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特表2022-528084スマート多目的衝突防止服及びスキー場の安全システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(54)【発明の名称】スマート多目的衝突防止服及びスキー場の安全システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20220601BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20220601BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20220601BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20220601BHJP
   A41D 13/018 20060101ALN20220601BHJP
【FI】
G08B21/02
A41D13/00 102
G08C19/00 V
G08C17/00 A
G08C19/00 U
A41D13/018
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021557720
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(85)【翻訳文提出日】2021-09-28
(86)【国際出願番号】 CN2020081725
(87)【国際公開番号】W WO2020200107
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】201920417524.9
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010017323.7
(32)【優先日】2020-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】520178386
【氏名又は名称】▲孫▼ 寅▲貴▼
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ 寅▲貴▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 建平
(72)【発明者】
【氏名】周 ▲フイ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲賽▼
(72)【発明者】
【氏名】王 世国
(72)【発明者】
【氏名】王 磊
【テーマコード(参考)】
2F073
3B011
5C086
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA02
2F073AA11
2F073AA33
2F073AB01
2F073BB01
2F073CC03
2F073CC05
2F073CC08
2F073CC12
2F073CC15
2F073CD11
2F073DD05
2F073DD06
2F073DD07
2F073DE07
2F073DE13
2F073EE01
2F073EE16
2F073FF01
2F073FG01
2F073FG02
2F073FG11
2F073FH05
2F073GG01
2F073GG04
3B011AA01
3B011AB13
3B011AC04
3B011AC12
5C086AA22
5C086AA53
5C086CA25
5C086CB15
5C086CB19
5C086CB23
5C086CB27
5C086DA08
(57)【要約】
スキー場の安全システム及び方法であって、スキー場はコース(300)を含み、スキー場の安全システムは、スキーヤーにより着用され且つ膨張装置(100)及び制御装置(200)を含む衝突防止服(1)であって、膨張装置(100)は制御装置(200)の制御下で衝突防止服(1)を膨張させるように構成され、制御装置(200)はスキーヤーの状況を検出し、スキーヤーが危険にいるときに膨張装置(100)をトリガーして衝突防止服(1)を膨張させるように構成され、且つスキーヤーの危険状況を検出するときに危険信号を発するように構成される衝突防止服(1)と、コース(300)に沿って所定の間隔をおいて設置され、危険信号を受信し、コース(300)の他のスキーヤー(2’)にトリガー信号を発する中継装置(301)と、を含む。制御不能になったスキーヤー(2)の下にいるスキーヤー(2’)の衝突防止服(1)をトリガーすることによって、制御不能になったスキーヤー(2)自分が安全保護を得ることができるだけでなく、他のスキーヤー(2’)への予期せぬ傷害を効果的に回避することもできる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コース(300)を含むスキー場の安全システムであって、
コース(300)にいるスキーヤーを検出し、該スキーヤーが危険状況にいるときに前記スキーヤーの衝突防止服から発した、前記スキーヤーの位置を示す地理的位置情報を含む危険信号を受信する検出装置(301、501)と、
前記危険信号に基づいて危険トリガー信号を送信することで、前記衝突防止服を膨張させるように前記スキーヤーから所定の距離の危険領域内にいる他のスキーヤーの衝突防止服の膨張装置をトリガーする安全コントローラ(301、502)と、を含むスキー場の安全システム。
【請求項2】
前記検出装置は中継装置(301)を含み、前記中継装置(301)は前記コース(300)に沿って所定の間隔をおいて設置され、前記中継装置(301)は前記危険信号を受信し、危険トリガー信号として前記危険信号を伝送する請求項1に記載のスキー場の安全システム。
【請求項3】
前記危険トリガー信号は前記スキーヤーの地理的位置情報を含む請求項2に記載のスキー場の安全システム。
【請求項4】
前記スキーヤーの衝突防止服はコントローラを含み、該コントローラは検知機構が検知したデータを受信し、前記検知機構は地理的位置センサを含み、該地理的位置センサは前記スキーヤー(2)の前記地理的位置情報を検知するように構成される請求項3に記載のスキー場の安全システム。
【請求項5】
前記検知機構は、速度及び/又は加速度センサ、傾斜センサ、生理センサ、近接センサ、及び画像センサのうちの1つ又は複数をさらに含み、該加速度センサはスキーヤーの速度及び/又は加速度を検知でき、該傾斜センサは、例えばジャイロスコープ又は磁気センサであり、スキーヤーの身体の姿勢を検知でき、該生理センサは該衝突防止服を着用しているスキーヤーの生理兆候を検知でき、該近接センサは、スキーヤーと周囲障害物又は周囲の他のスキーヤーとの距離を検知でき、該画像センサはスキーヤーの周囲のシーンを撮像できる請求項4に記載のスキー場の安全システム。
【請求項6】
前記コントローラはストックがスキーヤーにより保持されるか否かを判定する情報をさらに受信する請求項4に記載のスキー場の安全システム。
【請求項7】
前記危険状況は、スキーヤーと周囲障害物との距離が所定の閾値よりも小さいこと、スキーヤーの心拍数又は体温が正常な範囲を超えること、スキーヤーが転倒し、所定の時間内に転倒状態から正常な体位に回復しないことのうちの1種又は複数種を含む請求項5に記載のスキー場の安全システム。
【請求項8】
前記危険状況はストックがスキーヤーにより保持されていないことを含む請求項6に記載のスキー場の安全システム。
【請求項9】
前記危険信号と前記危険トリガー信号は異なる符号化フォーマットを用いる請求項7又は8に記載のスキー場の安全システム。
【請求項10】
前記コントローラ(200)は、トリガー信号に含まれる位置情報と検知機構が検知した自体位置情報とを比較して、前記危険領域内にいるか否かを判定し、危険領域内にいる場合、膨張装置(100)をトリガーして衝突防止服(1)を膨張させるように構成される請求項9に記載のスキー場の安全システム。
【請求項11】
前記所定の距離は前記スキーヤーの位置又はスキーヤーの速度及び/又は加速度に応じて変更できる請求項10に記載のスキー場の安全システム。
【請求項12】
前記検出装置は複数の測位ベースステーション(500)を含み、各前記測位ベースステーションはそれぞれスキー場の所定の領域をカバーし、該所定の領域内にいるスキーヤーの衝突防止服が発した位置情報信号を受信して前記スキーヤーの位置情報及び運動状態情報を特定し、
前記安全コントローラは、危険信号を発したスキーヤーの位置情報及び運動状態情報に基づいて、危険領域を特定し、該危険領域をカバーする測位ベースステーション(500)に危険トリガー信号を送信させ、
該危険領域内にいるスキーヤーの衝突防止服のコントローラは前記トリガー信号を受信し、膨張装置をトリガーして衝突防止服を膨張させる請求項1に記載のスキー場の安全システム。
【請求項13】
禁止信号送信部(400)をさらに含み、前記禁止信号送信部は衝突防止服がトリガーされることが望まれない場所に設置されることで、衝突防止服が該場所でトリガーされることを禁止する請求項1~12のいずれか1項に記載のスキー場の安全システム。
【請求項14】
スキーヤーの安全を確保する方法であって、
第1スキーヤーが危険又は制御不能な状態にいる際に発した危険信号を受信するステップと、
前記第1スキーヤーから所定の距離の危険領域内にいる第2スキーヤーの衝突防止服を膨張させるステップと、を含むスキーヤーの安全を確保する方法。
【請求項15】
前記危険信号は前記第1スキーヤーの地理的位置を示す位置情報を含み、
前記所定の距離は、前記位置情報及び/又は前記第1スキーヤーの速度/加速度情報に基づいて特定される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記受信ステップはコースの近くの中継装置を利用して該危険信号を受信することを含み、
前記膨張ステップは、前記中継装置が前記危険信号と異なるフォーマットで危険トリガー信号を送信することを含み、前記危険トリガー信号は前記第1スキーヤーの位置情報及び/又は前記第1スキーヤーの速度/加速度情報を含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記膨張ステップは、前記第2スキーヤーの衝突防止服のコントローラが前記危険トリガー情報を受信し、前記危険トリガー情報に含まれる位置情報及び/又は速度/加速度情報に基づいて前記危険領域を計算し、前記第2スキーヤーの地理的位置を示す情報に基づいて前記第2スキーヤーが前記危険領域内にいるか否かを判定することを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
測位ステップをさらに含み、前記測位ステップでは、スキー場内に分布している複数の測位ベースステーションは前記第1スキーヤーの測位信号を受信して、前記第1スキーヤーの位置及び運動状態を特定し、前記複数の測位ベースステーションの分布はスキー場の異なる所定の領域をカバーする請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記膨張ステップは、測位ベースステーションと通信する安全コントローラが前記危険信号を受信し、前記危険信号、前記第1スキーヤーの位置及び運動状態情報に基づいて、危険領域を計算し、前記危険領域をカバーする測位ベースステーションに危険トリガー信号を送信させることを含む請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記危険又は制御不能な状態はストックが前記スキーヤーから離脱することを検出することによって特定される請求項14~19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年3月29日に提出された名称が「スマート多目的防護服」である中国実用新案の特許出願201920417524.9及び2020年1月8日に提出された名称が「スキー場の安全システム」である中国発明の特許出願202010017323.7の優先権を主張し、この2件の以前の出願の全内容は援用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明はスマート多目的衝突防止服及びスキー場の安全システムに関する。
【背景技術】
【0003】
スキー、オートバイの運転、カーレース及び高所作業等は速度及び高さのため、固有の危険性がある。高速衝突又は高空落下による人の損傷を防止又は少なくとも軽減するために、本出願人の以前の出願であるPCT/CN2017/105381及びCN201920417524.9では、衣服内の気圧を迅速に調整できる防護服が提案されており、この2件の以前の出願は援用により本明細書に組み込まれている。
【0004】
この防護服は瞬間に膨張することによって、スキーヤー個人の安全を効果的に保護することができる。しかし、調査した結果、スキー場での死傷の80%は他人からの傷害であり(初心者又は制御不能な人がその下の無辜者を後ろから傷つける)、従って、制御不能になったスキーヤー自身を防護する必要があるだけでなく、近くに、特に下にいるスキーヤーを防護する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、本発明者の以前の「衝突防止服」を系統的に管理し、協調することで、スキー場で、心配なく娯楽、運動を行うことを可能にするだけでなく、刺激を減らさず、安全性を大幅に向上させることができる娯楽運動場所を実現する。
【0006】
本発明は以下のように実現される。スキーヤーが危険を感知し、又はセンサが危険を検知すると、「衝突防止服」は、能動的及び受動的状況(能動的にストックを捨て、センサが危険を検知する状況)下で「衝突防止服」の膨張を起動する。このとき、該「衝突防止服」は膨張するとともに、コースの両側に設置された信号中継装置に信号を伝送する。該中継装置は近くに「衝突防止服」を着用する他のスキーヤーに信号をタイムリーに伝達することで、他のスキーヤーの衝突防止服をトリガーして膨張させ、差し迫った衝撃の危険に対処する。安全を完全にカバーすることをより効果的に確保するために、スキー場に入る全てのスキーヤーは、連動信号を受信してマッチングすることができる「衝突防止服」を着用する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、スキー場の安全システムを提供し、前記スキー場はコースを含み、前記スキー場の安全システムは、コースにいるスキーヤーを検出し、該スキーヤーが危険状況にいるときに前記スキーヤーの衝突防止服から発した危険信号を受信する検出装置であって、前記危険信号は前記スキーヤーの位置を示す地理的位置情報を含む検出装置と、前記安全装置が前記危険信号に基づいて危険トリガー信号を送信することで、前記スキーヤーから所定の距離の危険領域内にいる他のスキーヤーの衝突防止服の膨張装置をトリガーして、前記衝突防止服を膨張させる安全コントローラと、を含む。
【0008】
前記検出装置は中継装置を含み、前記中継装置は前記コースに沿って所定の間隔をおいて設置され、前記中継装置は前記危険信号を受信し、危険トリガー信号として前記危険信号を伝送する。前記危険トリガー信号は前記スキーヤーの地理的位置情報を含む。
【0009】
前記スキーヤーの衝突防止服はコントローラを含み、該コントローラは検知機構が検知したデータを受信し、前記検知機構は地理的位置センサを含み、該地理的位置センサは前記スキーヤーの前記地理的位置情報を検知するように構成される。
【0010】
前記検知機構は、速度及び/又は加速度センサ、傾斜センサ、生理センサ、近接センサ、及び画像センサのうちの1つ又は複数をさらに含み、該加速度センサはスキーヤーの速度及び/又は加速度を検知でき、該傾斜センサは、例えばジャイロスコープ又は磁気センサであり、スキーヤーの身体の姿勢を検知でき、該生理センサは該衝突防止服を着用しているスキーヤーの血圧、心拍数、体温等の生理兆候を検知でき、該近接センサは、スキーヤーと周囲障害物又は周囲の他のスキーヤーとの距離を検知し、該画像センサはスキーヤーの周囲のシーンを撮像する。
【0011】
前記コントローラはストックがスキーヤーにより保持されるか否かを判定する情報をさらに受信する。スノーボードの場合、スキーと類似し、スキーヤーは1つのトリガー素子を手で持つことができ、該トリガー素子は、例えばストックのハンドルと類似し、コントローラはスキーヤーが該トリガー素子を保持することを判定する情報を受信する。
【0012】
前記危険状況は、選択可能に、スキーヤーと周囲障害物との距離が所定の閾値よりも小さいこと、スキーヤーの心拍数又は体温が正常な範囲を超えること、スキーヤーが転倒し、所定の時間内に転倒状態から正常な体位に回復しないことのうちの1種又は複数種を含む。
【0013】
前記危険状況はさらに、選択可能に、ストックがスキーヤーから離脱することを含み、又はスノーボードの場合、トリガー素子がスキーヤーから離脱することを含む。
【0014】
前記危険信号は、好ましくは前記危険トリガー信号と異なる符号化フォーマットを用いる。
【0015】
前記コントローラは、トリガー信号に含まれる位置情報と検知機構が検知した自体位置情報とを比較して、前記危険領域内にいるか否かを判定し、危険領域内にいる場合、膨張装置をトリガーして衝突防止服を膨張させるように構成される。
【0016】
前記所定の距離は前記スキーヤーの位置又はスキーヤーの速度及び/又は加速度に応じて変更できる。
【0017】
前記検出装置は測位ベースステーションを含み、前記測位ベースステーションは、スキー場の所定の領域をカバーし、該所定の領域内にいるスキーヤーの衝突防止服が発した位置情報信号を受信して前記スキーヤーの位置情報及び運動状態情報を特定し、
前記安全コントローラは、危険信号を発したスキーヤーの位置情報及び運動状態情報に基づいて、危険領域を特定し、該危険領域をカバーする測位ベースステーションに危険トリガー信号を送信させ、
該危険領域内にいるスキーヤーの衝突防止服のコントローラは前記トリガー信号を受信し、膨張装置をトリガーして衝突防止服を膨張させる。
【0018】
スキー場の安全システムは禁止信号送信部をさらに含み、前記禁止信号送信部は、衝突防止服がトリガーされることが望まれない場所に設置されることで、衝突防止服が該場所でトリガーされることを禁止する。
【0019】
本発明はスキーヤーの安全を確保する方法をさらに提供し、前記第1スキーヤーが危険又は制御不能な状態にいる際に発した危険信号を受信するステップと、前記第1スキーヤーから所定の距離の危険領域内にいる第2スキーヤーの衝突防止服を膨張させるステップと、を含む。
【0020】
前記危険信号は前記第1スキーヤーの地理的位置を示す位置情報を含み、前記所定の距離は、前記位置情報及び/又は前記第1スキーヤーの速度/加速度情報に基づいて特定される。
【0021】
好ましくは、前記受信ステップはコースの近くの中継装置を利用して該危険信号を受信することを含み、前記膨張ステップは、前記中継装置が前記危険信号と異なるフォーマットで危険トリガー信号を送信することを含み、前記危険トリガー信号は前記第1スキーヤーの位置情報及び/又は前記第1スキーヤーの速度/加速度情報を含む。
【0022】
前記膨張ステップは、前記第2スキーヤーの衝突防止服のコントローラが前記危険トリガー情報を受信し、前記危険トリガー情報に含まれる位置情報及び/又は速度/加速度情報に基づいて前記危険領域を計算し、前記第2スキーヤーの地理的位置を示す情報に基づいて前記第2スキーヤーが前記危険領域内にいるか否かを判定することを含む。
【0023】
別の実施例としては、前記方法は測位ステップをさらに含み、前記測位ステップでは、スキー場内に分布している複数の測位ベースステーションは前記第1スキーヤーの測位信号を受信して、前記第1スキーヤーの位置及び運動状態を特定し、前記複数の測位ベースステーションの分布はスキー場の異なる所定の領域をカバーする。
【0024】
前記膨張ステップは、測位ベースステーションと通信する安全コントローラが前記危険信号を受信し、前記危険信号、前記第1スキーヤーの位置及び運動状態情報に基づいて、危険領域を計算し、前記危険領域をカバーする測位ベースステーションに危険トリガー信号を送信させることを含む。
【0025】
前記危険又は制御不能な状態はストックが前記スキーヤーから離脱することを検出することによって特定される。
【0026】
本発明を利用して、制御不能になったスキーヤーの下にいるスキーヤーの衝突防止服をトリガーすることによって、制御不能になったスキーヤーによる他のスキーヤーへの予期せぬ傷害を回避することができる。また、各「衝突防止服」同士は完全に連動を防ぐため、該中継装置を介してのみ連動を行うことができる。中継装置は、カバー方向、信号距離及びスマート判断で、信号を効果的に選別し、不必要な誤操作及び範囲を回避できる。例えば、ロープウェイで順番を待ち、スキーヤーが一緒に食事をするとき、「衝突防止服」を着用しているいずれかの個人は、誤操作やテストをするとしても、他の「衝突防止服」着用者にパニックや迷惑をもたらさない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明の上記及び他の特徴、利点及び技術的優越性は、以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を詳細に説明することによって、理解することができる。
図1A図1Aはスマート衝突防止服を示す正面図である。
図1B図1Bはスマート衝突防止服を示す背面図である。
図2図2は膨張装置の分解斜視図である。
図3図3は膨張装置100の平面図である。
図4図4は膨張装置100の下面図である。
図5図5図3のB-B線断面図である。
図6図6図3のC-C線断面図である。
図7図7図5の円の拡大図である。
図8図8は衝突防止服1の制御装置を示す模式的なブロック図である。
図9図9はスキー場の安全システムの一実施例を示す模式図である。
図10図10はスキー場の安全システムの別の実施例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施例を詳細に参照し、その例を図面に示し、類似の符号は常に類似の素子を示す。これに関して、本実施例は異なる形態を有することができ、ここに記載の説明に限定されると解釈されるべきではない。従って、以下は図面を参照して実施例を説明することによって本明細書の各態様を解釈するためのものに過ぎない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、リストされた1つ又は複数の関連する項目のいずれか及びすべての組み合わせを含む。「…のうちの少なくとも1つ」のような表現は素子リストの前にある場合、素子リスト全体を修飾し、且つリストの各素子を修飾しない。
【0029】
以下、図面を参照して本開示の実施例を説明する。
【0030】
本開示の実施例を提供することで、当業者が完全に本開示を理解することを可能にする。しかし、実施例は多くの異なる形態で具体化することができ、本開示の範囲はここに記載の実施例に限定されると解釈されるべきではない。これらの実施例を提供することで、本開示を明確且つ完全にし、且つ当業者に本開示の発想を十分に伝える。
【0031】
本明細書で使用される用語は特定の実施例を説明するためのものに過ぎず、本開示を限定するためのものではない。特に断らない限り、本明細書で使用される単数形「1つ」及び「該」は複数形を含むことを意味する。さらに理解されるように、用語「含む」は本明細書で使用される場合、前記特徴、整数、ステップ、操作、素子、部品及び/又はそれらのグループの存在を規定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、操作、素子、部品及び/又はそれらのグループの存在又は追加を除外しない。本明細書で使用される用語「及び/又は」は、リストされた1つ又は複数の関連する項目のいずれか及びすべての組み合わせを含む。
【0032】
なお、「第1」、「第2」等の用語は本明細書で様々な部材、領域、層、部分及び/又は部品を説明することに用いることができるが、これらの部材、領域、層、部分及び/又は部品はこれらの用語に制限されるべきではない。これらの部品は特定の順序又は優越性を示すものではなく、1つの部材、領域、層、部分又は部品と別の部材、領域、層、部分又は部品を区別することのみに用いられる。従って、本開示の教示を逸脱することなく、第1部材領域、領域、部分又は部品は第2領域、部分又は部品を指示することができる。
【0033】
以下、図1A図7を参照して、本開示の一実施例に係る衝突防止服1を説明する。図1A及び図1Bはそれぞれ衝突防止服の正面図及び背面図である。図1A及び図1Bに示すように、該衝突防止服の外観は普通の衝突防止服と類似し、前身頃、後身頃、左右肩部、左右袖部及び襟部を含む。
【0034】
しかし、本発明に係る衝突防止服1では、例えば、前身頃、後身頃、左右袖部、襟部内に複数のエアバッグ210が設置され、且つ左右肩部にそれぞれ左右膨張装置100が設置される。衝突防止服内に設置される複数のエアバッグは、危険が発生することを検出するとき又は危険が発生しているときに左右膨張装置により膨張し、それにより、スキーヤーに緩衝防護を提供し、特にスキーヤーの重要な部位に緩衝防護を提供し、これらの部位は、例えば胸、脊柱、左右肘部、首等を含む。
【0035】
これらのエアバッグは互いに直列連通してもよく、それにより左右膨張装置はすべてのエアバッグを順に膨張させる。代替的に、これらのエアバッグは複数のグループに分けられてもよく、各グループ内のエアバッグは直列連通し、各グループの間は並列連通し、且つ各グループはそれぞれパイプを介して左膨張装置及び/又は右膨張装置に接続され、それにより所定の順序で各エアバッグを膨張させる。好ましくは、首及び脊柱を保護するエアバッググループを優先的に膨張させ、次に胸を保護するエアバッグを膨張させ、最後に肘部を保護するエアバッグを膨張させる。
【0036】
衝突防止服の所定の位置、例えば、左袖部及び/又は右袖部の袖口に近接する箇所にセンシング素子220が設置され、該センシング素子はトリガー素子230の存在をセンシングでき、且つトリガー素子230を検知できないとき、トリガー信号を発し、それにより膨張装置をトリガーする。
【0037】
1つの好ましい実施例では、該センシング素子はホール素子であり、トリガー素子は磁性シートであり、該トリガー素子は例えば縄を介してストックに接続され、それにより、正常な場合、例えば、スキーヤーが安全にスキー運動を行うとき、スキーヤーはストックを手で持ち、且つ磁性シートはその磁性によってホール素子に引き付けられ、ホール素子は磁性シートの磁性を検知でき、危険が発生する場合、例えば、スキーヤーが転倒するとき、ストックはスキーヤーの手から離脱し、磁性シートはホール素子から離脱し、この場合、ホール素子は磁性シートの磁性を検知できず、さらにトリガー信号を発し、該トリガー信号は膨張装置により受信され、且つ膨張装置が作動し始まるようにトリガーし、衝突防止服内のエアバッグを膨張させる。該ホール素子が発したトリガー信号は無線又は有線方式で送信されてもよく、有線又は無線方式で膨張装置のコントローラにより受信される。
【0038】
別の実施例としては、センシング素子はリードスイッチであってもよく、磁性シートがリードスイッチに引き付けられるとき、スイッチが閉じ、磁性シートが外れるとき、リードスイッチが切断し、それにより、この切断信号が膨張装置により受信されて膨張装置をトリガーし、代替的に、磁性シートがリードスイッチに引き付けられるとき、リードスイッチが切断し、例えばスキーヤーが転倒するため磁性シートが外れるとき、リードスイッチがその弾性によって閉じ、それにより、膨張装置をトリガーする。
【0039】
さらなる実施例としては、センシング素子は光電素子であってもよく、光電素子は左袖部及び/又は右袖部の袖口内に嵌め込まれ、且つ光電素子が設置された位置に、袖口に穴が設置され、磁性シートが袖部に引き付けられるとき、該穴が覆われ、磁性シートが外れるとき、穴が露出し、光電素子は該穴によって光線を検知し、さらにトリガー信号を発生させ、膨張装置をトリガーする。
【0040】
以上はセンシング素子の様々な実例であるが、当業者であれば理解できるように、本発明はこれらの実例に限定されず、いずれかのセンシング素子を用いることができ、また、上記トリガー素子は磁性シートを例として説明されるが、トリガー素子は他の素子であってもよく、例えば、ファスニング、係合部等の他の方式で袖部に外れ可能に付着されるいずれかの素子はトリガー素子として用いることができる。
【0041】
また、上記にはトリガー素子が袖部に付着されて、センシング素子により検知されることが記載されているが、理解できるように、本発明によれば、トリガー素子は必ずしも袖部に付着されず、トリガー素子は正常な状態下でセンシング素子が検知できる範囲にあれば、本発明の目的を実現できる。
【0042】
例えば、トリガー素子は例えば近距離センシングチップ(NFC)であってもよく、センシング素子は該近距離センシングチップをセンシングできるセンサであってもよく、それにより、トリガー素子がセンサの所定の範囲内にあるとき、センサはトリガー素子の存在を検知でき、例えばスキーヤーが転倒する等の危険状態が発生するとき、近距離センシングチップがセンサから離れ、センサは近距離センシングチップを検知できなくなり、それによりトリガー信号を発生させ、膨張装置をトリガーする。
【0043】
センシング素子又はセンサは膨張装置100のコントローラにトリガー信号を送信する際に有線方式又は無線方式を用いることができ、有線の場合、センシング素子220は衝突防止服1内に嵌め込まれた配線(図示せず)を介して膨張装置のコントローラに接続し、膨張装置のコントローラにトリガー信号を送信することができ、無線の場合、該センシング素子は、例えば無線送信機を含み、且つ膨張装置のコントローラは無線受信機を含み、それにより、無線方式でセンシング素子のトリガー信号を受信する。
【0044】
以下、図2図7を参照して本発明の好ましい実施例に係る膨張装置100を説明する。膨張装置はそれぞれ衝突防止服の左肩部及び右肩部内に取り付けられ、且つ左肩部及び右肩部に設置される膨張装置は互いに鏡面対称になり、従って、以下、そのうちの1つのみの膨張装置を説明する。
【0045】
図2は膨張装置の分解斜視図であり、図3は膨張装置100の平面図であり、図4は膨張装置100の下面図であり、図5図3のB-B線断面図であり、図6図3のC-C線断面図であり、図7図5の円の拡大図である。また、以下の説明では、便宜上、方向用語は衝突防止服がスキーヤーに着用された場合に限定されるものであり、例えば、頂部とはスキーヤーが立っているときに空に向かう方向を指し、底部とは頂部と反対の方向を指し、外部又は外端部とはスキーヤーの体の外に向かう一方側又は一端を指し、内部又は内端部とはスキーヤーの体に向かう一方側又は一端を指す。前方側又は前端部とはスキーヤーが向く一方側又は一端を指し、後方側又は後端部とはスキーヤーが背く一方側又は一端を指す。
【0046】
図2図7に示すように、膨張装置100はハウジング101を含み、該ハウジング101は、一般的にプラスチックで製造され、且つ底面が人体の肩部に合致する形状に形成され、それにより、膨張装置100は衝突防止服の肩部内に設置されるときに着用者に不快感をもたらさない。勿論、本発明はこれに限定されず、膨張装置100は他の任意の便利で適切な位置に設置されてもよい。
【0047】
該衝突防止服1はコントローラ200をさらに含み、コントローラ200は膨張装置100のハウジング101の天面に設置されてもよく、それにより膨張装置100と1つのユニットを構成し、且つ必要に応じて、膨張装置100が起動して衝突防止服1を膨張させるように制御することができる。該コントローラ200については、以下では図8を参照して詳細に説明する。
【0048】
ハウジング101内にはモータ103及びモータの出力軸に固定されるファン104が設置され、図示のように、本実施例では、各膨張装置に2つのモータ103及びファン104が並列設置されることで、非常に短い時間、例えば、0.1秒~1秒内にエアバッグを迅速に膨張させる。しかし、本発明はモータ及びファンの数を限定せず、所定の時間内にエアバッグを十分に膨張させることができれば、1つのモータ及びファン又は2つ以上のモータ又は多段圧縮ファンを使用してもよい。
【0049】
一実施例では、モータは高速直流モータを用いてもよい。また、図示のように、各モータの出力軸に、軸方向に多段ファンが設置され、図に6つが示され、これらのファンは軸流ファンであってもよいが、遠心ファン又は混流ファンを用いてもよく、ファンが十分な流量、気圧を出力できればよい。
【0050】
ハウジング101の外端部はグリッドを含み、該グリッドは外側に露出してもよく、又は衝突防止服に包まれて必要なときに露出してもよい。ハウジング101の内端部は排気口107を含み、該排気口は衝突防止服のエアバッグと連通することで、エアバッグを膨張させる。
【0051】
ハウジング101の排気口とファンとの間に逆止弁がさらに設置され、該逆止弁はガスが膨張装置からエアバッグに入ることのみを可能にし、エアバッグから膨張装置を通って漏れることを不可能にする。本実施例では、該逆止弁はハウジング内に設置された逆止ゴムシート105から構成され、膨張装置が作動するとき、ファンからのガスの圧力が逆止ゴムシート105を押し、それによりエアバッグを膨張させ、膨張装置100のモータが作動を停止するとき、エアバッグ内の気圧が逆止ゴムシート105を、ハウジング内に形成された弁座106に押し付け、それにより、ガスが膨張装置100のハウジングを通って漏れることを阻止する。
【0052】
膨張装置100のハウジング101内に気圧センサ108がさらに設置されることで、エアバッグの気圧を検知する。且つ、気圧センサ108はエアバッグの気圧が所定の閾値に達したことを検知するとき、膨張装置100による継続膨張を停止する。気圧センサ108を用いてエアバッグが膨張された気圧を検知し、さらに膨張装置を制御することは、有利であり、このようにエアバッグを十分に膨張させることを確保することができる。これは異なる標高下での操作に対して有益である。また、衝突防止服の使用のため、膨張装置100のモータに給電する電池の残量が低下し、このように、時間を膨張装置の制御条件とすれば、電池の残量が低下する場合、十分に膨張させない恐れがある。エアバッグ内に実際に膨張された気圧を検知することによって、様々な条件においても膨張要件を満たす。勿論、気圧が高すぎると利用者に危険をもたらすことを防止する必要もある。
【0053】
衝突防止服に例えば手動スイッチ240がさらに設置されてもよく、それにより手動で膨張装置を制御し、それにより膨張装置が作動するように手動で制御し、エアバッグを膨張させる。また、衝突防止服に排気弁250がさらに設置されることで、衝突防止服が膨張された後、必要に応じて衝突防止服内のガスを完全に排気して、収納しやすくする。
【0054】
一例としては、衝突防止服にセンサがさらに設置されてもよく、それによりスキーヤーの生命兆候を測定し、例えば、心臓の位置に体温センサ又は心拍数センサ等のセンサを設置することで、スキーヤーの心拍数及び/又は体温を検知し、且つ例えば、袖部に血圧センサを設置することで、スキーヤーの血圧、心拍数を測定する。コントローラはスキーヤーの生命兆候を示すこれらのデータを受信し、且つこれらのデータに基づいてスキーヤーの様々なパラメータ、例えばスキーヤーのカロリー消費、運動強度等を計算し、且つこれらのデータはスキーヤーのスマートフォン等にインストールされたアプリケーションプログラムにより読み取られて表示され得る。また、これらの生命兆候が危険閾値になるとスキーヤーに警告を発し又は自動的にレスキューステーションに警報を発する。例えば、スキーヤーの心拍数が所定値を超えるとき、体温が所定値よりも低いとき又は血圧が所定値よりも低いとき等、危険度に応じて、段階的に警報情報を順次発する。
【0055】
コントローラに検知機構205がさらに設置され、該検知機構205はスキーヤーの地理的情報を検知する地理的位置センサ、例えばGPS、北斗、ガリレオシステムのセンサ等を含んでもよく、それによりスキーヤーの位置を検知して記録し、該位置情報はスキーヤーのスマートフォン等のアプリケーションプログラムにより読み取られ、スキーヤーの足跡を記録することができる。また、警報情報を発するとき、スキーヤーの位置を警報情報に含めて近くのレスキューステーションに送信してもよく、それにより救助者はスキーヤーを迅速に測位することができる。
【0056】
代替的に、コントローラはスキーヤーの生命兆候を示す上記のデータに基づいて評価してもよく、且つスキーヤーの現在の状態を緊急、危険及び正常の状態に分け、且つ異なる状態に対して、異なる対策を取る。例えば、緊急と評価される場合、コントローラは自動的にレスキューステーション等に警報救助情報を送信し、危険状態の場合、コントローラは先ずスキーヤー自身に注意を与え、状態が改善されないままの場合、状態を緊急状態にアップグレードし、自動的に警報救助情報を送信する。
【0057】
本発明に係る衝突防止服は能動的防護システム(図示せず)をさらに含んでもよく、例えば、膨張装置のハウジングの複数の位置にレーダーがさらに設置され、前記レーダーは常にスキーヤーの周囲の障害物を検出でき、且つ障害物又は他のスキーヤー又は物体が高速で接近することを検出するとき、自動的に膨張装置をトリガーしてエアバッグを膨張させ、それにより、スキーヤーが高速で衝突されることを防止する。
【0058】
以下、図8を参照して衝突防止服1に用いられるコントローラ200を詳細に説明する。前記コントローラ200はコンピュータと呼ばれてもよく、中央処理装置(CPU、ここで「プロセッサ」及び「コンピュータプロセッサ」とも呼ばれる)201を含んでもよく、シングルコア又はマルチコアプロセッサ、又は並列処理用の複数のプロセッサであってもよい。コントローラ200は、メモリ又は記憶ユニット202(例えば、ランダムアクセスメモリ、読み出し専用メモリ、フラッシュメモリ)、1つ又は複数の他のシステムと通信するための通信インタフェース203(例えば、ネットワークアダプタ)及び入出力インタフェース204、例えばキャッシュ、他のメモリ、データストレージ及び/又は電子ディスプレイアダプタをさらに含む。記憶ユニット202、通信インタフェース203及び入出力インタフェース204はバスを介してCPU201と通信する。記憶ユニット202はデータ及びCPU201が実行するプログラムを記憶するためのデータ記憶ユニット(又はデータリポジトリ)であってもよい。
【0059】
図8に示すように、前記入力/出力インタフェース203は検知機構205と通信することで、検知機構205から検知データを受信する。該検知機構205は該衝突防止服1を着用するスキーヤーの状況を検知でき、例えば、該検知機構205は、速度及び/又は加速度センサ、傾斜センサ、地理的位置センサ、生理センサ、近接センサ、及び画像センサのうちの1つ又は複数を含み、該速度及び/又は加速度センサはスキーヤーの速度及び/又は加速度を検知でき、該傾斜センサは、例えばジャイロスコープ又は磁気センサであり、スキーヤーの身体の姿勢を検知でき、該地理的位置センサは、例えばGPSセンサ、北斗センサ、ガリレオシステムセンサ等であり、該スキーヤーの位置を特定し、該生理センサは該衝突防止服1を着用するスキーヤーの生理兆候、例えば、血圧、心拍数、体温等を検知でき、該近接センサは、スキーヤーと周囲障害物又は周囲の他のスキーヤーとの距離を検知し、該画像センサはスキーヤーの周囲のシーンを撮像する。該検知機構205は、コントローラ200と一体に集積され又は分離する素子であってもよく、インタフェース回路を介してコントローラ200に接続される。
【0060】
コントローラ200の入力/出力インタフェース230はさらに衝突防止服のセンシング素子220から発されたトリガー信号を受信でき、スキーヤーが危険に遭遇してストックを捨て又はストックが離脱すると、センサがセンシング素子220から発されたトリガー信号を受信し、それにより膨張装置100をトリガーして衝突防止服1を膨張させる。センシング素子200が無線方式でコントローラ200と通信してトリガー信号をコントローラ200に送信する場合、該入力/出力インタフェース230は対応する受信機を含み、それにより所定のプロトコル、例えば、wifi、ブルートゥース(登録商標)、zigbee等に基づいてセンシング素子220から発されたトリガー信号を受信する。センシング素子220が有線方式でコントローラ200と通信する場合、コントローラ200の入力/出力インタフェース230はセンシング素子220に接続されるピンを含んでもよい。
【0061】
前記通信インタフェース203は例えば送受信機2031を含み、該送受信機2031はプロセッサによる制御で危険信号を送信でき、該危険信号は、例えば、前記スキーヤーが危険に遭遇し又は制御不能になったことを示す信号であり、且つ該送受信機2031は所定の危険トリガー信号を受信でき、コントローラ200は該送受信機2031によって前記所定の危険トリガー信号を受信するとき、膨張装置100を制御することで該膨張装置100をトリガーして衝突防止服1を膨張させることができる。
【0062】
図9は本発明に係るスキー場の安全システムの一実施例を示す。図9に示すように、スキー場はコース300を含み、好ましくは、コース300の両側に中継装置301が所定の距離をおいて設置され、該中継装置301はスキーヤー2の衝突防止服からの危険信号を受信し、且つ受信した信号に基づいて指定機器に危険トリガー信号を伝送することができる。
【0063】
以下、図9を参照して本発明に係るスキー場の安全システムを説明する。
【0064】
スキーヤー2が衝突防止服1を着用してスキーする場合、スキーヤーが危険状況に遭遇すると、例えば、スキーヤーが転倒し又はスキーヤーのストックが離脱すると、コントローラ200は直ちに衝突防止服のセンシング素子220から発されたトリガー信号を受信し、それにより該危険状況を検知し、膨張装置100をトリガーして衝突防止服1を膨張させる。該危険状況は、例えば、スキーヤーと周囲障害物との距離が所定の閾値よりも小さいこと、他のスキーヤーが危険的に接近すること、スキーヤーの心拍数又は体温が正常な範囲を超えること、スキーヤーが転倒し、所定の時間内に転倒状態から正常な体位に回復しないこと、画像センサが取得した画像に対して画像識別を行うことでスキーヤーが危険状態にいると確認すること等を含む。それと同時に、コントローラ200の通信インタフェースの送受信機2031によって危険信号を送信し、該危険信号はスキー場のコースに沿って設置された中継装置301により受信され、且つ例えば自動放送方式で、危険トリガー信号の形態で再送信され(図3の破線に示される)、それにより、所定の範囲内の他のスキーヤー2’の衝突防止服1のコントローラ200は、その通信インタフェース203によって、放送された危険トリガー信号を受信でき、且つそれぞれの膨張装置100をトリガーし、それにより、危険に遭遇した該スキーヤー2(以下、制御不能になったスキーヤー2と呼ばれる)の所定の範囲(危険範囲とも呼ばれる)内のスキーヤーの衝突防止服1を膨張状態にさせ、他のスキーヤー2’が該制御不能になったスキーヤー2に衝突されても、危険状況を引き起こさない。そして、危険領域にいるスキーヤーが積極的に対応すると警告する。
【0065】
一例としては、衝突防止服1から発された危険信号とコースの中継装置301から発された危険トリガー信号とは異なる符号化形態又はフォーマットを用い、且つ該危険信号は該制御不能になったスキーヤー2の位置情報を含んでもよく、該位置情報はコントローラ200の検知機構205のGPS、北斗等の地理的位置センサによって取得されてもよく、且つ中継装置301から発された危険トリガー信号は該制御不能になったスキーヤー2の位置情報を含んでもよく、該制御不能になったスキーヤー2の下に位置し該制御不能になったスキーヤーから所定の範囲(危険範囲)内のスキーヤー2’の衝突防止服は、該危険トリガー信号を受信して解釈し、トリガーされて衝突防止服1を膨張させ、該制御不能になったスキーヤー2の上のスキーヤー2’’又は該制御不能になったスキーヤー2から遠いスキーヤー2’’’は、該信号を受信しても、トリガーされて衝突防止服を膨張させることがない。例えば、以下のように実現でき、すなわち、スキーヤーの衝突防止服1は中継装置301からの危険トリガー信号を受信し、危険トリガー信号に含まれる位置情報と自体の検知機構が検知した自体の位置情報とを比較し、且つ自体の位置が制御不能になったスキーヤーの位置の下に位置し且つ所定の範囲内にあると比較結果が示すとき、衝突防止服1の膨張装置100をトリガーして衝突防止服を迅速に膨張させ、自体の位置が制御不能になったスキーヤー2の上に位置し又は自体と制御不能になったスキーヤーとの距離が所定の閾値を超えると該比較結果が示す場合、膨張装置100をトリガーせず、図9のスキーヤー2’’’に示される。該距離の所定の閾値は50メートル~100メートルの範囲であってもよいが、本発明はこれに限定されず、状況に応じて設定でき、例えば、コースの勾配が比較的急であり又はスキーヤーの速度が比較的速いと予期できる領域では、該所定の閾値は比較的大きく選択され、コースの勾配が比較的緩やかであり又はスキーヤーの速度が遅いと予期できる領域では、該所定の閾値は小さく選択され得る。それにより、制御装置200のCPU201は該スキーヤーの位置を示す位置信号を受信して記憶装置203に記憶されたプログラムに基づいて該所定の閾値を設定することができる。
【0066】
また、前記検知機構205は速度センサ及び/又は加速度センサをさらに含んでもよく、それによりスキーヤーの速度及び/又は加速度を検知し、且つ前記危険信号は該速度及び/又は加速度情報を含み、システムは該速度及び/又は加速度情報に基づいて危険がある領域を計算し、中継装置301によって影響を受ける領域内の衝突防止服にトリガー信号を発する。該領域内にいる他のスキーヤーは前記トリガー信号を受信するとき、他のスキーヤーの衝突防止服1のコントローラ200のCPU201は、該制御不能になったスキーヤーの速度情報に基づいて前記所定の閾値を計算して設定することができ、それにより前記制御不能になったスキーヤーの速度が比較的速い場合、前記所定の閾値が比較的大きく設定され、前記制御不能になったスキーヤーの速度が比較的遅い場合、前記所定の閾値が比較的小さく設定される。
【0067】
図10は本発明に係るスキー場の安全システムの別の実施例を示し、図10に示すように、スキー場に測位ベースステーション501が分布し、該測位ベースステーション501は安全コントローラ502と通信し、各測位ベースステーション401は所定の範囲のスキー場をカバーすることができる。スキーヤー2がスキー場に入った後、衝突防止服1内のコントローラ200は該スキーヤー2の位置情報を含む信号を、スキー場に設置された複数の測位ベースステーション501に継続的に送信し、それにより、例えば、携帯電話の基地局と類似する原理により、安全コントローラ502は、どの測位ベースステーション501がスキーヤー2から送信された位置情報信号を受信できるかに基づいて、スキーヤー2の位置及び状態、例えば、該スキーヤー2の移動速度、加速度等を特定する。
【0068】
スキーヤー2は危険状況が発生するとき、例えば、上記のように、スキーヤーのストックが手から離脱すると、衝突防止服1のセンシング素子240はトリガー信号をコントローラ200に送信し、コントローラ200は膨張装置100をトリガーして衝突防止服1を膨張させるとともに、制御不能になったスキーヤー2がいる領域をカバーする測位ベースステーション501に危険信号を送信する。
【0069】
該測位ベースステーション501は危険信号を受信した後、危険信号を安全コントローラ502に送信し、安全コントローラ502はその前に特定した制御不能になったスキーヤー2の移動速度、加速度等の情報に基づいて、危険範囲を計算し、該危険範囲をカバーする測位ベースステーション501が危険トリガー信号を送信するように制御し、該危険範囲内のスキーヤー2’の衝突防止服1のコントローラ200は該危険トリガー信号を受信してそれぞれの膨張装置100をトリガーして衝突防止服1を膨張させ、危険範囲をカバーしない測位ベースステーション501は危険トリガー信号を送信せず、それにより危険範囲内にいない他のスキーヤーの衝突防止服1の膨張装置100はトリガーされない。
【0070】
それにより、衝突防止服1を着用しているスキーヤーがコースにいない場合、例えば、ケーブルカー又は他の位置にいる場合、ある衝突防止服1が誤操作によりトリガー信号を発したとしても、該信号を受信して再送信する中継装置301又は安全コントローラ501がないため、近くの他の衝突防止服1は起動しない。選択的な方式としては、衝突防止服1の起動が望まれない場所、例えばレストラン、ケーブルカーステーション等の位置に信号送信局400を設置してもよく、該信号送信局400は禁止信号を発することができ、衝突防止服1の制御装置200はその通信インタフェースによって該禁止信号を受信し、それにより、トリガー信号を同時に受信しても膨張装置100をトリガーして衝突防止服1を膨張させることがなく、さらにこれらの場所で衝突防止服1を誤ってトリガーすることを防止する。
【0071】
例示的な実施形態を参照して本開示を説明したが、当業者であれば理解できるように、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な変更や修正を行うことができる。従って、上記実施形態は限定的なものではなく、例示的なものであると理解されるべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】