(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-09
(54)【発明の名称】電池システムの熱事象伝播の緩和のための装置
(51)【国際特許分類】
H01M 50/103 20210101AFI20220602BHJP
H01M 50/233 20210101ALI20220602BHJP
H01M 50/229 20210101ALI20220602BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20220602BHJP
H01M 50/204 20210101ALI20220602BHJP
H01M 50/231 20210101ALI20220602BHJP
H01M 50/224 20210101ALI20220602BHJP
H01M 50/222 20210101ALI20220602BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20220602BHJP
H01M 50/507 20210101ALI20220602BHJP
H01M 50/588 20210101ALI20220602BHJP
H01M 50/591 20210101ALI20220602BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20220602BHJP
H01M 50/367 20210101ALI20220602BHJP
H01M 50/124 20210101ALI20220602BHJP
H01M 50/121 20210101ALI20220602BHJP
H01M 50/131 20210101ALI20220602BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20220602BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20220602BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20220602BHJP
H01G 11/18 20130101ALI20220602BHJP
H01G 11/12 20130101ALI20220602BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20220602BHJP
【FI】
H01M50/103
H01M50/233
H01M50/229
H01M50/209
H01M50/204 401E
H01M50/204 201
H01M50/231
H01M50/224
H01M50/222
H01M50/505
H01M50/507
H01M50/588
H01M50/591
H01M50/342 101
H01M50/367
H01M50/342 201
H01M50/124
H01M50/121
H01M50/131
H01M10/052
H01M10/058
H01M50/249
H01G11/18
H01G11/12
H01G11/78
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021559029
(86)(22)【出願日】2019-04-01
(85)【翻訳文提出日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 US2019025155
(87)【国際公開番号】W WO2020204901
(87)【国際公開日】2020-10-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519219483
【氏名又は名称】スペア パワー システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】マベリー, ミッチ
(72)【発明者】
【氏名】アンデス, ジェイミー
(72)【発明者】
【氏名】ケーラー, リック
(72)【発明者】
【氏名】コールマン, シェーン
(72)【発明者】
【氏名】ミーハン, ジョー
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ, エリオット
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H012
5H029
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AA11
5E078AB02
5E078AB06
5E078HA02
5E078HA05
5E078HA12
5E078HA13
5E078JA02
5E078JA04
5E078JA05
5H011AA13
5H011CC02
5H011CC10
5H012AA07
5H012BB08
5H012CC03
5H012FF01
5H012GG01
5H029AJ12
5H029AM03
5H029AM07
5H029BJ02
5H029DJ02
5H040AA33
5H040AA37
5H040AS04
5H040AS06
5H040AS07
5H040AT02
5H040AY05
5H040DD03
5H040LL01
5H040LL04
5H040LL06
5H040LL10
5H043AA04
5H043BA19
5H043CA04
5H043CA05
5H043CA22
5H043DA08
5H043DA22
5H043FA04
5H043FA26
5H043GA25
(57)【要約】
電池モジュールアセンブリ(10)内の電池セル間の熱事象の伝播を緩和するための装置が提供される。この装置は、1つの電池セル(48)内の暴走熱事象が電池モジュールアセンブリ(10)内の別の電池セル内の火災または他の熱事象を引き起こすのを防止するように機能するいくつかの特徴のうちの1つまたは複数を備える。装置は、(i)電池セル(48)に被着された圧縮ラップ(88)、(ii)隣接する電池セル(48)の間に位置付けられた層状バリア材料(104)、(iii)電池端子(62,64)に隣接して位置付けられたシリコーンゴム支持体(94)、(iv)軽量で耐火性のハウジング複合パネル、(v)熱事象を受ける電池セルからガスおよび噴出物を排出するように構成された破断可能ダイアフラム(36)のうちの1つまたは複数を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角柱形電池セルであって、
前記電池セルの内容物が中に収容される外側セルケースであり、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する、外側セルケースと、
前記平坦面の少なくとも一部分および前記側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも一部分に対して被覆する関係において前記セルケースの周りに配置されている圧縮ラップであり、前記セルの熱膨張中に前記セルケースに作用するフープ応力を抑制するように動作可能である、圧縮ラップと、を備え、
前記圧縮ラップによって覆われておらず、噴出物およびガスが前記セルから放出される前記セル内の熱事象中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点を生成するように構成された前記側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも1つの側壁セグメントがある、角柱形電池セル。
【請求項2】
前記圧縮ラップは、前記少なくとも1つの所定の点での故障の前に前記圧縮ラップによって覆われている前記セルケース上の任意の位置での前記セルケースの故障を防止する、請求項1に記載の角柱形電池セル。
【請求項3】
圧縮ラップが、少なくとも2.5MPaの引張強度を含む、請求項1に記載の角柱形電池セル。
【請求項4】
前記圧縮ラップは、自己接着性ガラス繊維強化フィルムを含む、請求項1に記載の角柱形電池セル。
【請求項5】
前記少なくとも1つの所定のセルケース故障点は、2つの隣接する側壁セグメントの交差部に位置する、請求項1に記載の角柱形電池セル。
【請求項6】
前記圧縮ラップによって覆われていない前記側壁セグメント対のうちの1つの2つの側壁セグメントが存在し、前記側壁セグメント対のうちの前記1つの前記側壁セグメントの各々の中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点が形成される、請求項1に記載の角柱形電池セル。
【請求項7】
前記電池セルがリチウムイオン電池セルである、請求項1に記載の角柱形電池セル。
【請求項8】
角柱形電池セルを拘束する方法であって、
前記角柱形電池セルは、前記電池セルの内容物が中に収容されるセルケースを備え、前記セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈し、前記方法は、
前記平坦面の少なくとも一部分および前記側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも一部分に対して被覆する関係において前記セルケースに圧縮ラップを被着させることであり、前記圧縮ラップは、前記セルの熱膨張中に前記セルケースに作用するフープ応力を抑制するように機能する、被着させること、および
前記側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも1つの側壁セグメントを、前記圧縮ラップによって覆われないままにすることであり、よって、噴出物およびガスが前記セルから放出される前記セル内の熱事象中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点が生成される、覆われないままにすること、を含む、方法。
【請求項9】
前記圧縮ラップは、前記セルケースに接着されたガラス繊維強化フィルムである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記圧縮ラップは、前記所定の点での故障の前に前記圧縮ラップによって覆われている前記セルケース上の任意の位置での前記セルケースの故障を防止する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの所定のセルケース故障点は、2つの隣接する側壁セグメントの交差部に位置する、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記圧縮ラップによって覆われないままにされている前記側壁セグメント対のうちの1つの2つの側壁セグメントが存在し、前記側壁セグメント対のうちの前記1つの前記側壁セグメントの各々の中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点が形成される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記電池セルがリチウムイオン電池セルである、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
電池モジュールアセンブリであって、
少なくとも2つの電池セルと、
少なくとも1つの前記電池セル内で発生する熱事象のセル間伝播を熱的に隔離および制御または防止するように構成されている、間に配置された層状バリア材料と、を備え、
前記層状バリア材料は、少なくとも2つの異方性材料シートを含み、前記異方性材料シートのうちの少なくとも1つは、前記少なくとも2つの電池セルのうちの1つと直接対向接触しており、前記異方性材料シートのうちの少なくとも1つの他のシートは、前記少なくとも2つの電池セルのうちの他の1つと直接対向接触しており、前記少なくとも2つの異方性材料シートは、面内方向に高い熱伝導率を有し、前記シートが接触している前記セルの表面から外方に熱エネルギーを誘導するように動作可能であり、前記少なくとも2つの異方性材料シートは、接触している前記電池セルから生じる火炎が前記少なくとも1つの他の電池セルに向かう方向に浸透するのを防止および/または遅延させるように動作可能であり、
前記層状バリア材料は、任意選択的に、高い耐熱性を有する少なくとも2つの断熱材料シートを含み、前記少なくとも2つの断熱材料シートのうちの一方は、前記少なくとも2つの異方性材料シートのうちの1つと直接対向接触して位置付けられ、前記少なくとも2つの断熱材料シートのうちの他方は、前記少なくとも2つの異方性材料シートのうちの他方と直接対向接触して位置付けられ、前記少なくとも2つの断熱材料シートは、少なくとも1つの他の前記電池セルに向かう方向における、前記電池セルのうちの1つの電池セル内で生じる熱の流れを遅延および/または妨害するように動作可能であり、
前記層状バリア材料は、圧縮下にある、前記異方性材料および任意選択の断熱材料の少なくとも2つのシートの間に位置付けられたコンプライアント材料を含み、前記コンプライアント材料は、前記少なくとも2つの電池セルが通常のセル動作中に経験し得る熱誘起体積変化にかかわらず、前記少なくとも2つの異方性材料シートを前記少なくとも2つの電池セルと直接対向接触したままにするように動作可能である、電池モジュールアセンブリ。
【請求項15】
前記異方性材料が黒鉛状炭素を含む、請求項14に記載の電池モジュール。
【請求項16】
前記断熱材料は、コルク、ウール、またはガラス繊維を含む、請求項14に記載の電池モジュール。
【請求項17】
前記コンプライアント材料は、ウレタン、EPDM、PVC、またはシリコーンフォームを含む、請求項14に記載の電池モジュール。
【請求項18】
前記少なくとも2つの電池セルはリチウムイオン電池セルである、請求項14に記載の電池モジュール。
【請求項19】
少なくとも2つの電池セルを備える電池モジュールアセンブリ内の電池セルを熱的に隔離する方法であって、
前記少なくとも2つの電池セルの間に層状バリア材料を位置付けることを含み、前記層状バリア材料は、前記電池セルのうちの少なくとも1つの内部で発生する熱事象のセル間伝播を熱的に隔離および制御または防止するように構成されており、前記層状バリア材料を前記位置付けることは、
(i)第1の異方性材料シートを前記少なくとも2つの電池セルのうちの1つと直接対向接触させて配置することであって、前記異方性材料は、面内方向に高い熱伝導率を有し、前記シートが接触している前記セルの表面から外方に熱エネルギーを誘導するように動作可能であり、前記異方性材料は、接触している前記電池セルから生じる火炎が少なくとも1つの他の前記電池セルに向かう方向に浸透するのを防止および/または遅延させるように動作可能である、配置すること、
(ii)高い熱抵抗を有する第1の断熱材料シートを、前記第1の異方性材料シートと直接対向接触して配置することであって、前記断熱材料は、少なくとも1つの他の前記電池セルに向かう方向における、前記電池セルのうちの1つの中から生じる熱の流れを遅延および/または妨害するように動作可能である、配置することと、
(iii)第2の前記異方性材料シートを、前記少なくとも2つの電池セルのうちの他方と直接対向接触して配置すること、
(iv)第2の前記断熱材料シートを、前記第2の異方性材料シートと直接対向接触して配置すること、および
(v)コンプライアント材料を、前記断熱材料の第1および第2のシートとの間に位置付け、それらの間に圧縮下で維持することであって、前記コンプライアント材料は、前記少なくとも2つの電池セルが通常のセル動作中に経験し得る熱誘起体積変化にかかわらず、前記少なくとも2つの異方性材料シートを前記少なくとも2つの電池セルと直接対向接触したままにする、位置付け、維持すること、を含む、方法。
【請求項20】
前記異方性材料が黒鉛状炭素を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記断熱材料は、コルク、ウール、またはガラス繊維を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記コンプライアント材料は、ウレタン、EPDM、PVC、またはシリコーンフォームを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記少なくとも2つの電池セルはリチウムイオン電池セルを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
角柱形電池セルであって、
前記電池セルの内容物が収容される外側セルケースであり、前記セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する、外側セルケースと、
前記側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも1つのセルフランジと、
前記側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも2つの端子であり、前記少なくとも2つの端子は、前記少なくとも1つのセルフランジによって少なくとも部分的に囲まれている、少なくとも2つの端子と、
前記少なくとも1つのセルフランジの少なくとも1つの側面上に配置され、前記少なくとも1つのセルフランジの上に重なる少なくとも1つの柔軟な耐熱性材料ストリップと、を備える、角柱形電池セル。
【請求項25】
前記柔軟な耐熱性材料ストリップがシリコーンゴムを含む、請求項24に記載の角柱形電池セル。
【請求項26】
前記少なくとも1つのセルフランジは、前記端子のうちの少なくとも1つがそこから延在する前記側壁セグメントのうちの一方の全長に沿って延在し、前記少なくとも1つの材料ストリップは、前記少なくとも1つのセルフランジの全長にわたって延在し、前記電池セルが暴走熱事象を経験した場合に、前記材料ストリップの内側で前記セル側壁セグメントから火炎、噴出物、およびガスが排出されることを可能にするように動作可能である、請求項24に記載の角柱形電池セル。
【請求項27】
前記少なくとも1つの材料ストリップは、前記電池セルを前記電池セルの外部から発生する火炎、噴出物、およびガスから保護するように動作可能である、請求項24に記載の角柱形電池セル。
【請求項28】
前記少なくとも1つの材料ストリップは、前記少なくとも2つの端子のうちの1つを少なくとも部分的に覆う中央部分と、前記中央部分から側方に配置される外側部分とを備え、前記中央部分は、前記外側部分の厚さよりも大きい厚さを有する、請求項24に記載の角柱形電池セル。
【請求項29】
前記中央部分の厚さが、前記外側部分の厚さよりも少なくとも1.5倍大きい、請求項28に記載の角柱形電池セル。
【請求項30】
前記セルケースが、少なくとも1つの所定のセルケース故障点を備え、前記少なくとも1つの所定のセルケース故障点が、2つの隣接する側壁セグメントの交差部に位置し、前記少なくとも1つのセルフランジを覆う前記少なくとも1つの材料ストリップの内側に位置する、請求項24に記載の角柱形電池セル。
【請求項31】
前記セルがリチウムイオン電池セルである、請求項24に記載の角柱形電池セル。
【請求項32】
電池セルを物理的および熱的損傷から保護する方法であって、前記電池セルは、前記電池セルの内容物が収容される外側セルケースであり、前記セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する、外側セルケースと、前記側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも1つのセルフランジと、前記側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも2つの端子であり、前記少なくとも2つの端子は、前記少なくとも1つのセルフランジによって少なくとも部分的に囲まれている、少なくとも2つの端子とを備え、前記方法は、前記少なくとも1つのセルフランジの少なくとも1つの側面上に、少なくとも1つの柔軟な耐熱性材料ストリップを配置し、前記少なくとも1つのセルフランジの上に重ねることを含む、方法。
【請求項33】
前記柔軟な耐熱性材料ストリップがシリコーンゴムを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記少なくとも1つのセルフランジは、前記端子のうちの少なくとも1つがそこから延在する前記側壁セグメントのうちの一方の全長に沿って延在し、前記少なくとも1つの材料ストリップは、前記少なくとも1つのセルフランジの全長にわたって延在し、前記電池セルが暴走熱事象を経験した場合に、前記材料ストリップの内側で前記セル側壁セグメントから火炎、噴出物、およびガスが排出されることを可能にするように動作可能である、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも1つの材料ストリップは、前記電池セルを前記電池セルの外部から発生する火炎、噴出物、およびガスから保護するように動作可能である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
少なくとも1つの材料ストリップは、前記少なくとも2つの端子のうちの1つを少なくとも部分的に覆う中央部分と、前記中央部分から側方に配置される外側部分とを備え、前記中央部分は、前記外側部分の厚さよりも大きい厚さを有する、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
前記中央部分の厚さが、前記外側部分の厚さよりも少なくとも1.5倍大きい、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記セルケースが、少なくとも1つの所定のセルケース故障点を備え、前記少なくとも1つの所定のセルケース故障点が、2つの隣接する側壁セグメントの交差部に位置し、前記少なくとも1つのセルフランジを覆う前記少なくとも1つの材料ストリップの内側に位置する、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
前記セルがリチウムイオン電池セルである、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
複数の電池セルを収容するように構成された電池モジュールハウジングを備える電池モジュールアセンブリであって、前記電池モジュールハウジングは、外側金属または非金属構造層と、FR4定格シート材料の内側層と、それらの間に位置付けられた少なくとも1つの黒鉛状炭素シートとを備える少なくとも1つの複合パネルを備え、前記複合パネルは、前記電池モジュールハウジング内の1つまたは複数の電池セルに関連する熱事象からの噴出物およびガスの流れを前記ハウジング内に形成された出口に向かって導くように構成された通路を少なくとも部分的に画定する、電池モジュールアセンブリ。
【請求項41】
前記ハウジングが、前記複合パネルに対して交差方向に位置付けられた少なくとも1つの側部パネルをさらに備え、前記出口が、前記少なくとも一方の側部パネル内に形成されている、請求項40に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項42】
前記出口は、通常、前記熱事象に応答して開き、前記通路と前記ハウジングの外部との間の連通を可能にするように構成された破断可能ダイアフラムによって被覆されている、請求項41に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項43】
前記破断可能ダイアフラムが合成樹脂フィルム材料を含む、請求項42に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項44】
前記外側構造層は、アルミニウム、炭素繊維、または合成樹脂材料を含む、請求項40に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項45】
前記外側構造層はアルミニウムを含む、請求項44に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項46】
前記FR4定格シート材料は、織繊維ガラスおよびエポキシ樹脂積層材料を含む、請求項40に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項47】
前記電池モジュールアセンブリが、前記ハウジング内に位置する前記複数の電池セルを接続するように動作可能な1つまたは複数のバスバーをさらに備える、請求項40に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項48】
前記電池モジュールアセンブリは、前記1つまたは複数のバスバーを少なくとも部分的に覆い、前記1つまたは複数のバスバーの外側に位置し、前記通路内にある電気部品が、前記複数の電池セルのうちの1つまたは複数に関連する熱事象中に前記1つまたは複数のバスバーと接触しないように遮蔽するように構成された1つまたは複数のバスバーシールドをさらに備える、請求項47に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項49】
前記1つまたは複数のバスバーシールドは、FR4定格シート材料を含む、請求項48に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項50】
前記FR4定格シート材料は、織繊維ガラスおよびエポキシ樹脂積層材料を含む、請求項49に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項51】
前記1つまたは複数の電池セルは、リチウムイオン電池セルを含む、請求項40に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項52】
電池モジュールアセンブリであって、
複数の電池セルを収容するように構成された電池モジュールハウジングであって、前記ハウジング内の1つまたは複数の電池セルに関連する熱事象からの噴出物およびガスの流れを前記ハウジング内に形成された出口に向かって導くように構成された通路を少なくとも部分的に画定する、電池モジュールハウジングと、
前記ハウジング内に配置された前記複数の電池セルを接続するように動作可能な1つまたは複数のバスバーと、
前記1つまたは複数のバスバーを少なくとも部分的に覆い、前記1つまたは複数のバスバーの外側に位置し、前記通路内に位置する電気部品が、前記複数の電池セルのうちの1つまたは複数に関連する熱事象中に前記1つまたは複数のバスバーと接触しないように遮蔽するように構成された1つまたは複数のバスバーシールドと、を備える、電池モジュールアセンブリ。
【請求項53】
前記1つまたは複数のバスバーシールドは、FR4定格シート材料を含む、請求項52に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項54】
前記FR4定格シート材料は、織繊維ガラスおよびエポキシ樹脂積層材料を含む、請求項53に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項55】
電池モジュールアセンブリであって、
(1)複数の角柱形電池セルを収容するように構成された電池モジュールハウジングであり、前記角柱形電池セルのうちの1つまたは複数は、
(i)前記電池セルの内容物が収容される外側セルケースであり、前記セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する、外側セルケースと、
(ii)前記平坦面の少なくとも一部分および側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも一部分に対して被覆する関係において前記セルケースの周りに配置されている圧縮ラップであり、前記圧縮ラップは、前記セルの熱膨張中に前記セルケースに作用するフープ応力を抑制するように動作可能であり、前記圧縮ラップによって覆われず、噴出物およびガスが前記セルから放出される前記セル内の熱事象中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点を生成するように構成されている、前記側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも1つの側壁セグメントが存在する、圧縮ラップと、を備える、電池モジュールハウジングと、
(2)前記複数の角柱形電池セルのうちの少なくとも2つの間に位置付けられた層状バリア材料であり、前記層状バリア材料は、少なくとも1つの前記電池セル内で発生する熱事象のセル間伝播を熱的に隔離および制御または防止するように構成されており、前記層状バリア材料は、
(i)少なくとも2つの異方性材料シートであり、前記異方性材料シートのうちの少なくとも1つは、前記少なくとも2つの電池セルのうちの1つと直接対向接触しており、前記異方性材料シートのうちの少なくとも1つの他のシートは、前記少なくとも2つの電池セルのうちの他の1つと直接対向接触している、少なくとも2つの異方性材料シートと、
(ii)任意選択的に、少なくとも2つの断熱材料シートであり、前記少なくとも2つの断熱材料シートのうちの一方は、前記少なくとも2つの異方性材料シートのうちの1つと直接対向接触して位置付けられ、前記少なくとも2つの断熱材料シートのうちの他方は、前記少なくとも2つの異方性材料シートのうちの他方と直接対向接触して位置付けられる、少なくとも2つの断熱材料シートと、
(iii)圧縮下にある、前記少なくとも2つの断熱材料シートの間に位置付けられたコンプライアント材料であり、前記コンプライアント材料は、前記少なくとも2つの異方性材料シートを前記少なくとも2つの電池セルと直接対向接触したままにするように動作可能である、コンプライアント材料とを備える、層状バリア材料と、を備える、電池モジュールアセンブリ。
【請求項56】
前記少なくとも2つの異方性材料シートは、面内方向に高い熱伝導率を有し、前記シートが接触している前記セルの表面から外方に熱エネルギーを導くように動作可能であり、前記少なくとも2つの異方性材料シートは、前記少なくとも1つの他の電池セルに向かう方向における、接触している前記電池セルから生じる火炎の浸透を防止および/または遅延させるように動作可能である、請求項55に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項57】
前記異方性材料が黒鉛状炭素を含む、請求項55に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項58】
前記少なくとも2つの断熱材料シートは、前記少なくとも1つの他の電池セルに向かう方向における、前記電池セルのうちの1つの中から生じる熱の流れを遅延および/または妨害するように動作可能である、請求項55に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項59】
前記断熱材料は、コルク、ウール、またはガラス繊維を含む、請求項55に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項60】
前記コンプライアント材料は、前記複数の電池セルのうちの前記少なくとも2つの電池セルが通常のセル動作中に経験し得る熱誘起体積変化にかかわらず、前記少なくとも2つの異方性材料シートを前記複数の電池セルのうちの前記少なくとも2つの電池セルと直接対向接触したままにするように動作可能である、請求項55に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項61】
前記コンプライアント材料は、ウレタン、EPDM、PVC、またはシリコーンフォームを含む、請求項55に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項62】
前記複数の電池セルは、リチウムイオン電池セルを含む、請求項55に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項63】
前記圧縮ラップは、前記少なくとも1つの所定の点での故障の前に前記圧縮ラップによって覆われている前記セルケース上の任意の位置での前記セルケースの故障を防止する、請求項55に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項64】
圧縮ラップが、少なくとも2.5MPaの引張強度を含む、請求項55に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項65】
前記圧縮ラップは、自己接着性ガラス繊維強化フィルムを含む、請求項55に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項66】
前記少なくとも1つの所定のセルケース故障点は、2つの隣接する側壁セグメントの交差部に位置する、請求項55に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項67】
前記圧縮ラップによって覆われていない前記側壁セグメント対のうちの1つの2つの側壁セグメントが存在し、前記側壁セグメント対のうちの前記1つの前記側壁セグメントの各々の中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点が形成される、請求項55に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項68】
前記電池モジュールハウジングは、外側金属または非金属構造層と、FR4定格シート材料の内側層と、それらの間に位置付けられた少なくとも1つの黒鉛状炭素シートとを備える少なくとも1つの複合パネルを備え、前記複合パネルは、前記電池モジュールハウジング内の1つまたは複数の電池セルに関連する熱事象からの噴出物およびガスの流れを前記ハウジング内に形成された出口に向かって導くように構成された通路を少なくとも部分的に画定する、請求項55に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項69】
前記ハウジングが、前記複合パネルに対して交差方向に位置付けられた少なくとも1つの側部パネルをさらに備え、前記出口が、前記少なくとも一方の側部パネル内に形成されている、請求項68に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項70】
前記出口は、通常、前記熱事象に応答して開き、前記通路と前記ハウジングの外部との間の連通を可能にするように構成された破断可能ダイアフラムによって被覆されている、請求項69に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項71】
前記破断可能ダイアフラムが合成樹脂フィルム材料を含む、請求項70に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項72】
前記外側構造層は、アルミニウム、炭素繊維、または合成樹脂材料を含む、請求項68に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項73】
前記外側構造層はアルミニウムを含む、請求項72に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項74】
前記FR4定格シート材料は、織繊維ガラスおよびエポキシ樹脂積層材料を含む、請求項68に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項75】
前記電池モジュールアセンブリが、前記ハウジング内に位置する前記複数の電池セルを接続するように動作可能な1つまたは複数のバスバーをさらに備える、請求項68に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項76】
前記電池モジュールアセンブリは、前記1つまたは複数のバスバーを少なくとも部分的に覆い、前記1つまたは複数のバスバーの外側に位置し、前記通路内にある電気部品が、前記複数の電池セルのうちの1つまたは複数に関連する熱事象中に前記1つまたは複数のバスバーと接触しないように遮蔽するように構成された1つまたは複数のバスバーシールドをさらに備える、請求項75に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項77】
前記1つまたは複数のバスバーシールドは、FR4定格シート材料を含む、請求項76に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項78】
前記FR4定格シート材料は、織繊維ガラスおよびエポキシ樹脂積層材料を含む、請求項77に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項79】
前記複数の電池セルの各々は、前記側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも1つのセルフランジと、前記側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも2つの端子であり、前記少なくとも2つの端子は、前記少なくとも1つのセルフランジによって少なくとも部分的に囲まれている、少なくとも2つの端子とを備え、前記少なくとも1つのセルフランジの少なくとも1つの側面上に配置され、前記少なくとも1つのセルフランジの上に重なる少なくとも1つの柔軟な耐熱性材料ストリップが存在する、請求項55に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項80】
前記少なくとも1つの柔軟な耐熱性材料ストリップがシリコーンゴムを含む、請求項79に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項81】
前記少なくとも1つのセルフランジは、前記端子のうちの少なくとも1つがそこから延在する前記側壁セグメントのうちの一方の全長に沿って延在し、前記少なくとも1つの材料ストリップは、前記少なくとも1つのセルフランジの全長にわたって延在し、前記電池セルが暴走熱事象を経験した場合に、前記少なくとも1つの材料ストリップの内側で前記セル側壁セグメントから火炎、噴出物、およびガスが排出されることを可能にするように動作可能である、請求項79に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項82】
前記少なくとも1つの材料ストリップは、前記電池セルを前記電池セルの外部から発生する火炎、噴出物、およびガスから保護するように動作可能である、請求項79に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項83】
前記少なくとも1つの材料ストリップは、前記少なくとも2つの端子のうちの1つを少なくとも部分的に覆う中央部分と、前記中央部分から側方に配置される外側部分とを備え、前記中央部分は、前記外側部分の厚さよりも大きい厚さを有する、請求項79に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項84】
前記中央部分の厚さが、前記外側部分の厚さよりも少なくとも1.5倍大きい、請求項83に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項85】
前記少なくとも1つの所定のセルケース故障点は、前記少なくとも1つのセルフランジに重なる前記少なくとも1つの材料ストリップの内側に位置する、請求項79に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項86】
複数の角柱形電池セルを収容するように構成された電池モジュールハウジングを備える電池モジュールアセンブリであって、前記角柱形電池セルのうちの1つまたは複数は、
前記電池セルの内容物が中に収容される外側セルケースであり、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する、外側セルケースと、
前記平坦面の少なくとも一部分および前記側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも一部分に対して被覆する関係において前記セルケースの周りに配置されている圧縮ラップであり、前記セルの熱膨張中に前記セルケースに作用するフープ応力を抑制するように動作可能であり、前記圧縮ラップによって覆われておらず、噴出物およびガスが前記セルから放出される前記セル内の熱事象中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点を生成するように構成された前記側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも1つの側壁セグメントがある、圧縮ラップと、
前記側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも1つのセルフランジと、
前記側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも2つの端子であって、前記少なくとも2つの端子は、前記少なくとも1つのセルフランジによって少なくとも部分的に囲まれている、少なくとも2つの端子と、
前記少なくとも1つのセルフランジの少なくとも1つの側面上に配置され、前記少なくとも1つのセルフランジの上に重なる少なくとも1つの柔軟な耐熱性材料ストリップと、を備える、電池モジュールアセンブリ。
【請求項87】
電池モジュールアセンブリであって、
複数の電池セルを収容するように構成された電池モジュールハウジングと、
前記複数の電池セルのうちの少なくとも2つの間に位置付けられた層状バリア材料であり、前記層状バリア材料は、少なくとも1つの前記電池セル内で発生する熱事象のセル間伝播を熱的に隔離および制御または防止するように構成されており、前記層状バリア材料は、
(i)少なくとも2つの異方性材料シートであり、前記異方性材料シートのうちの少なくとも1つは、前記少なくとも2つの電池セルのうちの1つと直接対向接触しており、前記異方性材料シートのうちの少なくとも1つの他のシートは、前記少なくとも2つの電池セルのうちの他の1つと直接対向接触している、少なくとも2つの異方性材料シートと、
(ii)任意選択的に、少なくとも2つの断熱材料シートであり、前記少なくとも2つの断熱材料シートのうちの一方は、前記少なくとも2つの異方性材料シートのうちの1つと直接対向接触して位置付けられ、前記少なくとも2つの断熱材料シートのうちの他方は、前記少なくとも2つの異方性材料シートのうちの他方と直接対向接触して位置付けられる、少なくとも2つの断熱材料シートと、
(iii)圧縮下にある、前記少なくとも2つの断熱材料シートの間に位置付けられたコンプライアント材料であり、前記コンプライアント材料は、前記少なくとも2つの異方性材料シートを前記少なくとも2つの電池セルと直接対向接触したままにするように動作可能である、コンプライアント材料とを備え、
前記複数の電池セルの各々は、前記電池セルの内容物が収容される外側セルケースを備え、前記セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する、層状バリア材料と、
前記側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも1つのセルフランジと、
前記側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも2つの端子であって、前記少なくとも2つの端子は、前記少なくとも1つのセルフランジによって少なくとも部分的に囲まれている、少なくとも2つの端子と、
前記少なくとも1つのセルフランジの少なくとも1つの側面上に配置され、前記少なくとも1つのセルフランジの上に重なる少なくとも1つの柔軟な耐熱性材料ストリップと、を備える、電池モジュールアセンブリ。
【請求項88】
複数の角柱形電池セルを収容するように構成された電池モジュールハウジングを備える電池モジュールアセンブリであって、前記角柱形電池セルのうちの1つまたは複数は、
(i)前記電池セルの内容物が中に収容される外側セルケースであり、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する、外側セルケースと、
(ii)前記平坦面の少なくとも一部分および前記側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも一部分に対して被覆する関係において前記セルケースの周りに配置されている圧縮ラップであり、前記セルの熱膨張中に前記セルケースに作用するフープ応力を抑制するように動作可能であり、前記圧縮ラップによって覆われておらず、噴出物およびガスが前記セルから放出される前記セル内の熱事象中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点を生成するように構成された前記側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも1つの側壁セグメントがある、圧縮ラップと、を備え、
前記電池モジュールハウジングは、外側金属または非金属構造層と、FR4定格シート材料の内側層と、それらの間に位置付けられた少なくとも1つの黒鉛状炭素シートとを備える少なくとも1つの複合パネルを備え、
前記複合パネルは、前記電池モジュールハウジング内の1つまたは複数の電池セルに関連する熱事象からの噴出物およびガスの流れを前記ハウジング内に形成された出口に向かって導くように構成された通路を少なくとも部分的に画定する、
電池モジュールアセンブリ。
【請求項89】
電池モジュールアセンブリであって、
電池モジュールハウジングであり、前記電池モジュールハウジングの長さを延長する長手方向軸と、前記長手方向軸に垂直な交差方向軸とを有する、電池モジュールハウジングと、
前記電池モジュールハウジング内に配置された複数の電池セルと、
少なくとも2つの異方性材料シートを含む層状バリア材料であり、前記異方性材料シートのうちの少なくとも1つは、前記電池セルのうちの1つと直接対向接触しており、前記異方性材料シートのうちの少なくとも1つの他のシートは、前記電池セルのうちの少なくとも1つの他の電池セルと直接対向接触している、層状バリア材料と、を備え、
前記電池モジュールハウジングは、前記交差軸と平行な方向において前記複数の電池セルに圧縮力を加えるように構成されており、
前記複数の電池セルには、前記長手方向軸と平行な方向に圧縮力が加えられる、電池モジュールアセンブリ。
【請求項90】
角柱形電池セルアセンブリであって、
前記電池セルの内容物が収容される外側セルケースであり、前記セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を有する、外側セルケースと、
前記側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも1つのセルフランジと、
前記側壁セグメントのうちの1つから延在する少なくとも2つの端子であり、前記少なくとも2つの端子は、前記少なくとも1つのセルフランジによって少なくとも部分的に囲まれている、少なくとも2つの端子と、
前記側壁セグメントの周縁の大部分の周りに配置され、前記少なくとも1つのセルフランジの少なくとも一部分の上に重なる柔軟な耐熱材料のビードであって、前記ビードは、前記外側セルケースに圧縮力を加えるように動作可能である、ビードと、を備える、角柱形電池セルアセンブリ。
【請求項91】
電池モジュールアセンブリであって、
電池モジュールハウジングと、
前記電池モジュールハウジング内に配置された複数の電池セルと、
前記電池モジュールハウジングと前記複数の電池セルとの間に位置する少なくとも1つの通路であって、前記少なくとも1つの通路は、前記電池モジュールハウジング内の1つまたは複数の電池セルに関連する熱事象からの噴出物およびガスの流れを前記ハウジング内に形成された出口に向かって導くように構成されており、前記出口は、前記熱事象に応答して開き、前記通路と前記ハウジングの外部との間の連通を可能にするように構成された破断可能ダイアフラムで覆われており、前記破断可能ダイアフラムはまた、前記ハウジングの外部にある熱事象による開放に抵抗するように構成されている、少なくとも1つの通路と、を備える、電池モジュールアセンブリ。
【請求項92】
請求項1~7および24~31のいずれかに記載の角柱形電池セルまたは請求項90に記載の角柱形電池セルアセンブリを備える乗り物。
【請求項93】
前記乗り物が船舶である、請求項92に記載の乗り物。
【請求項94】
請求項14~18、40~89、および91のいずれか一項に記載の電池モジュールアセンブリを備える乗り物。
【請求項95】
前記乗り物が船舶である、請求項94に記載の乗り物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電池モジュールアセンブリ内の電池セル間の熱事象の伝播を緩和するための装置を対象とする。電池セルのうちの1つの内部で発生する熱事象は、電池セルからの火炎、熱および噴出物の放出を含む場合があり、同じ電池モジュール内の隣接する電池セルまたは同じ電池システム内の他の電池モジュールにおいて同様の熱事象を開始する深刻なリスクを生じさせる可能性がある。緩和装置は、電池システムのための受動的保護を提供し、電池システム全体の一部分として提供され得る他の能動的保護システムのためのフェイルセーフ機構として機能する。
【背景技術】
【0002】
動力供給機械および機器の代替的な環境に優しい供給源に対する需要が急増し続けている。特に、化石燃料の燃焼などによるより従来的な発電手段とは対照的に、動作のための電力を供給するために電池システムに依存する機械に対する需要が高まっている。電気自動車および従来は内燃機関によって動力供給されていた他の機械の人気の高まりは明らかであるが、電気推進システムをすでに使用している多くの他の種類の乗り物は、推進および他の動作システムに必要な電気を供給するために化石燃料発電機に依存し続けている。これらの乗り物には、貨物船、フェリー、航空機、採掘装置、飛行場サービス設備、ハイパーループポッド、および機関車が含まれる。輸送用途以外にも、電池駆動電気システムは、現在化石燃料発電、または太陽光や風力などの一貫性の低いクリーンエネルギー源に依存している多くのオフグリッド用途で使用することができる。
【0003】
リチウムイオン電池セルは、現在、多くの電力貯蔵用途に好ましい。しかしながら、これらのセルの使用に関連する安全上の懸念は周知であり、リチウムイオン電池セルを使用する大規模電池システムの安全な動作を保証するためのステップを取らなければならない。リチウムイオン電池セルの使用に関連する1つの特定の動作安全上の懸念は、熱エネルギー管理である。リチウムイオンセルは、通常のセル動作中に相当量の熱を放出する傾向がある。この熱の発生は管理される必要があり、システム設計は、電池セルが効率的かつ安全に動作できるように適切な冷却および/または放熱を考慮する必要がある。電池セルが過熱すると、電池セル内で暴走する化学反応が起こり、非常に深刻な結果を招くことがある。例えば、暴走セルは、爆発し、発火し、および/またはそこから高温ガスまたは材料を排出する可能性がある。その後、高温の噴出物、ガス、および火炎が、隣接する電池セルに拡散し、さらなる暴走セルを生じ、それによってすでに深刻な状態を悪化させる可能性がある。
【0004】
リチウムイオン電池システムは、多くの場合、電池システムの動作に関連する多数のパラメータを連続的に監視し、不都合な熱事象の始まりの兆候を検出し、それが問題になる前にそれを緩和するためのステップをとるように動作可能ないくつかの能動的監視および緩和システムを備えている。そのような緩和ステップは、問題のセルをオフラインにすること、火災抑制システムを起動すること、および/または問題のセルもしくはモジュールを検査するようにサービス技術者に警告することを含む。しかしながら、いくつかの業界規制当局は、能動的緩和システムが故障しまたは無効になった場合に、受動的バックアップまたはフェイルセーフシステムを提供することを要求している。ノルウェー海事局は、その水域内で活動するすべての電池駆動式船舶およびハイブリッド船舶のための受動的保護システムの存在を必要とするそのような規制機関の1つである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、電池システムと共に使用されて、その中に含まれる電池セルに関連する熱事象の伝播から保護し、その伝播を防止することができる装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、電池セルの内容物が中に収容される外側セルケースの少なくとも一部分の周りに配置された圧縮ラップを備える角柱形電池セルが提供される。圧縮ラップは、セルの熱膨張中にセルケースに作用するフープ応力を抑制するように動作可能である。好ましい実施形態では、外側セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する。圧縮ラップは、平坦面の少なくとも一部分および側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも一部分に対して被覆する関係においてセルケースの周りに配置される。特に好ましい実施形態では、圧縮ラップによって覆われておらず、噴出物、ガス、および/または火炎がセルから放出されるセル内の熱事象中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点を生成するように構成された側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも1つの側壁セグメントがある。
【0007】
本発明の別の実施形態によれば、電池セルの内容物が収容されるセルケースを備える角柱形電池セルを拘束する方法が提供される。好ましい実施形態では、セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する。本方法は、セルケースに圧縮ラップを被着させるステップを含む。特に好ましい実施形態では、圧縮ラップは、平坦面の少なくとも一部分および側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも一部分に対して被覆する関係において被着される。一般に、圧縮ラップは、セルの熱膨張中にセルケースに作用するフープ応力を抑制するように機能する。好ましい実施形態では、側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも1つの側壁セグメントは、圧縮ラップによって覆われていないままにされ、それによって、噴出物、ガス、および/または火炎がセルから放出されるセル内の熱事象中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点を生成する。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、電池セルの内容物が収容される外側セルケースを備える角柱形電池セルが提供される。セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する。側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも1つのセルフランジが存在する。少なくとも2つの端子が、側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する。少なくとも2つの端子は、少なくとも1つのセルフランジによって少なくとも部分的に囲まれている。少なくとも1つのセルフランジの少なくとも1つの側面上に配置され、少なくとも1つのセルフランジの上に重なる少なくとも1つの柔軟な耐熱性材料ストリップが存在する。
【0009】
本発明の別の実施形態によれば、物理的および熱的損傷から電池セルを保護する方法が提供される。電池セルは、電池セルの内容物が収容される外側セルケースを備える。セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する。少なくとも1つのセルフランジが、側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する。少なくとも2つの端子が、側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する。少なくとも2つの端子は、少なくとも1つのセルフランジによって少なくとも部分的に囲まれている。方法は、少なくとも1つの柔軟な耐熱性材料ストリップを、少なくとも1つのセルフランジの少なくとも1つの側面上に配置し、少なくとも1つのセルフランジの上に重ねることを含む。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、電池モジュールアセンブリが提供される。好ましい実施形態では、電池モジュールアセンブリは、少なくとも2つの電池セルと、
(i)少なくとも1つの電池セル内で発生する熱事象のセル間伝播を熱的に隔離および制御、防止、または緩和するように構成された少なくとも2つの電池セルの間に位置付けられた層状バリア材料、
(ii)複数の電池セルを収容するように構成され、外側金属層、FR4定格シート材料の内側層、およびそれらの間に位置付けられた少なくとも1つの黒鉛状炭素シートを含む少なくとも1つの複合パネルを含む電池モジュールハウジング、
(iii)電池モジュールハウジング内に位置付けられた少なくとも2つの電池セルを接続するように動作可能な1つまたは複数のバスバー、および、1つまたは複数のバスバーを少なくとも部分的に覆い、1つまたは複数のバスバーの外側に位置し、ハウジングの通路内に位置する電気部品が、複数の電池セルのうちの1つまたは複数に関連する熱イベント中に、1つまたは複数のバスバーと接触しないように遮蔽するように構成された1つまたは複数のバスバーシールド、ならびに
(iv)ハウジング内の通路、および、通路とハウジングの外側の環境とを相互接続する少なくとも1つの出口を備える電池モジュールハウジングであって、通常は通路を覆い、通路とハウジングの外側の環境との間の連通を遮断する破断可能ダイアフラムがある、電池モジュールハウジングのうちの1つまたは複数とを備える。
【0011】
本発明の好ましい実施形態では、層状バリア材料は、少なくとも2つの異方性材料シートを含む。異方性材料シートのうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの電池セルのうちの1つと直接対向接触しており、異方性材料シートのうちの少なくとも1つの他のシートは、少なくとも2つの電池セルのうちの他の1つと直接対向接触している。少なくとも2つの異方性材料シートは、面内方向に高い熱伝導率を有し、シートが接触しているセルの表面から外方に熱エネルギーを誘導するように動作可能である。少なくとも2つの異方性材料シートは、接触している電池セルから生じる火炎が少なくとも1つの他の電池セルに向かう方向に浸透するのを防止および/または遅延させるように動作可能である。層状バリア材料は、任意選択的に、高い耐熱性を有する少なくとも1つ、好ましくは少なくとも2つの断熱材料シートを含む。少なくとも2つの断熱材料シートが存在する場合、少なくとも2つの断熱材料シートのうちの一方は、少なくとも2つの異方性材料シートのうちの1つと直接対向接触して位置付けられ、少なくとも2つの断熱材料シートのうちの他方は、少なくとも2つの異方性材料シートのうちの他方と直接対向接触して位置付けられる。少なくとも2つの断熱材料シートは、少なくとも1つの他の電池セルに向かう方向における、電池セルのうちの1つの電池セル内で生じる熱の流れを遅延および/または妨害するように動作可能である。層状バリア材料は、圧縮下にある、異方性材料および任意選択の断熱材料の少なくとも2つのシートの間に位置付けられたコンプライアント材料をさらに含む。コンプライアント材料は、少なくとも2つの電池セルが通常のセル動作中に経験し得る熱誘起体積変化にかかわらず、少なくとも2つの異方性材料シートを少なくとも2つの電池セルと直接対向接触したままにするように動作可能である。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、電池モジュールハウジング複合パネルの外側金属層はアルミニウムを含み、FR4定格シート材料は織繊維ガラスおよびエポキシ樹脂積層材料を含む。複合パネルは、少なくとも部分的に、電池モジュールハウジング内の1つまたは複数の電池セルに関連する熱事象からの噴出物およびガスの流れを、ハウジング内に形成された出口に向かって導くように構成された通路を画定する。
【0013】
本発明の好ましい実施形態では、バスバーシールドは、FR4定格シート材料、より好ましくは織繊維ガラスおよびエポキシ樹脂積層材料を含む。バスバーシールドは、1つまたは複数の電池セルに関連する熱事象の結果として絶縁が損傷している可能性があるハウジングの通路内を通る配線が、バスバーの1つに接触して短絡を引き起こすのを防止するように動作する。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、電池モジュールアセンブリが提供される。電池モジュールアセンブリは、複数の角柱形電池セルを収容するように構成された電池モジュールハウジングを備える。角柱形電池セルのうちの1つまたは複数は、電池セルの内容物が収容される外側セルケースを備える。セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する。圧縮ラップは、平坦面の少なくとも一部分および側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも一部分に対して被覆する関係においてセルケースの周りに配置される。圧縮ラップは、セルの熱膨張中にセルケースに作用するフープ応力を抑制するように動作可能である。圧縮ラップによって覆われず、噴出物、ガス、および/または火炎がセルから放出されるセル内の熱事象中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点を生成するように構成されている、側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも1つの側壁セグメントが存在する。電池モジュールアセンブリは、複数の角柱形電池セルのうちの少なくとも2つの間に配置された層状バリア材料をさらに備える。層状バリア材料は、電池セルのうちの少なくとも1つの内部で発生する熱事象のセル間伝播を熱的に隔離および制御または防止するように構成される。層状バリア材料は、少なくとも2つの異方性材料シートを含む。異方性材料シートのうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの電池セルのうちの1つと直接対向接触している。異方性材料シートのうちの少なくとも1つの他のシートは、少なくとも2つの電池セルのうちの1つの他の電池セルと直接対向接触している。層状バリア材料は、任意選択的に、断熱材料の少なくとも1つ、好ましくは2つのシートを含む。断熱材料の2つのシートが使用される場合、少なくとも2つの断熱材料シートのうちの一方は、少なくとも2つの異方性材料シートのうちの1つと直接対向接触して位置付けられ、少なくとも2つの断熱材料シートのうちの他方は、少なくとも2つの異方性材料シートのうちの他方と直接対向接触して位置付けられる。層状バリア材料は、圧縮下にある、異方性材料および任意の断熱材料の少なくとも2つのシートの間に位置付けられたコンプライアント材料をさらに含む。コンプライアント材料は、少なくとも2つの異方性材料シートを少なくとも2つの電池セルと直接対向接触させたままにするように動作可能である。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、複数の角柱形電池セルを収容するように構成された電池モジュールハウジングを備える電池モジュールアセンブリが提供される。角柱形電池セルのうちの1つまたは複数は、電池セルの内容物が収容される外側セルケースを備える。セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する。圧縮ラップは、平坦面の少なくとも一部分および側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも一部分に対して被覆する関係においてセルケースの周りに配置される。圧縮ラップは、セルの熱膨張中にセルケースに作用するフープ応力を抑制するように動作可能である。圧縮ラップによって覆われず、噴出物およびガスがセルから放出されるセル内の熱事象中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点を生成するように構成されている、側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも1つの側壁セグメントが存在する。1つまたは複数の電池セルは、側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも1つのセルフランジと、側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも2つの端子とを備える。少なくとも2つの端子は、少なくとも1つのセルフランジによって少なくとも部分的に囲まれている。少なくとも1つのセルフランジの少なくとも1つの側面上に配置され、少なくとも1つのセルフランジの上に重なる少なくとも1つの柔軟な耐熱性材料ストリップが存在する。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、複数の電池セルを収容するように構成された電池モジュールハウジングと、複数の電池セルのうちの少なくとも2つの間に配置された層状バリア材料とを備える電池モジュールアセンブリが提供される。層状バリア材料は、電池セルのうちの少なくとも1つの内部で発生する熱事象のセル間伝播を熱的に隔離および制御または防止するように構成される。層状バリア材料は、電池セルのうちの少なくとも1つの内部で発生する熱事象のセル間伝播を熱的に隔離および制御または防止するように構成される。層状バリア材料は、少なくとも2つの異方性材料シートを含む。異方性材料シートのうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの電池セルのうちの1つと直接対向接触している。異方性材料シートのうちの少なくとも1つの他のシートは、少なくとも2つの電池セルのうちの1つの他の電池セルと直接対向接触している。層状バリア材料は、少なくとも2つの断熱材料シートをさらに含む。少なくとも2つの断熱材料シートのうちの一方は、少なくとも2つの異方性材料シートのうちの1つと直接対向接触して位置付けられ、少なくとも2つの断熱材料シートのうちの他方は、少なくとも2つの異方性材料シートのうちの他方と直接対向接触して位置付けられる。層状バリア材料は、圧縮下にある、少なくとも2つの断熱材料シートの間に位置付けられたコンプライアント材料をさらに含む。コンプライアント材料は、少なくとも2つの異方性材料シートを少なくとも2つの電池セルと直接対向接触させたままにするように動作可能である。複数の電池セルの各々は、電池セルの内容物が収容される外側セルケースを備える。セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する。少なくとも1つのセルフランジが、側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する。少なくとも2つの端子が、側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する。少なくとも2つの端子は、少なくとも1つのセルフランジによって少なくとも部分的に囲まれている。少なくとも1つのセルフランジの少なくとも1つの側面上に配置され、少なくとも1つのセルフランジの上に重なる少なくとも1つの柔軟な耐熱性材料ストリップが存在する。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、複数の角柱形電池セルを収容するように構成された電池モジュールハウジングを備える電池モジュールアセンブリが提供される。角柱形電池セルのうちの1つまたは複数は、電池セルの内容物が収容される外側セルケースを備える。セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する。1つまたは複数の角柱形電池セルは、平坦面の少なくとも一部分および側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも一部分に対して被覆する関係においてセルケースの周りに配置されている圧縮ラップをさらに備える。圧縮ラップは、セルの熱膨張中にセルケースに作用するフープ応力を抑制するように動作可能である。圧縮ラップによって覆われず、噴出物およびガスがセルから放出されるセル内の熱事象中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点を生成するように構成されている、側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも1つの側壁セグメントが存在する。電池モジュールハウジングは、外側金属層、FR4定格シート材料の内側層、およびそれらの間に位置付けられた少なくとも1つの黒鉛状炭素シートを含む少なくとも1つの複合パネルを含む。複合パネルは、少なくとも部分的に、電池モジュールハウジング内の1つまたは複数の電池セルに関連する熱事象からの噴出物およびガスの流れを、ハウジング内に形成された出口に向かって導くように構成された通路を画定する。
【0018】
本発明の別の実施形態によれば、本明細書に記載の電池モジュールのいずれかを複数備える電池システムが提供される。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、本明細書に記載の角柱形電池セルもしくは電池モジュール、または電池システムの1つまたは複数を備える乗り物が提供される。好ましい実施形態では、乗り物は、船またはボートなどの船舶である。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも2つの電池セルを備える電池モジュールアセンブリ内の電池セルを熱的に隔離する方法が提供される。方法は、少なくとも2つの電池セルの間に層状バリア材料を位置付けることを含む。層状バリア材料は、電池セルのうちの少なくとも1つの内部で発生する熱事象のセル間伝播を熱的に隔離および制御または防止するように構成される。層状バリア材料を位置付けることは、第1の異方性材料シートを少なくとも2つの電池セルのうちの1つと直接対向接触させて位置付けることを含む。異方性材料は、面内方向に高い熱伝導率を有し、シートが接触しているセルの表面から外方に熱エネルギーを誘導するように動作可能である。異方性材料は、接触している電池セルから生じる火炎が少なくとも1つの他の電池セルに向かう方向に浸透するのを防止および/または遅延させるように動作可能である。任意選択的に、高い熱抵抗を有する第1の断熱材料シートは、第1の異方性材料シートと直接対向接触して配置される。断熱材料は、少なくとも1つの他の電池セルに向かう方向における、電池セルのうちの1つの中から生じる熱の流れを遅延および/または妨害するように動作可能である。第2の異方性材料シートは、少なくとも2つの電池セルのうちの他方と直接対向接触して配置される。任意選択的に、第2の断熱材料シートは、第2の異方性材料シートと直接対向接触して配置される。コンプライアント材料は、異方性材料および任意選択の断熱材料の第1および第2のシートとの間に位置付けられ、それらの間に圧縮下で維持される。コンプライアント材料は、少なくとも2つの電池セルが通常のセル動作中に経験し得る熱誘起体積変化にかかわらず、少なくとも2つの異方性材料シートを少なくとも2つの電池セルと直接対向接触したままにする。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、電池モジュールハウジングと、電池モジュールハウジング内に配置された複数の電池セルと、隣接する電池セルと接触する層状バリア材料とを備える電池モジュールアセンブリが提供される。電池モジュールハウジングは、電池モジュールハウジングの長さを延長する長手方向軸と、長手方向軸に垂直な交差軸とを有する。層状バリア材料は、少なくとも2つの異方性材料シートを含む。異方性材料シートのうちの少なくとも1つは、電池セルのうちの1つと直接対向接触しており、異方性材料シートのうちの少なくとも1つの他のシートは、電池セルのうちの少なくとも1つの他の電池セルと直接対向接触している。電池モジュールハウジングは、複数の電池セルに対して交差軸と平行な方向に圧縮力を加えるように構成されている。複数の電池セルには、長手方向軸に平行な方向にも圧縮力が加えられる。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、電池モジュールハウジングと、電池モジュールハウジング内に配置された複数の電池セルと、電池モジュールハウジングと複数の電池セルとの間に配置された少なくとも1つの通路とを備える電池モジュールアセンブリが提供される。少なくとも1つの通路は、電池モジュールハウジング内の1つまたは複数の電池セルに関連する熱事象からの噴出物およびガスの流れを、ハウジング内に形成された出口に向かって導くように構成されている。出口は、熱事象に応答して開き、通路とハウジングの外部との間の連通を可能にするように構成された破断可能ダイアフラムによって被覆されている。破断可能ダイアフラムはまた、ハウジングの外部にある熱事象に起因する開放に抵抗するようにも構成されている。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、外側セルケースと、少なくとも1つのセルフランジと、少なくとも2つの端子と、セルケースの周囲に配置された柔軟な耐熱材料のビードとを備える角柱形電池セルアセンブリが提供される。セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を有する。少なくとも1つのセルフランジは、側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する。少なくとも2つの端子は、側壁セグメントのうちの1つから延在し、少なくとも1つのセルフランジによって少なくとも部分的に囲まれている。柔軟な耐熱材料のビードは、側壁セグメントの周縁の大部分の周りに配置され、少なくとも1つのセルフランジの少なくとも一部分の上に重なる。ビードは、外側セルケースに圧縮力を加えるように動作可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】電池モジュールハウジング出口を覆う破断可能ダイアフラムを備えるアセンブリの端部を示す、本発明による電池モジュールアセンブリの等角図である。
【
図2】様々な電気コネクタを備えるアセンブリの端部を示す電池モジュールアセンブリの等角図である。
【
図3】説明を容易にするためにアセンブリの一部分を取り外した状態の電池モジュールアセンブリの破断断面図である。
【
図4】電池モジュールハウジング内に収容された電池セルのスタックを示す電池モジュールアセンブリの等角断面図である。
【
図5】電池モジュールハウジングに収容された電池セルユニットのスタックの拡大図である。
【
図6】本発明の一実施形態による電池セルの拡大図である。
【
図7】完全に組み立てられた電池セルの等角端面図である。
【
図8】電池モジュールアセンブリ内に含まれる電池セルユニットのスタックの別の実施形態の拡大図である。図面は、図示された構成要素または構造の正確な寸法または公差を必ずしも提供しないが、図面は、図面に示された構造の構成要素間の関係に関して縮尺通りである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
定義
本明細書において使用される場合、「電池セル」という用語は、化学反応から電気エネルギーを生成することができる電気化学セルを指す。電池セルは、カソードとアノードとが電解質によって分離されている電解セルであってもよい。本発明と共に使用するための例示的な電池セルは、リチウムイオン電池セルである。リチウムイオン電池セルに使用され得る電解質には多くの種類があり、これらに限定されないが、リチウムイオンの錯体を含有するエチレンカーボネートまたはジエチルカーボネートなどの有機カーボネートの混合物が挙げられる。これらの非水電解質は、一般的に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、六フッ化ヒ酸リチウム一水和物(LiAsF6)、過塩素酸リチウム(LiClO4)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、およびリチウムトリフラート(LiCF3SO3)などの非配位アニオン塩を使用する。本明細書に記載の本発明の多くの概念は、リチウムイオンキャパシタおよびスーパーキャパシタを含む、電池セルに基づくもの以外の他の電気化学デバイスおよびエネルギー貯蔵デバイスにも適用可能であり得ることに留意されたい。便宜上、そのような非電池デバイスはすべて、本明細書において使用されるものとしての「電池セル」という用語に包含される。
【0026】
本明細書において使用される場合、「電池モジュール」という用語は、2つ以上の電池セルの集合体を指す。電池モジュール内の電池セルは、直列、並列に接続されてもよく、または同じモジュール内に直列に接続されたセルおよび並列に接続されたセルがあってもよい。
【0027】
本明細書において使用される場合、「電池システム」という用語は、2つ以上の電池モジュールの集合を指す。
【0028】
本明細書において使用される場合、「FR4定格」という用語は、特定の複合材料、特に難燃剤であるガラス強化エポキシ積層材料に対する全国電機製造業者協会(NEMA)等級指定を参照する。
【0029】
本明細書において使用される場合、「黒鉛状炭素」という用語は、グラファイト、木炭、カーボンナノチューブ、およびフラーレンを含むがこれらに限定されない、基本構造要素としてグラフェンを有する炭素の同素体を指す。
【0030】
本明細書において使用される場合、「暴走事象」という用語は、セルからの熱、火炎、ガス、および/または他の粒子状物質(すなわち、噴出物)の放出をもたらし得る、電池セル内で発生する制御されない発熱化学反応を意味する。暴走事象は、一般に、非常に危険な状態であり、事象が発生するセルの近傍の他の電池セルに潜在的に伝播する可能性がある火災をもたらし得る状態であると考えられる。
【0031】
ここで
図1および
図2を参照すると、本発明の一実施形態による例示的な電池モジュールアセンブリ10が示されている。電池モジュールアセンブリ10は、一般に、複数の電池セルおよび他の関連する構成要素を内部に封入する電池モジュールハウジング12を備え、これについては下記により詳細に説明する。図示のように、ハウジング12は、必ずしもそうである必要はないが、長方形の形状であり、6つの組み立てられたパネルから構成される。パネル14および16は、一般に最大のパネルであり、互いに対向して位置付けられる。パネル14、16のうちの1つまたは複数は、伝熱面18を含むことができ、その機能は下記により詳細に説明される。
【0032】
ハウジング12は、対向する一対の複合側部パネル28、30をさらに備える。側部パネル28、30の構造は、下記にさらに詳細に説明される。側部パネル28、30は、その長手方向に延在する側部マージンに沿ってパネル14、16を相互接続する。端部パネル32、34は、側部パネル28、30に対して交差方向に位置付けられ、実効的に、ハウジング12の端部キャップとして機能する。端部パネル32は、その機能が下記に説明される破断可能ダイアフラム36を装備することができることが観察される。端部パネル34は、電力リード線(図示せず)ならびに監視および制御システム(図示せず)を電池モジュール10に取り付けることができる様々な電気コネクタを備えることができる。
【0033】
ハウジング12を構成するパネル、特にパネル14、16、28、および30のうちの1つまたは複数は、ハウジングの全重量を低減するために、アルミニウムなどの軽量金属を含むことができる。しかしながら、鋼などの他の金属を使用することもできる。特定の実施形態では、パネル14、16、28、および30は、アルミニウムまたは炭素繊維などの軽量で高強度の材料を含む。
【0034】
特定の実施形態では、すべてのパネルが組み立てられると、ハウジング12は、ハウジングの内部への水分、塵埃、および/または他の異物の侵入を防止するか、または少なくとも最小限に抑える、ほぼ水密な構造を形成することが好ましい。同様に、ダイアフラム36を参照して下記に説明する場合を除いて、ハウジング12はまた、ハウジング内に配置された電池セルに関連するまたは電池セルから生成される物質が制御されない様態で逃げるのを防止する。ハウジング12は、パネル14、16、28、および30の周りに周方向に配置された複数のストラップ部材20をさらに備える。ストラップ部材20の機能は、下記により詳細に説明される。しかしながら、一般に、ストラップ部材20は、それらが接触するパネル、特にパネル14および16に圧縮力を提供する。ストラップ部材20は、好ましくは鋼から作製されるが、任意の適切な材料が使用されてもよい。
【0035】
複数の電池モジュール10はともに組み立てられて、特定の用途の必要性を満たすようなサイズの電池システムにすることができる。電池システムは、電池モジュール10を固定することができるラックまたは棚ユニット(図示せず)を含むことができる。電池モジュール10は、特定の用途の必要に応じて、電池システム全体内で直列および/または並列に接続することができる。
【0036】
図3は、複合側部パネル28、30をより詳細に示す。これらのパネルは、ハウジング12内に収容された電池セル内で生じる熱事象に対する強化された保護を提供するように構成される。下記により詳細に説明するように、電池セルは、セルが暴走熱事象を経験した場合に、側部パネル28、30の少なくとも一方に向かう方向に火炎、ガス、および他の噴出物を排出するように特別に構成される。従来、このような条件に曝されるパネルは、これらのタイプの熱事象に関連する高温に耐えることができる鋼などの単一材料シートで構成されていた。しかしながら、いくつかの用途では、そのような材料は、電池モジュールハウジングに相当の重量を加えるため、実用的ではない。したがって、本発明の特定の実施形態では、側部パネル28、30は、はるかに軽量であるが、ハウジングパネルとして使用するのに十分な耐熱特性を有する複合材料から構成される。
【0037】
複合側部パネル28、30は、外側金属または非金属構造層38と、内側層40と、それらの間に位置付けられた少なくとも1つの黒鉛状炭素シート42とを含む。好ましくは、パネル28、30は、ともに積み重ねられた複数の黒鉛状炭素シート42を含む。好ましい実施形態では、FR4定格シート材料は、織繊維ガラスおよびエポキシ樹脂積層材料を含む。特に好ましい実施形態では、FR4定格材料は、241~345MPaの引張強度、30~65.4kg-cm/cmの衝撃強度、M100~M110のロックウェル硬度、および0.127mm~2.54cmの厚さを有するガロライト材料を含む。
【0038】
FR-4定格シート材料は、電池モジュール10内の電池セルが噴出する火炎の侵入を防止する防炎材として機能する。1つまたは複数の黒鉛状炭素シートは、外側金属層38を溶融させ得る温度から保護するための熱障壁を提供する。黒鉛状炭素シートは、有利には、シートの平面に垂直な方向よりも面内方向に熱を伝達する。したがって、黒鉛状炭素シートは、電池セルに由来する熱を外側金属層38から外方に伝達する。特定の実施形態では、外側金属層38は、軽量金属または金属合金を含む。好ましくは、構造層38は、アルミニウム、アルミニウム合金、炭素繊維、または合成樹脂材料を含む。側部パネル28、30の積層構造は、アルミニウムなどの軽量で比較的低融点の金属を使用して電池モジュールハウジング12の構築に使用することを可能にし、これは相当の重量を節約し、特に重量が重要な設計上の考慮事項である乗り物内に電池モジュール10が設置されている場合に大きな利点となり得る。
【0039】
複合パネル28、30は、少なくとも部分的に、ハウジング12内の1つまたは複数の電池セルに関連する熱事象からの噴出物およびガスの流れを、ハウジング内に形成されたそれぞれの出口46に向かって導くように構成された、ハウジング12内のそれぞれの通路44を画定する。図に示す電池モジュール10は、複合側部パネル28および30の方向に故障するように構成された電池セルを利用することに留意されたい。したがって、ハウジング12は、それぞれの出口46に向かって噴出物およびガスを導くために、電池セルのスタックの各端部に通路44を備えて構成される。しかしながら、電池モジュール10が一方向のみで故障するように構成された電池セルを利用することは本発明の範囲内であり、したがって、ただ1つの複合側部パネル28、1つの通路44、および1つの出口46の使用を必要とする。
【0040】
図示のように、出口46は、高温ガスおよび噴出物が端部パネル32によって担持される様々な電気部品から外方に導かれるように、端部パネル34内に形成される。ダイアフラム36は、通常、出口46を封止し、熱事象に応答して開いて通路44とハウジング12の外部との間の連通を可能にするように構成される。特定の実施形態では、ダイアフラム36は、シリコーンゴム、KAPTON(ポリイミド)、TEFLON(登録商標)&GORE-TEX(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)などの合成樹脂フィルム材料から形成される。しかしながら、薄い金属箔などの他の材料がダイアフラム36として使用されることも本発明の範囲内である。本発明の一態様では、ダイアフラム36は、モジュール10内で発生する熱事象の圧力下で破断するが、熱事象が発生し、それに近接する隣接モジュールから排出されることによる破断を回避するのに十分な耐熱性を有する一方向弁として機能する。したがって、ダイアフラム36はまた、モジュール10を外部の危険から保護するとともに、モジュール10の内部の危険を軽減するのを助けることができる。
【0041】
ここで
図4および
図5を参照すると、電池モジュール10は、複数の電池セル48を備える。図示されているように、電池セル48は角柱形電池セルを含むが、他の種類の電池セルが、本明細書に開示および記載されている特徴の多くと共に使用されることは本発明の範囲内である。しかしながら、一般には、角柱形電池セルがセルフレーム50内に配置される。複数のフレーム50は、ともに積み重ねられ、各フレームのそれぞれの隅部56に形成されたオリフィス54を通してねじ付きロッド52を挿入することによって締結される。フレーム50は、一般に剛性であり、合成樹脂または熱可塑性プラスチック材料などの不活性材料から作製される。フェイム50を構築することができる好ましい材料は、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)であるが、任意の適切な熱可塑性材料を使用することができる。所望の数のセル48がともに積み重ねられると、端部プレート58がナット60によってロッド52に取り付けられ固定される。しかしながら、ケーブルおよびバンドを含む他のデバイスを使用してセルのスタックをともに固定することができる。
【0042】
各電池セル48は、そこから延在する少なくとも2つの端子62、64を備える(
図6を参照されたい)。図示のように、1つの端子はセル48の対向する両端から延在するが、端子62、64がセルの同じ端部から延在することは本発明の範囲内である。電池モジュールアセンブリ10は、ハウジング12内に配置された複数の電池セル48を接続するように動作可能な1つまたは複数のバスバー66を備える。バスバー66は、好ましくは、銅またはアルミニウムなどの任意の導電性材料から形成され、端子62、64を受け入れるように構成されたスロット68を備える。
【0043】
通路44は、電池モジュールアセンブリによって使用される配線および/または他の電気部品を運ぶことができることに留意されたい。熱事象を受けると、電池セル48から放出された火炎、噴出物、およびガスが、ワイヤ絶縁材を損傷し、それによってこれらの構成要素の裸のワイヤを露出させる可能性がある。バスバーは一般に通路44に面するため、裸の配線とバスバーとが接触した場合、短絡が発生する可能性があり、それによって別の暴走セルがトリガされるなどのさらなる危険が、すでに危険な状況に導入される。したがって、本発明の特定の実施形態では、1つまたは複数のバスバーシールド70をバスバー66の上に設置して、1つまたは複数のバスバー66を少なくとも部分的に覆い、1つまたは複数のバスバー66の外側に位置し、通路44内にある電気部品が、電池セル48のうちの1つまたは複数に関連する熱事象中に1つまたは複数のバスバー66と接触しないように遮蔽することができる。特定の実施形態では、バスバーシールド70は、上述したような耐火性材料、好ましくはFR4定格シート材料から形成され、複合側部パネル28、30と共に使用される。バスバーシールド70はまた、1つの電池セル48から逃げる炎が隣接する電池セルに接触するのを阻止するように動作することができる。
【0044】
図6および
図7は、本発明の実施形態と共に使用され得る例示的な電池セル48をより詳細に示す。しかしながら、前述したように、他のタイプおよび構成の電池セルが使用されることは本発明の範囲内であり、図面およびそれらに付随する説明は、決して本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0045】
電池セル48は、カソード、アノード、および電解質などの電池セルの内容物が収容される外側セルケース72を備える。特定の実施形態では、セルケースは、少なくとも片側が気密封止されたポリマー/アルミニウム複合材料などのフィルム材料から形成されたパウチを含む。セルケース72は、一対の対向するほぼ平坦な表面74、76を呈する。特定の実施形態では、表面74、76は、セルケースの表面積の大部分を構成する。これらの平坦面74、76は、対向する側壁セグメント対78、80、82、84によって相互接続されている。側壁セグメント78、80は、電池セル48の長手方向軸に平行に延在し、側壁セグメント82、84は、電池セル48の長手方向軸に対して交差方向に延在する。ケース材料の一部分は、フランジ構造86の形態で側壁セグメント78、80、82、84のうちの1つまたは複数を越えて延在してもよい。フランジ構造86は、一般に、セルケース72の製造の副産物であり、セルケース72を構成するフィルム材料が封止されるときに生成され得る。図示のように、フランジ構造86は、電池セル48の周縁の周りに周方向に延在するが、これは必ずしもそうである必要はない。特定の実施形態では、端子62、64は、フランジ構造86の一部分を通って延在し、それによって少なくとも部分的に覆われる。
【0046】
本発明の好ましい実施形態では、圧縮ラップ88は、平坦面74、76の少なくとも一部分および側壁セグメント対78、80、82、84のうちの1つの少なくとも一部分に対して被覆する関係においてセルケース72の周りに配置される。特に好ましい実施形態では、圧縮ラップは、自己接着性シート材料の2つの重なり合うプライ88から構成される。特に好ましい実施形態では、シート材料は、片面に接着剤が塗布されたガラス繊維強化フィルムである。しかしながら、圧縮ラップ88が単一のプライまたは複数のプライから構成され、接着剤がラップを構成するフィルム材料の一体部分ではなく別個に塗布されることは、本発明の範囲内である。圧縮ラップ88は、どのような形態であれ、セル48の熱膨張中にセルケース72に作用するフープ応力を抑制するように動作可能である。示されるように、リチウムイオン電池セルの通常動作中には、熱が発生することが一般的である。この熱は、セルケース72内の内容物およびセルケース自体を膨張させる傾向がある。セルケース72の制御されない膨張は、セル48内の不都合な熱事象中にセルケース72の予測不可能な故障につながる可能性がある。本発明の特定の実施形態の目的は、放出された火炎、ガス、および噴出物の排出を、本明細書に記載の他の伝播防止機構によって効果的に管理することができるように、セルケース72の予測不可能な故障を防止することである。したがって、本発明のほとんどの実施形態では、セルケース72の大部分は圧縮ラップ88によって覆われているが、セルケース72の少なくとも一部分、特に側壁セグメント78、80、82、84のうちの1つの少なくとも一部分は、それを通じて噴出物およびガス、場合によっては火炎がセルから放出されるセル48の熱事象中の少なくとも1つの所定のセルケース故障点を形成するように、覆われないままにされる。特定の実施形態では、少なくとも1つの所定のセルケース故障点は、端子62および64が延在する同じ側壁セグメント、すなわち側壁セグメント82および84内に位置する。好ましくは、所定のセルケース故障点92は、隣接する側壁セグメントの交差部に近接して位置し、覆われていない側壁セグメント82、84の各々の中に形成された少なくとも1つの所定のセルケース故障点がある。したがって、圧縮ラップ88は、少なくとも1つの所定の故障点92での故障の前に圧縮ラップ88によって覆われているセルケース上の任意の位置でのセルケース72の故障を防止するように構成される。特定の実施形態では、圧縮ラップ88を構成する材料は、少なくとも2.5MPa、好ましくは2.5~10MPa、3~9MPa、4~8MPa、または5~7MPaの引張強度を有する。圧縮ラップを構成する材料は、700℃を超える熱源に曝された場合、好ましくは-40℃~60℃の通常の動作温度にわたって、および60℃~900℃の熱源に曝された場合に、これらの機械的特性を維持しなければならない。
【0047】
任意選択的に、保護ラップ90を圧縮ラップ88の上部に施与することができる。特定の実施形態では、保護ラップ90は、電池セル48の周りに配置された熱収縮性プラスチックスリーブを含む。このとき、スリーブが加熱して、ラップ90がセル48の周りで収縮される。一般に、保護ラップ90は、セルケース72にいくらかの追加の補強を提供することができる。しかしながら、保護ラップ90は、特にアルミニウム複合フィルムを含む電池セルケース72と共に使用される場合、腐食または劣化を防止するために露出した導電性セルケース材料に対するバリアを提供し、それにより、セルケースの構造的完全性を維持するのを助け、危険懸案事項となり得る意図しない脆弱点の生成を防止する。
【0048】
本発明は、電池セルの内容物が収容されるセルケース72を備える角柱形電池セル48を拘束する方法をさらに含む。方法は、平坦面74、76の少なくとも一部分および側壁セグメント対78、80、82、84のうちの1つの少なくとも一部分に対して被覆する関係においてセルケース72に圧縮ラップ88を被着させることを含む。少なくとも1つの側壁セグメントは、圧縮ラップによって覆われないままにされ、それによって少なくとも1つの所定のセルケース故障点92を形成する。
【0049】
本発明の特定の実施形態では、電池セル48は、各端子62、64を取り囲むセルフランジ86の少なくとも一方の側に配置され、その上に重なる少なくとも1つの柔軟な耐熱性材料ストリップ94を含む。好ましくは、ストリップ94は、シリコーンゴム材料を含むが、高温、例えば300℃を超える温度にさらされたときにその構造的完全性を維持することができる任意の柔軟な材料から形成されてもよい。ストリップ94は、実質的に均一な断面プロファイル(すなわち、均一な厚さを呈する)を含んでもよく、または可変プロファイルによって構成されてもよい。
図6に示すように、好ましくは、ストリップ94は、端子62、64および中央部分から横方向に配置された外側部分100,102に少なくとも部分的に重なる中央部分98を含む。さらに、中央部分98は、外側部分100,102の厚さよりも大きい厚さを有することができる。特定の実施形態では、中央部分98の厚さは、外側部分100,102の厚さの少なくとも1.5倍である。中央部分98はまた、ストリップ94の幅と同じ幅を有する必要はない。図示のように、隆起した中央部分98は、隆起していないセグメント99が中央ポーション99に隣接し、外側部分100,102の中間に位置するように、ストリップ94の幅よりも小さい幅を含む。特定の実施形態では、隆起していないセグメント99は、外側部分100,102の厚さに実質的に等しい厚さを有する。また、中央部分98は、外側部分100,102のマージン103を超えて突出するセグメント101を含むこともできる。このセグメント101は、セルフランジ86を越えて延在する端子62、64の部分のための強化された支持を提供する。
【0050】
本発明の特定の実施形態では、セルフランジ86は、端子62、64の少なくとも一方がそこから延在する側壁セグメント82、84の1つの全長に沿って延在する。ストリップ94はまた、好ましくは、これらの側壁セグメントの全長に沿って延在する。好ましくは、ストリップ94は、セルケース平坦面74、76に侵入しないか、または重なり合わない。むしろ、ストリップ94は、これらの表面のマージンの完全に外側に、かつ側壁セグメント82、84を画定するマージンの外側に存在するが、必ずしもそうである必要はない。
【0051】
一態様では、
図5から分かるように、複数の電池セル48が組み立てられて電池モジュールアセンブリ10になると、ストリップ94および特に中央部分98が、端子62、64の支持および機械的保護を提供し、乗り物内で輸送または設置されるときなどの電池モジュールアセンブリの動きまたは振動による物理的損傷を防止する。しかしながら、下記に説明するように、ストリップ94は、暴走熱事象中に所定のセルケース故障点92を通って排出されるときに火炎、噴出物、およびガスを方向付け、これらの材料がモジュール10内の隣接する電池セル48上にこぼれるのを防止する二次機能を提供することができる。さらに、ストリップ94はまた、電池セル48、特に端子62、64がそこから延在する側壁セグメント82、84を、それが被着される電池セル48の外部に由来する火炎、噴出物、およびガスから保護する。したがって、ストリップ94は、特定の点で、電池セル48内で発生するガス、火炎および噴出物が逃げることを可能にするが、異なる電池セルから放出される同じ材料が入ることを防止する一方向弁として機能する。ストリップ94が、例えば、電池セル48の外側から生じる火炎(または約700℃の温度)と接触すると、ストリップ94は、燃焼せずに炭化するように構成されていることが発見されている。ストリップ94のこの炭化は、電池セル48を絶縁し、電池セル48の外側から生じる熱事象の伝播が電池セル48内に別の危険な熱事象を引き起こすのを防止するのに役立つ。
【0052】
特定の実施形態では、セルケース故障点92は、暴走熱事象中にセル48によって生成され得る火炎、噴出物、およびガスが、ストリップ上ではなくストリップの下のセルから排出されるように、ストリップ94の内側に配置される。したがって、ストリップ94は、これらの材料を電池セル48の長手方向軸と同軸の方向および複合側部パネル28、30の一方に向かう方向に導くように機能する。電池モジュール10内の隣接する電池セルへの炎、噴出物、およびガスの横方向の伝達は、最小限に抑えられるか、または完全に回避される。
【0053】
本発明の実施形態はまた、端子62、64の各々を取り囲む少なくとも1つのセルフランジ86の上方で、その少なくとも片側に、かつその上に重なって上述のような少なくとも1つの柔軟な耐熱性材料ストリップ94を配置することによって、電池セル48を物理的および熱的損傷から保護する方法を提供する。
【0054】
本発明の特定の実施形態では、層状バリア材料104は、電池セル48の少なくとも一方の中で発生する熱事象のセル間伝播を熱的に隔離および制御または防止するために、電池モジュールアセンブリ10の一部分として提供される。層状バリア材料104は、
図5に最もよく示されている。図示のように、バリア材料104は、電池モジュールアセンブリ10を構成するセル48の間に配置される。好ましくは、バリア材料104は、(シートの法線方向ではなく)面内方向に高い熱伝導率を有する少なくとも2つの異方性材料シート106,107を含む。好ましい実施形態では、異方性材料106,107は、黒鉛状炭素、より好ましくは黒鉛を含む。
【0055】
異方性材料シートのうちの1つ106は、1つの電池セル48と直接対向接触している。好ましくは、異方性材料シート106は、セルケース平坦面74と直接接触して(または上述のようにセルケースに固定された任意のラップもしくはフィルムと接触して)配置されたときにセルケース平坦面74を実質的に覆うようなサイズにされる。他方の異方性材料シート107は、第1の電池セルに隣接する別の電池セル48と直接対向接触して配置される。同様に、他方の異方性材料シート107は、好ましくは、他の電池セル48のセルケース平坦面76と直接接触して配置されたときにセルケース平坦面76を実質的に覆うようなサイズにされる。異方性材料106,107は、それが接触しているセル表面74、76から外方に熱エネルギーを誘導するように動作可能である。好ましくは、異方性材料106,107は、シート106,107に垂直な方向および隣接するセル48に向かう方向に熱エネルギーを伝導するのとは対照的に、セルから外方にシート106,107の周縁マージンに向かって相当量の熱エネルギーを伝導する。さらに、異方性材料106,107はまた、他の隣接する電池セルに向かう方向に接触している電池セル48から生じる火炎の浸透を防止および/または遅延させるように動作可能であってもよい。この火炎障壁特性は、後述するように、層状バリア材料104を構成する他の層の機能性を保護および保存するのに役立つ。異方性熱伝導および火炎障壁機能は、単一の材料または複数の材料によって実施されてもよい。
【0056】
図示のように、層状バリア材料104は、高い熱抵抗を有する少なくとも2つの断熱材料シート108をさらに含む。本発明の特定の実施形態では、断熱材料108は任意選択であるか、または1つの断熱材料シート108のみが使用されてもよいことに留意されたい。したがって、以下の説明は、本発明の全体的な範囲を限定するものとみなされるべきではない。特定の実施形態では、断熱材料108は、層状バリア材料104または電池モジュールアセンブリ10の任意の他の部分に意味のある構造的支持を提供せず、層状バリア材料の他の部分によってそれに強制的に作用されることに応答して完全に柔軟である。断熱材料108は、800℃を超える温度にさらされたときにその断熱特性を維持する。特定の実施形態では、断熱材料108はまた、熱および圧力にさらされたときに寸法的に安定したままである。特に、これは、断熱材料の厚さが、圧縮力下に置かれたとき、または通常の電池動作中もしくは熱事象中に経験され得るような温度変動を受けたときに実質的に変化しないことを意味する。好ましい実施形態では、断熱材料は、コルク、ウール、またはガラス繊維を含む。断熱材料108は、少なくとも1つの他の隣接する電池セルに向かう方向にある、電池セル48のうちの1つから生じる熱エネルギーの流れを遅延および/または妨害するように動作可能である。妨害されている熱エネルギーは、断熱材料108の近位または遠位に位置するセル48に由来し得ることに留意されたい。異方性材料シート106にも同じ方向性機能が当てはまるが、その最も効果的な熱障壁特性は、それが接触しているセル48に提供される。
【0057】
断熱材料シート108のうちの一方は、異方性材料シート106のうちの1つと直接対向接触して位置付けられ、断熱材料シート108のうちの他方は、異方性材料シート106のうちの他方と直接対向接触して位置付けられる。好ましくは、断熱材料シート108は、特に異方性材料シート106が断熱材料シートと直接当接接触して配置されたときに断熱材料シートを実質的に覆うように、異方性材料シート106に対応するサイズにされる。特定の実施形態では、異方性材料シート106は、シートのそれぞれの長手方向側部マージンから交差方向に延在するスラット110を含むことができる。断熱材料108と直接対向接触して配置されると、スラット110は断熱材料108の長手方向側部マージンを覆い、それによって断熱材料108を異方性材料106のシート内に「入れ子」状にする。
【0058】
層状バリア材料104は、少なくとも2つの断熱材料シート108の間に位置付けられたコンプライアント材料112をさらに含む。好ましくは、コンプライアント材料112は、断熱材料シート108の間に位置付けられたときに圧縮下にあり、これは、コンプライアント材料112内で作用する内力が材料を非拘束状態に向かって付勢するように、その自然状態または非拘束状態から圧縮および/または体積が減少していることを意味する。コンプライアント材料112は、例えば、電池セルのスタック49が組み立てられ、端部プレート58がねじ付きロッド52およびナット60によってスタックの端部に固定されるときに圧縮され得る。前述のように、バンドまたはケーブルなどの他のデバイスを使用してこの圧縮力を提供することができる。好ましい実施形態では、コンプライアント材料は、ウレタン、EPDM、PVC、またはシリコーンフォームを含む。コンプライアント材料112は、圧縮永久歪みなしで高い圧縮性(その元の厚さの25%まで)を示さなければならない。コンプライアント材料112は、700℃を超える温度、好ましくは-40℃~60℃の通常の動作温度にさらされた場合、および60℃~900℃の熱源に曝された場合に、断熱材料および異方性材料に力を及ぼし続けなければならない。本発明の特定の態様では、コンプライアント材料112は、電池セルが通常のセル動作中に経験する可能性がある熱によって誘発される体積変化にかかわらず、異方性材料106,107を電池セル48と直接対向接触したままにするように動作可能である。さらに、圧縮された状態で組み立てられることにより、コンプライアント材料112自体が、電池モジュールアセンブリ10内の温度の変化に起因する体積変化を経験した場合、外方向に作用するコンプライアント材料内の内力は、電池セル48とシート106,107との間に形成しようとする可能性がある任意の間隙またはエアポケットを除去するのに十分なままである。異方性材料106のスラットはまた、コンプライアント材料112の長手方向側部マージンの上に延在してこれを覆うように構成することもでき、それにより、コンプライアント材料もシート106内に入れ子状になる。
【0059】
異方性材料シート107にもまた、シートのそれぞれの長手方向側部マージンから交差方向に延在するスラット113を設けることができる。特定の実施形態では、スラット113はスラット110よりも大きく、電池セル48の側壁セグメント78、80の上に少なくとも部分的に延在し、これを覆うように構成される。側壁セグメント78、80はまた、その少なくとも一部分に施与される細長いスペーサ114を有することができる。電池セル48が積み重ねられ、組み立てられると、スペーサ114は、側壁セグメント78、80とスラット113との間に位置付けられる。
【0060】
図2を参照すると、電池モジュールハウジング12は、電池モジュールハウジングの長さを延長する長手方向軸X-Xと、長手方向軸に垂直な交差軸Y-Yとを有することに留意されたい。本発明の特定の実施形態では、電池モジュールアセンブリ10は、その中に存在する電池セル上で、圧縮力がX-XおよびY-Yの両方の軸に平行な方向に加えられるように構成される。上述したように、軸X-Xに平行な方向の圧縮力は、様々な電池セルの間に散在するコンプライアント材料112の層によって提供され得る。そのような圧縮力は、セルスタック49を共に結束することを含む他の手段によっても加えられ得る。この圧縮力は、熱エネルギーがシート106,107によって電池セル48から外方に伝導され得ることを確実にするために、異方性材料シート106,107を電池セル48と直接対向接触させたままにする。ストラップ20は、電池モジュールハウジング12の周りに位置付けられ、軸Y-Yに平行な方向において、少なくともパネル14および16に圧縮力を加えるように構成される。ストラップ20の代わりに他の構造を使用して圧縮力をパネル14、16に供給してもよく、図示の実施形態を限定するものと見なすべきではないことに留意されたい。
【0061】
図3に見られるように、この圧縮力により、パネル14および16は、異方性材料シート106,107のスラット110および/または113と接触したままになる。パネル14、16、および場合によっては電池モジュールハウジング全体は、異方性材料シート106,107を介して伝達される熱エネルギーを電池セル48から外方に伝導するヒートシンクとして機能するように構成することができる。これを効果的に達成するために、スラット110および/または113は、パネル14、16と連続的に直接接触したままでなければならない。したがって、本発明の特定の実施形態の特徴は、異方性材料シートがハウジング12の電池セル48およびパネル14、16と連続的に接触したままであるように、電池セルのスタックを少なくとも2つの平面内で圧縮することである。したがって、異方性材料シート106,107は、電池セル48から外方に熱エネルギーを伝導し、それを電池モジュールハウジング12に送達するためのデバイスと見なすことができる。
【0062】
層状バリア材料104は、すべての隣接する電池セル48の中間に位置付けられる必要はない。特定の実施形態では、層状バリア材料104の各層の間に位置付けられた2つ、3つ、4つ、または任意の複数のセルが存在し得る。
図5に示すように、電池セルのスタック49は、複数の反復する電池セルユニット116から構成されてもよい。各ユニットは、少なくとも2つのセルフレーム50と、少なくとも2つの電池セル48と、少なくとも1つの層状バリア材料104とを備える。
図5に示すように、セルフレーム50は、同じ方向を向くのではなく、鏡像化された形式で配向されていることに留意されたい。隣接するセルユニット116の間には、1つまたは複数の異方性材料シート107が配置されてもよい。好ましい実施形態では、異方性材料シート106,107は、スラット110,113がすべてそれらのそれぞれのシートから外方に、同じ方向に延在するように配向される。
【0063】
図8は、本発明の別の実施形態を示す。この実施形態では、電池セル120のスタック118が組み立てられる。スタック118は、多くの点で上述のスタック49と同様であり、便宜上、そのような共通点は下記に詳細に再記述されないが、図面から明らかである。スタック49と同様に、スタック118は、ハウジングパネル14、16を有する上述のような電池モジュールハウジング12内に配置されるように適合される。電池セル120は、同じ側壁セグメントから延在し、フランジ86によって少なくとも部分的に囲まれた一対の端子121を有する角柱形電池セルである。電池セル120は、複数の反復する電池セルユニット122の形態で互いに締結されたセルフレーム50内に配置される。電池セルユニット122は、それらの間に位置付けられた層状バリア材料104を有する少なくとも2つの電池セル120を備える。層状バリア材料104は、上述したように構成されてもよく、異方性材料シート106,107、任意選択の断熱材料シート108、およびコンプライアント材料112の少なくとも1つの層を含んでもよい。
【0064】
各電池セル120は、電池セルの側壁セグメントの周縁の大部分の周りに配置された柔軟な耐熱材料のビード124をさらに備える。ビード124は、上述の柔軟なストリップ94を構築するのと同じ材料使用を含むことができる。ビード124は、セルフランジ86の少なくとも一部分の上に重なり、外側セルケース、特に側壁セグメントに圧縮力を加えて、側壁セグメントを拘束し、様々な側壁セグメントに沿った意図しない点でのセルケースの破断を防止するように動作可能である。ビード124は、セル120の周りに個別に配置される連続的(すなわち、
図8に示されているような1つの部品)または不連続的(すなわち、個別のセグメントから構成されている)なものであってもよい。特定の実施形態では、ビード124には、1つまたは複数の陥凹領域126または厚さが減少した領域が設けられてもよい。陥凹領域126は、熱事象中の制御されたセルケース破断が生じることになる所定のセルケース故障点92と対応する。したがって、好ましくは、ビード124は、陥凹領域126に対応する部分を除いて、側壁セグメントの周の大部分に支持および補強を提供する。不連続なビードの場合、陥凹領域126は、実際には任意のビード材料を欠いていてもよいことに留意されたい。
【0065】
特定の実施形態では、電池セル120は、電池セル48がそうであり得るように圧縮ラップ88によって補強されていない。したがって、端子121の振動保護およびセル120の外部から発生する火炎の侵入を防止するための火炎障壁の機能を果たすことに加えて、ビード124は、圧縮力を提供することによってセル側壁を拘束するように構成される。ビード124によって提供されるこの圧縮力は、セルケースを補強し、所定の点92以外の場所でのセルケース故障を防止する。
【0066】
一般に、電池セルスタック118は、セルスタック49に代わって、上述のように構成された電池モジュールハウジング12内に配置されてもよく、上述したことを除いて、そのような電池モジュール10の動作は、前述したものと同じままである。
【0067】
本発明の実施形態はまた、電池モジュールアセンブリ10内の電池セル48を熱的に隔離する方法を提供する。方法は、少なくとも2つの隣接する電池セル48の間に層状バリア材料104を位置付けることを含む。層状バリア材料104を位置付けることは、第1の異方性材料シート106を第1の電池セル46と直接対向接触させて配置することと、第1の断熱材料シート108を第1の異方性材料シート106と直接対向接触させて配置することと、第2の異方性材料シート106を第2の電池セルと直接対向接触させて配置することと、第2の断熱材料シート108を第2の異方性材料シート106と直接対向接触させて配置することと、コンプライアント材料112を第1の断熱材料シート108と第2の断熱材料シート108との間に位置付けることとを含む。コンプライアント材料112は、第1の断熱材料シート108と第2の断熱材料シート108との間で圧縮下に維持される。
【0068】
電池モジュールアセンブリ10は、様々な用途を有することができる。好ましい用途では、電池システムを形成するために、複数の電池モジュールアセンブリ10をスタックまたはキャビネットに設けることができ、さらには設けられた電池モジュールアセンブリの複数のキャビネットに設けることができる。電池モジュールアセンブリ10または複数の電池モジュールアセンブリを含む電池システムを使用して、自動車、トラック、ボート、航空機、ハイパーループポッド、採掘機器、飛行場サービス機器、または機関車などの乗り物に電力を供給することができる。電池モジュールアセンブリ10の好ましい用途は、船舶内に設置される電池システム内での使用である。船舶は、貨物船、客船、フェリー、ホバークラフト、軍用船などであり得る。さらに、電池モジュールアセンブリ10を備える電池システムは、船舶に搭載されて設けられる唯一の電源であってもよく、またはハイブリッド電力システムの1つの構成要素として設けられてもよい。電池モジュールアセンブリ10を備える電池システムは、乗り物に推進力を提供するために、他の車載車両システムに電力を提供するために、またはその両方のために使用することができる。
【0069】
本発明は、本明細書に記載の様々な特徴および要素のうちの1つまたは複数を使用して実施することができることが理解される。図に示され、上述された実施形態が特定の方法で組み立てられた要素の組み合わせを示すという事実は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではなく、本発明を首尾よく実施するために、上記特徴または要素のすべてが存在することを必要とすると解釈されるべきでもない。
【手続補正書】
【提出日】2021-11-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角柱形電池セルであって、
前記電池セルの内容物が中に収容される外側セルケースであり、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈する、外側セルケースと、
前記平坦面の少なくとも一部分および前記側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも一部分に対して被覆する関係において前記セルケースの周りに配置されている圧縮ラップであり、前記セルの熱膨張中に前記セルケースに作用するフープ応力を抑制するように動作可能である、圧縮ラップと、を備え、
前記圧縮ラップによって覆われておらず、噴出物およびガスが前記セルから放出される前記セル内の熱事象中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点を生成するように構成された前記側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも1つの側壁セグメントがある、角柱形電池セル。
【請求項2】
前記圧縮ラップは、前記少なくとも1つの所定の点での故障の前に前記圧縮ラップによって覆われている前記セルケース上の任意の位置での前記セルケースの故障を防止する、請求項1に記載の角柱形電池セル。
【請求項3】
圧縮ラップが、少なくとも2.5MPaの引張強度を含む、請求項1
又は2に記載の角柱形電池セル。
【請求項4】
前記圧縮ラップは、自己接着性ガラス繊維強化フィルムを含む、請求項1
~3のいずれか1項に記載の角柱形電池セル。
【請求項5】
前記少なくとも1つの所定のセルケース故障点は、2つの隣接する側壁セグメントの交差部に位置する、請求項1
~4のいずれか1項に記載の角柱形電池セル。
【請求項6】
前記圧縮ラップによって覆われていない前記側壁セグメント対のうちの1つの2つの側壁セグメントが存在し、前記側壁セグメント対のうちの前記1つの前記側壁セグメントの各々の中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点が形成される、請求項1
~5のいずれか1項に記載の角柱形電池セル。
【請求項7】
前記電池セルがリチウムイオン電池セルである、請求項1
~6のいずれか1項に記載の角柱形電池セル。
【請求項8】
角柱形電池セルを拘束する方法であって、
前記角柱形電池セルは、前記電池セルの内容物が中に収容されるセルケースを備え、前記セルケースは、対向する側壁セグメント対によって相互接続された一対の対向するほぼ平坦な表面を呈し、前記方法は、
前記平坦面の少なくとも一部分および前記側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも一部分に対して被覆する関係において前記セルケースに圧縮ラップを被着させることであり、前記圧縮ラップは、前記セルの熱膨張中に前記セルケースに作用するフープ応力を抑制するように機能する、被着させること、および
前記側壁セグメント対のうちの1つの少なくとも1つの側壁セグメントを、前記圧縮ラップによって覆われないままにすることであり、よって、噴出物およびガスが前記セルから放出される前記セル内の熱事象中に少なくとも1つの所定のセルケース故障点が生成される、覆われないままにすること、を含む、方法。
【請求項9】
前記圧縮ラップは、前記セルケースに接着されたガラス繊維強化フィルムであ
り、かつ前記所定の点での故障の前に前記圧縮ラップによって覆われている前記セルケース上の任意の位置での前記セルケースの故障を防止する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
電池モジュールアセンブリであって、
請求項1~6のいずれか1項に記載の角柱形電池セルを複数収容するように構成された電池モジュールハウジングと、
(2)前記複数の角柱形電池セルのうちの少なくとも2つの間に位置付けられた層状バリア材料であり、前記層状バリア材料は、少なくとも1つの前記電池セル内で発生する熱事象のセル間伝播を熱的に隔離および制御または防止するように構成されており、前記層状バリア材料は、
(i)少なくとも2つの異方性材料シートであり、前記異方性材料シートのうちの少なくとも1つは、前記少なくとも2つの電池セルのうちの1つと直接対向接触しており、前記異方性材料シートのうちの少なくとも1つの他のシートは、前記少なくとも2つの電池セルのうちの他の1つと直接対向接触している、少なくとも2つの異方性材料シートと、
(ii)任意選択的に、少なくとも2つの断熱材料シートであり、前記少なくとも2つの断熱材料シートのうちの一方は、前記少なくとも2つの異方性材料シートのうちの1つと直接対向接触して位置付けられ、前記少なくとも2つの断熱材料シートのうちの他方は、前記少なくとも2つの異方性材料シートのうちの他方と直接対向接触して位置付けられる、少なくとも2つの断熱材料シートと、
(iii)圧縮下にある、前記少なくとも2つの断熱材料シートの間に位置付けられたコンプライアント材料であり、前記コンプライアント材料は、前記少なくとも2つの異方性材料シートを前記少なくとも2つの電池セルと直接対向接触したままにするように動作可能である、コンプライアント材料とを備える、層状バリア材料と、を備える、電池モジュールアセンブリ。
【請求項11】
前記電池モジュールハウジングは、外側金属または非金属構造層と、FR4定格シート材料の内側層と、それらの間に位置付けられた少なくとも1つの黒鉛状炭素シートとを備える少なくとも1つの複合パネルを備え、
前記複合パネルは、前記電池モジュールハウジング内の1つまたは複数の電池セルに関連する熱事象からの噴出物およびガスの流れを前記ハウジング内に形成された出口に向かって導くように構成された通路を少なくとも部分的に画定する
ものであり、
前記ハウジングが、前記複合パネルに対して交差方向に位置付けられた少なくとも1つの側部パネルをさらに備え、前記出口が、前記少なくとも一方の側部パネル内に形成されており、
前記出口は、通常、前記熱事象に応答して開き、前記通路と前記ハウジングの外部との間の連通を可能にするように構成された破断可能ダイアフラムによって被覆されている、請求項11に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項12】
前記電池モジュールアセンブリが、前記ハウジング内に位置する前記複数の電池セルを接続するように動作可能な1つまたは複数のバスバーをさらに備え
、前記1つまたは複数のバスバーを少なくとも部分的に覆い、前記1つまたは複数のバスバーの外側に位置し、前記通路内にある電気部品が、前記複数の電池セルのうちの1つまたは複数に関連する熱事象中に前記1つまたは複数のバスバーと接触しないように遮蔽するように構成された1つまたは複数のバスバーシールドをさらに備える、請求項
10又は11に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項13】
前記複数の電池セルの各々は、前記側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも1つのセルフランジと、前記側壁セグメントのうちの1つまたは複数から延在する少なくとも2つの端子であり、前記少なくとも2つの端子は、前記少なくとも1つのセルフランジによって少なくとも部分的に囲まれている、少なくとも2つの端子とを備え、前記少なくとも1つのセルフランジの少なくとも1つの側面上に配置され、前記少なくとも1つのセルフランジの上に重なる少なくとも1つの柔軟な耐熱性材料ストリップが存在する、請求項
10~12のいずれか1項に記載の電池モジュールアセンブリ。
【請求項14】
請求項1~
7のいずれか
1項に記載の角柱形電池セルまたは請求項
10~13のいずれか1項に記載
の電池セルアセンブリを備える乗り物。
【国際調査報告】