(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-09
(54)【発明の名称】指紋非視認性コーティングおよびそれを形成する方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/00 20060101AFI20220602BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20220602BHJP
B05D 1/18 20060101ALI20220602BHJP
B05D 3/12 20060101ALI20220602BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20220602BHJP
B05D 5/00 20060101ALI20220602BHJP
C09D 5/00 20060101ALI20220602BHJP
C09D 183/08 20060101ALI20220602BHJP
C09D 7/20 20180101ALI20220602BHJP
C08G 77/04 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B32B27/00 101
B05D1/02 Z
B05D1/18
B05D3/12 Z
B05D7/24 302Y
B05D5/00 Z
C09D5/00 Z
C09D183/08
C09D7/20
C08G77/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021551787
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(85)【翻訳文提出日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 US2020020297
(87)【国際公開番号】W WO2020180649
(87)【国際公開日】2020-09-10
(32)【優先日】2019-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516344753
【氏名又は名称】エヌビーディー ナノテクノロジーズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NBD NANOTECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】Building C,Suite 400A,99 Hayden Avenue,Lexington,Massachusetts 02421 US
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【氏名又は名称】小西 富雅
(72)【発明者】
【氏名】ガルヴェス, ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ボン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】アルティノク, エスラ
(72)【発明者】
【氏名】キャッチングス, エスアール., ペリー エル.
(72)【発明者】
【氏名】マーティンズ, マイケル エム.
(72)【発明者】
【氏名】リキビ, パーファイト ジーン マリー
(72)【発明者】
【氏名】サリー, フアド
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
4J038
4J246
【Fターム(参考)】
4D075AA01
4D075AB01
4D075AE03
4D075AE05
4D075BB01Y
4D075BB16X
4D075BB26Z
4D075BB49Z
4D075BB92Y
4D075BB93Z
4D075BB95Z
4D075CA02
4D075CA36
4D075CA47
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4D075DB01
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4D075DB31
4D075DC02
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4D075DC18
4D075DC24
4D075DC38
4D075EA06
4D075EB51
4D075EB56
4D075EC30
4D075EC37
4F100AA17A
4F100AB00A
4F100AD00A
4F100AG00
4F100AG00A
4F100AK01A
4F100AK52
4F100AK52B
4F100AP00A
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100JA07B
4F100JB06
4F100JB06B
4F100JK09
4F100JK16
4F100JK16B
4F100JL06
4F100JL06B
4F100YY00B
4J038DL031
4J038DL071
4J038HA156
4J038JA18
4J038KA06
4J038MA07
4J038MA14
4J038NA01
4J038NA04
4J038NA11
4J038PA07
4J038PA19
4J038PC01
4J038PC02
4J038PC03
4J038PC06
4J038PC08
4J246AA03
4J246AA19
4J246BA120
4J246BA12X
4J246BB020
4J246BB022
4J246BB02X
4J246CA450
4J246CA459
4J246CA45X
4J246FA071
4J246FA131
4J246FA461
4J246FE04
4J246FE06
4J246FE26
4J246GB02
4J246GC03
4J246GC23
4J246GC24
4J246GC48
4J246GD08
4J246HA23
4J246HA26
(57)【要約】
本発明の基材上にコーティングを形成するための方法は、非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを形成するステップ、および前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを前記基材の表面に塗工するステップを含む。形成された指紋非視認性コーティングは、50°未満の油による初期接触角を有し得る。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品であって、
基材と、
前記基材に積層された指紋非視認性コーティングとを含み、
前記指紋非視認性コーティングは、100,000Da未満の重量平均分子量を有する非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを含む、物品。
【請求項2】
物品であって、
基材と、
前記基材に積層された指紋非視認性コーティングとを含み、
前記指紋非視認性コーティングは、非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを含み、
前記指紋非視認性コーティングは、1000nm未満で0.1nmを超える厚さを有する、物品。
【請求項3】
前記指紋非視認性コーティングは、約50°未満のジヨードメタンを使用する初期接触角および/または約65°を超える初期水接触角を有する表面を含む、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項4】
前記基材は、ガラス、ガラスセラミック、木材、金属、金属酸化物、またはポリマーからなる群から選択される材料を含む、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項5】
前記指紋非視認性コーティングは、約0.1nmから約1000nmの範囲の厚さを有する、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項6】
前記指紋非視認性コーティングは、約0.15未満の摩擦係数を有する、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項7】
前記指紋非視認性コーティングは、1500サイクルの消しゴム摩耗後に少なくとも50度の水接触角を維持することができる、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項8】
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、以下の構造式:
(R
A)
3SiR
B
を有するアルキルシランから形成され、
式中:
各R
Aは独立して、-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、または-OC
3~C
10アルキニルであり;
各R
BはC
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルであり;
-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、-OC
3~C
10アルキニル、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、C(O)OR
1、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、SC
1~C
6アルキル、S(O)C
1~C
6アルキル、-S(O)
2C
1~C
6アルキル、-S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-N(H)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3、-N(R
1)C
1~C
6アルキル-N(R
1)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3-N(H)C
1~C
6アルキル-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2、または-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3で置換され;そして
各R
1は独立して、重水素、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール、C
2~C
10アルケニル、C
2~C
10アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6シクロアルキルアリール、または-C
1~C
10アルキル-O-C
1~C
10アルキル;
C
1~C
10アルキルアリール-O-C
1~C
10アルキルアリールであり、ここで、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシルで置換される、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項9】
前記式中、R
Aは、-OC
1~C
10アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項10】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項11】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルであり、C
6~C
20アルキル中の各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2によって置換され、ここでR
1は独立して、重水素または-C
1~C
10アルキル-O-C
1~C
10アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項12】
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン;(ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン;(ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項13】
前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランである、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項14】
前記指紋非視認性コーティングはさらに、以下の式(I)~(IV)からなる群から選択される架橋シランを含み、
(I)(SiX
n)-Y
1、
(II)(SiX
n)-Y
2-(SiX
n)、
(III)(SiX
n)-Y
3-(SiX
n)-(SiX
n)、および
(IV)(SiX
n)-(SiX
n)-Y
4-(SiX
n)-(SiX
n)
式中:
Y
1は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(I)の各シリコンは原子Y
1中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
2は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(II)の各シリコンは原子Y
2中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
3は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(III)の各シリコンは原子Y
3中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
4は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(IV)の各シリコンは原子Y
4中の同じまたは異なる炭素に結合し、
各Xは、独立して、ハロゲン、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
2~C
6)カルボキシ、および(C
1~C
6)オキシモ、(C
1~C
6)アリールアルコキシから選択される一価の脱離基であり、そして
nは、1以上3以下の整数である、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項15】
指紋非視認性組成物であって、
溶媒と、
100,000Da未満の重量平均分子量を有する非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーとを含む、指紋非視認性組成物。
【請求項16】
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、少なくとも0.01mg/Lで100g/L未満の濃度で前記溶媒中に存在する、請求項15に記載の指紋非視認性組成物。
【請求項17】
前記溶媒は、水、アルコール、またはそれらの混合物を含む、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項18】
前記アルコールは、C
1~C
10アルキル‐OHである、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項19】
前記指紋非視認性組成物は、酸を含まない、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項20】
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、以下の構造式:
(R
A)
3SiR
B
を有するアルキルシランから形成され、
各R
Aは独立して、-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、または-OC
3~C
10アルキニルであり;
各R
BはC
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルであり;
-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、-OC
3~C
10アルキニル、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、C(O)OR
1、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、SC
1~C
6アルキル、S(O)C
1~C
6アルキル、-S(O)
2C
1~C
6アルキル、-S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-N(H)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3、-N(R
1)C
1~C
6アルキル-N(R
1)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3-N(H)C
1~C
6アルキル-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2、または-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3で置換され;そして
各R
1は独立して、重水素、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール、C
2~C
10アルケニル、C
2~C
10アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6シクロアルキルアリール、または-C
1~C
10アルキル-O-C
1~C
10アルキル;
C
1~C
10アルキルアリール-O-C
1~C
10アルキルアリールであり、ここで、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシルで置換される、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項21】
前記式中、R
Aは、-OC
1~C
10アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項22】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項23】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルであり、C
6~C
20アルキル中の各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2によって置換され、ここでR
1は独立して、重水素または-C
1~C
10アルキル-O-C
1~C
10アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項24】
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン;(ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン;(ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項25】
前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランである、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項26】
前記指紋非視認性コーティングはさらに、以下の式(I)~(IV)からなる群から選択される架橋シランを含み、
(I)(SiX
n)-Y
1、
(II)(SiX
n)-Y
2-(SiX
n)、
(III)(SiX
n)-Y
3-(SiX
n)-(SiX
n)、および
(IV)(SiX
n)-(SiX
n)-Y
4-(SiX
n)-(SiX
n)
式中:
Y
1は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(I)の各シリコンは原子Y
1中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
2は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(II)の各シリコンは原子Y
2中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
3は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(III)の各シリコンは原子Y
3中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
4は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(IV)の各シリコンは原子Y
4中の同じまたは異なる炭素に結合し、
各Xは、独立して、ハロゲン、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
2~C
6)カルボキシ、および(C
1~C
6)オキシモ、(C
1~C
6)アリールアルコキシから選択される一価の脱離基であり、そして
nは、1以上3以下の整数である、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項27】
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、300Da以上の重量平均分子量を有する、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項28】
指紋非視認性組成物を形成するための方法であって、
水およびアルコールを含む第1の溶媒中で、アルキルシランを重合させて、非フッ素化アルキルシラン加水分解物を形成するステップと、
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物を第2の溶媒中で少なくとも0.01mg/Lで100g/L未満の濃度まで溶解させるステップとを含む、方法。
【請求項29】
前記第1の溶媒中の水のアルコールに対する比は、1:1000から1000:1である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記重合させて、前記加水分解物を形成するステップは、前記第1の溶媒の還流まで約-10℃の温度で実施される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記アルキルシランは、以下の構造式:
(R
A)
3SiR
B
を有し、
各R
Aは独立して、-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、または-OC
3~C
10アルキニルであり;
各R
BはC
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルであり;
-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、-OC
3~C
10アルキニル、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、C(O)OR
1、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、SC
1~C
6アルキル、S(O)C
1~C
6アルキル、-S(O)
2C
1~C
6アルキル、-S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-N(H)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3、-N(R
1)C
1~C
6アルキル-N(R
1)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3-N(H)C
1~C
6アルキル-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2、または-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3で置換され;そして
各R
1は独立して、重水素、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール、C
2~C
10アルケニル、C
2~C
10アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6シクロアルキルアリール、または-C
1~C
10アルキル-O-C
1~C
10アルキル;
C
1~C
10アルキルアリール-O-C
1~C
10アルキルアリールであり、ここで、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシルで置換される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記式中、R
Aは、-OC
1~C
6アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルであり、C
6~C
20アルキル中の各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2によって置換され、ここでR
1は独立して、重水素または-C
1~C
6アルキル-O-C
1~C
6アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン;(ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン;(ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記第1の溶媒中に存在する水のアルコールに対する比は、1:1000から1000:1の間である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記アルコールは、エタノールを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記第1の溶媒は、0から14の間のpHを有する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記第1の溶媒は、6から8の間のpHを有する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記第2の溶媒は、水、アルコール、またはそれらの混合物を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記方法はさらに、架橋シランの存在下で前記アルキルシランを重合させるステップを含み、前記架橋シランは、以下の式(I)~(IV)からなる群から選択され、
(I)(SiX
n)-Y
1、
(II)(SiX
n)-Y
2-(SiX
n)、
(III)(SiX
n)-Y
3-(SiX
n)-(SiX
n)、および
(IV)(SiX
n)-(SiX
n)-Y
4-(SiX
n)-(SiX
n)
式中:
Y
1は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(I)の各シリコンは原子Y
1中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
2は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(II)の各シリコンは原子Y
2中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
3は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(III)の各シリコンは原子Y
3中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
4は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(IV)の各シリコンは原子Y
4中の同じまたは異なる炭素に結合し、
各Xは、独立して、ハロゲン、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
2~C
6)カルボキシ、および(C
1~C
6)オキシモ、(C
1~C
6)アリールアルコキシから選択される一価の脱離基であり、そして
nは、1以上3以下の整数である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記重合させて、前記加水分解物を形成するステップは、0.1時間以上72時間以下で実施される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記方法はさらに、重合した前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物を精製するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
指紋非視認性表面を形成するための方法であって、
基材の表面に、
溶媒と、
100,000Da未満で少なくとも300Daの重量平均分子量を有する非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーと
を含む配合物を積層させるステップと、
前記配合物を硬化させて、前記指紋非視認性表面を形成するステップとを含む、方法。
【請求項46】
前記積層させるステップは、噴霧、浸漬、拭き取り、化学蒸着(CVD)、または物理蒸着(PVD)を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記溶媒は、アルコールを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記アルコールは、C
1~C
6アルキル‐OHである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記基材は、ガラス、ガラスセラミック、木材、金属、金属酸化物、またはポリマーからなる群から選択される材料を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記硬化させて、前記指紋非視認性表面を形成するステップは、前記配合物を20℃以上で250℃以下の温度まで加熱することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記硬化させて、前記指紋非視認性表面を形成するステップは、0.1時間以上48時間以下で実行される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記積層させるステップは、0.1nm以上で300nm以下の厚さを有する前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを含む層を形成することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記配合物は、0.01mg/Lから100g/Lの濃度で前記溶媒に溶解された前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
硬化後、前記指紋非視認性表面は、約45°未満のジヨードメタンを使用する初期接触角および約65°を超える初期水接触角を有する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
硬化後、前記指紋非視認性コーティングは、約50°未満のジヨードメタンを使用する初期接触角および/または約65°を超える初期水接触角を有する表面を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
硬化後、前記指紋非視認性コーティングは、約0.15未満の摩擦係数を有する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
硬化後、前記指紋非視認性コーティングは、1500サイクルの消しゴム摩耗後に少なくとも50度の水接触角を維持することができる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、以下の構造式:
(R
A)
3SiR
B
を有するアルキルシランから形成され、
各R
Aは独立して、-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、または-OC
3~C
10アルキニルであり;
各R
BはC
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルであり;
-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、-OC
3~C
10アルキニル、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、C(O)OR
1、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、SC
1~C
6アルキル、S(O)C
1~C
6アルキル、-S(O)
2C
1~C
6アルキル、-S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-N(H)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3、-N(R
1)C
1~C
6アルキル-N(R
1)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3-N(H)C
1~C
6アルキル-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2、または-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3で置換され;そして
各R
1は独立して、重水素、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール、C
2~C
10アルケニル、C
2~C
10アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6シクロアルキルアリール、または-C
1~C
10アルキル-O-C
1~C
10アルキル;
C
1~C
10アルキルアリール-O-C
1~C
10アルキルアリールであり、ここで、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシルで置換される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記式中、R
Aは、-OC
1~C
10アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルであり、C
6~C
20アルキル中の各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2によって置換され、ここでR
1は独立して、重水素または-C
1~C
6アルキル-O-C
1~C
6アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン;(ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン;(ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記配合物はさらに、以下の式(I)~(IV)からなる群から選択される架橋シランを含み、
(I)(SiX
n)-Y
1、
(II)(SiX
n)-Y
2-(SiX
n)、
(III)(SiX
n)-Y
3-(SiX
n)-(SiX
n)、および
(IV)(SiX
n)-(SiX
n)-Y
4-(SiX
n)-(SiX
n)
式中:
Y
1は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(I)の各シリコンは原子Y
1中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
2は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(II)の各シリコンは原子Y
2中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
3は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(III)の各シリコンは原子Y
3中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
4は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(IV)の各シリコンは原子Y
4中の同じまたは異なる炭素に結合し、
各Xは、独立して、ハロゲン、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
2~C
6)カルボキシ、および(C
1~C
6)オキシモ、(C
1~C
6)アリールアルコキシから選択される一価の脱離基であり、そして
nは、1以上3以下の整数である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記配合物は、酸を含まない、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
前記方法はさらに、不活性ガス、N
2、O
2、および前述のガスの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのガスのプラズマに前記表面を曝露することによって前記基材の前記表面を活性化するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ハロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、先行する請求項のいずれかに記載の物品、組成物、または方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2019年3月1日に出願された米国仮特許出願第62/812,329号の利益を主張し、その開示全体は参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、例示的な実施形態において、基材をコーティングして指紋を視認できないようにするかまたはほぼ視認できないようにするためのコーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
人は(皮脂腺からの)皮脂と他の油を顔面と指先から自然に出す。人はそのような油を携帯電話(または他の物品)のディスプレイ画面、例えばガラス(または画面保護材、通常ポリマー・プラスチック)、ガラスセラミック、金属酸化物、プレキシガラスまたは同様の材料または表面上に付着させ得る。しばしば、そのような油は視認され、このような装置で見る画像の品質を低下させ得るだけでなく、(汚れ、埃などを伴って)前記画面の審美的外観の低下の原因になり得る。指紋非視認性(「IFP」)コーティングは、一般的に親油性コーティングであり、油を画面表面に沿って広げることにより、前記油を視認できなくするか、ほぼ視認できなくする。付着した前記油は画面材料、例えばガラスの屈折率と一致する可能性があり、結果的に、光が通過して指紋がないように見せる。指紋は依然として存在している可能性はあるが、(少なくとも前記表面を精査しなければ)指紋を見ることはできない。
【0004】
光学的に透明な基材およびコーティングに関するより重大な課題の1つは、機械的摩耗であり、これは、コーティングの厚さ、透明性または有効性を劣化、摩耗、または低下させる。摩耗は、ユーザーによる基材の取り扱い中に、例えば、布でこすって指紋や汚れを取り除くことにより、多かれ少なかれ生じ、これは、特に透明な基材を通して十分な視認性を回復するために定期的に必要とされる。また、劣化は、紫外線、熱、寒さ、化学物質、塩またはその他の腐食性物質、汚れ、その他の研磨材、またはその他の環境要素、条件、または材料への暴露によっても発生する可能性がある。
【0005】
IFPとは対照的に、「耐指紋性」(「AFP」)コーティングは、濡れに耐える撥油性コーティングである。その撥油性のため、指紋が形成され、その後拭き取られ得る。IFPコーティングは、AFPコーティングとは異なる様式で機能する。
【0006】
光学的透明性、機械的耐久性、および指紋非視認特性を提供できるコーティングを有することが望ましい。
【発明の概要】
【0007】
以下は、様々な本発明の実施形態のいくつかの態様の基本的な理解をもたらすために簡略化した要旨を提示する。前記要旨は本発明の広範な概要ではない。これは、本発明の重要な要素または不可欠な要素を特定することも、本発明の範囲を線引きすることも意図していない。以下の要旨は、以下のより詳細な説明の前置きとして、本発明のいくつかの概念を単純化した形態で提示するに過ぎない。
【0008】
本発明は、例示的な実施形態において、IFPコーティングを提供するための組成物および配合物に関する。
【0009】
一態様では、本発明は、物品であって、
基材と、
前記基材に積層された指紋非視認性コーティングとを含み、
前記指紋非視認性コーティングは、100,000Da未満の重量平均分子量を有する非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを含む、物品に関する。
【0010】
別の態様では、本発明は、物品であって、
基材と、
前記基材に積層された指紋非視認性コーティングとを含み、
前記指紋非視認性コーティングは、非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを含み、
前記指紋非視認性コーティングは、1000nm未満の厚さを有する、物品に関する。いくつかの実施形態では、前記厚さは0.1nmを超える。
【0011】
別の態様では、本発明は、以下を含む、指紋非視認性組成物であって、
溶媒と、
100,000Da未満の重量平均分子量を有する非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーとを含む、指紋非視認性組成物に関する。
【0012】
別の態様では、本発明は、指紋非視認性組成物を形成するための方法であって、
水および有機溶媒を含む第1の溶媒中で、アルキルシランを重合させて、非フッ素化アルキルシラン加水分解物を形成するステップと、
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物を第2の溶媒中で少なくとも0.01mg/Lで100g/L未満の濃度まで溶解させるステップとを含む、方法に関する。いくつかの実施形態では、前記有機溶媒は、アルコールである。
【0013】
別の態様では、本発明は、指紋非視認性表面を形成するための方法であって、
基材の表面に、
溶媒と、
100,000Da未満で少なくとも300Daの重量平均分子量を有する非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーと
を含む配合物を積層させるステップと、
前記配合物を硬化させて、前記指紋非視認性表面を形成するステップとを含む、方法に関する。
【0014】
別の態様では、本発明は、前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ハロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、本明細書に記載の物品、組成物、または方法に関する。
【0015】
他の特徴は、添付の特許請求の範囲と併せて解釈される場合、特定の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むことで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図面により、以下の例示的な実施形態または試験結果が開示される。
【
図1】
図1は、実施例13~16のFTIRを示す。
【
図2】
図2は、実施例18~21のFTIRと、図に「CLAS」として示される、11-クロロウンデシルトリエトキシシランとを示す。
【
図3】
図3は、実施例23~26のFTIRと、図に「CLAS」として示される、11-クロロウンデシルトリエトキシシランとを示す。
【
図4】
図4は、11-クロロウンデシルトリエトキシシランのTGAを示す。
【
図5】
図5は、、図に「CLAS」として示される、11-クロロウンデシルトリエトキシシランの重量損失対温度のTGAを、水とエトキシのモル比、1:2(A)、1:1(B)、および2:1(C)と共に示す。
【
図6】
図6は、図に「CLAS」として示される重合化された11-クロロウンデシルトリエトキシシランの誘導体の重量損失と温度の関係を、以下の水とエトキシのモル比、1:1(A)、2:1(B)、および3:1(C)の場合で示す。
【
図7】
図7は、11-クロロウンデシルトリエトキシシランと1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタンの14:1の比率での重量損失と温度の関係を、以下の水とエトキシのモル比、1:1(A)、2:1(B)、および3:1(C)と共に示す。
【
図8】
図8は、11-クロロウンデシルトリエトキシシランと1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタンの14:1の比率での重量損失と温度の関係を、水とエトキシのモル比、1:2(A)、1:1(B)、2:1(C)、および3:1(D)の場合で示す。
【
図9】
図9は、11-クロロウンデシルトリエトキシシランと1,1,2-トリス(トリエトキシシリル)エタンの14:1の比率での重量損失と温度の関係を、以下の水とエトキシのモル比、1:1(A)、2:1(B)、および3:1(C)の場合で示す。
【
図10】
図10は、11-クロロウンデシルトリエトキシシランと1,1,2-トリス(トリエトキシシリル)エタンの14:1の比率での誘導体の重量損失と温度の関係を、以下の水とエトキシのモル比、1:1(A)、2:1(B)、および3:1(C)の場合で示す。
【
図11】
図11は、以下の水とエトキシのモル比、1:2(B)、1:1(C)、2:1(D)、および3:1(E)の場合での未反応の11-クロロウンデシルトリエトキシシラン(A)で形成された11-クロロウンデシルトリエトキシシランの加水分解物のGPCクロマトグラムを示す。
【発明の詳細な説明】
【0017】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈上他に明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。請求項は、任意の選択的要素を除外するために起草される場合があることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、請求項の要素の列挙、または「否定的な」限定の使用に関連して、「単独」、「のみ」などの排他的な用語を使用するための根拠として機能することを目的とする。
【0018】
本明細書で使用される場合、「包含する(including)」、「含有する(containing)」、および「含む(comprising)」という用語は、それらの開放的で非限定的な意味で使用される。本明細書の説明および特許請求の範囲を通じて、「含む(comprise)」という単語および「comprising」および「comprises」などの前記単語の変形は、「包含するがこれ(ら)に限定されない」ことを意味し、例えば、他の添加物、成分、整数またはステップを排除することを意図するものではない。「例示的な」は「の一例」を意味し、好ましいまたは理想的な実施形態の表示を伝えることを意図するものではない。「例えば」または「具体的には」は限定的な意味ではなく、説明のために使用される。
【0019】
より簡潔な説明を提供するために、本明細書で示される定量的表現のいくつかは、「約」という用語で修飾されていない。「約」という用語が明示的に使用されているか否かにかかわらず、本明細書で示されるすべての量は、実際の所定の値を指すことを意味し、また、そのような所定の値に関する実験的および/または測定条件による同等物および近似を含む、当業者に基づいて合理的に推論されるそのような所定の値の近似値を指すことを意味することが理解される。収率がパーセンテージで示される場合は常に、そのような収率は、特定の化学量論的条件下で得られる可能性のある同じ実体の最大量に関して、収率が得られる実体の質量を指す。パーセンテージで示されている濃度は、特に異なって指示されていない限り、質量比を指す。
【0020】
別段の記載がない限り、本実施形態の方法および技術は、一般的に、当技術分野で周知の従来の方法に従って、本明細書全体で引用および論じられる様々な一般的およびより具体的な参考文献に記載されるように実施される。たとえば、Loudon, Organic Chemistry(有機化学), Fourth Edition, New York: Oxford University Press, 2002, pp. 360-361, 1084-1085; Smith and March, March’s Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure(マーチの最新有機化合物:反応、機構および構造), Fifth Edition, Wiley-Interscience, 2001が参照される。
【0021】
明確にするために、別個の実施形態の文脈で説明される本開示の特定の特徴もまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明される本開示の様々な特徴はまた、別個にまたは任意の適切なサブコンビネーションで提供され得る。変数によって表される化学基に関連する実施形態のすべての組み合わせは、本開示によって具体的に包含され、そのような組み合わせが安定な化合物(すなわち、単離、特性付けが可能な化合物またはポリマー)である化合物を包含する範囲で、すべての組み合わせが個別に明示的に開示されたかのように本明細書に開示される。さらに、そのような変数を説明する実施形態に列挙された化学基のすべてのサブコンビネーションもまた、本開示によって具体的に包含され、化学基のそのようなサブコンビネーションのそれぞれが個別にかつ明示的に本明細書に開示されたかのように、本明細書に開示される。
定義
【0022】
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、任意に分岐し、1から20個の炭素原子を含む、炭素原子の鎖を包含する。特定の実施形態において、アルキルは、C1~C12、C1~C10、C1~C9、C1~C8、C1~C7、C1~C6、およびC1~C4を包含する、限定された長さであることが有利であり得ることがさらに理解される。例示的に、C1~C8、C1~C7、C1~C6、およびC1~C4などを包含するそのような特に限定された長さのアルキル基は、「低級アルキル」と呼ばれ得る。例示的なアルキル基には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどが包含されるが、これらに限定されない。アルキルは置換されるかまたは非置換であり得る。典型的な置換基には、シクロアルキル、アリール、ヘテロ脂環式、アルコキシ、ハロ、カルボニル、オキソ、(=O)、C-カルボキシ、O-カルボキシ、ニトロ、およびアミノ、または本明細書で提供される様々な実施形態に記載されるものが包含される。「アルキル」は、上記で提供されたものなどの他の基と組み合わせて、官能化アルキルを形成し得ることが理解される。例として、本明細書に記載のC1~C10アルキル基などの「アルキル」基と「アリール」基との組み合わせは、「C1~C10アルキルアリール」基と呼ばれ得る。
【0023】
本明細書で使用される場合、「アルケニル」という用語は、任意に分岐し、2から20個の炭素原子を含み、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合(すなわち、C=C)も包含する炭素原子の鎖を包含する。特定の実施形態において、アルケニルは、C2~C12、C2~C9、C2~C8、C2~C7、C2~C6、およびC2~C4を包含する、限定された長さであることが有利であることが理解される。アルケニルは、アルキルについて記載されているように、または本明細書で提供される様々な実施形態に記載されているように、非置換であるかまたは置換され得る。前記少なくとも1つの炭素-炭素二重結合は、内部または末端であり得る。例示的なアルケニル基には、エテニル、1-プロペニル、2-プロペニル、1-、2-、または3-ブテニルなどが包含されるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用される場合、「アルキニル」という用語は、任意に分岐し、2~20個の炭素原子を含み、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合(すなわち、C≡C)も包含する炭素原子の鎖を包含する。特定の実施形態において、アルキニルは、C2~C12、C2~C9、C2~C8、C2~C7、C2~C6、およびC2~C4を包含する、それぞれ有利に限定された長さであり得ることが理解される。アルキニルは、アルキルについて記載されているように、または本明細書で提供される様々な実施形態に記載されているように、非置換であるかまたは置換され得る。前記少なくとも1つの炭素-炭素三重結合は、内部または末端であり得る。例示的なアルキニル基には、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-、2-、または3-ブチニルなどが包含されるが、これらに限定されない。
【0025】
本明細書で使用される場合、「アリール」という用語は、完全に共役したパイ電子系を有する6から12個の炭素原子の全炭素単環式または縮合環多環式基を指す。特定の実施形態において、アリールは、C6~C10アリールなどの限定されたサイズであることが有利であり得ることが理解される。例示的なアリール基には、フェニル、ナフチレニルおよびアントラセニルが包含されるが、これらに限定されない。前記アリール基は、アルキルについて記載されているように、または本明細書で提供される様々な実施形態に記載されているように、非置換であるかまたは置換され得る。
【0026】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル」という用語は、全炭素5員/6員または6員/6員の縮合二環式環、または多環式縮合環(「縮合」環系とは、その系内の各環が、隣接する炭素原子の対をその系内の他の各環と共有することを意味する)基、または5~7員の複素環に融合した5または6員のシクロアルキル環などの複素環式などの別の基に縮合した炭素環であって、1つまたは複数の環は1つまたは複数の二重結合が含まれている場合があるが、前記シクロアルキルには完全に共役したパイ電子系は含まれていない炭素環を包含する、3から15員の全炭素単環式環を指す。特定の実施形態において、シクロアルキルは、C
3~C
13、C
3~C
9、C
3~C
6およびC
4~C
6などの限定されたサイズであることが有利であり得ることが理解される。シクロアルキルは、アルキルについて記載されているように、または本明細書で提供される様々な実施形態に記載されているように、非置換であるかまたは置換され得る。例示的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが包含されるが、これらに限定されない。グラフィック描写で示されるシクロアルキル基の例示的な例には、適切に結合された部分の形態の以下の実体、
【化1】
が包含される。
【0027】
本明細書で使用される場合、「ハロ」または「ハロゲン」は、フッ素を除いて、塩素、臭素、またはヨウ素を指す。
【0028】
「オキソ」という用語は、カルボニル酸素を表す。例えば、オキソで置換されたシクロペンチルは、シクロペンタノンである。
【0029】
本明細書で使用される場合、「ヒドロキシ」または「ヒドロキシル」は、-OH基を指す。
【0030】
本明細書で使用される場合、「アルコキシ」は、-O-(アルキル)または-O-(非置換シクロアルキル)基の両方を指す。代表的な例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが包含されるが、これらに限定されない。
【0031】
本明細書で使用される場合、「オキシモ」はオキシムを指す。例えば、オキシモは、-O-N=C(R1)(R2)基、式中、R1およびR2は任意の適切な置換基である、を包含するが、これに限定されない。
【0032】
本明細書で使用される場合、「結合」は共有結合を指す。
【0033】
「置換された」という用語は、特定の基または部分が、1つまたは複数の置換基を有することを意味する。「非置換」という用語は、特定の基が置換基を持たないことを意味する。「置換された」という用語が構造系を説明するために使用される場合、前記系上の任意の原子価が許容される位置で置換が起こることを意味する。いくつかの実施形態において、「置換された」は、特定の基または部分が1つ、2つ、または3つの置換基を有することを意味する。他の実施形態において、「置換された」は、特定の基または部分が1つまたは2つの置換基を有することを意味する。さらに他の実施形態では、「置換された」は、特定の基または部分が1つの置換基を有することを意味する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「任意」または「任意に」は、その後に説明される事象または状況が発生する可能性があるが、発生する必要はないことを意味し、説明には、事象または状況が発生する場合とそれが発生しない場合が包含されることを意味する。たとえば、「C1~C20アルキルの各水素原子が任意にハロゲンで置換されている」とは、水素原子を各ハロゲンに置換することにより、C1~C20アルキルのいずれかにハロゲンが存在する可能性があるが、存在する必要がないことを意味し、説明には、C1~C20アルキルがハロゲンで置換されていない状況が包含される。
【0035】
本明細書で使用される場合、「独立して」とは、その後に記載される事象または状況が、他の同様の事象または状況と比較してそれ自体で読み取られることを意味する。例えば、いくつかの同等の水素基がその状況で説明される別の基によって任意に置換される状況では、「独立して任意に」の使用は、前記基上の水素原子の各場合が別の基によって置換され得ることを意味し、前記水素原子の各々を置換する基は、同じであっても異なっていてもよい。または、例えば、複数の基が存在し、そのすべてが一連の可能性から選択できる場合、「独立して」の使用は、前記基の各々が他の基とは別の可能性のセットから選択でき、その状況で選択される基は、同じであっても異なっていてもよいことを意味する。
【0036】
本開示に従った、IFP物品と呼ばれることもある指紋非視認性物品は、IFPコーティングと呼ばれることもある指紋非視認性コーティングでコーティングされた基材の表面を含む。例示的に、前記指紋非視認性コーティングは、指紋非視認性コーティングのための配合物を基材の表面に塗工するステップを含む方法によって表面上に形成され得る。いくつかの実施形態では、前記指紋非視認性コーティングのための配合物は、非フッ素化アルキルシランなどのアルキルシランの加水分解物を含む。いくつかの実施形態において、前記配合物はさらに、アルキルシロキサンを含む。いくつかの実施形態では、前記配合物は、噴霧、化学蒸着(CVD)、または物理蒸着(PVD)を使用して前記基材の表面に塗工される。実例として、前記表面の濁りにつながる可能性がある酸の存在を最小限に抑えることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、前記配合物は、実質的に酸を含まない。
【0037】
例示的な実施形態では、前記基材は、例えば、電子ディスプレイに使用されるような、ガラス画面であってもよく、具体的には、これらに限定されないが、携帯電話の画面、コンピュータのモニタ、テレビ画面、タッチスクリーン、家電製品、ヘッドアップ・ディスプレイ、眼鏡(例えば、眼鏡およびサングラス)、マスク(例えば、溶接マスク)、内壁塗料などを含む。例示的な実施形態では、前記基材は、器具機器および化粧仕上げ分野において、例えば、器具、具体的には家庭用電気機器(冷蔵庫のドア、オーブンのドア、ディスプレイ・ケースなど)用の装飾パネルにも使用され得る。前記基材は、ガラス(または画面保護材、通常ポリマー・プラスチック)、ガラスセラミック、金属酸化物、プレキシガラスまたは他の材料で作られていてもよい。いくつかの実施形態では、前記基材は、ガラス、ガラスセラミック、金属酸化物、またはプラスチックを含む。いくつかの実施形態では、前記表面はソーダライムガラスまたはAlSiOガラスである。追加の基材には、車の内装部品または、ケーシング、ブラインド、装飾フレーム、ハンドルなどの家庭用品、シンクプラグ、蛇口、ミキサーなどの衛生器具、ならびに一般的なオフィス機器が包含される。特に適しているのは、粗さが低い(0.3~1.0μm)ガラス表面と金属表面、およびの金属化された表面である。
【0038】
本開示において、「非視認性」という用語は、見ることができない、視認できない、ほとんど視認できない、または目立たない(例えば、前記表面を精査しない限り見ることができない)ことを含むと理解されるべきである。「非視認性」は、ある程度、光の屈折と、表面を見る向きにも依存すると理解されるべきである。ある角度から、指紋は見えない可能性があるが、他の角度では識別可能であり得る。「濡れ性」という用語は、それによって極性または非極性の液体が基材に付着し、望ましくない膜を形成する性質を意味し、さらにあらゆる種類の塵や汚れ、指紋、昆虫などを付着する基材の傾向を意味する。耐指紋性(AFP)は、撥水性と撥油性を高めることになるが、IFPは、水や油などの異なる流体の表面張力を選択的に変化させ、表面を同時に撥水性と親油性の両方にする。
【0039】
指紋非視認性コーティングを得るための1つのアプローチでは、もたらされる液体が前記表面を横切って広がり、前記表面上の液体がガラス基材に由来する屈折率と一致するように、水と油の接触角を最適化し得る。そのような場合、光は指紋を通過し、非視認性指紋の可視効果をもたらすことになる。この接触角を得るために、撥水特性および親油特性を有する表面が望ましいことが実証された。前記効果を最適化するための1つのアプローチにおいて、水接触角は約70~145度の範囲にあり、ジヨードメタン接触角が45度未満であり得ることが見出された。別のアプローチでは、IFPの水接触角(WCA)とジヨードメタン油接触角(OCA)はそれぞれ、80°と35°である。そのため、水滴が玉のように盛り上がり、油滴が前記基材上に広がる。最終的には、前記基材の濡れ現象を制御することにより、前記基材と表面の屈折率が互いに一致し、指紋が見えにくくなる。このマッチング現象により、光が屈折や反射なく指紋を通過し、指紋の汚れが存在しないという目の錯覚が生じる。
【0040】
例示的な実施形態では、前記物品は、基材と、前記基材の表面に積層された、指紋非視認性コーティングまたはIFPコーティングなどのコーティングとを含む。いくつかの実施形態では、前記指紋非視認性コーティングは、非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを含む。
【0041】
例示的に、前記基材は、ガラス、ポリマー、ガラスセラミック、金属酸化物、プレキシグラスまたは他の材料で作製されていてもよい。いくつかの実施形態では、前記基材は、ガラス、ガラスセラミック、木材、金属、金属酸化物、またはポリマーを含む。
【0042】
前記コーティングは、前記基材の表面からの距離によって測定される特定の厚さにすることができる。いくつかの実施形態では、前記コーティングは、約1000nm未満である。いくつかの実施形態では、前記厚さは0.1nmよりも厚い。いくつかの実施形態では、前記厚さは約5nmから約300nmである。
【0043】
デルタEは、汚れていないガラスまたは未使用のガラスと指紋が付いたガラスとの差を測定したものである。比色計(PCE機器)を使用し、方程式、L2+A2+B2の平方根を使用することによってデルタEは算出される。この得られたE値は、未使用のガラスで測定され、指紋を付けた後または拭き取った後と比較して、デルタEが得られる。例として、デルタEの値が低いほど、見えにくくなる。別の実施形態では、デルタヘイズは、分光光度法を使用して測定することができる。いくつかの実施形態では、相対的な増強は、耐指紋性コーティングから指紋非視認性コーティングまで類似している。実例として、前記デルタEは、過フッ素化シランなどの耐指紋性コーティングに関連している。実例として、前記デルタEが低いほど、表面上の指紋が見えにくくなる。表面を拭いた後にデルタEを測定して、指紋がどの程度きれいに除去されたかを判断することもできる。
【0044】
いくつかの実施形態では、前記デルタEは、約3未満、約2未満、約1未満、約0.8未満、または約0.5未満であり得る。いくつかの実施形態では、前記デルタEは、約0.05、約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2、約2.2、約2.5、または約3である。いくつかの実施形態では、前記デルタEは、約0.1から約2、約0.1から約1.5、約0.1から約1、約0.2から約1、約0.3から約1、または約0.4から約0.9の範囲にある。範囲の2番目のシリーズでは、前記デルタEは、約0.05から約1.2、約0.05から約0.9、約0.05から約0.8、または約0.05から約0.5であってもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、指紋非視認性の前記表面は、実施例に従って測定されるように、ジヨードメタン(CH2I2)を使用する初期接触角を有する。いくつかの実施形態では、前記初期接触角は、約60°未満、約50°未満、約45°未満、約40°未満、約35°未満、または約30°未満である。いくつかの実施形態では、前記の指紋非視認性表面の初期接触角は、約20°、約21°、約22°、約23°、約24°、約25°、約26°、約27°、約28°、約29°、約30°、約31°、約32°、約33°、約34°、約35°、約37°、約40°、約45°、約50°、約55°、または約60°である。いくつかの実施形態では、前記の指紋非視認性表面の初期接触角は、約20°から約60°、約20°から約50°、約20°から約40°、約20°から約35°、または約20°から約30°の範囲であってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、前記の指紋非視認性表面は、実施例に従って測定された初期の水接触角度を有する。いくつかの実施形態では、前記初期水接触角は、約60°より大きい、約65°より大きい、約70°より大きい、約75°より大きい、約80°より大きい、約90°より大きい、または約100°より大きい。いくつかの実施形態では、前記の指紋非視認性表面の初期水接触角は、約60°、約65°、約70°、約75°、約76°、約77°、約78°、約79°、約80°、約81°、約82°、約83°、約84°、約85°、約86°、約87°、約88°、約89°、約90°、約95°、約100°、約105°、約110°、または約115°である。いくつかの実施形態では、前記指紋非視認性表面の初期水接触角は、約60°から約115°、約60°から約110°、約70°から約110°、約70°から約95°、または約75°から約95°の範囲であり得る。
【0047】
いくつかの実施形態では、前記の指紋非視認性表面は、実施例に記載されているように、特定のサイクル数後の水接触角または接触角によって測定されるように、特定の耐摩耗性を有する。
【0048】
例示的に、前記の指紋非視認性表面は、実施例に記載されているように、約1,500サイクル、約3,000サイクル、約4,500サイクル、または約5,000サイクルに耐えた後、特定の接触角を有し得る。例示的に、摩耗後の接触角は、約60°未満、約50°未満、約45°未満、約40°未満、約35°未満、または約30°未満である。いくつかの実施形態では、前記の指紋非視認性表面の摩耗後の接触角は、1,500サイクル、約3,000サイクル、約4,500サイクル、または約5,000サイクル後に、約20°、約21°、約22°、約23°、約24°、約25°、約26°、約27°、約28°、約29°、約30°、約31°、約32°、約33°、約34°、約35°、約37°、約40°、約45°、約50°、約55°、または約60°である。いくつかの実施形態では、前記の指紋非視認性表面の摩耗後の接触角は、1,500サイクル、約3,000サイクル、約4,500サイクル、または約5,000サイクル後に、約20°から約60°、約20°から約50°、約20°から約40°、約20°から約35°、または約20°から約30°の範囲であってもよい。
【0049】
例示的に、前記の指紋非視認性表面は、実施例に記載されているように、約1,500サイクル、約3,000サイクル、約4,500サイクル、または約5,000サイクルに耐えた後、特定の水接触角を有し得る。例示的に、摩耗後の水接触角は、約40°より大きく、約50°より大きく、約55°より大きく、または約60°より大きくてもよい。いくつかの実施形態では、前記の指紋非視認性表面の摩耗後の水接触角は、1,500サイクル、3,000サイクル、または4,500サイクル後に、約40°、約50°、約55°、約60°、約65°、約70°、約75°、約80°、または約85°である。いくつかの実施形態では、前記の指紋非視認性表面の摩耗後の水接触角は、1,500サイクル、約3,000サイクル、約4,500サイクル、または約5,000サイクル後に、約40°から約85°、約50°から約85°、約50°から約80°、または約60°から約80°の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、前記指紋非視認性コーティングは、消しゴムの摩耗の1500サイクル後に少なくとも50度の水接触角を維持することができる。
【0050】
例示的な実施形態では、前記の指紋非視認性表面は、特定の摩擦係数を有する。いくつかの実施形態では、前記摩擦係数は、約0.2未満または約0.15未満である。いくつかの実施形態では、前記摩擦係数は、約0.08、約0.09、約0.1、約0.11、約0.12、約0.13、約0.14、または約0.15である。いくつかの実施形態では、前記摩擦係数は、約0.08から約0.15または約0.09から約0.13の範囲にある。
【0051】
いくつかの実施形態では、前記指紋非視認性コーティングは、指紋非視認性コーティングのための配合物を基材に塗工することによって形成される。いくつかの実施形態では、前記指紋非視認性コーティングのための配合物は、アルキルシランの加水分解物を含む。
【0052】
アルキルシランの加水分解物は、加水分解物ポリマーと呼ばれることもあり、アルキルシランを酸または塩基と接触させるステップを含む方法によって形成することができる。例示的な実施形態では、前記加水分解物は、アルキルシランを酸と接触させるステップによって形成される。例示的な実施形態において、前記加水分解物は、アルキルシランを溶媒中の酸と接触させるステップによって形成される。いくつかの実施形態において、前記加水分解物ポリマーは、酸の非存在下で形成される。
【0053】
前記加水分解物を形成するために使用することができる酸には、鉱酸および有機酸が包含される。例示的な鉱酸には、塩酸、硝酸、硫酸、それらの混合物、または当該技術分野で知られている他の鉱酸が包含される。いくつかの実施形態では、前記酸は硝酸である。いくつかの実施形態では、前記酸は酢酸である。
【0054】
例示的な実施形態では、前記酸は特定の濃度で存在する。実例として、前記酸は、体積で少なくとも約0.01%(約0.01vol%)の濃度で存在する。前記酸は、体積で、約0.01%、約0.02%、約0.03%、約0.04%、約0.05%、約0.06%、約0.07%、約0.08%、約0.09%、約0.1%、約0.11%、約0.12%、約0.13%、約0.14%、約0.15%、約0.16%、約0.17%、約0.18%、約0.19%、約0.2%、約0.25%、約0.3%、約0.35%、約0.4%、約0.45%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.5%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、または約50%の量で存在し得る。前記酸は、約0.01%から約50%、約0.01%から約15%、約0.01%から約10%、約0.01%から約5%、約0.05%から約5%、約0.05%から約3%、約0.05%から約1%、または約0.05%から約0.15%の範囲で存在し得る。
【0055】
いくつかの実施形態において、前記加水分解物は、アルキルシランを塩基と接触させることによって形成される。例示的な塩基には、水酸化カリウムが包含される。
【0056】
いくつかの実施形態において、前記加水分解物は、アルキルシランをチタンブトキシド、レバシル、および酸と組み合わせることによって形成される。いくつかの実施形態では、前記酸は酢酸である。
【0057】
例示的な実施形態では、前記加水分解物を形成するステップは、溶媒中で実施される。いくつかの実施形態では、前記溶媒は、アルコール、有機溶媒、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、前記アルコールはアルキルアルコールである。いくつかの実施形態において、前記アルコールは、C1~C10アルキル-OHまたはC1~C6アルキル-OHである。例示的なアルキルアルコールには、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、またはブタノールが包含される。例示的な有機溶媒には、塩素系溶媒および非塩素系溶媒が包含される。例示的な塩素系溶媒には、ジクロロメタンが包含される。いくつかの実施形態では、前記溶媒は水を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、前記溶媒は水とアルコールの混合物である。いくつかの実施形態において、前記アルコールは、C1~C10アルキル-OHまたはC1~C6アルキル-OHである。いくつかの実施形態において、前記水および前記アルコールは、約1:1000から約1000:1のアルコールに対する水の比率で存在する。いくつかの例示的な実施形態では、前記溶媒におけるアルコールに対する水の量の比率を制御することによって、様々な分子量および出発物質から最終生成物への様々な転換率を変えて加水分解物を生成し得る可能性がある。モノマーからオリゴマーまたはポリマーへの転換は、一晩還流で行われる反応のエトキシに対する水の比率によって決定することができる。
【0059】
前記加水分解物を形成するステップのための溶媒は、特定のpHを有することができる。いくつかの実施形態では、前記pHは0から14の間または6から8の間である。
【0060】
前記接触させるステップは、重合させるステップと呼ばれることもあり、特定の時間実行することができる。いくつかの実施形態では、前記特定の時間は、クエンチされる前の時間である。いくつかの実施形態では、前記接触させるステップは、少なくとも3分間実行される。いくつかの実施形態では、前記接触させるステップは、4時間未満で実行される。例示的な実施形態では、前記接触させるステップは、約3分間、約5分間、約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約35分間、約40分間、約45分間、約50分間、約1時間、約2時間、約3時間、または約4時間実行される。いくつかの実施形態では、前記重合させるステップは、約0.1時間から約72時間実施することができる。いくつかの実施形態では、前記重合させるステップは、約0.1時間から約20時間、または好ましくは約12時間実施することができる。
【0061】
前記接触させるステップは、重合させるステップと呼ばれることもあり、特定の温度または特定の温度範囲で行うことができる。いくつかの実施形態では、前記ステップは、前記溶媒の還流温度で実行される。いくつかの実施形態では、前記ステップは室温で実行される。いくつかの実施形態では、前記ステップは、室温よりも低い温度で実行される。いくつかの実施形態では、前記ステップは、前記溶媒が還流するまで約-10℃の温度で実施される。
【0062】
前記加水分解物を形成するための方法は、前記接触させるステップをクエンチするステップを含み得る。例示的な実施形態では、前記ステップまたは急冷は、水溶液を加えることによって実行される。例示的な実施形態では、前記水溶液は塩基を含む。例示的な塩基には、重炭酸ナトリウムが包含される。いくつかの実施形態では、前記水溶液は実質的に塩基を含まない。いくつかの実施形態では、前記方法はクエンチするステップを含まない。
【0063】
例示的な実施形態では、前記加水分解物を形成するステップは、濃縮するステップを含む。例示的な実施形態では、前記濃縮するステップは、前記クエンチするステップの後に実行される。あるいは、例示的な実施形態では、前記方法はクエンチするステップを包含しないため、前記濃縮するステップは、形成/重合するステップの直後に起こる。実例として、前記濃縮するステップは真空下で実行される。
【0064】
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記加水分解物を精製するステップを包含する。いくつかの実施形態において、前記精製するステップは、前記加水分解物を洗浄して、例えば、存在し得る酸または任意の触媒を除去することを包含する。実例として、その洗浄は水で洗浄することによって行うことができる。
【0065】
いくつかの実施形態において、前記アルキルシランは、以下の構造式
(RA)3SiRB
のアルキルシランである。いくつかの実施形態において、各RAは独立して、-OC1~C10アルキル、-OC6~C10アルキルアリール、-OC2~C10アルケニル、または-OC3~C10アルキニルである。いくつかの実施形態では、各RBはC1~C20アルキル、C6~C20アルキルアリール、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニルである。いくつかの実施形態において、-OC1~C10アルキル、-OC6~C10アルキルアリール、-OC2~C10アルケニル、-OC3~C10アルキニル、C1~C20アルキル、C6~C20アルキルアリール、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、C(O)OR1、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、SC1~C6アルキル、S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-N(H)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3、-N(R1)C1~C6アルキル-N(R1)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3-N(H)C1~C6アルキル-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2、または-Si(-OC1~C6アルキル)3で置換される。いくつかの実施形態では、存在すれば、各R1は独立して、重水素、C1~C10アルキル、C1~C10アルキルアリール、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C3~C6シクロアルキル、C3~C6シクロアルキルアリール、または-C1~C10アルキル-O-C1~C10アルキル、C1~C10アルキルアリール-O-C1~C10アルキルアリールである。いくつかの実施形態において、R1におけるC1~C10アルキル、C1~C10アルキルアリール中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシルで置換されている。いくつかの実施形態の11-クロロウンデシルトリエトキシシランは「CLAS」として記載されているが、そのような略語は単に簡潔にするためであり、「CLAS」を11-クロロウンデシルトリエトキシシランに限定することを決して意図しないことが理解される必要がある。
【0066】
いくつかの実施形態では、RBは、C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニルである。実例として、C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニルの各水素原子は、独立して、任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、-C(O)OR1、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、SC1~C6アルキル、S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-N(H)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3、-N(R1)C1~C6アルキル-N(R1)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3-N(H)C1~C6アルキル-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2、または-Si(-OC1~C6アルキル)3で置換される。各R1は、存在する場合、独立して、重水素、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、または-C1~C6アルキル-O-C1~C6アルキルであり、ここで、C1~C6アルキルの各水素原子は、任意に、ヒドロキシで置換される。
【0067】
いくつかの実施形態において、RBは、任意に、置換されたC6~C20アルキルである。例示的な実施形態において、C6~C20アルキルの各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2によって置換され、ここでR1は独立して、重水素または-C1~C6アルキル-O-C1~C6アルキルである。いくつかの実施形態において、アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン、(11-ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン、(11-ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランである。
【0068】
例示的に、前記ハロゲンは、クロロ、ブロモ、またはヨードであってもよい。いくつかの実施形態において、前記アルキルシランは、ハロゲンを含むが、フルオロを含まない。
【0069】
いくつかの実施形態では、前記アルキルシランは二官能性である。例示的に、二官能性シランは、1より多くのアルキルシランを有する実施形態において、架橋シランまたは鎖延長剤と見なすことができる。例示的な二官能性アルキルシランには、ハロアルキルシラン、ビスアルキルシラン、ビスアルコキシシラン、アミノアルキルシラン、ヒドロキシアルキルシラン、およびホスフェートアルキルシランが包含される。例示的なビスアルキルシランには、ビストリエトキシオクチルシランおよびビス(トリメトキシシリル)4-オキサ-8-アズンデカン-6-オールが包含される。例示的なハロアルキルシランには、クロロウンデシルシランおよびクロロヘキシルシランが包含される。例示的なアミノアルキルシランには、アミノウンデシルシラン、N-2-アミノエチル-11-アミノウンデシルトリエトキシシラン、およびN-6-アミノヘキシルアミノメチルトリエトキシシランが包含される。例示的なヒドロキシアルキルシランには、OH-デシルトリエトキシシランが包含される。例示的なホスフェートアルキルシランには、ホスフェートウンデシルトリエトキシシランが包含される。
【0070】
例示的な架橋シランには、以下の式(I)~(IV)からなる群から選択される架橋シランが包含される。
(I)(SiXn)-Y1、
(II)(SiXn)-Y2-(SiXn)、
(III)(SiXn)-Y3-(SiXn)-(SiXn)、および
(IV)(SiXn)-(SiXn)-Y4-(SiXn)-(SiXn)
【0071】
いくつかの実施形態において、Y1は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(I)の各シリコンは原子Y1中の同じまたは異なる炭素に結合している。いくつかの実施形態において、Y2は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(II)の各シリコンは原子Y2中の同じまたは異なる炭素に結合している。いくつかの実施形態において、Y3は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(III)の各シリコンは原子Y3中の同じまたは異なる炭素に結合している。いくつかの実施形態において、Y4は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(IV)の各シリコンは原子Y4中の同じまたは異なる炭素に結合している。いくつかの実施形態において、各Xは、独立して、ハロゲン、(C1~C6)アルコキシ、(C2~C6)カルボキシ、および(C1~C6)オキシモ、(C1~C6)アリールアルコキシから選択される一価の脱離基である。いくつかの実施形態では、nは、1以上3以下の整数である。11-クロロウンデシルトリエトキシシランなどのアルキルシランに対してさまざまな比率で、BISまたはTRISシランなどの鎖延長剤を添加することにより、最終ポリマーの分子量を増加させる得る可能性があり、最終製品の耐久性を向上させることができる。このアプローチの調整可能性により、カスタマイズ可能な11-クロロウンデシルトリエトキシシラン加水分解物を可能にでき、これらは性能を向上させるために調整することができる。いくつかの実施形態では、最終結果物はIFPコーティングであり、これは、高性能かつ容易に大量生産で積層することができる可能性がある。例示的なBISシランは、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタンである。いくつかの実施形態の1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタンは、「BIS」として記載されているが、そのような略語は単に簡潔にするためのものであり、「BIS」を1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタンに限定することを決して意図しないことが理解される必要がある。例示的なTRISシランは、1,1,2-トリス(トリエトキシシリル)エタンである。いくつかの実施形態の1,1,2-トリス(トリエトキシシリル)エタンは、「TRIS」として記載されているが、そのような略語は単に簡潔にするためのものであり、「TRIS」を1,1,2-トリス(トリエトキシシリル)エタンに限定することを決して意図しないことが理解される必要がある。
【0072】
いくつかの実施形態では、前記接触させるステップはさらに、アルコキシシロキサンを含有する。いくつかの実施形態において、前記アルコキシシランは、トリアルコキシシロキサンである。いくつかの実施形態において、前記ジアルキルシロキサンは、ビニル末端ジアルキルシロキサンを式(RcO)3SiHの化合物と接触させることによって形成され、ここで、Rcはアルキル基である。いくつかの実施形態では、前記シロキサンはアルキルシロキサンである。いくつかの実施形態において、前記アルコキシシロキサンは、アルコキシポリジメチルシロキサンである。いくつかの実施形態において、前記アルコキシシロキサンは、トリアルコキシポリジメチルシロキサンである。
【0073】
例示的な実施形態において、前記トリアルコキシシロキサンは、トリアルコキシシランを、触媒の存在下で市販のシロキサンと反応させることによって形成される。例示的なシロキサンには、Gelestから入手可能なポリジメチルシロキサンが包含される。いくつかの実施形態では、前記触媒は白金触媒である。
【0074】
実例として、形成された前記加水分解物は、加水分解物ポリマーと呼ばれることもあり、前記アルキルシランと比較した場合、より高分子量の種を含む。いくつかの実施形態では、形成された前記加水分解物は、少なくとも1,000Da、少なくとも約2,000Da、または少なくとも約3,000Daの分子量を有する種を含む。いくつかの実施形態では、形成された前記加水分解物は、約1,000Da、約1,500Da、約2,000Da、約2,500Da、約3,000Da、約3,500Da、約4,000Da、約4,500Da、約5,000Da、約5,500Da、約6,000Da、約6,500Da、約7,000Da、約7,500Da、約8,000Da、約9,000Da、または約10,000Daの種を含む。いくつかの実施形態では、形成された前記加水分解物ポリマーは、少なくとも約300Daまたは少なくとも約500Daの種を含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、前記加水分解物ポリマーは、約100,000Da未満または約50,000Da未満の重量平均分子量(Mw)を有する。いくつかの実施形態において、前記加水分解物ポリマーは、少なくとも約300Da、少なくとも約500Da、少なくとも約600Da、または少なくとも約1,000Daの重量平均分子量(Mw)を有する。いくつかの実施形態において、前記加水分解物ポリマーは、約300Daから約100,000Da、約500Daから約100,000Da、約500Daから約50,000Da、約500Daから約25,000Da、約500Daから約10,000Da、または約500Daから約5,000Daの範囲の第1のセットにおける重量平均分子量(Mw)を有する。いくつかの実施形態において、前記加水分解物ポリマーは、約500Daから約100,000Da、約1,000Daから約100,000Da、約10,000Daから約100,000Da、約15,000Daから約100,000Da、または約30,000Daから約100,000Daの範囲の第2のセットにおける重量平均分子量(Mw)を有する。
【0076】
いくつかの実施形態において、前記加水分解物ポリマーは、約100,000Da未満または約50,000Da未満の数平均分子量(Mn)を有する。いくつかの実施形態において、前記加水分解物ポリマーは、少なくとも約300Da、少なくとも約500Da、少なくとも約600Da、または少なくとも約1,000Daの数平均分子量(Mn)を有する。いくつかの実施形態において、前記加水分解物ポリマーは、約300Daから約100,000Da、約500Daから約100,000Da、約500Daから約50,000Da、約500Da~約25,000Da、約500Daから約10,000Da、または約500Daから約5,000Daの範囲の第1のセットにおける数平均分子量(Mn)を有する。いくつかの実施形態において、前記加水分解物ポリマーは、約500Daから約100,000Da、約1,000Daから約100,000Da、約10,000Daから約100,000Da、約15,000Daから約100,000Da、または約30,000Daから約100,000Daの範囲の第2のセットにおける数平均分子量(Mn)を有する。
【0077】
いくつかの実施形態において、前記加水分解物ポリマーは、少なくとも約1.1または少なくとも約1.2の多分散度指数(Mw/Mn)を有する。いくつかの実施形態において、前記加水分解物ポリマーは、約1.8未満または約1.7未満の多分散度指数(Mw/Mn)を有する。いくつかの実施形態において、前記加水分解物ポリマーは、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、または約1.8の多分散度指数を有する。
【0078】
いくつかの例示的な実施形態において、前記加水分解物ポリマーは、以下に示されるように、ブロックA~Fのいくつかまたはすべてを含んでいてもよい。
【化2】
ここで、R
AとR
Bは上記のように定義される。m、n、o、p、q、およびrは、それぞれ独立して整数である。例示的に、各整数は、独立して0から500であってもよい。実例として、いくつかの実施形態では、ブロックA~Fのいくつかまたはすべては前記加水分解物ポリマー中に存在する。例えば、ブロックA、F、およびDを組み合わせて、以下の例示的な構造を形成することができるが、これらに限定されない:
【化3】
ここで、各ブロックの例示的なO
1/2は組み合わされて、2つのシリコン原子をつなぐ。上記の構造は示されているように線形であるが、以下の例に示されているように、前記ブロックは3次元形状に結合されることも可能であるが、これらに限定されない。
【化4】
例示的な実施形態では、前記加水分解物ポリマーは、A、B、C、D、E、F、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるブロックの線形ストレッチ、ならびにA、B、C、D、E、F、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるブロックの分岐セグメントを含むことが意図される。理論に拘束されることなく、重合中に存在する水の量は、分岐および重合の程度に影響を与える可能性がある。
【0079】
指紋非視認性コーティングのための配合物中の加水分解物ポリマーの濃度は、溶媒中の特定の濃度であってもよい。いくつかの実施形態において、前記加水分解物は、少なくとも1g/lの濃度で存在する。いくつかの実施形態において、前記加水分解物は、約1g/lから約10g/l、1g/lから約6g/l、約1g/lから約5g/l、約2g/lから約5g/l、または約3g/lから約5g/lの濃度で存在する。いくつかの実施形態において、前記加水分解物は、約1g/l、約2g/l、約3g/l、約3.25g/l、約3.5g/l、約3.75g/l、約4g/l、約4.25g/l、約4.5g/l、約5g/l、約5.5g/l、約6g/l、約7g/l、約8g/l、約9g/l、または約10g/lの濃度であってもよい。いくつかの実施形態において、前記加水分解物は、約0.01mg/Lから約100g/Lの濃度である。
【0080】
いくつかの実施形態では、指紋非視認性コーティングのための配合物は、溶媒を含む。いくつかの実施形態では、前記溶媒は有機溶媒である。いくつかの実施形態では、前記溶媒は、水、アルコール、またはそれらの混合物を含む。いくつかの実施形態において、前記アルコールは、C1~C6アルキル-OHである。いくつかの実施形態では、前記溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、またはそれらの組み合わせである。例示的な実施形態では、指紋非視認性コーティングのための前記配合物は、実質的に酸を含まない。例示的な実施形態では、前記溶媒は実質的に酸を含まない。
【0081】
実例として、指紋非視認性表面のための配合物を基材に塗工して、特定の方法によって指紋非視認性表面を形成することができる。いくつかの実施形態では、基材上に指紋非視認性コーティングを形成するための方法は、塗工するステップを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、硬化させるステップを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、塗工するステップおよび硬化させるステップを含む。いくつかの例示的な実施形態では、前記加水分解物ポリマーが表面上で硬化されると、前記加水分解物ポリマーは、前記基材の表面に、例えば、表面上の遊離ヒドロキシ基に結合する。
【0082】
いくつかの実施形態では、前記塗工するステップは、前記基材の表面への指紋非視認性コーティングのための配合物の浸漬、拭き取り、噴霧、化学蒸着(CVD)、または物理蒸着(PVD)によって実行される。
【0083】
いくつかの実施形態では、基材上に指紋非視認性コーティングを形成するための方法は、PVDによって、前記基材の表面に指紋非視認性コーティングのための配合物を塗工することを含む。実例として、前記塗工するステップは、熱蒸発によって実行することができる。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記基材の表面上で前記配合物を硬化させることを含む。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記基材の表面を洗浄するステップを含む。いくつかの実施形態では、前記洗浄するステップは、前記塗工するステップの前に実行される。いくつかの実施形態では、前記配合物はペレットの形態である。いくつかの実施形態では、前記方法は、前記配合物のペレットを形成するステップを含む。いくつかの例示的な実施形態では、前記ペレットを形成するステップは、スチールウールまたは銅フォームを前記加水分解物と接触させることを含む。
【0084】
例示的に、前記硬化させるステップは、高温または室温で実施することができる。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、室温で実行される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、少なくとも約70℃、少なくとも約80℃、少なくとも約90℃、または少なくとも約100℃で実行される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、約80℃、約90℃、約100℃、約110℃、約120℃、約125℃、約130℃、または約140℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、20℃以上および250℃以下の温度で実行される。いくつかの実施形態において、硬化が加熱によって行われる場合、前記加水分解物ポリマーは、それ自体とさらに凝縮して、前記配合物中に存在する分子量種と比較して、より高分子量の種を形成し得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、前記配合物を硬化させるために一定期間実行され、前記硬化させるステップに使用される温度に依存し得る。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは一晩実行される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、または少なくとも約30分間実行される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、約10分間、約15分間、約20分間、約25分間、約30分間、約45分間、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約6時間、約12時間、または一晩実行される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、約120℃の温度で約10分間実行される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、約80℃の温度で約1時間実行される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、室温で一晩実行される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、約120℃の温度で約30分間実行される。いくつかの実施形態では、前記硬化させるステップは、0.1時間以上48時間以下で実行される。
【0086】
いくつかの実施形態では、前記方法は、不活性ガス、N2、O2、および少なくとも2つの前記ガスの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのガスのプラズマに表面を曝露することによって、前記基材の表面を活性化するステップを含む。
【0087】
例示的な実施形態では、指紋非視認性コーティングのための前記配合物は、5から100nmの間のRMS(二乗平均平方根)表面粗さを可能にする条件下で、浸漬、噴霧、熱CVD(化学蒸着)、または物理蒸着(PVD)によって積層される。例示的な実施形態では、5から10nmの間のRMS(二乗平均平方根)表面粗さを得ることができる。
【0088】
いくつかの例示的な実施形態のみが先に詳細に説明されてきたが、当業者は、新規の教示および利点から実質的に逸脱することなく、前記例示的な実施形態において多くの修正が可能であることを容易に理解するであろう。以下の番号が付けられた第1のセットの条項には、意図された、限定されない実施形態が包含される。
【0089】
条項1.
方法によって作製された指紋非視認性コーティングを含む指紋非視認性表面であって、前記方法は、低分子量アルキルシラン加水分解物を形成するステップ、
【0090】
前記低分子量アルキルシラン加水分解物を含む配合物を基材の表面に塗工するステップを含み、
【0091】
前記低分子量アルキルシラン加水分解物の一部は、約5,000Daの分子量を有する。
【0092】
条項2.
前記形成するステップは、アルキルシランを酸と接触させることを含む、条項1に記載の指紋非視認性表面。
【0093】
条項3.
前記アルキルシランは以下の式:
(RA)3SiRB、
のアルキルシランであり:
【0094】
式中、各RAは独立して、-OC1~C6アルキル、-OC2~C6アルケニル、または-OC3~C6アルキニルであり;
そしてRBはC1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニルであり;ここで、OC1~C6アルキル、-OC1~C6アルケニル、-OC1~C6アルキニル;C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、-C(O)OR1、-C(O)NH2、C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、SC1~C6アルキル、S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-N(H)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3、-N(R1)C1~C6アルキル-N(R1)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3-N(H)C1~C6アルキル-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2、または-Si(-OC1~C6アルキル)3で置換され;そして
ここで、各R1は独立して、重水素、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、または-C1~C6アルキル-O-C1~C6アルキルであり、ここで、C1~C6アルキル中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシで置換される、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0095】
条項4.
前記式中、RAは-OC1~C6アルキルである、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0096】
条項5.
前記式中、RBはC6~C20アルキルである、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0097】
条項6.
前記式中、RBは、C6~C20アルキルであり、C6~C20アルキル中の各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2によって置換され、ここでR1は独立して、重水素または-C1~C6アルキル-O-C1~C6アルキルである、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0098】
条項7.
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン;(ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン;(ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0099】
条項8.
前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランである、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0100】
条項9.
前記酸は、鉱酸を含む、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0101】
条項10.
前記鉱酸は、塩酸、硝酸、硫酸、またはそれらの混合物である、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0102】
条項11.
前記酸は、約0.01%から約10%の濃度で存在する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0103】
条項12.
前記接触させるステップは、少なくとも約5分間実行される、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0104】
条項13.
前記接触させるステップは、約3時間未満で実行される、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0105】
条項14.
前記接触させるステップは、約10分間から約2時間行われる、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0106】
条項15.
前記接触させるステップは、約10分間から約1時間行われる、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0107】
条項16.
前記接触させるステップは、約10分間から約30分間行われる、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0108】
条項17.
前記接触させるステップはさらに、ジアルキルシロキサンを包含する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0109】
条項18.
前記ジアルキルシロキサンは、トリアルコキシシランでキャップされている、条項17に記載の指紋非視認性表面。
【0110】
条項19.
前記ジアルキルシロキサンは、触媒の存在下で、ビニル末端化ジアルキルシロキサンを式(RcO)3SiHの化合物と接触させることによって形成され、ここで、Rcはアルキル基である、条項17または18に記載の指紋非視認性表面。
【0111】
条項20.
前記触媒は、白金を含む、条項19のいずれか一項に記載の指紋非視認性表面。
【0112】
条項21.
前記式中、Rcは、メチル、エチル、またはプロピルである、条項19または20に記載の指紋非視認性表面。
【0113】
条項22.
前記ジアルキルシロキサンは、少なくとも3,000Daの分子量を有する、条項17~21のいずれか一項に記載の指紋非視認性表面。
【0114】
条項23.
前記ジアルキルシロキサンは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、条項17~22のいずれか一項に記載の指紋非視認性表面。
【0115】
条項24.
前記低分子量アルキルシラン加水分解物は、フルオロを含まない、前述の条項または条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0116】
条項25.
前記配合物は、酸を含まない、前述の条項または条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0117】
条項26.
前記酸は、鉱酸である、条項25に記載の指紋非視認性表面。
【0118】
条項27.
前記鉱酸は、塩酸、硝酸、硫酸、またはそれらの混合物である、条項26に記載の指紋非視認性表面。
【0119】
条項28.
前記接触させるステップは、溶媒中で行われる、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0120】
条項29.
前記溶媒は、有機溶媒とアルコールの混合物である、条項28に記載の指紋非視認性表面。
【0121】
条項30.
前記有機溶媒は、塩素系溶媒である、条項29に記載の指紋非視認性表面。
【0122】
条項31.
前記塩素系溶媒は、クロロホルムまたはジクロロメタンである、条項30に記載の指紋非視認性表面。
【0123】
条項32.
前記アルコールは、アルキルアルコールである、条項29~31のいずれか一項に記載の指紋非視認性表面。
【0124】
条項33.
前記アルキルアルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、またはペンタノールである、条項32に記載の指紋非視認性表面。
【0125】
条項34.
前記プロパノールは、イソプロパノールまたはn-プロパノールである、条項33に記載の指紋非視認性表面。
【0126】
条項35.
前記混合物は、約5:1の有機溶媒:アルコールから約15:1の有機溶媒:アルコールである、条項29~35のいずれか一項に記載の指紋非視認性表面。
【0127】
条項36.
前記混合物は、約7:1の有機溶媒:アルコールから約12:1の有機溶媒:アルコールである、条項29~35のいずれか一項に記載の指紋非視認性表面。
【0128】
条項37.
前記混合物は、約8:1の有機溶媒:アルコールまたは約10:1の有機溶媒:アルコールである、条項29~35のいずれか一項に記載の指紋非視認性表面。
【0129】
条項38.
前記塗工するステップは、前記配合物の化学蒸着(CVD)または物理蒸着(PVD)を含む、条項1に記載の指紋非視認性表面。
【0130】
条項39.
前記配合物は、液体製剤であり、前記塗工するステップは、液体配合物を表面に噴霧することを含む、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0131】
条項40.
前記指紋非視認性表面は、約45°未満のジヨードメタンを使用した初期接触角および約65°を超える初期水接触角を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0132】
条項41.
前記基材は、ガラス、金属酸化物、およびアクリルポリマーからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0133】
条項42.
前記指紋非視認性表面は、約5nmから約300nmの範囲の厚さを有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0134】
条項43.
前記指紋非視認性表面は、約50°未満のジヨードメタンを使用した初期接触角を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0135】
条項44.
前記指紋非視認性表面は、約45°未満の初期接触角を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0136】
条項45.
前記指紋非視認性表面は、約35°未満の初期接触角を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0137】
条項46.
前記指紋非視認性表面は、約65°を超える初期水接触角を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0138】
条項47.
前記指紋非視認性表面は、約70°から約90°の初期水接触角を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0139】
条項48.
前記指紋非視認性表面は、実質的にフッ化物を含まない、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0140】
条項49.
前記指紋非視認性表面は、約70°から約90°の初期水接触角を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0141】
条項50.
前記指紋非視認性表面は、約0.15未満の摩擦係数を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0142】
条項51.
前記指紋非視認性表面は、約0.13未満の摩擦係数を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0143】
条項52.
前記指紋非視認性表面は、約0.05から約0.13の摩擦係数を有する、前述の条項のいずれかまたは条項の組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0144】
条項53.
指紋非視認性コーティングのための配合物であって、前記配合物は、低分子量アルキルシラン加水分解物および溶媒を含む、配合物。
【0145】
条項54.
前記低分子量アルキルシラン加水分解物は、以下の式:
(RA)3SiRB、
のアルキルシランから形成される、
【0146】
式中、各RAは独立して、-OC1~C6アルキル、-OC1~C6アルケニル、または-OC1~C6アルキニルであり;
そしてRBはC1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニルであり;ここで、OC1~C6アルキル、-OC1~C6アルケニル、-OC1~C6アルキニル;C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-OC1~C6アルキル、-CO2H、C(O)OC1~C6アルキル、-C(O)NH2、C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、SC1~C6アルキル、S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、-S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-N(H)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3、-N(R1)C1~C6アルキル-N(R1)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3-N(H)C1~C6アルキル-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2、または-Si(-OC1~C6アルキル)3で置換され;そして、ここで、R1は独立して、重水素、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、または-C1~C6アルキル-O-C1~C6アルキルであり、ここで、C1~C6アルキル中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシで置換される、条項53に記載の配合物。
【0147】
条項55.
前記RAは、-OC1~C6アルキルである、条項54に記載の配合物。
【0148】
条項56.
前記式中、RBは、C6~C20アルキルである、条項54または55に記載の配合物。
【0149】
条項57.
前記式中、RBは、C6~C20アルキルであり、C6~C20アルキル中の各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2によって置換され、ここでR1は独立して、重水素または-C1~C6アルキル-O-C1~C6アルキルである、条項54~56のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の配合物。
【0150】
条項58.
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン、(11-ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン、(11-ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、条項54~57のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の配合物。
【0151】
条項59.
前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランである、条項54~58のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の配合物。
【0152】
条項60.
前記低分子量アルキルシラン加水分解物は、ジアルキルシロキサンを含む、条項53~59のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の配合物。
【0153】
条項61.
前記ジアルキルシロキサンは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、条項60に記載の配合物。
【0154】
条項62.
前記配合物は、酸を含まない、条項53~61のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の配合物。
【0155】
条項63.
前記酸は、鉱酸である、条項62に記載の配合物。
【0156】
条項64.
前記鉱酸は、塩酸、硝酸、硫酸、またはそれらの混合物である、条項63に記載の配合物。
【0157】
条項65.
基材上に指紋非視認性コーティングを形成するための方法であって、前記方法は、
【0158】
指紋非視認性コーティングのための配合物を基材の表面に塗工するステップ、および
【0159】
前記基材の表面上で前記指紋非視認性コーティングのための配合物を硬化させて、前記指紋非視認性コーティングを形成するステップを含む、方法。
【0160】
条項66.
前記指紋非視認性コーティングのための配合物は、低分子量アルキルシラン加水分解物を含む、条項65に記載の方法。
【0161】
条項67.
前記低分子量アルキルシラン加水分解物は、アルキルシランを酸と接触させることによって調製される、条項65または66に記載の方法。
【0162】
条項68.
前記アルキルシランは以下の式:
(RA)3SiRB、
のアルキルシランであり:
【0163】
式中、各RAは独立して、-OC1~C6アルキル、-OC2~C6アルケニル、または-OC2~C6アルキニルであり;
そしてRBはC1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニルであり;ここで、OC1~C6アルキル、-OC1~C6アルケニル、-OC1~C6アルキニル;C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、-C(O)OC1~C6アルキル、-C(O)NH2、C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、SC1~C6アルキル、-S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-N(H)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3、-N(R1)C1~C6アルキル-N(R1)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3-N(H)C1~C6アルキル-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2、または-Si(-OC1~C6アルキル)3で置換され;そして、ここで、R1は独立して、重水素、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、または-C1~C6アルキル-O-C1~C6アルキルであり、ここで、C1~C6アルキル中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシで置換される、条項67に記載の方法。
【0164】
条項69.
前記指紋非視認性コーティングは、少なくとも約50°未満の油による初期接触角を有する、条項65~68のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0165】
条項70.
前記指紋非視認性コーティングは、少なくとも約45°未満の油による初期接触角を有する、条項65~69のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0166】
条項71.
前記指紋非視認性コーティングは、約65°を超える初期水接触角を有する、条項65~70のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0167】
条項72.
前記指紋非視認性コーティングは、約70°から約90°の初期水接触角を有する、条項65~71のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0168】
条項73.
前記方法は、不活性ガス、N2、O2、および少なくとも2つの前記ガスの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのガスのプラズマに表面を曝露することによって、前記基材の表面を活性化するステップを含む、条項65~72のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0169】
条項74.
前記塗工するステップは、前記指紋非視認性コーティングのための配合物の前記基材の表面への化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、浸漬、拭き取り、または噴霧によって行われる、条項65~73のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0170】
条項75.
前記配合物は、酸を含まない、条項65~74のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0171】
条項76.
前記酸は、鉱酸である、条項75に記載の方法。
【0172】
条項77.
前記鉱酸は、塩酸、硝酸、硫酸、またはそれらの混合物である、条項76に記載の方法。
【0173】
条項78.
加水分解物を形成するための方法であって、前記方法は、
【0174】
以下の式:
(RA)3SiRB、
のアルキルシランを、酸と接触させるステップを含み、
【0175】
式中、各RAは独立して、-OC1~C6アルキル、-OC2~C6アルケニル、または-OC2~C6アルキニルであり;
そしてRBはC1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニルであり;ここで、OC1~C6アルキル、-OC1~C6アルケニル、-OC1~C6アルキニル;C1~C20アルキル、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、-C(O)OC1~C6アルキル、-C(O)NH2、C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、SC1~C6アルキル、-S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-N(H)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3、-N(R1)C1~C6アルキル-N(R1)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3-N(H)C1~C6アルキル-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2、または-Si(-OC1~C6アルキル)3で置換され;そして、ここで、R1は独立して、重水素、C1~C6アルキル、C2~C6アルケニル、C2~C6アルキニル、C3~C6シクロアルキル、または-C1~C6アルキル-O-C1~C6アルキルであり、ここで、C1~C6アルキル中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシで置換される、そして
【0176】
前記接触させるステップをクエンチするステップを含み、
【0177】
前記加水分解物は、前記アルキルシランおよび約5,000Daの分子量を有する種を含む、方法。
【0178】
条項79.
前記式中、RAは、-OC1~C6アルキルである、条項78に記載の方法。
【0179】
条項80.
前記式中、RBは、C6~C20アルキルである、条項78または79に記載の方法。
【0180】
条項81.
前記式中、RBは、C6~C20アルキルであり、C6~C20アルキル中の各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2によって置換され、ここでR1は独立して、重水素または-C1~C6アルキル-O-C1~C6アルキルである、条項78~80のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。。
【0181】
条項82.
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン;(ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン;(ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、条項78~81のいずれか一項または組み合わせの方法。
【0182】
条項83.
前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランである、条項78~82のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0183】
条項84.
前記酸は、鉱酸を含む、条項78~83のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0184】
条項85.
前記鉱酸は、塩酸、硝酸、硫酸、またはそれらの混合物である、条項84に記載の方法。
【0185】
条項86.
前記酸は、約0.01%から約10%の濃度で存在する、条項78~85のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0186】
条項87.
前記接触させるステップは、少なくとも約5分間行われる、条項78~86のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0187】
条項88.
前記接触させるステップは、約3時間未満行われる、条項78~87のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0188】
条項89.
前記接触させるステップは、約10分間から約2時間行われる、条項78~88のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0189】
条項90.
前記接触させるステップは、約10分間から約1時間行われる、条項78~88のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0190】
条項91.
前記接触させるステップは、約10分間から約30分間行われる、条項78~88のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0191】
条項92.
前記接触させるステップはさらに、ジアルキルシロキサンを包含する、条項78~91のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0192】
条項93.
前記ジアルキルシロキサンは、トリアルコキシシランでキャップされている、条項92に記載の指紋非視認性表面。
【0193】
条項94.
前記ジアルキルシロキサンは、触媒の存在下で、ビニル末端化ジアルキルシロキサンを式(RcO)3SiHの化合物、ここでRcはアルキル基である、と接触させることによって形成される、条項92または93に記載の方法。
【0194】
条項95.
前記触媒は、白金を含む、条項94に記載の指紋非視認性表面。
【0195】
条項96.
前記式中、Rcは、メチル、エチル、またはプロピルである、条項93または94に記載の指紋非視認性表面。
【0196】
条項97.
前記ジアルキルシロキサンは、少なくとも3,000Daの分子量を有する、条項92~96のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0197】
条項98.
前記ジアルキルシロキサンは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、条項92~97のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の指紋非視認性表面。
【0198】
条項99.
基材上に指紋非視認性コーティングを形成するための方法であって、前記方法は、
【0199】
物理蒸着により、指紋非視認性コーティングのための配合物を基材の表面に塗工するステップ、および
【0200】
前記基材の表面上で前記指紋非視認性コーティングのための配合物を硬化させて、前記指紋非視認性コーティングを形成するステップを含む、方法。
【0201】
条項100.
前記指紋非視認性コーティングのための配合物は、低分子量アルキルシラン加水分解物を含む、条項99に記載の方法。
【0202】
条項101.
前記配合物は、酸を含まない、条項99または100に記載の方法。
【0203】
条項102.
前記方法はさらに、前記基材の表面を洗浄するステップを含む、条項99~101のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0204】
条項103.
前記洗浄するステップは、前記塗工するステップの前に行われる、条項102に記載の方法。
【0205】
条項104.
前記配合物は、ペレットの形態である、条項99~103のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0206】
条項105.
前記方法は、前記ペレットを形成するステップを含む、条項99に記載の方法。
【0207】
条項106.
前記ペレットを形成するステップは、スチールウールまたは銅フォームを前記指紋非視認性コーティングのための配合物と接触させることを含む、条項105に記載の方法。
【0208】
条項107.
前記塗工するステップは、熱蒸発によって行われる、条項99~106のいずれか一項またはそれらの組み合わせに記載の方法。
【0209】
以下の番号が付けられた第2のセットの条項は、意図された、限定されない以下の実施形態を含む。
【0210】
条項1.
物品であって、
【0211】
基材と、
【0212】
前記基材に積層された指紋非視認性コーティングとを含み、
前記指紋非視認性コーティングは、100,000Da未満の重量平均分子量を有する非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを含む、物品。
【0213】
条項2.
物品であって、
【0214】
基材と、
【0215】
前記基材に積層された指紋非視認性コーティングとを含み、
前記指紋非視認性コーティングは、非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを含み、
【0216】
前記指紋非視認性コーティングは、1000nm未満で0.1nmを超える厚さを有する、物品。
【0217】
条項3.
前記指紋非視認性コーティングは、約50°未満のジヨードメタンを使用する初期接触角および/または約65°を超える初期水接触角を有する表面を含む、先行する条項のいずれかに記載の物品。
【0218】
条項4.
前記基材は、ガラス、ガラスセラミック、木材、金属、金属酸化物、またはポリマーからなる群から選択される材料を含む、先行する条項のいずれかに記載の物品。
【0219】
条項5.
前記指紋非視認性コーティングは、約0.1nmから約1000nmの範囲の厚さを有する、先行する条項のいずれかに記載の物品。
【0220】
条項6.
前記指紋非視認性コーティングは、約0.15未満の摩擦係数を有する、先行する条項のいずれかに記載の物品。
【0221】
条項7.
前記指紋非視認性コーティングは、1500サイクルの消しゴム摩耗後に少なくとも50度の水接触角を維持することができる、先行する条項のいずれかに記載の物品。
【0222】
条項8.
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、以下の構造式:
(RA)3SiRB
を有するアルキルシランから形成され、
【0223】
式中:
【0224】
各RAは独立して、-OC1~C10アルキル、-OC6~C10アルキルアリール、-OC2~C10アルケニル、または-OC3~C10アルキニルであり;
【0225】
各RBはC1~C20アルキル、C6~C20アルキルアリール、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニルであり;
【0226】
-OC1~C10アルキル、-OC6~C10アルキルアリール、-OC2~C10アルケニル、-OC3~C10アルキニル、C1~C20アルキル、C6~C20アルキルアリール、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、C(O)OR1、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、SC1~C6アルキル、S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-N(H)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3、-N(R1)C1~C6アルキル-N(R1)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3-N(H)C1~C6アルキル-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2、または-Si(-OC1~C6アルキル)3で置換され;そして
【0227】
各R1は独立して、重水素、C1~C10アルキル、C1~C10アルキルアリール、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C3~C6シクロアルキル、C3~C6シクロアルキルアリール、または-C1~C10アルキル-O-C1~C10アルキル;
【0228】
C1~C10アルキルアリール-O-C1~C10アルキルアリールであり、ここで、C1~C10アルキル、C1~C10アルキルアリール中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシルで置換される、先行する条項のいずれかに記載の物品。
【0229】
条項9.
前記式中、RAは、-OC1~C10アルキルである、先行する条項のいずれかに記載の物品。
【0230】
条項10.
前記式中、RBは、C6~C20アルキルである、先行する条項のいずれかに記載の物品。
【0231】
条項11.
前記式中、RBは、C6~C20アルキルであり、C6~C20アルキル中の各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2によって置換され、ここでR1は独立して、重水素または-C1~C10アルキル-O-C1~C10アルキルである、先行する条項のいずれかに記載の物品。
【0232】
条項12.
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン;(ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン;(ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、先行する条項のいずれかに記載の物品。
【0233】
条項13.
前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランである、先行する条項のいずれかに記載の物品。
【0234】
条項14.
前記指紋非視認性コーティングはさらに、以下の式(I)~(IV)からなる群から選択される架橋シランを含み、
【0235】
(I)(SiXn)-Y1、
【0236】
(II)(SiXn)-Y2-(SiXn)、
【0237】
(III)(SiXn)-Y3-(SiXn)-(SiXn)、および
【0238】
(IV)(SiXn)-(SiXn)-Y4-(SiXn)-(SiXn)
【0239】
式中:
【0240】
Y1は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(I)の各シリコンは原子Y1中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0241】
Y2は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(II)の各シリコンは原子Y2中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0242】
Y3は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(III)の各シリコンは原子Y3中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0243】
Y4は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(IV)の各シリコンは原子Y4中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0244】
各Xは、独立して、ハロゲン、(C1~C6)アルコキシ、(C2~C6)カルボキシ、および(C1~C6)オキシモ、(C1~C6)アリールアルコキシから選択される一価の脱離基であり、そして
【0245】
nは、1以上3以下の整数である、先行する条項のいずれかに記載の物品。
【0246】
条項15.
指紋非視認性組成物であって、
【0247】
溶媒と、
【0248】
100,000Da未満の重量平均分子量を有する非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーとを含む、指紋非視認性組成物。
【0249】
条項16.
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、少なくとも0.01mg/Lで100g/L未満の濃度で前記溶媒中に存在する、条項15に記載の指紋非視認性組成物。
【0250】
条項17.
前記溶媒は、水、アルコール、またはそれらの混合物を含む、先行する条項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【0251】
条項18.
前記アルコールは、C1~C10アルキル‐OHである、先行する条項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【0252】
条項19.
前記指紋非視認性組成物は、酸を含まない、先行する条項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【0253】
条項20.
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、以下の構造式:
(RA)3SiRB
を有するアルキルシランから形成され、
【0254】
各RAは独立して、-OC1~C10アルキル、-OC6~C10アルキルアリール、-OC2~C10アルケニル、または-OC3~C10アルキニルであり;
【0255】
各RBはC1~C20アルキル、C6~C20アルキルアリール、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニルであり;
【0256】
-OC1~C10アルキル、-OC6~C10アルキルアリール、-OC2~C10アルケニル、-OC3~C10アルキニル、C1~C20アルキル、C6~C20アルキルアリール、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、C(O)OR1、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、SC1~C6アルキル、S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-N(H)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3、-N(R1)C1~C6アルキル-N(R1)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3-N(H)C1~C6アルキル-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2、または-Si(-OC1~C6アルキル)3で置換され;そして
【0257】
各R1は独立して、重水素、C1~C10アルキル、C1~C10アルキルアリール、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C3~C6シクロアルキル、C3~C6シクロアルキルアリール、または-C1~C10アルキル-O-C1~C10アルキル;
【0258】
C1~C10アルキルアリール-O-C1~C10アルキルアリールであり、ここで、C1~C10アルキル、C1~C10アルキルアリール中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシルで置換される、先行する条項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【0259】
条項21.
前記式中、RAは、-OC1~C10アルキルである、先行する条項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【0260】
条項22.
前記式中、RBは、C6~C20アルキルである、先行する条項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【0261】
条項23.
前記式中、RBは、C6~C20アルキルであり、C6~C20アルキル中の各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2によって置換され、ここでR1は独立して、重水素または-C1~C10アルキル-O-C1~C10アルキルである、先行する条項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【0262】
条項24.
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン;(ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン;(ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、先行する条項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【0263】
条項25.
前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランである、先行する条項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【0264】
条項26.
前記指紋非視認性コーティングはさらに、以下の式(I)~(IV)からなる群から選択される架橋シランを含み、
【0265】
(I)(SiXn)-Y1、
【0266】
(II)(SiXn)-Y2-(SiXn)、
【0267】
(III)(SiXn)-Y3-(SiXn)-(SiXn)、および
【0268】
(IV)(SiXn)-(SiXn)-Y4-(SiXn)-(SiXn)
【0269】
式中:
【0270】
Y1は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(I)の各シリコンは原子Y1中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0271】
Y2は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(II)の各シリコンは原子Y2中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0272】
Y3は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(III)の各シリコンは原子Y3中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0273】
Y4は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(IV)の各シリコンは原子Y4中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0274】
各Xは、独立して、ハロゲン、(C1~C6)アルコキシ、(C2~C6)カルボキシ、および(C1~C6)オキシモ、(C1~C6)アリールアルコキシから選択される一価の脱離基であり、そして
【0275】
nは、1以上3以下の整数である、先行する条項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【0276】
条項27.
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、300Da以上の重量平均分子量を有する、先行する条項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【0277】
条項28.
指紋非視認性組成物を形成するための方法であって、
【0278】
水およびアルコールを含む第1の溶媒中で、アルキルシランを重合させて、非フッ素化アルキルシラン加水分解物を形成するステップと、
【0279】
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物を第2の溶媒中で少なくとも0.01mg/Lで100g/L未満の濃度まで溶解させるステップとを含む、方法。
【0280】
条項29.
前記第1の溶媒中の水のアルコールに対する比は、1:1000から1000:1である、条項28に記載の方法。
【0281】
条項30.
前記重合させて、前記加水分解物を形成するステップは、前記第1の溶媒の還流まで約-10℃の温度で実施される、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0282】
条項31.
前記アルキルシランは、以下の構造式:
(RA)3SiRB
を有し、
【0283】
各RAは独立して、-OC1~C10アルキル、-OC6~C10アルキルアリール、-OC2~C10アルケニル、または-OC3~C10アルキニルであり;
【0284】
各RBはC1~C20アルキル、C6~C20アルキルアリール、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニルであり;
【0285】
-OC1~C10アルキル、-OC6~C10アルキルアリール、-OC2~C10アルケニル、-OC3~C10アルキニル、C1~C20アルキル、C6~C20アルキルアリール、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、C(O)OR1、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、SC1~C6アルキル、S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-N(H)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3、-N(R1)C1~C6アルキル-N(R1)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3-N(H)C1~C6アルキル-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2、または-Si(-OC1~C6アルキル)3で置換され;そして
【0286】
各R1は独立して、重水素、C1~C10アルキル、C1~C10アルキルアリール、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C3~C6シクロアルキル、C3~C6シクロアルキルアリール、または-C1~C10アルキル-O-C1~C10アルキル;
【0287】
C1~C10アルキルアリール-O-C1~C10アルキルアリールであり、ここで、C1~C10アルキル、C1~C10アルキルアリール中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシルで置換される、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0288】
条項32.
前記式中、RAは、-OC1~C6アルキルである、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0289】
条項33.
前記式中、RBは、C6~C20アルキルである、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0290】
条項34.
前記式中、RBは、C6~C20アルキルであり、C6~C20アルキル中の各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2によって置換され、ここでR1は独立して、重水素または-C1~C6アルキル-O-C1~C6アルキルである、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0291】
条項35.
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン;(ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン;(ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0292】
条項36.
前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランを含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0293】
条項37.
前記第1の溶媒中に存在する水のアルコールに対する比は、1:1000から1000:1の間である、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0294】
条項38.
前記アルコールは、エタノールを含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0295】
条項39.
前記第1の溶媒は、0から14の間のpHを有する、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0296】
条項40.
前記第1の溶媒は、6から8の間のpHを有する、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0297】
条項41.
前記第2の溶媒は、水、アルコール、またはそれらの混合物を含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0298】
条項42.
前記方法はさらに、架橋シランの存在下で前記アルキルシランを重合させるステップを含み、前記架橋シランは、以下の式(I)~(IV)からなる群から選択され、
【0299】
(I)(SiXn)-Y1、
【0300】
(II)(SiXn)-Y2-(SiXn)、
【0301】
(III)(SiXn)-Y3-(SiXn)-(SiXn)、および
【0302】
(IV)(SiXn)-(SiXn)-Y4-(SiXn)-(SiXn)
【0303】
式中:
【0304】
Y1は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(I)の各シリコンは原子Y1中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0305】
Y2は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(II)の各シリコンは原子Y2中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0306】
Y3は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(III)の各シリコンは原子Y3中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0307】
Y4は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(IV)の各シリコンは原子Y4中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0308】
各Xは、独立して、ハロゲン、(C1~C6)アルコキシ、(C2~C6)カルボキシ、および(C1~C6)オキシモ、(C1~C6)アリールアルコキシから選択される一価の脱離基であり、そして
【0309】
nは、1以上3以下の整数である、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0310】
条項43.
前記重合させて、前記加水分解物を形成するステップは、0.1時間以上72時間以下で実施される、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0311】
条項44.
前記方法はさらに、重合した非フッ素化アルキルシラン加水分解物を精製するステップを含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0312】
条項45.
指紋非視認性表面を形成するための方法であって、
【0313】
基材の表面に、
【0314】
溶媒と、
【0315】
100,000Da未満で少なくとも300Daの重量平均分子量を有する非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーと
を含む配合物を積層させるステップと、
【0316】
前記配合物を硬化させて、前記指紋非視認性表面を形成するステップとを含む、方法。
【0317】
条項46.
前記積層させるステップは、噴霧、浸漬、拭き取り、化学蒸着(CVD)、または物理蒸着(PVD)を含む、条項45に記載の方法。
【0318】
条項47.
前記溶媒は、アルコールを含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0319】
条項48.
前記アルコールは、C1~C6アルキル‐OHである、条項47に記載の方法。
【0320】
条項49.
前記基材は、ガラス、ガラスセラミック、木材、金属、金属酸化物、またはポリマーからなる群から選択される材料を含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0321】
条項50.
前記硬化させて、前記指紋非視認性表面を形成するステップは、前記配合物を20℃以上で250℃以下の温度まで加熱することを含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0322】
条項51.
前記硬化させて、前記指紋非視認性表面を形成するステップは、0.1時間以上48時間以下で実行される、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0323】
条項52.
前記積層させるステップは、0.1nm以上で300nm以下の厚さを有する前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを含む層を形成することを含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0324】
条項53.
前記配合物は、0.01mg/Lから100g/Lの濃度で前記溶媒に溶解された前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0325】
条項54.
硬化後、前記指紋非視認性表面は、約45°未満のジヨードメタンを使用する初期接触角および約65°を超える初期水接触角を有する、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0326】
条項55.
硬化後、前記指紋非視認性コーティングは、約50°未満のジヨードメタンを使用する初期接触角および/または約65°を超える初期水接触角を有する表面を含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0327】
条項56.
硬化後、前記指紋非視認性コーティングは、約0.15未満の摩擦係数を有する、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0328】
条項57.
硬化後、前記指紋非視認性コーティングは、1500サイクルの消しゴム摩耗後に少なくとも50度の水接触角を維持することができる、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0329】
条項58.
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、以下の構造式:
(RA)3SiRB
を有するアルキルシランから形成され、
【0330】
各RAは独立して、-OC1~C10アルキル、-OC6~C10アルキルアリール、-OC2~C10アルケニル、または-OC3~C10アルキニルであり;
【0331】
各RBはC1~C20アルキル、C6~C20アルキルアリール、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニルであり;
【0332】
-OC1~C10アルキル、-OC6~C10アルキルアリール、-OC2~C10アルケニル、-OC3~C10アルキニル、C1~C20アルキル、C6~C20アルキルアリール、C2~C20アルケニル、またはC2~C20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、C(O)OR1、-C(O)NH2、-C(O)NH(C1~C6アルキル)、-C(O)N(C1~C6アルキル)2、SC1~C6アルキル、S(O)C1~C6アルキル、-S(O)2C1~C6アルキル、-S(O)NH(C1~C6アルキル)、-S(O)2NH(C1~C6アルキル)、S(O)N(C1~C6アルキル)2、-S(O)2N(C1~C6アルキル)2、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-N(H)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3、-N(R1)C1~C6アルキル-N(R1)C1~C6アルキル-Si(-OC1~C6アルキル)3-N(H)C1~C6アルキル-N(H)C1~C6アルキル-NH2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2、または-Si(-OC1~C6アルキル)3で置換され;そして
【0333】
各R1は独立して、重水素、C1~C10アルキル、C1~C10アルキルアリール、C2~C10アルケニル、C2~C10アルキニル、C3~C6シクロアルキル、C3~C6シクロアルキルアリール、または-C1~C10アルキル-O-C1~C10アルキル;
【0334】
C1~C10アルキルアリール-O-C1~C10アルキルアリールであり、ここで、C1~C10アルキル、C1~C10アルキルアリール中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシルで置換される、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0335】
条項59.
前記式中、RAは、-OC1~C10アルキルである、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0336】
条項60.
前記式中、RBは、C6~C20アルキルである、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0337】
条項61.
前記式中、RBは、C6~C20アルキルであり、C6~C20アルキル中の各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR1、-CO2H、-NH2、NH(C1~C6アルキル)、-N(C1~C6アルキル)2、-P(C1~C6アルキル)2、-P(O)(C1~C6アルキル)2、-PO3H2によって置換され、ここでR1は独立して、重水素または-C1~C6アルキル-O-C1~C6アルキルである、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0338】
条項62.
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン;(ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン;(ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0339】
条項63.
前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランである、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0340】
条項64.
前記配合物はさらに、以下の式(I)~(IV)からなる群から選択される架橋シランを含み、
【0341】
(I)(SiXn)-Y1、
【0342】
(II)(SiXn)-Y2-(SiXn)、
【0343】
(III)(SiXn)-Y3-(SiXn)-(SiXn)、および
【0344】
(IV)(SiXn)-(SiXn)-Y4-(SiXn)-(SiXn)
【0345】
式中:
【0346】
Y1は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(I)の各シリコンは原子Y1中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0347】
Y2は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(II)の各シリコンは原子Y2中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0348】
Y3は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(III)の各シリコンは原子Y3中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0349】
Y4は(C2~C30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(IV)の各シリコンは原子Y4中の同じまたは異なる炭素に結合し、
【0350】
各Xは、独立して、ハロゲン、(C1~C6)アルコキシ、(C2~C6)カルボキシ、および(C1~C6)オキシモ、(C1~C6)アリールアルコキシから選択される一価の脱離基であり、そして
【0351】
nは、1以上3以下の整数である、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0352】
条項65.
前記配合物は、酸を含まない、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0353】
条項66.
前記方法はさらに、不活性ガス、N2、O2、および前述のガスの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのガスのプラズマに前記表面を曝露することによって前記基材の前記表面を活性化するステップを含む、先行する条項のいずれかに記載の方法。
【0354】
条項67.
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ハロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、先行する条項のいずれかに記載の物品、組成物、または方法。
【0355】
実施例
【0356】
以下の実施例は、説明のみを目的として説明される。このような実施例に表示される部およびパーセンテージは、特に明記されていない限り、重量によるものである。
【0357】
実施例1
一般的な手順
11-クロロウンデシルトリエトキシシラン10gを、ジクロロメタン:イソプロパノール(8:1)90gに溶解した。反応混合物に3.5%HNO3水溶液1mLを加え、それを最長2時間撹拌した。30分間、1時間、2時間などのさまざまな時間に試料を採取した。採取した試料を水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を除去した。得られた油0.1gをイソプロパノール25mLに溶解し、ガラスに噴霧した。オーブン中120℃で15分間、コーティングしたガラスを保持した後に、ジヨードメタンと水の接触角を測定し、デルタE、耐摩耗性を調べた。
【0358】
実施例2
合成
11-クロロウンデシルトリエトキシシラン10gを、ジクロロメタン:イソプロパノール(8:1)90gに溶解した。反応混合物に3.5%HNO3水溶液1mLを加え、反応物を撹拌した。30分間撹拌した後、水で洗浄することにより反応を停止させた。有機相を分離し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。ロータリーエバポレーターを使用して濾液を蒸発させた。次のステップのために得られた油を採取し、コーティング用の配合物を調製した。
【0359】
実施例3
コーティング用の配合物
実施例2からの加水分解物を、エタノール中に約2.75g/lのエタノールの濃度まで溶解させることによって、コーティングのための配合物を調製した。
【0360】
実施例4
耐摩耗性
【0361】
低分子量アルキルシラン加水分解物を、実施例1に従って形成した。その反応時間は1時間であった。指紋耐性コーティングのための配合物を、実施例3に従って調製し、ゴリラガラスに噴霧した。コーティングを125℃で20分間硬化させ、その後室温で一晩硬化させた。耐摩耗性は、ASTM D4060に従って測定した。試験片に対してCS-10硬度の研磨ディスクを用い1.5cm2の面積に250gの負荷下で、50サイクル/分の並進速度および6rpmの回転速度を用いて試験を実施した。水と油(ジヨードメタン)に関する初期接触角を測定した。試験は1,000または2,000サイクル実施した。前記サイクル後、水の接触角を測定した。
【0362】
【0363】
実施例5
摩擦係数
実施例3に従った配合物をゴリラガラスに噴霧した。コーティングされたガラスを125℃で1時間硬化させた。摩擦係数は、Labthink FPT-F1摩擦/剥離テスターを使用して測定した。結果の値は0.108であった。
【0364】
実施例6
PDMS-TEOSの合成
モノビニル末端化PDMS(5k)(10g、0.002mol、1当量;Gelestから入手可能)およびトリエトキシシラン(0.5g、0.003mol、1.5当量)を、無水トルエン5mlに溶解し、Ar下で30分間パージした。反応混合物にPt(Dvs)(Sigma Aldrichから入手可能)0.1mLを加え、90℃にした。前記反応混合物を90℃で約60時間撹拌した。前記反応混合物を、室温まで冷却した後、セライトを通して直接濾過した。収量:7.9g。
【0365】
実施例7
PDMS-TEOSを用いた加水分解物
11-クロロウンデシルトリエトキシシラン5gおよびPDMS-TEOS0.5gを、ジクロロメタン:イソプロパノール(10:1)55gに溶解した。反応混合物に7%HNO3水溶液0.5mLを加え、撹拌した。15分後、30分後および1時間後に、その反応混合物から試料を採取し、水で洗浄することにより後処理を行った。有機相を分離し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過した。ロータリーエバポレーターを使用して濾液を蒸発させた。指紋非視認性コーティングの配合物は、油をエタノールに約2.5g/lの濃度まで溶解させることによって調製された。
【0366】
実施例8
耐摩耗性
実施例7に従った配合物をゴリラガラスに噴霧した。コーティングした前記ガラスを125℃で20分間硬化させた。噴霧と焼成のステップを3回繰り返して、合計4層とした。コーティングした前記ガラスを室温で一晩硬化させた。初期の水と油(CH2I2)の接触角を測定した。次に、コーティングした前記ガラスを実施例4に従って摩耗させた。結果を表2に示す。
【0367】
【0368】
実施例9
耐摩耗性
実施例7に従った配合物をゴリラガラスに噴霧した。コーティングした前記ガラスを125℃で20分間硬化された。噴霧と焼成のステップを3回繰り返して、4層とした。前記コーティングしたガラスを室温で一晩硬化させた。初期の水と油(CH2I2)の接触角を測定した。次に、前記コーティングしたガラスを実施例4に従って摩耗させた。結果を表3に示す。
【0369】
【0370】
実施例10
耐摩耗性
実施例7に従った配合物をゴリラガラスに噴霧した。コーティングした前記ガラスを125℃で20分間硬化させた。噴霧と焼成のステップを1回繰り返し、合計2層とした。コーティングした前記ガラスを室温で30分間硬化させた。初期の水と油(CH2I2)の接触角を測定した。次に、コーティングした前記ガラスを実施例4に従って摩耗させた。結果を表4に示す。
【0371】
【0372】
実施例11
耐摩耗性
実施例7に従った配合物をゴリラガラスに噴霧した。コーティングした前記ガラスを150℃で1時間硬化させた。噴霧と焼成のステップを3回繰り返して、合計4層とした。初期の水と油(CH2I2)の接触角を、硬化前に測定した。コーティングした前記ガラスを室温で一晩硬化させた。初期の水と油(CH2I2)の接触角を測定した。その後、コーティングした前記ガラスを実施例4に従って摩耗させた。結果を表5に示す。
【0373】
【0374】
実施例12
デルタE
指紋の性能を測定するために、理想的には黒いカード用紙または黒いOLEDディスプレイを使用して、黒色背景にある未使用のガラスのLAB値を測定した。次に、操作者は、身体の最も油分の多い部分である彼らの鼻または額を利き手で4本の指すべてを用いて2~3回拭うことが求められる。その後、彼らは直ちに4本の指すべてを用いて適度な力で10回ガラスをタップする。これにより、そのガラス表面に40個の指紋が付く。次いで、彼らは比色計を使用してLAB値を測定し、それらの値を使用して、未使用のガラスと指紋の付いたガラスに基づいてデルタEを計算する。デルタEが低いほど、指紋は見えにくくなる。次に、操作者はジーンズ素材、理想的には標準化されたLEVIS401ジーンズ素材の一片を取り、同じ領域に沿って前記ガラスを2回拭いて、それらの指紋を拭き取る。次に、操作者は、前記の未使用のガラスと比較したデルタEを計算して、前記コーティングの洗浄可能性を決定する。前記値が0に近いほど、指紋がより見えにくくなる。
【0375】
異なる加水分解物反応時間(実施例2に従った)を分析した。指紋非視認性コーティングのための配合物は、実施例3に従って調製された。前記指紋非視認性コーティングは、実施例4に従って形成された。結果を表6に示す。
【0376】
【0377】
表7に記載した以下の化学物質を、以下の実施例で使用した。
【表7】
【0378】
実施例13
配合物
11-クロロウンデシルトリエトキシシラン10g、無水の200プルーフエタノール(エチルアルコール(純粋))70mLおよび脱イオン水0.8mLを、還流冷却器を備えた100mLの丸底フラスコに充填した。混合しながら、溶液を還流する約79℃まで加熱し、20時間保持する。次に、反応混合物を45~55℃で完全真空まで回転蒸発させてエタノールおよび水を除去し、ポリクロロウンデシルシロキサン8.3gを得る。
【0379】
実施例14から実施例16
実施例14~16は、実施例13と同じ方法で調製したが、表8に示すように、反応物に入れる水の量を変えて、形成されるポリクロロウンデシルシロキサンの加水分解および縮合の程度を変更した。
【0380】
【0381】
実施例13~16から生成された前記ポリクロロウンデシルシロキサンを、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して分析し、結果を表9に示した。エトキシに対する水のより高い比率を使用して生成された前記ポリクロロウンデシルシロキサンは、より高い分子量および多分散性を達成する。
【0382】
【0383】
実施例13~16から生成された前記ポリクロロウンデシルシロキサンを、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を使用して分析した。4つの実施例から得られたFTIRと出発物質の11-クロロウンデシルトリエトキシシラン(「CLAS」として表示)のオーバーレイを
図1に示す。4つの試料はすべて、3200~3500cm
-1の間の広いストレッチのわずかな形成を示し、ヒドロキシル基の形成が示される。また、1100~1200cm
-1の間に発生するストレッチの広がりを見ることができる。エトキシに対する水の比率が徐々に増加すると、このFTIRストレッチがますます広がり、ポリクロロウンデシルシロキサンの含有量が高くなることが示される。
【0384】
実施例13~16から生成された前記ポリクロロウンデシルシロキサンを、プロトン核磁気共鳴分光法(NMR)を使用して分析した。NMR「積分分析」を使用して、反応後に残存する「エトキシ基」を比較することにより「反応の程度」を決定した。以下の表10に、実施例13~16の計算された反応の程度を示す。エトキシに対する水の比率が徐々に増加すると、反応の程度が徐々に増加し、最終生成物中の未反応の出発物質の量が少なくなる。
【0385】
【0386】
実施例17
コーティング
実施例13~16からの4つの前記ポリクロロウンデシルシロキサンの試料を、ガラスパネル上にコーティングし、そして硬化させた。硬化させたら、水滴を使用して初期水接触角(IWA)を測定し、ゴニオメーターを使用して初期ジヨードメタン接触角(IDA)を測定した。前記初期角を測定したら、前記コーティングを直線的に1500サイクル摩耗させ、その後接触角を再測定した。これらの同一試料をさらに1500サイクル、合計3000サイクル摩耗させ、接触角を再度測定した。以下の表11に、コーティングされた4つの前記ポリクロロウンデシルシロキサンの試料の初期および摩耗された接触角を示す。
【0387】
【0388】
実施例18
配合物
11-クロロウンデシルトリエトキシシラン10g、1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン(BIS)0.72g、無水の200プルーフエタノール70mLおよび脱イオン水0.88mLを、還流冷却器を備えた100mLの丸底フラスコに充填した。混合しながら、溶液を還流する約79℃まで加熱し、20時間保持する。次に、反応混合物を45~55℃で完全真空まで回転蒸発させてエタノールおよび水を除去し、ポリクロロウンデシルシロキサン8.8gを得る。
【0389】
実施例19から実施例21
実施例19~21を、実施例16と同じ方法で調製したが、反応物に入れる水の量を変えて、形成されるポリクロロウンデシルシロキサンの加水分解および縮合の程度を変更した。表12に、これら4つの実施例の詳細を示す。実施例21は2倍スケールで行った。
【0390】
【0391】
実施例18~21から生成された前記ポリクロロウンデシルシロキサンを、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して分析し、結果を表13に示した。エトキシに対する水のより高い比率を使用して生成された前記ポリクロロウンデシルシロキサンは、より高い分子量と多分散性を実現する。
【0392】
【0393】
実施例18~21から生成された前記ポリクロロウンデシルシロキサンを、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を使用して分析した。4つの実施例から得られたFTIRと出発物質の11-クロロウンデシルトリエトキシシラン(「CLAS」として表示)のオーバーレイを
図2に示す。4つの試料はすべて、3200~3500cm
-1の間の広いストレッチのわずかな形成を示し、ヒドロキシル基の形成が示される。また、1100~1200cm
-1の間に発生するストレッチの広がりを見ることができる。エトキシに対する水の比率が徐々に増加すると、このFTIRストレッチがますます広がり、ポリクロロウンデシルシロキサンの含有量が高くなることが示される。
【0394】
実施例18~21から生成された前記ポリクロロウンデシルシロキサンを、プロトン核磁気共鳴分光法(NMR)を使用して分析した。NMR「積分分析」を使用して、反応後に残存する「エトキシ基」を比較することにより「反応の程度」を決定した。以下の表14に、実施例18~21の計算された反応の程度を示す。エトキシに対する水の比率が徐々に増加すると、反応の程度が徐々に増加し、最終生成物中の未反応の出発物質の量が少なくなる。
【0395】
【0396】
実施例22
コーティング
実施例18~21からの4つの前記ポリクロロウンデシルシロキサンの試料を、ガラスパネル上にコーティングし、そして硬化させた。硬化させたら、水滴を使用して初期水接触角(IWA)を測定し、ゴニオメーターを使用して初期ジヨードメタン接触角(IDA)を測定した。前記初期角を測定したら、前記コーティングを直線的に1500サイクル摩耗させ、その後接触角を再測定した。これらの同一試料をさらに1500サイクル、合計3,000回摩耗させ、接触角を再度測定した。以下の表15に、コーティングされた4つの前記ポリクロロウンデシルシロキサンの試料の初期および摩耗された接触角を示す。
【0397】
【0398】
実施例23
配合物
11-クロロウンデシルトリエトキシシラン10g、1,2-トリス(トリエトキシシリル)エタン(TRIS)1.04g、無水の200プルーフエタノール70mLおよび脱イオン水0.93mLを、還流冷却器を備えた100mLの丸底フラスコに充填した。混合しながら、溶液を還流する約79℃まで加熱し、20時間保持する。その後、反応混合物を45~55℃で完全真空まで回転蒸発させてエタノールと水を除去し、ポリクロロウンデシルシロキサン9.2gを得る。
【0399】
実施例24から実施例26
実施例24~26は、実施例23と同じ方法で調製したが、反応に入れる水の量を変えて、形成されるポリクロロウンデシルシロキサンの加水分解および縮合の程度を変更した。表16に、これら4つの実施例の詳細を示す。実施例26は2倍のスケールで行った。
【0400】
【0401】
実施例23~26から生成された前記ポリクロロウンデシルシロキサンを、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して分析し、結果を表17に示した。エトキシに対する水のより高い比率を使用して生成されたポリクロロウンデシルシロキサンは、より高い分子量と多分散性を実現する。
【0402】
【0403】
実施例23~26から生成された前記ポリクロロウンデシルシロキサンを、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を使用して分析した。4つの実施例から得られたFTIRと出発物質の11-クロロウンデシルトリエトキシシラン(「CLAS」として表示)のオーバーレイを
図3に示す。4つの試料はすべて、3200~3500cm
-1の間の広いストレッチのわずかな形成を示し、ヒドロキシル基の形成が示される。また、1100~1200cm
-1の間に発生するストレッチの広がりを見ることができる。エトキシに対する水の比率が徐々に増加すると、このFTIRストレッチがますます広がり、ポリクロロウンデシルシロキサンの含有量が高くなることが示される。
【0404】
実施例23~26から生成された前記ポリクロロウンデシルシロキサンを、プロトン核磁気共鳴分光法(NMR)を使用して分析した。NMR「積分分析」を使用して、反応後に残存する「エトキシ基」を比較することにより「反応の程度」を決定した。以下の表18に、実施例21~24の計算された反応の程度を示す。エトキシに対する水の比率が徐々に増加すると、反応の程度が徐々に増加し、最終生成物中の未反応の出発物質の量が少なくなる。
【0405】
【0406】
実施例23~26からの4つの前記ポリクロロウンデシルシロキサンの試料を、ガラスパネル上にコーティングし、そして硬化させた。硬化させたら、水滴を使用して初期水接触角(IWA)を測定し、ゴニオメーターを使用して初期ジヨードメタン接触角(IDA)を測定した。初期角を測定したら、前記コーティングを直線的に1,500サイクル摩耗させ、その後接触角を再測定した。これらの同一試料をさらに1500サイクル、合計3,000回摩耗させ、接触角を再度測定した。以下の表19に、コーティングされた4つの前記ポリクロロウンデシルシロキサンの試料の初期および摩耗された接触角を示す。
【0407】
【0408】
実施例27
熱重量分析
熱重量分析(TGA)を、TA機器による熱重量分析装置Discovery Seriesで実施した。試料を、プラチナパン内で室温から700℃まで、窒素パージ(25mL/分)下で20℃/分の加熱速度で加熱した。
11-クロロウンデシルトリエトキシシランのTGAデータを
図4に示す。
【0409】
本明細書に記載の配合物の重合を理解するために、エトキシに対する水の比率を、以下の試薬混合物:純粋な11-クロロウンデシルトリエトキシシラン、14:1の11-クロロウンデシルトリエトキシシラン対1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン、14:1の11-クロロウンデシルトリエトキシシラン対1,1,2-トリス(トリエトキシシリル)エタンに関して変化させた。各試料セットについて、以下の水対エトキシ比、1.0:2.0、1.0:1.0、2.0:1.0、および3.0:1.0を使用して4つの実験を実施した。反応温度、時間、pHはすべて制御された。
【0410】
より高い分子量は、重量減少対温度のグラフで右(より高い温度)にシフトする重量減少として、またはより高い温度で発生する誘導体の重量減少のピークとして、TGAに現れる可能性がある。シロキサンの場合、Si-O-Si連結が分解する500℃で2番目の重量減少ステップも観察され得る。この重量減少ステップは、温度に対する誘導体の重量減少で特に顕著である。純粋な11-クロロウンデシルトリエトキシシランにおける水のエトキシに対する比率を変化させた実験を
図5および6に示す。
【0411】
反応中に存在する水当量の量を増加させながら、反応パラメータを一定に保つ。反応物中により多くの水を組み込むことにより、より多くの加水分解が起こり、これにより、シラノール結合の濃度が増加し、重合度が増加し得る。
【0412】
TGAデータは、水分含有量が多い試料では分解開始温度が上昇し、500℃でより高い誘導体の重量減少ピークが観察されたことを示す。これは、重合によって形成された-Si-O-Si-結合が多いことに起因する可能性がある。これらの結合の熱分解温度は約500℃である。
【0413】
水分含有量が最も高い2つの試料は、100℃で重量減少を示した。これは、前記試料に残存する残余の水またはシラノール末端基の追加の縮合が原因であり得る。反応中の水分含有量が最も高い試料が存在し、その試料により、高濃度でSi-OH結合が形成される。
【0414】
前記TGAデータから、含水量が多い試料では分解開始温度が上昇することが観察され、500℃でより高い誘導体の重量減少ピークが観察された。これは、重合によって形成される-Si-O-Si-結合が増加するためである。これらの結合の熱分解温度は約500℃である。
【0415】
興味深いことに、水分含有量が最も高い2つの試料では、100℃で大幅な重量減少が観察される。これは、前記試料に残存する残余の水またはシラノール末端基の追加の縮合が原因であり得る。反応中の水分含有量が最も高い試料が存在し、その試料により、より高濃度でSi-OH結合が形成される。
【0416】
11-クロロウンデシルトリエトキシシランと1,2-ビス(トリエトキシシリル)エタン(BIS)の混合物(14:1)中の水のエトキシに対する比率を変化させた実験を
図7および8に示す。純粋な11-クロロウンデシルトリエトキシシランの実験と同様の傾向が観察され、分解開始温度が上昇し(右シフト)、500℃での誘導体の重量減少ピークの大きさは、水分の増加につれて増大する。
【0417】
11-クロロウンデシルトリエトキシシランと1,1,2-トリス(トリエトキシシリル)エタン(TRIS)の混合物(14:1)中の水のエトキシに対する比率を変化させた実験を
図9および10に示す。純粋な11-クロロウンデシルトリエトキシシランおよび11-クロロウンデシルトリエトキシシラン+BIS 14:1比の実験と同様の傾向が観察され、分解開始温度が上昇し(右シフト)、500℃での誘導体の重量減少ピークの大きさが、水分の増加につれて、程度は低いが、増大する。
【0418】
分解温度のシフトは、先の2つの試料セットと比較して、すべての11-クロロウンデシルトリエトキシシランおよびTRIS試料ではるかに小さくなっている。これは、11-クロロウンデシルトリエトキシシラン、TRIS、および水の反応が、11-クロロウンデシルトリエトキシシラン単独または11-クロロウンデシルトリエトキシシランとBISの組み合わせよりも速く起こる可能性があることを示唆し得る。特に、11-クロロウンデシルトリエトキシシランとTRISの反応では、水対エトキシ比が2:1を超えると、100℃で有意な分解ピークが観察される。これは、不純な溶媒および方法の最後での水の除去に起因する水の存在を示している可能性があるか、または縮合し続けて最終的なIFP加水分解物に水を放出する未反応のシラノール基に起因する可能性がある。500℃の分解ピークの大きさは、11-クロロウンデシルトリエトキシシラン単独および11-クロロウンデシルトリエトキシシランとBISと比較して、明確な増加傾向を示していない。これは、検討された水のエトキシに対する比が、シラノール/シロキサンの加水分解/縮合反応の飽和点をはるかに超えている可能性があることを示唆し得る。
【0419】
さまざまな水対エトキシ比で設定された各試料から、TGAデータは、反応内の加水分解を増加させるために水を増やすと、縮合に由来する重合の度合いがさらに高くなる可能性があることを示唆している。
【0420】
実施例28
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)
Shimadzu Prominence-I LC-2030C Plus GPCを使用して、IFP加水分解物の分子量を決定した。
図11は、11-クロロウンデシルトリエトキシシラン出発物質の分子量と4つの異なるIFP加水分解物のオーバーレイを示す。これらのIFP加水分解物は、同一の11-クロロウンデシルトリエトキシシラン出発物質から製造されたが、4つの異なる水対アルコキシ比、1:2、1:1、2:1および3:1の水:アルコキシを使用した。結果を
図11に示す。水のレベルが増加すると、分子量分布の右側へのシフトで示されるように、最終的な分子量は増大する。
【0421】
水対エトキシ比が3:1以上の場合、前記出発物質の87%以上がオリゴマーまたはポリマーに変換される可能性がある。
【0422】
前記方法、機器、およびシステムは特定の実施形態に関連して説明されているが、本明細書の実施形態はすべての点で限定的ではなく例示的であることを意図しているため、発明の範囲が記載された特定の実施形態に限定されることを意図しない。
【0423】
特に明記しない限り、本明細書に記載の任意の方法が、そのステップが特定の順序で実施されることを必要とすると解釈されることを決して意図するものではない。したがって、方法の請求項が実際にそのステップが従うべき順序を記載していないか、または前記ステップが特定の順序に限定されることが請求項または明細書に具体的に明記されていない場合、いかなる点でも、順序が推論されることを決して意図するものではない。
【0424】
範囲は、本明細書では、「約」1つの特定値から、および/または「約」別の特定値までと表現されてもよい。そのような範囲が表される場合、別の実施形態は、1つの特定値からおよび/または他の特定値までを含む。同様に、値が近似として表される場合、先行詞「約」を使用することにより、前記特定値が別の実施形態を形成することが理解される。さらに、
前記範囲の各々の終点は、他方の終点に関して両方が重要であり、他方の終点とは独立していることが理解される。
【0425】
開示された方法、機器およびシステムを実施するために使用され得る構成要素が開示される。これらおよびその他の構成要素は本明細書に開示されており、これらの構成要素の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示されている場合、これらの様々な個別および集合的な組合せおよび置換の各々の特定の参照は明示的に開示されていないが、全ての方法、装置およびシステムについて、各々が具体的に考慮され、本明細書に記載されている。これは、これらに限定されないが、開示された方法の工程を含む、本出願の全ての態様に当てはまる。したがって、実施可能な追加の工程が多岐に渡る場合、これらの追加の工程の各々は、開示された方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせで実施できることが理解される。
【0426】
本明細書で参照される特許、出願、および刊行物はいずれも、その全体が参照により援用されることにさらに留意されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2020-12-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品であって、
基材と、
前記基材に積層された指紋非視認性コーティング組成物とを含み、
前記指紋非視認性コーティング組成物は、溶媒および前記基材に積層されたときに少なくとも0.01mg/Lで100g/L未満の濃度で100,000Da未満の重量平均分子量を有する非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを含む、物品。
【請求項2】
物品であって、
基材と、
前記基材に積層された指紋非視認性コーティングとを含み、
前記指紋非視認性コーティングは、非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを含み、
前記指紋非視認性コーティングは、1000nm未満で0.1nmを超える厚さを有し、そして
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、ハロゲンの官能基を含むが、但し、前記ハロゲンは、フッ素を含まない、物品。
【請求項3】
前記指紋非視認性コーティングは、約50°未満のジヨードメタンを使用する初期接触角および/または約65°を超える初期水接触角を有する表面を含む、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項4】
前記基材は、ガラス、ガラスセラミック、木材、金属、金属酸化物、またはポリマーからなる群から選択される材料を含む、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項5】
前記指紋非視認性コーティングは、約0.1nmから約1000nmの範囲の厚さを有する、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項6】
前記指紋非視認性コーティングは、約0.15未満の摩擦係数を有する、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項7】
前記指紋非視認性コーティングは、1500サイクルの消しゴム摩耗後に少なくとも50度の水接触角を維持することができる、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項8】
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、以下の構造式:
(R
A)
3SiR
B
を有するアルキルシランから形成され、
式中:
各R
Aは独立して、-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、または-OC
3~C
10アルキニルであり;
各R
BはC
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルであり;
-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、-OC
3~C
10アルキニル、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、C(O)OR
1、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、SC
1~C
6アルキル、S(O)C
1~C
6アルキル、-S(O)
2C
1~C
6アルキル、-S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-N(H)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3、-N(R
1)C
1~C
6アルキル-N(R
1)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3-N(H)C
1~C
6アルキル-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2、または-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3で置換され;そして
各R
1は独立して、重水素、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール、C
2~C
10アルケニル、C
2~C
10アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6シクロアルキルアリール、または-C
1~C
10アルキル-O-C
1~C
10アルキル;
C
1~C
10アルキルアリール-O-C
1~C
10アルキルアリールであり、ここで、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシルで置換される、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項9】
前記式中、R
Aは、-OC
1~C
10アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項10】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項11】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルであり、C
6~C
20アルキル中の各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2によって置換され、ここでR
1は独立して、重水素または-C
1~C
10アルキル-O-C
1~C
10アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項12】
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン;(ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン;(ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項13】
前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランである、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項14】
前記指紋非視認性コーティングはさらに、以下の式(I)~(IV)からなる群から選択される架橋シランを含み、
(I)(SiX
n)-Y
1、
(II)(SiX
n)-Y
2-(SiX
n)、
(III)(SiX
n)-Y
3-(SiX
n)-(SiX
n)、および
(IV)(SiX
n)-(SiX
n)-Y
4-(SiX
n)-(SiX
n)
式中:
Y
1は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(I)の各シリコンは原子Y
1中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
2は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(II)の各シリコンは原子Y
2中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
3は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(III)の各シリコンは原子Y
3中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
4は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(IV)の各シリコンは原子Y
4中の同じまたは異なる炭素に結合し、
各Xは、独立して、ハロゲン、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
2~C
6)カルボキシ、および(C
1~C
6)オキシモ、(C
1~C
6)アリールアルコキシから選択される一価の脱離基であり、そして
nは、1以上3以下の整数である、先行する請求項のいずれかに記載の物品。
【請求項15】
指紋非視認性組成物であって、
溶媒と、
100,000Da未満の重量平均分子量を有する非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーとを含み、
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、少なくとも0.01mg/Lで100g/L未満の濃度で前記溶媒中に存在する、指紋非視認性組成物。
【請求項16】
(削除)
【請求項17】
前記溶媒は、水、アルコール、またはそれらの混合物を含む、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項18】
前記アルコールは、C
1~C
10アルキル−OHである、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項19】
前記指紋非視認性組成物は、酸を含まない、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項20】
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、以下の構造式:
(R
A)
3SiR
B
を有するアルキルシランから形成され、
各R
Aは独立して、-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、または-OC
3~C
10アルキニルであり;
各R
BはC
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルであり;
-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、-OC
3~C
10アルキニル、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、C(O)OR
1、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、SC
1~C
6アルキル、S(O)C
1~C
6アルキル、-S(O)
2C
1~C
6アルキル、-S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-N(H)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3、-N(R
1)C
1~C
6アルキル-N(R
1)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3-N(H)C
1~C
6アルキル-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2、または-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3で置換され;そして
各R
1は独立して、重水素、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール、C
2~C
10アルケニル、C
2~C
10アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6シクロアルキルアリール、または-C
1~C
10アルキル-O-C
1~C
10アルキル;
C
1~C
10アルキルアリール-O-C
1~C
10アルキルアリールであり、ここで、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシルで置換される、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項21】
前記式中、R
Aは、-OC
1~C
10アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項22】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項23】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルであり、C
6~C
20アルキル中の各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2によって置換され、ここでR
1は独立して、重水素または-C
1~C
10アルキル-O-C
1~C
10アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項24】
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン;(ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン;(ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項25】
前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランである、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項26】
前記指紋非視認性コーティングはさらに、以下の式(I)~(IV)からなる群から選択される架橋シランを含み、
(I)(SiX
n)-Y
1、
(II)(SiX
n)-Y
2-(SiX
n)、
(III)(SiX
n)-Y
3-(SiX
n)-(SiX
n)、および
(IV)(SiX
n)-(SiX
n)-Y
4-(SiX
n)-(SiX
n)
式中:
Y
1は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(I)の各シリコンは原子Y
1中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
2は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(II)の各シリコンは原子Y
2中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
3は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(III)の各シリコンは原子Y
3中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
4は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(IV)の各シリコンは原子Y
4中の同じまたは異なる炭素に結合し、
各Xは、独立して、ハロゲン、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
2~C
6)カルボキシ、および(C
1~C
6)オキシモ、(C
1~C
6)アリールアルコキシから選択される一価の脱離基であり、そして
nは、1以上3以下の整数である、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項27】
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、300Da以上の重量平均分子量を有する、先行する請求項のいずれかに記載の指紋非視認性組成物。
【請求項28】
指紋非視認性組成物を形成するための方法であって、
水およびアルコールを含む第1の溶媒中で、アルキルシランを重合させて、非フッ素化アルキルシラン加水分解物を形成するステップと、
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物を第2の溶媒中で少なくとも0.01mg/Lで100g/L未満の濃度まで溶解させるステップとを含む、方法。
【請求項29】
前記第1の溶媒中の水のアルコールに対する比は、1:1000から1000:1である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記重合させて、前記加水分解物を形成するステップは、前記第1の溶媒の還流まで約-10℃の温度で実施される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
前記アルキルシランは、以下の構造式:
(R
A)
3SiR
B
を有し、
各R
Aは独立して、-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、または-OC
3~C
10アルキニルであり;
各R
BはC
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルであり;
-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、-OC
3~C
10アルキニル、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、C(O)OR
1、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、SC
1~C
6アルキル、S(O)C
1~C
6アルキル、-S(O)
2C
1~C
6アルキル、-S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-N(H)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3、-N(R
1)C
1~C
6アルキル-N(R
1)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3-N(H)C
1~C
6アルキル-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2、または-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3で置換され;そして
各R
1は独立して、重水素、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール、C
2~C
10アルケニル、C
2~C
10アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6シクロアルキルアリール、または-C
1~C
10アルキル-O-C
1~C
10アルキル;
C
1~C
10アルキルアリール-O-C
1~C
10アルキルアリールであり、ここで、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシルで置換される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記式中、R
Aは、-OC
1~C
6アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルであり、C
6~C
20アルキル中の各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2によって置換され、ここでR
1は独立して、重水素または-C
1~C
6アルキル-O-C
1~C
6アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン;(ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン;(ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記第1の溶媒中に存在する水のアルコールに対する比は、1:1000から1000:1の間である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
前記アルコールは、エタノールを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記第1の溶媒は、0から14の間のpHを有する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記第1の溶媒は、6から8の間のpHを有する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記第2の溶媒は、水、アルコール、またはそれらの混合物を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記方法はさらに、架橋シランの存在下で前記アルキルシランを重合させるステップを含み、前記架橋シランは、以下の式(I)~(IV)からなる群から選択され、
(I)(SiX
n)-Y
1、
(II)(SiX
n)-Y
2-(SiX
n)、
(III)(SiX
n)-Y
3-(SiX
n)-(SiX
n)、および
(IV)(SiX
n)-(SiX
n)-Y
4-(SiX
n)-(SiX
n)
式中:
Y
1は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(I)の各シリコンは原子Y
1中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
2は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(II)の各シリコンは原子Y
2中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
3は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(III)の各シリコンは原子Y
3中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
4は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(IV)の各シリコンは原子Y
4中の同じまたは異なる炭素に結合し、
各Xは、独立して、ハロゲン、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
2~C
6)カルボキシ、および(C
1~C
6)オキシモ、(C
1~C
6)アリールアルコキシから選択される一価の脱離基であり、そして
nは、1以上3以下の整数である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
前記重合させて、前記加水分解物を形成するステップは、0.1時間以上72時間以下で実施される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項44】
前記方法はさらに、重合した前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物を精製するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
指紋非視認性表面を形成するための方法であって、
基材の表面に、
溶媒と、
100,000Da未満で少なくとも300Daの重量平均分子量を有する非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーと
を含む配合物を積層させるステップと、
前記配合物を硬化させて、前記指紋非視認性表面を形成するステップとを含む、方法。
【請求項46】
前記積層させるステップは、噴霧、浸漬、拭き取り、化学蒸着(CVD)、または物理蒸着(PVD)を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記溶媒は、アルコールを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
前記アルコールは、C
1~C
6アルキル‐OHである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記基材は、ガラス、ガラスセラミック、木材、金属、金属酸化物、またはポリマーからなる群から選択される材料を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
前記硬化させて、前記指紋非視認性表面を形成するステップは、前記配合物を20℃以上で250℃以下の温度まで加熱することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項51】
前記硬化させて、前記指紋非視認性表面を形成するステップは、0.1時間以上48時間以下で実行される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項52】
前記積層させるステップは、0.1nm以上で300nm以下の厚さを有する前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを含む層を形成することを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記配合物は、0.01mg/Lから100g/Lの濃度で前記溶媒に溶解された前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
硬化後、前記指紋非視認性表面は、約45°未満のジヨードメタンを使用する初期接触角および約65°を超える初期水接触角を有する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
硬化後、前記指紋非視認性コーティングは、約50°未満のジヨードメタンを使用する初期接触角および/または約65°を超える初期水接触角を有する表面を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
硬化後、前記指紋非視認性コーティングは、約0.15未満の摩擦係数を有する、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
硬化後、前記指紋非視認性コーティングは、1500サイクルの消しゴム摩耗後に少なくとも50度の水接触角を維持することができる、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、以下の構造式:
(R
A)
3SiR
B
を有するアルキルシランから形成され、
各R
Aは独立して、-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、または-OC
3~C
10アルキニルであり;
各R
BはC
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニルであり;
-OC
1~C
10アルキル、-OC
6~C
10アルキルアリール、-OC
2~C
10アルケニル、-OC
3~C
10アルキニル、C
1~C
20アルキル、C
6~C
20アルキルアリール、C
2~C
20アルケニル、またはC
2~C
20アルキニル中の各水素原子は、独立して任意に、重水素、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、C(O)OR
1、-C(O)NH
2、-C(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-C(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、SC
1~C
6アルキル、S(O)C
1~C
6アルキル、-S(O)
2C
1~C
6アルキル、-S(O)NH(C
1~C
6アルキル)、-S(O)
2NH(C
1~C
6アルキル)、S(O)N(C
1~C
6アルキル)
2、-S(O)
2N(C
1~C
6アルキル)
2、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-N(H)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3、-N(R
1)C
1~C
6アルキル-N(R
1)C
1~C
6アルキル-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3-N(H)C
1~C
6アルキル-N(H)C
1~C
6アルキル-NH
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2、または-Si(-OC
1~C
6アルキル)
3で置換され;そして
各R
1は独立して、重水素、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール、C
2~C
10アルケニル、C
2~C
10アルキニル、C
3~C
6シクロアルキル、C
3~C
6シクロアルキルアリール、または-C
1~C
10アルキル-O-C
1~C
10アルキル;
C
1~C
10アルキルアリール-O-C
1~C
10アルキルアリールであり、ここで、C
1~C
10アルキル、C
1~C
10アルキルアリール中の各水素原子は、任意に、ヒドロキシルで置換される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
前記式中、R
Aは、-OC
1~C
10アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
前記式中、R
Bは、C
6~C
20アルキルであり、C
6~C
20アルキル中の各水素原子は、独立して任意に、ハロゲン、-OH、-CN、-OR
1、-CO
2H、-NH
2、NH(C
1~C
6アルキル)、-N(C
1~C
6アルキル)
2、-P(C
1~C
6アルキル)
2、-P(O)(C
1~C
6アルキル)
2、-PO
3H
2によって置換され、ここでR
1は独立して、重水素または-C
1~C
6アルキル-O-C
1~C
6アルキルである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
前記アルキルシランは、(クロロウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリエトキシ)シラン、(クロロヘキシル)(トリメトキシ)シラン、11-(2-メトキシエトキシ)ウンデシルトリメトキシシラン、(アミノウンデシル)(トリエトキシ)シラン、(アミノウンデシル)(トリメトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリエトキシ)シラン、(ヒドロキシデシル)(トリメトキシ)シラン;(ウンデシリン酸)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシウンデシル)(トリエトキシ)シラン;(ヒドロキシヘプチル)(トリエトキシ)シラン;(ホスホウンデシル)(トリエトキシ)シランからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
前記アルキルシランは、11-クロロウンデシルトリエトキシシランである、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
前記配合物はさらに、以下の式(I)~(IV)からなる群から選択される架橋シランを含み、
(I)(SiX
n)-Y
1、
(II)(SiX
n)-Y
2-(SiX
n)、
(III)(SiX
n)-Y
3-(SiX
n)-(SiX
n)、および
(IV)(SiX
n)-(SiX
n)-Y
4-(SiX
n)-(SiX
n)
式中:
Y
1は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(I)の各シリコンは原子Y
1中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
2は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(II)の各シリコンは原子Y
2中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
3は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(III)の各シリコンは原子Y
3中の同じまたは異なる炭素に結合し、
Y
4は(C
2~C
30)線状、分岐またはシクロアルキル、アリールアルキル、アルキルアリールであり、式(IV)の各シリコンは原子Y
4中の同じまたは異なる炭素に結合し、
各Xは、独立して、ハロゲン、(C
1~C
6)アルコキシ、(C
2~C
6)カルボキシ、および(C
1~C
6)オキシモ、(C
1~C
6)アリールアルコキシから選択される一価の脱離基であり、そして
nは、1以上3以下の整数である、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
前記配合物は、酸を含まない、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
前記方法はさらに、不活性ガス、N
2、O
2、および前述のガスの少なくとも2つの混合物からなる群から選択される少なくとも1つのガスのプラズマに前記表面を曝露することによって前記基材の前記表面を活性化するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項67】
前記非フッ素化アルキルシラン加水分解物ポリマーは、ヒドロキシ、カルボキシ、アミノ、ハロ、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される官能基を含む、先行する請求項のいずれかに記載の物品、組成物、または方法。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】