(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-09
(54)【発明の名称】デコフィルム、これを有するウィンドウフィルムと積層体、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/20 20060101AFI20220602BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20220602BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20220602BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220602BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20220602BHJP
【FI】
B32B27/20 A
B32B27/00 E
G02F1/1335
G09F9/00 366A
G09F9/00 313
B32B7/023
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558598
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(85)【翻訳文提出日】2021-09-29
(86)【国際出願番号】 KR2020003935
(87)【国際公開番号】W WO2020204430
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】10-2019-0036756
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0016354
(32)【優先日】2020-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514217912
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132,Yakchon-ro,Iksan-si Jeollabuk-do 570-977,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】キム,ドクキョム
(72)【発明者】
【氏名】イ,キョン モ
(72)【発明者】
【氏名】イ,テ ヒョン
【テーマコード(参考)】
2H291
4F100
5G435
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
デコフィルムは、有機膜から構成される保護層、そして保護層の前面にパターニングされて形成され単一層の有機膜から構成され且つ表示部領域との境界に単一段差のテーパー部を有するブラックマトリックスを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機膜から構成される保護層;
前記保護層の前面にパターニングされて形成され、単一層の有機膜から構成され、且つ表示部領域との境界に単一段差のテーパー部を有するブラックマトリックスを含む、デコフィルム。
【請求項2】
前記保護層の裏面に結合し且つ有機膜から構成される分離層を含む、請求項1に記載のデコフィルム。
【請求項3】
前記保護層及びブラックマトリックスの前面に形成され、且つ透明有機膜から構成される平坦化層を含む、請求項1又は2に記載のデコフィルム。
【請求項4】
前記平坦化層は、オーバーコーティング層から構成され、且つ1~2.5μmの厚さを有する、請求項3に記載のデコフィルム。
【請求項5】
前記保護層及びブラックマトリックスの前面に形成され、且つ厚さが1~50μmである粘着層を含む、請求項1又は2に記載のデコフィルム。
【請求項6】
前記ブラックマトリックスは、表示部領域から0.5~2μmの幅範囲内にスロープが形成される、請求項1又は2に記載のデコフィルム。
【請求項7】
前記ブラックマトリックスは、前記スロープ以降の領域において均一な厚さを有する、請求項6に記載のデコフィルム。
【請求項8】
前記ブラックマトリックスは、前記スロープ以降の領域において厚さ1.2~2.0μm、光学密度5以上を有する、請求項7に記載のデコフィルム。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のデコフィルム;
前記デコフィルムの保護層又は分離層の裏面に結合する接着層;
前記接着層に結合する機能層を含む、ウィンドウフィルム。
【請求項10】
前記機能層は、
透明フィルム、偏光板、タッチセンサ層、防湿フィルム、超薄型ガラスである、請求項9に記載のウィンドウフィルム。
【請求項11】
前記透明フィルムは、ポリエチレンエーテルフタレート(polyethyleneetherphthalate)、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリアリーレート(polyarylate)、ポリエーテルイミド(polyetherimide)、ポリエーテルスルホン酸(polyethersulfonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate)、トリアセチルセルロース(Triacetyl Cellulose)、シクロオレフィンポリマー(Cyclo-olefin Polymer)、アラミド(Aramide)、FRP、ポリウレタン(polyurethane)、ポリアクリレート(polyacrylate)、及びポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、請求項10に記載のウィンドウフィルム。
【請求項12】
前記透明フィルムは、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate)、無色のポリイミド(polyimide)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate)と無色のポリイミド(polyimide)との積層体、又はハードコーティングを含む無色のポリイミド(polyimide)から構成される、請求項11に記載のウィンドウフィルム。
【請求項13】
請求項9に記載のウィンドウフィルム;
前記ウィンドウフィルム上に積層されるタッチセンサ又はアンテナを含む、ウィンドウ積層体。
【請求項14】
キャリア基板の前面に有機膜から構成される分離層を形成するステップ;
前記分離層の前面に有機膜から構成される保護層を形成するステップ;
前記保護層の前面に感光性黒色樹脂組成物をコーティングするステップ;
前記感光性黒色樹脂組成物を露光、現像して単一層及び単一段差を有するブラックマトリックスを形成するステップ;
前記ブラックマトリックスをポストベーク(Post Bake)するステップ;
前記保護層から前記分離層とキャリア基板を分離してデコフィルムを形成するステップを含む、デコフィルムの製造方法。
【請求項15】
キャリア基板の前面に有機膜から構成される分離層を形成するステップ;
前記分離層の前面に有機膜から構成される保護層を形成するステップ;
前記保護層の前面に感光性黒色樹脂組成物をコーティングするステップ;
前記感光性黒色樹脂組成物を露光、現像して単一層及び単一段差を有するブラックマトリックスを形成するステップ;
前記ブラックマトリックスをポストベーク(Post Bake)するステップ;
前記分離層から前記キャリア基板を分離してデコフィルムを形成するステップを含む、デコフィルムの製造方法。
【請求項16】
前記保護層及びブラックマトリックスの前面に透明有機膜から構成されるオーバーコーティング平坦化層を形成するステップを含む、請求項14又は15に記載のデコフィルムの製造方法。
【請求項17】
前記平坦化層は、フォトリソグラフィ工程で形成される、請求項16に記載のデコフィルムの製造方法。
【請求項18】
前記保護層及びブラックマトリックスの前面に粘着層を形成するステップを含む、請求項14又は15に記載のデコフィルムの製造方法。
【請求項19】
前記ポストベーク(Post Bake)ステップでは、190~250℃で10~30分間熱処理を施す、請求項14又は15に記載のデコフィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デコフィルムに係り、より詳しくは、ブラックマトリックスを有するデコフィルム、これを有するウィンドウフィルムと積層体、そしてそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デコフィルムは、光を遮断すると共に装飾機能を遂行するものであり、デコフィルムを含み得る装置や素材、例えば、フレキシブルディスプレイ用ウィンドウ(超薄型ガラスウィンドウ、フィルムウィンドウなど)、層間挿入フィルム(衝撃吸収層、飛散防止層など)、タッチセンサ、偏光層などに広く用いられている。
【0003】
デコフィルムがタッチセンサに用いられる例をみると、タッチセンサは感知セルから構成されて光が透過する中央の表示部領域(View Area)と配線部が配置され光が遮断される縁のベゼル領域(Bezel Area)とに分けられ、ベゼル領域にはデコフィルムが貼り付けられ得る。デコフィルムは、光を遮断するブラックマトリックス(Black Matrix)を含み得る。
【0004】
タッチセンサに用いられた先行技術として、韓国特許公開第2018-0107347号(デコフィルム一体型タッチセンサ及びその製造方法)があり、内容をみると、デコフィルム部の裏面を覆う銀ナノファイバー層を含み、銀ナノファイバー層にタッチセンサの透明電極を形成している。このような構造により、韓国特許公開第2018-0107347号ではブラックマトリックスの段差除去のためのUVグルー層を無くすことができる。
【0005】
しかし、タッチセンサに適用された従来技術のデコフィルムは、依然としてブラックマトリックスの段差及び銀ナノファイバー層の厚膜性によってデコフィルムが厚く、表示部領域とブラックマトリックス領域との境界から光が漏れるという問題が発生することがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためのものであって、
第一、ブラックマトリックスの厚さを最小化してデコフィルムの厚さを一層低減することができ、
第二、表示部領域とブラックマトリックスとの境界からの光漏れを最小化することができるデコフィルムを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するための本発明に係るデコフィルムは、保護層、ブラックマトリックスなどを含んで構成してよい。
【0008】
保護層は、有機膜から構成してよい。
【0009】
ブラックマトリックスは、保護層の前面にパターニングされて形成されてよい。ブラックマトリックスは、単一層の有機膜から構成してよく、表示部領域との境界に単一段差のテーパー部を有してよい。
【0010】
本発明に係るデコフィルムは、分離層を更に含んでよい。分離層は、保護層の裏面に結合し且つ有機膜から構成してよい。
【0011】
本発明に係るデコフィルムは、保護層及びブラックマトリックスの前面に形成され且つ透明有機膜から構成される平坦化層を含んでよい。
【0012】
本発明に係るデコフィルムにおいて、平坦化層は、オーバーコーティング層から構成され、且つ1~2.5μmの厚さを有してよい。
【0013】
本発明に係るデコフィルムは、粘着層を含んでよい。粘着層は、保護層及びブラックマトリックスの前面に形成され、且つ1~50μmの厚さを有するように構成してよい。
本発明に係るデコフィルムにおいて、ブラックマトリックスは、表示部領域から0.5~2μmの線幅範囲内にスロープが形成されてよい。
【0014】
本発明に係るデコフィルムにおいて、ブラックマトリックスは、スロープ以降の領域において均一な厚さを有してよい。
【0015】
本発明に係るデコフィルムにおいて、ブラックマトリックスは、スロープ以降の領域において厚さ1.2~2.0μm、光学密度5以上を有してよい。
【0016】
本発明に係るウィンドウフィルムは、上述したデコフィルム、デコフィルムの分離層の裏面に結合する接着層、そして接着層に結合する機能層を含んでよい。
【0017】
本発明に係るウィンドウフィルムにおいて、機能層は、透明フィルム、偏光板、タッチセンサ層、防湿フィルム、超薄型ガラスであってよい。ここで、超薄型ガラスは、厚さ25~50μmを有してよい。
【0018】
本発明に係るウィンドウフィルムにおいて、透明フィルムは、ポリエチレンエーテルフタレート(polyethyleneetherphthalate)、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリアリーレート(polyarylate)、ポリエーテルイミド(polyetherimide)、ポリエーテルスルホン酸(polyethersulfonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate)、トリアセチルセルロース(Triacetyl Cellulose)、シクロオレフィンポリマー(Cyclo-olefin Polymer)、アラミド(Aramide)、FRP、ポリウレタン(polyurethane)、ポリアクリレート(polyacrylate)、及びポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)からなる群より選ばれる少なくとも一つであってよい。
【0019】
本発明に係るウィンドウフィルムにおいて、透明フィルムは、特に、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate)、無色のポリイミド(polyimide)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate)と無色のポリイミド(polyimide)との積層体、又はハードコーティングを含む無色のポリイミド(polyimide)から構成してよい。
【0020】
本発明に係るウィンドウ積層体は、上述したウィンドウフィルム、そしてウィンドウフィルム上に積層されるタッチセンサ又はアンテナを含んでよい。
【0021】
本発明に係るデコフィルムの製造方法は、キャリア基板の前面に有機膜から構成される分離層を形成するステップ、分離層の前面に有機膜から構成される保護層を形成するステップ、保護層の前面に感光性黒色樹脂組成物をコーティングするステップ、感光性黒色樹脂組成物を露光、現像して単一層及び単一段差を有するブラックマトリックスを形成するステップ、ブラックマトリックスをポストベークするステップ、保護層から分離層とキャリア基板を分離してデコフィルムを形成するステップなどを含んでよい。
【0022】
本発明に係る他のデコフィルムの製造方法は、キャリア基板の前面に有機膜から構成される分離層を形成するステップ、分離層の前面に有機膜から構成される保護層を形成するステップ、保護層の前面に感光性黒色樹脂組成物をコーティングするステップ、感光性黒色樹脂組成物を露光、現像して単一層及び単一段差を有するブラックマトリックスを形成するステップ、ブラックマトリックスをポストベークするステップ、分離層からキャリア基板を分離してデコフィルムを形成するステップなどを含んでよい。
【0023】
本発明に係るデコフィルムの製造方法は、保護層及びブラックマトリックスの前面に透明有機膜から構成されるオーバーコーティング平坦化層を形成するステップを含んでよい。
【0024】
本発明に係るデコフィルムの製造方法において、平坦化層は、フォトリソグラフィ工程で形成されてよい。
【0025】
本発明に係るデコフィルムの製造方法は、保護層及びブラックマトリックスの前面に粘着層を形成するステップを含んでよい。
【0026】
本発明に係るデコフィルムの製造方法において、ポストベーク(Post Bake)ステップでは、190~250℃で10~30分間熱処理が施されてよい。
【発明の効果】
【0027】
このような構成を有する本発明のデコフィルムによれば、ブラックマトリックスをフォトリソグラフィ工程によって単一層及び単一段差を有するように構成することで、ブラックマトリックスの厚さを2.0μm以下に最小化することができ、これにより、ブラックマトリックスの上部に積層される平坦化層の厚さを低減することができ、結果として、デコフィルムの全体厚さを大きく低減することができる。
【0028】
また、本発明のデコフィルムによれば、ブラックマトリックスを表示部領域から少なくとも2μm離間した地点から5以上の光学密度になるようにすることで、表示部領域とブラックマトリックス領域との境界の光漏れを最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明に係る第1実施例のデコフィルムの断面図である。
【
図2】本発明に係る第1実施例のデコフィルムにおけるブラックマトリックスの形状を示す拡大写真である。
【
図3】本発明に係る第2実施例のデコフィルムの断面図である。
【
図4】本発明に係るデコフィルムの製造工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明を詳しく説明する。
【0031】
図1は、本発明に係る第1実施例のデコフィルムの断面図である。
【0032】
図1に示したように、第1実施例のデコフィルムは、保護層110、ブラックマトリックス120、平坦化層130などを含んで構成してよい。
【0033】
保護層110は、ブラックマトリックス120の汚染を防止し、且つ製造工程において保護層110から分離層140とキャリア基板200を分離するときにおけるブラックマトリックス120の損傷を防止することができる。
【0034】
保護層110は、水酸基、カルボキシル基、及びアミド基のうちの少なくとも一つを有する高分子を含む有機膜から形成してよい。
【0035】
ブラックマトリックス120は、保護層110の前面にパターニング形成されて光を遮断する遮光層として機能し得る。ブラックマトリックス120は、ディスプレイ装置の非表示部領域、すなわち、表示部を取り囲むベゼル領域に位置してよい。
【0036】
ブラックマトリックス120は、薄膜の単一層から形成してよい。ブラックマトリックス120は、単一段差のテーパー部を有してよい。
【0037】
ブラックマトリックス120は、黒色樹脂組成物から構成してよい。黒色樹脂組成物としては、黒色顔料粒子が分散された樹脂、バインダ樹脂、重合性化合物、重合性開始剤、添加剤などを含む組成物や黒色顔料を含んで黒色を帯びる光硬化(熱硬化)性樹脂組成物を用いてよい。ブラックマトリックス120は、光学密度が1μm当たり3.8以上を有する選択的パターニングが可能な組成物を用いてよい。
【0038】
黒色顔料は、カーボンブラック、黒鉛、金属酸化物などであってよい。黒色顔料は、有機ブラック顔料を含んでよく、有機ブラック顔料は、アニリンブラック、ラクタムブラック又はペリレンブラック系などであってよい。
【0039】
添加剤は、密着促進剤、光架橋増感剤、硬化促進剤、界面活性剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱重合防止剤、レベリング剤などを含んでよく、これらのうちの一つ以上を含んでよい。
【0040】
ブラックマトリックス120は、薄膜構成のためにフォトリソグラフィ工程(Photolithography)で形成してよく、フォトリソグラフィ工程では、感光性黒色樹脂組成物を保護層110に塗布した後に感光性黒色樹脂組成物を露光及び現像して形成することができる。露光光源としては、波長が250~450nmの光を発する水銀蒸気アーク、炭素アーク、Xeアークなどを用いてよい。
【0041】
平坦化層130は、保護層110とブラックマトリックス120の前面に形成するものであって、ブラックマトリックス120の表面段差補正、平坦化、屈折率の制御、保護層などの機能を遂行することができる。
【0042】
平坦化層130は、有機膜から構成してよく、その他、無機膜、有機・無機ハイブリッド膜から構成してもよい。有機膜は、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリエステルなどを用いてよい。無機膜は、シラザン、シリカ、又は光透過率が確保された無機膜、金属膜などを用いてよい。無機膜には無機フィラーを含んでよい。無機フィラーは、光取り出し効率を向上させることができる球状ナノ粒子であってよい。有無・無機ハイブリッド膜は、シロキサン、シルセスキオキサンなどが分散された有機・無機ハイブリッド複合体を用いてよい。
【0043】
平坦化層130は、オーバーコーティング(over coating)層から構成してよく、この場合、平坦化層130、1~2.5μmの厚さを有するように構成してよい。
【0044】
図1において、オーバーコーティング平坦化層130に代えて粘着層又は接着層を形成してよく、この場合、粘着層は、感圧性粘着剤(pressure sensitive adhesive、PSA)組成物又は光学透明接着剤(optically clear adhesive、OCA)組成物を用いて形成してよい。例えば、粘着剤層は、アクリル系共重合体及び架橋剤を含む粘着剤組成物から形成し、又はウレタン(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレートエステル単量体及び光開始剤を含む粘着剤組成物から形成してよい。粘着層は、1~50μmの厚さを有するように構成してよい。
【0045】
図2は、本発明に係る第1実施例のデコフィルムにおけるブラックマトリックスの形状を示す拡大写真である。
【0046】
図2に示したように、ブラックマトリックス120は、フォトリソグラフィ工程によって薄膜の単一層から構成してよい。ブラックマトリックス120は、光学密度が厚さ1μm当たり3.8以上の有機物、例えば、感光性黒色樹脂組成物から構成してよい。ブラックマトリックス120は、5.0以上の光学密度を有するように構成することが好ましく、このために、厚さHを1.0~2.0μm、好ましくは、1.2~2.0μmに構成してよい。
【0047】
ブラックマトリックス120は、単一段差のテーパー部を有してよい。テーパー部は、スロープSを有してよい。スロープSはフォトリソグラフィ工程で形成されてよい。テーパー部は、下側にテール(tail)を有してよく、テールは、ポストベーク(Post Bake)工程で形成されてよい。ポストベーク工程では、190~250℃で10~30分間熱処理を施してよい。
【0048】
ブラックマトリックス120は、テーパー部の幅T、すなわち、表示部領域からブラックマトリックス120の最高厚さHの地点までの幅を2μm以内にしてよい、ブラックマトリックス120は、表示部領域から2μm離間した地点から光学密度を5以上、好ましくは、6以上、厚さHを、例えば、1.2~2.0μmにしてよい。
【0049】
ブラックマトリックス120は、表示部領域から0.5μm以降からは光学密度を3.0以上に確保するのが好ましい。
【0050】
ブラックマトリックス120は、表示部領域から0.5~2μmの幅範囲内にスロープSを形成してよい。ブラックマトリックス120は、スロープS以降の領域では均一な厚さを有してよい。
【0051】
このような構成により、ブラックマトリックス120は、表示部領域の境界からの光漏れを最小化することができる。
【0052】
図3は、本発明に係る第2実施例のデコフィルムの断面図である。
【0053】
図3に示したように、第2実施例のデコフィルムは、保護層110の裏面に分離層140を更に含むように構成してよい。
【0054】
分離層140は、前面に形成される保護層110とブラックマトリックス120を支持保保護するものであって、製造工程で保護層110又はキャリア基板200と分離されてよい。
【0055】
分離層140は、キャリア基板200、例えば、ガラス基板に対して剥離力が5N/25mm以下、好ましくは、1N/25mmであってよく、剥離後は表面エネルギーが30~70mN/mであってよい。分離層140は、10~1000nm厚さ、好ましくは、50~500nm厚さを有してよい。
【0056】
分離層140は、保護層110に対して剥離力が、例えば、8N/25mm以上15N/25mm以下であってよく、好ましくは、10N/25mm以上であってよい。
【0057】
分離層140は、高分子有機膜から構成してよく、高分子有機膜は、ポリイミド(polyimide)系高分子、ポリビニルアルコール(poly vinyl alcohol)系高分子、ポリアミック酸(polyamic acid)系高分子、ポリアミド(polyamide)系高分子、ポリエチレン(polyethylene)系高分子、ポリスチレン(polystylene)系高分子、ポリノルボルネン(polynorbornene)系高分子、フェニルマレイミド共重合体(phenylmaleimide copolymer)系高分子、ポリアゾベンゼン(polyazobenzene)系高分子、ポリフェニレンフタルアミド(polyphenylenephthalamide)系高分子、ポリエステル(polyester)系高分子、ポリメチルメタクリレート(polymethyl methacrylate)系高分子、ポリアリレート(polyarylate)系高分子、シンナメート(cinnamate)系高分子、クマリン(coumarin)系高分子、フタルイミジン(phthalimidine)系高分子、カルコン(chalcone)系高分子、芳香族アセチレン系高分子などを含む。
【0058】
図4は、本発明に係るデコフィルムの製造工程図である。
【0059】
先ず、
図4の(a)において、本発明に係るデコフィルムは、ガラス基板200を準備してよい。ガラス基板200は、キャリア基板であって、工程中に容易に撓んだり捩じれたりすることなく固定できる適正な強度を有するものであれば如何なる材質のものであってもよいが、例えば、ガラスの他、石英、シリコンウエハ、サスなどを用いてよい。
【0060】
図4の(b)において、ガラス基板200の前面に有機膜から構成される分離層140を形成してよい。
【0061】
分離層140は、スリットコーティング法、ナイフコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、マイクログラビアコーティング法、グラビアコーティング法、バーコーティング法、ロールコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットコーティング法、ディスペンサ印刷法、ノズルコーティング法、毛細管コーティング法などで形成してよい。
【0062】
図4の(c)において、分離層140の前面に保護層110を形成してよい。保護層は、水酸基、カルボキシル基、及びアミド基のうちの少なくとも一つを有する高分子を含む保護層形成用組成物をコーティング・硬化、蒸着などによって形成してよい。
【0063】
図4の(d)において、保護層110の前面に感光性黒色樹脂組成物120をコーティングしてよい。感光性黒色樹脂組成物120は、黒色顔料粒子が分散された樹脂、バインダ樹脂、重合性化合物、重合開始剤、添加剤などを含む組成物を用いてよく、光学密度が1μm当たり3.8以上を有する選択的パターニングが可能な組成物が好ましい。
【0064】
感光性黒色樹脂組成物120は、1.0~2.0μm、好ましくは、1.2~2.0μmの厚さで形成してよい。
【0065】
感光性黒色樹脂組成物120は、スリットコーティング法、ナイフコーティング法、スピンコーティング法、キャスティング法、マイクログラビアコーティング法、グラビアコーティング法、バーコーティング法、ロールコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ディップコーティング法、スプレーコーティング法などで形成してよい。
【0066】
図4の(e)において、感光性黒色樹脂組成物120をフォトマスク300を用いて露光してよい。露光光としては、可視光線、紫外線、X線、電子線などが用いられてよい。露光の前にプリベークを更に行ってよい。
【0067】
露光後の現像によってブラックマトリックスのパターンを形成することができる。現像は、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなどの炭酸塩を1~5重量%含有するアルカリ水溶液の原液を90~100倍希釈したものを用い、10~50℃の温度で現像装置、超音波洗浄装置などによって行ってよい。
【0068】
図4の(f)に示したように、パターニングされた感光性黒色樹脂組成物120は、単一層から構成され且つ単一段差のテーパー部を有するブラックマトリックスを形成してよい。
【0069】
図4の(f)において、パターニングされた感光性黒色樹脂組成物120は、ポストベークされてよい。ポストベークステップは190~250℃で10~30分間行ってよい。テーパー部のテールはフォトリソグラフィ工程上で熱処理工程によって調節されてよく、形状はブラックマトリックスの上部に位置する他の層、例えば、オーバーコーティング平坦化層、TSP配線、アンテナ配線などを形成するために調節されてよい。ポストベークは、ホットプレート、オーブンなどで加熱するか、赤外線を照射するか、又はコンベックションオーブンを用いて行ってよい。
【0070】
図4の(g-1)において、保護層110から分離層140とガラス基板200を分離して、第1実施例のデコフィルム110、120を形成してよい。
【0071】
又は、
図4の(g-2)のように、分離層140からガラス基板200を分離して分離層140を含む第2実施例のデコフィルム140、110、120を形成してもよい。
【0072】
図4の(h-1、h-2)において、第1実施例のデコフィルムは、前面に平坦化層130を、裏面に接着層400を介して機能層510、520を結合してよい。
【0073】
平坦化層130は、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリエステルなどの有機膜を用いてオーバーコーティング(over coating)層から構成してよく、この場合、平坦化層130は、1.5~2.5μmの厚さを有するように構成してよい。平坦化層130は、粘着層又は接着層から構成してもよく、この場合、平坦化層130は、1~50μmの厚さを有するように構成してよい。
【0074】
図4の(h-1、h-2)において、平坦化層130は、薄膜の形成のためにオーバーコーティング層と粘着層の両方でフォトリソグラフィ工程で形成してよい。勿論、平坦化層130を光硬化、熱硬化、光硬化と熱硬化との併用で形成することを排除することではない。
【0075】
図4の(h-1、h-2)において、接着層400は、ポリエステル系、ポリエーテル系、ウレタン系、エポキシ系、シリコン系、アクリル系などの熱硬化又は光硬化性接着剤を用いてよい。
【0076】
機能層510、520は、透明フィルム、偏光板、防湿フィルム、タッチセンサ層、超薄型ガラスなどを含んでよい。機能層は、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate)、無色のポリイミド(polyimide)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate)と無色のポリイミド(polyimide)との積層体、又はハードコーティングを含む無色のポリイミド(polyimide)などから構成される層であってよい。
【0077】
透明フィルムは、ポリエチレンエーテルフタレート(polyethyleneetherphthalate)、ポリエチレンナフタレート(polyethylenenaphthalate)、ポリカーボネート(polycarbonate)、ポリアリーレート(polyarylate)、ポリエーテルイミド(polyetherimide)、ポリエーテルスルホン酸(polyethersulfonate)、ポリイミド(polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate)、トリアセチルセルロース(Triacetyl Cellulose)、シクロオレフィンポリマー(Cyclo-olefin Polymer)、アラミド(Aramide)、FRP、ポリウレタン(polyurethane)、ポリアクリレート(polyacrylate)、及びポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane)からなる群より選ばれる少なくとも一つであってよい。
【0078】
本発明に係るウィンドウ積層体は、上述した機能層を含むデコフィルム、すなわち、ウィンドウフィルムと、ウィンドウフィルム上に積層されるタッチセンサ、アンテナなどから構成してよい。
【0079】
以上で説明した本発明に係るデコフィルムは、ベゼルパターンを含む多様なディスプレイ装置に適用することができる。ディスプレイ装置としては、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel、PDP)、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)、有機発光素子(Organic Light Emitting Diode、OLED)、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)、薄膜トランジスター液晶表示装置(Thin Film Transistor-Liquid Crystal Display、LCD-TFT)などを含んでよい。
【0080】
以上、本発明を多くの実施例を挙げて説明したが、これらは本発明を例証するためのものである。通常の技術者であればこれらの実施例を他の形態に変形したり修正したりすることができる。しかし、本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって定められるので、かかる変形や修正が本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0081】
110:保護層
120:ブラックマトリックス
130:平坦化層
140:分離層
200:ガラス基板
300:フォトマスク
400:接着層
510:ハードコーティング無色PIフィルム
520:PETフィルム
S:スロープ(slope)
T:テーパー部の幅
H:テーパー部の最高厚さ
【国際調査報告】