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特表2022-528112ポリ乳酸及びポリグリコール酸の新規エステル及びその組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(54)【発明の名称】ポリ乳酸及びポリグリコール酸の新規エステル及びその組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 63/664 20060101AFI20220601BHJP
   C08G 63/78 20060101ALI20220601BHJP
   C08G 81/00 20060101ALI20220601BHJP
   D06M 15/507 20060101ALI20220601BHJP
   C08L 101/16 20060101ALN20220601BHJP
【FI】
C08G63/664 ZAB
C08G63/78
C08G81/00
D06M15/507
C08L101/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558937
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(85)【翻訳文提出日】2021-11-16
(86)【国際出願番号】 EP2020059535
(87)【国際公開番号】W WO2020201497
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】62/828,980
(32)【優先日】2019-04-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/829,449
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515191431
【氏名又は名称】ファッション ケミカルズ、 ゲーエムベーハー ウント ツェーオー カーゲー
【氏名又は名称原語表記】FASHION CHEMICALS, GMBH & CO KG
(74)【代理人】
【識別番号】100147935
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100080230
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 詔二
(72)【発明者】
【氏名】ラングレー、ジェフリー ティー.
(72)【発明者】
【氏名】マッコイ、ケイ エム.
(72)【発明者】
【氏名】メレディス、ポール シー.
【テーマコード(参考)】
4J029
4J031
4J200
4L033
【Fターム(参考)】
4J029AA02
4J029AB02
4J029AB04
4J029AB07
4J029AC03
4J029AC04
4J029AD01
4J029AE12
4J029AE18
4J029BF25
4J029EA05
4J029EH03
4J029HA01
4J029HD01
4J029JE182
4J029KA02
4J029KB15
4J029KD01
4J029KD02
4J031AA49
4J031AA53
4J031AB04
4J031AC03
4J031AD01
4J031AE01
4J031AF16
4J200AA02
4J200AA04
4J200AA09
4J200AA28
4J200BA02
4J200BA21
4J200CA07
4J200CA08
4J200DA00
4J200DA20
4J200DA24
4J200EA01
4J200EA02
4L033AA02
4L033AA05
4L033AA07
4L033AA08
4L033AB05
4L033AB06
4L033AB07
4L033AC07
4L033CA17
4L033CA22
4L033CA45
(57)【要約】
ポリ乳酸のポリエチレングリコールエステルを含むポリ乳酸のエステル及びポリグリコール酸のエステルが開示される。例示的なポリ乳酸のエステル及び/又はポリグリコール酸のエステルは、テキスタイル仕上げ剤として使用することができる。直接及びエステル交換反応を介してポリ乳酸のエステルを製造する方法も開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)及び/又は下記式(II)のポリ乳酸のエステルであり、
当該ポリ乳酸のエステルが4,000ダルトン以下の質量平均分子量を有する、
ポリ乳酸のエステル。
【化1】
(式中、mは1より大きく10未満の整数であり、nは1より大きく90未満の整数である。)
【化2】
(式中、m1及びm2は1より大きく10未満の整数であり、m1及びm2は等しくても等しくなくてもよく、nは1より大きく90未満の整数である。)
【請求項2】
(a)下記式(I)及び/又は下記式(II)のポリ乳酸のエステルであって、
当該ポリ乳酸のエステルが4,000ダルトン以下の質量平均分子量を有するポリ乳酸のエステル、
【化3】
(式中、mは1より大きく10未満の整数であり、nは1より大きく90未満の整数である。)
【化4】
(式中、m1とm2は1より大きく10より小さい整数であり、m1とm2は等しくても等しくなくてもよい。nは1より大きく90未満の整数である。)
及び
(b)水
を含む、エステル組成物。
【請求項3】
下記式(I)及び/又は下記式(II)のポリ乳酸のエステルであって、
当該ポリ乳酸のエステルが4,000ダルトン以下の質量平均分子量を有するポリ乳酸のエステル、
【化5】
(式中、mは1より大きく10未満の整数であり、nは1より大きく90未満の整数である。)
【化6】
(式中、m1及びm2は1より大きく10未満の整数であり、m1及びm2は等しくても等しくなくてもよい。nは1より大きく90未満の整数である。)
及び
ポリ乳酸のエステルではない第2の化合物、
を含むエステル組成物。
【請求項4】
(a)複数の繊維、及び
(b)下記式(I)及び/又は下記式(II)のポリ乳酸のエステルであって、
当該ポリ乳酸のエステルが4,000ダルトン以下の質量平均分子量を有するポリ乳酸のエステル、
【化7】
(式中、mは1より大きく10より小さい整数であり、nは1より大きく90より小さい整数である。)
【化8】
(式中、m1及びm2は1より大きく10未満の整数であり、m1及びm2は等しくても等しくなくてもよく、nは1より大きく90未満の整数である。)
を含む、親水性を示すテキスタイル。
【請求項5】
(i)ジオール及び/又はポリオールを(ii)ポリ乳酸と140℃~190℃で反応させることを含む、ポリ乳酸のエステルの製造方法であって、
前記ポリ乳酸のエステルが5000ダルトン未満の質量平均分子量を有する、ポリ乳酸のエステルの製造方法。
【請求項6】
前記ジオール及び/又はポリオールがポリエチレングリコールである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリエチレングリコールが400ダルトンの質量平均分子量を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリエチレングリコールが600ダルトンの質量平均分子量を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリエチレングリコールが再生可能な材料から作成される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記再生可能な材料が、トウモロコシ、サトウキビ、テンサイ、及び/又はキャッサバである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
布地、及び
ポリ乳酸のエステル
を含む、テキスタイル。
【請求項12】
前記布地が不織布である、請求項11に記載のテキスタイル。
【請求項13】
前記布地が織布又は編布である、請求項11に記載のテキスタイル。
【請求項14】
前記不織布がポリエステルを含む、請求項12に記載のテキスタイル。
【請求項15】
前記不織布がポリプロピレンを含む、請求項12に記載のテキスタイル。
【請求項16】
前記織布又は編布がポリエステルを含む、請求項13に記載のテキスタイル。
【請求項17】
前記織布又は編布がポリエステル及び綿を含む、請求項13に記載のテキスタイル。
【請求項18】
前記ポリエステル及び綿が65パーセントのポリエステル及び35パーセントの綿のブレンドを含む、請求項17に記載のテキスタイル。
【請求項19】
前記織布又は編布がナイロンを含む、請求項13に記載のテキスタイル。
【請求項20】
前記ポリ乳酸のエステルがポリ乳酸のポリエチレングリコールエステルであり、その質量平均分子量が200ダルトン~4000ダルトンである、請求項11に記載のテキスタイル。
【請求項21】
前記ポリ乳酸のエステルがポリ乳酸のポリエチレングリコールエステルであり、その質量平均分子量が400ダルトン~2000ダルトンで請求項11に記載のテキスタイル。
【請求項22】
ポリ乳酸のエステルを含む、テキスタイル仕上げ剤組成物。
【請求項23】
前記ポリ乳酸のエステルがポリ乳酸のポリエチレングリコールエステルを含む、請求項22に記載のテキスタイル仕上げ剤組成物。
【請求項24】
前記ポリ乳酸のエステルがポリ乳酸のポリエチレングリコールエステルであり、その質量平均分子量が200ダルトン~4000ダルトンである、請求項23に記載のテキスタイル仕上げ剤組成物。
【請求項25】
前記ポリ乳酸のエステルがポリ乳酸のポリエチレングリコールエステルであり、その質量平均分子量が400ダルトン~2000ダルトンである、請求項23に記載のテキスタイル仕上げ剤組成物。
【請求項26】
第2の成分をさらに含む、請求項22に記載のテキスタイル仕上げ剤組成物。
【請求項27】
前記第2の成分が水である、請求項26に記載のテキスタイル仕上げ剤組成物。
【請求項28】
前記第2の成分がフッ素系化合物である、請求項26に記載のテキスタイル仕上げ剤組成物。
【請求項29】
前記第2の化合物がポリエステルのコポリマーである、請求項26に記載のテキスタイル仕上げ剤組成物。
【請求項30】
ポリ乳酸のエステルを用いてテキスタイルを仕上げる方法であって、
ポリ乳酸のエステルをテキスタイルに適用する工程、及び
前記テキスタイルを加熱する工程
を含む、方法。
【請求項31】
前記ポリ乳酸のエステルがポリ乳酸ポリエチレングリコールエステルである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ポリ乳酸のポリエチレングリコールエステルが200ダルトン~4000ダルトンの質量平均分子量を有する、請求項30に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ乳酸の新規エステル及び新規エステルの製造方法に関する。本発明はまた、新規エステルを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル及びポリオレフィンのような高分子量ポリマーは、一般に、糸、織布及び編布、並びに不織布のような繊維及び繊維物品を製造するために使用される。ポリエステル及びポリオレフィンから製造された物品の表面は、それらの化学的性質により疎水性である。多くの用途において、物品の表面が親水性を有することが望ましい。ポリエステル及びポリオレフィン物品には、それらの疎水性に対抗し、親水性を付与するために、局部的コーティング又は仕上げ剤がしばしば使用される。ポリ乳酸(「PLA」)やポリオレフィンなどのポリエステルは、おむつなどの吸収性製品を含む多くの製品に使用可能である。ポリ乳酸は石油の代わりにトウモロコシなどの再生可能な供給源から得られるので、ポリ乳酸は堆肥化可能で生分解性がある。ポリ乳酸はポリプロピレン(「PP」)と同様の特性を持っている。
【発明の概要】
【0003】
一態様において、本発明はポリ乳酸(即ち、「PLA」)のエステルに関する。別の態様では、本発明はテキスタイル(例えば、ポリ乳酸を含むポリエステルで作られたテキスタイル)の仕上げ剤として使用することができるポリ乳酸エステル及びポリプロピレンなどのポリオレフィンを含む組成物に関する。ポリ乳酸エステルは、ポリ乳酸ジオール(例えば、ポリエチレングリコール(即ち、「PEG」)及び1,3プロパンジオール)エステル、並びにポリ乳酸ポリオール(例えば、ポリグリセロール、糖、及び糖アルコール)エステル、及び/又はそれらの組み合わせを含むことができる。本明細書で使用されるように、ポリオールは2つ以上の水酸基、例えば、2つの水酸基(本明細書ではジオールとも呼ばれる)及び/又は3つ以上の水酸基(-OH)を有する化合物を含むことができるが、これらに限定されない。
【0004】
別の態様では、本発明はポリ乳酸のエステルの製造方法に関する。このようなポリ乳酸エステルは、(i)ジオール及び/又はポリオールを(ii)ポリ乳酸、ラクチド又は乳酸と反応させることによって製造することができる。ジオール及び/又はポリオールの混合物又は組み合わせを、ポリ乳酸、ラクチド、又は乳酸と反応させて、本発明のエステルを形成することもできる。
【0005】
別の態様では、本発明はポリ乳酸エステルを含有する組成物で処理されるテキスタイルに関する。ポリ乳酸エステルは堆肥化可能及び/又は生分解性であり得、したがって、堆肥化可能及び/又は生分解性であり得る生成物を作成するために、ポリ乳酸エステルはポリ乳酸ポリマーと共に有用である。
【0006】
別の態様では、本発明はポリグリコール酸(又は「PGA」)のエステルに関する。別の態様では、本発明はテキスタイル(例えば、ポリ乳酸を含むポリエステル製のテキスタイル)及びポリプロピレンなどのポリオレフィンに対する仕上げ剤として使用することができるPGAエステルを含む組成物に関する。一実施形態では、PGAエステルがジオール、例えば、ポリエチレングリコール(「PEG」)又は1,3プロパンジオールを含むことができるが、これらに限定されない。別の実施形態において、PGAエステルはポリオール、例えば、限定されないが、ポリグリセロール、糖、及び糖アルコールを含むことができる。別の実施形態では、前記エステルが1つ以上のジオールの組み合わせを含むことができる。別の実施形態では、前記PGAエステルが1つ以上のポリオールの組み合わせを含むことができる。さらに別の実施形態では、前記PGAエステルが1つ以上のジオールと1つ以上のポリオールとの組み合わせを含むことができる。
【0007】
別の態様では、本発明はPGAエステルの製造方法に関する。このようなポリグリコール酸エステルは、(i)ジオール及び/又はポリオールと、(ii)PGA又はグリコール酸とを反応させることによって製造することができる。ジオール及び/又はポリオールの混合物又は組み合わせをPGA又はグリコール酸と反応させて、PGAのエステルを形成することもできる。
【0008】
別の態様では、本発明はPLA及び/又はPGAのエステルを含有する組成物で処理されたテキスタイルに関する。ポリ乳酸及びポリグリコール酸のエステルは堆肥化可能及び/又は生分解性であり得、したがって、堆肥化可能及び/又は生分解性である製品を作成するために、それはポリ乳酸ポリマーと共に有用である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つの態様において、本発明はPLA及び/又はPGAのエステルに関する。別の態様において、本発明はPLA及び/又はPGAのエステルを含む組成物に関する。これらの組成物は、PLA及びポリオレフィンのようなポリエステルから製造されたテキスタイルに対する仕上げ剤として使用することができる。PLA及び/又はPGAのエステルはまた、他の合成ポリマー(例えば、ポリアミド、アクリル、ナイロン、ポリプロピレン、及びアラミド)及び人工繊維(例えば、アセテート、リオセル、及びレーヨン)に対する仕上げ剤として有用であり得る。また、PLAのエステルは、天然繊維(例えば、竹、綿、亜麻、麻、及び羊毛)に有用であり得る。PLA及び/又はPGAのエステル、並びにPLA及び/又はPGAのエステルを含む組成物は、PLA及び/又はポリプロピレンで作られたテキスタイルなどの疎水性材料の表面をコーティングすることができ、そして当該材料の表面を疎水性から親水性に変化させることができ、又は、当該材料が既に親水性である場合、材料の親水性を増大させることができる。したがって、本発明の別の態様は、PLA及び/又はPGAの1つ以上のエステルが適用される材料である。
【0010】
一実施形態では、前記材料は、スパンボンド、メルトブローン、カーデッド、エアレイド、ウェットレイド、又はそれらの組み合わせなどの不織布であってもよい。不織布の例には、おむつ用のポリエステルトップシートが含まれる。別の実施形態では、前記テキスタイルは、織物又は編物(例えば、スポーツ衣類を含む衣類)であってもよい。テキスタイルには、繊維、フィラメント、ヤーン、織物、不織布、及び編物が含まれる。
【0011】
一実施形態では、PLA及び/又はPGAのエステルは、それぞれ1つ以上のポリオール及びPLA及び/又はPGAのエステルを含む。本明細書中で使用される場合、用語「ポリオール」は2つ以上の水酸基、例えば、2つの水酸基(本明細書中ではジオールとも呼ばれる)及び/又は3つ以上のヒドロキシル(-OH)基を有する化合物を含むことができるが、これらに限定されない。
【0012】
ジオールにはC2~C20、例えばC2~C3、C2~C4、C2~C5、C2~C6、C2~C7、C2~C8、C2~C9など、線状、分岐及び/又は環状ジオール、及び/又はそれらのポリマー(ポリエーテルなど)が含まれ得るが、これらに限定されない。ジオールの例としてはエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、PEG、ポリプロピレングリコール(PPG)など、及び/又はそれらの組み合わせ及び/又は混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
3個以上の水酸基を有するポリオールとしてはC3~C20(例えば、C3~C4、C3~C5、C3~C6、C3~C7、C3~C8、C3~C9など)、直鎖、分岐及び/又は環状ポリオール、及び/又はそれらのポリマー(例えば、ポリエーテル)が挙げられ得るが、これらに限定されない。3個以上の水酸基を有するポリオールの例としてはグリセロール及び/又はそのポリマー(例えば、トリグリセロール、ペンタグリセロール、及び/又はデカグリセロール)、糖アルコール、糖など、及び/又はそれらの組み合わせ及び/又は混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。糖アルコールの例としてはエリトリトール、トレイトール、アラビトール、リビトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、イディトール、ボレミトール、フシトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルトなど、及び/又はそれらの混合物及び/又は組み合わせが挙げられ得るが、これらに限定されない。糖の例としてはグルコース、フルクトース、ガラトース、スクロース、ラクトース、マルトースなどの単糖類及び/又は二糖類、及び/又はそれらの組み合わせ及び/又は混合物が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0014】
一実施形態では、PLAのエステルは、PLAのPEGエステルを含む。別の実施形態では、PLAのエステルは、PLAの1,3プロパンジオールエステルを含む。さらに別の実施形態では、PLAのエステルは、ポリオール、例えば、ポリグリセロール、糖、及び/又は糖アルコール、PLAのエステルを含む。さらなる実施形態において、PLAのエステルは、以下のPLAのエステルのうちの2つ以上を含み得る:PLAのPEGエステル、PLAの1,3プロパンジオールエステル、PLAのポリオールエステル、及び/又はそれらの組み合わせ。PLAのエステルは、(i)PEG又は1,3プロパンジオールを含むがこれらに限定されない上記のジオール、及び/又はトリ-、ペンタ-、又はデカ-グリセロールなどのグリセロールを含むがこれらに限定されない上記のポリオール、又は糖、又は糖アルコールを(ii)PLA、ラクチド、又は乳酸と反応させることによって作成されるエステルを含むことができる。前記ラクチドは、D-、L-、又はDL-ラクチドであってもよい。従って、PLAのエステルは、PLAのPEGエステル、PLAのグリセロールエステル、PLAの1,3プロパンジオールエステル、PLAの糖エステル、及びPLAの糖アルコールエステルを含むことができる。別の実施形態において、PLAのエステルは、PLAのPEGエステルを含む。別の実施形態では、組成物がPLAのグリセロールエステルを含む。別の実施形態では、組成物がPLAの1,3プロパンジオールエステルを含む。別の実施形態において、組成物は、PLAの糖エステルを含む。別の実施形態では、組成物がPLAの糖アルコールエステルを含む。別の実施形態では、PLAのエステルがPLAの2つ以上のPEGエステル、PLAのグリセロールエステル、PLAの1,3プロパンジオールエステル、PLAの糖エステル、及びPLAの糖アルコールエステルの組み合わせを含むことができる。前記組成物は水及び/又はPLAの1つ以上のエステルを含む別の溶媒を含み、テキスタイルの仕上げ剤を提供することができる。
【0015】
一実施形態では、PGAのエステルがPGAのPEGエステルを含む。別の実施形態において、PGAのエステルは、PGAの1,3プロパンジオールエステルを含む。さらに別の実施形態では、PGAのエステルにはポリオール、例えば、ポリグリセロール、糖、及び/又は糖アルコール、PGAのエステルが含まれる。さらなる実施形態において、PGAのエステルは、以下のPGAのエステルのうちの2つ以上を含み得る:PGAのPEGエステル、PGAの1,3プロパンジオールエステル、PGAのポリオールエステル、及び/又はそれらの組み合わせ。PGAのエステルは、(i)PEG又は1,3プロパンジオールを含むがこれらに限定されない上記のジオール、及び/又はトリ-、ペンタ-、又はデカ-グリセロールなどのグリセロールを含むがこれらに限定されない上記のポリオール、又は糖、又は糖アルコールを(ii)PGA、ラクチド、又は乳酸と反応させることによって作成されるエステルを含むことができる。前記ラクチドは、D-、L-、又はDL-ラクチドであってもよい。従って、PGAのエステルは、PGAのPEGエステル、PGAのグリセロールエステル、PGAの1,3プロパンジオールエステル、PGAの糖エステル、及びPGAの糖アルコールエステルを含むことができる。別の実施形態では、PGAのエステルがPGAのPEGエステルを含む。別の実施形態では、組成物がPGAのグリセロールエステルを含む。別の実施形態では、組成物がPGAの1,3プロパンジオールエステルを含む。別の実施形態において、組成物は、PGAの糖エステルを含む。別の実施形態において、組成物は、PGAの糖アルコールエステルを含む。別の実施形態では、PGAのエステルがPGAの2つ以上のPEGエステル、PGAのグリセロールエステル、PGAの1,3プロパンジオールエステル、PGAの糖エステル、及びPGAの糖アルコールエステルの組み合わせを含むことができる。前記組成物は水及び/又はPGAの1つ以上のエステルを含む別の溶媒を含み、テキスタイルの仕上げ剤を提供することができる。
【0016】
別の態様において、本発明は、PLA及びPGAのエステルを作成する方法に関する。一実施形態では、PLAのエステルが(i)ジオール(PEG又は1,3プロパンジオールを非限定的に含むことができる上記のような)及び/又はポリオール(ポリグリコール、トリグリセロール、ペンタグリセロール、又はデカグリセロールを含むポリグリセロールを非限定的に含むことができる上記のような)、又は糖、又は糖アルコールを(ii)PLAと反応させることによって作成することができる。一実施形態では、PGAのエステルが(i)ジオール(PEG又は1,3プロパンジオールを非限定的に含むことができる上記のような)及び/又はポリオール(ポリグリコール、トリグリセロール、ペンタグリセロール、又はデカグリセロールを含むポリグリセロールを非限定的に含むことができる上記のような)、又は糖、又は糖アルコールを(ii)PGAと反応させることによって作製することができる。反応は、反応体を触媒で加熱することによって行うことができる。触媒は塩基性触媒(例えば、炭酸ナトリウム及び/又は炭酸カルシウム)であってもよい。触媒はまた、第一スズオクトアートのようなルイス酸触媒であってもよい。反応は触媒なしで行うことができる。反応はPLAを溶融しかつ反応を開始してPLAのエステルを形成するのに十分な温度で行われる。PEGとPLAとの反応を開始させる温度は140℃~160℃とすることができるが、PLAを溶かすのに必要な温度は少なくとも約160℃である。従って、PEGとPLAとの反応は160℃~200℃又は170℃~190℃の間で行うことができる。PLAとの反応を促進するために、ジオール及び/又はポリオール、又はジオールとポリオールとの組合せを溶解するために溶剤を使用することができる。
【0017】
反応物のジオール及び/又はポリオールに対する初期PLAの質量パーセンテージは、25~75パーセントのPLA及び75~25パーセントのジオール及び/又はポリオール、30~70パーセントのPLA及び70~30パーセントのジオール及び/又はポリオール、35~65パーセントのPLA及び65~35パーセントのジオール及び/又はポリオール、40~60パーセントのPLA及び60~40パーセントのジオール及び/又はポリオール、45~55パーセントのPLA及び55~45パーセントのジオール及び/又はポリオールであり得る。一実施形態ではPLAの初期質量パーセントが反応物の50パーセントを超え、従って、ジオール及び/又はポリオールの初期質量パーセントは反応物の50パーセント未満である。初期質量パーセントPEG対PLA比(PEG:PLA)は、75:25~25:75、70:30~30:70、65:35~35:65、60:40~40:60であり得る。反応温度は、典型的には160℃~200℃又は170℃~190℃である。
【0018】
反応物の最初のPGA対ジオール及び/又はポリオール質量パーセンテージは、25~75パーセントのPGA及び75~25パーセントのジオール及び/又はポリオール、30~70パーセントのPGA及び70~30パーセントのジオール及び/又はポリオール、35~65~35パーセントのPGA及び/又は65パーセントのジオール及び/又はポリオール、40~60パーセントのPGA及び60~40パーセントのジオール及び/又はポリオール、45~55パーセントのPGA及び55~45パーセントのジオール及び/又はポリオールであり得る。一実施形態ではPGAの初期質量パーセントが反応物の50パーセントを超え、したがって、ジオール及び/又はポリオールの初期質量パーセントは反応物の50パーセント未満である。初期質量パーセントPEG対PGA比(PEG:PGA)は、75:25~25:75、70:30~30:70、65:35~35:65、60:40~40:60であり得る。反応温度は、典型的には220℃~240℃又は225℃~230℃である。
【0019】
PLAのエステルの十分な収率を提供するために必要とされる反応時間は、PLA、ジオール及び/又はポリオールの分子量、反応の温度及び圧力、触媒の使用、ならびに直接エステル化の場合、反応中の水の除去速度に基づいて変化し得る。反応時間は透明で安定な水とのエマルジョンを提供するために、PLAのPLAのエステルへの適切な変換を達成するのに十分であるべきである。反応時間は、温度がPLAの融点温度に達した後、1時間~10時間、2時間~6時間、及び3時間~5時間であり得る。典型的には、透明から曇った塊が形成され、PLAのエステルの形成が実質的に完了したことを示すまで(すなわち、PLAのPLAのエステルへの75、80、85、90、又は95パーセントを超える変換)、反応を続ける。
【0020】
PGAのエステルの十分な収率を提供するために必要とされる反応時間は、PGA、ジオール及び/又はポリオールの分子量、反応の温度及び圧力、触媒の使用、ならびに直接エステル化の場合、反応中の水の除去速度に基づいて変化し得る。反応時間は水との透明で安定なエマルジョンを提供するために、PGAのPGAのエステルへの適切な変換を達成するのに十分であるべきである。反応時間は、温度がPGAの融点温度に達した後、1時間~10時間、2時間~6時間、及び3時間~5時間であり得る。典型的には、PGAのエステルの形成が実質的に完了したことを示す透明ないし曇った塊が形成されるまで(すなわち、PGAのPGAエステルへの75、80、85、90、又は95パーセントを超える変換)、反応を継続する。
【0021】
ジオールをPLAと反応させると、ジオール-PLA及び/又はジオール-PLA-ジオールエステルが形成される。ポリオールをPLAと反応させると、ポリオール-PLA及び/又はポリオール-PLA-ポリオールエステルが形成される。PLAの代わりに乳酸又はラクチドを使用する場合、反応時間は2~8時間とすることができる。
【0022】
ジオールをPGAと反応させると、ジオール-PGA及び/又はジオール-PGA-ジオールエステルが形成される。ポリオールをPGAと反応させると、ポリオール-PGA及び/又はポリオール-PGA-ポリオールエステルが形成される。PGAの代わりに乳酸又はラクチドを使用する場合、反応時間は2~8時間とすることができる。
【0023】
ポリオールとPLAとの反応によって形成されるエステルは、以下の式によって表され得るPLA-ポリオールエステル及び/又はPLA-ポリオール-PLAエステルを形成することができる:
【化1】
(式中、mは1より大きい整数であり、nは1以上の整数である。);
及び/又は
【化2】
(式中、m1及びm2は1より大きい整数であり、m1及びm2は等しくても等しくなくてもよく、nは1以上の整数である。)
【0024】
式(III)のエステルの実施形態において、nは1以上、90、80、70、60、50、40、30、20、又は10未満の整数であり得、そしてmは1より大きく10未満の整数であり得る。式(IV)のエステルの実施形態では、nは1以上、90,80,70,60,50,40,30,20又は10未満の整数であり得、そしてm1及びm2は1より大きく10未満の整数であり得、m1及びm2は等しくても等しくなくてもよい。
【0025】
ポリオールとPLAとの反応によって形成されるエステルは、以下の式によって表され得る2つより多い水酸基を含むPLA-ポリオールエステル及び/又はPLA-ポリオール-PLAエステルを形成することができる:
【化3】
(式中、m1、m3は1より大きい整数であり、そしてm1及びm3は等しくても等しくなくてもよく、そしてn及びpは1以上の整数である。)
及び/又は
【化4】
(式中、m1、m2、及びm3は1より大きい整数であり、そしてm1、m2、m3は等しくても等しくなくてもよく、そしてn及びpは1以上の整数である。)
【0026】
式(V)のエステルの実施態様では、nは1以上、90、80、70、60、50、40、30、20、又は10未満の整数であり得、そしてm1及びm3は1よりも大きく10未満の整数であり得、そして等しくても等しくなくてもよい。式(VI)のエステルの実施形態において、nは1以上、90、80、70、60、50、40、30、20、又は10未満の整数、そしてm1、m2、及びm3は1より大きいか又は10より小さい整数であり得、そしてm1、m2、及びm3は等しくても等しくなくてもよい。
【0027】
式(III)、(IV)、(V)、及び(VI)において、各A及び/又はA’は、1つ以上のポリオール、例えば、本明細書中で議論されるジオール、ポリオール、糖及び/又は糖アルコールのうちの1つ以上から独立して誘導されるが、これらに限定されない。
【0028】
例えば、各A及び/又はA’は、C2-C20、例えば、C2-C3、C2-C4、C2-C5、C2-C6、C2-C7、C2-C8、C2-C8、C2-C9など、直鎖及び/又は分岐アルキレン基及び/又はC3-C20、例えば、C3-C4、C3-C5、C3-C6、C3-C7、C3-C8、C3-C9など、シクロアルキレン基の1つ以上を独立して含むことができ、ここで、各直鎖及び/又は分岐アルキレン基及び/又はシクロアルキレン基は、1つ以上の-O-原子を独立して任意に含むことができ、及び/又は各直鎖及び/又は分岐アルキレン基及び/又はシクロアルキレン基は、1つ以上の水酸基(-OH)を独立して任意に含むことができる。
【0029】
PEGとPLA(PLA)との反応によって形成されるエステルは、以下の式によって表されるPLA-PEGエステル及びPLA-PEGエステルを形成することができる:
式(I)
【化5】
(式中、m及びnは1より大きい整数である。)
及び/又は
式(II)
【化6】
(式中、m1及びm2は1より大きい整数であり、m1及びm2は等しくても等しくなくてもよい。)
式(I)のエステルの別の実施形態において、nは1より大きく、90、80、70、60、50、40、30、20、又は10未満の整数であり得、そしてmは1より大きく、10未満の整数であり得る。式(II)のエステルの別の実施形態において、nは1より大きく、90、80、70、60、50、40、30、20、又は10未満の整数であり得、そしてm1及びm2は1より大きく、10未満の整数であり得、そしてm1及びm2は等しくても等しくなくてもよい。
【0030】
別の実施形態において、PGAは、上記の式(I)~(VI)においてPLAに置換され得る。
【0031】
以下の非限定的な実施例は、PLAのPEGエステルを製造する方法を例示するために提供される。各実施例で使用されるPLAは、NatureWorks(登録商標)によってINGEO(登録商標)6302Dという商品名で製造販売されているPLAである。INGEO(登録商標)6302Dは約125~135℃の結晶融点を有する非晶質熱可塑性繊維グレード樹脂である。同様にNatureWorks(登録商標)によって製造及び販売され、約165℃の融点を有するINGEO(登録商標)6202Dなどの結晶性PLAもまた、本発明のエステルを製造するために使用することができる。より低い及びより高い分子量のPEGを、以下の実施例に記載されるプロセスにおいて使用することができる。PEGの分子量は質量平均分子量である。
【0032】
以下に開示されるエステルの製造方法は、PGAの対応するエステルの製造方法について例示的に使用することができる。
【実施例
【0033】
(実施例1)
PEG 400 M(129g)、PLA(100g)、及び0.41gの炭酸ナトリウムを、撹拌しながら、フラスコ中で240分間160℃に加熱した。PLAのPEGエステルのサンプルを収集した。ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して、PLAのPEGエステルの質量平均分子量は、約600~650グラム/モルであると決定された。
【0034】
(実施例2)
PEG 400 M(129g)、PLA(100g)、及び0.40gの炭酸ナトリウムを、攪拌しながら200分間、180℃に加熱した。PLAのPEGエステルのサンプルを収集した。ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して、PLAのPEGエステルの質量平均分子量は、約600~650グラム/モルであると決定された。
【0035】
(実施例3)
PEG 600 M(129g)、PLA(100g)、及び0.40gの炭酸ナトリウムを、攪拌しながら200分間、180℃に加熱した。PLAのPEGエステルのサンプルを収集した。ゲル浸透クロマトグラフィーを使用して、PLAのPEGエステルの質量平均分子量は、約900~950グラム/モルであると決定された。
【0036】
他の質量平均分子量、例えば、200、800、1000、1200、1400ダルトン又は200ダルトンを超える他の質量平均分子量を有するPEGをPLAと反応させて、上記の手順を用いて他の質量平均分子量を有するPLAのPEGエステルを製造することができる。PEG:PLAは本明細書に記載されるように、異なる質量比で反応させることができる。
【0037】
PLAは、トウモロコシ、サトウキビ、テンサイ、及びキャッサバなどの再生可能な材料から作られる。使用することができるPLAは分子量によって限定されず、質量平均分子量(M)が(例えば、1万~15万ダルトン(g/モル))であることができる。PEGは典型的には石油から製造されるが、トウモロコシ、サトウキビ、テンサイ及びキャッサバのような全ての天然の再生可能な材料から製造することもできる。したがって、PLAのエステルは全天然の再生可能な材料から作製することができ、堆肥化可能及び/又は生分解性であることができる。PLAのエステル中のPEG単位の質量平均分子量は、100~5000ダルトン、100~4000ダルトン、100~2000ダルトン、100~1000ダルトン、100~800ダルトン、及び100~600ダルトンであり得る。一実施形態では、質量平均分子量は約400ダルトンである。PLAのPEGエステルの質量平均分子量は、5000ダルトン未満、4000ダルトン未満、3000ダルトン未満、2000ダルトン未満、1000ダルトン未満、975ダルトン未満、950ダルトン未満、900ダルトン未満、800ダルトン未満、700ダルトン未満、600ダルトン未満、500ダルトン未満、又は400ダルトン未満であり得る。ジオール又はポリオールをPLAと反応させることによって作製されるPLAのエステルの質量平均分子量は、5000ダルトン未満、4000ダルトン未満、3500ダルトン未満、3000ダルトン未満、2500ダルトン未満、2000ダルトン未満、1500ダルトン未満、1000ダルトン未満、975ダルトン未満、950ダルトン未満、900ダルトン未満、800ダルトン未満、700ダルトン未満、600ダルトン未満、500ダルトン未満、又は400ダルトン未満であり得る。
【0038】
PLAのPEGエステルの質量平均分子量はGPCカラム及び蒸発光散乱検出(「ELSD」)を用いた標準高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)システムを用いたゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)により測定することができる。PLAのPEGエステルの質量平均モジュラー質量を測定するために、以下の手順を使用した。標準物質の保持時間を校正方程式に適合させ、この方程式を用いて未知のポリマーの質量平均分子量を測定した。未知のポリマーサンプルは1.5mLのHPLCグレードイソプロピルアルコール(「IPA」)に対してサンプルの0.02gを用いて調製した。また、様々な平均分子量のPEGポリマーを調製しそしてサンプルの分子量計算に用いる指数関数的成長速度式/曲線を公式化するために「標準物質」として使用した。標準的なPEGはそれらの質量平均分子量によって標識されたので、測定からの結果は質量平均分子量の結果であった。典型的なPEG標準セットの例を以下の表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】
使用したカラムは、Jordi Gel DVB 500A(300×07.8mm、カタログ番号15071)であった。この方法は1ml/分でテトラヒドロフラン(「THF」)を用いるアイソクラティック法であった。標準的な実行時間は30分であるが、ほとんどの成分は15分以内に溶出された。検出は蒸発光散乱検出器(「ELSD」)を用いて行った。使用したELSDユニットは、ELSD LTAアクセサリーを有するAlltech 500 ELSDであった。当該LTAユニットは41℃に設定された。ELSDユニットドリフトチューブは70℃に設定され、窒素ガス流量は1.84SLPに設定された。分析したPLA:PEGサンプルの分子量を計算するために、各PEG標準結果の平均保持時間を計算した。これは、ピークを半分に分割することによって行った(面積%=50/50による)。次いで、保持時間を、対応するPEG質量平均分子量、例えば、200、400、600、800、1000、1200、1400、1450と共にプロットした。すべてのPEG標準をプロットして、散布図を作成し、指数傾向線をエクセルスプレッドシート内に適応させた。図1は、PEG GPC標準についての分子量対保持時間を示す典型的な標準曲線及び検量線決定である。次に、指数方程式を用いて質量平均分子量を計算した。標準と同様に、平均保持時間は、面積の50%が決定された時間の各側にある時間を決定することによって計算された。
【0041】
別の実施形態では、本発明のエステルが(i)ジオール(例えば、PEG又は1,3プロパンジオール)、及び/又はポリオール(例えば、トリ-、ペンタ-、又はデカ-グリセロールなどのグリセロール)、又は糖、又は糖アルコールを(ii)ラクチド、ラクチド中間体、又は乳酸と反応させることによる直接エステル化によって製造することができる。ラクチドは、D‐ラクチド、L‐ラクチド、及び/又はDL‐ラクチドであり得る。ラクチド、ラクチド中間体、又は乳酸との反応を促進するために、ジオール又はポリオール、あるいはジオール及び/又はポリオールの組み合わせを溶解するために溶媒を使用することができる。反応は無機酸(例えば、硫酸又は乾燥塩化水素)の存在下で起こり得、これは、反応を加速し、そして水を除去するための触媒として作用する。また、水の除去は、例えば、反応混合物を、反応を妨害しない不活性ガス又は乾燥ガス、例えば、窒素と接触させる、例えば、かき混ぜることによって、及び/又は反応生成物を蒸留することによって、達成され得る。
【0042】
本発明の別の態様では、PLAのエステルを、PLAのエステルを含まない他の化合物又は組成物と組み合わせて、仕上げ剤(即ち、仕上げ剤組成物)を形成することができる。仕上げ剤中のPLAのエステルの質量パーセントは、PLAのエステルの質量の0.1~99.9パーセント又は5~95パーセントであり得る。他の化合物及び/又は組成物の例としては、水、潤滑剤、乳化剤、帯電防止剤、凝集剤、酸化防止剤、腐食防止剤、粘度調整剤、湿潤剤、殺生物剤、pH調整剤、汚れ脱離剤、及び防汚剤が含まれる。例示的な潤滑剤には、PLAのエステル以外のPEG脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化トリグリセリド、グリセロールエステル、ソルビタンエステル、及びアルキルエステル、及び/又は鉱油、植物油、及び/又は動物油に由来するそれらの組み合わせが含まれる。例示的な乳化剤には、非イオン性薬剤(例えば、アルキルアルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、及び脂肪酸エトキシレート、及び/又はそれらの組み合わせ);カチオン性薬剤(例えば、第4級脂肪アミン、第4級脂肪アミンエトキシレート、第4級イミダゾリン、及び/又はそれらの組み合わせ);ならびにアニオン性薬剤(例えば、エトキシル化アルキルアルコールの硫酸塩及びリン酸塩、脂肪酸石鹸、及び/又はスルホスクシネートアルキルエステル、及び/又はそれらの組み合わせ)が含まれる。例示的な帯電防止剤には、非イオン性薬剤(例えば、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、ポリオキシアルキレングリコール、エーテル、及び/又はエステル、及び/又はそれらの組み合わせ);カチオン性薬剤(例えば、第4級アミン、第4級イミダゾリン、及び/又はそれらの組み合わせ);及びアニオン性薬剤(例えば、アルキルアルコール硫酸塩、及び/又はリン酸塩、及び/又はアルキルアルコールエトキシレート硫酸塩、及び/又はリン酸塩、及び/又はそれらの組み合わせ)が含まれる。
【0043】
本発明の別の態様では、PGAのエステルを、PGA及び/又はPLAのエステルを含まない他の化合物又は組成物と組み合わせて、仕上げ剤(すなわち、仕上げ剤組成物")を形成することができる。仕上げ剤中のGPAのエステルの質量パーセントは、PLAのエステルの質量の0.1~99.9パーセント又は5~95パーセントであり得る。他の化合物及び/又は組成物の例には、水、潤滑剤、乳化剤、帯電防止剤、凝集剤、酸化防止剤、腐食防止剤、粘度調整剤、湿潤剤、殺生物剤、pH調整剤、汚れ脱離剤、及び防汚剤が含まれる。例示的な潤滑剤には、PLAのエステル以外のPEG脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪酸、エトキシル化トリグリセリド、グリセロールエステル、ソルビタンエステル、及びアルキルエステル、及び/又は鉱油、植物油、及び/又は動物油に由来するそれらの組み合わせが含まれる。例示的な乳化剤には、非イオン性薬剤(例えば、アルキルアルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、及び脂肪酸エトキシレート、及び/又はそれらの組み合わせ);カチオン性薬剤(例えば、第4級脂肪アミン、第4級脂肪アミンエトキシレート、第4級イミダゾリン、及び/又はそれらの組み合わせ);ならびにアニオン性薬剤(例えば、エトキシル化アルキルアルコールの硫酸塩及びリン酸塩、脂肪酸石鹸、及び/又はスルホスクシネートアルキルエステル、及び/又はそれらの組み合わせ)が含まれる。例示的な帯電防止剤には、非イオン性薬剤(例えば、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、ポリオキシアルキレングリコール、エーテル、及び/又はエステル、及び/又はそれらの組み合わせ);カチオン性薬剤(例えば、第4級アミン、第4級イミダゾリン、及び/又はそれらの組み合わせ);及びアニオン性薬剤(例えば、アルキルアルコール硫酸塩、及び/又はリン酸塩、及び/又はアルキルアルコールエトキシレート硫酸塩、及び/又はリン酸塩、及び/又はそれらの組み合わせ)が含まれる。
【0044】
典型的な汚れ脱離配合物は、パーマネントプレス樹脂、パーマネントプレス樹脂用触媒、湿潤剤、高密度ポリエチレン樹脂、フッ素系汚れ脱離剤、及び酢酸を含む。前記化合物の典型的な質量パーセンテージは、4.0~10.0のパーマネントプレス樹脂、パーマネントプレス樹脂のための5.0~10.0の触媒、0.25~1.0の湿潤剤、3.0~6.0の高密度ポリエチレン樹脂、5.0~10.0のフッ素系汚れ脱離化学物質、及び0.0~0.25の酢酸である。PLAのPEGエステルはフッ素ベースの汚れ脱離化学物質を含む汚れ脱離配合物に、汚れ脱離剤に添加され得、その結果、汚れ脱離剤は布地に1滴を適用することによって決定されるように、布地中により迅速に吸収され得(例えば、10秒未満、5秒未満、4秒未満、3秒未満、又は2秒未満)、したがって、汚れ脱離剤で布地を処理するための時間を減少させる。さらに、PLAのPEGエステルを、フッ素ベースの汚れ脱離化学物質を含有する汚れ脱離配合物に添加する場合、フッ素ベースの化学物質の量は25、50、又は75パーセントまで減少させることができ、汚れ脱離剤はPLAのPEGエステルを含まない典型的な量(すなわち、5.0~10.0質量パーセント)のフッ素ベースの化学物質を含有する汚れ脱離剤に匹敵するか、又はそれよりも良好な汚れ脱離結果を依然として提供することができる。
【0045】
PLAのエステル及びPGAのエステルは界面活性剤として作用し、パーソナルケア製品、例えば、石鹸、シャンプー、及びコンディショナーに使用することができる。PLAのエステル及び/又はPGAのエステルを含む組成物は、他の界面活性剤、例えば全天然ポリグルコシドを含むことができる。
【0046】
さらに別の態様では、本発明がPLA及び/又はPGAのエステルで処理されたテキスタイルに関する。PLA及び/又はPGAのエステルで処理されたテキスタイルは、親水性などの改善された表面特性を有する。一実施形態では、テキスタイルは不織布であり、例えば、スパンボンド、メルトブローン、カーデッド(carded)、エアレイド、ウェットレイド、及び/又はそれらの組み合わせである。別の実施形態では、テキスタイルは織物又は編物である。一実施形態では、テキスタイルがポリエステル、例えば、PLA及び/又はポリエチレンテレフタレートから作製されるか、又はそれらを含む。別の実施形態では、テキスタイルがポリプロピレンから作製されるか、又はポリプロピレンを含む。別の実施形態では、テキスタイルがポリエチレンから作製されるか、又はポリエチレンを含む。別の実施形態では、テキスタイルがポリプロピレン及びポリエチレンの組み合わせから作製されるか、又はそれらを含む。別の実施形態では、テキスタイルがポリアミド、アクリル、アラミド、及び/又はそれらの組み合わせから作製される。別のさらなる実施形態では、テキスタイルが人工繊維(例えば、アセテート、リヨセル、及びレーヨン)から作製されるか、又は人工繊維を含む。別の実施形態では、テキスタイルが天然繊維(例えば、竹、綿、亜麻、麻、羊毛、及び/又はそれらの組み合わせ)から作製されるか、又はそれらを含む。別の実施形態では、テキスタイルが「PBO」としても知られるポリ(p-フェニレン-2,6-ベンゾビスオキサゾール)から製造することができる。別の実施形態ではテキスタイルが「PEEK」としても知られるポリエーテルエーテルケトンから製造することができる。別の実施形態ではテキスタイルが「PEKK」としても知られるポリエーテルケトンケトンから製造される。テキスタイルに適用される場合、PLAのエステルは改善された濡れ特性(例えば、比較的速い裏抜け時間及び複数の裏抜け時間及び/又は比較的低い再湿潤(即ち、ウェットバック))を付与する。
【0047】
本発明のエステルを含む組成物は、ポリプロピレン又はPLA製の12グラム/平方メートル(gsm)スパンボンド不織布に対して、単一液体裏抜け時間として、5秒以下を提供することができ、EDANA(欧州使い捨て用品及び不織布協会)及びINDA(不織布工業会)の標準試験:WSP 070.3.R3(12)の不織布カバーストック液体裏抜け時間により決定されるように4秒以下、又は3秒以下を提供することができる。上記したEDANA及びINDAの標準試験:WSP 070.3.R3(12)の不織布カバーストック液体裏抜け時間は、参考として本明細書に記載される。本発明のPLAのエステルを含む組成物は、15gsmのPLA又はポリプロピレンスパンボンド不織布に対して最初の3回の裏抜けについて5秒以下の複数回又は繰り返しの液体裏抜け時間、又は繰り返しの液体裏抜け時間について標準試験:WSP 070.7.R4(12)によって決定されるように4秒以下を提供することができる。標準試験:繰返し液体裏抜け時間のためのWSP 070.7.R4(12)は、参考のため本明細書に記載される。
【0048】
また、本発明のエステルを含む組成物は、不織布カバーストックウェットバックについての標準試験:WSP 080.10.R3(12)によって決定されるように、12gsmのPLAスパンボンド不織布に対して少なくとも0.25グラム以下の再湿潤を提供することができる。不織布カバーストックウェットバックについての標準試験:WSP 080.10.R3(12)は、参考のため本明細書に記載される。PLAの1つ以上のエステルを含む組成物は、典型的には組成物中のPLAの1つ以上のエステルの質量パーセントがPLAの1つ以上のエステルの0.1~99.9質量パーセント、0.1~80.0質量パーセント、0.1~50.0質量パーセント、0.1~25.0質量パーセント、0.1~10.0質量パーセント、又は0.1質量パーセントを超えることができるように、水を含む。
【0049】
PLA及び/又はPGAのエステルを含む組成物は、仕上げ剤、例えば、漂白、精練、親水性、帯電防止、汚れ脱離(又は汚れ除去)、耐汚れ性、及び抗摩擦仕上げ剤、及び/又はそれらの組み合わせを提供することができる。一実施形態では、これらの仕上げ剤に使用されるPLAのPEGエステルが市販されているPEG 200、PEG 300、PEG 400、PEG 600、PEG 800、PEG 1000、PEG 1200、PEG 1400、PEG 1450、及び/又はそれらの混合物から作製することができる。PLAのPEGエステルはまた、100~1000、200~800、及び300~700の分子量を有するPEGから作製され得る。PLAのPEGエステルは、30:70~70:30、40:60~60:40、及び45:55~55:45のPEG:PLA比を有することができる。好ましい実施形態では、PLAのPEGエステルはPEG 400から製造され、PEG:PLA比は50:50である。PLAのPEGエステル、すなわち、PLAのPEG:PLA比が44:56のPEG 400エステル、50:50のPEG:PLA比を有するPLAのPEG 200エステル、50:50のPEG:PLA比を有するPLAのPEG 400エステル、50:50のPEG:PLA比を有するPLAのPEG 600エステル、50:50のPEG:PLA比を有するPLAのPEG 1450エステルは、好ましい煙及び引火点特性(すなわち、煙は171F未満であり、引火は244F未満)及び好ましい摩擦特性を有する。例えば、汚れ脱離仕上げ剤は、PLAのPEGエステル、例えば、上記で同定されたもの、撥油剤/撥水剤、湿潤剤/吸い上げ剤、及び親水性バインダーを含むことができる。一実施形態では、汚れ脱離仕上げ剤は、PLAのエステル、パーマネント加工用樹脂、パーマネント加工用樹脂用の触媒、湿潤剤、高密度ポリエチレン樹脂、フッ素系汚れ脱離化学物質、及び/又はpH調整用の酸(例えば、酢酸、クエン酸、又はグリコール酸)を含む。PLAのエステルの添加は高価なフッ素系汚れ脱離化学物質の必要量を10パーセント、20パーセント、30パーセント、40パーセント、50パーセント、又は60パーセントまで減少させることができ、一方、匹敵するか又は改善された汚れ脱離結果を提供する。PLAのエステルの添加は、液滴反射率を改善する。1リットルの汚れ脱離仕上げ剤は、1~40グラム、1~30グラム、1~20グラム、1~15グラム、又は1~10グラムのPLAのPEGエステルを含むことができる。2リットルの仕上げ剤は1リットル量のPLAのPEGエステルの2倍を含むことができ、3リットルの仕上げ剤は1リットル量のPLAのPEGエステルの3倍を含むことができ、以下同様である。
【0050】
PLA及び/又はPGAのエステルを含む組成物は、所望の裏抜け及び/又は再湿潤特性を提供する量で、ロールコーティング、パディング、滴下、又は噴霧によってテキスタイルに適用することができる。例えば、PLA及び/又はPGAのエステルを含む組成物は、0.1~10.0質量パーセントFOY(finish on yarn,糸上仕上げ剤)、0.2~3.0質量パーセント、0.3~1.0質量パーセント、及び0.3~0.8質量パーセントの間の糸上仕上げ剤(FOY)レベルを提供するために適用され得る。したがって、本発明の別の態様は、上記のPLA及び/又はPGAの1つ以上のエステルで処理されたテキスタイル、又は上記のPLA及び/又はPGAの1つ以上のエステルを含有する組成物である。
【0051】
PLAのPEGエステル脱離を含まない従来の汚れ脱離配合物とPLAのPEGエステルを含む汚れ脱離配合物とを比較する試験の結果を、以下の表2b-2c、3b-3c、4b-4c、5b-5d、6b-6d、及び7b-7dに示す。PLAのPEGエステルを含有する汚れ脱離配合物を、100%ポリエステル、ポリエステル/綿ブレンド(65:35質量%ポリ/綿)、及びナイロン布で試験した。その結果を、Pulcra Chemicalsから販売されている脱離剤として使用されている従来のポリエステルコポリマーであるNONAX(登録商標)MMと比較した。
【0052】
ポリエステルコポリマーは、特にアパレル及びスポーツ用布地のために、合成繊維に水を吸収又は吸引させるために使用される。また、ポリエステルコポリマーは布地の汚れ脱離特性を改善すると言われている。また、PLAのPEGエステルがテキスタイル上の静電気を改善するかどうかを決定するために、PLAのPEGエステルについての試験が行われた。PLAの3つのエステルを、Pulcra Chemicals LLCによってNONAX(登録商標) MMという商品名で販売されている一般的なポリエステルコポリマー仕上げ剤と、比較した。NONAX(登録商標) MM及びPLAのPEGエステルをパッド法で布に塗布し、乾燥させ、布上で硬化させた。この配合物を、100%ポリエステル布、65/35質量%ポリエステル/綿布、及び100%ナイロン布に適用した。吸い上げ特性を測定するために、処理された布地の細長片の一端を水に浸漬し、水を布地に吸い上げさせた。布地が水を高く吸い上げるほど、吸い上げ特性は良好である。布地が水を吸い上げた距離をミリメートル(「mm」)で測定した。汚れ脱離剤中のPLAのエステルの吸い上げ特性を測定する場合、下記の汚れ脱離剤配合物をパッドし、次いで177℃において布地上で乾燥させ、硬化させた。汚れ脱離配合物及び試験の結果を以下の表に示す。以下に述べる試験のための布地の洗浄は、現在のAATCC試験方法135に従って行った。
【0053】
【表2a】
【0054】
【表2b】
【0055】
【表2c】
【0056】
【表2d】
【0057】
【表3a】
【0058】
【表3b】
【0059】
【表3c】
【0060】
【表4a】
【0061】
【表4b】
【0062】
【表4c】
【0063】
【表4d】
【0064】
上述のように、100%ポリエステル、65%/35%ポリエステル/綿、及び100%ナイロンについて記載されているように、吸い上げ及び汚れ脱離試験を繰り返した。100%ポリエステルについての結果を以下の表5b~5dに示す。汚れ脱離剤のpHをpH4~5に調整した。その後の汚れ脱離剤試験を、上記のように100%ポリエステルについて繰り返した。洗剤による洗浄前の最初の布地、5回の洗浄サイクル後、及び10回の洗浄サイクル後についての吸い上げ、汚れ脱離、及び白色度についての試験結果を、以下の表5a~5eに示す。同じ洗浄手順を、全てのサンプルに対する全ての洗浄サイクルに使用した。各汚れ脱離剤のpHをpH4~5に調整した。
【0065】
【表5a】
【0066】
【表5b】
【0067】
【表5c】
【0068】
【表5d】
【0069】
【表5e】
【0070】
続いての吸い上げ剤及び汚れ脱離剤試験を、上記のように、65/35パーセントポリエステル/綿に対して繰り返した。洗浄前、5回の洗浄サイクル後、及び10回の洗浄サイクル後の最初の布地についての吸い上げ剤及び汚れ脱離剤についての試験結果を、以下の表6a~6dに示す。各汚れ脱離剤のpHを4~5の間のpHに調整した。
【0071】
【表6a】
【0072】
【表6b】
【0073】
【表6c】
【0074】
【表6d】
【0075】
続いて、100%ナイロン6、ニット試験布地スタイル304について、上記のように、吸い上げ剤及び汚れ脱離剤試験を繰り返した。洗浄前の最初の布地、5回の洗浄サイクル後、及び10回の洗浄サイクル後の布地に対しての吸い上げ剤及び汚れ脱離剤についての試験結果を、以下の表7a~7dに示す。各汚れ脱離剤のpHをpH4~5に調整した。
【0076】
【表7a】
【0077】
【表7b】
【0078】
【表7c】
【0079】
【表7d】
【0080】
上記の表2a、3a、4a、5a、6a、及び7aに示す試験結果は、PLAのPEGエステルが3つのタイプの布地(ポリエステル、ポリエステル/綿、及びナイロン)のすべてにおいて良好な吸い上げ剤であることが証明され、生分解性及び/又は堆肥化可能であることを実証している。
【0081】
PLAのエステルを、精錬剤としての使用について試験した。PLAのエステルを、布地を精錬するための従来の発泡剤の代わりに使用した。界面活性剤評価試験のために、活性物質含有量パーセントを調整して、同等の固形分パーセントを得た。布地湿潤試験(「湿潤試験」)は、界面活性剤が100%のグレージュコットンサークル(greige cotton circle)をどれだけ速く濡らすかを示す。全ての生成物を、活性物質含有量について調整を行わずに、1、2及び4g/lの濃度で試験した。これらの試験を二重に行い、次いで平均した。液滴吸光度は、1滴の水が消失する時間(秒)である。評価のこの部分では、PLA界面活性剤及びSYNTERGENT(登録商標)APWは、布地に適用されかつ試験される化学組成物の一部である。ワーリングブレンダー発泡試験(Waring Blender Foaming Test)が、試験した各界面活性剤の1g/l溶液を使用して生成した発泡体高さを測定するために使用される。泡の高さは、60秒のブレンド直後及び30秒後に測定される。第2の測定は、30秒間放置した後、発泡体形成がどの程度安定であるかを示す。この試験法は噴射機のような高乱流処理装置に用いられる。苛性ソーダアルカリ安定性試験は苛性ソーダ100%の量を測定し、界面活性剤は、異なる苛性ソーダ溶液中で4時間後に安定である。我々の標準試験は、NaOH100%の1~6%苛性ソーダ溶液を使用することである。各界面活性剤の5g/l量が各苛性ソーダレベルに添加される。
【0082】
澱粉なしで糊付けされた65/35質量%グレイジ(greige)ポリ綿綾織物が、標準的な一段漂白評価において各界面活性剤を評価するために使用された。この評価のために、同じ漂白剤配合物が各界面活性剤に対して使用された。しかしながら、各界面活性剤の等しい活性物質量が、各界面活性剤の湿潤、洗浄力及び糊除去特性の真の比較のために使用された。
【0083】
単一段階布地漂白配合物及び手順
[化学配合物]
10.0g/l Surfactant SYNTERGENT(登録商標) APW vs SYNTERGENT(登録商標) APW PLA modifications(SYNTERGENT(登録商標)はPulcra Chemicals LLCから販売される)
7.0g/l SECURON(登録商標)540(Pulcra Chemicals LLCによって販売される)
14.6g/l ケイ酸ナトリウム 42°Be’
37.4g/l 苛性ソーダ 50%
53.7g/l 過酸化水素 50%
[漂白手順]
1.含浸量(布地の種類によって異なる)まで布地を浸す。
2.100℃で20分間、布地を蒸気処理する。
3.布地を最低180°Fで8回洗浄/リンスする。
4.布地を取り出し乾燥する。
【0084】
【表8】
* 第1の数は材料の部数であり、第2の数は、標準発泡剤に等しい等価固形分を達成するための水の部数である。
** 希釈せず、配合ミックスで丁度2倍濃度
【0085】
以下の表9に示すように、PLAのPEGエステルによるSYNTERGENT(登録商標)APWの変更は、標準的なSYNTERGENT(登録商標)APWのような安定な泡を形成しない。精錬は、ある場合には同等であるか、又はそれよりも優れている。湿潤は、標準ミックスに非常に類似したいくつかのサンプル変更で変化した。滴下吸収性試験における幾つかのバリエーションも同様である。全ての変更は、試験した2つの温度範囲において腐食剤中で安定であった。全体として、PEG 400は、100%綿ニットに対して最良の結果を提供した。
【0086】
【表9】
【0087】
以下の表10は、PLAのPEG 400、PEG 1450、トリグリセロール、及びペンタグリセロールエステルについての12gsmポリプロピレンについての単一裏抜け試験の結果を示す。
【0088】
【表10】
【0089】
以下の表11は、表10で同定された同じ試料に対して実施されたPLAの同じPEG 400、PEG 1450、トリグリセロール、及びペンタグリセロールエステルについての12 gsmポリプロピレンについての単一裏抜け試験の結果を示す。
【0090】
【表11】
【0091】
糸上に0.52質量パーセント仕上げ剤(「FOY」)で塗布された12gsmのポリプロピレン不織布に対するPEG:PLAの質量比が44:56;50:50;30:70;及び56:44であるPLAのPEGエステルについての単一裏抜け試験(「SST」)及び複数裏抜け試験(「MST」)の結果を以下の表12に示す。PLAのPEG 400及びPEG 600エステルはSST及びMST要件を満たし、Pulcra Chemicals LLCによってSTANTEX(登録商標)の商品名で販売されている従来の仕上げ剤に匹敵するか、又はそれよりも良好である。
【0092】
【表12】
【0093】
1%糸上仕上げ剤(「FOY」)で適用した300デニールのポリプロピレンにおけるPLAのPEGエステル(PEG 400MW、1450MW及び4000MW)の静的及び摩擦試験の結果を以下の表13a~13bに示し、そして仕上げ剤なしの糸についての結果及び商標名STANTEX(登録商標)でPulcraによって販売されている従来の仕上げ剤についての結果と比較する。当該PLAのPEGエステルは従来の仕上げ剤に匹敵する結果を提供した。
【0094】
【表13a】
【0095】
【表13b】
【0096】
本明細書及び/又は図面では、複数の実施形態の例が開示されている。本発明は、このような例示的な複数の実施形態に限定されるものではない。特に断らない限り、特定の用語は一般的かつ説明的な意味で使用されており、限定を目的としたものではない。用語「及び/又は」の使用は関連する列挙された項目のうちの1つ以上の任意の及びすべての組み合わせを含む。上記の温度、パーセンテージ、ダルトンなどの範囲(即ち、「~と~の間」)について、「~の間」は範囲に提供される数が範囲に含まれるように(例えば、1と10との間は1と10とを含む)「~の間を含む」意味である。
【国際調査報告】