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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-09
(54)【発明の名称】エネルギー変換システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B62D 21/15 20060101AFI20220602BHJP
   B60R 19/26 20060101ALI20220602BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20220602BHJP
   F16F 7/00 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
B62D21/15
B60R19/26
H02K7/116
F16F7/00 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021560171
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(85)【翻訳文提出日】2021-11-10
(86)【国際出願番号】 US2020020337
(87)【国際公開番号】W WO2020197693
(87)【国際公開日】2020-10-01
(31)【優先権主張番号】16/367,000
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521438788
【氏名又は名称】シュルマン、リチャード エー.
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュルマン、リチャード エー.
【テーマコード(参考)】
3D203
3J066
5H607
【Fターム(参考)】
3D203BB16
3D203CA22
3D203CA29
3D203CA38
3D203DA22
3D203DA32
3J066AA02
3J066AA23
5H607BB02
5H607EE31
(57)【要約】
エネルギー変換システム及び方法が開示される。1つの態様において、このシステムは、自動車に対する衝撃によって近位方向に受けたエネルギーを別のタイプのエネルギーに変換又は転換するためのものである。このシステムは、第1の係合構造を有する本体と、自動車の外周コンパートメント内に設置されて推力を受けるように構成された衝撃部材とを含む。衝撃部材は、第2の係合構造及び第3の係合構造を有する。第2の係合構造は、本体の第1の係合構造と係合して、衝撃部材が本体に対して相対的な方向に平行移動するのを容易にするように構成されている。システムは第4の係合構造を有する変換器をさらに含み、第4の係合構造は、衝撃部材の第3の係合構造と係合し、衝撃部材によって受けたエネルギーを別のタイプのエネルギーに変換するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周コンパートメントと内側コンパートメントとを備える自動車に対する衝撃によって近位方向に受けた第1のタイプのエネルギーを第2のタイプのエネルギーに変換するエネルギー変換システムであって、
第1の係合構造を有する本体と、
前記自動車の前記外周コンパートメント内に設置され、前記近位方向の前記第1のタイプのエネルギーの推力を前記衝撃から受け、前記推力に応えて前記本体に対して相対的な方向に平行移動するように構成された衝撃部材であって、第1の端部、第2の端部、第2の係合構造及び第3の係合構造を有し、前記第2の係合構造及び前記第3の係合構造は前記第1の端部と前記第2の端部との間に配置され、前記第2の係合構造は、前記本体の前記第1の係合構造と係合して、前記衝撃部材が前記本体に対して相対的な方向に平行移動するのを容易にするように構成されている、衝撃部材と、
前記本体に対して相対的に配置され、第4の係合構造を有する変換器であって、前記第4の係合構造は、前記衝撃部材の前記第3の係合構造と係合し、前記衝撃部材によって受けた前記第1のタイプのエネルギーを前記第2のタイプのエネルギーに変換するように構成されている、変換器と、
を備えたエネルギー変換システム。
【請求項2】
前記外周コンパートメントはバンパーを備えている、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項3】
前記外周コンパートメントはドアを備えている、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項4】
前記内側コンパートメントは乗員用に構成されている、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項5】
前記方向は前記近位方向に平行である、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項6】
前記近位方向は概ね自動車の中心に向かう方向である、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項7】
前記第1の係合構造は前記本体内のチャネルであり、前記チャネルは、前記衝撃部材の少なくとも一部をスライド可能に収容するように構成されている、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項8】
前記第2の係合構造は前記衝撃部材の少なくとも一部の所定のサイズ及び形状であり、前記衝撃部材の前記一部は、前記第1の係合構造の少なくとも一部によってスライド可能に収容されるように構成されている、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項9】
前記本体は前記自動車に対して固定されている、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項10】
前記衝撃部材は接触部とトラック部とを備えており、前記接触部と前記トラック部の双方は前記本体に対して共に平行移動する、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項11】
前記接触部は円筒シャフトとして構成されている、請求項10に記載のエネルギー変換システム。
【請求項12】
前記トラック部は長方形シャフトとして構成されている、請求項10に記載のエネルギー変換システム。
【請求項13】
前記第2の係合構造及び前記第3の係合構造は前記衝撃部材の前記トラック部上に配置されている、請求項10に記載のエネルギー変換システム。
【請求項14】
前記第3の係合構造は、前記トラック部上に配置された1つ以上の歯である、請求項10に記載のエネルギー変換システム。
【請求項15】
前記1つ以上の歯が前記トラック部のエッジに配置されている、請求項14に記載のエネルギー変換システム。
【請求項16】
前記第1のタイプのエネルギーは運動性であり、前記第2のタイプのエネルギーは電気性である、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項17】
前記第1のタイプのエネルギーは運動性であり、前記第2のタイプのエネルギーは熱性である、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項18】
前記変換器は1つ以上の電気モータを備えている、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項19】
前記1つ以上の電気モータは、前記第1のタイプのエネルギーを前記第2のタイプのエネルギーに変換するように構成されている、請求項18に記載のエネルギー変換システム。
【請求項20】
前記第4の係合構造は、前記衝撃部材の前記第3の係合構造と係合するように前記1つ以上の電気モータ上に配置された複数の歯である、請求項18に記載のエネルギー変換システム。
【請求項21】
前記第4の係合構造は、前記トラック部の前記1つ以上の歯と係合するように配置された複数の歯である、請求項14に記載のエネルギー変換システム。
【請求項22】
前記変換器は1つ以上の歯車と1つ以上の電気モータとを備えており、前記複数の歯は前記1つ以上の歯車上に配置されている、請求項21に記載のエネルギー変換システム。
【請求項23】
前記複数の歯の第1の部分は前記トラック部の前記1つ以上の歯と係合するように構成されており、前記複数の歯の第2の部分は前記1つ以上の電気モータと係合するように構成されている、請求項22に記載のエネルギー変換システム。
【請求項24】
前記本体及び前記衝撃部材は同軸に配置されている、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項25】
前記近位方向に受けた前記推力に関連する力ベクトルの方向を変更又は転換するように構成されている、請求項1に記載のエネルギー変換システム。
【請求項26】
外周コンパートメントと内側コンパートメントとを備える自動車に対する衝撃によって近位方向に受けた第1のタイプのエネルギーを第2のタイプのエネルギーに変換するエネルギー変換システムであって、
第1の係合構造を有する本体と、
前記自動車の前記外周コンパートメント内に設置され、前記近位方向の前記第1のタイプのエネルギーの推力を前記衝撃から受けるように構成された衝撃部材であって、第2の係合構造及び第3の係合構造を有し、前記第2の係合構造は前記本体の前記第1の係合構造と係合するように構成されている、衝撃部材と、
前記衝撃部材の前記第3の係合構造と係合し、前記衝撃部材によって受けた前記第1のタイプのエネルギーを前記第2のタイプのエネルギーに変換するように構成された第4の係合構造を有する変換器と、
を備えたエネルギー変換システム。
【請求項27】
外周コンパートメントと内側コンパートメントとを備える自動車に対する衝撃によって近位方向に受けた第1のタイプのエネルギーから第2のタイプのエネルギーにエネルギーを変換する方法であって、
第1の係合構造を有する本体を提供することと、
前記自動車の前記外周コンパートメント内に設置されるように構成され、第2の係合構造及び第3の係合構造を有する衝撃部材を提供することと、
前記衝撃部材により、前記近位方向の前記第1のタイプのエネルギーの推力を前記衝撃から受けることと、
前記推力に応えて、前記第1の係合構造と前記第2の係合構造との間の係合を介し、前記衝撃部材を前記本体に対して相対的な方向に平行移動させることと、
前記衝撃部材によって受けた前記第1のタイプのエネルギーを、前記衝撃部材と変換器との間の係合を介して前記第2のタイプのエネルギーに変換することと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は2019年3月27日に出願された米国特許出願第16/367,000号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本明細書で開示されるシステム及び方法は衝撃エネルギー変換システムに関するものである。特定の実施形態では、衝撃エネルギー変換システムは自動車を含む車両に用いられる。他の特定の実施形態では、衝撃エネルギー変換システムはボクシングのベストやフットボールのヘルメットを含むスポーツ用品に使用され、衝撃による傷害を軽減する。
【背景技術】
【0003】
自動車は、一般に車両の前部及び/又は後部に位置する1つ以上のバンパーを含む。バンパーは、他の物体との衝突時にエネルギーを吸収する。バンパーは一般に車両の前部及び後部を横切る幅方向、すなわち横方向に延在する。バンパーは、長手方向に延びるレールに取り付けることができる。バンパーの多くは、バンパーの物理的な変形によって衝撃からバンパーへのエネルギーを吸収することにより、車両及び/又は車両の乗員への被害を軽減するように設計されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示のシステム、方法、及びデバイスは、それぞれいくつかの革新的な側面を有しており、そのうちの1つだけが本明細書で開示されている望ましい属性をもたらすわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様では、自動車に対する衝撃によって近位方向に受けた第1のタイプのエネルギーを第2のタイプのエネルギーに変換するエネルギー変換システムが提供される。自動車は、外周コンパートメント及び内側コンパートメントを備えている。エネルギー変換システムは、第1の係合構造を有する本体と、自動車の外周コンパートメント内に設置され、近位方向の第1のタイプのエネルギーの推力を衝撃から受け、推力に応えて本体に対して相対的な方向に平行移動するように構成された衝撃部材とを備えている。衝撃部材は、第1の端部、第2の端部、第2の係合構造及び第3の係合構造を有する。第2の係合構造及び第3の係合構造は、第1端部と第2端部との間に配置されている。第2の係合構造は、本体の第1の係合構造と係合して、衝撃部材が本体に対して相対的な方向に平行移動するのを容易にするように構成されている。エネルギー変換システムは、本体に対して相対的に配置され、第4の係合構造を有する変換器をさらに備えており、第4の係合構造は、衝撃部材の第3の係合構造と係合し、衝撃部材によって受けた第1のタイプのエネルギーを第2のタイプのエネルギーに変換するように構成されている。
【0006】
別の態様では、自動車に対する衝撃によって近位方向に受けた第1のタイプのエネルギーを第2のタイプのエネルギーに変換するエネルギー変換システムが提供される。自動車は、外周コンパートメント及び内側コンパートメントを備えている。エネルギー変換システムは、第1の係合構造を有する本体と、自動車の外周コンパートメント内に設置され、近位方向の第1のタイプのエネルギーの推力を衝撃から受けるように構成された衝撃部材とを備えている。衝撃部材は、第2の係合構造及び第3の係合構造を有する。第2の係合構造は、本体の第1の係合構造と係合するように構成されている。エネルギー変換システムは、衝撃部材の第3の係合構造と係合し、衝撃部材によって受けた第1のタイプのエネルギーを第2のタイプのエネルギーに変換するように構成された第4の係合構造をさらに備えている。
【0007】
別の態様では、自動車に対する衝撃によって近位方向に受けた第1のタイプのエネルギーから第2のタイプのエネルギーにエネルギーを変換する方法が提供される。自動車は、外周コンパートメント及び内側コンパートメントを備えている。この方法は、第1の係合構造を有する本体を提供することと、自動車の外周コンパートメント内に設置されるように構成され、第2の係合構造及び第3の係合構造を有する衝撃部材を提供することと、衝撃部材により、近位方向の第1のタイプのエネルギーの推力を衝撃から受けることと、を含む。この方法は、推力に応えて、第1係合構造と第2係合構造との間の係合を介し、衝撃部材を本体に対して相対的な方向に平行移動させることと、衝撃部材によって受けた第1のタイプのエネルギーを、衝撃部材と変換器との間の係合を介して第2のタイプのエネルギーに変換することと、をさらに含む。
【0008】
開示された態様を制限するのではなく例示するために提供された添付の図面と併せて、開示された態様を以下に説明する。ここで、同様の名称は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の態様による、バンパーと、バンパーに対して配置された複数のエネルギー変換システムとを含む自動車の前端又は後端の例示的な実施形態を示す。
図2】複数のエネルギー変換システムが自動車のバンパーに連結された図1の自動車の前端又は後端を示す。
図3図1及び図2の自動車の内側コンパートメント及び外側コンパートメントを概念的に示すブロック図であり、内側コンパートメントは乗員を輸送するように構成されている。
図4A】衝撃の事象前の、本開示の態様による複数のエネルギー変換システムを含む自動車の前端又は後端の別の例示的な実施形態を示す。
図4B】衝撃の事象が生じて自動車の前端の一部を変形させたこと以外は図4Aと同様である。
図5】本開示の態様による単一のエネルギー変換システムのより詳細な図を示す。
図6】本開示の態様による単一のエネルギー変換システムのより詳細な図を示す。
図7】本開示の態様による、自動車の前部又は後部バンパーに対する複数のエネルギー変換システムの例示的な配置を示す。
図8】本開示の態様による、自動車への衝撃によって近位方向に受けた第1のタイプのエネルギーから第2のタイプのエネルギーにエネルギーを変換する方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
自動車に取り付けられた従来のバンパーは衝突時の衝撃からエネルギーを吸収するのに十分であり得るが、従来のバンパーは、非常に低いエネルギーの衝突(例えば5マイル/時又は2.5マイル/時など、閾値速度未満の相対速度での衝突)の際でも変形する場合がある。したがって、車両の所有者は、衝突時のバンパーの変形によってこのような低エネルギー衝突に関与したバンパーの交換を望む場合があり、結果として車両所有者の所有コスト及び/又は保険コストが増大してしまう。また、現在の構造では衝撃のエネルギー/力の一部しか吸収せず、車両の乗員に危害を及ぼす可能性が大きい。
【0011】
本開示の態様は、例えば自動車のバンパーと組み合わせて使用し、特定の低エネルギー衝突(例えば、閾値速度未満の速度での衝突)に関する車両バンパーの変形を低減及び/又は防止し、衝撃のエネルギー/力に関連するエネルギーベクトル及び力ベクトルの方向性に影響を及ぼすことのできるエネルギー変換システムに関する。
【0012】
例えば、衝突のエネルギーの少なくとも一部を、衝突時に消散可能な異なる形態のエネルギーに変換するようにエネルギー変換システムを構成し、自動車の残りの部分及びその乗員によって吸収されるエネルギーの量を低減することができる。ある衝突では、エネルギー変換システムによって吸収されるエネルギーは、乗員によって吸収されるエネルギーの量を傷害を軽減するレベルまで低減するのに十分な場合がある。
【0013】
ある衝突では、エネルギー変換システムによって吸収されるエネルギーに関連する力ベクトルをエネルギー変換システムによって変更又は方向転換し、乗員によって吸収されるエネルギーの量を傷害を軽減するレベルまで低減することができる。例えば、吸収されるエネルギーに関連する力ベクトルの少なくとも一部を変更又は方向転換するようにエネルギー変換システムを構成し、自動車の残りの部分及びその乗員によって吸収されるエネルギーの量を低減するか、自動車の特定の部分及び/又は乗員からエネルギーを優先的に方向転換することができる。
【0014】
図1は、自動車100の形をした車両の例示的な実施形態を示している。本開示は自動車100に限定されず、ヘルメット、ベスト等に使用されてもよい。特定の実施形態では、エネルギー変換システムは枕や他の構造に配置される。
【0015】
特定の実施形態において、自動車100は、本開示の態様による複数のエネルギー変換システム200を含む。図2は、エネルギー変換システム200が自動車のバンパー110に連結された図1の自動車100を示している。
【0016】
図1及び図2に示すように、自動車はバンパー110及び複数のエネルギー変換システム200を含む。しかしながら、本開示は図1及び図2に示されるような3つの図示されたエネルギー変換システム200の使用に限定されず、例えば、単一のエネルギー変換システム200や任意の多数のエネルギー変換システム200(例えば、2行及び10列のアレイ、4行及び25列のアレイなど)のように、任意の数のエネルギー変換システム200を含むことができる。
【0017】
特定の実施形態において、エネルギー変換システム200の各々は、第1のタイプのエネルギー(例えば、バンパー110に対する物理的な衝撃)を受け、受けたエネルギーの少なくとも一部を第2の異なる形態のエネルギー(例えば、電気エネルギー、熱エネルギー等)に変換するか、又は他の方法で転換するように構成されている。
【0018】
図3は、図1及び図2の自動車100の異なるコンパートメントを概念的に示すブロック図である。図3を参照すると、自動車100は外周コンパートメント300と内周コンパートメント350とを備える。いくつかの実施形態では、内側コンパートメント350は乗員用に構成される。特定の実施形態では、内側コンパートメント350は、自動車の走行中に乗員を輸送することのできるキャビンを含むことができる。同様に、外周構成要素300は、内側コンパートメント350の少なくとも一部を物理的に取り囲むことができる。特定の実施形態では、外周構成要素300は、衝突時の衝撃からのエネルギーの少なくとも一部を吸収することによって、衝撃又は衝突時の乗員の傷害を防ぐように構成された1つ以上の構造部品を備えることができる。構造部品の例としては、1つ以上のバンパー110、1つ以上のドア、1つ以上のサイドパネル、ルーフなどが含まれる。いくつかの実施形態において、外周コンパートメント300の、例えば衝突からのエネルギーを吸収するように設計された構造部品内に、エネルギー変換システム200の少なくとも一部を設置することができる。
【0019】
図3に示されるように、運動エネルギー(例えば、衝撃によって受ける第1のタイプのエネルギー)を含む機械的エネルギー305は、衝突時に外周コンパートメント300の一部に伝えられ得る。機械的エネルギー305は、自動車100に近位方向に伝えられ得る。すなわち、衝撃による機械的エネルギー305を、内側コンパートメント350に向かう方向に沿って外周コンパートメント300で受ける可能性がある。外周コンパートメント300は内側コンパートメント350の少なくとも一部を取り囲むため、内側コンパートメント350を(例えば、遠位位置の)外周コンパートメント300に対して近位位置に配置することができる。
【0020】
エネルギー変換システム200の各々は、衝撃部材210を含むことができる。特定の実施形態では、衝撃部材210は、機械的エネルギー305の少なくとも一部を受けるように外周コンパートメント300に機械的に連結されている。例えば、衝撃部材210を自動車100の外周コンパートメント300内に設置するように構成することができる。
【0021】
衝撃部材210は、受けた機械的エネルギー305を変換器215に伝えることができる。特定の実施形態において、変換器215は、衝撃部材210によって受けた機械的エネルギー305を第2のタイプのエネルギー(例えば、変換されたエネルギー310)に変換、又はその他の方法で転換するように構成される。
【0022】
さらに、変換されたエネルギー310を消散させるように変換器215を構成し、外周コンパートメント300に加えられる衝撃エネルギーの総量を減少させることができる。したがって、外周コンパートメント300(例えば、バンパー110又はドア)の変形を、関連する修理コストと共に防止又は低減することができる。
【0023】
図4A及び図4Bは、本開示の態様によるエネルギー変換システム200を含む自動車100の、衝撃の際の実施形態を示している。特に、図4Aは衝撃を受ける前の自動車100の図を示し、図4Bは衝撃を受けた後の自動車100の別の図を示している。
【0024】
図4A及び図4Bを参照すると、いくつかの実施形態におけるエネルギー変換システム200の構成要素が示すために単一のエネルギー変換システム200のみが示されている。しかしながら、他の実施形態では複数のエネルギー変換システム200を含むことができる。
【0025】
図4A及び図4Bのエネルギー変換システム200は、衝撃部材210及び変換器215と係合するように構成された本体205を含む。本体205を自動車100に対して固定することができる。いくつかの実施形態では、本体205を自動車100のフレームに固定することができる。
【0026】
本体205は、衝撃部材210の少なくとも一部をスライド式に収容するように構成されたチャネルを含むことができる。衝撃部材210がチャネルを通ってスライドすることができるように、本体205及び衝撃部材210を同軸に配置することができる。いくつかの実施形態では、衝撃部材210は接触部211及びトラック部213を含むことができる。しかしながら、他の実施形態では、接触部211及びトラック部213を単一の構成要素として形成してもよい。いくつかの実施形態において、衝撃部材210は接続部203を介してバンパー110(又は外周コンパートメント300の他の部分)に接続可能である。接続部203を、バンパー110と接触部211との間に介在する板として具現することができる。
【0027】
図4Bに示すように、衝突時、バンパーは近位方向の衝撃400を受ける場合がある。近位方向は、概ね自動車100の中心に向かう方向とすることができる。衝撃400のエネルギーの少なくとも一部は接続部203を介して衝撃部材210に伝達され、これにより、衝撃部材210は、近位方向の第1のタイプのエネルギーの推力(impulse)405を衝撃400から受ける。また、衝撃部材210は、推力405に応えて、本体205に対して相対的な方向に平行移動される。推力405に応える衝撃部材210の平行移動の方向を近位方向にほぼ平行とすることができる。他の実施形態では、推力405に応える衝撃部材210の平行移動の方向は、外周コンパートメント300とエネルギー変換システム200との間の接続点において、外周コンパートメント300(例えばバンパー110)の外面に対してほぼ垂直であってもよい。
【0028】
変換器215は本体205に対して相対的に配置されており、衝撃部材210と係合して、衝撃部材210によって受けた第1のタイプのエネルギーを第2のタイプのエネルギーに変換するように構成されている。例えば、トラック部213を変換器215の1つ以上の歯車245と係合するように構成することができる。特定の実施形態では、1つ以上の歯車245がトランスミッション及び/又は歯車ボックスとして構成される。1つ以上の歯車245は、トラック部213が1つ以上の歯車245を通過して1つ以上の電気モータ240内にスライドする際にトラック部213から受けたエネルギーを伝達するように構成可能である。1つ以上の電気モータ240は、1つ以上の歯車240から受けた機械的エネルギー305を変換されたエネルギー310に変換するように構成可能である。特定の実施形態では、変換されたエネルギー310は電気エネルギーである。
【0029】
図5及び6は、本開示の態様による例示的なエネルギー変換システム200のさらに詳細な図を示している。前述のように、特定の実施形態において、エネルギー変換システム200は本体205、衝撃部材210及び変換器215を含む。本体205は第1の係合構造220を有することができる。いくつかの実施形態では、第1の係合構造220は本体205内のチャネルとして形成されてもよい。チャネルは、衝撃部材210の少なくとも一部をスライド可能に収容するように構成されてもよい。
【0030】
衝撃部材210は、(例えば接続部203に接続される)第1の端部、(例えば、図示する実施形態では変換器215に隣接する)第2の端部、第2の係合構造225、及び第3の係合構造230を有することができる。第2の係合構造225及び第3の係合構造230を、衝撃部材210の第1の端部と第2の端部との間に配置することができる。第2の係合構造225は、本体205の第1の係合構造220と係合して、衝撃部材210が本体205に対して相対的な方向に平行移動するのを容易にするように構成されている。第2の係合構造225は、衝撃部材210の形状及びサイズを含むことができる。例えば、衝撃部材210の一部が第1の係合構造220の少なくとも一部によってスライド可能に収容されて構成されるように、第2の係合構造225を衝撃部材210の少なくとも一部の所定のサイズ及び形状とすることができる。
【0031】
図5及び図6に示すように、衝撃部材210は接触部211及びトラック部213を含むことができる。接触部211及びトラック部213の双方は、推力405(例えば図4Bを参照)に応えて、本体205に対して共に平行移動するように構成可能である。いくつかの実施形態において、接触部211を円筒シャフトとして構成することができ、トラック部213を長方形シャフトとして構成することができる。しかしながら、本開示はこれに限定されない。例えば、衝撃部材210を単一の構成要素として形成し、衝撃部材210のほぼ全長に沿って延びる長方形のシャフトとして構成することができる。いくつかの実施形態では、第2の係合構造225及び第3の係合構造230はそれぞれ衝撃部材210のトラック部213上に配置される。
【0032】
変換器215は第4の係合構造235を有することができる。第4の係合構造235を、衝撃部材210の第3の係合構造230と係合するように構成することができる。いくつかの実施形態では、第3の係合構造230を、トラック部213上に配置された1つ以上の歯として形成することができる。1つ以上の歯をトラック部213のエッジに形成することができ、例えば、図5及び図6に示されるように、1つ以上の歯をトラック部213の上部及び下部に形成することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、第4の係合構造235を、衝撃部材210の第3の係合構造230と係合するように1つ以上の電気モータ240上に配置された複数の歯として形成することができる。
【0034】
また、変換器215は、複数の歯が配置された1つ以上の歯車245を含むことができる。1つ以上の歯車245上の歯の第1の部分は、トラック部分213の歯と係合するように構成されてもよい。1つ以上の歯車245上の歯の第2の部分は、1つ以上の電気モータ240と係合するように構成されてもよい。
【0035】
特定の実施形態では、変換器215は1つ以上の電気モータ240をさらに含むことができる。特定の実施形態において、1つ以上の電気モータ240は、第1のタイプのエネルギーを第2のタイプのエネルギーに変換するように構成されている。いくつかの実施形態において、1つ以上の電気モータ240は、機械的エネルギー305の運動エネルギーを電気エネルギーの形態の変換されたエネルギー310に変換するように構成可能である。1つ以上の電気モータ240は、電気エネルギーを散逸させるように構成された1つ以上の構成要素に、生じた電気エネルギーを供給するように構成可能である。いくつかの実施形態では、電気エネルギーを光及び/又は熱として散逸させるように構成された1つ以上の光(例えば、LED、ハロゲンなど)に1つ以上の電気モータ240を電気的に接続することができる。他の実施形態では、変換器215は、機械的エネルギー305の運動エネルギーを熱エネルギーの形態の変換されたエネルギー310に変換するように構成可能である。例えば、電気エネルギーを熱エネルギーに変換するように構成されたラジエータに、1つ以上の電気モータ240を電気的に接続することができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、1つ以上の電気モータ240を、図5及び図6に示す1つ以上の電気モータ240の向きとは異なるように配置することができる。例えば、1つ以上の電気モータ240を図5及び図6に示される実施形態から90°で配置し、1つ以上の電気モータ240のシャフト上に形成された歯に衝撃部材210を直接接続できるようにすることができる。他の実施形態では依然として、1つ以上の電気モータ240を、1つ以上の歯車245を介して衝撃部材210に接続することができる。
【0037】
特定の衝突では、エネルギー変換システム200は、エネルギー変換システム200によって吸収されるエネルギーに関連する力ベクトルを変更又は方向転換して、乗員によって吸収されるエネルギーの量を傷害を軽減するレベルまで低減する。例えば、エネルギー変換システム200は、吸収されるエネルギーに関連する力ベクトルの少なくとも一部を変更又は方向転換して、自動車100の残りの部分及びその乗員によって吸収されるエネルギーの量を低減するか、エネルギーを優先的に方向転換して自動車100の特定の部分及び/又は乗員から離すように構成可能である。特定の実施形態では、衝突の方向とエネルギー変換システム200の1つ以上の構成要素との間の角度は、吸収されたエネルギーを優先的に方向転換して自動車100の特定の部分及び/又は乗員から離すように配される。
【0038】
さらに他の実施形態では、機械的エネルギー305を1つの形態から別の形態、即ち変換されたエネルギー310に変換するように変換器215を構成することができる。例えば、変換器215は、衝撃部材210から受けた機械的エネルギー305を回転エネルギーとして蓄えるように構成された1つ以上のフライホイールを備えることができる。当業者は、他の実施形態において、衝撃部材210からの機械的エネルギー305を他の形態のエネルギーに変換するように変換器215を構成してもよいことを理解するであろう。機械的エネルギー305を変換することができるエネルギー、即ち変換されたエネルギー310のタイプの例としては、熱エネルギー、放射(電磁)エネルギー、(例えば、変換エネルギーを二次電池に蓄えることによる)化学エネルギー、別の形態の機械的エネルギー(例えばフライホイール)、音響エネルギーなどが挙げられる。
【0039】
特定の実施形態では、エネルギー変換システム200は、吸収されたエネルギーの少なくとも一部を短時間蓄えて変換/放電プロセスを遅らせるように構成された1つ以上のインダクタを備える。特定の実施形態では、1つ以上のインダクタにより、エネルギー変換システム200によって出力されるピーク電気エネルギーが低減される。
【0040】
いくつかの実施形態では、変換器215は、機械的エネルギー305を電気エネルギーに直接変換するように構成された1つ以上の圧電トランスデューサを含むことができる。それから、エネルギー変換システム200が1つ以上の電気モータ240を含む上述の実施形態で述べたように電気エネルギーを散逸させることができる。
【0041】
図7は、本開示の態様による複数のエネルギー変換システム200を含む自動車の別の例示的な実施形態を示す。図7の実施形態では、エネルギー変換システム200の少なくともいくつかを、他のエネルギー変換システム200に対してある角度で配置することができる。例えば、バンパー110の両側部に最も近い2つのエネルギー変換システム200を、他のエネルギー変換システム200に対してある角度で形成することができる。換言すれば、バンパー110の両側部に隣接するエネルギー変換システム200は、他のエネルギー変換システム200と実質的に平行ではない。
【0042】
いくつかの実施形態において、エネルギー変換システム200の各々は、外周コンパートメント300とエネルギー変換システム200との間の接続点において、外周コンパートメント300(例えば、バンパー110)の外面に対してほぼ垂直になるように配置されてもよい。いくつかの衝突では、外周コンパートメント300の外面に対してほぼ垂直である近位方向に衝撃400を受ける場合がある。したがって、これらの実施形態では、エネルギー変換システム200と外周コンパートメント300との間に形成される角度により、衝撃部材210の方向に沿ってより多くの衝撃400を受ける可能性が高くなり得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、外周コンパートメント300に対して、1つ以上のエネルギー変換システム200を1つ以上の他のエネルギー変換システム200とは異なる距離で後退させてもよいし、千鳥状に配置してもよい。これにより、エネルギー変換システム200は、エネルギー変換システム200と外周コンパートメント300との間の距離に基づいて、別々の段階で衝撃400を吸収することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、エネルギー変換システム200は、衝撃部材210に伝えられる衝撃405に対して異なる抵抗を有することができる。異なる衝突速度の衝撃400を吸収するのに異なる抵抗がより適している場合があるため、このことは有利となり得る。いくつかの実施形態では、衝撃部材210と変換器215との間の異なる伝動装置、及び/又は変換器215自体(例えば、1つ以上の電気モータ240の内歯車装置、使用する変換器215のタイプなど)の調整によって、衝撃405に対する異なる抵抗を達成することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、エネルギー変換システム200の少なくとも一部を直列に接続することができる。例えば、エネルギー変換システム200の縦軸に沿って一列に配置された4つ以上の電気モータ240に衝撃部材210の各々を接続することができる。他の実施形態では、衝撃部材210は、本体205のチャネル内に一列に配置された一対のトラック部213を含むことができる。トラック部213の各々を1つ以上の電気モータ240と個々に係合させることができる。
【0046】
図8は、自動車100に対する衝撃400によって近位方向に受けた第1のタイプのエネルギーから第2のタイプのエネルギーにエネルギーを変換する、本開示の態様による例示的な方法500を示すフローチャートである。自動車100は、外周コンパートメント300及び内側コンパートメント350を備える。方法500のステップは、図1から図7のうちの1つ以上に示される自動車100の1つ以上の構成要素によって実行可能である。
【0047】
方法500はブロック501から開始する。ブロック505において、方法500は、第1の係合構造220を有する本体205を提供することを含む。ブロック510において、方法500は、自動車100の外周コンパートメント300内に設置されるように構成された衝撃部材210を提供することを含む。衝撃部材210は第2の係合構造225及び第3の係合構造230を有する。ブロック515において、方法500は、衝撃部材210により、近位方向の第1のタイプのエネルギーの推力405を衝撃400から受けることを含む。ブロック520において、方法500は、推力405に応えて、第1の係合構造220と第2の係合構造225との間の係合を介し、衝撃部材210を本体205に対して相対的な方向に平行移動させることを含む。ブロック525において、方法500は、衝撃部材210によって受けた第1のタイプのエネルギーを、衝撃部材210と変換器215との間の係合を介して第2のタイプのエネルギーに変換するステップを含む。方法500はブロック530で終了する。
【0048】
上記の詳細な説明では、様々な実施形態に適用される本発明の新規の特徴を示し、説明し、指摘してきたが、当業者であれば、本発明の精神を逸脱することなく、図示された装置の形態及び詳細における様々な省略、置換、及び変更を行うことができることが理解されるであろう。認識されるように、いくつかの特徴を他の特徴とは別に使用又は実施することがあるため、本発明は、本明細書に記載される特徴及び利点の全てを提供しない形態内で具現されることがある。特許請求の範囲と同等の意味及び範囲内にある変更は全て、その範囲内に含まれるべきである。
【0049】
前述の説明では、本明細書に開示されるシステム、装置及び方法の特定の実施形態が詳述されている。しかしながら、前述の内容が文面でどれほど詳細に述べられていても、これらのシステム、装置及び方法は多くの方法で実施可能であることが理解されるであろう。また、上述のように、本発明の特定の特徴又は態様を説明する際の特定の用語の使用は、用語が本明細書で再定義され、その用語が関連する技術の特徴又は態様の特定の特徴を含むことに限定されることを示唆するものとして解釈すべきでないことに留意されたい。
【0050】
記載されている技術の範囲を逸脱することなく、様々な修正や変更を行うことができることが当業者には理解されるであろう。そのような修正及び変更は、実施形態の範囲内に含まれるように意図されている。また、1つの実施形態に含まれる部品は他の実施形態と交換可能であり、図示された実施形態からの1つ以上の部品は任意の組合せで他の図示された実施形態に含まれてもよいことが当業者には理解されるであろう。例えば、本明細書に記載され、及び/又は図面に示された様々な構成要素はいずれも、他の実施形態との組み合わせ、交換、又は他の実施形態からの除外が可能である。
【0051】
本明細書における実質的に任意の複数及び/又は単数の用語の使用に関して、当業者は、文脈及び/又は用途に応じて複数から単数、及び/又は単数から複数へと解釈することができる。明確化のために、様々な単数/複数の変更を本明細書に明示的に記載することができる。
【0052】
一般に、本明細書で使用される用語は、一般的に「非限定的な(open)」用語として意図されていることが当業者には理解されるだろう(例えば、「含んでいる(including)」という用語は「・・・を含むがこれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有している(having)」という用語は「少なくとも・・・を有している(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「・・・を含むがこれに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである、など)。導入されたクレーム記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、そのような意図はクレームに明確に記載され、そのような記載がない場合、そのような意図も存在しないことが、当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、理解を助けるために、後続の添付の特許請求の範囲では、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ以上の(one or more)」といった導入句を使用し、クレーム記載を導入することがある。しかし、このような句を使用するからといって、「a」又は「an」といった不定冠詞によりクレーム記載を導入した場合、たとえ「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」などの導入句と、「a」又は「an」などの不定冠詞とが同一のクレームに含まれるとしても、この導入されたクレーム記載を含む特定のクレームが、このような記載事項を1つのみ含む実施形態に限定されることが示唆されると解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は、通常は「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである)。定冠詞を使用してクレーム記載を導入する場合にも同様のことが当てはまる。また、導入されたクレーム記載において特定の数が明示的に列挙されている場合であっても、そのような記載が、通常、少なくとも記載された数を意味するように解釈されるべきであることは、当業者には理解されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、この記載は一般に少なくとも2つの記載事項、又は2つ以上の記載事項を意味する)。さらに、「A、B及びCなどのうち少なくとも1つ」に類する慣用句(convention)が使用される場合、一般的に、そのような構造は、当業者がこの慣用句を理解するように意図されている(例えば、「A、B及びCのうち少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBの双方、A及びCの双方、B及びCの双方、ならびに/又はA、B及びCの全て、などを有するシステムを含むが、これらに限定されない。)さらに、2つ以上の選択可能な用語を表すあらゆる離接語及び/又は離接句は、明細書、特許請求の範囲、又は図面のいずれにあろうと、それらの用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、又はそれらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきであることが、当業者には理解されるであろう。例えば、「A又はB」という句は、「A」あるいは「B」、又は「A及びB」の可能性を含むことが理解されよう。
【0053】
本明細書で使用される「備える(comprising)」という用語は、「含む(including)」、「含む(containing)」、又は「・・・によって特徴付けられる」と同義であって包括的又は非限定的な(open-ended)ものであり、追加の要素又は方法のステップや、記載されていない要素又は方法ステップを排除するものではない。
【0054】
上記の説明は、本発明のいくつかの製造方法及び材料を開示している。本発明は、方法及び材料の変更、ならびに製造方法及び装置の改変の影響を受けやすい。このような変更は、本明細書に開示される本発明の考察又は実施から当業者に明らかになるであろう。したがって、本発明は、本明細書に開示された特定の実施形態に限定されることを意図したものではなく、添付の特許請求の範囲に具現されるような本発明の真の範囲及び趣意に入る全ての変更物及び代替物を包含することを意図したものである。
【0055】
上記の詳細な説明では、様々な実施形態に適用される改良物の新規な特徴を示し、説明し、指摘したが、本発明の精神から逸脱することなく、図示された装置又はプロセスの形態及び詳細における様々な省略、置換及び変更を当業者が行うことができることが理解されるであろう。認識されるように、いくつかの特徴を他の特徴とは別に使用又は実施することができるため、本発明を、本明細書に記載の特徴及び利点の全てを提供しない形態で具現してもよい。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求項の範囲によって示される。特許請求の範囲と同等の意味及び範囲に入る変更は全て、その範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】