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特表2022-528209極低温デュワ容器内の生物学的サンプルにアクセスするためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(54)【発明の名称】極低温デュワ容器内の生物学的サンプルにアクセスするためのシステム
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/08 20060101AFI20220601BHJP
【FI】
F17C3/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021571065
(86)(22)【出願日】2020-02-17
(85)【翻訳文提出日】2021-09-22
(86)【国際出願番号】 IL2020050177
(87)【国際公開番号】W WO2020165909
(87)【国際公開日】2020-08-20
(31)【優先権主張番号】62/806,833
(32)【優先日】2019-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521363907
【氏名又は名称】ナショナル・サイエンティフィック・アンド・テクニカル・リサーチ・カウンシル-アージェンティーナ(セーオーエネイーセーエーテー)
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】グスターボ・スロビンスキー,デミアン
(72)【発明者】
【氏名】パブロ・ペラルタ,フアン
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB11
3E172AB14
3E172AB15
3E172BA04
3E172BB12
3E172BB18
3E172BC07
3E172DA04
3E172DA06
3E172EA03
3E172EA12
3E172EA13
3E172EA20
3E172EA22
3E172EA23
3E172EA30
3E172EA43
3E172EA48
3E172JA01
3E172KA02
3E172KA03
3E172KA19
3E172KA22
3E172KA23
3E172KA25
(57)【要約】
生物学的材料コンテナを貯蔵するための極低温デバイスは、(a)シールされた極低温デュワ容器と、(b)極低温デュワ容器の内部空間に配設され、生物学的材料コンテナを受容および貯蔵するように構成されたレセプタクルのマトリクスと、(c)生物学的材料コンテナを装填および回収するための手段と、を含む。装填/回収手段は、マトリクス内の生物学的材料コンテナを装填および回収するように構成された入れ子式ケーン操作装置を含む。レセプタクルは、それの軸線まわりに回転可能なカルーセル部材によって担持される。レセプタクルは、カルーセル部材の上に分配された幾つかのグループに配列される。レセプタクルの各グループは、カルーセル部材の回転軸線から距離Rに配置される中心点を有する。グループ内の各レセプタクルの中心は、距離Rでそれの中心点まわりに配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的材料コンテナを貯蔵するための極低温デバイスであって、前記デバイスは、
a.液化ガスをその内部空間に収容するシールされた極低温デュワ容器と、
b.前記内部空間に配設され、生物学的材料コンテナを受容および貯蔵するように構成されたレセプタクルのマトリクスと、
c.前記生物学的材料コンテナを装填および回収するための手段と、を含み、
前記手段は、前記マトリクス内の前記生物学的材料コンテナを装填および回収するように構成された入れ子式ケーン操作装置を含み、
前記手段は、前記シールされた極低温デュワ容器を囲む外部環境から前記内部空間を隔離するエアロックを含み、
前記エアロックは、前記入れ子式ケーン操作装置によって操作される前記生物学的材料コンテナをそれの間に通してシールされた様式で通行させるように構成され、
前記レセプタクルは、それの軸線まわりに回転可能な第1のカルーセル部材によって担持され、
前記レセプタクルは、前記カルーセル部材の上に分配された幾つかのグループに配列され、
前記レセプタクルの各グループは、前記カルーセル部材の前記回転軸線から距離Rに配置される中心点を有し、
前記グループ内の各レセプタクルの中心は、距離Rでそれの中心点まわりに配置され、
前記入れ子式ケーン操作装置は、R長さのアーム上の前記カルーセル部材の前記回転軸線からRに配設される軸線まわりに回転可能であり、したがって、前記入れ子式ケーン操作装置の前記回転軸線と、対象のレセプタクルグループの前記中心点と、が一致したら、対象のレセプタクルは、前記Rアーム上のそれの前記軸線まわりのその回転によって前記入れ子式ケーン操作装置によって装填可能または回収可能である、極低温デバイス。
【請求項2】
同様に配列されたレセプタクルをその上に有し、前記第1のカルーセル部材の下に同軸の様式で回転可能に実装される第2のカルーセル部材を含み、
前記第1および第2のカルーセル部材は、独立した様式で回転可能であり、
前記第1のカルーセル部材は、前記第2のカルーセル部材によって担持される前記レセプタクルへのアクセスを提供するように構成されたカット部を有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
少なくとも1つの前記グループのレセプタクルは、前記カルーセル部材に解除可能に接続可能であるキャニスタの内部に配列される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記シールされた極低温デュワ容器は、前記生物学的材料コンテナへの緊急アクセスを提供する急速開動ハッチを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
極低温冷凍機に熱接続された冷却ヘッドを含み、
前記冷却ヘッドは、前記液化ガスを液体状態に維持する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記極低温冷凍機は、前記極低温冷凍機を活動化および非活動化させるように構成された圧力計および温度計を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記液化ガスのレベル指示器と、更には、フロートと、前記フロートを画像化するように構成されたカメラと、を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
法的に承認された人の許可を条件付けする前記コンテナを識別および操作するように構成された承認ユニットを含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
生物学的材料コンテナを装填、貯蔵および回収する方法であって、前記方法は、
a.生物学的材料コンテナを貯蔵するためのデバイスを提供するステップであって、
前記デバイスは、
i.液化ガスをその内部空間に収容するシールされた極低温デュワ容器と、
ii.前記内部空間に配設され、生物学的材料コンテナを受容および貯蔵するように構成されたレセプタクルのマトリクスと、
iii.前記生物学的材料コンテナを装填および回収するための手段と、を含み、
前記手段は、前記マトリクス内の前記生物学的材料コンテナを装填および回収するように構成された入れ子式ケーン操作装置を含み、
前記手段は、前記シールされた極低温デュワ容器を囲む外部環境から前記内部空間を隔離するエアロックを含み、
前記エアロックは、前記入れ子式ケーン操作装置によって操作される前記生物学的材料コンテナをそれの間に通してシールされた様式で通行させるように構成され、
前記レセプタクルは、それの軸線まわりに回転可能な第1のカルーセル部材によって担持され、
前記レセプタクルは、前記カルーセル部材の上に分配された幾つかのグループに配列され、
前記レセプタクルの各グループは、前記カルーセル部材の前記回転軸線から距離Rに配置される中心点を有し、
前記グループ内の各レセプタクルの中心は、距離Rでそれの中心点まわりに配置され、
前記入れ子式ケーン操作装置は、R長さのアーム上の前記カルーセル部材の前記回転軸線からRに配設される軸線まわりに回転可能であり、したがって、前記入れ子式ケーン操作装置の前記回転軸線と、対象のレセプタクルグループの前記中心点と、が一致したら、対象のレセプタクルは、前記Rアーム上のそれの前記軸線まわりのその回転によって前記入れ子式ケーン操作装置によって装填可能または回収可能である、ステップと、
b.前記生物学的材料コンテナを前記内部空間の中に前記エアロックを介して挿入するステップと、
c.前記対象のレセプタクルが、前記生物学的材料コンテナを前記対象のレセプタクル内に配置するために利用可能であるように前記カルーセル部材および前記入れ子式ケーン操作装置を協働的に回転させるステップと、
d.前記生物学的材料コンテナを前記対象のレセプタクル内に配置するステップと、
e.前記生物学的材料コンテナを前記対象のレセプタクル内に貯蔵するステップと、
f.前記対象のレセプタクルの前記生物学的材料コンテナが、前記生物学的材料コンテナを前記対象のレセプタクルから回収するために利用可能であるように前記カルーセル部材および前記入れ子式ケーン操作装置を協働的に回転させるステップと、
g.前記生物学的材料コンテナを前記対象のレセプタクルから回収するステップと、
h.前記生物学的材料コンテナを前記内部空間から前記エアロックを介して出すステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極低温機器に関し、より詳細には、生殖細胞や胚を保存するための極低温保存システムに関する。
【背景技術】
【0002】
補助生殖技術で使用される最も広く普及している極低温保存システムは、極低温デュワ容器である。これらのデュワ容器は、経時的に保存されるべき生殖細胞や胚のために極低温環境を提供する液体窒素を貯蔵する。デュワ容器のヘッドは、周囲へのゆっくりとした液体窒素の蒸気通気を可能にすることによって、高圧の蓄積を防止するために、それらの上部でシールされない。
【0003】
シールされたデュワ容器は、高圧を避けるために冷却システムが取り付けられねばならないので、普通の実施ではない。冷却システムが選ばれると、それは通常別々のチャンバに組み入れられ、サンプルではなくNMRのケースでは液体Nやヘリウムの宿主になる。このように、サンプルは、極低温の乾燥した環境に維持される。
【0004】
混合親の事故を回避するための手順は幾つか存在する。ラベル付けの主要な方法は、RFIDやバーコードの使用に基づいており、室温での調製時や抽出時に読取りされるが、それでも、多くの手書きのタグ付けは、依然として普通の実施である。
【0005】
現状では、補助生殖処置の患者は、その生物学的サンプル状態の更新情報を提起しない。そういう訳で、患者の観点から望ましいことは、その生物学的財産に対する制御を保持すること、および、そのサンプル状態や手順の更新された報告を取得することである。
【0006】
米国特許出願公開第2010/0281886号は、長手方向軸線を有するバッグ内に配設された液体生物学的材料を極低温保存するためのシステムおよび方法を開示する。システムは、その中の生物学的材料が表面積Sおよび体積Vを有するように、バッグを保持するためのバッグ保持体と、極低温流体を包含するタンクと、長手方向軸線に沿ったタンクの中へのバッグ保持体の浸漬用の機構と、バッグ保持体のそれを貫く挿入用のタンクの開口と、開口からタンクの中に延びる案内部材と、を含む。更に提供されるのは、バッグ内に配設された極低温保存の液体生物学的材料を加温するためのシステムおよび方法である。システムは、熱源と、バッグをその中に配置するための空間を有し、熱源に接続され、熱源からバッグに熱を伝達するように適合される加温デバイスと、熱源を材料の極低温保存された部分と熱伝達接触させて保持し、上記極低温保存された部分によって熱を受容することを可能にする手段と、を含む。
【0007】
生物学的材料を配置することおよび抜き取ることは、盲目的な様式で実施される。生物学的材料を取り出した後にだけ、ユーザは、抜き取った生物学的材料を視覚的に識別できる。生物学的材料を配置することおよび抜き取ることは、多段階の手順を含む。斯くして、生殖細胞や胚を保存するための極低温保存システムを提供する長期の切実な未対処の要求が存在し、この極低温保存システムは、上述の配置/抜取りの手順を単純化する、位置決めステージの入れ子式ケーンによって提供される視覚制御型(内部カメラ)自動操作ステージによって特徴付けられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
故に、本発明の1つの目的は、生物学的材料コンテナを貯蔵するための極低温デバイスを開示することである。
上述のデバイスは、
(a)液化ガスをその内部空間に収容するシールされた極低温デュワ容器と、
(b)内部空間に配設され、生物学的材料コンテナを受容および貯蔵するように構成されたレセプタクルのマトリクスと、
(c)生物学的材料コンテナを装填および回収するための手段と、を含み、
手段は、マトリクス内の生物学的材料コンテナを装填および回収するように構成された入れ子式ケーン操作装置を含み、
手段は、シールされた極低温デュワ容器を囲む外部環境から内部空間を隔離するエアロックを含み、
エアロックは、入れ子式ケーン操作装置によって操作される生物学的材料コンテナをそれの間に通してシールされた様式で通行させるように構成される。
【0009】
本発明の中心的な目的は、それの軸線まわりに回転可能な第1のカルーセル部材によって担持されるレセプタクルを提供することであり、レセプタクルは、カルーセル部材の上に分配された幾つかのグループに配列される。レセプタクルの各グループは、カルーセル部材の回転軸線から距離Rに配置される中心点を有し、グループ内の各レセプタクルの中心は、距離Rでそれの中心点まわりに配置される。
【0010】
入れ子式ケーン操作装置は、R長さのアーム上のカルーセル部材の回転軸線からRに配設される軸線まわりに回転可能であり、したがって、入れ子式ケーン操作装置の回転軸線と、対象のレセプタクルグループの中心点と、が一致したら、対象のレセプタクルは、Rアーム上のそれの軸線まわりのその回転によって入れ子式ケーン操作装置によって装填可能または回収可能である。
【0011】
本発明の別の目的は、同様に配列されたレセプタクルをその上に有し、第1のカルーセル部材の下に同軸の様式で回転可能に実装される第2のカルーセル部材を含むデバイスを開示することであり、第1および第2のカルーセル部材は、独立した様式で回転可能であり、第1のカルーセル部材は、第2のカルーセル部材によって担持されるレセプタクルへのアクセスを提供するように構成されたカット部を有する。
【0012】
本発明の更なる目的は、カルーセル部材に解除可能に接続可能であるキャニスタの内部に配列された少なくとも1つのグループのレセプタクルを開示することである。
本発明の更なる目的は、生物学的材料コンテナへの緊急アクセスを提供する急速開動ハッチを含むシールされた極低温デュワ容器を開示することである。
【0013】
本発明の更なる目的は、極低温冷凍機に熱接続された冷却ヘッドを含むデバイスを開示することである。冷却ヘッドは、液化ガスを液体状態に維持する。
本発明の更なる目的は、極低温冷凍機を活動化および非活動化させるように構成された圧力計および温度計を含む極低温冷凍機を開示することである。
【0014】
本発明の更なる目的は、液化ガスのレベル指示器と、更には、フロートと、フロートを画像化するように構成されたカメラと、を含むデバイスを開示することである。
本発明の更なる目的は、法的に承認された人の許可を条件付けするコンテナを識別および操作するように構成された承認ユニットを含むデバイスを開示することである。
【0015】
本発明の更なる目的は、生物学的材料コンテナを装填、貯蔵および回収する方法を開示することであり、開示される。
上述の方法は、
(a)生物学的材料コンテナを貯蔵するためのデバイスを提供するステップであって、
デバイスは、
(i)液化ガスをその内部空間に収容するシールされた極低温デュワ容器と、
(ii)内部空間に配設され、生物学的材料コンテナを受容および貯蔵するように構成されたレセプタクルのマトリクスと、
(ii)生物学的材料コンテナを装填および回収するための手段と、を含み、
手段は、マトリクス内の生物学的材料コンテナを装填および回収するように構成された入れ子式ケーン操作装置を含み、
手段は、シールされた極低温デュワ容器を囲む外部環境から内部空間を隔離するエアロックを含み、
エアロックは、入れ子式ケーン操作装置によって操作される生物学的材料コンテナをそれの間に通してシールされた様式で通行させるように構成され、
レセプタクルは、それの軸線まわりに回転可能な第1のカルーセル部材によって担持され、
レセプタクルは、カルーセル部材の上に分配された幾つかのグループに配列され、
レセプタクルの各グループは、カルーセル部材の回転軸線から距離Rに配置される中心点を有し、
グループ内の各レセプタクルの中心は、距離Rでそれの中心点まわりに配置され、
入れ子式ケーン操作装置は、R長さのアーム上のカルーセル部材の回転軸線からRに配設される軸線まわりに回転可能であり、したがって、入れ子式ケーン操作装置の回転軸線と、対象のレセプタクルグループの中心点と、が一致したら、対象のレセプタクルは、Rアーム上のそれの軸線まわりのその回転によって入れ子式ケーン操作装置によって装填可能または回収可能である、ステップと、
(b)生物学的材料コンテナを内部空間の中にエアロックを介して挿入するステップと、
(c)対象のレセプタクルが、生物学的材料コンテナを対象のレセプタクル内に配置するために利用可能であるようにカルーセル部材および入れ子式ケーン操作装置を協働的に回転させるステップと、
(d)生物学的材料コンテナを対象のレセプタクル内に配置するステップと、
(e)生物学的材料コンテナを対象のレセプタクル内に貯蔵するステップと、
(f)対象のレセプタクルの生物学的材料コンテナが、生物学的材料コンテナを対象のレセプタクルから回収するために利用可能であるようにカルーセル部材および入れ子式ケーン操作装置を協働的に回転させるステップと、
(g)生物学的材料コンテナを対象のレセプタクルから回収するステップと、
(h)生物学的材料コンテナを内部空間からエアロックを介して出すステップと、を含む。
【0016】
本発明を理解すると共に如何に実際に実施され得るかを確かめる目的で、複数の実施形態は、添付の図面を参照して、単に非限定の例として説明されるように適合される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】生物学的材料アイテムを貯蔵するための極低温デバイスの構造図である。
図2】生物学的材料アイテムを貯蔵するための極低温デバイスの全体外観図である。
図3】生物学的材料アイテムを貯蔵するための極低温デバイスの断面図である。
図4】生物学的材料アイテムを貯蔵するための極低温デバイスの断面図である。
図5】極低温冷凍機組立体の断面図である。
図6a】作動中の自動配置および回収ユニットの詳細図である。
図6b】作動中の自動配置および回収ユニットの詳細図である。
図6c】作動中の自動配置および回収ユニットの詳細図である。
図7図7aおよび図7bは、カルーセルの自由度を例証する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下の説明は、任意の当業者が本発明を利用するのを可能にするように提供され、また、本発明の実施に関する本発明者の企図するベストモードを記載する。しかしながら、様々な修正は、当業者に相変らず明らかであるように適合され、その理由は、本発明の一般的な原理が、極低温デバイスアイテム、ならびに、生物学的材料アイテムの配置、貯蔵および抜取りの方法を提供するように定義されているからである。
【0019】
本発明は、極低温保存用キャニスタに対して生物学的サンプルを装填および回収するための便利な方法を提供して、混合親の受精のリスクを低下させると共に、それのサンプルの抽出に同意を与えるためのデジタルキーを保持する患者に手順の更新情報を提供する。それは、抽出や装填されたバイアルの識別を、医療手順のチェーンブロックの中に記録することも行う。
【0020】
参照は、ここでは図1に対して行われ、5つのサブシステムを含むシステム100の構造図を提示する。主要なサブシステムは、極低温環境が維持されるデュワ容器である。デュワ容器30は、極低温冷凍機10、操作サブシステムおよび監視サブシステム20、50とそれぞれ相互作用する。これらのサブシステムの個々は、それ自体の入力部/出力部を有する。極低温冷凍機10は、熱を抽出することによってデュワ容器30と相互作用する。操作システム20は、狙いがサンプルの導入および抽出であり、サブシステム40と相互作用し、許可を発して、患者の同意を介して自動操作システムをイネーブルにする。監視システム50は、デュワ容器30の極低温状態のデータを抽出して、その性能の追跡を経時的に保つと共に、必要な場合に警報を発生させる。
【0021】
参照は、ここでは図2から図8に対して行われ、上述の5つのサブシステムを詳細に提示する。
極低温デュワ容器は、図2に示される。極低温液体区画(310)は、ポートシール用フランジ(340)、(350)、(370)に機械加工された溝内の適切なゴム製Oリングおよびシールを用いてシールされる。
【0022】
シールされた極低温チャンバは、その上で氷に変換された周囲の水からデュワ容器を除霜する必要性を回避し、優れた熱性能を与え、セットアップ全体に対するメンテナンスを少なくする。しかしながら、シールされたチャンバは、サンプル操作機構の挿入時におけるサンプル操作および熱バジェット平衡に関するサンプル配置および回収機構に厳格な制約を賦課する。
【0023】
フランジ(720)は、ハッチのフランジ(340)にクランプされる。これは、デュワ容器(210)の破滅的故障の場合に、キャニスタ(410)の迅速な抽出を可能にして、この事件でのサンプルの解凍のリスクを低減する。
【0024】
極低温デュワ容器(210)は、スターリング、パルス管、ギホードマクマホンまたはクレメンコ型の極低温冷凍機(240)に接続される。この組立体は、クランプを使用してオフセンタ型のハッチ(380)のうちの1つにおいて極低温冷凍機をデュワ容器と接合する特別設計のフランジを備えて作製される。
【0025】
圧力は、蒸発時に密閉区画にゆっくり蓄積する。圧力計(510)および温度計(590)は、極低温冷凍機が事前規定された閾値からオンおよびオフに転換されるときに能動的に決定する。事前規定された設定圧力(または相当する温度)で、極低温冷凍機は、窒素蒸気を、サンプルの極低温温度を確保するために、それをその低温ヘッド(580)と接触させることによって、液化する。
【0026】
理想的なケースでは、液体窒素は、極低温チャンバの外に決して排出されず、故に、再充填は、常に必要とされない。
自動配置および回収システムは、ガス密シール型の極低温環境(320)用であり、コンテナをキャニスタ(12,000)の内側のx-y平面のマトリクス(710)に配置でき、図4および図7aに示される。
【0027】
システムは、3つのサブシステムで構成され、
1)挿入機構をx-y平面内のキャニスタの位置と整列させるのを可能にするシールされたx-y位置決めシステム、
2)一方が周囲に対し他方が極低温周囲に対する2つの弁に接続され、空気や湿気と一緒の進入なしに生物学的材料を極低温環境に挿入するために使用される区画(「エアロック」と呼ぶ)(570)、および
3)Z軸の方に直線的に動いて、極低温環境(6)の中にそれをまたはそこからそれを回収する目的で生物学的材料を備えたコンテナを保持するために使用される入れ子式ケーンシステム(3)である。
【0028】
シールされたX-Y位置決め機構は、2つのサブシステムで構成される。a)キャニスタ位置決め:デュワ容器の軸線まわりの全回転は、キャニスタを包含する1組の2つのカルーセルを移動させる。上部の一方(630)は、底部の一方(670)に入れ子式ケーンが達するのを可能にする十分な空間を残しているカット部(810)を有する。
【0029】
外部周囲のエンコーダ(840)を備えた1対の電気モータ(820)、(830)によって動かされるギヤの組立体は、ガス密シール(700)される保持組立体を貫通する2つの同心のステンレス鋼管(600)、(650)によって、カルーセルの個々に接続される。
【0030】
管は、首部(360)における外部管(590)の内側で球軸受(680、690)によって定位置に保持される。
電気モータの一方がそれに関連付けされたカルーセルを動かすと、他方のモータは、エネルギー付与されて、第2のカルーセルの動きをロックする。
【0031】
内部軸線は、カルーセル(660)にボルト留めされたアルミニウム嵌合によって底部カルーセルに接続される。外部軸線は、上部カルーセルに第2のアルミニウム嵌合によって接続される。
【0032】
カルーセルは、板であり、備える穴は、キャニスタ(410)挿入用であって、配置および回収機構220の配置される半径と一致する半径に配置される。カルーセル組立体の目的は、所望のキャニスタを配置および回収機構の入口ポート(460)の下に配置することである。
【0033】
カルーセル組立体は、レベル指示器(610)に取り付けられる発泡スチロールで作製されたフロート(640)を特徴とする。通常の動作では、区画(310)内部の液体寒剤は、フロートおよびレベル指示器を、液面レベルが正しいことを示すマークまで押す。レベル指示器の位置は、極低温状態での動作に最適化されたカメラ組立体(450)よって読み取られる。
【0034】
ハッチは、極低温容器(330)が配置および回収組立体(220)に接続されて、キャニスタレーンの上部に位置する。この組立体の入れ子式ケーンは、ハッチ軸線に対して偏心して位置し、したがって、各側あたりに対する半回転は、配置および回収ポート(460)を、円の円弧の異なった位置あたりに動かす。この運動は、外部周囲のエンコーダ(500)を備えた電気モータによって達成される。このモータは、内部ギヤ(740)と係合して、配置および回収ポートを、球軸受によって支持される第2の軸線(480)まわりに回転させる。a)およびb)の運動の組合せは、キャニスタが存在するレーン内の任意の所与の位置と同一直線上に配置および回収ポートを配置できる。
図8aおよび図8bは、このレーンでの、次式に対応する運動を規定する。
【0035】
x=Rcos(α)+Rcos(β);
y=Rsin(α)+Rsin(β);
軸線860および軸線870まわりの両回転は、ガス密にシールされる。シール組立体は、特別設計のゴム製ガスケットまたはOリングから2つのシーラント表面を包含するOリング組立体まで様々にできる。
【0036】
デュワ容器内には、11から20のキャニスタ(410)が存在し、それらは、デュワ容器の外側からシャフト(600)および(650)を回転させることによって入口ポートの下に配置できる。
【0037】
x-y回転組立体は、コンテナを挿入および抽出するために使用される入れ子式ケーンと同心の偏心穴を備えた大型の発泡スチロールシリンダ(470)を含む。発泡スチロールは、熱損失を低減し、カメラ組立体(450)の支持体として作用する。
【0038】
エアロック(570)は、少なくとも2つの弁で構成され、周囲空気および湿気が極低温容積に入るのを防止する。エアロックは、小容積の条件に適合させることによって、材料を1つの周囲状態から別のそれに移すために通常使用される。例えば、周囲圧力を真空チャンバに調和させるため、あるいは、周囲空気をアルゴンやヘリウムなどの特定の不活性ガスチャンバに調和させるためである。典型的なエアロック構成は、第2の弁の隣のチャンバの周囲と調和するために2つの弁間の空間内で揃っている真空ポンプまたは適切なガスを含む。そういうことで、周囲弁は、開いて、サンプルが進入し、次いで、弁は、閉じられる。調和条件は、次いで、エアロックで充足され、サンプルが第2のチャンバに入るために最後の弁を最終的に開く。
【0039】
本発明では、エアロックは、Oリングによって閉じられて第1の弁として作用するときにサンプル空間をシールする自動ドア(520)と、極低温環境に接続されて第2の弁として作用するエアロックを完結させる自動球形弁(850)と、で構成される。
【0040】
自動ドアは、電気モータ(770)によって作動されて、送りねじ(50)を回転させ、エアロックシャーシの心出し穴(52)を通して心出し棒(790)に接続されたベース(760)を押す。ドアの最終位置は、電気リミッタによって制御される。
【0041】
球形弁は、90度の回転を伝達するためにベベルギヤ機構(730)を使用するエンコーダ(490)を備えた電気モータによって作動される。
球形弁は、容易に材料を挿入できる円形空所を残すその性質のために必要とされる。
【0042】
本発明では、調和条件は、液体窒素を担持するコンテナに生物学的材料を挿入することによって充足される。この液体窒素は、エアロックの最小容積に残された小量の空気を凝縮する責任を負う。故に、窒素環境は、空気および湿気のないままであり、容器の内側で詰まりや霜を引き起こす可能性があり、その熱性能を低下させる。
【0043】
各動作でデュワ容器に進入する空気の液体体積は、水門のデッドボリュームが非常に低いので、微々たる量である。
本発明では、デュワ容器に貯蔵される生物学的材料は、コンテナに包含される。ラッチ機構のない場合、コンテナは、落下するであろう。それを回避するために、エアロックは、その中への挿入時にエアロック内部でコンテナ(420)を保持するラッチ機構(750)を更に保有する。ラッチは、電気的に活動化される。
【0044】
Z位置決めシステムは、入れ子式ケーン(560)と、磁気式または機械式のいずれかでサンプルを係合および係合解除できる掴み機構と、で構成される。
入れ子式ケーンは、一方が他方の内側を摺動する減少する直径の一連の同心のシリンダで構成される。それらの材料は、システムの配備時に周囲から極低温チャンバへの熱伝導を低減させるためにステンレス鋼である。タンデムの最小シリンダは、組立体の内側で延びる可撓性リニアギヤ(550)に固定される。各シリンダの上部側は、一方を他方にロックするために底部側よりも大きい直径を有し、その目的は、摺動後にそれらが次のシリンダを一緒に担持するのを確実化することである。可撓性リニアギヤは、1組のギヤ(540)によってシールされたエンクロージャ内でそれを巻取りおよび巻取り解除する電気的リミットを備えた電気モータ(530)によって活動する。可撓性リニアギヤが巻取り解除されるとき、それは、連続したもの全てを一緒に担持する最も内側のシリンダを押す。
【0045】
入れ子式ケーンから最も内側のシリンダは、組立体の最も大きいシリンダよりも大きい直径を備えた小さい磁気シリンダ(440)を端部に取り付けている。上述のギヤが可撓性リニアギヤを巻き取るとき、磁気シリンダは、それらを次々に一緒に担持することによって入れ子式ケーンから1組のシリンダ全部を引き上げる。
【0046】
本発明の掴み機構は、磁性に関するが、電気式または機械式にできる。磁石(440)は、ケーンの端部で、コンテナを包含する鉄製蓋を備えたコンテナ(430)と磁気的に結合される。
【0047】
1つの実施形態によれば、デバイスは、抽出されるべき患者の同意するコンテナ(420)を識別およびその操作を許可するように構成された承認ユニット(図示せず)を含む。それは同意を取り扱うインターネットサービスから成る。各サンプルは、それのための決定を行うために、承認された人に関連付けされる。殆どのケースでは、承認された人は、生物学的材料の所有者である。この人が、そのサンプルに対して行動を実行するために、診療所によって鼓舞されると、システムは、手順に関係する情報を備えた同意フォームを発行する。上述の人がフォームにサインすることによって手順を承認すると、インターネットサービスは、デュワ容器の配置および回収システムと通信して、サンプルは、割当てされるかまたは割当てされそうであり、システムを待機状態からイネーブル状態に移行させる。
【0048】
イネーブル状態がスイッチオンされると、インターネットサービスは、コードをオペレータに送信する。このコードは、各手順に特有であり、システムへの挿入時に手順を活動化させる。例えば、サンプルの回収のために、医師は、患者に同意フォームにサインすることを要求する。患者が電子的にそれにサインすると、配置および回収システムは、イネーブルになり、コードは、診療所ラボで承認されたオペレータによって受信される。オペレータは、コードスキャナまたは手動によってシステムにコードを入力し、システムは、手順を実行し、このケースでは、指示されたサンプルを患者から抽出する。
【0049】
システム全体は、エラーや故障を診断する目的で、慎重に追跡されることを要求する。圧力計、温度計および液位計(510、590および620)が存在し、それぞれ極低温チャンバの内側で、チャンバの状態を連続的に報告する。同じく、外部の加速度計、重量センサおよびカメラが存在し、システムの操作および動きについて報告する。
【0050】
これらのシステムは、かれらの生物学的細胞の保存状態についてかれらに通知し続けるために、患者が相談できるデータベースにインターネットを介して無線で報告する。
デュワ容器(210)の内側に向けてまたはそこから、サンプルを配置するためおよび回収するための手順は、システムがインターネットサービスからイネーブル信号を受信するときに開始される。これは、承認された人、通常は、サンプルの所有者がサンプルをデュワ容器の中に入れることに同意すると、行われる。イネーブル状態では、オペレータは、上述されたインターネットサービスによって作成されたサンプルに関連付けされた特有のコードを受信する。コードが挿入されると、システムは、マトリクス(710)のどのサンプル位置が割り当てるべきか、あるいは、どこからコンテナを回収すべきかを知る。システムは、(820)および(830)を介してコードによって規定された位置にカルーセルを置く。その後に、モータ(490)は、閉じたエアロックドア(520)のまま開く球形弁(850)を作動させ、極低温チャンバへのアクセスを与えるが、空気および湿気の投入を回避する。入れ子式ケーン(560)は、次いで、配備されてモータ(530)を活動化させる。磁石(440)は、特定のコンテナ(380)をつまみ、入れ子式ケーンは、エアロック(570)の内部でコンテナが留まっている位置に送られる。次いで、球形弁は、閉じられ、ラッチ(750)は、係合し、ドアは、開く。ドアの開きは、コンテナを横方向に摺動させることによって、磁石握持を係合解除する。サンプルを回収するケースでは、オペレータは、コンテナをつまみ上げ、ドアは、閉じられ、入れ子式ケーンは、待機位置に戻る。配置のケースでは、オペレータは、コンテナを開き、サンプルを配置し、それの蓋を閉じ、エアロックにそれを挿入する。エアロックのドアは、次いで、閉じられ、入れ子式ケーンは、コンテナに係合し、球形弁は、再度開かれる。最後に、ラッチは、解放され、入れ子式ケーンは、割り当てられたマトリクス空間にコンテナを挿入する。カルーセルは、コンテナを横方向に強制することによって、磁石を係合解除させるために、少し転回され、入れ子式ケーンは、上部位置に回収される。最終ステップは、待機状態に戻すために球形弁を閉じることにある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b
図6c
図7a
図7b
【国際調査報告】