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特表2022-528192織布における効果糸の結合点のパターン制御された形成のための方法
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  • 特表-織布における効果糸の結合点のパターン制御された形成のための方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(54)【発明の名称】織布における効果糸の結合点のパターン制御された形成のための方法
(51)【国際特許分類】
   D03D 49/22 20060101AFI20220601BHJP
   D03D 5/00 20060101ALI20220601BHJP
   D03D 1/00 20060101ALI20220601BHJP
   D03D 15/533 20210101ALI20220601BHJP
【FI】
D03D49/22 Z
D03D5/00 Z
D03D1/00 C
D03D15/533
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560092
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(85)【翻訳文提出日】2021-12-02
(86)【国際出願番号】 EP2020059942
(87)【国際公開番号】W WO2020208045
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】19168490.1
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500031009
【氏名又は名称】テクスティルマ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169018
【弁理士】
【氏名又は名称】網屋 美湖
(74)【代理人】
【識別番号】100096769
【弁理士】
【氏名又は名称】有原 幸一
(72)【発明者】
【氏名】エンゲセル,ベルンハルト
【テーマコード(参考)】
4L048
4L050
【Fターム(参考)】
4L048AA52
4L048AC13
4L048BB01
4L048BD00
4L048CA05
4L048DA24
4L048EA00
4L050AB06
(57)【要約】
追加の糸(30、34)がジグザグ形状にレイアウトされた織布(20)の場合、場合によっては、ジグザグ糸(30、34)のジグザグ先端(38)が、織布の長さ全体にわたって常に同じ位置にあることを確実にするために、横糸(24)は、複数の隣接する縦糸(21)上に浮遊様式で織布(20)の特定の点に導入され、送り針(32、36)は、いくつかの敷設点または、横糸(24)がいくつかの隣接する縦糸(21)の上に浮いているすべての敷設点で、ジグザグに敷設されたカバー糸(30、34)の少なくとも片側で織布(20)に導入または挿入されることが提案される。カバー糸(30、34)はジグザグ形状の内側に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
織機を用いて織布を製造する方法であって、
前記織機は、少なくとも横糸挿入装置と、リードまたは同等の手段と、少なくとも1つのカバー糸(30、34)用の送り針(32、36)を備えた少なくとも敷設装置とを含み、
横糸(24)を開いた縦糸シェッドに挿入するステップと、
少なくとも1つの前記送り針(32、36)によって少なくとも1つの前記カバー糸(30、34)を敷設するステップと、を含み、
前記横糸(24)は、前記織布(20)の特定の点で、浮遊様式で複数の隣接する縦糸(23)上に導入され、
少なくとも1つのカバー糸(30、34)は、少なくとも1つの送り針(32、36)によって、前記浮遊横糸(24)の下に配置され、それによって後者によって結ばれ、
前記カバー糸(30、34)は、前記浮遊横糸(24)の始点と終点との間の任意の点で前記浮遊横糸(24)の下に配置され、それにより、後者によって結ばれ、
これにより、前記カバー糸(30、34)は、前後の接合点または結合点の位置に応じて、浮遊横糸領域の始点または終点に正確に配置されることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの送り針(32、36)は、カバー糸(30、34)をジグザグに前記織布に導入し、前記横糸(24)は、それぞれの前記カバー糸(30、34)の前記接合点または結合点が配置される場所で、複数の隣接する縦糸(23)の上にジグザグ構造を形成するために、前記カバー糸(30、34)がそれぞれ、前記織布の同じ縦糸(23a、23b、24c、24d)上に配置されるような方法で浮いていることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも2つのジグザグ構造は、前記ジグザグ構造が重ならないように、少なくとも2つの送り針(32、36)および少なくとも2つのカバー糸(30、34)によって前記織布に構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
それぞれがジグザグに導入される前記カバー糸(30、34)に加えて、さらなる送り針によってさらなるカバー糸(70)が、ジグザグ端点でそれぞれの前記横糸の反対側の前記ジグザグ糸を結合するような方法で、導入されることを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
切断装置によって、前記織布(20)を離れる方向に複数の布片(22)に切断するさらなるステップであって、2つの対向するジグザグ点の間の領域の切断線は、前記浮遊横糸が前記縦糸の上に浮いている領域で、好ましくは前記浮きに対して中央に切断されるように選択される、ステップを特徴とする、請求項2から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記リードの前または後ろの余分な縦糸が引っ張られることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記縦糸は、前記カバー糸の所定の張力によって切断縁の領域に一緒に引っ張られ、それによって横糸の先端が露出することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
2つの対向するジグザグ点が同じ縦糸ギャップ内に結合され、それにより、余分な縦糸の引っ張りが不要であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記織布は繊維回路基板の特性を有し、少なくとも1つの縦糸層は、導電性糸(80、82、84)、好ましくは金属糸または表面で金属化された糸を含み、少なくとも1つの非絶縁の導電性糸(86)が、敷設針によって前記織布(20)上に敷設され、繊維糸(88)によって取り付けられ、これは次に前記織布に結合されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記繊維糸(88)が、前記導電性縦糸(80、84)と前記非絶縁の導電性糸(86)との間の接触を形成することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記横糸(24)が、導電性縦糸(82)と前記非絶縁の導電性糸(86)との間に絶縁層を形成することを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記繊維糸(88)が前記非絶縁の導電性糸(86)を緩く結ぶことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記織布が繊維加熱テープの特性を有し、電力供給は、布縁の領域にある2つの導電性縦糸(80、84)を介して行われ、加熱効果は、導電性カバー糸として敷設された敷設加熱導体(86)によって生成され、前記非絶縁の導電性糸(86)は、前記2つの導電性縦糸(80、84)を接続することを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記導電性カバー糸の加熱力のレベルは、前記2つの導電性縦糸(80、84)との2つの接続点間の自由長に応じて自由に選択できることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
少なくとも2つの送り針はそれぞれ、ジグザグに前記織布にカバー糸を導入し、これらの2つのカバー糸が、少なくとも前記ジグザグのカバー糸の片側で、前記織布の同じ点に配置されるようにすることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織布における効果糸(effect thread)の結合点のパターン制御された形成のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リードビートアップとリードの間で上から開いたリードに縫い付けられ、それによって効果糸ループが下のシェッド(shed)に運ばれる敷設針(laying needle)による織布への効果糸の導入が、例えば、瑞国特許出願公開第490 541号により長い間知られている。しかしながら、これは、効果糸針が必ずしも所望の縦糸ギャップに正確に縫い付けられるのではなく、むしろ隣接する縦糸ギャップに縫い付けられるという問題を明らかにした。これは、さまざまな理由、例えば、特により速い織り速度での織材料または効果糸針の振動が原因である可能性があるが、縦糸の品質の違いも原因である可能性がある。
【0003】
独国実用新案第20 2013 104 888号は、紙またはパルプの脱水機用の貫流可能な衣類を開示している。これにより、特定の実施形態では、独国実用新案第20 2013 104 888号の図4に示されているように、使用されているパターンの繰り返しに従って、すでにベース横糸はそれぞれいくつかのベース縦糸の上に織り込まれている。つまり、織布全体に均一であるが、特定の浮遊様式(floating manner)である。次に、独国実用新案第20 2013 104 888号のこの実施形態では、追加の縦糸が導入され、その後、前記実施形態では、ベース縦糸に平行ないくつかのベース横糸上に長い浮遊様式で延びる。したがって、記載されている独国実用新案第20 2013 104 888号の実施形態は、効果糸針が必ずしも所望の縦糸ギャップに正確に縫い付けられるとは限らず、むしろ隣接する縦糸ギャップに縫い付けられるという上記の問題を解決するためのアプローチを提供しない。これにより、そのような問題が独国実用新案第20 2013 104 888号の織布の適用においてとにかく重要であるということも明らかではない。
【0004】
欧州特許出願公開第1 731 643号では、織布がスピーカーの膜として開示されており、導電性糸が、例えば蛇行するように組み込まれ、この導電性糸は、それが縦糸のそれぞれと置き換わる方法でそれぞれの隣接する縦糸に平行に延びる点に配置されている。いずれにせよ、欧州特許出願公開第1 731 643号は、効果糸針が必ずしも所望の縦糸ギャップに正確に縫い付けられるとは限らず、せいぜい隣接する縦糸ギャップに縫い付けられるという上記の問題を解決するための手段を開示していない。また、それにより、欧州特許出願公開第1 731 643号の教示を適用する場合、そのような問題がとにかく重要であるかも明らかではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、効果糸の結合が、それが2つの縦糸の間で正確に縫い付けられるか、またはそれらのすぐ横で縫い付けられるか、についての前述の不確実性が無関係であるという意味で正確である製造プロセスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に記載の製造プロセスによって達成される。それにより、本発明の手段は、最初に、効果糸を結合することを意図する横糸が、縦糸上でその特定の長さにわたって浮く、すなわち、特定数の縦糸上で変化する(shot)ことになる。本発明の意味において、浮きは、縦糸の1本の下に配置されることなく、いくつかの縦糸に導入されたそれぞれの横糸の領域として理解されるべきである。浮きの長さは、幾何学的な長さ、例えば1mmとして、または特定数の縦糸、つまり、例えば少なくとも6として指定できる。効果針(effect needle)が浮遊横糸の長さの範囲内で縫い付けられることにより、効果糸は、結合ステップの後、またはおそらくその後のサイクルの1つで、浮遊横糸の長さのそれぞれの端に滑り込む。浮遊横糸の長さの両端は、織布構造によって独自に定義されているため、効果糸の結合点も正確に定義される。
【0007】
本発明の方法は、特に有利な事柄において、製造プロセス中に個々の織布片に切断される織布において、その後のほつれがジグザグ構造を組み込むことによって最初から防止されるべきである場合に使用することができる。次に、冷却ナイフ(cold knife)または同じ効果を持つ工具を使用して、次のステップで切断する。これにより、カバー糸または効果糸のジグザグ構造と織布の先端(cutting edge)との間に緩く横たわっている縦糸は、その後簡単に引き抜かれる。効果糸針が必ずしも所望の縦糸ギャップに正確に縫い付けられていない場合、ジグザグ縫いの隣にある縦糸が、ある場合にはジグザグ縫いによって仕上げ縫いされ、別の場合には自由に横たわっている可能性がある。その結果、縦糸を連続的に引っ張ることができないか、より困難になり、糸が縫い付けられた点で引っ掛かり、破損する可能性がある。この有利な適用における本発明の手段は、横糸が2つの隣接するジグザグ線の縁側の結合点の間の特定の横糸の長さにわたって浮くことによって問題を解決する。本発明の手段が適用される場合、ジグザグ縫いを上からシェッドにもたらす針は、浮遊横糸領域内のどこかで縫い付ける必要があるだけである。これは、遅くとも後続の縫い付けプロセスが実行されるときに、ジグザグ糸の結合点が自動的に所望の位置に滑るためである。
【0008】
本発明のさらに有利な適用は、好ましくはまた、2つのジグザグ形状の効果糸を有する場合、2つの糸が織布の特定の点で互いに接触するように特定の点で縫いが適用されることによって達成される。一方では、これは特定の光学効果を可能にすることができる。他方では、効果糸を導体糸として、すなわち金属糸または金属被覆繊維糸として形成し、次に2つの導体糸が接触して電気的接続を有する非常に特定の正確な点を提供することも可能である。もちろん、これは、さまざまな点で織布の長さ全体にわたって、おそらく織布の全長にわたって1回または2回だけ、あるいは各ジグザグでも発生する可能性がある。特に、センサやマイクロプロセッサなどの電気要素を備えたラベルの場合、特に3つ以上の導電性効果糸が組み込まれている場合、特定の導電性パターンを可能にすることができる。この接続では、導電性効果糸を必ずしもジグザグに組み込む必要はなく、例えば、長距離にわたって蛇行形状にすることができることを強調する必要がある。この場合、本発明による浮きは、接触点でのみ提供される。
【0009】
本発明の1つの適用では、繊維回路基板の特性を有する繊維織布が製造される。この場合、織布は、少なくともいくつかの縦糸層を有する複数の層で織られ、縦糸層の1つは、導電性糸、すなわち、金属糸、または、例えば、表面で金属化された糸を有する。ここで説明する適用では、そのような縦糸層のすべてまたは特定の縦糸のみが導電性を示す可能性がある。さらに、特定の横糸はそのような導電性を有する。それにより、織布は、例えば、導電性横糸と導電性縦糸が非導電性縦糸層によって互いに分離されるので、導電性横糸と導電性縦糸が互いに接触しないように最初にレイアウトされる。しかしながら、導電性横糸と導電性縦糸は、それ自体が非導電性であるカバー糸によって互いに接触させられる。この適用では、結合点の位置は、織布の浮きのために、電気的接続が意図されている点までカバー糸が正確に滑ることによって正確に決定される。導電性横糸と導電性縦糸とのそのような接触点が織布に確立されると、カバー糸は次の意図された接触点に導かれ、そこで縫い付けられる。この設計の適用は多様である。一方では、アンテナループが考えられ得る。これは、繊維織布に組み込まれ、例えばRFIDチップを適用した後、RFID繊維(例えばラベル)を形成する。他方、本発明のこの態様はまた、電池を充電するための、またはデータの無線送信のための加熱繊維または誘導ループを形成するために使用することができる。
【0010】
織機のさらに有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0011】
本発明に従って使用される前述の要素、ならびに以下の例示的な実施形態で請求および説明される要素は、それらのサイズ、形状、素材の使用、技術設計の点で除外することにより、特定の条件の対象とはならず、その結果、それぞれの適用分野で知られている選択基準を制限なく使用できる。
【0012】
織機の例は、以下に示す図面を参照することにより、今後より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】ジグザグに導入された2つのカバー糸が特定の点で互いに接触するように配置されている、本発明の第1の適用の形態である。
図2】ジグザグに導入された2つの反対に配置されたカバー糸について、ジグザグ形状の端点がそれぞれの場合に縦糸の方向の線上に配置されることが保証される、本発明のさらなる適用の形態である。
図3】織布の切断後のジグザグ端点でのカバー糸の追加の固定を伴う、図2に示される本発明の適用の実施形態である。
図4】代替的な非常に信頼性の高い常温縁切断(cold cutting edge)を実行するための結合である。
図5】織機に表示されたときの図4による織布である。
図6】繊維導体表面を製造するための本発明の適用の例である。
図7】比較的大きな加熱力(heating power)のために、本発明の手段によって製造された繊維加熱テープである。
図8】比較的小さい加熱力のために、本発明の手段によって製造された繊維加熱テープである。
図9】それぞれ図7図8に関する詳細な図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の第1の適用を示している。この適用では、隣接して導入されたジグザグ形状の2つの追加の糸30および34が、正確に定義された点39で互いに接触することが保証されることとなる。これに関連して、一方では、2つの送り針(feed needle)を同じ位置に縫い付けることは、互いに干渉するため、困難または不可能でさえあることに留意されたい。しかし、図1に示すように、2つの送り針32および36は、原則として、浮遊領域内のどこにでも導入することができる。なぜなら、それらはそれぞれ、ジグザグ形状および関連する張力のためにしっかりと配置される浮きの端点に滑り込むからである。したがって、相互接触の効果は、本発明の手段によって、すでに2つの敷設針が浮遊領域37で縫い付けることによって達成される。第1の単純な適用では、カバー糸30、34がベース織布(縦と横)から光学的に目立つときに、この手段で光学効果が達成される。しかしながら、さらなる適用において、電気接点は、カバー糸が、例えば、金属糸または金属化繊維糸であるという条件で、前述の手段で生成することもできる。このようにして、例えば、導体糸が後で電子または電気部品(例えば、センサまたはマイクロプロセッサ)を備えていることによって、繊維回路基板を製造することができる。
【0015】
図2は、本発明の完全に異なる適用を示しており、製造プロセス中に個々の織布片に切断される織布において、その後のほつれは、ジグザグ構造を組み込むことによって最初から防止されるべきである。次に、冷却ナイフまたは同じ効果を持つ工具を使用して、次のステップで切断する。これにより、カバー糸または効果糸のジグザグ構造と織布の先端との間に緩く横たわっている縦糸はその後、簡単に引き抜かれる。これにより、浮きは、切断線の側にあるジグザグ結合点が常に同じ縦糸ギャップにあるとは限らないことを防ぎ、ジグザグ縫いの隣にある縦糸が、ある場合にはジグザグ縫いによって仕上げ縫いされ、別の場合には自由に横になるのを防ぐ。浮きは、縦糸の連続的な引っ張りを保証する。そして、縦糸が引っ掛かって破損するのを防ぐ。この有利な適用における本発明の手段は、横糸24が2つの隣接するジグザグ線の縁側の結合点の間の特定の横糸の長さにわたって浮くことによって問題を解決する。ジグザグ縫いを上からシェッドに入れる針は、浮遊横糸領域のどこかで縫い付けるだけで済む。ジグザグ糸の接合点または結合点は、遅くとも後続の縫い付けプロセスが実行されるときに、自動的に所望の位置、すなわち、それぞれの縦糸23a、23b、23c、23dに滑り込む。
【0016】
図3は、図2に対応する改良された実施形態を示しており、ジグザグ糸は、切断後に横糸がジグザグ点から滑り出せないように、追加のカバー糸70によって固定されている。これは、例えば、織布もしくは切断された織布テープを洗浄するとき、または乱暴なもしくは不適切な取り扱いの場合に可能である。追加のカバー糸70は、(ジグザグ形状に関して)1つの縦糸によって内側に変位するように確実に挿入することができ、それでも、切断後に横糸が滑り出せないように、カバー糸30、34を結ぶ、ということに留意されたい。
【0017】
図4および図5は、実際の試験において特に信頼性が高いことが証明された信頼性の高い常温縁切断を目的とした本発明の別の実施形態を示している。この実施形態では、余分な縦糸の除去は省略されている。図4は結合を示し、図5は織機に表示されたときの織布を示している。結合プロセス中、浮遊糸(floating thread)は、ジグザグ糸が常に正しい縦糸ギャップに正確に浸ることを保証する。ジグザグ糸は張力がかかっているので、それらによって仕上げ縫いされている縦糸は一緒に滑り、縁で一種の束を形成する。これらは非常にタイトであるため、結合点が滑らなくなり、したがって、縁がほつれにくくなる。ジグザグ糸の張力を変えることにより、冷間切断後に露出する切断経路の幅または横糸尾(weft thread tail)の長さを調整することができる。
【0018】
別の適用(図6で示されている)も、繊維プリント回路基板として提供される繊維織布に関係している。この適用では、織布は、少なくとも1つの縦糸層が導電性糸、すなわち金属糸、または例えば表面で金属化された糸を含むように織られる。図示の実施形態では、3つの非絶縁の導電性糸(non-insulated conductive thread)80、82、および84、例えば銅ストランドが縦糸にある。非絶縁の導電性糸86は、敷設針によって織布上に配置され、繊維糸88によって取り付けられ、それは次に織布に結合される。繊維糸88は、導電性縦糸80と敷設された導体86との間の接触点の近くで、導電性縦糸の左右の縦糸ギャップに正確に縫い付けられる。これは、対応する横糸が2~3つの縦糸上に浮くことで可能になる。中央の導電性縦糸82は、導体86と接触してはならない。したがって、敷設された導体86は、交点で横糸24の上にあり、一方、導電性縦糸84は、横糸の下にある。横糸24は、2つの導体82と86との間に配置され、したがって、絶縁層を形成する。敷設された導体が、導電性縦糸82が横糸より上にある領域に滑り込むのを防ぐために、非接触交点で補助糸88によって緩く結ばれる。
【0019】
本発明のさらなる適用は、図7から図9によって示される繊維加熱テープの形成に関する。電力の供給は、布縁の領域にある2つの導電性縦糸80および84を介して行われる。加熱効果は、導電性カバー糸として配置されたレイアウトされた加熱導体(heating conductor)86によって生成される。導体86は、2つの電力供給糸を接続する2つのそれぞれの導電性縦糸80および84を接続する。より大きな加熱力の場合、加熱導体86の長さは短い。加熱力が小さい場合は、蛇行して配置することで長くなる。これにより、テープの長さに沿って任意の所望の方法で加熱力を変化させることができる。さらに、加熱導体86が破損した場合、加熱システム全体が故障することはなく、小さな領域でのみ故障する。導電性縦糸80および84とレイアウトされた加熱導体86との間の接触点は、図9に示されるように、加熱導体86を導電性縦糸80および84の左右に交互に縦糸ギャップに縫い付けることによって達成される。これは、それぞれの導電性縦糸80または84と加熱導体86との間に集中的かつ安全な電気的接続を作り出す。ここでも、本発明の手段を適用するだけで、浮遊横糸によって、加熱導体86が常に正しい縦糸ギャップに縫い付けられることが保証される。
【符号の説明】
【0020】
20 織布
23 縦糸
23a、23b、24c、24d その上にカバー糸が配置されている縦糸
24 横糸
30 第1のカバー糸
32 第1の送り針
34 第2のカバー糸
36 第2の送り針
37 浮遊領域
39 接触点
70 ジグザグ糸を取り付けるための追加のカバー糸
80 導電性縦糸
82 導電性縦糸
84 導電性縦糸
86 導電性カバー糸
88 非導電性カバー糸(補助カバー糸)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】