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特表2022-528264トルクトランジスタ及び当該トルクトランジスタを備えるEバイク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-09
(54)【発明の名称】トルクトランジスタ及び当該トルクトランジスタを備えるEバイク
(51)【国際特許分類】
   B62M 6/55 20100101AFI20220602BHJP
【FI】
B62M6/55
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560115
(86)(22)【出願日】2020-04-02
(85)【翻訳文提出日】2021-12-06
(86)【国際出願番号】 EP2020059412
(87)【国際公開番号】W WO2020207900
(87)【国際公開日】2020-10-15
(31)【優先権主張番号】19168972.8
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520300482
【氏名又は名称】マクソン インターナショナル アーゲー
【氏名又は名称原語表記】MAXON INTERNATIONAL AG
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】アーンスト フォン レーマン
(57)【要約】
本発明は、補助モーターを備える筋力動作車両の駆動列用トルク伝達装置に関する。当該トルク伝達装置は、出力シャフトと、筋力により生成されるトルクを前記出力シャフトへ伝達する第1入力シャフトと、補助モーターによって生成されるトルクを前記出力シャフトへ伝達する第2入力シャフトと、当該筋力動作車両のユーザーが、前記補助モーターが不稼働又はスイッチが入っていないときに同時に前記補助モーターを回転させる必要がなくなるようにするフリーホイール機能を備える。本発明によると、当該トルク伝達装置は、前記第1入力シャフトにてトルクが前記出力シャフトで回転駆動方向に作用するように及ぶ場合には前記第2入力シャフトから前記出力シャフトへトルクを伝達し、かつ、前記第1入力シャフトにてトルクが前記出力シャフトで回転駆動方向とは反対の方向に作用するように及ぶ場合には前記第2入力シャフトから前記出力シャフトへトルクを伝達しないように設計される機械クラッチを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補助モーターを備える筋力動作車両の駆動列用トルク伝達装置であって、
出力シャフトと、
筋力により生成されるトルクを前記出力シャフトへ伝達する第1入力シャフトと、
補助モーターによって生成されるトルクを前記出力シャフトへ伝達する第2入力シャフトと、
当該筋力動作車両のユーザーが、前記補助モーターが不稼働又はスイッチが入っていないときに同時に前記補助モーターを回転させる必要がなくなるようにするフリーホイール機能を備え、
前記第1入力シャフトにてトルクが前記出力シャフトで回転駆動方向に作用するように及ぶ場合には前記第2入力シャフトから前記出力シャフトへトルクを伝達し、かつ、前記第1入力シャフトにてトルクが前記出力シャフトで回転駆動方向とは反対の方向に作用するように及ぶ場合には前記第2入力シャフトから前記出力シャフトへトルクを伝達しないように設計される機械クラッチを有することを特徴とする、
トルク伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載のトルク伝送装置であって、前記機械クラッチは、電力供給無しで動作可能なクランプ型ロッククラッチであることを特徴とする、トルク伝送装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のトルク伝送装置であって、
前記出力シャフト、前記第1入力シャフト、及び前記第2入力シャフトは、互いに同軸となるように配置され、かつ、原則として互いに対して回転可能となるように取り付けられ、前記第1入力シャフトと前記出力シャフトとの間には、ある所定の円周方向の隙間の範囲内で前記第1入力シャフトと前記出力シャフトとの間での相対回転を可能にする隙間を有するつかみ係合が存在し、
少なくとも1つのクランプ要素が前記第2入力シャフトと前記出力シャフトとの間でクランプ型ロック用に配置され、その結果、前記クランプ要素はいかなる場合でも解放位置にあるか、又は、前記出力シャフトが前記第1入力シャフトによって駆動回転方向に回転する場合に前記解放位置となり、かつ、前記第2入力シャフトは回転しないか、又は前記出力シャフトと前記第1入力シャフトよりも前記駆動回転方向に遅く回転し、
前記クランプ要素は、前記第2入力シャフトが前記出力シャフトよりも一時的速く前記駆動回転方向に回転する場合に、前記出力シャフトと前記第2入力シャフトとの間での相対回転によって前記解放位置からロック位置へ動かされ、その結果前記第2入力シャフトと前記出力シャフトとの間につかみ係合が発生し、前記クランプ要素は、前記駆動回転方向に作用するトルクが前記第1入力シャフト及び前記第2入力シャフトを介して前記出力シャフトへ伝達される限り、いかなる場合でも前記ロック位置に留まり、
前記第1入力シャフトは、該第1入力シャフトが前記第1入力シャフトと前記出力シャフトとの間に存在する前記円周方向の隙間の範囲内で前記出力シャフトに対して前記駆動回転方向とは反対方向に回転する場合には、いかなる場合でも前記クランプ要素を前記ロック位置から前記前記解放位置へ動かすロック解除要素を備える、
ことを特徴とする、トルク伝送装置。
【請求項4】
請求項3に記載のトルク伝送装置であって、
前記クランプ要素は、前記出力シャフトの第1クランプ表面と前記第2入力シャフトの第2クランプ表面との間に配置される回転部材で、前記第1クランプ表面と前記第2クランプ表面との間の距離は前記円周方向から見て減少し、その結果前記クランプ要素の前記ロック位置では、前記クランプ表面と前記第1クランプ表面及び前記第2クランプ表面との間で自己ロックが起こる、
ことを特徴とする、トルク伝送装置。
【請求項5】
請求項4に記載のトルク伝送装置であって、前記クランプ要素はクランプローラーであることを特徴とする、トルク伝送装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載のトルク伝送装置であって、前記クランプ要素は円筒形状又は円錐形状の設計であることを特徴とする、トルク伝送装置。
【請求項7】
請求項6に記載のトルク伝送装置であって、前記クランプ要素は、該クランプ要素の長手軸に対して垂直な断面において円形断面又は少なくとも1つのふくらみを有する円形断面を有することを特徴とする、トルク伝送装置。
【請求項8】
請求項4~7のいずれか一項に記載のトルク伝送装置であって、
前記クランプ要素の回転軸は、前記出力シャフト、前記第1入力シャフト、及び前記第2入力シャフトの共通軸に平行であることを特徴とする、トルク伝送装置。
【請求項9】
請求項4~8のいずれか一項に記載のトルク伝送装置であって、前記第1クランプ表面と前記第2クランプ表面は円錐表面によって構成され、前記第2クランプ表面の中心半径は前記第2入力シャフトの全周にわたって一定で、前記第1クランプ表面の中心半径は前記円周方向から見て変化することを特徴とする、トルク伝送装置。
【請求項10】
請求項4~9のいずれか一項に記載のトルク伝送装置であって、前記クランプ要素は前記出力シャフトの第1凹部内で受け取られ、前記第1クランプ表面は前記第1凹部の一部の表面によって構成されることを特徴とする、トルク伝送装置。
【請求項11】
請求項10に記載のトルク伝送装置であって、
前記第1凹部に続く第2凹部が前記円周方向から見て前記出力シャフト内に形成され、前記第1入力シャフトの前記ロック解除要素材は前記第2凹部と係合するピンで、前記駆動回転方向において前記ピンと前記第2凹部との係合によって、前記第1入力シャフトと前記出力シャフトとの間でのつかみ係合が生成され、前記第1入力シャフトと前記出力シャフトとの間での前記円周方向での隙間は、前記円周方向から見た前記クランプ要素と前記ピンとを組み合わせた伸びよりも長い前記円周方向から見た前記第1凹部と前記第2凹部とを組み合わせた伸びによって与えられる、
ことを特徴とする、トルク伝送装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のトルク伝送装置であって、前記第2入力シャフトは前記出力シャフトを同軸で取り囲むことを特徴とする、トルク伝送装置。
【請求項13】
請求項12に記載のトルク伝送装置であって、前記第2入力シャフトがクラウンホイールとして設計されることを特徴とする、トルク伝送装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のトルク伝送装置であって、前記第1入力シャフトは前記出力シャフトを貫通して延びることを特徴とする、トルク伝送装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のトルク伝送装置であって、前記円周方向に分布して配置される複数のクランプ要素を備えることを特徴とする、トルク伝送装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載のトルク伝送装置であって、前記クランプ型ロックは、前記ロック位置辺の搬送中に前記クランプ要素を支持するように設計される環状引っ張り要素を備えることを特徴とする、トルク伝送装置。
【請求項17】
補助モーターと請求項1~16のいずれか一項に記載のトルク伝送装置を備えるバイクであって、前記補助モーターはミッドモーターで、かつ、前記第2入力シャフトと結合される、バイク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項である請求項1の前段部に記載の補助モーターを備える筋力動作車両の駆動列用トルク伝達装置に関する。本願の技術的範囲内で、「筋力動作車両」という用語は原則として、全種類の筋力動作車両-具体的にはペダルボート等の船舶-含む。しかし本発明は、ミッドモーター又はボトムブラケットモーターを備えるeバイク又は電動機補助自転車に特に適する。
【0002】
独立請求項である請求項1の前段部に記載の汎用トルク伝達装置は、出力シャフトと、筋力により生成されるトルクを前記出力シャフトへ伝達する第1入力シャフトと、補助モーターによって生成されるトルクを前記出力シャフトへ伝達する第2入力シャフトと、当該筋力動作車両のユーザーが、前記補助モーターが不稼働又はスイッチが入っていないときに同時に前記補助モーターを回転させる必要がなくなるようにするフリーホイール機能を備える。
【背景技術】
【0003】
汎用トルク伝達装置は従来技術から既知であり、たとえばミッドモーターを備えるeバイクで用いられている。特許文献1(EP 700 826 A1)は、補助モーターと検出された筋力動作トルクに基づく制御部を備えるeバイクを開示している。従来技術から既知である解決法では、電気センサーが、運転者が、バイクを前進させるためにペダルに応力を加えているのか否かを検出する。この応力がペダルに加えられる場合、補助モーターは、運転者を支援するように始動される。運転者がもはやペダルに応力を加えない、あるいは反対方向にペダルを回転させる場合、これもまた電気センサーによって検出され、かつ、補助モーターの支援は減少又は不稼働となる。電気システムは、エラーと故障を起こしがちなので、たとえばセンサーが故障した場合でもバイクの安全制動が可能なように特に安全に関する領域において冗長でなければならない。さらにチェーンリングを支持する出力シャフトは通常、第1入力シャフトに堅く接続されるか、あるいは第1入力シャフトによって形成される。第2入力シャフトもまた通常は出力シャフトに堅く接続される。フリーホイール機能は通常、補助モーター自身又は補助モーターと出力シャフトとの間に配置されるトランスミッションに設置されるフリーホイールによって実現される。補助モーターが同時に回転又は後方にペダルを回している間に後方に回転しなければならないようにするため、従来技術から既知の解決法では、第1フリーホイールに加えて他のフリーホイールを設置する必要がある。特許文献2から、補助モーターを備える他のバイクが知られている。このバイクでは、駆動部がトルク検出部によって制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第700826A1号公報
【特許文献2】欧州特許第3254945A1号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、特に小型かつ安価な構成が実現し、同時に上述のフリーホイール機能の両方が保証され得るように汎用トルク伝達装置をさらに発展させることである。さらに信頼性のある補助モーターの支援動力の不稼働が保証される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は独立請求項である請求項1の特徴によって実現される。従って独立請求項である請求項1の前段部によるトルク伝達装置において、本発明による解決策は、当該トルク伝達装置が、前記第1入力シャフトにてトルクが前記出力シャフトで回転駆動方向に作用するように及ぶ場合には前記第2入力シャフトから前記出力シャフトへトルクを伝達し、かつ、前記第1入力シャフトにてトルクが前記出力シャフトで回転駆動方向とは反対の方向に作用するように及ぶ場合には前記第2入力シャフトから前記出力シャフトへトルクを伝達しないように設計される機械クラッチを備えることである。
【0007】
本発明の有利な実施形態は従属請求項の対象である。
【0008】
本発明の好適実施形態では、前記クラッチは、電力供給無しで動作可能な機械クラッチである。好適には前記機械クラッチはクランプ型ロックとして設計される。電気システムと比較して、機械クラッチは信頼性が高い。電気システムでは、たとえばバッテリー又は蓄電池が空になることでシステムが故障する危険性がある。さらにセンサー又は給電線のケーブル断線によってシステムが故障する恐れがある。特にほとんどの場合において外で利用される車両においては、様々な温度-たとえば雪及び雨での温度-で長年完璧に動作しなければならないため、これは大変な課題である。従って安全及び車両の分野における電気システムは、2倍またさらには3倍の冗長性を以て設計されなければならない。
【0009】
本発明のさらに特別な好適実施形態によると、前記出力シャフト、前記第1入力シャフト、及び前記第2入力シャフトは、互いに同軸となるように配置され、かつ、原則として互いに対して回転可能となるように取り付けられる。前記第1入力シャフトと前記出力シャフトとの間には、ある所定の円周方向の隙間の範囲内で前記第1入力シャフトと前記出力シャフトとの間での相対回転を可能にする隙間を有するつかみ係合が存在する。少なくとも1つのクランプ要素が前記第2入力シャフトと前記出力シャフトとの間でクランプ型ロック用に配置され、その結果、前記クランプ要素はいかなる場合でも解放位置にあるか、又は、前記出力シャフトが前記第1入力シャフトによって駆動回転方向に回転する場合に前記解放位置となり、かつ、前記第2入力シャフトは回転しないか、又は前記出力シャフトと前記第1入力シャフトよりも前記駆動回転方向に遅く回転する。前記クランプ要素は、前記第2入力シャフトが前記出力シャフトよりも一時的速く前記駆動回転方向に回転する場合に、前記出力シャフトと前記第2入力シャフトとの間での相対回転によって前記解放位置からロック位置へ動かされ、その結果前記第2入力シャフトと前記出力シャフトとの間につかみ係合が発生する。前記クランプ要素は、前記駆動回転方向に作用するトルクが前記第1入力シャフト及び前記第2入力シャフトを介して前記出力シャフトへ伝達される限り、いかなる場合でも前記ロック位置に留まる。前記第1入力シャフトは、該第1入力シャフトが前記第1入力シャフトと前記出力シャフトとの間に存在する前記円周方向の隙間の範囲内で前記出力シャフトに対して前記駆動回転方向とは反対方向に回転する場合には、いかなる場合でも前記クランプ要素を前記ロック位置から前記前記解放位置へ動かすロック解除要素を備える。よって本発明によって供される前記クラッチは、前記クランプ要素が前記ロック位置にある場合には閉じられる。ロック要素が前記解放位置に位置するとすぐに、本発明による前記クラッチは開く。
【0010】
この実施形態は、2つの上述したフリーホイール機能が1つの機能ユニットに統合されるという利点を有する。他の利点は、前記クランプ要素を介して伝達される前記トルクが前記補助モーターの最大トルクに制限されることである。2つの独立したフリーホイールが用いられる場合、前記2つの独立したフリーホイールのうちの1つは、前記筋力動作車両のユーザーが前記出力シャフトへ加える最大トルク用に設計されなければならない。よって特に好適な実施形態は全体として非常に小型で軽量な構成を可能にする。
【0011】
上述の特に好適な実施形態によると、前記出力シャフト、前記第1入力シャフト、及び前記第2入力シャフトは互いに同軸となるように配置される。明記されていない場合、たとえば「円周方向」などの用語は、前記出力シャフト、前記第1入力シャフト、及び前記第2入力シャフトの共通の幾何学上の軸を指称する。
【0012】
本発明のさらに特別に好適な実施形態によると、前記クランプ要素は、前記出力シャフトの第1クランプ表面と前記第2入力シャフトの第2クランプ表面との間に配置される回転部材である。前記第1クランプ表面と前記第2クランプ表面との間の距離は前記円周方向から見て減少し、その結果前記クランプ要素の前記ロック位置では、前記クランプ表面と前記第1クランプ表面及び前記第2クランプ表面との間で自己ロックが起こる。回転部材として設計される前記クランプ要素は、前記出力シャフトと前記第2入力シャフトとの間での相対回転ではあるが、前記解放位置では自由に回転できる。前記第2入力シャフトは前記前記駆動回転方向において出力シャフトよりも速く回転し、前記第2入力シャフトは該第2入力シャフトの前記第2クランプ表面によって捕らえられて前記第2クランプ表面に沿って運ばれるので、前記第1クランプ表面に沿って前記円周方向に回転して、上述の自己ロックが起こる前記ロック位置となる。前記逆方向の相対回転では、前記自己ロックは単純な方法でキャンセルされる。
【0013】
特に好適には前記クランプ要素はクランプローラーである。円筒形状のクランプローラーは、容易に製造可能で、大きなトルクの伝達が可能であると同時に小型な構成をとる。あるいはその代わりに前記クランプ要素は、たとえば円錐に設計されてもよい。前記クランプ要素は、該クランプ要素の長手軸に対して垂直に円形断面を有してよい。しかし好適実施形態によると、前記クランプ要素は、少なくとも1つのふくらみを有する円形断面を有する。特に好適には前記クランプ要素は2つのふくらみを有する円形断面を有する。前記ふくらみは、前記第2入力シャフトと前記出力シャフトとの間での力の伝達を最適化するカム表面を表す。特に2つのふくらみが供される場合、前記2つのふくらみの間では、前記第2入力シャフトと前記出力シャフトとの間での力の伝達を最適化する表面が得られる。さらに前記ふくらみによって、前記クランプ要素の位置設定は改善される。
【0014】
さらに好適には、前記クランプ要素の回転軸は、前記出力シャフト、前記第1入力シャフト、及び前記第2入力シャフトの共通軸に平行に設けられる。
【0015】
本発明の他の好適実施形態によると、前記第1クランプ表面と前記第2クランプ表面は円錐表面によって構成される。前記第2クランプ表面の中心半径は前記第2入力シャフトの全周にわたって一定で、前記第1クランプ表面の中心半径は前記円周方向から見て変化する。この実施形態もまた、小型の構成及びクランプ機構の安全機能に寄与する。
【0016】
本発明のさらなる好適実施形態によると、前記クランプ要素は前記出力シャフトの第1凹部内で受け取られる。前記第1クランプ表面は前記第1凹部の一部の表面によって構成される。この実施形態は、本発明によるトルク伝達装置の単純な構成に寄与し、かつ、前記クランプ要素の容易な位置設定を可能にする。
【0017】
ここで前記第1凹部に続く第2凹部が前記円周方向から見て前記出力シャフト内に形成されている場合には特に有利である。前記第1入力シャフトの前記ロック解除要素材は前記第2凹部と係合するピンで、前記駆動回転方向において前記ピンと前記第2凹部との係合によって、前記第1入力シャフトと前記出力シャフトとの間でのつかみ係合が生成される。前記第1入力シャフトと前記出力シャフトとの間での前記円周方向での隙間は、前記円周方向から見た前記クランプ要素と前記ピンとを組み合わせた伸びよりも長い前記円周方向から見た前記第1凹部と前記第2凹部とを組み合わせた伸びによって与えられる。この実施形態は特に小型で単純な構成に寄与する。しかもこの実施形態では、特に少数の部品しか必要とされない。前記円周方向の隙間によって、前記第1入力シャフトと前記出力シャフトとの間にある程度相対運動が発生し得る。前記相対運動によって、前記クランプ要素は、トルクが前記第2駆動シャフトから前記出力シャフトへ伝達される前記ロック位置、及び、トルクが前記第2駆動シャフトから前記出力シャフトへ伝達されない前記解放位置へ移動し得る。
【0018】
本発明のさらに特別な好適実施形態によると、前記第2入力シャフトは前記出力シャフトを同軸で取り囲む。この実施形態もまた小型の構成に寄与する。ここで、前記第2入力シャフトがクラウンホイールとして設計される場合に特に有利である。前記クラウンホイールは、該クラウンホイールの対応するギアに係合する前記モーターシャフトのピニオンによって単純な方法で駆動され得る。
【0019】
本発明のさらなる好適実施形態によると、前記第1入力シャフトは前記出力シャフトを貫通して延びる。この実施形態もまた小型の構成に寄与する。
【0020】
本発明のさらに特別な好適実施形態によると、当該トルク伝達装置は、前記円周方向に分布して配置される複数のクランプ要素を備える。前記複数のクランプ要素によって、特に大きなトルクが前記複数のクランプ要素によって伝達され得る。有利となるように蔵納部材程度の個数のロック解除要素材又はピニオンが供される。特に好適には、前記クランプ要素と前記ロック解除要素材の両方は、前記円周方向において均等に分布するように配置される。この結果、特に有利な力の伝達が実現する。それにより長耐用年数も実現される。
【0021】
本発明のさらなる好適実施形態によると、前記クランプ型ロックは、前記ロック位置への搬送中に前記クランプ要素を支持するように設計される環状引っ張り要素を備える。前記引っ張り要素はたとえば弾性材料-たとえば樹脂又はゴム-で構成され得る。しかし前記引っ張り要素はまたわずかに螺旋状の細線で構成されるワームスプリングであってもよい。前記細線は螺旋をなすため弾性である。前記引っ張り要素は、トルクが前記第2入力シャフトから前記出力シャフトへ伝達される前記ロック位置への搬送中に前記クランプ要素を支持する。弾性部材又はばねとして機能する前記引っ張り要素によって、力又はトルクが前記クランプ要素へ加えられる。前記トルクは、前記クランプ要素が前記ロック位置へ移動するときに前記クランプ要素を支持する。前記クランプ要素がこの実施形態において前記引っ張り要素によって前記ロック位置へあらかじめ引っ張られているので、前記第2入力シャフトと前記出力シャフトとの間での摩擦接触は生成するのに前記第2入力シャフトと前記出力シャフトとの間での相対運動は非常に小さくても十分である。前記引っ張り要素は、すべてのクランプ要素が前記ロック位置へ搬送されることを保証する。このことは特に有利である。その理由は、潤滑化に必要とされる脂によって、前記クランプ要素は、前記第2入力シャフトと前記出力シャフトとの間での前記相対運動にもかかわらず前記解放位置に留まり、かつ、前記ロック位置へ搬送、すなわち前記ロック位置へ向かって回転も滑動もしないからである。好適には前記引っ張り要素は内周で前記クランプ要素に張力によって抗するように隣接する。しかし前記引っ張り要素は、外周で前記クランプ要素に張力によって抗するように隣接してもよい。いずれの場合でも、前記クランプ要素はさらに好適には、それぞれのクランプ要素の軸に対して円筒形状ではない支持表面を有するが、前記引っ張り要素が隣接するカム表面を構成する。それにより前記引っ張り要素と前記カム表面との協働によってトルクが前記クランプ要素に加えられる。さらに好適には前記支持表面は前記クランプ要素の本体部から軸方向に突出する突出部で実施される。さらに好適には前記支持表面は前記クランプ要素の軸を貫くように延びる。
【0022】
本発明はまた、補助モーターと本発明によるトルク伝達装置を備えるバイクをも供する。前記補助モーターは、ミッドモーターとして実施され、かつ、前記第2入力シャフトと結合される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
本発明の実施形態について以降で図面を参照しながら詳述する。
図1】本発明の第1実施形態によるトルク伝達手段を備えるeバイクのボトムブラケット領域の部分断面図を示している。
図2】クランプ要素とロック解除要素材の軸上の位置での図1の本発明によるトルク伝達手段の断面を示している。
図3】補助モーターは不稼働で、ペダルはeバイクのユーザーによって前進方向に操作されている状態での図2の断面を示している。
図4】補助モーターによる支援の開始時での図2の断面を示している。
図5】補助モーターによるeバイクのユーザーの支援が進行中の状態での図2の断面を示している。
図6】ペダルの運動を止めた時点での図2の断面を示している。
図7】eバイクのユーザーによってペダルが操作され、かつ、補助駆動のスイッチがオフになっている状態での図2の断面を示している。
図8】eバイクのユーザーによってペダルが後方に操作され、かつ、補助駆動の始動によって第2入力シャフトが前進方向に回転している状態での図2の断面を示している。
図9】eバイクが後方に押されるときの図2の断面を示している。
図10】引っ張り要素を備える本発明によるトルク伝達手段のさらなる実施形態の断面を示している。
図11】クランプ要素の前端での図10の本発明によるトルク伝達手段のクランプ要素を詳細に示している。
図12図11のクランプ要素の斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下の図では、同じ部分は同じ参照番号で示されている。図に関連する説明で明示的に説明されていない参照番号が含まれている場合は、図の前後の説明を参照して欲しい。
【0025】
図1は、第1の実施形態によるトルク伝達装置を備えたeバイクのボトムブラケット領域の部分断面斜視図である。eバイクの図示されていないペダルが取り付けられているボトムブラケットシャフト1は、本発明によるトルク伝達装置の第1の入力シャフトを形成している。第1入力シャフト1は、トルク伝達装置の中空円筒形状の出力シャフト3を通って延びている。次に中空円筒形状の出力シャフト3は、チェーンリング6が取り付けられているチェーンリング支持部7を支持する。不図示のチェーンを介して、出力シャフト3に及ぶ駆動トルクがeバイクの後輪に伝達される。本発明によるトルク伝達装置は、、同じく中空であり、出力シャフト3を半径方向に取り囲む第2入力シャフト2を備える。第2入力シャフト2は、クラウンホイールとして設計されている。そのため第2入力シャフト2は、eバイクの電動補助モーターの出力シャフトのピニオン13が係合する円錐形のギア面を有する。このため第2入力シャフト2は、図示しない補助駆動装置によって排他的に駆動される。出力シャフト3、第1入力シャフト1、および第2入力シャフト2の3つのシャフトはすべて、互いに同軸上に配置され、基本的には互いに回転可能に取り付けられている。出力シャフト3、第1入力シャフト1、および第2入力シャフト2は、図1に表されている共通の幾何学的軸8を共有している。
【0026】
本発明によるトルク装置は、両入力シャフト1,2を介して出力シャフト3にトルクを伝達できるように構成されている。本発明によるトルク伝達装置は、ここでは、1つの単一の機能ユニットに統合された2つのフリーホイール機能を有する。第1フリーホイール機能は、補助モーターが不稼働であるかまたはスイッチが入っていない場合に、eバイクのユーザがペダルを踏んで前進する際に補助モーターを同時に回転させることを要しなくする。また、第2フリーホイール機能は、eバイクのユーザが後輪にトルクが伝わらない状態でペダルを逆回転させても、補助モーターが通常の回転方向とは逆に回転することを要しないことを保証する。そのため、後輪のハブには対応するフリーホイールが装着されている。
【0027】
以下、本発明によるトルク伝達装置の機能を説明する。出力シャフト3と第2の入力シャフト2との間には、複数の円筒形状のクランプローラ4が配置されており、通常の動作では、クランプ式ロックのように第2入力シャフト2から出力シャフト3へのトルク伝達を保証している。クランプローラ4は、出力シャフト3の円周上に均一に分布するように配置されており、出力シャフト3の外周に設けられた対応する凹部9に受容されている。図1が明確に示すように、クランプリングローラ4の軸は、本発明によるトルク伝達装置の軸8と平行に向いていない。クランプリングローラ4の軸はむしろ、出力シャフト3、第1入力シャフト1、および第2入力シャフト2の共通の軸8に対して斜めの角度をなしている。したがってクランプローラ4は、本質的に円錐形である出力シャフト3と第2入力シャフト2のクランプ面の間で作用する。
【0028】
図2は、クランプローラ4の軸方向の位置にある軸8に直交する、本発明によるトルク伝達装置の断面を示している。第2入力シャフト2側のクランプ面12は、回転対称の円錐面で形成されている。また出力シャフト側のクランプ面11は、出力シャフト3の外周に設けられた凹部9の底部によって形成されている。図2を見ると、クランプ面11は、周方向から見て時計回りすなわち駆動方向15に向かって増加し、それによりクランプ面11とクランプ面12との間の距離が時計回りに減少していることがよくわかる。また周方向から見て、各凹部9の隣には、出力シャフト3の外周輪郭に第2凹部10が形成されている。図2に示されているように、第1入力シャフト1のピン状の延長部5は、第2凹部10に係合する。ピン状の延長部5は、より見やすさのために、図1には示されていない。
【0029】
ピン状の延長部5が出力シャフト3の外郭に設けられた凹部10に係合することで、基本的に第1入力シャフト1と出力シャフト3との間につかみ係合が存在する。このことは、第1入力シャフト1が駆動回転方向15または駆動回転方向と反対方向に回転した場合、出力シャフト3は基本的に共回りすることを意味する。しかし、このつかみ係合には隙間がある。図2が示すように、円周方向から見た第1凹部9と第2凹部10とを合わせた伸びは、同じく円周方向に見たクランプローラー4とその隣に配置されたピン5を合わせた伸びよりも大きくなっている。したがって、図2に表され、周方向に作用する隙間14が存在する。
【0030】
eバイクのユーザが前方すなわち駆動回転方向15にペダルを踏む場合、第1入力シャフト1は図3の表現では時計回りに回転する。第1入力シャフトのピン状の延長部5は、隙間14を乗り越えた後、各図において右側に位置する第2凹部10の側面に衝突するので、出力シャフト3は第1入力シャフト1と同時に回転することになる。クランプローラ4は、その過程で対応する第1凹部9の左隅に留まり、図3のクランプローラ4の矢印で示されているように、自由に回転することができる。
【0031】
ここで補助モーターを作動させると、第2入力シャフト2も図4で表されているように時計回りに回転する。補助モーターから出力シャフトにトルクを伝達可能にするためには、第2入力シャフト2は一時的に出力シャフト3よりも速く回転しなければならない。クランプローラ4は、この相対的な動きに連れられ、出力シャフト3のクランプ面11と第2出力シャフトのクランプ面12との間に挟まれるまで、増加するクランプ面11上を右方向に転がる。その結果自己ロックが発生する。この状態が図5に示されている。このとき出力シャフト3には、第1入力シャフト1と第2入力シャフト2の両方を介してトルクが伝達される。
【0032】
eバイクのユーザーが第2入力シャフト2のトルクに対抗してペダルを踏み込むと、ピン状の延長部5がクランプローラー4に反時計回りに作用する力を与える。この状態が図6に示されている。クランプローラーの静止摩擦が克服されると、クランプローラーは再び回転または滑動を始める。このとき第2入力シャフトと出力シャフトとの間の摩擦接触が中断される。第2入力シャフトは自由に回転する。これは例えば、補助モーターが、運転者が望むよりも速く加速する場合に起こり得る。当然のことだがeバイクは対応するトルクセンサーを有する。前記トルクセンサーはこの場合は負のトルクを測定する。負のトルクが測定される結果、補助モーターは停止することになる。
【0033】
図7は、eバイクの運転者が後ろ向きにペダルを踏んだときの、本発明によるトルク伝達装置の動作を示している。ピン状の延長部5は、クランプローラがピン状の延長部5と第1凹部9の左側との間で挟まれるまでの過程で、4のクランプローラを反時計回りに押している。このときトルクは、第1の入力シャフトまたはピン状延長部5からクランプローラ4を介して出力シャフト3に反時計回りに伝達される。出力シャフト3は、第1入力シャフトとともに反時計回りに回転する。しかし出力シャフトと第2入力シャフトとの間の摩擦接触はキャンセルされるので、ペダルのこの後方への移動中に補助モーターを同時に回転させる必要はない。図8が示すように、補助モーターを回転駆動方向に始動させて第2入力シャフト2を時計回りに回転させても、クランプローラ4並びに第1入力シャフト1及び出力シャフト3の後方移動は影響を受けない。
【0034】
最後に、図9は、eバイクを後方に押したときの動作を示している。この場合、出力シャフト3は反時計回りに回転し、その過程で第1入力シャフトのピン状の延長部5と共に動く。出力シャフト3と第2入力シャフト2との間の相対的な回転により、クランプローラ4は、第1のクランプ面11上を右方向に転がり、クランプローラ4と出力シャフト3および第2入力シャフト2との間の自己ロックが生じるロック位置へ向かう。eバイクが押し戻されるとき、補助モーターはそれに伴って回転する。
【0035】
図10は、本発明によるトルク伝達手段のさらなる実施形態の断面を示している。このトルク伝達手段は基本的に、図1から図9の実施形態によるトルク伝達手段と同じ設計である。図10に示される実施形態では、トルク伝達手段は、ロック位置への移動中にクランプ要素4を支持するように設計された引張り要素16をさらに備える。引っ張り要素16は、環状の設計を有しており、クランプ要素4の対応する支持面18に突き当たる。図11および図12が示すように、支持面18は、クランプ要素4の本体部19から軸方向に突出する突起部20で実施されている。引張り要素は、引張り力が引張り要素によって生成されるように、弾性設計を有する。支持面18の一点で引張り要素16を静止させることにより、クランプ要素4にそれぞれ力またはトルクが発生し得る。このトルクにより、クランプ要素4は、移動またはロック位置への移動又は搬送の際に支持され得る。引っ張り要素16は、例えば、ガムやゴムなどの張力が発生するような弾性材料で作られてよい。あるいはその代わりに引っ張り要素16は、例えば、スプリングワイヤで作ることができる。ワイヤーを螺旋状に巻くことで、ウォームスプリングが生成されてもよい。前記ウォームスプリングによっても張力を発生させることができる。クランプ式ロックのクランプ要素4は、十分に潤滑されなければならない。それにより図1図9による実施形態では、クランプ要素4は、解放位置で固着されたままである可能性があり、第2の入力シャフト2と出力シャフト3との間の相対的な動きと、遠心力および/または重力とによって、回転も滑動もせず、ロック位置に移される。図10の第2の実施形態によるトルク伝達手段の引張り要素16によって、クランプ要素4は解放位置からロック解除位置への移送中に支持され、その結果すべてのクランプ要素が確実かつ迅速にロック位置にもたらされるようになっている。
【0036】
支持面18を有する突起部20は、クランプ要素4の本体部19から約1mm~10mm、好ましくは2mm~5mm突出している。その結果、引張り部16がその上に良好に位置することができ、クランプ式ロックにおいて突起部20のための設置スペースがあまり必要とされない。支持面18は、クランプ要素4の円周の一方の側から他方の側まで、半径方向にほぼ直線的に延びている。好ましくは、ここでは、支持面18は、クランプ要素4の長手方向軸に対して垂直に延びる断面を有する中心点を通ってほぼ延びている。それにより、支持面18によって、好ましくは大きなトルクがクランプ要素4で発生し得る。支持面18は、クランプ要素4の外周付近に湾曲部21を有している。湾曲部21によって、引張部16は、引張部16が鋭角な端部上に静止するときよりも、支持面18上に静止したときの機械的な負荷が小さくなる。
【0037】
図10に示した引張り要素16は、共通軸8に向けて引張り力を発生させる。この装置では、引張り要素16は、クランプ要素4の軸近傍の領域に位置することが望ましい。軸に近い領域とは、図1に見られる3つのシャフト1、2、3の共通軸8に近いクランプ要素4の領域である。突出部20は、このように軸近傍領域を形成する。
【0038】
また、引っ張り要素によって、共通軸8から離れた外側に引張力を発生させることも可能である。このような不図示の装置では、引張部は、軸から離れたクランプ要素の領域に対向するように配置されるべきである。
【0039】
図12が示すように、クランプ要素4は、円形の断面と2つのふくらみ17を有する本体部を含む。ふくらみ17は、2つのカムのようにクランプ要素4の円周を拡大し、それによって、第2の入力シャフト2と出力シャフト3との間の動力伝達およびクランプ要素4の位置決めまたは方位の両方が改善される。
【符号の説明】
【0040】
1 第1入力シャフト
2 第2入力シャフト
3 出力シャフト
4 クランプ要素
5 ロック解除要素
6 チェーンリング
7 チェーンリング支持部
8 軸
9 第1凹部
10 第2凹部
11 第1クランプ表面
12 第2クランプ表面
13 ピニオン
14 円周方向の隙間
15 回転駆動方向
16 引っ張り要素
17 ふくらみ
18 支持表面
19 本体部
20 突出部
21 湾曲部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】