(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(54)【発明の名称】ステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入弁内弁と介入大動脈弁
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
A61F2/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558007
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(85)【翻訳文提出日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2020083088
(87)【国際公開番号】W WO2020207332
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】201910274761.9
(32)【優先日】2019-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508007949
【氏名又は名称】北京佰仁医療科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】金 磊
(72)【発明者】
【氏名】慕 宏
(72)【発明者】
【氏名】範 志豪
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA27
4C097BB01
4C097CC14
4C097DD01
4C097DD09
4C097DD10
4C097DD15
4C097SB03
(57)【要約】
ステントと弁尖との連結構造に関し、そのうち当該前記ステントは金属メッシュチューブであり、前記弁尖は前記ステントの内側に設置された3つの扇形弁尖であり、3つの前記扇形弁尖は、いずれも遊離縁、円弧状底辺及び両側に延びる弁尖の交連部を有し、前記金属メッシュチューブには3つの連結柱が均等に配置され、前記扇形弁尖の交連部は径方向反転連結部と軸方向反転連結部とを含み、前記各扇形弁尖は、径方向反転連結部が前記連結柱の矩形スリットを通過した後に内側から外側へ折り曲がり、軸方向反転連結部は連結柱の内側で折り曲がった後に、さらに縫合糸で前記連結柱に連結固定される。当該連結構造を応用した介入弁内弁又は介入大動脈弁をさらに提供する。ステントと弁尖との連結構造により、弁尖が開閉時に応力が集中することと、弁尖とステントとの間に摩擦が発生することとを回避でき、生体弁に近い血行力学的効果及び近似する耐久性機能を実現した。【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントは金属メッシュチューブであり、弁尖は前記ステントの内側に設置された3つの扇形弁尖であり、3つの前記扇形弁尖は、いずれも遊離縁、円弧状底辺及び両側に延びる弁尖の交連部を有する介入弁内弁又は介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造であって、前記金属メッシュチューブには3つの連結柱が均等に配置され、前記連結柱のそれぞれは少なくとも1つの矩形スリットを有し、前記扇形弁尖の交連部は径方向反転連結部と軸方向反転連結部とを含み、前記各扇形弁尖は、径方向反転連結部が前記連結柱の矩形スリットを通過した後に内側から外側へ折り曲がり、軸方向反転連結部が連結柱の内側で折り曲がって緩衝部が形成された後に、縫合糸で前記連結柱に連結固定されることを特徴とする介入弁内弁又は介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造。
【請求項2】
前記隣接する2つの弁尖の交連部の径方向反転連結部は、可撓性接片の縫着により連結された後、前記連結柱の矩形スリットを通過し、前記可撓性接片の内側に剛性のガスケットが係合固定された後、縫合糸で連結柱に固定される請求項1に記載の介入弁内弁又は介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造。
【請求項3】
前記連結柱のそれぞれは、前記矩形スリットの両側に孔又は矩形フレームが対称的に設けられ、前記孔の数は4個乃至8個であり、前記矩形フレームの数は2個又は4個である請求項1に記載の介入弁内弁又は介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造。
【請求項4】
前記ステントの材料は、コバルト基合金、ニッケルチタン合金、又はステンレス鋼材料である植え込み可能な合金材料であり、前記弁尖の材料は、動物由来の組織材料又は医療用高分子材料である請求項1に記載の介入弁内弁又は介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造。
【請求項5】
径方向に圧縮可能でかつバルーンによって拡張された後に略末広がり状を呈するステントと、前記ステントの内側に設置された3つの扇形弁尖とを含み、3つの前記扇形弁尖は、いずれも遊離縁、円弧状底辺及び両側に延びる弁尖の交連部を有する請求項1ないし4のいずれかに記載のステントと弁尖との連結構造を応用した介入弁内弁又は介入大動脈弁であって、前記ステントは金属メッシュチューブであり、前記金属メッシュチューブには3つの連結柱が均等に配置され、前記連結柱のそれぞれは少なくとも1つの矩形スリットを有し、前記扇形弁尖の交連部は径方向反転連結部と軸方向反転連結部とを含み、前記各扇形弁尖は、径方向反転連結部が前記連結柱の矩形スリットを通過した後に内側から外側へ折り曲がり、軸方向反転連結部が連結柱の内側で折り曲がって緩衝部が形成され、さらに縫合糸で前記連結柱に連結固定され、前記ステントの体壁には被膜が設置されていることを特徴とする介入弁内弁又は介入大動脈弁。
【請求項6】
前記ステントは、前記連結柱の間に設けられた複数列の軸方向ストラットを有し、前記連結柱と軸方向ストラットとの間には、横方向に延びる円周ストラットが3行設けられ、下側の1行目の円周ストラットは前記ステントの流入端を画定し、1行目と間隔を置いた2行目の円周ストラットと3行目の円周ストラットは前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは、角度をなす複数組のストラットの連結からなり、前記各組のストラットは、角度が0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字状を呈し、前記1行目と2行目の各組の円周ストラットは平行に配列されるとともに、3行目の各組の円周ストラットの方向と反対であり、前記ステントの体壁上の被膜は、前記1行目の円周ストラットと2行目の円周ストラットとの間に縫着される請求項5に記載の介入弁内弁又は介入大動脈弁。
【請求項7】
前記ステントは、横方向に延びる4行の円周ストラットと、前記円周ストラット間に設けられた複数列の軸方向ストラットとを有し、ただし、下側の1行目と2行目の円周ストラットは前記ステントの流入端を画定し、3行目と4行目の円周ストラットは前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは、角度をなす複数組のストラットの連結からなり、前記各組のストラットは、角度が0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字状を呈し、前記複数列の軸方向ストラットと複数組の円周ストラットとが互いに連結されてハニカム状の空間が形成され、前記ステントの体壁上の被膜は、前記1行目の円周ストラットと3行目の円周ストラットとの間に縫着される請求項5に記載の介入弁内弁又は介入大動脈弁。
【請求項8】
前記ステントの体壁外側の、前記1行目の円周ストラットと2行目の円周ストラットとの間には被膜がさらに縫着されている請求項5に記載の介入弁内弁又は介入大動脈弁。
【請求項9】
バルーン拡張後のステントの外縁とその軸線とがなす角度は0°から30°の間にある請求項5に記載の介入弁内弁又は介入大動脈弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の技術分野に関し、具体的には、介入弁内弁又は介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入弁内弁と介入大動脈弁に関する。
【背景技術】
【0002】
介入弁内弁は、以前に植え込んだ(介入された)人工生体心臓弁膜が様々な原因による弁膜の損傷で機能を喪失した後、弁置換術を受けることができない患者の再介入治療に特化したものである。すなわち、介入弁内弁は、カテーテルで機能を喪失した人工生体弁内に留置して、機能を喪失した生体弁を代替することにより、治療の目的を達成する。
【0003】
重症の大動脈弁病変の患者は、左室機能が重度に損なわれ、患者の生活の質が低下し、生存時間が顕著に短くなり、効果的な治療を行う必要がある。65歳以上の高齢者では、大動脈弁の退行性変化による大動脈弁病変の発生率が10%に達し、社会の高齢化に伴って大動脈弁病変の割合もますます高まり、米国には65歳の高齢者は3500万人あり、そのうち8.5万人が弁置換を必要とすることに基づいて計算すると、中国国内では毎年20万余りの高齢者が治療を待っているはずである。2017年、AHC/ACCによって発行されたガイドラインでは、生体弁を外科的植え込む患者の年齢を50歳まで下げ、抗凝固療法が禁忌であるか、抗凝固療法が適切ではないか、又は抗凝固療法を希望しないあらゆる年齢の患者に、生体弁膜の使用を推奨する。これにより、将来、大動脈弁を人工生体弁に置換する高齢者が年々増加し、弁置換術を受けることができない高齢者や重症患者にとって、弁内弁での再介入治療は治療の最後の希望となる。外科生体弁と同じ耐久性を有する介入弁内弁は、これらの患者が再び治療を受けるための利器となることが望まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的問題は、介入弁内弁又は介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入弁内弁と介入大動脈弁を提供することであり、それは、金属ステントの内側に緩衝部が設けられ、弁尖がステントに直接接触することを防止することができ、弁膜製品の使用耐久性を向上させた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にて採用された技術的解決手段は、介入弁内弁又は介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造を提供することであり、前記ステントは金属メッシュチューブであり、前記弁尖は前記ステントの内側に設置された3つの扇形弁尖であり、3つの前記扇形弁尖は、いずれも遊離縁、円弧状底辺及び両側に延びる弁尖の交連部を有し、前記金属メッシュチューブには3つの連結柱が均等に配置され、前記連結柱のそれぞれは少なくとも1つの矩形スリットを有し、前記扇形弁尖の交連部は径方向反転連結部と軸方向反転連結部とを含み、前記各扇形弁尖は、径方向反転連結部が前記連結柱の矩形スリットを通過した後に内側から外側へ折り曲がり、軸方向反転連結部が連結柱の内側で折り曲がって緩衝部が形成された後、縫合糸で前記連結柱に連結固定される。
【0006】
さらに、前記隣接する2つの弁尖の交連部の径方向反転連結部は、可撓性接片の縫着により連結された後、前記連結柱の矩形スリットを通過し、前記可撓性接片の内側に剛性のガスケットが係合固定された後、縫合糸で連結柱に固定される。
【0007】
さらに、前記連結柱のそれぞれは、前記矩形スリットの両側に孔又は矩形フレームが対称的に設けられ、前記孔の数は4個乃至8個であり、前記矩形フレームの数は2個又は4個である。
【0008】
さらに、前記ステントの材料は、コバルト基合金、ニッケルチタン合金、又はステンレス鋼材料である植え込み可能な合金材料であり、前記弁尖の材料は、動物由来の組織材料又は医療用高分子材料である。
【0009】
本発明にてさらに提供される上記の連結構造を応用した介入弁内弁又は介入大動脈弁は、径方向に圧縮可能でかつバルーンによって拡張された後に略末広がり状を呈するステントと、前記ステントの内側に設置された3つの扇形弁尖とを含み、3つの前記扇形弁尖は、いずれも遊離縁、円弧状底辺及び両側に延びる弁尖の交連部を有し、前記ステントは金属メッシュチューブであり、前記金属メッシュチューブには3つの連結柱が均等に配置され、前記連結柱のそれぞれは少なくとも1つの矩形スリットを有し、前記扇形弁尖の交連部は径方向反転連結部と軸方向反転連結部とを含み、前記各扇形弁尖は、径方向反転連結部が前記連結柱の矩形スリットを通過した後に内側から外側へ折り曲がり、軸方向反転連結部が連結柱の内側で折り曲がって緩衝部が形成され、さらに縫合糸で前記連結柱に連結固定され、前記ステントの体壁には被膜が設置されている。
【0010】
さらに、前記隣接する2つの弁尖の交連部の径方向反転連結部は、可撓性接片の縫着により連結された後、前記連結柱の矩形スリットを通過し、前記可撓性接片の内側に剛性のガスケットが係合固定された後、縫合糸で連結柱に固定される。
【0011】
さらに、前記連結柱のそれぞれは、前記矩形スリットの両側に孔又は矩形フレームが対称的に設けられ、前記孔の数は4個乃至8個であり、前記矩形フレームの数は2個又は4個である。さらに、前記ステントの材料は、コバルト基合金、ニッケルチタン合金、又はステンレス鋼材料である植え込み可能な合金材料であり、前記弁尖の材料は、動物由来の組織材料又は医療用高分子材料である。
【0012】
さらに、前記ステントは、前記連結柱の間に設けられた複数列の軸方向ストラットを有し、前記連結柱と軸方向ストラットとの間には、横方向に延びる円周ストラットが3行設けられ、下側の1行目の円周ストラットは前記ステントの流入端を画定し、1行目と間隔を置いた2行目の円周ストラットと3行目の円周ストラットは前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは、角度をなす複数組のストラットの連結からなり、前記各組のストラットは、角度が0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字状を呈し、前記1行目と2行目の各組の円周ストラットは平行に配列されるとともに、3行目の各組の円周ストラットの方向と反対であり、前記ステントの体壁上の被膜は、前記1行目の円周ストラットと2行目の円周ストラットとの間に縫着される。
【0013】
さらに、前記ステントは、横方向に延びる4行の円周ストラットと、前記円周ストラット間に設けられた複数列の軸方向ストラットとを有し、ただし、下側の1行目と2行目の円周ストラットは前記ステントの流入端を画定し、3行目と4行目の円周ストラットは前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは、角度をなす複数組のストラットの連結からなり、前記各組のストラットは、角度が0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字状を呈し、前記複数列の軸方向ストラットと複数組の円周ストラットとが互いに連結されてハニカム状の空間が形成され、前記ステントの体壁上の被膜は、前記1行目の円周ストラットと3行目の円周ストラットとの間に縫着される。
【0014】
さらに、前記ステントの体壁外側の、前記1行目の円周ストラットと2行目の円周ストラットとの間には被膜がさらに縫着されている。
【0015】
さらに、バルーン拡張後のステントの外縁とその軸線とがなす角度は0°から30°の間にある。
【発明の効果】
【0016】
本発明によって達成できる効果は次のようである。本発明にて提供される介入弁内弁又は介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入弁内弁と介入大動脈弁は、動物由来の組織材料をその弁尖の交連付着組織の内側で折り曲がって緩衝部が形成され、続いて、縫合糸で前記ステントの連結柱に連結固定されるため、弁尖がその開閉過程に金属ステントに擦れたり傷ついたりすることを回避でき、そして、当該連結構造における連結柱は2列の孔又は矩形フレームに沿って縫うため、弁尖の交連部の縫い目箇所の縫合糸が孔又は矩形フレームに十分に固定され、弁尖の開閉過程に応力が集中することを回避でき、当該介入弁内弁又は介入大動脈弁の使用耐久性を向上させ、外科用弁膜などと同じ耐久効果を実現した。人工生体心臓弁膜に関する50年余りの研究及び臨床的応用の蓄積を参考して、同じ生体弁化学修飾の技術的条件下で、本発明の介入弁内弁の介入弁の構造設計、弁尖の交連組織間、及び弁尖組織とステント設定構造との連結と固定は、弁膜開閉の流体力学的要件及び弁膜の堅牢性要件を満たす。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜の再介入治療用の介入弁内弁の概略構造図である。
【
図3】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜の再介入治療用の介入弁内弁の弁尖を展開した平面図である。
【
図4A】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜の再介入治療用の介入弁内弁の3つの弁尖の交連部を折り曲げて縫合した側面図及び斜視図である。
【
図4B】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜の再介入治療用の介入弁内弁の3つの弁尖の交連部を折り曲げて縫合した側面図及び斜視図である。
【
図4C】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜の再介入治療用の介入弁内弁の3つの弁尖の交連部を折り曲げて縫合した側面図及び斜視図である。
【
図5】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜の再介入治療用の介入弁内弁の弁尖の円弧状底辺に補強用のポリエステルエッジが被覆されている展開平面図である。
【
図6】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜の再介入治療用の介入弁内弁の金属ステントの斜視図である。
【
図7】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜の再介入治療用の介入弁内弁のバルーンによって拡張された後の斜視図である。
【
図8】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜の再介入治療用の介入弁が閉じたときの上面図である。
【
図9】本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜の再介入治療用の介入弁が開いたときの上面図である。
【
図10】本発明の別の実施例による人工生体心臓弁膜の再介入治療用の介入大動脈弁の金属ステントの斜視図である。
【
図11】本発明の別の実施例による人工生体心臓弁膜の再介入治療用の介入大動脈弁の概略構造図である。
【
図12A】本発明の実施例の連結柱と弁尖との連結方式の概略図である。
【
図12B】本発明の実施例の連結柱と弁尖との連結方式の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、介入弁内弁又は介入大動脈弁用のステントと弁尖との連結構造及び当該連結構造を応用した介入弁内弁と介入大動脈弁を提供し、以下では、具体的な実施例で具体的な実施形態について説明するが、ここで説明した具体的な実施例は、本発明を解釈するために使用されるだけで、本発明を限定するものではない。
【0019】
実施例1、介入弁内弁 介入弁内弁は、「下」端及び「上」端を有する。本願において、「下」及び「上」という用語は、「流入」及び「流出」という用語とそれぞれ互換的に使用され得る。したがって、例えば、介入弁内弁の下端はその流入端であり、介入弁内弁の上端はその流出端である。
【0020】
図2を参照すると、本発明の一実施例による人工生体心臓弁膜の再介入治療用の介入弁内弁の概略構造図であり、径方向に圧縮可能でかつバルーンによって拡張された後に略末広がり状を呈するステント10(
図7を参照する)と、前記ステント10の内側に設置された3つの扇形弁尖20とを含み、3つの前記扇形弁尖20は、いずれも遊離縁21、円弧状底辺22及び両側に延びる弁尖の交連部23(
図3を参照する)を有する。さらに
図6を参照すると、前記ステントは金属メッシュチューブであり、前記金属メッシュチューブには3つの連結柱11が均等に配置され、3つの連結柱11の間には、合計6列の軸方向ストラット12が均等に配置され、前記連結柱11と6列の軸方向ストラット12との間には、横方向に貫通して延びる3行の円周ストラット13、14、15が設けられ、下側の1行目の円周ストラット13は前記ステント10の流入端を画定し、1行目の円周ストラット13と間隔を置いた2行目の円周ストラット14及び3行目の円周ストラット15は前記ステントの流出端を画定する。各行の円周ストラットは、角度をなす複数組のストラットEEの連結からなり、前記各組のストラットEE は、角度が0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字状を呈し、前記1行目の円周ストラット13及び2行目の円周ストラット14の各組の円周ストラットは、平行に配列されかつ3行目の円周ストラット15の各組の円周ストラットの方向と反対であり、同期に変形可能な格子を複数形成する。このような金属メッシュチューブで構成されるステントは、介入治療時に、介入弁内弁をまず縦方向に圧縮してから膨らませる使用方法に適応できる。さらに、連結柱11には矩形スリット18が設けられ、矩形スリット18の両側には、扇形弁尖を縫合糸で固定連結するための2列の合計6個の孔16が対称的に設けられる。ステント11の複数の格子のうち、前記1行目の円周ストラット13と2行目の円周ストラット14との間には被膜17が縫着されている。前記ステントの体壁上の被膜は、前記1行目の円周ストラットと3行目の円周ストラットとの間に縫着される。場合によっては、必要に応じて、同じ位置の外側には外側被膜(図示せず)がさらに縫着されている。前記被膜の材料は、当業者が想到できる動物由来の組織材料又は医療用高分子材料であり得る。
【0021】
図2、
図4A~C及び
図5をさらに参照すると、前記扇形弁尖20の交連部23は、径方向反転連結部231と、軸方向反転連結部232との2つの部分を含み、まず径方向反転連結部231を2つずつ合わせ、続いて連結柱11の内側から矩形スリット18を通過させた後に外側に開いて折り曲げてから縫合糸で連結柱に固定し、次に軸方向反転連結部232を連結柱の内側で反対方向に折り曲げって扇形弁尖20にフィットするように合わせて縫合糸で連結し、こうすると、扇形弁尖の遊離縁の根部に緩衝部24が形成され、さらに緩衝部24を縫合糸でステントの連結柱11の孔16に固定連結する。径方向反転連結部を、必要に応じて連結柱11を包む程度まで反転させてから固定してもよい。扇形弁尖の円弧状底辺には補強用の被膜25がさらに1層被覆されており、被膜25によりステントの体壁上の被膜にさらに縫着される。このように、本発明の実施例の介入弁内弁が形成される。
【0022】
図8及び
図9を参照すると、介入弁内弁の弁尖が開くとき、緩衝部24が存在するため、弁尖が開閉過程に金属ステントに擦れたり傷ついたりすることを回避でき、そして、当該連結構造における連結柱は2列の孔に沿って縫うため、弁尖の交連部の縫い目箇所の縫合糸が孔又は矩形フレームに十分に固定され、弁尖の開閉過程に応力が集中することを回避でき、当該介入弁内弁又は介入大動脈弁の使用耐久性を向上させ、外科用弁膜などと同じ耐久効果を実現した。
【0023】
本発明の介入弁内弁は、本実施例における外科用弁の再介入治療に加え、介入弁の再介入治療にも使用することができる。
【0024】
実施例2、介入大動脈弁 本発明の構造は、実施例1における再介入治療に加えて、大動脈弁の介入治療にも直接使用することができる。本実施例における介入大動脈弁は、実施例1のと異なるステント構造を有し、その他の構造は実施例1とほぼ同じである。場合によっては、より大きい流出端及びより大きいステントの高さが必要とし、
図10と
図11を参照すると、本実施例では、ステント50は金属メッシュチューブであり、金属メッシュチューブ上には、3つの連結柱51が均等に配置され、前記ステントは、横方向に延びる4行の円周ストラット52、53、54、55と、前記円周ストラット間に設けられた複数本の軸方向ストラット56とを有し、ただし、下側の1行目と2行目の円周ストラット52と53は前記ステントの流入端を画定し、3行目と4行目の円周ストラット54と55は前記ステントの流出端を画定し、各行の円周ストラットは、角度をなす複数組のストラットEE の連結からなり、前記各組のストラットは、角度が0~90度の範囲内で変形する変形可能なV字状を呈し、前記複数列の軸方向ストラット56と複数組の円周ストラットとが互いに連結して変形可能なハニカム状の格子を形成できる。ここで、流出端を画定するハニカム状の格子がより大きい。さらに、連結柱11の上部には、矩形スリット59が設置され、スリットの両側には2列の矩形フレーム57が対称的に設置され、本実施例では、隣接する扇形弁尖の軸方向反転連結部は、合わせられた後に、まず矩形スリット59を通過してから開けられて2つの矩形フレーム57をそれぞれ通過してから、再び反転されて連結柱の外側を包み、縫合糸で連結柱に固定されて、弁尖とステントとの連結強度を向上させる。ステント51の複数の格子のうち、前記1行目の円周ストラット52と3行目の円周ストラット54との間に被膜58が縫着されている。場合によっては、必要に応じて、1行目の円周ストラット52と2行目の円周ストラット53との間の被膜の外側には外側被膜(図示せず)がさらに縫着される。前記被膜の材料は、当業者が想到できる動物由来の組織材料又は医療用高分子材料であってもよい。
【0025】
図12A~Bに示すように、場合によっては、このような弁尖80とステント70との固定連結方式を使用してもよく、ステント70の連結柱71は、スリット72を1本のみ有し、前記隣接する2つの弁尖の交連の軸方向反転連結部81の間に可撓性接片90を1つ縫着した後、矩形スリット72を通過させてから補強ガスケット91を入れ、縫合糸で連結柱に十分に固定連結して一体に囲まれる。弁尖の径方向反転連結部は、前述の実施例と同じ方式を採用してもよい。
【0026】
全ての実施例におけるステントは、コバルト基合金、ニッケルチタン合金、ステンレス鋼材料、又は他の植え込み可能な合金材料のステントなどとして実施してもよいが、これらに限定されず、ここでは具体的に限定しない。弁尖は、動物由来の組織材料又は医療用高分子材料であり、例えば豚の心膜、牛の心膜又は羊の心膜の組織材料のうちのいずれか1つ又は医療用高分子材料のいずれか1つであってもよく、ここでは具体的に限定しない。縫合糸は、医療用高分子材料のいずれか1つである。
【0027】
最後に、以上の各実施例は、本発明の技術的解決手段を説明するためにのものにすぎず、それを限定するものではない。前述の実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者であれば、前述の実施例に記載された技術的解決手段を依然として修正できること、又はその技術的特徴の一部又は全部に対して同価置換を行うことができ、該当の技術的解決手段の本質がこれらの修正や置換により本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱しない。
【国際調査報告】