(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(54)【発明の名称】ガラス分配路の為のフォアハースタンク組立体
(51)【国際特許分類】
C03B 7/08 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
C03B7/08
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560435
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(85)【翻訳文提出日】2021-12-03
(86)【国際出願番号】 EP2020060091
(87)【国際公開番号】W WO2020208107
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521442338
【氏名又は名称】ソシエテ ユーロペアンヌ デ プロデュイ レフラクテール
(74)【代理人】
【識別番号】100085545
【氏名又は名称】松井 光夫
(72)【発明者】
【氏名】フォーニエ,パトリス
(57)【要約】
ガラス分配路のフォアハースタンク組立体であって、該組立体は、単一のライナー(50)と、少なくとも2つのプランジャー(12
1;12
2)と、第1の穴及び第2の穴(28
1;28
2)を備えている単一のフローワッシャー(14)とを備えており、該プランジャーは少なくとも部分的に該ライナー内に配置されており、4つ以上の溝(52)が該ライナーの内側表面(26i)に設けられており、各溝が、溶融ガラスと接触することが意図されている該ライナーの下部部分(50i)に、下部部分(52i)を備えており、該下部部分(52i)は、該下部部分の長さの10%超にわたって延在し且つ、該溝に沿って測定して、該下部部分の該長さの0.1倍超の長さを有し、該下部部分(50i)の該長さは、該ライナーの軸(X)に沿って測定される、上記フォアハースタンク組立体。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス分配路のフォアハースタンク組立体であって、該組立体は、単一のライナー(50)と、少なくとも2つのプランジャー(12
1;12
2)と、第1の穴及び第2の穴(28
1;28
2)を備えている単一のフローワッシャー(14)とを備えており、該プランジャーは少なくとも部分的に該ライナー内に配置されており、4つ以上の溝(52)が該ライナーの内側表面(26i)に設けられており、各溝が、溶融ガラスと接触することが意図されている該ライナーの下部部分(50i)に、下部部分(52i)を備えており、該下部部分(52i)は、該下部部分の長さの10%超にわたって延在し且つ、該溝に沿って測定して、該下部部分の該長さの0.1倍超の長さを有し、該下部部分(50i)の該長さは、該ライナーの軸(X)に沿って測定される、前記フォアハースタンク組立体。
【請求項2】
該内側表面の溝の数は、(0.057*D+4.05)以下であり、及び(0.048*D-2.43)以上であり、ここで、Dは、該ライナーの上部開口(58)の、mm単位の直径である、請求項1に記載のフォアハースタンク組立体。
【請求項3】
1つの溝(52)、好ましくはいずれかの溝、の該下部部分が、該ライナーの該下部部分(50i)の長さの90%超にわたり延在する、請求項1又は2に記載のフォアハースタンク組立体。
【請求項4】
1つの溝(52)、好ましくはいずれかの溝、が、該ライナーの長さL
50の2%超にわたり延在する、請求項1~3のいずれか1項に記載のフォアハースタンク組立体。
【請求項5】
1つの溝(52)、好ましくはいずれかの溝、が、該ライナーの長さL
50の95%超にわたり延在する、請求項1~4のいずれか1項に記載のフォアハースタンク組立体。
【請求項6】
該溝(52)の任意の点における該溝の方向が、該ライナーの軸(X)との間に、30°未満の角度(θ)をなす、請求項1~5のいずれか1項に記載のフォアハースタンク組立体。
【請求項7】
溝の数が、8超である、請求項1~6のいずれか1項に記載のフォアハースタンク組立体。
【請求項8】
該ライナーの少なくとも該下部部分において、
各溝(52)の最小の深さは、2mm超、及び10mm未満であり、任意の溝(52)の最大の深さと最小の深さとの差は4mm未満であり、及び/又は、
任意の溝(52)の平均幅は、10mm超、及び/30mm未満、好ましくは25mm未満、である;及び/又は、
溝(52)の幅に対する深さの比(h
52/l
52)は、0.5未満であり、及び/又は、
該内側表面(26i)の表面積に対する該複数の溝の開口部(54)の総表面の比は、20%超及び70%未満である、
請求項1~7のいずれか1項に記載のフォアハースタンク組立体。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載のフォアハースタンク組立体の為に成形された溝付きライナー。
【請求項10】
12cm超の内径Dを有する、請求項9に記載の溝付きライナー。
【請求項11】
中空ガラス物品を製造する為の炉であって、請求項1~8のいずれか1項に記載のフォアハースタンク組立体を備えている前記炉。
【請求項12】
請求項1~8のいずれか1項に記載のフォアハースタンク組立体のライナーを製造する方法であって、該ライナーの耐用寿命を延ばす為に、該ライナーの内側表面に4つ以上の溝が設けられており、各溝は夫々、該溶融ガラスと接触することが意図されている該ライナーの下部部分において、該下部部分の長さの10%超にわたって延在し、且つ、該溝に沿って測定して、該下部部分の該長さの0.1倍超である長さを有する下部部分を有する、ここで、該下部部分の該長さは、該ライナーの軸(X)に沿って測定される、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融ガラスのゴブの形成の為に意図されたガラス分配路のフォアハースタンク組立体(forehearth tank assembly)に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に中空ガラスと呼ばれているガラス物品、例えばボトル(bouteilles)、ビーカー、フラコンボトル(flacons)、の製造において、好適な組成物が、溶融ガラスを得る為に溶融炉で溶融される。該溶融ガラスは、該炉から、該物品を成形する成型機へ、分配路(「供給装置」)を介して運搬される。
【0003】
分配路は、フォアハースタンク組立体(「スパウト組立体」(spout assembly)又は「ガラス分配路端部分」(glass distribution channel end portion))で終端する。
図1に概略的に示されている通り、フォアハースタンク組立体10は、
フォアハースタンク11(「スパウト」(spout))と、
フローワッシャー14(「オリフィスリング」(orifice ring))と、
該溶融ガラスを保持する為に、又は該ゴブを形成する為に該フローワッシャー14を介して該溶融ガラスを放出する為に、上方及び下方への動きを有するプランジャー12と、
概して回転しているライナー16と、ここで、特に該ライナーを交換できるように該溶融ガラスが該フローワッシャーまで到達するのを阻止する為に、該ライナーの位置が高さに関して制御されることができる、
を慣用的に備えている。
【0004】
該フォアハースタンク組立体を使用して形成された該ゴブは慣用的に、スライドを使用して該成型機まで分配される。
【0005】
図2は、慣用的なライナーの2つの例を、長手方向の断面で概略的に示す。右の像のライナー16は軸xを有し、
慣用的に垂直方向である軸Xを有し、且つ円形の断面を有し、及びその空隙19がそれぞれ上部開口20s及び下部開口20iを介してその上端及び下端で開口している、円筒形スリーブ18と、
該スリーブの該上端にある、横方向縁部24と
を慣用的に備えている。
【0006】
該スリーブ18は、径方向外側側部表面26eによって外部的に画定され、及び、径方向内側側部表面26iによって内部的に画定される。
【0007】
該スリーブの該下端は一般的に、所謂「計量システム」(Metering System)技術の為のライナーとして呼ばれている、
図2の左の像の実施態様のライナー16’のように面取りされうる。
【0008】
該スリーブの空隙19は、プランジャー12、例えば
図3に示されるプランジャー、の垂直方向のスライドを可能にする。軸Y
1を有する該プランジャーは、一般的に旋回によって形成される円筒形、又は円錐形の本体を有しうる。該プランジャーの下端は、特に、半球の形態で又は平坦でありうる。
【0009】
図4は、2つの穴28
1及び穴28
2を有するフローワッシャー14の概略的な断面図示である。
【0010】
該ライナーは、非常に重要な要素である。特に、該ライナーの破損は、製造ラインを修理する為に長い停止期間を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
2回のライナーの交換の間の時間を増加させることに対する恒久的な必要性がある。
【0012】
本発明の目的は、この必要性を少なくとも部分的に満たすことである。
【0013】
欧州特許第1599424号明細書(又は、米国特許出願公開第2006/0213226号明細書)は、ガラス分配路のフォアハースタンク組立体を記載する。2つのプランジャーが、ライナー内に配置される。該ライナーの内側表面は、突起を備えていない。
【0014】
仏国特許出願公開第625493号明細書及び蘭国特許出願公開第6505096号明細書は夫々、単一のプランジャーのみ及び単一の出口穴のみを備えているフォアハースタンク組立体を記載する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の陳述
従って、本発明は、ガラス分配路のフォアハースタンク組立体に関し、該組立体は、「溝付きライナー」(grooved liner)と呼ばれる単一のライナーと、少なくとも2つのプランジャーと、単一のフローワッシャーとを備えており、該プランジャーは少なくとも部分的に該ライナー内に配置されており、該ライナーの内側表面に4つ以上の溝が設けられており、各溝は夫々、溶融ガラスと接触することが意図されている該ライナーの下部部分において、該下部部分の長さの10%超にわたって延在し、且つ、該溝に沿って測定して、該下部部分の該長さの0.1倍超、且つ好ましくは該長さの2倍未満、である長さを有し、ここで、該下部部分の該長さは、該ライナーの軸(X)に沿って測定される。
【0016】
これは、本発明者等は、そのような溝が、該ライナーの耐用寿命を予想外に延ばすことを可能にし、それ故に、それが交換されるまでの期間が延ばされることを可能にすることを、全く偶然に見出したからである。
【0017】
本発明はまた、本発明に従うフォアハースタンク組立体の為に成形された溝付きライナーに関する。一つの実施態様において、該ライナーの内径Dは、12cm超である。
【0018】
本発明に従うフォアハースタンク組立体において、又はそのような組立体と別個に、溝付きライナーが更に、下記の任意的な特徴の1以上を備えうる:
該ライナーの該下部部分が、該ライナーの長さの15%超にわたり、好ましくは20%超にわたり、好ましくは25%超にわたり、及び/又は70%未満にわたり、好ましくは65%未満にわたり、好ましくは60%未満にわたり、延在する;
1つの溝、好ましくはいずれかの溝、の該下部部分が、該ライナーの該下部部分の長さの20%超にわたり、好ましくは30%超にわたり、好ましくは40%超にわたり、好ましくは50%超にわたり、好ましくは70%超にわたり、好ましくは80%超にわたり、好ましくは90%超にわたり、好ましくは実質的に100%にわたり、延在する;
1つの溝、好ましくはいずれかの溝、の該下部部分が、該溝に沿って測定して、該ライナーの該下部部分の該長さの2倍未満、好ましくは1.8倍未満、好ましくは1.6倍未満、好ましくは1.4倍未満の、及び/又は該ライナーの該下部部分の該長さの0.1倍超、好ましくは0.2倍超、好ましくは0.3倍超、好ましくは0.4倍超、好ましくは0.5倍超、好ましくは0.7倍超、好ましくは0.8倍超、好ましくは0.9倍超、好ましくは1.0倍超、若しくは1.1倍超、の長さを有する;
1つの溝、好ましくはいずれかの溝、が、該ライナーの該長さの2%超にわたり、好ましくは4%超にわたり、好ましくは6%超にわたり、好ましくは8%超にわたり、好ましくは10%超にわたり、好ましくは15%超にわたり、好ましくは20%超にわたり、好ましくは25%超にわたり、好ましくは30%超にわたり、好ましくは35%超にわたり、好ましくは40%超にわたり、好ましくは45%超にわたり、好ましくは50%超にわたり、好ましくは55%超にわたり、好ましくは60%超にわたり、好ましくは65%超にわたり、好ましくは70%超にわたり、好ましくは75%超にわたり、好ましくは80%超にわたり、好ましくは85%超にわたり、好ましくは90%超にわたり、好ましくは95%超にわたり、好ましくは実質的に100%にわたり、延在する;
1つの溝、好ましくはいずれかの溝、が、該溝に沿って測定して、該ライナーの該長さの2倍未満、好ましくは1.8倍未満、好ましくは1.6倍未満、好ましくは1.4倍未満の、及び/又は該ライナーの該長さの好ましくは0.02倍超、好ましくは0.04倍超、好ましくは0.06倍超、好ましくは0.08倍超、好ましくは0.1倍超、好ましくは0.15倍超、好ましくは0.2倍超、好ましくは0.25倍超、好ましくは0.3倍超、好ましくは0.35倍超、好ましくは0.4倍超、好ましくは0.45倍超、好ましくは0.5倍超、好ましくは0.55倍超、好ましくは0.6倍超、好ましくは0.65倍超、好ましくは0.7倍超、好ましくは0.75倍超、好ましくは0.8倍超、好ましくは0.85倍超、好ましくは0.9倍超、好ましくは0.95倍超、好ましくは1倍超、の長さを有する;
該内側表面の溝の数は、(0.057*D+4.05)以下、且つ(0.048*D-2.43)以上であり、ここで、Dは、該ライナーの上部開口の、mm単位の直径である;
溝の数は好ましくは、8以上、又は10超、又は12超、又は15超である;
各溝の最小の深さは、該ライナーの少なくとも該下部部分において、好ましくは該溝の全長にわたり、2mm超、好ましくは3mm超、好ましくは4mm超、及び/又は10mm未満、好ましくは9mm未満、好ましくは8mm未満、好ましくは7mm未満、である;
任意の溝の最大の深さと最小の深さとの差は、該ライナーの少なくとも該下部部分において、好ましくは該溝の該全長にわたり、4mm未満、好ましくは3mm未満、好ましくは1mm未満、である;
該溝の各々の深さは、該ライナーの少なくとも該下部部分において、好ましくは該溝の該全長にわたり、一定である;
1つの溝、好ましくはいずれかの溝、の最大幅は、該ライナーの少なくとも該下部部分において、好ましくは該溝の該全長にわたり、10mm超、好ましくは15mm超、及び/又は30mm未満、好ましくは25mm未満、である;
1つの溝、好ましくはいずれかの溝、の平均幅は、該ライナーの少なくとも該下部部分において、好ましくは該溝の該全長にわたり、10mm超、好ましくは15mm超、及び/又は30mm未満、好ましくは25mm未満、である;
1つの溝、好ましくはいずれかの溝、の最小幅と該最大幅との差は、該ライナーの少なくとも該下部部分において、好ましくは該溝の該全長にわたり、5mm未満、好ましくは4mm未満、好ましくは2mm未満、である;
好ましくは、全ての該溝が、該ライナーの少なくとも該下部部分において、好ましくは該溝の該全長にわたり、実質的に同じ幅を有する;
全ての該溝が、同一の形状を有する;
該溝が、互いと実質的に平行に延在する;
一つの実施態様において、溝の任意の点における該溝の方向が、該ライナーの少なくとも該下部部分において、好ましくは該溝の該全長にわたり、該ライナーの該軸との間に、10°未満、5°未満、好ましくは2°未満、の角度θをなす;
一つの実施態様において、溝の任意の点における該溝の方向が、該ライナーの少なくとも該下部部分において、好ましくは該溝の該全長にわたり、該ライナーの該軸との間に、5°超、好ましくは6°超、好ましくは7°超、及び/又は30°未満、好ましくは28°未満、好ましくは26°未満、好ましくは25°未満、の角度θをなす;
該ライナーは、上端にカラーを備えており、及び/又は下端に円錐形の外形を有する;
該ライナーは、焼結物質又は溶融物質から成り、好ましくは焼結されている;
該ライナーの該内側表面は、好ましくは円形の断面を有する、概して円筒形の形状(すなわち、該溝を無視して)を有する;
該ライナーは、並進に関して、好ましくは垂直方向の並進に関して、移動されることができる;
該ライナーは、セラミック材料から成る。
【0019】
本発明に従うフォアハースタンク組立体はまた、下記の任意的な特徴の1以上を備えうる:
プランジャーの数は、3以上及び/又は4以下である;
一つの実施態様において、プランジャーの数は2に等しい;
該フローワッシャーは、プランジャーの数に等しい数の穴を有する。この実施態様において、各プランジャーの該下端は、それぞれの該フローワッシャーの穴に面する;
一つの実施態様において、該フォアハースタンク組立体は、第1及び第2のプランジャーを備えており、該第1及び第2のプランジャーの該下端は、それぞれ該フローワッシャーの第1及び第2の穴に面し、好ましくは、該第1及び第2のプランジャーは、それぞれ該フローワッシャーの該第1及び第2の穴に相対的に同軸に配置される。
【0020】
本発明はまた、中空ガラス物品、特にソーダ石灰、ホウケイ酸塩、フッ素オパール、又はクリスタルガラスから作られる中空ガラス物品、を製造する為の炉であって、本発明に従う溝付きライナー及び/又は本発明に従うフォアハースタンク組立体を備えている該炉に関する。
【0021】
本発明に従うフォアハースタンク組立体において、溶融ガラスの液位が、該ライナーの下部部分と上部部分との間、それ故に各溝の下部部分と上部部分との間、の境界を画定する。
【0022】
製造される該ガラス物品は、特に、瓶、グラス、鉢、及びより一般的には、液体、クリーム、又はペーストを収容することができる任意の容器でありうる。
【0023】
本発明は更に、本発明に従うフォアハースタンク組立体のライナーを製造する方法に関し、該ライナーの耐用寿命を延ばす為に、該ライナーの内側表面に4つ以上の溝が設けられており、各溝は夫々、該溶融ガラスと接触することが意図されている該ライナーの下部部分において、該下部部分の長さの10%超にわたって延在し、且つ、該溝に沿って測定して、該下部部分の該長さの0.1倍超、且つ好ましくは該長さの2倍未満、である長さを有する下部部分を有する、ここで、該下部部分の該長さは、該ライナーの軸(X)に沿って測定される。
【0024】
定義
別途明記されない限り、溝の長さは、該溝の湾曲部に沿って測定されたその長さである。
【0025】
該ライナーの長さは、その軸Xに沿って、その下端と上端との間で測定される。同じことが、該ライナーの下部部分に当てはまる。
【0026】
溝は、該軸Xに沿って測定された該溝の該長さが該ライナーの該長さのx%超であるときに、該ライナーの該長さのx%超にわたり「延在する」。
【0027】
2つの方向の間の角度は、それら2つの方向に対してそれぞれ垂直な2つの平面間の角度である。
【0028】
プランジャーは、動作中にゴブの形成の為にこのライナーと協働する場合に、「ライナー内に配置」されている。
【0029】
本記載において、形容詞「下部の」、「上部の」、「水平方向の」、「垂直方向の」等は、図に示されるように動作位置に相対的に定められ、ここで、該図中、Vは垂直方向である。
【0030】
別途明記されない限り、「~を備えている(comprise)」、「~を含む(include)」、又は「~を有する(have)」は、広範な非制限的な意味で解釈されなければならない。
【0031】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の発明の詳細な説明を読み、添付図面を考察することから理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、プリアンブルにおいて説明されており、慣用的なフォアハースタンク組立体を、組み立てられた状態で左の像に、分解図として右の像に、概略的に示す。
【
図2】
図2は、慣用的なライナーの2つの例の概略的な長手方向断面図である。
【
図3】
図3は、丸い端部を有するプランジャーの例の概略的な正面図である。
【
図4】
図4は、2つの穴を有するフローワッシャーの例の概略的な長手方向断面図である。
【
図5】
図5は、好ましい実施態様における本発明に従うフォアハースタンク組立体の例の、動作位置における概略的な長手方向断面図であり、右下の像は2つの溝の概略的断面図である。
【
図6】
図6は、
図5の該フォアハースタンク組立体の溝付きライナーの、概略的正面図(左下の像)、長手方向の断面図(右下の像)、及び底面図(左上の像)である。右上の像は、2つの溝の概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
同一の参照符号は、同一の又は類似する部材を参照する為に使用されている。
【0034】
ライナー
図1~
図4はプリアンブルにおいて説明されている為、
図5が参照されうる。
【0035】
同図は、フォアハースタンク組立体10を示し、該フォアハースタンク組立体10は、
フォアハースタンク11と、
第1の穴281及び第2の穴282を備えているフローワッシャー14と、
第1のプランジャー121及び第2のプランジャー122と、ここで、第1のプランジャー121及び第2のプランジャー122は、垂直軸Y1及びY2をそれぞれ有し、それらは第1の下端131及び第2の下端132をそれぞれ有し、それらは該第1の穴281及び該第2の穴282にそれぞれ面する、
好ましい実施態様における本発明に従う溝付きライナー50と
を備えている。
【0036】
該ライナー50は、
円筒形スリーブ18と、ここで、円筒形スリーブ18は、慣用的に垂直方向である軸Xを有し、及び好ましくは円形の断面を有し、及びその空隙19がそれぞれ上部開口20s及び下部開口20iを介してその上端及び下端で開口している、
該スリーブの該上端にある、横方向縁部24、すなわち「カラー」(collar)と
を慣用的に備えている。
【0037】
該スリーブ18は、外部では径方向外側側部表面、すなわち「外側表面」26e、によって画定され、及び内部では径方向内側側部表面、すなわち「内側表面」26i、によって画定される。該スリーブの該下端は面取りされうる。
【0038】
動作中、「下部部分」50iと呼ばれる、該ライナー50の一部のみが、該溶融ガラスと接触する。該ライナーの上部部分50sは、該溶融ガラスと接触しない。
図5に破線で示されている該溶融ガラスの液位Nは、前もって定められた該フォアハースタンク組立体の定格使用条件によって定められる。それ故に、該ライナーの該下部部分と該上部部分との間の境界は、当業者には明らかである。それは、特にフォアハースタンクモデルに、特にその高さ、に依存する。定格使用条件下では、溶融ガラスの該液位は、一般的に、該フォアハースタンクの上面60よりも2.5~4cm下であり、該ライナーの下部縁部53iは、一般的に、該フォアハースタンクの基部62よりも1.5~2.5cm上である。
【0039】
該ライナーの該下部部分は典型的に、該ライナーの長さの15%超、好ましくは20%超、好ましくは25%超、且つ70%未満、好ましくは65%未満、好ましくは60%未満、にわたり延在する。
【0040】
該スリーブ18は好ましくは、18mm超、且つ40mm未満、好ましくは35mm未満、好ましくは27mm未満、の厚さe18を有する。
【0041】
本発明に従うと、該内側表面26iは、複数の溝52を備えている。
【0042】
1つの溝52、好ましくはいずれかの溝52、は規則的な螺旋の形態である。該螺旋の任意の点における接線は、この点を介して延在する垂直方向の直線との間に、一定の角度θをなす。該角度θは好ましくは、5°超、好ましくは6°超、好ましくは7°超、及び/又は30°未満、好ましくは28°未満、好ましくは26°未満、好ましくは25°未満、である。図において、該角度は、9°である。
【0043】
好ましくは、1つの溝52、好ましくはいずれかの溝52、は、該軸Xを中心とした一旋回の0.8未満、好ましくは一旋回の0.5未満、好ましくは一旋回の0.4未満、にわたり延在する。
【0044】
1つの溝52、好ましくはいずれかの溝52、は、該軸Xに沿って測定された該ライナーの長さL
50の2%超にわたり、好ましくは4%超にわたり、好ましくは6%超にわたり、好ましくは8%超にわたり、好ましくは10%超にわたり、好ましくは15%超にわたり、好ましくは20%超にわたり、好ましくは25%超にわたり、好ましくは30%超にわたり、好ましくは35%超にわたり、好ましくは40%超にわたり、好ましくは45%超にわたり、好ましくは50%超にわたり、好ましくは55%超にわたり、好ましくは60%超にわたり、好ましくは65%超にわたり、好ましくは70%超にわたり、好ましくは75%超にわたり、好ましくは80%超にわたり、好ましくは85%超にわたり、好ましくは90%超にわたり、好ましくは95%超にわたり、好ましくは実質的に100%にわたり(
図5のように)、延在する。
【0045】
各溝52は、動作中に溶融ガラスと接触することを意図されている下部部分52iを、該ライナーの該下部部分に備えており、且つ該下部部分を該ライナー50の上側に向かって延ばす相補的な上部部分52sを、該ライナーの該上部部分に備えうる。
【0046】
好ましくは、1つの溝52、好ましくはいずれかの溝52、の該下部部分の深さ、又は「高さ」h52は一定である。好ましくは、高さh52は、2mm超、好ましくは3mm超、好ましくは4mm超、及び/又は、10mm未満、好ましくは9mm未満、好ましくは8mm未満、好ましくは7mm未満、である。好ましくは、その開口で測定された溝52の幅l52は、好ましくは一定であり、10mm超、好ましくは15mm超、及び/又は、30mm未満、好ましくは25mm未満、である。
【0047】
好ましくは、溝52の該下部部分は、その該幅に対して浅い。好ましくは、1つの溝52、好ましくはいずれかの溝52、の該下部部分の比h52/l52は、0.5未満、好ましくは0.4未満、好ましくは0.3未満、及び/又は0.1超、好ましくは0.2超、である。
【0048】
1つの溝52、好ましくはいずれかの溝52、の該下部部分の横方向断面形状は、すなわち、
図5の右下の像のようにその該軸に対して垂直の断面の面において、好ましくは対称である。好ましくは、該断面形状は、該溝の開口54からその基部56まで収束する。逃げ溝(undercut)が存在しないことは、有利には、該ライナーが製造される際に該ライナーの離型を容易にする。好ましくは、該断面形状は、縁部も隅部も有さない。好ましくは、最小曲率半径は、3mm超、好ましくは4mm超、である。
【0049】
1つの溝、好ましくはいずれかの溝、の該上部部分52sの幅及び/又は深さ及び/又は断面形状は好ましくは、それが延在する該下部部分52iのものと同一である(そのような上部部分52sが存在する場合)。
【0050】
好ましくは、1つの溝52、好ましくはいずれかの溝52、は、該ライナー50の該下部縁部53iで、より好ましくは上部縁部53sで、開口する。それにより該ライナーの製造が容易にされる。
【0051】
該溝の密度は好ましくは、高い。好ましくは、該内側表面26iの表面積に対する該複数の溝の開口部の総表面との比は、20%超、好ましくは30%超、若しくは35%超、及び/又は70%未満、好ましくは70%未満、好ましくは60%未満、好ましくは50%未満、若しくは40%未満、である。
【0052】
該内側表面の溝の数は好ましくは、(0.057*D+4.05)以下、及び/又は(0.048*D-2.43)以上であり、ここで、Dは、該ライナーの上部開口58の、mm単位の直径である。
【0053】
例えば、254mmに等しい直径Dを有するライナーは好ましくは、少なくとも0.048*254-2.43=9.762、又は少なくとも10個の溝を備えており、好ましくは0.057*254+4.05=18.528未満、又は18個の溝若しくはそれよりも少ない溝を備えている。
【0054】
溝52の数は好ましくは、8以上、若しくは10超、若しくは12超、若しくは15超、及び/又は30未満、好ましくは25未満、である。
【0055】
好ましくは、複数の溝52は、該内側表面26iにわたり規則的に分散される。
【0056】
一つの溝の深さ及び/又は幅及び/又は長さは、他の溝と同一であってもよく又は異なっていてもよい。
【0057】
好ましくは、全ての該溝52が同一である。
【0058】
好ましくは、全ての該溝52が互いと平行に延在する。
【0059】
慣用的な技術が、溝付きライナーを製造する為に使用されうる。
【0060】
該ライナーは好ましくは、セラミック材料から成り、任意的に、被膜で、好ましくはプラチナ製の被膜で、少なくとも部分的に覆われる。
【0061】
該ライナーは好ましくは、該ライナーの質量に基づいて、95%超、好ましくは98%超、好ましくは99%超、好ましくは実質的に100%、の酸化物を含む。
【0062】
該ライナーは好ましくは、Al2O3+ZrO2+SiO2+CaOの合計含有量が、該酸化物に基づく質量パーセントで、90%超、好ましくは95%超、好ましくは98%超、好ましくは99%超、の組成を有する。
【0063】
第1の特定の実施態様において、該ライナーは、該酸化物に基づく質量パーセントで、90%超、好ましくは95%超、好ましくは98%超、好ましくは99%超、のAl2O3+SiO2+CaOの合計含有量を有する。該第1の実施態様において、該Al2O3の含有量は、該酸化物に基づく質量パーセントで、好ましくは80%超、好ましくは85%超、好ましくは90%超、である。
【0064】
第2の特定の実施態様において、該ライナーは、該酸化物に基づく質量パーセントで、90%超、好ましくは95%超、好ましくは98%超、好ましくは99%超、のAl2O3+ZrO2+SiO2+CaOの合計含有量を有する。該ライナーは特に、該酸化物の質量に基づき、合計100%に対して、下記の組成を有しうる:
Al2O3<85%、又はAl2O3<80%、且つ好ましくは、Al2O3>45%、又はAl2O3>50%、又はAl2O3>60%、
SiO2<25%、又はSiO2<20%、且つ好ましくは、SiO2>5%、又はSiO2>10%、
ZrO2<45%、又はZrO2<35%、又はZrO2<30%、又はZrO2<25%、又はZrO2<21%、又はZrO2<17%、又はZrO2<13%、且つ好ましくは、ZrO2>8%、又はZrO2>10%、
CaO<5%、好ましくはCaO<4%、好ましくはCaO<3%、好ましくはCaO<2%、及び
他の酸化物<5%、好ましくは<3%。
【0065】
該ライナーは好ましくは、型(mold)で成型されることができる材料から流し込みによって成形される。
【0066】
成型されることができる該材料は、溶融した液体であり得、冷却が、溶融物質から成るライナーをもたらす。
【0067】
代替的には、成型されることができる該材料は、スリップ(slip)又はコンクリートであり得、硬化は、該型、例えば、プラスター、及び/又は未加工ライナーを得る為に凝固を引き起こす化合物、の作用の結果として生じることが可能である。好ましくは、該未加工ライナーは、使用される前に焼結される。該未加工ライナーはまた、使用中に現場で焼結されうる。
【0068】
好ましくは、該溝は、該型の形状によって提供される。代替的には、該溝は、成型後又は硬化後に得られる構成部品に機械加工されうる。
【0069】
動作中、一つの実施態様において、該溝付きライナーは、その該軸Xを中心に回転する。
【0070】
実施例
以下の非制限的な例は、本発明を説明する為に与えられている。
【0071】
フォアハースタンク組立体が製造され、各々が、参考文献503-5080に従うフォアハースタンクと、参考文献501-6313に従う2つのプランジャーと、参考文献503-5742に従うフローワッシャーと、
比較例1のフォアハースタンク組立体の為の、参考文献503-5741に従うライナーと、
本発明に従う実施例2のフォアハースタンク組立体の為の、参考文献503-5741に従うライナーと、ここで、該ライナーの内側表面には、20mmに等しい幅を有し、5mmに等しい幅を有し、該軸Xに対して9°に等しい角度θだけ傾斜し、該ライナーの全長にわたって延在する、14本の同一の溝が設けられ、該溝の断面形状は5mmの最小曲率半径を有する、
を備えており、
該参考文献は、下記のアドレス、https://www.sefpro.com/products/expendablesで入手可能な消耗製品SEFPROのカタログに定められている。
【0072】
【0073】
該フォアハースタンク組立体の各々において、該フォアハースタンク、該プランジャー、該フローワッシャー、及び該ライナーは、75.5%のAl2O3、12.5%のSiO2、及び10.5%のZrO2を含む焼結材料から成る。
【0074】
該フォアハースタンク組立体の各々において、該ライナーの該下部部分の長さは、225mmに等しい。
【0075】
該フォアハースタンク組立体は、下記の条件下で使用される:
該ライナーが、2.5rpmに等しい速度で回転し、
該フォアハースタンク組立体に入ろうとするガラスの平均温度が1160°Cに等しく、
該ガラスがソーダ石灰ガラスであり、
該フローワッシャーを介して通過するガラスの量が115T/jに等しい。
【0076】
下記の表1は、得られた結果を要約している。
【0077】
【0078】
これらの試験は、該ライナーの該内側表面に溝を設けることが、該ライナーの耐用寿命が倍増されることを可能にすることを示す。それは7か月から14か月に変化する。
【0079】
結果として、2回のライナー交換の間の継続時間が延ばされうる。
【0080】
明らかに見て取られることができる通り、それ故に、本発明は、該ライナーの交換頻度を大幅に限定する為の解決法を提供する。
【0081】
無論、本発明は、記載され且つ図示された実施態様に限定されず、それらの実施態様は純粋に説明の目的の為に提供されたものである。
【0082】
特に、該ライナーは、3つ以上のプランジャーを受け入れるように構成されうる。該ライナーは、レリーフ(relief)の変形例、特にその外側表面に溝及び/又は1以上の放射状の穴(radial holes)、を備えうる。
【国際調査報告】