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特表2022-528293ストリッパを備えた尿素プラント及びストリッピング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-09
(54)【発明の名称】ストリッパを備えた尿素プラント及びストリッピング方法
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/16 20060101AFI20220602BHJP
   F28F 1/32 20060101ALI20220602BHJP
   F28F 9/013 20060101ALI20220602BHJP
【FI】
F28D7/16 A
F28F1/32 W
F28F1/32 Z
F28F9/013 E
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021572477
(86)(22)【出願日】2020-06-05
(85)【翻訳文提出日】2021-12-06
(86)【国際出願番号】 NL2020050364
(87)【国際公開番号】W WO2020246886
(87)【国際公開日】2020-12-10
(31)【優先権主張番号】19179019.5
(32)【優先日】2019-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512061836
【氏名又は名称】スタミカーボン・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ランベルトゥス・ヴィルヘルムス・ヘーフェルス
(72)【発明者】
【氏名】フアン・コロマ・ゴンサレス
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA11
(57)【要約】
アンモニア及びCOが尿素形成条件下で反応する尿素形成プロセスから受容される尿素合成液をストリッパ中でストリッピングするための方法を開示する。ストリッパのシェルスペースは、連続垂直ゾーンを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア及びCOが尿素形成条件下で反応する尿素形成プロセスから受容した尿素合成液をストリッピングする方法であって、前記尿素合成液は、尿素、水、及びカルバミン酸アンモニウムを含み、前記方法は、
前記尿素合成液に、ストリッパ(1)内で、ストリッピングと、ガス状加熱流体との間接的熱交換と、を施すステップであって、前記ストリッパは、チューブ(4)を含むチューブ束(3)と、シェル(2)と、シェルスペース(5)と、を備えた縦型シェルアンドチューブ熱交換器であり、前記尿素合成液は、前記チューブ(4)内で流下液膜として付与され、前記加熱流体は、前記シェルスペース内に供給され、前記シェルスペース内で少なくとも部分的に凝縮する、ステップを含み、
前記チューブ束は、4~9mの有効チューブ長を有し、前記有効チューブ長は、前記加熱流体と接触する前記チューブ部分の長さであり、
前記チューブ束は、外側チューブ限界(12)と、前記外側チューブ限界の直径に対して2.5以下の前記有効チューブ長の比率と、を有し、前記外側チューブ限界は、前記チューブ束(3)内で最も外側のチューブ(4)を囲むことによって作られる円の直径であり、
前記シェルスペース(5)は、前記チューブが加熱流体と接触する各垂直レベルに、加熱流体凝縮物の排液領域(19A)を有し、
前記シェルスペースは、少なくとも1.6mの垂直方向長さの連続垂直ゾーン(10)を含み、
(i)前記連続垂直ゾーンにおいて、前記シェルスペースの各横断面(11)に対して、同一サイズを有し、且つ、前記横断面内の領域(13)で前記外側チューブ限界内に配置される、少なくとも0.25mの任意の2つの円形領域(14A、14B)の間の排液領域(19A)の差異は、前記2つの円形領域の平均排液領域に対して5%未満であり、及び/又は、
(ii)前記連続垂直ゾーンは、バッフルを含まない、
方法。
【請求項2】
前記連続垂直ゾーンが、バッフルを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チューブが、10mm未満の幅を有するストリップで支持されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記連続垂直ゾーンが、前記有効チューブ長の少なくとも90%の垂直方向長さを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記ストリッピングが、COストリッピング、アンモニアストリッピング、又はセルフストリッピングである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記2つの円形領域が、ともに、0.60mの直径を有する、請求項1、3、4、5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
尿素プラント(40)であって、
尿素反応セクション(43)、高圧カルバミン酸塩凝縮器(42)、及びストリッパ(41)を備えた高圧合成セクションを備え、
前記ストリッパは、縦型流下液膜式シェルアンドチューブ熱交換器として構成され、チューブ(4)を含むチューブ束(3)と、シェル(2)と、上方チューブシート(6)及び下方チューブシート(7)と、前記上方及び下方チューブシート間の前記シェル内に設けられたシェルスペース(5)と、を備え、
前記ストリッパは、前記チューブ内にストリッピング対象の尿素合成液の流下液膜を維持するように適合され、前記シェルスペース(5)に供給されるガス状加熱流体の入口(16)と、前記シェルスペースからのガス状加熱流体及び加熱流体凝縮物の出口(17)と、を備え、
前記チューブ束(3)は、4~9mの有効チューブ長を有し、前記有効チューブ長は、動作中、前記加熱流体と接触する前記チューブ部分の長さであり、
前記チューブ束は、外側チューブ限界(12)と、前記外側チューブ限界の直径に対して2.5以下の前記有効チューブ長の比率と、を有し、前記外側チューブ限界は、前記チューブ束内で最も外側のチューブを囲むことによって作られる円の直径であり、
前記シェルスペースは、前記チューブが前記加熱流体と接触する各垂直レベルに、加熱流体凝縮物の排液領域(19A)を有し、
前記シェルスペースは、少なくとも1.6mの垂直方向長さの連続垂直ゾーン(10)を含み、(i)前記連続垂直ゾーン(10)において、前記垂直ゾーン内の前記シェルスペースの各横断面(11)に対して、同一サイズを有し、且つ、前記横断面内の前記外側チューブ限界内に配置される、少なくとも0.25mの任意の2つの円形領域(14A、B)の間の排液領域(19A)の差異は、前記2つの円形領域の平均排液領域に対して5%未満であり、及び/又は、(ii)前記連続垂直ゾーンは、バッフルを含まない、
尿素プラント。
【請求項8】
前記尿素プラントが、CO圧縮機をさらに備え、前記ストリッパが、前記CO圧縮機から前記ストリッパの前記チューブの底端部までのCOフィードのための入口をさらに備える、請求項7に記載の尿素プラント。
【請求項9】
液体分割器が、前記チューブの上方端部に装着され、前記上方端部は、前記上方チューブシートを通じて延設され、前記液体分割器は、動作中の前記チューブの内壁に尿素合成液の流下液膜を設けるように構成された液体の進入のための孔部を備えたスリーブ又はフェルールである、請求項7又は8に記載の尿素プラント。
【請求項10】
前記チューブが、10mm未満の幅を有するストリップ(20)で支持されている、請求項7~9のいずれか一項に記載の尿素プラント。
【請求項11】
前記ストリッパが、前記チューブを支持するために前記シェルスペース内に配置された支持構造(24)を備え、前記支持構造は、少なくとも1層のストリップ(20)を備えた円形装着リング(23)を備え、前記ストリップは、前記装着リングに接続されている、請求項7~10のいずれか一項に記載の尿素プラント。
【請求項12】
前記装着リングが、互いに重なり合って配置された少なくとも2層(20、21)のストリップを備え、各層内の前記ストリップは、互いに対して平行に配置されており、隣接する層内の前記ストリップは、互いに交差して、交差点(22)を有する、請求項11に記載の尿素プラント。
【請求項13】
アンモニア及びCOが尿素形成条件下で反応する尿素形成プロセスから受容した尿素合成液をストリッピングする方法であって、前記尿素合成液は、尿素、水、及びカルバミン酸アンモニウムを含み、前記方法は、
前記尿素合成液に、ストリッパ(1)内で、ストリッピングと、ガス状加熱流体との間接的熱交換と、を施すステップであって、
前記ストリッパは、チューブ(4)を含むチューブ束(3)と、シェル(2)と、シェルスペース(5)と、を備えた縦型シェルアンドチューブ熱交換器であり、前記尿素合成液は、前記チューブ(4)内で流下液膜として付与され、前記加熱流体は、前記シェルスペース内に供給され、前記シェルスペース内で少なくとも部分的に凝縮する、ステップを含み、
前記チューブ束は、4~9mの有効チューブ長を有し、前記有効チューブ長は、前記加熱流体と接触する前記チューブ部分の長さであり、前記チューブは、10mm未満の幅を有するストリップによって支持されている、
方法。
【請求項14】
尿素プラント用の高圧ストリッパであって、
チューブ(4)を含むチューブ束(3)と、シェル(2)と、上方チューブシート(6)及び下方チューブシート(7)と、前記上方及び下方チューブシート間の前記シェル内に設けられたシェルスペース(5)と、を備えた縦型シェルアンドチューブ熱交換器を備え、
前記ストリッパは、前記チューブ内にストリッピング対象の尿素合成液の流下液膜を維持するように適合され、前記シェルスペース(5)に供給されるガス状加熱流体の入口(16)と、前記シェルスペースからのガス状加熱流体及び加熱流体凝縮物の出口(17)と、を備え、
加熱流体の前記入口は、前記シェルスペースからの凝縮物の前記出口より高く配置され、
前記チューブ束の前記チューブは、10mm未満の幅を有するストリップ(20)で支持されている、高圧ストリッパ。
【請求項15】
尿素プラント用の高圧ストリッパ(41)であって、
チューブ(4)を含むチューブ束(3)と、シェル(2)と、上方チューブシート(6)及び下方チューブシート(7)と、前記上方及び下方チューブシート間の前記シェル内に設けられたシェルスペース(5)と、を備える縦型流下液膜式シェルアンドチューブ熱交換器を備え、
前記ストリッパは、前記チューブ内にストリッピング対象の尿素合成液の流下液膜を維持するように適合され、前記シェルスペース(5)に供給されるガス状加熱流体の入口(16)と、前記シェルスペースからのガス状加熱流体及び加熱流体凝縮物の出口(17)と、を備え、
前記チューブ束(3)は、4~9mの有効チューブ長を有し、前記有効チューブ長は、動作中、前記加熱流体と接触する前記チューブ部分の長さであり、
前記チューブ束は、外側チューブ限界(12)と、前記外側チューブ限界の直径に対して2.5以下の前記有効チューブ長の比率と、を有し、前記外側チューブ限界は、前記チューブ束内で最も外側のチューブを囲むことによって作られる円の直径であり、
前記シェルスペースは、前記チューブが前記加熱流体と接触する各垂直レベルに、加熱流体凝縮物の排液領域(19A)を有し、
前記シェルスペースは、少なくとも1.6mの垂直方向長さの連続垂直ゾーン(10)を備え、(i)前記連続垂直ゾーン(10)において、前記垂直ゾーン内の前記シェルスペースの各横断面(11)に対して、同一サイズを有し、且つ、前記横断面内の前記外側チューブ限界内に配置される、少なくとも0.25mの任意の2つの円形領域(14A、B)の間の排液領域(19A)の差異は、前記2つの円形領域の平均排液領域に対して5%未満であり、及び/又は、(ii)前記連続垂直ゾーンは、バッフルを含まない、
高圧ストリッパ。
【請求項16】
前記ストリッパが、前記チューブの上方端部に装着された液体分割器を備え、前記液体分割器は、前記チューブに液体を進入させる径方向又は接線方向の孔部を備えたスリーブ又はフェルールである、請求項14又は15に記載のストリッパ。
【請求項17】
前記チューブシートが、動作中に前記チューブに受容される液体に曝露される前記チューブシートの側に、二相ステンレス鋼のライニング又はオーバーレイ溶接を含む、請求項14~16のいずれか一項に記載のストリッパ。
【請求項18】
尿素プラント(40)であって、
尿素反応セクション(43)、高圧カルバミン酸塩凝縮器(42)、及びストリッパ(41)を備えた高圧合成セクションを備え、
前記ストリッパは、縦型流下液膜式シェルアンドチューブ熱交換器として構成され、チューブ(4)を含むチューブ束(3)、シェル(2)、上方チューブシート(6)及び下方チューブシート(7)と、前記上方及び下方チューブシート間の前記シェル内に設けられたシェルスペース(5)と、を備え、
前記ストリッパは、前記チューブ内にストリッピング対象の尿素合成液の流下液膜を維持するように適合され、前記シェルスペース(5)に供給されるガス状加熱流体の入口(16)と、前記シェルスペースからのガス状加熱流体及び加熱流体凝縮物の出口(17)と、を備え、
前記チューブ束(3)は、4~9mの有効チューブ長を有し、前記有効チューブ長は、動作中、前記加熱流体と接触する前記チューブ部分の長さであり、
前記チューブ束は、外側チューブ限界(12)と、前記外側チューブ限界の直径に対して2.5以下の前記有効チューブ長の比率と、を有し、前記外側チューブ限界は、前記チューブ束内で最も外側のチューブを囲むことによって作られる円の直径であり、
前記チューブは、10mm未満の幅を有するストリップ(20)で支持されている、
尿素プラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、尿素合成液のストリッピング方法と、尿素プラントと、に関する。本発明はまた、シェルアンドチューブ熱交換器、尿素プラント用ストリッパ、尿素製造プロセス、及び尿素プラントの改良方法にも関する。本発明はさらに、尿素プラントの改良方法に関する。
【0002】
導入
ストリッピングプロセス設計に応じた尿素プラントは、縦型チューブ束、シェル、及びシェルと管との間のシェルスペースを備えたシェルアンドチューブ熱交換器である高圧(HP)ストリッパを備える。ストリッパは、チューブ内にストリッピング対象の尿素合成液を受容し、シェルスペース内に凝縮可能加熱流体を受容するための、流下液膜式熱交換器として構成される。シェルは、蒸気等の凝縮可能なガス状加熱流体の入口と、凝縮物の出口と、を備える。蒸気のうちの大部分は、シェルスペース内で凝縮する。例えば、動作中のストリッパからは、各チューブあたり少なくとも15kg/時間、又は、例えば20~40kg/時間の蒸気凝縮物が引き出される。
【0003】
尿素合成液は、尿素に加え、カルバミン酸アンモニウム及び水を含み、通常、遊離アンモニア及びCOを含む。カルバミン酸アンモニウムは、ストリッパ内の通常の温度(例えば、150℃超で、例として、180℃~220℃の範囲内)で極めて高い腐食性を示す。したがって、ストリッパチューブは、通常、二相オーステナイト-フェライト系ステンレス鋼等、特殊鋼等級で作製される。鋼等級の例として、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に記載されている。
【0004】
通常、ストリッパチューブの良好な腐食耐性及び長寿命は、このような種別の鋼によって達成されるが、或る程度の腐食が依然として生じ得る。特に、例えば、少なくとも2700メートルトン/日(MTPD)の尿素の設計容量を備えた一例としてのシングルトレイン尿素プラントにおいて、ストリッパは、例えば、約3.0~3.5mのチューブ束径となる3500~6000のチューブによるチューブ束を備える場合がある。さらに多くのチューブを含むチューブ束も可能である。非常に大きなチューブ束の場合、何らかの腐食のリスクがあることがわかっている。
【0005】
ストリッパチューブの腐食は、チューブ内の温度に依存する。腐食は、チューブの底部から頂部までを通じた温度プロファイルの結果として、主として、チューブの或る垂直部分に生じることが観察されている。チューブの最大腐食は、例えば、有効チューブ長の頂部から、有効チューブ長の70~90%の垂直ゾーンに観察される。チューブのより高い部分では、尿素液の温度はまだ比較的低く、頂部から底部に向かって上昇する。有効チューブ長の最も下の部分では、カルバミン酸アンモニウムの濃度が低い。
【0006】
通常、シェルアンドチューブ熱交換器においては、乱流増加によってより高い熱伝導率を付与するため、及び、チューブを支持することで振動によるダメージの機会を低減するために、バッフルをシェル側に装着することが慣例である。尿素プラントのストリッパにおいてはまた、通常、シェルスペース内で所望の流動パターンの蒸気を確保することで、蒸気とチューブとの間の熱交換を向上させることを目的として、バッフルはシェルスペース内に配置される。例えば、世界肥料雑誌2019年2月号の8頁には、円盤状-円環状バッフルを備えた尿素プラントのHPストリッパの設計が模式的に示されている。
【0007】
バッフル配置の例としての種別に、シングルセグメント、ダブルセグメント、及び円盤状-円環状が挙げられる。これらの種別のバッフルは、チューブ用の孔部を備えたバッフルプレートである。バッフルプレートは、バッフルの高さの横断面のシェルスペース内に幾分のオープンスペースを残しており、加熱流体がバッフルに沿って流れるのを許容する。バッフル同士の中心間距離は、バッフルピッチと称され、これを調整して直交流速度を変動させることができる。実際には、バッフルピッチは、普通、シェル内径より通常かなり小さな何らかの最大バッフルピッチに比して小さい。バッフルピッチが適切であれば、セグメントバッフルは、シェルスペース内の流れを方向づけるように機能するだけでなく、振動によるダメージからのチューブの保護、及びチューブの座屈防止も行う。
【0008】
セグメントバッフル、円盤状バッフル、円環状バッフル、及びその他の種別のバッフルは、通常、チューブ用の孔部を備えた金属プレートである。チューブは、通常、例えば、2.0mmを超えない、通常は0.5mmを超えない、例えば0.2mmの間隙等、著しい間隙を伴わず、孔部に嵌合する。したがって、バッフルプレートのチューブ孔部は、通常、凝縮物の著しい排液を許容しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第95/00674号
【特許文献2】国際公開第2017/013180号
【特許文献3】国際公開第2017/014632号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、ストリッパチューブのチューブ腐食という前述の問題に少なくとも部分的に対処する尿素プラント用高圧ストリッパと、このようなストリッパを備えた尿素プラントと、このようなストリッパを使用した尿素液のストリッピング方法と、を提供することである。さらなる目的については、以下の説明において検討する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、第1の態様において、アンモニア及びCOが尿素形成条件下で反応する尿素形成プロセスから受容した尿素合成液をストリッピングする方法に関し、尿素合成液は、尿素、水、及びカルバミン酸アンモニウムを含み、この方法は、
尿素合成液に、ストリッパ内で、ストリッピングと、ガス状加熱流体との間接的熱交換と、を施すステップであって、ストリッパは、チューブを含むチューブ束と、シェルと、シェルスペースと、を備えた縦型シェルアンドチューブ熱交換器であり、尿素合成液は、チューブ内で流下液膜として付与され、加熱流体は、シェルスペース内に供給され、シェルスペース内で少なくとも部分的に凝縮する、ステップを含み、
チューブ束は、4~9mの有効チューブ長を有することが好ましく、有効チューブ長は、加熱流体と接触するチューブ部分の長さであり、
チューブ束は、外側チューブ限界と、好ましくは、外側チューブ限界の直径に対して2.5以下の有効チューブ長の比率と、を有し、外側チューブ限界は、チューブ束内で最も外側のチューブを囲むことによって作られる円の直径であり、
シェルスペースは、好ましくは、各垂直レベルに、流体凝縮物を加熱するための排液領域を有し、
シェルスペースは、少なくとも1.6mの垂直方向長さの連続垂直ゾーンを含むことが好ましく、連続垂直ゾーンは、バッフルを含まず(好ましくは、セグメントバッフル、円盤状バッフル、又は円環状バッフルを含まない)、及び/又は、連続垂直ゾーンにおいて、垂直ゾーン内のシェルスペースの各横断面に対して、同一サイズを有し、且つ、横断面内の領域で外側チューブ限界内に配置される、少なくとも0.25mの任意の2つの円形領域間の加熱流体凝縮物の排液領域の差異は、2つの円形領域の平均排液領域に対して5%未満であり、及び/又は、連続垂直ゾーンは、バッフルを含まない。
【0012】
本発明は、さらなる態様において、アンモニア及びCOが尿素形成条件下で反応する尿素形成プロセスから受容した尿素合成液をストリッピングする方法に関し、尿素合成液は、尿素、水、及びカルバミン酸アンモニウムを含み、この方法は、
尿素合成液に、ストリッパ内で、ストリッピングと、ガス状加熱流体との間接的熱交換と、を施すステップであって、ストリッパは、チューブを含むチューブ束と、シェルと、シェルスペースと、を備えた縦型シェルアンドチューブ熱交換器であり、尿素合成液は、チューブ内で流下液膜として付与され、加熱流体は、シェルスペース内に供給され、シェルスペース内で少なくとも部分的に凝縮する、ステップを含み、
チューブ束は、4~9mの有効チューブ長を有することが好ましく、有効チューブ長は、加熱流体と接触するチューブ部分の長さであり、
シェルスペースは、チューブが加熱流体と接触する各垂直レベルに、加熱流体凝縮物の排液領域を有することが好ましく、
チューブは、ストリップによって支持され、ストリップは、10mm未満の幅を有することが好ましい。
【0013】
本発明は、方法において使用又は規定されるストリッパにも関連する。
【0014】
本発明はまた、尿素反応セクション、高圧カルバミン酸塩凝縮器、及びストリッパを備えた高圧合成セクションを備えた尿素プラントにも関し、ストリッパは、縦型流下液膜式シェルアンドチューブ熱交換器として構成され、チューブを含むチューブ束と、シェルと、上方チューブシート及び下方チューブシートと、上方及び下方チューブシート間のシェル内に設けられたシェルスペースと、を備え、ストリッパは、チューブ内にストリッピング対象の尿素合成液の流下液膜を維持するように適合され、シェルスペースに供給されるガス状加熱流体の入口と、シェルスペースからのガス状加熱流体及び加熱流体凝縮物の出口と、を備え、
チューブ束は、4~9mの有効チューブ長を有すことが好ましく、有効チューブ長は、動作中、加熱流体と接触するチューブ部分の長さであり、
チューブ束は、外側チューブ限界と、好ましくは、外側チューブ限界の直径に対して2.5以下の有効チューブ長の比率と、を有し、外側チューブ限界は、チューブ束内で最も外側のチューブを囲むことによって作られる円の直径であり、
シェルスペースは、チューブが加熱流体と接触する各垂直レベルに、加熱流体凝縮物の排液領域を有することが好ましく、
シェルスペースは、(1)少なくとも1.6mの垂直方向長さの連続垂直ゾーンを含むことが好ましく、垂直ゾーン内のシェルスペースの各横断面に対して、同一サイズを有し、且つ、横断面内の外側チューブ限界内に配置される、少なくとも0.25mの任意の2つの円形領域間の排液領域の差異は、2つの円形領域の平均排液領域に対して5%未満であり、及び/又は、(2)連続垂直ゾーンは、バッフルを含まず、
チューブは、(3)ストリップによって支持されていることが好ましく、ストリップは、10mm未満の幅を有することが好ましい。本発明はまた、このようなストリッパにも関連する。ストリッパは、例えば、特徴(1)及び(2)の組み合わせ、又は特徴(2)及び(3)の組み合わせ、又は特徴(1)、(2)、及び(3)の組み合わせ等、特徴(1)、又は特徴(2)、又は特徴(3)を有する。方法で使用されるストリッパについても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るストリッパを模式的に示す。
図2】本発明に係るストリッパを模式的に示す。
図3】本発明に係るストリッパの支持構造を模式的に示す。
図4】本発明に係る尿素プラントを模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、チューブに腐食リスクのあるチューブの垂直ゾーンのチューブ付近で、ストリッパのシェルスペースの加熱流体凝縮物(例えば、蒸気凝縮物)の蓄積を回避することにより、尿素プラントの高圧ストリッパ内のストリッパチューブの腐食を低減することができるという賢明な洞察に基づく。このようなシェルスペース内の凝縮物の蓄積は、特に、チューブ束径が大きく、したがって、従来使用されているバッフル(例えば、セグメントバッフル又は円盤状及び円環状バッフル)も大きいために、排液部によって凝縮物が除去されない、又は十分に除去されないときに生じ得るものである。本発明者らは、驚くべきことに、このような凝縮物の蓄積を防ぐことにより、凝縮物蓄積のリスクがあるストリッパのゾーンにおいて、局所的な熱交換効率が向上することを見出した。このようにより良好な局所的熱交換効率で、ストリッパの全体的な熱交換効率を向上し、結果として、ストリッピング効率(アルファ)がより高くなる。したがって、所与の固定ストリッピング効率(アルファ)を達成するために、ストリッパのシェル側における蒸気の温度を、及びその結果として圧力を、凝縮物蓄積の場合より低くすることができる。より高いシェル側蒸気温度、及びその結果としてのより高い圧力は(凝縮物蓄積の場合の局所熱交換効率の低減を相殺するため)、少なくともそれ以外のチューブ(シェル側に蓄積された凝縮物を有さないチューブ)内のゾーンにおいて温度を過度に上昇させ、すなわち、ストリッパ内にホットスポットを引き起こす。これにより、チューブ内に受容した尿素合成液内に含まれるカルバミン酸アンモニウムでチューブ(内壁)に腐食を生じる。腐食は、ホットスポット内に偏在して生じ得る。したがって、本発明では、ストリッパチューブ内の腐食リスクを低減する。
【0017】
通常、個々のストリッパチューブの寿命は、チューブ破裂やピンホールのリスク、及びシェルスペースへの腐食媒体の漏洩又は小規模な漏洩のリスクを回避する最小壁厚によって設定される。安全最低値を下回る壁厚のチューブには、通常、メンテナンスのためのプラントのシャットダウン時にプラギングを行う必要がある。チューブのプラギングでは、常に、重大な故障リスク箇所が持ち込まれる(特に、プラグの溶接によって漏洩リスクが持ち込まれる)。さらに、ストリッパのメンテナンス頻度は、腐食速度の最も高いチューブ束のチューブによって設定される。
【0018】
好適な実施形態において、セグメントバッフル及び円盤状-円環状バッフルは、本発明において(実質的に)省略される。驚くべきことに、モデリング研究により、熱交換がこの方法によって向上することが見出された。このようなバッフルが、従来から、加熱流体の直交流を提供することによってシェルアンドチューブ熱交換器における熱伝達を向上するために使用されていることから、これはさらに驚くべきことである。シェルスペース内にバッフルプレートを含むバッフルを省略することにより、チューブの腐食リスクのより高い垂直ゾーン内のシェルスペースで、凝縮物の蓄積が回避される。この腐食リスクゾーンは、例えば、底部チューブシートの上面から上の有効チューブ長の10%であるレベルよりも上のゾーンである。本発明では、底部チューブシート上のシェルスペース内に、依然としてある程度の凝縮物の蓄積が生じ得るが、これは、腐食リスクに影響を及ぼすものでない。
【0019】
本発明において、格子構造等、好ましくはチューブの支持構造が、シェルスペース内に配置され、チューブの座屈防止、及び/又は、チューブの振動防止を行う。
【0020】
本明細書において使用される場合、プロセス流(特に、尿素液)に対して、高圧(HP)とは、少なくとも100baraで、例えば110~160baraであり、中圧(MP)とは、20~60baraであり、低圧(LP)とは、4~10baraである。これらの圧力範囲は、プロセス溶液に対するものであり、必ずしも、蒸気等の加熱流体に対しても同一でなくてもよい。略語「bara」は、絶対圧のバールを意味する。
【0021】
本発明は、第1の態様において、尿素合成液をストリッピングする方法に関連する。尿素合成液は、アンモニア及びCOは、尿素形成条件下で反応する尿素形成プロセスから受容される。尿素合成液は、例えば、尿素プラントの高圧セクションに含まれる尿素反応セクションから受容され、この高圧セクションはさらに、高圧カルバミン酸塩凝縮器を備える。
【0022】
本発明はまた、一態様において、尿素製造プロセスであって、尿素プラントの高圧セクションの反応ゾーン内で、尿素形成条件下でNH及びCOを反応させて、尿素合成液を与えるステップと、本発明に係るストリッパ内で、高圧で尿素合成液をストリッピングすることにより、ストリッピングされた尿素液及び混合ガスを与えるステップと、高圧凝縮器内で混合ガスを凝縮して、カルバミン酸アンモニウム溶液を形成するステップと、高圧凝縮器から反応ゾーンにカルバミン酸アンモニウム溶液を供給するステップと、を含む、尿素製造プロセスにも関連する。尿素製造プロセスは、検討されるとおり、本発明のストリッパを備える本発明の尿素製造プラント中で実施される。
【0023】
尿素合成液は、尿素、水、及びカルバミン酸アンモニウムを含み、遊離アンモニア及びある程度の遊離COを含む。尿素合成液は、ストリッパチューブ内で高圧であり、例えば、100バール超、又は140バール超である。ストリッパ入口における尿素液は、例えば、少なくとも180℃である。
【0024】
本方法は、ストリッパチューブ内の尿素合成液に、ストリッピングと、ストリッパのシェルスペース内に設けられる熱交換流体とのチューブ壁を通じた間接的熱交換と、を施すことを含み、これにより、熱交換流体が少なくとも部分的に(少なくとも80重量%又は少なくとも90重量%等)凝縮し、チューブ内部の尿素合成液に熱を伝達するようにする。凝縮は、チューブ外面上の大部分で発生する。
【0025】
有効チューブ長の最も高い部分(上方チューブシート直下)のチューブ壁部温度は、例えば、少なくとも175℃であり、好ましくは175~185℃の範囲内である。最高チューブ壁部温度は、例えば、有効チューブ長の頂上部からの(すなわち、上方チューブシートの底部からの)有効チューブ長の70~90%における垂直ゾーンで達成され、例えば、少なくとも180℃であり、例として、190~225℃である。
【0026】
熱交換流体は、好ましくは、蒸気である。蒸気圧力は、例えば、15~30バールであり、例として、飽和蒸気を使用するか、又は飽和蒸気温度を10℃まで上回る温度の蒸気を使用する。シェル出口における蒸気の質量分率は、例えば、(合計出口蒸気、すなわち凝縮物を含むものに対して)0~20%であり、好ましくは、0.0~5%であり、これは、良好な熱伝達を保証するのに十分な凝縮を示す。
【0027】
ストリッパは、チューブ束、シェル、及びシェルスペースを備えた縦型シェルアンドチューブ熱交換器である。シェルは、例として、円筒形容器で提供される。ストリッパはまた、上方及び下方チューブシートも備える。チューブ束は、チューブ、好ましくは直線状チューブを備える。本方法において、尿素合成液は、チューブ内に流下液膜として提供され、加熱流体が、シェルスペース内に供給される。シェルスペースは、シェル内のチューブシート間で、チューブによって占有されていないスペースである。したがって、シェルスペースは、チューブ壁部とチューブの内側領域の容積とを含まない。セグメントバッフル又は円盤状-円環状バッフルが使用される場合、バッフルプレートは、シェルスペース内に配置される。ストリッパは、チューブ束が垂直に配置されるように、流下液膜式熱交換器として構成される。チューブは、ストリッパの縦軸を規定する。
【0028】
本方法は、尿素合成液にストリッピングを施すことを含む。ストリッピングは、通常、ストリッパ内のチューブ内の尿素合成液を向流ストリップガス流に接触させることを含む。ストリップガス流は、尿素合成液に比べて、NH及び/又はCOの蒸気分圧が低い。ストリッピングは、例として、COストリッピング、アンモニアストリッピング、又はセルフストリッピングである。このような種別のストリッピングは、尿素プラントの分野で既知である。
【0029】
したがって、ストリッピングは、例えば、底部でチューブ内に供給されるフィードCOの少なくとも一部をストリップガスとして使用するCOストリッピング(例として、COフィードは、COフィードに対して0.01~0.6体積%のOの量を例とする量で添加された不動態化空気を含む)、又は、例えば、底部でのチューブ内へのフィードNHをストリップガスとして使用するアンモニアストリッピングを含む。
【0030】
ストリッピングはまた、例えば、セルフストリッピングを含むことができ、ストリップガスは、ストリッパチューブ内の尿素合成液の加熱によって効果的に提供され、尿素合成液は、ストリッパチューブの底部における加熱で比較的アンモニアの豊富なガスを与えるように、過剰なアンモニアを含む(例えば、3を超えるN/C比率)。このガスは、ストリッパチューブを通じて上方に通過し、チューブの上部において尿素合成液の流下液膜のためのストリップガスとして挙動する。
【0031】
加熱及びストリップガスの効果により、尿素合成液中のカルバミン酸アンモニウムは、ストリッパチューブ中でCO及びNHに分解され、このCO及びNHは、液体からガスとして除去され、少なくとも部分的に高圧カルバミン酸塩凝縮器に供給される混合ガス流として、頂上部でストリッパから排出される。カルバミン酸アンモニウムの分解は、吸熱性である。
【0032】
必須ではないが典型的には、チューブ束は、4~9メートル、例えば、6~7mの有効チューブ長を有し、有効チューブ長は、蒸気と接触するチューブ部分の長さである。したがって、有効チューブ長は、チューブシート間に設けられるシェルスペースの垂直方向長さと同一である。
【0033】
チューブ束は、当分野では通常どおり、外側チューブ限界(OTL)を有する。外側チューブ限界は、チューブ束内で最も外側のチューブを囲むことによって作られる円である。この円の直径は、OTL直径である。
【0034】
必須ではないが典型的には、チューブ束は、チューブ束の外側チューブ限界の直径に対して2.5以下、例えば、2.0以下の有効チューブ長の比率を有する。
【0035】
チューブ束は、例として、少なくとも1000のチューブ、少なくとも2000のチューブ、少なくとも3000のチューブ、又は少なくとも4000のチューブ、又は少なくとも5000のチューブ、又はさらに少なくとも8000のチューブ、又はさらにそれ以上のチューブを含む。例として、約3500MTPDの尿素の設計容量を有する尿素プラントで、4000超のチューブが使用され得る。尿素プラントの経済的規模により、多くはストリッパ等の設備の工事及び運搬によって限界が設定された、さらに大規模の尿素プラントとなる。したがって、本発明は、例えば、8000~10000のチューブ又はさらに10000~20000のチューブ等、非常に多数のチューブを備えたストリッパにも有用に適用可能である。チューブ束のOTLは、例として、少なくとも2m、少なくとも2.5m、少なくとも3.0m、又はさらに少なくとも4.0mであってもよい。チューブ間隔、チューブ壁厚、及びチューブ内径は、より多くのチューブを備えたストリッパは、通常、より大きなOTL直径を有し、同一の有効チューブ長を有することができるように、ストリッパ容量とは独立している。
【0036】
シェルスペースは、シェルスペースの各垂直レベルに、蒸気凝縮物の排液領域を有することが好ましい。いくつかの実施形態において、シェルスペースは、チューブが蒸気に接触する各垂直レベルに、蒸気凝縮物の排液領域を有する。好ましくは、このチューブを蒸気に接触させることは、シェルスペースの各垂直レベルで少なくとも一部のチューブ(必ずしもすべてのチューブでなくてよい)で実施され、シェルスペースは、チューブシートで終了する。本明細書において使用される排液領域は、チューブのシェル側に存在する凝縮物の排液に好適なシェルスペースの空領域である。したがって、チューブがシェルスペースの一部でないため、排液領域は、いずれの占有部分(バッフルなどによる)も除外し、チューブ(内側スペース及びチューブ壁部)によって占有される表面積も含まない。したがって、排液領域は、蒸気の流動領域でもある。したがって、シェルスペースは、蒸気及び/又は凝縮物の流動のために垂直方向に分割されないことが好ましい。
【0037】
ストリッパは、シェルスペースの下方部分に配置された、例えば、底部チューブシートの直上でシェル内に設けられた凝縮物の出口を含む。
【0038】
シェルスペースは、バッフルを含まない(特に、セグメントバッフル、円盤状バッフル、又は円環状バッフルを含まない)、又は、バッフルを実質的に含まない、少なくとも1.6mの垂直方向長さの垂直ゾーンを含むことが好ましい。好ましくは、シェルスペースは、セグメントバッフル又は円盤状及び円環状バッフルを全く含まない。このようなバッフル(セグメントバッフル又は円盤状-円環状バッフル)がシェルスペースに設けられる他の実施形態において、各バッフルは、他のバッフル及びチューブシートから、1.6m超、より好ましくは3m超、垂直方向に離間していることが好ましい。これは、特に、セグメントバッフル、円盤状バッフル、及び円環状バッフルでは通常であるように、シェルスペースの水平表面積の20%超又は50%超の表面積(チューブ用の孔部を除く)を有するバッフルに適用される。本明細書において、「水平」とは、チューブに直交する平面をいう。
【0039】
必須ではないが典型的には、シェルスペースは、少なくとも1.6mの垂直方向長さの連続垂直ゾーンを含み、垂直ゾーン内のシェルスペースの各横断面に対して、同一サイズであり(同一径の円)、且つ、ともに外側チューブ限界内に配置される、少なくとも0.25m、好ましくは0.25~0.50mの任意の2つの円形領域間の排液領域の差異は、この2つの円形領域の平均排液領域に対して5%未満である。本明細書において、「水平」とは、チューブに直交する平面をいう。本明細書において使用される排液領域は、チューブのシェル側に存在する凝縮物の排液に好適なシェルスペースの空領域である。一例として、これら2つの円形領域は、各々、0.60mの直径を有する。一実施形態において、連続垂直ゾーンは、1.6m~3.0mの垂直方向長さを有する。好適な実施形態において、連続垂直ゾーンは、少なくとも3.0mの垂直方向長さを有する。好適な実施形態において、連続垂直ゾーンの垂直方向長さは、有効チューブ長の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、又はさらに最も好ましくは、少なくとも90%である。連続垂直ゾーンがより長く、又は比較的長ければ、ストリッパ内に良好な熱伝達をもたらすことができ、有利である。
【0040】
図1に模式的に示されるとおり、ストリッパ(1)は(例としてのシェルアンドチューブ熱交換器である)、シェル(2)と、チューブ束(3)と、を備え、チューブ束(3)は、チューブ(4)を含む(4つのチューブのみが図示されているが、実際のところ、典型的には、3000超のチューブが設けられる)。ストリッパは、上方チューブシート(6)と、底部チューブシート(7)と、をさらに備える。チューブに占有されない(チューブ壁部及びチューブ内側スペースのいずれによっても占有されない)チューブシート間のシェル内のスペースは、シェルスペース(5)を提供する。チューブ束は、外側チューブを囲む円である外側チューブ限界(OTL)(12)を有する。シェル(2)は、頂上部に配置されたシェルスペース(5)内へのガス状加熱流体(例えば、蒸気)の入口(16)と、底部のシェルスペースからの凝縮物(及び可能性としてある程度の残留蒸気)の出口(17)と、を備える。
【0041】
ストリッパは、説明を目的として、セグメントバッフルプレート(8)を備えるが、セグメントバッフルプレートの使用は、好ましくない。セグメントバッフル(8)は、バッフル(8)の高さのシェルスペースに、蒸気の流れ及び凝縮物の排液のための開放スペース(19)を提供する切込み(9)を有する。
【0042】
シェルスペース(5)はさらに、セグメントバッフル及び円盤状及び円環状バッフル、又は大きな水平領域を占有する他の構造のない連続垂直ゾーン(10)を備える。連続垂直ゾーン(10)の各横断面(11)に対して、外側チューブ限界(12)は、外側チューブ限界(12)内の断面(11)の領域(13)を規定する。この領域(13)では、少なくとも0.25mで同一の直径を有する2つの円形領域(14A、14B)を規定することができ、したがってこれらはいずれも、横断面内及びOTL内に配置される。好ましくは、この2つの円形領域は、0.25~0.50mである。好ましくは、この2つの円形領域はともに、0.60mの直径を有する。
【0043】
なお、図1の簡略図において、円形領域(14、15)は、例えば、0.60mの直径の円形領域及び3.0mのOTL直径等、OTL直径の約20%の直径を有することには留意されたい。しかしながら、チューブ(4)の直径は、拡大されている。実際には、OTL内の少なくとも0.25mの任意の円形領域は、通常は少なくとも20のチューブを取り囲む。例として、六角形パターンにチューブが配置され、チューブの中心間距離が、例えば、約40mmである例としての実施形態において、少なくとも0.25mの任意の円形領域は、通常は少なくとも100のチューブを取り囲む。
【0044】
断面(11)がプレートでなく、シェルスペースが断面において空であることを考慮すると、排液領域は、双方の円形領域に対して同一である。したがって、2つの円形領域間の排液領域の差異は、0%である。全体領域(13)は、空のスペースであることで、凝縮物の排液を許容し、したがって、断面(11)の排液領域(19A)を提供する。
【0045】
これと比較して、セグメントバッフル(8)の高さの断面の場合、OTL境界内に少なくとも2つの(少なくとも0.25mの)円形領域があり、これらは、2つの円形領域の平均排液領域に対して5%超の表面積の差異を有する。例として、0.25mの円形領域(15A)が、バッフル8に配置され、0mの排液領域を有し、一方やはり0.25mの第2の円形領域(15B)はバッフルの切込み内に部分的に配置されるため、例えば、0.125mの排液領域を有し、平均表面排液領域(0.0625mの)の200%である0.125mの表面排液領域の差異を与えるため、5%超である。したがって、図示のセグメントバッフル(8)を含むシェルスペースの任意の垂直ゾーンは、連続垂直ゾーンではなく、垂直ゾーン内のシェルスペースの各横断面について、外側チューブ限界内に配置された少なくとも0.25mの任意の2つの円形領域間の排液領域の差異は、2つの円形領域の平均排液領域に対して5%未満である。図示のとおり、バッフルプレート(8)について、切込開放スペース(19)内の大部分に対する円形領域と、全体がバッフルプレート上にある円形領域と、があり、これらの円形領域は、特に、OTL直径が2m超である場合、少なくとも0.25mである。例として、切込幅が60cmであり、OTLが2m以上である場合、少なくとも1つの円形領域の全体が切込開放スペース内にある。
【0046】
さらに、OTL境界内にある適切なサイズのすべての円形領域が比較される必要がある。連続垂直ゾーン(10)は、2つの高さ限界のみの選択であり、水平面内での限界ではない。
【0047】
さらに、動作中、(通常は、熱の引き出されるチューブ上で)蒸気が凝縮し、凝縮物(18)が、特に、切込(9)から遠くに(例えば、20cm超)離れた水平ゾーン内で、バッフルプレート(8)上に蓄積される。上述のとおり、バッフルプレート(8)は、好ましくなく、完全に省略されることが好ましい。
【0048】
図1において、バッフルプレート(8)と上方チューブシート(6)との間の垂直方向距離が1.6m超である場合、ストリッパ(1)は、上に規定のとおり、垂直ゾーンを含む。
【0049】
好適な実施形態において、ストリッパは、チューブ束のチューブを支持する1つ以上の支持構造を備え、この支持構造は、シェルスペース内に配置される。支持構造は、特に、スタートアップ時及びシャットダウン時の振動を回避するのに役立つ。支持構造はまた、チューブの非支持の長さを低減することにより、座屈を回避するのにも役立つ。支持構造は、好ましくは、チューブ間の水平面内に配置されたストリップを備える。ストリップは、例として、6mm未満等、10mm未満の幅(水平面内の最小寸法)を有する。したがって、ストリップ上への蒸気凝縮物の蓄積が回避される。(水平面における)ストリップの長さは、例えば、1.0m超である。ストリップ高さ(垂直方向)は、例えば、少なくとも5mm、又は少なくとも10mmであり、例えば、10~30mm等、5~40mmの範囲である。ストリップは、例えば、格子に配置される。好ましくは、支持構造は、装着リングを備え、装着リングは、好ましくは、円形である。いくつかの実施形態において、装着リングは、ストリップの1つの垂直層を備えて設けられる。他の実施形態において、装着リングは、例として、各層のストリップが互いに対して(実質的に)平行(例えば、175°~180°の角度)となるように、ストリップの少なくとも2つの層を備えて設けられ、ストリップは、隣接する層内で異なる方向を有し、交差点を有する。好ましくは、隣接する層のストリップが、少なくとも交差点において、互いに重なり合う。好ましくは、1つの層のストリップは、互いに交差しない。隣接する層のストリップ間の角度は、通常、チューブを定位置に保持するように、チューブ束内のチューブピッチ(例えば、三角ピッチ)に合致する。装着リングの隣接する層のストリップは、好ましくは、通常はすべての交差点ではなく一部の交差点で互いに接合される。ストリップは、相互係止も可能である。同一の装着リングに取り付けられたストリップのうち、異なる層のストリップの接合又は相互係止により、頑丈な格子を提供し、チューブの振動リスクを低減する。支持構造は、垂直方向において、上方及び下方チューブシート間に配置される。支持構造は、水平に配置される。
【0050】
ストリップは、(水平面内で)まっすぐである必要はなく、これらは、例として、チューブ周辺で屈曲するように湾曲も可能である。同一の層のストリップは、ストリッパチューブにより、及びしたがって(おおよその)チューブ外径により、水平方向に互いに離間している。ストリッパは、垂直方向に離間した複数の支持構造を備えることができる。
【0051】
好ましくは、支持構造は、横断面において、OTLのシェルスペース表面積の70%未満、又は50%未満、又は30%未満の占有表面積を有する(シェルスペース表面積には、チューブによって占有された表面積を含まない)。
【0052】
図2は、このような例としての格子を備えた、例としての本発明のストリッパを模式的に示している。ストリッパ(1)は、セグメントバッフルプレート(8)が省略される以外は、全体として、図1に示されるとおりである。シェルスペース(5)において、第1の層に多数の平行ストリップ(20A、20B)と、第1の層のストリップの垂直方向下方にある第2の層に多数の平行ストリップ(21A、21B)と、を備えた支持構造(24)が設けられる。第1の層のストリップ(20A、20B)と第2の層(21A、21B)のストリップとは、ともに、チューブ間に延設された垂直ストリップであり、チューブは、通常、チューブ束内で並べて配置される。第1及び第2の層のストリップは、互いに角度を有し、交差点を有する。ストリップ(21A及び20B)の交差点(22)は、円で示されており、ストリップは、例えば、この交差点で接合又は接続される。ストリッパはさらに、第2の層のストリップ(21A、21B)が装着、例えば、接合される、部分的に図示された円形装着リング(23)を備える。支持構造(24)は、連続垂直ゾーン(10)(破線)を中断しないよう十分に開放される。本例の連続垂直ゾーン(10)は、有効チューブ長全体にわたって、すなわち、上方チューブシート(6)の底部から底部チューブシート(7)の上部まで延設されている。動作中、一部の凝縮物が、底部チューブシート(7)上のシェルスペース(5)内に蓄積されることがある。これは、加熱流体による熱伝達、又はチューブ内の腐食に影響を及ぼすものでない。
【0053】
図3は、チューブ束のセグメントの垂直方向における図を模式的に示している。チューブ束は、三角ピッチ、すなわち60°のピッチを備えたストリッパチューブ(31)を備える。2つのストリップ(32、32)が、例としての支持構造として、チューブ間に配置されている。2つのストリップは、互いに角度を有し、垂直方向で異なる層にある。図示の各ストリップは、水平面内の多数の平行なストリップを表している。
【0054】
本発明はまた、上述のストリッパと、このようなストリッパを備えた尿素プラントと、にも関する。
【0055】
図4は、本発明に係る一例としての尿素プラントを模式的に示している。本発明の尿素プラント(40)は、チューブ及びシェルスペースを備えた、本発明に係るストリッパ(41)を備えた高圧(HP)セクションと、高圧カルバミン酸塩凝縮器(42)と、好ましくは、縦型尿素反応器である反応セクション(43)と、CO供給のための入口と、NH供給のための入口と、を備える。反応器セクション、ストリッパ、及び高圧カルバミン酸塩凝縮器は、実質的に等圧のループを形成するように接続される。反応セクション(43)は、例えば、ストリップガスに使用されるCOフィードの少なくとも一部のための入口を有するCOストリッパであるストリッパ(41)の入口と接続されたカルバミン酸塩も含む尿素合成液(U1)の出口を有し、COストリップガスの入口は、高圧CO圧縮機に接続され、チューブの底部開口に接続される。ストリッパは、混合ガス(SG)の出口と、ストリッピングされた尿素液(U2)の出口と、を有する。ガス(SG)は、ガスが(シェルスペース内又はチューブ内のいずれかで)凝縮して、反応器(43)に供給されるカルバミン酸塩溶液(C1)となるシェルアンドチューブ熱交換器である高圧カルバミン酸塩凝縮器(42)に供給される。カルバミン酸塩凝縮器(42)は、例として、NHフィードの入口を有してもよい。反応器及び高圧カルバミン酸塩凝縮器は、いくつかの実施形態において、例えばプール反応器の場合には、反応セクションと凝縮セクションとを含む単一容器内で組み合わせられる。
【0056】
ストリッパは、上に検討したとおりであり、シェルスペース内で凝縮可能な加熱流体(S1)(例えば、蒸気)を使用する。加熱流体(S1)は、頂上部で供給され、シェルスペース内で凝縮し、凝縮物(SC1)として底部で引き出される。高圧カルバミン酸塩凝縮器では、例として、チューブ内を例として、蒸気(S2)が上昇する。尿素プラントは、任意で、ストリッピングされた尿素液(U2)が供給され、例として、尿素液(U3)及びガスを与える分解装置又はフラッシュ容器と、HPセクションに直接又は間接的に再循環されるカルバミン酸塩溶液(C2)を与えるガスのための凝縮器と、を備えた中圧回復セクション(44)を備える。プラントはさらに、多くの場合、任意で中圧処理からのストリッピングされた尿素液(U2)の入口を有し、(例えば、蒸気(S3)とともに)加熱を使用して、精製した尿素液(U4)及びガスを与える分解装置と、HPセクションに直接又は間接的に再循環させるカルバミン酸塩溶液(C3)を与えるガスのための凝縮器と、を備えた低圧回復セクション(45)を備える。プラントは、任意でさらに、例として、真空蒸発装置を備え、精製された尿素液(U4)と水蒸気とを受容して尿素溶融物(UM)と蒸気(V1)とを与えるように構成された蒸発セクション(46)を備える。プラントは任意で、尿素溶融物を固体尿素生成物に固化するための、例えば、造粒機又は造粒塔等の尿素仕上げセクションを備える。
【0057】
本発明はまた、シェルアンドチューブ熱交換器、好ましくは縦型シェルアンドチューブ熱交換器であって、チューブを含むチューブ束と、上方及び下方チューブシートと、シェルと、上方及び下方チューブシート間のシェル内に設けられたシェルスペースと、を備え、熱交換器は、チューブ内の液体の流下液膜とともに動作するように構成され、チューブは、例えば、尿素等級腐食抵抗材料で作製され、例えば、例として、二相ステンレス鋼を含み、又は例として、バイメタルチューブであり、チューブシートは、例として、動作中、チューブ内に受容される液体に曝露される側において、好ましくは二相ステンレス鋼の、好ましくはライニング及び/又はオーバーレイ溶接を備えた炭素鋼プレートを含有し、熱交換器は、シェルスペースへの加熱流体の入口と、シェルスペースからの加熱流体の出口と、を備え、加熱流体の入口は、シェルスペースからの凝縮物の出口より高く配置され、好ましくは、液体分割器が、チューブの上方端部に装着され、液体分割器は、例として、チューブ内への液体の進入のための径方向又は接線方向の孔部を備えたスリーブ又はフェルールであり、さらに、好ましくは、検討したとおり、ストリッパと同一の好適且つ典型的な特徴を有する、熱交換器に関する。好ましくは、チューブ束のチューブは、10mm未満の幅を有するストリップで支持されている。熱交換器は、好ましくは、本発明に係るストリッパ、又は、本発明に係るストリッピング方法で使用されるストリッパである。
【0058】
本発明は、好ましくは、シェルアンドチューブ熱交換器と同一の特徴を有し、好ましくは、本発明のストリッピング方法に使用されるストリッパと同一の好適な特徴を有する、尿素プラント用ストリッパにも関する。
【0059】
シェルアンドチューブ熱交換器及びストリッパはさらに、以降に検討する好適な特徴を有してもよい。
【0060】
この縦型シェルアンドチューブ熱交換器、好ましくは、ストリッパは、チューブ内のストリッピング対象の尿素合成液等、チューブ内の流下液膜、及び蒸気等、シェルスペース内の加熱流体とともに動作するように構成される。熱交換器、好ましくはストリッパは、チューブを備えるチューブ束と、上方及び下方チューブシートと、シェルと、シェルスペースと、を備え、シェルスペースは、好ましくは、上記で検討したとおりである。チューブは、例として、例えば、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3に検討される鋼合金等、フェライト-オーステナイト系二相ステンレス鋼を含む。他の種別の尿素等級鋼も使用可能である。チューブは、例として、Ti又はZrも含んでよい。チューブは、例えば、熱交換器がセルフストリッピングタイプのストリッパである場合、例として、Zr内側層を備えたバイメタルチューブである。チューブ壁の厚さは、例えば、1.0~5mmであり、好ましくは、1.8~3.0mmである(設計厚さ)。チューブは、凹部内壁面を有する。好ましくは、チューブの全体凹部内壁面は、二相ステンレス鋼又はZrで作製される。チューブは、好ましくは、ストリッパチューブである。チューブシートは、通常、例えば、尿素液に曝露される側等、動作中にチューブに受容される液体に曝露されるチューブシートの側で、二相ステンレス鋼等、好ましくは、尿素等級鋼のライニング及び/又はオーバーレイ溶接を備えた炭素鋼プレートを含有する。
【0061】
熱交換器は、シェルスペースを出入りする蒸気等、加熱流体の入口及び出口を備え、入口は、通常、シェルスペースからの凝縮物の出口よりも高く配置される。熱交換器、好ましくは、尿素プラント用ストリッパは、例えば、チューブ内の液体及びシェルスペース内の加熱流体の並流下方流のために構成される。熱交換器、好ましくはストリッパは、頂上部の液体(尿素合成液又はカルバミン酸アンモニウム溶液等)の入口と、底部の加熱された液体(ストリッピングされた尿素液等)の出口と、頂上部の混合ガスの出口と、を有する。任意で、熱交換器(好ましくは、ストリッパ)は、好ましくは、ストリップガスとしてチューブ内にCOフィードの少なくとも一部を導入するための、底部に接続されたCO等のストリップガスの入口を備える。チューブは、例えば、上方チューブシートを通じて延設され、例として、上方チューブシートの上側に溶接される。
【0062】
必須ではないが典型的には、液体分割器が、チューブの上方端部に装着される。液体分割器は、例として、チューブ内への液体の進入のための孔部を備えたスリーブ又はフェルールである。孔部は、例として、スリーブ又はフェルール内の液体分割器の壁部にある接線方向又は径方向の孔部である。液体分割器は、動作中のチューブの内壁上に液体(好ましくは、ストリッピング対象の尿素合成液)の流下液膜を提供するように構成される。
【0063】
1つの液体分割器は、上方端部で1つのチューブ上又はチューブ内に装着される。チューブは、通常、上方チューブシートを通じて突出するため、上方チューブ端部は、上方チューブシートの上面上方に配置される。液体分割器は、チューブの突出したチューブ端部上に配置され、頂上部にガスチューブが備えられることが多い。このような液体分割器を備えた尿素プラントの液体分割器及びストリッパに関する背景の参照として、例えば、米国特許出願公開第2012/0282149号明細書及び米国特許出願公開第2012/0097378号明細書の特に図2が挙げられる。ガスチューブは、例として、液体分割器と一体である。
【0064】
例として、各液体分割器は、チューブ壁部に2~5mmの直径の径方向又は接線方向の孔部で、好ましくは径方向の孔部等、3~5の孔部を有する。孔部の精密な直径は、チューブ内での良好な液膜形成を確保するのに重要である。チューブのプラギングを含む、メンテナンス及び検査を目的として、液体分割器が取り外し可能であることが望ましい。したがって、チューブ間のシート接合は、液体分割器又はスリーブを通過しない。液体分割器及びガスチューブは、例えば、ガスチューブの頂上に配置された係止プレート又は格子により、定位置に維持される。ガスチューブ及び液体分割器は、通常、上方チューブシートに溶接されない。液体分割器は、通常、チューブに溶接されない。
【0065】
熱交換器、好ましくはストリッパは、上方チャンバを備えることが好ましい。上方チャンバは、底部としての上方チューブシートの上側と、熱交換器の容器によって設けられる側壁と、液体(尿素合成液)の入口開口と、ガスの出口と、を有する。好ましくは、上方チャンバはさらに、フィードパイプを備える。
【0066】
熱交換器、好ましくはストリッパは、必須ではないが典型的には、好ましくはバッフルを含まない、少なくとも1.6m又は少なくとも3.0mの垂直方向長さの連続垂直ゾーンを、シェルスペース内に含み、及び/又は、好ましくは、垂直ゾーン内のシェルスペースの各横断面に対して、外側チューブ限界内の横断面に配置された、少なくとも0.25mの任意の2つの円形領域間の排液領域の差異が、2つの円形領域の平均排液領域に対して5%未満であり、前述の方法に関連して検討した、連続垂直ゾーンがさらに好ましい。
【0067】
熱交換器、好ましくはストリッパは、以上に検討した支持構造を備えることが好ましい。なお、従来技術において原則的に使用されるセグメントバッフルは、多くの孔部を有するが、これらはチューブによってほぼ完全に占有されており、セグメントバッフルプレートは、シェルスペース内に凝縮物が蓄積し得るかなり大きな水平プレートを提供することになる。例として、1.5mのOTL直径を備えたチューブ束の中心のチューブでは、切込までの距離は、0.30m超であり、これが、チューブ束中心に形成された凝縮物の排液位置までの最短水平方向距離となる。この代わりに、例えば、5mmの幅の好適なストリップを使用することにより、水平方向の排液距離は著しく短くなる。
【0068】
したがって、好ましくは、シェルスペースは、チューブ束のストリッパチューブの外面から水平方向に離れた距離が5cm未満である水平面上の任意の位置につき、最長水平方向排液距離が10mm未満又は5mm未満である構造を備え、又は、より好ましくは、この構造のみを備え、水平方向排液距離とは、その位置と、凝縮物の排液を可能にする排液位置と、の間の水平面上の距離である。排液位置は、例として、チューブによって占有されない構造中の開口、又は、この構造とシェルとの間の間隙である。
【0069】
本発明はまた、既存の尿素プラントの改良方法(いわゆる、改修方法)にも関連する。既存の尿素プラントは、既存の高圧ストリッパを備えた尿素プラントである。既存のストリッパは、縦型流下液膜式シェルアンドチューブ熱交換器として構成され、チューブを含むチューブ束と、シェルと、上方及び下方チューブシートと、上方及び下方チューブシート間のシェル内に設けられたシェルスペースと、を備える。既存のストリッパは、チューブ内にストリッピング対象の尿素合成液の流下液膜を維持するように適合され、シェルスペースに供給される蒸気の入口と、シェルスペースからの蒸気及び凝縮物の出口と、を備える。既存のストリッパは、シェルスペース内に、セグメントバッフル、円盤状及び円環状バッフル等のバッフルを備える。プラントの改良方法は、ストリッパのシェルスペース内の少なくとも一部、好ましくはすべてのバッフルを取り外すステップ、特に、既存のストリッパに設けられたセグメントバッフル及び/又は円盤状及び円環状バッフルのうちの一部、好ましくはすべてを取り外すステップと、好ましくは、上述の1つ以上の支持構造を、ストリッパシェルスペース内に搭載するステップと、を備え、支持構造は、好ましくは、上述のストリップ及び/又は格子構造を備える。好ましくは、種別の2~6の支持構造が搭載される。好ましくは、改修方法により、上述の連続垂直ゾーンが、ストリッパ内に、例として、少なくとも1.6m、又は少なくとも1.9m、又は少なくとも3.0mの垂直方向長さの連続垂直ゾーンが形成され、垂直ゾーン内のシェルスペースの各横断面に対して、同一サイズを有し、外側チューブ限界内の横断面に配置される、少なくとも0.25mの任意の2つの円形領域間の排液領域の差異は、これら2つの円形領域の平均排液領域に対して5%未満である。
【0070】
ストリッピング方法は、検討した本発明のストリッパで実施され、好ましくは、検討した尿素プラントで実施される。尿素製造プロセスは、ステップとして、本発明のストリッパにおけるストリッピング方法を含む。尿素製造プロセスは、本発明に係る尿素プラントにおいて実施されることが好ましい。ストリッピング方法との関連で検討したストリッパ設計の優先事項は、本発明のストリッパと、本発明の尿素プラントのストリッパと、にも同一に適用され、逆も然りである。本発明の改修方法は、好ましくは、本発明に係る尿素プラント、及び/又は、本発明に係るストリッパを備える尿素プラントを提供する。ストリッピング方法、本発明のストリッパ、及び本発明の尿素プラントのストリッパの関連で検討したストリッパ設計の優先事項は、改修方法の改良された尿素プラントにも同様に適用される。ストリッピング方法又は本発明のストリッパとの関連で説明したストリッパ設計の優先事項は、シェルアンドチューブ熱交換器にも同様に適用される。シェルアンドチューブについて言及した優先事項は、本発明のストリッピング方法と本発明のストリッパにおいて使用されるストリッパにも同様に適用される。
【0071】
本明細書において使用される「通常」という用語は、有利であるが、上述の本発明に必須ではない特徴を示している。
【0072】
本出願は、縦型流下液膜式シェルアンドチューブ熱交換器として構成され、チューブを含むチューブ束と、シェルと、上方及び下方チューブと、上方及び下方チューブシート間のシェル内に設けられるシェルスペースと、を備える尿素プラント用の高圧ストリッパに関し、ストリッパは、チューブ内でストリッピング対象の尿素合成液の流下液膜を維持するように適合され、シェルスペースに供給される蒸気の入口と、シェルスペースからの蒸気及び凝縮物の出口と、を備え、セグメントバッフル、円盤状バッフル、又は円環状バッフル等のバッフルを備え、バッフルは、より高い位置及びより低い位置を有するように垂直方向に傾斜され、より低い位置によって凝縮物の排液ができる。
【0073】
傾斜は、凝縮物の蓄積を防止することで、ストリッパチューブの腐食を低減するのに役立つ。傾斜角度は、例えば、水平から5°~45°である。以上に検討したストリッパと比較して、傾斜したバッフルは、傾斜したバッフルを通じてチューブ束を装着するのが困難であるという不都合を有する。傾斜したバッフルでは、バッフル内に穿孔を設けるのも複雑である。本出願は、連続垂直ゾーンを除いて上述の好適な特徴を備えて、傾斜したバッフルプレートを有するこのようなストリッパを備えた尿素プラント、このような尿素プラントで実施される尿素製造プロセス、及びこのようなストリッパで実施されるストリッピング方法とにも関する。
【0074】
本出願はまた、縦型流下液膜式シェルアンドチューブ熱交換器として構成され、チューブを含むチューブ束と、シェルと、上方及び下方チューブシートと、上方及び下方チューブシート間のシェル内に設けられたシェルスペースと、を備えた尿素プラント用の高圧ストリッパにも関し、ストリッパは、チューブ内でストリッピング対象の尿素合成液の流下液膜を維持するように適合され、シェルスペースに供給される蒸気の入口と、シェルスペースからの蒸気及び凝縮物の出口と、を備え、ストリッパは、セグメントバッフル、円盤状バッフル、又は円環状バッフル等のバッフルプレートを備えたバッフルを備える。バッフルのうちの少なくとも1つは、ストリッパチューブが延設されていない少なくとも2つ、好ましくは少なくとも10の孔部を備えたバッフルプレートを備える。
【0075】
このように、バッフルプレートの開口は、シェルスペース内の凝縮物の排液開口を提供する。ストリッパ内で垂直方向に離間したバッフルは、横断面の対応する位置にこのような排液開口を有する。チューブシートは、これらの水平位置で閉鎖し(すなわち、孔部を有さない)、尿素液に曝露する側のこれらの位置でライニング又はオーバーレイ溶接を有する。このように、チューブシート内の炭素鋼は、腐食媒体に曝露されることがない。凝縮物排液開口は、シェルスペース内の凝縮物蓄積が回避され、腐食が低減されるという好都合をもたらす。連続垂直ゾーンを備えたストリッパと比較すると、孔部のあるバッフルを備えたストリッパは、OTL内の容量の一部がこれらの排液開口に使用されるため、所与の数のチューブに対して、ストリッパのサイズが増加するという不都合を有する。バッフルプレート内の排液開口は、チューブピッチの同一のラインに配置された2つの排液開口間に、例えば少なくとも5又は少なくとも10のチューブを備え、水平方向に離間することが好ましい。
【0076】
本出願は、連続垂直ゾーンを除く上述の好適な特徴とともに、凝縮物の排液用の孔部を有するバッフルプレートを備えたこのようなストリッパを備える尿素プラントと、このような尿素プラントで実施される尿素製造プロセスと、このようなストリッパで実施されるストリッピング方法と、にも関する。
【0077】
ストリッパ効率(アルファ)が、本明細書に使用され、通常は、ストリッパの液体出口で測定された、アンモニアの総量で除算された尿素(及びビウレット)に換算されたアンモニア量として計算される。したがって、アルファ=(2重量%尿素/60)/((2重量%尿素/60)+(重量%NH/17))であり、ストリッパの液体出口で測定され、重量%NHはカルバミン酸アンモニウムを含むすべてのアンモニア種を含んでいる。
【0078】
実施例1
本発明の例としての実施形態について、以下の実施例によってさらに説明するが、これは、本発明を限定するものでなく、特許請求の範囲を限定するものでない。
【0079】
シェルスペース内に、3000~5000ストリッパチューブと、5個の円環状バッフルと、4個の円盤状バッフル(交互パターン)と、を備え、6.0mの有効チューブ長と、2.5~3.0mのOTL直径と、を有するチューブ束を備えた高圧COストリッパを備える既存の尿素プラントは、すべての円環状バッフルとすべての円盤状バッフルとを取り外し、代わりに多数の支持構造(例えば、4~6の支持構造)を搭載することによって改良した。支持構造は、上記に規定の連続垂直ゾーンを妨げないように、十分に開放されている。特に、各支持構造は、装着リングと、ストリップと、を備える。ストリップは、例えば、3mmの幅及び20mmの高さを有する。改良により、ストリッパは、検討した連続垂直ゾーンを含み、ストリッパ内の熱伝達が改善され、チューブの冷点が回避される。固定されたストリッピング効率(アルファ)で、蒸気温度と圧力とは、改良によって低減されているため、過度に腐食率の高いチューブが減少した。この改良により、チューブの一部、例えば、チューブ束の外側リングに配置されたチューブで優先的に発生し得、チューブ束の中心のチューブでは発生の少ないいずれの腐食も低減される、又は完全に回避される。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2020-11-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア及びCOが尿素形成条件下で反応する尿素形成プロセスから受容した尿素合成液をストリッピングする方法であって、前記尿素合成液は、尿素、水、及びカルバミン酸アンモニウムを含み、前記方法は、
前記尿素合成液に、ストリッパ(1)内で、ストリッピングと、ガス状加熱流体との間接的熱交換と、を施すステップであって、前記ストリッパは、チューブ(4)を含むチューブ束(3)と、シェル(2)と、シェルスペース(5)と、を備えた縦型シェルアンドチューブ熱交換器であり、前記尿素合成液は、前記チューブ(4)内で流下液膜として付与され、前記加熱流体は、前記シェルスペース内に供給され、前記シェルスペース内で少なくとも部分的に凝縮する、ステップを含み、
前記チューブ束は、4~9mの有効チューブ長を有し、前記有効チューブ長は、前記加熱流体と接触する前記チューブ部分の長さであり、
前記チューブ束は、外側チューブ限界(12)と、前記外側チューブ限界の直径に対して2.5以下の前記有効チューブ長の比率と、を有し、前記外側チューブ限界は、前記チューブ束(3)内で最も外側のチューブ(4)を囲むことによって作られる円の直径であり、
前記シェルスペース(5)は、前記チューブが加熱流体と接触する各垂直レベルに、加熱流体凝縮物の排液領域(19A)を有し、前記排液領域は、前記チューブの前記シェル側に存在する凝縮物の排液に好適な前記シェルスペースの空領域であり、
前記シェルスペースは、少なくとも1.6mの垂直方向長さの連続垂直ゾーン(10)を含み、
(i)前記連続垂直ゾーンにおいて、前記シェルスペースの前記チューブに直交する面に沿った各横断面(11)に対して、同一サイズを有し、且つ、前記横断面内の領域(13)で前記外側チューブ限界内に配置される、少なくとも0.25mの任意の2つの円形領域(14A、14B)の間の排液領域(19A)の差異は、前記2つの円形領域の平均排液領域に対して5%未満であり、及び/又は、
(ii)前記連続垂直ゾーンは、バッフルを含まない、
方法。
【請求項2】
前記連続垂直ゾーンが、バッフルを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チューブが、10mm未満の幅を有するストリップで支持されている、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記連続垂直ゾーンが、前記有効チューブ長の少なくとも90%の垂直方向長さを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
前記ストリッピングが、COストリッピング、アンモニアストリッピング、又はセルフストリッピングである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記2つの円形領域が、ともに、0.60mの直径を有する、請求項1、3、4、5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
尿素プラント(40)であって、
尿素反応セクション(43)、高圧カルバミン酸塩凝縮器(42)、及びストリッパ(41)を備えた高圧合成セクションを備え、
前記ストリッパは、縦型流下液膜式シェルアンドチューブ熱交換器として構成され、チューブ(4)を含むチューブ束(3)と、シェル(2)と、上方チューブシート(6)及び下方チューブシート(7)と、前記上方及び下方チューブシート間の前記シェル内に設けられたシェルスペース(5)と、を備え、
前記ストリッパは、前記チューブ内にストリッピング対象の尿素合成液の流下液膜を維持するように適合され、前記シェルスペース(5)に供給されるガス状加熱流体の入口(16)と、前記シェルスペースからのガス状加熱流体及び加熱流体凝縮物の出口(17)と、を備え、
前記チューブ束(3)は、4~9mの有効チューブ長を有し、前記有効チューブ長は、動作中、前記加熱流体と接触する前記チューブ部分の長さであり、
前記チューブ束は、外側チューブ限界(12)と、前記外側チューブ限界の直径に対して2.5以下の前記有効チューブ長の比率と、を有し、前記外側チューブ限界は、前記チューブ束内で最も外側のチューブを囲むことによって作られる円の直径であり、
前記シェルスペースは、前記チューブが前記加熱流体と接触する各垂直レベルに、加熱流体凝縮物の排液領域(19A)を有し、前記排液領域は、前記チューブの前記シェル側に存在する凝縮物の排液に好適な前記シェルスペースの空領域であり、
前記シェルスペースは、少なくとも1.6mの垂直方向長さの連続垂直ゾーン(10)を含み、(i)前記連続垂直ゾーン(10)において、前記垂直ゾーン内の前記シェルスペースの前記チューブに直交する面に沿った各横断面(11)に対して、同一サイズを有し、且つ、前記横断面内の前記外側チューブ限界内に配置される、少なくとも0.25mの任意の2つの円形領域(14A、B)の間の排液領域(19A)の差異は、前記2つの円形領域の平均排液領域に対して5%未満であり、及び/又は、(ii)前記連続垂直ゾーンは、バッフルを含まない、
尿素プラント。
【請求項8】
前記尿素プラントが、CO圧縮機をさらに備え、前記ストリッパが、前記CO圧縮機から前記ストリッパの前記チューブの底端部までのCOフィードのための入口をさらに備える、請求項7に記載の尿素プラント。
【請求項9】
液体分割器が、前記チューブの上方端部に装着され、前記上方端部は、前記上方チューブシートを通じて延設され、前記液体分割器は、動作中の前記チューブの内壁に尿素合成液の流下液膜を設けるように構成された液体の進入のための孔部を備えたスリーブ又はフェルールである、請求項7又は8に記載の尿素プラント。
【請求項10】
前記チューブが、10mm未満の幅を有するストリップ(20)で支持されている、請求項7~9のいずれか一項に記載の尿素プラント。
【請求項11】
前記ストリッパが、前記チューブを支持するために前記シェルスペース内に配置された支持構造(24)を備え、前記支持構造は、少なくとも1層のストリップ(20)を備えた円形装着リング(23)を備え、前記ストリップは、前記装着リングに接続されている、請求項7~10のいずれか一項に記載の尿素プラント。
【請求項12】
前記装着リングが、互いに重なり合って配置された少なくとも2層(20、21)のストリップを備え、各層内の前記ストリップは、互いに対して平行に配置されており、隣接する層内の前記ストリップは、互いに交差して、交差点(22)を有する、請求項11に記載の尿素プラント。
【請求項13】
アンモニア及びCOが尿素形成条件下で反応する尿素形成プロセスから受容した尿素合成液をストリッピングする方法であって、前記尿素合成液は、尿素、水、及びカルバミン酸アンモニウムを含み、前記方法は、
前記尿素合成液に、ストリッパ(1)内で、ストリッピングと、ガス状加熱流体との間接的熱交換と、を施すステップであって、
前記ストリッパは、チューブ(4)を含むチューブ束(3)と、シェル(2)と、シェルスペース(5)と、を備えた縦型シェルアンドチューブ熱交換器であり、前記尿素合成液は、前記チューブ(4)内で流下液膜として付与され、前記加熱流体は、前記シェルスペース内に供給され、前記シェルスペース内で少なくとも部分的に凝縮する、ステップを含み、
前記チューブ束は、4~9mの有効チューブ長を有し、前記有効チューブ長は、前記加熱流体と接触する前記チューブ部分の長さであり、前記チューブは、10mm未満の幅を有するストリップによって支持されている、
方法。
【請求項14】
尿素プラント用の高圧ストリッパであって、
チューブ(4)を含むチューブ束(3)と、シェル(2)と、上方チューブシート(6)及び下方チューブシート(7)と、前記上方及び下方チューブシート間の前記シェル内に設けられたシェルスペース(5)と、を備えた縦型シェルアンドチューブ熱交換器を備え、
前記ストリッパは、前記チューブ内にストリッピング対象の尿素合成液の流下液膜を維持するように適合され、前記シェルスペース(5)に供給されるガス状加熱流体の入口(16)と、前記シェルスペースからのガス状加熱流体及び加熱流体凝縮物の出口(17)と、を備え、
加熱流体の前記入口は、前記シェルスペースからの凝縮物の前記出口より高く配置され、
前記チューブ束の前記チューブは、10mm未満の幅を有するストリップ(20)で支持されている、高圧ストリッパ。
【請求項15】
尿素プラント用の高圧ストリッパ(41)であって、
チューブ(4)を含むチューブ束(3)と、シェル(2)と、上方チューブシート(6)及び下方チューブシート(7)と、前記上方及び下方チューブシート間の前記シェル内に設けられたシェルスペース(5)と、を備える縦型流下液膜式シェルアンドチューブ熱交換器を備え、
前記ストリッパは、前記チューブ内にストリッピング対象の尿素合成液の流下液膜を維持するように適合され、前記シェルスペース(5)に供給されるガス状加熱流体の入口(16)と、前記シェルスペースからのガス状加熱流体及び加熱流体凝縮物の出口(17)と、を備え、
前記チューブ束(3)は、4~9mの有効チューブ長を有し、前記有効チューブ長は、動作中、前記加熱流体と接触する前記チューブ部分の長さであり、
前記チューブ束は、外側チューブ限界(12)と、前記外側チューブ限界の直径に対して2.5以下の前記有効チューブ長の比率と、を有し、前記外側チューブ限界は、前記チューブ束内で最も外側のチューブを囲むことによって作られる円の直径であり、
前記シェルスペースは、前記チューブが前記加熱流体と接触する各垂直レベルに、加熱流体凝縮物の排液領域(19A)を有し、前記排液領域は、前記チューブの前記シェル側に存在する凝縮物の排液に好適な前記シェルスペースの空領域であり、
前記シェルスペースは、少なくとも1.6mの垂直方向長さの連続垂直ゾーン(10)を備え、(i)前記連続垂直ゾーン(10)において、前記垂直ゾーン内の前記シェルスペースの前記チューブに直交する面に沿った各横断面(11)に対して、同一サイズを有し、且つ、前記横断面内の前記外側チューブ限界内に配置される、少なくとも0.25mの任意の2つの円形領域(14A、B)の間の排液領域(19A)の差異は、前記2つの円形領域の平均排液領域に対して5%未満であり、及び/又は、(ii)前記連続垂直ゾーンは、バッフルを含まない、
高圧ストリッパ。
【請求項16】
前記ストリッパが、前記チューブの上方端部に装着された液体分割器を備え、前記液体分割器は、前記チューブに液体を進入させる径方向又は接線方向の孔部を備えたスリーブ又はフェルールである、請求項14又は15に記載のストリッパ。
【請求項17】
前記チューブシートが、動作中に前記チューブに受容される液体に曝露される前記チューブシートの側に、二相ステンレス鋼のライニング又はオーバーレイ溶接を含む、請求項14~16のいずれか一項に記載のストリッパ。
【請求項18】
尿素プラント(40)であって、
尿素反応セクション(43)、高圧カルバミン酸塩凝縮器(42)、及びストリッパ(41)を備えた高圧合成セクションを備え、
前記ストリッパは、縦型流下液膜式シェルアンドチューブ熱交換器として構成され、チューブ(4)を含むチューブ束(3)、シェル(2)、上方チューブシート(6)及び下方チューブシート(7)と、前記上方及び下方チューブシート間の前記シェル内に設けられたシェルスペース(5)と、を備え、
前記ストリッパは、前記チューブ内にストリッピング対象の尿素合成液の流下液膜を維持するように適合され、前記シェルスペース(5)に供給されるガス状加熱流体の入口(16)と、前記シェルスペースからのガス状加熱流体及び加熱流体凝縮物の出口(17)と、を備え、
前記チューブ束(3)は、4~9mの有効チューブ長を有し、前記有効チューブ長は、動作中、前記加熱流体と接触する前記チューブ部分の長さであり、
前記チューブ束は、外側チューブ限界(12)と、前記外側チューブ限界の直径に対して2.5以下の前記有効チューブ長の比率と、を有し、前記外側チューブ限界は、前記チューブ束内で最も外側のチューブを囲むことによって作られる円の直径であり、
前記チューブは、10mm未満の幅を有するストリップ(20)で支持されている、
尿素プラント。
【国際調査報告】