(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-09
(54)【発明の名称】加工物のレーザ加工のための機械加工装置および加工物のレーザ加工のための方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/082 20140101AFI20220602BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20220602BHJP
G02B 26/10 20060101ALI20220602BHJP
G02B 26/08 20060101ALN20220602BHJP
【FI】
B23K26/082
B23K26/00 P
G02B26/10 Z
G02B26/08
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021572074
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(85)【翻訳文提出日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2020065615
(87)【国際公開番号】W WO2020245349
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】102019115554.1
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503168692
【氏名又は名称】バイストロニック レーザー アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャイディガー ジーモン
(72)【発明者】
【氏名】ルーディ アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ムメンターラー マルティン
(72)【発明者】
【氏名】シュタインリン マルクス
【テーマコード(参考)】
2H045
2H141
4E168
【Fターム(参考)】
2H045AA00
2H045AB01
2H045AB73
2H045AB81
2H045AF02
2H045BA14
2H141MA12
2H141MB24
2H141MB39
2H141MB45
2H141MC01
2H141MC04
2H141MC06
2H141MC09
2H141MD20
2H141MD23
2H141MD35
2H141MD40
2H141ME01
2H141ME09
2H141MG05
2H141MZ16
4E168AD07
4E168CA03
4E168CA05
4E168CA06
4E168CB04
4E168CB22
4E168DA02
4E168DA26
4E168EA11
4E168EA15
4E168EA17
(57)【要約】
本出願によれば、加工物(12)の機械加工ゾーン(13)内のレーザ加工のための機械加工装置(10)が提供される。この装置は、機械加工レーザビーム(15)を発生させるための機械加工レーザ源のための第1のインタフェース(14)と、機械加工ゾーン(13)によって発射された放射(17)を検出する検出デバイスのための第2のインタフェース(16)と、機械加工レーザビーム(14)のための出口開口(18)と、第1および第2のレーザビーム誘導デバイス(20,22)とを有し、第1のレーザビーム誘導デバイス(20,20a,20b)は、機械加工レーザビーム(14)を第2のレーザビーム誘導デバイス(22)へ誘導するように、および機械加工レーザビーム(14)を動的に運動させるように配置および設計されており、第2のレーザビーム誘導デバイス(22)は、動的に運動させた機械加工レーザビーム(14)を出口開口(18)を通り抜けるように誘導するように、および機械加工ゾーン(13)によって発射され出口開口を通り抜けた放射を少なくとも部分的に第2のインタフェース(16)へ誘導するように配置および設計されている。さらに、加工物(12)のレーザ加工のための方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工物(12)の機械加工ゾーン(13)内のレーザ加工のための機械加工装置、特にレーザ切削のための機械加工装置、特にレーザ加工ヘッドであって、
機械加工レーザビーム(15)を発生させるための機械加工レーザ源のための第1のインタフェース(14)と、
前記機械加工ゾーンによって発射された放射(17)を検出する検出デバイスのための第2のインタフェース(16)と、
前記機械加工レーザビームのための出口開口(18)と、
第1および第2のレーザビーム誘導デバイス(20,22)と
を有し、
前記第1のレーザビーム誘導デバイス(20,20a,20b)が、前記機械加工レーザビームを前記第2のレーザビーム誘導デバイスへ誘導するように、および前記機械加工レーザビームを動的に運動させるように、特に、前記機械加工レーザビームを動的に整形するように配置および設計されており、
前記第2のレーザビーム誘導デバイス(22)が、動的に運動させた前記機械加工レーザビームを前記出口開口を通り抜けるように誘導するように、および前記機械加工ゾーンによって発射され前記出口開口を通り抜けた前記放射を少なくとも部分的に前記第2のインタフェースへ誘導するように配置および設計されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載の機械加工装置であって、
前記第2のインタフェースが、前記機械加工ゾーンによって発射され前記出口開口を通り抜けた前記放射の少なくとも一部分を検出する検出デバイス(24)に接続されているか、もしくは前記検出デバイス(24)を備え、ならびに/または
前記第1のレーザビーム誘導デバイスおよび/もしくは前記第2のレーザビーム誘導デバイスが、前記機械加工レーザビームを偏向させるように設計されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の機械加工装置であって、
前記第1のレーザビーム誘導デバイス(20)が、前記機械加工レーザビームのための少なくとも1つの偏向デバイス(20a;30;40;50;52)を有し、前記少なくとも1つの偏向デバイス(20a;30;40;50;52)が、少なくとも1つの運動ユニット(20b;32a;32b;32c)によって少なくとも部分的に動的に運動可能である
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項4】
請求項3に記載の機械加工装置であって、
前記偏向デバイスが、動的に向き付け可能な少なくとも1つのミラー(30)を有する
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記第1のレーザビーム誘導デバイスが少なくとも1つのガルバノメータスキャナ(40)を有し、かつ/または前記偏向デバイスがガルバノメータスキャナ(40)として設計されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項6】
請求項3に記載の機械加工装置であって、
前記偏向デバイスが、複数のミラーセグメントを有する少なくとも1つのセグメント化ミラー(50)を有し、前記複数のミラーセグメントがそれぞれ動的に向き付け可能である
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項7】
請求項3に記載の機械加工装置であって、
前記偏向デバイスが、動的に変形可能な少なくとも1つのミラー(52)を有する
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項8】
請求項7に記載の機械加工装置であって、
前記偏向デバイスが、少なくとも1つのピエゾアクチュエータによって変形可能なミラー、変形可能なバイモルフミラー、MEMSまたはMOEMSに基づいて変形可能なミラー、および振動コイルに基づいて変形可能なミラーの中から選択された少なくとも1つの要素を有する
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項9】
請求項3および4のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記偏向デバイスが、軸の周りを回転することができる少なくとも1つのミラー(30)を有し、前記軸が、前記ミラーの反射平面との間に角度を形成し、前記少なくとも1つのミラー(30)が、前記角度が90°よりも大きくなるようにまたは90°よりも小さくなるように向き付け可能である
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項10】
請求項1および2のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記第1のレーザビーム誘導デバイス(20)が、少なくとも1つの運動ユニット(71)によって少なくとも部分的に動的に運動可能な少なくとも1つの光学ユニット(70)、特に屈折光学ユニットおよび/または軸外し放物面ミラー、特に動的に運動可能なレーザファイバエンドユニット、ならびに、任意選択で、前記機械加工レーザビームのための少なくとも1つの第1の偏向デバイス(72)、を有し、前記少なくとも1つの第1の偏向デバイス(72)が動的に運動可能でない
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項11】
請求項3から10のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記運動ユニット(32a;32b;32c;71)が、1つのピエゾアクチュエータ、電動機、空気圧モータ、カム、振動電磁場を発生させるための装置、MEMS発振器、振動コイル、静電的に運動可能なアクチュエータ、複数のピエゾアクチュエータ、電動機、空気圧モータ、カム、振動電磁場を発生させるための装置、MEMS発振器、振動コイル、静電的に運動可能なアクチュエータ、および/またはそれらの組合せの中から選択された少なくとも1つの要素を有する
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項12】
請求項2から11のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記第1のレーザビーム誘導デバイスが、90°よりも小さい角度、90°に等しい角度および/もしくは90°よりも大きい角度で前記機械加工レーザビームを少なくとも1回、偏向させるように設計されており、かつ/または
前記第2のレーザビーム誘導デバイスが、90°よりも小さい角度、90°に等しい角度もしくは90°よりも大きい角度で前記機械加工レーザビームを偏向させるように設計されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項13】
請求項2から12のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記第1のレーザビーム誘導デバイスが、90°よりも小さい角度もしくは90°よりも大きい角度で少なくとも1回、および90°よりも小さい角度で少なくとも1回、前記機械加工レーザビームを偏向させるように設計されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項14】
請求項2から13のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記第2のレーザビーム誘導デバイス(22)が、前記機械加工レーザビームのための少なくとも1つの第2の偏向デバイス(23)を有し、前記少なくとも1つの第2の偏向デバイス(23)が動的に運動可能でない
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記第2のレーザビーム誘導デバイス、特に前記第2の偏向デバイスが、前記機械加工ゾーンによって発射された前記放射に対して少なくとも部分的に透過性であり、ならびに/または
前記第2のレーザビーム誘導デバイス、特に前記第2の偏向デバイスが、動的に運動させた前記機械加工レーザビームを、前記機械加工ゾーンによって発射され前記出口開口を通り抜けた前記放射と少なくとも部分的に同軸で誘導するように配置および設計されており、ならびに/または
前記第2のレーザビーム誘導デバイス、特に前記第2の偏向デバイスが少なくとも1つのダイクロイックミラーを有するか、もしくはダイクロイックミラーとして設計されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記第1のレーザビーム誘導デバイスが、前記第1のインタフェースと前記第2のレーザビーム誘導デバイスの間のエリアに配置されており、ならびに/または
前記第2のレーザビーム誘導デバイスが、前記第2のインタフェースと前記出口開口の間のエリアに配置されており、ならびに/または
前記第1のインタフェースと前記出口開口の間のエリアおよび/もしくは前記第2のインタフェースと前記出口開口の間のエリアに少なくとも1つの光学部材(80)が配置されており、ならびに/または
前記第2のレーザビーム誘導デバイスと前記出口開口の間のエリアに集束光学部品もしくは集束光学部材(80)が配置されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記第1のインタフェース(14)が、前記機械加工レーザビームを発生させるための機械加工レーザ源(82)に接続されているか、もしくは前記機械加工レーザ源(82)を備え、および/または
前記機械加工装置、特に前記第1のレーザビーム誘導デバイス、特に前記少なくとも1つの運動ユニットを制御するために制御ユニット(84)が提供されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項18】
請求項2から17のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記検出デバイスが適応光学ユニット(25)を有する
ことを特徴とする、機械加工装置。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記機械加工レーザ源が、少なくとも1kW、好ましくは少なくとも4kW、より好ましくは1から30kWの間、最も好ましくは1から25kWの間のレーザパワーを提供し、ならびに/あるいは
前記第1のレーザビーム誘導デバイスの前記動的に運動可能な偏向デバイスもしくは前記動的に運動可能な光学ユニット(70)が、10Hzから15kHzの間、好ましくは100Hzから10kHzの間の周波数で少なくとも部分的に運動可能であり、ならびに/あるいは
前記第1のレーザビーム誘導デバイスが、前記機械加工レーザビームを動的に運動させたときに、2次元もしくは3次元リサージュ図形または2次元もしくは3次元リサージュ図形の組合せに対応する焦点振動経路を有する、少なくとも1つの振動振幅および少なくとも1つの振動周波数の焦点振動を発生させるように設計されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項20】
加工物のレーザ加工のための、特にレーザ切削のための請求項1から19のいずれか一項に記載の機械加工装置の使用。
【請求項21】
加工物のレーザ加工のための方法、特にレーザ切削のための方法、特に、請求項1から19のいずれか一項に記載の機械加工装置(10;100;200;201;300;301;400;500)を使用した加工物のレーザ加工のための方法、特にレーザ切削のための方法であって、
機械加工装置の第1のインタフェース(14)に提供された機械加工レーザ源(82)からの機械加工レーザビーム(15)を、前記機械加工装置の出口開口(18)を通して、加工物(12)の機械加工ゾーン(13)に照射するステップと、
前記機械加工ゾーンによって発射され前記出口開口を通り抜けた前記放射(17)の少なくとも一部分を、前記機械加工装置の第2のインタフェース(16)に接続された検出デバイス(24)または前記第2のインタフェース(16)上に提供された検出デバイス(24)によって検出するステップと
を有し、
前記機械加工レーザビームが、前記機械加工装置の第1のレーザビーム誘導デバイス(20)によって動的に運動し、特に、前記機械加工装置の前記第1のレーザビーム誘導デバイス(20)によって動的に整形され、前記機械加工装置の第2のレーザビーム誘導デバイス(22)へ誘導され、動的に運動した前記機械加工レーザビームが、前記第2のレーザビーム誘導デバイスによって前記出口開口を通り抜けるように誘導され、
前記機械加工ゾーンによって発射され前記出口開口を通り抜けた前記放射が、少なくとも部分的に、前記第2のレーザビーム誘導デバイスによって前記第2のインタフェースへ誘導される
ことを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、前記第2のレーザビーム誘導デバイスが、動的に運動した前記機械加工レーザビームを、前記機械加工ゾーンによって発射され前記出口開口を通り抜けた前記放射と少なくとも部分的に同軸で誘導することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工物のレーザ加工のための機械加工装置、加工物のレーザ加工のための機械加工装置の使用、および加工物のレーザ加工のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ加工装置は、加工物のレーザ加工、特に、レーザ切削などのレーザ放射によって材料を熱により分離するための方法で使用されている。多くの場合に、加工物上へ機械加工レーザビームを誘導するため、例えば、機械加工する金属シート上へ機械加工レーザビームを誘導するために、レーザ加工ヘッドが使用される。
【0003】
加工物のタイプ、例えば金属シートの厚さおよび加工物の材料によっては、ならびに/または機械加工プロセスによっては、異なるレーザビームを使用することが望ましいことがある。市販の一部のレーザ加工ヘッドは、レーザ源からのレーザビームに対する変更できない光学撮像比(optical imaging ratio)を提供する。しかしながら、実際には、固定された撮像は、切削品質の減失、具体的には粗さおよびばり付着、ならびにより低い送り速度、特に中程度の金属シート厚から厚い金属シート厚に対するより低い送り速度に関連するため、このタイプの撮像は妥協策とみなされることがある。近年、焦束レーザビームのスポットサイズを対応するそれぞれの用途(例えばレーザ切削の場合には金属シートの厚さおよび材料)に適合させるため、レーザ加工ヘッド用のズーム光学部品が開発された。
【0004】
レーザビームを機械加工プロセスに適合させるための手法であって、強度分布および/または品質、特にレーザビームのビームパラメータ積(beam parameter product)(BPP)を用途に適合させることができる以下のような手法も存在する。
米国特許第8781269(B2)号明細書は、レーザビームのビーム断面特性を変化させるための方法を記載している。
【0005】
米国特許第9250390(B2)号明細書は、スポットサイズと同時にレーザビームの発散を動的に調整することができる、レーザ加工システム用のウェーブガイドシステムに関する。
【0006】
米国特許第9346126(B2)号明細書は、レーザ発振器によって発射されたレーザビームを球面レンズを用いて収束させるレーザ加工ヘッドを開示している。
【0007】
欧州特許出願公開第2730363(A1)号明細書は、レンズおよびアキシコン(axicon)によってレーザビームの強度分布を変更することができる、レーザ加工装置用の光学系を記載している。
【0008】
欧州特許出願公開第2762263(A1)号明細書は、膨張する内径および外径を有する環状レーザビームが集光レンズによって生成される、レーザ切削装置に関する。
【0009】
独国特許出願公告第2821883(B1)号明細書によれば、アキシコンおよび下流のレンズによって、環状の温度分布またはカップ形の温度分布を生じさせることができ、それによって加工物内の温度を均質にすることができる。
【0010】
独国特許出願公開第102015116033(A1)号明細書は、ビーム直径拡大部分を有する光学透過要素を備えるレーザ加工装置を記載している。
【0011】
欧州特許第2778746(B1)号明細書は、焦点面におけるビームスポットのサイズパラメータを変更することができるデバイスを開示している。
【0012】
独国特許出願公開第102015101263(A1)号明細書は、レーザ放射によって材料を機械加工するための装置であって、集束光学部品と、プレート形の少なくとも2つの光学部材を用いて強度分布を設定するための設定光学部品とを有する装置に関する。
【0013】
独国特許第102008053397(B4)号明細書は、レーザ放射を用いて加工物を溶断するための方法であって、レーザビームの入射角がブルースター角付近の1つの間隔内に維持されるようなやり方でフィード運動の上に重ねられたレーザビームの焦点の運動によって切削前面の傾斜角が永続的に変化する方法を開示している。
【0014】
高周波ビーム振動は動的ビーム整形技術に含まれる。高周波ビーム振動は、異なる強度分布を生じさせることができ、レーザビームを対応するそれぞれの金属シート厚/品質に適合させる際に高度の柔軟性が存在するという大きな利点を有する。このようにすると、さらに、レーザ加工においてより良好な結果を達成することができる(ゴッポルド他(Goppold,et al.):Chancen und Herausforderungen der dynamischen Strahlformung,Deutscher Schneidkongress,2018、ゴッポルド他(Goppold,et al.):Dynamic Beam Shaping Improves Laser Cutting of Thick Steel Plates,Industrial Photonics,2017、ゴッポルド他(Goppold,et al.):Laserschmelzschneiden mit dynamischer Strahlformung,Fraunhofer IWS Jahresbericht,2015、マーレ他(Mahrle,et al.):Theoretical aspects of fibre laser cutting,Journal of Physics D Applied Physics,2009を参照されたい)。
【0015】
レーザビームツールと同じくらい重要なのが、できるだけ自律的かつ自己充足的に動作し、操作員なしでまたはできるだけ少ない操作員で生産に使用することができるレーザ加工装置である。このような場合、調整付きのプロセス監視がしばしば使用される。この調整付きのプロセス監視は、レーザ加工における望まれていないプロセス振る舞いを自律的に検出し、理想的には、そのようなプロセス振る舞いを正すことができる。機械加工レーザビームと同軸の加工物の機械加工ゾーンのカメラ観察、例えば同軸照射を有する加工物の機械加工ゾーンのカメラ観察は、プロセス観察の一例を構成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、加工物のレーザ加工のための機械加工装置および方法であって、動的ビーム整形とプロセス観察とを同時に可能にする機械加工装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的は、請求項1に記載された加工物のレーザ加工のための機械加工装置、請求項20に記載された機械加工装置の使用、および請求項21に記載された加工物のレーザ加工のための方法によって達成される。
【0018】
本発明の一実施形態では、加工物の機械加工ゾーン内のレーザ加工のための機械加工装置、特にレーザ切削のための機械加工装置、特にレーザ加工ヘッドが提供され、この機械加工装置、特にレーザ加工ヘッドは、機械加工レーザビームを発生させるための機械加工レーザ源のための第1のインタフェースと、機械加工ゾーンによって発射された放射を検出する検出デバイスのための第2のインタフェースと、機械加工レーザビームのための出口開口と、第1および第2のレーザビーム誘導デバイスとを有し、第1のレーザビーム誘導デバイスは、機械加工レーザビームを第2のレーザビーム誘導デバイスへ誘導するように、および機械加工レーザビームを動的に運動させるように、特に、機械加工レーザビームを動的に整形するように配置および設計されており、第2のレーザビーム誘導デバイスは、動的に運動させた機械加工レーザビームを出口開口を通り抜けるように誘導するように、および機械加工ゾーンによって発射され出口開口を通り抜けた放射を少なくとも部分的に第2のインタフェースへ誘導するように配置および設計されている。
【0019】
したがって、第1のレーザビーム誘導デバイスによって機械加工レーザビームを動的に運動させることができ、第2のレーザビーム誘導デバイスによって機械加工レーザビームを、出口開口を通り抜けるように誘導することができる。同時に、機械加工された加工物によって発射され、出口開口を通り抜けた放射を、第2のレーザビーム誘導デバイスから第2のインタフェースへ、例えばプロセス観察のために誘導することができる。このことは、機械加工ゾーンによって発射され、出口開口を通り抜け、第2のインタフェースへ誘導される放射のビーム経路を、機械加工レーザのビーム経路の、機械加工レーザビームの動的運動、特にビーム整形運動が生じる部分とは別個に、この部分の影響を受けずに配置することを可能にする。出口開口と第2のレーザビーム誘導デバイスの間のエリアにおいて、機械加工ゾーンによって発射され、第2のインタフェースへ誘導される放射のビーム経路は、機械加工レーザビームのビーム経路と同軸で延びることができる。さらに、機械加工レーザのビーム経路と、機械加工ゾーンによって発射され、出口開口を通り抜け、第2のインタフェースへ誘導される放射のビーム経路との空間節約配置が実現される。さらに、機械加工レーザのビーム経路の、機械加工レーザビームの動的運動および/またはビーム改変運動が生じる部分が別個に配置されるため、たとえこの機械加工装置が機械加工ヘッドとして設計されているとしても、この機械加工装置を、4kWよりも大きい機械加工レーザのパワーに対して使用することができる。特に、機械加工レーザビームを、少なくとも機械加工レーザビームの伝搬方向に対して垂直に動的に運動させることができる。このようにすると、ほぼ全ての機械加工レーザビームのビームスポットの強度分布およびビームパラメータ積を提供することができ、その一方で、機械加工ゾーンによって発射され、出口開口を通り抜け、第2のインタフェースへ誘導される放射は影響を受けない。
【0020】
第2のインタフェースは、機械加工ゾーンによって発射され出口開口を通り抜けた放射の少なくとも一部分を検出する検出デバイスに接続されたものとすることができ、またはそのような検出デバイスを備えることができる。このことは、機械加工ゾーンの検出器ベースのプロセス観察が機械加工レーザビームの動的運動のビーム改変効果の影響を受けないように、プロセス観察のビーム経路を、機械加工レーザのビーム経路とは別個に配置することを可能にする。
【0021】
第1のレーザビーム誘導デバイスおよび/もしくは第2のレーザビーム誘導デバイスは、機械加工レーザビームを偏向させるように設計されたものとすることができる。したがって、機械加工装置内で少なくとも1回、機械加工ビームを偏向させることができる。偏向が起こるときにビーム整形を実行することができる。機械加工レーザビームの別の偏向が起こるときに、この別の偏向を、プロセス観察と組み合わせることができる。このようにすると、機械加工ゾーンによって発射され、出口開口を通り抜けた放射のための別個の非ビーム改変エリアを生み出すことができ、プロセス観察検出器、例えばカメラのための機械加工ゾーンの撮像に影響を及ぼすことなく、ビーム改変エリアで、機械加工レーザビームを改変する、例えば整形することができる。さらに、これらの実施形態は、機械加工装置の空間節約設計を助長する。
【0022】
第1のレーザビーム誘導デバイスは、機械加工レーザビームのための少なくとも1つの偏向デバイスを有することができ、この少なくとも1つの偏向デバイスは、少なくとも1つの運動ユニットによって少なくとも部分的に動的に運動可能である。この目的のため、偏向デバイスは、機械加工レーザビームを少なくとも部分的に反射する動的に運動可能な表面を有することができる。これらの実施形態は、機械加工装置の特に空間節約的な構成を提供する。
【0023】
偏向デバイスはさらに、動的に向き付け可能な少なくとも1つのミラーを有することができる。したがって、機械加工レーザビームを、高度に可変であるように整形することができる。
【0024】
追加の実施形態では、第1のレーザビーム誘導デバイスが、少なくとも1つのガルバノメータスキャナ(galvanometer scanner)を有することができる。偏向デバイスを、ガルバノメータスキャナとして設計することができる。このことは、機械加工装置に異なるビームを供給することを可能にする。さらに、ガルバノメータスキャナは、完成したユニットとして入手可能であり、機械加工装置内で直ちに使用することができる。さらに、ガルバノメータスキャナは、機械加工レーザビームの高度に柔軟な動的ビーム整形、特に、機械加工レーザビームの伝搬方向に対して垂直な方向の機械加工レーザビームの高度に柔軟な動的ビーム整形を可能にし、したがって、ほぼ全てのレーザビームスポットの強度分布およびビームパラメータ積の提供を可能にする。
【0025】
一実施形態では、偏向デバイスが、複数のミラーセグメントを有する少なくとも1つのセグメント化ミラーを有することができ、これらの複数のミラーセグメントはそれぞれ動的に向き付け可能である。代替実施形態によれば、偏向デバイスは、動的に変形可能な少なくとも1つのミラーを有することができる。両設計において、偏向デバイスは、機械加工レーザビームを少なくとも部分的に反射する全表面を提供することができ、この表面の表面幾何形状、特に曲率は高度に動的に調整可能である。したがって、これらの実施形態によって、機械加工レーザビームの伝搬方向に対して垂直な方向の、機械加工レーザビームの高度に柔軟な動的なビーム整形を達成することが可能である。それだけでなく、レーザビームの伝搬方向に対して平行な方向のレーザビームの焦点の位置の調整、特に機械加工装置の光学系の焦点距離の変更、例えばズーム機能を実現することも可能である。
【0026】
以上の実施形態では、偏向デバイスが、少なくとも1つのピエゾアクチュエータによって変形可能なミラー、変形可能なバイモルフミラー(bimorphic mirror)、MEMSまたはMOEMSに基づいて変形可能なミラー、および振動コイルに基づいて変形可能なミラーの中から選択された少なくとも1つの要素を有することができる。
【0027】
追加の実施形態によれば、偏向デバイスが、軸の周りを回転することができる少なくとも1つのミラーを有することができ、この軸は、ミラーの反射平面との間に角度を形成し、この少なくとも1つのミラーは、この角度が90°よりも大きくなるようにまたは90°よりも小さくなるように向き付け可能である。これによって、ミラーの傾斜角を設定することができ、傾けられたミラーは、ミラーの軸の周りを高速で、例えば100Hzから10kHzの周波数で回転することができる。この角度が90°に等しくない角度に設定されている場合、レーザビームは円運動を描く。このようにすると、機械加工レーザビームを、調整可能な半径を有する、加工物上の円形経路に沿って高速で誘導することができる。したがって、熱的に不活性の切削プロセスに関して、高度に動的に運動する機械加工レーザビームは、時間平均にわたって、ドーナツビームと呼ばれるもののように作用することができる。
【0028】
別の実施形態では、第1のレーザビーム誘導デバイスが、少なくとも1つの運動ユニットによって少なくとも部分的に動的に運動可能な少なくとも1つの光学ユニット、特に屈折光学ユニットおよび/または軸外し放物面ミラー(off-axis parabolic mirror)、特に動的に運動可能なレーザファイバエンドユニット、ならびに、任意選択で、機械加工レーザビームのための少なくとも1つの第1の偏向デバイス、を有することができ、この少なくとも1つの第1の偏向デバイスが動的に運動可能でない。その結果、機械加工レーザビームを機械加工装置内へ結合または供給するエリアにおいて、機械加工レーザビームの動的運動を実現することができ、次いで、このビームを、動的に運動可能な追加の誘導要素なしで、第2のレーザビーム誘導デバイスへ誘導することができる。特に、動的に運動可能な光学ユニットによって、機械加工レーザビームの振動振り子ビーム運動を達成することができる。
【0029】
上述の実施形態では、運動ユニットが、1つのピエゾアクチュエータ、電動機、空気圧モータ、カム、振動電磁場を発生させるための装置、MEMS発振器、振動コイル、静電的に運動可能なアクチュエータ、複数のピエゾアクチュエータ、電動機、空気圧モータ、カム、振動電磁場を発生させるための装置、MEMS発振器、振動コイル、静電的に運動可能なアクチュエータ、および/またはそれらの組合せの中から選択された少なくとも1つの要素を有することができる。このことは、機械加工レーザビームの高度に可変の動的運動および/または高周波数の動的運動を可能にする。
【0030】
追加の実施形態では、第1のレーザビーム誘導デバイスを、90°よりも小さい角度、90°に等しい角度および/もしくは90°よりも大きい角度で機械加工レーザビームを少なくとも1回、偏向させるように設計されたものとすることができる。第2のレーザビーム誘導デバイスは、90°よりも小さい角度、90°に等しい角度もしくは90°よりも大きい角度で機械加工レーザビームを偏向させるように設計されたものとすることができる。第1のレーザビーム誘導デバイスは、90°よりも小さい角度もしくは90°よりも大きい角度で少なくとも1回、および90°よりも小さい角度で少なくとも1回、機械加工レーザビームを偏向させるように設計されたものとすることができる。上述の実施形態は、機械加工装置内への機械加工レーザビームのビーム供給を可能にし、機械加工装置内では、第1のインタフェースと第1のレーザビーム誘導デバイスの間の機械加工レーザビームのビーム経路が、第2のレーザビーム誘導デバイスと出口開口の間の機械加工レーザのビーム経路に対して平行に延び、または任意の角度で、特に垂直に延びる。第1のレーザビーム誘導デバイスと第2のレーザビーム誘導デバイスの間の機械加工レーザビームのビーム経路は、第2のレーザビーム誘導デバイスと出口開口の間の機械加工レーザのビーム経路に対して任意の角度で、特に垂直に延びることができる。
【0031】
第2のレーザビーム誘導デバイスは、機械加工レーザビームのための少なくとも1つの第2の偏向デバイスを有することができ、この少なくとも1つの第2の偏向デバイスは動的に運動可能でない。この構成はさらに、機械加工ゾーンによって発射され、出口開口を通り抜け、第2のレーザビーム誘導デバイスによって第2のインタフェースへ誘導される放射が、動的に運動可能な要素の影響を受けないことを助長する。
【0032】
実施形態では、第2のレーザビーム誘導デバイス、特に第2の偏向デバイスを、機械加工ゾーンによって発射された放射に対して少なくとも部分的に透過性のものとすることができる。第2の偏向デバイスは、少なくとも1つのダイクロイックミラーを有することができ、もしくはダイクロイックミラーとして設計されたものとすることができる。このようすると、第2の偏向デバイスは、機械加工ゾーンによって発射された放射を少なくとも部分的に第2のインタフェースへ誘導することができ、その一方で、機械加工レーザビームを出口開口へ誘導することができる。さらに、第2のレーザビーム誘導デバイス、特に第2の偏向デバイスは、動的に運動させた機械加工レーザビームを、機械加工ゾーンによって発射され出口開口を通り抜けた放射と少なくとも部分的に同軸で誘導するように配置および設計されたものとすることができる。
【0033】
第1のレーザビーム誘導デバイスは、第1のインタフェースと第2のレーザビーム誘導デバイスの間のエリアに配置することができる。さらに、第2のレーザビーム誘導デバイスは、第2のインタフェースと出口開口の間のエリアに配置することができる。
【0034】
実施形態によれば、第1のインタフェースと出口開口の間のエリアおよび/もしくは第2のインタフェースと出口開口の間のエリアに少なくとも1つの光学部材を配置することができる。第2のレーザビーム誘導デバイスと出口開口の間のエリアに集束光学部品もしくは集束光学部材を配置することができる。
【0035】
実施形態では、第1のインタフェースを、機械加工レーザビームを発生させるための機械加工レーザ源に接続することができ、または第1のインタフェースが機械加工レーザ源を備えることができる。さらに、機械加工装置は、機械加工装置、特に第1のレーザビーム誘導デバイス、特に少なくとも1つの運動ユニットを制御するための制御ユニットを有することができる。制御ユニットを、例えば、検出デバイスおよび第1のレーザビーム誘導デバイスに、有線または無線データ伝達方式で接続することができ、したがって、制御ユニットを、調整付きのプロセス監視に使用することができる。この調節付きのプロセス監視は、レーザ加工における望まれていないプロセス振る舞いを自律的に検出し、かつ/またはそのようなプロセス振る舞いを正すことができる。
【0036】
さらに、実施形態の検出デバイスは、適応光学ユニットを有することができる。この適応光学ユニット、例えば適応光学部品または適応レンズ(焦点を調節できるレンズ)は、焦点位置、加工物の厚さおよび所望のプロセス観察レベルに応じて、検出デバイスの鮮鋭度レベルを、機械加工ビームの伝搬方向に対して平行な方向に変化させることができる。
【0037】
実施形態の機械加工装置では、機械加工レーザ源が、少なくとも1kW、好ましくは少なくとも4kW、より好ましくは1から30kWの間、最も好ましくは1から25kWの間のレーザパワーを提供することができる。最大4kWのレーザパワーまでの以前から知られている動的ビーム整形とは対照的に、実施形態の機械加工装置、特にレーザ加工ヘッドとしての機械加工装置は、少なくとも10kWまでおよびそれ以上のレーザパワーに対して使用可能である。機械加工レーザビームの動的運動、例えば機械加工レーザビームのビーム整形におけるこのような高いレーザパワーは、実施形態に従ってその場で機械加工プロセスを観察および調整することができることと相まって、レーザ加工、特にレーザ切削における新たな用途領域を創始する。
【0038】
実施形態では、第1のレーザビーム誘導デバイスの動的に運動可能な偏向デバイスもしくは動的に運動可能な光学ユニットを、10Hzから15kHzの間、好ましくは100Hzから10kHzの間の周波数で少なくとも部分的に運動可能なものとすることができる。このことは、機械加工レーザビームの高度に動的な運動、特に、機械加工レーザビームの伝搬方向に垂直な方向の機械加工レーザビームの高度に動的な運動を可能にする。さらに、第1のレーザビーム誘導デバイスは、機械加工レーザビームを動的に運動させたときに、2次元もしくは3次元リサージュ図形(Lissajous figure)または2次元もしくは3次元リサージュ図形の組合せに対応する焦点振動経路を有する、少なくとも1つの振動振幅および少なくとも1つの振動周波数の焦点振動を発生させるように設計されたものとすることができる。
【0039】
本発明の一実施形態は、加工物のレーザ加工のための、特にレーザ切削のための上記実施形態のうちのいずれか1つに基づく機械加工装置の使用に関する。
【0040】
本発明の追加の実施形態は、加工物のレーザ加工のための方法、特にレーザ切削のための方法、特に、機械加工装置の上記実施形態のうちのいずれか1つに基づく機械加工装置を使用した加工物のレーザ加工のための方法、特にレーザ切削のための方法を提供する。この方法は、機械加工装置の第1のインタフェースに提供された機械加工レーザ源からの機械加工レーザビームを、機械加工装置の出口開口を通して、加工物の機械加工ゾーンに照射するステップと、機械加工ゾーンによって発射され出口開口を通り抜けた放射の少なくとも一部分を、機械加工装置の第2のインタフェースに接続された検出デバイスまたは第2のインタフェース上に提供された検出デバイスによって検出するステップとを有し、機械加工レーザビームは、機械加工装置の第1のレーザビーム誘導デバイスによって動的に運動し、特に、機械加工装置の第1のレーザビーム誘導デバイスによって動的に整形され、機械加工装置の第2のレーザビーム誘導デバイスへ誘導され、動的に運動した機械加工レーザビームは、第2のレーザビーム誘導デバイスによって出口開口を通り抜けるように誘導され、機械加工ゾーンによって発射され出口開口を通り抜けた放射は、少なくとも部分的に、第2のレーザビーム誘導デバイスによって第2のインタフェースへ誘導される。
【0041】
その際に、第2のレーザビーム誘導デバイスは、動的に運動した機械加工レーザビームを、機械加工ゾーンによって発射され出口開口を通り抜けた放射と少なくとも部分的に同軸で誘導することができる。
【0042】
上記の実施形態の加工物のレーザ加工のための方法によって、加工物のレーザ加工のための機械加工装置の実施形態と同じ、特に、同一の特徴および/または類似の特徴を有するそのような実施形態と同じ利点および機能を実現することができる。
【0043】
追加の特徴および利点は、実施形態の以下の説明、図および従属請求項から明らかになる。
【0044】
本明細書に記載された実施形態の互いに排他的でない特徴は全て、互いに組み合わせることができる。以下の説明では、実施形態の同じ要素に同じ参照符号が与えられている。特に言及されていなくても、1つの実施形態の個々の要素または複数の要素を他の実施形態で使用することができる。次に、図に関する以下の例を使用して、本発明の実施形態をより詳細に説明する。この説明によって本発明の実施形態を限定する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明の実施形態による第1の例として、加工物のレーザ加工のための機械加工装置10を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の実施形態による第2の例として、加工物のレーザ加工のための機械加工装置100を概略的に示す図である。
【
図3a】本発明の実施形態による第3の例として、加工物のレーザ加工のための機械加工装置200を概略的に示す図である。
【
図3b】第3の例の変更形態として、機械加工装置201を概略的に示す図である。
【
図4a】本発明の実施形態による第4の例として、加工物のレーザ加工のための機械加工装置300を概略的に示す図である。
【
図4b】第4の例の変更形態として、機械加工装置301を概略的に示す図である。
【
図5】本発明の実施形態による第5の例として、加工物のレーザ加工のための機械加工装置400を概略的に示す図である。
【
図6】本発明の実施形態による第6の例として、加工物のレーザ加工のための機械加工装置500を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
例
以下では、とりわけ、機械加工ヘッドを用いた例によって、本発明の実施形態に基づく機械加工装置を説明する。本発明はそれらの例に限定されない。本発明の実施形態に基づく機械加工装置および方法は、機械加工ヘッドなしで実現することもできる。
【0047】
加工物の機械加工ゾーンによって発射され、出口開口を通り抜けた放射は、加工物のレーザ加工に起因する放射および/または反射された照射光を含むことがあり、以下ではこの放射を「プロセス光(process light)」という用語で呼ぶ。
【0048】
さらに、本明細書に値の範囲が記載されている場合、より幅の狭い代替範囲または好ましい範囲を含む幅広い範囲の指定はさらに、範囲の指定された下限と範囲の指定された上限の任意の組合せによって形成されうる範囲を開示しているとみなされる。
【0049】
レーザビームの「動的運動」または「動的に運動した」レーザビームという用語、およびこれらの用語の変更形は、現在のところ、高い周波数、例えば10Hzから15kHzの周波数でレーザビームを運動させることを意味している。類似的に、同じことが、機械加工装置の「動的に」運動可能な要素、向き付け可能な要素、調整可能な要素および/または変形可能な要素にもあてはまる。
【0050】
図1は、本発明の実施形態による、加工物12の機械加工ゾーン13内のレーザ加工のための機械加工装置10の第1の例を概略的に示している。
【0051】
機械加工装置10は、機械加工レーザビーム15を発生させるための機械加工レーザ源のための第1のインタフェース14、および機械加工ゾーン13からのプロセス光17を検出する検出デバイスのための第2のインタフェース16を有する。
【0052】
図1に機械加工レーザ源および検出デバイスは示されていない。
図3bの例によって示されているように、第1のインタフェース14に機械加工レーザ源82を提供することができ、第2のインタフェース16に検出デバイス24を提供することができる。機械加工レーザ源82は、機械加工レーザビーム15、例えば1から30kWの範囲のレーザパワーを有する機械加工レーザビーム15を提供する。これらの例では、機械加工レーザ源82が約6kW以上のパワー、特に10kWのパワーを有し、波長1070nmを含むスペクトル範囲の機械加工レーザビームを発生させる。あるいは、機械加工装置の所望の用途に従って選択された、用途に対応する適合されたパワーを有するダイレクトダイオードレーザ(通常940から980nm)、さらに固体レーザ(通常1030から1080nm)を使用することもでき、パワーは、6kW未満または6kW超とすることができる。検出デバイス24は例えば、プロセス光17を感受するカメラである。一方、機械加工装置が機械加工ヘッドとして設計されている場合、第1のインタフェース14は、例えばトランスポートファイバによって機械加工レーザ源82に結合し、機械加工レーザ源82に接続される役目を果たすことができ、第2のインタフェース16は、無線または有線で、検出デバイス24に結合し、検出デバイス24に接続される役目を果たすことができる。
【0053】
機械加工装置10は、機械加工レーザビーム15のための出口開口18を有する。
【0054】
機械加工装置10内には、第1のレーザビーム誘導デバイス20および第2のレーザビーム誘導デバイス22が置かれている。
【0055】
第1のレーザビーム誘導デバイス20は、第1のインタフェース14と第2のレーザビーム誘導デバイス22の間のエリアに配置されている。この例では、第1のレーザビーム誘導デバイス20が、機械加工レーザビーム15を反射する少なくとも1つの表面20aを有する偏向デバイスを有する。反射面20aは、機械加工ビーム15を第2のレーザビーム誘導デバイス22の方へ偏向させるような向きに向けられており、少なくとも1つの運動ユニット20bによって少なくとも部分的に動的に運動可能である。例えば、運動ユニット20bは、1つのピエゾアクチュエータ、電動機、空気圧モータ、カム、振動電磁場を発生させるための装置、MEMS発振器、振動コイル、静電的に運動可能なアクチュエータ、複数のピエゾアクチュエータ、電動機、空気圧モータ、カム、振動電磁場を発生させるための装置、MEMS発振器、振動コイル、静電的に運動可能なアクチュエータ、および/またはそれらの組合せの中から選択される。したがって、第1のレーザビーム誘導デバイス20は、機械加工レーザビーム15を第2のレーザビーム誘導デバイス22の方へ偏向させるように、および機械加工レーザビーム15を例えば10Hzから15kHzの間の周波数で動的に運動させるように配置および設計されている。
【0056】
第2のレーザビーム誘導デバイス22は、第1のレーザビーム誘導デバイス20、第2のインタフェース16および出口開口18の間のエリアに配置されている。この例では、第2のレーザビーム誘導デバイス22が、ダイクロイックミラーとして設計された、運動可能でない偏向デバイス23を有する。ここで説明する例では、偏向デバイス23が、例として、ガラスミラー(例えばSiO2、溶融シリカ)または可視プロセス光に対して透過性の別のミラーである。このダイクロイックミラーは少なくとも片面に、すなわちレーザ源に面した面に、誘電体コーティングを有する。ミラーのサイズは、ミラーのサイズが、ミラーの位置における機械加工レーザビームの直径に対応するように選択される。このダイクロイックミラーは機械加工レーザビーム15を少なくとも部分的に反射し、プロセス光17の少なくとも一部分に対して選択的に透過性である。このダイクロイックミラーは、機械加工レーザビーム15が出口開口18の方へ偏向するような向きに向けられている。したがって、この例では、第2のレーザビーム誘導デバイス22が、動的に運動させた機械加工レーザビーム15を偏向させ、それを出口開口18を通して加工物12上へ誘導するように設計されている。同時に、第2のレーザビーム誘導デバイス22は、機械加工ゾーン13によって発射され出口開口18を通り抜けたプロセス光17が少なくとも部分的に第2のインタフェース16に到達する効果を有する。
【0057】
機械加工装置10の動作中、機械加工レーザビーム15は、インタフェース14から第1のレーザビーム誘導デバイス20の反射面20a上へ導かれる。反射面20aは、運動ユニット20bによって、10Hzから15kHzの間の周波数で動的に運動する。その結果、機械加工レーザビーム15は動的に運動し、第2のレーザビーム誘導デバイス22の方向に偏向する。機械加工レーザビーム15は、そこで、偏向デバイス23のダイクロイックミラーに衝突し、偏向デバイス23によって出口開口18の方向に偏向する。動的に運動し偏向した機械加工レーザビーム15は、出口開口18を出て加工物12に衝突する。加工物12の機械加工ゾーン13はプロセス光17を発射し、発射されたプロセス光17は、その一部が出口開口18を通って機械加工装置10に入り、ダイクロイックミラーを透過し、第2のインタフェース16に到達する。このようにすると、動的に運動した機械加工レーザビーム15は、プロセス光17の第2のレーザビーム誘導デバイス22と出口開口18の間の部分と同軸で誘導される。第2のインタフェースのところで検出デバイスによってプロセス光17を検出することができる。
【0058】
このことは、第2のインタフェース16へ誘導されるプロセス光17のビーム経路が別個に配置され、機械加工レーザビーム15のビーム経路の機械加工レーザビーム15の動的運動が生じる部分の影響を受けないことを可能にする。そのため、両方の機能、すなわち動的ビーム整形とプロセス光検出の両方を1つの機械加工ヘッドに含めることができる。出口開口18と第2のレーザビーム誘導デバイス22の間のエリアにおいて、プロセス光17のビーム経路は、機械加工レーザビーム15のビーム経路と同軸で延びる。したがって、機械加工レーザビームのビーム経路とプロセス光のビーム経路の空間節約配置が実現される。特に、機械加工レーザビームは、少なくとも機械加工レーザビームの伝搬方向に対して垂直に動的に運動する。このようにすると、動的ビーム整形によって、機械加工する加工物12に適合したほぼ全ての機械加工レーザビーム15のビームスポットの強度分布、したがってビームパラメータ積が提供され、その一方で、プロセス観察のために第2のインタフェース16へ誘導されるプロセス光17は、機械加工レーザビーム15から本質的に分離され、影響を受けない。
【0059】
第1のインタフェース14と第1のレーザビーム誘導デバイス20の間の機械加工レーザビーム15のビーム経路は、第2のレーザビーム誘導デバイス22と出口開口18の間のビーム経路と本質的に平行に配置され、このことも同様に、機械加工レーザビームのビーム経路とプロセス光のビーム経路の空間節約配置を可能にする。
【0060】
図2から
図6は、
図1の機械加工装置の例示的な変更形態を示している。したがって、これらの図の対応するそれぞれの説明では
図1の例との違いが説明される。
【0061】
図2は、本発明の実施形態による第2の例として、加工物12のレーザ加工のための機械加工装置100を概略的に示している。この例では、第1のレーザビーム誘導デバイス20の偏向デバイスが、SiC(炭化ケイ素)でできた動的に向き付け可能な平面ミラー30を含む。あるいは、誘電体層、金属層(例えば銅)または金属酸化物層を備えるガラス基板(例えば溶融シリカ)をミラー30として使用することもできる。ミラーのサイズは、ミラーのサイズが、ミラー30の位置における機械加工レーザビームの直径に対応するように選択される。ピエゾスキャナとも呼ばれる3つのピエゾアクチュエータ32aが運動ユニットとして提供されており、これらの3つのピエゾアクチュエータ32aによって、ミラー30は動的に運動可能となり、したがって向き付け可能となる。ピエゾアクチュエータ32aは個別に制御可能である。この例では、ピエゾアクチュエータ32aが、修正PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)セラミックに基づく、典型的な120Vの駆動電圧を有するピエゾアクチュエータである。
【0062】
レーザ加工時、ミラー30は、ピエゾアクチュエータ32aによって、機械加工レーザビーム15が第2のレーザビーム誘導デバイス22の方へ偏向するようなやり方で傾けられる。同時に、ミラー30は、偏向のための適当な傾斜角を提供するピエゾアクチュエータ32aによって動的に運動して、機械加工レーザビーム15が動的に運動するようにする。このようにすると、レーザ加工のための対応するそれぞれの方法に対して、機械加工レーザビーム15のビームパラメータ積および加工物12上におけるレーザビームスポットの強度分布を最適に設計することができる。これは、機械加工レーザビーム15の焦点が、少なくとも機械加工レーザビーム15の伝搬方向に対して垂直に、10Hzから15kHzの間の周波数で動的に運動し、したがってレーザビームスポットが整形されるためである。例えば、機械加工レーザビーム15を動的に運動させると、2次元もしくは3次元リサージュ図形または2次元もしくは3次元リサージュ図形の組合せに対応する焦点振動経路を有する、少なくとも1つの振動振幅および少なくとも1つの振動周波数の焦点振動が発生する。
【0063】
図3aは、本発明の実施形態による第3の例として、加工物12のレーザ加工のための機械加工装置200を概略的に示している。レーザビーム誘導デバイス20は、偏向デバイスとして、2つのミラー30を有するガルバノメータスキャナ40を含み、2つのミラー30はそれぞれ、制御可能なガルバノメータ(図示せず)によって個別に動的に運動可能である。このガルバノメータスキャナは、機械加工レーザビームが90°よりも大きい角度で少なくとも1回、および90°よりも小さい角度で少なくとも1回、偏向するように向き付け可能な2つのミラー30を備える。動作中、2つのミラー30は、互いに対して、機械加工レーザビーム15が2回偏向し、それと同時に動的に運動するように向き付けされ、運動する。機械加工ビーム15は、一方のミラー30によって、機械加工ビーム15の伝搬方向に対して垂直な1軸上で運動し、もう一方のミラー30によって、機械加工ビーム15の伝搬方向に対して垂直な別の軸上で運動する。例えば、これらの2つの軸は互いに対して垂直に配置される。その結果、動的ビーム整形によって、ほとんど全ての機械加工レーザビーム15のビームスポットの強度分布およびビームパラメータ積が提供され、特に、機械加工レーザビーム15で加工物上にリサージュ図形を書くことができる。
【0064】
図3bは、
図3aに基づく第3の例の変更形態を示している。機械加工装置201では、機械加工レーザビーム15が、第1のレーザビーム誘導デバイス20を通過する前と後のそれぞれのケースで、第2のレーザビーム誘導デバイス22と出口開口18の間のビーム経路に対して1つの角度で進むように、この例では直角に進むように、第1のレーザビーム誘導デバイス20が設計されている。このことは、機械加工レーザビーム15が機械加工装置201の中へ横方向に供給されることを意味する。ビーム経路のこのような構成は、
図1から5の他の全ての例に対しても類似的に可能である。
【0065】
図3bに示されているように、第1のインタフェース14と第1のレーザビーム誘導デバイス20の間の機械加工レーザビーム15のビーム経路は、第2のレーザビーム誘導デバイス22と出口開口18の間のビーム経路に対して1つの角度で延びることができる。したがって、第1のレーザビーム誘導デバイス20を通過する前および/または後の機械加工レーザビーム15のビーム経路を、第2のレーザビーム誘導デバイス22と出口開口18の間のビーム経路に対して任意の角度で誘導することができる。このことは、機械加工装置の柔軟な空間構成を可能にする。ビーム経路のこのような構成は、
図1から
図5の他の全ての例に対しても類似的に可能である。
【0066】
詳細には、
図3bの変更形態では、ガルバノメータスキャナが、機械加工レーザビームが90°よりも小さい角度で少なくとも1回、および90°よりも小さい角度で少なくとももう1回、偏向するように向き付け可能な2つのミラー30を備える。動作中、2つのミラー30は、互いに対して、機械加工レーザビーム15が2回偏向し、それと同時に動的に運動するように向き付けされ、運動する。
【0067】
図3bは、機械加工装置201の要素を示しており、これらの要素を、個々に、または互いに独立した組合せで、機械加工装置の他の全ての実施形態、例えば本明細書に記載された機械加工装置10、100、200、300、301、400および500に提供することもできる。第1のインタフェース14と第1のレーザビーム誘導デバイス20の間および/または第2のレーザビーム誘導デバイス22と出口開口18の間のエリアに、光学部材80を配置することができる。
図3bの例では、第1のインタフェース14と第1のレーザビーム誘導デバイス20の間の光学部材80としてコリメーションレンズが配置されている。偏向させる第2のレーザビーム誘導デバイス22と出口開口18の間の光学部材80として集束レンズが提供されており、それによって、10kWまでおよび10kW以上の高いレーザパワーにおいても、偏向と集束の相互補償により、熱焦点シフトを低く維持することができる。さらに、第1のインタフェース14に機械加工レーザ源82が提供されており、第2のインタフェース16に検出デバイス24が提供されている。さらに、検出デバイス24は適応光学ユニット25を含む。この例では、検出デバイス24がカメラであり、適応光学ユニット25が、適応レンズ(焦点を調節できるレンズ)として設計されている。適応光学ユニット25は、焦点位置、加工物の厚さおよび所望のプロセス観察レベルに応じて、検出デバイス24の鮮鋭度レベルを、機械加工ビーム15の伝搬方向に対して平行な方向に変化させることができる。さらに、機械加工装置を制御するために制御ユニット84が提供されており、制御ユニット84によって、第1のレーザビーム誘導デバイス20、特に第1のレーザビーム誘導デバイス20の少なくとも1つの運動ユニットが制御される。
【0068】
図4aは、本発明の実施形態による第4の例として、加工物12のレーザ加工のための機械加工装置300を概略的に示している。偏向デバイスは、互いから分離され、互いに隣り合わせに配置されて同心パターンを形成した41個のミラーセグメントを有する、直径約50mmの本質的に円形のセグメント化ミラー50を有する。それぞれのミラーセグメントは金コーティングを有し、機械加工レーザビーム15に対して反射性であり、それぞれのミラーセグメントを、運動ユニットとして、ピエゾアクチュエータ32bによって個別に動的に向き付けすることができる。駆動電圧120Vのピエゾアクチュエータ32bは、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)セラミックでできており、ミラーセグメントのパターンと一致するように配置されている。したがって、この偏向デバイスは、機械加工レーザビーム15を反射するセグメント化された総表面を形成し、この表面の表面幾何形状、特に曲率を、高度に動的なやり方で調整することができる。
【0069】
図4bは、第4の例の変更形態として、機械加工装置301を概略的に示している。偏向デバイスは、動的に変形可能なミラー52(DM、ダイナミックミラー(dynamic mirror))を有する。動的に変形可能なミラー52は、変形可能な材料でできた膜によって形成されており、この膜は、膜の下面に均等に分配された個別に制御可能なPZTセラミックピエゾアクチュエータ(駆動電圧:120V)32bによって動的に変形可能である。この例では、この膜は、直径約45mmの円形である。この例では、32個のピエゾアクチュエータが提供されており、これらのピエゾアクチュエータによって、膜の32個の個々の表面エリアが個別に調整可能である。膜の上面は、高度に反射性の光学コーティング、すなわちこの例では銅層を備える。あるいは、このコーティングを誘電体材料、別の金属もしくは金属酸化物から形成すること、またはこのコーティングが誘電体材料、別の金属もしくは金属酸化物を含むこともできる。このようにして提供された変形可能で反射性の連続表面は、波長約1070nmの120kWまでのレーザビームに適する。
【0070】
あるいは、ミラー52として、変形可能なバイモルフミラー、MEMS(マイクロエレクトロメカニカルシステム)発振器もしくはMOEMS(マイクロオプティカルエレクトロメカニカルシステム)発振器に基づいて変形可能なミラー、または振動コイルに基づいて変形可能なミラーが提供される。変形可能なバイモルフミラーは、例えば、極性の異なる2つのピエゾ層からなるピエゾセラミックプレートに接続された薄いガラスプレートを有する。コーナにおいて、それらのプレートは、それらのプレートが共振特性を有するように保持されている。ガラスとピエゾプレートの間の接続部は導電性電極を含み、ピエゾプレートの裏面は個々の制御電極を備える。動作中、制御電極に電圧が印加され、この電圧は、ピエゾプレート内に横向きの力を発生させ、それによってミラーを曲げる。MEMSまたはMOEMSに基づいて変形可能なミラーの場合には、例えば、変形していない状態では平らな、連続した運動可能な電極であって、機械加工レーザビーム15にさらされる表面が機械加工レーザビーム15に対して反射性である、連続した運動可能な電極が、平行に配置された別の平面電極のアクチュエータによって静電力を介して運動する。振動コイルに基づいて変形可能なミラーの場合には、振動コイルがアクチュエータとして使用され、この振動コイルは、厚いベースプラットホームを比較的に薄い変形可能なガラスプレートに接続している。ガラスプレートとベースプラットホームの間に、その中に穴が挿入された基準プレートが置かれている。そこにコイルアクチュエータが提供されている。コイルアクチュエータを流れる電流によって生み出された交番磁場が、コイルアクチュエータを偏向させる。コイルアクチュエータは、コイルアクチュエータに接続されたガラスプレートを運動させる。
【0071】
図4aおよび
図4bの例では、偏向デバイスが、機械加工レーザビーム15を少なくとも部分的に反射する全表面を提供し、この表面の表面幾何形状、特に曲率は高度に動的なやり方で調整可能である。したがって、例示的な動作中に、機械加工レーザビーム15の高度に柔軟なビーム整形が、少なくとも機械加工レーザビーム15の伝搬方向に対して垂直に実行される。例えば、2次元もしくは3次元リサージュ図形または2次元もしくは3次元リサージュ図形の組合せに対応する焦点振動経路を有する、例えば0.6mmの少なくとも1つの振動振幅および例えば500Hzの少なくとも1つの振動周波数の焦点振動を発生させることができる。例示的な動作中にはさらに、機械加工レーザビーム15の焦点の位置が、機械加工レーザビーム15の伝搬方向に対して平行な方向に調整され、それによって機械加工装置の光学系の焦点距離が設定または変更される。
【0072】
図5は、本発明の実施形態による第5の例として、加工物12のレーザ加工のための機械加工装置400を概略的に示している。偏向デバイスは、運動デバイス32cの軸の周りを回転することができるミラー30を有する。このミラーは、この軸上に、この軸がミラー30の反射面と1つの角度を形成するように配置されている。この反射面は、この角度が90°よりも大きくまたは小さくなるように向き付け可能である。動作中、ミラーの角度は90°に等しくならないように設定され、このように傾けられたミラーは、ミラーの軸の周りを、100Hzから10kHzの周波数で回転する。したがってレーザビームは円運動をなす。このようにすると、機械加工レーザビームは、調整可能な可変の半径を有する、加工物12上の円形経路に沿って高速で誘導される。したがって、熱的に不活性の切削プロセスに関して、高度に動的に運動する機械加工レーザビーム15は、時間平均にわたって、ドーナツビームと呼ばれるもののように作用することができる。
【0073】
図6は、本発明の実施形態による第6の例として、加工物12のレーザ加工のための機械加工装置500を概略的に示している。第1のレーザビーム誘導デバイス20は、トランスポートファイバエンドキャップの形態の、例えば石英ガラスでできた屈折光学ユニットを、動的に運動可能な光学ユニット70として有する。このエンドキャップは、少なくとも1つの運動ユニット71によって動的に運動可能であり、したがって、動的に運動可能な状態に維持されたレーザファイバエンドユニットを形成している。この例では、この運動ユニットが、機械加工レーザビーム15の伝搬方向に対して垂直な、すなわちz方向に対して垂直なx/y平面内に提供された2つのPZTセラミックピエゾアクチュエータ(駆動電圧:120V)として設計されており、これらの2つのPZTセラミックピエゾアクチュエータは、例えば接着剤によって、トランスポートファイバエンドキャップに動作可能に接続されている。一方のピエゾアクチュエータは、エンドキャップをx方向に偏向させる役目を果たし、もう一方のピエゾアクチュエータは、エンドキャップをy方向に偏向させる役目を果たす。このことは、機械加工レーザビーム15の伝搬方向(z方向)に対して垂直な平面内でのトランスポートファイバエンドキャップ70の自由端の反復振動運動を可能にする。このようにすると、ビームパラメータ積を調整または変更することにより、機械加工レーザビーム15の伝搬方向に対して垂直な平面内での機械加工レーザビーム15の焦点の振動を誘起することができ、それによってビーム整形を誘起することができる。
【0074】
図6の例では、第1のレーザビーム誘導デバイス20がさらに、機械加工レーザビーム15のための偏向デバイス72を有し、偏向デバイス72は動的に運動可能でない。偏向デバイス72の前において、機械加工レーザビーム15のビーム経路は、第2のレーザビーム誘導デバイス22と出口開口18の間のビーム経路と実質的に平行に配置されている。このことは、機械加工装置の空間節約構成を可能にする。あるいは、偏向デバイス72の前および/または後の機械加工レーザビーム15のビーム経路を、第2のレーザビーム誘導デバイス22と出口開口18の間のビーム経路に対して異なる角度で誘導することもできる。このことは、機械加工装置の柔軟な空間構成を可能にする。この例の1つの変更形態では偏向デバイス72が提供されない。その代わりに、トランスポートファイバエンドキャップ70から第2のレーザビーム誘導デバイス22へ機械加工レーザビーム15を直接に誘導することができる。その際に、エンドキャップ70から発射された機械加工レーザビーム15のビーム経路を、第2のレーザビーム誘導デバイス22と出口開口18の間のビーム経路に対して本質的に90°の角度で、レーザビーム誘導デバイス22上へ誘導することができる。90°の代わりに、レーザビーム誘導デバイス22における偏向を可能にする別の角度を選択することもできる。
図6の例および
図6の例の変更形態はともに、第1のレーザビーム誘導デバイス20の動的運動からの第2のレーザビーム誘導デバイス22の十分な分離を達成し、それによって、第1のレーザビーム誘導デバイス20の動的運動からの、観察されるプロセス光17のビーム経路の十分な分離を達成する。
【0075】
機械加工装置500の動作中、機械加工レーザビーム15を機械加工装置内へ結合または供給するエリアの直後において、10Hzから15kHzの間、好ましくは100Hzから10kHzの間の振動周波数、+/-5mm以下または+/-1mm以下の振動振幅、および経路長0.05mm以上の焦点振動経路の、機械加工レーザビームの動的運動が発生する。運動した機械加工ビーム15は、動的に運動可能な追加の誘導要素なしで、第2のレーザビーム誘導デバイス22へ誘導され、最終的に出口開口18を通り抜ける。したがって、動的に運動可能な光学ユニット70によって、加工物12を機械加工する機械加工レーザビーム15の振動振り子ビーム運動が達成される。同時に、第2のインタフェース16へ誘導されるプロセス光17のビーム経路は、機械加工レーザビーム15のビーム経路の機械加工レーザビーム15の動的運動が生じる部分から分離され、この部分の影響を受けない。
【0076】
例えば、機械加工レーザビーム15で加工物12上にリサージュ図形を書くことができる。このリサージュ図形は、運動ユニット71のピエゾアクチュエータを制御する制御ユニット84のデータベースに記憶されていたものとすることができる。機械加工レーザビーム15を動的に運動させると、1つの2次元リサージュ図形または2次元リサージュ図形の組合せに対応する0.05mm以上の焦点振動経路を有する、+/-5mm以下の振動振幅、100Hzから10kHzの間の振動周波数の焦点振動が発生する。焦点は、例えば0.1mm以上または0.05mm以上の直径またはサイズを有する。3次元リサージュ図形を発生させるため、
図6の運動ユニット71は追加のピエゾアクチュエータを含み、この追加のピエゾアクチュエータは、エンドキャップをz方向にも偏向させる。
【0077】
動的に運動可能な屈折光学ユニット70として、光ファイバの自由端または運動可能なファイバカップリングを、トランスポートファイバエンドキャップの代替として提供することができる。あるいは、レンズ、例えば集束レンズまたはコリメーションレンズが、動的に運動可能な屈折光学ユニット70の役目を果たすこともできる。あるいは、屈折光学ユニットの代わりに、動的に運動可能な別の光学ユニット70、例えば軸外し放物面ミラーを使用することもできる。その際、このレンズまたは放物面ミラーも同様に、動的に運動可能なやり方で、機械加工レーザビーム15の伝搬方向の第1のインタフェース14の後ろに、上述の動的に運動可能なトランスポートファイバエンドキャップの代わりに、例えばインタフェース14にある動的に運動可能でないトランスポートファイバエンドキャップの後ろに、提供することができる。
【0078】
動的に運動可能な光学ユニット70は、第1のインタフェース14のところに、または機械加工レーザビーム15の伝搬方向の第1のインタフェース14の後ろに、あるいは第1のインタフェース14と偏向デバイス72の間のエリアに提供することができる。
【0079】
さらに、運動ユニット71として、ピエゾアクチュエータの代わりに、1つのカム、振動電磁場を発生させるためのデバイス、MEMS発振器、または複数のカム、振動電磁場を発生させるためのデバイス、MEMS発振器を使用することができる。
【0080】
全ての実施形態において、動的ビーム整形によって、有利な機械加工レーザビーム15のビームスポットの強度分布およびビームパラメータ積を提供することができ、その一方で、プロセス観察のために第2のインタフェース16へ誘導されるプロセス光17は、機械加工レーザビーム15の動的運動の影響を受けない。
【0081】
最後に、本発明および例示的な実施形態の説明は本発明の特定の物理的実現に関する限定を意図したものであると理解すべきでないことに留意すべきである。本発明の個々の実施形態に関して説明および図示された特徴は全て、それらの特徴の有利な効果を同時に実現するために、本発明に基づく主題に、異なる組合せで提供することができる。
【0082】
本発明の保護の範囲は特許請求項に記載されており、以上の説明に示された特徴または図に示された特徴によって限定されない。
【0083】
本発明を、レーザ加工システムに対してだけでなく、レーザを含む他のデバイスに対しても使用することができることは、当業者には特に明らかである。さらに、加工物のレーザ加工のための機械加工装置の構成要素は、いくつかの物理的製品にわたって分散するように生産することができる。
【符号の説明】
【0084】
10 機械加工装置、12 加工物、13 機械加工ゾーン、14 第1のインタフェース、15 機械加工レーザビーム、16 第2のインタフェース、17 機械加工ゾーンによって発射された放射、プロセス光、18 出口開口、20 第1のレーザビーム誘導デバイス、20a 反射面、20b 運動ユニット、22 第2のレーザビーム誘導デバイス、23 動的に運動可能でない第2の偏向デバイス、24 検出デバイス、25 検出デバイスの適応光学ユニット、30 動的に運動可能なミラー、32a、b、c 運動ユニット、40 ガルバノメータスキャナ、50 セグメント化ミラー、52 変形可能なミラー、70 光学ユニット、71 運動ユニット、72 動的に運動可能でない第1の偏向デバイス、80 光学部材、82 機械加工レーザ源、84 制御デバイス、100 機械加工装置、200 機械加工装置、201 機械加工装置、300 機械加工装置、301 機械加工装置、400 機械加工装置、500 機械加工装置。
【手続補正書】
【提出日】2020-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工物(12)の機械加工ゾーン(13)内のレーザ加工のための機械加工装置、特にレーザ切削のための機械加工装置、特にレーザ加工ヘッドであって、
機械加工レーザビーム(15)を発生させるための機械加工レーザ源のための第1のインタフェース(14)と、
前記機械加工ゾーンによって発射された放射(17)を検出する検出デバイスのための第2のインタフェース(16)と、
前記機械加工レーザビームのための出口開口(18)と、
第1および第2のレーザビーム誘導デバイス(20、22)と
を有し、
前記第1のレーザビーム誘導デバイス(20、20a、20b)が、前記機械加工レーザビームを前記第2のレーザビーム誘導デバイスへ誘導するように、および前記機械加工レーザビームを動的に運動させるように、特に、前記機械加工レーザビームを動的に整形するように配置および設計されており、
前記第2のレーザビーム誘導デバイス(22)が、動的に運動させた前記機械加工レーザビームを前記出口開口を通り抜けるように誘導するように、および前記機械加工ゾーンによって発射され前記出口開口を通り抜けた前記放射を少なくとも部分的に前記第2のインタフェースへ誘導するように配置および設計
されており、
前記第1のレーザビーム誘導デバイスが、90°よりも小さい角度もしくは90°よりも大きい角度で少なくとも1回、および90°よりも小さい角度で少なくとも1回、前記機械加工レーザビームを偏向させるように設計されている、
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載の機械加工装置であって、
前記第2のインタフェースが、前記機械加工ゾーンによって発射され前記出口開口を通り抜けた前記放射の少なくとも一部分を検出する検出デバイス(24)に接続されているか、もしくは前記検出デバイス(24)を備え、ならびに/また
は
前記第2のレーザビーム誘導デバイスが、前記機械加工レーザビームを偏向させるように設計されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の機械加工装置であって、
前記第1のレーザビーム誘導デバイス(20)が、前記機械加工レーザビームのための少なくとも1つの偏向デバイス(20a;30;40;50;52)を有し、前記少なくとも1つの偏向デバイス(20a;30;40;50;52)が、少なくとも1つの運動ユニット(20b;32a;32b;32c)によって少なくとも部分的に動的に運動可能である
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項4】
請求項3に記載の機械加工装置であって、
前記偏向デバイスが、動的に向き付け可能な少なくとも1つのミラー(30)を有する
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記第1のレーザビーム誘導デバイスが少なくとも1つのガルバノメータスキャナ(40)を有し、かつ/または前記偏向デバイスがガルバノメータスキャナ(40)として設計されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項6】
請求項3に記載の機械加工装置であって、
前記偏向デバイスが、複数のミラーセグメントを有する少なくとも1つのセグメント化ミラー(50)を有し、前記複数のミラーセグメントがそれぞれ動的に向き付け可能である
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項7】
請求項3に記載の機械加工装置であって、
前記偏向デバイスが、動的に変形可能な少なくとも1つのミラー(52)を有する
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項8】
請求項7に記載の機械加工装置であって、
前記偏向デバイスが、少なくとも1つのピエゾアクチュエータによって変形可能なミラー、変形可能なバイモルフミラー、MEMSまたはMOEMSに基づいて変形可能なミラー、および振動コイルに基づいて変形可能なミラーの中から選択された少なくとも1つの要素を有する
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項9】
請求項3および4のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記偏向デバイスが、軸の周りを回転することができる少なくとも1つのミラー(30)を有し、前記軸が、前記ミラーの反射平面との間に角度を形成し、前記少なくとも1つのミラー(30)が、前記角度が90°よりも大きくなるようにまたは90°よりも小さくなるように向き付け可能である
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項10】
請求項1および2のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記第1のレーザビーム誘導デバイス(20)が、少なくとも1つの運動ユニット(71)によって少なくとも部分的に動的に運動可能な少なくとも1つの光学ユニット(70)、特に屈折光学ユニットおよび/または軸外し放物面ミラー、特に動的に運動可能なレーザファイバエンドユニット、ならびに、任意選択で、前記機械加工レーザビームのための少なくとも1つの第1の偏向デバイス(72)、を有し、前記少なくとも1つの第1の偏向デバイス(72)が動的に運動可能でない
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項11】
請求項3から10のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記運動ユニット(32a;32b;32c;71)が、1つのピエゾアクチュエータ、電動機、空気圧モータ、カム、振動電磁場を発生させるための装置、MEMS発振器、振動コイル、静電的に運動可能なアクチュエータ、複数のピエゾアクチュエータ、電動機、空気圧モータ、カム、振動電磁場を発生させるための装置、MEMS発振器、振動コイル、静電的に運動可能なアクチュエータ、および/またはそれらの組合せの中から選択された少なくとも1つの要素を有する
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項12】
請求項2から11のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記第1のレーザビーム誘導デバイスが、90°よりも小さい角度、90°に等しい角度および/もしくは90°よりも大きい角度で前記機械加工レーザビームを少なくとも1回、偏向させるように設計されており、かつ/または
前記第2のレーザビーム誘導デバイスが、90°よりも小さい角度、90°に等しい角度もしくは90°よりも大きい角度で前記機械加工レーザビームを偏向させるように設計されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項13】
請求項2から12のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記第2のレーザビーム誘導デバイス(22)が、前記機械加工レーザビームのための少なくとも1つの第2の偏向デバイス(23)を有し、前記少なくとも1つの第2の偏向デバイス(23)が動的に運動可能でない
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項14】
請求項1から
13のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記第2のレーザビーム誘導デバイス、特に前記第2の偏向デバイスが、前記機械加工ゾーンによって発射された前記放射に対して少なくとも部分的に透過性であり、ならびに/または
前記第2のレーザビーム誘導デバイス、特に前記第2の偏向デバイスが、動的に運動させた前記機械加工レーザビームを、前記機械加工ゾーンによって発射され前記出口開口を通り抜けた前記放射と少なくとも部分的に同軸で誘導するように配置および設計されており、ならびに/または
前記第2のレーザビーム誘導デバイス、特に前記第2の偏向デバイスが少なくとも1つのダイクロイックミラーを有するか、もしくはダイクロイックミラーとして設計されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項15】
請求項1から
14のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記第1のレーザビーム誘導デバイスが、前記第1のインタフェースと前記第2のレーザビーム誘導デバイスの間のエリアに配置されており、ならびに/または
前記第2のレーザビーム誘導デバイスが、前記第2のインタフェースと前記出口開口の間のエリアに配置されており、ならびに/または
前記第1のインタフェースと前記出口開口の間のエリアおよび/もしくは前記第2のインタフェースと前記出口開口の間のエリアに少なくとも1つの光学部材(80)が配置されており、ならびに/または
前記第2のレーザビーム誘導デバイスと前記出口開口の間のエリアに集束光学部品もしくは集束光学部材(80)が配置されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項16】
請求項1から
15のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記第1のインタフェース(14)が、前記機械加工レーザビームを発生させるための機械加工レーザ源(82)に接続されているか、もしくは前記機械加工レーザ源(82)を備え、および/または
前記機械加工装置、特に前記第1のレーザビーム誘導デバイス、特に前記少なくとも1つの運動ユニットを制御するために制御ユニット(84)が提供されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項17】
請求項2から
16のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記検出デバイスが適応光学ユニット(25)を有する
ことを特徴とする、機械加工装置。
【請求項18】
請求項1から
17のいずれか一項に記載の機械加工装置であって、
前記機械加工レーザ源が、少なくとも1kW、好ましくは少なくとも4kW、より好ましくは1から30kWの間、最も好ましくは1から25kWの間のレーザパワーを提供し、ならびに/あるいは
前記第1のレーザビーム誘導デバイスの前記動的に運動可能な偏向デバイスもしくは前記動的に運動可能な光学ユニット(70)が、10Hzから15kHzの間、好ましくは100Hzから10kHzの間の周波数で少なくとも部分的に運動可能であり、ならびに/あるいは
前記第1のレーザビーム誘導デバイスが、前記機械加工レーザビームを動的に運動させたときに、2次元もしくは3次元リサージュ図形または2次元もしくは3次元リサージュ図形の組合せに対応する焦点振動経路を有する、少なくとも1つの振動振幅および少なくとも1つの振動周波数の焦点振動を発生させるように設計されている
ことを特徴とする機械加工装置。
【請求項19】
加工物のレーザ加工のための、特にレーザ切削のための請求項1から
18のいずれか一項に記載の機械加工装置の使用。
【請求項20】
加工物のレーザ加工のための方法、特にレーザ切削のための方法、請求項1から
18のいずれか一項に記載の機械加工装置(10;100;200;201;300;301;400;500)を使用した加工物のレーザ加工のための方法、特にレーザ切削のための方法であって、
機械加工装置の第1のインタフェース(14)に提供された機械加工レーザ源(82)からの機械加工レーザビーム(15)を、前記機械加工装置の出口開口(18)を通して、加工物(12)の機械加工ゾーン(13)に照射するステップと、
前記機械加工ゾーンによって発射され前記出口開口を通り抜けた前記放射(17)の少なくとも一部分を、前記機械加工装置の第2のインタフェース(16)に接続された検出デバイス(24)または前記第2のインタフェース(16)上に提供された検出デバイス(24)によって検出するステップと
を有し、
前記機械加工レーザビームが、前記機械加工装置の第1のレーザビーム誘導デバイス(20)によって動的に運動し、特に、前記機械加工装置の前記第1のレーザビーム誘導デバイス(20)によって動的に整形され、前記機械加工装置の第2のレーザビーム誘導デバイス(22)へ誘導され、動的に運動した前記機械加工レーザビームが、前記第2のレーザビーム誘導デバイスによって前記出口開口を通り抜けるように誘導され、
前記機械加工ゾーンによって発射され前記出口開口を通り抜けた前記放射が、少なくとも部分的に、前記第2のレーザビーム誘導デバイスによって前記第2のインタフェースへ誘導される
ことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項
20に記載の方法であって、前記第2のレーザビーム誘導デバイスが、動的に運動した前記機械加工レーザビームを、前記機械加工ゾーンによって発射され前記出口開口を通り抜けた前記放射と少なくとも部分的に同軸で誘導することを特徴とする方法。
【国際調査報告】