(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-10
(54)【発明の名称】加熱要素と前記加熱要素を用いて材料を溶融するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
H05B 3/78 20060101AFI20220603BHJP
H05B 3/12 20060101ALI20220603BHJP
C03B 5/033 20060101ALI20220603BHJP
【FI】
H05B3/78
H05B3/12 A
C03B5/033
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021555256
(86)(22)【出願日】2020-04-09
(85)【翻訳文提出日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 GB2020050919
(87)【国際公開番号】W WO2020208354
(87)【国際公開日】2020-10-15
(32)【優先日】2019-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513004995
【氏名又は名称】グラスフレイク・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・ワトキンソン
【テーマコード(参考)】
3K092
【Fターム(参考)】
3K092PP10
3K092QA06
3K092QB02
3K092QB33
3K092QB45
3K092QB49
3K092QB61
3K092QB71
3K092QC02
3K092QC19
3K092QC25
(57)【要約】
ガラスまたはセラミック材料の作製中に、材料を溶融するためのシステムで使用される加熱要素が開示される。ガラスまたはセラミック材料の作製中に、材料を溶融するための方法もまた開示される。加熱要素は、溶融タンクの内部の第1の側面に結合されるように構成された第1の結合部材と、溶融タンクの内部の第2の側面に結合されるように構成された第2の結合部材と、第1の結合部材と第2の結合部材との間で延びる少なくとも1つの細長い帯片と、を備える。少なくとも1つの細長い帯片は、第1の結合部材および第2の結合部材と一体化される。加熱要素は、加熱動作中に、電流が、少なくとも1つの細長い帯片に沿って、加熱要素の第1の結合部材と第2の結合部材の間を流れ、それにより、溶融タンクの内部に位置する材料に熱を放射するように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するためのシステムで使用される加熱要素であって、
溶融タンクの内部の第1の側面に結合されるように構成された第1の結合部材と、
前記溶融タンクの前記内部の第2の側面に結合されるように構成された第2の結合部材と、
前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との間に延びる少なくとも1つの細長い帯片であって、前記第1の結合部材および前記第2の結合部材と一体化される、少なくとも1つの細長い帯片と、
を備え、
前記加熱要素は、加熱動作中に、電流が、前記少なくとも1つの細長い帯片に沿って、前記加熱要素の前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との間に流れ、それにより、前記溶融タンクの前記内部に位置する材料に熱を放射するように構成される、加熱要素。
【請求項2】
前記少なくとも1つの細長い帯片は、前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との間の非直線の経路に従う、請求項1に記載の加熱要素。
【請求項3】
前記少なくとも1つの細長い帯片は、波形をしている、請求項2に記載の加熱要素。
【請求項4】
前記加熱要素は、前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との間に延びる少なくとも2つの細長い帯片を備え、前記少なくとも2つの細長い帯片は、前記第1の結合部材および前記第2の結合部材と一体化される、請求項1から3のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項5】
前記加熱要素内で隣接する細長い帯片の延びた軸は、実質的に平行であり、前記隣接する細長い帯片の前記波形は、その延びた軸に沿ってオフセットされる、請求項3に従属した請求項4に記載の加熱要素。
【請求項6】
前記加熱要素は、非酸化コーティングを用いて少なくとも部分的にコーティングされる、請求項1から5のいずれか一項に記載の加熱要素。
【請求項7】
ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するためのシステムであって、
内部を有する溶融タンクと、
加熱要素であって、
前記溶融タンクの前記内部の第1の側面に結合される第1の結合部材、
前記溶融タンクの前記内部の第2の側面に結合される第2の結合部材、および
前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との間に延びる少なくとも1つの細長い帯片であって、前記第1の結合部材および前記第2の結合部材と一体化される、少なくとも1つの細長い帯片、
を有する加熱要素と、
を備え、
前記加熱要素は、電流が、前記少なくとも1つの細長い帯片に沿って、前記加熱要素の前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との間に流れ、それにより前記溶融タンクの前記内部に位置する材料に熱を放射するように構成される、システム。
【請求項8】
前記加熱要素は、請求項1から6のいずれか一項に記載の加熱要素である、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記溶融タンクの前記内部の前記第1の側面は、前記溶融タンクの前記内部の前記第2の側面の反対側にある、請求項7または8に記載のシステム。
【請求項10】
前記加熱要素は、前記溶融タンクの前記内部のベースの近傍に位置する、請求項7から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
前記システムは、少なくとも2つの加熱要素を備える、請求項7から10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記少なくとも2つの加熱要素は、前記溶融タンクの前記内部のベースに対して、実質的に水平または平行な平面において同一平面内にある、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記少なくとも2つの加熱要素の少なくとも一方は、前記少なくとも2つの加熱要素の他方からオフセットされた平面内に位置する、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記システムは、前記加熱要素の前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との間の電流の流れを制御するように構成された制御システムを備える、請求項7から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記制御システムは、前記少なくとも2つの加熱要素を個々に制御するように構成される、請求項11から13のいずれか一項に従属した請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記少なくとも2つの加熱要素は、電気的に結合される、請求項11から13のいずれか一項に従属した請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するための、請求項7から16のいずれか一項に記載のシステムの使用。
【請求項18】
ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するための方法であって、
内部を有する溶融タンク、ならびに
加熱要素であって、
前記溶融タンクの前記内部の第1の側面に結合される第1の結合部材、
前記溶融タンクの前記内部の第2の側面に結合される第2の結合部材、および
前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との間に延びる少なくとも1つの細長い帯片であって、前記第1の結合部材および前記第2の結合部材と一体化される、少なくとも1つの細長い帯片、
を有する加熱要素、
を備えるシステムを提供するステップと、
前記加熱要素の前記第1の結合部材と前記第2の結合部材との間で、前記少なくとも1つの細長い帯片に沿って電流を流し、それにより、前記溶融タンクの前記内部に位置する材料に熱を放射することを含む加熱動作を実施するステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記システムは、請求項7から17のいずれか一項に記載のシステムである、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス(または同様に、いくつかのセラミック材料)の従来の電気的な溶融においては、直接電気抵抗法を使用するが、その場合、通常はモリブデンである電極が、溶融ガラスの中に置かれて、電流がその間で流される。ガラスの電気抵抗率は、電気回路におけるものよりも高く、電極間でガラスを加熱させる。主として珪砂であるが、様々な鉱物からなるガラスバッチが、溶融ガラスの上に供給され、それが溶けるまで加熱されて、新しいガラスが生成される。
【0003】
この方法でガラスを溶融することは清浄であり、また例えば、ガス溶融と比べて比較的効率がよい。しかし、この方法は、熱損失に起因してまだ不十分である。すなわち、電極間で加熱されるゾーンは、比較的薄く、浅いものであり、その上のガラスを加熱するために、伝導(およびはるかに少ないが、対流)に依存する。ガラスは、不十分な熱の伝導体であり、したがって、この方法でガラスを溶融することは、作製プロセスに必要な量のガラスを得るためには大きな表面積を備えた浅い溶融タンクを必要とする。このため、熱損失が大きくなる。
【0004】
ガラスを加熱するための代替の方法は、加熱要素を使用することを含む。加熱要素は、例えば、ガラスなど、溶融される材料の伝導率は概して無関係であり、様々な伝導率を有する広範囲な材料において冷えた状態から溶融できるという利点を有する。このような加熱要素は、伝導体材料を備える。加熱要素を通して電流を流すと、伝導体材料の抵抗が、加熱要素を加熱させ、次いで、周囲の材料を加熱させる。知られた加熱要素は、いくつかの問題を提示する。1つのこのような問題は、加熱要素内の、または加熱要素の個々の構成要素にわたる微分抵抗(differential resistance)が、加熱要素の「燃え尽き」または酸化を生ずる可能性のあることである。例えば、共にクランプ/結合された個々の加熱部材の集合体を含む加熱要素は、このような燃え尽きを生じやすく、それらの間におけるクランプ/結合により微分抵抗を生ずるおそれがある。同様に、一様ではない寸法(例えば、その長さにわたり、3%を超える差のある厚さ)を有する加熱要素は、微分抵抗および燃え尽きを生ずる可能性がある。
【0005】
さらなる問題は、知られた構成において、加熱要素の配列または加熱要素内の個々の構成要素は、加熱されると、大きな磁場を生成する可能性がある。このような磁場は、加熱要素、および/または加熱要素の配列を全体的に変形させるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の問題を軽減する、材料を溶融するための向上させたシステムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するためのシステムで使用される加熱要素が提供され、加熱要素は、
溶融タンクの内部の第1の側面に結合されるように構成された第1の結合部材と、
溶融タンクの内部の第2の側面に結合されるように構成された第2の結合部材と、
第1の結合部材と第2の結合部材との間で延びる少なくとも1つの細長い帯片であって、第1の結合部材および第2の結合部材と一体化される、少なくとも1つの細長い帯片と、
を備え、
加熱要素は、加熱動作中に、電流が、少なくとも1つの細長い帯片に沿って、加熱要素の第1の結合部材と第2の結合部材との間で流れ、それにより溶融タンクの内部に位置する材料に熱を放射するように構成される。
【0008】
適切には、少なくとも1つの細長い帯片は、第1の結合部材と第2の結合部材との間の非直線の経路に従う。
【0009】
適切には、少なくとも1つの細長い帯片は、波形をしている。
【0010】
適切には、加熱要素は、第1の結合部材と第2の結合部材との間で延びる少なくとも2つの細長い帯片を備え、少なくとも2つの細長い帯片は、第1の結合部材および第2の結合部材と一体化される。
【0011】
適切には、加熱要素内で隣接する細長い帯片の延びた軸は、実質的に平行であり、隣接する細長い帯片の波形は、その延びた軸に沿ってオフセットされる。
【0012】
適切には、加熱要素は、非酸化コーティングを用いて少なくとも部分的にコーティングされる。
【0013】
本発明の第2の態様によれば、ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するためのシステムが提供され、システムは、
内部を有する溶融タンクと、
加熱要素であって、
溶融タンクの内部の第1の側面に結合される第1の結合部材、
溶融タンクの内部の第2の側面に結合される第2の結合部材、および
第1の結合部材と第2の結合部材との間で延びる少なくとも1つの細長い帯片であって、第1の結合部材および第2の結合部材と一体化される、少なくとも1つの細長い帯片、
を有する、加熱要素と、
を備え、
加熱要素は、電流が、少なくとも1つの細長い帯片に沿って、加熱要素の第1の結合部材と第2の結合部材との間で流れ、それにより溶融タンクの内部に位置する材料に熱を放射するように構成される。
【0014】
適切には、本発明の第2の態様の加熱要素は、本発明の第1の態様の加熱要素である。
【0015】
適切には、溶融タンクの内部の第1の側面は、溶融タンクの内部の第2の側面の反対側にある。
【0016】
適切には、加熱要素は、溶融タンクの内部のベースのすぐ近くに位置する。
【0017】
適切には、システム内で加熱要素が使用される間は、少なくとも2つの細長い帯片が、加熱要素内で実質的に水平方向に離間される。
【0018】
適切には、システムは、少なくとも2つの加熱要素を備え、各加熱要素は、
溶融タンクの内部の第1の側面に結合される第1の結合部材と、
溶融タンクの内部の第2の側面に結合される第2の結合部材と、
第1の結合部材と第2の結合部材との間で延びる少なくとも1つの細長い帯片であって、第1の結合部材および第2の結合部材と一体化される少なくとも1つの細長い帯片と、
を備える。
【0019】
適切には、少なくとも2つの加熱要素は、同一平面内にある。より適切には、少なくとも2つの加熱要素は、溶融タンクの内部のベースに対して実質的に水平な、または平行な平面において同一平面内にある。
【0020】
適切には、少なくとも2つの加熱要素の少なくとも一方は、少なくとも2つの加熱要素の他方からオフセットされた平面に位置する。より適切には、加熱要素の少なくとも一方は、少なくとも2つの加熱要素の他方から垂直方向にオフセットされる。
【0021】
適切には、システムは、加熱要素の第1の結合部材と第2の結合部材との間の電流の流れを制御するように構成された制御システムを備える。
【0022】
適切には、制御システムは、少なくとも2つの加熱要素を個々に制御するように構成される。
【0023】
適切には、少なくとも2つの加熱要素は、電気的に結合される。
【0024】
適切には、加熱要素は、モリブデンまたはイリジウムを含む、またはそれから形成される。
【0025】
本発明の第3の態様によれば、第2の態様のシステムは、ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するために使用される。
【0026】
本発明の第4の態様によれば、ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するための方法が提供され、方法は、
内部を有する溶融タンク、ならびに
加熱要素であって、
溶融タンクの内部の第1の側面に結合される第1の結合部材、
溶融タンクの内部の第2の側面に結合される第2の結合部材、および
第1の結合部材と第2の結合部材との間で延びる少なくとも1つの細長い帯片であって、第1の結合部材および第2の結合部材と一体化される、少なくとも1つの細長い帯片、
を有する加熱要素、
を備えるシステムを提供するステップと、
加熱要素の第1の結合部材と第2の結合部材との間で、少なくとも1つの細長い帯片に沿って電流を流し、それにより、溶融タンクの内部に位置する材料に熱を放射することを含む加熱動作を実施するステップと、
を含む。
【0027】
適切には、本発明の第2の態様で提供されるシステムは、本発明の第2の態様によるシステムである。
【0028】
本発明の第5の態様によれば、本発明の第1の態様の加熱要素を作製する方法が提供され、加熱要素は、ウォータジェット切削を用いた一体部分として切削される。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態は、ガラスまたはセラミック材料の作製中に、材料を溶融するためのシステムで使用される向上させた加熱要素が提供される利点を提供する。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態は、加熱要素の信頼性がより高い(燃え尽きおよび酸化しにくい)という利点を提供する。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態は、加熱要素の構成が、知られたシステムと比較して、熱出力を高めるように最適化されているという利点を提供する。特に、赤外線/近赤外線放射の出力が最適化されている。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態は、ガラスまたはセラミック材料の作製中に、材料を溶融するための向上させたシステムが提供される利点を提供する。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態は、本システムが、ガラスまたはセラミック材料の作製中に、直接電気抵抗を利用するシステムよりも効率的に、材料を溶融できる利点を提供する。特にシステムは、知られたシステムと比べて熱損失を低減させている。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態は、本システムが、直接電気抵抗を利用するシステムと比較して、熱の伝導および/または対流への依存性が低いという利点を提供する。
【0035】
本発明のいくつかの実施形態は、システムが、知られたシステムと比較して、小型の溶融タンクを利用して、連続する作製プロセスに必要な溶融ガラスまたはセラミックの量を達成できるという利点を提供する。
【0036】
本発明のいくつかの実施形態は、ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するための向上させた方法が提供される利点を提供する。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態は、本方法が、知られた方法よりもエネルギー効率がよいという利点を提供する。
【0038】
疑義を避けるために、本明細書で述べられる特徴のいずれも、本発明のどの態様にも等しく適用される。本出願の範囲内では、前の段落において、特許請求の範囲において、かつ/または以下の記述および図面において記載された様々な態様、実施形態、例、および代替形態、ならびに特にそれらの個々の特徴は、独立して、または任意の組合せで使用できることが明確に想定される。本発明の1つの態様または実施形態に関連して述べられた特徴は、このような特徴が非互換性のものではない限り、すべての態様または実施形態に適用可能である。
【0039】
本発明の諸実施形態が次に、例としてに過ぎないが、添付図面を参照して述べられる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図2a】溶融タンクの幅に沿った
図1aおよび
図1bの加熱要素を含むシステムの横断面図である。
【
図2b】溶融タンクの長さに沿った
図1aおよび
図1bの加熱要素を含むシステムの横断面図である。
【
図3】加熱要素を含む別のシステムの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1aおよび
図1bを次に参照すると、ガラスまたはセラミック材料の作製中に、材料を溶融するためのシステムで使用される加熱要素100が示されている。加熱要素100は、溶融タンクの内部の第1の側面に結合するように構成された第1の結合部材102と、溶融タンクの内部の第2の側面に結合するように構成された第2の結合部材104と、を含む。
【0042】
加熱要素100は、第1の結合部材102と第2の結合部材104との間で延びる少なくとも1つの細長い帯片をさらに含む。示された例では、加熱要素100は、4つの細長い帯片1061-4を含む。
【0043】
本明細書で使用される場合、「細長い帯片」という用語に含まれる「帯片」という用語は、2つの表面を有する部材を指し、その表面は、実質的に平行であり、帯片の厚さにより分離されている、各表面は、帯片の厚さ(すなわち、厚さは、帯片の加熱面の寸法に対して実質的に直交する帯片の寸法である)と比較して比較的大きい寸法を有する(例えば、表面は、長さおよび幅を有する)。本明細書で述べられる帯片に関しては、「表面」は、そこから熱を放射するように構成された加熱面である。
【0044】
本明細書で使用される場合、「細長い帯片」という用語に含まれる「細長い」という用語は、帯片の寸法(例えば、帯片の長さ)が、帯片の別の寸法(例えば、帯片の幅/帯片の加熱面の幅など)に対して延ばされていることを示す。以下で論ずるように、延ばされた寸法は、第1および第2の結合部材102の間で延びる細長い帯片の長さであり、それは、細長い帯片の加熱面の長さに相当することも、しないこともあり得る。
【0045】
示された例では、各細長い帯片106
1-4は、第1の結合部材102と第2の結合部材104との間で延びる方向に細長い。すなわち、各細長い帯片106
1-4は、第1の結合部材102と第2の結合部材104との間で延びる、延びた軸(
図1cで軸Aにより示される)を有する。延びた軸に沿った各細長い帯片106
1-4の長さは、細長い帯片の他の寸法に対して引き延ばされている。
【0046】
いくつかの例では、各細長い帯片1061-4は、直線とすることができ、したがって、各細長い帯片1061-4(したがって、その加熱面)は、延びた軸に追従する。言い換えると、加熱面の長さ、および細長い帯片の長さは等しくなり得る。しかし、他の例では(例えば、示されたものなど)、各細長い帯片の加熱面は、細長い帯片の延びた寸法に直接対応しないこともある(例えば、加熱面が波形をしているなど)。これらの例では、第1の結合部材102から第2の結合部材104まで延びる細長い帯片により使用される経路は、直線ではなく、したがって、細長い帯片の延びた軸に直接追従することはない(細長い帯片の波形形状に関しては以下でさらに述べられる)。このように、各帯片の延ばされた長さは、その加熱面の長さとは異なる。
【0047】
示された例では、加熱要素100内の細長い帯片1061-4の延びた軸は、実質的に平行である。延びた軸(および帯片)は分離されており、各加熱要素における細長い帯片の延びた軸は、同一平面内にある。
【0048】
細長い帯片1061-4は、第1の結合部材102および第2の結合部材104と一体化される。すなわち、細長い帯片1061-4は、例えば、クランプによって共に結合された構成要素の集合体とは対照的に、第1の結合部材102および第2の結合部材104を備える単一の一体化された構成要素を形成する。
【0049】
使用する場合、加熱要素100は、ガラスまたはセラミック材料の作製中に、材料を溶融するための対応するシステム内で、加熱動作を実施する。加熱動作を実施するために、加熱要素100にわたって、すなわち、第1の結合部材102と第2の結合部材104の間に電位差が加えられて、それらの間に電流の流れが誘起される。第1の結合部材102と第2の結合部材104の間の流れにおいて、電流は、細長い帯片1061-4に沿って流れる。
【0050】
加熱要素は、例えば、モリブデンまたはイリジウムなどの導電性材料から作られる。電流が加熱要素を通って流れると、加熱要素の(特に細長い帯片における)抵抗が、熱を生成させ(すなわち、ジュール加熱)、それにより熱が溶融タンクの内部に位置する材料へと放射される。放射された熱は材料を溶融させる。
【0051】
赤外線(IR)または近赤外線放射の形で、溶融タンクの内部に位置する材料に放射される熱は、材料の加熱に特に有効であることが分かってきた。赤外線または近赤外線放射は、例えば、溶融ガラスなどの溶融された生成物を容易に通過する。こうすることは、伝導および対流に対する依存を低減させて、溶融ガラスの上に位置する材料(例えば、ガラスバッチ)に熱エネルギーを伝達することが可能になる。これは、次いで、作製プロセス用の十分な量のガラスを溶融するとき、大きな表面積を有する浅い溶融タンクに対する必要性を低減する。小さい表面積を有する浅いタンクを使用できるので、加熱損失が低減され、より効率的な作製プロセスが得られる。
【0052】
本明細書で使用される場合、近赤外線放射を含む赤外線は、実質的に700nmから1mmの波長を有し、かつ実質的に300GHzから430THzの周波数を有する電磁放射線として定義される。特に近IRは、概して、700nmから2500nmの波長、またはより適切には、780nmから2500nmの波長を有すると考えられる。本明細書では、「赤外線」は、赤外線と近赤外線周波数の両方を指すものとする。
【0053】
加熱要素内で細長い帯片を使用することは、他の形状(例えば、円筒形のロッド形状の電極/加熱要素など、それらは通常、提供される強度のため、知られたシステムで使用される)と比較して表面積を増加させる。この増加した表面積は、赤外線放射の出力増加を可能にする。言い換えると、各細長い帯片の加熱面は、赤外線放射が放出される加熱/放射面の増加を提供する。
【0054】
一体化された加熱要素100(すなわち、システムの他の部品に電気的に結合され得る単一の一体化された構成要素)を使用することは、加熱要素100内の異なる領域にわたる微分抵抗を低減するのを助ける。このように、加熱要素100は、知られたシステムよりも過熱する傾向が少ない。
【0055】
実施形態では、加熱要素100は、材料の単一のブロック/部分から作られることにより一体化される。例えば、加熱要素100は、ウォータジェット切削または機械切削により作ることができる。すなわち、ウォータジェットまたは切削工具が使用されて、単一ブロックの材料から加熱要素を切削する。この例では、各帯片の幅が、切削されるブロックの厚さに実質的に等しくなるように、帯片がブロックから切削される。
【0056】
このような製作の精密技法は、加熱要素100の幾何形状が適切に一様に(すなわち、適切な許容差内に)なり、加熱要素100全体を通して微分抵抗を確実に低減するのを助けるようにする。例えば、この方法で作られたとき、各細長い帯片1061-4の厚さは、その長さ全体にわたり比較的一定に保つことができる(例えば、±0.5mmの許容差内に)。例えば、ウォータジェット切削は、±0.1mmの許容差を達成できるようにする。
【0057】
ウォータジェット切削を使用することは、加熱要素を比較的迅速に(例えば、このような一体化された加熱要素を機械加工するのに要する時間と比較して)作ることができる点において、特に有利である。
【0058】
示された例では、細長い帯片1061-4はそれぞれ、第1の結合部材102と第2の結合部材104との間で非直線の経路に従う。特に、この例では、細長い帯片1061-4は、波形をしている。
【0059】
言い換えると、細長い帯片1061-4は、一連のピークおよびトラフを含む。ピークおよびトラフは、相対的な用語で定義されることが理解されよう。すなわち、加熱要素内の細長い帯片1061-4の場合、ピークは、第1の方向(例えば、溶融タンクの内部の1つの壁など)に面しており、またトラフは、反対方向(例えば、溶融タンクの内部の遠くの反対側の壁)に面している。示された例では、第1および第2の方向は、細長い帯片の延びた軸に対して実質的に直角である。
【0060】
示された例では、波形は、湾曲した輪郭をしている。すなわち、波形は、湾曲した経路に従う。この例では、各細長い帯片1061-4により追従される非直線の経路は、対応する細長い帯片1061-4の延びた軸付近に中心のある実質的に正弦波である。他の実施形態では、波形は、隣接する直線部分が互いに対して角度を有するように配置された複数の直線部分から形成することもできる。言い換えると、各細長い帯片により追従される非直線の経路は、延びた軸付近に中心のあるジグザグとすることができる。
【0061】
細長い帯片1061-4の波形の形状は、各細長い帯片の加熱面の長さが増加する(すなわち、各細長い帯片の加熱面の長さは、第1の結合部材102と第2の結合部材104との間の距離を超えて増加する)という利点を提供する。これは、細長い帯片1061-4の加熱面の表面積を増加して、赤外線出力を増加させる。加えて、長さが増加すると、各細長い帯片の抵抗も増加する。したがって、加熱要素を望ましい温度へと加熱するために加えられる電圧もまた増加する。加熱要素を、より高い印加電圧で動作するように構成することにより、加熱要素を大幅に制御できるようになる(すなわち、加熱要素の熱出力は、印加電圧におけるわずかな偏差に影響されなくなる)。
【0062】
いくつかの例では、隣接する細長い帯片の波形は、その延びた軸に沿ってオフセットされる。すなわち、第1の細長い帯片のピークは、隣接する細長い帯片のピークと位置合わせされない(オフセットされる)(また同様に、第1の細長い帯片のトラフは、隣接する細長い帯片のトラフと位置合わせされない、すなわち、オフセットされる)。言い換えると、隣接する細長い帯片の延びた軸が実質的に平行であっても、第1の細長い帯片が従う経路は、隣接する細長い帯片の延びた軸により追従される経路と平行ではない。
【0063】
平行な経路に従わない細長い帯片を提供することにより(すなわち、隣接する細長い帯片の波形をオフセットすることにより)、加熱するとき加熱要素により生成される磁場は、平行な構成要素を備える加熱要素において生成されるものよりも弱くなり、したがって、加熱要素の変形はなくなる。これはまた、単一の加熱要素において多数の細長い帯片を使用できるようにする(すなわち、帯片は、帯片の間で非常に大きな磁場を生成することなく共に接近させて設けることができる)。
【0064】
示された例では、隣接する細長い帯片の波形は、同じ周波数(すなわち、単位長さ当たり同じ数のピークおよびトラフ)を有する。波形は、第1の細長い帯片のピークが、隣接する細長い帯片のトラフと位置合わせされるように、その延びた軸に沿ってオフセットされる(逆も同様である)。しかし、他の例では、波形を、示されたものとは異なる量でオフセットすることもできる。
【0065】
図2a、
図2b、および
図2cを次に参照すると、ガラスまたはセラミック材料の作製中に材料を溶融するためのシステムが示される。
【0066】
システムは、溶融タンク200を含む。溶融タンク200は、任意の知られた溶融タンクとすることができる。例えば、溶融タンクは、当業者には知られているシリモナイト(silimonite)断熱ブロックで裏打ちされたジルコン断熱レンガの構造を含むことができる。
【0067】
溶融タンクは、内部202を有する。内部202は、溶融される材料を受け入れるように構成される。例えば、内部は、ガラス「バッチ」(ガラスの構成要素の混合体)またはガラスのペレットを受け入れることができる。溶融される材料は、任意の適切な方法で、溶融タンクの内部に受け入れることができる。例えば、材料は、ホッパーまたは同様のものから、溶融タンクの内部に溶融タンクの上から供給することができる。材料は、溶融タンクの作製用途に応じて、連続的に、または1つ以上の別々の量で供給され得る。
【0068】
内部202はベース204(すなわち、内側ベース)を有する。図では示されていないが、ベースは、出口(図示せず)の方向に下方に傾斜しており、溶融された生成物が出口に向けて流れるのを助ける。しかし、他の例では、ベースは、水平に延びることもあり得る(すなわち、傾斜を有しない)。内部は、側面により囲まれている。この場合、溶融タンクは、長方形の輪郭をしており、したがって、タンクの長さを画定する2つの長い側面206と、タンクの幅を画定する2つの短い側面208とを有する(タンクの幅はタンクの長さよりも短い)。出口は、通常、タンクの幅を画定する側面208に位置する(すなわち、ベースは、タンクの長さに沿って傾斜している)。他の例では、出口は、どこか他に位置することができる(例えば、タンクの長さを画定する側面206になど)。
【0069】
システムは、前に述べた諸例(およびその任意の述べられた変形形態)のいずれかによる少なくとも1つの加熱要素100をさらに含む。
図2a、
図2b、および
図2cの示された例では、システムは、3つの加熱要素100
1-3を含む加熱要素の配列を含む。システムは、任意の数の因子(例えば、タンク内部の寸法、および/または必要な熱出力であり、それ自体、例えば、溶融される材料、溶融される生成物の必要な出力などに依存し得る)に従って任意の数の加熱要素を有することができることを理解されたい。
【0070】
図2cで示されるように、各加熱要素100
1-3の第1の結合部材102は、溶融タンクの内部の第1の側面に結合され、各加熱要素100
1-3の第2の結合部材104は、溶融タンクの内部の第2の、反対側の側面に結合される。この例では、第1および第2の側面は、溶融タンクの内部の幅(すなわち、短い方の寸法)を横断して対向している。このように、加熱要素は、加熱要素が溶融タンクの長い方の寸法を横断して延びる場合よりも自重による変形を受けにくい。
【0071】
この例では、加熱要素は、溶融タンクの内部に実質的に水平に配置される。言い換えると、各加熱要素は、その中に細長い帯片の延びた軸を含む各加熱要素の平面が、溶融タンクの内部に実質的に水平に配置されるように構成される。
【0072】
言い換えると、加熱要素は、各加熱要素内の細長い帯片の幅が、実質的に垂直に配置され、かつ波形のピーク/トラフが、タンクの幅を画定する側面206、208に面するように溶融タンクの内部に配置される。
【0073】
代替的な実施形態では、要素は、溶融タンクの内部のベースに平行に配置することができる。言い換えると、その延びた軸を含む各加熱要素の平面は、溶融タンクの内部のベースに実質的に平行に配置される。この場合、各要素に含まれる細長い帯片は、なお、溶融タンクの内部の幅にわたって実質的に水平に延びる。
【0074】
示された例では、加熱要素は同一平面内にある。すなわち、各加熱要素の平面は一致する。しかし、代替的な実施形態では、加熱要素を、他の方法で配置することができる。例えば、加熱要素の少なくとも1つは、他の加熱要素からオフセットされた平面内に位置することができる(例えば、2つの加熱要素が存在し、一方は平行であり、他のものから垂直にオフセットされ得る)。
【0075】
加熱要素1001-3は、溶融タンクの内部のベースのすぐ近くの(すなわち、その近くもしくは隣接する)位置に配置される。例えば、加熱要素は、タンクのベースから実質的に10mmから100mmに位置することができる。溶融ガラスは、排出口がタンク内の要素よりも低い状態で、加熱要素を通って流れ落ちるように意図される。タンクのベースにおける過熱を回避するために、概して、加熱要素の場所に対する最適な位置が存在する。例えば、最適な位置は、タンクのベースから50mm乃至70mmの間、より適切には、タンクのベースから60mmとすることができる。
【0076】
加熱要素は、任意の適切な方法でタンクに結合することができる。例えば、加熱要素は、タンクのレンガ/ブロック構造により定位置に保持することができる。すなわち、加熱要素をタンクの中に組み込むことができ、したがって、それらは取り外せない、または別々に挿入することができない。
【0077】
図2cで示された例では、加熱要素100
1-3は、各加熱要素の第1および第2の結合部材102、104が、溶融タンクの内部で露出されるように、溶融タンク200に結合される。壁のすぐ近くのタンクの内部の領域は、加熱要素/電極が最も酸化されやすい、または腐食しやすい領域であることが分かってきた。加熱要素をこのように位置決めすることにより、細長い帯片に対する酸化/腐食の危険が低減される。しかし、代替の例においては、加熱要素100
1-3は、細長い帯片だけが、溶融タンクの内部に露出される、または例えば、白金もしくはイリジウムなどの腐食/酸化耐性材料を用いてコーティングされるように、溶融タンク200に結合することができる。
【0078】
いくつかの例では、システムは、加熱要素1001-3の第1の結合部材と第2の結合部材との間の電流の流れを制御するための制御システムを含む。制御システムは、第1の結合部材と第2の結合部材との間の電位差を制御することにより、第1の結合部材と第2の結合部材の間の電流の流れを制御する。
【0079】
加熱要素は、任意の適切な方法で制御システムに結合することができる。例えば、ケーブルが、加熱要素を制御システムに接続することができる。加熱要素にケーブルをボルトで留めることができる。ケーブルは、水冷とすることができる。
【0080】
制御システムは、例えば、415V電源などの電源に結合される。電源は、電源から供給された電圧を制御システムにより決定された必要なレベルに変圧するように構成された変圧器をさらに含む。
【0081】
制御システムは、ユーザが、制御システムに対して、動作させる前に/動作中に命令を送ることのできるユーザインターフェースを含むことができる。他の実施形態では(または加えて)、制御システムは、事前にプログラムされた命令に従って動作することができる。
【0082】
例えば、システムは、最初に手動で制御することができる。手動制御は、モニタされるパラメータが比較的一定になるまで続けることができ、その時点で、制御システムの制御は、コンピュータに渡され、コンピュータは、事前にプログラムされた命令に従って動作する。
【0083】
いくつかの例では、加熱要素は、独立して制御される。すなわち、各加熱要素を通る電流の流れは独立して制御され、変更され得る。独立した制御は、各加熱要素を個々に動作させることのできる単一の制御システムにより、または各加熱要素に対する独立した制御システムにより達成することができる。加熱要素の独立した制御は、タンク内の様々な位置において熱出力(すなわち、放出される赤外線放射)を変えることを可能にする。例えば、各加熱要素を通る電流の流れ、したがって、各加熱要素からの熱出力は、溶融タンクの出口からの相対的な距離に対応することができる。例えば、出口から遠い加熱要素は、必要に応じて、出口に近いものに対して、より高い熱出力を有することができる。こうすることは、溶融タンク内の溶融生成物の温度勾配に対して大きく制御できるようにする。
【0084】
前に参照したように、上記で述べた構成は、知られたシステムと比べて低減された表面を有するタンクを使用して、連続的な作製プロセス内で、溶融された生成物を提供できるようにする。例えば、溶融タンクの内部は、400mmから600mmの幅を有することができる。溶融タンクの内部は、700mmまたはそれ以上の長さを有することができる。すなわち、前に述べた概念は、溶融タンクの長さを任意の必要な値に増加することにより、拡張することができる。
【0085】
加熱要素は、200mmから400mmの幅を有することができ、この幅は、加熱要素に存在する細長い帯片の数、および細長い帯片の間の間隔に依存する。
【0086】
各加熱要素の細長い帯片は、例えば、2mm乃至4mmの間の厚さを有することができる。各加熱要素の細長い帯片は、10mm乃至30mmの間、適切には16mmの幅(加熱要素の高さに相当する)を有することができる。
【0087】
上記で述べた溶融タンクおよび加熱要素の構成の場合、個々に制御される加熱要素の両端間に加えられる電位差は、実質的に1.5Vから3Vである。上記で述べられたタンク(3つの加熱要素を備える)で生じた電力消費は、1~4kg/分の溶融ガラスの連続的な流れを生成することにおいて、通常40kWから100kWである。
【0088】
実施形態では、2つ以上の加熱要素を電気的に結合することができる。加熱要素を電気的に結合することにおいて、加熱要素を直列に動作させることができる。すなわち、第1の加熱要素の結合部材が、第2の加熱要素の結合部材に電気的に結合され、また電位差が、結合された加熱要素の未結合の端部の間に加えられる。加熱要素を直列に動作させることにおいて、抵抗が増加し(すなわち、約2倍になる)、したがって、増加させた印加電圧が必要になる(すなわち、約2倍)。望ましい加熱効果を達成するために、増加させた電圧を必要とすることは、ユーザに大きな制御可能性を提供する(すなわち、システムは、電圧変動を受けにくくなる)。
【0089】
結合された加熱要素は、同一面内構成で配置されるものとすることができる。例えば、
図2cの加熱要素のうちの2つ以上が電気的に結合され得る。別の変形形態では、別の平面に配置された加熱要素を結合することができる。
【0090】
例えば、
図3は、
図2aから
図2cのシステムに対する変形形態を示す。この例では、システムは、第1の平面で同一平面内にある加熱要素100
1-3を含む(
図2aから
図2cのシステムに関するものと同様に)。
【0091】
加えて、システムは、その共通平面からオフセットされた少なくとも1つのさらなる加熱要素を含む(この例では、3つのさらなる加熱要素1004-6)。この例では、さらなる加熱要素1004-6は、第2の平面で同一平面内にあり、第2の平面は、第1の平面と平行であるがオフセットされている。第2の平面は、第1の平面から垂直方向にオフセットされる。
【0092】
この例では、第1の平面に位置する加熱要素は、第2の平面に位置する対応する加熱要素と電気的に結合される。すなわち、第1の平面に位置する加熱要素は、第2の平面の対応する加熱要素と直列に動作することができる。
【0093】
電気的に結合された加熱要素の各組は、上記で述べたように、個々に制御することができる。
【0094】
オフセットされた平面は、任意の適切な方法で配置することができる。例えば、加熱要素1004-6の各加熱要素は、対応する加熱要素1001-3のすぐ上に位置することができる。代替的な実施形態では(示された例に従って)、加熱要素1004-6は、実質的に水平方向に加熱要素1001-3からオフセットすることができる。
【0095】
上記で述べられた詳細な構成に対して様々な変更を行うことが可能である。例えば、述べられた例は、溶融ガラスを作製するために材料を溶融することだけを指しているが、上記の装置はまた、セラミック材料の作製における材料の溶融にも使用できることを理解されたい。
【0096】
上記で述べた加熱要素の(すなわち、同じ周波数を有する隣接する細長い帯片の波形がオフセットされた状態の)例は、隣接する細長い帯片の間の磁気引力を低減するのに特に有利であるが、隣接する細長い帯片の平行からの任意の変形が、磁気引力を低減すること支援するようになることも理解されたい。例えば、隣接する帯片の波形は、任意の量だけオフセットすることができる、かつ/または隣接する帯片の波形の周波数を変えることができる。
【0097】
実施形態では、加熱要素は、少なくとも部分的にコーティングされる。例えば、加熱要素は、酸化を阻止する材料で少なくとも部分的にコーティングすることができる。例えば、イリジウムコーティング、または白金コーティングなど、任意の適切なコーティング材料を使用することができる。コーティングは、加熱要素の劣化を生ずる酸化を受けやすいモリブデン加熱要素に対して特に有利である。
【0098】
コーティングは、タンクの内部に露出された加熱要素の全体を、または加熱要素の少なくとも一部を覆うことができる。前に述べたように、加熱要素は、溶融タンクの内壁の近くで、酸化/腐食を最も受けやすい可能性がある。したがって、加熱要素は、溶融タンクの内壁のすぐ近くの領域においてのみコーティングすることができる。このような場合、コーティングされるのは、第1の結合部材および第2の結合部材(またはその一部)だけ、または細長い帯片の一部だけとすることができる。
【0099】
例えば、加熱要素の各端部におけるコーティングされる領域は、溶融タンクの内壁から、溶融タンクの内部の幅の5%から30%にわたって、適切には、溶融タンクの内部の幅の10%から20%にわたって延びることができる。
【0100】
各加熱要素内の細長い帯片は、任意の適切な方法で方向付けることができることを理解されたい。同様に、加熱要素も、任意の適切な方法で方向付けることができる。タンク内で加熱要素の任意の適切な配置を使用することができる。
【0101】
当業者であれば、前述の特徴および/または添付図面で示されたものの任意の数の組合せが、従来技術に対して明確な利点を提供し、したがって、本明細書で述べられる本発明の範囲に含まれることが理解されよう。
【0102】
概略的な図面は、必ずしも縮尺を合わせておらず、限定するためではなく、例示するために提示されている。図面は、本開示で述べられる1つ以上の態様を示す。しかし、図面に示されていない他の態様も、本開示の範囲に含まれることが理解されよう。
【符号の説明】
【0103】
100 加熱要素
1001-6 加熱要素
102 第1の結合部材
104 第2の結合部材
1061-4 細長い帯片
200 溶融タンク
202 内部
204 ベース
206 側面
208 側面
【国際調査報告】