのジクロロメタンに溶解させた後、氷浴中でtert-ブチルジメチルクロロシラン(5.2g、35mmol)を加え、反応溶液を14時間撹拌した。水を加え、反応溶液をジクロロメタン(80mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過した。減圧下でろ液を濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物2b(6.5g)を得た。収率:97%。
MS m/z(ESI):286.1[M+1]。
【0133】
ステップ2
(S)-N-((4-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エタン-1-アミン2c
化合物1b(2.37g、13.62mmol)及び化合物2b(3.9g、13.64mmol)を撹拌し、3時間反応させた。100mLのメタノールによって反応溶液を希釈し、0℃に冷却した後、水素化ホウ素ナトリウム(516mg、13.64mmol)を加え、2時間撹拌した。水を加え、減圧下で反応溶液を濃縮した。水を加え、反応溶液をエチルアセテート(40mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過した。減圧下でろ液を濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物2c(4.8g)を得た。収率:79%。
MS m/z(ESI):444.2[M+1]。
【0134】
ステップ3
(S)-6-ブロモ-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン2d
化合物2c(4.8g、10.81mmol)を100mLのテトラヒドロフランに溶解させた後、氷浴中でN,N’-カルボニルジイミダゾール(2.45g、15.11mmol)を加え、反応溶液を0.5時間撹拌した。水素化ナトリウム(60%、621mg、16.22μmol)を加え、反応溶液を室温で14時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えた。反応溶液を減圧下で濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物2d(4.0g)を得た。収率:78%。
MS m/z(ESI):469.1[M+1]。
【0135】
ステップ4
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン2e
アルゴン雰囲気下、化合物2d(4.0g、8.51mmol)を50mLの1,4-ジオキサンに溶解させた後、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)(3.24g、12.76mmol)、酢酸カリウム(3.34g、34.04mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(1.24g、1.70mmol)を順次加えた。反応溶液を90℃で2時間撹拌し、冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物2e(2.0g)を得た。収率:45%。
MS m/z(ESI):517.2[M+1]。
【0136】
ステップ5
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(2,5-ジクロロピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン2g
アルゴン雰囲気下、化合物2e(430mg、0.83mmol)、2,4,5-トリクロロピリミジン2f(183mg、0.99mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(60mg、0.08mmol)及び炭酸ナトリウム(175mg、1.65mmol)の混合物を、2mLの1,4-ジオキサン及び1mLの水に懸濁させた。アルゴンによって反応系をパージし、マイクロ波反応器内において85℃で1.5時間撹拌した。反応溶液を冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を収集し、エチルアセテート(10mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、濃縮し、展開溶媒系Cを用いた薄層クロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物2g(200mg)を得た。収率:44%。
MS m/z(ESI):537.1[M+1]。
【0137】
ステップ6
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-クロロ-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン2i
アルゴン雰囲気下、化合物2g(100mg、0.18mmol)を1mLの1,4-ジオキサンに溶解させた後、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(25mg、27.30μmol)、4,5-ビス(ジフェニルホスフィノ)-9,9-ジメチルキサンテン(32mg、55.30μmol)、炭酸セシウム(121mg、0.37mmol)及び1-メチル-1H-ピラゾール-5-アミン2h(36mg、0.37mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)を加え、反応溶液をマイクロ波反応器内において100℃で1時間撹拌した。反応溶液を冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を濃縮し、展開溶媒系Aを用いた薄層クロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物2i(50mg)を得た。収率:44%。
MS m/z(ESI):597.9[M+1]。
【0138】
ステップ7
(S)-6-(5-クロロ-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン2
化合物2i(50mg、83.52μmol)を3mLのジクロロメタンに溶解させた後、1mLのトリフルオロ酢酸を滴下した。添加が完了したら、反応溶液を3時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液によってpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(10mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物2(16mg)を得た。収率:39%。
MS m/z(ESI):484.0[M+1]。
H NMR(400MHz,CDOD):δ8.35(s,1H)、8.08(s,1H)、7.49-7.42(m,2H)、7.36(m,3H)、6.83(s,1H)、6.36(d,1H)、5.24(dd,1H)、4.64(d,1H)、4.34(d,1H)、4.25-4.15(m,1H)、4.12-4.04(m,1H)、3.76(s,3H)。
【0139】
(実施例3)
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン3
【化24】
ステップ1
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン3a
アルゴン雰囲気下、化合物1f(800mg、3.57mmol)、化合物2e(2.03g、3.93mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(392mg、0.54mmol)及び炭酸セシウム(2.33g、7.15mmol)の混合物を、30mLの1,4-ジオキサン及び4mLの水に懸濁させた。反応溶液を80℃に加熱し、14時間撹拌した。反応溶液を冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を収集し、エチルアセテート(40mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物3a(1.2g)を得た。収率:58%。
MS m/z(ESI):578.3[M+1]。
【0140】
ステップ2
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン3
化合物3a(1.2g、2.07mmol)を20mLのジクロロメタンに溶解させた後、5mLのトリフルオロ酢酸を滴下した。添加が完了したら、反応溶液を4時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液によってpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(20mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物3(600mg)を得た。収率:62%。
MS m/z(ESI):464.2[M+1]。
H NMR(400MHz,CDOD):δ8.21(s,1H)、7.71(s,1H)、7.46(s,2H)、7.42-7.30(m,3H)、6.75(s,1H)、6.36(s,1H)、5.26(dd,1H)、4.66(d,1H)、4.36(d,1H)、4.26-4.16(m,1H)、4.14-4.02(m,1H)、3.76(s,3H)、2.39(s,3H)。
【0141】
(実施例4)
(S)-6-(5-クロロ-2-((テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン4
【化25】
化合物テトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミン(Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)によってステップ6の出発化合物2hを置きかえた上で、実施例2の合成経路を適用して、化合物5(12mg)を得た。
MS m/z(ESI):488.0[M+1]。
H NMR(400MHz,CDCl):δ8.24(s,1H)、8.13(s,1H)、7.44-7.33(m,3H)、7.27(s,1H)、6.82(s,1H)、5.17(dd,1H)、5.10(d,1H)、4.49(d,1H)、4.38-4.18(m,3H)、4.04(d,1H)、4.02(d,1H)、3.66-3.50(m,2H)、2.09(d,2H)、1.3-1.28(m,2H)。
【0142】
(実施例5)
6-(5-クロロ-2-(((S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン5
【化26】
ステップ1
2-((S)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-クロロ-2-(((S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1,2-ジヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3-オン5b
化合物2g(30mg、55.77μmol)及び(S)-2-アミノプロパン-1-オール5a(21mg、279.59μmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)を1mLのテトラヒドロフランに溶解させ、反応溶液を、マイクロ波反応器内において110℃で1時間撹拌した。減圧下で反応溶液を濃縮して、粗製表題化合物5b(32mg)を得、これを次のステップに直接使用した。
MS m/z(ESI):576.2[M+1]。
【0143】
ステップ2
6-(5-クロロ-2-(((S)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン5
化合物5b(30mg、52.03μmol)を3mLのジクロロメタンに溶解させた後、1mLのトリフルオロ酢酸を滴下した。添加が完了したら、反応溶液を3時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液によってpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(5mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物5(10.8mg)を得た。収率:44%。
MS m/z(ESI):462.0[M+1]。
H NMR(400MHz,CDOD):δ8.24(s,1H)、8.15(s,1H)、7.46(s,1H)、7.40-7.34(m,3H)、6.93(s,1H)、5.26(dd,1H)、4.67(d,1H)、4.37(d,1H)、4.24-4.06(m,3H)、3.67-3.56(m,2H)、1.27(d,3H)。
【0144】
(実施例6)
(S)-2-(1-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン6
【化27】
ステップ1
(S)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)エタミン6b
(S)-2-アミノ-2-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)エタン-1-オールヒドロクロリド6a(250mg、1.1mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)を10mLのジクロロメタンに溶解させた後、イミダゾール(225.84mg、3.3174mmol)を加えた。反応溶液を0℃に冷却した後、tert-ブチルジメチルクロロシラン(250mg、1.7mmol)を加え、14時間撹拌した。20mLの水を加え、反応溶液をジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過した。減圧下でろ液を濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物6b(290mg)を得た。収率:86%。
MS m/z(ESI):304.1[M+1]。
【0145】
ステップ2
(S)-N-((4-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)エタミン6c
化合物6b(290mg、0.95mmol)及び化合物1b(166.05mg、0.95mmol)を撹拌し、3時間反応させた後、5mLのメタノールを加えた。反応溶液を0℃に冷却した後、水素化ホウ素ナトリウム(36mg、0.95mmol)を加え、2時間撹拌した。水を加え、減圧下で反応溶液を濃縮した。水を加え、反応溶液をエチルアセテートで抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過した。減圧下でろ液を濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物6c(300mg)を得た。収率:68%。
MS m/z(ESI):459.1[M-1]。
【0146】
ステップ3
(S)-6-ブロモ-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-1H-ピロロ[1,2-c]-3(2H)-オン6d
化合物6c(300mg、0.65mmol)を40mLのテトラヒドロフランに溶解させた後、氷浴中でN,N’-カルボニルジイミダゾール(147mg、0.91mmol)を加え、反応溶液を0.5時間撹拌した。水素化ナトリウム(60%、37mg、0.97mmol)を加え、反応溶液を室温で14時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えた。反応溶液を減圧下で濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物6d(300mg)を得た。収率:94%。
MS m/z(ESI):487.2[M+1]。
【0147】
ステップ4
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン6e
アルゴン雰囲気下、化合物6d(300mg、0.61mmol)を50mLのジオキサンに溶解させた後、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)(254mg、0.92mmol)、酢酸カリウム(181mg、1.84mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(90mg、1.23mmol)を順次加えた。反応溶液を90℃で2時間撹拌し、冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物6e(120mg)を得た。収率:36%。
MS m/z(ESI):534.1[M+1]。
【0148】
ステップ5
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1,2-ジヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3-オン6f
アルゴン雰囲気下、化合物1f(50mg、0.22mmol)、化合物6e(120mg、0.22mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(33mg、0.04mmol)及び炭酸セシウム(146mg、0.45mmol)の混合物を、30mLの1,4-ジオキサン及び6mLの水に懸濁させ、反応溶液を80℃に加熱し、14時間撹拌した。反応溶液を冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を収集し、エチルアセテート(15mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物6f(100mg)を得た。収率:74%。
MS m/z(ESI):596.1[M+1]。
【0149】
ステップ6
(S)-2-(1-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン6
化合物6f(100mg、0.17mmol)を3mLのジクロロメタンに溶解させた後、1mLのトリフルオロ酢酸を滴下した。添加が完了したら、反応溶液を4時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液によってpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(15mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、展開溶媒系Aを用いた薄層クロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物6(15mg)を得た。収率:18%。
MS m/z(ESI):482.2[M+1]。
H NMR(400MHz,CDOD):δ8.19(s,1H)、7.55(s,1H)、7.52-7.44(m,2H)、7.41(d,1H)、7.22-7.13(m,1H)、6.54(s,1H)、6.14(d,1H)、5.14(dd,1H)、4.42(d,1H)、4.32(dd,1H)、4.23-4.12(m,2H)、3.78(s,3H)、2.33(s,3H)。
【0150】
(実施例7)
6-(5-クロロ-2-((3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロペンチル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン7
【化28】
ステップ1
ベンジル(3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロペンチル)カルバメート7b
ベンジル(6-オキサビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル)カルバメート7a(1g、4.28mmol、「Tetrahedron、56(2000)9633-9640」において開示された周知の方法によって調製)及びフッ化水素ピリジン錯体(1.06g、6.41mmol、純度60%)を1,2-ジクロロエタン(5mL)に溶解させ、反応溶液を4時間撹拌した。反応溶液を飽和重炭酸ナトリウム水溶液及び飽和塩化ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過した。減圧下でろ液を濃縮し、展開溶媒系Cを用いた薄層クロマトグラフィーによって残留物を精製して、化合物7b(500mg)を得た。収率:46%。
MS m/z(ESI):253.6[M+1]。
【0151】
ステップ2
4-アミノ-2-フルオロシクロペンタノール7c
水素雰囲気下、化合物7b(150mg、592.25μmol)及び10%パラジウム炭素水素化触媒(湿式)(30mg、281.90μmol)を、5mLのメタノールに溶解させた。反応溶液を16時間撹拌し、ろ過した。減圧下でろ液を濃縮して、粗製化合物7c(150mg)を得、これを次の反応に直接使用した。
【0152】
ステップ3
6-(5-クロロ-2-((3-フルオロ-4-ヒドロキシシクロペンチル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン7
化合物7cによってステップ6の出発化合物2hを置きかえた上で、実施例2の合成経路を適用して、化合物7(5mg)を得た。
MS m/z(ESI):506.1[M+1]。
H NMR(400MHz,CDCl):δ8.18(s,1H)、8.07(d,1H)、7.36(d,3H)、7.27(d,1H)、6.79(s,1H)、5.62(d,1H)、5.19(td,1H)、4.96(dd,1H)、4.50(d,2H)、4.38-4.15(m,4H)、2.60-2.48(m,1H)、2.46-2.29(m,2H)、1.85(d,2H)。
【0153】
(実施例8)
6-(5-クロロ-2-(((R)-1-ヒドロキシプロパン-2-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-2-((S)-1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-1,2-ジヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3-オン8
【化29】
(R)-2-アミノプロパン-1-オールによってステップ1の出発化合物5aを置きかえた上で、実施例5の合成経路を適用して、化合物8(17mg)を得た。
MS m/z(ESI):462.0[M+1]。
H NMR(400MHz,CDOD):δ8.23(s,1H)、8.15(s,1H)、7.45(s,1H)、7.42-7.30(m,3H)、6.92(s,1H)、5.25(dd,1H)、4.67(d,1H)、4.36(d,1H)、4.24-4.04(m,3H)、3.62(t,2H)、1.27(d,3H)。
【0154】
(実施例9)
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-1(2H)-オン9
【化30】
ステップ1
4-ブロモ-2-(2-メトキシビニル)-1-トシル-1H-ピロール9c
(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリド9b(8.36g、24.37mmol)を150mLのテトラヒドロフランに溶解させ、得られた溶液を0℃に冷却した。カリウムtert-ブトキシド(2.74g、24.37mmol)を加え、反応溶液を20分間撹拌した。4-ブロモ-1-トシル-1H-ピロール-2-カルバルデヒド9a(4.0g、612.19mmol、「Journal of Porphyrins and Phthalocyanines、2009、13(10)、1098~1110」において開示された周知の方法によって調製)及び反応溶液を終夜撹拌した後、水を加えた。反応溶液を減圧下で濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物9c(4.0g)を得た。収率:92%。
MS m/z(ESI):356.0[M+1]。
【0155】
ステップ2
2-(4-ブロモ-1-トシル-1H-ピロール-2-イル)アセトアルデヒド9d
化合物9c(3g、8.42mmol)を10mLのテトラヒドロフランに溶解させた後、10mLの濃塩酸を加え、反応溶液を3時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウムによってpHを7に調整した。反応溶液をエチルアセテート(50mL×2)で抽出し、有機相を濃縮して、粗製表題化合物9d(2.88g)を得、これを精製なしで次のステップに直接使用した。
MS m/z(ESI):342.2[M+1]。
【0156】
ステップ3
(S)-N-(2-(4-ブロモ-1-トシル-1H-ピロール-2-イル)エチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エタン-1-アミン9e
粗製化合物9d(2.88g、8.42mmol)及び化合物2b(2g、6.99mmol)を20mLのメタノールに溶解させ、反応溶液を1時間撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(396mg、10.48mmol)を加え、反応溶液を室温で14時間撹拌し、水でクエンチした。反応溶液を減圧下で濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物9e(2.2g)を得た。収率:51.4%。
MS m/z(ESI):611.1[M+1]。
【0157】
ステップ4
(S)-N-(2-(4-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)エチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エタン-1-アミン9f
化合物9e(500mg、0.82mmol)を5mLのテトラヒドロフランに溶解させた後、0℃でナトリウムメトキシドのメタノール溶液(441mg、8.16mmol、50%)を加え、反応溶液を4時間撹拌した。2N塩酸によってpHを7に調整し、反応溶液をエチルアセテート(10mL×2)で抽出した。有機相を減圧下で濃縮し、展開溶媒系Cを用いた薄層クロマトグラフィーによって残留物を精製して、化合物9f(280mg)を得た収率:74.8%。
MS m/z(ESI):459.1[M+1]。
【0158】
ステップ5
(S)-6-ブロモ-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-1(2H)-オン9g
化合物9f(280mg、0.61mmol)を10mLのテトラヒドロフランに溶解させた後、N,N’-カルボニルジイミダゾール(198mg、1.22mmol)を加え、反応溶液を30分間撹拌した。水素化ナトリウム(60%、47mg、1.23mmol)を加え、反応溶液を14時間撹拌した後、水を加えた。減圧下で反応溶液を濃縮し、展開溶媒系Cを用いた薄層クロマトグラフィーによって残留物を精製して、化合物9g(220mg)を得た。収率:74%。
MS m/z(ESI):483.1[M+1]。
【0159】
ステップ6
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-1(2H)-オン9h
アルゴン雰囲気下、化合物9g(220mg、0.45mmol)を3mLの1,4-ジオキサンに溶解させた後、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)(173mg、0.68mmol)、酢酸カリウム(178mg、1.81mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(33mg、0.05mmol)を順次加えた。反応溶液を90℃で4時間撹拌し、冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を濃縮して、粗製表題化合物9h(240mg)を得、これを精製なしで次のステップに直接使用した。
MS m/z(ESI):530.9[M+1]。
【0160】
ステップ7
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-1(2H)-オン9i
アルゴン雰囲気下、化合物1f(100mg、0.45mmol)を6mLのジオキサンに溶解させた後、9h(241mg、0.45mmol)、炭酸セシウム(291mg、0.89mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(65mg、0.088mmol)を順次加えた。反応溶液をマイクロ波反応器内において85℃で1.5時間撹拌し、冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物9i(100mg)を得た。収率:37.7%。
MS m/z(ESI):592.2[M+1]。
【0161】
ステップ8
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3,4-ジヒドロピロロ[1,2-c]ピリミジン-1(2H)-オン9
化合物9i(100mg、0.17mmol)を3mLのジクロロメタンに溶解させた後、1mLのトリフルオロ酢酸を滴下した。添加が完了したら、反応溶液を4時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液によってpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(50mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物9(22mg)を得た。収率:27%。
MS m/z(ESI):478.2[M+1]。
H NMR(400MHz,CDOD):δ8.18(s,1H)、7.88(s,1H)、7.46-7.43(m,2H)、7.39-7.34(m,3H)、6.62(s,1H)、6.31(s,1H)、5.72-5.69(m,1H)、4.15-4.14(d,2H)、3.74(s,3H)、3.66-3.60(m,1H)、3.35(m,1H)、3.04-3.00(m,1H)、2.99-2.88(m,1H)、2.38(s,3H)。
【0162】
(実施例10)
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1,2-ジヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3-オン10
【化31】
ステップ1
4-クロロ-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン10b
N-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ホルムアミド1j(324.82mg、2.60mmol)を15mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解させた後、0℃で水素化ナトリウム(60%、311.47mg、7.79mmol)を加え、反応溶液を0.5時間撹拌した。化合物10a(500mg、2.60mmol)を加え、反応溶液を2時間さらに反応させた。20mLの水を加え、反応溶液をエチルアセテート(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、展開溶媒系Cを用いた薄層クロマトグラフィーによって残留物を精製して、化合物10b(270mg)を得た。収率:49.6%。
MS m/z(ESI):210.3[M+1]。
【0163】
ステップ2
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1,2-ジヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン10c
アルゴン雰囲気下、化合物2e(98.6mg、0.19mmol)、4-クロロ-N-(1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)ピリミジン-2-アミン10b、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(28mg、0.02mmol)及び炭酸セシウム(124mg、0.2mmol)の混合物を、20mLの1,4-ジオキサン及び4mLの水に懸濁させた。反応溶液を80℃に加熱し、14時間撹拌した。反応溶液を冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を収集し、エチルアセテート(20mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物10c(100mg)を得た。収率:92%。
MS m/z(ESI):564.3[M+1]。
【0164】
ステップ3
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1,2-ジヒドロ-3H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3-オン10
化合物10c(100mg、0.17mmol)を20mLのジクロロメタンに溶解させた後、1mLのトリフルオロ酢酸を滴下した。添加が完了したら、反応溶液を4時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液によってpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(20mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物10(15mg)を得た。収率:18%。
MS m/z(ESI):450.1[M+1]。
H NMR(400MHz,CDCl):δ8.33(d,1H)、7.72(s,1H)、7.48(d,1H)、7.41-7.33(m,3H)、7.28-7.24(m,1H)、7.18(s,1H)、6.92(d,1H)、6.51(s,1H)、6.32(d,1H)、5.17(dd,1H)、4.46(d,1H)、4.32(dd,1H)、4.27-4.17(m,3H)、3.82(s,3H)。
【0165】
(実施例11、12及び13)
(S)-2-(2-アミノ-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン11
(R)-2-(1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン12
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン13
【化32】
ステップ1
(S)-2-(3-クロロフェニル)-2-(6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-3-オキソ-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-2(3H)-イル)エチルメタンスルホネート11a
化合物3(12.0mg、0.026mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解させた後、トリエチルアミン(8.0mg、0.079mmol)及びメタンスルホニルクロリド(6.0mg、0.052mmol)を順次加え、反応溶液を30分間撹拌した。少量の水を加え、減圧下で反応溶液を濃縮して、表題化合物11a(14mg)を得た。収率:99%。
MS m/z(ESI):542.0[M+1]。
【0166】
ステップ2
(S)-2-(2-アジド-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン11b
化合物11a(14mg、0.026mmol)を7mLのN,N-ジメチルホルムアミドに溶解させた後、アジ化ナトリウム(8.4mg、0.130mmol)。添加が完了したら、反応溶液を70℃で3時間撹拌した。水を加え、反応溶液をジクロロメタン(10mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過し、減圧下で濃縮して、化合物11b(12mg)を得た。収率:95%。
MS m/z(ESI):489.0[M+1]。
【0167】
ステップ3
(S)-2-(2-アミノ-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン11
(R)-2-(1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン12
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-(メチルアミノ)エチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン13
化合物11b(17mg、0.035mmol)を5mLのメタノールに溶解させた後、パラジウム炭素(42mg、0.35mmol、10%パラジウム)を加えた。水素によって反応系を3回パージし、30分間撹拌した。反応溶液をろ過し、減圧下で濃縮し、分取HPLCによって残留物を精製して、収率:6%の化合物11(1.0mg)、収率:6%の化合物12(1.0mg)及び収率:6%の化合物13(1.0mg)を得た。
化合物11
MS m/z(ESI):463.2[M+1]。
H NMR(400MHz,CDOD):δ8.23(s,1H)、7.75(s,1H)、7.60(s,1H)、7.52(s,1H)、7.47-7.42(m,3H)、6.74(s,1H)、6.33(s,1H)、5.37-5.34(dd,1H)、4.56-4.52(d,1H)、4.36(d,1H)、4.26-4.16(m,1H)、4.14-4.02(m,1H)、3.76(s,3H)、2.39(s,3H)。
化合物12
MS m/z(ESI):448.1[M+1]。
H NMR(400MHz,CDOD):δ8.23(s,1H)、7.74(s,1H)、7.60(s,1H)、7.53(s,1H)、7.45-7.34(m,3H)、6.75(s,1H)、6.42(s,1H)、5.45-5.40(dd,1H)、4.58-4.54(d,1H)、4.20-4.16(d,1H)、3.77(s,3H)、2.41(s,3H)、1.74-1.72(d,3H)。
化合物13
MS m/z(ESI):477.2[M+1]。
H NMR(400MHz,CDCl)δ8.15(s,1H)、7.93(s,1H)、7.58(s,1H)、7.46(s,1H)、7.42-7.27(m,4H)、6.61(s,1H)、6.28(s,1H)、5.39(d,1H)、4.41(d,1H)、4.21(d,1H)、3.81(s,3H)、3.68-3.52(m,2H)、2.35(s,3H)、2.07-2.01(m,3H)。
【0168】
(実施例14)
(S)-2-(1-(4-クロロ-3-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン14
【化33】
(S)-2-アミノ-2-(3-フルオロ-4-クロロフェニル)エタン-1-オールによってステップ1の出発化合物6aを置きかえた上で、実施例6の合成経路を適用して、化合物14(15mg)を得た。
MS m/z(ESI):482.2[M+1]。
H NMR(400MHz,CDCl)δ8.19(s,1H)、7.61-7.48(m,2H)、7.47-7.36(m,2H)、7.22(d,1H)、7.13(d,1H)、6.56(s,1H)、6.15(s,1H)、5.15(dd,1H)、4.42(d,1H)、4.32(dd,1H)、4.26-4.13(m,2H)、3.78(s,3H)、2.33(s,3H)。
【0169】
(実施例15)
(S)-2-(2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン15
【化34】
ステップ1
(S)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(m-トリル)エタミン15b
(S)-2-アミノ-2-(m-トリル)エタン-1-オール15a(3g、19.8mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)を100mLのジクロロメタンに溶解させた後、イミダゾール(4g、58.7mol)を加えた。反応溶液を0℃に冷却した後、tert-ブチルジメチルクロロシラン(3.9g、25.9mmol)を加え、14時間撹拌した。100mLの水を加え、反応溶液をジクロロメタンで抽出し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過した。減圧下でろ液を濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物15b(5g)を得た。収率:95%。
MS m/z(ESI):266.2[M+1]。
【0170】
ステップ2
(S)-N-((4-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)メチル)-2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(m-トリル)エタン-1-アミン15c
化合物15b(5g、19.5mmol)及び化合物1b(3.4g、19.5mmol)を撹拌し、3時間反応させた。50mLのメタノールを加え、反応溶液を0℃に冷却した後、水素化ホウ素ナトリウム(800mg、21.1mmol)を加え、2時間撹拌した。水を加え、減圧下で反応溶液を濃縮した。水を加え、反応溶液をエチルアセテートで抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過した。減圧下でろ液を濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物15c(7.3g)を得た。収率:88%。
MS m/z(ESI):423.1[M+1]。
【0171】
ステップ3
(S)-6-ブロモ-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(m-トリル)エチル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン15d
化合物15c(7.3g、17.2mmol)を150mLのテトラヒドロフランに溶解させた後、氷浴中でN,N’-カルボニルジイミダゾール(8.4g、51.7mmol)を加え、反応溶液を0.5時間撹拌した。水素化ナトリウム(60%、2g、51.7mmol)を加え、反応溶液を室温で14時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えた。反応溶液を減圧下で濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物15d(7g)を得た。収率:90%。
MS m/z(ESI):450.1[M+1]。
【0172】
ステップ4
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(m-トリル)エチル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン15e
アルゴン雰囲気下、化合物15d(7g、15.5mmol)を100mLのジオキサンに溶解させた後、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)(5.9g、23.3mmol)、酢酸カリウム(3.1g、31.1mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(2.3g、2.1mmol)を順次加えた。反応溶液を90℃で2時間撹拌し、冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物15e(4g)を得た。収率:51.7%。
MS m/z(ESI):497.2[M+1]。
【0173】
ステップ5
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(m-トリル)エチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン15f
アルゴン雰囲気下、化合物10b(550mg、2.62mmol)、化合物15e(1.56g、3.15mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(1.7g、0.26mmol)及び炭酸セシウム(1.7g、5.2mmol)の混合物を、30mLの1,4-ジオキサン及び6mLの水に懸濁させた。反応溶液を80℃に加熱し、14時間撹拌した。反応溶液を冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を収集し、エチルアセテート(15mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物15f(1.4g)を得た。収率:98%。
MS m/z(ESI):544.2[M+1]。
【0174】
ステップ6
(S)-2-(2-ヒドロキシ-1-(m-トリル)エチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン15
化合物15f(1.3g、2.4mmol)を10mLのジクロロメタンに溶解させた後、3mLのトリフルオロ酢酸を滴下した。添加が完了したら、反応溶液を4時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液によってpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(30mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、展開溶媒系Aを用いた薄層クロマトグラフィーによって残留物を精製して、化合物15(500mg)を得た。収率:48.6%。
MS m/z(ESI):430.1[M+1]。
H NMR(400MHz,CDOD)δ8.29(d,1H)、7.80(s,1H)、7.43(d,1H)、7.32-7.24(m,1H)、7.21(s,1H)、7.19-7.12(m,2H)、7.10(d,1H)、6.63(s,1H)、6.31(d,1H)、5.23(dd,1H)、4.61(d,1H)、4.29(d,1H)、4.19(dd,1H)、4.11-3.99(m,1H)、3.74(s,3H)、2.34(s,3H)。
【0175】
(実施例16)
(S)-2-(1-(3-クロロ-4-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン16
【化35】
化合物10bによってステップ5の出発化合物1fを置きかえた上で、実施例6の合成経路を適用して、化合物16(20mg)を得た。
MS m/z(ESI):468.0[M+1]。
H NMR(400MHz,CDCl)δ8.31(d,1H)、7.69(s,1H)、7.51-7.42(m,2H)、7.33(s,1H)、7.26-7.22(m,1H)、7.21-7.13(m,1H)、6.90(d,1H)、6.49(s,1H)、6.30(s,1H)、5.14(dd,1H)、4.45(d,1H)、4.35-4.24(m,1H)、4.24-4.13(m,2H)、3.80(s,3H)。
【0176】
(実施例17)
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-(イソプロピルアミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン17
【化36】
ステップ1
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(2-クロロ-5-メチルピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン17b
アルゴン雰囲気下、2,4-ジクロロ-5-メチルピリミジン17a(76.3mg、0.47mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)、化合物2e(220mg、0.43mmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(62.3mg、0.08mmol)及び炭酸セシウム(277.3mg、0.85mmol)の混合物を、10mLの1,4-ジオキサン及び2mLの水に懸濁させた。反応溶液を80℃に加熱し、14時間撹拌した。反応溶液を冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を収集し、エチルアセテート(10mL×3)で抽出した。有機相を合わせ、濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物17b(100mg)を得た。収率:45.4%。
MS m/z(ESI):517.1[M+1]。
【0177】
ステップ2
(S)-2-(2-((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-(3-クロロフェニル)エチル)-6-(2-(イソプロピルアミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン17d
化合物17b(80mg、154.5μmol)及びイソプロピルアミン17c(91.4mg、1.5mmol、Shanghai Bide Pharmatech Ltd.)を2mLのN,N-ジメチルアセトアミドに溶解させ、反応溶液をマイクロ波反応器内において150℃で6時間撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物17d(20mg)を得た。収率:24%。
【0178】
ステップ3
(S)-2-(1-(3-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-(イソプロピルアミノ)-5-メチルピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン17
化合物17d(20mg、37μmol)を5mLのジクロロメタンに溶解させた後、0.5mLのトリフルオロ酢酸を滴下した。添加が完了したら、反応溶液を1時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム溶液によってpHを7に調整し、反応溶液をジクロロメタン(20mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物17(5mg)を得た。収率:32%。
MS m/z(ESI):426.2[M+1]。
H NMR(400MHz,CDCl)δ8.08(s,1H)、7.61(s,1H)、7.34(d,3H)、7.25(d,2H)、6.70(s,1H)、5.13(dd,1H)、4.45(d,1H)、4.36-4.25(m,2H)、4.23-4.14(m,2H)、2.30(s,3H)、1.26(d,6H)。
【0179】
(実施例18)
2-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン18
【化37】
ステップ1
1-(4-ブロモ-1H-ピロール-2-イル)-N-(3,4-ジフルオロベンジル)ホルムアミド18b
化合物(3,4-ジフルオロフェニル)メタンアミン18a(863mg、6.0mmol)及び化合物1b(1g、5.7mmol)を撹拌し、3時間反応させた。20mLのメタノールを加え、反応溶液を0℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(361mg、5.7mmol)を加え、反応溶液を2時間撹拌した。水を加え、減圧下で反応溶液を濃縮した。水を加え、反応溶液をエチルアセテートで抽出した。有機相を合わせ、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水し、ろ過した。減圧下でろ液を濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物18b(1.7g)を得た。収率:98.2%。
MS m/z(ESI):301.0[M+1]。
【0180】
ステップ2
6-ブロモ-2-(3,4-ジフルオロベンジル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン18c
化合物18b(0.5g、1.7mmol)を50mLのテトラヒドロフランに溶解させた後、氷浴中でN,N’-カルボニルジイミダゾール(286mg、2.0mmol)を加え、反応溶液を0.5時間撹拌した。水素化ナトリウム(60%、15mg、0.63mmol)を加え、反応溶液を室温で14時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム溶液を加えた。反応溶液を減圧下で濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物18c(220mg)を得た。収率:40.5%。
MS m/z(ESI):327.0[M+1]。
【0181】
ステップ3
2-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン18d
アルゴン雰囲気下、化合物18c(100mg、0.31mmol)を10mLのジオキサンに溶解させた後、4,4,4’,4’,5,5,5’,5’-オクタメチル-2,2’-ビス(1,3,2-ジオキサボロラン)(95mg、0.37mmol)、酢酸カリウム(60mg、0.61mmol)及び[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(22mg、30μmol)を順次加えた。反応溶液を90℃で2時間撹拌し、冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を濃縮し、溶離液系Cを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物18d(28mg)を得た。収率:24.5%。
MS m/z(ESI):375.0[M+1]。
【0182】
ステップ4
2-(3,4-ジフルオロベンジル)-6-(5-メチル-2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン18
アルゴン雰囲気下、化合物18d(27mg、72μmol)、化合物1f(15mg、67μmol)、[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド(6mg、8.2μmol)及び炭酸セシウム(18mg、130μmol)の混合物を、5mLの1,4-ジオキサン及び1mLの水に懸濁させた。反応溶液を80℃に加熱し、14時間撹拌した。反応溶液を冷却し、Celiteによってろ過した。ろ液を収集し、エチルアセテート(10mL×2)で抽出した。有機相を合わせ、減圧下で濃縮し、溶離液系Aを用いたカラムクロマトグラフィーによって残留物を精製して、表題化合物18(10mg)を得た。収率:34%。
MS m/z(ESI):435.9[M+1]。
H NMR(400MHz,CDOD)δ8.23(s,1H)、7.80(s,1H)、7.63-7.54(m,1H)、7.36-7.22(m,2H)、7.19(s,1H)、6.75(s,1H)、6.48(d,1H)、4.69(s,2H)、4.41(s,2H)、3.80(s,3H)、2.42(s,3H)。
【0183】
(実施例19)
(S)-2-(1-(3-フルオロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン19
【化38】
(S)-2-アミノ-2-(3-フルオロフェニル)エタン-1-オールによってステップ1の出発化合物(S)-2-アミノ-2-(3-メチルフェニル)エタン-1-オール15aを置きかえた上で、実施例15の合成経路を適用して、化合物19(50mg)を得た。
MS m/z(ESI):434.1[M+1]。
H NMR(400MHz,CDOD)δ8.29(d,1H)、7.81(s,1H)、7.51-7.34(m,2H)、7.28-7.15(m,2H)、7.14-6.99(m,2H)、6.65(s,1H)、6.32(d,1H)、5.26(dd,1H)、4.64(d,1H)、4.34(d,1H)、4.26-4.14(m,1H)、4.13-4.03(m,1H)、3.75(s,3H)。
【0184】
(実施例20)
(S)-2-(1-(3-フルオロ-4-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン20
【化39】
化合物10bによってステップ5の出発化合物1fを置きかえた上で、実施例14の合成経路を適用して、化合物20(50mg)を得た。
MS m/z(ESI):468.1[M+1]。
H NMR(400MHz,CDOD)δ8.29(d,1H)、7.81(s,1H)、7.49(t,1H)、7.44(d,1H)、7.35(dd,1H)、7.22(d,1H)、7.10(d,1H)、6.65(s,1H)、6.32(d,1H)、5.24(dd,1H)、4.64(d,1H)、4.36(d,1H)、4.21-4.13(m,1H)、4.11-4.03(m,1H)、3.75(s,3H)。
【0185】
(実施例21)
(S)-2-(1-(4-クロロフェニル)-2-ヒドロキシエチル)-6-(2-((1-メチル-1H-ピラゾール-5-イル)アミノ)ピリミジン-4-イル)-1H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-3(2H)-オン21
【化40】
(S)-2-アミノ-2-(4-クロロフェニル)エタン-1-オールによってステップ1の出発化合物15aを置きかえた上で、実施例15の合成経路を適用して、化合物21(10mg)を得た。
MS m/z(ESI):450.1[M+1]。
H NMR(400MHz,CDCl)δ8.33(d,1H)、7.75(s,1H)、7.48(d,1H)、7.42-7.35(m,2H)、7.31(d,2H)、6.94(d,1H)、6.54(s,1H)、6.35(s,1H)、5.14(dd,1H)、4.44(d,1H)、4.30(dd,1H)、4.25-4.14(m,2H)、3.82(s,3H)。
【0186】
生物学的アッセイ
試験例1:ERK1酵素活性試験
1.試験目的
この実験の目的は、ERK1酵素活性に対する本化合物の阻害能力を検出し、IC50に基づいて本化合物のインビトロ活性を評価することである。この実験では、ADP-Glo(商標)キナーゼアッセイキットを使用する。酵素の作用により、基質がリン酸化され、同時に、ADPが生成される。ADP-Glo試薬を加えて、反応系中の未反応のATPを除去し、キナーゼ検出試薬を用いて、反応によって生成されたADPを検出する。本化合物の存在下においては、本化合物の阻害率は、シグナル値の測定によって計算される。
【0187】
2.実験方法
酵素及び基質の配合: ERK1(1879-KS-010、R&D)及び基質(AS-61777、anaspec)は、それぞれバッファー(40mM Tris、20mM MgCl2、0.1mg/ml BSA、50μM DTT)中で0.75ng/μl及び100μLになるように配合し、次に、酵素溶液及び基質溶液を、後で使用するための2:1の体積比の混合溶液に調製した。バッファーによってATPを300μMに希釈した。この化合物をDMSOに溶解させて、初期濃度20mMのストック溶液を調製し、次に、Bravo(SGC120TH34702、Agilent Technologies)を使用して、ストック溶液を所望の濃度に希釈した。最後に、酵素と基質との混合溶液3μLと、異なる濃度の本化合物(初期濃度は50μMである。4倍希釈)1μLとを384ウェルプレートの各ウェルに加え、プレートを30℃で10分間インキュベートし、最後に、300μM ATP溶液1μLを各ウェルに加え、プレートを30℃で2時間インキュベートした。次に、5μLのADP-Gloを加え、プレートを30℃で40分間インキュベートした。次に、10μLのキナーゼ検出バッファーを加え、プレートを30℃で40分間インキュベートした。384ウェルプレートを取り出し、マイクロプレートリーダー(BMG labtech、PHERAstar FS)に入れ、マイクロプレートリーダーによって化学発光を測定した。
【0188】
3.データ分析
Microsoft Excel、Graphpad Prism 5を使用して、データを処理及び分析した。本化合物のIC50値が得られたが、その結果は、以下の表1に示されている。
【0189】
【表3】
結論:本開示の化合物は、ERK1酵素活性に対する有意な阻害効果を有する。
【0190】
試験例2:ERK2酵素活性試験
1.試験目的
この実験の目的は、ERK2酵素活性に対する本化合物の阻害能力を検出し、IC50に基づいて本化合物のインビトロ活性を評価することである。この実験では、ADP-Glo(商標)キナーゼアッセイキットを使用する。酵素の作用により、基質がリン酸化され、同時に、ADPが生成される。ADP-Glo試薬を加えて、反応系中の未反応のATPを除去し、キナーゼ検出試薬によって、反応によって生成されたADPを検出する。本化合物の存在下においては、本化合物の阻害率は、シグナル値の測定によって計算される。
【0191】
2.実験方法
酵素及び基質の配合:ERK2(1879-KS-010、R&D)及び基質(カスタムペプチド、Gill Biochemical)は、バッファー(40mM Tris、20mM MgCl、0.1mg/ml BSA、50μMDTT)中で0.75ng/μl及び1500ngに配合し、次に、酵素溶液及び基質溶液を、後で使用するための2:1の体積比の混合溶液に調製した。バッファーによってATPを500μMに希釈した。この化合物をDMSOに溶解させて、初期濃度20mMのストック溶液を調製し、次に、Bravo(SGC120TH34702、Agilent Technologies)を使用して、ストック溶液を所望の濃度に希釈した。最後に、酵素と基質との混合溶液3μLと、異なる濃度の本化合物(初期濃度は50μMである。4倍希釈)1μLとを384ウェルプレートの各ウェルに加え、プレートを30℃で10分間インキュベートし、最後に、500μM ATP溶液1μLを各ウェルに加え、プレートを30℃で2時間インキュベートした。次に、5μLのADP-Gloを加え、プレートを30℃で40分間インキュベートした。次に、10μLのキナーゼ検出バッファーを加え、プレートを30℃で40分間インキュベートした。384ウェルプレートを取り出し、マイクロプレートリーダー(BMG labtech、PHERAstar FS)に入れ、マイクロプレートリーダーによって化学発光を測定した。
【0192】
3.データ分析
Microsoft Excel、Graphpad Prism 5を使用して、データを処理及び分析した。本化合物のIC50値が得られたが、その結果は、以下の表2に示されている。
【0193】
【表4】
結論:本開示の化合物は、ERK2酵素活性に対する有意な阻害効果を有する。
【0194】
試験例3:Colo205腫瘍細胞に対する化合物のインビトロ増殖阻害試験
1.試験目的
この実験の目的は、インビトロでのColo205細胞(CCL-222、ATCC)の増殖に対する本化合物の阻害活性を試験することである。異なる濃度の本化合物によって、細胞をインビトロで処理した。培養から3日後、CTG(CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay、Promega、カタログ番号G7573)試薬を用いて細胞増殖を試験し、本化合物のインビトロ活性を、IC50値に基づいて評価した。
【0195】
2.実験方法
下記においては、一例としてColo205細胞のインビトロ増殖阻害試験法を採用して、本開示の化合物のインビトロ増殖阻害活性を試験するための本開示の方法を説明する。この方法は、限定されるわけではないが、他の腫瘍細胞に対するインビトロ増殖阻害活性試験にも適用することができる。
【0196】
Colo205細胞を消化し、遠心分離した後、再懸濁させた。単一細胞浮遊液をよく混ぜ合わせ、生細胞の密度を、細胞培養培地(RPMI1640+2%FBS)を用いて5.0×10細胞/mlに調整し、95μl/wellを96ウェル細胞培養プレートに加えた。100μlの培地のみを、96ウェルプレートの外周ウェルに加えた。培養プレートを、インキュベーター内で24時間(37℃、5%CO)インキュベートした。
【0197】
本化合物をDMSOに溶解させ、初期濃度20mMのストック溶液に調製した。低分子化合物の初期濃度は2mMだったが、後で9点に4倍希釈され、第10点がDMSOである。別の96ウェルプレートをとり、細胞培養培地(RPMI1640+2%FBS)90μlを各ウェルに加え、次に、異なる濃度の試験試料10μlを各ウェルに加えた。混合物をよく混ぜ合わせた後、異なる濃度の試験試料5μLを細胞培養プレートに加えたが、各試料には、デュプリケートのウェルを用意した。培養プレートを、インキュベーター内で3日間(37℃、5%CO)インキュベートした。96ウェル細胞培養プレートを取り出し、50μLのCTG溶液を各ウェルに加え、プレートを室温で10分間インキュベートした。マイクロプレートリーダー(BMG labtech、PHERAstar FS)では、マイクロプレートリーダーによって化学発光が測定された。
【0198】
3.データ分析
Microsoft Excel、Graphpad Prism 5を使用して、データを処理及び分析した。例の結果は、以下の表3に示されている。
【0199】
【表5】
【0200】
薬物動態の評価
試験例4.マウスにおける本開示の化合物の薬物動態アッセイ
1.要約
試験動物として、マウスを使用した。異なる時点における血漿中薬物濃度を、マウスへの実施例3、実施例10、実施例15及び実施例20の化合物の胃内投与後にLC/MS/MS法によって測定した。マウスにおいて、本開示の化合物の薬物動態学的挙動を調査し、薬物動態学的特性を評価した。
【0201】
2.試験プロトコル
2.1 試験化合物
実施例3、実施例10、実施例15及び実施例20の化合物。
2.2 試験動物
36匹のC57マウス(雌。4つの群に等分した。)をShanghai Jiesijie Laboratory Animal Co.,LTD.から購入した。(証明書番号:SCXK(Shanghai)2013-0006。
【0202】
2.3 試験化合物の調製
ある特定の量の試験化合物を秤量し、5%DMSO及び5%tween80の添加によって溶解させた。次に、90%生理食塩水を加えて、0.1mg/mLの透き通った無色透明の溶液を調製した。
【0203】
2.4 投与
一晩の絶食後に、2mg/kgの投薬量及び0.2ml/10gの体積で試験化合物をC57マウスに胃内投与した。
【0204】
3.プロセス
マウスに試験化合物を胃内投与した。投与前と、投与から0.25時間後、0.5時間後、1.0時間後、2.0時間後、4.0時間後、6.0時間後、8.0時間後、11.0時間後及び24.0時間後に、0.1mLの血液を採取した。試料をヘパリン処理した管の中に貯蔵し、3500rpmで10分間遠心分離して、血漿を分離した。血漿試料を-20℃で貯蔵した。
【0205】
異なる濃度の試験化合物を胃内投与した後のマウスの血漿中における試験化合物の含量を測定した。投与後の各時点において25μLのラット血漿を採取し、続いて、50μLの内部標準カンプトテシン溶液(National Institutes for Food and Drug Control of China)及び200μLのアセトニトリルを加えた。得られた溶液を5分間ボルテックス混合し、10分間遠心分離した(4000rpm)。LC/MS/MS分析のために、4μLの上澄みを血漿試料から採取した。
【0206】
4.薬物動態パラメータの結果
本開示の化合物の薬物動態パラメータは、以下に示されている。
【0207】
【表6】
結論:本開示の化合物は、よく吸収されており、有意な薬物動態学的利点を有する。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の化合物
若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩
(式中、
が、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル及びニトロからなる群より選択され、前記アルキルが任意選択により、NR、アルコキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ及びヒドロキシアルキルからなる群より選択される1個又は複数個の置換基によって置換されていてもよく;
が、同一であり、又は異なり、それぞれが、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ及びニトロからなる群より独立に選択され;
が、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択され、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールのそれぞれが任意選択により、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群より選択される1個又は複数個の置換基によってさらに置換されていてもよく;
が、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ及びニトロからなる群より選択され;
が、同一であり、又は異なり、それぞれが、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、ニトロ、シクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール及びヘテロアリールからなる群より独立に選択され;
が、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ及びニトロからなる群より選択され;
及びRが、同一であり、又は異なり、それぞれが、水素原子、アルキル、ヒドロキシアルキル及びハロアルキルからなる群より独立に選択され;
mが、0、1、2、3、4及び5からなる群より選択され;
nが、0、1、2及び3からなる群より選択され;
zが、0、1、2、3及び4からなる群より選択され;
Qが、0、1及び2からなる群より選択される。)。
【請求項2】
が、水素原子、ハロゲン、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、シアノ、アミノ、アミノアルキル及びニトロからなる群より選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩。
【請求項3】
式(I-P)
【化2】
の化合物
若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩
(式中、R~R、m、n、z及びQが、請求項1又は2に規定されるとおりである。)
である、請求項1又は2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
が、水素原子である、請求項1~3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩。
【請求項5】
nが、1又は2である、請求項1~4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩。
【請求項6】
式(II)若しくは式(II-P)
【化3】
の化合物
若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩
(式中、R~R、m、z及びQが、請求項1又は2に規定されるとおりである。)
である、請求項1又は2に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
が、水素原子、アルキル、ヒドロキシ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル及びヒドロキシアルキルからなる群より選択され;好ましくは、Rが、水素原子、C1~6アルキル、ヒドロキシ、アミノC1~6アルキル、C1~6アルキルアミノC1~6アルキル及びC1~6ヒドロキシアルキルからなる群より選択され;より好ましくは、Rが、水素原子、メチル、ヒドロキシメチル、アミノメチル及びメチルアミノメチルからなる群より選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が、水素原子、アルキル、ヒドロキシ、アミノアルキル及びヒドロキシアルキルからなる群より選択され;好ましくは、Rが、水素原子、C1~6アルキル、ヒドロキシ、アミノC1~6アルキル及びC1~6ヒドロキシアルキルからなる群より選択され;より好ましくは、Rが、水素原子、メチル、ヒドロキシメチル及びアミノメチルからなる群より選択される、請求項1~7のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩。
【請求項9】
式(III)若しくは式(III-P)
【化4】
の化合物
若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩
(式中、
pが、0、1、2及び3からなる群より選択され、好ましくは1であり;
、R、R、R、m、n、z及びQが、請求項1又は2に規定されるとおりである。)
である、請求項1又は2に記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
が、水素原子、ハロゲン及びアルキルからなる群より選択され;好ましくは、Rが、水素原子、ハロゲン及びC1~6アルキルからなる群より選択され;より好ましくは、Rが、C1~6アルキルである、請求項1~9のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩。
【請求項11】
が、アルキル、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びヘテロアリールからなる群より選択され、前記アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクリル及びヘテロアリールのそれぞれが任意選択により、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ及びヒドロキシアルキルからなる群より選択される1個又は複数個の置換基によってさらに置換されていてもよく;好ましくは、Rが、C1~6アルキル、C1~6ヒドロキシアルキル、C3~6シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル及び5~10員ヘテロアリールからなる群より選択され、前記C1~6アルキル、C3~6シクロアルキル、3~8員ヘテロシクリル及び5~10員ヘテロアリールのそれぞれが任意選択により、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ及びC1~6ヒドロキシアルキルからなる群より選択される1個又は複数個の置換基によってさらに置換されていてもよい、請求項1~10のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩。
【請求項12】
が、ヘテロアリールであり、前記ヘテロアリールが任意選択により、アルキル、アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ及びヒドロキシアルキルからなる群より選択される1個又は複数個の置換基によってさらに置換されていてもよく;好ましくは、Rが、5~10員ヘテロアリールであり、前記5~10員ヘテロアリールが任意選択により、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ、オキソ、ハロゲン、アミノ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ及びC1~6ヒドロキシアルキルからなる群より選択される1個又は複数個の置換基によってさらに置換されていてもよく;好ましくは、Rが、ピラゾリルであり、前記ピラゾリルが任意選択により、C1~6アルキル、好ましくはメチルによって置換されていてもよい、請求項1~11のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩。
【請求項13】
が、水素原子、アルキル、アルコキシ及びハロゲンからなる群より選択され;好ましくは、Rが、水素原子、C1~6アルキル、C1~6アルコキシ及びハロゲンからなる群より選択される、請求項1~12のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩。
【請求項14】
が、水素原子である、請求項1~13のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩。
【請求項15】
【化5-1】
【化5-2】
からなる群より選択される、請求項1~14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩。
【請求項16】
式(IIIA)若しくは式(III-PA)
【化6】
の化合物
若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩
(式中、
が、ヒドロキシ保護基であり;
、R、R、R、m、n、p、Q及びzが、請求項9に規定されるとおりである。)。
【請求項17】
【化7】
からなる群より選択される、請求項16に記載の式(IIIA)又は式(III-PA)の化合物。
【請求項18】
酸性条件下で式(IIIA)又は式(III-PA)の化合物からヒドロキシ保護基Rを除去して、式(III)又は式(III-P)の化合物を得るステップ
【化8】
(式中、
ヒドロキシ保護基Rが、好ましくは、TBSであり;
、R、R、R、m、n、p、Q及びzが、請求項9に規定されるとおりである。)
を含む、請求項9に記載の式(III)又は式(III-P)の化合物を調製するための方法。
【請求項19】
治療有効量の請求項1~15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩と、1種又は複数種の薬学的に許容されるキャリア、希釈剤又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項20】
ERKを阻害するための医薬の調製における、請求項1~15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、若しくはこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩、又は、請求項19に記載の医薬組成物の使用。
【請求項21】
がん、炎症又は他の増殖性疾患、好ましくはがんの処置又は予防のための医薬の調製における、請求項1~15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物若しくはその立体異性体、互変異性体、メソマー、ラセミ化合物、エナンチオマー、ジアステレオマー、若しくはこれらの混合物若しくはこれらの薬学的に許容される塩、又は、請求項19に記載の医薬組成物の使用であって、前記がんが、メラノーマ、肝臓がん、腎臓がん、肺がん、鼻咽腔がん、大腸がん、結腸がん、直腸がん、膵臓がん、子宮頸がん、卵巣がん、乳がん、膀胱がん、前立腺がん、白血病、頭頸部扁平上皮細胞がん、子宮頸部の癌腫、甲状腺がん、リンパ腫、肉腫、神経芽細胞腫、脳腫瘍、骨髄腫、アストロサイトーマ及びグリオーマからなる群より選択される、使用。
【国際調査報告】